(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】熱標的化によるT細胞療法の遠隔制御のための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240702BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240702BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240702BHJP
C12N 15/19 20060101ALI20240702BHJP
C12N 15/20 20060101ALI20240702BHJP
C12N 15/24 20060101ALI20240702BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240702BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20240702BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240702BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240702BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240702BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240702BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240702BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240702BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240702BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240702BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240702BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/12
C12N15/62 Z
C12N15/19
C12N15/20
C12N15/24
C12N15/63 Z
C12N15/867 Z
C12N5/10
A61K35/17
A61K48/00
A61P21/00
A61P35/00
A61P37/02
A61P37/04
A61P43/00 105
A61P35/02
A61P17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579081
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 US2022034958
(87)【国際公開番号】W WO2022272102
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504466834
【氏名又は名称】ジョージア テック リサーチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ガブリエル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ガンボア,マリエレーナ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,イアン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ザマット,アリ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
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4C084AA13
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4C087ZB26
4C087ZB27
(57)【要約】
本開示は、1つ以上の熱ショックエレメント、コアプロモータ、及び目的の遺伝子を含むプロモータ構築物、プロモータ構築物を含むベクター、並びにプロモータ構築物を含むように改変された免疫細胞に関する。プロモータ構築物は、熱標的化によって免疫細胞療法を遠隔制御する能力を提供する。本開示はまた、プロモータ構築物のための使用方法を提供する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロモータ構築物であって、以下の領域:
a)1つ以上の熱ショックエレメント、
b)コアプロモータ、及び
c)目的の遺伝子を含む、プロモータ構築物。
【請求項2】
前記プロモータが、40℃~45℃の熱活性化を必要とする、請求項1に記載のプロモータ構築物。
【請求項3】
前記プロモータが、少なくとも40℃の熱活性化を必要とする、請求項1又は2に記載のプロモータ構築物。
【請求項4】
前記プロモータが、少なくとも41℃の熱活性化を必要とする、請求項1又は2に記載のプロモータ構築物。
【請求項5】
前記プロモータが、少なくとも42℃の熱活性化を必要とする、請求項1又は2に記載のプロモータ構築物。
【請求項6】
前記プロモータが、少なくとも43℃の熱活性化を必要とする、請求項1又は2に記載のプロモータ構築物。
【請求項7】
前記プロモータが、少なくとも44℃の熱活性化を必要とする、請求項1又は2に記載のプロモータ構築物。
【請求項8】
前記プロモータが、少なくとも45℃の熱活性化を必要とする、請求項1又は2に記載のプロモータ構築物。
【請求項9】
プロモータ構築物が、光源によって活性化される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロモータ構築物。
【請求項10】
前記光源が、レーザーである、請求項9に記載のプロモータ構築物。
【請求項11】
前記光源が、近赤外レーザーである、請求項9に記載のプロモータ構築物。
【請求項12】
前記熱ショックエレメントが、2、3、4、5、6、7回、又はそれ以上繰り返される、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロモータ構築物。
【請求項13】
前記熱ショックエレメントが、配列番号1を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロモータ構築物。
【請求項14】
前記1つ以上の熱ショックエレメントが、配列番号2~9のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含む、請求項13に記載のプロモータ構築物。
【請求項15】
前記コアプロモータが、熱ショックタンパク質転写開始部位を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロモータ構築物。
【請求項16】
前記コアプロモータが、HSPA1A、HSPH1、HSPB1、HSPA6、又はYBの前記熱ショックタンパク質転写開始部位を含む、請求項15に記載のプロモータ構築物。
【請求項17】
前記コアプロモータが、配列番号10~13のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つを含む、請求項15又は16に記載のプロモータ構築物。
【請求項18】
前記1つ以上の熱ショックエレメント及びコアプロモータが、配列番号14~21のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を一緒に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロモータ構築物。
【請求項19】
前記目的の遺伝子が、
a)レポータタンパク質、
b)免疫調節剤、
c)二重特異性T細胞エンゲージャー抗体、
d)キメラ抗原受容体、
e)組換えT細胞受容体、
又はそれらの任意の組み合わせをコードする、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロモータ構築物。
【請求項20】
前記レポータタンパク質が、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、単量体赤色蛍光タンパク質(mRFP)、Discosoma striata(DsRed)、mCherry、mOrange、tdTomato、mSTrawberry、mPlum、光活性化GFP(PA-GFP)、Venus、Kaede、単量体クサビラオレンジ(mKO)、Dronpa、増強CFP(ECFP)、Emerald、エネルギー遷移シアン蛍光タンパク質(CyPet)、スーパーCFP(SCFP)、Cerulean、光切り替え可能CFP(PS-CFP2)、光活性化RFP1(PA-RFP1)、光活性化mCherry(PA-mCherry)、単量体ティール蛍光タンパク質(mTFP1)、Eos蛍光タンパク質(EosFP)、Dendra、TagBFP、TagRFP、増強YFP(EYFP)、Topaz、Citrine、エネルギー遷移黄色蛍光タンパク質(YPet)、スーパーYFP(SYFP)、増強GFP(EGFP)、Superfolder GFP、T-Sapphire、Fucci、mKO2、mOrange2、mApple、Sirius、Azurite、EBFP、及び/又はEBFP2である、請求項19に記載のプロモータ構築物。
【請求項21】
前記免疫調節剤が、サイトカイン、ケモカイン、又はサイトトキシンである、請求項19に記載のプロモータ構築物。
【請求項22】
前記免疫調節剤が、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-22、IFN-γ、TNF-α、TGF-β、及び/又はLIFからなる群から選択されるサイトカインである、請求項21に記載のプロモータ構築物。
【請求項23】
前記免疫調節剤が、インターフェロンタンパク質である、請求項19、21、又は22のいずれか一項に記載のプロモータ構築物。
【請求項24】
前記免疫調節剤が、CCL2、CCL1、CCL19、CCL22、CXCL12、CCL17、MIP-1α、MCP-1、GRO/KC、CSCL12、及び/又はCXCR3からなる群から選択されるケモカインである、請求項19又は21に記載のプロモータ構築物。
【請求項25】
前記二重特異性T細胞エンゲージャー抗体が、抗CD-3結合ドメイン及びNKG2D受容体細胞外ドメインを含む、請求項19に記載のプロモータ構築物。
【請求項26】
配列番号23、24、及び29のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のプロモータ構築物。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか一項に記載のプロモータ構築物を含む、ベクター。
【請求項28】
前記ベクターが、ウイルスベクターであり、任意選択的に、前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、請求項27に記載のベクター。
【請求項29】
請求項1~26のいずれか一項に記載のプロモータ構築物、又は請求項27若しくは28に記載のベクターを含む、免疫細胞。
【請求項30】
前記免疫細胞が、T細胞又はNK細胞である、請求項29に記載の免疫細胞。
【請求項31】
前記T細胞が、組換えTCR T細胞又はCAR T細胞である、請求項30に記載の免疫細胞。
【請求項32】
前記NK細胞が、CAR NK細胞である、請求項30に記載の免疫細胞。
【請求項33】
請求項1~26のいずれか一項に記載のプロモータ構築物又は請求項27若しくは28に記載のベクターを含み、前記プロモータ構築物を活性化する加熱構成要素を更に含む、キット。
【請求項34】
対象におけるがんを治療する方法であって、前記対象に、請求項1~26のいずれか一項に記載のプロモータ構築物、請求項27若しくは28に記載のベクター、請求項29~32のいずれか一項に記載の免疫細胞を投与すること、又は請求項33に記載のキットを適用することを含む、方法。
【請求項35】
対象におけるがんを治療する方法であって、i)前記対象に、1つ以上の熱ショックエレメント、コアプロモータ、及び目的の遺伝子を含むプロモータ構築物を含む熱制御免疫細胞を投与することと、ii)前記熱制御細胞を加熱構成要素で活性化することと、を含む、方法。
【請求項36】
前記熱制御免疫細胞の前記熱ショックエレメントが、配列番号1を含む、請求項35に記載のがんを治療する方法。
【請求項37】
前記熱制御免疫細胞が、T細胞又はNK細胞である、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記目的の遺伝子が、キメラ抗原受容体、免疫調節剤、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、組換えT細胞受容体、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項35~37のいずれか一項に記載のがんを治療する方法。
【請求項39】
前記熱制御免疫細胞が、40℃~45℃の範囲にある温度で活性化する、請求項34~39のいずれか一項に記載のがんを治療する方法。
【請求項40】
前記プロモータが、少なくとも40℃の熱活性化を必要とする、請求項39に記載のがんを治療する方法。
【請求項41】
前記プロモータが、少なくとも41℃の熱活性化を必要とする、請求項39に記載のがんを治療する方法。
【請求項42】
前記プロモータが、少なくとも42℃の熱活性化を必要とする、請求項39に記載のがんを治療する方法。
【請求項43】
前記プロモータが、少なくとも43℃の熱活性化を必要とする、請求項39に記載のがんを治療する方法。
【請求項44】
前記プロモータが、少なくとも44℃の熱活性化を必要とする、請求項39に記載のがんを治療する方法。
【請求項45】
前記プロモータが、少なくとも45℃の熱活性化を必要とする、請求項39に記載のがんを治療する方法。
【請求項46】
前記対象に、抗がん剤又は免疫療法を投与することを更に含む、請求項34~45のいずれか一項に記載のがんを治療する方法。
【請求項47】
前記免疫療法が、抗PD1免疫療法である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記免疫療法が、抗PD-L1免疫療法である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記がんが、固形腫瘍の形成を引き起こす、請求項34~48のいずれか一項に記載のがんを治療する方法。
【請求項50】
前記固形腫瘍が、上皮がん、肉腫、リンパ腫、芽細胞腫、又は黒色腫である、請求項41に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、国立衛生研究所によって付与された助成金番号DP2HD091793の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において、特定の権利を有する。
【0002】
本出願は、2021年6月24日に出願された米国仮出願第63/214,761号の利益を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞などの操作したT細胞療法は、血液悪性腫瘍における臨床ケアを変革しており、異なるがんのタイプ及び適用のためにそれらの使用を拡大する多くの努力を駆り立てている。しかしながら、この成功は、固形腫瘍に確実には移行されていない。低奏効率に関与する要因は多面的であり、腫瘍特異的抗原の不足、養子移入したT細胞の非効率的な持続及び拡張、並びに腫瘍微小環境(TME)による免疫抑制が含まれる。操作したT細胞の抗腫瘍活性を改善する有望なアプローチには、サイトカイン、チェックポイント遮断阻害剤抗体、及び二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)などの強力な免疫刺激剤の全身投与が含まれる。しかしながら、これらの生物製剤は、特異性を欠き、操作した免疫細胞及び内因性免疫細胞の両方を活性化し、健康な組織において毒性を示し、最大耐容用量を制限し、それらの治療幅を狭める。したがって、必要とされるのは、腫瘍及び流入領域リンパ節などの疾患部位で局所的に増強した機能を有するCAR T細胞であり、それによって、細胞ベース療法の安全性及び有効性を改善する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、熱活性化プロモータ構築物、並びにその製造及び使用のための方法に関する。
【0005】
一態様において、a)1つ以上の熱ショックエレメント(例えば、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、及び/又は9に示される熱ショックエレメントなど)、b)コアプロモータ、及びc)目的の遺伝子を含むプロモータ構築物が本明細書に開示される。
【0006】
また、任意の先行する態様のプロモータ構築物が開示され、当該プロモータは、40℃~45℃(例えば、40.0、40.1、40.2、40.3、40.4、40.5、40.6、40.7、40.8、40.9、41.0、41.1、41.2、41.3、41.4、41.5、41.6、41.7、41.8、41.9、42.0、42.1、42.2、42.3、42.4、42.5、42.6、42.7、42.8、42.9、43.0、43.1、43.2、43.3、43.4、43.5、43.6、43.7、43.8、43.9、44.0、44.1、44.2、44.3、44.4、44.5、44.6、44.7、44.8、44.9、又は45.0℃を含むが、これらに限定されない、40℃~42℃、又は41℃~43℃、又は42℃~45℃など)の熱活性化を必要とする。いくつかの実施形態において、プロモータは、少なくとも40.0、40.1、40.2、40.3、40.4、40.5、40.6、40.7、40.8、40.9、41.0、41.1、41.2、41.3、41.4、41.5、41.6、41.7、41.8、41.9、42.0、42.1、42.2、42.3、42.4、42.5、42.6、42.7、42.8、42.9、43.0、43.1、43.2、43.3、43.4、43.5、43.6、43.7、43.8、43.9、44.0、44.1、44.2、44.3、44.4、44.5、44.6、44.7、44.8、44.9、又は45.0℃の熱活性化を必要とする)。
【0007】
いくつかの態様において、任意の先行する態様のプロモータ構築物が本明細書に開示され、熱ショックエレメントは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30回繰り返される。例えば、いくつかの態様において、熱ショックエレメントは、配列番号1の7つの反復を含む。
【0008】
また、任意の先行する態様のプロモータ構築物が本明細書に開示され、コアプロモータは、熱ショックタンパク質コアプロモータ(熱ショックタンパク質HSPA1A、HSPH1、HSPB1、HSPA6、又はYBのコアプロモータ、例えば、配列番号10~13のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つを含む熱ショックタンパク質コアプロモータなどを含むが、これらに限定されない)を含む。
【0009】
いくつかの態様において、任意の先行する態様のプロモータ構築物が本明細書に開示され、目的の遺伝子は、以下の任意の組み合わせをコードする:a)レポータタンパク質(例えば、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、単量体赤色蛍光タンパク質(mRFP)、Discosoma striata(DsRed)、mCherry、mOrange、tdTomato、mSTrawberry、mPlum、光活性化GFP(PA-GFP)、Venus、Kaede、単量体クサビラオレンジ(mKO)、Dronpa、増強CFP(ECFP)、Emerald、エネルギー遷移シアン蛍光タンパク質(CyPet)、スーパーCFP(SCFP)、Cerulean、光切り替え可能CFP(PS-CFP2)、光活性化RFP1(PA-RFP1)、光活性化mCherry(PA-mCherry)、単量体ティール蛍光タンパク質(mTFP1)、Eos蛍光タンパク質(EosFP)、Dendra、TagBFP、TagRFP、増強YFP(EYFP)、Topaz、Citrine、エネルギー遷移黄色蛍光タンパク質(YPet)、スーパーYFP(SYFP)、増強GFP(EGFP)、Superfolder GFP、T-Sapphire、Fucci、mKO2、mOrange2、mApple、Sirius、Azurite、EBFP、及び/又はEBFP2、b)免疫調節剤(例えば、ケモカイン(CCL2、CCL1、CCL19、CCL22、CXCL12、CCL17、MIP-1α、MCP-1、GRO/KC、及び/又はCXCR3を含むが、これらに限定されない)サイトカイン(IL-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-22、IFN-γ、TNF-α、TGF-β、LIF、及び/又はサイトトキシン(パーフォリン及び/又はグランザイムを含むが、これらに限定されない)を含むが、これらに限定されない)、c)抗CD-3結合ドメイン及びNKG2D受容体細胞外ドメインを含む二重特異性T細胞エンゲージャー抗体を含むがこれに限定されない二重特異性T細胞エンゲージャー抗体、d)キメラ抗原受容体(CAR)(CD19、B細胞成熟抗原(BCMA)、CD22、CD33、CD38、NCAM1、CD5、CD70、MET、Muc1、L1CAM、CD44 SLAMF7、EGFR、EPHA2、GPC3、HER2、メソテリン、又はPDCD1を標的とするCARを含むが、これらに限定されない)、並びに/又はe)組換えT細胞受容体(TCR)(WT1、HPV E6、HPV E7、NY-ESO-1、HA-1、MAGE、Gp100、MART-1、HBV、p53、CEA、SL9、TGFβ11、TRAIL、MCPyV、PRAME、EBV、CMV、又はKRASを標的とするTCRを含むが、これらに限定されない)。
【0010】
また、任意の先行する態様のプロモータ構築物を含み、プロモータ構築物を活性化する加熱構成要素を更に含むキットが、本明細書に開示される。いくつかの態様において、加熱構成要素は、光源(例えば、レーザー(近赤外レーザーを含むが、これに限定されない)、フィラメント、赤外放出光源、若しくは発光ダイオード(LED)、サーマルパッド、又は熱的に調節した針、プローブ、若しくはメスなど)であることができる。
【0011】
いくつかの態様において、任意の先行する態様のプロモータ構築物を含む免疫細胞が、本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、又は樹状細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞は、組換えTCRを含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞及び/又はCARナチュラルキラー(NK)細胞である。例えば、a)1つ以上の熱ショックエレメント(例えば、配列番号1に示される熱ショックエレメントなど)と、b)コアプロモータと、c)目的の遺伝子と、を含むプロモータ構築物を含む、CAR T又はCAR NK細胞が、本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、目的の遺伝子は、キメラ抗原受容体、組換えTCR、免疫調節剤、又はそれらの任意の組み合わせをコードする。
【0012】
また、対象におけるがん及び/又は転移(例えば、上皮がん、肉腫、リンパ腫、芽細胞腫、又は黒色腫を含むが、これらに限定されない固形腫瘍など)を治療、低下、減少、阻害、改善、及び/又は予防する方法が本明細書に開示され、方法は、対象に、プロモータ、免疫細胞、T細胞(例えば、CAR T細胞)、NK細胞(例えば、CAR NK細胞)、若しくは樹状細胞を投与すること、又は任意の先行する態様のキットを適用することを含む。例えば、対象におけるがん及び/又は転移(例えば、上皮がん、肉腫、リンパ腫、芽細胞腫、又は黒色腫を含むが、これらに限定されない固形腫瘍など)を治療、低下、減少、阻害、改善、及び/又は予防する方法が本明細書に開示され、方法は、対象に、熱制御したCAR免疫細胞(例えば、a)1つ以上の熱ショックエレメント(例えば、配列番号1に示される熱ショックエレメントなど)、b)コアプロモータ、及びc)目的の遺伝子を含むプロモータ構築物を含むCAR T細胞又はCAR NK細胞など)を投与することと、腫瘍部位でCAR T細胞及び/又はCAR NK細胞の活性化を誘導すること(例えば、CAR T細胞及び/又はCAR NK細胞を40℃~45℃(40.0、40.1、40.2、40.3、40.4、40.5、40.6、40.7、40.8、40.9、41.0、41.1、41.2、41.3、41.4、41.5、41.6、41.7、41.8、41.9、42.0、42.1、42.2、42.3、42.4、42.5、42.6、42.7、42.8、42.9、43.0、43.1、43.2、43.3、43.4、43.5、43.6、43.7、43.8、43.9、44.0、44.1、44.2、44.3、44.4、44.5、44.6、44.7、44.8、44.9、又は45.0を含むがこれらに限定されない、40~42℃又は41~43℃、又は42~45℃など)に加熱することなど)と、を含む。いくつかの実施形態において、プロモータは、少なくとも40.0、40.1、40.2、40.3、40.4、40.5、40.6、40.7、40.8、40.9、41.0、41.1、41.2、41.3、41.4、41.5、41.6、41.7、41.8、41.9、42.0、42.1、42.2、42.3、42.4、42.5、42.6、42.7、42.8、42.9、43.0、43.1、43.2、43.3、43.4、43.5、43.6、43.7、43.8、43.9、44.0、44.1、44.2、44.3、44.4、44.5、44.6、44.7、44.8、44.9、又は45.0℃の熱活性化を必要とする)。いくつかの態様において、方法は、追加の抗がん剤又は免疫療法(抗PD-1免疫療法、抗PD-L1免疫療法、抗CTLA-4免疫療法で使用されるようなチェックポイント阻害剤を含むが、これらに限定されない)を投与することを更に含むことができる。
【0013】
本開示の追加の態様及び利点が、一部では、詳細な記載及び以下のいずれかの特許請求の範囲に示され、一部では、詳細な説明から引き出され、本開示の様々な態様の実施によって習得され得る。以下に記載される利点は、添付の特許請求の範囲に特に指摘される要素及び組み合わせによって、実現され、かつ到達されるだろう。前述の概要及び以下の発明を実施するための形態の両方は、単に例示的及び説明的であり、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0014】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の特定の例を例示し、説明と一緒に、限定されないが、本開示の原理を説明する役割を果たす。同様の数字は、図面を通して同じ要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】
図1A~1Iは、熱特異的遺伝子スイッチの構築及び活性を示す。(
図1A)HSPB1コアプロモータの上流にある2~7個の熱ショックエレメント(HSE)を含む6つの熱遺伝子スイッチ構築物(2H-B1~7H-B1と表示される)のパネルの概略図。HSE内の大文字の塩基対は保存され、nとして示される塩基対は無作為化された。
【
図1B】
図1A~1Iは、熱特異的遺伝子スイッチの構築及び活性を示す。(
図1B)HSE数又は(
図1C)温度の関数としての加熱後のジャーカットT細胞によるGlucレポータ発現(ns=有意でない、*P<0.05、**P<0.01、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、平均値±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。3回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図1C】
図1A~1Iは、熱特異的遺伝子スイッチの構築及び活性を示す。(
図1B)HSE数又は(
図1C)温度の関数としての加熱後のジャーカットT細胞によるGlucレポータ発現(ns=有意でない、*P<0.05、**P<0.01、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、平均値±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。3回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図1D】
図1A~1Iは、熱特異的遺伝子スイッチの構築及び活性を示す。(
図1D)示された温度での熱処理後の初代ヒトT細胞によるGlucレポータ発現の動態(****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。2回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図1E】
図1A~1Iは、熱特異的遺伝子スイッチの構築及び活性を示す。(
図1E)初代ヒトT細胞における熱処理後の異なるコアプロモータ構築物を含有する熱遺伝子スイッチの活性(ns=有意でない、*P<0.05、一元配置ANOVA及びチューキー事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。2回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図1F】
図1A~1Iは、熱特異的遺伝子スイッチの構築及び活性を示す。(
図1F)表示の温度で24時間インキュベートした初代ヒトT細胞におけるGluc発現、n=3。
【
図1G】
図1A~1Iは、熱特異的遺伝子スイッチの構築及び活性を示す。(
図1G)示された温度での熱処理30分間後、複数のヒトドナーからの初代ヒトT細胞における7H-YBの活性(****P<0.0001、スチューデントt検定、平均±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。
【
図1H】
図1A~1Iは、熱特異的遺伝子スイッチの構築及び活性を示す。(
図1H)低酸素を模倣するCoCl
2、又は(
図1I)重金属毒性をモデル化するCdCl
2への曝露後の初代ヒトT細胞における内因性HSP70及びHSPA6プロモータと比較した7H-YBの活性(ns=有意でない、*P<0.05、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキーの事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。
【
図1I】
図1A~1Iは、熱特異的遺伝子スイッチの構築及び活性を示す。(
図1H)低酸素を模倣するCoCl
2、又は(
図1I)重金属毒性をモデル化するCdCl
2への曝露後の初代ヒトT細胞における内因性HSP70及びHSPA6プロモータと比較した7H-YBの活性(ns=有意でない、*P<0.05、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキーの事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。
【
図2-1】
図2は、初代ネズミT細胞におけるHSPのqPCRスクリーニングを示す。CD8+T細胞単離キットを(Miltenyi130-104-075)に従って使用して脾臓CD8+T細胞を単離した。示された熱処理の6時間後、mRNAを収集し、マウスHSPプロファイラーキット(Qiagen PAMM-076Z)を製造業者の説明書に従って使用して定量化した。データは、非加熱対照に対して表示される。
【
図2-2】
図2は、初代ネズミT細胞におけるHSPのqPCRスクリーニングを示す。CD8+T細胞単離キットを(Miltenyi130-104-075)に従って使用して脾臓CD8+T細胞を単離した。示された熱処理の6時間後、mRNAを収集し、マウスHSPプロファイラーキット(Qiagen PAMM-076Z)を製造業者の説明書に従って使用して定量化した。データは、非加熱対照に対して表示される。
【
図2-3】
図2は、初代ネズミT細胞におけるHSPのqPCRスクリーニングを示す。CD8+T細胞単離キットを(Miltenyi130-104-075)に従って使用して脾臓CD8+T細胞を単離した。示された熱処理の6時間後、mRNAを収集し、マウスHSPプロファイラーキット(Qiagen PAMM-076Z)を製造業者の説明書に従って使用して定量化した。データは、非加熱対照に対して表示される。
【
図2-4】
図2は、初代ネズミT細胞におけるHSPのqPCRスクリーニングを示す。CD8+T細胞単離キットを(Miltenyi130-104-075)に従って使用して脾臓CD8+T細胞を単離した。示された熱処理の6時間後、mRNAを収集し、マウスHSPプロファイラーキット(Qiagen PAMM-076Z)を製造業者の説明書に従って使用して定量化した。データは、非加熱対照に対して表示される。
【
図2-5】
図2は、初代ネズミT細胞におけるHSPのqPCRスクリーニングを示す。CD8+T細胞単離キットを(Miltenyi130-104-075)に従って使用して脾臓CD8+T細胞を単離した。示された熱処理の6時間後、mRNAを収集し、マウスHSPプロファイラーキット(Qiagen PAMM-076Z)を製造業者の説明書に従って使用して定量化した。データは、非加熱対照に対して表示される。
【
図3】
図3は、3名のドナーからの初代ヒトT細胞の形質導入効率を示す。3名のドナーに由来し、構成的に発現されたmCherryレポータを含有する7H-YB熱スイッチを発現するGlucで形質導入された初代ヒトT細胞のフローサイトメトリープロット。挿入値は、mCherry形質導入細胞の平均蛍光強度(MFI)を示す。
【
図4A】
図4A~4Bは、ジャーカットT細胞における熱スイッチ特異性を示す。(
図4A)低酸素を模倣するCoCl
2、又は(
図4B)重金属毒性をモデル化するCdCl
2への曝露後、合成熱遺伝子スイッチ構築物(青色)又は内因性HSPA6プロモータ(赤色)で形質導入したジャーカットT細胞によるGluc活性(ns=有意でない、*P<0.05、****P<.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、誤差バーはSEMを示す、n=3)。
【
図4B】
図4A~4Bは、ジャーカットT細胞における熱スイッチ特異性を示す。(
図4A)低酸素を模倣するCoCl
2、又は(
図4B)重金属毒性をモデル化するCdCl
2への曝露後、合成熱遺伝子スイッチ構築物(青色)又は内因性HSPA6プロモータ(赤色)で形質導入したジャーカットT細胞によるGluc活性(ns=有意でない、*P<0.05、****P<.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、誤差バーはSEMを示す、n=3)。
【
図5A】
図5A~5Eは、熱処理が、初代ヒトT細胞によって十分耐容されることを示す。(
図5A)示されるような温度、総持続時間、及び加熱プロファイルによる連続(明灰色)及びパルス化(暗灰色)熱処理後の初代ヒトT細胞における7H-YB熱スイッチのGluc活性(ns=有意でない、*P<0.05、**P<0.01、****P<0.0001、両側t検定、平均±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。
【
図5B】
図5A~5Eは、熱処理が、初代ヒトT細胞によって十分耐容されることを示す。(
図5B)CD3
+T細胞のヨウ化プロピジウム(PI)及びアネキシンVフロー染色。バーは、非加熱試料に正規化した生存可能な母集団(PI
-アネキシンV
-)を表す(ns=有意でない、****P<0.0001、一元配置ANOVA並びにダネット事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。2回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図5C】
図5A~5Eは、熱処理が、初代ヒトT細胞によって十分耐容されることを示す。(
図5C)熱処理及びCD3/28ビーズとの3:1のビーズ対T細胞比でのインキュベーション後のT細胞のCellTrace Violet(CTV)フローヒストグラム。2回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図5D】
図5A~5Eは、熱処理が、初代ヒトT細胞によって十分耐容されることを示す。(
図5D)CXCL12を含有するトランスウェルプレートの下部ウェルの細胞数。T細胞を加熱し、上部ウェルに加えてから、示された時点でサンプリングした(ns=37℃と42℃との間で有意でない、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。2回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図5E】
図5A~5Eは、熱処理が、初代ヒトT細胞によって十分耐容されることを示す。(
図5E)示されているようなエフェクター対標的比を用いて加熱した後に、CARを構成的に発現するT細胞とのインキュベーション後、CD19-又はCD19+ルシフェラーゼ化K562細胞に観察された細胞傷害性のパーセント(ns=有意でない、*P<0.05、二元配置ANOVA並びにシダック事後検定及び補正、平均値±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。2回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図6】
図6は、生存フロー染色のためのゲーティング戦略を示す。初代ヒトT細胞を、熱損傷の陽性対照として、42℃で60分間加熱した。より短いレジメンを後続の実験に使用した。より厳しいFSC/SSCゲーティング内にはアネキシンV+又はPI+事象の多くがなかったため、この保存的ゲーティング戦略が、試料の全体的な生存可能性をより良く表すために使用された。
【
図7】
図7は、初代ヒトT細胞の長期加熱を示す。HSPA6-GFPスイッチで形質導入した初代ヒトT細胞を、GFPシグナルが前の熱処理後にベースラインに戻ると、繰り返し加熱した(n=3の生物学的に独立したウェル、誤差バーはSEMを示す)。2回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図8A】
図8A~8Bは、繰り返した熱処理がCAR T細胞傷害性に影響を及ぼさないことを示す。(
図8A)初代ヒトT細胞を形質導入して、CD3/CD28ビーズ活性化後にαCD19 CARを構成的に発現させた。熱処理を示した時点で行い、タイムラインに従って、ルシフェラーゼ化したCD19+K562と共培養した。
【
図8B】
図8A~8Bは、繰り返した熱処理がCAR T細胞傷害性に影響を及ぼさないことを示す。(
図8B)標的細胞のみを含む対照ウェルと比較して、ウェルにおける発光の損失によって、細胞傷害性パーセントを定量化した(b)(ns=有意でない、二元配置ANOVA並びにシダック事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。
【
図9A】
図9A~9Fは、操作したT細胞のインビボでの光熱活性化を示す。(
図9A)NIRレーザー光で照射した後のTS-FlucT細胞を含有するウェルの熱画像及び発光画像。熱画像(左)はFLIRサーマルカメラを使用して取得し、発光画像(右)は加熱の6時間後にIVIS Spectrum CTシステムを使用して取得した。
【
図9B】
図9A~9Fは、操作したT細胞のインビボでの光熱活性化を示す。(
図9B)2つの脇腹(K562又はRaji)腫瘍を有するNSGマウスに導入され、その後、1つの腫瘍のみに光熱加熱が行われる前の、初代ヒトT細胞に形質導入したTS-Fluc αCD19 CAR構築物の概略図。
【
図9C】
図9A~9Fは、操作したT細胞のインビボでの光熱活性化を示す。(
図9C)腫瘍部位のレーザー照射中のマウスの0分及び3分での熱画像。
【
図9D】
図9A~9Fは、操作したT細胞のインビボでの光熱活性化を示す。(
図9D)レーザー部位を中心とした3×3ピクセルROIの平均皮膚温度を示す動態トレース(着色した線)。影付き領域は、3回の加熱実行の標準偏差を示す。
【
図9E】
図9A~9Fは、操作したT細胞のインビボでの光熱活性化を示す。(
図9E)左:K562(CD19-)又はRaji(CD19+)腫瘍のいずれかを担持する加熱したマウスの発光画像。シグナルは、導入されたTS-Fluc T細胞によるルシフェラーゼ活性を示す。右:同じ動物における非加熱腫瘍からの発光に対する各腫瘍部位の発光。ROIは、左パネルに示されるように描かれた。実験結果の再現性を確認するために、Raji腫瘍を繰り返し加熱する別の実験を行った(
図11)。
【
図9F】
図9A~9Fは、操作したT細胞のインビボでの光熱活性化を示す。(
図9F)2つのRaji(CD19+)腫瘍を担持し、1つの部位が加熱されたマウス。左:切除した腫瘍(加熱及び非加熱)及び脾臓の発光画像。右:熱処理(0、6、12、18、24時間)後の発光の定量化。ns=有意でない、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=4~5の生物学的に独立したマウス。
【
図10】
図10は、K562及びRaji腫瘍細胞におけるCD19発現を示す。K562及びRaji細胞株でのCD19染色の代表的なフローサイトメトリープロット(Iso=アイソタイプ対照)。
【
図11】
図11は、光熱パルスを使用した腫瘍内CAR T細胞の長期制御を示す。Raji腫瘍(CD19+)を担持するマウスに、TS-Fluc T細胞を用いてi.v.注射した。腫瘍部位を、
図18dに示されるように、NIRレーザー光を使用して2及び4日目に照射した。発光を、D-ルシフェリンのi.v.注射を介して毎日定量化した(n=3、生物学的に独立したウェル、誤差バーはSEMを示す)。
【
図12】
図12は、K562及びRaji脇腹腫瘍へのTS-Fluc αCD19 CAR T細胞浸潤を示す。腫瘍が約250mm
3に達すると、腫瘍担持マウスにTS-Fluc αCD19 CAR T細胞をi.v.注射した。7日後、腫瘍を切除し、解離し、染色して、ビーズ計数フローサイトメトリーを使用して細胞浸潤を定量化した(n=3、生物学的に独立したウェル、誤差バーはSEMを示す)。
【
図13A】
図13A~13Iは、IL-15 SAの光熱制御が、マウスにおける養子T細胞移入及び全生存率を高めることを示す。(
図13A)加熱したTS-IL15 αCD19細胞及びCFSE標識野生型細胞の共培養アッセイの概略図。CD3/28ビーズを、1:10のビーズ対T細胞比で添加した。
【
図13B】
図13A~13Iは、IL-15 SAの光熱制御が、マウスにおける養子T細胞移入及び全生存率を高めることを示す。(
図13B)示された温度での30分間熱処理後、CFSE標識野生型T細胞集団のFlowJo増殖ツールによって計算された代表的なフローヒストグラム(左)、定量化した増殖(中央)、及び分裂指標(右)(*P<0.05、両側t検定、平均±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。
【
図13C】
図13A~13Iは、IL-15 SAの光熱制御が、マウスにおける養子T細胞移入及び全生存率を高めることを示す。(
図13C)熱処理後のTS-IL15 αCD19 T細胞の上清におけるIL-15スーパーアゴニスト濃度。処置の温度及び持続時間は、示される通りである(ns=有意でない、**P<0.01、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正後、平均値±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル、比較は、非加熱対照に対してである)。2回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図13D】
図13A~13Iは、IL-15 SAの光熱制御が、マウスにおける養子T細胞移入及び全生存率を高めることを示す。(
図13D)腫瘍担持NSGマウスへの移入前に、初代ヒトT細胞を形質導入するために使用されたTS-IL15 αCD19 CARベクターの概略図。
【
図13E】
図13A~13Iは、IL-15 SAの光熱制御が、マウスにおける養子T細胞移入及び全生存率を高めることを示す。(
図13E)0日目のTS-IL15 αCD19 CAR T細胞の移入、並びに2日目、6日目、9日目、13日目、及び16日目の熱処理後のCD19+K562の腫瘍成長曲線(ns=有意でない、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=7の生物学的に独立したマウス)。3回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図13F】
図13A~13Iは、IL-15 SAの光熱制御が、マウスにおける養子T細胞移入及び全生存率を高めることを示す。(
図13F)TS-15 αCD19 CAR T細胞の移入及び熱処理後の(
図13D)及び(
図13E)における腫瘍担持マウスの生存率曲線(**p<0.01、6回の多重比較における補正を伴うログランク(Mantel-Cox)検定、n=7の生物学的に独立したマウス)。
【
図13G】
図13A~13Iは、IL-15 SAの光熱制御が、マウスにおける養子T細胞移入及び全生存率を高めることを示す。(
図13G)腫瘍担持C57BL/6Jマウスに移入した初代ネズミPmel-1 T細胞に形質導入したTS-IL15ベクターの概略図。
【
図13H】
図13A~13Iは、IL-15 SAの光熱制御が、マウスにおける養子T細胞移入及び全生存率を高めることを示す。(
図13H)B16-F10の接種後、0日目のTS-IL15 Pmel-1 T細胞の移入並びに1及び3日目の熱処理後における腫瘍成長曲線(ns=有意でない、***P<0.001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=6~7の生物学的に独立したマウス)。
【
図13I】
図13A~13Iは、IL-15 SAの光熱制御が、マウスにおける養子T細胞移入及び全生存率を高めることを示す。(
図13I)TS-15 Pmel-1 T細胞の移入及び熱処理後の(
図13G)及び(
図13H)における腫瘍担持マウスの生存率曲線(**p<0.01、6回の多重比較における補正を伴うログランク(Mantel-Cox)検定、n=7の生物学的に独立したマウス)。
【
図14】
図14は、サイトカイン維持が、低レベルのCD3/28刺激を受けているT細胞の増殖を改善することを示す。T細胞をCFSEで標識し、低レベルの活性化ビーズとともにインキュベートした。参照のために、T細胞のルーチン拡張及び培養は、T細胞毎に3つのビーズを使用する。IL-2の量を増加させて各ビーズ比まで添加した。全ての試料を、示された条件での4日間インキュベーション後にアッセイした。2回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図15】
図15は、混合増殖実験のためのゲーティング戦略を示す。形質導入したTS-15 αCD19 CAR T細胞をCAR発現によって特定した。色素希釈及びFlowJo増殖ツールによって、CFSE+野生型細胞の増殖を評価した。
【
図16A】
図16A~16Bは、操作したPmel-1T細胞の特性評価を示す。単離及びペプチド活性化の48時間後、Pmel-1由来脾細胞を、構成的GFPレポータを含有するTS-IL15ベクターで形質導入した。(
図16A)Pmel-1T細胞を、養子移入の前にフローサイトメトリーを介して特性評価して、CD8+細胞の純粋拡張(左)及び形質導入効率(右)を評価した(U.S.=非染色Pmel-1 T細胞、W.T=野生型Pmel-1 T細胞)。
【
図16B】
図16A~16Bは、操作したPmel-1T細胞の特性評価を示す。単離及びペプチド活性化の48時間後、Pmel-1由来脾細胞を、構成的GFPレポータを含有するTS-IL15ベクターで形質導入した。(
図16B)示された温度で20分間加熱した後、ELISAを介して測定された形質導入ネズミT細胞からのIL-15産生(***P<0.001、独立t検定、平均値±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。
【
図17A】
図17A~17Bは、操作したPmel-1 T細胞が、高い腫瘍負荷設定において養子細胞療法を増強することを示す。(
図17A)大型腫瘍B16-F10担持C57BL/6Jマウスの概略図。
【
図17B】
図17A~17Bは、操作したPmel-1 T細胞が、高い腫瘍負荷設定において養子細胞療法を増強することを示す。(
図17A)大型腫瘍B16-F10担持C57BL/6Jマウスの概略図。(
図17B)B16F10の接種後、0日目の操作されたネズミT細胞の移入移植、並びに1、3、及び5日目の熱処理後の腫瘍成長曲線(*P<0.05、**P<0.01、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=6~7の生物学的に独立したマウス)。
【
図18A】
図18A~18Iは、熱誘発したBiTEを介した拡張するCAR T細胞標的化を示す。(
図18A)熱誘発したBiTE又はFlucレポータを含むTS-BiTE及びTS-Fluc熱スイッチの概略図。両方の構築物は、構成的αCD19 CARを含んだ。
【
図18B】
図18A~18Iは、熱誘発したBiTEを介した拡張するCAR T細胞標的化を示す。(
図18B)加熱後のTS-BiTE及びTS-Fluc初代T細胞におけるHisTagフロー染色のヒストグラム。
【
図18C】
図18A~18Iは、熱誘発したBiTEを介した拡張するCAR T細胞標的化を示す。(
図18C)NKG2D-Fcキメラ及びαFc-A488二次抗体を使用した、初代ヒトT細胞及びK562でのNKG2DLフロー染色。Stain=完全な染色、2°Ctrl=二次抗体のみ。
【
図18D】
図18A~18Iは、熱誘発したBiTEを介した拡張するCAR T細胞標的化を示す。(
図18D)NKG2DL及びCD3とのBiTE結合を介した、CAR標的抗原を欠いているK562標的細胞のBiTE媒介性標的化を示す概略図。
【
図18E】
図18A~18Iは、熱誘発したBiTEを介した拡張するCAR T細胞標的化を示す。(
図18E)K562を用いたジャーカット共培養アッセイにおけるCD19 CAR発現に基づいて、バイスタンダー細胞を定義するためのフローゲーティング戦略。UTD対照を、(
図18G)におけるグラフ化のために、より低い(CAR-)集団でゲーティングした。
【
図18F】
図18A~18Iは、熱誘発したBiTEを介した拡張するCAR T細胞標的化を示す。(
図18F)加熱及びK562とのインキュベーション後の、ジャーカットT細胞でのCD69のフロー染色。TS-BiTE CAR+ヒストグラム(f)及び示された集団の要約データ(
図18G)をグラフ化する(統計は、UTDとの比較を示す、ns=有意でない、**P<0.01、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、平均+SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。2回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図18G】
図18A~18Iは、熱誘発したBiTEを介した拡張するCAR T細胞標的化を示す。(
図18F)加熱及びK562とのインキュベーション後の、ジャーカットT細胞でのCD69のフロー染色。TS-BiTE CAR+ヒストグラム(f)及び示された集団の要約データ(
図18G)をグラフ化する(統計は、UTDとの比較を示す、ns=有意でない、**P<0.01、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、平均+SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。2回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図18H】
図18A~18Iは、熱誘発したBiTEを介した拡張するCAR T細胞標的化を示す。(
図18H)熱処理及びK562細胞とのインキュベーション後の、初代ヒトT細胞の上清におけるサイトカイン濃度。T細胞は、非形質導入か又は示された熱スイッチで形質導入されたかのいずれかだった(ns=有意でない、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、平均+SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。
【
図18I】
図18A~18Iは、熱誘発したBiTEを介した拡張するCAR T細胞標的化を示す。(
図18I)初代ヒトT細胞とのインキュベーション後にルシフェラーゼアッセイによって定量化された、K562に対する細胞傷害性。T細胞は、非形質導入か又は示された熱スイッチで形質導入されたかのいずれかだった(ns=有意でない、**P<0.01、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、比較はUTD対照に対するものである、平均+SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。
【
図19A】
図19A~19Fは、TS-BiTE αHER2 CAR T細胞の光熱制御が、インビボでの抗原陰性腫瘍の成長を緩和することを示す。(
図19A)TS-BiTE及びTS-Rluc αHER2 CARベクターの概略図。
【
図19B】
図19A~19Fは、TS-BiTE αHER2 CAR T細胞の光熱制御が、インビボでの抗原陰性腫瘍の成長を緩和することを示す。(
図19B)30分間の加熱及びHER2- MDA-MB-468標的細胞との共培養後の、TS-BiTE αHER2 CAR T細胞による活性化マーカーCD69、PD-1、及びCD107aのフローサイトメトリー定量化。(ns=有意でない、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、誤差バーは、SEMを示す、n=4の生物学的に独立したウェル、MFI=蛍光強度中央値)。
【
図19C】
図19A~19Fは、TS-BiTE αHER2 CAR T細胞の光熱制御が、インビボでの抗原陰性腫瘍の成長を緩和することを示す。(
図19C)TS-BiTE又はTS-Rluc αHER2 CAR T細胞で処理した、3:1のHER2+対HER2-比で接種したMDA-MB-468腫瘍の腫瘍成長曲線。熱処理は、45、47、52、59、66、及び72日目に実行した。(*P<0.05、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=6~7の生物学的に独立したマウス)。
【
図19D】
図19A~19Fは、TS-BiTE αHER2 CAR T細胞の光熱制御が、インビボでの抗原陰性腫瘍の成長を緩和することを示す。(
図19D)熱処理を示す垂直破線を伴う個々の腫瘍のスパイダープロット。
【
図19E】
図19A~19Fは、TS-BiTE αHER2 CAR T細胞の光熱制御が、インビボでの抗原陰性腫瘍の成長を緩和することを示す。(
図19E)混合MDA-MB-468腫瘍モデルにおけるHER2-/Fluc+細胞集団を表すIVIS Spectrum CTシステムによって取得されたインビボ発光画像化時間経過及び(
図19F)個々のスパイダープロット。操作したヒトT細胞の移入は44日目、並びに熱処理は45、47、52、59、66、及び72日目に発生する。灰色の背景は、実験の時間経過を通して得られた、バックグラウンド測定値の上及び下で平均±2標準偏差(n=6)を表す。(ns=有意でない、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=6~7の生物学的に独立したマウス)。
【
図19F】
図19A~19Fは、TS-BiTE αHER2 CAR T細胞の光熱制御が、インビボでの抗原陰性腫瘍の成長を緩和することを示す。(
図19E)混合MDA-MB-468腫瘍モデルにおけるHER2-/Fluc+細胞集団を表すIVIS Spectrum CTシステムによって取得されたインビボ発光画像化時間経過及び(
図19F)個々のスパイダープロット。操作したヒトT細胞の移入は44日目、並びに熱処理は45、47、52、59、66、及び72日目に発生する。灰色の背景は、実験の時間経過を通して得られた、バックグラウンド測定値の上及び下で平均±2標準偏差(n=6)を表す。(ns=有意でない、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=6~7の生物学的に独立したマウス)。
【
図20A】
図20A~20Cは、HER2又はウミシイタケルシフェラーゼで形質導入したMDA-MB-468の検証を示す。(
図20A)HER2+ MDA-MB-468のNKG2DL染色及びHER2染色の代表的なフロープロット。MDA-MB-468をレンチウイルスで形質導入して、HER2を安定して表面発現させた。
【
図20B】
図20A~20Cは、HER2又はウミシイタケルシフェラーゼで形質導入したMDA-MB-468の検証を示す。(
図20B)Fluc形質導入したHER2- MDA-MB-468腫瘍細胞の発光(****P<0.0001、一元配置分散分析並びにシダック事後検定及び補正、平均±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。
【
図20C】
図20A~20Cは、HER2又はウミシイタケルシフェラーゼで形質導入したMDA-MB-468の検証を示す。(
図20C)CARを構成的に発現するT細胞とのインキュベーション後に、HER2-又はHER2+ MDA-MB-468細胞におけるLDHアッセイによって観察された細胞傷害性のパーセント(HER2-群とHER2+群との間で****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにシダック事後検定及び補正、平均値±SEMが示され、n=3の生物学的に独立したウェル)。2回の独立した実験を行い、同様の結果を得た。
【
図21-1】
図21は、TS-BiTE αHER2 CAR T細胞が、HER2+ MDA-MB-468細胞とともにインキュベートされたときに活性化することを示す。HER2+ MDA-MB-468標的細胞との共インキュベート前に、示される温度で加熱したTS-BiTE αHER2 CAR T細胞における活性化及び脱顆粒化マーカーであるCD69、PD-1、及びCD107aのMFI。(ns=有意でない、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、誤差バーは、SEMを示す、n=4の生物学的に独立したウェル)。
【
図21-2】
図21は、TS-BiTE αHER2 CAR T細胞が、HER2+ MDA-MB-468細胞とともにインキュベートされたときに活性化することを示す。HER2+ MDA-MB-468標的細胞との共インキュベート前に、示される温度で加熱したTS-BiTE αHER2 CAR T細胞における活性化及び脱顆粒化マーカーであるCD69、PD-1、及びCD107aのMFI。(ns=有意でない、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、誤差バーは、SEMを示す、n=4の生物学的に独立したウェル)。
【
図21-3】
図21は、TS-BiTE αHER2 CAR T細胞が、HER2+ MDA-MB-468細胞とともにインキュベートされたときに活性化することを示す。HER2+ MDA-MB-468標的細胞との共インキュベート前に、示される温度で加熱したTS-BiTE αHER2 CAR T細胞における活性化及び脱顆粒化マーカーであるCD69、PD-1、及びCD107aのMFI。(ns=有意でない、****P<0.0001、二元配置ANOVA並びにチューキー事後検定及び補正、誤差バーは、SEMを示す、n=4の生物学的に独立したウェル)。
【
図22A】
図22Aは、B16腫瘍におけるIL-2のI.T.注射の概略図を示す。
【
図22B】
図22Bは、Pmel CD8+T細胞のACT後の腫瘍成長曲線を示す。6回のi.p.hIL-2注射を、ACT後に示される用量で投与した。
【
図23】
図23は、TS-IL15SAで操作した樹状細胞が、42℃で30分間の熱処理でIL-15SAを産生することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の以下の説明は、その最良の、現在知られている実施形態における本開示の教示を可能にするものとして提供される。この目的のために、当業者は、本明細書に記載の本発明の様々な実施形態に多くの変更を行うことができることを認識及び理解するであろうが、本開示の有益な結果を依然として得る。また、本開示の所望の利点のいくつかは、他の特徴を利用することなく、本開示の特徴のいくつかを選択することによって得ることができることも明らかであろう。したがって、当業者は、本開示に対する多くの修正及び適応が可能であり、特定の状況では望ましいことさえあり得、本開示の一部であることを認識するであろう。したがって、以下の説明は、本開示の原理の例示として提供され、それに限定されない。
【0017】
定義
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、以下の意味を有するべく定義された、いくつかの用語を参照されたい。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形である「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別段明らかに指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「薬学的担体」への言及は、2つ以上のかかる担体の混合物などを含む。
【0019】
本明細書では、範囲は、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値まで、のように表現することができる。かかる範囲が表現される場合、別の実施形態は、その1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表現される場合、先行詞「約」の使用によって、特定の値は別の実施形態を形成することが理解されるであろう。更に、範囲の各終点は、他の終点と関連して、及び他の終点とは独立して、両方とも重要であることが理解されよう。本明細書に開示されるいくつかの値が存在し、各値は、値自体に加えて、「約」その特定の値として本明細書に開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」もまた開示される。当業者によって適切に理解されるように、値が開示されるとき、その値「以下」、「その値以上」、及び値の間の可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「10以下」並びに「10以上」も開示される。また、本出願全体にわたって、データは、いくつかの異なる形式で提供され、このデータは、終結ポイント及び開始ポイント、並びにデータポイントの任意の組み合わせの範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」及び特定のデータポイント15が開示される場合、10及び15の間に加えて、10より大きい、10以上、10未満、10以下、及び10に等しい、15より大きい、15以上、15未満、15以下、及び15に等しい値が開示されるとみなされることが理解される。また、2つの特定の単位間の各単位も開示されることも理解されたい。例えば、10及び15が開示される場合、11、12、13、及び14も開示される。
【0020】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、以下の意味を有するべく定義された、いくつかの用語を参照されたい。
【0021】
「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、続いて説明される事象又は状況が生じ得るか、又は生じ得ず、この記載は、当該事象又は状況が生じる事例及び生じない事例を含むことを意味する。
【0022】
「増加」は、より多くの量の症状、疾患、組成物、状態、又は活性をもたらす任意の変化を指し得る。増加は、状態、症状、活性、組成物における統計的に有意な量での任意の個々の値、中央値、又は平均の増加であり得る。したがって、増加は、その増加が統計的に有意である限り、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100%の増加であることができる。
【0023】
「減少」は、より少ない量の症状、疾患、組成物、状態、又は活性をもたらす任意の変化を指すことができる。物質はまた、その物質を含む遺伝子産物の遺伝的出力が、その物質を含まない遺伝子産物の出力と比較して少ない場合に、遺伝子の遺伝的出力を減少させると理解される。また、例えば、減少は、症状が以前に観察されたものよりも少ないような、障害の症状における変化であることができる。減少は、状態、症状、活性、組成物における統計的に有意な量での任意の個々の値、中央値、又は平均の減少であることができる。したがって、減少は、その減少が統計的に有意である限り、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100%の減少であることができる。
【0024】
「阻害する」、「阻害すること」、及び「阻害」は、活性、応答、状態、疾患、又は他の生物学的パラメータを減少させることを意味する。これには、活性、応答、状態、又は疾患の完全な除去が含まれ得るが、これらに限定されない。これには、例えば、天然又は対照レベルと比較して、活性、応答、状態、又は疾患における10%の低減も含まれ得る。したがって、低減は、天然又は対照レベルと比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、又はその間の任意の量の低減であることができる。
【0025】
「低減する」又はこの用語の他の形態、例えば、「低減すること」若しくは「低減」は、事象又は特徴(例えば、腫瘍成長)の低下を意味する。これは典型的には、いくつかの標準値又は期待値に関連しており、換言すれば、それは相対的であるが、標準値又は相対値を参照することが必ずしも必要ではないことが理解される。例えば、「腫瘍成長を低減する」は、標準又は対照と比較して、腫瘍の成長速度を低減することを意味する。
【0026】
「予防する」又は単語の他の形態、例えば「予防すること」又は「予防」とは、特定の事象又は特徴を停止すること、特定の事象又は特徴の発達又は進行を安定化させるか、又は遅らせること、あるいは特定の事象又は特徴が発生する可能性を最小限に抑えることを意味する。予防は、典型的には、例えば、低減よりも絶対的なものであるため、対照との比較を必要としない。本明細書で使用される場合、あるものは低減することができるが、予防することができず、低減されて予防することができるものもある。同様に、あるものは予防することができるが低減されず、予防されて低減できるものもある。低減又は予防が使用される場合、特に具体的に指定されない限り、他の単語の使用も明示的に開示されることを理解されたい。
【0027】
「対象」という用語は、投与又は治療の標的である任意の個体を指す。対象は、脊椎動物、例えば、哺乳動物であり得る。一態様において、対象は、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、又はネコであることができる。対象はまた、モルモット、ラット、ハムスター、ウサギ、マウス、又はモグラであることができる。したがって、対象は、ヒト又は獣医患者であり得る。「患者」という用語は、臨床医、例えば、医師の治療下にある対象を指す。
【0028】
「治療的に有効な」という用語は、使用される組成物の量が、疾患又は障害の1つ以上の原因又は症状を軽減するのに十分な量であることを指す。かかる軽減は、低減又は変化を必要とするだけであり、排除である必要はない。
【0029】
「治療」という用語は、疾患、病的状態、又は障害を治癒し、軽減し、安定化し、又は予防する意図を有する患者の医学的管理を指す。この用語は、積極的治療、すなわち、具体的に疾患、病態、又は障害の改善に向けた治療を含み、また、原因治療、すなわち、関連する疾患、病態、又は障害の原因の除去に向けた治療も含む。加えて、この用語は、緩和治療、すなわち、疾患、病態、又は障害の治癒ではなく、症状の軽減のために設計された治療;予防的治療、すなわち、関連する疾患、病態、又は障害の発症を最小限に抑える、又は部分的に若しくは完全に阻害することに向けた治療;並びに支持治療、すなわち、関連する疾患、病態、又は障害の改善に向けた別の特定の治療法を補完するために用いられる治療を含む。
【0030】
「生体適合性」は、一般に、レシピエントにとって概して無毒であり、対象に重大な副作用を引き起こさない材料及び任意の代謝産物又はその分解産物を指す。
【0031】
「含むこと」は、組成物、方法などが、列挙される要素を含むが、他の要素を除外しないことを意味することが意図される。組成物及び方法を定義するために使用される場合、「から本質的になる」は、列挙された要素を含むが、組み合わせに対する任意の本質的な重要性を有する他の要素を除外することを意味するものとする。したがって、本明細書に定義される要素から本質的になる組成物は、単離及び精製方法からの微量汚染物質及び薬学的に許容される担体、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水、保存剤などを除外しない。「~からなる」は、本開示で提供される及び/又は特許請求される組成物を投与するための他の成分の微量を超える要素、及び実質的な方法ステップを除外することを意味するものとする。これらの移行語の各々によって定義される実施形態は、本開示の範囲内である。
【0032】
「対照」は、比較目的で実験に使用される代替の対象又は試料である。対照は、「陽性」又は「陰性」であることができる。
【0033】
薬剤の「有効量」とは、所望の効果を提供するのに十分な量の薬剤を指す。「有効」である薬剤の量は、対象の年齢及び全身状態、特定の薬剤(複数可)などの多くの要因に応じて、対象によって異なるであろう。したがって、定量化された「有効量」を指定することは必ずしも可能ではない。しかしながら、任意の対象の場合における適切な「有効量」は、日常的な実験を使用して当業者によって決定され得る。また、本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、薬剤の「有効量」とは、治療有効量及び予防有効量の両方をカバーする量も指すことができる。治療効果を達成するのに必要な薬剤の「有効量」は、対象の年齢、性別、及び体重などの要因に従って変化し得る。投薬レジメンは、最適な治療応答を提供するように調整することができる。例えば、いくつかに分割した用量を毎日投与してもよく、又は治療状況の緊急性によって指示されるように、用量をそれに比例して減らしてもよい。
【0034】
「薬学的に許容される」成分は、生物学的又は他の望ましくないものではない成分、すなわち、著しく望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、又はそれが含まれる製剤の他の成分のいずれかと有害な様式で相互作用することなく、本開示によって提供される医薬製剤に組み込んで、本明細書に記載のように対象に投与することができる成分を指し得る。ヒトへの投与に関して使用される場合、この用語は、成分が毒性試験及び製造試験の必要な基準を満たしているか、又はそれが米国食品医薬品局によって準備された不活性成分ガイドに含まれていることを一般的に意味する。
【0035】
「薬学的に許容される担体」(「担体」と称されることがある)は、一般に安全かつ無毒の薬学的又は治療組成物の調製において有用な担体又は賦形剤を意味し、獣医学的及び/又はヒトの薬学的又は治療的使用が許容される担体を含む。「担体」又は「薬学的に許容される担体」という用語には、リン酸緩衝化食塩水、水、エマルジョン(油/水若しくは水/油エマルジョンなど)、及び/又は様々な種類の湿潤剤が含まれ得るが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「担体」という用語は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、脂質、安定剤、又は医薬製剤で使用するために当該技術分野でよく知られた材料、及び本明細書に更に記載される材料を包含するが、これらに限定されない。
【0036】
「薬理学的に活性な」(又は単に「活性な」)は、「薬理学的に活性な」誘導体又は類似体において、親化合物と同じ種類の薬理学的活性を有し、程度がほぼ同等な誘導体又は類似体(例えば、塩、エステル、アミド、複合体、代謝産物、異性体、断片など)を指し得る。
【0037】
「治療剤」は、有益な生物学的効果を有する任意の組成物を指す。有益な生物学的効果としては、治療効果、例えば、障害又は他の望ましくない生理学的状態の治療、及び予防効果、例えば、障害又は他の望ましくない生理学的状態(例えば、非免疫原性がん)の予防の両方が挙げられる。これらの用語はまた、本明細書に具体的に言及される有益な薬剤の薬学的に許容される、薬理学的に活性な誘導体を包含し、限定されないが、塩、エステル、アミド、前駆薬剤、活性代謝産物、異性体、断片、類似体などを含む。「治療剤」という用語が使用される場合、次いで、又は特定の薬剤が具体的に特定される場合、この用語は、薬剤自体、並びに薬学的に許容される、薬理学的に活性な塩、エステル、アミド、前駆薬剤、複合体、活性代謝産物、異性体、断片、類似体などを含むことを理解されたい。
【0038】
組成物(例えば、薬剤を含む組成物)の「治療有効量」又は「治療有効用量」は、所望の治療結果を達成するのに有効な量を指す。いくつかの実施形態において、所望の治療結果は、I型糖尿病の制御である。いくつかの実施形態において、所望の治療結果は、肥満の制御である。所与の治療剤の治療有効量は、典型的には、治療される障害又は疾患の種類及び重症度、並びに対象の年齢、性別、及び体重などの要因に関して異なるであろう。この用語はまた、疼痛緩和などの所望の治療効果を促進するのに有効な、治療剤の量、又は治療剤の送達の速度(例えば、経時的な量)を指すこともできる。正確な所望の治療効果は、治療される状態、対象の耐容性、投与される薬剤及び/又は薬剤製剤(例えば、治療剤の効力、製剤中の薬剤の濃度など)、並びに当業者によって理解される様々な他の因子に従って異なるであろう。場合によっては、所望の生物学的応答又は医学的応答は、数日、数週間、又は数年にわたって、組成物の複数投与量の投与後に達成される。
【0039】
本出願全体を通して、様々な刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、その全体が、本出願に関係する技術水準をより完全に説明するために参照により本出願に援用される。開示される参考文献はまた、参考文献に依る文章で論じられ、それらに含まれる材料について、個別にかつ具体的に参照により本明細書に援用される。
【0040】
本出願全体を通して、様々な刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、その全体が、本出願に関係する技術水準をより完全に説明するために参照により本出願に援用される。開示される参考文献はまた、参考文献に依る文章で論じられ、それらに含まれる材料について、個別にかつ具体的に参照により本明細書に援用される。
【0041】
組成物
開示される組成物を調製するために使用される成分、並びに本明細書に開示される方法内で使用される組成物自体が開示される。これら及び他の材料が本明細書に開示され、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示されるとき、これらの化合物の各様々な個々の及び集合的な組み合わせ及び入れ替えの具体的な参照が明示的に開示されない場合があるが、各々が本明細書に具体的に企図及び説明されることが理解される。例えば、特定のプロモータ構築物又は改変CAR T細胞が開示され、議論され、プロモータ構築物又は改変CAR T細胞を含むいくつかの分子に行われ得るいくつかの改変が議論される場合、プロモータ構築物又は改変CAR T細胞の各々及び全ての組み合わせ及び順列、並びに具体的に反対のことが示されない限り可能である改変が具体的に企図される。したがって、分子A、B、及びCのクラスだけでなく、分子D、E、及びFのクラス、並びに組み合わせ分子の例として、A-Dが開示される場合、各々が個別に列挙されていない場合でも、各々が個別にかつ集合的に企図され、すなわち、A-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E、及びC-Fが開示されているとみなされる。同様に、これらの任意のサブセット又は組み合わせも開示される。したがって、例えば、A-E、B-F、及びC-Eのサブグループが開示されるとみなされるであろう。この概念は、開示される組成物を作製及び使用する方法におけるステップを含むが、これらに限定されない、本出願の全ての態様に適用される。よって、行うことができる様々な追加ステップが存在する場合、これらの追加ステップの各々が、開示される方法の任意の特定の実施形態又は実施形態の組み合わせで行うことができることが理解される。
【0042】
本明細書に開示される組成物が特定の機能を有することが理解される。本明細書には、開示される機能を行うための特定の構造要件が開示され、開示される構造に関連する同じ機能を行うことができる様々な構造があり、これらの構造が最終的には同じ結果を達成するであろうことが理解される。
【0043】
特に明記されない限り、本明細書に示される任意の方法が、そのステップが特定の順序で実施されることを要求するものとして解釈されることは決して意図されない。したがって、方法請求項がそのステップが従う順序を実際に列挙しないか、又は特許請求の範囲若しくは説明において、ステップが特定の順序に限定されるべきであると具体的に記述されない場合、いかなる点においても、順序が推論されることは決して意図されない。これは、ステップ又は操作フローの配置、文法的な構成若しくは句読点に由来する明白な意味、及び明細書に記載される態様の数若しくはタイプに関する論理事項を含む、解釈のための任意の可能な非明示的根拠について保持される。
【0044】
操作したT細胞を制御し、それらの抗腫瘍活性を増強するために出現している戦略には、TMEにアジュバントを共送達するための生体材料の使用、並びに免疫刺激遺伝子の自律発現のための遺伝子構築物が含まれる。例えば、手術部位に腫瘍特異的T細胞及び免疫刺激アジュバントを充填したバイオポリマー足場の埋め込みは、マウスモデルにおける一次腫瘍切除後の術後応答を改善した。アジュバントの局在化した供給源を提供するために、それらの細胞表面でナノ粒子「バックパック」に繋がれたT細胞は、浸潤T細胞がカーゴを運び、腫瘍内で1回限りの用量の薬物を放出することを可能にした。ますます洗練された遺伝子回路はまた、腫瘍浸潤後に免疫抑制を克服するか、又は抗原を標的にするために、T細胞が局所的に生物製剤を産生することを可能にしている。例えば、「アーマードCAR」は、IL-12、αPD-1 scFv、及びBiTEなどの生物製剤の構成的発現を活用して、抗腫瘍活性を改善する。T細胞はまた、特定の入力シグナルの存在下で、条件付きで活性化するセンスアンドレスポンド生物回路を用いて操作されている。これらの戦略には、腫瘍関連抗原のT細胞認識後にサイトカインの発現を上方調節するNFAT誘導性カセットが含まれる。特異性を更に増加するために、T細胞は、TMEで発現されるエピトープの独自の組み合わせを標的にして、単一エピトープを発現する健康な細胞からの区別を可能にするように操作されている。ブール論理に基づくかかるアプローチは、T細胞活性化のために両方の標的抗原の存在を必要とし、限局性腫瘍の複数のモデルで有効性を実証している。まとめると、これらのアプローチは、腫瘍内T細胞活性を制御及び改善するための戦略を開発する必要性を示す。
【0045】
したがって、一態様において、a)1つ以上の熱ショックエレメント(例えば、配列番号1に示される熱ショックエレメントなど)、b)コアプロモータ、及びc)目的の遺伝子を含む、プロモータ構築物が本明細書に開示される。
【0046】
熱ショックエレメントは、熱に曝露されたときに標的遺伝子の転写応答を媒介するシス作用性調節因子モチーフである。熱ショックエレメントの一例は、nGAAnnTTCnnGAAn(配列番号1)である。いくつかの実施形態において、n=A、T、C、又はGである。熱ショックエレメントは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30回繰り返すことができる。例えば、いくつかの態様において、熱ショックエレメントは、配列番号1の7つの反復を含む。1つ以上の熱ショックエレメントについて配列の例が表1に提供される。いくつかの実施形態において、1つ以上の熱ショックエレメントは、配列番号2~9のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなる。
【表1】
【0047】
いくつかの態様において、コアプロモータは、熱ショックタンパク質転写開始部位を含む。かかる熱ショックタンパク質転写開始部位は、当該技術分野で既知であり、HSPA1A、HSPH1、HSPB1、HSP6、HSP70、HSPA6、又はYBの熱ショックタンパク質転写開始部位を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、コアプロモータは、熱ショックタンパク質HSPA1A、HSPH1、HSPB1、HSP6、HSP70、HSPA6、又はYBのコアプロモータを含む。コアプロモータ配列の例が表2に提供される。いくつかの実施形態において、コアプロモータ配列は、配列番号10~13のうちのいずれか1つの配列を含むか、又はそれからなる。
【表2】
【0048】
1つ以上の熱ショックエレメント配列及びYBコアプロモータ配列の例が一緒に表3に提供される。いくつかの実施形態において、1つ以上の熱ショックエレメント及びコアプロモータ配列は一緒に、配列番号14~21のいずれか1つに示される配列セットを含む。
【表3】
【0049】
熱ショックエレメントの使用は、所望の温度範囲内の熱が加えられたときにのみ遺伝子が活性化されるように、目的の遺伝子の選択的な転写制御を可能にする。そのため、例えば、プロモータ構築物が本明細書に開示され、当該プロモータは、40℃~45℃(例えば、40.0、40.1、40.2、40.3、40.4、40.5、40.6、40.7、40.8、40.9、41.0、41.1、41.2、41.3、41.4、41.5、41.6、41.7、41.8、41.9、42.0、42.1、42.2、42.3、42.4、42.5、42.6、42.7、42.8、42.9、43.0、43.1、43.2、43.3、43.4、43.5、43.6、43.7、43.8、43.9、44.0、44.1、44.2、44.3、44.4、44.5、44.6、44.7、44.8、44.9、又は45.0℃を含むがこれらに限定されない、40℃~42℃、又は41℃~43℃、又は42℃~45℃など)の熱活性化を必要とする。いくつかの実施形態において、プロモータは、少なくとも40.0、40.1、40.2、40.3、40.4、40.5、40.6、40.7、40.8、40.9、41.0、41.1、41.2、41.3、41.4、41.5、41.6、41.7、41.8、41.9、42.0、42.1、42.2、42.3、42.4、42.5、42.6、42.7、42.8、42.9、43.0、43.1、43.2、43.3、43.4、43.5、43.6、43.7、43.8、43.9、44.0、44.1、44.2、44.3、44.4、44.5、44.6、44.7、44.8、44.9、又は45.0℃の熱活性化を必要とする)。
【0050】
本開示の構築物に使用される目的の遺伝子は、レポータ遺伝子、免疫調節剤、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、キメラ抗原受容体(CAR)、組換えTCR、又はそれらの任意の組み合わせであることができる。
【0051】
BiTEは、一方がT細胞(CD3)を標的とし、他方が腫瘍細胞抗原を標的とする2つ連結したscFvからなる単鎖タンパク質を指す二重特異性融合タンパク質を指す。BiTE分子の例には、抗CD3結合ドメイン及びNKG2D受容体細胞外ドメイン、抗CD3結合ドメイン及び抗EGFRvIII結合ドメイン、並びに抗CD3結合ドメイン及び抗CD19結合ドメインを含むものが含まれる。
【0052】
レポータ遺伝子は当技術分野で既知であり、転写及び/又は翻訳がトランスフェクトに続いて容易にアッセイすることができる任意の遺伝子を含むことができる。開示のプロモータ構築物に使用されるレポータ遺伝子の例には、例えば、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、単量体赤色蛍光タンパク質(mRFP)、Discosoma striata(DsRed)、mCherry、mOrange、tdTomato、mSTrawberry、mPlum、光活性化GFP(PA-GFP)、Venus、Kaede、単量体クサビラオレンジ(mKO)、Dronpa、増強CFP(ECFP)、Emerald、エネルギー遷移シアン蛍光タンパク質(CyPet)、スーパーCFP(SCFP)、Cerulean、光切り替え可能CFP(PS-CFP2)、光活性化RFP1(PA-RFP1)、光活性化mCherry(PA-mCherry)、単量体ティール蛍光タンパク質(mTFP1)、Eos蛍光タンパク質(EosFP)、Dendra、TagBFP、TagRFP、増強YFP(EYFP)、Topaz、Citrine、エネルギー遷移黄色蛍光タンパク質(YPet)、スーパーYFP(SYFP)、増強GFP(EGFP)、Superfolder GFP、T-Sapphire、Fucci、mKO2、mOrange2、mApple、Sirius、Azurite、EBFP、及び/又はEBFP2が含まれる。
【0053】
いくつかの態様において、目的の遺伝子は、例えば、ケモカイン、サイトカイン、インターフェロン、サイトトキシン(パーフォリン及び/又はグランザイムを含むが、これらに限定されない)、又はそれらの任意の組み合わせなどの免疫調節剤であることができる。開示のプロモータ構築物に使用することができるケモカインの例には、CCL2、CCL1、CCL19、CCL22、CXCL12、CCL17、MIP-1α、MCP-1、GRO/KC、CXCL2、CXCR3、又はそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。開示のプロモータ構築物に使用することできるサイトカインには、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-22、IFN-γ、TNF-α、TGF-β、LIF、又はそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、サイトカインは、IL-15スーパーアゴニスト分子である。IL-15スーパーアゴニスト分子の例は、ALT-803であり、これはIgG1 Fcドメインに融合したIL-15 N72D:IL-15Rαスシドメインから構成される多量体複合体である。
【0054】
キメラ抗原受容体(CAR)は、T細胞(CAR T細胞)又はNK細胞(CAR NK細胞)によって発現されるトランスジェニック受容体であり、T細胞又はNK細胞を、受容体に対するリガンドを発現する細胞に標的化させる。かかるキメラ抗原受容体は、典型的には、標的に対して特異的な免疫グロブリンの膜結合単鎖可変領域である。CAR標的には、CD19、B細胞成熟抗原(BCMA)、CD22、CD33、CD38、NCAM1、CD5、CD70、MET、Muc1、L1CAM、CD44 SLAMF7、EGFR、EPHA2、HER2、メソテリン、GPC3、又はPDCD1が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
組換えT細胞受容体(操作したTCRとも呼ばれる)とは、所望の特異性、例えば腫瘍抗原、を有するT細胞を操作するために使用されるTCRを指す。TCR標的の例には、WT1、HPVE6、HPVE7、NY-ESO-1、HA-1、MAGE、Gp100、MART-1、HBV、p53、CEA、SL9、TGFβ11、TRAIL、MCPyV、PRAME、EBV、CMV、及びKRASが含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
本開示のプロモータ構築物はまた、列挙された構成要素間に介在するヌクレオチドを含み得る。結合ヌクレオチドは、天然又は非天然であり得る(例えば、構築物設計に起因する)。例えば、結合ヌクレオチドは、1つのドメインを別のドメインに結合するために、又はポリヌクレオチドをベクターにクローニングするために使用される制限酵素部位から生じ得る。
【0057】
本開示のプロモータ構築物の例が、表4に提供される。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【0058】
いくつかの態様において、本開示は、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つによるプロモータ構築物を含むベクターを提供する。「ベクター」は、別の核酸を輸送できる核酸分子である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス、又はファージであり得る。用語はまた、細胞への核酸の移入を促進する非プラスミド及び非ウイルス化合物を含むものと解釈されるべきである。「発現ベクター」は、それが適切な環境に存在する場合、ベクターによって担持される1つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質の発現を指示することができるベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターは、発現ベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターは、ウイルスベクターである。ウイルスベクターの例には、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、及びレンチウイルスベクターが含まれるが、これらに限定されない。「レトロウイルス」は、RNAゲノムを有するウイルスである。「ガンマレトロウイルス」は、レトロウイルス科の属を指す。ガンマレトロウイルスの例としては、マウス幹細胞ウイルス、ネズミ白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、及びトリ網内皮症ウイルスが挙げられる。「レンチウイルス」は、分裂細胞及び非分裂細胞に感染することができるレトロウイルスの属を指す。レンチウイルスの例としては、HIV(HIV1型及びHIV2型を含む、ヒト免疫不全ウイルス)、ウマ伝染性貧血ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、及びサル免疫不全ウイルス(SIV)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
開示のプロモータ構築物は、熱が適用される部位に治療効果が限定され、それによってオフサイトでの発現及び細胞傷害性を防止する養子免疫療法の作製(例えば、T細胞)に特に有用であることが理解され、本明細書において企図される。したがって、本明細書に開示のプロモータ構築物又はベクターを含む免疫細胞が、本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、又は樹状細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞は、CD4+T細胞又はCD8+T細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞は、組換えTCRを含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、CARを含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞及び/又はCAR NK細胞である。例えば、a)1つ以上の熱ショックエレメント(例えば、配列番号1に示される熱ショックエレメントなど)と、b)コアプロモータと、c)目的の遺伝子と、を含むプロモータ構築物を含む、CAR T、CAR NK細胞、又は組換えTCR T細胞が、本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、目的の遺伝子は、キメラ抗原受容体、組換えTCR、免疫調節剤、又はそれらの任意の組み合わせをコードする。
【0060】
開示のプロモータ構築物を細胞に適用して、標的に対する免疫療法を生み出すことができることが理解され、本明細書において企図される。一態様において、本明細書に開示のプロモータ構築物のうちのいずれかを含み、プロモータ構築物を活性化する加熱構成要素を更に含むキットが、本明細書において開示される。いくつかの態様において、加熱構成要素は、光源(例えば、レーザー(例えば、700nm~約1400nmの光で放射するレーザー、例えば705、730、735、760、783、785、792、793、797、808、825、830、850、852、850、860、878、880、885、888、891、900、905、915、938、940、946、960、975、976、980、1030、1040、1053、1064、1123、1177、1210、1280、1300、1317、1319、及び/又は1370nmで放射するレーザーなどの近赤外レーザーを含むが、これらに限定されない)、フィラメント、赤外放出光源、又は発光ダイオード(LED))、熱パッド、又は熱調節針、プローブ、若しくはメスであることができる。
【0061】
がんを治療する方法
開示のプロモータ構築物、ベクター、及び当該プロモータ構築物を含む免疫細胞(例えば、組換えTCR T細胞、CAR T細胞、及び/又はCAR NK細胞)は、制御されない細胞増殖が起こるがんなどの任意の疾患を治療するために使用することができる。本開示の組成物を使用して治療することができるがんの代表的であるが非限定的なリストは、以下である:肉腫、芽細胞腫、B細胞リンパ腫及びT細胞リンパ腫などのリンパ腫;菌状息肉腫;ホジキン病;骨髄性白血病(急性骨髄性白血病(AML)及び/又は慢性骨髄性白血病(CML)を含むがこれらに限定されない);膀胱がん;脳がん;神経系がん;頭頸部がん;頭頸部の扁平上皮がん;腎臓がん;小細胞肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺扁平上皮がん(LUSC)、及び肺腺がん(LUAD)などの肺がん;神経芽細胞腫/神経膠芽細胞腫;卵巣がん;膵臓がん;前立腺がん;皮膚がん;肝臓がん;黒色腫;口、喉、喉頭、肺の扁平上皮がん;子宮頸がん;子宮頸がん腫;トリプルネガティブ乳がんを含むがこれに限定されない乳がん;尿生殖器がん;肺がん;食道がん;頭頸部がん腫;大腸がん;造血器がん;精巣がん;並びに結腸及び直腸がん。
【0062】
対象におけるがん及び/又は転移(例えば、上皮がん、肉腫、がんを含むが、これらに限定されない固形腫瘍など)を治療、低下、減少、阻害、改善、及び/又は予防する方法が本明細書において開示され、方法は、対象にプロモータ構築物、ベクター、免疫細胞(例えば、組換えTCR T細胞、CAR T細胞、又はCAR NK細胞)のうちのいずれかを投与すること、及び/又は本明細書に開示のキットのうちのいずれかを利用することを含む。例えば、対象におけるがん及び/又は転移(例えば、上皮がん、肉腫、リンパ腫、芽細胞腫、又は黒色腫を含むが、これらに限定されない固形腫瘍など)を治療、低下、減少、阻害、改善、及び/又は予防する方法が本明細書に開示され、方法は、i)対象に、a)1つ以上の熱ショックエレメント(例えば、配列番号1に示される熱ショックエレメントなど)、b)コアプロモータ(例えば、HSPA1A、HSPH1、HSPB1、HSP6、HSP70、HSPA6、又はYBをコードする熱ショックタンパク質転写開始部位を含むコアプロモータなど)、及びc)目的の遺伝子(例えば、レポータ遺伝子、免疫調節剤、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)(例えば、抗CD-3結合領域及びNKG2D受容体細胞外ドメイン)、組換えTCR、キメラ抗原受容体(CAR)、又は任意のそれらの組み合わせ)を含む、プロモータ構築物を含む熱制御免疫細胞(例えば、組換えTCR T細胞、CAR T細胞、又はCAR NK細胞など)を投与することと、ii)腫瘍の部位で免疫細胞の活性化を誘導すること(例えば、免疫細胞を40℃~45℃(40.0、40.1、40.2、40.3、40.4、40.5、40.6、40.7、40.8、40.9、41.0、41.1、41.2、41.3、41.4、41.5、41.6、41.7、41.8、41.9、42.0、42.1、42.2、42.3、42.4、42.5、42.6、42.7、42.8、42.9、43.0、43.1、43.2、43.3、43.4、43.5、43.6、43.7、43.8、43.9、44.0、44.1、44.2、44.3、44.4、44.5、44.6、44.7、44.8、44.9、又は45.0を含むがこれらに限定されない、40~42℃又は41~43℃、又は42~45℃など)に加熱することなど)と、を含む。いくつかの実施形態において、プロモータは、少なくとも40.0、40.1、40.2、40.3、40.4、40.5、40.6、40.7、40.8、40.9、41.0、41.1、41.2、41.3、41.4、41.5、41.6、41.7、41.8、41.9、42.0、42.1、42.2、42.3、42.4、42.5、42.6、42.7、42.8、42.9、43.0、43.1、43.2、43.3、43.4、43.5、43.6、43.7、43.8、43.9、44.0、44.1、44.2、44.3、44.4、44.5、44.6、44.7、44.8、44.9、又は45.0℃の熱活性化を必要とする)。いくつかの態様において、加熱は、加熱構成要素を適用してプロモータ構築物を活性化することによって達成することができる。いくつかの態様において、加熱構成要素は、光源(例えば、レーザー(例えば、700nm~約1400nmの光で放射するレーザー、例えば705、730、735、760、783、785、792、793、797、808、825、830、850、852、850、860、878、880、885、888、891、900、905、915、938、940、946、960、975、976、980、1030、1040、1053、1064、1123、1177、1210、1280、1300、1317、1319、及び/又は1370nmで放射するレーザーなどの近赤外レーザーを含むが、これらに限定されない)、フィラメント、赤外放出光源、又は発光ダイオード(LED))、熱パッド、又は熱調節針、プローブ、若しくはメスであることができる。
【0063】
いくつかの態様において、方法は、追加の抗がん剤又は免疫療法(抗PD-1免疫療法、抗PD-L1免疫療法、抗CTLA-4免疫療法などのチェックポイント阻害剤を含むが、これらに限定されない)を投与することを更に含むことができる。免疫チェックポイント分子を標的とする免疫療法は、抗体若しくはその抗原結合断片、又は抗体融合タンパク質であり得る。
【0064】
本開示の治療レジメンが単独又は当該技術分野で既知の任意の抗がん療法と組み合わせて使用できることが理解され、本明細書において企図され、アベマシクリブ、酢酸アビラテロン、アビトレキサート(メトトレキサート)、アブラキサン(パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ABVD、ABVE、ABVE-PC、AC、AC-T、アドセトリス(ブレンツキシマブベドチン)、ADE、アド-トラスツズマブエムタンシン、アドリアマイシン(塩酸ドキソルビシン)、アファチニブジマレイン酸塩、アフィニトール(エベロリムス)、アキンゼオ(ネチュピタント及び塩酸パロノセトロン)、アルダラ(イミキモド)、アルデスロイキン、アレセンサ(アレクチニブ)、アレクチニブ、アレムツズマブ、アリムタ(ペメトレキセド二ナトリウム)、アリコパ(塩酸コパンリシブ)、注射用アルケラン(塩酸メルファラン)、アルケラン錠(メルファラン)、アロキシ(塩酸パロノセトロン)、アルンブリグ(ブリガチニブ)、アンボクロリン(クロランブシル)、アンボクロリンクロランブシル)、アミホスチン、アミノレブリン酸、アナストロゾール、アプレピタント、アレディア(パミドロン酸二ナトリウム)、アリミデックス(アナストロゾール)、アロマシン(エキセメスタン)、アラノン(ネララビン)、三酸化ヒ素、アルゼラ(オファツムマブ)、アスパラギナーゼエルウィニアクリサンセミ、アテゾリズマブ、アバスチン(ベバシズマブ)、アベルマブ、アキシチニブ、アザシチジン、バベンチオ(アベルマブ)、BEACOPP、ベセナム(カルムスチン)、ベレオダック(ベリノスタット)、ベリノスタット、ベンダムスチン塩酸塩、BEP、ベスポンサ(イノツズマブオゾガマイシン)、ベバシズマブ、ベキサロテン、ベクサール(トシツモマブ及びヨウ素I131トシツモマブ)、ビカルタミド、BiCNU(カルムスチン)、ブレオマイシン、ブリナツモマブ、ブリンサイト(ブリナツモマブ)、ボルテゾミブ、ボスリフ(ボスチニブ)、ボスチニブ、ブレンツキシマブベドチン、ブリガチニブ、ブメル、ブスルファン、ブスルフェックス(ブスルファン)、カバジタキセル、カボメティクス(カボザンチニブ-S-リンゴ酸)、カボザンチニブ-S-リンゴ酸、CAF、カンパス(アレムツズマブ)、カンプトサール、(イリノテカン塩酸塩)、カペシタビン、CAPOX、Carac(フルオロウラシル-局所)、カルボプラチン、カルボプラチン-タキソール、カーフィルゾミブ、カルムブリス(カルムスチン)、カルムスチン、カルムスチンインプラント、カソデックス(ビカルタミド)、CEM、セリチニブ、セルビジン(ダウノルビシン塩酸塩)、サーバリックス(組換えHPV二価ワクチン)、セツキシマブ、CEV、クロランブシル、クロランブシル-プレドニゾン、CHOP、シスプラチン、クラドリビン、クラフェン(シクロホスファミド)、クロファラビン、クロファレックス(クロファラビン)、クロラー(クロファラビン)、CMF、コビメチニブ、コメトリック(カボザンチニブ-S-リンゴ酸)、塩酸コパンリシブ、COPDAC、COPP、COPP-ABV、コスメゲン(ダクチノマイシン)、コテリック(コビメチニブ)、クリゾチニブ、CVP、シクロホスファミド、サイフォス(イホスファミド)、サイラムザ(ラムシルマブ)、シタラビン、シタラビンリポソーム、シトサール-U(シタラビン)、シトキサン(シクロホスファミド)、ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダコゲン(デシタビン)、ダクチノマイシン、ダラツムマブ、ダーザレックス(ダラツムマブ)、ダサチニブ、ダウノルビシン塩酸塩、ダウノルビシン塩酸塩及びシタラビンリポソーム、デシタビン、デフィブロチドナトリウム、デフィテリオ(デフィブロチドナトリウム)、デガレリックス、デニロイキンディフティトックス、デノスマブ、DepoCyt(シタラビンリポソーム)、デキサメタゾン、塩酸デクスラゾキサン、ジヌツキシマブ、ドセタキセル、ドキシル(塩酸ドキソルビシンリポソーム)、塩酸ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシンリポソーム、Dox-SL(塩酸ドキソルビシンリポソーム)、DTIC-Dome(ダカルバジン)、デュルバルマブ、エフデックス(フルオロウラシル-局所)、エリテック(ラスブリカーゼ)、エレンス(塩酸エピルビシン)、エロツズマブ、エロキサチン(オキサリプラチン)、エルトロンボパグオラミン、エメンド(アプレピタント)、エンプリシティ(エロツズマブ)、メシル酸エナシデニブ、エンザルタミド、エピルビシン塩酸塩、EPOCH、アービタックス(セツキシマブ)、メシル酸エリブリン、エリエッジ(ビスモデギブ)、塩酸エルロチニブ、エルウィナーゼ(アスパラギナーゼエルウィニアクリサンセミ)、エチオール(アミホスチン)、エトポホス(リン酸エトポシド)、エトポシド、エトポシドリン酸塩、エバセット(塩酸ドキソルビシンリポソーム)、エベロリムス、エビスタ、(塩酸ラロキシフェン)、エボメラ(塩酸メルファラン)、エキセメスタン、5-FU(フルオロウラシル注射剤)、5-FU(フルオロウラシル-局所)、ファレストン(トレミフェン)、ファリダック(パノビノスタット)、ファスロデックス(フルベストラント)、FEC、フェマーラ(レトロゾール)、フィルグラスチム、フルダラ(リン酸フルダラビン)、リン酸フルダラビン、フルオロプレックス(フルオロウラシル-局所)、フルオロウラシル注射液、フルオロウラシル-局所、フルタミド、フォレックス(メトトレキサート)、フォレックスPFS(メトトレキサート)、フォルフィリ、フォルフィリベバシズマブ、フォルフィリセツキシマブ、フォルフィリノックス、フォルフォックス、フォロチン(プララトレキサート)、FU-LV、フルベストラント、ガーダシル(組換えHPV四価ワクチン)、ガーダシル9(組換えHPV九価ワクチン)、ガジバ(オビヌツズマブ)、ゲフィチニブ、塩酸ゲムシタビン、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ジェムザール(塩酸ゲムシタビン)、ギロトリフ(ジマレイン酸アファチニブ)、グリベック(メシル酸イマチニブ)、グリアデル(カルムスチンインプラント)、グリアデルウエハース(カルムスチンインプラント)、グルカルピダーゼ、酢酸ゴセレリン、ハラヴェン(メシル酸エリブリン)、ヘマンゲオール(塩酸プロプラノロール)、ハーセプチン(トラスツズマブ)、HPV二価ワクチン、組換え、HPV9価ワクチン、組換え、HPV4価ワクチン、組換え、ハイカムチン(塩酸トポテカン)、ハイドレア(ヒドロキシ尿素)、ヒドロキシ尿素、ハイパーCVAD、イブランス(パルボシクリブ)、イブリツモマブチウセタン、イブルチニブ、ICE、アイクルシグ(塩酸ポナチニブ)、イダマイシン(塩酸イダルビシン)、塩酸イダルビシン、イデラリブ、イディファ(メシル酸エナシデニブ)、イフェックス(イホスファミド)、イホスファミド、イホスファミダム(イホスファミド)、IL-2(アルデスロイキン)、メシル酸イマチニブ、インブルビカ(イブルチニブ)、イミフィンジ(デュルバルマブ)、イミキモド、イムリジック(タリモジーン・ラヘルパレプベック)、インリタ(アキシチニブ)、イノツズマブオゾガマイシン、インターフェロンアルファ-2b、組換え型、インターロイキン-2(アルデスロイキン)、イントロンA(組換えインターフェロンアルファ-2b)、ヨウ素I131トシツモマブ及びトシツモマブ、イピリムマブ、イレッサ(ゲフィチニブ)、イリノテカン塩酸塩、イリノテカン塩酸塩リポソーム、イストダックス(ロミデプシン)、イクサベピロン、イクサゾミブクエン酸塩、イクセンプラ(イクサベピロン)、ジャカフィ(リン酸ルキソリチニブ)、JEB、ジェブタナ(カバジタキセル)、カドサイラ(アド-トラスツズマブエムタンシン)、ケオキシフェン(塩酸ラロキシフェン)、ケピヴァンス(パリフェルミン)、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)、キスカリ(リボシクリブ)、キムリア(ティサゲンルクルーセル)、カイプロリス(カーフィルゾミブ)、酢酸ランレオチド、ジトシル酸ラパチニブ、ラルトルボ(オラトゥマブ)、レナリドミド、メシル酸レンバチニブ、レンビマ(メシル酸レンバチニブ)、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、ロイケラン(クロランブシル)、
酢酸ロイプロリド、ロイスタチン(クラドリビン)、レブラン(アミノレブリン酸)、リンフォリジン(クロランブシル)、LipoDox(塩酸ドキソルビシンリポソーム)、ロムスチン、ロンサーフ(トリフルリジン及び塩酸チピラシル)、リュープリン(酢酸ロイプロリド)、ルプロンデポ(酢酸ロイプロリド)、ルプロンデポ-Ped(酢酸ロイプロリド)、リムパーザ(オラパリブ)、マルキボ(ビンクリスチン硫酸リポソーム)、マチュラン(塩酸プロカルバジン)、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、メキニスト(トラメチニブ)、メルファラン、塩酸メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メスネックス(メスナ)、メタゾラストーン(テモゾロミド)、メトトレキサート、メトトレキサートLPF(メトトレキサート)、臭化メチルナルトレキソン、メキサート(メトトレキサート)、メキサート-AQ(メトトレキサート)、ミドスタウリン、マイトマイシンC、塩酸ミトキサントロン、ミトザイトレックス(マイトマイシンC)、MOPP、モゾビル(プレリキサフォル)、ムスターゲン(塩酸メクロレタミン)、ムタマイシン(マイトマイシンC)、ミレラン(ブスルファン)、ミロサール(アザシチジン)、マイロターグ(ゲムツズマブオゾガマイシン)、ナノ粒子パクリタキセル(パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ナベルビン(酒石酸ビノレルビン)、ネシツムマブ、ネララビン、ネオサール(シクロホスファミド)、マレイン酸ネラチニブ、ナーリンクス(マレイン酸ネラチニブ)、ネツピサント及び塩酸パロノセトロン、ニューラスタ(ペグフィルグラスチム)、ニューポゲン(フィルグラスチム)、ネクサバール(トシル酸ソラフェニブ)、ニランドロン(ニルタミド)、ニロチニブ、ニルタミド、ニンラロ(クエン酸イクサゾミブ)、ニラパリブトシル酸一水和物、ニボルマブ、ノルバデックス(クエン酸タモキシフェン)、エヌプレート(ロミプロスチム)、オビヌツズマブ、オドムゾ(ソニデギブ)、OEPA、オファツムマブ、OFF、オラパリブ、オララツマブ、メペコハク酸オマセタキシン、オンカスパール(ペガスパルガス)、塩酸オンダンセトロン、オニバイド(塩酸イリノテカンリポソーム)、オンタク(デニロイキンジフチトクス)、オプジーボ(ニボルマブ)、OPPA、オシメルチニブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、PAD、パルボシクリブ、パリフェルミン、塩酸パロノセトロン、パロノセトロン塩酸塩及びネチュピタント、パミドロン酸二ナトリウム、パニツムマブ、パノビノスタット、パラプラット(カルボプラチン)、パラプラチン(カルボプラチン)、塩酸パゾパニブ、PCV、PEB、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペグインターフェロンアルファ-2b、PEG-イントロン(ペグインターフェロンアルファ-2b)、ペムブロリズマブ、ペメトレキセド二ナトリウム、パージェタ(ペルツズマブ)、ペルツズマブ、プラチノール(シスプラチン)、プラチノールAQ(シスプラチン)、プレリキサフォル、ポマリドマイド、ポマリスト(ポマリドマイド)、ポナチニブ塩酸塩、ポートラッツァ(ネシツムマブ)、プララトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジン塩酸塩、プロロイキン(アルデスロイキン)、プロリア(デノスマブ)、プロマクタ(エルトロンボパグオラミン)、プロプラノロール塩酸塩、プロベンジ(シプルーセル-T)、プリネトール(メルカプトプリン)、プリキサン(メルカプトプリン)、二塩化ラジウム223、塩酸ラロキシフェン、ラムシルマブ、ラスブリカーゼ、R-CHOP、R-CVP、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)二価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)9価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)4価ワクチン、組換えインターフェロンアルファ-2b、レゴラフェニブ、リリストル(臭化メチルナルトレキソン)、R-EPOCH、レブラミド(レナリドミド)、リウマトレックス(メトトレキサート)、リボシクリブ、R-ICE、リツキサン(リツキシマブ)、リツキサンハイセラ(リツキシマブ及びヒアルロニダーゼヒト)、リツキシマブ、リツキシマブ及びヒアルロニダーゼヒト、、ロラピタント塩酸塩、ロミデプシン、ロミプロスチム、ルビドマイシン(塩酸ダウノルビシン)、ルブラカ(カンシル酸ルカパリブ)、カンシル酸ルカパリブ、リン酸ルキソリチニブ、リダプト(ミドスタウリン)、スクレロゾール胸膜内エアロゾル(タルク)、シルツキシマブ、シピュロイセルT、ソマチリンデポ(酢酸ランレオチド)、ソニデギブ、トシル酸ソラフェニブ、スプリセル(ダサチニブ)、スタンフォードV、滅菌タルク粉末(タルク)、ステリタルク(タルク)、スチバーガ(レゴラフェニブ)、リンゴ酸スニチニブ、スーテント(リンゴ酸スニチニブ)、シラトロン(ペグインターフェロンアルファ-2b)、シルバント(シルツキシマブ)、シンリボ(メペコハク酸オマセタキシン)、タブロイド(チオグアニン)、TAC、タフィンラール(ダブラフェニブ)、タグリッソ(オシメルチニブ)、タルク、タリモジーン・ラヘルパレプベック、クエン酸タモキシフェン、タラビンPFS(シタラビン)、タルセバ(塩酸エルロチニブ)、タルグレチン(ベキサロテン)、タシグナ(ニロチニブ)、タキソール(パクリタキセル)、タキソテール(ドセタキセル)、テセントリク、(アテゾリズマブ)、テモダール(テモゾロミド)、テモゾロミド、テムシロリムス、サリドマイド、サロミド(サリドマイド)、チオグアニン、チオテパ、ティサゲンルクルーセル、トラク(フルオロウラシル-局所)、トポテカン塩酸塩、トレミフェン、トリセル(テムシロリムス)、トシツモマブ及びヨウ素I131トシツモマブ、トテクト(デクスラゾキサン塩酸塩)、TPF、トラベクテジン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トリアンダ(ベンダムスチン塩酸塩)、トリフルリジン及び塩酸チピラシル、トリセノックス(三酸化ヒ素)、タイカーブ(ジトシル酸ラパチニブ)、ユニツキシン(ジヌツキシマブ)、三酢酸ウリジン、VAC、バンデタニブ、VAMP、バルビ(塩酸ロラピタント)、ベクティビックス(パニツムマブ)、VeIP、ベルバン(硫酸ビンブラスチン)、ベルケイド(ボルテゾミブ)、ベルサール(硫酸ビンブラスチン)、ベムラフェニブ、ベンクレクスタ(ベネトクラクス)、ベネトクラクス、ベルゼニオ(アベマシクリブ)、ビアドゥール(酢酸ロイプロリド)、ビダーザ(アザシチジン)、硫酸ビンブラスチン、ビンカサールPFS(硫酸ビンクリスチン)、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンクリスチンリポソーム、酒石酸ビノレルビン、VIP、ビスモデギブ、ビストガード(三酢酸ウリジン)、ボラクサーゼ(グルカルピダーゼ)、ボリノスタット、ヴォトリエント(塩酸パゾパニブ)、ヴィクセオス(塩酸ダウノルビシン及びシタラビンリポソーム)、ウェルコボリン(ロイコボリンカルシウム)、ザルコリ(クリゾチニブ)、ゼローダ(カペシタビン)、XELIRI、XELOX、ザイゲバ(デノスマブ)、ゾーフィゴ(二塩化ラジウム223)、イクスタンジ(エンザルタミド)、ヤーボイ(イピリムマブ)、ヨンデリス(トラベクテジン)、ザルトラップ(ジブアフリベルセプト)、ザルシオ(フィルグラスチム)、ゼジュラ(ニラパリブトシル酸一水和物)、ゼルボラフ(ベムラフェニブ)、ゼバリン(イブリツモマブチウセタン)、ジネカード(塩酸デクスラゾキサン)、ジブ-アフリベルセプト、ゾフラン(塩酸オンダンセトロン)、ゾラデックス(酢酸ゴセレリン)、ゾレドロン酸、ゾリンザ(ボリノスタット)、ゾメタ(ゾレドロン酸)、ザイデリグ(イデラリブ)、ジカディア(セリチニブ)、並びに/又はザイティガ(酢酸アビラテロン)が含まれるが、これらに限定されない。治療方法は、チェックポイント阻害剤を含むか、又は更に含むことができ、PD-1(例えば、ニボルマブ(BMS-936558又はMDX1106)、ペムブロリズマブ、CT-011、MK-3475など)、PD-L1(例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、MDX-1105(BMS-936559)、MPDL3280A、又はMSB0010718Cなど)、PD-L2(例えば、rHIgM12B7など)、CTLA-4(例えば、イピリムマブ(MDX-010)、トレメリムマブ(CP-675,206)など)、IDO、B7-H3(例えば、MGA271、MGD009、オムブルタマブなど)、B7-H4、B7-H3、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)(例えば、BMS-986207、OMP-313M32、MK-7684、AB-154、ASP-8374、MTIG7192A、又はPVSRIPOなど)、CD96、及びTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)(例えば、JNJ-61610588、CA-170など)、TIM3(例えば、TSR-022、MBG453、Sym023、INCAGN2390、LY3321367、BMS-986258、SHR-1702、RO7121661など)、LAG-3(例えば、BMS-986016、LAG525、MK-4280、REGN3767、TSR-033、BI754111、Sym022、FS118、MGD013、及びImmutep)を遮断する抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0065】
本開示の原理を更に説明するために、本明細書で請求される組成物、物品、及び方法がどのように作製及び評価されるかの完全な開示及び説明を当業者に提供するように、以下の実施例が示される。それらは本発明の純粋に例示的なものであることが意図されており、発明者らがそれらの開示とみなしている範囲を限定することは意図されていない。数値(例えば、量、温度など)に関して正確度を保証するように努力がなされてはいるが、しかしながら、いくらかの誤差及び偏差が考慮されるべきである。特に指定しない限り、温度は、℃であるか、又は周囲温度であり、圧力は、大気圧又はその付近である。製品の品質及び性能を最適化するために使用することができるプロセス条件の数多くの変化及び組み合わせがある。合理的かつ日常的な実験のみが、かかるプロセス条件を最適化ために必要とされる。
【0066】
実施例1
結果
熱特異的遺伝子スイッチを操作する
体温上昇に対する細胞反応は、温度感受性転写因子である熱ショック因子1(HSF1)の三量体化、及びその後のHSEとの結合によって媒介される。HSEは、コンセンサス配列5’-nGAAn-3’の複数の逆方向反復で構成され、熱ショックタンパク質(HSP)の転写開始部位の上流に配列され、熱ストレス後にそれらの上方調節を可能する。内因性HSP遺伝子の応答は、熱に対して選択的だが、それらのプロモータが、低酸素、重金属、及び機械的な力を含む、合図の多様なセットへの曝露後の転写を媒介する追加の調節エレメント(例えば、低酸素応答エレメント、金属応答エレメント)を含む場合、特異的ではない。更に、コアプロモータ(例えば、イニシエータエレメント、TATAボックス)における違いは、開始前複合体(PIC)の組成、及びHSF1を含む転写エンハンサーとのその相互作用に影響を及ぼし、組織及び細胞のタイプにわたる異なる熱応答に繋がる。この複雑性及び非熱応答経路による交差活性化により、合成遺伝子スイッチは、熱によって活性化されるが、他のストレス源によっては活性化されない。
【0067】
HSPB1コアプロモータの上流にあるHSEモチーフ5’-nGAAnnTTCnnGAAn-3’の2~7反復を含む6つの候補構築物をジャーカットT細胞にクローニングした(2H-B1~7H-B1と表示、
図1a)。HSPB1コアプロモータは、その親遺伝子が、熱処理に応答しなかった80個を超えるHSP及びHSP関連遺伝子に対して、初代ネズミT細胞において42℃で20倍超まで上方調節された2つのうちの1つであるとして、最初に選択された(
図2)。高い熱応答性を有する内因性遺伝子からコアプロモータを選択することは、HSE反復と統合されたときに転写活性を促進する。熱スイッチの応答を定量化するために、形質導入したジャーカットT細胞を体温より3~5℃高い温度(すなわち、40~42℃)に一時的に加熱し、これは、アブレーション療法に使用される温度範囲(>50℃)とは対照的に穏やかな温度範囲である
25。37℃での対照試料と比較して、レポータであるガウシアルシフェラーゼ(Gluc)の増加した発現が、温度及びHSEの数が増加したときに観察された(
図1b)。5~7個のHSE反復を含む構築物(5H-B1~7H-B1)は、2~4個のHSEを有するもの(2H-B1~4H-B1)と比較して、有意に高い熱応答をもたらした(
図1c)。
【0068】
初代ヒトT細胞における熱応答を試験するために、T細胞を7H-B1構築物で形質導入し、40℃超の温度で加熱したおよそ6時間後にピーク熱活性を観察した(
図1d)。HSPB1コアプロモータは、ネズミT細胞のスクリーニングから最初に選択したため、初代ヒトT細胞における熱応答はコアプロモータ配列に更に依存する。したがって、過去の研究に基づいてヒトHSPA6遺伝子からのコアプロモータ(A1A、A6、B1)(
図2)、及び合成コアプロモータ(YB)を、qPCRスクリーニングで特定及び比較した。パネルの中で、7H-YB構築物は、42℃で30分後にGlucレポータレベルに最も高い増加をもたらし、活性の約60倍の増加に対応する(
図1e)。37℃での基礎活性は、非形質導入対照と統計的に同一のままであり、無視できる活性化が、24時間の発熱範囲に対応する37~40℃の温度で観察された(
図1f)。7H-YBの熱活性化は、3名の別々のドナーに由来するT細胞で更に検証され、ドナー依存性の欠如を確証した(
図1g、
図3)。このデータに基づいて、7H-YBがその後の実験のために選択された。
【0069】
本発明者らは、2つの代表的な非熱ストレスとして低酸素及び重金属毒性を使用して、熱特異性を試験した。ベンチマークとして、ストレス誘導性が高く、以前は遺伝子発現の熱制御に使用されていた内因性HSPA6又はHSP70プロモータと比較した。遺伝子スイッチは、形質導入した初代ヒトT細胞及びジャーカットT細胞を、低酸素応答のマスターレギュレータである低酸素誘導因子-1α(HIF-1α)の安定化剤である低酸素模倣剤CoCl
2、並びに食事又は環境の曝露によって体内に蓄積する重金属錯体塩化カドミウム(CdCl
2)とともにインキュベートすることによって試験した。HSP70又はHSPA6プロモータは、それぞれ初代ヒトT細胞又はジャーカットT細胞において低酸素及びカドミウム毒性による用量依存的な活性化を示したが(
図1h、i、
図4)、7H-YBは活性化されず、低酸素及びカドミウムに対する細胞応答を試験するために一般的に使用される範囲を超える濃度(1000mMのCoCl
2及び1000μMのCdCl
2)まで、未形質導入(UTD)と統計的に同一のままだった。これらの結果は、これらの構築物が非熱ストレスに曝露された場合、内因性HSPと比較して熱特異性を増加していることを示す。
【0070】
初代T細胞は、熱処理後に主要な機能を維持する
次に、熱送達プロファイルは、増殖、遊走、及び細胞傷害性を含む、重要な機能に影響を与えることなく、初代T細胞によって十分耐容されることが特定された。熱医学では、標的部位を50℃超の温度に加熱して、腫瘍細胞アポトーシス及び凝固壊死を誘導することによって組織を局所的に除去する。対照的に、軽度の体温上昇療法(40~42℃)は、温熱腹腔内化学療法(HIPEC)などで小分子の輸送を促進するために使用され、加温化学療法の腹部注入が、進行卵巣がん患者の外科的減量後の補助治療としての役割を果たす。45℃未満の温度では、軽度の体温上昇への一時的な曝露は、HSPを含むストレス応答経路の誘導に起因して、細胞や組織によって十分に耐容される。加えて、連続的及び分割した熱処理に対するT細胞の応答も考慮された。線量分割は、がんに対する放射線の効果を最大化しながら、正常組織への損傷を低減するために放射線療法で一般的に使用される。熱パルス列が、同一治療の曲線下面積(AUC)を有する連続熱処理と比較してジャーカットT細胞耐性を増加させたという以前の観察に基づいて、初代T細胞に対する熱用量分割の効果を更に調査した。
【0071】
37℃での休止期間(各2.5分又は5分)を挟んで分離された3つの個別の熱パルス(各5分又は10分)で構成される67%デューティサイクルでのパルス熱処理を、それらの非分割対応処理(15分又は30分の連続加熱)と比較した(
図5a)。7H-YB Glucベクターで形質導入した初代ヒトT細胞では、パルス熱処理は、30分AUCで連続送達と比較して、最大約87%まで有意に高いレポータ発現をもたらした(
図5b)。T細胞の生存率を評価するために、細胞死(PI)及びアポトーシス(アネキシンV)マーカーを定量化し、67%デューティサイクルで30~60分間パルス処理を受けた初代T細胞で有意な改善が観察された(
図5c)。対照的に、40分を超える連続熱処理を受けた試料では、T細胞生存率の高くて約33%の減少が観察された。同様の傾向が色素(CTV)希釈によるT細胞増殖アッセイでも観察され、CD3/28ビーズとのインキュベーション後の増殖したT細胞のパーセントは、42又は43℃で30分間の連続加熱及びパルス加熱の両方によって影響を受けなかったが、60分間加熱した試料は、低下したT細胞増殖をもたらした(
図5d、
図6)。
【0072】
走化性によるT細胞遊走を探査するために、トランスウェルアッセイを使用し、熱処理(42℃で30分間)が、ケモカインCXCL12を含む下部ウェルへのT細胞遊走に大きな影響を及ぼさないことが観察されたが、一方、50℃に加熱されたT細胞は影響を受けた。(
図5e)。長期間の活性化を試験するために、T細胞を8日間の経過にわたって再加熱したところ、GFP平均蛍光強度(MFI)、並びにGFP活性化及び減衰半減期(t
1/2がそれぞれ約0.5及び1日)に同様の増加が観察され、T細胞応答の大きさ及び動態が複数の熱処理によって影響を受けないことを示した(
図7)。T細胞の細胞傷害性に対する熱の影響を定量化するために、構成的EF1αプロモータ下でαCD19 CARを発現する初代ヒトT細胞を、ルシフェラーゼレポータを含むCD19+又はCD19- K562のいずれかとともにインキュベートして、発光の損失による細胞死の定量化を可能にした(
図5e)。試験した全てのエフェクター対標的細胞の比(1:1、5:1、10:1)で、加熱したT細胞は非加熱試料で観察された細胞傷害性の90%以上を維持したが、細胞傷害性における有意差は、CD19-K562標的細胞を含む試料では観察されなかった(
図5f)。同様に、統計的な差は、CD19+K562細胞との共インキュベーション前にαCD19 CAR T細胞を8日間の経過にわたって4回加熱した長期熱処理でも観察されなかった(
図8)。まとめると、これらのデータは、初代ヒトT細胞が、持続時間30分未満の連続波形又はパルス波形で送達される短い熱処理の後でも、増殖、移動、及び標的細胞を殺滅する能力を維持することを実証する。
【0073】
インビボにおけるT細胞の光熱活性化
次に、本発明者らは、光熱加熱による養子移入したT細胞の空間的に標的化した活性化を実証するように努めた。腫瘍を局所的に加熱するために、プラズモン金ナノロッド(AuNR)をアンテナとして使用し、入射近赤外(NIR)光(約650~900nm)を熱に変換した。PEGコーティングしたAuNRは、静脈内投与後に腫瘍内に受動的に蓄積する、長い循環期間を有する十分に試験されたナノ材料である。光熱加熱及び熱スイッチ活性化を確認するために、7H-YB Fluc(TS-Fluc)αCD19 CARで形質導入した初代T細胞を、96ウェルプレートでAuNRとともに共インキュベートし、808nmレーザー光で照射した。サーマルカメラによって監視して40~45℃に達したウェルでは、TS-Fluc αCD19 CAR T細胞が存在するとき、発光シグナルの顕著な増加が6時間後に観察されたが、非形質導入対照を含むウェルでは観察されず(
図9a)、操作したT細胞のプラズモン光熱制御を確認した。
【0074】
インビボでの光熱標的化を行うために、両側脇腹腫瘍を有するNSGマウスに、CD19-K562細胞を受容する1つのコホート及びCD19+Raji細胞を受容する別のコホートで接種して、CAR抗原陰性及び陽性腫瘍をそれぞれモデル化した(
図10)。AuNRの静脈内注射及びTS-Fluc αCD19 CAR T細胞の養子移入後(
図9b)、腫瘍をサーマルカメラの誘導下でNIRレーザー光を用いて照射して(
図9c)、標的皮膚温度を維持した(
図9d)。20分間の熱処理後、同じ動物における非加熱腫瘍と比較して、NIR光を受けたRaji腫瘍では、発光が30倍超増加し(
図9e)、インビトロ実験と同様に、4日間の経過にわたって2回繰り返した熱活性化は、発光シグナルの損失をもたらさなかった(
図11)。対照的に、NIR光を用いて、又はNIR光なしで処理したK562腫瘍において、増加した発光は観察されなかった(
図9e)。この熱誘導性活性の欠如は、CD19 CAR抗原の不存在に起因し、CD19+Raji腫瘍と比較して、切除したK562腫瘍における腫瘍内αCD19 CAR T細胞の密度は20倍低かった(
図12)。導入遺伝子の熱誘発性発現は、光熱標的化によって空間的に制御されるが、熱活性化T細胞は、腫瘍から移動し、したがって、導入遺伝子の標的外発現をもたらす。したがって、両側CD19+Raji脇腹腫瘍を担持するマウスにおいて、単一の腫瘍部位を加熱し、遠位腫瘍及び脾臓におけるFluc活性を定量化した。加熱された腫瘍における発光は、加熱後15時間以内に約40倍増加したが、非加熱腫瘍及び脾臓は、ベースラインレベルと統計的に同一であり、TS-Fluc αCD19 CAR T細胞における導入遺伝子発現が、加熱された部位に空間的に限定されたことを示した(
図9f)。まとめると、これらのデータは、熱遺伝子スイッチで操作された腫瘍内T細胞の光熱制御を実証した。
【0075】
IL-15 SAの遠隔熱制御は、養子T細胞移入を増強する
次に、熱制御がインビボでの養子縁組T細胞療法の有効性を高めるか調査した。これを行うために、本発明者らの熱ベクター(TS-IL15)の制御下で、IL-15Rαサブユニットのスシドメインに連結されたサイトカインを含む、単鎖IL-15スーパーアゴニスト(IL-15 SA)をクローニングした。IL-15 SAは、CD8 T細胞及びNK細胞の強力な刺激剤であり、臨床的候補であるALT-803は、現在、広範囲のがんについて研究下にある。熱誘導したIL-15 SAが機能的に活性だったか試験するために、10:1の比でCD3/28ビーズとともにインキュベートしたCFSE標識野生型T細胞を、補充サイトカインなしで使用するT細胞増殖アッセイを開発した。この条件は、IL-2などのサイトカインが培地中に存在したときの条件と比較して、T細胞増殖を誘導するのに不十分であることが見出された(
図14)。したがって、IL-15 SAの熱制御を試験するために、加熱又は非加熱のTS-IL15 αCD19 CAR T細胞を、10:1のT細胞対ビーズ比でCD3/28ビーズを有するCFSE標識野生型T細胞を含む試料に添加した(
図13a、
図15)。非加熱対照と比較して、加熱した試料中のCFSE標識T細胞は、有意に高い増殖及び分裂指数で拡張することが見出され(
図13b)、TS-IL15 αCD19 T細胞は、単回の熱処理後に生理学的に活性なレベルのIL-15 SAを産生することができることが実証された。IL-15 SAの熱誘発した分泌の熱効果を更に特性評価するために、条件培地をELISAによって分析し、IL-15 SAレベルが熱処理の持続時間及び温度とともに増加したことを見出した(
図13c)。
【0076】
熱標的化による治療効果を探索するために、腫瘍が平均70mm
3の体積だったときに、TS-IL15 αCD19 CAR T細胞を、CD19+K562腫瘍を担持するNSGマウスに養子的に移入した(
図13d)。次いで、腫瘍の光熱加熱を、合計5回の処理のためにACT後3~4日毎(2日目、6日目、9日目、13日目、及び16日目)に実行した。CAR T細胞又は熱処理を受けなかった対照マウス(黒色)と比較して、腫瘍部位単独の熱処理は、腫瘍負荷の減少又は生存率の改善をもたらさなかった(灰色)(
図13e~f)。TS-IL15 αCD19 CAR T細胞単独の移入は、腫瘍負荷を有意に減少させた(青色)が、85%(6/7)超の動物が、ACTの39日以内に安楽死基準に達した。対照的に、NIR処理と組み合わせたTS-IL15 αCD19 CAR T細胞のACTは、腫瘍負荷を顕著に減少させ、試験の期間枠内に安楽死基準に達した動物はいなかった。
【0077】
NSGマウスはインタクト免疫系を欠くため、このプラットフォームは、黒色腫自己抗原gp100を認識するトランスジェニックTCR Pmel-1 T細胞を有する同系B16-F10黒色腫腫瘍を担持する免疫応答性C57BL/6Jマウスで更に試験した(
図13g)。hGP100
25-33によるPmel-1脾細胞のペプチド活性化後、CD8+純度、形質導入効率、及びIL-15 SAの熱産生を検証した(
図16)。TS- IL15 Pmel-1 T細胞は、リンパ枯渇後の9日目(約52mm
3の平均腫瘍体積)に養子移入され、移入した細胞を拡張するために、2×10
5IUのIL-2を3日間、1日2回与えた。これらの条件下で、2サイクルの光熱処置は、TS-IL15 Pmel-1+IL-2を受けたが熱処理なし(青色)、熱処理のみ(灰色)、又は未処理動物のコホートと比較して、腫瘍成長の有意に増強された制御をもたらすことが観察された(赤色)(ACT後1日目及び3日目)(
図13h)。全ての対照マウスは、ACT後33日以内に安楽死基準に達したが、TS-IL15 Pmel-1 T細胞の光熱処理は、42日目まで有意に延長した生存期間をもたらした(
図13i)。実験は、十分に確立された、血管形成したB16-F10腫瘍(約120mm
3の平均腫瘍体積)で繰り返され、同様に、熱処理したマウスにおける腫瘍制御の有意な改善が観察された(
図17)。これらの結果は、組み合わせたIL-2及びIL-15が、IL-2単独による処置と比較して抗腫瘍活性を改善することを示した以前の試験と一致する。まとめると、これらのデータは、CAR又はTCR操作T細胞によるIL-15 SA産生の光熱制御が腫瘍制御を有意に改善することを示した。
【0078】
TS-BiTE αHER2 CAR T細胞は抗原逃避を軽減する
抗原の不均一な発現は、単一抗原に対して向けられるCAR T細胞から腫瘍逃避をもたらすことができる。したがって、NKG2Kリガンド(NKG2DL)-広範囲のがん並びにサプレッサー細胞
70-73において上方調節される-を標的とする二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)の熱誘発発現が、抗原逃避を軽減することができるか決定することが求められた。ヒトNKG2D受容体の細胞外ドメインに連結されたOKT3抗体からのCD3認識ドメインを含む前述のNKG2DL-BiTEをクローニングした。このベクター(TS-BiTE)は、BiTE分泌のためのIgκリーダー配列、HisTagレポータ、及び構成的αCD19 CARを含んだ(
図18a)。熱処理後、TS-BiTE T細胞は、TS-Fluc対照細胞と比較して、抗HisTag抗体によって陽性染色が観察された(
図18b)。TS-BiTE T細胞は、BiTEがパラ分泌活性化のためにバイスタンダーT細胞に関与する前に、自己分泌活性化を受けることができる。これを試験するために、TS-BiTEジャーカットT細胞の混合物を、NKG2DL+CD19-K562標的細胞との共インキュベーションの前に、バイスタンダーとして非形質導入細胞とともに加熱して(
図18c~e)、CD19 CAR結合による交絡因子を伴わずにBiTE関与によってT細胞活性化を単離した。TS-BiTEジャーカットT細胞における早期活性化マーカーCD69の発現は、加熱時間が延長されるにつれて、バイスタンダー細胞と比較して有意に上方調節されることが見出された(赤色対黒色)(
図18f、g)。対照的に、CD69は、K562細胞とともにインキュベートされ、対照として別のウェルで加熱された非形質導入(UTD)ジャーカットT細胞と比較して(黒色対灰色)、バイスタンダー細胞で最小限に上方調節された。これらのデータは、TS-BiTE T細胞が主に自己分泌経路で活性化されるという裏付けを提供した。BiTEの熱誘発発現から細胞傷害性を定量化するために、初代ヒトTS-BiTE αCD19 CAR T細胞を、NKG2DL+CD19-K562細胞とともに共インキュベートした。非形質導入又はTS-Fluc αCD19 CAR対照とは対照的に、TS-BiTE αCD19 CAR T細胞は、温度が37℃から42℃に上昇するにつれて、増加するレベルのT
h1サイトカインIFN-γ及びTNF-αを分泌した(
図18h)。K562細胞傷害性における温度依存的な増加が、37℃では観察されないが、UTD対照と比較して観察され、基礎温度でのBiTE誘導殺滅の欠如を示した(
図18i)。これらのデータは、TS-BiTE αCD19 CAR T細胞を、熱制御によってNKG2DLを発現する標的抗原陰性腫瘍細胞に再指向させることができることを示した。
【0079】
インビボでの抗原逃避の緩和を試験するために、HER2+及びHER2- MDA-MB-468腫瘍細胞の混合物を含む乳がんの不均一モデルを開発した。NKG2DLの内因性発現は、野生型細胞において検証され、HER2(
図20a)又はFluc(
図20b)のいずれかでそれらを形質導入して、インビボで抗原陰性細胞の発光定量化を可能にした。TS-BiTE又はTS-Rluc αHER2 CAR T細胞の両方が、HER2+ MDA-MB-468細胞を選択的に標的とし、殺滅することを確認した(
図19a、
図20c)。対照的に、HER2-細胞の標的化は、活性化マーカーCD69、PD-1、及びCD107aの温度依存的な上昇によって確認されるように、TS-BiTE αHER2 CAR T細胞の熱処理を必要とした(
図19b、
図21)。NKG2DL BiTEの熱制御が、異種抗原発現を有する腫瘍を治療できるか試験するために、NSGマウスをHER2+及びHER2- MDA-MB-468細胞を3:1の比で用いて接種し、腫瘍が十分に確立されて血管形成した44日目(平均体積約110mm
3)にTS-BiTE又はTS-Rluc αHER2 CAR T細胞を移入した(
図19c)。長期加熱(45、47、52、59、66、及び72日目)によるACT後のおよそ約40日間、有意な腫瘍退縮が、TS-BiTE又はTS-Rluc αHER2 CAR T細胞のいずれかで処理したマウスで観察され、後者は、腫瘍のHER2+画分の殺滅に起因した。しかしながら、74日目までに、TS-Rluc αHER2 CAR T細胞で処理したマウスの腫瘍は、TS-BiTEで処理したコホートと比較して再発し始め、100日目までに平均して約12倍大きい体積の腫瘍をもたらした。6匹のTS-BiTEマウスのうちの4匹及び6匹のTS-Rlucマウスのうちの1匹からの腫瘍は、カリパス測定及び触診によって検出できなかった(
図19d)。これらの結果を更に裏付け、再発が抗原陰性細胞の増殖に帰することができるか決定するために、腫瘍発光をHER2-細胞から定量化し、腫瘍体積が分岐し始める前の60日目までに、TS-Rluc群と比較して、TS-BiTEにおける有意なシグナル低下が観察された(
図19e)。1匹のマウスにおける残存疾患が、TS-BiTE及びTS-Rluc群の両方から観察され、最初はカリパー測定によって完全奏効であるとみなされたが、平均を上回る2標準偏差として定義されたバックグラウンドを上回る発光シグナルを有した。約45日間にわたって触知不能な腫瘍及びバックグラウンドレベル内での発光を有した6匹のTS-BiTEマウスのうちの3匹が、完全奏効であると考えられた(
図19f)。これらのデータは、NKG2DL BiTEの熱制御が、不均一な抗原発現を有する腫瘍における抗原逃避を緩和する可能性を有することを実証する。
【0080】
考察
腫瘍部位内の操作したT細胞活性をより良く制御する能力は、固形腫瘍に対する療法を改善する可能性を有する。そこで、T細胞活性の遠隔熱制御のためのプラットフォームが開発された。熱に応答する能力をT細胞に提供するために、合成熱遺伝子スイッチを、コアプロモータの上流に熱ショックエレメントのアレイを含んで設計した。このアーキテクチャは、低酸素などの非熱ストレスに対する感受性を排除し、その熱応答は、HSEの数又は異なるコアプロモータに基づいて調整可能だった。重要なことに、T細胞を、24時間を超えてインキュベートしたときに、熱遺伝子スイッチの無視できる活性化が≦40℃の温度で観察され、活性化のための温度閾値がサイトカイン放出症候群(CRS)を有する患者における典型的な発熱(約38~40℃)の範囲よりも高いという支持を提供し、これは標的化した熱入力を伴わないT細胞の活性化を防止するであろう。
【0081】
IL-15スーパーアゴニスト及びNKG2DL BiTEによるT細胞活性の熱制御は、抗腫瘍応答を増強することが実証された。同様のクラスの分子を構成的に発現する操作したT細胞は、強力な抗腫瘍有効性を示しているが、それらの治療適用は健康な組織における腫瘍外効果及び毒性によって制限されている。したがって、腫瘍内でのこれらの遺伝子の標的化発現は、強力なT細胞活性を含み、治療転帰を改善する。導入遺伝子の熱誘発は、一時的及び可逆的であることが示され、導入遺伝子発現が作動状態にあるとき、熱的に活性化されたT細胞が加熱部位に局在したままであり、導入遺伝子の標的外発現の可能性を低減することが見出された。K562及び同系B16-F10腫瘍において、αCD19 CAR又はTCRトランスジェニックPmel-1 T細胞のいずれかによるIL-15 SA発現の光熱制御は、T細胞単独の養子移入と比較して、増強した抗腫瘍活性をもたらした。CAR T細胞にNKG2Dリガンドを発現する抗原陰性腫瘍細胞を標的とさせることによって、抗原逃避を軽減するNKG2DL BiTEの遠隔熱制御が更に実証された。HER2+及びHER2-乳がんの混合モデルにおいて、TS-BiTE αHER2 CAR T細胞による処置は、6匹のマウスのうちの3匹において、検出可能な残存疾患のない十分に確立された腫瘍の除去、又は単一の抗原を標的とするαHER2 CAR T細胞による処置と比較して、有意に遅延した再発をもたらした。これらの結果に照らして、広範囲の生物製剤が、熱ストレスによるT細胞におけるタンパク質のミスフォールド又は凝集による機能の潜在的な損失を伴わずに、熱制御を受けることができる。
【0082】
最後に、これらの試験からの結論のいくつかは、文脈固有である。例えば、BiTE活性化が主に自己分泌機構によって生じることを示すインビトロ実験は、分泌速度、拡散、及びエフェクター対バイスタンダー比によって影響を受け得、これらのパラメータは調整可能である。まとめると、これらの結果は、固形腫瘍に対する応答を改善する操作したT細胞療法の遠隔熱標的化を支持する。
【0083】
方法
プラスミド構築。合成熱スイッチを、IDTによる遺伝子ブロックとして生成し、Lego-C(Addgeneプラスミド No.27348)又はpMKO.1(Imgenex、San Diego,CA)骨格にクローニングした。コアプロモータは、それらの既に報告されているTATAボックスのすぐ上流の5’末端及びそれらの3’末端のそれらの翻訳開始部位で切断された。ゲノムHSPA6プロモータを、以前の刊行物に列挙されているPCRプライマーを使用してゲノムDNAから増幅した。NKG2DL BiTE配列(US20120294857A1)は、既に報告されており、T細胞からの分泌を促進するためのIgκリーダー配列、並びに構築物検出のためのHisTagを含むように修正した。この組み合わせた配列を合成し(ATUM)、合成熱遺伝子スイッチの下流にクローニングした。IL-15スーパーアゴニスト配列は既に報告されており、修正なしでATUMによって合成された。構成的なαCD19 CAR(US9499629B2)は、Dr.Krishnendu Roy(Georgia Institute of Technology)によって厚意により提供された。αHER2 CAR(US20180326032A1)は、既に報告されている93。全ての独自の材料は、正当な要求で、対応する著者によって利用可能にすることができる。
【0084】
初代ヒトT細胞及び細胞株の培養。CD19+K562(Dr.Yvonne Chenから入手)及び野生型K562(Dr.Krishnendu Royから入手)を、10%FBS(Fisher No.16140071)及び10U/mLペニシリン-ストレプトマイシン(Life Technologies No.15140-122)を補充したIsocoveの改変ダルベッコ培地(ThermoFisher No.12440053)で培養した。Raji細胞をDr.Krishnendu Royから得て、10%FBSを補充したRPMI-1640培地中で培養した。MDA-MB-468(ATCC,HTB-132)及びB16-F10(ATCC,CRL-6475)細胞を、10%FBS(Fisher No.16140071)及び10U/mLペニシリン-ストレプトマイシン(Life Technologies No.15140-122)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(Gibco No.11995073)で培養した。初代ヒトCD3+細胞を、アフェレーシス(AllCells)後に匿名のドナー血液から得て、その後の使用まで、90%FBS及び10%DMSO中で凍結保存した。解凍後、細胞は、50単位/mLヒトIL-2(Sigma No.11147528001)を補充した、X-VIVO10(Lonza No.04-380Q)、5%ヒトAB血清(Valley Biomedical No.HP1022)、10mMのN-アセチルL-システイン(Sigma No.A9165)、及び55μMの2-メルカプトエタノール(Sigma No.M3148-100ML)から構成されたヒトT細胞培地で培養した。合計7名のドナーを実験のために利用した。
図1は、ドナー1、2、6、及び7を使用し、
図5は、ドナー2及び3を使用し、
図9は、ドナー2を使用し、
図13は、ドナー4を使用し、
図18及び19は、ドナー2を使用した。
【0085】
Pmel-1 T細胞の単離及び拡張。Pmel-1トランスジェニックマウスからの脾細胞を、RBC溶解緩衝液(Biolegend No.420302)を使用して赤血球を枯渇させ、1μg/mLのhgp10025-33ペプチド(Tufts University Core Facility)の存在下で、100単位/mL組換えヒトIL-2(Sigma No.11147528001)を添加した完全培地で2日間培養した。脾細胞を、レトロウイルスを10の感染多重度でスパイクした培地に細胞10×106個/mLで再懸濁させ、2000×gで90分間遠心分離した。細胞を1×106個/mLの濃度で、100単位/mLのIL-2を補充した完全培地で培養した後、単離の6日後にC57BL/6Jマウスに静脈内移入した。
【0086】
ウイルス産生及び初代ヒトT細胞形質導入。VSV-G偽型レンチウイルスを、psPAX2(Addgene No.12260)及びpMD2.G(Addgene No.12259)を使用して、HEK293T細胞(ATCC,CRL-3216)のトランスフェクションを介して産生し、ウイルス上清を、PEG-itウイルス沈殿溶液(System Biosciences LV825A-1)を製造業者の説明書に従って使用して濃縮した。レトロウイルスを、pCL-Eco及び熱スイッチ回路(TS-IL15)をコードするpMKO.1ベクター(Imgenex、San Diego,CA)を使用して、HEK293T細胞(ATCC,CRL-3216)のトランスフェクションを介して産生し、48時間後、ウイルス上清を、Retro-Concentinレトロウイルス濃度試薬(System Biosciences RV100A-1)を製造業者の説明書に従って使用して濃縮し、-80℃で凍結した。初代ヒトT細胞のウイルス形質導入のために、細胞を解凍し、24時間インキュベートし、ヒトT-アクチベーターダイナビーズ(Life Technologies No.11131D)を3:1のビーズ:細胞比で用いて24時間活性化した。活性化したT細胞を形質導入するために、濃縮したレンチウイルスを、製造業者の説明書に従ってレトロネクチン(Takara No.T100B)でコーティングした非TC処理6ウェルプレートに添加し、室温で90分間、1200×gでスピンさせた。遠心分離後、ウイルス溶液を吸引し、100単位/mLのhIL-2を含有するヒトT細胞培地中の2mLのヒトT細胞(細胞250,000個/mL)を添加し、37℃で60分間、1200×gでスピンさせ、インキュベーターに移動した。細胞を、ウイルスコーティングしたプレートで24時間インキュベートしてから拡張させ、T細胞活性化の7日後にダイナビーズを除去した。養子細胞移入前にフローソーティングした細胞について、ソーティング直後に、ダイナビードを3:1の比で48時間添加した。
【0087】
染色及びフローサイトメトリー。CAR発現を検出するために、ビオチン化CD19(10μg/mL、Acro Biosystems No.CD9-H8259)及びストレプトアビジン-APC(ThermoFisher No.S868)を製造業者の説明書に従って使用した。NKG2DL発現を、NKG2D-Fcキメラ(10μg/mL、Fisher 1299NK050)、続いてαFc二次染色(Invitrogen No.A-10631)で染色することによって評価した。NIR Live/Dead(ThermoFisher No.L34976)、CFSE(LifeTech No.C34554)、及びCellTrace Violet(CTV、LifeTech No.C34557)を、製造業者の説明書に従って使用した。ヒトFcブロック(BD No.564220)を、任意の抗体で染色する前に使用した。グランザイムBの細胞内染色では、細胞内固定及び透過緩衝液(eBioscience No.88-8823-88)を製造業者の説明書に従って使用し、染色の約4時間前にブレフェルジンAを添加した。GranzymeB(GB12、ThermoFisher)、CD69(FN50、BD)、CD4(RPA-T4、BioLegend)、hCD8(RPA-T8、BioLegend)、CD3(UCHT1、BD)、CD45(HI30、BD)、CD19(HIB19、BioLegend)、PD-1(EH12.2H7、Biolegend)、CD107a(H4A3、Biolegend)、mCD8(53-6.7、BioLegend)、HER2(24D2、Biolegend)、並びにHisTags(4E3D10H2/E3、ThermoFisher)及びヒトFc(Invitrogen No.A-10631)に対する抗体は、全て1:100の希釈で使用した。
【0088】
インビトロでのルシフェラーゼ及び熱耐容性アッセイ。初代ヒトT細胞をサーマルサイクラーで加熱し、37℃でのインキュベーションのために培養プレートに移した。特に明記しない限り、細胞上清は、熱処理終了の24時間後にルシフェラーゼ活性のためにサンプリングした。非熱処理は、操作した細胞を、指定された濃度のCoCl
2(Sigma No.232696-5G)又はCdCl
2(Sigma No.202908)でインキュベートすることによって行われた。指示された場合、発光は、ガウシアルシフェラーゼ発光アッセイキット(ThermoFisher No.16161)を製造業者の指示に従って使用して、定量化した組換えガウシアルシフェラーゼ(NanoLight No.321-500)のラダーと比較した。生存率及び増殖試験のために、初代ヒトT細胞をサーマルサイクラーで加熱してから、アポトーシス検出キット(BD No.556547)又はCellTrace Violet(Fisher No.C34571)でアッセイした。生存率を加熱の24時間後に評価し、ゲーティング戦略を
図6に示す。遊走試験のために、野生型細胞をトランスウェルプレート(Sigma No.CLS3421)の上部インサートに添加し、CXCL12(50ng/mL、Peprotech No.300-28A)を下部チャンバに添加した。下部チャンバ内の細胞を、指示した時期に血球計によって計数した。
【0089】
細胞傷害性及びT細胞活性化アッセイ。サイトメトリー分析のために、TS-CAR T細胞をサーマルサイクラーで加熱し、上記のように染色する前に、K562標的細胞とともに10:1のエフェクター細胞対標的細胞比で24時間共インキュベートした。ルシフェラーゼベースのアッセイでは、K562をホタルルシフェラーゼ(CD19+)又はウミシイタケルシフェラーゼ(CD19-)のいずれかでルシフェラーゼ化し、加熱後にエフェクター細胞とともにインキュベートした。特に明記しない限り、10:1のエフェクター対標的比を使用した。インキュベーション後、D-ルシフェリン(Fisher No.LUCK-2G、150μg/mLリード濃度)又はRluc基質(VWR No.PAP1232、17μMリード濃度)のいずれかを試料に添加した。最大細胞傷害性は、培地のみを含有するウェルからの発光シグナルとして定義され、一方、細胞傷害性なしは、標的細胞のみを含有するウェルによって定義された。上清をインキュベーション後に収集し、ヒトTh1/Th2/Th17 CBAキット(BD No.560484)を使用してサイトカインについてアッセイした。IL-15スーパーアゴニストを、ヒトIL-15/IL-15Rアルファ複合体DuoSet ELISA(R&D Systems DY6924)を使用して定量した。初代ヒトT細胞を用いたBiTE実験では、標的細胞とのインキュベーション前に、6時間あけた2回の熱処理(42℃、30分)をT細胞に適用した。操作したT細胞の腫瘍標的細胞を殺滅する能力は、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)放出アッセイによっても測定した。簡単に説明すると、操作したT細胞を、標的細胞とともに2:1のエフェクター細胞対標的比で、96ウェルプレートで24時間共培養した。次いで、LDH放出を、LDH細胞傷害性アッセイキット(蛍光測定)(Abcam No.197004)を製造業者の説明書に従って測定した。
【0090】
IL-15スーパーアゴニストダイナビード実験:野生型初代ヒトT細胞をCFSEで標識し、加熱又は非加熱のTS-IL15細胞のいずれかとともにインキュベートした。ビーズを、サイトカイン支持を伴わずに非形質導入T細胞において強力な増殖を誘導しないことが決定された10:1のT細胞対ビーズ比で加えた(
図15)。CFSE標識は、TS-IL15細胞からの識別を可能にし(
図16)、増殖及び分裂指数は、増殖ツールを使用してFlowJoで計算した。
【0091】
動物:NSGマウスを繁殖させ、8~16週齢で使用する前にGeorgia Tech Physiological Research Laboratory(GT PRL)に収容した。C57BL/6マウス及びトランスジェニックPmel-1マウス(B6.Cg-Thy1a/Cy Tg(TcraTcrb)8Rest/J)は、Jackson Laboratoriesから購入した。6~8週齢のC57BL/6及びPmel-1マウスを実験の開始時に使用した。全ての動物プロトコルが、Georgia Tech IACUC(protocols No.A100190 and A100191)によって承認された。全ての起草者らが、この試験を行う際に関連する倫理規則を遵守していた。
【0092】
光熱加熱及びインビボでの生物発光イメージング:AuNRをNanopartz(No.A12-10-808-CTAB-500)から購入し、ペグ化(Laysam Bio No.MPEG-SH-5000-5g)してCTABコーティングを置き換えた。これらのAuNRを、T細胞の養子移入の24~48時間前に、腫瘍担持マウスに静脈内注射した(10mg/kg)。マウスをイソフルランガスで麻酔し、標的部位を、サーマルカメラ(FLIRモデル450sc)の誘導下で808nmレーザー(コヒーレント)を使用して照射した。Fluc活性を、静脈内注射の約5分後又はD-ルシフェリン(Fisher No.LUCK-2G)の腹腔内注射の20分後にIVIS Spectrum CT(Perkin Elmer)を使用して測定した。検出限界は、バックグラウンド測定値の平均±2標準偏差を計算することによって特定した。
【0093】
養子細胞移入(ACT)実験:部位を剃り、イソプロピルワイプ(GT PRL)を使用して殺菌した後、NSGマウスはACT前の9日間、5×106個のRaji又はK562細胞株で皮下接種した。HER2の不均一発現のために、5×105個のMDA-MB-468細胞を1:3のHER2-対HER2+の比で、ACT前の44日間接種した。操作した初代ヒトT細胞を、200μLの無菌生理食塩水中で尾静脈を介して注射した。B16腫瘍モデルについて、5×105個のB16F10黒色腫細胞をC57BL/6マウスの脇腹に接種した。腫瘍細胞接種の8日後に、マウスを全身放射線照射(100cGy/分、5分間)によって亜致死的にリンパ枯渇させた。操作したPmel-1 T細胞(細胞6×106個)を、9日目にi.v.注射によって投与した。マウスに2×105単位の組換えヒトIL-2(Peprotech No.200-02)を、1日2回、少なくとも10時間間隔で合計6用量について腹腔内投与した。全てのマウスは、ヒトT細胞の養子移入の約24時間前に、尾静脈を介してペグ化AuNRを静脈内に受けた。ACTの25時間後、上述のように、光熱熱処理を投与し、監視した。
【0094】
ソフトウェア及び統計分析。全ての結果は平均として表され、誤差バーはSEMを示す。統計分析は、GraphPad Prism統計ソフトウェアを使用して行った。全てのグラフについて、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001、ns=有意でない。フローサイトメトリーデータは、FlowJo X(FlowJo,LLC)を使用して分析した。インビトロでの発光データは、Gen5 2.07(Biotek)を用いて収集した。インビボでの発光データを収集し、Living Image4.4.5(PerkinElmer)を用いて分析した。フローサイトメトリーデータは、BD FACSDIVA v8(BD Biosciences)を用いて収集した。熱イメージングデータを取得し、Research IR Max(FLIR)を使用して分析した。図は、Adobe Illustratorで設計した。
【0095】
実施例2
免疫療法は、莫大な治療能力を有し、喘息、移植片拒絶反応、及びがんなどの無数の病気を治療するために使用される。注目すべきことに、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法は、B細胞悪性腫瘍を有する特定のタイプのがん患者において、持続的な長期生存をもたらしてきている。しかしながら、固形腫瘍の治療におけるそれらの有効性は、腫瘍の不均一性及び重度の免疫抑制などの要因によって制限されている。サイトカイン(IL-2、-12、-15)、成長因子(Flt3L、IGF-IR)、又はケモカイン(CXCL12、CCL19)などの強力な免疫調節剤は、免疫細胞療法を強力にして、免疫機能を一過性に調節することができる。しかしながら、全身投与に依存する従来の送達機構は、オンターゲット、腫瘍外毒性、サイトカイン放出症候群、神経毒性、及びいくつかの場合において、生命を脅かす自己免疫を含む、不良な薬物動態及び多数の免疫関連副作用(irAE)と関連付けられる。免疫療法がより多くの疾患適応症のために開発されるにつれて、空間的正確度で免疫調節剤を安全に送達する戦略を生み出すことが、irAEを緩和しながら全身応答を増強するために重要である。そこで、本発明者らは、脳、脾臓、リンパ節、腫瘍、腎臓、胃、腹腔内空間、肺、心臓、肝臓、膵臓、及び膀胱を含むがこれらに限定されない、異なる解剖学的部位でのT細胞媒介性薬物送達を空間的に制御する非侵襲的方法を導入する。受動的拡散による薬物送達とは対照的に、免疫細胞は、組織内の深部に浸潤し、病気の部位を標的とし、リンパ系器官に向かうことができ、したがって、治療効果を改善し、irAEを軽減するために、治療として及び送達ビヒクルとしての両方で免疫細胞を操作する機会を提供する。本発明者らは、様々なメカニズム(例えば、集束超音波、光、放射線など)によって空間的に配置することができる熱的合図による条件付き制御下で、CAR、サイトカイン、ケモカイン、転写因子、及びヌクレアーゼを含むが、これらに限定されない、治療用分子を制御可能に送達するように、細胞が操作されるプラットフォームを説明する。本発明者らは、操作した細胞の空間的制御を例示し、免疫調節分子の局所送達に起因する増強した治療有効性を実証する。多数の前臨床モデルを使用して、本発明者らは、1)様々な解剖学的部位への薬物送達ビヒクルとして操作したT細胞を使用したレポータ分子の空間送達、2)サイトカインの局所送達に起因する増強した抗腫瘍療法、及び3)腫瘍不均一性の結果として生じる腫瘍増殖の緩和を示す。まとめると、このプラットフォームは、有害な標的外事象を軽減しながら、全身治療に関連する課題を克服するために、免疫調節分子を局所的に送達し、細胞ベースの治療を増強する、モジュール式アプローチである。
【0096】
操作した免疫細胞の空間的制御
一実施態様において、本発明らは、軽度の体温上昇(40~44℃)時の導入遺伝子活性化のための天然又は合成由来コアプロモータの上流にある一連の熱ショックエレメント(H.sapiens、M.musculus、C.dromedarius、又はD.rerioを含むが、これらに限定されない様々な種に由来する)をコードするDNAヌクレオチド配列からなる合成熱遺伝子スイッチ(TS)を操作した。一実施形態において、本発明者らは、様々な解剖学的器官において軽度の体温上昇でタンパク質を送達するトリガーとして、TSを集束超音波(FUS)と組み合わせた。T細胞は、ホタルルシフェラーゼ又はガウシアルシフェラーゼを駆動する熱スイッチをコードする導入遺伝子(TS-Fluc、配列番号22又はTS-Gluc、配列番号26)でウイルスによって形質導入し、マウスに養子移入した。FUSを使用して、脳、腫瘍、又はリンパ節において局所的に熱を加え、分子を送達した。近赤外(NIR)光によって媒介された局所送達を含む追加のデータについては、添付の原稿を参照されたい。
【0097】
操作した免疫細胞によるサイトカインの局所送達は、免疫療法を増強する。
刺激性(例えば、IL-2、-12、-15、TNFα、IFNγなど)、阻害性(例えば、IL-6、-10、TGFβなど)、及び走化性(例えば、CXCL12、CCL2、CCL19など)分子をコードするものなどの免疫調節遺伝子の空間的制御は、全身的に投与された分子を超えて治療転帰を高めることができる(
図22)。一実施形態において、樹状細胞を、IL-15SA(TS-IL15SA配列番号23)の熱駆動産生をコードする導入遺伝子で形質導入し、パルス化プロファイルを有するサーモサイクラーを使用して30分間(66%のデューティサイクル)加熱した。加熱の12時間後、樹状細胞によるIL-15SA産生を、ELISAを介して定量化した(
図23)。
【0098】
組換えタンパク質の局所送達は、抗腫瘍活性を増大させる
空間的制御を実施して、抗体及びナノボディ(例えば、αPDL1、αCTLA-4、αIL-6r)、転写因子(例えば、NFAT、NFκB、T-bet)、カスパーゼ(例えば、カスパーゼ3、カスパーゼ8)、又は二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)(例えば、NKG2DL、EGFRvIII、CD19 BiTE)を含むが、これらに限定されない、組換えタンパク質の産生も調節することができる。
【配列表】
【国際調査報告】