(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電力管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 15/00 20060101AFI20240702BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240702BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H02J15/00 G
H02J3/38 120
H02J3/32
H02J3/38 170
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578715
(86)(22)【出願日】2022-04-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 KR2022004777
(87)【国際公開番号】W WO2023282438
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0088294
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523405292
【氏名又は名称】テックウィン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100189474
【氏名又は名称】田村 修
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュン シク
(72)【発明者】
【氏名】シン ヒョン ス
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン サン チーク
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB07
5G066HB08
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
(57)【要約】
本発明の一態様は、負荷に対して主電力を提供する系統および補助電力を提供する再生エネルギー発電部を含む電力源;前記主電力および前記補助電力のうち少なくとも一つの余剰分を変換する電力変換部;変換された前記余剰分によって駆動される水電解装置、前記主電力から分岐された一部によって駆動されるBOP(Balance of Plant)、および水素貯蔵部を含む水電解部;および前記電力変換部および前記水電解装置に印加された電力を同期化してこれら相互間で直流電力を交換させる制御部;を含む電力管理システムを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に対して主電力を提供する系統および補助電力を提供する再生エネルギー発電部を含む電力源と、
前記主電力および前記補助電力のうち少なくとも一つの余剰分を変換する電力変換部と、
変換された前記余剰分によって駆動する水電解装置、前記主電力から分岐された一部によって駆動するBOP(Balance of Plant)、および水素貯蔵部を含む水電解部と、
前記電力変換部および前記水電解装置に印加された電力を同期化してこれら相互間で直流電力を交換させる制御部と
を含む、電力管理システム。
【請求項2】
前記電力管理システムは、
変換された前記余剰分の一部を貯蔵するエネルギー貯蔵部をさらに含む、請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記水電解装置は、
前記エネルギー貯蔵部に貯蔵された前記余剰分の一部によって駆動する、請求項2に記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記電力変換部および前記水電解装置のうち少なくとも一つと前記エネルギー貯蔵部に印加された電力を同期化して、これらのうち2以上の相互間で直流電力を交換させる、請求項2に記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記余剰分は、前記系統から提供された交流電力および前記再生エネルギー発電部から提供された直流電力および交流電力のうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記電力変換部は、
前記系統および前記再生エネルギー発電部のうち少なくとも一つから提供された交流電力を直流電力に変換して前記制御部に提供するAC/DCコンバータと、
前記再生エネルギー発電部から提供された直流電力の電圧を変換して前記制御部に提供するDC/DCコンバータと
を含む、請求項5に記載の電力管理システム。
【請求項7】
前記電力変換部は、
前記再生エネルギー発電部および前記エネルギー貯蔵部のうち少なくとも一つから提供された直流電力を交流電力に変換して前記系統に提供するDC/ACインバータをさらに含む、請求項2に記載の電力管理システム。
【請求項8】
前記電力管理システムは、
前記水素貯蔵部に貯蔵された水素を利用して直流電力を生産する燃料電池をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の電力管理システム。
【請求項9】
前記燃料電池によって生産された直流電力は、前記制御部を通じて同期化されて、前記エネルギー貯蔵部および前記水電解装置のうち少なくとも一つに提供される、請求項8に記載の電力管理システム。
【請求項10】
前記燃料電池によって生産された直流電力は、前記制御部および前記DC/ACインバータを通じて交流電力に変換されて、前記系統に提供される、請求項8に記載の電力管理システム。
【請求項11】
前記水電解装置は、前記エネルギー貯蔵部に貯蔵された電力が、最大充電量の50%以上である場合に駆動を開始する、請求項2に記載の電力管理システム。
【請求項12】
前記水電解装置は、駆動電力が異なる2以上の水電解スタックが、並列式で連結されて構成される、請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項13】
前記水電解スタックのうち少なくとも一つの駆動電力は、前記水電解装置の駆動電力以下である、請求項12に記載の電力管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システムに関し、詳細には、電力源で発生する余剰電力を効果的に管理し活用できる電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力系統に使われる代表的なエネルギー貯蔵装置(ESS)は、深夜時間帯の軽負荷時に生産された電気を貯蔵し、昼間時間帯の重負荷時に電気を供給してエネルギー効率を高め得るシステムである。最近、バッテリーを利用したエネルギー貯蔵装置が多様に開発され、普及している。
【0003】
韓国では、リアルタイムに変化する電力系統周波数を維持するために、石炭火力、油類発電、複合火力、水力発電などの発電機を周波数追従(G/F、governor free)と自動発電制御(AGC、auto generation control)運転などを利用して周波数調整を行なっている。
【0004】
バッテリーのようなエネルギー貯蔵装置は即刻充放電が可能であるため、周波数追従と自動発電制御の役割を代替して、石炭火力発電機の燃料費を削減し発電効率を向上させることができる長所がある。
【0005】
ただし、鉛蓄電池、リチウムイオン電池(LIB)、ナトリウム硫黄電池(NaS)、レドックスフロー電池(RFB)のようなバッテリーを使うエネルギー貯蔵装置は、使用時の環境温度と充放電回数による性能低下により、定期的な取り替えが必要であり、使用済みのバッテリーの廃棄にも相当な負担がかかる。
【0006】
このようなエネルギー貯蔵装置の取り替えに伴う負担を軽減し、貯蔵効率を向上させるために、特許文献1などは、系統の余剰電力を放電して水素に変換、貯蔵する水電解装置と水素貯蔵装置および系統の不足電力を充電する燃料電池を含むエネルギー貯蔵システムを提供している。しかし、前記エネルギー貯蔵システムは系統を唯一の電力源として使うため、系統に問題が発生する場合、貯蔵に必要な電力を安定的、持続的に提供し難い問題がある。
【0007】
これに対して、再生エネルギー源(再生エネルギー発電部)から提供される電力を変換して系統と連係するための試みが活発に行われている。ただし、再生エネルギー源の場合、気候条件のような周辺環境に対する依存度が非常に高いため、これを利用して規則的、安定的に電力を生産、提供し難い。例えば、再生エネルギー源から過量の電力が系統に加えられたり系統の電力が負荷の需要を充足できない場合、余剰電力を貯蔵、活用したり不足電力を補完する必要がある。
【0008】
このような余剰電力を活用するための方法として、多様な技術が開発されているが、特に、化石燃料を代替できる清浄エネルギー源である水素を生産する技術に対する重要性が浮び上がっている。水素を生産するためには必須的に電気エネルギー、すなわち、電力が必要であるので、電力使用量を最小化しつつ水素を生産できる技術が必要である。
【0009】
特許文献2などは、水電解装置が系統だけでなく再生エネルギー発電部から提供される電力を利用することによって、系統から提供される電力の使用を最小化して水素を生産し、必要に応じて、燃料電池を利用して生産された水素を電力に転換して系統に提供するシステムを開示する。ただし、前記水電解装置はDC/DCコンバータおよび/またはAC/DCコンバータによって変換された電力によって統合的に駆動されるので、電力源(系統と再生エネルギー発電部)および水電解装置の間に備えられたコンバータ、ラインなどに問題が発生する場合に水電解装置が安定的に駆動され得ず、余剰電力の全量が水素に転換されて貯蔵されるため爆発の危険が常に存在するなど、余剰電力を安定的に貯蔵し難い問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1829311号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1926010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決するためのもので、本発明の目的は、系統および再生エネルギー発電部を含む電力源で発生する余剰電力を、効果的かつ安定的に、管理、貯蔵、活用できる電力管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、
負荷に対して主電力を提供する系統および補助電力を提供する再生エネルギー発電部を含む電力源と、
前記主電力および前記補助電力のうち少なくとも一つの余剰分を変換する電力変換部と、
変換された前記余剰分によって駆動する水電解装置、前記主電力から分岐された一部によって駆動するBOP(Balance of Plant)、および水素貯蔵部を含む水電解部と、
前記電力変換部および前記水電解装置に印加された電力を同期化してこれら相互間で直流電力を交換させる制御部と
を含む電力管理システムである。
【0013】
一実施形態において、前記電力管理システムは、変換された前記余剰分の一部を貯蔵するエネルギー貯蔵部をさらに含むことができる。
【0014】
一実施形態において、前記水電解装置は、前記エネルギー貯蔵部に貯蔵された前記余剰分の一部によって駆動することができる。
【0015】
一実施形態において、前記制御部は前記電力変換部および前記水電解装置のうち少なくとも一つと前記エネルギー貯蔵部に印加された電力を同期化してこれらのうち2以上の相互間で直流電力を交換させることができる。
【0016】
一実施形態において、前記余剰分は前記系統から提供された交流電力、前記再生エネルギー発電部から提供された直流電力および交流電力のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0017】
一実施形態において、前記電力変換部は、前記系統および前記再生エネルギー発電部のうち少なくとも一つから提供された交流電力を直流電力に変換して前記制御部に提供するAC/DCコンバータと、前記再生エネルギー発電部から提供された直流電力の電圧を変換して前記制御部に提供するDC/DCコンバータとを含むことができる。
【0018】
一実施形態において、前記電力変換部は、前記再生エネルギー発電部および前記エネルギー貯蔵部のうち少なくとも一つから提供された直流電力を交流電力に変換して前記系統に提供するDC/ACインバータをさらに含むことができる。
【0019】
一実施形態において、前記電力管理システムは、前記水素貯蔵部に貯蔵された水素を利用して直流電力を生産する燃料電池をさらに含むことができる。
【0020】
一実施形態において、前記燃料電池によって生産された直流電力は前記制御部を通じて同期化されて前記エネルギー貯蔵部および前記水電解装置のうち少なくとも一つに提供され得る。
【0021】
一実施形態において、前記燃料電池によって生産された直流電力は前記制御部および前記DC/ACインバータを通じて交流電力に変換されて前記系統に提供され得る。
【0022】
一実施形態において、前記水電解装置は前記エネルギー貯蔵部に貯蔵された電力が最大充電量の50%以上である場合に駆動を開始することができる。
【0023】
一実施形態において、前記水電解装置は駆動電力が異なる2以上の水電解スタックが並列式で連結されて構成され得る。
【0024】
一実施形態において、前記水電解スタックのうち少なくとも一つの駆動電力は前記水電解装置の駆動電力以下であり得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様に係る電力管理システムは、負荷に対して主電力を提供する系統および補助電力を提供する再生エネルギー発電部を含む電力源;前記主電力および前記補助電力のうち少なくとも一つの余剰分を変換する電力変換部;変換された前記余剰分によって駆動する水電解装置、前記主電力から分岐された一部によって駆動するBOP(Balance of Plant)、および水素貯蔵部を含む水電解部;および前記電力変換部および前記水電解装置に印加された電力を同期化してこれら相互間で直流電力を交換させる制御部;を含むことによって、系統および再生エネルギー発電部を含む電力源で発生する余剰電力を効果的かつ安定的に管理、貯蔵、活用することができる。
【0026】
前記電力管理システムは、余剰電力を直流電力および水素に二元化させて、これらをそれぞれエネルギー貯蔵部(ESS)および/または水素貯蔵部に貯蔵することによって、エネルギーの貯蔵安定性を向上させることができ、それによる活用性を最大化することができる。特に、前記水電解部のうち、前記水電解装置と前記BOPとに供給される電力を独立的に構成することによって、前記水電解装置に対する電力供給が遮断されても前記BOPに対する電力供給を維持して既生産された水素を安定的に貯蔵することができる。
【0027】
また、前記電力管理システムは前記系統以外の構成または装置間で交換される電力を直流電力で構成することによって、システム内の電力損失を最小化し、再生エネルギー発電部から提供される補助電力の変動性を効果的に抑制することができる。
【0028】
本発明の効果は前記の効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電力管理システムを示す。
【
図2】本発明の他の一実施形態に係る電力管理システムを示す。
【
図3】本発明の他の一実施形態に係る電力管理システムを示す。
【
図4】本発明の他の一実施形態に係る電力管理システムを示す。
【
図5】本発明の一実施形態に係る水電解装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、添付した図面を参照して本発明を説明する。しかし、本発明は多様な異なる形態で実施可能であり、したがってここで説明する実施形態や実施例に限定されるものではない。そして、図面で本発明を明確に説明するために説明にかかわらない部分は省略し、明細書全体を通じて類似する部分に対しては類似する図面符号を付した。
【0031】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているとするとき、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の部材を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある部分が何らかの構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに具備できることを意味する。
【0032】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明することにする。
【0033】
図1は、本発明の一実施例に係る電力管理システムを示す。
【0034】
図1を参照すると、本発明の一態様に係る電力管理システムは、負荷Lに対して主電力を提供する系統10および補助電力を提供する再生エネルギー発電部20を含む電力源;前記主電力および前記補助電力のうち少なくとも一つの余剰分を変換する電力変換部30;変換された前記余剰分によって駆動される水電解装置421、前記主電力から分岐された一部によって駆動されるBOP(Balance of Plant)422、および水素貯蔵部423を含む水電解部42;および前記電力変換部30および前記水電解装置421に印加された電力を同期化してこれら相互間で直流電力を交換させる制御部43;を含む電力管理システムを提供する。
【0035】
また、前記電力管理システムは、変換された前記余剰分の一部を貯蔵するエネルギー貯蔵部41をさらに含むことができ、前記水電解装置421は前記エネルギー貯蔵部41に貯蔵された前記余剰分の一部によって駆動され得る。
【0036】
前記系統10は負荷Lに対して主電力である交流電力を提供でき、前記再生エネルギー発電部20から提供された直流および/または交流電力は前記電力変換部30を通じて交流電力に変換されて負荷Lに補助電力を提供することができる。
【0037】
前記主電力および前記補助電力は負荷Lの電力需要を基準として発生した電力の不足分を、周期的におよび/またはリアルタイムで相互に補完することができる。また、前記主電力および前記補助電力の同時提供によって発生した余剰電力は、前記電力変換部30、前記エネルギー貯蔵部41、前記水電解部42等を通じて直流電力、水素などに変換/転換、貯蔵され得、その後の電力不足の発生時に交流電力に再び変換/転換されて負荷Lに提供され得る。
【0038】
前記再生エネルギー発電部20は、太陽光、太陽熱、風力、水力、海洋、地熱、バイオ、廃棄物およびこれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選択された一つのエネルギー源を利用した発電設備であり得、好ましくは、太陽光発電設備であり得るが、これに限定されるものではない。
【0039】
前記系統10および前記再生エネルギー発電部20は、いずれも負荷Lに交流電力を提供する電力源として作用することができる。一般的に、前記系統10により提供される交流電力は、安定的で規則的な反面、前記再生エネルギー発電部20により提供される直流および/または交流電力は、気候条件のような周辺環境により変動せざるを得ない。したがって、適合した周辺環境で前記再生エネルギー発電部20から過量の補助電力が提供される場合、負荷Lに提供される主電力および補助電力の和が負荷Lの電力需要を超過して余剰電力が発生し得る。
【0040】
このような余剰電力、すなわち、前記余剰分は、前記系統10から提供された交流電力および前記再生エネルギー発電部20から提供された直流および/または交流電力のうち少なくとも一つを含むことができる。具体的には、前記余剰分は、(i)前記再生エネルギー発電部20から提供された過量の補助電力から由来した直流および/または交流電力、(ii)前記過量の補助電力のうち少なくとも一部が変換されて負荷Lに先に提供される場合、前記主電力から由来した交流電力、(iii)前記主電力および前記補助電力の相互作用によってこれら両者から由来した交流および直流電力の組み合わせのうち少なくとも一つであり得る。
【0041】
一方、不適合な周辺環境により、前記再生エネルギー発電部20から、微量の補助電力が提供されるか、補助電力が実質的に提供されない場合、負荷Lに提供される主電力および補助電力の和が負荷Lの電力需要に及ばないため、不足電力が発生する可能性がある。
【0042】
これに対して、前記電力変換部30は前記余剰電力、すなわち、前記主電力および/または前記補助電力の余剰分を変換でき、変換された前記余剰分は、前記エネルギー貯蔵部41に直接貯蔵されるか、前記水電解部42により水素に転換されて前記水素貯蔵部423に貯蔵され得る。前述した電力不足の発生時に、前記エネルギー貯蔵部41に直接貯蔵された直流電力は、前記制御部43および前記電力変換部30を通じて交流電力に変換されて前記系統10の主電力に加えられ得、前記水素貯蔵部423に貯蔵された水素は、後述する燃料電池を通じて直流電力に転換された後、前記制御部43および前記電力変換部30を通じて交流電力に変換されて前記系統10の主電力に加えられ得る。
【0043】
図2は、本発明の他の一実施例に係る電力管理システムを示す。
【0044】
図2を参照すると、前記電力変換部30は、前記系統10および前記再生エネルギー発電部20のうち少なくとも一つから提供された交流電力を直流電力に変換して前記制御部43に提供するAC/DCコンバータ31と、前記再生エネルギー発電部20から提供された直流電力の電圧を変換して前記制御部43に提供するDC/DCコンバータ32とを含むことができる。
【0045】
前記AC/DCコンバータ31は、前記系統10および前記再生エネルギー発電部20のうち少なくとも一つから入力された交流電力を変換して直流電力を出力する装置または設備であって、前記DC/DCコンバータ32は、前記再生エネルギー発電部20から入力された直流電力の電圧を変換して前記制御部43と互換される直流電力を出力する装置または設備である。前記AC/DCコンバータ31および前記DC/DCコンバータ32により変換された直流電力は、前記制御部43に提供されて、前記制御部43に連結された前記エネルギー貯蔵部41や前記水電解部42等に提供され得る。
【0046】
前記電力変換部30は、前記再生エネルギー発電部20および前記エネルギー貯蔵部41のうち少なくとも一つから提供された直流電力を交流電力に変換して前記系統10に提供するDC/ACインバータ33をさらに含むことができる。
【0047】
前記DC/ACインバータ33は、入力された直流電力を変換して交流電力を出力する装置または設備であって、電力不足の発生時に、前記再生エネルギー発電部20および前記エネルギー貯蔵部41のうち少なくとも一つから提供された直流電力および/または後述する燃料電池から提供された直流電力を交流電力に変換して、前記系統10に提供することができる。
【0048】
前記水電解部42は、変換された前記余剰分によって駆動される水電解装置421、前記主電力から分岐された一部によって駆動されるBOP(Balance of Plant)422、および水素貯蔵部423を含むことができる。
【0049】
前記水電解装置421は、水を電気分解して水素を生産する装置または設備であり、生産された水素は前記水素貯蔵部423に貯蔵され得る。水素を生産するために、自然から得ることができる水を精製してこれを電気分解する方法が、経済性、生産性の側面で好まれる。
【0050】
前記水電解装置421は、変換された前記余剰分を、前記制御部43を通じて提供を受けて駆動され得、場合により、前記エネルギー貯蔵部41に貯蔵された前記余剰分を、前記制御部43を通じて提供を受けて駆動されてもよい。前記水電解装置421を駆動するために入力される電力は、前記制御部43により決定され得る。前記電力変換部30で変換された直流電力は、前記エネルギー貯蔵部41および前記水電解装置421のうち一つに選択的に提供されるか、これらそれぞれに分割提供され得る。
【0051】
前記電力変換部30で変換された直流電力は、前記制御部43に集中され、前記制御部43は入力された直流電力を統合したり分配して出力することができる。例えば、前記制御部43に入力された直流電力のうち少なくとも一部は、前記エネルギー貯蔵部41に充電され得、他の一部は、前記水電解装置421を駆動させるのに消耗、放電され得る。また、前記エネルギー貯蔵部41に充電された直流電力のうち少なくとも一部は、前記制御部43を通じて、前記水電解装置421を駆動させるのに消耗され、放電され得る。
【0052】
前記水電解装置421は、前記エネルギー貯蔵部41に貯蔵された電力の量と連係して駆動され得る。例えば、前記水電解装置421は、前記エネルギー貯蔵部41に貯蔵された電力が、最大充電量の50%以上、好ましくは、60%以上、さらに好ましくは、70%以上である場合に、駆動を開始して入力された直流電力を、水素に転換させることができる。
【0053】
前記電力源10、20から提供された前記余剰分は、前記電力変換部30を通じて、直流電力に変換され得、変換された直流電力は、一次的に前記エネルギー貯蔵部41を充電するのに提供され得る。
【0054】
短期的に、前記電力管理システムは電力不足の発生時に、前記エネルギー貯蔵部41に充電された直流電力を、前記DC/ACインバータ33に送出して交流電力に変換し、変換された交流電力が、前記系統10から提供される前記主電力に加えられるようにすることができる。
【0055】
ただし、前記エネルギー貯蔵部41は、電力を貯蔵するための装置乃至設備に過ぎず、これを通じて電力を生産できるものではないので、前記系統10および前記再生エネルギー発電部20の連係によって、持続的、累進的に発生する余剰分を貯蔵、活用するのに限界がある。これに対して、前記制御部43は、前記エネルギー貯蔵部41に貯蔵された電力が最大充電量の50%以上、好ましくは、60%以上、さらに好ましくは、70%以上である場合、前記水電解装置421の駆動を開始して入力された直流電力を水素に転換させることができる。
【0056】
長期的には、前記電力管理システムは、電力不足の発生時に、前記水素貯蔵部423に貯蔵された水素を、後述する燃料電池を通じて直流電力に転換させた後、前記DC/ACインバータ33に送出して交流電力に変換し、変換された交流電力が、前記系統10から提供される前記主電力に加えられるようにすることができる。
【0057】
また、前記水電解装置421により生産された水素のうち少なくとも一部は、後処理、相転換などを経て、水素電気自動車を充電するための充電所などのような多様な需要先に提供され得る。
【0058】
前記BOP(Balance of Plant)422は、前記水電解部42のうち前記水電解装置421を除いた構成部品または周辺装置を意味し、前記水電解装置421を通じての熱、電力、物質の伝達および/または交換に必要な多様な装置または設備を含むことができ、場合により、前記水素貯蔵部423を含むものと理解され得る。
【0059】
従来は、水電解部を構成する水電解装置およびBOPが、電力変換部によって変換された直流電力によってのみ駆動されたが、前記電力変換部などに問題があると、水電解装置が安定的に駆動され得ず、特に、予め製造された水素を安定的に貯蔵するためにBOPによって制御された環境条件(温度、圧力など)の均衡が崩れて、水素が爆発する危険性がある。
【0060】
前記BOP422は、前記主電力から分岐された一部によって駆動され得る。例えば、前記BOP422は、前記主電力から分岐された交流電力によって駆動され得る。また、前記主電力から分岐された交流電力は、前記主電力および前記BOP422の間に備えられたAC/DCコンバータ(不図示)により、直流電力に変換されて、前記BOP422を駆動させることができる。
【0061】
このように、前記電力管理システムは、前記水電解部42のうち、前記水電解装置421と前記BOP422に供給される電力を独立的に構成することによって、前記水電解装置421に対する電力供給が遮断されても、前記BOP422に対する電力供給を維持して予め製造された水素を安定的に貯蔵することができる。
【0062】
前記制御部43は、前記電力変換部30および前記水電解装置421に印加された電力、具体的には、電圧を同期化して、これら相互間で直流電力が交換されるようにすることができる。また、前記制御部43は、前記電力変換部30および前記水電解装置421のうち少なくとも一つと前記エネルギー貯蔵部41とに印加された電力を同期化して、これらのうち2以上の相互間で直流電力を交換させることができる。一方、前記制御部43は前記系統10を運営、制御するためのシステム(不図示)と連動して、前記電力変換部30、前記水電解装置421、前記エネルギー貯蔵部41間の電力交換、および/またはこれらと前記系統10間の電力交換を制御することができる。
【0063】
前記電力管理システムは、前記制御部43に入力されたり前記制御部43から出力される電力をすべて直流電力で構成するものの、前記制御部43に連結された各構成間の電圧を同期化して、前記制御部43を通じてのエネルギーの流れを制御することによって、システム内の電力損失を最小化でき、特に、前記再生エネルギー発電部20から提供される前記補助電力の変動性を効果的に緩和、抑制することができる。
【0064】
図3および
図4は、本発明の他の一実施例に係る電力管理システムを示す。
【0065】
図3を参照すると、前記電力管理システムは、前記水素貯蔵部423に貯蔵された水素を利用して直流電力を生産する燃料電池44をさらに含むことができる。
【0066】
前記燃料電池44もスタック(不図示)およびその他の構成部品または周辺装置を含むBOP(不図示)を含むことができる。このとき、前記水電解部42および前記燃料電池44に備えられたBOPを、それぞれ、第1BOPおよび第2BOPと称することができる。
【0067】
前記燃料電池44の安定した駆動のために、前記第2BOPは、前記主電力から分岐された一部によって駆動され得る。例えば、前記第2BOPは、前記主電力から分岐された交流電力によって駆動され得る。また、前記主電力から分岐された交流電力は、前記主電力および前記第2BOPの間に備えられたAC/DCコンバータ(不図示)により直流電力に変換されて前記第2BOPを駆動させることができる。
【0068】
前記燃料電池44により生産された直流電力は、前記制御部43を通じて同期化されて、前記エネルギー貯蔵部41および前記水電解装置421のうち少なくとも一つに提供され得る。具体的には、前記燃料電池44により生産された直流電力のうち少なくとも一部は、前記エネルギー貯蔵部41に充電され得、他の一部は、前記水電解装置421を駆動させるのに消耗、放電され得る。
【0069】
また、
図4を参照すると、前記燃料電池44により生産された直流電力は電力不足の発生時に、前記制御部43および前記DC/ACインバータ33を通じて、交流電力に変換されて、前記系統10から提供される前記主電力に加えられ得る。
【0070】
【0071】
図5を参照すると、前記水電解装置421は、駆動電力が異なる2以上の水電解スタック4211、4212、4213が並列式で連結されて構成され得る。本明細書に使われた用語、「駆動電力」は、水電解装置またはスタックの駆動を開始するのに必要な電力の最小値を意味する。
【0072】
前記水電解スタック4211、4212、4213のうち少なくとも一つが駆動して水素を生産するためには、前記水電解スタック4211、4212、4213のうち少なくとも一つの駆動電力が、前記水電解装置421の駆動電力以下でなければならない。
【0073】
例えば、前記水電解装置421の駆動電力が2MWである場合、2MW未満の電力では前記水電解装置421が駆動され得ないが、駆動電力が、それぞれ、1MW、2MW、5MWである第1~第3水電解スタック4211、4212、4213を並列式で連結して前記水電解装置421を構成する場合、2MW未満の電力でも前記第1水電解スタック4211が駆動され得るため、前記水電解装置421の駆動が完全に中断されることを防止して、安定的に水素を生産することができる。
【0074】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解できるであろう。したがって、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり限定的ではないものと理解されるべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散されて実施されてもよく、同様に分散されたものと説明されている構成要素も結合された形態で実施され得る。
【0075】
本発明の範囲は後述する請求の範囲によって示され、請求の範囲の意味および範囲そしてその均等概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0076】
10:系統
20:再生エネルギー発電部
30:電力変換部
31:AC/DCコンバータ
32:DC/DCコンバータ
33:DC/ACインバータ
41:エネルギー貯蔵部
42:水電解部
43:制御部
44:燃料電池
L:負荷
【国際調査報告】