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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】火格子アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F23C 10/20 20060101AFI20240702BHJP
   F23H 3/02 20060101ALI20240702BHJP
   F23C 10/24 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F23C10/20
F23H3/02 B
F23C10/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500437
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 EP2022067819
(87)【国際公開番号】W WO2023280646
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】20215793
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515183610
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ヒルヤネン,ユハ
(72)【発明者】
【氏名】レフトネン,ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】オヤンペラ,ユハ
(72)【発明者】
【氏名】カンニアイネン,トゥオマス
【テーマコード(参考)】
3K064
【Fターム(参考)】
3K064AA06
3K064AB01
3K064AD05
3K064AD08
3K064AE01
3K064AE13
3K064AF10
3K064BA07
3K064BA17
(57)【要約】
流動層ボイラ(10)の燃焼チャンバ(12)の底部セクション(28)で使用するための火格子アセンブリは、火格子底壁(32)と;保護耐火材料層(36)と;流動化一次空気を供給する複数のノズル装置(38)と;火格子底壁(32)に形成された少なくとも1つの火格子モジュール(40)と;を含む。各火格子モジュール(40)は、固形物除去開口部(42)と;耐火材料層(36)に形成され、ランド部同士の間の前面(48)によって分離される複数の同心状のランド部(46)と;を含む。各前面(48)は、ランド部のうちの1つを取り囲み、長方形又は少なくとも1つの成形されたコーナ部を有する長方形の周囲の形状に従う。ランド部(46)は、段差付き構造を規定する。各ランド部は、耐火材料層(36)に埋め込まれ、且つ前面(48)のうちの1つを通して空気を、前面に隣接するランド部(46)のうちの1つに沿って噴射するように適合されたノズル装置のグループを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動層ボイラ(10)の燃焼チャンバ(12)の底部セクション(28)で使用するための火格子アセンブリであって、当該火格子アセンブリ(30)は、
火格子底壁(32)と、
燃料の燃焼及び流動床材料の流動化を維持するために、前記火格子底壁の上の流動化一次空気を前記燃焼チャンバに供給するための装置と、
少なくとも1つの火格子モジュール(40)と、を含み、
各火格子モジュール(40)が、
固形物除去開口部(42)であって、該固形物除去開口部(42)を介して固形物を前記火格子底壁(32)を通して下向きに案内する、固形物除去開口部(42)と、
複数の同心状のランド部(46)であって、垂直方向に間隔を置いて配置され、前記ランド部同士の間の前面(48)によって分離された複数の同心状のランド部(46)と、を含み、
各前面(48)は、前記ランド部のうちの1つを取り囲み、長方形の周囲の形状に従い、及び
前記ランド部(46)は、前記ランド部の中心に位置する前記固形物除去開口部(42)に向けて下降する段差付き構造を規定し、
当該火格子アセンブリは、
前記火格子底壁に取り付けられた、前記火格子底壁(32)の複数の冷却管(34)と、
前記火格子底壁(32)上にあり、前記複数の冷却管(34)を覆う保護耐火材料層(36)と、をさらに含み、
前記少なくとも1つの火格子モジュール(40)は前記火格子底壁(32)に形成され、前記複数の同心状のランド部(46)のそれぞれが前記保護耐火材料層(36)に形成され、
前記固形物除去開口部は、前記保護耐火材料層(36)内にあり、前記保護耐火材料層上の固形物を前記保護耐火材料層及び前記火格子底壁を通して下向きに案内し、
前記流動化一次空気を供給するための前記装置は、前記火格子底壁及び前記保護耐火材料層の上の流動化一次空気を前記燃焼チャンバ内に供給するための複数のノズル装置(38)を含み、
各ランド部は、前記複数のノズル装置(40)に属し、且つ前記保護耐火材料層(36)に埋め込まれたノズル装置のグループを含み、該ノズル装置のグループは、前面(48)のうちの1つを通して空気を、前記前面に隣接する前記ランド部(46)のうちの1つに沿って噴射するように適合される、
火格子アセンブリ。
【請求項2】
前記長方形は、少なくとも1つの成形されたコーナ部を有しており、該少なくとも1つの成形されたコーナ部は、面取り、複数の面取り、段差部、複数の段差部、前記長方形の内側に拡張する形状、及び/又は又は前記長方形の外側に拡張する形状を含む、請求項1に記載の火格子アセンブリ。
【請求項3】
前記ランド部(46)は水平方向に延びており、前記ノズル装置(38)は前記空気を水平方向に噴射するように適合される、請求項1又は2に記載の火格子アセンブリ。
【請求項4】
各前面(48)が、前記ノズル装置(38)のグループの表面によって、又は前記保護耐火材料層(36)によって、又は前記表面と前記保護耐火材料層(36)との両方によって形成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の火格子アセンブリ。
【請求項5】
前記火格子底壁(32)は水平方向に延びており、前記複数の冷却管(34)は、平行で水平方向に延びており、前記火格子底壁に沿って該火格子底壁に間隔を空けて取り付けられる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の火格子アセンブリ。
【請求項6】
各ランド部(46)は、一列に整列され、前記ノズル装置のグループに属し、水平に配置されるノズル装置の第1列(381)、第2列(382)、第3列(383)及び第4列(384)を含み、前記第1列(381)及び前記第2列(382)は、平行であり、且つ前記ランド部の両側に位置しており、前記第3列(383)及び前記第4列(384)は、平行であり、前記ランド部の両側に位置し、且つ前記第1列及び前記第2列に対して直交する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の火格子アセンブリ。
【請求項7】
各列の各ノズル装置が、対向する列に直交する水平方向の空気を前記ランド部に沿って対向する列に向けて噴射するように適合される、請求項6に記載の火格子アセンブリ。
【請求項8】
各前面(48)には、前記長方形のコーナ部を構成する4つのコーナ部(58)が含まれ、各コーナ部は、前記ノズル装置のグループに属し、且つ互いに直交する前記ノズル装置の列(381、382、383、384)のうちの2つの間にある少なくとも1つのノズル装置(38)を有しており、
前記少なくとも1つのノズル装置は、水平方向においてある角度の空気を前記固形物除去開口部(42)又は対角線上に位置する前記4つのコーナ部(58)のうちの1つに向けて噴射するように適合される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の火格子アセンブリ。
【請求項9】
前記火格子アセンブリは、前記複数のノズル装置(38)を介して供給される前記空気を前記流動化一次空気として受け入れるための少なくとも1つの空気プレナムチャンバ(50)をさらに含み、前記少なくとも1つの空気プレナムチャンバは前記火格子底壁(32)の下に位置する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の火格子アセンブリ。
【請求項10】
当該火格子アセンブリ(30)は、少なくとも1つの前記火格子モジュール(40)の少なくとも一方の側に、前記保護耐火材料層(36)に形成された追加のランド部(52)をさらに含み、該追加のランド部は、前記火格子モジュールの前記段差付き構造に対する延長部を形成し、
前記追加のランド部(52)は、前記火格子モジュールの最上部のランド部又は別の追加のランド部から、それら火格子モジュールの間の追加の前面(54)によって分離され、
前記追加のランド部(54)は、前記保護耐火材料層(36)に埋め込まれた追加のノズル装置(56)のグループを含み、該追加のノズル装置のグループは、前記追加の前面(54)のうちの1つを通して空気を、前記最上部のランド部又は前記追加の前面に隣接する他の追加のランド部(52)に沿って噴射するように適合される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の火格子アセンブリ。
【請求項11】
前記追加のランド部(54)は、隣接する少なくとも2つの前記火格子モジュール(40)の一方の側に沿って直線的に延びる、請求項10に記載の火格子アセンブリ。
【請求項12】
前記追加のランド部(54)は、一列に整列され、前記追加のノズル装置のグループに属し、且つ水平に配置された追加のノズル装置の追加の列(561)を含み、該追加の列(561)は、第1列(381)及び第2列(382)、又は第3列(383)及び第4列(384)と平行になる、請求項10又は11に記載の火格子アセンブリ。
【請求項13】
前記追加のランド部(54)は、前記追加の列(561)の一端又は両端に、前記追加のノズル装置のグループに属し、且つ水平方向においてある角度の空気を前記固形物除去開口部(42)に向けて噴射するように適合された少なくとも1つの追加のノズル装置(56)を含む、請求項12に記載の火格子アセンブリ。
【請求項14】
前記複数のノズル装置(38)に属し、且つ異なるランド部(46)に位置する2つ以上のノズル装置が、前記第1列(381)及び前記第2列(382)、又は前記第3列(383)及び前記第4列(384)に直交する方向に沿って一列に整列される、請求項6に記載の火格子アセンブリ。
【請求項15】
蒸気の生成に使用され、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の火格子アセンブリ(30)を含む底部セクション(28)を備えた燃焼チャンバ(12)を有する流動層ボイラ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
提示する解決策は、流動床ボイラの燃焼チャンバの底部セクションで使用するための火格子(grate)アセンブリに関する。火格子アセンブリは、底部セクションを構成する1つの火格子モジュール又は少なくとも2つの隣接する火格子モジュールを含む。提示する解決策は、蒸気生成に使用され、燃焼チャンバを有する流動層ボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
流動床ボイラの燃焼チャンバの底部セクションは、空気ジェット及び重力によって固形物(solids)を固形物除去開口部に移送する際に固形物の除去を容易にするための傾斜床又は傾斜床セクションを含むことができ、傾斜床は、保護耐火材料層によって形成される。空気ジェットは、燃焼及び流動化のための空気を供給するノズル装置によってもたらされる。ノズル装置は、保護耐火材料層から様々な高さまで延びる。
【0003】
ノズル装置が固形物の除去を妨げる、又は空気ジェットの向きが最適でない場合がある。ノズル装置は、固形物又は流動床材料を運ぶ空気ジェットによって磨耗する可能性がある。ノズル装置を含む傾斜床の高低差は、燃焼チャンバの寸法に応じて大幅に変化する可能性がある。こうして、燃焼チャンバの流動床の動作が影響を受け得る。保護耐火材料層の形状及び構造はボイラ毎に異なる場合がある。
【発明の概要】
【0004】
この解決策による火格子アセンブリが、請求項1に提示される。
【0005】
上述の火格子アセンブリを含む流動層ボイラが、請求項15に提示される。
【0006】
他の請求項には、解決策の例がさらに詳細に提示される。
【0007】
この解決策による火格子アセンブリは、流動床ボイラの燃焼チャンバの底部セクションで使用するためのものである。
【0008】
火格子アセンブリは、火格子底壁に取り付けられた複数の冷却管を有する火格子底壁と;火格子底壁上にあり、複数の冷却管を覆う保護耐火材料層と;燃料の燃焼及び流動床材料の流動化を維持するために、火格子底壁及び保護耐火材料層の上の流動化一次空気を燃焼チャンバに供給するための複数のノズル装置と;を含む。
【0009】
火格子アセンブリは、火格子底壁に形成された少なくとも1つの火格子モジュールをさらに含み、各火格子モジュールは、耐火材料層に固形物除去開口部を含み、この開口部を介して、耐火材料層上の固形物が、固形物除去導管に向けて下向きに案内され、固形物除去導管は、耐火材料層及び火格子底壁を通して固形物を案内するように適合される。
【0010】
各火格子モジュールは複数の同心状のランド部(landing:踊り場)をさらに含み、各ランド部は耐火材料層に形成され、ランド部は、垂直方向に間隔を置いて位置しており、ランド部同士の間の前面(frontal surface)によって分離される。各前面は、ランド部のうちの1つを取り囲み、長方形又は少なくとも1つの成形されたコーナ部を有する長方形の周囲の形状に従う。ランド部は、ランド部の中心に位置する固形物除去開口部に向けて下降する段差付き構造を規定する。各ランド部は、複数のノズル装置に属し、且つ耐火材料層に埋め込まれたノズル装置のグループを含む。ノズル装置のグループは、前面のうちの1つを介して空気を、前面に隣接するランド部のうちの1つに沿って噴射するように方向付けられる。
【0011】
一例によれば、少なくとも1つの成形されたコーナ部は、面取り、複数の面取り、段差部、複数の段差部、長方形の内側に拡張する形状、及び/又は長方形の外側に拡張する形状を含む。
【0012】
一例によれば、各ランド部は4列のノズル装置を含み、それぞれのノズル装置が一列に整列され、ノズル装置のグループに属している。一例によれば、前面には4つのコーナ部が含まれ、各コーナ部が、ノズル装置のグループに属し、且つノズル装置の2つの列の間にある少なくとも1つのノズル装置を有する。
【0013】
蒸気生成に使用される流動層ボイラは、上述の火格子アセンブリを含む底部セクションを備えた燃焼チャンバを含む。
【0014】
提示する解決策は特に有利であり、上述した課題を解決する。
【0015】
一例では、提示する解決策の火格子モジュールは、流動床ボイラの燃焼チャンバの底部セクションを構成するためのモジュール式で拡張可能なシステムを提供する。
【0016】
一例では、提示する解決策の火格子モジュールの使用は、ノズル装置同士の間の高低差を制限する方法を提供する。火格子アセンブリ及び火格子モジュールの高低差及び段差付き構造の高さは、火格子アセンブリの上の流動化一次空気の動きが所望の又は制御した方法で起こるように選択することができる。
【0017】
一例では、追加のノズル装置の列は、火格子アセンブリ及び燃焼チャンバの底部セクションのレイアウトの設計を容易にするために、火格子モジュール内又は火格子モジュール同士の間に容易に統合される。
【0018】
一例では、火格子モジュールの固形物除去開口部の中心位置は、固形物を除去する効率的な方法を提供する。火格子モジュールのサイズ及び寸法は、固形物が固形物除去開口部に効率的に移送されるように選択することができる。
【0019】
一例では、提示する解決策は、火格子底壁と複数の平行な冷却管とが水平方向に延びる簡素な構造を提供する。
【0020】
一例では、提示する解決策は、段差付き構造を構成する耐火材料層に埋め込まれた複数のノズル装置を提供し、それにより、火格子モジュールの段差付き構造の表面によって固形物の遮断されない(unobstructed)除去が促進される。
【0021】
一例では、火格子モジュールのコーナ部にあるノズル装置は、段差付き構造の表面から固形物を効率的に除去するように向き合わせされる。
【0022】
提示する解決策のこれら及び他の非限定的な特徴、特性、及び利点は、以下でより具体的に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下は図面の簡単な説明であるが、これらの図は、本明細書に開示する例示的な実施形態を説明する目的で提示しており、本明細書に開示する例示的な実施形態を限定することを目的とするものではない。
図1】本発明の解決策を適用できる蒸気発生器又は流動層ボイラの一例の側面図である。
図2】本発明の解決策に適用され、1つの火格子モジュールを構成する火格子アセンブリの一例の側断面図である。
図3】本発明の解決策に適用される図2の火格子アセンブリの例の上面図である。
図4】本発明の解決策に適用され、追加のノズル装置を備えた2つの隣接する火格子モジュールを含む火格子アセンブリの一例の上面図である。
図5図3の火格子アセンブリの成形されたコーナ部の例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
説明では、以下の参照数字及び表記を用いて図面を参照する。
10 流動層ボイラ
12 燃焼チャンバ
14 サイクロン
16 燃焼排ガスチャネル
18 支持フレーム
20 燃焼排ガス通路
22 支柱
24 支持ビーム
26 ハンガー
28 底部セクション
30 火格子アセンブリ
32 火格子底壁
34 冷却管
36 耐火材料層
38 ノズル装置
381 ノズル装置の第1列
382 ノズル装置の第2列
383 ノズル装置の第3列
384 ノズル装置の第4列
40 火格子モジュール
42 固形物除去開口部
44 固形物除去導管
46 ランド部
48 前面
50 空気プレナムチャンバ
52 追加のランド部
54 追加の前面
56 追加のノズル装置
561 ノズル装置の追加の列
58 コーナ部
【0025】
本明細書に開示する特徴のより完全な理解は、添付の図面を参照することによって得ることができる。これらの図は単なる概略図であり、装置又はその構成要素の相対的なサイズ及び寸法を示すこと、或いは実施形態の範囲を規定又は制限することを意図したものではない。以下の説明で使用する特定の用語は、図面に関して選択した実施形態のみを指すことを意図しており、本開示の範囲を規定又は制限することを意図するものではない。図面及び以下の説明において、同様の番号指定は、同様の機能の装置又は構成要素を指す。
【0026】
以下では、「水平」及び「垂直」という用語は、説明する解決策の機能を実現するために所定の位置に設置したときの、議論している装置又は構成要素の意図した動作位置を指す。「水平」及び「垂直」という用語は、絶対基準、つまり地面レベルに対する方向を示すために使用される。図中、垂直方向は矢印Zで示され、2つの直交する水平方向は矢印X及びYで示される。水平方向は垂直方向に対して直交する。
【0027】
また、「上部(upper)」、「下部(lower)」、「の上(on top)」、「の下(lower)」、「上向き(upward)」、及び「下向き(downward)」という用語は、上述の意図した動作位置に関連する。「平行」及び「直交」という用語は、構造が互いに完全に平行であること、又は完全に直交していることを要求すると解釈すべきではない。「反対側の、対向する(opposite)」という用語は、対向する方向が互いに完全に平行であることを要求すると解釈すべきではない。
【0028】
図1を参照すると、本発明の解決策が適用される蒸気発生器又は流動床ボイラ10の一実施形態が示される。流動層ボイラ10は、電気エネルギ、蒸気、及び/又は加熱エネルギの生成に適合した、発電所、蒸気ボイラプラント、又は温水ボイラプラントの一部であってもよい。
【0029】
ボイラ10は、燃料を燃焼させるための燃焼チャンバ12、すなわち炉と、燃焼チャンバ12から来る燃焼排ガス、すなわち燃焼生成ガスを搬送するための排ガスチャネル16とを含む。
【0030】
ボイラ10は、議論している設計に関連する更なる装置を含むことができるが、必ずしも図示されるわけではない。ボイラ10は、燃焼チャンバ12から来る燃焼排ガスから固体粒子を分離し、燃焼排ガスを排ガスチャネル16に案内するために、燃焼チャンバ12に接続されたサイクロン分離器14をさらに含むことができる。ボイラ10は、燃焼チャンバ12及び排ガスチャネル16を地面に対して支持する支持フレーム18をさらに含むことができる。支持フレーム18は、例えば、燃焼チャンバ12及び/又は排ガスチャネル16を支持フレーム18に対して支持するための支柱22、支持ビーム24及び/又はハンガー26を含んでもよい。
【0031】
ボイラ10は、CFB設計(循環流動床)又はBFB設計(バブリング流動床)の流動床ボイラであってもよい。燃料は、様々な供給源からのガス、固体燃料、又は固体廃棄物、例えば都市廃棄物であり得る。流動層を形成し、燃焼用の一次空気として使用される流動化空気は、燃焼チャンバ12の下部を構成する底部セクション28を介して燃焼チャンバ12内に供給される。
【0032】
図2及び図3に示すように、流動層ボイラ10の燃焼チャンバの底部セクション28で使用するための火格子アセンブリは、火格子底壁32、保護耐火材料層36、複数のノズル装置38、及び少なくとも1つの火格子モジュール40を含む。
【0033】
火格子底壁32は、火格子底壁32に取り付けられた複数の冷却管34を含む。
【0034】
図2の例によれば、火格子底壁32は水平方向に延びており、複数の冷却管34は、平行で水平方向に延びており、火格子底壁32に沿って間隔を空けて火格子底壁32に取り付けられる。
【0035】
図2の例によれば、火格子底壁32は、冷却管34同士の間に取り付けられたフィンによって分離された複数の冷却管34によって構成される。
【0036】
保護耐火材料層36は、火格子底壁32に位置しており、複数の冷却管34を覆う。
【0037】
複数のノズル装置38は、火格子底壁32及び保護耐火材料層36の上の流動層材料の流動化及び燃料の燃焼を維持するための流動化一次空気を燃焼チャンバ12内に供給するためのものである。各ノズル装置38は、火格子底壁32及び耐火材料層36を通って到達する一次空気を案内し、使用される空気を流動化一次空気として噴射するように適合される。
【0038】
図2の例によれば、ノズル装置38は、火格子底壁32に取り付けられてこの火格子底壁32を通過する導管セクションと、導管セクションを介して案内された空気を噴出させる口(mouth)セクションとを含む。
【0039】
火格子アセンブリ30は、例えば、1つの火格子モジュール40、又は2~36個の隣接する火格子モジュール40を含む。一例によれば、火格子モジュール40は、N×Mグリッドを構成し、Nは1、2、又は3に等しく、Mは2、12、又は2~12の間の整数に等しい。
【0040】
図4の例によれば、火格子アセンブリ30の全ての火格子モジュール40は同様である。あるいはまた、火格子アセンブリ30は、同様の及び/又は異なる火格子モジュール40を含んでもよい。
【0041】
各火格子モジュール40は、固形物除去開口部42、固形物除去導管44、及び複数の同心状のランド部46を含む。
【0042】
固体除去開口部42は耐火材料層36に形成されており、固体除去開口部42を介して、耐火材料層36上の固形物は、移動する空気及び重力によって、耐火材料層36及び火格子底壁32を通って下向きに案内される。
【0043】
図2の例によれば、固形物は、流動床ボイラ10又は火格子アセンブリの固体除去導管44に向けて下向きに案内される。
【0044】
各ランド部46は、耐火材料層36に形成される。ランド部46は、垂直方向に関して間隔を空けて配置されており、ランド部46同士の間に位置する前面48によって互いに分離される。
【0045】
ランド部46は、例えば段差付き構造、例えば漏斗を構成し、漏斗は、ランド部46の中央に位置する固形物除去開口部42に向けて下降する。
【0046】
図2の例によれば、前面48は垂直方向に延びる。
【0047】
各前面48は、ランド部46のうちの1つを取り囲み、長方形の周囲の形状、又は少なくとも1つの成形されたコーナ部を有する長方形の周囲の形状に従う。あるいはまた、各前面48は、ランド部46のうちの1つを取り囲み、正方形の周囲の形状、又は少なくとも1つの成形されたコーナ部を有する正方形の周囲の形状に従う。長方形を表す正方形は、4つの辺の長さが等しい長方形の特殊なケースである。
【0048】
図5の例によれば、少なくとも1つの成形されたコーナ部は、面取り(図5(b))、複数の面取り(図5(c))、段差部(図5(d)(g))、複数の段差部(図5(e)(f))、長方形の内側に拡張する形状(図5(b)(c)(d)(e))、及び/又は長方形の外側に拡張する形状(図5(f)(g))を含む。一例によれば、長方形の全ての4つのコーナ部は類似している。一例によれば、コーナ部は2つの直交するエッジから形成される(図5(a))。
【0049】
各ランド部46は、複数のノズル装置38に属するノズル装置38のグループを含む。ノズル装置38のグループは、耐火材料層36に埋め込まれており、前面48のうちの1つを通して、この1つの前面48に隣接するランド部46のうちの1つにさらに沿って空気を噴射、方向付け、又は向き合わせするように構成される。一例によれば、1つのランド部46は、1つの前面48と、垂直方向に関して下方に位置する別の前面48との間にある。一例によれば、1つのランド部46は、1つの前面48と、火格子モジュール40の中心の固形物除去開口部42との間にある。
【0050】
図3の例によれば、固形物除去開口部42は円形である。あるいはまた、固形物除去開口部42は、例えば長方形、例えば正方形又は多角形の形状であってもよい。
【0051】
図2の例によれば、ノズル装置38は空気を水平方向に噴射するように適合される。図3の例によれば、各ノズル装置38は、そのノズル装置38に特有の所定の水平方向に空気を噴射するように適合される。
【0052】
図2及び図3の例によれば、各前面48は、ノズル装置38のグループの表面によって、又は耐火材料層36によって、又はノズル装置38及び耐火材料層38の両方の表面によって形成される。一例によれば、ノズル装置38と、耐火材料層36のセクションとが前面48で交互になる。
【0053】
一例によれば、ノズル装置38の前面は、前面48の一部を構成する。一例によれば、前面は、ノズル装置38の口セクションに含まれる。一例によれば、空気は、前面の開口部を介して噴射される。
【0054】
一例によれば、ノズル装置38のグループは、空気がノズル装置38から耐火材料層36に形成された導管及び開口部に噴出され、前面48を介して空気を噴射するように、耐火材料層36に埋め込まれる。
【0055】
図2の例によれば、ノズル装置38のグループは、ノズル装置38の上面がランド部46の一部を構成するように、耐火材料層36に埋め込まれる。一例によれば、ノズル装置38と耐火材料層36のセクションとがランド部46で交互になる。別の例によれば、ノズル装置38は、ランド部46の表面の下に埋め込まれる。
【0056】
図3の例によれば、各ランド部46は、ノズル装置38の第1列381、ノズル装置38の第2列382、ノズル装置38の第3列383、及びノズル装置38の第4列384を含む。各列のノズル装置38は、一列に整列され、上述したノズル装置38のグループに属する。これらの列は水平に配置され、第1列381及び第2列382が、平行であり、ランド部46の両側に位置し、第3列383及び第4列384が、平行であり、ランド部46の両側に位置し、且つ第1及び第2の列381、382に対して直交する。
【0057】
図3の例によれば、複数のノズル装置38に属しており、且つ異なるランド部46に位置する2つ以上のノズル装置38が、列381、382、383、384のうちの1つに直交する方向に沿って一列に整列している。
【0058】
図3の例によれば、各列381、382、383、384の各ノズル装置38は、空気を、上述した対向する列に直交する水平方向にランド部46に沿って対向する列に向けて噴射するように構成、方向付け、又は向き合わせされる。
【0059】
一例によれば、上述したノズル装置38のグループには、8~80個のノズル装置38が存在する。
【0060】
一例によれば、火格子モジュール40には3~7個の同状の心ランド部46がある。あるいはまた、8個以上、例えば少なくとも10個の同心状のランド部46がある。一例によれば、ランド部は水平方向に延びる。
【0061】
図3の例によれば、各前面48は、長方形のコーナ部を構成する4つのコーナ部58を含み、各コーナ部は、上述したノズル装置38のグループに属しており、且つ互いに直交する列381、382、383、384のうちの2つの間にある少なくとも1つのノズル装置38を含む。少なくとも1つのノズル装置38は、空気を水平方向に、固形物除去開口部42又は対角線に位置する4つのコーナ部58のうちの1つに向けて噴射するように構成、方向付け、又は向き合わせされる。図3の例によれば、少なくとも1つのノズル装置38は、上述した互いに直交する2つの列に関連して、45度の角度、又は35~55度の角度、又は20~70度の角度で空気を噴射する。
【0062】
一例によれば、上述したコーナ部58には、1つ、2つ、又は3つ以下のノズル装置38が存在する。あるいはまた、上述したコーナ部58には3つ以上のノズル装置38が存在する。
【0063】
図4の例によれば、火格子アセンブリ30は、少なくとも1つの火格子モジュール40の少なくとも一方の側に、追加のランド部52をさらに含む。追加のランド部52は、耐火材料層36に形成される。追加のランド部52は火格子モジュール40の段差付き構造に対する延長部を形成する。図4の第1の例によれば、追加のランド部52は、それら(火格子モジュール40同士)の間の追加の前面54によって火格子モジュール40の最上部のランド部46から分離される。第2の例によれば、追加のランド部52は、それら(火格子モジュール40同士)の間の追加の前面54によって別の追加のランド部52から分離される。
【0064】
図4の例によれば、追加のランド部52及び/又は追加の前面54は、線状の形状に従い、すなわち、追加のランド部52及び/又は追加の前面54は直線的に延びる。一例によれば、追加のランド部52は水平方向に延びる。一例によれば、追加のランド部52は、隣接する少なくとも2つの火格子モジュール40の一方の側に沿って直線的に延びる。
【0065】
追加のランド部54は、耐火材料層36に埋め込まれた追加のノズル装置56のグループを含み、追加のノズル装置は、空気を追加の前面54のうちの1つを通して、さらに上述した最上部のランド部46又は1つの追加の前面54に隣接する上述した他の追加のランド部46に沿って噴射するように構成、方向付け、又は向き合わせされる。一例によれば、追加のノズル装置56は、空気を水平方向に噴射するように適合される。
【0066】
図4の例によれば、火格子モジュール40のランド部46と、火格子モジュール40の一方の側、隣接する2つの側又は対向する側、或いは隣接する3つの側に位置する追加のランド部52とが、長方形の形状に従う火格子モジュール40を形成する。別の例によれば、火格子モジュール40は正方形の形状に従い、火格子モジュール40は追加のランド部52とともに非正方形である長方形の構造を形成する。図4の例によれば、追加のランド部52は、2つの隣接する火格子モジュール40の間に位置することになる。
【0067】
図4の例によれば、追加のランド部52は、追加のノズル装置56の追加の列561を含む。追加の列の追加のノズル装置56は、一列に整列され、上述した追加のノズル装置56のグループに属する。追加の列は、追加の列561が、第1例381及び第2列382、又は第3列383及び第4列384と平行になるように水平方向に配置される。
【0068】
図4の例によれば、追加の列561の各追加のノズル装置56は、追加の列561に平行な上述した列に直交する水平方向に、上述した列に向けて空気を噴射するように構成、方向付け、又は向き合わせされる。あるいはまた、追加の列561の一端又は両端にある少なくとも1つの追加のノズル装置56は、空気を水平方向に、固形物除去開口部42又は対角線に位置する4つのコーナ部58のうちの1つに向けて噴射するように構成、方向付け、又は向き合わせされ、少なくとも1つの追加のノズル装置56は、上述した追加のノズル装置56のグループに属する。一例によれば、少なくとも1つの追加のノズル装置56は、追加の列561の他の追加のノズル装置56に対して、45度の角度、35~55度の角度、又は20~70度の角度で空気を噴射する。
【0069】
いくつかの例によれば、例えば耐火材料層36、前面48、及びランド部46に関連して上で説明した上述のノズル装置38の構造、動作、及び特性の詳細は、耐火材料層36、追加の前面54、及び追加のランド部52に関連する追加のノズル装置56にも適用される。
【0070】
一例によれば、流動層ボイラ10は、固形物除去開口部42及び/又は固形物除去導管44のうちの1つ又は複数を介して来る固形物を受け取るための固形物収集及び取扱いシステムを含む。
【0071】
一例によれば、流動層ボイラ10又は火格子アセンブリは、1つ又は複数の空気プレナム(plenum)チャンバ50をさらに含む。空気プレナムチャンバ50は、複数のノズル装置38、56を介して流動化一次空気として供給される空気を受け取るように適合される。空気プレナムチャンバ50は、火格子底壁32の下に位置する。一例によれば、空気を搬送するために、ノズル装置38、56の導管セクションは空気プレナムチャンバ50と連通する。
【0072】
この説明において、装置又は構成要素を指す単数形「1つの(a,an)」、及び「その(the)」は、特に指定しない限り、追加又は複数の対応する装置又は構成要素を排除するものではない。
【0073】
説明では、様々な装置及び構成要素が他の構成要素を「備える、有する、含む(comprising)」ものとして説明する場合がある。「備える、有する、含む(comprise(s),comprising)」、「含む、有する(include(s))」、「有する、含む(having,has)」という用語、及びその変形は、特に指定しない限り、追加の構成要素の可能性を排除しない自由な(open-ended)表現であることを意図している。
【0074】
この説明で開示する本発明の解決策の様々な態様及び実施形態は、例示を目的としたものであり、限定することを意図したものではない。本発明の解決策は、添付の特許請求の範囲によってカバーされる全てのそのような態様及び実施形態を含むものとして解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】