(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】3波長干渉測定デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01B 9/02002 20220101AFI20240702BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G01B9/02002
G01B11/24 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500171
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022068827
(87)【国際公開番号】W WO2023280961
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597023868
【氏名又は名称】テイラー・ホブソン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TAYLOR HOBSON LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】パーヴェル・ドラヴァレク
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・アム・ヴェーク
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・アイスヴィルト
(72)【発明者】
【氏名】ティロ・メイ
【テーマコード(参考)】
2F064
2F065
【Fターム(参考)】
2F064AA09
2F064BB04
2F064FF01
2F064FF06
2F064GG22
2F064HH06
2F065AA06
2F065AA51
2F065CC22
2F065CC31
2F065GG04
2F065GG21
2F065GG23
2F065HH04
2F065JJ05
2F065LL02
(57)【要約】
本開示は、物体(1)の表面(2、4)またはプロファイルを測定するための干渉測定デバイス(10)に関し、測定デバイス(10)は:- 550nm未満の波長のスペクトル成分を有する測定ビーム(BM)を生成するように動作可能であるビーム生成ユニット(20)と、- 測定ビーム(BM)から物体ビーム(BO)および基準ビーム(BR)を分岐させるためのスプリッタ(55)と、- ビーム生成ユニット(20)に接続され、物体ビーム(BO)を表面(2、4)へ誘導し、物体ビームのうち表面(2、4)から信号ビーム(BS)として反射された部分を取り込むように構成された測定プローブ(50)と、- 検出器ユニット(70)に接続され、信号ビーム(BS)および基準ビーム(BR)の再結合である解析ビーム(BA)から第1および第2の部分ビーム(BP1、BP2)を検出するように動作可能な第1および第2の検出器(71、72)から取得した信号に基づいて、測定プローブ(50)と表面(2、4)との間の距離(D)を導出するように動作可能である信号アナライザ(80)とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(1)の表面(2、4)またはプロファイルを測定するための干渉測定デバイス(10)であって:
少なくとも第1の光源(21)を含むビーム生成ユニット(20)であって、550nm未満の波長のスペクトル成分を有する測定ビーム(BM)を生成するように動作可能であるビーム生成ユニット(20)と、
測定ビーム(BM)から物体ビーム(BO)および基準ビーム(BR)を分岐させるスプリッタ(55)と、
光を透過するようにビーム生成ユニット(20)に結合され、物体ビーム(BO)を表面(2、4)へ誘導し、物体ビームのうち表面(2、4)から信号ビーム(BS)として反射された部分を取り込むように構成された測定プローブ(50)と、
信号ビーム(BS)および基準ビーム(BR)を解析ビーム(BA)に再結合するように動作可能な光ビーム再結合器(56)と、
該再結合器(56)に結合されたビーム分割器ユニット(60)であって、解析ビーム(BA)から第1の中心波長λ
1の第1の部分ビーム(BP1)を抽出し、解析ビーム(BA)から第2の中心波長λ
2の第2の部分ビーム(BP2)を抽出するように動作可能であり、第2の中心波長λ
2は第1の中心波長λ
1とは異なる、ビーム分割器ユニット(60)と、
該ビーム分割器ユニット(60)に結合され、第1の部分ビーム(BP1)を検出するための少なくとも第1の検出器(71)を含み、第2の部分ビーム(BP2)を検出するための少なくとも第2の検出器(72)を含む検出器ユニット(70)と、
該検出器ユニット(70)に接続され、少なくとも第1の検出器(71)および少なくとも第2の検出器(72)から取得した信号に基づいて、測定プローブ(50)と表面(2、4)との間の距離(D)を導出するように動作可能である信号アナライザ(80)とを含む、前記測定デバイス。
【請求項2】
ビーム生成ユニット(20)は、第2の光源(22)を含み、該第2の光源(22)は、第2の中心波長λ
2のスペクトル成分を含む電磁放射を放出するように動作可能である、請求項1に記載の測定デバイス(10)。
【請求項3】
ビーム分割器ユニット(60)は、解析ビーム(BA)から第3の中心波長λ
3の第3の部分ビーム(BP3)を抽出するように動作可能であり、第3の中心波長λ
3は、第1の中心波長λ
1とは異なり、第2の中心波長λ
2とは異なり、検出器ユニット(70)は、第3の部分ビーム(BP3)を検出するための第3の検出器(73)を含む、請求項1または2に記載の測定デバイス(10)。
【請求項4】
ビーム生成ユニット(20)は、第3の光源(23)を含み、該第3の光源(23)は、第3の中心波長λ
3のスペクトル成分を含む電磁放射を放出するように動作可能である、請求項3に記載の測定デバイス(10)。
【請求項5】
第1の光源(21)は、レーザ(27)およびスーパールミネッセントダイオードSLD(26)のうちの1つを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の測定デバイス(10)。
【請求項6】
少なくとも1つの光源(21、22、23)は、スーパールミネッセントダイオード(27)を含み、測定デバイス(10)は、少なくとも1つの光源(21、22、23)に結合された光学遅延ユニット(30)をさらに含み、該光学遅延ユニット(30)は、測定ビーム(BM)、信号ビーム(BS)、物体ビーム(BO)、および基準ビーム(BR)のうちの少なくとも1つに可変および調整可能サイズの位相シフトを与えるように動作可能である、請求項1~5のいずれか1項に記載の測定デバイス(10)。
【請求項7】
第1の中心波長λ
1および第2の中心波長λ
2は、式:
【数1】
を満たし、ここで1≦n、m≦50である、請求項1~6のいずれか1項に記載の測定デバイス(10)。
【請求項8】
第3の中心波長λ
3ならびに第1および第2の中心波長λ
iのうちの1つは、式:
【数2】
を満たし、ここでi=1または2であり、10≦k、l≦2,500である、請求項3~7のいずれか1項に記載の測定デバイス(10)。
【請求項9】
第1の中心波長λ
1、第2の中心波長λ
2、および第3の中心波長λ
3は:
380nm~490nmのスペクトル範囲内、
400nm~460nmのスペクトル範囲内、
404nm~455nmのスペクトル範囲内、
449nm~511nmのスペクトル範囲内、
449~489nmのスペクトル範囲内、または
404~475nmのスペクトル範囲内にある、請求項3~8のいずれか1項に記載の測定デバイス(10)。
【請求項10】
物体(1)は、第1および第2の中心波長λ
1、λ
2のうちの少なくとも1つの電磁放射に対して実質的に吸収性を有する材料をその表面(2、4)に含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の測定デバイス(10)。
【請求項11】
光を透過するようにビーム生成ユニット(20)に結合され、測定プローブ(50)に結合され、分割器ユニット(60)に結合されたカプラユニット(40)をさらに含み、カプラユニット(40)は、測定ビーム(BM)をビーム生成ユニット(20)から測定プローブ(50)へ誘導し、解析ビーム(BA)を測定プローブ(50)から分割器ユニット(60)へ誘導するように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の測定デバイス(10)。
【請求項12】
分割器ユニット(60)は:
i)波長分割マルチプレクサWDM(61)および
ii)ファイバスプリッタ(62)のうちの少なくとも1つを含み、該ファイバスプリッタは、第1の光学フィルタ(65)に接続された第1の出力(63)および第2の光学フィルタ(66)に接続された第2の出力(64)を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の測定デバイス(10)。
【請求項13】
物体(1)の表面(2、4)またはプロファイル(P)を測定する方法であって:
表面材料(5)を含む物体(1)を提供する工程と、
ビーム生成ユニット(20)によって測定ビーム(BM)を生成する工程と、
測定ビーム(BM)から物体ビーム(BO)および基準ビーム(BR)を分岐させ、光学プローブ(50)によって測定ビーム(BM)を物体(1)の表面(2、4)へ誘導する工程であって、表面材料は、物体ビーム(BO)および測定ビーム(BM)のうちの1つに対して、100μm未満、50μm未満、20μm未満、10μm未満、5μm未満、2μm未満、1μm未満、0.5μm未満、または0.1μm未満の光貫入深さを含む、工程と、
測定ビーム(BM)のうち表面(2、4)によって信号ビーム(BS)として反射された部分を取り込む工程と、
信号ビーム(BS)および基準ビーム(BR)を解析ビーム(BA)に再結合する工程と、
検出器ユニット(70)によって解析ビーム(BA)の干渉を検出し、検出器ユニット(70)の信号を解析することによって、光学プローブ(50)と表面(2、4)との間の距離(D)を導出する工程とを含む、前記方法。
【請求項14】
物体(1)は、表面材料(5)を含むコーティング(3)をその表面(2)に含み、コーティング(3)に入る物体ビーム(BO)の大部分は、コーティング(3)によって吸収される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
コーティング(3)は、シリコンもしくはダイヤモンドライクカーボンDLCを含み、またはシリコンもしくはダイヤモンドライクカーボンDLCからなる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体、たとえば光学要素の表面またはプロファイルを測定するための干渉測定デバイスに関する。さらなる態様では、本開示は、物体の表面またはプロファイルを測定する方法に関する。別の態様では、本開示は、物体の表面またはプロファイルを測定する干渉測定デバイスおよびそれぞれの方法に関し、それぞれの表面はコーティングを備え、またはコーティングによって覆われる。
【背景技術】
【0002】
物体、たとえばレンズなどの光学要素の表面またはプロファイルの非接触測定は、当技術分野でそれ自体よく知られており、確立されている。干渉機構により、測定光ビームが基準ビームおよび物体ビームに分割され、物体ビームは、物体の表面へ誘導され、物体の表面から信号ビームとして反射される。信号ビームおよび基準ビームを再結合するとき、基準ビームと信号ビームとの間のランタイム差、したがって経路差を示す光学干渉を観察することができる。
【0003】
信号ビームと基準ビームとの間の測定可能な位相シフトは、波長の2分の1で画成される範囲内でのみ明白である。信号ビームと基準ビームとの間の経路差が測定ビームの波長の2分の1より大きいとき、信号ビームおよび基準ビームの再結合によって生成されるそれぞれの干渉パターンが繰り返す。したがって、そのような干渉機構の絶対距離範囲は、むしろ概して制限される。空間測定範囲を増大させるには、より長い波長、たとえば赤外スペクトル範囲内の波長を使用することができる。
【0004】
さらに、物体、たとえば光学要素が測定予定の表面にコーティングを備える場合、このコーティングは比較的薄いことがあり、わずか数マイクロメートルまたはさらには1μm未満の範囲内の厚さを含むことがある。このとき、コーティングが測定ビームの波長に対して実質的に透明であるとき、コーティングの外面で第1の反射が生じ、たとえば物体の外面に直接接触するコーティングの内面もしくは下面でまたは内面もしくは下面から第2の反射が生じることになる。干渉測定デバイスおよび方法にとって、そのようなコーティングの両面から生じるそれらの第1および第2の反射を区別することは、不可能でなくても非常に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、物体が測定を行おうとするその表面にコーティングを備えるときでも、精密な表面またはプロファイル測定を可能にする、改善された干渉測定デバイス、および物体の表面またはプロファイルを測定する改善された方法を提供することが望ましい。さらに、干渉測定デバイスは、可視スペクトル範囲内の測定ビームとともに動作しなければならないことがある。したがって、コーティングされた表面の干渉測定を有効にするために、コスト効率的で信頼性が高く、長続きするロバストな解決策を提供することが望ましい。同時に、改善された干渉測定デバイスは、デバイスと物体の表面との間の絶対距離を測定するために、比較的大きい測定範囲を提供するべきである。
【0006】
干渉測定デバイスは、様々な可変の測定条件に整合または適用するために、広く適用可能であるべきであり、容易かつ明快に再構成可能であるべきである。干渉測定デバイスおよび方法は、環境的な影響および変動に対してもロバストであるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの要求は、独立請求項の主題による干渉測定デバイスおよび物体の表面またはプロファイルを測定する方法によって概して解決される。多数の実施形態は、従属請求項に準拠する。
【0008】
一態様において、光学要素、たとえばレンズまたはミラーなどの物体の表面またはプロファイルを測定するための干渉測定デバイスが提供される。干渉測定デバイスは、ビーム生成ユニットを含む。ビーム生成ユニットは、少なくとも第1の光源を含む。ビーム生成ユニット、したがって第1の光源は、測定ビームを生成するように動作可能である。測定ビームは、550nm未満の波長のスペクトル成分を含む。典型的には、測定ビームは、500nm未満であり、典型的には380nmより大きい領域内に中心波長を含む。測定ビームの波長は、典型的には、550nm未満の可視スペクトル範囲内である。
【0009】
干渉測定デバイスは、測定ビームから物体ビームおよび基準ビームを分岐させるスプリッタをさらに含む。いくつかの例では、スプリッタは、測定ビームを物体ビームおよび基準ビームに分割するように構成することができ、またはそのように動作可能とすることができる。測定デバイスは、光を透過するようにビーム生成ユニットに結合された測定プローブをさらに含む。いくつかの例では、測定プローブは、少なくとも1つの光ファイバによって、ビーム生成ユニットに光結合される。他の例では、測定プローブは、ビーム生成ユニットから測定プローブへの測定ビームの自由な伝播を提供する光学装置によって、ビーム生成ユニットに光結合される。
【0010】
測定プローブは、物体ビームを物体の表面へ誘導し、物体ビームのうち表面から信号ビームとして反射された部分を取り込むように構成される。
【0011】
典型的には、信号ビームは、測定予定の物体の表面で反射された物体ビームを含み、またはその一部分である。干渉測定デバイスは、信号ビームおよび基準ビームを解析ビームに再結合するように動作可能な光再結合器をさらに含む。典型的には、解析ビームは、反射された信号ビームおよび基準ビームの重畳を含む。解析ビームは干渉を受け、干渉フリンジまたは干渉パターンを示し、これは基準ビームと信号ビーム、したがって物体ビームのうち表面によって反射され、測定プローブによって取り込まれた部分との間の経路差を示す。
【0012】
いくつかの例では、光ビーム再結合器はスプリッタに一体化され、かつ/または他のスプリッタが光ビーム再結合器に一体化される。したがって、スプリッタおよび光ビーム再結合器の両方を提供する単一の光学構成要素または光ファイバを設けることができる。いくつかの例では、光ファイバのファイバ端面が、スプリッタおよび光ビーム再結合器の両方を提供する。典型的には、測定プローブの内側で終端するファイバ端面がスプリッタとして働き、測定ビームから基準ビームおよび物体ビームを生成し、物体の表面から反射された信号ビームを基準ビームと再結合する。
【0013】
干渉測定デバイスは、光を透過するように光ビーム再結合器および/または測定プローブに結合されたビーム分割器ユニットをさらに含む。いくつかの例では、ビーム分割器ユニットは、少なくとも1つの光ファイバによって、光ビーム再結合器および/または測定プローブに光結合される。他の例では、ビーム分割器ユニットは、それぞれの光ビームの自由な伝播を提供する光学装置によって、光ビーム再結合器および/または測定プローブに光結合される。
【0014】
ビーム分割器ユニットは、解析ビームから第1の中心波長の第1の部分ビームを抽出し、解析ビームから第2の中心波長の第2の部分ビームを抽出するように動作可能である。典型的には、第2の中心波長は第1の中心波長とは明確に異なる。干渉測定デバイスは、光を透過するように、たとえば少なくとも1つの光ファイバを通って、ビーム分割器ユニットに結合された検出器ユニットをさらに含む。他の例では、検出器ユニットは、それぞれの光ビームの自由な伝播を提供する光学装置によって、ビーム分割器ユニットに光結合される。検出器ユニットは、第1の部分ビームを検出するための少なくとも第1の検出器を含み、第2の部分ビームを検出するための少なくとも第2の検出器をさらに含む。
【0015】
典型的には、ビーム生成ユニットによって提供および生成される測定ビームが550nm未満の波長のスペクトル成分を含むため、第1の中心波長および第2の中心波長のうちの少なくとも1つは、550nm未満のスペクトル範囲内にある。いくつかの例では、第1の中心波長および第2の中心波長の両方が、550nm未満のスペクトル範囲内にある。
【0016】
最後に、干渉測定デバイスは、信号を伝達するように検出器ユニットに接続された信号アナライザを含む。信号アナライザは、少なくとも第1の検出器および少なくとも第2の検出器から取得した信号に基づいて、測定プローブと表面との間の距離を導出または計算するように動作可能である。
【0017】
典型的には、第1および第2の検出器の各々が、信号アナライザに別個に接続される。したがって、信号アナライザは、第1の検出器に接続された第1の入力を含み、第2の検出器に接続された第2の入力をさらに含む。信号アナライザの第1の入力は、第1の検出器から、第1の中心波長に関して測定された干渉信号を示す測定信号を受信するのに対して、信号アナライザは、第2の中心波長のそれぞれの光信号を検出したときに第2の検出器によって提供される信号を解析するように、第2の検出器に接続された第2の入力を含む。
【0018】
干渉測定デバイスは、物体の表面の多波長干渉測定を提供する。第1の波長および第2の波長を使用することによって、測定デバイスの全体的な測定範囲を増大させることができる。
【0019】
実質的には、第2のビームを使用することによって、または少なくとも2つの光周波数に基づく信号解析を使用することによって、2つの測定波長によって画成される合成波長を生み出すことができ、したがって干渉測定デバイスの空間範囲を増大させることができる。より大きい(合成)波長を使用することによって、空間分解能および測定精度を犠牲にして、明白な、したがって絶対的な距離測定のための範囲を増大させることができる。
【0020】
さらに、第1の中心波長および第2の中心波長に基づく別個の信号解析を有することによって、干渉測定デバイスの明白な測定範囲を増大させるために、第1および第2の波長より大きいまたははるかに大きい合成波長を提供することができる。さらに、測定ビームが550nm未満の波長のスペクトル成分を含むため、干渉測定デバイスは、可視スペクトル範囲内で動作する。ビーム生成ユニット、測定プローブ、ビーム分割器ユニット、および検出器ユニットのいずれかの間の光結合が、少なくとも1つの光ファイバによって提供されるとき、それぞれの光ファイバは、この特定の波長またはスペクトル範囲に対する光ビーム伝播およびビーム伝送のために特に構成される。
【0021】
干渉測定デバイスが可視スペクトル範囲内で動作することは、多くの態様で有益である。測定ビーム、したがって基準および物体ビームが可視スペクトル範囲内にあるため、干渉測定デバイスの操作者は、物体ビームが測定予定の物体の表面に正確に当たったかどうか、およびどの程度当たったかを、視覚的に検査することができる。したがって、可視放射の使用により、干渉測定デバイスの動作の容易かつ明快な制御が提供される。
【0022】
さらなる態様では、物体がたとえばシリコンまたはダイヤモンドライクカーボンDLCのうちの少なくとも1つを含むコーティングでコーティングされるとき、コーティングがこの特定スペクトル範囲に対して実質的に吸収性を有するため、550nm未満のスペクトル範囲内の放射を使用することが特に有益である。次いで、コーティングと物体のそれぞれの外面との間の境界面からの不要なまたは望ましくない反射を実質的に抑制および弱力化または減衰することができる。
【0023】
物体によって反射される信号ビームは主に、コーティングの外面で発生する反射によって提供または構成される。物体ビームのうちコーティングに入りまたはコーティングを通って伝播する部分は、コーティングがこの特定の波長またはスペクトル範囲に対して実質的に吸収性を有するため、下にある物体の表面によってほとんど反射されない。
【0024】
今日、干渉用途で使用することのできる550nm未満の所望のスペクトル範囲内で動作する光源の利用可能性は制限されている。光源は、反射された信号ビームと基準ビームとの間の干渉測定を有効にするために、十分な空間コヒーレンスを提供するべきであり、または提供しなければならない。さらに、干渉用途の光源は、その中心波長に関して極めて安定しているべきであり、または安定していなければならない。さらに、光源は適度なまたは低いコストで市販されるべきである。
【0025】
概して、ビーム生成ユニットには1つの光源のみを提供することができる。ここでは、より広帯域の光源を実装および使用することができる。このとき、ビーム分割器ユニットは、第1の中心波長の第1の部分ビームおよび第2の中心波長の第2の部分ビームを抽出し、第1および第2の部分ビームを検出器ユニットへ別個に提供するように動作可能とすることができる。こうして、第1および第2の中心波長、したがって異なる中心波長に基づいて、信号解析を実施および実行することができ、したがって干渉測定デバイスの測定範囲を増大させることが可能になる。
【0026】
さらなる例によれば、スプリッタは、測定ビームから物体ビームおよび基準ビームを分岐させるように動作可能であり、ファイバ端面を含み、またはファイバ端面によって形成され、たとえば測定プローブ内または測定プローブ上に設けられる。
【0027】
いくつかの例では、測定プローブは、少なくとも1つの光ファイバを通ってビーム生成ユニットに接続される。ここでは、測定プローブ内に位置する光ファイバのファイバ端面は、スプリッタとして働くことができる。測定ビームのうち光ファイバを通って伝播する部分は、ファイバ端面を通って放出され、物体ビームとして物体の方へ伝播する。測定ビームのうち別の部分は、ファイバ端面における内部反射によって基準ビームとして反射される。
【0028】
いくつかの例では、ファイバ端面で反射される基準ビームの強度を増大させるために、ファイバ端面に反射コーティングが設けられ、またはファイバ端面は反射コーティングによってコーティングされる。典型的な使用シナリオでは、物体の表面が物体ビームに対して高い吸収性を有するとき、かつ/または物体が比較的大きい屈折率を含むとき、物体の表面で反射される信号ビームの強度を比較的大きくすることができる。解析ビームの干渉に対して良好な信号対雑音比を取得するために、物体ビームと比べて基準ビームの強度または割合を増大させることが特に有益である。
【0029】
いくつかの例では、第1および第2の中心波長のうちの少なくとも1つに関して、ファイバ端面上および/またはスプリッタ上もしくはスプリッタ内に設けられるコーティングは、測定ビームの強度の5%~60%の強度を含む基準ビームを生成するように、測定ビームの強度の17.5%~45%の強度を含む基準ビームを生成するように、測定ビームの強度の23.25%~37.5%の強度を含む基準ビームを生成するように、もしくは測定ビームの強度の25%~35%の強度を含む基準ビームを生成するように構成され、かつ/またはそのような基準ビームを生成するのに効果的である。
【0030】
このようにして、反射コーティングのない解決策と比べて、コーティングされた反射体、たとえばコーティングされたファイバ端面で反射される基準ビームの強度を増大させることができる。その結果、基準ビームの強度は、物体の表面で反射されて測定プローブによって取り込まれる信号ビームの強度に密接に整合することができる。
【0031】
さらなる例によれば、ビーム生成ユニットは、第2の光源を含む。第2の光源は、第2の中心波長のスペクトル成分を含む電磁放射を放出するように動作可能である。典型的には、ビーム生成ユニットに少なくとも2つの光源が設けられたとき、ビーム生成ユニットの第1の光源は、第1の中心波長のスペクトル成分を含む電磁放射を放出するように動作可能とすることができる。典型的には、さらなる例では、ビーム生成ユニットの第1および第2の光源は、それぞれの第1の中心波長および第2の中心波長の電磁放射をそれぞれ放出するように構成することができ、またはそのように動作可能とすることができる。
【0032】
したがって、第1および第2の光源のスペクトル特性は、ビーム分割器ユニットに適用することができ、ビーム分割器ユニットに密接に整合することができ、それによって第1および第2の中心波長の第1および第2の部分ビームが解析ビームから抽出される。
【0033】
他の例では、第1および第2の光源が広帯域または狭帯域の光源として実装されること、ならびに第1および第2の中心波長を有するそれぞれの第1および第2の部分ビームがビーム分割器ユニットによって特に抽出されることも考えられる。
【0034】
それにもかかわらず、解析ビームからそれぞれのスペクトル成分を抽出するように動作可能なビーム分割器ユニットに第1および第2の光源の放出スペクトルが密接に整合することで、干渉測定デバイスのビーム案内システム全体もまた、たとえばビーム生成ユニット、スプリッタ、測定プローブ、光ビーム再結合器、ビーム分割器ユニット、および検出器ユニットを結合または接続する様々な光ファイバを通って、より減衰されない無損失のビーム伝播を提供するように特に適用および構成することができる。
【0035】
さらなる例によれば、ビーム分割器ユニットは、解析ビームから第3の中心波長の第3の部分ビームを抽出するように動作可能である。第3の中心波長は第1の中心波長とは異なる。第3の中心波長は第2の中心波長とも異なる。精密な信号解析および測定プローブと測定予定の物体の表面との間の距離計算を提供するために、第1、第2、および第3の中心波長間の差は明確であり、信号アナライザには知られている。
【0036】
ビーム分割器ユニットが第1、第2、および第3の部分ビームを抽出するように動作可能であるとき、ビーム分割器ユニットに光結合された検出器ユニットはまた、第3の部分ビームを検出するための第3の検出器を含む。同様に、第3の検出器も信号アナライザに接続される。この例では、信号アナライザは、解析ビームの波長選択的または波長特有の干渉解析を有効にするように、検出器ユニットの第1、第2、および第3の検出器に個別に接続または結合される。
【0037】
さらに別の実施形態では、ビーム分割器ユニットは、解析ビームから第4の中心波長の第4の部分ビームを抽出するように動作可能である。第4の中心波長は、第1の中心波長、第2の中心波長、および第3の中心波長とは異なる。ここでも、検出器ユニットは、第4の部分ビームを検出するための第4の検出器を含む。概して、多波長干渉測定デバイスは、2つ、3つ、または4つの個別の波長のみに限定されるものではない。多波長干渉測定デバイスは、解析ビームの信号解析に対して5、6、7、8、もしくは最大10、またはさらには最大12、14、16、もしくは20個の異なる個別の波長に基づいて実装することもできる。
【0038】
別の例によれば、ビーム生成ユニットは、第3の光源を含む。第3の光源は、第3の中心波長のスペクトル成分を含む電磁放射を放出するように動作可能である。第1および第2の光源と同様に、第3の光源もまた、第3の中心波長の実質的な光強度を有するまたは示す広帯域光源のうちの1つとすることができる。別法として、第3の光源は、第3の中心波長の実質的なビーム強度を放出するレーザなどの狭帯域光源とすることもできる。
【0039】
測定デバイスのさらなる例では、第1の光源は、レーザおよびスーパールミネッセントダイオードSLDのうちの1つを含む。典型的には、レーザとして実装されるとき、第1の光源は、より小さいスペクトル範囲を有する測定ビームを提供する。ここでは、測定ビームは、たとえば数メートルの領域内のより長いコヒーレンス長を示す。レーザ、たとえば固体レーザまたは半導体レーザとして実装されるとき、第1の光源は、第1の中心波長の実質的な光強度を提供する。
【0040】
広帯域光源として実装されるとき、たとえばスーパールミネッセントダイオードとして実装されるとき、第1の光源は、レーザ光源と比べてより広帯域のスペクトルを放出する。ここでは、レーザとして実装される光源と比べて、空間コヒーレンス長ははるかに短い。SLDなどの広帯域光源は、妥当なコストで、550nm未満の所望のスペクトル範囲で利用可能である。レーザ光源ならびにスーパールミネッセント光源はどちらも、数時間の動作にわたって、十分な時間安定性を提供することができる。典型的には、本干渉測定デバイスとともに使用されるまたは使用可能な光源は、8時間で5pm未満、好ましくは8時間で3pm未満、またはさらには少なくとも8時間の時間間隔で2pm未満の、中心波長の長期安定性または長期ドリフトを示す。
【0041】
別の例によれば、第2の光源は、レーザおよびルミネッセントダイオードのうちの1つを含む。その限りにおいて、ビーム生成ユニットが第1の光源および第2の光源を含むとき、どちらの光源もレーザとして実装することができ、第1のレーザは、第1の中心波長の放射を放出するように動作可能であり、第2のレーザは、第2の中心波長の電磁放射を放出するように動作可能である。いくつかの例では、第1の光源をレーザとして実装することができ、第2の光源をスーパールミネッセントダイオードとして実装することができる。
【0042】
ここでは、第1の光源は、第1の中心波長の電磁放射を放出するように動作可能とすることができ、第2の光源は、第2の中心波長のスペクトル成分を含むスペクトル範囲内の電磁放射を放出する。いくつかの例では、第1および第2の光源の役割を切り換えることができ、したがって第1の光源がスーパールミネッセントダイオードとして実装され、第2の光源がレーザとして実装される。
【0043】
さらなる例によれば、第3の光源は、レーザおよびスーパールミネッセントダイオードのうちの1つを含む。ここでは、レーザとして実装されるとき、第3の光源は、第3の中心波長の電磁放射を放出するように動作可能である。スーパールミネッセントダイオードとして実装されるとき、第3の光源は、第3の中心波長のスペクトル成分を有する測定ビームを生成するように動作可能である。
【0044】
いくつかの例では、第1、第2、および第3の光源は各々、たとえばそれぞれ第1、第2、および第3の中心波長の電磁放射を放出するように動作可能なレーザとして実装される。いくつかの例では、第1、第2、および第3の光源のうちの1つは、レーザとして実装される。他の2つの光源は、個別のスーパールミネッセントダイオードとして実装される。さらなる例では、ビーム生成ユニットの光源のうちの少なくとも2つが各々、たとえばそれぞれ第1の中心波長および第2の中心波長の電磁放射を放出するためのレーザを含むことも考えられる。第3の光源は、スーパールミネッセントダイオードとして実装することができる。
【0045】
さらに別の例では、第1、第2、および第3の光源は各々、たとえば個別のスーパールミネッセントダイオードとして実装される。典型的には、スーパールミネッセントダイオードの各々は、スーパールミネッセントダイオードの他のものと比べて異なるまたは特徴的なスペクトル範囲を示すことができる。
【0046】
少なくとも1つ、2つ、または3つの個別の光源を含むビーム生成ユニットの特定の構成、およびたとえばレーザまたはスーパールミネッセントダイオードとして実装されたそれぞれの光源のそれぞれの構成に応じて、ビーム生成ユニットは、少なくとも1つまたはいくつかの光カプラを含むことができ、そのような光カプラによって、個別の光源によって生成されるそれぞれの電磁放射を単一の光ファイバ内で結合して、それぞれの多成分測定ビームを測定プローブの方へ伝送することができる。
【0047】
さらなる例によれば、少なくとも1つの光源は、スーパールミネッセントダイオードを含む。このとき測定デバイスは、光を透過するように、たとえば光ファイバを通って、または自由なビーム伝播を提供する光学装置によって、少なくとも1つの光源に結合された光学遅延ユニットをさらに含む。光学遅延ユニットは、測定ビーム、信号ビーム、物体ビーム、および基準ビームのうちの少なくとも1つに可変および調整可能サイズの位相シフトを与えるように動作可能である。
【0048】
典型的には、ビーム生成ユニット内の光源としてスーパールミネッセントダイオードを使用するとき、それぞれの測定ビームは、より短いコヒーレンス長を示すことができる。いくつかの例では、それぞれの測定ビームのコヒーレンス長は、スプリッタと光ビーム再結合器との間の経路差より短くすることができる。このとき、信号ビームおよび基準ビームの再結合が相互に干渉することができなくなる。
【0049】
遅延ユニットによって、少なくとも1つの測定ビーム、信号ビーム、物体ビーム、および基準ビームを非遅延ビーム部分および遅延ビーム部分に分割することができ、遅延ビーム部分のみに可変および調整可能サイズの位相シフトが与えられる。典型的には、非遅延ビーム部分と比べて、遅延ビーム部分への補助光路を与えることができる。このとき、遅延ビーム部分および非遅延ビーム部分は、それぞれの光ファイバを通って共伝播する。
【0050】
測定ビームが遅延ビーム部分および非遅延ビーム部分に分割されることで、対応する物体ビーム、基準ビーム、信号ビーム、および解析ビームが生成され、これらのビームの各々は、非遅延部分および遅延ビーム部分を有する。このとき、低コヒーレンスの光源によって、信号ビームの非遅延部分が、基準ビームの遅延部分に干渉することが可能になる。信号ビームおよび基準ビームのそれぞれの非遅延および遅延部分は、同じまたは実質的に同一の光路長を受け、したがって相互に干渉することが可能である。
【0051】
信号ビーム、物体ビーム、および基準ビームのうちの1つで与えられる遅延は、基準ビームと信号ビームとの間の経路差に対応するように選択および同調することができる。このようにして、最初により低いコヒーレンスを示す、またはたとえば10cm未満、1cm未満、1mm未満、もしくはさらにはわずか数百マイクロメートルの範囲内の比較的短いコヒーレンス長を含む測定ビームを、それでもなお光源として使用することができる。光学遅延ユニットは、基準ビームと信号ビームとの間のランタイム差を補償するように好適に構成することができる。
【0052】
いくつかの例では、光学遅延ユニットは、測定プローブの上流に設けられる。他の例では、遅延ユニットは、測定ビームおよびそこから導出されるすべてのさらなるビームの伝播に対して、測定プローブの下流に設けられる。
【0053】
概して、光学遅延ユニットは、干渉測定デバイス内の様々な位置に設置することができる。光学遅延ユニットは、ビーム生成ユニットとスプリッタとの間に配置することができる。光学遅延ユニットは、スプリッタと測定プローブとの間に配置することができる。光学遅延ユニットはまた、測定プローブとビーム分割器ユニットとの間に配置することができる。
【0054】
測定デバイスのさらなる例によれば、第1の中心波長λ
1および第2の中心波長λ
2は、式:
【数1】
を満たし、ここで1≦n、m≦50である。
【0055】
いくつかの例では、5≦n、m≦35である。さらなる例では、10≦n、m≦20である。
【0056】
典型的には、いくつかの例では、nおよびmは整数である。λSMは、それぞれ第1および第2の検出器の第1および第2の信号を解析したときに信号アナライザによって人為的に生成される第1の合成波長を画成する。典型的には、第1の合成波長は、第1の中心波長λ1および第2の中心波長λ2のいずれよりも約1~50倍大きい。こうして、干渉測定デバイスによって提供される絶対距離測定に関する測定範囲を増大させることができる。
【0057】
好ましくは、第1の合成波長は、第1の中心波長λ1および第2の中心波長λ2のいずれよりも約5~35倍大きい。nおよびmのそのような選択によって、ロバスト性を改善し、測定の変動および測定の誤差を減少させるという利益のために、合成波長をわずかに減少させることができる。
【0058】
最も好ましくは、第1の合成波長は、第1の中心波長λ1および第2の中心波長λ2のいずれよりも約10~20倍大きい。nおよびmのそのような選択によって、ロバスト性をさらに改善し、測定の変動および測定の誤差をさらに減少させるという利益のために、合成波長をさらに減少させることができる。
【0059】
信号アナライザは、第1の中心波長および第2の中心波長のうちの少なくとも1つに関する信号ビームと基準ビームとの間の相対位相を判定するように動作可能である。この種の解析は、最高の測定精度を提供するが、最短の絶対測定範囲を伴う。第1の合成波長に関する信号解析を実施するときは、測定分解能または測定精度を犠牲にして、絶対測定範囲を増大させることができる。
【0060】
典型的には、いくつかの例では、信号アナライザは、第1の中心波長および第2の中心波長のうちの少なくとも1つに関する解析ビームの干渉信号に基づいて、測定プローブと表面との間の距離を導出するように動作可能である。信号アナライザは、第1の合成波長に関する解析ビームの干渉信号を評価することによって、測定プローブと物体の表面との間の距離を判定するようにさらに動作可能である。
【0061】
一方では第1の合成波長に基づいて実施され、他方では第1の中心波長および第2の中心波長のうちの少なくとも1つに基づいて実施される別個の測定および別個の信号解析により、測定精度または測定分解能を失うことなく、絶対測定範囲の増大が提供される。
【0062】
測定デバイスのさらなる例によれば、第3の中心波長λ
3ならびに第1および第2の中心波長λ
1またはλ
2のうちの1つは、式:
【数2】
を満たし、ここでi=1または2であり、10≦k、l≦2,500である。いくつかの例では、50≦k、l≦1,000である。さらなる例では、100≦k、l≦500である。したがって、パラメータk、lは、50~1,000の範囲内または100~500の範囲内とすることができる。
【0063】
ここでは、第3の中心波長λ3は、第1および第2の中心波長のうちの少なくとも1つの比較的近くに位置する。こうして、第2の合成波長λSGが生成され、第2の合成波長λSGは第1の合成波長λSMより大きい。いくつかの例では、第2の合成波長λSGは、第1の合成波長λSMより約10~20倍大きい。このようにして、干渉測定デバイスによって提供される距離測定の絶対測定範囲をさらに増大させることができる。この第2の合成波長は、数センチメートルまたはさらには数メートル程度の大きさとすることができる。
【0064】
少なくとも第1、第2、および第3の中心波長のうちの2つが互いにより近くに位置するとき、たとえば第1の中心波長および第3の中心波長が5nm未満、3nm未満、またはさらには2nm未満だけ異なるとき、より大きい第2の合成波長を提供することができ、それによって干渉測定デバイスによって提供される絶対距離測定の範囲を数ミリメートル、数センチメートル、またはさらには数メートルの範囲に増大させることができる。
【0065】
好ましくは、第2の合成波長は、第1の中心波長λ1および第2の中心波長λ2のいずれよりも約50~400倍大きい。kおよびlのそのような選択によって、第2の合成波長を増大させることができ、したがって測定デバイスの全体的な絶対測定範囲のそれぞれの増大を提供することができる。
【0066】
最も好ましくは、第2の合成波長は、第1の中心波長λ1および第2の中心波長λ2のいずれよりも約50~500倍大きい。kおよびlのそのような選択によって、第2の合成波長をさらに増大させることができ、したがって測定デバイスの全体的な絶対測定範囲のそれぞれの増大を提供することができる。
【0067】
測定デバイスのさらなる例によれば、ビーム分割器は、解析ビームから第4の中心波長λ4の第4の部分ビームを抽出するように動作可能である。加えて、または別法として、ビーム生成ユニットは、第4の中心波長λ4のスペクトル成分を含む電磁放射を放出するように動作可能な補助光源を含むことができる。
【0068】
典型的には、さらなる例によれば、第4の中心波長λ
4ならびに第1、第2、および第3の中心波長λ
1、λ
2およびλ
3のうちの1つは、式:
【数3】
を満たし、ここでi=1、2、または3であり、100≦h、j≦250,000である。いくつかの例では、500≦h、j≦100,000である。さらなる例では、1,000≦h、j≦5,000である。したがって、パラメータh、jは、500~100,000の範囲内または1,000~5,000の範囲内とすることができる。
【0069】
ここでは、第4の中心波長λ3は、第1、第2、および第3の中心波長のうちの少なくとも1つの比較的近くに位置する。こうして、第3の合成波長λSLが生成され、第3の合成波長λSLは、第1の合成波長λSMおよび第2の合成波長λSGのいずれよりも大きい。いくつかの例では、第3の合成波長λSLは、第2の合成波長λSLより約10~20倍大きい。このようにして、干渉測定デバイスによって提供される距離測定の絶対測定範囲をさらに増大させることができる。この第2の合成波長は、数センチメートルまたはさらには数メートル程度の大きさとすることができる。
【0070】
別の例によれば、第1の中心波長、第2の中心波長、および第3の中心波長は:
- 380~490nmのスペクトル範囲内、
- 400nm~460nmのスペクトル範囲内、
- 404nm~455nmのスペクトル範囲内、
- 449nm~511nmのスペクトル範囲内、
- 449~489nmのスペクトル範囲内、または
- 404~475nmのスペクトル範囲内にある。
【0071】
典型的には、個別の第1、第2、および任意選択の第3、またはさらには第4の光源の選択および/または組合せは、測定の要求、ならびに市販の光源の品質およびコスト効率に依存する。
【0072】
好ましくは、さらなる例によれば、第1、第2、および第3の中心波長はすべて、青色スペクトル範囲内にある。これらの中心波長は、可視青色スペクトル範囲内に位置する。青色スペクトル範囲内、すなわち511nm未満または500未満での物体の表面またはプロファイルの干渉測定のために測定ビームの少なくとも第1および第2の中心波長を使用することは、この特定のスペクトル範囲に対して実質的に吸収性を有するコーティングを備える物体を測定するのに特に有益である。
【0073】
いくつかの例では、SLDが第1の光源として実装され、レーザが第2の光源として使用されるとき、第1の中心波長を約450nmとすることができ、第2の中心波長を約473nmとすることができる。
【0074】
他の例では、第1および第2の光源がどちらもSLDとして実装されるとき、第1の中心波長を約405nmとすることができ、第2の中心波長を約450nmとすることができる。別法として、第1の中心波長を約450nmとすることができ、第2の中心波長を約510nmとすることができる。
【0075】
さらに別法として、第1の光源がSLDを含み、第2および第3の光源が各々レーザを含むとき、第1の中心波長を約450nmとすることができ、第2の中心波長を約473nmとすることができ、第3の中心波長を約480nmとすることができる。
【0076】
さらに別法として、第1および第2の光源がどちらもSLDとして実装され、第3の光源がレーザとして実装されるとき、第1の中心波長は約405nmであり、第2の中心波長は約450nmであり、第3の中心波長は約473nmである。
【0077】
3つの個別の光源が使用され、これらの光源のうちの1つがSLDとして実装されるとき、信号検出および後の信号解析のために、4つまたはさらには5つの異なる中心波長を容易に導出することができる。
【0078】
さらなる例によれば、測定デバイスによって測定予定の物体は、第1および第2の中心波長のうちの少なくとも1つの電磁放射に対して実質的に吸収性を有する材料をその表面に含む。典型的には、物体の材料は、第1、第2、および第3の中心波長のうちの少なくとも1つの電磁放射に対して高い吸収性を有する。いくつかの例では、物体は、コーティングまたはコーティング層でコーティングされた光学要素を含む。典型的には、物体のコーティングは、1μm~10μm、10μm~100μm、20μm~80μm、または30μm~50μmの領域内の層厚さを含むことができる。
【0079】
さらなる例では、測定予定の物体は、10μm未満の層厚さを含むコーティングでコーティングされた表面を含む。コーティングの材料は、第1の中心波長、第2の中心波長、および任意選択の第3の中心波長のうちの少なくとも1つに対して実質的に吸収性を有することができる。典型的には、第1、第2、および任意選択の第3の中心波長の選択は、測定予定の物体のコーティングの材料の種類に依存する。所与のコーティングを有する所与の物体に対して、少なくとも第1および第2の中心波長は、それぞれのスペクトル成分がコーティングによって実質的に吸収されるように選択される。典型的には、特定の中心波長の電磁放射に対して「実質的に吸収性を有する」という用語によって、それぞれの材料またはコーティングを1μm伝播した後のそれぞれの中心波長の電磁放射の強度が、最初の強度の少なくとも50%、少なくとも20%、もしくは少なくとも10%、またはさらには10%未満に低下することが意味される。
【0080】
物体のコーティング材料が実質的に吸収性を有する解析ビームの解析において第1の中心波長および第2の中心波長を使用することによって、コーティングとコーティングされた物体の外面との間の境界面で場合により生じるあらゆる反射を実質的に回避することができる。物体の表面から反射された信号ビームは、コーティングの外面からのみ実質的に反射される。物体ビームのうちコーティング内へ伝播する部分は実質的に吸収され、それ以上反射される可能性はない。
【0081】
したがって、コーティングされた物体のコーティングの吸収特性に応じて適当な波長を選択することは、コーティングされた物体の外面に直接接触するコーティングの下面からのあらゆる反射を回避するのに最終的に有益である。
【0082】
さらなる例によれば、測定デバイスは、光を透過するように、たとえば光ファイバを通って、ビーム生成ユニットに結合されたカプラユニットを含む。カプラユニットは、別の光ファイバを通って測定プローブにさらに接続することができ、さらなる光ファイバを通って分割器ユニットにさらに接続することができる。カプラユニットは、ビーム生成ユニットによって提供される測定ビームをビーム生成ユニットから測定プローブへ誘導し、あらゆる取り込まれたビームを測定プローブから分割器ユニットへ伝送または誘導するように構成される。典型的には、いくつかの例では、測定プローブは、カプラユニットを介してビーム生成ユニットに接続または結合され、測定プローブは、カプラユニットを介してビーム分割器ユニットに接続または結合される。他の例では、カプラユニットと、測定プローブと、分割器ユニットとの間の光結合のうちの少なくとも1つは、自由なビーム伝播を支持する光路として実装される。この光路は、光ファイバを含まなくてよく、自由なビーム伝播を支持することができる。
【0083】
いくつかの例では、スプリッタならびに光ビーム再結合器は、測定プローブ内または測定プローブ上に実装される。
【0084】
解析ビームが測定プローブ内に直接生成される場合、カプラユニットは、解析ビームを測定プローブから分割器ユニットへ誘導するように構成される。他の例では、解析ビームが測定プローブの下流で生成されるとき、光ユニットは、信号ビームを測定プローブから分割器ユニットへ誘導するように構成することができる。カプラユニットは、光ファイバカプラを含むことができ、それによって測定ビームを測定プローブへ誘導することができ、測定プローブによって取り込まれたあらゆるビームを分割器ユニットへ転送または誘導することができる。
【0085】
いくつかの例では、光ユニットは、光サーキュレータとして実装される。さらなる例では、光ユニットは、所与の中心波長の電磁放射の異なるビームを結合および再誘導するように特に適用される。典型的には、カプラユニットは、少なくとも第1および第2の中心波長、ならびに場合により第3の中心波長の電磁放射を1つの光ファイバまたは光学要素から別の光ファイバまたは光学要素へ結合および再誘導するように最適化される。
【0086】
測定デバイスのさらなる例によれば、分割器ユニットは、波長分割マルチプレクサWDMおよびファイバスプリッタのうちの少なくとも1つを含む。ファイバスプリッタは、第1の光学フィルタに接続された第1の出力を含む。ファイバスプリッタは、第2の光学フィルタに接続された第2の出力をさらに含む。いくつかの例では、分割器ユニットは、実質的に波長分割マルチプレクサからなる。そのような波長分割マルチプレクサは、解析ビームを異なるスペクトル成分に、たとえば第1の中心波長の第1のスペクトル成分および第2の中心波長の第2のスペクトル成分に分割するように動作可能である。場合により、波長分割マルチプレクサはまた、解析ビームをそれぞれ第1の中心波長、第2の中心波長、および第3の中心波長の3つの部分ビームに分割するように動作可能とすることができる。
【0087】
波長分割マルチプレクサによって、強度の損失を最小まで低減させることができる。このとき、分割器ユニットの下流に位置する検出器ユニットの第1および第2の検出器には、解析ビームの利用可能なスペクトル強度の最大値を提供することができる。
【0088】
ファイバスプリッタとして実装され、第1の出力が第1の光学フィルタに接続され、第2の出力が第2の光学フィルタに接続されるとき、それぞれの光学フィルタは、第1および第2の中心波長に整合する透過率を含むことができる。典型的には、第1の光学フィルタは、第1の中心波長のみを透過する。第2の光学フィルタは、第2の中心波長のみを透過する。ファイバスプリッタは、入ってくるビームを少なくとも第1の部分ビームおよび第2の部分ビームに分割するように動作可能であり、第1および第2の部分ビームは、ある程度同一または実質的に等しいスペクトル分布を含む。
【0089】
別のファイバスプリッタをさらに提供することができ、それによって測定プローブまたはカプラユニットによって提供される入ってくる解析ビームが、第1、第2、および第3の部分ビームに分割される。次いで、第1、第2、および第3の部分ビームを、それぞれの第1、第2、および第3の光学フィルタへ誘導することができる。それぞれの光学フィルタによって、よりぴったりの中心波長を入射電磁放射から選択することができる。光学フィルタの使用は、電磁強度の実質的な減少を必然的に伴う。しかし、光学フィルタの使用は、さらなる信号解析のためにより短帯域で精密な中心波長を提供する。
【0090】
別の態様によれば、本開示は、コーティングでコーティングすることができる物体、たとえば光学要素の表面またはプロファイルを測定する方法に関する。この方法は、物体を提供する工程を含み、物体は表面材料を含む。いくつかの例では、表面材料は、物体の表面に設けられたコーティングを含む。さらなる工程で、ビーム生成ユニットによって測定ビームが生成される。測定ビームから物体ビームおよび基準ビームが分岐させられる。次いで物体ビームは、光学プローブによって物体の表面へ誘導される。
【0091】
物体ビームおよび測定ビームのうちの少なくとも1つの所与の波長に対して、表面材料は、100μm未満、50μm未満、20μm未満、10μm未満、5μm未満、2μm未満、1μm未満、0.5μm未満、または0.1μm未満の光吸収または光貫入深さを含む。ここでは、光貫入深さは、ビーム強度が1/eに、すなわち最初のビーム強度の約36%に低下した材料の厚さによって画成される。
【0092】
別法として、別の例によれば、表面材料は吸収係数ACを含み、ACは、物体ビームおよび測定ビームのうちの少なくとも1つに対して、500,000cm-1~5,000cm-1(すなわち、1cm-1当たり50万~5千)である。
【0093】
測定ビームのうち物体の表面によって信号ビームとして反射された部分がさらに取り込まれる。その後、物体の表面、たとえば光学要素のコーティングの外面によって反射された信号ビームが、基準ビームと再結合される。再結合された信号ビームおよび基準ビームが、解析ビームを構成する。次いで、解析ビームの干渉が検出器ユニットによって検出され、検出器ユニットの信号を解析することによって、光学プローブと表面との間の距離が導出される。
【0094】
典型的には、さらなる例によれば、物体ビームおよび/または測定ビームの波長は、干渉測定デバイスから離れる方を向いている物体の下面で反射されて少なくとも部分的に吸収された信号ビームの強度が、物体の上面で反射された信号ビームの強度の5%未満、2%未満、1%未満、または0.5%未満になるように選択される。
【0095】
ここでは、少なくとも部分的に吸収された信号ビームは、物体の上面から表面材料に入り、表面材料を通る伝播を受ける。この信号ビームは、干渉測定デバイスから離れる方を向いている表面材料の下面で内部反射され、再び表面材料を通って伝播し、あるいは少なくとも部分的に吸収された信号ビームとして、再び測定プローブに入る。
【0096】
典型的には、所与の表面材料および物体の表面に設けられた表面材料のコーティングに対して、測定プローブに再び入る信号ビームより、物体の表面材料の上面によってまたは物体の表面材料の上面で反射された放射が優先するように、測定ビームの第1および第2の中心波長のうちの少なくとも1つが選択される。こうして、物体ビームのうち表面材料に入る部分が実質的に吸収され、反射された信号ビーム部分が、表面材料の上面で反射される信号ビーム部分に干渉または重複しなくなる。
【0097】
さらなる態様では、コーティングでコーティングされた物体の表面および/またはプロファイルを測定する方法が提供され、コーティングは表面材料を含む。表面を測定する方法は干渉による方法であり、物体ビームおよび基準ビームが測定ビームから分岐させられる。物体ビームの中心波長は、物体ビームが物体の表面材料によって実質的に吸収されるように選択される。このようにして、物体のコーティングの上面または外面から反射された光のみが、さらなる干渉信号解析のために再び測定プローブに入ることを保証することができる。
【0098】
その限りにおいて、この方法は、物体の表面材料が実質的に吸収性を有する所望の中心波長を有する測定ビームを選択または提供することを特徴とする。このようにして、表面材料のコーティングがより薄い場合、または測定予定の物体を比較的薄くするべきであるとき、たとえば物体が10mm未満、5mm未満、または1mm未満の厚さを含むべきであるとき、測定ビームの中心波長は、表面材料の吸収係数または光貫入深さに関して選択される。これは、コーティングの下面または測定予定の物体の下面からのあらゆる反射を実質的に回避または抑制することができるため、特に有益である。
【0099】
いくつかの例では、上述した方法は、上述した干渉測定デバイスによって実施される予定である。その限りにおいて、干渉測定デバイスに関連して上述したすべての構成、効果、および利益は、物体の表面またはプロファイルを測定する方法にも等しく適用することができる。逆も同様であり、上述した測定デバイスはまた、上述した物体の表面またはプロファイルを測定する方法を実施するように構成および適用することができる。
【0100】
さらなる例によれば、測定予定の物体は、表面にコーティングを含む。ここでは、物体のコーティングが表面材料を含む。典型的には、物体のコーティング全体が表面材料から作られる。他の例では、コーティングの外層または上層が表面材料から作られる。物体ビームが物体の表面へ誘導されるとき、コーティングに入る物体ビームの大部分がコーティングによって吸収される。このようにして、コーティングの下面からのあらゆる反射または測定プローブから離れる方を向いている物体の下面からの反射を実質的に回避および抑制することができる。
【0101】
さらなる例によれば、物体のコーティングは、シリコンもしくはダイヤモンドライクカーボンDLCを含み、またはシリコンもしくはダイヤモンドライクカーボンDLCからなる。たとえばレンズまたはミラーなどの光学要素の形態の物体が、たとえばシリコン層でコーティングされたとき、この方法および測定デバイスは、典型的には、550nm未満の波長の実質的なスペクトル成分、すなわち無視できないスペクトル成分を含む測定ビームを提供するように実装される。好ましくは、測定ビームは、たとえば第1の中心波長および第2の中心波長のいくつかのスペクトル成分を含み、第1および第2の中心波長はどちらも550nm未満である。
【0102】
典型的な例では、測定予定の物体がシリコンでコーティングまたはDLCでコーティングされるとき、測定ビームは、第1および第2の中心波長、ならびに場合により第3の中心波長のスペクトル成分を含み、第1、第2、および第3の中心波長は380nm~480nmである。このようにして、物体ビームのうちコーティングに入る部分が実質的に吸収され、コーティングの下面からのあらゆる反射を実質的に抑制または回避することができる。
【0103】
以下、測定デバイスならびに光学要素などの物体の表面および/またはプロファイルを測定する方法の多数の例について、図面を参照することによってより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【
図1】本開示による干渉測定デバイスの一例を示す図である。
【
図2】干渉測定デバイスのさらなる実装を示す図である。
【
図3】結合器ユニットを備えたビーム生成ユニットの一実施形態を示す図である。
【
図4】さらなる例におけるビーム生成ユニットおよび結合器ユニットのさらなる例を示す図である。
【
図8】ビーム生成ユニットの別の例を示す図である。
【
図9】ビーム生成ユニットのさらなる例を示す図である。
【
図10】測定ビームのスペクトル分布を示す図である。
【
図11】ビーム分割器ユニットと検出器ユニットの組合せを示す図である。
【
図12】測定ビームのスペクトル分布の別の例を示す図である。
【
図13】光学ダイオード配置の一例を示す図である。
【
図14】干渉測定デバイスによって表面を測定する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0105】
図1に、物体1の表面2、4またはプロファイルを測定するための干渉測定デバイス10が概略的に示されている。干渉測定デバイス10は、少なくとも第1の光源21を含むビーム生成ユニット20を含む。第1の光源21は、550nm未満の波長のスペクトル成分を有する測定ビームBMを生成するように動作可能である。典型的には、第1の光源21は、550nm未満かつ380nmを超える視覚スペクトル範囲内の測定ビームを生成するように動作可能である。
【0106】
干渉測定デバイスは、少なくとも1つの光ファイバ91、92、93、94を通ってビーム生成ユニット20に接続された測定プローブ50をさらに含む。
図6により詳細に示すように、測定プローブ50はスプリッタ55を含み、ビーム生成ユニット20によって提供される測定ビームBMは、スプリッタ55によって物体ビームBOおよび基準ビームBRに分離される。
【0107】
物体ビームBOのみが、物体1の表面2、4の方へ誘導される。そこで、すなわち物体1の表面2、4で、物体ビームBOは信号ビームBSとして反射され、再結合器56によって基準ビームBRと再結合される。基準ビームBRと再結合された信号ビームBSは、解析ビームBAを構成または形成する。解析ビームBAは、
図1に示すように、測定プローブ50からビーム分割器ユニット60の方へ伝送される。
【0108】
分割器ユニット60は、少なくとも1つの光ファイバ94、95を通って測定プローブ50に接続されており、解析ビームBAから第1の中心波長λ1の第1の部分ビームBP1を抽出し、第2の中心波長λ2の第2の部分ビームBP2を導出するように動作可能である。第1および第2の部分ビームBP1およびBP2は、検出器ユニット70の第1の検出器71および第2の検出器72へ別個に提供および伝送される。そこで、解析ビームBAの干渉の波長選択的な検出を提供することができる。
【0109】
検出器ユニット70の個別の検出器71、72は、伝送線98を介して信号アナライザ80に接続される。信号アナライザ80は、少なくとも第1の検出器71および少なくとも第2の検出器72から取得した信号に基づいて、測定プローブ50と表面2、4との間の距離Dを導出または計算するように構成される。
【0110】
図6に示す例では、測定プローブ50をビーム生成ユニット20に接続する光ファイバ94のファイバ端面52が、スプリッタ55として作用する。したがって、ビーム生成ユニット20によって提供された測定ビームBMの一部分が反射され、すなわち光ファイバ94内でファイバ端面52から内部反射される。測定ビームBMの別の部分は、ファイバから光学要素51を通って伝播し、物体ビームBOとして物体1の表面4、2に向かって表面4、2へ誘導される。典型的には、物体ビームBOは、それぞれの表面2、4の一部に集束させられる。ファイバ端面52の内部反射率を増大させるために、ファイバ端面52、したがってスプリッタ55にコーティング53を設けることができる。こうして、物体ビーム、したがって信号ビームの強度を犠牲にして、基準ビームBRの強度を増大させることができる。
【0111】
物体ビームBOの一部分は、測定予定の表面2、4から反射され、信号ビームBSとして再び測定プローブ50に入る。典型的には、信号ビームBSは、物体ビームBOを逆方向に伝播する。信号ビームBSは光ファイバ94に入り、基準ビームBRと再結合される。それに応じて、基準ビームBRと信号ビームBSとの間の、位相オフセットして反射するランタイム差が生じる。このランタイム差は、スプリッタ55と再結合器56との間、したがってスプリッタ55と物体1の表面4、2との間の光路差、したがって距離Dに直接相関する。
【0112】
可変の距離によって、その結果得られる解析ビームBAのそれぞれの干渉信号は測定可能な変化を受け、これは個別の検出器71、72によって検出可能であり、次いで検出器71、72からの信号はさらなる信号解析を受け、それによって測定プローブ50と物体1の表面4、2との間の距離Dを導出または計算する。
【0113】
いくつかの例では、測定予定の物体1にコーティング3または表面材料5が設けられる。コーティング3および/または表面材料5は、シリコンまたはダイヤモンドライクカーボンDLCを含むことができる。測定プローブ50の方を向いているコーティング3、したがって表面材料5の層は、5~10μm、10~20μm、10μm~100μm、50μm~150μm、100μm~200μm、150μm~250μm、または100μm~300μmなど、わずか数マイクロメートルの範囲内の厚さを含むことができる。赤外スペクトル範囲内の測定ビームBMを使用すると、コーティング3がこのスペクトル範囲内の電磁放射に対して実質的に透過性を有するため、多数の問題を招く可能性がある。このとき、コーティング3の外面4上またはコーティング3の外面4からの反射だけでなく、物体1または光学要素の外面に接触して直接隣接するコーティング3の内面2からも反射が生じることがある。このとき、外面4から反射された信号ビームBSと、下面2または物体1とコーティング3との間の境界面から反射された信号ビームBS’とを区別するのはより困難である。
【0114】
550nm未満の波長のスペクトル成分を含むように測定ビームを選択または設計することによって、コーティング3内へコーティング3を通って伝播するそれぞれの物体ビームBOが実質的に吸収される。こうして、物体1とコーティング3との間の境界面で反射される信号ビームBS’の強度が最小まで低減され、反射された信号ビームBSおよび基準ビームBRの再結合によってもたらされる解析ビームBAの干渉の検出および解析を妨げることがなくなる可能性がある。
【0115】
典型的には、ビーム分割器ユニット60は、第1および第2の部分ビームBP1、BP2を生成または導出するように動作可能であり、それぞれの部分ビームは、380nm~550nmの第1および第2の中心波長λ1、λ2を含む。このようにして、物体1のコーティング3の外面4から反射されたそのような物体ビームのみが検出および後の信号解析を受けるようになることを確実にすることができる。コーティングの内面2からの内部反射が実質的に抑制される。
【0116】
いくつかの例では、測定プローブ50はハウジング54を含む。ハウジング54は、光学要素51、たとえば視準または集束用光レンズのための取付具として働く。ファイバ端面52、したがってファイバ94全体を、ハウジング54に取り付けて固定することができる。場合により、測定ビームBMの位相を周期的に修正することができる圧電トランスデューサなどのトランスデューサ58、または何らかの他の種類の位相変調器を設けることができる。測定ビーム、したがって基準ビームおよび信号ビームの位相のそのような周期的な変調は、基準ビームBRと信号ビームBSとの間の相対位相の精密な測定にとって有益である。
【0117】
図1に示す干渉測定デバイス10は、光ファイバ構成要素によって実装される。干渉測定デバイス10の個別の構成要素は、個別の光ファイバ91、92、93、94、95、96、97、99を通って光学的に接続される。光ファイバの実装および個別の構成要素のそれぞれの光ファイバ接続によって、干渉測定デバイス全体がよりロバストで安定したものになる。干渉測定デバイスは、典型的には光カプラユニット40を含み、光カプラユニット40は、光ファイバ93を通ってビーム生成ユニット20に接続され、別の光ファイバ94を通って測定プローブ50に接続され、さらなる光ファイバ95によって分割器ユニット60に接続される。カプラユニット40は、光サーキュレータとして実装することができる。いくつかの実施形態または例では、カプラユニット40は、Xカプラなどの光ファイバカプラを含む。
【0118】
光ファイバ93によって提供された電磁放射は、さらなる光ファイバ94を通って測定プローブ50へ伝送される。測定プローブ50によって取り込まれ提供される解析ビームBAは、同じ光ファイバ94を通って伝送され、逆方向に伝播する。解析ビームBAは、カプラユニット40によってビーム分割器ユニット60へ再誘導される。
【0119】
測定ビームBMから物体ビームBOおよび基準ビームBRへの分割は、測定プローブ50内で行われる。また、信号ビームBSと基準ビームBRの再結合は、測定プローブ50のファイバ端面52で行われる。他の例では、測定ビームBMの分割ならびに信号ビームBSおよび基準ビームBRの再結合を、干渉測定デバイス10の他の構成要素によって行うことができる。たとえば、測定ビームBMから物体ビームBOおよび基準ビームBRへの分割を、ビーム生成ユニット20およびカプラユニット40のうちの1つによって行うことができる。他の例では、基準ビームBRおよび信号ビームBSの再結合を、カプラユニット40またはビーム分割器ユニット60によって行うことができる。
【0120】
概して、ビーム生成ユニット20は、550nm未満の波長のスペクトル成分を含む少なくとも1つの光源21を含む。いくつかの例では、光源21はより広帯域の光源であり、電磁放射のより大きいスペクトル分布を提供する。このとき、ビーム分割器ユニット60は、第1の光源21によって提供されるスペクトル分布から、第1および第2の中心波長の第1および第2の部分ビームBP1、BP2を導出または抽出するように動作可能である。
【0121】
他の例では、ビーム生成ユニット20は、第1の中心波長λ1のスペクトル成分を含む電磁放射を放出するように動作可能な第1の光源21を含み、第2の中心波長λ2のスペクトル成分を含む電磁放射を放出するように動作可能な第2の光源22をさらに含む。このようにして、ビーム生成ユニット20によってもたらされるまたは生成される電磁放射のスペクトル分布は、ビーム分割器ユニット60によって抽出される第1および第2の部分ビームBP1、BP2の第1および第2の中心波長に密接に適用されており、それらの第1および第2の中心波長に厳密に整合することができる。
【0122】
好ましくは、第1の光源21は、第1の中心波長の電磁放射を生成および放出するように動作可能であり、第2の光源22は、第2の中心波長の電磁放射を生成および放出するように動作可能である。このようにして、検出器ユニット70における信号対雑音比を改善することができ、干渉測定デバイス10の全体的な効率および有効性を高めることができる。
【0123】
図1にさらに示すように、ビーム生成ユニット20は、結合器ユニット25を含むことができ、または結合器ユニット25に接続することができる。
図1に示すように、第1の光源21は、光ファイバ91によってまたは光ファイバ91を通って、結合器ユニット25に接続される。第2の光源22は、別の光ファイバ92を通って、結合器ユニット25に個別にかつ別個に接続される。結合器ユニット25内では、第1および第2の光源21、22によって生成され、それぞれの光ファイバ91、92によって提供される個別の光ビームが、カプラユニット40に入る単一の光ファイバ93内で結合される。
【0124】
図2に示すさらなる例では、
図1による干渉測定デバイス10の機構が、第3の中心波長λ
3に拡大されている。ここでは、検出器ユニット70は、第1の中心波長λ
1のための第1の検出器ユニット71と、第2の中心波長λ
2のための第2の検出器ユニット72と、第3の中心波長λ
3のための第3の検出器73とを含み、それぞれの中心波長は互いに対して異なる。
【0125】
個別の検出器71、72、73は、電気信号線98を通って信号アナライザ80に別個にまたは一緒に接続することができ、個別の検出器71、72、73によって生成される電子または電気信号は、電気信号線98によって、電子信号アナライザまたは電子的に実装される信号アナライザ80へ伝送される。
【0126】
図2からさらに明らかなように、解析ビームBAの多波長選択的な解析を提供するために、ビーム分割器ユニット60は、光ファイバ95によって提供される解析ビームから、第1および第2の部分ビームだけでなく第3の部分ビームBP3も抽出するように動作可能である。3つの部分ビームBP1、BP2、およびBP3は、個別の光ファイバ96、97、99を通ってそれぞれの第1、第2、および第3の検出器71、72、73へ個別に伝送される。生成ユニット20によって実装される光源21、22、23の種類に応じて、異なる中心波長を解析ビームBAから抽出することができる。
【0127】
図2の例では、ビーム生成ユニット20は、3つの個別の光源21、22、23を含む。ここでは、第1の光源21は、第1の中心波長の電磁放射を生成および放出するように動作可能である。第2の光源22は、第2の中心波長の電磁放射を生成および放出するように動作可能であり、第3の光源23は、第3の中心波長の電磁放射を生成および放出するように動作可能である。
【0128】
別個の光源21、22、23は、それぞれの光ファイバ90、91、92によって結合器ユニット25に個別に結合される。結合器ユニット25内で、または結合器ユニット25によって、個別の光源および3つの個別の光ファイバ90、91、92によって提供される電磁放射が単一の光ファイバ93内で結合され、結合または重畳された電磁放射は、光ファイバ93によってカプラユニット40へ伝送される。
【0129】
光結合器ユニット25は、たとえば
図8に示すように光ファイバ結合器14として実装された光カプラ15を含むことができる。結合器ユニット、したがって光結合器14によって、第1および第2の光ファイバによって提供される電磁光強度を、単一の出力ファイバ内で結合することができる。
【0130】
いくつかの例では、個別の光源21、22、23は、レーザ光源27またはスーパールミネッセントダイオードSLD26として実装される。
図1の例では、光源21、22はどちらも、レーザ光源27として実装される。同様に、
図2および
図4の例では、光源21、22、23のうちの少なくとも1つがレーザ27として実装される。別法として、光源21、22、23のうちの少なくとも1つを、SLDまたは白色光源として実装することができる。
【0131】
図3の例では、第1の光源21および第2の光源22がどちらも、SLDとして実装される。ここでは、第1の光源21によって生成される放射が、光ファイバ91を通って結合器ユニット25へ伝送される。第2のSLD光源22によって生成される光は、別の光ファイバ92を通って結合器ユニット25内へ結合器ユニット25の方へ伝送される。結合器ユニット25内で、別個の光ファイバ91、92によって提供されたそれぞれのビームが結合され、さらなる光ファイバ91aを通って光学遅延ユニット30内へ共伝播する。
【0132】
光学遅延ユニット30は、干渉測定デバイス10の任意選択の構成要素であり、典型的には、少なくとも1つの光源21、22、23がSLDなどの比較的低い空間コヒーレンスの光源として実装されるデバイス10の例に提供される。遅延ユニット30は、前述の光ファイバ93を介してカプラユニット40にさらに接続される。
【0133】
図4に示すさらなる例では、ビーム生成ユニット20は、レーザ光源27として実装された第1の光源21を含む。ビーム生成ユニット20は、SLD26として実装された第2の光源22をさらに含む。ここでは、第1の光源21の出力は、光ファイバ91を通って結合器ユニット25に直接接続される。第2の光源22の出力は、光ファイバ92を介して遅延ユニット30に接続される。遅延ユニット30の出力は、結合器ユニット25に接続される。
【0134】
遅延ユニット30は、低コヒーレンスの光源22によって生成された測定ビームBMのスペクトル成分に人為的な位相または遅延を与える働きをする。典型的には、低コヒーレンス光を使用するとき、基準ビームBRと信号ビームBSとの間の光路差Dを、それぞれの光源によってもたらされる電磁放射のコヒーレンス長より大きくすることができる。
【0135】
このとき、2つのビームが干渉しなくなり、それぞれの干渉距離測定は可能ではなくなるはずである。
図5により詳細に示す光学遅延ユニット30では、基準ビームに人為的かつ調整可能な遅延を与えて、基準ビームのうち人為的な遅延を与えられた部分が、測定された測定プローブ50と表面2、4との間の距離Dに実質的に整合するようにすることができる。
【0136】
図5に示す遅延ユニット30は入力31を含み、入力31は、
図3に示すように光ファイバ91aに接続され、または
図4に示すように光ファイバ92に接続される。内部では、遅延ユニット30は光ファイバカプラ33を含み、入射光は、光ファイバカプラ33によって遅延ヘッド35内へ誘導される。遅延ヘッド35は、集束レンズなどの光学要素37を含むことができ、入射光は光学要素37によって、たとえばミラーまたは再帰反射要素として実装された反射体34へ誘導される。遅延ヘッド35は、別の光ファイバ39によって、入力31および/または光ファイバカプラ33に接続される。遅延ヘッド35と反射体34との間で、それぞれの光ビームは自由な伝播を受ける。
【0137】
遅延ヘッド35内で終端する光ファイバ39のファイバ端面36が、遅延ヘッド35に固定される。遅延ヘッド35は、光軸に沿って、または反射体34に対して可動である。この場合も、測定プローブ50に関連して上述したものと同様に、光ファイバ39の端面36は、光ファイバ39によって提供される電磁放射に対するスプリッタとして働く。電磁放射の一部分は、ファイバ端面36によって再帰反射され、それぞれの電磁放射の別の部分は、反射体34によって反射され、遅延ヘッド35によって取り込まれる。場合により、遅延ヘッド35は、トランスデューサ38または任意の他の種類の位相変調器による周期的な変調を受けることができる。測定ビームBMが光学遅延ユニット30を通って完全に伝播するとき、トランスデューサ38または位相変調器は、測定プローブ50のトランスデューサ58または位相変調器58に取って代わることができ、またはそれに置き換わることができる。
【0138】
こうして、調整可能かつ修正可能な遅延Δdを基準ビームBRに与えることができる。反射体34から反射された光は、遅延ヘッド35によって取り込まれ、再びカプラ33に入る。そこから、取り込まれた光は、カプラ33から出力32の方へ伝播し、出力32は、光を通すように光ファイバ93に接続され、したがって
図3に示すようにカプラユニット40に直接接続される。
【0139】
別法として、
図4に示すように、遅延ユニット30の出力32は、光ファイバ91aに接続することができ、結合器ユニット25に入って、レーザ光源27によって提供されるさらなるスペクトル成分に再結合することができる。
図7に、物体1の表面2に設けられたコーティング3の吸収を示すグラフ100が概略的に示されている。コーティング3は表面材料5を含む。表面材料5は、厚さCを有する層を含む。層厚さCは、数マイクロメートルの範囲内とすることができる。いくつかの例では、層厚さは、5μm未満、10μm未満、20μm未満、50μm未満、または100μm未満である。いくつかの例では、コーティング3の厚さCは、さらに1μm未満とすることができる。
【0140】
典型的には、いくつかの例では、測定ビームBMは、550nm未満の波長の中心波長、または少なくともスペクトル成分を含む。このスペクトル範囲内で、表面材料5は、それぞれの電磁放射に対して実質的に吸収性を有する。
図7のグラフ100に示すように、層厚さCにわたって伝送される光強度は、表面材料5を約1μm伝播した後に約1%に低下する。実質的には、550nm未満の波長のスペクトル成分を有する測定ビームを使用することによって、コーティング3およびたとえばシリコンまたはDLCの形態のそれぞれの表面材料5は実質的に吸収性を有し、したがってコーティング3の下面2から信号ビームBS’として反射される光の寄与が無視できるほどわずかになる。
【0141】
図8は、
図4による実施形態をより詳細な図で示す。ここでは、ビーム生成ユニット20は、レーザ27として実装された第1の光源21を含む。ビーム生成ユニット20は、SLD26として実装された第2の光源22を含む。SLD26は、光源22内へのあらゆる反射または後方散乱を回避するために、光アイソレータまたは光ダイオード24に接続される。光ダイオード24の出力は、光学遅延ユニット30に接続される。ここでは、第2の光源22によって生成される光ビームが、
図5に関連して上述したように、可変かつ同調可能な光学遅延を受ける。
【0142】
第1の光源21はレーザ光源27である。第1の光源21は、光ファイバカプラ11によって光ファイバ91に接続される。遅延ユニット30の出力には光ファイバ92が設けられる。2つの光ファイバ91、92は、結合器ユニット25に入る。結合器ユニット25は、たとえば光ファイバ結合器14として実装された光ファイバカプラ15を含む。光ファイバカプラ15は、典型的には結合器として実装されており、光源21、22の種類が異なるため、クロストークまたは光ファイバ結合の程度に関して非対称とすることができる。
【0143】
この例では、第1の光源21によって提供される光強度は、第2の光源22によって提供される光強度より約10倍大きい。光ファイバ結合器14の混合比は、様々な光源21、22の異なる光強度に従って、別の光ファイバカプラ11を通ってまたは別の光ファイバカプラ11によって光結合器ユニット25の出力に接続される出力光ファイバ93内で、個別の光源21、22のスペクトル成分が実質的に等しく分散されるように、適当に設計および構成される。
【0144】
図9に示すさらなる例では、ビーム生成ユニット20は、第1の光源21および第2の光源22を含み、光源21、22はどちらも、SLD26として実装されている。ここでは、個別の光源21、22がどちらも光ダイオード24を備えており、光ダイオード24は、結合器ユニット25とそれぞれの光源21、22との間に設けられる。光ダイオード24は、光ファイバによって実装される。光ダイオード24は、それぞれの光ファイバカプラ11によって、光源21、22の光ファイバならびに結合器ユニット25の光ファイバに接続される。
【0145】
結合器ユニット25の出力は、たとえば光ファイバxカプラ15として実装されたカプラ33を含む遅延ユニット30に接続される。カプラ15の出力は、光ファイバ39を介して遅延ヘッド35に接続される。カプラ15の別の出力は、光ファイバ93に接続することができ、光ファイバ93は、カプラユニット40および/または測定プローブ50に接続されており、または接続可能である。カプラ15のさらなる出力には、ビームトラップ12を設けることができる。
【0146】
異なる光源21、22、23およびそれらの相互光結合の特有の選択は、測定予定の物体1のコーティング3の種類に依存する。この特有の選択は、市販の光源ならびに投影光を案内する光学構成要素、たとえば光ファイバ、カプラ、および結合器の利用可能性にさらに依存することができる。
【0147】
図10の例では、第1の光源21としてスーパールミネッセントダイオード26を使用し、第2の光源22としてレーザ27を使用するときの測定ビームのスペクトルを示すグラフ110が示されている。示されているように、スーパールミネッセントダイオード26、したがって第1の光源21は、550nmの領域内でより広帯域のスペクトルを提供する。SLDによって生成および提供される電磁放射のスペクトル幅は、3dBで約6nmとすることができる。
【0148】
それと比べて、第2の光源21は、第2の中心波長、たとえば472.9nmの電磁放射を放出するように構成される。レーザ光源によって放出される放射は、比較的長いコヒーレンスであり、たとえば1MHz未満のより小さい帯域幅(FWHM)を示す。
【0149】
第1の光源21はより広帯域の光信号を提供するため、放出されたスペクトルから第1の中心波長および第3の中心波長を選択することができる。これは、それぞれの中心波長、たとえば448.2nmおよび450.4nmを有し、したがって第1および第3の中心波長を画成する適当なフィルタによって行うことができる。ここでは、第3の中心波長は、第1の中心波長のより近くに位置し、したがって比較的大きい合成波長が第1および第3の中心波長から構成される。
【0150】
第2の中心波長は、第1および第3の中心波長のうちの少なくとも1つから明確なスペクトル距離をあけて提供される。ここでは、解析ビームBAの干渉解析のために、たとえば第1の中心波長および第3の中心波長に基づく別の合成波長を人為的に生成することができる。
【0151】
図11に、スーパールミネッセントダイオード26の電磁放射ならびにレーザ27によって生成および放出される電磁放射から構成される測定ビームの波長分割のために特に実装された分割器ユニット60の一例が示されている。ここでは、分割器ユニット60は、第1の出力69aおよび第2の出力69bを有する波長分割マルチプレクサ61を含む。第1の出力69aは、第2の中心波長の放射、したがってレーザ27によってもたらされる放射を伝送するように構成された光学フィルタ68に接続される。光学フィルタ68の下流には、検出器ユニット70の第2の検出器72が設けられる。
【0152】
WDM61の第2の分岐または第2の出力69bは、光ファイバカプラ11を介して、さらなる光ファイバによって光ファイバスプリッタ62に接続され、光ファイバスプリッタ62は、第2の出力69bによって提供されるビームを等しいまたは異なる分岐または部分に分割するように動作可能である。ここでは、スプリッタ62の第1の出力は、フィルタ65へ誘導され、次に第1の検出器71へ誘導される。スプリッタ62の第2の出力64は、フィルタ66へ、さらにフィルタ67へ誘導され、最終的に第3の検出器73へ誘導される。第2の検出器72の前に位置するフィルタ68は、検出器72のための保護フィルタとして実装される。フィルタ68は、SLDによって生成されるスペクトル成分を抑制するように動作可能であり、および/またはそのように構成される。同様に、第1の検出器71の前に位置するフィルタ65は、レーザ光源27のスペクトル成分を抑制するように動作可能である。第3の検出器73の前に位置する光学フィルタ66、67の示されているカスケード接続は、それぞれの検出器をあらゆる混乱から保護する働きをする。ここでは、第3の中心波長が第1の中心波長よりレーザ光源の第2の中心波長に近いため、光学フィルタ66が、レーザ光源27のスペクトル成分を抑制するように実装される。
【0153】
このとき、さらなる光学フィルタ67は、第3の中心波長外にある光のあらゆるさらなるスペクトル成分を抑制するように構成される。
【0154】
多数のグラフ111、112、113、および114に、
図11に関連して上述した様々なフィルタ65、66、67、および68の伝送およびフィルタ効率の例が提供されている。フィルタ65は、450nmより大きい波長のスペクトル成分を抑制するように動作可能である。フィルタ66は、420nm前後のスペクトル領域内の波長の電磁放射を抑制するように動作可能である。光学フィルタ67は、450nm~490nmの範囲内のスペクトル成分を伝送するように動作可能である。光学フィルタ67は、第3の中心波長、たとえば450nm前後の第3の部分ビームを提供および伝送するように動作可能である。
【0155】
グラフ114に示す光学フィルタ68は、460nm未満の波長のあらゆるスペクトル成分を抑制するように特に動作可能である。
【0156】
図12に示すさらなる例では、どちらもSLDとして実装された2つの個別の第1および第2の光源21、22が提供される。ここでは、第1の光源21は、405nm前後のスペクトル領域内の電磁放射を放出するように動作可能である。第2のSLD光源22は、約450nmの電磁放射を放出するように動作可能である。
図12のグラフ120に示すように、第1の中心波長は約405nmであり、第2の中心波長は約449nmであり、第3の中心波長は約451nmである。ここでは、第2および第3の中心波長は、やや大きい合成波長を生成するように動作可能であり、したがって干渉測定デバイスの絶対測定範囲を増大させることが可能である。
【0157】
ビーム分割器ユニット60および
図12に示すビーム生成ユニット20の機構は、
図11の概略図とある程度同一とすることができる。当然ながら、それぞれの光学フィルタは、ビーム生成ユニット20の中心波長に密接に対応して選択される。
【0158】
本明細書に記載および提案するスーパールミネッセントダイオードSLD26は、干渉測定デバイス10内で発生しうる内部反射の影響をより受けやすい。SLD内へ後方伝播するあらゆる反射または内部反射を抑制するために、
図13に示す光学ダイオード配置85を設けることができる。光学ダイオード配置85は、ビーム生成ユニット20と測定プローブ50およびカプラユニット40のうちのいずれか1つとの間に設けることができる。光学ダイオード配置85は、波長分割マルチプレクサ61を含むことができ、それによって入ってくる光を第1の光ファイバ分岐および第2の光ファイバ分岐に分離することができる。第1の分岐は光ダイオード24を含むことができ、第2の分岐は別の光ダイオード24’を含むことができる。
【0159】
光ダイオード24、24’は、波長分割マルチプレクサ61に接続されており、波長分割マルチプレクサ61は、測定ビームBMの少なくとも2つのスペクトル成分を2つの別個の光ファイバおよびそれぞれの光ファイバカプラ11に分離する。光ダイオード24、24’の出力は、別のWDM61’によって再結合される。WDM61’の出力は、光ファイバ93、94を通って、カプラユニット40および測定プローブ50のうちの1つに結合または接続することができる。
図13に示す光学ダイオード配置85は、入ってくる光が第1のスペクトル成分および第2のスペクトル成分に分離され、第1のスペクトル成分は第1の分岐および第1の光ダイオード24を通って伝播し、第2の光学構成要素は第2の分岐、したがって第2の光ダイオード24’を通って伝播するため、特に有益である。
【0160】
このようにして、スペクトル成分の各々に対する光ファイバシステム内のあらゆる後方反射またはあらゆる後方散乱を防止する働きをする波長選択的な光学ダイオード配置が提供される。
【0161】
図14に、物体1の表面2、4またはプロファイルを測定する方法が概略的に示されている。ここでは、第1の工程200で、上述したビーム生成ユニット20によって測定ビームBMが生成される。さらなる工程202で、前の工程200で提供された測定ビームから物体ビームBOおよび基準ビームBRが分岐される。
【0162】
工程204で、物体ビームBOは測定予定の物体1の表面2、4へ誘導される。工程206で、物体ビームBOのうち物体1の表面材料5内へ伝播する部分が吸収され、工程208で、物体ビームBOのうち物体1またはコーティング3の外面から反射された部分のみが、再び測定プローブ50に入る。その後、工程210で、物体ビームBOのうち信号ビームBSとして再び測定プローブに入る反射部分が基準ビームBRと再結合され、次いで光学プローブ50と物体の表面との間の距離Dを判定または導出するために干渉信号解析に使用される。
【符号の説明】
【0163】
1 物体
2 表面
3 コーティング
4 コーティング面
5 表面材料
10 測定デバイス
11 カプラ
12 ビームトラップ
14 結合器
15 カプラ
20 ビーム生成ユニット
21 光源
22 光源
23 光源
24 光ダイオード
25 結合器ユニット
26 スーパールミネッセントダイオード
27 レーザ
30 光学遅延ユニット
31 入力
32 出力
33 カプラ
34 反射体
35 遅延ヘッド
36 ファイバ端面
37 光学要素
38 トランスデューサ
39 光ファイバ
40 カプラユニット
50 測定プローブ
51 光学要素
52 ファイバ端面
53 コーティング
54 ハウジング
55 スプリッタ
56 再結合器
58 トランスデューサ
60 分割器ユニット
61 WDM
62 スプリッタ
63 出力
64 出力
65 フィルタ
66 フィルタ
67 フィルタ
68 フィルタ
69 出力
70 検出器ユニット
71 検出器
72 検出器
73 検出器
80 信号アナライザ
85 光学ダイオード配置
90 光ファイバ
91 光ファイバ
92 光ファイバ
93 光ファイバ
94 光ファイバ
95 光ファイバ
96 光ファイバ
97 光ファイバ
98 伝送線、電気信号線
99 光ファイバ
100 グラフ
110 グラフ
111 グラフ
112 グラフ
113 グラフ
114 グラフ
120 グラフ
【国際調査報告】