(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】マイクロバイオーム分析を行うためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6834 20180101AFI20240703BHJP
C12Q 1/6888 20180101ALI20240703BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240703BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
C12Q1/6834 Z ZNA
C12Q1/6888 Z
C12M1/00 A
C12N15/11 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577608
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2021065995
(87)【国際公開番号】W WO2022262941
(87)【国際公開日】2022-12-22
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523470407
【氏名又は名称】エムバイオミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ヴェールシュタイン ヨハネス ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】グラブマイヤー ハインリヒ エルンスト パウル
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB01
4B029CC03
4B029FA04
4B029FA15
4B063QA18
4B063QQ05
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ54
4B063QR35
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、マイクロバイオーム分析を行うための方法であって、a)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、第1の濃度の第1の標的種及び第1の標的種とは異なる第2の濃度の第2の標的種を含み、第1の標的種が、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの第1の要素を示し、第2の標的種が、マイクロバイオームの第2の要素を示し、第2の濃度が、第1の濃度よりも高い、ステップ;b)一次試料に由来する2個以上の二次試料を準備するステップであり、2個以上の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料、及び任意に1個又は複数の中間希釈二次試料を含み、少なくとも2個の二次試料が、異なる希釈を有し、最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、ステップ;c)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された第1の蛍光標識を、最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された第2の蛍光標識を、最低希釈二次試料ではなく最高希釈二次試料に提供するステップ;d)d1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、対応する二次試料における第1及び第2の蛍光標識をカウントするステップ;d2)ステップd1)の結果及び対応する二次試料の希釈から第1の標的種と第2の標的種の比を計算するステップに従って、第1及び第2の標的種を分析するステップを含む、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロバイオーム分析を行うための方法であって、
a)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、第1の濃度の第1の標的種及び第1の標的種とは異なる第2の濃度の第2の標的種を含み、
第1の標的種が、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの第1の要素を示し、第2の標的種が、マイクロバイオームの第2の要素を示し、
第2の濃度が、第1の濃度よりも高い、
ステップ;
b)一次試料に由来する2個以上の二次試料を準備するステップであり、2個以上の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料、及び任意に1個又は複数の中間希釈二次試料を含み、
少なくとも2個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
c)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された第1の蛍光標識を、最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された第2の蛍光標識を、最低希釈二次試料ではなく最高希釈二次試料に提供するステップ;
d)d1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、対応する二次試料における第1及び第2の蛍光標識をカウントするステップ;
d2)ステップd1)の結果及び対応する二次試料の希釈から第1の標的種と第2の標的種の比を計算するステップ
に従って、第1及び第2の標的種を分析するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
ステップc)が、
c1)二次試料を対応するカバースリップ領域に適用するステップであって、カバースリップ領域が、対応する二次試料に従って、以下の方法:
c1.1)それぞれのカバースリップ領域が、第1及び第2の標的種の非特異的結合に対して、及び任意に蛍光標識の非特異的結合に対して不活性化される;
c1.2)それぞれのカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した固定化分子でカバーされ、固定化分子が、第1及び第2の標的種に直接的又は間接的に結合するように構成される
で改変される、ステップ;
c2)任意に、未結合の個々の第1及び第2の標的種をカバースリップ領域から除去するステップ;
c3)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識を最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識を、最低希釈二次試料ではなく最高希釈二次試料に提供するステップ;
c4)任意に、未結合の個々の第1及び第2の蛍光標識をカバースリップ領域から除去するステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
マイクロバイオーム分析を行うための方法であって、
a)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、第1の濃度の第1の標的種及び第1の標的種とは異なる第2の濃度の第2の標的種を含み、
第1の標的種が、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの第1の要素を示し、第2の標的種が、マイクロバイオームの第2の要素を示し、
第2の濃度が、第1の濃度よりも高い、
ステップ;
b)一次試料に由来する2個以上の二次試料を準備するステップであり、2個以上の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料、及び任意に1個又は複数の中間希釈二次試料を含み、
少なくとも2個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
c)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合する第1の蛍光標識を、最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合する第2の蛍光標識を、最高希釈二次試料に提供するステップであって、
最低希釈二次試料において、第1の標的種が、分析のために固定化され、第2の標的種が、分析のために固定化されず、
最高希釈二次試料において、第2の標的が、分析のために固定化され、任意に、第1の標的が、分析のために固定化されない、
ステップ;
d)d1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、それぞれの二次試料における第1及び第2の蛍光標識をカウントするステップ;
d2)ステップd1)の結果及び対応する二次試料の希釈から第1の標的種と第2の標的種の比を計算するステップ
に従って、第1及び第2の標的種を分析するステップ
を含む、方法。
【請求項4】
ステップc)が、
c1)二次試料を対応するカバースリップ領域に適用するステップであって、カバースリップ領域が、対応する二次試料に従って、以下の方法:
c1.1)それぞれのカバースリップ領域が、第1及び第2の標的種の非特異的結合に対して、及び任意に蛍光標識の非特異的結合に対して不活性化される;
c1.2)最低希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第1の固定化分子でカバーされ、第1の固定化分子が、第1の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成される;
c1.3)最高希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第2の固定化分子でカバーされ、第2の固定化分子が、第2の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成される;
で改変される、ステップ;
c2)任意に、未結合の個々の第1及び第2の標的種をカバースリップ領域から除去するステップ;
c3)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識を最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識を、最高希釈二次試料に提供するステップ、及び任意に、第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識を、最低希釈二次試料に提供しないステップ;
c4)任意に、未結合の個々の第1及び第2の蛍光標識をカバースリップ領域から除去するステップ
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第1の希釈係数閾値を事前に決定するステップであって、ステップc1)が、カバースリップ領域を改変するための以下の条件:
c1.4)中間希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第1及び/又は第2の固定化分子でカバーされ、第1の希釈係数閾値よりも大きい希釈係数を有する二次試料に対応するカバースリップ領域が、第1の固定化分子でカバーされない
を含む、ステップを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第2の希釈係数閾値を事前に決定するステップであって、ステップc1)が、カバースリップ領域を改変するための以下の条件:
c1.5)中間希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第1及び/又は第2の固定化分子でカバーされ、第2の希釈係数閾値に等しい又はそれよりも小さい希釈係数を有する二次試料に対応するカバースリップ領域が、第2の固定化分子でカバーされない、
任意に、第2の希釈係数閾値が、第1の希釈係数閾値に等しい
を含む、ステップを含む、請求項4~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第3の希釈係数閾値を事前に決定するステップであって、第3の希釈係数閾値よりも大きい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識とともに提供され、第3の希釈係数閾値に等しい又はそれよりも小さい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識とともに提供されず;任意に、第3の希釈係数閾値が、第1及び/又は第2の希釈係数閾値に等しい、ステップを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
第4の希釈係数閾値を事前に決定するステップであって、第4の希釈係数閾値に等しい又はそれよりも小さい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識とともに提供され、任意に、第3の希釈係数閾値よりも大きい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識とともに提供されない、ステップを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
第4の希釈係数閾値が、第1、第2及び/又は第3の希釈係数閾値に等しい、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
中間希釈二次試料の数が、予想される第1及び予想される第2の濃度に、並びに/又は予想される第1及び第2の濃度の比に適応される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
二次試料の希釈が、予想される第1及び予想される第2の濃度に、並びに/又は予想される第1及び予想される第2の濃度の比に適応される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
第1の標的種が、分析のために調製され、1個又は複数の中間希釈二次試料において分析される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
第2の標的種が、分析のために調製され、1個又は複数の中間希釈二次試料において分析される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
カバースリップ領域が、流体操作デバイス、好ましくはマイクロ流体デバイスに含まれ、それぞれのカバースリップ領域が、対応する流体反応区画、好ましくはマイクロ流体反応区画を少なくとも部分的に規定し、それぞれの反応区画が、入口を含み;対応するカバースリップ領域への二次試料の適用及び/又はDNAナノ構造体の適用が、個々の入口を介して行われる、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
第1の蛍光標識及び/又は第2の蛍光標識が、少なくとも1種の蛍光色素を有する少なくとも1つのDNAナノ構造体を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
第1の標的種が、第1の核酸、好ましくは第1の16S-rRNAを含み、第1の核酸が、第1の核酸に特異的な配列部分S1を含み、第1の蛍光標識が、配列部分S1に少なくとも部分的に相補的な配列部分S3を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
第2の標的種が、第2の核酸、好ましくは第2の16S-rRNAを含み、第2の核酸が、第2の核酸に特異的な配列部分S2を含み、第2の蛍光標識が、配列部分S2に少なくとも部分的に相補的な配列部分S4を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
固定化分子が、オリゴヌクレオチドを含み、対応する標的種への特異的結合が、オリゴヌクレオチド及び対応する標的種において少なくとも部分的に相補的な配列部分のハイブリダイゼーションを介して起こる、請求項16~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
固定化分子が、第1及び第2の標的種の両方に結合するように構成された1種のオリゴヌクレオチドを含む、請求項1又は2に直接的又は間接的に従属する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
固定化分子が、第2の標的種ではなく第1の標的種に結合するように構成された第1のオリゴヌクレオチド、及び第1の標的種ではなく第2の標的種に結合するように構成された第2のオリゴヌクレオチドを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
第2の標的種に結合した場合の第2の蛍光標識が、第1の標的種に結合した場合の第1の標識から、蛍光顕微鏡分析において識別可能である、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
マイクロバイオーム分析を行うための方法であって、
A)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、個々の濃度c
iのm個の標的種を含み、m個の標的種のそれぞれが、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの要素を示す、ステップ;
B)一次試料に由来するu個の二次試料を準備するステップであり、u個の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料、及び任意に1個又は複数の中間希釈二次試料を含み、
u個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
C)それぞれの二次試料について、
C1)1個又は複数の標的種を個々の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された対応する蛍光標識を提供することによって、分析のために調製されたm個の標的種中の1個又は複数の標的種であって、異なる標的種に対応する蛍光標識が、蛍光顕微鏡分析において識別可能である、標的種、及び
C2)1個又は複数の標的種を個々の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、ステップC1)において選択された1個又は複数の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された対応する蛍光標識
を選択するステップ;
D)個々の標的種を選択された蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、選択された蛍光標識を、ステップC)において選択された対応する二次試料に提供するステップ;
E)E1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、対応する二次試料における蛍光標識をカウントするステップ;
E2)ステップE1)の結果及び対応する二次試料の希釈からm個の標的種の比を計算するステップ
に従って、m個の標的種を分析するステップ
を含む、方法。
【請求項23】
マイクロバイオーム分析を行うための方法であって、
A)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、個々の濃度c
iのm個の標的種を含み、m個の標的種のそれぞれが、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの要素を示す、ステップ;
B)一次試料に由来するu個の二次試料を準備するステップであり、u個の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料、及び任意に1個又は複数の中間希釈二次試料を含み、
u個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
C)それぞれの二次試料について、
C1)固定化によって分析のために調製されたm個の標的種中の1個又は複数の標的種、及び
C2)1個又は複数の標的種を個々の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、ステップC1)において選択された1個又は複数の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された対応する蛍光標識であって、異なる標的種に対応する蛍光標識が、蛍光顕微鏡分析において識別可能である、対応する蛍光標識
を選択するステップ;
D)二次試料を、
D1)標的種を、ステップC1)における選択に従って固定化するステップ、
D2)個々の標的種を選択された蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、選択された蛍光標識を、ステップC)において選択された対応する二次試料に提供するステップ
によって調製するステップ;
E)E1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、対応する二次試料における蛍光標識をカウントするステップ;
E2)ステップE1)の結果及び対応する二次試料の希釈からm個の標的種の比を計算するステップ
に従って、m個の標的種を分析するステップ
を含む、方法。
【請求項24】
ステップC1)における標的種の選択が、最小検出手順及び/又は最大検出手順に従って行われる、
請求項22~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
*蛍光顕微鏡
*少なくとも2個のカバースリップ領域を有する少なくとも1個の試料キャリア
*分析される1個又は複数の試料
*プロセッサ
を含むシステムであって、
システムが、好ましくは自動で、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法を行うように構成されている、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロバイオーム分析の分野、特に、マイクロバイオーム分析を行うためのシステム及び方法に関する。本明細書において、マイクロバイオームは、共通環境に居住している微生物及びウイルスのコミュニティを意味する。マイクロバイオームは、典型的には、多数の要素を含み、これは、非常に異なる集団サイズで存在し得る。要素は、細菌、古細菌、真菌、ウイルス、及び真核生物に属しているなどの異なる分類レベルであるが、種又は株レベルにも下がって、記載することができる。これらの要素は、操作上の分類単位(OTU)と呼ばれる場合が多い。マイクロバイオームの典型的な例は、ヒトの腸に居住している微生物及びウイルスのコミュニティである。
【背景技術】
【0002】
マイクロバイオーム分析の分野の成熟により、マイクロバイオームの日常的なモニタリングに焦点が移っている。それを支える技術は、手頃な価格で、迅速かつ簡素に行われ、定量的でなければならない。マイクロバイオーム分析によって、我々は、それらの集団サイズの観点から、マイクロバイオームの要素の全部又は一部の組成の分析を理解する。分析は、相対的及び/又は絶対的な集団サイズを含み得る。分析された要素及びそれらの分析/説明の分類レベルは、目的の特定の疑問に依存する。例えば、マイクロバイオーム分析は、界の分類レベルにおいて行われてもよい。例えば、マイクロバイオーム分析は、より下位の分類レベル、例えば、個々の細菌種を識別することなく、他の要素、例えば、真菌などに対して絶対的又は相対的に、細菌の数を分析してもよい。マイクロバイオーム分析はまた、個々の細菌種、例えば、大腸菌(E.coli)及びC.デフィシル(C.difficile)の少なくとも一部を分析するのに狙いを定めていてもよい。
益々多くの研究が、特に、健康に対する胃腸管のマイクロバイオームの影響(自己免疫、がん抵抗性、腸-脳軸)を示している(Zheng et al., Cell Research 2020, https://doi.org/10.1038/s41422-020-0332-7;Woelk et al, Cancer Imm 2021, https://doi.org/10.1126/science.abg2904;及びMargolis et al, Gastroenterology 2021, https://doi.org/10.1053/j.gastro.2020.10.066を参照されたい)。胃腸管のマイクロバイオームは、個体間で可変であることが示されているが、これは、経時的に個体内でより安定になる(Mehta et al., Nat Microbiol. 2018, https://doi.org/10.1038/s41564-017-0096-0を参照されたい)。経時的なマイクロバイオームの組成の微妙な変化は、宿主生物の状態への洞察を可能にし得る。マイクロバイオームの組成はまた、医学的処置に対する有害な反応の可能性の代理であり得る。
将来は、診断適用は、処置の前、間及び後に繰り返し適用され、マイクロバイオームの組成の変化に感受性である、技術を必要とするであろう。
【0003】
今日、マイクロバイオームは、16S及び/若しくは23Sリボソームサブユニット(古細菌及び細菌について)における可変領域の分析、並びに/又は内部転写スペーサー(ITS、真菌)並びに/又は18S及び/若しくは28Sリボソームサブユニット(真核生物)の対応する分析を介して分析されている。これらの配列は、分類レベル、多くの場合に生物学的種のレベルに下がって、特異的である。これらの配列は、異なる技術、典型的には、qPCR又はシークエンシングを使用して分析することができる。
代替は、ショットガンメタゲノミクスシークエンシングと呼ばれ、マイクロバイオームの総抽出DNAのシークエンシングに基づいており、マイクロバイオームの可能性のある構成要素、すなわち、要素の公知のゲノムにそれをバイオインフォマティクス的に分解する。16S分析に対するその利点は、株レベルの特定、高感受性、及びさらなる分析のために遺伝情報を使用するための可能性である。しかしながら、マイクロバイオーム組成の非常に複雑な再構成を理由として、これは、定量化のために理想的ではない。
別の方法は、定量的マイクロバイオームプロファイリングである。これは、シークエンシングを、シークエンシング結果に関して他の方法、例えば、フローサイトメトリーと組み合わせて、細胞をカウントし、それによって、定量化を増加させる。
【0004】
これらの技術は、逆転写及び酵素増幅のような内在するノイズ源を有し、かなり高いばらつきをもたらす:
「16S qPCRの推定は、11~75%の範囲の変動係数(CV)で高い技術的ノイズを有することを報告している」(Li et al. Microbiome (2019) 7:118 https://doi.org/10.1186/s40168-019-0729-z)。
16Sアンプリコンシークエンシングは、おおよそ10~175%の範囲のCVを有する(Li et al. Nat Commun (2020) https://doi.org/10.1038/s41467-020-16224-6)。
定量的マイクロバイオームプロファイリングの例であるフローサイトメトリーQMPは、2~50%のCVを有する(Galazzo et al., Front. Cell. Infect. Microbio. (2020) https://doi.org/10.3389/fcimb.2020.00403を参照されたい、表S3に基づく)。
他の欠点としては、同時に分析される要素の比較的少ない数、及び分析する試料のスループットが挙げられる。
【0005】
JB Woehrsteinらにおける標的としての合成DNAオリゴマーを用いる最初の測定は、4%を下回る平均誤差を示した。16S rRNAに対する最初の試験は、同様の大きな誤差を示唆する。この技術は、「蛍光ナノ粒子のマルチプレックス化」としても公知である。
手短に言えば、蛍光DNAナノ粒子のマルチプレックス化は、単一分子レベルでの標的核酸の検出及び定量化を可能にする。標的核酸は、表面に固定化される。1個又は複数の蛍光DNAナノ粒子は、固定化された標的核酸とハイブリダイズする。異なる種類の標的核酸は、異なるタグで、すなわち、異なる種類の蛍光DNAナノ粒子又は異なる蛍光DNAナノ粒子の組合せで標識され、異なるタグは、蛍光顕微鏡分析において識別可能である。標的核酸は、蛍光DNAナノ粒子を蛍光顕微鏡分析で画像化することによって定量化される。蛍光DNAナノ粒子は、脱マルチプレックス化によって特定され、カウントされる。
蛍光ナノ粒子のマルチプレックス化は、同時に分析され得る比較的多数の標的と組み合わせたその高い精度、短い分析時間、及び直接的に分析され得る得られるデータの種類に起因して、他の検出技法の中で目立っている。
【0006】
しかしながら、マイクロバイオーム試料の分析による問題は、マイクロバイオーム成分、すなわち、要素が、広範囲の濃度で存在することである。例えば、バクテロイデス・ブルガータス(Bacteroides vulgatus)、バクテロイデス・ユニフォルミス(Bacteroides uniformis)、及びアリスティペス・ピュトレディニス(Alistipes putredinis)は、多くの場合、ヒト糞便試料中に1~10%の集団サイズで存在するが、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)及びバクテロイデス・コプロフィルス(Bacteroides coprophilus)は、むしろ0.01%~0.1%の桁で存在し、アビトロフィア・デフェクティバ(Abiotrophia defective)、アシダミノコッカス・フェルメンタンス(Acidaminococcus fermentans)は、0.00001%~0.0001%の範囲で存在する(Kraal et al, Plos One 2014 https://doi.org/10.1371/journal.pone.0097279(補足
図S2))。これまでに、蛍光ナノ粒子のマルチプレックス化によるマイクロバイオーム試料の分析は、ある特定の範囲の濃度に限定されている。典型的な範囲は、3~4桁であり、すなわち、最高検出可能濃度と最低検出可能濃度の比は、試料のノイズ源及び画像化領域に応じて、1000:1~10,000:1である。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の目的は、マイクロバイオーム試料中の異なる標的種の定量化、及び特に、広範囲の標的種の濃度にわたる異なる標的種の定量化を可能にする、マイクロバイオーム分析のための方法及びシステムを提供することであり、異なる標的種は、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの要素を示す。有利には、方法及びシステムは、短い分析時間を有し(公知技法と比較して)、直接的に分析され得るデータを提供し、高い精度を有する(公知技法と比較して)。
本発明は、「マルチプレックス化インビトロ核酸検出アッセイ」法のダイナミックレンジを増加させ、それを、マイクロバイオーム試料の分析に適用する。その詳細な説明が下記に示される「ダイナミックレンジ」は、ある特定の量を仮定し得る最高値と最低値の比を指す。これは、比として、又は比の対数として表すことができる(通常、10進法のデシベル(dB)又は2進法のビット)。カメラ技術において、本発明の分野は、最も関連し、明白な比が好ましく、したがって、本明細書で同様に使用される。
【0008】
マイクロバイオーム試料において、分析される標的要素、例えば、特定の細菌などの予想される濃度は、通常、ある程度公知である。これは、標的要素を示す標的種に移行される。例えば、予想される濃度を有する特定の種類の細菌の場合において、標的種は、比例濃度による個々の16S-rRNAであってもよい。比例定数及びその確実性は、当技術分野において事前に告知であるか、又はデータベース(例えば、the Ribosomal RNA Operon Copy Number Database, rrnDB, http://rrndb.umms.med.umich.edu/又はAmpliCopyRighter, https://github.com/fangly/AmpliCopyRighter)からアクセスされる別の測定において確立することができる。ダイナミックレンジの増加は、いくつかの試料の希釈を含めることによって達成され(非希釈試料も含まれ得る)、それぞれの希釈について、蛍光ナノ粒子のマルチプレックス化によって分析される標的種は、標的種の濃度及び希釈の希釈係数、並びに好ましくは分析のために使用されるシステムのダイナミックレンジに従って選択される。本発明は、より直接的な方法、すなわち、マルチプレックス化インビトロ核酸検出アッセイを使用して、逆転写及び酵素増幅の技術的ノイズ源の導入なく、単一の16S rRNA分子又は他の標的種を検出及びカウントする。蛍光DNAナノ粒子を用いるマルチプレックス化インビトロ核酸検出アッセイは、例えば、JB Woehrstein et al., Science Adv (2017) https://doi.org/10.1126/sciadv.1602128、国際特許出願公開第2016140727号及び欧州特許出願公開第3472351号から公知である。
【0009】
一態様において、本発明は、マイクロバイオーム分析を行うための第1の方法であって、
a)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、第1の濃度の第1の標的種及び第1の標的種とは異なる第2の濃度の第2の標的種を含み、
第1の標的種が、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの第1の要素を示し、第2の標的種が、マイクロバイオームの第2の要素を示し、
第2の濃度が、第1の濃度よりも高い、
ステップ;
b)一次試料に由来する2個以上の二次試料を準備するステップであり、2個以上の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料、及び任意に1個又は複数の中間希釈二次試料を含み、
少なくとも2個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
c)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された第1の蛍光標識を、最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された第2の蛍光標識を、最低希釈二次試料ではなく最高希釈二次試料に提供するステップ;
d)d1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、対応する二次試料における第1及び第2の蛍光標識をカウントするステップ;
d2)ステップd1)の結果及び対応する二次試料の希釈から第1の標的種と第2の標的種の比を計算するステップ
に従って、第1及び第2の標的種を分析するステップ
を含む、方法に関する。
【0010】
任意に、第1の蛍光標識は、第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、最高希釈二次試料に提供されない。
マイクロバイオーム試料は、上記で既に述べたように、糞便試料又はそのあらゆる派生物であってもよい。
上記で既に述べたように、本明細書において、「標的種」という用語は、標的の種類、例えば、標的DNA又は標的RNAの種類などの標的分子の種類、例えば、16S-rRNA(例えば、細菌である大腸菌の16S-rRNA)の種類、18S-rRNA(例えば、酵母であるサッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)の18S-rRNA)の種類を指す。これは、生物学的種とは混同されるべきではない。
一次試料は、上記に記載した方法に好適である条件で標的種を含む試料である。特に、一次試料において、標的種は、マイクロバイオーム試料の標的要素から抽出されてもよい。例えば、一次試料は、マイクロバイオーム試料(例えば、糞便試料、唾液試料、皮膚スワブ、又は植物マイクロバイオーム、海洋マイクロバイオーム試料、下水試料、若しくは培養マイクロバイオームのような非ヒトマイクロバイオーム試料)の対応する標的要素から抽出され、それを示す16S-rRNAを含んでもよい。試料は、選択されたクラスの分子、例えば、核酸、全RNA又はリボソームRNAのみを含有するように精製されていてもよい。
【0011】
最高希釈二次試料は、最高の希釈係数を有する二次試料、すなわち、最も希釈されている二次試料を意味し、その結果、最も低い標的種の濃度を有する。
最低希釈二次試料は、最低の希釈係数を有する二次試料、すなわち、最小限希釈されている二次試料であり、その結果、最も高い標的種の濃度を有する。未希釈の一次試料である最低希釈二次試料の場合において、標的種の濃度は、一次試料中の標的種の濃度と同一である。未希釈の一次試料である最低希釈二次試料は、希釈され、一次試料の濃度に再濃縮されている一次試料の場合も含む。
【0012】
本方法は、第2の濃度と第1の濃度の比が、測定システムのダイナミックレンジに十分に近い又はそれを超える、例えば、使用される測定システムのダイナミックレンジを少なくとも1桁下回る場合に、特に有用である。例えば、測定システムのダイナミックレンジが103:1である場合、本方法は、100:1又はそれよりも大きい(103:1、105:1、107:1、108:1など)第2の濃度と第1の濃度の比について、特に有用である。測定システムのダイナミックレンジが104:1である場合、本方法は、103:1又はそれよりも大きいなどの第2の濃度と第1の濃度の比について、特に有用である。本方法は、試料中の第1及び第2の標的種の濃度の範囲が、測定システムのダイナミックレンジに近い及び/又はそれを超える場合についてさえ、第1及び第2の標的種の定量化を可能にする。試料中の第1及び第2の標的種の濃度が測定システムのダイナミックレンジに近くない及び/又はそれを超えない場合でさえ、本方法は、有利であり得る。この場合において、両標的種は、複数希釈で同時に測定して、より正確な測定値を与えることができる。測定システムのダイナミックレンジが104:1であり、第1の濃度と第2の濃度の比が102:1である場合、試料は、希釈1及び100で測定することができ、結果の一貫性を分析することができる。
【0013】
特異的結合は、2個の分子が、十分に規定された親和性を伴うメカニズムで一緒にロックされる場合に起こる。これは、タンパク質-リガンド(例えば、ビオチン-ストレプトアビジンなど)相互作用、及び抗体-抗原相互作用における核酸の相補的一本鎖のハイブリダイゼーションを介して起こり得る。最後に、これは、NHS-エステル-アミン;マレイミド-チオールなどの化学的結合パートナーの相互作用、及び一般にバイオコンジュゲーション反応も記載し得る。相互作用力は、主に、ファンデルワールス結合、水素結合、及びイオン相互作用、又はバイオコンジュゲーションの場合において共有結合である。これは、固定化相互作用パートナーを提供することによって、溶液から1種類の分子を固定化するために使用することができる。特異的結合は、十分に規定された親和性ではないが同じ種類の力に基づく非特異的結合と対照的である。したがって、パートナー間の結合の反復的な試行は、一貫した結果を与えない。「非特異的結合」という用語は、多くの場合に、分子が、相互作用パートナーとして作用するように設計されていないものにくっつくという事実を記載するために使用される。
【0014】
成分Aの成分Bへの直接的結合は、成分Aが、その間にあらゆる追加成分なしで、成分Bに結合することを意味する。例えば、一本鎖DNA Aは、ハイブリダイゼーションを介して、相補的一本鎖DNA Bに直接結合してもよい。成分Aの成分Bへの間接的結合は、成分Aが、その間に追加成分を伴って、成分Bに結合することを意味する。例えば、一本鎖DNA Aは、一本鎖DNA Cを介して、 一本鎖DNA Bに間接的に結合してもよく、一本鎖DNA Cの第1の部分は、一本鎖DNA Aの一部分に相補的であって、それとハイブリダイズし、一本鎖DNA Cの第2の部分は、一本鎖DNA Bの一部分に相補的であって、それとハイブリダイズする。具体的に述べられない場合でさえ、結合は、直接的及び/又は間接的結合を含むことを常に意味する。
「成分Xを試料に提供しない(結合のための条件下)」は、測定を妨げない非常に低い結合が起こる試料に、成分Xを提供することを含み得る。
「成分Xを試料に提供しない(結合のための条件下)」は、結合が、そのような小さな程度で起こる(そのような小さい親和性で)試料に、成分Xを提供することを含み得、わずかな量の成分Xが、プロトコールの最後の洗浄ステップ後に試料中に残る。最後に、洗浄後の量は、成分Xの初期量とは独立して、得られるデータにおけるノイズフロアのレベルで検出される場合にわずかである。
【0015】
ステップc)は、
c1)二次試料を対応するカバースリップ領域に適用するステップであって、カバースリップ領域が、対応する二次試料に従って、以下の方法:
c1.1)それぞれのカバースリップ領域が、第1及び第2の標的種の非特異的結合に対して、及び任意に蛍光標識の非特異的結合に対して不活性化される;
c1.2)それぞれのカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した固定化分子でカバーされ、固定化分子が、第1及び第2の標的種に直接的又は間接的に結合するように構成される
で改変される、ステップ;
c2)任意に、未結合の個々の第1及び第2の標的種をカバースリップ領域から除去するステップ;
c3)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識を最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識を、最低希釈二次試料ではなく最高希釈二次試料に提供するステップ;
c4)任意に、未結合の個々の第1及び第2の蛍光標識をカバースリップ領域から除去するステップ
を含んでもよい、第2の方法をもたらす。
【0016】
カバースリップ領域は、1個の同じカバースリップ上、又は2個以上のカバースリップ上に位置していてもよい。例えば、それぞれのカバースリップ領域は、別のカバースリップ上に位置していてもよい。別の実施形態において、カバースリップ領域の一部は、1個の同じカバースリップ上に位置していてもよいが、残りのカバースリップ領域は、それら自身のカバースリップ上にそれぞれ位置する。あらゆる組合せが可能である。
ステップc1)は、第1及び第2の標的種をカバースリップ領域に結合するための固定化ステップである。ステップc1)において、二次試料は、対応するカバースリップ領域に適用される。カバースリップ領域は、第1及び第2の標的種のカバースリップ領域への非特異的結合に対して不活性化され(項目c1.1)、特に、第1及び第2の標的種のカバースリップに結合した固定化分子への結合のみ(項目c1.2)が起こり得る。
ステップc1)、c2)及びc3)の順序は、c2)がc1)の後である限り、あらゆる好適な順序であり得る。好ましくは、順序は、最初にc1)、続いてc2)、続いてc3)である。しかしながら、順序は、最初にc1)、続いてc3)、続いてc2)であってもよい。順序は、最初にc3)、続いてc1)、続いてc2)であってもよい。「最初にc3)、続いてc1)、続いてc2)」の場合において、標的種の対応する蛍光標識との複合体は、ステップc2)における固定化の前に形成される。c1)、c2)及びc3)の順序は、それぞれの標的種について個々に選択され得、それぞれの好適な順序の組合せが企図される。上記で述べたように、c2)は、任意のステップである。
【0017】
ステップc4)は、ステップc2)に加えて又はその代替で、及び常にc3)の後に行われ得る。c2)及びc4)の両方がc3)の後に行われる場合、ステップc2)は、ステップc4)と同じ1つのステップであってもよい。ステップc1)、c2)、c3)及びc4)の順序は、c4)がc3)の後であり、c2)がc1)の後である限り、あらゆる好適な順序であり得る。好ましくは、順序は、最初にc1)、続いてc3)、続いてc4)及び/又はc2)である。しかしながら、順序は、最初にc1)、続いてc2)、続いてc3)、続いてc4)であってもよい。順序は、最初にc3)、続いてc1)、続いてc2)及び/又はc4)であってもよい。「最初にc3)、続いてc1)、続いてc2)及び/又はc4」の場合において、標的種の対応する蛍光標識との複合体は、ステップc2)における固定化の前に形成される。c1)、c2)、c3)及びc4)の順序は、それぞれの標的種について個々に選択され得、それぞれの好適な順序の組合せが企図される。上記で述べたように、c2)及びc4)は、任意のステップである。
これまでに記載した方法の一般的な着想は以下である:個々の二次試料において分析される異なる標的種の選択が、蛍光標識を介して達成される。第1及び第2の標的種の両方が、二次試料、及び任意に対応するカバースリップ領域に提供され、蛍光標識が、結合条件下、二次試料に選択的に添加される。
【0018】
しかしながら、そのような選択は、異なる標的種の選択的固定化によって達成されてもよい。したがって、本発明は、マイクロバイオーム分析を行うための第3の方法であって、
a)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、第1の濃度の第1の標的種及び第1の標的種とは異なる第2の濃度の第2の標的種を含み、
第1の標的種が、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの第1の要素を示し、第2の標的種が、マイクロバイオームの第2の要素を示し、
第2の濃度が、第1の濃度よりも高い、
ステップ;
b)一次試料に由来する2個以上の二次試料を準備するステップであり、2個以上の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料、及び任意に1個又は複数の中間希釈二次試料を含み、
少なくとも2個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
c)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合する第1の蛍光標識を、最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合する第2の蛍光標識を、最高希釈二次試料に提供するステップであって、
最低希釈二次試料において、第1の標的種が、分析のために固定化され、第2の標的種が、分析のために固定化されず、
最高希釈二次試料において、第2の標的が、分析のために固定化され、任意に、第1の標的が、分析のために固定化されない、
ステップ;
d)d1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、それぞれの二次試料における第1及び第2の蛍光標識をカウントするステップ;
d2)ステップd1)の結果及び対応する二次試料の希釈から第1の標的種と第2の標的種の比を計算するステップ
に従って、第1及び第2の標的種を分析するステップ
を含む、方法にも関する。
【0019】
第3の方法のステップc)は、
c1)二次試料を対応するカバースリップ領域に適用するステップであって、カバースリップ領域が、対応する二次試料に従って、以下の方法:
c1.1)それぞれのカバースリップ領域が、第1及び第2の標的種の非特異的結合に対して、及び任意に蛍光標識の非特異的結合に対して不活性化される;
c1.2)最低希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第1の固定化分子でカバーされ、第1の固定化分子が、第1の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成される;
c1.3)最高希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第2の固定化分子でカバーされ、第2の固定化分子が、第2の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成される;
で改変される、ステップ;
c2)任意に、未結合の個々の第1及び第2の標的種をカバースリップ領域から除去するステップ;
c3)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識を最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識を、最高希釈二次試料に提供するステップ、及び任意に、第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識を、最低希釈二次試料に提供しないステップ;
c4)任意に、未結合の個々の第1及び第2の蛍光標識をカバースリップ領域から除去するステップ
を含んでもよい、第4の方法をもたらす。
【0020】
第1及び第2の方法に関して上記に示される定義及び説明、特に、ステップc1)、c2)、c3)及びc4)の順序は、変更すべきところは変更して、第3及び第4の方法に適用される。
第4の方法は、第1の希釈係数閾値を事前に決定するステップであって、第4の方法のステップc1)が、カバースリップ領域を改変するための以下の条件:
c1.4)中間希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第1及び/又は第2の固定化分子でカバーされ、第1の希釈係数閾値よりも大きい希釈係数を有する二次試料に対応するカバースリップ領域が、第1の固定化分子でカバーされない
を含む、ステップを含んでもよい、第5の方法をもたらす。
【0021】
第1の希釈係数閾値、及び下記に述べる他の希釈係数閾値はまた、明示的又は黙示的に決定され得る。希釈係数閾値の明示的な決定は、個々の値を計算することであってもよい。希釈係数閾値の黙示的な決定は、希釈係数閾値に再計算され得る、及び/又はカバーするためのもの及びカバーしないためのものの中間二次試料の分割をもたらす、異なる値を計算することであってもよい。
第4又は第5の方法は、第2の希釈係数閾値を事前に決定するステップであって、ステップc1)は、カバースリップ領域を改変するための以下の条件:
c1.5)中間希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第1及び/又は第2の固定化分子でカバーされ、第2の希釈係数閾値に等しい又はそれよりも小さい希釈係数を有する二次試料に対応するカバースリップ領域が、第2の固定化分子でカバーされない、
任意に、第2の希釈係数閾値が、第1の希釈係数閾値に等しい
を含む、ステップを含んでもよい、第6の方法をもたらす。
【0022】
本発明の別の態様によれば、方法は、第3の希釈係数閾値を事前に決定するステップであって、第3の希釈係数閾値よりも大きい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識とともに提供され、第3の希釈係数閾値に等しい又はそれよりも小さい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識とともに提供されず;任意に、第3の希釈係数閾値が、第1及び/又は第2の希釈係数閾値に等しい、ステップを含んでもよい。
本発明の別の態様によれば、方法は、第4の希釈係数閾値を事前に決定するステップであって、第4の希釈係数閾値に等しい又はそれよりも小さい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識とともに提供され、任意に、第3の希釈係数閾値よりも大きい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識とともに提供されない、ステップを含んでもよい。
第4の希釈係数閾値は、第1、第2及び/又は第3の希釈係数閾値に等しくてもよい。
【0023】
中間希釈二次試料の数は、予想される濃度及び/又は予想される濃度の比に適応されてもよい。例えば、中間希釈二次試料の数は、それぞれの予想される濃度が、一度線形測定領域にあるように適応され得る。測定システムが、103:1のダイナミックレンジを有し、予想される第1及び第2の濃度の比(第2の濃度/第1の濃度)が105である場合、2個の二次試料が必要であるが、予想される第1及び第2の濃度の比が102:1である場合、1個の二次試料のみが必要である。103:1の測定システムのダイナミックレンジを用いる別の例において、106である第1及び第2の濃度の比(第2の濃度/第1の濃度)、並びに103である第1及び第3の濃度の比(第3の濃度/第1の濃度)を有する、それぞれ、第1、第2及び第3の濃度の第1、第2及び第3の種が、測定されるべきである場合、3つの二次試料が使用される。104:1の測定システムのダイナミックレンジを有するが、同じ3個の標的種及び濃度を有するさらに別の例において、2個の二次試料を使用のみで十分である。
【0024】
中間希釈二次試料の数は、予想される濃度の不確定要素を考慮に入れることができるように適応させることができる。測定システムが、102:1のダイナミックレンジを有し、予想される第1及び第2の濃度の比(第2の濃度/第1の濃度)が103であるが、第1及び第2の濃度の両方が、上下に1桁変化すると予想される場合、アッセイされる総濃度範囲は、105であり、したがって3個のカバースリップ領域、及びそのため1個の中間カバースリップ領域が用いられ得る。これにより、線形型の第1及び第2の標的種の両方を測定することで、より高い信頼性で確認することができる。第3の例において、測定精度は、複数の希釈で1個の標的を測定することによって増加し得る。測定システムが、102:1のダイナミックレンジを有し、予想される第1及び第2の濃度の比(第2の濃度/第1の濃度)が103であり、それぞれの標的が、2つの希釈ステップでアッセイされるべきである場合、合計で少なくとも3個の希釈試料(すなわち、二次試料)が必要であり、すなわち、少なくとも1個の中間希釈二次試料が必要である。
追加的に又は代替的に、二次試料の希釈は、予想される第1及び予想される第2の濃度に、並びに/又は予想される第1及び予想される第2の濃度の比に適応されてもよい。標的種の特異的な濃度とは独立して使用される標準的な希釈を用いる実施形態と比較して、適応された希釈を用いる実施形態は、いくつかの利点を有し得る。二次試料の数が低減され得る。これは、材料を節約し得るだけでなく、時間、特に、方法のステップd)のための時間を節約し得る。
【0025】
上記で述べたようにして二次試料の数及び/又は希釈を適応させることは、本発明の方法の精度を検証するのにも寄与し得る。例えば、それぞれの標的種について、少なくとも2個~3個の二次試料、すなわち、希釈で常に測定することが好ましい。そのような測定の数から、ステップc1)における飽和条件を用いて二次試料を特定することが可能である。ステップc1)における飽和条件は、カバースリップ領域上の個々の標的種についての結合部位の数が、カバースリップ領域に結合する二次試料中のすべての個々の標的種に対して十分ではなかったことを意味する。
第1の標的種は、分析のために調製され、1個又は複数の中間希釈二次試料において分析されてもよい。
追加的に又は代替的に、第2の標的種は、分析のために調製され、1個又は複数の中間希釈二次試料において分析されてもよい。
カバースリップ領域は、流体操作デバイス、好ましくはマイクロ流体デバイスに含まれていてもよく、それぞれのカバースリップ領域は、対応する流体反応区画、好ましくはマイクロ流体反応区画を少なくとも部分的に規定し、それぞれの反応区画が、入口を含み;対応するカバースリップ領域への二次試料の適用及び/又はDNAナノ構造体の適用は、個々の入口を介して行われる。
【0026】
流体操作デバイスは、1種又は複数の流体を操作する、すなわち、処理するためのデバイスである。流体操作デバイスは、フローチャンバー又はウェルチャンバーであってもよい。最も優れた例は、マイクロ流体デバイスである。しかしながら、マイクロ流体デバイスの寸法を超える寸法を有するデバイスも企図される。
入口は、出口、すなわち、反応区画から流体を抽出するための出口としても機能し得る。代替的に又は追加的に、反応区画は、反応区画からの流体の抽出のための別の出口を含んでもよい。すべての反応区画は、入口及び出口の同じ構成を有していてもよく、又は一部の反応区画は、入口及び出口の組合せを有していてもよいが、他の反応区画は、別の入口及び出口を有していてもよい。
第1の蛍光標識及び/又は第2の蛍光標識は、少なくとも1種の蛍光色素を有する少なくとも1つのDNAナノ構造体を含んでもよい。「重複しない場合」及び「重複する場合」の2つの場合が識別され得る。それぞれの二次試料における重複しない場合において、1個の第1及び第2の標的種のみが、分析のために調製される、例えば、標識される。少なくとも1個の二次試料における重複する場合において、第1及び第2の標的種の両方が、分析のために調製される、例えば、それぞれ、第1及び第2の蛍光標識で標識される。重複しない場合において、第2の標的種に結合した場合の第2の蛍光標識は、第1の標的種に結合した場合の第1の標識から、蛍光顕微鏡分析において識別可能であってもよく、又は識別可能でなくてもよい。重複する場合において、第2の標的種に結合した場合の第2の蛍光標識は、少なくとも、両方の標的種が分析される二次試料において、第1の標的種に結合した場合の第1の標識から、蛍光顕微鏡分析において識別可能でなければならない。
【0027】
当業者には、好適な蛍光標識、特に、少なくとも1つのDNAナノ構造体を含む好適な蛍光標識を選択及び/又は作出する方法が公知である。必要な情報は、文献において、例えば、上記で引用されたWoehrsteinら、独国特許出願公開第102012107719号、国際特許出願公開第2019149932号、国際特許出願公開第2012058638号、国際特許出願公開第2017100251号、米国特許出願公開第2014031243号、国際特許出願公開第2016140727号及び/又は欧州特許出願公開第3472351号において見出され得る。
第1の標的種は、第1の核酸、好ましくは第1の16S-rRNAを含んでもよく、第1の核酸は、第1の核酸に特異的な配列部分S1を含み、第1の蛍光標識は、配列部分S1に少なくとも部分的に相補的な配列部分S3を含む。これは、第1の蛍光標識の第1の標的種への特異的結合を可能にし得る。
第2の標的種は、第2の核酸、好ましくは第2の16S-rRNAを含んでもよく、第2の核酸は、第2の核酸に特異的な配列部分S2を含み、第2の蛍光標識は、配列部分S2に少なくとも部分的に相補的な配列部分S4を含む。これは、第2の蛍光標識の第2の標的種への特異的結合を可能にし得る。
【0028】
固定化分子は、オリゴヌクレオチドを含んでもよく、対応する標的種への特異的結合は、オリゴヌクレオチド及び対応する標的種において少なくとも部分的に相補的な配列部分のハイブリダイゼーションを介して起こってもよい。
第1の方法を含み、第1及び第2の標的種が核酸を含む方法において、固定化分子は、第1及び第2の標的種の両方に結合するように構成された1種のオリゴヌクレオチドを含んでもよい。例えば、第1の標的種が、ポリAテールを有する第1のmRNAであり、第2の標的種が、ポリAテールを有する第2のmRNAである場合、オリゴヌクレオチドは、すなわち、第1及び第2の標的種のいずれか1つの、ポリAテールに結合するように構成された対応するポリT配列を含んでもよい。16S-rRNAは、それらの核酸配列中に保存された領域も有する。第1及び第2の標的種が、16S-rRNAである場合、それらは、配列番号1「AAACTCAAAGGAATTGACGGGG」(Wang et al., Encyclopedia of Metagenomics 2013, DOI 10.1007/978-1-4614-6418-1_772-1、表2を参照されたい)の配列を含み、オリゴヌクレオチドは、すなわち、第1及び第2の標的種のいずれか1つの、配列番号1に結合するように構成された対応する相補配列を含んでもよい。これは、例えば、配列番号2であってもよい。
【0029】
第1及び第2の標的種が核酸を含む方法において、固定化分子は、第2の標的種ではなく第1の標的種に結合するように構成された第1のオリゴヌクレオチド、及び第1の標的種ではなく第2の標的種に結合するように構成された第2のオリゴヌクレオチドを含んでもよい。この特徴は、第1の方法を含む方法だけでなく、第3の方法を含む方法にも好適である。
本発明の方法は、マイクロバイオーム試料からの一次試料の調製を含んでもよい。例えば、マイクロバイオーム試料は、例えば、ヒト又は動物の、糞便試料であってもよい。本方法は、そのような糞便試料を収集することを含んでもよい。本方法は、マイクロバイオーム試料、例えば、糞便試料から第1及び第2の標的種を精製し、このようにして、一次試料を準備することを含んでもよい。技法は、当技術分野において公知であり、日常的に使用される。好ましくは、目的の標的種の比を保存する技法が使用される。これがそうではない場合、例えば、この個体の処置が、この個体のマイクロバイオームに影響を及ぼすかどうかを調査するために、精製試料、すなわち、一次試料中の標的種の比が、個体、例えば、人々についてモニターされる場合、分析は、依然として意味を成し得る。
【0030】
これまで、本発明は、2つの標的種の第1及び第2の標的種に関して記載した。本記載は、2個よりも多くの標的種が分析される実施形態を含むが、いくつかの標的種に関する本発明の記載は、本発明の完全な利点を説明するために示される。
【0031】
第1の方法に類似して、本発明は、マイクロバイオーム分析を行うための第7の方法であって、
A)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、個々の濃度ciのm個の標的種を含み、
m個の標的種のそれぞれが、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの要素を示す、
ステップ;
B)一次試料に由来するu個の二次試料を準備するステップであり、u個の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料、及び任意に1個又は複数の中間希釈二次試料を含み、
u個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
C)それぞれの二次試料について、
C1)1個又は複数の標的種を個々の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された対応する蛍光標識を提供することによって、分析のために調製されたm個の標的種中の1個又は複数の標的種であって、異なる標的種に対応する蛍光標識が、蛍光顕微鏡分析において識別可能である、標的種、及び
C2)1個又は複数の標的種を個々の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、ステップC1)において選択された1個又は複数の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された対応する蛍光標識
を選択するステップ;
D)個々の標的種を選択された蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、選択された蛍光標識を、ステップC)において選択された対応する二次試料に提供するステップ;
E)E1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、対応する二次試料における蛍光標識をカウントするステップ;
E2)ステップE1)の結果及び対応する二次試料の希釈からm個の標的種の比を計算するステップ
に従って、m個の標的種を分析するステップ
を含む、方法に関する。
【0032】
第3の方法に類似して、本発明は、マイクロバイオーム分析を行うための第8の方法であって、
A)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、個々の濃度ciのm個の標的種を含み、
m個の標的種のそれぞれが、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの要素を示す、
ステップ;
B)一次試料に由来するu個の二次試料を準備するステップであり、u個の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料、及び任意に1個又は複数の中間希釈二次試料を含み、
u個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
C)それぞれの二次試料について、
C1)固定化によって分析のために調製されたm個の標的種中の1個又は複数の標的種、及び
C2)1個又は複数の標的種を個々の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、ステップC1)において選択された1個又は複数の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された対応する蛍光標識であって、異なる標的種に対応する蛍光標識が、蛍光顕微鏡分析において識別可能である、対応する蛍光標識
を選択するステップ;
D)二次試料を、
D1)標的種を、ステップC1)における選択に従って固定化するステップ、
D2)個々の標的種を選択された蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、選択された蛍光標識を、ステップC)において選択された対応する二次試料に提供するステップ
によって調製するステップ;
E)E1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、対応する二次試料における蛍光標識をカウントするステップ;
E2)ステップE1)の結果及び対応する二次試料の希釈からm個の標的種の比を計算するステップ
に従って、m個の標的種を分析するステップ
を含む、方法に関する。
【0033】
「蛍光標識が、蛍光顕微鏡分析において識別可能である」とは、蛍光標識が、そのすべてが当業者に公知である、適切な蛍光顕微鏡分析システム、このシステムの適切な設定、適切な画像処理、及び適切なデータ分析を用いて識別可能であることを意味する。明らかに、本技術分野において日常的に使用されるデバイス及び蛍光標識の非常に多数の可能な組合せが存在し、その結果、特異的な特徴の組合せは、必要でもなく、意味も持たない。当業者には、システム、蛍光標識及びソフトウェアの適切な組合せを選択する方法が公知である。
蛍光標識、例えば、第1及び第2の蛍光標識をカウントするステップ(ステップD)及びd))には、画像処理、例えば、畳み込み、閾値処理、膨張処理及び収縮処理、スポットの特定及び定量化などを含み得る。技法は、当技術分野において周知である。
【0034】
第7及び第8の方法において、ステップC1)における標的種の選択は、最小検出手順に従って行われてもよい。代替的又は追加的に、ステップC1)における標的種の選択は、最大検出手順に従って行われてもよい。これは、標的種のすべてが、最大検出手順を用いて検出され得るか、又は標的種のすべてが、最小検出手順を用いて選択され得ることを意味する。代替的に、標的種の一部が、最小検出手順を用いて検出され得、標的種の一部が、最大検出手順を用いて選択され得る。その予想される濃度ciが、最小検出手順と最大検出手順との間である場合に標的種が選択される基準に従って、選択基準を規定することも可能である(下記を参照されたい)。
【0035】
最小検出手順及び最大検出手順の定義は、個々の二次試料についての標的種、及び最終的に対応するカバースリップ領域を選択するための下位方法の以下の説明の過程で示される。より読みやすくするために、我々は、「二次試料、及び最終的に対応するカバースリップ領域」についての同義語として「チャネル」を参照する。
【0036】
希釈チャネルについて標的種を選択するための下位方法
検出される標的種の数m(標的種の定義について、上記を参照されたい)及びそれらの予想される公知の参照表を用いて、例えば、典型的には、以前の参照実験又は公に利用可能なデータによって決定される、平均濃度ci及び対応する標準偏差σiは、生物学的種の典型的な濃度、及び細胞あたりの分子種の分子の数を確立する(上記で引用されたKraalら、Plos One 2014、上記で引用されたrrnDB)。標準偏差が利用可能ではない場合、推定値を、安全な尺度として選択することができる。整数iは、標的種を通してカウントされ、すなわち、iは、1~mで実行される。このため、標的種は、それらの予想される、例えば、典型的には、平均濃度により、ソートされると仮定される。最も高いciは、cmaxと称され、cminは、最も低いciを指す。したがって、cmax=cm及びcmin=c1である。
【0037】
以下の値も示される、すなわち、以下は公知である。
・K チャネルの数(すなわち、二次試料、及び最終的に対応するカバースリップ領域)。
・n
acq 異なる位置のカバースリップ領域あたりの取得される画像の数。このパラメーターは、自由に選択することができ、増加は、ダイナミックレンジを改善するが、取得時間も増加させる。その最大は、カバースリップ領域のサイズによって決定される。カバースリップ領域のある面積の複数回の画像化が可能であるが、ここでは意図されない。これが行われる場合、1度より多くスポットをカウントしないように注意しなければならない。
・N
max 定量化のための画像あたりのスポットの最大数(スポットは、上記で引用されたWoehrsteinらにおいて使用されるように、分析のために取得された画像における蛍光点を指す)。
図3B、C、及び「結果/調節可能な輝度」の節を参照されたい;この値は、画像化システム及び分析アルゴリズムに依存する属性である。例えば、分析アルゴリズムが、最大で1スポット/μmの密度のスポットの分析を可能にし、画像化システムが、10.000μm
2の画像を与える場合、N
maxは、10,000であろう。
・f
i 捕捉係数:これは、インキュベーション時間及びカバースリップ領域の体積/表面積の比、並びに到達性のようなアッセイパラメーターに依存する較正係数である。これは、別の実験において事前に決定される。
・N
i 画像あたりの種Iのスポットの予想される数;N
iは、f
i及びc
iから計算される:N
i=f
i×c
i。
・α 変動安全係数:αは、標的種の実際の濃度が予想される値ciとは異なり得る可能性を説明するための選択プロセスのために使用される係数である;適切には、その濃度がc
i-α×σとc
i+α×σとの間である場合に、標的種が確実に検出される。
・r
dyn 対数ダイナミックレンジ;理想的には、r
dyn=log(N
max×n
acq/m)(すべての標的種の濃度に等しく、非標的結合なしと仮定する-特に、r
dyn=log(N
max×n
acq/(10×m))が、良好な結果を与え、好ましいと仮定する)。
・r
K 連続するカバースリップ領域間の対数ダイナミックレンジシフト。これは、カバースリップ領域間の希釈係数の対数に等しい。
【0038】
その結果、測定されるべき総対数ダイナミックレンジは、
rtot=log((cmax+α×σmax)/(cmin-α×σmin))
である。
チャネルからチャネルのダイナミックレンジシフトrKは、その結果、
rk=rtot/K、チャネルの固定数K
であり得る。
代替的に、ダイナミックレンジシフトrKは、意味のある重複が連続するチャネル間で与えられるように固定され得る、例えば、rK=rdyn/2。この場合において、使用されるカバースリップ領域の総数は、カバーする総濃度範囲に依存する(及びしたがって、rtot)。
次いで、チャネルは、0からK-1までの整数jを使用して順序付けられ得る。チャネルjにおける標的種の濃度のチャネル0におけるものに対する分数は、したがって、10^(j×rK)である。j=0は、最低濃度(最高希釈)チャネルを表し、j=K-1は、最高濃度(最低希釈)チャネルを表す。設計されるチャネルの濃度範囲は、cj,loからcj,hiまでとして表すことができる(これらは必ずしも検出限界ではない):
cj,lo=(cmin-α×σmin)×10^(j×rK)
cj,hi=(cmin-α×σmin)×10^((j+1)×rK)。
【0039】
それぞれのチャネルにおいて検出されるべきであるm個の標的種の中でその標的種を選択するために、一部の方法は、他の中でも以下が優れている:
a)「最小検出手順」を用いて、標的種は、変動安全係数だけを満足するように検出される(すなわち、ci-α×σIからci+α×σiの濃度内)。
標的種iは、
cj,lo≦ci+α×σI及び
cj,hi<ci-α×σI
(式中、jは、チャネルを通してカウントする整数である、すなわち、jは、0からK-1である)
である場合に、チャネルjにおいて検出されるように設計される。
b)「最大検出手順」を用いて、標的種は、最大で予想される濃度が、測定値の線形範囲内である場合はどこでも検出される。
標的種iは、
1<cj,hi/(ci+α×σI)≦rdyn
(式中、jは、再び、チャネルを通してカウントする整数である、すなわち、jは、0からK-1である)
である場合に、チャネルjにおいて検出されるように設計される。
c)「唯一の検出手順」を用いて、それぞれの標的種は、1個のチャネルにおいてのみ検出される。割り当てられるチャネルは、
jassign=round(rk/2+log((ci/(cmin-α×σmin)))/rk)
を使用して計算することができる。
【0040】
上記の下位方法又はあらゆる他の好適な方法に従って割り当てられた標的種を有するチャネルを用いて、我々は、画像あたりの予想される数ポットの数N
j:
【数1】
を計算することができる。
N
jが、あらゆるチャネルについてN
maxよりも大きい場合、最低希釈二次試料は、係数d:
d=N
max/最大(N
j)
で希釈することによって、一次試料から誘導することができる。
【0041】
そうでなければ、dは、1の近くで選択することができる(ハイブリダイゼーション緩衝液に移行することが可能な程度に近い)。「ハイブリダイゼーション緩衝液」という用語は、オリゴヌクレオチド間のハイブリダイゼーションを促進する緩衝液、例えば、緩衝液RX20又は緩衝液B(レシピは下記を参照されたい)を指す。
それぞれのチャネルに割り当てられる標的種の数は、
【数2】
である。
【0042】
代替的に、カバースリップ領域の希釈は、異なって、例えば、不均一に割り当てることができ、標的種は、分析される標的種の特異的な収集に応じて、異なるアルゴリズムを使用してカバースリップ領域に割り当てることができる。
これらの計算を用いて、本発明による手順は、以下の通りであり得る:
・糞便試料を採取し、そのRNA(又は任意にrRNA)を精製する。
・それをハイブリダイゼーション緩衝液に移しながら、それをdまで希釈する(結果は一次試料であり得る)。
・この試料の一部分をインキュベートする、すなわち、これは、チャネルK-1において、最低希釈二次試料である。
・その別の部分を10^rKまで希釈し(このようにして別の二次試料を作出する)、チャネルK-2においてインキュベートする。
・チャネル0においてd×10^(k×rK)の総希釈まで繰り返す(チャネル0は最高希釈二次試料を受け入れる)。
・インキュベーション後、未結合のRNAを洗い流す。
・チャネルjを、上記の下位方法に従ってそれについて選択されたすべての標的種についての蛍光標識(例えば、DNAナノ粒子)とともにインキュベートする。
・未結合の蛍光標識(例えば、DNAナノ粒子)を洗い流す。
・画像化する。
・必要な場合及び/又は必要により、画像処理、例えば、畳み込み、閾値処理、膨張処理及び収縮処理、スポットの特定などを行う。
・それぞれの種iについて画像中のスポットをカウントし、d×10^を掛け((K-j)×rK)、fiで割って、未希釈試料における測定濃度を得る。
・1つの種が、複数のチャネル中にあった場合、誤差計算を行って、測定値についての精度を提供する。
【0043】
上記で述べたように、本発明による別の方法は、別の反応容器下、二次希釈を蛍光標識とともにインキュベートすること、及び前に記載されたようにカバースリップ領域において反応した構築物を固定化し、その後、カバースリップ領域からあらゆる未結合部分を洗い流すことであってもよい。
【0044】
特に、この方法は、以下のステップを含んでもよい:
・糞便試料を採取し、そのRNA(又は任意にrRNA)を精製する。
・それをハイブリダイゼーション緩衝液に移しながら、それをdまで希釈する(一次試料であり得る)。
・この試料の一部分を置く、すなわち、これは、チャネルK-1のために意図される反応容器K-1における、最低希釈二次試料である。
・上記の下位方法に従ってチャネルK-1について選択されたすべての標的種についての蛍光標識(例えば、DNAナノ粒子)を、反応容器K-1に置き、インキュベートする。
・一次試料の別の部分を10^rKまで希釈し(このようにして別の二次試料を作出する)、それを、チャネルK-2のために意図される反応容器K-2に置く。
・上記の下位方法に従ってチャネルK-2について選択されたすべての標的種についての蛍光標識(例えば、DNAナノ粒子)を、反応容器K-2に置き、インキュベートする。
・チャネル0のために意図される反応容器0においてd×10^(k×rK)の総希釈まで繰り返す(チャネル0は最高希釈二次試料を受け入れる)。
・インキュベーション後、混合物を、反応容器から対応するチャネルに移す。
・チャネルをインキュベートする。
・未結合の部分(すなわち、RNA及び蛍光標識(例えば、DNAナノ粒子))を洗い流す。
・画像化する。
・必要な場合及び/又は必要により、画像処理、例えば、畳み込み、閾値処理、膨張処理及び収縮処理、スポットの特定などを行う。
・それぞれの種iについて画像中のスポットをカウントし、d×10^を掛け((K-j)×rK)、fiで割って、未希釈試料における測定濃度を得る。
・1つの種が、複数のチャネル中にあった場合、誤差計算を行って、測定値についての精度を提供する。
【0045】
代替的に及び/又は追加的に、蛍光標識は、蛍光標識の対応する標的種との結合を可能にする条件下、一次試料に提供され、続いて二次試料の調製が行われ、任意に、固定化、及びあらゆる未結合部分がカバースリップ領域から洗い流され得る。
【0046】
特に、この方法は、以下のステップを含んでもよい:
・糞便試料を採取し、そのRNA(又は任意にrRNA)を精製する。
・それをハイブリダイゼーション緩衝液に移しながら、それをdまで希釈する(結果は一次試料であり得る)。
・すべての標識種についての蛍光標識(例えば、DNAナノ粒子)を添加し、インキュベートする。
・この試料の一部分をインキュベートする、すなわち、これは、チャネルK-1において、最低希釈二次試料であり、これは、上記の下位方法に従って選択された標的種のみを捕捉するように事前に構成されている。
・その別の部分を10^rKまで希釈し(このようにして別の二次試料を作出する)、それを、チャネルK-2においてインキュベートし、これは、上記の下位方法に従って選択された標的種のみを捕捉するように事前に構成されている。
・チャネル0においてd×10^(k×rK)の総希釈まで繰り返す(チャネル0は最高希釈二次試料を受け入れる)。
・未結合部分(すなわち、RNA及び蛍光標識(例えば、DNAナノ粒子))を洗い流す。
・画像化する。
・必要な場合及び/又は必要により、画像処理、例えば、畳み込み、閾値処理、膨張処理及び収縮処理、スポットの特定などを行う。
・それぞれの種iについて画像中のスポットをカウントし、d×10^を掛け((K-j)×rK)、fiで割って、未希釈試料における測定濃度を得る。
・1つの種が、複数のチャネル中にあった場合、誤差計算を行って、測定値についての精度を提供する。
【0047】
本発明は、蛍光顕微鏡、少なくとも2個のカバースリップ領域を有する少なくとも1個の試料キャリア、分析される1個又は複数の試料、及びプロセッサを含むシステムであって、システムが、好ましくは自動で、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法を行うように構成、適応及び/又はプログラムされている、システムにも関する。分析される1個又は複数の試料は、一次試料及び/又は1個若しくは複数の二次試料を含んでもよい。システムは、ソフトウェアを含んでもよく、システムは、ソフトウェアを実行するように構成され、ソフトウェアは、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法を行うような方法でシステムを制御するように構成される。
本明細書において引用された先行技術は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下は、
図1を参照して、本発明の例示的な実施形態を記載する。
図1は、例示的な分析手順を示す。体積、質量、サイズなどについての具体的な数は、例示的なものであって、他の実施形態において変更され得ることに留意されたい。特に、それらは、ibidi GmbH製の「粘着性の底を有するμ-Slide VI 0.1」である以下の実施形態において使用されるものよりも他の反応チャンバーにフィットするようにスケールアップ又はスケールダウンされてもよい(代替的に、「sticky-Slide VI 0.4」が使用されてもよい;液体の体積は、好ましくは、「sticky-Slide VI 0.4」の体積に適応される)。当然ながら、他の実施形態は、他の標的種及び他の関連分子、例えば、蛍光標識を含んでもよい。
【0049】
試料収集
1.1.5gの糞便試料を、9mlのDNA/RNA Shield溶液(Zymo)で事前に満たされたDNA/RNA Shield Fecal収集チューブ(Zymo Research Europe GmbH、Freiburg、ドイツ;以下で、簡潔にZymo又はZymo Research)に収集する。
2.試料を-20℃ですぐに保管する(最大で1か月間保つ)。
【0050】
糞便試料からのRNA単離(ZYMOBIOMICS RNA MINI KIT、ZYMO RESEARCH)
1.氷上で試料を解凍し、750μlのウェル混合試料+DNA/RNA shield(Zymo)をBashingBead溶解チューブ(Zymo)に移す。
2.2mlのチューブにフィットするボルテックスアダプターでチューブを固定し、最高速度で45分間ボルテックスする。
以下のステップを、製造業者によって提案されるようにして行う。
3.チューブを1分間遠心分離して、残屑をペレット化する。
4.最大で200μlの澄明な上清を、ヌクレアーゼ不含チューブに移す。
5.等体積のRNA溶解緩衝液(1:1)(Zymo)を上清に添加し、十分に混合する。
6.等体積のエタノールを試料に添加し、混合する。
7.混合物を、収集チューブ中のZymo-spin IIICGカラムに移し、遠心分離する。次いで、フロースルーを廃棄する。
8.400μlのRNA調製緩衝液(Zymo)をカラムに添加し、遠心分離する。フロースルーを廃棄し、カラムをヌクレアーゼ不含チューブ(Zymo)に移す。
9.400μlのRNA洗浄緩衝液(Zymo)をカラムに添加し、遠心分離する。フロースルーを廃棄し、カラムをヌクレアーゼ不含チューブ(例えば、Eppendorf GmbH製の「PCR clean」チューブ)に移す。
10.85μlのDNase/RNase不含水(Zymo)をカラムマトリックス(C1006-50-G、Zymo)に直接添加し、次いで遠心分離して、溶出させる。
11.DNase I処理:溶出させるために、10μlのDNA消化緩衝液(Zymo)及び5μlのDNase I(Zymo)を添加し、数分間、手動で上下を反転させることによって、穏やかに混合する。室温で15分間インキュベートする。
12.2体積のRNA溶解緩衝液(Zymo)を試料に添加し(2:1)、混合する。
13.等体積のエタノール(95~100%)を添加し(1:1)、十分に混合する。
14.混合物を、収集チューブ中の新しいZymo-Spin IIICGカラムに移し、遠心分離する。フロースルーを廃棄する。
15.400μlのRNA調製緩衝液(Zymo)をカラムに添加し、遠心分離する。フロースルーを廃棄する。
16.700μlのRNA洗浄緩衝液(Zymo)をカラムに添加し、遠心分離する。フロースルーを廃棄する。
17.400μlのRNA洗浄緩衝液(Zymo)を添加し、カラムを1分間遠心分離して、洗浄緩衝液の完全な除去を確実にする。カラムを、ヌクレアーゼ不含チューブに注意深く移す。
18.100μlのDNase/RNase不含水をカラムマトリックスに添加し、遠心分離して、溶出させる。
19.新しい収集チューブにZymo-Spin III HRCフィルターを設置し、600μlのZymoBiomics調製用液を添加する。8000gで3分間遠心分離する。
20.(ステップ18の)溶出したRNAを、ヌクレアーゼ不含チューブ中の調製したZymo-Spin III-HRCフィルターに移す。次いで、正確に16000gで3分間遠心分離する。
21.一次試料として、得られた濾過RNAを収集する。
【0051】
「糞便試料からのRNA単離」の結果は、一次試料であり得る。ハイブリダイゼーション緩衝液への移動は、この時点で、有利であり得る。このプロトコールに従った一次試料の調製は、任意であり、例示的なものである。他の好適なプロトコールを、一次試料を準備するために使用してもよい。
二次試料の数及び希釈係数の選択
1.分析される標的種を選択する。
2.選択される標的種、及び標的種の予想される濃度ciに従って、二次試料の数及び二次試料についての希釈係数を選択/決定する。好適な選択手順を、本明細書において上記に記載する。
【0052】
固定化分子及び蛍光標識ハンドルのための配列設計
本明細書において、「バーコード」という用語は、蛍光標識についての同義語として使用される。「捕捉アダプター」及び「捕捉鎖」及び「表面捕捉ハンドル」という用語は、「固定化分子」についての同義語として使用される。「バーコードハンドル」及び「バーコード鎖」という用語は、標的種及び蛍光標識の結合を媒介する蛍光標識(又はバーコード)の部分を記載する。
【0053】
パートA - データベース調製:
1.R、バージョン4.0.4(https://www.r-project.org/)をインストールする。
2.DECIPHERパッケージをインストールし、それをR(http://www.bioconductor.org/packages/release/bioc/html/DECIPHER.html)でロードする。
3.SILVAデータベースを「fasta」ファイルフォーマットでダウンロードし(https://www.arb-silva.de/browser/、SILVA to add to cart及び「download as fasta file with gaps」をクリックする)、Rに読み込む。3つの刊行物から腸内細菌を収集し、これを使用して、関連種を抽出することによって短縮型参照データベースを作成する。
4.DECIPHER function AlignSeqs()を使用して、参照データベースを等しいサイズの配列に整列させ、複数の部分配列を見出し、終了する(詳細について、ES Wright (2015) "DECIPHER: harnessing local sequence context to improve protein multiple sequence alignment". BMC Bioinformatics, doi:10.1186/s12859-015-0749-zを参照されたい)。
5.可能な配列を設計するために、DECIPHERパッケージに実装された「DesignProbe」機能を使用する(パラメーター設定:minLength=23、maxLength=23、hybTemp=30、P=2.5e-11、FA=15、numProbeSets=50、minCoverage=0.9、minGroupCoverage=0.2、batchSize=1000、target=「SSU」)。
【0054】
パートB:標的種分析:
1.SILVAデータベース(https://www.arb-silva.de/no_cache/download/archive/release_138.1/Exports/)から目的の標的種配列をダウンロードする。
2.配列をRNA fold WebServer(http://rna.tbi.univie.ac.at/cgi-bin/RNAWebSuite/RNAfold.cgi)に挿入して、予測される二次構造及び個々のヌクレオチドの「到達度」を決定する。
3.RNAfoldアウトプットを抽出する:
a.Ctフォーマットとして熱力学的アンサンブル予測の結果をダウンロードし、Microsoft Excelを開く。
b.「Centroid structure drawing encoding base-pair probabilities」下の「View in FORNA」をクリックし、「Colors/Custom/Set」をクリックし、塩基対確率値をExcelのカラムに加える。
4.RNAfoldアウトプットを、パートAからの設計配列と統合する(ステップ4;R;パッケージplyr、接続機能)。
5.最高のスコアを有する配列の組合せを選択する。
【0055】
この手順は、分子標的種を標的にする前述の蛍光標識としてそれらを作用させるために、DNAナノ構造体のためのハンドル(すなわち、標的に特異的に結合し、何か、例えば、DNA-ナノ構造又は表面に付着するように構成された一本鎖オリゴ)として使用することができる23nt長の配列をもたらす。追加的に、23nt長の配列が作成され、これは、この23nt長の配列及び下記に述べる表面鎖の相補配列を含む1つのオリゴヌクレオチドを順序付けることによって、捕捉アダプターのために使用することができる。種特異的捕捉に代わる一般的な16S表面捕捉のために、例えば、配列番号2として、1つ又は複数の保存領域を使用することができる。
以下の手順において、遺伝子配列(配列番号3:「gaatcggtca cagtacaacc g」、5’ビオチン改変)を有するビオチン化「表面鎖」、及び表面鎖の相補配列だけでなくこの現在の分析から得られる配列を含む「捕捉アダプター」が使用される。一般的な捕捉のために、得られる捕捉アダプターは、例えば、配列番号4であってもよい。
【0056】
DNAナノ構造体の折り畳み:
上記に由来するバーコードハンドル配列を使用して、JB Woehrstein et al., Science Adv (2017) https://doi.org/10.1126/sciadv.1602128に記載されるようにして、DNAナノ構造体を折り畳む。DNAナノ構造体、特に、それらの蛍光色素の数及び種類、すなわち、色は、本明細書において記載されているように、標的種の数、二次試料の数、及び二次試料の希釈係数に適応させる必要がある。
得られたDNAナノ構造体を、分子種、すなわち、標的種を標的にする蛍光標識として使用することができる。
ハイブリダイゼーションプロトコール:
流体操作デバイス/フローチャンバーの調製:
3.カバースリップをイソプロパノール中で5分間インキュベートし、N2流下で乾燥させる。
4.その直後に、カバースリップ上に「粘着性の底を有するμ-Slide VI 0.1」(ibidi GmbH)を設置し、粘着性の底を介してそれらを一緒に結合し、このようにして、カバースリップ領域としてのフローチャネルを作出する。
5.例えば、ピペットチップを使用して、軽い圧力をカバースリップに適用して、カバースリップと粘着性の底との間の接着を改善する。
【0057】
ここに、流体操作デバイス/フローチャンバーを使用する準備ができる。これは、「スライド」とも称される。流体操作デバイス/フローチャンバーは、いくつかの、例えば、6個のカバースリップ領域を含む。
フローチャンバーの調製は、任意であり、例示的なものである。他のフローチャンバー及び他の調製手順が企図される。好適な使用する準備ができているフローチャンバーを提供することも可能である。
【0058】
非特異的結合に対するカバースリップ領域の保護、及びビオチン-BSA-ストレプトアビジン表面を用いるカバースリップ領域の固定化分子による被覆(5分のインキュベーション):
1.すべてのフローチャネル(短縮:チャネル)を平衡化し、これはibidi-GmbH製のμ-Slide VI 0.1を、緩衝液A+をフローチャンバーの入口及び出口に添加し、次いで、スムーズな流れが達成されるまでスライドを前後に傾けることによって、試料適用(すなわち、反応区画)のために提供する。
2.緩衝液A+(定義は下記を参照されたい)を使用して、1mg/mlを有するビオチン-BSAを調製する。スライドあたり200μLのビオチン-BSA(フローチャネルあたり25μL)を調製する。
3.フローチャネルから液体を除去する。
4.25μlのビオチン-BSAをそれぞれのフローチャネルに適用する。スライドを後ろに傾けて、均一な分布を確実にする。
5.フローチャネルをパラフィルムでシールし、RTで5分間インキュベートする。
6.液体を除去し、それぞれのフローチャネルを25μlの緩衝液A+で3回洗浄する。ストレプトアビジンを適用する準備ができるまで(次のステップを参照されたい)、最後の洗浄液は除去しない。
7.緩衝液A+を使用して、100μg/mlを有するストレプトアビジンを調製する。スライドあたり200μLのストレプトアビジン(フローチャネルあたり25μL)を調製する。
8.フローチャネルから液体を除去する。
9.25μlのストレプトアビジンをそれぞれのフローチャネルに適用する。スライドを後ろに傾けて、均一な分布を確実にする。
10.フローチャネルをパラフィルムでシールし、RTで5分間インキュベートする。
11.液体を除去し、それぞれのフローチャネルを25μlの緩衝液A+で3回洗浄する。ビオチン化表面鎖を適用する準備ができるまで(次のステップを参照されたい)、最後の洗浄液は除去しない。
【0059】
緩衝液A+の構成成分:
・pH7.5の10mMのTris-HCl
・100mMのNaCl
・0.05%のTween 20
緩衝液B+の構成成分:
・pH8.0の10mMのTris-HCl
・10mMのMgCl2
・1mMのEDTA
結果は、ストレプトアビジン改変表面を有する6個のフローチャネルを有するフローチャンバーである。
【0060】
ビオチン化表面鎖(5分のインキュベーション)
1.緩衝液A+を使用して、1μMを有するビオチン化表面鎖を調製する。
2.スライドあたり200μLのビオチン化表面鎖(フローチャネルあたり25μL)を調製する。
3.フローチャネルから液体を除去する。
4.25μlの表面鎖をそれぞれのフローチャネルに適用する。スライドを後ろに傾けて、均一な分布を確実にする。
5.フローチャネルをパラフィルム(Bemis Company Inc.)又は類似のシール材でシールし、室温(RT)で5分間インキュベートする。
6.液体を除去し、それぞれのフローチャネルを25μlの緩衝液A+で3回洗浄する。捕捉アダプター鎖を適用する準備ができるまで、最後の洗浄は除去しない。
この手順の結果は、配列番号3の配列を含む単一のDNAオリゴを含む表面を有する6つのフローチャネルを有するフローチャンバーである。
【0061】
捕捉アダプター鎖(5分のインキュベーション)
それぞれのカバースリップ領域について、個々のカバースリップについて、本明細書において上記で言及された下位方法に従って選択された標的種を標的にするステップ「配列設計、パートB」から得られた捕捉アダプターを含む捕捉アダプターミックスを調製する。
すべてのチャネルjについて、捕捉アダプターミックスを調製する:
1.すべての捕捉アダプターを、緩衝液A+中、200μMに希釈する。
2.チャネルjについて、スライドjについて選択された捕捉アダプターを混合する。
3.緩衝液A+中、1μMのそれぞれの捕捉アダプターの最終濃度に希釈する。
個々のカバースリップ領域に対して捕捉アダプターミックスをインキュベートする。
4.チャネルから液体を除去する。
5.25μlの対応する捕捉アダプターミックスをそれぞれのチャネルに適用する。スライドを後ろに傾けて、均一な分布を確実にする。
6.チャネルをパラフィルムでシールし、37℃で5分間インキュベートする。
7.液体を除去し、それぞれチャネルを25μlの緩衝液A+で3回洗浄する。RNA溶液を適用する準備ができるまで、最後の洗浄液は除去しない。
【0062】
この手順の結果は、ステップ「パートB:標的種分析」において作成された捕捉配列を含む単一のDNAオリゴを含む表面を有する6つのフローチャネルを有するフローチャンバーである。これらは、標的種(例えば、16S rRNA)に相補的であり、ハイブリダイゼーションを介してそれらに特異的に結合することができる。すべての16S rRNAを捕捉するアプローチが選択され、異なるカバースリップ領域において異なる標的種を捕捉しない場合、結果は、配列番号2の配列を含む一本鎖DNAを含む表面を有する6つのフローチャネルを有するフローチャンバーであり得る。
RNA捕捉(45分のインキュベーション)
1.ステップ「糞便試料からのRNA単離」から得られる一次試料から、以下の表に従って、スライド(すなわち、フローチャンバー)あたりハイブリダイゼーション溶液(ホルムアルデヒドを有するRX20)中の200μlの16S rRNAを調製して、二次試料K-1を得る。以下のレシピは、1nMのRNA濃度(すべての標的種の総RNA)と仮定し、これは、良好な結果を典型的に与える値であるが、希釈係数dを使用して、調整することができる。
【0063】
【0064】
【表2】
3.他の二次試料jのそれぞれについて、本明細書において上記に詳述した下位方法において記載されるように、二次試料j+1を、係数10^r
Kで希釈溶液に希釈する。
4.フローチャネルから洗浄緩衝液を除去する。
5.25μlの二次試料を対応するチャネルに適用する。スライドを後ろに傾けて、均一な分布を確実にする。
6.チャネルをパラフィルムでシールし、37℃で45分間インキュベートする。
7.液体を除去し、それぞれのフローチャネルを25μlの緩衝液A+で3回洗浄する。バーコード溶液を適用する準備ができるまで、最後の洗浄液は除去しない。
【0065】
RX20緩衝液の構成成分:
・4×SSC(生理食塩水クエン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0の150mMの塩化カリウム及び15mMのクエン酸三カリウムの水溶液からなる)
・5%の硫酸デキストラン
・0.1%のTween20
・5×デンハート培地
バーコードハイブリダイゼーション(80分のインキュベーション)
このステップにおいて、標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された蛍光標識を、標的種を標識することを可能にする条件下、二次試料に提供する。
【0066】
それぞれのカバースリップ領域について、個々のカバースリップについて本明細書において上記で言及された下位方法に従って選択された標的種を標的にするステップ「DNAナノ構造体の折り畳み」から得られたバーコードを含むバーコード溶液を調製する。カバースリップ領域あたりの標的種の数L
jが25を超えない場合、バーコードを、それぞれおよそ2.5nMのインプット濃度に希釈し、調製レシピとして以下の表を使用する。L
jが25を超える場合、したがって、バーコードの事前希釈及び水添加を調整する。
【表3】
1.カバースリップ領域あたり80μlのバーコード溶液を調製する。
2.フローチャネルから洗浄緩衝液を除去する。
3.12μlのバーコード溶液を個々のフローチャネル(カバースリップ領域)に適用する。スライドを後ろに傾けて、均一な分布を確実にする。
4.37℃で80分(1時間20分)間、インキュベートする。
5.それぞれのフローチャネルを25μlの緩衝液B+で3回洗浄する。最後の洗浄液を除去しない。
6.フローチャネルをパラフィルム又は透明テープで密にシールする。
7.画像化に進む。
【0067】
画像化
1.試料、すなわち、フローチャンバーを、顕微鏡、60×/1.4対物レンズ、Colibri 7照明、AxioCam 506を有するZeiss AxioObserver 7上に設置する。
2.複数(nacq)の位置及び「DNAナノ構造体の折り畳み」において使用された色素に対応するカラーチャネルでzスタックを取得する(300nm間隔で7平面)。
3.Zeiss ZENソフトウェアの後処理モジュール「Extended depth of focus」を使用して、z平面を投影する。
【0068】
IMAGEJ(FIJI)及びCOMDET V.0.5.4プラグインを用いる画像処理、蛍光標識のカウント
画像処理の記載を、ImageJ(Fiji)及びOMDET V.0.5.4プラグインについて示す。しかしながら、あらゆる好適な画像処理が使用されてもよい。
1.czi拡張子を用いてZeiss Observer顕微鏡から画像をFijiに直接ロードする(Nature methods 9(7): 676-682, PMID 22743772)。
2.蛍光スポットを見るためにコントラストを調整して、取得が正しく行われたかをチェックする。
3.COMDETプラグインをロードし、「Detect particles」を押し、必要性に従ってポップアップウィンドウにおいてパラメーターを調整する(「preview calculation button」をチェックしなければならない)。
http://github.com/ekatrukha/ComDet
【0069】
ソフトウェアのステップ:
元の画像2を、Gaussian Mexican hat filter 4を用いて畳み込む(ユーザーはMexican hatのサイズ、4ピクセルを規定する)。結果は、畳み込み画像6である。畳み込み画像6のヒストグラム10を、自動閾値検出を介して作製し、ガウシアン分布とフィットさせて、スポットを表すピクセルについて閾値8を見出す(例えば、3×SD、SDは、フィットしたガウシアン分布の標準偏差である)。畳み込み画像6を、この閾値8で閾値処理し、結果は、閾値処理されたマスクである。一部の斑点を、膨張処理/収縮処理の操作で除去し(例えば、オープンソースコードKatrukha E. 2020, ComDet plugin for ImageJ, v0.5.3, Zenodo, doi:10.5281/zenodo.4281064に記載される通り)、フィルター処理されたマスクをもたらす。前のステップにおいて除去されなかった残りのスポットは、有効であると見なされ、いくつかの連続ピクセルからなる。それらを使用して、「重心x,y」を計算し、得られたマスク(すなわち、重心)を、元の画像2と重ね合わせ、最終画像16を得る。また、これらの残りのスポットを作るピクセルを、積分強度(IntegratedInt)及びNArea値の計算のために使用する。
【0070】
IntegratedIntの値を、表にコピーし、それぞれのスポットについて、取得された異なるカラーチャネルについての値と組み合わせる。この表を使用して、バーコード、及びしたがって標的種を割り当て、それらを、上記で引用されたWoehrsteinらに記載される方法に従って、設計する。最後に、検出される標的種分子の数Ni,detを、事前に決定されたパラメーターfi:ti=Ni,det/fiを使用して、標的種の検出濃度tiに変換する。
生物学的種の濃度が目的のものである場合、それらは、分子種の濃度を前述の較正測定値又はrrnDB(上記で引用)などのデータベースエントリーと組み合わせて使用して、推定することができる。
【0071】
配列番号
<210> 1
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> 16S conserved region
<400> 1
AAACTCAAAGGAATTGACGGGG 22
<210> 2
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> 16S primer
<400> 2
CCCCGTCAATTCCTTTGAGTTT 22
<210> 3
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Surface Strand, 5’modification: biotin
<400> 3
gaatcggtca cagtacaacc g 21
<210> 4
<211> 45
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> capture adapter
<400> 4
CCCCGTCAATTCCTTTGAGTTTtttggttgtactg tgaccgattc 45
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロバイオーム分析を行うための方法であって、
a)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、第1の濃度の第1の標的種及び第1の標的種とは異なる第2の濃度の第2の標的種を含み、
第1の標的種が、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの第1の要素を示し、第2の標的種が、マイクロバイオームの第2の要素を示し、
第2の濃度が、第1の濃度よりも高い、
ステップ;
b)一次試料に由来する2個以上の二次試料を準備するステップであり、2個以上の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料
を含み、及び
中間希釈二次試料を含まないか又は1個
若しくは複数の中間希釈二次試料を含み、
少なくとも2個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
c)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された第1の蛍光標識を、最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された第2の蛍光標識を、最低希釈二次試料ではなく最高希釈二次試料に提供するステップ;
d)d1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、対応する二次試料における第1及び第2の蛍光標識をカウントするステップ;
d2)ステップd1)の結果及び対応する二次試料の希釈から第1の標的種と第2の標的種の比を計算するステップ
に従って、第1及び第2の標的種を分析するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
ステップc)が、
c1)二次試料を対応するカバースリップ領域に適用するステップであって、カバースリップ領域が、対応する二次試料に従って、以下の方法:
c1.1)それぞれのカバースリップ領域が、第1及び第2の標的種の非特異的結合に対して、及び
蛍光標識の非特異的結合に対して不活性化される;
c1.2)それぞれのカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した固定化分子でカバーされ、固定化分子が、第1及び第2の標的種に直接的又は間接的に結合するように構成される
で改変される、ステップ;
c2)
未結合の個々の第1及び第2の標的種をカバースリップ領域から除去するステップ;
c3)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識を最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識を、最低希釈二次試料ではなく最高希釈二次試料に提供するステップ;
c4)
未結合の個々の第1及び第2の蛍光標識をカバースリップ領域から除去するステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
マイクロバイオーム分析を行うための方法であって、
a)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、第1の濃度の第1の標的種及び第1の標的種とは異なる第2の濃度の第2の標的種を含み、
第1の標的種が、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの第1の要素を示し、第2の標的種が、マイクロバイオームの第2の要素を示し、
第2の濃度が、第1の濃度よりも高い、
ステップ;
b)一次試料に由来する2個以上の二次試料を準備するステップであり、2個以上の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料
を含み、及び
中間希釈二次試料を含まないか又は1個
若しくは複数の中間希釈二次試料を含み、
少なくとも2個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
c)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合する第1の蛍光標識を、最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合する第2の蛍光標識を、最高希釈二次試料に提供するステップであって、
最低希釈二次試料において、第1の標的種が、分析のために固定化され、第2の標的種が、分析のために固定化されず、
最高希釈二次試料において、第2の標的が、分析のために固定化され、
第1の標的が、分析のために固定化されない、
ステップ;
d)d1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、それぞれの二次試料における第1及び第2の蛍光標識をカウントするステップ;
d2)ステップd1)の結果及び対応する二次試料の希釈から第1の標的種と第2の標的種の比を計算するステップ
に従って、第1及び第2の標的種を分析するステップ
を含む、方法。
【請求項4】
ステップc)が、
c1)二次試料を対応するカバースリップ領域に適用するステップであって、カバースリップ領域が、対応する二次試料に従って、以下の方法:
c1.1)それぞれのカバースリップ領域が、第1及び第2の標的種の非特異的結合に対して、及び
蛍光標識の非特異的結合に対して不活性化される;
c1.2)最低希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第1の固定化分子でカバーされ、第1の固定化分子が、第1の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成される;
c1.3)最高希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第2の固定化分子でカバーされ、第2の固定化分子が、第2の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成される;
で改変される、ステップ;
c2)
未結合の個々の第1及び第2の標的種をカバースリップ領域から除去するステップ;
c3)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識を最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識を、最高希釈二次試料に提供するステップ、及び
第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識を、最低希釈二次試料に提供しないステップ;
c4)
未結合の個々の第1及び第2の蛍光標識をカバースリップ領域から除去するステップ
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第1の希釈係数閾値を事前に決定するステップ
を含み、ステップc1)が、カバースリップ領域を改変するための以下の条件:
c1.4)中間希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第1及び
第2の固定化分子
の一方又は両方でカバーされ、第1の希釈係数閾値よりも大きい希釈係数を有する二次試料に対応するカバースリップ領域が、第1の固定化分子でカバーされない
、
を含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
第2の希釈係数閾値を事前に決定するステップ
を含み、ステップc1)が、カバースリップ領域を改変するための以下の条件:
c1.5)中間希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第1及び
第2の固定化分子
の一方又は両方でカバーされ、第2の希釈係数閾値に等しい又はそれよりも小さい希釈係数を有する二次試料に対応するカバースリップ領域が、第2の固定化分子でカバーされない、
を含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
第3の希釈係数閾値を事前に決定するステップ
を含み、第3の希釈係数閾値よりも大きい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識とともに提供され、第3の希釈係数閾値に等しい又はそれよりも小さい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識とともに提供され
ない、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
第4の希釈係数閾値を事前に決定するステップ
を含み、第4の希釈係数閾値に等しい又はそれよりも小さい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識とともに提供され、
第3の希釈係数閾値よりも大きい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識とともに提供されない、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
第1、第2
、第3
及び第4の希釈係数閾値
の1個又は組合わせが等しい、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
中間希釈二次試料の数
及び希釈の一方又は両方が、予想される第1及び予想される第2の濃度
並びに
予想される第1及び第2の濃度の比
の一方又は両方に適応される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
第1の蛍光標識及び
第2の蛍光標識
の一方又は両方が、少なくとも1種の蛍光色素を有する少なくとも1つのDNAナノ構造体を含む、請求項1~
10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
第1の標的種が、第1の核酸
を含み、第1の核酸が、第1の核酸に特異的な配列部分S1を含み、第1の蛍光標識が、配列部分S1に少なくとも部分的に相補的な配列部分S3を含
み;及び
第2の標的種が、第2の核酸
を含み、第2の核酸が、第2の核酸に特異的な配列部分S2を含み、第2の蛍光標識が、配列部分S2に少なくとも部分的に相補的な配列部分S4を含む、請求項1~
11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
第1の標的種が、第1の核酸を含み、第1の核酸が、第1の核酸に特異的な配列部分S1を含み、第1の蛍光標識が、配列部分S1に少なくとも部分的に相補的な配列部分S3を含み;
第2の標的種が、第2の核酸を含み、第2の核酸が、第2の核酸に特異的な配列部分S2を含み、第2の蛍光標識が、配列部分S2に少なくとも部分的に相補的な配列部分S4を含み;
固定化分子が、オリゴヌクレオチドを含み、対応する標的種への特異的結合が、オリゴヌクレオチド及び対応する標的種において少なくとも部分的に相補的な配列部分のハイブリダイゼーションを介して起こり;
固定化分子が、第1及び第2の標的種の両方に結合するように構成された1種のオリゴヌクレオチドを含む、請求項1又は2
に記載の方法。
【請求項14】
固定化分子が、オリゴヌクレオチドを含み、対応する標的種への特異的結合が、オリゴヌクレオチド及び対応する標的種において少なくとも部分的に相補的な配列部分のハイブリダイゼーションを介して起こり、固定化分子が、第2の標的種ではなく第1の標的種に結合するように構成された第1のオリゴヌクレオチド、及び第1の標的種ではなく第2の標的種に結合するように構成された第2のオリゴヌクレオチドを含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
第2の標的種に結合した場合の第2の蛍光標識が、第1の標的種に結合した場合の第1の標識から、蛍光顕微鏡分析において識別可能である、請求項1~
14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
マイクロバイオーム分析を行うための方法であって、
A)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、個々の濃度
のm個の標的種を含み、m個の標的種のそれぞれが、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの要素を示す、ステップ;
B)一次試料に由来するu個の二次試料を準備するステップであり、u個の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料
を含み、及び
中間希釈二次試料を含まないか、又は1個
若しくは複数の中間希釈二次試料を含み、
u個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
C)それぞれの二次試料について、
C1)1個又は複数の標的種を個々の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された対応する蛍光標識を提供することによって、分析のために調製されたm個の標的種中の1個又は複数の標的種であって、異なる標的種に対応する蛍光標識が、蛍光顕微鏡分析において識別可能である、標的種、及び
C2)1個又は複数の標的種を個々の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、ステップC1)において選択された1個又は複数の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された対応する蛍光標識
を選択するステップ;
D)個々の標的種を選択された蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、選択された蛍光標識を、ステップC)において選択された対応する二次試料に提供するステップ;
E)E1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、対応する二次試料における蛍光標識をカウントするステップ;
E2)ステップE1)の結果及び対応する二次試料の希釈からm個の標的種の比を計算するステップ
に従って、m個の標的種を分析するステップ
を含む、方法。
【請求項17】
マイクロバイオーム分析を行うための方法であって、
A)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、個々の濃度
のm個の標的種を含み、m個の標的種のそれぞれが、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの要素を示す、ステップ;
B)一次試料に由来するu個の二次試料を準備するステップであり、u個の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料
を含み、及び
中間希釈二次試料を含まないか又は1個
若しくは複数の中間希釈二次試料を含み、
u個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
C)それぞれの二次試料について、
C1)固定化によって分析のために調製されたm個の標的種中の1個又は複数の標的種、及び
C2)1個又は複数の標的種を個々の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、ステップC1)において選択された1個又は複数の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された対応する蛍光標識であって、異なる標的種に対応する蛍光標識が、蛍光顕微鏡分析において識別可能である、対応する蛍光標識
を選択するステップ;
D)二次試料を、
D1)標的種を、ステップC1)における選択に従って固定化するステップ、
D2)個々の標的種を選択された蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、選択された蛍光標識を、ステップC)において選択された対応する二次試料に提供するステップ
によって調製するステップ;
E)E1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、対応する二次試料における蛍光標識をカウントするステップ;
E2)ステップE1)の結果及び対応する二次試料の希釈からm個の標的種の比を計算するステップ
に従って、m個の標的種を分析するステップ
を含む、方法。
【請求項18】
ステップC1)における標的種の選択が、最小検出手順及び
最大検出手順
の一方又は両方に従って行われる、
請求項
16または17に記載の方法。
【請求項19】
*蛍光顕微鏡
*少なくとも2個のカバースリップ領域を有する少なくとも1個の試料キャリア
*分析される1個又は複数の試料
*プロセッサ
を含むシステムであって、
システムが、
請求項1~
18のいずれか1項に記載の方法を行うように構成されている、
システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
IntegratedIntの値を、表にコピーし、それぞれのスポットについて、取得された異なるカラーチャネルについての値と組み合わせる。この表を使用して、バーコード、及びしたがって標的種を割り当て、それらを、上記で引用されたWoehrsteinらに記載される方法に従って、設計する。最後に、検出される標的種分子の数Ni,detを、事前に決定されたパラメーターfi:ti=Ni,det/fiを使用して、標的種の検出濃度tiに変換する。
生物学的種の濃度が目的のものである場合、それらは、分子種の濃度を前述の較正測定値又はrrnDB(上記で引用)などのデータベースエントリーと組み合わせて使用して、推定することができる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕マイクロバイオーム分析を行うための方法であって、
a)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、第1の濃度の第1の標的種及び第1の標的種とは異なる第2の濃度の第2の標的種を含み、
第1の標的種が、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの第1の要素を示し、第2の標的種が、マイクロバイオームの第2の要素を示し、
第2の濃度が、第1の濃度よりも高い、
ステップ;
b)一次試料に由来する2個以上の二次試料を準備するステップであり、2個以上の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料、及び任意に1個又は複数の中間希釈二次試料を含み、
少なくとも2個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
c)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された第1の蛍光標識を、最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された第2の蛍光標識を、最低希釈二次試料ではなく最高希釈二次試料に提供するステップ;
d)d1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、対応する二次試料における第1及び第2の蛍光標識をカウントするステップ;
d2)ステップd1)の結果及び対応する二次試料の希釈から第1の標的種と第2の標的種の比を計算するステップ
に従って、第1及び第2の標的種を分析するステップ
を含む、方法。
〔2〕ステップc)が、
c1)二次試料を対応するカバースリップ領域に適用するステップであって、カバースリップ領域が、対応する二次試料に従って、以下の方法:
c1.1)それぞれのカバースリップ領域が、第1及び第2の標的種の非特異的結合に対して、及び任意に蛍光標識の非特異的結合に対して不活性化される;
c1.2)それぞれのカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した固定化分子でカバーされ、固定化分子が、第1及び第2の標的種に直接的又は間接的に結合するように構成される
で改変される、ステップ;
c2)任意に、未結合の個々の第1及び第2の標的種をカバースリップ領域から除去するステップ;
c3)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識を最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識を、最低希釈二次試料ではなく最高希釈二次試料に提供するステップ;
c4)任意に、未結合の個々の第1及び第2の蛍光標識をカバースリップ領域から除去するステップ
を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕マイクロバイオーム分析を行うための方法であって、
a)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、第1の濃度の第1の標的種及び第1の標的種とは異なる第2の濃度の第2の標的種を含み、
第1の標的種が、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの第1の要素を示し、第2の標的種が、マイクロバイオームの第2の要素を示し、
第2の濃度が、第1の濃度よりも高い、
ステップ;
b)一次試料に由来する2個以上の二次試料を準備するステップであり、2個以上の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料、及び任意に1個又は複数の中間希釈二次試料を含み、
少なくとも2個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
c)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合する第1の蛍光標識を、最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合する第2の蛍光標識を、最高希釈二次試料に提供するステップであって、
最低希釈二次試料において、第1の標的種が、分析のために固定化され、第2の標的種が、分析のために固定化されず、
最高希釈二次試料において、第2の標的が、分析のために固定化され、任意に、第1の標的が、分析のために固定化されない、
ステップ;
d)d1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、それぞれの二次試料における第1及び第2の蛍光標識をカウントするステップ;
d2)ステップd1)の結果及び対応する二次試料の希釈から第1の標的種と第2の標的種の比を計算するステップ
に従って、第1及び第2の標的種を分析するステップ
を含む、方法。
〔4〕ステップc)が、
c1)二次試料を対応するカバースリップ領域に適用するステップであって、カバースリップ領域が、対応する二次試料に従って、以下の方法:
c1.1)それぞれのカバースリップ領域が、第1及び第2の標的種の非特異的結合に対して、及び任意に蛍光標識の非特異的結合に対して不活性化される;
c1.2)最低希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第1の固定化分子でカバーされ、第1の固定化分子が、第1の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成される;
c1.3)最高希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第2の固定化分子でカバーされ、第2の固定化分子が、第2の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成される;
で改変される、ステップ;
c2)任意に、未結合の個々の第1及び第2の標的種をカバースリップ領域から除去するステップ;
c3)第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識を最低希釈二次試料に提供するステップ、及び第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識を、最高希釈二次試料に提供するステップ、及び任意に、第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識を、最低希釈二次試料に提供しないステップ;
c4)任意に、未結合の個々の第1及び第2の蛍光標識をカバースリップ領域から除去するステップ
を含む、前記〔3〕に記載の方法。
〔5〕第1の希釈係数閾値を事前に決定するステップであって、ステップc1)が、カバースリップ領域を改変するための以下の条件:
c1.4)中間希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第1及び/又は第2の固定化分子でカバーされ、第1の希釈係数閾値よりも大きい希釈係数を有する二次試料に対応するカバースリップ領域が、第1の固定化分子でカバーされない
を含む、ステップを含む、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の方法。
〔6〕第2の希釈係数閾値を事前に決定するステップであって、ステップc1)が、カバースリップ領域を改変するための以下の条件:
c1.5)中間希釈二次試料に対応するカバースリップ領域が、カバースリップに直接的又は間接的に結合した第1及び/又は第2の固定化分子でカバーされ、第2の希釈係数閾値に等しい又はそれよりも小さい希釈係数を有する二次試料に対応するカバースリップ領域が、第2の固定化分子でカバーされない、
任意に、第2の希釈係数閾値が、第1の希釈係数閾値に等しい
を含む、ステップを含む、前記〔4〕~〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
〔7〕第3の希釈係数閾値を事前に決定するステップであって、第3の希釈係数閾値よりも大きい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識とともに提供され、第3の希釈係数閾値に等しい又はそれよりも小さい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第2の標的種を第2の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第2の蛍光標識とともに提供されず;任意に、第3の希釈係数閾値が、第1及び/又は第2の希釈係数閾値に等しい、ステップを含む、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の方法。
〔8〕第4の希釈係数閾値を事前に決定するステップであって、第4の希釈係数閾値に等しい又はそれよりも小さい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識とともに提供され、任意に、第3の希釈係数閾値よりも大きい希釈係数を有する中間希釈二次試料が、第1の標的種を第1の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、第1の蛍光標識とともに提供されない、ステップを含む、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の方法。
〔9〕第4の希釈係数閾値が、第1、第2及び/又は第3の希釈係数閾値に等しい、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の方法。
〔10〕中間希釈二次試料の数が、予想される第1及び予想される第2の濃度に、並びに/又は予想される第1及び第2の濃度の比に適応される、前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の方法。
〔11〕二次試料の希釈が、予想される第1及び予想される第2の濃度に、並びに/又は予想される第1及び予想される第2の濃度の比に適応される、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の方法。
〔12〕第1の標的種が、分析のために調製され、1個又は複数の中間希釈二次試料において分析される、前記〔1〕~〔11〕のいずれか1項に記載の方法。
〔13〕第2の標的種が、分析のために調製され、1個又は複数の中間希釈二次試料において分析される、前記〔1〕~〔12〕のいずれか1項に記載の方法。
〔14〕カバースリップ領域が、流体操作デバイス、好ましくはマイクロ流体デバイスに含まれ、それぞれのカバースリップ領域が、対応する流体反応区画、好ましくはマイクロ流体反応区画を少なくとも部分的に規定し、それぞれの反応区画が、入口を含み;対応するカバースリップ領域への二次試料の適用及び/又はDNAナノ構造体の適用が、個々の入口を介して行われる、前記〔1〕~〔13〕のいずれか1項に記載の方法。
〔15〕第1の蛍光標識及び/又は第2の蛍光標識が、少なくとも1種の蛍光色素を有する少なくとも1つのDNAナノ構造体を含む、前記〔1〕~〔14〕のいずれか1項に記載の方法。
〔16〕第1の標的種が、第1の核酸、好ましくは第1の16S-rRNAを含み、第1の核酸が、第1の核酸に特異的な配列部分S1を含み、第1の蛍光標識が、配列部分S1に少なくとも部分的に相補的な配列部分S3を含む、前記〔1〕~〔15〕のいずれか1項に記載の方法。
〔17〕第2の標的種が、第2の核酸、好ましくは第2の16S-rRNAを含み、第2の核酸が、第2の核酸に特異的な配列部分S2を含み、第2の蛍光標識が、配列部分S2に少なくとも部分的に相補的な配列部分S4を含む、前記〔1〕~〔16〕のいずれか1項に記載の方法。
〔18〕固定化分子が、オリゴヌクレオチドを含み、対応する標的種への特異的結合が、オリゴヌクレオチド及び対応する標的種において少なくとも部分的に相補的な配列部分のハイブリダイゼーションを介して起こる、前記〔16〕~〔17〕のいずれか1項に記載の方法。
〔19〕固定化分子が、第1及び第2の標的種の両方に結合するように構成された1種のオリゴヌクレオチドを含む、前記〔1〕又は〔2〕に直接的又は間接的に従属する前記〔18〕に記載の方法。
〔20〕固定化分子が、第2の標的種ではなく第1の標的種に結合するように構成された第1のオリゴヌクレオチド、及び第1の標的種ではなく第2の標的種に結合するように構成された第2のオリゴヌクレオチドを含む、前記〔18〕に記載の方法。
〔21〕第2の標的種に結合した場合の第2の蛍光標識が、第1の標的種に結合した場合の第1の標識から、蛍光顕微鏡分析において識別可能である、前記〔1〕~〔20〕のいずれか1項に記載の方法。
〔22〕マイクロバイオーム分析を行うための方法であって、
A)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、個々の濃度c
i
のm個の標的種を含み、m個の標的種のそれぞれが、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの要素を示す、ステップ;
B)一次試料に由来するu個の二次試料を準備するステップであり、u個の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料、及び任意に1個又は複数の中間希釈二次試料を含み、
u個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
C)それぞれの二次試料について、
C1)1個又は複数の標的種を個々の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された対応する蛍光標識を提供することによって、分析のために調製されたm個の標的種中の1個又は複数の標的種であって、異なる標的種に対応する蛍光標識が、蛍光顕微鏡分析において識別可能である、標的種、及び
C2)1個又は複数の標的種を個々の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、ステップC1)において選択された1個又は複数の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された対応する蛍光標識
を選択するステップ;
D)個々の標的種を選択された蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、選択された蛍光標識を、ステップC)において選択された対応する二次試料に提供するステップ;
E)E1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、対応する二次試料における蛍光標識をカウントするステップ;
E2)ステップE1)の結果及び対応する二次試料の希釈からm個の標的種の比を計算するステップ
に従って、m個の標的種を分析するステップ
を含む、方法。
〔23〕マイクロバイオーム分析を行うための方法であって、
A)マイクロバイオーム試料に由来する一次試料を準備するステップであり、一次試料が、個々の濃度c
i
のm個の標的種を含み、m個の標的種のそれぞれが、マイクロバイオーム試料のマイクロバイオームの要素を示す、ステップ;
B)一次試料に由来するu個の二次試料を準備するステップであり、u個の二次試料が、少なくとも最高希釈二次試料、最低希釈二次試料、及び任意に1個又は複数の中間希釈二次試料を含み、
u個の二次試料が、異なる希釈を有し、
最低希釈二次試料が、希釈又は未希釈の一次試料であり得る、
ステップ;
C)それぞれの二次試料について、
C1)固定化によって分析のために調製されたm個の標的種中の1個又は複数の標的種、及び
C2)1個又は複数の標的種を個々の蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、ステップC1)において選択された1個又は複数の標的種に直接的又は間接的に特異的に結合するように構成された対応する蛍光標識であって、異なる標的種に対応する蛍光標識が、蛍光顕微鏡分析において識別可能である、対応する蛍光標識
を選択するステップ;
D)二次試料を、
D1)標的種を、ステップC1)における選択に従って固定化するステップ、
D2)個々の標的種を選択された蛍光標識で標識するのを可能にする条件下、選択された蛍光標識を、ステップC)において選択された対応する二次試料に提供するステップ
によって調製するステップ;
E)E1)蛍光顕微鏡分析を用いて二次試料を画像化し、対応する二次試料における蛍光標識をカウントするステップ;
E2)ステップE1)の結果及び対応する二次試料の希釈からm個の標的種の比を計算するステップ
に従って、m個の標的種を分析するステップ
を含む、方法。
〔24〕ステップC1)における標的種の選択が、最小検出手順及び/又は最大検出手順に従って行われる、
前記〔22〕~〔23〕のいずれか1項に記載の方法。
〔25〕
*
蛍光顕微鏡
*
少なくとも2個のカバースリップ領域を有する少なくとも1個の試料キャリア
*
分析される1個又は複数の試料
*
プロセッサ
を含むシステムであって、
システムが、好ましくは自動で、前記〔1〕~〔24〕のいずれか1項に記載の方法を行うように構成されている、
システム。
【国際調査報告】