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特表2024-525030穴のエッジをデバリングするデバリングブレードを具備するデバリングツール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】穴のエッジをデバリングするデバリングブレードを具備するデバリングツール
(51)【国際特許分類】
   B23B 51/10 20060101AFI20240702BHJP
   B23D 79/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B23B51/10 B
B23D79/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580671
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2021067979
(87)【国際公開番号】W WO2023274521
(87)【国際公開日】2023-01-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516128496
【氏名又は名称】ヒューレ ヴォルクツォイク アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥーダー,ハリー
(72)【発明者】
【氏名】フェスラー,ロマン
【テーマコード(参考)】
3C037
3C050
【Fターム(参考)】
3C037AA07
3C050FB09
3C050FB12
(57)【要約】
本発明は、切断部(8)として設計される関連する自由表面(4)を持つ少なくとも1つの切断エッジ(6,7)を有する少なくとも1つの切断部分(1)を含み、関連する制御表面(5)が、切断エッジ(6,7)に隣接し、非切断部(9)として設計される、少なくとも1つの切断ブレード(1)を含み、切断ブレード(1)は、少なくとも1つの回転方向(15)において回転軸(14)を中心として回転可能であるツールホルダに保持され、切断エッジ(6,7)は、切断部(8)から非切断部(9)への連続的な移行部を形成する螺旋状にねじれた表面(2)に移行する、ワークピース(18,29)にある穴のエッジをデバリングするデバリングブレードに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースにある穴のエッジをデバリングするためのデバリングブレードであって、
少なくとも1つの切断ブレードをツールホルダ内に保持することができ、前記ツールホルダは、少なくとも1つの回転方向において回転軸を中心として回転することができ、前記切断ブレードは、少なくとも1つの第1の切断エッジと、少なくとも1つの第2の切断エッジとを有する、少なくとも1つの切断部分を含み、自由表面が、前記第2の切断エッジに関連付けられ、前記自由表面は、切断部として設計され、制御表面が、前記第2の切断エッジと関連付けられ、前記制御表面は、非切断部として設計され、前記第2の切断エッジは、前記切断部から前記非切断部への連続的な移行部を形成する螺旋状にねじれた表面に移行し、前記第2の切断エッジは、ある角度で前記第1の切断エッジに直接隣接し、前記第1の切断エッジは、前記第2の切断エッジと関連付けられる前記ねじれた表面に移行する関連付けられた自由表面を有することを特徴とする、
デバリングブレード。
【請求項2】
前記切断ブレードは、前方デバリングおよび後方デバリングのための2つの切断部分を含み、両方の切断部分は、中心線に対して互いに鏡面対称に配置される、請求項1に記載のデバリングブレード。
【請求項3】
前記第2の切断エッジから開始して、ねじれ軸が、ほぼ直交方向に延び、前記ねじれた表面は、前記ねじれ軸を中心として、回転を伴って螺旋状に回転される、請求項1または2に記載のデバリングブレード。
【請求項4】
前記ねじれた表面は、その回転の故に第2の切断エッジを形成し、制御表面として設計される非切断部も形成する、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載のデバリングブレード。
【請求項5】
前記ねじれた表面の前記連続的な移行部は、前記切断部から前記非切断部への前記移行部を決定する中立点を有し、前記中立点は、前記ワークピース上のデバリングサイズまたは面取りサイズの位置に対応する、請求項1~4のうちのいずれか1項に記載のデバリングブレード。
【請求項6】
前記ねじれた表面は、回転によって重ね合わされる、基本形状としての角形状、円筒形状または円錐形状を有する、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載のデバリングブレード。
【請求項7】
前記ねじれた表面の前記非切断部は、面取りの角精度が改良されるように、追加の表面によって前記切断ブレードの前方(前側)下方隅部で境界を定められるか或いはクリアされる、請求項1~6のうちのいずれか1項に記載のデバリングブレード。
【請求項8】
ワークピースにある穴のエッジをデバリングするためのデバリングブレードを有するデバリングツールであって、
少なくとも1つの切断ブレードをツールホルダ内に保持することができ、前記ツールホルダは、少なくとも1つの回転方向において回転軸を中心として回転することができ、前記切断ブレードは、少なくとも1つの切断エッジを有する少なくとも1つの切断部分を含み、自由表面が、前記少なくとも1つの切断エッジに関連付けられ、前記自由表面は、切断部として設計され、制御表面が、前記切断エッジと関連付けられ、前記制御表面は、非切断部として設計され、前記切断エッジは、前記切断部から前記非切断部への連続的な移行部を形成する螺旋状にねじれた表面に移行し、前記第2の切断エッジは、ある角度で前記第1の切断エッジに直接隣接し、前記第1の切断エッジは、前記第2の切断エッジと関連付けられる前記ねじれた表面に移行する、関連付けられた自由表面を有することを特徴とする、
デバリングツール。
【請求項9】
前記切断エッジは、直線状または弓形である、請求項1~8のうちのいずれか1項に記載のデバリングブレード。
【請求項10】
請求項1~9のうちのいずれか1項に記載のデバリングブレードを用いてワークピースにある穴のエッジをデバリングするためのデバリングツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1および8の前文による穴のエッジをデバリング(バリ取り)するデバリングツール(バリ取りツール)およびデバリングツールブレード(バリ取りブレード)に関する。
【背景技術】
【0002】
デバリングツールは、大部分は金属製のワークピースからバリを除去するために使用される。バリは、機械加工または製造プロセスの間にできる鋭利なエッジまたはとげである。デバリングツールは、少なくとも1つのデバリングブレードを有し、デバリングブレードは、通常、材料に依存するコーティングを具備する交換可能な硬質金属ブレードとして設計される。
【0003】
例えば、同じ出願人に由来するいわゆるCOFAブレードでは、前方および後方のデバリング作用で均一かつ半径方向に穴の不均一なエッジをデバリングするデバリングブレードが知られてきている。COFAデバリングツールの典型的な用途は、フォークピース、コモンレール、鋳物、横穴を有するパイプ、および一般に主穴に横穴を有するワークピースである。
【0004】
同じ出願人からの他のブレードは、DEFA、GHS、SNAP、GHSおよびDRALLブレードとして知られている。
【0005】
特許文献1は、ワークピースの貫通穴のエッジをデバリングするためのデバリングツール用のデバリングブレードを開示しており、デバリングブレード上の切断面は、ワークピース表面の方向において負の角度をとる。切断幾何学的形状は、第1の切断エッジおよび非切断制御表面のみから構成される。切断部から非切断部への移行は、連続的でない。
【0006】
特許文献2は、手で操作することが困難なチップ除去切断ツール用の切断ブレードが開示している。切断ブレードは、切断ブレードに向かって移行エッジを形成する制御表面を持つ1つだけの切断エッジから構成される。従って、切断部から非切断部への移行は、連続的でない。
【0007】
特許文献3も、貫通穴のエッジの両側デバリングのための切断ブレードを具備するデバリングツールを開示しており、切断エッジの角度から逸脱する摺動部分が、切断ブレードの軸方向外側部に設けられており、摺動部分は、切断ブレードの端面に形成された摺動半径に移行する。しかしながら、切断ブレードは、第1の切断エッジのみを有するので、限定的な面取りまたはデバリング品質のみが、この切断ブレードで達成される。
【0008】
特許文献4は、穴のエッジをデバリングするためのデバリングブレードを開示しており、切断ブレードは、第1の切断エッジを持つ切断部分を有し、第1の切断エッジには、第2の切断エッジが直接的または間接的に隣接し、次に、第2の切断エッジには、移行部を介して非切断自由エッジが間接的に隣接し、移行部の自由エッジは、第2の切断エッジに対して回転軸に対して半径方向にセットバックされている。
【0009】
特許文献4において、切断部と非切断部との間の移行部は、ガセット(gusset)の形態の移行表面を必然的に形成する2つの表面で達成される。これは以下の2つの欠点を示す。
【0010】
a)切断ブレードの製造精度に対する要求は非常に高く、特に、所望の効果を達成するために、切断エッジおよび自由エッジまたは制御エッジは、連動しなければならない。
【0011】
b)ガセットは、機械加工される材料に依存して、面取りまたはデバリングプロセスにおいて望ましくない二次バリを生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、切断幾何学的形状をより容易に且つ経済的に製造することができると同時に面取りまたはデバリング品質を改良することができる切断ブレードを有するデバリングブレードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
設定される目的を達成するために、本発明は、請求項1および請求項8の技術的教示によって特徴付けられる。
【0014】
本発明の本質的な構成は、切断部から非切断部への連続的な移行部を有する螺旋状にねじれた表面が切断エッジと関連付けられることである。
【0015】
「ねじれる(twisting)」または「ねじれた(twisted)」表面(surface)という用語は、回転された表面または巻かれた表面を意味すると理解される。ねじれた表面は、螺旋状であるか、あるいは螺旋線の形状を有する。そのような表面は、例えば、ねじれモーメントが平坦な表面または棒(バー)に作用するときに生成される。結果として、ねじれた表面は、回転されるか、あるいは反らされる、すなわち、断面表面は、平坦なままではない。螺旋状にねじれた表面は、エッジ(edge)または段(step)を持たず、巻線(windings)および曲率(curvatures)のみを有する、巻線本体(winding body)とみなされることもできる。
【0016】
ねじれた表面は、切断部から非切断部への連続的な移行部を生成し、それは面取りプロセスおよびデバリング品質に肯定的な影響を有する。ねじれた表面のさらなる利点は、この表面を製造するのがより容易であり、デバリングブレードを製造するのにより経済的にすることである。
【0017】
特許文献4では、第2の切断エッジと非切断エッジとの間の移行部、すなわち、切断部から非切断部への移行部は、2つの表面(自由表面および制御表面)によって形成され、ガセット移行表面(図1Aの参照番号36を参照)が同時に生成される。個々の表面の移行部は、エッジ形状であり、よって、非連続的である。これとは対照的に、本発明による実施形態において、これらの移行部は、1つだけの回転された、ねじれた表面によって達成され、同時に、ガセット移行表面は、除去されるか、あるいは完全に省略される。
【0018】
よって、本発明によるデバリングブレードは、前方デバリングおよび後方デバリングのためのデバリングツール(左回りブレードおよび/または右回りブレード)並びに面取り(chamfering)ツールおよび皿取り(countersinking)ツールに特に適した特殊な切断エッジ幾何学的形状を有する。
【0019】
好ましい実施形態において、ワークピースにある穴のエッジ(縁)をデバリングするためのデバリングブレードは、少なくとも1つの切断エッジと少なくとも1つの制御表面とを持つ少なくとも1つの切断部分を持つ少なくとも1つの切断ブレードを有し、切断ブレードは、少なくとも1つの回転方向において回転軸を中心として回転可能であるツールホルダ内に保持される。切断ブレードは、以下のように設計され、以下の記述は、切断ブレードの基本本体(base body)の長手方向中心軸に基づく。
【0020】
・ 軸方向において見られるとき、第1の切断エッジは、第1の自由表面のエッジ境界として先ず設けられ、第1の切断エッジは、正確に垂直に整列されるか、あるいは垂直に対してある角度を有する。垂直な第1の切断エッジは、穴の切断エッジから除去されるべき大きなバリを除去する。
【0021】
・ 第2の切断エッジは、長手方向中心軸に向かって斜め内方に向けられ、切断ブレードの基本本体の中心から外方に向けられ、第2の自由表面のエッジ境界として、この第1の垂直切断エッジの自由前端に隣接し、第2の切断エッジは、第1の垂直切断エッジに対して0°~90°の間の角度を形成する。面取りは、隣接する傾斜した第2の切断エッジで精密に機械加工される、すなわち、皿取りの表面および角度は、非常に精密に維持される。
【0022】
・ 本発明によるねじれた表面は、制御表面のエッジ境界として、この傾斜した第2の切断エッジの前方自由端に隣接する。
【0023】
本発明による切断ブレードは、好ましくは(ワークピースに対する相対的な移動に関して)前方に向けられた切断エッジを有し、後方方向に配置された切断エッジも有する。よって、切断ブレードは、前方デバリングおよび後方デバリングの両方に適する。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではない。
【0024】
本発明は、切断ブレードのみが片側に本発明による切断エッジを有することを提供する一方で、例えば、後方デバリングのために存在する切断エッジを省略することもできる。
【0025】
本発明の主題事項は、個々の請求項の主題事項から生じるだけでなく、個々の請求項との互いの組み合わせからも生じる。
【0026】
要約を含む本明細書に開示される全ての情報および構成、特に図面に示される空間構成は、先行技術と比較して、個々にまたは組み合わせにおいて新規である限り、発明にとって不可欠なものとして特許請求される。
【0027】
以下、本発明は、一実施形態を例示するにすぎない図面の助けを借りてより詳細に説明される。本発明に不可欠な本発明のさらなる構成および利点は、図面およびそれらの記述から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】従来技術による切断ブレードを示す。
図2】前後切断する切断ブレードの斜視正面図を示す。
図3】参照Xの下で図1に示す切断部分の拡大図を示す。
図4】上方からの切断ブレードの眺望を示す。
図5】異なる角度データを有する参照Yの下で図3に示す切断部分の拡大図を示す。
図6】回転される表面の可能な基本形状を示す。
図7】基本形状として平面の例を用いて回転(ねじり)の図式表現を示す。
図8】第1の切断エッジのみを有する切断ブレードの変形と中立から非切断までの回転された制御表面とを示す。
図9】切断から中性に、さらに非切断まで連続的に作用する、1つの回転された表面のみを有する切断ブレードの変形を示す。
図10】追加の自由表面を有する切断ブレードの変形を示す。
図11】切断幾何学的形状を通じた断面図を示す。
図12】切断ブレードの上方からの図および面取りまたはデバリングプロセスのステップの表現を示す。
図13】ねじれた表面の図式表現を示す。
図14】ねじれ軸の表現を有するねじれた表面の図式表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1Aは、従来技術による切断ブレード1の切断部分の詳細を示す。切断部分は、第1の切断エッジ6を有し、切断エッジの背後には、自由表面3が凹まされている。自由表面3は、切断エッジ6をクリアする(clear)働きをする。
【0030】
第1の切断エッジ6には、以下ではS切断エッジとも呼ぶ第2の切断エッジ7が、ある角度で隣接する。第1の切断エッジ6と関連付けられる自由表面3は、第2の切断エッジ7と関連付けられる自由表面4に移行する。2つの自由表面3および4は、2つの切断エッジ6、7の背後で凹まされて、それらが切断作用を行うことを可能にする。斜めに傾斜した切断エッジ7は、それ自体が直線状であり、移行部38まで直線状に延びる。
【0031】
切断エッジ6、7は、直線状または湾曲状であることができる。第2の切断エッジ7には、制御表面5を有する下方の自由エッジ37が隣接し、それらのいずれも切断作用を行わない。しかし、制御表面5は、切断ブレード1を精密に制御するために用いられる。
【0032】
制御表面5は、一方では、自由エッジ37によって切断エッジ6,7の側面で境界付けられ、他方では、自由表面4と制御表面5との間に形成されるガセット36のエッジ境界によって回転方向15とは反対に円周方向に切断エッジ6,7とは反対側の側面で境界付けられる。
【0033】
ガセット36は、図1Aにおける図面の平面において互いにオフセットされている2つの隣接する表面4および5の間にショルダ(肩)として形成される。摺動表面35は、制御表面5に隣接する。2つの表面5および35は、弓形エッジによって互いに分離される。
【0034】
デバリングプロセスの間に、切断エッジ7は、デバリングされるように面取り(chamfer)と接触する。切断エッジ7の切断動作は、所望の面取りサイズ19に達したときにのみ終了する。
【0035】
図2は、切断部分を有する本発明による切断ブレード1を示す。切断ブレード1は、例えば、回転方向15において、回転軸14を中心として回転されることができる、本体(body)を有する。
【0036】
1つの切断部分のみが図2に示されている。しかしながら、切断ブレード1は、前方および後方デバリングのための2つの切断部分を有することも可能であり、その場合、2つの切断部分は、中心線に対して互いに鏡面対称に配置される。しかしながら、これは必要な解決策ではない。例えば、前方デバリングのための切断部分は、逆方向デバリングのための切断部分とは異なって設計されることができる。
【0037】
切断ブレード1は、第1の切断エッジ6を持つ切断部分を有し、第1の切断エッジ6は、主として軸方向(軸方向に後方の矢印方向12および/または軸方向に前方の矢印方向13)に作用し、主切断を行う。第1の切断エッジ6の背後には凹まされた自由表面3があり、自由表面3は、切断エッジ6をクリアする働きをする。切断エッジ6は、D切断エッジとしても知られ、特に積極的な切断エッジ動作が良好な能率で達成される垂直切断表面を形成する。
【0038】
第2の切断エッジ7は、ある角度20で第1の切断エッジ6に隣接する。角度20は、変更されることができる。角度付き切断エッジ7は、高精度に切断する。何故ならば、それはある角度でワークピース18(加工物)の穴に入るからである。
【0039】
第1の切断エッジ6と関連付けられる自由表面3は、第2の切断エッジ7と関連付けられる回転された(ねじれた)表面2に移行する。ねじれた表面2は、螺旋状であり、図1A(先行技術)に示されるような自由表面4、制御表面5、およびガセット36を置き換える。
【0040】
よって、切断ブレード1は、第1の切断エッジ6で構成され、第1の切断エッジ6には、螺旋状のねじれた表面2が隣接し、ねじれられた表面2は、その回転(ねじれ)25の故に、第2の切断エッジ7、切断部分8および非切断部9を有する。非切断部9は、従来技術の制御表面5に対応し、それは切断ブレード1を矢印16の方向において後退させる。
【0041】
第2の切断エッジ7から始まって、ねじれ軸39は、ほぼ直交方向に延び、ねじれた表面2は、ねじれ軸39を中心として螺旋状に回転される。好ましくは、第2の切断エッジ7の長手方向延伸とねじり軸30との間の角度は、約75~105°である。
【0042】
ねじれ軸39は、第2の切断エッジ7のほぼ中央に配置される。しかしながら、ねじれ軸39の中心から外れた位置も可能である。
【0043】
図3に、図2からの詳細Xを示す。ここで、制御表面は、ねじれ表面2の部分であり、ブレードを矢印16の方向に後退させる。同時に、ワークピース18の面取りまたはデバリングツールサイズ19は、制限される。第2の切断エッジ7から実際の制御表面への移行は、切断部8と非切断部9とを有する共通のねじれた表面2によってのみ形成される。よって、ねじれた表面2は、矢印11の方向において切断部8から非切断部9への連続的な移行部を有する。
【0044】
連続的な移行部内で、ねじれた表面2は、デバリングまたは面取りプロセスに対して矢印11の方向において中立点10を形成する。中立点10は、切断部8から非切断部9への移行部を精密に決定し、その位置は、ワークピース18上のデバリングまたは面取りサイズ19に対応する。中立点10は、ねじれ軸39に対応する。
【0045】
図4は、切断ブレード1に対して面取りサイズまたはデバリングサイズ19を有するワークピース18を示す。切断ブレード1は、回転軸14を中心として回転方向15において回転し、矢印17において方向に延び、矢印16の方向において後退させられる。
【0046】
摺動表面35が、ねじれた表面2に隣接する。摺動表面35は、如何なる切断動作も如何なる制御機能も行わない。それは切断ブレードの前端にすぎない。摺動表面35は、ワークピース18の穴内に移動するときに如何なる損傷も生じさせないように面取りされる。
【0047】
図5によれば、主として軸方向に作用する第1の切断エッジ6は、水平平面に対して-30°~+30°の角度20にある。回転される(ねじられる)表面2は、水平平面に対して0°より大きい角度21にあり、角度21は、角度20より大きいが、90°より小さい。
【0048】
図6は、回転された(ねじれた)表面2を示しており、その基本形状は、平面22(長方形、正方形、角度表面)または円筒形状23または円錐形状24で構成される。基本形状22、23または24は、回転(ねじれ)25によって重ね合わせられ、それによって、ねじれた表面2が形成される。従って、ねじれた表面2は、基本形状22、23、24と回転(ねじれ)25との組み合わせである。
【0049】
図7によれば、回転(ねじれ)25は、ねじれた表面2を、切断から非切断まで矢印11の方向に沿って切断部8と非切断部9とに分割する。切断部8と非切断部9との間の移行部は、中立点10の領域内に位置する。
【0050】
回転された(ねじれた)表面2の切断部8によって形成される第2の切断エッジ7は、中立点10まで延びる。回転角度(ねじれ角度)26は、0°~30°の間である。
【0051】
切断ブレード1の切断部分は、本質的には、第1の切断エッジ6と、ねじれた表面2とから構成され、ねじれた表面2は、第2の切断エッジ7と、その回転(ねじれ)25の故の切断部および非切断部9とを形成する。
【0052】
図8は、本発明による切断ブレード1のさらなる実施形態を示す。ブレードの能動的な切断部は、主に軸方向に作用する第1の切断エッジ6と、中立点10から非切断部9まで連続的に作用する後続のねじれた表面2とで構成される。第2の切断エッジ7は、省略される。
【0053】
チップ溝34は、切断ブレードの側面に位置し、好ましくは弓形(弧状)である。
【0054】
図9は、本発明による切断ブレード1のさらなる実施形態を示す。切断ブレード1の作用する切断エッジ部は、切断部8から中立点10を介して非切断部9まで連続的に作用する1つだけのねじれた表面2で構成される。第1の切断エッジ6は、省略される。
【0055】
図10によれば、ねじれた表面2の非切断部9は、前方(面側)下方ブレード隅部にある追加的な表面27によって任意に限定されるかあるいはクリアされる。これは面取りの角度的な精度を向上させる。
【0056】
図11は、断面図A-A~D-Dを用いて、切断プロセス中に自由表面3および回転された(ねじれた)表面2がどのように作用するかを示す。
【0057】
特に、断面図B-B~D-Dは、切断から非切断への連続的な移行を保証する、切断部8、中立点10および非切断部9を有する、ねじれた表面2の動作モードを示す。
【0058】
断面図A-A~D-D中の参照番号33a~33eは、図11に示すような面取りまたはデバリングプロセスの時系列または工程を指す。
【0059】
断面A-Aは、軸方向12においてチップ溝34および表面によって形成される第1の切断エッジ6の切断特性を示す。
【0060】
断面B-Bは、チップ溝34およびねじれた表面2の切断部8によって形成される第2の切断エッジ7を示す。第2の切断エッジ7は、第1の切断エッジ6からねじれた表面2の中立点10までのみ延在する。
【0061】
断面C-Cは、ねじれた表面2の中立点10を示す。この時点で、面取りまたはデバリングサイズ19に達し、ブレードは、切断状態から非切断状態に連続的に移行する。
【0062】
断面D-Dは、ブレードを後退させるねじれた表面2の非切断部9を示す。ワークピース18における所望の面取り31が生成される。
【0063】
図12は、プロセスステップ33a~33fにおける面取りまたはデバリングプロセス中の切断ブレード1の上方からの図を示す。
【0064】
33aは、面取りまたはデバリングプロセスを示しており、純粋に軸方向に作用する第1の切断エッジ6は、ワークピース29と係合している。
【0065】
33(b)において、第2の切断エッジ7は、ワークピース29と直後に係合し、切断ブレード1は、矢印32の方向において軸方向に移動する。これは面取りまたはデバリングサイズ19を増加させる。33bによれば、両方の切断エッジ6および7は、互いに切断する。
【0066】
33(c)において、切断ブレード1は、ねじれた表面2の中立点10と係合するワークピース29内まで切断されている。この時点で、面取りまたはデバリングサイズ19に達し、次いで、切断ブレード1は、その移動方向を変更し、それは今や面取りまたはデバリング31の輪郭に平行に延びる。
【0067】
33(d)は、次のプロセスステップを示す。ねじれた表面2の非切断部9は、今やワークピース29と係合している。第1の切断エッジ6および第2の切断エッジ7は、今や面取りまたはデバリング31の切断を終了する。切断ブレード1は、面取りまたはデバリング31の輪郭に平行な矢印32の方向においてねじれた表面2の非切断部9に沿って今や移動する。
【0068】
33eにおいて、切断ブレード1は、面取りまたはデバリング31の全体を切断し終えている。ねじれた表面2の非切断部9のみが依然として係合され、面取りまたはデバリング輪郭に平行な矢印32の方向においてブレードを動かし続ける。
【0069】
33fは、切断ブレード1がワークピース29を通じる穴壁30に沿って摺動表面5と共に移動する最終プロセスステップを示す。
【0070】
図13は、ねじれた表面2の図式表現である。ねじれた表面2は、ねじれ軸39を中心として螺旋状にねじられる。第2の切断エッジ7は、前方端に位置し、切断部8および非切断部9に隣接する。中立点10は、ねじれ軸39であり、切断部8および非切断部9は、ねじれ軸を中心として回転される。
【0071】
切断部8は、従来技術の自由表面4に対応し、非切断部9は、制御表面5に対応する。切断部8と非切断部9との間の移行が連続的であることは重要である。これは、従来技術とは異なり、エッジまたはステップがないことを意味する。
【0072】
図14は、ねじれた表面2のさらなる表現を示す。表面2は、ねじれ角度26だけ回転25を用いてねじれ軸39を中心として回転される。切断部8および非切断部9は、エッジなしに連続的な移行を伴って隣接し、第2の切断エッジ7が、エッジ側にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1839788A1号明細書
【特許文献2】欧州特許第2208566B1号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0370210A1号明細書
【特許文献4】欧州特許第1579937B1号明細書
【符号の説明】
【0074】
1 切断ブレード
2 回転された(ねじれた)表面
3 第1の切断エッジの自由表面
4 自由表面
5 制御表面
6 第1の切断エッジ
7 第2の切断エッジ
8 回転された(ねじれた)表面の切断部
9 回転された(ねじれた)表面の非切断部
10 回転された(ねじれた)表面の中立点
11 矢印の方向
12 軸方向に後方に矢印の方向
13 軸方向に前方に矢印の方向
14 回転軸
15 回転方向
16 矢印方向-後退
17 矢印方向-延伸
18 ワークピース
19 面取りサイズまたはデバリングサイズ
20 角度(第1の切断エッジ)
21 角度(回転された表面)
22 平面
23 シリンダ形状
24 円錐
25 回転(ねじれ)
26 回転角度(ねじれ角度)
27 追加の自由表面
28 矢印の方向-時間軸
29 ワークピース
30 穴壁
31 面取り、デバリング
32a~33f 面取りまたはデバリングプロセスのステップ
34 チップ溝
35 摺動表面
36 ガセット
37 自由エッジ
38 移行部
39 ねじれ軸
図1A
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】