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特表2024-525032放射線生成デバイス及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】放射線生成デバイス及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 9/00 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
H05H9/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580688
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 CN2022103769
(87)【国際公開番号】W WO2023280130
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202110779750.3
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514326214
【氏名又は名称】清▲華▼大学
(71)【出願人】
【識別番号】514326203
【氏名又は名称】同方威視技▲術▼股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】カン,コォジュン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ヤオホン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ホアイビ
(72)【発明者】
【氏名】ザン,リアン
(72)【発明者】
【氏名】タン,チュアンシン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユアンジン
【テーマコード(参考)】
2G085
【Fターム(参考)】
2G085AA03
2G085AA18
2G085BA08
2G085CA05
2G085CA21
2G085CA24
2G085DA03
(57)【要約】
本発明は、放射線生成デバイス及びその制御方法に関する。放射線生成デバイスは:複数の電子ビームを生成するように構成されている電子ビーム生成デバイス(2)と;マイクロ波を生成するように構成されているマイクロ波発生デバイス(4)と;パワー入力ポート及び少なくとも2つのパワー出力ポートを有し、パワー入力ポートがマイクロ波生成デバイス(4)に接続されている、マイクロ波サーキュレータ(5)と;電子ビーム生成デバイスに接続されており、少なくとも2つのパワー出力ポートにそれぞれ接続された複数の加速管であって、複数の電子ビームそれぞれを受け取り、少なくとも2つのパワー出力ポートから受け取ったマイクロ波を介して複数の電子ビームをそれぞれ加速して、少なくとも2つの異なるエネルギを有する複数の放射線をそれぞれ生成するように構成されている、複数の加速管と;前記マイクロ波生成デバイス(4)のマイクロ波パワーの時系列的制御、及び、前記電子ビーム生成デバイス(2)により生成され、前記複数の加速管(3)にそれぞれ対応する電子ビームのビーム負荷の時系列的制御を実行するように構成されたコントローラ(1)と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線生成デバイスであって:
複数の電子ビームを生成するように構成された電子ビーム生成デバイスと;
マイクロ波を生成するように構成されたマイクロ波生成デバイスと;
パワー入力ポート及び少なくとも2つのパワー出力ポートを有するマイクロ波サーキュレータであって、前記パワー入力ポートが導波構造を介して前記マイクロ波生成デバイスに接続されている、マイクロ波サーキュレータと;
前記電子ビーム生成デバイスに接続された複数の加速管であって、前記少なくとも2つのパワー出力ポートにそれぞれ接続されており、前記電子ビーム生成デバイスによって生成された複数の電子ビームをそれぞれ受け取るように構成されており、前記少なくとも2つのパワー出力ポートから受け取ったマイクロ波を介して前記複数の電子ビームをそれぞれ加速して、異なるエネルギを有する複数の放射線をそれぞれ生成するように構成されている、複数の加速管と;
前記電子ビーム生成デバイス及び前記マイクロ波生成デバイスに信号接続されたコントローラであって、前記マイクロ波生成デバイスのマイクロ波パワーの経時的制御、及び、前記電子ビーム生成デバイスにより発生され、前記複数の加速管にそれぞれ対応する前記電子ビームのビーム負荷の経時的制御を実行するように構成された、コントローラと
を備える放射線生成デバイス。
【請求項2】
前記電子ビーム生成デバイスは:
第1電子ビームを生成するように構成されている第1電子銃と;
前記コントローラと信号接続されており、前記第1電子銃と接続されている第1電子銃電源であって、前記コントローラによって提供される経時的制御信号にしたがって、前記第1電子ビームの前記ビーム負荷を調整するように構成されている、第1電子銃電源と;
第2電子ビームを生成するように構成されている第2電子銃と;
前記コントローラと信号接続されており、前記第2電子銃と接続されている第2電子銃電源であって、前記コントローラによって提供される経時的制御信号にしたがって、前記第2電子ビームの前記ビーム負荷を調整するように構成されている、第2電子銃電源と;を備え、
前記コントローラは、前記第1電子ビームのビーム負荷が少なくとも1つの周期のうちの各周期における第1期間において第1ビーム負荷になるように、前記第1電子銃電源に前記第1電子ビームのビーム負荷を調整させ、前記第2電子ビームのビーム負荷が各周期における第2期間において第2ビーム負荷になるように、前記第2電子銃電源に前記第2電子ビームのビーム負荷を調整させ、前記第1期間は前記第2期間と一致しない、
請求項1記載の放射線生成デバイス。
【請求項3】
前記第1ビーム負荷は、前記第2ビーム負荷以下である、
請求項2記載の放射線生成デバイス。
【請求項4】
前記マイクロ波サーキュレータの少なくとも2つのパワー出力ポートは、第1パワー出力ポート及び第2パワー出力ポートを含み、
前記第1パワー出力ポートには、前記パワー入力ポートから供給されるマイクロ波信号が割り当てられ、前記第2パワー出力ポートには、前記第1パワー出力ポートから供給されるマイクロ波信号が割り当てられ、
前記複数の加速管は:
前記第1パワー出力ポート及び前記第1電子銃に接続され、前記第1パワー出力ポートによって出力される第1出力マイクロ波信号を介して前記第1電子ビームを加速するように構成された第1加速管と;
前記第2パワー出力ポート及び前記第2電子銃に接続され、前記第2パワー出力ポートによって出力される第2出力マイクロ波信号を介して前記第2電子ビームを加速するように構成された第2加速管と;を備える、
請求項2記載の放射線生成デバイス。
【請求項5】
前記マイクロ波サーキュレータの少なくとも2つのパワー出力ポートは第3パワー出力ポートをさらに含み、前記第3パワー出力ポートには、前記第2パワー出力ポートから供給されるマイクロ波信号が割り当てられ、
前記放射線生成デバイスは、前記第3パワー出力ポートに接続され、前記第3パワー出力ポートによって出力されるマイクロ波信号を吸収するように構成されている吸収負荷をさらに含む、
請求項4記載の放射線生成デバイス。
【請求項6】
前記マイクロ波サーキュレータは4ポートサーキュレータを含む、
請求項5記載の放射線生成デバイス。
【請求項7】
前記コントローラは、前記マイクロ波生成デバイスによって前記マイクロ波サーキュレータの前記パワー入力ポートに供給されるマイクロ波信号が、前記第1期間において少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号を含むことを可能にし、前記マイクロ波生成デバイスによって前記マイクロ波サーキュレータの前記パワー入力ポートに供給される前記マイクロ波信号が、前記第2期間において少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号を含むことを可能にするように構成されており、
前記少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号のパワーは、前記少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号のパワーよりも大きい、
請求項4記載の放射線生成デバイス。
【請求項8】
前記マイクロ波生成デバイスはマグネトロンを含む、
請求項1記載の放射線生成デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の上記放射線生成デバイスの制御方法であって:
前記コントローラを介して前記マイクロ波生成デバイスの前記マイクロ波パワーの経時的制御を実行し、前記複数の加速管は前記複数の電子ビームをそれぞれ加速するように、前記電子ビーム生成デバイスによって生成された前記複数の加速管にそれぞれ対応する複数の電子ビームの前記ビーム負荷の経時的制御を実行し、異なるエネルギを有する複数の放射線を生成する、ステップを含む、
方法。
【請求項10】
前記電子ビーム生成デバイスは:
第1電子ビーム及び第2電子ビームをそれぞれ生成する第1電子銃及び第2電子銃と、
前記コントローラに信号接続されており、前記第1電子銃及び前記第2電子銃にそれぞれ接続されている第1電子銃電源及び第2電子銃電源と、を備え、
前記コントローラを介して複数の加速管にそれぞれ対応する複数の電子ビームの前記ビーム負荷の経時的制御を実行する前記ステップは:
前記コントローラを介して、前記第1電子ビームのビーム負荷が少なくとも1つの周期の各周期における第1期間において第1ビーム負荷になるように、前記第1電子銃電源に前記第1電子ビームのビーム負荷を調整させ、前記第2電子ビームのビーム負荷が各周期における第2期間において第2ビーム負荷になるように、前記第2電子銃電源に前記第2電子ビームのビーム負荷を調整させ、前記第1期間は前記第2期間と一致しない、ステップを含む、
請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記マイクロ波サーキュレータの少なくとも2つのパワー出力ポートは、第1パワー出力ポート及び第2パワー出力ポートを含み、
前記第1パワー出力ポートには、前記パワー入力ポートから供給されるマイクロ波信号が割り当てられ、前記第2パワー出力ポートには、前記第1パワー出力ポートから供給されるマイクロ波信号が割り当てられ、
前記複数の加速管は:
前記第1パワー出力ポート及び前記第1電子銃に接続された第1加速管と、
前記第2パワー出力ポート及び前記第2電子銃に接続されている第2加速管と、を含み、
前記コントローラを介して前記マイクロ波生成デバイスの前記マイクロ波パワーの経時的制御を実行するステップは:
前記コントローラを介して、前記マイクロ波生成デバイスによって前記マイクロ波サーキュレータの前記パワー入力ポートに供給されるマイクロ波信号が、前記第1期間において少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号を含むことを可能にし、前記マイクロ波生成デバイスによって前記マイクロ波サーキュレータの前記パワー入力ポートに供給されるマイクロ波信号が、前記第2期間において少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号を含むことを可能にし、少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号のパワーは、少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号のパワーよりも大きい、ステップを含む、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号は、前記第1期間の異なる部分に位置する2つの第1入力マイクロ波信号を含み、
前記2つの第1入力マイクロ波信号のパワーは同じであるか又は異なり、
前記第1期間における前記2つの第1入力マイクロ波信号の異なる部分に対応する前記第1電子ビームの前記第1ビーム負荷は同じであるか又は異なる、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号は、前記第2期間の異なる部分に位置する2つの第2入力マイクロ波信号を含み、
前記2つの第2入力マイクロ波信号のパワーは同じであるか又は異なり、
前記第2期間における前記2つの第2入力マイクロ波信号の異なる部分に対応する前記第2電子ビームの前記第2ビーム負荷は同じであるか又は異なる、
請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月9日に出願された中国特許出願第202110779750.3号に基づき、その優先権を主張するものであり、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は加速器分野に関し、特に放射線生成デバイス及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
税関、民間航空、鉄道輸送分野における大型車両/コンテナのセキュリティ検査設備では、X線生成デバイスとして電子線形加速器システムが主に使用されている。生成デバイスによって生成された高エネルギX線は、異なる厚さ及び質量を有する物体に対して非破壊検査を実行することができ、検査対象物(objects to be inspecte)の効果的な認識、及び箱を開けることなく検査対象物に含まれる禁制品の認識及びマーキングを迅速に実現し、それにより、市民の個人的及び財産的セキュリティを保証し、社会的安定性を維持する。
【0004】
関連する放射線撮像分野において、主にX線投影撮像技術を利用して、検査対象物を識別して検出する。応用位置及び認識精度の要求に応じて、概して複数の放射線源を用いてマルチビュー放射線画像化を形成する。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様は放射線生成デバイス(a ray generating device)であって:
【0006】
複数の電子ビームを生成するように構成されている電子ビーム生成デバイスと;
【0007】
マイクロ波を生成するように構成されているマイクロ波発生デバイスと;
【0008】
パワー入力ポート及び少なくとも2つのパワー出力ポートを有し、パワー入力ポートが導波構造を介してマイクロ波生成デバイスに接続されている、マイクロ波サーキュレータと;
【0009】
電子ビーム生成デバイスに接続された複数の加速管であって、少なくとも2つのパワー出力ポートにそれぞれ接続されており、電子ビーム生成デバイスによって生成された複数の電子ビームをそれぞれ受け取り、少なくとも2つのパワー出力ポートから受け取ったマイクロ波を介して複数の電子ビームをそれぞれ加速して、異なるエネルギを有する複数の放射線をそれぞれ生成するように構成されている、複数の加速管と;
【0010】
電子ビーム生成デバイス及び前記マイクロ波生成デバイスに信号接続されたコントローラであって、マイクロ波生成デバイスのマイクロ波パワーの経時的制御、及び、電子ビーム生成デバイスにより発生され、前記複数の加速管にそれぞれ対応する前記電子ビームのビーム負荷の経時的制御を実行するするように構成されている、コントローラと、を備える。
【0011】
いくつかの実施形態では、電子ビーム生成デバイスは:
【0012】
第1電子ビームを生成するように構成されている第1電子銃と;
【0013】
コントローラと信号接続されており、第1電子銃と接続されている第1電子銃電源であって、コントローラによって提供される経時的制御信号にしたがって、第1電子ビームのビーム負荷を調整するように構成されている、第1電子銃電源と;
【0014】
第2電子ビームを生成するように構成されている第2電子銃と;
【0015】
コントローラと信号接続されており、第2電子銃と接続されている第2電子銃電源であって、コントローラによって提供される経時的制御信号にしたがって、第2電子ビームのビーム負荷を調整するように構成されている、第2電子銃電源と;を備え、
【0016】
コントローラは、第1電子ビームのビーム負荷が少なくとも1つの周期のうちの各周期の第1期間において第1ビーム負荷になるように、第1電子銃電源に第1電子ビームのビーム負荷を調整させ、第2電子ビームのビーム負荷が各周期における第2期間において第2ビーム負荷になるように、前記第2電子銃電源に第2電子ビームのビーム負荷を調整させ、第1期間は前記第2期間と一致しない。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1ビーム負荷は、第2ビーム負荷以下である。
【0018】
いくつかの実施形態では、マイクロ波サーキュレータの少なくとも2つのパワー出力ポートは、第1パワー出力ポート及び第2パワー出力ポートを含み、第1パワー出力ポートには、パワー入力ポートから供給されるマイクロ波信号が割り当てられ、第2パワー出力ポートには、第1パワー出力ポートから供給されるマイクロ波信号が割り当てられ、
【0019】
複数の加速管は:
【0020】
第1パワー出力ポート及び第1電子銃に接続され、第1パワー出力ポートによって出力される第1出力マイクロ波信号を介して第1電子ビームを加速するように構成されている第1加速管と;
【0021】
第2パワー出力ポート及び第2電子銃に接続され、第2パワー出力ポートによって出力される第2出力マイクロ波信号を介して第2電子ビームを加速するように構成されている第2加速管と;を備える。
【0022】
いくつかの実施形態では、マイクロ波サーキュレータの少なくとも2つのパワー出力ポートは第3パワー出力ポートをさらに含み、第3パワー出力ポートには、第2パワー出力ポートから供給されるマイクロ波信号が割り当てられ;
放射線生成デバイスは:第3パワー出力ポートに接続され、第3パワー出力ポートによって出力されるマイクロ波信号を吸収するように構成されている吸収負荷をさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、マイクロ波サーキュレータは4ポートサーキュレータを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、コントローラは、マイクロ波生成デバイスによってマイクロ波サーキュレータのパワー入力ポートに供給されるマイクロ波信号が、第1期間において少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号を含むことを可能にし、
マイクロ波生成デバイスによってマイクロ波サーキュレータのパワー入力ポートに供給されるマイクロ波信号が、第2期間において少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号を含むことを可能にするように構成されており、
少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号のパワーは、少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号のパワーよりも大きい。
【0025】
いくつかの実施形態では、マイクロ波生成デバイスはマグネトロンを含む。
【0026】
本発明の一態様は、上記の放射線生成デバイスの制御方法を提供し、前記制御方法は:
【0027】
コントローラを介してマイクロ波生成デバイスのマイクロ波パワーの経時的制御を実行し、複数の加速管は複数の電子ビームをそれぞれ加速するように、電子ビーム生成デバイスによって生成された複数の加速管にそれぞれ対応する複数の電子ビームのビーム負荷の経時的制御を実行し、異なるエネルギを有する複数の放射線を生成する、ステップと、を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、電子ビーム生成デバイスは:第1電子ビーム及び第2電子ビームをそれぞれ生成する第1電子銃及び第2電子銃と、コントローラに信号接続されており、第1電子銃及び第2電子銃にそれぞれ接続されている第1電子銃電源及び第2電子銃電源と、を備え、
【0029】
コントローラを介して複数の加速管にそれぞれ対応する複数の電子ビームのビーム負荷の経時的制御を実行する前記ステップは:
【0030】
コントローラを介して、第1電子ビームのビーム負荷が少なくとも1つの周期の各周期における第1期間において第1ビーム負荷になるように、第1電子銃電源に第1電子ビームのビーム負荷を調整させ、第2電子ビームのビーム負荷が各周期における第2期間において第2ビーム負荷になるように、第2電子銃電源に第2電子ビームのビーム負荷を調整させ、第1期間は第2期間と一致しない。
【0031】
いくつかの実施形態では、マイクロ波サーキュレータの少なくとも2つのパワー出力ポートは、第1パワー出力ポート及び第2パワー出力ポートを含み、第1パワー出力には、パワー入力ポートから供給されるマイクロ波信号が割り当てられ、第2パワー出力には、第1パワー出力ポートから供給されるマイクロ波信号が割り当てられ;
複数の加速管は:第1パワー出力ポート及び第1電子銃に接続された第1加速管と、第2パワー出力ポート及び第2電子銃に接続されている第2加速管と、を含み、
【0032】
コントローラを介して前記マイクロ波生成デバイスのマイクロ波パワーの経時的制御を実行するステップは:
【0033】
コントローラを介して、マイクロ波生成デバイスによってマイクロ波サーキュレータのパワー入力ポートに供給されるマイクロ波信号が、第1期間において少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号を含むことを可能にし、マイクロ波生成デバイスによってマイクロ波サーキュレータのパワー入力ポートに供給されるマイクロ波信号が、第2期間において少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号を含むことを可能にし、少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号のパワーは、少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号のパワーよりも大きい。
【0034】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号は、第1期間の異なる部分に位置する2つの第1入力マイクロ波信号を含み、2つの第1入力マイクロ波信号のパワーは同じであるか又は異なり、第1期間における前記2つの第1入力マイクロ波信号の異なる部分に対応する第1電子ビームの第1ビーム負荷は同じであるか又は異なる。
【0035】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号は、第2期間の異なる部分に位置する2つの第2入力マイクロ波信号を含み、2つの第2入力マイクロ波信号のパワーは同じであるか又は異なり、第2期間における2つの第2入力マイクロ波信号の異なる部分に対応する第2電子ビームの第2ビーム負荷は同じであるか又は異なる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示の実施形態を示し、本明細書と共に、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0037】
本開示は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明からより明確に理解することができる。
【0038】
図1図1は、本発明の放射線生成デバイスによる実施形態の構造を模式的に示す図である。
【0039】
図2図2は、本発明の放射線生成デバイスの他の実施例の構造を模式的に示す図である。
【0040】
図3図3は、本発明の放射線生成デバイスによるいくつかの実施形態における4ポートサーキュレータの構造を示す図である。
【0041】
図4図4は、本発明の放射線生成デバイスのいくつかの実施形態による経時的制御及び放射線エネルギ出力を模式的に示す図である。
【0042】
図5図5は、本発明の放射線生成デバイスの制御方法のいくつかの実施形態に係る概略的フローチャートである。
【0043】
なお、添付図面に示される各部の寸法は、実際の縮尺に従って描かれているわけではない。また、同一又は類似の符号は、同一又は類似の構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付図面を参照して、本発明の様々な実施形態について詳細に説明する。例示的な実施形態の説明は、単なる例示であり、本開示、及びその適用又は使用を限定することを決して意図しない。本開示は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されない。これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、本開示の範囲が当業者に十分に伝わるように提供される。特に指定のない限り、これらの実施形態に記載された構成要素及びステップの相対的配置、材料の組成、数値表現及び数値は、単なる例示であり、限定的なものではないと解釈されるべきであることに留意されたい。
【0045】
本開示で使用される「第1」、「第2」などの類似の語は、いかなる順序、量、又は重要性も示さず、異なる部分を区別するためにのみ使用される。「含む(including)」又は「有する(comprising)」などの類似の語は、その語の前の要素が、その語の後に列挙される要素を包含することを意味し、他の要素を包含する可能性を排除するものではない。「上(Upper)」、「下(lower)」、「左(left)」、「右(right)」などは、相対的な位置関係を示すためにのみ使用される。記述されたオブジェクトの絶対位置が変化した後、相対的な位置関係もそれに応じて変化し得る。
【0046】
本開示において、特定のデバイスが第1デバイスと第2デバイスとの間に位置すると記載される場合、特定のデバイスと第1デバイス又は第2デバイスとの間に介在デバイスが存在してもよく、又は存在しなくてもよい。特定のデバイスが他のデバイスに接続されると記載されている場合、特定のデバイスは、介在デバイスを介さずに他のデバイスに直接接続されてもよいし、他のデバイスに直接接続されずに介在デバイスを有してもよい。
【0047】
本明細書で使用される全ての用語(技術用語又は科学用語を含む)は、特に定義されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が理解する意味と同じ意味を有する。また、一般的な辞書などに定義されている用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は極端に形式的な意味に解釈されない。
【0048】
当業者に知られている技術、方法、及び機器は、詳細には論じられない場合があるが、技術、方法、及び機器は、適切な状況下では説明の一部と見なされるべきである。
【0049】
発明者は、研究を通じて、単一線源(single ray source)は、透過結像原理に起因して、単一角度の結像の観点から、画像上で重なり合う物質を区別することが困難であるという問題を有し、一方、マルチ線源(multi-ray source)は、概して、複数の検出器グループの協働を必要とし、それにより、システムコストの増加につながり、設置スペースに関する要件を有することを見出した。
【0050】
これに鑑み、本開示の実施形態は、オブジェクトのマルチエネルギスペクトル検出の要件を実現することができる放射線生成デバイス及びその制御方法を提供する。
【0051】
図1は、本発明の放射線生成デバイスによる実施形態の構造を模式的に示す図である。図1を参照すると、いくつかの実施形態において、放射線生成デバイスは、電子ビーム生成デバイス2と、マイクロ波生成デバイス4と、マイクロ波サーキュレータ5と、複数の加速管3と、コントローラ1とを含む。
【0052】
電子ビーム生成デバイス2は、複数の電子ビームを発生するように構成されている。いくつかの実施形態において、電子ビーム生成デバイス2は、パルス変調器によって生成される異なる高電圧振幅によって、複数の電子銃に、それぞれ同じ又は異なるビーム負荷を有する複数の電子ビームを生成させることができる。
【0053】
マイクロ波生成デバイス4は、マイクロ波を発生させるように構成されている。いくつかの実施形態では、マイクロ波生成デバイス4は、パルス変調器から出力される電圧の異なる振幅によって、変動する動作電流を生成し、それによって、異なるパワーのマイクロ波信号を生成し得る。他の実施形態において、マイクロ波生成デバイス4は、磁場強度の変化を介して異なるパワーのマイクロ波信号を発生させることもできる。
【0054】
マイクロ波サーキュレータ5は、パワー入力ポートと少なくとも2つのパワー出力ポートとを有し、パワー入力ポートは、導波構造を介してマイクロ波生成デバイス4に接続される。マイクロ波サーキュレータ5は、アイソレーション特性とパワー割り当て特性を有し、マイクロ波エネルギを一方向に沿って伝送することができる。マイクロ波サーキュレータ5のパワー入力ポートに単一のマイクロ波生成デバイス4を接続することにより、パワー入力ポートから供給されるマイクロ波エネルギを特定のパワー出力ポートに割り当て、そのパワー出力ポートで受信される反射マイクロ波エネルギを別のパワー出力ポートに割り当てることができる。このようなマイクロ波サーキュレータ5の特性をマイクロ波生成デバイス4の経時的制御と併せて利用することにより、単一のマイクロ波電源としてマイクロ波発生デバイス4を介して2つ以上のポートのマイクロ波エネルギ出力を達成することが可能である。
【0055】
複数の加速管3は、電子ビーム生成デバイス2に接続され、少なくとも2つのパワー出力ポートにそれぞれ接続される。複数の加速管3は、電子ビーム生成デバイス2によって生成される複数の電子ビームをそれぞれ受け取り、少なくとも2つのパワー出力ポートから受け取ったマイクロ波を介して複数の電子ビームをそれぞれ加速して、異なるエネルギを有する複数の光線をそれぞれ発生させることができる。加速された電子ビームは、ターゲットに衝突することによって、X線などの光線を発生させることができる。
【0056】
コントローラ1は、電子ビーム生成デバイス2及びマイクロ波生成デバイス4と信号接続され、マイクロ波生成デバイス4のマイクロ波パワーを経時的に制御し、電子ビーム生成デバイス2により生成され、複数の加速管3にそれぞれ対応する電子ビームのビーム負荷を経時的に制御する。コントローラ1によってマイクロ波生成デバイス4及び電子ビーム生成デバイス2の経時的制御を実行することにより、複数の加速管3は、物体のマルチエネルギスペクトルカバレッジの検査要件を実現するように、マイクロ波電源を介して異なるエネルギの放射線をそれぞれ生成することができ、システムのワイヤ解像度指数を向上させるとともに、透過性を確保することができる。
【0057】
図2は、本発明の放射線生成デバイスの他の実施形態を模式的に示す図である。図3は、本発明の放射線生成デバイスのいくつかの実施形態における4ポートサーキュレータの構造図である。図2を参照すると、いくつかの実施形態において、電子ビーム生成デバイス2は、第1電子銃22、第1電子銃電源21、第2電子銃24、及び第2電子銃電源23を含む。第1電子銃22は、第1電子ビームを生成するように構成されている。第2電子銃24は、第2電子ビームを生成するように構成されている。各電子銃電源及びマイクロ波生成デバイスは、同じAC電源(例えば、380V)によってパワー供給され得る。
【0058】
第1電子銃電源21は、コントローラ1に信号接続され、第1電子銃22に接続され、コントローラ1によって提供される経時的制御信号にしたがって第1電子ビームのビーム負荷を調整するように構成されている。第2電子銃電源23は、コントローラ1と信号接続され、第2電子銃24に接続され、コントローラ1によって提供される経時的制御信号に従って第2電子ビームのビーム負荷を調整するように構成されている。コントローラ1は、電子ビームのビーム負荷をさらに調整するために、電子銃電源に経時的制御信号(例えば、パルス幅変調信号)を送信することによって、電子銃に印加される電圧を調整することができる。
【0059】
図2及び図3を参照すると、いくつかの実施形態において、マイクロ波サーキュレータ5の少なくとも2つのパワー出力ポートは、第1パワー出力ポートb及び第2パワー出力ポートcを含み、第1パワー出力ポートbは、パワー入力ポートaから供給されるマイクロ波信号に割り当てられ、第2パワー出力ポートcは、第1パワー出力ポートbから供給されるマイクロ波信号に割り当てられる。第1パワー出力ポートbから供給されるマイクロ波信号は、第1パワー出力ポートbから外部に出力された後に反射して戻ってくる反射マイクロ波信号であり得る。
【0060】
図2において、複数の加速管3は、第1加速管31と第2加速管32とを含む。第1加速管31は、第1パワー出力ポートb及び第1電子銃22に接続され、第1パワー出力ポートbによって出力される第1出力マイクロ波信号を介して第1電子ビームを加速するように構成されている。第2加速管32は、第2パワー出力ポートc及び第2電子銃24に接続され、第2パワー出力ポートcによって出力される第2出力マイクロ波信号を介して第2電子ビームを加速するように構成されている。加速された第1電子ビーム及び第2電子ビームは、ターゲットに衝突することによって異なるエネルギのX線を生成し得る。
【0061】
他の実施形態において、電子ビーム生成デバイスは、3つ以上の電子銃及び対応する電子銃電源を含むことができ、放射線生成デバイスは、3つ以上の加速管(more than three accelerating tubes)を含む。したがって、加速管は、コントローラの経時的制御を介してより多くの種類の放射線エネルギの出力を実現し、対象物に対してマルチエネルギスペクトル検査要求及び多視点走査要求を実施するように、マイクロ波サーキュレータの3つ以上のパワー出力ポートにそれぞれ接続されている。
【0062】
図2を参照すると、いくつかの実施形態において、マイクロ波サーキュレータ5の少なくとも2つのパワー出力ポートは、第3パワー出力ポートdをさらに含む。第3パワー出力ポートdには、第2パワー出力ポートcから供給されるマイクロ波信号が割り当てられる。第2パワー出力ポートcから供給されるマイクロ波信号は、第2パワー出力ポートcから外部に出力された後に反射されて戻る反射マイクロ波信号であってもよい。放射線生成デバイスは、第3パワー出力ポートdに接続された吸収負荷6をさらに含むことができる。吸収負荷は、第3パワー出力ポートdから出力されるマイクロ波信号を吸収して、マイクロ波信号がマイクロ波サーキュレータのパワー入力ポートに戻ることを防止する隔離効果(isolation effect)を実現することができる。
【0063】
図3を参照すると、いくつかの実施形態において、マイクロ波サーキュレータ5は、4ポートサーキュレータ51を含む。4ポートサーキュレータ51は、4つのポートを有し、それらは、パワー伝送シーケンスにおける、パワー入力ポートa、第1パワー出力ポートb、第2パワー出力ポートc、及び第3パワー出力ポートdであり、すなわち、4ポートサーキュレータ51のパワー伝送ルールは、a→b→c→dである。いくつかの他の実施形態では、マイクロ波サーキュレータ5は、直列に接続された複数の3ポートサーキュレータ及び4ポートサーキュレータの組合せ構造をさらに含み得る。
【0064】
図3は、フェライト4ポートサーキュレータの構造を示す。4ポートサーキュレータは、デュアルTジョイント、フェライト電界変位効果に基づく非可逆位相シフタ、及び3dBカプラを含む結合デバイスである。放射線生成デバイスの動作時には、パワー入力ポートaから振幅がE0の電磁波が供給される。デュアルT(Hブランチ)特性により、E0/(2^(1/2))の等しい振幅及び等しい位相を有する電磁波が、側面A-Bにおいて導波路I及びIIから出力される。非相反位相シフタは、電磁波がA-B側からC-D側に順方向に伝送されるときに、導波管I内の電磁波の位相を導波管II内の電磁波の位相に対して90°進ませることができ(逆に、導波管II内の位相は、電磁波がC-D側からA-B側に逆方向に伝送される場合に、導波管I内の位相に対して90°進む)、C-D側から第1パワー出力ポートbと第3パワー出力ポートdとの間の位置への3dBカプラは、導波管I及びII内のマイクロ波パワーをそれぞれ第1パワー出力ポートb及び第3パワー出力ポートdに等しく分割させることができるが、結合伝送中に位相シフトが90°増加され、その結果、導波管I及び導波管IIからそれぞれ第1パワー出力ポートb及び第3パワー出力ポートdに出力されるすべてのマイクロ波パワーは、第1パワー出力ポートbから出力されるが、第3パワー出力ポートdでは出力されない。
【0065】
同様に、第1パワー出力ポートbから入力されたマイクロ波パワーは、第2パワー出力ポートcに振り分けられて出力され、第2パワー出力ポートcから入力されたマイクロ波パワーは、第3パワー出力ポートdに振り分けられて出力される。したがって、第1パワー出力ポートbから入力された反射マイクロ波は、出力のために第2パワー出力ポートcに割り当てられ、第2パワー出力ポートcからの反射波は、第3パワー出力ポートdに伝送され、吸収負荷によって吸収される。
【0066】
いくつかの実施形態において、コントローラ1による経時的制御は、第1パワー出力ポートbに接続された第1加速管に、より高いパワー及びエネルギを取得させ、より高いエネルギを有する少なくとも1つのタイプのX線、例えば、6MeV及び3MeVの出力エネルギを有するX線を出力させ、コントローラ1による経時的制御は、第2パワー出力ポートcに接続された第2加速管に、より低いパワー及びエネルギを取得させ、より低いエネルギを有する少なくとも1つのタイプのX線、例えば、0.5~1MeVの出力エネルギを有するX線を出力させる。このように、マイクロ波サーキュレータの異なるパワー出力ポートから出力されるマイクロ波パワーの差によってパワー割り当ての効果が達成され、マイクロ波サーキュレータのパワー割り当て特性を利用することによって、異なるエネルギを有する加速管を駆動することができ、それによって様々な検査要件を実現する。
【0067】
図4は、本開示の放射線生成デバイスのいくつかの実施形態による、経時的制御及び放射線エネルギ出力を模式的に示す図である。図4を参照すると、いくつかの実施形態では、コントローラ1は、第1電子ビームのビーム負荷が少なくとも1つの周期Tのうちの各周期Tにおける第1期間において第1ビーム負荷になるように、第1電子銃電源21に第1電子ビームのビーム負荷を調整させ、第2電子ビームのビーム負荷が各周期Tにおける第2期間において第2ビーム負荷になるように、第2電子銃電源23に第2電子ビームのビーム負荷を調整させ、第1期間は第2期間と一致しない。
【0068】
コントローラ1は、マイクロ波生成デバイス4によってマイクロ波サーキュレータ5のパワー入力ポートに供給されるマイクロ波信号が、第1期間において少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号を含み、マイクロ波生成デバイス4によってマイクロ波サーキュレータ5のパワー入力ポートに供給されるマイクロ波信号が、第2期間において少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号を含むことを可能にするように構成されており、少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号のパワーは、少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号のパワーよりも大きい。
【0069】
上記のコントローラ1が送信する一連の制御指令は、第1加速管31と第2加速管32との交互動作モードを実現し、第1加速管31及び第2加速管32は、マイクロ波サーキュレータ5のパワー分配効果と協働して、各周期Tの異なる時間周期で異なるエネルギのX線を生成するとができる。いくつかの実施形態において、第1加速管31及び第2加速管32によって生成されたX線は、異なる方向に向かって照射するように配置されて、マルチビュー放射線撮像を達成することができる。
【0070】
図4において、マグネトロン41は、各周期Tにおいて、一連の(in sequence)異なる振幅の3つのパルスマイクロ波パワーを4ポートサーキュレータ51のパワー入力ポートaに入力し、すなわち、第1期間t11において、最も高いパルスマイクロ波パワー1aが入力され、第1期間t12において、2番目に高いパルスマイクロ波パワー1bが入力され、第2期間t2において、より低いパルスマイクロ波パワー1cが入力される。第1期間t11及びt12に対応して、第1電子ビームは、それぞれ第1ビーム負荷2a及び2bを伴って構成される(configured with)。第2期間t2に対応して、第2電子ビームは、第2ビーム負荷3aを伴って構成される。いくつかの実施形態では、第1ビーム負荷は第2ビーム負荷以下であり、例えば、図4では、第2ビーム負荷3aは、第1ビーム負荷2bにほぼ等しく、第1ビーム負荷2aよりも大きい。
【0071】
ビーム負荷効果の式は、以下のように表すことができる:
E=(A*P)^0.5-B*I
Eは加速電子ビームのエネルギであり、Iは加速電子ビームの強度(すなわち、ビーム負荷)であり、Pは加速管に供給されるパルスマイクロ波パワーであり、A及びBは所定の定数である。ビーム負荷効果によれば、異なる電子ビームが加速されるとき、異なるエネルギを有する高エネルギ電子ビームが得られる。図4を参照すると、ビーム負荷が大きいほど、加速管に供給されるマイクロ波のパワーは小さく、電子ビームが加速管で加速されるときに得られるエネルギは小さく、そうでなければ、ビーム負荷が小さいほど、加速管に供給されるマイクロ波のパワーは大きく、電子ビームが加速管で加速されるときに得られるエネルギは大きい。
【0072】
第1期間t11及びt12において、第1電子ビームは、第1ビーム負荷2a及び2bを伴って構成される。第1期間t11及び第1期間t12において、それぞれ入力されたパルスマイクロ波パワー1a及び1bは、4ポートサーキュレータ51の第1パワー出力ポートbを介して第1加速管31に供給される。パルスマイクロ波パワー1aはパルスマイクロ波パワー1bより大きく、第1ビーム負荷2aは第2ビーム負荷2bより小さいので、第1加速管は、第1期間t11及び第1期間t12において、2つの異なるエネルギ、すなわち、より高いエネルギ4a及びより低いエネルギ4b(例えば、6MeV及び3MeV)を有するX線をそれぞれ生成する。
【0073】
第1加速管31に供給されるマイクロ波エネルギは、第1電子ビームの加速に用いられるため、第1パワー出力ポートbから戻る反射マイクロ波は少ない。第1期間において、第2電子ビームにビーム負荷が設定されていない(not configured with)が、したがって、第1パワー出力ポートbに入射する反射マイクロ波は、第2パワー出力ポートcに割り当てられ、反射して第2電源出力ポートcに戻される。第2パワー出力ポートcに入射する反射マイクロ波は、第3電源出力ポートdに割り当てられ、第3電源出力ポートdに接続された吸収負荷によって吸収される。
【0074】
第2期間t2においてパワー入力ポートaから入力されたパルスマイクロ波パワー1cは、4ポートサーキュレータ51の第1パワー出力ポートbを介して第1加速管31に供給される。第2期間t2では、第1電子ビームはビーム負荷が設定されていないので、第1パワー出力ポートbから第1加速管31に入るより多くのマイクロ波エネルギが、反射して第1パワー出力ポートbに戻る。第1パワー出力ポートbに入射する反射マイクロ波は、第2パワー出力ポートcに割り当てられ、第2期間t2における第2電子ビームは、第2ビーム負荷3aを伴って構成され、第2期間t2において、第2加速管32は、第1加速管31によって生成されるX線のエネルギ4a、4bよりも低いエネルギ4c(例えば、0.5~1MeV)を有するX線を生成する。
【0075】
本発明の上記の放射線生成デバイスの各実施形態を通じて、マイクロ波サーキュレータの各ポートの出力パワーの動作特性を十分に利用しながら、単一のマイクロ波電源が電子ビーム生成デバイスのビーム負荷と整合されて、複数の異なる放射線エネルギの出力を達成し、異なる動作環境の放射線走査要件を満たす。コントローラの経時的制御により、多様化された放射線エネルギ出力を実現することができ、多段階エネルギ出力の安定性を保証することができる。
【0076】
図5は、本開示の放射線生成デバイスの制御方法のいくつかの実施形態に係る概略的フローチャートである。図5を参照すると、上記の放射線生成デバイスの実施形態に基づいて、いくつかの実施形態では、放射線生成デバイスの制御方法は、ステップ100及びステップ200を含む。ステップ100とステップ200は、コントローラの経時的制御命令に従って同期して実行される。
【0077】
ステップ100では、コントローラ1を介してマイクロ波生成デバイス4のマイクロ波パワー又は電力を経時的に制御する。ステップ200において、電子ビーム生成デバイス2によって生成された複数の加速管3にそれぞれ対応する複数の電子ビームのビーム負荷に経時的制御を実行し、したがって、複数の加速管3が複数の電子ビームをそれぞれ加速して、異なるエネルギを有する複数の放射線、例えばX線を生成する。
【0078】
図2を参照すると、いくつかの実施形態において、電子ビーム生成デバイス2は:第1電子ビーム及び第2電子ビームをそれぞれ生成する第1電子銃22及び第2電子銃24と、コントローラ1に信号接続されており、第1電子銃22及び第2電子銃24にそれぞれ接続されている第1電子銃電源21及び第2電子銃電源23と、を備える。相応に、ステップ100は:コントローラ1を介して、第1電子銃電源21が、第1電子ビームのビーム負荷を少なくとも1つの周期Tの各周期T内の第1期間t11及びt12において、第1ビーム負荷2a、2bになるように調整することを可能にし、第2電子銃電源23が、第2電子ビームのビーム負荷を、各周期Tにおける第2期間において第2ビーム負荷3aになるように調整することを可能にし、第1期間t11及びt12は、第2期間t2と一致しない、ステップを含む。
【0079】
図2を参照すると、いくつかの実施形態において、マイクロ波サーキュレータ5の少なくとも2つのパワー出力ポートは、第1パワー出力ポートb及び第2パワー出力ポートcを含み、第1パワー出力ポートbは、パワー入力ポートaから供給されるマイクロ波信号を割り当てられ、第2パワー出力ポートcは、第1パワー出力ポートbから供給されるマイクロ波信号を割り当てられ、複数の加速管3は、第1パワー出力ポートb及び第1電子銃22に接続された第1加速管31と、第2パワー出力ポートc及び第2電子銃24に接続された第2加速管32と、を含む。
【0080】
これに対応して、ステップ200は:コントローラ1を介して、マイクロ波生成デバイス4によってマイクロ波サーキュレータ5のパワー入力ポートに供給されるマイクロ波信号が、第1期間において少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号を含むことを可能にし、マイクロ波生成デバイス4によってマイクロ波サーキュレータ5のパワー入力ポートに供給されるマイクロ波信号が、第2期間において少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号1cを含むことを可能にし、少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号のパワーは、少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号1cのパワーよりも大きい。
【0081】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの第1入力マイクロ波信号は、第1期間(例えば、第1期間t11及び第1期間t12)の異なる部分に位置する2つの第1入力マイクロ波信号1a及び1bを含み、2つの第1入力マイクロ波信号1a及び1bのパワーは、同じであるか又は異なる。第1期間における2つの第1入力マイクロ波信号1a及び1bの異なる部分t11及びt12に対応する第1電子ビームの第1ビーム負荷2a及び2bは、同じであるか又は異なる。
【0082】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号は、第2期間t2に位置する1つの第2入力マイクロ波信号1cを含む。いくつかの他の実施形態では、少なくとも1つの第2入力マイクロ波信号は、第2期間の異なる部分に位置する2つの第2入力マイクロ波信号を含み、第2期間の異なる部分に位置する2つの第2入力マイクロ波信号の電源は、同じであるか又は異なる。第2期間における2つの第2入力マイクロ波信号の異なる部分に対応する第2電子ビームの第2ビーム負荷は同じであるか又は異なる。
【0083】
本明細書における複数の実施形態は、各実施形態に異なる強調を伴って、漸進的な方法で説明され、様々な実施形態の同じ又は類似の部分は、互いに参照され得る。方法の実施形態に関しては、それらの全体と、関与するステップと、装置の実施形態における内容との間の対応関係に起因して、説明は比較的単純である。関連する詳細については、装置の実施形態の部分図を参照されたい。
【0084】
以上、本発明の様々な実施形態について詳細に説明した。本開示の概念を不明瞭にすることを避けるために、当技術分野でよく知られているいくつかの詳細は説明されていない。当業者は、上記の説明に従って、本明細書で開示された技術的解決策をどのように実施するかを完全に理解することができる。
【0085】
本開示のいくつかの特定の実施形態が実施例を通して詳細に記載されているが、上記の実施例は、例示のためだけであり、本開示の範囲を限定することを意図しないことが当業者によって理解されるべきである。当業者は、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、上記の実施形態を修正することができるか、又はいくつかの技術的特徴を均等物によって置き換えることができることを理解すべきである。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】