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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】眼科処置用カニューレ
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
A61F9/007 160
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574463
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 IB2022055343
(87)【国際公開番号】W WO2023002265
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/223,645
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】アシシュ シンハ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェフリー ホン
(57)【要約】
本開示の特定の態様は、概して、眼科手術に関し、より具体的には、眼科手術中又は眼科手術後に眼内圧力(IOP)を制御し、眼科タンポナーデを投与するための方法及び装置に関する。例示的な装置は、一般に、第1の内径(ID)、第1の近位端、及び第1の遠位端を有する近位セグメントを含む。装置は、第1のIDよりも小さい第2のID、第2の近位端、並びにハブ、シャフト、及びハブとシャフトとの間のカニューレ移行部を含むバルブ付きカニューレのハブ又はカニューレ移行部の内部に配置されるように構成された第2の遠位端を有する遠位セグメントを更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術処置用のカニューレ装置であって、
第1の内径(ID)、第1の近位端、及び第1の遠位端を含む近位セグメントと、
前記第1のIDよりも小さい第2のID、第2の近位端、並びにハブ、シャフト、及び前記ハブと前記シャフトとの間のカニューレ移行部を含むバルブ付きカニューレの前記ハブ又は前記カニューレ移行部の内部に配置されるように構成された第2の遠位端を含む遠位セグメントと、を備え、
前記近位セグメント及び前記遠位セグメントが、前記カニューレ装置の中心を通って配置された共通の中心軸を有し、
前記第1の遠位端及び前記第2の近位端を介して前記近位セグメントと前記遠位セグメントと接続する第1の移行部が、第1の凹状のフィレット及び第2の凸状のフィレットを含み、
前記カニューレ装置の全長に対する前記遠位セグメントの長さの比が、約0.2~0.4の範囲内であり、
前記中心軸と前記第1の凹状のフィレットの中点を通る接線との間の位置角度が、約20度~40度の範囲内である、カニューレ装置。
【請求項2】
前記カニューレ装置の前記全長に対する前記遠位セグメントの前記長さの前記比が約0.325である、請求項1に記載のカニューレ装置。
【請求項3】
前記位置角度が、約26度である、請求項1に記載のカニューレ装置。
【請求項4】
前記シャフトが、前記第2のIDよりも小さい第3のIDを有する、請求項1に記載のカニューレ装置。
【請求項5】
前記遠位セグメントの少なくとも一部が、前記バルブ付きカニューレの内面と摩擦係合するように構成されている、請求項1に記載のカニューレ装置。
【請求項6】
前記遠位セグメントが、前記バルブ付きカニューレの前記ハブ又は前記カニューレ移行部の内面と摩擦係合するように構成されている、請求項5に記載のカニューレ装置。
【請求項7】
前記第1の近位端に接続する第2の移行部であって、第3のフィレットを含む、第2の移行部を更に備える、請求項1に記載のカニューレ装置。
【請求項8】
前記第2の遠位端が、第4のフィレット又は第2の面取りを更に含む、請求項1に記載のカニューレ装置。
【請求項9】
手術処置用のカニューレ装置であって、
第1の内径(ID)、第1の近位端、及び第1の遠位端を含む近位セグメントと、
前記第1のIDよりも小さい第2のID、第2の近位端、及び第2の遠位端を含む中間セグメントと、
前記第1の遠位端及び前記第2の近位端を介して前記近位セグメントと前記中間セグメントとを接続する第1の移行部であって、第1の凹状のフィレット及び第2の凸状のフィレットを含む、第1の移行部と、
前記第2のIDよりも小さい第3のID、第3の近位端、及び第3の遠位端を含む遠位セグメントと、
前記第2の遠位端及び前記第3の近位端を介して前記中間セグメントと前記遠位セグメントとを接続する第2の移行部であって、第3のフィレット及び第4のフィレットを含む、第2の移行部と、を備え、
前記近位セグメント、前記中間セグメント、及び前記遠位セグメントが、前記カニューレ装置の中心を通って配置された共通の中心軸を有し、
前記遠位セグメント、第2の移行部、中間セグメント、及び第2の凸状のフィレットが、全内部シャフト長を有し、
前記カニューレ装置の全長に対する前記全内部シャフト長の比が、約0.35~0.55の範囲内であり、
前記中心軸と前記第1の凹状のフィレットの中点を通る接線との間の位置角度が、約20度~40度の範囲内である、カニューレ装置。
【請求項10】
前記カニューレ装置の前記全長に対する前記全内部シャフト長の前記比が、約0.483である、請求項10に記載のカニューレ装置。
【請求項11】
前記第3の遠位端が、ハブ及びシャフトを有するバルブ付きカニューレの内部に配置されるように構成されており、前記遠位セグメントの少なくとも一部が、前記バルブ付きカニューレの内面と摩擦係合するように構成されている、請求項9に記載のカニューレ装置。
【請求項12】
前記第1の近位端に接続する第3の移行部であって、第5のフィレットを含む、第3の移行部を更に備える、請求項9に記載のカニューレ装置。
【請求項13】
前記第1の移行部が、前記第1の凹状のフィレットと前記第2の面取り又は第2の凸状のフィレットとの間に配置された第1の面取りを更に含む、請求項9に記載のカニューレ装置。
【請求項14】
前記第3の遠位端が、第6のフィレット又は第2の面取りを更に含む、請求項9に記載のカニューレ装置。
【請求項15】
手術処置用の注入カニューレ装置であって、
第1の内径(ID)、第1の近位端、及びテーパ状の第1の遠位端を含む近位セグメントと、
前記第1のIDよりも小さい第2のID、第2の近位端、及び第2の遠位端を含む中間セグメントと、
前記第1の遠位端及び前記第2の近位端を介して前記近位セグメントと前記中間セグメントとを接続する第1の移行部と、
前記第2のIDよりも小さい第3のID、第3の近位端、及び第3の遠位端を含む遠位セグメントと、
前記第2の遠位端及び前記第3の近位端を介して前記中間セグメントと前記遠位セグメントとを接続する第2の移行部であって、第3のフィレット及び第4のフィレットを含む、第2の移行部と、を備え、
前記近位セグメント、前記中間セグメント、及び前記遠位セグメントが、前記注入カニューレ装置の中心を通って配置された共通の中心軸を有し、
前記遠位セグメント及び中間セグメントが、第1の内部シャフト長を有し、
前記遠位セグメント、中間セグメント、及び近位セグメントが、全内部シャフト長を有し、
前記注入カニューレ装置の全内部シャフト長に対する前記第1の内部シャフト長の比が、約0.2~0.4の範囲内である、注入カニューレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、発明者がAshish Sinha及びRobert Jeffrey Hengである、2021年7月20日に出願された「CANNULAS FOR OPHTHALMIC PROCEDURES」と題する米国仮特許出願第63/223,645号の優先権の利益を主張するものであり、あたかも本明細書に十分且つ完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、眼内圧力(IOP)を制御し、及び/又は眼科手術中若しくは眼科手術後などに眼科タンポナーデを投与するための装置、システム、及び方法に関する。より具体的には、本開示は、注入カニューレ及び注射カニューレなどの眼科カニューレ、並びにそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
後眼部手術処置は、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症及び糖尿病性硝子体出血、黄斑円孔、網膜剥離、網膜上膜、サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎などの、眼の後部の状態を治療するために実施される。
【0004】
眼球の後部に影響を及ぼす特定の問題では、硝子体手術、すなわち硝子体の手術除去を必要とする場合があり、硝子体は、通常は透明なゲル状の物質であり、眼の中心部を満たして、眼の形態及び形状を形成するのに役立っている。例えば、眼から血液及びデブリを取り除いたり、瘢痕組織を除去したり、網膜の牽引を軽減するために硝子体手術が実施される場合がある。この手術中、虹彩のすぐ後ろだが網膜の前にある眼の扁平部内に、3つの分離した切開部が作成される。この切開部は、光パイプ、注入ポート、及び/又は硝子体手術切断装置などの器具を眼内に通すために使用される。バルブ付きカニューレは、カニューレを介した眼内への器具のアクセスを可能にすると同時に、カニューレを介した眼の内部と外部との間の流体及び圧力の連通を受動的に制御する自己封止バルブを提供するように、各切開部内に配置される。
【0005】
後眼部手術中に硝子体液が吸引されると、眼内圧力(IOP)が減少し、患者の眼が軟化する傾向がある。IOPを維持して眼球の変形又は崩壊を回避するように、液体又は気体(例えば、平衡食塩水(BSS))などの流体を眼に注入するために、注入カニューレがバルブ付きカニューレに結合され得る。加えて、IOPを維持することにより、強膜の剛性を維持し、処置中の眼の移動及び器具の交換を容易にすることができる。しかしながら、IOPが高い状態が長く続くと眼の構造に損傷を与え得るため、IOPは、注意深く調節されなければならない。IOPが高くなりすぎた場合、別の注入カニューレを使用して、眼から液体を排出して圧力をやわらげることができる。
【0006】
別の実施例では、注入カニューレをバルブ付きカニューレに結合して、網膜裂孔を通る流体の流れを防止するための眼科タンポナーデなどの粘性流体を、眼空間内に注入するために使用することができる。タンポナーデは、硝子体手術中に除去された硝子体の代わりとなり、気体又は溶液(例えば、シリコーンオイル)であり得る。処置後、タンポナーデは、患者の眼内に一定期間そのままにされてもよく、その後抽出されてもよい。
【0007】
従来の流体カニューレ(例えば、注入カニューレ、注射カニューレなど)は、様々な欠点を有する。例えば、従来の流体カニューレは、典型的にはサイズ固有であり、各流体カニューレは、流体カニューレが結合されるべき特定ゲージのバルブ付きカニューレに合わせた寸法を有する。バルブ付きカニューレは、いくつかの異なるゲージ(例えば、23ゲージ、25ゲージ、及び27ゲージ)で入手可能であり、したがって、使用者(例えば、眼科外科医)は、手術処置のために所望のバルブ付きカニューレのゲージに対して特にサイズ決めされた流体カニューレを入手可能でなければならない。異なるサイズのバルブ付きカニューレを使用することは、処置に不便さを付加する。更に、従来の流体カニューレの設計は、そこを通過する流体の比較的高い流体摩擦を生じさせる。高い流体摩擦は、全体的な流体の流れを制限し、所与の流体流量を維持するための高い圧力を必要とする。より高い圧力で動作させることにより、より大きいポンプを必要とする場合があり、装置の更なる摩耗及び損傷を引き起こし得る。特定の例では、高圧における従来のチューブセット及び粘性流体供給システムの制限により、破裂故障及びその切断が生じる場合がある。更に、より低い圧力で動作させることで、眼組織への危害のリスクを最小限に抑えることができる。
【0008】
したがって、IOPを制御して流体を投与するための改善された装置、システム、及び方法が必要とされており、上述の欠点の少なくともいくつかに対処する改善された流体カニューレが特に必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、概して、硝子体手術を含む後眼部手術処置などの眼科手術中に眼内圧力を制御するための装置、システム、及び方法に関する。より具体的には、本開示の特定の態様は、眼に対する流体の注射/抽出に有用である、注射カニューレ及びその使用方法に関する。本開示の更なる態様は、眼に対する流体の注入/排出に有用である、注入カニューレ及びその使用方法に関する。
【0010】
特定の態様は、第1の内径(ID)、第1の近位端、及び第1の遠位端を含む近位セグメントと、第1のIDよりも小さい第2のID、第2の近位端、並びにハブ、シャフト、及びハブとシャフトとの間のカニューレ移行部を含むバルブ付きカニューレのハブ又はカニューレ移行部内部に配置されるように構成された第2の遠位端を含む遠位セグメントと、を有する、手術処置用のカニューレ装置を提供する。
【0011】
特定の態様は、第1の内径(ID)、第1の近位端、及び第1の遠位端を含む近位セグメントと、第1のIDよりも小さい第2のID、第2の近位端、及び第2の遠位端を含む中間セグメントと、第1の遠位端及び第2の近位端を介して近位セグメントと中間セグメントとを接続する第1の移行部であって、第1のフィレット及び第2のフィレットを含む、第1の移行部と、第2のIDよりも小さい第3のID、第3の近位端、及び第3の遠位端を含む遠位セグメントと、第2の遠位端及び第3の近位端を介して中間セグメントと遠位セグメントとを接続する第2の移行部であって、第3のフィレット及び第4のフィレットを含む、第2の移行部と、を有する、手術処置用のカニューレ装置を提供する。
【0012】
以下の説明及び関連する図面は、1つ又は複数の実施形態の特定の例示的な特徴を詳述する。
【0013】
添付の図面は、1つ又は複数の実施形態の特定の態様を示しており、それゆえ、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。本明細書で開示される図は、縮尺通りでない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A-1B】本開示の特定の実施形態による、粘性流体制御(VFC)カニューレを含む例示的な注射カニューレアセンブリの等角図及び断面側面図である。
図2A-2B】本開示の特定の実施形態による、バルブ付きカニューレに結合された図1A及び図1BのVFCカニューレの等角図及び断面側面図である。
図2C-2D】本開示の特定の実施形態による、図1A及び図1BのVFCカニューレの等角図及び断面側面図である。
図2E-2F】本開示の特定の実施形態による、図1A及び図1Bの代替のVFCカニューレの等角図及び断面側面図である。
図3A-3B】本開示の特定の実施形態による、バルブ付きカニューレに結合された代替のVFCカニューレの等角図及び断面側面図である。
図3C-3D】本開示の特定の実施形態による、図3Aの代替のVFCカニューレの等角図及び断面側面図である。
図4A-4B】本開示の特定の実施形態による、バルブ付きカニューレに結合された例示的な注入カニューレの等角図及び断面側面図である。
図4C-4D】本開示の特定の実施形態による、図4Aの例示的な注入カニューレの等角図及び断面側面図である。
【0015】
理解しやすくするために、複数の図面に共通する同じ要素を指示するために、可能な限り同じ参照番号が使用されている。一実施形態の要素及び特徴は、更なる説明を伴わずに他の実施形態に有益に組み込むことができるように企図されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明では、開示する主題の理解を容易にするために、詳細が例として記載される。しかしながら、開示する実装形態が例示であり、全ての可能な実装形態を網羅するものではないことは、当業者に明らかであるはずである。したがって、説明する例への言及は、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。説明する装置、器具、方法に対する任意の変更形態及び更なる修正形態並びに本開示の原理の更なる任意の応用形態は、本開示が関連する技術分野の当業者が通常想到するであろうことが完全に想定される。特に、1つの実装形態に関して説明する特徴、構成要素及び/又はステップは、本開示の他の実装形態に関して説明する特徴、構成要素及び/又はステップと組み合わされ得ることが完全に想定される。
【0017】
本明細書に記載されるように、構成要素の遠位端、セグメント、又は部分は、その使用中に患者の身体により近い端部、セグメント、又は部分を指すことに留意されたい。一方、構成要素の近位端、セグメント、又は部分は、患者の身体から更に離れて位置する端部、セグメント、又は部分を指す。構成要素の中間セグメント又は部分とは、遠位セグメント又は遠位部分と近位端又は近位部分との間に位置するセグメント又は部分を指す。
【0018】
本明細書で使用する際、「約」という用語は、公称値からの+/-10%の変動を指すことができる。このような変動は、本明細書で提供されるいずれの値にも含まれる可能性があることを理解されたい。
【0019】
本開示の実施形態は、眼内圧力(IOP)を制御し、及び/又は眼科タンポナーデなどの流体を眼空間に投与するための装置、システム、及び方法を提供する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、以下に更に詳述するように、眼に対する流体の注射及び/又は抽出に有用である、注射カニューレ及びその使用方法を開示する。本開示の更なる態様は、以下で更に詳述するように、眼に対する流体の注入及び/又は排出に有用である、注入カニューレ及びその使用方法に関する。更に、本明細書で説明する技術及び設計は、他のタイプの流体カニューレにも同様に適用可能であり得る。本明細書で説明するように、流体カニューレはバルブ付きカニューレに結合されるが、特定の態様では、バルブ付きカニューレの代わりにバルブ付きでないカニューレを使用してもよいことに留意されたい。また、網膜硝子体処置を参照して説明しているが、本明細書に記載の装置、システム、及び方法はまた、他のタイプのカニューレ又は使用に対しても適用可能であり、眼科処置のみに限定されないことに留意されたい。
【0020】
従来の流体カニューレは、バルブ付きカニューレが実際に支持することができるレベルよりも低いレベルに流体の流れを制限し得る内径(ID)を含む。例えば、従来の流体カニューレの最小IDは、流体が流れるバルブ付きカニューレの対応する最小IDよりも小さい。流体の流れに対する抵抗(R)は流体の粘度(η)及び流体が流れる通路の長さ(L)に正比例し、ここで流体通路は一定のIDを有する流体カニューレの一部分であるため、流体カニューレの最小IDは、流体の流れを制限する。更に、流体の流れに対する抵抗は、流体通路の半径の4乗(r)に反比例し、ここで半径は流体通路のIDの2分の1である。したがって、流体の流れに対する抵抗もまた、以下のように、流体通路のIDに対して反比例する。
【数1】
【0021】
したがって、従来の流体カニューレは、対応するバルブ付きカニューレの最小IDよりも小さいIDを有するセグメントを含むため、従来の流体カニューレのこれらのセグメントは、バルブ付きカニューレが実際に支持できるレベルよりも小さいレベルに流体の流れを制限する。
【0022】
本明細書に記載の特定の実施形態は、以下の特徴部のうちの1つ以上を有し得る流体カニューレを提供し、その各々が利点を提供する。流体カニューレは、互換性のあるバルブ付きカニューレの最小IDよりも大きいIDを有する遠位セグメントを有し得る。抵抗は流体通路のIDに反比例するため、IDが大きいほど、流体の流れに対する抵抗を低減する。流体カニューレは、従来の流体カニューレよりも短い長さを伴う遠位セグメントを有し得る。抵抗は流体通路の長さに比例するため、セグメントの長さが短いほど、流体の流れに対する抵抗を低減する。流体カニューレは、近位セグメントと遠位セグメントとの間を移行する中間セグメントを有し得る。中間セグメントは、互換性のあるバルブ付きカニューレ内部の長さの一部分に対してより大きい直径を提供するため、流体の流れに対する抵抗を低減する。流体カニューレは、少なくとも2つのフィレット(例えば、ラウンド、カーブ、カットアウト、放射、スプライン、若しくは同様の湾曲)及び/又は面取り(例えば、斜角)を有するセグメント間の移行部を有し得る。移行部は、セグメント間の滑らかな移行を提供する。このように、前述した特徴部は、流体カニューレを通る全体的な流れ抵抗と圧力低下を低減するように構成されており、これにより、所与の流体流量を維持するのに必要な圧力を低下させるか、又は別の言い方をすれば、以下に更に詳述するように、所与のソース圧力における流量を増加させる。
【0023】
図1Aは、特定の実施形態による、例示的な注射カニューレアセンブリ100の等角図を示している。注射カニューレアセンブリ100は、一般に、粘性流体制御(VFC)カニューレ102とアダプタ104とを含む。VFCカニューレ102は、例えば、バルブ付きカニューレ(図2C~2Dに示されている)内に挿入されるように構成されており、バルブ付きカニューレを通って患者の眼の眼空間に流体を注入/眼空間から流体を抽出するために使用され得る。アダプタ104は、VFCカニューレ102を、注射用の流体を収容し得る注射器などの受入装置に接続又は適合する。外科医などの使用者は、注射器からカニューレアセンブリ100及びバルブ付きカニューレを通って、患者の眼内に流体を注射することができる。使用者はまた、注射器を使用して、患者の眼から流体を抽出することができる。特定の実施形態では、受入装置は流体ラインのチューブであってもよく、VFCカニューレ102とは反対側のその近位端で手術コンソールに接続されてもよい。そのような実施形態では、手術コンソールは、流体ライン及び/又はVFCカニューレ102を通る設定圧力及び/又は流量での流体の注射又は抽出を制御又は駆動するように構成されてもよい。
【0024】
図1Bは、VFCカニューレ102を有する注射カニューレアセンブリ100の断面側面図を示している。特に、図1Bは、VFCカニューレ102の内部プロファイル及び内部特徴部を示している。
【0025】
示されるように、VFCカニューレ102は、アダプタ104に接続され、これと同様又は異なる材料で作成され得る。特定の実施形態では、VFCカニューレ102は、ステンレス鋼又は炭素鋼などの金属材料を含む。特定の実施形態では、VFCカニューレ102は、腐食及び/又は微生物の増殖に抵抗するために、その上に形成された保護コーティング、例えばニッケルメッキを含む。特定の実施形態では、アダプタ104は、熱可塑性エラストマー、又はポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの硬質ポリマーを含む。
【0026】
VFCカニューレ102及びアダプタ104は、同様又は異なる製造工程を使用して製造され得る。特定の実施形態では、VFCカニューレ102は、深絞りプロセス又は機械加工プロセスを使用して製造され得る。特定の実施形態では、アダプタ104は、射出成形プロセスを使用して製造され得る。特定の実施形態では、アダプタ104は、インサート成形プロセス又は射出オーバーモールドプロセスを介してVFCカニューレ102の周囲に製造され得る。特定の実施形態では、VFCカニューレ102及びアダプタ104のいずれか一方又は両方は、三次元(3D)印刷を使用して製造され得る。VFCカニューレ102及びアダプタ104が別個に製造される特定の実施形態では、VFCカニューレ102及びアダプタ104は、スロット及びタブを介するなど、機械的に接続されるか、又は接着剤若しくは熱接着を使用して取り付けられ得る。
【0027】
図2A及び図2Bは、それぞれ、バルブ付きカニューレ220に結合されたVFCカニューレ102の等角図及び断面側面図を示している。特に、図2A及び図2Bは、バルブ付きカニューレ220に結合されたVFCカニューレ102の外部プロファイル及び外部特徴部を示している。VFCカニューレ102は、バルブ付きカニューレ220内に挿入されて、バルブ付きカニューレを通って患者の眼の眼空間内に流体を注入、排出、又は眼空間から流体を抽出するように構成されている。
【0028】
示されるように、VFCカニューレ102は、近位セグメント202及び遠位セグメント204を含む。近位セグメント202は、第1の近位端203A及び第1の遠位端203Bを含む。遠位セグメント204は、第2の近位端205A及び第2の遠位端205Bを含む。第1の移行部206は、第1の遠位端203B及び第2の近位端205Aを介して、近位セグメント202と遠位セグメント204とを接続する。特定の実施形態では、第2の移行部208は、第1の近位端203Aにおいて、近位セグメント202と頂部リム210とを接続する。第2の移行部208及び/又は頂部リム210は、アダプタ(例えば、図1Bのアダプタ104)に成形されるか、又はアダプタに接着され得る。特定の実施形態では、VFCカニューレ102は、頂部リムを有さず、近位セグメント202は、その最も近位部分にある。
【0029】
バルブ付きカニューレ220は、一般に、オーバーキャップ222、ハブ226、及び中空チューブ又はシャフト228を含む。ハブ226とシャフト228とは、カニューレ移行部230によって接続されている。ハブ226の内径(ID)(例えば、図2BのID227)は、シャフト228のID(例えば、図2BのID229)よりも大きい。バルブ付きカニューレ220は、くぼみ232を更に含み、このくぼみは、ハブ226及び/又はカニューレ移行部230の一部であり得る。
【0030】
図2Bに示されるように、VFCカニューレ102の遠位セグメント204の第2の遠位端205Bは、VFCカニューレ102がバルブ付きカニューレ220に結合されると、ハブ226の内部に配置される。特定の実施形態では、VFCカニューレ102をバルブ付きカニューレ220に結合するために、VFCカニューレ102がバルブ付きカニューレ220内に挿入されると、VFCカニューレ102の少なくとも一部が、バルブ付きカニューレ220の内部特徴部と摩擦係合する。例えば、遠位セグメント204の少なくとも一部は、バルブ付きカニューレ220の内部特徴部と摩擦係合し、ここで内部特徴部は、くぼみ232及び/又はバルブ付きカニューレ220の内壁を含む。
【0031】
特定の実施形態では、くぼみ232は、VFCカニューレ102とバルブ付きカニューレ220との間に十分な抵抗を提供して、処置中にVFCカニューレ102を定位置に保つように寸法決めされる。特定の実施形態では、くぼみ232とVFCカニューレ102との間の抵抗は、バルブ付きカニューレ220からVFCカニューレ102を引き抜く際に、眼からバルブ付きカニューレ220を引き出すのに必要な抵抗よりも小さい。例えば、バルブ付きカニューレ220が眼内にある間にバルブ付きカニューレ220からVFCカニューレ102を引き出すときに、バルブ付きカニューレ220は眼から引き出されない。特定の実施形態では、VFCカニューレ102とバルブ付きカニューレ220との間の抵抗は、眼からバルブ付きカニューレ220を除去することなく、バルブ付きカニューレ220からVFCカニューレ102を分離することができないようなものである。特定の実施形態では、抵抗は、VFCカニューレ102及びバルブ付きカニューレ220の他の領域又はセクションの間に形成される。例えば、いくつかの実施形態では、遠位セグメント204の外部は、ハブ226及び/又はカニューレ移行部230の内面と摩擦係合する。
【0032】
図2Bに更に示されるように、バルブ付きカニューレ220のハブ226は、VFCカニューレ102がバルブ付きカニューレ220内に挿入されると、VFCカニューレ102の遠位セグメント204を半径方向に取り囲んで結合する。特定の実施形態では、バルブ付きカニューレ220内に挿入されると、遠位セグメント204は、ハブ226の内部(すなわち、その半径方向内側)にのみ配置されるか、又はハブ226及びカニューレ移行部230の内部にのみ配置され、遠位セグメント204はシャフト228内に延びていない。遠位セグメント204はシャフト228内に延びていないため、遠位セグメント204の寸法はシャフト228の寸法によって制限されず、特定の実施形態では、遠位セグメント204の最小ID(例えば、図2Dの第2のID242)は、バルブ付きカニューレ220のシャフト228のID229よりも大きい。前述のように、バルブ付きカニューレ220は、23ゲージのバルブ付きカニューレ、25ゲージのバルブ付きカニューレ、27ゲージのバルブ付きカニューレなどであり得る。シャフト228のID229と比較して、VFCカニューレ102の遠位セグメント204の比較的大きいID(例えば、図2Dの第2のID242)は、バルブ付きカニューレ220が、VFCカニューレが実際に支持することができるものよりも小さいレベルに流体の流れを制限するため、VFCカニューレ102を通る全体的な流れ抵抗及び圧力低下を低減するように構成されている。
【0033】
短くされた遠位セグメント204は、遠位セグメント204をそのシャフト(例えば、シャフト228)の異なるID(例えば、ID229)に適応させる必要がないため、異なるゲージのバルブ付きカニューレを有するVFCカニューレ102に対するユニバーサルな適合を更に可能にする。例えば、VFCカニューレは、23ゲージのバルブ付きカニューレ、25ゲージのバルブ付きカニューレ、27ゲージのバルブ付きカニューレなどにユニバーサルに結合することができる。したがって、VFCカニューレ102の汎用性は、手術処置に必要な異なる部品の数を有益に低減する。
【0034】
特定の実施形態では、VFCカニューレ102はまた、患者の眼内に流体を注射する際に、使用者に対して圧力軽減及び/又は触知フィードバックを提供することができる。例えば、特定の実施形態では、VFCカニューレ102がバルブ付きカニューレ220内に挿入されると、遠位セグメント204とハブ226との間に隙間224が形成される。そのような実施形態では、遠位セグメント204とバルブ付きカニューレ220との間の隙間224は、VFCカニューレ102がバルブ付きカニューレ220に対して完全に封止していないため、注射された流体がバルブ付きカニューレ220からオーバーキャップ222を通って逆流することを可能にする。逆流は、眼内の圧力が使用者によって及ぼされる圧力よりも高いときに生じる場合があり、医師が眼内に流体を注入する際に抵抗をより良く感じることを可能にする。
【0035】
特定の実施形態では、遠位セグメント204の外部は、その間にいかなる隙間も形成されないように、ハブ226及び/又はカニューレ移行部230の内部と、接続、結合、又は嵌合することができることに留意されたい。
【0036】
特定の実施形態では、VFCカニューレ102は、バルブ付きカニューレ220の内部特徴部と摩擦係合するための保持特徴部を含む。例えば、遠位セグメント204は、くぼみ232に嵌合し、密接に適合し、及び/又は適応するように構成されたくぼみ又は他の特徴部を有し得る。
【0037】
遠位セグメント204の比較的大きいID及び短い長さにより、本明細書に開示されるVFCカニューレ102で所与の流量を維持するために、より低いソース圧力が使用されてもよい。特定の実施形態では、ソース圧力は、流れ抵抗の減少に比例して低減される。特定の実施形態では、流量は、本明細書に開示される注射カニューレの実施形態で、所与のソース圧力で増加される。特定の実施形態では、流量の増加は、一般に、約5~30%又はそれよりも大きい。80psiのソース圧力などの特定の実施形態では、流量の増加は、従来の25ゲージ注入カニューレ設計と比較して、約15~30%又はそれよりも大きい。30psiのソース圧力などの特定の実施形態では、流量の増加は、従来の25ゲージ注入カニューレ設計と比較して、約5~20%であるか又はそれよりも大きい。
【0038】
図2C及び図2Dは、それぞれ、VFCカニューレ102の等角図及び断面側面図を示している。特に、図2C及び図2Dは、VFCカニューレ102の外部プロファイル及び外部特徴部を示しており、図2Dは、特に断りのない限り、インチ単位で提供されるいくつかの例示的な寸法を含む。ラベル付けされた寸法は例示的なものに過ぎず、特徴部のための他の寸法が、異なる比を含めて利用され得ることに留意されたい。
【0039】
示されるように、近位セグメント202は、第1のID240を有し、遠位セグメント204は、第2のID242を有する。特定の実施形態では、遠位セグメント204は、約0.020インチ~約0.030インチ、例えば、約0.020インチ~約0.028インチ、例えば、約0.023インチの内側寸法の、例えば、第2のID242を有する。特定の実施形態では、遠位セグメント204の内側寸法は、遠位セグメント204の外部がバルブ付きカニューレハブ(例えば、図2Bのハブ226)及び/又はカニューレ移行部(例えば、図2Bのカニューレ移行部230)の内部に適応するとき、又は遠位セグメント204がくぼみを有するときなどに、0.030インチよりも大きい。
【0040】
特定の実施形態では、VFCカニューレ102は、約0.050インチ~約0.120インチ、例えば約0.0507インチの(例えば、遠位セグメント204及びフィレット206Bを含む)内部シャフト長244を有する。特定の実施形態では、VFCカニューレ102は、約0.150インチ~約0.250インチ、例えば約0.156インチ~約0.203インチ、例えば約0.156インチの全長246を有する。したがって、いくつかの実施形態では、VFCカニューレの全長246に対する内部シャフト長244の比は、約0.2~約0.4、例えば約(0.0507インチ/0.156インチ=0.325)であり得る。特定の実施形態では、VFCカニューレ102は、約0.110インチ~約0.140インチ、例えば約0.126インチの直径であり得る、全幅247を有する。一般に、セグメント202及び204並びに移行部206及び208は、VFCカニューレ102の中心を通って配置された共通の中心軸212を共有する。特定の実施形態では、近位セグメント202は、中心軸212に沿って第1の長さ234を測定し、遠位セグメント204は、中心軸212に沿って第2の長さ235を測定する。第2の長さ235は、第1の長さ234より大きくても、小さくても、又は等しくてもよい。セグメント202及び204並びに移行部206及び208を用いて説明されているが、VFCカニューレ102は、単一の一体型本体から形成されてもよく、セグメント202及び204並びに移行部206及び208は、一体型本体の一部を指し得ることに留意されたい。特徴部は、特定の寸法又は寸法の範囲で本明細書に記載されているが、他の寸法及び/又はIDが更に企図されることに留意されたい。
【0041】
特定の実施形態では、第1の移行部206は、第1のフィレット206A及び第2のフィレット206Bを含み、第2の移行部208は、第3のフィレット208Aを含む。特定の実施形態では、第1のフィレット206Aは、凹状であり、第2のフィレット206Bは、凸状である。特定の実施形態では、第3のフィレット208Aは、凹状であるが、更なる実施形態では、第3のフィレット208Aは、凸状である。
【0042】
図2Dに示されるように、フィレット206A、206B、及び208Aは、移行部206及び208の内壁上に形成される。特定の実施形態では、フィレットは、移行部206及び208の内壁及び/又は外壁上に形成される。特定の実施形態では、セグメント202及び204の内壁及び/又は外壁は、中心軸212に対して平行であるか、又はテーパ状である。いくつかの実施形態では、セグメント202及び204並びに第1及び第2の移行部206及び208の壁厚は、一定である。いくつかの実施形態では、壁厚は、可変であってもよく、又は特徴部(例えば、第1の移行部206、遠位セグメント204)によって変化してもよい。
【0043】
特定の実施形態では、第1の移行部206は、フィレット(例えば、フィレット206A及び206B)ではなく、第1の面取り又は斜角(例えば、図4Dの第1の面取り406Cと同様)を含む。特定の実施形態では、第2の遠位端205Bは、凸状であり得る第4のフィレット238、及び/又は第2の面取りを含む。
【0044】
フィレット206A及び206Bを含む本明細書に記載のフィレットは、中心軸212に対するフィレットの中点の位置を基準とする、1つ以上の位置角度(例えば、位置角度253)を有し得る。位置角度は、中心軸212とフィレットの中点の接線との間で測定され得る。例えば、位置角度253は、1~85度であり得る。例えば、位置角度253は、10度~60度であり得る。例えば、位置角度253は、20度~40度であり得る。例えば、位置角度253は、約26度であり得る。特定の実施形態では、フィレットは、移行部(例えば、第1の移行部206)の内面上にあってもよい。更なる実施形態では、フィレットは、移行部の外面上にあってもよい。
【0045】
特定の実施形態では、連続流路が、VFCカニューレ102の第1の近位端203Aと第2の遠位端205Bとの間に形成される。したがって、移行部206及び208の湾曲は、流体の摩擦損失を低減することによって、流体がVFCカニューレ102を通って円滑に流れることを可能にし、それによって、流体性能を有益に改善することができる。特定の実施形態では、セグメント202及び204の内壁と移行部206及び208とがシームレスに接続して、セグメント202及び204と移行部206及び208との間に、接合されていない移行部、中断部、又は不均衡の兆候が存在しないように、滑らかな内側プロファイルを形成する。
【0046】
図2E及び図2Fは、それぞれ、VFCカニューレ200として示される別のVFCカニューレの等角図及び断面側面図を示している。特に、図2E及び図2Fは、VFCカニューレ200の外部プロファイル及び外部特徴部を示している。VFCカニューレ200は、VFCカニューレ102と実質的に同様であり、適切な場合には同様の参照番号を使用する。
【0047】
しかしながら、VFCカニューレ102とは異なり、VFCカニューレ200の第1の移行部206は、フィレット206Aと206Bとの間に配置された第1の面取り又は斜角206Cを含む。特定の実施形態では、移行角度θ(例えば、図2Fの第1の移行角度252)は、第1の面取り206Cと、中心軸212と共線でなくてもよいセグメント202又は204のうちの1つの軸との間で測定される。特定の実施形態では、移行角度θは、第1の面取り206Cと中心軸212との間で測定される。特定の実施形態では、移行角度θは、約120度であるが、更なる実施形態では、約90度であってもよく、最大で約165度であっても約165度を含んでもよい。更なる実施形態では、移行角度θは、90度超である。
【0048】
第1の移行部206の形態は、VFCカニューレ200を通る流体の流れを改善することができる。示されるように、第1の移行部206は、近位セグメント202と遠位セグメント204との間のIDの漸進的な減少を有する、VFCカニューレ200内に漏斗形状の特徴部を形成する第1の面取り206Cを含む。面取りは、流体のための断面の漸進的な、直線的に減少する低減を提供することによって、従来のVFCカニューレの移行部と比較して、過剰な圧力損失の防止を容易にする。
【0049】
図3A及び図3Bは、それぞれ、バルブ付きカニューレ220に結合された代替のVFCカニューレ300の等角図及び断面側面図を示している。特に、図3A図3Bは、VFCカニューレ300及びバルブ付きカニューレ120の外部プロファイル及び外部特徴部を示している。
【0050】
示されるように、VFCカニューレ300は、近位セグメント302、中間セグメント314、及び遠位セグメント304を含む。近位セグメント302は、第1の近位端303A及び第1の遠位端303Bを含み、中間セグメント314は、第2の近位端315A及び第2の遠位端315Bを含み、遠位セグメント304は、第3の近位端305A及び第3の遠位端305Bを含む。第1の移行部306は、第1の遠位端303B及び第2の近位端315Aにおいて、近位セグメント302と中間セグメント314とを接続する。第2の移行部307は、第2の遠位端315B及び第3の近位端305Aにおいて、中間セグメント314と遠位セグメント304とを接続する。特定の実施形態では、第3の移行部308は、第1の近位端303Aにおいて、近位セグメント302と頂部リム310とを接続する。第3の移行部308及び/又は頂部リム310は、アダプタ(例えば、図1Bのアダプタ104)に成形されるか、又はアダプタに接着され得る。特定の実施形態では、VFCカニューレ300は、頂部リムを含まない。
【0051】
VFCカニューレ102と同様に、VFCカニューレ300は、バルブ付きカニューレ220内に挿入されて、バルブ付きカニューレを通って患者の眼の眼空間内に流体を注入、排出、又は眼空間から流体を抽出するように構成されている。特定の実施形態では、VFCカニューレ300の少なくとも一部は、VFCカニューレ300がその中に挿入されると、バルブ付きカニューレ220の内部特徴部と摩擦係合する。例えば、中間セグメント314の少なくとも一部は、バルブ付きカニューレ220の内部特徴部と摩擦係合し、及び/又は遠位セグメント304の少なくとも一部は、シャフト228の内部と摩擦係合し、その結果、遠位セグメント304とシャフト228との間に「チューブインチューブ」構成が生じる。チューブ構成内のチューブは、VFCカニューレ300の使用する際に安定した流体の流れ及び動作圧力をもたらす。特定の実施形態では、VFCカニューレ300の遠位セグメント304は、バルブ付きカニューレ220の特定のゲージサイズに密接に適合するようにサイズ決めされる。例えば、遠位セグメント304は、23ゲージのバルブ付きカニューレ、25ゲージのバルブ付きカニューレ、27ゲージのバルブ付きカニューレなどの、シャフト228内に密接に適合するように構成された外径を有する。
【0052】
異なる注射カニューレは、均一な直径の2つのシリンダ、すなわち幅の広い近位シリンダ及び幅の狭い遠位シリンダで形成された一体型本体を含み得る。幅の狭い遠位シリンダは、バルブ付きカニューレ220のシャフト228のIDよりも小さいIDを有する。シリンダは、2つのフィレットを含む移行部によって接続され、その結果、幅の広い近位シリンダと幅の狭い遠位シリンダとの間を移行する際に、流路はIDの急激な減少を経験する。IDの急激な減少は、そこを通る流れ抵抗を増加させる。この移行部は、異なる注射カニューレがバルブ付きカニューレ220に結合されると、バルブ付きカニューレのオーバーキャップ222に配置される。結合されると、幅の狭い遠位シリンダは、オーバーキャップ222からハブ226を通ってバルブ付きカニューレ220のシャフト228内に延びる。このように、異なる注入カニューレは、オーバーキャップ222からシャフト228内に延びる長さで最小IDを通る流体の流れを必要とするため、流体の流れに対する制限要因となる。
【0053】
比較すると、VFCカニューレ300は、3つの異なるIDを有する少なくとも3つのセグメント302、314、及び304にセグメント化される。このように、異なるセグメント(例えば、314及び304)は、VFCカニューレ300がそれらに結合されると、バルブ付きカニューレ220の異なる部分(例えば、ハブ226又はシャフト228)を通過し得る。したがって、中間セグメント314は、ハブ226内に配置されてもよく、シャフト228内の遠位セグメント304に対して増加した内径を有し得、最小IDを有する遠位セグメント304は、シャフト228を通る減少した長さを有し得る。ハブ226内の増加したIDに加えて、最小IDを有する遠位セグメント304の減少した長さは、VFCカニューレ300の流体の流れの抵抗を有益に低減する。このように、特定の実施形態では、本明細書に開示されるVFCカニューレの実施形態を用いて所与の流量を維持するために、より低いソース圧力が使用されてもよく、ソース圧力は、流れ抵抗の減少に比例して低減され得る。
【0054】
特定の実施形態では、バルブ付きカニューレ220内に延びるVFCカニューレ300の長さの一部が、遠位セグメント304よりも大きいIDを有する中間セグメント314によって占有されるため、遠位セグメント304はより短い。図3Bに示されるように、バルブ付きカニューレ220内に延びるVFCカニューレ300の長さは、従来の流体カニューレの設計と同じか又はそれより短くてもよい。より短い遠位セグメント304により、一般に、従来のカニューレ設計と比較して、VFCカニューレ300の流量を増加させることができる。例えば、より短い遠位セグメント304により、従来の流体カニューレの設計と比較して、流量を約5~30%又はそれよりも大きく増加させることができ、例えば、60psi(平方インチあたりのポンド力)で1000cSt(センチストークス)のシリコーンオイルを眼内に流す際に、約8~28%なお、増加させることができる。流量は、一般に、VFCカニューレ300を通って流れる流体の入力圧力及び粘度の影響を受ける。断面を狭くすると圧力損失が増加し、流量が減少につながるため、流量は、セグメントのIDによって更に影響を受ける。遠位セグメント304を短くすることにより、流体が最小ID(例えば、第3のID)を流れる距離を低減し、流体に対してより長くて広い断面を提供することによって、過剰な圧力損失を防止する。
【0055】
VFCカニューレ102と同様に、VFCカニューレ300はまた、特定の実施形態では、バルブ付きカニューレ220の内部特徴部と摩擦係合するための保持特徴部を含むことができる。例えば、中間セグメント314は、くぼみ232に嵌合し、密接に適合し、及び/又は適応するように構成されたくぼみを有し得る。
【0056】
図3C及び図3Dは、それぞれ、VFCカニューレ300の等角図及び断面側面図を示している。特に、図3Dは、VFCカニューレ300の内部プロファイル及び内部特徴部を示しており、図3Dは、特に断りのない限り、インチ単位で提供されるいくつかの例示的な寸法を含む。
【0057】
示されるように、近位セグメント302は、第1のID340を有し、中間セグメント314は、第2のID348を有し、遠位セグメント304は、第3のID342を有する。特定の実施形態では、中間セグメント314は、約0.020インチ~約0.030インチ、例えば約0.023インチ~約0.028インチ、例えば約0.023インチの内側寸法の、例えば第2のID348を有する。特定の実施形態では、中間セグメント314の内側寸法は、中間セグメント314の外部がバルブ付きカニューレハブ(例えば、図3Bのハブ226)及び/又はカニューレ移行部(例えば、図3Bのカニューレ移行部230)の内側に適応するとき、又は遠位セグメント304がくぼみを有するときなどに、0.030インチよりも大きい。
【0058】
特定の実施形態では、VFCカニューレ300は、図2Dの内部シャフト長244よりも長くてもよい内部シャフト長344(例えば、遠位セグメント304、移行部307、中間セグメント314、及びフィレット306B)(例えば、内部シャフト長344は、約0.07インチ~約0.126インチ、例えば、0.098インチであり得る)、及び約0.150インチ~約0.250インチ、例えば、約0.203インチの全長346を有する。したがって、いくつかの実施形態では、VFCカニューレの全長346に対する内部シャフト長344の比は、約0.35~約0.55、例えば約(0.098インチ/0.203インチ=0.483)であり得る。特定の実施形態では、VFCカニューレ300は、約0.110インチ~約0.140インチ、例えば約0.126インチの直径であり得る、全幅347を有する。VFCカニューレ102と同様に、セグメント302、304、及び314並びに移行部306、307、及び308は、単一の一体型本体から形成されたVFCカニューレ300の中心を通って配置された共通の中心軸312を共有する。特定の実施形態では、近位セグメント302は、第1の長さ334を測定し、中間セグメント314は、第2の長さ335を測定し、遠位セグメント304は、第3の長さ336を測定し、各々、中心軸312に沿って測定される。第3の長さ336は、第2の長さ335よりも大きくても、小さくても、又は等しくてもよい。更なる実施形態では、第3の長さ336はゼロであり、VFCカニューレ300は、頂部リム310と移行部307の遠位端との間に延びる全長346を有する(例えば、VFCカニューレ300は遠位セグメント304を含まない)。特徴部は、特定の寸法又は寸法の範囲で本明細書に記載されているが、他の寸法及び/又はIDが更に企図されることに留意されたい。
【0059】
特定の実施形態では、第1の移行部306は、第1のフィレット306A及び第2のフィレット306Bを含み、第2の移行部307は、第3のフィレット307A及び第4のフィレット307Bを含み、第3の移行部308は、第5のフィレット308Aを含む。特定の実施形態では、第1のフィレット306Aは、凹状であり、第2のフィレット306Bは、凸状である。特定の実施形態では、第3のフィレット307Aは、凹状であり、第4のフィレット307Bは、凸状である。特定の実施形態では、第5のフィレット308Aは、凹状であるが、他の実施形態では、第5のフィレット308Aは、凸状である。特定の実施形態では、第3の遠位端305Bは、第6のフィレット及び/若しくは第2の面取り(例えば、図2Dの第4のフィレット238)又は図2Dに記載されているのと同様の斜角を含み得る。第6のフィレット及び/又は第2の面取りは、第3の遠位端305Bの外径を徐々に増加させることによって、VFCカニューレ102のバルブ付きカニューレ220への挿入を有益に容易にすることができる。
【0060】
図3Dに示されるように、フィレット306A、306B、307A、307B、及び308Aは、移行部306、307及び308の内壁上に形成される。特定の実施形態では、フィレットは、移行部306、307、及び308の内壁及び/又は外壁上に形成される。特定の実施形態では、セグメント302、304、及び314の壁は、図2Dで前述したVFCカニューレ102の壁と実質的に同様に構成される。例えば、フィレット306A及び306Bは、中心軸312に対するフィレットの中点の位置を基準とする、1つ以上の位置角度(例えば、位置角度353)を有し得る。位置角度は、中心軸312とフィレットの中点の接線との間で測定され得る。例えば、位置角度353は、1~85度であり得る。例えば、位置角度353は、10度~60度であり得る。例えば、位置角度353は、20度~40度であり得る。例えば、位置角度353は、約26度であり得る。
【0061】
特定の実施形態では、連続流路は、VFCカニューレ300の第1の近位端303Aと第3の遠位端305Bとの間に形成され、移行部の湾曲は、流体の摩擦損失を低減することによって、流体がVFCカニューレ300を通って円滑に流れることを可能にし、それによって、流体性能を有益に改善する。
【0062】
図4A及び図4Bは、バルブ付きカニューレ220に結合された例示的な注入カニューレ400の等角図及び断面側面図を示している。特に、図4A及び図4Bは、注入カニューレ400及びバルブ付きカニューレ220の外部プロファイル及び外部特徴部を示している。注入カニューレ400は、バルブ付きカニューレ220内に挿入されて、バルブ付きカニューレを通って患者の眼の眼空間内に流体を注入又は排出するように構成されている。
【0063】
VFCカニューレ300と同様に、注入カニューレ400は、近位セグメント402、中間セグメント414、及び遠位セグメント404を含む。近位セグメント402は、第1の近位端403A及び第1の遠位端403Bを含み、中間セグメント414は、第2の近位端415A及び第2の遠位端415Bを含み、遠位セグメント404は、第3の近位端405A及び第3の遠位端405Bを含む。第1の移行部406は、第1の遠位端403B及び第2の近位端415Aにおいて、近位セグメント402と中間セグメント414とを接続する。第2の移行部407は、第2の遠位端415B及び第3の近位端405Aにおいて、中間セグメント414と遠位セグメント404とを接続する。第3の移行部408は、第1の近位端403Aにおいて、近位セグメント402と注入ラインのチューブとを接続するように構成されている。
【0064】
VFCカニューレ300と同様に、特定の実施形態では、注入カニューレ400の少なくとも一部は、注入カニューレ400がその中に挿入されると、バルブ付きカニューレ220の内部特徴部と摩擦係合する。例えば、中間セグメント414の少なくとも一部は、バルブ付きカニューレ220の内部特徴部と摩擦係合し、及び/又は遠位セグメント404の少なくとも一部は、シャフト228の内部と摩擦係合し、その結果、注入カニューレ400の遠位セグメント404がバルブ付きカニューレの特定のゲージサイズに密接に適合するようにサイズ決めされ得る「チューブインチューブ」構成が生じる。
【0065】
異なる注入カニューレは、均一な直径の3つのシリンダ、すなわち、幅の広い近位シリンダ、中程度の中間シリンダ、及び幅の狭い遠位シリンダで形成された一体型本体を有する。中程度の中間シリンダ及び幅の広い近位シリンダは、2つのフィレットを含む移行部によって接続され、その結果、中程度の中間シリンダと幅の狭い遠位シリンダとの間を移行する際に、流路はIDの減少を経験する。IDの急激な減少は、流れ抵抗を増加させる。この移行部は、異なる注入カニューレがバルブ付きカニューレ220に結合されると、バルブ付きカニューレのオーバーキャップ222に配置される。加えて、幅の狭い遠位シリンダは、バルブ付きカニューレ220のシャフト228のIDよりも小さいIDを有する。バルブ付きカニューレに結合されると、幅の狭い遠位シリンダは、バルブ付きカニューレのシャフト228内に延びる。したがって、異なる注入カニューレの幅の広い近位セグメントと中程度の中間セグメント及び延長された遠位セグメントとの間の移行部は、オーバーキャップ222からシャフト228内に延びる長さで最小IDを通る流体の流れを必要とするため、流体の流れの制限要因となる。
【0066】
比較すると、注入カニューレ400は、3つの異なるIDを有する少なくとも3つのセグメント402、414、及び404にセグメント化される。このように、異なるセグメント(例えば、414及び404)は、注入カニューレ400がそれに結合されると、バルブ付きカニューレ220の異なる部分(例えば、ハブ226又はシャフト228)を通過し得る。したがって、ハブ226内の中間セグメント414は、シャフト228内の遠位セグメント404に対して増加した内径を有し得、最小IDを有する遠位セグメント404は、シャフト228を通る減少した長さを有し得る。
【0067】
図4Bでは、従来の注入カニューレの延長された遠位セグメントが流体の流れを制限するため、遠位セグメント404はより短い。より短い遠位セグメント404は、流体が最小ID(例えば、第3のID)を流れる距離を低減し、流体が流れるためのシャフト228のより長い、より広い断面を提供することによって、過剰な圧力損失を防止する。このように、特定の実施形態では、本明細書に開示される注入カニューレの実施形態を用いて所与の流量を維持するために、より低いソース圧力が使用されてもよく、ソース圧力は、流れ抵抗の減少に比例して低減され得る。
【0068】
加えて、第1の移行部406の形態は、注入カニューレ400を通る流体の流れを改善することができる。特定の実施形態では、第1の移行部406は、近位セグメント402と中間セグメント414との間のIDの漸進的な減少を有する、注入カニューレ400内に漏斗形状の特徴部を形成する面取り(例えば、図4Dの第1の面取り406C)を含む。面取りは、流体のための断面の漸進的な、直線的に減少する低減を提供することによって、従来の注入カニューレの移行部と比較して、過剰な圧力損失の防止を容易にする。
【0069】
より短い遠位セグメント304、及び第1の移行部406への面取りの付加により、一般に、従来の注入又は注射カニューレの設計と比較して、注入カニューレ400内の流量を増加させ、その中の圧力低下を比例して減少させることができる。例えば、特定の実施形態では、流量は、従来のカニューレ設計と比較して、約5%~約30%又はそれよりも大きく増加し、圧力低下は、比例して、例えば、約20%~約35%又はそれよりも大きく減少する。上述したように、流量及び圧力低下は、セグメントのID、並びにソース圧力及び流体粘度によって影響を受ける。
【0070】
特定の実施形態では、注入カニューレ400は、バルブ付きカニューレ420の内部特徴部と摩擦係合するための保持特徴部を含む。例えば、中間セグメント414は、くぼみ232に嵌合し、密接に適合し、及び/又は適応するように構成されたくぼみを有し得る。
【0071】
図4C及び図4Dは、それぞれ、注入カニューレ400の等角図及び断面側面図を示している。特に、図4Cは、注入カニューレ400の内部プロファイル及び内部特徴部を示しており、図4Dは、特に断りのない限り、インチ単位で提供されるいくつかの例示的な寸法を含む。
【0072】
示されるように、近位セグメント402は、第1のID440を有し、中間セグメント414は、第2のID448を有し、遠位セグメント404は、第3のID442を有する。特定の実施形態では、中間セグメント414は、約0.020インチ~約0.030インチ、例えば約0.023インチ~約0.028インチ、例えば約0.028インチの内側寸法の、例えば第2のID448を有する。特定の実施形態では、中間セグメント414の内側寸法は、中間セグメント414の外部がバルブ付きカニューレハブ(例えば、図3Bのハブ226)及び/又はカニューレ移行部(例えば、図3Bのカニューレ移行部230)の内側に適応するとき、又は遠位セグメント404がくぼみを有するときなどに、0.030インチよりも大きい。
【0073】
特定の実施形態では、注入カニューレ400は、約0.050インチ~約0.130インチ、例えば約0.060インチ~約0.111インチ、例えば約0.065インチの中間シャフト長450を有する。特定の実施形態では、注入カニューレ400は、約0.320インチ~約0.400インチ、例えば約0.325インチ~約0.385インチ、例えば約0.338インチの全長446を有する。特定の実施形態では、注入カニューレ400は、約0.080インチ~約0.110インチ、例えば約0.092インチの直径であり得る、幅447を有する。図3Dで前述したVFCカニューレ300と同様に、セグメント402、404、及び414並びに移行部406、407、及び408は、単一の一体型本体から形成された注入カニューレ400の中心を通って配置された共通の中心軸412を共有する。特定の実施形態では、近位セグメント402は、第1の長さ434を測定し、中間セグメント414は、第2の長さ435を測定し、遠位セグメント404は、第3の長さ436を測定し、各々、中心軸412に沿って測定される。第3の長さ436は、第2の長さ435よりも大きくても、小さくても、又は等しくてもよい。いくつかの実施形態では、第3の長さ436は、約0.020インチ~約0.100インチ、例えば約0.035インチ~約0.08インチ、例えば約0.050インチであってよい。したがって、いくつかの実施形態では、第3の長さ436と全長446との間の比は、約0.05~0.25、例えば、約0.050インチ/0.338インチ=0.148であってよい。いくつかの実施形態では、中間シャフト長450と全長446との間の比は、約0.08~0.28、例えば、約0.065インチ/0.338インチ=0.192であってよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、中間シャフト長450と第3の長さ436との合計は、約(0.05インチ+0.02インチ=0.07インチ)~約(0.130インチ+0.100インチ=0.230インチ)、例えば、約(0.060インチ+0.035インチ=0.095インチ)~約(0.111インチ+0.08インチ=0.191インチ)、例えば、約(0.065インチ+0.050インチ=0.115インチ)であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、全長446に対する(中間シャフト長450と第3の長さ436との合計)の比は、約0.2~0.4の間、例えば約(0.115インチ/0.338インチ=0.340)であってもよい。特徴部は、特定の寸法又は寸法の範囲で本明細書に記載されているが、他の寸法及び/又はIDが更に企図されることに留意されたい。
【0075】
図4Dに示されるように、第1の移行部406は、第1のフィレット406A、第1の面取り406C、及び第5のフィレット406Bを含み、第2の移行部407は、第2のフィレット407A及び第3のフィレット407Bを含み、第3の移行部408は、第4のフィレット408Aを含む。フィレット406A、406B、407A、407B、及び408A、並びに面取り406Cは、移行部406、407、及び408の内壁上に形成されるが、更なる実施形態では、移行部406、407、及び408の内壁及び/又は外壁上に形成される。特定の実施形態では、フィレット406A、406B、407A、407B、及び408Aは、図3Dで前述したVFCカニューレ300のフィレットと実質的に同様に構成される。特定の実施形態では、第1の面取り406Cは、第1のフィレット406A及び/又は第5のフィレット406Bの代わりに使用される。特定の実施形態では、第1の移行部406は、第5のフィレット406Bの代わりに第2の面取りを含む。特定の実施形態では、移行角度θ(例えば、図4Dの第1の移行角度452)は、第1の面取り406Cと、中心軸412と共線でなくてもよいセグメント402、404、又は414のうちの1つの軸との間で測定される。特定の実施形態では、移行角度θは、第1の面取り406Cと中心軸412との間で測定される。特定の実施形態では、移行角度θは、約150度~約170度、例えば、約161度であるが、更なる実施形態では、約90度であってもよく、最大で約165度であっても約165度を含んでもよい。更なる実施形態では、移行角度θは、90度超である。特定の実施形態では、面取り角度αは、第2の面取りと、前述した軸のうちの1つ(例えば、中心軸412)との間で測定される。特定の実施形態では、面取り角度αは、移行角度θよりも大きい。特定の実施形態では、セグメント402、404、及び414の壁は、図3Dで前述したVFCカニューレ300の壁と実質的に同様に構成される。
【0076】
特定の実施形態では、第1の移行部406は、図4Dに記載されているように、第1の面取り又は斜角(例えば、図4Dの第1の面取り406C)を含む。特定の実施形態では、第3の遠位端405Bは、第6のフィレット(例えば、図2Dの第4のフィレット238)及び/又は図2Dに記載されているのと同様の第2の面取り若しくは斜角を含む。第6のフィレット及び/又は第2の面取りは、第3の遠位端305Bの外径を徐々に増加させることによって、VFCカニューレ102のバルブ付きカニューレ220への挿入を有益に容易にすることができる。
【0077】
特定の実施形態では、第2の移行部407は、第3の面取り又は斜角を含み、この面取り又は斜角は、第1の面取り406Cと同様の方法であるが、フィレット407A及び407Bに対して配置される。
【0078】
特定の実施形態では、連続流路は、注入カニューレ400の第1の近位端403Aと第3の遠位端405Bとの間に形成され、移行部の湾曲は、流体の摩擦損失を低減することによって、流体が注入カニューレ400を通って円滑に流れることを可能にし、それによって、流体性能を有益に改善する。
【0079】
要約すると、本開示の実施形態は、眼科手術処置中の流体の投与及び流体の流れを改善するための流体カニューレを含む。例えば、本明細書に記載の実施形態は、眼注入流体及びタンポナーデの効率的な投与を提供し、それによって、改善された眼内圧力維持を容易にする。記載されたカニューレアセンブリは、カニューレの最小内径(ID)が、対応するバルブ付きカニューレのシャフトのIDよりも大きい実施形態を含む。以下に更に詳述するように、より大きいカニューレIDは、所与のソース圧力における流量を増加させる、改善された流体カニューレを通る、全体的な流れ抵抗及び圧力損失を低減する。カニューレアセンブリは、カニューレが、バルブ付きカニューレシャフトのIDよりも大きいIDを有する中間セグメントと、バルブ付きカニューレシャフト内に減少した距離だけ延びる遠位セグメントと、中間セグメントと遠位セグメントとの間の滑らかな移行部とを含む実施形態を更に含む。カニューレアセンブリは、移行部が漏斗形状であるように、カニューレの近位セグメントと中間セグメントとの間の移行部にカニューレが面取り又は斜角を含む実施形態を更に含む。したがって、前述のカニューレは、流体抵抗が減少されるために、所与の流量を達成するための動作圧力を少なくすることが可能になる、眼への及び/又は眼からの、流体の注射、抽出、注入、及び排出の間に特に有益である。
【0080】
例示的な実施形態
実施形態1:第1の内径(ID)、第1の近位端、及び第1の遠位端を含む近位セグメントと、第1のIDよりも小さい第2のID、第2の近位端、並びにハブ、シャフト、及びハブとシャフトとの間のカニューレ移行部を含むバルブ付きカニューレのハブ又はカニューレ移行部の内部に配置されるように構成された第2の遠位端を含む遠位セグメントと、を備える、手術処置用のカニューレ装置。
【0081】
実施形態2:第2の遠位端が、第4のフィレット又は第2の面取りを更に含む、上術の実施形態1に記載のカニューレ装置。
【0082】
実施形態3:第4のフィレット又は第2の面取りが、遠位セグメントの内壁又は外壁上に形成されている、上述の実施形態2に記載のカニューレ装置。
【0083】
実施形態4:近位セグメント及び遠位セグメントが、カニューレ装置の共通の中心軸を共有する、上述の実施形態3に記載のカニューレ装置。
【0084】
実施形態5:第1の遠位端及び第2の近位端を介して近位セグメントと遠位セグメントとを接続する第1の移行部であって、第1のフィレット及び第2のフィレットを含む、第1の移行部を更に備える、上述の実施形態3に記載のカニューレ装置。
【0085】
実施形態6:第1のフィレットが、凹状であり、第2のフィレットが、凸状である、上述の実施形態5に記載のカニューレ装置。
【0086】
実施形態7:第1のフィレット及び/又は第2のフィレットが、第1の移行部の内壁又は外壁上に形成されている、上述の実施形態5に記載のカニューレ装置。
【0087】
実施形態8:第1の移行部が、第1のフィレットと第2のフィレットとの間に配置された第1の面取りを更に含む、上述の実施形態5に記載のカニューレ装置。
【0088】
実施形態9:第1の面取りが、第1の移行部の内壁又は外壁上に形成されている、上述の実施形態8に記載のカニューレ装置。
【0089】
実施形態10:第1の近位端に接続する第2の移行部であって、第3のフィレットを含む、第2の移行部を更に備える、上述の実施形態5に記載のカニューレ装置。
【0090】
実施形態11:第3のフィレットが、凹状又は凸状である、上述の実施形態10に記載のカニューレ装置。
【0091】
実施形態12:第3のフィレットが、第2の移行部の内壁又は外壁上に形成されている、上述の実施形態10に記載のカニューレ装置。
【0092】
実施形態13:第2の移行部が、近位セグメントを、注射器用アダプタ又は注入ラインのチューブに接続する、上述の実施形態10に記載のカニューレ装置。
【0093】
実施形態14:近位セグメント及び遠位セグメントが、カニューレ装置の共通の中心軸を共有する、上述の実施形態5に記載のカニューレ装置。
【0094】
実施形態15:第1の移行部及び/又は第2の移行部が、カニューレ装置の共通の中心軸を共有する、上述の実施形態14に記載のカニューレ装置。
【0095】
実施形態16:第1の移行部が、第1のフィレットと第2のフィレットとの間に配置された第1の面取りを更に含む、上述の実施形態14に記載のカニューレ装置。
【0096】
実施形態17:第1の面取りが、第1の面取りと共通の中心軸との間に移行角度を構成し、移行角度が約161度を測定する、上述の実施形態16に記載のカニューレ装置。
【0097】
実施形態18:第1の移行部が、第1のフィレットと第2のフィレットとの間に配置された第1の面取りを更に含む、上述の実施形態5に記載のカニューレ装置。
【0098】
実施形態19:第1の内径(ID)、第1の近位端、及び第1の遠位端を含む近位セグメントと、第1のIDよりも小さい第2のID、第2の近位端、及び第2の遠位端を含む中間セグメントと、第1の遠位端及び第2の近位端を介して近位セグメントと中間セグメントとを接続する第1の移行部であって、第1のフィレットを含む、第1の移行部と、第2のIDよりも小さい第3のID、第3の近位端、及び第3の遠位端を含む遠位セグメントと、第2の遠位端及び第3の近位端を介して中間セグメントと遠位セグメントとを接続する第2の移行部であって、第3のフィレット及び第4のフィレットを含む、第2の移行部と、を備える、手術処置用のカニューレ装置。
【0099】
実施形態20:第1のフィレットが、凹状であり、第2のフィレットが、凸状である、上述の実施形態19に記載のカニューレ装置。
【0100】
実施形態21:第1の移行部が、第2の面取り又は第2のフィレットを更に含む、上術の実施形態19に記載のカニューレ装置。
【0101】
実施形態22:第1の移行部が、第1のフィレットと第2の面取り又は第2のフィレットとの間に配置された第1の面取りを更に含む、上述の実施形態21に記載のカニューレ装置。
【0102】
実施形態23:近位セグメント及び遠位セグメントが、カニューレ装置の共通の中心軸を共有する、上述の実施形態22に記載のカニューレ装置。
【0103】
実施形態24:第1の面取りが、第1の面取りと装置の中心軸との間に移行角度を構成し、移行角度が約90度~約165度を測定する、上述の実施形態23に記載のカニューレ装置。
【0104】
実施形態25:約0.050インチ~約0.098インチの内部シャフト長を更に備える、上述の実施形態19に記載のカニューレ装置。
【0105】
実施形態26:第1のフィレット、第2のフィレット、及び/又は第2の面取りが、第1の移行部の内壁又は外壁上に形成されている、上述の実施形態21に記載のカニューレ装置。
【0106】
実施形態27:第1の移行部が、第1のフィレットと第2のフィレットとの間に配置された第1の面取りを更に含む、上述の実施形態21に記載のカニューレ装置。
【0107】
実施形態28:第1の面取りが、第1の移行部の内壁又は外壁上に形成されている、上述の実施形態27に記載のカニューレ装置。
【0108】
実施形態29:第3のフィレットが、凹状であり、第4のフィレットが、凸状である、上述の実施形態19に記載のカニューレ装置。
【0109】
実施形態30:第3のフィレット及び/又は第4のフィレットが、第2の移行部の内壁又は外壁上に形成されている、上述の実施形態19に記載のカニューレ装置。
【0110】
実施形態31:第1の近位端に接続する第3の移行部であって、第5のフィレットを含む、第3の移行部を更に備える、上述の実施形態19に記載のカニューレ装置。
【0111】
実施形態32:第5のフィレットが、凹状又は凸状である、上述の実施形態31に記載のカニューレ装置。
【0112】
実施形態33:第5のフィレットが、第3の移行部の内壁又は外壁上に形成されている、上述の実施形態31に記載のカニューレ装置。
【0113】
実施形態34:第3の移行部が、近位セグメントを、注射器用アダプタ又は注入ラインのチューブに接続する、上述の実施形態31に記載のカニューレ装置。
【0114】
実施形態35:第3の遠位端が、ハブ及びシャフトを有するバルブ付きカニューレの内部に配置されるように構成されており、遠位セグメントの少なくとも一部が、バルブ付きカニューレの内面と摩擦係合するように構成されている、上述の実施形態19に記載のカニューレ装置。
【0115】
実施形態36:中間セグメントの少なくとも一部が、バルブ付きカニューレのハブの内部と摩擦係合するように構成されている、上述の実施形態35に記載のカニューレ装置。
【0116】
実施形態37:中間セグメントの少なくとも一部が、バルブ付きカニューレの内部のくぼみと摩擦係合するように構成されている、上述の実施形態35に記載のカニューレ装置。
【0117】
実施形態38:近位セグメント、遠位セグメント、第1の移行部、及び/又は第2の移行部が、カニューレ装置の共通の中心軸を共有する、上述の実施形態19に記載のカニューレ装置。
【0118】
実施形態39:近位セグメント、遠位セグメント、第1の移行部、第2の移行部、及び/又は第3の移行部が、カニューレ装置の共通の中心軸を共有する、上述の実施形態31に記載のカニューレ装置。
【0119】
実施形態40:第3の遠位端が、第6のフィレット又は第2の面取りを更に含む、上術の実施形態19に記載のカニューレ装置。
【0120】
実施形態41:第6のフィレット又は第2の面取りが、遠位セグメントの内壁又は外壁上に形成されている、上述の実施形態40に記載のカニューレ装置。
【0121】
上記の説明は、当業者が本明細書に記載の各種の実施形態を実施できるようにするために提供されている。本明細書において説明される例は、特許請求の範囲に記載の範囲、適用性、又は実施形態を限定するものではない。これらの実施形態への様々な変更は当業者にとって容易に明らかとなり、本明細書で定義される一般的原理は他の実施形態にも当てはまり得る。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、議論された要素の機能及び配置に変更を加えられ得る。様々な例では、必要に応じて、様々な手順又は構成要素を省略、置換、又は追加してもよい。例えば、記載された方法は、記載された順序とは異なる順序で実行されてもよく、様々なステップが追加、省略、又は組み合わされてもよい。また、いくつかの例に関して記載された特徴は、いくつかの他の例で組み合わせられてもよい。例えば、本明細書に記載の任意の数の態様を使用して、装置が実装されてもよく、又は方法が実施されてもよい。更に、本開示の範囲は、本明細書に記載の本開示の様々な態様に加えて、又はそれ以外の他の構造、機能、又は構造及び機能を使用して実施されるそのような装置又は方法を網羅することを意図している。本明細書に開示される開示の任意の態様は、特許請求の範囲の1つ又は複数の要素によって具体化され得ることを理解されたい。
【0122】
本明細書において使用される場合、「例示の」という語は、「例、事例、実例として機能すること」を意味する。本明細書で「例示的」として記載される任意の態様は、必ずしも他の態様よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0123】
本明細書において使用される場合、項目のリスト「のうちの少なくとも1つ」を指す語句は、単一の要素を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b、又はcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-c、並びに複数の同じ要素の任意の組み合わせ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c、並びにc-c-c又はa、b、及びcの他の任意の順序)を網羅することが意図される。
【0124】
以下の特許請求項は、本明細書において示される実施形態に限定されることは意図されず、特許請求項の文言と矛盾しない全範囲が付与されるものとする。特許請求の範囲において、単数形での要素への言及は、具体的にそのような定めがない限り、「1つ及び1つのみ(one and only one)」を意味することを意図するものではなく、むしろ「1つ又は複数(one or more)」を意味するものである。具体的に別段の定めがない限り、「いくつかの(some)」という用語は、1つ又は複数を指す。特許請求の範囲のいかなる要素も、要素が「するための手段(means for)」という語句を使用して明示的に列挙されない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されるべきではなく、又は方法請求項の場合には、要素は「ためのステップ(step for)」という語句を使用して列挙される。当業者に知られている又は後に知られることになる、本開示全体を通って記載された様々な態様の要素に対する全ての構造的及び機能的均等物は、本明細書に参照により明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。その上、本明細書に開示したものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず公衆に献呈されることが意図されるものではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C-2D】
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C-3D】
図4A
図4B
図4C-4D】
【国際調査報告】