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特表2024-524943スペクトル基底フィルタの製造および使用のための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】スペクトル基底フィルタの製造および使用のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/36 20060101AFI20240702BHJP
   G01J 3/26 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G01J3/36
G01J3/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577830
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 US2022032546
(87)【国際公開番号】W WO2022265889
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,672
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/454,201
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510005317
【氏名又は名称】ディーアールエス ネットワーク アンド イメージング システムズ、リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】ラグッチ,アンソニー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2G020
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020CC26
2G020CC27
2G020CC63
2G020CD04
2G020CD24
(57)【要約】
光学システムは、第1方向に配列された第1のピクセル数と、第2の方向に配列された第2のピクセル数とによって画定される複数のピクセルを有する焦点面アレイを含む。光学システムは、焦点面アレイに光学的に結合される光学フィルタも含む。光学フィルタは、複数のスーパーピクセルを有する。複数のスーパーピクセルの各々は、所定の数のサブピクセルを含み、所定の数のサブピクセルの各々は、波長の関数としての複数の振動透過プロファイルのうちの1つによって特徴づけられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に配列された第1のピクセル数と、第2の方向に配列された第2のピクセル数とによって定義される複数のピクセルを有する焦点面アレイと、
前記焦点面アレイに光学的に結合された光学フィルタであって、前記光学フィルタは、複数のスーパーピクセルを有し、前記複数のスーパーピクセルの各々は、所定の数のサブピクセルを含み、前記所定の数のサブピクセルの各々は、波長の関数としての複数の振動透過プロファイルのうちの1つによって特徴付けられる、光学フィルタと、
を備える、光学システム。
【請求項2】
第1のスーパーピクセルの前記所定の数のサブピクセルのうちの1つまたは複数は、第2のスーパーピクセルのサブピクセルでもある、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記所定の数のサブピクセルは、前記第1の方向に配列された第1のサブピクセル数と、前記第2方向に配列された第2のサブピクセル数とによって画定される、請求項1に記載の光学システム。
【請求項4】
前記複数の前記振動透過プロファイルの各々は、前記複数の前記振動透過プロファイルのうちの他のものと区別される、請求項1に記載の光学システム。
【請求項5】
前記複数の前記振動透過プロファイルの各々は、振動周波数および位相の異なる組み合わせにより特徴付けられる、請求項4に記載の光学システム。
【請求項6】
前記所定の数のサブピクセルの各々が、フィルムの1つまたは複数の層を含む、請求項1に記載の光学システム。
【請求項7】
前記フィルムの前記1つまたは複数の層が、単一の薄膜層を含み、前記所定の数のサブピクセルの各々は、前記単一の薄膜層の異なる厚さによって特徴付けられる、請求項6に記載の光学システム。
【請求項8】
前記所定の数のサブピクセルの各々に所定の重みを付与するように構成された計算モジュールをさらに備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項9】
スペクトルプロファイルの1つまたは複数の特徴を決定するステップと、
複数のサブピクセルの各々について透過プロファイルを定義するステップであって、前記複数のサブピクセルの所定の数は、波長の関数としての振動透過プロファイルによって特徴付けられる、ステップと、
相対的な重みのセットの重みと前記複数のサブピクセルの各々を関連付けるステップと、を備える、光学フィルタのスペクトルプロファイルを定義する方法。
【請求項10】
前記スペクトルプロファイルの1つまたは複数の特徴を用いて重みのルックアップテーブルにアクセスすることにより、前記相対的な重みのセットを決定することをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光学フィルタの出力を用いて第1のコントラストスコアを決定するステップと、
相対的重みの修正されたセットを画定するため、前記相対的重みのセット内の少なくとも1つの重みを修正するステップと、
前記相対的重みの修正されたセットを前記複数のサブピクセルの各々に関連付けるステップと、
前記相対的重みの修正されたセットを有する前記光学フィルタの前記出力を用いて、第2のコントラストスコアを決定するステップと、
前記第2のコントラストスコアと前記第1のコントラストスコアの比較に基づいて、使用する前記相対的な重みのセットを選択するステップと、
をさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記スペクトルプロファイルの前記1つまたは複数の特徴は、バンドパス短エッジ、バンドパス長エッジ、スペクトル範囲カットオン、またはスペクトル範囲カットオフのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のサブピクセルの各々について前記透過プロファイルを定義するステップは、前記複数のサブピクセルの各々に関連付けられた薄膜の厚さを決定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
複数のスーパーピクセルを備える光学フィルタを介して光信号を送信するステップであって、前記複数のスーパーピクセルの各々は複数のサブピクセルを含み、所定の数の前記複数のサブピクセルは、波長の関数としての振動透過プロファイルによって特徴付けられる、ステップと、
検出器の各ピクセルに関連付けられる強度値を受信するステップであって、前記検出器の各ピクセルは前記複数のサブピクセルのうちの1つに関連付けられる、ステップと、
前記複数のスーパーピクセルの各々について、
前記複数のスーパーピクセルのサブピクセルに関連付けられた対応する強度値に相対的重みのセットを適用するステップと、
出力データを決定するステップと、
を備える方法。
【請求項15】
前記複数のサブピクセルのうちの1つは、波長の関数としての均一な透過プロファイルによって特徴づけられる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
スペクトルプロファイルに対応する相対重みのルックアップテーブルから前記相対重みのセットを取り出すステップをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
スペクトルプロファイルのフーリエ展開を用いて前記相対的重みのセットを計算するステップをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記相対的重みのセットを修正するステップと、
前記複数のスーパーピクセルの各々について、
前記相対的重みの修正されたセットを前記複数のサブピクセルの対応するサブピクセルに適用するステップと、
修正された出力データを決定するステップと、
をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記相対的重みのセットを修正するステップは、修正されたスペクトルプロファイルに対応する重みのルックアップテーブルにアクセスすることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記相対的重みのセットを修正するステップは、
前記出力データに対応する第1のコントラストスコアを決定するステップと、
前記修正された出力データに対応する第2のコントラストスコアを決定するステップと、
前記第1のコントラストスコアは前記第2のコントラストスコアよりも大きいと判定するステップと、
前記複数のサブピクセルの前記サブピクセルに関連付けられた前記対応する強度値に前記相対的重みのセットを再適用するステップと、
を備える、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
[0001]本出願は、2021年6月17日に出願された「スペクトル基底フィルタ」と題する米国仮出願第63/211,672号、および2021年11月9日に出願された「スペクトル基底フィルタの製造および使用のための方法およびシステム」と題する米国特許出願第17/454,201号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
[0002]スペクトルイメージングは、波長の関数として物体の光学特性に関連する情報を取得する方法である。本方法は、リモートセンシング、製品検査、医用画像など、さまざまなアプリケーションに適用できる。赤、緑、青(RGB)カラー画像に存在する3つのカラーバンドを拡張して、スペクトル画像は数百または数千のスペクトルバンドを含むことができる。ラインスキャン(すなわち、プッシュブルーム)スペクトルイメージング、波長スキャン(すなわち、凝視)スペクトルイメージング、およびシングルショット(すなわち、スナップショット)スペクトルイメージングが使用されている。
【0004】
[0003] スペクトルイメージングの領域においてなされた進歩にもかかわらず、当該技術分野において、スペクトルイメージングに関連する改良された方法およびシステムのニーズがある。
【発明の概要】
【0005】
[0004] 本発明の実施形態は、画像処理に関する。より詳細には、本発明の実施形態は、スペクトルイメージングのための方法およびシステムを提供する。特定の実施形態において、画像データを受信し、画像データを処理して、特定のスペクトルプロファイルに関連付けられた画像を生成する方法が提供される。特定のスペクトルプロファイルは、画像取得の前または後に決定できる。本明細書に記載の方法を実施するためのシステムもまた、本発明の実施形態によって提供される。
【0006】
[0005] 本発明の一実施形態によると、光学システムが提供される。光学システムは、第1方向に配列された第1のピクセル数と、第2方向に配列された第2のピクセル数とによって画定される複数のピクセルを有する焦点面アレイを含む。光学システムは、焦点面アレイに光学的に結合された光学フィルタも含む。光学フィルタは、複数のスーパーピクセルを有する。複数のスーパーピクセルの各々は、所定数のサブピクセルを含み、所定数のサブピクセルの各々は、波長の関数として複数の振動透過プロファイルのうちの1つによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、複数のスーパーピクセルのそれぞれに含まれる所定数のサブピクセルは平方数であり、例えば、所定数のサブピクセルは9個に等しい。所定数のサブピクセルの各々は、フィルムの1つまたは複数の層、例えば、単一の薄膜層を含むことができる。いくつかの実施形態において、所定数のサブピクセルの各々は、単一の薄膜層の異なる厚さによって特徴付けられ得る。
【0007】
[0006] 本発明の別の実施形態によると、光学フィルタのスペクトルプロファイルを画定する方法が提供される。本方法は、スペクトルプロファイルの1つまたは複数の特性を決定することを含む。本方法は、複数のサブピクセルのそれぞれについて透過プロファイルを定義することも含み、複数のサブピクセルのうちの所定数は、波長の関数としての振動透過プロファイルによって特徴付けられ、複数のサブピクセルのそれぞれに相対的重みのセットの重みを関連付けることを特徴とする。
【0008】
[0007] 本発明のさらに別の実施形態によると、方法が提供される。本方法は、複数のスーパーピクセルを含む光学フィルタを介して光信号を送信することを含む。複数のスーパーピクセルの各々は複数のサブピクセルを含み、所定数の複数のサブピクセルは、波長の関数として振動透過プロファイルにより特徴付けられる。本方法は、検出器の各ピクセルに関連付けられた受信強度値も含み、検出器の各ピクセルは、複数のサブピクセルのうちの1つに関連付けられる。検出器は、焦点面アレイを含むことができる。本方法は、さらに、複数のスーパーピクセルのそれぞれについて、複数のスーパーピクセルのサブピクセルに関連付けられた対応する強度値に相対的重みのセットを適用し、出力データを決定することを含む。
【0009】
[0008] 本発明の実施形態により、多くの利益が提供される。例えば、いくつかの実施形態において、スペクトル基底フィルタを使用する光学システムは、スーパーピクセルブロック内のサブピクセル強度の線形結合の相対的重みを変化させることによって、バンドパスエッジ定義の連続的な制御を可能にし、連続的に調整可能なスペクトルバンドパスを有する出力画像をもたらす。サブピクセル強度の線形結合は、リアルタイムまたは後処理で修正され得る。例えば、光学システムのユーザ、またはコンピュータは、出力画像のコントラストが十分でないと判断し、リアルタイムまたは後処理で出力画像のコントラストを改善するためにサブピクセル強度に適用される相対的重みのセットを修正してもよい。この例において、相対的重みのセットを変更すると、出力イメージも変化する。
【0010】
[0009] 光学システムがユーザから物理的に離れている場合(例えば、光学システムが空中プラットフォームを含む遠隔地の機械または車両に搭載されている場合)、光学システムは、定義されたスペクトルバンドパスに関連付けられた強度値を送信し得る。これにより、スーパーピクセル解像度(例えば、1024×1024)でのデータ送信をもたらし、焦点面アレイ(例えば、3072×3072)の解像度よりも低くなることがあり、その結果、著しいデータ圧縮が生じる。他の実施形態において、画像データは、焦点面アレイの解像度(例えば、3072×3072)で送信され、後処理されて、任意の特定のスペクトルバンドパスについての画像データを低分解能(例えば、1024×1024)で提供する。
【0011】
[0010] さらに、本発明の実施形態は、高感度、例えば、定義されたバンドパスを有するスーパーピクセルの半分の感度を提供する。いくつかの実装形態において、光学システムは、いかなる電気機械要素も使用せず、完全に受動的であり得、画像データを生成する際の機械的故障のリスクを低減する。本発明のこれらおよび他の実施形態は、その多くの利点および特徴とともに、以下の説明および添付図面と併せてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態によるスペクトル基底フィルタの例示的なスーパーピクセル構成である。
図2】本発明の一実施形態による、スーパーピクセルにおける複数のサブピクセルに対する波長の関数としての透過率のグラフである。
図3A】基底関数要素の線形結合による矩形波関数の再構成を示すグラフである。
図3B】基底関数要素の線形結合による矩形波関数の再構成を示すグラフである。
図3C】基底関数要素の線形結合による矩形波関数の再構成を示すグラフである。
図3D】基底関数要素の線形結合による矩形波関数の再構成を示すグラフである。
図4A】本発明の実施形態による、それぞれロングパスフィルタおよびノッチフィルタについての波長の関数としてのスペクトルプロファイルを示すプロットである。
図4B】本発明の実施形態による、それぞれロングパスフィルタおよびノッチフィルタについての波長の関数としてのスペクトルプロファイルを示すプロットである。
図5A】本発明の一実施形態による、連続的なバンドエッジ変動性を示す波長の関数としてのバンドパスフィルタのスペクトルプロファイルを示すプロットである。
図5B】本発明の一実施形態による、連続的なバンドエッジ変動性を示す波長の関数としてのバンドパスフィルタのスペクトルプロファイルを示すプロットである。
図5C】本発明の一実施形態による、連続的なバンドエッジ変動性を示す波長の関数としてのバンドパスフィルタのスペクトルプロファイルを示すプロットである。
図5D】本発明の一実施形態による、連続的なバンドエッジ変動性を示す波長の関数としてのバンドパスフィルタのスペクトルプロファイルを示すプロットである。
図6】本発明の一実施形態によるロングパスフィルタ、ノッチフィルタ、および複数のバンドパスフィルタを生成するために使用される係数を示す表である。
図7】本発明の一実施形態によるスーパーピクセルにおける各サブピクセルに対する波長の関数としての透過率のグラフである。
図8】スペクトル基底フィルタを備えた光学システムのブロック図を示す。
図9】本発明の一実施形態によるスーパーピクセルの3つのサブピクセルを示す断面図である。
図10】本発明の一実施形態による光学フィルタのスペクトルプロファイルを定義する方法を示す簡略化されたフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態による方法を示す簡略化されたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0022] 本発明の実施形態は、画像処理に関する。より詳細には、本発明の実施形態は、スペクトルイメージングのための方法およびシステムを提供する。特定の実施形態において、画像データを受信し、画像データを処理して、特定のスペクトルプロファイルに関連付けられた画像を生成する方法が提供される。特定のスペクトルプロファイルは、画像取得の前または後に決定できる。本明細書に記載の方法を実施するためのシステムもまた、本発明の実施形態によって提供される。
【0014】
[0023] 本明細書に記載されるように、本発明の実施形態は、動作中にコマンドで変更可能な焦点面アレイのスペクトルバンドパスの任意の定義を可能にするスペクトル基底フィルタを提供する。本発明の実施形態は、ハイパースペクトル撮像装置の機能の一部または全部を、従来の技術を用いて現在利用可能なものよりもコンパクトな形態で提供する。さらに、本発明の実施形態は、測定データを送信するために必要な帯域幅を著しく減少させる。スペクトルコントラストの強調は、自動利得制御の実装と同様に、ローカルまたはイメージングアレイ全体に対して、リアルタイムで自動的に実行できる。いくつかの実施形態において、本発明の実施形態によって提供されるスペクトルコントラスト増強は、ターゲット検出、認識、および/または識別に有用である。当業者は、多くの変形、修正、および代替を認識するであろう。
【0015】
[0024] 本発明の実施形態は、種々のスペクトルイメージングシステムに適用可能な再構成可能なカラーイメージャ(RCI)を提供することができる。本明細書に記載されるように、本発明の実施形態は、広帯域イメージャのスペクトルバンドパスプロファイルを、例えば、動作中に変更することを可能にする。ほんの一例として、航空機上に配置された移動式スペクトルイメージャのスペクトルバンドパスプロファイルは、飛行中に修正することができ、最初に、例えば、8.0μm~10.5μmのスペクトル帯域内で第1のスペクトル範囲に渡って光を透過し、続いて、8.0μm~10.5μmのスペクトル帯域内で第2のスペクトル範囲に渡って光を透過する。したがって、本発明の実施形態は、動作中にスペクトルバンドパスをリアルタイムで修正することを可能にする。例えば、最初に9.4μmを中心とする~0.8μmの帯域幅を有するスペクトル帯域で撮像し、次いで、その後、9.5μmを中心とする~0.8μmの帯域幅を有するスペクトル帯域で撮像する。スペクトルバンドパスを修正するこの能力は、スペクトルイメージャを飽和させているスペクトル帯域を除外する、または同様の特定のスペクトル帯域を強調することによって、システムオペレータが画像のコントラストを増加させることを可能にする。
【0016】
[0025] いくつかの実施形態において、マルチスペクトルイメージングを実施するために16バンドが使用されるが、本発明の実施形態は、このバンド数に限定されず、より少ないまたは追加のバンドを使用することができる。単純かつ明瞭にするために、本明細書に記載の例示的な実施形態は9バンドを使用するが、これは単に例示的である。波長の関数として2次元画像データを取得するためにプッシュブルーム構成を使用するいくつかのハイパースペクトルイメージャまたはマルチスペクトルイメージャとは対照的に、本発明のいくつかの実施形態は、マルチスペクトルイメージングデータの2次元アレイを同時または並行して収集して、単一波長帯域および/または複数の波長におけるフルアレイの状況認識をサポートする。
【0017】
[0026] 図1は、本発明の一実施形態によるスペクトル基底フィルタの構成図である。図1には、光学フィルタとも呼ぶことができるスペクトル基底フィルタの平面図が示されている。スペクトル基底フィルタ100は、1つまたは複数のスーパーピクセルを含む光学フィルタであってもよい。図1に示される実施形態において、スーパーピクセル105は、アレイ構成で配置された所定数のサブピクセルを含む。図1に示す実施形態において、第1のサブピクセル数110、120、130、140, 150、160または、170、180および190は、第1の方向に配列され、第2のサブピクセル数110、140、170、120、150、180、または130、160、190は、第1の方向に直交し得る第2の方向に配列される。また、スーパーピクセルは、スペクトルイメージャの解像度を画定するアレイ構成(図示せず)に配置される。サブピクセルの他の空間構成も使用することができる。
【0018】
[0027] 図1に示すスペクトル基底フィルタ100は、サイズ30μm×30μmの単一のスーパーピクセル105として示され、それにより、1024×1024のスペクトルイメージャ解像度(ディスプレイ解像度とも呼ばれる)を形成する。図示のスーパーピクセル105は、図1にそれぞれサブピクセル110、120、130、140、150、160、170、180、および190として示される、サイズ10μm×10μmの9つのサブピクセルを含む。したがって、分解能は、スペクトル基底フィルタ100のサブピクセルレベルで考慮され、3072×3072である。図1に示す特定のディスプレイおよびサブピクセル解像度は、単に例示的であり、他の解像度は、例えば、12μmの1024×1024焦点面アレイ(FPA)に基づいて使用することができる。当業者は、多くの変形、修正、および代替を認識するであろう。
【0019】
[0028] 9つのサブピクセル110、120、130、140、150、160、170、180、および190の各々は、図2との関係でより完全に議論されるように、波長の関数としての振動透過プロファイルによって特徴付けられる光学フィルタとして実装され得る。例えば、第1のサブピクセル110は、振動機能に従って第1のサブピクセル110に入射した光を透過する振動透過プロファイルを有してもよい。したがって、所定の波長を透過する従来の光学フィルタ、例えば、8.0μm~8.2μmの波長範囲の光を透過するノッチフィルタとは対照的に、サブピクセルのうちの1つまたは複数は、波長の関数としての振動プロファイルによって特徴付けられる。したがって、図2との関係でより完全に説明されているように、サブピクセルのうちの1つまたは複数は、対象の波長範囲にわたって、最小透過値(例えば、ゼロ透過)と最大透過値(例えば、全透過)との間で何回も振動する透過プロファイルを有することになる。
【0020】
[0029] したがって、単一のスペクトル帯域にわたって検出する従来の光学フィルタとは対照的に、本明細書で論じるサブピクセルは、波長の関数として変化する透過値を有するにもかかわらず、スペクトルイメージャのスペクトル帯域全体にわたって、例えば、8.0μm~10.5μmの光を透過する。したがって、サブピクセル検出器素子、例えば、長波長赤外線検出器のピクセルは、スペクトル帯域全体にわたって光を検出し、その振動スペクトル透過プロファイルに従って検出器素子に光を透過する。
【0021】
[0030] スーパーピクセル105の出力は、スーパーピクセル内のサブピクセルの配列の重み付け強度の線形重ね合わせとして形成され得る。したがって、スーパーピクセルの帯域幅は、サブピクセルの各々に印加される重みに従って定義することができ、サブピクセルは、本明細書でより完全に論じられるように、振動透過プロファイルによって特徴付けられる。したがって、スペクトルイメージャの帯域幅が検出器要素に関連付けられたスペクトルフィルタの帯域幅によって定義される従来のシステムとは対照的に、本発明の実施形態は、スーパーピクセル内のサブピクセルのアレイの重み付け強度の特定の線形重ね合わせの選択の結果として、スペクトルイメージャの帯域幅の変更を可能にする。したがって、スペクトル基底フィルタ100からのデータが収集された後の任意の時点で、スペクトル基底フィルタ100を含む光学システムのユーザによって、または光学システムのプロセッサによって、スペクトルイメージャの帯域幅はデータ収集後に変更することができる。例えば、ロングパスフィルタに対応するものなどの特定のスペクトルプロファイルは、スペクトル基底フィルタ100を用いて、スペクトルイメージャの検出器素子の出力に適用され得る。あるいは、異なる特定のスペクトルプロファイル、例えば、ショートパスフィルタを、スペクトルイメージャの検出器素子からの同じ出力の後処理によって実装することができる。
【0022】
[0031] 上述したように、スペクトル基底フィルタ100の複数のサブピクセル110、120、130、140、150、160、170、180および190の各々は、図2との関係でより完全に議論されるように、固有の振動透過プロファイルを有し得る。したがって、各サブピクセルに関連付けられた振動透過プロファイルは次いで、各特定のサブピクセルに対応する検出器要素から出力される強度値に適用される重みを決定するために使用され得る。
【0023】
[0032] いくつかの実施形態は、各サブピクセルに関連付けられた検出器素子が、各サブピクセルに関連付けられた光のみを検出するような方法で実装されるが、他の実施形態において、光学素子は、焦点面アレイ内の検出器要素によって形成された画像をぼかすために利用され、その結果、スーパーピクセルの大きさのオーダーのぼかし円が生じる。したがって、光学フィルタが焦点面アレイに光学的に結合されるとき、特定のスーパーピクセル内のサブピクセルを通過する光は、スーパーピクセルに関連付けられた焦点面アレイの検出器素子によってほぼ均一に結像されることになる。したがって、いくつかの実装形態は、サブピクセルのサイズではなく、スーパーピクセルのサイズで結像する光学システムを使用し、それによってシステム性能を向上させる。
【0024】
[0033] 図2は、本発明の一実施形態によるスーパーピクセルにおける複数のサブピクセルに対する波長の関数としての透過率のグラフである。図2に示すように、それぞれが図1に示されるサブピクセルの1つに関連する、波長の関数としての透過率の重ね合わせプロットのセットが示される。ベイヤーフィルタなどの多くの光学フィルタとは異なり、各サブピクセルは薄膜の層から構築することができ、その結果、特定の光帯域に対応する単一の透過ピークではなく、振動透過プロファイルが得られる。
【0025】
[0034] 図2を参照すると、グラフ200は、図1のスペクトル基底フィルタ100の9つのサブピクセル110、120、130、140、160、170、180および190にそれぞれ対応する8つの振動透過プロファイル210、220、230、240、260、270、280および290を示す。図2に例示された実施形態において、複数の振動透過プロファイルの各々は、複数の振動透過プロファイルの他のものとは区別される。8つの振動透過プロファイルのそれぞれの振幅は、0から1まで変化し得るが、図2では明確にするためにオフセットして示されている。したがって、例示的な振動透過プロファイル210を参照すると、透過の振幅は、8.0μm~10.5μmの波長範囲にわたって0~1の間の範囲である。透過の振幅は、8.0μmと10.5μmの場合1であり、9.25μmの場合ゼロである。第9の透過プロファイル250は、振幅が1の均一な透過プロファイルである(すなわち、すべての光を均等に透過する)。したがって、サブピクセル150は透明であり、すべての波長を透過する。したがって、サブピクセル150に対応する第9の透過プロファイル250は、スペクトル基底フィルタ100によってフィルタリングされた任意の光信号に対して完全な状況認識を提供する。勿論、サブピクセル150は、他の実施形態において振動プロファイルを有することもできる。
【0026】
[0035] 図2に例示される実施形態において、振動透過プロファイル210は、透過のピークが8.0μmおよび10.5μmに整列するような位相プロファイルで、8.0μm~10.5μmの波長範囲にわたって1回振動する。振動透過プロファイル220はまた、8.0μm~10.5μmの波長範囲にわたって1回振動するが、振動透過プロファイル210に対してπラジアン位相シフトを有する。振動透過プロファイル230は、8.0μm~10.5μmの波長範囲にわたって2回振動し、振動透過プロファイル290は、8.0μm~10.5μmの波長範囲にわたって4回振動する。透過プロファイルの各々の振動挙動は、この特定のセットに限定されず、各サブピクセルは、振動挙動の追加セットをもたらすように修正され得る。図2に示すように、複数の振動透過プロファイルの各々は、ミクロン単位で測定される波長、cm-1で測定される波数、またはヘルツ単位で測定される周波数に関して参照することができる固有の振動周波数および位相によって特徴付けられる。したがって、図示された振動透過プロファイルは例示的であり、本発明の実施形態は、これらの特定の9つの振動プロファイルに限定されるものではない。当業者は、多くの変形、修正、および代替を認識するであろう。
【0027】
[0036] 各サブピクセルの出力強度値は、サブピクセルの振動透過プロファイルによって決定されてもよく、スーパーピクセルの全透過率は、スーパーピクセル内のすべてのサブピクセルの重み付けされた強度値の線形結合であってもよい。したがって、本明細書でより完全に説明するように、各サブピクセルに関連付けられた各検出器要素からの出力(すなわち、強度値)は、重み付けされ、他の検出器要素からの出力と合計されて、スーパーピクセル解像度で重み付けされた出力を形成する。
【0028】
[0037] 図3A~3Dは、基底関数の線形結合による矩形波関数の再構成を示すグラフである。ベクトル空間ベクトル V の基底は、ベクトル空間 V 内の線形独立でベクトル空間にまたがるベクトルの部分集合 v, ..., v として定義される。当業者には明らかなように、V中のベクトルの集合(v, v, ..., v)は、すべてのv∈Vが、基底場のv = a+ a+ ... + an, ここで、 a, ..., aare要素として一意に記述できる場合にのみ、基底を形成する。これは、古典幾何学のユークリッド空間(x, y, z)のベクトルだけでなく、空間 V の任意の関数にも当てはまる。変換は、基底ベクトルの重み付き線形結合を通してVの関数を表現する。基底関数の例としては、多項式 (テイラー級数)、ベッセル関数 (ハンケル)、ウェーブレット(ハール)、複素指数関数(フーリエ変換)などがある。スペクトルバンドパス包絡線は、1次元ベクトル空間で関数を定義する。適切な基底における少数の項の線形結合は、スペクトルバンドパス関数を効率的に近似できる。指定された数の項に対する近似の忠実度は、近似に使用される基底の適合性によって大きく決まる。
【0029】
[0038] 図3A図3Dに示すように、関数の集合が空間内の任意の関数を再構築するために使用できる場合、関数の集合は、空間の基底関数の集合であり得る。基底関数の集合は、所望の関数を近似するために、特定の基底関数の重みを計算するために使用することができる。図3で使用される基底関数は、矩形波関数300のフーリエ展開を計算するために使用される、正弦関数(例えば、異なる振幅および位相の正弦関数および/または余弦関数)である。第1のフーリエ展開310は、1つの基底関数のみを持つフーリエ展開であってもよく、単一の正弦関数で近似することによって、矩形波関数300を大まかに近似する。フーリエ展開の次数を第2のフーリエ展開320に増加すると、ある重みに応じて別の正弦関数が第1の正弦関数に加算されるので、矩形波関数300の近似はより良くなる(例えば、w*sin(x)+w2*cos(x))。第3フーリエ展開330および第4フーリエ展開340などの高次展開は、より多くの正弦波項が近似に追加されるため、矩形波関数300の近似の精度を高め得る。
【0030】
[0039] 一般に、周期が2Lの関数f(x)のフーリエ展開は、以下の式を用いて計算できる。
【数1】
【数2】
【数3】
【0031】
[0040] フーリエ展開の手法は、スペクトル基底フィルタを動作させるときに適用することができる。サブピクセル強度の線形結合を使用して、所望のスペクトルプロファイルを効率的に構築することができる。サブピクセル振動透過プロファイルの線形結合で重みを変化させることにより、スペクトルバンドエッジを連続的に、リアルタイムで、または完全なアレイが読み出された場合は後処理で調整することができる。
【0032】
[0041]図4Aおよび図4Bは、本発明の実施形態による、それぞれロングパスフィルタおよびノッチフィルタについての波長の関数としてのスペクトルプロファイルを示すプロットである。上述したように、スペクトル基底フィルタのサブピクセル強度の組み合わせの相対的重みを変化させることによって(例えば、図2の振動透過プロファイルで説明したように)、スペクトル基底フィルタのスペクトルプロファイルを連続的に調整してもよい。いくつかの実装において、完全なアレイが読み出される場合、画像の取得後に相対的重みを修正するために後処理を使用することができ、画像キャプチャ後に波長の関数としてのスペクトルプロファイルが修正可能になる。
【0033】
[0042] 図4Aおよび図4Bを参照すると、様々な光学フィルタを近似するためにサブピクセル振動透過プロファイルを組み合わせて使用してもよい。図4Aにおいて、9.25μm未満の波長に対する低透過率および9.25μmを超える波長に対する高透過率によって特徴付けられるロングパスフィルタ400が図示されている。したがって、基底ベクトルの相対的重み(すなわち、サブピクセル強度)を変化させることによって、9.25μmのロングパスフィルタを実装することができる。図4Bにおいて、9.8μm未満の波長に対する低透過率および9.8μm~10.2μmの間の高透過率によって特徴付けられるノッチフィルタ410が図示されている。したがって、10μmのノッチフィルタを実装することができる。これらのフィルタは、単に例示的なものであり、異なる帯域幅、中心波長、カットオフ波長などを有する他のフィルタは、本発明の実施形態によって実施することができる。
【0034】
[0043] さらに、フィルタは、フルアレイが読み出される場合、リアルタイムで、または後処理で調整されてもよい。例えば、初めにロングパスフィルタ400が実装されてもよいが、後処理において、ノッチフィルタ410がイメージングにより適していると判断されてもよい。サブピクセル振動透過プロファイルの線形結合における重みを調整することによって、スペクトル基底フィルタを含む光学システムが読み取る画像におけるコントラストを増強するため、スペクトルプロファイルを微調整されてもよい。このように、本技術は、スペクトルプロファイルを調整するために使用されるデータが、複数のサブピクセルに割り当てられる重みのセットであるため、低いデータ負荷を有する一方で、ハイパースペクトルの利点(例えば、高いスペクトル分解能)を提供する。さらに、各サブピクセルがスペクトルバンドパスにおける入射磁束の半分を通過するため、スペクトル基底フィルタの感度(例えば、収光効率に収光面積を掛けたも)は、高くなる。したがって、図2を参照すると、各振動透過プロファイルを通過する光は、8.0μm~10.5μm帯域にわたって平均50%の量子効率になる。したがって、8.0μm~10.5μmの帯域において、入射光の半分がスペクトル基底フィルタを通過する。さらに、収光領域(すなわち、スペクトル基底フィルタの全体の大きさ)は、従来の光学フィルタと比較して大きく、単一のサブピクセルの大きさに匹敵し得る。30μm×30μm程度のそれぞれのスーパーピクセルは、入射光を50%の量子効率で透過するため、スーパーピクセル全体で光を統合することで高感度化を実現している。したがって、本発明の実施形態は、スペクトルバンドパスに対する連続的な制御を提供することによって、画像コントラストの増強を可能にする。
【0035】
[0044] 図5A図5Dは、本発明の一実施形態による連続的なバンドエッジ変動性を示す波長の関数としてのバンドパスフィルタのスペクトルプロファイルを示すプロットである。これらの図は、本明細書に記載のスペクトル基底フィルタを用いて連続的なバンドエッジ変動を提供するバンドパスフィルタの波長の関数としての4つのスペクトルプロファイルを示す。図5A図5Dに示す例示的なスペクトルプロファイルにおいて、バンドパスフィルタのスペクトルバンドエッジは、サブピクセル振動透過プロファイルの線形結合が修正されるにつれて連続的に変化する。
【0036】
[0045] より具体的には、フーリエ展開は、サブピクセルの振動透過プロファイルを使用して計算され得る。例えば、関数f(λ)は次の式を使用して近似できる。
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
λはバンドパス短エッジ(例えば、図5Aに示す第1のバンドパスフィルタ500において9.0μm)、λはバンドパス長エッジ(例えば、第1のバンドパスフィルタ500において9.8μm)、λはスペクトル範囲カットオン(例えば、第1のバンドパスフィルタ500において8.0μm)λはスペクトル範囲カットオフ(例えば、第1のバンドパスフィルタ500において10.5μm)である。図5B図5Dに示すように、異なるスペクトル特性を提供するため、特定のバンドパスフィルタに関連するパラメータの他の値を使用できる。したがって、図5Bに示すバンドパスフィルタ510は、パラメータλ=9.05μm、λ= 9.85μm、λ=8.0μm、およびλ=10.5μmによって特徴づけられる。図5Cに示すバンドパスフィルタ520は、パラメータλ=9.1μm、λ=9.9μm、λ=8.0μm、およびλ=10.5μmによって特徴づけられる。図5Dに示されるバンドパスフィルタ530は、パラメータλ=9.15μm、λ=9.95μm、λ=8.0μm、およびλ=10.5μmによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、バンドパスフィルタのスペクトル帯域幅は、バンドパスフィルタ410におけるように、0.4μm程度であり得る。他の実施形態において、図5A図5Dに示すように、バンドパスフィルタのスペクトル帯域幅は、0.8μm程度であり得る。特定の設計応じて、スペクトル帯域幅は、特定のアプリケーションに応じて選択することができる。当業者は、多くの変形、修正、および代替を認識するであろう。
【0037】
[0046] 図6は、本発明の一実施形態によるロングパスフィルタ、ノッチフィルタ、および複数のバンドパスフィルタを生成するために使用される係数を示す表である。図6において、スペクトル特性および重みの係数に用いられる値は、それぞれ図4Aおよび図4Bに示すロングパスフィルタ400およびノッチフィルタ410、ならびに図5A図5Dにそれぞれ示すバンドパスフィルタ500~530に図示される。この例において、9つの係数a~aおよびb~bは、図1に示すスペクトル基底フィルタの9つのサブピクセル110、120、130、140、150、160、170、180、および190に対応する相対的重みのセットであり得る。定数係数aは、例えば、図1に示すサブピクセル150を用いて算出されてもよい。サブピクセル150は、図2の第9の透過プロファイル250によって示されるように、すべての光を均等に透過し、フーリエ展開の必要なオフセット(a)を計算するために使用することができる。
【0038】
[0047] 図5A図5Dに示す例は、連続的なバンドエッジの変動性を示す。バンドエッジは、各バンドパスフィルタ間で0.05μmずつ変化することを示す(例えば、第1のバンドパスフィルタ500に対応するバンドエッジは、第2のバンドパスフィルタ510において0.05μmシフトされる)。ただし、フーリエ展開を変化することで、バンドエッジの変化を小さくしたり大きくしたりしてもよい。図2に示す振動透過関数は連続であるため、フーリエ展開を修正することで、バンドエッジを連続的に調整してもよい。図6に示す表に含まれるスペクトルプロファイルは、スペクトル基底フィルタを備える光学システムのメモリにルックアップテーブルとして格納されてもよい。この表はルックアップテーブルとしてアクセスしてもよく、スペクトルプロファイルの1つまたは複数の特性、例えばバンドエッジλ、λ、λ、λを入力することにより、相対的重みa-aおよびb-bを受け取ることができる。当業者は、多くの変形、修正、および代替を認識するであろう。
【0039】
[0048] 図7は、本発明の一実施形態によるスーパーピクセルにおける各サブピクセルに対する波長の関数としての透過率のグラフ700である。図7において、薄膜を用いて構築されたサブピクセルの波長の関数としての透過率を示す。スペクトル基底フィルタにおいてサブピクセルを構築するために、単層の薄膜を用いてもよい。各サブピクセル上の薄膜の厚さと屈折率によって、サブピクセルの振動スペクトル透過プロファイルが決まる。波長の関数としての振動は、波数または周波数で表すこともできる。したがって、振動が正弦波になる波数空間においても同様の計算を実行できる。図7に示す透過プロファイルは、9つのサブピクセルについて、それぞれ0μm、3.5μm、3.8μm、8.5μm、8.8μm、13.5μm、13.8μm、18.5μm、18.8μmの薄膜厚に対応する。スペクトルスケールを波数から波長に変換すると、振動透過はバンドパス長辺で歪むが、一般的には図2で説明した振動透過プロファイルに従うことに留意する。したがって、フーリエ展開を使用して異なるフィルタを近似する手法は、サブピクセルが薄膜の単層を使用して構築される場合に適用され得る。他の実施形態において、類似の振動透過プロファイルを有するサブピクセルを構築するために薄膜の複数の層を使用してもよい。
【0040】
[0049] 図7に示す実施形態において、スペクトル基底フィルタの複数のサブピクセルの各々は、単層の薄膜材料を用いて構成される。薄膜は、例えば、フィルタ基板上(例えば、ゲルマニウム、シリコン、硫化亜鉛、セレン化亜鉛など)にスーパーピクセルアレイ寸法に対応するアレイ形式で均一な層として堆積された材料(例えば、ゲルマニウム、シリコン、硫化亜鉛、セレン化亜鉛など、赤外線において実質的に透明である高屈折率材料)の1つまたは複数の層を含んでもよい。次いで、サブピクセルアレイは、アレイ内の各サブピクセルについて所望の膜厚を達成するために、(例えば、リソグラフィおよび時限エッチングを通じて)パターニングされてもよい。いくつかの実施形態において、薄膜(1つまたは複数)は、焦点面アレイ上に直接堆積されてもよい。
【0041】
[0050] 図7は、厚さの異なる単層薄膜で構成されたサブピクセルに対応する振動透過プロファイルを示す。したがって、第1の振動透過プロファイル710は、厚さ0.0μmの薄膜に対応してもよく、対応するサブピクセルは、波長とは無関係に、すべての光を均等に透過することを意味する。第2の振動透過プロファイル720は、厚さ3.5μmの薄膜に対応してもよい。他の7つの振動透過プロファイル730、740、750、760、770、780および790は、図7に示すように、それぞれ3.8μm、8.5μm、8.8μm、13.5μm、13.8μm、18.5μmおよび18.8μmの範囲の薄膜の厚さに対応する。
【0042】
[0051] 各サブピクセルが同じ材料、例えばセレン化亜鉛基板上に堆積されたゲルマニウムを含むが異なる厚さを有する単層薄膜が使用されてもよいが、本発明の実施形態はこの特定の実装に限定されない。他の実施形態において、各サブピクセルは異なる材料を含むことができ、サブピクセルのうちのいくつかは単一の材料を含むことができる一方で、他のサブピクセルは2つ以上の材料を含むことができる、など、異なる材料の複数の層を使用することができる。当業者は、多くの変形、修正、および代替を認識するであろう。
【0043】
[0052] 図8は、スペクトル基底フィルタを備える光学システムのブロック図を示す。光学システムは、物体800を撮像するために使用され得る。物体800は、スペクトル基底フィルタ810を透過する光信号(例えば、赤外光など)を放射し得る。スペクトル基底フィルタ810における1つまたは複数のスーパーピクセルは、1つまたは複数のスーパーピクセル内のサブピクセルのアレイに従って受信された光信号をフィルタリングし得る。光信号をフィルタリングした後、スペクトル基底フィルタに光学的に結合された検出器820は、検出器の各ピクセル、例えば焦点面アレイに関連付けられた強度値を受信するために光信号を読み出し得る。検出器内の各ピクセルは、焦点面アレイであってもよく、スペクトル基底フィルタ810の各スーパーピクセルについて、サブピクセルのアレイ内のサブピクセルのうちの1つの透過に関連付けられ得る。
【0044】
[0053] スペクトル基底フィルタ810のすべてのサブピクセルについての強度値を受信した後、検出器820は、強度値をコンピュータ830に送信してもよく、コンピュータ830は計算モジュールとして実装することができる。コンピュータ830は、複数のサブピクセルから受信した各強度値に適用される相対的重みの第1のセットを決定し得る。コンピュータ830は、強度値に適用されるスペクトルプロファイルを決定し得る。例えば、スペクトルプロファイルの特性は、バンドエッジと一般的な形状を含むことが出来る。所望のスペクトルプロファイルを強度値に適用するために、コンピュータ830は、図6に示された表と同様の表を格納し、9.00~9.80μmのバンドパスフィルタが適用されることを決定する。次に、コンピュータ830は、表にアクセスし、9.00~9.80μmのバンドパスフィルタに関連付けられた相対的重みa~aおよびb~bの第1のセットを取り出し、対応するサブピクセルの強度値に適切な相対的重みを適用してもよい。他の例において、フーリエ展開は、適用される相対的重みの第1のセットを計算するために、強度値を受け取る前または後に実行されてもよい。スペクトル基底フィルタ810における1つまたは複数のスーパーピクセルのそれぞれについて、第1の出力(例えば、第1の画像)を決定するために、1つまたは複数のスーパーピクセル内の対応するサブピクセルに第1の相対的重みのセットを適用してもよい。このようにして、コンピュータ/計算モジュールは、スーパーピクセルに対するサブピクセル信号強度の重み付け和において、所定数のサブピクセルのそれぞれによって送信される信号強度を効果的に変調する。
【0045】
[0054] コンピュータ830、またはコンピュータ830を操作するユーザは、第1の出力画像のコントラストを増大させるために、第2の相対的重みのセットが計算され得ることを決定してもよい。次いで、コンピュータ830は、表にアクセスするか、または相対的重みの第2のセットを決定するため第2のフーリエ展開を計算してもよい。次いで、相対的重みの第2のセットは、第2の出力(例えば、第2の画像)を決定するために、1つまたは複数のスーパーピクセル内の対応するサブピクセルに適用され得る。第1のコントラストスコアは、第1の画像について計算されてもよく、第2のコントラストスコアは、第2の画像について計算されてもよい。コントラストスコアは、例えば、画像全体にわたる強度値のレベルおよびスパンから決定され得る。コントラストスコアを計算した後、コンピュータ830は、第1のコントラストスコアを第2のコントラストスコアと比較し得る。第1のコントラストスコアが第2のコントラストスコアよりも大きい(例えば、第1の画像は第2の画像よりも大きなコントラストを有する)場合、コンピュータ830は、相対的重みの第1のセットを強度値に再適用し得る。第1のコントラストスコアが第2のコントラストスコアよりも小さい場合、コンピュータ830は、第2の画像をそのままにしておくか、または第2のコントラストスコアをさらに改善するために、第3の相対的重みのセットの決定を試み得る。
【0046】
[0055] 図9は、本発明の一実施形態によるスーパーピクセルの3つのサブピクセルを示す断面図である。図9に示すように、図1に示されるサブピクセル110、120および130は、図7との関係で論じたように、薄膜の厚さを変化させる。図9を参照すると、サブピクセル110は、厚さ3.5μm、横幅10μm、サブピクセル120は、厚さ3.8μm、横幅10μm、サブピクセル130は、厚さ8.5μm、横幅10μmである。これらの厚さは、図7の振動透過プロファイル720、730および740の厚さに対応する。この例示的な実施形態における他の6つのピクセルは、サブピクセルのうちの1つ、例えば、スーパーピクセルにおける中央のサブピクセルについて0.0μmの厚さ(すなわち、薄膜なし)を含む、図7に示す6つの他の振動透過プロファイルに関連する厚さを有するであろう。図9におけるサブピクセルの配置は、その一例であるが、リソグラフィ処理または光学性能を最適化するために、他の構成が選択されてもよい。
【0047】
[0056] 上述したように、図9に図示された薄膜は、基板905上に均一な厚さの層を堆積させ、次いで、リソグラフィおよびエッチングを使用して各サブピクセルの厚さを定義することによって製造することができる。サブピクセル間の分離は、図9に示すようにスペクトル基底フィルタにおいて実装することができるが、これは本発明では要求されない。
【0048】
[0057] 図10は、本発明の一実施形態による光学フィルタのスペクトルプロファイルを定義する方法を示す簡略化されたフローチャートである。方法1000は、スペクトルプロファイルの1つまたは複数の特性を決定することを含む(1010)。スペクトルプロファイルの1つまたは複数特性は、バンドパス短エッジ、バンドパス長エッジ、スペクトル範囲カットオン、またはスペクトル範囲カットオフのうちの少なくとも1つを含むことができる。また、本方法は、複数のサブピクセル(1012)のそれぞれについて透過プロファイルを定義することも含む。所定数の複数のサブピクセルは、波長の関数として振動透過プロファイルによって特徴付けられる。複数のサブピクセルの複数のそれぞれについて透過プロファイルを定義することは、図9に示すように、複数のサブピクセルのそれぞれに関連付けられた薄膜の厚さを決定することを含むことができる。
【0049】
[0058] 本方法は、相対的な重ね合わせ重みのセットを複数のサブピクセルのそれぞれに関連付けることをさらに含む(1014)。いくつかの実施形態において、相対的重みのセットは、スペクトルプロファイルの1つまたは複数の特性を使用して重みのルックアップテーブルにアクセスすることによって決定される。一実施形態において、本方法は、光学フィルタの出力を用いて第1のコントラストスコアを決定すること、相対的重みの修正されたセットを決定するため相対的重みのセットにおける少なくとも1つの重みを修正すること、相対的重みの修正されたセットの修正された重みを複数のサブピクセルの各々と関連付けること、相対的重みの修正されたセットを有する光学フィルタの出力を用いて第2のコントラストスコアを決定し、第2のコントラストスコアが第1のコントラストスコアよりも大きいと判定することも含む。
【0050】
[0059] 図10に示される特定のステップは、本発明の一実施形態による光学フィルタのスペクトルプロファイルを定義する特定の方法を提供することを理解されたい。ステップの他のシーケンスもまた、代替実施形態に従って実行され得る。例えば、本発明の代替実施形態は、上記で概説したステップを異なる順序で実行してもよい。さらに、図10に図示される個々のステップは、個々のステップに適宜、様々な順序で実行され得る複数のサブステップを含んでもよい。さらに、特定のアプリケーションに応じて、追加のステップを追加または削除してもよい。当業者は、多くの変形、修正、および代替を認識するであろう。
【0051】
[0060] 図11は、本発明の一実施形態による方法を示す簡略化されたフローチャートである。方法1100は、複数のスーパーピクセル(1110)を含む光学フィルタを通して光信号を透過することを含む。複数のスーパーピクセルの各々は、複数のサブピクセルを含む。所定数の複数のサブピクセルは、波長の関数として振動透過プロファイルによって特徴付けられる。複数のサブピクセルのうちの1つは、波長の関数として均一な透過プロファイルによって特徴付けられ、それによって、スーパーピクセルの解像度における状況認識を提供することができる。このサブピクセルは、フーリエ展開のオフセット(つまり、a)を提供することもできる。
【0052】
[0061]本方法は、検出器の各ピクセルに関連付けられた受信強度値も含む(1112)。検出器の各ピクセルは、焦点面アレイとすることができ、複数のサブピクセルのうちの1つに関連付けられる。本方法は、複数のスーパーピクセルのそれぞれについて、複数のサブピクセルのサブピクセルに関連付けられた対応する強度値に相対的重みのセットを適用し(1114)、出力データを決定する(1116)ことをさらに含む。相対的重みのセットは、スペクトルプロファイルを使用して相対的重みのルックアップテーブルから取得できる。あるいは、相対的重みのセットは、スペクトルプロファイルのフーリエ展開を使用して計算できる。
【0053】
[0062] いくつかの実施形態において、本方法は、第2の相対的重みのセットを生成するために、第1の相対的重みのセットを修正し、および、複数のスーパーピクセルのそれぞれについて、第2の相対的重みのセットの重みを複数のサブピクセルの対応するサブピクセルに適用し、第2の出力データを決定することをさらに含む。相対的重みの第1のセットの修正することは、スペクトルプロファイルを使用した重みのルックアップテーブルへのアクセスを含むことが出来る。第1の相対的重みのセットを修正することは、第1の出力データから第1のコントラストスコアを決定すること、相対的重みの修正されたセットを提供するため、第1の相対的重みのセットにおける少なくとも1つの重みを修正すること、相対的重みの修正されたセットの重みを複数のサブピクセルの対応するサブピクセルに適用させること、第2の出力データから第2のコントラストスコアを決定し、第1のコントラストスコアを第2のコントラストスコアと比較することを含むことができる。第1のコントラストスコアが第2のコントラストスコアよりも大きい場合、第1のコントラストスコアに関連付けられた第1の重みのセットは、複数のサブピクセルに再適用することができる。
【0054】
[0063] 図11に示す特定のステップは、本発明の一実施形態による特定の方法を提供することを理解されたい。ステップの他のシーケンスもまた、代替実施形態によって実行され得る。例えば、本発明の代替実施形態は、上記で概説したステップを異なる順序で実行してもよい。さらに、図11に示す個々のステップは、個々のステップに適宜、様々な順序で実行され得る複数のサブステップを含んでもよい。さらに、特定のアプリケーションに応じて、追加のステップを追加または削除してもよい。当業者は、多くの変形、修正、および代替を認識するであろう。
【0055】
[0064] 本発明の実施形態は、データ伝送帯域幅を減少させながら、光学システムを使用して画像データの収集を可能にする。一例として、スペクトルプロファイルは、例えば、0.8μmの帯域幅を有する9.4μmを中心とするバンドパスフィルタを定義することができる。このスペクトルプロファイルまたはこのスペクトルプロファイルへの近似を生成する各サブピクセルに関連付けられた重みのセットを計算して光学システムに提供でき、光学システムは、例えば、ドローンに搭載することができる。画像取得中に、焦点面アレイのピクセルの強度値が測定され、各ピクセルはサブピクセルの1つに対応する。処理は、図6に関連して論じたように、対応する各サブピクセルに適切な重みを適用し、スーパーピクセル解像度で画像を生成する光学システムのプロセッサによって実行することができる。この場合、処理後、例えば1024×1024の解像度のスーパーピクセル解像度の画像が生成される。したがって、スーパーピクセル解像度が焦点面アレイ解像度の数分の一(例えば、1/9)であり得るため、本発明の実施形態は、通信帯域幅を低減することができる。
【0056】
[0065]本発明の実施形態は、画定されたスペクトルプロファイルを有する完全なサブピクセルアレイ解像度の解釈も含む。スーパーピクセルは焦点面アレイ上で空間的に周期的であるため、すべてのサブピクセルは、焦点面アレイに隣接するサブピクセルを除いて、スーパーピクセル値を生成するために必要な8つの相補サブピクセルに囲まれている。したがって、焦点面アレイは、各サブピクセルをスーパーピクセルの中心として扱うことにより、選択されたバンドパスで3070×3070の解像度の画像を生成することができる。
【0057】
[0066] 図1に関連して、スーパーピクセル105は、サブピクセル110、120、130、140、150、160、170、180および190の集合体として説明され、サブピクセル150を中心とする3×3サブピクセルアレイである。スーパーピクセル103は、サブピクセル182、192、173、120、130、111、150、160および141の集合体、およびサブピクセル130を中心とする3×3サブピクセルアレイとしても定義することができる。スーパーピクセル103のサブピクセルは、スーパーピクセル105で使用されるのと同様のスペクトルフィルタのセットを有する。明示的には、サブピクセル182はサブピクセル180と同様のフィルタを有し、サブピクセル192はサブピクセル190と同様のフィルタを有し、サブピクセル173およびサブピクセル170、サブピクセル111およびサブピクセル110、ならびにサブピクセル141およびサブピクセル140についても同様である。したがって、1つまたは複数の第1のスーパーピクセルの所定数のサブピクセルもまた、第2のスーパーピクセルのサブピクセルであり得る。
【0058】
[0067] サブピクセル強度を結合して、定義されたバンドパスを有するスーパーピクセルを生成するために、本明細書に記載の同じプロセスを、スペクトル基底フィルタ100における各サブピクセルに適用することができる。その結果、3072×3072解像度のピクセルアレイから、完全なスペクトルバンドパス制御を備えた3070×3070解像度の画像を生成することができる。光学システムは、スーパーピクセルの大きさに匹敵するぼかし円用に設計され得るので、この動作モードは、空間的にオーバーサンプリングされた画像を生成することができ、これは、当業者に明らかな利点を有する。
【0059】
[0068] 他の実施形態において、焦点面アレイのピクセルの強度値を、処理のために別個のシステムに送信することができる。この場合、画像データの解像度は、焦点面アレイのピクセル解像度と一致し、データ通信帯域幅は、焦点面アレイの解像度、例えば、3072×3072の解像度に対応する。焦点面アレイの解像度で画像データを送信し、後処理を実行することにより、異なる重みのセットを画像データに適用できる。単に例として、第1の重みのセットを用いて、適切な重みを対応する各サブピクセルに適用し、第1のスペクトルプロファイル、例えば、0.8μmの帯域幅を有する9.4μmを中心とするバンドパスフィルタによって特徴付けられる画像を生成することができる。続いて、第2のスペクトルプロファイルに対応する第2の重みのセット、例えば、0.8μmの帯域幅を有する9.45μmを中心とするバンドパスフィルタを画像データに適用することができ、その結果、第2のスペクトルプロファイルによって特徴付けられる画像が得られる。重みの追加セットを使用して、この例において、所定の波長範囲にわたってバンドパスフィルタを掃引し、様々なスペクトルプロファイルのそれぞれに対応する画像データを生成することによって、スペクトルプロファイルを修正することができる。
【0060】
[0069] したがって、所定のスペクトルプロファイルを有するスペクトルフィルタを使用する従来のイメージングシステムとは対照的に、本発明の実施形態は、画像データを、波長の範囲(例えば、8μm~10.5μm)にわたって収集し、次いで、後処理して、異なるスペクトルプロファイルにそれぞれ関連付けられた一連の画像を提供することを可能にする。特定の実施形態において、他の画像に関連付けられた他のコントラストスコアよりも高いコントラストスコアを有する画像を選択することによって、画像コントラストを強化することができる。画像データが焦点面アレイの解像度で記録される場合、後処理は、スペクトルプロファイルを修正することができ、それによって、記録された画像データに異なるスペクトルプロファイルを適用し、後処理中に異なるスペクトルプロファイルに関連付けられた画像データを生成する。
【0061】
[0070] 重みのセットを使用した画像処理は、光学システムのプロセッサによって実行できることを理解されたい。上記で論じた例を続けると、光学システムのプロセッサによって、様々な重みのセットを画像データに適用し、対象の波長範囲にわたってバンドパスフィルタを効果的に掃引することができる。続いて、光学システムによって生成された画像のうちの1つまたは複数は、光学システムと通信する地上局などの別個のシステムに送信することができ、上述したように、ドローンに搭載することができる。さらに、自動ゲイン制御と同様の方法で、画像データのスペクトル調整を実行して画像のコントラストを高めることにより、自動コントラスト制御を実現できる。画像データを取得する際に、画像内の画像コントラストを測定するために様々な重み付けのセットを画像データに適用し、これにより、コントラストを高めた画像を生成し、コントラストを自動制御することができる。当業者は、多くの変形、修正、および代替を認識するであろう。
【0062】
[0071] 上記の説明は例示であり、限定的ではない。本発明の多くの変形は、開示の検討時に当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、代わりに、それらの全範囲または均等物とともに係属中の請求項を参照して決定されるべきである。
【0063】
[0072] 任意の実施形態からの1つまたは複数の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の任意の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わされてもよい。
【0064】
[0073] 本明細書で用いる場合、「1つの」、または「その」の使用は、特に反対に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味することを意図する。
【0065】
[0074] 本開示の原則は、特定の装置および方法に関連して上述したが、この説明は、一例としてのみなされ、本開示の範囲に対する限定としてなされていないことが明確に理解されるべきである。
【0066】
[0075] また、本明細書に記載の例および実施例は例示のみを目的としており、それに照らして様々な修正または変更が当業者に提案され、本出願の精神および範囲および添付の特許請求の範囲に含まれるべきであることも理解されたい。





















図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】