IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

特表2024-525040ファンにおいて使用される羽根車及びファン
<>
  • 特表-ファンにおいて使用される羽根車及びファン 図1
  • 特表-ファンにおいて使用される羽根車及びファン 図2
  • 特表-ファンにおいて使用される羽根車及びファン 図3
  • 特表-ファンにおいて使用される羽根車及びファン 図4
  • 特表-ファンにおいて使用される羽根車及びファン 図5
  • 特表-ファンにおいて使用される羽根車及びファン 図6
  • 特表-ファンにおいて使用される羽根車及びファン 図7
  • 特表-ファンにおいて使用される羽根車及びファン 図8
  • 特表-ファンにおいて使用される羽根車及びファン 図9
  • 特表-ファンにおいて使用される羽根車及びファン 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ファンにおいて使用される羽根車及びファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/30 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
F04D29/30 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580773
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2022067638
(87)【国際公開番号】W WO2023274991
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/104382
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】リン フ‐ラング
(72)【発明者】
【氏名】グ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チン エイ
(72)【発明者】
【氏名】フェン エイエイ
(72)【発明者】
【氏名】コン タオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シュアン
(72)【発明者】
【氏名】タン リーチャン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウェイジョン
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB45
3H130AC01
3H130BA14C
3H130BA62C
3H130BA66C
3H130DD01Z
3H130EA06C
3H130EA07C
3H130EA08C
3H130EB02C
3H130ED04C
(57)【要約】
本開示の実施形態はファンにおいて使用される羽根車及びファンに関する。羽根車は、ハブと、ハブに接続されている第1の端部及び第1の端部の反対側にある第2の端部を各々備える第1の複数のフィンと、第1の複数のフィンの第2の端部に接続されている周縁表面を備える第1のリングと、周方向に沿って第1の複数のフィンの各々を貫通して配置されている少なくとも1つの第1の開口部とを備え、第1の複数のフィンの各々は、第1の端部から第2の端部まで延在する複数のセグメントであって、少なくとも1つの第1の開口部によって分離された複数のセグメントを備える。羽根車は空気に対する遮断効果を低減しながら、空気を最大限に押すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンにおいて使用される羽根車であって、前記羽根車は、
ハブと、
前記ハブに接続されている第1の端部及び前記第1の端部の反対側にある第2の端部を各々備える、第1の複数のフィンと、
前記第1の複数のフィンの前記第2の端部に接続されている周縁表面を備える、第1のリングと、
周方向に沿って前記第1の複数のフィンの各々を貫通して配置されている、少なくとも1つの第1の開口部と、を備え、
前記第1の複数のフィンの各々は、前記第1の端部から前記第2の端部まで延在する複数のセグメントであって、前記少なくとも1つの第1の開口部によって分離された前記複数のセグメントを備える、羽根車。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の開口部は一組の開口部を備え、前記第1の複数のフィンのうちの隣り合うフィンの前記開口部は前記周方向に沿って互い違いに配置されている、請求項1に記載の羽根車。
【請求項3】
前記第1の複数のフィンの前記開口部は前記ハブの縦方向軸線に対して一様に分布している、請求項1に記載の羽根車。
【請求項4】
前記第1のリングと前記ハブは同軸に配置されており、
前記第1のリングは前記ハブから間隔をあけて配置されているか、又は、前記第1のリングは前記ハブまで延在し前記ハブに接続されている、請求項1に記載の羽根車。
【請求項5】
第1の複数のフィンの各々は曲線状又は直線状に延在する、請求項1に記載の羽根車。
【請求項6】
前記第1の複数のフィンの数は、30から180の範囲内、好ましくは80から120の範囲内又は30から70の範囲内、より好ましくは30から50の範囲内、又は50から60の範囲内である、請求項1に記載の羽根車。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1の開口部は前記ハブの縦方向軸線に沿って前記第1のリングを更に貫通している、請求項1に記載の羽根車。
【請求項8】
前記第1のリング上に配置されている第2の複数のフィンであって、前記第2の複数のフィンの各々は前記第1のリングの前記周縁表面から半径方向内側に延在し、前記第1の複数のフィンの各々よりも短い、前記第2の複数のフィンを更に備え、
前記第2の複数のフィンの各々は前記第1の複数のフィンのうちの隣り合うフィンの間に配置されている、
請求項1に記載の羽根車。
【請求項9】
前記第2の複数のフィンの各々に配置されている少なくとも1つの第2の開口部であって、前記少なくとも1つの第2の開口部は前記第2の複数のフィンの各々を複数のセグメントへと切り分けておりかつ更に前記第1のリングを貫通している、前記少なくとも1つの第2の開口部を更に備え、
前記少なくとも1つの第2の開口部及び前記第1の複数のフィンのうちの隣り合うフィンの前記開口部は前記周方向に沿って互い違いに配置されている、
請求項8に記載の羽根車。
【請求項10】
前記第1のリング上に配置されている第3の複数のフィンであって、前記第3の複数のフィンの各々は前記周縁表面から半径方向内側に延在し、前記第2の複数のフィンの各々よりも短い、前記第3の複数のフィンを更に備え、
前記第3の複数のフィンの各々は、前記第1の複数のフィンのうちの1つのフィンと前記第2の複数のフィンのうちの1つのフィンとの間に配置されている、
請求項9に記載の羽根車。
【請求項11】
前記第3の複数のフィンの各々に配置されている少なくとも1つの第3の開口部であって、前記少なくとも1つの第3の開口部は前記第3の複数のフィンの各々を複数のセグメントへと切り分けており、更に前記第1のリングを貫通している、前記少なくとも1つの第3の開口部を更に備え、
前記少なくとも1つの第3の開口部、前記少なくとも1つの第2の開口部、及び前記少なくとも1つの第1の開口部は前記周方向に沿って互い違いに配置されている、
請求項10に記載の羽根車。
【請求項12】
前記ハブの前記縦方向軸線に沿って前記第1のリングから間隔をあけて配置されている少なくとも1つの第2のリングを更に備え、
前記少なくとも1つの第2のリングの各々は前記第1の複数のフィンの前記第2の端部に接続されている周縁表面を有する、
請求項11に記載の羽根車。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第2のリングは、前記少なくとも1つの第1の開口部、前記少なくとも1つの第2の開口部、及び前記少なくとも1つの第3の開口部のうちの、少なくとも1つによって貫通されている、請求項12に記載の羽根車。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の羽根車と、
前記羽根車を収容しているハウジングであって、前記ハウジングは、
前記ハウジングの外部の空気を吸入するための吸入ポート、及び
前記吸入された空気を放出するための放出ポートを備える、前記ハウジングと、
を備える、ファン。
【請求項15】
前記羽根車を回転させるために前記ハブに接続されているモータを更に備える、請求項14に記載のファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は概してファンの分野に関し、より詳細にはファンに関する。
【背景技術】
【0002】
ファンは気流を発生させる装置である。ファンは通常、気流を発生させるための羽根車と、羽根車によって発生した気流を導くためのハウジングとを含む。遠心ファンの使用においては、遠心ファンの羽根車が回転して電子部品への気流を発生させて電子部品の熱を連続的に奪う。
【0003】
冷却及び放熱の効率を改善する又は気流を増量するためには、羽根車の回転速度を上げて気流の流量を増大させることが、直接的かつ効果的な手法である。しかしながら一般に、羽根車の回転速度を上げることで流量を増大させると、消費電力が大きくなるとともに、騒音レベルが上がる。このことは遠心ファンの近くにいる使用者にとって煩わしいか又は不快感を覚えるものである。また更に、消費電力が大きく騒音レベルも大きいため、フェイスマスクのような装着型デバイスには不適当でもある。
【0004】
米国特許出願第2004/0240999A1号には遠心ブロワファンが記載されている。これは、動作回転速度領域内での騒音をブロワの性能を低下させることなく低減できる遠心ブロワファンを提供するものである。遠心ブロワファンは、ベースプレートと、ベースプレート上に放射パターンで配置されて隣り合うファン羽根車の対の間に複数の空気通路をそれぞれ画定する、複数のファン羽根車とを備える。空気通路の各々の底壁となるベースプレートの部分には、複数の貫通孔が形成されている。
【0005】
米国特許出願第2018/0045213A1号には遠心ポンプ用羽根車が記載されている。遠心ポンプ用羽根車は、入口を向いて機能的に配置された第1の円盤要素を有し、この第1の円盤要素は出口(delivery)を向いて機能的に配置された第2の円盤要素と同軸でこれに対向して配置され、この第2の円盤要素は角度的に間隔をおいて配置された一連の羽根によって第1の円盤要素に強固に接続されるとともに、伝達軸に固定するための手段を中心に備えている。本発明の特徴は、羽根車が、第2の円盤要素の実質的な周縁領域における、隣り合う羽根の対の間の、実質上の最大の軸方向推力を受ける領域に形成された、一連の開口部を含むことにある。
【0006】
米国特許第9551352B2号には、改善された体積抵抗ブロワ及びロータが記載されている。装置は例えば、モータと、1つ又は複数の入口及び1つ又は複数の出口を有するケーシングと、ケーシング内に容積抵抗を生じさせるための円筒形ロータとを備え、ロータの少なくとも一部は多孔質材料を含む。
【0007】
米国特許第9746001B2号には、体積抵抗ブロワが記載されている。装置は、モータと、円筒形の発泡体ブロックを備えるロータと、ロータの軸方向に配置された1つ又は複数の入口及びロータの半径方向に配置された1つ又は複数の出口を有する、ケーシングとを備える。
【0008】
しかしながら、このような知られている解決法は、高回転速度、大きな空気流量、低レベルの騒音、及び/又は低レベルの電力消費には十分に適していない。特に、米国特許第9551352B2号及び米国特許第9746001B2号が開示しているブロワには、ファンの性能を改善するための発泡材料が採用されている。発泡体は軟質材料であるため、硬質の基材が必要となる。発泡体が金属で製作される場合、その製造は困難であり、コストも高くなると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、総合的性能を改善したファンが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の例示の実施形態では、高回転速度、高い空気圧、大きな空気流量、低レベルの騒音、及び低レベルの電力消費という改善された総合的性能を有する、ファンにおいて使用される羽根車、及びファンが提案される。
【0011】
第1の態様では、ファンにおいて使用される羽根車が提供される。羽根車は、ハブと、ハブに接続されている第1の端部及び第1の端部の反対側にある第2の端部を各々備える、第1の複数のフィンと、第1の複数のフィンの第2の端部に接続されている周縁表面を備える、第1のリングと、周方向に沿って第1の複数のフィンの各々を貫通して配置されている少なくとも1つの第1の開口部とを備え、第1の複数のフィンの各々は、第1の端部から第2の端部まで延在する複数のセグメントであって、少なくとも1つの第1の開口部によって分離された複数のセグメントを備える。
【0012】
本開示の様々な実施形態によれば、各フィン上に設けられた開口部に起因して、羽根車は、空気に対する遮断効果を低減しながら、空気を最大限に押すことができる。このようにして、ファンは高回転速度を実現することができ、以って高い空気圧及び大きな空気流量を生み出すことができる。更に、ファンの騒音及び消費電力を低く抑えることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の開口部は一組の開口部を備え、第1の複数のフィンのうちの隣り合うフィンの開口部は周方向に沿って互い違いに配置されている。これらの実施形態ではファンの有孔度が増大し、その結果ファンの性能を更に改善することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の複数のフィンの開口部は、ハブの縦方向軸線に対して一様に分布している。これらの実施形態では、ファンの製造工程が更に簡略化される。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1のリングとハブは同軸上に配置され、第1のリングはハブから間隔をあけて配置されているか、又は、第1のリングはハブまで延在しハブに接続されている。第1のリングによってフィンの遠位端同士が接続され、その結果フィンの強度が増す。第1のリングをハブに接続すれば、ファンの強度を更に高めることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の複数のフィンの各々は曲線状又は直線状に延在する。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の複数のフィンの数は、[30,180]の範囲内、好ましくは[80,120]の範囲内又は[30,70]の範囲内、より好ましくは[30,50]の範囲内又は[50,60]の範囲内である。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の開口部は更に、第1のリングをハブの縦方向軸線に沿って貫通している。このようにして、空気に対する遮断効果を更に低減することができる。このことは更に、騒音の低減及び気流の増量に役立つ。
【0019】
いくつかの実施形態では、羽根車は、第1のリング上に配置されている第2の複数のフィンであって、第2の複数のフィンの各々は第1のリングの周縁表面から半径方向内側に延在しかつ第1の複数のフィンの各々よりも短い、第2の複数のフィンを更に備え、第2の複数のフィンの各々は第1の複数のフィンのうちの隣り合うフィンの間に配置されている。このようにして、羽根車のフィンの密度が高まり、羽根車はその結果、より高レベルの空気流量及びより高レベルの空気圧をもたらすことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、羽根車は、第2の複数のフィンの各々上に配置されている少なくとも1つの第2の開口部であって、少なくとも1つの第2の開口部は第2の複数のフィンの各々を複数のセグメントへと切り分けており、更に第1のリングを貫通している少なくとも1つの第2の開口部を更に備え、少なくとも1つの第2の開口部及び第1の複数のフィンのうちの隣り合うフィンの開口部は、周方向に沿って互い違いに配置されている。これらの実施形態では、第2の複数のフィンは、空気に対する遮断効果を低減しつつ空気を最大限に押すことができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、羽根車は、第1のリング上に配置されている第3の複数のフィンであって、第3の複数のフィンの各々は周縁表面から半径方向内側に延在しかつ第2の複数のフィンの各々よりも短い、第3の複数のフィンを更に備え、第3の複数のフィンの各々は、第1の複数のフィンのうちの1つのフィンと第2の複数のフィンのうちの1つのフィンとの間に配置されている。このようにして、羽根車のフィンの密度が更に高まり、気流及び空気圧を更に高めることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、羽根車は、第3の複数のフィンの各々上に配置されている少なくとも1つの第3の開口部であって、少なくとも1つの第3の開口部は第3の複数のフィンの各々を複数のセグメントへと切り分けており、更に第1のリングを貫通している少なくとも1つの第3の開口部を更に備え、少なくとも1つの第3の開口部、少なくとも1つの第2の開口部、及び少なくとも1つの第1の開口部は、周方向に沿って互い違いに配置されている。これらの実施形態では、第3の複数のフィンは、空気に対する遮断効果を低減しつつ空気を最大限に押すことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、羽根車は、ハブの縦方向軸線(X)に沿って第1のリングから間隔をあけて配置されている少なくとも1つの第2のリングを更に備え、少なくとも1つの第2のリングの各々は、第1の複数のフィンの第2の端部に接続されている周縁表面を有する。これらの実施形態では、羽根車のフィンの強度を少なくとも1つの第2のリングによって高めることができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2のリングは、少なくとも1つの第1の開口部、少なくとも1つの第2の開口部、及び少なくとも1つの第3の開口部のうちの、少なくとも1つによって貫通されている。これらの実施形態では、空気に対する遮断効果を低減することができる。
【0025】
本開示の第2の態様ではファンが提供される。ファンは、本開示の第1の態様に係る羽根車と、羽根車を収容しているハウジングであって、ハウジングは、ハウジングの外部の空気を吸入する吸入ポート、及び吸入された空気を放出するための放出ポートを備える、ハウジングとを備える。
【0026】
本明細書に開示されているファンは、空気に対する遮断効果を低減しながら、空気を最大限に押すことができる。そのため、ファンは高回転速度を実現することができ、以って高い空気圧及び大きな空気流量を生み出すことができる。同時に、ファンに起因する騒音は低レベルであり、消費電力も低レベルである。
【0027】
いくつかの実施形態では、ファンは、羽根車を回転させるためにハブに接続されているモータを更に備える。
【0028】
添付図面を参照した以下の詳細な説明によって、本明細書に開示する例示の実施形態の上記の及び他の目的、特徴、及び利点が、より理解し易くなるであろう。図面には、本明細書に開示するいくつかの例示の実施形態が、例示的かつ非限定的に図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示のいくつかの実施形態に係るファンの概略斜視図である。
図2】本開示の実施形態に係る羽根車の概略図である。
図3図2の羽根車10の概略立体図である。
図4図2の羽根車の概略部分図である。
図5】本開示の別の実施形態に係る羽根車の概略図である。
図6図5の羽根車の概略立体図である。
図7図5の羽根車の概略部分図である。
図8】本開示の別の実施形態に係る羽根車の概略図である。
図9図8の羽根車の概略立体図である。
図10図8の羽根車の概略部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
全ての図面を通して、同じ又は類似の要素を示すために、同じ又は類似の参照符号が使用される。
【0031】
以下では本開示の原理を図面に示すいくつかの例示の実施形態を参照して説明する。本開示の例示の実施形態が図面に図示されているが、これらの実施形態は当業者が本開示をより良く理解し以って本開示を実現することを容易にするために記載されているに過ぎず、いかなる点でも本開示の範囲を限定するためのものではないことを理解されたい。
【0032】
上記したように、従来のファンは高い総合的性能を有していない。具体的には、羽根車の回転数を上げることで流量を増やすと、高い消費電力及び高レベルの騒音が生じることになる。したがって、高回転速度、高い空気圧、大きな空気流量、低レベルの騒音、及び低レベルの電力消費を実現できる改善されたファンを提供することは有益であろう。
【0033】
本開示の実施形態は、従来の羽根車のフィンに多孔構造を提案する。このことにより発泡材料で製作されたブロワの利益が得られ、他方では、本開示の実施形態の羽根車及びファンは製造が容易である。実施されると、本開示の実施形態によって提案される羽根車及びファンは、空気に対する遮断効果を低減しながら、空気を最大限に押すことができる。したがって、ファンの総合的性能を改善することができる。
【0034】
図1は本開示の実施形態に係るファンの概略斜視図を示す。ファンは、プリント回路基板(図示せず)上に実装された電子部品(図示せず)が発する熱を放散するために使用される。他の用途では、ファンは呼吸用フェイスマスクのような装着型デバイスにおいて使用される。いくつかの実施形態では、ファン20は遠心ファンである。
【0035】
ファン20は、ハウジング21と、ハウジング21内に回転可能に受けられた羽根車10と、を備える。図1に示すように、ハウジング21は中空のタンクであり、中に羽根車10が収容される受け入れ空間を画定している。ハウジング21は、ベース板211と、ベース板211の上方に位置する覆い板212と、覆い板212の外周部から下向きに延在してベース板211の外周部に接触する側壁213と、を備える。いくつかの実施形態では、側壁213は覆い板212と一体に、一部片として形成されている。
【0036】
放出ポート22は、覆い板212、ベース板211、及び側壁213が協働して画定される。ハウジング21の覆い板212の中央には、貫通孔などの吸引ポート23が設けられる。羽根車10はベース板211に回転可能に取り付けられる。
【0037】
動作中、羽根車10は、ハウジング21内のステータに対して、ファンのロータ(図示せず)によって駆動させることができる。特に、羽根車10はファン20のモータ(図示せず)によって回転される。モータは羽根車10のハブ101に接続される。
【0038】
羽根車10を回転させると、羽根車10の複数のフィンによって、吸引ポート23に隣り合う空気がハウジング21内に押し込まれる。空気は次いで放出ポート22へと流れ、以って高圧気流が生じる。この高圧気流を、冷却が必要な電子部品に誘導することができる、又は、フェイスマスクの通気に使用することができる。いくつかの実施形態では、ハブ101の縦方向軸線Xに沿って、羽根車10と覆い板212及びベース板211の少なくとも一方との間に間隙が存在する。例えば間隙のサイズは1.5mmである。本開示は間隙のサイズを限定するものではなく、間隙のサイズは任意の他の値であってもよいことを理解されたい。
【0039】
図2は、ファン20に使用される本開示の例示の実施形態に係る羽根車10を概略的に示す。図3は羽根車10の立体図を示し、図4は羽根車10の部分図を示す。
【0040】
図2から図4に示すように、羽根車10はハブ101を備える。ハブ101は円筒形の構成であってもよく、ロータ又はモータに接続することができる。
【0041】
羽根車10は第1の複数のフィン110を更に備える。第1の複数のフィン110の各々は、ハブ101に接続された第1の端部113と、第1の端部113の反対側にある第2の端部114と、を備える。いくつかの実施形態では、第1の複数のフィン110の各々は曲線状に延在する。他の実施形態では、第1の複数のフィン110は直線状に延在し得る。
【0042】
羽根車10は第1のリング103を更に備える。第1のリング103は、第1の複数のフィン110の第2の端部114に接続された周縁表面1031を備える。いくつかの実施形態では、第1のリング103は、ハブ101に近い方に内側円形表面1032を更に備える。円形の周縁表面1031の直径は、内側円形表面1032の直径よりも大きい。
【0043】
第1のリング103によって、第1の複数のフィン110の第2の端部114同士が接続される。その結果フィン110の強度が高まる。第1の複数のフィン110は、第1のリング103の1つの側面を起点として、第1のリング103から離れる方に延在する。別法として、第1の複数のフィン110は、第1のリング103の2つの側面を起点として第1のリング103から離れる方に延在する。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1のリング103とハブ101は同軸上に配置される。図2図4に示すように、第1のリング103はハブ101から間隔をあけて配置されている。その結果、羽根車10の重量度を低減することができる。
【0045】
図2図4を参照すると、羽根車10は、羽根車10の周方向Cに沿って、第1の複数のフィン110の各々を貫通して配置されている少なくとも1つの第1の開口部111を更に備える。その結果、第1の複数のフィン110の各々は、第1の端部113から第2の端部114まで延在する、少なくとも1つの第1の開口部111によって分離された複数のセグメントを備える。第1の複数のフィン110の各々は複数のセグメントへと切り分けられているので、多孔の羽根車が生み出され、空気に対する遮断効果を低減できる。
【0046】
少なくとも1つの第1の開口部111は、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の開口部を備え得ることを理解されたい。
【0047】
いくつかの実施形態では、強度のために、少なくとも1つの第1の開口部は、第1のリング103に接続する第1の複数のフィン110の各々の一部上に設けられる。他の実施形態では、少なくとも1つの開口部111のうちの1つ又は複数の開口部は、空気に対する遮断効果を更に低減するように、第1の複数のフィン110の各々の、第1のリング103に接続しない部分上に、追加的に設けられる。
【0048】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の開口部111は更に、第1のリング103をハブ101の縦方向軸線Xに沿って貫通してもよい。これらの実施形態では、少なくとも1つの第1の開口部111は、ハブ101の縦方向軸線Xに沿って延在する孔である。このようにして、空気に対する遮断効果を更に低減することができる。このことは更に、騒音の低減及び気流の増量に役立つ。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1の複数のフィン110の全ての第1の開口部111は、ハブ101の縦方向軸線Xに対して一様に分布する。これらの実施形態では、羽根車10の製造工程を更に簡略化することができる。例えば、第1の複数のフィン110の各々は、2つの開口部1110、1111を備える。第1の端部113に近い方の開口部1110は全て、半径R1を有する第1の円上に配置され、第2の端部114に近い方の他の開口部1111は、半径R2を有する第2の円上に配置される。第1の円と第2の円は同心であり、R1はR2よりも小さい。
【0050】
他の実施形態では、少なくとも1つの第1の開口部111は一組の開口部を備え、第1の複数のフィン110のうちの隣り合うフィンの開口部は、羽根車10の周方向Cに沿って互い違いに配置されている。このようにして、第1の複数のフィン110のうちの隣り合うフィンの開口部はそれぞれ、異なる半径を有する同心円上に配置される。
【0051】
いくつかの実施形態では、羽根車10は、第1のリング103上に配置された第2の複数のフィン120を更に備える。図2図4に示すように、第2の複数のフィン120の各々は、周縁表面1031からハブ101に向かって半径方向内側に延在する。例えば、第2の複数のフィン120の各々は、周縁表面1031から内側円形表面1032まで半径方向内側に延在する。このようにして、羽根車10のフィンの密度が高まり、羽根車はその結果、より高レベルの空気流量及びより高レベルの空気圧をもたらすことができる。
【0052】
図2から図4に示すように、第2の複数のフィン120の各々は、第1の複数のフィン110のうちの隣り合うフィンの間に配置されている。したがって、羽根車10のフィンの高い密度が達成できる。その結果、羽根車10及びファン20は、大きな空気流量及び高い空気圧をもたらすことができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、第2の複数のフィン120の各々の長さは、第1の複数のフィン110の各々よりも短い。その結果、羽根車10上には高密度のフィンを設けながらも、製造が容易になる。
【0054】
いくつかの実施形態では、羽根車10は、第2の複数のフィン120の各々上に配置された少なくとも1つの第2の開口部121を更に備える。例えば、羽根車10の周方向Cに沿って第2の複数のフィン120の各々の表面に配置されこれを貫通している、少なくとも1つの第2の開口部121である。このようにして、少なくとも1つの第2の開口部121は、第2の複数のフィン120の各々を複数のセグメントへと切り分ける。このことは空気に対する遮断効果及び騒音の低減に役立つ。
【0055】
少なくとも1つの第2の開口部121は、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の開口部を備え得ることを理解されたい。
【0056】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2の開口部121及び第1の複数のフィン110のうちの隣り合うフィンの開口部は、羽根車10の周方向Cに沿って互い違いに配置されている。このようにして、少なくとも1つの第2の開口部121は、第1の複数のフィン110の開口部の円とは異なる円上に配置される。
【0057】
他の実施形態では、少なくとも1つの第1の開口部111及び少なくとも1つの第2の開口部121を含む全ての開口部は、ハブ101の縦方向軸線Xに対して一様に分布する。このようにして製造が容易になる。
【0058】
図5は本開示の別の実施形態に係る羽根車10を概略的に示しており、図6図5の羽根車10の立体図を概略的に示しており、図7図5の羽根車10の部分図を概略的に示している。
【0059】
図5から図7に示すように、羽根車10は、第1のリング103上に配置された第3の複数のフィン130を更に備える。第3の複数のフィン130の各々は、周縁表面1031からハブ101に向かって半径方向内側に延在する。
【0060】
図5から図7に示すように、第3の複数のフィン130の各々は、第1の複数のフィン110のうちの1つのフィンと第2の複数のフィン120のうちの1つのフィンとの間に配置されている。したがって羽根車10上で高密度のフィンを実現できる。このことは気流を増量するのに役立つ。
【0061】
いくつかの実施形態では、第3の複数のフィン130の各々の長さは、第2の複数のフィン120の各々よりも短い。その結果、羽根車10上には高密度のフィンを設けながらも、製造が容易になる。
【0062】
いくつかの実施形態では、羽根車10は、第3の複数のフィン130の各々上に配置された少なくとも1つの第3の開口部131を更に備える。羽根車10の周方向Cに沿って第3の複数のフィン130の各々の表面に配置されこれを貫通している、少なくとも1つの第3の開口部131である。このようにして、少なくとも1つの第3の開口部131は、第3の複数のフィン130の各々を複数のセグメントへと切り分ける。このことは空気に対する遮断効果及び騒音の低減に役立つ。
【0063】
少なくとも1つの第3の開口部131は、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の開口部を備え得ることを理解されたい。
【0064】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第3の開口部131、少なくとも1つの第2の開口部121、及び少なくとも1つの第1の開口部111は、羽根車10の周方向Cに沿って互い違いに配置されている。このようにして、少なくとも1つの第3の開口部131は、第1の複数のフィン110及び第2の複数のフィン120の開口部111、開口部121とは異なる円上に配置される。例えば、少なくとも1つの第3の開口部131、少なくとも1つの第2の開口部121、及び少なくとも1つの第1の開口部111はそれぞれ、異なる半径を有する同心円上に配置される。
【0065】
他の実施形態では、少なくとも1つの第3の開口部131、少なくとも1つの第2の開口部121、及び少なくとも1つの第1の開口部111を含む全ての開口部は、ハブ101の縦方向軸線Xに対して一様に分布する。
【0066】
いくつかの実施形態では、羽根車の強度を更に高めるために、羽根車10は、ハブ101の縦方向軸線Xに沿って第1のリング103から間隔をあけて配置された少なくとも1つの第2のリング(図示せず)を更に備える。少なくとも1つの第2のリングの各々は、第1の複数のフィン110の第2の端部114に接続されている周縁表面を有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2のリングは、少なくとも1つの第1の開口部111、少なくとも1つの第2の開口部121、及び少なくとも1つの第3の開口部131のうちの、少なくとも1つによって貫通されている。このことにより空気に対する遮断効果が更に低減される。
【0068】
図8は本開示の別の実施形態に係る羽根車10を概略的に示しており、図9図8の羽根車10の立体図を概略的に示しており、図10は、図8の羽根車10の部分図を概略的に示している。これらの実施形態では、第1のリング103はハブ101まで延在し、ハブ101に接続されている。
【0069】
いくつかの実施形態では、例えば第1の複数のフィン110のみが存在する場合、第1の複数のフィン110の数は[30,180]の範囲内であり、好ましくは[80,120]の範囲内である。本開示は第1の複数のフィン110の数を限定するものではなく、第1の複数のフィン110の任意の他の値が可能であることを理解されたい。
【0070】
いくつかの実施形態では、例えば第1及び第2の複数のフィンのみが存在する場合、第1の複数のフィン110の数は[30,70]の範囲内、又は[50,60]の範囲内である。本開示は第1の複数のフィン110の数を限定するものではなく、第1の複数のフィン110の任意の他の値が可能であることを理解されたい。
【0071】
いくつかの実施形態では、例えば第1、第2、及び第3の複数のフィンが存在する場合、第1の複数のフィン110の数は[30,50]の範囲内である。本開示は第1の複数のフィン110の数を限定するものではなく、第1の複数のフィン110の任意の他の値が可能であることを理解されたい。
【0072】
いくつかの実施形態では、本開示の実施形態に係る羽根車10は、射出成形プロセス又はダイカストプロセスによって製造される。
【0073】
従来の羽根車及びファンと比較すると、本開示の羽根車10及びファン20は、低レベルの騒音を維持しながら、より高い速度、より高い空気圧、及びより少ない電力消費をもたらすことができる。
【0074】
詳細な説明及び特許請求の範囲の中の「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は、同様の要素同士の間を区別するために使用されており、必ずしもシーケンシャルな又は時系列の順序を記述するために使用されているわけではない。そのように使用される用語は適切な状況下では相互に入れ換え可能であること、及び、本明細書に記載する本発明の実施形態は本明細書で記載又は説明したものとは異なる順序で動作できることを理解されたい。
【0075】
特許請求される本発明の実施に関する当業者は、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲を検討することで、開示される実施形態の変形形態を理解し実現することができる。請求項において、単語「備える、含む、有する」は他の要素又はステップを除外せず、単数形の要素は複数を除外しない。特定の手法が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手法の組合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈するべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】