(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ランダムアクセス方法、装置、電子デバイスおよび記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 74/0833 20240101AFI20240702BHJP
H04W 48/08 20090101ALI20240702BHJP
【FI】
H04W74/0833
H04W48/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578112
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 CN2022133550
(87)【国際公開番号】W WO2023093729
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111397106.6
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518056748
【氏名又は名称】新華三技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】NEW H3C TECHNOLOGIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】高 ▲テイ▼▲テイ▼
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA15
5K067DD11
5K067DD24
5K067EE02
5K067EE10
5K067HH24
(57)【要約】
本発明は、ランダムアクセス方法、装置、電子デバイスおよび記憶媒体を提供する。当該方法では、異なるサービスに対して異なるプリアンブル範囲と異なる優先度を設定することにより、ユーザ端末が、自身が搬送するサービスに対応するプリアンブル範囲からプリアンブルを選択して基地局に送信する。基地局は、取得した各プリアンブルに対応するサービスの優先度に従って、ユーザ端末のアクセスに応答する。これにより、優先度の高い(遅延に対する要求が高い)サービスを搬送するユーザ端末のアクセスを優先的に応答し、システム全体の応答効率を向上させ、ユーザ端末のアクセス遅延を低減することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局に適用されるランダムアクセス方法であって、
サービスに割り当てられたプリアンブル範囲を含むシステムメッセージをユーザ端末に送信するステップであって、前記基地局にサービスの優先度が予め設定される、ステップと、
前記ユーザ端末から送信されたランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信するステップであって、前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージは、前記ユーザ端末が自身のサービスに対応するプリアンブル範囲から選択した第1のプリアンブルを含む、ステップと、
取得した各第1のプリアンブルが属するプリアンブル範囲に対応するサービスの優先度に従って、各第1のプリアンブルの中から少なくとも1つの第2のプリアンブルを選択するステップと、
前記少なくとも1つの第2のプリアンブルを含むランダムアクセス応答メッセージを前記ユーザ端末に送信するステップと、を含む、
ことを特徴とするランダムアクセス方法。
【請求項2】
ランダムアクセス応答メッセージを前記ユーザ端末に送信する前に、さらに、
受信したランダムアクセスプリアンブルメッセージの各々について、前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信したときの受信電力を取得するステップと、
前記受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、前記ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC)パラメータを決定するステップと、
前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージに含まれる前記第1のプリアンブルと前記TPCパラメータとの対応関係を確立するステップと、
第2のプリアンブルの各々について、前記第2のプリアンブルに対応するTPCパラメータを前記ランダムアクセス応答メッセージに追加することにより、前記第2のプリアンブルを選択したユーザ端末が、前記対応するTPCパラメータを用いて、後続のアクセス要求メッセージを送信するための送信電力を調整するようにするステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、前記ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC)パラメータを決定するステップは、
前記受信電力と前記所望電力との間の第1の電力差を取得するステップと、
前記第1の電力差の半分を丸め、第2の電力差を得るステップと、
予め設定された電力差とTPCパラメータとの対応関係から、前記第2の電力差に対応するTPCパラメータを、前記ユーザ端末の送信電力を調整するためのTPCパラメータとして探索するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
再アクセス手順における前記ランダムアクセス応答メッセージを受信したユーザ端末によって送信された再アクセス要求メッセージを受信するステップであって、前記再アクセス要求メッセージは、前記ユーザ端末の識別子を含み、前記ユーザ端末の識別子は、前記再アクセス要求メッセージに含まれる最初のサブプロトコルデータユニット(PDU)にある、ステップと、
前記最初のサブPDUを解析することにより、現在再アクセス手順を実行している前記ユーザ端末の識別子を取得するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ランダムアクセス応答メッセージを前記ユーザ端末に送信する前に、
前記第2のプリアンブルのサイズの昇順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加することにより、前記ユーザ端末が、自身のプリアンブルのサイズ以上の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止するようにする、あるいは、
前記第2のプリアンブルのサイズの降順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加することにより、前記ユーザ端末が、自身のプリアンブルのサイズ以下の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止するようにするステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
基地局に適用されるランダムアクセス装置であって、
サービスに割り当てられたプリアンブル範囲を含むシステムメッセージをユーザ端末に送信するための送信ユニットであって、前記基地局にサービスの優先度が予め設定される、送信ユニットと、
前記ユーザ端末から送信されたランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信するための受信ユニットであって、前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージは、前記ユーザ端末が自身のサービスに対応するプリアンブル範囲から選択された第1のプリアンブルを含む、受信ユニットと、
取得した各第1のプリアンブルが属するプリアンブル範囲に対応するサービスの優先度に従って、各第1のプリアンブルの中から少なくとも1つの第2のプリアンブルを選択するための選択ユニットと、を含み、
前記送信ユニットはさらに、前記少なくとも1つの第2のプリアンブルを含むランダムアクセス応答メッセージを前記ユーザ端末に送信するために用いられる、
ことを特徴とするランダムアクセス装置。
【請求項7】
受信したランダムアクセスプリアンブルメッセージの各々について、前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信したときの受信電力を取得するための取得ユニットと、
前記受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、前記ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC)パラメータを決定するための決定ユニットと、
前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージに含まれる前記第1のプリアンブルと前記TPCパラメータとの対応関係を確立するための確立ユニットと、
第2のプリアンブルの各々について、前記第2のプリアンブルに対応するTPCパラメータを前記ランダムアクセス応答メッセージに追加することにより、前記第2のプリアンブルを選択したユーザ端末が、前記対応するTPCパラメータを用いて、後続のアクセス要求メッセージを送信するための送信電力を調整するようにするための追加ユニットと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、前記ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC)パラメータを決定するステップは、
前記受信電力と前記所望電力との間の第1の電力差を取得するステップと、
前記第1の電力差の半分を丸め、第2の電力差を得るステップと、
予め設定された電力差とTPCパラメータとの対応関係から、前記第2の電力差に対応するTPCパラメータを、前記ユーザ端末の送信電力を調整するためのTPCパラメータとして探索するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記受信ユニットはさらに、再アクセス手順における前記ランダムアクセス応答メッセージを受信したユーザ端末によって送信された再アクセス要求メッセージを受信するために用いられ、前記再アクセス要求メッセージは、前記ユーザ端末の識別子を含み、前記ユーザ端末の識別子は、前記再アクセス要求メッセージに含まれる最初のサブプロトコルデータユニット(PDU)にあり、
前記装置はさらに、前記最初のサブPDUを解析することにより、現在再アクセス手順を実行している前記ユーザ端末の識別子を取得するための解析ユニットを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記追加ユニットはさらに、
前記第2のプリアンブルのサイズの昇順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加することにより、前記ユーザ端末が、自身のプリアンブルのサイズ以上の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止するようにする、あるいは、
前記第2のプリアンブルのサイズの降順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加することにより、前記ユーザ端末が、自身のプリアンブルのサイズ以下の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止するようにするために用いられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項11】
電子デバイスであって、プロセッサと、機械可読記憶媒体とを含み、
前記機械可読記憶媒体には前記プロセッサによって実行可能な機械実行可能命令が記憶されており、
前記プロセッサは、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法を実施するように機械実行可能命令を実行するために用いられる、
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項12】
機械実行可能命令が記憶されている非一時的な機械可読記憶媒体であって、前記機械実行可能命令がプロセッサによって実行されると、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法を実施する、
ことを特徴とする非一時的な機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術の分野に関し、特に、ランダムアクセス方法、装置、電子デバイスおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ランダムアクセスは、無線通信ネットワークにおける最も基本的な処理メカニズムである。ユーザ端末は、ランダムアクセスにより基地局との無線リンクを確立し、上り同期を実現し、上りリソースを取得する。その上で、サービス接続を確立し、端末と基地局との間のデータのやり取りを実現することができる。
【0003】
ランダムアクセスは、主に競合ベースランダムアクセスと非競合ベースランダムアクセスに分けられる。競合ベースランダムアクセスとは、ユーザ端末がランダムにプリアンブルを選択して基地局へのアクセスを開始するが、各ユーザ端末が同じプリアンブルを選択して競合を発生させる可能性があり、最終的には競合解決メカニズムによってユーザ端末がアクセスできるようになる方法である。
【0004】
競合ベースランダムアクセスでは、基地局は、受信したプリアンブルの順序に従って、ランダムアクセス応答メッセージを各ユーザ端末に順次返す。当該ランダムアクセス応答メッセージの応答速度は、ユーザ端末のアクセス遅延(レイテンシ)に直接影響する。アクセス遅延に対する要求が高い適用シナリオでは、既存のランダムアクセス方式は依然としてアクセス遅延が比較的高いという問題がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、アクセス遅延を低減するためのランダムアクセス方法および装置を提供する。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を提供する。
【0007】
本発明の第1の態様では、基地局に適用されるランダムアクセス方法を提供し、当該方法は、
サービスに割り当てられたプリアンブル範囲を含むシステムメッセージをユーザ端末に送信するステップであって、前記基地局にサービスの優先度が予め設定される、ステップと、
前記ユーザ端末から送信されたランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信するステップであって、前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージは、前記ユーザ端末が自身のサービスに対応するプリアンブル範囲から選択した第1のプリアンブルを含む、ステップと、
取得した各第1のプリアンブルが属するプリアンブル範囲に対応するサービスの優先度に従って、各第1のプリアンブルの中から少なくとも1つの第2のプリアンブルを選択するステップと、
前記少なくとも1つの第2のプリアンブルを含むランダムアクセス応答メッセージを前記ユーザ端末に送信するステップと、を含む。
【0008】
オプションで、ランダムアクセス応答メッセージを前記ユーザ端末に送信する前に、前記方法はさらに、
受信したランダムアクセスプリアンブルメッセージの各々について、前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信したときの受信電力を取得するステップと、
前記受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、前記ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC:Transmit power control)パラメータを決定するステップと、
前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージに含まれる前記第1のプリアンブルと前記TPCパラメータとの対応関係を確立するステップと、
第2のプリアンブルの各々について、当該第2のプリアンブルに対応するTPCパラメータを前記ランダムアクセス応答メッセージに追加することにより、前記第2のプリアンブルを選択したユーザ端末が、前記対応するTPCパラメータを用いて、後続のアクセス要求メッセージを送信するための送信電力を調整するようにするステップと、を含む。
【0009】
オプションで、前記受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、前記ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC)パラメータを決定するステップは、
前記受信電力と前記所望電力との間の第1の電力差を取得するステップと、
前記第1の電力差の半分を丸め、第2の電力差を得るステップと、
予め設定された電力差とTPCパラメータとの対応関係から、前記第2の電力差に対応するTPCパラメータを、前記ユーザ端末の送信電力を調整するためのTPCパラメータとして探索するステップと、を含む。
【0010】
オプションで、前記方法は、再アクセス手順における前記ランダムアクセス応答メッセージを受信したユーザ端末によって送信された再アクセス要求メッセージを受信するステップであって、前記再アクセス要求メッセージは、前記ユーザ端末の識別子を含み、前記ユーザ端末の識別子は、前記再アクセス要求メッセージに含まれる最初のサブプロトコルデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)にある、ステップと、
前記最初のサブPDUを解析することにより、現在再アクセス手順を実行している前記ユーザ端末の識別子を取得するステップと、をさらに含む。
【0011】
オプションで、ランダムアクセス応答メッセージを前記ユーザ端末に送信する前に、前記方法は、
前記第2のプリアンブルのサイズの昇順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加することにより、前記ユーザ端末が、自身のプリアンブルのサイズ以上の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止するようにする、あるいは、
前記第2のプリアンブルのサイズの降順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加することにより、前記ユーザ端末が、自身のプリアンブルのサイズ以下の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止するようにするステップをさらに含む。
【0012】
本発明の第2の態様では、基地局に適用されるランダムアクセス装置を提供し、当該装置は、
サービスに割り当てられたプリアンブル範囲を含むシステムメッセージをユーザ端末に送信するための送信ユニットであって、前記基地局にサービスの優先度が予め設定される、送信ユニットと、
前記ユーザ端末から送信されたランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信するための受信ユニットであって、前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージは、前記ユーザ端末が自身のサービスに対応するプリアンブル範囲から選択した第1のプリアンブルを含む、受信ユニットと、
取得した各第1のプリアンブルが属するプリアンブル範囲に対応するサービスの優先度に従って、各第1のプリアンブルの中から少なくとも1つの第2のプリアンブルを選択するための選択ユニットと、を含み、
前記送信ユニットはさらに、前記少なくとも1つの第2のプリアンブルを含むランダムアクセス応答メッセージを前記ユーザ端末に送信するために用いられる。
【0013】
オプションで、前記装置は、受信したランダムアクセスプリアンブルメッセージの各々について、前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信したときの受信電力を取得するための取得ユニットと、
前記受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、前記ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC)パラメータを決定するための決定ユニットと、
前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージに含まれる前記第1のプリアンブルと前記TPCパラメータとの対応関係を確立するための確立ユニットと、
第2のプリアンブルの各々について、前記第2のプリアンブルに対応するTPCパラメータを前記ランダムアクセス応答メッセージに追加することにより、前記第2のプリアンブルを選択したユーザ端末が、前記対応するTPCパラメータを用いて、後続のアクセス要求メッセージを送信するための送信電力を調整するようにするための追加ユニットと、をさらに含む。
【0014】
オプションで、前記受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、前記ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC)パラメータを決定するステップは、
前記受信電力と前記所望電力との間の第1の電力差を取得するステップと、
前記第1の電力差の半分を丸め、第2の電力差を得るステップと、
予め設定された電力差とTPCパラメータとの対応関係から、前記第2の電力差に対応するTPCパラメータを、前記ユーザ端末の送信電力を調整するためのTPCパラメータとして探索するステップと、を含む。
【0015】
オプションで、前記受信ユニットはさらに、再アクセス手順における前記ランダムアクセス応答メッセージを受信したユーザ端末によって送信された再アクセス要求メッセージを受信するために用いられ、前記再アクセス要求メッセージは、前記ユーザ端末の識別子を含み、前記ユーザ端末の識別子は、前記再アクセス要求メッセージに含まれる最初のサブプロトコルデータユニット(PDU)にあり、
前記装置はさらに、前記最初のサブPDUを解析することにより、現在再アクセス手順を実行している前記ユーザ端末の識別子を取得するための解析ユニットを含む。
【0016】
オプションで、前記追加ユニットはさらに、
前記第2のプリアンブルのサイズの昇順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加することにより、前記ユーザ端末が、自身のプリアンブルのサイズ以上の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止するようにする、あるいは、
前記第2のプリアンブルのサイズの降順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加することにより、前記ユーザ端末が、自身のプリアンブルのサイズ以下の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止するようにするために用いられる。
【0017】
本発明の第3の態様では、電子デバイスを提供し、当該電子デバイスは、プロセッサと、機械可読記憶媒体とを含み、
前記機械可読記憶媒体には前記プロセッサによって実行可能な機械実行可能命令が記憶されており、
前記プロセッサは、上記方法のステップを実施するように機械実行可能命令を実行するために用いられる。
【0018】
本発明の第4の態様では、機械実行可能命令が記憶されている非一時的な機械可読記憶媒体を提供し、当該機械可読記憶媒体にはされており、前記機械実行可能命令がプロセッサによって実行されると、上記方法のステップを実施する。
【発明の効果】
【0019】
以上の説明から分かるように、本発明の実施形態では、異なるサービスに対して異なるプリアンブル範囲と異なる優先度を設定することにより、ユーザ端末が、自身が搬送するサービスに対応するプリアンブル範囲からプリアンブルを選択して基地局に送信する。基地局は、取得した各プリアンブルに対応するサービスの優先度に従って、ユーザ端末のアクセスに応答する。これにより、優先度の高い(遅延に対する要求が高い)サービスを搬送するユーザ端末のアクセスを優先的に応答し、システム全体の応答効率を向上させ、ユーザ端末のアクセス遅延を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の実施形態における技術的解決策をより明確に説明するために、以下、実施形態の説明に必要な添付図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における添付図面は本発明のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとって、これらの図面に基づいて創造的な労力をかけずに他の添付図面を得ることができる。
【0021】
【
図1】ユーザ端末の初期アクセス時のインタラクションフローを示す概略図である。
【
図2】ユーザ端末の再アクセス時のインタラクションフローを示す概略図である。
【
図3】本発明の実施形態によるランダムアクセス方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態によるユーザ端末の送信電力を調整するための実施フローである。
【
図5】本発明の実施形態によるステップS402の実施フローである。
【
図6】本発明の実施形態によるランダムアクセス装置の構成図である。
【
図7】本発明の実施形態による電子デバイスのハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書では、添付図面に示す実施例について詳細に説明する。以下の説明が添付図面に言及している場合、異なる図面における同様の数字は、特に断らない限り、同じまたは類似の要素を指す。以下の実施例に記載される実施形態は、本発明と一致するすべての実施形態を表すものではない。
【0023】
本発明において使用される用語は、特定の実施例を説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の実施形態および添付の特許請求の範囲において使用される単数形の「1つ」、「前記」および「当該」は、文脈が他の意味を明確に示さない限り、複数形も含むことも意図される。また、本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連する列挙されたアイテムの1つまたは複数のあらゆる可能な組み合わせを意味し、包含することを理解されたい。
【0024】
本発明の実施形態における「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、様々な情報を説明するために使用されるものであり、そのような情報はこれらの用語に限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、同じタイプの情報を互いに区別するために使用される。例えば、本発明の実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の情報を第2の情報とも称することができ、同様に、第2の情報を第1の情報とも称することができる。文脈によっては、本明細書で使用される「場合」という用語は、「…時」、「…際」、または「と判断される」と解釈される。
【0025】
本発明の目的、技術案および利点をより明確にするために、以下、添付図面と具体的な実施形態と組み合わせて本発明を詳細に説明する。
【0026】
図1は、ユーザ端末の初期アクセス時のインタラクションフローを示す概略図である。
図1に示すように、当該インタラクションフローは、以下のステップS101~ステップS105を含み得る。
【0027】
ステップS101において、基地局は、システムメッセージ(例えば、システム情報ブロック(SIB:System Information Block))をユーザ端末に送信する。
【0028】
ステップS102において、ユーザ端末は、ランダムアクセスプリアンブルメッセージ(例えば、ランダムアクセスプリアンブル(Random Access Preamble))を基地局に送信する。
【0029】
ステップS103において、基地局は、ランダムアクセス応答メッセージ(例えば、ランダムアクセス応答(Random Access Response))をユーザ端末に送信する。
【0030】
ステップS104において、ユーザ端末は、初期アクセス要求メッセージ(例えば、無線リソース制御確立要求(Radio Resource Control Setup Request))を基地局に送信する。
【0031】
ステップS105において、基地局は、競合解決(Contention Resolution)メッセージをユーザ端末に送信する。
【0032】
図1に示すメッセージのやり取りが完了した後、ユーザ端末は無線ネットワークにアクセスすることができる。
【0033】
図2は、ユーザ端末の再アクセス時のインタラクションフローを示す概略図である。
図2に示すように、当該インタラクションフローは、以下のステップS201~ステップS205を含み得る。
【0034】
ステップS201において、基地局は、システムメッセージをユーザ端末に送信する。
【0035】
ステップS202において、ユーザ端末は、ランダムアクセスプリアンブルメッセージを基地局に送信する。
【0036】
ステップS203において、基地局は、ランダムアクセス応答メッセージをユーザ端末に送信する。
【0037】
ステップS204において、ユーザ端末は、再アクセス要求メッセージを基地局に送信する。当該再アクセス要求メッセージは、媒体アクセス制御(MAC:Media Access Control)層に基づくプロトコルデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)(MAC PDUと略称する)フォーマットで構成される。
【0038】
ステップS205において、基地局は、競合解決メッセージをユーザ端末に送信する。
【0039】
図2に示すメッセージのやり取りが完了した後、ユーザ端末は無線ネットワークに再アクセスすることができる。通常、端末のスケジューリング要求(SR:Scheduling Request)の回数が最大回数を超える場合、端末がアップリンク非同期状態で上りデータを送信する必要がある場合、または、基地局がSR用の物理アップリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)リソースを端末に割り当てていないときに端末が上りデータを送信する必要がある場合などには、端末はネットワークへの再アクセス手順を実行する。
【0040】
本発明の実施形態では、
図1および
図2に示すインタラクションフローに基づいて、ランダムアクセス方法を提供する。
図3は、本発明の実施形態によるランダムアクセス方法のフローチャートである。当該フローは基地局に適用される。
【0041】
図3に示すように、当該フローは、以下のステップS301~ステップS304を含み得る。
【0042】
ステップS301において、基地局は、システムメッセージをユーザ端末に送信する。当該システムメッセージは、基地局によってサービスに割り当てられたプリアンブル範囲を含む。
【0043】
本発明の実施形態において、基地局は、異なるサービスに対して異なるプリアンブル範囲を予め分割してもよく、各プリアンブル範囲は互いに独立しており、重複しない。
【0044】
基地局は、サービスに割り当てられたプリアンブル範囲を、システムメッセージに付加してユーザ端末に送信してもよい。ここで、当該システムメッセージに付加されるプリアンブル範囲は、当該ユーザ端末が搬送するサービスに対応するプリアンブル範囲のみを含んでもよいし、すべてのサービスに対応するプリアンブル範囲を含んでもよい。
【0045】
ユーザ端末は、基地局から送信されたシステムメッセージを受信することにより、システムメッセージに付加されるプリアンブル範囲を取得してもよい。
【0046】
ステップS302において、基地局は、ユーザ端末から送信されたランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信する。当該ランダムアクセスプリアンブルメッセージは、ユーザ端末が自身のサービスに対応するプリアンブル範囲から選択した第1のプリアンブルを含む。
【0047】
ユーザ端末が無線ネットワークにアクセスしようとする場合、まず、自身のサービス、すなわち自身が搬送するサービス、例えば、超高信頼低遅延通信(URLLC:Ultra Reliable And Low Latency Communication)サービスを決定してもよい。
【0048】
ユーザ端末は、自身が搬送するサービスに基づいて、ステップS301によって取得されたプリアンブル範囲から、自身が搬送するサービスに対応するプリアンブル範囲を探索し、当該プリアンブル範囲から1つのプリアンブルを選択してもよい。
【0049】
ここで、ユーザ端末によって選択されたプリアンブルを第1のプリアンブルと呼ぶ。なお、第1のプリアンブルの命名は、区別を容易にするためのものであり、限定するためのものではないことを理解されたい。
【0050】
ユーザ端末は、ランダムアクセスプリアンブルメッセージを基地局に送信してもよく、当該ランダムアクセスプリアンブルメッセージは、ユーザ端末によって選択した第1のプリアンブルを含み得る。
【0051】
基地局は、ランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信することにより、当該ランダムアクセスプリアンブルメッセージに含まれる第1のプリアンブルを取得してもよい。
【0052】
ステップS303において、基地局は、取得した各第1のプリアンブルが属するプリアンブル範囲に対応するサービスの優先度に従って、各第1のプリアンブルの中から少なくとも1つの第2のプリアンブルを選択する。
【0053】
本発明の実施形態では、基地局は、サービスの優先度を予め設定してもよい。例えば、低遅延サービス(遅延に対する要求がより厳しいサービス)の優先度を、他の一般的なサービスの優先度よりも高く設定する。
【0054】
本ステップにおいて、基地局は、取得した各第1のプリアンブルについて、各第1のプリアンブルに対応するサービスの優先度に従って、各第1のプリアンブルをソートしてもよい。同じ優先度を有する第1のプリアンブルを受信の時間順にソートしてもよい。
【0055】
そして、基地局は、現在利用可能なリソース(メモリなどの送信動作を行うために使用可能なリソース)があるか否かを判断し、利用可能なリソースの量に基づいて応答可能なプリアンブルの数を決定し、取得した第1のプリアンブルの中から当該数の応答(送信)すべきプリアンブルを選択してもよい。具体的に、各第1のプリアンブルに対応するサービスの優先度の高い順に、第1のプリアンブルの中から決定された数の第2のプリアンブルを選択してもよい。なお、第2のプリアンブルの命名は、区別を容易にするためのものであり、限定するためのものではないことを理解されたい。
【0056】
また、現在利用可能なリソースがないと判断された場合、所定の時間(所定の時間は本明細書では限定されない)を待ってから、利用可能なリソースがあるか否かを再度判断する(利用可能なリソースは時間とともに変化する)ことができることに留意されたい。利用可能なリソースがある場合、ステップS303およびS304を実行してもよい。
【0057】
ステップS304において、基地局は、少なくとも1つの第2のプリアンブルを含むランダムアクセス応答メッセージをユーザ端末に送信する。
【0058】
本ステップにおいて、基地局は、ステップS303によって選択された各第2のプリアンブルをランダムアクセス応答メッセージに追加して、当該第2のプリアンブルを選択したユーザ端末のアクセス要求に応答してもよい。
【0059】
【0060】
図3に示すフローから分かるように、本発明の実施形態では、異なるサービスに対して異なるプリアンブル範囲と異なる優先度を設定することにより、ユーザ端末が、自身が搬送するサービスに対応するプリアンブル範囲からプリアンブルを選択して基地局に送信する。基地局は、取得したプリアンブルに対応するサービスの優先度に従って、ユーザ端末のアクセスに応答する。これにより、優先度の高い(遅延に対する要求が高い)サービスを搬送するユーザ端末のアクセスを優先的に応答し、システム全体の応答効率を向上させ、ユーザ端末のアクセス遅延を低減することができる。
【0061】
一実施形態として、基地局は、各第2のプリアンブルをランダムアクセス応答メッセージに追加する際に、プリアンブルのサイズ順に、各第2のプリアンブルをランダムアクセス応答メッセージに順次追加してもよい。プリアンブルのサイズは、例えば、プリアンブルのインデックスのサイズによって決定される。
【0062】
このようにして、ユーザ端末がランダムアクセス応答メッセージを受信すると、各第2のプリアンブルを順次トラバースしてもよい。第2のプリアンブルのサイズの昇順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加する場合、ユーザ端末が、自身が選択したプリアンブルのサイズ以上の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止してもよい。第2のプリアンブルのサイズの降順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加する場合、ユーザ端末が、自身が選択したプリアンブルのサイズ以下の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止してもよい。本発明の実施形態では、ユーザ端末はすべての第2のプリアンブルをトラバースする必要がなく、ユーザ端末の処理効率を効果的に向上させることができる。
【0063】
例えば、基地局がサイズの昇順に各第2のプリアンブルをランダムアクセス応答メッセージに追加する場合、ユーザ端末もサイズの昇順に順次トラバースする。ユーザ端末は、自身のプリアンブルと同じサイズの第2のプリアンブルをトラバースしていないが、自身のプリアンブルのサイズを超える第2のプリアンブルをトラバースした場合、基地局は本ユーザ端末に応答していないことを意味する。従って、ユーザ端末は、後続の第2のプリアンブルのトラバースを停止することができ、それにより、ユーザ端末の処理時間を短縮し、ユーザ端末のシステムリソースを節約することができる。
【0064】
一実施形態として、ステップS304でランダムアクセス応答メッセージをユーザ端末に送信する前に、基地局は、
図4に示すユーザ端末の送信電力を調整するための実施フローをさらに実行してもよい。
【0065】
図4に示すように、当該フローは、以下のステップS401~ステップS404を含み得る。
【0066】
ステップS401において、受信したランダムアクセスプリアンブルメッセージの各々について、当該ランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信したときの受信電力を取得する。
【0067】
ステップS402において、受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC)パラメータを決定する。
【0068】
ここで、基地局は、受信したランダムアクセスプリアンブルインメッセージの各々について、当該メッセージに対して対応する1つの信号受信電力指標を測定し、受信電力が大きすぎても小さすぎても基地局による無線信号の解析に不利であることに留意されたい。従って、本発明の実施形態では、ユーザ端末が次のメッセージを送信するための送信電力を調整する必要があり、これにより、基地局が所望の受信電力を満たす無線信号を取得し、解析効果を向上させることができる。
【0069】
このため、本ステップでは、基地局は、ステップS401で取得した受信電力と、予め設定された所望電力とを用いて、ユーザ端末の送信電力を調整するためのTPCパラメータを決定する。ここで、所望電力とは、基地局が良好な解析効果を得られるように予め設定された受信電力である。
【0070】
TPCパラメータを決定する具体的なプロセスについては後述するので、ここでは省略する。
【0071】
ステップS403において、基地局は、当該ランダムアクセスプリアンブルメッセージに含まれる第1のプリアンブルとTPCパラメータとの対応関係を確立する。
【0072】
各第1のプリアンブルは、1つのランダムアクセスプリアンブルメッセージと、当該ランダムアクセスプリアンブルメッセージ(第1のプリアンブル)を送信する1つのユーザ端末に対応する。従って、本ステップにおける、第1のプリアンブルとTPCパラメータとの対応関係を確立することは、ユーザ端末と当該ユーザ端末の送信電力を調整するためのTPCパラメータとの対応関係を確立することに相当する。
【0073】
ステップS404において、第2プリアンブルの各々について、当該第2のプリアンブルに対応するTPCパラメータをランダムアクセス応答メッセージに追加することにより、当該第2のプリアンブルを選択したユーザ端末が、対応するTPCパラメータを用いて、後続のアクセス要求メッセージを送信するための送信電力を調整するようにする。
【0074】
具体的には、第2のプリアンブルに対応するユーザ端末に応答する際に、当該ユーザ端末の送信電力を調整するためのTPCパラメータをユーザ端末に一斉に送信することにより、ユーザ端末がTPCパラメータに基づいて、後続のアクセス要求メッセージを送信するための送信電力を調整するようにする。
【0075】
ここで、アクセス要求メッセージ(一般にMsg3と呼ばれる)は、初期アクセス要求メッセージであってもよいし、再アクセス要求メッセージであってもよい。
【0076】
具体的に、ユーザ端末が初期アクセスを実行している場合、TPCパラメータを用いて初期アクセス要求メッセージの送信電力を調整することができ、ユーザ端末が再アクセスを実行している場合、TPCパラメータを用いて再アクセス要求メッセージの送信電力を調整することができる。
【0077】
【0078】
図4に示すフローから分かるように、本発明の実施形態では、受信電力と所望電力とを用いて、ユーザ端末がアクセス要求メッセージ(Msg3)を送信する送信電力を調整することにより、基地局の解析成功率を効果的に向上させ、解析失敗によるアクセス手順の繰り返し実行を回避し、アクセス遅延をさらに低減することができる。
【0079】
以下、ステップS402におけるTPCパラメータを決定する具体的なプロセスについて説明する。
図5は、本発明の実施形態によるステップS402の実施フローである。
【0080】
図5に示すように、当該フローは、以下のステップS501~ステップS503を含み得る。
【0081】
ステップS501において、受信電力と所望電力との間の第1の電力差を取得する。
【0082】
ステップS502において、第1の電力差の半分を丸め、第2の電力差を得る。
【0083】
ここで、第1の電力差と第2の電力差の命名は、区別を容易にするためのものであり、限定するためのものではない。
【0084】
一実施形態として、ステップS501およびステップS502は、以下の式で表すことができる。
【数1】
【0085】
ステップS503において、予め設定された電力差とTPCパラメータとの対応関係から、第2の電力差に対応するTPCパラメータを、ユーザ端末の送信電力を調整するためのTPCパラメータとして探索する。
【0086】
表1は、予め設定された電力差とTPCパラメータとのマッピング関係(すなわち、電力差とTPCパラメータとの対応関係)の一例である。
表1
【0087】
ステップS502で第2の電力差を得た後、上記のマッピング関係を照会して、第2の電力差に対応するTPCパラメータを、最終的に決定されたユーザ端末の送信電力を調整するためのTPCパラメータとして見つけもよい。
【0088】
ここで、式によって算出された第2の電力差が、予め設定された電力差の範囲(例えば、-6db~8db)を超える場合、算出された第2の電力差に最も近い最大値または最小値を第2の電力差とすることを留意されたい。例えば、算出された第2の電力差が-6db未満の場合、-6dbを第2の電力差とし、算出された第2の電力差が8dbより大きい場合、8dbを第2の電力差とする。
【0089】
ステップS304でTPCパラメータをユーザ端末に送信した後、ユーザ端末は、同じマッピング関係テーブル(表1)を照会することにより、TPCパラメータに対応する電力差を決定し、さらに、当該電力差に基づいて、アクセス要求メッセージ(Msg3)を送信するための本ユーザ端末の送信電力を調整してもよい。
【0090】
【0091】
図5に示すフローにより、送信電力を調整するためのTPCパラメータを正確に決定することができる。また、当該決定方法の計算量が少ないため、システムリソースを効果的に節約し、処理効率を向上させ、アクセス遅延をさらに低減することができる。
【0092】
一実施形態として、ユーザ端末と基地局との間で
図2に示す再アクセス手順を実行する場合、本発明の実施形態では、ステップS204における再アクセス要求メッセージを改善することができる。
【0093】
当該再アクセス要求メッセージ(MAC PDU)は、通常、複数のサブPDUから構成される。既存の処理方法では、通常、データを伝送するためのMAC層ベースのサービスデータユニットSDU(MAC SDU)を、MAC PDUに含まれる先頭のサブPDUに配置し、次に、制御情報を伝送するためのMAC層ベースの制御ユニットCE(MAC CE)を、MAC SDUの後のサブPDUに配置する。
【0094】
ユーザ端末の識別子(例えば、セル無線ネットワーク一時識別子(C-RNTI:Cell-Radio Network Temporary Identifier))は、MAC CE として、通常、再アクセス要求メッセージ(MAC PDU)の中間または後方にある。基地局は、再アクセス要求メッセージ(MAC PDU)を受信すると、当該再アクセス要求メッセージに付加されるユーザ端末の識別子を取得するために循環的に探索する必要があり、その後、当該ユーザ端末に対する他の処理を実行することができる。これにより、基地局の処理時間を増加させ、ユーザ端末の再アクセス効率に影響を与えることは間違いない。
【0095】
上記の問題に対して、本発明の実施形態では、ユーザ端末は、再アクセス要求メッセージ(MAC PDU)に含まれる最初のサブPDUにユーザ端末の識別子(C-RNTI)を追加することができる。
【0096】
基地局は、ステップS204により再アクセス要求メッセージを受信した後、当該再アクセス要求メッセージに含まれる最初のサブPDUを解析することにより、現在再アクセス手順を実行しているユーザ端末の識別子を取得することができ、当該ユーザ端末の再アクセス効率を向上させ、再アクセス遅延を低減させることができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態による方法について説明した。以下、本発明の実施形態による装置について説明する。
【0098】
図6は、本発明の実施形態によるランダムアクセス装置600の構成図である。当該装置は、基地局に適用され、当該装置は、
サービスに割り当てられたプリアンブル範囲を含むシステムメッセージをユーザ端末に送信するための送信ユニット601であって、前記基地局にサービスの優先度が予め設定される、送信ユニット601と、
前記ユーザ端末から送信されたランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信するための受信ユニット602であって、前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージは、前記ユーザ端末が自身のサービスに対応するプリアンブル範囲から選択した第1のプリアンブルを含む、受信ユニット602と、
取得した各第1のプリアンブルが属するプリアンブル範囲に対応するサービスの優先度に従って、各第1のプリアンブルの中から少なくとも1つの第2のプリアンブルを選択するための選択ユニット603と、を含み、
前記送信ユニット601はさらに、前記少なくとも1つの第2のプリアンブルを含むランダムアクセス応答メッセージを前記ユーザ端末に送信するために用いられる。
【0099】
一実施形態として、前記装置は、
受信したランダムアクセスプリアンブルメッセージの各々について、前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信したときの受信電力を取得するための取得ユニットと、
前記受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、前記ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC)パラメータを決定するための決定ユニットと、
前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージに含まれる前記第1のプリアンブルと前記TPCパラメータとの対応関係を確立するための確立ユニットと、
第2のプリアンブルの各々について、前記第2のプリアンブルに対応するTPCパラメータを前記ランダムアクセス応答メッセージに追加することにより、前記第2のプリアンブルを選択したユーザ端末が、前記対応するTPCパラメータを用いて、後続のアクセス要求メッセージを送信するための送信電力を調整するようにするための追加ユニットと、をさらに含む。
【0100】
一実施形態として、前記受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、前記ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC)パラメータを決定するステップは、
前記受信電力と前記所望電力との間の第1の電力差を取得するステップと、
前記第1の電力差の半分を丸め、第2の電力差を得るステップと、
予め設定された電力差とTPCパラメータとの対応関係から、前記第2の電力差に対応するTPCパラメータを、前記ユーザ端末の送信電力を調整するためのTPCパラメータとして探索するステップと、を含む。
【0101】
一実施形態として、前記受信ユニット602はさらに、再アクセス手順における前記ランダムアクセス応答メッセージを受信したユーザ端末によって送信された再アクセス要求メッセージを受信するために用いられ、前記再アクセス要求メッセージは、前記ユーザ端末の識別子を含み、前記ユーザ端末の識別子は、前記再アクセス要求メッセージに含まれる最初のサブプロトコルデータユニット(PDU)にあり、
前記装置はさらに、前記最初のサブPDUを解析することにより、現在再アクセス手順を実行している前記ユーザ端末の識別子を取得するための解析ユニットを含む。
【0102】
一実施形態として、前記追加ユニットはさらに、前記第2のプリアンブルのサイズの昇順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加することにより、前記ユーザ端末が、自身のプリアンブルのサイズ以上の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止するようにする、あるいは、
前記第2のプリアンブルのサイズの降順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加することにより、前記ユーザ端末が、自身のプリアンブルのサイズ以下の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止するようにするために用いられる。
【0103】
【0104】
以上の説明から分かるように、本発明の実施形態では、異なるサービスに対して異なるプリアンブル範囲と異なる優先度を設定することにより、ユーザ端末が、自身が搬送するサービスに対応するプリアンブル範囲からプリアンブルを選択して基地局に送信する。基地局は、取得した各プリアンブルに対応するサービスの優先度に従って、ユーザ端末のアクセスに応答する。これにより、優先度の高い(遅延に対する要求が高い)サービスを搬送するユーザ端末のアクセスを優先的に応答し、システム全体の応答効率を向上させ、ユーザ端末のアクセス遅延を低減することができる。
【0105】
図7は、本発明の実施形態による電子デバイスのハードウェア構成図である。
図7に示すように、当該ハードウェア構成は、プロセッサ701と、機械可読記憶媒体702とを含み得、機械可読記憶媒体702には前記プロセッサ701によって実行可能な機械実行可能命令が記憶されており、前記プロセッサは、本発明の上記実施形態に開示された方法を実施するように機械実行可能命令を実行するために用いられる。
【0106】
上述の方法と同様の思想に基づき、本発明の実施形態はさらに、コンピュータ命令が記憶されている非一時的な機械可読記憶媒体を提供し、前記コンピュータ命令がプロセッサによって実行されると、本発明の上記実施形態に開示された方法を実施することができる。
【0107】
例示的に、上記機械可読記憶媒体は、任意の電子的、磁性的、光学的または他の物理的記憶装置であってもよく、実行可能な命令、データなどの情報を含むか、または記憶することができる。例えば、機械可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM:Radom Access Memory)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、ストレージドライブ(ハードドライブなど)、ソリッドステートドライブ、任意の記憶ディスク(光ディスク、DVDなど)、または類似の記憶媒体や、これらの組み合わせであってもよい。
【0108】
以上は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明を限定するものではない。当業者にとって、本発明は様々な変更および変化が可能である。本発明の精神と原理の範囲内で行われたいかなる修正、同等な置換、改善などは、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれるものとするべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局に適用されるランダムアクセス方法であって、
サービスに割り当てられたプリアンブル範囲を含むシステムメッセージをユーザ端末に送信するステップであって、前記基地局にサービスの優先度が予め設定される、ステップと、
前記ユーザ端末から送信されたランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信するステップであって、前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージは、前記ユーザ端末が自身のサービスに対応するプリアンブル範囲から選択した第1のプリアンブルを含む、ステップと、
各前記第1のプリアンブルが属するプリアンブル範囲に対応するサービスの優先度に従って、各
前記第1のプリアンブルの中から少なくとも1つの第2のプリアンブルを選択するステップと、
前記少なくとも1つの第2のプリアンブルを含むランダムアクセス応答メッセージを前記ユーザ端末に送信するステップと、を含む、
ことを特徴とするランダムアクセス方法。
【請求項2】
ランダムアクセス応答メッセージを前記ユーザ端末に送信する前に、さらに、
受信したランダムアクセスプリアンブルメッセージの各々について、前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信したときの受信電力を取得するステップと、
前記受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、前記ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC)パラメータを決定するステップと、
前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージに含まれる前記第1のプリアンブルと前記TPCパラメータとの対応関係を確立するステップと、
第2のプリアンブルの各々について、前記第2のプリアンブルに対応するTPCパラメータを前記ランダムアクセス応答メッセージに追加することにより、前記第2のプリアンブルを選択したユーザ端末が、前記対応するTPCパラメータを用いて、後続のアクセス要求メッセージを送信するための送信電力を調整するようにするステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、前記ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC)パラメータを決定するステップは、
前記受信電力と前記所望電力との間の第1の電力差を取得するステップと、
前記第1の電力差の半分を丸め、第2の電力差を得るステップと、
予め設定された電力差とTPCパラメータとの対応関係から、前記第2の電力差に対応するTPCパラメータを、前記ユーザ端末の送信電力を調整するためのTPCパラメータとして探索するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
再アクセス手順における前記ランダムアクセス応答メッセージを受信したユーザ端末によって送信された再アクセス要求メッセージを受信するステップであって、前記再アクセス要求メッセージは、前記ユーザ端末の識別子を含み、前記ユーザ端末の識別子は、前記再アクセス要求メッセージに含まれる最初のサブプロトコルデータユニット(PDU)にある、ステップと、
前記最初のサブPDUを解析することにより、現在再アクセス手順を実行している前記ユーザ端末の識別子を取得するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ランダムアクセス応答メッセージを前記ユーザ端末に送信する前に、
前記第2のプリアンブルのサイズの昇順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加することにより、前記ユーザ端末が、
前記ランダムアクセス応答メッセージを受信すると、前記第2のプリアンブルをトラバースし、自身のプリアンブルのサイズ以上の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止するようにする、あるいは、
前記第2のプリアンブルのサイズの降順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加することにより、前記ユーザ端末が、
前記ランダムアクセス応答メッセージを受信すると、前記第2のプリアンブルをトラバースし、自身のプリアンブルのサイズ以下の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止するようにするステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
基地局に適用されるランダムアクセス装置であって、
サービスに割り当てられたプリアンブル範囲を含むシステムメッセージをユーザ端末に送信するための送信ユニットであって、前記基地局にサービスの優先度が予め設定される、送信ユニットと、
前記ユーザ端末から送信されたランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信するための受信ユニットであって、前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージは、前記ユーザ端末が自身のサービスに対応するプリアンブル範囲から選択された第1のプリアンブルを含む、受信ユニットと、
各
前記第1のプリアンブルが属するプリアンブル範囲に対応するサービスの優先度に従って、各
前記第1のプリアンブルの中から少なくとも1つの第2のプリアンブルを選択するための選択ユニットと、を含み、
前記送信ユニットはさらに、前記少なくとも1つの第2のプリアンブルを含むランダムアクセス応答メッセージを前記ユーザ端末に送信するために用いられる、
ことを特徴とするランダムアクセス装置。
【請求項7】
受信したランダムアクセスプリアンブルメッセージの各々について、前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージを受信したときの受信電力を取得するための取得ユニットと、
前記受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、前記ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC)パラメータを決定するための決定ユニットと、
前記ランダムアクセスプリアンブルメッセージに含まれる前記第1のプリアンブルと前記TPCパラメータとの対応関係を確立するための確立ユニットと、
第2のプリアンブルの各々について、前記第2のプリアンブルに対応するTPCパラメータを前記ランダムアクセス応答メッセージに追加することにより、前記第2のプリアンブルを選択したユーザ端末が、前記対応するTPCパラメータを用いて、後続のアクセス要求メッセージを送信するための送信電力を調整するようにするための追加ユニットと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記受信電力と予め設定された所望電力とに基づいて、前記ユーザ端末の送信電力を調整するための送信電力制御(TPC)パラメータを決定するステップは、
前記受信電力と前記所望電力との間の第1の電力差を取得するステップと、
前記第1の電力差の半分を丸め、第2の電力差を得るステップと、
予め設定された電力差とTPCパラメータとの対応関係から、前記第2の電力差に対応するTPCパラメータを、前記ユーザ端末の送信電力を調整するためのTPCパラメータとして探索するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記受信ユニットはさらに、再アクセス手順における前記ランダムアクセス応答メッセージを受信したユーザ端末によって送信された再アクセス要求メッセージを受信するために用いられ、前記再アクセス要求メッセージは、前記ユーザ端末の識別子を含み、前記ユーザ端末の識別子は、前記再アクセス要求メッセージに含まれる最初のサブプロトコルデータユニット(PDU)にあり、
前記装置はさらに、前記最初のサブPDUを解析することにより、現在再アクセス手順を実行している前記ユーザ端末の識別子を取得するための解析ユニットを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記追加ユニットはさらに、
前記第2のプリアンブルのサイズの昇順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加することにより、前記ユーザ端末が、
前記ランダムアクセス応答メッセージを受信すると、前記第2のプリアンブルをトラバースし、自身のプリアンブルのサイズ以上の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止するようにする、あるいは、
前記第2のプリアンブルのサイズの降順に、各第2のプリアンブルを前記ランダムアクセス応答メッセージに順次追加することにより、前記ユーザ端末が、
前記ランダムアクセス応答メッセージを受信すると、前記第2のプリアンブルをトラバースし、自身のプリアンブルのサイズ以下の第2のプリアンブルをトラバースしたとき、トラバースを停止するようにするために用いられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項11】
電子デバイスであって、プロセッサと、機械可読記憶媒体とを含み、
前記機械可読記憶媒体には前記プロセッサによって実行可能な機械実行可能命令が記憶されており、
前記プロセッサは、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法を実施するように機械実行可能命令を実行するために用いられる、
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項12】
機械実行可能命令が記憶されている非一時的な機械可読記憶媒体であって、前記機械実行可能命令がプロセッサによって実行されると、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法を実施する、
ことを特徴とする非一時的な機械可読記憶媒体。
【国際調査報告】