(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】導電性ファスナ
(51)【国際特許分類】
F16C 33/08 20060101AFI20240702BHJP
F16C 33/20 20060101ALI20240702BHJP
F16C 17/04 20060101ALI20240702BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20240702BHJP
F16C 11/10 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F16C33/08
F16C33/20 A
F16C17/04 Z
F16C11/04 E
F16C11/10 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500010
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-03
(86)【国際出願番号】 EP2022069920
(87)【国際公開番号】W WO2023001713
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508298237
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスチックス パンプス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツレベク,ジリ
(72)【発明者】
【氏名】ジャーガー,ハンス ユーゲン
(72)【発明者】
【氏名】トビアス,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ギーセン,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
3J011
3J105
【Fターム(参考)】
3J011AA03
3J011BA09
3J011BA11
3J011DA01
3J011KA03
3J011LA04
3J011PA02
3J011QA03
3J011QA05
3J011SA03
3J011SA05
3J011SA06
3J011SB01
3J011SB02
3J011SB03
3J011SB04
3J011SB05
3J011SB12
3J011SB13
3J011SC01
3J011SC03
3J011SC12
3J011SC14
3J105AA15
3J105AB06
3J105AB31
3J105AC10
3J105BC26
3J105DA06
(57)【要約】
【解決手段】 プッシュオンファスナであって、主表面(106、107)と、周囲面を画定する半径方向縁部(103、105)と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体(102)であって、中心軸(A)を画定する開口(180)を形成する、プッシュオンファスナ本体(102)と、プッシュオンファスナ本体の主表面を覆う、非導電性摺動層(1104)と、を含み、主表面が、プッシュオンファスナと隣接構成要素との間に導電性を提供するように、内側構成要素又は外側構成要素に接触するように適合された、非導電性摺動層のない空隙領域(118)を含む、プッシュオンファスナ。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プッシュオンファスナであって、
主表面と、周囲面を画定する半径方向縁部と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体であって、中心軸を画定する開口を形成する、プッシュオンファスナ本体と、
前記プッシュオンファスナ本体の前記主表面を覆う、非導電性摺動層と、を含み、前記主表面が、前記プッシュオンファスナと隣接構成要素との間に導電性を提供するように、内側構成要素又は外側構成要素に接触するように適合された、非導電性摺動層のない空隙領域を含む、プッシュオンファスナ。
【請求項2】
アセンブリであって、
外側構成要素と、
内側構成要素と、
内側構成要素と外側構成要素との間に配置された、プッシュオンファスナと、を備え、前記プッシュオンファスナが、
主表面と、周囲面を画定する半径方向縁部と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体であって、中心軸を画定する開口を形成する、プッシュオンファスナ本体と、
前記プッシュオンファスナ本体の前記主表面を覆う、非導電性摺動層と、を含み、前記主表面が、前記プッシュオンファスナと前記内側構成要素又は前記外側構成要素のうちの少なくとも1つとの間に導電性を提供するように、前記内側構成要素又は前記外側構成要素に接触する、非導電性摺動層のない空隙領域を含む、アセンブリ。
【請求項3】
アセンブリであって、
外側構成要素と、
内側構成要素と、
内側構成要素と外側構成要素との間に配置された、プッシュオンファスナと、を備え、前記プッシュオンファスナが、主表面と、周囲面を画定する半径方向縁部と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体であって、中心軸を画定する開口を形成する、プッシュオンファスナ本体と、前記プッシュオンファスナ本体の前記主表面に結合された、非導電性摺動層と、を含み、前記プッシュオンファスナが、前記プッシュオンファスナが非導電性である、非設置構成と、前記プッシュオンファスナが導電性である、設置構成と、を有し、非導電性が、前記中心軸と略平行な軸方向に延びる線に沿って、前記プッシュオンファスナの前記主表面から前記プッシュオンファスナの第2の主表面まで測定される、10Ω・mより大きい電気抵抗値を有するものとして定義される、アセンブリ。
【請求項4】
前記プッシュオンファスナ本体が、摺動層を含む第2の主表面を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプッシュオンファスナ又はアセンブリ。
【請求項5】
前記第2の主表面が、前記プッシュオンファスナと前記内側構成要素又は前記外側構成要素との間に導電性を提供するように、内側構成要素又は外側構成要素に接触するように適合された、非導電性摺動層のない空隙領域を含む、請求項4に記載のプッシュオンファスナ又はアセンブリ。
【請求項6】
前記プッシュオンファスナ本体の前記主表面が、前記中心軸に対して軸方向に突出し、かつ内側構成要素又は外側構成要素に接触するように適合された、少なくとも1つの突出部を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプッシュオンファスナ又はアセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの突出部が、前記内側構成要素に向かって軸方向内向きに延在している、請求項6に記載のプッシュオンファスナ又はアセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの突出部が、前記外側構成要素に向かって軸方向外向きに延在している、請求項6に記載のプッシュオンファスナ又はアセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの突出部が、非導電性摺動層のない前記空隙領域を含む、請求項6~8のいずれか一項に記載のプッシュオンファスナ又はアセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの突出部が、複数の突出部を含む、請求項6、~9のいずれか一項に記載のプッシュオンファスナ又はアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの突出部が、軸方向に延在する周方向波形であって、前記周方向波形に沿って頂点まで上昇し、頂点から下降する、周方向波形を含む、請求項6~10のいずれか一項に記載のプッシュオンファスナ又はアセンブリ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの突出部が、密封周方向波形及び接触周方向波形を含む、請求項11に記載のプッシュオンファスナ又はアセンブリ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの突出部が、前記軸方向に延在するディンプルであって、前記ディンプルに沿って頂点まで上昇し、頂点から下降する、ディンプルを含む、請求項6~12のいずれか一項に記載のプッシュオンファスナ又はアセンブリ。
【請求項14】
前記プッシュオンファスナ本体が、金属を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のプッシュオンファスナ又はアセンブリ。
【請求項15】
前記摺動層が、ポリケトン、ポリアラミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアミドイミド、超高分子量ポリエチレン、熱可塑性フルオロポリマー、ポリアミド、ポリベンズイミダゾール、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のプッシュオンファスナ又はアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ファスナに関し、特に、導電経路を有するファスナに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
一般的に、ファスナは、相対運動を所望の運動に制約し、かつ隣接部品間の摩擦を低減する。1つのタイプのファスナは、アセンブリ内の内側構成要素の外面と外側構成要素の穴の内面との間の間隙に位置し得る。例示的なアセンブリは、ドア、フード、テールゲート、及びエンジンコンパートメントヒンジ、シート、ステアリングコラム、フライホイール、ドライブシャフトアセンブリを含み得るか、又は他のアセンブリ、特に、自動車用途で使用されるアセンブリを含み得る。時には、そのようなアセンブリ内の(ヒンジ片などの)内側構成要素及び(隣接ヒンジ片などの)外側構成要素などの構成要素にわたる特定の電気特性を有する必要がある。したがって、アセンブリのより長い寿命を維持しながら、改善された電気特性を提供する、改善されたファスナの必要性が継続的に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本開示は、添付の図面を参照することによって、より良く理解され、その多数の特徴及び利点が当業者に明らかにされ得る。
【0004】
【
図1】
図1は、一実施形態による、プッシュオンファスナを製造する方法を含む。
【
図2A】
図2Aは、一実施形態による、プッシュオンファスナを形成し得る複合材料の断面図を含む。
【
図2B】
図2Bは、一実施形態による、プッシュオンファスナを形成し得る複合材料の断面図を含む。
【
図2C】
図2Cは、一実施形態による、プッシュオンファスナを形成し得る複合材料の断面図を含む。
【
図3A】
図3Aは、一実施形態による、プッシュオンファスナの上面図を含む。
【
図3B】
図3Bは、一実施形態による、プッシュオンファスナの側面図を含む。
【
図4】
図4は、一実施形態による、アセンブリ内のプッシュオンファスナの上面斜視図を含む。
【
図5A】
図5Aは、一実施形態による、プッシュオンファスナの上面図である。
【
図5B】
図5Bは、一実施形態による、アセンブリ内のプッシュオンファスナの側面図を含む。
【
図5C】
図5Cは、一実施形態による、アセンブリ内のプッシュオンファスナの側面図を含む。
【
図6A】
図6Aは、
図5Bの例示的な線3-3に沿った、プッシュオンファスナの層構造の実施形態の拡大断面端面図であり、それぞれ、非設置構成及び設置構成を示す。
【
図6B】
図6Bは、
図5Bの例示的な線3-3に沿った、プッシュオンファスナの層構造の実施形態の拡大断面端面図であり、それぞれ、非設置構成及び設置構成を示す。
【
図6C】
図6Cは、
図5Bの例示的な線3-3に沿った、プッシュオンファスナの層構造の実施形態の拡大断面端面図であり、それぞれ、非設置構成及び設置構成を示す。
【
図6D】
図6Dは、
図5Bの例示的な線3-3に沿った、プッシュオンファスナの層構造の実施形態の拡大断面端面図であり、それぞれ、非設置構成及び設置構成を示す。
【
図7A】
図7Aは、一実施形態による、プッシュオンファスナの上面図である。
【
図7B】
図7Bは、一実施形態による、アセンブリ内のプッシュオンファスナの側面図を含む。
【
図7C】
図7Cは、一実施形態による、アセンブリ内のプッシュオンファスナの側面図を含む。
【
図7D】
図7Dは、一実施形態による、アセンブリ内のプッシュオンファスナの側面図を含む。
【
図8A】
図8Aは、一実施形態による、プッシュオンファスナの上面図である。
【
図8B】
図8Bは、一実施形態による、アセンブリ内のプッシュオンファスナの側面図を含む。
【
図8C】
図8Cは、一実施形態による、アセンブリ内のプッシュオンファスナの側面図を含む。
【
図9A】
図9Aは、一実施形態による、プッシュオンファスナの上面図である。
【
図9B】
図9Bは、一実施形態による、アセンブリ内のプッシュオンファスナの側面図を含む。
【
図9C】
図9Cは、一実施形態による、アセンブリ内のプッシュオンファスナの側面図を含む。
【
図10B】
図10Bは、一実施形態による、プッシュオンファスナの切断側面図を含む。
【
図10C】
図10Cは、一実施形態による、アセンブリ内のプッシュオンファスナの側面図を含む。
【
図11B】
図11Bは、一実施形態による、プッシュオンファスナの切断側面図を含む。
【
図11C】
図11Cは、一実施形態による、アセンブリ内のプッシュオンファスナの側面図を含む。
【0005】
当業者は、図中の要素が簡略化及び明瞭化を目的として例解されており、必ずしも縮尺どおりに描画されていないことを理解されたい。例えば、図中の一部の要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を向上させるのに役立つように、他の要素に対して誇張されている場合がある。異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様の又は同一の部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図面と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示の理解を補助するために提供される。以下の考察は、教示の特定の実施態様及び実施形態に焦点を当てている。この焦点は、教示を説明するのを助けるために提供されており、教示の範囲又は適用性に関する限定として解釈されるべきではない。しかしながら、本出願に開示される教示に基づいて他の実施形態を使用することができる。
【0007】
「備える、含む(comprises)」、「備える、含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、又はそれらの任意の他の変形は、非排他的包含を網羅することを意図している。例えば、特徴のリストを含む方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるものではないが、明示的に列挙されていない他の特徴、又はそのような方法、物品、若しくは装置に固有の他の特徴を含み得る。更に、矛盾する記載がない限り、「又は(or)」は、包含的なorを指し、排他的なorを指すのではない。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(又は存在し)、Bが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在せず)、Bが真である(又は存在する)、及び、AとBとの両方が真である(又は存在する)。
【0008】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載の要素及び構成要素を説明するために用いられる。これは、単に便宜上、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。この説明は、そうでないことを意味することが明らかでない限り、1つ、少なくとも1つ、又は単数形が複数形も含むものとして、又はその逆として理解されるべきである。例えば、単一の実施形態が本明細書に記載されている場合、単一の実施形態の代わりに2つ以上の実施形態を使用することができる。同様に、2つ以上の実施形態が本明細書に記載されている場合、単一の実施形態を2つ以上の実施形態に置き換えることができる。
【0009】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、及び実施例は、例解的であるに過ぎず、限定的であることを意図しない。本明細書に記載されていない範囲で、特定の材料及び処理行為に関する多くの詳細は従来通りであり、プッシュオンファスナ及びプッシュオンファスナアセンブリの技術分野における教科書及び他の情報源に見出すことができる。
【0010】
本明細書に記載の実施形態は、概して、プッシュオンファスナ、並びにアセンブリ内でプッシュオンファスナを作製及び使用する方法を対象とする。特定の実施形態では、プッシュオンファスナは、低摩擦層のない空隙領域を有する主表面を含む、環状プッシュオンファスナ本体を有し得る。
【0011】
本発明の実施形態は、プッシュオンファスナであって、主表面と、周囲面を画定する半径方向縁部と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体であって、中心軸を画定する開口を形成する、プッシュオンファスナ本体と、プッシュオンファスナ本体の主表面を覆う、非導電性摺動層と、を含む、プッシュオンファスナを含み得、主表面が、プッシュオンファスナと隣接構成要素との間に導電性を提供するように、内側構成要素又は外側構成要素に接触するように適合された、非導電性摺動層のない空隙領域を含む。
【0012】
本発明の実施形態は、アセンブリであって、外側構成要素と、内側構成要素と、内側構成要素と外側構成要素との間に配置された、プッシュオンファスナと、を含む、アセンブリを更に含み得、プッシュオンファスナが、主表面と、周囲面を画定する半径方向縁部と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体であって、中心軸を画定する開口を形成する、プッシュオンファスナ本体と、プッシュオンファスナ本体の主表面を覆う、非導電性摺動層と、を含み、主表面が、プッシュオンファスナと内側構成要素又は外側構成要素のうちの少なくとも1つとの間に導電性を提供するように、内側構成要素又は外側構成要素に接触する、非導電性摺動層のない空隙領域を含む。
【0013】
本発明の実施形態は、アセンブリであって、外側構成要素と、内側構成要素と、内側構成要素と外側構成要素との間に配置された、プッシュオンファスナと、を含む、アセンブリを更に含み得、プッシュオンファスナが、主表面と、周囲面を画定する半径方向縁部と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体であって、中心軸を画定する開口を形成する、プッシュオンファスナ本体と、プッシュオンファスナ本体の主表面に結合された、非導電性摺動層と、を含み、プッシュオンファスナが、プッシュオンファスナが非導電性である、非設置構成と、プッシュオンファスナが導電性である、設置構成と、を有し、非導電性が、中心軸と略平行な軸方向に延びる線に沿って、プッシュオンファスナの主表面からプッシュオンファスナの第2の主表面まで測定される、10Ω・mより大きい電気抵抗値を有するものとして定義される。
【0014】
本発明の実施形態は、プッシュオンファスナを形成及び設置する方法であって、内側構成要素及び外側構成要素、並びに非導電性であるプッシュオンファスナを提供することであって、プッシュオンファスナが、主表面と、周囲面を画定する半径方向縁部と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体であって、中心軸を画定する開口を形成する、プッシュオンファスナ本体と、主表面を覆う、非導電性摺動層と、を含み、主表面が、非導電性摺動層のない空隙領域を含む、提供することと、サブアセンブリを形成するために、内側構成要素及び外側構成要素の一方にプッシュオンファスナを接合することと、アセンブリを形成するために、内側構成要素及び外側構成要素の他方をサブアセンブリに接合することと、内側構成要素とプッシュオンファスナと外側構成要素との間に導電経路を形成することと、を含む、方法を更に含み得、導電性が、中心軸と略平行な軸方向に延びる線に沿って、プッシュオンファスナの主表面からプッシュオンファスナの第2の主表面まで測定される、10Ω・m未満の電気抵抗値を有するものとして定義される。
【0015】
本発明の実施形態は、プッシュオンファスナを形成する方法であって、導電性基板を含むブランクと、基板に結合された非導電性摺動層と、を提供することと、ブランクに複数の突出部を形成することと、ブランクをプッシュオンファスナに成形することであって、プッシュオンファスナが、主表面と、周囲面を画定する半径方向縁部と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体と、プッシュオンファスナ本体の主表面に結合された、非導電性摺動層と、を含む、成形することと、主表面と隣接構成要素との間に導電性を提供するように、内側構成要素又は外側構成要素に接触するように適合された、非導電性摺動層のない空隙領域を形成するために、主表面から摺動層を除去することと、を含む、方法を更に含み得る。
【0016】
説明のために、
図1は、上述の実施形態による、プッシュオンファスナを製造する方法を含む。形成プロセス10は、基材を提供する、第1のステップ12と、基材を低摩擦コーティングでコーティングして複合材料を形成する、第2のステップ14と、複合材料をプッシュオンファスナに成形する、第3のステップ16と、を含み得る。
【0017】
第1のステップ12を参照すると、基材は基板であってもよい。一実施形態では、基板は、少なくとも部分的に金属を含み得る。特定の実施形態によれば、金属は、鉄、銅、チタン、スズ、アルミニウム、それらの合金を含んでもよく、又は別の種類の金属であってもよい。より具体的には、基板は、ステンレス鋼、炭素鋼、又はばね鋼などの鋼を少なくとも部分的に含み得る。例えば、基板は、301ステンレス鋼を少なくとも部分的に含み得る。301ステンレス鋼は、焼きなまし、1/4硬、1/2硬、3/4硬、又は完全硬であってもよい。更に、鋼は、クロム、ニッケル、又はそれらの組み合わせを含むステンレス鋼を含み得る。特定のステンレス鋼は、301ステンレス鋼である。基板は、織物メッシュ又はエキスパンドメタルグリッドを含んでもよい。あるいは、織物メッシュは、織物ポリマーメッシュであり得る。別の実施形態では、基板はメッシュ又はグリッドを含まなくてもよい。基板は、導電性材料を含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、基板は、ばね鋼であってもよい。ばね鋼基板は、焼きなまし、1/4硬、1/2硬、3/4硬、又は完全硬であってもよい。ばね鋼基板は、600MPa以上、例えば700MPa以上、例えば750MPa以上、例えば800MPa以上、例えば900MPa以上、又は例えば1000MPa以上の引張強度を有し得る。ばね鋼基板は、1500MPa以下、又は例えば1250MPa以下の引張強度を有し得る。
【0019】
図2Aは、上述の実施形態による、プッシュオンファスナを製造するための形成プロセス10の第1のステップ12及び第2のステップ14に従って形成され得る、複合材料1000の図を含む。説明のために、
図2Aは、第2のステップ14後の、複合材料1000の層ごとの構成を示す。いくつかの実施形態では、複合材料1000は、基板1119(すなわち、第1のステップ12で提供された基材)と、低摩擦層1104(すなわち、第2のステップ14で塗布された低摩擦コーティング)と、を含んでもよい。
図2Aに示すように、低摩擦層1104は、基板1119の少なくとも一部分に結合され得る。特定の実施形態では、低摩擦層1104は、別の構成要素の別の表面との低摩擦界面を形成するように、基板1119の表面に結合され得る。低摩擦層1104は、別の構成要素の別の表面との低摩擦界面を形成するように、基板1119の半径方向内面に結合され得る。低摩擦層1104は、別の構成要素の別の表面との低摩擦界面を形成するように、基板1119の半径方向外面に結合され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、低摩擦層1104は、低摩擦材料を含み得る。低摩擦材料は、例えば、ポリケトン、ポリアラミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアミドイミド、超高分子量ポリエチレン、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリベンズイミダゾール、又はそれらの任意の組み合わせなどの、ポリマーを含んでもよい。一例では、低摩擦層1104は、ポリケトン、ポリアラミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホン、フルオロポリマー、ポリベンズイミダゾール、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせを含み得る。特定の例では、低摩擦/耐摩耗層は、ポリケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミドイミド、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせなどの、ポリマーを含む。更なる例では、低摩擦/耐摩耗層は、ポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone、PEEK)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトン、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせなどの、ポリケトンを含む。更なる実施例では、低摩擦/耐摩耗層は、超高分子量ポリエチレンであってもよい。例示的なフルオロポリマーは、フッ素化エチレンプロピレン(fluorinated ethylene propylene、FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)、パーフルオロアルコキシ(perfluoroalkoxy、PFA)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデン(tetrafluoroethylene,hexafluoropropylene,and vinylidene fluoride、THV)のターポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン(polychlorotrifluoroethylene、PCTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ethylene tetrafluoroethylene copolymer、ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ethylene chlorotrifluoroethylene copolymer、ECTFE)、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリスルホン、ポリアミド(polyamide、PA)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS)、ポリウレタン、ポリエステル、液晶ポリマー(liquid crystal polymer、LCP)、又はそれらの任意の組み合わせを含む。低摩擦層1104は、リチウム石鹸、黒鉛、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン、窒化炭素、炭化タングステン、若しくはダイヤモンド状炭素、金属(アルミニウム、亜鉛、銅、マグネシウム、スズ、白金、チタン、タングステン、鉛、鉄、青銅、鋼、ばね鋼、ステンレス鋼など)、金属合金(列挙された金属を含む)、陽極酸化金属(列挙された金属を含む)、又はそれらの任意の組み合わせを含む固体ベースの材料を含んでもよい。特定の実施形態によれば、フルオロポリマーが使用されてもよい。本明細書で使用されるように、「低摩擦材料」は、鋼に対して測定される、0.5未満、例えば0.4未満、0.3未満、又は更に0.2未満の乾燥静止摩擦係数を有する材料であり得る。「高摩擦材料」は、鋼に対して測定される、0.6より大きい、例えば0.7より大きい、0.8より大きい、0.9より大きい、又は更に1.0より大きい乾燥静止摩擦係数を有する材料であり得る。低摩擦層1104は、非導電性摺動材料又は低導電性摺動材料であってもよく、例えば、非導電性又は低導電性である材料を含む。
【0021】
多数の実施形態では、低摩擦層1104は、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン、PEEK、芳香族ポリエステル、炭素粒子、青銅、フルオロポリマー、熱可塑性充填剤、酸化アルミニウム、ポリアミドイミド(polyamidimide、PAI)、PPS、ポリフェニレンスルホン(polyphenylene sulfone、PPSO2)、LCP、芳香族ポリエステル、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛、グラフェン(grapheme)、膨張黒鉛、窒化ホウ素、タルク、フッ化カルシウム、又はそれらの任意の組み合わせを含む充填剤を更に含んでもよい。更に、充填剤は、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、フッ化カルシウム、窒化ホウ素、マイカ、ウォラストナイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、カーボンブラック、顔料、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。充填剤は、ビーズ、繊維、粉末、メッシュ、又はそれらの任意の組み合わせの形態であり得る。充填剤は、ビーズ、繊維、粉末、メッシュ、又はそれらの任意の組み合わせの形態であり得る。充填剤は、低摩擦層の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、例えば少なくとも5重量%、又は更には10重量%であってもよい。
【0022】
基板1119は、約10ミクロン~約1500ミクロン、例えば約50ミクロン~約1000ミクロン、例えば約100ミクロン~約750ミクロン、例えば約350ミクロン~約650ミクロンの厚さTsを有し得る。いくつかの実施形態では、基板1119は、約700~800ミクロンの厚さTsを有してもよい。いくつかの実施形態では、基板1119は、約950~1050ミクロンの厚さTsを有してもよい。基板1119の厚さTsは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかの間の任意の値であってもよいことが更に理解されよう。基板1119の厚さは均一であってもよく、すなわち、基板1119の第1の場所における厚さは、それに沿った第2の場所における厚さに等しくなり得る。基板1119の厚さは不均一であってもよく、すなわち、基板1119の第1の場所における厚さは、それに沿った第2の場所における厚さと異なり得る。
【0023】
一実施形態では、低摩擦層1104は、約1ミクロン~約500ミクロン、例えば約10ミクロン~約350ミクロン、例えば約30ミクロン~約300ミクロン、例えば約40ミクロン~約250ミクロンの厚さTSLを有し得る。いくつかの実施形態では、低摩擦層1104は、約50~300ミクロンの厚さTSLを有してもよい。低摩擦層1104の厚さTSLは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかの間の任意の値であってもよいことが更に理解されよう。低摩擦層1104の厚さは均一であってもよく、すなわち、低摩擦層1104の第1の場所における厚さは、それに沿った第2の場所における厚さに等しくなり得る。低摩擦層1104の厚さは不均一であってもよく、すなわち、低摩擦層1104の第1の場所における厚さは、それに沿った第2の場所における厚さと異なり得る。異なる低摩擦層1104は異なる厚さを有してもよいことを理解されたい。低摩擦層1104は、図示される基板119の一方の主表面の上にあってもよく、又は両方の主表面の上にあってもよい。基板1119は、低摩擦層104によって少なくとも部分的に封入されてもよい。すなわち、低摩擦層1104は、基板119の少なくとも一部分を覆ってもよい。基板1119の軸方向表面は、低摩擦層1104から露出されてもよい。
【0024】
図2Bは、上述の実施形態による、プッシュオンファスナを製造するための形成プロセス10の第1のステップ12及び第2のステップ14に従って形成され得る、複合材料の代替的な実施形態の図を含む。説明のために、
図2Bは、第2のステップ14後の、複合材料1002の層ごとの構成を示す。この特定の実施形態によれば、複合材料1002は、この複合材料1002が、低摩擦層1104を基板1119(すなわち、第1のステップ12で提供された基材)及び低摩擦層1104(すなわち、第2のステップ14で塗布された低摩擦コーティング)に結合し得る少なくとも1つの接着層1121も含み得ることを除いて、
図2Aの複合材料1000と同様であってもよい。別の代替実施形態では、基板1119は、固体構成要素、織物メッシュ又はエキスパンドメタルグリッドとして、低摩擦層1104と基板1119との間に含まれる少なくとも1つの接着層1121の間に埋め込まれてもよい。
【0025】
接着層1121は、限定するものではないが、フルオロポリマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル/ポリアミドコポリマー、エチレン酢酸ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ETFEコポリマー、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、又はそれらの任意の組み合わせを含む、ファスナ技術に一般的な任意の既知の接着材料を含んでもよい。加えて、接着剤は、-C=O、-C-O-R、-COH、-COOH、-COOR、-CF2=CF-OR、又はそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの官能基を含み得、式中、Rは、1~20個の炭素原子を含有する環状又は直鎖状有機基である。加えて、接着剤はコポリマーを含み得る。一実施形態では、ホットメルト接着剤は、250℃以下、例えば220℃以下の溶融温度を有し得る。別の実施形態では、接着剤は、200℃超、例えば220℃超で分解し得る。更なる実施形態では、ホットメルト接着剤の溶融温度は、250℃超、又は更には300℃超であり得る。層1121は、約1~50ミクロン、例えば約7~15ミクロンの厚さを有し得る。一実施形態では、ホットメルト接着剤は、250℃以下、例えば220℃以下の溶融温度を有し得る。別の実施形態では、接着剤は、200℃超、例えば220℃超で分解し得る。更なる実施形態では、ホットメルト接着剤の溶融温度は、250℃超、又は更には300℃超であり得る。
【0026】
接着層1121は、約1ミクロン~約80ミクロン、例えば約10ミクロン~約50ミクロン、例えば約20ミクロン~約40ミクロンの厚さTALを有し得る。いくつかの実施形態では、接着層1121は、約3~20ミクロンの厚さTALを有してもよい。いくつかの実施形態では、接着層1121は、約10~60ミクロンの厚さTALを有してもよい。接着層1121の厚さTALは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかの間の任意の値であってもよいことが更に理解されよう。接着層1121の厚さは均一であってもよく、すなわち、接着層1121の第1の場所における厚さは、それに沿った第2の場所における厚さに等しくなり得る。接着層1121の厚さは不均一であってもよく、すなわち、接着層1121の第1の場所における厚さは、それに沿った第2の場所における厚さと異なり得る。
【0027】
図2Cは、上述の実施形態による、プッシュオンファスナを製造するための形成プロセス10の第1のステップ12及び第2のステップ14に従って形成され得る、複合材料の代替的な実施形態の図を含む。説明のために、
図2Cは、第2のステップ14後の、複合材料1003の層ごとの構成を示す。この特定の実施形態によれば、複合材料1003は、この複合材料1003がまた、少なくとも1つの腐食防止層1704、1705及び1708と、基板1119(すなわち、第1のステップ12で提供された基材)及び低摩擦層1104(すなわち、第2のステップ14で塗布された低摩擦コーティング)に結合し得る、接着促進剤層1127及びエポキシ層1129を含み得る耐食性コーティング1124と、を含み得ることを除いて、
図2Bの複合材料1002と同様であってもよい。
【0028】
基板1119は、処理前に複合材料1003の腐食を防止するために、腐食防止層1704及び1705でコーティングされてもよい。加えて、層1704の上に腐食防止層1708が適用され得る。層1704、1705、及び1708のそれぞれは、約1~50ミクロン、例えば約7~15ミクロンの厚さを有し得る。層1704及び1705は、亜鉛、鉄、マンガン、若しくはそれらの任意の組み合わせのリン酸塩、又はナノセラミック層を含み得る。更に、層1704及び1705は、機能性シラン、ナノスケールシラン系プライマー、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水系シランプライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態化表面、市販の亜鉛(機械的/ガルバニック)若しくは亜鉛ニッケルコーティング、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。層1708は、官能性シラン、ナノスケールシラン系プライマー、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水系シランプライマーを含み得る。腐食防止層1704、1706、及び1708は、処理中に除去又は保持され得る。
【0029】
複合材料1003は、耐食性コーティング1125を更に含んでもよい。耐食性コーティング1125は、約1~50ミクロン、例えば約5~20ミクロン、及び例えば約7~15ミクロンの厚さを有し得る。耐食性コーティング1125は、接着促進剤層1127及びエポキシ層1129を含み得る。接着促進剤層1127は、亜鉛、鉄、マンガン、スズ、若しくはそれらの任意の組み合わせのリン酸塩、又はナノセラミック層を含み得る。接着促進剤層1127は、機能性シラン、ナノスケールシラン系層、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水系シランプライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態化表面、市販の亜鉛(機械的/ガルバニック)若しくは亜鉛ニッケルコーティング、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。エポキシ層1129は、熱硬化エポキシ、UV硬化エポキシ、IR硬化エポキシ、電子ビーム硬化エポキシ、放射線硬化エポキシ、又は空気硬化エポキシであり得る。更に、エポキシ層1129は、ポリグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、オキシラン、オキサシクロプロパン、エチレンオキシド、1,2-エポキシプロパン、2-メチルオキシラン、9,10-エポキシ-9,10-ジヒドロアントラセン、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。エポキシ層1129は硬化剤を更に含み得る。硬化剤としては、アミン、酸無水物、フェノールノボラック硬化剤、例えばフェノールノボラックポリ[N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド](PHPMI)、レゾールフェノールホルムアルデヒド、脂肪族アミン化合物、ポリカルボン酸無水物、ポリアクリレート、イソシアネート、カプセル化ポリイソシアネート、三フッ化ホウ素アミン錯体、クロム系硬化剤、ポリアミド、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。一般に、酸無水物は、式R-C=O-O-C=O-R’(式中、Rは、上記のようなCXHYXZAUであり得る)に従うことができる。アミンとしては、モノエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族アミン、脂環式アミン、環状脂肪族アミン、シクロ脂肪族アミンなどの芳香族アミン、アミドアミン、ポリアミド、ジシアンジアミド、イミダゾール誘導体など、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。
【0030】
一実施形態では、
図1のステップ14の下で、上述のような複合材料1000、1002、1003上の層のいずれも、それぞれロール内に配置され、そこから剥離されて、圧力下で、高温で(熱間又は冷間プレス又は圧延)、接着剤によって、又はそれらの任意の組み合わせによって一緒に接合され得る。上述のような複合材料1000の層のいずれかは、少なくとも部分的に互いに重なり合うように一緒に積層されてもよい。上述のように、複合材料1000、1002、1003上の層のいずれも、例えば、物理的若しくは蒸着、噴霧、めっき、粉末コーティングなどのコーティング技術を使用して、又は他の化学的若しくは電気化学的技術を通して、一緒に塗布されてもよい。特定の実施形態では、低摩擦層1104は、例えば押出コーティングを含むロールツーロールコーティングプロセスによって塗布されてもよい。低摩擦層1104は、溶融状態又は半溶融状態に加熱され、スロットダイを通して基板1119の主表面上に押し出されてもよい。別の実施形態では、低摩擦層1104は、鋳造又は成形されてもよい。
【0031】
一実施形態では、低摩擦層1104又は任意の層が、溶融接着層1121を使用して基板1119に接着されて、積層体を形成し得る。一実施形態では、材料又は複合材料1000、1002、1003上の介在層又は突出層のいずれも、積層体を形成してもよい。積層体は、ファスナに成形され得るストリップ又はブランクに切断され得る。積層体の切断は、スタンプ、プレス、パンチ、鋸の使用を含んでもよく、又は異なる方法で機械加工されてもよい。積層体を切断することにより、基板1119の露出部分を含む切断縁部が作製され得る。
【0032】
他の実施形態では、
図1のステップ14の下で、上述のように、複合材料1000、1002、1003上の層のいずれも、例えば、物理的若しくは蒸着、噴霧、めっき、粉末コーティングなどのコーティング技術によって、又は他の化学的若しくは電気化学的技術を通して塗布されてもよい。特定の実施形態では、低摩擦層1104は、例えば押出コーティングを含むロールツーロールコーティングプロセスによって塗布されてもよい。低摩擦層1104は、溶融状態又は半溶融状態に加熱され、スロットダイを通して基板1119の主表面上に押し出されてもよい。別の実施形態では、低摩擦層1104は、鋳造又は成形されてもよい。
【0033】
ここで、
図1に示すような形成プロセス10の第3のステップ16を参照すると、特定の実施形態によれば、複合材料1000、1002、1003をプッシュオンファスナに成形することは、切断作業を含み得る。一実施形態では、切断作業は、スタンプ、プレス、パンチ、鋸、深絞りの使用を含んでもよく、又は異なる方法で機械加工されてもよい。いくつかの実施形態では、切断作業は、プッシュオンファスナ上に周囲面を形成し得る。切断作業は、第1の主表面から開始され、第1の主表面の反対側の第2の主表面に向かう切断方向を画定して、周囲面又は縁部を形成することができる。あるいは、切断作業は、第2の主表面から開始されて第1の主表面に向かう切断方向を画定して、周囲面又は縁部を形成することができる。
【0034】
プッシュオンファスナを整形した後、プッシュオンファスナは、成形及び整形プロセスで使用された任意の潤滑剤及び油を除去するために洗浄されてもよい。加えて、洗浄することで、基板の露出面にコーティングの塗布の準備をし得る。洗浄は、溶媒を用いた化学的洗浄及び/又は超音波洗浄などの機械的洗浄を含んでもよい。
【0035】
ここで、本明細書に記載の実施形態に従って形成されたプッシュオンファスナについては、説明のために、
図3Aは、上述の実施形態による、プッシュオンファスナを製造するための上述の形成プロセスを使用して説明するような材料又は複合材料1000、1001、1002、1003のブランクから形成されたプッシュオンファスナ100の上面図を含む。説明のために、
図3Bは、上述の実施形態による、プッシュオンファスナを製造するための上述の形成プロセスを使用して説明するような材料又は複合材料1000、1001、1002、1003のブランクから形成されたプッシュオンファスナ100であって、中心軸Aの周りに配向されたプッシュオンファスナ本体102を含み得る、プッシュオンファスナ100の側面図を示す。プッシュオンファスナ本体102は、上述のようなブランクから形成されてもよく、中心軸Aの周りにリング状(略環状)形状に湾曲されて開口180を形成し得る基板1119(例えば、ばね鋼)を含んでもよい。プッシュオンファスナ本体102は、上述のように、複合材料1000、1001、1002、1003のブランクから摺動層1104として形成されるように、環状基部104の形状に適合する摺動層1104を更に含むことができる。プッシュオンファスナ本体102は、環状基部104を更に含むことができる。環状基部104の両端は、合わなくてもよく(例えば、分割リングとして形成されてもよい)、それによって、環状基部104の円周に隣接して軸方向間隙を残す。他の実施形態では、環状基部104は、両端が互いに重なり合うように湾曲していてもよい。更に別の実施形態では、環状基部104は、連続した切れ目のないリングであってもよい。プッシュオンファスナ本体102は、内側半径方向縁部103及び外側半径方向縁部105を含み得る。内側半径方向縁部又は外側半径方向縁部は、プッシュオンファスナ100の周囲面を画定することができる。内側半径方向縁部103は、プッシュオンファスナ100の開口180を少なくとも部分的に画定することができる。いくつかの実施形態では、プッシュオンファスナ100は、環状基部104の内側半径方向縁部103又は外側半径方向縁部105のうちの少なくとも1つに沿って配置された、少なくとも1つの半径方向テーパ110を更に含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、
図3Aに示すように、プッシュオンファスナ100は、全外半径OR
Wを有し得る。本明細書に記載の実施形態の目的のために、プッシュオンファスナ100の外半径OR
Wは、中心軸Aから外側半径方向縁部105までの距離である。特定の実施形態によれば、プッシュオンファスナ100の外半径OR
Wは、少なくとも約1mm、例えば、少なくとも約10mm又は少なくとも約20mm又は少なくとも約30mm又は少なくとも約40mm又は更には少なくとも50mmであってもよい。更に他の実施形態によれば、プッシュオンファスナ100の外半径OR
Wは、約100mm以下、例えば、約50mm以下、又は更には約25mm以下であってもよい。プッシュオンファスナ100の外半径OR
Wは、上記の最小値及び最大値のいずれかの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。プッシュオンファスナ100の外半径OR
Wは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかの間の任意の値であり得ることが更に理解されるであろう。例えば、プッシュオンファスナ100の外半径OR
Wは、7.5mmであってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、
図3Aに示すように、プッシュオンファスナ100は、全内半径IR
Wを有し得る。本明細書に記載の実施形態の目的のために、プッシュオンファスナ100の内半径IR
Wは、中心軸Aから内側半径方向縁部103までの距離である。特定の実施形態によれば、プッシュオンファスナ100の内半径IR
Wは、少なくとも約1mm、例えば、少なくとも約10mm又は少なくとも約20mm又は少なくとも約30mm又は少なくとも約40mm又は更には少なくとも50mmであってもよい。更に他の実施形態によれば、プッシュオンファスナ100の内半径IR
Wは、約100mm以下、例えば、約50mm以下、又は更には約25mm以下であってもよい。プッシュオンファスナ100の内半径IR
Wは、上記の最小値及び最大値のいずれかの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。プッシュオンファスナ100の内半径IR
Wは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかの間の任意の値であり得ることが更に理解されるであろう。例えば、プッシュオンファスナ100の内半径IR
Wは4mmであってもよい。内半径IR
Wは、開口180の半径と一致してもよい。
【0038】
説明のために、
図3Bは、本明細書に記載の実施形態による、
図3Aに示すようなプッシュオンファスナ100の断面図を含む。
図3Bに示すように、環状基部104は、第1の軸方向表面106と、中心軸Aの下方に配向され、かつ軸方向高さT
ABだけ離間された、第1の軸方向表面106の反対側の第2の軸方向表面107と、を含み得る。第1の軸方向表面106又は第2の軸方向表面107のうちの少なくとも1つは、プッシュオンファスナ100の主表面を形成し得る。第1の軸方向表面106は、上述のように、複合材料1000、1001、1002、1003から形成されるような、基板1119を有する環状基部104の形状に適合する摺動層1104を有してもよい。代替的に又は追加的に、第2の軸方向表面107は、上述のように、複合材料1000、1001、1002、1003から形成されるような、環状基部104の形状に適合する摺動層1104を有してもよい。他の実施形態では、摺動層1104は、環状基部104の両面上に積層されてもよい。環状基部104は、中心軸Aに垂直な平面で見ると、多角形、楕円形、円形、半円形、又は略円形の断面を有してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、プッシュオンファスナ100は、特定の軸方向高さT
Wを有してもよい。本明細書に記載の実施形態の目的のために、かつ
図3Bに示すように、プッシュオンファスナ100の軸方向高さT
Wは、第1の軸方向表面106から第2の軸方向表面107までの距離である。特定の実施形態によれば、プッシュオンファスナ100の軸方向高さT
Wは、少なくとも約0.01mm、例えば、少なくとも約0.1mm又は少なくとも約0.2mm又は少なくとも約0.3mm又は少なくとも約0.4mm又は更には少なくとも0.5mmであってもよい。更に他の実施形態によれば、プッシュオンファスナ100の軸方向高さT
Wは、約10mm以下、例えば、約5mm以下、又は更には約1mm以下であってもよい。プッシュオンファスナ100の軸方向高さT
Wは、上記の最小値及び最大値のいずれかの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。プッシュオンファスナ100の軸方向高さT
Wは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかの間の任意の値であり得ることが更に理解されるであろう。例えば、プッシュオンファスナ100の軸方向高さT
Wは、1.3mmであってもよい。
【0040】
図3Aに戻って参照すると、プッシュオンファスナ100は、少なくとも1つの半径方向テーパ110を含み得る。いくつかの実施形態では、半径方向テーパ110は、プッシュオンファスナ100の全周にわたって延びてもよい。更に他の実施形態によれば、少なくとも1つの半径方向テーパ110は、環状基部104から半径方向内向きに突出することができる。更に他の実施形態によれば、少なくとも1つの半径方向テーパ110は、環状基部104から半径方向外向きに突出することができる。
【0041】
一実施形態では、
図3Bに示すように、少なくとも1つの半径方向テーパ110は、少なくとも1つの半径方向テーパ110を環状基部104に接続する、ブリッジ部分135を含み得る。特定の実施形態では、ブリッジ部分135は、中心軸Aに対して傾斜することができる。上述したように、かつここで
図3Bに示すように、ブリッジ部分135は、環状基部104に平行で、かつ中心軸Aに垂直な平面に対して、角度αを形成することができる。非限定的な実施形態として、無負荷状態におけるブリッジ部分135と環状基部104との間の角度αは、少なくとも0.1°、例えば少なくとも2°、少なくとも4°、少なくとも5°、又は更には少なくとも10°であり得る。別の実施形態では、角度αは、45°以下、例えば40°以下、35°以下、30°以下、25°以下、又は更には20°以下であり得る。更に別の実施形態では、角度αは30°以上であり得る。角度αは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。角度αは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかの間の任意の値であってもよいことが更に理解されよう。例えば、角度αは43°であってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、半径方向テーパ110の角度αは全て均一であり得る。別の実施形態では、少なくとも1つの半径方向テーパ110の角度αは異なってもよい。特定の実施形態では、各角度αは、60°以上、例えば90°以上、120°以上、又は更には150°以上であり得る。更なる実施形態では、各角度αは、180°未満、例えば170°以下、160°以下、150°以下、140°以下、130°以下、120°以下、又は更には110°以下であり得る。特定の実施形態では、角度αは全て、略平行な方向に延在している直線に沿って存在することができる。本明細書で使用されるように、「略平行な方向」は、4°以下、3°以下、又は更には2°以下などの、2つの線の測定された方向の間の5°以下の偏差を指す。より特定の実施形態では、角度αは全て、平行に延在している線に沿って存在することができる。本明細書で使用されるように、「平行に延在する」は、2つの線の測定された方向の間の0.5°以下の偏差を指す。
【0043】
説明のために、
図4は、上記及び本明細書に記載の実施形態による、アセンブリ450内のプッシュオンファスナ100の上面斜視図を含む。
図4の間の対応する構成要素(すなわち、同じ参照番号を有する構成要素)は、本明細書で開示される他の図のいずれかを参照して説明される特性又は特徴のいずれかを有するものとして説明され得ることが理解されよう。いくつかの実施形態では、プッシュオンファスナ100は、アセンブリ400内の(軸受、ハウジング、側部材、又は他の構造部材などの)内側構成要素452に隣接するか、又は接触して配置され得る。いくつかの実施形態では、内側構成要素452は、以下でより詳細に論じられるように、ヒンジアセンブリの内側ブラケットであってもよい。アセンブリ400はまた、内側構成要素452に取り付けられた(軸受、ハウジング、側部材、又は他の構造部材などの)外側構成要素454を含んでもよい。いくつかの実施形態では、外側構成要素454は、以下でより詳細に論じられるように、ヒンジアセンブリの外側ブラケットであってもよい。一実施形態では、外側構成要素454は、内側構成要素452に対して回転するように適合され得る。別の実施形態では、内側構成要素452は、外側構成要素454に対して回転するように適合され得る。プッシュオンファスナ100は、アセンブリ450内の内側構成要素452に隣接するか、又は接触して配置され得る。いくつかの実施形態では、プッシュオンファスナ100は、アセンブリ400内の内側構成要素452上に設置されてもよい。プッシュオンファスナ100は、アセンブリ450内の外側構成要素454に隣接するか、又は接触して配置され得る。いくつかの実施形態では、プッシュオンファスナ100は、アセンブリ450内の外側構成要素454上に設置されてもよい。
【0044】
説明のために、
図5Aは、上記及び本明細書に記載の実施形態による、プッシュオンファスナ100の上面図を含む。説明のために、
図5Bは、上記及び本明細書に記載の実施形態による、アセンブリ100内のプッシュオンファスナ100の側面図を含む。説明のために、
図5Cは、上記及び本明細書に記載の実施形態による、アセンブリ550内のプッシュオンファスナ100の側面図を含む。
図5A~
図5Cの間の対応する構成要素(すなわち、同じ参照番号を有する構成要素)は、本明細書で開示される他の図のいずれかを参照して説明される特性又は特徴のいずれかを有するものとして説明され得ることが理解されよう。
図5A~
図5Cに示すように、プッシュオンファスナ100は、中心軸Aに対してプッシュオンファスナ本体102から軸方向に突出する、少なくとも1つの突出部108を有してもよい。少なくとも1つの突出部108は、中心軸Aに対してプッシュオンファスナ本体102から軸方向内向きに突出してもよい。少なくとも1つの突出部108は、中心軸Aに対してプッシュオンファスナ本体102から軸方向外向きに突出してもよい。突出部は、以下でより詳細に論じられるように、環状基部104の円周の周りで連続的であってもよいか(例えば、波形)、又は環状基部104の円周の周りで不連続であってもよい(例えば、ディンプル)。プッシュオンファスナ100は、プッシュオンファスナ100の第1の軸方向表面106及び/又は第2の軸方向表面108から半径方向内向き又は外向きに延在している、複数の突出部108を含み得る。突出部108は、嵌合構成要素に接触するように適合され得る。例えば、
図5Aは、軸方向に延在する周方向波形の形態で半径方向外向きに延在する、突出部108を示す。
【0045】
突出部108は、スタンピング(例えば、適切な形状の金型、回転波成形などを使用してプレスされる)を介して、又は別の方法を介して、複合材料1000、1001、1002、1003から形成され得る。突出部108の上又は下のプッシュオンファスナ100の少なくとも1つの軸方向端部103、105において、複合材料からなる周方向に延びる平縁109があってもよい。各突出部108はまた、以下で更に詳細に論じられるように、縁109と隣接して形成され得、隣接する突出部108の第1の対の間で周方向、半径方向、又は軸方向に離間され得る、未成形セクション110によって、その隣接する突出部108から離間され得る。突出部108は、軸方向に長い隆起部(すなわち、周方向波形)であってもよい。一実施形態では、突出部は、丸みを帯びていてもよいし、直線状であってもよい。一実施形態では、突出部108のうちの少なくとも2つは、互いに比較して、同じ幾何学的形状又はサイズを有してもよい。更なる実施形態では、突出部108の全てが、互いに比較して、同じ幾何学的形状又はサイズを有してもよい。別の実施形態では、突出部108のうちの少なくとも1つは、互いに比較して、異なる幾何学的形状又はサイズを有してもよい。更なる実施形態では、突出部108の全てが、互いに比較して、異なる幾何学的形状又はサイズを有してもよい。
【0046】
図5A~
図5Cに示すように、突出部108のうちの少なくとも1つは、一対の基部115a、115bの間で画定された周方向幅W
P、及び半径方向高さH
P、並びに半径方向に延在する周方向ハンプ113を有することができ、ハンプ113は、周方向幅W
P内で頂点117まで上昇し、そこから下降する。少なくとも1つの突出部108の頂点117は、丸みを帯びていてもよいし、正方形であってもよい。周方向幅W
Pは、上述のプッシュオンファスナ100の全内半径IR
W及び全外半径OR
W内の任意の値であってもよい。半径方向高さH
Pは、上述のプッシュオンファスナ100の半径方向高さT
W内の任意の値であってもよい。
【0047】
動作中、プッシュオンファスナ100は、
図5B~
図5Cに示すように、アセンブリ550内の対向する構成要素に隣接して位置し得る。動作中、プッシュオンファスナ100は、2つの対向する(嵌合する)構成要素の間の軸方向間隙516に位置し得る。例えば、プッシュオンファスナ100は、上述のように、内側構成要素552と外側構成要素554との間の環状空間内に位置し得る。突出部108は、内側構成要素と外側構成要素との間で圧縮され得る。いくつかの実施形態では、各突出部108は、ばねとして作用してもよく、構成要素間のクリアランスが0の状態で構成要素が互いに一致するように変形する。換言すれば、内側構成要素は、プッシュオンファスナ100の内面106に接触し、外側構成要素は、プッシュオンファスナ100の外面107に接触する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの突出部108は、30kN/mm以下、例えば25kN/mm以下、例えば15kN/mm以下、又は例えば10kN/mm以下のばね定数を有してもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの突出部108は、少なくとも10N/mm、例えば少なくとも100N/mm、又は例えば少なくとも500N/mmのばね定数を有してもよい。ばね定数は、以下で更に説明するように、突出部108のサイズ、プッシュオンファスナ100の厚さ、及びプッシュオンファスナ100の他の寸法に応じて変化してもよい。更に、アセンブリは、シャフト556と、任意選択的に、内側構成要素552と外側構成要素554との間に位置する軸受558と、を含むことができる。シャフト556は、アセンブリ550を一緒に固定し得、プッシュオンファスナ100の開口180内に配置され得る。軸受558は、アセンブリ550内での運動のための使いやすさを提供し得る。
図5Bでは、プッシュオンファスナ100の内側半径方向縁部103は、いくつかの実施形態によれば、シャフト556に接触するか、又は近接していてもよい。
図5Cでは、プッシュオンファスナ100の内側半径方向縁部103は、いくつかの実施形態によれば、軸受558に接触するか、又は近接していてもよい。
【0048】
図6A~
図6Dは、
図5Bの例示的な線3-3に沿った、プッシュオンファスナの層構造の実施形態の拡大断面端面図を含み、様々な構成のプッシュオンファスナを示す。
図6A~
図6Dは、
図3A~
図3Bに示され、かつそのように分類されたものと同様の特徴を含む。これらの要素の説明については、
図3A~
図3Bの先の説明を参照されたい。いくつかの実施形態では、例示的な
図6Aに示すように、プッシュオンファスナ100、200は、摺動層1104を有し得る突出部108を含むことができる。これは非設置構成と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、例示的な
図6Bに示すように、プッシュオンファスナ100は、摺動層104のない少なくとも1つの空隙領域118を含む突出部108を含むことができる。空隙領域118は、プッシュオンファスナ100と、内側構成要素又は外側構成要素のうちの少なくとも1つとの間の接触点に位置することができ、これにより、プッシュオンファスナ100が導電性となり、アセンブリ内に配置されたときに、ファスナと隣接構成要素(例えば、内側構成要素又は外側構成要素)との間に導電性を提供することが可能になる。一般に、内側構成要素及び外側構成要素は、導電性であってもよい。これは、プッシュオンファスナ100と、内側構成要素又は外側構成要素のうちの少なくとも1つとの間の導電性を可能にし得、設置構成と呼ばれ得る。空隙領域118は、突出部108の頂点117におけるか又はその近くに位置し得る。例えば、
図6B又は
図6Cに示すように、摺動層1104の一部は、内側構成要素及び外側構成要素のうちの1つによって、設置前に除去されてもよく、又は設置中に削り取られてもよい。これらの材料の除去を容易にするための幾何形状は、プッシュオンファスナ100及び突出部108の直径、並びに内側構成要素及び外側構成要素及び用途に対する軸方向間隙のパラメータを構成することを含んでもよい。例えば、突出部108の外径は、外側構成要素の内径よりもわずかに大きくてもよい。同様に、突出部108の内径は、内側構成要素の外径よりもわずかに小さくてもよい。プッシュオンファスナ100は、内側構成要素と外側構成要素との間に設置する前に、他の方法で空隙領域118を形成するために低摩擦層1104が除去され得ることが企図され得る。空隙領域118は、プッシュオンファスナ100の表面上の任意の場所に位置し得ることもまた、本明細書で企図される。
【0049】
いくつかの実施形態では、例示的な
図6Dに示すように、プッシュオンファスナ100は、
図6Aと同様の摺動層1104を有し得る突出部108を含むことができる。いくつかの実施形態では、プッシュオンファスナ100は、第1の場所における摺動層1104の第1の厚さT
SL1と、第1の場所における摺動層1104の第2の厚さT
SL2とを有してもよい。いくつかの実施形態では、摺動層1104の第1の厚さT
SL1は、突出部108の基部115a、115bのうちの1つにおけるものであってもよい。いくつかの実施形態では、摺動層1104の第2の厚さT
SL2は、突出部108の頂点117におけるか又はその近くであってもよい。いくつかの実施形態では、突出部115a、115bの円周基部における摺動層の厚さ(すなわち、第1の場所の厚さT
SL1)は、突出部117の頂点におけるか又はその近くの摺動層であるような、突出部の頂点における摺動層の厚さ(すなわち、第2の場所の厚さT
SL2)より少なくとも2倍大きくてもよい。この実施形態では、突出部108の頂点117におけるか又はその近くの摺動層1104は、基板1119から摺動層1104を除去するための剪断力を加えると除去されて、空隙領域118を作製する。
【0050】
突出部108の円周基部115a、115bにおける摺動層1104の第1の厚さTSL1は、突出部108の頂点117における摺動層1104が、摺動層1104を基板1119から除去するための剪断力を加えると除去され得るように、突出部108の頂点117におけるか又はその近くであり得る摺動層1104の第2の厚さTSL2よりも少なくとも2倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、突出部108の円周基部115a、115bにおける摺動層1104の第1の厚さTSL1は、突出部108の頂点117における摺動層1104が、摺動層1104を基板1119から除去するための剪断力を加えると除去され得るように、突出部108、208の頂点117におけるか又はその近くであり得る摺動層1104の第2の厚さTSL2よりも少なくとも3倍大きく、例えば6倍大きく、例えば8倍大きく、又は例えば10倍大きくてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、空隙領域118は、0.1mm2より大きい、1mm2より大きい、例えば2mm2より大きい、例えば5mm2より大きい、例えば20mm2より大きい、又は例えば50mm2より大きい表面積を有してもよい。いくつかの実施形態では、空隙領域118は、100mm2未満、例えば30mm2未満、例えば10mm2未満、例えば5mm2未満、又は例えば1mm2未満の表面積を有してもよい。空隙領域118は、上記の任意の最小値と最大値との間の任意の値であり得る、表面積を有し得ることが更に理解されるであろう。また、空隙領域118は、その軸方向長さ又は円周方向幅に沿って変化してもよく、かつ複数のプッシュオンファスナにわたって変化してもよい、表面積を有し得ることも理解されたい。
【0052】
このようにして、いくつかの実施形態では、プッシュオンファスナ100は、プッシュオンファスナ100が非導電性又は低導電性であり得る、非設置構成又は製造の中間状態(例えば、
図6Aを参照)と、ファスナが導電性であり得る、設置構成(例えば、
図6Bを参照)と、を有し得る。例えば、非設置構成又は製造の中間状態は、10MΩより大きくてもよい電気抵抗値を有し得、設置構成は、1Ω未満(例えば、約0~0.5Ω)であってもよい電気抵抗値を有し得る。抵抗値は、プッシュオンファスナ100の第1の軸方向表面/第1の主表面106から、プッシュオンファスナ100の第2の軸方向表面/第2の主表面107まで、空隙領域が形成されるプッシュオンファスナ100と交差する中心軸Aと略平行な半径方向に延在するに沿って、測定される。いくつかの実施形態では、1Ω未満の抵抗値を有することは、非導電性であるとして定義され得、1Ωより大きい抵抗値を有することは、導電性であるとして定義され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、突出部108は、ファスナ本体102に対して半径方向内向きでも半径方向外向きでも延在し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの突出部108は、単一のプッシュオンファスナ100(図示せず)ファスナ本体102に対して半径方向内向きでも半径方向外向きでも延在し得る。設置構成は、プッシュオンファスナ100が、突出部108を通して導電性であり得るように、摺動層1104(例えば、
図6Bを参照)を少なくとも部分的に欠いていてもよい、突出部108を含み得る。
図5Bに戻って参照すると、プッシュオンファスナ100は、第1の軸方向表面106及び第2の軸方向表面107の両方に空隙領域118、118’を含み得る。これにより、プッシュオンファスナ100を通して内側構成要素552と外側構成要素554との間の導電性を可能にすることができる。
【0054】
一般に、プッシュオンファスナ100を形成する方法は、概して、導電性基板1119を含むブランクと、基板1119に結合された非導電性摺動層1104と、を提供することと、ブランクに複数の突出部108を形成することと、ブランクをプッシュオンファスナ100に成形することであって、プッシュオンファスナ100が、主表面と、周囲面103、105を画定する半径方向縁部と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体102と、プッシュオンファスナ本体102の主表面106、107に結合された、非導電性摺動層1104と、を含む、成形することと、主表面106、107と、内側構成要素552又は外側構成要素554のうちの少なくとも1つとの間に導電性を提供するように、内側構成要素552又は外側構成要素554に接触するように適合された、非導電性摺動層1104のない空隙領域118を形成するために、主表面106、107から摺動層1104を除去することと、を含み得る。
【0055】
説明のために、
図7Aは、本明細書に記載のものによる、プッシュオンファスナ100の上面図を含む。説明のために、
図7Bは、本明細書に記載の実施形態による、アセンブリ750内のプッシュオンファスナ100の側面図を含む。説明のために、
図7Cは、本明細書に記載の実施形態による、アセンブリ750内のプッシュオンファスナ100の側面図を含む。説明のために、
図7Dは、本明細書に記載の実施形態による、アセンブリ750内のプッシュオンファスナ100の側面図を含む。
図7A~
図7Dの間の対応する構成要素(すなわち、同じ参照番号を有する構成要素)は、本明細書で開示される他の図のいずれかを参照して説明される特性又は特徴のいずれかを有するものとして説明され得ることが理解されよう。
図7A~
図7Dに示すように、プッシュオンファスナ100は、上述したように、環状基部104から突出する、少なくとも1つの突出部108を有し得る。加えて、プッシュオンファスナ100は、第2の周方向波形の形態の第2の突出部108’を含み得る。第2の突出部108’は、その低摩擦層を維持し得(空隙領域がない)、アセンブリ750の汚染を防止するためのシールとして機能する密封波形として機能し得る。第1の突出部108と第2の突出部108’との間の領域は、環状基部104の残りの部分の平面から隆起した、隆起部109であってもよい。
図7Bに示される実施形態では、外側半径方向縁部105は、平坦(例えば、環状基部104と略同様の平面内)であってもよい。
図7Cに示す実施形態では、外側半径方向縁部105は、突出部108のハンプ113の一部であってもよい。
図7Dに示す実施形態では、外側半径方向縁部105及び内側半径方向縁部103は、突出部108のハンプ113の一部であってもよい。いくつかの実施形態では、摺動層は、主表面と、内側構成要素752又は外側構成要素754のうちの少なくとも1つとの間に導電性を提供するように、内側構成要素752又は外側構成要素754に接触するように適合された、非導電性摺動層のない少なくとも1つの空隙領域118、118’を形成するように、除去されてもよい。
【0056】
説明のために、
図8Aは、本明細書に記載のものによる、プッシュオンファスナ100の上面図を含む。説明のために、
図8Bは、本明細書に記載の実施形態による、アセンブリ850内のプッシュオンファスナ100の側面図を含む。説明のために、
図8Cは、本明細書に記載の実施形態による、アセンブリ850内のプッシュオンファスナ100の側面図を含む。
図8A~
図8Cの間の対応する構成要素(すなわち、同じ参照番号を有する構成要素)は、本明細書で開示される他の図のいずれかを参照して説明される特性又は特徴のいずれかを有するものとして説明され得ることが理解されよう。
図8A~
図8Cに示すように、プッシュオンファスナ100は、上述したように、環状基部104から突出する、少なくとも1つの突出部108を有し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの突出部108は、複数の突出部108、108’、108’’、108’’’を含み得る。少なくとも1つの突出部108は、ディンプルの形態であってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの突出部又はディンプル108は、中心軸Aからの多角形断面を有してもよい。少なくとも1つの突出部又は窪み108は、少なくとも1つの多角形角度を含んでもよい。例えば、少なくとも1つの突出部108は、
図8Aに示すように、不連続波形の形態の弓状部分を有してもよい。他の実施形態では、
図8Aに最もよく示すように、少なくとも1つの突出部又はディンプル108’、108’’は、略環状の基部104から延在する三角形状又は四角形状を含んでもよい。別の実施形態では、少なくとも1つの突出部又はディンプル108’’’は、
図8Aに示すように、中心軸Aからの半円形の断面を有してもよい。別の実施形態では、少なくとも1つの突出部又はディンプル108は、中心軸Aからの可変断面を有してもよい。
図8Bでは、いくつかの実施形態によれば、プッシュオンファスナ100の内側半径方向縁部103は、シャフト856に接触するか、又は近接していてもよい。
図8Cでは、プッシュオンファスナ100の内側半径方向縁部103は、いくつかの実施形態によれば、軸受858に接触するか、又は近接していてもよい。いくつかの実施形態では、摺動層は、主表面と、内側構成要素852又は外側構成要素854のうちの少なくとも1つとの間に導電性を提供するように、内側構成要素852又は外側構成要素854に接触するように適合された、非導電性摺動層のない少なくとも1つの空隙領域118、118’を形成するように、除去されてもよい。
【0057】
説明のために、
図9Aは、本明細書に記載のものによる、プッシュオンファスナ100の上面図を含む。説明のために、
図9Bは、本明細書に記載の実施形態による、アセンブリ950内のプッシュオンファスナ100の側面図を含む。説明のために、
図9Cは、本明細書に記載の実施形態による、アセンブリ950内のプッシュオンファスナ100の側面図を含む。
図9A~
図9Cの間の対応する構成要素(すなわち、同じ参照番号を有する構成要素)は、本明細書で開示される他の図のいずれかを参照して説明される特性又は特徴のいずれかを有するものとして説明され得ることが理解されよう。
図9A~
図9Cに示すように、プッシュオンファスナ100は、上述したように、環状基部104から突出するディンプルの形態の、少なくとも1つの突出部108を有し得る。加えて、プッシュオンファスナ100は、第2の周方向波形の形態の第2の突出部108’を含み得る。第2の突出部108’は、その低摩擦層を維持し得(空隙領域がない)、アセンブリ950の汚染を防止するためのシールとして機能する密封波形として機能し得る。第1の突出部108と第2の突出部108’との間の領域は、環状基部104の残りの部分の平面から隆起した、隆起部109であってもよい。
図9Bでは、プッシュオンファスナ100の内側半径方向縁部103は、いくつかの実施形態によれば、シャフト956に接触するか、又は近接していてもよい。
図9Cでは、プッシュオンファスナ100の内側半径方向縁部103は、いくつかの実施形態によれば、軸受958に接触するか、又は近接していてもよい。いくつかの実施形態では、摺動層は、主表面と、内側構成要素952又は外側構成要素954のうちの少なくとも1つとの間に導電性を提供するように、内側構成要素952又は外側構成要素954に接触するように適合された、非導電性摺動層のない少なくとも1つの空隙領域118、118’を形成するように、除去されてもよい。
【0058】
説明のために、
図10Aは、本明細書に記載のものによる、プッシュオンファスナ100の上面図を含む。説明のために、
図10Bは、本明細書に記載の実施形態による、プッシュオンファスナ100の切断側面図を含む。説明のために、
図9Cは、本明細書に記載の実施形態による、アセンブリ1050内のプッシュオンファスナ100の側面図を含む。
図10A~
図10Cの間の対応する構成要素(すなわち、同じ参照番号を有する構成要素)は、本明細書で開示される他の図のいずれかを参照して説明される特性又は特徴のいずれかを有するものとして説明され得ることが理解されよう。
図10A~
図10Cに示すように、プッシュオンファスナ100は、上述したように、環状基部104から突出する隆起部又は周方向波形の形態の、少なくとも1つの突出部108を有し得る。加えて、プッシュオンファスナ100は、第2の周方向波形の形態の第2の突出部108’を含み得る。第2の突出部108’は、その低摩擦層を維持し得(空隙領域がない)、アセンブリ1050の汚染を防止するためのシールとして機能する密封波形として機能し得る。第1の突出部108と第2の突出部108’との間の領域は、環状基部104の残りの部分の平面から隆起した、隆起部109であってもよい。
図1Cでは、プッシュオンファスナ100の内側半径方向縁部103は、いくつかの実施形態によれば、シャフト1056に接触するか、又は近接していてもよい。いくつかの実施形態では、摺動層は、主表面と、内側構成要素1052又は外側構成要素1054のうちの少なくとも1つとの間に導電性を提供するように、内側構成要素1052又は外側構成要素1054に接触するように適合された、非導電性摺動層のない少なくとも1つの空隙領域118を形成するように、除去されてもよい。この実施形態は、内周波形108’上の空隙領域118が導電性を提供する一方で、外側波形108が汚染を防止するので、軸受の必要性を排除することができる。
【0059】
説明のために、
図11Aは、本明細書に記載のものによる、プッシュオンファスナ100の上面図を含む。説明のために、
図11Bは、本明細書に記載の実施形態による、プッシュオンファスナ100の側面図を含む。説明のために、
図9Cは、本明細書に記載の実施形態による、アセンブリ1150内のプッシュオンファスナ100の側面図を含む。
図9A~
図9Cの間の対応する構成要素(すなわち、同じ参照番号を有する構成要素)は、本明細書で開示される他の図のいずれかを参照して説明される特性又は特徴のいずれかを有するものとして説明され得ることが理解されよう。
図11A~
図11Cに示すように、プッシュオンファスナ100は、環状基部104から突出する少なくとも1つの丘部1175及び少なくとも1つの谷部1177を含む、波形の外観を有し得る。これにより、プッシュオンファスナ100が弓形形状を有することを可能にし得る。
図11Cに示すように、いくつかの実施形態によれば、丘部1175は、環状基部104の残りの部分の平面から隆起してもよく、シャフト1152に接触するか、又は近接していてもよい。いくつかの実施形態では、摺動層は、主表面と、内側構成要素1152又は外側構成要素1154のうちの少なくとも1つとの間に導電性を提供するように、内側構成要素1152又は外側構成要素1154に接触するように適合された、非導電性摺動層のない少なくとも1つの空隙領域118を形成するように、除去されてもよい。一実施形態では、丘部1175は、内側構成要素1152又は外側構成要素1154に接触するための空隙領域118を有し得る。あるいは、谷部1177は、内側構成要素1152又は外側構成要素1154に接触するための空隙領域を有し得る。
図11Cに示すように、丘部1175は、内側構成要素1152に接触するための空隙領域118を有し得る。
【0060】
本明細書の実施形態によれば、組立方法が示される。本方法は、内側構成要素及び外側構成要素、並びに非導電性であるプッシュオンファスナ100を提供することであって、プッシュオンファスナ100が、主表面106、107と、周囲面を画定する半径方向縁部103、105と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体102であって、中心軸を画定する開口180を形成する、プッシュオンファスナ本体102と、主表面106、107を覆う、非導電性摺動層1104と、を含み、主表面106、107が、非導電性摺動層1104のない空隙領域118を含む、提供することと、サブアセンブリを形成するために、内側構成要素及び外側構成要素の一方にプッシュオンファスナ100を接合することと、アセンブリを形成するために、内側構成要素及び外側構成要素の他方をサブアセンブリに接合することと、内側構成要素とプッシュオンファスナ100と外側構成要素との間に導電経路を形成することと、を含み得、導電性が、中心軸と略平行な軸方向に延びる線に沿って、プッシュオンファスナ100の主表面106、107からプッシュオンファスナ100の第2の主表面106、107まで測定される、10Ω・m未満の電気抵抗値を有するものとして定義される。
【0061】
アセンブリは、いくつかの実施形態では、自動車用ドアヒンジ、フードヒンジ、テールゲートヒンジ、エンジンコンパートメントヒンジなどの例示的なヒンジアセンブリであってもよい。ヒンジアセンブリは、車両内で使用されてもよい。そのようなアセンブリは、内側構成要素、プッシュオンファスナ、外側構成要素、シャフト、及び/又は軸受の間に導電回路を提供するために使用されてもよく、プッシュオンファスナが内側構成要素と外側構成要素との間に配置されるように、内側構成要素のプッシュオンファスナへの設置前又は設置中に除去された摺動層の部分を有してもよい。
【0062】
実施形態の用途は、例えば、ヒンジ及び他の車両構成要素用のアセンブリを含む。更に、プッシュオンファスナ又はアセンブリの使用は、ドアヒンジ、フードヒンジ、テールゲートヒンジ及びエンジンコンパートメントヒンジ、シート、ステアリングコラム、フライホイール、ドライブシャフトアセンブリ、(ベルトテンショナなどの)パワートレイン用途、又は他の種類の用途などであるが、これらに制限されない、いくつかの用途において、利益の向上をもたらし得る。本明細書の特定の実施形態によれば、プッシュオンファスナは、無線周波数干渉(radio frequency interference、RFI)問題を解決又は軽減することができるアンテナを含む内側構成要素及び外側構成要素を有するアセンブリに導電性を提供することができる。これらのプッシュオンファスナの使用は、既存のケーブル解決策に取って代わることができる。加えて、本明細書の実施形態によるプッシュオンファスナは、騒音/振動を低減し得、プッシュオンファスナ表面及び嵌合構成要素の摩耗を低減し得、かつ複雑な構成部分及び組み立て時間を低減し得、それによって、寿命を延ばし、外観を改善し、アセンブリ、プッシュオンファスナ、及びその他の構成要素の有効性及び性能を改善する。
【0063】
多くの異なる態様及び実施形態が可能である。これらの態様及び実施形態のいくつかを以下に記載する。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様及び実施形態が例解的であるに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙される実施形態のうちのいずれか1つ以上に従うことができる。
【0064】
実施形態1:プッシュオンファスナであって、主表面と、周囲面を画定する半径方向縁部と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体であって、中心軸を画定する開口を形成する、プッシュオンファスナ本体と、プッシュオンファスナ本体の主表面を覆う、非導電性摺動層と、を含み、主表面が、プッシュオンファスナと隣接構成要素との間に導電性を提供するように、内側構成要素又は外側構成要素に接触するように適合された、非導電性摺動層のない空隙領域を含む、プッシュオンファスナ。
【0065】
実施形態2:アセンブリであって、外側構成要素と内側構成要素と、内側構成要素と外側構成要素との間に配置された、プッシュオンファスナと、を含み、プッシュオンファスナが、主表面と、周囲面を画定する半径方向縁部と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体であって、中心軸を画定する開口を形成する、プッシュオンファスナ本体と、プッシュオンファスナ本体の主表面を覆う、非導電性摺動層と、を含み、主表面が、プッシュオンファスナと内側構成要素又は外側構成要素のうちの少なくとも1つとの間に導電性を提供するように、内側構成要素又は外側構成要素に接触する、非導電性摺動層のない空隙領域を含む、アセンブリ。
【0066】
実施形態3:アセンブリであって、外側構成要素と、内側構成要素と、内側構成要素と外側構成要素との間に配置された、プッシュオンファスナと、を備え、プッシュオンファスナが、主表面と、周囲面を画定する半径方向縁部と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体であって、中心軸を画定する開口を形成する、プッシュオンファスナ本体と、プッシュオンファスナ本体の主表面に結合された、非導電性摺動層と、を含み、プッシュオンファスナが、プッシュオンファスナが非導電性である、非設置構成と、プッシュオンファスナが導電性である、設置構成と、を有し、非導電性が、中心軸と略平行な軸方向に延びる線に沿って、プッシュオンファスナの主表面からプッシュオンファスナの第2の主表面まで測定される、10Ω・mより大きい電気抵抗値を有するものとして定義される、アセンブリ。
【0067】
実施形態4:プッシュオンファスナを形成及び設置する方法であって、内側構成要素及び外側構成要素、並びに非導電性であるプッシュオンファスナを提供することであって、プッシュオンファスナが、主表面と、周囲面を画定する半径方向縁部と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体であって、中心軸を画定する開口を形成する、プッシュオンファスナ本体と、主表面を覆う、非導電性摺動層と、を含み、主表面が、非導電性摺動層のない空隙領域を含む、提供することと、サブアセンブリを形成するために、内側構成要素及び外側構成要素の一方にプッシュオンファスナを接合することと、アセンブリを形成するために、内側構成要素及び外側構成要素の他方をサブアセンブリに接合することと、内側構成要素とプッシュオンファスナと外側構成要素との間に導電経路を形成することと、を含み、導電性が、中心軸と略平行な軸方向に延びる線に沿って、プッシュオンファスナの主表面からプッシュオンファスナの第2の主表面まで測定される、10Ω・m未満の電気抵抗値を有するものとして定義される、方法。
【0068】
実施形態5:プッシュオンファスナを形成する方法であって、導電性基板を含むブランクと、基板に結合された非導電性摺動層と、を提供することと、ブランクに複数の突出部を形成することと、ブランクをプッシュオンファスナに成形することであって、プッシュオンファスナが、主表面と、周囲面を画定する半径方向縁部と、を含む、導電性の環状プッシュオンファスナ本体と、プッシュオンファスナ本体の主表面に結合された、非導電性摺動層と、を含む、成形することと、主表面と隣接構成要素との間に導電性を提供するように、内側構成要素又は外側構成要素に接触するように適合された、非導電性摺動層のない空隙領域を形成するために、主表面から摺動層を除去することと、を含む、方法。
【0069】
実施形態6:プッシュオンファスナ本体が、摺動層を含む第2の主表面を含む、実施形態1から5のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0070】
実施形態7:第2の主表面が、プッシュオンファスナと内側構成要素又は外側構成要素との間に導電性を提供するように、内側構成要素又は外側構成要素に接触するように適合された、非導電性摺動層のない空隙領域を含む、実施形態6に記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0071】
実施形態8:プッシュオンファスナ本体の主表面が、中心軸に対して軸方向に突出し、かつ内側構成要素又は外側構成要素に接触するように適合された、少なくとも1つの突出部を含む、実施形態1から7のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0072】
実施形態9:少なくとも1つの突出部が、内側構成要素に向かって軸方向内向きに延在している、実施形態8に記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0073】
実施形態10:少なくとも1つの突出部が、外側構成要素に向かって軸方向外向きに延在している、実施形態8又は9に記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0074】
実施形態11:少なくとも1つの突出部が、非導電性摺動層のない空隙領域を含む、実施形態8から10のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0075】
実施形態12:少なくとも1つの突出部が、複数の突出部を含む、実施形態8から11のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0076】
実施形態13:少なくとも1つの突出部が、軸方向に延在する周方向波形であって、周方向波形に沿って頂点まで上昇し、頂点から下降する、周方向波形を含む、実施形態8から12のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0077】
実施形態14:少なくとも1つの突出部が、密封周方向波形及び接触周方向波形を含む、実施形態13に記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0078】
実施形態15:少なくとも1つの突出部が、軸方向に延在するディンプルであって、ディンプルに沿って頂点まで上昇し、頂点から下降する、ディンプルを含む、実施形態8から14のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0079】
実施形態16:突出部の円周基部における摺動層の厚さが、突出部の頂点における摺動層であるような、突出部の頂点における摺動層の厚さより少なくとも2倍大きい、実施形態8から15のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0080】
実施形態17:突出部の円周基部における摺動層の厚さが、突出部の頂点における摺動層の厚さより少なくとも3倍大きい、例えば突出部の頂点における摺動層の厚さよりも少なくとも6倍大きく、例えば突出部の頂点における摺動層の厚さよりも少なくとも8倍大きく、又は例えば突出部の頂点における摺動層の厚さよりも少なくとも10倍大きい、実施形態16に記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0081】
実施形態18:プッシュオンファスナ本体が、隣接する突出部の第1の対の間に周方向に離間された未成形セクションを更に含む、実施形態1から17のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0082】
実施形態19:空隙領域が、突出部の頂点に位置する、実施形態8から18のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0083】
実施形態20:空隙領域が、100mm2以下の表面積を含む、実施形態1から19のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0084】
実施形態21:内側構成要素が、ヒンジの内側ブラケットを含む、実施形態1から20のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0085】
実施形態22:外側構成要素が、ヒンジの外側ブラケットを含む、実施形態1から21のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0086】
実施形態23:アセンブリが、外側構成要素と内側構成要素との間に軸方向に配置された、軸受を更に備える、実施形態2から22のいずれか1つに記載のアセンブリ又は方法。
【0087】
実施形態24:プッシュオンファスナが、軸受と接触する第2の周囲面を含む第2の半径方向縁部を更に含む、実施形態23に記載のアセンブリ又は方法。
【0088】
実施形態25:アセンブリが、プッシュオンファスナの開口内に軸方向に配置されたシャフトを更に含む、実施形態2から23のいずれか1つに記載のアセンブリ又は方法。
【0089】
実施形態26:プッシュオンファスナが、シャフトと接触する第2の周囲面を含む第2の半径方向縁部を更に含む、実施形態25に記載のアセンブリ又は方法。
【0090】
実施形態27:プッシュオンファスナ本体が、金属を含む、実施形態1から26のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0091】
実施形態28:金属が炭素鋼又はステンレス鋼を含む、実施形態27に記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0092】
実施形態29:摺動層が、ポリケトン、ポリアラミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアミドイミド、超高分子量ポリエチレン、熱可塑性フルオロポリマー、ポリアミド、ポリベンズイミダゾール、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態1から28のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0093】
実施形態30:摺動層が、1~500ミクロンの範囲内の厚さを有する、実施形態1から29のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0094】
実施形態31:プッシュオンファスナが、1~100mmの範囲内の内半径を有する、実施形態1から30のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0095】
実施形態32:プッシュオンファスナが、1~100mmの範囲内の外半径を有する、実施形態1から31のいずれか1つに記載のプッシュオンファスナ、アセンブリ又は方法。
【0096】
上述の特徴の全てが必要とされるわけではなく、特定の特徴の領域が必要とされなくてもよく、記載した特徴に加えて1つ以上の特徴が提供されてもよいことに留意されたい。なおも更に、特徴が列挙される順序は、必ずしも特徴が導入される順序ではない。
【0097】
特定の特徴が、明確にするために、別個の実施形態の文脈において本明細書に記載されており、単一の実施形態において組み合わせて提供され得る。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載されている様々な特徴は、別個に又は任意の部分的な組み合わせで提供され得る。
【0098】
利益、他の利点、及び問題の解決策は、特定の実施形態に関して上述されている。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策をもたらすかより顕著にする可能性がある任意の特徴(複数可)は、請求項のいずれか又は全ての重要な、必要な、又は本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0099】
本明細書に記載の実施形態の明細書及び例解図は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図している。明細書及び例解図は、本明細書に記載の構造又は方法を使用するアセンブリ及びシステムの全ての要素及び特徴の網羅的かつ包括的な説明として役立つことを意図するものではない。別個の実施形態が単一の実施形態中に組み合わせて提供され得、逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において説明されている様々な特徴が、別々に又は任意の部分的組み合わせで提供され得る。更に、範囲に記載された値への言及は、その範囲内の各々の値全てを含む。多くの他の実施形態が、本明細書を読んだ後にのみ当業者に明らかとなり得る。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、又は任意の変更を行うことができるように、他の実施形態を使用し、本開示から導出することができる。したがって、本開示は、限定的ではなく、例示的なものとみなされるべきである。
【国際調査報告】