(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖、組み換えボツリヌストキシン、並びにその組成物、その用途及びその方法
(51)【国際特許分類】
C07K 14/33 20060101AFI20240702BHJP
C12P 21/00 20060101ALI20240702BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20240702BHJP
A61K 38/48 20060101ALI20240702BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240702BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240702BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240702BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240702BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20240702BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20240702BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20240702BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20240702BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C07K14/33 ZNA
C12P21/00 C
C12N15/31
A61K38/48
A61K47/18
A61K47/26
A61P17/00
A61P17/02
A61P17/10
A61P25/06
A61P17/04
A61K9/19
A61K9/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580789
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 KR2022008793
(87)【国際公開番号】W WO2023277432
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0083930
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】513243723
【氏名又は名称】メディトックス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, チャン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ククハン
(72)【発明者】
【氏名】イ, インテ
(72)【発明者】
【氏名】クァク, ソンソン
(72)【発明者】
【氏名】アン, ドンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ, ヨンレ
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ファジョン
【テーマコード(参考)】
4B064
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG30
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4C076AA12
4C076AA29
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB31
4C076CC01
4C076CC18
4C076CC19
4C076DD07
4C076DD38
4C076DD51
4C076DD67
4C076EE41
4C076GG06
4C076GG47
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA01
4C084CA04
4C084DA33
4C084MA05
4C084MA17
4C084MA44
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA08
4C084ZA29
4C084ZA30
4C084ZA89
4C084ZA91
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA11
4H045DA83
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
効果及び半減期が増大され、患者の便宜性が高くなり、適応症にあつらえられた治療が可能な組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖、組み換えボツリヌストキシン、並びにそれと係わる組成物、用途及び方法を提供するためのものである。
【選択図】
図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボツリヌストキシンタイプA4ではない、ボツリヌストキシンタイプA軽鎖の第1,第2,第3及び第4ドメインにおいて、第3ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4の第3ドメイン、またはその変異体の配列で置換されたものである、組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖。
【請求項2】
組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の第1,第2,第3及び第4ドメインにおいて、第4ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4の第4ドメイン、またはその変異体の配列でさらに置換されたものである、請求項1に記載の組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖。
【請求項3】
ボツリヌストキシンタイプA軽鎖は、ボツリヌストキシンタイプA1,A2,A3,A5,A6,A7またはA8である、請求項1または2に記載の組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖。
【請求項4】
ボツリヌストキシンタイプA軽鎖は、ボツリヌストキシンタイプA1である、請求項3に記載の組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖、及びボツリヌストキシン重鎖を含む、組み換えボツリヌストキシン。
【請求項6】
ボツリヌストキシンタイプA重鎖は、ボツリヌストキシンタイプA,B,C,D,E,FまたはGである、請求項5に記載の組み換えボツリヌストキシン。
【請求項7】
ボツリヌストキシンタイプA重鎖は、ボツリヌストキシンタイプA1,A2,A3,A4,A5,A6,A7またはA8である、請求項6に記載の組み換えボツリヌストキシン。
【請求項8】
ボツリヌストキシンタイプA重鎖は、ボツリヌストキシンタイプA1である、請求項7に記載の組み換えボツリヌストキシン。
【請求項9】
請求項5ないし8のうちいずれか1項に記載の組み換えボツリヌストキシンタイプA、及び薬剤学的に許容される賦形剤または添加剤を含む、組成物。
【請求項10】
薬剤学的に許容される賦形剤または添加剤は、安定化剤、イオン化合物、界面活性剤、緩衝剤、凍結乾燥保護剤、またはそれらの組み合わせである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
薬剤学的に許容される賦形剤または添加剤は、アミノ酸、塩、緩衝液、非イオン性界面活性剤、糖、糖アルコール、またはそれらの組み合わせである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
アルブミンまたは動物由来成分を含まない、請求項9ないし11のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
凍結乾燥粉末、液状またはプレフィルドシリンジ製剤の形態である、請求項9ないし12のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
シワ、角ばり顎、エラ張り顎、傷、皮膚軟化、傷痕、にきび、毛穴、弾力またはケロイド症状を改善させるためのものである、請求項9ないし13のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
顔面痙攣、瞼痙攣、斜頸、眼瞼痙攣、頸部筋緊張異常症、咽頭中央部筋緊張異常症、痙攣性発声障害、偏頭痛、肛門掻痒症または多汗症を治療するためのものである、請求項9ないし13のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
経皮、皮下または筋肉内の投与用である、請求項9ないし15のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
シワ、角ばり顎、エラ張り顎、傷、皮膚軟化、傷痕、にきび、毛穴、弾力またはケロイド症状を改善させるためのものである、請求項9ないし13のうちいずれか1項に記載の組成物の用途。
【請求項18】
顔面痙攣、瞼痙攣、斜頸、眼瞼痙攣、頸部筋緊張異常症、咽頭中央部筋緊張異常症、痙攣性発声障害、偏頭痛、肛門掻痒症または多汗症を治療するためのものである、請求項9ないし13のうちいずれか1項に記載の組成物の用途。
【請求項19】
請求項9ないし13のうちいずれか1項に記載の組成物を個体に投与する段階を含む、シワ、角ばり顎、エラ張り顎、傷、皮膚軟化、傷痕、にきび、毛穴、弾力またはケロイドを改善させるための方法。
【請求項20】
請求項9ないし13のうちいずれか1項に記載の組成物を個体に投与する段階を含む、顔面痙攣、瞼痙攣、斜頸、眼瞼痙攣、頸部筋緊張異常症、咽頭中央部筋緊張異常症、痙攣性発声障害、偏頭痛、肛門掻痒症または多汗症を治療するための方法。
【請求項21】
ボツリヌストキシンタイプA4ではない、ボツリヌストキシンタイプA軽鎖の第1,第2,第3及び第4ドメインにおいて、第3ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4の第3ドメイン、またはその変異体の配列で置換される段階を含む、野生型ボツリヌストキシンタイプA軽鎖対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を製造する方法。
【請求項22】
組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の第1,第2,第3及び第4ドメインにおいて、第4ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4の第4ドメイン、またはその変異体の配列でさらに置換される段階を含む、請求項21に記載の野生型ボツリヌストキシンタイプA軽鎖対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を製造する方法。
【請求項23】
ボツリヌストキシンタイプA軽鎖は、ボツリヌストキシンタイプA1,A2,A3,A5,A6,A7またはA8である、請求項21または22に記載の野生型ボツリヌストキシンタイプA軽鎖対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を製造する方法。
【請求項24】
ボツリヌストキシンタイプA軽鎖は、ボツリヌストキシンタイプA1である、請求項23に記載の野生型ボツリヌストキシンタイプA軽鎖対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を製造する方法。
【請求項25】
請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖をコーディングするポリヌクレオシド、及びボツリヌストキシン重鎖をコーディングするポリヌクレオシドを含む核酸分子、またはそれを含むベクターを含む細胞を培養する段階を含む、野生型ボツリヌストキシン対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンを製造する方法。
【請求項26】
ボツリヌストキシン重鎖は、ボツリヌストキシンタイプA,B,C,D,E,FまたはGである、請求項25に記載の野生型ボツリヌストキシン対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンを製造する方法。
【請求項27】
ボツリヌストキシン重鎖は、ボツリヌストキシンタイプA1,A2,A3,A4,A5,A6,A7またはA8である、請求項26に記載の野生型ボツリヌストキシン対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンを製造する方法。
【請求項28】
ボツリヌストキシン重鎖は、ボツリヌストキシンタイプA1である、請求項27に記載の野生型ボツリヌストキシン対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み換えボツリヌストキシンに係り、さらに詳細には、組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖、組み換えボツリヌストキシン、並びにそれと係わる組成物、用途及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボツリヌストキシン(BoNT:Botulinum toxin)は、クロストリジウム・ボツリナム(Clostridium botulinum)菌及び関連種によって生成される神経毒性タンパク質である。該ボツリヌストキシンは、神経筋接合部の軸索突起末端から分泌される神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を阻む。
【0003】
ボツリヌストキシンは、ジスルフィド結合(disulfide bond)によって連結された100kDa重鎖(heavy chain)及び50kDa軽鎖(light chain)によって構成された150kDa二本鎖タンパク質によって合成される。該重鎖は、該軽鎖を、細胞のシトソル(cytosol)に転位(translocation)させることの一助となるN末端ドメイン(Hn)、及び神経細胞上の細胞表面受容体を認知して結合するC末端ドメイン(Hc)にさらに分けられる。細胞内に入れば、該軽鎖は、可溶性NSF付着タンパク質受容体(SNARE:soluble NSF-attachment protein receptor)の一部を特異的に加水分解(Proteolytic cleavage)させ、神経伝達物質放出を非活性化する。
【0004】
ボツリヌストキシンは、7個の血清型(ボツリヌストキシンタイプA、ボツリヌストキシンタイプB、ボツリヌストキシンタイプC、ボツリヌストキシンタイプD、ボツリヌストキシンタイプE、ボツリヌストキシンタイプF及びボツリヌストキシンタイプG)に分けられ、それらは、アミノ酸配列の変異に基づき、亜型(subtype)にさらに細分化される。それらにおいて、ボツリヌストキシンタイプA1は、分子レベルの研究、及び前臨床段階、臨床段階の研究が幅広く進められ、現在、製薬産業で広く利用されている。なお、他のボツリヌストキシンタイプA亜型の場合、精製された毒素を分離させるのに困難さが伴い、薬理学的特徴について研究されたり報告されたりすることが少ない。現在、該ボツリヌストキシンタイプA亜型のうち一部だけが、生化学的、細胞的、そして生体内における特性が究明されている。報告された研究によれば、ボツリヌストキシンタイプA亜型に係わる多様な試験管内研究及び生体内研究により、効力、細胞内移動、持続力のようなメカニズム側面において、ボツリヌストキシンタイプA1と区別される特性が明らかにされている。最近、ボツリヌストキシンタイプA7及びボツリヌストキシンタイプA8につき、試験管内レベルにおける特性が報告されている。
【0005】
国際公開WO2018/132423は、改善された力価、細胞進入動力学、及び作用持続期間を有するための、ボツリヌス神経毒素タイプA第1亜型の軽鎖ペプチド、及びボツリヌス神経毒素タイプA第2亜型の重鎖ペプチドを含むボツリヌス神経毒素混合物、及びそれを含む製薬組成物を開示している。また、国際公開WO2017/214447は、さらに少ない容量でもって、同一レベルの毒素活性を維持するために、重鎖配列を組み替えたボツリヌストキシンB1を開示している。
【0006】
しかしながら、これまで、ボツリヌス神経毒素タイプA亜型軽鎖の下位ドメインを組み替えた、組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖、及びそれを含む組み換えボツリヌストキシンの効力を向上させようとする試みはなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開WO2018/132423
【特許文献2】国際公開WO2017/214447
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的は、組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖、及びそれを含む組み換えボツリヌストキシンを提供するためのものである。
【0009】
本開示の他の目的は、前記組み換えボツリヌストキシンと係わる組成物を提供するためのものである。
【0010】
本開示のさらに他の目的は、前記組み換えボツリヌストキシンと係わる組成物の用途を提供するためのものである。
【0011】
本開示のさらに他の目的は、前記組み換えボツリヌストキシンと係わる組成物を個体に投与する段階を含む、疾患の改善方法または治療方法を提供するためのものである。
【0012】
本開示のさらに他の目的は、野生型ボツリヌストキシンタイプA軽鎖、及びそれを含む野生型ボツリヌストキシン対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖、並びにそれを含む組み換えボツリヌストキシンを製造する方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一態様は、ボツリヌストキシンタイプA4ではない、ボツリヌストキシンタイプA軽鎖の第1,第2,第3及び第4ドメインにおいて、第3ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4の第3ドメイン、またはその変異体の配列で置換されたものである、組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を提供する。
【0014】
本開示の他の態様は、前記組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の第1,第2,第3及び第4ドメインにおいて、第4ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4の第4ドメイン、またはその変異体の配列でさらに置換されたものである、組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を提供する。
【0015】
本開示のさらに他の態様は、前記組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖、及びボツリヌストキシン重鎖を含む、組み換えボツリヌストキシンを提供する。
【0016】
本開示のさらに他の態様は、前記組み換えボツリヌストキシン、及び薬剤学的に許容される賦形剤または添加剤を含む組成物を提供する。
【0017】
本開示のさらに他の態様は、前記組み換えボツリヌストキシン、及び薬剤学的に許容される賦形剤または添加剤を含む組成物を個体に投与して疾患を改善させたり治療したりするための用途を提供する。
【0018】
本開示のさらに他の態様は、ボツリヌストキシンタイプA4ではない、ボツリヌストキシンタイプA軽鎖の第1,第2,第3及び第4ドメインにおいて、第3ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4の第3ドメイン、またはその変異体の配列で置換される段階を含む、野生型ボツリヌストキシンタイプA軽鎖対比で増大された効果または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を製造する方法を提供する。
【0019】
本開示のさらに他の態様は、前記組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の第1,第2,第3及び第4ドメインにおいて、第4ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4の第4ドメイン、またはその変異体の配列でさらに置換される段階を含む、野生型ボツリヌストキシンタイプA軽鎖対比で増大された効果または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を製造する方法を提供する。
【0020】
本開示のさらに他の態様は、前記組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖、及びボツリヌストキシン重鎖を含む、野生型ボツリヌストキシン対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンを製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、効力及び半減期が増大され、患者の便宜性が高くなり、適応症にあつらえられた治療が可能な組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖、組み換えボツリヌストキシン、並びにそれと係わる組成物、用途及び方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖(GenBank:CAL82360.1)及びボツリヌストキシンタイプA4軽鎖(GenBank:ACQ51417.1)の配列比較(ESPript3.0(Robert and Gouet, 2014))を示す。ドメイン置換のための各ドメインの境界と開始点は、矢印及びボックスで表示し、下の表は、各ドメインの配列範囲と、2つの配列間のアミノ酸同一性分析結果と、である。
【
図1B】ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖及びボツリヌストキシンタイプA4軽鎖を分割したドメインに係わる構造的情報を示したものであり、各ドメインに係わるアミノ酸配列差と機能的特性とを示す。
【
図1C】ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖とボツリヌストキシンタイプA4軽鎖とのドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の組み合わせを示した模式図である。
【
図2A】ドメインを置換して精製した組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖のSDS-PAGE分析結果である。
【
図2B】Clover-SNAP25-mRuby2(137-206)が、ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖によって加水分解された部位を確認した結果である。ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖が存在する条件と、存在しない条件とにより、蛍光タンパク質標識が付着されたSNAP25(137-206)の加水分解有無を確認した結果、ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖が存在する条件において加水分解された。サンプルは、SDS-PAGE及びクマシブルー染色を介して分析した。
【
図3】ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の熱的安定性を示したグラフである。下の表は、それぞれのドメイン置換された組み換えボツリヌストキシン軽鎖の溶解温度を示す。
【
図4】ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖のエンドペプチダーゼアッセイ(endopeptidase assay)結果である。ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖と野生型ボツリヌストキシンタイプA軽鎖との力価結果を比較すれば、pBT103は、野生型と類似した力価を示し、pBT112は、1.73倍、pBT113は、1.49倍、pBT114は、1.3倍、pBT115は、1.55倍増大した。
【
図5A】ボツリヌストキシンタイプAの軽鎖が、他のボツリヌストキシンタイプA亜型の第3ドメインで置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の精製された産物をSDS-PAGE分析した結果である。
【
図5B】ボツリヌストキシンタイプAの軽鎖が、他のボツリヌストキシンタイプA亜型の第3ドメインで置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の精製された産物熱的安定性を分析した結果である。それぞれの組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の溶解点は、下の表に示した。ボツリヌストキシンタイプA軽鎖に、ボツリヌストキシンタイプA4軽鎖の第3ドメインを導入する場合、熱的安定性が最も大きく向上された。
【
図6A】ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を含む組み換えボツリヌストキシン構成を図示した模式図である。
【
図6B】ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖が導入された組み換えボツリヌストキシンの精製された産物につき、還元条件において、SDS-PAGE分析した結果である。組み換えボツリヌストキシンは、不純物がない150kd形態に精製された後、還元条件において、SDS-PAGE分析した。
【
図7A】ラットにおいて、コアトックス(ボツリヌストキシンタイプA製品)及び組み換えボツリヌストキシン(pBT142)を、それぞれ1.2,4,12U/kg容量でもって、右側ふくらはぎ筋肉に投与した後、DAS数値の経時的な変化を示したグラフである。各測定日のDAS値は、マン・ホイットニー(Mann-Whitney)検定を使用して分析した(*p<0.05)。
【
図7B】ラットにおいて、コアトックス及び組み換えボツリヌストキシン(pBT142)を、それぞれ1.2,4,12U/kg容量でもって、右側ふくらはぎ筋肉に投与した後、各容量でもって、最高DAS点数に係わるトレンドラインと、算出されたDAS ED
50と、を示したグラフである。
【
図7C】ラットにおいて、コアトックス及び組み換えボツリヌストキシン(pBT142)を、12U/kg容量でもって、右側ふくらはぎ筋肉に投与した後、CMAP数値の経時的な変化を示したグラフである。各測定日において、コアトックスと組み換えボツリヌストキシン(pBT142)とのCMAP値につき、両側(two-tailed)t検定を使用して分析した結果を示した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。
【
図7D】ラットにおいて、コアトックス及び組み換えボツリヌストキシン(pBT147)を、それぞれ1.2,4,12U/kg容量でもって、右側ふくらはぎ筋肉に投与した後、DAS数値の経時的な変化を示したグラフである。各測定日のDAS値は、マン・ホイットニー(Mann-Whitney)検定を使用して分析した(*p<0.05、**p<0.01)。
【
図7E】ラットにおいて、コアトックス及び組み換えボツリヌストキシン(pBT147)を、それぞれ1.2,4,12U/kg容量でもって、右側ふくらはぎ筋肉に投与した後、各容量でもって、最高DAS点数に係わるトレンドラインと、算出されたDAS ED
50と、を示したグラフである。
【
図7F】ラットにおいて、コアトックス及び組み換えボツリヌストキシン(pBT147)を、それぞれ12U/kg容量でもって、右側ふくらはぎ筋肉に投与した後、CMAP数値の経時的な変化を示したグラフである。各測定日において、コアトックスと組み換えボツリヌストキシン(pBT147)とのCMAP値につき、両側(two-tailed)t検定を使用して分析した結果を示した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。
【
図8A】マウスにおいて、コアトックス(ボツリヌストキシンタイプA製品)及び組み換えボツリヌストキシン(pBT142及びpBT147)を、それぞれ1.2,4,12、40U/kg容量でもって、右側ふくらはぎ筋肉に投与した後、DAS数値の経時的な変化を示したグラフである。各測定日のDAS値は、マン・ホイットニー(Mann-Whitney)検定を使用して分析した(*p<0.05)。
【
図8B】マウスにおいて、コアトックス及び組み換えボツリヌストキシン(pBT142及びpBT147)を、それぞれ1.2,4,12、40U/kg容量でもって、右側ふくらはぎ筋肉に投与した後、各容量でもって、最高DAS点数に係わるトレンドラインと、算出されたDAS ED
50とを示したグラフである。
【
図8C】マウスにおいて、コアトックス及び組み換えボツリヌストキシン(pBT142及びpBT147)を、それぞれ12U/kg容量でもって、右側ふくらはぎ筋肉に投与した後、CMAP数値の経時的な変化を示したグラフである。各測定日において、コアトックス及び組み換えボツリヌストキシン(pBT142及びpBT147)のCMAP値につき、両側(two-tailed)t検定を使用して分析した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示について、具体的な実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、それらは、本開示の理解の一助とするためのものであるのみ、本開示の範囲は、いかようにも制限されるものではない。
【0024】
実施例1:ボツリヌストキシンタイプA軽鎖のドメイン置換
ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖とボツリヌストキシンタイプA4軽鎖とにおいて、どちらのドメインがタンパク質安定性に影響を及ぼすかということを確認するために、ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖とボツリヌストキシンタイプA4軽鎖との遺伝子の4個ドメインが置換された。インフュージョンクローニング(In-Fusion cloning)方法を使用してドメインが置換された遺伝子、及び野生型を含む総16個のドメイン置換軽鎖遺伝子を、大腸菌(E.coli)発現ベクターであるpET28aにクローニングし、それぞれpBT102ないしpBT108、及びpBT109ないしpBT115と命名した(
図1C)。その後、組み換えボツリヌストキシンA軽鎖遺伝子配列を分析し、ドメイン置換を確認した。
【0025】
実施例2:ドメイン置換ボツリヌストキシンタイプA軽鎖の発現及び精製
実施例1で製造された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖遺伝子を利用し、14種の組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を製造した。製造された組み換え発現ベクターを、大腸菌(E.coli)の一種であるBL21(DE3)細胞に導入し、ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の発現を誘導した。該発現は、IPTG(isopropyl β-D-1-thiogalactopyranoside)で誘導し、最終濃度は、0.5mMになるように使用した。すなわち、1M IPTG 0.5mlを液体培地1Lに入れた後、37℃で約3時間、18℃で約18時間培養したBL21(DE3)細胞を、4,000rpmで10分間遠心分離し、細胞を沈澱させた。上澄み液の培地を除去し、沈澱された細胞をAバッファ(20mM Tris-HCl、300mM NaCl、10mMイミダゾール、2mM B-Me(pH7.9))で再浮遊(resuspension)させた後、氷において、超音波分散器で、2パルス/1休止(pause)、パワー35%で20分間細胞を破砕した。前記破砕された細胞を、4℃ 14,000rpmで1時間遠心分離した後、細胞カスが除去された上澄み液に対し、Ni-NTAカラムを使用し、ヒスタグ(His tag)とNi-NTAレジン(resin)との結合を介し、上澄み液から、組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を分離した。前記組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖のアミノ酸配列を、それぞれpBT102(配列番号18)、pBT103(配列番号19)、pBT104(配列番号20)、pBT105(配列番号21)、pBT106(配列番号22)、pBT107(配列番号23)、pBT108(配列番号24)、pBT109(配列番号25)、pBT110(配列番号26)、pBT111(配列番号27)、pBT112(配列番号28)、pBT113(配列番号29)、pBT114(配列番号30)及びpBT115(配列番号31)と示した。
【0026】
前記組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖及び前記野生型ボツリヌストキシンタイプA1,A4を含む、総16種のタンパク質発現を試みたが5、種は、発現量が少ないか、あるいは封入体(inclusion body)として発現され、最終的に、11種のタンパク質が可溶性として発現された(
図2A)。その後、精製された11種のタンパク質を、N末端とC末端とに蛍光タンパク質が標識されたSNAP25(137-206)基質と反応させ、プロテアーゼ活性を確認した。蛍光タンパク質が標識されたSNAP25(137-206)3μMを、ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシン軽鎖0.2μMと混合させ、37℃で2時間インキュベーションし、SDS-PAGEにローディングした。クマシブルー染色を介し、蛍光タンパク質・タグ付着されたSNAP25(137-206)が、ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖によって加水分解されることを確認した(
図2B)。
【0027】
試験例1:ドメイン置換されたボツリヌストキシンタイプA軽鎖の熱的安定性評価
ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の熱的安定性を比較した。安定性評価方法として、熱変性中間温度(Tm)の評価を行い、一般的に、熱変性中間温度は、高いことが望ましい。各ドメイン置換組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の熱安定性は、熱移動分析法(PTS)を使用した。プロテインサーマルシフトダイキット(Protein Thermal Shift Dye Kit)(Catalog No.4461146(Applied Biosystems))を利用し、製造社の方法により、熱移動分析法アッセイを行った。具体的には、各組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖10μgを、プロテインサーマルシフトダイとバッファとで、20μlになるように混合した後、RT-PCR(C1000 thermal cycler equipped with a CFX96 optical reaction module(Bio-Rad))でもって、20℃において、60秒当たり1℃ずつ温度を上昇させながら95℃まで、ROXシグナルを確認した。溶融曲線を基に、各組み換えボツリヌストキシン軽鎖の溶解点(Tm:melting temperature)を決定した。前記ドメインが置換された各組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の溶解点を
図3に示した。
【0028】
結果を見れば、pBT103(配列番号19)及びpBT104(配列番号20)の熱的安定性が増大したことを確認した。野生型ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖の溶解点が43℃であることに比べ、pBT103及びpBT104の溶解点は、それぞれ52℃、及び51℃に上昇し、pBT114及びpBT115は、49℃に上昇した。従って、対照群として使用された野生型ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖の溶解点より、pBT103及びpBT104は、8℃及び9℃の熱的安定性が増大し、pBT114及びpBT115は、6℃の熱的安定性が増大した。従って、共通して、ボツリヌストキシンタイプA4軽鎖の第3ドメインを含むように、ドメイン置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の溶解点が上昇したことを確認した。
【0029】
試験例2:ドメイン置換されたボツリヌストキシンタイプA軽鎖の力価評価
ドメイン置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖に係わる試験管内活性を確認するために、酵素結合免疫吸着検査(ELISA:enzyme-linked immunosorbent assay)基盤エンドペブチダーゼアッセイ(endopeptidase assay)を遂行した。まず、GST-SNAP25(137-206)基質を、最終2μg/mLになるように希釈した後、96ウェルプレートに、ウェル当たり100μLを添加し、4℃で16時間反応させた。2%スキムミルク(skim milk)を、PBST(phosphate buffered saline with Tween)に溶かして製造した後、基質コーティングが終わったウェルに200μlを添加し、25℃で1時間反応させた。反応後、PBST 300μlを使用し、3回ウェルを洗浄した後、ToxinAssayBuffer(HEPES、DTT、硫酸亜鉛、Tween-20が添加された反応バッファ(reaction buffer))を利用し、標準試料(STD(1,2,3,4,5,6U/mL)サンプル)、及びドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖試料(ターゲット濃度:4U/mL)を製造し、ウェルに100μLずつローディングした後、25℃で2時間反応させた。反応後、PBST 300μlを使用し、3回ウェルを洗浄した後、一次抗体ウサギ抗SNAP25(190-197)pAbを、100μl/ウェル添加した後、30分間反応させ、さらに前述のように3回洗浄した後、二次抗体である抗ウサギIgG HRP conjugateを添加し、30分間反応させた。TMB(BioFx社)溶液を100μl/ウェルでもって入れ、30分間25℃で発色させた。該発色が終われば、3M硫酸を50μl/ウェルでもって添加し、発色を中断させ、450nmで吸光度を測定した。
【0030】
標準試料の吸光値(OD:optical density)を利用し、標準試料の濃度と吸光値との検量線(calibration curve)を描いた後、生成された一次方程式を利用し、ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖試料の測定された力価を求めた。算出された力価とターゲット濃度とを利用し、ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖試料の回収率を算出し、ターゲット濃度対比の回収率を確認し、その結果を
図4に示した。
図4から知ることができるように、pBT103(配列番号19)は、野生型ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖と類似した力価を見し、pBT114(配列番号30)は、1.3倍、pBT115(配列番号31)は、1.55倍力価が増大した。
【0031】
比較例1:他のボツリヌストキシンタイプA亜型の軽鎖第3ドメインで置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の発現、精製及び熱的安定性の評価
組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖において、A4の第3ドメインが、熱的安定性増大において、重要要因であるか否かということを確認するために、ボツリヌストキシンタイプA4軽鎖ではない他のボツリヌストキシンタイプAであるボツリヌストキシンタイプA2,A5,A7及びA8軽鎖の第3ドメインを、ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖の第3ドメインと置換した後、熱的安定性を比較した。
【0032】
第3ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を確保するために、4種の組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を、実施例2の精製方法によって精製し、各ボツリヌストキシンタイプA亜型の軽鎖第3ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を、大腸菌(E.coli)発現ベクターであるpET28aにクローニングした。
【0033】
ボツリヌストキシンタイプA2軽鎖の第3ドメインで置換されたベクターを、pBT158(配列番号32)、ボツリヌストキシンタイプA5軽鎖の第3ドメインで置換されたベクターを、pBT160(配列番号33)、ボツリヌストキシンタイプA7軽鎖の第3ドメインで置換されたベクターを、pBT161(配列番号34)、ボツリヌストキシンタイプA8軽鎖の第3ドメインで置換されたベクターを、pBT162(配列番号35)と命名した。各組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖は、実施例2と同一方法で精製した(
図5A)。ボツリヌストキシンタイプA3軽鎖の第3ドメイン置換された組み換えボツリヌストキシン軽鎖タンパク質は、発現されておらず、ボツリヌストキシンタイプA6軽鎖第3ドメインは、A1の第3ドメインと配列が同じであるので、試験から除いた。
【0034】
前述のように、ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖の第3ドメインを、ボツリヌストキシンタイプA2軽鎖の第3ドメイン、ボツリヌストキシンタイプA5軽鎖の第3ドメイン、ボツリヌストキシンタイプA7軽鎖の第3ドメイン、またはボツリヌストキシンタイプA8軽鎖の第3ドメインで置換した結果、ボツリヌストキシンタイプA4の第3ドメインで、ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖の第3ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の溶解点が最も高く、すなわち、熱的安定性に最もすぐれていた(
図5B)。
【0035】
実施例3:ドメイン置換された組み換えボツリヌストキシンの製造及び精製
ドメイン置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖に係わる組み換えボツリヌストキシンの機能分析のために、熱的安定性が増大され、活性が増大された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を含む組み換え全長ボツリヌストキシン遺伝子を、pM TL80000ベクターシステムを利用し、インフュージョン方法で(infusion-HD(Takara))クローニングした。クローニングされた製造物は、pBT142、pBT143、pBT144、pBT145、pBT146及びpBT147と命名し、
図6Aに、各ドメインの構成を模式図で示した。ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンは、Clos Tron方法(system)を使用し、毒素遺伝子を不活性化させた無毒化ホールAハイパー(hall A-hyper)菌株を製造して使用した。
【0036】
毒素遺伝子が不活性化されるか、あるいはノックアウトされた菌株を含む無毒化クロストリジウム・ボツリナム菌株は、精製された組み換えボツリヌストキシン、または精製された組み換えボツリヌストキシン複合体の製造方法に使用することができる。毒素遺伝子が不活性化されるか、あるいはノックアウトされた菌株を製造する方法は、当分野に公知されており、例えば、Clos Tron方法を使用することが、文献[Bradshaw et al. 2010, Pellett et al. 2016]に説明されている。
【0037】
Clos Tron方法によって製造された組み換えボツリヌストキシンは、複合体成分を含んでいない150kDaの形態に精製した(
図6A)。組み換えボツリヌストキシンは、それぞれpBT142(配列番号36)、pBT143(配列番号37)、pBT144(配列番号38)、pBT145(配列番号39)、pBT146(配列番号40)、pBT147(配列番号41)であると確認した。前記組み換えボツリヌストキシンの全ての製造は、政府規制により、毒素生産が許可された施設で行った。
【0038】
試験例3:ラットにおける、ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンの効力
メス6週齢SD(Sprague-Dawley)ラットを、(株)オリエントバイオから購入し、1週間、順化させて検疫した後、7週齢ラットを実験に使用した。飼料は、滅菌された実験動物用固形飼料(R40-10(SAFE(フランス)))を自由給餌し、食水は、上水道水を高温高圧滅菌して自由給餌させた。順化期間、検疫期間及び実験期間の間、マウスは、温度23±3℃、相対湿度55±15%、照明時間12時間(午前8時~午後8時)、換気回数15回/時間及び照度150~300ルックスに設定された特定病原体不在条件下で飼育された。本研究は、(株)メディトックス動物実験倫理委員会の検討及び承認の後で遂行された。
【0039】
対照群として、ボツリヌストキシン製品であるコアトックス(ボツリヌストキシンタイプA、Lot No.:NSA19016またはNSA20011(メディトックス))100単位(unit)を使用した。組み換えボツリヌストキシンpBT142は、1,316U/mL、pBT147は、348U/mLに製造し、実験に使用した。各組み換えボツリヌストキシンの力価は、マウス力価試験法を介し、効力試験前に測定して導き出された力価値を基に試験を行った。プラセボ(偽薬投与群)としては、組み換えボツリヌストキシンにおいて、ボツリヌストキシン成分を除去し、賦形剤成分を同一に使用して、組み換えボツリヌストキシンpBT142及び組み換えボツリヌストキシンpBT147、及びコアトックスの効力試験を進めた。各試験物質の投与容量は、いずれも単位(unit)(U:ボツリヌストキシンの生物学的活性を示す値であり、1Uは、マウス腹腔投与によるマウス半数致死量)を基準に、同一容量でもって投与した。
【0040】
コアトックスは、滅菌生理食塩水(35V3AF3、大韓薬品工業)を使用して希釈し、組み換えボツリヌストキシンpBT142及び組み換えボツリヌストキシンpBT147は、プラセボを利用し、12,40,120U/mL濃度にそれぞれ希釈した。試験物質が投与された日を0日にし、注射麻酔剤(60mg/kg塩酸ケタミン+10mg/kgキシラジン)を利用してラットに麻酔をかけた後、表1の各群の構成により、それぞれの試験物質をラットの右側ふくらはぎ筋肉に、ハミルトン注射器を利用し、0.1mL/kgで投与した。
【0041】
効力評価においては、ラットの筋肉マヒ程度を肉眼で評価するDAS(digit abduction score)評価法と、外部的な電気刺激に反応する筋肉の活動電位を測定する複合筋肉活動電位(CMAP:compound muscle action potential)試験法とを使用した。
【0042】
【表1】
表2に表記されたDAS数値は、ラットにおいて、投与された側の足指形態による筋肉マヒ程度を示し、CMAP値は、神経遮断によって示される直接の筋肉収縮阻害程度を示す。
【0043】
【表2】
CMAPは、Nicolet Viking Quest(Viasys Healthcare, Inc.)装備を利用し、各ラットの右側ふくらはぎ筋部位で測定した。注射麻酔剤で麻酔した後、測定部位の毛を除毛させ、うつ伏せにさせた姿勢にラットを位置させた。測定する足側の座骨神経部位に負極を位置させ、その部位から、脊椎を基準に、約1cm離れた部位に正極を位置させた。記録電極と基準電極とをふくらはぎ筋部位とアキレス腱部位とにそれぞれ位置させ、接地電極を大腿直筋部位に位置させた。刺激のレベルと期間は、25~30mA、0.2msにし、増幅器のフィルタ範囲は、60Hzにおいて、2~10Kに設定した。当該条件で測定したとき、波形の基底部から最高点までの高さを、CMAP測定値でデータ化した。表1の試験群構成により、実験1において、pBT142とコアトックスとの効力比較のためのDAS測定は、1.2,4,12U/kg投与された容量でもって投与した後、1日目から112日目まで評価し、CMAP測定は、12U/kg容量で投与された個体において、投与後8日目から127日目まで測定した。実験2において、pBT147とコアトックスとの効力比較のために、DAS測定は、1.2,4,12U/kg投与された容量でもって投与した後、1日目から112日目まで評価し、CMAP測定は、12U/kg容量に投与された個体において、投与後0日目から126日目まで測定した。
【0044】
Graphpad Prism 7.05(GraphPad Software Inc., CA(米国))は、グラフ提示に使用され、SPSS software 25.0(SPSS Inc., IL(米国))及びExcel(2013(MS(米国)))は、統計分析に使用された。実験の結果は、平均±標準偏差で表示した。DAS ED50は、Graphpad Prismを利用し、最低0点値及び最高4点値を固定させた後、3指標ロジステックモデルを利用して算出した。コルモゴロフ・スミルノフ検定(Kolmogorov-Smirnov test)を利用し、正規性検定を実施した。非母数データは、マン・ホイットニー(Mann-Whitney)検定を介して統計分析をし、母数データの場合、両側(two-tailed)t検定を行い、p値が0.05より小さい場合、統計的に有意性があると判断した。
【0045】
ラット右側ふくらはぎ筋肉に、コアトックスと組み換えボツリヌストキシンpBT142とを、1.2,4,12U/kg容量でもって、単回投与した後、DAS評価結果、12U/kgの容量でもって投与した後、14日目、pBT142投与群において、コアトックス投与群対比で、有意的にDAS点数が増大した。コアトックス4U/kg投与群においては、49日目、全ての個体が回復され、同じ容量のpBT142投与群においては、それより7日延長された56日目、全ての個体が回復された。そして、コアトックス12U/kg投与群は、投与後91日目、全ての個体が回復されたが、同じ容量のpBT142投与群の場合、それより21日延長された112日目、全ての個体が回復された(
図7A)。DAS ED
50比較を介し、pBT142がコアトックスより、約1.8倍強い効力を示すことを確認した(
図7B)。DAS結果と類似して、CMAP試験においても、12U/kg pBT142投与群が、コアトックス12U/kg投与群対比で、有意的に低いCMAP値を示し、強い効力を示し、コアトックス12U/kg投与群は、投与後112日目、CMAP値を回復し、pBT142 12U/kg投与群は、それより15日延長された127日目、CMAP値を回復させた(
図7C)。以上の結果から、コアトックス対比で、組み換えボツリヌストキシンpBT142の効力と作用期間とが延長されることを確認した。
【0046】
ラット右側ふくらはぎ筋肉に、コアトックスと組み換えボツリヌストキシンpBT147とを、1.2,4,12U/kg容量でもって、単回投与した後、DAS評価結果、4U/kg容量でもって投与した後、5,7,14,21,28,35,42日目、12U/kg容量でもって投与した後、14,21,28日目、pBT147投与群において、コアトックス投与群対比で、有意的にDAS点数が増大した。コアトックス1.2U/kg投与群においては、28日目、全ての個体が回復され、同じ容量のpBT147投与群においては、それより7日延長された35日目、全ての個体が回復された。コアトックス4U/kg投与群においては、42日目、全ての個体が回復され、同じ容量のpBT147投与群においては、それより28日延長された70日目、全ての個体が回復された。コアトックス12U/kg投与群は、投与後84日目、全ての個体が回復されたが、同じ容量のpBT147投与群の場合、それより28日延長された112日目、全ての個体が回復された(
図7D)。DAS ED
50比較を介し、pBT147が、コアトックスより、約1.5倍強い効力を示すことを確認した(
図7E)。CMAP試験においては、全ての測定日において、pBT14712U/kg投与群が、コアトックス12U/kg投与群対比で、有意的に低いCMAP値を示すことを確認し、コアトックス12U/kg投与群は、投与後112日目、CMAP回復が観察され、pBT14712U/kg投与群は、それより14日延長された126日目、CMAP回復が観察された(
図7F)。以上の結果から、コアトックス対比で、組み換えボツリヌストキシンpBT147の効力と作用期間とが延長されていることを確認した。
【0047】
試験例4:マウスにおいて、ドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンの効力
メス5週齢CD1(ICR)マウスを、(株)オリエントバイオから購入し、1週間の順化及び検疫の後、6週齢マウスを実験に使用した。飼料は、滅菌された実験動物用固形飼料(R40-10(SAFE(フランス)))を自由給餌し、食水は、上水道水を高温高圧滅菌して自由給餌した。順化期間、検疫期間及び実験期間の間、マウスは、温度23±3℃、相対湿度55±15%、照明時間12時間(午前8時~午後8時)、換気回数15回/時間及び照度150~300ルックスに設定された特定病原体不在条件下で飼育した。本研究は、(株)メディトックス動物実験倫理委員会の検討及び承認の後で行った。
【0048】
対照群として、コアトックス(ボツリヌストキシンタイプA、Lot No.:NSA20015(メディトックス))100単位(unit)を使用した。組み換えボツリヌストキシンとしてのpBT142は、2,803U/mL、組み換えボツリヌストキシンとしてのpBT147は、2,537U/mLで製造して実験に使用した。各組み換えボツリヌストキシンの力価は、マウス力価試験法を介し、効力試験前に測定して導き出された力価値を基に試験を行った。プラセボ(偽薬投与群)は、組み換えボツリヌストキシンからボツリヌストキシンを除き、残り賦形剤成分は、等しく使用した。効力試験において、各試験物質の投与容量は、いずれも単位(unit)(U:ボツリヌストキシンの生物学的活性を示す値であり、1Uは、マウス腹腔投与によるマウス半数致死量)を基準に同一に投与した。
【0049】
コアトックスは、滅菌生理食塩水(35V3AF3、大韓薬品工業)を使用して希釈し、組み換えボツリヌストキシンpBT142,pBT147は、プラセボを利用し、6,20,60,200U/mL濃度にそれぞれ希釈した。試験物質が投与された日を0日にし、注射麻酔剤(100mg/kg塩酸ケタミン+10mg/kgキシラジン)を利用してマウスに麻酔をかけた後、表3の群構成により、それぞれの試験物質をマウスの右側ふくらはぎ筋肉にハミルトン注射器を利用し、0.2mL/kgで投与した。
【0050】
【表3】
評価は、マウス筋肉マヒ程度を肉眼で評価するDAS(digit abduction score)評価法と、外部的な電気刺激に反応する筋肉の活動電位を測定する複合筋肉活動電位(CMAP:compound muscle action potential)試験法と、を使用した。表4に表記されたDAS数値は、マウスに投与された方の足指形態による筋肉マヒ程度を示し、CMAP値は、神経遮断によって示される直接の筋肉収縮阻害程度を示す。
【0051】
【表4】
CMAPは、Nicolet Viking Quest(Viasys Healthcare, Inc.)装備を利用し、各マウスの右側ふくらはぎ筋部位で測定された。該測定方法は、刺激のレベルと、期間7~8mA(0.1ms)とを除いては、残りは、試験例3と同一である。表3の試験群構成により、DAS測定は、1.2,4,12、40U/kg投与された容量でもって投与した後、1日目から84日目まで評価され、CMAP測定は、12U/kg容量で投与された個体において、投与日から98日目まで測定し、試験例3と同一に統計処理した。
【0052】
マウス右側ふくらはぎ筋肉に、コアトックスと、2種の組み換えボツリヌストキシンpBT142及び組み換えボツリヌストキシンpBT147とを、1.2,4,12、40U/kg容量でもって単回投与した後、DAS評価した結果、pBT1474U/kg投与群において、投与後、14,21,28日目に、コアトックス対比で、有意的なDAS点数の増大を観察した。コアトックス1.2U/kg投与群においては、14日目、全ての個体が回復され、同じ容量のpBT142投与群及びpBT147投与群においては、それより14日延長された28日目、全ての個体が回復された。そして、コアトックス4U/kg投与群は、投与後28日目、全ての個体が回復されたが、同じ容量のpBT142投与群及びpBT147投与群の場合、それより14日延長された42日目、全ての個体が回復された。コアトックス12U/kg投与群は、投与後49日目、全ての個体が回復されたが、同じ容量のpBT142投与群及びpBT147投与群の場合、それより14日延長された63日目、全ての個体が回復された。そして、コアトックス40U/kg投与群は、投与後70日目、全ての個体が回復されたが、同じ容量のpBT142投与群及びpBT147投与群の場合、それぞれそれより14日及び7日延長された84日目及び77日目、全ての個体が回復され(
図8A)、DAS ED
50比較を介し、pBT142が、コアトックスより約1.2倍、pBT147が、コアトックスより約1.4倍強い効力を示した(
図8B)。
【0053】
CMAP試験においては、pBT142投与群及びpBT14712U/kg投与群が、コアトックス12U/kg投与群対比で、有意的に低いCMAP値を示すことを確認し、コアトックス12U/kg投与群は、投与後84日目、CMAP回復が観察されたが、pBT14712U/kg投与群は、それより14日延長された98日目、CMAP回復が観察された(
図8C)。以上のように、マウスにおいて遂行された以上の結果から、コアトックス対比で、組み換えボツリヌストキシンpBT142及び組み換えボツリヌストキシンpBT147の効力と作用期間とが延長された。
【0054】
異なって定義されない限り、本明細書に使用された技術的及び科学的な用語は、本開示が属する分野において、一般的に使用されるところと同一意味を有する。本開示の理解のために、下記定義が適用され、単数形で使用される用語は、複数形を含み、その逆も同様である。
【0055】
本願で使用される用語「タンパク質」,「ポリペプチド」は、アミノ酸残基の重合体、その変異体及び合成類似体を意味するために、本明細書において、相互交換自在に使用される。それら用語は、1以上のアミノ酸残基が合成された非天然発生アミノ酸、例えば、関連する天然発生アミノ酸の化学的な類似体を始めとし、天然発生アミノ酸重合体に適用される。それら用語は、またポリペプチドの翻訳後の変形、例えば、グリコシル化、リン酸化及びアセチル化を含む。
【0056】
用語「ボツリヌストキシン(BoNT:Botulinum toxin)」は、ボツリヌストキシンの任意のポリペプチドまたは断片を包括する。具体例において、該ボツリヌストキシンは、全長ボツリヌストキシン(full-length Botulinum toxin)またはボツリヌストキシン断片(Botulinum toxin derived fragments)を称する。具体例において、該ボツリヌストキシンは、ニューロンに進入し、神経伝達物質放出を抑制する全体的な細胞メカニズムを実行することができる。
【0057】
用語「ドメイン」は、与えられたタンパク質配列及び保存された部分であり、タンパク質鎖の残り部分と独立して進化して機能しながら存在しうる三次構造である。該ドメインは、独立して安定するために、該ドメインは、1つのタンパク質と、他のタンパク質との遺伝工学により、ドメインスワップ(domain swap)され、キメラタンパク質(chimera protein)を生成することができる。
【0058】
用語「パーセント同一性(percent identity)」は、ポリペプチド間のアミノ酸配列同一性程度を言う。例えば、第1アミノ酸配列が第2アミノ酸配列と同一である場合、該第1アミノ酸配列及び該第2アミノ酸配列は、100%同一性を示す。2つのアミノ酸配列のパーセント同一性は、Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 2264-68, 1990のアルゴリズムでもって、Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-77, 1993で変形されたアルゴリズムを使用しても決定される。そのようなアルゴリズムは、Altschul, et al. J. Mol. Biol. 215: 403-10, 1990のNBLASTプログラム及びXBLASTプログラム(version 2.0)に含まれて(incorporated)いる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム(score=50、wordlength=3)で行われ、関心タンパク質分子につき、相同性であるアミノ酸配列を得ることができる。2配列間にギャップがある場合、Gapped BLAST Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25(17): 3389-3402, 1997に記述されているように使用されうる。BLASTプログラム及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、各プログラム(例:XBLAST及びNBLAST)のデフォルト変数が使用されうる。
【0059】
用語「組み換え」は、DNA(deoxyribonucleic acid)やRNA(ribonucleic acid)のような遺伝子をなす要素が、解体過程と組み換え過程とにおいて、本来の配列とは異なって入れ替わる過程を示す用語である。分子生物学の実験を介し、DNA切片を人為的に組み換えすることができる。そのように人為的に組み換えられたDNAを、組み換えDNAと言う。
【0060】
用語「変異体」は、すなわち、核酸配列またはアミノ酸配列における任意の変形、例えば、核酸またはアミノ酸の切断、付加、欠失、置換、及びそれらの任意の組み合わせを包括する。すなわち、「組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖ドメインの変異体」は、組み換えボツリヌス神経毒素タイプA軽鎖ドメインを構成する核酸またはアミノ酸の切断、付加、欠失、置換、及びそれらの任意の組み合わせを包括することができる。
【0061】
用語「置換」は、任意の配列位置において正常に見出される野生型残基以外の任意のアミノ酸を含むものでもある。そのような置換は、非極性(疎水性)アミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン及びプロリンによる代替でもある。該置換は、極性(親水性)アミノ酸、例えば、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン及びグルタミンによる代替でもある。該置換は、電気的に荷電されたアミノ酸、例えば、負電気的に荷電されたアミノ酸、例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸、並びに正電気的に荷電されたアミノ酸、例えば、リシン、アルギニン及びヒスチジンによる代替でもある。
【0062】
用語「野生型」は、自然に発生する一般的な種の表現型を言う。一般的に、該野生型は、非標準突然変異(mutant)対立遺伝子によって生成されたところとは反対に、遺伝子座(locus)における標準正常(normal)対立遺伝子の産物でもある。
【0063】
用語「個体」は、男性または女性でもある。該個体は、完全に発達された個体(例えば、成人)または発達過程を経ている個体(例えば、児童、乳児または胎児)でもある。該個体は、哺乳動物でもある。該哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、犬、猫、馬または牛でもあるが、それら例に制限するものではない。
【0064】
最近市販中であるボツリヌストキシン製剤は、ほとんど有効成分が、ボツリヌストキシンタイプA1である製剤であり、マイオブロック(Myobloc)の場合には、ボツリヌストキシンタイプB1を有効成分として使用している。ボツリヌストキシンタイプA1製剤の効力持続期間は、平均約3ヵ月ほどであり、ボツリヌストキシンタイプB1製剤の場合には、さらに短いと知られている。筋肉内注射で投与しなければならないボツリヌストキシン製剤の特性上、患者の便宜性側面において、市販中の製剤より長い持続性を有する製品の開発が必要である。
【0065】
本発明者らは、ボツリヌストキシンタイプA1及びA4の軽鎖配列を、第1,2,3,4ドメインにおいて、
図2のドメイン特性により、
図1のように、総4個のドメインに分割した。
【0066】
ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖の第1ドメイン(配列番号1)、及びボツリヌストキシンタイプA4軽鎖の第1ドメイン(配列番号5)は、主に基質であるSNAP25と相互結合する部位として、α-exositeが含まれた部分である。ボツリヌストキシンタイプA1及びA4の軽鎖の第1ドメインは、1番位置のアミノ酸、ないし90~150番位置のアミノ酸(例えば、90番,95番,100番,105番,110番,115番,120番,125番,130番,135番,140番,145番及び150番位置のアミノ酸)でもある。
【0067】
ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖の第2ドメイン(配列番号2)、及びボツリヌストキシンタイプA4軽鎖の第2ドメイン(配列番号6)は、軽鎖の酵素活性に主に関与する部分であり、170ループ(loop)を含み、補助因子である亜鉛と結合する部分である。ボツリヌストキシンタイプA1及びA4の軽鎖の第2ドメインは、91~151番位置のアミノ酸(例えば、91番,96番,101番,106番,111番,116番,121番,126番,131番,136番,141番,146番及び151番位置のアミノ酸)、ないし210~270番位置のアミノ酸(例えば、210番,215番,220番,225番,230番,235番,240番,245番,250番,255番,260番,265番及び270番位置のアミノ酸)でもある。
【0068】
ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖の第3ドメイン(配列番号3)、及びボツリヌストキシンタイプA4軽鎖の第3ドメイン(配列番号7)は、基質結合を安定化させる250ループ(loop)と370ループ(loop)とを含んでおり、基質結合部位であるα-exosite、β-exositeにいずれも関与する部位である。ボツリヌストキシンタイプA1及びA4の軽鎖の第3ドメインは、211~271番アミノ酸(例えば、211番,216番,221番,226番,231番,236番,241番,246番,251番,256番,261番,266回及び271番アミノ酸)、ないし386~446番アミノ酸(例えば、386番,391番,396番,401番,406番,411番,416番,421番,426番,431番,436番,441番及び446番アミノ酸)でもある。
【0069】
ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖の第4ドメイン(配列番号4)、及びボツリヌストキシンタイプA4軽鎖の第4ドメイン(配列番号8)は、ボツリヌストキシンタイプA軽鎖の構造的柔軟性に関与する部分である。ボツリヌストキシンタイプA1及びA4の軽鎖の第4ドメインは、362~425番アミノ酸(例えば、362番,367番,372番,377番,382番,387番,392番,397番,402番,407番,412番,417番,422番及び425番アミノ酸)、ないし410~448番アミノ酸(例えば、410番,414番,417番,420番,425番,430番,435番,440番,445番及び448番アミノ酸)でもある。
【0070】
本開示の一態様によれば、ボツリヌストキシンタイプA4ではない、ボツリヌストキシンタイプA軽鎖の第1,第2,第3及び第4ドメインにおいて、第3ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4軽鎖の第3ドメイン、またはその変異体の配列で置換されたものである組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を提供する。
【0071】
一具体例において、前記ボツリヌストキシンタイプA4ではない、ボツリヌストキシンタイプA軽鎖は、ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖(配列番号9)、ボツリヌストキシンタイプA2軽鎖(配列番号10)、ボツリヌストキシンタイプA3軽鎖(配列番号11)、ボツリヌストキシンタイプA5軽鎖(配列番号13)、ボツリヌストキシンタイプA6軽鎖(配列番号14)、ボツリヌストキシンタイプA7軽鎖(配列番号15)またはボツリヌストキシンタイプA8軽鎖(配列番号16)でもある。例えば、ボツリヌストキシンタイプA軽鎖は、ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖でもある。
【0072】
一具体例において、前記ボツリヌストキシンタイプA4軽鎖の第3ドメインは、配列番号7の配列でもある。他の具体例において、ボツリヌストキシンタイプA4軽鎖の第3ドメインの変異体は、ボツリヌストキシンタイプA4軽鎖第3ドメインと同一基質結合部位であるα-exosite、β-exositeにいずれも関与し、配列番号3の配列と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0073】
本開示の他の態様によれば、前記組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の第1,第2,第3及び第4ドメインにおいて、第4ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4軽鎖の第4ドメイン、またはその変異体の配列でさらに置換されたものである組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を提供する。
【0074】
一具体例において、前記ボツリヌストキシンタイプA4軽鎖第4ドメインは、配列番号8の配列でもある。他の具体例において、ボツリヌストキシンタイプA4軽鎖の第4ドメインの変異体は、ボツリヌストキシンタイプA4軽鎖第4ドメインと同一くボツリヌストキシンタイプA軽鎖の構造的柔軟性に関与し、配列番号4と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0075】
本開示のさらに他の態様によれば、前記組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖、及びボツリヌストキシン重鎖を含む組み換えボツリヌストキシンを提供する。
【0076】
一具体例において、前記ボツリヌストキシン重鎖は、ボツリヌストキシンタイプA重鎖、ボツリヌストキシンタイプB重鎖、ボツリヌストキシンタイプC重鎖、ボツリヌストキシンタイプD重鎖、ボツリヌストキシンタイプE重鎖、ボツリヌストキシンタイプF重鎖、またはボツリヌストキシンタイプG重鎖でもある。
【0077】
一具体例において、前記ボツリヌストキシン重鎖は、ボツリヌストキシンタイプA重鎖でもある。例えば、ボツリヌストキシン重鎖は、ボツリヌストキシンタイプA1重鎖、ボツリヌストキシンタイプA2重鎖、ボツリヌストキシンタイプA3重鎖、ボツリヌストキシンタイプA4重鎖、ボツリヌストキシンタイプA5重鎖、ボツリヌストキシンタイプA6重鎖、ボツリヌストキシンタイプA7重鎖またはボツリヌストキシンタイプA8重鎖でもある。例えば、該ボツリヌストキシン重鎖は、ボツリヌストキシンタイプA1重鎖(配列番号17)でもある。
【0078】
一具体例において、前記組み換えボツリヌストキシンは、組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖、及びボツリヌストキシン重鎖がジスルフィド結合によって連結されているものである組み換えボツリヌストキシンでもある。例えば、組み換えボツリヌストキシンは、ボツリヌストキシンタイプ間において、高程度のアミノ酸配列同一性を有する約150kDa重量の比較的不活性である単一ポリペプチド鎖であり、クロストリジウムバクテリアで生産される。該単一ポリペプチドは、次に、およそ100kDa重鎖及び50kDa軽鎖に分解され、該重鎖及び該軽鎖は、ジスルフィド結合を形成することができる。
【0079】
本開示のさらに他の態様によれば、前記組み換えボツリヌストキシン、及び薬剤学的に許容される賦形剤または添加剤を含む組成物を提供する。
【0080】
一具体例において、薬剤学的に許容される賦形剤または添加剤は、安定化剤、イオン化合物(ionic compound)、界面活性剤、緩衝剤、凍結乾燥保護剤、またはそれらの組み合わせ、例えば、アミノ酸(例えば、メチオニン)、塩(例えば、NaCl)、緩衝液、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート(例:ポリソルベート20))、糖(例えば、白糖のようなジサッカライド)、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、またはそれらの組み合わせでもある。
【0081】
一具体例において、前記組成物は、アルブミンまたは動物由来成分を含まないものでもある。例えば、前記アルブミンまたは動物由来成分を含まない組成物は、WO2009-008595A1またはWO2012-134240A2に開示されているものを含み、前記特許の内容は、その全体として、本明細書に参照として引用される。
【0082】
一具体例において、前記組成物は、固体製剤または液体製剤、例えば、凍結乾燥粉末、液状またはプレフィルドシリンジ(pre-filled syringe)製剤のようないかなる形態にも製剤化されうる。
【0083】
本開示のさらに他の態様によれば、前記組み換えボツリヌストキシン、及び薬剤学的に許容される賦形剤または添加剤を含む組成物を個体に投与し、疾患を改善させたり治療したりするための用途を提供する。
【0084】
一具体例において、前記組み換えボツリヌストキシン、薬剤学的に許容される賦形剤または添加剤を含む組成物を個体に投与し、シワ、角ばり顎、エラ張り顎、傷、皮膚軟化、傷痕、にきび、毛穴、弾力またはケロイドを改善させるための用途でもある。
【0085】
一具体例において、前記組み換えボツリヌストキシン、薬剤学的に許容される賦形剤または添加剤を含む組成物を個体に投与し、顔面痙攣、瞼痙攣、斜頸、眼瞼痙攣、頸部筋緊張異常症、咽頭中央部筋緊張異常症、痙攣性発声障害、偏頭痛、肛門掻痒症または多汗症を治療するための用途でもある。
【0086】
一具体例において、前記組成物は、経皮、皮下、または筋肉内の投与によっても成り立つことができる。具体例において、前記組成物を、筋肉、または筋肉の群に局所的に投与することによっても成り立つ。具体例において、額しわ、皮膚しわの低減は、前記組成物を、当該しわの経皮または皮下に投与することによってもなる。
【0087】
本開示のさらに他の態様によれば、前記組み換えボツリヌストキシン、及び薬剤学的に許容される賦形剤または添加剤をさらに含む組成物を個体に投与し、疾患を改善させたり治療したりするための方法を提供する。一具体例において、前記組成物を個体に投与する段階を含む、シワ、角ばり顎、エラ張り顎、傷、皮膚軟化、傷痕、にきび、毛穴、弾力またはケロイドを改善させるための方法でもある。
【0088】
一具体例において、前記組成物を個体に投与する段階を含む、顔面痙攣、瞼痙攣、斜頸、眼瞼痙攣、頸部筋緊張異常症、咽頭中央部筋緊張異常症、痙攣性発声障害、偏頭痛、肛門掻痒症または多汗症を治療するための方法でもある。
【0089】
本開示のさらに他の態様によれば、ボツリヌストキシンタイプA4ではない、ボツリヌストキシンタイプA軽鎖の第1,第2,第3及び第4ドメインにおいて、第3ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4の第3ドメイン、またはその変異体の配列で置換される段階を含む、野生型ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を製造する方法を提供する。
【0090】
一具体例において、ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖の第3ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4の第3ドメイン、またはその変異体の配列で置換される段階を含む、野生型ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を製造する方法でもある。
【0091】
例えば、ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖とボツリヌストキシンタイプA4軽鎖の遺伝子の4個ドメインを互いに置換する段階と、野生型ボツリヌストキシンタイプA軽鎖、及びドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を含む遺伝子をそれぞれクローニングし、大腸菌(E.coli)に導入した後、ドメイン置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の発現を誘導する段階と、そうのうち、ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖の第3ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4の第3ドメイン、またはその変異体の配列で置換された組み換えボツリヌストキシンA軽鎖(pBT103(配列番号19))を製造する段階と、を含む、野生型ボツリヌストキシン対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を製造する方法でもある。
【0092】
本開示のさらに他の態様によれば、前記組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の第1,第2,第3及び第4ドメインにおいて、第4ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4の第4ドメイン、またはその変異体の配列でさらに置換される段階を含む、野生型ボツリヌストキシンタイプA1対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を製造する方法を提供する。
【0093】
一具体例において、前記組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の第4ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4の第4ドメイン、またはその変異体の配列でさらに置換される段階を含む、野生型ボツリヌストキシンタイプA1対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を製造する方法でもある。
【0094】
例えば、ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖とボツリヌストキシンタイプA4軽鎖との遺伝子の4個ドメインを互いに置換する段階と、野生型ボツリヌストキシンタイプA軽鎖、及びドメインが置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を含む遺伝子をそれぞれクローニングし、大腸菌(E.coli)に導入した後、ドメイン置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖の発現を誘導する段階と、そのうち、ボツリヌストキシンタイプA1軽鎖の第3ドメイン、及びボツリヌストキシンタイプA1軽鎖の第4ドメインの配列が、ボツリヌストキシンタイプA4の第3ドメイン,第4ドメインまたはその変異体の配列で置換された組み換えボツリヌストキシンA軽鎖(pBT104(配列番号20))を製造する段階を含む、野生型ボツリヌストキシンタイプA1対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖を製造する方法でもある。
【0095】
本開示のさらに他の態様は、前記組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖をコーディングするポリヌクレオシド、及びボツリヌストキシン重鎖をコーディングするポリヌクレオシドを含む核酸、またはそれを含むベクターを含む細胞を提供する。前記細胞は、前記組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖、及びボツリヌストキシン重鎖を含む組み換えボツリヌストキシンを発現するものでもある。
【0096】
本開示のさらに他の態様によれば、前記組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖をコーディングするポリヌクレオシド、及びボツリヌストキシン重鎖をコーディングするポリヌクレオシドを含む核酸、またはそれを含むベクターを含む細胞を培養する段階を含む、野生型ボツリヌストキシン対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンを製造する方法を提供する。前記方法は、培養物から組み換えボツリヌストキシンを分離する段階をさらに含むものでもある。
【0097】
一具体例において、ボツリヌストキシン重鎖は、ボツリヌストキシンタイプA1重鎖、ボツリヌストキシンタイプA2重鎖、ボツリヌストキシンタイプA3重鎖、ボツリヌストキシンタイプA4重鎖、ボツリヌストキシンタイプA5重鎖、ボツリヌストキシンタイプA6重鎖、ボツリヌストキシンタイプA7重鎖またはボツリヌストキシンタイプA8重鎖でもある。具体例において、該ボツリヌストキシン重鎖は、ボツリヌストキシンタイプA1重鎖(配列番号17)でもある。
【0098】
例えば、ドメイン置換された組み換えボツリヌストキシンタイプA軽鎖(pBT103、pBT104)及びボツリヌストキシンタイプA1重鎖を含む全長組み換えボツリヌストキシン遺伝子(pBT142、pBT147)をクローニングする段階と、クローニングされた毒素遺伝子を不活性化させた無毒化菌株に導入し、毒素遺伝子が導入された不活性化された無毒化菌株を培養し、ドメインが置換されたボツリヌストキシンを製造する[Bradshaw et al. 2010, Pellett et al. 2016]段階と、培養物から複合体成分を有していない150kDa形態の組み換え毒素を精製して分離する段階と、を含む、野生型ボツリヌストキシン対比で増大された効力または半減期を有する組み換えボツリヌストキシンを製造する方法でもある。
【配列表】
【国際調査報告】