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特表2024-525096アルギネート、ポリリジン、及び種子防腐剤を使用する胃酸を中和するための方法
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  • 特表-アルギネート、ポリリジン、及び種子防腐剤を使用する胃酸を中和するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】アルギネート、ポリリジン、及び種子防腐剤を使用する胃酸を中和するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/734 20060101AFI20240702BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240702BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240702BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240702BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20240702BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240702BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240702BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20240702BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240702BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20240702BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20240702BHJP
【FI】
A61K31/734
A61K47/34
A61K47/26
A61K47/46
A61K9/16
A61K9/20
A61K47/02
A61K31/05
A61P1/04
A23L33/125
A23L29/256
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500622
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 US2022035992
(87)【国際公開番号】W WO2023283143
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/218,488
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524008306
【氏名又は名称】リフラックス グルメ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】フランク ケン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018MD38
4B018ME01
4B018ME14
4C076AA31
4C076AA36
4C076BB03
4C076BB04
4C076CC16
4C076DD05F
4C076DD25P
4C076DD41C
4C076DD55F
4C076DD67
4C076EE16
4C076EE26R
4C076EE31
4C076EE38
4C076EE42
4C076EE58R
4C076FF04
4C076FF09
4C076FF35
4C076FF39
4C076FF43
4C076GG12
4C076GG14
4C086AA01
4C086EA25
4C086GA13
4C086GA17
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA23
4C086MA28
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA57
4C086NA20
4C086ZA66
4C086ZA68
4C206AA01
4C206CA19
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA72
4C206NA03
4C206NA05
4C206ZA01
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】改善された溶解性、安全性、味及び有効性のために最適化されたアルギネートを含有する栄養補助剤/サプリメント(又は「消化補助剤」)を提供する。
【解決手段】アルギネートベースの栄養製品(「AP」)を含む対象の胃酸を中和するための方法。APは、逆流中和剤、ラフト形成剤、安定化剤としてアルギネートを含み、ポリリジン、デキストロース、及びグレープフルーツ種子抽出物防腐剤を含む。本方法は、哺乳動物における酸逆流及び他の形態の不消化の緩和又は予防を提供することを意図している。一部の実施形態では、デキストロース及びポリリジンを組み合わせて、アルギネートベースの栄養補助食品のための防腐剤を形成する。他の実施形態では、逆流防止ラフトを製造するための方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において胃酸を中和するための方法であって、対象に、アルギネートベースの製品(AP)の有効量を投与するステップを含み、APが、対象の胃においてラフトを形成し、APが、アルギネート及びポリリジンを含む、方法。
【請求項2】
AP及びラフトが、酸の逆流を中和するように適合されており、APが、安定剤、アルカリ塩、二次的なアルカリ剤、及びカルシウムを含む塩を含み、ラフトが胃内容物の上に浮かぶ、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
APが、逆流性食道炎を中和するようにさらに適合されており、アルギネートが、タンパク質分解酵素を阻害するように配合される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
タンパク質分解酵素を阻害することが、ペプシン及び/又は胃液のタンパク質分解活性を阻害することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
APが、消化不良を中和するようにさらに適合されており、APが、ポリリジン、デキストロース、及びグレープフルーツ種子抽出物をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
APが、制酸剤と、機械的に作用する逆流防止ラフトの両方として作用するように適合されており、逆流防止ラフトが、胃酸と反応して胃の内容物の上に浮遊することによって、胃酸、酸逆流、逆流性食道炎、及び/又は消化不良を中和するように適合された泡状バリアを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
APが、2.0~12.0質量/体積%の低粘度グレードのデキストロースを二次保存糖と混和した発泡製剤を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
有効量のデキストロース糖類を投与することが、防腐剤としての作用を促進する製品の乾燥に寄与する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
APが、散剤、シロップ剤、カプセル剤、ゲル剤及び/又はグミとして製剤化される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
APが、1種又は複数の補因子、賦形剤、ビタミン、担体、界面活性剤、及び/又は結合剤と組み合わせて投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
還流防止ラフトを製造するための方法であって、
a)鉱物を含む機能化された天然又は合成の炭酸カルシウムを準備するステップであって、前記機能化された天然又は合成の炭酸カルシウムが、天然又は合成の炭酸カルシウムと二酸化炭素及び1つ又は複数の酸との反応生成物であり、二酸化炭素が、酸処理によってin situで形成されるか、及び/又は外部供給源から供給される、ステップと、
b)少なくとも1つのポリリジン含有成分を準備するステップと、
c)アルギン酸、デキストロース、及び/又はグレープフルーツ種子抽出物を含む少なくとも1つの製剤化剤を準備するステップと、
d)ステップa)b)及びc)で準備された化合物を混合するステップと、
e)ステップd)で得られた混合物を、溶融、乾式造粒、若しくは湿式造粒、又はローラー圧縮によって造粒するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
ステップc)の製剤化剤の一部が、ステップa)の機能化された炭酸カルシウム及びステップb)の少なくとも1つのポリリジン含有成分と最初に混合され、次いで、製剤化剤の残りの部分が、混合物に添加され、造粒ステップe)が続く、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
機能化された炭酸カルシウムを調製するための天然炭酸カルシウム源が、大理石、方解石、チョーク、ビタミンB5、石灰石及びドロマイト並びに/又はこれらの混合物の群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
機能化された炭酸カルシウムを調製するための合成炭酸カルシウムが、アラゴナイト、バテライト又は石灰質の鉱物学的結晶形態、特にプリズム、菱面体又はスカレノヘドルの沈殿炭酸カルシウム又はこれらの混合物を含む沈殿炭酸カルシウムである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
酸が、塩酸、硫酸、亜硫酸、硫酸水素塩、リン酸、リン酸と、酢酸、ギ酸若しくはクエン酸との組合せ、又はこれらの酸性塩、及びこれらの混合物の群から選択され、好ましくはリン酸である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
機能化された天然又は合成の炭酸カルシウムが、5m2/g~200m2/g、好ましくは20m2/g~150m2/g、より好ましくは40m2/g~100m2/gの比表面積を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
機能化された天然又は合成の炭酸カルシウムが、0.2~40μmの質量中央粒径を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
対象において酸の逆流を中和するための方法であって、対象に、アルギネートベースの製品(AP)の有効量を投与するステップを含み、APが、少なくとも担体、グレープフルーツ種子抽出物、及びMTOR化合物と組み合わせて投与される、方法。
【請求項19】
MTOR化合物がレスベラトロールを含み、レスベラトロールが、対象に対するAPの酸化防止の特徴とAPの神経保護の利益の両方を増強する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
担体が、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、デンプン、及び/又はラクトースを含み、APが、滑沢剤又は界面活性剤をさらに含み、界面活性剤が、ステアリン酸マグネシウム及び/又はラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2021年7月5日に出願された米国仮出願第63/218488号からの優先権を主張する。この仮出願の開示は、全文が記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
本開示は、一般に、アルギネートベースの栄養サプリメント及び消化補助剤において、ポリリジン、デキストロース、及びグレープフルーツ種子抽出物を防腐剤として使用して対象において胃酸を中和するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パラベンベースの化合物及び一般的な合成物質は、効果的な防腐剤及び消化補助剤として作用することが当技術分野で知られている。しかしながら、パラベンベースの化合物は公知のホルモン攪乱物質であり、特定のがんの発生に関与している。よって、安全で、製造が容易で、発癌性がなく、ホルモンを攪乱せず、パラベンベースではない食品防腐剤及び消化補助剤に対するニーズが当技術分野において存在する。アルギネートは、褐藻類から単離された天然の多糖類ポリマーであり、当技術分野におけるこのニーズに部分的に対処する役割を果たし得る。アルギネートは、100年を超えて食品添加物として安全に使用されており、その健康上の利点は、主に哺乳類の胃の中で消化されやすい安定した食物繊維に由来する。
胃は食道の延長と考えられ得る。経口摂取後、食物は1~6時間の間胃に留まる。その間、咀嚼された食物は薄いペースト状又は粥状になり、小分けにされて十二指腸に流出する。この食物を処理するために、いくつかの酵素が上皮細胞によって産生される。さらに、胃壁細胞は胃酸とも呼ばれる塩酸を産生し、胃のpHを低くしている。この胃酸は、外来生物に対するファーストラインの免疫応答であり、細菌、真菌及び他の微生物に対して殺菌効果をもたらす。食物の消化には欠かせないが、胃酸が食道及び上気道に逆流することが現代社会では問題になっている。食道及び喉(咽頭及び喉頭)はpHの低い胃酸内容物を処理する能力がなく、傷害を起こす可能性がある。多くの人は遺伝的且つ身体的に逆流しやすい体質であるが、ストレス、食べ過ぎ、早食い又は早飲み、及び炭酸飲料のがぶ飲みなどの生活習慣は、胃の内容物を食道及び上気道に逆流させるさらに一因となり得る。
【0003】
不消化は広義には消化不良症又はGERD(胃食道逆流性疾患)と定義され得る。消化不良とは、通常は食後又は飲酒後(すなわち、アルコール飲料又はコーヒー)に、ヒトが胃及び肋骨の下に感じ得る痛み又は不快感の総称であるが、空腹時にも同様の症状が起こり得る。一方、GERDは、ヒトの食道と胃の間にある筋肉の輪が弛緩することによって起こる消化器障害である。この輪は下部食道括約筋(LES)と呼ばれ、その弛緩はさらに胸やけ又は胃酸過多の原因となり得る。
不消化を年に数回経験する人もいれば、数分続く軽い不快感から、より長い時間続く激しい痛み、時には数時間続く可能性のある吐き気及び嘔吐を伴うこともある、毎日の症状に悩まされる人もいる。最も一般的な不消化の症状は、胃及び肋骨の下の痛み又は不快感、胸やけ、食後の膨満感や不快な満腹感、胃のゴロゴロ音、胃痙攣、胃のしめつけ感又はこわばった感じ、過度のげっぷ又は鼓腸、並びに吐き気又は嘔吐である。上気道への胃内容物の逆流、又は喉頭咽頭逆流(LPR)の最も一般的な症状は、喉の痛み、喉の鳴り、嗄声、咳、及び喉のしこり感である。
【0004】
この障害は、先進国ではますます多くの人々が経験している。少なくとも人口の3分の1がエピソード性消化不良に苦しんでいる。消化不良は、一般的に、胃内容物のpHを上げる塩基又は酸緩衝剤として作用する制酸剤によって緩和され得る。制酸剤は通常市販されており、あらゆる薬局で購入することができる。炭酸カルシウムは、制酸剤の有効成分として一般的に使用される。カルシウムベースの制酸剤には、マグネシウム又はアルミニウムなどの他の成分を加えるものもある。一般的な市販の制酸剤には、英国ブレントフォードのGlaxoSmithKlineにより販売されているTums(登録商標)(これは単に炭酸カルシウムである)、Bayerにより販売されているRennie(登録商標)(これには、カルシウムの摂りすぎによる便秘の副作用の可能性を和らげるためにマグネシウムが加えられている)、及びNovartisにより販売されているMaalox(登録商標)(これには、炭酸カルシウムにアルミニウムが加えられており、液体又は錠剤の形態である)が含まれる。制酸剤は、軽度又は中等度の胸やけを伴う消化不良患者の自己薬物治療として有用であり得るが、即効性がある一方で短時間作用型でもあるため、頻繁に起こる胸やけや重度の胸やけにはあまり役に立たず、予防措置としてもあまり上手く作用しない。
【0005】
H2ブロッカー及びプロトンポンプインヒビター(PPI)などのアシッドブロッカーは、一般に重度の慢性症状に使用される。これらの薬物は、胃酸が産生されるのをブロックすることによって効果を発揮する。これらのアシッドブロッカーは制酸剤ほど即効性はないが、持続時間が長く、一度に数時間効果を発揮し得る。市販のアシッドブロッカーとしては、Axid(登録商標)、Pepcid(登録商標)、Tagamet(登録商標)、及びZantac(登録商標)が挙げられる。これらのブランドは、マイルドな形態では十分な緩和が得られない場合には、処方強度のものも入手可能である。H2ブロッカーとプロトンポンプインヒビターの臨床的有効性はよく知られている(Hurlimann S, Michel K, Inauen W, Halter F: Effect of Rennie Liquid versus Maalox Liquid on intragastric pH in a double-blind, randomized, placebo-controlled, triple cross-over study in healthy volunteers. Am J. Gastroenterol. 1996; 91: 1173-1180;Feldman M: Pros and cons of over-the-counter availability of histamine2-receptor antagonists. Arch Intern Med 1993; 153; 2415-2424;Netzer P, Brabetz-Hoefliger A, Bruendler R, Flogerzi B, Huesler J, Halter F: Comparison of the effect of the antacid Rennie versus low dose; and H2-receptor antagonists (ranitidine, famotidine) on intragastric acidity. Aliment Pharmacol Ther 1998; 12: 337-342)。
【0006】
Pepcid(登録商標)、Tagamet(登録商標)、及びZantac(登録商標)などのアシッドブロッカーは、胃で産生されるヒスタミンの1種をブロックすることによって作用し、次いで、酸の産生をブロックする。これらのヒスタミンブロッカーは、典型的には、1日2回、食事の30~60分前に服用するのが最も効果的である。残念なことに、ヒスタミンブロッカーの中には、ある種のがんの発症、並びに多くの他の重大な、生命を脅かす及び/又は人生を変える副作用に関与しているものがある。
【0007】
プロトンポンプインヒビター、又はPPIと呼ばれる別のクラスのアシッドブロッキング薬は、酸を産生する胃内の小さなプロトンポンプを停止させ、酸レベルを劇的に低下させる。これらは、ヒスタミンブロッカーが十分な緩和をもたらさない場合、又は人が食道にびらん、又はGERD(胃食道逆流性疾患)の他の合併症を有する場合に使用されることが多い。プロトンポンプインヒビターの一つであるPrilosec(登録商標)は、米国だけでなく多くの他の国で市販されている。Aciphex(登録商標)、Nexium(登録商標)、Prevacid(登録商標)、Protonix(登録商標)、及びPrilosec(登録商標)の他の形態などの他のPPIは、地域的要件によって医師の処方箋が必要な場合がある。Reglan(登録商標)は、胃が空になるスピードを速めることによって、酸の逆流を低下させるよう作用する別の処方薬である。Reglan(登録商標)は、食物が食道を通過する消化収縮を強化し、このように消化を早めることに伴い、胸やけの軽減に関連し得る。Reglan(登録商標)をはじめとする運動促進薬は、死に至る可能性のある副作用を有し、食品医薬品局(FDA)からその機関の最も強い警告である「ブラックボックス」警告を受けた。
【0008】
アルギネートは、100年以上にわたって天然の食品添加物として安全に使用されてきたコンブ(褐藻類)の天然由来物である。アルギネートは、食品に粘度をつけ、ゼリーを作るのに使用される一般的な家庭用食材である。消費される際に、アルギネートは、食道及び胃の内側もコーティングし、保護粘膜層を作成し、保護的なアルギネートのラフトを形成して胃の内容物の上に浮き、胃の中で炭酸水素塩と結合して酸の逆流を緩和させる。逆流の緩和を助ける天然アルギネート製品の開発における大きな課題の一つは、アルギネートが細菌及び真菌の成長用の培地を形成する可能性があり、保存が非常に難しいということである。このため、現代のアルギネートベースの製品に使用されている主な防腐剤はパラベンである。パラベンは合成防腐剤であり、ホルモン攪乱物質として知られ、脱毛、アレルギー反応、多くのがんの発生に関与している。
一例として、英国特許第2324725号は、消化管に粘接着性の裏打ちを形成するのに好適な医薬組成物を開示する。これは、少なくともM/G比が単一であるアルギン酸又はアルギン酸塩を含む。この組成物は逆流性食道炎の処置のための液体として製剤化することができる。実施例では、アルギン酸ナトリウム100gあたり炭酸カルシウム32g又は10%の水酸化アルミニウムゲル100gを使用して胃の上に浮く逆流防止ラフトを形成している。しかし、アルギネート製品は、ホルモンの乱れ並びに細菌及び真菌の成長を防ぐために必要とされるパラベン防腐剤による潜在的な発癌作用を含むいくつかの悪影響を受ける。
【0009】
関連して、WO2001/087282A3及びUS2007/0281015には、粘膜保護活性を有する胃酸を迅速且つ長時間中和する制酸剤医薬組成物が記載されている。この医薬品は、経口摂取用の液体調製物として意図されている。少なくとも30%のアルギン酸ナトリウム、制酸可溶性薬剤、及びオメプラゾールなどのプロトンポンプインヒビターを含む。選択する制酸可溶性薬剤は炭酸水素ナトリウムであり、消化管で直接作用して胃酸過多を中和し、アルギネートは、胃環境に入った後、粘性懸濁液又はゲルを形成し、胃粘膜にわたり保護活性を発揮し、プロトンポンプインヒビターは胃の胃壁細胞のH+/K+_ATPase酵素を選択的にブロックすることによって作用する。
本発明の目的は、改善された溶解性、安全性、味及び有効性のために最適化されたアルギネートを含有する栄養補助剤/サプリメント(又は「消化補助剤」)を開示することである。前記消化補助剤は、上記先行技術とは対照的に、胃酸に対する中和作用がより長く持続するだけでなく、ほぼ瞬時に作用するという利点を有する。よって、本明細書に記載された発明は、より安全で、嗜好性が高く、ホルモンを攪乱せず、発癌性のない消化補助剤に対する技術的必要性を満たすものであり、さらに、天然で、パラベンフリーであり、安全である。
【発明の概要】
【0010】
既存のシステム及び方法に見られる制限を最小限にし、本明細書を読めば明らかになるであろう他の制限を最小限にするために、本発明は、アルギネートベースの栄養サプリメント製品(「AP」又は「消化補助剤」)中の防腐剤として、ポリリジン、デキストロース、及びグレープフルーツ種子抽出物を含む。
【0011】
本開示は、対象において胃酸を中和するための方法であって、対象に、アルギネートベースの製品(AP)の有効量を投与することを含み、APが、対象の胃において逆流防止ラフトを形成し、APが、アルギネート及びポリリジンを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、APは、酸の逆流を中和するようにさらに適合されており、APは、安定剤、アルカリ塩、二次的なアルカリ剤、及びカルシウムを含む塩をさらに含む。
【0012】
他の実施形態では、APは、逆流性食道炎を中和するように適合されており、アルギネートは、タンパク質分解酵素を阻害するように配合される。実施形態では、タンパク質分解酵素を阻害することは、ペプシン及び/又は胃液のタンパク質分解活性を阻害することを含む。一部の実施形態では、APは、消化不良を中和するようにさらに適合されており、APは、ポリリジン、デキストロース、及びグレープフルーツ種子抽出物をさらに含む。
一部の実施形態では、APは、制酸剤と逆流防止ラフトの両方として作用するように適合されており、逆流防止ラフトは、胃酸と反応して対象の胃の内容物に浮遊することにより、胃酸、酸逆流、逆流性食道炎、及び/又は消化不良を中和するように適合された泡状バリアを含む。実施形態では、APは、2.0~12.0%質量/体積の低粘度グレードのデキストロースに二次的な防腐剤としての糖が混和された泡状ラフト製剤を形成する。
【0013】
他の実施形態では、有効量のデキストロース糖類を投与することは、防腐剤としての作用を促進する製品の乾燥に寄与する。特に、APは、散剤、シロップ剤、及び/又はカプセル剤として製剤化され得る。また、逆流防止ラフトの製造方法も提供される。さらに、対象において逆流を中和するための方法であって、対象に、アルギネートベースの製品(AP)の有効量を投与することを含み、APが、少なくとも担体及びMTOR化合物と組み合わせて投与される、方法が提供される。
本発明の第1の目的は、天然で、安全な、ホルモン攪乱性でなく、非発癌性の消化補助剤の製造及び使用方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、世界的クラスのシェフによって最適化された種々のユニークな天然フレーバーで提供される、ユーザーにとってより嗜好性の高い消化補助剤又はアルギネート製品(「AP」)の使用方法を提供することである。
治療効果を得るために必要なアルギネート有効成分の濃度が低くなるように、アルギネートラフト技術を最適化することも本発明の別の目的である。
本発明のさらに別の目的は、本明細書で請求される不消化関連の栄養サプリメント/消化補助剤の製造を最適化し、塩を含むいくつかの成分の溶解性を改善することである。
本発明のこれら及び他の利点及び特徴は、当業者にとって本発明が理解できるように具体的に記載されている。添付の図面と共に以下の詳細な説明により、本発明の性質及び利点がよりよく理解できるであろう。
本発明の様々な要素及び実施形態の明確性及び理解を向上させるために、図面の要素は必ずしも縮尺通りに描かれていない。さらに、当業者に一般的であることが知られており、十分に理解されている要素は、本発明の様々な実施形態を明確に示すために描かれていない。よって、図面は、明瞭且つ簡潔にするために、一般化された形式となっている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態によるポリリジンの化学構造を示す。
図2図2は、本発明の好ましい実施形態によるデキストロースの化学構造を示す。
図3図3は、本発明の好ましい実施形態によるアルギン酸(「アルギネート」)の化学構造を示す。
図4図4は、アルギネートラフト沈殿物の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のいくつかの実施形態及び用途に対処する以下の議論において、本明細書の一部を構成し、本発明が実践され得る例示的な特定の実施形態によって示される添付の図面に対して言及される。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、変更がなされ得ることを理解されたい。
互いに独立して、又は他の特徴と組み合わせてそれぞれ使用することができる様々な本発明の特徴が以下に記載される。しかしながら、任意の単一の発明的特徴は、上述した問題のいずれにも対処しないか、又は上述した問題の1つにしか対処しない場合がある。さらに、上述した問題のうちの1つ又は複数は、以下に記載される特徴のいずれによっても完全に対処されない場合がある。
【0016】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上明らかにそうでないと指示されない限り、複数の参照を含む。「及び(and)」は、本明細書で使用される場合、明示的に別段の記載されない限り、「又は(or)」と互換的に使用される。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、記載されたパラメーターの±5%を意味する。本発明の任意の態様のすべての実施形態は、文脈上明らかにそうでないと指示されない限り、組み合わせて使用することができる。
文脈上明らかにそうでないことが要求されない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」などの語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に、包含的な意味で、すなわち「を含むが以下に限定されない」という意味で解釈されるべきである。単数又は複数を使用する語は、それぞれ複数及び単数も含む。さらに、本出願において使用される場合、「本明細書において」、「ここで」、「一方」、「上記」、及び「以下」という語、並びに類似の語は、本出願を全体として指すものであり、本出願の任意の特定の部分を指すものではない。
【0017】
本開示の実施形態の説明は、網羅的であること、又は開示された正確な形態に本開示を限定することを意図するものではない。本開示の具体的な実施形態及び実施例は、例示の目的で本明細書に記載されているが、関連技術の当業者であれば認識するように、本開示の範囲内で様々な均等な変更が可能である。
一部の実施形態では、アルギネートベースの製品における防腐剤としてのポリリジン10、デキストロース20及びグレープフルーツ種子抽出物の使用が企図される。好ましい実施形態では、アルギネートベースの製品(以下、「AP」又は「アルギネートサプリメント」と称する)は、ポリリジン10、デキストロース20及びグレープフルーツ種子抽出物防腐剤に加えて、安定化剤としてアルギネート30を使用するアルギネートベースの製品を含む組成物である。一部の実施形態では、デキストロース20(又は当該技術分野で公知の他の一般的な糖)及びポリリジン10が組み合わされて、アルギネートベースの製品のための防腐剤を形成する。他の実施形態では、デキストロース20(又は当該技術分野で公知の他の一般的な糖類)、グレープフルーツ種子抽出物、及びポリリジン10が組み合わされて、アルギネートベースの製品のための防腐剤を形成する。
【0018】
一部の実施形態では、デキストロース20糖、及び/又は他の糖は、防腐剤としての作用を促進する製品の乾燥に寄与する。加えて、一部の実施形態では、APは、胃食道逆流に特徴的な小腸及び胃の部分的に逆流した低pH成分に対する緩和を提供するために、使用者の喉及び食道の粘膜裏地に減粘剤(保護)バリアを形成する。一旦胃に入ると、図4に示されているように、APは、胃から食道及び喉への胃逆流を減少させるpH中性の機械的バリアとして機能する泡状組成物(本明細書では「ゲルラフト」、「泡」又は「泡状ラフト」とも称される)の安定した保護ラフト40を形成する。
逆流を減らすことで、使用者の喉の胃の低pH内容物への曝露が低減され、そうでなければ、局所炎症、DNA損傷、痛み、口臭、及び睡眠不足に寄与する。
好ましい実施形態では、APは、200mgのアルギン酸ナトリウム、170mgのビタミンB5、200mgの炭酸水素ナトリウム、デキストロース20、ポリリジン10、及びグレープフルーツ種子抽出物を含む。好ましい実施形態では、アルギネートゲルは喉及び食道の組織をコーティングし、上記の酸逆流及び他の形態の不消化に対する緩和がもたらされる。特に、200mgのアルギン酸ナトリウムは食品添加物として使用され、泡状及び/又は粘性の溶液若しくはゲルを形成する。さらに、170mgのビタミンB5(パントテン酸カルシウム)は、泡状ラフトの強度と凝集性を高める。カルシウムは、アルギン酸ポリマー30を架橋することにより、ラフト強度を増加させる。一部の実施形態では、ビタミンB5は、強化されたラフト強度及び酸逆流の低減という予期せぬ結果をもたらす。さらに、ビタミンB5は、身体が咀嚼した炭水化物をグルコースに変換するのを助け、身体は、このグルコースを使用して、好気性代謝によりアデノシン三リン酸(ATP)を産生する。これらのビタミンB群は、しばしばビタミンB複合体と呼ばれ、体が脂肪及びタンパク質を代謝するのを助け、神経系機能の改善に寄与する。APはさらに胃を満たし、ダイエット補助食品としても使用することができる。
【0019】
上記に対してさらに、200mgの炭酸水素ナトリウムは、ラフト形成の有用性及び効力を高める。特に、胃酸の存在下では、炭酸水素塩がアルギン酸ゲルマトリックス内に二酸化炭素の気泡を形成し、その過程で酸を緩衝する。この特徴により、ラフト内の発泡作用が誘導され、ゲルが胃内容物の表面にさらに浮かせることが可能である。二酸化炭素もまた、APの酸中和効果に寄与する。一部の実施形態では、デキストロース20は、天然の甘味料及び必須の防腐剤として機能する。上記したように、デキストロース20は、APの防腐機能に必須であるAPの水分含量も低下させる。アルギネート30とデキストロース20との固有の組合せは、当該技術分野では企図されていない方法で、APの酸逆流抑制効果を著しく高める。上記したように、ポリリジン10はまた、必須の天然防腐剤として機能する。一部の実施形態では、グレープフルーツ種子抽出物(「GSE抽出物」)は、固有の高濃度の酸化防止剤を提供する必須の天然防腐剤、抗真菌剤、及び甘味料としての役割を果たす。
【0020】
一部の実施形態では、APは、当該技術分野で知られている多くの逆流防止組成物の低ナトリウム、ヨウ素フリー、カリウムフリーの代替品である。当技術分野で公知の他の製品は、公知のホルモン攪乱物質であるパラベンなどの潜在的な発癌物質だけでなく、一部の患者において高血圧及び腎傷害の一因となっている高塩含有量、高濃度のカリウムを含有している。
対照的に、APの全成分は非合成であるため、消化器及び臓器の濾過の問題を軽快する。別の実施形態では、APはダイエット補助食品として機能し、APの有用性は主にその繊維性化合物に由来する。ユーザーの胃の中で、前記化合物は膨張し、ユーザーに満腹感を与え、同時にバランスのとれたpH環境に貢献する。
【0021】
ビタミンB5の有用性をさらに広げると、消化機能以外に、化合物は水溶性が高く、赤血球の製造に不可欠である。さらに、ビタミンB5は、副腎で産生されるストレス関連ホルモンの合成の基質として作用する。一部の実施形態では、AP中のビタミンB5は、健康な消化管の維持を促進し、他のビタミン、特にB2(リボフラビンとも呼ばれる)の体内での使用を助ける。特に、カルシウム及びビタミンB5の混和性が本発明者らによって企図された。一部の実施形態では、理想的な成分組成(溶解性が最適化された)は、60/40(M/G)の比率で配合されたアルギネート30(具体的には、レッソニアニグレッセンス(lessonia nigrescens))のチリ産海藻調達を含んでいた。
【0022】
一部の実施形態では、上記の各成分の様々な投薬量が企図され、緩衝能、酸化防止能などについて、各特定の食品に合わせて最適化される。上記のように、好ましい実施形態では、APは、200mgのアルギン酸ナトリウム、170mgのビタミンB5、200mgの炭酸水素ナトリウム、デキストロース20、ポリリジン10、及びグレープフルーツ種子抽出物を含む。別の実施形態では、APは、75~400mgの範囲のアルギン酸ナトリウム、100~350mgのビタミンB5、100~300mgの炭酸水素ナトリウムを、非特異的な投薬量で含まれるデキストロース20、ポリリジン10、及びグレープフルーツ種子抽出物と共に含む。
【0023】
一部の実施形態では、APは、タンパク質分解酵素を阻害するように特別に配合されたアルギネート30を使用する逆流性食道炎の緩和に関する。一部の実施形態では、本発明は、ペプシン及び/又は胃液のタンパク質分解活性の阻害に関する。他の実施形態では、500kDa未満の好ましい分子量を有する1つ又は複数のデキストロース分子20は、ポリリジン10、デキストロース20及びグレープフルーツ種子抽出物防腐剤と組み合わせて使用される。組成物は、水と混和され得る乾燥粉末の形態であってもよい。さらに、調製物は、好ましくは0.1~15%w/vの量のデキストロース20を含有する液体形態で構成され得る。一部の実施形態では、組成物は、水酸化ナトリウムなどの胃酸を中和するための中和剤をさらに含む。
【0024】
一部の実施形態では、組成物は、好ましくは、泡状ラフトの形成を強化するために、2価又は3価の金属カチオンを含む。カチオンは、例えば、カルシウムイオン又はアルミニウムイオンであり得る。例えば、組成物は、100gのデキストロース20あたり10~80gの炭酸カルシウムを含有し得る。一部の実施形態では、APは、ポリリジン10、デキストロース20及びグレープフルーツ種子抽出物に加えて、酸胃液の影響下で固体の炭酸カルシウム塩を胃内で溶解させることによってその効果を発揮する。カルシウム濃度が高くなると、カルシウムイオン及び多糖類が硬いマトリックスを形成するため、アルギネートのゲル化を刺激する。さらに、炭酸カルシウムと炭酸水素ナトリウムの溶解により、CO2ガスが発生し、アルギン酸マトリックスを捕捉し、それによって泡状ラフトが形成される。潜在的な発癌性物質及び当技術分野で公知のホルモン攪乱物質とは別に、不均一な製品を消費する不便さに加えて、先行技術で知られている製品は、消費者が最適なゲル化を進行させるための適切な用量のカルシウム塩を得ることができないという欠点がある。さらに重要なことは、先行技術で使用されるアルギン酸ナトリウム塩は、かご状の構造でカルシウムイオンで占められているため、胃に存在する酸と反応することができないことである。
【0025】
この問題を改善するために、一部の実施形態では、APは、制酸剤と、食道が胃の上部に注ぎ込む泡状バリア又はラフトの両方として作用することができる。錠剤が嚥下されるか、又は液体が摂取されると、制酸剤、ポリリジン10、デキストロース20及びグレープフルーツ種子抽出物が胃酸を中和し、発泡剤が物理的バリアを生じ、酸逆流からの緩和を助ける。組成物は、懸濁剤及び/又は防腐剤も含有し得る乾燥粉末又は水性懸濁液の形態で経口投与され得る。制酸剤/発泡製剤は、胃酸と反応して胃の内容物上にラフトを形成する。一部の実施形態では、APは、2.0~12.0質量/体積%の低粘度グレードのデキストロースを二次保存糖と混和した発泡製剤を含む。関連して、制酸剤/発泡製剤の液体製剤は、1.5~10.0質量/体積%の低粘度グレードのデキストロース20を当技術分野で公知の他の糖類と混和して含有する水性媒体を含む。炭酸カルシウム粒子を水性媒体中に懸濁させるために、1%のデキストロース20で架橋したアクリルポリマーのような懸濁剤を使用することができる。
他の実施形態では、他の炭酸水素塩の代わりに炭酸水素カリウムを含み、少なくとも10%w/vのアルギン酸ナトリウムを含む液体組成物を、防腐剤としてポリリジン10、デキストロース20及びグレープフルーツ種子抽出物と組み合わせて使用するAP製剤において、改善された注ぎやすさが得られる。組成物は、低温で保存しても増粘の問題がない粘度を得る。炭酸カルシウムなどの二価の金属イオンの塩は、一般に、最適な泡状ラフトの形成を得るために、5~40g/100gのデキストロース20の量で上記の組成物に含まれる。
【0026】
一部の実施形態では、防腐剤としてすべての天然ポリリジン10、デキストロース20及びグレープフルーツ種子抽出物を使用して、逆流性食道炎及び消化不良の緩和を提供する方法が企図される。上記したように、この方法は、注入可能な液体アルギン酸ナトリウム組成物の調製にさらに関する。組成物は、好ましくは、合計8~15%w/vのデキストロース20含量を含む。この実施例において、組成物は、一定量の炭酸水素塩をさらに含む。炭酸水素塩は、適切なラフト形成20を得るために胃の中で適切な二酸化炭素を生成するために必要とされる場合がある。
【0027】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、所望により、胃液と接触させた場合に、泡状ラフトを支持するために、架橋性多価金属イオンを含むアルカリ塩を少量含有することができる。一部の実施形態では、ラフトは機械的に作用し、その逆流防止作用が基質へのアクセスを物理的に不明瞭にすることから生じることを意味する。特に、架橋性多価金属イオンは、カルシウム及びアルミニウムのイオンであってもよく、塩は、一例として、炭酸カルシウム、CaHPO4、炭酸アルミニウム及び水酸化アルミニウムの中から選択されてもよい。架橋性多価金属イオンを含む塩は、通常、アルギネートの質量に基づいて、12質量%未満、例えば5質量%未満、例えば1質量%未満、例えば0.3質量%未満、好ましくは0.1質量%未満の量で存在する。塩は一般に組成物中で固体であるが、胃に存在するpHで高度に溶解可能であるのが好適である。本発明の一態様では、塩は、組成物のpHを約pH=2に変えた場合に、200ppm未満の多価金属イオンを提供する。一態様では、組成物中のカルシウム塩の量は、pHを約pH=2に変化させた場合に、50ppm未満の溶解カルシウムイオンを提供する。
【0028】
一部の実施形態では、APは、アルカリ塩をさらに含み、アルカリ塩は、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、及びこれらの混合物からなる群から選択される崩壊剤である。一部の実施形態では、APは、アルギン酸ナトリウムの質量に基づいて、少なくとも2質量%、4質量%、8質量%、10質量%又はそれより多い、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、酢酸ナトリウム(C2H3O2Na)、及びこれらの混合物からなる群から選択されるさらなるアルカリ剤をさらに含む。一部の実施形態では、APは、アルギン酸ナトリウムの質量に基づいて、10質量%未満、8質量%未満、6質量%未満、又は4質量%未満のカルシウムを含む塩をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、水酸化マグネシウムなどのアルカリ剤をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、アルギン酸ナトリウムの質量に基づいて、合計10質量%、12質量%、15質量%、又は20質量%以上の量の炭酸水素ナトリウムをさらに含む。他の実施形態では、水酸化マグネシウムの量は、アルギン酸ナトリウムの質量に基づいて、1質量%、2質量%、又は3質量%以上である。
上記のように、好ましい実施形態では、アルギネートベースの製品(「AP」)は、ポリリジン10、デキストロース20、グレープフルーツ種子抽出物防腐剤に加えて、安定化剤としてアルギネート30を含み、任意の少量の塩を含む組成物である。しかしながら、他の態様では、本発明の組成物(「AP」)は、カルシウム塩などの架橋性多価金属イオンを含む添加塩を含有せず、前記塩は胃に存在するpHで溶解可能である。わずかな量のカルシウム塩は、例えば、組成物の使用者が摂取する水道水中に存在し得る。一実施形態では、アルカリ金属アルギネートのアルカリ金属カルボン酸基の少なくとも70%、例えば80%、好ましくは少なくとも90%は、胃酸との反応に利用可能であり、すなわち、架橋性多価金属イオンと反応しない。一部の実施形態では、カルシウムを含む薬剤は、ビタミンB5及び/又は当技術分野で公知の別のビタミンB複合体である。パントテン酸カルシウムは、パントテン酸又はビタミンB5又はパンテノールとして代替的に知られており、カルシウム8%及びパントテン酸92%の組成物である。
【0029】
本発明による組成物は、上記の活性成分に加えて、1種又は複数の許容可能な担体を含んでもよい。担体は、組成物の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに有害ではないという意味で、「許容され」なければならない。ある特定の実施形態では、アルギネートは精製される。組成物は、錠剤、丸剤、シロップ剤、カプセル剤、グミ、散剤などとして製剤化することができる。
【0030】
処置又は防止に必要な組成物の量は、投与形態、対処すべき障害、状態、年齢、対象の既往歴、及び組成物の配合などによって異なることが理解されよう。ある人がある苦悩からの救済を求めている場合、活性成分の量は、好ましくはその個体に救済を提供するのに有効な量である。年齢が高くなると、GSE酸化防止剤の緩和効果を付与するためにAPの投与量を増やす必要があることが多い。
「担体」という用語は、活性成分が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。組成物中の担体は、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン(ポリビドン又はポビドン)、トラガントガム、ゼラチン、デンプン、ラクトース若しくはラクトース一水和物などの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、若しくはラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤若しくは界面活性剤;コロイド状二酸化ケイ素などの滑沢剤;デキストロース20、スクロース若しくはサッカリンなどの甘味剤;及び/又はペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ香料、及び/若しくは他の天然香料などの香味剤を含んでもよい。
【0031】
一部の実施形態では、AP製剤は、1種若しくは複数の酵素補因子、及び/又は1種若しくは複数の必須栄養素をさらに含む。例示的な補因子としては、ビタミンC、ビオチン、ビタミンB5、ビタミンE、及びビタミンKが挙げられる。例示的な必須栄養素は、アミノ酸、脂肪酸である。APは、分散剤、湿潤剤、及び懸濁剤などの、当技術分野で公知の1種又は複数の賦形剤も含むことができる。APの溶液、懸濁液、又はエマルションも、分散剤、湿潤剤、及び懸濁剤などの当技術分野で公知の1種又は複数の賦形剤を含有することができる。
【0032】
経口投与に好適な治療用製剤、例えば錠剤及び丸剤は、圧縮又は成形により、任意に1種又は複数の付属成分を用いて得ることができる。圧縮錠剤は、成分を混合し、この混合物を適当な装置で圧縮して好適なサイズを有する錠剤にすることによって調製することができる。一実施形態では、混合前に、アルカリ金属アルギネートを結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤及び/又は崩壊剤と混合してもよく、アルカリ塩を希釈剤、滑沢剤及び/又は界面活性剤と混合してもよい。
一部の実施形態では、1種又は複数の担体が存在する場合、流動性のアルカリ金属アルギネート粉末を、微結晶セルロースなどの結合剤、及びラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤と、均質な混合物が得られるまで混合してもよい。その後、ポリビドンなどの別の結合剤を、攪拌下で混合物に移してもよい。均一な分布が得られたら、一定の攪拌下でアルカリ塩を加える。この混合物を造粒ふるいに通し、乾燥させてから、標準的な圧縮装置で錠剤に圧縮する。或いは、錠剤は担体を加えずに調製される。この代替実施形態によれば、流動性のアルカリ金属アルギネートは、混合物を錠剤に圧縮する前にアルカリ塩と混合される。組成物の固体形態を製造するための従来の方法は、参照により本明細書に含まれる欧州薬局方(European Pharmacopoeia)に見い出すことができる。錠剤はコーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。コーティングされていない錠剤はスコア化されてもよい。コーティングされた錠剤は、糖、シェラック、フィルム又は他の腸溶性コーティング剤でコーティングされてもよい。
【0033】
他の実施形態では、ブドウ種子化合物は、天然種子酸化防止剤、繊維、及びMTOR化合物(例えば、レスベラトロールを含むMTOR遺伝子シグナル伝達経路に作用することが示されている化合物)を含む。他の実施形態では、レスベラトロールの包含及び濃度は、APの強力な酸化防止の特徴の両方を強化するが、使用者に対する神経保護及び寿命延長の利点にも寄与し得る。特に、レスベラトロールはブドウの皮に高度に濃縮されており、高濃度で投与した場合、特定の実験用マウスの寿命を最大50%延長することが示されている。この観察は、レスベラトロールの強力な酸化防止作用と、例えばMTORシグナル伝達経路を通じて作用する遺伝子シグナル伝達/遺伝子調節作用の両方に関連していると思われる。
【0034】
一部の実施形態では、バニラキャラメル、ミントチョコレート、及び/又は他の天然フレーバーを含むAPの複数のフレーバーがある。これらのフレーバーは、天然の酸化防止剤成分及び天然成分に固有の糖に部分的に由来する。好ましい実施形態では、APはまた、塩基性pHを有する、及び/又は、使用者の酸逆流が少なくなるようにpH緩衝化合物を注入する。このように、APは、風味豊かな食品として、また、酸逆流のためのサプリメントとして、使用者が摂取することができる。APの固有の利点の一つは、風味の多様性(風味の幅広さ)に加えて、風味の高い製品(風味の強さ)である。
一部の実施形態では、還流防止ラフト(「ラフト」)は、a)ミネラルを含む機能化された天然又は合成の炭酸カルシウムを準備するステップであって、前記機能化された天然又は合成の炭酸カルシウムが、天然又は合成の炭酸カルシウムと二酸化炭素及び1種又は複数の酸との反応生成物であり、二酸化炭素が、酸処理によってin situで形成されるか、及び/又は外部供給源から供給される、ステップ;b)少なくとも1つのポリリジン含有成分を準備するステップと;c)アルギネートを含む少なくとも1つの配合剤を準備するステップと;d)ステップa)b)及びc)で準備された化合物を混合するステップと;e)溶融、乾式若しくは湿式造粒、又はローラー圧縮によってステップd)で得られた混合物を造粒するステップとによって製造される。特に、ステップ「c」には、デキストロース、防腐剤、グレープフルーツ種子抽出物、及び他の二次化合物の添加を含んでもよい。
【0035】
上記にさらに、一部の実施形態では、ステップc)の製剤補助剤の一部は、ステップa)の機能化された炭酸カルシウム及びステップb)の少なくとも1つのポリリジン含有成分と最初に混合され、次いで、製剤補助剤の残りの部分は、混合物に添加され、造粒ステップe)が続く。上記に加えて、一部の実施形態では、機能化された炭酸カルシウムを調製するための天然炭酸カルシウム源は、大理石、方解石、チョーク、ビタミンB5、石灰石及びドロマイト並びに/又はこれらの混合物の群から選択される。他の実施形態では、機能化された炭酸カルシウムを調製するための合成炭酸カルシウムは、アラゴナイト、バテライト又は石灰質の鉱物学的結晶形態、特にプリズム、菱面体又はスカレノヘドルの沈殿炭酸カルシウム又はこれらの混合物を含む沈殿炭酸カルシウムである。さらに他の実施形態では、酸は、塩酸、硫酸、亜硫酸、硫酸水素塩、リン酸、リン酸と、酢酸、ギ酸若しくはクエン酸との組合せ、又はこれらの酸性塩、及びこれらの混合物の群から選択され、好ましくはリン酸である。
【0036】
一部の実施形態では、機能化された天然又は合成の炭酸カルシウムは、窒素及び当技術分野で公知の他の方法を使用して測定した、5m2/g~200m2/g、好ましくは20m2/g~150m2/g、より好ましくは40m2/g~100m2/gの比表面積を有する。一部の実施形態では、機能化された天然又は合成の炭酸カルシウムは、Malvern Mastersizer Xロングベッドなどの当技術分野で知られた標準的な手段を使用して測定した、0.2~40μm、好ましくは0.6~25μm、より好ましくは0.9~18μm、さらに好ましくは1~15μmの質量中央粒径を有する。
【0037】
本発明の好ましい実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。これは、網羅的であること、又は本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示に照らして、多くの修正及び変形が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるものではなく、特許請求の範囲及び本明細書に添付の特許請求の範囲の均等物によって限定されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】