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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】試料採取システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20240703BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20240703BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240703BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240703BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240703BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G01N1/04 H
C12Q1/6851 Z
G01N33/50 Q
G01N33/48 S
G01N1/04 V
C08L101/00
C08F20/00 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574781
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 US2022032194
(87)【国際公開番号】W WO2022256674
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/197,212
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/285,328
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/322,968
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VISUAL BASIC
2.TEFLON
(71)【出願人】
【識別番号】520435784
【氏名又は名称】ダームテック,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドバク サード,ジョン ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,ズシュウ
(72)【発明者】
【氏名】イバーラ,クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】オストジック,イェレナ
(72)【発明者】
【氏名】ロック,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】トーガ,カミル バグラ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョンソ
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
4B063
4J002
【Fターム(参考)】
2G045CB09
2G045DA13
2G045DA14
2G045DA36
2G052AA28
2G052AB18
2G052AB20
2G052BA23
4B063QA19
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS32
4B063QX02
4J002AA001
4J002BB031
4J002CH021
4J002CK021
4J002FD026
4J002GB01
4J002GJ01
(57)【要約】
本明細書に記載の対象物は、皮膚試料採取のための非侵襲的なパッチ剥離方法を提供する。本パッチ剥離方法は、皮膚試料が除去後に接着パッチに付着されることを前提として、少なくとも1つの接着パッチを適用かつ除去する工程を含む。少なくとも1つの接着パッチは、接着性の皮膚試料採取キットに供給される。任意選択で、接着性の皮膚試料採取キットは、試料採取具、および/または使用説明書をさらに含む。
【選択図】図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚試料の非侵襲的な採取および分析のためのシステムであって、該システムが、
少なくとも1つの接着パッチを含む接着性の皮膚試料採取キットを備え、前記少なくとも1つの接着パッチが、
採取領域を含む裏打ち層と、
非接着性の取扱い領域と、
ある量の皮膚試料に接着するように構成された、前記採取領域表面上の接着マトリックスとを含む、システム。
【請求項2】
(a)前記裏打ち層が、皮膚の一部の形態に適合するほどの可撓性を含み、かつ、前記裏打ち層が、前記少なくとも1つの接着パッチが皮膚から離れた場合にしわへの耐性を持つような厚さを含み、
(b)前記少なくとも1つの接着パッチが、ドラフトを伴う前記非接着性の取扱い層の一部によって複数の配向に支持された場合に自己接着しないような厚さを含み、
(c)前記少なくとも1つの接着パッチから離れる抽出物および浸出物の量が、少なくとも約25cmのパッチが80%エタノール中で約3時間還流される場合に約3.0mg/cm未満であり、
(d)前記少なくとも1つの接着パッチが、該少なくとも1つの接着パッチのしわ波長に近い最長寸法を含み、ならびに
(e)前記接着マトリックスが、5℃未満のガラス転移温度を呈する感圧接着剤を含む、
のうち1つまたは複数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記(a)、前記(b)、前記(c)、前記(d)、および/もしくは前記(e)のうち、2つ以上、3つ以上、4つ以上、または5つ以上である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも前記(a)である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記裏打ち層が、ASTM D-882による測定時に約200~約2,000Psiの弾性率を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記裏打ち層が、約1000~約2000Psiの弾性率を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記裏打ち層が、約500~約1500Psiの弾性率を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記裏打ち層が、約7~約60MPaの引張強度を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記裏打ち層が、約30~約60MPaの引張強度を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記裏打ち層が、約7~約15MPaの引張強度を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも前記(b)である、請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
前記裏打ち層の厚さが、ASTM D6988による測定時に約2milを上回る、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記裏打ち層の厚さが約3~約5milである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも前記(c)である、請求項2に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの接着パッチから離れる抽出物および浸出物の量が、約1.0mg/cm未満である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記抽出物および前記浸出物の量が、GC-MSによって特徴解析される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記抽出物および前記浸出物の量が、熱重量分析によって特徴解析される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記抽出物または前記浸出物が、皮膚試料ではないシステムの構成要素を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記抽出物または前記浸出物が、不揮発性材料、半揮発性材料、または灰を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記接着マトリックスがポリマーを含み、前記不揮発性材料が、前記ポリマーの1つまたは複数のモノマーを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記半揮発性材料が、可塑剤または加工助剤を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
抽出物または浸出物がBHTを含み、該BHTが、GC-MSによる測定時に約10ug/L未満である、請求項14に記載のシステム。
【請求項23】
少なくとも前記(d)である、請求項2に記載のシステム。
【請求項24】
前記最長寸法が、約10、約8、約6、約5、約4、または約3cm未満である、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
少なくとも前記(e)である、請求項2に記載のシステム。
【請求項26】
前記ガラス転移温度が、ASTM D3418による測定時に約-10~約-70℃である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
切離しパネルをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
少なくとも1つの配置領域パネルをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
さらに前記少なくとも1つの接着パッチが色を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
前記少なくとも1つの接着パッチの前記色が、配置場所に相当する、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
異なる色を含む少なくとも2つの接着パッチを備える、請求項29または30に記載のシステム。
【請求項32】
同じ色を含む少なくとも2つの接着パッチを備える、請求項29または30に記載のシステム。
【請求項33】
前記皮膚の一部が病変を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項34】
前記皮膚の一部が非病変皮膚を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項35】
前記皮膚の一部が正常な皮膚を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項36】
前記皮膚試料の量が、細胞物質の約20ミリグラム未満、約4ミリグラム未満、または約1ピコグラム~約2000マイクログラムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項37】
前記少なくとも1つの接着パッチのそれぞれにある前記皮膚試料の量が、パッチごとに約1ピコグラム~約500マイクログラムである、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
総量が約20ミリグラム未満、約10ミリグラム未満、または約5ミリグラム未満である前記皮膚試料を含む複数の接着パッチを備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項39】
各接着パッチが500~20,000pgの核酸を採取する複数の接着パッチを備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項40】
各接着パッチが500~2000pgのDNAを採取する複数の接着パッチを備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項41】
各接着パッチが1000~15,000pgのRNAを採取する複数の接着パッチを備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項42】
前記接着マトリックスが、180°の剥離接着力、約1.0インチ/分~約12.0インチ/分の引張速度で、ASTM D3330による測定時に約1~約30N/インチの剥離接着強度を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項43】
前記剥離接着力が約10~約20N/インチである、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記接着マトリックスが、アクリル、シリコーン、および炭化水素ゴムのうち1つまたは複数を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項45】
前記接着マトリックスが、アクリルおよび炭化水素ゴムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項46】
前記炭化水素ゴムが、ブチルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチル-ビニルアセテートポリマー、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、もしくはそれらの組合せのうち1つまたは複数を含む、請求項44に記載のシステム。
【請求項47】
前記アクリルが、スチレン、a-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン、メチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルメタクリレート、ビニルメタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシプロピルアクリレート、アセトアセトキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブテニルメタクリレート、マレイン酸のアリルエステル、マレイン酸のジアリルエステル、ポリ(アリルグリシジルエーテル)、アルキルクロトネート、ビニルセテート(vinyl cetate)、ジ-n-ブチルマレエート、ジ-オクチルマレエート、アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリロニトリル、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2-t-ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N-(2-メタクリロイルオキシ-エチル)エチレンウレア、およびメタクリルアミドエチルエチレンウレア、もしくはそれらの組合せのうち、1つまたは複数を含む、請求項44に記載のシステム。
【請求項48】
前記裏打ち層が、柔軟な、透明な、および/または成形しやすい合成ポリマーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項49】
前記合成ポリマーが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)または低密度ポリエチレン(LDPE)を含む、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記合成ポリマーが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、Teflon、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)、またはアセテートを含む、請求項48に記載のシステム。
【請求項51】
前記合成ポリマーが、オレフィンのエラストマーを含む、請求項48に記載のシステム。
【請求項52】
前記オレフィンのエラストマーが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ビニルアセテート、ビニルアルコール、エチレンオキシド、およびプロピレンオキシドのうち1つまたは複数を含むポリマーの、共重合体または化合物を含む、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記合成ポリマーが熱可塑性エラストマーを含む、請求項48に記載のシステム。
【請求項54】
前記熱可塑性エラストマーが、ポリエステル系エラストマーを含む、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記熱可塑性エラストマーが、エーテルもしくはアミドの共重合体または化合物を含む、請求項53に記載のシステム。
【請求項56】
前記少なくとも1つの接着パッチが、ASTM D1003による測定時に約30%未満のヘイズ値を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項57】
前記ヘイズ値が約15%未満である、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
前記裏打ち層および前記接着マトリックスのうち少なくとも1つが、水溶性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項59】
前記少なくとも1つの接着パッチが水溶性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項60】
前記裏打ち層および前記接着マトリックスのうち少なくとも1つが、皮膚試料の溶解中に溶解するように構成される、請求項58に記載のシステム。
【請求項61】
前記接着マトリックスが、少なくとも12oz/inのループ粘着性を含む、請求項58に記載のシステム。
【請求項62】
前記接着マトリックスが、-40~176°Fの使用温度範囲を含む、請求項58に記載のシステム。
【請求項63】
前記裏打ち層が、少なくとも20lb/インチの引張力を含む、請求項58に記載のシステム。
【請求項64】
前記裏打ち層が、少なくとも200mNの引裂強度を含む、請求項58に記載のシステム。
【請求項65】
前記接着パッチが30秒以内に溶解可能である、請求項58に記載のシステム。
【請求項66】
前記接着パッチが、30~80℃で30秒以内に溶解可能である、請求項58に記載のシステム。
【請求項67】
前記接着パッチが、少なくとも12か月の貯蔵寿命を有する、請求項58に記載のシステム。
【請求項68】
前記接着パッチが、25℃以下で少なくとも12か月の貯蔵寿命を有する、請求項58に記載のシステム。
【請求項69】
前記接着パッチが、0℃以下で少なくとも12か月の貯蔵寿命を有する、請求項58に記載のシステム。
【請求項70】
前記接着パッチが、-20℃以下で少なくとも12か月の貯蔵寿命を有する、請求項58に記載のシステム。
【請求項71】
請求項1~70のいずれか一項に記載のシステムを備えるキットであって、
身体の1つまたは複数の指定領域へのパッチの配置、
パッチの緩やかな剥離、および
皮膚表面に対しほぼ垂直よりも大きな角度での前記パッチの剥離
のうち1つまたは複数を行うための指示書を含む包装をさらに備えるキット。
【請求項72】
前記緩やかな剥離が、約5秒ごとに約1リニアインチ未満が剥離されるものとして示される、請求項71に記載のキット。
【請求項73】
少なくとも1つの接着パッチを備えるキットであって、
前記少なくとも1つの接着パッチが、
採取領域を含む裏打ち層と、
非接着性の取扱い領域と、
ある量の皮膚試料に接着するように構成された、前記採取領域表面上の接着マトリックスと、
包装であって、
身体の1つまたは複数の指定領域へのパッチの配置、
パッチの緩やかな剥離、および
皮膚表面に対しほぼ垂直よりも大きな角度での前記パッチの剥離
のうち1つまたは複数を行うための指示書を含む包装とを含む、キット。
【請求項74】
前記緩やかな剥離が、約5秒ごとに約1リニアインチ未満が剥離されるものとして示される、請求項73に記載のキット。
【請求項75】
(a)前記裏打ち層が、病変を有するかまたは有していない皮膚の一部の形態に適合するほどの可撓性を含み、かつ、前記裏打ち層が、前記少なくとも1つの接着パッチが皮膚から離れた場合にしわへの耐性を持つような厚さを含み、
(b)前記少なくとも1つの接着パッチが、ドラフトを伴う前記非接着性の取扱い層の一部によって複数の配向に支持された場合に自己接着しないような厚さを含み、
(c)前記少なくとも1つの接着パッチから離れる抽出物および浸出物の量が、少なくとも約25cmのパッチが80%エタノール中で約3時間還流される場合に約3.0mg/cm未満であり、
(d)前記少なくとも1つの接着パッチが、該少なくとも1つの接着パッチのしわ波長に近い最長寸法を含み、ならびに
(e)前記接着マトリックスが、5℃未満のガラス転移温度を呈する感圧接着剤を含む、
のうち1つまたは複数である、請求項73に記載のキット。
【請求項76】
前記(a)、前記(b)、前記(c)、前記(d)、および/もしくは前記(e)のうち、2つ以上、3つ以上、4つ以上、または5つ以上である、請求項75に記載のキット。
【請求項77】
少なくとも1つの接着パッチを備える、皮膚試料の非侵襲的な採取および分析のためのキットであって、
前記少なくとも1つの接着パッチが、
採取領域を含む裏打ち層、
非接着性の取扱い領域、
ある量の皮膚試料に接着するように構成された、前記採取領域表面上の接着マトリックス、および
少なくとも1つの接着パッチ用の返送または貯蔵レセプタクル
を含む、キット。
【請求項78】
前記返送または貯蔵レセプタクルが乾燥剤を含む、請求項77に記載のキット。
【請求項79】
前記乾燥剤が、前記皮膚試料中のRNaseの活性を防止するように構成される、請求項78に記載のキット。
【請求項80】
前記乾燥剤が、前記皮膚試料中のDNaseの活性を防止するように構成される、請求項78に記載のキット。
【請求項81】
前記乾燥剤が、前記皮膚試料中のプロテアーゼの活性を防止するように構成される、請求項78に記載のキット。
【請求項82】
前記乾燥剤の量が、約0.5グラム~約5グラムである、請求項78に記載のキット。
【請求項83】
前記乾燥剤の量が約2グラムである、請求項82に記載のキット。
【請求項84】
前記返送または貯蔵レセプタクルが、バッグ、パウチ、またはチューブを含む、請求項77に記載のキット。
【請求項85】
前記返送または貯蔵レセプタクルが、プラスチックまたはホイルである、請求項77に記載のキット。
【請求項86】
前記返送または貯蔵レセプタクルが、密封可能である、請求項77に記載のキット。
【請求項87】
前記乾燥剤がシリカゲルである、請求項77に記載のキット。
【請求項88】
身体の1つまたは複数の指定領域への1つまたは複数のパッチの配置、
前記パッチの緩やかな剥離、および
皮膚表面に対しほぼ垂直よりも大きな角度での前記パッチの剥離
のうち1つまたは複数を行うための指示書を含む包装要素をさらに備える、請求項77に記載のキット。
【請求項89】
前記緩やかな剥離が、約5秒ごとに約1リニアインチ未満が剥離されるものとして示される、請求項88に記載のキット。
【請求項90】
皮膚試料を分析する方法であって、
請求項1~89のいずれか1つに記載のシステムまたはキットから少なくとも1つの接着パッチを受け取る工程と、
前記皮膚試料中の1つまたは複数の標的分析物を定量化する工程と
を含む方法。
【請求項91】
前記標的分析物が、RNAまたはDNAの分子である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記標的分析物が、タンパク質またはポリペプチドの分子である、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記皮膚試料中の1つまたは複数の標的分析物を定量化する工程が、発現レベルを測定することを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
前記皮膚試料の少なくとも一部から核酸を抽出する工程をさらに含む、請求項90に記載の方法。
【請求項95】
前記1つまたは複数の標的分析物が、ヒトおよび/または微生物由来である、請求項90に記載の方法。
【請求項96】
前記皮膚試料が病変を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項97】
前記皮膚試料が非病変皮膚を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項98】
前記皮膚試料が正常な皮膚を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項99】
前記少なくとも1つの接着パッチが色を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項100】
前記少なくとも1つの接着パッチの前記色が、配置場所に相当する、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記システムが、異なる色を含む少なくとも2つの接着パッチを備える、請求項99または100に記載のシステム。
【請求項102】
前記システムが、同じ色を含む少なくとも2つの接着パッチを備える、請求項99または100に記載のシステム。
【請求項103】
前記少なくとも1つの接着パッチが、1つの配置場所に適用される、請求項90~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記少なくとも1つの接着パッチが、2つ以上の配置場所に適用される、請求項90~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記少なくとも1つの接着パッチが、配置場所ごとに1回適用される、請求項90~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記少なくとも1つの接着パッチが、配置場所ごとに2回以上適用される、請求項90~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
少なくとも2つ、4つ、8つ、または少なくとも12の接着パッチの使用を含む、請求項90~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記皮膚試料中の1つまたは複数の標的分析物を定量化する工程が、少なくとも1つの核酸変異を検出することを含む、請求項90~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記皮膚試料が、環境要因に曝露された皮膚の層からサンプリングされた皮膚の大半を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記環境要因が紫外線(UV)光である、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
採取された皮膚1mmごとの前記核酸変異の数が、少なくとも10の変異を含む、請求項108~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記少なくとも1つの核酸変異がUV損傷を示す、請求項108~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
分析することが、疾患または疾病を特定することを含む、請求項108~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記疾患または疾病が、自己免疫/炎症性疾患を含む、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記自己免疫/炎症性疾患が、アトピー性皮膚炎、乾癬、または狼瘡を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記疾患または疾病が、増殖性疾患を含む、請求項113に記載の方法。
【請求項117】
前記増殖性疾患が、黒色腫、紫外線角化症、基底細胞癌、扁平上皮癌、または皮膚T細胞リンパ腫を含む、請求項116に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年6月4日出願の米国仮特許出願第63/197,212号に基づく利益、2021年12月2日出願の米国仮特許出願第63/285,328号に基づく利益、および2022年3月23日出願の米国仮特許出願第63/322,968号に基づく利益を主張し、これら仮特許出願のそれぞれは、すべての目的のために全体を参照することによって援用される。
【0002】
参照による援用
本明細書で言及される刊行物、特許、および特許出願はすべて、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願がそれぞれ参照により援用されるように具体的かつ個々に示されるのと同じ程度にまで、参照により本明細書に援用される。本明細書は、参照により援用される刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する程度にまで、このようなあらゆる矛盾の生じる題材に優先する、および/または取って代わるように意図される。
【背景技術】
【0003】
皮膚病は、ヒトに最もよく見られる病気の一部であり、ヘルスケアにおいて重要で世界規模の負担を呈する。3つの皮膚病が世界で流行している上位10位の疾患の中にあり、8つは上位50位にある。皮膚疾病は、総体的に考慮した場合、長年障害とともに生活を送る主要因の第2位から第11位にまで及ぶ。かかる皮膚関連の疾患および疾病のさらなる分析のために、皮膚の細胞または試料を非侵襲的に、有効に、かつ効率的に採取する製品とプロセスが、依然として必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書には、皮膚試料の非侵襲的な採取および分析のためのシステムが提供される。本明細書には、皮膚試料の非侵襲的な採取および分析のためのシステムであって、当該システムは、少なくとも1つの接着パッチを含む接着性の皮膚試料採取キットを備え、少なくとも1つの接着パッチが、採取領域を含む裏打ち層と、非接着性の取扱い領域と、ある量の皮膚試料に接着するように構成された、採取領域表面上の接着マトリックスとを含む、システムが提供される。さらに本明細書には、(a)裏打ち層が、病変を有するかまたは有していない皮膚の一部の形態に適合するほどの可撓性を含み、かつ、裏打ち層が、少なくとも1つの接着パッチが皮膚から離れた場合にしわへの耐性を持つような厚さを含み、(b)少なくとも1つの接着パッチが、ドラフト(draft)を伴う非接着性の取扱い層の一部によって複数の配向に支持された場合に自己接着しないような厚さを含み、(c)少なくとも1つの接着パッチから離れる抽出物および浸出物(leachables)の量が、少なくとも約25cmのパッチが80%エタノール中で約3時間還流される場合に約3.0mg/cm未満であり、(d)少なくとも1つの接着パッチが、少なくとも1つの接着パッチのしわ波長に近い最長寸法を含み、ならびに/または(e)接着マトリックスが、5℃未満のガラス転移温度を呈する感圧接着剤を含む、のうち1つ以上である、システムが提供される。さらに本明細書には、(a)、(b)、(c)、(d)、および/もしくは(e)のうち、2つ以上、3つ以上、4つ以上、または5つ以上である、システムが提供される。さらに本明細書には、少なくとも(a)である、システムが提供される。さらに本明細書には、裏打ち層が、ASTM D-882による測定時に約200~約2,000Psiの弾性率を有する、システムが提供される。さらに本明細書には、裏打ち層が、約1000~約2000Psiの弾性率を有する、システムが提供される。さらに本明細書には、裏打ち層が、約500~約1500Psiの弾性率を有する、システムが提供される。さらに本明細書には、裏打ち層が、約7~約60MPaの引張強度を有する、システムが提供される。さらに本明細書には、裏打ち層が、約30~約60MPaの引張強度を有する、システムが提供される。さらに本明細書には、裏打ち層が、約7~約15MPaの引張強度を有する、システムが提供される。さらに本明細書には、少なくとも(b)である、システムが提供される。さらに本明細書には、裏打ち層の厚さが、ASTM D6988による測定時に約2milを上回る、システムが提供される。さらに本明細書には、裏打ち層の厚さが約3~約5milである、システムが提供される。さらに本明細書には、少なくとも(c)である、システムが提供される。さらに本明細書には、少なくとも1つの接着パッチから離れる抽出物および浸出物の量が、約1.0mg/cm未満である、システムが提供される。さらに本明細書には、抽出物および浸出物の量が、GC-MSによって特徴解析される、システムが提供される。さらに本明細書には、抽出物および浸出物の量が、熱重量分析によって特徴解析される、システムが提供される。さらに本明細書には、抽出物または浸出物が、皮膚試料ではないシステムの構成要素を含む、システムが提供される。さらに本明細書には、抽出物または浸出物が、不揮発性材料、半揮発性材料、または灰を含む、システムが提供される。さらに本明細書には、接着マトリックスがポリマーを含み、不揮発性材料が、ポリマーの1つまたは複数のモノマーを含む、システムが提供される。さらに本明細書には、半揮発性材料が可塑剤または加工補助剤を含む、システムが提供される。さらに本明細書には、抽出物または浸出物がBHTを含み、BHTが、GC-MSによる測定時に約10ug/L未満である、システムが提供される。さらに本明細書には、少なくとも(d)である、システムが提供される。さらに本明細書には、最長寸法が、約10、約8、約6、約5、約4、または約3cm未満である、システムが提供される。さらに本明細書には、少なくとも(e)である、システムが提供される。さらに本明細書には、ガラス転移温度が、ASTM D3418による測定時に約-10~約-70℃である、システムが提供される。さらに本明細書には、切離しパネルをさらに備える、システムが提供される。さらに本明細書には、少なくとも1つの配置領域パネルをさらに備える、システムが提供される。さらに本明細書には、少なくとも1つの接着パッチが色を含む、システムが提供される。さらに本明細書には、少なくとも1つの接着パッチの色が、配置場所に相当する、システムが提供される。さらに本明細書には、異なる色を含む少なくとも2つの接着パッチを備える、システムが提供される。さらに本明細書には、同じ色を含む少なくとも2つの接着パッチを備える、システムが提供される。さらに本明細書には、皮膚試料の量が、細胞物質の約20ミリグラム未満、約4ミリグラム未満、または約1ピコグラム~約2000マイクログラムである、システムが提供される。さらに本明細書には、少なくとも1つの接着パッチのそれぞれにある皮膚試料の量が、パッチごとに約1ピコグラム~約500マイクログラムである、システムが提供される。さらに本明細書には、総量が約20ミリグラム未満、約10ミリグラム未満、または約5ミリグラム未満である皮膚試料を含む複数の接着パッチを備える、システムが提供される。さらに本明細書には、接着マトリックスが、180°の剥離接着力、約1.0インチ/分~約12.0インチ/分の引張速度で、ASTM D3330による測定時に約1~約30N/インチの剥離接着強度を含む、システムが提供される。さらに本明細書には、剥離接着力が約10~約20N/インチである、システムが提供される。さらに本明細書には、接着マトリックスが、アクリル、シリコーン、および炭化水素ゴムのうち1つまたは複数を含む、システムが提供される。さらに本明細書には、接着マトリックスが、アクリルおよび炭化水素ゴムを含む、システムが提供される。さらに本明細書には、アクリルが、スチレン、a-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン、メチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルメタクリレート、ビニルメタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシプロピルアクリレート、アセトアセトキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブテニルメタクリレート、マレイン酸のアリルエステル、マレイン酸のジアリルエステル、ポリ(アリルグリシジルエーテル)、アルキルクロトネート、ビニルアセテート、ジ-n-ブチルマレエート、ジ-オクチルマレエート、アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリロニトリル、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2-t-ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N-(2-メタクリロイルオキシ-エチル)エチレンウレア、およびメタクリルアミドエチルエチレンウレア、もしくはそれらの組合せを含む、システムが提供される。さらに本明細書には、炭化水素ゴムが、ブチルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチル-ビニルアセテートポリマー、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、もしくはそれらの組合せのうち1つまたは複数を含む、システムが提供される。さらに本明細書には、裏打ち層が、柔軟な、透明もしくは透過性の、および/または成形しやすい合成ポリマーを含む、システムが提供される。さらに本明細書には、合成ポリマーが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)または低密度ポリエチレン(LDPE)を含む、システムが提供される。さらに本明細書には、合成ポリマーが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、Teflon、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)、またはアセテートを含む、システムが提供される。さらに本明細書には、合成ポリマーがオレフィンのエラストマーを含む、システムが提供される。さらに本明細書には、オレフィンのエラストマーが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ビニルアセテート、ビニルアルコール、エチレンオキシド、およびプロピレンオキシドのうち1つまたは複数を含むポリマーの、共重合体または化合物を含む、システムが提供される。さらに本明細書には、柔軟な、透明もしくは透過性の、および/または成形しやすい合成ポリマーが、熱可塑性エラストマーを含む、システムが提供される。さらに本明細書には、熱可塑性エラストマーがポリエステル系エラストマーを含む、システムが提供される。さらに本明細書には、熱可塑性エラストマーが、エーテルもしくはアミドの共重合体または化合物を含む、システムが提供される。さらに本明細書には、少なくとも1つの接着パッチが、ASTM D1003による測定時に約30%未満のヘイズ値を有する、システムが提供される。さらに本明細書には、ヘイズ値が約15%未満である、システムが提供される。さらに本明細書には、裏打ち層および接着マトリックスのうち少なくとも1つが、水溶性である、システムが提供される。さらに本明細書には、少なくとも1つの接着パッチが水溶性である、システムが提供される。さらに本明細書には、裏打ち層および接着マトリックスのうち少なくとも1つが、皮膚試料の溶解中に溶解するように構成される、システムが提供される。種々の実施形態では、裏打ち層と接着マトリックスはともに水溶性である。さらに本明細書には、本明細書に記載の接着マトリックスが、少なくとも12oz/inのループ粘着性を含む、システムが提供される。さらに本明細書には、接着マトリックスが、-40~176°Fの使用温度範囲を含む、システムが提供される。さらに本明細書には、裏打ち層が、少なくとも20lb/インチの引張力を含む、システムが提供される。さらに本明細書には、裏打ち層が、少なくとも200mNの引裂強度を含む、システムが提供される。さらに本明細書には、接着パッチが、液体または溶媒などにおいて、30秒以内に溶解可能である、システムが提供される。さらに本明細書には、接着パッチが、水溶液において30秒以内に溶解可能である、システムが提供される。さらに本明細書には、接着パッチが、液体または溶媒などにおいて、30~80℃で30秒以内に溶解可能である、システムが提供される。さらに本明細書には、接着パッチが、水溶液において30~80℃で30秒以内に溶解可能である、システムが提供される。さらに本明細書には、接着パッチが、少なくとも12か月の貯蔵寿命を有する、システムが提供される。
【0005】
本明細書には、本明細書に記載のシステムを備えるキットであって、身体の1つまたは複数の指定領域への1つまたは複数のパッチの配置、皮膚上の障害を囲む部位の判別、パッチの緩やかな剥離、および皮膚表面に対しほぼ垂直よりも大きな角度でのパッチの剥離のうち1つまたは複数を行うための指示書を含む包装要素をさらに備えるキットが提供される。さらに本明細書には、緩やかな剥離が、約5秒ごとに約1リニアインチ未満が剥離されるものとして示される、キットが提供される。
【0006】
本明細書には、少なくとも1つの接着パッチを備えるキットであって、少なくとも1つの接着パッチが、採取領域を含む裏打ち層と、非接着性の取扱い領域と、ある量の皮膚試料に接着するように構成された、採取領域表面上の接着マトリックスと、包装であって、身体の特定部分(例えば、前頭、頬、および/または顎などの顔面)に対する少なくとも1つのパッチの適用、皮膚上の障害を囲む部位の判別、パッチの緩やかな剥離、および皮膚表面に対しほぼ垂直よりも大きな角度でのパッチの剥離のうち1つまたは複数を行うための指示書を含む包装とを備える、キットが提供される。さらに本明細書には、緩やかな剥離(slowly)が、約5秒ごとに約1リニアインチ未満が剥離されるものとして示される、キットが提供される。さらに本明細書には、(a)裏打ち層が、皮膚の一部の形態に適合するほどの可撓性を含み、かつ、裏打ち層が、少なくとも1つの接着パッチが皮膚から離れた場合にしわへの耐性を持つような厚さを含み、(b)少なくとも1つの接着パッチが、ドラフトを伴う非接着性の取扱い層の一部によって複数の配向に支持された場合に自己接着しないような厚さを含み、(c)少なくとも1つの接着パッチから離れる抽出物および浸出物の量が、少なくとも約25cmのパッチが80%エタノール中で約3時間還流される場合に約3.0mg/cm未満であり、(d)少なくとも1つの接着パッチが、少なくとも1つの接着パッチのしわ波長に近い最長寸法を含み、ならびに/または(e)接着マトリックスが、5℃未満のガラス転移温度を呈する感圧接着剤を含む、のうち1つ以上である、キットが提供される。さらに本明細書には、(a)、(b)、(c)、(d)、および/もしくは(e)のうち、2つ以上、3つ以上、4つ以上、または5つ以上である、キットが提供される。さらに本明細書には、皮膚の一部が病変を含む、キットが提供される。さらに本明細書には、皮膚の一部が非病変皮膚を含む、キットが提供される。さらに本明細書には、皮膚の一部が正常な皮膚を含む、キットが提供される。
【0007】
本明細書には、皮膚試料の非侵襲的な採取および分析のためのキットであって、該キットは、少なくとも1つの接着パッチを備え、少なくとも1つの接着パッチが、採取領域を含む裏打ち層と、非接着性の取扱い領域と、ある量の皮膚試料に接着するように構成された、採取領域の表面上の接着マトリックスとを備える、キットが提供される。いくつかの実施形態では、本キットは、少なくとも2~16の接着パッチ、例えば、少なくとも2つの接着パッチ、少なくとも4つの接着パッチ、少なくとも8つの接着パッチ、少なくとも12の接着パッチ、少なくとも14の接着パッチ、少なくとも16の接着パッチ、またはそれらの間にあるいずれかの数のパッチを含む。いくつかの実施形態では、本キットは、少なくとも1つの接着パッチを受けるようにサイズ調整かつ成形された、返送(return)または貯蔵レセプタクルをさらに備える。いくつかの実施形態では、返送または貯蔵レセプタクルは、乾燥剤を含む。さらに本明細書には、乾燥剤が、少なくとも1つの接着パッチに接着された皮膚試料におけるRNaseの活性を防止するように構成される、キットが提供される。さらに本明細書には、乾燥剤が、少なくとも1つの接着パッチに接着された皮膚試料におけるDNaseの活性を防止するように構成される、キットが提供される。さらに本明細書には、乾燥剤が、少なくとも1つの接着パッチに接着された皮膚試料におけるプロテアーゼの活性を防止するように構成される、キットが提供される。さらに本明細書には、乾燥剤の量が、約0.5グラム~約5グラムである、キットが提供される。さらに本明細書には、乾燥剤の量が約2グラムである、キットが提供される。さらに本明細書には、返送または貯蔵レセプタクルが、バッグ、パウチ、またはチューブを含む、キットが提供される。さらに本明細書には、返送レセプタクルが、プラスチックまたはホイルである、キットが提供される。さらに本明細書には、返送レセプタクルが密閉可能である、キットが提供される。さらに本明細書には、乾燥剤がシリカゲルである、キットが提供される。さらに本明細書には、身体の特定部分(例えば、前頭、頬、および/または顎などの顔面)に対する少なくとも1つのパッチの適用、皮膚上の障害を囲む部位の判別、パッチの緩やかな剥離、および皮膚表面に対しほぼ垂直よりも大きな角度でのパッチの剥離のうち1つまたは複数を行うための指示書を含んだ包装をさらに備える、キットが提供される。さらに本明細書には、緩やかな剥離が、約5秒ごとに約1リニアインチ未満が剥離されるものとして示される、キットが提供される。
【0008】
本明細書には、皮膚試料を分析する方法であって、本明細書に記載のシステムまたはキットから少なくとも1つの接着パッチを受ける工程と、皮膚試料中の1つまたは複数の標的分析物の発現レベルを定量化する工程とを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、標的分析物は遺伝子である。他の実施形態では、標的分析物はタンパク質である。さらに本明細書には、皮膚試料の少なくとも一部から核酸を抽出する工程をさらに含む、方法が提供される。さらに本明細書には、皮膚試料が病変を含む、方法が提供される。さらに本明細書には、皮膚試料が非病変皮膚を含む、方法が提供される。さらに本明細書には、皮膚試料が正常な皮膚を含む、方法が提供される。さらに本明細書には、標的分析物が、RNAまたはDNAの分子である、方法が提供される。さらに本明細書には、標的分析物が、タンパク質またはポリペプチドの分子である、方法が提供される。さらに本明細書には、皮膚試料中の1つまたは複数の標的分析物を定量化することが、発現レベルを測定することを含む、方法が提供される。さらに本明細書には、皮膚試料の少なくとも一部から核酸を抽出する工程をさらに含む、方法が提供される。さらに本明細書には、1つまたは複数の標的分析物が、ヒトおよび/または微生物由来である、方法が提供される。さらに本明細書には、少なくとも1つの接着パッチが色を含む、方法が提供される。さらに本明細書には、少なくとも1つの接着パッチの色が、配置場所に相当する、方法が提供される。さらに本明細書には、異なる色を含む少なくとも2つの接着パッチを備える、方法が提供される。さらに本明細書には、同じ色を含む少なくとも2つの接着パッチを備える、方法が提供される。
【0009】
さらに本明細書には、少なくとも1つの接着パッチが、1つの配置場所に適用される、方法が提供される。さらに本明細書には、少なくとも1つの接着パッチが、2つ以上の配置場所に適用される、方法が提供される。さらに本明細書には、少なくとも1つの接着パッチが、配置場所ごとに1回適用される、方法が提供される。さらに本明細書には、少なくとも1つの接着パッチが、配置場所ごとに2回以上適用される、方法が提供される。さらに本明細書には、少なくとも2つ、4つ、8つ、または少なくとも12の接着パッチの使用を含む、方法が提供される。さらに本明細書には、皮膚試料中の1つまたは複数の標的分析物を定量化することが、少なくとも1つの核酸変異を検出することを含む、方法が提供される。さらに本明細書には、皮膚試料が、環境要因に曝露された皮膚の層からサンプリングされた皮膚の大半を含む、方法が提供される。さらに本明細書には、環境要因が紫外線(UV)光である、方法が提供される。さらに本明細書には、採取された皮膚のmmごとの核酸変異の数が、少なくとも10の変異を含む、方法が提供される。さらに本明細書には、少なくとも1つの核酸変異がUV損傷を示す、方法が提供される。さらに本明細書には、分析することが、疾患または疾病を特定することを含む、方法が提供される。さらに本明細書には、疾患または疾病が、自己免疫/炎症性疾患を含む、方法が提供される。さらに本明細書には、自己免疫/炎症性疾患が、アトピー性皮膚炎、乾癬、または狼瘡を含む、方法が提供される。さらに本明細書には、疾患または疾病が、増殖性疾患を含む、方法が提供される。さらに本明細書には、増殖性疾患が、黒色腫、紫外線角化症、基底細胞癌、扁平上皮癌、または皮膚T細胞リンパ腫を含む、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に記載の対象物の新規かつ進歩性のある特徴は、とりわけ添付の特許請求の範囲により説明される。本発明の特徴と利点は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態および添付の図面を説明する、以下の詳細な説明を参照することによりさらに良く理解されるであろう。
【0011】
図1】皮膚損傷を含む皮膚採取領域の清浄化を例示する図である。
図2】4つの接着パッチを含む剥離可能な切離しパネルと、除去可能なライナを含む配置領域パネルと、透明または透過性パネルとを備える、三つ折り式の皮膚試料採取具を例示する図である。
図3】三つ折り式の皮膚試料採取具の剥離可能な切離しパネルの一番左側に位置決めされた第1の接着パッチの除去を例示する図である。
図4】皮膚病変を含む清浄化された皮膚採取領域に位置決めされた接着パッチを例示する図である。
図5】円運動を行いながら、皮膚サンプリング領域に位置決めされた接着パッチを堅く押圧することを例示する図である。
図6】接着パッチ上で皮膚損傷を含む部位を判別することを例示する図である。
図7】三つ折り式の皮膚試料採取具の配置領域パネル上に、皮膚試料を含む使用済み接着パッチを配することを例示する図である。
図8】接着性の皮膚試料採取キットを例示する図である。
図9A】乾燥剤とともに、または乾燥剤なしでの、核酸を含むパッチのバッグ内の貯蔵を例示する図である。
図9B】各試料が貯蔵前に分割された、乾燥剤とともに、または乾燥剤なしでの、核酸を含むパッチのバッグ内の貯蔵を例示する図である。
図10A】乾燥剤なしの湿度チャンバ、ならびに1、4、および10の乾燥剤パウチを備えた湿度チャンバ中、-80℃(To Frozen)で貯蔵された接着パッチを含めて異なる条件下、密封可能なプラスチックバッグ(ハッチング線なし)またはホイルバッグ(ハッチング線付きのバー)に2日間(48時間)貯蔵された接着パッチ上の乾燥細胞から単離される総RNA収量のグラフを例示する図である。
図10B】時間ゼロ対48時間の異なる貯蔵条件と比較した変化%のグラフを例示する図である。
図11】多湿チャンバ(70%の湿度)中で2、10、および20日間、4つの乾燥剤パウチ(正方形)とともに、および乾燥剤パウチなし(菱形、対照)でホイルバッグに貯蔵された試料からのRNA収量変化の、抽出したばかり(0日目)の試料からのRNA収量と比較したパーセンテージ(倍率)のグラフを例示する図である。
図12A】対象12名(ヒトボランティア)の皮膚から採取した皮膚パッチから単離される総RNA収量のグラフを例示する図である。
図12B】対象ごとに、%=(乾燥剤ありのRNA収量-乾燥剤なしのRNA収量)/乾燥剤なしのRNA収量として算出される、2つの条件(乾燥剤とともに貯蔵、および乾燥剤なしで貯蔵)間でのRNA収量変化の%のグラフを例示する図である。
図13】湿度チャンバ中で2、10、および20日間、(バッグごとに)4つの乾燥剤パウチとともにホイルバッグに貯蔵されたパッチからのRNA収量利得の、乾燥剤なしのバッグに貯蔵された対応物と比較した%のグラフを例示する図である。
図14A】皮膚試料の取得後のパッチの一例を例示する図である。パッチにおいてしわをほとんど~全く視認できない。
図14B】皮膚試料の取得後のパッチの一例を例示する図である。パッチにおいてしわを視認できる。
図14C】皮膚試料の取得後のパッチの別の例を例示する図である。パッチにおいてしわを視認できる。
図15】上背の選択部位にある14のサンプリングテープの例証的な位置を例示する図である。
図16A】4つの連続するテープを剥がす前後のTEWLおよびSCHのレベルのグラフを例示する図である。棒グラフは、すべてのテープの平均値を表す(N=14)。
図16B】本明細書に記載のテープの実施特性に関するグラフを例示する図である。D-Squame skin sampling disc(CuDerm Corp、本明細書中では「DSQ」)を、比較対照デバイス(T14)として使用した。全体を参照することで本明細書に援用される共同所有の国際公開第2016/179043号に記載される例、変形、または実施形態などの皮膚試料採取具を、比較対照デバイス(T13または「CC」)として使用した。図16Bは、テープ個々における剥離後のTEWL値を例示する(N=21)。障壁破壊のカットオフ値30g/m/hは、水平線で示される。D-Squame skin sampling disc(CuDerm Corp、本明細書中では「DSQ」)を、比較対照デバイス(T14)として使用した。全体を参照することで本明細書に援用される共同所有の国際公開第2016/179043号に記載される例、変形、または実施形態などの皮膚試料採取具を、比較対照デバイス(T13または「CC」)として使用した。
図16C】本明細書に記載のテープの実施特性に関するグラフを例示する図である。D-Squame skin sampling disc(CuDerm Corp、本明細書中では「DSQ」)を、比較対照デバイス(T14)として使用した。全体を参照することで本明細書に援用される共同所有の国際公開第2016/179043号に記載される例、変形、または実施形態などの皮膚試料採取具を、比較対照デバイス(T13または「CC」)として使用した。図16Cは、テープごとの総RNA収量(pg)に関する平均値のグラフを例示する図である(N=21)。
図16D】本明細書に記載のテープの実施特性に関するグラフを例示する図である。D-Squame skin sampling disc(CuDerm Corp、本明細書中では「DSQ」)を、比較対照デバイス(T14)として使用した。全体を参照することで本明細書に援用される共同所有の国際公開第2016/179043号に記載される例、変形、または実施形態などの皮膚試料採取具を、比較対照デバイス(T13または「CC」)として使用した。図16Dは、テープごとの総DNA収量(pg)に関する平均値のグラフを例示する図である(N=21)。
図16E】本明細書に記載のテープの実施特性に関するグラフを例示する図である。D-Squame skin sampling disc(CuDerm Corp、本明細書中では「DSQ」)を、比較対照デバイス(T14)として使用した。全体を参照することで本明細書に援用される共同所有の国際公開第2016/179043号に記載される例、変形、または実施形態などの皮膚試料採取具を、比較対照デバイス(T13または「CC」)として使用した。図16Eは、21の対象コホートでのRNA(左)およびDNA(右)収量値の、正常に分布された個体群(点線の対角線)と比較した分布を示す、QQプロットを例示する図である。
図16F】本明細書に記載のテープの実施特性に関するグラフを例示する図である。D-Squame skin sampling disc(CuDerm Corp、本明細書中では「DSQ」)を、比較対照デバイス(T14)として使用した。全体を参照することで本明細書に援用される共同所有の国際公開第2016/179043号に記載される例、変形、または実施形態などの皮膚試料採取具を、比較対照デバイス(T13または「CC」)として使用した。図16Fは、テープ5~14の結果を示す、対象7のRNA電気泳動図の視覚表現を例示する図である。帯域の強度は収量と相関する。対象7は、平均よりも高いRNA完全性を示した。
図16G】様々な対象間の平均収量の差を示す棒グラフを例示する図である。一元配置分散分析群(ノンパラメトリックのクラスカル=ウォリス検定)により、0.0001未満のp値を得た。
図17A】試料からの20%エタノール抽出に関するGC-MSクロマトグラムの重なりを例示する図である(丸囲み部分:約31分での試料2の明瞭なピーク)。X軸は、0.5分間隔で24.50~31.00と標識される。
図17B】試料からの20%エタノール抽出に関するGC-MSクロマトグラムの重なりを例示する図である(丸囲み部分:18.6分で試料3、19.6分で試料10、21分で試料1)。X軸は、0.5分間隔で17.50~22.50と標識される。
図17C】試料からの20%エタノール抽出に関するGC-MSクロマトグラムの重なりを例示する図である。丸囲み部分:10.1分で試料1を除くすべての試料(試料1との個別の重なりによって確認)、10.8分で試料3、試料7、試料8、および試料9(試料1との個別の重なりによって確認)、12.8分で試料5、ならびに14.9分で試料8。X軸は、0.5分間隔で10.00~15.00と標識される。
図17D】試料からの20%エタノール抽出に関するGC-MSクロマトグラムの重なりを例示する図である(丸囲み部分:16.2分および21分で試料1、25.5~26.5分で試料2、試料3、試料4、および試料6(試料1との個別の重なりによって確認))。X軸は、0.5分間隔で16.00~26.00と標識される。
図18】接着厚さ(mil)に応じた剥離強度(N/in)のグラフを例示する図である。傾向線は、y=10.421×0.7216、R=0.7563として標識する。
図19】接着厚さ(mil)に応じた粘着力(cm)のグラフを例示する図である。傾向線は、y=8.0016×-1.498、R=0.8828として標識する。
図20】参加者(Panelist)#2の上腕に配されたテープ01上での重度のしわ形成の一例を例示する図である。
図21A】裏打ちシートの厚さ(mil)に応じたしわの数のグラフを例示する図である。
図21B】接着層の厚さ(mil)に応じたしわの数のグラフを例示する図である。
図22A】裏打ちシートの厚さ(mil)に応じた不快感のレーティングのグラフを例示する図である。
図22B】接着剤の厚さ(mil)に応じた不快感のレーティングのグラフを例示する図である。
図23】縦断色素性病変アッセイ試験における組入れとベースライン人口統計のグラフを示す。グラフ中の棒の各組において、左側の棒は合計の試料を表し、右側の棒は使用可能な試料を表す。
図24】テープT14、T13、T7、およびT12のサイクル閾値に応じた、4つの異なる遺伝子LINC00518、ACTB、PRAME、およびPPIAの発現に関する各試料の比較を示す図である。D-Squame skin sampling disc(CuDerm Corp、本明細書中では「DSQ」)を、さらに比較対照デバイス(T14)として使用した。全体を参照することで本明細書に援用される共同所有の国際公開第2016/179043号に記載されるような例、変形例、または実施形態などの皮膚試料採取具も、比較対照デバイスとして使用した(T13または「CC」)。
図25】試料の採取領域を増加させ得る、種々のテープ形状を示す図である。
図26】皮膚サンプリング後にテープT7およびT12から抽出された総タンパク質の量(mg/mL)のグラフを例示する図である。健康なボランティア10名から、部位ごとに4つのテープで試料を採取した。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書では、皮膚試料を採取するための組成物、デバイス、方法、およびシステムが提供される。さらに本明細書では、皮膚試料採取のための非侵襲的なパッチ剥離方法が提供される。さらに本明細書では、いくつかの例で、より多くのサンプリング収量、患者の快適さ、使用の容易さ、および/またはその他の改善をもたらす、接着剤、材料、および他の成分が提供される。
【0013】
皮膚試料採取システム
本明細書では、皮膚試料を採取するためのシステムおよびデバイス(皮膚試料採取具)が提供される。いくつかの例では、皮膚試料採取具(またはシステム)は、1つまたは複数の接着パッチ(テープ、ステッカー、ストリップ、または他の採取具)を備える。いくつかの例では、接着パッチは、裏打ち層、接着マトリックス、および非侵襲的な取扱い領域のうち1つまたは複数を備える。いくつかの例では、皮膚試料採取具は、切離しパネル、個々のライナ、配置領域、および個々のパネルのうちの1つまたは複数を備える。いくつかの例では、デバイスは、最適な剥離接着性、裏打ちフィルムの弾性、抽出物、寸法、材料、機能的結果、またはそれらの組合せのために構成される。いくつかの例では、裏打ち層は、皮膚の一部分の形態に適合するほどの可撓性および/または弾性を備え、このとき裏打ち層は、少なくとも1つの接着パッチがしわに抵抗するような厚さを備える。いくつかの例では、裏打ち層は、少なくとも1つの接着パッチがしわに抵抗するような、寸法、可撓性、および/または弾性の組合せを備える。しわは、パッチが皮膚上にある場合のしわなど、静力学的な(static)しわであり得る。しわは、少なくとも1つの接着パッチが皮膚から離れた場合のしわなど、動力学的な(dynamic)しわであり得る。いくつかの例では、少なくとも1つの接着パッチは、ドラフトを伴う非接着性の取扱い層の一部によって複数の配向に支持された場合に自己接着しないような厚さを含む。いくつかの例では、少なくとも1つの接着パッチから離れる抽出物および浸出物の量は、核酸などの標的分析物の分析を改善するために最小限とされる。いくつかの例では、少なくとも1つの接着パッチは、少なくとも1つの接着パッチのしわ波長に近い最長寸法を含む。いくつかの例では、接着マトリックスは、5℃未満のガラス転移温度を呈する感圧接着剤を含む。いくつかの例では、皮膚の一部分は、病変(損傷(lesional))を含むか、非病変皮膚を含むか、または正常な皮膚を含む。
【0014】
接着性の皮膚試料採取具の接着パッチは、典型的に裏打ち層を備える。いくつかの例では、裏打ち領域は、接着マトリックスを備える第1の採取領域と、第1の採取領域の周囲から延在する第2の領域とを備える。接着マトリックスは、第1の採取領域の、皮膚に面する表面上に位置する。第2の領域は、接着パッチの適用および除去に適したタブ(すなわち、非接着性の取扱い領域)として機能する。このタブは、接着パッチを皮膚表面に適用しながらも、適用者が第1の採取領域のマトリックス材料と接触しないほどのサイズである。いくつかの実施形態では、接着パッチは、第2の領域タブを包含しない。いくつかの例では、接着パッチは、使用前の接着マトリックスの汚染を低減するべく、手袋で取り扱われる。いくつかの例では、裏打ちは合成ポリマーを含む。いくつかの例では、裏打ちは、柔軟な、透明もしくは透過性の、および/または成形しやすい合成ポリマーを含む。
【0015】
裏打ち層は、剛性または可撓性を制御する、あらゆる材料または複数の材料の混合物を含み得る。理論に縛られるものではないが、裏打ち層は、あらゆるサイズまたは形状の病変に対するパッチの適切な順応を可能にするため、剥離/採取中の細胞物質の除去がより高度となる。いくつかの例では、裏打ち層の厚さまたは剛性は、剥離中の静力学的なしわ、またはスリップスティックパターンに起因する変形を防止するように構成される。いくつかの実施形態では、裏打ち層は、ポリウレタンキャリアフィルムを含む。本明細書に記載のパッチは、所望のサンプリング特性(例えば、厚さ、パフォーマンス、患者の快適さ、またはその他の特性)をもたらす任意数の材料を含み得る。
【0016】
裏打ち層は、裏打ち層のしわを軽減するように選択された、材料または複数の材料の混合物を含み得る。裏打ち層のしわは、しわのパターンによって特徴付けられる場合がある。場合により、しわのパターンは規則的なパターンであり得る。しわパターンは不規則であってもよい。しわのパターンは、しわ波長(例えば、平均波長)によって特徴付けられる場合もある。しわ波長は、しわにおける後続のピークまたは後続のトラフ間の距離(例えば、平均距離)であり得る。いくつかの例では、しわは、より堅いテープが典型的により柔らかい皮膚に適用される場合に皮膚に形成される周期的(および永続的(standing))な波状構造のピーク点間における平均距離を含む。平均波長は、テープの長さに対するピーク間の平均距離から判定されてもよい。しわは静力学的でも動力学的でもよい。静力学的なしわは、接着剤を含む裏打ち層が表面(例えば、皮膚)に接着される場合に生じ得る。動力学的なしわは、裏打ち層の剥離中に生じ得る。いくつかの例では、しわ波長は、パッチの長さの50%、70%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%など、パッチの長さに近似する。いくつかの例では、しわは、より可撓性の高い裏打ち層の使用によって増加する。いくつかの例では、少なくとも1、2、3、4、5、6mil、または6mil超の裏打ち層によって、しわが低減される。
【0017】
場合により、動力学的なしわは、剥離中の裏打ち層の粘着と滑りによって生じ得る。接着剤を含む裏打ち層を剥離するプロセスは、動力学的な粘着および滑りを含み得る。例えば、ユーザが可能な限り滑らかに裏打ち層を剥がそうとしても、剥離が止まり、粘着および滑りの作用が生じ始める場合がある。例えば、粘着の間、弾性の位置エネルギーは、接着剤およびテープの屈曲部に蓄えられる場合がある。場合により、テープと接着剤は、ともに伸張されるとエネルギーを蓄えるばねのように作用し得る。滑りの間、位置エネルギーは運動エネルギーに変換され得る。粘着と滑りは、微視的な長さ規模(例えば、数ミクロン以上程度の長さ規模)でも生じ得る。粘着と滑りは、剥離工程中に欠陥(例えば、しわ)をもたらす場合がある。理論に縛られることは望まれなないが、スティックスリップパターンの周波数は、いくつかの例では、パッチ厚さの平方根とともに減少する。例えば、裏打ちシートの弾性率は、1/6の指数をもたらす立方根の平方根(すなわち、λ~Et1/6)によって、しわ波長を少なくとも部分的に統制する場合がある。
【0018】
粘着と滑りをもたらすパラメータには、皮膚の弾性、裏打ち層の弾性、接着剤の強度、およびテープの長さや幅などの幾何学的パラメータが含まれ得る。これらのパラメータのうち1つまたは複数は、裏打ち層内のしわパターンの波長と周波数に影響を及ぼす場合がある。皮膚弾性は、粘着(stick)に蓄えられた位置エネルギーに関連し得る。例えば、弾性の高い皮膚は、粘着中により大きな位置エネルギーを蓄えると、より大きな距離を滑る場合がある。裏打ち層の弾性は、粘着に蓄えられた位置エネルギーに関連し得る。例えば、弾性の高い裏打ち層は、粘着中により大きな位置エネルギーを蓄えると、より大きな距離を滑る場合がある。接着剤は、粘着に蓄えられた位置エネルギーに関連し得る。例えば、より強力な接着剤は、粘着中により大きな位置エネルギーを蓄えると、より大きな距離を滑る場合がある。いくつかの例では、取り付けられた部分を分離された部分へと分割する線である分離前線は、滑りの間に直線でなくてもよい。例えば、剥離が裏打ち層の長さに沿っている場合、滑りは裏打ち層の幅に沿って伝播し得る。したがって、幅の広いテープでは、滑りの動力学を変化させることによって、かつ/または剥離軸に沿って剥離される単位距離ごとの剥離に対する位置エネルギーを増加させることによって、テープのしわ特性を変化させる場合がある。いくつかの例では、しわ波長は、数センチメートル程度であり得る。裏打ち層よりも長いしわ波長によって、動力学的なしわが軽減され得る。
【0019】
静力学的なしわは、接着パッチが皮膚に取り付けられる場合に生じ得る。場合により、静力学的なしわは、接着剤がかける面内力に起因する、軟質基部(例えば、皮膚)の収縮の程度と、より硬質の表面(例えば、テープの裏打ち層)の収縮の程度との間における不整合によって生じ得る。静力学的なしわをもたらすパラメータには、皮膚の弾性、裏打ち層の弾性、接着剤の強度、およびテープの長さや幅などの幾何学的パラメータが含まれ得る。これらのパラメータのうち1つまたは複数は、裏打ち層内のしわパターンの波長と周波数に影響を及ぼす場合がある。軟質基部の収縮の程度は、軟質基部の弾性に関連し得る。より硬質の表面の収縮の程度は、裏打ち層の弾性に関連し得る。収縮の程度間での不整合は、剥離に変形(例えば、しわ)をもたらす場合がある。変形は振幅によって特徴付けられる場合がある。収縮の程度間での不整合は、静力学的なしわを生じさせ得る。静力学的なしわの周波数は、裏打ち層の厚さと強く相関し得る。いくつかの例では、しわ波長は、数センチメートル程度であり得る。裏打ち層よりも長いしわ波長によって、静力学的なしわが軽減され得る。場合により3mil以上の厚さを有する裏打ち層により、数センチメートルのしわ波長が得られる場合がある。
【0020】
いくつかの実施形態では、しわ波長は、静力学的および/または動力学的なしわを軽減するように構成される。いくつかの例では、しわ波長は、数センチメートル程度であり得る。裏打ち層よりも長いしわ波長により、しわが軽減され得る。皮膚に適用されるパッチよりも長いしわ波長により、しわが軽減され得る。しわ波長は、例えば、限定されないが、約19mm、約20mm、約21mm、約22mm、約23mm、約24mm、約25mm、約30mm、約35mm、約40mm、約45mm、約50mm、約55mm、約60mm、約65mm、約70mm、約75mm、約80mm、約85mm、約90mm、および約100mm以上の長さを含み得る。
【0021】
いくつかの例では、本明細書に記載のパッチは、裏打ち層を備え得る。いくつかの実施形態では、裏打ち層は、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、LPDE(低密度ポリエチレン)、PET(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、Teflon、ポリイミド、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PVB(ポリビニルブチラール)、PVOH(ポリ(ビニルアルコール))、PVP(ポリ(ビニルポリピロリドン))セルロースブチレート、セルロースアセテート、もしくはこれらの混合物のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、裏打ち層は、TPU(熱可塑性ポリウレタン)およびLPDE(低密度ポリエチレン)を含む。いくつかの実例では、柔軟な、透明もしくは透過性の、かつ成形しやすい合成ポリマーは、オレフィンのエラストマーを含む。いくつかの例では、オレフィンのエラストマーは、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ビニルアセテート、ビニルアルコール、エチレンオキシド、およびプロピレンオキシドのうち1つまたは複数を含むポリマーの、共重合体または化合物を含む。いくつかの例では、柔軟な、透明もしくは透過性の、かつ成形しやすい合成ポリマーは、熱可塑性エラストマーを含む。いくつかの例では、熱可塑性エラストマーはポリエステル系エラストマーを含む。いくつかの例では、熱可塑性エラストマーは、エーテルもしくはアミドの共重合体または化合物を含む。
【0022】
いくつかの例では、可撓性は、裏打ち層、接着マトリックス、またはその両方の特性によって制御される。いくつかの例では、パッチは、非定型/三次元の形態に付着するように構成される。いくつかの例では、パッチは、剥離/切離し後のパッチのしわを最小限に抑えるか、または回避しつつ、病変の形態構造に接触するための適合性/可撓性を含む。いくつかの例では、裏打ち層の可撓性と厚さは、身体の一部(例えば、身体の凹状もしくは凸状部分)および/またはあらゆるサイズもしくは形状の病変上でのパッチの適切な適合をもたらし、これにより、剥離/採取中の皮膚細胞がより高度に除去される。いくつかの例では、サイズは、5、4、3、2、1.5、1、0.8、0.7、0.5、0.3、0.2、または0.1平方センチメートル以下である。いくつかの例では、可撓性は、XLW(EC)Auto Tensile Tester(Labthink Instrument Inc)によるASTM D882またはASTM D1938の方法を使用して測定される。いくつかの例では、裏打ち層の厚さは、7、6、5、4、3、2.5、2.0、1.5、1.25、1、0.8、0.7、0.6、0.5、0.3、0.2、または0.1mil以下である。いくつかの例では、裏打ち層の厚さは、約7、6、5、4、3、2.5、2.0、1.5、1.25、1、0.8、0.7、0.6、0.5、0.3、0.2、または約0.1milである。いくつかの例では、裏打ち層の厚さは、0.1~5、0.1~4、0.1~3、0.1~2、0.1~1、0.5~4、0.5~3、1~5、2~7、3~5、3~10、または1~2milである。いくつかの例では、LDPまたはTPUのうち1つまたは複数を含む裏打ち層は、少なくとも1、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、または6milを超える厚さを有する。
【0023】
いくつかの例では、弾性は、裏打ち層、接着マトリックス、またはその両方の特性によって制御される。いくつかの例では、パッチは、非定型/三次元の形態に付着するように構成される。いくつかの例では、パッチは、剥離/切離し後のパッチのしわを最小限に抑えるか、または回避しつつ、病変の形態構造に接触するための弾性を含む。弾性は弾性率によって特徴付けられる場合がある。いくつかの例では、裏打ち層は、ASTM D-882による測定時に約200~約2,000Psiの弾性率を有する。いくつかの例では、裏打ち層は、約250、500、750、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、3000、3250、3500、または約4000Psiの弾性率を有する。いくつかの例では、裏打ち層は、約1000~約2000Psi、約500~約3000Psi、約250~約2000Psi、約400~約2000Psi、約500~約1500Psi、約750~約2000Psi、約1000~約3000Psi、約1000~約4000Psi、約2000~約4000Psi、または約500~約2500Psiの弾性率を有する。いくつかの例では、裏打ち層は、約7~約60MPa、約5~約60MPa、約10~約60MPa、約20~約80MPa、約30~約60MPa、約5~約30MPa、約5~約20MPa、または約7~約15MPaの引張強度を有する。いくつかの例では、裏打ち層は、100~1000%、100~750%、100~500%、150~500%、200~1000%、400~600%、400~800%、500~1000%、750~1000%、または750~1500%の伸びを有する。いくつかの例では、引張強度および/または伸びは、CD(横断方向)またはMD(機械方向)試験値を用いて測定される。
【0024】
本明細書に記載の接着パッチは、接着マトリックスを備え得る。いくつかの実施形態では、接着マトリックスは、合成ゴム化合物で構成される。いくつかの実施形態では、接着マトリックスは、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)線状ブロック共重合体化合物である。いくつかの例では、接着パッチは、ラテックス、シリコーン、またはその両方を含まない。いくつかの例では、接着パッチは、接着材料を液体-溶媒混合物として第1の採取領域に適用し、続いて溶媒を除去することによって製造される。いくつかの例では、接着マトリックスは、アクリル、シリコーン、および炭化水素ゴム(ブチルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチル-ビニルアセテートポリマー、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴムなど)のうちの1つもしくは複数、またはそれらの組合せを含む。いくつかの例では、接着マトリックスの粘着性(tack)は、XLW(EC)Auto Tensile Tester(Labthink Instrument Inc)を使用してASTM D1876によって測定される。いくつかの例では、接着マトリックスは、2000、1500、1000、900、800、700、600、500、400、300、200、または150g/m/24時間以下の疎水性を含む。いくつかの例では、疎水性は、直立MVTR(水蒸気透過率)または逆位MVTRとして測定される。いくつかの例では、疎水性は、ASTM E96-80を使用して測定される。いくつかの例では、パッチ(接着マトリックスを含む)は、2000、1500、1000、900、800、700、600、500、400、300、200、または150g/m/24時間以下の疎水性を含む。いくつかの例では、接着マトリックスは、剥離接着力、または、接着剤マトリックスを含むパッチを除去するときにかかる力を含む。いくつかの例では、剥離接着力は、所望の量の細胞物質が皮膚から除去されるが、患者に皮膚損傷も不快感も生じさせない場合に最適である。いくつかの例では、剥離接着力は、ASTM D3330を使用して測定される。いくつかの例では、剥離接着力は、PSTC-1を使用して測定される。いくつかの例では、剥離接着力は、1~40、1~30、1~20、5~30、5~25、5~20、5~15、3~15、3~12、10~20、5~30、15~30、または3~10ニュートン/インチである。いくつかの例では、剥離接着力は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、または少なくとも35ニュートン/インチである。いくつかの例では、剥離接着力は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、または35ニュートン/インチ以下である。いくつかの例では、剥離接着力は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、または約35ニュートン/インチである。いくつかの例では、接着マトリックスは、180°の剥離接着力、約1.0インチ/分~約12.0インチ/分の引張速度でASTM D3330による測定時に、約1~40、1~30、1~20、5~30、5~25、5~20、5~15、3~15、3~12、10~20、5~30、15~30、または約3~10の剥離接着強度を含む。いくつかの例では、接着マトリックスは、180°の剥離接着力、約4.0インチ/分~約16.0インチ/分の引張速度でASTM D3330による測定時に、約1~40、1~30、1~20、5~30、5~25、5~20、5~15、3~15、3~12、10~20、5~30、15~30、または約3~10の剥離接着強度を含む。いくつかの例では、接着マトリックスは、180°の剥離接着力、約0.5インチ/分~約8インチ/分の引張速度でASTM D3330による測定時に、約1~40、1~30、1~20、5~30、5~25、5~20、5~15、3~15、3~12、10~20、5~30、15~30、または約3~10の剥離接着強度を含む。いくつかの例では、接着マトリックスは感圧接着剤を含む。いくつかの例では、感圧接着剤は、20℃、15℃、10℃、7℃、6℃、5℃、4℃、3℃未満、または2℃未満のガラス転移温度を呈する。いくつかの例では、感圧接着剤は、1~20℃、1~15℃、1~10℃、1~7℃、3~8℃、4℃~6℃、または4℃~10℃のガラス転移温度を呈する。いくつかの例では、感圧接着剤は、約20℃、15℃、10℃、7℃、6℃、5℃、4℃、3℃、または約2℃のガラス転移温度を呈する。いくつかの例では、接着剤の感圧粘着性が測定される。いくつかの例では、接着剤の感圧粘着性は、ASTM D2979を使用して測定される。いくつかの例では、接着剤の感圧粘着性は、100~200、100~500、100~750、100~1000、150~500、150~300、200~500、200~750、300~400、300~600、450~750、または500~1000グラム/平方インチである。いくつかの例では、接着剤の感圧粘着性は、約50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、500、600、700、800、または約1000グラム/平方インチである。
【0025】
接着剤は、皮膚パッチのサンプリング中にしわを低減するように構成され得る。いくつかの例では、本明細書には、接着剤を含むパッチが提供される。いくつかの例では、本明細書には、ハイブリッド接着剤(2つ以上の成分を含む)を含むパッチが提供される。いくつかの例では、接着剤は感圧接着剤を含む。いくつかの例では、接着剤は、シリコーン、アクリレートポリマー、またはゴム(天然もしくは合成)のうち2つ以上から選択される成分を含む。いくつかの例では、アクリルポリマーは、「純粋な」アクリル接着剤または修飾アクリル接着剤を含む。いくつかの例では、合成ゴムは、熱溶融ゴム、溶媒ゴム、またはブチルゴムを含む。場合によっては、接着剤は、1つまたは複数の成分を含む。いくつかの例では、接着剤は第1の成分を含み、第1の成分は合成ゴム接着剤を含む。いくつかの例では、接着剤は第2の成分を含み、第2の成分はアクリレートポリマーを含む。いくつかの例では、接着剤は、ポリエステル裏打ち層を備えるパッチに適用される。理論に縛られるものではないが、いくつかの例では、速やかに最大接着力に達するハイブリッド接着剤の使用により、操作者によって生じる皮膚サンプリングの変動が低減されるか、または無くなると同時に、より堅いポリエステルの裏打ちによって、パッチ剥離にわたる皮膚試料採取がより均一となる(すなわち、しわが低減される)。いくつかの例では、接着剤成分は均質である。いくつかの例では、接着剤は、第1の成分を含む第1の層と、第2の成分を含む第2の層とを含む。いくつかの例では、接着剤は、第1の成分を含む第1の層と、第2の成分を含む第2の層とを含み、第1の層はゴム接着剤を含み、第2の層はアクリル接着剤を含む。
【0026】
接着剤は、全体を参照により本明細書に援用される米国特許第5,625,005号明細書に記載される組成物を含んでもよい。いくつかの例では、接着剤は、アクリレートのグラフト共重合体を含む。いくつかの例では、接着剤は、エチレン-ブチレンおよびエチレン-プロピレンのマクロマー、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるマクロマーの存在下、アルキル基中に約4~約8個の炭素原子を含有する少なくとも1つのアルキルアクリレートエステルを反応させることによって生成され、マクロマーのそれぞれは、約2,000~約30,000の分子量を有する。いくつかの例では、接着剤は、重量パーセント基準で、アルキル基中に約4~約8個の炭素原子を含有する1つまたは複数のアルキルアクリレートエステル(またはビニルエステル)の総アクリレート骨格の、約35~約100重量パーセントを含む。いくつかの例では、アルキルアクリレートエステルは、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、およびイソオクチルアクリレートを含む。いくつかの例では、ビニルエステルは、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルプロピオネート、ビニルイソブチレート、ビニルバレレート、およびビニルバーシテートを含む。
【0027】
接着剤は、全体を参照により本明細書に援用される米国特許第6,642,298号に記載される組成物を含んでもよい。いくつかの例では、接着剤は、ゴムマクロマーと共重合されたアクリルポリマーを含む。いくつかの例では、ポリマーは、アルキル基中に約4~約18個の炭素原子を含有する少なくとも1つのアルキルアクリレートモノマーと、ホモポリマーが約0℃を超えるガラス転移温度を有する少なくとも1つのモノマーとを含み、マクロマーは、約-30℃以下のガラス転移温度を有する。いくつかの例では、接着剤は、ゴムマクロマー(マクロマー)と共重合されたアクリルポリマーを含み、ポリマーは、アルキル基中に約4~約18個の炭素原子を含有する少なくとも1つのアルキルアクリレートモノマーを含み、ポリマーは、チタン架橋剤を使用して架橋される。いくつかの例では、マクロマーは、ポリ(エチレン-ブチレン)、ポリ(エチレン-プロピレン)、またはポリ(エチレン-ブチレン-プロピレン)を含む。いくつかの例では、マクロマーは、約2,000~約10,000の分子量を有する。いくつかの例では、接着剤は、メチルアクリレートおよびヒドロキシエチルアクリレートまたはヒドロキシプロピルメタクリレートを含む。いくつかの例では、少なくとも1つのアルキルアクリレートモノマーは、2-エチルヘキシルアクリレートであり、少なくとも1つのモノマーは、メチルアクリレートであり、少なくとも1つのヒドロキシ官能性モノマーは、ヒドロキシエチルアクリレートである。
【0028】
接着剤は、全体を参照により本明細書に援用される米国特許第7,396,871号明細書に記載される組成物を含んでもよい。いくつかの例では、接着剤は、少なくとも1つのアクリルおよび/またはビニルモノマーに実質的に溶解された少なくとも1つのゴム化合物のミニエマルジョン重合生成物を含む、ゴム修飾アクリル樹脂および/またはビニル樹脂を含み、この樹脂は、ゴム化合物に由来するゴム部分と、アクリルおよび/またはビニルモノマーに由来するアクリルおよび/またはビニル部分とを含む。いくつかの例では、少なくとも1つのゴム化合物は、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ネオプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリペンタナマー、およびエチレン-プロピレン-ジエンのターポリマーからなる群のうち1つまたは複数から選択される。いくつかの例では、アクリルモノマーおよび/またはビニルモノマーは、スチレン、a-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン、メチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルメタクリレート、ビニルメタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシプロピルアクリレート、アセトアセトキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブテニルメタクリレート、マレイン酸のアリルエステル、マレイン酸のジアリルエステル、ポリ(アリルグリシジルエーテル)、アルキルクロトネート、ビニルセテート(vinyl cetate)、ジ-n-ブチルマレエート、ジ-オクチルマレエート、アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリロニトリル、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2-t-ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N-(2-メタクリロイルオキシ-エチル)エチレンウレア、およびメタクリルアミドエチルエチレンウレアからなる群から選択される。
【0029】
接着剤は、全体を参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2008/0251201号公報に記載される組成物を含んでもよい。いくつかの例では、接着剤は、ポリ(mneth)アクリレート;ポリビニルエーテル;天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどのジエン系ゴム;ポリイソブチレン;ポリクロロプレン;ブチルゴム;ブタジエン-アクリロニトリルポリマー;熱可塑性エラストマー;スチレン-イソプレンとスチレン-イソプレン-スチレン(SIS)とのブロック共重合体、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー、スチレン-ブタジエンポリマーなどのブロック共重合体;ポリ-α-オレフィン;非晶質ポリオレフィン;シリコーン;エチレンビニルアセテート、エチルアクリレート、エチルメタクリレートなどのエチレン含有共重合体;ポリウレタン;ポリアミド;エポキシ;ポリビニルピロリドンとビニルピロリドンとの共重合体;ポリエステル;および上記の混合物または配合物の、一般的な組成物を含む。いくつかの例では、接着剤は、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、安定剤、顔料、拡散体、硬化剤、繊維、フィラメント、および溶媒を含むがこれらに限定されない、添加剤を含む。
【0030】
接着剤は、いくつかの例ではアクリル系接着剤であるが、他の接着剤も同様に企図され、使用される場合もある。このような他の接着剤としては、Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology(第3版)D.Satas,Ed.Satas and Associates,Warwick R.I./USA,1989の、それぞれ550~556頁および423~442頁に開示される、シリコーンをベースとする接着剤、またはポリオレフィンをベースとする接着剤が挙げられる。
【0031】
接着剤は、全体を参照により本明細書に援用される国際公開第2014/130507号に記載される組成物を含んでもよい。いくつかの例では、本明細書に記載のパッチは、1つまたは複数の接着層を備える。いくつかの例では、パッチは、第1の接着層および第2の接着層を備える。いくつかの例では、第1の接着層は、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、またはこれらの2つ以上の組合せを含む。いくつかの例では、第1の接着層は、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエンポリマー、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、多腕反復(multi-armed repeating)のスチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンポリマー、スチレン-ブタジエンスチレンポリマー、スチレン-イソプレンポリマー、スチレンイソプレンブロック共重合体、および多腕反復のスチレン-イソプレン共重合体、またはこれらの2つ以上の組合せを含む。いくつかの例では、第2の接着層は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、イソヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、イソヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、およびイソボルニルメタクリレート、またはこれらの2つ以上の組合せから選択されるモノマーを含む、接着剤を含む。
【0032】
接着パッチは、用途に応じて、透明、透過性、または不透明であってもよい。いくつかの例では、パッチは不透明である。いくつかの例では、パッチは透明である。いくつかの例では、パッチは透過性である。いくつかの例では、パッチは、約1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または約98%の不透明度を有する。いくつかの例では、パッチは、少なくとも1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または少なくとも98%の不透明度を有する。いくつかの例では、パッチは、1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%以下の不透明度を有する。いくつかの例では、パッチは、皮膚細胞を1または複数回除去(剥離)した後に不透明度を有する。いくつかの例では、パッチは、皮膚細胞の1回の剥離後に約1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または約98%の不透明度を有する。いくつかの例では、パッチは、皮膚細胞の1回の剥離後に少なくとも1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または少なくとも98%の不透明度を有する。いくつかの例では、パッチは、皮膚細胞の1回の剥離後に1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%以下の不透明度を有する。いくつかの例では、接着パッチは、ASTM D1003による測定時に、約50%、45%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、または約5%未満のヘイズ値を含む。いくつかの例では、パッチは、色、パターン、または他のマーキングによって、互いに区別可能である。いくつかの例では、パッチは、赤色、緑色、橙色、桃色、青色、灰色、黒色、褐色、シアン、紫色、および黄色など1つまたは複数の色を含む。いくつかの例では、パッチは、任意選択で色を有する、1つまたは複数のパターンを含む。いくつかの例では、色は、パッチの1つまたは複数の特性を示す。いくつかの例では、色は、身体のどの領域がパッチによってサンプリングされたか、またはサンプリングされることになるかを示す(例えば、桃色=額、青色=顎など)。いくつかの例では、少なくとも2つの接着パッチは、同じ色を含む。いくつかの例では、少なくとも2つの接着パッチは、異なる色を含む。
【0033】
接着パッチは、マトリックス材料を含んでもよい。マトリックス材料は、いくつかの例では、皮膚試料に付着するのに充分な粘着性である。マトリックス材料は、瘢痕化もしくは出血を引き起こすほどの粘着性ではないか、または除去が困難もしくは痛みを伴う。いくつかの実施形態では、マトリックス材料は、透過性材料から構成される。いくつかの例では、マトリックス材料は生体適合性である。いくつかの例では、マトリックス材料は、除去後に皮膚の表面に残留物を残さない。特定の例では、マトリックス材料は、皮膚刺激物質ではない。いくつかの例では、1つのパッチが、1つの領域または区域に1回適用される。いくつかの例では、1つのパッチが、1つの領域または区域に複数回適用される。いくつかの例では、1つのパッチが、複数の領域または区域に1回適用される。いくつかの例では、複数のパッチが、1つの領域または区域に1回適用される。いくつかの例では、複数のパッチが、1つの領域または区域に複数回適用される。いくつかの例では、複数のパッチが、複数の領域または区域に複数回適用される。いくつかの例では、同じ領域または区域への2回より多くの適用により、経表皮水分蒸散量(TEWL)は80、70、60、50、40、35、30、25、20、17、15、12、10、または5g/m/h以下になる。いくつかの例では、同じ領域または区域への4回より多くの適用により、経表皮水分蒸散量(TEWL)は80、70、60、50、40、35、30、25、20、17、15、12、10、または5g/m/h以下になる。いくつかの例では、同じ領域または区域への8回より多くの適用により、経表皮水分蒸散量(TEWL)は80、70、60、50、40、35、30、25、20、17、15、12、10、または5g/m/h以下になる。いくつかの例では、同じ領域または区域への6回より多くの適用により、経表皮水分蒸散量(TEWL)は80、70、60、50、40、35、30、25、20、17、15、12、10、または5g/m/h以下になる。
【0034】
接着パッチは、適用時にパッチ(または裏打ち層)が皮膚表面の形状に適合するのを可能にする、可撓性材料を含んでもよい。いくつかの例では、パッチは、第1の採取領域に存在する接着マトリックスを含む。いくつかの例では、少なくとも第1の採取領域は、可撓性である。いくつかの例では、タブはプラスチックである。例証的な例では、接着パッチは、ラテックス、シリコーン、またはその両方を含有しない。いくつかの実施形態では、接着パッチは、対象の皮膚サンプリング領域が、皮膚表面への接着パッチの適用後に視認可能となるように、透明または透過性材料で作製される。例えばパッチを介して視認可能とする透過性は、接着パッチが、サンプリング対象である皮膚領域を含む所望の皮膚領域に確実に適用されるようにする。いくつかの実施形態では、接着パッチは、長さ約5~約100mmの間である。いくつかの実施形態では、第1の採取領域は、長さ約5~約40mmの間である。いくつかの実施形態では、第1の採取領域は、長さ約10mm~約20mmの間である。いくつかの実施形態では、第1の採取領域の長さは、サンプリング対象である皮膚表面の領域を収容するように構成され、約19mm、約20mm、約21mm、約22mm、約23mm、約24mm、約25mm、約30mm、約35mm、約40mm、約45mm、約50mm、約55mm、約60mm、約65mm、約70mm、約75mm、約80mm、約85mm、約90mm、および約100mmが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の採取領域は楕円形である。いくつかの実施形態では、パッチの長さ(接着性の取扱い領域および非接着性の取扱い領域の両方を含む)は、サンプリング対象である皮膚表面の領域を収容するように構成され、約19mm、約20mm、約21mm、約22mm、約23mm、約24mm、約25mm、約30mm、約35mm、約40mm、約45mm、約50mm、約55mm、約60mm、約65mm、約70mm、約75mm、約80mm、約85mm、約90mm、および約100mmが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の採取領域は楕円形である。理論に縛られるものではないが、皮膚に適用されるパッチの長さは、剥離前の静力学的パッチに波状構造が生じるのを回避するために、しわ波長に匹敵する。いくつかの例では、パッチの最長線形寸法は、15、12、10、8、6、5、4、3、2、または1cm以下である。いくつかの例では、第1の採取領域の最長線形寸法は、15、12、10、8、6、5、4、3、2、または1cm以下である。
【0035】
パッチは、あらゆるサイズ、色、または形状で構成されてもよい。いくつかの例では、パッチは、身体の特定の領域(例えば、顔、頭部、またはその他の領域)に付着するように構成される。いくつかの例では、パッチは、顔全体を覆う1枚のシートとして構成される。いくつかの例では、複数のパッチが、身体の様々な部分の皮膚をサンプリングするように構成される。いくつかの例では、複数のパッチが、顔または顔の様々な部分から得た皮膚をサンプリングするように構成される。いくつかの例では、パッチは、全体を参照することで本明細書に援用される米国特許出願公開第2016/0279401号公報の図11図13、および全体を参照することで本明細書に援用される米国特許出願公開第20030167556号公報の図1図4に開示されるように使用される。
【0036】
いくつかの実施形態では、接着パッチなどの皮膚採取デバイスは、形状を備える。皮膚採取デバイスは、1つの形状を備えるか、または複数の形状を備えてもよい。キットは、別個の形状を有する皮膚採取デバイス、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多くの異なる形状の採取デバイスを含んでもよい。形状の例として、円形、楕円形、正方形などが挙げられる。形状は直線であってもよい。形状は、全体として直線部分で構成されてもよい。例えば、形状は、角度(例えば、鋭角、鈍角、または直角)、バルビス(balbis)、凹多角形、構築可能な多角形、凸多角形、円に内接する多角形、等角多角形、等辺多角形、ペンローズタイル、多形、正多角形、単純多角形、または接線多角形を備えてもよい。形状は、三辺の三角形、鋭角三角形、正三角形、七角三角形、二等辺三角形、ゴールデントライアングル(golden triangle)、鈍角三角形、有理三角形、直角三角形、30-60-90三角形、二等辺直角三角形、ケプラー三角形、不等辺三角形、四辺の四角形、円に内接する四角形、カイト形(kite)、平行四辺形、菱形(等辺平行四辺形)、ロゼンジ、偏菱形、長方形、正方形(正四辺形)、接線四辺形、台形、二等辺台形、五辺の五角形、六辺の六角形、ルモワーヌの六角形、七辺の七角形、八辺の八角形、九辺の九角形、十辺の十角形、十一辺の十一角形、十二辺の十二角形、十三辺の十三角形、十四辺の十四角形、十五辺の十五角形、十六辺の十六角形、十七辺の十七角形、十八辺の十八角形、十九辺の十九角形、二十辺の二十角形、複数種の星形が存在する星形多角形、五辺の星形多角形である星形五角形、六辺の星形多角形である星形六角形、ダビデ星形(star of David)、七辺の星形多角形である星形七角形、八辺の星形多角形である星形八角形、ラクシュミ星形(star of Lakshmi)、九辺の星形多角形である星形九角形、十辺の星形多角形である星形十角形、十一辺の星形多角形である星形十一角形、十二辺の星形多角形である星形十二角形、または、可算無限集合の辺を有する一般化多角形である無限角形など、特定数の辺を有する多角形を含み得る。形状は湾曲していてもよい。形状は円弧で構成されてもよい。例えば形状は、環帯、アルベロス、円、アルキメデスの双子の円、バンコフの円、円弧三角形、ルーローの三角形、外接円、円盤、三角形の内接円および外接円(incircle and excircles)、9点円、扇形、弓形、三日月形、レンズ形、ヴェシカ・ピシス(魚の浮袋)、ルーン形、四つ葉形、ルーローの多角形、ルーローの三角形、サリノン形、半円形、トマホーク形、三つ葉形、トリケトラ形、またはハート形を含み得る。いくつかの実施形態では、形状は円弧で構成されていなくてもよい。例えば、形状は、アルキメデスの螺旋形、星芒形、心臓形、デルタ字形、楕円形、ハート形(heartagon)、連珠形、卵形、デカルトの卵形、カッシーニの卵形、ブースの卵形、卵形に似た卵形(ovoid)、スーパー楕円形、タイジツ形、トモー形、またはマガタマ形を含み得る。
【0037】
形状は、皮膚採取領域に基づいてもよい。例えば、皮膚採取デバイスは、1つの大きなパッチを備えるか、フェイスマスクを備えるか、額に合わせ成形されるか(例えば、腎臓形状とされる)、眼の下に入るように成形されるか(例えば、三日月形)、鼻の少なくとも一部を覆うように成形されるか(例えば、蝶形)、右頬の少なくとも一部を覆うように成形されるか、左頬の少なくとも一部を覆うように成形されるか、耳介後部であるか、右手もしくは左手の少なくとも一部を覆うように成形されるか、または右足もしくは左足の少なくとも一部を覆うように成形され得る。
【0038】
静力学的なしわをもたらすパラメータには、皮膚の弾性、裏打ち層の弾性、接着剤の強度、およびテープの長さや幅などの幾何学的パラメータが含まれ得る。これらのパラメータのうち1つまたは複数は、裏打ち層内のしわパターンの波長と周波数に影響を及ぼす場合がある。これらのうち、皮膚の弾性は容易に制御可能でない場合がある。例えば弾性は、パッチが付着し得る皮膚の特性の場合がある。接着パッチは、次の特性:3milを超える裏打ち厚さ、10cm未満の最長寸法、および200~2000PSIの間の弾性率を有する裏打ち層のうち、1つまたは複数を含み得る。接着パッチは、次の特性:3milを超える裏打ち厚さ、5cm未満の最長寸法、および500~1500PSIの間の弾性率を有する裏打ち層のうち、1つまたは複数を含み得る。接着パッチは、次の特性:3milを超える裏打ち厚さ、5cm未満の最長寸法、および1000~2000PSIの間の弾性率を有する裏打ち層のうち、1つまたは複数を含み得る。接着パッチは、約1000~約2000Psi、約500~約3000Psi、約250~約2000Psi、約400~約2000Psi、約500~約1500Psi、約750~約2000Psi、約1000~約3000Psi、または約500~約2500Psiの弾性率、3milを超える裏打ち厚さ、および10cm未満の最長寸法を含み得る。接着パッチは、約19mm、約20mm、約21mm、約22mm、約23mm、約24mm、約25mm、約30mm、約35mm、約40mm、約45mm、約50mm、約55mm、約60mm、約65mm、約70mm、約75mm、約80mm、約85mm、約90mm、および約100mmの最長寸法、3milを超える裏打ち厚さ、ならびに10cm未満の最長寸法を含み得る。接着パッチは、約3mil、約4mil、約5mil、約6mil、約7mil、約8mil、約9mil、約10mil、約20mil、約30mil、約40mil、約50mil、約60mil、約70mil、約80mil、約90mil、約100mil、または約125milの裏打ち厚さ、10cm未満の最長寸法、および200~2000PSIの間の弾性率を有する裏打ち層を含み得る。
【0039】
さらなる実施形態では、接着パッチは、接着性の皮膚試料採取キット内の剥離可能な切離しシート上に設けられる。いくつかの実施形態では、剥離可能な切離しシート上に設けられる接着パッチは、-80℃~30℃の温度で少なくとも6か月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、および少なくとも4年間、安定するように構成される。いくつかの例では、剥離可能な切離しシートは、三つ折り式の皮膚試料採取具のパネルである。剥離可能な切離しシートは、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、約2~約8、約2~約7、約2~約6、約2~約4、約3~約6、約3~約8、約4~約10、約4~約8、約4~約6、約4~約5、約6~約10、約6~約8、または約4~約8を含むがこれらに限定されない、複数の接着パッチを保持するように構成される。剥離可能な切離しシートは、約12の接着パッチを保持するように構成される。剥離可能な切離しシートは、約11の接着パッチを保持するように構成される。剥離可能な切離しシートは、約10の接着パッチを保持するように構成される。剥離可能な切離しシートは、約9つの接着パッチを保持するように構成される。剥離可能な切離しシートは、約8つの接着パッチを保持するように構成される。剥離可能な切離しシートは、約7つの接着パッチを保持するように構成される。剥離可能な切離しシートは、約6つの接着パッチを保持するように構成される。剥離可能な切離しシートは、約5つの接着パッチを保持するように構成される。剥離可能な切離しシートは、約4つの接着パッチを保持するように構成される。剥離可能な切離しシートは、約3つの接着パッチを保持するように構成される。剥離可能な切離しシートは、約2つの接着パッチを保持するように構成される。剥離可能な切離しシートは、約1つの接着パッチを保持するように構成される。
【0040】
接着パッチは、皮膚に適用され、皮膚から除去される。パッチ剥離の方法は、使用済み接着パッチを皮膚表面から除去した後、使用済みパッチを配置領域シート上に貯蔵する工程をさらに含み、パッチは、皮膚試料が単離またはその他の方法で利用されるまで残存する。使用済みパッチは、-80℃~30℃の間の温度で少なくとも1週間、配置領域シート上に貯蔵されるように構成される。いくつかの実施形態では、使用済みパッチは、-80℃~30℃の間の温度で、少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも3か月間、少なくとも4か月間、少なくとも5か月間、および少なくとも6か月間、配置領域シート上に貯蔵されるように構成される。いくつかの例では、パッチは乾燥剤とともに貯蔵される。
【0041】
皮膚採取具キットは、接着マトリックスを含んでもよい。いくつかの例では、接着マトリックスは、少なくとも3、5、8、10、11、12、13、14、15、18、20、または少なくとも25oz/inのループ粘着性を含む。いくつかの例では、接着マトリックスは、3~25、3~20、3~15、5~20、8~20、10~15、15~24、10~20、または1~20oz/inのループ粘着性を含む。いくつかの例では、接着マトリックスは、-40~176°F、-40~150°F、-40~130°F、-30~176°F、-20~176°F、-10~176°F、または-40~200°Fの使用温度範囲を含む。いくつかの例では、裏打ち層は、少なくとも5、8、10、12、15、18、20、23、25、30、または少なくとも55lb/インチの引張力を含む。いくつかの例では、裏打ち層は、約5、8、10、12、15、18、20、23、25、30、または約55lb/インチの引張力を含む。いくつかの例では、裏打ち層は、5~55、5~40、5~30、5~25、1~50、10~20、10~30、15~30、15~45、20~45、25~40、30~50、または25~60lb/インチの引張力を含む。いくつかの例では、裏打ち層は、約50、80、100、120、150、180、200、230、250、300、400、または約500mNの引裂強度を含む。いくつかの例では、裏打ち層は、50~550、50~400、50~300、50~250、100~500、100~200、100~300、150~300、150~450、200~450、250~400、300~500、または250~600mNの引裂強度を含む。
【0042】
いくつかの例では、皮膚採取具キットの1つまたは複数の構成要素は、水溶性であってもよい。いくつかの例では、接着パッチが水溶性である。いくつかの例では、裏打ち層および接着マトリックスのうち1つまたは複数が、水溶性である。いくつかの例では、配置領域シートが水溶性である。いくつかの例では、裏打ち層または接着マトリックスは、皮膚試料の溶解中に溶解するように構成される。いくつかの例では、接着パッチは、10秒、15秒、20秒、30秒、40秒、50秒、60秒、90秒、または120秒以下で水溶液に溶解可能である。いくつかの例では、接着パッチは、水溶液中、10秒、15秒、20秒、30秒、40秒、50秒、60秒、90秒、または120秒以下で水溶液に溶解可能である。いくつかの例では、接着パッチは、30℃以下の温度を有する水溶液中、水溶液中、10秒、15秒、20秒、30秒、40秒、50秒、60秒、90秒、または120秒以下で溶解可能である。いくつかの例では、接着パッチは、20℃以下の温度を有する水溶液中、水溶液中、10秒、15秒、20秒、30秒、40秒、50秒、60秒、90秒、または120秒以下で溶解可能である。いくつかの例では、接着パッチは、少なくとも1、2、3、6、8、12、14、16、または少なくとも24か月の貯蔵寿命を有する。いくつかの例では、接着パッチは、-80℃~30℃の間の温度で、少なくとも1、2、3、6、8、12、14、16、または少なくとも24か月の貯蔵寿命を有する。いくつかの例では、接着パッチは、30℃以下の温度で、少なくとも1、2、3、6、8、12、14、16、または少なくとも24か月の貯蔵寿命を有する。いくつかの例では、接着パッチは、25℃以下の温度で、少なくとも1、2、3、6、8、12、14、16、または少なくとも24か月の貯蔵寿命を有する。いくつかの例では、接着パッチは、20℃以下の温度で、少なくとも1、2、3、6、8、12、14、16、または少なくとも24か月の貯蔵寿命を有する。いくつかの例では、接着パッチは、10℃以下の温度で、少なくとも1、2、3、6、8、12、14、16、または少なくとも24か月の貯蔵寿命を有する。いくつかの例では、接着パッチは、5℃以下の温度で、少なくとも1、2、3、6、8、12、14、16、または少なくとも24か月の貯蔵寿命を有する。いくつかの例では、接着パッチは、0℃以下の温度で、少なくとも1、2、3、6、8、12、14、16、または少なくとも24か月の貯蔵寿命を有する。いくつかの例では、接着パッチは、-20℃以下の温度で、少なくとも1、2、3、6、8、12、14、16、または少なくとも24か月の貯蔵寿命を有する。いくつかの例では、接着パッチは、-40℃以下の温度で、少なくとも1、2、3、6、8、12、14、16、または少なくとも24か月の貯蔵寿命を有する。いくつかの例では、接着パッチは、30℃を超えない温度で、少なくとも1、2、3、6、8、12、14、16、または少なくとも24か月の貯蔵寿命を有する。
【0043】
接着パッチは、水溶性接着剤を含んでもよい。いくつかの例では、現行の皮膚試料採取ツールは、2つの部品として、(a)非水溶性接着剤の層(スチレン-ブタジエンジブロック共重合体)、その下に(b)熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルムの薄型裏打ちシートを備える接着パッチを使用する、非侵襲的な試料採取および標的分析物試験を含む。この非水溶性接着剤は、いくつかの例では、試料溶解インキュベーション中に、試料を充填されたパッチを(自己折り畳み、またはパッチ同士で)互いに固着させる場合があり、これによって、タンパク質および核酸(DNAおよびRNA)を含む標的分析物が、パッチ上で採取された試料から溶解溶液に放たれることが防止され(標的分析物の回収収量が減少する)、いくつかの例においてこの非侵襲的な試料適用ツールを、ゲノム試験、微量の試料に対し実行され得る用途などの分析物試験に限定する、試料採取用のより大きな試料採取パッチの使用(試料溶解インキュベーションチューブ内での自己折り畳みによりパッチが固着するより高度な事象に起因)、ならびに、1つのチューブ内での複数の試料が充填されたパッチのインキュベーション(パッチ同士の固着によるものであり、そのため各パッチは別個のチューブ内でインキュベートしなければならない)によって、一部の分析物試験では試料調製のコストがかさむ場合がある。パッチの非水溶性TPU裏打ちシートは、いくつかの例では、例えば、TPUフィルムが溶解インキュベーションの終わり(磁気ビーズが溶解チューブに添加される前)に溶解チューブから除去されて、磁気ビーズがTPUフィルム上の接着剤に固着するのを妨げるという欠点を有する(これらのビーズは、当該ビーズに結合される試料核酸とともに、本プロセスから失われる)。TPUフィルムを除去するプロセスは、いくつかの例では、抽出プロセスのワークフローの妨害(労働作業と時間の両方を増加させる)、プロセス自動化を防止する完全手動プロセス、試料間の相互汚染の可能性の増加、および潜在的に、TPUフィルムの使用により損なわれるか使用不能とされるタンパク質または核酸含有試料の溶解溶液の損失を生じさせること、試料の標的分析物(例えば、タンパク質または核酸)収量の減少などの、課題を提示する。いくつかの例では、水溶性接着剤および/またはパッチの使用により、本明細書に記載の非侵襲的なサンプリングシステムおよび方法のパフォーマンスが改善される。可溶性の接着パッチは、分析物(例えば、ゲノム)試験のために皮膚試料を非侵襲的に採取するために、すなわち、皮膚試料を(水)可溶性の接着パッチで採取するために使用され、これらの試料が充填された接着パッチ(接着剤および裏打ちシートを含む)は、試料抽出中に採取された皮膚試料とともに溶解溶液中でより容易に溶解させることができる。これら可溶性の接着パッチは、いくつかの例では、(特に、複数のパッチが採取に使用される場合)試料が充填されたパッチすべてが、1つの溶解チューブ内でインキュベートすることを可能にし(試料の調製コストと時間を削減する)、溶解チューブから裏打ちフィルムを除去する手動の工程がなくなる。いくつかの例では、可溶性の接着パッチの使用により、試料プロセスの自動化が可能となるため、時間および労働コストが節約され、相互汚染および試料損失の可能性が低減される。いくつかの例では、可溶性の接着パッチの使用により、分析物(例えば、核酸)抽出のために採取された皮膚組織すべての利用率が増加する(最大100%)。いくつかの例では、可溶性の接着パッチの使用により、分析物(例えば、核酸)抽出のために採取された皮膚組織すべての利用率は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または少なくとも99%となる。場合によっては、可溶性パッチ上の全ての皮膚組織は、いくつかの皮膚組織が溶解インキュベーション後に依然として非可溶性接着剤層中に捕捉されたままであり得る非可溶性パッチと比較して、溶解溶液に放出される。
【0044】
可溶性の接着パッチは、ヒトまたは微生物タンパク質(および/またはポリペプチド)の利用率を増加させる場合がある。いくつかの例では、可溶性の接着パッチの使用により、ヒトまたは微生物タンパク質の抽出のために採取された皮膚組織すべての利用率が増加する(最大100%)。いくつかの例では、可溶性の接着パッチの使用により、ヒトまたは微生物タンパク質の抽出のために採取された皮膚組織すべての利用率は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または少なくとも99%となる。場合によっては、可溶性パッチ上の全ての皮膚組織は、いくつかの皮膚組織が溶解インキュベーション後に依然として非可溶性接着剤層中に捕捉されたままであり得る非可溶性パッチと比較して、溶解溶液に放出される。
【0045】
可溶性の接着パッチは、ヒトまたは微生物の核酸の利用率を増加させる場合がある。いくつかの例では、核酸は、DNA、RNA、ゲノムDNA、もしくはcDNAのうち1つまたは複数を含む。いくつかの例では、可溶性の接着パッチの使用により、ヒトまたはDNA抽出のために採取された皮膚組織すべての利用率が増加する(最大100%)。いくつかの例では、可溶性の接着パッチの使用により、ヒトまたは微生物DNAの抽出のために採取された皮膚組織すべての利用率は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または少なくとも99%となる。場合によっては、可溶性パッチ上の全ての皮膚組織は、いくつかの皮膚組織が溶解インキュベーション後に依然として非可溶性接着剤層中に捕捉されたままであり得る非可溶性パッチと比較して、溶解溶液に放出される。いくつかの例では、可溶性の接着パッチの使用により、ヒトまたはRNAの抽出のために採取された皮膚組織すべての利用率が増加する(最大100%)。いくつかの例では、可溶性の接着パッチの使用により、ヒトまたは微生物RNAの抽出のために採取された皮膚組織すべての利用率は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または少なくとも99%となる。
【0046】
水溶性接着剤は、一般に、親水性モノマーと、接着性樹脂に使用されるモノマーとの共重合によって形成される、接着剤を含み得る。接着性樹脂に使用されるモノマーには、本明細書に記載の1つまたは複数の接着マトリックス材料のモノマー、例えば、アクリル、シリコーン、および炭化水素ゴム(ブチルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチル-ビニルアセテートポリマー、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴムなど)のうちの1つもしくは複数、またはそれらの組合せが挙げられ得る。接着性樹脂に使用されるモノマーには、例えばポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、セルロースエーテル、天然または合成ゴム、およびポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール)など1つまたは複数の接着マトリックス材料のモノマーが挙げられ得る。接着性樹脂の製剤は、様々な種類の水溶性および/または水分散性の塩、可塑剤、粘着付与剤、ならびに界面活性剤を含み得る。粘着付与剤および可塑剤は、接着性樹脂の製剤の接着性を向上させるために使用され得る。例示的な粘着付与剤および可塑剤として、例えば、エトキシレート、グルコシド、ロジン、およびポリオールのうちの1つまたは複数が挙げられ得る。
【0047】
水溶性接着剤は、概して、水溶性が不十分であり得るアクリル接着剤を、水溶性の高い接着剤に変換することによって形成される、接着剤を含み得る。水溶性は、例えば、モノマーのペンダント基中のカルボキシル基を中和することによって増加され得る。得られたポリマーは、任意選択で、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールにより可塑化されてもよい。一例では、例えばブチルアクリレート、アクリル酸、ジ-2-エチルヘキシルフマレート、および/またはビニルアセテートなどの接着モノマーを共重合し、続いて可塑剤および/または粘着付与剤としてエトキシル化tert-N-アルキルジアミン(エトキシル化界面活性剤)と、水酸化カリウム(中和剤)とを添加してもよい。例えば、全体を参照することで本明細書に援用される米国特許第3,441,430号明細書を参照されたい。
【0048】
水溶性接着剤は、概して、アクリル酸およびアクリルアミド、多価アルコール界面活性剤(粘着付与剤/可塑剤)、ならびに苛性剤(中和剤)から形成される、接着剤を含み得る。例えば、全体を参照することで本明細書に援用される米国特許第4,388,432号明細書を参照されたい。
【0049】
水溶性接着剤は、概して、アクリル酸とアクリレートとの共重合体から形成される接着剤を含み得る。これらの共重合体は、アミノプロパノールで中和した後、グリコールエーテルを添加することができる。例えば、参照することで本明細書に援用される特開昭56-7007号公報を参照されたい。
【0050】
水溶性接着剤は、概して、2-エチルヘキシルアクリレートと、ヒドロキシエチルメタクリレートと、アクリル酸との共重合体から形成される、接着剤を含み得る。共重合体をメタノール中の水酸化ナトリウムで中和して、水溶性接着剤を作製してもよい。この製剤は、ポリエチレングリコール(粘着付与剤/可塑剤)およびポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(粘着付与剤/可塑剤)を含み得る。例えば、全体を参照することで本明細書に援用される特開昭57-156456号公報を参照されたい。
【0051】
水溶性接着剤は、概して、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、または接着性ポリマー上のアクリル酸ペンダント基にグラフトされたヒドロキシル基もしくはアミン基を有する同様の親水性ポリマーもしくは界面活性剤から形成される、接着剤を含み得る。
【0052】
水溶性接着剤は、概して、ポリビニルアルコール、セルロースエーテル、およびかかるポリマーの配合物から形成される、接着剤を含み得る。接着剤配合物は、水、分散性/可溶性の添加剤、および/または他の熱可塑性物質と配合してもよい。
【0053】
いくつかの例では、配置領域シートは、使用済みパッチを配置領域シート上に貯蔵する前に、除去可能なライナが除去されることを前提に、除去可能なライナを備える。配置領域シートは、16、14、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1つのパッチ、約2~約8つのパッチ、約2~約7つのパッチ、約2~約6つのパッチ、約2~約4つのパッチ、約3~約6つのパッチ、約3~約8つのパッチ、約4~約10のパッチ、約4~約8つのパッチ、約4~約6つのパッチ、約4~約5つのパッチ、約6~約10のパッチ、約6~約8つのパッチ、または約4~約8つのパッチを含むがこれらに限定されない、複数の接着パッチを保持するように構成される。いくつかの実施形態では、配置領域シートは、約12の接着パッチを保持するように構成される。いくつかの実施形態では、配置領域シートは、約11の接着パッチを保持するように構成される。いくつかの実施形態では、配置領域シートは、約10の接着パッチを保持するように構成される。いくつかの実施形態では、配置領域シートは、約9つの接着パッチを保持するように構成される。いくつかの実施形態では、配置領域シートは、約8つの接着パッチを保持するように構成される。いくつかの実施形態では、配置領域シートは、約7つの接着パッチを保持するように構成される。いくつかの実施形態では、配置領域シートは、約6つの接着パッチを保持するように構成される。いくつかの実施形態では、配置領域シートは、約5つの接着パッチを保持するように構成される。いくつかの実施形態では、配置領域シートは、約4つの接着パッチを保持するように構成される。いくつかの実施形態では、配置領域シートは、約3つの接着パッチを保持するように構成される。いくつかの実施形態では、配置領域シートは、約2つの接着パッチを保持するように構成される。いくつかの実施形態では、配置領域シートは、約1つの接着パッチを保持するように構成される。
【0054】
いくつかの実施形態では、使用済みパッチは、使用済みパッチの、マトリックスを含有し皮膚に面する表面が、配置領域シートと接触するように貯蔵される。いくつかの例では、配置領域シートは、三つ折り式の皮膚試料採取具のパネルである。いくつかの例では、三つ折り式皮膚試料採取具は、透明パネルをさらに備え得る。三つ折り式の皮膚試料採取具は、対象に割り当てられる固有のバーコードにより標識され得る。いくつかの例では、三つ折り式の皮膚試料採取具は、対象の情報を標識するための領域を備える。
【0055】
例示的な実施形態では、接着性の皮膚試料採取キットは、剥離可能な切離しパネル上に貯蔵された接着パッチを備える、三つ折り式の皮膚試料採取具を備える。いくつかの例では、三つ折り式の皮膚試料採取具は、除去可能なライナを有する配置領域パネルをさらに備える。いくつかの実施形態では、パッチ剥離の方法は、接着パッチを三つ折り式の皮膚試料採取具の剥離可能な切離しパネルから除去すること、接着パッチを皮膚試料に適用すること、皮膚試料を含有する使用済み接着パッチを除去すること、および使用済みパッチを配置領域シート上に配することを含む。いくつかの例では、配置領域パネルは、1つの配置領域パネルシートである。いくつかの実施形態では、採取された皮膚試料の同一性は、バーコードを使用することによって、または採取具もしくはパネルシート上に患者情報を印刷することによって、三つ折り式の皮膚試料採取具または配置領域パネルシートにインデックスを付けられる。いくつかの実施形態では、インデックスを付けられた三つ折り式の皮膚試料採取具または配置シートは、処理のために診断研究所に送られる。いくつかの実施形態では、使用済みパッチは、-80℃~30℃の間の温度、例えば-70、-60、-25、0、5、10、25、および30℃で少なくとも1週間、配置パネル上に貯蔵されるように構成される。いくつかの実施形態では、使用済みパッチは、ほぼ室温(約25℃)で少なくとも1週間、配置パネル上に貯蔵されるように構成される。いくつかの実施形態では、使用済みパッチは、-80℃~30℃の間の温度で、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも3か月間、少なくとも4か月間、少なくとも5か月間、および少なくとも6か月間、配置領域パネル上に貯蔵されるように構成される。いくつかの実施形態では、インデックスを付けられた三つ折り式の皮膚試料採取具または配置シートは、UPSまたはFedExを用いて診断研究所に送られる。
【0056】
いくつかの実施形態では、パッチ剥離方法は、接着パッチの適用前に皮膚試料を調製する工程をさらに含む。皮膚試料の調製は、皮膚表面上の毛髪を除去すること、皮膚表面を洗浄すること、および/または皮膚表面を乾燥させることを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの例では、皮膚表面は、アルコール、第四級アンモニウム化合物、過酸化物、クロルヘキシジン、ハロゲン化フェノール誘導体、およびキノロン誘導体を含むがこれらに限定されない消毒剤で洗浄される。いくつかの例では、アルコールは、約0~約20%、約20~約40%、約40~約60%、約60~約80%、または約80~約100%のイソプロピルアルコールである。いくつかの例では、消毒剤は、70%のイソプロピルアルコールである。
【0057】
いくつかの実施形態では、パッチ剥離方法は、顔、頭部、首、腕、胸部、腹部、背中、脚、手、および/または足を含むがこれらに限定されない表面から、皮膚試料を採取するために使用される。いくつかの例では、皮膚表面は粘膜上に位置しない。いくつかの例では、皮膚表面には潰瘍も出血もない。特定の例では、皮膚表面は、以前に生検が行われていない。特定の例では、皮膚表面は、足底または手のひらに位置しない。いくつかの例では、皮膚表面は病変(すなわち、損傷)を含む。いくつかの例では、皮膚表面は、視認可能な病変(すなわち、非損傷(non-lesional))を含まない。いくつかの例では、非病変皮膚は、疾患または疾病を有しているが皮膚上に視認可能な病変がない対象から得られる。いくつかの例では、皮膚表面は正常な皮膚を含む。
【0058】
本明細書に記載されるパッチ剥離の方法、デバイス、およびシステムは、任意選択で、非病変皮膚表面からの皮膚試料の採取に有用である。本明細書に記載されるパッチ剥離の方法、デバイス、およびシステムは、任意選択で、正常または健康な皮膚表面からの皮膚試料の採取に有用である。本明細書に記載されるパッチ剥離の方法、デバイス、およびシステムは、任意選択で、皮膚病変または病変皮膚表面からの皮膚試料の採取に有用である。皮膚病変は、周囲の皮膚とは異なる外観または成長を呈する皮膚の一部である。いくつかの例では、皮膚病変は色素沈着される。色素性病変には、ほくろ、暗色の皮膚斑、およびメラニン含有皮膚領域が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、皮膚病変は、直径約5mm~約16mmである。いくつかの例では、皮膚病変は、直径約5mm~約15mm、約5mm~約14mm、約5mm~約13mm、約5mm~約12mm、約5mm~約11mm、約5mm~約10mm、約5mm~約9mm、約5mm~約8mm、約5mm~約7mm、約5mm~約6mm、約6mm~約15mm、約7mm~約15mm、約8mm~約15mm、約9mm~約15mm、約10mm~約15mm、約11mm~約15mm、約12mm~約15mm、約13mm~約15mm、約14mm~約15mm、約6~約14mm、約7~約13mm、約8~約12mm、および約9~約11mmである。いくつかの実施形態では、皮膚病変は、直径約10mm~約20mm、約20mm~約30mm、約30mm~約40mm、約40mm~約50mm、約50mm~約60mm、約60mm~約70mm、約70mm~約80mm、約80mm~約90mm、および約90mm~約100mmである。いくつかの例では、直径は、皮膚病変の最長直径である。いくつかの例では、直径は、皮膚病変の最小直径である。
【0059】
接着性の皮膚試料採取キットは、少なくとも1つの接着パッチ、試料採取具、および使用説明書を備える。使用説明書は、1または複数枚の紙のシート(例えば、ブックレットまたはパンフレット)の形で提供されてもよい。使用説明書は、ユーザが電子アクセスまたはデジタルアクセスするためのリンクまたはQRコード(登録商標)の形で提供されてもよい。例示的な実施形態では、試料採取具は、少なくとも1つの接着パッチを備える剥離可能な切離しパネルと、除去可能なライナを備える配置領域パネルと、透明パネルとを備えた、三つ折り式の皮膚試料採取具である。三つ折り式の皮膚試料採取具は、患者情報を転記するためのバーコードおよび/または領域を備えてもよい。接着性の皮膚試料採取キットは、16、14、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1つのパッチ、約2~約8つのパッチ、約2~約7つのパッチ、約2~約6つのパッチ、約2~約4つのパッチ、約3~約6つのパッチ、約3~約8つのパッチ、約4~約10のパッチ、約4~約8つのパッチ、約4~約6つのパッチ、約4~約5つのパッチ、約6~約10のパッチ、約6~約8つのパッチ。または約4~約8つのパッチを含むがこれらに限定されない、複数の接着パッチを備えるように構成される。いくつかの実施形態では、使用説明書は、パッチ剥離方法を実施するのに必要な情報のすべてを、キットの操作者に提供する。使用説明書は、パッチの配置および/または剥離方法を例示する図を含むことが好ましい。
【0060】
いくつかの例では、接着性の皮膚試料採取キットは、パッチ剥離方法を実施するのに必要なすべての構成要素を提供する。いくつかの例では、キットは、少なくとも1つの接着パッチ(2、4、6、8、10、または12の接着パッチ)のうち1つまたは複数を備え、少なくとも1つの接着パッチは、採取領域を含む裏打ち層と、非接着性の取扱い領域と、ある量の皮膚試料に接着するように構成された、採取領域表面上の接着マトリックスと、指示書を含む包装とを含む。いくつかの実施形態では、接着性の皮膚試料採取キットは、患者情報を提供するための研究室要求用紙(lab requisition form)を備える。いくつかの実施形態では、接着性の皮膚試料採取キットは、返送用郵便ラベルを備える。いくつかの例では、キットは、補助構成要素をさらに備える。補助構成要素には、マーカ、再密封可能なバッグ(例えば、プラスチックバッグまたはホイルバッグ)、手袋、および洗浄試薬が挙げられ得るが、これらに限定されない。洗浄試薬には、イソプロピルアルコールなどの消毒剤が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの例では、皮膚試料採取キットは、段ボール箱で提供されてもよい。いくつかの例では、キットは、本明細書に記載の皮膚採取構成要素のうちいずれかを備える。いくつかの例では、キットは、指示書を含む包装をさらに備える。いくつかの例では、指示書は、皮膚の特定の領域にパッチを配して、皮膚の病変のおよそのサイズに合わせパッチをマーキングすること、パッチを緩やかに剥離すること、および/または皮膚表面に対しほぼ垂直よりも大きな角度でパッチを剥離することのうち1つまたは複数を実行するために提供される。いくつかの例では、緩やかとは、約5秒ごとに約0.5、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.5、2.0、または2.5リニアインチ未満が剥離されることとして示される。いくつかの例では、緩やかな剥離とは、約10秒ごとに約0.5、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.5、2.0、または2.5リニアインチ未満が剥離されることとして示される。いくつかの例では、緩やかな剥離とは、約3秒ごとに約0.5、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.5、2.0、または2.5リニアインチ未満が剥離されることとして示される。
【0061】
本明細書に記載のキットは、採取された皮膚試料用の保存または貯蔵システムを備えてもよい。いくつかの例では、皮膚試料の非侵襲的な採取および分析用のキットは、少なくとも1つの接着パッチを備え、少なくとも1つの接着パッチは、採取領域を含む裏打ち層と、非接着性の取扱い領域と、ある量の皮膚試料に接着するように構成された、採取領域表面上の接着マトリックスと、少なくとも1つの接着パッチを収容するための返送または貯蔵レセプタクルとを含む。いくつかの例では、返送または貯蔵レセプタクルは、防腐剤を含む。いくつかの例では、貯蔵/返送レセプタクルは、パウチ、バッグ、チューブ、または他のレセプタクルを含む。いくつかの例では、貯蔵/返送レセプタクルは、密封可能である。いくつかの例では、貯蔵/返送レセプタクルは、ホイルまたはプラスチックを含む。いくつかの例では、防腐剤は乾燥剤である。いくつかの例では、防腐剤は、採取具キットを用いてサンプリングされた生体分子の分解を防止するように構成される。いくつかの例では、乾燥剤は、皮膚試料中のヌクレアーゼの活性を防止するように構成される。いくつかの例では、乾燥剤は、試料中の核酸の分解を防止するように構成される。いくつかの例では、乾燥剤は、皮膚試料中のRNase、DNase、またはRNaseおよびDNaseの両方、ならびに/またはプロテアーゼの活性を防止するように、かつ/あるいは皮膚試料中のRNA、DNA、DNA/RNA、および/またはタンパク質の分解を防止するように構成される。いくつかの例では、乾燥剤の量は、約0.5グラム~約5グラム、約0.1グラム~約10グラム、約0.1グラム~約5グラム、約0.5グラム~約5グラム、約0.1、0.5、1、1.5、2.0、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、8、10、12、15、または約20グラムである。いくつかの例では、キットは返送パウチを備える。いくつかの例では、返送パウチは、プラスチックまたはホイルである。いくつかの例では、返送パウチは密封可能である。いくつかの例では、乾燥剤はシリカゲルである。
【0062】
組織サンプリングおよび細胞物質
いくつかの実施形態では、試料採取(例えば、パッチ剥離)は、接着性の皮膚試料採取キットを用いて実施することができる。パッチ剥離方法は、いくつかの例では、対象の皮膚表面に接着パッチを適用かつ除去する工程を含む。いくつかの実施形態では、接着パッチは接着マトリックスを含み、皮膚表面への接着パッチの適用中、有効量の細胞物質を含有する皮膚試料が接着マトリックスに接着する。いくつかの実施形態では、細胞物質は、試料を提供する患者または対象由来の細胞(例えば、ヒト細胞物質)を含む。他の実施形態では、細胞物質は、患者または対象の皮膚にあるマイクロバイオーム由来の細胞(例えば、微生物細胞物質)を含む。いくつかの実施形態では、細胞物質は、対象、および対象の皮膚に存在するマイクロバイオームの両方に由来する、細胞を含む。いくつかの実施形態では、接着された皮膚試料は、皮膚表面からのパッチの除去後に接着マトリックス上に保持される。いくつかの実施形態では、接着された皮膚試料を伴う接着パッチは、使用済み接着パッチとして指定される。いくつかの実施形態では、接着パッチは、皮膚試料の細胞物質の少なくとも一部分が使用済みパッチから採取できるように構成される。
【0063】
いくつかの実施形態では、皮膚上の細胞またはその他の材料の採取方法は、本明細書に記載の方法において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれより多くのパッチを使用する工程を含む。いくつかの実施形態では、皮膚上の細胞またはその他の物質の採取方法は、1つのパッチを使用する工程を含む。いくつかの例では、パッチは、対象の皮膚上の1つまたは複数の配置場所に適用される。いくつかの例では、1つのパッチは、配置場所に1、2、3、4、5、6、8、10、12回、または12回より多く適用される。いくつかの例では、複数のパッチが配置場所に適用される。いくつかの例では、1つのパッチが複数の配置場所に適用される。いくつかの例では、パッチの色は、配置場所を示す。いくつかの例では、2、4、8、または12のパッチが、配置場所に適用される。いくつかの実施形態では、皮膚上の細胞またはその他の物質の採取方法は、複数のパッチを使用する工程を含む。いくつかの実施形態では、複数のパッチは、サイズ、色、および/または形状が同じである。いくつかの実施形態では、複数のパッチは、サイズ、色、および/または形状が異なる。いくつかの実施形態では、パッチ剥離方法とともに使用するための、接着性の皮膚試料採取キットは、不快感を最小限にして皮膚試料を採取するための非侵襲的手段として提供される。いくつかの実施形態では、細胞物質は皮膚試料から単離され、疾患のステージ、疾患進行のリスク、および特定の処置に患者が応答する可能性を判定することができる試験に利用することができる。いくつかの実施形態では、処置は、薬物療法および生検を含む。いくつかの実施形態では、皮膚試料の細胞物質は、タンパク質、核酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、および小分子を含む。いくつかの実施形態では、標的分析物は、タンパク質、核酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、および小分子を含む。核酸は、DNAおよびRNAを含む。DNAは、ゲノムDNAまたはコピーDNA(cDNA)であり得る。
【0064】
本明細書には、皮膚試料から生体分子を抽出する方法が提供される。いくつかの例では、生体分子は、本明細書に記載のパッチから抽出される。いくつかの例では、生体分子は核酸を含む。いくつかの例では、核酸の抽出は、パッチに付着した核酸の溶解、結合、洗浄、および溶出のうち1つまたは複数を含む。いくつかの例では、試料は最初に溶解され、これには細胞膜の破壊、および核酸の遊離が含まれる。いくつかの実施形態では、エタノールを溶解物に添加すると、理想的な結合条件が得られる。いくつかの実施形態では、結合溶液は、後にRNeasyシリカスピンカラム膜上に装填される。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液をカラムに添加し、3回遠心分離することで緩衝液を強制的にカラムに通し、膜から残存不純物すべてを洗い流し、RNAはシリカゲルに結合させたままにする。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液(水)をカラムに添加し、遠心分離することで核酸を膜から除去し、核酸をカラムの底部から採取する。
【0065】
接着パッチは、いくつかの例ではプロテオミクス実験または核酸実験に干渉しかねない抽出物(または浸出物)を最小限にするように構成されてもよい。いくつかの例では、抽出物または浸出物は、皮膚試料ではないシステムの構成要素を含む。この皮膚剥離用途において代替または原型のパッチに存在し得る、RT-PCR試験に対する干渉物(揮発性残留物、添加剤、充填剤、結合剤など)は、いくつかの例では、(RNA単離のために使用される)エタノールやイソプロパノールなどの溶媒を用いたパッチ試料のGC-MS抽出によって分析し、かつ、公知の濃度の標準溶液を用いた標準曲線法によって定量化することができる。いくつかの例では、方法は、全体を参照することで本明細書に援用される国際公開第2018/191268号の開示を反映し得る。いくつかの例では、本方法は、a)皮膚試料からRNAおよびゲノムDNAを共単離する工程、c)工程(a)から抽出されたRNAおよびゲノムDNAの両方を増幅する工程、d)単離されたRNAから関心対象のRNAの発現レベルを検出する工程、および/またはe)単離されたゲノムDNAから得た関心対象の遺伝子から、変異による変化、メチル化状態、またはそれらの組合せを検出する工程のうち1つまたは複数を含む。いくつかの例では、本方法は、a)必要とする個体から得た生体試料を複数のビーズと接触させる工程、b)複数のビーズからRNAおよびゲノムDNAを共単離する工程、c)工程(b)から抽出されたRNAおよびゲノムDNAの両方を増幅する工程、d)ビーズから単離されたRNAから得た関心対象のRNAの発現レベルを検出する工程、および/またはe)ビーズから単離されたゲノムDNAから得た関心対象の遺伝子から、変異による変化、メチル化状態、またはそれらの組合せを検出する工程のうち1つまたは複数を含む。いくつかの例では、この分類により、分析溶液に放出される不必要な抽出物に対する各パッチの品質を確認する(allow)。いくつかの例では、抽出物は、接着マトリックスを含むパッチから測定される。いくつかの例では、パッチから得た抽出物の量は、20:80のIPA:HO抽出媒体を使用して、25cm(3.875平方インチ)の面積につき約70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または約5ppmである。いくつかの例では、パッチから得た抽出物の量は、20:80のIPA:HO抽出媒体を使用して、25cm(3.875平方インチ)の面積につき70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5ppm以下である。いくつかの例では、パッチから得た抽出物の量は、80:20のIPA:HO抽出媒体を使用して、25cm(3.875平方インチ)の面積につき約700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、または約50ppmである。いくつかの例では、パッチから得た抽出物の量は、80:20のIPA:HO抽出媒体を使用して、25cm(3.875平方インチ)の面積につき700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、または50ppm以下である。いくつかの例では、パッチは、TGA(熱重量分析)TA Q50 TGA機器によって分析される、実質的な量の揮発性物質(例えば、未反応モノマー)、半揮発性物質(例えば、可塑剤、加工助剤)、または灰分(例えば、無機充填剤)型の成分を含まない。いくつかの例では、TGAデータは、TA Universal Analysis Software(有意に測定可能な充填剤、結合剤、または触媒を含まない)を用いて分析される。いくつかの例では、未反応モノマー、半揮発性物質(例えば、可塑剤、加工助剤)、または灰分(例えば、無機充填剤)のレベルは、GC-MSの約50、40、30、25、20、18、15、13、10、8、6、5、または3ug/Lの検出限界を下回る。いくつかの例では、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)のレベルは、GC-MSの約50、40、30、25、20、18、15、13、10、8、6、5、または3ug/Lの検出限界を下回る。いくつかの例では、少なくとも1つの接着パッチから切り離される抽出物および浸出物の量は、少なくとも約25cmの接着パッチを80%エタノール中約3時間還流した場合、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、または6.0mg/cm以下である。
【0066】
いくつかの実施形態では、採取された皮膚試料から単離されたRNAは、標的遺伝子を富化するためにPCRによる増幅においてcDNAに逆転写される。いくつかの例では、1つまたは複数の標的遺伝子の発現レベルは、遺伝子発現試験において量的PCRによって定量される。遺伝子発現試験は、疾患に関連する遺伝子発現シグネチャに関する情報を提供することができる。色素性病変アッセイは、接着性の皮膚試料採取キットを用いて単離されたRNAからの標的遺伝子の発現レベルを測定する、例示的な遺伝子発現試験である。
【0067】
例えば、いくつかの実施形態では、色素性病変アッセイは、黒色腫に関連する遺伝子発現シグネチャに関する他覚的情報を提供する。この情報は、組織病理学的診断を支援するのを補助するため、または生検の必要性を判定するために使用することができ、それによって不必要な生検手順が削減される。侵襲性腫瘍特性の発達も、遺伝子発現によって制御される。そのため、色素性病変アッセイはさらに、浸潤性黒色腫をin situで黒色腫と区別するほか、病期分類情報を提供する場合がある。転移の可能性がある浸潤性黒色腫の特定は、その特定を必要とする者にのみ処置を誘導することができる。別の遺伝子発現アッセイは、黒色腫腫瘍がリンパ節に広がっているかどうかを判断し得る。この試験によって、大規模で、病的状態を生じさせ、かつ相当な医療費が伴い得る、センチネルリンパ節手術の必要性を低減することができる。
【0068】
遺伝子発現分析は、薬物標的を特定し、薬物応答が最大となる群に患者を層別化することによって、薬物開発を容易にすることができる。例示的な実施形態では、ループスを患う対象の顔から採取された皮膚試料は、ループスに対する薬物効果で示される標的遺伝子の発現を評価するために、単離され、遺伝子発現試験に利用される。この遺伝子発現試験により、治療に対する応答者を特定し、新たな薬物標的を特定することができる。接着パッチの使用により、生検で生じ得る瘢痕が生じることなく、皮膚試料採取が可能になる。
【0069】
いくつかの実施形態では、使用済み接着パッチから単離された1つまたは複数のポリペプチドが、検出かつ/または定量される。例えば、いくつかの実施形態では、使用済み接着パッチから単離された1つまたは複数のポリペプチドは、ELISA、免疫組織化学染色、質量分析、および/または吸光度測定を用いて検出かつ/または定量される。いくつかの実施形態では、使用済み接着パッチから単離されたDNAの配列は、当業者に公知の遺伝子シーケンシング方法を用いて判定される。
【0070】
いくつかの例では、パッチ剥離方法を用いて採取された皮膚試料は、免疫組織化学染色、質量分析、免疫表現型検査、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、および/またはそれらのあらゆる組合せを含む、他の臨床アッセイと組み合わせて使用される。皮膚試料は、アッセイの構成要素として有用であることを証明するべく、必ずしも接着パッチから除去される必要はない。皮膚試料からの細胞物質は、接着パッチマトリックスの表面から検出することができる。検出方法は、接着パッチマトリックスに付着された細胞物質に結合するように構成されたプローブの使用を含む。プローブとして、核酸に結合するように構成されたプライマー、ならびにポリペプチド、核酸、小分子、脂質、および/または炭水化物に結合するように構成された抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
いくつかの実施形態では、パッチ剥離方法は、ループス、麻疹、座瘡、血管腫、乾癬、光線性角化症、湿疹、カンジダ症、過敏症、帯状疱疹、ライ病、およびクローン病を含むがこれらに限定されない、様々な疑わしい皮膚疾病に対する作業(work up)の一部である。皮膚疾病には、アトピー性皮膚炎、炎症性皮膚疾患、水疱性疾患、感染症、および癌も挙げられる。皮膚癌には、基底細胞癌、光線性角化症、メルケル細胞癌、皮脂癌、扁平上皮癌、黒色腫、および隆起性皮膚線維肉腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
いくつかの実施形態では、パッチ剥離方法は、複数の接着パッチを用いて行われる。皮膚試料を採取するために、1~8つの間の接着パッチが順次適用され、除去することができる。皮膚試料ごとに使用される接着パッチの数は、16、14、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1つのパッチ、約2~約7つのパッチ、約3~約6つのパッチ、および約4~約5つのパッチが挙げられ得るが、これらに限定されない。特定の例では、接着パッチは、約1~約8回、例えば順次または連続的に皮膚に適用され、皮膚から除去される。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法、デバイス、およびシステムは、皮膚試料などの組織の有効または充分な量が接着パッチの接着マトリックスに付着するように、接着パッチまたは他の同様のパッチを皮膚に適用することを含む。例えばいくつかの実施形態では、皮膚試料の有効または充分な量は、マトリックスや接着パッチなどの材料に除去可能に付着する量である。付着された皮膚試料は、特定の実施形態では、核酸およびタンパク質(ならびに/またはポリペプチド)を含む細胞物質を含む。いくつかの例では、核酸は、RNAまたはDNAである。皮膚試料の有効量は、診断アッセイを実施するのに充分な量の細胞物質を含有する。いくつかの例では、診断アッセイは、使用済み接着パッチ上の付着された皮膚試料から単離された細胞物質を用いて実施される。いくつかの例では、診断アッセイは、使用済み接着パッチに付着された細胞物質上で実施される。いくつかの実施形態では、皮膚試料の有効量は、遺伝子発現分析を実施するのに充分な量のRNAを含む。RNAの充分な量は、ピコグラム、ナノグラム、およびマイクログラムの分量を含む。いくつかの例では、細胞物質または核酸の量は、キットごとに、パッチごとに(または複数のパッチごとに)、またはパッチ(または複数のパッチ)の接着領域の表面積の関数として測定される。
【0074】
採取された細胞物質の量は、採取キットごとに測定されてもよい。いくつかの例では、採取キットは、1つまたは複数のパッチを備える。いくつかの実施形態では、付着された皮膚試料は、RNAやDNAなどの核酸、またはタンパク質などのポリペプチドを含む細胞物質を、採取キットごとに少なくとも約1ピコグラムの量で含む。いくつかの実施形態では、細胞物質の量は、採取キットごとに約1ナノグラム以下である。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、採取キットごとに約1マイクログラム以下である。またさらなる、または付加的な実施形態では、細胞物質の量は、採取キットごとに約1グラム以下である。さらなるまたは付加的な実施形態では、RNAやDNAなどの核酸、またはタンパク質などのポリペプチドを含む細胞物質の量は、約1グラム未満、約500ミリグラム未満、約490ミリグラム未満、約480ミリグラム未満、約470ミリグラム未満、約460ミリグラム未満、約450ミリグラム未満、約440ミリグラム未満、約430ミリグラム未満、約420ミリグラム未満、約410ミリグラム未満、約400ミリグラム未満、約390ミリグラム未満、約380ミリグラム未満、約370ミリグラム未満、約360ミリグラム未満、約350ミリグラム未満、約340ミリグラム未満、約330ミリグラム未満、約320ミリグラム未満、約310ミリグラム未満、約300ミリグラム未満、約290ミリグラム未満、約280ミリグラム未満、約270ミリグラム未満、約260ミリグラム未満、約250ミリグラム未満、約240ミリグラム未満、約230ミリグラム未満、約220ミリグラム未満、約210ミリグラム未満、約200ミリグラム未満、約190ミリグラム未満、約180ミリグラム未満、約170ミリグラム未満、約160ミリグラム未満、約150ミリグラム未満、約140ミリグラム未満、約130ミリグラム未満、約120ミリグラム未満、約110ミリグラム未満、約100ミリグラム未満、約90ミリグラム未満、約80ミリグラム未満、約70ミリグラム未満、約60ミリグラム未満、約50ミリグラム未満、約40ミリグラム未満、約30ミリグラム未満、約20ミリグラム未満、約10ミリグラム未満、約5ミリグラム未満、または約1ミリグラム未満である。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、採取キットごとに約1ピコグラム~約1グラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、採取キットごとに約1ピコグラム~約1ミリグラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、採取キットごとに約1ピコグラム~約1マイクログラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、採取キットごとに約1ピコグラム~約1ナノグラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質は、採取キットごとに約50マイクログラム~約1グラム、約100ピコグラム~約500マイクログラム、約500ピコグラム~約100マイクログラム、約750ピコグラム~約1マイクログラム、約1ナノグラム~約750ナノグラム、または約1ナノグラム~約500ナノグラムの量を含む。さらなるまたは付加的な実施形態では、RNAやDNAなどの核酸、またはタンパク質などのポリペプチドを含む細胞物質の量は、採取キットごとに約50マイクログラム~1ミリグラム、50マイクログラム~50ミリグラム、50マイクログラム~約500マイクログラム、約100マイクログラム~約450マイクログラム、約100マイクログラム~約350マイクログラム、約100マイクログラム~約300マイクログラム、約120マイクログラム~約250マイクログラム、約150マイクログラム~約200マイクログラム、約500ナノグラム~約5ナノグラム、約400ナノグラム~約10ナノグラム、約200ナノグラム~約15ナノグラム、約100ナノグラム~約20ナノグラム、約50ナノグラム~約10ナノグラム、約50ナノグラム~約25ナノグラムの量を含む。さらなるまたは付加的な実施形態では、RNAやDNAなどの核酸、またはタンパク質などのポリペプチドを含む細胞物質の量は、採取キットごとに約1グラム未満、約500マイクログラム未満、約490マイクログラム未満、約480マイクログラム未満、約470マイクログラム未満、約460マイクログラム未満、約450マイクログラム未満、約440マイクログラム未満、約430マイクログラム未満、約420マイクログラム未満、約410マイクログラム未満、約400マイクログラム未満、約390マイクログラム未満、約380マイクログラム未満、約370マイクログラム未満、約360マイクログラム未満、約350マイクログラム未満、約340マイクログラム未満、約330マイクログラム未満、約320マイクログラム未満、約310マイクログラム未満、約300マイクログラム未満、約290マイクログラム未満、約280マイクログラム未満、約270マイクログラム未満、約260マイクログラム未満、約250マイクログラム未満、約240マイクログラム未満、約230マイクログラム未満、約220マイクログラム未満、約210マイクログラム未満、約200マイクログラム未満、約190マイクログラム未満、約180マイクログラム未満、約170マイクログラム未満、約160マイクログラム未満、約150マイクログラム未満、約140マイクログラム未満、約130マイクログラム未満、約120マイクログラム未満、約110マイクログラム未満、約100マイクログラム未満、約90マイクログラム未満、約80マイクログラム未満、約70マイクログラム未満、約60マイクログラム未満、約50マイクログラム未満、約20マイクログラム未満、約10マイクログラム未満、約5マイクログラム未満、約1マイクログラム未満、約750ナノグラム未満、約500ナノグラム未満、約250ナノグラム未満、約150ナノグラム未満、約100ナノグラム未満、約50ナノグラム未満、約25ナノグラム未満、約15ナノグラム未満、約1ナノグラム未満、約750ピコグラム未満、約500ピコグラム未満、約250ピコグラム未満、約100ピコグラム未満、約50ピコグラム未満、約25ピコグラム未満、約15ピコグラム未満、または約1ピコグラム未満である。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、採取キットごとに約1ピコグラム~約50マイクログラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質は、採取キットごとに約1ピコグラム~約15マイクログラム、約1ピコグラム~約10マイクログラム、約1ピコグラム~約50マイクログラム、約1ピコグラム~約50マイクログラム、約1ピコグラム~約100マイクログラム、約1ピコグラム~約200マイクログラム、約1ピコグラム~約500マイクログラム、約1ピコグラム~約750マイクログラム、50ピコグラム~約1マイクログラム、約500ピコグラム~1マイクログラム、約100ピコグラム~約500マイクログラム、約500ピコグラム~約100マイクログラム、約750ピコグラム~約1マイクログラム、約1ナノグラム~約750マイクログラム、約100ナノグラム~約500マイクログラム、または約1ナノグラム~約500マイクログラムの量を含む。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、採取キットごとに約1ピコグラム~約1グラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質は、採取キットごとに約50マイクログラム~約1ミリグラム、約500マイクログラム~約1ミリグラム、約100ピコグラム~約500ミリグラム、約500ピコグラム~約100ミリグラム、約750ピコグラム~約1ミリグラム、約1ナノグラム~約750ミリグラム、または約1ナノグラム~約500ミリグラムの量を含む。
【0075】
採取された細胞物質の量は、パッチの接着区域の面積ごとに測定されてもよい。いくつかの実施形態では、付着された皮膚試料は、RNAやDNAなどの核酸、またはタンパク質などのポリペプチドを含む細胞物質を、平方インチごとに少なくとも約1ピコグラムの量で含む。いくつかの実施形態では、細胞物質の量は、平方インチごとに約1ナノグラム以下である。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、平方インチごとに約1マイクログラム以下である。またさらなる、または付加的な実施形態では、細胞物質の量は、平方インチごとに約1グラム以下である。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、平方インチごとに約1ピコグラム~約1グラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、平方インチごとに約1ピコグラム~約1ミリグラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、平方インチごとに約1ピコグラム~約1マイクログラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、平方インチごとに約1ピコグラム~約1ナノグラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質は、平方インチごとに約50マイクログラム~約1グラム、約100ピコグラム~約500マイクログラム、約500ピコグラム~約100マイクログラム、約750ピコグラム~約1マイクログラム、約1ナノグラム~約750ナノグラム、または約1ナノグラム~約500ナノグラムの量を含む。さらなるまたは付加的な実施形態では、RNAやDNAなどの核酸、またはタンパク質などのポリペプチドを含む細胞物質の量は、平方インチごとに約50マイクログラム~1ミリグラム、50マイクログラム~50ミリグラム、50マイクログラム~約500マイクログラム、約100マイクログラム~約450マイクログラム、約100マイクログラム~約350マイクログラム、約100マイクログラム~約300マイクログラム、約120マイクログラム~約250マイクログラム、約150マイクログラム~約200マイクログラム、約500ナノグラム~約5ナノグラム、約400ナノグラム~約10ナノグラム、約200ナノグラム~約15ナノグラム、約100ナノグラム~約20ナノグラム、約50ナノグラム~約10ナノグラム、約50ナノグラム~約25ナノグラムの量を含む。さらなるまたは付加的な実施形態では、RNAやDNAなどの核酸、またはタンパク質などのポリペプチドを含む細胞物質の量は、平方インチごとに約1グラム未満、約500マイクログラム未満、約490マイクログラム未満、約480マイクログラム未満、約470マイクログラム未満、約460マイクログラム未満、約450マイクログラム未満、約440マイクログラム未満、約430マイクログラム未満、約420マイクログラム未満、約410マイクログラム未満、約400マイクログラム未満、約390マイクログラム未満、約380マイクログラム未満、約370マイクログラム未満、約360マイクログラム未満、約350マイクログラム未満、約340マイクログラム未満、約330マイクログラム未満、約320マイクログラム未満、約310マイクログラム未満、約300マイクログラム未満、約290マイクログラム未満、約280マイクログラム未満、約270マイクログラム未満、約260マイクログラム未満、約250マイクログラム未満、約240マイクログラム未満、約230マイクログラム未満、約220マイクログラム未満、約210マイクログラム未満、約200マイクログラム未満、約190マイクログラム未満、約180マイクログラム未満、約170マイクログラム未満、約160マイクログラム未満、約150マイクログラム未満、約140マイクログラム未満、約130マイクログラム未満、約120マイクログラム未満、約110マイクログラム未満、約100マイクログラム未満、約90マイクログラム未満、約80マイクログラム未満、約70マイクログラム未満、約60マイクログラム未満、約50マイクログラム未満、約20マイクログラム未満、約10マイクログラム未満、約5マイクログラム未満、約1マイクログラム未満、約750ナノグラム未満、約500ナノグラム未満、約250ナノグラム未満、約150ナノグラム未満、約100ナノグラム未満、約50ナノグラム未満、約25ナノグラム未満、約15ナノグラム未満、約1ナノグラム未満、約750ピコグラム未満、約500ピコグラム未満、約250ピコグラム未満、約100ピコグラム未満、約50ピコグラム未満、約25ピコグラム未満、約15ピコグラム未満、または約1ピコグラム未満である。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、平方インチごとに約1ピコグラム~約50マイクログラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質は、平方インチごとに約1ピコグラム~約15マイクログラム、約1ピコグラム~約10マイクログラム、約1ピコグラム~約50マイクログラム、約1ピコグラム~約50マイクログラム、約1ピコグラム~約100マイクログラム、約1ピコグラム~約200マイクログラム、約1ピコグラム~約500マイクログラム、約1ピコグラム~約750マイクログラム、50ピコグラム~約1マイクログラム、約500ピコグラム~1マイクログラム、約100ピコグラム~約500マイクログラム、約500ピコグラム~約100マイクログラム、約750ピコグラム~約1マイクログラム、約1ナノグラム~約750マイクログラム、約100ナノグラム~約500マイクログラム、または約1ナノグラム~約500マイクログラムの量を含む。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、平方インチごとに約1ピコグラム~約1グラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質は、平方インチごとに約50マイクログラム~約1ミリグラム、約500マイクログラム~約1ミリグラム、約100ピコグラム~約500ミリグラム、約500ピコグラム~約100ミリグラム、約750ピコグラム~約1ミリグラム、約1ナノグラム~約750ミリグラム、または約1ナノグラム~約500ミリグラムの量を含む。
【0076】
採取された細胞物質の量は、パッチ(または複数のパッチ)ごとに測定されてもよい。いくつかの例では、キットは、1つまたは複数のパッチを備える。いくつかの実施形態では、付着された皮膚試料は、RNAやDNAなどの核酸、またはタンパク質などのポリペプチドを含む細胞物質を、パッチごとに少なくとも約1ピコグラムの量で含む。いくつかの実施形態では、細胞物質の量は、パッチごとに約1ナノグラム以下である。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、パッチごとに約1マイクログラム以下である。またさらなる、または付加的な実施形態では、細胞物質の量は、パッチごとに約1グラム以下である。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、パッチごとに約1ピコグラム~約1グラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、パッチごとに約1ピコグラム~約1ミリグラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、パッチごとに約1ピコグラム~約1マイクログラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、パッチごとに約1ピコグラム~約1ナノグラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質は、パッチごとに約50マイクログラム~約1グラム、約100ピコグラム~約500マイクログラム、約500ピコグラム~約100マイクログラム、約750ピコグラム~約1マイクログラム、約1ナノグラム~約750ナノグラム、または約1ナノグラム~約500ナノグラムの量を含む。さらなるまたは付加的な実施形態では、RNAやDNAなどの核酸、またはタンパク質などのポリペプチドを含む細胞物質の量は、パッチごとに約50マイクログラム~1ミリグラム、50マイクログラム~50ミリグラム、50マイクログラム~約500マイクログラム、約100マイクログラム~約450マイクログラム、約100マイクログラム~約350マイクログラム、約100マイクログラム~約300マイクログラム、約120マイクログラム~約250マイクログラム、約150マイクログラム~約200マイクログラム、約500ナノグラム~約5ナノグラム、約400ナノグラム~約10ナノグラム、約200ナノグラム~約15ナノグラム、約100ナノグラム~約20ナノグラム、約50ナノグラム~約10ナノグラム、約50ナノグラム~約25ナノグラムの量を含む。さらなるまたは付加的な実施形態では、RNAやDNAなどの核酸、またはタンパク質などのポリペプチドを含む細胞物質の量は、パッチごとに約1グラム未満、約500マイクログラム未満、約490マイクログラム未満、約480マイクログラム未満、約470マイクログラム未満、約460マイクログラム未満、約450マイクログラム未満、約440マイクログラム未満、約430マイクログラム未満、約420マイクログラム未満、約410マイクログラム未満、約400マイクログラム未満、約390マイクログラム未満、約380マイクログラム未満、約370マイクログラム未満、約360マイクログラム未満、約350マイクログラム未満、約340マイクログラム未満、約330マイクログラム未満、約320マイクログラム未満、約310マイクログラム未満、約300マイクログラム未満、約290マイクログラム未満、約280マイクログラム未満、約270マイクログラム未満、約260マイクログラム未満、約250マイクログラム未満、約240マイクログラム未満、約230マイクログラム未満、約220マイクログラム未満、約210マイクログラム未満、約200マイクログラム未満、約190マイクログラム未満、約180マイクログラム未満、約170マイクログラム未満、約160マイクログラム未満、約150マイクログラム未満、約140マイクログラム未満、約130マイクログラム未満、約120マイクログラム未満、約110マイクログラム未満、約100マイクログラム未満、約90マイクログラム未満、約80マイクログラム未満、約70マイクログラム未満、約60マイクログラム未満、約50マイクログラム未満、約20マイクログラム未満、約10マイクログラム未満、約5マイクログラム未満、約1マイクログラム未満、約750ナノグラム未満、約500ナノグラム未満、約250ナノグラム未満、約150ナノグラム未満、約100ナノグラム未満、約50ナノグラム未満、約25ナノグラム未満、約15ナノグラム未満、約1ナノグラム未満、約750ピコグラム未満、約500ピコグラム未満、約250ピコグラム未満、約100ピコグラム未満、約50ピコグラム未満、約25ピコグラム未満、約15ピコグラム未満、または約1ピコグラム未満である。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、パッチごとに約1ピコグラム~約50マイクログラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質は、パッチごとに約1ピコグラム~約15マイクログラム、約1ピコグラム~約10マイクログラム、約1ピコグラム~約50マイクログラム、約50ピコグラム~約1マイクログラム、約1ピコグラム~約50マイクログラム、約1ピコグラム~約100マイクログラム、約1ピコグラム~約200マイクログラム、約1ピコグラム~約500マイクログラム、約1ピコグラム~約750マイクログラム、500ピコグラム~約1マイクログラム、約100ピコグラム~約500マイクログラム、約500ピコグラム~約100マイクログラム、約750ピコグラム~約1マイクログラム、約1ナノグラム~約750マイクログラム、約100ナノグラム~約500マイクログラム、または約1ナノグラム~約500マイクログラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質の量は、パッチごとに約1ピコグラム~約1グラムである。さらなるまたは付加的な実施形態では、細胞物質は、パッチごとに約50マイクログラム~約1ミリグラム、約500マイクログラム~約1ミリグラム、約100ピコグラム~約500ミリグラム、約500ピコグラム~約100ミリグラム、約750ピコグラム~約1ミリグラム、約1ナノグラム~約750ミリグラム、または約1ナノグラム~約500ミリグラムの量を含む。
【0077】
細胞物質の分析および結果の伝達
細胞物質は、中にある標的分析物の分析のためにさらに処理されてもよい。いくつかの例では、標的分析物は、核酸およびタンパク質を含む。いくつかの例では、核酸は、DNAおよび/またはRNAを含む。いくつかの例では、核酸はゲノムDNAを含む。いくつかの例では、核酸はcDNAを含む。いくつかの例では、核酸はヒト起源である。いくつかの例では、核酸は微生物起源である。
【0078】
いくつかの実施形態では、採取された皮膚試料から単離されたRNAは、例えば、標的遺伝子を富化するためにPCRによる増幅において、cDNAに逆転写される。これら標的遺伝子の発現レベルは、遺伝子発現試験での量的PCRによって定量化され得る。いくつかの例では、量的PCRと組み合わせて、コンピュータ上で実行されるソフトウェアプログラムを利用することで、採取された皮膚試料から単離されたRNAが定量化される。いくつかの例では、ソフトウェアプログラムまたはモジュールを利用することで、皮膚試料からのRNAの量は遺伝子発現シグネチャに関連付けられ、遺伝子発現シグネチャは、黒色腫などの疾患に関連する。いくつかの実施形態では、ソフトウェアプログラムまたはモジュールは、遺伝子発現レベルに基づき試料をスコア付けする。いくつかの実施形態では、試料スコアを参照試料スコアと比較することで、遺伝子発現シグネチャと疾患との間に統計的有意差があるかどうかが判定される。
【0079】
いくつかの実施形態では、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから1つまたは複数の標的遺伝子が、分析される。いくつかの例では、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約1~約100、約1~約90、約1~約80、約1~約70、約1~約60、約1~約50、約1~約40、約1~約30、約1~約20、約5~約100、約5~約80、約5~約60、約5~約40、約5~約20、約10~約100、約10~約80、約10~約60、約10~約40、約20~約80、約20~約60、約20~約40、約30~約80、約30~約60、約40~約60、約2~約10、約2~約8、または約2~約6個の標的遺伝子が分析される。
【0080】
場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、40、50個、またはそれより多くの標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約1個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約2個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約3個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約4個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約5個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約6個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約7個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約8個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約9個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約10個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約11個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約12個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約13個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約14個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約15個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約20個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約25個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約30個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約40個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNAから、約50個以上の標的遺伝子が分析される。
【0081】
いくつかの実施形態では、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、1つまたは複数の標的遺伝子が分析される(例えば、ゲノム変異について)。いくつかの例では、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約1~約100、約1~約90、約1~約80、約1~約70、約1~約60、約1~約50、約1~約40、約1~約30、約1~約20、約5~約100、約5~約80、約5~約60、約5~約40、約5~約20、約10~約100、約10~約80、約10~約60、約10~約40、約20~約80、約20~約60、約20~約40、約30~約80、約30~約60、約40~約60、約2~約10、約2~約8、または約2~約6個の標的遺伝子が分析される。
【0082】
場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、40、50個、またはそれより多くの標的遺伝子が分析される(例えば、ゲノム変異について)。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約1個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約2個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約3個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約4個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約5個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約6個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約7個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約8個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約9個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約10個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約11個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約12個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約13個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約14個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約15個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約20個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約25個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約30個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約40個以上の標的遺伝子が分析される。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたDNAから、約50個以上の標的遺伝子が分析される。
【0083】
本明細書には、開示される皮膚または組織試料を採取する方法およびシステムと組み合わせて使用され得る、黒色腫を非侵襲的に診断または検出するための標的遺伝子および遺伝子分類子が提供される。本システムと方法は、全体を参照することで本明細書に援用される国際公開第2009/140550号の開示を反映し得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の標的遺伝子は、C6orf218、黒色腫に優先的に発現される抗原(PRAME)、またはそれらの組合せを含む。場合により、標的遺伝子はC6orf218を含む。他の場合、1つまたは複数の標的遺伝子は、黒色腫に優先的に発現される抗原(PRAME)を含む。場合により、採取された皮膚試料から得られる単離されたRNA、DNA、もしくはRNA/DNAから、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、40、50個、またはそれより多くの標的遺伝子が分析され、このとき、1つまたは複数の標的遺伝子は、少なくともC6orf218、黒色腫に優先的に発現される抗原(PRAME)、IL-6、IL-8、IL-17A、IL-17C、IL-17F、IL-17RA、IL-17RC、IL-21、IL-22、IL-23A、IL-24、IL-26、TNF-α、TNF RSF1A、S100A7、S100A9、CCL20、CXCL1、CXCL5、LCN2、DEFB4A、またはそれらの組合せを含む。
【0084】
本明細書には、開示される皮膚または組織試料を採取する方法およびシステムと組み合わせて使用され得る、非黒色腫性の皮膚癌を非侵襲的に診断または検出するための標的遺伝子および遺伝子分類子が提供される。本システムと方法は、全体を参照することで本明細書に援用される国際公開第2019/161126号の開示を反映し得る。いくつかの例では、標的遺伝子は、IGFL1、MMP1、COL5A2、IL24、AADACL2、PTCH1、CD68、PRKACA、およびSPP1を含む。いくつかの例では、標的遺伝子は、MMP1、S100A7、CMPK2、IRF7、IGFL1、CXCL1、UPP1、DEFB4A、FOS、OAS3、SCD5、RTP4、VEGFA、COL5A2、IL24、AADACL2、PTCH1、CD68、PRKACA、およびSPP1を含む。いくつかの例では、非黒色腫性の皮膚癌は、BCC、SCC、光線性角化症(AK)、または脂漏性角化症(SK)を含む。
【0085】
本明細書には、開示される皮膚または組織試料を採取する方法およびシステムと組み合わせて使用され得る、自己免疫性もしくは炎症性障害を非侵襲的に診断または検出するための標的遺伝子および遺伝子分類子が提供される。本システムと方法は、全体を参照することで本明細書に援用される国際公開第2019/217478号の開示を反映し得る。いくつかの例では、障害は、乾癬、アトピー性皮膚炎、または狼瘡を含む。いくつかの例では、1つまたは複数の標的遺伝子は、IL-17A、IL-17F、IL-8、CXCL5、S100A9、DEFB4A、もしくはそれらの組合せのうち1つまたは複数を含む。いくつかの例では、1つまたは複数の標的遺伝子は、IL-17C、S100A7、IL-17RA、IL-17RC、IL-23A、IL-22、IL-26、IL-24、IL-6、CXCL1、TNFa、LCN2、CCL20、INFRSF1A、またはそれらの組合せを含む。いくつかの例では、1つまたは複数の標的遺伝子は、L-17C、S100A7、IL-17RA、IL-17RC、IL-23A、IL-22、IL-26、11.-24、IL-6、CXCU、IFN-γ、11.-3/、IL-33、TNFa、LCN2、CCL20、TNFRSF1A、またはそれらの組合せを含む。いくつかの例では、1つまたは複数の標的遺伝子は、Th1、Th2、Th17、またはTh22の経路中の遺伝子を含む。いくつかの例では、標的遺伝子は、IL-13、IL-31、TSLP、IL-13R、IL-4R、IL-17、IL-22、CXCL9、CXCL10、CXCLH、S100A7、S100A8、S100A9、CCL17、CCL18、CCL19、CCL26、CCL27、NOS2、IL-31RA、CCL17、IL-23A、IL-4R、IL-22、IL-13、もしくはIL-13RA1、IL-13の経路の構成要素もしくは受容体、またはそれらの組合せを含む。
【0086】
本明細書には、開示される皮膚または組織試料を採取する方法およびシステムと組み合わせて使用され得る、皮膚癌を非侵襲的に診断または検出するための標的遺伝子および遺伝子分類子が提供される。本システムと方法は、全体を参照することで本明細書に援用される国際公開第2020/198229号の開示を反映し得る。いくつかの例では、皮膚癌は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を含む。場合により、皮膚癌は、菌状息肉腫(MF)またはセザリー症候群(SS)である。いくつかの例では、少なくとも1つの標的遺伝子は、サポシン様タンパク質をコードする遺伝子、FYN結合タンパク質ファミリーメンバーをコードする遺伝子、TECキナーゼファミリーメンバーをコードする遺伝子、STATをコードする遺伝子、TRAF3相互作用タンパク質をコードする遺伝子、CXCケモカインファミリーメンバーをコードする遺伝子、またはそれらの組合せを含む。いくつかの例では、標的遺伝子は、FYB、PK、IL26、STAT5A、TRAF3IP3、ONLY、DNM3、TNFSF11、TOX、LEF1、CCR4、POU2AF1、GTSF1、PLS3、MMP12、LCK、NEDD4L、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの標的遺伝子は、FYN結合タンパク質(FYB)、IL2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)、インターロイキン26(IL26)、シグナル伝達兼転写活性化因子5A(STAT5A)、TRAF3相互作用タンパク質3(RAF3IP3)、グラニュライシン(GNLY)、ダイナミン3(DNM3)、もしくは腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー11(TNFSF11)、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの標的遺伝子は、TOX、LEF1、CCR4、POU2AF1、GTSF1、PLS3、MMP12、ZCX、もしくはNEDD4L、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの標的遺伝子は、FYB、GNLY、PK、STAT5、TRAF3IP3、CXCL10、CXCL8、もしくは77VF、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの標的遺伝子は、microRNAをコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、microRNAは、miR-21、miR-29b、miR-155、miR-186、miR-214、またはmiR-221を含む。いくつかの実施形態は、CTCLを有する対象において、核酸において、または皮膚試料から単離された別個の組の核酸において変異すると知られる標的遺伝子の、少なくとも1つの遺伝子型の存在を検出することを含む。いくつかの実施形態では、対象がCTCLを有しているかどうかを判定することは、対象が少なくとも1つの遺伝子型の存在に基づきCTCLを有しているかどうかを判定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、標的遺伝子は、TP53、ZEB1、ARID A、DNMT3A、CDKN2A、FAS、STAT5B、PRKCQ、RHOA、DNMT3A、PLCG1、またはNFKB2を含む。
【0087】
本明細書には、開示される皮膚または組織試料を採取する方法およびシステムと組み合わせて使用され得る、UV皮膚損傷に関連する標的遺伝子および遺伝子分類子が提供される。本システムと方法は、全体を参照することで本明細書に援用される国際公開第2020/206085号の開示を反映し得る。いくつかの例では、標的遺伝子は、ADAMTSL4、CDKN1A、CDKN2A、CST6、KIF18B、MKI67、SLAMF7、TRIP13、UHRF1、CRABP2、ILIRN、IL22RA1、IL36B、IL36G、KLK10、KRT17、MUCL1、PDCD4、SPRR1A、またはそれらの組合せを含む。
【0088】
本明細書には、開示される皮膚または組織試料を採取する方法およびシステムと組み合わせて使用され得る、皮膚の変異を評価するシステムおよび方法が提供される。いくつかの例では、変異量は、ゲノムの分析によって測定される。いくつかの例では、変異量は、UV損傷の程度、老化、または環境変異原への曝露を示す。本システムと方法は、全体を参照することで本明細書に援用される米国仮特許出願第63/117,946号の開示を反映し得る。いくつかの例では、皮膚試料は、環境要因に曝露された皮膚の層からサンプリングされた皮膚の大半を含む。いくつかの例では、環境要因は、紫外線(UV)光である。いくつかの例では、採取された皮膚1mmごとの核酸変異の数は、少なくとも1、2、5、10、15、20、25、30、4、または少なくとも50の変異を含む。いくつかの例では、少なくとも1つの核酸変異は、UV損傷を示す。いくつかの例では、標的遺伝子は、TP53、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、RBM10、PPP2R1A、GNAS、CTNNB1、PIK3CA、PPP6C、HRAS、KRAS、MTOR、SMAD3、LMNA、FGFR3、ZNF750、EPAS1、RPL22、ALDH2、CBFA2T3、CCND1、FAT1、FH、KLF4、CIC、RAC1、PTCH1、TPM4、またはそれらの組合せを含む。
【0089】
本明細書に記載される非侵襲的な方法およびシステムから得られる皮膚試料は、非ヒト細胞物質および/または核酸を含み得る。いくつかの例では、試料は微生物を含む。いくつかの例では、試料は、微生物細胞もしくは細胞物質、タンパク質もしくはタンパク質サブユニット、核酸、または、真菌、原生動物、細菌(グラム陽性またはグラム陰性)、酵母菌、ウイルス、寄生虫、もしくは他の非ヒト微生物に由来する核酸フラグメントを含む。いくつかの例では、本明細書に記載の方法およびシステムは、皮膚のマイクロバイオームを特徴解析するために使用される。いくつかの例では、皮膚のマイクロバイオームは、感染症の存在を判定するために分析される。いくつかの例では、皮膚のマイクロバイオームは、全身の皮膚の健康状態を判定するために分析される。一実施形態では、メタボリック症候群またはそれに付随する疾病を発症する可能性の増加を示す、皮膚のマイクロバイオームは、細菌コミュニティの多様性の減少、例えば、様々な細菌種、株、またはその両方の数の減少を含む。一実施形態では、皮膚のマイクロバイオームを判定することは、レンサ球菌科(Streptococcaceae)、コリネバクテリウム科(Corynebacteriaceae)、スタフィロコッカス科(Staphylococcaceae)、マイクロコッカス科(Micrococcaceae)、ナイセリア科(Neisseriaceae)、パスツレラ科(Pasteurellaceae)、プレボテラ科(Prevotellaceae)、ブレビバクテリウム科(Brevibacterium)、Dermabacter科、マラセチア科(Malasezzia)、およびモラクセラ科(Moraxellaceae)から選択される、あらゆる科に属する種の存在量、上記科のいずれか1つに属する2つ以上の種の比、またはその両方を判定することを含む。いくつかの実施形態では、皮膚のマイクロバイオームは、疾患または疾病を発症する可能性の増加を示す。いくつかの実例では、疾患または疾病は、代謝性疾患または疾病である。いくつかの例では、微生物は、レンサ球菌科(Streptococcaceae)、スタフィロコッカス科(Staphylococcaceae)、マイクロコッカス科(Micrococcaceae)、ナイセリア科(Neisseriaceae)、パスツレラ科(Pasteurellaceae)、ブレビバクテリウム科(Brevibacterium)、Dermabacter科、マラセチア科(Malasezzia)、およびモラクセラ科(Moraxellaceae)のうち1つまたは複数を含む。いくつかの例では、微生物は、コリネバクテリウム(Corynebacterium)(例えば、C.kroppenstedtii)コロニー形成、スタフィロコッカス(Staphylococcus)(例えば、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)コロニー形成、スタフィロコッカス・ホミニス(S.hominis)コロニー形成)、もしくはそれらのあらゆる組合せのうち、1つまたは複数を含む。別の実施形態では、メタボリック症候群またはそれに付随する疾病を発症する可能性の増加を示す、皮膚のマイクロバイオームは、レンサ球菌科(Streptococcaceae)、コリネバクテリウム科(Corynebacteriaceae)、スタフィロコッカス科(Staphylococcaceae)、マイクロコッカス科(Micrococcaceae)、ナイセリア科(Neisseriaceae)、パスツレラ科(Pasteurellaceae)、プレボテラ科(Prevotellaceae)、ブレビバクテリウム科(Brevibacterium)、Dermabacter科、マラセチア科(Malasezzia)、およびモラクセラ科(Moraxellaceae)から選択されるあらゆる科に属する1つまたは複数の細菌のコロニー形成を含む。別の実施形態では、メタボリック症候群またはそれに付随する疾病を発症する可能性の増加を示す、皮膚のマイクロバイオームは、コリネバクテリウム(Corynebacterium)コロニー形成を含む。別の実施形態では、メタボリック症候群またはそれに付随する疾病を発症する可能性の増加を示す、皮膚のマイクロバイオームは、スタフィロコッカス(Staphylococcus)コロニー形成を含む。別の実施形態では、メタボリック症候群またはそれに付随する疾病を発症する可能性の増加を示す、皮膚のマイクロバイオームは、高度のコリネバクテリウム・クロッペンステディ(Corynebacterium kroppenstedtii)コロニー形成を含む。別の実施形態では、メタボリック症候群またはそれに付随する疾病を発症する可能性の増加を示す、皮膚のマイクロバイオームは、高度の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)コロニー形成を含む。別の実施形態では、メタボリック症候群またはそれに付随する疾病を発症する可能性の増加を示す、皮膚のマイクロバイオームは、増加したコリネバクテリウム(Corynebacterium)(例えば、C.kroppenstedtii)、増加したスタフィロコッカス(Staphylococcus)(例えば、黄色ブドウ球菌(S.aureus)コロニー形成、減少した表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)コロニー形成、減少したスタフィロコッカス・ホミニス(S.hominis)コロニー形成)、またはそれらのあらゆる組合せを含む。別の実施形態では、メタボリック症候群またはそれに付随する疾病を発症する可能性の増加を示す、皮膚のマイクロバイオームは、レンサ球菌科(Streptococcaceae)、コリネバクテリウム科(Corynebacteriaceae)、スタフィロコッカス科(Staphylococcaceae)、マイクロコッカス科(Micrococcaceae)、ナイセリア科(Neisseriaceae)、パスツレラ科(Pasteurellaceae)、プレボテラ科(Prevotellaceae)、ブレビバクテリウム科(Brevibacterium)、Dermabacter科、マラセチア科(Malasezzia)、およびモラクセラ科(Moraxellaceae)から選択されるあらゆる科に属する1つまたは複数の細菌のコロニー形成を含む。別の実施形態では、メタボリック症候群またはそれに付随する疾病を発症する可能性の増加を示す、皮膚のマイクロバイオームは、コリネバクテリウム(Corynebacterium)コロニー形成を含む。別の実施形態では、メタボリック症候群またはそれに付随する疾病を発症する可能性の増加を示す、皮膚のマイクロバイオームは、スタフィロコッカス(Staphylococcus)コロニー形成を含む。別の実施形態では、メタボリック症候群またはそれに付随する疾病を発症する可能性の増加を示す、皮膚のマイクロバイオームは、高度のコリネバクテリウム・クロッペンステディ(Corynebacterium kroppenstedtii)コロニー形成を含む。別の実施形態では、メタボリック症候群またはそれに付随する疾病を発症する可能性の増加を示す、皮膚のマイクロバイオームは、高度の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)コロニー形成を含む。別の実施形態では、メタボリック症候群またはそれに付随する疾病を発症する可能性の増加を示す、皮膚のマイクロバイオームは、増加したコリネバクテリウム(Corynebacterium)(例えば、C.kroppenstedtii)、増加したスタフィロコッカス(Staphylococcus)(例えば、黄色ブドウ球菌(S.aureus)コロニー形成、減少した表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)コロニー形成、減少したスタフィロコッカス・ホミニス(S.hominis)コロニー形成)、またはそれらのあらゆる組合せを含む。いくつかの例では、本明細書に記載される、非侵襲的にサンプリングを行うシステムおよび方法を用いて検出される微生物は、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・ワルネリ(Staphylococcus warneri)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)、キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium spp.)、アシネトバクター・ジョンソニイ(Acinetobacter johnsonii)、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のうち、1つまたは複数を含む。いくつかの例では、本明細書に記載される、非侵襲的にサンプリングを行うシステムおよび方法を用いて検出される微生物は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、トルロプシスおよびトリコスポロン・クタネウム(Torulopsis and Trichosporon cutaneum)、ミクロポルム・ジプセウム(Microsporum gypseum)などの皮膚糸状菌(皮膚に生息する真菌)、ならびに、リゾプス・ストロニファー(Rhizopus stolonifer)、トリコスポロン・クタネウム(Trichosporon cutaneum)、フザリウム(Fusarium)、スコプラリオプシス・ブレビカウリス(Scopulariopsis brevicaulis)、カーブラリア(Curvularia)、アルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)、ペシロマイセス(Paecilomyces)、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、およびペニシリウム(Penicillium)などの非皮膚糸状真菌(皮膚に生息可能である通性病原真菌)のうち、1つまたは複数を含む。
【0090】
遺伝子発現試験および対応するデータの伝送を含む、本明細書に記載の対象物は、特定の態様では、1つまたは複数の場所にある1つまたは複数の施設において実施されるように構成される。施設の場所は国によって限定されず、あらゆる国または領域を含む。施設の場所は国によって限定されず、あらゆる国または領域を含む。いくつかの例では、遺伝子発現試験の1つまたは複数の工程は、遺伝子発現試験の別の工程とは異なる国で実施される。いくつかの例では、遺伝子発現試験の1つまたは複数の工程は、パッチ剥離の態様のうち1つまたは複数の工程とは異なる国で実施される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の物品が、分析または将来の分析のために、1つまたは複数の施設から1つまたは複数の異なる施設に移送される。物品として、皮膚試料採取キットの1つもしくは複数の構成要素、使用済み接着パッチ、使用済み接着パッチから得られる単離された細胞物質、処理済みの細胞物質、および/またはデータが挙げられるが、これらに限定されない。処理済みの細胞物質として、RNAから逆転写されたcDNA、増幅されたRNA、および増幅されたcDNAが挙げられるが、これらに限定されない。データとして、1つまたは複数の標的遺伝子の発現レベルに関する情報、遺伝子発現シグネチャに関する情報、および黒色腫などの疾患に関する情報が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の方法、デバイス、およびシステムのいくつかの実施形態では、分析が行われた後、データ伝送工程によって分析結果が伝達または伝送されることになる。疾患に関する情報は、疾患状態の特定、所与の疾患状態の治療成功の可能性、治療の種類、疾患状態の進行の特定(例えば、黒色腫の侵襲性)、および疾患段階の特定(例えば、黒色腫段階0、1、2、3、または4)を含むが、これらに限定されない。
【0091】
特定の例では、皮膚試料への接着パッチの適用は、皮膚を緊張状態に保持すること、およびパッチ上で円形運動を行いながら接着パッチを皮膚表面に強く押し付けることを含む。約1~約20回の間、約1~約15回の間、約1~約10回の間、約1~約5回の間、約5~約20回の間、約10~約20回の間、および約10~15回の間の円形運動が、パッチ上で行われる。一実施形態では、約15回の円形運動がパッチ上で行われる。いくつかの実施形態では、パッチは、最大6、5、4、3、2、および1分間、皮膚表面上に留まるように構成される。皮膚に強く適用した後、パッチは一方向に向かいゆっくりと除去される。特定の態様では、パッチ剥離方法は、透過性の接着パッチの第2の表面上でサンプリングされた皮膚領域を境界付けることをさらに含み、第1の表面は、接着マトリックスを含む皮膚に面する皮膚である。境界は、処理対象である試料領域を示す。境界は、皮膚病変の輪郭であり得る。境界を定めるために使用されるマーカは、皮膚試料採取キット中に設けられてもよい。
【0092】
本明細書に記載される対象のいくつかの実施形態では、接着性の皮膚試料採取キットは、1つまたは複数の使用済み接着パッチを施設に送達するための宛名付きのパッケージを備える。いくつかの例では、このパッケージは前払いの輸送ラベルを含む。いくつかの実施形態では、施設は、1つまたは複数の使用済み接着パッチに接着された細胞物質に関与する、1つもしくは複数の診断工程または手順を実施する施設である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の診断手順として、遺伝子発現試験(例えば、色素沈着病変アッセイ)、免疫組織化学アッセイ、免疫表現型解析、ELISA、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、および/または遺伝子シーケンシングで行われるあらゆる工程が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される、あらゆる診断手順またはパッチ剥離方法が実施される施設は、1つの国に限定されない。いくつかの例では、1つもしくは複数の診断手順またはパッチ剥離方法は、1つまたは複数の異なる国で行われる。いくつかの実施形態では、診断手順は、本明細書に記載のあらゆる診断手順のすべての工程に関するデータ分析を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のあらゆる診断手順のすべての工程は、コンピュータ上のソフトウェアプログラムまたはモジュールによって実行される。付加的またはさらなる実施形態では、本明細書に記載のあらゆる手順のすべての工程からのデータは、特定の場所にある1つの施設で行われる分析、および別の場所に搬送されるか、または同じもしくは異なる国の個人に直接搬送されるデータを含めて、同じまたは異なる国にある施設とやり取りされる。付加的またはさらなる実施形態では、本明細書に記載のあらゆる手順のすべての工程からのデータ(DNA、RNA、およびタンパク質などの細胞物質のほか、細胞物質からの変換済みデータの分析を含む)は、特定の場所にある1つの施設で行われる細胞物質などのデータ入力の分析、および、同じもしくは異なる場所または国における、診断、予後、治療への応答などに関連するデータなど、別の場所または個人に直接伝送される対応データを含め、同じまたは異なる国にある施設とやり取りされる。
【0093】
接着性の皮膚試料採取キットは、パッチ剥離方法が様々な場所で様々な操作者によって実行されるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、本方法は、臨床医の診療所、外来患者施設、または家庭で実施される。本方法は、施設での使用に限定されず、様々な場所で利用されるように構成される。本方法は、使用説明書を読んで理解し、使用説明書に従って本方法を実施可能である、医師、看護師、または患者や対象自体を含めたあらゆる個人によって実施されてもよい。
【0094】
本明細書には、開示される皮膚または組織試料を採取する方法およびシステムと組み合わせて使用され得る、レーザ走査およびサンプリングの方法とシステムが提供される。本システムと方法は、全体を参照することで本明細書に援用される国際出願PCT/US2021/028415の開示を反映し得る。いくつかの例では、本方法は、組織試料採取キットから関心対象の細胞を単離することを含む。いくつかの例では、本方法は、関心対象の細胞を含む1つまたは複数の試料採取具を収容する工程、基板上に1つまたは複数の試料採取具を配置する工程、少なくとも1つの第1の画像を生成するべく1つまたは複数の試料採取具を撮像する工程、関心対象の細胞と各試料採取具の周囲部分との間の描写を識別するために、ソフトウェアアルゴリズムを少なくとも1つの第1の画像に適用する工程、および/または識別された切断システムを用いて描写に基づき各試料採取具の残りの部分から関心対象の細胞を切断する工程のうち、1つまたは複数を含む。
【0095】
いくつかの例では、皮膚試料採取キットは、皮膚状態のモニタリングと組み合わせて使用される。例えば、試験された皮膚試料の画像は、サンプリングされた皮膚病変に関する関連臨床情報およびデータとともに画像を維持する、携帯型のフォトインフォマティックプラットフォーム上で捕捉かつ記憶される。
【0096】
本明細書には、開示される皮膚または組織試料を採取する方法およびシステムと組み合わせて使用され得る、遠隔皮膚科医療(teledermatology)の方法とシステムが提供される。本システムと方法は、全体を参照することで本明細書に援用される国際出願PCT/US2021/028415の開示を反映し得る。場合によっては、本システムは、個人の皮膚上の場所を評価するために構成される。いくつかの例では、本システムは、個人の皮膚の少なくとも1枚の写真を撮影するためにカメラにアクセスすること、および個人の皮膚状態に対する仮想訪問の要求を提出することを含む操作を実行するように構成された第1のアプリケーションを提供するために少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な少なくとも1つのプロセッサならびに命令を備える、第1のデバイスと、仮想訪問が個人により完了したという通知を受け取ること、仮想訪問の記録を調べるためにインターフェースへのアクセスを提供すること、さらなる評価を必要とする個人の皮膚上の少なくとも1つの場所を識別するための、インターフェースへのアクセスを提供すること、および非侵襲的な皮膚組織試料キットを個体に送る要求を提出することを含む操作を実行するように構成された第2のアプリケーションを提供するために少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な少なくとも1つのプロセッサならびに命令を備える、第2のデバイスとのうち、1つまたは複数を備える
【0097】
コンピュータプログラム
本明細書に開示される方法、ソフトウェア、媒体、およびシステムは、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ、またはその使用を含む。コンピュータプロセッサは、コンピュータプログラムを含んでもよい。コンピュータプログラムは、デジタル処理デバイスのCPUにおいて実行可能な、指定されたタスクを実行するように書かれた命令のシーケンスを含み得る。コンピュータ可読命令は、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実装する、機能、特徴、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、データ構造などの、プログラムモジュールとして実装され得る。本明細書中で提供される開示に照らして、当業者は、コンピュータプログラムが様々な言語の様々なバージョンで書かれ得ることを認識するであろう。
【0098】
コンピュータ可読命令の機能性は、種々の環境で所望に応じて組み合わされるか、または分散されてもよい。コンピュータプログラムは、命令の1つのシーケンスを含んでもよい。コンピュータプログラムは、命令の複数のシーケンスを含んでもよい。コンピュータプログラムは、1つの場所から提供されてもよい。コンピュータプログラムは、複数の場所から提供されてもよい。コンピュータプログラムは、1つまたは複数のソフトウェアモジュールを含んでもよい。コンピュータプログラムは、部分的または全体的に、1つもしくは複数のウェブアプリケーション、1つもしくは複数のモバイルアプリケーション、1つもしくは複数のスタンドアロンアプリケーション、1つもしくは複数のウェブブラウザプラグイン、拡張子、アドイン、もしくはアドオン、またはそれらの組合せを含んでもよい。
【0099】
ウェブアプリケーション
コンピュータプログラムは、ウェブアプリケーションを含んでもよい。本明細書に提供される開示に照らして、当業者であれば、ウェブアプリケーションが1つまたは複数のソフトウェアフレームワークおよび1つまたは複数のデータベースシステムを利用し得ることを認識するであろう。ウェブアプリケーションは、Microsoft(登録商標).NETまたはRuby on Rails(RoR)などのソフトウェアフレームワーク上で作り出されてもよい。ウェブアプリケーションは、非限定的な例として、リレーショナル型、非リレーショナル型、特徴指向型、連想型、およびXMLデータベースのシステムを含む、1つまたは複数のデータベースシステムを利用してもよい。好適なリレーショナルデータベースシステムには、非限定的な例として、Microsoft(登録商標)SQLサーバ、mySQL(商標)、およびOracle(登録商標)を含んでもよい。当業者であれば、ウェブアプリケーションは、1つまたは複数の言語の1つまたは複数のバージョンで書かれ得ることを認識するであろう。ウェブアプリケーションは、1つもしくは複数のマークアップ言語、プレゼンテーション定義言語(presentation definition languages)、クライアント側スクリプト言語、サーバ側コーディング言語、データベースクエリ言語、またはそれらの組合せで書かれてもよい。ウェブアプリケーションは、Hypertext Markup Language(HTML)、Extensible Hypertext Markup Language(XHTML)、eXtensible Markup Language(XML)などのマークアップ言語である程度書かれてもよい。ウェブアプリケーションは、カスケーディングスタイルシート(CSS)などのプレゼンテーション定義言語である程度書かれてもよい。ウェブアプリケーションは、Asynchronous Javascript and XML(AJAX)、Flash(登録商標)Actionscript、Javascript、またはSilverlight(登録商標)などのクライアント側スクリプト言語である程度書かれてもよい。ウェブアプリケーションは、Active Server Pages(ASP)、ColdLusion(登録商標)、Perl、Java(商標)、JavaServer Pages(JSP)、Hypertext Preprocessor(PHP)、Python(商標)、Ruby、Tcl、Smalltalk、WebDNA(登録商標)、またはGroovyなどのサーバ側コーディング言語である程度書かれてもよい。ウェブアプリケーションは、Structured Query Language(SQL)などのデータベースクエリ言語である程度書かれてもよい。ウェブアプリケーションは、IBMR Lotus Domino(登録商標)などの企業向けサーバ製品を統合してもよい。ウェブアプリケーションは、メディアプレーヤ要素を含んでもよい。メディアプレーヤ要素は、非限定的な例として、Adobe(登録商標)、Flash(登録商標)、HTML5、Apple(登録商標)QuickTime(登録商標)、Microsoft(登録商標)Silverlight(登録商標)、Java(商標)、およびUnity(登録商標)を含む、多くの好適なマルチメディア技術製品のうち、1つまたは複数を利用してもよい。
【0100】
モバイルアプリケーション
コンピュータプログラムは、モバイルデジタル処理デバイスに設けられるモバイルアプリケーションを含んでもよい。モバイルアプリケーションは、製造時にモバイルデジタル処理デバイスに設けられてもよい。モバイルアプリケーションは、本明細書に記載のコンピュータネットワークを介してモバイルデジタル処理デバイスに設けられてもよい。
【0101】
モバイルアプリケーションは、当業者に公知のハードウェア、言語、および開発環境を使用して、当業者に公知の技術によって作り出されてもよい。当業者であれば、モバイルアプリケーションはいくつかの言語で書かれてもよいことを認識するであろう。好適なプログラミング言語には、非限定的な例として、C、C++、C#、Featureive-C、Java(商標)、Javascript、Pascal、Feature Pascal、Python(商標)、Ruby、VB.NET、WML、およびCSSを含むか含まないXHTML/HTML、またはそれらの組合せを含む。
【0102】
好適なモバイルアプリケーション開発環境は、いくつかのソースから利用可能な場合がある。市販の開発環境の非限定的な例として、AirplaySDK、alcheMo、Appcelerator(登録商標)、Celsius、Bedrock、Flash Lite、.NET Compact Framework、Rhomobile、およびWorkLight Mobile Platformが挙げられる。他の開発環境は費用をかけずに利用可能な場合があり、非限定的な例として、Lazarus、MobiFlex、MoSync、およびPhonegapが挙げられる。また、モバイルデバイス製造業者によって、非限定的な例として、iPhone(登録商標)およびiPad(登録商標)(iOS)SDK、Android(商標)SDK、BlackBerry(登録商標)SDK、BREW SDK、Palm(登録商標)OS SDK、Symbian SDK、webOS SDK、ならびにWindows(登録商標)Mobile SDKを含むソフトウェア開発キットが流通されている。
【0103】
当業者であれば、非限定的な例として、Apple(登録商標)App Store、Android(商標)Market、BlackBerry(登録商標)App World、Palmデバイス用のApp Store、webOS用のApp Catalog、Windows(登録商標)Marketplace for Mobile、Nokia(登録商標)デバイス用のOvi Store、Samsung(登録商標)Apps、およびNintendo(登録商標)DSi Shopを含む、いくつかの商用フォーラムがモバイルアプリケーションの流通に利用可能であり得ることを認識するであろう。
【0104】
スタンドアロンアプリケーション
コンピュータプログラムはスタンドアロンアプリケーションを備えていてもよく、これは既存のプロセスへのアドオン、例えばプラグインではなく、独立したコンピュータプロセスとして実行され得るプログラムの場合がある。当業者であれば、スタンドアロンアプリケーションがしばしばコンパイルされ得ることを認識するであろう。コンパイラは、プログラミング言語で書かれたソースコードを、アセンブリ言語または機械コードなどのバイナリ機能コードに変換するコンピュータプログラムであり得る。コンパイルされた好適なプログラミング言語の非限定的な例として、C、C++、Featureive-C、COBOL、Delphi、Eiffel、Java(商標)、Lisp、Python(商標)、Visual Basic、およびVB.NET、またはそれらの組合せが挙げられる。コンパイルは、実行可能なプログラムを作成するために少なくとも部分的に実行されることが多い場合がある。コンピュータプログラムは、1つまたは複数の実行可能なコンパイル済みアプリケーションを備え得る。
【0105】
ウェブブラウザプラグイン
コンピュータプログラムは、ウェブブラウザプラグインを備えてもよい。コンピューティングにおいてプラグインは、より大きなソフトウェアアプリケーションに特定の機能性を追加する、1つまたは複数のソフトウェアコンポーネントであり得る。ソフトウェアアプリケーションのメーカは、プラグインをサポートすることで、第三者開発者が、アプリケーション拡張能を作成し、新たな機能を容易に追加するのをサポートし、アプリケーションのサイズを縮小することを可能にし得る。サポート時、プラグインは、ソフトウェアアプリケーションの機能性のカスタマイズを可能にし得る。例えばプラグインは、一般的にビデオを再生し、双方向性を生成し、ウイルスをスキャンし、かつ特定のファイルタイプを表示するためにウェブブラウザで使用される。当業者であれば、Adobe(登録商標)Flash(登録商標)プレーヤ、Microsoft(登録商標)Silverbght(登録商標)、およびApple(登録商標)QuickTime(登録商標)を含むいくつかのウェブブラウザプラグインに精通しているであろう。ツールバーは、1つまたは複数のウェブブラウザ拡張機能、アドイン、またはアドオンを備えてもよい。ツールバーは、1つ以上のエクスプローラバー、ツールバンド、またはデスクバンドを備えてもよい。
【0106】
本明細書に提供される開示を考慮すると、当業者であれば、非限定的な例としてC++、Delphi、Java(商標)、PHP、Python(商標)、およびVB.NET、またはそれらの組合せを含む種々のプログラミング言語でプラグインの開発を可能にする、いくつかのプラグインフレームワークが利用可能であり得ることを認識するであろう。
【0107】
ウェブブラウザ(インターネットブラウザとも呼ばれる)は、ワールドワイドウェブ上の情報リソースを検索し、提示し、かつトラバースするための、ネットワーク接続されたデジタル処理デバイスとともに使用するために設計されたソフトウェアアプリケーションであり得る。好適なウェブブラウザの非限定的な例として、Microsoft(登録商標)Internet Explorer(登録商標)、Mozilla(登録商標)Firefox(登録商標)、Google(登録商標)Chrome、Apple(登録商標)Safari(登録商標)、Opera Software(登録商標)Opera(登録商標)、およびKDE Konquerorが挙げられる。ウェブブラウザは、モバイルウェブブラウザであってもよい。モバイルウェブブラウザ(マイクロブラウザ、ミニブラウザ、およびワイヤレスブラウザとも呼ばれる)は、非限定的な例としてハンドヘルドコンピュータ、タブレットコンピュータ、ネットブックコンピュータ、サブノートブックコンピュータ、スマートフォン、音楽プレーヤ、携帯情報端末(PDA)、およびハンドヘルドビデオゲームシステムを含むモバイルデジタル処理デバイス上で使用するために設計され得る。好適なモバイルウェブブラウザの非限定的な例として、Google(登録商標)Android(登録商標)browser、RIM BlackBerry(登録商標)Browser、Apple(登録商標)Safari(登録商標)、Palm(登録商標)Blazer、Palm(登録商標)WebOS(登録商標)Browser、モバイル用のMozilla(登録商標)Firefox(登録商標)、Microsoft(登録商標)Internet Explorer(登録商標)Mobile、Amazon(登録商標)Kindle(登録商標)Basic Web、Nokia(登録商標)Browser、Opera Software(登録商標)Opera(登録商標)Mobile、およびSony(登録商標)PSP(商標)ブラウザが挙げられる。
【0108】
ソフトウェアモジュール
本明細書に開示される媒体、方法、およびシステムは、1つまたは複数のソフトウェア、サーバ、およびデータベースモジュール、またはそれらの使用を含む。本明細書で提供される開示を考慮して、ソフトウェアモジュールは、当業者に公知のマシン、ソフトウェア、および言語を用いて、当業者に公知の技法によって作製され得る。本明細書に開示されるソフトウェアモジュールは、多数の方法で実装され得る。ソフトウェアモジュールは、ファイル、コードのセクション、プログラミング機能、プログラミング構造、またはそれらの組合せを含み得る。ソフトウェアモジュールは、複数のファイル、複数のコードのセクション、複数のプログラミング機能、複数のプログラミング構造、またはそれらの組合せを含み得る。1つまたは複数のソフトウェアモジュールは、非限定的な例として、ウェブアプリケーション、モバイルアプリケーション、およびスタンドアロンアプリケーションを備え得る。ソフトウェアモジュールは、1つのコンピュータプログラムまたはアプリケーション内にあり得る。ソフトウェアモジュールは、1より多くのコンピュータプログラムまたはアプリケーション内にあり得る。ソフトウェアモジュールは、1つのマシン上でホストされ得る。ソフトウェアモジュールは、1より多くのマシン上でホストされ得る。ソフトウェアモジュールは、クラウドコンピューティングプラットフォーム上でホストされ得る。ソフトウェアモジュールは、1つの場所にある1つまたは複数のマシン上でホストされ得る。ソフトウェアモジュールは、1より多くの場所にある1つまたは複数のマシン上でホストされ得る。
【0109】
データベース
本明細書に開示される媒体、方法、およびシステムは、1つもしくは複数のデータベース、またはその使用を含む。本明細書に提供される開示を考慮すると、当業者であれば、多くのデータベースが、ロイヤルティ所有者の地理的プロファイル、オペレータ活動、関心対象の専攻(division of interest)、および/または連絡先情報を記憶かつ検索するのに好適であり得ることを認識するであろう。好適なデータベースの非限定的な例として、リレーショナルデータベース、非リレーショナルデータベース、機能指向データベース、機能データベース、実体関連モデルデータベース、連想データベース、およびXMLデータベースが挙げられ得る。データベースはインターネットベースであり得る。データベースはウェブベースであり得る。データベースはクラウドコンピューティングベースであり得る。データベースは、1つまたは複数のローカルコンピュータ記憶デバイスをベースとし得る。
【0110】
実施形態
本明細書では、番号付きの実施形態1~75が提供される。実施形態1.皮膚試料の非侵襲的な採取および分析のためのシステムであって、当該システムが、少なくとも1つの接着パッチを含む接着性の皮膚試料採取キットを備え、少なくとも1つの接着パッチが、採取領域を含む裏打ち層と、非接着性の取扱い領域と、ある量の皮膚試料に接着するように構成された、採取領域表面上の接着マトリックスとを含む、システム。実施形態2.(a)裏打ち層が、病変を含む皮膚の一部の形態に適合するほどの可撓性を含み、かつ、裏打ち層が、少なくとも1つの接着パッチが皮膚から離れた場合にしわへの耐性を持つような厚さを含み、(b)少なくとも1つの接着パッチが、ドラフトを伴う非接着性の取扱い層の一部によって複数の配向に支持された場合に自己接着しないような厚さを含み、(c)少なくとも1つの接着パッチから離れる抽出物および浸出物の量が、少なくとも約25cmのパッチが80%エタノール中で約3時間還流される場合に約3.0mg/cm未満であり、(d)少なくとも1つの接着パッチが、当該少なくとも1つの接着パッチのしわ波長に近い最長寸法を含み、ならびに(e)接着マトリックスが、5℃未満のガラス転移温度を呈する感圧接着剤を含む、のうち1つまたは複数である、実施形態1に記載のシステム。実施形態3.(a)、(b)、(c)、(d)、および/もしくは(e)のうち、2つ以上、3つ以上、4つ以上、または5つ以上である、実施形態2に記載のシステム。実施形態4.少なくとも(a)である、実施形態2または3に記載のシステム。実施形態5.裏打ち層が、ASTM D-882による測定時に約200~約2,000Psiの弾性率を有する、実施形態4に記載のシステム。実施形態6.裏打ち層が、約1000~約2000Psiの弾性率を有する、実施形態5に記載のシステム。実施形態7.裏打ち層が、約500~約1500Psiの弾性率を有する、実施形態5または6に記載のシステム。実施形態8.裏打ち層が、約7~約60MPaの引張強度を有する、実施形態4~7のいずれか1つに記載のシステム。実施形態9.裏打ち層が、約30~約60MPaの引張強度を有する、実施形態8に記載のシステム。実施形態10.裏打ち層が、約7~約15MPaの引張強度を有する、実施形態8または9に記載のシステム。実施形態11.少なくとも(b)である、実施形態1~10のいずれか1つに記載のシステム。実施形態12.裏打ち層の厚さが、ASTM D6988による測定時に約2milを上回る、実施形態11に記載のシステム。実施形態13.裏打ち層の厚さが約3~約5milである、実施形態12に記載のシステム。実施形態14.少なくとも(c)である、実施形態1~13のいずれか1つに記載のシステム。実施形態15.少なくとも1つの接着パッチから離れる抽出物および浸出物の量が、約1.0mg/cm未満である、実施形態14に記載のシステム。実施形態16.抽出物および浸出物の量が、GC-MSによって特徴解析される、実施形態15に記載のシステム。実施形態17.抽出物および浸出物の量が、熱重量分析によって特徴解析される、実施形態15または16に記載のシステム。実施形態18.抽出物または浸出物が、皮膚試料ではないシステムの構成要素を含む、実施形態14~17のいずれか1つに記載のシステム。実施形態19.抽出物または浸出物が、不揮発性材料、半揮発性材料、または灰を含む、実施形態18に記載のシステム。実施形態20.接着マトリックスがポリマーを含み、不揮発性材料が、ポリマーの1つまたは複数のモノマーを含む、実施形態19に記載のシステム。実施形態21.半揮発性材料が、可塑剤または加工助剤を含む、実施形態19または20に記載のシステム。実施形態22.抽出物または浸出物がBHTを含み、BHTが、GC-MSによる測定時に約10ug/L未満である、実施形態14~21のいずれか1つに記載のシステム。実施形態23.少なくとも(d)である、実施形態1~22のいずれか1つに記載のシステム。実施形態24.最長寸法が、約10、約8、約6、約5、約4、または約3cm未満である、実施形態23に記載のシステム。実施形態25.少なくとも(e)である、実施形態1~24のいずれか1つに記載のシステム。実施形態26.ガラス転移温度が、ASTM D3418による測定時に約-10~約-70℃である、実施形態25に記載のシステム。実施形態27.切離しパネルをさらに備える、実施形態1~26のいずれか1つに記載のシステム。実施形態28.少なくとも1つの配置領域パネルをさらに備える、実施形態1~27のいずれか1つに記載のシステム。実施形態29.皮膚試料の量が、細胞物質の約20ミリグラム未満、約4ミリグラム未満、または約1ピコグラム~約2000マイクログラムである、実施形態1~28のいずれか1つに記載のシステム。実施形態30.少なくとも1つの接着パッチのそれぞれにある皮膚試料の量が、パッチごとに約1ピコグラム~約500マイクログラムである、実施形態29に記載のシステム。実施形態31.総量が約20ミリグラム未満、約10ミリグラム未満、または約5ミリグラム未満である皮膚試料を含む複数の接着パッチを備える、実施形態29または30に記載のシステム。実施形態32.接着マトリックスが、180°の剥離接着力、約1.0インチ/分~約12.0インチ/分の引張速度で、ASTM D3330による測定時に約1~約30N/インチの剥離接着強度を含む、実施形態1~31のいずれか1つに記載のシステム。実施形態33.剥離接着力が約10~約20N/インチである、実施形態32に記載のシステム。実施形態34.接着マトリックスが、アクリル、シリコーン、および炭化水素ゴムのうち1つまたは複数を含む、実施形態1~33のいずれか1つに記載のシステム。実施形態35.接着マトリックスが、アクリルおよび炭化水素ゴムを含む、実施形態1~33のいずれか1つに記載のシステム。実施形態36.炭化水素ゴムが、ブチルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチル-ビニルアセテートポリマー、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、もしくはそれらの組合せのうち1つまたは複数を含む、実施形態34または35に記載のシステム。実施形態37.アクリルが、スチレン、a-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン、メチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルメタクリレート、ビニルメタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシプロピルアクリレート、アセトアセトキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブテニルメタクリレート、マレイン酸のアリルエステル、マレイン酸のジアリルエステル、ポリ(アリルグリシジルエーテル)、アルキルクロトネート、ビニルセテート(vinyl cetate)、ジ-n-ブチルマレエート、ジ-オクチルマレエート、アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリロニトリル、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2-t-ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N-(2-メタクリロイルオキシ-エチル)エチレンウレア、およびメタクリルアミドエチルエチレンウレア、もしくはそれらの組合せのうち、1つまたは複数を含む、実施形態34~36のいずれか1つに記載のシステム。実施形態38.裏打ち層が、柔軟で、透明で、かつ成形しやすい合成ポリマーを含む、実施形態1~37のいずれか1つに記載のシステム。実施形態39.柔軟で、透明で、かつ成形しやすい合成ポリマーが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)または低密度ポリエチレン(LDPE)を含む、実施形態38に記載のシステム。実施形態40.柔軟で、透明で、かつ成形しやすい合成ポリマーが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、Teflon、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)、またはアセテートを含む、実施形態38または39に記載のシステム。実施形態41.柔軟で、透明で、かつ成形しやすい合成ポリマーが、オレフィンのエラストマーを含む、実施形態38~40のいずれか1つに記載のシステム。実施形態42.オレフィンのエラストマーが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ビニルアセテート、ビニルアルコール、エチレンオキシド、およびプロピレンオキシドのうち1つまたは複数を含むポリマーの、共重合体または化合物を含む、実施形態41に記載のシステム。実施形態43.柔軟で、透明で、かつ成形しやすい合成ポリマーが、熱可塑性エラストマーを含む、実施形態38~42のいずれか1つに記載のシステム。実施形態44.熱可塑性エラストマーが、ポリエステル系エラストマーを含む、実施形態43に記載のシステム。実施形態45.熱可塑性エラストマーが、エーテルもしくはアミドの共重合体または化合物を含む、実施形態43または44に記載のシステム。実施形態46.少なくとも1つの接着パッチが、ASTM D1003による測定時に約30%未満のヘイズ値を有する、実施形態1~45のいずれか1つに記載のシステム。実施形態47.ヘイズ値が約15%未満である、実施形態46に記載のシステム。実施形態48.裏打ち層および接着マトリックスのうち少なくとも1つが、水溶性である、実施形態1~45のいずれか1つに記載のシステム。実施形態49.少なくとも1つの接着パッチが水溶性である、実施形態1~45のいずれか1つに記載のシステム。実施形態50.裏打ち層および接着マトリックスのうち少なくとも1つが、皮膚試料の溶解中に溶解するように構成される、実施形態48または49に記載のシステム。実施形態51.接着マトリックスが、少なくとも12oz/inのループ粘着性を含む、実施形態48~50のいずれか1つに記載のシステム。実施形態52.接着マトリックスが、-40~176°Fの使用温度範囲を含む、実施形態48~51のいずれか1つに記載のシステム。実施形態53.裏打ち層が、少なくとも20lb/インチの引張力を含む、実施形態48~52のいずれか1つに記載のシステム。実施形態54.裏打ち層が、少なくとも200mNの引裂強度を含む、実施形態48~53のいずれか1つに記載のシステム。実施形態55.接着パッチが30秒以下で溶解可能である、実施形態48~54のいずれか1つに記載のシステム。実施形態56.接着パッチが、少なくとも12か月の貯蔵寿命を有する、実施形態48~55のいずれか1つに記載のシステム。実施形態57.実施形態1~56のいずれか1つに記載のシステムを備えるキットであって、パッチの緩やかな剥離、および皮膚表面に対しほぼ垂直よりも大きな角度でのパッチの剥離のうち1つまたは複数を行うための指示書を含む包装をさらに備えるキット。実施形態58.緩やかな剥離が、約5秒ごとに約1リニアインチ未満が剥離されるものとして示される、実施形態57に記載のキット。実施形態59.少なくとも1つの接着パッチを備えるキットであって、少なくとも1つの接着パッチが、採取領域を含む裏打ち層と、非接着性の取扱い領域と、ある量の皮膚試料に接着するように構成された、採取領域表面上の接着マトリックスと、包装であって、パッチの緩やかな剥離、および皮膚表面に対しほぼ垂直よりも大きな角度でのパッチの剥離のうち1つまたは複数を行うための指示書を含む包装とを含む、キット。実施形態60.緩や
かな剥離が、約5秒ごとに約1リニアインチ未満が剥離されるものとして示される、実施形態59に記載のキット。実施形態61.(a)裏打ち層が、病変を含む皮膚の一部の形態に適合するほどの可撓性を含み、かつ、裏打ち層が、少なくとも1つの接着パッチが皮膚から離れた場合にしわへの耐性を持つような厚さを含み、(b)少なくとも1つの接着パッチが、ドラフトを伴う非接着性の取扱い層の一部によって複数の配向に支持された場合に自己接着しないような厚さを含み、(c)少なくとも1つの接着パッチから離れる抽出物および浸出物の量が、少なくとも約25cmのパッチが80%エタノール中で約3時間還流される場合に約3.0mg/cm未満であり、(d)少なくとも1つの接着パッチが、当該少なくとも1つの接着パッチのしわ波長に近い最長寸法を含み、ならびに(e)接着マトリックスが、5℃未満のガラス転移温度を呈する感圧接着剤を含む、のうち1つまたは複数である、実施形態59または60に記載のキット。実施形態62.(a)、(b)、(c)、(d)、および/もしくは(e)のうち、2つ以上、3つ以上、4つ以上、または5つ以上である、実施形態61に記載のキット。実施形態63.皮膚試料の非侵襲的な採取および分析のためのキットであって、当該キットが、少なくとも1つの接着パッチを備え、少なくとも1つの接着パッチが、採取領域を含む裏打ち層と、非接着性の取扱い領域と、ある量の皮膚試料に接着するように構成された、採取領域表面上の接着マトリックスと、少なくとも1つの接着パッチを収容するようにサイズ調整かつ成形されるとともに乾燥剤を含む返送パウチとを含む、キット。実施形態64.乾燥剤が、皮膚試料中のRNaseの活性を防止するように構成される、実施形態63に記載のキット。実施形態65.乾燥剤の量が、約0.5グラム~約5グラムである、実施形態63に記載のキット。実施形態66.乾燥剤の量が約2グラムである、実施形態65に記載のキット。実施形態67.返送パウチが、プラスチックまたはホイルである、実施形態63に記載のキット。実施形態68.返送パウチが、密封可能である、実施形態63に記載のキット。実施形態69.乾燥剤がシリカゲルである、実施形態63に記載のキット。実施形態70.(a)パッチの緩やかな剥離、および(b)皮膚表面に対しほぼ垂直よりも大きな角度でのパッチの剥離のうち1つまたは複数を行うための指示書を含む包装をさらに含む、実施形態63に記載のキット。実施形態71.緩やかな剥離が、約5秒ごとに約1リニアインチ未満が剥離されるものとして示される、実施形態70に記載のキット。実施形態72.皮膚試料を分析する方法であって、実施形態57~71のいずれか1つに記載のシステムまたはキットから少なくとも1つの接着パッチを受け取る工程と、皮膚試料中の1つまたは複数の標的遺伝子の発現レベルを定量化する工程とを含む方法。実施形態73.皮膚試料の少なくとも一部から核酸を抽出する工程をさらに含む、実施形態72に記載の方法。実施形態73.各接着パッチが、500~20,000pgの核酸を採取する、実施形態1~72のいずれか1つに記載のシステム、方法、またはキット。実施形態74.各接着パッチが、500~2000pgのDNAを採取する、実施形態1~73のいずれか1つに記載のシステム、方法、またはキット。実施形態75.各接着パッチが、1000~15,000pgのRNAを採取する、実施形態1~74のいずれか1つに記載のシステム、方法、またはキット。
【実施例
【0111】
実施例1:ポイントオブケアでの皮膚試料採取
対象の手に位置する色素沈着病変を、皮膚サンプリングのために選択する。皮膚サンプリング領域は、最小量の毛髪を伴い、刺激されず、かつ過去に生検が行われていない。病変のサイズは約8mmである。図1に例示されるように、皮膚病変(102)を含む皮膚サンプリング領域(101)は、手袋を装着した施術者(104)がアルコールパッド(103)で洗浄し、皮膚を5分間空気乾燥させる。
【0112】
三つ折り式の皮膚試料採取具を、図8に例示される接着性の皮膚試料採取キットから取り外す。図2は、4つの接着パッチ(202)を含む剥離可能な切離しパネル(201)と、除去可能なライナ(204)を含む配置領域パネル(203)と、透明パネル(205)とを備える三つ折り式の皮膚試料採取具(200)を例示する。三つ折り式の皮膚試料採取具は、対象に特有のバーコードを有している。除去可能なライナは、配置領域パネル(203)から除去されることで、最大4つの使用済み接着パッチを配置するように指定された4つの領域(206)を露出させる。配置領域パネルの4つの領域は、使用済みパッチの適用前にいかなる皮膚にも露出されない。
【0113】
図3に例示されるように、接着パッチを、剥離可能な切離しパネルの左上側から取り外す。施術者(104)は、中央採取領域(302)のマトリックス材料が皮膚への適用前に表面と接触しないように、タブ領域(301)によって接着パッチ(202)を取り扱う。接着パッチが皮膚サンプリング領域上に適用される間、皮膚サンプリング領域を張り詰めた状態で保持する。皮膚病変(102)を含む洗浄済みの皮膚サンプリング領域(101)上に位置する接着パッチ(202)を、図4に例示する。接着パッチを、15回の円形運動を行いながら皮膚にしっかりと押し付ける。図5は、円形運動(501)を行いながら、皮膚病変(102)を含む皮膚を押圧する施術者(104)を例示する。図6に例示されるように、実施例2に例示される皮膚試料採取キットに設けられたマーカ(601)を使用して、病変領域(102)を接着パッチ(202)上で画定する。施術者は、タブを保持して一方向に引っ張ることによって、皮膚サンプリング領域から使用済み接着パッチをゆっくりと除去する。図7に例示されるように、皮膚試料(702)を含む使用済みパッチ(701)を、三つ折り式皮膚試料採取具(200)上の配置領域パネル(203)の第1の非占有皮膚採取領域(206)上に配置する。この手順を、同じ病変に対し3つの追加のパッチを用いて繰り返す。
【0114】
三つ折り式の皮膚試料採取具を折り畳み、皮膚試料採取キットに備えられた包装に入れる。包装は、郵便料金が支払い済みであり、処理施設宛とされている。
【0115】
実施例2:皮膚試料採取
対象の上背に位置する色素沈着病変を、皮膚サンプリングのために選択する。皮膚サンプリング領域は、最小量の毛髪を伴い、刺激されず、かつ過去に生検が行われていない。病変のサイズは約15mmである。接着性の皮膚試料採取キットを利用して病変をサンプリングする。皮膚試料採取キットは、使用説明書(または取扱説明書)を備えている。皮膚試料採取キットの使用説明書を読み理解することのできる人が、病変をサンプリングする。
【0116】
一組の手袋を皮膚試料採取キットから取り出し、皮膚サンプリング手順を行う人に装着する。色素沈着病変を含む皮膚サンプリング領域を、接着性の皮膚試料採取キット内に設けられたアルコールパッドで洗浄し、皮膚を空気乾燥させる。
【0117】
三つ折り式の皮膚試料採取具を、接着性の皮膚試料採取キットから取り出す。三つ折り式の皮膚試料採取具は、4つの接着パッチを含む剥離可能な切離しパネルと、除去可能なライナを含む配置領域パネルと、透明または透過性パネルとを備えている。三つ折り式の皮膚試料採取具は、対象に特有のバーコードを有している。三つ折り式の皮膚試料採取具は、患者情報を提供するように構成された領域をさらに備える。三つ折り式の皮膚試料採取具は、対象の氏名および識別情報とともにラベル付けされる。除去可能なライナは、配置領域パネルから除去されることで、最大4つの使用済み接着パッチを配置するように指定された4つの領域を露出させる。配置領域パネルの4つの領域は、使用済みパッチの適用前にいかなる皮膚にも露出されない。
【0118】
剥離可能な切離しパネルの左上から接着パッチを取り外す。マトリックス材料が皮膚への適用前に表面と接触しないように、接着パッチをタブ領域によって取り扱う。接着パッチが皮膚サンプリング領域上に適用される間、皮膚を張り詰めた状態で保持する。接着パッチを、10回の円形運動を行いながら皮膚にしっかりと押し付ける。接着性の皮膚試料採取キット内に設けられたマーカを使用して、病変領域を接着パッチ上で画定する。使用済みパッチを、タブを皮膚から引き離すことによって一方向にゆっくりと除去する。使用済みパッチを、三つ折り式の皮膚試料採取具の第1の非占有皮膚採取領域上に配置する。皮膚サンプリング手順を、同じ皮膚病変に対し3つの追加のパッチを用いて繰り返す。
【0119】
4つの使用済み接着パッチを含む三つ折り式の皮膚試料採取具を折り畳み、接着性の皮膚試料採取キットに備えられた包装に入れる。包装は、郵便料金が支払い済みであり、診断施設宛とされている。
【0120】
実施例3:採取システム
接着性の皮膚試料採取キットの構成要素を、図8に例示されるように段ボール箱(800)に貯蔵する。キットは、4つの接着パッチを含む三つ折り式の皮膚試料採取具(200)、使用説明書、マーキングペン、前払い請求書(pre-paid)、宛名付きの輸送用包装(801)、および輸送ラベル(802)を包含する。三つ折り式の皮膚試料採取具は、4つの接着パッチを含む剥離可能な切離しパネルを含んだ3つのパネルと、除去可能なライナを含む配置領域パネルと、透明パネルとを備えている。三つ折り式の皮膚試料採取具は、対象を識別するように構成された固有のバーコード(803)をさらに備える。剥離可能な切離しパネル上に貯蔵された接着パッチは、製造日から2年の有効期限を有する。皮膚試料採取キットを10℃~30℃の間で貯蔵する。使用説明書(または取扱説明書)は、個人が方法を理解して実施することを可能にするのに必要なすべての情報を含む。使用説明書(または取扱説明書)は、皮膚試料採取方法の工程を記述する図を含む。
【0121】
実施例4:乾燥剤とともに生体試料を貯蔵
背景。生細胞を有する生体試料の品質は、室温で湿気に曝露されると低下する場合がある。過去の試験では、接着パッチ上の採取された皮膚試料中の核酸は、湿気またはブロークンコールドチェーン(broken cold-chain)に曝露されていない場合、室温で最低10日間安定することが示されている(YaoらによるJ Drugs Dermatology(2017)Oct 1、16(10):979-986)。パッチ上の不活性ヌクレアーゼを有する乾燥皮膚組織は、パッチで採取された皮膚試料を、採取施設(診療所)から分析施設へと、室温で一晩かけてFedexまたはUPSによって輸送することを可能とされた。これにより、試料取扱いの利便性が大幅に高まり、試料輸送にかかるコストが削減される。しかし、これらの試料から単離された核酸収量のわずかな変化が周期的(または季節的)パターンで観察され、例えば、夏季に(室温で)輸送された試料の収量の減少が観察された(データは示さず)。核酸収量の減少は、空気湿度および温度の季節的変化に一致すると考えられたことから、核酸試料の夏季の収量減少は夏季の空気湿度の増加に関連し得、これにより、パッチ上、これらの先に乾燥させた皮膚試料中で水分が蓄積(凝縮)し、パッチ上の皮膚試料中のヌクレアーゼが活性化される。これによって、最終的には核酸の破壊、およびこれらの試料中での核酸収量の低下が生じるおそれがある。理論に縛られるものではないが、夏季に付随する空気温度上昇が、湿度の増加によって生じるこの核酸破壊を加速させたおそれがある。夏季に室温でパッチに運ばれた皮膚試料中の試料品質を維持する(核酸損失を防止または最小限にする)ための手順(例えば、乾燥剤の使用)を評価した。
【0122】
試験デザインと手順。本手順では、2つの主要な試料群として、乾燥剤を含む再密封可能なプラスチックまたはホイルのバッグに入れた群と、乾燥剤を含まない同じバッグに入れた群とを対象とし、すべてのバッグを高空気湿度(70%)の湿度チャンバ内でインキュベート(貯蔵)した。インキュベーション(貯蔵)期間の後、核酸をすべての試料から(乾燥剤を含むまたは含まないバッグから)単離して、ヒトハウスキーピング遺伝子(ベータアクチン)を用いたRNA上でのRT-qPCRにより判定した核酸収量と比較する。2つ試料群から得たRNA収量を比較して、乾燥剤がこの条件下で貯蔵された試料中の核酸の貯蔵を補助するかどうか、かつどのように補助するかを判定する。
【0123】
乾燥剤の効果、および試料輸送バッグ。各接着パッチ上に同等の等価な入力(input)の出発物質(細胞)を作り出すために培養細胞株から得た細胞を使用して、乾燥剤の効果の初期測定を実施した。それを行うために、よく混合した細胞溶液5μLを各接着パッチの粘着面に垂らし(パッチごとに5μL)、多数の細胞スポットパッチを調製し、細胞溶液を各パッチ上で一晩乾燥させた。これらの乾燥した細胞充填パッチを用いて、次の試験を実施した。群1:対照として8つのパッチを-80℃の冷凍庫に2日間貯蔵(「T0 Frozen」)、群2:8つのパッチを再密封可能なプラスチックバッグ(乾燥剤なし)に封入、群3:8つのパッチを、1つの乾燥剤パウチ(シリカゲル乾燥剤0.5グラム)を含む再密封可能なプラスチックバッグに封入、群4:8つのパッチを、4つの乾燥剤パウチ(2g)を含む再密封可能なプラスチックバッグに封入、および群5:8つのパッチを、10の乾燥剤パウチ(5g)を有する再密封可能なプラスチックバッグに封入。次いで、群2~5の再密封可能なバッグすべてを、空気湿度70%の密閉されたプラスチックボックス(湿度チャンバ)に貯蔵した。湿度チャンバをダンボール箱に入れ、R&D施設外のバルコニーにて屋外放置する(FedexまたはUPSによる試料輸送条件を模倣)(図9A)。この湿度チャンバ内で丸2日間(48時間)のインキュベーション後、再密封可能なバッグすべてを箱から取り出し、すべてのパッチ(抽出ごとに1つのパッチ)から、乾燥剤を含むまたは含まないバッグから、核酸を抽出した。-80℃の冷凍庫に貯蔵した試料(群1のもの)も、他の群の試料とともに抽出した。乾燥剤の効果に対する試料輸送バッグの効果を調べるべく、上記の再密封可能なバッグと同じ試験デザインでの平行試験を、ホイルバッグを使用して実施した。パッチ上の試料の保存に対する乾燥剤の経時的効果を測定するべく、乾燥した細胞充填パッチを、乾燥剤なしのバッグ(対照)および4つの乾燥剤パウチ(シリカゲル乾燥剤2グラム)を含むバッグに入れ、湿度チャンバ内でそれぞれ2、10、および20日間放置してから、試料抽出および核酸収量比較に進んだ。
【0124】
接着パッチ上で採取された実際の皮膚試料に対する上記乾燥細胞試験から観察された、乾燥剤の効果を検証するべく、さらなる試験を実施した。各パッチ上で採取された皮膚試料のバイオマスはパッチ間で大きく異なるため、一部の例では、群間の乾燥剤試験において等価な入力の皮膚試料を作り出すことが困難である。パッチ間で試料を比較する代わりに、同じパッチからの皮膚試料に対する試験をデザインした。図9Bに示されるように、試料充填パッチをそれぞれ半分に切断し、片方を乾燥剤なしのバッグに入れ(対照)、もう片方を乾燥剤を含むバッグに入れた(試験対象)。これにより、乾燥剤試験用に皮膚試料の等価(またはほぼ等価)なバイオマスをパッチ上に作り出す。これらのバッグを湿度チャンバ内でそれぞれ2、10、20、および30日間インキュベートして、パッチ中の実際の皮膚試料に対する乾燥剤の効果、ならびに湿潤環境で貯蔵されたパッチ上の皮膚試料中の核酸に対する乾燥剤の経時的効果を調べた。接着パッチ上の乾燥した細胞または皮膚試料からの核酸抽出、およびこれら試料から単離された核酸の定量化は、標準の操作手順に従った。
【0125】
高空気湿度に曝露された試料に対する乾燥剤の効果。図10Aは、乾燥剤なしの湿度チャンバ、ならびに1、4、および10の乾燥剤パウチを備えた湿度チャンバ中、-80℃(To Frozen)で貯蔵された接着パッチを含めて異なる条件下、密封可能なプラスチックバッグ(ハッチング線なし)またはホイルバッグ(ハッチング線付きのバー)に2日間(48時間)貯蔵された接着パッチ上の乾燥細胞から単離される総RNA収量を示す。バーの高さは、各試験条件からの標準偏差で8回の繰返しにより算出された、パッチごとの平均総RNA収量を表す。-80℃での貯蔵は大半の生体試料の標準的な貯蔵方法であるため、この群(To Frozen)からのRNA収量より、総RNA収量(30,000pg超)が各パッチ上の試料中に存在したことが実証される。乾燥剤による保護なし(乾燥剤なし)で同じ期間(2日間)にわたり湿潤環境に曝露されたパッチから得た試料より得られた総RNAの量は大いに少なく、群1(-80℃の冷凍庫で貯蔵、図10B)のRNAと比較して総RNA量が平均65%以上減少した(67%~85%)。これらのデータより、室温でパッチ上に貯蔵された試料中の核酸の収量(および品質、収量損失より反映)に対する、高空気湿度環境の影響を認めた。乾燥剤は高空気湿度に対抗し、貯蔵バッグ中に乾燥剤パウチ(0.5g)を1つしか含まないのと同じ湿潤環境で貯蔵された試料中の核酸を保護するのに役立つと考えられたため、本発明者らによって、乾燥剤を含まないバッグから得たものの2倍である約20,000pgの総RNAを回収すること、またはRNA損失を約50%削減する(RNA損失を85%から40%に抑える、図10B)ことが可能となった。乾燥剤の効果は用量に依存すると考えられたため(図10Aおよび図10B)、貯蔵バッグ中の4つの乾燥剤パウチを使用すると、乾燥剤は、(-80℃で貯蔵されたものと比較して)湿潤環境によって生じる試料中のRNA収量損失を大幅に削減するか、または無くすことが可能であった。
【0126】
この結果より、おそらく試料周囲の空気から水分を吸収してパッチ上の試料を乾燥状態に保つことによって、湿潤環境で貯蔵された試料中の核酸の保存に対する乾燥剤の効果が明確に実証され、これによって試料中のヌクレアーゼ活性化と核酸分解が防止される。バッグ中に4つの乾燥剤パウチ(シリカゲル乾燥剤2g)を有する貯蔵条件では、空気からすべてまたは大半の水分を取り除き、良好な品質で試料を保存(維持)することが可能であると考えられる。本試験を3回繰り返したところ、すべてにおいて同様の乾燥効果の傾向を認め、この報告に示される観察結果を確認した(図10Aおよび図10B)。加えて、再密封可能なプラスチックバッグまたはホイルバッグは、同様に、または等しく良好に機能した。次に進む際、本発明者らは、残りの試験において室温での試料の貯蔵のために、ホイルバッグと2グラムの乾燥剤(4つの乾燥剤パウチ)との組合せを伴う条件を採用した。
【0127】
乾燥剤の効力の時間的経過。図11は、多湿チャンバ(70%湿度)中で2、10、および20日間、4つの乾燥剤パウチを含むホイルバッグ(点線)、および乾燥剤パウチなしのホイルバッグ(実線、対照)に貯蔵された試料からのRNA収量変化のパーセンテージ(倍率)の、新たに抽出した試料(0日目)からのRNA収量との比較を示す。乾燥剤による保護のない場合、試料中のRNAは即座に損失した(総収量は2日目までに67%、10日後には100%近く減少)。対照的に、貯蔵バッグ中に4つの乾燥剤パウチを含む場合、最初の2日間でRNA損失は全くないか、または最小限であり、最初の10日間で約7%しか損失しなかった。これらのデータより、乾燥剤はパッチ上の試料の品質を維持しながら、多湿環境に供された試料中の核酸を分解から保護することが再び実証された。6×8インチのバッグでは、4つの乾燥剤パウチ(2g)は最大10日間、有効なままであり得る。これらのバッグ中の乾燥剤は、最終的には時間とともに湿気により飽和され、試料に対する保護を損失する場合がある(4つの乾燥剤パウチを含むバッグ中のRNA収量は、20日目までに64%低下した)。
【0128】
パッチ上の実際の皮膚に対する乾燥剤の効果の検証。図12Aは、対象12名(ヒトボランティア)の皮膚から採取した皮膚パッチから単離された総RNA収量を示す。皮膚パッチをそれぞれ半分に切断し、一方を乾燥剤なしのバッグに貯蔵し、他方を4つの乾燥剤パウチを含むバッグに貯蔵し、これらのバッグはすべて、RNA抽出前に2日間、湿度チャンバ(70%湿度)に貯蔵した(図9B)。
【0129】
図12Bは、各対象に対して、%=/RNA(乾燥剤ありのRNA収量-乾燥剤なしのRNA収量)/乾燥剤なしのRNA収量として算出される、2つの条件(乾燥剤とともに貯蔵、および乾燥剤なしで貯蔵)間のRNA収量変化の%を示す。これら12名の対象中、9名は、多湿チャンバに乾燥剤とともに貯蔵されたパッチからのRNA収量の増加を実証し、利得は5%~280%超の範囲であり、平均利得は73%(または中央利得は66%)であった。本試験では、多湿環境で貯蔵されたパッチ上の乾燥細胞に対する効果と同様の、実際の皮膚試料に対する乾燥剤の作用を確認する。多湿環境での乾燥剤を評価する時間経過試験も実施した。
【0130】
図13は、多湿チャンバ中で2、10、および20日間、(バッグごとに)4つの乾燥剤パウチを含むホイルバッグに貯蔵したパッチからのRNA収量利得の%の、乾燥剤なしのバッグに貯蔵した対応物との比較を示す。RNA収量利得の%を上記(図12B)に示す同じ式で算出し、実線は(対象12名の)平均利得であり、点線は同じ試料セットの中央利得である。両方の算出(平均または中央)により、RNA収量利得の変化は同じ傾向にあり、すなわち、乾燥剤とともに貯蔵された試料では2日目までに利得は約70%、10日目までに利得は約200%であることを認めた。10日目で確認した高利得率(200%超)はおそらく、乾燥剤なしで貯蔵された群のRNA収量の相当な損失(または低下)によるものであり、上記の利得%の算出式で分母ははるかに小さくなった。20日目までに、乾燥剤とともに貯蔵された皮膚試料群からのRNA利得は、おそらく乾燥剤が湿度により飽和され試料中の核酸を保護することができないという結果より、約0%に戻り、このことは乾燥細胞に対する試験で確認したもの(図11)と一致していた。
【0131】
概要。本試験では、パッチ上の試料(乾燥した細胞または皮膚)の室温貯蔵中の高空気湿度によって、RNA収量は減少し得ることを確認する。試料貯蔵バッグに乾燥剤を含めることは、室温貯蔵中に試料に対する空気湿度による負の影響を縮小または防止することに役立ち得る。シリカゲル乾燥剤2グラムを含む6×8インチのホイルバッグ(バッグごとに4つの乾燥剤パウチ0.5g)中に、パッチにより採取した皮膚試料を貯蔵することは、高空気湿度による負の影響を排除し、RNA収量を室温で最大10日間、未変化のまま維持するのに役立ち得る。本試験に基づき新たな試料貯蔵手順を開発し、CLIA研究所での臨床試料輸送試験に移した。
【0132】
実施例5:パッチの特性と設計
実施例1~3で使用したパッチの種々の特性を測定した。「しわ(Wrinkling)」(図14B図14Cに記載)は、理論に縛られることなく、パッチにおける裏打ち厚さ+弾性率+全体寸法の組合せに関連する。概して、しわ、および折り重なりに対する抵抗は、裏打ちの厚さが増加するにつれて指数関数的に増加することになる(弾性率と寸法が同じと仮定)。比較のために、しわのないパッチ(図14Aに表す)では、採取量(collection)がより多くなり得る。しわはまた、パッチの適用中に皮膚に対する張力の量に関連するとも考えられる。取り扱い中のパッチの折り重なり、またはパッチ自体への粘着という課題は、これらの同じ特性に関連するため、一方に対する改善は他方にも改善をもたらすことになる。「スキッピング(Skipping)」(本明細書中では、粘着および滑りとも称す)も歪みを生じさせるが、しわ効果によって生じる歪みよりも本質的に微細である。いくつかの例では、スキッピングは、パフォーマンスに影響し得るか、またはそれに相関し得る。場合によっては、スキッピングは、制御された剥離方法論を用いて、例えば、90度の角度またはさらに大きい角度で剥離する(皮膚上で開始した場所から180度の角度まで剥がす間に、パッチ裏材をそれ自体の上に折り畳む)ことによって低減される。
【0133】
ガラス転移温度は、どのようにしてポリマー鎖が互いに相互作用するかに関する(化学的性質と無関係の)接着ポリマー構造の別の物理特性、およびそこから生じる特定の特性(例えば、粘性)である。抗張力は、いくつかの例で、弾性率と同じASTM標準を使用して測定される。
【0134】
実施例1~3の一般手順で使用されるパッチは、表1のパラメータにより設計する。
【0135】
【表1】
【0136】
実施例6:水溶性パッチおよび/または接着剤
実施例1~3のパッチを、次のパッチ特性および接着剤に対する変更をもって設計する:(a)非水溶性接着剤を有する水溶性パッチ、(b)水溶性接着剤を有する水溶性パッチ、または(c)水溶性接着剤を有する非水溶性パッチの組合せ。
【0137】
水溶性接着剤を有する水溶性接着パッチは、12oz/in超のループ粘着性、ならびに、20lb/インチ超の引張力および200mN超の引裂強度をもたらす水溶性の紙製裏打ち上で-40~176°Fの作業温度範囲をもたらすように、設計される。可溶性パッチ全体は、接着剤残留物を残すことなく、あらゆる水温で容易かつ迅速に(30秒以内に)溶解可能であり、予想される貯蔵寿命は12か月である。水溶性接着パッチは、非侵襲的な皮膚試料採取に使用される。採取された(皮膚試料を充填した)パッチを、実施例1~3の一般手順に従い核酸抽出のための溶解インキュベーションに供する。水溶性パッチは溶解インキュベーション中に溶解するので、試料の溶解インキュベーション中、およびその後にパッチを取り除く必要はない。
【0138】
実施例7:ハイブリッド接着パッチ
実施例1~3のパッチを、次の以下の変更をもって設計する:接着剤を1つまたは複数の成分を含むハイブリッド接着剤に置き換え、裏打ち層を表2に示されるように変更する。様々な厚さ(0.5~3.0mil)のパッチを、本明細書に記載の皮膚サンプリング方法を用いて試験する。
【0139】
【表2】
【0140】
実施例8:比較試験
次の実施例では、表皮組織をサンプリングし、バイオマーカ分析に好適な表皮核酸の抽出物を得る際の、全体が本明細書中で参照により援用される共同所有の国際公開2016/179043号に記載されるものなどの皮膚試料採取具のパフォーマンスを、13の異なる採取システム(例えば、テープ)と比較するようにデザインされた試験の結果を記載する。13のテープのうち12は、本明細書に記載の皮膚試料採取具および採取システムの実施形態、変形形態、または実施例を含む。D-Squame skin sampling disc(CuDerm Corp)も比較対照デバイスとして使用した。テープを改善することで、核酸の収率および品質が一貫して改善されながら、皮膚損傷が低減されて非侵襲的特性が維持されることになる。
【0141】
背景- 角質層採取のための接着テープの使用(テープ剥離)は、皮膚バリア機能、微生物含有量、および疾患バイオマーカの評価を含む、いくつかの異なる分野で適用される多用途で、侵襲性が最小限の手順である。テープ剥離は、様々な公開された試験で言及されている。しかし、テープの数は広く変動するため、標準化されたサンプリングおよび正規化のプロトコルが欠如すると、データの比較と解釈が複雑になる。さらに、テープはそれらの製剤において異なるので、組織感作の程度、核酸の収量、および下流アッセイ用途を含むそれらのパフォーマンスにおけるいくつかの態様に関連する場合がある。翻訳可能な表皮バイオマーカの特定を支持するために高い核酸収量および品質を一貫して得ながら、非侵襲的な表皮組織採取を可能にする、改善されたサンプリングテープが必要とされている。
【0142】
さらに、試料採取システムによる皮膚サンプリングにより、接着表面上にスキップパターン、および剥離の「律動(jerky)」感が生じ得る。スキップパターンは、ステッカーの機械的特性と皮膚基質との組合せにより生じる剥離前面のエネルギー不安定性に関連し得る。これにより、サンプリングの快適性と効率が低下し得る。
【0143】
概要- 13の異なる採取システムの特性を明らかにした。13のテープのうち12は、本明細書に記載の皮膚試料採取具および採取システムの実施形態、変形形態、または実施例を含む。D-Squame skin sampling disc(CuDerm Corp、本明細書中では「DSQ」)を、さらに比較対照デバイスとして使用した。全体を参照することで本明細書に援用される共同所有の国際公開第2016/179043号に記載されるような例、変形例、または実施形態などの皮膚試料採取具も、比較対照デバイスとして使用した(本明細書中で「CC」)。接着剤および裏打ち層の組成と厚さを、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によってテープごとに判定し、すべての浸出物/抽出物(揮発性残留物、添加剤、充填剤、結合剤など)を分析し、GC-MS抽出、ならびにエタノールおよびイソプロパノール(これらは、一般的にDNAおよびRNAの単離に使用される緩衝液中に存在する)を用いた重量分析によって特定した。テープの剥離接着力は、XLW(EC)Auto Tensile Tester(Labthink Instrument,Inc.)を使用するASTM D3330 180°剥離接着標準法によって判定した。
【0144】
裏打ちシートの厚さを増加させることで、サンプリング中に接着剤表面上にスキップパターンが形成される確率が低下する可能性があることが示された。
【0145】
材料と方法
本開示の12例の採取システムを試験用に選択した。各採取システムには、それぞれLamart Corp.およびWiman Corp.が製造した、接着剤160-49(医療グレードの2-エチルヘキシルアクリレートポリマー)およびEVA(22%酢酸ビニル、78%エチレン)の裏打ちシートが備わっていた。この12例を厚さが異なるようにさらにカスタマイズしたが、それ以外は接着剤および裏打ちシートと同一の配合であった。例示的なデバイスの概要を表3に示す。
【0146】
【表3】
【0147】
参照によりその全体が援用される共同所有の国際公開第2016/179043号に記載されるような比較対照の皮膚試料採取具の例(CC)の特性は、厚さ3milの医療グレードのMA-70接着剤、厚さ3milのポリウレタン製の裏打ち、および接着剤剥離力18.1N/25cmである。
【0148】
さらに本明細書に記載されるように、12のテープの機械特性に対する試験を、ASTM D3121粘着性(tack)やASTM D3330 180°剥離接着試験などの器械技術を使用して行うとともに、皮膚に対する快適性としわについての試験も行った(例えば、本明細書中の実施例10を参照)。結果の概要を表4に示す。
【0149】
【表4】
【0150】
対象の募集- 本試験では健康なボランティア計21名を募集した(71%が女性)。対象はすべて、本試験での試料の使用に同意した本出願人の従業員であった。対象のIDと性別を表5に列挙する。2名の研究開発科学者がサンプリングを行い、それぞれ対象の約50%をカバーした。科学者は、試験前の2日間、サンプリング手順の訓練を受けた。
【0151】
【表5】
【0152】
試験デザインの概要- 同じ20名の健康なボランティアの上背の隣接する非重複部位に対し、原型ごとに4つのテープを用いてサンプリングすることによって、並列比較を行った。図15は、上背の選択部位にある14のサンプリングテープの例証的な位置を例示する。サンプリングの前に、全対象に、試験範囲を検討かつ理解し、皮膚をサンプリングされることに正式に同意するよう求めた。上背に沿った異なるテープの正確な位置を、対象ごとに無作為化した。各組の第1のテープの位置に、皮膚に安全なペンで印を付け、後続のテープの配置を誘導し、同じスポットから確実に剥離されるようにした。剥離前の5秒間、D-squameの圧力装置をすべてのテープに適用した。採取した試料をすべて、サンプリングの翌日に核酸の抽出を開始するまで-80℃で凍結させた。
【0153】
テープの原型のパフォーマンスを、3つの主要な試験カテゴリである、皮膚バリア機能、対象の不快感、ならびに抽出された核酸の量および質を評価することによって判定した。直接の比較を容易にするために、点数記録システムをすべてのサブカテゴリに割り当てた。各試験からの点数を合計してテープごとの最終スコアを得て、これを使用して、本試験コホートにおけるテープの最大~最低のパフォーマンスをランク付けした。
【0154】
結果
以下の試験カテゴリからの結果を提示し、これらはそれぞれいくつかのサブカテゴリからなる:
1.皮膚バリア機能
i.経皮水分蒸散量(TEWL)
ii.角質層の水和(SCH)
2.対象の不快感
i.対象によるサンプリング中の不快感の自己報告
ii.視認により観察可能な剥離後の紅斑
3.核酸(DNA/RNA)の収量と品質
i.総収量
ii.RNAの完全性およびフラグメントサイズ分布
iii.対象全体での収量の一貫性
iv.黒色腫アッセイを実行するのに十分な量の試料のパーセンテージ
4.上記のサブカテゴリを考慮した採点
【0155】
1.皮膚バリア機能
背景- 表皮は、物理的および化学的損傷に対する保護を行い、微生物感染を防止し、かつ受動的水分損失を制限することによって、生物と外部環境との間に障壁を設ける。皮膚中、より深くにある真皮層は高度に保湿されており、より深くにある真皮層から角質層に向けて受動的な水拡散勾配が存在する。拡散した水の大半は皮膚表面から蒸発するが、一部は角質層内のタンパク質が豊富な角質細胞によって保持される。角質層の適切な水和は、表皮の化学的および機械的特性の維持に重要であり、無傷の角質層は、保持され失われた水の量を判定することによってこれらの特性を直接調節する。これらの2つの特性、すなわち受動的な水分損失の程度(経皮水分蒸散量-TEWL)および角質層中の水分含有量(角質層水和-SCH)は、一般的に皮膚バリア機能を判定する代わりとなるものとして使用される。
【0156】
理論により限定されるものではないが、TEWLが高いほどバリアの障害に関連するが、TEWLが低いほど完全なバリア機能が示される。反対に、定常状態SCHが高いほど健康な障壁が示されるが、SCHレベルが低いほど、特にTEWLの増加と対になる場合に障壁の障害が示唆され得る。周囲温度(22~26℃)および45~60%湿度でのサンプリングを仮定した場合、無傷のバリアに関するベースラインTEWL値とSCH値は、大半が身体部位に応じて変動する。文献によれば、乾燥した身体部位における健康な中央TEWL値は12~15g/m/h未満であると予想され、健康なSCHは、20~40の間(任意の単位で測定)であると予想されるが、障壁の破壊は、30g/m/h7-12よりも高いTEWLを示す。テープ剥離の直後に、TEWLとSCHはともに、最外層の摂動、およびその結果として角質層への水の引き込みによって一時的に上昇すると予想される。顕著な障壁破壊は、最終的に、皮膚が新たな定常状態に達するにつれてより低レベルのSCHをもたらすことになる。剥離前値と剥離後値との差は、テープ剥離の繰り返しによる皮膚障壁破壊の程度を評価する際の指標の1つとして使用することができる。
【0157】
方法- テープ剥離の前後に、gpskin Barrier Lightデバイスおよび関連ソフトウェアを用いて経皮水分蒸散量(TEWL)および角質層の水和(SCH)を測定することによって、皮膚バリア機能を評価した。測定が発汗の影響を確実に受けないようにするべく、対象のサンプリングをワークステーションで行い、サンプリング前の30分間は身体活動を制限するように求めた。これらの測定では、テープ剥離の前後の皮膚バリア機能を報告した。
【0158】
結果- 図16Aは、4つの連続するテープを剥がす前後のTEWLおよびSCHのレベルのグラフを例示する。棒グラフは、すべてのテープの平均値を表す(N=14)。図16Bは、テープ個々における剥離後のTEWL値を例示する(N=21)。障壁破壊のカットオフ値30g/m/hは、水平線で示される。試験コホートでは、中央TEWL値およびSCH値はそれぞれ9.35±1.8g/m/hおよび22±1.94auであり、健康な皮膚における過去に公開されたデータと一致していた(図16A)。テープ剥離後、TEWLおよびSCHのレベルはわずかにしか上昇せず、それぞれ11.2±1.03g/m/hおよび31±1.6auに上昇した(図16A)。剥離後に記録したTEWL値はすべてのテープ原型においてバリア損傷に対する30g/m/hのカットオフを下回ったので、このサブカテゴリには点数を割り当てなかった(図16B)。
【0159】
2.対象の不快感と紅斑
方法- テープ剥離中、対象に、各テープによる不快感のレベルを1~5でランク付けするように求め、1は最も柔らかい絆創膏(band-aid)を引き剥がすことに相当し、5は粘着性の高い絆創膏を引き剥がすことに相当する。同時に研究開発科学者は、サンプリング中にテープに何らかのしわまたはスキップパターンを認めた。
【0160】
結果- すべての対象が、剥離直後の各テープに関する不快感スコアを1~5のスケールで提供し、1は最も柔らかい絆創膏を引き剥がすことに相当し、5は粘着性の高い絆創膏を引き剥がすことに相当する。本コホートでは、すべてのテープの不快感スコアは2以下であった(表6)。全対象によるテープの全体的な耐容性を考慮し、このサブカテゴリに点数を割り当てなかった。サンプリングを行う研究開発科学者は、処置中のテープ上のスキップパターンまたはしわの形成を記録した。テープ原型のいずれにも、しわは観察されなかった。
【0161】
対照的に、内部比較対照である皮膚試料採取具例には、スキップパターンが存在した(すべての対象で、テープ番号3から始まる)。サンプリング手順を実施する研究開発科学者は、各テープの剥離後5分以内に視認可能な紅斑の存在に関するバイナリ評価(存在/不在)を提供した。テープごとの紅斑を有する対象の数の中央値は2(0~5の範囲)であった。各テープには、次のように点数を割り当てた。所与のテープについて紅斑を有する対象の数の中央値が2未満の場合、テープに2点を割り当てた。中央値には1点を与え、他のすべての値は0点であった(表6)。
【0162】
【表6】
【0163】
3.核酸の量と品質
方法- 試料を改質Norgen溶解緩衝液(Thorold、カナダオンタリオ州)中で溶解し、試料溶解物からの核酸を、KingFisher Flex(ThermoFisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)上で自動化された磁気ビーズベースの抽出手順により抽出した。抽出した核酸を、標的特異的なqPCR分析によって別々に定量した。
【0164】
ヒトβ-アクチン(ACTB)mRNAを定量化マーカとして使用する遺伝子発現分析アッセイによるRT-qPCRによって、総ヒトRNAの量を判定した。ACTBは、ヒトゲノムに見られるハウスキーピング遺伝子であり、すべての細胞におけるmRNA産物の安定した発現を実証する。本アッセイには、エクソンにまたがる検出プローブが含まれるため、ヒトgDNAではなくACTBの発現産物(mRNA)のみが検出される。キャピラリー電気泳動、およびBioanalyzer2100装置(Agilent Technologies、カリフォルニア州サンタクララ)でのRNAフラグメントの検出後に、RNAの品質を判定した。ヒトゲノムDNA(gDNA)の量は、マーカとしてgDNA中のヒトACTB遺伝子を使用するヒト遺伝子コピー数分析アッセイ(Hs03023880_g1)によるqPCRによって判定した。
【0165】
i.総収量
図16Cは、テープごとの総RNA収量(pg)に関する平均値のグラフを例示する(N=21)。図16Dは、テープごとの総RNA収量(pg)に関する平均値のグラフを例示する(N=21)。図16Eは、21の対象コホートでのRNA(左)およびDNA(右)収量値の、正常に分布された個体群(点線の対角線)と比較した分布を示す、QQプロットを例示する。
【0166】
試験デザインのセクションで詳述されるように全DNAおよびRNAを抽出して、qPCRによって定量し(図16Cおよび図16D)、点数割当てのために平均および中央値の収量を検討した。本対象コホートにおけるRNA量およびDNA量の正常分布を、Shapiro-Wilks検定によって、ならびにQQプロットにおいて視覚的に評価した(図16E)。抽出された核酸の量は正常に分布していなかったため、歪んだデータセットにおける中心傾向のより良好な指標として、中央収量により多くの重みが与えられたことを認めた。平均収量をテープごとに判定し、次いで中央値をそのデータセットに対して判定した(RNAで中央値は1018.1pg、範囲438~2601pgであり、DNAで中央値は251pg、範囲106~774pgであった)。1018.1pgより大きい平均値を提示したテープに1点を与えた。中央収量値については、50%および75%のカットオフを全群内で判定した(RNAではそれぞれ259pgおよび361.5pg、DNAではそれぞれ86.8pgおよび107.2pg)。テープには、中央収量値が75%のカットオフを上回る場合は2点、50%のカットオフを上回る場合は1点を与えた。最高値のテープにはさらに点数を与えた。点数はすべて累積的であった。表7および表8は、それぞれRNAおよびDNAの量の点数割り当てを示す。
【0167】
【表7】
【0168】
【表8】
【0169】
ii.RNAの完全性およびフラグメントサイズ分布
キャピラリー電気泳動、およびBioanalyzer2100装置(Agilent Technologies、カリフォルニア州サンタクララ)でのRNAフラグメントの検出後に、RNAの完全性を判定した。RNA完全性数(RIN)、および200bpを超えるフラグメントのパーセンテージを使用して、各テープに点数を割り当てた。RINは1~10のスケールで提示され、1はRNAの完全な分解であり、10は完全に無傷のRNAである。
【0170】
図16Fは、テープ5~14の結果を示す、対象7のRNA電気泳動図の視覚表現を例示する。帯域の強度は収量と相関する。対象7は、平均よりも高いRNA完全性を示した。電気泳動図上の顕著なRNA種は、リボソームRNA18Sおよび28Sであり、帯域の強度はRNAの量と相関する(図16F)。Bioanalyzer2100ソフトウェアによりRNA電気泳動図の複数の態様を評価し、28S:18S14の比を含むRIN数を判定する。200bpを超えるフラグメントのパーセンテージ(DV200)を使用して、次世代シーケンシング用の試料の調製におけるcDNAライブラリ構築工程の最中のRNAの取扱いについて報告する。ライブラリ構築中に約300bpのサイズが標的とされたため、代表的なRNA種の大半を確実に捕捉するには、高いパーセンテージの、200bpを超えるフラグメントが必要である。各テープについて、RINが4を上回る対象とDV200が50%を上回る対象の数を合計した。最高値には2点、2番目の値には1点、3番目の値には0.5点を与えた(表9)。
【0171】
【表9】
【0172】
iii.対象全体での収量の一貫性
図16Gは、様々な対象間の平均収量の差を示す棒グラフを例示する。一元配置分散分析群(ノンパラメトリックのクラスカル=ウォリス検定)により、0.0001未満のp値を得た。異なる個体から採取された接着テープからの核酸収量は、所与の対象コホートにおける有意かつ既知の変動源である(図16G)。各対象において、総核酸量を最高から最低まで降順に分類し、上位3つのテープを記録した。全対象にわたり上位3つの最高収量テープのうちの1つとしてどのくらい頻繁に特徴付けられたかを判定することによって、各テープをパフォーマンスの一貫性について採点した。点数を次のように割り当てた。対象の大半に見られるテープには3点を割り当て、2番目および3番目に優れたものにはそれぞれ2点および1点を割り当てた(表10)。
【0173】
【表10】
【0174】
iv.黒色腫アッセイを実行するのに十分な量の試料のパーセンテージ
全抽出試料を、全収量のカットオフを75pgに設定することによって、黒色腫アッセイを実行するのに充分な量について評価した。総収量が75pg以上の試料を、アッセイに許容可能とみなした。収量が75pg未満の試料をQNS(量が不十分)と標識した。QNS率の中央値は17%(0~33%の範囲)であった。点数を次のように割り当てた。QNS率が10%未満の試料には2点を与え、QNSのない試料には追加の点数を割り当てた(表11)。
【0175】
RNA平均量、量の中央値、品質、対象全体での一貫性、および黒色腫アッセイのQNS率について割り当てられた点数を合計して、各テープの最終RNAスコアを得た。平均量、量の中央値量、および対象全体での一貫性について割り当てられたDNA点数も合計し、各テープの最終DNAスコアを得た。
【0176】
【表11】
【0177】
4.スコア
割り当てられた点数すべてを合計し、各テープの最終スコアを得た。表12Aは、テープに対する最高から最低までのパフォーマンスのランク付けを示す。閾値の中央値を太線で示す。上位のパフォーマンスは太字である。
【0178】
【表12A】
【0179】
結論
上記の試験結果は、対象による本明細書に開示される試料採取具および採取システムの良好な耐容性、ならびに4つ連続するテープにより上背の皮膚をサンプリングする際の非侵襲的特性の維持を示唆する。本明細書に開示される試料採取具および採取システムは、従来のデバイスよりも高い核酸収量を一貫して示した。本明細書に開示される試料採取具および採取システムは、サンプリング手順中にいかなるスキップパターンも生成しなかった。
【0180】
黒色腫細胞株に対する試験T12およびT7v.T14およびT13
T12、T7、T14、およびT13から抽出された試料を評価して、出願人のヒト黒色腫細胞株アッセイ(HTB)において遺伝子発現の検出に対するテープ材料の干渉を判定した。図24は、サイクル閾値(Ct)に応じた4つの異なる遺伝子LINC00518、ACTB、PRAME、およびPPIAに対する各試料の比較を示す。サイクル閾値レベルは、試料中の核酸の量に反比例する(すなわち、Ctレベルが低いほど、試料中の標的核酸の量が多い)。示されるように、テープのそれぞれについてのサイクル閾値は同等であるため、抽出された総核酸含有量はT7およびT12においてより高く、試験された試料すべてが種々の遺伝子の検出に充分であることが示唆される。下記の表12Bは、比較群のそれぞれについての閾値の比較における上限と下限を示す。
【0181】
【表12B】
【0182】
実施例9:抽出物/浸出物に対する試験
概要
FT-IR、GC-MS、Extractables and Leachables(E&L)スクリーニング試験、180°剥離接着試験、および適切な計測学を含む、機器ならびに分析技術を使用して、医療グレードの接着剤を調査した。
【0183】
E&L分析によると、FLEXconおよびLamartからのテープ試料はすべて、全体的にARcare90068のパフォーマンスを上回る。3M接着剤は、E&Lパフォーマンスが非常に低い。
【0184】
GC-MS分析および重量分析により、一部のテープは、DNA抽出中に使用されるエタノール/水の共溶媒系に対してより不活性であることが明らかにされる。Flexcon H-778、Flexcon H-566、Lamart 160-49、およびLamart H-52は、本出願において有利である中等度~高度の接着強度(すなわち、約10N/インチ以上)を有しながら、優れたE&Lプロファイルを呈することが示された。これらの接着剤は、医療グレードのTPU、LDPE、または異なる色及び透明度/不透明度の不織布型材料に適用するか、または伝達することができる。
【0185】
裏打ち層の選択は、パフォーマンスに重要な変数であることが示されている。剥離線に沿った不連続の形成に対する基板の役割は、薄い構造/層上で生じる座屈不安定を統制する機構の評価によって、予測することができる。その点で厚さ4~6milのTPUまたはLDPEは、ARcare 90068製品で使用される3milのTPUよりも良好に本出願に適することが見出された。より厚いテープでは、中断および線形成の頻度は少なくとも25~50%の可能性で低下することになる。
【0186】
全体として、様々なバージョンのテープを、上述の材料および上記に列挙したテープ製造業者によってカスタマイズすることができる。予備結果では、厚さ3milおよび5mil(または4mil対6mil)の医療グレードTPUフィルム上で厚さ1milのFLEXcon H-778およびH-566接着剤を使用すると、剥離ライナを被せたコーティング済みフィルムに切れ込みを入れて、幅1インチの試料ロールにすることが示唆される。しかし、フィルムの異なる変形形態が使用されてもよい。
【0187】
FTIR組成分析
適宜分離を行った後のテープの各層をATR結晶上に置き、樹脂系の検証のために正確なシグナルを得た。
【0188】
機器パラメータ- 機器:Universal ATR Sampling Armを備えたPerkin Elmer Spectrum 65 FT-IR。スペクトル範囲:3700~600cm-1。スキャン回数:8スキャン。解像度:4cm-1
【0189】
各試料からの接着剤および裏打ち層の組成と厚さを、表13に示される適切な分離方法を使用して、FT-IR(ATR結晶)およびcalibrated absolute digital caliper(Mitutoyo American Corp.)によって正確に特定した。
【0190】
【表13】
【0191】
GC-MSおよび重量分析によるExtractables and Leachables(E&L)分析
テープ試料および抽出物の調製:テープ試料は、全体として先ず清潔なかみそり刃でテープ片(5cm×5cm)を切断し、それを別々のガラスシンチレーションバイアルに入れることによって、GC-MS分析用に調製した。40mLの、20%エタノールおよび80%エタノール(RNA単離に使用)を、Class Aメスシリンダを用いて各バイアルに別々に添加した。バイアルを約3時間撹拌させ、各抽出物の1mlアリコートを採取し、9mlのメタノールで希釈した。次いで、希釈した溶液をGC-MSバイアルに移した。
【0192】
機器パラメータ:機器:Agilent 5973 Mass Selective Detector(MSD)を備えたAgilent 6890N GC。カラム:DB-5MS、30m×0.25mm×0.25μmおよび30m×0.25mm×10μm。温度プログラム:35℃で開始し、10℃/分で300℃まで上昇(ramp to)。
【0193】
結果:この皮膚剥離の適用において試料テープに存在し得る、RT-PCR試験に対する干渉(揮発性残留物、添加剤、充填剤、結合剤など)を、(RNA単離に使用される)エタノールおよびイソプロパノールを使用するGC-MS抽出および重力測定分析によって分析した。
【0194】
各テープ試料からの20%および80%エタノール抽出物のGC-MSクロマトグラムに、ベンチマーク処理の目的のために試料(Adhesive researchのARcare 90068)のクロマトグラムを重ねた。図17Aは、試料からの20%エタノール抽出に関するGC-MSクロマトグラムの重なりを例示する(丸囲み部分:約31分での試料2の明瞭なピーク)。X軸は、0.5分間隔で24.50~31.00と標識される。図17Bは、試料からの20%エタノール抽出に関するGC-MSクロマトグラムの重なりを例示する(丸囲み部分:18.6分で試料3、19.6分で試料10、21分で試料1)。X軸は、0.5分間隔で17.50~22.50と標識される。図17Cは、試料からの20%エタノール抽出に関するGC-MSクロマトグラムの重なりを例示する。丸囲み部分:10.1分で試料1を除くすべての試料(試料1との個別の重なりによって確認)、10.8分で試料3、試料7、試料8、および試料9(試料1との個別の重なりによって確認)、12.8分で試料5、ならびに14.9分で試料8。X軸は、0.5分間隔で10.00~15.00と標識される。図17Dは、試料からの20%エタノール抽出に関するGC-MSクロマトグラムの重なりを例示する(丸囲み部分:16.2分および21分で試料1、25.5~26.5分で試料2、試料3、試料4、および試料6(試料1との個別の重なりによって確認))。X軸は、0.5分間隔で16.00~26.00と標識される。
【0195】
各試料のE&L成分のIDと濃度を慎重に特定し、以下の表14に示すように、重量測定試験結果とともにGC-MS参照ライブラリおよびピーク面積によって定量化した。
【0196】
【表14-1】
【0197】
【表14-2】
【0198】
この分類は、分析溶液に放出される不要な抽出物に関して、他の試料と比較して有望な代替物と考慮される接着剤試料を示す。
【0199】
接着剤および裏打ちフィルムの物理的および機械的特性
引張試験- 機器パラメータ: 機器:ロードセル容量500NのLabthink XLW Auto tensile tester。試験標準:ASTM D3330(剥離接着)、ASTM D882(弾性特性)
【0200】
接着剤の剥離接着:異なる試料テープの剥離接着強度をベンチマーク処理し、XLW(EC)Auto Tensile Tester(Labthink Instrument Inc.)を使用し、ASTM D3330 180°剥離接着標準法に従い3回測定した。
結果を下記の表15に要約する。
【0201】
【表15】
【0202】
Flexcon H-778、Flexcon H-566、Lamart H-52、およびLamart 160-49接着剤は、適用を満たすのに充分な剥離力容量(peel force capacity)をもたらした。
【0203】
裏打ちフィルムの弾性率:異なる試料テープの柔軟性をベンチマーク処理し、XLW(EC)Auto Tensile Tester(Labthink Instrument Inc)を用いたASTM D882引張試験および伸長速度標準法により3回定量化した。裏打ち層の弾性率測定の概要を表16に示す。
【0204】
【表16】
【0205】
一般に、医療グレードのTPUおよびLDPEは、異なる範囲の透明度/不透明度、色、および厚さで提供される。TPUおよびLDPEの弾性率は、エンドユーザに可撓性および柔軟性を与える。しかしこれらの材料は、皮膚上での引っ張りおよび保持中の変形に対してより剛性であるため、他の剛性の高い樹脂も使用することができる。しかし、材料はより堅いほど、皮膚上で軟らかく感じられない場合がある。
【0206】
しわ現象vs滑らかな剥離
背景- マイクロスティックスリップは、テープにおける分離前面付近での曲げエネルギーの解放によって制御されると考えられている。スリップ構造の周期性は、裏打ち層の曲げ剛性および剥離角度によって統制される。構造の振幅および周期性は、互いに比例する。さらに、振幅Aは、以下の式
【0207】
【数1】
のようにスケーリングされ、式中、Aは微視的なスティックスリップの振幅であり、λは微視的なスティックスリップの周期性であり、Bは曲げ剛性であり、Θは剥離角度である。
【0208】
上記の式において、曲げ剛性は、B=E/[12(1-υ)]と等価な場合があり、式中、Eはテープ/裏打ち層の弾性率であり、υはテープ/裏打ち層のポアソン比であり、tはテープ/裏打ち層の厚さである。
【0209】
結果- 典型的な単調速度(monotonic-rate)の引張試験では、「スティック」の持続時間が長いほど、後のスリップ中により多くの距離がカバーされることが見出された。これらの2つの量の関係は、正比例ではなかった。スリップ距離は、スリップ間の時間の立方根に比例した。スリップの瞬間に、蓄積された位置エネルギーは運動エネルギーに変換される。このエネルギーバランスの記述により、マイクロスリップ距離と持続時間との立方根関係を示す式が得られる。その点で、より遅い剥離も、より頻度の少ないスティックスリップを促進させることが見出された。
【0210】
裏打ちシートの厚さは、スリップラインの頻度を低減するための重要な設計パラメータであることが見出された。上記の式によれば、スティックスリップパターンの頻度は、テープ厚さの平方根とともに減少するはずである。裏打ちシートの弾性率は、1/6の指数をもたらす立方根の平方根(すなわち、λ~E 1/6)によって、機能を弱く統制する。
【0211】
さらに、スティックスリップ現象およびしわ現象の両方によって、本開示の試料採取具および採取システムに形成されるしわの周期性と形状が統制され得る。皮膚上の接着テープによって生成されるしわの、波状の周期的な質感は、皮膚の弾性、裏打ち層の弾性、接着剤の強度(皮膚にかかる張力)、ならびにテープの幅および厚さなどの幾何学的パラメータによって統制される。
【0212】
線の波長(λ)または周期性/周波数は、以下の式
【0213】
【数2】
によって判定され、式中、λは巨視的なしわの周期性であり、Eはテープ/裏打ち層の弾性率であり、Eは皮膚の弾性率であり、tはテープ/裏打ち層の厚さである。
【0214】
皮膚の弾性挙動は、患者の年齢、身体状態、および身体上の皮膚の位置によって変動するはずである。しかし、テープ特性はカスタマイズすることができる。
【0215】
ポリウレタンまたは低密度ポリエチレンの裏打ちフィルムを選択する場合、厚さが高くなるほど、皮膚上に形成される波状構造が軽減される傾向にあることが見出された。上記に基づいて、機能の周波数は、裏打ちシートの厚さに正比例(linearly proportional)し得る。
【0216】
振幅(すなわち、皮膚の面外変形)は、以下の式
【0217】
【数3】
によって統制され、かつスティックスリップパターンと同様に、そのパターンの波長に比例する場合があり、このときAは振幅であり、Fはテープの幅ごとの接着力であり、Lはテープの長さであり、λは形成される特徴の波長である。
【0218】
より厚い裏打ち層は、皮膚に形成される特徴の振幅および波長(例えば、しわ、およびスティックスリップ構造)を低減する可能性が高いことが見出された。これらの現象を、実施例10にてさらに調べる。
【0219】
使用される機器の記述- フーリエ変換赤外分光計(FTIR):FT-IR技術を使用し、試料化合物に赤外線ビームを照射した後に捕捉された透過率測定値を用いて未知の化合物の分子フィンガープリントを得た。次いで決定的な特定を進展させるために、未知のフィンガープリントを、230,000を超える既知のFT-IRスペクトルのデータベースに照らして検索する。Perkin Elmer Spectrum 65 FT-IRにAttenuated Total Reflectance(ATR)アクセサリを備え付けることで、ダイヤモンドセル技術の使用を容易にして、はるかに低い試料サイズにおいて自然状態で固体、液体、または気体状態にある試料を試験する。ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC-MS):GC/MS試験により、多次元の化学特性に沿った試料の分析が可能になり、GC分析中に分離された異なる化合物が特異的に特定される。ガスクロマトグラフは、複合混合物をその個々の成分に分離して、それぞれを質量分析計に送達する。この分析は、混合物の成分それぞれ1つに、異なるピークからなるクロマトグラムを生成する。各ピークの面積を使用して量を測定する。GC/MS分析は、化学組成の定性的および定量的な測定の両方に使用することができる。Labthink(著作権)XLW(EC)Auto Tensile Testerを使用して、プラスチックフィルム、複合材料、可撓性包装材料、プラスチックチューブ、接着剤、接着テープ、医療用石膏、剥離紙、保護フィルム、組合せキャップ、アルミニウムホイル、ダイアフラム、バックシート、不織布、ゴム、および紙などの、引張力、剥離力、引裂力、ヒートシール力、接着力、貫通力、開通力、低速巻き戻し力、および引っ張り力が判定される。
【0220】
実施例10:機械的特性の試験
概要
本開示の皮膚試料採取具および採取システムの機械的特性を、ASTM D3121粘着性およびASTM D3330 180°剥離接着試験を含む器械技術、ならびに皮膚上での快適性およびしわに関する試験を用いて調査した。粘着および180°剥離接着試験により、すべてのフィルムが、適用に充分な中等度~高度の粘着力および接着力(すなわち、約10N/インチ以上)を示した。本試験ではまた、より厚い裏打ちフィルムが、わずかに高い粘着および剥離強度値をもたらすことを認めた。スキップパターンの試験、およびしわの分析により、厚さ6milの裏打ちシートは、より多くのしわを生じさせた4milフィルム、およびより多くのスキップパターンを生じさせる傾向がある5milフィルムよりも、適用に適していることが見出されたことを認めた。より厚いテープは、中断および線形成の頻度を低減することが示された。データ全体より、テープ05および06は、診断プロセス中に適格であることを前提に、適用に望ましい選択肢であり得ることが認められた。
【0221】
材料
EVA裏打ちシートを含む、医療グレードの(2-エチルヘキシルアクリレートポリマー)接着剤をカスタマイズし、表17のように製造した。
【0222】
【表17】
【0223】
ブロック防止添加剤を含まない厚さ4、5、および6milの裏打ちシートを、本試験において試験した。ブロック防止添加剤を有するものが使用されてもよく、本明細書で試験されるフィルムよりもさらに滑らかであってもよい。
【0224】
剥離接着
180°剥離接着試験機器パラメータ- 機器:ロードセル容量500NのLabthink XLW Auto tensile tester。試験標準:ASTM D3330(180°剥離接着)。引張速度:3.94インチ/分および7.87インチ/分
【0225】
テープ試料の接着強度を、XLW(EC) Auto Tensile Tester(Labthink Instrument Inc)を使用して、ASTM D3330に記載される180°剥離接着標準法に従い、3.94インチ/分および7.87インチ/分の引張速度で2回測定した。結果を下記の表18に要約する。
【0226】
【表18】
【0227】
図18は、接着厚さ(mil)に応じた剥離強度(N/in)のグラフを例示する。傾向線は、y=10.421x0.7216、R=0.7563として標識する。全体として、より厚い接着コーティングを測定することで、基板に対しより強力な接着力を得た。
【0228】
EVAフィルム上の2.0milおよび2.5milの接着剤は、元のテープに匹敵する剥離力をもたらすことが観察された。裏打ちシートの厚さは、剥離力をわずかに増加させることが観察された。
【0229】
粘着性
粘着試験機器パラメータ- 機器:イリノイ州のMaterial Testing Technology wheelingのASTM.D3121.10-Rolling Ball Tack Tester。試験標準:ASTM D3121(ボール回転による感圧接着剤の粘着性)
【0230】
米国試験材料協会(American Society of Testing Materials)は、材料が非常に軽い圧力下で接触させられたときに固体表面に付着する能力として粘着性を記載している。種々の試験手順がASTM D1878-6 ITに記載されている。例えば、ボール回転および関連する試験では、結合形成および結合破壊のプロセスが考慮される。回転ドラム、歯車、および他の試験もこのカテゴリに入る。
【0231】
異なる試料テープの粘着性を、ASTM D3121に記載される感圧接着剤の粘着性についての標準方法に従って、ローリングボール粘着性テスタ(イリノイ州のMTT,Material Testing Technology Wheelingから入手可能)を使用したボール回転によって、3回評価した。
【0232】
回転するボールがテープ上を移動した距離によって粘着性の結果を測定し、結果を以下の表19に要約する。
【0233】
【表19】
【0234】
図19は、粘着力(cm)を接着剤の厚さ(mil)の関数として示すグラフを例示する。傾向線は、y=8.0016x-1.498、R=0.8828として標識する。剥離強度の結果と同様に、粘着性は接着剤層の厚さが増加するにつれてより強力になる。裏打ちシートの厚さは、再度、粘着挙動で主要な役割を果たすことは観察されなかった。
【0235】
皮膚上のしわおよび快適性
しわは、より硬い層がより軟らかい基礎と接触したときに観察されることが多い。理論に縛られるものではないが、テープの相対剛性は軟らかい真皮層よりも硬いことから、しわを以下の結果において観察した。平坦な表面上、テープは典型的にはしわを形成しないが、一部のテープでは、身体上の湾曲した輪郭(関節など)に適用されるとすぐにしわが観察された。
【0236】
図20は、参加者#2の上腕に配されたテープ01上での重度のしわ形成の一例を例示する。皮膚に生じ得るしわの現象と数を試験するべく、各テープを1インチ×5インチの小片に切断した。これらの試料をすべて、3人の異なる参加者の膝に優しく配置した。参加者は椅子に座っている間、膝を90度曲げる。テープの表面に生じたしわの数を計数した。結果を表20に要約する。
【0237】
【表20】
【0238】
テープ07および08を剥がすと、接着層上に巨視的なスキップパターンが生じたことが分かった。これらのパターンは、概して、剥離に起因する機械的エネルギー損失の現れであるため、一貫した剥離に有利ではなかった。この挙動は試料07、08、および10でのみ認められたので、スキップパターン分析は試料すべてに実施されなかった。
【0239】
しわを計数した後、参加者は、自身が望む特定の速度でテープを除去するように求められると同時に、典型的な絆創膏(bad aid)の除去に関する不快感レベルを評価するようにも求められた(5:最も硬い絆創膏、1:最も軟らかい絆創膏と考慮され得る)。表21は、参加者の評価の概要を示す。
【0240】
【表21】
【0241】
概して、不快感は、参加者によってテープ(taps)の使用を止めるほどの痛みを伴うと記載されなかったが、参加者は、テープ間の差異、および診断の目的に等しく役立つ場合にはより柔らかいテープが好ましいことに気付くことができた。
【0242】
図21Aは、裏打ちシートの厚さ(mil)に応じたしわの数のグラフを例示する。図21Bは、接着層の厚さ(mil)に応じたしわの数のグラフを例示する図である。図21A図21Bは、それぞれ、テープ上に生じたしわの数が、裏打ちシートが熱くなり、かつ接着剤重量が適度になるほど減少することを示す。
【0243】
図22Aは、裏打ちシートの厚さ(mil)に応じた不快感のレーティングのグラフを例示する。図22Bは、接着剤の厚さ(mil)に応じた不快感のレーティングのグラフを例示する。図22A図22Bは、剥離の快適性と接着剤の厚さとの間により強力な相関があることを示す。診断プロセスに適格である場合、接着剤重量が軽量であるほど、コストと不快感レベルが減少することになる。
【0244】
使用した機器の記述- Labthink(著作権)XLW(EC)Auto Tensile Testerを使用して、プラスチックフィルム、複合材料、可撓性包装材料、プラスチックチューブ、接着剤、接着テープ、医療用石膏、剥離紙、保護フィルム、組合せキャップ、アルミニウムホイル、ダイアフラム、バックシート、不織布、ゴム、および紙などの、引張力、剥離力、引裂力、ヒートシール力、接着力、貫通力、開通力、低速巻き戻し力、および引っ張り力が判定される。
【0245】
実施例11:色素性病変の長期転帰
概要。黒色腫の疑いのある色素性病変の評価は、依然として難題である。本明細書に記載される接着パッチを利用する非侵襲的な色素沈着アッセイ(PLA)は、生検決定をガイドし、ゲノム異型症に基づきその最も早期の段階で黒色腫を検出する。TRUST試験を、最初に陰性と試験された病変のうち、真の陰性病変の割合を判定するようにデザインした。長期追跡スクリーニングコホートでの病変1781例のうち、黒色腫によると把握された死亡(known melanoma death)、または後期黒色腫は検出されなかった。追跡評価のために施設に戻った1233例中、10例の病変が早期PLA試験後に黒色腫の診断を受け、4例(0.3%)がステージ0(in situ)、6例(0.5%)がステージ1aであった。確認された追跡評価により、1233例の病変からなるこのサブセットから算出した陰性予測値(NPV)は、99.2%であったが、試験の繰返しは行わなかった(Cl=98.5~99.6)。PLAを用いた反復試験によって評価された病変302例のうち、対象が施設に戻った後に臨床的に顕著な黒色腫を有する例は見出されず(0%)、初期のチャートの検討結果を確認した。これらの302例の病変のうち、PLAによる反復試験では88.7%(268例の病変)が陰性であり、34例(11.3%)が陽性であった。病変34例すべて(100%)を外科的に生検し、3例(1%)をステージ0(in situ)と診断し、早期のPLAの13、14、および19か月後に特定した(NPV=99.0%[CI=97.1~99.8])。この長期反復試験では、PLAのNPVを確認したが、試験の慣例的な使用に関連する有害な転帰は見出されなかった。
【0246】
目的。本試験の目的は、DermTech色素正病変アッセイ(PLA)により以前に陰性と試験された病変のうち、真の陰性病変の比率を判定することであった。
【0247】
方法。本治験に参加するために、臨床業務でPLAを慣例的に使用する地理的に分散した5つの治験施設を募集した。過去にPLA結果が陰性であった患者から試料を採取し、約12~24か月の期間にわたり再試験した。さらに、患者チャートを最大36か月の期間にわたり検討して、以下を判定した:
【0248】
患者はPLA後に治験実施施設に戻ったか?
a.はいの場合、PLA病変を生検
b.生検した場合、黒色腫と診断
c.死亡の証拠
d.黒色腫により生じた死亡の証拠
【0249】
すべての試料を、カリフォルニア州ラホーヤにあるDermTechのCLIA商業試験施設で処理した。DermTech PLAは、黒色腫に関して臨床的に疑わしい病変をサンプリングするための非侵襲的な接着パッチ試験である。
【0250】
本試験では、黒色腫に関連する2つの遺伝子である、LINC00518(長い遺伝子間非コーディングRNA518)および/またはPRAME(黒色腫で優先的に発現された抗原)の発現を評価する。PLAを使用して生検決定をガイドし、遺伝子発現結果に基づき黒色腫を除外する。
【0251】
結果。2575例の病変からのチャート検討の結果を下記の表22に示す。
【0252】
【表22】
【0253】
検討したチャート中、10例のPLA病変が黒色腫として組織病理学的に評価された。10例の黒色腫診断中、6例(0.5%)がステージ1Aであり、4例(0.3%)はin situ黒色腫であることを認めた。PLA結果から黒色腫診断当日までの時間は、初期のPLA試験後1~33か月の範囲であり、平均15.1か月(5~12か月未満、2-12~24か月、および3-24か月超)であった本コホートから算出された陰性予測値は、1233例の検討チャートに基づき99.2%(CI95%=98.5~99.6)であった。
【0254】
PLAによる病変の反復試験を受けた患者の、基本的な人口統計データを図23に示す。
【0255】
組入れは男性よりも女性の方が多く、70~79歳の患者が最大の年齢コホートを表した。組み入れた患者と反復PLA結果を有する患者との間で、患者の性別に実質的な差異はなかった。組み入れた対象323名のうち21名(6.5%)のデータは、適応外使用、および分析に不充分な量(QNS)のため分析されなかった。再試験された302例の病変に関するPLA陽性結果を施設ごとに下記の表23に示す。
【0256】
【表23】
【0257】
全体的なLINC+の結果は最も頻繁に起こる陽性所見であったが、PRAME+およびDOUBLE+の結果はあまり頻繁に生じなかった。これらの病変34例すべてを外科的生検にかけ、その結果を下記の表24に示す。
【0258】
【表24】
【0259】
3つのステージ0(MIS)の黒色腫を、1つのPRAME+および2つのDOUBLE+を含むこれらの反復PLA+病変で検出した。これらの病変に対する反復試験は、初期のPLA試験の13、14、および19か月後に行った。
【0260】
結論。スクリーニングコホート(1233例)のうち10例の病変が黒色腫診断を受けた。4例(0.3%)がステージ0(in situ)、6例(0.5%)がステージ1aであった。確認された追跡評価による1233例の病変のNPVは、99.2%であった(CI95%=98.5~99.6)。組み入れた対象323名中、34名の病変がPLA+であり、すべてが外科的に生検され、3名(1%)がステージ0(in situ)の黒色腫と診断された。302名の病変のNPVは、99.0%であった(CI95%=97.1~99.8)。試験の日常的な使用に関連する有害転帰は認められなかった。
【0261】
実施例12:黒色腫検出
実施例8のテープT1~T12を、実施例11の基本手順に従い黒色腫検出のために試験する。
【0262】
実施例13:接着領域増加のためのテープのコンセプト
本明細書に開示されるように、パッチは、あらゆる色、サイズ、および/または形状で構成されてもよい。いくつかの例では、パッチは、身体の特定の領域(例えば、顔、頭部、またはその他の領域)に付着するように構成される。いくつかの例では、パッチは、顔全体を覆う1枚のシートとして構成される。いくつかの例では、複数のパッチが、顔面の皮膚をサンプリングするように構成される。形状は、皮膚採取領域に基づいてもよい。例えば、皮膚採取デバイスは、1つの大きなパッチを備えるか、フェイスマスクを備えるか、前頭に合わせ成形されるか(例えば、腎臓形状とされる)、眼の下に入るように成形されるか(例えば、三日月形)、鼻の少なくとも一部を覆うように成形されるか、右頬の少なくとも一部を覆うように成形されるか、左頬の少なくとも一部を覆うように成形されるか、耳介後部であるか、右手もしくは左手の少なくとも一部を覆うように成形されるか、または右足もしくは左足の少なくとも一部を覆うように成形され得る。さらに形状は、テープの採取領域を増加させるように構成されてもよい。
【0263】
図25は、試料の採取領域を増加させ得る、種々のテープ形状を示す図である。例えば、形状(2510)は、本明細書に開示される出願人の比較対照デバイス、例えば本明細書に開示されるT13の形状を呈してもよい。形状(2520)は、形状(2510)よりも42.1%の面積増加を示し得る。形状(2530)は、(2510)よりも47.8%の面積増加を示し得る。形状(2540)は、(2510)よりも23.1%の面積増加を示し得る。使用される種々の形状は、採取領域の増加と、採取具を取り扱うための部分の提供とのバランスをとり得る。場合により、非採取領域は、例えば、接着材料が少ない領域を設けることによって、患者の快適さを改善し得る。
【0264】
実施例14:タンパク質の抽出
実施例8のテープT7とT12を、皮膚試料からタンパク質を非侵襲的に単離する能力について試験した。簡潔に説明すると、試料を、溶解緩衝液880ul(SK緩衝液、GenElute、Sigma-Aldrich)を含む5mlチューブ内で溶解した。次いで、溶解物をGenEluteキットのシリカミニカラムに充填し、製造業者の指示に従いタンパク質を抽出した。これらの2つのテープにおいて抽出された総タンパク質を測定し、結果を図26に示す。テープは0.8mg/mLを超えるタンパク質を生成した。
【0265】
本明細書中に記載の実施例と実施形態は、例示のみを目的とするものであり、当業者に示唆される種々の改変または変更は、本出願および添付の特許請求の範囲における趣旨と範囲内に包含されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図16G
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
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図21A
図21B
図22A
図22B
図23
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図25
図26
【国際調査報告】