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特表2024-525139触覚または音響フィードバックを備えた表面音響装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】触覚または音響フィードバックを備えた表面音響装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240703BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/01 560
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575902
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 FI2022050397
(87)【国際公開番号】W WO2022258886
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】20215680
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520137969
【氏名又は名称】ピーエス オーディオ デザイン オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】エーロ ユリ-ランタラ
(72)【発明者】
【氏名】ベサ カヤヌス
(72)【発明者】
【氏名】ペッテリ ルーッカネン
(72)【発明者】
【氏名】ミカ ラマッサリ
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC04
5E555DA24
5E555DD06
5E555DD08
5E555FA00
(57)【要約】
様々な例示的実施形態は、ユーザーに音響または触覚フィードバックを提供することに関する。本装置は、第1のコイルに接続された検出回路であって、検出回路は、ユーザーによる表面の変位によって第1のコイルに誘導される電圧または電流を含むトリガー信号に基づいて、表面におけるユーザー入力を検出するように構成されている、検出回路を含むことができる。本装置は、第2のコイルに接続されたフィードバック回路をさらに備えることができ、フィードバック回路は、検出回路によるユーザー入力の検出に応答してフィードバック信号をアクティブ化するように構成され、第2のコイルは、フィードバック信号のアクティブ化時に第2のコイルによって生成されるように構成された磁場に基づいて、表面の動きを引き起こすか、変化させるように構成される。装置、方法、およびコンピュータープログラムが開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコイルに接続された検出回路であって、前記検出回路は、ユーザーによる表面の変位によって前記第1のコイルに誘導される電圧または電流を含むトリガー信号に基づいて、前記表面におけるユーザー入力を検出するように構成されている、検出回路と、
第1の永久磁石を備える上部部分、および前記第1のコイルおよび第2のコイルを備えるベース部分であって、前記ユーザーによる前記表面の前記変位が、前記ベース部分に向かって前記上部部分の移動を引き起こすように構成され、前記表面の前記変位が、前記第1の永久磁石と前記第1のコイルとの間の相対移動を引き起こして、前記第1のコイルに前記電圧または電流を誘導するように構成される、上部部分およびベース部分と、
前記第2のコイルに接続されたフィードバック回路であって、前記フィードバック回路は、前記検出回路による前記ユーザー入力の検出に応答して、フィードバック信号をアクティブ化するように構成され、前記第2のコイルは、前記フィードバック信号のアクティブ化時に前記第2のコイルによって生成されるように構成された磁場に基づいて、前記表面の移動を引き起こすかまたは変化させるように構成される、フィードバック回路と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記第1のコイルおよび前記第2のコイルは、実質的に同心であり、実質的に同じ直径を有し、前記第1のコイルは、前記第2のコイルよりも前記上部部分に近い位置に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ベース部分は、少なくとも1つの第2の永久磁石をさらに備え、前記第1のコイルの少なくとも一部および/または前記第2のコイルの少なくとも一部は、前記少なくとも1つの第2の永久磁石を包囲するように構成される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のコイルの抵抗値は、22~26オームであり、前記第1のコイルのワイヤの長さは、3.8~4.2mである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2の永久磁石の少なくとも一部は、前記第1のコイルを包囲するように構成され、前記第2のコイルの少なくとも一部は、前記少なくとも1つの第2の永久磁石を包囲するように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のコイルの抵抗値は、29~33オームであり、前記第1のコイルのワイヤの長さは、4.8~5.2mである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記フィードバック信号は、DC電圧またはDC電流を含む、請求項1乃至6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記トリガー信号をフィルタリングするように構成されたローパスフィルターをさらに備え、前記ローパスフィルターは、触覚周波数を通過させ、音響周波数を抑制するように構成される、請求項1乃至7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記ローパスフィルターのカットオフ周波数は、8~12Hzである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記検出回路が、さらに、
前記トリガー信号のピークを検出することに応答して、前記ユーザー入力の第1の通知を提供し、かつ/または、
前記トリガー信号の前記ピークの後に前記トリガー信号のゼロクロスを検出することに応答して、前記ユーザー入力の第2の通知を提供する、
ように構成される、請求項1乃至9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記検出回路は、さらに、
前記トリガー信号を微分して、前記トリガー信号の導関数を取得し、
前記トリガー信号がゼロを上回り、前記トリガー信号の前記導関数が実質的にゼロに等しいことを検出することに応答して、前記ユーザー入力の前記第1の通知を提供する、
ように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記検出回路は、さらに、
前記トリガー信号を積分し、
積分された前記トリガー信号が第1の閾値に達するか、または、第1の閾値を超え、かつ、前記トリガー信号がゼロを上回っていることを検出することに応答して、前記ユーザー入力の第3の通知を提供する、
ように構成される、請求項1乃至11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記検出回路は、さらに、
前記ユーザー入力の前記第1の通知、前記ユーザー入力の前記第2の通知、または、前記ユーザー入力の前記第3の通知のうちの少なくとも1つに応答して、前記フィードバック回路をトリガーして前記フィードバック信号をアクティブ化する、
ように構成される、請求項10乃至12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記検出回路は、さらに、
前記第1のコイルのアイドル電圧に基づいて、前記トリガー信号のゼロレベルを較正する、
ように構成される、請求項1乃至13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記検出回路は、さらに、
前記トリガー信号が、第2の閾値に達するか、または、第2の閾値を超えることを検出することに応答して、前記ユーザー入力の検出をアクティブ化する、
ように構成される、請求項1乃至14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記検出回路は、複数の前記第1のコイルに接続され、前記検出回路は、前記複数の前記第1のコイルに対応する複数のトリガー信号に基づいて、前記表面における前記ユーザー入力を検出するようにさらに構成され、前記フィードバック回路は、前記検出回路による前記ユーザー入力の前記検出に応答して、前記複数の前記第2のコイルについての複数の前記フィードバック信号をアクティブ化するようにさらに構成される、請求項1乃至15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記検出回路は、前記複数の前記第1のコイルにおける前記ユーザー入力によって誘導される電圧または電流レベルに基づいて、前記表面における前記ユーザー入力の位置を検出するようにさらに構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記フィードバック回路は、前記表面における前記ユーザー入力の前記位置に基づいて、前記複数の前記フィードバック信号を決定するようにさらに構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記フィードバック回路は、前記表面における前記ユーザー入力の前記位置と少なくとも1つのフィードバック信号との間のマッピングに基づいて、前記複数の前記フィードバック信号を決定するようにさらに構成される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記フィードバック回路は、前記表面における前記ユーザー入力の前記位置と前記少なくとも1つのフィードバック信号との間の前記マッピングの通知を受信するようにさらに構成される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記複数のフィードバック信号は同一である、請求項16乃至20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
トリガー信号に基づいて表面におけるユーザー入力を検出することであって、前記トリガー信号は、ユーザーによる前記表面の変位によって第1のコイルに誘導される電圧または電流を含む、検出することと、
触覚周波数を通過させ、音響周波数を抑制するように構成されたローパスフィルターで、前記トリガー信号をフィルタリングすることと、
前記ユーザー入力の検出に応答して、フィードバック信号をアクティブ化することと、
前記フィードバック信号のアクティブ化に応答して、第2のコイルによって磁界を発生させ、前記表面の動きを引き起こすか、変化させることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な例示的実施形態は、概して、音響または触覚フィードバックをユーザーに提供する分野に関する。いくつかの例示的な実施形態は、電気エネルギーを振動に変換するように構成され、さらにユーザー入力装置として動作するように構成されたスピーカなどのトランスデューサに関する。
【背景技術】
【0002】
トランスデューサは、エネルギーをある形態から別の形態に変換することができ、電気信号に基づいて音を生成するためにスピーカなどの様々なタイプの装置に適用することができる。概して、スピーカは、音を生成するために電気信号に従って振動する表面を備えることができる。表面音響装置(surface audio device)では、例えば、携帯電話のディスプレー、テレビの画面、車内のパネルなどの表面を、音を発生させるための表面として構成することができる。音は、ユーザーに音響フィードバックを提供するために使用することができる。さらに、振動は、触覚または感触フィードバックをユーザーに提供するために使用することができる。
【発明の概要】
【0003】
本概要は、詳細な説明において、以下にさらに説明される概念の一部を簡略化した形で紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることを意図するものでもない。本開示の様々な実施形態に求められる保護範囲は、独立請求項によって規定される。
【0004】
本開示の例示的な実施形態は、ユーザー入力を受信するために表面音響装置を使用し、ユーザー入力に音響または触覚フィードバックを提供することによってユーザーエクスペリエンスを改善することを可能にする。これらの、および、他の利点は、独立請求項の特徴によって達成することができる。さらなる有利な実施形態は、従属請求項、説明、および、図面に記載されている。
【0005】
第1の態様によれば、本装置は、第1のコイルに接続された検出回路であって、検出回路は、ユーザーによる表面の変位によって第1のコイルに誘導される電圧または電流を含むトリガー信号に基づいて、表面におけるユーザー入力を検出するように構成される、検出回路と、第2のコイルに接続されたフィードバック回路であって、フィードバック回路は、検出回路によるユーザー入力の検出に応答してフィードバック信号をアクティブ化するように構成され、第2のコイルは、フィードバック信号のアクティブ化時に第2のコイルによって生成されるように構成された磁場に基づいて、表面の移動を引き起こすか、または、変化させるように構成される、フィードバック回路と、を備えてよい。
【0006】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、本装置は、さらに、少なくとも1つの磁気素子を備えてよく、表面の変位は、少なくとも1つの磁気素子と第1のコイルとの間の相対移動を引き起こして、第1のコイルに電圧または電流を誘導するように構成されている。
【0007】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、本装置は、第1の磁気素子を備える上部部分と、第1のコイルおよび第2のコイルを備えるベース部分と、をさらに備えてよい。ユーザーによる表面の変位は、上部部分をベース部分に向かって移動させるように構成されてもよい。
【0008】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、第1のコイルおよび第2のコイルは、実質的に同心であり、実質的に同じ直径を有してよい。第1のコイルは、第2のコイルよりも上部部分に近い位置に配置されてもよい。
【0009】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、ベース部分は、少なくとも1つの第2の磁気素子をさらに備えてよい。第1のコイルの少なくとも一部および/または第2のコイルの少なくとも一部は、少なくとも1つの第2の磁気素子を包囲するように構成されてよい。
【0010】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、第1のコイルの抵抗は、22~26オームの間であってよい。第1のコイルのワイヤの長さは、3.8~4.2mの間であってよい。
【0011】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの第2の磁気素子の少なくとも一部は、第1のコイルを包囲するように構成されてよい。第2のコイルの少なくとも一部は、少なくとも1つの第2の磁気素子を包囲するように構成されてよい。
【0012】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、第1のコイルの抵抗は、29~33オームの間であってよい。第1のコイルのワイヤの長さは、4.8~5.2mの間であってよい。
【0013】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、第1の磁気素子および第2の磁気素子の少なくとも一方は、永久磁石を備えてよい。
【0014】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、第1の磁気素子または第2の磁気素子は、磁化可能な素子を備えてよい。
【0015】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、フィードバック信号は、DC電圧またはDC電流を含んでよい。
【0016】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、本装置は、トリガー信号をフィルタリングするように構成されたローパスフィルターをさらに備えてよい。ローパスフィルターは、触覚周波数を通過させ、音響周波数を抑制するように構成することができる。
【0017】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、ローパスフィルターのカットオフ周波数は8~12Hzの間であってよい。
【0018】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、検出回路は、さらに、トリガー信号のピークを検出することに応答して、ユーザー入力の第1の通知を提供し、トリガー信号のピーク後のトリガー信号のゼロクロスを検出することに応答して、ユーザー入力の第2の通知を提供するように構成されてよい。
【0019】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、検出回路は、さらに、トリガー信号を微分して、トリガー信号の導関数を取得し、トリガー信号がゼロより大きく、トリガー信号の導関数が実質的にゼロに等しいことを検出することに応答して、ユーザー入力の第1の通知を提供するように構成されてよい。
【0020】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、検出回路は、さらに、トリガー信号を積分し、積分されたトリガー信号が第1の閾値に達するかそれを超え、トリガー信号がゼロより大きいことを検出することに応答して、ユーザー入力の第3の通知を提供するように構成されてよい。
【0021】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、検出回路は、さらに、ユーザー入力の第1の通知、ユーザー入力の第2の通知、または、ユーザー入力の第3の通知、の少なくとも1つに応答して、フィードバック回路をトリガーしてフィードバック信号をアクティブ化するように構成されてよい。
【0022】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、検出回路は、さらに、第1のコイルのアイドル電圧に基づいてトリガー信号のゼロレベルを較正する、ように構成されてよい。
【0023】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、検出回路は、さらに、トリガー信号が第2の閾値に達するか、または、第2の閾値を超えることを検出することに応答して、ユーザー入力の検出をアクティブ化するように構成されてよい。
【0024】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、検出回路は、複数の第1のコイルに接続されてよい。検出回路は、複数の第1のコイルに対応する複数のトリガー信号に基づいて表面におけるユーザー入力を検出するようにさらに構成されてよい。フィードバック回路は、検出回路によるユーザー入力の検出に応答して、複数の第1のコイルについての複数のフィードバック信号をアクティブ化するようにさらに構成されてよい。
【0025】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、検出回路は、複数の第1のコイルにおけるユーザー入力によって誘導される電圧または電流レベルに基づいて、表面におけるユーザー入力の位置を検出するようにさらに構成されてよい。
【0026】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、フィードバック回路は、表面におけるユーザー入力の位置に基づいて複数のフィードバック信号を決定するようにさらに構成されてよい。
【0027】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、フィードバック回路は、表面におけるユーザー入力の位置と少なくとも1つのフィードバック信号との間のマッピングに基づいて、複数のフィードバック信号を決定するようにさらに構成されてよい。
【0028】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、フィードバック回路は、表面におけるユーザー入力の位置と少なくとも1つのフィードバック信号との間のマッピングの通知を受信するようにさらに構成されてよい。
【0029】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、複数のフィードバック信号は同一であってよい。
【0030】
第2の態様によれば、本方法は、ユーザーによる表面の変位によって第1のコイルに誘導される電圧または電流を含むトリガー信号に基づいて、表面におけるユーザー入力を検出することと、ユーザー入力の検出に応答して、フィードバック信号をアクティブ化することと、フィードバック信号のアクティブ化に応答して、表面の動きを引き起こすか、変化させるために、第2のコイルによって磁場を発生させることと、を含んでよい。
【0031】
第2の態様の例示的な実施形態によれば、フィードバック信号はDC電圧またはDC電流を含んでよい。
【0032】
第2の態様の例示的な実施形態によれば、本方法は、触覚周波数を通過させ、音響周波数を抑制するように構成されたローパスフィルターでトリガー信号をフィルタリングすることをさらに含んでよい。
【0033】
第2の態様の例示的な実施形態によれば、ローパスフィルターのカットオフ周波数は8~12Hzの間であってよい。
【0034】
第2の態様の例示的な実施形態によれば、本方法は、さらに、トリガー信号のピークを検出することに応答して、ユーザー入力の第1の通知を提供すること、および/または、トリガー信号のピーク後のトリガー信号のゼロクロスを検出することに応答して、ユーザー入力の第2の通知を提供すること、を含んでよい。
【0035】
第2の態様の例示的な実施形態によれば、本方法は、さらに、トリガー信号を微分して、トリガー信号の導関数を取得することと、トリガー信号がゼロより大きく、トリガー信号の導関数が実質的にゼロに等しいことを検出することに応答して、ユーザー入力の第1の通知を提供することと、を含んでよい。
【0036】
第2の態様の例示的な実施形態によれば、本方法は、さらに、トリガー信号を積分することと、積分されたトリガー信号が第1の閾値に達するか、または、第1の閾値を超え、トリガー信号がゼロより大きいことを検出することに応答して、ユーザー入力の第3の通知を提供することと、を含んでよい。
【0037】
第2の態様の例示的な実施形態によれば、本方法は、さらに、ユーザー入力の第1の通知、ユーザー入力の第2の通知、または、ユーザー入力の第3の通知、のうちの少なくとも1つに応答して、フィードバック回路をトリガーしてフィードバック信号をアクティブ化することを含んでよい。
【0038】
第2の態様の例示的な実施形態によれば、本方法は、第1のコイルのアイドル電圧に基づいてトリガー信号のゼロレベルを較正することをさらに含んでよい。
【0039】
第2の態様の例示的な実施形態によれば、本方法は、トリガー信号が第2の閾値に達するか、または、第2の閾値を超えることを検出することに応答して、ユーザー入力の検出をアクティブ化することをさらに含んでよい。
【0040】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、検出回路は、複数の第1のコイルに接続されてよい。本方法は、さらに、複数の第1のコイルに対応する複数のトリガー信号に基づいて、表面におけるユーザー入力を検出することと、検出回路によってユーザー入力を検出することに応答して、複数の第1のコイルについての複数のフィードバック信号をアクティブ化することと、を含んでよい。
【0041】
第2の態様の例示的な実施形態によれば、本方法は、さらに、複数の第1のコイルにおけるユーザー入力によって誘導される電圧または電流レベルに基づいて、表面におけるユーザー入力の位置を検出することを含んでよい。
【0042】
第2の態様の例示的な実施形態によれば、本方法は、さらに、表面におけるユーザー入力の位置に基づいて、複数のフィードバック信号を決定することを含んでよい。
【0043】
第2の態様の例示的な実施形態によれば、本方法は、さらに、表面におけるユーザー入力の位置と少なくとも1つのフィードバック信号との間のマッピングに基づいて、複数のフィードバック信号を決定することを含んでよい。
【0044】
第2の態様の例示的な実施形態によれば、本方法は、さらに、表面におけるユーザー入力の位置と少なくとも1つのフィードバック信号との間のマッピングの通知を受信することを含んでよい。
【0045】
第2の態様の例示的な実施形態によれば、複数のフィードバック信号は同一であってよい。
【0046】
第3の態様によれば、コンピュータープログラムは、装置に少なくとも、ユーザーによる表面の変位によって第1のコイルに誘導される電圧または電流を含むトリガー信号に基づいて、表面におけるユーザー入力を検出することと、ユーザー入力の検出に応答して、フィードバック信号をアクティブ化することと、フィードバック信号のアクティブ化に応答して、第2のコイルによって磁界を発生させ、表面の動きを引き起こすか、変化させることと、を実行させるための命令を含んでよい。コンピュータープログラムは、第2の態様の方法の任意の例示的な実施形態を装置に実行させるための命令をさらに含んでよい。
【0047】
第4の態様によれば、本装置は、ユーザーによる表面の変位によって第1のコイルに誘導される電圧または電流を含むトリガー信号に基づいて、表面におけるユーザー入力を検出する手段と、ユーザー入力の検出に応答して、フィードバック信号をアクティブ化するための手段と、フィードバック信号のアクティブ化に応答して、第2のコイルによって磁界を発生させ、表面の動きを引き起こすか、変化させるための手段と、を含んでよい。本装置は、第2の態様の方法の任意の例示的な実施形態を実行するための手段をさらに備えてよい。
【0048】
いかなる例示的な実施形態も、1つまたは複数の他の例示的な実施形態と組み合わせることができる。付随する特徴の多くは、添付図面と関連して考慮される以下の詳細な説明を参照することによって、より良く理解されるようになるにしたがって、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
添付の図面は、例示的な実施形態のさらなる理解を提供するために記載され、本明細書の一部を構成し、例示的な実施形態について説明し、説明と共に例示的な実施形態の理解を助ける。図面は以下の通りである。
図1図1は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、音響または触覚フィードバックを提供するように構成された表面音響装置の一例の断面図を示す。
図2図2は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、音響または触覚フィードバックを備える表面音響装置のブロック図の一例を示す。
図3図3は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、磁気素子の外側に配置された検出コイルおよびフィードバックコイルを有する表面音響装置の例を示す図である。
図4図4は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、円形の磁気素子の内側に配置された検出コイルを有する表面音響装置の例を示す図である。
図5図5は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、磁気素子の上部に配置された検出コイルを有する表面音響装置の例を示す。
図6図6は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、トリガー信号のローパスフィルタを備えた表面音響装置のブロック図の一例を示す。
図7図7は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、押下および解放動作に関する生のトリガー信号の例を示す図である。
図8図8は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、押下および解放動作に関するローパスフィルター処理されたトリガー信号の例を示す図である。
図9図9は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、押下および解放動作に関する力曲線の例を示す。
図10図10は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、ユーザー入力検出回路の機能ブロック図の一例を示す。
図11図11は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、ゼロレベル較正およびユーザー入力検出を可能にするための閾値を有する検出回路のブロック図の一例を示す。
図12図12は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、複数の表面音響装置を含む装置の一例を示す図である。
図13図13は、1つまたは複数の例示的な実施形態を実施するように構成された装置の例を示す。
図14図14は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、触覚または音響フィードバックをユーザーに提供するための方法の一例を示す。
【0050】
同様の参照は、添付図面において同様の部品を指定するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0051】
次に、添付図面に示されている例示的な実施形態について詳細に説明する。添付図面に関連して以下に提供される詳細な説明は、本実施例の説明として意図されたものであり、本実施例が構成または利用され得る唯一の形態を表すことを意図したものではない。本明細書は、本実施例の機能、および、本実施例を構成し動作させるための一連のステップを示すものである。しかしながら、同一または同等の機能およびシーケンスを異なる実施例によって達成することもできる。
【0052】
図1は、例示的な実施形態による、音響または触覚フィードバックを提供するように構成された表面音響装置の一例の断面図を示す。概して、表面音響装置100は、例えば、表面音響装置100のユーザー入力(例えば、押下(press))を検出することに応答して、ユーザーに対して、例えば、音響出力(例えば、音響信号および/または音響フィードバック)または触覚出力(例えば、触覚フィードバック)などの振動を生成するように構成することができる。表面音響装置100は、触覚フィードバックを提供するように構成される場合、表面弾性波装置(surface acoustic device)、または、表面音響触覚装置(surface audio haptic device)(SAHD)と呼ばれる場合もある。表面音響装置100は、例えば、軸130に沿って機械的に変位するように構成され得る表面102を備えるか、または、表面102に結合されるように構成され得る。軸130は、表面102に対して実質的に垂直であってもよい。表面音響装置100は、第1の磁気素子110をさらに備えてもよく、この磁気素子は、表面102に結合されてもよく、または、結合されるように構成されてもよい。表面音響装置100は、例えば、ベース104に対して表面102を支持するための少なくとも1つの支持部材108をさらに備えることができる。表面音響装置100は、表面102に結合され得るか、または、結合されるように構成され得る第1のコイル112をさらに備えることができる。例えば、第1のコイル112は、第1の磁気素子110に取り付けられ、軸130に沿って第1の磁気素子110の下方に配置されてもよい。それゆえ、第1の磁気素子110は、第1のコイル112と表面102との間に少なくとも部分的に(部分的にまたは完全に)配置されてもよい。表面音響装置100は、ベース104に結合された第2の磁気素子120をさらに備えていてもよい。第2の磁気素子120は、図1に示すように、第1の磁気素子110に対向するように配置されてもよい。表面音響装置100は、第1および第2の磁気素子110、120の間に配置された第2のコイル122をさらに備えることができる。第2のコイル122は、第2の磁気素子120に取り付けられ、軸130に沿って第2の磁気素子120の上方に配置されてもよい。したがって、第2の磁気素子120は、少なくとも部分的に、第2のコイル122とベース104との間に配置されてもよい。第1のコイル112は、検知コイルまたは検出コイルと呼ぶことができる。第2のコイル122は、フィードバックコイル、触覚コイル、音響コイル、サウンドコイル、または、音声コイルと呼ぶことができる。第1の磁気素子110および/または第2の磁気素子120は、永久磁石、または、磁化可能な材料、例えば、鉄などの強磁性材料および/またはフェリ磁性材料を含んでもよい。磁気素子は、異なる実施形態において異なる形態をとることができ、磁気素子110、120の少なくとも一方は、永久磁石を含むことができる。また、磁気素子110および/または磁気素子120は、複数の磁性部材の組み合わせとして実施することもできる。
【0053】
例示的な実施形態によれば、第1の磁気素子110は永久磁石を備えてよい。したがって、第1の磁気素子110は、表面音響装置100内に静磁場を生じさせることができる。第2の磁気素子120は、磁化可能な材料を含むことができ、この磁化可能な材料は、第1の磁気素子110によって提供される磁界によって磁化され得る。しかしながら、第2の磁気素子120が存在しないか、あるいは、第2の磁気素子120が永久磁石を備えてもよい。
【0054】
例示的な実施形態によれば、第2の磁気素子120は永久磁石を備えてもよい。第1の磁気素子は、磁化可能な材料を備えてもよい。第1の磁気素子110と第2の磁気素子120との間に吸引力が発生する場合がある。第1の磁気素子110は、代替的に他の永久磁石を備えてもよい。
【0055】
磁気素子110、120の少なくとも1つによって提供される磁場は、第2のコイル122に電流を供給するときに表面102に電磁力(EMF)を生じさせたり、表面102を押圧するときに第1のコイル112に電圧を誘導させたりする。システムはEMF(V)=Blvで特徴付けられ、ここで、Bは磁場の磁束密度、lは第1のコイル112のコイル線の長さ、vは、表面102に与える押圧力によって引き起こされる、軸130に沿った第1のコイル112の移動速度である。起電力は、ボルト(V)で表すことができる。表面102および/または少なくとも1つの支持部材108は、力(例えば、反発力)を提供する少なくとも1つの弾性要素を備えてよく、この弾性要素は、電磁力または押圧力に対する反発力として作用しうる。このようにして、表面102は、いくつかの実施形態では支持部材(複数可)108を備えることができるベース104に対して支持され得る。これにより、速度(v)で軸130に対する表面の移動が可能になり、第1のコイル112に電圧が誘導される。従って、表面102は、力の平衡状態となるようにすることができる。通常、表面102は、振動するパネルを備えることができる。表面102は剛性であってもよく、例えば、曲がらないか、または、少しだけ曲がるようにしてもよい。表面102は平面を備えることができる。表面102は、例えば、金属、木材、ガラス、および/または、プラスチックを含んでもよい。表面102の厚さは、少なくとも1mm、2mm、3mm、5mm、1cm、2cm、または、5cmであってよい。ベース104は、機械的に接地されたパネルを備えることができる。
【0056】
第2のコイル122の電気信号は、表面102の機械的変位に比例し得る。力の平衡状態は、第2のコイル122における電気信号によって破られる可能性がある。例えば、電気信号が音響/フィードバック信号端子を介して第2のコイル122に供給されると、力の平衡状態が破られ得る。したがって、表面102は、第2のコイル122における電気入力信号によって生成される起電力(EMF)に従って振動させることができる。あるいは、力の均衡は、例えば、ユーザーが表面102を押下することによって、力の均衡状態の位置から表面102が機械的に変位することによって破られる場合もある。磁気素子110、120の極性は、任意の適切な方法で配置することができることに留意されたい。例えば、吸引構成では、反対の磁極を対向させて(N-S対N-S、または、S-N対S-N)配置することができる。従って、力の平衡は、磁気素子110、120間の吸引的な磁力と、磁気素子110、120が互いに引き寄せられるのを防止する支持部材(複数可)118によって提供される反対側の支持力とによって引き起こされ得る。あるいは、反発する構成では、同じ磁極を対向させて配置されてもよい(N-S対S-N、または、S-N対N-S)。従って、力の均衡は、磁気素子110、120間の反発磁力と、磁気素子110、120が互いから離れようとするのを防止する支持部材118によって提供される逆の支持力によって引き起こされる場合がある。
【0057】
表面音響装置100は、電気入力信号に従って音響出力を生成するように構成することができる。音響出力は、人間の耳によって検出可能な音、即ち、人間によって聞こえる可能性のある音を意味し、かつ/または、それを含んでよい。いくつかの例では、動物(複数可)および/または音響センサー(マイクなど)によって検出可能な音を指す場合もある。例えば、音響出力は、音楽、発話、効果音などを含んでもよい。また、表面102およびベース104は、例えば、携帯電話、テレビ、コンピューター、音楽プレーヤー、または、他のタイプのユーザー機器など、任意の適切な機器であるか、または、それらを含んでよいことに留意されたい。例えば、ベース104は、装置のフレームの少なくとも一部を形成することができる。例えば、表面102は、装置(例えば、電子装置)のスクリーンであるか、または、そのスクリーンを含んでいてもよい。提供される解決策は、例えば、自動車産業(例えば、自動車)に適用可能である。表面102は、自動車の内装パネル(例えば、ドアパネル、天井または屋根パネル、壁パネル、フレームパネル、または、自動車の内装の他の部分)などの自動車パネルを含んでもよい。表面102は、例えば、自動車用ディスプレーを含んでよい。表面102は、代替的に、ウェアラブル電子デバイスなどのウェアラブルデバイスに含まれてもよい。例えば、表面102は、腕時計やリストデバイスのような携帯型電子機器に含まれてもよい(例えば、表面102は、そのような機器のディスプレーに含まれてもよい)。
【0058】
上述のように、表面音響装置100は、第2のコイル122に電気的に接続された1つまたは複数の音響/フィードバック信号端子を備えることができる。音響/フィードバック信号端子(複数可)は、第2のコイル122に音響信号および/またはフィードバック信号を供給して、表面102による音響振動および/または触覚振動の発生を生じさせるために使用することができる。フィードバック信号は、音響フィードバックおよび/または触覚フィードバックを含んでよい。表面音響装置100は、第1のコイル112に電気的に接続された1つまたは複数のトリガー信号端子をさらに含んでもよい。トリガー信号は、代替的に検知信号または検出信号と呼ばれる場合がある。トリガー信号(複数可)端子は、第1のコイル112からトリガー信号を送出させることができる。例えば、軸130に沿って表面102を押圧するなどして表面102を機械的に変位させると、トリガー信号端子間に電圧(トリガー電圧)が誘導される場合がある。トリガー信号は、表面102の押圧を検出し、以下にさらに説明するように、第2のコイル122によって生成される音響/触覚フィードバックをトリガーするために使用することができる。音響/フィードバック信号端子およびトリガー信号端子は、正と負の両方の端子を含むように図示されているが、各コイルは、代替的に、接地電位に対して単一の端子に接続され得ることが理解されよう。
【0059】
表面102は、様々な解決策を用いてベース104に対して支持することができる。支持部材(複数可)108は、例えば、表面102とベース104との間に配置されたバネ(複数可)を備えることができる。しかしながら、例えば、表面102とベース104に接続された一対(または、複数対)の磁石などの他の手段によっても反発力を提供することができるため、支持部材(複数可)108は、いくつかの実施形態では存在しなくてもよい。例えば、一対(または、複数対)の磁石は、第1の磁気素子110および第2の磁気素子120によって提供される力と反対の力を提供するように構成することができる。例えば、第1の磁気素子110および第2の磁気素子120が吸引力を提供するように構成されている場合、一対(または、複数対)の磁石は反発力を提供するように構成され得るか、または、その逆であってもよい。
【0060】
磁気素子と表面102またはベース104とを結合することは、磁気素子を表面102またはベース104に固定すること、または、取り付けることを含んでよい。このような固定は、例えば、接着剤、および/または、ねじ(複数可)を使用して行うことができる。磁気素子は、表面102および/またはベース104に印刷することもできる。したがって、結合されたものは印刷(例えば、エレクトロニクス印刷)を含んでよい。さらに、磁気素子110、120の間のコイル112、122の配置は、それぞれの磁気素子にコイルを結合(例えば、固定または取り付け)することを含んでよい。しかしながら、第1のコイル112および/または第2のコイル122は、磁気素子110、120の間に別個の素子として配置することもできる。したがって、それぞれのコイル112、122は、それぞれの磁気素子110、120に物理的に接触しない場合がある。例えば、第1のコイル112を磁気素子110、120の間の領域に配置するために、第1のコイル112を表面音響装置100の表面102または他の部分に取り付けることができる。同様に、第2のコイル122を磁気素子110、120の間の領域に配置するために、第2のコイル122を表面音響装置100のベース104または他の部分に取り付けることができる。図1の例は、表面102およびベース104に対する磁気素子110、120およびコイル112、122の1つの可能な配置を示していることに留意されたい。同様の機能は、例えば、図3および図4を参照して説明するように、代替的な配置によっても達成することができる。したがって、本開示の例示的な実施形態は、ユーザー入力検出ならびに触覚および/または音響フィードバック機能を単一の構造内に実装することができる。例えば、単一のコイルを、音響信号とフィードバックの両方をユーザーに提供するために使用することができ、他のコイルを同じ構造内に統合し、ユーザー入力を検出するために専用にすることができる。
【0061】
図2は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、音響または触覚フィードバックを備えた表面音響装置のブロック図の一例を示す。図2には、表面音響装置100の簡略版が図示されている。表面音響装置100は、第1および第2のコイル112、122を備えることができる。これらの構成要素に加えて、表面音響装置200は、検出回路210およびフィードバック回路220を備えることができる。
【0062】
検出回路210は、例えば、第1のコイル112からトリガー信号(複数可)を受信し、トリガー信号に基づいてユーザー入力を検出するために、第1のコイル112に(電気的に)接続されてもよい。トリガー信号は、ユーザーによる表面の変位によって第1のコイル112に誘導される電圧または電流を含んでもよい。ユーザー入力、例えば、表面102の押圧を検出することに応答して、検出回路210は、イネーブルフィードバック信号(EN_FB)をフィードバック回路220に提供することができる。イネーブル信号を提供することは、イネーブル信号の状態を、例えば、論理Lowを示すレベルから論理Highを示すレベルに変化させることを含んでよい。
【0063】
フィードバック回路220は、例えば、フィードバック信号(複数可)を第2のコイル122に提供するために、第2のコイル122に(電気的に)接続されてもよい。フィードバック回路220は、検出回路によって提供されるイネーブルフィードバック信号に従って、即ち、検出回路210によるユーザー入力の検出に応答して、フィードバック信号をアクティブ化する(および、非アクティブ化する)ように構成することができる。第2のコイル122は、フィードバック信号のアクティブ化時に第2のコイル122によって生成されるように構成された磁場に基づいて、表面102の移動を生じさせるように構成することができる。例えば、直流(DC)信号がフィードバック信号として提供される場合、磁場は表面102を持ち上げさせ、それによって触覚フィードバックとして単一の隆起を生じさせることができる。あるいは、フィードバック信号は交流(AC)信号を含んでいてもよく、これによって表面102を振動させることができる。表面102の振動は、触覚フィードバックおよび/または音響フィードバックとしてユーザーが感知することができる。
【0064】
第2のコイル122は、音響ソース、例えば、フィードバック回路220と統合されたオーディオ増幅器(AMP)に追加的に接続されてもよく、このオーディオ増幅器は、第2のコイル122によって表面102の振動を引き起こすことによって音響信号(例えば、音楽または音)を再生するように構成されてもよい。音響再生が実行中で表面102が振動している場合、フィードバック信号は、第2のコイル122によって提供される磁場を変化させることによって、表面102の動きを変化させることができる。例えば、触覚フィードバック信号または音響フィードバック信号を、音響ソースによって再生される音響信号に重畳することができる。
【0065】
検出回路210およびフィードバック回路は、アナログ回路またはデジタル回路、あるいは、それらの組合せを用いて実装することができる。アナログ領域では、これらの回路は、例えば、比較回路、微分回路、積分回路などに基づいて実装することができる。デジタル領域では、回路は、例えば、論理ゲート、他のデジタル論理、または、少なくとも1つのメモリに関連するプロセッサ回路などのデジタル構成部品を備えることができる。
【0066】
図3は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、磁気素子の外側に配置された検出コイルおよびフィードバックコイルを備えた表面音響装置の一例を示す。表面音響装置300は、表面音響装置100と同様の構成要素、例えば、第1および第2のコイル112、122、ならびに、第1および第2の磁気素子110、120を備えてよい。表面音響装置300は、磁性材料を含む少なくとも1つの第3の磁気素子312および/または少なくとも1つの第4の磁気素子322をさらに備えてもよい。磁気素子(複数可)312、322は、外部磁界下で磁気特性を獲得する磁化可能な材料を含むか、または、磁化可能な材料で作られてもよい。磁気素子(複数可)312、322は、例えば、鉄などの強磁性材料および/またはフェリ磁性材料(複数可)を含むことができる。第3の磁気素子312は、第1の磁気素子110のためのキャビティを備えてもよい。第3の磁気素子312は、例えば、第1の磁気素子110の上部から、および、第1の磁気素子110の側面から少なくとも部分的に、第1の磁気素子110を包囲することができる。第4の磁気素子322は、第2の磁気素子120、第1のコイル112、および/または第2のコイル122のためのキャビティを備えていてもよい。第4の磁気素子322は、例えば、第2の磁気素子120の底部から、および第2の磁気素子120の側面から少なくとも部分的に、第2の磁気素子120を包囲することができる。
【0067】
表面音響装置300の上部部分310は、少なくとも第1の磁気素子110を備えてよい。上部部分310は、第3の磁気素子312をさらに備えてもよい。上部部分310は、表面102(図示せず)に結合されてもよいし、結合されるように構成されてもよい。ベース部分320は、少なくとも第1のコイル112および第2のコイル122を備えていてもよい。ベース部分320は、第2の磁気素子120および/または第4の磁気素子322をさらに備えてもよい。ユーザーによって提供される押圧力による表面102の変位は、ベース部分320に向かう上部部分310の移動を引き起こすように構成することができる。表面102の変位は、第1の磁気素子110と第1のコイル112との間の相対移動を引き起こし、第1のコイル112においてトリガー信号を誘導するように構成することができる。しかしながら、通常、表面102の変位は、トリガー信号を誘導するために、少なくとも1つの磁石と第1のコイル112との間の相対移動を引き起こすように構成することができる。例えば、図1の配置では、表面102の変位は、第2の磁気素子120と第1のコイル112との間の相対移動を引き起こし、トリガー信号を誘導するように構成することができる。したがって、ユーザーによってトリガー信号の発生を引き起こすために、様々な異なる配置を用いることができる。
【0068】
ベース部分320において、第1のコイル112は、第2のコイル122よりも上部部分310の近くに、例えば、第2のコイル122の上部に配置されてもよい。これにより、第2の磁気素子120の外側に第1のコイル112を配置することにより、第1のコイル112の配線長を長くすることができ、第1のコイル112に誘導されるEMFのレベルも高くなるため、良好な検出感度が得られる。したがって、ユーザー入力検出の感度を向上させることができる。さらに、第1のコイル112の直径は、第1および/または第2の磁気素子110、120の外径(複数可)と実質的に等しいか、または、それよりも大きくすることができるため、磁束の大部分を第1のコイル112を通して流すことができ、それにより誘導されるEMFのレベルをさらに増加させることができる。しかしながら、第2のコイル122を第1のコイル112よりも上部部分310に近い位置、例えば、第1のコイル112の上部に配置することもできる。第1および第2のコイル112、122は、円形で、第4の磁気素子322、または、通常、ベース104によって規定される平面に配置される第2の磁石の周囲に配置されてもよい。ベース部分320は、さらに、上面図によって右側に図示されている。第1および第2のコイル112、122は、実質的に同心であってよく、実質的に同じ直径を有し、したがって、上面図には第1のコイル112のみが見える。しかしながら、第1および第2のコイル112、122が、実質的に同じ直径を有する場合、上部から見たときに部分的に重なるだけの場合もあり得る。例えば、第1および第2のコイル112、122は、同じ厚さ、即ち、各コイルの内径と外径の差がなくてもよい。
【0069】
更に、第1のコイル112の少なくとも一部、および/または、第2のコイル122の少なくとも一部は、第2の磁気素子120を包囲するように構成されてもよい。コイルが第2の磁気素子120を部分的に包囲するように構成される場合、コイルの少なくとも1つのワイヤが、第2の磁気素子120を包囲してもよい。
【0070】
また、第4の磁気素子322は、第2のコイル122を底部および側部から包囲してもよいが、第1のコイル112を側部から包囲しなくてもよいことに留意されたい。これにより、第1のコイル112のサイズ(例えば、直径)およびワイヤ長をさらに増加させることができ、それにより検出感度をさらに向上させることができる。第2の磁気素子120は、様々な形態をとることができる。図3の例では、第2の磁気素子120は、第4の磁気素子322によって、底部から、および部分的に側部から、包囲されている。しかしながら、第2の磁気素子120が、第2の磁気素子120の側部から第2の磁気素子によって完全に包囲されてもよい。しかしながら、第1のコイル112および/または第2のコイル122は、第2の磁気素子120と第4の磁気素子322との間に配置されてもよい。第2の磁気素子120は、図3のように円形(中空円筒形)であってもよいし、円筒形であってもよい。しかしながら、第2の磁気素子120は、例えば、直方体や中空の直方体など、任意の適切な形状をとることができる。第1および第2のコイル112、122の形状も、非円形、例えば、直方体であってもよい。第1および第2のコイル112、122は、例えば、単一のコイルのコイル線が軸130の方向において重ならないように巻かれ、または、印刷された平面コイルを備えてもよい。あるいは、第1および第2のコイル112、122は、単一のコイルのコイル線が軸130の方向にも重なるように(または、軸130の方向のみに)巻回されてもよい。例示的な実施形態によれば、第1のコイル112の抵抗は、22~26オームの間、例えば、約24オームとすることができる。第1のコイル112のワイヤの長さは、3.8~4.2m、例えば、約4mとすることができる。第1のコイルは、90~110回巻き、例えば、100回巻きである。このようなコイルパラメータの選択により、第1のコイル112が第2の磁気素子120の内部に配置されているときのユーザー入力の検出感度を向上させることができる。
【0071】
図4は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、円形磁気素子の内部に配置された検出コイルを備える表面音響装置の一例を示す。表面音響装置400は、上部部分310およびベース部分320を備えてよく、これらは、図3を参照して説明したのと同様の構成要素を備えてよい。しかしながら、第1のコイル112は、例えば、円形の形状を有する第2の磁気素子120の内部に配置されてもよい。第1のコイル112を第2の磁気素子120の内部に配置することで、2コイル構造を実現するために必要なスペースを削減しつつ、十分な検出感度を実現することができる。従って、第2の磁気素子120の少なくとも一部は、第1のコイル112を包囲するように構成することができる。これにより、十分な検出感度を提供することが可能になるとともに、第1のコイル112と第2のコイル122とを同一平面上、例えば、第4の磁気素子322の上部に配置することができるため、表面音響装置の厚さを薄くすることができる。第2のコイル122は、第2のコイル122の少なくとも一部が第2の磁気素子120を包囲するように構成されるように、図3と同様に配置することができる。例示的な実施形態によれば、第1のコイル112の抵抗は、29~33オームの間、例えば、約31オームとすることができる。第1のコイル112のワイヤの長さは、4.8~5.2m、例えば、約5mであってよい。第1のコイル112は、340~360回巻き、例えば、350回巻きであってよい。コイルのパラメータをこのように選択することで、第1のコイルが第2の磁気素子120の内部に配置されたときのユーザー入力の検出感度を向上させることができる。
【0072】
図5は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、磁気素子の上方に配置された検出コイルを備える表面音響装置の一例を示す。表面音響装置500は、上部部分310およびベース部分320を備えてもよく、これらは、図3を参照して説明したのと同様の構成要素を備えてよい。しかしながら、第1のコイル112は、第2の磁気素子120の上方に配置されてもよく、例えば、図5のような円形形状を有してもよい。これにより、第1のコイル112のワイヤの長さを長くすることができ、したがって、検出感度を向上させることができる。第2の磁気素子120が円形である場合、第1のコイル112の内径は、第2の磁気素子120の内径よりも大きくてもよいし、等しくてもよい。第1のコイル112の外径は、第2の磁気素子120の外径よりも小さいか等しくてもよい。第1のコイル112は、第2の磁気素子120よりも上部部分310に近い位置、例えば、第2の磁気素子120の上部に配置されてもよい。図5の上面図の例では、第1のコイル112の内径は、第2の磁気素子120の対応する直径に比べて大きく、第1のコイル112の外径は、第2の磁気素子120の対応する直径に比べて小さい。図3図4、および図5の素子が特定の形状を有するように図示されているが、完全に同様の機能が他の形状の素子でも達成され得ることに留意されたい。
【0073】
図6は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、トリガー信号のローパスフィルタ処理を行う表面音響装置のブロック図の一例を示す。表面音響装置200は、図2を参照して説明したのと同様の構成要素を備えることができる。表面音響装置200は、第1のコイル112と検出回路との間に増幅器(AMP)202をさらに備えてもよい。あるいは、増幅器202は検出回路210内に実装されてもよいし、システムは増幅器202なしで実装されてもよい。検出回路210は、ローパスフィルター(LPF)212を備えていてもよい。ローパスフィルター212は、任意の適切な回路を用いて実装することができる。ローパスフィルターは、アナログRC(抵抗-コンデンサ)回路を備えてもよいし、検出回路210が(少なくとも部分的に)デジタルロジックを用いて実装される場合、ローパスフィルター212は、例えば、(任意選択的に増幅された)トリガー信号のアナログ/デジタル(A/D)変換によって得られるデジタルサンプルを処理するように構成された有限インパルス応答(FIR)フィルターまたは無限インパルス応答(IIR)フィルターを備えてもよい。ローパスフィルターは、触覚周波数(例えば、0~10Hz)を通過させ、音響周波数(例えば、20Hz~20kHz)を抑制するように構成することができる。したがって、ローパスフィルターのカットオフ周波数は、例えば、8~20Hz、または、10~20Hzの間とすることができる。ローパスフィルター212は、トリガー信号の外乱をフィルタリングすることを可能にする。このような外乱は、例えば、第2のコイル122を介して音響信号および/またはフィードバック信号を供給する際に、第2のコイル122から第1のコイル112へのクロストークによって引き起こされる可能性がある。したがって、ローパスフィルター212は、トリガー信号を音響信号および/またはフィードバック信号から分離することができる。例示的な実施形態によれば、ローパスフィルター212のカットオフ周波数は、8~12Hz、例えば、約10Hzである。これにより、音響信号に十分な保護範囲を与えながら、0.1秒のオーダーで発生する速い押下および解放(release)動作を検出することができる。デジタル実装では、この保護範囲により、低複雑度フィルターを使用することが可能になり、処理時間が短縮されるため、ユーザーにタイムリーなフィードバックを提供することが可能になる。検出回路210は、図10を参照してさらに説明されるように、アナログ回路またはデジタル信号処理(DSP)を用いて実装され得るユーザー入力検出部214をさらに備えてもよい。
【0074】
上述したように、検出回路210は、ユーザー入力の検出に応答して、イネーブルフィードバック信号(EN_FB)をフィードバック回路220に供給することができる。フィードバック回路は、オーディオ増幅器(AMP)を備えるか、または、オーディオ増幅器(AMP)として動作することができる。フィードバック回路220は、触覚フィードバックをアクティブ化するための回路222を備えることができる。代替的に、または、追加的に、音響フィードバックが提供されてもよい。フィードバック信号は、例えば、触覚信号バンク224および/または音響信号バンクなどの信号バンクから取得することができる。信号バンクは、例えば、表面音響装置200のメモリに含まれていてもよい。フィードバック回路220は、フィードバック信号のイネーブル時に、信号バンクからフィードバック信号を取得するためにメモリにアクセスすることができる。代替的に、または、追加的に、フィードバック信号は、DC(直流)電圧またはDC電流を含んでよい。DC電流または電圧が、音響フィードバック信号および/または音響ソースから再生される音響に加えて提供される場合、DC電流または電圧は、第2のコイル122に提供される電気信号の成分を形成することができる。DC電流または電圧を触覚フィードバックとして印加することにより、触覚フィードバック(例えば、表面102の単一の隆起)を生成することが可能になり、これは、例えば、音響再生によって引き起こされる表面102の他の振動からユーザーによって容易に認識され得る。
【0075】
表面音響装置200は、フィードバック信号をフィルタリングするためのハイパスフィルター(HPF)204をさらに備えることができる。しかしながら、ハイパスフィルター204の使用は任意である。ハイパスフィルター204は、例えば、フィードバック信号が音響信号を含む場合にトリガー信号に生じる干渉の量を低減するために使用することができる。
【0076】
図7は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、押下および解放動作の生のトリガー信号の例を示す。生のトリガー信号の電圧(mV)は、第1のコイル112から出力される時間(s)と関連させて図示されている。生のトリガー信号には、ユーザー入力によって第1のコイル112に誘導された電圧に重畳された、例えば、音響干渉による高周波成分が含まれていることが観察される。
【0077】
図8は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、ローパスフィルター処理されたトリガー信号の押下および解放動作の一例を示す。第1のコイル112に誘導される電圧のピーク(「1」)は、ベース104に向かう(第1の磁気素子110および/または第1のコイル112に連結された)表面102の動きが最も速いとき、即ち表面102を押圧しているときに発生する。表面の解放時(「2」)、電圧はゼロレベルを越え、表面102がベースから離れると、負の電圧が第1のコイル112に誘導される。換言すれば、点「1」は移動の最大速度に対応し、点「2」は移動の方向の変化(ゼロクロス)に対応するものと考えられる。電圧の極性は、例えば、トリガー信号の積分を含まない実施形態では、代替的に異なるように配置されてもよいし、電圧がグランドレベルを基準にしてもよいことに留意されたい。図11を参照してさらに説明されるように、ゼロレベルは、第1のコイル112のアイドル電圧に基づいて較正されてもよい。
【0078】
図9は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、押下および解放動作の力曲線の例を示す。図9の力曲線は、図8のトリガー信号の積分によって取得されたものである。押圧力(g)は、時間(s)に対して示されている。最大速度の点を破線で示す。これは、ローパスフィルター処理されたトリガー信号(図8)の点「1」に相当する。点「3」は最大の力に対応し、この例では表面102が解放される直前に発生する。図8のトリガー信号と図9の力曲線の両方が、1Hzで250gの公称押圧力に対応している。
【0079】
図10は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、ユーザー入力検出回路の機能ブロック図の一例を示す。ユーザー入力検出部214は、ブロック1010(ピーク検出器)、1020(ゼロクロス検出器)、および1030(力閾値検出器)のうちの1つまたは複数を備えてもよい。ブロック1040において、ユーザー入力検出部は、これらのブロックのうちの1つまたは複数によって提供される通知(複数可)に基づいて、フィードバックイネーブル信号(EN_FB)のレベルを決定することができる。したがって、いくつかの実施形態では、ブロック1010、1020、および、1030の全てが存在しなくてもよい。ユーザー入力検出部214は、ローパスフィルター212からのトリガー信号を入力として受信することができる。この例では、トリガー信号は電圧u(検知電圧、トリガー信号電圧)によって表されるが、対応する電流に基づいて同様の処理が適用されてもよいことが理解されよう。
【0080】
ピーク検出
ピーク検出器1010は、アナログ微分回路として、または(例えば、トリガー信号の連続するサンプル間の差に基づく)デジタル処理によって実装される微分回路1012を備えてもよい。微分回路1012は、時間(du/dt)についての導関数(例えば、1次導関数)を出力として提供することができる。ブロック1014では、ピーク検出器1010がトリガー信号のピークを検出することができる。通常、トリガー信号(電圧)の極性に応じて、ピーク検出器1010は、正の電圧または負の電圧のいずれかでピークを検出するように構成することができる。図10の例では、ピーク検出器1010は正の電圧ピーク(u>0)を検出するように構成されている。例えば、ブロック1014において、ピーク検出器1014は、u>0であるか否か、およびトリガー信号の導関数が(実質的に)ゼロに等しい(du/dt=0)か否かを判定することができる。du/dtが実質的にゼロであるか否かを判定することは、実際には、du/dtが閾値未満に減少するか否かを判定することを含んでよいことに留意されたい。ブロック1014でピークを検出することに応答して、ピーク検出器1010は、例えば、ブロック1016において対応する論理信号(det1)を真(TRUE)に設定することによって、ユーザー入力の第1の通知を提供することができる。図8の点「1」に対応し得るピークの検出に応答して、ピーク検出器1010は、ゼロクロス検出器1020および/または力閾値検出器1030をアクティブ化することができる。しかしながら、ゼロクロス検出器1020および/または力閾値検出器1030は、ピーク検出器1010によって提供される任意のアクティブ化制御信号とは無関係に、代替的に動作され得ることに留意されたい。例えば、ブロック1010、1020、1030の2つ以上が並列に動作し、それぞれの通知を独立して提供することができる。
【0081】
ゼロクロス検出
ブロック1022において、ゼロクロス検出器1020は、電圧uのゼロクロスを検出することができる。ゼロクロス検出器1020がピーク検出器1010によってアクティブ化される場合、ゼロクロス検出器1020は、アクティブ化(u=0)後の最初のゼロクロスを検出することができる。したがって、ゼロクロス検出器は、ゼロクロスの向きを考慮する必要がない。これにより、複雑さが軽減される。しかしながら、ゼロクロス検出器1020がピーク検出器1010から独立して動作することも可能である。したがって、ゼロクロス検出器1020は、代替的に、図8に示されるように、所定の方向、例えば、正側からゼロレベルに到達することに応答してゼロクロスを検出するように構成することもできる。ゼロクロス検出は、ある範囲内のゼロレベル近傍の小さな変動がゼロクロス検出をトリガーさせないような範囲を有するように構成されてもよい。例えば、ゼロクロスは、その範囲外から電圧がゼロに増加または減少するようにゼロレベルがクロスした場合にのみ検出されてもよい。通常、ゼロクロス検出器は、例えば、トリガー信号のピーク後、および/または、所定の方向におけるトリガー信号のゼロクロスの検出に応答して、ユーザー入力の第2の通知を提供することができる。第2の通知は、ユーザー入力の解放フェーズの検出に対応してもよい(図8の点「2」を参照)。第2の通知は、ブロック1024において、対応する論理信号(det2)をTRUEに設定することによって提供されてよい。
【0082】
力閾値検出
力閾値検出器1030は、例えば、アナログ積分回路として、または、デジタル処理によって(例えば、時間間隔にわたるトリガー信号のサンプルの合計に基づいて)、実装され得る積分回路1032を備えてもよい。積分回路1032は力(F)を出力することができ、その例は図9に提供されている。したがって、力信号(F)は、トリガー信号(u)の積分されたバージョンを含むことができる。力閾値検出器は、力が閾値に達したか否かを検出するように構成することができる。任意選択的に、力閾値検出器は、トリガー信号がゼロより上(または、代替的にゼロより下)であることを確認するように構成することができる。したがって、ブロック1034において、力閾値検出器1030は、力が閾値(Th1)に達するか超えるか、例えば、F>Th1を満たすか否か、および/または、トリガー信号がゼロより上(u>0)であるか否かを判定することができる。
【0083】
閾値Th1は、力閾値検出器1030、または、一般に表面音響装置において、予め設定されてもよい。あるいは、表面音響装置、例えば、力閾値検出器1030は、1つまたは複数の以前のユーザー入力中の最大力レベルに基づいて、閾値Th1を決定することができる。例えば、力レベルは、複数の以前のユーザー入力の最大力レベルの平均、加重平均、または、最小値に基づいて、決定することができる。これにより、システムは、異なるユーザーによって引き起こされる可能性のあるピーク力の異なるレベルや、例えば、部品の経年劣化によるピーク力の漸進的な変化にも適応することができる。
【0084】
通常、力閾値検出器1030は、例えば、統合されたトリガー信号(F)が閾値(Th1)に達するか、または、閾値(Th1)を超えることを検出すること、および、任意選択的にトリガー信号(u)がゼロを超えることを検出することに応答して、ユーザー入力の第3の通知を提供することができる。第3の通知は、ブロック1036において、対応する論理信号(det3)を真(TRUE)に設定することによって提供することができる。上述したように、力閾値検出器1030は、ピーク検出器1010によってアクティブ化されてもよい。この場合、力閾値検出器は、トリガー信号(u)のレベルを監視する必要がなくなり、複雑さを低減することができる。しかしながら、力閾値検出器1030は、ピーク検出器1010から独立して作動させることもできる。これにより、力閾値検出器1030がピーク検出器1010によって見逃されたユーザー入力を検出することができるため、ユーザー入力検出部214の信頼性を向上させることができる。
【0085】
フィードバックイネーブル
ブロック1040において、ユーザー入力検出部214は、フィードバックイネーブル信号(EN_FB)をフィードバック回路220に提供するか否かを決定することができる。例えば、ユーザー入力検出部は、ピーク検出器1010、ゼロクロス検出器1020、および/または、力閾値検出器1030によって提供された通知に基づいて、フィードバックイネーブル信号のレベル(例えば、論理真または偽)を決定することができる。したがって、フィードバックイネーブル信号は、例えば、バイナリ信号またはブール信号を含んでよい。フィードバックイネーブル信号を供給することは、EN_FBを論理真を示すレベルに設定することを含んでよい。フィードバック回路220へフィードバックイネーブル信号を提供することは、フィードバック回路220がフィードバック信号をアクティブ化するトリガーとなり得る。フィードバック信号をアクティブ化することは、フィードバック信号に対応する電圧または電流を第2のコイル122に提供させることを含んでよい。
【0086】
例示的な実施形態によれば、ブロック1010、1020、および、1030のいずれかから、検出されたイベント(例えば、トリガー信号のピーク、トリガー信号のゼロクロス、または、力閾値Th1のクロス)の通知を受信することに応答して、フィードバック信号をイネーブルにすることができる。したがって、ブロック1040において、ユーザー入力検出部214は、EN_FB=det1 OR det2 OR det3に基づいて、イネーブルフィードバック信号を決定することができる。あるいは、例えば、ピーク検出器1010がゼロクロス検出器1020、および/または、力閾値検出器1030をアクティブ化するように構成されている場合、ユーザー入力検出部214は、ゼロクロス検出器1020、および/または、力閾値検出器1030から検出されたイベントの通知を受信することに応答して、フィードバック信号をイネーブルにすることができる。したがって、ブロック1040において、ユーザー入力検出部214は、EN_FB=det2 OR det3、または、EN_FB=det2 AND det3に基づいて、イネーブルフィードバック信号を決定することができる。あるいは、ユーザー入力検出部214は、ピーク検出器1010およびゼロクロス検出器1020または力閾値検出器1030の少なくとも1つから検出されたイベントの通知を受信することに応答して、フィードバック信号をイネーブルにすることができる。例えば、EN_FBは、ブロック1040において、EN_FB=det1 AND(det2 OR det3)、または、EN_FB=det1 AND det2 AND det3に基づいて決定することができる。これにより、ユーザー入力検出部214の計算の複雑さを検出信頼度と引き換えることができる。
【0087】
フィードバックイネーブル信号は、例えば、10msまたは他の予め設定された継続時間など、所定の継続時間だけ提供されてもよい。しかしながら、イネーブル信号のレベルは、2つ以上の検出通知(det1、det2、det3)を同時に組み合わせることに基づいて設定することも可能である。例えば、検出回路210は、(例えば、ピーク検出器1010による)表面102の押圧の検出に応答して、フィードバック信号のアクティブ化をトリガーするように構成することができる。しかしながら、検出回路210は、表面102の解放を検出することに応答して、(例えば、ゼロクロス検出器1020および/または力閾値検出器1030によって)フィードバック回路220にフィードバック信号を非アクティブ化させることができる。これにより、ユーザー入力中にユーザーにフィードバックを提供することができる。これは、例えば、EN_FB=det1 XOR det2に基づいてEN_FBを決定することによって実行することができる。あるいは、EN_FBは、EN_FB=det1 XOR det3によって決定することもできる。フィードバックイネーブル信号は、EN_FB=det1 XOR (det2 AND det3)に基づいて決定することもできる。これにより、ゼロクロス(det2)と力閾値(det3)の両方を考慮することで、解放検出の信頼性を向上させることができる。
【0088】
ユーザー入力検出部214は、例えば、検出に使用される信号を生成するための微分回路または積分回路、および、検出を実行するための比較回路などのアナログ回路によって実装されてもよいことに留意されたい。代替的に、または、追加的に、関連するプログラムコードを有するデジタル論理回路または処理回路を使用して、ユーザー入力検出部214の少なくとも一部の機能を実装することができる。
【0089】
図11は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、ゼロレベル較正およびユーザー入力検出を可能にするための閾値を有する検出回路のブロック図の一例を示す。検出回路210は、ローパスフィルター212およびユーザー入力検出部214を備えることができる。検出回路は、ゼロレベル較正ブロック216をさらに備えてもよい。ゼロレベル較正ブロック216は、例えば、第1のコイル112のアイドル電圧に基づいて、トリガー信号のゼロレベルを較正するように構成されてよい。ゼロレベル較正は、例えば、トリガー信号から第1のコイル112のアイドル電圧を減算することを含んでよい。ゼロレベルの較正は、例えば、ユーザー入力検出部214が力の閾値検出(Th1)のために統合されたトリガー信号を使用する場合に有用である。例えば、積分回路1032にトリガー信号(u)を提供する前にゼロレベルを較正することにより、積分された力曲線が最大力に対応する点で最大になることが保証され、それにより、実質的に最大力の点を閾値(Th1)に基づいて検出することができる。
【0090】
さらに、(任意にゼロレベル較正された)トリガー信号が閾値(Th2)を超えるか、または、閾値(Th2)に達したことを検出することに応答して、ユーザー入力検出部214がアクティブ化されるように、ユーザー入力検出は、ブロック218によって、閾値を設定することができる。したがって、検出回路210は、ユーザー入力の検出後(分岐「No」)もトリガー信号のレベルを監視し続け、トリガー信号が再び閾値(Th2)に達するか、または、閾値(Th2)を超える場合にユーザー入力検出部214をアクティブ化することができる。これにより、ユーザー入力の検出をアクティブ化する原因となるゼロレベル近傍でのわずかな変動を回避することができる。また、検出すべきユーザー入力がある可能性が高い場合にのみユーザー入力検出部241をアクティブ化することができるため、消費電力を低減することも可能となる。また、ユーザー入力検出部214がアクティブ化されない場合は、低消費電力状態とすることができる。例えば、アナログ回路の場合、システムはトリガー信号に対応する電流がユーザー検出回路に流れるのを防止することができる。デジタル処理の場合、ユーザー入力検出部214によって実行される動作を一時的に無効化し、それによって消費電力を低減することができる。ブロック218の閾値Th2は、力閾値検出器1030の閾値Th1(ブロック1034参照)に比べて低くてもよく、全体的に絶対値が低くてもよい。
【0091】
例えば、図10を参照して説明したように、ユーザー入力検出部214によるユーザー入力の検出に応答して、検出回路210はブロック218においてトリガー信号のレベルの監視に再び戻ることができる。動作218に戻るとき、ユーザー入力検出の通知(複数可)は、論理FALSEを示すレベルに設定することができる。これにより、ユーザー入力検出部214による以前の検出とは無関係に、新たな検出動作を開始することができる。
【0092】
図12は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、複数の表面音響装置を備える装置の一例を示す。表面音響装置1200は、表面102と、例えば、表面102のコーナーにある複数の表面音響装置100(100-1、100-2、100-3、100-4)と、を備えてよい。表面音響装置100-1、100-2、100-3、100-4は、検出回路210に接続されてもよい。例えば、検出回路210は、異なる表面音響装置100-1、100-2、100-3、100-4に対応する複数の第1のコイル112に接続されてもよい。各表面音響装置100-1、100-2、100-3、100-4は、上述したように、表面102の動きに応答してトリガー信号を生成することができ、検出回路210は、それぞれの第1のコイル112からトリガー信号を受信することができる。したがって、感知されるタッチは、コーナー部の構成要素の感知信号の合計を含んでよい。検出回路210は、これらのトリガー信号に基づいて、表面102上におけるユーザー入力を検出することができる。例えば、検出回路210は、トリガー信号の少なくとも1つに基づいてユーザー入力を検出することに応じて、フィードバック回路220をトリガーしてフィードバック信号をアクティブ化することができる。例えば、トリガー信号の少なくとも1つがユーザー入力を検出するという条件を満たす場合、検出回路はフィードバック回路220にフィードバックイネーブル信号(EN_FB)を提供することができる。あるいは、トリガー信号の各々が条件を満たす場合など、ユーザー入力の条件を満たすトリガー信号の組み合わせを検出することに応答して、ユーザー入力を検出することもできる。したがって、フィードバック回路220は、検出回路によるユーザー入力の検出に応答して、表面音響装置100-1、100-2、100-3、100-4の第2のコイル122のフィードバック信号をアクティブ化するように構成することができる。同じフィードバック信号を異なる表面音響装置100-1、100-2、100-3、100-4に供給することもできる。したがって、複数の同一のフィードバック信号が、異なる表面音響装置100-1、100-2、100-3、100-4に提供されてもよい。あるいは、異なる表面音響装置100-1、100-2、100-3、100-4に提供される複数のフィードバック信号は異なっていてもよい。
【0093】
表面102の異なる位置で表面102を押下すると、表面音響装置100-1、100-2、100-3、100-4において異なるトリガー信号が発生する可能性があることにさらに留意されたい。例えば、位置1202で表面102を押下すると、表面音響装置100-1の第1のコイル112において、表面音響装置100-4の第1のコイル112におけるよりも強いトリガー信号が発生する可能性がある。したがって、トリガー信号の特性に基づいて、表面におけるユーザー入力の位置を推定することができる。例えば、検出回路210は、異なる表面音響装置100-1、100-2、100-3、100-4の第1のコイル112に誘導される電圧または電流レベルに基づいて、ユーザー入力の位置を検出するように構成することができる。例えば、表面音響装置1200によって制御されるように構成されたシステムの異なる態様を調整するために、表面における異なる位置を異なるユーザー入力にマッピングすることができる。
【0094】
コイル122に提供される複数のフィードバック信号は、ユーザー入力の位置に基づいて決定することができる。例えば、ユーザー入力の位置に比較的近い表面音響装置(複数可)(例えば100-1)には、より強いフィードバック信号が提供される可能性がある。したがって、特定の表面音響装置についてのフィードバック信号の強さは、ユーザー入力の位置からのその表面音響装置の距離に基づいて決定することができる。これにより、ユーザー入力から遠い位置にある表面音響装置(複数可)(100-4など)によるフィードバックの提供を回避または減衰させることができるため、消費電力を削減することができる。
【0095】
さらに、複数のフィードバック信号が同一であったとしても、フィードバック信号は、ユーザー入力の位置に基づいて決定することができる。これにより、ユーザー入力に特化したフィードバックを提供することができる。例えば、位置1202で表面102を押下することによって、ユーザーは、表面音響装置100-1、100-2、100-3、100-4のうちの1つまたは複数によって、第1の音響または触覚フィードバックを提供され得る。しかしながら、ユーザーが別の位置、例えば、位置1204で表面102を押下すると、異なる音響または触覚フィードバックが提供され得る。例えば、表面音響装置1200が、表面音響装置1200による音響再生の音量を制御するように構成されている場合、ユーザーは、左側(表面音響装置100-1または100-3に比較的近い側)の表面を押下することによって音量を増加させ、右側(表面音響装置100-2または100-4に比較的近い側)の表面を押下することによって音量を減少させることが可能になり得る。そして、ユーザーが、(例えば、位置1202で表面を押下することによって)音量を上げることを望むか、(例えば、位置1204で表面を押下することによって)音量を下げることを望むかに基づいて、異なる音響および/または触覚フィードバックを提供することができる。
【0096】
これは、例えば、表面102におけるユーザー入力の位置と少なくとも1つのフィードバック信号との間のマッピングに基づいて実施され得る。このようなマッピングは、例えば、触覚信号バンク224または音響信号バンクとともに、表面音響装置1200に記憶することができる。表面102は、例えば、複数の領域に分割することができ、各領域は、少なくとも1つのフィードバック信号にマッピングされる。表面102の領域は、表面102における物理的な領域ではなく、トリガー信号の対応する閾値レベルによって表面音響装置1200のメモリ上で表現されてもよいことに留意されたい。
【0097】
領域とフィードバック信号との間のマッピングは、設定可能であってもよい。例えば、表面102がタッチスクリーンを備える場合、ユーザーは、ユーザー入力によって制御可能な異なる領域および/または異なるアプリケーションに関連付けられたフィードバック信号を構成できるようにすることができる。例えば、表面102の同じ位置におけるユーザー入力は、表面音響装置1200によって現在制御可能なアプリケーションに応じて異なるフィードバックを提供するように構成することができる。あるいは、マッピングは、例えば、無線通信インターフェースを介して、別の装置によって表面音響装置1200にマッピングを提供することによって構成することができる。通常、表面音響装置1200は、表面102におけるユーザー入力の位置(複数可)とフィードバック信号(複数可)との間のマッピングの通知を受信することができる。
【0098】
図12に4つの表面音響装置100-1、100-2、100-3、100-4が図示されているが、表面音響装置1200は、通常、任意の数の表面音響装置100を備えてもよいことに留意されたい。最も単純なケースである表面音響装置が1つの場合、パネル(表面102)はボタンであってよい。複数の表面音響装置100を使用することにより、表面音響装置100間の位置における中間的なユーザー入力を検出することが可能になる。ユーザーは、タッチパネル(表面102)からユースケース(例えば、アプリケーション)を選択し、それによって音響および/または触覚フィードバックの設定を行うこともできる。これにより、特定のユースケースに適した音響および/または触覚フィードバックを生成することが可能になる。これにより、音響および/または触覚フィードバックのパーソナライズも可能になる。
【0099】
図13は、1つまたは複数の例示的な実施形態を実施するように構成された装置の一例を示す。装置1300は、少なくとも1つのプロセッサ1302を備えてもよい。少なくとも1つのプロセッサ1302は、例えば、コプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、付随するDSPを有するかまたは有しない処理回路、または、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロコントローラユニット(MCU)、ハードウェア(HW)アクセラレータ、特殊用途コンピューターチップなどの集積回路を含む様々な処理装置またはプロセッサ回路のうちの1つまたは複数を備えてよい。
【0100】
装置1300は、少なくとも1つのメモリ1304をさらに備えてもよい。少なくとも1つのメモリ1304は、例えば、オペレーティングシステムソフトウェアおよびアプリケーションソフトウェアなどのコンピュータープログラムコードなどを記憶するように構成することができる。少なくとも1つのメモリ1304は、1つまたは複数の揮発性メモリ装置、1つまたは複数の不揮発性メモリ装置、および/またはそれらの組み合わせを含んでよい。例えば、少なくとも1つのメモリ1304は、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ、フロッピーディスク、磁気テープなど)、光磁気記憶装置、または、半導体メモリ(マスクROM、PROM(プログラマブルROM)、EPROM(消去可能PROM)、フラッシュROM、RAM(ランダムアクセスメモリ)など)として具現化することができる。
【0101】
装置1300は、例えば、フィードバック信号のライブラリもしくはバンク、または、異なるユーザー入力(例えば、表面音響装置の表面における位置)と異なるフィードバック信号との間のマッピングを含む構成情報などの情報を、装置が送信および/または受信できるように構成された通信インターフェース(図示せず)をさらに備えることができる。あるいは、このような情報は、装置1300において予め設定されていてもよい。通信インターフェースは、例えば、近距離無線ネットワーク接続(例えば、ブルートゥース(登録商標)またはWi-Fi(登録商標))、または、例えば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))仕様に従ったセルラー通信インターフェースを備えてよい。装置1300は、ユーザーインタフェース(図示せず)をさらに備えてよい。ユーザーインターフェースは、例えば、表面102を備えてよい。
【0102】
装置1300が何らかの機能を実装するように構成されている場合、例えば、少なくとも1つのプロセッサ1302および/または少なくとも1つのメモリ1304などの装置1300のいくつかの構成要素および/またはコンポーネントが、この機能を実装するように構成することができる。さらに、少なくとも1つのプロセッサ1302が何らかの機能を実装するように構成されている場合、この機能は、例えば、少なくとも1つのメモリ1304内に含まれるプログラムコード1306を使用して実装することができる。
【0103】
本明細書で説明する機能は、少なくとも部分的に、ソフトウェアコンポーネントなどの1つまたは複数のコンピュータープログラム製品コンポーネントによって実行することができる。実施形態によれば、本装置は、例えば、マイクロコントローラなどのプロセッサまたはプロセッサ回路を備え、実行されたときにプログラムコードによって、説明した動作および機能の実施形態を実行するように構成される。代替的に、または、それに加えて、本明細書で説明する機能は、1つまたは複数のハードウェア論理コンポーネントによって少なくとも部分的に実行することができる。例えば、限定しないが、使用可能なハードウェア論理コンポーネントの例示的なタイプには、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップシステム(SOC)、複合プログラマブルロジック装置(CPLD)、グラフィック処理ユニット(GPU)が含まれる。
【0104】
装置1300は、本明細書に記載の少なくとも1つの例示的な実施形態を実行するための手段を備える。一例では、手段は、少なくとも1つのプロセッサ1302と、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、装置1300に例示的な実施形態を実行させるように構成されたプログラムコード1306を含む少なくとも1つのメモリ1304と、を備える。代替的に、または、追加的に、手段は、例えば、第1および第2のコイル112、122など、図の構造要素のうちの1つまたは複数を備えることができる。装置1300は単一の装置として図示されているが、必要に応じて、装置1300の機能は、例えば、分散型コンピューティングによって例示的な実施形態を実施するために、複数の装置に分散することができることが理解さよう。
【0105】
図14は、1つまたは複数の例示的な実施形態による、音響または触覚フィードバックをユーザーに提供する方法の一例を示す。
【0106】
1401において、本方法は、ユーザーによる表面の変位によって第1のコイルに誘導される電圧または電流を含むトリガー信号に基づいて、表面におけるユーザー入力を検出することを含んでよい。
【0107】
1402において、本方法は、ユーザー入力の検出に応答してフィードバック信号をアクティブ化することを含んでよい。
【0108】
1403において、本方法は、第2のコイルによって磁場を発生させ、フィードバック信号のアクティブ化に応答して表面の動きを引き起こすか、変化させることを含んでよい。
【0109】
本方法の更なる特徴は、例えば、添付の特許請求の範囲および明細書全体に記載されているように、装置100、200、300、400、500、1200、または、1300の機能およびパラメータから直接的にもたらされるものであるため、ここでは繰り返さない。様々な例示的な実施形態に関連して説明したように、方法の異なる変形例も適用可能である。
【0110】
本装置は、本明細書に記載の方法の任意の態様を実行する、または、実行させるように構成することができる。さらに、コンピュータープログラムは、実行されたときに、本明細書に記載の方法の任意の態様を装置に実行させるための命令を含むことができる。さらに、本装置は、本明細書に記載の方法の任意の態様を実行するための手段を含むことができる。例示的な実施形態によれば、手段は、少なくとも1つのプロセッサと、プログラムコードを含む少なくとも1つのメモリと、を備え、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、方法の任意の態様を実行させるように構成されたプログラムコードと、を備える。
【0111】
本明細書で与えられる範囲または装置に関する値は、目的の効果を損なうことなく、拡張ないし変更することができる。また、明示的に不可とされていない限り、任意の実施形態を他の実施形態と組み合わせることができる。
【0112】
本主題は、構造的特徴および/または動作に特有の文言で説明したが、添付の特許請求の範囲に定義される主題は、必ずしも上述した特定の特徴または動作に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、上述した特定の特徴および動作は、特許請求の範囲を実施する例として開示されており、他の均等な特徴および動作は、特許請求の範囲の範囲に含まれることが意図されている。
【0113】
上述した利点および利益は、1つの実施形態に関するものであってもよいし、複数の実施形態に関するものであってもよいことが理解されよう。実施形態は、記載された問題のいずれかまたは全てを解決するもの、または、記載された利点および利点のいずれかまたは全てを有するものに限定されない。さらに、「1つの」項目への言及は、それらの項目の1つまたは複数を指す場合があることが理解されよう。
【0114】
本明細書に記載の方法のステップまたは動作は、任意の適切な順序で、または、適切な場合には同時に実施することができる。さらに、個々のブロックは、本明細書に記載の主題の範囲から逸脱することなく、いずれかの方法から削除してもよい。上述した実施形態のいずれかの態様は、求められる効果を失うことなく、上述した他の実施形態のいずれかの態様と組み合わせて、さらなる実施形態を形成することができる。
【0115】
本明細書において、「含む(comprising)」という用語は、特定された方法、ブロック、または、要素を含むことを意味するために使用されるが、そのようなブロックまたは要素は排他的なリストを構成するものではなく、方法または装置は追加のブロックまたは要素を含むことができる。
【0116】
本出願で使用される場合、「回路」という用語は、(1)ハードウェアのみの回路実装(例えば、アナログ回路および/またはデジタル回路のみの実装など)、および、(2)ハードウェア回路とソフトウェアの組合せ、例えば、(i)アナログおよび/またはデジタルハードウェア回路とソフトウェア/ファームウェアとの組み合わせ、および、(ii)ハードウェアプロセッサ(複数可)とソフトウェア(例えば、デジタルシグナルプロセッサ(複数可))、ソフトウェア、およびメモリ(複数可)との任意の部分であって、装置が様々な例示的実施形態を実行するように協働する部分、(3)動作のためにソフトウェア(例えば、ファームウェア)を必要とするが、動作に必要でないときにはソフトウェアが存在しない可能性がある、マイクロプロセッサ(単数または複数)またはマイクロプロセッサ(単数または複数)の一部などのハードウェア回路(単数または複数)およびプロセッサ(単数または複数)のうちの1つまたは複数を指す場合がある。
【0117】
上記の説明は例示のためにのみ与えられ、当業者によって様々な変更がなされ得ることが理解されるであろう。上記の明細書、実施例およびデータは、例示的な実施形態の構造および使用の完全な説明を提供する。上記では、様々な実施形態をある程度の特殊性をもって、または、1つまたは複数の個別の実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、本明細書の範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に多数の変更を加えることができる。
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【国際調査報告】