(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】人工皮革及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
D06N 3/04 20060101AFI20240702BHJP
D06N 3/14 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
D06N3/04
D06N3/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580353
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 CN2021131505
(87)【国際公開番号】W WO2023279625
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202110774241.1
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110774079.3
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110774192.1
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110774564.0
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110774653.5
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110774656.9
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110774739.8
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316010399
【氏名又は名称】上海海▲優▼威新材料股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shanghai HIUV New Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】RM. 909A, Tower A, Bldg. 1, No. 3000, Longdong Ave., Zhangjiang Hi-Tech Park, Pilot Free Trade Zone, Pudong Dist., Shanghai, China
(71)【出願人】
【識別番号】523485766
【氏名又は名称】シャンハイ エイチアイユーヴィー アプライド マテリアルズ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HIUV APLLIED MATERIALS TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 29, Shande Road, Shanyang Town, Jinshan Dist., Shanghai, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ ミン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ユン
【テーマコード(参考)】
4F055
【Fターム(参考)】
4F055AA01
4F055BA13
4F055EA04
4F055EA05
4F055EA11
4F055EA22
4F055EA24
4F055EA26
4F055EA31
4F055FA05
4F055FA06
4F055FA15
4F055GA26
4F055GA32
4F055HA15
4F055HA18
(57)【要約】
本願は、人工皮革及びその製造方法に関する。当該人工皮革は、ベース層、ポリオレフィンエラストマー複合層及びポリウレタン樹脂溶液層を含み、ポリオレフィンエラストマー複合層は、前記ベース層の表面に設けられ、前記ポリオレフィンエラストマー複合層は、少なくとも一層の発泡層及び少なくとも一層の改質層を含み、ポリウレタン樹脂溶液層は、前記ポリオレフィンエラストマー複合層における前記ベース層から離れる表面に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース層と、
前記ベース層の表面に設けられるポリオレフィンエラストマー複合層であって、少なくとも一層の発泡層及び少なくとも一層の改質層を含み、放射線によって架橋されているポリオレフィンエラストマー複合層と、
前記ポリオレフィンエラストマー複合層における前記ベース層から離れる表面に設けられるポリウレタン樹脂溶液層と、
を含む、人工皮革。
【請求項2】
前記発泡層の架橋度は、15%~90%である、
請求項1に記載の人工皮革。
【請求項3】
前記発泡層の原料成分は、
第1ポリオレフィンエラストマー 100質量部と、
発泡剤 1質量部~15質量部と、
第1ゴムエラストマー 0質量部~100質量部、好ましくは50質量部~100質量部と、
発泡促進剤 0質量部~1重量0部、好ましくは2質量部~10質量部と、
第1助剤及び第1フィラーと、
を含み、
第1助剤は、0.05質量部~20質量部の第1架橋助剤を含む、
請求項1又は2に記載の人工皮革。
【請求項4】
前記改質層の原料成分は、
第2ポリオレフィンエラストマー 100質量部と、
第2ゴムエラストマー 0質量部~100質量部、好ましくは50質量部~100質量部と、
第1粘着付与樹脂 0質量部~10質量部、好ましくは6質量部~10質量部と、
を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の人工皮革。
【請求項5】
前記第1ポリオレフィンエラストマー及び前記第2ポリオレフィンエラストマーは、融点が96℃以下であり、
前記第1ポリオレフィンエラストマー及び前記第2ポリオレフィンエラストマーは、ショアA硬度が91以下である、
請求項3又は4に記載の人工皮革。
【請求項6】
前記第1ポリオレフィンエラストマー及び前記第2ポリオレフィンエラストマーは、ポリエチレン、エチレンとα-オレフィンコポリマー、ポリプロピレン、プロピレンとα-オレフィンコポリマーから選択される少なくとも1種類である、
請求項3又は4に記載の人工皮革。
【請求項7】
前記第1ゴムエラストマー及び前記第2ゴムエラストマーは、いずれも、天然ゴム、二元エチレンプロピレンゴム、三元エチレンプロピレンゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、シス-1,4-ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、水素化スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、水素化スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーから選択される少なくとも1種類である、
請求項3又は4に記載の人工皮革。
【請求項8】
前記ポリウレタン樹脂溶液層は、溶剤型、水性又は無溶剤型のポリウレタンコーティング層である、
請求項1に記載の人工皮革。
【請求項9】
前記ポリウレタンコーティング層の原料成分は、
ポリウレタン樹脂溶液 100質量部と、
有機シリコーン 1質量部~10質量部と、
第2架橋助剤 0.2質量部~2.2質量部と、
第2助剤と、
を含み、
第2助剤は、鎖延長剤、増粘剤、成膜剤、スリップ剤、湿潤剤又はこれらの組み合わせを含む、
請求項8に記載の人工皮革。
【請求項10】
前記ポリウレタン樹脂溶液は、原料としてポリイソシアネート及びポリオールを用いて重合反応を行って得られるものであり、
前記ポリオールは、末端基がヒドロキシル基であるポリオール、ポリオールポリオキシアルキルエーテル、ポリオールエステルのうちの少なくとも1種類を含み、且つ前記ポリオールの末端基におけるヒドロキシル基に連結される炭素数は、6個以上である、
請求項9に記載の人工皮革。
【請求項11】
前記有機シリコーンの末端基は、エポキシ基、アルケニル基又はアクリレート基のいずれかである、
請求項9に記載の人工皮革。
【請求項12】
前記第2架橋助剤は、第2架橋助剤及び架橋促進剤を含み、
選択的に、前記第2架橋助剤は、複数の官能度を有する化合物であり、前記架橋促進剤は、有機スズ系及び金属酸化物のうちの少なくとも1種類を含む、
請求項9に記載の人工皮革。
【請求項13】
前記第2架橋助剤は、ジアリルアミン、ジアリルスルフィド、N,N-メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレートから選択される少なくとも1種類である、
請求項12に記載の人工皮革。
【請求項14】
前記ベース層は、布地又は用紙である、
請求項1に記載の人工皮革。
【請求項15】
前記布地は、起毛布、平布、ポリエステル繊維、ナイロン布、マイクロファイバーベース、弾性布、及び不織布から選択される少なくとも1種類である、
請求項14に記載の人工皮革。
【請求項16】
前記人工皮革の総厚さは、0.21mm~13.1mmであり、
前記ベース層の厚さは、0.1mm~6.0mmであり、
前記ポリオレフィンエラストマー複合層の厚さは、0.1mm~7.0mmであり、
前記ポリウレタン樹脂溶液層の厚さは、0.01mm~0.10mmである、
請求項1に記載の人工皮革。
【請求項17】
前記ポリオレフィンエラストマー複合層と前記ベース層との間に設けられ、放射線によって架橋されているポリオレフィンエラストマー接着層をさらに含む、
請求項1に記載の人工皮革。
【請求項18】
前記ポリオレフィンエラストマー接着層の架橋度は、1%~90%である、
請求項17に記載の人工皮革。
【請求項19】
前記ポリオレフィンエラストマー接着層の原料成分は、
第3ポリオレフィンエラストマー 0質量部~100質量部、好ましくは60質量部~100質量部と、
グラフト改質ポリオレフィンエラストマー 0質量部~100質量部、好ましくは10質量部~100質量部と、
第2粘着付与樹脂 0.5質量部~40質量部と、
第3架橋助剤 1質量部~10質量部と、
第2フィラーと、
を含み、
前記第3ポリオレフィンエラストマーと前記グラフト改質ポリオレフィンエラストマーとの質量部数の合計は、100質量部である、
請求項17に記載の人工皮革。
【請求項20】
前記グラフト改質ポリオレフィンエラストマーのグラフト基は、(メタ)アクリル酸塩から選択される、
請求項19に記載の人工皮革。
【請求項21】
前記(メタ)アクリル酸塩は、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸リチウム、及び(メタ)アクリル酸亜鉛から選択される少なくとも1種類である、
請求項20に記載の人工皮革。
【請求項22】
前記グラフト改質ポリオレフィンエラストマーのグラフト基は、アクリル酸、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、及び(メタ)アクリル酸モノマーから選択される少なくとも1種類である、
請求項19又は20に記載の人工皮革。
【請求項23】
前記第1粘着付与樹脂及び前記第2粘着付与樹脂は、いずれも、ロジン及びその誘導体、テルペン樹脂、重合樹脂、ジシクロペンタジエン、及び縮合樹脂のうちの少なくとも1種類を含む、
請求項4又は19に記載の人工皮革。
【請求項24】
前記第1粘着付与樹脂及び前記第2粘着付与樹脂の軟化点は、120℃以下である、
請求項23に記載の人工皮革。
【請求項25】
前記人工皮革の架橋度は、20%~90%である、
請求項1に記載の人工皮革。
【請求項26】
ベース層の表面に、少なくとも一層の発泡層及び少なくとも一層の改質層を含むポリオレフィンエラストマー複合層を設けることと、
前記ポリオレフィンエラストマー複合層における前記ベース層から離れる表面にポリウレタン樹脂溶液層を設け、エンボス及び放射線による架橋処理を経て、人工皮革を得ることと、
を含む、人工皮革の製造方法。
【請求項27】
前記ベース層の表面にポリオレフィンエラストマー複合層を設けることは、
ベース層を供給することと、
発泡層の原料成分及び改質層の原料成分をそれぞれ混合した後、共押出により発泡膜及び改質層を形成することと、
発泡膜及び改質層を前記ベース層の表面に被覆することと、
前記ベース層の表面の発泡膜を発泡処理して、前記ベース層の表面にポリオレフィンエラストマー複合層を形成することと、
を含む、請求項26に記載の人工皮革の製造方法。
【請求項28】
前記ベース層の表面にポリオレフィンエラストマー複合層を設けることは、
前記ベース層の表面にポリオレフィンエラストマー接着層を設けることと、
前記ポリオレフィンエラストマー接着層における前記ベース層から離れる表面にポリオレフィンエラストマー複合層を設けることと、
を含む、請求項26に記載の人工皮革の製造方法。
【請求項29】
前記放射線による架橋は、α線、β線、γ線、X線又は中性子線により行われる、
請求項26乃至28のいずれか一項に記載の人工皮革の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年7月8日に提出された「放射線により架橋された高剥離性のポリオレフィンエラストマーの人工皮革」という発明の名称の中国特許出願202110774241.1の優先権を主張し、この出願の全ての内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、2021年7月8日に提出された「ゴム成分含有の低臭気のポリオレフィンの人工皮革」という発明の名称の中国特許出願202110774079.3の優先権を主張し、この出願の全ての内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本願は、2021年7月8日に提出された「放射線により架橋された超柔軟な泡ポリオレフィンエラストマーの人工皮革」という発明の名称の中国特許出願202110774192.1の優先権を主張し、この出願の全ての内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0004】
本願は、2021年7月8日に提出された「高界面接着力の多層構造皮革」という発明の名称の中国特許出願202110774564.0の優先権を主張し、この出願の全ての内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0005】
本願は、2021年7月8日に提出された「細かいテクスチャに適する環境に優しい皮革」という発明の名称の中国特許出願202110774653.5の優先権を主張し、この出願の全ての内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0006】
本願は、2021年7月8日に提出された「落書き防止ポリウレタンコーティング層」という発明の名称の中国特許出願202110774656.9の優先権を主張し、この出願の全ての内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0007】
本願は、2021年7月8日に提出された「落書き防止レザーペーパー」という発明の名称の中国特許出願202110774739.8の優先権を主張し、この出願の全ての内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0008】
本願は、材料の技術分野に関し、具体的には、人工皮革及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0009】
人々の生活水準の向上に伴い、人々は生活用品にますます高い品質要求を提出している。皮革は、生活用品として、近年市場の需要量がますます大きくなるとともに、顧客の様々な要求(環境にやさしい性能、内在する物理的強度の要求、耐久性の要求、耐溶剤性の要求などを含む)もますます高くなっている。本革は、製造過程において大量の汚染が発生するとともに、生産コストが高く、耐久性が相対的に悪く、表面の物性が相対的に低く、メンテナンスが困難であるなどの先天性不足があり、人々の高品質の潜在ニーズを満足できない。合成皮革は、発展開始から今まで、その相対的に優れた性能、相対的に低いコストなどの利点から、靴、鞄、ソファー、衣類などの分野の製造に多く使用されている。合成皮革産業は、軽工業界の柱産業となっている。
【0010】
現在、合成皮革全体の構造は、ポリウレタン(PU)又はポリ塩化ビニル(PVC)を主体とする基層に構築され、生産過程において有機溶剤や可塑剤が大量に使用され、例えばジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、酢酸エチル、o-ベンゼン系可塑剤などが大量に使用され、これらの材料は人体や環境に対して極大な危害性を有する。
【0011】
開示された技術内容から分かるように、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)を基材構造の合成皮革として使用することができる。当該合成皮革は、良好な反発性、柔軟性、耐久性などの性能を有し、環境に優しく、プロセスが簡単で、コストが低いなどの利点があるが、高臭気の原因でその使用の範囲が制限されている。
【発明の概要】
【0012】
本願は、人工皮革を提供し、当該人工皮革は、臭気が低く、風合いが柔らかく、反発性が良く、コストがより低い。
【0013】
第1態様によれば、本願は、人工皮革を提供し、前記人工皮革は、
ベース層と、
前記ベース層の表面に設けられるポリオレフィンエラストマー複合層であって、少なくとも一層の発泡層及び少なくとも一層の改質層を含み、放射線によって架橋されているポリオレフィンエラストマー複合層と、
前記ポリオレフィンエラストマー複合層における前記ベース層から離れる表面に設けられるポリウレタン層と、を含む。
【0014】
本願の実施態様において、人工皮革のベース層には、放射線によって架橋されているポリオレフィンエラストマー複合層が設けられており、当該ポリオレフィンエラストマー複合層は、臭気がなく、優れた耐老化性能及び加工性能を有し、これにより、本願の人工皮革は、臭気が低く、耐老化性能に優れ、加工されやすい。また、当該ポリオレフィンエラストマー複合層には、少なくとも一層の発泡層及び少なくとも一層の改質層が含まれており、発泡層は、人工皮革の風合いを柔らかくし、反発性に優れ、その生産コストを低下させることができ、改質層は、一方では、発泡層を保護することができ、他方では、人工皮革の性能、例えば、耐老化性能、耐紫外線黄変性、耐摩耗性などを改善することができ、さらに本願の人工皮革は上記の優れた性能を有する。また、ポリウレタン層は、ポリオレフィンエラストマー複合層の表面に設けられ、ポリオレフィンエラストマー複合層を加飾及び保護する役割を果たすことができる。
【0015】
本願のいくつかの実施態様において、前記発泡層の架橋度は、15%~90%である。
【0016】
本願のいくつかの実施態様において、前記発泡層の原料成分は、
第1ポリオレフィンエラストマー 100質量部と、
発泡剤 1質量部~15質量部と、
第1ゴムエラストマー 0質量部~100質量部、好ましくは50質量部~100質量部と、
発泡促進剤 0質量部~10質量部、好ましくは2質量部~10質量部と、
第1助剤及び第1フィラーと、を含み、
第1助剤は、0.05質量部~20質量部の第1架橋助剤を含む。
【0017】
本願のいくつかの実施態様において、前記改質層の原料成分は、
第2ポリオレフィンエラストマー 100部と、
第2ゴムエラストマー 0質量部~100質量部、好ましくは50質量部~100質量部と、
第1粘着付与樹脂 0質量部~10質量部、好ましくは6質量部~10質量部と、を含む。
【0018】
本願のいくつかの実施態様において、前記第1ポリオレフィンエラストマー及び前記第2ポリオレフィンエラストマーは、融点が96℃以下であり、
前記第1ポリオレフィンエラストマー及び前記第2ポリオレフィンエラストマーは、ショアA硬度が91以下である。
【0019】
本願のいくつかの実施態様において、前記第1ポリオレフィンエラストマー及び前記第2ポリオレフィンエラストマーは、ポリエチレン、エチレンとα-オレフィンコポリマー、ポリプロピレン、プロピレンとα-オレフィンコポリマーから選択される少なくとも1種類である。
【0020】
本願のいくつかの実施態様において、前記第1ゴムエラストマー及び前記第2ゴムエラストマーは、いずれも、天然ゴム、二元エチレンプロピレンゴム、三元エチレンプロピレンゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、シス-1,4-ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、水素化スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、水素化スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーから選択される少なくとも1種類である。
【0021】
本願のいくつかの実施態様において、前記ポリウレタン層は、溶剤型、水性又は無溶剤型のポリウレタンコーティング層である。
【0022】
本願のいくつかの実施態様において、前記ポリウレタンコーティング層の原料成分は、
ポリウレタン樹脂溶液 100質量部と、
有機シリコーン 1質量部~10質量部と、
第2架橋助剤 0.2質量部~2.2質量部と、
第2助剤と、を含み、
第2助剤は、鎖延長剤、増粘剤、成膜剤、スリップ剤、湿潤剤又はこれらの組み合わせを含む。
【0023】
本願のいくつかの実施態様において、ポリウレタン樹脂溶液は、原料としてポリイソシアネート及びポリオールを用いて重合反応を行って得られるものであり、前記ポリオールは、末端基がヒドロキシル基であるポリオール、ポリオールポリオキシアルキルエーテル、ポリオールエステルのうちの少なくとも1種類を含み、且つ前記ポリオールの末端基におけるヒドロキシル基に連結される炭素数は、6個以上である。
【0024】
本願のいくつかの実施態様において、前記有機シリコーンの末端基は、エポキシ基、アルケニル基又はアクリレート基のいずれかである。
【0025】
本願のいくつかの実施態様において、前記第2架橋助剤は、第2架橋助剤及び架橋促進剤を含み、選択的に、前記第2架橋助剤は、複数の官能度を含有する化合物であり、前記架橋促進剤は、有機スズ系及び金属酸化物のうちの少なくとも1種類を含む。
【0026】
本願のいくつかの実施態様において、前記第2架橋助剤は、ジアリルアミン、ジアリルスルフィド、N,N-メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレートから選択される少なくとも1種類である。
【0027】
本願のいくつかの実施態様において、前記ベース層は、布地又は用紙である。
【0028】
本願のいくつかの実施態様において、前記布地は、起毛布、平布、ポリエステル繊維、ナイロン布、マイクロファイバーベース、弾性布、及び不織布から選択される少なくとも1種類である。
【0029】
本願のいくつかの実施態様において、前記人工皮革の総厚さは、0.21mm~13.1mmであり、
前記ベース層の厚さは、0.1mm~6.0mmであり、
前記ポリオレフィンエラストマー複合層の厚さは、0.1mm~7.0mmであり、
前記ポリウレタン層の厚さは、0.01mm~0.10mmである。
【0030】
本願のいくつかの実施態様において、前記ポリオレフィンエラストマー複合層と前記ベース層との間に設けられ、放射線によって架橋されているポリオレフィンエラストマー接着層をさらに含む。
【0031】
本願のいくつかの実施態様において、前記ポリオレフィンエラストマー接着層の架橋度は、1%~90%である。
【0032】
本願のいくつかの実施態様において、前記ポリオレフィンエラストマー接着層の原料成分は、
第3ポリオレフィンエラストマー 0質量部~100質量部、好ましくは60質量部~100質量部と、
グラフト改質ポリオレフィンエラストマー 0質量部~100質量部、好ましくは10質量部~100質量部と、
第2粘着付与樹脂 0.5質量部~40質量部と、
第3架橋助剤 1質量部~10質量部と、
第2フィラーと、を含み、
前記第3ポリオレフィンエラストマーと前記グラフト改質ポリオレフィンエラストマーとの質量部数の合計は、100質量部である。
【0033】
本願のいくつかの実施態様において、前記グラフト改質ポリオレフィンエラストマーのグラフト基は、(メタ)アクリル酸塩から選択される。
【0034】
本願のいくつかの実施態様において、前記(メタ)アクリル酸塩は、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸リチウム及び(メタ)アクリル酸亜鉛から選択される少なくとも1種類である。
【0035】
本願のいくつかの実施態様において、前記グラフト改質ポリオレフィンエラストマーのグラフト基は、アクリル酸、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸モノマーから選択される少なくとも1種類である。
【0036】
本願のいくつかの実施態様において、前記第1粘着付与樹脂及び前記第2粘着付与樹脂は、いずれも、ロジン及びその誘導体、テルペン樹脂、重合樹脂、ジシクロペンタジエン、及び縮合樹脂のうちの少なくとも1種類を含む。
【0037】
本願のいくつかの実施態様において、前記第1粘着付与樹脂及び前記第2粘着付与樹脂の軟化点は、120℃以下(≦120℃)である。
【0038】
本願のいくつかの実施態様において、前記人工皮革の架橋度は、20%~90%である。
【0039】
第2態様によれば、本願は、人工皮革の製造方法を提供し、前記人工皮革の製造方法は、
ベース層の表面に、少なくとも一層の発泡層及び少なくとも一層の改質層を含むポリオレフィンエラストマー複合層を設けることと、
前記ポリオレフィンエラストマー複合層における前記ベース層から離れる表面にポリウレタン層を設け、エンボス及び放射線による架橋処理を経て、前記人工皮革を得ることと、を含む。
【0040】
本願の実施態様において、製造プロセスが簡単で、コストが低い。また、当該製造方法において放射線による架橋処理を用いることにより、得られた人工皮革は、より優れた耐熱性能、耐老化性能及び耐溶剤性能を有する。
【0041】
本願のいくつかの実施態様において、前記ベース層の表面にポリオレフィンエラストマー複合層を設けることは、
ベース層を供給することと、
発泡層の原料成分及び改質層の原料成分をそれぞれ混合した後、共押出により発泡膜及び改質層を形成することと、
発泡膜及び改質層をそれぞれ前記ベース層の表面に被覆することと、
前記ベース層の表面の発泡膜を発泡処理して、前記ベース層の表面にポリオレフィンエラストマー複合層を形成することと、を含む。
【0042】
本願のいくつかの実施態様において、前記ベース層の表面にポリオレフィンエラストマー複合層を設けることは、
前記ベース層の表面にポリオレフィンエラストマー接着層を設けることと、
前記ポリオレフィンエラストマー接着層における前記ベース層から離れる表面にポリオレフィンエラストマー複合層を設けることと、を含む。
【0043】
本願のいくつかの実施態様において、前記放射線による架橋は、α線、β線、γ線、X線又は中性子線によって行われる。
【0044】
本発明の実施態様又は従来技術における実施態様をより明確に説明するために、以下、実施態様又は従来技術の説明において使用される必要がある図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施態様であり、当業者にとって、創造的な労力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本願のいくつかの実施態様の人工皮革の構造模式図である。
【
図2】本願のいくつかの他の実施態様の人工皮革の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本明細書における各実施態様又は実施形態は、漸進的手段を用いて説明されている。各実施態様は、他の実施態様との相違点を重点的に説明し、各実施態様の間の同一、類似部分は互いに参照すればよい。
【0047】
本明細書の説明において、参考用語「一つの実施形態」、「いくつかの実施形態」、「概略的な実施形態」、「例示的」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などの説明は、実施形態又は例示的に説明された具体的な特徴、構造、材料又は特徴が本発明の少なくとも1種類の実施形態又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の概略的な表現は、必ずしも同一の実施形態又は例を意味するとは限られない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特徴は、任意の1つ又は複数の実施形態又は例において適切な形態で結合されてもよい。
【0048】
また、用語「第1」、「第2」は、単に目的を説明するためのものであり、相対的な重要性を指示又は暗示するもの、又は指示された技術的特徴の数を暗黙的に示すものとして理解されてはいけない。よって、「第1」、「第2」の特徴は、明示的又は暗黙的に少なくとも1種類の当該特徴を含んでもよい。本願の説明において、「複数」は、特に明記しない限り、少なくとも2つ、例えば、2つ、3つなどである。
【0049】
図1に示すように、本願は、ベース層10、ポリオレフィンエラストマー複合層20及びポリウレタン層30を含む人工皮革を提供し、ここで、ポリオレフィンエラストマー複合層20は、ベース層10の表面に設けられ、当該ポリオレフィンエラストマー複合層20は、少なくとも一層の発泡層21及び少なくとも一層の改質層22を含み、当該ポリオレフィン弾性複合層20は放射線によって架橋されている。ポリウレタン層30は、ポリオレフィンエラストマー複合層20におけるベース層10から離れる表面に設けられている。
【0050】
本願の実施態様において、人工皮革のベース層10には、放射線によって架橋されているポリオレフィンエラストマー複合層20が設けられ、当該ポリオレフィンエラストマー複合層20は、臭気がなく、優れた耐老化性能及び加工性能を有し、これにより、本願の人工皮革は、臭気が低く、耐老化性能に優れ、加工されやすい。また、当該ポリオレフィンエラストマー複合層20には、少なくとも一層の発泡層21及び少なくとも一層の改質層22が含まれており、発泡層21は、人工皮革の風合いを柔らかくし、反発性が良好であり、その生産コストを低下させることができ、改質層22は、一方では、発泡層21を保護することができ、他方では、人工皮革の性能、例えば、耐老化性能、耐紫外線黄変性、耐摩耗性などを改善することができ、さらに本願の人工皮革は上記の優れた性能を有する。また、ポリウレタン層30は、ポリオレフィンエラストマー複合層20の表面に設けられ、ポリオレフィンエラストマー複合層を加飾及び保護する役割を果たすことができる。
【0051】
上記のように、発泡層21は、人工皮革の柔軟性及び反発性を向上させることができ、発泡層21の架橋度及び発泡倍率は、人工皮革の柔軟性及び反発性改善に密接に関連している。そのため、本願のいくつかの実施態様において、発泡層21の架橋度は、15%~90%の範囲内に設定され、発泡倍率は、1.2倍~10倍に設定されている。
【0052】
例示的には、発泡層21の架橋度は、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%であってもよいが、これらに限定されない。
【0053】
上記実施態様における架橋度の発泡層を得るために、輻射の補助方式により架橋された発泡層を得ることができる。また、放射線量によって発泡層の架橋度を調整してもよい。本願のいくつかの実施態様において、放射線による架橋は、α線、β線、γ線、X線又は中性子線によって行われ、放射線量は、5KGy~200KGyであり、好ましくは、放射線量は、10KGy~100KGyである。
【0054】
例示的には、発泡層21の発泡倍率は、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4.0倍、4.1倍、4.2倍、4.3倍、4.4倍、4.5倍、4.6倍、4.7倍、4.8倍、4.9倍、5.0倍、5.1倍、5.2倍、5.3倍、5.4倍、5.5倍、5.6倍、5.7倍、5.8倍、5.9倍、6.0倍、6.1倍、6.2倍、6.3倍、6.4倍、6.5倍、6.6倍、6.7倍、6.8倍、6.9倍、7.0倍、7.1倍、7.2倍、7.3倍、7.4倍、7.5倍、7.6倍、7.7倍、7.8倍、7.9倍、8.0倍、8.1倍、8.2倍、8.3倍、8.4倍、8.5倍、8.6倍、8.7倍、8.8倍、8.9倍、9.0倍、9.1倍、9.2倍、9.3倍、9.4倍、9.5倍、9.6倍、9.7倍、9.8倍、9.9倍、10.0倍であってもよいが、これらに限定されない。
【0055】
上記実施態様における発泡層を得るために、本願のいくつかの実施態様において、発泡層21の原料成分は、
第1ポリオレフィンエラストマー 100質量部と、
発泡剤 1質量部~15質量部と、
第1ゴムエラストマー 0質量部~100質量部、好ましくは50質量部~100質量部と、
発泡促進剤 0質量部~10質量部、好ましくは2質量部~10質量部と、
第1助剤及び第1フィラーと、を含み、
第1助剤は、0.05質量部~20質量部の第1架橋助剤を含む。
【0056】
ここで、上記第1ポリオレフィンエラストマーは、融点が96℃以下であり、ショアA硬度が91以下であり、第1ポリオレフィンエラストマーが上記融点及びショアA硬度の範囲内にあると、鮮明なテクスチャの形成に有利である。
【0057】
本願のいくつかの実施形態において、第1ポリオレフィンエラストマーは、オレフィンをモノマーとするコポリマー及び/又はホモポリマーから選択される。具体的な例として、第1ポリオレフィンエラストマーは、ポリエチレン、エチレンとα-オレフィンとのコポリマー、ポリプロピレン、プロピレンとα-オレフィンとのコポリマーから選択される少なくとも1種類であってもよい。
【0058】
本願の実施態様において、発泡剤は、特に限定されず、物理発泡剤、化学発泡剤、マイクロスフェアー発泡剤であってもよい。
【0059】
例示的に、物理発泡剤は、窒素(N2)、二酸化炭素(CO2)、ペンタン、ヘキサン、トリクロロトリフルオロエタンを含むが、これらに限定されない。
【0060】
例示的に、化学発泡剤は、アゾジカルボンアミド(AC)、アゾビスイソブチロニトリル、N,N-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、4,4-オキシジベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、p-トルエンスルホニルヒドラジド(p-Toluenesulfonyl hydrazide)を含むが、これらに限定されない。
【0061】
本願のいくつかの実施態様において、発泡剤は、ADC発泡剤、OBSH発泡剤、炭酸水素塩発泡剤から選択される少なくとも1種類であってもよい。
【0062】
本願のいくつかの実施態様において、第1ゴムエラストマーは、不飽和結合を含む有機物化合物、例えば二重結合のオレフィンであり、これにより、適切な架橋度の発泡層21及びポリオレフィンエラストマー複合層20を得ることができる。例示的に、第1ゴムエラストマーは、天然ゴム(NR)、二元エチレンプロピレンゴム(EPM)、三元エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(SIS)、シス-1,4-ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、水素化スチレンブタジエンブロックコポリマー(SEBS)、水素化スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、水素化スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーから選択される少なくとも1種類である。
【0063】
本願のいくつかの実施態様において、発泡促進剤は、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛及び炭酸亜鉛から選択される少なくとも1種類であってもよい。
【0064】
本願に係る実施態様において、第1助剤及び第1フィラーの成分及び部数は、具体的に限定されず、いずれも当業者に周知の通常成分及び添加量である。
【0065】
本願のいくつかの実施態様において、第1助剤は、架橋助剤、酸化防止剤、着色剤又はそれらの組み合わせから選ばれてもよい。上記各助剤は、その所望の機能を達成できる適宜の量、例えば0.1部~20部で添加される。
【0066】
架橋助剤は、発泡層21の架橋度を改善することができ、その添加量は、実際の状況に応じて調整することができる。本願のいくつかの実施態様において、100質量部の第1ポリオレフィンエラストマーを基に、第1助剤は、20部以下の添加量の第1架橋助剤を含む。
【0067】
さらに、第1架橋助剤は、ジアリルアミン、ジアリルスルフィド、N,N-ジメチル-ビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレートから選択される少なくとも1種類であってもよい。
【0068】
本願のいくつかの実施態様において、発泡層21における第1フィラーの原料成分は、炭酸カルシウム、石灰石、ホワイトカーボン、タルクから選択される少なくとも1種類であってもよい。第1フィラーを添加することにより、ポリオレフィンエラストマー複合層20の力学的特性を向上させることができる。例えば、第1フィラーの添加量は、100質量部の第1ポリオレフィンエラストマーを基に、0部~30部、好ましくは0.1部~5部である。
【0069】
本願に係る実施態様において、ポリオレフィンエラストマー複合層20における改質層22は、良好な接着性、反発性、耐摩耗性、柔軟性などの性能を有する改質層である。
【0070】
本願のいくつかの実施態様において、改質層22の原料成分は、
第2ポリオレフィンエラストマー 100部と、
第2ゴムエラストマー 0質量部~100質量部、好ましくは50質量部~100質量部と、
第1粘着付与樹脂 0質量部~10質量部、好ましくは6質量部~10質量部と、を含む。
【0071】
ここで、第2ポリオレフィンエラストマーは、融点が96℃以下であり、第2ポリオレフィンエラストマーは、ショアA硬度が91以下であり、第2ポリオレフィンエラストマーが上記融点及びショアA硬度の範囲内にあると、鮮明なテクスチャの形成に有利である。
【0072】
本願のいくつかの実施形態において、第2ポリオレフィンエラストマーは、オレフィンをモノマーとするコポリマー及び/又はホモポリマーから選択される。
【0073】
例示的に、第2ポリオレフィンエラストマーは、ポリエチレン、エチレンとα-オレフィンとのコポリマー、ポリプロピレン、プロピレンとα-オレフィンとのコポリマーから選択される少なくとも1種類であってもよい。
【0074】
本願のいくつかの実施態様において、第2ゴムエラストマーは、不飽和結合を含む有機物化合物、例えば二重結合のオレフィンであり、これにより、適切な架橋度のポリオレフィンエラストマー複合層20を得ることができる。
【0075】
例示的に、第2ゴムエラストマーは、天然ゴム(NR)、二元エチレンプロピレンゴム(EPM)、三元エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(SIS)、シス-1,4-ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、水素化スチレンブタジエンブロックコポリマー(SEBS)、水素化スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、水素化スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーから選択される少なくとも1種類である。
【0076】
本願に係る実施態様において、第1粘着付与樹脂は、層と層との間の粘着性を強化するために用いられ、第1粘着付与樹脂の添加量は、実際の状況に応じて調整することができる。
【0077】
本願のいくつかの実施態様において、第1粘着付与樹脂は、ロジン及びその誘導体、テルペン樹脂、重合樹脂、ジシクロペンタジエン、及び縮合樹脂のうちの少なくとも1種類を含む。
【0078】
例示的に、ロジンは、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンであり、ロジン誘導体は、樹脂酸塩、樹脂酸エステル、ロジンアミン、ロジン酸無水物、ロジンアルコール、水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、エステル化ロジン、マレイン酸化ロジンであり、テルペン樹脂は、α-テルペン樹脂、β-テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂であり、重合樹脂は、C5石油樹脂、C9石油樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂のうちの少なくとも1種類であってもよく、縮合樹脂は、アルキルフェノール樹脂及びキシレン樹脂の少なくとも1種類であってもよい。
【0079】
本願のいくつかの実施態様において、第1粘着付与樹脂の軟化点は、120℃以下である。
【0080】
本願に係る実施態様において、ポリウレタン層30は、加飾として機能するだけでなく、保護作用も果たして、人工皮革の表面での汚れの残留を減少することができるか、又は、人工皮革の表面をより清潔にすることができる。
【0081】
本願のいくつかの実施態様において、ポリウレタン層30は、ポリオレフィンエラストマー複合層20をさらに保護するために、改質層21の表面に貼り合わされる。
【0082】
本願のいくつかの実施態様において、ポリウレタン層30は、溶剤型、水性又は無溶剤型のポリウレタンコーティング層であってもよい。
【0083】
本願のいくつかの具体的な実施態様において、ポリウレタン層30は、無溶剤型又は水性ポリウレタンコーティング層である。
【0084】
ポリウレタン層30の落書き防止効果を良好にするために、本願のいくつかの実施態様において、ポリウレタンコーティング層の原料成分は、
ポリウレタン樹脂溶液 100質量部と、
有機シリコーン 1質量部~10質量部と、
第2架橋助剤 0.2質量部~2.2質量部と、
第2助剤と、を含み、
第2助剤は、鎖延長剤、増粘剤、成膜剤、スリップ剤、湿潤剤又はこれらの組み合わせを含む。
【0085】
本願の実施態様において、ポリウレタン樹脂溶液と有機シリコーンは、第2架橋助剤及び第2助剤の関与で架橋反応して、三次元網状構造を形成し、ここで、ポリウレタン樹脂溶液中の炭素鎖は、活性架橋点の密度を増加させることにより、架橋ネットワークの密度を向上させて、均一相、強靭なコーティング層を得ることができる。また、落書き防止作用を奏する有機シリコーンは、ポリウレタン樹脂溶液と化学結合により結合され、コーティング層から脱離しにくくなり、落書き防止作用に優れたポリウレタンコーティング層が得られる。また、当該ポリウレタンコーティング層の製造原料には、低沸点及び揮発しやすい有機小分子が含まれておらず、さらにポリウレタンコーティング層から揮発性ガスが発生せず、人工皮革の臭気がより低減される。
【0086】
本願は、上記ポリウレタンコーティング層を得るために、ポリウレタンコーティング層の製造方法を提供し、当該製造方法は、
ポリウレタン樹脂溶液、有機シリコーン、第2架橋助剤及び第2助剤を一定の割合で混合し、さらに溶媒を添加して混合してスラリーを得ることと、
上記スラリーを基材に塗布し、スラリーが乾燥した後に放射線による架橋を行って、本願のポリウレタンコーティング層を得ることと、を含む。
【0087】
本願のいくつかの実施態様において、ポリウレタン樹脂溶液は、原料としてポリイソシアネート及びポリオールを用いて重合反応を行うことにより得られる。ここで、ポリイソシアネートは、芳香族ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートから選択される少なくとも1種類である。例示的に、芳香族ジイソシアネートは、4,4’-メチレンビスフェニルイソシアネート(MDI)、m-キシレンジイソシアネート(XDI)、ベンゼン-1,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、及びトリレンジイソシアネート(TDI)であってもよく、脂肪族ジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、デカン-1,10-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)、1,4-ブタンジイソシアネート(BDI)、及びジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(H12MDI)であってもよい。
【0088】
本願のいくつかの実施態様において、上記ポリオールは、末端基がヒドロキシル基であるポリオール、ポリオールポリオキシアルキルエーテル、ポリオールエステルのうちの少なくとも1種類を含み、ここで、ポリオールの末端基におけるヒドロキシル基に連結される炭素数は、6個以上である。なお、ポリオールとは、2個以上のヒドロキシル基を含有する有機物化合物、例えば、ジオール、トリオールなどを意味する。
【0089】
本願の実施態様において、ポリウレタン樹脂分子のソフトセグメント構造中の炭素原子は、6個以上であり、放射線による架橋は、ポリウレタン樹脂分子のソフトセグメント構造中の長炭素鎖を活性架橋点として開始して、有機シリコーン中の活性基と架橋反応を行って、三次元網状構造を形成し、長炭素鎖構造が活性架橋点の密度を増加させるため、架橋ネットワークの密度を向上させ、均一相、強靭なコーティング膜が得られる。落書き防止作用を奏する有機シリコーンは、ポリウレタン樹脂溶液と化学結合により結合され、コーティング層から脱離しにくく、落書き防止作用に優れたポリウレタンコーティング層が得られる。
【0090】
本願のいくつかの実施態様において、ポリオールは、ジオールであり、当該ジオールは、脂肪族ジオール又は脂環式ジオールであってもよい。例示的に、ジオールは、1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-ジメチロールシクロヘキサンであってもよい。
【0091】
本願のいくつかの実施態様において、上記ポリオールポリオキシアルキルエーテルは、開始剤と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフランのうちの1種類又は複数種類とを付加重合することにより得られ、ここで、開始剤は、上記実施態様におけるジオールから選択され、即ち、当該開始剤は、1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-ジメチロールシクロヘキサンであってもよい。
【0092】
本願のいくつかの実施態様において、上記ポリオールエステルは、ポリエチレングリコールアジペート、ポリカプロラクトン、ポリプロピレングリコールピメレート、ポリコハク酸ドデカン二酸エステル、ポリヘキサンジオールイソフタレート、ポリエチレングリコールシクロヘキサンジカルボン酸エステルであってもよい。
【0093】
本願の実施態様において、第2架橋助剤は、第2架橋助剤及び架橋促進剤を含む。
【0094】
例示的に、第2架橋助剤は、複数の官能度を有する化合物であり、当該化合物は、不飽和結合を含んでもよく、例えば、第2架橋助剤は、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、ジアリルアミン、ジアリルスルフィド、N,N-メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレートから選択される少なくとも1種類である。
【0095】
例示的に、架橋促進剤は、有機スズ系及び金属酸化物から選択される少なくとも1種類である。ここで、有機スズ系は、ジラウリン酸ジブチルスズ、オクチル酸第一錫、ジブチルビス(ラウリルチオ)スズから選択される少なくとも1種類である。金属酸化物は、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムから選択される少なくとも1種類である。
【0096】
本願の実施態様において、ポリウレタンコーティング層は、第2架橋助剤以外にも、当業者に周知のコーティング層に使用される他の助剤、例えば、鎖延長剤、増粘剤、成膜剤、スリップ剤、湿潤剤、硬化剤及び触媒のうちの1種類又は複数種類を含むことができる。
【0097】
例示的に、鎖延長剤は、ジオール、二塩基酸、ジアミンから選択される少なくとも1種類である。
【0098】
例示的に、増粘剤は、会合型ポリウレタン系増粘剤から選択することができる。
【0099】
例示的に、成膜剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ドデカノールエステル、エチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテルから選択される少なくとも1種類であってもよく、これにより、スラリーの塗布及びレベリング性能を向上させる。
【0100】
例示的に、スリップ剤は、有機シロキサンエマルジョン、好ましくは、陰、陽、非イオン性有機シリコーンマイクロエマルジョンから選ばれてもよく、これにより、人工皮革のさらさら感を与えると同時に、人工皮革の防水性、防カビ性、耐湿潤摩耗性などの性能を強化するとともに、べたつきの問題を解決するためにも用いられる。
【0101】
例示的に、湿潤剤は、ポリオキシエチレンエーテル改質系有機シリコーンから選ばれてもよく、これにより、水性ポリウレタンの基材への浸透性能を向上させることができる。
【0102】
上記各助剤は、その所望の機能を達成できる適切な量で、ポリウレタンコーティング層に添加される。各助剤の添加量は、例えば、100質量部のポリウレタン樹脂に対して、0.1部~20部とすることができる。
【0103】
本願のいくつかの実施態様において、有機シリコーンの末端基は、エポキシ基、アルケニル基又はアクリレート基のいずれかである。例えば、ジビニル末端フェニルシリコーンオイル、改質ポリシロキサン、エポキシ基一末端ポリシロキサンである。
【0104】
本願のいくつかの実施態様において、ベース層10は、布地又は用紙である。例示的に、布地は、起毛布、平布、ポリエステル繊維、ナイロン布、マイクロファイバーベース、弾性布及び不織布から選択される少なくとも1種類である。
【0105】
本願のいくつかの実施態様において、人工皮革の総厚さは、0.21mm~13.1mmであり、ベース層10の厚さは、0.1mm~6.0mmであり、ポリオレフィンエラストマー複合層20の厚さは、0.1mm~7.0mmであり、ポリウレタン層の厚さは、0.01mm~0.10mmである。
【0106】
ポリオレフィンエラストマー複合層20とベース層10との接着力及び剥離強度を向上させるために、本願のいくつかの実施態様において、人工皮革は、
図2に示すように、ポリオレフィンエラストマー複合層20とベース層10との間に設けられるポリオレフィンエラストマー接着層40をさらに含む。
【0107】
本願のいくつかの実施態様において、上記ポリオレフィンエラストマー接着層40の架橋度は、1%~90%である。
【0108】
本願のいくつかの実施態様において、ポリオレフィンエラストマー接着層40の原料成分は、
第3ポリオレフィンエラストマー 0質量部~100質量部、好ましくは60質量部~100質量部と、
グラフト改質ポリオレフィンエラストマー 0質量部~100質量部、好ましくは10質量部~100質量部と、
第2粘着付与樹脂 0.5質量部~40質量部と、
第3架橋助剤 1質量部~10質量部と、
第2フィラーと、を含み、
前記第3ポリオレフィンエラストマーと前記グラフト改質ポリオレフィンエラストマーとの質量部数の合計は、100質量部である。
【0109】
本願のいくつかの実施態様において、第3ポリオレフィンエラストマーは、オレフィンをモノマーとするコポリマー及び/又はホモポリマーから選択される。
【0110】
例示的に、第3ポリオレフィンエラストマーは、ポリエチレン、エチレンとα-オレフィンとのコポリマー、ポリプロピレン、プロピレンとα-オレフィンとのコポリマーから選択される少なくとも1種類であってもよい。
【0111】
本願のいくつかの実施態様において、グラフト改質ポリオレフィンエラストマーのグラフト基は、(メタ)アクリル酸塩から選択される。
【0112】
例示的に、上記(メタ)アクリル酸塩は、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸リチウム及び(メタ)アクリル酸亜鉛から選択される少なくとも1種類である。
【0113】
本願のいくつかの実施態様において、グラフト改質ポリオレフィンエラストマーのグラフト基は、(メタ)アクリル酸塩以外、アクリル酸、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸モノマーから選択される少なくとも1種類であってもよい。
【0114】
本願に係る実施態様において、第2粘着付与樹脂は、ポリオレフィンエラストマー接着層40の粘着性を強化することができる。第2粘着付与樹脂の添加量は、実際の状況に応じて調整することができる。
【0115】
本願のいくつかの実施態様において、第2粘着付与樹脂は、ロジン及びその誘導体、テルペン樹脂、重合樹脂、ジシクロペンタジエン及び縮合樹脂のうちの少なくとも1種類を含む。
【0116】
例示的に、ロジンは、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンであり、ロジン誘導体は、樹脂酸塩、樹脂酸エステル、ロジンアミン、ロジン酸無水物、ロジンアルコール、水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、エステル化ロジン、マレイン酸化ロジンであり、テルペン樹脂は、α-テルペン樹脂、β-テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂であり、重合樹脂は、C5石油樹脂、C9石油樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂のうちの少なくとも1種類であってもよく、縮合樹脂は、アルキルフェノール樹脂及びキシレン樹脂の少なくとも1種類であってもよい。
【0117】
本願のいくつかの実施態様において、第2粘着付与樹脂の軟化点は、120℃以下である。
【0118】
本願のいくつかの実施態様において、第2フィラーの原料成分は、炭酸カルシウム、石灰石、ホワイトカーボン、タルクから選択される少なくとも1種類であってもよい。第2フィラーを添加することにより、ポリオレフィンエラストマー接着層40の力学的特性を向上させることができる。例えば、第2フィラーの添加量は、100質量部のベース樹脂に対して(即ち、第3ポリオレフィンエラストマー及び/又はグラフト改質ポリオレフィンエラストマー)、0部~30部、好ましくは0.1部~5部である。
【0119】
第2態様によれば、本願は、人工皮革の製造方法を提供し、前記人工皮革の製造方法は、
ベース層の表面に、少なくとも一層の発泡層及び少なくとも一層の改質層を含むポリオレフィンエラストマー複合層を設ける工程S10と、
ポリオレフィンエラストマー複合層におけるベース層から離れる表面にポリウレタン層を設け、エンボス及び放射線による架橋処理を経て、人工皮革を得る工程S20と、を含む。
【0120】
具体的には、いくつかの実施態様において、工程S10は、
ベース層を供給する工程S11と、
発泡層の原料成分及び改質層の原料成分をそれぞれ混合した後、共押出により発泡膜及び改質層を形成する工程S12と、
発泡膜及び改質層をベース層の表面に被覆する工程S13と、
ベース層の表面の発泡膜を発泡処理して、ベース層の表面にポリオレフィンエラストマー複合層を形成する工程S14と、を含む。
【0121】
具体的には、いくつかの実施態様において、工程20は、
ポリウレタン層スラリーを調製する工程S21であって、
1)ポリイソシアネートと脱水後のポリオールを撹拌釜に添加して撹拌し、撹拌釜の温度は、40℃~60℃であり、均一に撹拌した後、120℃に徐々に昇温させて反応を継続し、完全に反応した後に50℃に降温させることと、
2)アセトン、有機シリコーン、架橋剤、架橋促進剤及び第2助剤を添加した後、撹拌を続けて、十分に反応させることと、
3)系の粘度に応じて溶媒を添加して調整し、十分に反応した後にポリウレタンスラリーを得ることと、
を含む工程S21と、
上記スラリーをポリオレフィンエラストマー複合層の表面に塗布し、スラリーを乾燥させた後に、放射線による架橋を行って、本願の人工皮革を取得し、ここて、放射線による架橋は、α線、β線、γ線、X線又は中性子線によって行われるS22と、を含む。
【0122】
本願のいくつかの実施態様において、工程S10は、
ベース層を供給する工程S11と、
発泡層の原料成分、改質層の原料成分及びポリオレフィンエラストマー接着層の原料成分をそれぞれ混合した後、共押出により発泡膜、改質層及びポリオレフィンエラストマー接着層を形成する工程S12と、
ポリオレフィンエラストマー接着層、発泡膜及び改質層をベース層の表面に被覆する工程S13と、
ポリオレフィンエラストマー接着層の表面の発泡膜を発泡処理して、ポリオレフィンエラストマー接着層の表面にポリオレフィンエラストマー複合層を形成する工程S14と、を含み得る。
【0123】
本願の実施態様によれば、人工皮革の製造プロセスが簡単で、コストが低く、当該製造方法において放射線による架橋処理を使用し、これにより、製造された人工皮革は、より優れた耐熱性能、耐老化性能及び耐溶剤性能を有する。
【0124】
以下、具体的な実施態様により本願の人工皮革及びその製造方法を詳細に説明する。
【0125】
実施例1
本実施例において、人工皮革におけるポリウレタン樹脂溶液層は、従来の無溶剤ポリウレタン樹脂溶液のスラリー組成である。ポリオレフィンエラストマー複合層は、発泡層と改質層とを含む2層構造であり、発泡層は、ベース層に貼り合わされ、その原料配合比は、表1に示す通りであり、発泡剤は、ADC発泡剤(イ坊亜星 L-C2)である。
【0126】
改質層は、重量部で、以下の原料成分を含む。
第2ポリオレフィンエラストマー(三井化学 DF740、融点 96℃、ショアA硬度 91) 100部と、
第2ゴムエラストマー(EPDM、ダウ 3745P) 0部。
【0127】
ポリウレタン樹脂溶液層は、重量部で、以下の原料成分を含む。
無溶剤型ポリウレタンプレポリマー(旭川化学 XCJ10A) 100部と、
硬化剤(旭川化学 XCJ10B) 66.5部と、
触媒(バイエル化学 T12) 0.7部。
【0128】
ここで、ポリウレタンプレポリマーのイソシアネートの含有量は、2.3%であり、硬化剤の水酸基価は、40mgKOH/gである。
【0129】
本願の実施例は、さらに、人工皮革の製造方法を提供し、当該製造方法は、以下の工程を含む。
1)ベース層を供給すること。
2)発泡層の原料成分と改質層の原料成分とをそれぞれ混合した後、共押出により発泡膜と改質層を形成すること。
3)ベース層の表面に発泡膜と改質層とを被覆すること。
4)ベース層の表面に形成された膜に発泡処理を行って、ベース層の表面にポリオレフィンエラストマー複合層を形成し、ここで、発泡温度は、100℃~230℃であること。
5)ポリウレタンスラリーの調製:
ポリイソシアネートと脱水後のポリオールを撹拌釜に添加して撹拌し、撹拌釜の温度は、40℃~60℃であり、均一に撹拌した後、120℃に徐々に昇温させて反応を継続し、反応が十分になった後、50℃に降温させる。
アセトン、有機シリコーン、架橋剤及び架橋促進剤を添加した後、撹拌し続けて、十分に反応させる。
系の粘度に応じて溶媒を添加して調整し、十分に反応した後、ポリウレタンスラリーを取得する。
6)ポリオレフィンエラストマー複合層におけるベース層から離れる表面にポリウレタンスラリーを塗布し、エンボス及び放射線による架橋処理を経って、人工皮革を取得すること。
【0130】
実施例2
本実施例において、人工皮革におけるポリウレタン層は、実施例1におけるリウレタン層と同じであり、ポリオレフィンエラストマー複合層は、発泡層及び改質層を含む2層構造であり、発泡層は、ベース層に貼り合わせられ、その原料配合比は、表1に示す通りであり、発泡剤は、ADC発泡剤(イ坊亜星 L-C2)である。
【0131】
改質層は、重量部で、以下の原料成分を含む。
第2ポリオレフィンエラストマー(三井化学 DF740) 100部と、
第2ゴムエラストマー(EPDM、ダウ 3745P) 100部。
【0132】
本実施例における人工皮革の製造方法は、実施例1と同じである。
【0133】
実施例3
本実施例において、人工皮革中のポリウレタン層は、実施例1と同じである。ポリオレフィンエラストマー複合層は、第1改質層、発泡層及び第2改質層を含む3層構造であり、第2改質層は、ベース層に貼り合わせられ、発泡層の原料配合比は、表1に示す通りであり、発泡剤は、ADC発泡剤(イ坊亜星 L-C2)である。
【0134】
第1改質層は、重量部で、以下の原料成分を含む。
第2ポリオレフィンエラストマー(三井化学 DF740) 100部と、
第2ゴムエラストマー(EPDM、ダウ 3745P) 70部。
【0135】
第2改質層は、重量部で、以下の原料成分を含む。
第2ポリオレフィンエラストマー(三井化学 DF740) 100部と、
第1粘着付与樹脂(テルペン樹脂、型番 T100) 6部。
【0136】
本実施例における人工皮革の製造方法は、実施例1と同じである。
【0137】
実施例4
本実施例において、人工皮革中のポリウレタン層は、実施例1と同じであり、ポリオレフィンエラストマー複合層は、第1改質層、発泡層及び第2改質層を含む3層構造であり、第2改質層は、ベース層に貼り合わせられ、発泡層の原料配合比は、表1に示す通りであり、発泡剤は、ADC発泡剤(イ坊亜星 L-C2)である。
【0138】
第1改質層は、重量部で、以下の原料成分を含む。
第2ポリオレフィンエラストマー(三井化学 DF740) 100部と、
第2ゴムエラストマー(EPDM、ダウ 3745P)50部。
【0139】
第2改質層は、重量部で、以下の原料成分を含む。
第2ポリオレフィンエラストマー(三井化学 DF740) 100部と、
第1粘着付与樹脂(テルペン樹脂、型番 T100) 6部。
【0140】
本実施例における人工皮革の製造方法は、実施例1と同じである。
【0141】
実施例5
本実施例において、人工皮革中の第1改質層、第2改質層及びポリウレタン層スラリーの配合比は、実施例4と同じであり、ポリオレフィンエラストマー複合層は、第1改質層、発泡層及び第2改質層を含む3層構造であり、第2改質層は、ベース層に貼り合わせられ、発泡層の原料配合比は、表1に示す通りであり、発泡剤は、OBSH発泡剤(石家荘多億化学、OBSH-75)である。
【0142】
本実施例の製造方法と実施例4との相違とは、発泡温度が100℃~160℃に調整されていることである。
【0143】
実施例6
本実施例において、人工皮革における第1改質層、第2改質層及びポリウレタン層スラリーの配合比は、実施例4と同じであり、ポリオレフィンエラストマー複合層は、第1改質層、発泡層及び第2改質層を含む3層構造であり、第2改質層は、ベース層に貼り合わせられ、発泡層の原料配合比は、表1に示す通りであり、発泡剤は、炭酸水素ナトリウム発泡剤(昆山雅煬テクノロジー、TR60A)である。
【0144】
本実施例の製造方法と実施例4との相違とは、発泡温度が100℃~200℃に調整されていることである。
【0145】
実施例7
本実施例における人工皮革と実施例4との相違とは、発泡層の原料成分中の第1ポリオレフィンエラストマー及び改質層の原料成分中の第2ポリオレフィンエラストマーがいずれもLG化学 LF100であって、その融点が96℃であり、ショアA硬度が91であることである。
【0146】
実施例8
本実施例における人工皮革と実施例4との相違とは、発泡層の原料成分中の第1ポリオレフィンエラストマー及び改質層の原料成分中の第2ポリオレフィンエラストマーがいずれも三井化学 DF640であって、その融点が50℃未満であり、ショアA硬度が56であることである。
【0147】
比較例1
比較例と実施例4との相違とは、製造された人工皮革が発泡及び放射処理を経ていないことである。
【0148】
比較例2
比較例と実施例4との相違とは、製造された人工皮革が放射処理されていないことである。
【0149】
表1に示すデータは、本願の実施例1~8、及び比較例1~2で製造された人工皮革中の発泡層の原料成分及び含有量である。
【0150】
【0151】
表2に示すデータは、本願の実施例1~8、及び比較例1~2で製造された人工皮革中のベース層、ポリオレフィンエラストマー複合層、ポリウレタン層の厚さ及びその三者の総厚さと放射線量である。
【0152】
【0153】
表3に示すデータは、本願の実施例1~8、及び比較例1~2で製造された人工皮革中の発泡層の架橋度、ショア硬度及び人工皮革の耐摩耗性のデータである。ここで、発泡層の架橋度は、GB/T 29848-2018-5.5.3におけるキシレン抽出法で試験し、発泡層のショア硬度Aは、GB/T 2411-2008で試験し、人工皮革の耐摩耗性は、ASTM D1242-1995で試験した。
【0154】
【0155】
実施例9
本実施例と実施例1との相違とは、ポリウレタン層の原料成分及びその含有量と放射線量が異なることであり、原料成分の含有量及び放射線量は表4に示す通りである。
【0156】
本願の実施例は、さらに人工皮革の製造方法を提供する。当該製造方法は、以下の工程を含む。
1)ベース層を供給すること。
2)発泡層の原料成分及び改質層の原料成分をそれぞれ混合した後、共押出により発泡膜及び改質層を形成すること。
3)ベース層の表面に発泡膜と改質層とを被覆すること。
4)ベース層の表面に形成された膜に発泡処理を行って、ベース層の表面にポリオレフィンエラストマー複合層を形成し、ここで、発泡温度は、100℃~230℃であること。
5)ポリウレタンスラリーの調製:
ポリウレタン層スラリーの調製は、具体的に以下の通りである。
(1)ジフェニルメタンジイソシアネート(万華化学、MDI-100)と1,6-ヘキサンジオール(BASF、HBO)を撹拌釜に添加して撹拌し、撹拌釜の温度は、40℃~60℃であり、均一に撹拌した後、120℃に徐々に昇温させて反応を継続し、完全に反応した後に50℃に降温させる。
(2)アセトン、ジビニル末端フェニルシリコーンオイル(安徽艾約塔、IOTA253)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、酸化亜鉛及び第2助剤(例えば、0.5部~2部の増粘剤、5部~20部の成膜剤、0.1部~2部の湿潤剤、0.3部~5部のスリップ剤)を添加した後、撹拌を続けて、十分に反応させる。
(3)系の粘度に応じて溶媒を添加して調整し、十分に反応した後にポリウレタンスラリーが得られる。
6)ポリオレフィンエラストマー複合層のベース層から離れた表面にポリウレタンスラリーを塗布し、エンボス及び放射線による架橋処理を経た後、人工皮革を取得すること。
【0157】
実施例10
本実施例と実施例1との相違とは、ポリウレタン層の原料成分及びその含有量と放射線量が異なることであり、原料成分の含有量及び放射線量は表4に示す通りである。
【0158】
ポリウレタン層スラリーの調製は、具体的に以下の通りである。
1)トルエンジイソシアネート(ダウケミカル、VORANATE(登録商標)T-80)と1,10-デカンジオール(山東麗盛化学工業)を撹拌釜に添加して撹拌し、撹拌釜の温度は、40℃~60℃であり、均一に撹拌した後、120℃に徐々に昇温させて反応を継続し、完全に反応した後に50℃に降温させる。
2)アセトン、改質ポリシロキサン(安徽艾約塔、IOTA2031)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、酸化亜鉛及び第2助剤(例えば、0.5部~2部の増粘剤、5部~20部の成膜剤、0.1部~2部の湿潤剤、0.3部~5部のスリップ剤)を添加した後、撹拌を続けて、十分に反応させる。
3)系の粘度に応じて溶媒を添加して調整し、十分に反応した後、ポリウレタンスラリーが得られる。
【0159】
実施例11
本実施例と実施例1との相違とは、ポリウレタン層の原料成分及びその含有量と放射線量が異なることであり、原料成分の含有量及び放射線量は表4に示す通りである。
【0160】
ポリウレタン層スラリーの調製は、具体的に以下の通りである。
1)ヘキサメチレンジイソシアネ-ト(BASF、BASONTA(登録商標)HI 100AP)とジエチレングリコールヘキシルエーテル(ダウケミカル、HECB)を撹拌釜に添加して撹拌し、撹拌釜の温度は、40℃~60℃であり、均一に撹拌した後、120℃に徐々に昇温させて反応を継続し、完全に反応し後に50℃に降温させる。
2)アセトン、エポキシ基一末端ポリシロキサン(安徽艾約塔、IOTA150-4)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、酸化亜鉛及び第2助剤(例えば、0.5部~2部の増粘剤、5部~20部の成膜剤、0.1部~2部の湿潤剤、0.3部~5部のスリップ剤)を添加した後、撹拌を続けて、十分に反応させる。
3)系の粘度に応じて溶媒を添加して調整し、十分に反応した後にポリウレタンスラリーが得られる。
【0161】
実施例12
本実施例と実施例1との相違とは、ポリウレタン層の原料成分及びその含有量と放射線量が異なることであり、原料成分の含有量及び放射線量は表4に示す通りである。
【0162】
ポリウレタン層スラリーの調製は、具体的に以下の通りである。
1)イソホロンジイソシアネート(済南威振化学工業、IPDI)とポリカプロラクトン(江蘇仁江化学工業、PCL)を攪拌釜に添加して攪拌し、攪拌釜の温度は、40℃~60℃であり、均一に攪拌した後、120℃に徐々に昇温させて反応を継続し、完全に反応した後に50℃に降温させる。
2)アセトン、ジビニル末端フェニルシリコーンオイル(安徽艾約塔、IOTA253)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、酸化亜鉛及び第2助剤(例えば、0.5部~2部の増粘剤、5部~20部の成膜剤、0.1部~2部の湿潤剤、0.3部~5部のスリップ剤)を添加した後、攪拌を続けて、十分に反応させる。
3)系の粘度に応じて溶剤を添加して調整し、十分に反応した後にポリウレタンスラリーが得られる。
【0163】
実施例13
本実施例と実施例1との相違とは、ポリウレタン層の原料成分及びその含有量と放射線量が異なることであり、原料成分の含有量及び放射線量は表4に示す通りである。
【0164】
ポリウレタン層スラリーの調製は、具体的に以下の通りである。
1)シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート(湖北津楽達化学工業有限公司、CHDI)と1,6-ヘキサンジオール(BASF、HDO)を撹拌釜に添加して撹拌し、撹拌釜の温度は、40℃~60℃であり、均一に撹拌した後、120℃に徐々に昇温させて反応を継続し、完全に反応した後に50℃に降温させる。
2)アセトン、改質ポリシロキサン(安徽艾約塔、IOTA2031)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、酸化亜鉛及び第2助剤(例えば、0.5部~2部の増粘剤、5部~20部の成膜剤、0.1部~2部の湿潤剤、0.3部~5部のスリップ剤)を添加した後、撹拌を続けて、十分に反応させる。
3)系の粘度に応じて溶媒を添加して調整し、十分に反応し後、ポリウレタンスラリーが得られる。
【0165】
比較例3
本比較例と実施例13との相違とは、ポリウレタン樹脂溶液層の原料成分中のポリオールが異なることであり、原料成分の含有量及び放射線量は表4に示す通りである。
【0166】
ポリウレタン層スラリーの調製は、具体的に以下の通りである。
1)シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート(湖北津楽達化学工業有限公司、CHDI)とポリヘキシレングリコールを撹拌釜に添加して撹拌し、撹拌釜の温度は、40℃~60℃であり、均一に撹拌した後、120℃に徐々に昇温させて反応を継続し、完全に反応した後に50℃に降温させる。
2)アセトン、改質ポリシロキサン(安徽艾約塔、IOTA2031)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、酸化亜鉛及び第2助剤(例えば、0.5部~2部の増粘剤、5部~20部の成膜剤、0.1部~2部の湿潤剤、0.3部~5部のスリップ剤)を添加した後、撹拌を続けて、十分に反応させる。
3)系の粘度に応じて溶媒を添加して調整し、十分に反応した後、ポリウレタンスラリーが得られる。
【0167】
比較例4
本比較例と実施例11との相違とは、放射線量が異なることであり、原料成分の含有量及び放射線量は表4に示す通りである。
【0168】
【0169】
落書き防止性能試験
ポリウレタンコーティング層が設けられた人工皮革サンプルに対して落書き防止性能試験を行い、結果は、表5に示す通りである。試験は、以下の方法に従って行われる。
落書き防止性能試験方法:20℃、50%湿度条件で、普通油性マーキングペンを用いて皮革コーティング層に記号「#」を記入し、記号を乾燥させた後、乾燥した純綿布を用いて記号を拭き取り、拭き取り後の結果に従って記録した。
【0170】
【0171】
表5のデータから分かるように、本願のポリウレタンコーティング層によれば、人工皮革製品は優れた落書き防止性を有することができる。
【0172】
実施例14
本実施例は、実施例1に基づいて、ベース層とポリオレフィンエラストマー複合層との間にポリオレフィンエラストマー接着層を追加し、当該接着層の製造方法は、以下を含む。
エチレン-αオレフィンコポリマーエラストマーと、グラフト基がグリシジルメタクリレート(GMA)であるグラフトポリオレフィンエラストマーと、C5石油樹脂とを、表6中の配合比で混合した後、発泡層の原料成分、改質層の原料成分と共押出によりポリオレフィンエラストマー接着層、発泡層及び改質層をそれぞれ形成し、これらをベース層の表面に被覆する。
【0173】
ここで、ポリオレフィンエラストマー接着層の原料成分の含有量及び放射線による架橋の放射線量は、表6に示す通りである。
【0174】
実施例15
本実施例と実施例14との相違とは、ポリオレフィンエラストマー接着層の原料成分の含有量及び放射線による架橋の放射線量が異なることであり、表6に示すように、第2粘着付与樹脂は、ロジンである。
【0175】
実施例16
本実施例と実施例14との相違とは、ポリオレフィンエラストマー接着層の原料成分の含有量及び放射線による架橋の放射線量が異なることであり、表6に示すように、グラフトポリオレフィンエラストマーのグラフト基は、アクリル酸メチル(MA)であり、第2粘着付与樹脂は、テルペン樹脂(T100)である。
【0176】
実施例17
本実施例と実施例14との相違とは、ポリオレフィンエラストマー接着層の原料成分の含有量及び放射線による架橋の放射線量が異なることであり、表6に示すように、グラフトポリオレフィンエラストマーのグラフト基は、アクリル酸(AA)であり、第2粘着付与樹脂は、C5石油樹脂である。
【0177】
実施例18
本実施例と実施例14との相違とは、ポリオレフィンエラストマー接着層の原料成分の含有量及び放射線による架橋の放射線量が異なることであり、表6に示すように、グラフトポリオレフィンエラストマーのグラフト基は、グリシジルメタクリレート(GMA)であり、第2粘着付与樹脂は、ロジンである。
【0178】
実施例19
本実施例と実施例14との相違とは、ポリオレフィンエラストマー接着層の原料成分の含有量及び放射線による架橋の放射線量が異なることであり、表6に示すように、グラフトポリオレフィンエラストマーのグラフト基は、無水マレイン酸(MAH)であり、第2粘着付与樹脂は、テルペン樹脂(T100)である。
【0179】
実施例20
本実施例と実施例19との相違とは、第2粘着付与樹脂がテルペン樹脂(T90)であり、放射線量が50KGyであることである。
【0180】
実施例21
本実施例と実施例19との相違とは、放射線量が50KGyであることである。
【0181】
実施例22
本実施例と実施例19との相違とは、粘着付与樹脂がテルペン樹脂(T110)であることである。
【0182】
実施例23
本実施例と実施例19との相違とは、粘着付与樹脂がテルペン樹脂(T120)であることである。
【0183】
実施例24
本実施例と実施例19との相違とは、粘着付与樹脂がサーリン(Surlyn)樹脂であることである。
【0184】
比較例5
本比較例と実施例19との相違とは、表6に示すように、ポリオレフィンエラストマー接着層の原料成分の含有量及び放射線による架橋の放射線量が異なることである。
【0185】
比較例6
本比較例と実施例19との相違とは、表6に示すように、ポリオレフィンエラストマー接着層の原料成分の含有量及び放射線による架橋の放射線量が異なることである。
【0186】
【0187】
実施例14~24、及び比較例5~6で製造された人工皮革中のポリオレフィンエラストマー接着層の架橋度及びポリオレフィンエラストマー接着層とベース層との層間剥離強度を試験し、試験結果のデータは、表7に示す通りであり、ここで、ポリオレフィンエラストマー接着層の架橋度は、GB/T 29848-2018-5.5.3におけるキシレン抽出法に従って試験され、層間剥離強度は、GB/T14905-2009に従って試験された。
【0188】
【0189】
表7のデータから分かるように、ポリオレフィンエラストマー複合層とベース層との間に1層のポリオレフィンエラストマー接着層を追加し、放射線による架橋処理を行うことにより、ポリオレフィンエラストマー複合層とベース層との接着力を向上させた。
【0190】
最後に説明すべきことは、以上の各実施例は本発明の実施態様を説明するためのものであり、それに限定されるものではない。前記各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前記各実施例に記載された実施態様に対して修正を行ってもよく、或いはその一部又は全部の技術的特徴に対して同等の置換を行ってもよく、また、これらの修正又は置換は、対応する実施態様の本質を本発明の各実施例の実施態様の範囲から逸脱しないことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0191】
10:ベース層;
20:ポリオレフィンエラストマー複合層;
21:発泡層;
22:改質層;
30:ポリウレタン層;
40:ポリオレフィンエラストマー接着層。
【国際調査報告】