(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】積層体及び3Dプリンター
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20240703BHJP
B29C 64/124 20170101ALI20240703BHJP
B29C 64/25 20170101ALI20240703BHJP
B29C 64/255 20170101ALI20240703BHJP
B29C 64/268 20170101ALI20240703BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240703BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240703BHJP
B33Y 40/00 20200101ALI20240703BHJP
【FI】
B32B27/00
B29C64/124
B29C64/25
B29C64/255
B29C64/268
B33Y30/00
B33Y10/00
B33Y40/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563937
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 US2022034999
(87)【国際公開番号】W WO2022272134
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523097042
【氏名又は名称】ヴィチ メトロニクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴットリーブ,アモス
【テーマコード(参考)】
4F100
4F213
【Fターム(参考)】
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK08B
4F100AK18A
4F100AK18C
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA06
4F100EH17
4F100EH61
4F100EJ55
4F100EJ61
4F100EJ65
4F100GB90
4F100JA05
4F100JB13
4F100JD03
4F100JJ03
4F100JN01
4F213AA44
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL06
4F213WL12
4F213WL72
4F213WL74
4F213WL87
(57)【要約】
3Dプリンターにおける窓として有用な積層体。積層体は、フルオロポリマー、例えばテトラフルオロエチレンを含む上側及び下側層並びに非エラストマーポリマー、例えば4-メチル-1-ペンテンのポリマーで構成された中間層を含む3つ以上のポリマー層を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体であって、
(1)(a)光を透過し、及び(b)上側層ポリマー組成物で構成される上側層であって、前記上側層ポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物であり、前記ポリマー又は前記ポリマーの少なくとも1つは、本明細書において上記で定義されたフルオロポリマーである、上側層と、
(2)(a)前記上側層に接着し、(b)光を透過し、及び(c)中間ポリマー組成物で構成される、第1の表面を有する中間層であって、前記中間ポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物である、中間層と、
(3)(a)前記中間層の第2の反対側の表面に接着し、(b)光を透過し、(c)下側層ポリマー組成物で構成され、及び(d)前記積層体が3Dプリンターにおける窓としてのその使用中に加熱されるとき、前記上側層の歪みを阻害又は防止する下側層であって、前記下側層ポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物である、下側層と
を含む積層体。
【請求項2】
前記下側層ポリマー組成物は、本明細書において上記で定義されたフルオロポリマーを含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレンである、請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記上側層組成物及び前記下側層組成物は、同じであり、及び各々は、少なくとも100バーラーの酸素透過性を有する、請求項2又は3に記載の積層体。
【請求項4】
前記中間ポリマー組成物は、少なくとも0℃のガラス転移温度を有する非エラストマーポリマーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
前記中間ポリマー組成物は、本明細書において上記で定義されたPMPポリマーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記上側層と前記中間層との間の第1のプライマー層及び前記中間層と前記下側層との間の第2のプライマー層を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
所望の構成を有する物品を作製するための3Dプリンターであって、
(1)光重合性ポリマー組成物と、
(2)上側表面と、反対側の下側表面とを有する窓と、
(3)前記窓の前記上側表面上又はそれに隣接して前記ポリマー組成物を送達するための手段と、
(4)前記窓の前記下側表面上に光のパターンを投影するための手段であって、前記パターンは、前記所望の構成の一部に対応し、及び前記窓は、前記光を透過させる、手段と
を含み、それにより、前記装置が動作中であるとき、前記ポリマー組成物は、前記窓の前記上側表面上又はそれに隣接して光重合され、及び前記所望の構成の一部に対応する一部を形成し、
前記窓は、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体を含む、3Dプリンター。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体を作製する方法であって、
(A)前記中間ポリマー組成物で構成されたフィルムを提供するステップであって、前記フィルムは、第1及び第2の表面を有する、ステップ、
(B)前記フィルムの前記第1及び第2の表面の各々をコロナエッチング若しくはプラズマエッチング又は両方にさらすステップ、
(C)前記フィルムの前記第1及び第2の表面の各々にプライマー溶液を適用するステップ、
(D)前記フィルムの前記第1及び第2の表面に適用された前記プライマー溶液を乾燥させるステップ、
(E)前記フィルムの前記第1の表面を前記上側ポリマー組成物の溶液で被覆し、及び前記溶液の硬化を可能にするか又は引き起こすステップ、
(F)前記フィルムの前記第2の表面を前記下側ポリマー組成物の溶液で被覆し、及び前記下側ポリマー組成物の前記溶液の硬化を可能にするか又は引き起こすステップ
を含む方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体を作製する方法であって、
(A)前記中間ポリマー組成物で構成されたフィルムを提供するステップであって、前記フィルムは、第1及び第2の表面を有する、ステップ、
(B)前記フィルムの前記第1及び第2の表面の各々をコロナエッチング若しくはプラズマエッチング又は両方にさらすステップ、
(C)前記中間ポリマー組成物で構成された前記フィルムの前記第1の表面に、前記上側ポリマー組成物で構成された予形成フィルムを接着するステップ、
(D)前記中間ポリマー組成物で構成された前記フィルムの前記第2の表面に、前記下側ポリマー組成物で構成された予形成フィルムを接着するステップ
を含む方法。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体を作製する方法であって、
(A)(1)前記上側ポリマー組成物、(2)前記中間ポリマー組成物、及び(3)前記下側ポリマー組成物を別々に押し出すことができる押出しラインを提供し、及び前記押出しラインを動作させて、前記押し出された中間ポリマー組成物の第1の表面上に前記上側ポリマー組成物を押し出し、及び前記押し出された中間ポリマー組成物の反対側の第2の表面上に前記下側ポリマー組成物を押し出すこと
を含む方法。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体を含む3Dプリンター。
【請求項12】
(1)光重合性ポリマー組成物と、
(2)上側表面と、反対側の下側表面とを有する窓と、
(3)前記窓の前記上側表面上又はそれに隣接して前記ポリマー組成物を送達するための手段と、
(4)前記窓の前記下側表面上に光のパターンを投影するための手段であって、前記パターンは、前記所望の構成の一部に対応し、及び前記窓は、前記光を透過させる、手段と
を含み、それにより、前記装置が動作中であるとき、前記ポリマー組成物は、前記窓の前記上側表面上又はそれに隣接して光重合され、及び前記所望の構成の一部に対応する一部を形成し、
前記窓は、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体を含む、請求項11に記載の3Dプリンター。
【請求項13】
前記窓は、平面状である、請求項11又は12に記載の3Dプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、Amos Gottliebによって2021年6月24日に出願された米国仮特許出願第63/214,265号からの優先権を主張する。
【0002】
本願は、2019年12月18日出願の米国仮特許出願第62/950,072号及び米国仮特許出願第62/950,072号からの優先権を主張する、2020年12月18日出願の国際出願PCT/米国特許出願公開第20/66252号に関する。米国仮特許出願第62/950,072号、米国仮特許出願第63/214,265号及び国際出願PCT/米国特許出願公開第20/66252号の各々の全内容は、参照によりあらゆる目的のために本願に組み込まれる。
【0003】
発明の分野
本発明は、新規ポリマー積層体及び新規積層体を使用する3Dプリンターに関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
いくつかのタイプの3Dプリンターは、所望の透過率特性を有するフィルム又はシートを利用する。いくつかのタイプの3Dプリンター、例えばCLIPプリンター(CLIPは、連続液界面生産又は連続液界面プリンティングの略語である)、DLPプリンター(デジタルライトプロジェクター又はデジタルライトプロセッサーに基づく3Dプリンター)、DLVプリンター(デジタルライトバルブに基づく3Dプリンター)及びいくつかのSLA 3Dプリンターは、酸素透過性のフィルム又はシートを必要とし得るか又はその使用の恩恵を受け得る。いくつかの他のタイプの3Dプリンターは、必ずではないが、酸素透過性であり得るフィルム又はシートの使用の恩恵を受け得るか又はその使用を必要とし得る。いくつかの3Dプリンターの説明に関しては、米国特許第9,200,678号、同第9,211,678号、同第9,636,873号、同第9,486,964号及び同第10,016,938号(それらの全内容は、参照によりあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)が参照され得る。
【0005】
国際出願PCT/米国特許出願公開第20/66252号は、2つの層、すなわち、
(1)光を透過し、及び第1のポリマー組成物で構成される第1の層であって、第1のポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物であり、このポリマー又はこれらのポリマーの少なくとも1つは、好ましくは、非エラストマーポリマーであり、及び好ましくは少なくとも0℃のガラス転移温度を有し、例えばこの国際出願に定義されるPMPポリマーである、第1の層と、
(2)光を透過し、第1の層に接着し、及び第2のポリマー組成物で構成される第2の層であって、第2のポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物であり、このポリマー又はこれらのポリマーの少なくとも1つは、この国際出願に定義されるフルオロポリマーである、第2の層と
からなる積層体を開示している。
【0006】
積層体は、第1の層と第2の層との間にプライマーの薄層も含有し得る。
【0007】
国際出願PCT/米国特許出願公開第20/66252号は、かかる2層積層体を作製する方法及び3Dプリンターにおける窓としてのかかる2層積層体の使用も開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の概要
国際出願PCT/米国特許出願公開第20/66252号に開示される2層積層体が比較的高い温度、例えば80℃超又は90℃超、例えば100℃までの温度に加熱される場合、3Dプリンターにおける窓としての積層体の使用中に積層体が歪むおそれがあることが見出されている。例えば、積層体は、窓の上側表面を提供する少なくともフルオロポリマー層に皺を発生させる可能性がある。これは、重大な問題であり、なぜなら、特にプリンターがDLP又はSLAプリンターであるとき、窓は、3Dプリンターの使用中に平面状態を維持することがきわめて望ましいためである。例えば、窓の上側表面に送達される樹脂が発熱性樹脂であるとき、特に樹脂が急速に送達されるときに問題を生じる可能性がある。本発明は、この問題への解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、本発明は、積層体であって、
(1)(a)光を透過し、及び(b)上側層ポリマー組成物で構成される上側層であって、上側層ポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物であり、このポリマー又はこれらのポリマーの少なくとも1つは、本明細書において下記で定義されるフルオロポリマーであり、上側層は、好ましくは、少なくとも100バーラー(Barrer)の酸素透過性を有する、上側層と、
(2)(a)上側層に接着し、(b)光を透過し、及び(c)中間ポリマー組成物で構成される、第1の表面を有する中間層であって、中間ポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物であり、このポリマー又はこれらのポリマーの少なくとも1つは、好ましくは、非エラストマーポリマーであり、及び好ましくは少なくとも0℃のガラス転移温度を有し、例えば本明細書において下記で定義されるPMPポリマーである、中間層と、
(3)(a)中間層の第2の反対側の表面に接着し、(b)光を透過し、(c)下側層ポリマー組成物で構成され、及び(d)積層体が3Dプリンターにおける窓としてのその使用中に加熱されるとき、上側層の歪みを阻害又は防止する下側層であって、下側層ポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物であり、下側層は、好ましくは、少なくとも100バーラーの酸素透過性を有する、下側層と
を含む積層体を提供する。
【0010】
「上側層」及び「下側層」という用語は、積層体の定義に役立つように本明細書で用いられる。以下にさらに記載されるように、本発明の一実施形態では、上側層及び下側層の各々は、単一のポリマー又はポリマーの混合物である組成物で構成され、このポリマー又はこれらのポリマーの少なくとも1つは、本明細書において下記で定義されるフルオロポリマーであり、その場合、上側層又は下側層のいずれかは、樹脂が送達される表面を提供し得る。上側層組成物及び下側層組成物は、同一であり得る。下側層組成物が単一のポリマー又はポリマーの混合物(このポリマー又はこれらのポリマーの少なくとも1つは、本明細書において下記で定義されるフルオロポリマーである)で構成されない場合、上側層は、3Dプリンターで樹脂が送達される層でなければならない。
【0011】
積層体は、上側層と中間層との間及び/又は中間層と下側層との間にプライマー層も含み得る。
【0012】
積層体は、積層体の性能に悪影響を及ぼさない他の層も含有し得る。
【0013】
その第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に係る積層体を含む装置を提供する。装置は、所望の構成を有する物品を作製するための3Dプリンターであり得、装置は、
(1)光重合性ポリマー組成物と、
(2)上側表面と、反対側の下側表面とを有する窓、好ましくは平面状窓と、
(3)窓の上側表面上又はそれに隣接してポリマー組成物を送達するための手段と、
(4)窓の下側表面上に光のパターンを投影するための手段であって、パターンは、所望の構成の一部に対応し、及び窓は、光を透過させる、手段と
を含み、それにより、装置が動作中であるとき、ポリマー組成物は、窓の上側表面上又はそれに隣接して光重合され、及び所望の構成の一部に対応する一部を形成し、
窓は、本発明の第1の態様に係る積層体を含む。
【0014】
第3の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の新規積層体を作製する方法を提供する。
【0015】
図面の簡単な説明
本発明は、添付図面に図示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】異なる3Dプリンター、例えばDLP 3Dプリンターの断面図であり、この3Dプリンターは、液状光重合性樹脂を含有するバットを使用し、及びバットの底部は、透明な酸素透過性材料で構成された窓を有する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
以上の発明の概要、以下の発明の詳細な説明、実施例及び特許請求の範囲並びに添付図面では、本発明の特定の特徴が参照される。こうした特徴は、例えば、構成要素、成分、要素、デバイス、装置、システム、群、範囲、方法ステップ、試験結果及びプログラム命令を含む命令であり得る。
【0018】
本明細書での本発明の開示は、かかる特定の特徴のすべての可能な組合せを含むものと理解されるべきである。例えば、本発明の特定の態様若しくは実施形態又は特定の請求項若しくは特定の図との関連で特定の特徴が開示された場合、その特徴は、他の特定の態様、実施形態、請求項及び図との組合せ及び/又はそれらとの関連でも使用可能であり、本発明では、一般に、文脈上その可能性が除外される場合を除く。
【0019】
本明細書に開示される本発明及び特許請求の範囲は、本明細書に具体的に記載されていない実施形態を含み、例えば本明細書に具体的に記載されていないが、本明細書に具体的に開示される特徴と同一の、均等な又は類似の機能を提供する特徴を利用可能である。
【0020】
「含む」という用語及びその文法的に均等な表現は、具体的に特定された特徴に加えて、他の特徴が任意選択的に存在することを意味するものとして本明細書で用いられる。例えば、構成要素A、B及びCを「含んでいる」(又は「含む」)組成物又はデバイスは、構成要素A、B及びCのみを含み得るか、又は構成要素A、B及びCだけでなく、1つ以上の他の構成要素も含み得る。
【0021】
「から本質的になる」という用語及びその文法的に均等な表現は、具体的に特定された特徴に加えて、特許請求される本発明を実質的に変化させない他の特徴が存在し得ることを意味するものとして本明細書で用いられる。
【0022】
「少なくとも」という用語に続く数は、その数から始まる範囲の開始を表すものとして本明細書で用いられる(定義されている変数に依存して、上限を有するか又は上限を有しない範囲であり得る)。例えば、「少なくとも1つ」は、1つ又は1つ超を意味し、「少なくとも80%」は、80%又は80%超を意味する。
【0023】
「2つ以上の指定構成要素の少なくとも1つ」という用語は、指定された構成要素の1つのみ又は指定された構成要素の2つ以上のいずれかの組合せを表すものとして本明細書で用いられる。
【0024】
「多くとも」という用語に続く数は、その数で終わる範囲の終了を表すものとして本明細書で用いられる(定義されている変数に依存して、その下限として1若しくは0を有する範囲又は下限を有しない範囲であり得る)。例えば、「多くとも4つ」は、4つ又は4つ未満を意味し、「多くとも40%」は、40%又は40%未満を意味する。範囲が「(第1の数)から(第2の数)」又は「(第1の数)~(第2の数)」として与えられるとき、これは、その下限が第1の数であり、及びその上限が第2の数である範囲を意味する。例えば、「8~20個までの炭素原子」又は「8~20個の炭素原子」は、その下限が8個の炭素原子であり、及びその上限が20個の炭素原子である範囲を意味する。「複数の」、「多数の」、「複数」及び「多数」という用語は、2つ又は2つ超の特徴を表すものとして本明細書で用いられる。
【0025】
2つ以上の定義されたステップを含む方法が本明細書で参照された場合、定義されたステップは、いずれかの順序で又は同時に行うことが可能であり(文脈上その可能性が除外される場合を除く)、本方法は、定義されたステップのいずれかの前、定義されたステップの2つの間又はすべての定義されたステップ後に行われる1つ以上の他のステップを任意選択的に含み得る。
【0026】
「第1」及び「第2」の特徴が本明細書で参照された場合、これは、特に文脈上必要とされない限り、識別の目的のために一般に行われ、第1及び第2の特徴は、同一であり得るか又は異なり得、及び第1の特徴への参照は、第2の特徴が必然的に存在することを意味するものではない(たとえそれが存在し得るとしても)。
【0027】
1つの(a)又は1つの(an)の特徴が本明細書で参照された場合、これは、2つ以上のかかる特徴が存在する可能性を含む(文脈上その可能性が除外される場合を除く)。そのため、単一のかかる特徴又は複数のかかる特徴が存在し得る。2つ以上の特徴が本明細書で参照された場合、これは、同一の機能を提供するより少ない又はより多くの特徴により2つ以上の特徴が置換えられる可能性を含み、文脈上その可能性が除外される場合を除く。
【0028】
本明細書に与えられた数は、その文脈及び表現に適切な許容範囲を有して解釈されるべきであり、例えば、各数は、本明細書の出願日に当業者により従来から使用されている方法により測定可能な確度に依存する変動を受ける。
【0029】
「及び/又は」という用語は、「及び/又は」の前及び後に可能性の存在が明記されていることを意味するものとして本明細書で用いられる。可能性は、例えば、構成要素、成分、要素、デバイス、装置、システム、群、範囲及びステップが存在することであり得る。例えば、
(i)「項目A及び/又は項目B」では、3つの可能性、すなわち(1)項目Aのみが存在すること、(2)項目Bのみが存在すること、及び(3)項目A及び項目Bの両方が存在することが開示され、及び
(ii)「項目A、及び/又は項目B、及び/又は項目C」では、7つの可能性、すなわち(1)項目Aのみが存在すること、(2)項目Bのみが存在すること、(3)項目Cのみが存在すること、(4)項目A及び項目Bの両方が存在するが、項目Cが存在しないこと、(5)項目A及び項目Cの両方が存在するが、項目Bが存在しないこと、(6)項目B及び項目Cの両方が存在するが、項目Aが存在しないこと、並びに(7)項目A、項目B及び項目Cのすべてが存在することが開示される。
【0030】
本明細書で「2つ以上の具体的に示されたサブ構成要素からなる群から選択される」構成要素が参照された場合、選択された構成要素は、具体的に示されたサブ構成要素の1つのみ又は具体的に示されたサブ構成要素の2つ以上の混合物であり得る。
【0031】
本明細書のある請求項中のいずれかの要素が、米国特許法第112条の規定に基づいて、具体的に示された機能を発揮するための手段又はステップとして表される組合せに対する請求項中の要素であると、それを裏付ける構造、材料又は行為のその請求項への記載なしにみなされる場合、したがって本明細書に記載の対応する構造、材料又は行為及びそれらの均等物を包含するものとして解釈される場合、対応するその構造、材料又は行為は、本明細書に明示的に記載の対応する構造、材料又は行為及びかかる構造、材料又は行為の均等物だけでなく、参照により本明細書に組み込まれる米国特許文献に記載のかかる構造、材料又は行為及びかかる構造、材料又は行為の均等物も含む。同様に、本願のある請求項中のいずれかの要素が(「手段」という用語を具体的に用いていないが)、具体的に示された機能を発揮するための手段又はステップという用語と均等なものであると、それを裏付ける構造、材料又は行為のその請求項への記載なしに適正に解釈される場合、対応するその構造、材料又は行為は、本明細書に明示的に記載の対応する構造、材料又は行為及びかかる構造、材料又は行為の均等物だけでなく、参照により本明細書に組み込まれる米国特許文献に記載のかかる構造、材料又は行為及びかかる構造、材料又は行為の均等物も含む。
【0032】
本明細書には、本明細書で参照されたすべての文献及び本明細書と並行して出願された又は本願との関連で以前に出願されたすべての文献が参照により組み込まれ、限定されるものではないが、本明細書と共に公衆の閲覧に供される文献が含まれる。
【0033】
「フルオロポリマー」という用語は、少なくとも1個のフッ素化炭素原子、好ましくは少なくとも1個のペルフッ素化炭素原子を含有するモノマー、例えば(i)ペルフッ素化エチレン性不飽和炭化水素であるモノマー、例えばテトラフルオロエチレン、及び/又は(ii)ペルフルオロメチルビニルエーテル、及び/又は(iii)限定されるものではないが、ペルフルオロ-1,3-ジオキソールを含めて、ペルフルオロジオキソール部分を含有するモノマー、及び/又は(iv)部分フッ素化若しくはペルフッ素化ジオキソラン、ジオキソール、ジオキサン又は他の5若しくは8員ヘテロ環式環を含有するモノマーの1つ以上に由来する単位を含むアモルファスポリマーを表すものとして(この国際出願と同様に)本明細書で用いられる。かかるヘテロ環式モノマーは、エキソ又はエンド二重結合を含有し得る。フルオロポリマーは、2つ以上、例えば3つの異なるモノマーに由来する単位を含有するポリマーを含めて、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。使用可能なモノマーの例は、(i)ペルフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール、(ii)ペルフルオロ-1,3-ジオキソール、(iii)ペルフルオロ-1,3-ジオキソラン、(iv)ペルフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソール、(v)2,2,4-トリフルオロメチル-5-トリフルオロメトキシ-1,3-ジオキソール、(vi)ペルフルオロ-2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン、(vii)ペルフルオロ-2,2-ジアルキル-1,3-ジオキソール、(viii)2,2-ビス(トリフルオロメチル)-4,5-ジフルオロ-1,3ジオキソール、(ix)2,2-ビス(トリフルオロメチル)-4-フルオロ-5-トリフルオロメトキシ-1,3-ジオキソール、及び(x)1つ以上の5若しくは6員環を含有するヘテロ環式モノマーである。フルオロポリマーが由来し得るモノマーとしては、米国特許第9,643,124B2号及びそれに記載の参照文献に開示されるものが挙げられる。これら及び他のフルオロポリマーは、米国特許第4,399,264号、米国特許第4,935,477号、米国特許第5,286,283号、米国特許第5,498,682号、米国特許第5,008,508号及び米国特許第9,643,124B2号(それらの全内容は、参照によりあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0034】
市販のペルフルオロポリマーの例としては、商品名Teflon AF 1100、Teflon AF 1300、Teflon AF 2400、Teflon AF 1600及びHyfion ADで販売されている製品が挙げられる。
【0035】
「PMPポリマー」という用語は、4-メチル-1-ペンテンに由来する単位を含有するポリマーを表すものとして(この国際出願と同様に)本明細書で用いられる。PMPポリマーは、好ましくは、少なくとも80モルパーセント、例えば約100モルパーセントの4-メチル-1-ペンテン由来の繰返し単位を含む。PMPポリマーは、4-メチル-1-ペンテンと、官能性単位、例えば積層体の上側層及び下側層への又は積層体が1つ以上のプライマーを含むときにはプライマーへの中間層の接着を改善する官能性単位を含有するモノマーとのコポリマーであり得る。かかるコポリマーは、例えば、米国特許第7,524,913号(米国特許出願公開第20080021172号)(その全開示は、参照によりあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0036】
市販のPMPポリマーの例としては、商品名MX 004、MX 0020、MX 002、R-18及びDX 485で販売されているものが挙げられる。
【0037】
積層体の上側層及び下側層
積層体の上側層及び下側層の各々は、単一のポリマー又はポリマーの混合物を含むポリマー組成物で構成される。上側層及び下側層は、同一であり得るか又は異なり得る。例えば、上側及び下側ポリマー組成物は、同じであり得るか又は異なり得、及び/又は上側層及び下側層の厚さは、同じであり得るか又は異なり得る。
【0038】
一実施形態では、上側層組成物及び下側層組成物の各々は、本明細書において上記で定義されたフルオロポリマーを含むポリマー又はポリマーの混合物を含む。その場合、上側層及び下側層の厚さは、積層体が3Dプリンターで使用されて加熱されたときにフルオロポリマー層のいずれも皺にならずに、積層体が実質的に平面状態を維持するように、好ましくは同一又は類似のものである。その実施形態では、フルオロポリマー層のいずれかは、積層体が3Dプリンターで使用されたときにポリマー組成物が送達される表面を供給し得る。
【0039】
他の実施形態では、下側層組成物は、(a)本明細書において上記で定義されたフルオロポリマーを含まないポリマー又はポリマーの混合物を含み、及び(b)好ましくは、積層体が3Dプリンターで使用されて加熱されたときに下側層が上側層の歪みを防止するような厚さを有する。
【0040】
積層体の上側層及び下側層の各々の厚さは、好ましくは、0.5~500μm、例えば1~100μm、例えば5~25μmである。
【0041】
積層体の中間層
積層体の中間層は、中間ポリマー組成物で構成され、中間ポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物であり、このポリマー又はこれらのポリマーの少なくとも1つは、好ましくは、非エラストマーポリマーであり、及び好ましくは少なくとも0℃のガラス転移温度を有する。一実施形態では、中間ポリマー組成物は、本明細書において上記で定義されたPMPポリマーを含み、この実施形態では、中間組成物は、4-メチル-1-ペンテンのホモポリマー又はコポリマーから本質的になり得る。他の実施形態では、中間層は、PMPポリマーを含まないポリマー組成物、例えばMylarなどのポリエステル、ポリ(2,6-ジフェニル-p-フェニレンオキシド)、Xiao-Hau, Gas Separation Membranes, Adv Poly. Materials. 2018により記載されたCMSM、ポリアセチレン、パラ置換ポリスチレン又はポリノルボルネン、例えばポリ(トリメチルシリルノルボルネン)を含むポリマー組成物で構成される。
【0042】
中間層の厚さは、例えば、0.25~5ミル、例えば0.75~2ミルであり得る。第1の層の酸素透過性は、好ましくは、少なくとも10バーラーである。
【0043】
プライマー層
積層体は、上側層と中間層との間のプライマー層及び/又は下側層と中間層との間のプライマー層を任意選択的に含む。1つ又は複数のプライマー層は、存在する場合、連続である必要はないが、例えば一連のライン、矩形のパターン又はレギュラー若しくはイレギュラーパターンの一連のドロップであり得る。
【0044】
プライマーは、好ましくは、隣接層の一方又は両方と相互作用可能な官能基を含む化合物である。そのため、プライマーは、フルオロポリマーを含有する層の1つへの接着を促進するフッ素化部分及び/又は積層体の中間層への接着を促進する別の部分を含み得る。プライマー化合物は、例えば、1つ以上の官能基、例えばカルボン酸基を含有する定義されたフルオロポリマーであり得る。1つ以上のペルフッ素化炭素原子のプライマー中の存在は、第2の(フルオロポリマー)層への接着を支援し、及び好適な官能基、例えば末端及び/又はペンダントのカルボキシル基又はリン酸基の存在は、例えば、PMPポリマーを含み得る中間層への接着を支援する。好適なプライマーとしては、ジカルボキシ-(ポリペルフルオロ-2,3-ジメチレン-1-オキソラン)、末端及び/又はペンダントのカルボン酸基又はリン酸基を有するペルフルオロエチレンとペルフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールとのコポリマー、Fluor PMPポリマー)溶媒中の溶液としてolink AD1700、Fluorolinkホスフェート、Fluorolink MD 700及びアミド末端Fluorolinkが挙げられる。
【0045】
プライマーは、例えば、後に完全に又はほぼ完全に除去される溶媒中のプライマーの溶液として、中間ポリマー組成物の予形成フィルムの表面に適用可能であり、そのため、フィルムの表面上にプライマー化合物の薄層を作成する。層中に残留する溶媒の量は、重量基準で好ましくはプライマー層の5%未満、特に2%未満である。プライマーを含有する溶液は、例えば、Fluorinert又はNovackなどのフッ素化溶媒中の溶液として適用可能であり、溶液は、例えば、0.5~5重量%のプライマーを含有する。プライマーの溶液は、いずれかの方法において、例えば超音波スプレーノズル又は手動ワイピングを利用して適用可能である。乾燥プライマー層は、非常に薄く、例えば約10nm~約5μmの厚さを有し得る。プライマー層は、非常に薄く、プライマーは、10バーラー超、典型的には50バーラー超、いくつかの場合には3000バーラー程度に高い酸素透過性を有し得る。
【0046】
積層体の透明性
多くの3Dプリンターは、樹脂が特定波長の光にさらされたときの樹脂の光重合に依拠する。現在使用されている波長は、約385nm、約405nm及び約420nmであるが、おそらく将来的に他の波長が採用されるであろう。積層体は、樹脂の光重合に使用される波長に対して十分に、好ましくは本質的に透明であるべきである。
【0047】
積層体を作製する方法
ここで、本発明の第1の態様に係る積層体を作製する好ましい方法の1つを記載する。この方法は、好ましくは、中間ポリマー組成物(例えば、PMPポリマーを含有する)で構成された予形成フィルムの両側の両方の活性化及び予形成フィルムの両側へのプライマー溶液の適用を採用する。活性化は、例えば、フィルムの両方の表面をコロナエッチング及び/又はプラズマエッチングにさらすことと、続いて活性化の影響が依然として存在する間に予形成フィルムの両方の表面にプライマー溶液を適用することとを含み得る。上側ポリマー組成物(ペルフルオロポリマーを含む)の溶液は、予形成フィルムの第1の表面に被覆され、次いで加熱により溶媒のほとんどが除去され、予形成フィルムの第1の表面上に上側組成物の硬質層が生成される。第1の表面が被覆され、取扱いに十分な程度に硬くなった後、下側ポリマー組成物(ペルフルオロポリマーを含む)の溶液は、予形成フィルムの反対側の表面上に被覆され、次いで加熱により溶媒のほとんどが除去され、第2の表面上に下側層組成物の硬質層が生成される。最終ステップでは、生成物は、真空オーブン中に配置される。
【0048】
他の一実施形態では、本発明の第1の態様に係る積層体は、(A)中間ポリマー組成物を含む予形成フィルムを提供するステップと、(B)予形成フィルムの両方の表面を活性化し、及び/又は予形成フィルムの両方の表面にプライマー組成物を適用するステップと、(C)一方が上側ポリマー組成物を含み、他方が下側ポリマー組成物を含む2つの予形成フィルムを提供するステップと、(D)フィルムの一方を予形成フィルムの一方の表面に接着し、フィルムの他方を予形成フィルムの反対側の表面に接着するステップとによって作製される。
【0049】
他の一実施形態では、本発明の第1の態様に係る積層体は、中間組成物の予形成フィルムを提供することと、上側ポリマー組成物を含む液状組成物を予形成フィルムの一方の表面上に、及び下側ポリマー組成物を含む液状組成物を予形成フィルムの反対側の表面上に被覆することと、液状組成物を予形成フィルム上で固化させることとによって作製される。任意選択的に、上側及び下側ポリマー組成物を含む液状組成物を予形成フィルム上に被覆する前に、予形成フィルムの一方又は両方の表面は、活性化可能であり、及び/又は上側及び下側ポリマー液状組成物の前に乾燥された液状プライマー組成物を具備可能である。
【0050】
他の一実施形態では、積層体は、
(A)中間ポリマー組成物を含む予形成フィルムのロールをウェブコーティング機に取り付けるステップと、
(B)予形成フィルムの両方の表面を活性化ステップに付し、続いて液状プライマー組成物を両方の表面に被覆してから乾燥させるステップと、
(C)上側ポリマー組成物を含む溶液をステップ(B)からの予形成フィルムの一方の表面に適用し、次いでもはやタック性がなくなるまで溶液を乾燥させるステップと、
(D)下側ポリマー組成物を含む溶液をステップ(C)からの予形成フィルムの反対側の表面に適用し、次いでもはやタック性がなくなるまで溶液を乾燥させるステップと
を含むプロセスによって作製される。ステップ(C)及び(D)は、乾燥ポリマー組成物の所望の厚さが達成されるまで繰返し可能である。その後、被覆フィルムを真空オーブン中に配置し、いずれの残留溶媒も加熱により除去可能である。
【0051】
他の一実施形態では、積層体は、2つ以上のポリマー組成物を共押出しすることができる押出しラインを用いて作製される。中間ポリマー組成物に対して1つのホッパー及び押出しバレル並びに上側及び下側ポリマー組成物の各々に対してホッパー及び押出しバレルが存在する。ポリマー組成物の各々は、そのホッパー中にロードされ、積層体は、中間ポリマー組成物からなる中間層、上側ポリマー組成物からなる上部層及び下側ポリマー組成物からなる底部層と共に押し出される。
【0052】
本発明の第1の態様の新規積層体を用いた3Dプリンター
本発明の第1の態様の積層体は、ポリマー組成物が堆積される窓を提供するためにいずれかの3Dプリンターで使用可能である。いくつかの3Dプリンターでは、積層体は、好ましくは、酸素に対する透過性を有するが、他の3Dプリンターでは、積層体は、酸素に対する透過性を有する必要がない(たとえそれが有し得るとしても)。新規積層体は、窓が実質的な温度、例えば80℃超又は90℃超、例えば約100℃に加熱され得る3Dプリンターに特に有用である。かかる加熱は、窓上に堆積されるポリマー組成物が発熱性樹脂、例えば冷却に伴って熱を発生する樹脂、例えばアクリレート樹脂を含むときに生じる可能性がある。かかる樹脂は、SLA 3Dプリンターで使用されることがある。
【実施例】
【0053】
実施例1
ポリ(4-メチル-1ペンテン)の1ミルフィルムの各側をコロナエッチャーで処理し、次いで超音波スプレーヤーを用いて、Fluorinert FC-40中のジカルボキシ-(ポリペルフルオロ-2,3-ジメチレン-1-オキソラン)の1%溶液の形態のプライマーの薄層でスプレー被覆した。PMPフィルムの両方の表面にオキソラン溶液を一様に展延し、次いで乾燥させた。次いで、PMPフィルムの上部表面をFluorinert中のTeflon(商標)AF2400の溶液で被覆した。得られた生成品を80℃で硬化させた。次いで、PMPフィルムの底部表面をTeflon(商標)AF2400の溶液で被覆した。得られた生成品を最初に80℃で、次いで真空中において昇温で硬化させた。得られたフィルム中の層は、手で分離できなかった。
【0054】
実施例2
PMPの2ミルフィルムの各側をコロナエッチングし、次いで末端及び/又はペンダントカルボン酸基を有するペルフルオロエチレンとペルフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールとのコポリマーのプライマーを含有する溶液の薄層でスプレー被覆した。次いで、溶液を乾燥させた。このプライマー層は、10バーラー超、典型的には50バーラー超、いくつかの場合には3000バーラー程度の高い酸素透過性を有する。スプレー被覆層を乾燥させ、次いでフィルムの片側をTeflon(商標)AF2400の溶液で被覆した。生成品を80℃で硬化させた。次いで、フィルムの第2の側をTeflon(商標)AF2400の溶液で被覆した。生成品を80℃で硬化させた。得られた生成品を真空中において昇温で最終硬化に付した。得られたフィルム中の層は、手で分離できなかった。これは、10バーラー超の酸素透過性を有するプライマーの使用例である。
【0055】
実施例3
「末端及び/又はペンダントカルボン酸基を有するペルフルオロエチレンとペルフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールとのコポリマー」を、末端リン酸基を有するペルフルオロエチレンとペルフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールとのコポリマーにより置き換えて、実施例2を繰り返した。
【0056】
実施例4
「末端及び/又はペンダントカルボン酸基を有するペルフルオロエチレンとペルフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールとのコポリマー」をChemours製のポリマーSF60により置き換えて、実施例2を繰り返した。
【0057】
実施例5
「末端及び/又はペンダントカルボン酸基を有するペルフルオロエチレンとペルフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールとのコポリマー」をChemours製のモノマーEVE-Pにより置き換えて、実施例2を繰り返した。
【0058】
実施例6
実施例2に記載のように作製された積層体を3Dプリンターのトレイに取り付けた。いくつかの3Dプリントを作製し、モノリシックTeflon(商標)AF2400フィルムを用いて作製された3Dプリント及び実施例2に従って作製された積層体を用いて作製されたものに明らかな差が存在しないことを観測した。モノリシックTeflon(商標)AF2400フィルムを使用したとき及び実施例2に従って作製された積層体を使用したとき、プリンタースピード、分解能及び引張り力は、同一であった。
【0059】
実施例7
実施例2に記載のように作製された積層体を異なる3Dプリンターのトレイに取り付けた。いくつかの3Dプリントを作製し、モノリシックTeflon(商標)AF2400フィルムを用いて作製された3Dプリント及び実施例2に従って作製された積層体を用いて作製されたものに明らかな差が存在しないことを観測した。モノリシックTeflon(商標)AF2400フィルムを使用したとき及び実施例2に従って作製された積層体を使用したとき、プリンタースピード、分解能及び引張り力は、同一であった。
【0060】
実施例8
ポリエステルフィルムの各側をコロナエッチングし、次いでジカルボキシ-(ポリペルフルオロ-2,3-ジメチレン-1-オキサシクロペンタン)の薄層でスプレー被覆する。次いで、スプレー被覆層を乾燥させる。次いで、生成品の上側及び下側をTeflon(商標)AF2400の溶液で逐次被覆する。フィルムの各側を80℃で硬化させ、得られた生成品を真空中において昇温で硬化させた。得られたフィルム中の層は、互い非常に強く接着され、手でそれらを分離できないことが見出される。これは、少なくとも10バーラーの酸素透過性を有していないフィルムの作製例である。
【0061】
本発明に関する追加的な情報は、以下の通りである。
本発明は、いくつかのタイプの3Dプリンターのトレイ又は構築領域(構築プレート又は構築アセンブリーとしても知られる)で使用される光透過性酸素透過性材料の必要性に対処する。それは、非固着性を必要とするが、酸素を必要としなくてもよい3Dプリンターのトレイ又は構築領域で使用される光透過性材料の必要性にも対処する。両方の場合において、本発明の光透過性積層体は、少なくとも3つの層からなり、そのうちの少なくとも上側層、好ましくは上側層及び下側層の両方は、光透過性アモルファスフルオロポリマーで構成され、中間層は、非エラストマー材料、好ましくは0℃以上のガラスの転移温度を有するものである光透過性材料からなる。こうした積層体の使用により増加した性能を有する3Dプリンターのタイプとしては、限定されるものではないが、DLP(デジタルライトプロジェクター又はデジタルライトプロセッサーに基づく3Dプリンター)、DLV(デジタルライトバルブに基づく3Dプリンター)、CLIP 3Dプリンター、SLA 3Dプリンター及び他の3Dプリンターが挙げられる。
【0062】
いくつかの3Dプリンターは、透明構築領域(構築プレート又は構築アセンブリーとしても知られる)、通常、部品を形成する樹脂を保持するトレイの透明領域を介して光を導入する光源に基づいて動作し、前記光は、導入される光のパターンに従って樹脂の化学重合を引き起こす。典型的には、部品が生成されるにつれて構築領域から離れるように垂直移動する移動用ステージ(キャリア)が存在する。透明構築領域がペルフルオロポリマーなどの非固着性表面を有する場合、部品は、構築領域への接着が大幅に低減されるであろう。加えて、透明構築領域が酸素透過性である場合、いくつかの樹脂では、重合は、構築される部品と構築領域との間の狭い領域でクエンチされるであろう。この場合、構築される部品及び構築領域は、決して接触状態にならず、3D部品と構築領域との間に接着が存在しない。例えば、米国特許第9,636,873号、米国特許第10,016,938号及び米国特許第9,211,678号(その全内容は、参照によりあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)を参照されたい。米国特許第9,636,873号に記載のように、本方法は、以下の通りである。
【0063】
「3次元物体の形成方法は、(a)キャリア及び構築プレートを提供することであって、構築プレートは、半透性メンバーを含み、半透過性メンバーは、構築表面を含み、構築表面及びキャリアは、それらの間に構築領域を画定し、構築表面は、半透性メンバーを介して重合禁止剤源と流体連通状態である、提供することと、(b)構築領域に重合性液体を充填することであって、重合性液体は、構築表面に接触する、充填することと、(c)構築プレートを介して構築領域を照射して構築領域に固形重合領域を生成すると同時に、固形重合領域と構築表面との間に形成される重合性液体で構成された液状フィルム剥離層を形成又は維持することであって、液状フィルムの重合は、重合禁止剤によって阻害される、形成又は維持することと、(d)重合領域を接着して有するキャリアを構築プレート上の構築表面から離れるように前進させて、重合領域と構築表面との間に後続構築領域を作成すると同時に、ステップ(b)と同様に重合性液体を後続構築領域に並行して充填することとによって行われる。
【0064】
3Dプリンターでの本発明の例示的積層体の使用は、以下の図に例として示される。
【0065】
ここで、図面を参照する。
【0066】
図1は、本発明の積層体の一部を通した断面である。
図1では、参照数字は、以下を表す。
11は、少なくとも100バーラーの酸素透過性を有するアモルファスペルフルオロポリマーで作製された上部層である。
12は、少なくとも10バーラーの酸素透過性を有する材料で構成された中間層である。
13は、少なくとも10バーラーの酸素透過性を有するアモルファスペルフルオロポリマーで構成された底部層であり、上部層11と同じであるか又は異なる。
14A及び14Bは、それぞれ例えば55~100nmの厚さを有する中間プライマー層である。
【0067】
図2は、
図1の一部の拡大断面である。
図2では、参照数字は、以下を表す。
11は、上部層であり、
12は、中間層であり、
14Aは、上部層11と中心層12との間のプライマー層であり、
125は、中間層12の活性化表面を表す。活性化表面は、例えば、3~20nmの厚さを有する。
【0068】
図3は、3Dプリンターの図示である。
図3では、参照数字は、以下を表す。
31は、キャリアであり、
32は、生成される3次元物体であり、
33は、3D物体に対する重合性液体であり、
34は、重合のグラジエントであり、
35は、デッドゾーンであり、
37は、重合禁止剤であり、
38は、照射である。
【0069】
図4は、別の3Dプリンターの図示である。
図4では、参照数字は、以下を表す。
41は、構築テーブルであり、
42は、生成される物体であり、
43は、液状光重合性樹脂であり、
44は、デッドゾーンであり、
45は、樹脂バットであり、
46は、樹脂バットの窓であり、
47は、パターンイルミネーターであり、
48は、モーター49による駆動される垂直リードスクリューである。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、Amos Gottliebによって2021年6月24日に出願された米国仮特許出願第63/214,265号からの優先権を主張する。
【0002】
本願は、2019年12月18日出願の米国仮特許出願第62/950,072号及び米国仮特許出願第62/950,072号からの優先権を主張する、2020年12月18日出願の国際出願PCT/米国特許出願公開第20/66252号に関する。米国仮特許出願第62/950,072号、米国仮特許出願第63/214,265号及び国際出願PCT/米国特許出願公開第20/66252号の各々の全内容は、参照によりあらゆる目的のために本願に組み込まれる。
【0003】
発明の分野
本発明は、新規ポリマー積層体及び新規積層体を使用する3Dプリンターに関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
いくつかのタイプの3Dプリンターは、所望の透過率特性を有するフィルム又はシートを利用する。いくつかのタイプの3Dプリンター、例えばCLIPプリンター(CLIPは、連続液界面生産又は連続液界面プリンティングの略語である)、DLPプリンター(デジタルライトプロジェクター又はデジタルライトプロセッサーに基づく3Dプリンター)、DLVプリンター(デジタルライトバルブに基づく3Dプリンター)及びいくつかのSLA 3Dプリンターは、酸素透過性のフィルム又はシートを必要とし得るか又はその使用の恩恵を受け得る。いくつかの他のタイプの3Dプリンターは、必ずではないが、酸素透過性であり得るフィルム又はシートの使用の恩恵を受け得るか又はその使用を必要とし得る。いくつかの3Dプリンターの説明に関しては、米国特許第9,200,678号、同第9,211,678号、同第9,636,873号、同第9,486,964号及び同第10,016,938号(それらの全内容は、参照によりあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)が参照され得る。
【0005】
国際出願PCT/米国特許出願公開第20/66252号は、2つの層、すなわち、
(1)光を透過し、及び第1のポリマー組成物で構成される第1の層であって、第1のポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物であり、このポリマー又はこれらのポリマーの少なくとも1つは、好ましくは、非エラストマーポリマーであり、及び好ましくは少なくとも0℃のガラス転移温度を有し、例えばこの国際出願に定義されるPMPポリマーである、第1の層と、
(2)光を透過し、第1の層に接着し、及び第2のポリマー組成物で構成される第2の層であって、第2のポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物であり、このポリマー又はこれらのポリマーの少なくとも1つは、この国際出願に定義されるフルオロポリマーである、第2の層と
からなる積層体を開示している。
【0006】
積層体は、第1の層と第2の層との間にプライマーの薄層も含有し得る。
【0007】
国際出願PCT/米国特許出願公開第20/66252号は、かかる2層積層体を作製する方法及び3Dプリンターにおける窓としてのかかる2層積層体の使用も開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の概要
国際出願PCT/米国特許出願公開第20/66252号に開示される2層積層体が比較的高い温度、例えば80℃超又は90℃超、例えば100℃までの温度に加熱される場合、3Dプリンターにおける窓としての積層体の使用中に積層体が歪むおそれがあることが見出されている。例えば、積層体は、窓の上側表面を提供する少なくともフルオロポリマー層に皺を発生させる可能性がある。これは、重大な問題であり、なぜなら、特にプリンターがDLP又はSLAプリンターであるとき、窓は、3Dプリンターの使用中に平面状態を維持することがきわめて望ましいためである。例えば、窓の上側表面に送達される樹脂が発熱性樹脂であるとき、特に樹脂が急速に送達されるときに問題を生じる可能性がある。本発明は、この問題への解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、本発明は、積層体であって、
(1)(a)光を透過し、及び(b)上側層ポリマー組成物で構成される上側層であって、上側層ポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物であり、このポリマー又はこれらのポリマーの少なくとも1つは、本明細書において下記で定義されるフルオロポリマーであり、上側層は、好ましくは、少なくとも100バーラー(Barrer)の酸素透過性を有する、上側層と、
(2)(a)上側層に接着し、(b)光を透過し、及び(c)中間層ポリマー組成物で構成される、第1の表面を有する中間層であって、中間層ポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物であり、このポリマー又はこれらのポリマーの少なくとも1つは、好ましくは、非エラストマーポリマーであり、及び好ましくは少なくとも0℃のガラス転移温度を有し、例えば本明細書において下記で定義されるPMPポリマーである、中間層と、
(3)(a)中間層の第1の表面の反対側の第2の表面に接着し、(b)光を透過し、(c)下側層ポリマー組成物で構成され、及び(d)積層体が3Dプリンターにおける窓としてのその使用中に加熱されるとき、上側層の歪みを阻害又は防止する下側層であって、下側層ポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物であり、下側層は、好ましくは、少なくとも100バーラーの酸素透過性を有する、下側層と
を含む積層体を提供する。
【0010】
「上側層」及び「下側層」という用語は、積層体の定義に役立つように本明細書で用いられる。以下にさらに記載されるように、本発明の一実施形態では、上側層及び下側層の各々は、単一のポリマー又はポリマーの混合物である組成物で構成され、このポリマー又はこれらのポリマーの少なくとも1つは、本明細書において下記で定義されるフルオロポリマーであり、その場合、上側層又は下側層のいずれかは、樹脂が送達される表面を提供し得る。上側層ポリマー組成物及び下側層ポリマー組成物は、同一であり得る。下側層ポリマー組成物が単一のポリマー又はポリマーの混合物(このポリマー又はこれらのポリマーの少なくとも1つは、本明細書において下記で定義されるフルオロポリマーである)で構成されない場合、上側層は、3Dプリンターで樹脂が送達される層でなければならない。
【0011】
積層体は、上側層と中間層との間及び/又は中間層と下側層との間にプライマー層も含み得る。
【0012】
積層体は、積層体の性能に悪影響を及ぼさない他の層も含有し得る。
【0013】
その第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に係る積層体を含む装置を提供する。装置は、所望の構成を有する物品を作製するための3Dプリンターであり得、装置は、
(1)光重合性ポリマー組成物と、
(2)上側表面と、反対側の下側表面とを有する窓、好ましくは平面状窓と、
(3)窓の上側表面上又はそれに隣接してポリマー組成物を送達するための手段と、
(4)窓の下側表面上に光のパターンを投影するための手段であって、パターンは、所望の構成の一部に対応し、及び窓は、光を透過させる、手段と
を含み、それにより、装置が動作中であるとき、ポリマー組成物は、窓の上側表面上又はそれに隣接して光重合され、及び所望の構成の一部に対応する一部を形成し、
窓は、本発明の第1の態様に係る積層体を含む。
【0014】
第3の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の新規積層体を作製する方法を提供する。
【0015】
図面の簡単な説明
本発明は、添付図面に図示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】異なる3Dプリンター、例えばDLP 3Dプリンターの断面図であり、この3Dプリンターは、液状光重合性樹脂を含有するバットを使用し、及びバットの底部は、透明な酸素透過性材料で構成された窓を有する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
以上の発明の概要、以下の発明の詳細な説明、実施例及び特許請求の範囲並びに添付図面では、本発明の特定の特徴が参照される。こうした特徴は、例えば、構成要素、成分、要素、デバイス、装置、システム、群、範囲、方法ステップ、試験結果及びプログラム命令を含む命令であり得る。
【0018】
本明細書での本発明の開示は、かかる特定の特徴のすべての可能な組合せを含むものと理解されるべきである。例えば、本発明の特定の態様若しくは実施形態又は特定の請求項若しくは特定の図との関連で特定の特徴が開示された場合、その特徴は、他の特定の態様、実施形態、請求項及び図との組合せ及び/又はそれらとの関連でも使用可能であり、本発明では、一般に、文脈上その可能性が除外される場合を除く。
【0019】
本明細書に開示される本発明及び特許請求の範囲は、本明細書に具体的に記載されていない実施形態を含み、例えば本明細書に具体的に記載されていないが、本明細書に具体的に開示される特徴と同一の、均等な又は類似の機能を提供する特徴を利用可能である。
【0020】
「含む」という用語及びその文法的に均等な表現は、具体的に特定された特徴に加えて、他の特徴が任意選択的に存在することを意味するものとして本明細書で用いられる。例えば、構成要素A、B及びCを「含んでいる」(又は「含む」)組成物又はデバイスは、構成要素A、B及びCのみを含み得るか、又は構成要素A、B及びCだけでなく、1つ以上の他の構成要素も含み得る。
【0021】
「から本質的になる」という用語及びその文法的に均等な表現は、具体的に特定された特徴に加えて、特許請求される本発明を実質的に変化させない他の特徴が存在し得ることを意味するものとして本明細書で用いられる。
【0022】
「少なくとも」という用語に続く数は、その数から始まる範囲の開始を表すものとして本明細書で用いられる(定義されている変数に依存して、上限を有するか又は上限を有しない範囲であり得る)。例えば、「少なくとも1つ」は、1つ又は1つ超を意味し、「少なくとも80%」は、80%又は80%超を意味する。
【0023】
「2つ以上の指定構成要素の少なくとも1つ」という用語は、指定された構成要素の1つのみ又は指定された構成要素の2つ以上のいずれかの組合せを表すものとして本明細書で用いられる。
【0024】
「多くとも」という用語に続く数は、その数で終わる範囲の終了を表すものとして本明細書で用いられる(定義されている変数に依存して、その下限として1若しくは0を有する範囲又は下限を有しない範囲であり得る)。例えば、「多くとも4つ」は、4つ又は4つ未満を意味し、「多くとも40%」は、40%又は40%未満を意味する。範囲が「(第1の数)から(第2の数)」又は「(第1の数)~(第2の数)」として与えられるとき、これは、その下限が第1の数であり、及びその上限が第2の数である範囲を意味する。例えば、「8~20個までの炭素原子」又は「8~20個の炭素原子」は、その下限が8個の炭素原子であり、及びその上限が20個の炭素原子である範囲を意味する。「複数の」、「多数の」、「複数」及び「多数」という用語は、2つ又は2つ超の特徴を表すものとして本明細書で用いられる。
【0025】
2つ以上の定義されたステップを含む方法が本明細書で参照された場合、定義されたステップは、いずれかの順序で又は同時に行うことが可能であり(文脈上その可能性が除外される場合を除く)、本方法は、定義されたステップのいずれかの前、定義されたステップの2つの間又はすべての定義されたステップ後に行われる1つ以上の他のステップを任意選択的に含み得る。
【0026】
「第1」及び「第2」の特徴が本明細書で参照された場合、これは、特に文脈上必要とされない限り、識別の目的のために一般に行われ、第1及び第2の特徴は、同一であり得るか又は異なり得、及び第1の特徴への参照は、第2の特徴が必然的に存在することを意味するものではない(たとえそれが存在し得るとしても)。
【0027】
1つの(a)又は1つの(an)の特徴が本明細書で参照された場合、これは、2つ以上のかかる特徴が存在する可能性を含む(文脈上その可能性が除外される場合を除く)。そのため、単一のかかる特徴又は複数のかかる特徴が存在し得る。2つ以上の特徴が本明細書で参照された場合、これは、同一の機能を提供するより少ない又はより多くの特徴により2つ以上の特徴が置換えられる可能性を含み、文脈上その可能性が除外される場合を除く。
【0028】
本明細書に与えられた数は、その文脈及び表現に適切な許容範囲を有して解釈されるべきであり、例えば、各数は、本明細書の出願日に当業者により従来から使用されている方法により測定可能な確度に依存する変動を受ける。
【0029】
「及び/又は」という用語は、「及び/又は」の前及び後に可能性の存在が明記されていることを意味するものとして本明細書で用いられる。可能性は、例えば、構成要素、成分、要素、デバイス、装置、システム、群、範囲及びステップが存在することであり得る。例えば、
(i)「項目A及び/又は項目B」では、3つの可能性、すなわち(1)項目Aのみが存在すること、(2)項目Bのみが存在すること、及び(3)項目A及び項目Bの両方が存在することが開示され、及び
(ii)「項目A、及び/又は項目B、及び/又は項目C」では、7つの可能性、すなわち(1)項目Aのみが存在すること、(2)項目Bのみが存在すること、(3)項目Cのみが存在すること、(4)項目A及び項目Bの両方が存在するが、項目Cが存在しないこと、(5)項目A及び項目Cの両方が存在するが、項目Bが存在しないこと、(6)項目B及び項目Cの両方が存在するが、項目Aが存在しないこと、並びに(7)項目A、項目B及び項目Cのすべてが存在することが開示される。
【0030】
本明細書で「2つ以上の具体的に示されたサブ構成要素からなる群から選択される」構成要素が参照された場合、選択された構成要素は、具体的に示されたサブ構成要素の1つのみ又は具体的に示されたサブ構成要素の2つ以上の混合物であり得る。
【0031】
本明細書のある請求項中のいずれかの要素が、米国特許法第112条の規定に基づいて、具体的に示された機能を発揮するための手段又はステップとして表される組合せに対する請求項中の要素であると、それを裏付ける構造、材料又は行為のその請求項への記載なしにみなされる場合、したがって本明細書に記載の対応する構造、材料又は行為及びそれらの均等物を包含するものとして解釈される場合、対応するその構造、材料又は行為は、本明細書に明示的に記載の対応する構造、材料又は行為及びかかる構造、材料又は行為の均等物だけでなく、参照により本明細書に組み込まれる米国特許文献に記載のかかる構造、材料又は行為及びかかる構造、材料又は行為の均等物も含む。同様に、本願のある請求項中のいずれかの要素が(「手段」という用語を具体的に用いていないが)、具体的に示された機能を発揮するための手段又はステップという用語と均等なものであると、それを裏付ける構造、材料又は行為のその請求項への記載なしに適正に解釈される場合、対応するその構造、材料又は行為は、本明細書に明示的に記載の対応する構造、材料又は行為及びかかる構造、材料又は行為の均等物だけでなく、参照により本明細書に組み込まれる米国特許文献に記載のかかる構造、材料又は行為及びかかる構造、材料又は行為の均等物も含む。
【0032】
本明細書には、本明細書で参照されたすべての文献及び本明細書と並行して出願された又は本願との関連で以前に出願されたすべての文献が参照により組み込まれ、限定されるものではないが、本明細書と共に公衆の閲覧に供される文献が含まれる。
【0033】
「フルオロポリマー」という用語は、少なくとも1個のフッ素化炭素原子、好ましくは少なくとも1個のペルフッ素化炭素原子を含有するモノマー、例えば(i)ペルフッ素化エチレン性不飽和炭化水素であるモノマー、例えばテトラフルオロエチレン、及び/又は(ii)ペルフルオロメチルビニルエーテル、及び/又は(iii)限定されるものではないが、ペルフルオロ-1,3-ジオキソールを含めて、ペルフルオロジオキソール部分を含有するモノマー、及び/又は(iv)部分フッ素化若しくはペルフッ素化ジオキソラン、ジオキソール、ジオキサン又は他の5若しくは8員ヘテロ環式環を含有するモノマーの1つ以上に由来する単位を含むアモルファスポリマーを表すものとして(この国際出願と同様に)本明細書で用いられる。かかるヘテロ環式モノマーは、エキソ又はエンド二重結合を含有し得る。フルオロポリマーは、2つ以上、例えば3つの異なるモノマーに由来する単位を含有するポリマーを含めて、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。使用可能なモノマーの例は、(i)ペルフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール、(ii)ペルフルオロ-1,3-ジオキソール、(iii)ペルフルオロ-1,3-ジオキソラン、(iv)ペルフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソール、(v)2,2,4-トリフルオロメチル-5-トリフルオロメトキシ-1,3-ジオキソール、(vi)ペルフルオロ-2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン、(vii)ペルフルオロ-2,2-ジアルキル-1,3-ジオキソール、(viii)2,2-ビス(トリフルオロメチル)-4,5-ジフルオロ-1,3ジオキソール、(ix)2,2-ビス(トリフルオロメチル)-4-フルオロ-5-トリフルオロメトキシ-1,3-ジオキソール、及び(x)1つ以上の5若しくは6員環を含有するヘテロ環式モノマーである。フルオロポリマーが由来し得るモノマーとしては、米国特許第9,643,124B2号及びそれに記載の参照文献に開示されるものが挙げられる。これら及び他のフルオロポリマーは、米国特許第4,399,264号、米国特許第4,935,477号、米国特許第5,286,283号、米国特許第5,498,682号、米国特許第5,008,508号及び米国特許第9,643,124B2号(それらの全内容は、参照によりあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0034】
市販のペルフルオロポリマーの例としては、商品名Teflon AF 1100、Teflon AF 1300、Teflon AF 2400、Teflon AF 1600及びHyfion ADで販売されている製品が挙げられる。
【0035】
「PMPポリマー」という用語は、4-メチル-1-ペンテンに由来する単位を含有するポリマーを表すものとして(この国際出願と同様に)本明細書で用いられる。PMPポリマーは、好ましくは、少なくとも80モルパーセント、例えば約100モルパーセントの4-メチル-1-ペンテン由来の繰返し単位を含む。PMPポリマーは、4-メチル-1-ペンテンと、官能性単位、例えば積層体の上側層11及び下側層13への又は積層体が1つ以上のプライマーを含むときにはプライマーへの中間層12の接着を改善する官能性単位を含有するモノマーとのコポリマーであり得る。かかるコポリマーは、例えば、米国特許第7,524,913号(米国特許出願公開第20080021172号)(その全開示は、参照によりあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0036】
市販のPMPポリマーの例としては、商品名MX 004、MX 0020、MX 002、R-18及びDX 485で販売されているものが挙げられる。
【0037】
積層体の上側層及び下側層
積層体の上側層11及び下側層13の各々は、単一のポリマー又はポリマーの混合物を含むポリマー組成物で構成される。上側層11及び下側層13は、同一であり得るか又は異なり得る。例えば、上側層ポリマー組成物及び下側層ポリマー組成物は、同じであり得るか又は異なり得、及び/又は上側層11及び下側層13の厚さは、同じであり得るか又は異なり得る。
【0038】
一実施形態では、上側層ポリマー組成物及び下側層ポリマー組成物の各々は、本明細書において上記で定義されたフルオロポリマーを含むポリマー又はポリマーの混合物を含む。その場合、上側層11及び下側層13の厚さは、積層体が3Dプリンターで使用されて加熱されたときにフルオロポリマー層のいずれも皺にならずに、積層体が実質的に平面状態を維持するように、好ましくは同一又は類似のものである。その実施形態では、フルオロポリマー層のいずれかは、積層体が3Dプリンターで使用されたときにポリマー組成物が送達される表面を供給し得る。したがって、上側層ポリマー組成物はフルオロポリマーを含み、一方、下側層ポリマー組成物は第2のフルオロポリマーを含む。
【0039】
他の実施形態では、下側層ポリマー組成物は、(a)本明細書において上記で定義されたフルオロポリマーを含まないポリマー又はポリマーの混合物を含み、及び(b)好ましくは、積層体が3Dプリンターで使用されて加熱されたときに下側層13が上側層11の歪みを防止するような厚さを有する。
【0040】
積層体の上側層11及び下側層13の各々の厚さは、好ましくは、0.5~500μm、例えば1~100μm、例えば5~25μmである。
【0041】
積層体の中間層
積層体の中間層12は、中間層ポリマー組成物で構成され、中間層ポリマー組成物は、単一のポリマー又はポリマーの混合物であり、このポリマー又はこれらのポリマーの少なくとも1つは、好ましくは、非エラストマーポリマーであり、及び好ましくは少なくとも0℃のガラス転移温度を有する。一実施形態では、中間層ポリマー組成物は、本明細書において上記で定義されたPMPポリマーを含み、この実施形態では、中間層ポリマー組成物は、4-メチル-1-ペンテンのホモポリマー又はコポリマーから本質的になり得る。他の実施形態では、中間層12は、PMPポリマーを含まないポリマー組成物、例えばMylarなどのポリエステル、ポリ(2,6-ジフェニル-p-フェニレンオキシド)、Xiao-Hau, Gas Separation Membranes, Adv Poly. Materials. 2018により記載されたCMSM、ポリアセチレン、パラ置換ポリスチレン又はポリノルボルネン、例えばポリ(トリメチルシリルノルボルネン)を含むポリマー組成物で構成される。
【0042】
中間層12の厚さは、例えば、0.25~5ミル、例えば0.75~2ミルであり得る。中間層12の酸素透過性は、好ましくは、少なくとも10バーラーである。
【0043】
プライマー層
積層体は、上側層11と中間層12との間のプライマー層及び/又は下側層13と中間層12との間のプライマー層を任意選択的に含む。1つ又は複数のプライマー層は、存在する場合、連続である必要はないが、例えば一連のライン、矩形のパターン又はレギュラー若しくはイレギュラーパターンの一連のドロップであり得る。
【0044】
プライマーは、好ましくは、隣接層の一方又は両方と相互作用可能な官能基を含む化合物である。そのため、プライマーは、フルオロポリマーを含有する層の1つへの接着を促進するフッ素化部分及び/又は積層体の中間層12への接着を促進する別の部分を含み得る。プライマー化合物は、例えば、1つ以上の官能基、例えばカルボン酸基を含有する定義されたフルオロポリマーであり得る。1つ以上のペルフッ素化炭素原子のプライマー中の存在は、第2の(フルオロポリマー)層への接着を支援し、及び好適な官能基、例えば末端及び/又はペンダントのカルボキシル基又はリン酸基の存在は、例えば、PMPポリマーを含み得る中間層への接着を支援する。好適なプライマーとしては、ジカルボキシ-(ポリペルフルオロ-2,3-ジメチレン-1-オキソラン)、末端及び/又はペンダントのカルボン酸基又はリン酸基を有するペルフルオロエチレンとペルフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールとのコポリマー、Fluor PMPポリマー)溶媒中の溶液としてolink AD1700、Fluorolinkホスフェート、Fluorolink MD 700及びアミド末端Fluorolinkが挙げられる。
【0045】
プライマーは、例えば、後に完全に又はほぼ完全に除去される溶媒中のプライマーの溶液として、中間層ポリマー組成物の予形成フィルムの表面に適用可能であり、そのため、フィルムの表面上にプライマー化合物の薄層を作成する。層中に残留する溶媒の量は、重量基準で好ましくはプライマー層の5%未満、特に2%未満である。プライマーを含有する溶液は、例えば、Fluorinert又はNovackなどのフッ素化溶媒中の溶液として適用可能であり、溶液は、例えば、0.5~5重量%のプライマーを含有する。プライマーの溶液は、いずれかの方法において、例えば超音波スプレーノズル又は手動ワイピングを利用して適用可能である。乾燥プライマー層は、非常に薄く、例えば約10nm~約5μmの厚さを有し得る。プライマー層は、非常に薄く、プライマーは、10バーラー超、典型的には50バーラー超、いくつかの場合には3000バーラー程度に高い酸素透過性を有し得る。
【0046】
積層体の透明性
多くの3Dプリンターは、樹脂が特定波長の光にさらされたときの樹脂の光重合に依拠する。現在使用されている波長は、約385nm、約405nm及び約420nmであるが、おそらく将来的に他の波長が採用されるであろう。積層体は、樹脂の光重合に使用される波長に対して十分に、好ましくは本質的に透明であるべきである。
【0047】
積層体を作製する方法
ここで、本発明の第1の態様に係る積層体を作製する好ましい方法の1つを記載する。この方法は、好ましくは、中間層ポリマー組成物(例えば、PMPポリマーを含有する)で構成された予形成フィルムの両側の両方の活性化及び予形成フィルムの両側へのプライマー溶液の適用を採用する。活性化は、例えば、フィルムの両方の表面をコロナエッチング及び/又はプラズマエッチングにさらすことと、続いて活性化の影響が依然として存在する間に予形成フィルムの両方の表面にプライマー溶液を適用することとを含み得る。上側層ポリマー組成物(ペルフルオロポリマーを含む)の溶液は、予形成フィルムの第1の表面に被覆され、次いで加熱により溶媒のほとんどが除去され、予形成フィルムの第1の表面上に上側組成物の硬質層が生成される。第1の表面が被覆され、取扱いに十分な程度に硬くなった後、下側層ポリマー組成物(ペルフルオロポリマーを含む)の溶液は、予形成フィルムの反対側の表面上に被覆され、次いで加熱により溶媒のほとんどが除去され、第2の表面上に下側層ポリマー組成物の硬質層が生成される。最終ステップでは、生成物は、真空オーブン中に配置される。
【0048】
他の一実施形態では、本発明の第1の態様に係る積層体は、(A)中間層ポリマー組成物を含む予形成フィルムを提供するステップと、(B)予形成フィルムの両方の表面を活性化し、及び/又は予形成フィルムの両方の表面にプライマー組成物を適用するステップと、(C)一方が上側層ポリマー組成物を含み、他方が下側層ポリマー組成物を含む2つの予形成フィルムを提供するステップと、(D)フィルムの一方を予形成フィルムの一方の表面に接着し、フィルムの他方を予形成フィルムの反対側の表面に接着するステップとによって作製される。
【0049】
他の一実施形態では、本発明の第1の態様に係る積層体は、中間組成物の予形成フィルムを提供することと、上側層ポリマー組成物を含む液状組成物を予形成フィルムの一方の表面上に、及び下側層ポリマー組成物を含む液状組成物を予形成フィルムの反対側の表面上に被覆することと、液状組成物を予形成フィルム上で固化させることとによって作製される。任意選択的に、上側層及び下側層ポリマー組成物を含む液状組成物を予形成フィルム上に被覆する前に、予形成フィルムの一方又は両方の表面は、活性化可能であり、及び/又は上側層及び下側ポリマー液状組成物の前に乾燥された液状プライマー組成物を具備可能である。
【0050】
他の一実施形態では、積層体は、
(A)中間層ポリマー組成物を含む予形成フィルムのロールをウェブコーティング機に取り付けるステップと、
(B)予形成フィルムの両方の表面を活性化ステップに付し、続いて液状プライマー組成物を両方の表面に被覆してから乾燥させるステップと、
(C)上側層ポリマー組成物を含む溶液をステップ(B)からの予形成フィルムの一方の表面に適用し、次いでもはやタック性がなくなるまで溶液を乾燥させるステップと、
(D)下側層ポリマー組成物を含む溶液をステップ(C)からの予形成フィルムの反対側の表面に適用し、次いでもはやタック性がなくなるまで溶液を乾燥させるステップと
を含むプロセスによって作製される。ステップ(C)及び(D)は、乾燥ポリマー組成物の所望の厚さが達成されるまで繰返し可能である。その後、被覆フィルムを真空オーブン中に配置し、いずれの残留溶媒も加熱により除去可能である。
【0051】
他の一実施形態では、積層体は、2つ以上のポリマー組成物を共押出しすることができる押出しラインを用いて作製される。中間層ポリマー組成物に対して1つのホッパー及び押出しバレル並びに上側及び下側層ポリマー組成物の各々に対してホッパー及び押出しバレルが存在する。ポリマー組成物の各々は、そのホッパー中にロードされ、積層体は、中間層ポリマー組成物からなる中間層12、上側層ポリマー組成物からなる上側層12及び下側層ポリマー組成物からなる下側層13と共に押し出される。
【0052】
本発明の第1の態様の新規積層体を用いた3Dプリンター
本発明の第1の態様の積層体は、ポリマー組成物が堆積される窓36,46を提供するためにいずれかの3Dプリンターで使用可能である。いくつかの3Dプリンターでは、積層体は、好ましくは、酸素に対する透過性を有するが、他の3Dプリンターでは、積層体は、酸素に対する透過性を有する必要がない(たとえそれが有し得るとしても)。新規積層体は、窓36,46が実質的な温度、例えば80℃超又は90℃超、例えば約100℃に加熱され得る3Dプリンターに特に有用である。かかる加熱は、窓36,46上に堆積されるポリマー組成物が発熱性樹脂、例えば冷却に伴って熱を発生する樹脂、例えばアクリレート樹脂を含むときに生じる可能性がある。かかる樹脂は、SLA 3Dプリンターで使用されることがある。
【実施例】
【0053】
実施例1
ポリ(4-メチル-1ペンテン)の1ミルフィルムの各側をコロナエッチャーで処理し、次いで超音波スプレーヤーを用いて、Fluorinert FC-40中のジカルボキシ-(ポリペルフルオロ-2,3-ジメチレン-1-オキソラン)の1%溶液の形態のプライマーの薄層でスプレー被覆した。PMPフィルムの両方の表面にオキソラン溶液を一様に展延し、次いで乾燥させた。次いで、PMPフィルムの上部表面をFluorinert中のTeflon(商標)AF2400の溶液で被覆した。得られた生成品を80℃で硬化させた。次いで、PMPフィルムの底部表面をTeflon(商標)AF2400の溶液で被覆した。得られた生成品を最初に80℃で、次いで真空中において昇温で硬化させた。得られたフィルム中の層は、手で分離できなかった。
【0054】
実施例2
PMPの2ミルフィルムの各側をコロナエッチングし、次いで末端及び/又はペンダントカルボン酸基を有するペルフルオロエチレンとペルフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールとのコポリマーのプライマーを含有する溶液の薄層でスプレー被覆した。次いで、溶液を乾燥させた。このプライマー層は、10バーラー超、典型的には50バーラー超、いくつかの場合には3000バーラー程度の高い酸素透過性を有する。スプレー被覆層を乾燥させ、次いでフィルムの片側をTeflon(商標)AF2400の溶液で被覆した。生成品を80℃で硬化させた。次いで、フィルムの第2の側をTeflon(商標)AF2400の溶液で被覆した。生成品を80℃で硬化させた。得られた生成品を真空中において昇温で最終硬化に付した。得られたフィルム中の層は、手で分離できなかった。これは、10バーラー超の酸素透過性を有するプライマーの使用例である。
【0055】
実施例3
「末端及び/又はペンダントカルボン酸基を有するペルフルオロエチレンとペルフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールとのコポリマー」を、末端リン酸基を有するペルフルオロエチレンとペルフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールとのコポリマーにより置き換えて、実施例2を繰り返した。
【0056】
実施例4
「末端及び/又はペンダントカルボン酸基を有するペルフルオロエチレンとペルフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールとのコポリマー」をChemours製のポリマーSF60により置き換えて、実施例2を繰り返した。
【0057】
実施例5
「末端及び/又はペンダントカルボン酸基を有するペルフルオロエチレンとペルフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールとのコポリマー」をChemours製のモノマーEVE-Pにより置き換えて、実施例2を繰り返した。
【0058】
実施例6
実施例2に記載のように作製された積層体を3Dプリンターのトレイに取り付けた。いくつかの3Dプリントを作製し、モノリシックTeflon(商標)AF2400フィルムを用いて作製された3Dプリント及び実施例2に従って作製された積層体を用いて作製されたものに明らかな差が存在しないことを観測した。モノリシックTeflon(商標)AF2400フィルムを使用したとき及び実施例2に従って作製された積層体を使用したとき、プリンタースピード、分解能及び引張り力は、同一であった。
【0059】
実施例7
実施例2に記載のように作製された積層体を異なる3Dプリンターのトレイに取り付けた。いくつかの3Dプリントを作製し、モノリシックTeflon(商標)AF2400フィルムを用いて作製された3Dプリント及び実施例2に従って作製された積層体を用いて作製されたものに明らかな差が存在しないことを観測した。モノリシックTeflon(商標)AF2400フィルムを使用したとき及び実施例2に従って作製された積層体を使用したとき、プリンタースピード、分解能及び引張り力は、同一であった。
【0060】
実施例8
ポリエステルフィルムの各側をコロナエッチングし、次いでジカルボキシ-(ポリペルフルオロ-2,3-ジメチレン-1-オキサシクロペンタン)の薄層でスプレー被覆する。次いで、スプレー被覆層を乾燥させる。次いで、生成品の上側及び下側をTeflon(商標)AF2400の溶液で逐次被覆する。フィルムの各側を80℃で硬化させ、得られた生成品を真空中において昇温で硬化させた。得られたフィルム中の層は、互い非常に強く接着され、手でそれらを分離できないことが見出される。これは、少なくとも10バーラーの酸素透過性を有していないフィルムの作製例である。
【0061】
本発明に関する追加的な情報は、以下の通りである。
本発明は、いくつかのタイプの3Dプリンターのトレイ又は構築領域(構築プレート又は構築アセンブリーとしても知られる)で使用される光透過性酸素透過性材料の必要性に対処する。それは、非固着性を必要とするが、酸素を必要としなくてもよい3Dプリンターのトレイ又は構築領域で使用される光透過性材料の必要性にも対処する。両方の場合において、本発明の光透過性積層体は、少なくとも3つの層からなり、そのうちの少なくとも上側層11、好ましくは上側層11及び下側層13の両方は、光透過性アモルファスフルオロポリマーで構成され、中間層12は、非エラストマー材料、好ましくは0℃以上のガラスの転移温度を有するものである光透過性材料からなる。こうした積層体の使用により増加した性能を有する3Dプリンターのタイプとしては、限定されるものではないが、DLP(デジタルライトプロジェクター又はデジタルライトプロセッサーに基づく3Dプリンター)、DLV(デジタルライトバルブに基づく3Dプリンター)、CLIP 3Dプリンター、SLA 3Dプリンター及び他の3Dプリンターが挙げられる。
【0062】
いくつかの3Dプリンターは、透明構築領域(構築プレート又は構築アセンブリーとしても知られる)、通常、部品を形成する樹脂を保持するトレイの透明領域を介して光を導入する光源に基づいて動作し、前記光は、導入される光のパターンに従って樹脂の化学重合を引き起こす。典型的には、部品が生成されるにつれて構築領域から離れるように垂直移動する移動用ステージ(キャリア31)が存在する。透明構築領域がペルフルオロポリマーなどの非固着性表面を有する場合、部品は、構築領域への接着が大幅に低減されるであろう。加えて、透明構築領域が酸素透過性である場合、いくつかの樹脂では、重合は、構築される部品と構築領域との間の狭い領域でクエンチされるであろう。この場合、構築される部品及び構築領域は、決して接触状態にならず、3D部品と構築領域との間に接着が存在しない。例えば、米国特許第9,636,873号、米国特許第10,016,938号及び米国特許第9,211,678号(その全内容は、参照によりあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)を参照されたい。米国特許第9,636,873号に記載のように、本方法は、以下の通りである。
【0063】
「3次元物体の形成方法は、(a)キャリア及び構築プレートを提供することであって、構築プレートは、半透性メンバーを含み、半透過性メンバーは、構築表面を含み、構築表面及びキャリアは、それらの間に構築領域を画定し、構築表面は、半透性メンバーを介して重合禁止剤源と流体連通状態である、提供することと、(b)構築領域に重合性液体を充填することであって、重合性液体は、構築表面に接触する、充填することと、(c)構築プレートを介して構築領域を照射して構築領域に固形重合領域を生成すると同時に、固形重合領域と構築表面との間に形成される重合性液体で構成された液状フィルム剥離層を形成又は維持することであって、液状フィルムの重合は、重合禁止剤によって阻害される、形成又は維持することと、(d)重合領域を接着して有するキャリアを構築プレート上の構築表面から離れるように前進させて、重合領域と構築表面との間に後続構築領域を作成すると同時に、ステップ(b)と同様に重合性液体を後続構築領域に並行して充填することとによって行われる。
【0064】
3Dプリンターでの本発明の例示的積層体の使用は、以下の図に例として示される。
【0065】
ここで、図面を参照する。
【0066】
図1は、本発明の積層体の一部を通した断面である。
図1では、参照数字は、以下を表す。
11は、少なくとも100バーラーの酸素透過性を有するアモルファスペルフルオロポリマーで作製された上部層である。
12は、少なくとも10バーラーの酸素透過性を有する材料で構成された中間層である。
13は、少なくとも10バーラーの酸素透過性を有するアモルファスペルフルオロポリマーで構成された底部層であり、上部層11と同じであるか又は異なる。
14A及び14Bは、それぞれ例えば55~100nmの厚さを有する中間プライマー層である。
【0067】
図2は、
図1の一部の拡大断面である。
図2では、参照数字は、以下を表す。
11は、上部層であり、
12は、中間層であり、
14Aは、上部層11と中心層12との間のプライマー層であり、
125は、中間層12の活性化表面を表す。活性化表面は、例えば、3~20nmの厚さを有する。
【0068】
図3は、3Dプリンターの図示である。
図3では、参照数字は、以下を表す。
31は、キャリアであり、
32は、生成される3次元物体であり、
33は、3D物体に対する重合性液体であり、
34は、重合のグラジエントであり、
35は、デッドゾーンであり、
36は、樹脂バットの窓であり、
37は、重合禁止剤であり、
38は、照射である。
【0069】
図4は、別の3Dプリンターの図示である。
図4では、参照数字は、以下を表す。
41は、構築テーブルであり、
42は、生成される物体であり、
43は、液状光重合性樹脂であり、
44は、デッドゾーンであり、
45は、樹脂バットであり、
46は、樹脂バットの窓であり、
47は、パターンイルミネーターであり、
48は、モーター49による駆動される垂直リードスクリューである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体であって、
上側層(11)と、中間層(12)と、下側層(13)と、を有し、
前記上側層(11)は光を透過し、
前記上側層(11)は上側層ポリマー組成物で構成され
、
前記上側層ポリマー組成物は、
第1の単一のポリマー
及び複数のポリマーの
第1の混合物
で構成される上側層ポリマー組成物グループから選ばれ、
前記
第1の単一ポリマー
はフルオロポリマーであり、
前記第1の混合物の複数の前記ポリマーの少なくとも1つは、
フルオロポリマーであ
り、
前記中間層(12)は光を透過し、
前記中間層(12)は第1の表面と、第2の表面とを有し、
前記中間層(12)の前記第2の表面は、前記第1の表面の反対側に位置し、
前記第1の表面は前記上側層(11)と接着しており、
前記中間層(12)は、中間
層ポリマー組成物で構成され、
前記中間層ポリマー組成物は非エラスティックであり、且つ、少なくとも0℃のガラス転移温度を有し、
前記中間層ポリマー組成物は、第2の単一のポリマー及び複数のポリマーの第2の混合物で構成される中間層ポリマー組成物グループから選ばれ、
前記下側層(13)は、光を透過し、
前記下側層(13)は前記中間層(12)の前記第2の表面と接着しており、
前記下側層(13)は下側層ポリマー組成物で構成され、
前記下側層ポリマー組成物は、第3の単一のポリマー及び複数のポリマーの第3の混合物で構成される下側層ポリマー組成物グループから選ばれ、
前記下側層(13)は、前記
上側層(11)が100℃の温度を有するとき前記上側層(11)の歪みを阻害する
、積層体。
【請求項2】
前記下側層ポリマー組成物は、
第2のフルオロポリマーを含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記フルオロポリマー
及び前記第2のフルオロポリマーの一つは、テトラフルオロエチレンである、請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記上側層
ポリマー組成物及び前記下側層
ポリマー組成物は、同じであり、
前記上側層(11)は、少なくとも100バーラーの酸素透過性を有し、
且つ、前記下側層(13)は、少なくとも100バーラーの酸素透過性を有する、請求項
2に記載の積層体。
【請求項5】
前記中間
層ポリマー組成物は、
ポリメチルペンテンを含む、請求項
3に記載の積層体。
【請求項6】
さらに、前記上側層
(11)と前記中間層
(12)との間の第1のプライマー層
(14A)、及び、前記中間層
(12)と前記下側層
(13)との間の第2のプライマー層
(14B)を含む、請求項
5に記載の積層体。
【請求項7】
前記上側層ポリマー組成物及び前記下側層ポリマー組成物は、テトラフルオロエチレンであり、
前記上側層(11)は、少なくとも100バーラーの酸素透過性を有し、且つ、前記下側層(13)は、少なくとも100バーラーの酸素透過性を有する、請求項2に記載の積層体。
【請求項8】
さらに、前記上側層(11)と前記中間層(12)との間の第1のプライマー層(14A)、及び、前記中間層(12)と前記下側層(13)との間の第2のプライマー層(14B)を含む、請求項7に記載の積層体。
【国際調査報告】