(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】LEDをベースとした発光ユニット
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A61N5/06 B
A61N5/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579409
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2022066814
(87)【国際公開番号】W WO2022268768
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523480989
【氏名又は名称】ファーマーライト ホールディング アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】ポール カース
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA02
4C082PA03
4C082PC10
4C082PE10
4C082PJ01
(57)【要約】
本開示は、特にビタミンDの生成を促進するため、微生物の圧力を軽減し、オプションとして、動物農場の生産施設、病院、オフィス、敷地、保管施設、製造施設、食料品店、学校/教室などの建物内に作業灯を提供する、発光ダイオードに基づく方法、システム、及び発光ユニットに関する。発光ユニットは、特に、動物及び/又は人間の表面及び建物内部の表面に付着した人獣共通感染症、エアロゾル、細菌及びウイルスから、好ましくはセンサと組み合わせて、建物内の微生物の圧力を下げるために設けられており、同時に、発光ユニットは、動物及び/又は人間の天然ビタミンD3の形成を促進するように構成され、好ましくは可視作業光も提供する。1つの実施形態は、1)微生物の圧力を低下させ、2)天然ビタミンD3の生成を刺激するための発光ユニットであって、292~302nmの間、好ましくは295~299nmの間、より好ましくは296~298nmの間、最も好ましくは297nmの最大強度を有する単色UV-B光を放射するように構成された少なくとも第1のUV-B LED、及び、278~288nm、好ましくは281~285nm、より好ましくは282~284nm、最も好ましくは283nmの最大強度を有する単色UV-B光を発するように構成された少なくとも第2のUV-B LED、及び/又は、228~238nmの間、好ましくは231~235nmの間、より好ましくは232~234nmの間、最も好ましくは233nmの最大強度を有する単色UV-C光を放射するように構成された少なくとも第1のUV-C LED、を備えることを特徴とする発光ユニットに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)微生物の圧力を低下させ、2)天然ビタミンD3の生成を刺激するための発光ユニットであって、
292~302nmの間、より好ましくは295~299nmの間、最も好ましくは297nmの最大強度を有する単色UV-B光を放射するように構成された少なくとも第1のUV-B LED、及び
275~290nmの間、好ましくは278~288nmの間、より好ましくは281~285nmの間、最も好ましくは283nmの最大強度を有する単色UV-B光を発するように構成された少なくとも第2のUV-B LED、及び/又は
228~238nmの間、好ましくは231~235nmの間、最も好ましくは233nmの最大強度を有する単色UV-C光を放射するように構成された少なくとも第1のUV-C LED、
を備えることを特徴とする発光ユニット。
【請求項2】
少なくとも前記第1及び第2の単色UV-B LED光は、20nm以下、より好ましくは15nm以下、最も好ましくは10nm以下、更には8nm以下の、半値全幅(full width half max(FWHM))スペクトル帯域幅を有することを特徴とする請求項1に記載の発光ユニット。
【請求項3】
少なくとも前記第2の単色UV-B LED光は、少なくとも30nm、より好ましくは少なくとも35nm、最も好ましくは少なくとも40nmの、半値全幅(FWHM)スペクトル帯域幅を有することを特徴とする請求項1に記載の発光ユニット。
【請求項4】
少なくとも前記第1のUV-B LEDは、296~298nmの間、最も好ましくは297nmの最大強度を有する単色UV-B光を放射するように構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項5】
少なくとも前記第2のUV-B LEDは、282~284nmの間、最も好ましくは283nmの最大強度を有する単色UV-B光を放射するように構成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項6】
少なくとも前記第1のUV-C LEDは、232~234nmの間、最も好ましくは233nmの最大強度を有する単色UV-C光を放射するように構成されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項7】
少なくとも前記第1のUV-B LEDと少なくとも前記第2のUV-B LEDとの間の発光率の比を制御するように構成されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項8】
少なくとも前記第2のUV-B LEDと少なくとも前記第1のUV-B LEDとの間の発光率の比は2を超え、より好ましくは2.5を超え、最も好ましくは約3又は3を超えることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項9】
217~227nmの間、好ましくは220~224nmの間、最も好ましくは222nmの最大強度を有する単色UV-C光を放射するように構成された少なくとも第2のUV-C LED
を備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項10】
255~265nmの間、好ましくは258~262nmの間、最も好ましくは260nmの最大強度を有する単色UV-C光を放射するように構成された少なくとも第3のUV-C LED
を備えることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項11】
前記単色UV-C LED光は、20nm以下、より好ましくは15nm以下、最も好ましくは10nm以下、更には8nm以下の半値全幅(FWHM)スペクトル帯域幅を有することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項12】
少なくとも1つの前記UV-B LEDと少なくとも1つの前記UV-C LEDとの間の光放射率の比を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項13】
好ましくは380nm~750nmの範囲の波長を有する多色可視光を放射するように構成された少なくとも1つの可視光LED
を備えることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項14】
215~240nmの範囲の単色UV-C光の放射を除き、270nm未満の光を放射しないように構成されていることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項15】
前記可視多色光の色温度が約2700Kになるように構成されることを特徴とする請求項13又は14に記載の発光ユニット。
【請求項16】
1日あたり16時間未満の第1の所定の期間、前記多色可視光の放射が行われるように構成され、
1日あたり少なくとも22時間の第2の事前定義された期間、前記単色の非可視UV-B光及びUV-C光の放射が行われるように構成される
ことを特徴とする請求項13~15のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項17】
全てのLEDは共通の交換可能な回路基板に取り付けられていることを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項18】
前記発光ユニットからの露光量を測定するための少なくとも1つの光センサ
を備えることを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項19】
前記発光ユニットの近くにおける、例えば人や動物の動きなどの活動を検出するための少なくとも1つのモーションセンサ
を備えることを特徴とする請求項1~18のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項20】
前記発光ユニットの近くで活動が検出された場合、UV-B LED及び/又はUV-C LEDをオフにするように構成されている
ことを特徴とする請求項1~19のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項21】
好ましくは金属製であり、好ましくは冷却フィンを有するハウジングを備え、
前記ハウジングは前記発光ユニットの全てのLEDを収容する
ことを特徴とする請求項1~20のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項22】
多色可視光を提供するための少なくとも48Wのワット数を有する単一のLED、及び
前記UV-B光のそれぞれ、オプションとして前記UV-C光を提供するための、1W、3W、12W、48、又は100Wのワット数を有する1つ又は複数のLED
を備えることを特徴とする請求項13~21のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項23】
教室、病棟、オフィススペース、集会場などの人間が住む部屋の中で、又は動物農場の生産施設において、1)作業用の光を提供する、2)微生物の圧力を下げる、及び/又は3)天然ビタミンD3の生成を刺激するためのシステムであって、
請求項1~22のいずれかに記載の発光ユニットのうちの少なくとも1つ、及び
前記発光ユニットの選択された波長範囲における、
露光時間及び/又は
総光放射率などの露光強度
を管理するのに適した制御システム、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項24】
前記発光ユニットからの露光量を測定するための少なくとも1つの光センサを備えることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記部屋の内の活動を検出するための少なくとも1つのモーションセンサを備えることを特徴とする請求項23又は24に記載のシステム。
【請求項26】
前記発光ユニットからの前記露光量の測定に基づいて、前記発光ユニットの選択された波長範囲において所定の露光強度の放射率を維持するように構成されることを特徴とする請求項23~25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
例えば現地時間の22時から5時までなど、夜間などの前記部屋のクローズ時間において、前記発光ユニットは日中の選択された期間のみUV-C光を放射するように構成されることを特徴とする請求項23~26のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記発光ユニットは、前記発光システムを含む対応する部屋など、前記発光ユニットの近くに人間及び/又は動物が存在しない場合にのみUV-C光を放射するように構成されることを特徴とする請求項23~27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
少なくとも第1のUV-B LEDと少なくとも第2のUV-B LEDとの間で、センサからの入力などに基づいて、発光率の比率を制御し、297±5nmの光の総光放射率に対する283±5nmの光の総光放射率の比率を選択できるようにするように構成される
ことを特徴とする請求項23~28のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
少なくとも第1のUV-B LEDと少なくとも第1のUV-C LEDの間で、センサからの入力などに基づいて、発光率の比率を制御し、233±5nmの光の総光放射率に対する297±5nmの光の総光放射率の比率を選択できるように構成される
ことを特徴とする請求項23~29のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特にビタミンDの生成を増加及び/又は促進するため、微生物の圧力を軽減し、オプションとして、動物農場の生産施設、病院、オフィス、敷地、保管施設、製造施設、食料品店、学校/教室などの建物内に作業灯を提供する、発光ダイオードに基づく方法、システム、及び発光ユニットに関する。発光ユニットは、特に、動物及び/又は人間の表面及び建物内部の表面に付着した人獣共通感染症、エアロゾル、細菌及びウイルスから、建物内の微生物の圧力を下げるために設けられており、同時に、発光ユニットは、動物及び/又は人間の天然ビタミンD3の形成を促進するように構成され、好ましくは可視作業光も提供する。
【背景技術】
【0002】
畜産では、豚、子豚、牛、その他の家畜などの動物が動物収容施設内で飼育される。動物飼育施設の状況は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの細菌や豚急性下痢症候群コロナウイルス(SADS-CoV)などのウイルスを含む、多種多様な微生物の増殖を促進する可能性がある。動物飼育施設内に浮遊微生物が存在すると、施設内の空気の質に影響を与え、動物、施設の従業員、近隣地域の人々を病原体にさらすことになる。集約的な飼育は、動物農場の生産施設内で、特に人獣共通感染症やエアロゾルによる微生物の圧力が不十分なレベルで上昇する可能性があり、潜在的に重大な健康リスクにつながる可能性がある。
【0003】
通常、良好な空気の質、動物飼育施設内で飼育されている動物の健康、及び従業員/労働者の健康を確保するために、動物飼育施設内の微生物の圧力を制御するためにさまざまな対策が講じられる。例えば農場では、動物の立ち入りが管理及び制限されているため、汚染のリスクが軽減される。しかし、動物間及び動物と人間の間での感染症(人獣共通感染症など)の蔓延は、動物の飼育環境において依然として重大な問題となっている。
【0004】
コロナパンデミックの最中、病院、オフィス、施設、製造施設、食料品店、学校/教室などのあらゆる種類の建物内の微生物の圧力も、特に建物内で何時間も過ごす人間をSARS-COVID-19などの感染症から守るために、関心の対象となっている。
【0005】
このことは、多くの場合、人間や家畜が十分なレベルでビタミンD3を自然に生成できないという事実によって更に強調される。自然光(太陽光)は、人間や動物の皮膚におけるビタミンD3の自然な生成を高める。ビタミンD3は、Bタイプ(UV-B)の紫外線(UV)によって皮膚で7-デヒドロコレステロールから生成される。UV-Bは自然光のスペクトルに存在するため、皮膚が自然光にさらされると、皮膚内の天然ビタミンD3(ND3)の形成が促進される。ND3は、免疫系及び骨格と骨の発達と維持において重要な機能を持っている。
【0006】
人間や家畜は一日の大部分を屋内で過ごすため、多くの場合、十分なレベルのND3を形成するには不十分な量のUV-Bを受けることになる。その結果、ビタミンD3欠乏症は畜産場の居住環境や北半球に住む人間では珍しいことではなく、これに関連して重大な健康への影響が生じている。ND3レベルが低いことによる典型的な健康への影響の1つは、免疫システムの弱体化であり、これが空気の質の悪さと相まって、感染症にかかりやすくなる。
【0007】
人間や動物が十分な量のND3を確実に摂取できるようにするために、様々なアプローチが使用されてきた。動物に対する1つのアプローチは、動物の飼料に添加された栄養補助食品の形で合成ビタミンD3(SD3)を動物に与えることである。一例として、動物性食品にSD3を添加したり、SD3の錠剤や粉末を添加したりすることが挙げられる。また、人間用の食事性ビタミンSD3サプリメントも世界中で使用されている。
【0008】
SD3とND3は化学的には同一であるが、動物と人間の体内では機能が異なる。SD3は、ND3とは異なり、適切な輸送タンパク質に結合しないが、腸管から吸収された後、血中の残留脂肪中に残る。これはビタミンの生物学的効果にとって重要であると考えられており、SD3の大量摂取が有毒であるのに対し、ND3は過剰摂取できない理由が説明される。
【0009】
細菌性疾患に感染した動物や人間は、抗生物質で治療できる。ほとんどの病気の場合、これで動物や人間は治癒するが、それでも、健康の観点からだけでなく、そのような抗生物質による治療は高価であり、農家に経済的損失を引き起こすため、満足のいくものではない。更に、前述のMRSAを含む抗生物質耐性種が絶えず増加しており、幅広い家畜種の幸福に対する大きな懸念として浮上しており、結果として農家に深刻な経済的影響を与えている。
【0010】
従って、建物内の照明条件は、建物内で何時間も過ごす人間や動物の幸福と健康に重大な影響を与えるかもしれない。更に、建物内の可視光による照明条件は、人間の目の錐体と桿体によって認識される物体の視覚認識にとって重要であり、照明レベル、空間分布、演色などに基づいて形成される。学校や職場環境などの照明条件が悪いと、目の疲れ、疲労、頭痛、ストレスが生じる可能性がある。これにより、事故のリスクが高まり、生産性が低下し、一般的に生活の質が低下する。
【発明の概要】
【0011】
建物内の照明条件を最適化するために、建物内、特に建物内の特定の部屋において、微生物の圧力を低減しND3の形成を促進するための発光ユニット、システム、及び方法を提供すること、そして好ましくは理想的な作業光条件を提供すること、が本開示の目的である。本明細書に開示される発光ユニット、デバイス、システム、及び方法は、特定の態様において、同じ発明者によるPCT/EP2020/067069の開示から利益を得ることができ、従って、その全体が参照により組み込まれる。
【0012】
本開示の目的は、多数の波長範囲、例えば、2つ、3つ以上の重要な波長範囲など、特にUV-B範囲、場合によりUV-C範囲、場合により可視光範囲の光を放射するように構成された発光ユニットを提供することである。本発明の発光ユニットは、例えば人間のための建物や農場の生産設備において可視作業光を提供する従来技術のランプを置き換えることを目的としている。農業生産施設用発光ユニットの場合、1)動物の邪魔をしない波長範囲及び/又は色温度の可視光を提供し、2)農場生産施設内の微生物の圧力を下げるのに役立つ、1つ以上の事前定義された波長範囲の光を提供する更なる機能を備える。この点に関して、本発明の発光ユニットが単一のランプとして、例えば単一の(プリントされた)回路基板上にのみ設けられる場合には有利である。従って、本開示は、UV-B範囲とオプションとしてUV-C範囲及び可視光線範囲が含まれる、2つ、3つ以上の重要な波長範囲で、異常な高エネルギーで光を発するように構成された単一のランプを有する発光ユニットに関するものである。LEDチップを搭載したランプ1台で設置コスト、ランニングコストともに大幅なコスト削減が可能である。
【0013】
従って、本開示の一実施形態は、1)微生物の圧力を下げる、2)天然ビタミンD3の生成を刺激するための発光ユニットに関し、前記発光ユニットは、単色UV-B光を放射するように構成された少なくとも1つのUV-B発光ダイオード(LED)、及び/又は、単色UV-C光を放射するように構成された少なくとも1つのUV-C発光ダイオード(LED)を備える。
【0014】
好ましい実施形態は、1)微生物の圧力を低下させ、2)天然ビタミンD3の生成を刺激するための発光ユニットであって、292~302nmの間、好ましくは295~299nmの間、より好ましくは296~298nmの間、最も好ましくは297nmの最大強度を有する単色UV-B光を放射するように構成された少なくとも第1のUV-B LED、及び、-278~288nm、好ましくは281~285nm、より好ましくは282~284nm、最も好ましくは283nmの最大強度を有する単色UV-B光を発するように構成された少なくとも第2のUV-B LED、及び/又は、-228~238nmの間、好ましくは231~235nmの間、より好ましくは232~234nmの間、最も好ましくは233nmの最大強度を有する単色UV-C光を放射するように構成された少なくとも第1のUV-C LED、を備えることを特徴とする発光ユニットに関する。
【0015】
この実施形態が好ましい理由は、297nmの光は、人間と動物の両方で天然ビタミンD3の生成を刺激し、283nmの光は、畜産場の生産施設における微生物の圧力を軽減し、233nmの光は、例えば、病院、学校などの、人間が住んでいる建物内の微生物の圧力を低下させるためである。ただし、これら全ての波長を単一のランプ、場合によっては単一の回路基板で提供でき、そして、個々のLEDチップの制御はソフトウェアによって提供され、ランプの目的及び/又は位置に応じて適切な波長が選択されるようにする。
【0016】
特に、10~20nm離れたUV-Bスペクトルの各部分から選択された2つのUV-B波長、つまり、例えば、275~285又は278~288nmと、様々なLEDから提供される292~302nmの組み合わせなどの、UV-Cスペクトル範囲に近い低波長UV-B LEDと、UV-Aスペクトル範囲に近い高波長UV-B LEDとを組み合わせることが有利であることがわかっており、これは、このような2つのUV-B LEDを組み合わせると、微生物の圧力を低下させ、ND3生成を刺激することができるからである。1つ以上のUV-C波長、好ましくは、215~240nmの範囲、例えば、222nm、230nm、233nm及び/又は260nmの波長を有する、例えば、単色UV-C光を放射するように構成された少なくとも1つのUV-C LEDを追加することで、微生物の圧力を更に下げることができる。
【0017】
別の特に有利な実施形態は、UV-Bスペクトルの上端からのUV-B波長、例えば297±5nmと、約230±10nm若しくは230±5nm又は233±5nm(233nmなど)のUV-C波長と、を組み合わせることであり、そのような波長の組み合わせは、無害な233nm UV-C光による微生物の圧力の低下と、UV-B光によるND3生成の刺激の両方を提供できるからである。
【0018】
この発光ユニットは、特に、動物農場の生産施設における微生物の圧力を低減するように構成されてもよい。発光ユニットは複数のLED光源を含んでもよい。発光ユニットは、380nm~750nmの範囲の波長を有する多色/広帯域可視光を発光し、2)222nm、230nm、233nm及び/又は260nmなどの1つ又は複数の所定の波長における単色光の放射を除き、285nm未満、好ましくは270nm未満の(広帯域)光を放射しないように構成されることが有利である。発光ユニットは、1つ以上の追加の所定の波長、例えば295nm又は297nmで単色光を発光するように更に有利に構成されてもよい。特に、選択された波長が人間や動物に有害でないことが重要であり、230±10nm及び295±10/297±5nmはそのような無害な波長範囲の例である。
【0019】
本開示の一実施形態では、発光ユニットは、微生物の不活化、ND3の生成、及び可視作業光の提供のために選択された波長範囲及びエネルギーの多色可視光及び単色光を放射するように構成される。同時に、発光ユニットは、UV-B範囲未満の波長を有する低量のエネルギー又はゼロエネルギーさえも放出するように構成されてもよいが、場合によっては、事前に選択された波長の単色光が除かれる。発光ユニットが単一の標準ランプソケットに受け入れられるように構成されることが更に好ましい。
【0020】
良好な作業用照明条件は、1日に何時間も屋内に滞在する人間、例えば、学校の子供たち、病院の患者と医療関係者、保管施設、製造施設、オフィス施設、畜産施設の労働者などの健康、安全、効率にとって非常に重要である。照明条件は、照明レベル、空間分布、演色などにより、物体の視覚認識にとって重要である。人間が知覚する物体のコントラストは、例えば、物体の吸収特性、照明の強度とスペクトル成分、網膜の光受容細胞(すなわち、錐体、桿体、及び本質的に感光性の網膜神経節細胞)の感度の関数である。従って、現在開示されている発光ユニットは、選択された色温度の可視光を提供するように構成することができ、例えば、2700Kは病院に適しており、4500Kは農場生産施設に適している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】
図1-2は、円形ハウジングを備え、天井取り付けに適したLED技術に基づく、本開示の発光ユニットの一実施形態を示す。
【
図1B】
図1-2は、円形ハウジングを備え、天井取り付けに適したLED技術に基づく、本開示の発光ユニットの一実施形態を示す。
【
図1C】
図1-2は、円形ハウジングを備え、天井取り付けに適したLED技術に基づく、本開示の発光ユニットの一実施形態を示す。
【
図1D】
図1-2は、円形ハウジングを備え、天井取り付けに適したLED技術に基づく、本開示の発光ユニットの一実施形態を示す。
【
図2A】
図1-2は、円形ハウジングを備え、天井取り付けに適したLED技術に基づく、本開示の発光ユニットの一実施形態を示す。
【
図2B】
図1-2は、円形ハウジングを備え、天井取り付けに適したLED技術に基づく、本開示の発光ユニットの一実施形態を示す。
【
図3A】
図3A-Cは、天井取り付けに適した長方形のハウジングを備えたLED技術に基づく、本開示の発光ユニットの一実施形態を示す。
【
図3B】
図3A-Cは、天井取り付けに適した長方形のハウジングを備えたLED技術に基づく、本開示の発光ユニットの一実施形態を示す。
【
図3C】
図3A-Cは、天井取り付けに適した長方形のハウジングを備えたLED技術に基づく、本開示の発光ユニットの一実施形態を示す。
【
図4】
図4は、本開示の発光ユニットの一実施形態を使用して、ガラスビーズ上の黄色ブドウ球菌をUV放射で照射するための試験セットアップを示す。
【
図5A】
図5A-Fは、本開示の発光ユニットで使用するための共通のプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示す。
【
図5B】
図5A-Fは、本開示の発光ユニットで使用するための共通のプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示す。
【
図5C】
図5A-Fは、本開示の発光ユニットで使用するための共通のプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示す。
【
図5D】
図5A-Fは、本開示の発光ユニットで使用するための共通のプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示す。
【
図5E】
図5A-Fは、本開示の発光ユニットで使用するための共通のプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示す。
【
図5F】
図5A-Fは、本開示の発光ユニットで使用するための共通のプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示す。
【
図6A】
図6A-Fは、本開示の発光ユニットで使用するための共通のプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示しており、特に病院、学校、病院などの人間の施設での使用に適している。
【
図6B】
図6A-Fは、本開示の発光ユニットで使用するための共通のプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示しており、特に病院、学校、病院などの人間の施設での使用に適している。
【
図6C】
図6A-Fは、本開示の発光ユニットで使用するための共通のプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示しており、特に病院、学校、病院などの人間の施設での使用に適している。
【
図6D】
図6A-Fは、本開示の発光ユニットで使用するための共通のプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示しており、特に病院、学校、病院などの人間の施設での使用に適している。
【
図6E】
図6A-Fは、本開示の発光ユニットで使用するための共通のプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示しており、特に病院、学校、病院などの人間の施設での使用に適している。
【
図6F】
図6A-Fは、本開示の発光ユニットで使用するための共通のプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示しており、特に病院、学校、病院などの人間の施設での使用に適している。
【
図7A】
図7A-Eは、一般的なプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示す。
【
図7B】
図7A-Eは、一般的なプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示す。
【
図7C】
図7A-Eは、一般的なプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示す。
【
図7D】
図7A-Eは、一般的なプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示す。
【
図7E】
図7A-Eは、一般的なプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示す。
【
図8】
図8は、デュアルインラインパッケージLEDチップの斜視説明図を示す。
【
図9】
図9は、ピーク波長295nm、FWHM(full width half max)14nm、約275~315nmのUVB光を提供するUV-B LEDからのスペクトル分布の例を示す
【
図10A】
図10Aは、ピーク波長275nm、FWHM15nm、約260~300nmのUVB光を提供するUV-B LEDからのスペクトル分布の例を示す
【
図10B】
図10Bは、ピーク波長285nm、FWHM25nm、約265~315nmのUVB光を提供するUV-B LEDからのスペクトル分布の例を示す
【
図10C】
図10Cは、ピーク波長280~295nm(両方ともFWHM15nm)、約260~320nmの、それぞれ及び組み合せられたスペクトル分布UVB光を提供するUV-B LEDからのスペクトル分布の例を示す。
【
図11A】
図11A-Bは、病棟の天井近くに設置され、病棟に作業灯を提供し、患者にUV光を照射するために壁に取り付けられた光センサを備えた複数の発光ユニットを備える、本開示のシステムの一実施形態を示す。
【
図11B】
図11A-Bは、病棟の天井近くに設置され、病棟に作業灯を提供し、患者にUV光を照射するために壁に取り付けられた光センサを備えた複数の発光ユニットを備える、本開示のシステムの一実施形態を示す。
【
図12A】
図12A-Bは、敷地内に作業灯を提供し豚をUV光で照らすために豚舎の天井近くに設置された複数の発光ユニットを備える、本開示のシステムの一実施形態を示す。
【
図12B】
図12A-Bは、敷地内に作業灯を提供し豚をUV光で照らすために豚舎の天井近くに設置された複数の発光ユニットを備える、本開示のシステムの一実施形態を示す。
【
図13】
図13は、実施例1における除菌量の測定に用いたシャーレ内のガラスビーズの説明図である。
【
図14】細菌の除去効率対照明光の波長を示すグラフである。
【
図15A】
図15~17は、異なるUV-B波長設定による異なる線量のUV照射における、ガラスビーズ上に接種された黄色ブドウ球菌の除去を示し、285+295nmのLEDを有する
図15A~B、280+297nmのLEDを有する
図16A~B、及び285nmの広帯域スペクトルLEDを有する
図17A~Bを示す。
【
図15B】
図15~17は、異なるUV-B波長設定による異なる線量のUV照射における、ガラスビーズ上に接種された黄色ブドウ球菌の除去を示し、285+295nmのLEDを有する
図15A~B、280+297nmのLEDを有する
図16A~B、及び285nmの広帯域スペクトルLEDを有する
図17A~Bを示す。
【
図16A】
図15~17は、異なるUV-B波長設定による異なる線量のUV照射における、ガラスビーズ上に接種された黄色ブドウ球菌の除去を示し、285+295nmのLEDを有する
図15A~B、280+297nmのLEDを有する
図16A~B、及び285nmの広帯域スペクトルLEDを有する
図17A~Bを示す。
【
図16B】
図15~17は、異なるUV-B波長設定による異なる線量のUV照射における、ガラスビーズ上に接種された黄色ブドウ球菌の除去を示し、285+295nmのLEDを有する
図15A~B、280+297nmのLEDを有する
図16A~B、及び285nmの広帯域スペクトルLEDを有する
図17A~Bを示す。
【
図17A】
図15~17は、異なるUV-B波長設定による異なる線量のUV照射における、ガラスビーズ上に接種された黄色ブドウ球菌の除去を示し、285+295nmのLEDを有する
図15A~B、280+297nmのLEDを有する
図16A~B、及び285nmの広帯域スペクトルLEDを有する
図17A~Bを示す。
【
図17B】
図15~17は、異なるUV-B波長設定による異なる線量のUV照射における、ガラスビーズ上に接種された黄色ブドウ球菌の除去を示し、285+295nmのLEDを有する
図15A~B、280+297nmのLEDを有する
図16A~B、及び285nmの広帯域スペクトルLEDを有する
図17A~Bを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上で述べたように、本開示は、1)微生物の圧力を下げ、2)天然ビタミンD3の生成を刺激する発光ユニットに関し、発光ユニットは、単色のUV-B光を放射するように構成された少なくとも1つのUV-B発光ダイオード(LED)を備える。
【0023】
一実施形態では、発光ユニットは、280~290nmの間、より好ましくは283~287nmの間、最も好ましくは283nm又は285nmの最大強度を有する単色UV-B光を放射するように構成された少なくとも第2のUV-B LEDを備える。好ましくは、この単色UV-B LED光は、50nm以下、より好ましくは40nm以下、更により好ましくは30nm以下、最も好ましくは20nm以下の半値全幅(FWHM)のスペクトル帯域幅を有する。広域スペクトルの単一UV-B LEDを備えたそのような実施形態は、動物農場の生産施設での使用に好ましく、これは、UV-Bスペクトルの大部分が、UV-Bスペクトルの異なる波長間のパワー比を調整する必要がない、コスト効率の高いソリューションで使用されるためである。
【0024】
一実施形態では、発光ユニットは、275nm~290nmの間、より好ましくは278nm~288nmの間、最も好ましくは283nmの最大強度を有する単色UV-B光を放射するように構成された少なくとも第2のUV-B LEDを備える。更に、又は代替として、290nm~305nmの間、より好ましくは292nm~302nmの間、最も好ましくは297nmの最大強度を有する単色UV-B光を放出するように構成された少なくとも第1のUV-B LED。一実施形態では、単色UV-B LED光は、25nm以下、より好ましくは20nm以下、更により好ましくは15nm以下、最も好ましくは10nm以下の半値全幅(FWHM)スペクトル帯域幅を有する。特に、約283nmの短いUV-B波長LEDの場合、UV-C光の量を減らすために、15nm以下の狭いスペクトル帯域幅を持つことが好ましく、一方、より波長の高いUV-B LEDは、約15~20nmのより大きなスペクトル帯域幅を持つことができるという利点がある。人間が関与するソリューションには、283±5nmと297±5nmの2つの異なるUV-B波長を組み合わせたソリューションが推奨される、なぜなら、このような組み合わせソリューションでは、異なる波長のLEDチップのパワーを調整することで、UV-B範囲のスペクトルを調整できるからである。また、健康や殺菌など、用途に応じて異なるスペクトルが好まれてもよい。
【0025】
更に好ましい実施形態では、発光ユニットは、単色UV-C光を放射するように構成され、好ましくは215~240nmの範囲の波長を有する単色UV-C光を放射するように構成された少なくとも1つのUV-C LEDを備える。例えば、少なくとも第1のUV-C LEDは、228~238nm、好ましくは231~235nm、最も好ましくは233nmの最大強度を有する単色UV-C光を放射するように構成されている。更に、又は代替として、217~227nm、好ましくは220~224nm、最も好ましくは222nmの最大強度を有する単色UV-C光を放出するように構成された少なくとも第2のUV-C LED。
【0026】
加えて、または代わりに、255~265nmの間、好ましくは258~262nmの間、より好ましくは259~261nmの間、最も好ましくは260nmの最大強度を有する単色UV-C光を放射するように構成された少なくとも第3のUV-C LED。これら3つの中心波長は、個別に使用するか、2つ又は3つを組み合わせて使用すると、微生物の圧力を下げるのに非常に効果的であることが示されている。
【0027】
上でも述べたように、消毒の点で非常に効果的である230nm付近の無害なUV-C光、消毒効果もあるがND3生成も刺激する300nm付近のUV-B光のため、233±5nmのUV-C LED光と297±5nmのUV-B光の組み合わせが特に有利であることが判明した。
【0028】
一実施形態では、単色UV-C LED光は、25nm以下、より好ましくは20nm以下、更により好ましくは15nm以下、最も好ましくは10nm以下の半値全幅(FWHM)スペクトル帯域幅を有する。特に短波長UV-C LED、つまり222nmの場合、短波長UV-C光の量を減らすために、5nm以下の狭いスペクトル帯域幅を有することが好ましく、一方、より波長の高いUV-C LEDは、約10~15nmのより大きなスペクトル帯域幅を持つことができるという利点がある。
【0029】
LEDテクノロジーを使用すると、複数のLEDチップを共通の回路基板に追加でき、すなわち、特に1つまたは複数の可視光LEDチップを追加して、本開示の発光ユニットを建物内の人間に作業灯を提供するために使用できるようにすることができる。すなわち、さらなる実施形態では、本開示の発光ユニットは、好ましくは380nm~750nmの範囲の波長を有する多色可視光を放射するように構成された少なくとも1つの可視光LEDを備える。可視光の色温度は用途に応じて異なり、つまり、病院の場合、色温度は青色にシフトし、できれば約2700Kにする必要があり、一方、畜産施設の場合は、赤方偏移した可視光、できれば約4500Kが有利であることが判明している。従って、本明細書で開示される発光ユニットは、可視多色光の色温度が2500Kから5000Kの間、例えば約4500K、好ましくは約2700Kになるように構成することができる。
【0030】
ここに開示される発光ユニットは、1つ以上の選択された波長、例えば222nm、233nm及び/又は260nmにおける単色UV-C光の放射を除き、275nm未満、更には265nm未満の光を放射しないように構成され得る。
【0031】
ここに開示される発光ユニットは、1日あたり16時間未満の第1の所定の期間にわたって多色可視光を放射するように構成され、単色の非可視UV-B光及び/又はUV-C光を放射するように構成されてもよい。
【0032】
発明者は、例えば建物の部屋及び設備が233nm、283nm、及び/又は297nm、及びオプションとして、222nm、及び/又は260nmの波長で照明されると、室内の感染圧力が大幅に低減されることを認識した。これらの波長を組み合わせることで、例えばUV-C光だけを使用した場合よりもはるかに多くのウイルスや細菌を除去できる。エアロゾルに基づく病気に関連するすべての細菌やウイルスは、照明が当たった部屋で一晩で完全に減少し、照明が当たったすべての表面は無菌になる。
【0033】
最近、230±10nm、より好ましくは230±5nm、例えば233nmなどの230nm付近のUV-C光が、非常に高い殺菌効果及び皮膚耐性を有することが示された。テストは、中心波長が233nm、FWHMが約12nmのUV-C LED光源で実施された。殺菌効果は、血液寒天試験と、様々なMRSA株及び様々な土壌負荷の表皮ブドウ球菌を使用した細菌キャリア試験を使用して定性的に分析された。切除された人間の皮膚と再構成された人間の表皮に対する殺菌放射線量の適合性も分析された。細胞の生存率、DNA損傷、ラジカルの生成を、HED放電ランプからの典型的なUV-C放射線(222nm、254nm)及び臨床評価用のUV-B放射線と比較して評価した。土壌負荷が存在しない場合、40mJ/cm2の線量で、233nm UV-C光源は生存微生物を5log10レベルのlog10減少(LR)だけ減少させた。ムチン及びタンパク質を含む土壌負荷は、LR1.5~3.3まで影響を減少させました。人工の汗を表す塩水は、減少にわずかな効果しかなかった。皮膚モデルの生存率は低下せず、DNA損傷は、安全であると考えられる0.1UVB最小紅斑線量によって誘発される損傷をはるかに下回っていた。更に、誘発された損傷は24時間後に消失した。連続4日間の照射でもDNA損傷は誘発されなかった。ラジカル形成は、屋外の可視光による20分間の照射よりもはるかに低く、これは低ラジカル負荷として分類され、抗酸化防御システムによって補うことができる。これらのテストから、233nmなどの230nm付近のUV-C LEDは、危害を引き起こすリスクが非常に低く、人間や動物と組み合わせて使用できると結論付けることができ、つまりこのようなUV-C LEDは、敷地内の微生物の圧力を下げるための発光ユニットに使用でき、-人間や動物が敷地内に存在する場合でも、それらと組み合わせて使用でき、つまり、このようなUV-C LEDは24時間年中無休で点灯できる。
【0034】
部屋、例えば学校の教室やオフィスが使用されている場合、本発明の発光ユニットのスイッチを入れると微生物の圧力が大幅に減少し、人から人への感染伝播が大幅に最小限に抑えられる。エアロゾルや照明が当たった場所を介して人から人へ感染することはほぼ不可能である。
【0035】
日中は、現在開示されている発光ユニットは、233nm、283nm、及び/又は297nm(又は285nm)の波長で照明するためにのみ使用されるべきであり、一方、追加のUV-C光(例えば222nm及び/又は260nmを夜間に追加することもできる。通常は283nmと297nmの組み合わせで十分であるため、必ずしもUV-Cで照射する必要はない。
図14は、サルモネラ菌及び大腸菌の除去効率対細菌の除去効率対照射される光の波長を示すグラフである。
図14のグラフからわかるように、285nm未満の波長は非常に効率的であり、一方、290nmを超える波長は効率が低くなる。ただし、約275nm未満の波長は人体に有害であり、約233nmの波長は例外である。現在開示されている無害な目に見えないUV-B波長の組み合わせの驚くべき利点は、283nmの光がタンパク質を分解することであり、それはウイルスの保護面であり、297nmの光は薄い有機表面を透過するが、例えば222nmの光は透過しない。細菌とタンパク質が重なり合って、弱くて薄い有機表面を形成する。この283nmと297nmの組み合わせは、照射された人の血漿中のビタミンND3を増加させながら、人体に害を与えることなく細菌やウイルスを不活化する。血漿中のND3を増加させることにより、ヒトの免疫システムが大幅に向上し、病気の原因となるウイルスや細菌による感染が最小限に抑えられ、感染して病気になる可能性が大幅に減少する。従って、
図14では290nm以上の光、例えば297±5nmは、バクテリアの除去効率が低いことが示されるが、より低い波長のUV-B光と組み合わせると驚くほど効果的であることが示されている。
【0036】
UV-B波長283nmと297nmの実際の組み合わせでは、波長の絶対エネルギー/強度と相対エネルギー/強度も重要であり、そして、ここで開示される発光ユニットの好ましい実施形態では、これを変更することができる。例えば、子豚がいる畜産施設を照明する場合、283nmの4倍と297nmの8倍の比率でエネルギーを組み合わせる。病院のベッドの場合、例えば強力なコロナセクション上では、低波長光の相対量を、例えば297nm光の2倍と比較して283nmの10倍のエネルギーまで増加させる必要がある。
【0037】
ここで開示される発光ユニットは、1つ以上のUV-C LEDを含んでもよい。掃除の際、室内の微生物の圧力を非常に強く下げる場合、人体に有害な222nm及び/又は260nm光、特に260m、などのUV-C光をオンにすることができ、更に、微生物の圧力を下げるのにも非常に効果的である。UV-Cライトは単独で使用することも、UV-Bライトと組み合わせて使用することもできる。
【0038】
ここに開示される発光ユニットの好ましい実施形態では、すべてのLEDが共通の回路基板、好ましくは交換可能な回路基板に取り付けられており、保守又は故障の場合には回路基板のみを交換すればよい。
【0039】
ここで開示される発光ユニットは、好ましくは金属製で、好ましくは冷却フィンを有するハウジングを備えることができ、ハウジングは発光ユニットのすべてのLEDを収容する。
【0040】
UV
本開示において、UV-Aという用語は315~400nmの範囲を指し、UV-Bは280~315nmの範囲を指し、UV-Cは100~280nmの範囲を指す。遠紫外(FUV)という用語は、122~200nmの波長範囲を指す。
【0041】
本開示の様々な実施形態では、短波長、283nm例えば278~288nm又は285nm例えば283~290nmの短波長のUV-B LEDが使用される。このタイプは、UV-Bスペクトルの下限及びUV-Cスペクトルの上限のすぐ近くにあるにもかかわらず、本明細書ではUV-B光源と呼ばれる。その理由は、発明者が、そのようなタイプの光源を人間や動物と組み合わせて使用しても、特に、対応する発光ユニットからの光強度及び/又は線量を監視するための1つ又は複数のセンサと組み合わせて使用されても、害を及ぼすことなく使用できることに気づいたからである。
【0042】
紫外線は多くの反応を行うことができ、そのような反応の1つは、核酸を重合する反応における光子と核酸の間の相互作用を介した遺伝物質との反応であり、多くの場合、チミジン二量体などのピリミジン二量体を形成する。重合した塩基は複製や転写ができないため、細胞にとって有害である。紫外線はまた、アミノ酸を架橋することによってタンパク質と反応するため、タンパク質の機能を無効にする可能性がある。
【0043】
DNA 損傷は、生物のいくつかのメカニズムによって修復される。メカニズムの1つは、反応を担う酵素が350~500nmの範囲の光との反応で損傷したDNAを切断する光再活性化反応である。このようにして、可視光は損傷した細菌を修復することができる。細菌の光再活性化は、光と暴露時間に依存する。
【0044】
紫外線によるダメージだけでも、場合によっては無菌細菌が発生する可能性がある。細菌が病原性を持つためには、細菌自身が複製できなければならない。
【0045】
もう1つの修復メカニズムは、ダーク修復メカニズムである。暗闇の修復メカニズムでは、酵素は光エネルギーを使わずに損傷したDNAを修復できる。このような酵素は、例えば脱アミノ化されたシトシンを置換できるように、N-グリコシド結合を開裂できるN-グリコシラーゼ酵素である。生物は複数の方法でDNA損傷を修復できるため、細菌が光と反応しても再活性化しないような方法で生物に損傷を与えることが本開示の目的である。これは、例えばDNA損傷と酸化反応の組み合わせによるものである可能性がある。
【0046】
本開示により、動物舎内の微生物の圧力を低下させることによって、抗生物質及び他の薬剤の量の大幅な削減が達成され、それによって動物の健康が改善され、農家のコスト削減が達成されることが理解される。本開示によって実現されるさらなる利点は、特に豚及び子豚を飼育する農場に関連して、細菌及びウイルスが存在しないことである。(例えば、MRSAやSADS-CoVを大幅に除去できるため、動物と農場労働者の両方の健康と福祉が改善される。微生物の圧力の低下は、本開示の方法を用いた発光及び/又は液体消毒によって達成することができる。このような発光及び/又は消毒は、動物農場の生産施設内で行うことができる。
【0047】
ND3の形成を促進し、それによって動物の免疫系を強化することによって動物の健康を確保することに加えて、本明細書に開示される発光ユニットは、好ましくは、動物農場の生産施設内の微生物の圧力を低下させることによって動物の健康を増進するように更に構成されることが好ましい。従って、発光ユニットは、細菌やウイルスなどの微生物を不活性化する波長範囲の光を発光するように構成されていることが好ましい。
【0048】
これにより、抗生物質やその他の医薬品の量を大幅に削減でき、それによって動物の健康が改善され、農家のコスト削減が達成される可能性がある。本開示によって実現されるさらなる利点は、特に豚および子豚を飼育する農場に関連して、MRSA細菌だけでなく、例えばSADS-CoVなどのウイルス感染などの他のエアロゾル感染も大幅に除去できることであり、これにより、動物と農場労働者の両方の健康と福祉が改善される。微生物の圧力の低下は、本開示の方法を用いた消毒によって達成することができる。
【0049】
微生物の不活化は通常、UV-C波長範囲(253.7nm)の光を使用して行われる。しかし、これとは対照的に、本明細書で開示される発光ユニットは、一実施形態では、280nm未満または270nm未満の波長を有する光が放射されないように構成され、それによって人間および動物が有害なUV-C光線に曝露されないことが保証される。発光ユニットには、例えば、ランプから発せられる光から280nm未満または270nm未満の波長がフィルタリングされるシャープエッジフィルタガラスが設けられてもよい。これにより、UV-C波長がシャープエッジフィルタガラスを通過することが防止される。少なくとも280nmの波長をシャープエッジフィルタガラス活性化するために、放射される光は、標準的なUV HIDランプと比較して、UV-B領域において著しく高いエネルギーを有する。しかし、さらなる実施形態では、発光ユニットは、好ましくはLED光によって提供される、215~245nm、より好ましくは218~230nm、最も好ましくは217~227nm、例えば222nmを中心とする単色UV-C光を放射するように構成されてもよい。
【0050】
本開示の好ましい実施形態では、発光ユニットは、単一の標準ランプソケットまたは単一のプリント回路上に収容できるように適合される。従って、発光ユニットは、好ましくは、前記ソケットに受け入れられる単一のコネクタのみを有するように構成されてもよい。
【0051】
従って、本開示の特定の実施形態では、発光ユニットは、生きている動物の皮膚におけるND3の形成を促進し、動物舎内の微生物の圧力を低減し、最適化された作業光条件を提供するように構成され、同時に、単一の標準ランプソケットに受け入れられるように適合されているため、全体のコストとスペース要件が削減される。
【0052】
本開示の好ましい実施形態では、発光ユニットは、単一の標準ランプソケットに収容できるように適合されている。従って、発光ユニットは、好ましくは、前記ソケットに受け入れられる単一のコネクタのみを有するように構成されてもよい。
【0053】
したがって、本開示の特定の実施形態では、発光ユニットは、生きている動物の皮膚におけるND3の形成を促進し、動物舎内の細菌の圧力を低減し、最適化された作業光条件を提供するように構成されながらも、単一の標準的なランプソケットで受け入れることができるため、全体的なコストとスペース要件が削減される。
【0054】
LED-発光ダイオード
本開示で使用される光源は発光ダイオード(LED)であり、従って、本開示の発光ユニットの好ましい実施形態はLED技術に基づいている。LED及び/又は表面実装ダイオードやチップオンボードなどのLEDチップは、電流が半導体を流れるときに光を発する半導体光源である。好ましくは、単色LEDは、異なる半導体材料を選択することによって、単色LEDが近赤外から可視スペクトル、紫外範囲までの狭い帯域の波長で光を放出できるように構成することができる。これらの半導体のバンドギャップが大きいため、LED の動作電圧は波長が短くなるにつれて増加する。一般に、LEDは発光ダイオードを指し、LEDチップはLEDを含むチップを指すことがある。ただし、これら2つの用語は、本明細書では同じ意味で使用される。
【0055】
LEDからの光はレーザーからの光のようにコヒーレントな単色ではないが、このアプリケーションの文脈では、放出される波長範囲が広スペクトルの多色光源と比較して確かに単色であるため、個別の発光ダイオードは単色光源とみなされる。従って、発光ユニットは、LEDから放射される単色LED光スペクトルが、30nm未満、好ましくは20nm未満、より好ましくは15nm未満、更により好ましくは10nm未満、最も好ましくは約10nm、或いは更に約9、8、7、6若しくは5nm、或いはそれより小さい半値全幅(FWHM)スペクトル帯域幅を有するように構成されてもよい。
【0056】
283nmを中心とし、FWHM16nmのUV-B LEDは、275nm付近で約50%の強度を提供するが、268nm未満では発光率はわずかである。従って、LEDの主な利点は、非常に特殊で狭い波長範囲をターゲットにしながらも、特定のスペクトル帯域幅を備えているため、特定の機能特性を持ついくつかの波長をLEDから放射できることである。
【0057】
LEDチップを使用する利点の1つは、特にUV範囲において、電力を照明電力に変換する効率がはるかに高いことである。283±5nmで定格10.5ワット(つまり消費電力)のUV-B LEDチップは、3ワットを超えるUV-B光を提供でき、つまり、従来の高圧(HID)UVランプなどと比較して、電気から光へのエネルギー変換が非常に効率的である。
【0058】
ただし、現在、LED UV光源のコストは高圧UVランプよりも高くなっているが、高圧ランプのランニングコストは、電力消費量が高いため、LED技術よりもはるかに急速に増加すると考えられる。そして一般に、LEDテクノロジーはUV HIDテクノロジーよりもはるかに環境に優しい。特に、MOCVD(有機金属化学蒸着)に基づくLEDチップは、比較的高いワット数で、また200nm~750nmの望ましい波長範囲で放電する。テストの結果は、1頭の雌豚と10~15頭の子豚を有する豚舎を対象とした、4500Kの可視作業光を1日あたり16時間提供し、UVB及びUVC LEDがそれぞれ297nm、283nm、230nmで24時間発光する、現在開示されている発光ユニットの1つは、1日あたり僅か約0.3kWhの電力消費で動作でき、電力効率が非常に優れていることを示す。
【0059】
一実施形態では、本開示の発光ユニットは、275~305nmの範囲の波長、好ましくは297±5nmの最大強度を有する単色UV-B光を放射するように構成される。このようなUV-B光によって得られる利点は、細菌やウイルスの不活化が達成されることである。特に、297nm付近にピーク波長を持つLED光の場合、光は297nm付近の明確に定義された波長スペクトルで提供され、ND3の自然な生成の刺激が提供され、特に、光に297nm、302、及び303nm付近の1つ以上の波長の光が含まれる場合にそうである。同時に、約295~296nmの光で微生物を不活化することができ、特に、そのような光が有機材料の小さな層を透過できることが利点であり、微生物の不活化が非常に効率的である。ピーク波長が297±5nmで、波長スペクトルのFWHMが約15nmであるため、280nm未満の光は実質的に回避される。
図9は、ピーク波長が295nm、FWHMが約13~14nmのLEDの波長スペクトルの例を示す。FWHMが約10nmに減少すると、280nm未満の残りの光はわずかになり、それによって農場生産施設内の動物や人間が「日焼け」するのを避けることができ、一方、290nmと300nm付近にはまだいくらかの光があるということが
図9から分かる。UVB LED光源のさらなる利点は、可視光が放射されないことであり、これにより、そのような光源が動物の睡眠を妨げることなく24時間作動でき、しかし同時に、ND3刺激と微生物の不活化という点での利点も維持される。
【0060】
ここで開示される発光ユニットは、217~227nmの範囲の波長、好ましくは222±5nmの最大強度を有する単色UV-C光を放射するように構成することもできる。このようなUV-C光によって得られる利点は、ウイルス表面などのタンパク質が240nm未満の光を強く吸収するため、細菌やウイルスの不活化が非常に効率的に達成されることである。タンパク質の劣化に最適な間隔は220~240nmである。220~240nmの利点は、このようなUVC光が動物農場の生産施設内の動物や人間の角膜や皮膚を劣化させないことである。UV-Cライトがこのように使用できることは非常に驚くべきことであり、なぜなら、これまで知られているアプローチは、動物農場の生産施設内でのUV-C光を低減または排除することであったからである。しかし、LED技術を使用すると、動物や人間に害を与えることなく、動物農場の生産施設内の微生物の圧力を効率的に下げることができる、狭い範囲の光放射率を備えた適切な波長が特定された。特に、222nm及び/又は233nmのUVC光を含めることが有利であることが示されている。222/233nmではDNAが深刻な損傷を受ける可能性があるため、222/233nmの光は細菌を劣化させるのに非常に効果的であることが示されている。UVC(220~240nm)LED光源のさらなる利点は、可視光が放射されないため、このような光源は動物の睡眠を妨げることなく24時間アクティブにできることである。
【0061】
LEDテクノロジーを使用すると、可視光の色温度と強度を正確にカスタマイズして、人間の作業用照明条件を改善し、動物への影響を最小限に抑えることができる。この点に関して、光を赤方偏移させることが動物農場の生産施設において有利であることが判明した。すなわち、本開示の発光ユニットは、次のように構成されることができ、可視光の色温度は4500~6500Kの範囲、又は4000~6000Kの範囲、最も好ましくは主に644nmを中心とする波長スペクトルに対応する4500Kである。このような可視光LEDは、約1Wから1000W以上までのワット数で提供できる。そのため、用途や状況、特に、動物農場の生産施設の規模と発光ユニットの設置場所に応じて、可視光放射率を容易に選択することができる。
【0062】
可視光は単一のダイオードによって提供され得るが、必要に応じて更に多くのダイオードを提供することができる。単色UV-B光は、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのLEDによって提供できる。同様に、単色UV-C光は、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのLEDによって提供できる。
【0063】
すべてのLEDを選択して異なるワット数で組み合わせ、必要な光の強度に応じて選択できる。LEDは、約1ワットから約50ワットまで、例えば1W、3W、12W、48WLEDが入手可能である。上でも述べたように、白色光/可視光を提供するLEDは、更に高い出力設定でも使用できる。用途及び農場生産施設内の環境条件に従って、本明細書に開示される発光ユニットには、受動的冷却及び/又は能動的冷却が提供されてもよい。例えば、
図1~3に例示されるように、LED回路基板に隣接して取り付けられたペルチェ素子の形式でのアクティブ冷却、ハウジング上の冷却フィンの形式でのパッシブ冷却がある。
【0064】
すべてのLEDは、例えばCIE 62471に準拠したDILフィッティングによるDIL(デュアルインライン(dual in-line))セットアップで共通の回路基板に実装できる。発光ユニットは、LEDを備えた共通の回路基板が交換可能であるように構築されることが好ましい。従って、光源の交換が必要な場合、ユーザー又はサービス技術者は回路基板を交換するだけで済む。
【0065】
発光ユニットは、LEDから発せられる光を広げるための反射板を備えることができ、反射板は、例えば、共通の回路基板の上に取り付けることができる。発光ユニットは、動作中に光源が効率的に冷却されるように、冷却フィンを有する、好ましくは金属製のハウジングを更に備えることができる。
【0066】
ビタミンND3の欠乏に非常に敏感な動物のグループの1つは、血中に測定可能なレベルのND3がない状態で生まれてくるため、免疫系が弱くなっている新生子豚である。生まれたばかりの子豚は、母豚からの母乳を通じてND3を受け取ることに依存している。しかし、母乳中のND3の含有量は非常に低い。自然界では、野生の豚は夏に子豚を出産し、ND3の必要性は太陽からのUV-B放射によって完全にカバーされるため、これは問題にはならない。ND3の欠如は、飼いならされた子豚の感染症と戦う能力、ひいては従来の生産における子豚の死亡率に重要な役割を果たす。ND3の形成を促進するためのUV光の使用は、欧州特許出願公開第2558984号明細書に記載されている。
【0067】
動物におけるND3形成
免疫システムは、主に細菌、真菌、ウイルス、寄生虫などの外来生物に対する身体の防御である。体の免疫システムは何百万もの異なる白血球で構成されており、それぞれが特定の形態の外来細胞を認識できる。ウイルスなどの外来細胞が体内に侵入すると、白血球が攻撃して外来細胞を殺そうとする。従って、移植では、挿入される組織が患者自身の細胞に可能な限り似ていることが重要である。免疫システムには記憶があるため、次回同じ種類の細菌やウイルスにさらされたときに、その特定の細菌やウイルスに対する抗体が構築され、すぐにそれを根絶することができる。免疫系は、自然免疫系と適応免疫系に分けられる。
【0068】
適応免疫応答は永続的であり、抗原に依存する。ここで開示されるUV LED光の組み合わせは、適応免疫応答を大幅に強化する。
【0069】
一般に人間のビタミンND3レベルは低すぎるため、死亡率が高くなる。従って、血漿中のND3を増加させるUV照明と、食品、特に乳製品に含まれる天然ビタミンND3を多く含むことが重要である。例えば、ビタミンND3は、新生児だけでなく、子供や若者の発育にとっても非常に重要な要素である。ビタミンND3欠乏は、呼吸器感染症、喘息、骨粗鬆症、その他の二次疾患を引き起こす可能性がある。研究では、乳児が推奨用量のビタミンND3を摂取すれば、1型糖尿病の症例の30%以上と喘息を予防できることも示されている。また、ND3が免疫系を強化して乳がん、前立腺がん、結腸がんのリスクを軽減し、一般に心血管疾患や骨粗鬆症などの生活習慣病のリスクを軽減することも示唆されている。
【0070】
従って、本発明の更なる目的は、生まれたばかりの子豚などの動物の皮膚におけるND3形成を促進するのに適した発光ユニットを提供することである。ここに開示される発光ユニットは、動物の皮膚におけるビタミンND3の形成を確実にする方法として機能する。
【0071】
プレビタミンD3生成に対する7-デヒドロコレステロールの最も効果的な照射は、297nm UV-B光によるものである。ケラチノサイトをプレビタミンD3に変換するのに最も効果的な波長は302nmのUV-B光である。更に、状況によっては285nm未満で二次最大値が見られる。
【0072】
好ましくは、発光ユニットは、UV-B範囲の一部である280~305nmの範囲の波長を含む光を放射するように構成される。この範囲は、子豚におけるND3の自然な形成を刺激するのに最も効率的であることが判明している。発光ユニットが、295nm、より好ましくは297nmの波長を有する光に対して高い強度を有することが更に好ましい。297nmの波長の高強度の光は、動物の皮膚におけるND3の形成に特に適していることが示されている。
【0073】
子豚などの動物に照明を当てると、動物の皮膚でND3がより効果的に形成される。これにより、動物がより健康になり、動物集団内の死亡率が減少する。これらの健康改善のもう1つの望ましい効果は、ブリーダーが抗生物質の使用を減らすことができることであり、これは多剤耐性菌の発生を避けるための重要なステップとなる。ND3の生成の促進によるもう1つのプラスの効果は、動物飼料中のリンとカルシウムの吸収が向上することであり、飼料の生産に対して環境にプラスの効果をもたらす。体内にND3含有量が高い家畜は、より高レベルのND3含有量の牛乳や肉を生産し、人間の食事によるビタミンD3吸収を改善する。
【0074】
照明システム
本開示は更に、教室、病棟、事務室、集会場、動物農場の生産施設など、人間や動物を収容する部屋において、1)微生物の圧力を低下させ、及び/又は、2)天然ビタミンD3の生成を刺激する、及び/又は、3)作業ライトを提供する、システム、例えばモジュール式照明システムなどの照明システムに関し、前記システムは、
-本明細書に開示されている発光ユニットのうちの少なくとも1つ、及び
-発光ユニットの選択された波長範囲、すなわち、本明細書に開示される選択された波長範囲において、露光時間及び/又は総光放射率などの露光強度を管理及び/又は制御するのに適合した制御システム
を備える。
【0075】
ここに開示される発光ユニットは、例えば複数の異なるLEDを用いて複数の波長範囲の光を放射するのに適しているため、制御システムは、例えば放出される光の強度を調整する電力調整の観点から、また、分、時間、日、週、月、年などあたりの露光時間の観点から、各LEDを個別に制御するように適合されてもよい。
【0076】
照明システムは、発光ユニットからの露光量を測定するように構成された少なくとも1つの光センサを備えることができ、可視光とUV-B及び/又はUV-C光の両方を測定できるセンサ、又は、個別の波長範囲には個別のセンサであってよい。センサは、対応する発光ユニットの近くに配置する、例えば、そのハウジングに組み込まれてもよい。追加的又は代替的に、同じ部屋に配置される、例えば、壁に取り付けられるように構成され、発光ユニットからの光でセンサを照らすことができる。システムは、露光センサが覆われている場合、又は何らかの故障が発生した場合に、少なくともUV-B LED及び/又はUV-C LEDをオフにするように構成できる。
【0077】
LEDは通常、時間の経過とともに劣化し、同じ電力でも発光強度が時間の経過とともにゆっくりと低下し、通常は5000時間、更には10,000時間で30%低下する。発光ユニットからの光強度を測定することによって、それが制御パラメータである発光強度であることを保証することができる。従って、照明システムは、発光ユニットからの露光の測定に基づいて、発光ユニットの選択された波長範囲において所定の露光強度の放射率を維持するように構成されてもよい。この点に関して、発光ユニットは、LEDが新品時にはフルパワーに調整されるが、効率のゆっくりとした低下に対応してゆっくりと増加するように構成することができる。これにより、個々のLEDの寿命を大幅に延ばすことができる。使用されるLEDは、標準寿命が5000時間で、寿命全体で放射率が30%減衰するように指定できる。長期間にわたって電力を増加させることによって、この減衰を補償することができ、LEDチップの寿命を延ばすことができる。
【0078】
ここでも説明するように、制御パラメータは、様々なUV-B及び/又はUV-C LED波長の互いに対する相対強度とすることもできる。
【0079】
照明システムは、発光システムを含む対応する部屋など、人間及び/又は動物が発光ユニットの近くに存在しない場合にのみ発光ユニットがUV-C光を放射するように有利に構成されてもよい。例えば、UV-C光は人間や動物に有害な可能性があるため、人間が室内にいない場合にのみ発光ユニットがUV-C光を放射するように構成される。これはさまざまな手段で提供できる。
【0080】
照明システムは、発光ユニットが一日のうち選択された期間のみに、例えば22時から5時までなど、例えば夜間など部屋のクローズ時間のみに、UV-C光を放射するように構成することができる。特定の部屋又は建物のクローズ時刻は、制御システムがそれに応じて発光ユニットを制御できるように、ユーザー/管理者が定義できる。
【0081】
照明システムは、部屋及び/又は建物内の活動を検出するための少なくとも1つのモーションセンサを備え、及び/又はそれに接触していてもよい。これは、人がいるときに発光ユニットから有害な光が放射されないようにするもう1つの方法である。
【0082】
システムの一部であるか、単にシステムに接触しているセンサは、無線接続または必要に応じて有線でシステムに接続できる。
【0083】
一実施形態では、本開示の発光ユニット及び/又はシステムは、可視光が1日あたり限定された所定の期間、例えば、1日あたり8時間から16時間の間、発光されるように構成され、一方、非可視光、特にUVB及び/又はUVCは1日24時間放射され、これらの非可視光源には微生物の不活化及び/又は動物におけるNDSの刺激という機能的特性があるためである。これにより、例えば夜間、動物の睡眠を妨げることなく、機能的な光源を最大限に活用することができる。
【0084】
一実施形態では、本開示の発光ユニット及び/又はシステムは、1つ、複数、又は全てのUV LEDの光強度を増加させるように構成される。これは、特に、対応する部屋の人間または動物の「日焼け」を避けるために設けることができる。光強度の傾斜は通常、初期出力設定、段階的な増加、各出力設定での継続時間、及び最大出力設定によって定義される。通常、ランプは数時間にわたって定義され、場合によっては丸1日又は数日にわたって定義される。
【0085】
ここで開示される発光ユニット及び/又はシステムは更に、例えば、スマートフォンや他の表示デバイスなどからリモートで、どの光源/波長スペクトルがアクティブであるか、また場合によっては対応する強度/パワーも制御できるように構成されてもよい。場合によっては、様々な光LEDのタイミングをリモートで制御できる可能性がある。光源/波長スペクトルの個別制御は、特にLEDのオプションである。従って、本明細書で開示される発光ユニット及び/又はシステムは、1日あたり20、18、16、12、又は8時間未満など、1日当たりの第1の所定の期間、広帯域可視光を放射するように構成されてもよく、少なくとも20時間、又は22時間、更には24時間など、1日あたり2番目の事前定義された期間、単色の非可視LED光の放射が行われるように構成される。従って、好ましくは、第2の所定の期間は、第1の所定の期間よりも長い。
【0086】
ここで開示される発光ユニット及び/又はシステムは、センサからの入力などに基づいて、少なくとも第2のUV-B LEDと少なくとも第1のUV-B LEDとの間の発光率の比を制御するように更に構成されてもよく、これにより、297±5nmの光の総光放射率に対する283±5nmの光の総光放射率の比を選択できるようにする。
【0087】
例
以下では、好ましい実施形態及び添付の図面を参照して本開示を説明する。
【0088】
例1-ガラスビーズに接種した黄色ブドウ球菌に対するUV LED照射の消毒効率
この実験の目的は、様々な接触時間における黄色ブドウ球菌(S.aureus)に対するUV LED照射の消毒効率をテストすることであった。無菌ペトリプレート内で、黄色ブドウ球菌を無菌ガラスビーズ上に接種し、異なる接触時間でUV照射に曝露した。
図13は、この実施例で使用されるペトリ皿内のガラスビーズの図であり、ガラスビーズは直径約6~8mmである。
【0089】
本開示のUV LED発光ユニットの異なる実施形態が、異なる実験で使用された。各実験において、1つのUV LED発光ユニットを、黄色ブドウ球菌を接種したガラスビーズを含むペトリ皿の上76cmに水平に取り付けた。UV照射の異なる接触時間で、黄色ブドウ球菌を接種したペトリプレートを取り出し、暗所に置いた。同様に、黄色ブドウ球菌を接種したガラスビーズを含む2つのペトリプレートを暗所に(UV照射から離れて)保管し、後で時間ゼロにおいて細菌を数えるために使用した。
【0090】
UV照射の終了後(24時間)、マンニトール塩寒天(MSA)中での平板計数法を使用して、各ペトリプレートからの黄色ブドウ球菌を数えた。37℃で24時間インキュベートした後、MSAプレートで観察されたコロニーの数を使用して、様々な時間のUV照射による黄色ブドウ球菌の除去を計算した。
【0091】
以下の表1~3は、UV LED照射中のさまざまな時間におけるガラスビーズ上の黄色ブドウ球菌細菌の除去率を示す。これは
図15~17にも示されている。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
「285+295nm」は、どちらも約15nmのFWHM有り、8時間あたりの加重線量32.5J/m
2の285nm(2.5mW)と295nm(4mW)の異なるUV-B LEDを使用しており、表1の時間と同様に5.7は1時間に対応し、11.3は2時間に対応し、以下同様の、対数スケール対線量(J/m
2)のバーで細菌の量を示す
図15Aも参照されたい。細菌の除去率はバーの上の数字で示される。
図15Bは
図15Aに対応するが、ログ除去を示している。
【0096】
「280+297nm」は、どちらも約15nmのFWHM有り、8時間あたりの加重線量32.1J/m
2の280nm(2.5mW)と297nm(4mW)の異なるUV-B LEDを使用しており、表2の時間と同様に、対数スケール対時間のバーで細菌の量を示す
図16Aも参照されたい。細菌の除去率はバーの上の数字で示される。
図16Bは
図16Aに対応するが、ログ除去を示している。
【0097】
「285nm」は、約40nmのFHWM有りで、8時間あたりの加重線量31.9J/m
2の285nm(2.5mW)UV-B LEDを1個使用し、13.2は2時間に対応し、39.7は2時間に対応し、158.7は24時間に対応する、対数スケール対線量(J/m
2)のバーで細菌の量を示す
図17Aを参照されたい。細菌の除去率はバーの上の数字で示される。
図17Bは
図17Aに対応するが、ログ除去を示している。
【0098】
これらの実験では、IEC及びSED規格に従った加重値も計算されており、以下の表4に示されている。
【0099】
【0100】
表1~4及び
図15~17からわかるように、2つのUV-B LEDを組み合わせたソリューションは、細菌を殺すのに非常に効率的である。単一波長でより広域スペクトルの285nm UV-B LEDは、よりコスト効率の高いソリューションであり、消毒にも適しているが、組み合わせたソリューションと比較すると効率が劣る。
【0101】
例2
図3A~Cは、LED技術に基づく本開示の発光ユニットの一実施形態を示す。発光ユニット10は、筐体の上部内に電源11を収容する金属製の長方形の筐体と、農場生産施設の天井付近にある電源タップと接続できるコネクタ12と、透明カバー14と、LED光源16、17をよりよく冷却できるようにハウジングの表面積を増加させる複数の冷却フィン13と、を備える。
図3Aは、発光ユニット10の斜視図を示す。
図3Bは、発光ユニット10が電源タップ20と電気的に係合し、電源タップ20から吊り下げられている状態の底面斜視図を示しており、光の放射率が農場生産施設の床上の動物に向かって低下するようになっている。
図3Cは、発光ユニット10の底面図を示しており、プリント回路基板15が11個のLEDチップを収容しているのが見られ、中央のLED15は昼白色光を提供し、残りの10個の単色LEDチップ17は様々な波長を提供する。
図3Cに見られるように、共通のプリント回路基板は発光ユニット10の底部から直接アクセス可能であり、したがって4つのネジ18によって容易に交換することができる。
【0102】
例3
図1A~Dおよび2A~Bは、LED技術に基づく本開示の発光ユニットの一実施形態を示し、
図1A及び1Bは側面図を示し、
図1Cは上面図を示し、
図1Dは上面/側面の斜視図を示す。
図2Aは、LEDチップを収容する共通の回路基板15の少なくとも一部が示される底面斜視図を示す。
図2Bは、発光ユニットの切開斜視図を示す。
図1及び
図2の発光ユニットは、ハウジングの上部内に電源を収容する金属製の円形ハウジングと、天井要素に取り付けるための取付要素とを備える。取付要素は、天井要素に取り付けた後に発光ユニットを傾けることができる方法で円形ハウジングに取り付けられる。
図2にあるように、LED光源をよりよく冷却できるように、ハウジングの表面積を増やすために複数の冷却フィンが設けられている。
図3Cに見られるように、共通のプリント回路基板は発光ユニット10の底部から直接アクセス可能であり、従って4つのネジ18によって容易に交換することができる。LEDチップからの光は通常、約±60度の円錐角で放射されるため、円形ハウジングは有利である可能性がある。
【0103】
例4
図5A~Dは、本開示の発光ユニットで使用するための、特に豚小屋などの動物農場の生産施設での使用に適した、一般的なプリント回路基板上のUV-B及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示す。
【0104】
図5Aは、回路基板の中央に配置された単一のUV-B LED 295nmチップを示す。
図5Bは、単一のUV-B LED 285nmチップが回路基板上の中央に配置されていることを示す。このようなセットアップは、例えば子豚の巣やミンクの巣などの、主に動物の巣用の黒色発光ユニットをターゲットにしており、子豚の巣やミンクの巣では、UV-B光がND3の自然な形成を促進するが、可視光を放射する必要はない。動物の巣では、発光ユニットは通常、動物の非常に近くに配置されるため、単一のLEDチップで十分な場合がある。
【0105】
図5C及び5Bは、中央に配置された2700Kの色の多色白色光LEDチップと
図5Cでは295nmの単色光及び
図5Dでは285nmの光を提供する4つのUV-B LEDチップの組み合わせを示す。単一の白色光LEDチップは、農場の生産施設で人間に可視の作業光を提供するのに十分であるが、発光ユニットが施設内の天井付近にある場合、十分な光強度を提供するには、4つのUV-B LEDチップを使用するのに適している。
【0106】
図12に例示されているように、豚を照明し、豚舎内の微生物の圧力を下げるために、UV-Bスペクトル全体をカバーして利用するため、
図5A~Dに示す単一UV-B波長のセットアップは、好ましくは、広スペクトルLEDチップ、つまり約30nmのFWHM、として提供されてもよい。
【0107】
例5
図6A~Fは、本開示の発光ユニットで使用するための共通のプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示しており、特に病院、学校、病院などの人間の施設での使用に適している。
【0108】
図6Aのセットアップは、色温度2700Kの単一の白色光LEDチップと、2つの283nmのLEDチップと2つの297nmのLEDチップを提供する。このようなUV-Bチップは通常、それぞれ283±5nm及び297±5nmと指定されており、中心波長には多少の変動が生じるかもしれない。典型的なFWHMは、約10~15nmである。
図6Aのセットアップは、病院、学校などの人間の施設での使用に特に適している、なぜならば、UV-Bスペクトルの大部分が、例えばND3の生成と微生物の圧力の低下に使用されるためである。283nmと297nmを組み合わせる利点は、例えば発光ユニットの一部及び/又は照明システムの一部として、及び、例えば
図11に例示されているように病棟の壁に設置されて、ボード上で使用されるさまざまなLEDチップの相対数によって、又はチップに供給される電力を制御することによって、場合によっては光センサと組み合わせて、283nmと297nmの光の比率を調整できることである。
【0109】
図6Dは、
図6Aのセットアップに対応するが、
図6Aには白色光源がなく、つまり、283nmLEDチップ2つと297nmLEDチップ2つである。
図6Dのセットアップの利点は、
図6Aのセットアップと同じであるが、作業灯を提供するための
図6Dのセットアップを使用する可能性はありません。
図6Dのセットアップは、微生物の圧力を継続的に低下させ、ND3の生成を刺激するために、病院、学校、動物農場の生産施設などで常時点灯の発光ユニットとして使用できるが、人間や動物の目には見えず、つまり、夜間には動物は邪魔されずに眠ることができる。
【0110】
図6Bは、
図6Aのセットアップに対応し、微生物の圧力を更に下げることができる260nm UV-C LEDチップが2つ付属している。しかし、このようなUV-C LEDチップからの260nmの光は人間や動物にとって有害であるため、人間や動物が存在しない場合にのみ使用する必要がある。
【0111】
図6Cは、
図6Bのセットアップに対応し、更に、微生物の圧力を更に下げることができる222nm UV-C LEDチップが2つ付属している。このようなUV-C LEDチップからの222nmの光は実際に人間と組み合わせて使用することができるが、場合によっては、そのようなUV-C光によってもたらされる線量を監視できる1つ以上のセンサと組み合わせて使用する必要がある。
【0112】
図6Eのセットアップにおいて、2つの233nm UV-C LEDチップと2つの297nm UV-B LEDチップを提供している。このようなLEDチップは通常、それぞれ233±5nm及び297±5nmとして仕様化されており、つまり、中心波長には多少の変動が生じるかもしれない。典型的なFWHMは、約10~15nmである。
図6Eのセットアップは、病院、学校などの人間の施設での使用に特に適しており、これは297±5nm UV-B光はND3の生成に適しており、部分的には微生物の圧力を下げるのにも適しており、一方、233±5nm UV-Cは、人間や動物に害を与えることなく微生物の圧力を下げるのに非常に効率的であるためである。233nmと297nmを組み合わせる利点は、例えば発光ユニットの一部及び/又は照明システムの一部として、及び、例えば
図11に例示されているように病棟の壁に設置されて、ボード上で使用されるさまざまなLEDチップの相対数によって、又はチップに供給される電力を制御することによって、場合によっては光センサと組み合わせて、233nmと297nmの光の比率を調整できることである。
図6Eのセットアップは、微生物の圧力を継続的に低下させ、ND3の生成を刺激するために、病院、学校などで常時点灯の発光ユニットとして使用できるが、人間の目には見えず、つまり、夜間には患者は邪魔されずに眠ることができる。
【0113】
図6Fのセットアップは、
図6Eのセットアップに対応し、色温度2700Kの白色LEDが追加され、作業灯としても使用できる。
【0114】
例えばパンデミックに発展する可能性のある豚インフルエンザなど、農場生産施設全体における人獣共通感染症を制限することが主な目的である場合、本発光ユニットは、24時間照明用の少なくとも1つのUVB LEDチップ、少なくとも1つのUVC LEDチップ、及び例えば16時間照明用の約2700ケルビンの作業光を提供する少なくとも1つの可視光LEDを備えるように構成される。LEDの数とそのワット数は、農場生産施設の特定の条件に従って選択される。
【0115】
発光ユニットの位置がよりローカルつまり豚小屋などであれば、波長とパワー構成は、動物の大きさ、年齢、例えば子豚、離乳豚、屠殺豚などの種類/品種に応じて選択する必要がある。豚舎では、可視光を必要とする時間が1日あたり短縮される可能性があり、一方、UVB及びUVC光は、プラスの効果を最大化するために24時間照明にとって依然として重要である。ただし、特に、動物が若い場合、及び/又は発光ユニットが動物の近くに配置されている場合、LEDチップの数やワット数が減少されてもよい。
【0116】
例6
図7A~Eは、一般的なプリント回路基板上のUV-B、UV-C、及び白色光LEDチップの様々な組み合わせを示す。LEDチップは、例えば3ワットのチップ、80ワットのチップ、又はその間のものにすることができる。
【0117】
図7Aでは、
図5Cの回路基板には、農場生産施設内の微生物の圧力を更に下げるために405nmの単色光を提供する6つのLEDチップが付属している。
【0118】
図7Bでは、
図5Cの回路基板には、農場生産施設内の微生物の圧力を更に下げるために230nmの単色UV-C光を提供する4つのLEDチップが付属している。
【0119】
図7Cでは、
図7Aの回路基板には、農場生産施設内の微生物の圧力を更に下げるために230nmの単色UV-C光を提供する4つのLEDチップが付属している。
図7Cのセットアップは、可視作業光用に1個のチップ、4個のUV-Cチップ、4個のUV-Bチップ、及びダークバイオレットに相当する405nmの光を提供する6個のLEDチップの、最大15個のLEDチップを収容できる。
【0120】
図7Dは、単一の白色光LED、単一の295nmLEDチップ、及び4つの405nmLEDチップを提供する。
図7Eでは、滅菌能力を高めるために、405nmのLEDチップが230nmのUV-C LEDチップに置き換えられている(
図7Dと比較して)。
【0121】
全ての設定でUV-B LEDチップが1つだけの
図7は、例えば、UV-B光の主な目的が動物の自然なND3の生成を刺激することである場合、より少ないUV-B強度が必要である可能性があり、一方、農場生産施設内の微生物の圧力を最大限に低減するには、UV-C及び紫色の光源からの高強度が必要である。
【0122】
例7
図5Eは、回路基板の中央に配置された単一のUV-C LED233nmチップを示す。このようなセットアップは主に、例えば病院、学校などの、実質的にクリーンな環境での消毒用途をターゲットとしている。230nm付近の光は人体に使用しても危害を及ぼす危険性はほとんどなく、つまり、可視光を発することなく微生物の圧力を24時間365日下げることができる。230nm付近の光は原則として動物農場の生産施設でも使用でき、なぜなら、そこでも消毒機能が適用でき、光が動物に害を及ぼさないからである。ただし、動物農場の生産施設に存在する塵や微粒子は233nmの光を吸収する可能性があり、特に動物の皮膚に存在すると、UV-C光の消毒能力が大幅に低下する。
【0123】
図5Fは、中央に配置された2700Kの色を有する多色白色光LEDチップと、233nmの単色光を提供する4つのUV-C LEDチップとの組み合わせを示す。白色光LEDチップ1つで、人間に目に見える作業光を提供するのに十分であり、発光ユニットが敷地内の天井近くに配置されている場合は、消毒に十分な光強度を提供するために4つのUV-C LEDチップを搭載するのが適している。
【0124】
アイテム
1.1)微生物の圧力を低下させ、2)天然ビタミンD3の生成を刺激するための発光ユニットであって、
-単色UV-B光を放射するように構成された少なくとも1つのUV-B発光ダイオード(LED)
を備えることを特徴とする発光ユニット。
【0125】
2.280~290nmの間、より好ましくは283~287nmの間、最も好ましくは285nmの最大強度を有する単色UV-B光を発するように構成された少なくとも第2のUV-B LEDを備えることを特徴とするアイテム1に記載の発光ユニット。
【0126】
3.前記単色UV-B LED光は、50nm以下、より好ましくは40nm以下、更により好ましくは30nm以下、最も好ましくは20nm以下の半値全幅(FWHM)スペクトル帯域幅を有することを特徴とするアイテム2に記載の発光ユニット。
【0127】
4.前記単色UV-B LED光は、少なくとも30nm、より好ましくは少なくとも35nm、最も好ましくは少なくとも40nmの半値全幅(FWHM)スペクトル帯域幅を有することを特徴とするアイテム2に記載の発光ユニット。
【0128】
5.前記発光ユニットは、
278~288nmの間、より好ましくは281~285nmの間、最も好ましくは283nmの最大強度を有する単色UV-B光を発するように構成された少なくとも第2のUV-B LED
を備えることを特徴とするアイテム1に記載の発光ユニット。
【0129】
6.前記発光ユニットは、
292~302nmの間、より好ましくは295~299nmの間、最も好ましくは297nmの最大強度を有する単色UV-B光を放射するように構成された少なくとも第1のUV-B LED
を備えることを特徴とする前記アイテムのうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0130】
7.前記単色UV-B LED光は、30nm以下、より好ましくは20nm以下、更により好ましくは15nm以下、最も好ましくは10nm以下、更に8nm以下の半値全幅(FWHM)スペクトル帯域幅を有することを特徴とする前記アイテム5~6のうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0131】
8.少なくとも前記第2のUV-B LEDと少なくとも前記第1のUV-B LEDとの間の発光率の比を制御するように構成されることを特徴とする前記アイテム5~7のうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0132】
9.少なくとも前記第2のUV-B LEDと少なくとも前記第1のUV-B LEDとの間の発光率の比は1を超え、好ましくは2を超え、より好ましくは2.5を超え、最も好ましくは約3又は3を超えることを特徴とする前記アイテム5~8のうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0133】
10.少なくとも前記第2のUV-B LEDと少なくとも前記第1のUV-B LEDとの間の発光率の比は1未満、好ましくは0.75未満、最も好ましくは0.5未満であることを特徴とする前記アイテム5~8のうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0134】
11.前記発光ユニットは、
単色UV-C光を放射するように構成された少なくとも1つのUV-C LED
を備えることを特徴とする前記アイテムのうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0135】
12.前記発光ユニットは、前記少なくとも1つのUV-C LEDは、215~240nmの範囲の波長を有する単色UV-C光を放射するように構成されていることを特徴とするアイテム11に記載の発光ユニット。
【0136】
13.前記発光ユニットは、
228~238nmの間、好ましくは231~235nmの間、最も好ましくは233nmの最大強度を有する単色UV-C光を放射するように構成された少なくとも第1のUV-C LED。
を備えることを特徴とする前記アイテム11~12のうちいずれかに記載の発光ユニット。
【0137】
14.前記発光ユニットは、
217~227nm、好ましくは220~224nm、最も好ましくは222nmの最大強度を有する単色UV-C光を放出するように構成された少なくとも第2のUV-C LED
を備えることを特徴とする前記アイテム11~13のうちいずれかに記載の発光ユニット。
【0138】
15.前記発光ユニットは、
255~265nmの間、好ましくは258~262nmの間、最も好ましくは260nmの最大強度を有する単色UV-C光を放射するように構成された少なくとも第3のUV-C LED
を備えることを特徴とする前記アイテム11~14のうちいずれかに記載の発光ユニット。
【0139】
16.前記単色UV-C LED光は、20nm以下、より好ましくは15nm以下、更により好ましくは10nm以下、最も好ましくは8nm以下、更には5nm以下の半値全幅(FWHM)スペクトル帯域幅を有することを特徴とする前記アイテム11~15のうちいずれかに記載の発光ユニット。
【0140】
17.前記発光ユニットは、少なくとも1つのUV-B LED及び少なくとも1つのUV-C LEDを含み、前記少なくとも1つのUV-B LEDと前記少なくとも1つのUV-C LEDとの間の光放射率の比を制御するように構成されることを特徴とする前記アイテム11~16のうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0141】
18.好ましくは380nm~750nmの範囲の波長を有する、多色可視光を放射するように構成された少なくとも1つの可視光LEDを備えることを特徴とする前記アイテムのうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0142】
19.215~240nmの範囲の単色UV-C光の放射を除き、270nm未満の光を放射しないように構成されていることを特徴とする前記アイテムのうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0143】
20.前記可視多色光の色温度が2500Kと5000Kの間、例えば約4500K、好ましくは約2700Kになるように構成されることを特徴とする前記アイテム18~19のうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0144】
21.1日あたり16時間未満の第1の所定の期間、前記多色可視光の放射が行われるように構成され、1日あたり少なくとも22時間の第2の事前定義された期間、前記単色の非可視UV-B光及びUV-C光の放射が行われるように構成されることを特徴とする前記アイテム18~20のうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0145】
22.全てのLEDは共通の交換可能な回路基板に取り付けられていることを特徴とする前記アイテムのうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0146】
23.前記発光ユニットからの露光量を測定するための少なくとも1つの光センサを備えることを特徴とする前記アイテムのうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0147】
24.前記発光ユニットの近くにおける、例えば人や動物の動きなどの活動を検出するための少なくとも1つのモーションセンサを備えることを特徴とする前記アイテムのうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0148】
25.発光ユニットの近くで活動が検出された場合、UV-B LED及び/又はUV-C LEDをオフにするように構成されていることを特徴とする前記アイテムのうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0149】
26.好ましくは金属製であり、好ましくは冷却フィンを有するハウジングを備え、前記ハウジングは前記発光ユニットの全てのLEDを収容することを特徴とする前記アイテムのうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0150】
27.多色可視光を提供するための少なくとも48Wのワット数を有する単一のLED、及び、前記UV-B光のそれぞれ、オプションとして前記UV-C光を提供するための、1W、3W、12W、48、又は100Wのワット数を有する1つ又は複数のLEDを備えることを特徴とする前記アイテム18~26のうちいずれか1つに記載の発光ユニット。
【0151】
28.教室、病棟、オフィススペース、集会場などの人間が住む部屋の中で、又は動物農場の生産施設において、1)作業用の光を提供する、2)微生物の圧力を下げる、及び/又は3)天然ビタミンD3の生成を刺激するためのシステムであって、
前記アイテム1~3のいずれかに記載の発光ユニットのうちの少なくとも1つ、及び
前記発光ユニットの選択された波長範囲における、
露光時間及び/又は
露光強度
を管理するのに適した制御システム、
を備えることを特徴とするシステム。
【0152】
29.前記発光ユニットからの露光量を測定するための少なくとも1つの光センサを備えることを特徴とする前記アイテム28に記載のシステム。
【0153】
30.前記部屋の内の活動を検出するための少なくとも1つのモーションセンサを備えることを特徴とする前記アイテム28~29のうちいずれかに記載のシステム。
【0154】
31.前記発光ユニットからの前記露光量の測定に基づいて、前記発光ユニットの選択された波長範囲において所定の露光強度の放射率を維持することを特徴とする前記アイテム28~30のうちいずれかに記載のシステム。
【0155】
32.例えば現地時間の22時から5時までなど、夜間などの前記部屋のクローズ時間において、前記発光ユニットは日中の選択された期間のみUV-C光を放射するように構成されることを特徴とする前記アイテム28~31のうちいずれかに記載のシステム。
【0156】
33.前記発光ユニットは、前記発光システムを含む対応する部屋など、前記発光ユニットの近くに人間及び/又は動物が存在しない場合にのみUV-C光を放射するように構成されることを特徴とする前記アイテム28~32のうちいずれかに記載のシステム。
【0157】
34.少なくとも第1のUV-B LEDと少なくとも第2のUV-B LEDとの間で、センサからの入力などに基づいて、発光率の比率を制御し、297±5nmの光の総光放射率に対する283±5nmの光の総光放射率の比率を選択できるようにするように構成されることを特徴とする前記アイテム28~33のうちいずれかに記載のシステム。
【0158】
35.少なくとも第1のUV-B LEDと少なくとも第1のUV-C LEDの間で、センサからの入力などに基づいて、発光率の比率を制御し、233±5nmの光の総光放射率に対する297±5nmの光の総光放射率の比率を選択できるように構成されることを特徴とする前記アイテム28~34のうちいずれかに記載のシステム。
【国際調査報告】