IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェイコブス ビークル システムズ、インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-524989ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム
<>
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図1
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図2
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図3
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図4
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図5
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図6
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図7
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図8
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図9
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図10
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図11
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図12
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図13
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図14
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図15
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図16
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図17
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図18
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図19
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図20
  • 特表-ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ローブ切り替え及び単一源のロストモーション用フィンガーフォロワを備えるバルブ作動システム
(51)【国際特許分類】
   F01L 13/00 20060101AFI20240702BHJP
   F01L 1/18 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F01L13/00 303A
F01L1/18 B
F01L13/00 302A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579162
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 IB2022055896
(87)【国際公開番号】W WO2023285901
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】17/305,637
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505413266
【氏名又は名称】ジェイコブス ビークル システムズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンデル、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バルトラッキ、ジャスティン、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャナック、ロブ
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ、ガブリエル エス.
【テーマコード(参考)】
3G016
3G018
【Fターム(参考)】
3G016AA12
3G016BB17
3G016BB38
3G016CA29
3G018AA05
3G018AB03
3G018BA12
3G018CA09
3G018CA19
3G018CB01
3G018CB06
3G018DA28
3G018GA03
(57)【要約】
エンジンバルブトレイン用の切り替え式フィンガーフォロワは、動作中に部分係合する可能性を排除する調節可能な支持アセンブリを利用する。レバー係合部材又はラッチは、フォロワ本体上で移動するために配設され、レバーと相互作用して、一定の接触形状を提供する。フィンガーフォロワは、ロストモーション装置として構成することができ、付勢アセンブリ及び移動制限部を含んでいてもよい。ラッチは、レバーを少なくとも1つの正確な位置で支持し得、気筒失活用途のように、部分的なロストモーションの場合にレバーを第2の位置で支持し得るか、又は完全なロストモーションの場合にレバーがラッチから自由に旋回することを許容し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジンバルブトレインで使用するためのバルブ作動システムであって、前記バルブ作動システムが、
第1のバルブ作動運動源と、フィンガーフォロワアセンブリと、を備え、前記フィンガーフォロワアセンブリが、
旋回端部と運動伝達端部とを有するフォロワ本体と、
前記フォロワ本体に対して旋回するように適合されたレバーと、
前記旋回端部と前記運動伝達端部との間に配設された運動受容面を有する運動受容構成要素であって、前記運動受容面が前記第1のバルブ作動運動源に動作可能に接続されている、運動受容構成要素と、
前記レバーに選択的な支持を提供するように構成された可動ラッチを含む調節可能な支持アセンブリであって、前記調節可能な支持アセンブリが、前記フォロワ本体に対して前記ラッチを第1のラッチ位置及び第2のラッチ位置に交互に維持するように適合されており、前記調節可能な支持アセンブリが、前記ラッチのピストン受容孔内に延在しており、前記第1のラッチ位置及び前記第2のラッチ位置を画定するように前記ラッチと協働する作動ピストンを更に含む、調節可能な支持アセンブリと、を備え、
前記第1のバルブ作動運動源が、主事象バルブ作動運動、補助バルブ作動運動、ゼロリフトバルブ作動運動、又はそれらの組み合わせを提供するように構成されている、バルブ作動システム。
【請求項2】
前記作動ピストンが、遷移面を含み、前記遷移面により、前記遷移面が前記ラッチによって係合されたときに、前記レバーが前記ラッチを前記第1のラッチ位置に移動させることを可能にする、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項3】
前記調節可能な支持アセンブリは、前記ラッチが前記第1のラッチ位置にあるときに、前記レバーと前記ラッチとの間に係合を提供するように更に適合されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項4】
前記調節可能な支持アセンブリは、前記レバーが前記ラッチに係合していないレバー位置に前記レバーが旋回することを許容するように更に適合されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項5】
前記調節可能な支持アセンブリは、前記ラッチが前記第2の位置にあるときに、前記レバーと前記ラッチとの間に係合を提供するように更に適合されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項6】
前記作動ピストンは、前記ラッチが前記第1のラッチ位置にあるとき及び前記ラッチが前記第2のラッチ位置にあるときに、前記ラッチに支持反力を提供するように適合されており、前記作動ピストンは、前記ラッチが前記第1のラッチ位置と前記第2のラッチ位置との間にあるときに、前記ラッチ及び作動ピストンが移動することを許容するように適合された遷移面を含む、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項7】
前記フォロワ本体が、ガイド孔を更に含み、前記ラッチが、前記ガイド孔内で移動するように配置されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項8】
前記フォロワ本体が、前記作動ピストンと流体連通する動作流体通路を更に含む、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項9】
前記作動ピストンが、前記ラッチを前記第1のラッチ位置で支持するように適合された第1の作動ピストン表面と、前記ラッチを前記第2のラッチ位置で支持するように適合された第2の作動ピストン表面とを含む、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項10】
前記第1の作動ピストン表面が、前記作動ピストンの軸から第1の距離だけ延在しており、前記第2の作動ピストン表面が、前記作動ピストンの前記軸から第2の距離だけ延在する、請求項9に記載のバルブ作動システム。
【請求項11】
前記第2の作動ピストン表面が、前記ピストン受容孔に対応する、請求項9に記載のバルブ作動システム。
【請求項12】
前記作動ピストンが、前記第1の作動ピストン表面と前記第2の作動ピストン表面との間に遷移面を更に含み、前記遷移面は、前記作動ピストンが作動したときに、前記ラッチを前記第1のラッチ位置から前記第2のラッチ位置まで移動させるように適合されている、請求項9に記載のバルブ作動システム。
【請求項13】
前記レバーが、前記ラッチのラッチ表面と係合するように適合されたレバー表面を含み、前記ラッチ表面及び前記レバー表面のうちの少なくとも一方が、弧状の表面を含む、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項14】
前記レバーが、前記ラッチのラッチ表面と係合するように適合されたレバー表面を含み、前記ラッチ表面及び前記レバー表面は、前記ラッチ表面及び前記レバー表面が前記レバーの全ての位置において係合されるとき、実質的に同様の接触形状を維持するように適合されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項15】
前記ラッチが、前記フォロワ本体に対してラッチ運動方向に移動するように適合されており、前記ラッチが、前記ラッチ運動方向に対してラッチ表面角度で延在する実質的に平面のラッチ表面を含む、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項16】
前記ラッチが、前記フォロワ本体上のガイド面に対して移動するように適合されており、前記ラッチ表面角度は、前記レバーによって前記ラッチに加えられる負荷力の大部分が前記ガイド面に適用されるようなものである、請求項15に記載のバルブ作動システム。
【請求項17】
前記運動受容構成要素が、前記レバーと協働するカムフォロワローラである、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項18】
前記運動受容面が、前記レバー上に一体的に形成されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項19】
前記レバーは、前記フォロワ本体に対して前記レバーの旋回端部の位置が調節されることを許容する偏心装着要素を介して前記フォロワ本体に結合されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項20】
前記レバーを前記第1のバルブ作動運動源に向かって付勢するためのレバー付勢アセンブリを更に備える、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項21】
前記フォロワ本体に対する前記レバーの移動を制限するための移動制限部を更に備える、請求項20に記載のバルブ作動システム。
【請求項22】
前記バルブトレイン内に油圧ラッシュ調節部を更に備え、前記油圧ラッシュ調節部が、ラッシュ調節力を有し、前記レバー付勢アセンブリが、前記ラッシュ調節力よりも大きい付勢力を前記レバーに提供する、請求項20に記載のバルブ作動システム。
【請求項23】
前記レバー付勢アセンブリが、前記レバーと前記フォロワ本体との間に配設された少なくとも1つの弾性要素を備える、請求項20に記載のバルブ作動システム。
【請求項24】
前記フォロワ本体上に配設された少なくとも1つのフォロワ本体スプリング支持体と、前記レバー上に配設された少なくとも1つのレバースプリング支持体とを更に備え、前記レバー付勢アセンブリが、前記フォロワ本体スプリング支持体と前記レバースプリング支持体との間に配設された少なくとも1つのそれぞれの弾性要素を含む、請求項20に記載のバルブ作動システム。
【請求項25】
前記フォロワ本体に対する前記移動制限部の位置が、前記フォロワ本体に対する前記レバーの前記移動の上限の調節を提供するように適合されている、請求項21に記載のバルブ作動システム。
【請求項26】
前記第1のバルブ作動運動源によって提供される前記補助バルブ作動運動が、少なくとも1つの付加的補助バルブ作動運動を含む、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項27】
前記少なくとも1つの付加的補助バルブ作動運動が、エンジンブレーキバルブ作動運動又は内部排気ガス再循環バルブ作動運動のうちの少なくとも1つを含む、請求項26に記載のバルブ作動システム。
【請求項28】
前記第1のバルブ作動運動源によって提供される前記補助バルブ作動運動が、少なくとも1つの主事象修正補助バルブ作動運動を含む、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項29】
前記少なくとも1つの主事象修正補助バルブ作動運動が、遅い吸気バルブ閉鎖バルブ作動運動、早い排気バルブ開放バルブ作動運動、又は早い吸気バルブ閉鎖バルブ作動運動のうちの少なくとも1つを含む、請求項28に記載のバルブ作動システム。
【請求項30】
前記第1のバルブ作動運動源が、専用カムアセンブリである、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項31】
前記第1のバルブ作動運動源が、ロストモーションカムである、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項32】
第2のバルブ作動運動源を更に備え、
前記フォロワ本体が、間に配設された前記レバーを有する一対のアームと、前記一対のアームのうちのそれぞれのアーム上に配設された一対の側方運動受容構成要素とを備え、前記運動受容面が、前記第1のバルブ作動運動源に動作可能に接続されており、
前記第2のバルブ作動運動源が、主事象バルブ作動運動又は補助バルブ作動運動を前記側方運動受容構成要素に提供するように構成されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項33】
前記第2のバルブ作動運動源によって提供される前記補助バルブ作動運動が、少なくとも1つの付加的補助バルブ作動運動を含む、請求項32に記載のバルブ作動システム。
【請求項34】
前記少なくとも1つの付加的補助バルブ作動運動が、エンジンブレーキバルブ作動運動又は内部排気ガス再循環バルブ作動運動のうちの少なくとも1つを含む、請求項33に記載のバルブ作動システム。
【請求項35】
前記第2のバルブ作動運動源によって提供される前記補助バルブ作動運動が、少なくとも1つの主事象修正補助バルブ作動運動を含む、請求項32に記載のバルブ作動システム。
【請求項36】
前記少なくとも1つの主事象修正補助バルブ作動運動が、遅い吸気バルブ閉鎖バルブ作動運動、早い排気バルブ開放バルブ作動運動、又は早い吸気バルブ閉鎖バルブ作動運動のうちの少なくとも1つを含む、請求項35に記載のバルブ作動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照及び優先権の主張
本出願は、2019年12月6日に出願された「FINGER FOLLOWER FOR LOBE SWITCHING AND SINGLE SOURCE LOST MOTION」と題する米国特許非仮出願第16/706,226号の一部継続出願であり、この先行出願は、2018年12月6日に出願された「SWITCHING FINGER FOLLOWER」と題する米国特許仮出願第62/776,450号、及び2018年12月6日に出願された「SWITCHING FINGER FOLLOWER FOR SINGLE-SOURCE LOST MOTION」と題する米国特許仮出願第62/776,453号の優先権を更に主張する。これら先行出願の全ての主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、内燃エンジン内の1つ以上のエンジンバルブを作動させるためのシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、カムなどの運動源と1つ以上のエンジンバルブとの間の動作関係を変化させるためのシステム及び方法に関する。そのようなシステム及び方法は、カム上のローブ間の選択的な切り替え、及び/又はエンジンバルブトレインにおいてロストモーション装置としての動作を提供する、フィンガーフォロワの形態のロッカーアームを含み得る。
【背景技術】
【0003】
内燃エンジンは、輸送機関及びトラック輸送を含む、多くの用途及び業界において広範に利用されている。内燃エンジンで使用するためのバルブ作動システムは、当技術分野でよく知られている。そのようなシステムは、典型的には、バルブ作動運動をバルブ作動運動源(例えば、カム)から1つ以上のエンジンバルブに伝達する1つ以上の介在構成要素を含み、介在構成要素は、バルブトレインを構成する。これらのバルブ作動システムは、主に、エンジン気筒が燃焼プロセスから動力を生成する正動力動作モードを容易にし得る。標準的な燃焼サイクルと関連付けられた吸気バルブ及び排気バルブの作動運動は、典型的に、「主事象」運動と称される。既知のエンジンバルブ作動システムは、早い又は遅い吸気バルブ閉鎖などの、修正された主事象のバルブの運動を提供し得る。主事象運動に加えて、既知のエンジンバルブ作動システムは、内燃エンジンが他のモードで、若しくは正動力生成モードのバリエーション(例えば、排気ガス再循環(exhaust gas recirculation、EGR)、早い排気バルブ開放(early exhaust valve opening、EEVO)など)で動作することを可能にする補助的なバルブ作動運動若しくは事象、又は内燃エンジンが、基本的に空気圧縮機として、燃料無供給状態で動作して、車両を減速させるのを助ける減速力を生じさせるエンジンブレーキ、を容易にし得る。
【0004】
多くのエンジンシステムでは、バルブトレインはフィンガーフォロワを備え得、これは本質的に、レバーの他端が負荷、すなわちエンジンバルブに接触している状態で、一端で旋回するレバーである。フィンガーフォロワは、典型的には、レバーの両端の間に配設された運動受容構成要素を備え、運動源(カムなど)からバルブ作動運動を受信し、この運動は、次に、レバーの負荷端を介してエンジンバルブに伝達される。
【0005】
上記のフィンガーフォロワ構成要素の既知の変形例には、いわゆる「切り替え式」フィンガーフォロワが含まれ、その例は、米国特許第7,546,822号に記載されており、その主題は、参照により本明細書に組み込まれる。図1に示されるように、フィンガーフォロワは、この例では、油圧ラッシュ調節部(hydraulic lash adjuster、HLA)2を中心に旋回する本体11を備える。本体11はまた、この例では、シャフト17の周りを回転することができ、かつ係止機構40と係合することができる側方フォロワ30を支持する。図2及び図3に最もよく示されているように、本体11は、側方フォロワ30の間に位置決めされた中央ローラフォロワ20を更に支持する。図2及び図3に更に示されるように、係止機構40は、係止バー48が伸長位置に維持され、それによって側方フォロワ30(図2)のタブ38と接触するように維持されるか、又は退縮位置に維持され、それによってタブ38(図3)との接触を回避するように制御され得る。係止バー48がタブ38に接触するとき(すなわち、係止されるか、又はオン状態にあるとき)、側方フォロワ30は、シャフト17の周りを回転することが防止され、したがって、本体11と堅固な関係に維持される。したがって、側方カムローブ9によって側方フォロワ30に適用された運動は、本体に伝達され、最終的にはエンジンバルブ3に伝達される。この場合、中央カムローブ8によって提供されるバルブ作動運動は、それが整合されている中央ローラフォロワ20に伝達されない。他方、係止バー48が退縮されると(すなわち、係止解除状態又はオフ状態で)、側方フォロワ30は、側方カムローブ9によって適用された任意の運動が側方フォロワ30によって吸収され、本体11によってエンジンバルブ3に伝達されないように、シャフト17の周りを自由に回転する。この場合、中央カムローブ8によって提供されるバルブ作動運動は、中央ローラフォロワ20に伝達され、それにより、エンジンバルブ3に伝達される。
【0006】
フィンガーフォロワの切り替えは、軽量型の自動車用途で最もよく見られる。しかしながら、高負荷の事象及び部分的に係合した切り替え式機構による故障のために、これらは重・中量型のディーゼル又は天然ガスエンジンには部分的に適用されていない。軽量型の用途でも、はるかに低い負荷で同じような部分係合の問題により、故障が発生することが知られている。図2及び図3の例を参照すると、そのような部分係合は、係止バー48がタブ38と部分的にのみ重なる場合、すなわち、図2及び図3に示される係合の間の場所で発生する。そのような部分係合が発生すると、係止機構の可動部品間の収縮応力が大幅に増加し、係止機構の損傷及び/又は故障につながり得る。
【0007】
先行技術の切り替え式フィンガーフォロワの別の不利な点は、それらを使用するには、それらの作動又は係止構成要素の部分係合を防止するために、通常、正確なタイミングのための制御が必要になることである。これにより、特に多気筒エンジン環境では、追加のコスト及び複雑さが必要になる場合がある。例えば、そのような環境では、制御回路の過渡現象(すなわち、油圧回路における遅れ)の可能性を排除し、フィンガーフォロワの運動に対して構成要素を作動させる正確なタイミングを確保するために、各切り替え式フィンガーフォロワに指定された制御ソレノイドを提供する必要があり得る。
【0008】
フィンガーフォロワの切り替えは、ロストモーションバルブ作動システムに適用することができる。そのようなシステムでは、切り替え式フィンガーフォロワは、カムなどの運動源からの完全なバルブ運動がエンジンバルブに伝達される第1の位置と、完全なバルブ運動の一部のみがエンジンバルブに伝達される第2の位置との間で切り替わり得る。本明細書に記載の単一源のロストモーションリフトプロファイルの例は、米国特許第9,347,383号の図5の曲線502に見出すことができ、その教示は、この参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、前述の不利な点のために、先行技術の切り替え式フィンガーフォロワは、ロストモーションバルブ作動システムへの適用性が限られている場合がある。
【0009】
したがって、先行技術における上述した欠点及びその他に対処するシステム及び方法を提供することが有利である。
【発明の概要】
【0010】
先行技術における前述の課題に応えて、本開示は、改善された動作特性、並びに改善された性能及び耐久性を備えた切り替え式フィンガーフォロワシステムの様々な実施形態を提供する。
【0011】
従来の切り替え式フィンガーフォロワに関する上記の困難は、本明細書に開示される様々な実施形態に基づいて克服することができる。本明細書に記載の当技術分野の進歩は、フィンガーフォロワ切り替え式機構作動構成要素の部分係合の可能性を排除するという点で特に有利である。関連する利点は、切り替え式フィンガーフォロワ上の運動受容構成要素の係止位置又は支持位置の変動を排除していることである。切り替え式フィンガーフォロワ構成は、協働部品と、正に画定された切り替え式機構の位置と、ひいては、正に画定されたフィンガーフォロワレバーの位置と、ひいては、本体に対する運動受容構成要素との間で一貫した接触形状を有している。これは、より正確で信頼性の高いバルブ運動の動作及び制御につながる。
【0012】
加えて、本明細書に開示される切り替え式フィンガーフォロワ構成は、切り替え式機構の部分係合、切り替え式機構の起動に敏感ではないので、それらは、多気筒エンジン環境においてより低いコスト及び複雑性で利用することができる。したがって、改良された切り替え式機構及びアクチュエータは、制御構成要素によって正確なタイミングを取る必要性を排除する。例えば、ソレノイドの制御下にある油圧作動式切り替え式機構の場合、開示された実施形態は、各切り替え式機構に指定された制御されたソレノイドの必要性を排除し得る。むしろ、開示された進歩は、単一のソレノイドが多気筒の切り替え式機構を作動させることを実行可能にし、それによってシステム全体を単純化し、コストを削減する。
【0013】
更に、本明細書に記載の実施形態は、単一のバルブ作動運動源(カムなど)が、一部(又は全部)のリフトが失われる、1つ以上の低リフト事象、及び、カムローブからの多く(又は全部)のリフトがエンジンバルブに伝達される1つ以上の高リフト事象を提供する単一源のロストモーションシステムに適用可能であり、その改善に使用することができる。更に、本明細書に記載の実施形態は、気筒失活を利用するシステムで必要とされ得るように、バルブ運動を完全に失うロストモーションバルブ作動システムに適用可能であり、それらを改善するために使用され得る。
【0014】
本明細書に記載の実施形態は、ブレーキの遅い吸気バルブ閉鎖(late intake valve closing、LIVC)、早い排気バルブ開放(EEVO)、内部排気ガス再循環(internal exhaust gas recirculation、IEGR)などの代替バルブ運動を達成するのに特に有利であり得る。
【0015】
本開示の一態様によれば、内燃エンジンバルブトレインで使用するためのフィンガーフォロワシステムが提供され、フィンガーフォロワシステムは、旋回端部と運動伝達端とを有するフォロワ本体と、フォロワ本体に対して旋回するように適合されたレバーと、フォロワ本体旋回端部とフォロワ本体運動伝達端との間に配設された運動受容面を有する運動受容構成要素と、レバーに選択的な支持を提供するための可動ラッチを含む調節可能な支持アセンブリであって、調節可能な支持アセンブリが、フォロワ本体に対して第1のラッチ位置及び第2のラッチ位置にラッチを維持するように適合されている、調節可能な支持アセンブリと、を備える。更なる態様によれば、調節可能な支持アセンブリは、ラッチが第2の位置にないときに、ラッチが第1の位置に移動することを可能にするように更に適合されている。いくつかの用途では、調節可能な支持アセンブリは、2つの画定された位置でレバーを支持するように更に適合され得、ラッチが第1のラッチ位置にあるとき、及びラッチが第2のラッチ位置にあるときにレバーとラッチとの間の係合を提供する。フィンガーフォロワが、気筒失活用途などの、運動源の運動の完全な喪失を容易にし得る他の用途では、調節可能な支持アセンブリは、ラッチが第1のラッチ位置にあるときに、ラッチとレバーとの間の係合を提供し、ラッチが第2のラッチ位置にあるときに、レバーがラッチから自由に旋回することを許容する(すなわち、ラッチとレバーと間の係合がない)ように適合され得る。
【0016】
一実装形態では、調節可能な支持アセンブリを備えたフィンガーフォロワは、フィンガーフォロワレバーを少なくとも1つの位置で支持するために、フォロワ本体内を移動するように適合された調節可能なラッチ又はレバー係合部材を含み得る。レバー係合部材又はラッチは、レバー係合部材の横方向孔を通って延在することができる作動ピストンと協働し得る。ピストンは、レバー係合部材のための2つのそれぞれの正に画定された位置を提供し得る第1及び第2の支持面を有し得る。いくつかの用途では、これらの2つの位置は、フィンガーフォロワレバーの正に画定された支持体位置に対応し得る。他の用途では、ラッチ位置のうちの1つだけがレバーを支持し得、ラッチの他の位置は、ラッチに係合していない(より低い)位置に自由に旋回するレバーに対応し得る。調節可能な支持アセンブリ構造は、レバーが、調節可能な支持アセンブリによって画定される正確に画定された位置以外の位置でラッチに係合するときに、作動構成要素に負荷力をかけないように適合され、したがって部分係合による作動構成要素及び/又はレバーへの損傷を回避する。
【0017】
一実装形態では、フィンガーフォロワは、フィンガーフォロワ本体に対する移動のために支持され、かつレバー上の弧状の表面に係合するためにラッチ移動方向に対してある角度で延在する実質的に平面のレバー係合部材表面又はラッチ表面を有する、レバー係合部材又はラッチを含み得る。フィンガーフォロワレバーは、レバー係合部材上の平面レバー係合面によって係合されるように適合された弧状の表面を備え得る。したがって、レバー係合部材表面及びレバー表面は、レバー及びレバー係合部材表面が係合されたときに、実質的に同様の接触形状を維持するように適合されている。部分係合の可能性を排除することに加えて、これらの態様は、改善された耐久性及び動作を提供する。
【0018】
別の実装形態によれば、フィンガーフォロワアセンブリは、単一の運動源のロストモーションエンジンのバルブトレイン環境に適用され得る。いくつかの用途では、調節可能な支持アセンブリは、少なくとも2つの位置でフィンガーフォロワレバーを支持し得、そのうちの少なくとも1つは、ロストモーション位置であり得る。他の用途では、調節可能な支持アセンブリは、フィンガーフォロワレバーを少なくとも1つの位置で支持し、別の位置では、運動源の運動がエンジンバルブに伝達されないようにフィンガーフォロワレバーが自由に旋回することを許容し得る(気筒失活用途の場合にあり得るように)。付勢アセンブリは、フォロワ本体上の少なくとも1つのスプリング支持体とレバー上の少なくとも1つのスプリング支持体との間に配設された少なくとも1つの弾性要素を備え得る。本体の移動制限部は、レバーの上方への動きを制限する場合がある。1つ以上の正確に画定されたレバー支持位置は、レバー係合部材と作動ピストンとの相互作用によって実施されて、ロストモーションフィンガーフォロワを介したバルブ運動の完全又は部分的な伝達(又は完全若しくは部分的な損失)を提供し得る。
【0019】
別の実装形態によれば、フィンガーフォロワは、フォロワ本体に対するフィンガーフォロワレバーの位置の調節を提供し得る偏心旋回マウントを備え得る。
【0020】
本明細書に説明される種々のフィンガーフォロワアセンブリ実施形態は、バルブ作動システムに組み込まれ得る。一実施形態では、バルブ作動システムは、フィンガーフォロワアセンブリの運動受容構成要素に動作可能に接続された第1のバルブ作動運動源を備えてもよく、第1のバルブ作動運動源は、主事象バルブ作動運動、補助バルブ作動運動、又はそれらの組み合わせを提供するように構成されている。第1のバルブ作動運動源は、専用カムアセンブリ又はロストモーションカムによって具現化され得る。そのような補助バルブ作動運動は、エンジンブレーキバルブ作動運動、内部排気ガス再循環バルブ作動運動又はそれらの組み合わせなどの付加的補助バルブ作動運動、あるいは遅い吸気バルブ閉鎖(LIVC)バルブ作動運動、早い排気バルブ開放(EEVO)バルブ作動運動、早い吸気バルブ閉鎖(early intake valve closing、EIVC)バルブ作動運動又はそれらの組み合わせなどの主事象修正補助バルブ作動運動であり得る。様々な実施形態では、第1のバルブ作動運動源は、専用カムアセンブリ又はロストモーションカムによって具現化され得る。更に、いくつかの実施形態では、バルブ作動システムは、第2のバルブ作動運動源を更に備え得、フィンガーフォロワアセンブリのフォロワ本体は、間に配設されたレバーを有する一対のアームを備え得、側方運動受容構成要素は、一対のアームのそれぞれの1つに配設される。この実施形態では、第2のバルブ作動運動源は、バルブ作動運動を側方運動受容構成要素に提供するように構成されており、このバルブ作動運動は、主事象バルブ作動運動又はゼロリフトバルブ作動運動を含み得る。
【0021】
本開示の他の態様及び利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになり、上記の態様は、包括的又は制限的であるとみなされるべきでない。上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、本開示の発明的態様の実施例を提供することを意図しており、決して、添付の特許請求の範囲で定義された範囲を限定又は拘束するものと解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
上記及び他の本発明の付随する利点及び特徴は、全体を通して同様の参照番号が同様の要素を表す添付図面とともに、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。説明及び実施形態は、本開示の態様に従う例示的な実施例として意図されており、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に限定されることを意図していないことが理解されるであろう。以下の図の説明において、全ての図解は、別途注記のない限り、本開示の態様による実施例である特徴に関係する。
図1】先行技術の切り替え式フィンガーフォロワ及びエンジンバルブトレイン環境の一例の斜視図であり、この環境は、本開示の態様を実装するのに好適であり得る。
図2図1のフィンガーフォロワシステムの「オン」状態の断面図である。
図3図1のフィンガーフォロワシステムの「オフ」状態の断面図である。
図4】フィンガーフォロワアセンブリの一例の組立斜視図である。
図5図4のフィンガーフォロワアセンブリの例の分解斜視図である。
図6】フィンガーフォロワの調節可能な支持アセンブリの詳細な分解斜視図である。
図7】「オフ」又は「係止解除」状態であり得る第1の状態における図4のフィンガーフォロワアセンブリの側方面での断面図である。
図8】第1の状態における図4のフィンガーフォロワアセンブリの横方向面での断面図である。
図9】「オン」又は「係止」状態であり得る第2の状態における図4のフィンガーフォロワアセンブリの側方面での断面図である。
図10】第2の状態における図4のフィンガーフォロワアセンブリの横方向面での断面図である。
図11】ロストモーション装置としての用途における、第2の実施形態によるフィンガーフォロワアセンブリの組立斜視図である。
図12図11のロストモーションフィンガーフォロワアセンブリの分解斜視図である。
図13】第1の状態における図11のフィンガーフォロワアセンブリの側方面での断面図であり、バルブトレイン運動の一部又は全部を喪失した状態であり得る。
図14】第2の状態における図11のフィンガーフォロワアセンブリの側方面での断面図であり、バルブトレイン運動の一部又は全部が伝達される状態であり得る。
図15】完全な運動喪失を容易にするように、レバーが支持アセンブリから自由に旋回することを許容するフィンガーフォロワアセンブリの別の実施形態の側方面での断面図である。
図16】偏心旋回マウントを示す斜視図である。
図17図16の旋回マウントの断面図である。
図18】専用カムアセンブリの形態の第1及び第2のバルブ作動運動源の例の斜視図である。
図19】ロストモーションカムの形態の第1及び第2のバルブ作動運動源の例の断面図である。
図20図4のフィンガーフォロワアセンブリに基づくバルブ作動システムの第1の例の概略上面図である。
図21図11のフィンガーフォロワアセンブリに基づくバルブ作動システムの第1の例の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で使用される場合、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」」に実質的に類似する語句は、文脈によって別段に記載又は暗示されない限り、選言的に解釈される、すなわち、A又はB又はC又はそれらの任意の組み合わせを要求するように意図される。
【0024】
図4は、本開示による、例示的な組み立てられた切り替え式フィンガーフォロワシステム100の斜視図である。図5は、同じシステムの分解斜視図である。特に、切り替え式フィンガーフォロワは、様々な他のシステム構成要素を支持又は収容するように配置された本体又はハウジング400を備え得る。本体400は、1つ以上のエンジンバルブとインターフェースする又は係合するように適合された運動伝達端部又はバルブ係合端部410から、HLAを含み得る旋回軸とインターフェースする又は係合するように適合された旋回端部420まで、長手方向に延在し得る。本体400は、側方の長手方向に延在する一対のアーム402及び404を更に備え、それらの間にレバー凹部又はポケット406を画定し得る。アーム402及び404は、レバー旋回ピン412をその中に固定するために、バルブ係合端部410にそれぞれの旋回ピン受容孔403及び405を含み得る。一対の側方ローラフォロワ430及び434は、それぞれシャフト432及び436を介してアーム402及び404に固定され得る。側方ローラフォロワ430、434は、相補的に構成されたバルブ作動運動源、例えば、図1に示される側方カムローブ9と同様の運動源からバルブ作動運動を受け取るように構成される。側方フォロワはローラ形態で示されているが、側方フォロワは、例えば、本体400から延在する平坦なフォロワ接触領域として実装することができるので、本開示は、この点に関して限定される必要がないことが理解される。
【0025】
本体400は、フォロワ本体400と旋回可能に協働するように装着され得る固定端部452を有し、かつ長手方向に自由端部460まで延在する、レバー450を更に支持し得る。レバー450の固定端部は、本体400のアーム402、404に固定されたレバー旋回ピン412に固定され得る。
【0026】
レバー450は、本体400内の凹部又はポケット406を補完する形状を有し、それにより、本体400内の入れ子の位置決め及び全体的にコンパクトなフィンガーフォロワ構成を提供し得る。レバー450は、底壁454及び底壁454から延在する一体型外壁456を有する概ね凹状の形状を有する精密な単一の打ち抜き金属(すなわち、鋼)構成要素として形成され得る。レバー450の中央部分は、レバーに協働的に関連付けられた運動受容構成要素を支持及び収容することができる。運動受容構成要素は、レバー450に取り付けられたシャフト442上に支持された中央ローラフォロワ440であり得る。代替的に、レバーに協働的に関連付けられた運動受容構成要素は、レバー上に直接あるか又は取り付けられ、運動源又は運動源と協働するバルブトレイン構成要素に直接係合するように適合された接触面であり得る。中央ローラフォロワ440を収容するために、底壁454に凹部又は切り欠き458が形成され得る。レバーの自由端部460は、説明されるように、本体400に統合された調節可能な支持アセンブリ500と選択的に係合するために、弧状又は別様に湾曲した端面462を有する弧状又は別様に湾曲したレバー端壁461を有し得る。端壁461は、底壁454との円滑な移行を有するように延在し、輪郭を描いていてもよい。レバー端壁461は、外壁456の対向する部分間の縮小された側方寸法の間に延在し得、これにより、追加の安定性及び強度を提供するだけでなく、動作中の端壁461の変形の可能性を低減し得る。
【0027】
認識されるように、中央ローラフォロワ440は、相補的に構成されたバルブ作動運動源からバルブ作動運動を選択的に受け取るように構成され得る。例えば、図1に関して上述したエンジン環境を参照すると、中央ローラフォロワ440は、図1のカムローブ8と同様に、中央カムローブからバルブ作動運動を受け得る。認識されるように、本開示の態様によれば、本明細書に記載のフィンガーフォロワ構成は、図1図3に関して上述したシステムなどの先行技術のシステムと比較して、より広い側方及び中央のフォロワ寸法を許容するという利点を有する。これにより、より広いカムの表面を許容し、したがって、例えば、カムとフォロワとの間の低減された接触応力及び摩耗を提供し得る。
【0028】
加えて図6図10を参照すると、フィンガーフォロワ本体400の旋回端部420は、調節可能な支持アセンブリ500の構成要素を収容するために、その中に形成された長手方向孔422及び横方向孔424を含み得る。旋回端部420はまた、凹部又はポケット426内に嵌合するように適合されたポストを有する油圧ラッシュ調節部のような好適な旋回アセンブリとインターフェースし、更に説明するように、加圧された油圧動作流体(油)をフィンガーフォロワに送達するための油圧通路428(図8)を含む、凹部又はポケット426を含み得る。
【0029】
調節可能な支持アセンブリ500は、レバー係合部材又はラッチ510と、それに協働的に関連付けられた作動ピストン530とを含み得る。レバー係合部材又はラッチ510は、レバー係合部材又はラッチ510のスライド移動を支持するとともにスライド移動を容易にするための円筒形ガイド面423を含む長手方向孔422内に配設され得る。レバー係合部材又はラッチ510は、外側円筒面512と、レバー係合部材又はラッチ510の軸に対してある角度で延在し得る、実質的に平面のレバー係合表面514とを含む概ね円筒形を有し得る。横作動ピストン受容孔516は、作動ピストン530を受容し、それと協働するために、レバー係合部材又はラッチ510を通って延在し得る。更に、レバー係合部材又はラッチ510は、ピストン530の表面との円滑な相互作用を提供するために、各側にレバー係合部材又はラッチ510の外側表面からピストン受容孔516に移行する面取りされた表面518(図5)を備え得る。また、面取りされた表面518は、横方向ピストン受容孔516の幅の減少を提供し、それにより、横方向孔516が減少した直径のピストン表面532と係合するために、横方向孔516をピストン530と正確に整合させる必要性を排除することが認識されるであろう。
【0030】
作動ピストン530は、レバー係合部材又はラッチ510を長手方向孔422内の第1の位置に係合及び支持するように適合された第1の支持面532を含み得、この第1の位置は、本体400に対するレバー450及び中央フォロワ440の係止解除、又は下降、又は退縮位置に対応し得る。第1の支持面532は、第1の直径を有する円筒面であり得る。作動ピストン530はまた、レバー係合部材又はラッチ510を長手方向孔422内の第2の位置に係合及び支持するように適合された第2の支持面534を含み得、その第2の位置は、本体400に対するレバー450及び中央フォロワ440の係止、又は上昇、又は展開位置に対応し得る。第2の支持面は、第1の支持面の第1の直径よりも大きく、本体400の横方向孔424の直径に実質的に対応し、横作動ピストン受容孔516の直径に実質的に対応する第2の直径を有する円筒面であり得る。第1の支持面532と第2の支持面534との間に配設されるのは、作動ピストン530上の遷移面536であってもよく、その遷移面536は、作動ピストンの係止動作中、レバー係合部材の第1の支持位置から第2の位置への円滑な移行を提供するように適合された概ね先細り形状又は円錐形であり得る。遷移面536はまた、以下でより詳細に説明されるように、作動ピストンが横方向孔424内の完全退縮位置と完全展開位置との間の中間位置にあり得る場合、作動ピストンの係止解除位置への復帰を容易にし得る。
【0031】
次に、調節可能な支持アセンブリ500の動作について説明する。図7及び図8は、レバー450が本体400に対してより低い位置にある、「係止解除」又はオフ状態の例示的な切り替え式フィンガーフォロワを示している。ピストン530は、横方向孔424内に完全に退縮され、横方向孔424の端壁425に底をつけている。コイルスプリング533などの付勢装置は、横方向孔424に配設されて、スプリングシート539と係合し、ピストンを退縮位置に向けて付勢し得る。この位置は、作動ピストン530の第1の支持面532を、レバー係合部材又はラッチ510の横方向ピストン受容孔516と整合させる。レバー係合部材又はラッチ510は、接触面514が第1の接触線に沿ってレバー端面462に接触するように位置決めされるように長手方向孔内に退縮され、第1の接触線は、レバー係合部材又はラッチ510の表面514上のより低い(すなわち、軸より下の)位置であってもよい。スプリング保持キャップ535を本体400に(すなわち、圧入又はねじ山によって)取り付けて、スプリング533及びピストン530を横方向孔424内に保持することができる。
【0032】
図8に示されるように、本体400の旋回受容ポケット426は、油圧通路428を介して、横方向孔424に油圧的に接続され得る。加圧された油圧作動油が通路428を介して第1の横方向孔に供給されない場合、付勢要素(図示せず)は、図8に示されるようにピストン530を左方向に付勢し得る。この状態では、ピストン530の縮小された直径の表面532は、レバー係合部材又はラッチ510と整合されている。したがって、レバー450は本体400に対してより低い位置に維持されるので、中央ローラフォロワ440は同様により低い位置に維持され、それによって中央ローラフォロワ440とその対応するバルブ作動運動源との間にラッシュを確立する。このラッシュ空間は、そうでなければ中央ローラフォロワ440に適用されるであろうバルブ作動運動を喪失させる。
【0033】
図9及び図10を更に参照すると、本開示の態様によれば、調節可能な支持アセンブリ500を作動させて、レバー450を本体400に対して第2の位置で支持させることができる。加圧された油圧作動油が、例えば、支持HLA(図示せず)の通路から通路428を介して横方向孔424に提供される場合、ピストン530に適用された左方向の付勢は、ピストン530が、第2の支持面536がレバー係合部材又はラッチ510と整合され、係合部材又はラッチを支持する点に変位するように克服され得る。本明細書の例によって説明される油圧作動油作動システムの代わりに、又はそれに加えて、他の作動技術を利用し得ることが、本開示から認識されるであろう。例えば、空気圧、電磁、又は純粋に機械的に相互作用する構成要素を利用して、記載された作動ピストン又はピン530などの要素の作動のための原動力を提供することができる。遷移面536は、ピストン530が移動するときに、レバー係合部材510を第1のラッチ位置から第2のラッチ位置に(図9の右側に)移動させることができる。その結果、図9に最もよく示されるように、レバー端面462は、この場合、スライド部材接触面506の比較的高い点で、スライド部材表面514に接触し得る。したがって、レバー450及び中央ローラフォロワ440は、第2の位置で支持され、この場合、レバー支持部材510の第1の(退縮)位置に対応する位置よりも高く、中央ローラフォロワ440は、中央ローラフォロワ440とそれに対応するバルブ作動運動源との間の任意のラッシュを吸収し得る。このようにして、バルブ作動運動が中央ローラフォロワ440に適用され、その後、レバー450とスライド部材510との間の接触、及びスライド部材510と本体400との間の更なる接触によって、本体400に伝達される。本開示から認識されるように、かつ以下のロストモーション、気筒失活用途の文脈でより詳細に説明されるように、ラッチの第1及び第2の位置は、レバーの代替状態を画定し得る。より具体的には、ロストモーション気筒失活の文脈では、ラッチの第1の位置は、フォロワ本体に対してレバーのより高い位置までの上昇を容易にする「通常の」動作状態であってもよく、ラッチの第2の位置は、(退縮した)「ロストモーション起動」動作状態でもよく、レバーはラッチとまったく係合せず、代わりにフォロワ本体に対して静止位置まで下がってもよい(すなわち、レバーの移動の下限を画定する停止部によって容易にされる)。この状態では、レバーはより低い位置にあるため、そうでなければ運動源によって伝達される全てのバルブ運動が「失われる」か、フィンガーフォロワシステムによって吸収され得る。
【0034】
本開示の一態様によれば、調節可能な支持アセンブリ500は、レバー450によって適用される荷重を分散するのに利点を提供する(図9の太い黒い矢印によって示される)。より具体的には、荷重の垂直成分は、レバー係合部材(本明細書ではラッチとも呼ばれる)510の外側表面512と長手方向孔422の内側表面との係合を介して本体400に分散される(垂直破線矢印で示される)。荷重の水平成分(水平の破線の矢印で示されている)は、レバー係合部材又はラッチ510を介してピストン530に分散される。認識されるように、レバー係合部材表面514の角度は、荷重の大部分が長手方向孔422のガイド面のより広い領域に分散され、荷重のより小さな成分が作動ピストン530によって生じるように選択され得る。更に、この荷重分散は、長手方向孔422内のレバー係合部材又はラッチ510の位置に関係なく生じることが認識されるであろう。更に、レバー端面462のレバー係合部材又はラッチ510の表面514との独自の相互作用のために、これらの要素間の部分係合の可能性が効果的に排除される。加えて、示されるように、レバー端面462に実質的に弧状の形状を提供することにより、レバー係合部材530とレバー端面462との間の接触応力が制御され得、すなわち、要素間の接触領域のサイズ及び形状を、本体に対するレバーの全ての動作状態及び位置において、すなわち、レバー係合部材530がレバー端面462に係合する位置に関係なく、実質的に一定に保つことができる。レバー係合部材表面514及びレバー端面462は、レバー係合部材表面514と接触するレバーの全ての位置において実質的に同様の接触形状を維持するように適合され得る。これにより、耐久性とパフォーマンスが向上する。
【0035】
なお更に、ピストン530の支持面とレバー係合部材又はラッチ510との間の独自の相互作用は、レバー450に2つの正に画定された切り替えられた支持位置を提供し、その位置、ひいては、作動バルブの対応する運動は、非常に正確に制御され得る。更に、ピストン530とレバー係合部材530との相互作用に関与する力が低減されるため、耐久性及び性能の一貫性が向上する。本開示の態様による例示的な調節可能な支持アセンブリの更なる関連する利点は、レバー係合部材530とレバー450との間の中間係合位置の間の過度の接触応力の可能性を排除する。そのような中間位置は、上記のような第1又は第2の係合位置のいずれでもない位置であろう。認識されるように、ピストン530が退縮位置にあるとき、レバー係合部材530を支持することができるであろう位置は1つだけである。レバー係合部材が第1の退縮位置にない場合、ピストン表面532からの反力は提供されない。したがって、ピストン530が退縮した後、レバー係合部材530が第2の位置に留まるか、又は長手方向孔422に完全に退縮しない可能性がある場合、レバー係合部材530が第1の位置にくるまで運動源の荷重がレバー450に伝達されると、反力は提供されない。このようにして、システムは、作動構成要素が第1又は第2の位置にないときに負荷力をかけることを回避する。別の言い方をすれば、レバー支持アセンブリ500は、第1の位置又は第2の位置でのみレバーに支持力を提供するように適合されている。すなわち、ピストン1530が第1の位置にあり、レバー係合部材1510がピストンと係合していない位置にある場合、システムは、レバー係合部材1510が長手方向孔422内で「浮く」ことを許容し、ピストン1530に対して適切に着座するまで、反力はレバー係合部材上のピストンによって提供されない。したがって、調節可能な支持アセンブリは、レバーが第1の位置又は第2の位置にないときにレバーが第1の位置に移動できるように適合されている。この配置により、支持構成要素への損傷がなくなり、切り替え式フィンガーフォロワの信頼性と耐久性のある動作が提供される。
【0036】
図11図13は、本開示による追加の態様を具体化する第2の実装形態を示している。この実装形態は、カムなどの単一の運動源を使用するエンジン環境で、一部のリフトが失われ得る補助事象などの1つ以上の低リフト事象と、カムローブからのより多くの(又は全ての)リフトがエンジンバルブに伝達される、燃焼主事象などの1つ以上の高リフト事象とを提供するためのロストモーション装置として有用となり得る。例示的なロストモーションエンジン環境は、例えば、米国特許第9,347,383号に記載されており、その主題は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。認識されるように、そのような用途では、図1図3に関して上述した環境において、中央8及び側方カムローブ9の組み合わせの代わりに、その上に複数のローブを有する単一のカムプロファイルが使用される。
【0037】
図11は、本開示の一態様による、例示的な組み立てられたロストモーションフィンガーフォロワシステム1000の斜視図である。図12は、同じ例示的なシステムの分解斜視図である。切り替え式フィンガーフォロワは、図4図10に関して上述した実施形態と同様の一般的な構造を有し得る。ピストン1530、レバー係合部材1510、及びそれらと端面1462との相互作用を含む調節可能な支持アセンブリ1500の構造及び動作は、上記の実装形態と同様であり、この実施形態に適用されることが理解されるため、繰り返す必要はない。しかしながら、認識されるように、本体1400及びレバー1450の構造は、以下に説明するように、ロストモーションの用途におけるシステムの機能を容易にするために修正され得る。
【0038】
1つの修正例は、本体1400及びレバー1450と協働し、レバー1450を本体1400から離れた上昇位置又は展開位置に向けて付勢するように適合された付勢アセンブリの追加を含み得る。本体1400は、側方に延在する一対のスプリング保持フランジ1402及び1404を含み得る。それぞれの弾性要素(例えば、コイルスプリング)1422及び1424は、フランジの間に保持され、したがって、レバー1450及び中央ローラフォロワ1440を運動源に向かう方向に(すなわち、図11及び図12では上向きに)付勢する。
【0039】
別の修正例では、移動制限部1425は、本体1400の旋回端部1430上に配設され得、レバー端壁1461の上面1463と係合することによって本体1400から離れるレバー1450の回転を制限するためにそれと一体的に形成され得る。移動停止部1425は、本体1400の一体型構成要素として示されているが、移動停止部1425は、本体1400に取り付けられた、又は別の構成要素を介してそれに結合された別個の構成要素として実装され得ることが理解されよう。更に、移動停止部1425は、図示の制限部にねじ込まれ、保持ナットで固定されてレバー1450の移動の上限を調節できるようにする調節ねじなどの調節可能な機能を備え得る。
【0040】
当技術分野で知られているように、油圧ラッシュ調節部(HLA)が単一源のロストモーションバルブトレインに組み込まれる場合、バルブ作動運動が失われたこれらの動作状態の間、HLAの膨張を防止する必要がある、すなわち、HLAがバルブの作動運動を選択的に喪失するために意図的に提供されたラッシュ空間を占有するのを防止する必要がある。図示の実施形態では、これは、レバー1450上でこれらの要素によって加えられる力が、膨張して利用可能なラッシュを吸収しようとするときに、関連するHLAによって示される力よりも大きくなるように選択される弾性要素1422及び1424の動作によって達成される。このようにして、弾性要素1422、1424により、HLAの所望されない拡張を防止するために、HLAに十分な荷重を適用する。他方、弾性要素1422及び1424によって提供される力が制御されないでHLAに加えられると、HLAの過度の圧縮又はブリードダウンを引き起こす可能性がある。したがって、移動制限停止部1425は、レバー1450の移動を制限することができ、その結果、弾性要素1422、1424によって付随するHLAに適用される力を制限することができる。移動停止部1425によって許容されるレバー1450の移動距離は、レバー1450が移動停止部1425に対向しているときにHLAがバルブトレイン内のラッシュ空間を占有するように動作しているときに、ロストモーションの移動が、失われたバルブリフト事象に等しくなるように制御されるのが好ましい。例えば、移動停止部1425がレバー1450の過度のストロークを可能にする場合、ロストモーション動作状態は過度の運動を失い、比較的高リフトのバルブ事象(例えば、主事象)は過度のラッシュを有し、その結果、望ましくない、より低いバルブリフト及びより高いバルブ着座速度となる。逆に、移動停止部1425がレバー1450の不十分なストロークを可能にする場合、ロストモーション動作中に不十分な量のラッシュ空間が確立され、それにもかかわらず、失われることになるバルブ作動運動の一部は、フィンガーフォロワによってエンジンバルブに伝達される。これは、バルブのリフト及び持続時間の変更などの望ましくない結果につながる可能性があり、場合によっては、所望されないときに不要なリフト事象が追加される可能性がある。移動停止部1425が(それと一体的に形成されるのではなく)本体1400に取り付けられている実施形態では、移動停止部1425は、レバー1450のストロークを正確に制御することができるように調節可能であり得る。
【0041】
更に別の修正例は、図4図10に関連して上述した実施形態と比較して、フィンガーフォロワシステム1000がロストモーション装置として機能する単一運動源環境では、そのような要素は必要ない場合があるため、側方ローラフォロワの排除を含み得る。
【0042】
ロストモーションの用途では、調節可能な支持アセンブリ1500は、図4図10に関して上述した動作と同様に、フィンガーフォロワ本体1400に対してレバー1450の少なくとも2つの極めて正確に制御された位置を提供し得る。これらの2つの制御された位置は、運動源から作動バルブへの2つのレベルの運動の伝達を提供し得る。第1の位置は、例えば、部分的な運動の伝達に対応し、第2の位置は、完全な運動の伝達に対応し得る。本開示から認識されるように、説明された実施形態は、そうでなければ運動源(カム)から伝達されるであろう全てのバルブ運動が「失われる」か、又はフィンガーフォロワシステムによって吸収され得るロストモーションの用途に適合され得る。そのような場合、レバーは、ラッチ510との正確に画定された係合位置を1つだけ有する場合があり、レバーは、ラッチがレバーと係合しないか、又はラッチがレバーと係合し、レバーを運動源からバルブリフトが伝達されないほど十分に低い位置で支持する第2の位置を採ることができる。レバーの非係合構成は、少なくともレバーの第2の非係合位置を画定するために、製造における精度の必要性を排除し得る。
【0043】
図13を参照すると、レバー係合部材1510が退縮位置にあり、ピストン1530のより小さな直径上で支持されている状態で、レバー表面1462は、レバー係合部材表面1514の比較的低い点で接触する。レバー1450及びローラフォロワ1440は、本体1400に対してより低い位置に維持され、それにより、ローラフォロワ1440とその対応するバルブ作動運動源との間にラッシュを確立する。このラッシュ空間により、そうでなければ中央ローラフォロワ1440に適用されるであろう比較的低リフトのバルブ作動運動は失われるが、比較的高リフトのバルブ作動運動は依然としてローラフォロワ1440によって受け取られ、フィンガーフォロワ本体1400に、最終的には係合されるバルブに、伝達される。
【0044】
加えて図14を参照すると、ピストン1530が油圧で作動してスプリング付勢力に打ち勝つことができる状態で、ピストンは、その全直径部分がレバー係合部材1510の横方向孔を完全に占有する点まで動いてもよい。したがって、レバー係合部材1510は完全展開位置にあり、レバー1450及びフォロワ1440は、フォロワ1440とバルブ作動運動源との間のあらゆるラッシュを吸収するために比較的高い位置に維持される。この状態では、比較的低リフトのバルブ作動運動、並びに比較的高リフトのバルブ作動運動がローラフォロワ1440に適用され、フィンガーフォロワ本体1400に伝達され、最終的にはそれによって係合されるバルブに伝達される。
【0045】
上記のフィンガーフォロワ本体1400に対するレバー1450の正確に制御された位置、及びフィンガーフォロワシステムによって提供されるロストモーション能力の結果としての正確な制御に加えて、上記の構成はまた、レバー1450の中間位置決め、ひいてはバルブ運動の中間伝達を排除する利点を提供する。図4図10の実施形態における調節可能な支持アセンブリ500の動作に関して詳細に上で説明したように、調節可能な支持アセンブリ1500は、ピストン1530とレバー係合部材1510との相互作用のために、2つの画定された位置で支持を提供するように適合され得る。
【0046】
図15は、本開示の態様による別の実施形態を示しており、これは、バルブ運動の完全な喪失が容易になり得る気筒失活用途などの用途において有用であり得る。この実施形態では、より低いレバーの位置決めは、レバーがラッチ2510から自由に旋回し、したがって、以前に記載された実施形態で提供されたものよりもフォロワ本体に対してより低い位置である(第2の)レバー位置にすることを許容する調節可能な支持アセンブリ2500によって容易に行われる。図15は、第1の位置にあるラッチ2510を示し、より大きな直径の表面2534がラッチ2510の横方向孔と係合し、その示された伸長位置で支持し、ラッチ表面2514がレバー表面2462と係合し、それによってレバー2450を示されている(第1の)位置に保持する。この位置は、アクチュエータピストン2530の「非通電」状態(すなわち、「通常ラッチ」レバー位置)に対応し得、レバー2450は、通常のバルブ運動を伝達するように位置決めされる。この実施形態の態様によれば、ピストン2530が通電されると、より小さな直径の表面2532がラッチの横方向孔と整合し、ラッチ2510が退縮される(すなわち、図15において上及び左に移動する)ことを許容する。ラッチ2510のこの位置は、レバー2450が完全に自由であり、ラッチ2510と係合しないより低い位置に旋回することを許容する。したがって、この構成は、バルブ運動を完全に喪失させるためにそのような低いレバー位置が必要とされる、気筒失活用途などの用途において有用であり得る。
【0047】
図16及び図17は、前述の実装形態のいずれかで使用することができる旋回ピン1412の詳細を示している。示されるように、旋回部材1412は、その中に形成されている偏心シャフト920を備える。特に、シャフト920の軸は、旋回部材912の軸と整合されていない。加えて、偏心シャフト920には、ねじ山付き装着穴922が設けられている。図17に最もよく示されているように、旋回部材912は、偏心シャフト920上で回転するように装着されたレバー408を備えた本体400によって支持され得る。好適なファスナ1002を使用して、旋回部材912、レバー408、及び本体400のアセンブリを固定することができる。旋回部材912を選択的に回転させることにより、偏心シャフト922の位置は、レバー408の旋回端部が同様に本体1400に対して上向き又は下向きにシフトされるように、本体1400に対して動かされてもよい。このようにして、旋回部材912を使用して、異なるカムプロファイルと動作するようにレバー1450の位置を調節又は制御して、様々なラッシュ設定を確立し、又は精度が低く費用のからない製造プロセスを可能にすることができる。
【0048】
認識されるように、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、レバー係合部材又はラッチ510、作動ピストン530、レバー端面462、及び本明細書に記載の他の表面の相互作用面の形状における様々な幾何学的バリエーションを提供することができる。例えば、レバー係合部材又はラッチ510は、湾曲した又は弧状の表面を備え、レバー450は、平坦な表面を備え得る。更に、円筒形の要素として説明されているが、ピストン及びレバー係合部材は、正方形又は長方形若しくは他の断面形状を備え得る。
【0049】
更なる例として、レバー係合部材530は、次に油圧制御されるピストン530との機械的相互作用の制御下で動作するものとして示され、説明されているが、レバー係合部材を制御するための他の構成を採用され得ることが理解される。例えば、レバー係合部材530は、弾性要素によってその係止解除状態又はオフ状態に付勢され得、油圧通路は、レバー係合部材530が存在する孔に接続され得、その結果、通路への油圧流体の適用は、レバー係合部材530をその係止状態又はオン状態に伸張させ、一方、スライド部材の孔内の係止された量の油圧流体がレバー係合部材530をその伸長位置に維持する。別の例として、レバー接触面462は弧状の形状を有するとして示されているが、これは要件ではなく、他の表面構成、例えば、角度付き、半円形などを同様に採用することができる。なお更に、本体400及びレバー450の構成を逆にすることができ、すなわち、中央本体に外側の可動アームが設けられ、その可動アームを上記のように1つ以上の同様に構成されたスライド部材を使用する係止解除/オフ状態又は係止/オン状態に配置することができることが理解されよう。
【0050】
本明細書に説明されるようなフィンガーフォロワアセンブリを組み込むバルブ作動システムの実施形態の実施例が、図18図23を参照して更に例解されている。特に、本開示によるバルブ作動システムは、本明細書に説明されるようなフィンガーフォロワアセンブリと併せて第1のバルブ作動運動源を備え得、第1のバルブ作動運動源は、主事象バルブ作動運動、補助バルブ作動運動、ゼロリフトバルブ作動運動、又はそれらの組み合わせを提供するように構成されている。
【0051】
上述したように、主事象バルブ作動運動は、内燃エンジンの1つ以上の気筒によって正動力出力を生成するために、燃料の燃焼中に吸気バルブ及び/又は排気バルブに典型的に適用されるバルブ作動である。更に上述したように、補助バルブ作動運動は、内燃エンジンの1つ以上の気筒が他の非正動力生成動作モードで、又は正動力生成モードの変形例で動作することを可能にするバルブ作動運動である。補助バルブ作動運動は、付加的補助バルブ作動運動又は主事象修正補助バルブ作動運動として更に分類することができる。付加的補助バルブ作動運動は、主事象バルブ作動運動に加えて行われるバルブ作動運動であり、そのような主事象バルブ作動運動のリフトプロファイルを他の方法で修正しない。そのような付加的補助バルブ作動運動の非限定的な例は、エンジンブレーキ(例えば、圧縮-解放)バルブ作動運動又は内部排気ガス再循環(IEGR)バルブ作動運動を含む。一方、主事象修正補助バルブ作動運動は、そうでなければ主事象バルブ作動運動中に発生するであろうリフトプロファイルの何らかの修正をもたらすバルブ作動運動である。そのような主事象修正バルブ作動運動の非限定的な例は、遅い吸気バルブ閉鎖(LIVC)バルブ作動運動、早い排気バルブ開放(EEVO)バルブ作動運動、又は早い吸気バルブ閉鎖EIVC)バルブ作動運動を含む。LIVC及びEEVOの場合、そのような補助運動は、要求に応じてのみ、すなわち、主事象バルブ作動運動がデフォルトバルブ作動運動である場合に、標準主事象バルブ作動運動とともに含まれ得る。一方、EIVC動作は、主事象バルブ作動運動が標準主事象バルブ作動運動の狭められた(すなわち、早期閉鎖)バージョンである場合に達成されてもよく、その結果、EIVC補助バルブ作動運動の組み込みは、その閉鎖タイミングを延長することによって狭められた主事象を修正する。
【0052】
当業者が理解するように、バルブ作動運動源は、必要なバルブ作動運動を提供することを条件として、種々の形態で実装され得る。図18及び図19は、カムの形態の第1及び第2のバルブ作動運動源の種々の実施形態を示す。特に、図18は、一実施形態における、第1のバルブ作動運動源1804及び第2のバルブ作動運動源1806を備える専用カムアセンブリ1800の一例を示す。すなわち、専用カムアセンブリは、主及び補助バルブ作動運動又はそれらの組み合わせを提供するための、1つを超えるカムを備える。第1及び第2のバルブ作動運動源1804、1806を通して、専用カムアセンブリ1800は、主事象バルブ作動運動と併せて付加的及び/又は主事象修正補助バルブ作動運動を提供することが可能である。その結果、以下で更に詳細に説明するように、図4で説明したフィンガーフォロワアセンブリと組み合わされると、専用カムアセンブリ1800は、主事象バルブ作動運動とともに付加的及び/又は主事象修正補助バルブ作動運動を提供することができるバルブ作動アセンブリを提供し得る。
【0053】
図19は、単一のカムにおいて第1のバルブ作動運動源1904が第2のバルブ作動運動源1906と組み合わされたロストモーションカム1900の一例を示す。当技術分野で知られているように、そのようなロストモーションカム1900は、ベース円1908及びサブベース円1910によって画定される。第1のバルブ作動運動源1904からのバルブ作動運動のみが伝達される動作モード(典型的には、主事象のみの動作モード)中、バルブトレイン構成要素は、ベース円1908以上のバルブ作動プロファイルのみがバルブトレインによって対応するエンジンバルブに提供されるように、すなわち、ベース円1908未満の任意のバルブ作動プロファイルが失われるように、後退/ロストモーション方式で動作される。一方、第1及び第2のバルブ作動運動源1904の両方からのバルブ作動運動が伝達される動作モード(典型的には、補助動作モード)中、バルブトレイン構成要素は、サブベース円1908以上の全てのバルブ作動プロファイルがバルブトレインによって対応するエンジンバルブに提供されるように、すなわち、バルブ作動プロファイルが失われないように、拡張/非ロストモーション方式で動作される。もう一度、第1及び第2のバルブ作動運動源1904、1906を介して、ロストモーションカム1900は、主事象バルブ作動運動と併せて付加的及び/又は主事象修正補助バルブ作動運動のみを提供することができる。その結果、以下で更に詳細に説明するように、図11に記載されたフィンガーフォロワアセンブリと組み合わされると、ロストモーションカム1900は、主事象バルブ作動運動とともに付加的及び/又は補助的なバルブ作動運動を提供することができるバルブ作動アセンブリを提供し得る。
【0054】
図20を参照すると、上述の図4の実施形態によるフィンガーフォロワアセンブリ2002と組み合わせて専用カムアセンブリ1800を備えるバルブ作動システム2000が示されている。この実施形態では、第1のバルブ作動運動源1804は、側方運動受容構成要素、すなわち、一対の側方ローラフォロワ430、434に動作可能に接続される一方、二次バルブ作動運動源1806は、運動受容構成要素又は中央ローラフォロワ440に動作可能に接続される。この実施形態では、第1のバルブ作動運動源1804は、主事象バルブ作動運動を提供するように構成され得る一方、第2のバルブ作動運動源1806は、上述したように、付加的及び/又は主事象修正補助バルブ作動運動を提供するように構成され得る。このようにして、ラッチ510は、第2のバルブ作動運動源1806によって提供されるバルブ作動運動が失われ、それによって、第1のバルブ作動運動源1804によって提供されるバルブ作動運動のみが、フィンガーフォロワアセンブリ2002によって対応するエンジンバルブ(図示せず)に伝達されることを許容するように、上述のように制御され得る。一方、ラッチ510は、第2のバルブ作動運動源1806によって提供されるバルブ作動運動が失われないように、上述のように制御され得、それによって、第1及び第2のバルブ作動運動源1804、1806の両方によって提供されるバルブ作動運動が、フィンガーフォロワアセンブリ2002によって対応するエンジンバルブに伝達されることを許容する。
【0055】
図20に示される実施形態の変形例では、第1及び第2のバルブ作動運動源1804、1806の構成は、図4のフィンガーフォロワアセンブリ2002を使用して、気筒失活動作を支持するように修正され得る。この変形例では、第1のバルブ作動運動源1804は、退歩又はゼロリフトバルブ作動運動を提供するように構成される。例えば、カムの文脈では、そのようなゼロリフトバルブ作動運動は、第1のバルブ作動運動源を実装するカムが、カムのベース円の上方に延在するローブを含まない、すなわち、ベース円のみが提供されるときに生じるであろう。加えて、この変形例では、第2のバルブ作動運動源は、主事象バルブ作動運動を提供するように構成される。この構成では、ラッチ510が、第2のバルブ作動運動源1806によって提供されるバルブ作動運動が失われるように、上述のように制御されるとき、第1のバルブ作動運動源1804によって提供されるバルブ作動運動のみが、フィンガーフォロワアセンブリ2002によって対応するエンジンバルブに伝達される。しかしながら、第1のバルブ作動源1804は、ゼロリフトバルブ作動運動のみを提供するように構成されているので、対応するエンジンバルブは開かれず、それによって、気筒失活動作モードを実現する。一方、ラッチ510が、第2のバルブ作動運動源1806によって提供されるバルブ作動運動が失われないように、上述のように制御されるとき、第1及び第2のバルブ作動運動源1804、1806の両方によって提供されるバルブ作動運動は、フィンガーフォロワアセンブリ2002によって対応するエンジンバルブに伝達される。この場合、第2のバルブ作動運動源1806によって提供される主事象バルブ作動運動は、第1のバルブ作動運動源1804によって提供されるゼロリフトバルブ作動運動と組み合わされ、主事象バルブ作動運動のみがエンジンバルブに伝達される正味の効果を伴う。
【0056】
図21を参照すると、上述の図11の実施形態によるフィンガーフォロワアセンブリ2102と組み合わせてロストモーションカム1900を備えるバルブ作動システム2100が示されている。この実施形態では、第1及び第2のバルブ作動運動源1904、1906の両方は、運動受容構成要素、すなわち、中央ローラフォロワ440に動作可能に接続されている。この実施形態では、第1のバルブ作動運動源1904は、主事象バルブ作動運動を提供するように構成され得る一方、第2のバルブ作動運動源1906は、上述したように、付加的及び/又は主事象修正補助バルブ作動運動を提供するように構成され得る。この様態において、ラッチ510は、第2のバルブ作動運動源1906によって提供されるバルブ作動運動が失われ、それによって、第1のバルブ作動運動源1904によって提供されるバルブ作動運動のみが、フィンガーフォロワアセンブリ2102によって対応するエンジンバルブ(図示せず)に伝達されることを許容するように、上述のように制御され得る。一方、ラッチ510は、第2のバルブ作動運動源1906によって提供されるバルブ作動運動が失われず、それによって、第1及び第2のバルブ作動運動源1904、1906の両方によって提供されるバルブ作動運動が、フィンガーフォロワアセンブリ2102によって対応するエンジンバルブに伝達されることを許容するように、上述のように制御され得る。
【0057】
前述のように、フィンガーフォロワアセンブリ2102はまた、(第1及び第2のバルブ作動運動源1904、1906の両方からの)全てのバルブ作動運動が失われ、それによって、例えば、所与の気筒の気筒失活動作を容易にするように動作され得ることが理解される。
【0058】
本実装形態は、特定の例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、特許請求の範囲に記載されているような本発明のより広範な趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変更がこれらの実施形態に行われ得ることが明らかであろう。したがって、明細書及び図面は、限定的ではなく例示的なものであるとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】