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特表2024-525041磁気共鳴イメージングシステム用の高周波受信アレイコイル、当該コイルの使用方法、及び当該コイルを含むMRIシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージングシステム用の高周波受信アレイコイル、当該コイルの使用方法、及び当該コイルを含むMRIシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A61B5/055 355
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580776
(86)(22)【出願日】2022-07-04
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2022068382
(87)【国際公開番号】W WO2023280747
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/218,642
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィン トレーシー アリン
(72)【発明者】
【氏名】キング スコット ブラッドレー
(72)【発明者】
【氏名】キール アルトン
(72)【発明者】
【氏名】オーティス ティモシー ケイン
(72)【発明者】
【氏名】レイコウスキー アーネ
(72)【発明者】
【氏名】レッダー パウル フランツ
(72)【発明者】
【氏名】フライマン オリ タピオ
(72)【発明者】
【氏名】カルデロン リコ ロドリゴ
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB46
4C096AD10
4C096CC34
4C096EA07
4C096FB01
(57)【要約】
デバイスは、RF受信サイクル中に、RF受信サイクル中のMRIシステム100のRF送信信号350に応答して生成される患者20の関心領域からの磁気共鳴信号250を受信する。デバイスは、RF受信コイル301、検出器330、及び検出器330の入力部に、RF送信サイクル中にRF受信コイル301を流れる電流に比例する信号350を結合する第1の結合デバイスを含む。検出器330は、RF送信サイクル中にRF受信コイル301を流れる電流の大きさ及び/又は位相を示す信号350を出力する。デジタル信号350を使用して、RF送信サイクル中にRF受信コイル301に過剰な電流が流れることにより患者20に危害が発生する前に、MRスキャンを停止する、及び/又はシステム100のオペレータに通知する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場を生成する磁石と、
イメージング対象の患者の少なくとも一部を少なくとも部分的に囲む傾斜磁場コイルと、
RF送信サイクル中に、前記患者の前記少なくとも一部に送信RF磁場を付与し、前記患者の前記一部における前記磁場に対する磁化の配向に摂動を与えるRF送信コイルと、
前記患者の関心領域に隣接して位置付けられ、RF受信サイクル中に、前記送信RF磁場に応答して生成される前記患者の前記関心領域からの磁気共鳴信号を受信する少なくとも1つのRF受信アンテナデバイスと
を含む、MRIシステムであって、
前記少なくとも1つのRF受信アンテナデバイスは、
少なくとも1つのRF受信コイルアレイと、
検出器と、
前記検出器の入力部に、少なくとも前記RF送信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する信号を結合する第1の結合デバイスと、
を含み、
前記MRIシステムは、メインコントローラを含み、
前記検出器は、前記メインコントローラに信号を提供するために前記メインコントローラに結合された出力部を有し、前記信号は、少なくとも前記RF送信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流の大きさ及び/又は位相を示す、MRIシステム。
【請求項2】
前記第1の結合デバイスは、
第1の増幅器と、
前記第1の増幅器の入力部に、少なくとも前記RF送信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流に比例するサンプリング信号を結合するサンプリングデバイスと、
を含み、
前記第1の増幅器の出力部は、前記検出器の前記入力部に結合されている、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項3】
前記第1の結合デバイスは、
第2の増幅器と、
前記第2の増幅器の入力部に、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する第2のサンプリング信号を結合する結合回路と、
前記第1の増幅器の前記出力部に接続された第1の入力端子、前記第2の増幅器の出力部に接続された第2の入力端子、及び前記検出器の前記入力部に接続された出力部を有するスイッチングデバイスと、
を更に含み、
前記MRIシステムは、前記RF送信サイクル中に前記第1の増幅器の前記出力部を前記検出器の前記入力部に接続し、前記RF受信サイクル中に前記第2の増幅器の前記出力部を前記検出器の前記入力部に接続するように、前記スイッチングデバイスを制御し、
前記RF受信サイクル中、デジタル信号は、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流の大きさ及び/又は位相を示す、請求項2に記載のMRIシステム。
【請求項4】
前記サンプリングデバイスは、前記少なくとも1つのRF受信コイルと直列に接続された抵抗要素、容量性要素、又は誘導要素を含み、前記結合回路は、インピーダンス整合ネットワークを含む、請求項3に記載のMRIシステム。
【請求項5】
前記結合回路は更に、前記検出器の前記入力部に、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する第2の信号を結合し、
前記第1の増幅器及び前記検出器の各々は、前記信号が前記RF受信サイクル中及び前記RF送信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流の前記大きさ及び/又は位相を示すように、十分なダイナミックレンジを有する、請求項3に記載のMRIシステム。
【請求項6】
前記結合回路はまた、前記検出器の前記入力部に、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する第2の信号を結合し、
前記第1の増幅器は、前記MRIシステムの制御信号の制御下で切り替え可能な利得を有し、前記制御信号は、前記RF送信サイクル中に第1の利得を有し、前記RF受信サイクル中に第2の利得を有するように前記第1の増幅器を制御し、前記第2の利得は前記第1の利得よりも大きく、
前記信号は、前記RF受信サイクル中及び前記RF送信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流の前記大きさ及び/又は位相を示す、請求項3に記載のMRIシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのRF受信アンテナデバイスは、
第2の検出器と、
前記第2の検出器の入力部に、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する第2の信号を結合する第2の結合デバイスと、
を更に含み、
前記第2の検出器は、前記メインコントローラにデジタル信号を提供するために前記メインコントローラに結合された出力部を有し、前記第2の信号は、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流の大きさ及び/又は位相を示す、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのRF受信アンテナデバイスは、
前記少なくとも1つのRF受信コイルと直列に接続され、制御信号によって制御される可変インピーダンス要素と、
前記検出器の前記出力部に接続された入力部を有し、前記検出器の前記出力部に応答して、前記制御信号を生成するデータ処理回路と、
を更に含み、
前記データ処理回路は、前記可変インピーダンス要素に、前記RF送信サイクル中に第1のインピーダンスを有し、前記RF受信サイクル中に第2のインピーダンスを有するようにさせる前記制御信号を生成し、
前記第1のインピーダンスは、前記第2のインピーダンスよりも大きい、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項9】
磁場を生成するステップと、
RF送信サイクル中に、イメージング対象の患者の少なくとも一部にRF送信信号を付与し、前記磁場の配向に摂動を与えるステップと、
少なくとも1つのRF受信コイルを有するRF受信アンテナデバイスを用いて、前記RF送信信号に応答して、RF受信サイクル中に前記患者の関心領域から発せられた磁気共鳴信号を検知するステップと、
検出器の入力部に、少なくとも前記RF送信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する第1の信号を結合するステップと、
前記検出器からプロセッサに、少なくとも前記RF送信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流の大きさ及び/又は位相を示すデジタル信号を出力するステップと、
前記デジタル信号が、前記RF送信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流の前記大きさ及び/又は位相が閾値よりも大きいことを示すときに、前記RF送信信号を中断するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記検出器の前記入力部に、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する第2の信号を結合するステップであって、前記デジタル信号は、前記RF受信サイクル中及び前記RF送信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流の前記大きさ及び/又は位相を示す、結合するステップと、
前記RF受信サイクル中に前記デジタル信号に少なくとも部分的に基づいて、前記関心領域の磁気共鳴画像を生成するステップと、
を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記RF送信サイクル中に前記第1の信号を前記検出器の前記入力部に選択的に結合し、前記RF受信サイクル中に前記第2の信号を前記検出器の前記入力部に選択的に結合するようにスイッチを制御するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記検出器によって出力された前記RF送信信号に基づいて、前記少なくとも1つのRF受信コイルと直列に接続された可変インピーダンス要素を制御して、前記可変インピーダンス要素に、前記RF送信サイクル中に第1のインピーダンスを有し、前記RF受信サイクル中に第2のインピーダンスを有するようにさせるステップを更に含み、前記第1のインピーダンスは、前記第2のインピーダンスよりも大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
第2の検出器の入力部に、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する第2の信号を結合するステップと、
前記第2の検出器から前記プロセッサに、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流の大きさ及び/又は位相を示す第2のデジタル信号を出力するステップと、
を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
MRIシステムのRF送信サイクル中にRF送信信号に応答して生成される、患者の関心領域からの磁気共鳴信号をRF受信サイクル中に受信するデバイスであって、
少なくとも1つのRF受信コイル要素と、
検出器の入力部に、少なくとも前記RF送信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイル要素を流れる電流に比例する信号を結合する第1の結合デバイスと、
を含み、
前記検出器は、少なくとも前記RF送信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイル要素を流れる前記電流の大きさ及び/又は位相を示す信号を提供するための出力部を有する、デバイス。
【請求項15】
前記第1の結合デバイスは、
第1の増幅器と、
前記第1の増幅器の入力部に、少なくとも前記RF送信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流に比例するサンプリング信号を結合する第1のサンプリングデバイスと、
を含み、
前記第1の増幅器の出力部は、前記検出器の前記入力部に結合されている、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1の結合デバイスは、
第2の増幅器と、
前記第2の増幅器の入力部に、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する第2のサンプリング信号を結合する第2のサンプリングデバイスと、
前記第1の増幅器の前記出力部に接続された第1の入力端子、前記第2の増幅器の出力部に接続された第2の入力端子、及び前記検出器の前記入力部に接続された出力部を有するスイッチングデバイスと、
を更に含み、
前記スイッチングデバイスは、前記RF送信サイクル中に前記第1の増幅器の前記出力部を前記検出器の前記入力部に接続し、前記RF受信サイクル中に前記第2の増幅器の前記出力部を前記検出器の前記入力部に接続するように制御され、
前記RF受信サイクル中、前記デジタル信号は、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流の前記大きさ及び/又は位相を示す、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第1の結合デバイスはまた、前記検出器の前記入力部に、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する第2の信号を結合し、
前記第1の増幅器及び前記検出器の各々は、前記信号が前記RF受信サイクル中及び前記RF送信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流の前記大きさ及び/又は位相を示すように、十分なダイナミックレンジを有する、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1の結合デバイスはまた、前記検出器の前記入力部に、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する第2の信号を結合し、
前記第1の増幅器は、制御信号の制御下で切り替え可能な利得を有し、前記制御信号は、前記RF送信サイクル中に第1の利得を有し、前記RF受信サイクル中に第2の利得を有するように前記第1の増幅器を制御し、前記第2の利得は前記第1の利得よりも大きく、
前記信号は、前記RF受信サイクル中及び前記RF送信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流の前記大きさ及び/又は位相を示す、請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
第2の検出器と、
前記第2の検出器の入力部に、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する第2の信号を結合する第2の結合デバイスと、
を更に含み、
前記第2の検出器は、前記RF受信サイクル中に前記少なくとも1つのRF受信コイルを流れる前記電流の大きさ及び/又は位相を示す第2の信号を提供する出力部を有する、請求項14に記載のデバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つのRF受信コイルと直列に接続され、制御信号によって制御される可変インピーダンス要素と、
前記検出器の前記出力部に接続された入力部を有し、前記検出器の前記出力部に応答して、前記制御信号を生成するデータ処理回路と、
を更に含み、
前記データ処理回路は、前記可変インピーダンス要素に、前記RF送信サイクル中に第1のインピーダンスを有し、前記RF受信サイクル中に第2のインピーダンスを有するようにさせる前記制御信号を生成し、
前記第1のインピーダンスは、前記第2のインピーダンスよりも大きい、請求項14に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本システムは、概して、1つ以上の高周波(RF)コイル要素又はループを含むRF受信アレイコイルを有する磁気共鳴イメージング(MRI)システム、及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001] 多くのMRIシステムでは、1つ以上のRF受信アンテナデバイスを使用して、MRI検査下の被検者又は患者の1つ以上の関心領域から発せられる磁気共鳴(MR)信号を検知して、関心領域の画像を再構成する。これらのRF受信アンテナデバイスには、通常、1つ以上のRF受信コイル又はループが含まれている。
【0003】
[0002] これらのRF受信コイルは、一般に、B磁場と呼ばれる高振幅のRF磁場の環境において使用される。この磁場は自然にMR信号の受信に使用されるRF受信コイルに電流を誘導する。これらの電流が制御されなければ、RF受信コイルがB磁場の均一性を歪める可能性があり、更に重要なことに、これらの誘導電流による高強度の局所磁場が患者に危害を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0003] したがって、1つ以上のRF受信アレイコイルにおける誘導電流による高強度の局所磁場が患者に危害を及ぼすことを防止する手段を含む磁気共鳴イメージング(MRI)システム用のRF受信アンテナデバイスを提供することが望ましい。特に、RF受信アンテナデバイスのRF受信アレイコイルのループ電流を直接測定し、誘導電流が安全限界を超えたときに、MRIシステムのコントローラ及び/又はオペレータに通知できる信号を提供する手段及び方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0004] 本明細書に開示されるように、MRIシステムは、磁場を生成する磁石であって、磁場は、磁場内に置かれる患者内に正味の核磁化を発生させる、磁石と、イメージング対象の患者の少なくとも一部を少なくとも部分的に囲む傾斜磁場コイルと、高周波(RF)送信サイクル中に、患者の少なくとも一部に送信RF磁場を付与し、患者の一部における磁場に対する磁化の配向に摂動を与えるRF送信コイルユニットと、患者の関心領域に隣接して位置付けられ、RF受信サイクル中に、送信RF磁場に応答して生成される患者の関心領域からの磁気共鳴信号を受信する少なくとも1つのRF受信アンテナデバイスとを含む。少なくとも1つのRF受信アンテナデバイスは、少なくとも1つのRF受信コイルアレイと、検出器と、検出器の入力部に、少なくともRF送信サイクル中に少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する信号を結合する第1の結合デバイスとを含む。MRIシステムは、メインコントローラを含み、検出器は、メインコントローラに提供するためにメインコントローラに結合される出力として、信号を有する。この信号は、少なくともRF送信サイクル中に少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流の大きさ及び/又は位相を示す。
【0006】
[0005] また、本明細書に開示されるように、方法は、RF磁場を生成するステップと、高周波(RF)送信サイクル中に、イメージング対象の患者の少なくとも一部に送信RF磁場を付与し、磁場に対する磁化の配向に摂動を与えるステップと、少なくとも1つのRF受信コイルを有するRF受信アンテナデバイスを用いて、送信RF磁場に応答して、RF受信サイクル中に患者の関心領域から発せられた磁気共鳴信号を検知するステップと、検出器の入力部に、少なくともRF送信サイクル中に少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する第1の信号を結合するステップと、検出器からプロセッサに、少なくともRF送信サイクル中に少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流の大きさ及び/又は位相を示すデジタル信号を出力するステップと、デジタル信号が、送信RF受信サイクル中に少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流の大きさ及び/又は位相が閾値よりも大きいことを示すときに、送信RF磁場を中断するステップとを含む。
【0007】
[0006] 本明細書に更に開示されるように、デバイスは、高周波(RF)受信サイクル中に、患者の関心領域からの磁気共鳴信号を受信する。磁気共鳴信号は、磁気共鳴イメージング(MRI)システムのRF送信サイクル中に送信RF磁場に応答して生成される。デバイスは、少なくとも1つのRF受信コイル要素と、検出器の入力部に、少なくともRF送信サイクル中に少なくとも1つのRF受信コイル要素を流れる電流に比例する信号を結合する第1の結合デバイスとを含む。検出器は、少なくともRF送信サイクル中に少なくとも1つのRF受信コイル要素を流れる電流の大きさ及び/又は位相を示す信号(350、650b)を提供するための出力部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[0007] 本発明は、添付の図面と併せて考慮されると、以下に示す例示な実施形態の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【0009】
図1】[0008]図1は、磁気共鳴イメージング(MRI)システムの例示的な実施形態を示す。
図2】[0009]図2は、以下に詳述するように、少なくとも1つのRF受信アンテナデバイスを使用するMRIシステムの例示的な実施形態のブロック図である。
図3】[0010]図3は、RF受信アンテナデバイスの第1の実施形態を示す。
図4】[0011]図4は、RF受信アンテナデバイスの第2の実施形態を示す。
図5】[0012]図5は、RF受信アンテナデバイスの第3の実施形態を示す。
図6】[0013]図6は、RF受信アンテナデバイスの第4の実施形態を示す。
図7】[0014]図7は、RF受信アンテナデバイスの第5の実施形態を示す。
図8】[0015]図8は、RF送信サイクル中にRF受信アレイコイルを流れる電流を直接サンプリング、測定、及びデジタル化する1つ以上のRF受信アンテナデバイスを含むMRIシステムの動作方法の例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0016] 以下の詳細な説明では、限定ではなく説明を目的として、本教示による実施形態の完全な理解を提供するために、特定の詳細を開示する代表的な実施形態が記載される。代表的な実施形態の説明が不明瞭にならないように、既知のシステム、デバイス、材料、操作方法、及び製造方法の説明を省略する場合がある。しかしながら、当業者の権限範囲内にあるシステム、デバイス、材料、及び方法は、本教示の範囲内であり、また、代表的な実施形態に従って使用され得る。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としたものであり、限定であることを意図したものではないことを理解されたい。定義された用語は、本教示の技術分野で一般的に理解され、受け入れられている、定義された用語の技術的及び科学的な意味を加えるものである。
【0011】
[0017] 本明細書では、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語を使用して、様々な要素又は構成要素を説明しているが、これらの要素又は構成要素は、これらの用語によって限定されないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素又は構成要素を別の要素又は構成要素と区別するためにのみ使用される。したがって、以下で考察される第1の要素又は構成要素は、発明概念の教示から逸脱することなく、第2の要素又は構成要素と呼ばれてもよい。
【0012】
[0018] 本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としたものであり、限定であることを意図したものではない。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の要素は、コンテキストが明確に別様を示していない限り、単数形と複数形の両方を含むことを意図している。追加的に、本明細書で使用される場合、用語「含む」及び/又は同様の用語は、規定された特徴、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、要素、構成要素、及び/又はそのグループの存在若しくは追加を除外するものではない。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」には、関連するリスト項目のうちの1つ以上のうちの任意のもの及び全ての組み合わせが含まれる。
【0013】
[0019] 特に断りのない限り、要素又は構成要素が、別の要素又は構成要素に「接続される」、「結合される」と言われた場合、その要素又は構成要素は、他の要素若しくは構成要素に直接接続若しくは結合されていても、又は、介在する要素若しくは構成要素が存在していてもよいことを理解されるであろう。つまり、これらの及び類似した用語は、2つの要素又は構成要素を接続するために、1つ以上の中間要素又は構成要素を使用できる場合を包含する。しかしながら、要素又は構成要素が別の要素又は構成要素に「直接接続」されていると言われた場合、これには、2つの要素又は構成要素が、中間若しくは介在要素又は構成要素なしで、相互に接続される場合のみが包含される。
【0014】
[0020] 別段の断りがない限り、本明細書で使用される場合、用語「コイル」は、1つ以上のRFコイル要素又はループを含み、RFアレイコイルと呼ばれる場合がある。
【0015】
[0021] 図1は、磁気共鳴イメージング(MRI)システム100の例示的な実施形態を示す。MRIシステム100は、磁石システム101、被検者又は患者20を保持する患者テーブル104、MRIシステム100が画像を生成する対象である患者20の少なくとも一部を少なくとも部分的に囲む傾斜磁場コイル103、及びイメージングされている被検者又は患者20の少なくとも一部に送信RF磁場を印加し、且つ磁場に対する磁化の配向に摂動を与える高周波コイル106、並びに送信RF磁場及び患者20によって引き起こされる磁化の変化を検出する1つ以上のセンサ10を含む。
【0016】
[0022] 図2は、以下に詳述するように、少なくとも1つのRF受信アンテナデバイスを使用するMRIシステム200の例示的な実施形態のブロック図である。
【0017】
[0023] MRIシステム200は、静磁場磁石201、傾斜磁場コイル202、傾斜磁場電源203、患者テーブル又はベッド204、患者テーブル(又はベッド)コントローラ205、RF送信コイルユニット206a、1つ以上のRF受信アンテナデバイス206b(各々が1つ以上のRF受信コイル206cを含む)、トランスミッタ207、クロックジェネレータ208、RF/傾斜磁場コントローラ209、ドライバ210、再構成フロントエンド215、再構成システム220、ストレージデバイス221、ディスプレイ222、入力ユニット223、メインコントローラ224、及びデータジェネレータ225を含む。
【0018】
[0024] メインユニットは、ガントリと処理システムとに分けられる。この場合、例えば、静磁場磁石201、傾斜磁場コイル202、傾斜磁場電源203、患者テーブル204、患者テーブルコントローラ205、RF送信コイルユニット206a、トランスミッタ207、及びRF/傾斜磁場コントローラ209をガントリ内に提供し、クロックジェネレータ208、ドライバ210、再構成フロントエンド215、再構成システム220、ストレージデバイス221、ディスプレイ222、入力ユニット223、及びメインコントローラ224を処理システム内に提供できる。
【0019】
[0025] 静磁場磁石201は、中空の円筒形をしており、その内部空間に均一な静磁場を発生させる。例えば、永久磁石や超電導磁石を静磁場磁石201として使用できる。
【0020】
[0026] 傾斜磁場コイル202も中空の円筒形をしており、静磁場磁石201内に配置される。傾斜磁場コイル202には互いに直交するX軸、Y軸、Z軸に対応する3種類のコイルの組み合わせが含まれる。傾斜磁場コイル202は、3種類のコイルに傾斜磁場電源203からの電流を個別に供給することにより、X軸、Y軸、Z軸に沿って傾斜された強度を有する傾斜磁場を発生させる。更に、Z軸は、例えば、静磁場の方向と同じ方向にある。X軸、Y軸、及びZ軸の傾斜磁場は、それぞれ、例えば、スライス選択傾斜磁場Gs、位相エンコード傾斜磁場Ge、及び読み取り傾斜磁場Grに相当する。スライス選択傾斜磁場Gsは、特定のイメージング断面を決定するために使用される。位相エンコード傾斜磁場Geは、空間位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために使用される。読み取り傾斜磁場Grは、空間位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させるために使用される。
【0021】
[0027] RF送信コイルユニット206aは、円筒形のケースに入れられた1つ以上のコイルを含む。RF送信コイルユニット206aは、傾斜磁場コイル202の内部に配設できる。RF送信コイルユニット206aは、トランスミッタ207によって、ラーモア周波数に対応する高周波パルス(RFパルス)が供給されて、高周波磁場を発生させる。RF送信コイルユニット206aは、RF送信サイクル中に、1つ以上の関心領域を含む患者20の少なくとも一部に送信RF磁場を印加し、RF受信アンテナデバイス206bと連動して、関心領域のMR画像データを生成するために、患者20の一部における磁場の配向に摂動を与える。
【0022】
[0028] 特に、本明細書で使用される「摂動を与える」には、受信コイルが収集するための信号を励起/生成するための送信パルスの使用、後で信号を利用できるように磁化を再収束するための送信パルスの使用、又は信号を無まで飽和又は抑制するための送信パルスの使用が含まれる。多くの場合、このような摂動は、特定の周波数帯域にわたって行われる。
【0023】
[0029] 患者20は、患者テーブル204の天板204a上に載せられた状態で、傾斜磁場コイル202の内部空間(イメージング空間)の中に入れられる。患者テーブル204は、患者テーブルコントローラ205によって制御されて、天板204aをその長手方向(図2では左右方向)及び垂直方向に移動する。通常、患者テーブル204は、この長手方向が静磁場磁石201の中心軸と平行になるように設置されている。
【0024】
[0030] RF受信アンテナデバイス206bは、天板204aに搭載したり、天板204aに組み込んだり、患者20の上に置いたり、取り付けたりできる。イメージング時に、RF受信アンテナデバイス206bは、患者20と共にイメージング空間に入れられ、RF送信コイルユニット206aからの送信RF磁場に応答して患者20から発せられた磁気共鳴信号を電磁波として受信又は検知し、これに応答して、検知された磁気共鳴信号を表すデジタルデータを生成する。RF受信アンテナデバイス206bには、1つ、2つ、又はそれ以上の受信RF受信コイル206cが含まれているか、又はそれらに取り付けられていてもよく、また、患者20から発せられる磁気共鳴信号を検知するセンサとして機能する任意の種類の他の要素が含まれていてもよい。図2では、RF受信アンテナデバイス206bを1つのみ示しているが、4つ、8つ、16個、32個、又は任意の他の所望の数のRF受信アンテナデバイス206bをMRIシステム200の異なる実施形態で使用してもよい。各RF受信アンテナデバイス206bは、患者20の関心領域に隣接して位置付けられ、RF受信サイクル中に、RF送信コイルユニット206aから送信RF磁場に応答して生成される患者20の関心領域からの磁気共鳴信号を受信する。
【0025】
[0031] クロックジェネレータ208(本明細書では、メインクロック又は第1のクロックとも呼ばれる)は、所定の周波数を有する第1のクロック信号を生成する。クロックジェネレータ208は、MRIシステム200の動作全体のタイミングの基準として機能するシステムクロックとして使用できる。
【0026】
[0032] RF/傾斜磁場コントローラ209は、メインコントローラ224の制御下で必要なパルスシーケンスに従って傾斜磁場を変化させ、また、RFパルスを送信できるように傾斜磁場電源203及びトランスミッタ207を制御する。更に、RF/傾斜磁場コントローラ209には、第1のクロック信号のレベルがドライバ210によって適切に調整された後の当該第1のクロック信号が提供される。RF/傾斜磁場コントローラ209は、この第1のクロック信号と同期してパルスシーケンスを実行する。
【0027】
[0033] 再構成フロントエンド215は、RF受信アンテナデバイス206bから提供される磁気共鳴信号250を受信する。
【0028】
[0034] 再構成システム220は、再構成フロントエンド215で処理された磁気共鳴信号のうちの少なくとも1つに基づいて、患者20の画像を再構成する。
【0029】
[0035] ストレージデバイス221は、再構成システム220で再構成された画像を示す画像データなど、様々な種類のデータを保存する。
【0030】
[0036] ディスプレイ222は、再構成システム220で再構成された画像や、メインコントローラ224の制御下でMRIシステム200をユーザが操作するための各種操作画面などの各種情報を表示する。液晶ディスプレイなどの任意の便利な表示デバイスをディスプレイ22として使用できる。
【0031】
[0037] 入力ユニット223は、MRIシステム200のオペレータからの様々なコマンド及び情報入力を受け付ける。入力ユニット223には、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチなどの選択デバイス、及び/又はキーボードなどの入力デバイスが含まれる。
【0032】
[0038] メインコントローラ224(MRIシステムコントローラとも呼ばれる)は、図示されていないCPU、メモリなどを有し、MRIシステム200全体を制御する。
【0033】
[0039] RF/傾斜磁場コントローラ209とメインコントローラ224は、有形で非一時的である。本明細書で使用される場合、用語「非一時的」は、状態の永遠の特性ではなく、一定期間持続する状態の特性として解釈される。用語「非一時的」は、特に、搬送波又は信号やいつでもどこでも一時的にしか存在しないような他の形式の特性など、一瞬の特性を否定する。本教示のRF/傾斜磁場コントローラ209及びメインコントローラ224は、製品及び/又は機械部品である。
【0034】
[0040] RF/傾斜磁場コントローラ209及びメインコントローラ224は、ストレージデバイス221に保存されているソフトウェア命令を実行して、本明細書における様々な実施形態で説明されている機能を行うことができる。RF/傾斜磁場コントローラ209及びメインコントローラ224の各々は、汎用プロセッサであっても、特定用途向け集積回路(ASIC)の一部であってもよい。RF/傾斜磁場コントローラ209及びメインコントローラ224はまた、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサチップ、コントローラ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ステートマシン、又はプログラマブルロジックデバイスであってもよい(又はこれらを含んでいてもよい)。RF/傾斜磁場コントローラ209及びメインコントローラ224はまた、FPGAなどのプログラマブルゲートアレイ(PGA)を含むロジック回路や、ディスクリートゲート及び/又はトランジスタロジックを含む別のタイプの回路であってもよい(又はこれらを含んでいてもよい)。メインコントローラ224は、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、又はその両方であってもよい(又はこれらを含んでいてもよい)。追加的に、RF/傾斜磁場コントローラ209及びメインコントローラ224の各々は、複数のプロセッサ、並列プロセッサ、又はその両方を含んでいてもよい。単一のデバイス又は複数のデバイスに、複数のプロセッサが含まれていても、結合されていてもよい。
【0035】
[0041] ストレージデバイス221は、メインメモリ、スタティックメモリ、又はその両方を含んでいてもよく、メモリはバス(図示せず)を介して相互に通信し得る。本明細書で説明されるストレージデバイス221は、データ及び実行可能命令を保存可能な有形のストレージ媒体であり、命令がそこに保存されている間は非一時的である。本明細書で使用される場合、用語「非一時的」は、状態の永遠の特性ではなく、一定期間持続する状態の特性として解釈される。用語「非一時的」は、特に、搬送波又は信号やいつでもどこでも一時的にしか存在しないような他の形式の特性など、一瞬の特性を否定する。
【0036】
[0042] 本教示のストレージデバイス221は、製品及び/又は機械部品である。ストレージデバイス221には、1つ以上のコンピュータ可読媒体が含まれ、そこからコンピュータがデータと実行可能命令(例えば、図4に関連して説明されるプロセスを実行するために)を読み取られる。本明細書で説明されるメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM(登録商標))、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、テープ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク、又は当業者に知られている任意の他の形式の記憶媒体であり得る。本教示のメモリは、揮発性若しくは不揮発性メモリ、セキュア及び/若しくは暗号化されたメモリ、非セキュア及び/若しくは非暗号化のメモリであってもよい。メインコントローラ224、ストレージデバイス221、及びディスプレイ222は、コンピュータなどのワークステーション(図示せず)、又は、スタンドアロンコンピューティングシステム、デスクトップ若しくはタブレットなどの形式の、1つ以上のコンピューティングデバイス、ディスプレイ/モニタ、及び1つ以上の入力デバイス(例えば、キーボード、ジョイスティック、マウス)からなる別のアセンブリに収容されるか、又はリンクされていてもよい。
【0037】
[0043] ストレージデバイスの221には、RF/傾斜磁場コントローラ、メインコントローラ224、又はその両方によって実行されて、本明細書に説明される方法の態様を実施する命令が保存される。例えば、メインコントローラ224、RF/傾斜磁場コントローラ209、又はその両方は命令を付与して、以下で詳しく説明するMRIシステムの例示的な操作方法800を実行できる。
【0038】
[0044] MRIシステムの一般的な操作はよく知られているため、その更なる説明は、ここでは繰り返さない。
【0039】
[0045] 前述のように、RF受信コイル206cは、一般に、B磁場と呼ばれる高振幅の送信RF磁場の環境において動作する。これらの磁場は自然にRF受信コイル206cに電流を誘導する。これらの電流が制御されなければ、B磁場の均一性を歪める可能性がある。更に、これらの誘導電流から生成される高強度の局所磁場は、患者20に危害を及ぼす可能性がある。
【0040】
[0046] これらの電流を防止し、安全な状態を維持する手法の1つに、ループパスと直列に置かれた切り替え可能な高インピーダンス共振回路、又は「デカプラ」若しくは「トラップ」を使用することがある。例えば、LCタンク回路は、コンデンサ(又はインダクタ)が1つの並列経路と、PINダイオードなどのスイッチングデバイスの直列組み合わせとを形成し、インダクタ(又はコンデンサ)がもう一方の並列経路を形成するように、2つの並列回路レッグ(leg)で構成される。PINダイオードは、直流(DC)電流によって「オン」になり、DCの除去によって「オフ」になる。追加的に、PINダイオードは、印加されたRF信号が十分に大きい場合、DC電流なしで導通状態に駆動され得る。
【0041】
[0047] デカプラはシンプルで堅牢な回路であるが、その機能の重要性を考慮すると、1つにでも障害が発生したならば、MRコイルが安全でなくなる可能性がある。
【0042】
[0048] デカプラに障害が発生した場合に「フェイルセーフ」を提供する選択肢がいくつか提供されている。このような「フェイルセーフ」メカニズムの1つの選択肢として、デカプラに流れるDCスイッチング電流を測定するモニタリング回路がある。この電流が遮断された場合、MRIシステムコントローラは、スキャンを中止するか、及び/又は患者に危害が発生する前にオペレータに通知するように促される。残念ながら、このモニタリング方法は間接的であり、また、モニタリング回路が、安全でない状態をもたらしていない障害を検出してしまう場合がある。代替的に、また、より重要なことに、モニタリング回路で直接検出できない障害がデカプラ内で発生する可能性がある。このため、補助安全メカニズムを使用して冗長フェイルセーフが作成される場合がある。
【0043】
[0049] しかし、本発明者は、より良い方法は、ループ電流を直接測定し、誘導電流が安全限界を超えたときにMRIシステムのコントローラ及び/又はオペレータに通知することであることを認識している。これまでは、信号強度がRFサイクルの送信部分よりも桁違いに低いときに、RFサイクルの受信部分の電流(又は電圧)を測定するようにのみ設計されているMR受信アンテナデバイスのアーキテクチャのため、これは困難であった。RF送信サイクル中は、損傷を防ぐために、前置増幅器及び測定回路は、保護モードにされるか、完全にオフにされることが多い。
【0044】
[0050] しかし、以下により詳細に開示するように、MRサイクル全体から発生する信号をサンプリング可能なシステムが、RFアンテナ受信デバイスの安全状態を直接測定でき、これにより、安全でない状態を即座に判定できる。
【0045】
[0051] 図3は、これらの原理のうちの1つ以上を使用し得るRF受信アンテナデバイス300の第1の実施形態を示す。
【0046】
[0052] RF受信アンテナデバイス300は、RF受信コイル又はループ310、チューニングコンデンサ312、1つ以上のデカプラ314、結合回路316a、サンプリングデバイス316b、第1の増幅器(例えば、前置増幅器)320a、オプションの第2の増幅器(例えば、前置増幅器)320b、スイッチングデバイス325、及び検出器330を含む。特に、図3に示すように、サンプリングデバイス316bは、サンプリング抵抗、サンプリングキャパシタンス、又はサンプリングインダクタンスのいずれかであり得る。更に、検出器330はアナログ-デジタル変換器(ADC)を含むか、又は代替的に、当業者には知られているアナログ検出器であってもよい。例を挙げると、アナログ検出器はアナログRFパワー検出器である。
【0047】
[0053] 図3は、単一のループに構成された単一のRF受信コイル310を有する実施形態例を示しているが、他の実施例では、2つ以上のRF受信コイル又はループが設けられていてもよい。例えば、2つ以上のRF受信コイル又はループが互いに並列に接続される。
【0048】
[0054] ここで、結合回路316aは、コイル310を第1の前置増幅器320aの入力インピーダンスに結合しようとするLC整合回路を含む。スイッチングデバイス325は、トランジスタ、ダイオード、又は他の便利なスイッチングデバイスを含み得、例えば、メインコントローラ224などのプロセッサから供給されるスイッチング制御信号322の制御下で動作する。スイッチング制御信号322は、MRIシステムのRF送信サイクル及びRF受信サイクルと同期され得る。
【0049】
[0055] RF送信サイクル中、RF受信コイル310を流れる電流はサンプリングデバイス316bにわたる電圧を誘導し、これは、サンプリング信号として第2の前置増幅器320bに供給される。一方、スイッチングデバイス325は、RF送信サイクル中に第2の前置増幅器320bの出力部を検出器330の入力部に接続するために、スイッチング制御信号322によって制御される。RF送信サイクル中に検出器330への入力信号を第2の前置増幅器320bに切り替えることにより、RF送信サイクル中にRF受信コイル310を流れる電流を検出器330によって直接測定し、任意選択でデジタルワード又は値に変換できる。したがって、検出器330は、アナログ-デジタル変換器(ADC)となる。RF受信アンテナデバイス300では、サンプリングデバイス316bは、RF送信サイクル中にRF受信コイル310を流れる電流に比例する信号を検出器330の入力部に結合する第1の結合デバイスと見なすことができる。
【0050】
[0056] 検出器330は、MRIシステムのプロセッサ(例えば、MRIシステムコントローラ)に結合されて、当該プロセッサに、RF送信サイクル中にRF受信コイル310を流れる電流の大きさを示すか又は表す信号350を提供する出力部を有する。前述のように、検出器330はADCを含み得、その場合、信号350は、RF送信サイクル中にRF受信コイル310を流れる電流の大きさを示す又は表すデジタル信号である。代替的に、検出器330はアナログRFパワー検出器を含んでいてもよい。この場合、信号350は依然としてデジタルであるが、ビット深度が減少していると見なされる。したがって、メインコントローラ224は、信号350の値(例えば、信号350のデジタルワードの値、又は信号350の大きさ)を、MRIシステムの設計者又はオペレータによって、安全性又は他の理由のためにRF送信サイクル中にRF受信コイル310を流れる電流の最大許容大きさを表すものとして確立された閾値と比較する。この場合、信号350の値が閾値を超えると、プロセッサ(例えば、MRIシステムコントローラ)はMRスキャンを中止するか、及び/又は被検者若しくは患者に危害が発生する前にシステムオペレータに通知する。
【0051】
[0057] 更に、RF受信サイクル中、結合回路316aは、RF受信サイクル中にRF受信コイル310を流れる電流に比例する信号を第1の前置増幅器320aの入力部に結合する。一方、スイッチングデバイス325は、RF受信サイクル中に第1の前置増幅器320aの出力部を検出器330の入力部に接続する。RF受信サイクル中に検出器330への入力信号を第1の前置増幅器320aに切り替えることにより、RF受信サイクル中にRF受信コイル310を流れる電流を検出器330によって直接測定し、デジタルワード又はデジタル値に変換し、例えば、被検者又は患者の関心領域のMR画像を生成するために再構成システムに提供できる。
【0052】
[0058] RF受信アンテナデバイス300のいくつかのバリエーションでは、第2の前置増幅器320bは省略される。
【0053】
[0059] 図4は、RF受信アンテナデバイス400の第2の実施形態を示す。
【0054】
[0060] RF受信アンテナデバイス400はRF受信アンテナデバイス300と部分的に似ているため、簡潔にするために、ここでは両者の違いについてのみ議論し、説明する。
【0055】
[0061] 第1の前置増幅器320a、第2の前置増幅器320b、及びスイッチングデバイス325の代わりに、RF受信アンテナデバイス400は、スイッチング制御信号422の制御下で切り替え可能な利得を有する単一の増幅器(例えば、前置増幅器)420を含む。特に、前置増幅器420は、例えば、MRIシステムコントローラなどのプロセッサから供給され得るスイッチング制御信号422の制御下で、少なくとも第1の利得と第1の利得よりも大きい第2の利得との間で切り替え可能である。より具体的には、スイッチング制御信号422は、前置増幅器420を制御して、RF送信サイクル中に第1の利得を有し、RF受信サイクル中に第2の利得を有するようにし、第2の利得は第1の利得よりも大きい。
【0056】
[0062] RF受信アンテナデバイス400は、RF受信コイル310が、結合回路316a(LC整合回路)を介して前置増幅器420に接続されているRF受信アンテナデバイスの既存の基本アーキテクチャを保持している。このような回路のインピーダンスは、回路の両端の電圧を測定することで、検出器330によって出力される信号350からRF受信コイル310の電流を直接計算できるように簡単に特徴付けできる。
【0057】
[0063] 前置増幅器420には、検出器330の入力部で見られる信号がオーバーフローを防ぐために適切にスケーリングされるように、実際問題として、少なくとも2つの利得状態がある。しかし、少なくとも理論的には、また、適切な前置増幅器及び検出器のコスト並びに能力が向上し続けるにつれて、利得を切り替え可能な前置増幅器420は、利得をRF送信サイクルとRF受信サイクルとの間で切り替える必要のない増幅器(例えば、前置増幅器)に置き換えられ得ると考えられている。
【0058】
[0064] 図5は、そのような前置増幅器520を含むRF受信アンテナデバイス500の第3の実施形態を示す。RF受信アンテナデバイス500はRF受信アンテナデバイス400とそれ以外の点では同一であるため、簡潔にするために、説明は繰り返さない。
【0059】
[0065] 図6は、RF受信アンテナデバイス600の第4の実施形態を示す。
【0060】
[0066] RF受信アンテナデバイス600はRF受信アンテナデバイス300と部分的に似ているため、簡潔にするために、両者の違いについてのみ議論し、詳細に説明する。
【0061】
[0067] RF受信アンテナデバイス600は、単一の増幅器(例えば、前置増幅器)320、第1の検出器630a、及び第2の検出器630bを使用する。
【0062】
[0068] 第2の検出器630bは、少なくともRF送信サイクル中にサンプリングデバイス316bの両端の電圧を直接サンプリングし、それに応じて、RF受信サイクル中にRF受信コイル310を通過する電流の大きさを示す又は表す第1のデジタル信号650bを出力する。第2の検出器630bは、プロセッサ(例えば、MRIシステムコントローラ)に第1のデジタル信号650bを提供し、RF送信サイクル中にRF受信コイル310を通って流れる電流の大きさを示す又は表す。したがって、プロセッサは、第1のデジタル信号650bの値(例えば、第1のデジタル信号650bのデジタルワードの値)を、MRIシステムの設計者又はオペレータによって、安全性又は他の理由のためにRF送信サイクル中にRF受信コイル310を流れる電流の最大許容大きさを表すものとして確立された閾値と比較する。この場合、第1のデジタル信号650bの値が閾値を超えると、プロセッサ(例えば、MRIシステムコントローラ)はMRスキャンを中止するか、及び/又は被検者若しくは患者に危害が発生する前にシステムオペレータに通知する。
【0063】
[0069] 一方、前述同様に、結合回路316aは、RF受信サイクル中にRF受信コイル310を流れる電流に比例する信号を前置増幅器320の入力部に結合する。したがって、RF受信サイクル中にRF受信コイル310を流れる電流を第1の検出器630aによって直接測定し、デジタルワード又はデジタル値に変換し、例えば、被検者又は患者の関心領域のMR画像を生成するために再構成システムに第2のデジタル信号650aを介して提供できる。
【0064】
[0070] RF受信コイル310における電流からMRイメージングデータを生成するためにRF受信サイクルに使用される第1の検出器630aの仕様に整合させると、第2の検出器630bは非常に高価になる可能性がある。しかし、安全目的でRF受信コイル310の電流を測定する場合、同じビット深度の検出器、又は場合によっては、同じサンプリングレート(RF受信サイクルでRF受信コイル310を介して取得した患者からのMRイメージング信号をサンプリングするために必要である)でさえ不要になる。この場合、第2の検出器630bには、より少ないビット数及び/又はより低いサンプリングレートの、性能が下げられ、あまり高価でないデバイスを使用することができ、これにより、RF受信アンテナデバイス600のコストを削減できる。
【0065】
[0071] 図3図6に関して上述した実施形態は、排他的又は制限的であることを意図したものではなく、RF受信コイル310を流れる電流を直接サンプリングして測定し、少なくともRF送信サイクル中にそのデジタル表現を生成するRF受信アンテナデバイスの例示的な実施例であることを意図したものである。このデジタル表現は、RF送信サイクル中のRF受信コイル310の過剰な電流に起因して(例えば、デカプラ314の障害又は故障に起因して)被検者又は患者に危害が発生する前に、MRスキャンを中止するために、及び/又はシステムオペレータに通知するために、プロセッサ(例えば、MRIシステムコントローラ)に提供される。また、電流を直接測定することで、実際には安全ではない状態をもたらしてはいないデカプラ314内の障害が誤検出される可能性を低減又は排除できる。これにより、RF受信アンテナデバイスの信頼性が向上する。
【0066】
[0072] RF受信コイル310を流れる電流が直接測定され、サンプリングされ、デジタル化され、そして、そのデジタル信号が処理されると、RF受信コイル310を流れる電流の振幅及び位相は、RF受信コイル310を流れる電流が既知の且つ制御された手法でB磁場を歪めることができるように、有利に制御される。代替的に、RF受信コイル310を流れる電流を第2の検出器630bで測定し、その出力を使用して振幅及び位相を制御することもできる。
【0067】
[0073] このようなやり方で送信磁場を操作することは、B「シミング」と呼ばれ、この技術は、組織のRF励起を局在化して比吸収率(SAR)を低減し、人体の自然の伝導率によって引き起こされる局所的な画像強度シェーディング影響を打ち消し、及び/又は空間エンコード、又は一般的な変更されたk-空間軌道の目的で、RF受信コイル310からRF位相勾配を作成することに効果的であり得る。
【0068】
[0074] RF受信コイル310に誘導される電流が直接測定されると、RF受信コイル310の直列経路に制御可能な可変インピーダンス要素を追加することで、その電流を変調できる。制御可能な可変インピーダンス要素のインピーダンスは、RF受信アンテナデバイス自体のローカル処理デバイス又は回路を使用して制御できる。代替的に、いくつかの実施形態では、適切な接続インフラストラクチャが利用可能であれば、RF受信アンテナデバイスでローカルではなく、MRIシステム(例えば、MRIシステムコントローラ)によって制御することもできる。
【0069】
[0075] この目的で、図7は、RF受信アンテナデバイス700の第5の実施形態を示す。
【0070】
[0076] RF受信アンテナデバイス700はRF受信アンテナデバイス600と部分的に似ているため、簡潔にするために、ここでは両者の違いについてのみ議論し、説明する。
【0071】
[0077] RF受信アンテナデバイス700は、第2のADC730bの出力部に接続され、RF送信サイクル中にRF受信コイル301を流れる電流の大きさを示す第1のデジタル信号650bを受信するデータプロセッサ又はデータ処理回路710を含む。RF受信アンテナデバイス700はまた、RF受信コイル310の直列経路に接続された制御可能な可変インピーダンス要素720を含む。様々な実施形態では、制御可能な可変インピーダンス要素720は、RF受信コイル310のギャップに置かれ、且つ第1のデジタル信号650bに応答してデータ処理回路710のデジタル-アナログ変換器(DAC)によって生成される電圧によってゲートで制御される電界効果トランジスタ(FET)を含む。制御可能な可変インピーダンス要素720は、データ処理回路710からの制御信号715によって制御されて、RF受信サイクル中のインピーダンスが非常に低くなるようにする。更に、制御可能な可変インピーダンス要素720は、データ処理回路710によって制御されて、RF送信サイクル中に任意の所望のインピーダンスを有するようにされ、これにより、前述したように、B磁場を既知の且つ制御された手法で歪める(B「シミング」の)ために、RF受信コイル310を流れる電流の振幅及び位相を制御する。また、前述したように、これは、組織のRF励起を局在化して比吸収率(SAR)を低減し、人体の自然の伝導率によって引き起こされる局所的な画像強度シェーディング影響を打ち消し、及び/又は空間エンコード、又は一般的な変更されたk-空間軌道の目的で、RF受信コイル310からRF位相勾配を作成することに効果的であり得る。
【0072】
[0078] これらの可能性を提供する追加の処理回路及び制御可能な可変インピーダンス要素は、図6のRF受信アンテナデバイス600に追加されたものとして図7に示されているが、原則として、同様の要素を、図3のRF受信アンテナデバイス300、図4のRF受信アンテナデバイス400、又は図5のRF受信アンテナデバイス500に追加して、同様の利点を実現できる。
【0073】
[0079] 更に、図7では、第2のADC730bからの第1のデジタル信号650bに応答して、データ処理回路710によって制御される制御可能な可変インピーダンス要素720のみを示しているが、多くのバリエーションが考えられる。いくつかのバリエーションでは、データ処理回路710はまた、第1のADC730aからの第2のデジタル信号650aも受信し、第1のデジタル信号650bと第2のデジタル信号650aの両方に応答して制御可能な可変インピーダンス要素720を制御する。この場合、制御可能な可変インピーダンス要素720の制御は、送信RFサイクル及び受信RFサイクルの両方から収集された情報に依存する。他のバリエーションでは、データ処理回路710が省略され、制御可能な可変インピーダンス要素720の制御信号715は、第1のデジタル信号650b(及び任意選択で第2のデジタル信号650aも)に応答して、代わりにMRIシステムのプロセッサ(例えば、MRIシステムコントローラなど)によって提供される。繰り返しになるが、多くのバリエーションが考えられる。
【0074】
[0080] 図8は、MRIシステム100又は200などのMRIシステムを操作する方法800の例示的な実施形態を示す。これらのMRIシステムは、RF送信サイクル中にRF受信コイルを流れる電流を直接サンプリングし、測定し、デジタル化できるRF受信アンテナデバイス300、400、500、600、700などのRF受信アンテナデバイスを含む。更に、また、前述したように、方法800は、RF/傾斜磁場コントローラ209、メインコントローラ224、又はその両方によって実行される命令として、本明細書に説明される方法の態様を実施するためにストレージデバイス221に保存される。
【0075】
[0081] ステップ810において、MRIシステムを用いて磁場を生成する。
【0076】
[0082] ステップ820において、イメージング対象の患者又は被検者の少なくとも一部にRF送信信号を付与し、磁場に対する磁化の配向に摂動を与える。
【0077】
[0083] ステップ830において、RF受信アンテナデバイスを用いて、RF受信サイクル中に、送信RF磁場に応答して患者から発せられた磁気共鳴(MR)信号を検知する。ここでは、RF受信アンテナユニットは、少なくとも1つのRF受信コイルを含む。いくつかの実施形態では、RF受信アンテナデバイスは、RF受信アンテナデバイス300、400、500、600、700、又はその変形である。
【0078】
[0084] ステップ840において、少なくともRF送信サイクル中に、RF受信アンテナデバイスの検出器(又はアナログ又はデジタル)の入力部に、少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流に比例する第1の信号を結合する。いくつかの実施形態では、RF受信サイクル中にも、第1の信号を検出器の入力部に結合する。他の実施形態では、RF受信サイクルとRF送信サイクルの電流を測定するために別々の検出器が提供される。多くのバリエーションが可能であり、そのうちの少なくともいくつかを図3図7に関して説明している。
【0079】
[0085] ステップ850において、検出器からプロセッサに、少なくともRF送信サイクル中に少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流の大きさを示す又は表すアナログ信号又はデジタル信号(例えば、信号350)を出力する。ここでも、いくつかの実施形態では、検出器はRF受信サイクル中にも信号を出力する。他の実施形態では、RF受信サイクルとRF送信サイクルの電流を測定するために別々の検出器が提供される。
【0080】
[0086] ステップ860において、信号が、RF送信サイクル中に少なくとも1つのRF受信コイルを流れる電流の大きさが閾値よりも大きいことを示すと、送信RF磁場を中断する。閾値は、MRIシステムの設計者又はMRIシステムのオペレータによって、安全性又は他の理由のためにRF送信サイクル中にRF受信コイルを流れる電流の最大許容大きさを表すものとしてて選択される。
【0081】
[0087] ステップ870において、上記のステップ830に対応して、RF受信サイクル中に検出器によって出力されるデジタル信号に少なくとも部分的に基づいて、患者又は被検者の1つ以上の関心領域の磁気共鳴画像を生成する。
【0082】
[0088] ステップ880において、検出器によって出力されるデジタル信号に基づいて、少なくとも1つのRF受信コイルの直列経路に接続された制御可能な可変インピーダンス要素を制御する。例えば、RF受信サイクル中に、制御可能な可変インピーダンス要素は、非常に低いインピーダンスを有するように制御される。一方、RF送信サイクル中は、制御可能な可変インピーダンス要素のインピーダンスは、前述したように、B磁場を既知の且つ制御された手法で歪める(B「シミング」)ために、RF受信コイルを流れる電流の振幅及び位相を制御するように選択される。また、前述したように、これは、組織のRF励起を局在化して比吸収率(SAR)を低減し、人体の自然の伝導率によって引き起こされる局所的な画像強度シェーディング影響を打ち消し、及び/又は空間エンコード、又は一般的な変更されたk-空間軌道の目的で、RF受信コイルからRF位相勾配を作成することに効果的であり得る。
【0083】
[0089] 図7で説明したように、RF受信サイクル中にループ電流を測定するために第2のADC730bが存在するいくつかのバリエーションでは、ステップ880において更に、第2のADC730bによって出力された第2のデジタル信号に基づいて制御可能な可変インピーダンス要素を制御する。この場合、可変インピーダンス要素の制御は、送信RFサイクル及び受信RFサイクルの両方から収集された情報に依存する。多くのバリエーションが考えられる。
【0084】
[0090] 図8に示されているステップの順序は、ステップを説明するための順序に過ぎず、ステップが必ずしもその順序で実行されることを示すものではないことが理解されるべきである。実際には、ステップの多くは互いに同時に実行され、また、ステップの多くは繰り返し実行される。実際、一般に、これらのステップは、磁気共鳴データを収集し、且つMRIシステムの安全な動作を確保する方法で継続的に実行され得ることが理解されるべきである。更に、例えば、いくつかの実施形態では、ステップ880は省略されてもよい。
【0085】
[0091] 本発明の概念には、データ処理システム(プロセッサ118など)に、本明細書に説明される方法を実行させる命令を保存するコンピュータ可読媒体も包含されている。コンピュータ可読媒体は、米国特許法第101条下で特許可能な主題を構成する任意の媒体であると定義され、米国特許法第101条下で特許可能な主題を構成しない任意の媒体を除外する。このような媒体の例としては、コンピュータ又はデータ処理システムが読み取り可能な形式で情報を保存するコンピュータメモリデバイスなどの非一時的媒体が挙げられる。非一時的媒体のより具体的な例は上に記載されている。
【0086】
[0092] トレンドベースの解析について、いくつかの代表的な実施形態を参照して説明したが、これまで使用した言葉は、限定の言葉ではなく、説明及例示の言葉であることが理解される。かん流シフト測定の範囲及び趣旨から逸脱することなく、現在提示されている及び補正されている添付の特許請求の範囲内で、その態様において、変更を行ってもよい。かん流シフト測定について、特定の手段、材料、及び実施形態を参照して説明したが、かん流シフト測定は、開示された詳細に限定されることを意図したものではない。むしろ、かん流シフト測定は、添付の特許請求の範囲にあるような全ての機能的に同等の構造、方法、及び使用にまで及ぶ。
【0087】
[0093] 本明細書で説明する実施形態の説明図は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを目的としている。説明図は、本明細書で説明する開示の全ての要素及び特徴を完全に説明するものではない。他の多くの実施形態は、本開示を検討した際に、当業者には明らかであろう。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的及び論理的な置換や変更を行うことができるなど、他の実施形態を本開示から利用し、派生させることができる。更に、説明図は、代表的に過ぎず、縮尺どおりではない場合がある。説明図中の特定の割合は誇張されている場合があり、他の割合は最小化されている場合がある。したがって、本開示及び図は、制限的ではなく、例示的なものとみなされるべきである。
【0088】
[0094] 本開示の1つ以上の実施形態は、「発明」という用語によって、便宜上のためだけに、且つ本出願の範囲を自発的に特定の発明又は発明概念に限定することを意図せずに、個別に及び/又は集合的に本明細書で参照され得る。また、本明細書には、特定の実施形態が例示及び説明されているが、同じ又は類似の目的を達成するように設計された後続の配置を、示されている特定の実施形態と置き換えることができることを理解すべきである。本開示は、様々な実施形態の任意の且つあらゆるその後の適応又は変化を対象とすることを意図している。上記の実施形態と、本明細書には具体的には説明されていない他の実施形態との組み合わせは、説明を検討した際に、当業者には明らかであろう。
【0089】
[0095] 本開示の要約書は、連邦規則集37編規則1.72(b)に準拠するために提供されており、また、特許請求の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないという理解の下に提出されている。また、上記の「発明を実施するための形態」では、本開示の合理化を目的として、様々な特徴を単一の実施形態にまとめたり、説明したりしている可能性がある。本開示は、請求項に係る実施形態が各請求項で明示的に記載されているものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映しているとして解釈されるものではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が示すように、発明の主題は、開示された実施形態のいずれかの全ての特徴よりも少ないものを対象とする可能性がある。したがって、以下の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」に組み込まれ、各請求項は、請求項に係る個別の主題を定義するものとして自立している。
【0090】
[0096] 開示された実施形態の前述の説明は、当業者であれば誰でも、本開示で説明する概念を実践できるようにするために提供されている。したがって、上記の開示された主題は、制限的ではなく、例示的とみなされる。また、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨及び範囲に該当する、全てのそのような修正、増強、及び他の実施を対象とすることを目的としている。したがって、法律で認められる最大限の範囲において、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びその同等物の許容される最も広範な解釈によって決定されるものとし、前述の詳細な説明によって制限又は限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】