(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】アルミニウム合金材料で形成された軸受および製造方法
(51)【国際特許分類】
C22C 21/00 20060101AFI20240702BHJP
C22C 18/04 20060101ALI20240702BHJP
C22C 30/06 20060101ALI20240702BHJP
C22F 1/04 20060101ALI20240702BHJP
C22F 1/16 20060101ALI20240702BHJP
B21B 3/00 20060101ALI20240702BHJP
B22D 11/00 20060101ALI20240702BHJP
B22D 11/06 20060101ALI20240702BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
C22C21/00 B
C22C18/04
C22C30/06
C22F1/04 A
C22F1/16 B
C22F1/16 Z
B21B3/00 J
B22D11/00 E
B22D11/06 330B
B22D11/06 340
C22F1/00 630A
C22F1/00 630C
C22F1/00 631A
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 692A
C22F1/00 692B
C22F1/00 681
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579275
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 US2022073151
(87)【国際公開番号】W WO2022272301
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518372567
【氏名又は名称】テネコ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TENNECO INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サクストン,デイビッド・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジーグラー,アンドリュー・アール
(72)【発明者】
【氏名】ジルー,テリ・アン
(72)【発明者】
【氏名】バーグナー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】バイディア,キャサリン・テレサ
【テーマコード(参考)】
4E004
【Fターム(参考)】
4E004DA13
4E004DA22
4E004NC08
4E004SD03
(57)【要約】
軸受などの、滑り要素、および滑り要素の製造方法が、提供される。滑り要素は、5重量%から83重量%の量の亜鉛を含むアルミニウム合金材料から形成される。滑り要素はまた、ケイ素および/またはマグネシウム含み得る。滑り要素は典型的に、鋳造、400℃から577℃の温度での熱処理、および400℃から200℃の範囲の温度にまで時間あたり50℃未満の速度での冷却により形成される。アルミニウム合金材料はそれから、実質的に亜鉛からなる軟相を形成するために少なくとも5時間の間100°から275℃の温度で熱処理される。アルミニウム合金材料がマグネシウムを含むときには、2回目の熱処理、または場合により両方の熱処理は、必須でなくてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金材料を備える滑り要素であって、
前記アルミニウム合金材料は、前記アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、17重量パーセント(重量%)から95重量%の量のアルミニウムと、5重量%から83重量%の量の亜鉛とを含み、
前記アルミニウム合金材料は、実質的に亜鉛からなる軟相を含み、前記軟相は、60HV
0.01kgを超えないビッカース硬度を有する、
滑り要素。
【請求項2】
前記アルミニウム合金材料は、前記アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、少なくとも52.5重量%の量の前記アルミニウムと、10重量%から40重量%の量の前記亜鉛と、存在する場合に0.1重量%を超えない量の鉛とを含む、請求項1に記載の滑り要素。
【請求項3】
前記アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、少なくとも58.5重量%の量の前記アルミニウムと、20重量%から40重量%の量の前記亜鉛とを含む、請求項2に記載の滑り要素。
【請求項4】
前記アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、0.5重量%から12重量%の量のケイ素を含む、請求項1に記載の滑り要素。
【請求項5】
前記アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、1重量%から6重量%の量の前記ケイ素を含む、請求項4に記載の滑り要素。
【請求項6】
前記アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、0.5重量%から12重量%の量のマグネシウムを含む、請求項1に記載の滑り要素。
【請求項7】
前記アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、1重量%から6重量%の量の前記マグネシウムを含む、請求項6に記載の滑り要素。
【請求項8】
前記アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、0.5重量%から12重量%の量のケイ素と、0.5重量%から12重量%の量のマグネシウムとを含む、請求項1に記載の滑り要素。
【請求項9】
実質的にマグネシウムおよび/またはケイ素からなる硬相を含む、請求項8に記載の滑り要素。
【請求項10】
前記アルミニウム合金材料は、150~300MPaの引張強さ、100~300MPaの降伏強さ、および50~150HV
0.01kgのビッカース硬度を有する、請求項1に記載の滑り要素。
【請求項11】
滑り要素の製造方法であって、
アルミニウム合金材料を鋳造するステップを備え、前記アルミニウム合金材料は、前記材料の総重量に基づいて、少なくとも5重量%の量の亜鉛を含み、
実質的に前記亜鉛からなる軟相を形成するために少なくとも5時間の間100°から275℃の温度で前記鋳造アルミニウム合金材料を熱処理するステップをさらに備える、滑り要素の製造方法。
【請求項12】
少なくとも5時間の間100℃から275℃の前記温度で前記アルミニウム合金材料を熱処理する前記ステップの前に、400℃から577℃の温度で前記鋳造アルミニウム合金材料を熱処理することと400℃から200℃の範囲の温度にまで時間あたり50℃未満の冷却速度で前記鋳造アルミニウム合金材料を冷却することとを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アルミニウム合金材料は、ケイ素および/またはマグネシウムを含み、前記ケイ素および/またはマグネシウムは、400℃から577℃の前記温度へ前記鋳造アルミニウム合金材料を熱処理する前記ステップの間に硬相を形成する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、0.5重量%から12重量%の量の前記ケイ素を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アルミニウム合金材料の前記亜鉛は、少なくとも5時間の間100℃から275℃の前記温度で前記アルミニウム合金材料を熱処理する前記ステップの間に軟相を形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記鋳造ステップは連続式のプロセスであって、ツインロール式鋳造、ベルト式鋳造、および/または抽出式鋳造を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも5時間の間100℃から275℃の前記温度で前記アルミニウム合金材料を熱処理する前記ステップの前に、前記鋳造アルミニウム合金材料を丸めることと前記丸めたアルミニウム合金材料を鋼製の裏当てに接合することとを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記アルミニウム合金材料は、前記アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、17重量パーセント(重量%)から95重量%の量の前記アルミニウムと、5重量%から83重量%の量の前記亜鉛と、存在する場合に0.1重量%を越えない量の鉛とを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、少なくとも52.5重量%の量の前記アルミニウムと、20重量%から40重量%の量の前記亜鉛とを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
滑り要素の製造方法であって、
アルミニウム合金材料を鋳造するステップを備え、前記アルミニウム合金材料は、前記アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、少なくとも5重量%の量の亜鉛と、0.5重量%から12重量%の量のマグネシウムとを含む、滑り要素の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
このPCT国際特許出願は、2021年6月25日に出願された米国実用特許出願連番第17/358,858号の利益および優先権を主張する。その開示全体が参照により本明細書にそのまま組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
1.発明の分野
本発明は一般的に、アルムニウム合金材料から形成された軸受、ブッシュ、または座金などの滑り要素、およびその製造方法に関する。
【0003】
2.関連技術
内燃機関は典型的に、回転シャフトを支持し、回転シャフトがより滑らかかつより小さい摩擦で回転することを可能にするために、軸受、ブッシュ、またはワッシャなどの滑り要素を含む。アルミニウム合金材料から形成された既存の軸受は典型的に、滑り特性、適合性、および、埋め込み性を向上させる軟相を提供するために、スズを含有する。しかしながら、スズは高価であり、品質や加工に関する多くの課題につながり得る。軸受用のアルミニウム合金材料におけるスズの量は典型的に、ロール鋳造され熱接合されるアルミニウム合金材料において、10重量パーセント(重量%)未満に制限される。
【0004】
亜鉛は、アルミニウム合金材料において軟相を提供できる他の元素である。しかしながら、現在のアルミニウム合金材料における亜鉛の使用は制限される。亜鉛は、軸受応用品には適さない合金の硬化および強化を引き起こすため、軸受用のアルミニウム合金材料における亜鉛の存在量は典型的に、約5重量パーセントまでに制限される。加えて、亜鉛は、エンジン動作温度において、スズと比較してアルムニウム中でより溶解しやすく、これが、埋め込み性を向上させる能力を制限する。
【0005】
耐摩耗性を提供し焼き付きを防ぐ硬相を形成するため、ケイ素もまた、スズまたは亜鉛を含有する材料のように、軸受用アルニウム合金材料にしばしば加えられる。しかしながら、硬質のケイ素相の適切な大きさおよび分布を与えるために、アルミニウム合金材料は熱処理されなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本発明の一の局面は、上述した課題の多くを克服する、内燃機関用の軸受などの、滑り要素を提供する。滑り要素はアルミニウム合金材料を含む。アルミニウム合金材料は、アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、17重量パーセント(重量%)から95重量%の量のアルミニウムと、5重量%から83重量%の量の亜鉛とを含む。アルミニウム合金材料は、実質的に亜鉛からなる軟相を含み、軟相は、60HV0.01kgを超えないビッカース硬度を有する。
【0007】
本発明の他の局面は、滑り要素の製造方法を提供する。滑り要素は、アルミニウム合金材料を鋳造することを含む。アルミニウム合金材料は、材料の総重量に基づいて、少なくとも5重量%の量の亜鉛を含む。典型的に、亜鉛は、アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、5重量%超または少なくとも10重量%の量である。本方法は、実質的に亜鉛からなる軟相を形成するために少なくとも5時間の間100℃から275℃の温度で鋳造アルミニウム合金材料を熱処理することをさらに含む。
【0008】
本発明のさらに他の局面は、アルミニウム合金材料の総重量に基づいて、0.5重量%から12重量%の量のマグネシウムを含むアルミニウム合金材料から形成された滑り要素の製造方法を提供する。アルミニウム合金材料はまた、材料の総重量に基づいて、少なくとも5重量%の量の亜鉛を含む。
【0009】
図面の簡単な説明
本発明のこれらおよび他の特徴および優位性は、以下の詳細な説明および添付された図面に関連して考慮されるときに、より容易に理解されるものになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】例示的な実施形態による鋼製の裏当て上の鋳造アルミニウム合金材料を含有するエンジン軸受の側面斜視図である。
【
図4】鋳造アルミニウム合金材料を含み得る、典型的なスラスト座金の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施形態の詳細な説明
本発明の一局面は、内燃機関用の軸受、ブッシュ、または座金などの、滑り要素10を提供する。軸受の形態における滑り要素10の例が
図1~3に示されている。座金、特に典型的なスラスト座金の形態における滑り要素10の例が、
図4に示されている。当該説明は主に軸受を参照すると理解されることになるだろうが、当該説明は、ブッシュ、座金、または滑り要素の他の型に等しく適用可能である。
【0012】
滑り要素10は、改良されたアルミニウム合金材料12から形成された少なくとも一層を含む。アルミニウム合金材料12は典型的に、鋼から形成された裏当て14に接合される。滑り要素10は、アルミニウム合金材料12の層および裏当て14に加えて、様々な他の層および/または材料を含み得る。たとえば、アルミニウム合金材料12は、直接に裏当て14上に配置され得る、または他の層が、アルミニウム合金材料12と裏当て14との間に位置し得る。滑り要素10はまた、滑り要素10がそのために設計される特定の応用品に依存する様々な異なる構造および/または寸法を有し得る。
図1の例示の実施形態において、滑り要素10は軸受であり、第1ハーフシェル16と第2ハーフシェル18とを含む。ハーフシェル16,18は、中心軸Aの周りを周方向に延びており、反対端において互いに結合される。アルミニウム合金材料12は典型的に、100から1000ミクロンの範囲の厚さを有し、鋼製の裏当て14は典型的に、1000から5000ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0013】
アルミニウム合金材料12は、摩耗および焼き付きの優位性、制御された硬化、適合性、および埋め込み性の組み合わせを提供し得る組成および微細構造を有する。
【0014】
アルミニウム合金材料12は、アルミニウム合金材料12の総重量に基づいて、17重量パーセント(重量%)から95重量%の量のアルミニウムと、5重量%から83重量%の量の亜鉛とを含む。より好ましくは、アルミニウム合金材料12は、アルミニウム合金材料12の総重量に基づいて、52.5重量%から88.5重量%の量のアルミニウムと、アルミニウム合金材料12の総重量に基づいて、10重量%から40重量%の量の亜鉛とを含む。より一層好ましくは、アルミニウム合金材料12は、アルミニウム合金材料12の総重量に基づいて、58.5重量%から78.5重量%の量のアルミニウムと、アルミニウム合金材料12の総重量に基づいて、20重量%から40重量%の量の亜鉛とを含む。
【0015】
典型的に、アルミニウム合金材料12は鉛を含まない。アルミニウム合金材料12における鉛添加物は、性能における便益を提供し得るが、健康および環境の懸念の原因にもなり得る。存在する場合には、鉛は典型的に、0.1重量%を超えない量である。
【0016】
特定の実施形態によれば、アルミニウム合金材料12はケイ素をさらに含む。ケイ素は、アルミニウム合金材料12の総重量に基づいて、好ましくは0.5重量%から12重量%、より好ましくは1重量%から6重量%の量で存在する。アルミニウム合金材料12はまた、マグネシウムを含み得る。マグネシウムは、アルミニウム合金材料12の総重量に基づいて、好ましくは0.5重量%から12重量%、より好ましくは1重量%から6重量%の量で存在する。ある例示的な実施形態によれば、アルミニウム合金材料12は、アルミニウム合金材料12の総重量に基づいて、0.5重量%から12重量%の量のケイ素と、0.5重量%から12重量%の量のマグネシウムとを含む。アルミニウム合金材料12がマグネシウムおよび/またはケイ素を含むとき、熱処理プロセスのその後、アルミニウム合金材料12は実質的にマグネシウムおよび/またはケイ素からなる硬相を含む。
【0017】
追加の元素が、アルミニウム合金材料12に加えられ得る。たとえば、アルミニウム合金材料12の総重量に基づいて、各々5重量%未満の量のビスマスおよび/またはスズが、滑り特性の向上のために加えられ得る。
【0018】
滑り要素10のアルミニウム合金材料12は典型的に、150~300MPaの引張強さ、100~300MPaの降伏強さ、および50~150HV0.01kgのビッカース硬度を有する。ASTM E-8またはE-8M(メートル法)が、引張強さおよび降伏強さの測定のために用いられ得る試験方法である。ASTM E384が、ビッカース硬度の測定のために用いられ得る試験方法である。
【0019】
本発明の他の局面は、滑り要素10の製造方法を提供する。当該方法は、アルミニウム合金材料12を鋳造することと、実質的に亜鉛からなる軟相を形成するために少なくとも5時間の間100°から275℃の温度で鋳造アルミニウム合金材料12を熱処理することとを備える。軟相は、60HV0.01kgを超えないビッカース硬度を有する。軟相には少量の他元素が存在してもよいが、それらの総量は1重量%未満である。一実施形態によれば、鋳造ステップは、連続式のプロセスであって、ツインロール式鋳造、ベルト式鋳造、および/または抽出式鋳造を含む。アルミニウム合金材料12の亜鉛は、少なくとも5時間の間100℃から275℃の温度でアルミニウム合金材料12を熱処理するステップの間に軟相を形成する。
【0020】
一実施形態によれば、少なくとも5時間の間100℃から275℃の温度でアルミニウム合金材料12を熱処理するステップの前に、当該方法は、鋳造アルミニウム合金材料12を丸めることと丸めたアルミニウム合金材料12を鋼製の裏当て14に接合することと含み得る。
【0021】
好ましい実施形態によれば、少なくとも5時間の間100℃から275℃の温度でアルミニウム合金材料12を熱処理するステップの前に、当該方法は、400℃から577℃の温度で鋳造アルミニウム合金材料12を熱処理することと400℃から200℃の範囲の温度にまで時間あたり50℃未満の冷却速度で鋳造アルミニウム合金材料12を冷却することとを含む。
【0022】
当該実施形態において、ここでアルミニウム合金材料12はケイ素および/またはマグネシウムを含み、ケイ素および/またはマグネシウムは典型的に、400℃から577℃の温度で鋳造アルミニウム合金材料12を熱処理するステップの間に硬相を形成する。たとえば、硬相は、アルミニウム合金材料12が、アルミニウム合金材料12の総重量に基づいて、0.5重量%から12重量%の量のケイ素および/または0.5重量%から12重量%の量のマグネシウムを含むときに形成し得る。
【0023】
上述の方法により加工されたアルミニウム合金材料12は、ケイ素の摩耗および焼き付きの優位性、亜鉛添加物によって付与される制御および硬化、ならびに適合性および埋め込み性を向上させるための軟相、を含む、様々な優位性を提供し得る。加えて、亜鉛は、スズまたはアルミニウムより高価でなく、アルミニウム-亜鉛における液相線および固相線温度の差異は、アルミニウム-スズのそれよりはるかに小さい。これは、スズに関係する加工上の問題の多くを取り除く、より均質な鋳造構造をもたらす。亜鉛は、硬質粒子としてケイ素と組み合わせて用いられることができ、亜鉛は溶体硬化元素および軟相の両方として作用する。
【0024】
アルミニウム合金材料12がマグネシウムを含むときに、様々な他の優位性が達成される。第一に、それは、小型の亜鉛の沈降物と比較して埋め込み性を増加させる、大型の亜鉛の沈降物の形成を可能にする。マグネシウムはまた、熱処理の時間および費用を著しく引き下げ得て、または、さらにはより低い温度での熱処理の必要を未然に防ぎ得て、かつ、Mg-Si粒子およびSi粒子などの、硬相粒子の形成を促進する。たとえば、マグネシウムを含んでいるアルミニウム合金材料12は、鋳造され、400℃から577℃の温度に加熱され、そしてそれから、2回目の熱処理ステップなしに、400℃から200℃の範囲の温度にまで時間あたり50℃未満の冷却速度で冷却され得る。
【0025】
明らかに、本発明の多くの変更および変形が、上述の教示に照らして可能であり、上述したこと以外であっても、下記特許請求の範囲内でありつつ具体的に述べられた以外の他のものとして実行され得る。特に、全ての請求項の、および、全ての実施形態の、全て特徴が、互いに矛盾しない限りにおいて、互いに組み合わせられ得る。
【国際調査報告】