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特表2024-524930効果顔料を伴うラッカー処理された表面を検査するための方法及び装置
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  • 特表-効果顔料を伴うラッカー処理された表面を検査するための方法及び装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】効果顔料を伴うラッカー処理された表面を検査するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/46 20060101AFI20240702BHJP
   G01J 3/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G01J3/46 Z
G01J3/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577671
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2022064130
(87)【国際公開番号】W WO2022263131
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】102021115728.5
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507231987
【氏名又は名称】ベーユプスィロンカー-ガードネル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スパーリング、ウーヴェ
【テーマコード(参考)】
2G020
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA13
2G020DA22
2G020DA32
2G020DA33
2G020DA34
2G020DA45
2G020DA52
2G020DA65
(57)【要約】
ラッカー処理された表面(10)を検査するための方法であって、放射線が、第1の放射デバイス(2)によって第1の所定の照射角度(a1)で検査されるべき表面(10)に照射され、カラー画像記録デバイス(4)が、第1の観察角度(b)で照射方向により照射される前記表面の空間分解画像を記録し、この画像記録デバイス(4)が、前記画像記録デバイスに衝突する前記放射線の波長に依存する第1の所定の感度(F(l))を含み、画像評価デバイスが、前記画像記録デバイスによって記録される前記画像のセクションごとの、好ましくはピクセルごとの評価を実行することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収顔料及び/又は効果顔料を伴う1つ以上の層を好ましくは備えるラッカー処理された表面(10)を検査するための方法であって、放射線が、第1の放射デバイス(2)によって第1の所定の照射角度(a1)で検査されるべき表面(10)に照射され、カラー画像記録デバイス(4)が、第1の観察角度(b)で照射方向により照射される前記表面の空間分解画像を記録し、この画像記録デバイス(4)が、前記画像記録デバイスに衝突する前記放射線の波長に依存する第1の所定の感度(F(l))を含み、
画像評価デバイスが、前記画像記録デバイスによって記録される前記画像のセクションごとの、好ましくはピクセルごとの評価を実行することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記評価は、前記画像記録デバイスに衝突する前記放射線の前記波長に応じて、及び/又は前記画像記録デバイスの波長依存感度に応じて行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記画像記録デバイスの波長依存感度が決定され、特にセクションごとに、特にピクセルごとに前記画像記録デバイスの波長依存感度が決定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記画像評価デバイスによって実行される前記評価の結果は、測定のために使用及び/又は考慮され、好ましくは測定のために考慮及び/又は使用されるフィルタデバイスの評価によって決定及び/又は生成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記カラー画像記録デバイス(4)は、前記効果顔料を評価及び/又は評定するためにも使用され、及び/又は、画像記録及び/又は積分測色に対する前記効果顔料の影響が、前記画像評価の範囲内で考慮される及び/又は排除されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記画像記録デバイスの前記波長依存感度が分光計及び/又はモノクロメーターによって決定され、及び/又は、前記画像記録デバイスによって記録される前記画像の前記評価が分光計及び/又はモノクロメーターによって実行されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記画像記録デバイスの前記波長依存感度を決定するために、既知の反射率を伴う一組の基準面上への所定の角度で前記表面に放射線が照射され、好ましくは、前記画像記録デバイスが前記表面の画像を記録し、又は、好ましくは、前記角度は、垂直方向に対して20°よりも大きく、好ましくは30°よりも大きく、好ましくは40°よりも大きく、好ましくは50°よりも大きく、好ましくは60°よりも大きいことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記評価は、人間の眼に入射する前記放射線の波長に依存する前記人間の眼の感度(X(l))を考慮に入れることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
第2の所定の照射角度(a2)で第2の放射デバイス(14)によって前記表面に放射線が照射され、前記画像記録デバイスは、前記第2の放射デバイス(14)によって照射される前記表面の画像を記録することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記フィルタデバイスは、前記放射デバイスの発光スペクトルL(l)、標準光の強度曲線I(l)、特に前記人間の眼の少なくとも1つの三刺激関数X(l)、及び/又は前記画像記録デバイスのフィルタ特性F(l)を考慮に入れることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記表面(10)に対して垂直な方向に対する前記観察角度(b)は、10°よりも小さく、好ましくは5°よりも小さく、好ましくは3°よりも小さく、及び/又は、前記表面に対して垂直な方向に対する第1の入射角が、70°~20°、好ましくは60°~30°、好ましくは50°~40°あることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記評価の過程で記録されるデータのデータ削減が実行され、このデータ削減が好ましくは前記吸収顔料及び前記効果顔料に関して異なることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
吸収顔料及び/又は効果顔料を伴う1つ以上の層を好ましくは備えるラッカー処理された表面(10)を検査するための装置(1)であって、第1の所定の照射角度(a1)で検査されるべき表面(10)に放射線を照射する第1の放射デバイス(2)を備えるとともに、第1の観察角度(b)で照射方向により照射される前記表面の空間分解画像を記録するカラー画像記録デバイス(4)を備え、この画像記録デバイス(4)が、前記画像記録デバイスに衝突する前記放射線の波長に依存する第1の所定の感度(F(l))を有し、
前記画像記録デバイスによって記録される前記画像のセクションごとの、好ましくはピクセルごとの評価を実行する画像評価デバイス(20)を有することを特徴とする装置(1)。
【請求項14】
前記画像記録デバイスによって記録される更なる画像を較正し、特に、前記評価デバイスによって決定される値を考慮してそれらの更なる画像を較正する、及び/又はこの目的に適しており且つこの目的のために意図されたフィルタデバイスを有し、このフィルタデバイスが好ましくは変更可能であることを特徴とする、請求項13に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記フィルタデバイスは、前記カラー画像記録デバイスの個々のピクセルによって出力される前記値又は信号のピクセルごとの較正を実行することを特徴とする、請求項13又は14に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッカー処理された表面、特に好ましくは吸収顔料と効果顔料との塗料混合物を有するそのような表面を検査するための方法及び装置に関する。そのようなラッカー層は、従来技術において長い間知られている。そのような表面を検査及び/又は分析するための様々な方法及び装置も従来技術から知られている。
【背景技術】
【0002】
照明された測定スポットのスペクトル特性が分光素子(例えば、格子、プリズム又はフィルタ)で記録され、これが例えば標準規格と比較されることは知られている。そのような測定方法の測定結果は、一方では、一方のカメラの画像記録特性と他方の人間の眼との間の差が十分に考慮されていないため、他方では、光学フィルタデバイスも大きく異なるため、互いに大きく異なることが多いことも知られている。
【発明の概要】
【0003】
したがって、そのような表面の画像の可能な限り最も均一な又は特徴的な評価を可能にする手順が求められる。これは、本発明によれば、独立特許請求項の主題によって達成される。有利な実施形態及び更なる進展が従属請求項の主題である。
【0004】
ラッカー処理された表面、特に吸収顔料及び効果顔料を伴う1つ以上の層を好ましくは有する表面を検査する方法において、検査されるべき表面は、所定の入射角で第1の放射デバイス及び/又は照明デバイスによって照明され、及び/又は放射線がこの表面に照射され、カラー画像記録デバイスが、第1の観察角度で入射方向によって照射及び/又は照明される表面の空間分解画像を記録する。この画像記録デバイスは、画像記録デバイスに入射する放射線の波長に応じた第1の所定の感度を有する。
【0005】
本発明によれば、画像評価デバイスが、前記画像記録デバイスによって記録される前記画像のセクションごとの、好ましくはピクセルごとの評価を実行する。
【0006】
好ましくは、表面は、自動車の外面、特に自動車、とりわけ乗用車のラッカー処理された外面である。しかしながら、家具の表面などの他の表面も検査することができる。
【0007】
好ましくは、この評価の結果は、評価に使用される装置による(将来の)測定のために使用又は考慮される。好ましくは、評価は、「フィルタデバイス」、特に(将来の)測定のために考慮及び/又は使用されるソフトウェアフィルタデバイスを決定及び/又は生成する。
【0008】
例えば、前述したように、画像記録デバイスに関連する評価をピクセルごとに行なうことができる。この評価により、将来の測定のために、少なくとも1つの較正値を各ピクセル又は各ピクセル範囲に割り当てることができる。この較正値は、それぞれの個々のピクセルごとの評価の過程で決定されることが好ましい。装置を用いた将来の測定のために、画像記録デバイスのそれぞれの個々のピクセルごとの測定結果を出力するときに、評価の範囲内で(特にピクセルごとに)決定される較正値を考慮に入れることもできる。
【0009】
表面と画像記録デバイスとの間に光学フィルタデバイスを配置する方法が、本出願人の内部の先行技術から知られている。この方法は、一方では人間の眼、他方ではカメラの異なる評価特性を補償することも意図している。しかしながら、そのようなフィルタデバイス自体が(それらの特性に関して)高い分散を有し、したがって異なる評価をもたらすことが分かってきた。更に、LEDなどの対応する照明デバイスも、強い散乱を受ける。このことは、それ自体同一であるべき同じ製造からの2つのLEDであっても、それらのビーム特性が異なることを意味する。更に、カメラごとに、また単一のカメラ内でさえもRGBフィルタの多様性が高い。
【0010】
このため、カメラ又は光源特性の変化を考慮する特別に適合されたフィルタが必要とされている(例えば、カメラチップ又はLEDを交換する必要がある場合)。加えて、最新技術は、標準光タイプのみも可能にする。特別に整合されたフィルタを導入することにより、異なる標準光タイプを数学的に考慮することができる。
【0011】
したがって、本発明は、それぞれの条件、すなわち照明デバイスの特定の放射特性、及び画像記録デバイス又はその特性にも適応できるようにするために、特に波長にも応じた、画像のセクションごとの、特にピクセルごとの評価を提案する。前記評価が繰り返され、例えば所定の時間に実行されることが想定し得る。評価の結果及び/又は測定値が好ましくは記憶される。
【0012】
画像記録デバイスは、従来技術からそれ自体知られているように、複数の画像ピクセルを伴う画像記録要素を備え、各画像ピクセルは、画像記録要素に衝突する放射線を検出するのに適している。例えば、画像記録要素はCCDチップを備えることができる。評価は、前記ピクセルの少なくとも幾つかに関して、好ましくは前記ピクセルの少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも70%に関して行なわれる。これらのピクセルのそれぞれの個々に関して評価を行なうことも可能であるが、複数のピクセルを組み合わせて評価することで、評価の分解能をある程度下げることも考えられる。
【0013】
例えば、そのような画像評価は、所定の時間間隔で行なうことができる。
【0014】
好ましい方法では、ピクセルごとの評価を考慮して、個々のピクセルの測定信号の重み付けが行なわれる。このようにして、ソフトウェアフィルタデバイスを使用又は作成することができ、このソフトウェアフィルタデバイスは特に後の画像の画像評価にも影響を及ぼす。
【0015】
好ましい方法において、評価は、画像記録デバイスに入射する放射線の波長に応じて実行される。このことは、画像記録デバイスの感度、特に各個々のピクセルの感度の波長依存評価が波長に応じて記録されることを意味する。
【0016】
したがって、特に好ましくは、前記評価は、画像記録デバイスの波長依存(特にピクセルごとの)感度に応じて実行される。好ましくは、それぞれの個々の画像記録デバイスごとに個々の評価が実行される。この評価もピクセルごとに行なうことが好ましい。
【0017】
好ましくは、画像記録デバイスの波長依存感度が決定される。特に、感度はピクセルごとに(特に波長依存的に)決定することができ、又は波長依存感度を個々のピクセルごとに決定することができる。
【0018】
しかしながら、評価を幾つかのピクセルにわたって行なうこと、例えば、同じ強度の幾つかのピクセルにわたって平均化することも可能である。
【0019】
更に好ましい方法では、効果顔料を評価及び/又は評定するために、画像記録デバイス、特にカラー画像カメラも使用される。
【0020】
更に好ましい方法において、画像記録及び/又は積分測色に対する効果顔料の影響は、特に画像評価の範囲内で考慮及び/又は排除される。
【0021】
最新技術では、発生する測定結果がフレーク又は効果顔料の色によって引き起こされるのか、又は別の原因を有するのかを区別することができないため、積分測色が失敗する可能性があるという問題がある。好ましい提案された方法は、そのような区別を可能にする。より正確には、この目的のために空間分解測色が実行される。
【0022】
積分測色では、特に、とりわけ吸収効果によって引き起こされる色合いとは異なる色で効果顔料自体が着色効果をもたらす場合、エラーが発生する可能性がある。
【0023】
例えば、ただ1つの吸収顔料(例えば、固体赤色)及び着色効果顔料の添加を伴う同じ吸収顔料(例えば、赤色)を有する固体色により、異なる色値XYZが積分測色で測定される。
【0024】
最新技術から知られている多角度測色デバイスは、幾つかの角度で照明された測定スポット全体にわたって、積分、平均、非空間分解測色を可能にした。デバイス開発の歴史において、最初のデバイスはカメラを伴っておらず、後にカメラデバイスが追加された。カメラ測定は、ここでは「光輝性」指向光(直射日光)及び「粒状」(拡散照明、曇天)を評価するためにのみ使用され、効果顔料ラッカーの特性評価のための色測定とは無関係の追加の情報である。
【0025】
プレーンラッカー(吸収顔料のみを含有する)を測定するときの多角度測色デバイスにおけるカメラの使用は、不要であり、吸収顔料と1つ(又は複数)の種類の効果顔料との混合物を含有する効果塗料に関してのみ意味を成す。
【0026】
ここで提案された方法は、吸収顔料測定に対する効果顔料測定の影響を排除し、上記の例では両方の測定値が同じ値を得るという結果をもたらす。
【0027】
好ましい方法では、吸収性顔料の測定に対する効果顔料測定の影響が低減及び/又は排除される。
【0028】
好ましい実施形態では、本発明の範囲内で、効果顔料(及び、特に、それらの色特性)を評価及び/又は評定するために、画像記録デバイス、特にカラー画像カメラも使用されることが提案される。
【0029】
しかしながら、更に、効果顔料に起因する及び/又は効果顔料を含む画像の領域の色彩度及び/又は色分布に関する情報が得られることが好ましい。したがって、カラー撮像カメラの使用によって達成されるこれらの利点は、依然として維持することができる。
【0030】
好ましくは、波長依存感度は分光計及び/又はモノクロメーターによって決定され、及び/又は画像記録デバイスによって記録された画像の評価は分光計及び/又はモノクロメーターによって行なわれる。画像記録デバイス、特に個々の各ピクセルのスペクトル感度を決定するための幾つかの手順が考えられる。
【0031】
例えば、以下の式を用いて、好ましくはベイヤーパターンを有するRGB CMOS/CCDカメラチップの個々のチャネルの特性曲線を、複数の波長にわたる和として得ることが可能である。
【数1】
【0032】
ここで、pは実測値(赤、緑、青)である。s(l)=sは、ピクセル/フィルタの組み合わせのスペクトル感度を表わす。Ei,jは、波長lにおける既知の緩解スペクトル番号jを有する較正タイルを示す。
【0033】
また、重回帰を行なうことも可能である。これは、以下の式を使用して行なうことができる。
【数2】
【0034】
本発明の範囲内で、モノクロメーター及び/又は(特に絶対較正された)分光計によってそれぞれのピクセルごとにスペクトル感度を決定することが提案される。これらの記録されたスペクトル感度に基づいて、それぞれの場合に偏差を決定することができ、これらの偏差は、個々のピクセルの比色補正画像を記録及び/又は出力するために、後続の画像評価で考慮に入れることができる。
【0035】
好ましい方法では、画像記録デバイスの波長依存感度を決定するために、既知の緩解を伴う一組の基準面への所定の角度で表面に放射線が照射され、画像記録デバイスはこの表面の画像を記録する。好ましくは、この角度は、垂直方向に対して20°よりも大きく、好ましくは30°よりも大きく、好ましくは40°よりも大きく、好ましくは50°よりも大きく、特に好ましくは60°よりも大きい。
【0036】
これに加えて又は代えて、表面は、更なる、特に外部補助光源からの特に単色光で照明されることが想定し得る。これらの補助光源は、例えば、単色LED又は複数のバンドパスフィルタによってフィルタリングされた白色光とすることができる。ここでも、照明角度は、垂直方向に対して20°よりも大きいことが好ましく、30°よりも大きいことが好ましく、40°よりも大きいことが好ましく、50°よりも大きいことが好ましく、60°よりも大きいことが特に好ましい。
【0037】
観察されるべき表面の延在方向に対して非常に大きな角度の照明又は非常に平坦な照明で画像を取得する理由は、これらの表面が、これらの照明下でコーティングに使用される効果顔料によって規定される歪みの最も少ない態様で挙動するためである。例えば、銀金属コーティングは、アルミニウムフレークのみ、又は部分的に一定量のTIO2を伴うフレークからなる。
【0038】
この場合、平坦な照射又は照明角度の下で、灰色の中立光方向スペクトルが期待され得る。更なる表面は、アルミニウムを伴う有彩色の金属コーティングを有し、通常、少量の効果顔料のみを有する。この場合、これらのフレームのうちの少量のみが平坦な照明角度で見える。いわゆるキシラール又はMICAコーティングは、更に少ない効果顔料を有し、すなわちこの場合、これらのフレークはいずれも言及された角度で見えない。好ましくは、画像評価は、吸収顔料及び効果顔料(フレーク)に関して別々に及び/又は独立して行なわれる。
【0039】
好ましくは、吸収顔料レシピの場合、ピクセル数は、それに割り当てられた又は決定された(当該のピクセルによって出力された)強度値と共に記録及び/又は記憶される。更なるステップでは、ヒストグラムを記録し、それぞれの頻度の最大値を決定することができる。更なるステップにおいて、平均値XYZは、好ましくは、統計的に規定されたピクセル数について記録される。
【0040】
効果顔料の評価のために、好ましくは、互いに分離され、3つ全てのフィルタ(すなわち、その放射特性又は放射最大値は、画像記録デバイスの関連するフィルタデバイスのそれぞれの波長範囲内にある)に達するか又は覆うフレークが選択され、これらのフレークについてのみ製品XYZが決定される。好ましくは、この場合、デモザイク処理は使用されない。好ましくは、少なくとも2つの画像は、特定の露光時間で撮影される。
【0041】
好ましくは、吸収顔料の色効果は、第1の所定の角度、特に光沢から離れた角度で撮影された画像で評定され、この角度では、効果顔料による測色の改ざんは良好な近似には無視できる。光沢から離れた角度は、反射の方向から少なくとも30°ずれた角度であると理解される。
【0042】
効果顔料によって引き起こされる輝きは、好ましくは、第2の、特に光沢に近い角度で撮影されたカメラ画像で識別される。光沢に近い角度は、反射の方向から25°以下、好ましくは20°以下、好ましくは15°以下だけ逸脱する角度であると理解される。
【0043】
光沢に近い角度に起因して、効果顔料は、カメラ画像内で高強度の領域(特定の閾値を上回る)として識別することができ、すなわち、それが吸収顔料又は効果顔料を有する試料上の領域であるかどうかがピクセル精度で知られている。
【0044】
更なる有利な方法では、装置を用いた評価及び/又は測定は、人間の眼に当たる放射線の波長に依存する人間の眼の感度を考慮に入れる。
【0045】
更に好ましい方法では、画像記録デバイスによって記録又は決定された測定値を較正する評価も実行する装置による後続の測定のために、フィルタデバイス、特にソフトウェアフィルタデバイスを生成するために、評価の過程で決定されたデータが考慮される。好ましくは、記録された画像がピクセルごとに較正され、及び/又は個々のピクセルによって出力された測定値は個別に較正される。
【0046】
それにより、1つの、特に前記フィルタデバイスによって、この(画像記録デバイスの)第1の感度と(人間の眼の)第2の感度との間の差が少なくとも部分的に補償されることが可能である。
【0047】
更に好ましい方法では、第2の放射デバイス及び第2の所定の照射角度によって表面に放射線が照射され、画像記録デバイスは、第2の放射デバイスによって照射された表面の画像を記録する。或いは、第2の観察デバイスを用いてもよい。更に、好ましくは、検査されるべき表面に放射線を照射する第3の放射デバイスもまた設けられる。
【0048】
特に好ましくは、照明は異なる角度で行なわれる。更に好ましい方法では、少なくとも1つの放射デバイスが、指向性放射又は拡散放射を表面に放射する。
【0049】
更に好ましい方法では、評価中に記録されたデータのデータ削減が行なわれ、このデータ削減は、吸収顔料及び効果顔料に関して異なることが好ましい。この場合、データ削減は、例えば、ピクセルの波長依存感度の評価中又は入射放射の評価中に、特定の強度(特にスペクトルの経過から決定される)、例えば(局所的な)強度最大値が発生する波長範囲のみが検査されるように実行することができる。このようにして、フレアのない領域の検出を可能にする強度限界を決定することができる。このようにして、フレークの画像を含む画像の領域又はフレークのない領域が識別されることが好ましい。
【0050】
表面を観察する場合、RGBカメラなどの市販の画像記録デバイスが人間の眼の波長依存感度からずれる特定の波長依存感度を有するという問題が生じる。したがって、目的は、照射面の最も現実的な想定し得る画像記録(又はこの画像記録の最も現実的な想定し得る評価)を可能にすることである。
【0051】
したがって、本発明は、フィルタリングデバイス(特に、ソフトウェアフィルタリングデバイスであり、特に、評価の過程で記録されたデータを考慮に入れるそのようなフィルタリングデバイス)によって、画像記録デバイスの人間の眼への少なくとも部分的な適合を達成することを提案する。
【0052】
CIE標準感情価系(CIE Standard Valence System)又はCIE標準表色系(CIE Standard Colour System)は、人間の色知覚(色)と色刺激の物理的原因(色)との間の関係を確立するために国際照明委員会(CIE-Commission internationale de l’eclairage)によって規定された表色系である。この表色系は、知覚可能な色の全体を取り込む。色空間座標を使用して、主に英語圏では、Yxy色空間又はCIE-Yxyという用語、及び三刺激色空間も一般的に使用される。
【0053】
特に英語圏では、3つの基本値X、Y、Zは三刺激と呼ばれる。この意味において、これらの基本値は、(この目的のために)規定された正規化基本色の3つの部分である。各色は、そのような3つの数字で識別することができる。したがって、三刺激系という用語は、CIE標準系に一般的に使用される。この曲線は三刺激曲線とも呼ばれる。
【0054】
したがって、1つの実施形態では、画像が記録され、特に色に関して個々のピクセルが評価され、波長依存評価及び/又は重み付けが実行される。
【0055】
好ましい方法において、評価は、(画像記録デバイスの)第1の感度と(人間の眼の)第2の感度との間の波長依存の差を少なくとも一時的に補償するように実行される。
【0056】
これに関連して、放射デバイスの発光スペクトルL(λ)、標準光の強度曲線I(λ)、特に人間の眼の少なくとも1つの三刺激関数X(λ)、及び/又は画像記録デバイスのフィルタ特性F(λ)の特性値又は特性曲線を、フィルタデバイスを選択する際に考慮に入れることが特に好ましい。
【0057】
好ましくは、フィルタデバイスの波長依存の透過率T(λ)は、以下をもたらす。
T(λ)=X(λ)/(I(λ)・L(λ)・F(λ))
【0058】
ここで、I(λ)は光の種類の波長依存の特性を示し、例えばD65であり、L(λ)は光源の波長依存の特性を示し、F(λ)は観察デバイス(特にRGBフィルタ)、特に
そのフィルタの波長依存の特性を示し、X(λ)は眼の波長依存の光感度(三刺激関数)を示す。
【0059】
好ましくは、観察デバイスの波長依存特性及び眼の波長依存の光感度は、少なくとも2つ、好ましくは3つの所定の波長範囲にわたって異なる機能を有する。
【0060】
好ましくは、第1の波長範囲は、300nm-600nm、好ましくは350nm-550nm、好ましくは400nm-500nmに及ぶ。更に、好ましくは、第2の波長範囲は、400nm-700nm、好ましくは450nm-650nm、好ましくは500nm-650nm、好ましくは530nm-600nmに及ぶ。更に、好ましくは、第3の波長範囲は、500nm-900nm、好ましくは550nm-800nm、好ましくは600nm-700nmに及ぶ。
【0061】
人間の眼の知覚範囲全体をカバーすることが好ましい。
【0062】
さらに好ましい方法において、第2の放射デバイスによって放射線が第2の所定の放射角度で表面に照射され、画像記録デバイスは、第2の放射デバイスによって照射される表面の画像を記録する。
【0063】
好ましくは、第1及び第2の放射デバイスは、異なる時間又は期間に表面を照射する。これに代えて又は加えて、第2の画像記録デバイスが第2の観察角度で表面を観察することも考えられる。
【0064】
2つ以上の放射デバイスによって照射することによって、異なる整列された効果顔料から生じる効果を検出することも可能である。
【0065】
更に好ましい方法では、好ましくは第3の入射角度で表面に放射線を放射する第3の放射デバイスも設けられる。
【0066】
さらに好ましい方法では、表面に対して垂直な方向に対する観察角度は、10°よりも小さく、好ましくは5°よりも小さく、好ましくは3°よりも小さい。
【0067】
さらに好ましい方法では、表面に対して垂直な方向に対する第1の入射角が、70°~20°、好ましくは60°~30°、好ましくは50°~40°である。
【0068】
好ましくは、表面に対して垂直な方向に対する第2の放射デバイスの第2の入射角度は、85°~50°、好ましくは85°~60°、好ましくは85°~70°である。
【0069】
好ましくは、少なくとも1つの放射デバイスが、指向性放射線又は拡散放射線を表面へと方向付ける。拡散放射を使用することにより、曇天下で日射をシミュレートすることができ、指向放射を使用することにより、曇天下で日射をシミュレートすることができる。
【0070】
好ましくは、少なくとも1つの更なる放射デバイス、好ましくは全ての放射デバイスが、表面上に拡散放射線又は特に指向性放射線を導く。
【0071】
本発明は、更に、吸収顔料と少なくとも1つの更なる効果顔料との混合物を備えるラッカー処理された表面を検査するための装置であって、第1の所定の照射角度で検査されるべき表面に放射線を照射する第1の放射デバイスと、第1の観察角度で照射方向により照射された表面の空間分解画像を取得する、第1の観察角度で照射方向により照射された表面の空間分解画像を記録するカラー画像記録デバイスとを備え、この画像記録デバイスが、画像記録デバイスに衝突する放射線の波長に依存する第1の所定の感度を含む、装置に関する。
【0072】
本発明によれば、装置が画像記録デバイスを有し、この画像記録デバイスは、該画像記録デバイスによって記録された画像のセクションごと、好ましくはピクセルごとの評価を実行する。
【0073】
好ましい実施形態において、装置は、評価デバイスによって決定された測定値が記憶されるメモリデバイスを有する。好ましくは、メモリデバイスは、これらの測定値をピクセルごとに記憶できるようにする。
【0074】
更に好ましい実施形態において、装置は、フィルタデバイス、特に、ソフトウェアフィルタデバイスを有し、該フィルタデバイスは、画像記録デバイスによって記録された更なる画像を較正し、特に、評価デバイスによって決定された値及び/又はこの目的に適しており意図された値を考慮して更なる画像を較正する。
【0075】
好ましくは、フィルタリングデバイス(及び/又はこのフィルタリングデバイスを実装するプロセッサデバイス)は、記録された画像をピクセルごとに較正するのに適しており、そのように意図されている。
【0076】
好ましくは、このフィルタデバイスは変更可能であり、すなわち、特に、このフィルタデバイスが画像記録デバイスによって出力される画像に影響を及ぼす方法は変更可能である。このことは、(ソフトウェア)フィルタデバイスを変更することによって、画像記録デバイスによって出力される画像及び/又は装置全体によって出力される測定値を変更することも可能であることを意味する。
【0077】
好ましくは、装置は、画像記録デバイスによって記録された画像の評価、並びにソフトウェアフィルタデバイスの決定及び/又は修正が行なわれる較正モードで動作され得る。好ましくは、装置は、特に較正モードで決定されたソフトウェアフィルタデバイスが適用される動作モードで動作することもできる。
【0078】
好ましくは、装置は多角度測定デバイスであり、すなわち、幾つかの(照明及び/又は照射)角度から表面を検査するのに適しており、そのように意図されている。
【0079】
好ましくは、装置は、白黒画像捕捉デバイスを使用する装置と「後方」互換性がある。特に、本発明で得られた測定結果は、白黒撮像記録デバイスで得られた測定結果と比較することができる。
【0080】
しかしながら、本発明は、自動車(又は他の表面)のプレーンラッカー(効果顔料を含まない)にも使用することができる。
【0081】
更に好ましい実施形態では、画像記録デバイスがフィルタ、特にRGBフィルタを有する。好ましくは、放射デバイスは、標準光、特にD65標準光を放射する。標準光は、特性放射器の標準化されたスペクトル放射分布曲線を説明するために使用される用語である。D65標準光は、6504ケルビン(灰色の空にほぼ対応する)の色温度を有する放射分布である。
【0082】
好ましい実施形態において、表面と放射デバイスとの間の距離は、3cm~30cm、好ましくは4cm~20cm、好ましくは4cm~10cmである。
【0083】
好ましい実施形態において、放射デバイスは、適切であり、異なる波長の放射線を放出するようになっている。特定の波長の光のみが通過できるようにする異なるフィルタを有するフィルタホイールなどのフィルタデバイスを設けることができる。
【0084】
さらに好ましい実施形態では、第1の放射デバイスは、発光ダイオード(LED)、特に三蛍光体LEDを備える。好ましくは、装置は、前述のように、更なる放射デバイスも有する。これらの放射デバイスは、好ましくは発光ダイオード、特に三蛍光体LEDを有する。
【0085】
さらに好ましい実施形態では、装置は、少なくとも1つの第2の放射デバイス及び/又は第2のセンサデバイスを備える。この第2のセンサデバイスは、画像記録デバイスとして設計することもできるが、このセンサデバイスが、それに入射する放射線の強度を決定するセンサデバイスであることも考えられる。
【0086】
更に好ましい実施形態において、装置は、好ましくは少なくとも3つの異なる角度で表面を照明する少なくとも3つの放射デバイス(又は照明デバイス)を有する。
【0087】
更に好ましい実施形態では、フィルタデバイスは、画像記録デバイスの個々のピクセルから出力された値又は信号のピクセルごとの較正を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
更なる利点及び実施形態を添付図面において見ることができる。
図1】本発明に係る装置の概略図を示す。
図2】デジタルカメラのRGBフィルタの分光特性を示す図である。
図3】3つの色受容体X(赤)、Y(緑)、及びZ(青)の感度曲線を示す。
図4】標準発光体D65の放射電力の表示を示す。
図5】LEDの発光スペクトルを示す。
図6】フィルタデバイスの透過挙動を示す。
図7a】結果として得られる感度の比較を示す。
図7b】結果として得られる感度の比較を示す。
図7c】結果として得られる感度の比較を示す。
図8a】理論強度曲線と実際の強度曲線との比較を示す。
図8b】理論的経過と実際の経過との間の偏差を表す図である。
図9】金属ラッカーのヒストグラムの表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図1は、表面10を検査するための装置1の概略図を示す。この装置は、表面10ビームS2上に光を放射する第1の放射デバイス2又は照明デバイス2を有する。
【0090】
参照符号4は、第1の放射デバイス(ビーム経路S4)によって照射される表面の少なくとも1つの空間分解画像を記録する画像記録デバイスを示す。参照符号Oはハウジング12の開口を示し、該開口を通じて、表面10が照射されるとともに、画像記録デバイス4が表面を観察する。画像記録デバイスは、0°の観察角度で画像を記録する、すなわち、表面10の垂直上方に配置される。
【0091】
参照符号12は、表面10と画像記録デバイスとの間のビーム経路S4に配置されるフィルタデバイスを示し、該フィルタデバイスを通じて画像記録デバイスが表面10の画像を記録する。
【0092】
参照符号14は、表面10によって反射及び/又は散乱される光をそれがコリメートされる態様で好ましくはフィルタデバイスに対しても垂直にフィルタデバイスに入射するようにコリメートするべく機能する任意選択的に存在するレンズデバイスを示す。
【0093】
参照符号20は、画像記録デバイス4によって記録される画像を評価する評価デバイスを示す。評価デバイスは、表面の物理的特性に関して特徴的なデータを出力できることが好ましい。
【0094】
参照符号22は、装置の動作モードにおいて画像記録デバイスによって取得された画像を較正及び/又は修正し、特に、評価デバイスによって決定されたデータを考慮してピクセルごとにそれらを較正及び/又は修正するプロセッサデバイスを識別する。したがって、好ましくは、このプロセッサデバイスは、前述のソフトウェアフィルタデバイスを決定する。
【0095】
参照符号6は、放射線、特に光を表面上に(異なる入射角で、又はビーム経路S2に沿って)放射する第2の放射デバイスを示す。この放射デバイスは、特に、記録された画像を評価するために使用することができる。
【0096】
参照符号8は、放射線、特に光をビーム経路S3に沿って表面10上に放射する第3の放射デバイスを示す。
【0097】
好ましくは、放射デバイス2、6及び8を時間遅延を伴って作動させる制御デバイス(図示せず)が設けられる。
【0098】
図2は、入射する放射線の波長に依存する画像記録デバイスの特性を示す。より正確には、この画像記録デバイス又はカメラのRGBフィルタの感度が示される。
【0099】
「赤色」、「緑色」、及び「青色」成分を指す3つの曲線R、G、Bが示される。量子効率(%)が座標にプロットされ、入射光の波長が座標にプロットされる。
【0100】
カメラ全体の量子効率は、400nm~800nmの波長範囲で最初に増加し、その後再び減少することが分かる。このように、画像記録デバイスは、画像再生又は画像記録の独自の特徴を有する。
【0101】
図3は、人の眼の三刺激関数の表示を示す。ここでも、3つの曲線x(λ)、y(λ)及びz(λ)が示されており、nm単位の波長が横軸に記録され、三刺激値が縦軸に記録される。
【0102】
図2及び図3における図を比較すると、画像記録デバイスの波長依存の感度曲線と人間の眼の波長依存の感度曲線とがかなり異なることが分かる。これらの差は、本発明によって少なくとも部分的に補償されるべきである。
【0103】
図4は、300nm~800nmの範囲内のD65標準光源の強度曲線の図を示す。このタイプの光は、昼光及び曇り空の曲線に近似される。第2の曲線Aは、従来の電球の経過を示す。
【0104】
標準発光体Dは、昼光スペクトルを表わし、したがって、多数の工業地域にとって特に重要である。発光体D65は、その名が6,504ケルビン(K)の色温度に由来する。D65は、化学及び製薬産業において、塗料製造において、セラミック、織物、紙及び自動車両産業において使用される。
【0105】
標準発光体D65は、蛍光色を認識することができる高い青色成分を有する。
D65は、評価用光源として用いられる。D65光源のスペクトル分布は、DIN 5033に規定されており、300nm~780nmの波長の間にあり、したがって紫外線と赤色の間にある。
【0106】
図5は、本発明との関連において好ましくは使用される光源、すなわち三蛍光体高CRI LEDの発光スペクトルを示す。この光源は、本質的に400から800nmの間で放射することが分かる。これにより、400nmの座標にプロットされる相対放射強度は、実質的に50%を超える。ここでの色温度は5600Kである。この放射特性は、好ましくは、フィルタデバイスの設計においても考慮される。
【0107】
略語CRIは演色評価数を表わす。演色評価数は、光源の定量的指標であり、理想的な光源又は自然な光源と比較して物体の色をレンダリングする能力を表わす。CRIという用語は、多くの場合、市販の照明製品に使用される。適切に定義されると、評価される試験カラーサンプルに応じて、Ra-一般的な演色評価数-又はRi-固有演色評価数-と呼ばれるべきである。
【0108】
CRIは、試験光源の演色性を所定の光源の演色性と比較することによって計算される。5000K未満の試験光源の場合、黒体放射体が所定の比較光源として使用される。5000Kを超える試験光源については、比較のために昼光(Dランプ)が使用される。Ri及びRaの計算は、CIE技術報告書13.3-1995に詳細に説明される。試験方法は、マンセル色系の初期版からの一組の8個のRa又は14個のRi CIE-1974色サンプルを使用する。最初の8つのサンプルは、適度に飽和されており、色相サークルを構成し、ほぼ等しい輝度を有する。残りの6つのサンプルは、光源の演色性に関する更なる情報を提供する。
【0109】
図6は、上記のデータ及び上記の式から計算された、本発明に適合したフィルタデバイスの透過曲線を示す。このデータに基づいて、図6に示される透過挙動をほぼ示すフィルタデバイスが製造されることが好ましい。フィルタデバイスの製造において、所望の透過曲線を達成するための幾つかの方法があり、これについては上記で説明した。
【0110】
図7a~図7cは、勾配の3つの表示を示す(座標上の任意の単位でプロットされる)。図7bは、図3にも示されている人の眼の経過を再び示している。図7cは、本発明に従って提案されたフィルタデバイスを伴わない画像記録デバイスから生じる経過を示す。図7aは、フィルタデバイスを使用した場合に生じる感度又は経過を示す。図7aに示された曲線は、図7cに示された曲線よりも、図7bに示された「自然な」曲線にはるかに近いことが分かる。
【0111】
図8aは、本発明に係る方法を示す図である。図7b及び図7cに示す曲線間の比較がより詳細に示される。これらの曲線は、幾つかの波長範囲では互いに近接しているが、他の波長範囲ではかなり異なることが分かる。三刺激曲線X、Y、Zが示されており、一方、得られた感度曲線B、G、Rが示されている。
【0112】
図8bは、互いからの曲線のパーセント偏差diff x、diff y、diff zの表示を示す。ここでも、幾つかの領域では大きなずれがあり、他の領域では小さなずれしかないことが分かる。
【0113】
前述したように、測定されたスペクトルは、非常に平坦な入射角の下で記録され、この場合、個々のフレークの影響は非常に小さい。
【0114】
X、Y、Zの値は、次の方程式を使用して決定できる:
【数3】
【0115】
Kには以下が適用される:
【数4】
I(l)は、標準光タイプの波長依存相対強度を示す。
L(l)は、放射デバイスの波長依存強度を示す。
【0116】
図9は、2D画像データからのヒストグラム算出によるデータ削減の説明図である。金属コーティング(吸収及び効果顔料を含む)の典型的なヒストグラムを示す。吸収顔料の画像ピクセルに割り当てることができる約30から100のグレー値の間の強度値範囲に極大値を有する強いピークを見ることができる。吸収顔料ピークの最大値から特定の距離である特定のグレー値閾値を超えると、ヒストグラムチャネルは、効果顔料に割り当てることができるピクセルのみを含む。データ削減のために、効果顔料の影響の評価に関して、グレー値閾値未満の領域のみが使用されることが可能である。
【0117】
更なる方法ステップでは、この最大値の面積が吸収顔料の評価のために選択され、値L*a*bが計算され、十分な数のピクセルについてこの面積で平均化される。この手順により、前述したように、フレークを再現する画像の領域と、フレークを再現しない領域とを識別することができる。
【0118】
フレーク又はフレークを含有する層の評価のために、前述のように、別個のフレークが選択されることが好ましい。例えば、ピクセルの特定の領域をフレークに割り当てることができる。
【0119】
本出願人は、個別に又は組み合わせて従来技術と比較して新しいものであれば、出願書類に開示された全ての特徴を本発明に不可欠なものとして主張する権利を留保する。更に、個々の図は、それ自体が有利であり得る特徴も記載していることが指摘される。当業者は、図に記載された特定の特徴がこの図から更なる特徴を採用することなく有利であり得ることを直ちに認識する。更に、当業者は、個々の図又は異なる図に示される幾つかの特徴の組み合わせから利点ももたらされ得ることを認識する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図9
【国際調査報告】