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特表2024-524980バッテリーパックを組み込んだバイダイレクショナル アダプティブ ターミナル電圧(“BATV”)システム
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  • 特表-バッテリーパックを組み込んだバイダイレクショナル  アダプティブ  ターミナル電圧(“BATV”)システム 図1A
  • 特表-バッテリーパックを組み込んだバイダイレクショナル  アダプティブ  ターミナル電圧(“BATV”)システム 図2
  • 特表-バッテリーパックを組み込んだバイダイレクショナル  アダプティブ  ターミナル電圧(“BATV”)システム 図3A
  • 特表-バッテリーパックを組み込んだバイダイレクショナル  アダプティブ  ターミナル電圧(“BATV”)システム 図3B
  • 特表-バッテリーパックを組み込んだバイダイレクショナル  アダプティブ  ターミナル電圧(“BATV”)システム 図4
  • 特表-バッテリーパックを組み込んだバイダイレクショナル  アダプティブ  ターミナル電圧(“BATV”)システム 図5
  • 特表-バッテリーパックを組み込んだバイダイレクショナル  アダプティブ  ターミナル電圧(“BATV”)システム 図6
  • 特表-バッテリーパックを組み込んだバイダイレクショナル  アダプティブ  ターミナル電圧(“BATV”)システム 図7
  • 特表-バッテリーパックを組み込んだバイダイレクショナル  アダプティブ  ターミナル電圧(“BATV”)システム 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】バッテリーパックを組み込んだバイダイレクショナル アダプティブ ターミナル電圧(“BATV”)システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
H02J7/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579050
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 US2022073066
(87)【国際公開番号】W WO2022272252
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/213,383
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523478584
【氏名又は名称】ザップバット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ZAPBATT,INC.
【住所又は居所原語表記】906 7th Street,Unit A,Hermosa Beach,CA 90254 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチ,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】フェルザー,デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BA03
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503CB13
5G503DA15
5G503GB03
(57)【要約】
【構成】本発明のバイダイレクショナル アダプティブ ターミナル電圧(“BATV”)システムを使用すると、バッテリーシステムを各種のデバイス(または外部負荷装置)に組み込むことができ、これらデバイスの電気特性を変える必要はない。このバッテリーシステムは相互に電気的に結合したバッテリーセルスタックおよびバッテリー管理システムを有する。このバッテリー管理システムにはさらにBATVシステムを結合する。このBATVシステムは、バッテリーシステムから外部負荷装置に送電する必要がある場合に、外部負荷装置の電圧条件に応じて降圧モードまたは昇圧モードのいずれかで動作する構成の双方向コンバータである。バッテリーシステムを外部電源または再生エネルギー吸収装置から再充電するさいには、このBATVシステムも再充電条件の必要性に応じて降圧モードまたは昇圧モードのいずれかで動作する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電式バッテリーパックであって、
バッテリー管理システム(BMS)に結合したバッテリーセルスタックを含むバッテリーシステムと、
前記バッテリーシステムに結合したバイダイレクショナル アダプティブ ターミナル電圧システム(BATV)を有し、
前記BATVが負端子および正端子を有する電子ハードウェアおよびソフトウェアを併用して、バッテリー充電装置もしくは外部負荷装置に結合し、又は電子デバイスの電気特性を変えることなく該電子デバイスに組み込まれる
ことを特徴とする充電式バッテリーパック。
【請求項2】
前記BMSが、
前記バッテリーセルスタックの前記負荷装置または充電装置への接続およびこれらからの断接を促進し、使用時の安全確保を行い、そして電流を制御する一つかそれ以上のバッテリーセルスタックの安全スイッチ、
前記バッテリーセルスタックの電圧および前記バッテリーセルスタックに流出入する電流を監視し、このバッテリーセルスタックの安全性および性能を制御するアナログ式前端部、
前記バッテリーシステムに流出入する電流を検出する電流検出抵抗装置、および
充電時の正確な電流状態、前記バッテリーシステムの健全性、および内部信号および外部信号の通信状態について判定を行いかつ報告するバッテリーゲージ、を有する請求項1に記載の充電式バッテリーパック。
【請求項3】
前記BMSがさらに、
前記BMSおよび前記BATVの機能および動作を同期させるために必要な前記BMSおよび前記BATVの間の通信の管理を含むバッテリーシステム管理を行うマイクロコントローラ、
BMS回路基板アセンブリ(PCBA)のバッテリーセルおよびその他の素子の温度を監視する熱管理素子ネットワーク、
バッテリー制御およびバッテリー状態を前記バッテリーパックの外部にあるデバイスに、およびこれらデバイスから通信する通信素子、
バッテリーシステムの状態を示す表示装置、および
前記BMSを他の素子またはシステムに接続できる正端子および負端子、を有する請求項2に記載の充電式バッテリーパック。
【請求項4】
さらに、前記バッテリーシステムの状態および動作に関する情報を格納するデータログを有する請求項3に記載の充電式バッテリーパック。
【請求項5】
さらに、前記バッテリーパックの時間および位置を確認するGPS素子を有する請求項3に記載の充電式バッテリーパック。
【請求項6】
前記熱管理素子が信号を前記マイクロコントローラに送信する構成のデジタル温度センサーのネットワークを有し、所定の温度閾値に達した場合に前記バッテリーシステムに流れる利用可能な最大充電電力または放電電力を抑制するように前記マイクロコントローラがプログラムされる請求項3に記載の充電式バッテリーパック。
【請求項7】
前記BATVが転換機能、電圧調節機能、制御機能および通信機能を実行し、そして方向制御信号が指示する方向において高電圧ポートと低電圧ポートとの間を流れる電源流を調節するとともに、このBATVの出力端子間の電圧を調節するように構成された双方向昇降圧コンバータを有する請求項1に記載の充電式バッテリーパック。場合により前記高電圧ポートに外部から供給される電圧は変動しているか、又は固定電圧で供給され、前記BATVは前記低電圧ポートに供給される特定の固定電圧に調整される。場合により前記高電圧ポートに外部から供給される電圧は変動しているか、又は固定電圧で供給されており、前記BATVは前記低電圧ポートに供給される固定電流と変動電圧に調整される。場合により前記低電圧ポートの電圧が変動し、前記BATVは外部使用のために前記高電圧ポートに供給される特定の電圧に調整される。
【請求項8】
前記BATVが、
前記充電式バッテリーシステムの負荷装置またはバッテリー充電装置への接続またはこれらからの断接を実施できる構成で、電流の安全制御を行う構成のFET安全スイッチ、
前記バッテリーパックに流出入する電流を検出する電流検出抵抗装置、
電流を昇降圧モードで切り替える昇降圧双方向FET装置、および
このFET装置に接続し、昇降圧転換の動作を制御する昇降圧双方向制御装置を有し、
これら電流検出抵抗装置、昇降圧双方向FET装置および昇降圧双方向制御装置を単相実装か、あるいは多相実装のいずれかにおいて併用実装する、請求項7に記載の充電式バッテリーシステム。
【請求項9】
前記BATVシステムがさらに、
BATVシステム管理を行うマイクロコントローラ、
このBATV内の素子の温度を監視する少なくとも一つの熱センサー、および
BATV状態および/またはバッテリーシステム状態を表示する表示装置、を有する請求項8に記載の充電式バッテリーシステム。
【請求項10】
前記バッテリーパックシステムから外部負荷装置に電源電力を送る必要がある場合に、前記外部負荷装置の電圧要件および前記バッテリーパックの電流端子電圧に応じて、前記BATVが降圧モードか、あるいは昇圧モードのいずれかで動作する請求項1に記載の充電式バッテリーパック。
【請求項11】
前記充電式バッテリーパックが外部電源から、あるいは再生エネルギー吸収源からの充電時に、前記BATVシステムが必要な充電条件に応じて降圧モードか、あるいは昇圧モードのいずれかで動作する請求項10に記載の充電式バッテリーシステム。
【請求項12】
前記BATVが各種の電圧スペックおよび電流スペックに対応する入出力電圧範囲および電流を可能にするようにプログラム可能である請求項11に記載の充電式バッテリーシステム。
【請求項13】
充電式バッテリーセルスタック、
このバッテリーセルスタックに結合したバッテリー管理システム、および
このバッテリー管理システムに結合し、バッテリー充電装置もしくは外部負荷装置に接続する構成、又は電子デバイスへ組み込む構成のバイダイレクショナル アダプティブ ターミナル電圧システム、
を有することを特徴とするバッテリー充電システム。
【請求項14】
前記バッテリーセルスタックの電圧およびこのバッテリーセルスタックに流出入する電流を監視し、正確な充電電流状態、前記バッテリーシステムの健全性を確認し、報告して、前記バッテリー管理システムおよび前記バイダイレクショナル アダプティブ ターミナル電圧システム間の通信を管理するハードウェアおよびソフトウェアで前記バッテリー管理システムを構成した、請求項13に記載のバッテリー充電システム。
【請求項15】
前記バイダイレクショナル アダプティブ ターミナル電圧システムが、方向制御信号が指示する方向において高電圧ポートと低電圧ポートの間に流れる電源電圧を調節するとともに、この双方向適応端子電圧システムの出力端子間の電圧を調節する構成の双方向昇降圧コンバータである請求項14に記載のバッテリー充電システム。
【請求項16】
前記バイダイレクショナル アダプティブ ターミナル電圧システムが、各種の電圧スペックおよび電流スペックに対応する入出力電圧範囲および電流を設定できるようにプログラム可能である請求項15に記載のバッテリー充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体としてはバッテリーシステムに関する。より具体的には、本発明は接続されたバッテリーパックの充放電の管理に使用する双方向DC/DC電圧および電力調節を行うバイダイレクショナル アダプティブ ターミナル電圧( Bidirectional Adaptive Terminal Voltage、“BATV”)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
充電式/充填式バッテリー(Rechargeable batteries)は異なる各種分野においてエネルギー保存デバイスとして幅広く利用されている。即ち、これらバッテリーは他のエネルギー保存技術よりも高エネルギーおよび出力密度が比較的高く、そしてコストが比較的低い。現在利用されている充電式バッテリーの中でも、リチウム-イオンバッテリーは高出力およびエネルギー密度が高いため好感度が高く、広く利用されている。充電式バッテリーは携帯式電子製品、消費者製品、軽量の電気自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車、再生可能なパワーシステムやその他数多くのデバイス/システムに組み込まれている。
【0003】
ところが、充電式バッテリーを異なる形式のデバイスへ組み込む際に、モーター、表示スクリーンやその他のバッテリー電力を必要とする他の電子デバイスなどの通常のデバイスを始めとするデバイスの電力消費部分のスペックの制限を受ける。例えば、充電式バッテリーの真の公称電圧または電圧範囲とは異なる入力電圧範囲を目的として設計されたバッテリー駆動デバイスに充填式バッテリーを組み込むことは困難である。さらに、電力をバッテリーシステムに送り返すデバイスの場合、充電式バッテリーパックに送る電圧はバッテリーを安全に充電するために一定の範囲内に保持する必要がある。従って、システムはバッテリーパックに送る電力および電圧の条件を整備する必要がある。
【0004】
従って、デバイスに必要な電圧を使用時に望まれる電圧範囲のバッテリーパックに確実に合わせる必要なく、充電式バッテリーを各種用途の異なるデバイスにシームレスに組みこむことができるシステムが依然として望まれている。
【発明の開示】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明はバイダイレクショナル アダプティブ ターミナル電圧(BATV)システムを提供する。このBATVシステムの場合、組み込む各種デバイスの電気特性を変更する必要なく、充電式バッテリーシステムをこれらデバイスに組み込むことができる(あるいは外部ロードに接続できる)。このバッテリーシステムは直列および/または並列接続した一つかそれ以上のセルを有するバッテリーセルスタックを有し、そしてさらにこのバッテリーセルスタックに電気的に結合したバッテリー管理システムを有する。BATVは転換機能、調節機能、制御機能および通信機能を実行する電子的ハードウェアおよびソフトウェアを併用する。
【0006】
さらに、BATVシステムはDC‐DCコンバータあるいは昇降圧コンバータとも呼ばれている双方向コンバータである。また、BATVシステムは方向制御信号(DIR)が指示する方向に高電圧ポートと低電圧ポートとの間において流れる電流を調節することができ、BATVシステム出力端子間の電圧も調節することができる。電流レベルおよび電圧調節レベルについては、アナログ信号およびデジタル信号の併用によってプログラミングする。アナログ信号およびデジタル信号の併用によって、本システムはデバイスの状況的ニーズを示すDIR入力に基づいて、低電圧ポートから高電圧ポートに流れる、および高電圧ポートから低電圧ポートに流れる電力をミリ秒で直ちにスイッチ切換を実施できる。
【0007】
さらに、BATVシステムをバッテリーシステムに電気的に結合すると、バッテリーパックを形成することができる。バッテリーパックには、BATVシステムを横断するバッテリーパックの正負の端子によって外部ロード(負荷)を電気的に結合することができる。
【0008】
一つの実施態様では、バッテリーシステムから外部負荷に給電する必要が生じた場合には、この外部負荷およびバッテリーパックの電流端子電圧の電圧条件に応じて、4BATVシステムはバックモードかあるいはブーストモードで動作する。次に、バッテリーシステムが外部電源から、あるいは再生(回生)エネルギー吸収源からの再充電状態にある場合には、BATVシステムは再充電条件によって必要になるバックモード(ステップダウンモード)かあるいはブーストモード(ステップアップモード)のいずれかで動作する。このために、入力電圧範囲および出力電圧範囲および電流については、各種の電圧スペックおよび電流スペックを必要とする用途にバッテリーシステムを使用できるようにプログラミングすることができる。これら用途の実例としては、同じか異なる出力電圧を対象とする異なるセル数バッテリースタックや同じか異なるバッテリーセルスタックを対象とする異なる負荷電圧または充電電圧および電流特性などである。
【0009】
以上の概要は例示のみを目的とし、どのような意味でも限定を意図していない。上記の態様、実施態様および諸特徴に加えて、これら以外の態様、実施態様および特徴については、添付図面および以下の詳細な説明を参照することにより明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に開示する実施態様について、縮尺に従っていない添付図面を参照して説明する。即ち、開示実施態様の動作原理を中心にして説明する。図中、
図1図1は一部実施態様に係るバッテリーセルを示す概略図である。
図2図2は複数のバッテリーセルを有する、一部の実施態様に係るバッテリーセルスタックを示す概略図である。
図3A図3Aは一部の実施態様に係るバッテリー管理システムを示すブロック線図である。
図3B図3B図3Aのバッテリー管理システムに組み込んだバッテリーセルスタックの安全スイッチを示す概略図である。
図4図4はバッテリーシステムを示すブロック線図である。
図5図5は外部負荷に接続した図4のバッテリーシステムを示すブロック線図である。
図6図6は一部の実施態様に係るバイダイレクショナル アダプティブ ターミナル電圧(“BATV”)システムを示すブロック線図である。
図7図7はバッテリーパックを示すブロック線図である。
図8図8は外部負荷に接続したバッテリーパックを示すブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の完全な理解をもたらす詳細な説明を記載する。当業者にとっては自明なように、本発明はこの詳細な説明に記載する特定性の少なくとも一部を欠いても実施可能である。他の場合では、装置および方法については、本開示をいたずらに複雑にすることなく動作の基本的な発明性のある考え方および原理の理解を容易にするために全体的な形で、即ちブロック線図の形で示す。
【0012】
本明細書で“一つの実施態様(one embodiment or an embodiment)”という場合、この実施態様に関して記載する特徴、構造または特性が本開示の少なくとも一つの実施態様に包含されることを意味する。本明細書の各種箇所に記載する“一つの実施態様では”は特徴または特性がすべての実施態様において必ずしも存在する必要はなく、また相互に他の実施態様を排除する個別の、あるいは代替的な実施態様も存在しないことを意味する。さらに単数表現の(aおよびan)は量的な制限を示すものではなく、むしろ参照した事項/要素や制限などのうちの少なくとも一つの存在を指すものである。加えて、一部の実施態様には認められるが、他の実施態様には見られない各種特徴についても記載する。同様に、一部の実施態様には認められるが、他の実施態様には見られない各種の必要条件についても記載する。
【0013】
図1Aを参照して説明すると、この図は一部の実施態様に係るバッテリーセル100を示す概略図である。バッテリーセル100は充電式セルである。このバッテリーセル100としてはニッケル‐カドミウム(NiCd)バッテリー、ニッケル‐水素化金属(NiMH)バッテリー、リチウム‐イオン(Li‐イオン)バッテリー、リチウム‐イオンポリマー(LiPo)バッテリー、リチウムチタン酸リチウム(LTO)バッテリーなどを例示することができる。バッテリーセル100は2つの端子、即ち正端子101および負端子103を有する。バッテリーセル100は正端子101および負端子103を介して他のバッテリーセルや任意の電子デバイスに接続することができる。バッテリーセル100のスペック(仕様)は使用者の必要に基づいて選択する。
【0014】
一つの実施態様では、以下のスペックのバッテリーセル100を使用することができる。即ち、1.5V~2.7V、2.3V公称、23Ah、52Wh、106×116×22mm、(6.17×6.57×0.87in)、550g(19.6oz、1.2lbs)、96Wh/kg、202Wh/L、動作温度-30~55℃、115A(連続)充放電、200A Max(<10秒)である。
【0015】
一つの実施態様では、複数のバッテリーセルを使用して、バッテリーセルスタックを形成する。複数のバッテリーセルの端部同士を接続して、以下に記載しかつ図2に示すバッテリーセルスタックを形成する。
【0016】
図2は一部の実施態様に従って複数のバッテリーセル201a~201nで構成したバッテリーセルスタック200を示す概略図である。複数のバッテリーセル201a~201nの端部同士を直列に接続する。即ち、バッテリーセル201aの正端子をバッテリーセル201bの負端子に接続し、次に同様にしてバッテリーセル201bの正端子を別なバッテリーセルの負端子に接続するなどして、バッテリーセルスタック200を形成する。別な一部の実施態様では、複数のバッテリーセル201a~201nを並列接続することができる。バッテリーセルスタック200は2つの端子、即ち正端子203および負端子205を有する。バッテリーセルスタック200は正端子203および負端子205を介して任意の外部電子デバイスに接続することができる。さらに、一部の実施態様では、端子が複数のバッテリーセル201a~201nのそれぞれに対応する。例えば、端子207、209および211がそれぞれバッテリーセル201a、201bおよび201nに対応する。
【0017】
さらに、バッテリーセルスタック200は、図3Aを参照して以下に記載するように、バッテリー管理システムに接続することができる。
【0018】
図3Aは本発明の一部の実施態様に係るバッテリー管理システム300を示すブロック線図である。バッテリー管理システム(BMS)300はバッテリーセルスタックに結合し、バッテリーセルスタック200の制御、安全確保および情報監視に使用する。バッテリーセルスタックおよびバッテリー管理システムは本明細書では併せてバッテリーシステムと呼ぶ。バッテリー管理システム300はバッテリーセルスタックの外部負荷装置または充電装置への接続および充電装置からの離脱を容易にして安全な使用を確保し、かつ電流を制御するバッテリーセルスタックの安全スイッチ301、バッテリーセルスタックの電圧およびバッテリーセルスタックに流入し、かつこのバッテリーセルスタックから流出する電流を監視して、バッテリーセルスタックの安全性および性能を制御するアナログ前端部(AFE)303、およびバッテリーセルスタックおよびバッテリーゲージ307に流入し、かつこのバッテリーセルスタックおよびバッテリーゲージ307から流出する電流を検出して、バッテリーセルスタックの健全性を判定しかつ報告する、内部信号および外部信号通信用の電流検出抵抗装置305などを有する。
【0019】
さらに、バッテリー管理システム(BMS)300はバッテリーシステム管理用のマイクロコントローラ309、BMS内のバッテリーセルおよびその他の素子の温度を監視する熱管理素子311、バッテリーシステム外のデバイスに、あるいはデバイスからバッテリー制御およびバッテリー状態を通信する通信素子313、バッテリーシステム状態を表示する表示素子315、バッテリーシステムの状態および動作に関するデータを記録するデータ記録素子317、およびバッテリーシステムの時間および位置を確認するGPS素子319を有する。熱管理素子311は熱監視を行う離散的なデジタル式温度センサーであり、信号をマイクロコントローラに発信する。ある所定の温度閾値に達した場合にシステムに利用できる最大充電電力または放電電力を低く抑えることによって、オンボード電子素子が過熱することを防止できる。本システムの場合、システム内のピーク電力入力を維持するために所定の動作温度範囲を必要とするFETおよびインダクターやその他の磁性素子などのPCBAの高熱発生素子を冷却する少なくとも一つのパルス幅変調(PWM)制御式ファンを有するのが好ましい。ファン動作およびファン速度については、温度センサーからの所定の温度閾値および読み取り値に基づいてファン速度を決定するようにプログラムしたマイクロコントローラが命令する。このマイクロコントローラについては、バッテリーパックに流れ、そしてこのパックから流れ出る利用できる電力を制限する前に、マイクロコントローラがPWM冷却ファンに通信し、このファンを増速してシステム内で熱を発生する素子を循環する空気流を増加させることによってシステムが潜在的な能力を十分に発揮してシステムが動作を継続できるようにプログラムする。
【0020】
さらに、バッテリー管理システム300は正端子321および負端子323を有し、これらを介してバッテリー管理システム300が外部素子やシステムを始めとする他の素子またはシステムに接続できる。
【0021】
図3B図3Aのバッテリー管理システム内に組み込んだバッテリーセルスタックの安全スイッチ301を示す概略図である。バッテリーセルスタックの安全スイッチ301は第1スイッチ301aおよび第2スイッチ301bを有する。第1スイッチおよび第2スイッチを併用することによって、電流がバッテリーセルスタックに流れ込むことが可能になり、あるいはバッテリーセルスタックからの電流を阻止できる。この態様はスイッチ機能の一つの考えられる実施態様である。このスイッチ機能は他の回路デバイス構成でも実施可能であり、このような実施態様では、必要な素子数は任意に選択することができる。
【0022】
図4は各種実施態様に係るバッテリーシステム400を示すブロック線図である。相互に電気的に結合したバッテリーセルスタック200およびバッテリー管理システム300はまとめてバッテリーシステム400と呼ぶ。正端子321および負端子323はそれぞれバッテリーシステム400の正端子および負端子として作用する。このバッテリーシステム400は外部負荷装置に接続し、この外部負荷装置に電気エネルギーを供給することができる。バッテリーシステム400は外部充電装置に接続でき、従ってこの外部充電装置によって充電することができる。
【0023】
図5は一部の実施態様に従って外部負荷装置500に接続したバッテリーシステム400を示すブロック線図である。一つの実施態様では、外部負荷装置500は電子速度コントローラ501および可変速モーター503を備えることができる。この電子速度コントローラ501がモーター503の速度を制御する。バッテリーシステム400は外部負荷装置500間に電気エネルギーを放出し、外部負荷装置500を作動することができる。一部の実施態様では、直流(DC)源を使用することができる外部電源505を使用してバッテリーシステム400を充電することができる。
【0024】
バッテリーシステム400を組み込むことができる異なる形式の外部負荷装置は、バッテリーセルスタック200のスペック(仕様)により制限を受けるものである。例えば、バッテリーシステム400にバッテリーセルスタック200の真の公称電圧または電圧範囲とは異なる入力電圧範囲向けの、バッテリーを電源とする装置を組み込むことは困難である。
【0025】
この制限問題に対処できるのがバイダイレクショナル アダプティブ ターミナル電圧(BATV)システムである。図6はこのようなBATVシステム600を示すブロック線図である。このBATVシステム600を使用すると、バッテリーシステム400を、組み込むデバイスの電気特性を変更することなくこれらデバイス(または外部負荷装置)に組み込むことができる。BATVシステム600は転換機能、構成機能、制御機能および通信機能を実行する電子式ハードウェアおよびソフトウェアを併用したシステムである。さらに、BATVシステム600は双方向コンバータであり、これは時にはDC‐DCコンバータとも呼ばれ、昇降圧(buck/boost)コンバータとも呼ばれている。BATVシステム600は方向制御信号(DIR)が指示する方向において高電圧ポートおよび低電圧ポートの間に流れる電流を調節することができ、またBATVシステム600の出力端子間の電圧を調節することができる。電流調節レベルおよび電圧調節レベルについては、BATVシステム600に流れるアナログ信号やデジタル信号によってプログラムする。BATVシステム600はバッテリーの負荷装置または充電装置への接続やこの接続を断つことを安全に実施でき、かつ電流の制御を実施できるFET安全スイッチ601を有する。電流検出抵抗装置603がバッテリーパックに流れ込み、かつこれから流れ出る電流を検出し、そして(昇降圧機能における電流を切換る)昇降圧双方向FET装置611が昇降圧双方向制御装置613に接続して、昇降圧転換の動作を制御する。電流検出抵抗装置603、昇降圧双方向FET装置611および昇降圧双方向制御装置613の併用は単相実装または複相実装のいずれかで構成することができる。さらに、BATVシステム600はBATVシステム管理を行うマイクロコントローラ623、BATVシステムの素子の温度を監視する温度センサー625およびBATVおよびバッテリーシステムの状態を表示する表示装置(ディスプレー)627を備える。なお、図6には2つの昇降圧制御ブロックとともに4組の昇降圧FETを示すが、他の実施態様では、FETペア毎にコントローラを設けることができる。
【0026】
一部の実施態様に係るバッテリーパック700のブロック線図である図7を参照して以下に説明するように、BATVシステム600はバッテリーシステム400に電気的に結合し、バッテリーパックを形成することができる。電気的に相互結合したバッテリーシステム400およびBATVシステム600を以下バッテリーパック700と呼ぶ。正端子701および負端子703によってこのバッテリーパック700は外部負荷装置500に接続することができる。入出力電圧範囲および電流については、各種の電圧スペックおよび電流スペックを必要とする用途においてバッテリーシステム400を使用できるようにプログラムすることが可能である。各種用途のいくつかの実例を例示すると、同じか異なる電圧を対象とする異なるバッテリーセルスタックや同じか異なるバッテリーセルスタックを対象とする異なる負荷または充電電流特性である。
【0027】
図8は一部の実施態様に係るバッテリーパック700の例示的な用途を示すブロック線図である。バッテリーパック700は外部負荷装置500に接続する。電源電力をバッテリーシステム400から外部負荷装置500に投入する場合、外部負荷装置500の電圧条件に応じて、降圧モードか昇圧モードのいずれかでBATVシステム600が作動する。この場合、次にバッテリーシステム400が外部電源505または再生エネルギー吸収装置から再充電状態に移ると、再充電条件に応じて必要とされる降圧モードか昇圧モードのいずれかでBATVシステム600が作動する。従って、BATVシステム600によってバッテリーシステム400を負荷電圧および負荷電流が異なる用途に使用できる。さらに、BATVシステム600によってバッテリーシステム400を異なる外部電源から再充電することも可能である。
【0028】
以上に示した実施態様は例示のみを目的とし、発明の範囲、適用性および構成を制限するものではない。むしろ、例示的な実施態様の説明によって当業者ならば、一つかそれ以上の実施態様で本発明を実施できるはずである。本発明の範囲内で、特許請求の範囲に記載した要旨の精神および範囲から逸脱することなく、素子などの機能および構成を変更できるはずである。
【符号の説明】
【0029】
100、201a~201n バッテリーセル
101、203、321、701 正端子
103、205、323、702 負端子
200 バッテリーセルスタック
207、209、211 端子
300 バッテリー管理システム
301 安全スイッチ
303 アナログ前端部(AFE)
305、603 電流検出抵抗装置
409、623 マイクロコントローラ
311 熱管理素子
313 通信素子
315 表示素子
317 データ記録素子
319 GPS素子
301a 第1スイッチ
301b 第2スイッチ
400 バッテリーシステム
500 外部負荷装置
501 電子速度コントローラ
503 可変速モーター
505 外部電源
600 BATVシステム
601 FET安全スイッチ
611 昇降圧双方向FET装置
613 昇降圧双方向制御装置
625 温度センサー
627 表示装置
700 バッテリーパック
図1A
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】