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特表2024-525049表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカ
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20240702BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240702BHJP
   A61K 8/67 20060101ALN20240702BHJP
   A61K 8/58 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
A61K8/25
A61Q1/00
A61K8/67
A61K8/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580832
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 KR2022009120
(87)【国際公開番号】W WO2023277479
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0084952
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー・エイチアンドエイチ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スン・シク・クウォン
(72)【発明者】
【氏名】ファン・イル・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・スク・ソン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA081
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB171
4C083AC011
4C083AC072
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC242
4C083AC331
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC911
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD352
4C083AD621
4C083AD622
4C083BB11
4C083BB21
4C083BB46
4C083BB47
4C083CC11
4C083DD17
4C083DD33
4C083FF01
(57)【要約】
本発明は、表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカに関し、より詳細には、本発明は、ポリエトキシル化形態のレチノイドを多孔性シリカに担持した後、シラン系化合物で表面処理することによって、レチノイドの担持効率を高め、徐放性放出効率を改善し、安定性と安全性が改善された機能性化粧品の有効成分として活用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエトキシル化レチノイドが担持され、シラン系化合物により表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカ。
【請求項2】
ポリエトキシル化レチノイドは、ポリエトキシル化レチナミド(polyethoxylated retinamide)を含む、請求項1に記載のレチノイド担持多孔性シリカ。
【請求項3】
多孔性シリカは、1~50μmの直径サイズを有する、請求項1に記載のレチノイド担持多孔性シリカ。
【請求項4】
シラン系化合物は、トリエトキシカプリリルシラン(Triethoxycaprylylsilane)、アミノプロピルトリエトキシシラン(Aminopropyl Triethoxysilane)、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Glycidoxypropyl Trimethoxysilane)、イソブチルトリエトキシシラン(Isobutyltriethoxysilane)、ペルフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン(Perfluorooctylethyl Triethoxysilane)、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン(Perfluorooctyl Triethoxysilane)、ステアリルトリエトキシシラン(Stearyl Triethoxysilane)、メチルトリエトキシシラン(Methyltriethoxysilane)、PEG-8メチルエーテルトリエトキシシラン(PEG-8 Methyl Ether Triethoxysilane)およびビニルエトキシシラン(Vinyltriethoxysilane)から成る群から選ばれる1つ以上である、請求項1に記載のレチノイド担持多孔性シリカ。
【請求項5】
レチノイド担持多孔性シリカは、ポリエトキシル化レチノイド溶液および多孔性シリカを混合して多孔性シリカ内にポリエトキシル化レチノイドを担持し、ポリエトキシル化レチノイドが担持された多孔性シリカおよびシラン系化合物を反応させて多孔性シリカの表面を改質して製造される、請求項1に記載のレチノイド担持多孔性シリカ。
【請求項6】
ポリエトキシル化レチノイド溶液および多孔性シリカを混合し、多孔性シリカ内にポリエトキシル化レチノイドを担持する段階と;ポリエトキシル化レチノイドが担持された多孔性シリカおよびシラン系化合物を反応させて、多孔性シリカの表面を改質する段階と;を含む、表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの製造方法。
【請求項7】
ポリエトキシル化レチノイドは、ポリエトキシル化レチナミド(polyethoxylated retinamide)を含む、請求項6に記載の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの製造方法。
【請求項8】
ポリエトキシル化レチノイド溶液は、ポリエトキシル化レチノイドを光遮断条件で溶媒に溶かして製造する、請求項6に記載の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの製造方法。
【請求項9】
溶媒は、メタノールまたはエタノールである、請求項8に記載の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの製造方法。
【請求項10】
ポリエトキシル化レチノイド溶液は、ハイドロカーボン系オイル、エステルオイル、天然オイル、シリコーンオイル、抗酸化剤、光安定剤、抗炎症剤、変色防止剤、紫外線遮断剤、染料および顔料から成る群から選ばれた1つ以上をさらに含む、請求項6に記載の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの製造方法。
【請求項11】
多孔性シリカは、1~50μmの直径サイズを有する、請求項6に記載の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの製造方法。
【請求項12】
ポリエトキシル化レチノイドが担持された多孔性シリカおよびシラン系化合物の反応は、40~120℃で30分~5時間行われる、請求項6に記載の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの製造方法。
【請求項13】
シラン系化合物は、トリエトキシカプリリルシラン(Triethoxycaprylylsilane)、アミノプロピルトリエトキシシラン(Aminopropyl Triethoxysilane)、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Glycidoxypropyl Trimethoxysilane)、イソブチルトリエトキシシラン(Isobutyltriethoxysilane)、ペルフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン(Perfluorooctylethyl Triethoxysilane)、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン(Perfluorooctyl Triethoxysilane)、ステアリルトリエトキシシラン(Stearyl Triethoxysilane)、メチルトリエトキシシラン(Methyltriethoxysilane)、PEG-8メチルエーテルトリエトキシシラン(PEG-8 Methyl Ether Triethoxysilane)およびビニルエトキシシラン(Vinyltriethoxysilane)から成る群から選ばれる1つ以上である、請求項6に記載の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの製造方法。
【請求項14】
シラン系化合物は、表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカ100重量%に対して0.5~20重量%で混合する、請求項6に記載の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカを含む化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定性および安全性が改善された低刺激の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカに関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンAあるいはその誘導体は、現在まで知られた老化皮膚改善の代表的な物質であり、これらを含有する製品が多く販売されている。ビタミンAあるいはその誘導体は、皮膚内線維芽細胞の増殖およびコラーゲン合成を増殖させることが知られており、シワ機能性化粧品の有効成分として多様に活用されている。しかしながら、ビタミンAは、脂溶性であり、光、酸素、熱、脂質過酸化物により不安定であるという短所があり、安定化技術が必須であり、製品開発時に、容器についても、光と酸素が遮断される容器を使用することが、安定性を確保することができる。また、過量のビタミンAあるいはその誘導体は、日光によって皮膚感受性を増加させることができる物質である。消費者がビタミンAあるいはその誘導体が含まれる化粧品を使用する場合、皮膚において皮膚の発赤、紅斑、痛み、かゆみなどの多様な形態で皮膚に発現する。
【0003】
このようなビタミンAおよびその誘導体の安定性および安全性の改善のために、韓国登録特許(10-1314100)等においてリポソームなどの様々な薬物伝達システムを用いて安定性/安全性を改善するために努力している。しかしながら、このような薬物伝達支持体は、有効成分の担持効率が顕著に低いだけでなく、化粧品剤形内で他の補助成分および剤形製造工程中で薬物伝達支持体の形態が一時的に崩壊あるいは一部が崩壊される現象が発生する。これによって、レチノイドの安定性改善効果が大きくなく、徐放性放出によって引き起こされる安全性改善効果も依然として不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、安定性/安全性が改善された低刺激のレチノイド担持多孔性シリカおよびその製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、前記低刺激のレチノイド担持多孔性シリカを含む化粧料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ポリエトキシル化レチノイドが担持され、シラン系化合物により表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカを提供する。
【0007】
本発明は、また、ポリエトキシル化レチノイド溶液および多孔性シリカを混合し、多孔性シリカ内にポリエトキシル化レチノイドを担持する段階と、
ポリエトキシル化レチノイドが担持された多孔性シリカおよびシラン系化合物を反応させて、多孔性シリカの表面を改質する段階と、を含む表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの製造方法を提供する。
【0008】
本発明は、また、前記の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカを含む化粧料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、ポリエトキシル化形態のレチノイドを多孔性シリカに担持した後、シラン系化合物で表面処理することによって、レチノイドの担持効率を高め、徐放性放出効率を改善し、安定性と安全性が改善された機能性化粧品の有効成分として活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの製造工程を示す図である。
図2図2は、フランツ拡散セル(Franze diffusion cell)を用いた本発明の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカのO/W(水中油型、Oil in Water type)剤形におけるレチノイド放出挙動実験結果を示す図であり、剤形生体外皮膚吸収実験結果である。
図3図3は、フランツ拡散セル(Franze diffusion cell)を用いた本発明の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカのO/W剤形におけるレチノイド放出挙動実験結果を示す図であり、剤形適用時間別の皮膚吸収量結果である。
図4図4は、フランツ拡散セル(Franze diffusion cell)を用いた本発明の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカのO/W剤形におけるレチノイド放出挙動実験結果を示す図であり、剤形適用時間別の皮膚吸収量結果である。
図5図5は、本発明の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの生体内消費者品評テスト結果である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の構成を具体的に説明する。
【0012】
本発明は、ポリエトキシル化レチノイドが担持され、シラン系化合物によって表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカに関する。
【0013】
本発明は、ビタミンA誘導体であるレチノイドの1)安定性を改善するために、化粧品剤形内で他の成分によって分解/変性が容易に起こらず、レチノイド類の光/酸素の露出を減少させて安定性を向上させることができ、他の薬物伝達支持体と比較して、高含有量のレチノイドを担持できる長所を担体として多孔性シリカを使用し、2)レチノイド安全性を改善するために、多孔性シリカの表面をシラン系化合物で表面処理することによって、徐放性でレチノイドを溶出させることを特徴とする。
【0014】
本発明の一具体例によれば、レチノイドの放出挙動は、O/W剤形に本発明の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカと多孔性シリカに担持しないレチノイドをフランツ拡散セル(Franze diffusion cell)を用いて比較し、レチノイドの安全性を比較するためには、表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカパウダーのHET-CAMテストおよび消費者品評を通じて刺激指数を確認した。その結果、25℃および40℃で表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカパウダー適用剤形は、16週でも安定しており、シラン系化合物の濃度依存的にレチノイド溶出量が減少し、レチノイドを徐々に溶出させることによって、徐放性製剤としての応用可能性を確認した。
【0015】
前記ポリエトキシル化レチノイドは、ポリエトキシル化レチナミド(polyethoxylated retinamide)を使用することができる。
【0016】
前記多孔性シリカは、1~50μmの直径サイズを有することができる。
【0017】
前記シラン系化合物は、トリエトキシカプリリルシラン(Triethoxycaprylylsilane)、アミノプロピルトリエトキシシラン(Aminopropyl Triethoxysilane)、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Glycidoxypropyl Trimethoxysilane)、イソブチルトリエトキシシラン(Isobutyltriethoxysilane)、ペルフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン(Perfluorooctylethyl Triethoxysilane)、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン(Perfluorooctyl Triethoxysilane)、ステアリルトリエトキシシラン(Stearyl Triethoxysilane)、メチルトリエトキシシラン(Methyltriethoxysilane)、PEG-8メチルエーテルトリエトキシシラン(PEG-8 Methyl Ether Triethoxysilane)、ビニルエトキシシラン(Vinyltriethoxysilane)等を単独または2種以上使用することができる。
【0018】
本発明は、また、ポリエトキシル化レチノイド溶液および多孔性シリカを混合し、多孔性シリカ内にポリエトキシル化レチノイドを担持する段階と、
ポリエトキシル化レチノイドが担持された多孔性シリカおよびシラン系化合物を反応させて、多孔性シリカの表面を改質する段階と、を含む表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの製造方法に関する。
【0019】
本発明の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカは、ペグ化によって親水部を有するレチノイドを多孔性シリカに担持させた後、熱処理を通じて疎水性のシラン系化合物で表面コーティングすることによって製造されることを特徴とする。
【0020】
本発明の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの製造方法を段階別に具体的に説明すれば、次の通りである。
【0021】
第1段階は、ポリエトキシル化レチノイドを多孔性シリカに担持させる段階である。
【0022】
このために、まず、ポリエトキシル化レチノイドを光遮断条件で溶媒に均等に溶解させて、レチノイド溶液を製造する。
【0023】
前記ポリエトキシル化レチノイドは、表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカ100重量%に対して0.5~20重量%、さらに具体的には、5~15重量%で混合することができる。前記範囲から外れる場合、多孔性シリカ内に担持されずに残留するレチノイド含有量が増加し、経済性が低下することがある。
【0024】
前記溶媒は、メタノールまたはエタノールを使用することができる。前記溶媒の含有量は、レチノイドの含有量によって当業者レベルで適宜調節することができ、特に限定されない。
【0025】
前記レチノイド溶液の製造時に、必要に応じてハイドロカーボン系オイル、エステルオイル、天然オイル、シリコーンオイル、抗酸化剤、光安定剤、抗炎症剤、変色防止剤、紫外線遮断剤、染料、顔料などをさらに添加することができる。
【0026】
次に、多孔性シリカにポリエトキシル化レチノイド溶液を徐々に投入し、ミキサー、例えば、ヘンシェルミキサーなどを用いて常温で10分以上均等に混ぜる。
【0027】
前記多孔性シリカは、1~50μmの直径サイズを有することができる。前記多孔性シリカのオイル吸油量は、0.3~3cc/gレベルの原料を使用することができる。前記多孔性シリカは、表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカ100重量%に対して50~99重量%、好ましくは、60~99重量%、より好ましくは、65~94重量%で混合することができる。前記範囲から外れる場合、多孔性シリカパウダーが均一な粉末状とならず、塊状として製造され得る。これは、他の化粧品剤形に分散させたとき、安定性に影響を及ぼす恐れがある。
【0028】
第2段階は、表面処理(改質)剤としてシラン系化合物を使用してポリエトキシル化レチノイドが担持された多孔性シリカの表面を改質する段階である。
【0029】
第1段階で製造されたポリエトキシル化レチノイドが担持された多孔性シリカにシラン系化合物を投入し、ヘンシェルミキサーを用いて約10分間均等に混ぜる。次に、表面処理のために40~120℃で30分~5時間、さらに具体的には、80~100℃で1時間~4時間反応させる熱処理を行った後、冷却させて、表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカを製造する。熱処理が前記範囲から外れる場合、低温では、表面処理が十分に進行されないことがあり、高温の場合、レチノイド変色およびその他物質の安定性に影響を及ぼす恐れがある。
【0030】
前記シラン系化合物は、表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカ100重量%に対して0.5~20重量%、さらに具体的には、1~15重量%で混合することができる。前記範囲から外れる場合、レチノイド溶出量が減少し、レチノイドの効果が減少したり、非常に過量の場合、多孔性シリカの内部に捕集されずにシリカの表面に存在することがある。
【0031】
本発明は、また、前記の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカを含む化粧料組成物に関する。
【0032】
レチノイドは、皮膚内線維芽細胞の増殖およびコラーゲン合成を増殖させるので、本発明の化粧料組成物は、シワ機能性化粧品に使用され得る。
【0033】
また、本発明の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカは、O/W剤形にパウダー形態で使用され得る。本発明の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカは、化粧料組成物100重量%に対して0.01~5重量%、さらに具体的には、0.05~4重量%で含まれ得る。前記範囲から外れる場合、レチノイドの効果が不十分であるか、過量使用により安定性および安全性に影響を及ぼす恐れがある。
【0034】
本発明の化粧料組成物は、一般的な乳化剤形または可溶化剤形の化粧品形態で製造することができる。例えば、柔軟化粧水または栄養化粧水などのような化粧水、フェイシャルローション、ボディローションなどのような乳液、栄養クリーム、水分クリーム、アイクリームなどのようなクリーム、エッセンス、化粧軟膏、スプレー、ゼル、パック、サンスクリーン、メイクアップベース、液体タイプ、固体タイプまたはスプレータイプなどのファンデーション、パウダー、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングオイルのようなメイクアップ除去剤、クレンジングフォーム、せっけん、ボディウォッシュなどのような洗浄剤などの剤形を有することができる。
【0035】
また、本発明の化粧料組成物は、一般的な化粧料組成物の製造時に使用する補助成分として脂肪物質、有機溶媒、溶解剤、濃縮剤およびゲル化剤、軟化剤、抗酸化剤、懸濁化剤、安定化剤、発泡剤(foaming agent)、芳香剤、界面活性剤、水、イオン型または非イオン型乳化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤およびキレート化剤、保存剤、ビタミン、遮断剤、湿潤化剤、必須オイル、染料、顔料、親水性または親油性活性剤、脂質小胞または化粧品に通常使用される任意の他の成分のような化粧品学分野において通常使用される補助剤を含有することができる。
【0036】
本発明の一具体例によれば、本発明の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカは、O/W剤形にパウダー形態で使用され得、O/W剤形は、下記表2の組成によって75℃で油相および水相成分を完全に溶解させた後、ホモミキサーを用いて一次乳化させ、本発明の表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカパウダーを45℃で投入して、二次乳化させて製造することができる。
【0037】
以下、本発明による実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲が下記提示された実施例によって制限されるものではない。
【0038】
<実施例1>~<実施例4>表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカパウダーの製造および適用剤形
表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカの製造のためのレチノイドは、ポリエトキシル化レチナミドを使用した。表1の組成のように、レチノイドおよびエタノールを光遮断条件で均一に溶解させた後、ヘンシェルミキサーを用いて多孔性シリカに作成されたレチノイド溶液を徐々に投入し、10分間均等に混ぜた。多孔性シリカのサイズは、1~50μmの直径を使用し、多孔性シリカのオイル吸油量は、0.3~3cc/gレベルの原料を使用した。一次に作成されたパウダーにトリエトキシカプリリルシラン(triethoxycaprylylsilane)を投入し、ヘンシェルミキサーを用いて10分間均等に混ぜた。表面処理のために、約100℃で4時間反応させて、表面処理反応を実施した後、冷却して、最終表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカパウダーを得た。
【0039】
作成されたレチノイド担持多孔性シリカパウダーを実際O/W剤形に適用し、組成は、表2の通りである。製造方法は、75℃で油相および水相を完全に溶解させた後、ホモミキサーを用いて一次乳化して製造し、レチノイドおよびレチノイド多孔性シリカパウダーは、45℃で投入後、二次乳化を進めた。
【0040】
【表1】
【0041】
本発明において使用されたレチノイドは、(株)エルエスケムで製造されたMedimin A(平均分子量831)を用い、多孔性シリカは、センジンビューティーサイエンス社製のsunsil-130、表面処理剤は、信越社のAES原料、レチノールは、BASF社のRetinol 50Cを使用した。
【0042】
【表2】
【0043】
<実験例1>レチノール/レチノイド変色比較実験
ポリエトキシル化レチノイドが担持された多孔性シリカ(実施例3)にシラン系化合物を投入し、ヘンシェルミキサーを用いて均等に分散させた後、熱処理温度条件で4時間反応させた後に得られたパウダーは、下記の通りである。比較例3のように、レチノールの場合、熱処理時に変色が生じたのに対し、実施例3の場合、熱処理温度100℃で淡黄色のパウダーが得られた。一方、130℃以上の高温で熱処理を進める場合、橙色のパウダーが得られる。
【0044】
【表3】
【0045】
<実験例2>レチノイド安定性改善効果
レチノイドの安定性を確認するために、純粋レチノイド(比較例4)、レチノイド担持多孔性シリカパウダー適用剤形(比較例5)、表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカパウダー適用剤形(実施例4)に対して経時的な力価分析を実施した。
【0046】
表4に示されたように、比較例4<比較例5=実施例4の順に安定性が改善されることを確認することができた。
【0047】
【表4】
【0048】
<実験例3>安全性改善のための徐放性薬物伝達体としてのレチノイド溶出挙動実験(溶媒条件別のレチノイド溶出挙動実験)
レチノイドの放出挙動を調べるために、比較例2および実施例1~3を化粧品で頻繁に使用する溶媒を用いて一次的に溶出実験を実施した。溶媒としては、1,3-ブチレングリコール(1,3-butylene glycol)を使用し、比較例2および実施例1~3のパウダーを溶媒に5%分散させた後、1週間振とう培養器(shaking incubator)で1週間溶出させた。1週後、溶媒の上澄み液のみを分析し、溶出量を計算した。
【0049】
表5に示されたように、表面処理が施されていない比較例2の場合、レチノイドが全部溶出され、表面処理された実施例1~3の場合、徐放性薬物伝達体で徐々にレチノイドを溶出させることを確認することができた。また、トリエトキシカプリリルシランの濃度依存的に(2~7%)レチノイドの溶出量が減少し、これを通じて、表面改質されたレチノイド多孔性シリカパウダーが徐放性製剤として応用可能性があることを確認した。
【0050】
【表5】
【0051】
(O/W剤形におけるレチノイド放出挙動実験)
実際化粧品剤形におけるレチノイド溶出挙動および皮膚透過を確認するために、比較例4の剤形と溶出量の最も低い実施例3を適用した実施例4の剤形をフランツ拡散セル(Franze diffusion cell)実験を通じて比較した。皮膚透過装置は、図示のような装置を使用し、皮膚透過装置は、ドナー室(donor chamber)とレセプター室(receptor chamber)で構成されていて、これらの間に皮膚を位置させた後、固定した(図2参照)。同じ試験に使用する各セルは、2.54cmの同じ表面積を有する。準備した皮膚は、角質層(stratum corneum)が上部に位置するようにして、皮膚透過装置に固定する。レセプター室の水溶液の量は、2.4mLであり、試験物質の拡散に影響を与えないように300rpmで撹拌した。本試験でのレチノイドの濃度は、196.85μg/cmに定めて使用した。皮膚内最大吸収率を維持するために適用する剤形の量は、39.370μl/cmにして一定の皮膚吸収状態を維持し、皮膚の上に均等に塗布した。試験物質の塗布後、6時間/24時間実験が終了した時点に皮膚を採取し、皮膚吸収率を把握した。
【0052】
表6と表7および図3図4のように、6時間皮膚吸収量を比較したとき、比較例4と比較して、実施例4は、徐放性薬物伝達体で溶出されるレチノイドの含有量が小さいが、24時間皮膚吸収量の比較結果、多孔性シリカに担持しないレチノイドと同一量吸収されることを確認した。したがって、徐放性製剤で実施例4がレチノイドを徐々に溶出するが、多孔性シリカに担持しないレチノイドと同様のレベルで吸収され、同じ効能/効果を示すことができることを確認することができた。
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】
<実験例4>レチノイド担持多孔性シリカパウダーの安全性改善効果(In vitro HET-CAMテスト)
有精卵の眼粘膜刺激可能性評価によって安全性改善効果を調べた。使用された有精卵の種および系統は、白色レグホン(white leghorn,white egg)である。有精卵の感度を点検するために、基準物質であるテキサポン(Texapon)を用いて予備実験を行い、出血および溶血程度を把握し、実験群と比較した。刺激判断の基準は、弱い刺激性(slightly irritating)、中等度の刺激性(moderately irritating)、刺激性(irritating)、強い刺激性(severely irritating)に分けて評価した。表面改質されたレチノイド担持多孔性シリカパウダーの安全性を確認するために、比較例1、実施例3のサンプルにHET-CAMテストを進めた。
【0056】
表8に示されたように、多孔性シリカ担持および表面改質された実施例3のサンプルの刺激指数が、比較例1の刺激指数に比べて低いことを確認した。
【0057】
【表8】
【0058】
(In vivo消費者品評テスト)
表面改質されたレチノイド多孔性シリカパウダーの安全性改善効果を調べるために、比較例5と実施例4のサンプルを用いて消費者刺激品評テストを進めた。品評は、女性消費者25人を対象に夕方に1回使用し、1週間使用した後、最終刺激品評を進めた。刺激品評の尺度は、5段階評価で行い、点数が大きくなるほど刺激の強度が強くなることを意味する。
【0059】
図5に示されたように、比較例5および実施例4が両方とも2点以下であり、刺激が弱いことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、安定性と安全性が改善された機能性化粧品分野に適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】