(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】バナナ果実における褐変の遅延又は防止
(51)【国際特許分類】
C12N 15/09 20060101AFI20240702BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240702BHJP
A01H 6/00 20180101ALI20240702BHJP
A01H 5/08 20180101ALI20240702BHJP
C12N 9/02 20060101ALI20240702BHJP
C12N 15/53 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C12N15/09 110
C12N15/11 Z ZNA
A01H6/00
A01H5/08
C12N9/02
C12N15/53
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023577572
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2022068072
(87)【国際公開番号】W WO2023275255
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523470175
【氏名又は名称】トロピック バイオサイエンシーズ ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】ネヴィット、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】グリーン、ロバート トリスタン
(72)【発明者】
【氏名】パイス ディエゲス、シルヴィア マリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム-ショプファー、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】チャパロ ガルシア、アンジェラ ルシア
(57)【要約】
本発明は、ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)をコードしている1つ以上の遺伝子を遺伝的に編集することにより、バナナ果実の褐変を遅延又は防止するための組成物及び方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バナナ植物又はバナナ植物細胞において、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされている少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性を低下させる方法。
【請求項2】
前記PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子が、
(A)
(a)配列番号5(PPO1)若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6(PPO2)若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号12(PPO8)若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号13(PPO9)若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(e)配列番号8(PPO4)若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるコード配列を含む;
(B)
(a)配列番号40(PPO1)若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号41(PPO2)若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号47(PPO8)若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(d)配列番号48(PPO9)若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び
(e)配列番号43(PPO4)若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は
(C)
(a)配列番号151(PPO1)若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号152(PPO2)若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号158(PPO8)若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号159(PPO9)若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(e)配列番号154(PPO4)若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)前記バナナ植物若しくはバナナ植物細胞における少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、若しくはPPO4のポリフェノールオキシダーゼのレベルを低下させる;
(b)前記バナナ植物又はバナナ植物細胞における少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、若しくはPPO4のポリフェノールオキシダーゼの機能を低下させる;又は
(c)前記バナナ植物又はバナナ植物細胞における少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、若しくはPPO4のポリフェノールオキシダーゼの機能を喪失させる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(a)前記少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、若しくはPPO4のポリフェノールオキシダーゼのレベル若しくは活性が低下していないバナナ植物の果肉及び/若しくは果皮と比較して、前記バナナ植物の果肉及び/若しくは果皮の褐変を遅延させる;並びに/又は
(b)前記少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、若しくはPPO4のポリフェノールオキシダーゼのレベル若しくは活性が低下していないバナナ植物の果肉及び/若しくは果皮と比較して、前記バナナ植物の果肉及び/若しくは果皮の褐変を低減する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
(a)前記バナナ植物細胞若しくは前記バナナ植物の一部に、前記少なくとも1つのPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、若しくはPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の転写物を標的とするサイレンシングRNAを提供することであって、任意で、前記サイレンシングRNAが、前記バナナ植物細胞若しくは前記バナナ植物の一部にエンドヌクレアーゼを導入することにより提供され、前記エンドヌクレアーゼが、前記少なくとも1つのPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、若しくはPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の転写物を標的とする前記サイレンシングRNAをコードするように、内因性非コードRNAをコードしている遺伝子を改変することができ、更に任意で、前記エンドヌクレアーゼが、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクタヌクレアーゼ(TALEN)、ホーミングエンドヌクレアーゼ、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ、及び改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼからなる群から選択されること;又は
(b)前記少なくとも1つのPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、若しくはPPO4のポリフェノールオキシダーゼをコードしているPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、若しくはPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に改変を導入することであって;任意で、前記改変が、前記バナナ植物細胞に提供されかつ前記少なくとも1つのPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、若しくはPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子を標的とすることが可能なエンドヌクレアーゼによって、前記PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、若しくはPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に導入され;更に任意で、前記エンドヌクレアーゼが、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクタヌクレアーゼ(TALEN)、ホーミングエンドヌクレアーゼ、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ、及び改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼからなる群から選択され;更に任意で、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼがCas9エンドヌクレアーゼであること
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼと、前記少なくとも1つのPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、若しくはPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に特異的な1つ以上のガイドRNAとを前記バナナ植物細胞に提供することを含み、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び前記1つ以上のガイドRNAが、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが前記少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、若しくはPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に二本鎖切断又は一本鎖切断を導入することを可能にする複合体を形成し;任意で、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼがCas9エンドヌクレアーゼである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の改変を含む少なくとも1つのバナナ植物細胞を同定することを更に含み、前記改変が、
(a)少なくとも1つのヌクレオチド挿入;
(b)少なくとも1つのヌクレオチド欠失;
(c)挿入-欠失(インデル);
(d)逆位;
(e)少なくとも1つのヌクレオチド置換;及び
(f)(a)~(e)の任意の組み合わせ
からなる群から選択される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のガイドRNAが、1つ以上のプロモータに動作可能に連結された前記1つ以上のガイドRNAをコードしている1つ以上の組換えDNAコンストラクト内でバナナ植物細胞に提供される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼ若しくは改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び/又は前記1つ以上のガイドRNAが、RNAの形態でバナナ植物細胞に提供される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項10】
前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、タンパク質の形態で前記バナナ植物細胞に提供され、前記1つ以上のガイドRNAが、RNAの形態で前記バナナ植物細胞に提供され;任意で、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び前記1つ以上のガイドRNAが、リボ核タンパク質複合体として前記バナナ植物細胞に提供される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項11】
前記エンドヌクレアーゼ、前記1つ以上のガイドRNA、及び/又は前記1つ以上の組換えDNAコンストラクトが、
(a)微粒子銃;
(b)アグロバクテリウム形質転換;
(c)プロトプラストトランスフェクション;
(d)エレクトロポレーション;及び
(e)ナノ粒子によって媒介されるトランスフェクション。
からなる群から選択される方法を用いて前記バナナ植物細胞に提供される、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法
【請求項12】
前記エンドヌクレアーゼが、エンドヌクレアーゼポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドとしてバナナ植物細胞に提供され;任意で、前記エンドヌクレアーゼが、Cas9エンドヌクレアーゼであり、前記ポリヌクレオチドが、Cas9ポリペプチドをコードしているCas9ポリヌクレオチドである、請求項5~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上のガイドRNA及び前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ、少なくとも1つの選択マーカー遺伝子、及び前記1つ以上のガイドRNAをコードしている1つ以上のプラスミドのアグロバクテリウム形質転換を介して前記バナナ植物細胞に提供される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上のガイドRNAが、
(a)配列番号32;
(b)配列番号33;
(c)配列番号34;
(d)配列番号35;
(e)配列番号57;
(f)配列番号58;
(g)配列番号38;
(h)配列番号39;
(i)配列番号62;
(j)配列番号76;
(k)配列番号77;及び
(l)(a)~(k)の任意の組み合わせ
からなる群から選択される配列を有する可変領域を含む、請求項6~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上のガイドRNAが、
(a)配列番号32及び33;
(b)配列番号34及び35;
(c)配列番号32及び34;
(d)配列番号32及び35;
(e)配列番号33及び34;
(f)配列番号33及び35;
(g)配列番号57及び58;
(h)配列番号38及び39;
(i)配列番号62及び33;並びに
(j)配列番号76及び77
からなる群から選択される可変領域を含む一対のガイドRNAである、請求項6~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記バナナ植物細胞が胚形成細胞である及び/又は胚形成細胞懸濁液に含有される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、バナナ植物細胞。
【請求項18】
前記バナナ植物細胞からバナナ植物を再生することを更に含み;
任意で、該バナナ植物から果実を収穫することを更に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法によって得ることができるバナナの植物又は植物部位であって;任意で、
(a)配列番号179に記載の;
(b)配列番号177に記載の切断型PPO1タンパク質を発現する;又は
(c)配列番号178に記載のコード配列を有する変異PPO1遺伝子を含み;
更に任意で、前記変異が、PPO1遺伝子の1つのアレルにのみ存在する、バナナの植物又は植物部位。
【請求項20】
請求項18に記載の方法によって得ることができるバナナ植物から収穫された果実であって、前記果実の果肉及び/又は果皮が、前記少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性が低下していないバナナ植物の果肉及び/又は果皮と比較して褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とする、果実。
【請求項21】
野生型バナナ植物と比較して果肉及び/又は果皮の褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とするバナナ植物を作出する方法であって、
(a)バナナ植物細胞に、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び1つ以上のガイドRNAを提供することであって、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び前記1つ以上のガイドRNAが、
(A)
(i)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(ii)配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(iii)配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(iv)配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(v)配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるコード配列を含む;
(B)
(i)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(ii)配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(iii)配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(iv)配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び
(v)配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は
(C)
(i)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(ii)配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(iii)配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(iv)配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(v)配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む
少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、一本鎖切断又は二本鎖切断を導入することを可能にする複合体を形成することと;
(b)前記少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の改変を含む少なくとも1つのバナナ植物細胞を同定することであって、前記改変が、
(i)少なくとも1つのヌクレオチド挿入;
(ii)少なくとも1つのヌクレオチド欠失;
(iii)少なくとも1つのヌクレオチド置換;又は
(iv)(b)(i)~(b)(iii)の任意の組み合わせ
からなる群から選択されることと;及び
(c)前記バナナ植物細胞からバナナ植物を再生することであって、前記バナナ植物が、野生型バナナ植物と比較して果肉及び/又は果皮の褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とすることと
を含む方法。
【請求項22】
前記バナナ植物から果実を収穫することを更に含み、前記果実が、前記少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性が低下も喪失もしていないバナナ植物の果実と比較して褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの改変された内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子をそのゲノム中に含むバナナの植物又は植物部位であって、前記改変の結果、前記改変された内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされている少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼが低減又は機能が低下し、前記改変が、
(A)
(a)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(e)配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるコード配列を含む;
(B)
(a)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(d)配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び
(e)配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は
(C)
(a)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(e)配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む
少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に位置する、バナナの植物又は植物部位。
【請求項24】
非トランスジェニックである、請求項19又は23に記載のバナナの植物又は植物部位。
【請求項25】
前記果実が、前記少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性が低下していないバナナ植物の果実と比較して褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とする、請求項23又は24に記載のバナナ植物から収穫されたバナナ果実。
【請求項26】
バナナ果実食品を得る方法であって、請求項25に記載のバナナ果実を加工することを含む方法。
【請求項27】
(A)
(a)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(e)配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるコード配列を含む;
(B)
(a)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(d)配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び
(e)配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は
(C)
(a)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(e)配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、
バナナのPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドを含むDNA配列。
【請求項28】
(A)
(a)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(e)配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるコード配列を含む;
(B)
(a)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(d)配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び
(e)配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は
(C)
(a)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(e)配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む
バナナのPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドを含むDNAコンストラクト又はベクター。
【請求項29】
ベクター又は請求項28で形質転換された植物細胞であって、任意でバナナ植物細胞である、植物細胞。
【請求項30】
(a)配列番号5、配列番号6、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号8によってコードされているか、又は配列番号5、配列番号6、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされている;
(b)配列番号40、配列番号41、配列番号47、配列番号48、若しくは配列番号43を含むか、又は配列番号40、配列番号41、配列番号47、配列番号48、若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有する配列を含む;或いは
(c)配列番号151、配列番号152、配列番号158、配列番号159、若しくは配列番号154によってコードされているか、又は配列番号151、配列番号152、配列番号158、配列番号159、若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされている、
ポリフェノールオキシダーゼタンパク質。
【請求項31】
植物細胞においてポリフェノールオキシダーゼを発現させる方法であって、前記植物細胞に、植物細胞内で活性のあるプロモータに動作可能に連結されている
(A)
(a)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(e)配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるコード配列を含む;
(B)
(a)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(d)配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び
(e)配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は
(C)
(a)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(e)配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む
バナナポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドを導入することを含む方法。
【請求項32】
(a)配列番号32;
(b)配列番号33;
(c)配列番号34;
(d)配列番号35;
(e)配列番号57;
(f)配列番号58;
(g)配列番号38;
(h)配列番号39;
(i)配列番号62;
(j)配列番号76;及び
(k)配列番号77
からなる群から選択される可変領域を含む、合成バナナポリフェノールオキシダーゼガイドRNA。
【請求項33】
少なくとも1つのバナナのPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼガイドRNAを発現するヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモータを含む組換えDNAコンストラクトであって、前記ガイドRNAが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼと複合体を形成することができ、前記複合体が、バナナゲノム中の
(A)
(a)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(e)配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるコード配列を含む;
(B)
(a)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(d)配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び
(e)配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は
(C)
(a)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(e)配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む
少なくとも1つの内因性バナナのPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に結合し、二本鎖切断又は一本鎖切断を生じさせることができる、組換えDNAコンストラクト。
【請求項34】
前記1つ以上のバナナポリフェノールオキシダーゼガイドRNAが、
(a)配列番号32;
(b)配列番号33;
(c)配列番号34;
(d)配列番号35;
(e)配列番号57;
(f)配列番号58;
(g)配列番号38;
(h)配列番号39;
(i)配列番号62;
(j)配列番号76;
(k)配列番号77;及び
(l)(a)~(k)の任意の組み合わせ
からなる群から選択される配列を有する可変領域を含む、請求項33に記載の組換えDNAコンストラクト。
【請求項35】
前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼがCas9エンドヌクレアーゼである、請求項33又は34に記載の組換えDNAコンストラクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幾つかの実施形態によれば、バナナ果実における褐変を遅延又は防止するための組成物及び方法に関する。本発明の幾つかの実施形態においては、バナナ果実における褐変の遅延又は防止は、ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)をコードしている1つ以上の遺伝子を遺伝的に編集することによって達成される。
【背景技術】
【0002】
栽培されているバナナ及びプランテンは、ムサ属の巨大な草本植物である。これらは不稔性かつ単為結実性であるため、種子なしに果実が発達する。栽培されている雑種及び種はほとんどが3倍体であるが、一部は2倍体又は4倍体である。そのほとんどは、野生で発見された変異体から繁殖したものである。
【0003】
バナナは、クライマクテリック型果実に属する。収穫後、緑色のバナナは、果肉が軟らかくなり、甘味が増し、香りが出て、よって食品としての価値が上がるまで、成熟過程(内部エチレンの生成、デンプン及びプロトペクチンの加水分解を含む)を経てクライマクテリック型変化を遂げなければならない。従来、バナナは熟す前に収穫されるため、輸送及び貯蔵の期間は成熟の進行の長さに影響を受ける。バナナの果実は、多くの場合、輸送過程中にエチレンが生成されることから成熟が進み得る。更に、果実が熟し過ぎて褐色になり始め、腐敗して市場価値が下がることもある。従って、バナナの果実の褐変を制御する必要がある。特に、果実の褐変を遅延又は防止する能力は、バナナ果実の輸送を容易にし、バナナ果実の貯蔵寿命を向上させる。果実の褐変に影響を与える可能性のある要素の1つは、ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)である。
【0004】
ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)は、バナナ等のほとんどの果物及び野菜を含む植物界及び動物界全体にみられる酵素である。PPOは食品産業において重要であるが、その理由は、傷み又は圧迫によって組織が損傷した場合に酵素的褐変を触媒し、農産物の市場性を低下させ、経済的損失をもたらすためである。PPOの作用による酵素的褐変は、農産物の栄養素含有量の損失にもつながり、その価値を更に低下させる場合がある。PPO反応の基質は植物細胞の液胞内に位置するため、PPOが一連の褐変反応を開始させる。果実を薄切りにしたり裏ごししたりした際に酸素に曝されることも、PPOによる酵素的褐変を引き起こす。PPOはモノフェノール及び/又はo-ジフェノールを基質として受け入れることが知られており、ベンゼン環が1つのヒドロキシル置換基を含有するモノフェノール分子のo-ジフェノール(1,2位に2つのヒドロキシル置換基を含有し、間に炭素を有しないフェノール分子)へのo-ヒドロキシル化を触媒することによって作用する。この酵素は更に、o-ジフェノールの酸化を触媒してo-キノンを生成することもできる。PPOはo-キノンの迅速な重合を触媒し、果実の褐変を引き起こす黒色、褐色、又は赤色の色素(ポリフェノール)を生成する。従って、例えばバナナにおいて果実の褐変を遅延又は防止するための取り組みにおいて、果実において活性のあるPPOのレベル又は活性を低下させる方法を見出すことが望まれる。
【0005】
PPO遺伝子の発現を低下させてPPOのレベル又は活性を低下させることは、果実の褐変を防止する1つの方法である(リンゴ、いわゆる「北極リンゴ」について米国特許第9580723号に記載されている)。農業の生産性を向上させる典型的なアプローチ(収量の向上又は害虫抵抗性の操作等)は、これまで、突然変異育種又は形質転換によって作物種のゲノムに遺伝子を導入することに頼ってきた。しかし、これらのプロセスは本質的に非特異的であり、比較的非効率的である。例えば、植物の形質転換法では、外来性DNAを送達し、それをランダムな位置でゲノムに組み込む。更に、これら組み込みのランダムな性質から、意図しないゲノム破壊による多面的効果が生じたかどうかを予測することが困難になる。最近のゲノム編集技術の進歩により、CRISPR-Cas9遺伝子編集の使用等によって、従来の育種又は標準的な遺伝子操作よりも正確に生細胞内のDNA配列を改変することが可能になった。
【0006】
しかし、他のほとんどの食用作物とは異なり、バナナは遺伝子改良が困難である。これは、一部には、バナナ種が単為生殖性である(生育可能な種子を作らない)ので、有性生殖によって遺伝的に挿入された配列を除去することが不可能であるためである(例えば、Cas9配列を導入するアグロバクテリアを用いて挿入されたトランスファーDNA、T-DNAの除去)。更に、ほぼ全てのバナナの品種及び在来種は3倍体であり、雄性及び雌性の不稔率が高いため、バナナの戻し交配は不可能であり、従って、現在の品種に新たな形質を遺伝子移入する可能性は排除される。更に、バナナゲノムのアノテーションが不完全であり、発現データも限られているため、標的とすべき最適な遺伝子について十分に深い情報が得られない。
【0007】
本発明は、バナナにおける9つの異なるPPO遺伝子(PPO1~PPO9と命名)の同定、特に、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、及びPPO4等の特定のPPOがバナナ果実では発現するが、他の組織では発現が低いか又は発現しないことを特徴とするという特徴付けに一部基づいている。本発明の幾つかの実施形態によれば、バナナ果実における褐変を遅延又は防止するために、同定されたPPO遺伝子、特にPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、及び/又はPPO4が本明細書において標的とされる。以前、Gooding et al.,“Molecular cloning and characterisation of banana fruit polyphenol oxidase”,Planta,Sep 2001;123(5):748-57では、バナナのPPOを同定するために縮重プライマーが使用され、該プライマーは本明細書のPPOのいずれとも一致しないが、PPO4及びPPO5のいずれかと最も密接に相関している。国際公開第9637617号、同第9729193号、及び同第9853080号では、Goodingら(2001)上掲と同じ縮重プライマーが使用された。中国特許第104404007号には、本明細書ではPPO8と称するバナナのPPO遺伝子の発見が開示されている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、バナナ植物又はバナナ植物細胞において、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされている少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性を低下させる方法を提供する。任意で、本発明の方法は、該バナナ植物細胞からバナナ植物を再生することを更に含む。更に任意で、本発明の方法は、該バナナ植物から果実を収穫することを更に含む。幾つかの実施形態によれば、少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性を低下させることは、該少なくとも1つのPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼをコードしているPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に改変を導入することを含む。
【0009】
本発明は更に、本発明の上記方法によって得ることができるバナナ植物細胞、本発明の上記方法によって得ることができるバナナの植物又は植物部位、及び本発明の上記方法によって得ることができるバナナ植物から収穫された果実であって、果肉及び/又は果皮が、該少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性が低下していないバナナ植物の果肉及び/又は果皮と比較して褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とする果実を提供する。
【0010】
野生型バナナ植物と比較して果肉及び/又は果皮の褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とするバナナ植物を作出する方法であって、(a)バナナ植物細胞に、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び1つ以上のガイドRNAを提供することであって、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び該1つ以上のガイドRNAが、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、(A)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるコード配列を含む;(B)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は(C)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に一本鎖切断又は二本鎖切断を導入することを可能にする複合体を形成することと、(b)該少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の改変を含む少なくとも1つのバナナ植物細胞を同定することであって、該改変が、少なくとも1つのヌクレオチド挿入;少なくとも1つのヌクレオチド欠失;少なくとも1つのヌクレオチド置換;又は前述の任意の組み合わせからなる群から選択されることと;該バナナ植物細胞からバナナ植物を再生することであって、該バナナ植物が、野生型バナナ植物と比較して果肉及び/又は果皮の褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とすることと、を含む方法が、本発明によって更に提供される。
【0011】
本発明は更に、少なくとも1つの改変された内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子をそのゲノム中に含むバナナの植物又は植物部位であって、該改変の結果、該改変された内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされている少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼが低減又は機能が低下し、該改変が、(A)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるコード配列を含む;(B)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は(C)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に位置する、バナナの植物又は植物部位を提供する。
【0012】
本発明は更に、本発明のバナナ植物から収穫されたバナナ果実であって、該少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性が低下していないバナナ植物の果実と比較して褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とする果実を提供する。バナナ果実食品を得る方法であって、本発明のバナナ果実を加工することを含む方法が、本発明により更に提供される。
【0013】
バナナのPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドを含むDNA配列であって、(A)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるコード配列を含む;(B)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は(C)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、DNA配列が本発明により更に提供される。
【0014】
本発明は更に、(A)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるコード配列を含む;(B)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は(C)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、バナナのPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドを含むDNAコンストラクト又はベクターを提供する。本発明のベクターで形質転換された植物細胞であって、任意で、バナナ植物細胞である植物細胞が、本発明により更に提供される。
【0015】
本発明は更に、配列番号5、配列番号6、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号8によってコードされているか、又は配列番号5、配列番号6、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされている;配列番号40、配列番号41、配列番号47、配列番号48、若しくは配列番号43を含むか、又は配列番号40、配列番号41、配列番号47、配列番号48、若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有する配列を含む;或いは配列番号151、配列番号152、配列番号158、配列番号159、若しくは配列番号154によってコードされているか、又は配列番号151、配列番号152、配列番号158、配列番号159、若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされているポリフェノールオキシダーゼタンパク質を提供する。
【0016】
植物細胞においてポリフェノールオキシダーゼを発現させる方法であって、該植物細胞に、植物細胞内で活性のあるプロモータに動作可能に連結されている(A)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるコード配列を含む;(B)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は(C)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、バナナポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドを導入することを含む方法が、本発明により更に提供される。
【0017】
本発明は更に、配列番号32;配列番号33;配列番号34;配列番号35;配列番号57;配列番号58;配列番号38;配列番号39;配列番号62;配列番号76;及び配列番号77からなる群から選択される可変領域を含む合成バナナポリフェノールオキシダーゼガイドRNAを提供する。
【0018】
本発明は更に、少なくとも1つのバナナのPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼガイドRNAを発現するヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモータを含む組換えDNAコンストラクトであって、該ガイドRNAが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼと複合体を形成することが可能であり、該複合体が、バナナゲノム中に、(A)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるコード配列を含む;(B)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は(C)配列番号151又は配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号152又は配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号158又は配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号159又は配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号154又は配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、少なくとも1つの内因性バナナのPPO1、PPO2、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に結合し、二本鎖切断又は一本鎖切断を作製することが可能である組換えDNAコンストラクトを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示は、本出願の一部を構成する添付図面及び配列表の以下の説明からより深く理解することができる。
【
図1】選択したマレーヤマバショウ(Musa acuminata)PPOタンパク質の同一性パーセントマトリックス。PPOは互いに35%~97%の相同性を有する。
【
図2】選択したマレーヤマバショウ及びセイヨウリンゴ(Malus domestica)のPPOタンパク質の同一性パーセントマトリックス。PPOはクエリー配列に対して約39%~97%の相同性を有する。
【
図3】遺伝子編集の標的となる選択されたPPOのDWLドメインのタンパク質アラインメント。セイヨウリンゴのクエリー配列を枠内に示す。
【
図4】各被検組織における各PPOの平均発現レベルを示す発現プロファイル。単位は、視覚的に定量化し、定量化を数字として表し、その数字を-から+、++、+++までの尺度に直線的に変換することによって導き出される任意のものである。
【
図5】種々の組織からの全RNAシーケンスデータの比較及びTMM正規化(M値のトリム平均)による発現の測定に基づく、バナナのPPO1、PPO2、及びPPO4~PPO9のRNA-seq発現を示す棒グラフ。PPO1、PPO2、PPO8、及びPPO9では、バナナの果実及び/又は果肉における発現がみられた。edgeRによってTMMの正規化を実施して、サンプル間及びサンプル内の組成バイアスを排除した。TMM正規化は、特にサンプル間の発現転写物の基本的な分布が著しく異なる状況において、RNA-seqデータから相対的なRNA産生レベルを推定する方法である。TMM法はサンプル間のスケール係数を推定する。PPO3は、RNA-seqによって検出されなかった。
【
図6】
図6Aに示す遺伝子及び
図6Bに示す欠失を有するPPO2における編集の生成。
【
図7】(A)バナナPPO1遺伝子の最初のエクソンの部分ゲノム配列。黒字はコード配列のヌクレオチド(開始コドンのアデノシンからヌクレオチド1~695を表示)を示し、灰色の字は上流の非翻訳領域のヌクレオチド(開始コドンのアデノシンからヌクレオチド-166~-1を表示)を示す。CRISPR/Cas9に関連するDNA二本鎖切断(DSB)部位を点線で示す。PPO1遺伝子を標的とする2つのsgRNA(857、858)を網掛けで示し、それらのプロトスペーサ隣接モチーフ(PAM)配列も網掛けで示す。太字及び下線は、褐変が低減したバナナ植物で欠失しているヌクレオチド(シトシン、bp371)を更に示す。網掛けは更に、シーケンシング及び編集の確認のためにPPO1標的部位領域を増幅するためのPCRに使用したプライマーを示す。(B)編集されていないPPO1遺伝子及び編集されたPPO1遺伝子から産生されたPPO1タンパク質配列の部分的アラインメント。ボックスは、sgRNA 858ガイドCRISPR/Cas9 DSBによって誘導されたPPO1遺伝子の一塩基対欠失によって引き起こされたタンパク質配列の変化を示す。編集されていないPPO1タンパク質の全長は578アミノ酸長であるが、編集されたPPO1タンパク質は、単一塩基対の欠失によって惹起されたフレームシフトに起因する未成熟終止コドン(アスタリスクで示す)の存在により切断されている(127アミノ酸長)。
【
図8】外因性エチレンを適用していない自然成熟過程にわたってグランドナインバナナに対して行ったRNA-seq発現解析。5つの成熟段階から果皮及び果肉のサンプルを採取した:全緑色(未熟期)、緑-黄色(第1の転換点)、全黄色(成熟期)、黄-褐色(第2の転換点)、全褐色(過熟期)。全ての果肉サンプル及び全緑色期の果皮から高品質のRNAが得られた。インビトログランドナイン植物の葉及び根、並びに胚及び胚形成細胞のインビトロ培養からも組織サンプルを採取した。TMM正規化を用いて上記のように相対的mRNA存在量を定量化した。PPO1、PPO4、及びPPO9は、未熟な緑色期のグランドナインバナナの果皮におけるPPO発現の90%超を占めるが、グランドナインバナナの果肉で発現する優勢PPO遺伝子はPPO1であり、PPO8がより高発現する過熟褐色期は例外である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
配列
配列番号1は、北極リンゴ由来のPPOペプチド配列である。
配列番号2は、北極リンゴ由来のPPOペプチド配列である。
配列番号3は、北極リンゴ由来のPPOペプチド配列である。
配列番号4は、北極リンゴ由来のPPOペプチド配列である。
配列番号5は、バナナ由来のPPO1遺伝子コード配列である(アクセッション番号Ma06_31080)。
配列番号6は、バナナ由来のPPO2遺伝子コード配列である(アクセッション番号Ma07_03540)。
配列番号7は、バナナ由来のPPO3遺伝子コード配列である(アクセッション番号Ma07_03650)。
配列番号8は、バナナ由来のPPO4遺伝子コード配列である(アクセッション番号Ma08_09150)。
配列番号9は、バナナ由来のPPO5遺伝子コード配列である(アクセッション番号Ma08_09160)。
配列番号10は、バナナ由来のPPO6遺伝子コード配列である(アクセッション番号Ma08_09170)。
配列番号11は、バナナ由来のPPO7遺伝子コード配列である(アクセッション番号Ma08_09180)。
配列番号12は、バナナ由来のPPO8遺伝子コード配列である(アクセッション番号Ma08_34740)。
配列番号13は、バナナ由来のPPO9遺伝子コード配列である(アクセッション番号Ma10_20510)。
配列番号14は、PPO1をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したフォワードオリゴヌクレオチドである。
配列番号15は、PPO1をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したリバースオリゴヌクレオチドである。
配列番号16は、PPO2をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したフォワードオリゴヌクレオチドである。
配列番号17は、PPO2をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したリバースオリゴヌクレオチドである。
配列番号18は、PPO3をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したフォワードオリゴヌクレオチドである。
配列番号19は、PPO3をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したリバースオリゴヌクレオチドである。
配列番号20は、PPO4をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したフォワードオリゴヌクレオチドである。
配列番号21は、PPO4をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したリバースオリゴヌクレオチドである。
配列番号22は、PPO5をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したフォワードオリゴヌクレオチドである。
配列番号23は、PPO5をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したリバースオリゴヌクレオチドである。
配列番号24は、PPO6をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したフォワードオリゴヌクレオチドである。
配列番号25は、PPO6をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したリバースオリゴヌクレオチドである。
配列番号26は、PPO7をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したフォワードオリゴヌクレオチドである。
配列番号27は、PPO7をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したリバースオリゴヌクレオチドである。
配列番号28は、PPO8をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したフォワードオリゴヌクレオチドである。
配列番号29は、PPO8をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したリバースオリゴヌクレオチドである。
配列番号30は、PPO9をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したフォワードオリゴヌクレオチドである。
配列番号31は、PPO9をコードしているmRNAの発現を同定するために使用したリバースオリゴヌクレオチドである。
配列番号32は、PPO1 sgRNA1 sg2019の可変配列である。
配列番号33は、PPO1 sgRNA2 sg858の可変配列である。
配列番号34は、PPO2 sgRNA1 sg854の可変配列である。
配列番号35は、PPO2 sgRNA2 sg855の可変配列である。
配列番号36は、PPO3 sgRNA1 sg1435の可変配列である。
配列番号37は、PPO3 sgRNA2 sg1436の可変配列である。
配列番号38は、PPO9 sgRNA1 sg850の可変配列である。
配列番号39は、PPO9 sgRNA2 sg851の可変配列である。
配列番号40は、バナナ由来のPPO1ポリペプチド配列である(アクセッション番号Ma06_31080)。
配列番号41は、バナナ由来のPPO2ポリペプチド配列である(アクセッション番号Ma07_03540)。
配列番号42は、バナナ由来のPPO3ポリペプチド配列である(アクセッション番号Ma07_03650)。
配列番号43は、バナナ由来のPPO4ポリペプチド配列である(アクセッション番号Ma08_09150)。
配列番号44は、バナナ由来のPPO5ポリペプチド配列である(アクセッション番号Ma08_09160)。
配列番号45は、バナナ由来のPPO6ポリペプチド配列である(アクセッション番号Ma08_09170)。
配列番号46は、バナナ由来のPPO7ポリペプチド配列である(アクセッション番号Ma08_09180)。
配列番号47は、バナナ由来のPPO8ポリペプチド配列である(アクセッション番号Ma08_34740)。
配列番号48は、バナナ由来のPPO9ポリペプチド配列である(アクセッション番号Ma10_20510)。
配列番号49は、PAM部位を含むPPO1 sgRNA sg2019の可変配列である。
配列番号50は、PAM部位を含むPPO1 sgRNA sg858の可変配列である。
配列番号51は、PAM部位を含むPPO2 sgRNA sg854の可変配列である。
配列番号52は、PAM部位を含むPPO2 sgRNA sg855の可変配列である。
配列番号53は、PAM部位を含むPPO3 sgRNA sg1435の可変配列である。
配列番号54は、PAM部位を含むPPO3 sgRNA sg1436の可変配列である。
配列番号55は、PAM部位を含むPPO9 sgRNA sg850の可変配列である。
配列番号56は、PAM部位を含むPPO9 sgRNA sg851の可変配列である。
配列番号57は、PPO8 sgRNA1 sg852の可変配列である。
配列番号58は、PPO8 sgRNA2 sg853の可変配列である。
配列番号59は、別のPPO1 sgRNAの可変配列である。
配列番号60は、別のPPO1 sgRNAの可変配列である。
配列番号61は、別のPPO1 sgRNAの可変配列である。
配列番号62は、別のPPO1 sgRNA(sg857)の可変配列である。
配列番号63は、別のPPO1 sgRNAの可変配列である。
配列番号64は、別のPPO2 sgRNAの可変配列である。
配列番号65は、別のPPO2 sgRNAの可変配列である。
配列番号66は、別のPPO2 sgRNAの可変配列である。
配列番号67は、別のPPO2 sgRNAの可変配列である。
配列番号68は、別のPPO2 sgRNAの可変配列である。
配列番号69は、別のPPO2 sgRNAの可変配列である。
配列番号70は、別のPPO2 sgRNAの可変配列である。
配列番号71は、別のPPO3 sgRNAの可変配列である。
配列番号72は、別のPPO3 sgRNAの可変配列である。
配列番号73は、別のPPO3 sgRNAの可変配列である。
配列番号74は、別のPPO3 sgRNAの可変配列である。
配列番号75は、別のPPO3 sgRNAの可変配列である。
配列番号76は、別のPPO4 sgRNAの可変配列である。
配列番号77は、別のPPO4 sgRNAの可変配列である。
配列番号78は、別のPPO5 sgRNAの可変配列である。
配列番号79は、別のPPO5 sgRNAの可変配列である。
配列番号80は、別のPPO6 sgRNAの可変配列である。
配列番号81は、別のPPO6 sgRNAの可変配列である。
配列番号82は、別のPPO7 sgRNAの可変配列である。
配列番号83は、別のPPO7 sgRNAの可変配列である。
配列番号84は、別のPPO7 sgRNAの可変配列である。
配列番号85は、別のPPO7 sgRNAの可変配列である。
配列番号86は、別のPPO7 sgRNAの可変配列である。
配列番号87は、別のPPO7 sgRNAの可変配列である。
配列番号88は、別のPPO7 sgRNAの可変配列である。
配列番号89は、別のPPO7 sgRNAの可変配列である。
配列番号90は、別のPPO8 sgRNAの可変配列である。
配列番号91は、別のPPO8 sgRNAの可変配列である。
配列番号92は、別のPPO8 sgRNAの可変配列である。
配列番号93は、別のPPO8 sgRNAの可変配列である。
配列番号94は、別のPPO9 sgRNAの可変配列である。
配列番号95は、別のPPO9 sgRNAの可変配列である。
配列番号96は、別のPPO9 sgRNAの可変配列である。
配列番号97は、別のPPO9 sgRNAの可変配列である。
配列番号98は、sgRNAの可変配列と共に使用したスカフォールドである。
配列番号99は、PAM部位を含むPPO8 sgRNA sg852の可変配列である。
配列番号100は、PAM部位を含むPPO8 sgRNA sg853の可変配列である。
配列番号101は、PAM部位を含む別のPPO1 sgRNAの可変配列である。
配列番号102は、PAM部位を含む別のPPO1 sgRNAの可変配列である。
配列番号103は、PAM部位を含む別のPPO1 sgRNAの可変配列である。
配列番号104は、PAM部位を含む別のPPO2 sgRNAの可変配列である。
配列番号105は、PAM部位を含む別のPPO2 sgRNAの可変配列である。
配列番号106は、PAM部位を含む別のPPO2 sgRNAの可変配列である。
配列番号107は、PAM部位を含む別のPPO3 sgRNAの可変配列である。
配列番号108は、PAM部位を含む別のPPO3 sgRNAの可変配列である。
配列番号109は、PAM部位を含むPPO7 sgRNAの可変配列である。
配列番号110は、PAM部位を含むPPO7 sgRNAの可変配列である。
配列番号111は、PAM部位を含むPPO7 sgRNAの可変配列である。
配列番号112は、PAM部位を含むPPO7 sgRNAの可変配列である。
配列番号113は、PAM部位を含むPPO7 sgRNAの可変配列である。
配列番号114は、PAM部位を含むPPO7 sgRNAの可変配列である。
配列番号115は、PAM部位を含む別のPPO8 sgRNAの可変配列である。
配列番号116は、PAM部位を含む別のPPO8 sgRNAの可変配列である。
配列番号117は、PAM部位を含む別のPPO8 sgRNAの可変配列である。
配列番号118は、PAM部位を含む別のPPO8 sgRNAの可変配列である。
配列番号119は、PAM部位を含む別のPPO9 sgRNAの可変配列である。
配列番号120は、PAM部位を含む別のPPO9 sgRNAの可変配列である。
配列番号121は、PAM部位を含む別のPPO9 sgRNAの可変配列である。
配列番号122は、PAM部位を含む別のPPO9 sgRNAの可変配列である。
配列番号123は、PPO1における遺伝子編集イベントを検出するためのフォワードプライマーである。配列番号124は、PPO1における遺伝子編集イベントを検出するためのリバースプライマーである。
配列番号125は、PPO2における遺伝子編集イベントを検出するためのフォワードプライマーである。
配列番号126は、PPO2における遺伝子編集イベントを検出するためのリバースプライマーである。
配列番号127は、PPO3における遺伝子編集イベントを検出するためのフォワードプライマーである。
配列番号128は、PPO3における遺伝子編集イベントを検出するためのリバースプライマーである。
配列番号129は、PPO8における遺伝子編集イベントを検出するためのフォワードプライマーである。
配列番号130は、PPO8における遺伝子編集イベントを検出するためのリバースプライマーである。
配列番号131は、PPO9における遺伝子編集イベントを検出するためのフォワードプライマーである。
配列番号132は、PPO9における遺伝子編集イベントを検出するためのリバースプライマーである。
配列番号133は、Cas9が存在しないことを確認するために使用したプライマー1684である。
配列番号134は、Cas9が存在しないことを確認するために使用したプライマー1685である。
配列番号135は、Cas9が存在しないことを確認するために使用したプライマー1686である。
配列番号136は、Cas9が存在しないことを確認するために使用したプライマー1687である。
配列番号137は、骨格が存在しないことを確認するために使用したプライマー1563である。
配列番号138は、骨格が存在しないことを確認するために使用したプライマー1564である。
配列番号139は、骨格が存在しないことを確認するために使用したプライマー1565である。
配列番号140は、骨格が存在しないことを確認するために使用したプライマー1566である。
配列番号141は、骨格が存在しないことを確認するために使用したプライマー1567である。
配列番号142は、骨格が存在しないことを確認するために使用したプライマー1568である。
配列番号143は、骨格が存在しないことを確認するために使用したプライマー1569である。
配列番号144は、骨格が存在しないことを確認するために使用したプライマー1570である。
配列番号145は、骨格が存在しないことを確認するために使用したプライマー1571である。
配列番号146は、骨格が存在しないことを確認するために使用したプライマー1572である。
配列番号147は、骨格が存在しないことを確認するために使用したプライマー1573である。
配列番号148は、骨格が存在しないことを確認するために使用したプライマー1574である。
配列番号149は、骨格が存在しないことを確認するために使用したプライマー1575である。
配列番号150は、骨格が存在しないことを確認するために使用したプライマー1576である。
配列番号151は、バナナ由来のPPO1遺伝子配列である(アクセッション番号Ma06_31080)。
配列番号152は、バナナ由来のPPO2遺伝子配列である(アクセッション番号Ma07_03540)。
配列番号153は、バナナ由来のPPO3遺伝子配列である(アクセッション番号Ma07_03650)。
配列番号154は、バナナ由来のPPO4遺伝子配列である(アクセッション番号Ma08_09150)。
配列番号155は、バナナ由来のPPO5遺伝子配列である(アクセッション番号Ma08_09160)。
配列番号156は、バナナ由来のPPO6遺伝子配列である(アクセッション番号Ma08_09170)。
配列番号157は、バナナ由来のPPO7遺伝子配列である(アクセッション番号Ma08_09180)。
配列番号158は、バナナ由来のPPO8遺伝子配列である(アクセッション番号Ma08_34740)。
配列番号159は、バナナ由来のPPO9遺伝子配列である(アクセッション番号Ma10_20510)。
配列番号160は、コムギTaU6プロモータである。
配列番号161は、
図3からのMa10_p20510-PPO9である。
配列番号162は、
図3からのMa08_p09180-PPO7である。
配列番号163は、
図3からのMa08_p09170-PPO6である。
配列番号164は、
図3からのMa08_p09150-PPO4である。
配列番号165は、
図3からのMa08_p09160-PPO5である。
配列番号166は、
図3からのGPO3_21_US9580723B2_21である。
配列番号167は、
図3からのPPO3_BAA21676である。
配列番号168は、
図3からのAPO5_AAA69902である。
配列番号169は、
図3からのPPO7_BAA21677である。
配列番号170は、
図3からのMa06_p31080-PPO1である。
配列番号171は、
図3からのMa07_p03650-PPO3である。
配列番号172は、
図3からのMa07_p03540-PPO2である。
配列番号173は、
図3からのMa08_p34740-PPO8である。
配列番号174は、
図6からのMa07_g03540-PPO2-WTである。
配列番号175は、Ma07_g03450-PPO2-GE-プール-胚である。
配列番号176は、PAM部位を含むPPO1 sgRNA sg857の可変配列である。
配列番号177は、PPO1変異体タンパク質配列である。
配列番号178は、PPO1変異体コード配列である。
配列番号179は、PPO1変異体遺伝子配列である。
配列番号180~配列番号225は、PAM部位を含まない表8に提供されているsgRNAである。
【0021】
発明を実施するための形態
本発明は、バナナに存在する9つのポリフェノールオキシダーゼ(PPO)遺伝子(本発明者らがPPO1~PPO9と命名)があり、そのうちのほとんどがこれまでPPO遺伝子として同定されていなかったという知見に一部基づいている。本発明は更に、同定されたPPOのうちのいくつか、特にポリフェノールオキシダーゼ1(PPO1)、ポリフェノールオキシダーゼ2(PPO2)、ポリフェノールオキシダーゼ8(PPO8)、ポリフェノールオキシダーゼ9(PPO9)、及びポリフェノールオキシダーゼ4(PPO4)が、バナナ果実の果肉及び/又は果皮で発現するが、他の組織、特に胚組織又は胚細胞懸濁液(ECS)では発現が低いか又は発現しないことを特徴とするという知見に一部基づいている。理論にも機序にも束縛されることを望むものではないが、本発明の幾つかの実施形態によれば、バナナ植物におけるPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、及び/又はPPO4のレベル又は活性を低下させると、他の植物部位において望ましくない影響を引き起こすことなく、バナナ果実の果肉及び/又は果皮の褐変が遅延又は防止される。幾つかの実施形態によれば、本発明は、バナナ果実の褐変を遅延又は防止するために、バナナ植物又はバナナ植物細胞においてPPO、特にPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、及び/又はPPO4のレベル又は活性を低下させる種々の方法を目的とする。このような方法の生成物も本発明によって提供される。
【0022】
特に、本発明は、バナナ植物又はバナナ植物細胞において、ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子又はポリヌクレオチドによってコードされている少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性を低下させる方法を提供する。本発明は更に、バナナ果実及びバナナ果皮の少なくとも一方の褐変を低減及び/又は遅延させる方法を提供する。幾つかの実施形態によれば、バナナ果実の果肉及び果皮の少なくとも一方の褐変を低減及び/又は遅延させる方法であって、(例えば、少なくとも1つの内因性PPOをコードしている遺伝子の発現を低減又は喪失を誘導することにより)バナナ果実が生じるバナナ植物細胞又はバナナ植物の少なくとも1つの内因性PPOを低減又は機能喪失を誘導することを含む方法が、本明細書において提供される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。幾つかの実施形態によれば、内因性PPOは、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、及び、/又はPPO4である。幾つかの実施形態によれば、PPOは、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される。
【0023】
本明細書で使用するとき、1つ以上の内因性ポリフェノールオキシダーゼの「レベル又は活性が低下する」という用語は、(a)バナナ植物若しくはバナナ植物細胞における1つ以上の内因性ポリフェノールオキシダーゼによって付与される褐変が遅延若しくは低減する表現型又はバナナ植物若しくはバナナ植物細胞における1つ以上の内因性ポリフェノールオキシダーゼの機能が、「野生型」のバナナ植物若しくは植物細胞と比較して低下すること;及び/又は(b)バナナ植物若しくはバナナ植物細胞における1つ以上の内因性ポリフェノールオキシダーゼをコードしている遺伝子の発現レベルが、「野生型」のバナナ植物若しくは植物細胞と比較して低下することを意味する。発現レベルは、mRNA又はタンパク質であり得る。このような低下は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は好ましくは100%であり得る。幾つかの実施形態によれば、低下は、機能が完全に喪失することである。この文脈において、「野生型」とは、遺伝的背景が同じでありかつ発生段階が同等であることを意味する。幾つかの実施形態においては、本発明の方法は、該バナナ植物又はバナナ植物細胞における少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼの機能を低下させる。他の実施形態においては、方法は、該バナナ植物又はバナナ植物細胞における少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼの機能を喪失させる。幾つかの実施形態においては、本発明の方法は、該バナナ植物又はバナナ植物細胞における少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼの機能を低下させ、該少なくとも1つのポリフェノールオキシダーゼは、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、PPO9、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。他の実施形態においては、方法は、該バナナ植物又はバナナ植物細胞における少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼの機能を喪失させ、該少なくとも1つのポリフェノールオキシダーゼは、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、PPO9、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0024】
本明細書で使用するとき、「内因性」という用語は、バナナ植物又はバナナ植物細胞のゲノムにネイティブであり、ゲノム内のネイティブな位置にあることを意味する。
【0025】
本明細書で使用するとき、「ポリフェノールオキシダーゼ」又は「PPO」という用語は、バナナ等のほとんどの果物及び野菜を含む、植物界及び動物界全体にみられる酵素群に属する酵素を指す。これに対応して、「ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子」又は「PPO遺伝子」という用語は、本明細書で使用するとき、ポリフェノールオキシダーゼ又はPPOをコードしている遺伝子を指す。PPOは、傷み又は圧迫によって組織が損傷した場合を含む、酵素的褐変を触媒する。果実を薄切りにしたり裏ごししたりした際に酸素に曝されることも、PPOによる酵素的褐変を引き起こす。PPOはモノフェノール及び/又はo-ジフェノールを基質として受け入れることが知られており、ベンゼン環が1つのヒドロキシル置換基を含有するモノフェノール分子のo-ジフェノール(1,2位に2つのヒドロキシル置換基を含有し、間に炭素を有しないフェノール分子)へのo-ヒドロキシル化を触媒することによって作用する。酵素は更に、o-ジフェノールの酸化を触媒してo-キノンを生成することもできる。PPOはo-キノンの迅速な重合を触媒し、果実の褐変を引き起こす黒色、褐色、又は赤色の色素(ポリフェノール)を生成する。
【0026】
多くの植物が幾つかのPPOメンバーを含んでいるが、バナナPPOファミリーは今日まで特徴付けられていない。本発明者らは、バナナ(Musa acuminata DH-Pahang)における9つの内因性PPOを同定し、「PPO1」、「PPO2」、「PPO3」、「PPO4」、「PPO5」、「PPO6」、「PPO7」、「PPO8」、及び「PPO9」と命名した。本明細書で記載する通り、これらPPOは、以下を含む種々の種のゲノムに対して複雑な系統発生解析を何度か繰り返すことによって同定された:ロブスタコーヒーノキ(Coffea canephora)、ナツメヤシ(Phoenix dactylifera)、ムサ・アクミナタ バンクシア(Musa acuminata banksia)、ムサ・アクミナタ カルカッタ(Musa acuminata Calcutta)、ムサ・アクミナタ DHバハン(Musa acuminata DH-Pahang)、リュウキュウバショウ(Musa balbisiana)、ムサ・イチネランス(Musa itinerans)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ダイズ(Glycine max)、リンゴ(Malus domestica)、ピーマン(Capsicum annuum)、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)、トマト(Solanum lycopersicum)、及びイネ(Oryza sativa)。
【0027】
幾つかの実施形態においては、内因性PPO1のレベル又は活性が低下する。幾つかの実施形態においては、内因性PPO2の活性が低下する。幾つかの実施形態においては、内因性PPO3のレベル又は活性が低下する。幾つかの実施形態においては、内因性PPO4のレベル又は活性が低下する。幾つかの実施形態においては、内因性PPO5のレベル又は活性が低下する。幾つかの実施形態においては、内因性PPO6のレベル又は活性が低下する。幾つかの実施形態においては、内因性PPO7のレベル又は活性が低下する。幾つかの実施形態においては、内因性PPO8のレベル又は活性が低下する。幾つかの実施形態においては、内因性PPO9のレベル又は活性が低下する。幾つかの実施形態においては、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される内因性PPOのうちの2つ以上のレベル又は活性が低下する。特定の実施形態においては、内因性のPPO1及びPPO2のレベル又は活性が低下する。これら実施形態のいずれにおいても、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される1つ以上の内因性ポリフェノールオキシダーゼの「レベル又は活性が低下する」という用語は、バナナ植物若しくはバナナ植物細胞においてPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択されるこれら1つ以上の内因性ポリフェノールオキシダーゼによって付与される表現型、又はバナナ植物若しくはバナナ植物細胞におけるPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される1つ以上の内因性ポリフェノールオキシダーゼの機能が、野生型のバナナ植物若しくは植物細胞と比較して低下するか又は完全に失われることを意味する。
【0028】
本明細書の実施形態のいずれかにおける内因性PPO遺伝子は、ポリヌクレオチド配列に対して「配列同一性」又は相同性を有すると記載され得る。相同性又は配列同一性の量は変化し得、約1~20bp、約20~50bp、約50~100bp、約75~150bp、約100~250bp、約150~300bp、約200~400bp、約250~500bp、約300~600bp、約350~750bp、約400~800bp、約450~900bp、約500~1000bp、約600~1250bp、約700~1500bp、約800~1750bp、約900~2000bp、約1~2.5kb、約1.5~3kb、約2~4kb、約2.5~5kb、約3~6kb、約3.5~7kb、約4~8kb、約5~10kb、又は内因性PPOの遺伝子配列若しくはポリヌクレオチド配列の全長以下の範囲の単位整数値を有する全長及び/又は領域を含む。これら範囲には、範囲内の全ての整数が含まれ、例えば、1~20bpの範囲には、1bp、2bp、3bp、4bp、5bp、6bp、7bp、8bp、9bp、10bp、11bp、12bp、13bp、14bp、15bp、16bp、17bp、18bp、19bp、及び20bpが含まれる。相同性又は配列同一性の量はまた、2つの遺伝子又は2つのポリヌクレオチドのアラインされた全長にわたる配列同一性パーセントによって記述することもでき、これには少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性パーセントが含まれる。十分な相同性には、ポリヌクレオチドの長さ、グローバルな配列同一性パーセント、及び任意で、連続するヌクレオチドの保存領域又はローカルな配列同一性パーセントの任意の組み合わせが含まれる。例えば、十分な相同性は、内因性PPOの遺伝子配列又はポリヌクレオチド配列の領域と少なくとも80%の配列同一性を有する75~150bpの領域として記述することができる。十分な相同性はまた、2つの遺伝子又はポリヌクレオチドが高ストリンジェンシー条件下で特異的にハイブリダイズする予測能力によって記述することもできる。これに関しては、例えば、Sambrook et al.,(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY);Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel et al.,Eds(1994)Current Protocols,(Greene Publishing Associates,Inc.and John Wiley & Sons,Inc.);及びTijssen(1993)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes,(Elsevier,New York)を参照。
【0029】
本発明の特定の実施形態においては、PPO1遺伝子は、配列番号5に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO2遺伝子は、配列番号6に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO3遺伝子は、配列番号7に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO4遺伝子は、配列番号8に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO5遺伝子は、配列番号9に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO6遺伝子は、配列番号10に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO7遺伝子は、配列番号11に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO8遺伝子は、配列番号12に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;又はPPO9遺伝子は、配列番号13に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含むポリヌクレオチド配列を指す。本発明の特定の実施形態においては、本発明のPPO1、PPO2、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、配列番号5(PPO1)又は配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号6(PPO2)又は配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号12(PPO8)又は配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号13(PPO9)又は配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるコード配列を含む。
【0030】
本発明の特定の実施形態においては、PPO1遺伝子は、配列番号40に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしているポリヌクレオチド配列を指す;PPO2遺伝子は、配列番号41に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしているポリヌクレオチド配列を指す;PPO3遺伝子は、配列番号42に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしているポリヌクレオチド配列を指す;PPO4遺伝子は、配列番号43に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしているポリヌクレオチド配列を指す;PPO5遺伝子は、配列番号44に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしているポリヌクレオチド配列を指す;PPO6遺伝子は、配列番号45に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしているポリヌクレオチド配列を指す;PPO7遺伝子は、配列番号46に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしているポリヌクレオチド配列を指す;PPO8遺伝子は、配列番号47に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしているポリヌクレオチド配列を指す;又はPPO9遺伝子は、配列番号48に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしているポリヌクレオチド配列を指す。本発明の特定の実施形態においては、本発明のPPO1、PPO2、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、配列番号40(PPO1)又は配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号41(PPO2)又は配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号47(PPO8)又は配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び配列番号48(PPO9)又は配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている。
【0031】
本発明の特定の実施形態においては、PPO1遺伝子は、配列番号151に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO2遺伝子は、配列番号152に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO3遺伝子は、配列番号153に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO4遺伝子は、配列番号154に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO5遺伝子は、配列番号155に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO6遺伝子は、配列番号156に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO7遺伝子は、配列番号157に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO8遺伝子は、配列番号158に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;又はPPO9遺伝子は、配列番号159に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す。本発明の特定の実施形態においては、本発明のPPO1、PPO2、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、配列番号151(PPO1)又は配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号152(PPO2)又は配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号158(PPO8)又は配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号159(PPO9)又は配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。
【0032】
本明細書において特定の配列に言及する場合、これらはまた、塩基置換、塩基欠失、若しくは塩基付加をもたらす、例えば、シーケンシングエラー、クローニングエラー、又は他の改変に起因する小さな配列多様性を含むものとして、その相補配列に実質的に対応する配列も包含し得るが、ただし、そのような多様性の頻度は、50ヌクレオチドに1ヌクレオチド未満、或いは100ヌクレオチドに1ヌクレオチド未満、或いは200ヌクレオチドに1ヌクレオチド未満、或いは500ヌクレオチドに1ヌクレオチド未満、或いは1000ヌクレオチドに1ヌクレオチド未満、或いは5,000ヌクレオチドに1ヌクレオチド未満、或いは10,000ヌクレオチドに1ヌクレオチド未満である。
【0033】
本明細書に開示される任意の配列識別番号(配列番号)は、その配列番号がDNA配列形式又はRNA配列形式でしか表現されていない場合であっても、その配列番号に言及する文脈に応じてDNA配列又はRNA配列のいずれを参照することもできる。例えば、所与の配列番号はDNA配列形式で表されるが(例えば、チミンのTが記載されている)、所与の核酸配列に対応するDNA配列又はRNA分子の核酸配列のRNA配列のいずれを参照することもできる。同様に、一部の配列はRNA配列形式で表されるが(例えば、ウラシルのUが記載されている)、記載されている分子の実際の種類に応じて、二本鎖RNA(dsRNA)を構成するRNA分子の配列又は示されているRNA配列に対応するDNA分子の配列のいずれを参照することもできる。いずれにしても、任意の置換を有する開示されている配列を有するDNA分子及びRNA分子の両方が想定される。
【0034】
タンパク質に関して配列同一性パーセントを用いる場合、同一ではない残基の位置は、保存的アミノ酸置換によって異なることが多く、ここでアミノ酸残基は化学的特性(例えば、電荷又は疎水性)が類似している他のアミノ酸残基に置換されるので分子の機能的特性が変化しない。保守的置換で配列が異なる場合、置換の保存的な性質を補正するために、配列同一性パーセントを上方に調整してよい。このような保存的置換によって異なる配列は、「配列類似性」又は「類似性」を有するとみなされる。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。典型的には、保守的置換を完全なミスマッチではなく部分的なミスマッチとしてスコアリングして、配列同一性パーセントを高めることを含む。従って、例えば、同一アミノ酸にスコア1が与えられ、非保存的置換にスコア0が与えられる場合、保存的置換には0と1との間のスコアが与えられる。保守的置換のスコアリングは、例えば、Henikoff S and Henikoff JG.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1992,89(22):10915-9のアルゴリズムに従って計算される。同一性は、デフォルトのパラメータを使用すること等によって、例えば、NCBI(National Center of Biotechnology Information)の「BlastN」ソフトウェアを含む任意の相同性比較ソフトウェアを用いて求めることができる。幾つかの実施形態においては、同一性は、グローバルな同一性、すなわち、核酸配列全体にわたる同一性であり、その一部にわたる同一性ではない。
【0035】
本明細書で使用するとき、「植物」という用語は、植物全体、接ぎ木された植物、植物の祖先及び後代、植物器官、植物組織、及び「植物部位」を指す。本明細書で使用するとき、「植物部位」には、根(塊茎を含む)、台木、茎、若枝、シュート、果実、葉、花粉、種子、腫瘍組織、並びに種々の形態の細胞及び培養物(例えば、単細胞、プロトプラスト、胚、胚細胞、及びカルス組織)を含むがこれらに限定されない分化組織及び未分化組織が含まれる。植物組織は、植物体、又は植物の器官、組織、若しくは細胞培養物におけるものであってよい。
【0036】
特定の実施形態においては、植物部位は果実である。果実は、果肉及び果皮等の組織を含む。他の実施形態においては、植物部位は種子である。本明細書で使用するとき、「種子」という用語は、別のそのような植物に発育することができる顕花植物の生殖単位を指す。「植物器官」という用語は、植物の形態的及び機能的に異なる部分を構成する植物の組織又は組織群を指す。「ゲノム」という用語は、生物、若しくはウイルス、若しくはオルガネラの各細胞に存在する遺伝物質(遺伝子及び非コード配列)の相補体全体、及び/又は片親から(ハプロイド)単位として遺伝した完全な染色体セットを指す。「後代」とは、植物の任意の後続世代を含む。
【0037】
「トランスジェニック植物」には、例えば、形質転換工程によって導入された異種ポリヌクレオチドをそのゲノム内に含む植物が含まれる。異種ポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドが後に続く世代に受け継がれるように、ゲノム内に安定的に組み込まれ得る。異種ポリヌクレオチドは、単独で又は組換えDNAコンストラクトの一部としてゲノムに組み込まれ得る。トランスジェニック植物はまた、そのゲノム内に1種を超える異種ポリヌクレオチドを含んでいてもよい。各異種ポリヌクレオチドは、トランスジェニック植物に異なる形質を付与することができる。
【0038】
本明細書で使用するとき、「異種」ポリヌクレオチドは、外来種に由来する配列を含む。
【0039】
「トランスジェニック」には、異種核酸の存在によって遺伝子型が変化した任意の細胞、細胞株、カルス、組織、植物部位、又は植物が含まれ得、最初にそのように変化したトランスジェニックだけでなく、最初のトランスジェニックから有性交配又は無性繁殖によって作出されたものも含まれる。一部の植物では、植物ゲノムに導入された異種ポリヌクレオチドは、育種を通して除去することができる。このプロセスは、前述のようにバナナでは不可能である。
【0040】
幾つかの実施形態によれば、本明細書に記載のバナナ細胞、バナナ植物、又はバナナ植物部位は、非トランスジェニックである。幾つかの実施形態によれば、本明細書に開示される方法からは、非トランスジェニックであるバナナ細胞、バナナ植物、又はバナナ植物細胞が得られる。
【0041】
従来の植物育種法、本明細書に記載のゲノム編集手順(外来ポリヌクレオチドを挿入させない)、又はランダム交雑、非組換えウイルス感染、非組換え細菌形質転換、非組換え転位、若しくは偶発変異等の天然に発生する事象によるゲノム(染色体又は染色体外)の改変は、トランスジェニックとみなされるとは意図されない。
【0042】
特定の実施形態においては、稔性植物とは、生存可能な雄性及び雌性の配偶子を生産しかつ自家稔性である植物である。このような自家稔性植物は、任意の他の植物の配偶子及びその中に含まれる遺伝物質からの寄与なしに後代植物を生産することができる。他の実施形態は、自家稔性ではない植物の使用も含み得るが、その理由は、その植物が生存可能な又はそうでなければ受精可能な雄性配偶子若しくは雌性配偶子、又はその両方を生産しないためである。本明細書で使用するとき、「雄性不稔植物」とは、生存可能な又はそうでなければ受精可能な雄性配偶子を生産しない植物である。本明細書で使用するとき、「雌性不稔植物」とは、生存可能な又はそうでなければ受精可能な雌性配偶子を生産しない植物である。雄性不稔植物及び雌性不稔植物は、それぞれ雌性稔性及び雄性稔性であり得る。雄性稔性(であるが雌性不稔)植物は、雌性稔性植物と交配すると生存可能な後代を生産することができ、雌性稔性(であるが雄性不稔)植物は、雄性稔性植物と交配すると生存可能な後代を生産することができる。
【0043】
本明細書で使用するとき、「バナナ植物」という用語は、プランテンを含むムサ属の植物を指す。これらには、ムサ・アクミナタ(例えば、ムサ・アクミナタ バンクシア、ムサ・アクミナタ カルカッタ、及びムサ・アクミナタ DHバハン)、リュウキュウバショウ、ムサ・イチネランス、及び同質三倍体ムサ・アクミナタ「キャベンディッシュ」及び「グロス・ミチェル」が含まれる。特定の実施形態によれば、バナナは、同質三倍体ムサ・アクミナタ「キャベンディッシュ」である。栽培されているバナナは、祖先種であるムサ・アクミナタ(ゲノムAA)に由来する不燃性同質三倍体(AAA)である。更に、プランテン(AAB又はABB)は、ムサ・アクミナタ(AA)及びリュウキュウバショウ(ゲノムBB)の雑種形成に由来する不稔性の種間同質三倍体である。栽培されているバナナ及びプランテンは三倍体であるため生存可能な種子を生産することができないが、野生種は二倍体であるため生存可能な種子を生産することができる。特定の実施形態においては、バナナ植物は三倍体である。二倍体及び四倍体を含む他の倍数体も企図される。
【0044】
幾つかの実施形態においては、「バナナ植物」は、エリート系統若しくは純粋系統等のバナナ育種系統、又はバナナの品種若しくは育種遺伝資源である。本明細書で使用するとき、「育種系統」という用語は、野生品種又は在来種とは対照的に、商業的に価値のある又は農業的に望ましい特徴を有する栽培バナナの系統を指す。この用語は「エリート育種系統」又は「エリート系統」への言及を含むが、これは商業的なF1雑種を作出するために使用される本質的にホモ接合体、通常は近交系の植物系統を表す。「エリート育種系統」は、多くの農学的に望ましい形質を含む優れた農学的性能についての育種及び選抜によって得られる。「エリート植物」は、エリート系統の任意の植物である。優れた農学的性能とは、本明細書で定義する農学的に望ましい形質の望ましい組み合わせを指し、エリート育種系統では、非エリート育種系統と比較して農学的に望ましい形質の大部分、好ましくは全てが改善されていることが望ましい。エリート育種血統は、本質的にホモ接合体であり、好ましくは近交系である。本明細書で使用するとき、「エリート系統」という用語は、優れた農学的性能について育種及び選抜された結果得られた任意の系統を指す。
【0045】
本明細書では、「栽培品種」及び「品種」という用語は互換的に使用され、商業化、例えば自家消費又は商業化のための農産物を生産するために農家及び生産者が使用する目的で、例えば交配及び選抜等の育種によって意図的に開発された植物を意味する。「育種遺伝資源」という用語は、「野生」状態以外の生物学的状態を有する植物を意味し、この「野生」状態は、植物又は遺伝系統の元の非栽培状態、すなわち自然状態を示す。
【0046】
「育種遺伝資源」という用語には、半自然、半野生、雑草、伝統的な栽培品種、在来種、育種材料、研究材料、育種家の系統、合成集団、雑種、創始者株/基本集団、近交系(雑種栽培品種の親)、分離集団、変異体/遺伝材料、市場クラス及び先進/改良された栽培品種が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用するとき、「純粋種」、「純粋近交系」、又は「近交系」という用語は互換的であり、自殖及び/又は戻し交配を繰り返すことによって得られる実質的にホモ接合体の植物又は植物系統を指す。
【0047】
本明細書で使用するとき、「バナナ植物細胞」という用語は、バナナ植物の細胞である。バナナ植物細胞には、種子、懸濁培養物、胚、分裂組織領域、カルス組織、葉、根、シュート、配偶体、胞子体、花粉、小胞子、胚形成細胞、体細胞、及びプロトプラスト等からの細胞が含まれる。プロトプラストは、根、葉、胚細胞懸濁液、カルス、又は実生組織等であるがこれらに限定されない任意の植物組織に由来し得る。幾つかの実施形態によれば、バナナ植物細胞は、胚細胞懸濁液(ECS)の細胞である。
【0048】
幾つかの実施形態においては、本発明の方法は、該少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ(PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される)のレベル若しくは活性が低下していないバナナ植物の果肉及び/若しくは果皮と比較して該バナナ植物の果肉及び/若しくは果皮の褐変を遅延させる;並びに/又は該少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ(PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される)のレベル又は活性が低下していないバナナ植物の果肉及び/若しくは果皮と比較して該バナナ植物の果肉及び/若しくは果皮の褐変を低減する。幾つかの実施形態においては、本発明の方法は、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、及びPPO4から選択される少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性が低下又は喪失しているバナナ植物由来のバナナ果実の果肉及び/又は果皮の褐変を遅延及び/又は低減する。幾つかの実施形態においては、本発明の方法は、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、及びPPO4から選択される少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の発現が低下又は喪失しているバナナ植物由来のバナナ果実の果肉及び/又は果皮の褐変を遅延及び/又は低減する。
【0049】
この文脈において、バナナ果実の果肉及び/又はバナナ果実の果皮の「褐変」は、目視検査及び当技術分野で公知の他の方法によって測定することができる。
【0050】
幾つかの実施形態においては、「褐変」は、果皮の色に基づいて測定される。このような実施形態においては、野生型バナナ果実の果皮の特定の色(例えば、緑色、部分的に緑色、黄色、褐色等)が、花の出現から経過した日数と相関し得るように、褐変指数が構築される。このような指標を用いれば、特定の日の果皮の色を目視評価することで、褐変の遅延の指標を提供することができる(例えば、野生型バナナは花の出現から特定の日数で褐色になるが、PPO遺伝子が遺伝的に編集されたバナナは花の出現から同じ日数後に黄色である場合)(“Dole Retail Banana Ripening Guide”,https://www.dolenz.co.nz/uploads/media/59236082048a9/banana-trade-section-web.pdf及びGooding et al.,“Molecular cloning and characterisation of banana fruit polyphenol oxidase”,Planta,Sep 2001;123(5):748-57)。これは、花の出現後約60~90日で果実が成熟するという事実に基づいている。バナナの果実は、早ければ40日ほどで、濃い褐色になる(ステージ10)まで収穫される。花の出現後約90日間でステージ10に達すると予測される。果実の色は、例えば「Dole Retail Banana Ripening Guide」に定義されている色の説明に基づいて、10段階全てにおいて目視評価される。ステージ1とは、房の全ての果指が緑色の果皮を有するときであるが、ステージ7では、房の全ての果指が黄色の斑点を有し、果皮が褐色であり、ステージ10では、房の全ての果指が濃褐色の果皮を有する。色の尺度を標準化するためにDP-301データプロセッサーを備えるMinolta Chroma Meter CR 400又はMinolta CR-300 Chroma Meterで比色座標を取る。CR-300の測定ヘッドは、拡散照明/0°視野形状(鏡面反射性成分を含む)を使用して、Bruno Bonnet,C.,Hubert,O.,Mbeguie-A-Mbeguie,D.et al.,Effect of physiological harvest stages on the composition of bioactive compounds in Cavendish bananas.J.Zhejiang Univ.Sci.B14,270-278(2013)に記載の通り、拡散照明条件下で見たときの色とよく相関する多種多様な表面の測定値を提供する。これにより、果実の各発育段階(1~10)における反射色を測定することができ、これらデータは、果皮の色を果実の成熟及び褐変と相関させるためのものである。
【0051】
幾つかの実施形態においては、「褐変」は、薄切りにして裏ごししたバナナの果肉の経時的(0~180時間)目視評価を利用したバナナ褐変ガイドに基づいて測定される。このような実施形態においては、段階3から10(上記参照)を表すバナナの房から3本の果指を採取し、果皮を0.2%次亜塩素酸ナトリウムで5分間(褐変を引き起こす可能性のある機械的損傷を避けるために)穏やかに洗浄する。次に、皮をむき、小片に切断し、電気ミキサー又はフードプロセッサーでホモジナイズした後、各個々のバナナの果指からバナナピューレを調製する。得られたピューレをペトリ皿に注ぎ、0分、15分、30分、60分、及び120分後、そして24時間、48時間、及び72時間後に画像を撮影する。更に、バナナをスライスし、ペトリ皿に置き、カラーステージ3及び4のバナナ房については、0時間、12時間、24時間、36時間、48時間、及び72時間後の画像を撮影する。ステージ5から10のバナナの果指については、0時間から180時間まで8時間ごとにバナナスライスの画像を撮影する(約22時点)(Chi,M.,Bhagwat,B.,Lane,W.D.et al.Reduced polyphenol oxidase gene expression and enzymatic browning in potato(Solanum tuberosum L.)with artificial microRNAs.BMC Plant Biol 14,62(2014).https://doi.org/10.1186/1471-2229-14-62及びEscalante-Minakata,P.,Ibarra-Junquera,V.,Ornelas-Paz,J.d.et al.,Comparative study of the banana pulp browning process of ‘Giant Dwarf’ and FHIA-23 during fruit ripening based on image analysis and the polyphenol oxidase and peroxidase biochemical properties.3 Biotech 8,30(2018)を参照)。画像の色を褐変に相関させるために画像を処理する。色は、切断したばかりのバナナスライス又はバナナピューレの色(黄色/オフホワイト)から褐色バナナ(濃褐色)までのいずれかで変動すると予測される。
【0052】
幾つかの実施形態においては、「褐変」は、果肉の硬度及び果皮の硬度の評価に基づいて測定される。このような実施形態においては、果肉の硬度及び果皮の硬度は、Bruno Bonnet,C.,Hubert,O.,Mbeguie-A-Mbeguie,D. et al.,Effect of physiological harvest stages on the composition of bioactive compounds in Cavendish bananas.J.Zhejiang Univ.Sci.B14,270-278(2013)に記載の通り、TA-XT2ペネトロメータを用いて測定される。ステージ3から10(果皮の色に基づいて証明;上記を参照)を表す房から3本の果指を採取する。4.9mmの円筒形金属製穿孔器を用いて、清潔で新鮮な皮をむいていない果実に一定速度(2mm/s)で10mmの深さまで貫入する。果皮を破るために印加された最大力が果皮の硬度を表し、力/時間曲線の傾きが果実の硬度を表す。
【0053】
幾つかの実施形態においては、「褐変」は、果皮の色(及び硬度)と果肉の色/質感との相関に基づいて測定される。このような実施形態においては、野生型植物における色(目視及び比色測定)、果皮の硬度、並びに果肉の硬度対バナナの成熟段階、並びに時間に対する果皮及び果肉の褐変のカタログを利用する。これにより、バナナの果皮及び果肉における褐変の低減を評価することができる基準ができる。
【0054】
幾つかの実施形態においては、「褐変」は、設定時間枠内に分析される、バナナ組織において形成されるメラニンの量に基づいて測定される。このような褐変の定量化は、簡単な生化学的アッセイで行うことができる(Michael L.Sullivan et al.,Cloning and Characterization of Red Clover Polyphenol Oxidase cDNAs and Expression of Active Protein in Escherichia coli and Transgenic Alfalfa.Plant Physiology Oct 2004,136(2)3234-3244;DOI:10.1104/pp.104.047449;Matthew A.Escobar et al.,Characterization of Polyphenol Oxidase from Walnut.Journal of the American Society for Horticultural Science Nov 2008,Volume 133:Issue 6,pages 852-858;DOI:10.21273/JASHS.133.6.852)。これら酵素的褐変アッセイでは、バナナ組織の溶解物と混合した後に外因性PPO基質の吸光度の変化を測定したところ、形成される生成物(メラニン)の量及び褐変反応の速度の両方がPPO活性に比例する。
【0055】
幾つかの実施形態においては、例えば成熟に伴う褐変を考慮する場合、褐変が「遅延する」とは、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ(PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される)のレベル又は活性が低下していないバナナ植物の果肉及び/又は果皮と比較して、果肉及び/又は果皮の褐変の開始が少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、又は少なくとも1ヶ月遅くなることを意味する。特定の実施形態によれば、「遅延」は少なくとも3日間の遅延を指す。褐変は、上に概説した通り測定することができる。
【0056】
幾つかの実施形態においては、例えば傷みに関連する又は薄切りに関連する褐変を考慮する場合、褐変が「遅延する」とは、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ(PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される)のレベル又は活性が低下していないバナナ植物の果肉及び/又は果皮と比較して、果肉及び/又は果皮の褐変の開始が、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、又は少なくとも10時間遅くなることを意味する。褐変は、上に概説した通り測定することができる。
【0057】
幾つかの実施形態においては、褐変が「低減する」とは、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ(PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される)のレベル又は活性が低下していないバナナ植物の果肉及び/又は果皮と比較して、果肉及び/又は果皮が褐変するのに2倍長く、3倍長く、4倍長く、5倍長く、6倍長く、7倍長く、8倍長く、9倍長く、又は10倍長くかかることを意味する。褐変は、上に概説した通り測定することができる。
【0058】
幾つかの実施形態においては、褐変が「低減する」とは、規定の時点で形成されるメラニンが少ないことを意味する。例えば、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ(PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される)のレベル又は活性が低下していない対照バナナ植物の果肉及び/又は果皮と比較して、果肉及び/又は果皮中で生じるメラニンが少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、3倍、5倍、10倍又はそれ以上減少し得る。メラニン測定は、上に概説した通り、任意の時点で行ってよい。例えば、成熟に関連する褐変を考慮する場合、対照バナナが後述の実施例1で定義するステージ7、8、9、又は10に達し、本発明のバナナが開花からの日数の観点で同齢である時点でメラニンを測定してよい。例えば、ステージ7、8、9、若しくは10の本発明のバナナでは2倍以上少ないメラニンが存在し得る、ステージ7、8、9、若しくは10の本発明のバナナでは3倍以上少ないメラニンが存在し得る、又はステージ7、8、9、若しくは10の本発明のバナナでは5倍以上少ないメラニンが存在し得る。
【0059】
幾つかの実施形態においては、本発明の方法は、バナナ植物細胞又はバナナ植物の一部に、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の転写物を標的とするサイレンシングRNAを提供することを含む。幾つかの実施形態においては、内因性PPO1遺伝子の転写物が標的とされる。幾つかの実施形態においては、内因性PPO2遺伝子の転写物が標的とされる。幾つかの実施形態においては、内因性PPO3遺伝子の転写物が標的とされる。幾つかの実施形態においては、内因性PPO4遺伝子の転写物が標的とされる。幾つかの実施形態においては、内因性PPO5遺伝子の転写物が標的とされる。幾つかの実施形態においては、内因性PPO6遺伝子の転写物が標的とされる。幾つかの実施形態においては、内因性PPO7遺伝子の転写物が標的とされる。幾つかの実施形態においては、内因性PPO8遺伝子の転写物が標的とされる。幾つかの実施形態においては、内因性PPO9遺伝子の転写物が標的とされる。幾つかの実施形態においては、内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9のうちの2つ以上の転写物が標的とされる。特定の実施形態においては、内因性のPPO1及びPPO2の転写物が、標的とされる。
【0060】
サイレンシングRNAは、外因性サイレンシングRNAの導入;サイレンシングRNAを発現する配列の細胞への導入(すなわち、導入遺伝子の作製);又は既存の非コードRNA(サイレンシングRNA等)をコードしている内因性遺伝子を一過的に編集して、上記少なくとも1つのポリフェノールオキシダーゼ、任意でPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、及び/若しくはPPO4をコードしている標的遺伝子に向けてそのサイレンシング特異性をリダイレクトする(そして、場合によっては活性化する)(参照により本明細書に援用される国際公開第2019/058255号を参照)からなる群から選択される方法によって、バナナ植物細胞又はバナナ植物の一部に提供することができる。導入、発現、又はリダイレクトされ得る潜在的なサイレンシングRNAとしては、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、段階的低分子干渉RNA(phasiRNA)、トランス作用型siRNA(tasiRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、並びに自律的及び非自律的な転位RNAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
他の実施形態においては、本発明の方法は、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に改変を導入することを含む。幾つかの実施形態においては、改変は、内因性PPO1遺伝子に導入される。幾つかの実施形態においては、改変は、内因性PPO2遺伝子に導入される。幾つかの実施形態においては、改変は、内因性PPO3遺伝子に導入される。幾つかの実施形態においては、改変は、内因性PPO4遺伝子に導入される。幾つかの実施形態においては、改変は、内因性PPO5遺伝子に導入される。幾つかの実施形態においては、改変は、内因性PPO6遺伝子に導入される。幾つかの実施形態においては、改変は、内因性PPO7遺伝子に導入される。幾つかの実施形態においては、改変は、内因性PPO8遺伝子に導入される。幾つかの実施形態においては、改変は、内因性PPO9遺伝子に導入される。幾つかの実施形態においては、改変は、内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9のうちの2つ以上に導入される。特定の実施形態においては、改変は、内因性のPPO1及びPPO2に導入される。従って、幾つかの実施形態によれば、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされている少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性を低下させる方法であって、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に改変を導入することを含む方法が、本明細書において提供される。
【0062】
これに関して、「改変を導入する」とは、1つ以上の内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の少なくとも1つのアレルに少なくとも1つの変異を導入することを意味する。幾つかの実施形態によれば、1つ以上の内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の1つのアレルに変異が導入されるが、他の2つのアレルは変異を含まない。幾つかの実施形態によれば、1つ以上の内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の2つのアレルに変異が導入されるが、第3のアレルは変異を含まない。幾つかの実施形態によれば、1つ以上の内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の各アレルに変異が導入される。いずれの実施形態においても、変異はホモ接合型であってもよくヘテロ接合型であってもよい。本明細書で使用するとき、「改変」は、少なくとも1つの内因性PPOのレベル又は活性を低下させる限り、少なくとも1つのヌクレオチドの挿入、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、挿入-欠失(インデル)、逆位、少なくとも1つのヌクレオチドの置換、又は前述の任意の組み合わせを意味し得る。改変は、1つ以上の対応する内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子においてフレームシフト、ミスセンス変異、機能喪失変異、又はナンセンス変異をもたらし得、その結果、1つ以上の内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子が発現しなくなるか又は低下したレベルで発現するようになる。いずれの実施形態においても、改変のサイズは1kbよりも小さくてよく、又は更には0.1kbよりも小さくてもよい。幾つかの実施形態においては、機能喪失変異は、(例えば、エクソン1において)任意の発現産物の生成を阻害するように、それぞれのPPO遺伝子の5’領域にある。しかしながら、機能喪失変異は、例えば、遺伝子の調節エレメント(例えば、そのプロモータ)等であるがそれに限定されない、それぞれのPPO遺伝子のいずれの部分にあってもよい。
【0063】
幾つかの実施形態においては、改変は、該バナナ植物細胞に提供され、該少なくとも1つのポリフェノールオキシダーゼ遺伝子、例えば、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子のうちの少なくとも1つを標的とすることができるエンドヌクレアーゼによって、1つ以上のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に導入される。
【0064】
エンドヌクレアーゼは、ポリヌクレオチド鎖内のホスホジエステル結合を切断する酵素であり、塩基を損傷させることなく特定の部位でDNAを切断する制限エンドヌクレアーゼを含む。制限酵素には、I型、II型、III型、及びIV型のエンドヌクレアーゼが含まれ、これらは更にサブタイプを含む。I型及びIII型のシステムでは、メチラーゼ活性及び制限活性の両方が単一の複合体に含まれている。エンドヌクレアーゼには、ホーミングエンドヌクレアーゼ(HEase)としても知られているメガヌクレアーゼも含まれ、これは、制限エンドヌクレアーゼと同様に、特定の認識部位に結合し、切断する。エンドヌクレアーゼは、植物ゲノム等の真核生物ゲノムの精密な遺伝子操作を可能にする。
【0065】
幾つかの実施形態においては、エンドヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクタヌクレアーゼ(TALEN)、ホーミングエンドヌクレアーゼ、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ、及び改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼからなる群から選択される。幾つかの実施形態によれば、エンドヌクレアーゼはCRISPR関連エンドヌクレアーゼであり、任意で、CRISPR関連エンドヌクレアーゼはCas9である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。幾つかの実施形態においては、エンドヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクタヌクレアーゼ(TALEN)、及びホーミングエンドヌクレアーゼからなる群から選択される。
【0066】
幾つかの実施形態によれば、バナナ植物又はバナナ植物細胞における少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ(PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされているPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ等)のレベル又は活性を低下させる方法であって、該少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性を低下させることが、該少なくとも1つのポリフェノールオキシダーゼをコードしているポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に改変を導入することを含み;該改変が、該少なくとも1つのポリフェノールオキシダーゼ遺伝子が該バナナ植物又はバナナ植物細胞を標的とすることを可能にするエンドヌクレアーゼを提供することによって導入され;該エンドヌクレアーゼが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼである方法が、本明細書において提供される。幾つかの実施形態によれば、エンドヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼが、選択されたポリフェノールオキシダーゼ遺伝子を特異的に標的とすることを可能にする少なくとも1つの「ターゲティング分子」と共にバナナ細胞に提供される。幾つかの実施形態によれば、ターゲティング分子は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼがポリフェノールオキシダーゼ遺伝子内の選択された配列を切断することを可能にするガイドRNAである。
【0067】
本明細書で使用するとき、「メガヌクレアーゼ」は、一般的に、LAGLIDADGファミリー、GIY-YIGファミリー、His-Cysボックスファミリー、及びHNHファミリーの4つのファミリーに分類される。これらファミリーは、触媒活性及び認識配列に影響を与える構造モチーフによって特徴付けられる。例えば、LAGLIDADGファミリーのメンバーは、保存されたLAGLIDADGモチーフを1コピー又は2コピー有することを特徴とする。メガヌクレアーゼの4つのファミリーは、保存された構造エレメント、ひいては、DNA認識配列の特異性及び触媒活性に関して互いに大きく異なっている。メガヌクレアーゼは、微生物種に一般的にみられ、非常に長い認識配列(>14bp)を有するという固有の特性を有しているため、所望の位置での切断についての特異性が天然で非常に高い。これを利用して、ゲノム編集において部位特異的な二本鎖切断を作製することができる。当業者であれば、これら天然に存在するメガヌクレアーゼを使用することができるが、このような天然に存在するメガヌクレアーゼの数は限られている。この課題を克服するために、突然変異誘発及びハイスループットスクリーニング法を用いて、固有の配列を認識するメガヌクレアーゼのバリアントが作製されている。例えば、様々なメガヌクレアーゼを融合させて新たな配列を認識するハイブリッド酵素が作製されている。或いは、メガヌクレアーゼのDNA相互作用アミノ酸を改変して配列特異的メガヌクレアーゼを設計することもできる(例えば、米国特許第8,021,867号を参照)。メガヌクレアーゼは、例えば、Certo,MT et al.Nature Methods(2012)9:073-975、米国特許第8,304,222号、同第8,021,867号、同第8,119,381号、同第8,124,369号、同第8,129,134号、同第8,133,697号、同第8,143,015号、同第8,143,016号、同第8,148,098号、又は同第8,163,514号に記載の方法を用いて設計することができる。或いは、市販されている技術、例えば、Precision Biosciences社のDirected Nuclease Editor(商標)ゲノム編集技術を用いて部位特異的な切断特性を有するメガヌクレアーゼを得ることもできる。
【0068】
「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」(又は「ZFN」)及び「転写活性化因子様エフェクタヌクレアーゼ」(又は「TALEN」)は、本明細書で使用するとき、標的となる二本鎖切断を生成するのに有効であることが証明されている(Christian M,Cermak T,Doyle EL,et al.Targeting DNA double-strand breaks with TAL effector nucleases.Genetics.2010;186(2):757-761.doi:10.1534/genetics.110.120717を参照)。本質的に、ZFN及びTALENの制限エンドヌクレアーゼ技術は、特定のDNA結合ドメイン(それぞれ、一連のジンクフィンガードメイン又はTALEリピートのいずれか)に連結された非特異的DNA切断酵素を利用する。典型的には、そのDNA認識部位と切断部位とが互いに離れている制限酵素が選択される。切断部分が分離され、次いで、DNA結合ドメインに連結され、それによって所望の配列に対して非常に高い特異性を有するエンドヌクレアーゼが得られる。このような特性を有する例示的な制限酵素は、FokIである。更に、FokIには、ヌクレアーゼ活性を有するようになるために二量体化を必要とするという利点があり、これは、各ヌクレアーゼパートナーが固有のDNA配列を認識するので特異性が高まることを意味する。この効果を高めるために、FokIヌクレアーゼは、ヘテロ二量体としてしか機能することができず、高い触媒活性を有するように操作されている。そのようなヌクレアーゼは、不要なホモ二量体活性の可能性を回避し、二本鎖切断の特異性を高める。従って、特定の部位を標的とするために、ZFN及びTALENはヌクレアーゼ対として構築され、対の各メンバーが標的部位における隣接する配列に結合するように設計される。細胞内で一過的に発現すると、ヌクレアーゼはその標的部位に結合し、FokIドメインはヘテロ二量体化して二本鎖切断を作製する。「非相同末端結合」(又は「NHEJ」)経路を通じてこれら二本鎖切断を修復すると、多くの場合、小さな欠失又は小さな配列挿入が生じる。NHEJによって行われる各修復は固有のものであるので、単一のヌクレアーゼ対を使用して、標的部位に様々な欠失を有するアレル群を作り出すことができる。典型的には、欠失の長さは、数塩基対から数百塩基対のいずれかの範囲であるが、2対のヌクレアーゼを同時に使用することによって、細胞培養下でより大きな欠失を生じさせることが成功している(Carlson DF,Fahrenkrug SC,Hackett PB.Targeting DNA With Fingers and TALENs.Mol Ther Nucleic Acids.2012;1(1):e3.Published 2012 Jan 24.doi:10.1038/mtna.2011.5)。更に、標的領域に対して相同性を有するDNA断片をヌクレアーゼ対と一緒に導入すると、相同組換え(HR)を介して二本鎖切断を修復して、特定の改変を生じさせることができる(Urnov,F.,Miller,J.,Lee,Y.et al.Highly efficient endogenous human gene correction using designed zinc-finger nucleases.Nature 435,646-651(2005).https://doi.org/10.1038/nature03556)。ZFN及びTALENの両方のヌクレアーゼ部分は類似の特性を有するが、これら遺伝子操作されたヌクレアーゼ間の差異は、そのDNA認識ペプチドにある。ZFNはCys2-His2ジンクフィンガーに、TALENはTALEに依拠する。これらDNA認識ペプチドドメインはいずれも、天然ではそのタンパク質中に組み合わせでみられるという特徴を有する。Cys2-His2ジンクフィンガーは、典型的には、3bp離れたリピートにみられ、様々な核酸相互作用タンパク質中に多様な組み合わせでみられる。一方、TALEは、アミノ酸と認識されるヌクレオチド対との間に1対1の認識比を有するリピートでみられる。ジンクフィンガー及びTALEはいずれも反復パターンで生じるので、様々な組み合わせを試して多種多様な配列特異性を生み出すことができる。部位特異的ジンクフィンガーエンドヌクレアーゼを作製するためのアプローチとしては、中でも、例えばモジュラーアセンブリ(トリプレット配列に相関したジンクフィンガーを、必要な配列を網羅するように並べて結合させる)、OPEN(ペプチドドメイン対トリプレットヌクレオチドを低ストリンジェンシーで選択し、続いて、細菌系においてペプチドの組み合わせ対最終標的を高ストリンジェンシーで選択する)、及びジンクフィンガーライブラリの細菌ワンハイブリッドスクリーニングが挙げられる。ZFNは、例えばSangamo Biosciences(商標)(Richmond,CA)で設計され、市販されているものもある。TALENを設計及び入手する方法は、Reyon et al.Nature Biotechnology(2012)30(5):460-465;Miller et al.Nature Biotechnology(2011)29:143-148;Cermak et al.Nucleic Acids Research(2011)39(12):e82、及びZhang et al.Nature Biotechnology(2011)29(2):149-153に記載されている。ゲノム編集用途のTAL及びTALENのコンストラクトを設計するために、「Mojo Hand」と命名された最近開発されたウェブベースのプログラムがMayo Clinicによって導入された(www.talendesign.orgを通してアクセスすることができる)。
【0069】
本明細書で使用するとき、「ホーミングエンドヌクレアーゼ」は、大きな非対称認識部位(12~40塩基対(bp))と、通常イントロン又はインテインのいずれかに埋め込まれたコード配列と、を有する二本鎖DNaseである(Belfort,M.and Roberts,R.J.(1997)Nucleic Acids Research,25,3379-3388)。イントロンは、前駆体RNAからスプライシングされて除去されるが、インテインは、前駆体タンパク質からスプライシングされて除去される(Dujon,B.et al.(1989)Gene,82,115-118;Perler,F.B.et al.(1994)Nucleic Acids Research,22,1125-1127)。ホーミングエンドヌクレアーゼは、制限エンドヌクレアーゼと同様の慣例を用いて命名され、イントロンにコードされているエンドヌクレアーゼは接頭辞「I-」を、インテインエンドヌクレアーゼは接頭辞「PI-」を有する(Belfort,M.and Roberts,R.J.(1997)Nucleic Acids Research,25,3379-3388;Roberts,R.J.et al.(2003)Nucleic Acids Research,31,1805-1812)。ホーミングエンドヌクレアーゼ認識部位は、稀である。例えば、18塩基対(bp)の認識配列は、ランダム配列の7×1010塩基対ごとに1つしか出現しない。しかしながら、制限エンドヌクレアーゼとは異なり、ホーミングエンドヌクレアーゼは、その認識配列内の若干の配列縮重を許容する(Gimble,F.S.and Wang,J.(1996)Journal of Molecular Biology,263,163-180;Argast,M.G.et al.(1998)Journal of Molecular Biology,280,345-353)。すなわち、一塩基の変化が切断を無効にするのではなく、その効率を様々な程度低下させる。その結果、観察される配列特異性は、典型的には、10~12塩基対の範囲である。
【0070】
幾つかの実施形態においては、本発明の方法は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼをバナナ植物細胞に提供することを含む。幾つかの実施形態においては、本発明の方法は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼと、少なくとも1つのポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に特異的な1つ以上のガイドRNAとをバナナ植物細胞に提供することを含み、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び該1つ以上のガイドRNAは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に二本鎖切断又は一本鎖切断を導入することを可能にする複合体を形成する。これら実施形態の幾つかにおいては、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼである。これら実施形態の幾つかにおいては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼの遺伝子又はポリヌクレオチドは、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO1遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO2遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO3遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO4遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO5遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO6遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO7遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO8遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO9遺伝子である。幾つかの実施形態においては、内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9の遺伝子のうちの2つ以上である。幾つかの実施形態においては、内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO1及びPPO2の遺伝子である。
【0071】
方法の特定の実施形態においては、PPO1遺伝子は、配列番号5に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO2遺伝子は、配列番号6に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO3遺伝子は、配列番号7に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO4遺伝子は、配列番号8に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO5遺伝子は、配列番号9に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO6遺伝子は、配列番号10に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO7遺伝子は、配列番号11に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO8遺伝子は、配列番号12に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;又はPPO9遺伝子は、配列番号13に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む。方法の特定の実施形態においては、PPO1、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、配列番号5(PPO1)又は配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号6(PPO2)又は配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号12(PPO8)又は配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号13(PPO9)又は配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号8(PPO4)又は配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるコード配列を含む。
【0072】
方法の特定の実施形態においては、PPO1遺伝子は、配列番号40に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO2遺伝子は、配列番号41に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO3遺伝子は、配列番号42に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO4遺伝子は、配列番号43に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO5遺伝子は、配列番号44に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO6遺伝子は、配列番号45に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO7遺伝子は、配列番号46に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO8遺伝子は、配列番号47に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又はPPO9遺伝子は、配列番号48に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている。方法の特定の実施形態においては、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、配列番号40(PPO1)又は配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号41(PPO2)又は配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号47(PPO8)又は配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号48(PPO9)又は配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び配列番号43(PPO4)又は配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている。
【0073】
方法の特定の実施形態においては、PPO1遺伝子は、配列番号151に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO2遺伝子は、配列番号152に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO3遺伝子は、配列番号153に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO4遺伝子は、配列番号154に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO5遺伝子は、配列番号155に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO6遺伝子は、配列番号156に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO7遺伝子は、配列番号157に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;PPO8遺伝子は、配列番号158に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す;又はPPO9遺伝子は、配列番号159に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を指す。方法の特定の実施形態においては、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、配列番号151(PPO1)又は配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号152(PPO2)又は配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号158(PPO8)又は配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号159(PPO9)又は配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号154(PPO4)又は配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。
【0074】
本明細書で使用するとき、「CRISPR関連エンドヌクレアーゼ」(又は「Cas」)は、RNAガイドポリヌクレオチド編集活性を有するエンドヌクレアーゼを指し、少なくとも1つの追加の構成要素である「ガイドRNA」(gRNA)を使用するゲノム編集のためのCRISPR/Cas系の構成要素の1つである。本発明の幾つかの実施形態においては、「CRISPR関連エンドヌクレアーゼ」は、「Cas9エンドヌクレアーゼ」(又は「Cas9」)である。幾つかの実施形態によれば、「CRISPR関連エンドヌクレアーゼ」は、SpCas9、SaCas9、FnCas9、NmCas9、St1Cas9、BlatCas9(Shota Nakade,Takashi Yamamoto & Tetsushi Sakuma(2017),Cas9,Cpf1 and C2c1/2/3―What’s next?,Bioengineered,8:3,265-273、及びその参照文献)等であるがこれらに限定されない、当技術分野で公知の任意のCas9であってよい。他の実施形態においては、「CRISPR関連エンドヌクレアーゼ」は、AsCpf1又はLbCpf1等であるがこれらに限定されないCpf1であってよい(Shota Nakade,Takashi Yamamoto & Tetsushi Sakuma(2017)、Cas9,Cpf1 and C2c1/2/3―What’s next?,Bioengineered,8:3,265-273、及びその参照文献)。
【0075】
本明細書で使用するとき、「ガイドRNA」又は「gRNA」という用語は、互換的に使用することができ、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼの、細胞内のゲノム配列又はエピソーム配列等の標的配列への特異的ターゲティングを容易にするポリヌクレオチドを指す。幾つかの実施形態によれば、gRNAは、キメラ/単一分子(単一のRNA分子を含み、単一ガイドRNA又はsgRNAとも呼ばれる)又はモジュラー(1つを超える別個のRNA分子を含み、典型的にはcrRNA及びtracrRNAであり、これらは例えば二重鎖形成によって連結され得る)であってよい。幾つかの実施形態によれば、gRNAは、sgRNAである。
【0076】
sgRNAは、tracrRNA及びcrRNAの両方(及び連結ループ)を含むRNA分子である。sgRNAは、単一のキメラ転写物において標的相同配列(crRNA)とcrRNAをCas9ヌクレアーゼに連結させる内因性細菌RNA(tracrRNA)とをコードしているヌクレオチドの配列を含む。可変領域として知られているcrRNAのこの領域は、関連するエンドヌクレアーゼの切断特異性を付与し、典型的には20ヌクレオチド長であるが、約17~20ヌクレオチド長であってもよい。gRNA/Cas複合体は、sgRNA配列と相補的なゲノムDNAとの間の塩基対合によって標的配列に動員される。Casの結合を成功させるためには、ゲノム標的配列が、該標的配列の直後に正確なプロトスペーサ隣接モチーフ(PAM)配列も含有していなければならない。gRNA/Cas複合体が結合すると、CasがDNAの両鎖を切断して二重鎖切断を生じさせることができるように、Casはゲノム標的配列に局在する。ZFN及びTALENと同様に、CRISPR/Casによって生じる二本鎖切断は、HR(相同組換え)又はNHEJ(非相同末端結合)によって修復することができ、DNA修復中に特定の配列改変を受けやすい。Casヌクレアーゼは、それぞれが異なるDNA鎖を切断する2つの機能性ドメイン:RuvC及びHNHを有する。これらドメインの両方が活性である場合、CasはゲノムDNAにおいて二本鎖切断を引き起こす。CRISPR/Casの大きな利点は、この系の高い効率性と合成gRNAを容易に作製できる能力とを兼ね備えていることである。これにより、異なるゲノム部位を標的とする及び/又は同じ部位における異なる改変を標的とするように容易に改変することが可能な系ができる。更に、複数の遺伝子を同時に標的とすることができるプロトコルも確立されている。変異を保有する細胞の大部分は、標的となる遺伝子に両アレル変異が存在する。しかし、gRNA配列とゲノムDNA標的配列との間の塩基対合相互作用が明らかに柔軟であることから、標的配列との一致が不完全でもCasによって切断することが可能になる。
【0077】
RuvC又はHNHのいずれかの単一不活性触媒ドメインを含有するCas酵素の改変バージョンは、「ニッカーゼ」と呼ばれる。活性ヌクレアーゼドメインが1つだけの場合、Casニッカーゼは標的DNAの片方の鎖だけを切断し、一本鎖切断又は「ニック」を作製する。一本鎖切断又はニックは、ほとんどの場合、PARP(センサ)及びXRCCl/LIG III複合体(ライゲーション)等であるがこれらだけではないタンパク質が関与する一本鎖切断修復機構によって修復される。トポイソメラーゼIの毒によって又は天然に存在するSSBにおいてPARP1を捕捉する薬物によって一本鎖切断(SSB)が生成された場合、これらは持続する可能性があり、細胞がS期に入り、複製フォークがこのようなSSBに遭遇したときに、HRによってのみ修復可能なシングルエンドDSBとなる。しかし、Casニッカーゼによって導入された2つの近接している対向する鎖のニックは二本鎖切断として処理され、「ダブルニック」CRISPR系と称されることが多い。ダブルニックは基本的に非平行DSBであり、他のDSBと同様に、遺伝子標的に対する所望の効果及びドナー配列の存在及び細胞周期のステージに応じてHR又はNHEJによって修復され得る(HRは、はるかに存在量が少なく、細胞周期のS期及びG2期でしか生じ得ない)。従って、特異性及びオフターゲット効果の減少が重要な場合、近接近しておりかつゲノムDNAの対向する鎖に存在する標的配列を有する2つのgRNAを設計することによってダブルニックを作製するためのCasニッカーゼを使用すると、いずれかのgRNAだけではゲノムDNAを変化させることが不可能ではないとしても可能性の低いニックが生じるため、オフターゲット効果が減少するであろう。
【0078】
本明細書で使用するとき、「改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ」(又は「改変型Cas」とは、触媒ドメインが改変されている及び/又は追加ドメインに融合しているCasを指す。幾つかの実施形態によれば、「改変型Cas」とは、不活性触媒ドメイン(dead Cas、又はdCas)を含有し、ヌクレアーゼ活性を有さないが、依然としてgRNA特異性に基づいてDNAには結合することはできるCasを指す。幾つかの実施形態によれば、「改変型Cas」とは、ニッカーゼ活性を有する(「nCas9」)ので、一本鎖切断を誘導するCasを指す。幾つかの実施形態においては、改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼは「改変型Cas9エンドヌクレアーゼ」であり、場合によっては、触媒的に不活性なCas9(又は「dCas9」)又はニッカーゼCas9(「nCas9」)である。dCasは、不活性酵素を既知の調節ドメインに融合させることによって遺伝子発現を活性化又は抑制するためのDNA転写調節因子のプラットフォームとして利用することができる。例えば、ゲノムDNA中の標的配列にdCasが単独で結合すると、遺伝子の転写に干渉することができる。標的配列の選択及び/又は設計に役立てるために利用可能な公的に入手可能なツールに加えて、バイオインフォマティクスに基づいて決定された異なる種における異なる遺伝子に固有のgRNAのリストが多数公開されており、例えば、Feng Zhang研究室のTarget Finder、 Michael Boutros研究室のTarget Finder“E-CRISP”、RGEN Tools:“Cas-OFFinder”、CasFinder:Flexible algorithm for identifying specific Cas9 targets in genomes and the CRISPR Optimal Target Finderがある。
【0079】
本発明の状況において、dCas又はnCas9等の改変型Casを、塩基編集のために他の酵素と共に(場合によっては融合タンパク質として)幾つかの実施形態に従って使用することもできる。塩基編集は、CRISPR系の構成要素を他の酵素と共に使用して、二本鎖DNA切断を作製することなく細胞のDNA又はRNAに点変異を直接導入するゲノム編集アプローチである。DNA塩基エディタは、核酸塩基デアミナーゼ酵素及び場合によってはDNAグリコシラーゼ阻害剤と融合した触媒活性のないヌクレアーゼを含む。RNA塩基エディタは、RNAを標的とする構成要素を用いて同様の変化を実現する。塩基エディタは、ある塩基又は塩基対を別の塩基又は塩基対に直接変換することで、過剰な望ましくない編集副産物を生成することなく非分裂細胞に点変異を効率的に導入することを可能にする(Rees and Liu(2018),“Base Editing:Precision Chemistry on the Genome and Transcriptome of Living Cells”,Nature Reviews Genetics,19(12):770-788)。幾つかの実施形態によれば、改変型Cas9は、アデノシン又はシチジンのデアミナーゼ等の塩基エディタ酵素に融合したnCasである。企図される具体的な塩基エディタとしては、APOBEC、BE1、BE2、BE3、HF-BE3、BE4、BE4max、BE4-GAM、YE1-BE3、EE-BE3、YE-BE3、YEE-BE3、VQR-BE3、VRER-BE3、Sa-BE3、Sa-BE4、SaBE4-Gam、SaKKH-BE3、Cas12a-BE、Target-AID、Target-AID-NG、xBE3、eA3A-BE3、A3A-BE3、BE-PLUS、TAM、CRISPR-X、ABE7.9、ABE7.10、ABE7.10*、xABE、ABESa、VQR-ABE、VRER-ABE、SaKKH-ABEが挙げられる(Rees and Liu(2018),“Base Editing:Precision Chemistry on the Genome and Transcriptome of Living Cells”,Nature Reviews Genetics,19(12):770-788、及びその参照文献)。
【0080】
本明細書で使用するとき、「ガイドRNA」(又は「gRNA」)は、配列が少なくとも1つのポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に特異的であるか、又はコードされているサイレンシングRNAが本明細書に定義されるポリフェノールオキシダーゼ遺伝子をサイレンシングするように配列が改変されているサイレンシングRNAをコードしているゲノム配列を標的とする限り、特定の配列に限定されない。本発明の幾つかの実施形態においては、1つ以上のガイドRNAは、配列番号32~39及び57~97;並びに前述の任意の組み合わせからなる群から選択される配列を有する可変領域を含む。本発明の幾つかの実施形態においては、1つ以上のガイドRNAは、配列番号180~196、199~202、及び207~225;並びに前述の任意の組み合わせからなる群から選択される配列を有する可変領域を含む。本発明の幾つかの実施形態においては、1つ以上のガイドRNAは、配列番号32;配列番号33;配列番号34;配列番号35;配列番号36;配列番号37;配列番号57;配列番号58;配列番号38;配列番号39;配列番号62;配列番号76;配列番号77;並びに前述の任意の組み合わせからなる群から選択される配列を有する可変領域を含む。
【0081】
本発明の幾つかの実施形態においては、該1つ以上のガイドRNAは、配列番号32及び33;配列番号34及び35;配列番号32及び34;配列番号32及び35;配列番号33及び34;配列番号33及び35;配列番号57及び58;配列番号38及び39;配列番号62及び33;並びに配列番号76及び77からなる群から選択される可変領域を含む一対のガイドRNAである。幾つかの実施形態によれば、上記gRNAは、上記のような可変領域配列と、それに続く配列番号98の一定のスカフォールド配列とを含む。
【0082】
好ましくは、本発明は、バナナ植物又はバナナ植物細胞において、PPO1ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされている少なくとも1つの内因性PPO1ポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性を低下させる方法であって、該PPO1ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子が、(A)配列番号5(PPO1)若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドのコード配列を含むか;(B)配列番号40(PPO1)若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドのポリフェノールオキシダーゼをコードしているか;又は(C)配列番号151(PPO1)のポリヌクレオチド配列若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み;
該方法が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼと、該少なくとも1つのPPO1ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に特異的な1つ以上のガイドRNAとを該バナナ植物細胞に提供することを含み、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び該1つ以上のガイドRNAが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、該少なくとも1つの内因性PPO1ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に二本鎖切断又は一本鎖切断を導入することを可能にする複合体を形成し;
任意で、該1つ以上のガイドRNAが、配列番号32、配列番号33、又は配列番号62の配列を有する可変領域を含む方法を提供する。
【0083】
好ましくは、本発明は、バナナ植物又はバナナ植物細胞において、PPO2ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされている少なくとも1つの内因性PPO2ポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性を低下させる方法であって、該PPO2ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子が、(A)配列番号6(PPO2)若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドのコード配列を含むか;(B)配列番号41(PPO2)若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドのポリフェノールオキシダーゼをコードしているか;又は(C)配列番号152(PPO2)のポリヌクレオチド配列若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み;
該方法が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼと、該少なくとも1つのPPO2ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に特異的な1つ以上のガイドRNAとを該バナナ植物細胞に提供することを含み、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び該1つ以上のガイドRNAが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、該少なくとも1つの内因性PPO2ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に二本鎖切断又は一本鎖切断を導入することを可能にする複合体を形成し;
任意で、該1つ以上のガイドRNAが、配列番号34又は配列番号35の配列を有する可変領域を含む方法を提供する。
【0084】
好ましくは、本発明は、バナナ植物又はバナナ植物細胞において、PPO5ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされている少なくとも1つの内因性PPO5ポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性を低下させる方法であって、該PPO5ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子が、(A)配列番号9(PPO5)若しくは配列番号9に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドのコード配列を含むか;(B)配列番号44(PPO5)若しくは配列番号44に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドのポリフェノールオキシダーゼをコードしているか;又は(C)配列番号155(PPO5)のポリヌクレオチド配列若しくは配列番号155に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み;
該方法が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼと、該少なくとも1つのPPO5ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に特異的な1つ以上のガイドRNAとを該バナナ植物細胞に提供することを含み、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び該1つ以上のガイドRNAが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、該少なくとも1つの内因性PPO5ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に二本鎖切断又は一本鎖切断を導入することを可能にする複合体を形成し;
任意で、該1つ以上のガイドRNAが、配列番号78又は配列番号79の配列を有する可変領域を含む方法を提供する。
【0085】
好ましくは、本発明は、バナナ植物又はバナナ植物細胞において、PPO8ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされている少なくとも1つの内因性PPO8ポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性を低下させる方法であって、該PPO8ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子が、(A)配列番号12(PPO8)若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドのコード配列を含むか;(B)配列番号47(PPO8)若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドのポリフェノールオキシダーゼをコードしているか;又は(C)配列番号158(PPO8)のポリヌクレオチド配列若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み;
該方法が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼと、該少なくとも1つのPPO8ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に特異的な1つ以上のガイドRNAとを該バナナ植物細胞に提供することを含み、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び該1つ以上のガイドRNAが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、該少なくとも1つの内因性PPO8ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に二本鎖切断又は一本鎖切断を導入することを可能にする複合体を形成し;
任意で、該1つ以上のガイドRNAが、配列番号57又は配列番号58の配列を有する可変領域を含む方法を提供する。
【0086】
好ましくは、本発明は、バナナ植物又はバナナ植物細胞において、PPO9ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされている少なくとも1つの内因性PPO9ポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性を低下させる方法であって、該PPO9ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子が、(A)配列番号13(PPO9)若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドのコード配列を含むか;(B)配列番号48(PPO9)若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドのポリフェノールオキシダーゼをコードしているか;又は(C)配列番号159(PPO9)のポリヌクレオチド配列若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み;
該方法が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼと、該少なくとも1つのPPO9ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に特異的な1つ以上のガイドRNAとを該バナナ植物細胞に提供することを含み、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び該1つ以上のガイドRNAが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、該少なくとも1つの内因性PPO9ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に二本鎖切断又は一本鎖切断を導入することを可能にする複合体を形成し;
任意で、該1つ以上のガイドRNAが、配列番号38又は配列番号39の配列を有する可変領域を含む方法を提供する。
【0087】
好ましくは、本発明は、バナナ植物又はバナナ植物細胞において、PPO4ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされている少なくとも1つの内因性PPO4ポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性を低下させる方法であって、該PPO4ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子が、(A)配列番号8(PPO4)若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドのコード配列を含むか;(B)配列番号43(PPO4)若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドのポリフェノールオキシダーゼをコードしているか;又は(C)配列番号154(PPO4)のポリヌクレオチド配列若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み;
該方法が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼと、該少なくとも1つのPPO4ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に特異的な1つ以上のガイドRNAとを該バナナ植物細胞に提供することを含み、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び該1つ以上のガイドRNAが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、該少なくとも1つの内因性PPO4ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に二本鎖切断又は一本鎖切断を導入することを可能にする複合体を形成し;
任意で、該1つ以上のガイドRNAが、配列番号76又は配列番号77の配列を有する可変領域を含む方法を提供する。CRISPR/Cas系を使用するためには、gRNA及びCasの両方が標的細胞内になければならない又はリボ核タンパク質複合体として送達されなければならない。幾つかの実施形態によれば、Cas/改変Cas及び少なくとも1つのgRNAは、Cas/改変Cas及び/又は少なくとも1つのgRNAを発現する1つ以上のベクターを導入することによってバナナ細胞に提供される。挿入ベクターは1つのプラスミド上に両方のカセットを含有し得る、又はカセットは2つの別々のプラスミドから発現される。CRISPRプラスミドは市販されている(Addgene製のpx330プラスミド等)。植物ゲノムを改変するためのクラスタ化された規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)関連(Cas)ガイドRNA技術及びCasエンドヌクレアーゼの使用は、少なくともSvitashev et al.(2015),Plant Physiology,169(2):931-945;Kumar and Jain,2015,Journal of Experimental Botany,66:47-57;及び米国特許出願公開第20150082478号に開示されており、これらは、全体が参照により本明細書に具体的に援用される。
【0088】
幾つかの実施形態においては、本発明の方法は、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の改変を含む少なくとも1つのバナナ植物細胞を同定することを更に含む。幾つかの実施形態においては、本発明の方法は、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の改変を含む少なくとも1つのバナナ植物細胞を同定することを更に含み、該改変は、少なくとも1つのヌクレオチド挿入;少なくとも1つのヌクレオチド欠失;少なくとも1つのヌクレオチド置換;及び前述の任意の組み合わせからなる群から選択される。これら実施形態の幾つかにおいては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO1遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO2遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO3遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO4遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO5遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO6遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO7遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO8遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO9遺伝子である。幾つかの実施形態においては、内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9の遺伝子のうちの2つ以上である。幾つかの実施形態においては、内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO1及びPPO2の遺伝子である。
【0089】
本明細書で使用するとき、「同定」は、DNAシーケンシング(例えば、次世代シーケンシング)、電気泳動、酵素ベースのミスマッチ検出アッセイ、並びにPCR、RT-PCR、RNase保護、インサイチュハイブリダイゼーション、プライマー伸長、サザンブロット、ノーザンブロット、及びドットブロット分析等のハイブリダイゼーションアッセイ等であるがこれらに限定されない、少なくとも1つのヌクレオチド挿入;少なくとも1つのヌクレオチド検出;少なくとも1つのヌクレオチド置換;及び前述の任意の組み合わせからなる群から選択される改変又は編集イベントを検出することができる、当技術分野で公知の任意の技術を含み得る。また、一塩基多型(SNP)を検出するために使用される様々な方法、例えば、PCRベースのT7エンドヌクレアーゼ、ヘテロ二重鎖、及びサンガーシーケンシングを用いてもよい。DNA編集イベント(挿入-欠失イベント(すなわち、「インデル」)等)の存在を検証する別の方法は、ミスマッチDNAを認識し、切断する構造選択的酵素(例えば、エンドヌクレアーゼ)を利用するミスマッチ切断アッセイを含む。ミスマッチ切断アッセイは、インデルを検出するための簡便で費用効率の高い方法であるので、ゲノム編集によって誘導された変異を検出するための典型的な手順である。このアッセイは、複数のヌクレオチドによって形成されるミスマッチ及びヘリックス外ループでヘテロ二重鎖DNAを切断し、2つ以上の小さな断片を生成する酵素を用いる。得られる断片のサイズが異なり、従来のゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって容易に分離することができるように、予測されるヌクレアーゼ切断部位が中心から外れている約300~1000bpのPCR産物が生成される。末端が標識された消化産物は、自動化されたゲル又はキャピラリー電気泳動によって分析することもできる。遺伝子座におけるインデルの頻度は、PCRアンプリコン及び切断されたDNAバンドの積分強度を測定することによって推定することができる。消化工程は15~60分間かかり、DNA調製及びPCR工程を加えると、アッセイ全体を3時間以内に完了することができる。このアッセイには通常2種の別の酵素が用いられる。T7エンドヌクレアーゼ1(T7E1)は、不完全にマッチしているDNAをミスマッチの上流の1番目、2番目、又は3番目のホスホジエステル結合で認識し切断するリゾルバーゼである。T7E1ベースのアッセイの感度は0.5~5%である。対照的に、Surveyor(商標)ヌクレアーゼ(Transgenomic Inc.,Omaha,NE,USA)は、セロリ由来のミスマッチ特異的ヌクレアーゼのCELファミリーのメンバーである。それは、一塩基多型(SNP)又は小さなインデルの存在に起因するミスマッチを認識して切断し、ミスマッチの下流のDNA鎖を両方とも切断する。それは、最大12ヌクレオチドのインデルを検出することができ、約3%、すなわち32コピーに1コピーもの低頻度で存在する変異に対して感受性である。編集イベントの存在を検証する更に別の方法は、高分解能融解分析を含む。高分解能融解解析(HRMA)は、蛍光色素を組み込んだリアルタイムPCRによってゲノム標的にまたがるDNA配列(90~200bp)を増幅し、その後アンプリコンの融解曲線を解析することを含む。HRMAは、熱変性中に二本鎖DNAから挿入色素が放出される際の蛍光の消失に基づく。アンプリコンの温度依存性変性プロファイルを記録し、融解プロセスに1つ以上の分子種が関与しているかどうかを検出する。更に別の方法は、ヘテロ二重鎖移動度アッセイである。再ハイブリダイズしたPCR断片を直接ネイティブポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で分析することによって変異を検出することもできる。この方法は、ポリアクリルアミドゲルにおけるヘテロ二重鎖DNAとホモ二重鎖DNAとの移動の違いを利用する。インデルによって生じるマッチDNA鎖とミスマッチDNA鎖との間の角度は、ヘテロ二重鎖DNAがネイティブ条件下でホモ二重鎖DNAよりも著しく遅い速度で移動することを意味し、両者は移動度に基づいて容易に区別することができる。140~170bpの断片は15%ポリアクリルアミドゲルで分離することができる。このようなアッセイの感度は、最適条件下では0.5%に近づくことができ、これはT7E1と同様である。PCR産物を再アニーリングした後、アッセイの電気泳動工程に約2時間かかる。編集イベントの存在を検証する他の方法については、Zischewski(2017),Biotechnology Advances 1(1):95-104に詳しく記載されている。
【0090】
本発明の幾つかの実施形態においては、1つ以上のガイドRNA(gRNA)は、1つ以上のプロモータに動作可能に連結された該1つ以上のガイドRNAをコードしている1つ以上の組換えDNAコンストラクト内でバナナ植物細胞に提供される。本発明の実施形態において有用なDNAコンストラクトは、当業者に周知の組換えDNA技術を用いて構築することができる。そのようなDNAコンストラクトは、市販されており、植物への形質転換に好適であり、かつ形質転換された細胞において関心対象の遺伝子を発現させるのに好適であり得る。
【0091】
本明細書で使用するとき、「プロモータ」は、植物で発現可能である、すなわち、植物の細胞、組織、又は器官において発現を誘導、付与、活性化、又は増強することができる。本発明の方法において有用なプロモータの例としては、アクチン、CANV 35S、CaMV19S、GOS2が挙げられるが、これらに限定されない。様々な組織又は発生段階で活性のあるプロモータを使用することもできる。本明細書における実施形態のいずれかにおいては、PPOポリヌクレオチド配列は、植物発現のために最適化され得る。このような配列改変の例としては、バナナで通常みられるものにより近づけるためにG/C含量を変化させること及び一般的に植物種では通常みられないコドンを除去すること(コドンの最適化と呼ばれる)等が挙げられるが、これらに限定されない。バナナ植物細胞は、本発明の実施形態のDNAコンストラクトで安定的又は一過的に形質転換され得る。安定的な形質転換では、PPOポリヌクレオチドが植物のゲノムに組み込まれるので、安定的かつ遺伝性の形質を表す。一過的な形質転換では、PPOポリヌクレオチドは、形質転換された細胞で発現するが、ゲノムには組み込まれない(従って、一過的な形質を表す)。幾つかの実施形態においては、DNAコンストラクト中のプロモータは、Pol3プロモータを含む。Pol3プロモータの例としては、AtU6-29、AtU626、AtU3B、AtU3d、及びTaU6が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態においては、DNAコンストラクト中のプロモータは、Pol2プロモータを含む。Pol2プロモータの例としては、CaMV 35S、CaMV 19S、ユビキチン、CVMVが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態においては、DNAコンストラクト中のプロモータは、35Sプロモータを含む。幾つかの実施形態においては、DNAコンストラクト中のプロモータは、U6プロモータを含む。幾つかの実施形態においては、DNAコンストラクト中のプロモータは、少なくとも1つのgRNAをコードしている核酸剤に動作可能に連結されたPol3プロモータ(U6等)並びに/又はCRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び/若しくは選択マーカー遺伝子をコードしている核酸配列に動作可能に連結されたPol2プロモータ(CamV35S等)を含む。このDNAコンストラクトは、アグロバクテリウムによって媒介される形質転換による一過的な発現に有用であり得る(Helens et al.(2005),Plant Methods 1:13)。幾つかの実施形態においては、DNAコンストラクト中に含まれる核酸配列は、バナナゲノムへの組み込みを回避するために、バナナ植物細胞のゲノムに対して相同な配列(任意のガイド配列以外)を含まない。幾つかの実施形態においては、DNAコンストラクトは、選択マーカーをコードしている核酸配列も非組み込み性である場合等、非組み込み性コンストラクトである。本明細書で使用するとき、「非組み込み性」とは、関心対象の植物のゲノムへのコンストラクト又は配列の組み込みを促進するように積極的に設計されてはいないDNAコンストラクト又は配列を指す。例えば、アグロバクテリウムによって媒介される遺伝子形質転換のための機能的T-DNAベクター系は、植物ゲノムに組み込まれるように積極的に設計されているので、非組み込み性ベクター系ではない。同様に、選択マーカー遺伝子配列のバナナゲノムへの相同組換えを促進するために関心対象の植物のゲノムに対して相同な隣接配列を有する選択マーカー遺伝子配列は、非組み込み性選択マーカー配列ではない。
【0092】
本発明の状況においては、様々なクローニングキットを使用することができる。本明細書で使用するとき、「DNAコンストラクト」はバイナリーベクターであってもよい。バイナリーベクターの例は、pBIN19、pBI101、pBinAR、pGPTV、pCAMBIA、pBIB-HYG、pBecks、pGreen、又はpPZPである(Hajukiewicz,P.et al.,Plant Molecular Biology,25,989(1994)及びHellens et al.Trends in Plant Science 5,446(2000))。DNA送達の他の方法(例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、微粒子銃、及びウイルス接種)において本発明の状況で使用することができる他のベクターの例は、pGE-sgRNA(Zhang et al.Nature Communications 2016 7:12697)、pJIT163-Ubi-Cas9(Wang et al.Nature Biotechnology 2004,32,947-951)、pICH47742::2x35S-5’UTR-hCas9(STOP)-NOST(Belhan et al.Plant Methods 2013,11;9(1):39)である。
【0093】
他の実施形態においては、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ若しくは改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び/又は1つ以上のガイドRNAは、RNAの形態でバナナ植物細胞に提供される。更に他の実施形態においては、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、タンパク質の形態でバナナ植物細胞に提供され、1つ以上のガイドRNAは、RNAの形態で該バナナ植物細胞に提供される。幾つかの実施形態においては、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び1つ以上のガイドRNAは、リボ核タンパク質複合体としてバナナ植物細胞に提供される。
【0094】
DNA、RNA、ペプチド、及び/若しくはタンパク質、又は核酸とペプチドとの組み合わせを植物細胞に導入する方法は多数存在する。これらとしては、例えば、プロトプラスト形質転換(米国特許第5,508,184号);乾燥/阻害によって媒介されるDNAの取り込み(Potrykus et al.(1985)Mol.Gen.Genet.199:183-8);エレクトロポレーション(米国特許第5,384,253号);炭化ケイ素繊維と共に撹拌する(米国特許第5,302,523号及び同第5,464,765号);アグロバクテリウムによって媒介される形質転換(米国特許第5,563,055号、同第5,591,616号、第5,693,512号、同第5,824,877号、同第5,981,840号、及び同第6,384,301号);DNAでコーティングされた粒子の加速(米国特許第5,015,580号、第5,550,318号、第5,538,880号、第6,160,208号、第6,399,861号、及び第6,403,865号)、並びにナノ粒子、ナノキャリア、及び細胞透過性ペプチド(国際公開第201126644A2号;同第2009046384A1号;同第2008148223A1号)が挙げられる。トランスフェクションの他の方法としては、トランスフェクション試薬(例えば、Lipofectin、ThermoFisher)、デンドリマー(Kukowska-Latallo,J.F.et al.(1996),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93,4897-902)、細胞透過性ペプチド(Mae et al.(2005),“Internalisation of cell-penetrating peptides into tobacco protoplasts”,Biochimica et Biophysica Acta 1669(2):101-7)、又はポリアミン(Zhang and Vinogradov(2010),“Short biodegradable polyamines for gene delivery and transfection of brain capillary endothelial cells”,J Control Release,143(3):359-366)の使用が挙げられる。
【0095】
本発明の幾つかの実施形態においては、エンドヌクレアーゼ、1つ以上のガイドRNA、及び/又は1つ以上の組換えDNAコンストラクトは、微粒子銃又は遺伝子銃を用いてバナナ植物細胞に提供される。他の実施形態においては、エンドヌクレアーゼ、1つ以上のガイドRNA、及び/又は1つ以上の組換えDNAコンストラクトは、アグロバクテリウム形質転換を用いてバナナ植物細胞に提供される。更に他の実施形態においては、エンドヌクレアーゼ、1つ以上のガイドRNA、及び/又は1つ以上の組換えDNAコンストラクトは、プロトプラストトランスフェクションを用いてバナナ植物細胞に提供される。更に他の実施形態においては、エンドヌクレアーゼ、1つ以上のガイドRNA、及び/又は1つ以上の組換えDNAコンストラクトは、エレクトロポレーションを用いてバナナ植物細胞に提供される。更に他の実施形態においては、エンドヌクレアーゼ、1つ以上のガイドRNA、及び/又は1つ以上の組換えDNAコンストラクトは、ナノ粒子によって媒介されるトランスフェクションを用いてバナナ植物細胞に提供される。幾つかの実施形態においては、エンドヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドとしてバナナ植物細胞に提供される。これら実施形態の幾つかにおいては、エンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼであり、ポリヌクレオチドは、Cas9ポリペプチドをコードしているCas9ポリヌクレオチドである。幾つかの実施形態においては、1つ以上のガイドRNA及びCRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ、少なくとも1つの選択マーカー遺伝子、及び1つ以上のガイドRNAをコードしている1つ以上のプラスミドのアグロバクテリウム形質転換を介してバナナ植物細胞に提供される。
【0096】
本発明の実施形態のいずれかにおいては、1つ以上のガイドRNAは、配列番号32~39及び57~97;並びに前述の任意の組み合わせからなる群から選択される配列を有する可変領域を含む。本発明の幾つかの実施形態においては、1つ以上のガイドRNAは、配列番号180~196、199~202、及び207~225;並びに前述の任意の組み合わせからなる群から選択される配列を有する可変領域を含む。本発明の実施形態のいずれかにおいては、1つ以上のガイドRNAは、配列番号32;配列番号33;配列番号34;配列番号35;配列番号36;配列番号37;配列番号57;配列番号58;配列番号38;配列番号39;配列番号62;配列番号76;配列番号77;並びに前述の任意の組み合わせからなる群から選択される配列を有する可変領域を含む。本発明の幾つかの実施形態においては、該1つ以上のガイドRNAは、配列番号32及び33;配列番号34及び35;配列番号32及び34;配列番号32及び35;配列番号33及び34;配列番号33及び35;配列番号57及び58;配列番号38及び39;配列番号62及び33;並びに配列番号76及び77からなる群から選択される可変領域を含む一対のガイドRNAである。
【0097】
本発明の幾つかの実施形態においては、バナナ植物細胞は、プロトプラストである、胚形成細胞である、及び/又は胚形成細胞懸濁液に含まれる。
【0098】
本発明は更に、前述の本発明の方法のいずれか1つによって得ることができるバナナ植物細胞を提供する。
【0099】
本発明の幾つかの実施形態においては、方法は、該バナナ植物細胞からバナナ植物を再生することを更に含む。
【0100】
本明細書で使用するとき、「再生」は、まずバナナ植物細胞(プロトプラストを含む)をカルスに発達する群に成長させ、続いて植物組織培養法を使用してカルスからシュートを再生する(カウロジェネシス(caulogenesis))ことにより、バナナ植物細胞をバナナ植物全体に成長させることを含み得る。バナナプロトプラストをカルスに成長させ、その後シュートを再生させるには、カスタマイズしなければならない組織培養培地中の植物成長調節物質の適切なバランスを必要とする。また、プロトプラスト融合と呼ばれる技術を用いて、プロトプラストを植物の育種に使用することもできる。電界又はポリエチレングリコールの溶液を用いることによって、異なる種由来のプロトプラストの融合を誘導する。この技術は、組織培養で体細胞ハイブリッドを生成するために使用することができる。プロトプラストを再生させる方法は、当技術分野で周知である。幾つかの要因、すなわち、遺伝子型、ドナー組織及びその前処理、プロトプラストを単離するための酵素処理、プロトプラストの培養方法、培養、培養培地、並びに物理的環境が、プロトプラストの単離、培養、及び再生に影響を与える(Maheshwari et al.(1986),“Differentiation of Protoplasts and of Transformed Plant Cells”:3-36.Springer-Verlag,Berlinを参照)。再生されたバナナを選抜に供してよい。バナナ植物又はその細胞は、導入遺伝子を有しない、すなわち「非トランスジェニック」であり得る。例えば、バナナ植物は、本発明の実施形態の幾つかで使用されるようなCRISPR/Cas系のいずれかをコードしているDNAコンストラクトのいずれも有していなくてよい。幾つかの実施形態によれば、成体植物に成長及び再生させるバナナ細胞に対して遺伝子編集等の遺伝子操作を行う場合、これら細胞で発現し、胚形成及び/又は再生に悪影響を及ぼす可能性のある遺伝子を編集しないことが好ましい。理論にも機序にも房縛されることを望むものではないが、果肉及び/又は果皮で発現するが胚細胞では発現しないPPO遺伝子、例えばPPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4の発見により、植物の再生に影響を与えることなく胚細胞を編集することが可能になる。
【0101】
実施形態の幾つかにおいては、本発明の方法は、該バナナ植物から果実を収穫することを更に含む。各成体バナナ植物は房を1つ生産し、該房は多くのバナナの果実、すなわち「果指」によって形成され、果指が房状の幾つかの「果段」になっている。これに関して、「収穫」は従来の意味を有する。例えば、鋭利な湾曲ナイフ又はナタを使用して、手作業(通常2~3人)でバナナの房をカットする。収穫は、通常、バナナの果実が成熟する7~14日前の、まだ緑色で硬い時期に行われる。
【0102】
本発明は更に、前述の方法によって得ることができるバナナの植物又は植物部位を提供する。
【0103】
本発明の前述の方法によって得ることができるバナナ植物から収穫された果実であって、該果実の果肉及び/又は果皮が、該少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ(PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される)のレベル又は活性が低下していないバナナ植物の果肉及び/又は果皮と比較して褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とする果実が、本発明により更に提供される。
【0104】
幾つかの実施形態によれば、本発明の前述の方法によって得ることができるバナナ植物から収穫された果実であって、該果実の果肉及び/又は果皮が、該少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ(PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、及びPPO4からなる群から選択される)のレベル又は活性が低下していないバナナ植物の果肉及び/又は果皮と比較して褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とする果実が、本明細書において提供される。
【0105】
本発明は更に、野生型バナナ植物と比較して果肉及び/又は果皮の褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とするバナナ植物を作出する方法であって、バナナ植物細胞に、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び1つ以上のガイドRNAを提供することであって、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び1つ以上のガイドRNAが、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが一本鎖切断又は二本鎖切断を導入することを可能にする複合体を形成することと;PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の改変を含む少なくとも1つのバナナ植物細胞を同定することであって、該改変が、少なくとも1つのヌクレオチド挿入;少なくとも1つのヌクレオチド欠失;少なくとも1つのヌクレオチド置換;又は前述の任意の組み合わせからなる群から選択されることと;該バナナ植物細胞からバナナ植物を再生することであって、該バナナ植物が、野生型バナナ植物と比較して果肉及び/又は果皮の褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とすることと、を含む方法を提供する。幾つかの実施形態においては、方法は、該バナナ植物から果実を収穫することを更に含み、該果実は、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性が低下も喪失もしていないバナナ植物の果実と比較して褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とする。
【0106】
本発明は更に、少なくとも1つの改変された内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子をそのゲノム中に含むバナナ植物又は植物部位であって、該改変の結果、該改変された内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされている少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼの機能が低下又は喪失し、該改変が、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に位置するバナナ植物又は植物部位を提供する。
【0107】
前述の方法、バナナ植物、又はバナナ植物部位の幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO1遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO2遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO3遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO4遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO5遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO6遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO7遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO8遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO9遺伝子である。幾つかの実施形態においては、内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9の遺伝子のうちの2つ以上である。幾つかの実施形態においては、内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO1及びPPO2の遺伝子である。前述の方法、バナナ植物、又はバナナ植物部位の特定の実施形態においては、PPO1遺伝子は、配列番号5に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO2遺伝子は、配列番号6に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO3遺伝子は、配列番号7に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO4遺伝子は、配列番号8に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO5遺伝子は、配列番号9に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO6遺伝子は、配列番号10に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO7遺伝子は、配列番号11に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO8遺伝子は、配列番号12に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;又はPPO9遺伝子は、配列番号13に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む。前述の方法、バナナ植物、又はバナナ植物部位の特定の実施形態においては、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子ポリヌクレオチドは、配列番号5(PPO1)又は配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号6(PPO2)又は配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号12(PPO8)又は配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号13(PPO9)又は配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号8(PPO4)又は配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるコード配列を含む。
【0108】
前述の方法、バナナ植物、又はバナナ植物部位の特定の実施形態においては、PPO1遺伝子は、配列番号40に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO2遺伝子は、配列番号41に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO3遺伝子は、配列番号42に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO4遺伝子は、配列番号43に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO5遺伝子は、配列番号44に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO6遺伝子は、配列番号45に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO7遺伝子は、配列番号46に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO8遺伝子は、配列番号47に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又はPPO9遺伝子は、配列番号48に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている。前述の方法、バナナ植物、又はバナナ植物部位の特定の実施形態においては、PPO1、PPO2、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、配列番号40(PPO1)又は配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号41(PPO2)又は配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号47(PPO8)又は配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号48(PPO9)又は配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び配列番号43(PPO4)又は配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている。
【0109】
前述の方法、バナナ植物、又はバナナ植物部位の特定の実施形態においては、PPO1遺伝子は、配列番号151に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO2遺伝子は、配列番号152に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO3遺伝子は、配列番号153に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO4遺伝子は、配列番号154に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO5遺伝子は、配列番号155に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO6遺伝子は、配列番号156に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO7遺伝子は、配列番号157に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO8遺伝子は、配列番号158に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;又はPPO9遺伝子は、配列番号159に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。前述の方法、バナナ植物、又はバナナ植物部位の特定の実施形態においては、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、配列番号151(PPO1)又は配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号152(PPO2)又は配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号158(PPO8)又は配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号159(PPO9)又は配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号154(PPO4)又は配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。
【0110】
幾つかの実施形態においては、本発明のバナナの植物又は植物部位は非トランスジェニックである。例えば、本発明のバナナの植物又は植物部位は、本発明の実施形態の幾つかで使用されるようなCRISPR/Cas系のいずれかをコードしているDNAコンストラクトのいずれも有していなくてよい。
【0111】
本発明の実施形態のいずれかのバナナ植物から収穫されたバナナ果実であって、該果実が、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される該少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性が低下していないバナナ植物の果実と比較して褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とする果実が、本発明により更に提供される。
【0112】
本発明は更に、バナナ果実食品を得る方法であって、本発明のバナナ果実を加工することを含む方法を提供する。幾つかの実施形態においては、バナナ果実食品は、増粘剤、着色料、又は香料である。また、家畜の飼料、天然繊維、並びに天然の生物活性化合物及び生物肥料の供給源も企図される。
【0113】
本発明は更に、バナナポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドを含むDNA配列を提供する。
【0114】
バナナポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドを含むDNAコンストラクト又はベクターが、本発明により更に提供される。
【0115】
本発明は更に、バナナポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドを含むベクターで形質転換された植物細胞を提供する。これら実施形態の幾つかにおいては、植物細胞は、バナナ植物細胞である。
【0116】
ポリフェノールオキシダーゼタンパク質が、本発明により更に提供される。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号5に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号6に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号7に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号8に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号9に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号10に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号11に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号12に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号13に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号40に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号41に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号42に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号43に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号44に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号45に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号46に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号47に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号48に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号151に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号152に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号153に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号154に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号155に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号156に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号157に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号158に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質は、配列番号159に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされている。
【0117】
本発明は更に、植物細胞においてポリフェノールオキシダーゼを発現させる方法であって、植物細胞において活性のあるプロモータに動作可能に連結されたバナナポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドを該植物細胞に導入することを含む方法を提供する。
【0118】
DNA配列、DNAコンストラクト、ベクター、ベクターで形質転換された植物細胞、ベクターで形質転換されたバナナ植物細胞、及び植物細胞においてポリフェノールオキシダーゼを発現させる方法の実施形態の幾つかにおいては、ポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される。DNA配列、DNAコンストラクト、ベクター、ベクターで形質転換された植物細胞、ベクターで形質転換されたバナナ植物細胞、及び植物細胞においてポリフェノールオキシダーゼを発現させる方法の幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、PPO1ポリヌクレオチドである。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、PPO2ポリヌクレオチドである。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、PPO3ポリヌクレオチドである。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、PPO4ポリヌクレオチドである。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、PPO5ポリヌクレオチドである。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、PPO6ポリヌクレオチドである。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、PPO7ポリヌクレオチドである。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、PPO8ポリヌクレオチドである。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、PPO9ポリヌクレオチドである。幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9のポリヌクレオチドのうちの2つ以上を含む。DNA配列、DNAコンストラクト、ベクター、ベクターで形質転換された植物細胞、ベクターで形質転換されたバナナ植物細胞、及び植物細胞においてポリフェノールオキシダーゼを発現させる方法の幾つかの実施形態においては、ポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、PPO1及びPPO2のポリヌクレオチドである。DNA配列、DNAコンストラクト、ベクター、ベクターで形質転換された植物細胞、ベクターで形質転換されたバナナ植物細胞、及び植物細胞においてポリフェノールオキシダーゼを発現させる方法の特定の実施形態においては、PPO1ポリヌクレオチドは、配列番号5に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO2ポリヌクレオチドは、配列番号6に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO3ポリヌクレオチドは、配列番号7に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO4ポリヌクレオチドは、配列番号8に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO5ポリヌクレオチドは、配列番号9に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO6ポリヌクレオチドは、配列番号10に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO7ポリヌクレオチドは、配列番号11に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;PPO8ポリヌクレオチドは、配列番号12に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む;又はPPO9ポリヌクレオチドは、配列番号13に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するコード配列を含む。DNA配列、DNAコンストラクト、ベクター、ベクターで形質転換された植物細胞、ベクターで形質転換されたバナナ植物細胞、及び植物細胞においてポリフェノールオキシダーゼを発現させる方法の特定の実施形態においては、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、配列番号5(PPO1)又は配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号6(PPO2)又は配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号12(PPO8)又は配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号13(PPO9)又は配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号8(PPO4)又は配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるコード配列を含む。
【0119】
DNA配列、DNAコンストラクト、ベクター、ベクターで形質転換された植物細胞、ベクターで形質転換されたバナナ植物細胞、及び植物細胞においてポリフェノールオキシダーゼを発現させる方法の特定の実施形態においては、PPO1ポリヌクレオチドは、配列番号40に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO2ポリヌクレオチドは、配列番号41に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO3ポリヌクレオチドは、配列番号42に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO4ポリヌクレオチドは、配列番号43に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO5ポリヌクレオチドは、配列番号44に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO6ポリヌクレオチドは、配列番号45に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO7ポリヌクレオチドは、配列番号46に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO8ポリヌクレオチドは、配列番号47に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又はPPO9ポリヌクレオチドは、配列番号48に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている。DNA配列、DNAコンストラクト、ベクター、ベクターで形質転換された植物細胞、ベクターで形質転換されたバナナ植物細胞、及び植物細胞においてポリフェノールオキシダーゼを発現させる方法の特定の実施形態においては、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、配列番号40(PPO1)又は配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号41(PPO2)又は配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号47(PPO8)又は配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号48(PPO9)又は配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び配列番号43(PPO4)又は配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている。
【0120】
DNA配列、DNAコンストラクト、ベクター、ベクターで形質転換された植物細胞、ベクターで形質転換されたバナナ植物細胞、及び植物細胞においてポリフェノールオキシダーゼを発現させる方法の特定の実施形態においては、PPO1ポリヌクレオチドは、配列番号151に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO2ポリヌクレオチドは、配列番号152に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO3ポリヌクレオチドは、配列番号153に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO4ポリヌクレオチドは、配列番号154に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO5ポリヌクレオチドは、配列番号155に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO6ポリヌクレオチドは、配列番号156に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO7ポリヌクレオチドは、配列番号157に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;PPO8ポリヌクレオチドは、配列番号158に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む;又はPPO9ポリヌクレオチドは、配列番号159に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。DNA配列、DNAコンストラクト、ベクター、ベクターで形質転換された植物細胞、ベクターで形質転換されたバナナ植物細胞、及び植物細胞においてポリフェノールオキシダーゼを発現させる方法の特定の実施形態においては、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドは、配列番号151(PPO1)又は配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号152(PPO2)又は配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号158(PPO8)又は配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号159(PPO9)又は配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号154(PPO4)又は配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。
【0121】
配列番号32~39及び57~97からなる群から選択される可変領域を含む合成バナナポリフェノールオキシダーゼガイドRNAが、本発明により更に提供される。配列番号180~196、199~202、及び207~225からなる群から選択される可変領域を含む合成バナナポリフェノールオキシダーゼガイドRNAが、本発明により更に提供される。幾つかの実施形態においては、合成バナナポリフェノールオキシダーゼガイドRNAは、配列番号32;配列番号33;配列番号34;配列番号35;配列番号36;配列番号37;配列番号57;配列番号58;配列番号38;配列番号39;配列番号62;配列番号76;及び配列番号77からなる群から選択される可変領域を含む。
【0122】
本発明は更に、少なくとも1つのバナナポリフェノールオキシダーゼガイドRNAをコードしているヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモータを含む組換えDNAコンストラクトであって、該ガイドRNAが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼと複合体を形成することができ、該複合体が、少なくとも1つの内因性バナナポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に結合し、二本鎖切断又は一本鎖切断を生じさせることができる、組換えDNAコンストラクトを提供する。これら実施形態の幾つかにおいては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9からなる群から選択される。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO1遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO2遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO3遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO4遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO5遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO6遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO7遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO8遺伝子である。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO9遺伝子である。幾つかの実施形態においては、内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、及びPPO9の遺伝子のうちの2つ以上である。幾つかの実施形態においては、内因性ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、PPO1及びPPO2の遺伝子である。特定の実施形態においては、PPO1遺伝子は、配列番号5に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するコード配列を含む。特定の実施形態においては、PPO2遺伝子は、配列番号6に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するコード配列を含む。特定の実施形態においては、PPO3遺伝子は、配列番号7に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するコード配列を含む。特定の実施形態においては、PPO4遺伝子は、配列番号8に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するコード配列を含む。特定の実施形態においては、PPO5遺伝子は、配列番号9に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するコード配列を含む。特定の実施形態においては、PPO6遺伝子は、配列番号10に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するコード配列を含む。特定の実施形態においては、PPO7遺伝子は、配列番号11に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するコード配列を含む。特定の実施形態においては、PPO8遺伝子は、配列番号12に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するコード配列を含む。特定の実施形態においては、PPO9遺伝子は、配列番号13に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するコード配列を含む。特定の実施形態においては、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、配列番号5(PPO1)又は配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号6(PPO2)又は配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号12(PPO8)又は配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号13(PPO9)又は配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号8(PPO4)又は配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるコード配列を含む。特定の実施形態においては、PPO1遺伝子は、配列番号40に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO2遺伝子は、配列番号41に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO3遺伝子は、配列番号42に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO4遺伝子は、配列番号43に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO5遺伝子は、配列番号44に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO6遺伝子は、配列番号45に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO7遺伝子は、配列番号46に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;PPO8遺伝子は、配列番号47に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又はPPO9遺伝子は、配列番号48に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードしている。特定の実施形態においては、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、配列番号40(PPO1)又は配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号41(PPO2)又は配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号47(PPO8)又は配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;配列番号48(PPO9)又は配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び配列番号43(PPO4)又は配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている。特定の実施形態においては、PPO1遺伝子は、配列番号151に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態においては、PPO2遺伝子は、配列番号152に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態においては、PPO3遺伝子は、配列番号153に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態においては、PPO4遺伝子は、配列番
号154に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態においては、PPO5遺伝子は、配列番号155に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態においては、PPO6遺伝子は、配列番号156に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態においては、PPO7遺伝子は、配列番号157に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態においては、PPO8遺伝子は、配列番号158に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態においては、PPO9遺伝子は、配列番号159に対して少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態においては、PPO1、PPO2、PPO8、PPO9、又はPPO4のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子は、配列番号151(PPO1)又は配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号152(PPO2)又は配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号158(PPO8)又は配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;配列番号159(PPO9)又は配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び配列番号154(PPO4)又は配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドからなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。
【0123】
これら実施形態の幾つかにおいては、1つ以上のバナナポリフェノールオキシダーゼガイドRNAは、配列番号32~39及び57~97;並びに前述の任意の組み合わせからなる群から選択される配列を有する可変領域を含む。幾つかの実施形態においては、1つ以上のバナナポリフェノールオキシダーゼガイドRNAは、配列番号180~196、199~202、及び207~225;並びに前述の任意の組み合わせからなる群から選択される配列を有する可変領域を含む。幾つかの実施形態においては、合成バナナポリフェノールオキシダーゼガイドRNAは、配列番号32;配列番号33;配列番号34;配列番号35;配列番号36;配列番号37;配列番号57;配列番号58;配列番号38;配列番号39;配列番号62;配列番号76;及び配列番号77;並びに前述の任意の組み合わせからなる群から選択される可変領域を含む。本発明の幾つかの実施形態においては、該1つ以上のガイドRNAは、配列番号32及び33;配列番号34及び35;配列番号32及び34;配列番号32及び35;配列番号33及び34;配列番号33及び35;配列番号57及び58;配列番号38及び39;配列番号62及び33;並びに配列番号76及び77からなる群から選択される可変領域を含む一対のガイドRNAである。これら実施形態の幾つかにおいては、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼである。
【0124】
本発明の方法及び組成物の追加の実施形態を本明細書に示す。そのような実施形態には、以下が含まれる:
【0125】
1.バナナ植物又はバナナ植物細胞において、PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされている少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性を低下させる方法。
【0126】
2.PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子が、
(A)
(a)配列番号5(PPO1)若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6(PPO2)若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号7(PPO3)若しくは配列番号7に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号8(PPO4)若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号9(PPO5)若しくは配列番号9に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(f)配列番号10(PPO6)若しくは配列番号10に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(g)配列番号11(PPO7)若しくは配列番号11に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(h)配列番号12(PPO8)若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号13(PPO9)若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるコード配列を含む;
(B)
(a)配列番号40(PPO1)若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号41(PPO2)若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号42(PPO3)若しくは配列番号42に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(d)配列番号43(PPO4)若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(e)配列番号44(PPO5)若しくは配列番号44に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(f)配列番号45(PPO6)若しくは配列番号45に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(g)配列番号46(PPO7)若しくは配列番号46に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(h)配列番号47(PPO8)若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び
(i)配列番号48(PPO9)若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は
(C)
(a)配列番号151(PPO1)若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号152(PPO2)若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号153(PPO3)若しくは配列番号153に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号154(PPO4)若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号155(PPO5)若しくは配列番号155に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(f)配列番号156(PPO6)若しくは配列番号156に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(g)配列番号157(PPO7)若しくは配列番号157に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(h)配列番号158(PPO8)若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号159(PPO9)若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の方法。
【0127】
3.
(a)該バナナ植物若しくはバナナ植物細胞における少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼのレベルを低下させる;
(b)該バナナ植物又はバナナ植物細胞における少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼの機能を低下させる;又は
(c)該バナナ植物又はバナナ植物細胞における少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼの機能を喪失させる、実施形態1又は2に記載の方法。
【0128】
4.
(a)該少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、若しくはPPO9のポリフェノールオキシダーゼのレベル若しくは活性が低下していないバナナ植物の果肉及び/若しくは果皮と比較して該バナナ植物の果肉及び/若しくは果皮の褐変を遅延させる;並びに/又は
(b)該少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、若しくはPPO9のポリフェノールオキシダーゼのレベル若しくは活性が低下していないバナナ植物の果肉及び/若しくは果皮と比較して該バナナ植物の果肉及び/若しくは果皮の褐変を低減する、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
5.
(a)該バナナ植物細胞若しくは該バナナ植物の一部に、該少なくとも1つのPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、若しくはPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の転写物を標的とするサイレンシングRNAを提供することであって、任意で、該サイレンシングRNAが、該バナナ植物細胞若しくは該バナナ植物の一部にエンドヌクレアーゼを導入することにより提供され、該エンドヌクレアーゼが、該少なくとも1つのPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、若しくはPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の転写物を標的とする該サイレンシングRNAをコードするように、内因性非コードRNAをコードしている遺伝子を改変することができ、更に任意で、該エンドヌクレアーゼが、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクタヌクレアーゼ(TALEN)、ホーミングエンドヌクレアーゼ、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ、及び改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼからなる群から選択されること;又は
(b)該少なくとも1つのPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、若しくはPPO9のポリフェノールオキシダーゼをコードしているPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、若しくはPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に改変を導入することであって;任意で、該改変が、該バナナ植物細胞に提供されかつ該少なくとも1つのPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、若しくはPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子を標的とすることが可能なエンドヌクレアーゼによって、該PPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、若しくはPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に導入され;更に任意で、該エンドヌクレアーゼが、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクタヌクレアーゼ(TALEN)、ホーミングエンドヌクレアーゼ、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ、及び改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼからなる群から選択され;更に任意で、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼがCas9エンドヌクレアーゼであること
を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
6.CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼと、該少なくとも1つのPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、若しくはPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に特異的な1つ以上のガイドRNAとを該バナナ植物細胞に提供することを含み、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び該1つ以上のガイドRNAが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが該少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、若しくはPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に二本鎖切断又は一本鎖切断を導入することを可能にする複合体を形成し;任意で、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼがCas9エンドヌクレアーゼである、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
7.少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の改変を含む少なくとも1つのバナナ植物細胞を同定することを更に含み、該改変が、
(a)少なくとも1つのヌクレオチド挿入;
(b)少なくとも1つのヌクレオチド欠失;
(c)挿入-欠失(インデル);
(d)逆位;
(e)少なくとも1つのヌクレオチド置換;及び
(f)(a)~(e)の任意の組み合わせ
からなる群から選択される、実施形態5又は6に記載の方法。
【0132】
8.該1つ以上のガイドRNAが、1つ以上のプロモータに動作可能に連結された該1つ以上のガイドRNAをコードしている1つ以上の組換えDNAコンストラクト内でバナナ植物細胞に提供される、実施形態6又は7に記載の方法。
【0133】
9.該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ若しくは改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び/又は該1つ以上のガイドRNAが、RNAの形態でバナナ植物細胞に提供される、実施形態6又は7に記載の方法。
【0134】
10.該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、タンパク質の形態で該バナナ植物細胞に提供され、該1つ以上のガイドRNAが、RNAの形態で該バナナ植物細胞に提供され;任意で、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び該1つ以上のガイドRNAが、リボ核タンパク質複合体として該バナナ植物細胞に提供される、実施形態6又は7に記載の方法。
【0135】
11.該エンドヌクレアーゼ、該1つ以上のガイドRNA、及び/又は該1つ以上の組換えDNAコンストラクトが、
(a)微粒子銃;
(b)アグロバクテリウム形質転換;
(c)プロトプラストトランスフェクション;
(d)エレクトロポレーション;及び
(e)ナノ粒子によって媒介されるトランスフェクション
からなる群から選択される方法を用いて該バナナ植物細胞に提供される、実施形態5~10のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
12.該エンドヌクレアーゼが、エンドヌクレアーゼポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドとしてバナナ植物細胞に提供され;任意で、該エンドヌクレアーゼが、Cas9エンドヌクレアーゼであり、該ポリヌクレオチドが、Cas9ポリペプチドをコードしているCas9ポリヌクレオチドである、実施形態5~11のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
13.該1つ以上のガイドRNA及び該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ、少なくとも1つの選択マーカー遺伝子、及び該1つ以上のガイドRNAをコードしている1つ以上のプラスミドのアグロバクテリウム形質転換を介して該バナナ植物細胞に提供される、実施形態6又は7に記載の方法。
【0138】
14.該1つ以上のガイドRNAが、配列番号32~39及び57~97;並びに前述の任意の組み合わせからなる群から選択される配列を有する可変領域を含む、又は該1つ以上のガイドRNAが、配列番号180~196、199~202、及び207~225;並びに前述の任意の組み合わせからなる群から選択される配列を有する可変領域を含む、実施形態6~13のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
15.該1つ以上のガイドRNAが、
(a)配列番号32及び33;
(b)配列番号34及び35;
(c)配列番号32及び34;
(d)配列番号32及び35;
(e)配列番号33及び34;
(f)配列番号33及び35;
(g)配列番号57及び58;
(h)配列番号38及び39;
(i)配列番号62及び33;並びに
(j)配列番号76及び77
からなる群から選択される可変領域を含む一対のガイドRNAである、実施形態6~13のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
16.該バナナ植物細胞が胚形成細胞である及び/又は胚形成細胞懸濁液に含有される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
17.実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法によって得ることができる、バナナ植物細胞。
【0142】
18.該バナナ植物細胞からバナナ植物を再生することを更に含み;
任意で、該バナナ植物から果実を収穫することを更に含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
19.実施形態18に記載の方法によって得ることができるバナナの植物又は植物部位であって;任意で、
(a)配列番号179に記載の;
(b)配列番号177に記載の切断型PPO1タンパク質を発現する;又は
(c)配列番号178に記載のコード配列を有する
変異PPO1遺伝子を含み;
更に任意で、該変異がPPO1遺伝子の1つのアレルにのみ存在する、バナナの植物又は植物部位。
【0144】
20.実施形態18に記載の方法によって得ることができるバナナ植物から収穫された果実であって、該果実の果肉及び/又は果皮が、該少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性が低下していないバナナ植物の果肉及び/又は果皮と比較して褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とする、果実。
【0145】
21.野生型バナナ植物と比較して果肉及び/又は果皮の褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とするバナナ植物を作出する方法であって、
(a)バナナ植物細胞に、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び1つ以上のガイドRNAを提供することであって、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ及び該1つ以上のガイドRNAが、該CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、
(A)
(i)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(ii)配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(iii)配列番号7若しくは配列番号7に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(iv)配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(v)配列番号9若しくは配列番号9に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(vi)配列番号10若しくは配列番号10に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(vii)配列番号11若しくは配列番号11に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(viii)配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(ix)配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるコード配列を含む;
(B)
(i)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(ii)配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(iii)配列番号42若しくは配列番号42に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(iv)配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(v)配列番号44若しくは配列番号44に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(vi)配列番号45若しくは配列番号45に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(vii)配列番号46若しくは配列番号46に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(viii)配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び
(ix)配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は
(C)
(i)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(ii)配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(iii)配列番号153若しくは配列番号153に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(iv)配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(v)配列番号155若しくは配列番号155に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(vi)配列番号156若しくは配列番号156に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(vii)配列番号157若しくは配列番号157に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(viii)配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(ix)配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む
少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に一本鎖切断又は二本鎖切断を導入することを可能にする複合体を形成することと;
(b)該少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子の改変を含む少なくとも1つのバナナ植物細胞を同定することであって、該改変が、
(i)少なくとも1つのヌクレオチド挿入;
(ii)少なくとも1つのヌクレオチド欠失;
(iii)少なくとも1つのヌクレオチド置換;又は
(iv)(b)(i)~(b)(iii)の任意の組み合わせ
からなる群から選択されることと;
(c)該バナナ植物細胞からバナナ植物を再生することであって、該バナナ植物が、野生型バナナ植物と比較して果肉及び/又は果皮の褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とすることと
を含む方法。
【0146】
22.該バナナ植物から果実を収穫することを更に含み、該果実が、該少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性が低下も喪失もしていないバナナ植物の果実と比較して褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とする、実施形態21に記載の方法。
【0147】
23.少なくとも1つの改変された内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子をそのゲノム中に含むバナナの植物又は植物部位であって、該改変の結果、該改変された内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子によってコードされている少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼが低減又は機能が低下し、該改変が、
(A)
(a)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号7若しくは配列番号7に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号9若しくは配列番号9に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(f)配列番号10若しくは配列番号10に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(g)配列番号11若しくは配列番号11に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(h)配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるコード配列を含む;
(B)
(a)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号42若しくは配列番号42に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(d)配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(e)配列番号44若しくは配列番号44に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(f)配列番号45若しくは配列番号45に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(g)配列番号46若しくは配列番号46に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(h)配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び
(i)配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は
(C)
(a)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号153若しくは配列番号153に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号155若しくは配列番号155に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(f)配列番号156若しくは配列番号156に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(g)配列番号157若しくは配列番号157に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(h)配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む
少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に位置する、バナナの植物又は植物部位。
【0148】
24.非トランスジェニックである、実施形態19又は23に記載のバナナの植物又は植物部位。
【0149】
25.該果実が、該少なくとも1つの内因性のPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼのレベル又は活性が低下していないバナナ植物の果実と比較して褐変が遅延及び/又は低減する表現型を特徴とする、実施形態23又は24に記載のバナナ植物から収穫されたバナナ果実。
【0150】
26.バナナ果実食品を得る方法であって、実施形態25に記載のバナナ果実を加工することを含む方法。
【0151】
27.
(A)
(a)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号7若しくは配列番号7に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号9若しくは配列番号9に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(f)配列番号10若しくは配列番号10に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(g)配列番号11若しくは配列番号11に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(h)配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるコード配列を含む;
(B)
(a)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号42若しくは配列番号42に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(d)配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(e)配列番号44若しくは配列番号44に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(f)配列番号45若しくは配列番号45に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(g)配列番号46若しくは配列番号46に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(h)配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び
(i)配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は
(C)
(a)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号153若しくは配列番号153に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号155若しくは配列番号155に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(f)配列番号156若しくは配列番号156に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(g)配列番号157若しくは配列番号157に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(h)配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む
バナナのPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドを含むDNA配列。
【0152】
28.
(A)
(a)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号7若しくは配列番号7に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号9若しくは配列番号9に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(f)配列番号10若しくは配列番号10に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(g)配列番号11若しくは配列番号11に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(h)配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
からなる群から選択されるコード配列を含む;
(B)
(a)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号42若しくは配列番号42に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(d)配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(e)配列番号44若しくは配列番号44に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(f)配列番号45若しくは配列番号45に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(g)配列番号46若しくは配列番号46に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(h)配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び
(i)配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は
(C)
(a)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号153若しくは配列番号153に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号155若しくは配列番号155に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(f)配列番号156若しくは配列番号156に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(g)配列番号157若しくは配列番号157に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(h)配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む
バナナのPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドを含むDNAコンストラクト又はベクター。
【0153】
29.ベクター又は実施形態28で形質転換された植物細胞であって、任意でバナナ植物細胞である、植物細胞。
【0154】
30.
(a)配列番号5~13のいずれか1つによってコードされているか、若しくは配列番号5~13のいずれか1つに対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされている;
(b)配列番号40~48のいずれか1つを含むか、若しくは配列番号40~48のいずれか1つに対して少なくとも75%の配列同一性を有する配列を含む;又は
(c)配列番号151~159のいずれか1つによってコードされているか、又は配列番号151~159のいずれか1つに対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされている、ポリフェノールオキシダーゼタンパク質。
【0155】
31.植物細胞においてポリフェノールオキシダーゼを発現させる方法であって、該植物細胞に、植物細胞内で活性のあるプロモータに動作可能に連結されている
(A)
(a)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号7若しくは配列番号7に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号9若しくは配列番号9に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(f)配列番号10若しくは配列番号10に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(g)配列番号11若しくは配列番号11に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(h)配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるコード配列を含む;
(B)
(a)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号42若しくは配列番号42に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(d)配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(e)配列番号44若しくは配列番号44に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(f)配列番号45若しくは配列番号45に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(g)配列番号46若しくは配列番号46に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(h)配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び
(i)配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は
(C)
(a)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号153若しくは配列番号153に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号155若しくは配列番号155に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(f)配列番号156若しくは配列番号156に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(g)配列番号157若しくは配列番号157に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(h)配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む
バナナポリフェノールオキシダーゼポリヌクレオチドを導入することを含む方法。
【0156】
32.配列番号32~39及び57~97からなる群から選択される、又は配列番号180~196、199~202、及び207~225からなる群から選択される可変領域を含む、合成バナナポリフェノールオキシダーゼガイドRNA。
【0157】
33.少なくとも1つのバナナのPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼガイドRNAを発現するヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモータを含む組換えDNAコンストラクトであって、該ガイドRNAが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼと複合体を形成することができ、該複合体が、バナナゲノム中の、
(A)
(a)配列番号5若しくは配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6若しくは配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号7若しくは配列番号7に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号8若しくは配列番号8に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号9若しくは配列番号9に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(f)配列番号10若しくは配列番号10に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(g)配列番号11若しくは配列番号11に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(h)配列番号12若しくは配列番号12に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号13若しくは配列番号13に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるコード配列を含む;
(B)
(a)配列番号40若しくは配列番号40に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号41若しくは配列番号41に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号42若しくは配列番号42に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(d)配列番号43若しくは配列番号43に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(e)配列番号44若しくは配列番号44に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(f)配列番号45若しくは配列番号45に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(g)配列番号46若しくは配列番号46に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;
(h)配列番号47若しくは配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド;及び
(i)配列番号48若しくは配列番号48に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリフェノールオキシダーゼをコードしている;又は
(C)
(a)配列番号151若しくは配列番号151に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号152若しくは配列番号152に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号153若しくは配列番号153に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号154若しくは配列番号154に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号155若しくは配列番号155に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(f)配列番号156若しくは配列番号156に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(g)配列番号157若しくは配列番号157に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(h)配列番号158若しくは配列番号158に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号159若しくは配列番号159に対して少なくとも75%の配列同一性を有するポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む
少なくとも1つの内因性バナナのPPO1、PPO2、PPO3、PPO4、PPO5、PPO6、PPO7、PPO8、又はPPO9のポリフェノールオキシダーゼ遺伝子に結合し、二本鎖切断又は一本鎖切断を生じさせることができる組換えDNAコンストラクト。
【0158】
34.1つ以上のバナナポリフェノールオキシダーゼガイドRNAが、配列番号32~39及び57~97;並びに前述の任意の組み合わせからなる群から選択される配列を有する可変領域を含む;又は1つ以上のバナナポリフェノールオキシダーゼガイドRNAが、配列番号180~196、199~202、及び207~225;並びに前述の任意の組み合わせからなる群から選択される配列を有する可変領域を含む、実施形態33に記載の組換えDNAコンストラクト。
【0159】
35.該CRISPR関連エンドヌクレアーゼがCas9エンドヌクレアーゼである、実施形態33又は34に記載の組換えDNAコンストラクト。
【0160】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと類似又は等価な方法及び材料を用いることができるが、例示的な方法及び/又は材料について記載する。材料、方法、及び実施例は、単なる例示であり、限定を意図するものではない。
【0161】
用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(having)」、及びこれらの同根語は、「含むが、これらに限定されない」を意味する。用語「からなる」は、「含み、これらに限定される」を意味する。用語「から本質的になる」は、追加の成分、工程、及び/又は部品が、請求される組成物、方法、又は構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合に限り、組成物、方法、又は構造が追加の成分、工程、及び/又は部品を含んでいてもよいことを意味する。
【0162】
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上特に指示しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、用語「化合物」又は「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含む複数の化合物を含む場合がある。本明細書で使用するとき、用語「約」は、+/-10%を指す。
【実施例】
【0163】
以下の実施例は、例示目的のものであり、本発明の範囲を限定するとみなされるものではない。
【0164】
本明細書で使用される命名法及び実験手順には、分子的、生化学的、微生物学的、及び組換えのDNA技術が含まれる。このような技術は、文献において説明されている。例えば、以下を参照されたい:“Molecular Cloning:A laboratory Manual” Sambrook et al.,(1989);“Current Protocols in Molecular Biology” Volumes I-III Ausubel,R.M.,ed.(1994);Ausubel et al.,“Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989);Perbal,“A Practical Guide to Molecular Cloning”,John Wiley & Sons,New York(1988);Watson et al.,“Recombinant DNA”,Scientific American Books,New York;Birren et al.(eds)“Genome Analysis:A Laboratory Manual Series”,Vols.1-4,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1998);米国特許第4,666,828号、同第4,683,202号、同第4,801,531号、同第5,192,659号、及び同第5,272,057号に記載の方法論;“Cell Biology:A Laboratory Handbook”,Volumes I-III Cellis,J.E.,ed.(1994);“Culture of Animal Cells-A Manual of Basic Technique” by Freshney,Wiley-Liss,N.Y.(1994),Third Edition;“Current Protocols in Immunology” Volumes I-III Coligan J.E.,ed.(1994);Stites et al.(eds),“Basic and Clinical Immunology”(8th Edition),Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994);Mishell and Shiigi(eds),“Selected Methods in Cellular Immunology”,W.H.Freeman and Co.,New York(1980);利用可能なイムノアッセイは、特許及び科学文献において広く説明されており、例えば、以下を参照されたい:米国特許第3,791,932号、同第3,839,153号、同第3,850,752号、同第3,850,578号、同第3,853,987号、同第3,867,517号、同第3,879,262号、同第3,901,654号、同第3,935,074号、同第3,984,533号、同第3,996,345号、同第4,034,074号、同第4,098,876号、同第4,879,219号、同第5,011,771号、及び同第5,281,521号;“Oligonucleotide Synthesis” Gait,M.J.,ed.(1984);“Nucleic Acid Hybridization” Hames,B.D.,and Higgins S.J.,eds.(1985);“Transcription and Translation” Hames,B.D.,and Higgins S.J.,eds.(1984);“Animal Cell Culture” Freshney,R.I.,ed.(1986);“Immobilized Cells and Enzymes” IRL Press,(1986);“A Practical Guide to Molecular Cloning” Perbal,B.,(1984)and “Methods in Enzymology” Vol.1-317,Academic Press;“PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications”,Academic Press,San Diego,CA(1990);Marshak et al.,“Strategies for Protein Purification and Characterization-A Laboratory Course Manual” CSHL Press(1996);これらは全て、本明細書に完全に記載されているかのように、参照により援用される。他の一般的な参照文献は、全体を通して提供されている。その中の手順は、当技術分野で周知であり、読者の便宜のために提供される。そこに含まれる情報は全て、参照することにより本明細書に援用される。
【0165】
実施例1-バナナにおける褐変の測定
褐変は、果皮の色に基づいて測定することができ、その場合、果皮の色の目視評価と花の出現後にバナナ果実がそのような色に達するまでにかかる日数とが相関するように、褐変指数が構築される(“Dole Retail Banana Ripening Guide” https://www.dolenz.co.nz/uploads/media/59236082048a9/banana-trade-section-web.pdf及びGooding et al.,“Molecular cloning and characterisation of banana fruit polyphenol oxidase”,Planta,Sep 2001;123(5):748-57を参照)。これは、花の出現後約60~90日で果実が成熟するという事実に基づいている。指数を構築するために、バナナの果実を早ければ40日(ステージ1)から濃い褐色(ステージ10)になるまで採取したところ、各色は花の出現後の日数と相関している。この指数では、花の出現後約90日間でステージ10に達すると予測される。果実の色は、例えば「Dole Retail Banana Ripening Guide」に定義されている色の説明に基づいて、10段階全てにおいて目視評価される。ステージ1は、房の全ての果指の果皮が緑色になったとき(花の出現から40日後)であり、ステージ2は、通常ショルダーにみられる、最初に薄緑色に色が変化したとき(花の出現から45日後)であり、ステージ3は、バナナの黄色の部分よりも緑色の部分が多いとき(花の出現から50日後)であり、ステージ4は、バナナの緑色の部分よりも黄色の部分が多くなったとき(花の出現から60日後)であり、ステージ5は、バナナの色が黄色で先端が緑色になったとき(花の出現から65日後)であり、ステージ6は、バナナ全体が黄色になったとき(花の出現から70日後)であるが、ステージ7では、房の全ての果指に黄色の斑点ができ、果皮が褐色になっており(花の出現から75日後)、ステージ8では、褐変が進行しており(花の出現から80日後)、ステージ9では、更に褐変が進行しており(花の出現から85日後)、ステージ10では、房の全ての果指の果皮が濃褐色になっている(花の出現から90日後)。色の尺度を標準化するためにDP-301データプロセッサーを備えるMinolta Chroma Meter CR 400又はMinolta CR-300 Chroma Meterで比色座標を取る。CR-300の測定ヘッドは、拡散照明/0°視野形状(鏡面反射性成分を含む)を使用して、Bruno Bonnet,C.,Hubert,O.,Mbeguie-A-Mbeguie,D.et al.,Effect of physiological harvest stages on the composition of bioactive compounds in Cavendish bananas.J.Zhejiang Univ.Sci.B14,270-278(2013)に記載の通り、拡散照明条件下で見たときの色とよく相関する多種多様な表面の測定値を提供する。これにより、果実の各発育段階(1~10)における反射色を測定することができ、これらデータは、果皮の色を果実の成熟及び褐変と相関させるためのものである。
【0166】
褐変は、薄切りにして裏ごししたバナナの果肉の経時的(0~180時間)目視評価を利用したバナナ褐変ガイドに基づいて測定することもできる。ステージ3から10(上記参照)を表すバナナの房から3本の果指を採取し、果皮を0.2%次亜塩素酸ナトリウムで5分間(褐変を引き起こす可能性のある機械的損傷を避けるために)穏やかに洗浄する。次に、皮をむき、小片に切断し、電気ミキサー又はフードプロセッサーでホモジナイズした後、各個々のバナナの果指からバナナピューレを調製する。得られたピューレをペトリ皿に注ぎ、0分、15分、30分、60分、及び120分後、そして24時間、48時間、及び72時間後に画像を撮影する。更に、バナナをスライスし、ペトリ皿に置き、カラーステージ3及び4のバナナ房については、0時間、12時間、24時間、36時間、48時間、及び72時間後に画像を撮影する。ステージ5から10のバナナの果指については、0時間から180時間まで8時間ごとにバナナスライスの画像を撮影する(約22時点)。この測定方法は、Chi et al.(2014)(Chi,M.,Bhagwat,B.,Lane,W.D.et al.Reduced polyphenol oxidase gene expression and enzymatic browning in potato (Solanum tuberosum L.)with artificial microRNAs.BMC Plant Biol 14,62(2014).https://doi.org/10.1186/1471-2229-14-62)及びEscalante-Minakata,P.,Ibarra-Junquera,V.,Ornelas-Paz,J.d.et al.,Comparative study of the banana pulp browning process of ‘Giant Dwarf’ and FHIA-23 during fruit ripening based on image analysis and the polyphenol oxidase and peroxidase biochemical properties.3 Biotech 8,30(2018)の結果に基づいている。画像の色を褐変に相関させるために画像を処理する。色は、切断したばかりのバナナスライス又はバナナピューレの色(黄色/オフホワイト)から褐色バナナ(濃褐色)までのいずれかで変動すると予測される。
【0167】
褐変は、果肉の硬度及び果皮の硬度の評価に基づいて測定することもできる。果肉の硬度及び果皮の硬度は、Bruno Bonnet,C.,Hubert,O.,Mbeguie-A-Mbeguie,D.et al.,Effect of physiological harvest stages on the composition of bioactive compounds in Cavendish bananas.J.Zhejiang Univ.Sci.B14,270-278(2013)に記載の通り、TA-XT2ペネトロメータを用いて測定される。ステージ3から10(果皮の色に基づいて証明;上記を参照)を表す房から3本のバナナ果指を採取する。4.9mmの円筒形金属製穿孔器を用いて、清潔で新鮮な皮をむいていない果実に一定速度(2mm/s)で10mmの深さまで貫入する。果皮を破るために印加された最大力が果皮の硬度を表し、力/時間曲線の傾きが果実の硬度を表す。
【0168】
褐変は、果皮の色(及び硬度)と果肉の色/質感との相関に基づいて測定することもできる。これには、野生型植物における色(目視及び比色測定)、果皮の硬度、並びに果肉の硬度対バナナの成熟段階、並びに時間に対する果皮及び果肉の褐変のカタログを利用する。これにより、バナナの果皮及び果肉における褐変の低減を評価することができる基準ができる。
【0169】
実施例2-バナナにおけるPPOの同定
バナナPPO遺伝子を同定するために、バイオインフォマティクス解析を行った。米国特許第9580723号(配列番号1~4)に提供されている北極リンゴ由来のPPOペプチド配列をクエリー配列として用いて、バナナゲノム及びPPO遺伝子を有することが知られている他の植物種(アンズ、サツマイモ、ヨウシュヤマゴボウ、タバコ、トマト、ジャガイモ、及びブドウ)のゲノム中のホモログを検索した。「TBlastN」ツールを用いて、クエリータンパク質配列を翻訳された選択ゲノムのヌクレオチド配列とアラインした。その結果、バナナ(マレーヤマバショウ)由来の9配列を含む、クエリー配列に相同な72配列が様々な生物種から見出された。
【0170】
得られた配列をマルチプルシーケンスアラインメント(MSA)に供し、その後、系統樹を構築した。遺伝子をクラスタに編成した。Maximum Likelinessアルゴリズム及びNeighbour Joiningアルゴリズムを組み合わせることによって、各クラスタに信頼性スコアを割り当てた。その背後にある根拠は、既知のPPO遺伝子と高い信頼度でクラスタを形成するバナナ遺伝子は、PPO活性も保存されている可能性がより高いことである。解析は、「TBlastN」によって同定された9つのバナナ遺伝子が全て、他の種に由来するPPO遺伝子と高い信頼度でクラスタを形成することを示した。従って、9つの遺伝子は全て、機能が保存されたPPO遺伝子であると予測された。この解析及び検索されたPPOは、更に系統発生解析を行うことによって確認された。これらPPOは、
図1に示すように互いに35%~97%の相同性を有し、
図2に示すようにクエリー配列に対しては約39%~97%の相同性を有する。同定されたバナナPPOは、
図3から分かるように、DWLドメインをクエリー配列のDWLドメインにアラインすることによって更に確認された。9つのPPOバナナペプチド相同体を、Banana Genome Hubから得られた対応するアクセッション番号と共に表1に列挙し、配列番号40~48に記載する(対応する遺伝子配列は配列番号5~13に列挙する)。
【0171】
【0172】
実施例3-ターゲティングのためのPPO候補の選抜
表1のPPOが発現しているバナナ組織を特定するために、種々のバナナ組織、具体的には胚細胞懸濁液(ECS)、胚発生培地(EDM)中でインキュベーションした後にECSから分化した胚、巻葉、天葉、旧葉、褐色の果皮、黄色の果皮、緑色の果皮、褐色の果実、黄色の果実、及び緑色の果実からmRNAを産生させた。バナナ組織を液体窒素中で瞬間凍結し、凍結乾燥し、ホモジナイズすることによって、RNA抽出を行った。次いで、抽出バッファの入ったチューブにサンプルを入れ、混合しながら解凍した。サンプルを遠心分離し、上清を新たなチューブに移した。次いで、フェノール-クロロホルム抽出を使用し、続いて、遠心分離してRNAペレットを得た。次いで、Plant/Fungi Total RNA Purification Kit(Norgen Biotek Corp)を用いてmRNAの抽出を完了した。
【0173】
同定された9つのPPOをコードしているmRNAの発現を、上記の全ての組織で、半定量的PCRを用いて、各組織/PPOの組み合わせごとに3~6回の生物学的反復試験を行って調べた。Turbo DNA-free kit(Invitrogen)を用いてRNAサンプルからDNAを除去した。DNAse処理したRNAを用い、転写物を確実に完全に網羅するためにoligo-dTとランダムヘキサマーとの混合物と共にSuperscript III(Thermofisher)を使用してcDNAを合成した。各PCRにつき、12ngのcDNAをテンプレートとして用い、GoTaq G2マスターミックス(Promega)を用いて30サイクルの標準的なPCR反応を行った。PCR反応に使用したオリゴヌクレオチドを表2(及び配列番号14~31)に示す:
【0174】
【0175】
発現プロファイルを
図4に提示し、これは、各被検組織における各PPOの平均発現レベルを表す。単位は、視覚的に定量化し、定量化を数字として表し、その数字を-から+、++、+++までの尺度に直線的に変換することによって導き出される任意のものである。
【0176】
種々の組織からの全RNAシーケンシングデータを比較し、TMM正規化(M値のトリム平均)によって発現を測定することにより、一部の組織において追加の発現解析を行った。簡潔に説明すると、根、天葉、巻葉、並びにバナナの果肉及び果皮(緑-黄色及び黄色の両成熟期)のサンプルを、それぞれ温室グランドナインバナナ植物及び市販のバナナ果実から採取した。根、天葉、及び巻葉は、温室条件下で9ヶ月~1年半生育した植物から採取した。サンプルを瞬間凍結し、サンプリング処理前に2日間凍結乾燥した。凍結乾燥したサンプルを乳鉢及び乳棒を用いて粉砕した。これらサンプルからのRNA-seqサンプル調製は、全RNA抽出、ポリアデニル化テール結合を用いたmRNA濃縮、cDNAを生成するための逆転写、及びアダプタライゲーションを用いたシーケンシングライブラリーの調製からなっていた。ライブラリーを、サンプルあたり少なくとも4400万の生リード深度までシーケンシングし、生データのQC解析(アダプタのトリミングを含む)の後、シーケンシングリードをバナナゲノムにアラインした。各遺伝子にアラインされたリード数を定量し、「M値のトリム平均」(TMM)法を用いてサンプル間で正規化した(Robinson,M.D.,Oshlack,A.A scaling normalization method for differential expression analysis of RNA-seq data.Genome Biol 11,R25(2010))。
図5からわかるように、果肉及び/又は果皮の緑-黄色及び/又は黄色の成熟期でPPO1、PPO2、PPO8、及びPPO9の高発現がみられた。半定量的PCRデータからもPPO1、PPO2、PPO8、及びPPO9の同様の発現が示唆された。
【0177】
公開されているデータセットから発現パターンを示すために追加のアノテーショントラックをゲノムにロードすることによって、同定されたPPO遺伝子のアノテーションを、banana genome hub(https://banana-genome-hub.southgreen.fr/)で更に検証した。ゲノム中のアノテーション付きエクソンmRNA配列の発現を確認するためにこれらを評価した。この検証により、例えばPPO1及びPPO2のアノテーションが確認された。この検証により、RNAシーケンシングデータをアノテーションと比較したいずれの組織においてもPPO3が発現していないことが更に確認された。PPO1及びPPO2は果肉及び果皮で発現していることが観察され、このことから、それらが果実の褐変に関係していることが示唆されたが、胚/ECSでは発現していない。
【0178】
外因性エチレンを適用しない自然成熟過程にわたって、商業的流通業者から直接入手したグランドナインバナナに対して追加のRNA-seq発現解析を行った。5つの成熟段階から果皮及び果肉のサンプルを採取した:全緑色(未熟期)、緑-黄色(第1の転換点)、全黄色(成熟期)、黄-褐色(第2の転換点)、全褐色(過熟期)。全ての果肉サンプル及び全緑色期の果皮から高品質のRNAが得られた。インビトログランドナイン植物の葉及び根、並びに胚及び胚形成細胞のインビトロ培養からも組織サンプルを採取した。TMM正規化を用いて上記のように相対的mRNA存在量を定量化した。
図8から分かる通り、PPO1、PPO4、及びPPO9は、未熟な緑色期のグランドナインバナナの果皮におけるPPO発現の90%超を占めるが、グランドナインバナナの果肉で発現する優勢PPO遺伝子はPPO1であり、PPO8がより高発現する過熟褐色期は例外である。
【0179】
実施例4-PPO活性の確認
PPO1及びPPO2等の同定されたPPOが実際にPPO遺伝子であることを確認するために、タンパク質を合成し、比色アッセイを用いてPPO活性を試験する。簡潔に説明すると、各合成PPOについて、合成酵素溶液0.2mL及び10mM 4-メチルカテコール(0.2Mリン酸バッファ、pH6.3)2.8mLを混合し、経時的な420nmにおける吸光度の変化の関数としてPPO活性を測定する(吸光度の増加がPPO活性を示す)。データプロットの直線部分を用いて相対的酵素活性を計算する。
【0180】
実施例5-PPO1、PPO2、PPO8、又はPPO9において編集された遺伝的に改変された植物の作出
PPO1、PPO2、PPO8、又はPPO9のレベル又は活性を低下させる効果を測定するために、PPO1、PPO2、PPO8、又はPPO9のいずれかを編集した遺伝的に改変されたバナナ植物を作出する。PPO3が編集された植物を対照として用いる。アグロバクテリウムを用いて、CAS9をコードしているDNAと、PPO1、PPO2、PPO3、PPO8、又はPPO9を標的とするsgRNAとをバナナ植物のゲノムに導入する。Cas9機構をコードしており、PPOを標的とするsgRNA及びカナマイシン耐性遺伝子(nptII)を発現するプラスミドを保有するアグロバクテリウム株で、胚形成細胞懸濁液(ECS)を形質転換する。Ganapathi et al.,Plant Cell Reports(2001)20:157-162及びKanna et al.,Molecular Breeding October 2004,Volume 14,Issue 3,pp 239-252に従って、アグロバクテリウム形質転換を行う。胚形成細胞をアグロバクテリウムと共に1~3日間共培養し、次いで、シュートが発生するまで選択剤としてG418を含有する再生培地に移す。
【0181】
それぞれ以下の表3及び3Aに示すsgRNAの対を含む、各PPO遺伝子を別々に標的とするCRISPRベクターコンストラクトを用いる。表3及び3Aは、それぞれ配列番号98として収載されるスカフォールドと共に使用されるsgRNAの可変配列を示す。二重変異体植物が作出される確率を最大限に高めるために、表3に示すように、sgRNA1とsgRNA2との組み合わせを含むコンストラクトを作製した。PPO2を編集する例を
図6に示す。対照として、PPO3を標的とする遺伝的に改変された植物を作出する。以下のsgRNA可変領域の組み合わせを使用した:配列番号32及び33、配列番号62及び33、配列番号34及び35、配列番号36及び37、配列番号38及び39、配列番号32及び34、配列番号32及び35、配列番号33及び34、配列番号33及び35;配列番号38及び39;並びに配列番号57及び58。
【0182】
【0183】
【0184】
遺伝的に改変された植物が再生したら、結実するまで圃場で成長させる。編集された植物と野生型植物との間でPPO発現及び果実の褐変を比較することにより、圃場試験中に成熟植物/果実におけるPPO編集表現型の評価を行う。各編集された系統及び対照系統から約20株の植物を5株ずつ4群に分け、圃場で無作為に間隔をあけて配置する。植物が開花まで約12週間かかり、開花の約14~17週間後に果実の発達を評価する。果実については、定植から24週間後に3群を収穫し、エチレンで誘導された成熟の有り無し両方での褐変/PPO発現を試験するために、各房を分割し、エチレンで成熟させずに保管するか(黄色期の代表)又はエチレンで成熟させる。
【0185】
上記実施例1に記載の通り、褐変を測定することができる。
【0186】
葉で発現するPPO遺伝子が編集された対照植物(例えばPPO9が編集されたもの)は、(葉で予め発現を試験することができるため)より早い発生段階でのPPOの発現レベル及び/又は活性について野生型植物と比較する。どの遺伝的に改変された植物が果実において褐変の低減及び/又はPPOの発現低下を示すのかが特定されたら、遺伝的に改変されておらず、選択されたPPO遺伝子が一過的に編集されたバナナ植物(CRISPR/CAS9機構がゲノムに組み込まれていない)が作出される。
【0187】
実施例6-一過性CAS9発現を用いたPPO遺伝子に変異を有するバナナ植物の作出
PPO遺伝子が変異しているバナナ植物を作出するために、CAS9機構をコードしており、更にPPO遺伝子を標的とするsgRNAを発現するベクターをバナナの胚形成細胞懸濁液(ECS)に導入する。ECSを作製するために、まず、Ma,Proceedings of Symposium on Tissue culture of horticultural crops,Taipei,Taiwan,8-9 March 1988,pp.181-188及びSchoofs,H.(1997)-“The origin of embryogenic cells in Musa”,PhD thesis,KULeuven,Belgiumに記載の通り、未熟な雄花又は茎頂等の初期外植片から胚形成カルスを発生させる。次いで、液体培地中で新たに発生した高度胚発生カルスから胚形成細胞懸濁液(ECS)の培養を開始する。次に、培養を開始した細胞懸濁液が完全に定着するまで(6~9ヶ月)、12~14日ごとに培地の80%を交換する。
【0188】
次いで、CAS9機構をコードしており、更にPPOを標的とするsgRNAを発現するプラスミドを胚形成細胞懸濁液に打ち込む。細胞の打ち込みは、当技術分野で公知の任意の方法、例えばHamada et al.,Sci Rep.2018;8:14422に記載の方法に従って実施することができる。打ち込みに用いられるプラスミドは全て4つの転写ユニットを含む。第1の転写ユニットには、ストレプトコッカス(Streptococcus)Cas9(ヒトコドン最適化)の発現を駆動するCaMV-35Sプロモータ及びタバコモザイクウイルス(TMV)ターミネータが含まれる。次の転写ユニットは、mCherry蛍光マーカーの発現を駆動する別のCaMV-35Sプロモータ及びtNOS(ノパリン合成酵素)ターミネータからなる。第3及び第4の転写ユニットにはそれぞれ、選択された標的遺伝子に対するsgRNAを発現するコムギU6プロモータが含まれる(各ベクターは2つのsgRNAを含む)。打ち込みに用いられるプラスミドに含まれるsgRNAは、PPO遺伝子を標的とするように設計される。sgRNAは、例えば、以下を標的とするように設計された:
- PPO遺伝子PPO1 Ma06_g31080(配列番号5)のエクソン1にみられる領域;
- PPO遺伝子PPO2 Ma07_g03540(配列番号6)のエクソン1にみられる領域;
- PPO遺伝子PPO3 Ma07_g03650(配列番号7)のエクソン2にみられる領域;
- PPO遺伝子PPO8 Ma08_34740(配列番号12)のエクソン1にみられる領域;及び
- PPO遺伝子PPO9 Ma10_g20510(配列番号13)のエクソン2にみられる領域。
【0189】
使用したsgRNA及びその設計に使用した標的遺伝子を表4にまとめる(sgRNA配列は全て5’から3’方向に列挙される。sgRNAは全て、PAMモチーフの配列(表4では太字体でマークされている)なしでクローニングされた。
【0190】
【0191】
【0192】
上に示したsgRNAを含有するベクターを打ち込んだ3日後、細胞を増殖培地に移し、続いて胚発生培地(EDM)、次いで成熟培地に移す(関連する培地は、例えば、Strosse H.,R.Domergue,B.Panis,J.V.Escalant and F.Cote,2003,Banana and plantain embryogenic cell suspensions(A.Vezina and C.Picq,eds).INIBAP Technical Guidelines 8,The International Network for the Improvement of Banana and Plantain,Montpellier,Franceに見出すことができる)。発芽培地で成熟胚を発芽させ(Strosse H.,R.Domergue,B.Panis,J.V.Escalant and F.Cote.2003.Banana and plantain embryogenic cell suspensions(A.Vezina and C.Picq,eds).INIBAP Technical Guidelines 8.The International Network for the Improvement of Banana and Plantain,Montpellier,France)、若いシュートを高さ約1cmになるまでシュート成熟培地に移す。小植物体を発生させるためにシュートを発根培地に移す。
【0193】
次に、ゲノムDNAを抽出するために各小植物体から葉のサンプルを採取し、次世代シーケンシングを用いてDNAサンプルを遺伝子型解析に供する。遺伝子型解析の目的は、Cas9が駆動する遺伝子編集イベントがPPO遺伝子のいずれかにおいて生じたかどうかを特定することである。植物体を個別にサンプリングする。葉の小片を切り、サンプルチューブに入れる(約25mg)。これらサンプルから、OktoPure system(LGC)においてSbeadex kit(Biosearch Technologies)を用いてゲノムDNAを抽出する。得られたゲノムDNAを5ng/μLに希釈し、次いで混合して、12個の小植物体のプールを形成する。予測される編集部位に隣接するプライマーを用いて標的遺伝子のPCR増幅を行って、10ngのテンプレートDNAを用いて1Kbpのアンプリコンを形成する。プールした各サンプルのPCRアンプリコンを混合し、AmpSeqシーケンシングに送る。ここでは、トランスポザーゼによって媒介される断片化を用いてライブラリーを構築し、次いで、各アンプリコンについてのシーケンシングのリードを生成するためにmiseqシーケンシングを行う。次いで、「Geneious」、「pindel」、「varscan」、及び「freebase」ソフトウェアを用いてアンプリコン配列を解析して、潜在的なインデルを同定する。編集イベントが見つかった場合、表5に列挙するプライマーを用いたPCR反応によって更に検証する。編集が見つかった場合、小植物体の由来するECS中で一過的に発現したCas9によって標的遺伝子が切断されたことを示す。Cas9が実際に一過的に発現したことを確認するために、表6に列挙する標準的なプライマーセットを用いたPCR及びqRT-PCRによって、Cas9及び保有ベクターの骨格が存在しないことを確認する。
【0194】
別の方法では、遺伝子型解析のためにサンガーシーケンシングを用い、ゲノムDNAを用いて、予測される編集部位に隣接するプライマーを用いて標的領域を増幅し(表5)、サンガーシーケンシングによって1kbpのアンプリコンを解析して標的遺伝子の編集を同定する。
【0195】
【0196】
【0197】
編集された小植物体が同定されたら、その小植物体を微細繁殖させて、追加の同一の小植物体を作出する。微細繁殖法は当技術分野で公知であり、例えば、Munir Iqbal et al.(2013),International Journal of Agriculture Innovations and Research Volume 2,Issue 1,ISSN(Online)2319-1473に記載されている。次いで、編集された植物のPPOレベル及び褐変を、上記の通り圃場で確認する。
【0198】
上記実施例1に記載の通り、褐変を測定することができる。
【0199】
実施例7-アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を用いて形質転換した胚形成細胞における一過性Cas9発現を用いた、PPO遺伝子に変異を有するバナナ植物の作出
PPO遺伝子が変異しているバナナ植物を作出するための実施例6に記載した方法とは別の方法では、胚形成バナナ細胞のアグロバクテリウムによって媒介される形質転換を利用する。実施例6に記載の通り胚形成細胞懸濁液(ECS)を作製し、Khanna et al.,Mol.Breed.2004;14:239及びTripathi et al.,In Vitro Cell Dev.Biol.-Plant 2012;48:216に記載されているもの等の手順に従ってアグロバクテリウム・ツメファシエンスを使用して形質転換する。アグロバクテリウムによって媒介される形質転換に用いられるプラスミドは全て4つの転写ユニットを含む。第1の転写ユニットは、選択剤に対する耐性を付与する耐性遺伝子の発現を駆動する。次の転写ユニットは、ヒトコドン最適化された化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9の発現を駆動する。第3及び第4の転写ユニットにはそれぞれ、選択された標的遺伝子に対するsgRNAの発現を駆動する(各ベクターは2つのsgRNAを含む)。アグロバクテリウムによって媒介される形質転換に用いられるプラスミドに含まれるsgRNAは、PPO遺伝子を標的とするように設計される。使用したsgRNA及びその設計に使用した標的遺伝子を表4にまとめる(sgRNA配列は全て5’から3’方向に列挙され、PAMモチーフの配列を有しないsgRNAがクローニングされ、これを表4では太字体でマークする)。
【0200】
上記のプラスミドを保有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス細胞と共にバナナ胚形成細胞を共培養した後、250mL三角フラスコ中の選択剤を含有する液体増殖培地にバナナ細胞を再懸濁させ、穏やかに振盪しながら5日間培養する。この選択処理により、形質転換に成功し、それによって耐性遺伝子を発現したバナナ細胞を濃縮することができるが、形質転換されていないバナナ細胞及びアグロバクテリウム・ツメファシエンス細胞は選択される。その後、バナナ細胞を液体増殖培地で4回洗浄して選択剤を除去し、次いで、増殖培地、続いて胚発生培地、成熟培地、及び発芽培地で培養する(関連する培地は、例えば、Strosse H.,R.Domergue,B.Panis,J.V.Escalant and F.Cote,2003,Banana and plantain embryogenic cell suspensions(A.Vezina and C.Picq,eds).INIBAP Technical Guidelines 8,The International Network for the Improvement of Banana and Plantain,Montpellier,Franceに見出すことができる)。若いシュートを高さ約1cmになるまでシュート成熟培地に移し、その後、小植物体を発生させるために発根培地に移す。実施例6に記載した通り、葉のサンプルからゲノムDNAを抽出し、表5に列挙した遺伝子特異的プライマーを用いてPCR及びシークエンシングすることによって標的部位を解析することにより、再生植物における標的遺伝子編集を同定する。表6に列挙するプライマーを用いたqRT-PCRで、編集された植物系統にプラスミド配列が存在しないことを確認する。最後に、実施例6で論じたように、編集された植物を微細繁殖させてクローンを作製し、実施例1に記載した方法を用いて植物における酵素的褐変のレベルを検証する。上記の手順を使用して、PPO1遺伝子に標的とする編集を含み、ゲノムに組み込まれた外来プラスミド配列を有しないバナナ植物を得ることに成功した。バナナ胚形成細胞を、いずれもPPO1の第1のエクソンを標的とするsgRNA sg857(配列番号176)及びsg858(配列番号50)を含むプラスミドpMOL_0019(表4参照)で形質転換した。pMOL_0019で形質転換した細胞を一過的に選択し、シュートへと再生し、これを上記の通りサンガーシーケンシング及びqRT-PCRによってスクリーニングした。
【0201】
PPO1が編集された植物は、PPO1の3つのアレルのうちの1つの第1のエクソンに一塩基対の欠失を有するので、編集されたアレルからは切断型PPO1タンパク質が産生される。得られたタンパク質配列、コード配列、及び遺伝子配列を、それぞれ配列番号177、178、及び179に提供する。PPO1遺伝子の標的領域を
図7Aに示し、欠失したヌクレオチド(シトシン-bp371)、sgRNA、及び遺伝子型解析用プライマーをハイライトする。編集されたPPO1タンパク質及び編集されていないPPO1タンパク質の配列を
図7Bに示す。表7に示すように、プラスミド特異的プライマーは、PPO1が編集されたバナナ植物から抽出されたゲノムDNAから標的配列を増幅することができなかった。これは陰性対照の野生型植物からのDNAでも同様であったが、これらプライマーは、陽性対照のトランスジェニック植物から抽出されたゲノムDNAからはプラスミド配列を増幅した。内部対照として、全サンプルで内因性バナナゲノム領域を増幅させた。従って、これら分析から、PPO1が編集されたバナナ植物のゲノムにはプラスミド配列が存在しないことが確認された。
【0202】
【0203】
実施例8-更なるsgRNAの設計
ターゲティング特異性(潜在的オフターゲット編集の最小数)、編集効率(ターゲティングに影響を与える潜在的なRNA二次構造及びSNPを考慮)、及び変異の予測可能性(DSB周辺の配列マイクロホモロジーに基づくフレームシフト変異を誘発する可能性)を最大化するために、更なるPPO sgRNAを設計した。表8に列挙するように、Cas9及び塩基エディタの両ターゲティング戦略について、それぞれ、標的遺伝子のコード配列に未成熟終止コドンを生じさせるインデル又はプログラム可能な塩基置換のいずれかが生じるように、全てのPPO遺伝子につき複数のsgRNAを設計した。Cas9編集用に設計されたsgRNAは、Cas9を用いた編集に最も有効であると予測されるが、塩基エディタによる編集にも有用であり得る。同様に、塩基編集用に設計されたsgRNAは、塩基エディタを用いた編集に最も有効であると予測されるが、Cas9による編集にも有用であり得る。主に対照として使用するために、PPO3及びPPO7に対するsgRNAも設計した。表8の配列はPAM部位を含まない。PAM部位は、ガイド配列を標的配列にアラインすることによって同定することができる。
【0204】
【0205】
【0206】
本発明をその具体的な実施形態と併せて説明してきたが、当業者にとって多くの代替例、改変例、及び変形例が明らかになることは明白である。従って、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲内のそのような代替例、改変例、及び変形例が全て包含されることが意図される。
【0207】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により本明細書中に援用されることが具体的かつ個別に示されているかのように、その全体が参照により本明細書に援用される。また、本出願における任意の参照文献を引用又は特定することは、そのような文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めると解釈されるものではない。章の見出しが使用されている限りにおいて、それが必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。
【配列表】
【国際調査報告】