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特表2024-525107タンブラー駆動装置およびタンブラー駆動装置を備えた無限軌道車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】タンブラー駆動装置およびタンブラー駆動装置を備えた無限軌道車両
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20240702BHJP
   E02F 9/02 20060101ALI20240702BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20240702BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20240702BHJP
   F16H 57/023 20120101ALI20240702BHJP
【FI】
F16H57/04 G
E02F9/02 A
H02K9/19 Z
H02K7/116
F16H57/04 K
F16H57/023
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517188
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2022061384
(87)【国際公開番号】W WO2022253498
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】102021114041.2
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021117251.9
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523451233
【氏名又は名称】ベアンヴァート ヴェルショフ
【氏名又は名称原語表記】Bernward Welschof
【住所又は居所原語表記】Roseggerstrasse 2a, 63762 Grossostheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアンヴァート ヴェルショフ
【テーマコード(参考)】
3J063
5H607
5H609
【Fターム(参考)】
3J063AA12
3J063AB12
3J063AC01
3J063BA15
3J063BB41
3J063BB48
3J063XD03
3J063XD23
3J063XD43
3J063XH03
3J063XH13
5H607AA02
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB05
5H607BB14
5H607DD03
5H607DD08
5H607EE31
5H609PP02
5H609PP05
5H609PP06
5H609PP07
5H609QQ05
5H609QQ10
5H609RR37
(57)【要約】
本発明は、タンブラー駆動装置(1)であって、駆動モータ(2)と、駆動モータ(2)により駆動される減速伝動装置(3)と、減速伝動装置(3)により駆動されるハブ(6)、特にスプロケットホイール(4)とを含む、タンブラー駆動装置(1)に関する。駆動モータ(2)が電動モータ(12)として構成されており、電動モータ(12)の、当該電動モータ(12)のロータ(15)に結合されたロータ軸(16)が、減速伝動装置(3)の入力軸(11)に対して同軸的に配置されており、電動モータ(12)が、冷却のために、冷却流体循環路を含む液体冷却部を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンブラー駆動装置(1)であって、駆動モータ(2)と、該駆動モータ(2)により駆動される減速伝動装置(3)と、該減速伝動装置(3)により駆動されるハブ(6)、特にスプロケットホイール(4)とを含む、タンブラー駆動装置(1)において、
前記駆動モータ(2)が電動モータ(12)として構成されており、前記電動モータ(12)のロータ(15)に結合された、前記電動モータ(12)のロータ軸(16)が、前記減速伝動装置(3)の入力軸(11)に対して同軸的に配置されており、前記電動モータ(12)が、冷却のために、冷却流体循環路を含む液体冷却部を備えていることを特徴とする、タンブラー駆動装置(1)。
【請求項2】
前記電動モータ(12)の前記液体冷却部がロータ軸冷却部を有しており、前記ロータ軸冷却部が、前記ロータ軸(16)内で軸方向チャンネル(50)を有し、該軸方向チャンネル(50)が、前記液体冷却部の冷却流体、特にオイルのための冷却材チャンネルとして形成されていて、冷却流体供給部(60)および冷却流体流出部(61)に接続されていることを特徴とする、請求項1記載のタンブラー駆動装置。
【請求項3】
前記ロータ軸(16)が、第1の端部において前記減速伝動装置(3)の前記入力軸(11)に相対回動不能に連結されており、前記軸方向チャンネル(50)が、前記ロータ軸(16)の、前記第1の端部とは反対側に位置する第2の端部から前記ロータ軸(16)内に延びていることを特徴とする、請求項2記載のタンブラー駆動装置。
【請求項4】
前記ロータ軸(16)が、前記第1の端部の領域において第1の支承部(20)によりモータハウジング(13)内で回転可能に支承されており、かつ前記第2の端部の領域において第2の支承部(21)により前記モータハウジング(13)内で回転可能に支承されており、前記軸方向チャンネル(50)が、前記ロータ軸(16)の軸方向で、前記ロータ軸(16)の前記第2の端部の端面(51)から、前記第2の支承部(21)および前記ロータ(15)にわたって、前記第1の支承部(20)の領域内にまで延びていることを特徴とする、請求項2または3記載のタンブラー駆動装置。
【請求項5】
前記第1の支承部(20)の領域および前記第2の支承部(21)の領域において、前記ロータ軸(16)にそれぞれ1つの軸シールリング(40,41)が配置されていることを特徴とする、請求項4記載のタンブラー駆動装置。
【請求項6】
前記軸方向チャンネル(50)が、中央の盲孔として前記ロータ軸(16)内に形成されており、前記盲孔内に管(52)が同心的に配置されており、前記管(52)と前記盲孔との間に環状ギャップ(53)が形成されており、管内室が前記環状ギャップ(53)に流体接続されていることを特徴とする、請求項2から5までのいずれか1項記載のタンブラー駆動装置。
【請求項7】
前記管(52)が、前記ロータ軸(16)の前記第2の端部の領域において前記冷却流体循環路の前記冷却流体供給部(60)に接続されており、前記管(52)が、前記ロータ軸(16)の前記第1の端部の領域において少なくとも1つの切欠きにより前記環状ギャップ(53)に接続されており、前記環状ギャップ(53)が、前記冷却流体循環路の前記冷却流体流出部(61)に接続されていることを特徴とする、請求項6記載のタンブラー駆動装置。
【請求項8】
前記冷却流体循環路の前記冷却流体供給部(60)が接続体(70)を有しており、該接続体(70)に前記管(52)が取り付けられており、前記接続体(70)が、前記モータハウジング(13)の端面側のカバー(25)に配置されていることを特徴とする、請求項7記載のタンブラー駆動装置。
【請求項9】
前記ロータ軸(16)が、前記第2の端部にブレーキ装置(30)を備えており、前記ブレーキ装置(30)が、内部に前記第2の軸受(21)が組み込まれている軸受シールド(26)と前記モータハウジング(13)の前記端面側のカバー(25)との間に形成されたブレーキ組込み室(31)内に配置されていることを特徴とする、請求項4から8までのいずれか1項記載のタンブラー駆動装置。
【請求項10】
前記ブレーキ組込み室(31)が前記環状ギャップ(53)に接続しており、前記冷却流体循環路の前記冷却流体流出部(61)が前記ブレーキ組込み室(31)に接続されていることを特徴とする、請求項9記載のタンブラー駆動装置。
【請求項11】
前記冷却流体循環路の前記冷却流体流出部(61)が、前記モータハウジング(13)の前記カバー(25)内または前記接続体(70)内に配置された接続孔(81;83)を有しており、該接続孔(81;83)が前記ブレーキ組込み室(31)に接続されていることを特徴とする、請求項10記載のタンブラー駆動装置。
【請求項12】
前記電動モータ(12)の前記液体冷却部が、前記モータハウジング(13)内に配置されたステータ(14)のステータ冷却部を有していることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のタンブラー駆動装置。
【請求項13】
前記ステータ(14)および/または前記ステータ(14)のコイル端(14a;14b)が、前記モータハウジング(13)のロータ組込み室(27)に対してシールされた、前記モータハウジング(13)の冷却材室(28)内に配置されており、前記冷却材室(28)が、前記液体冷却部の冷却流体、特にオイルのための冷却流体供給部(100)および冷却流体流出部(101)に接続されていることを特徴とする、請求項12記載のタンブラー駆動装置。
【請求項14】
前記冷却材室(28)が、前記ステータ(14)の前記第1のコイル端(14a)から前記第2のコイル端(14b)にまで延びており、前記冷却流体供給部(100)が、前記ステータ(14)の前記第1のコイル端(14a)の領域に配置されており、前記冷却流体流出部(101)が、前記ステータ(14)の前記第2のコイル端(14b)の領域に配置されていることを特徴とする、請求項13記載のタンブラー駆動装置。
【請求項15】
前記モータハウジング(13)が、前記ステータ(14)に沿って延びる、前記液体冷却部の冷却流体、特にオイルのための冷却材チャンネル(110)を備えていることを特徴とする、請求項12から14までのいずれか1項記載のタンブラー駆動装置。
【請求項16】
前記冷却材チャンネル(110)が、前記ステータ(14)の前記第1のコイル端(14a)から前記ステータ(14)の前記第2のコイル端(14b)にまで延びていることを特徴とする、請求項15記載のタンブラー駆動装置。
【請求項17】
前記冷却材チャンネル(110)が、前記モータハウジング(13)に配置された冷却流体供給部(100)および前記モータハウジング(13)に配置された冷却流体流出部(101)に接続されていることを特徴とする、請求項15または16記載のタンブラー駆動装置。
【請求項18】
前記冷却材チャンネル(110)が螺旋溝として形成されており、該螺旋溝が、半径方向で前記ステータ(14)と前記モータハウジング(13)との間に配置されたスリーブ(115)に形成されていることを特徴とする、請求項15から17までのいずれか1項記載のタンブラー駆動装置。
【請求項19】
請求項1から18までのいずれか1項記載の少なくとも1つのタンブラー駆動装置(1)を備えた無限軌道車両。
【請求項20】
前記無限軌道車両が、電気式の、特にバッテリ-電気式の駆動システムを有しており、該電気式の駆動システムでは、トラクションバッテリが、前記タンブラー駆動装置(1)の電動モータに電気的なエネルギを供給することを特徴とする、請求項19記載の無限軌道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンブラー駆動装置(Turasantrieb)であって、駆動モータと、この駆動モータにより駆動される減速伝動装置と、減速伝動装置により駆動されるハブ、特にスプロケットホイール(Turasrad)とを含む、タンブラー駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンブラー駆動装置は、無限軌道車両またはクローラ車両において、例えばパワーショベル、ブルドーザ、可動のクローラ式作業プラットフォーム、可動のクローラ式穿孔機または大型トラックのような建設機械において使用される。
【0003】
無限軌道車両用のタンブラー駆動装置は、従来、駆動モータとして液圧モータを有している。液圧モータとして構成された駆動モータを備えるタンブラー駆動装置は、液圧モータの高い出力密度と、そのコンパクトな寸法とに基づいて、クローラ車両の高い最低地上高と、無限軌道車両またはクローラ車両の左右のタンブラー駆動装置間の対応する通路とを可能にする。高い最低地上高と、無限軌道車両またはクローラ車両の左右のタンブラー駆動装置間の、対応して大きな通路とは、建設現場およびオフロードで使用される可動の建設機械として構成された無限軌道車両またはクローラ車両では、良好なオフロード走行性に基づいて必須となる。
【0004】
制限された所要出力で時間を制限されて街中で使用される小型の無限軌道車両またはクローラ車両、例えば小型ショベルまたは小型のダンプトラックまたは小型の可動式のクローラ作業プラットフォームまたは小型の可動のクローラ式穿孔機では、排ガス規制が厳しくなることに基づいて、内燃機関式の駆動装置を、電気式の、特にバッテリ-電気式の駆動装置に交換することが望まれている。バッテリ-電気式の駆動装置を備えた小型の無限軌道車両またはクローラ車両では、最低地上高と、無限軌道車両またはクローラ車両の左右のタンブラー駆動装置間の通路に対する要求を満たすために、電気駆動式の液圧ポンプによって圧力媒体が供給される液圧モータを駆動モータとして備えた、コンパクトなタンブラー駆動装置を使用することが可能である。しかし、この種のバッテリ-電気式の駆動コンセプトは、構造費用が高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根底にある課題は、寸法がコンパクトであり構造費用の少ない、電気式、特にバッテリ-電気式に運転される無限軌道車両またはクローラ車両用のタンブラー駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明によれば、駆動モータが電動モータとして構成されており、電動モータのロータに結合された、電動モータのロータ軸が、減速伝動装置の入力軸に対して同軸的に配置されており、電動モータが、冷却のために、冷却流体循環路を含む液体冷却部を備えていることによって解決される。
【0007】
本発明による思想は、タンブラー駆動装置の駆動モータとして、液体冷却式の電動モータを使用することにあり、この電動モータの液体冷却部は、冷却流体循環路を含んでいる。冷却流体循環路は、好適には冷却流体をポンプと熱交換器との間で循環させる。冷却流体循環路を含む液体冷却部により冷却された電動モータは、高電流により運転することができる。したがって、液体冷却部は、電動モータの連続トルクを増大させることができる。液体冷却部によって、周囲への排熱は、もはや、空気冷却部の場合のように、電動モータの換気が悪い表面での内部の熱伝導/熱放射/熱伝達を介して行われるのではなく、冷却液体の物質輸送を介した実質的に有効な熱輸送を介して行われるので、電動モータにおいて許容可能な定常温度を、電流密度が著しく高いにもかかわらず保証することができる。したがって、液体冷却部は、タンブラー駆動装置の電動モータの寸法を小さくすることを可能にし、寸法、特に軸方向および/または半径方向の寸法がコンパクトである電動モータによって高いトルクを形成することを可能にする。このようなコンパクトかつ液体冷却式の電動モータのロータ軸は、タンブラー駆動装置の減速伝動装置の入力軸に対して同軸的に配置されていてよいので、タンブラー駆動装置は、駆動モータとしての液体冷却式の電動モータにより、高い最低地上高および車両の左右のタンブラー駆動装置間の大きな通路を可能にする。トラクションバッテリから電動モータに給電するためには単にコントローラまたは変換器しか必要ではないので、全体として電気式、特にバッテリ-電気式に運転される無限軌道車両またはクローラ車両用の電気式のタンブラー駆動装置を提供することができ、この電気式のタンブラー駆動装置は、コンパクトな寸法および小さな構造費用を有しているので、本発明による電気式のタンブラー駆動装置により、電気式、特にバッテリ-電気式に運転される無限軌道車両またはクローラ車両において、最低地上高および左右のタンブラー駆動装置間の通路に対する要求を満たすことができる。
【0008】
本発明の有利な実施形態によれば、電動モータの液体冷却部がロータ軸冷却部を有しており、ロータ軸冷却部がロータ軸内で軸方向チャンネルを有しており、この軸方向チャンネルが、液体冷却部の冷却流体、特にオイルのための冷却材チャンネルとして形成されていて、冷却流体供給部および冷却流体流出部に接続されている。このような種類のロータ軸冷却部により、電動モータの、高い温度が発生する軸-ロータ群を意図的に冷却することができる。冷却流体、例えばオイルによる液体冷却部は、小さな手間で高い冷却出力を可能にする。
【0009】
本発明の有利な構成形態によれば、ロータ軸が、第1の端部において減速伝動装置の入力軸に相対回動不能に連結されており、軸方向チャンネルが、ロータ軸の、第1の端部とは反対側に位置する第2の端部からロータ軸内に延びている。したがって、軸方向チャンネルは、ロータ軸の、減速伝動装置とは反対側に位置する第2の端部に設けられた端面からロータ軸内へと加工されており、これによりロータ軸冷却部の軸方向チャンネルを簡単かつ廉価に製造することができる。
【0010】
本発明の有利な改良形によれば、ロータ軸が、第1の端部の領域において第1の支承部によりモータハウジング内で回転可能に支承されていて、第2の端部の領域において第2の支承部によりモータハウジング内で回転可能に支承されており、軸方向チャンネルが、ロータ軸の軸方向で、ロータ軸の第2の端部の端面から、第2の支承部およびロータにわたって、第1の支承部の領域内にまで延びている。したがって、ロータ軸冷却部によってさらに、ロータ軸の両方の支承部を冷却することができ、両方の支承部において低減された温度を達成することができる。
【0011】
ロータ軸冷却部の軸方向チャンネルが、第1の支承部の領域に至るまで、ひいてはロータ軸の第1の端部の、ロータ軸が減速伝動装置の入力軸に相対回動不能に結合されている領域に至るまで延びていることにより、さらに減速伝動装置の伝動装置オイルへの電動モータの熱入力を制限するかまたは回避することができ、ひいては減速伝動装置の伝動装置オイルの潤滑剤温度使用限度を確実に維持することができる。
【0012】
本発明の有利な改良形により、第1の支承部の領域および第2の支承部の領域において、ロータ軸にそれぞれ1つの軸シールリングが配置されている限り、ロータ軸冷却部によってさらに、温度に大きく影響される軸シールリングの効果的な冷却および両方の軸シールリングにおける温度を減じることができる。
【0013】
本発明の好適な構成形態によれば、軸方向チャンネルが、中央の盲孔としてロータ軸内に形成されており、この盲孔内に管が同心的に配置されている。管と盲孔との間には環状ギャップが形成されており、管内室が環状ギャップに流体接続されている。これにより、冷却流体循環路の冷却流体を管の管内室を介して供給し、かつ管を取り囲む環状ギャップを介して再び排出することができるようになっており、これにより、ロータ軸の効果的な冷却が達成される。
【0014】
冷却流体循環路に対する管および環状ギャップの簡単な接続に関して、本発明のある構成形態によれば、管が、ロータ軸の第2の端部の領域において冷却流体循環路の冷却流体供給部に接続されており、管が、ロータ軸の第1の端部の領域において少なくとも1つの切欠きにより環状ギャップに接続されており、環状ギャップが冷却流体循環路の冷却流体流出部に接続されている場合に、利点が生じる。
【0015】
本発明の有利な構成形態では、冷却流体循環路の冷却流体供給部が接続体を有しており、この接続体に管が取り付けられており、接続体がモータハウジングの端面側のカバーに配置されている。このような接続部材により、管を簡単に保持することができ、冷却流体供給部に接続することができる。
【0016】
本発明の有利な改良形によれば、ロータ軸が、第2の端部にブレーキ装置を備えており、ブレーキ装置が、内部に第2の軸受が組み込まれている軸受シールドとモータハウジングの端面側のカバーとの間に形成されたブレーキ組込み室内に配置されている。これにより、タンブラー駆動装置に、ロータ軸を制動するブレーキ装置、例えば停止ブレーキを簡単に設けることができ、ブレーキ装置には、保守作業のためにカバーを介して簡単にアクセス可能である。
【0017】
本発明の有利な改良形により、ブレーキ組込み室が環状ギャップに接続しており、冷却流体循環路の冷却流体流出部がブレーキ組込み室に接続されている限り、液体冷却部によってさらにブレーキ装置を簡単に冷却することができる。
【0018】
本発明の有利な構成形態によれば、冷却流体循環路の冷却流体流出部は、モータハウジングのカバー内または接続体内に配置された接続孔を有しており、この接続孔がブレーキ組込み室に接続されている。このような接続孔により、環状ギャップに接続しているブレーキ組込み室を冷却流体流出部に簡単に接続することができる。
【0019】
本発明の好適な構成形態によれば、代替的または付加的に、電動モータの液体冷却部が、モータハウジング内に配置されたステータのステータ冷却部を有している。このようなステータ冷却部により、電動モータの、高い温度が発生するステータを意図的に冷却することができる。冷却流体、例えばオイルによる冷却流体部は、小さな手間で高い冷却出力を可能にする。
【0020】
本発明の有利な実施形態によれば、このために、ステータおよび/またはステータのコイル端が、モータハウジングのロータ組込み室に対してシールされた、モータハウジングの冷却材室内に配置されており、冷却材室が、液体冷却部の冷却流体、特にオイルのための冷却流体供給部および冷却流体流出部に接続されている。したがって、内部にステータおよび/またはステータのコイル端が配置されている冷却材室は、電動モータのステータならびにステータのコイル端の冷却を達成するために、冷却流体流により簡単に通流されてよく、ロータ組込み室内にある冷却流体によるスプラッシュ損失を回避することができる。
【0021】
冷却材室が、第1のコイル端から第2のコイル端にまで延びており、冷却流体供給部が、ステータの第1のコイル端の領域に配置されていて、冷却流体流出部が、ステータの第2のコイル端の領域に配置されている限り、ステータをその全長にわたってコイル端と一緒にステータの軸方向の端部において効果的に冷却することができる。
【0022】
本発明の有利な実施形態によれば、モータハウジングが、ステータに沿って延びる、液体冷却部の冷却流体、特にオイルのための冷却材チャンネルを備えている。モータハウジング内に形成された、ステータに沿って延びる冷却流体用の冷却材チャンネルは、ステータの冷却をさらに改善することを可能にする。
【0023】
冷却材チャンネルが、ステータの第1のコイル端からステータの第2のコイル端にまで延びている限り、ステータをその全長にわたってコイル端ごと、ステータの軸方向の端部において効果的に冷却することができる。
【0024】
冷却材チャンネルは、有利には、モータハウジングに配置された冷却流体供給部およびモータハウジングに配置された冷却流体流出部に接続されている。これにより、冷却材チャンネルを簡単に冷却流体循環路に接続することができる。
【0025】
本発明の有利な構成形態によれば、冷却材チャンネルが螺旋溝として形成されており、この螺旋溝は、半径方向でステータとモータハウジングとの間に配置されたスリーブに形成されている。適切にモータハウジング内に取り付けられている、例えば圧入されている、螺旋溝を備えたこのようなスリーブによって、モータハウジング内にステータに沿って延びる冷却材チャンネルを簡単に製造することができる。
【0026】
本発明はさらに、本発明による少なくとも1つのタンブラー駆動装置を備えた無限軌道車両に関する。
【0027】
本発明の有利なある実施形態によれば、無限軌道車両は、電気式、特にバッテリ-電気式の駆動システムを有している。電気式の駆動システムでは、トラクションバッテリがタンブラー駆動装置の電動モータに電気的なエネルギを供給する。電動モータの液体冷却部に基づきコンパクトな構成形式を有している、本発明による電気式のタンブラー駆動装置は、電気式に、特にバッテリ-電気式に運転される無限軌道車両またはクローラ車両において、コンパクトな寸法と小さな構造費用を有する電気式のタンブラー駆動装置を提供することを可能にする。このタンブラー駆動装置は、高い最低地上高およびクローラ車両の左右のタンブラー駆動装置間の大きな通路を形成する。本発明による電気式のタンブラー駆動装置は、特に小型の無限軌道車両またはクローラ車両、例えば小型ショベル、小型のダンプトラック、小型の可動式のクローラ作業プラットフォームまたは小型の可動のクローラ式穿孔機に適している。
【0028】
本発明は、多数の利点を提供する:
電動モータの液体冷却部により、コンパクトな寸法を有する電気式のタンブラー駆動装置が提供される。さらに、電動モータの液体冷却部は、電動モータ自体の他に、タンブラー駆動装置のブレーキ装置および減速伝動装置を冷却することを可能にする。
【0029】
電動モータの液体冷却部により、ロータ軸の機械的な支承部は、もはや潤滑剤温度使用限界以上に負荷されず、このことは、ロータ軸における軸シールリングならびに減速伝動装置の伝動装置オイルにも当てはまる。これらの構成要素(軸受、軸シールリング、減速伝動装置の伝動装置オイル)は、それらの耐用年数に関して多くの恩恵を受ける。なぜならば、許容可能な限界温度より10℃低く運転することは、耐用年数が2倍になることを意味するからである。
【0030】
電動モータの液体冷却部は、電動モータの温度を低下させ、ひいては電動モータの電気的な損失を減少させる。抵抗によるアルミニウム損失および銅損失は、1℃ごとに4‰増加し、これにより、電動モータの低下した温度は、そのエネルギ消費を低減する。
【0031】
電動モータの液体冷却部は、規定された熱導出によって、電動モータをより高い電流密度で運転することができ、したがってより高いトルクを発生させることを可能にし、このことは、電動モータのより良い利用(より大きな出力)につながる。
【0032】
冷却流体としてオイルを使用する場合、冷却流体を絶縁体および腐食防止剤として使用することができる。
【0033】
安全なホース内でタンブラー駆動装置に向かって、かつタンブラー駆動装置から離れる方向にずらされている定義された液体冷却部により、極めて低い土地、例えば土砂、水、泥中においても、タンブラー駆動装置を効果的に冷却し、過熱しないことが確実にされる。
【0034】
電動モータの液体冷却部により、電動モータの加えるべき出力の時間制限の表示を高めることができる。
【0035】
本発明の別の利点および詳細を、概略的な図面において図示した実施例に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明に係るタンブラー駆動装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。
図2】本発明に係るタンブラー駆動装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1および図2にはそれぞれ、無限軌道車両またはクローラ車両用の本発明に係る電気式のタンブラー駆動装置1が図示されている。同一の構成部材には同一の参照符号が付されている。無限軌道車両またはクローラ車両は、好適には、電気式の、例えばバッテリ-電気式の駆動システムを有している。
【0038】
本発明に係るタンブラー駆動装置1は、駆動モータ2と、駆動モータ2により駆動される減速伝動装置3と、減速伝動装置3により駆動されるハブとを有しており、ハブは、図示した実施例ではスプロケットホイール4として形成されている。スプロケットホイール4は、無限軌道車両の軌道チェーンKまたはクローラ車両のゴムチェーンKを駆動するために用いられる。
【0039】
タンブラー駆動装置1はハブキャリア5を有しており、ハブキャリア5は、無限軌道車両またはクローラ車両の詳細に図示しない車両フレームに取り付けられている。ハブキャリア5上では、図示した実施例では転がり軸受により形成されている支承部7によって、ハブ6が回転軸線Dを中心として回転可能に支承されている。回転可能なハブ6は、スプロケットホイール4を備えている。
【0040】
ハブキャリア5とハブ6とは、内部に減速伝動装置3が配置されている伝動装置組込み室10を形成している。減速伝動装置3は、図示した実施例では多段の遊星歯車伝動装置として形成されており、遊星歯車伝動装置では太陽軸が入力軸11を形成しており、被動側のリングギヤがハブ6により形成されている。入力軸11は、回転軸線Dに対して同軸的に配置されている。
【0041】
本発明に係るタンブラー駆動装置1では、駆動モータ2が電動モータ12として構成されている。電動モータ12はモータハウジング13を有しており、モータハウジング13はハブキャリア5に取り付けられている。モータハウジング13内には、電動モータ12のステータ14が取り付けられている。ステータ14は、図示した実施例では、軸方向の両端部に、それぞれコイル端14a,14bを備えている。モータハウジング13内には、さらに電動モータ12のロータ15が配置されており、ロータ15は回転可能なロータ軸16に取り付けられている。
【0042】
電動モータ12の回転可能なロータ軸16は、減速伝動装置3の入力軸11に対して同軸的であり、したがって回転軸線Dに対して同軸的に配置されている。
【0043】
ロータ軸16は、減速伝動装置3に面した第1の端部において、減速伝動装置3の入力軸11に相対回動不能に連結されている。
【0044】
ロータ軸16は、モータハウジング13内で第1の端部の領域において第1の支承部20によってモータハウジング13内で回転可能に支承されており、第1の端部とは反対側に位置する第2の端部の領域において第2の支承部21によりモータハウジング13内で回転可能に支承されている。支承部20,21は、図示した実施例では転がり軸受により形成されている。
【0045】
モータハウジング13は、図示した実施例では、管状のハウジング部分23を有しており、ハウジング部分23内にはステータ14が取り付けられている。ハウジング部分23には、内部に第1の支承部20が配置されている端面側の第1の軸受シールド24と、端面側のカバー25とが取り付けられており、端面側のカバー25は第2の軸受シールド26を備えており、第2の軸受シールド26内には第2の支承部21が配置されている。軸受シールド24とカバー25とを備えたハウジング部分23はロータ組込み室27を形成し、このロータ組込み室27内には、電動モータ12の回転するロータ15が配置されている。
【0046】
ロータ軸16は、第2の端部にブレーキ装置30を備えており、ブレーキ装置30は、内部に第2の軸受21が組み込まれている第2の軸受シールド26と、モータハウジング13の端面側のカバー25との間に形成されたブレーキ組込み室31内に配置されている。ブレーキ装置30は、図示した実施例では多板ブレーキとして構成されており、多板ブレーキは、ロータ軸16と交互に相対回動不能に結合される複数のロータディスクと、カバー25に相対回動不能に結合されるステータディスクとを有している。ブレーキ装置30は、図示した実施例ではばね蓄力ブレーキとして構成されており、このばね蓄力ブレーキは、ばね装置32によって制動位置へと付勢されている。図示した実施例では、ばね蓄力ブレーキは液圧によって解除位置へと付勢可能であり、このためにブレーキピストン33が設けられており、このブレーキピストン33は、軸受シールド26とカバー25との間で軸線方向に摺動可能に配置されていて、ブレーキ解除圧力室34内で生じる液圧式のブレーキ解除圧力によって解除位置の方向へと付勢されている。ばね装置32は、図示した実施例では、第2の軸受シールド26内に配置されており、ブレーキピストン33を制動位置に向かって押圧する。代替的には、ばね蓄力ブレーキは、電気的に、例えば磁石によって解除位置に向かって付勢可能に構成されていてよい。
【0047】
ロータ軸16の第1の端部の領域には、第1の支承部20に隣接して、ロータ軸16と軸受シールド24との間に軸シールリング40が配置されており、この軸シールリング40により、ロータ組込み室27が伝動装置組込み室10に対してシールされている。
【0048】
ロータ軸16の第2の端部の領域には、第2の支承部21に隣接して、ロータ軸16と軸受シールド26との間に軸シールリング41が配置されており、この軸シールリング41により、ロータ組込み室27がブレーキ組込み室31に対してシールされている。
【0049】
図1および図2では、両支承部20または21のうちの一方の支承部に軸受センサ45がさらに設けられている。軸受センサ45は、電動モータ12の回転数検出のために、かつ/または車両の速度制御のために使用することができる。
【0050】
図1および図2では、ハブキャリア5に保護管46がさらに取り付けられており、この保護管46内に、電動モータ12のモータハウジング13が位置している。
【0051】
高い最低地上高および無限軌道車両またはクローラ車両の左右のタンブラー駆動装置間の大きな通路を可能にする、電動モータ12のコンパクトな寸法を達成するために、電動モータ12はその冷却のために液体冷却部を備えており、この液体冷却部は冷却流体循環路を含んでいる。
【0052】
図1および図2では、電動モータ12の液体冷却部は、ロータ軸冷却部を有している。ロータ軸冷却部は、ロータ軸16内で軸方向チャンネル50を有しており、この軸方向チャンネル50は、液体冷却部の冷却流体、特にオイルのための冷却材チャンネルとして形成されており、冷却流体供給部60と冷却流体流出部61とに接続されている。
【0053】
軸方向チャンネル50は、ロータ軸16が減速伝動装置3の入力軸11に連結されている第1の端部とは反対側に位置する、ロータ軸16の第2の端部からロータ軸16内へと延びている。
【0054】
図1および図2では、軸方向チャンネル50は、ロータ軸16の軸方向で、ロータ軸16の第2の端部の端面51から、第2の支承部21およびロータ15にわたって、第1の支承部20の領域内にまで延びている。
【0055】
軸方向チャンネル50は、ロータ軸16内に設けられた中央の盲孔として形成されており、盲孔は、端面51からロータ軸16に加工されている。中央の盲孔内には、管52が同心的に配置されている。管52と盲孔との間には、環状ギャップ53が形成されている。管52の管内室は、環状ギャップ53に流体接続している。
【0056】
管52は、ロータ軸16の、減速伝動装置3とは反対側に位置する第2の端部の領域において、冷却流体循環路の冷却流体供給部60に接続されており、ロータ軸16の第1の端部の領域において、少なくとも1つの切欠きにより環状ギャップ53に接続されており、環状ギャップ53は、冷却流体循環路の冷却流体流出部61に接続されている。
【0057】
図1では、管52は、ロータ軸16の第1の端部の領域に保持されており、横方向切欠き65として形成された少なくとも1つの切欠きが管52内に設けられており、この切欠きにより、管52の管内室が環状ギャップ53に流体接続している。
【0058】
図2では、管52が、ロータ軸16の第1の端部の領域において自由に突出するように配置されており、切欠きは、管52の内側の端部に設けられた開いた端面66として形成されており、切欠きにより、管52の管内室は、環状ギャップ53に流体接続している。
【0059】
図1および図2では、冷却流体循環路の冷却流体供給部60は接続体70を有しており、接続体70に管52が取り付けられ、接続体70は、モータハウジング13の端面側のカバー25に配置されている。
【0060】
図1では、接続体70が管ピン71により形成されている。管ピン71は、カバー25の軸方向孔内に配置されており、冷却流体供給管路のための接続管片72を備えている。管ピン71は、カバー25を貫通して延び、管52の管内室内に差し込まれている。
【0061】
図2では、接続体70が管ピン71により形成されており、管ピン71は、カバー25に配置されている閉鎖カバー75に配置されている。閉鎖カバー75は、管ピン71に接続された軸方向孔76を備えており、軸方向孔76に冷却流体供給管路が接続可能である。管52は、管ピン71内に差し込まれて保持されている。管ピン71は、管ピン71と軸方向チャンネル50との間に環状ギャップ53が残るように、軸方向チャンネル50内に配置されている。
【0062】
図1および図2では、ブレーキ組込み室31が環状ギャップ53に接続されている。冷却流体循環路の冷却流体流出部61は、ブレーキ組込み室31に接続されている。
【0063】
図1では、このために管ピン80が設けられており、この管ピン80は、カバー25の、ブレーキ組込み室31に接続している接続孔81内に配置されており、冷却流体流出管路のための接続管片82を備えている。
【0064】
図2では、このために閉鎖カバー75として形成された接続体70が、ブレーキ組込み室31に接続された接続孔83を備えており、接続孔83に冷却流体流出管路が接続可能である。
【0065】
ブレーキ解除圧力室34を、ブレーキ解除圧力をもたらすブレーキ圧力管路に接続するために、図1では管ピン90が設けられており、管ピン90は、カバー25の、ブレーキ解除圧力室34に接続している接続孔内に配置されており、ブレーキ圧力管路のための接続管片91を備えている。
【0066】
図2では、ブレーキ解除圧力をもたらすブレーキ圧力管路にブレーキ解除圧力室34を接続するために、カバー25が、ブレーキ解除圧力室34に接続された接続孔93を備えている。この接続孔93には、ブレーキ圧力管路が接続可能である。
【0067】
図1および図2に示したロータ軸冷却部は、以下のように機能する。
【0068】
冷却流体供給部60を介して、冷たい冷却流体が、第1の端部において管52の管内部に導入される。冷たい冷却流体は、管52を軸方向で通流し、図1に示した横方向切欠き65を介して、または図2に示した開いた端面66を介して環状ギャップ53内へと流れる。環状ギャップ53内で、冷却流体はロータ軸16の端面51へと流れ戻り、これによりロータ軸16、両方の支承部20,21および両方の軸シールリング40,41が冷却される。ロータ軸冷却部により、電動モータ12は、内側から体積流量対流により冷却される。ロータ軸16の端面51から、圧力媒体がブレーキ組込み室31内に流れ、これによりブレーキ装置30が冷却され、温められた冷却流体は、冷却流体流出部61において導出される。冷却流体流出部61に接続された熱交換器において、冷却流体を再び冷却し、冷却流体供給部60に供給することができる。
【0069】
図1および図2では、電動モータ12の液体冷却部は、さらにモータハウジング13に配置されたステータ14のステータ冷却部を有している。
【0070】
図1および図2では、ステータ冷却のために、ステータ14と両方のコイル端14a,14bとが、モータハウジング13のロータ組込み室27に対してシールされた、モータハウジング13の冷却材室28内に配置されており、この冷却材室28は、液体冷却部の冷却流体、特にオイルのための冷却流体供給部100と冷却流体流出部101とに接続されている。冷却材室28は、モータハウジング13に形成または配置された分離部29a,29bによりコイル端14a,14bに形成されており、詳細に図示しない形式で、互いに流体接続されている。冷却流体供給部100は、ステータ14の第1のコイル端14aの領域においてモータハウジング13に配置されており、冷却流体流出部101は、ステータ14の第2のコイル端14bの領域においてモータハウジング13に配置されている。
【0071】
図1では、ステータ冷却のために、モータハウジング13が付加的に、液体冷却部の冷却流体、特にオイルのための、ステータ14に沿って延びる冷却材チャンネル110を備えている。冷却材チャンネル110は、ステータ14の第1のコイル端14aからステータ14の第2のコイル端14bにまで延びており、モータハウジング13に配置された冷却流体供給部100と、モータハウジング13に配置された冷却流体流出部101とに接続されている。
【0072】
冷却材チャンネル110は、好適には螺旋溝として形成されており、この螺旋溝は、半径方向でステータ14とモータハウジング13との間に配置されたスリーブ115に形成されている。スリーブ115の内壁には、ステータ14が配置されている。スリーブ115の外壁には、螺旋溝が加工されている。スリーブ115は、好適には、モータハウジング13の管状のハウジング部分23内に圧入されており、これによりスリーブ115の外壁とハウジング部分23の内壁との間に冷却材チャンネル110が形成される。
【0073】
図1および図2のステータ冷却部は、以下のように機能する。
【0074】
冷却流体供給部100を介して、図1および図2では、冷たい冷却流体がコイル端14aの領域において冷却材室28内に導入される。冷たい冷却流体は、冷却材室28を軸方向で通流し、これによりステータ14とそのコイル端14a,14bとが冷却される。温められた冷却流体は、コイル端14bの領域で冷却材室28内に到達し、冷却流体流出部101において導出される。冷却流体流出部101に接続された熱交換器において、冷却流体を再び冷却し、冷却流体供給部100に供給することができる。
【0075】
図1では、付加的に冷たい冷却流体を、冷却流体供給部100を介して、第1のコイル端14aの領域において冷却材チャンネル110に導入することができる。冷却流体は冷却材チャンネル110を通流し、これにより、ステータ14とステータのコイル端14a,14bとが冷却される。温められた冷却流体は、第2のコイル端14bの領域で冷却流体流出部101において導出される。冷却流体流出部101に接続された熱交換器において、冷却流体を再び冷却し、冷却流体供給部100に供給することができる。
【0076】
本発明によるタンブラー駆動装置1によって、組み込まれた電動モータ12と、多段の減速伝動装置3と、停止ブレーキとして構成されたブレーキ装置30と、液体冷却部とを備えた、コンパクトな寸法を有し、高い最低地上高と、車両の左右のタンブラー駆動装置1間の高い通路を可能にする、無限軌道車両用の電気式のタンブラー駆動装置が提供される。この液体冷却部は、電動モータ12の他に、減速伝動装置3およびブレーキ装置30、ならびにロータ軸16の支承部20,21および軸シールリング40,41を冷却することを可能にする。
図1
図2
【国際調査報告】