(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】カプセル投与組立品
(51)【国際特許分類】
A61M 31/00 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A61M31/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500397
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2021069089
(87)【国際公開番号】W WO2023280416
(87)【国際公開日】2023-01-12
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブセン, ニコライ オイゼービウス
(72)【発明者】
【氏名】サンガー, クルディープ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA01
(57)【要約】
カプセル投与組立品(100、100’)であって、混合薬剤製品を対象者ユーザに送達するための摂取可能なカプセル(200、200’)と、カプセルアクセサリ装置(300、300’)と、を備え、摂取可能なカプセルは、摂取可能なカプセル(200、200’)がカプセルアクセサリ装置(300、300’)に対して連結されている第1の付着された状態、および摂取可能なカプセル(200、200’)がカプセルアクセサリ装置(300、300’)から切り離されて摂取可能なカプセルの摂取を可能にする第2の切り離された状態から動作可能である、カプセル投与組立品(100、100’)。カプセル投与組立品(100、100’)は、第1の薬剤成分(A)を保持する第1の貯蔵部(231)と、第2の貯蔵部(332、362)と、を備え、第2の貯蔵部(332、362)は、第2の薬剤成分(B)を保持する。
【選択図】
図2b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル投与組立品(100、100’)であって、混合薬剤製品を対象者ユーザに送達するための摂取可能なカプセル(200、200’)と、カプセルアクセサリ装置(300、300’)と、を備え、前記摂取可能なカプセルは、前記摂取可能なカプセル(200、200’)が前記カプセルアクセサリ装置(300、300’)に対して連結されている第1の付着された状態、および前記摂取可能なカプセル(200、200’)が前記カプセルアクセサリ装置(300、300’)から切り離されて前記摂取可能なカプセルの摂取を可能にする第2の切り離された状態から動作可能であり、
前記カプセル投与組立品(100、100’)が、第1の薬剤成分(A)を保持する第1の貯蔵部(231)と、前記第1の貯蔵部(231)とは別個の第2の貯蔵部(332、362)と、を備え、前記第2の貯蔵部(332、362)が、第2の薬剤成分(B)を保持し、前記カプセル投与組立品(100)が、前記第1の貯蔵部(231)と前記第2の貯蔵部(332、362)との間の流体連通を確立するための流体連通手段(290、235)を更に備え、
前記摂取可能なカプセル(200、200’)が、
患者の消化管を通過するようにサイズ設定されたカプセルハウジング(210、220、230、210’、230’)であって、前記カプセルハウジングが、カプセルハウジング第1の部分(210、230’)を備え、
前記第1の貯蔵部(231)が、前記カプセルハウジング内に配設されている、カプセルハウジング(210、220、230、210’、230’)と、
薬剤出口(290、290’)と、
前記第1の貯蔵部(231)に関連付けられた移動可能な壁を備える排出組立品であって、前記移動可能な壁が、前記第1の貯蔵部(231)の容積を減少させるように前記カプセルハウジング第1の部分(210、230’)に対して移動可能であり、それによって、前記薬剤出口(290、290’)を通して前記第1の貯蔵部(231)から薬剤を排出する、排出組立品と、を備え、
前記カプセルアクセサリ装置(300、300’)が、前記カプセルハウジング第1の部分(210、230’)に対して移動するように構成された第1の取り扱い構成要素(330)を備え、
前記摂取可能なカプセル(200、200’)が前記第1の付着された状態にあるとき、前記第1の取り扱い構成要素(330)が、前記カプセルハウジング第1の部分(210、230’)に対して第1の位置から第2の位置に移動可能であり、前記カプセル投与組立品(100、100’)は、前記第1の取り扱い構成要素(330)が前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際、前記第2の薬剤成分(B)を前記第2の貯蔵部(332、362)から前記流体連通手段(290、235)を介して前記第1の貯蔵部(231)に移送させ、それによって、前記第1の貯蔵部(231)内に収容された前記混合薬剤製品を形成するように構成されている、カプセル投与組立品(100、100’)。
【請求項2】
前記カプセルアクセサリ装置(300、300’)が、前記第2の貯蔵部(332、362)を備える、請求項1に記載のカプセル投与組立品。
【請求項3】
前記カプセル投与組立品(100、100’)は、前記第1の取り扱い構成要素(330)が前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際、前記第1の貯蔵部(231)の前記容積を増大させ、それによって、前記第2の薬剤成分(B)を前記第2の貯蔵部(332、362)から前記第1の貯蔵部(231)に強制するように構成されている、請求項1または2に記載のカプセル投与組立品。
【請求項4】
前記カプセル投与組立品(100、100’)は、前記第1の取り扱い構成要素(330)が前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際、前記第2の貯蔵部(332、362)の容積を減少させ、それによって、前記第2の薬剤成分(B)を前記第2の貯蔵部(332、362)から前記第1の貯蔵部(231)に強制するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のカプセル投与組立品。
【請求項5】
前記カプセルアクセサリ装置(300、300’)が、前記第1の取り扱い構成要素(330)に対して移動可能に配設されている第2の取り扱い構成要素(310)を更に備え、前記摂取可能なカプセル(200、200’)が前記付着された状態にあるとき、前記第1の取り扱い構成要素(330)は、前記第1の取り扱い構成要素(330)が前記カプセルハウジング第1の部分(210、230’)に対して前記第1の位置から前記第2の位置に移動するにつれて、前記第2の取り扱い構成要素(310)に対して移動する、請求項1~4のいずれか一項に記載のカプセル投与組立品。
【請求項6】
前記第1の取り扱い構成要素(330)が、前記カプセルハウジング第1の部分(210、230’)に対して前記第1の位置から前記第2の位置に回転移動するように構成されている、請求項5に記載のカプセル投与組立品。
【請求項7】
前記カプセルハウジングが、前記カプセルハウジング第1の部分(210、230’)に対して回転移動可能なカプセルハウジング第2の部分(220、230、210’)を更に備える、請求項6に記載のカプセル投与組立品。
【請求項8】
前記第1の取り扱い構成要素(330)が前記カプセルハウジング第1の部分(210)に対して前記第1の位置から前記第2の位置に移動するにつれて、前記第1の取り扱い構成要素(330)が、前記カプセルハウジング第2の部分(220、230)と回転連結し、前記第2の取り扱い構成要素(310)が、前記カプセルハウジング第1の部分(210)と回転連結する、請求項7に記載のカプセル投与組立品。
【請求項9】
前記移動可能な壁が、変位可能なピストンを画定し、備え、前記摂取可能なカプセル(200、200’)が、前記変位可能なピストン、前記カプセルハウジング第1の部分(210)、および前記カプセルハウジング第2の部分(220、230)を互いに連結する機構を備え、前記機構は、前記カプセルハウジング第2の部分(220、230)がカプセルハウジング第1の部分(210)に対して回転するにつれて、前記ピストンを変位させて前記第1の貯蔵部の前記容積を増大させるように構成された螺旋状ガイド構造を組み込む、請求項7または8に記載のカプセル投与組立品。
【請求項10】
前記摂取可能なカプセル(200、200’)が前記付着された状態にあるとき、前記第1の取り扱い構成要素(330)および前記第2の取り扱い構成要素(310)が、共同してくぼみを画定し、前記摂取可能なカプセル(200、200’)が、前記くぼみ内に部分的にまたは完全に受容されている、請求項5~9のいずれか一項に記載のカプセル投与組立品。
【請求項11】
前記カプセル投与組立品(100、100’)は、前記第1の取り扱い構成要素(330)がカプセルハウジング第1の部分(210、230’)に対して前記第1の位置から前記第2の位置に移動させられた後に、前記摂取可能なカプセル(200、200’)が前記カプセルアクセサリ装置(300、300’)に対して切り離されることを可能にするガイドシステムを備え、前記ガイドシステムは、前記第1の取り扱い構成要素(330)が前記第2の位置に移動させられる前の前記カプセルアクセサリ装置(300、300’)に対する切り離しを防止する、請求項5~10のいずれか一項に記載のカプセル投与組立品。
【請求項12】
前記第1の取り扱い構成要素(330)が、前記カプセルハウジング第1の部分(230’)に対して前記第1の位置から前記第2の位置に軸方向に移動するように構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のカプセル投与組立品。
【請求項13】
前記流体連通手段(290、235)が、流体ゲート(290、390、260、233、236)を備え、前記流体ゲート(290、390、260、233、236)は、前記流体ゲートが前記第1の薬剤成分(A)と前記第2の薬剤成分(B)とを互いに分離する閉状態と、前記流体ゲートが前記第2の貯蔵部(332、362)から前記第1の貯蔵部(231)に流体が流れることを可能にする開状態との間で動作可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載のカプセル投与組立品。
【請求項14】
前記第1の薬剤成分(A)および前記第2の薬剤成分(B)のうちの一方が、粉末であり、前記第1の薬剤成分(A)および前記第2の薬剤成分(B)のうちの他方が、液体である、請求項1~13のいずれか一項に記載のカプセル投与組立品。
【請求項15】
前記第1の薬剤成分(A)が、液体であり、前記第2の薬剤成分(B)が、液体である、請求項1~13のいずれか一項に記載のカプセル投与組立品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合薬剤製品を対象者ユーザに送達するための摂取可能な装置、および摂取可能な装置内で混合薬剤製品を調製するための組立品に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示では、主にインスリンの送達による糖尿病治療が参照されるが、これは本発明の例示的な使用に過ぎない。
【0003】
多くの人々が、糖尿病などの疾患に罹り、日常的に、および多くの場合、毎日のように薬剤の注射を受けることを必要としている。疾患を治療するために、これらの人々は、複雑であるとみなされ得る、かつ不快な経験となり得る、異なるタスクを実行する必要がある。更に、それらの人々は、外出時に注射装置、針、および薬剤を持参することが必要となる。したがって、治療が錠剤またはカプセルの経口摂取に基づき得る場合、そのような疾患の治療の有意な改善とみなされることになる。
【0004】
しかしながら、タンパク質ベースの薬剤は、摂取時に吸収されるのではなく、典型的には分解および消化されることになるため、そのような解決策は実現が非常に困難である。
【0005】
経口摂取を通じてインスリンを血流中に送達するための実用的な解決策を提供するために、薬剤は、まず消化管(gastrointestinal tract)の内腔内に送達され、更に消化管の壁(内腔壁)内に送達されなければならない。これは、以下のいくつかの課題を提示する:(1)薬剤は、胃内の酸による分解または消化から保護されなければならない。(2)薬剤は、胃内、または下部消化管、すなわち、胃の後に放出されなければならず、これは、薬剤放出の絶好の機会を制限する。(3)薬剤は、胃内および下部消化管内の流体の分解環境に曝される時間を制限するために、内腔壁に送達されなければならない。壁で放出されない場合、薬剤は、放出点から壁への移動中に分解され得るか、または分解流体から保護されない限り、吸収されずに下部消化管を通過し得る。
【0006】
再構成された活性薬剤の経口投薬の送達に関する先行技術の参考文献には、特許文献1および特許文献2が含まれる。これらの参考文献は、標的場所の部位、すなわちインサイチュで還元された薬剤を形成することを示唆している。
【0007】
上記を鑑みて、本発明の目的は、消化管の内腔内に嚥下するための、混合薬剤製品をあまり複雑ではない様式で調製することを可能にする摂取可能な装置を提供することである。本発明の更なる目的は、高い薬剤負荷を可能にし、かつ貯蔵および薬剤送達に関して改善をもたらす混合液薬剤製品の送達に適した摂取可能な装置を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許公開第2004/253304A1号
【特許文献2】米国特許公開第2314/088486A1号
【発明の概要】
【0009】
本発明の開示では、上記の目的のうちの1つ以上に対処する、または下記の開示だけでなく例示的な実施形態の説明からも明らかな目的に対処する、実施形態および態様が説明される。
【0010】
したがって、本発明の第1の態様では、混合薬剤製品を対象者ユーザに送達するための摂取可能なカプセルと、カプセルアクセサリ装置と、を備えるカプセル投与組立品が提供される。摂取可能なカプセルは、摂取可能なカプセルがカプセルアクセサリ装置に対して連結されている第1の付着された状態、および摂取可能なカプセルがカプセルアクセサリ装置から切り離されて摂取可能なカプセルの摂取を可能にする第2の切り離された状態から動作可能である。カプセル投与組立品は、第1の薬剤成分(A)を保持する第1の貯蔵部と、第1の貯蔵部とは別個の第2の貯蔵部と、を備え、第2の貯蔵部は、第2の薬剤成分(B)を保持し、カプセル投与組立品は、第1の貯蔵部と第2の貯蔵部との間の流体連通を確立するための流体連通手段を更に備える。
【0011】
摂取可能なカプセルは、
患者の消化管を通過するようにサイズ設定されたカプセルハウジングであって、カプセルハウジングが、カプセルハウジング第1の部分を備え、
第1の貯蔵部が、カプセルハウジング内に配設されている、カプセルハウジングと、
薬剤出口と、
第1の貯蔵部に関連付けられた移動可能な壁を備える排出組立品であって、移動可能な壁が、第1の貯蔵部の容積を減少させるようにカプセルハウジング第1の部分に対して移動可能であり、それによって、薬剤出口を通して第1の貯蔵部から薬剤を排出する、排出組立品と、を備える。
【0012】
カプセルアクセサリ装置は、カプセルハウジング第1の部分に対して移動するように構成された第1の取り扱い構成要素を備え、摂取可能なカプセルが第1の付着された状態にあるとき、第1の取り扱い構成要素は、カプセルハウジング第1の部分に対して第1の位置から第2の位置に移動可能であり、カプセル投与組立品は、第1の取り扱い構成要素が第1の位置から第2の位置に移動する際、第2の薬剤成分(B)を第2の貯蔵部から流体連通手段を介して第1の貯蔵部に移送させ、それによって、第1の貯蔵部内に収容された該混合薬剤製品を形成するように構成されている。
【0013】
第1の態様によれば、先行技術のシステムと比較して、改善された薬剤安定性がもたらされる。加えて、薬剤負荷の増加が可能になる。一方で、第1の態様による本発明は、摂取可能なカプセルの入手可能な容積の使用の増加をもたらし、摂取可能なカプセルの全体の容積を減少させるか、または薬剤排出性能を改善する選択を可能にする。
【0014】
いくつかの形態では、カプセルアクセサリ装置は、該第2の貯蔵部を備える。他の実施形態では、摂取可能なカプセルは、第1の貯蔵部および第2の貯蔵部の両方を備える。
【0015】
いくつかの形態では、カプセル投与組立品は、第1の取り扱い構成要素が第1の位置から第2の位置に移動する際、第1の貯蔵部の容積を増大させ、それによって、第2の薬剤成分(B)を第2の貯蔵部から第1の貯蔵部に強制するように構成されている。このような実施形態では、第2の薬剤成分(B)は、薬剤成分を混合するために第1の貯蔵部内に吸い込まれ得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、移動可能な壁は、第1の貯蔵部によって画定されたシリンダ部分内に摺動可能に配設されたピストンを備える。他の実施形態では、第1の貯蔵部は、第1の貯蔵部の容積を減少させるために折り畳まれるように構成された可撓性の壁を備え得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、カプセル投与組立品は、第1の取り扱い構成要素が第1の位置から第2の位置に移動する際、第2の貯蔵部の容積を減少させ、それによって、第2の薬剤成分(B)を第2の貯蔵部から第1の貯蔵部に強制するように構成されている。
【0018】
いくつかの形態では、カプセルアクセサリ装置は、第1の取り扱い構成要素に対して移動可能に配設されている第2の取り扱い構成要素を更に備え、摂取可能なカプセルが付着された状態にあるとき、第1の取り扱い構成要素は、第1の取り扱い構成要素がカプセルハウジング第1の部分に対して該第1の位置から該第2の位置に移動するにつれて、第2の取り扱い構成要素に対して移動する。
【0019】
このような形態では、特定の実施形態において、第1の取り扱い構成要素は、軸方向の相対移動を伴わない回転のみの移動、または代替的に、組み合わせられた回転および軸方向の相対移動を伴うなど、カプセルハウジング第1の部分に対して第1の位置から第2の位置に回転移動するように構成され得る。
【0020】
このような実施形態では、カプセルハウジングは、カプセルハウジング第1の部分に対して回転移動可能なカプセルハウジング第2の部分を更に備える形態で提供され得る。
【0021】
また、このような実施形態では、投与組立品は、第1の取り扱い構成要素がカプセルハウジング第1の部分に対して該第1の位置から該第2の位置に移動するにつれて、第1の取り扱い構成要素が、カプセルハウジング第2の部分と回転連結し、第2の取り扱い構成要素が、カプセルハウジング第1の部分と回転連結するように構成され得る。
【0022】
カプセル投与組立品の更なる実施形態では、移動可能な壁が、変位可能なピストンを画定し、備え、摂取可能なカプセルが、変位可能なピストン、カプセルハウジング第1の部分、およびカプセルハウジング第2の部分を互いに連結する機構を備え、該機構は、カプセルハウジング第2の部分がカプセルハウジング第1の部分に対して回転するにつれて、ピストンを変位させて第1の貯蔵部の容積を増大させるように構成された螺旋状ガイド構造を組み込む。
【0023】
摂取可能なカプセルが付着された状態にあるとき、第1の取り扱い構成要素および第2の取り扱い構成要素は、共同してくぼみを画定し、摂取可能なカプセルは、くぼみ内に部分的にまたは完全に受容されている。
【0024】
第1の取り扱い構成要素および第2の取り扱い構成要素は、摂取可能なカプセルをくぼみから取り外すように、互いに対して機械的に分離されるようになるように構成され得る。あるいは、第1の取り扱い構成要素または第2の取り扱い構成要素は、混合薬剤製品を収容する摂取可能なカプセルが開口部を通して取り外されることを可能にする開口部を提供してもよい。
【0025】
カプセル投与組立品は、第1の取り扱い構成要素がカプセルハウジング第1の部分に対して第1の位置から第2の位置に移動させられた後に、摂取可能なカプセルがカプセルアクセサリ装置に対して切り離されることを可能にするガイドシステムを備えるが、ガイドシステムは、第1の取り扱い構成要素が第2の位置に移動させられる前のカプセルアクセサリ装置に対する切り離しを防止するように形成され得る。これは、組立品の意図しない使用を防止する。
【0026】
更なる実施形態では、第1の取り扱い構成要素は、カプセルハウジング第1の部分に対して第1の位置から第2の位置に軸方向に移動するように構成されている。第1および第2の取り扱い構成要素が提供される実施形態では、軸方向の移動は、軸方向の伸縮自在な移動によって、例えば、第1および第2の取り扱い構成要素を互いに向かって軸方向に移動させることによって発生し得る。
【0027】
カプセル投与組立品のいくつかの形態では、流体連通手段が、流体ゲートを備え、流体ゲートは、流体ゲートが第1の薬剤成分(A)と第2の薬剤成分(B)とを互いに分離する閉状態と、流体ゲートが第2の貯蔵部から第1の貯蔵部に流体が流れることを可能にする開状態との間で動作可能である。
【0028】
一部の変形例では、流体連通手段は、該薬剤出口を備える。代替的な変形例では、流体連通手段は、該薬剤出口とは別個に薬剤入口として形成されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1の薬剤成分(A)および第2の薬剤成分(B)のうちの一方が、粉末であり、第1の薬剤成分(A)および第2の薬剤成分(B)のうちの他方が、液体である。薬剤成分が粉末として提供されているいくつかの形態では、粉末は、混合前に、第1の貯蔵部内に収容され得る。
【0030】
他の実施形態では、第1の薬剤成分(A)が、液体であり、第2の薬剤成分(B)が、液体である。
【0031】
摂取可能なカプセルは、移動可能な壁上に負荷をかけるように構成されたエネルギー源を備える排出組立品を備えるように提供され得る。更に、摂取可能なカプセルは、1つ以上の所定の状態に応答して作動して、該負荷が移動可能な壁を移動させ、それによって、第1の貯蔵部の容積が減少し、薬剤出口を通して該混合薬剤製品が排出されることを可能にするように構成された、取り外し可能トリガを備え得る。
【0032】
排出組立品は、カプセルハウジングおよび/または第2の取り扱い構成要素の少なくとも1つの部分に対する第1の取り扱い構成要素の移動に応答して、エネルギー源内に位置エネルギーを蓄積するように構成されるように提供され得る。このようなシステムでは、プラスチック構成要素のクリープのリスクの低減が期待され、改善された貯蔵能力をもたらす。
【0033】
いくつかの実施形態では、エネルギー源は、駆動ばねとして構成された少なくとも1つのばねであるか、またはそれを備える。例示的なばねは、圧縮ばね、ねじりばね、板ばね、または定荷重ばねを含む。ばねは、カプセル装置からの排出を進めるために、張力をかけられるかまたは張力を受けるように構成されるかのいずれかであり得る。アクチュエータについての他の非限定的な例示的なタイプのエネルギー源としては、圧縮気体アクチュエータまたは気体発生器が挙げられる。いくつかの実施形態では、発射前構成において、エネルギー源は移動可能な壁上に負荷をかけ、それによって、第1の貯蔵部の容積を減少させるために移動可能な壁を付勢する。他の実施形態では、エネルギー源は、トリガ部材またはカプセル装置の機構のトリガリング時にのみ、移動可能な壁上に負荷をかけるように構成されている。
【0034】
カプセルは、胃液などの生物学的流体が溶解可能な発射部材を溶解するためにカプセルに入ることを可能にする、1つ以上の開口部を備え得る。
【0035】
本明細書に記載の例示的な実施形態によれば、カプセル装置のトリガは、所定の状態下で、対象者のGI管内、または対象者の内部の任意の他の場所内でカプセル装置を作動させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、所定の状態は、カプセル装置の摂取後の所定の時間、GI管内の所定の場所、GI管との物理的接触、GI管内での物理的操作(例えば、蠕動による圧縮)、GI管の1つ以上の特性(例えば、pH、圧力、酸性度、温度など)、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、トリガは、GI管の環境と相互作用してカプセル装置を作動させるように構成された受動的構成要素であり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、トリガは、GI管の1つ以上の特性を検出するセンサーであり得る。例えば、GI粘膜内層との接触を検出するセンサーを使用して、装置を作動させてもよい。センサーが採用される実施形態では、トリガはまた、センサーによって検出される所定の状態に応答して移動する能動的構成要素を含み得る。例えば、ゲートが、GI粘膜管との接触が検出されたときに移動させられ得る。他の実施形態では、トリガは、破裂可能な膜を(例えば、導電性の破裂可能な膜にわたって電圧を印加することによって)溶融または弱めるために、および/または化学反応をトリガするために、電力を採用し得る。当然ながら、本開示はそれに限定されないため、任意の好適な能動的または受動的トリガがカプセル装置に採用されてもよい。
【0037】
いくつかの形態では、薬剤出口は、無針ジェット送達のために構成されたノズル配設を備える。ノズル配設には、1つのジェットノズル、または代替的に複数のジェットノズルが提供され得る。
【0038】
他の形態では、薬剤出口は、注射針、または複数の注射針を備えるように提供され得る。
【0039】
例示的な実施形態では、カプセル装置は、患者によって嚥下されるように、かつ胃、小腸、または大腸などの患者の消化管の内腔内に移動するように構成されている。装置のカプセルは、ヒトなどの対象者によって嚥下されることを可能にするように形状設定およびサイズ設定され得る。
【0040】
上記の配設により、経口投与された混合薬剤物質を、生存哺乳類の対象の胃壁または腸壁内に、安全かつ確実に送達することができる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「薬剤」、「薬剤物質」、または「薬剤製品」という用語は、指定された標的部位内またはその上に送達されることができる任意の製剤を包含することを意味する。薬剤は、単一の薬剤化合物、または予混合もしくは共配合された複数の薬剤化合物であり得る。代表的な薬剤としては、固体、粉末または液体の両方の形態における、ペプチド(例えば、インスリン、インスリン含有薬剤、GLP-1含有薬剤、およびそれらの誘導体)、タンパク質、およびホルモンなどの医薬品、生物由来または活性薬剤、ホルモンおよび遺伝子ベースの薬剤、栄養処方、ならびに他の物質が挙げられる。具体的には、薬剤はインスリンまたはGLP-1含有薬剤であり得、これは、その類似体、および1つ以上の他の薬剤との組み合わせを含む。
【0042】
以下では、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態によるカプセル投与組立品100の摂取可能なカプセル200の外観斜視図である。
【
図2a】
図2aは、本発明の第1の実施形態によるカプセル投与組立品100のカプセルアクセサリ装置300の外観斜視図である。
【
図2b】
図2bは、カプセルアクセサリ装置300内に収容された摂取可能なカプセル200を備えるカプセル投与組立品100の外部斜視一部切欠図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態によるカプセル投与組立品100の構成要素の分解斜視図である。
【
図4a】
図4aは、摂取可能なカプセル200の斜視図である。
【
図4b】
図4bは、摂取可能なカプセル200の斜視一部切欠図である。
【
図5a】
図5aは、第1の実施形態による針ハブ250、溶解可能な発射部材280、および注射針290の斜視図である。
【
図5b】
図5bは、溶解可能な発射部材280および注射針290を図から省略した
図5aの構成要素の斜視図である。
【
図5c-5d】
図5cおよび
図5dは、摂取可能なカプセル200の中央ハウジング部分220の斜視図および一部切欠斜視図を示す。
【
図6a-6c】
図6a、
図6b、および
図6cはそれぞれ、摂取する準備が整った状態の摂取可能なカプセル200の斜視図、斜視一部切欠図、および断面側面図を示す。
【
図7】
図7は、摂取可能なカプセル200を図から省略したカプセルアクセサリ装置300の斜視一部切欠図である。
【
図8a】
図8aは、薬剤混合前の状態のカプセル投与組立品100の断面側面図である。
【
図8b】
図8bは、薬剤混合後の状態のカプセル投与組立品100の断面側面図である。
【
図9a-9d】
図9a~
図9dは、動作中の異なる状態の、カプセルアクセサリ装置300の第1および第2の取り扱い構成要素310および330の一連の斜視図を示す。
【
図10】
図10は、本発明の第2の実施形態によるカプセル投与組立品100’の構成要素の分解斜視図である。
【
図11a-11b】
図11aおよび
図11bは、互いに対して90°回転させられた、薬剤混合前の状態の第2の実施形態のカプセル投与組立品100’の断面側面図である。
【
図12a-12b】
図12aおよび
図12bは、互いに対して90°回転させられた、薬剤混合後の状態のカプセル投与組立品100’の断面側面図である。
【
図13a-13b】
図13aおよび
図13bは、互いに対して90°回転させられた、薬剤混合前の状態の第2の実施形態のカプセル投与組立品100’の摂取可能なカプセル200’の断面側面図である。
【
図14a-14b】
図14aおよび
図14bは、互いに対して90°回転させられた、薬剤混合後の状態の第2の実施形態の摂取可能なカプセル200’の断面側面図である。
【
図15a-15b】
図15aおよび
図15bは、互いに対して90°回転させられた、摂取する準備が整った状態の第2の実施形態の摂取可能なカプセル200’の断面側面図である。
【
図16a-16b】
図16aおよび
図16bは、互いに対して90°回転させられた、薬剤排出後の状態の第2の実施形態の摂取可能なカプセル200’の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図において、同様の構造は主に同様の参照番号によって識別される。
【0045】
以下で「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」などの用語、または同様の相対表現が使用されるとき、これらは添付の図に言及するだけであり、必ずしも実際の使用状況とは限らない。示された図は概図であり、そのため、異なる構造の構成、およびそれらの相対寸法は、例示的な目的のみを果たすことが意図される。部材または要素という用語が所与の構成要素に対して使用されるとき、これは一般的に、説明される実施形態においてこの構成要素が単一の構成要素であることを示すが、代替的に、説明される構成要素のうちの2つ以上が単一の構成要素として、例えば、単一の射出成形部品として製造される可能性があるように、同一の部材または要素がいくつかの下位構成要素を備えてもよい。「組立品」および「サブ組立品」という用語は、説明された構成要素が、所与の組み立て手順の間に、単一の、もしくは機能的な組立品またはサブ組立品を提供するために、組み立てられる必要があることを暗示しておらず、機能的により密接に関連するものとしてともに分類された構成要素を説明するために使用されるに過ぎない。
【0046】
図1を参照すると、本発明の態様による薬剤送達装置の第1の実施形態が説明され、実施形態は、患者が摂取するようにサイズ設定および形状設定されており、その後、ある用量の液体薬剤がカプセル装置200の注射針によって形成された出口を通して排出されるように患者の標的内腔内にあるときに展開するように構成された、摂取可能なカプセル装置200を提供するように設計されている。以下で「カプセル200」と呼ばれる開示された摂取可能なカプセル装置200は例示に過ぎず、本発明に従って、異なるカプセル外形を有する他の形態で提供され得ることに留意されたい。また、図示の出口は、図示されたものとは異なる構成を有する針として提供されてもよく、複数の針として提供されてもよく、または更には注射針を備えない形態で提供されてもよい。開示された実施形態は、カプセル装置が小腸などの消化管の内腔に入り、最終的に、内腔内部または内腔を包囲する内腔壁の組織内のいずれかの標的場所で混合薬剤製品の液体用量を排出することを可能にするための、患者によって摂取されるのに適したカプセル200に関する。標的とされた送達のための意図された場所に従って、特に、標的とされた送達が内腔壁の組織内で発生するように構成されている場合、カプセル装置は、カプセルの特定の形状および/または質量分布など、薬剤出口と組織との間の組織近接を確実にするための手段を含んでもよく、または安全かつ一貫した排出に適した配向に薬剤出口を位置付けるようにカプセルを再配向するための他の手段を含むことによってでもよい。このような詳細は、当該技術分野で既に開示されており、このような詳細は、本発明の態様の中心ではないため、この点における更なる詳細は省略される。
【0047】
示された実施形態では、混合薬剤製品は、少なくとも2つの薬剤製品「A」および「B」から調製されることが意図される。混合前、製品「A」はカプセル200内の第1の貯蔵部231内に貯蔵されているが、製品「B」はカプセルアクセサリ装置300内のカプセル200の外部に貯蔵されており、カプセルアクセサリ装置は以下でより掘り下げて説明される。2つの薬剤成分「A」および「B」が混合された後、薬剤混合工程中に、混合薬剤製品はカプセル200の第1の貯蔵部231内に滞留している。示された実施形態では、薬剤成分「A」は最初は粉末などの凍結乾燥薬剤物質として提供されており、一方、薬剤成分「B」は希釈剤などの還元液体である。他の実施形態では、薬剤製品「A」および「B」は、各々が最初に液体として提供されるなど、他の形態で提供されてもよく、ここでは薬剤製品「A」および「B」は薬剤投与に先立ち、その後のカプセル200の嚥下のために第1の貯蔵部231内に収容されるように混合される。
【0048】
図1に示すカプセル200は、以下で「発射軸」とも呼ばれる軸に沿って延在する細長形状を有する複数部品ハウジングを含む。細長ハウジングは、円筒形セクションを含み、円形端部分、すなわち、近位端部分および遠位端部分を更に含み、遠位端部分は、カプセル200用の薬剤出口開口部を含む。薬剤出口開口部は、注射針によって貫通可能でありかつ注射針によって貫通されていないときに密封する、エラストマープラグ239として提供された貫通可能な密封を含む。示された実施形態では、カプセルは、00細長カプセルにおおよそ対応する形状およびサイズで構成されている。示された複数部品ハウジングは、ハウジング第1の部分およびハウジング第2の部分を含む。ハウジング第1の部分は、カプセル200の近位端に配設された近位ハウジング部分210によって形成されている。ハウジング第2の部分は、略円筒形のスリーブ形状の中央ハウジング部分220と、カプセル200の遠位端に配設された遠位ハウジング部分230と、を含む。示された実施形態では、遠位ハウジング部分230および中央ハウジング部分220は、永久的な連結によって互いに固定的に付着されている。しかしながら、近位ハウジング部分210は、少なくとも別個の製品AおよびBを混合するための混合調製手順中に、近位ハウジング部分210が中央ハウジング部分220に対して軸方向に固定された状態で保持されながら中央ハウジング部分220に対して回転することができるように、中央ハウジング部分220に対して取り付けられている。注射針290は、遠位ハウジング部分230内に形成された遠位開口部を通って、発射軸に沿って近位方向および遠位方向に移動可能である。
【0049】
本発明の一態様によれば、カプセル200は、上記で言及されたカプセルアクセサリ装置300のくぼみ内に収容されるように構成されており、したがって、カプセルアクセサリ装置300は、使用前にカプセル200を貯蔵するための包装として、およびカプセル200を調製するための、すなわち、カプセル200内に配設された第1の貯蔵部231内に混合薬剤製品を提供するためのツールとしての両方として使用される。本開示では、カプセル200とカプセルアクセサリ装置300との組み合わせは、カプセル投与組立品と呼ばれる。カプセル投与組立品100の第1の実施形態の断面図を
図2bに見ることができる。カプセル投与組立品100がその貯蔵状態、すなわち、薬剤混合前の状態で描写されているこの図では、薬剤製品「B」はカプセル200の外部、より具体的には、アクセサリ装置300の一部として形成された第2の貯蔵部332内に滞留している。
【0050】
カプセル投与組立品について、より具体的には摂取可能なカプセルについて、摂取可能なカプセルがカプセルアクセサリ装置に対して連結された「第1の付着された状態」、および摂取可能なカプセルがカプセルアクセサリ装置から切り離されて摂取可能なカプセルの摂取を可能にする「第2の切り離された状態」を参照する。
【0051】
図2aを参照すると、カプセルアクセサリ装置300は、2つの別個の把持可能な取り扱い構成要素310および330を形成し、両方の部分は略円筒形であり、これらは、カプセル装置200がカプセルアクセサリ装置300内に収容されているときにカプセル200の発射軸と同軸である共通軸に沿って延在するように、互いに対して配設および連結され得るように構成されている。遠位取り扱い構成要素330は、カプセル200の遠位ハウジング部分230と係合および協働するように構成された第1の取り扱い構成要素を形成する。近位取り扱い構成要素310は、カプセル200の近位ハウジング部分210と係合および協働するように構成された第2の取り扱い構成要素を形成する。本開示内に開示された実施形態は各々、単一のカプセル装置と協働するための2つの別個の取り扱い構成要素を備えるが、本発明による他の実施形態は、カプセル装置の特定の設計と協働する単一の取り扱い構成要素のみを含むことに留意されたい。
【0052】
図7および
図9a~
図9dも参照すると、遠位取り扱い構成要素330は、
図2a、
図7、
図9c、および
図9dに示すように、2つの取り扱い構成要素が互いに対して位置付けられたときに、近位取り扱い構成要素310の円筒形の穴内に受容されるように構成された円筒形縮小径部分333を含む。この状態では、
図2bも参照されるように、2つの取り扱い構成要素310および330は共同してカプセル200が容積301内にぴったりと受容されるようにサイズ設定された閉鎖容積301を形成する。
図7に示すように、第2の貯蔵部332は、エラストマー材料で作製されたプラグ390に隣接する遠位取り扱い構成要素330内に形成されており、プラグは第2の貯蔵部332から遠位に配設されている。このようにして、プラグ390は貯蔵部332の1つの側壁を形成する。
【0053】
図2aに示すように、遠位取り扱い構成要素330の外部表面上に一対の翼331が形成されている。同様に、近位取り扱い構成要素310の外部表面上に一対の翼311が形成されている。翼は、患者または他の支援担当者がカプセルアクセサリ装置300を把持し得、次いで、例えば両手を使用して、最初に遠位取り扱い構成要素330および近位取り扱い構成要素310を互いに対してねじり、その後、カプセル200へのアクセスを提供するように2つの取り扱い構成要素を互いから軸方向に分離し得るように形状設定されている。
【0054】
図1および
図7を参照すると、これらの図は、遠位ハウジング部分230が遠位取り扱い構成要素330の非円形キー付き内表面337に嵌合関係で適合する、非円形キー付き外表面237を含むことを明らかにしている。同様に、近位ハウジング部分210は、近位取り扱い構成要素310の非円形キー付き内表面317に嵌合関係で適合する、非円形キー付き外表面217を含む。したがって、遠位取り扱い構成要素330が近位取り扱い構成要素310に対してねじられたとき、遠位ハウジング部分230は近位ハウジング部分210に対してねじられる。協働する表面237/337および217/317の対は、カプセル端部分がそれぞれの協働する取り扱い構成要素に対して軸方向に切り離し可能であり、その結果、取り扱い構成要素が互いから軸方向に分離された後、カプセル200がカプセルアクセサリ装置300から完全に取り外され得るように形成されている。
【0055】
図3は、第1の実施形態のカプセル投与組立品100の全ての構成要素の分解斜視図を示している。薬剤成分「A」、すなわち粉末は、カプセル組立品投与組立品100が貯蔵状態にあるときに、第1の貯蔵部231の容積に対応する円筒形状実体として概略的に示されていることに留意されたい。また、薬剤成分「B」、すなわち希釈剤は、カプセル組立品投与組立品100が貯蔵状態にあるときに、第2の貯蔵部332の容積に対応する円筒形状実体として概略的に示されていることに留意されたい。
【0056】
次に
図4aおよび
図4bを参照して、第1の実施形態のカプセル200がより詳細に説明される。図は、混合薬剤製品が第1の貯蔵部231内部に収容されており、カプセルが患者によって摂取される準備が整った状態のカプセルを示している。
【0057】
図4bでは、製品「A」および「B」は、第1の貯蔵部231内部の2つの別個の部分として概略的に示されている。しかしながら、現実の環境では、2つの製品は典型的には急速に混合され始めているか、または少なくとも実質的に一緒に混合されていることとなり、その結果、還元された薬剤製品が急速に確立され、ほぼ均一な様式で第1の貯蔵部231に充填されるが、典型的には、貯蔵部231内にはある量の空気が存在する。
【0058】
カプセル200内部では、第1の貯蔵部231は、遠位ハウジング部分230の遠位端部から近位方向に延在する管状部材、すなわち、シリンダによって画定されており、したがって、貯蔵部231の遠位端表面が、遠位ハウジング部分230の近位方向向き内部表面によって画定されている。管状部材内部には、移動可能な針ハブ250が配設されており、針ハブは、管状部材の内部壁表面と密封可能に係合するように配設されたリング形状の密封270を有するピストンを形成する。示された実施形態では、薬剤混合調製工程中、針ハブ250は、中央ハウジング部分220および遠位ハウジング部分230に対して軸方向および回転の両方で移動可能であるように配設されている。薬剤排出中、針ハブ250は、中央ハウジング部分220および遠位ハウジング部分230に対して軸方向に移動可能であるが、部分220/230に対して回転移動することが防止されるように配設されている。
【0059】
針ハブ250および管状部材が共同してピストン/シリンダ組立品を形成し、針ハブ250は、発射軸に沿って近位方向に移動させられているとき、貯蔵部の容積が増加するにつれて貯蔵部231内への液体の吸引を提供する。反対に、針ハブ250が遠位に移動し、それによって、貯蔵部231の容積が減少しているとき、貯蔵部内に存在する液体は第1の貯蔵部231から排出されている。
【0060】
カプセル200内には、軸方向に圧縮されてエネルギーを蓄積するように配設された、示された実施形態では圧縮ばね240として提供されている、位置エネルギーを貯蔵するための源が組み込まれている。圧縮ばね240は、発射軸と同軸に配設された螺旋状ばねとして形成されている。圧縮ばねの近位端は、近位ハウジング部分210の一体部品として形成された遠位ばねシート内に配設されている。圧縮ばね240の遠位端は、針ハブ250の一体部品として形成された遠位ばねシート内に配設されている。針ハブ250が近位に移動すると、位置エネルギーが圧縮ばね240内に蓄積される。針ハブ250および圧縮ばね240は、排出組立品の一部を形成し、排出組立品のトリガリングは、トリガによって制御される。示された実施形態では、トリガリングは、カプセル200が小腸内に存在する腸内液体に曝された後の特定の時間後に起こる。
【0061】
ここで
図5aを参照すると、針ハブ250は略円筒形であり、針ハブ組立品の一部である。針ハブ組立品は注射針290を更に含み、注射針290は、注射針が針ハブから離れるように発射軸に沿って遠位方向に延在するように針ハブ250に締結されている。注射針290は、遠位の尖ったセクション、遠位の尖ったセクションの近くに配設された遠位針開口部、針ハブ250の近傍に配設された近位配設側面開口部、および遠位針開口部と2つの開口部間に流体連通を提供する側面開口部との間に延在する内部内腔を備える。側面開口部は、カプセル200の動作の全ての段階で、貯蔵部231と注射針の内腔との間の流体連通を提供するように位置する。針ハブ組立品は、針ハブ250上の円筒形チャネル内に配設されたリング形状の密封270と、一対の溶解可能な発射部材280と、を更に含む。
図4aおよび
図4bに示された状態、すなわち、摂取する準備が整った状態では、溶解可能な発射部材280は、針ハブ250を第1の貯蔵部231内の排出開始位置に取り外し可能に留め、針ハブ250が遠位に移動するのを防止する手段を提供し、すなわち、溶解可能な発射部材280は、取り外し可能トリガとして作用する。
【0062】
上述のように、本発明の態様によれば、本明細書に開示されるトリガリングシステムは、単に例示的である。他のトリガシステムが代替的な実施形態で使用されてもよく、ここではトリガは、1つ以上の所定の状態に応答して作動するように構成されている。
【0063】
図4aおよび
図4bを参照すると、カプセル200が摂取する準備が整った状態にあるとき、遠位の尖ったセクションを有する注射針290は、遠位針開口部がプラグ239内に埋め込まれて注射針290を通じた流体連通を防止するように、カプセル200内に実質的に収容されることとなる。図に示されているが、それらの概略的な性質により、注射針は遠位ハウジング部分230から多少延在しているように見える。しかしながら、他の実施形態では、注射針290の遠位の尖った先端は、プラグ239内に完全に埋め込まれているか、またはカプセル外部から実質的に延在していないだけのどちらかであってもよい。
【0064】
図5bに示すように、一対の対称的に配設された半径方向に突出するリブシステム252は、針ハブ250の半径方向外向き表面から半径方向外向きに突出する。一対のリブシステム252の各々は、螺旋状セグメントおよび軸方向セグメントを含む。リブシステム252の各々は、中央ハウジング部分220の半径方向内向き表面上に配設された一対の半径方向内向き延在突出部222のそれぞれの1つと協働するように構成されている(
図5dを参照)。各突出部222は、軸方向セグメントトラック252bに更につながる針ハブ250上の螺旋状セグメントトラック252aに従うトラックフォロアとして機能し、両方のトラックは、針ハブ250のリブシステム252によって画定されている。溶解可能な発射部材280が場所252cに存在するとき、溶解可能な発射部材は、突出部と溶解可能な発射部材との間の相対的な軸方向の移動を防止し、したがって、突出部222が場所252cを越えて軸方向セグメントトラック252b内に移動するのを防止する。
図5cに示すように、一対の窓開口部228は、
図4aおよび
図4bに示された状態のカプセルにおいて、窓開口部228が溶解可能な発射部材280を腸内液体に曝すように、ハウジング222内に位置する。しかしながら、窓開口部228は、摂取前に、変化せずに胃を通過し腸内で変化したpHレベルで分解するように設計された、腸溶性被覆の層を含み得る。これにより、溶解可能な発射部材280が腸内液体に曝され始め、その後、溶解可能な発射部材280が分解されて、突出部222が場所252cを通過し、妨げられることなく軸方向セグメントトラック252b内に続くことを可能にすることとなる。
【0065】
図5bに示すように、突出部255は、針ハブ250の半径方向内向き表面から半径方向内向きに突出する。軸方向突出部255は、
図3に参照される近位ハウジング部分210の半径方向外向き表面内に形成された軸方向延在溝215内に受容されるように構成されている。突出部255および軸方向延在溝215は、近位ハウジング部分210と針ハブ250との間の相対的回転移動を防止すると同時に、2つの構成要素間の軸方向の相対移動の発生を可能にする役割を果たす。
【0066】
カプセル投与組立品100について、カプセル200が
図8aに示す混合準備が整った状態(
図2bに示す状態と類似している)にあるとき、カプセル200はアクセサリカプセル装置300内に収容されており、薬剤製品「B」は第2の貯蔵部332内に存在する。薬剤製品「A」は、第1の貯蔵部231内に存在する。針ハブ250が比較的遠位方向の遠くに位置付けられているため、貯蔵部231の容積は、薬剤製品「A」および「B」が貯蔵部231内で混合されている状態と比較して(
図8bと比較)、約半分のサイズである。注射針290の遠位開口部は、開口部がプラグ390内に差し込まれるように位置付けられており、これは、2つの貯蔵部が流体連通していないことを意味する。近位取り扱い構成要素310および遠位取り扱い構成要素330は、薬剤製品部分AおよびBが外部環境から密封されるように、容積301内に収容されたカプセル200を維持する。
【0067】
図5aおよび
図5dを参照すると、突出部222は、針ハブ250の螺旋状セグメントトラック252aに沿って位置する。対象者ユーザがカプセル投与組立品100を使用するとき、近位取り扱い構成要素310は、遠位取り扱い構成要素330に対して回転させられる。これにより、近位ハウジング部分210および針ハブ250は中央ハウジング部分220に対して回転し、次に突出部222は、リブシステムに沿って、突出部が回転して軸方向トラックセグメント252b内に位置する正しい位置まで移動する。回転中、リブシステム252と突出部222との間の相互作用に起因して、針ハブ250は近位に移動し、注射針はプラグ390から軸方向に引き抜かれて、第2の貯蔵部332と第1の貯蔵部231との間に流体連通があるように位置付けられるようになる。針ハブが近位に移動すると、第1の貯蔵部231のサイズが増加する。したがって、水圧の差異により、薬剤製品「B」は、第2の貯蔵部332から第1の貯蔵部231内へ移送される。針ハブ250が近位に移動するとき、取り扱い構成要素310および330が互いに対して回転させられるにつれて、位置エネルギーが圧縮ばね240内に蓄積される。
【0068】
回転は、突出部222がリブシステムの螺旋状部の端部に到達するまで継続し、その後、針ハブ250は、突出部222が溶解可能な発射部材280上で静止するまで、圧縮ばね240によってわずかに遠位に押される。この時点で、注射針290の遠位開口部はプラグ239に差し込まれており、薬剤製品「B」の全てまたは所定の一部が貯蔵部231に移送されている。これにより、2つの薬剤製品「A」および「B」を混合させ、投与に適した混合薬剤製品を形成する。この状態は
図8bに示されており、これは、カプセル装置200の摂取する準備が整った状態とも呼ばれる。
【0069】
当然のことながら、摂取前に、カプセル200をカプセルアクセサリ装置300から取り外す必要がある。示される実施形態では、
図9a~
図9dに概説されるように、遠位取り扱い構成要素330および近位取り扱い構成要素310は、2つの間の所定の移動シークエンスが必要であり、意図しない動作による誤動作を防止することを確実にするガイドシステムを含む。示される実施形態では、トラックおよびトラックフォロアのシステムが組み込まれて、このシークエンス制御を提供する。
【0070】
近位取り扱い構成要素310は、近位取り扱い構成要素310の円筒形の穴内に半径方向内向きに突出する一対の対向配設されたトラックフォロア315を含む。軸方向かつ丸みを帯びたトラックの複数のセグメントが、遠位取り扱い構成要素330の縮小径部分333上に形成されており、トラックの各セグメントは、トラックフォロア315のそれぞれの1つを受容およびガイドするように形成されている。
【0071】
図9bを参照すると、カプセル投与組立品100の組み立て中、すなわち、遠位取り扱い構成要素330の縮小径部分内に形成された開口部内へのカプセル200の挿入後、第1の軸方向トラック335aは、遠位取り扱い構成要素330に対して近位取り扱い構成要素310に接近するための、
図9aに示す矢印に参照されるような軸方向のみの移動を確実にする。この段階では、一方向スナップ突出部336は、2つの取り扱い構成要素310および330が互いに対して軸方向に引き抜かれることができないことを確実にする。更なる一方向スナップ突出部337は、
図8aに示す状態の組立品が、組立品が使用されるまで維持されることを確実にするように機能する。
【0072】
図8cに示す矢印に従って、2つの取り扱い構成要素間に意図的な回転力が加えられたとき、トラックフォロア315は、一方向スナップ突出部337を通過し、140度程度の回転移動に続くことが可能になり、
図9dに参照されるように、トラックフォロア315は更なる一方向スナップ突出部338を通過できるようになる。この位置では、カプセル投与組立品100は、
図8bに示す状態にある。軸方向トラック335dは、取り扱い構成要素310と330との間の更なる操作が、2つを軸方向に分離することによってのみ発生し得ることを意味する。対象者ユーザがカプセル200を嚥下する意図がある場合、遠位および近位取り扱い構成要素330、310は、
図9dの矢印によって示されるように、互いから軸方向に引き抜かれ、カプセル200は、カプセルアクセサリ装置300から完全に取り外され得る。この状態では、カプセルは摂取する準備が整った状態にある。
【0073】
上述のように、カプセル装置の嚥下後、カプセル200はまず胃を通って移動し、小腸に入る。腸溶性被覆は、胃の通過後にのみ溶解され始めるため、溶解可能な発射部材280は、腸液に曝される。所定の時間が経過した後、溶解可能な発射部材280は、中央ハウジング部分220の突出部222が
図5bに参照される場所252cを通過できるように、十分に侵食される。これは、針ハブ250が、圧縮ばね240内に蓄積された位置エネルギーによって強制されて、妨げられることなく遠位に移動させられることができるようになり、注射針290がカプセル200から射出されて標的場所で粘膜組織に打ち込まれることが可能になることを意味する。針ハブ250が更に遠位に移動すると、第1の貯蔵部231内に収容された混合薬剤製品は、注射針の内腔を通して排出されて、粘膜組織内に形成される薬剤デポのための混合薬剤製品を送達する。混合薬剤製品の送達後、カプセル200は消化管(alimentary canal)を通過し、その後、排泄されることが可能になる。
【0074】
ここで、主に
図10~
図16bに提供される本発明によるカプセル投与組立品100’の第2の実施形態を参照する。カプセル投与組立品100’は、摂取可能なカプセル200’およびカプセルアクセサリ装置300’を備え、カプセル200’は、最初にカプセルアクセサリ装置300’のくぼみ内に収容されている。2つの開示された実施形態は、多くの共通の特徴および機能性を共有しており、以下の説明は、2つの実施形態間の異なる特徴に主に焦点を当てる。
【0075】
第1の実施形態と比較して、カプセル200’は、ジェット注射によって消化管の壁の組織内へ薬剤排出するように構成されていることが主に異なる。ジェット送達のための既存のジェット注射器システムは、当該技術分野で公知である。当業者であれば、例えば、WO2020/106,750から、治療物質を内腔壁内に送達するための正しいジェット力を提供する適切なジェット注射器を選択する方法を理解するであろう。
【0076】
摂取する準備が整った状態のカプセル200’を示す
図15aおよび
図15bを主に参照すると、カプセル200’は、発射軸に沿って延在する細長形状を有する複数部品ハウジングを含む。細長ハウジングは、円筒形セクション、ならびに端部分、すなわち近位端部分および遠位端部分を含む。示された複数部品ハウジングは、ハウジング第1の部分およびハウジング第2の部分として提供されている。ハウジング第1の部分は、遠位ハウジング部分230’によって形成されており、遠位端壁を有する略円筒形の管状部材として提供されている。遠位端壁は、中央に位置する開口部235を有する、縮小径円筒形ネック延在部を含む。一対の弾性アーム232は、ハウジング第2の部分、すなわち、近位ハウジング部分210’を締結するための締結手段を提供する。示された状態では、近位ハウジング部分210’は、遠位ハウジング部分230’の近位端部分内に同軸に適合する。近位ハウジング部分210’の円筒形スリーブは、一対の弾性アーム232を受容して近位ハウジング部分210’を遠位ハウジング部分230’内に取り付けるように適合された陥凹部212を含む。
【0077】
カプセル200’内で、遠位ハウジング部分230’の略円筒形の管状部材は、第1の貯蔵部231のシリンダ壁を画定する。リング形状の密封(参照されていない)を有するピストン250’は、シリンダ壁内のほぼ中間に配設された初期状態において、シリンダ壁と密封可能に係合するように配設されている。ピストン250’は、遠位方向に、かつ任意選択で更に近位方向に、軸方向に摺動移動するように構成されている。
【0078】
また、カプセル200’内に、かつピストン250’の遠位に、流体ゲート制御要素260が配設されている。流体ゲート制御要素260は、シリンダ壁と、すなわち、円周方向に配設された密封リップと摺動係合するように配設された大径フランジ262を有する近位部分を備える。流体ゲート制御要素260は、遠位ハウジング部分230’によって形成された縮小径円筒形ネック延在部の中央に位置する開口部235内で摺動係合するように配設された、縮小径遠位セクション265を更に備える。密封リップは、同様に、縮小径遠位セクション265上に円周方向に配設されている。したがって、流体ゲート制御要素260は、遠位ハウジング部分230’のシリンダ壁内に摺動配設されている。
図15aおよび
図15bに示す状態では、流体ゲート制御要素260は第1の貯蔵部231を遠位に密封し、一方、ピストン250’は第1の貯蔵部を近位に密封する。この状態では、流体ゲート制御要素260の大径フランジ262は、遠位ハウジング部分230’の遠位端壁から短い距離を置いて配設されている。
【0079】
第1の貯蔵部231と流体連通する薬剤出口は、遠位ハウジング部分230’の遠位端壁から特定の間隔を置いて位置付けられた、遠位ハウジング部分230’のシリンダ壁内の半径方向開口部として提供されている。第2の実施形態では、薬剤出口は、遠位ハウジング部分230’のシリンダ壁に対して半径方向外向きに向けられたジェットノズル290’として提供されている。
【0080】
遠位ハウジング部分230’のシリンダ壁は、薬剤出口のジェットノズル290’に対して近位に配設された第1のバイパスセクション233を画定する。更なる第2のバイパスセクション236が、縮小径円筒形ネック延在部の中央に位置する開口部235に関連付けられており、すなわち、円筒形ネック延在部の近位端部分は、遠位ハウジング部分230’の遠位端壁と交差する。
【0081】
図15aおよび
図15bに示すように、摂取する準備が整った状態のカプセル200’について、流体ゲート制御要素260は、大径近位フランジ262がその密封リップとともにジェットノズル290’に対して近位に配されているが、第1のバイパスセクション233に対して遠位に配されているように、軸方向に位置付けられている。同時に、縮小径遠位セクション265はその密封リップとともに、第1のバイパスセクション233およびジェットノズル290’に対して遠位に配されている。したがって、流体ゲート制御要素260の両方の密封リップは、密封機能を提供し、第1の貯蔵部231内に存在する混合薬剤製品の貯蔵部からの漏れが防止される。
【0082】
カプセル200内には、軸方向に圧縮されてエネルギーを蓄積するように配設された、示された実施形態では圧縮ばね240として提供されている、位置エネルギーを貯蔵するための源が組み込まれている。圧縮ばね240はここでも、発射軸と同軸に配設された螺旋状ばねとして形成されている。圧縮ばねの近位端は、近位ハウジング部分210’の一体部品として形成された遠位ばねシート内に配設されている。圧縮ばね240の遠位端は、ピストン250’の一体部品として形成された遠位ばねシート内に配設されている。位置エネルギーは圧縮ばね240内に蓄積されており、近位ハウジング部分210’は、遠位ハウジング部分230’に対する近位ハウジング部分210’の取り付け中に遠位に移動させられる。
【0083】
ここでも、ピストン250’および圧縮ばね240は、排出組立品の一部を形成し、排出組立品のトリガリングは、トリガによって制御される。示される実施形態では、トリガリングは、薬剤成分の混合が開始された後のある特定の時間後に発生する。示される実施形態では、これは、流体ゲート制御要素260の縮小径遠位セクション26の両側から半径方向外向きに突出するように配設されており、かつ遠位ハウジング部分230’の遠位端壁に当接接触するように構成された、溶解可能なトリガ部材280によって提供される。
【0084】
カプセル200’の示される実施形態では、流体ゲート制御要素260は、遠位ハウジング部分230’に対して第1の軸方向位置、第2の軸方向位置、第3の軸方向位置、および第4の軸方向位置を通って順次移動可能である。示される実施形態では、第1の軸方向位置は第3の軸方向位置と同じであるが、他の実施形態ではそうである必要はない。軸方向位置は、以下で更に言及される。
【0085】
再び、本発明の一態様によると、カプセル200’は、上記で言及されたカプセルアクセサリ装置300’のくぼみ内に収容されるように構成されており、したがって、カプセルアクセサリ装置300’は、使用前にカプセル200’を貯蔵するための包装として、およびカプセル200’を調製するための、すなわち、カプセル200’内に配設された第1の貯蔵部231内に混合薬剤製品を提供するためのツールとしての両方として使用される。カプセル投与組立品100の第2の実施形態の断面図を
図11aおよび
図11bに見ることができ、ここではカプセル投与組立品100’は、その貯蔵状態、すなわち、薬剤混合前の状態で描写されている。薬剤製品「B」は、カプセル200’の外部、より具体的には、アクセサリ装置300’の一部として形成された第2の貯蔵部362内に滞留している。
【0086】
任意選択で、第1の実施形態と同様に、遠位取り扱い構成要素330および近位取り扱い構成要素310に対して1つ以上の翼が形成されて、取り扱い構成要素の把持および操作を支援してもよい。
【0087】
図11aおよび
図11bに示すように、第2の貯蔵部362が、遠位取り扱い構成要素330内に形成されている。アクセサリ装置300’の示される実施形態では、遠位取り扱い構成要素330内に別個の構成要素として提供された第2の貯蔵部シリンダ360は、遠位ハウジング部分230’の略円筒形の管状部材に匹敵する半径方向外向きおよび半径方向内向きの寸法を有するスリーブ形状要素として提供されている。
図11a~
図12bに示す付着された状態では、第2の貯蔵部シリンダ360は、カプセル200’の遠位ハウジング部分230’に対して密封可能に取り付けられている。
【0088】
図面に見られるように、貯蔵部要素360は、カプセル200’の遠位ハウジング部分の遠位端と嵌合する。構成要素200’および360が互いに連結されたとき、貯蔵部要素360の内部とカプセル200’内に配設された第1の貯蔵部231との間の流体連通が可能であるが、流体ゲート制御要素260の状態に従う。
【0089】
第2の貯蔵部ピストン部材350が、第2の貯蔵部シリンダ360の内部穴内に適合する。第2の貯蔵部ピストン部材350は、最初に第2の貯蔵部シリンダ360の遠位端に位置し、遠位取り扱い構成要素330の内部内に形成された近位向き表面と協働するように配設された遠位端表面を提供する。遠位取り扱い構成要素330がカプセル200’に対して近位に強制されたとき、第2の貯蔵部ピストン部材350は、第2の貯蔵部シリンダ360内部で近位に移動し、それによって、第2の貯蔵部362の容積が減少する。
【0090】
カプセルアクセサリ装置300’について、第2の実施形態の動作シークエンスは、上述の第1の実施形態のカプセルアクセサリ装置300とは多少異なり、ガイドシステムは異なる。本開示の図に詳細には示されていないが、近位取り扱い構成要素310および遠位取り扱い構成要素330は、2つの取り扱い構成要素が従う必要がある所定の相対移動のシークエンスを定義するための協働するトラックおよびトラックフォロアのセットを含む。示される実施形態では、ガイドシステムは軸方向セグメントを画定し、その後に円周方向セグメントが続き、軸方向セグメントによって最終化されるように構成されている。近位取り扱い構成要素310の縮小径セクションから半径方向外向きに延在する1つのトラックフォロア315は、
図10に見ることができ、トラックフォロアは、遠位取り扱い構成要素330の半径方向内向き表面に、またはその中に形成されたトラックシステムと協働係合するように構成されている。
【0091】
図11aおよび
図11bに示す図を参照すると、カプセル投与組立品100’が描写されており、ここでは、カプセル200’が
図13aおよび
図13bに示す混合準備が整った状態にあり、カプセル200’がアクセサリカプセル装置300’内に収容されており、薬剤製品「B」が第2の貯蔵部362内に存在する。薬剤製品「A」は、第1の貯蔵部231内に存在する。圧縮ばね240は、近位ハウジング部分210’がまだ遠位ハウジング部分230’内に軸方向に挿入されていないため、圧縮されていないか、または代替的にわずかに圧縮されているのみのいずれかである。近位取り扱い構成要素310および遠位取り扱い構成要素330は、軸方向に最大に伸張されており、第2の貯蔵部が大きな容積を得ることを可能にし、かつ圧縮ばねが圧縮されていないか、またはわずかに圧縮されているのみで延在することを可能にする位置に置かれている。流体ゲート制御要素260は、第1の軸方向位置に配されており、ここでは縮小径遠位セクション265の密封リップが第2の貯蔵部362を密封し、大径フランジ262の密封リップが第1の貯蔵部231を密封する。
【0092】
図12aおよび
図12bに示す図を参照すると、カプセル投与組立品100’が描写されており、ここでは、カプセル200’が
図14aおよび
図14bに示す混合状態にあり、近位取り扱い構成要素310および遠位取り扱い構成要素330が互いに向かって、すなわち、伸縮移動によって手動で軸方向に移動されられており、その結果、組み合わせられた長さが最小の軸方向の伸張である。これを行うために手動で加えられる力は、その容積を最小まで減少させるように、第2の貯蔵部ピストン部材350を第2の貯蔵部362内に完全に移動させている。第2の貯蔵部362内部の上昇した流体圧力は、流体ゲート制御要素260をその第2の軸方向位置に強制している。この位置では、大径近位フランジ262はその密封リップとともに、第1のバイパスセクション233で軸方向に位置付けられており、縮小径遠位セクション265はその密封リップとともに、第2のバイパスセクション236で軸方向に位置付けられている。したがって、流体ゲート制御要素260のこれらの密封リップの両方が開放されており、第2の貯蔵部内の流体圧力により、薬剤製品「B」は第1の貯蔵部231に流れ、混合薬剤製品が急速に確立される。取り扱い構成要素上に提供された軸方向の力は同時に、近位ハウジング部分210’を遠位ハウジング部分230’の開口部内に完全に軸方向に移動させており、これらの2つの構成要素の永久的な取り付けが、特徴212および232によってなされている。したがって、圧縮ばねは、最大に圧縮されており、それによって、圧縮ばね240内に位置エネルギーが蓄積される。流体ゲート制御要素260のリップ密封間に存在するある量の液体薬剤製品「B」は、溶解可能なトリガ部材280の緩やかな侵食を開始することとなる。
【0093】
取り扱い構成要素310および330間の相対的回転に続いて、2つの取り扱い構成要素は互いに軸方向に引き出され得、カプセル200’をカプセルアクセサリ装置300’から取り外すことができる。カプセル200’について、この状態が
図15aおよび
図15bに描写されている。圧縮ばね240によってピストン250’上にかけられる負荷に起因して、流体ゲート制御要素260は、その第3の軸方向位置までわずかに遠位に移動されており、ここでは、溶解可能なトリガ部材280が遠位ハウジング部分230’の遠位端壁に当接し、圧縮ばね240の更なる拡張が防止される。大径近位フランジ262はその密封リップとともに、第1のバイパスセクション233とジェットノズル290’との間に軸方向に位置付けられている。ここで、カプセル200’は、その摂取する準備が整った状態にある。
【0094】
患者がカプセル200’を摂取した後、カプセルは胃領域を通って小腸内に移動する。溶解可能なトリガ部材280は、薬剤排出のための小腸内の所望の標的場所に従って、制御されたトリガリングで徐々に侵食されるように設計されている。ここでは、カプセル200’は、溶解可能なトリガ部材280が、圧縮ばね240内に貯蔵された位置エネルギーが放出されるのに十分に侵食されている状態にある。したがって、混合薬剤製品の水圧は、流体ゲート制御要素260を、大径近位フランジ262がその密封リップとともにジェットノズル290’に対して軸方向かつ遠位に位置付けられる、その第4の軸方向位置および最終軸方向位置まで遠位に移動させる。したがって、第1の貯蔵部231内に存在する流体上昇水圧は、液体のジェット流をジェットノズル290’から下流に形成させ、腸壁の壁セクションに位置するGI粘膜内層を貫通するのに十分な高速ジェット形成を引き起こし、粘膜内層内部の混合薬剤のデポ形成をもたらす。
図16aおよび
図16bに描写されるように、カプセル200’が、排出している状態の終わりにある状態では、ピストン250は完全に遠位に移動されており、全ての使用可能な量の混合薬剤製品が、ジェットノズル290’を通して排出されている。混合薬剤製品の送達後、カプセル200’は消化管を通過し、その後、排泄されることが可能になる。
【0095】
例示的な実施形態の上記説明は、主に小腸における送達のための摂取可能なカプセルに関するものであるが、本発明は一般に、カプセル装置が混合薬剤製品の送達のために体腔内に位置付けられる、内腔挿入のためのカプセル装置に一般的な有用性を見出す。カプセル装置の非限定的な例としては、混合薬剤製品を胃内へ送達するためのカプセル装置が挙げられる。薬剤送達は、胃の内腔などの体腔の組織壁内で発生するように構成され得る。薬剤送達は、針などの送達部材を使用して、粘膜内層への液体ジェット貫通を提供するための液体のジェット流によって、または内腔内部、すなわち全身性放出のための噴霧によって実行され得る。
【0096】
例示的な実施形態の上記の説明では、異なる構成要素について説明された機能性を提供する異なる構造および手段を、本発明の概念が熟練した読者にとって明らかとなる程度まで説明してきた。異なる構成要素に対する詳細な構築および仕様は、本明細書に記載された方針に沿って当業者によって実行される通常の設計手順の対象であるとみなされる。
【国際調査報告】