(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】自動車投光器用の照射装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/25 20180101AFI20240702BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20240702BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20240702BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240702BHJP
【FI】
F21S41/25
F21S41/143
F21W102:13
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500379
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2022067098
(87)【国際公開番号】W WO2023280578
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ラリミアン、レッツァ
(72)【発明者】
【氏名】ミートラー、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】キム、キュングソング
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジージェン
(72)【発明者】
【氏名】ジョング、ビュングウォー
(57)【要約】
【課題】色消し特性及び熱的に頑丈な特性を保証する、改善された照射装置を提供する。
【解決手段】自動車投光器用の照射装置であって、照射装置は、少なくとも1つの光源と、投射レンズシステムとを含み、投射レンズシステムは、光を配光のかたちで照射装置の前方へ主放射方向(X)に投射するように構成されており、また投射レンズシステムは、以下のものから構成され、即ち、第1焦点を有する第1レンズ(100)と、但し第1レンズは、非球面状であり、精密ガラス成形を用いて精密ガラスから製造されており、第1レンズは、凸状の出射面と、光入射を増加させるために凹状の入射面とを有し、第1レンズは、n≧1.8の屈折率を有すること、第2焦点を有する第2レンズ(200)と、但し第2レンズは、ガラス研磨を用いてガラスから製造されていること、第3焦点を有する第3レンズ(300)と、但し第3レンズは、プラスチックから成る非球面状の両凹レンズとして構成されていること、第4焦点を有する第4レンズ(400)と、但し第4レンズは、プラスチックから成る非球面状の両凸集光レンズとして構成されていること、第3レンズ(300)と第4レンズ(400)の間に配設された絞り(500)とから構成され、第2レンズ(200)と第3レンズ(300)は、色収差を回避するためにアクロマートレンズ対として協働するように構成されており、第3レンズ(300)と第4レンズ(400)は、実質的に同じ熱膨張係数を有し、第3レンズ(300)と第4レンズ(400)は、様々な温度における共通の焦点の変位を回避するためにアサーマルレンズ対として協働するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車投光器用の照射装置(10)であって、
前記照射装置(10)は、少なくとも1つの光源(20)と、投射レンズシステム(50)とを含み、前記投射レンズシステム(50)は、前記少なくとも1つの光源(20)の光を配光のかたちで前記照射装置(10)の前方へ主放射方向(X)に投射するように構成されており、前記投射レンズシステム(50)は、共通の焦点(F)を有し、前記少なくとも1つの光源(20)は、前記共通の焦点(F)に配設されており、
前記投射レンズシステム(50)は、以下のものから構成され、即ち、
- 第1焦点を有する第1レンズ(100)と、但し前記第1レンズ(100)は、非球面状であり、精密ガラス成形を用いて精密ガラスから製造されており、前記主放射方向(X)で見て、前記少なくとも1つの光源(20)の光線路内で前記少なくとも1つの光源(20)の直後に配設されており、前記第1レンズ(100)は、凸状の出射面(110)と、光入射を増加させるために凹状の入射面(120)とを有し、また前記第1レンズ(100)は、前記少なくとも1つの光源(20)の光を前記主放射方向(X)の方向に平行化するように構成されており、前記第1レンズ(100)は、n≧1.8の屈折率を有すること、
- 第2焦点を有する第2レンズ(200)と、但し前記第2レンズ(200)は、前記主放射方向(X)で見て前記第1レンズ(100)の直後に配設され、球面状の両凸集光レンズとして構成されており、前記第2レンズ(200)は、ガラス研磨を用いてガラスから製造されており、60よりも大きいアッベ数を有すること、
- 第3焦点を有する第3レンズ(300)と、但し前記第3レンズ(300)は、前記主放射方向(X)で見て前記第2レンズ(200)の直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凹レンズとして構成されており、前記第3レンズは、25よりも小さいアッベ数を有すること、
- 第4焦点を有する第4レンズ(400)と、但し前記第4レンズ(400)は、前記主放射方向(X)で見て前記第3レンズ(300)の直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凸集光レンズとして構成されていること、
- 前記第3レンズ(300)と前記第4レンズ(400)の間に配設された絞り(500)と、から構成され、但し前記絞り(500)は、前記第3レンズ(300)から前記第4レンズ(400)の方向に放射された光を部分的に遮光するように構成されており、それにより前記絞り(500)は、前記照射装置(10)の前方への前記配光の形成に共に作用すること、
前記第2レンズ(200)と前記第3レンズ(300)は、色収差を回避するためにアクロマートレンズ対(LP1)として協働するように構成されており、
また前記第3レンズ(300)と前記第4レンズ(400)は、実質的に同じ熱膨張係数を有し、前記第3レンズ(300)と前記第4レンズ(400)は、様々な温度における前記共通の焦点(F)の変位を回避するためにアサーマルレンズ対(LP2)として協働するように構成されていること、
を特徴とする照射装置(10)。
【請求項2】
前記第2レンズ(200)、前記第3レンズ(300)、及び前記第4レンズ(400)は、n≦1.7の屈折率を有すること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記第2レンズ(200)は、60のアッベ数を有し、また前記第3レンズ(300)は、23のアッベ数を有すること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載の照射装置。
【請求項4】
前記第2レンズ(200)は、前記第3レンズ(300)よりも高いアッベ数を有し、好ましくは、前記第2レンズ(200)は、1:2.5、特に1:3の比率で前記第3レンズ(300)よりも高いアッベ数を有すること、
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項5】
前記絞り(500)は、光が通過できる開口部(510)を有すること、
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項6】
従って高解像の投射用照射装置が構成されていること、
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項7】
前記配光は、ロービーム配光及び/又はハイビーム配光であること、
を特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光源(20)は、複数の発光ダイオードとして構成されており、これらの発光ダイオードは、好ましくは、行と列のマトリクス配置で配設されていること、
を特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項9】
前記第1レンズ(100)、前記第2レンズ(200)、前記第3レンズ(300)、及び前記第4レンズ(400)は、それぞれ光軸線を有し、これらのレンズ(100、200、300、400)の光軸線は、1つの共通の光軸線(A)上に位置し、ないし1つの共通の光軸線において一致すること、
を特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車投光器用の照射装置に関し、照射装置は、少なくとも1つの光源と、投射レンズシステムとを含み、投射レンズシステムは、少なくとも1つの光源の光を配光のかたちで照射装置の前方へ主放射方向に投射するように構成されており、投射レンズシステムは、共通の焦点を有し、少なくとも1つの光源は、共通の焦点に配設されている。
【0002】
同様に、本発明は、本発明による照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器に関する。
【背景技術】
【0003】
投射レンズシステム、特に高解像の投射レンズシステムは、色消し特性(アクロマート特性)及び/又は熱的に頑丈な特性を有するべきである。投射レンズシステムは、通常は、前述の特性を保証するために、複数の個別レンズから構成されているか、又は極めて高価で且つ加工が難しい材料を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に車両用の高解像の投射光学系は、ガラス材料が高価であることが原因で、好ましくはプラスチック(球面レンズ/非球面レンズ)から作製される。この際、プラスチック材料は、主にPC(ポリカーボネート)及びPMMA(ポリメチルメタクリレート)である。しかしこれらのプラスチックでは、色消し特性及び熱的に頑丈な特性を保証することは困難であり、その理由は、屈折率とアッベ数が制限されており、また反射防止加工が光学的な効率を低下させるという問題をもたらす可能性があるためである。
【0006】
それに加え、光学性能を広い温度範囲にわたりプラスチックレンズの組み合わせで保証することは困難である。プラスチック材料は、通常は温度変動に強くさらされているので、熱的なドリフト現象が発生し、このドリフト現象は、光学システムのフォーカスを変化させ、それに対応して光線パターンの画質(コントラスト)が低下する。
【0007】
光学システムが大きい温度範囲内で使用される場合には、個々のレンズの互いの屈折率と間隔が変化することがあり、結像性能が明らかに低下し、この際、前述のように、そのような熱的な作用の下では、通常は、結像すべき物体の焦点がぼけることになる。
【0008】
色消しの依存性と熱的な依存性は、プラスチックでは、多くの場合、ガラスにおけるよりも明らかに強く、熱的に起因する変化の場合には、ガラスの値よりも何倍も強くなる。従ってこのことは、自動車分野では-40℃から120℃までの温度変動が支配的であるので、極めて重要なパラメータである。
【0009】
本発明の課題は、改善された照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、冒頭に記載した照射装置が以下の構成を有することにより解決され、即ち、
投射レンズシステムは、以下のものから構成され、即ち、
- 第1焦点を有する第1レンズと、但し第1レンズは、非球面状であり、精密ガラス成形を用いて精密ガラスから製造されており、主放射方向で見て、少なくとも1つの光源の光線路内で少なくとも1つの光源の直後に配設されており、第1レンズは、凸状の出射面と、光入射を増加させるために凹状の入射面とを有し、また第1レンズは、少なくとも1つの光源の光を主放射方向の方向に平行化(コリメート)するように構成されており、第1レンズは、n≧1.8の屈折率を有すること、
- 第2焦点を有する第2レンズと、但し第2レンズは、主放射方向で見て第1レンズの直後に配設され、球面状の両凸集光レンズとして構成されており、第2レンズは、ガラス研磨を用いてガラスから製造されており、60よりも大きいアッベ数を有すること、
- 第3レンズと、但し第3レンズは、主放射方向で見て第2レンズの直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凹レンズとして構成されており、第3レンズは、25よりも小さいアッベ数を有すること、
- 第3焦点を有する第4レンズと、但し第4レンズは、主放射方向で見て第3レンズの直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凸集光レンズとして構成されていること、
- 第3レンズと第4レンズの間に配設された絞りと、から構成され、但し絞りは、第3レンズから第4レンズの方向に放射された光を部分的に遮光するように構成されており、それにより絞りは、照射装置の前方への配光の形成に共に作用すること、
第2レンズと第3レンズは、色収差を回避するためにアクロマートレンズ対(色消しレンズペア)として協働するように構成されており、
また第3レンズと第4レンズは、実質的に同じ熱膨張係数を有し、第3レンズと第4レンズは、様々な温度における共通の焦点の変位を回避するためにアサーマルレンズ対(温度無依存レンズペア)として協働するように構成されていること、
により解決される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態について説明する。
【0012】
少なくとも1つの光源に最も近い第1レンズが精密ガラス成形により製造されていることにより、第1レンズは、高温時ないし温度変動時にサイズ変化ないし特性変化が少ないという意味において、特に高い頑健性(ロバスト性)を有する。
【0013】
第3レンズは、同様に焦点を有するが、この焦点は、負の焦点(マイナス焦点)であることを付言する。
【0014】
共通の焦点は、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、及び第4レンズの個々の焦点の組み合わせにより得られる投射光学系の1つの全体焦点であり、この際、個々の焦点は、それらの位置が異なっている。
【0015】
それに基づき、第2レンズは、ガラス研磨(Glasschleifen)を用いて製造可能であり、ガラス研磨は、原理的にガラスレンズを作製するための一般的な方法であり、この際、第2レンズは、精密ガラス成形を用いて製造された第1レンズと同じほど高い要求に対応するものではない。第3レンズと第4レンズは、少なくとも1つの光源に対して十分な間隔を有するので、これらは、ガラスと比較してより安価な材料のプラスチックから作製可能である。
【0016】
それにより、投射レンズシステム全体をより安価で製造できるだけでなく、より容易にデザインすることができる。それに加え、レンズの互いの許容誤差チェーン(許容誤差の連なり)も何倍も減少されており、その理由は、少なくとも1つの光源からできるだけ多くの光を捉えて平行化するように構成された第1レンズが、通常は少なくとも3つ以上のレンズを必要とする従来技術とは対照的に、その特性に基づき(また大きな屈折率に基づき)単一のレンズとして構成されているためである。
【0017】
第1レンズと第2レンズは、ガラスから製造されており、その理由は、これらのレンズは、少なくとも1つの光源に最も近くにあり、材料がガラスであることにより熱膨張が少ないためである。
【0018】
精密ガラス成形は、研削や研磨をしないでガラスから高精度の光学コンポーネントの製造を可能にする複製法である。この方法は、高精度ガラスプレスとも称される。
【0019】
更に、少なくとも1つの光源は、ランバート放射特性を有することができる。
【0020】
第3レンズは、PC又はPMMAから製造されていることができる。
【0021】
第4レンズは、PC又はPMMAから製造されていることができる。
【0022】
第2レンズ、第3レンズ、及び第4レンズは、n≦1.7の屈折率を有することができる。
【0023】
第2レンズは、60のアッベ数を有することができ、またこの際、第3レンズは、23のアッベ数を有する。
【0024】
第2レンズは、第3レンズよりも高いアッベ数を有することができ、この際、好ましくは、第2レンズは、1:2.5、特に1:3の比率で第3レンズよりも高いアッベ数を有する。
【0025】
絞りは、光が通過できる開口部を有することができる。
【0026】
従って高解像の投射用照射装置が構成されていることができる。
【0027】
配光は、ロービーム配光及び/又はハイビーム配光であることができる。
【0028】
少なくとも1つの光源は、複数の発光ダイオードとして構成されており、これらの発光ダイオードは、好ましくは、行と列のマトリクス配置で配設されていることができる。
【0029】
この際、それらの発光ダイオードは、所定の制御装置を用いて互いに依存せずに制御可能であることができ、この際、それらの発光ダイオードは、好ましくは、互いに依存せずにオンオフ可能及び明暗調節可能である。
【0030】
第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、及び第4レンズは、それぞれ光軸線を有することができ、この際、これらのレンズの光軸線は、1つの共通の光軸線上に位置し、ないし1つの共通の光軸線において一致する。
【0031】
前記課題は、同様に、本発明による照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器により解決される。
【0032】
以下、例示の図面に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】光源と、光源の光を投射する投射レンズシステムとを含む本発明による一照射装置を示す図である。
【実施例】
【0034】
図1は、自動車投光器用の例示の一照射装置10を示し、照射装置10は、少なくとも1つの光源20と、投射レンズシステム50とを含み、投射レンズシステム50は、光源20の光を配光のかたちで照射装置10の前方へ主放射方向Xに投射するように構成されており、この際、投射レンズシステム50は、共通の焦点Fを有し、この際、少なくとも1つの光源20は、共通の焦点Fに配設されている。この際、照射装置10は、高解像の投射用照射装置として構成されている。
【0035】
この際、投射レンズシステム50は、第1焦点を有する第1レンズ100を含み、第1レンズ100は、非球面状であり、精密ガラス成形を用いて精密ガラスから製造されており、主放射方向Xで見て、光源20の光線路内で光源20の直後に配設されており、この際、第1レンズ100は、凸状の出射面110と、光源20の光の光入射を増加させるために凹状の入射面120とを有し、またこの際、第1レンズ100は、光源20の光を主放射方向Xの方向に平行化(コリメート)するように構成されており、この際、第1レンズ100は、n≧1.8の屈折率を有する。
【0036】
この際、光源20は、ランバート放射特性を有し、図示の例では、行と列のマトリクス配置で配設された複数の発光ダイオードとして構成されている。
【0037】
更に投射レンズシステム50は、第2焦点を有する第2レンズ200を含み、第2レンズ200は、主放射方向Xで見て第1レンズ100の直後に配設され、球面状の両凸集光レンズとして構成されており、この際、第2レンズ200は、ガラス研磨を用いてガラスから製造されており、60のアッベ数を有する。
【0038】
更に投射レンズシステム50は、第3焦点を有する第3レンズ300を含み、第3レンズ300は、主放射方向Xで見て第2レンズ200の直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凹レンズとして構成されており、第3レンズ300は、23のアッベ数を有する。第3レンズ300は、例えばPC又はPMMAプラスチックから製造可能である。
【0039】
更に投射レンズシステム50は、第4焦点を有する第4レンズ400を含み、第4レンズ400は、主放射方向Xで見て第3レンズ300の直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凸集光レンズとして構成されている。第4レンズ400は、例えばPC又はPMMAプラスチックから製造可能である。
【0040】
例えば、第3レンズ300と第4レンズ400は、PC又はPMMAから製造可能である。また第3レンズ300がPCから製造され、第4レンズ400がPMMAから製造されていることもでき、又はその逆、即ち第3レンズ300がPMMAから製造され、第4レンズ400がPCから製造されていることもできる。
【0041】
それに加え、投射レンズシステム50は、第3レンズ300と第4レンズ400の間に配設された絞り500を含み、この際、絞り500は、第3レンズ300から第4レンズ400の方向に放射された光を部分的に遮光するように構成されており、それにより絞り500は、照射装置10の前方への配光の形成に共に作用する。この際、絞り500は、開口部510を有し、第3レンズ300から第4レンズ400の方向に放射される光は、少なくとも部分的に開口部510を通過することができる。
【0042】
例えば、配光は、ロービーム配光及び/又はハイビーム配光である。
【0043】
更に第2レンズ200と第3レンズ300は、色収差を回避するためのアクロマートレンズ対(色消しレンズペア)LP1として協働するように構成されている。
【0044】
第3レンズ300と第4レンズ400は、実質的に同じ熱膨張係数を有し、この際、第3レンズ300と第4レンズ400は、様々な温度における共通の焦点Fの変位を回避するためにアサーマルレンズ対(温度無依存レンズペア)LP2として協働するように構成されている。
【0045】
更に第2レンズ200、第3レンズ300、及び第4レンズ400は、n≦1.7の屈折率を有する。
【0046】
それに加え、第1レンズ100、第2レンズ200、第3レンズ300、及び第4のレンズ400は、それぞれ光軸線を有し、この際、第1レンズ100、第2レンズ200、第3レンズ300、及び第4レンズ400の光軸線は、
図1に図示されているように、1つの共通の光軸線A上に位置し、ないし1つの共通の光軸線Aにおいて一致する。
【符号の説明】
【0047】
10 照射装置
20 光源
50 投射レンズシステム
100 第1レンズ
110 出射面
120 入射面
200 第2レンズ
300 第3レンズ
400 第4レンズ
500 絞り
510 開口部
LP1 アクロマートレンズ対
LP2 アサーマルレンズ対
X 主放射方向
A 共通の光軸線
F 共通の焦点
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車投光器用の照射装置
であって、
前記照射装置(10)は、少なくとも1つの光源(20)と、投射レンズシステム(50)とを含み、前記投射レンズシステム(50)は、前記少なくとも1つの光源(20)の光を配光のかたちで前記照射装置(10)の前方へ主放射方向(X)に投射するように構成されており、前記投射レンズシステム(50)は、共通の焦点(F)を有し、前記少なくとも1つの光源(20)は、前記共通の焦点(F)に配設されており、
前記投射レンズシステム(50)は、以下のものから構成され、即ち、
- 第1焦点を有する第1レンズ(100)と、但し前記第1レンズ(100)は、非球面状であり、精密ガラス成形
された精密ガラスから
成り、前記主放射方向(X)で見て、前記少なくとも1つの光源(20)の光線路内で前記少なくとも1つの光源(20)の直後に配設されており、前記第1レンズ(100)は、凸状の出射面(110)と、光入射を増加させるために凹状の入射面(120)とを有し、また前記第1レンズ(100)は、前記少なくとも1つの光源(20)の光を前記主放射方向(X)の方向に平行化するように構成されており、前記第1レンズ(100)は、n≧1.8の屈折率を有すること、
- 第2焦点を有する第2レンズ(200)と、但し前記第2レンズ(200)は、前記主放射方向(X)で見て前記第1レンズ(100)の直後に配設され、球面状の両凸集光レンズとして構成されており、前記第2レンズ(200)は、ガラス研磨
されたガラスから
成り、60
以上のアッベ数を有すること、
- 第3焦点を有する第3レンズ(300)と、但し前記第3レンズ(300)は、前記主放射方向(X)で見て前記第2レンズ(200)の直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凹レンズとして構成されており、前記第3レンズは、25よりも小さいアッベ数を有すること、
- 第4焦点を有する第4レンズ(400)と、但し前記第4レンズ(400)は、前記主放射方向(X)で見て前記第3レンズ(300)の直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凸集光レンズとして構成されていること、
- 前記第3レンズ(300)と前記第4レンズ(400)の間に配設された絞り(500)と、から構成され、但し前記絞り(500)は、前記第3レンズ(300)から前記第4レンズ(400)の方向に放射された光を部分的に遮光するように構成されており、それにより前記絞り(500)は、前記照射装置(10)の前方への前記配光の形成に共に作用すること、
前記第2レンズ(200)と前記第3レンズ(300)は、色収差を回避するためにアクロマートレンズ対(LP1)として協働するように構成されており、
また前記第3レンズ(300)と前記第4レンズ(400)は、
同じ熱膨張係数を有し、前記第3レンズ(300)と前記第4レンズ(400)は、様々な温度における前記共通の焦点(F)の変位を回避するためにアサーマルレンズ対(LP2)として協働するように構成されていること、
を特徴とする照射装置
。
【請求項2】
前記第2レンズ(200)、前記第3レンズ(300)、及び前記第4レンズ(400)は、n≦1.7の屈折率を有すること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記第2レンズ(200)は、60のアッベ数を有し、また前記第3レンズ(300)は、23のアッベ数を有すること、
を特徴とする、請求項
1に記載の照射装置。
【請求項4】
前記第2レンズ(200)は、前記第3レンズ(300)よりも高いアッベ数を有し、
或いは、前記第2レンズ(200)は、1:2.5、
又は1:3の比率で前記第3レンズ(300)よりも高いアッベ数を有すること、
を特徴とする、請求項
1に記載の照射装置。
【請求項5】
前記絞り(500)は、光が通過できる開口部(510)を有すること、
を特徴とする、請求項
1に記載の照射装置。
【請求項6】
前記照射装置は、高解像の投射用照射装置
として構成されていること、
を特徴とする、請求項
1に記載の照射装置。
【請求項7】
前記配光は、ロービーム配光及び/又はハイビーム配光であること、
を特徴とする、請求項
1に記載の照射装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光源(20)は、複数の発光ダイオードとして
、又は行と列のマトリクス配置で配設された複数の発光ダイオードとして構成されて
いること、
を特徴とする、請求項
1に記載の照射装置。
【請求項9】
前記第1レンズ(100)、前記第2レンズ(200)、前記第3レンズ(300)、及び前記第4レンズ(400)は、それぞれ光軸線を有し、これらのレンズ(100、200、300、400)の光軸線は、1つの共通の光軸線(A)上に位置し、ないし1つの共通の光軸線において一致すること、
を特徴とする、請求項
1に記載の照射装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2021/123459号
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/234497号
【特許文献3】中国特許出願公開第112882211号
【特許文献4】米国特許出願公開第2013/128084号
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
前記課題は、冒頭に記載した照射装置が以下の構成を有することにより解決され、即ち、
投射レンズシステムは、以下のものから構成され、即ち、
- 第1焦点を有する第1レンズと、但し第1レンズは、非球面状であり、精密ガラス成形を用いて精密ガラスから製造されており、主放射方向で見て、少なくとも1つの光源の光線路内で少なくとも1つの光源の直後に配設されており、第1レンズは、凸状の出射面と、光入射を増加させるために凹状の入射面とを有し、また第1レンズは、少なくとも1つの光源の光を主放射方向の方向に平行化(コリメート)するように構成されており、第1レンズは、n≧1.8の屈折率を有すること、
- 第2焦点を有する第2レンズと、但し第2レンズは、主放射方向で見て第1レンズの直後に配設され、球面状の両凸集光レンズとして構成されており、第2レンズは、ガラス研磨を用いてガラスから製造されており、60よりも大きいアッベ数を有すること、
- 第3焦点を有する第3レンズと、但し第3レンズは、主放射方向で見て第2レンズの直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凹レンズとして構成されており、第3レンズは、25よりも小さいアッベ数を有すること、
- 第4焦点を有する第4レンズと、但し第4レンズは、主放射方向で見て第3レンズの直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凸集光レンズとして構成されていること、
- 第3レンズと第4レンズの間に配設された絞りと、から構成され、但し絞りは、第3レンズから第4レンズの方向に放射された光を部分的に遮光するように構成されており、それにより絞りは、照射装置の前方への配光の形成に共に作用すること、
第2レンズと第3レンズは、色収差を回避するためにアクロマートレンズ対(色消しレンズペア)として協働するように構成されており、
また第3レンズと第4レンズは、実質的に同じ熱膨張係数を有し、第3レンズと第4レンズは、様々な温度における共通の焦点の変位を回避するためにアサーマルレンズ対(温度無依存レンズペア)として協働するように構成されていること、
により解決される。
即ち本発明の第1の視点により、
自動車投光器用の照射装置であって、
前記照射装置は、少なくとも1つの光源と、投射レンズシステムとを含み、前記投射レンズシステムは、前記少なくとも1つの光源の光を配光のかたちで前記照射装置の前方へ主放射方向に投射するように構成されており、前記投射レンズシステムは、共通の焦点を有し、前記少なくとも1つの光源は、前記共通の焦点に配設されており、
前記投射レンズシステムは、以下のものから構成され、即ち、
- 第1焦点を有する第1レンズと、但し前記第1レンズは、非球面状であり、精密ガラス成形された精密ガラスから成り、前記主放射方向で見て、前記少なくとも1つの光源の光線路内で前記少なくとも1つの光源の直後に配設されており、前記第1レンズは、凸状の出射面と、光入射を増加させるために凹状の入射面とを有し、また前記第1レンズは、前記少なくとも1つの光源の光を前記主放射方向の方向に平行化するように構成されており、前記第1レンズは、n≧1.8の屈折率を有すること、
- 第2焦点を有する第2レンズと、但し前記第2レンズは、前記主放射方向で見て前記第1レンズの直後に配設され、球面状の両凸集光レンズとして構成されており、前記第2レンズは、ガラス研磨されたガラスから成り、60以上のアッベ数を有すること、
- 第3焦点を有する第3レンズと、但し前記第3レンズは、前記主放射方向で見て前記第2レンズの直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凹レンズとして構成されており、前記第3レンズは、25よりも小さいアッベ数を有すること、
- 第4焦点を有する第4レンズと、但し前記第4レンズは、前記主放射方向で見て前記第3レンズの直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凸集光レンズとして構成されていること、
- 前記第3レンズと前記第4レンズの間に配設された絞りと、から構成され、但し前記絞りは、前記第3レンズから前記第4レンズの方向に放射された光を部分的に遮光するように構成されており、それにより前記絞りは、前記照射装置の前方への前記配光の形成に共に作用すること、
前記第2レンズと前記第3レンズは、色収差を回避するためにアクロマートレンズ対として協働するように構成されており、
また前記第3レンズと前記第4レンズは、同じ熱膨張係数を有し、前記第3レンズと前記第4レンズは、様々な温度における前記共通の焦点の変位を回避するためにアサーマルレンズ対として協働するように構成されていること、
を特徴とする照射装置が提供される。
更に本発明の第2の視点により、
前記第1の視点に記載の照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器が提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
自動車投光器用の照射装置であって、
前記照射装置は、少なくとも1つの光源と、投射レンズシステムとを含み、前記投射レンズシステムは、前記少なくとも1つの光源の光を配光のかたちで前記照射装置の前方へ主放射方向に投射するように構成されており、前記投射レンズシステムは、共通の焦点を有し、前記少なくとも1つの光源は、前記共通の焦点に配設されており、
前記投射レンズシステムは、以下のものから構成され、即ち、
- 第1焦点を有する第1レンズと、但し前記第1レンズは、非球面状であり、精密ガラス成形を用いて精密ガラスから製造されており、前記主放射方向で見て、前記少なくとも1つの光源の光線路内で前記少なくとも1つの光源の直後に配設されており、前記第1レンズは、凸状の出射面と、光入射を増加させるために凹状の入射面とを有し、また前記第1レンズは、前記少なくとも1つの光源の光を前記主放射方向の方向に平行化するように構成されており、前記第1レンズは、n≧1.8の屈折率を有すること、
- 第2焦点を有する第2レンズと、但し前記第2レンズは、前記主放射方向で見て前記第1レンズの直後に配設され、球面状の両凸集光レンズとして構成されており、前記第2レンズは、ガラス研磨を用いてガラスから製造されており、60よりも大きいアッベ数を有すること、
- 第3焦点を有する第3レンズと、但し前記第3レンズは、前記主放射方向で見て前記第2レンズの直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凹レンズとして構成されており、前記第3レンズは、25よりも小さいアッベ数を有すること、
- 第4焦点を有する第4レンズと、但し前記第4レンズは、前記主放射方向で見て前記第3レンズの直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凸集光レンズとして構成されていること、
- 前記第3レンズと前記第4レンズの間に配設された絞りと、から構成され、但し前記絞りは、前記第3レンズから前記第4レンズの方向に放射された光を部分的に遮光するように構成されており、それにより前記絞りは、前記照射装置の前方への前記配光の形成に共に作用すること、
前記第2レンズと前記第3レンズは、色収差を回避するためにアクロマートレンズ対として協働するように構成されており、
また前記第3レンズと前記第4レンズは、実質的に同じ熱膨張係数を有し、前記第3レンズと前記第4レンズは、様々な温度における前記共通の焦点の変位を回避するためにアサーマルレンズ対として協働するように構成されていること。
(形態2)
前記第2レンズ、前記第3レンズ、及び前記第4レンズは、n≦1.7の屈折率を有すること、が好ましい。
(形態3)
前記第2レンズは、60のアッベ数を有し、また前記第3レンズは、23のアッベ数を有すること、が好ましい。
(形態4)
前記第2レンズは、前記第3レンズよりも高いアッベ数を有し、好ましくは、前記第2レンズは、1:2.5、特に1:3の比率で前記第3レンズよりも高いアッベ数を有すること、が好ましい。
(形態5)
前記絞りは、光が通過できる開口部を有すること、が好ましい。
(形態6)
従って高解像の投射用照射装置が構成されていること、が好ましい。
(形態7)
前記配光は、ロービーム配光及び/又はハイビーム配光であること、が好ましい。
(形態8)
前記少なくとも1つの光源は、複数の発光ダイオードとして構成されており、これらの発光ダイオードは、好ましくは、行と列のマトリクス配置で配設されていること、が好ましい。
(形態9)
前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ、及び前記第4レンズは、それぞれ光軸線を有し、これらのレンズの光軸線は、1つの共通の光軸線上に位置し、ないし1つの共通の光軸線において一致すること、が好ましい。
(形態10)
形態1~9のいずれか1つに記載の照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
更に投射レンズシステム50は、第2焦点を有する第2レンズ200を含み、第2レンズ200は、主放射方向Xで見て第1レンズ100の直後に配設され、球面状の両凸集光レンズとして構成されており、この際、第2レンズ200は、ガラス研磨を用いてガラスから製造されており、60のアッベ数(ないし60よりも大きいアッベ数)を有する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
更に投射レンズシステム50は、第3焦点を有する第3レンズ300を含み、第3レンズ300は、主放射方向Xで見て第2レンズ200の直後に配設され、プラスチックから成る非球面状の両凹レンズとして構成されており、第3レンズ300は、23のアッベ数(ないし25よりも小さいアッベ数)を有する。第3レンズ300は、例えばPC又はPMMAプラスチックから製造可能である。
【国際調査報告】