(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ポリペプチドライブラリーを生成および分析する方法、システムおよび組成物
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6811 20180101AFI20240703BHJP
C12Q 1/6804 20180101ALI20240703BHJP
C40B 40/08 20060101ALI20240703BHJP
C40B 40/10 20060101ALI20240703BHJP
C12Q 1/6837 20180101ALI20240703BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240703BHJP
C07K 17/00 20060101ALI20240703BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240703BHJP
C40B 30/04 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
C12Q1/6811 Z
C12Q1/6804 Z
C40B40/08
C40B40/10
C12Q1/6837 Z
C12N15/09 200
C07K17/00
C07K16/46
C40B30/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023577679
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 US2022033437
(87)【国際公開番号】W WO2022266100
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523032526
【氏名又は名称】プロティリオン・バイオサイエンシズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】レイトン,カーティス・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】バイデャナサン,パバナプレサン・プシュパギリ
(72)【発明者】
【氏名】ゴトリク,マイケル・ロイ
【テーマコード(参考)】
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA05
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ46
4B063QQ53
4B063QQ79
4B063QR33
4B063QR36
4B063QR48
4B063QR82
4B063QS15
4B063QS33
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045AA40
4H045BA41
4H045BA60
4H045DA76
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
ポリペプチドの分析およびポリペプチドライブラリーの生成のための方法、システムおよび組成物が開示される。ポリペプチドライブラリーの分析は、特定の特徴を有するポリペプチドを生成するために使用され得る。高い親和性を有する抗体は、開示される方法、システムおよび組成物を使用して生成され得る。
【選択図】
図1-2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最適化されたポリペプチドを同定するためのハイスループットな方法であって、
(a)バリアントポリペプチドの第1のライブラリーをコードするポリヌクレオチドの第1のライブラリーを提供するステップ;
(b)バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの前記第1のライブラリーを処理するステップであって、前記バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの前記第1のライブラリーに付着するステップ;
(c)バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーの少なくとも一部の平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間を含む1つまたは複数の特徴を同定するステップ;
(d)(c)において同定された1つまたは複数の特徴に少なくとも基づいて選択されるバリアントポリペプチドの第2のライブラリーをコードするポリヌクレオチドの第2のライブラリーを提供するステップ;
(e)バリアントポリペプチドの前記第2のライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの前記第2のライブラリーを処理するステップであって、前記バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの前記第2のライブラリーに付着するステップ;および
(f)バリアントポリペプチドの前記第2のライブラリーを分析し、最適化されたデータを作成するステップ
を含む方法。
【請求項2】
ポリペプチドの特徴を測定するためのハイスループットな方法であって、
(a)固体表面に付着したポリヌクレオチドの第1のライブラリーを提供するステップであって、ポリヌクレオチドの前記ライブラリーがバリアントポリペプチドのライブラリーをコードするステップ;
(b)バリアントポリペプチドの前記ライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの前記ライブラリーを処理するステップであって、前記バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの前記ライブラリーに付着するステップ;および
(c)バリアントポリペプチドの前記ライブラリーの少なくとも一部の平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間を含む1つまたは複数の特徴を同定するステップ
を含む方法。
【請求項3】
複数のポリペプチドをスクリーニングするためのハイスループットな方法であって、
(a)バリアントポリペプチドのライブラリーをコードするポリヌクレオチドの第1のライブラリーを提供するステップであって、バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーが、アミノ酸残基が20種の異なるアミノ酸のセットから選択される1つのアミノ酸で置換されているすべての単一アミノ酸バリアントの少なくとも90%を含むステップ;
(b)バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの前記第1のライブラリーを処理するステップであって、前記バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの前記第1のライブラリーに付着するステップ;および
(c)バリアントポリペプチドの第1のライブラリーのポリペプチドの1つまたは複数の特徴を同定するステップ
を含む方法。
【請求項4】
複数のポリペプチドをスクリーニングするためのハイスループットな方法であって、
(a)バリアントポリペプチドの第1のライブラリーをコードするポリヌクレオチドの第1のライブラリーを提供するステップであって、バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーが参照ポリペプチド中の所与の参照配列についての可能な単一ヌクレオチドバリアントの少なくとも90%に対応する単一アミノ酸バリアントポリペプチドを含み、所与の単一アミノ酸バリアントについて、アミノ酸残基が20種の異なるアミノ酸のセットから選択される別のアミノ酸で置換されているステップ;
(b)バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの前記第1のライブラリーを処理するステップであって、前記バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの前記第1のライブラリーに付着するステップ;および
(c)バリアントポリペプチドの第1のライブラリーのポリペプチドの1つまたは複数の特徴を同定するステップ
を含む方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数の特徴が、バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーの少なくとも一部の平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間を含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
(d)(c)において同定された1つまたは複数の特徴に少なくとも基づいて選択されるバリアントポリペプチドの第2のライブラリーをコードするポリヌクレオチドの第2のライブラリーを提供するステップ;(e)バリアントポリペプチドの前記第2のライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの前記第2のライブラリーを処理するステップであって、前記バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの前記第2のライブラリーに付着するステップ;および(f)バリアントポリペプチドの前記第2のライブラリーを分析し、最適化されたデータを作成するステップをさらに含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(g)前記最適化されたデータに基づいて最適化されたポリペプチドを同定するステップをさらに含む、請求項1または6に記載の方法。
【請求項8】
前記ハイスループットな方法が、細胞を含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ポリヌクレオチドの前記第1のライブラリーが、デオキシリボ核酸分子のライブラリーである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記平衡結合定数が、解離定数(K
d)である、請求項1、2および5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記平衡結合定数が、会合定数(K
a)である、請求項1、2および5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記動力学的結合定数が、会合速度定数(k
on)である、請求項1、2および5~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記動力学的結合定数が、解離速度定数(k
off)である、請求項1、2および5~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記タンパク質安定性測定値が、タンパク質融解温度(T
m)である、請求項1、2および5~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記タンパク質安定性測定値が、化学的変性剤の変性中点濃度(C
m)である、請求項1、2および5~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
(d)において、バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーから負の変種、正の変種および中性の変種を同定するステップをさらに含む、請求項1、2および5~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記中性の変種が、出発ポリペプチドの解離定数より0.25倍より大きく2倍未満の解離定数を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記正の変種が、出発ポリペプチドの解離定数の0.25倍以下の解離定数を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記負の変種が、出発ポリペプチドの解離定数の2倍以上の解離定数を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーが、アミノ酸残基がアミノ酸のセットから選択される1つのアミノ酸で置換されている単一アミノ酸バリアントを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
アミノ酸の前記セットが、10種の異なるアミノ酸を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
アミノ酸の前記セットが、20種の異なるアミノ酸を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
アミノ酸の前記セットが、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーが、出発ポリペプチドのバリアントおよび前記出発ポリペプチドからなる、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーが、相互作用するアミノ酸対の二重アミノ酸バリアントを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
相互作用するアミノ酸対の前記二重アミノ酸バリアントが、前記相互作用するアミノ酸対のアミノ酸残基が20種すべてのアミノ酸で置換されているバリアントを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記相互作用するアミノ酸対が、前記元のポリペプチドの結晶構造を通じて同定される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記相互作用するアミノ酸対が、ポリペプチド間相互作用およびポリペプチド内相互作用を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーが、各位置での単一アミノ酸挿入を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーが、単一アミノ酸欠失を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーが、二重アミノ酸欠失を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーが、三重アミノ酸欠失を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーが、少なくとも4個のアミノ酸欠失を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーを分析するステップが、バリアントポリヌクレオチドの前記第1のライブラリーのポリヌクレオチドを転写するステップおよび翻訳するステップを含み、前記ポリヌクレオチドによってコードされる前記ポリペプチドが前記ポリヌクレオチドに付着する、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間を同定するステップが、バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーに結合アッセイを実施するステップを含む、請求項1、2および5~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間を同定するステップが、ポリヌクレオチドの前記第1のライブラリーを配列決定するステップ、およびポリヌクレオチドの前記第1のライブラリーの配列を前記結合アッセイと関連付けるステップを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記結合アッセイが、バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーの抗原への結合をアッセイするステップを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記結合アッセイが、バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーの1つより多い抗原への結合をアッセイするステップを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記結合アッセイが、バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーの複数の抗原への結合をアッセイするステップを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記複数の抗原の内の2つ以上の抗原に結合するバリアントポリペプチドを同定するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記複数の抗原の内の少なくとも1つの抗原に結合し、前記複数の抗原の内の異なる抗原に結合しないバリアントポリペプチドを同定するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記複数の抗原に結合しないバリアントポリペプチドを同定するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間を同定する前記ステップが、1つより多い標的に対する結合データを作成するステップを含む、請求項1、2および5~38に記載の方法。
【請求項44】
前記第2のライブラリーが、1つより多い標的に対する結合データに少なくとも基づいて生成される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
バリアントポリペプチドの前記第2のライブラリーを処理するステップが、バリアントポリヌクレオチドの前記第2のライブラリーのポリヌクレオチドを転写するステップおよび翻訳するステップを含み、前記ポリヌクレオチドによってコードされる前記ポリペプチドが前記ポリヌクレオチドに付着する、請求項1および6~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記最適化されたポリペプチドを同定する前記ステップが、ポリヌクレオチドの前記第2のライブラリーによってコードされるバリアントポリペプチドの前記第2のライブラリーに結合アッセイを実施するステップを含む、請求項1および6~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間を同定するステップが、ポリヌクレオチドの前記第2のライブラリーを配列決定するステップ、およびポリヌクレオチドの前記第2のライブラリーの配列を前記結合アッセイと関連付けるステップを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
バリアントポリペプチドの前記第2のライブラリーが、少なくとも10
4個のポリペプチドを含む、請求項1および6~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
ポリヌクレオチドの前記第1のライブラリーが、少なくとも10
6個のポリヌクレオチドを含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーが、少なくとも10
4個のポリペプチドを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
48時間未満で実施される、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーが、個別のVHH抗体のライブラリーを含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
バリアントポリペプチドの前記第2のライブラリーが、VHH抗体融合体のライブラリーを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーが、個別の1本鎖可変断片(scFv)のライブラリーを含む、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
バリアントポリペプチドの前記第2のライブラリーが、個別の1本鎖可変断片(scFv)融合体のライブラリーを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
最適化されたポリペプチドを同定するためのハイスループットな方法であって、
(a)第1の複数のポリペプチドへの抗原の結合データを含むデータセットを取得するステップ、および前記データセットに少なくとも一部基づいて複数のポリヌクレオチドを提供するステップ;
(b)固体表面に付着した複数のポリヌクレオチドを提供するステップ;
(c)第2の複数のポリペプチドを産生するように前記複数のポリヌクレオチドを処理するステップ;
(d)抗原を前記第2の複数のポリペプチドに曝露するステップおよび前記第2の複数のポリペプチドの少なくとも1つのポリペプチドの前記抗原との相互作用を検出するステップ;
(e)(i)少なくとも1つのポリペプチドの配列、または(ii)前記少なくとも1つのポリペプチドをコードする対応するポリヌクレオチドの配列、を含む配列データを作成するステップ;
(f)配列データおよび前記検出に少なくとも一部基づいて、複数の融合ポリペプチドを生成するステップであって、前記複数の融合ポリペプチドの内の1つの融合ポリペプチドが、前記抗原に結合することが可能である前記第1の複数のポリペプチドまたは前記第2の複数のポリペプチドのそれぞれからのポリペプチドを含むステップ;ならびに
(g)(a)から(e)を繰り返して、前記最適化されたポリペプチドを同定するステップであって、前記データセットが、前記複数のポリペプチド融合体への抗原の結合データを含むステップ
を含む方法。
【請求項57】
最適化されたポリペプチドを同定するための方法であって、
(a)固体表面に付着した複数のポリヌクレオチドを提供するステップであって、前記複数のポリヌクレオチドが複数の融合ポリペプチドをコードし、前記複数の融合ポリペプチドの内の1つの融合ポリペプチドが2つ以上のドメインを含む、ステップ;
(b)複数の融合ポリペプチドを産生するように前記複数のポリヌクレオチドを処理するステップ;
(c)抗原を前記複数の融合ポリペプチドに曝露するステップおよび前記複数の融合ポリペプチドの少なくとも1つの融合ポリペプチドの前記抗原との相互作用を検出するステップ;
(d)(i)少なくとも1つの融合ポリペプチドの配列、または(ii)前記少なくとも1つの融合ポリペプチドをコードする対応するポリヌクレオチドの配列、を含む配列データを作成するステップ;ならびに
(e)前記配列データ、前記検出、および抗原の複数の単一ドメインポリペプチドへの結合データを含むデータセットに少なくとも一部基づいて、前記抗原に結合することが可能である最適化されたポリペプチドを生成するステップ
を含む方法。
【請求項58】
前記データセットが、前記抗原と相互作用できる前記第1の複数のポリペプチドの内の1つのポリペプチドを同定することによって作成される、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記データセットが、少なくとも、前記抗原を前記第1の複数のポリペプチドに曝露すること、および前記第1の複数のポリペプチドの少なくとも1つのポリペプチドの前記抗原との相互作用を検出することによって作成される、請求項56または58に記載の方法。
【請求項60】
第1の複数のポリペプチドが、(i)複数の第1のポリペプチドをコードする複数の第1のポリヌクレオチドを提供すること;(ii)前記第1の複数のポリヌクレオチドにアニーリングするように構成された、固体表面に付着した複数の第1の捕捉プローブを提供し、複数の捕捉されたポリヌクレオチドを作製すること;(iii)前記第1の複数のポリペプチドを産生するように前記複数の捕捉されたポリヌクレオチドを処理することによって生成される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
第1の複数のポリペプチドに関連するデータが、少なくとも、前記複数の捕捉されたポリヌクレオチドを配列決定することによって作成された配列データを含み、前記複数の捕捉されたポリヌクレオチドが複数のVHHポリヌクレオチドである、請求項56および58~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記複数のポリペプチドの少なくとも1つのポリペプチドの前記抗原との前記相互作用を検出するステップが、前記ポリペプチドの定量的特徴を同定するステップを含む、請求項56~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記ポリペプチドの前記定量的特徴を同定するステップが、1つまたは複数の負の、中性のまたは正の変異を含むものとして前記ポリペプチドを同定するステップをさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記複数の融合ポリペプチドが、前記第1の複数のポリペプチドの前記ポリペプチドのすべての可能な融合対の組合せまたは順列の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%またはこれを超えるものについてのポリペプチドを含む、請求項56および58~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記複数の融合ポリペプチドが、前記第1の複数のポリペプチドの前記ポリペプチドのすべての可能な融合対の組合せまたは順列についてのポリペプチドを含む、請求項56および58~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記データセットが、融合ポリペプチドの1つまたは複数のドメインに対応する単一ドメインポリペプチドに対応するデータを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項67】
前記データセットが、前記抗原と相互作用できる単一ドメインポリペプチドを同定することによって作成される、請求項57または66に記載の方法。
【請求項68】
データセットが、少なくとも、前記抗原を複数の単一ドメインポリペプチドに曝露すること、および前記複数の単一ドメインポリペプチドの少なくとも1つの単一ドメインポリペプチドの前記抗原との相互作用を検出することによって作成される、請求項57および66~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
複数の単一ドメインポリペプチドが、(i)複数の単一ドメインポリペプチドをコードする複数の単一ドメインポリヌクレオチドを提供することであって、前記単一ドメインポリヌクレオチドが固体表面にカップリングされていること;(iii)前記複数の単一ドメインポリヌクレオチドポリペプチドを産生するように前記複数の単一ドメインポリヌクレオチドを処理することによって生成される、請求項57および66~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
データセットが、少なくとも、前記複数の単一ドメインポリヌクレオチドを配列決定することによって作成された配列データを含む、請求項57および66~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記単一ドメインポリペプチドが、VHHを含む、請求項57および66~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記融合ポリペプチドが、VHH-VHH融合体を含む、請求項57および66~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記複数の融合ポリペプチドが、前記複数の単一ドメインポリペプチドの内の1つまたは複数のポリペプチドに対応する配列を含む、請求項57および66~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記複数の融合ペプチドの内の1つの融合ポリペプチドが、前記複数の単一ドメインポリペプチドの内の2つのポリペプチドの配列を含む、請求項57および66~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記複数の融合ポリペプチドが、前記複数の単一ドメインポリペプチドの内の前記単一ドメインポリペプチドのすべての可能な融合対の組合せまたは順列の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%またはこれを超えるものについてのポリペプチドを含む、請求項57および66~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記複数の融合ポリペプチドが、前記複数の単一ドメインポリペプチドの内の前記単一ドメインポリペプチドのすべての可能な融合対の組合せまたは順列についてのポリペプチドを含む、請求項57および66~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記複数の単一ドメインポリペプチドが、単一点変異によって異なる複数の単一ドメインポリペプチドを含む、請求項57および66~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記複数の単一ドメインポリペプチドが、結合界面での単一点変異によって異なる複数の単一ドメインポリペプチドを含む、請求項57および66~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記複数の単一ドメインポリペプチドが、CDR中の単一点変異によって異なる複数の単一ドメイン抗体断片を含む、請求項57および66~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記複数の単一ドメインポリペプチドが、所与の残基において異なるアミノ酸がコードされている複数の20種のポリペプチドを含む、請求項57および66~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記複数の単一ドメインポリペプチドの少なくとも1つの単一ドメインポリペプチドの前記抗原との前記相互作用を検出するステップが、前記単一ドメインポリペプチドの定量的特徴を同定するステップを含む、請求項57および66~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記ポリペプチドの前記定量的特徴を同定するステップが、1つまたは複数の負の、中性のまたは正の変異を含むものとして前記単一ドメインポリペプチドを同定するステップをさらに含む、請求項57および66~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記複数の融合ポリペプチドの少なくとも1つの融合ポリペプチドの前記抗原との前記相互作用を検出するステップが、前記融合ポリペプチドの定量的特徴を同定するステップを含む、請求項57および66~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記ポリペプチドの前記定量的特徴を同定するステップが、前記融合ポリペプチドを二エピトープ相互作用を含むものとして同定するステップをさらに含む、請求項57および66~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
結合活性が増強された相互作用を含むものとして前記融合ポリペプチドを同定するステップが、前記融合ポリペプチドの前記定量的特徴を第1の単一ドメインまたは第2の単一ドメインの定量的特徴と比較するステップを含み、前記融合ポリペプチドの配列が前記第1の単一ドメインおよび前記第2の単一ドメインの配列を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記結合活性が増強された相互作用が、前記融合ポリペプチドの前記定量的特徴が前記第1の単一ドメインまたは前記第2の単一ドメインの前記定量的特徴を超える場合に同定される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記最適化されたポリペプチドが、結合活性が増強された相互作用を含むものとして同定された前記融合ポリペプチドの追加の変異を含み、前記変異が前記抗原への前記融合ポリペプチドの結合親和性を向上させる、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
複数の単一ドメインポリペプチドへの抗原の結合データを含む前記データが、(c)または(d)が実施されるのと同時に取得される、請求項57および66~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
複数の単一ドメインポリペプチドへの抗原の結合データを含む前記データが(a)に先立って取得され、固体支持体に付着している前記複数のポリヌクレオチドを提供する前記ステップが前記データセットに少なくとも一部基づく、請求項57および66~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記複数の融合ポリペプチドが、前記抗原への中程度の親和性を有する単一ドメインポリペプチドの配列を含む、請求項57および66~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記複数の融合ポリペプチドが、前記抗原への最小限の親和性を有するか、または親和性を有しない単一ドメインポリペプチドの配列を含む、請求項57および66~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
最小限の親和性を有するか、または親和性を有しない単一ドメインポリペプチドの前記配列が、前記抗原に結合することが可能である単一ドメインポリペプチドと実質的に同様のサイズまたは長さを有する、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
最小限の親和性を有するか、または親和性を有しない単一ドメインポリペプチドの前記配列が、前記抗原に結合することが可能である単一ドメインポリペプチドとサイズまたは長さにおいて10%以下の差異を有する、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記複数の単一ドメインポリペプチドの単一ドメインポリペプチドが、N末端リンカーまたはC末端スペーサーを含む、請求項57および66~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記複数の単一ドメインポリペプチドの単一ドメインポリペプチドが、N末端リンカーおよびC末端スペーサーを含む、請求項57および66~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記複数の単一ドメインポリペプチドが、複数の異なるN末端リンカー配列および異なるC末端スペーサー配列を含む、請求項57および66~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記データセットが、公開データベースにおけるデータ由来である、請求項56~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記融合ポリペプチドが、ポリペプチド-Fc融合体である、請求項56~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記ポリペプチド-Fc融合体が、前記抗原に結合することが可能である抗体断片結晶化領域(Fc領域)を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記融合ポリペプチドが、キメラ抗原受容体を含む、請求項56~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記融合ポリペプチドが、VHHナノボディを含む、請求項56~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記融合ポリペプチドが、二価VHHナノボディの対を含む、請求項56~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記融合ポリペプチドが、二エピトープVHHナノボディの対を含む、請求項56~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記融合ポリペプチドが、多価VHHナノボディを含む、請求項56~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記融合ポリペプチドが、融合ポリペプチドの第1のドメインと融合ポリペプチドの第2のドメインとを繋ぐリンカーを含む、請求項56~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記第1のドメインが、VHHを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記第2のドメインが、VHHを含む、請求項105または106に記載の方法。
【請求項108】
前記第1のドメインが第1のVHHを含み、前記第2のドメインが第2のVHHを含む、請求項105~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記第1のVHHおよび前記第2のVHHが同じ抗原に結合する、請求項105~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記同じ抗原が、ポリペプチド、脂質もしくは炭水化物または細胞を含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記リンカーが、少なくとも12アミノ酸を含む、請求項105~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記リンカーが、少なくとも20アミノ酸を含む、請求項105~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記リンカーが、少なくとも30アミノ酸を含む、請求項105~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記リンカーが、正味で正の電荷を有する、請求項105~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記リンカーが、正味で負の電荷を有する、請求項105~113のいずれかに記載の方法。
【請求項116】
前記リンカーが、正味で中性の電荷を有する、請求項105~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記複数のポリヌクレオチドが、少なくとも10
4個のポリヌクレオチドを含む、請求項56~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記最適化されたポリペプチドが、増加した結合活性効果を有する、請求項56~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
(a)に先立って、前記固体表面が、複数の前駆体ポリヌクレオチドにアニーリングするように構成された複数の捕捉オリゴヌクレオチドを含み、前記複数の前駆体ポリヌクレオチドが前記複数の捕捉ヌクレオチドにアニーリングし、それにより固体表面に付着した前記複数のポリヌクレオチドを作製する、請求項56~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
固体表面に付着した前記複数のポリヌクレオチドを作製する前記ステップが、前記複数の前駆体ポリヌクレオチドの増幅または伸長を含む、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記増幅が架橋増幅を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記固体支持体がビーズを含む、請求項56~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記固体支持体が、配列決定フローセルを含む、請求項56~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
(d)が、前記複数のポリヌクレオチドを配列決定するステップを含む、請求項56~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
(e)が、前記複数のポリヌクレオチドの前記配列決定および前記検出から作成された前記配列データに少なくとも一部基づいて前記最適化されたポリペプチドを生成するステップを含む、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記複数の融合ポリペプチドの内の1つの融合ポリペプチドが、N末端リンカーまたはC末端スペーサーを含む、請求項56~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記複数の融合ポリペプチドの内の1つの融合ポリペプチドが、N末端リンカーおよびC末端スペーサーを含む、請求項56~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
融合ポリペプチドが、複数の異なるN末端リンカー配列および異なるC末端スペーサー配列を含む、請求項56~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記最適化されたポリペプチドが、二エピトープポリペプチドを含む、請求項56~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記最適化されたポリペプチドが、三エピトープポリペプチドを含む、請求項56~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記最適化されたポリペプチドが、四エピトープポリペプチドを含む、請求項56~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記最適化されたポリペプチドが、多量体ポリペプチドを含む、請求項56~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記最適化されたポリペプチドが、前記抗原に結合することが可能である2つ以上のドメインを含み、少なくとも2つのドメインが同一である、請求項56~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
前記最適化されたポリペプチドが、前記抗原に結合することが可能である2つ以上のドメインを含み、2つ以上のドメインが互いに異なっている、請求項56~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
二エピトープポリペプチドを同定するための方法であって、
(a)固体表面に付着した複数のポリヌクレオチドを提供するステップであって、前記複数のポリヌクレオチドが複数のVHHポリペプチドをコードするステップ;
(b)前記複数のVHHポリペプチドを産生するように前記複数のポリヌクレオチドを処理するステップ;
(c)抗原を前記複数のポリペプチドに曝露するステップ、および前記複数のVHHポリペプチドの少なくとも1つのVHHポリペプチドの前記抗原との相互作用を検出するステップ;
(d)前記複数のポリヌクレオチドを配列決定するステップ;
(e)固体表面に付着している第2の複数のポリヌクレオチドを提供するステップであって、前記第2の複数のポリヌクレオチドが複数のVHH-VHH融合ポリペプチドをコードするステップ;
(f)複数のVHH-VHH融合ポリペプチドを産生するように前記複数の第2のポリヌクレオチドを処理するステップ;
(g)抗原を前記複数のVHH-VHH融合ポリペプチドに曝露するステップ、および前記複数のVHH-VHH融合ポリペプチドの少なくとも1つのVHH-VHH融合ポリペプチドの前記抗原との相互作用を検出するステップ;
(h)前記第2の複数のポリヌクレオチドを配列決定するステップ;ならびに
(i)(d)および(e)の前記配列決定するステップ、ならびに(c)および(g)の前記検出するステップから作成された配列データに少なくとも一部基づいて、前記抗原に結合することが可能である二エピトープポリペプチドを生成するステップ
を含む方法。
【請求項136】
最適化されたポリペプチドを生成するための方法であって、
(a)固体基板上に提示された複数のポリペプチドを提供するステップであって、前記複数のポリペプチドの内の1つのポリペプチドが結合ドメインおよび、(i)N末端スペーサー、(ii)C末端スペーサーの1つまたは複数を含み、複数のポリペプチドがN末端スペーサー配列とC末端スペーサー配列とのさまざまな組合せを含むポリペプチドを含むステップ;
(b)前記複数のポリペプチドの内の少なくとも2つのポリペプチドのシグナルを観察するステップであって、シグナルが(i)ポリペプチドと抗原との結合相互作用、または(ii)ポリペプチドの物理的特徴に対応するステップ;
(c)前記少なくとも2つのポリペプチドのシグナルを比較するステップ、および標的シグナルを生成するN末端スペーサー配列とC末端スペーサー配列との組合せを決定するステップ
を含む方法。
【請求項137】
前記N末端スペーサーまたはC末端スペーサーが、前記抗原に結合しない、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記標的シグナルが、閾値レベル未満のシグナルを含む、請求項136または137に記載の方法。
【請求項139】
前記標的シグナルが、閾値レベルを超えるシグナルを含む、請求項136~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記標的シグナルが、複数のポリペプチドのシグナルの最も高いシグナルを含む、請求項136~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
前記標的シグナルが、複数のポリペプチドのシグナルの最も低いシグナルを含む、請求項136~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記シグナルが、ポリペプチドの平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間に対応する、請求項136~141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
結合剤の改善された対を発見するための方法であって、
(a)(i)2つのドメインを含む複数のポリペプチドについて測定された定量的結合特徴であって、2つのドメインがモノマードメインのセットから独立に選択され、複数のポリペプチドがモノマーポリペプチドのすべての可能な対を含む定量的結合特徴;および(ii)個別のモノマーポリペプチドとしての、モノマードメインの前記セットの内の各モノマードメインの測定された定量的結合特徴、を含む網羅的データセットを提供するステップ、
(b)(i)および(ii)の値を比較し、個別のモノマーポリペプチド成分のいずれかの結合特徴を有意に上回る定量的結合特徴を示す結合剤の改善された対を含むポリペプチドを同定するステップ
を含む方法。
【請求項144】
結合剤の改善された対が、二エピトープ結合剤である、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
前記網羅的データセットが、個別のモノマーポリペプチドのセットの測定された定量的結合特徴、および個別のモノマーポリペプチドの前記セットのすべての可能なタンダム対の組合せの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%またはこれを超える組合せについての測定された定量的結合特徴を含む、請求項143または144に記載の方法。
【請求項146】
前記網羅的データセットが、個別のモノマーポリペプチドのセットについての測定された定量的結合特徴、および個別のモノマーポリペプチドの前記セットのすべての可能なタンダム対の組合せについての測定された定量的結合特徴を含む、請求項143~145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
親和性および結合活性について最適化されたタンダムポリペプチドを同定するためのハイスループットな方法であって、
(a)モノマーバリアントポリペプチドの第1のライブラリーをコードするポリヌクレオチドの第1のライブラリーを提供するステップ;
(b)バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの前記第1のライブラリーを処理するステップであって、前記バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの前記第1のライブラリーに付着するステップ;
(c)バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーを分析し、データを作成するステップ;
(d)前記データに基づいて、バリアントポリペプチドの前記第1のライブラリーの少なくとも一部の結合親和性を同定するステップ;
(e)第1のライブラリーからの結合データに基づいて第1のライブラリーから、モノマーバリアントポリペプチドの第2のライブラリーをコードする第2のポリヌクレオチドの第2のライブラリーを提供するステップ;
(f)第1のライブラリーに対応するモノマーバリアントポリペプチドのさまざまな組合せを含む、複数のタンデムポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの第3のライブラリーを提供するステップであって、複数のタンデムポリペプチドの内の1つのタンデムポリペプチドが第1のモノマーバリアントポリペプチドおよび第2のモノマーバリアントポリペプチドを含むステップ;
(g)バリアントポリペプチドの前記第2のおよび第3のライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの前記第2のおよび第3のライブラリーを処理するステップであって、前記バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの前記第2のおよび第3のライブラリーに付着するステップ;
(h)バリアントポリペプチドの前記第2のおよび第3のライブラリーを分析し、親和性増強モノマーポリペプチドバリアントおよび結合活性増強タンデムポリペプチドを同定するステップ;ならびに
(i)第2のライブラリーにおいて同定された個別に最適化されたモノマーを第2のライブラリーから発見された結合活性増強タンデム対における対応する位置に置換することによって、前記第2のおよび第3のライブラリーにおいて同定された結合活性および親和性の増強を組み合わせるステップ
を含む方法。
【請求項148】
第3のライブラリーが、第1のモノマーバリアントポリペプチドと第2のモノマーバリアントポリペプチドとの間に異なるリンカーを含む複数のポリペプチドを含む、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
第3のライブラリーが、第1のライブラリーからの結合データに基づくと、参照ポリペプチドと比較して親和性が低下しているモノマーバリアントポリペプチドを含む、請求項147または148に記載の方法。
【請求項150】
固体表面に提示されたポリペプチドのアレイを含む組成物であって、各ポリペプチドがポリペプチドをコードする対応するポリヌクレオチドと共局在しており、前記複数のポリペプチドの内のポリペプチドが第1のドメインおよび第2のドメインを含み、前記第1のドメインおよび第2のドメインがリンカーを介して連結されており、第1のドメインが第1のエピトープに結合し、第2のドメインが第2のエピトープに結合し、第1のエピトープと第2のエピトープとが異なっている、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001]本出願は、その全体が本明細書に参照により組み込まれる、2021年6月15日に出願された米国仮出願第63/210,905号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ポリペプチドは、治療薬などの種々の目的のために使用され得る。指向性進化または選択戦略は、目的のポリペプチドを同定するために使用され得る。タンパク質提示の方法が、指向性進化と併せて使用され得る。指向性進化技術は、目的のポリペプチドをスクリーニングするためにタンパク質提示を使用し得る。指向性進化およびスクリーニング技術は、目的のポリペプチドを同定するには有効であり得るが、配列空間の複雑さおよび配列多様性の不足のために、潜在的に有用なポリペプチドを意図せずに失う可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]多数のポリペプチドの分析のための方法、システムおよび組成物が本明細書において提供される。方法、システムおよび組成物は、特定の特徴を有するポリペプチドの生成を可能にする。方法、システムおよび組成物は、目的のポリペプチドを開発するためにポリヌクレオチドおよびポリペプチドライブラリーならびにポリペプチド提示アプローチを使用し得る。
【0004】
[0004]一態様では、本開示は、最適化されたポリペプチドを同定するためのハイスループットな方法であって、(a)バリアントポリペプチドの第1のライブラリーをコードするポリヌクレオチドの第1のライブラリーを提供するステップ;(b)バリアントポリペプチドの第1のライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの第1のライブラリーを処理するステップであって、バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの第1のライブラリーに付着するステップ;(c)バリアントポリペプチドの第1のライブラリーの少なくとも一部の平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク安定性測定値、酵素活性、分画活性(fractional activity)、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間(maturation time)を含む1つまたは複数の特徴を同定するステップ;(d)(c)において同定された1つまたは複数の特徴に少なくとも基づいて選択されるバリアントポリペプチドの第2のライブラリーをコードするポリヌクレオチドの第2のライブラリーを提供するステップ;(e)バリアントポリペプチドの第2のライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの第2のライブラリーを処理するステップであって、バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの第2のライブラリーに付着するステップ;および(f)バリアントポリペプチドの第2のライブラリーを分析し、最適化されたデータを作成するステップを含む方法を提供する。
【0005】
[0005]別の態様では、本開示は、ポリペプチドの特徴を測定するためのハイスループットな方法であって、(a)固体表面に付着したポリヌクレオチドの第1のライブラリーを提供するステップであって、ポリヌクレオチドのライブラリーがバリアントポリペプチドのライブラリーをコードするステップ;(b)バリアントポリペプチドのライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドのライブラリーを処理するステップであって、バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドのライブラリーに付着するステップ;および(c)バリアントポリペプチドのライブラリーの少なくとも一部の平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間を含む1つまたは複数の特徴を同定するステップを含む方法を提供する。
【0006】
[0006]別の態様では、本開示は、複数のポリペプチドをスクリーニングするためのハイスループットな方法であって、(a)バリアントポリペプチドのライブラリーをコードするポリヌクレオチドの第1のライブラリーを提供するステップであって、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーが、アミノ酸残基が20種の異なるアミノ酸のセットから選択される1つのアミノ酸で置換されているすべての単一アミノ酸バリアントの少なくとも90%を含むステップ;(b)バリアントポリペプチドの第1のライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの第1のライブラリーを処理するステップであって、バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの第1のライブラリーに付着するステップ;および(c)バリアントポリペプチドの第1のライブラリーのポリペプチドの1つまたは複数の特徴を同定するステップを含む方法を提供する。
【0007】
[0007]別の態様では、本開示は、複数のポリペプチドをスクリーニングするためのハイスループットな方法であって、(a)バリアントポリペプチドの第1のライブラリーをコードするポリヌクレオチドの第1のライブラリーを提供するステップであって、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーが参照ポリペプチド中の所与の参照配列についての可能な単一ヌクレオチドバリアントの少なくとも90%に対応する単一アミノ酸バリアントポリペプチドを含み、所与の単一アミノ酸バリアントについて、アミノ酸残基が20種の異なるアミノ酸のセットから選択される別のアミノ酸で置換されているステップ;(b)バリアントポリペプチドの第1のライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの第1のライブラリーを処理するステップであって、バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの第1のライブラリーに付着するステップ;および(c)バリアントポリペプチドの第1のライブラリーのポリペプチドの1つまたは複数の特徴を同定するステップを含む方法を提供する。
【0008】
[0008]一部の実施形態では、1つまたは複数の特徴は、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーの少なくとも一部の平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間を含む。
【0009】
[0009]一部の実施形態では、方法は、(d)(c)において同定された1つまたは複数の特徴に少なくとも基づいて選択されるバリアントポリペプチドの第2のライブラリーをコードするポリヌクレオチドの第2のライブラリーを提供するステップ;(e)バリアントポリペプチドの第2のライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの第2のライブラリーを処理するステップであって、バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの第2のライブラリーに付着するステップ;および(f)バリアントポリペプチドの第2のライブラリーを分析し、最適化されたデータを作成するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、(g)最適化されたデータに基づいて最適化されたポリペプチドを同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、ハイスループットな方法は、細胞を含まない。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドの第1のライブラリーは、デオキシリボ核酸分子のライブラリーである。
【0010】
[0010]一部の実施形態では、平衡結合定数は解離定数(Kd)である。一部の実施形態では、平衡結合定数は会合定数(Ka)である。一部の実施形態では、動力学的結合定数は会合速度定数(kon)である。一部の実施形態では、動力学的結合定数は解離速度定数(koff)である。一部の実施形態では、タンパク質安定性測定値は、タンパク質融解温度(Tm)である。一部の実施形態では、タンパク質安定性測定値は、化学的変性剤の変性中点濃度(midpoint denaturation concentration)(Cm)である。
【0011】
[0011]一部の実施形態では、方法は、(d)において、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーから負の変種、正の変種および中性の変種を同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、中性の変種は、出発ポリペプチドの解離定数より0.25倍より大きく2倍未満の解離定数を有する。一部の実施形態では、正の変種は、出発ポリペプチドの解離定数の0.25倍以下の解離定数を有する。一部の実施形態では、負の変種は、出発ポリペプチドの解離定数の2倍以上の解離定数を有する。
【0012】
[0012]一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーは、アミノ酸残基がアミノ酸のセットから選択される1つのアミノ酸で置換されている単一アミノ酸バリアントを含む。一部の実施形態では、アミノ酸のセットは、10種の異なるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、アミノ酸のセットは、20種の異なるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、アミノ酸のセットは、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンを含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーは、出発ポリペプチドのバリアントおよび出発ポリペプチドからなる。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーは、相互作用するアミノ酸対の二重アミノ酸バリアントを含む。一部の実施形態では、相互作用するアミノ酸対の二重アミノ酸バリアントは、相互作用するアミノ酸対のアミノ酸残基が20種すべてのアミノ酸で置換されているバリアントを含む。一部の実施形態では、相互作用するアミノ酸対は、元のポリペプチドの結晶構造を通じて同定される。一部の実施形態では、相互作用するアミノ酸対は、ポリペプチド間相互作用およびポリペプチド内相互作用を含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーは、各位置での単一アミノ酸挿入を含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーは、単一アミノ酸欠失を含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーは、二重アミノ酸欠失を含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーは、三重アミノ酸欠失を含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーは、少なくとも4個のアミノ酸欠失を含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーを分析するステップは、バリアントポリヌクレオチドの第1のライブラリーのポリヌクレオチドを転写するステップおよび翻訳するステップを含み、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドはポリヌクレオチドに付着する。一部の実施形態では、平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間を同定するステップは、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーに結合アッセイを実施するステップを含む。一部の実施形態では、平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間を同定するステップは、ポリヌクレオチドの第1のライブラリーを配列決定するステップ、およびポリヌクレオチドの第1のライブラリーの配列を結合アッセイと関連付けるステップを含む。一部の実施形態では、結合アッセイは、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーの抗原への結合をアッセイするステップを含む。一部の実施形態では、結合アッセイは、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーの1つより多い抗原への結合をアッセイするステップを含む。一部の実施形態では、結合アッセイは、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーの複数の抗原への結合をアッセイするステップを含む。一部の実施形態では、方法は、複数の抗原の内の2つ以上の抗原に結合するバリアントポリペプチドを同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、複数の抗原の内の少なくとも1つの抗原に結合し、複数の抗原の内の異なる抗原に結合しないバリアントポリペプチドを同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、複数の抗原に結合しないバリアントポリペプチドを同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間を同定するステップは、1つより多い標的に対する結合データを作成するステップを含む。一部の実施形態では、第2のライブラリーは、1つより多い標的に対する結合データに少なくとも基づいて生成される。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第2のライブラリーを処理するステップは、バリアントポリヌクレオチドの第2のライブラリーのポリヌクレオチドを転写するステップおよび翻訳するステップを含み、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドはポリヌクレオチドに付着する。一部の実施形態では、最適化されたポリペプチドを同定するステップは、ポリヌクレオチドの第2のライブラリーによってコードされるバリアントポリペプチドの第2のライブラリーに結合アッセイを実施するステップを含む。一部の実施形態では、平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間を同定するステップは、ポリヌクレオチドの第2のライブラリーを配列決定するステップ、およびポリヌクレオチドの第2のライブラリーの配列を結合アッセイと関連付けるステップを含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第2のライブラリーは、少なくとも104個のポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドの第1のライブラリーは、少なくとも106個のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーは、少なくとも104個のポリペプチドを含む。一部の実施形態では、方法は、48時間未満で実施される。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーは、個別のVHH抗体のライブラリーを含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第2のライブラリーは、VHH抗体融合体のライブラリーを含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーは、個別の1本鎖可変断片(scFv)のライブラリーを含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドの第2のライブラリーは、個別の1本鎖可変断片(scFv)融合体のライブラリーを含む。
【0013】
[0013]別の態様では、本開示は、最適化されたポリペプチドを同定するためのハイスループットな方法であって、(a)第1の複数のポリペプチドへの抗原の結合データを含むデータセットを取得するステップ、およびデータセットに少なくとも一部基づいて複数のポリヌクレオチドを提供するステップ;(b)固体表面に付着した複数のポリヌクレオチドを提供するステップ;(c)第2の複数のポリペプチドを産生するように複数のポリヌクレオチドを処理するステップ;(d)抗原を第2の複数のポリペプチドに曝露するステップおよび第2の複数のポリペプチドの少なくとも1つのポリペプチドと抗原との相互作用を検出するステップ;(e)(i)少なくとも1つのポリペプチドの配列、または(ii)少なくとも1つのポリペプチドをコードする対応するポリヌクレオチドの配列、を含む配列データを作成するステップ;(f)配列データおよび検出に少なくとも一部基づいて、複数の融合ポリペプチドを生成するステップであって、複数の融合ポリペプチドの内の1つの融合ポリペプチドが、抗原に結合することが可能である第1の複数のポリペプチドまたは第2の複数のポリペプチドのそれぞれからのポリペプチドを含むステップ;ならびに(g)(a)から(e)を繰り返して、最適化されたポリペプチドを同定するステップであって、データセットが、複数のポリペプチド融合体への抗原の結合データを含むステップを含む方法を提供する。
【0014】
[0014]別の態様では、本開示は、最適化されたポリペプチドを同定するための方法であって、(a)固体表面に付着した複数のポリヌクレオチドを提供するステップであって、複数のポリヌクレオチドが複数の融合ポリペプチドをコードし、複数の融合ポリペプチドの内の1つの融合ポリペプチドが2つ以上のドメインを含む、ステップ;(b)複数の融合ポリペプチドを産生するように複数のポリヌクレオチドを処理するステップ;(c)抗原を複数の融合ポリペプチドに曝露するステップおよび複数の融合ポリペプチドの少なくとも1つの融合ポリペプチドと抗原との相互作用を検出するステップ;(d)(i)少なくとも1つの融合ポリペプチドの配列、または(ii)少なくとも1つの融合ポリペプチドをコードする対応するポリヌクレオチドの配列、を含む配列データを作成するステップ;ならびに(e)配列データ、検出および抗原の複数の単一ドメインポリペプチドへの結合データを含むデータセットに少なくとも一部基づいて、抗原に結合することが可能である最適化されたポリペプチドを生成するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、データセットは、抗原と相互作用できる第1の複数のポリペプチドの内の1つのポリペプチドを同定することによって作成される。一部の実施形態では、データセットは、少なくとも、抗原を第1の複数のポリペプチドに曝露すること、および第1の複数のポリペプチドの少なくとも1つのポリペプチドと抗原との相互作用を検出することによって作成される。一部の実施形態では、第1の複数のポリペプチドは、少なくとも、(i)複数の第1のポリペプチドをコードする複数の第1のポリヌクレオチドを提供すること;(ii)第1の複数のポリヌクレオチドにアニーリングするように構成された、固体表面に付着した複数の第1の捕捉プローブを提供し、複数の捕捉されたポリヌクレオチドを作製すること;(iii)第1の複数のポリペプチドを産生するように複数の捕捉されたポリヌクレオチドを処理することによって生成される。一部の実施形態では、第1の複数のポリペプチドに関連するデータは、複数の捕捉されたポリヌクレオチドを配列決定することによって作成された配列データを含み、複数の捕捉されたポリヌクレオチドは複数のVHHポリヌクレオチドである。
【0015】
[0015]一部の実施形態では、複数のポリペプチドの少なくとも1つのポリペプチドと抗原との相互作用は、ポリペプチドの定量的特徴を同定するステップを含む。一部の実施形態では、ポリペプチドの定量的特徴を同定するステップは、1つまたは複数の負の、中性のまたは正の変異を含むものとしてポリペプチドを同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、複数の融合ポリペプチドは、第1の複数のポリペプチドのポリペプチドのすべての可能な融合対の組合せまたは順列の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%またはこれを超えるものについてのポリペプチドを含む。一部の実施形態では、複数の融合ポリペプチドは、第1の複数のポリペプチドのポリペプチドのすべての可能な融合対の組合せまたは順列についてのポリペプチドを含む。一部の実施形態では、データセットは、融合ポリペプチドの内の1つまたは複数のドメインに対応する単一ドメインポリペプチドに対応するデータを含む。一部の実施形態では、データセットは、抗原と相互作用できる単一ドメインポリペプチドを同定することによって作成される。一部の実施形態では、データセットは、少なくとも、抗原を複数の単一ドメインポリペプチドに曝露すること、および複数の単一ドメインポリペプチドの少なくとも1つの単一ドメインポリペプチドと抗原との相互作用を検出することによって作成される。一部の実施形態では、複数の単一ドメインポリペプチドは、少なくとも、(i)複数の単一ドメインポリペプチドをコードする複数の単一ドメインポリヌクレオチドを提供することであって、単一ドメインポリヌクレオチドが固体表面にカップリングされていること;(iii)複数の単一ドメインポリヌクレオチドポリペプチドを産生するように複数の単一ドメインポリヌクレオチドを処理することによって生成される。一部の実施形態では、データセットは、複数の単一ドメインポリヌクレオチドを配列決定することによって作成された配列データを含む。一部の実施形態では、単一ドメインポリペプチドは、VHHを含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、VHH-VHH融合体を含む。一部の実施形態では、複数の融合ポリペプチドは、複数の単一ドメインポリペプチドの内の1つまたは複数のポリペプチドに対応する配列を含む。一部の実施形態では、複数の融合ペプチドの内の1つの融合ポリペプチドは、複数の単一ドメインポリペプチドの内の2つのポリペプチドの配列を含む。一部の実施形態では、複数の融合ポリペプチドは、複数の単一ドメインポリペプチドの単一ドメインポリペプチドのすべての可能な融合対の組合せまたは順列の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%またはこれを超えるものについてのポリペプチドを含む。一部の実施形態では、複数の融合ポリペプチドは、複数の単一ドメインポリペプチドの単一ドメインポリペプチドのすべての可能な融合対の組合せまたは順列についてのポリペプチドを含む。一部の実施形態では、複数の単一ドメインポリペプチドは、単一点変異によって異なる複数の単一ドメインポリペプチドを含む。一部の実施形態では、複数の単一ドメインポリペプチドは、結合界面での単一点変異によって異なる複数の単一ドメインポリペプチドを含む。一部の実施形態では、複数の単一ドメインポリペプチドは、CDR中の単一点変異によって異なる複数の単一ドメイン抗体断片を含む。一部の実施形態では、複数の単一ドメインポリペプチドは、所与の残基において異なるアミノ酸がコードされている複数の20種のポリペプチドを含む。
【0016】
[0016]一部の実施形態では、複数の単一ドメインポリペプチドの少なくとも1つの単一ドメインポリペプチドと抗原との相互作用を検出するステップは、単一ドメインポリペプチドの定量的特徴を同定するステップを含む。一部の実施形態では、ポリペプチドの定量的特徴を同定するステップは、1つまたは複数の負の、中性のまたは正の変異を含むものとして単一ドメインポリペプチドを同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、複数の融合ポリペプチドの少なくとも1つの融合ポリペプチドと抗原との相互作用を検出するステップは、融合ポリペプチドの定量的特徴を同定するステップを含む。一部の実施形態では、ポリペプチドの定量的特徴を同定するステップは、融合ポリペプチドを二エピトープ(bi-epitopic)相互作用を含むものとして同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、結合活性(avidity)が増強された相互作用を含むものとして融合ポリペプチドを同定するステップは、融合ポリペプチドの定量的特徴を第1の単一ドメインまたは第2の単一ドメインの定量的特徴と比較するステップを含み、融合ポリペプチドの配列は第1の単一ドメインおよび第2の単一ドメインの配列を含む。一部の実施形態では、結合活性が増強された相互作用は、融合ポリペプチドの定量的特徴が第1の単一ドメインまたは第2の単一ドメインの定量的特徴を超える場合に同定される。一部の実施形態では、最適化されたポリペプチドは、結合活性が増強された相互作用を含むものとして同定された融合ポリペプチドの追加の変異を含み、変異は抗原への融合ポリペプチドの結合親和性を向上させる。一部の実施形態では、複数の単一ドメインポリペプチドへの抗原の結合データを含むデータは、(c)または(d)が実施されるのと同時に取得される。一部の実施形態では、複数の単一ドメインポリペプチドへの抗原の結合データを含むデータは(a)に先立って取得され、固体支持体に付着している複数のポリヌクレオチドを提供するステップはデータセットに少なくとも一部基づく。
【0017】
[0017]一部の実施形態では、複数の融合ポリペプチドは、抗原への中程度の親和性を有する単一ドメインポリペプチドの配列を含む。一部の実施形態では、複数の融合ポリペプチドは、抗原への最小限の親和性を有するか、または親和性を有しない単一ドメインポリペプチドの配列を含む。一部の実施形態では、最小限の親和性を有するか、または親和性を有しない単一ドメインポリペプチドの配列は、抗原に結合することが可能である単一ドメインポリペプチドと実質的に同様のサイズまたは長さを有する。一部の実施形態では、最小限の親和性を有するか、または親和性を有しない単一ドメインポリペプチドの配列は、抗原に結合することが可能である単一ドメインポリペプチドとサイズまたは長さにおいて10%以下の差異を有する。一部の実施形態では、複数の単一ドメインポリペプチドの内の1つの単一ドメインポリペプチドは、N末端リンカーまたはC末端スペーサーを含む。一部の実施形態では、複数の単一ドメインポリペプチドの内の1つの単一ドメインポリペプチドは、N末端リンカーおよびC末端スペーサーを含む。一部の実施形態では、複数の単一ドメインポリペプチドは、複数の異なるN末端リンカー配列および異なるC末端スペーサー配列を含む。一部の実施形態では、データセットは、公開データベースにおけるデータ由来である。
【0018】
[0018]一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、ポリペプチド-Fc融合体である。一部の実施形態では、ポリペプチド-Fc融合体は、抗原に結合することが可能である抗体断片結晶化領域(Fc領域)を含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、キメラ抗原受容体を含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、VHHナノボディを含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、二価VHHナノボディの対を含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、二エピトープVHHナノボディの対を含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、多価VHHナノボディを含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、融合ポリペプチドの第1のドメインと融合ポリペプチドの第2のドメインとを繋ぐリンカーを含む。一部の実施形態では、第1のドメインは、VHHを含む。一部の実施形態では、第2のドメインは、VHHを含む。一部の実施形態では、第1のドメインは第1のVHHを含み、第2のドメインは第2のVHHを含む。一部の実施形態では、第1のVHHおよび第2のVHHは同じ抗原に結合する。一部の実施形態では、同じ抗原は、ポリペプチド、脂質もしくは炭水化物または細胞を含む。一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも12アミノ酸を含む。一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも20アミノ酸を含む。一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも30アミノ酸を含む。一部の実施形態では、リンカーは、正味で正の電荷を有する。一部の実施形態では、リンカーは、正味で負の電荷を有する。一部の実施形態では、リンカーは、正味で中性の電荷を有する。
【0019】
[0019]一部の実施形態では、複数のポリヌクレオチドは、少なくとも104個のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、最適化されたポリペプチドは、増加した結合活性効果を有する。一部の実施形態では、(a)に先立って、固体表面は、複数の前駆体ポリヌクレオチドにアニーリングするように構成された複数の捕捉オリゴヌクレオチドを含み、複数の前駆体ポリヌクレオチドは複数の捕捉ヌクレオチドにアニーリングし、それにより固体表面に付着した複数のポリヌクレオチドを作製する。一部の実施形態では、固体表面に付着した複数のポリヌクレオチドを作製するステップは、複数の前駆体ポリヌクレオチドの増幅または伸長を含む。一部の実施形態では、増幅は架橋増幅(bridge amplification)を含む。一部の実施形態では、固体支持体はビーズを含む。一部の実施形態では、固体支持体は、配列決定フローセルを含む。
【0020】
[0020]一部の実施形態では、(d)は、複数のポリヌクレオチドを配列決定するステップを含む。一部の実施形態では、(e)は、複数のポリヌクレオチドの配列決定および検出から作成された配列データに少なくとも一部基づいて最適化されたポリペプチドを生成するステップを含む。一部の実施形態では、複数の融合ポリペプチドの内の1つの融合ポリペプチドは、N末端リンカーまたはC末端スペーサーを含む。一部の実施形態では、複数の融合ポリペプチドの内の1つの融合ポリペプチドは、N末端リンカーおよびC末端スペーサーを含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、複数の異なるN末端リンカー配列および異なるC末端スペーサー配列を含む。一部の実施形態では、最適化されたポリペプチドは、二エピトープポリペプチドを含む。一部の実施形態では、最適化されたポリペプチドは、三エピトープ(tri-epitopic)ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、最適化されたポリペプチドは、四エピトープ(tetra-epitopic)ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、最適化されたポリペプチドは、多量体ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、最適化されたポリペプチドは、抗原に結合することが可能である2つ以上のドメインを含み、少なくとも2つのドメインは同一である。一部の実施形態では、最適化されたポリペプチドは、抗原に結合することが可能である2つ以上のドメインを含み、2つ以上のドメインは互いに異なっている。
【0021】
[0021]別の態様では、本開示は、二エピトープポリペプチドを同定するための方法であって、(a)固体表面に付着した複数のポリヌクレオチドを提供するステップであって、複数のポリヌクレオチドが複数のVHHポリペプチドをコードするステップ;(b)複数のVHHポリペプチドを産生するように複数のポリヌクレオチドを処理するステップ;(c)抗原を複数のポリペプチドに曝露するステップ、および複数のVHHポリペプチドの少なくとも1つのVHHポリペプチドと抗原との相互作用を検出するステップ;(d)複数のポリヌクレオチドを配列決定するステップ;(e)固体表面に付着している第2の複数のポリヌクレオチドを提供するステップであって、第2の複数のポリヌクレオチドが複数のVHH-VHH融合ポリペプチドをコードするステップ;(f)複数のVHH-VHH融合ポリペプチドを産生するように複数の第2のポリヌクレオチドを処理するステップ;(g)抗原を複数のVHH-VHH融合ポリペプチドに曝露するステップ、および複数のVHH-VHH融合ポリペプチドの少なくとも1つのVHH-VHH融合ポリペプチドと抗原との相互作用を検出するステップ;(h)第2の複数のポリヌクレオチドを配列決定するステップ;ならびに(i)(d)および(e)の配列決定するステップ、ならびに(c)および(g)の検出するステップから作成された配列データに少なくとも一部基づいて、抗原に結合することが可能である二エピトープポリペプチドを生成するステップを含む方法を提供する。
【0022】
[0022]別の態様では、本開示は、最適化されたポリペプチドを生成するための方法であって、(a)固体基板上に提示された複数のポリペプチドを提供するステップであって、複数のポリペプチドの内の1つのポリペプチドが結合ドメインおよび、(i)N末端スペーサー、(ii)C末端スペーサーの1つまたは複数を含み、複数のポリペプチドがN末端スペーサー配列とC末端スペーサー配列とのさまざまな組合せを含むポリペプチドを含むステップ;(b)複数のポリペプチドの内の少なくとも2つのポリペプチドのシグナルを観察するステップであって、シグナルが(i)ポリペプチドと抗原との結合相互作用、または(ii)ポリペプチドの物理的特徴に対応するステップ;(c)少なくとも2つのポリペプチドのシグナルを比較するステップ、および標的シグナルを生じるN末端スペーサー配列とC末端スペーサー配列との組合せを決定するステップを含む方法を提供する。
【0023】
[0023]一部の実施形態では、N末端スペーサーまたはC末端スペーサーは、抗原に結合しない。一部の実施形態では、標的シグナルは、閾値レベル未満のシグナルを含む。一部の実施形態では、標的シグナルは、閾値レベルを超えるシグナルを含む。一部の実施形態では、標的シグナルは、複数のポリペプチドのシグナルの最も高いシグナルを含む。一部の実施形態では、標的シグナルは、複数のポリペプチドのシグナルの最も低いシグナルを含む。
【0024】
[0024]一部の実施形態では、シグナルは、ポリペプチドの平衡結合定数、動力学的結合定数、タンパク質安定性測定値、酵素活性、分画活性、非特異的結合能、凝集能、疎水性、タンパク質発現レベル、または成熟時間に対応する。
【0025】
[0025]別の態様では、本開示は、結合剤の改善された対を発見するための方法であって、(a)(i)2つのドメインを含む複数のポリペプチドについて測定された定量的結合特徴であって、2つのドメインがモノマードメインのセットから独立に選択され、複数のポリペプチドがモノマーポリペプチドのすべての可能な対を含む定量的結合特徴;および(ii)個別のモノマーポリペプチドとしての、モノマードメインのセットの各モノマードメインの測定された定量的結合特徴、を含む網羅的データセットを提供するステップ、(b)(i)および(ii)の値を比較し、個別のモノマーポリペプチド成分のいずれかの結合特徴を有意に上回る定量的結合特徴を示す結合剤の改善された対を含むポリペプチドを同定するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、結合剤の改善された対は、二エピトープ結合剤である。一部の実施形態では、網羅的データセットは、個別のモノマーポリペプチドのセットの測定された定量的結合特徴、および個別のモノマーポリペプチドのセットのすべての可能なタンダム対の組合せの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%またはこれを超える組合せについての測定された定量的結合特徴を含む。一部の実施形態では、網羅的データセットは、個別のモノマーポリペプチドのセットについての測定された定量的結合特徴、および個別のモノマーポリペプチドのセットのすべての可能なタンダム対の組合せについての測定された定量的結合特徴を含む。
【0026】
[0026]別の態様では、本開示は、親和性および結合活性について最適化されたタンダムポリペプチドを同定するためのハイスループットな方法であって、(a)モノマーバリアントポリペプチドの第1のライブラリーをコードするポリヌクレオチドの第1のライブラリーを提供するステップ;(b)バリアントポリペプチドの第1のライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの第1のライブラリーを処理するステップであって、バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの第1のライブラリーに付着するステップ;(c)バリアントポリペプチドの第1のライブラリーを分析し、データを作成するステップ;(d)データに基づいて、バリアントポリペプチドの第1のライブラリーの少なくとも一部の結合親和性を同定するステップ;(e)第1のライブラリーからの結合データに基づいて第1のライブラリーから、モノマーバリアントポリペプチドの第2のライブラリーをコードする第2のポリヌクレオチドの第2のライブラリーを提供するステップ;(f)第1のライブラリーに対応するモノマーバリアントポリペプチドのさまざまな組合せを含む、複数のタンデムポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの第3のライブラリーを提供するステップであって、複数のタンデムポリペプチドの内の1つのタンデムポリペプチドが第1のモノマーバリアントポリペプチドおよび第2のモノマーバリアントポリペプチドを含むステップ、(g)バリアントポリペプチドの第2のおよび第3のライブラリーを産生するようにポリヌクレオチドの第2のおよび第3のライブラリーを処理するステップであって、バリアントポリペプチドがポリヌクレオチドの第2のおよび第3のライブラリーに付着するステップ;(h)バリアントポリペプチドの第2のおよび第3のライブラリーを分析し、親和性増強モノマーポリペプチドバリアントおよび結合活性増強タンデムポリペプチドを同定するステップ;ならびに(i)第2のライブラリーにおいて同定された個別に最適化されたモノマーを第2のライブラリーから発見された結合活性増強タンデム対における対応する位置に置換することによって、第2のおよび第3のライブラリーにおいて同定された結合活性および親和性の増強を組み合わせるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、第3のライブラリーは、第1のモノマーバリアントポリペプチドと第2のモノマーバリアントポリペプチドとの間に異なるリンカーを含む複数のポリペプチドを含む。一部の実施形態では、第3のライブラリーは、第1のライブラリーからの結合データに基づくと、参照ポリペプチドと比較して親和性が低下しているモノマーバリアントポリペプチドを含む。
【0027】
[0027]別の態様では、本開示は、固体表面に提示されたポリペプチドのアレイを含む組成物であって、各ポリペプチドがポリペプチドをコードする対応するポリヌクレオチドと共局在しており、複数のポリペプチドの内のポリペプチドが第1のドメインおよび第2のドメインを含み、第1のドメインおよび第2のドメインがリンカーを介して連結されており、第1のドメインが第1のエピトープに結合し、第2のドメインが第2のエピトープに結合し、第1のエピトープと第2のエピトープとが異なっている、組成物を提供する。組成物は、本明細書他所に記載されるポリペプチドライブラリーを含むポリペプチドのアレイを含み得る。
【0028】
[0028]本開示の追加的態様および有利点は、本開示の単なる例示的実施形態が示され、記載される続く詳細な記載から当業者に容易に明らかになるであろう。理解されるであろうとおり、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの細部は、すべて本開示から逸脱することなく種々の明らかな態様において改変されることが可能である。したがって、図表および記載は、事実上例示的であると見なされ、限定として見なされない。
【0029】
参照による組込み
[0029]本明細書において記述されるすべての刊行物、特許および特許出願は、個別の刊行物、特許または特許出願それぞれが、参照により組み込まれるとして具体的にかつ個別に示されたのと同様に本明細書に参照により組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物、特許または特許出願が明細書に含まれる開示に矛盾する範囲では、明細書が、任意のそのような矛盾する題材より優先されるおよび/または上位にあることが意図される。
【0030】
[0030]本発明の新規特性は、添付の特許請求の範囲において具体的に記載される。「特許または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図表を含む。カラー図表(複数可)を含む本特許または特許出願公開の複製物は、請求および必要な費用の支払いに応じて特許庁より提供されるであろう。本発明の特性および有利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的実施形態を記載する続く詳細な記載および添付の図表(本明細書において「図(figure)」および「図(Fig)」とも)を参照することによって得られるであろう:
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1-1】[0031]
図1Aは、初期提示選択のためのナノボディ配列の模式図を示す。
【
図1-2】
図1Bは、リボソーム提示法を使用して提示される代表的ナノボディライブラリーを示す。
【
図2】[0032]
図2は、DNAライブラリーが生成され、定量化される本開示の方法の模式図を示す。
【
図3】[0033]
図3は、CDR領域中の単一変異のヒートマップを示す。
【
図4】[0034]
図4は、DNAライブラリーが生成され、定量化され、先行するライブラリーの分析に基づいて新規ライブラリーの生成および定量化が続く本開示の方法の模式図を示す。
【
図5】[0035]
図5は、本開示の方法により生成されたポリペプチドに関するデータを示す。
【
図6】[0036]
図6は、本開示の方法により生成されたポリペプチドの選択に関するデータを示す。
【
図7】[0037]
図7は、本開示の方法を使用して生成され得るポリペプチドの模式図を示す。
【
図8】[0038]
図8は、多特異的または選択的ポリペプチドの模式図を示す。
【
図9】[0039]
図9は、二エピトープポリペプチドの生成についてのワークフロー模式図を示す。
【
図10】[0040]
図10は、データセット中の代表的なVHHのCDR領域における単一変異体についての結合データのヒートマップを示す。
【
図11】[0041]
図11は、本開示の方法を使用して、チップ上で発現され、結合についてアッセイされ、結合活性増強を見出すために分析され得るタンデムVHHをコードするDNAライブラリーの設計の模式図を示す。
【
図12-1】[0042]
図12Aは、本開示の方法を使用して具体的なタンデムVHH対について作成された結合活性増強データを示す。
【
図12-2】
図12Bは、両方向での実験において、すべてのタンデムVHH対についての結合活性増強のヒートマップを示す。
【
図13】[0043]
図13Aは、本開示の方法を使用して生成されたVHH親和性最適化ライブラリー中の変異の数の分布を示す。
図13Bは、本開示の方法を使用して、2つの異なる標的に対して生成された親和性最適化VHHに関するデータを示す。
【
図14】[0044]
図14は、親和性最適化され、結合活性が増強された多価タンデムVHH対の生成のためのワークフロー模式図を示す。
【
図15-1】[0045]
図15A~15Cは、(15A)本開示の方法を使用する、逐次的(「2ステップ」)最適化、(15B)結合活性が増強されたタンデムポリペプチド対の発見のワークフロー模式図、および(15C)高い結合活性を有する、タンデム構成でフォーマットされた親和性最適化分子の発見のための組合せワークフローを示す。
【
図15-2】[0045]
図15A~15Cは、(15A)本開示の方法を使用する、逐次的(「2ステップ」)最適化、(15B)結合活性が増強されたタンデムポリペプチド対の発見のワークフロー模式図、および(15C)高い結合活性を有する、タンデム構成でフォーマットされた親和性最適化分子の発見のための組合せワークフローを示す。
【
図16】[0046]本明細書で提供する方法を実行するためにプログラムされたか、またはそうでなければ構成されたコンピューター制御システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[0047]本発明の種々の実施形態が本明細書に示され、記載された一方で、そのような実施形が例示によってのみ提供されていることは当業者に明らかである。多数の変種、変更および置き換えは本発明から逸脱することなく当業者に想起され得る。本明細書に記載される本発明の実施形態の種々の代替物が使用され得ることは理解されるべきである。
【0033】
[0048]本開示は、ポリペプチドライブラリーの生成のための方法、システムおよび組成物、ならびにポリペプチドの特徴を同定または決定するためにライブラリーを提示するための方法、システムおよび組成物を提供する。本明細書に記載されるアプローチは、特定の特徴を有するポリペプチドの最適化または生成のために有効であり得る。具体的には、アプローチは、低濃度で抗原に結合することが可能である抗体または抗体断片を生成するために使用され得る。本明細書に記載される方法は、他では迅速に取得することが困難であるデータの作成をもたらし得る高度に多重化された定量的アッセイを可能にする。このデータは、活用でき、記載される方法の続く反復を導くために使用され得る、または複数の特徴を有するように最適化され得るポリペプチドを創出するように作成された他のデータと組み合わされ得る。方法は、極端なまたは稀な機能を有するポリペプチドを迅速かつ効率的に同定するために、先の反復によって集められたデータを使用して、後での反復の構築を導くように反復して実施され得る。大きなデータセットの作成は、指向性進化などの他の方法が同定することが不可能であるポリペプチドを構築するために活用されるものであり得る。目的のポリペプチドを同定するために分析する必要がある配列空間のサイズが理由で、迅速、調節可能で、カズタマイズ可能な様式において多量の有望なポリペプチドを分析し、定量的データを作成する必要がある。
【0034】
ポリペプチドライブラリー構築
[0049]本開示の種々の態様では、ポリペプチドライブラリーは構築される。目的の特定の特性を有するポリペプチドを同定および生成するために、ポリペプチドライブラリーは、一連のパラメーターに基づいて構築され得る。本明細書他所に記載されるポリペプチドライブラリー提示法を使用して、ポリペプチドライブラリーは、分析に供され得る。
【0035】
[0050]一部の実施形態では、ポリペプチドライブラリーは、野生型または参照ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ポリペプチドライブラリーは、野生型または参照ポリペプチドのバリアントを含み得る。バリアントは、置換変異、挿入または欠失を含み得る。ポリペプチドライブラリーは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個またはこれを超えるアミノ酸に変異を有するポリペプチドバリアントを含み得る。ポリペプチドライブラリーは、単一の残基についてのすべての可能な単一点置換バリアントに対応するポリペプチドを含み得る。単一点変異は、アミノ酸をアミノ酸のセットから選択される別のアミノ酸で置換することを含み得る。アミノ酸のセットは、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種、18種、19種、20種、21種、22種、23種、24種、25種またはこれを超えるアミノ酸であり得る。アミノ酸のセットは、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンを含み得る。アミノ酸のセットは、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンまたはこれらの組合せを含み得る。例えば、ポリペプチドライブラリーは、20種のポリペプチド(例えば、20種の基準のアミノ酸に基づく)を含んでよく、ここでは、第1の残基でアミノ酸は異なるアミノ酸であり、他のすべてのアミノ酸は同じである。このように、ポリペプチドライブラリーは、特定の残基番号でのアミノ酸が、ポリペプチドの特性にどのように影響を与え得るのかに関するデータを作成するために分析され得る。ポリペプチドライブラリーは、ポリペプチド中のすべての残基における20種のアミノ酸での単一点置換に対応するポリペプチドを含み得る。例えば、100アミノ酸長ポリペプチドについて、各残基での20個のバリアントが各基準のアミノ酸に対応して生成され、2,000個(20x100)の異なるポリペプチドを生じる。このアプローチを使用して、ポリペプチドライブラリーは、特定の残基番号でのアミノ酸が、ポリペプチドの特性にどのように影響を与え得るのかに関するデータを、ポリペプチドの全長について作成するために分析され得る。
【0036】
[0051]ポリペプチドライブラリーは、ポリペプチドの領域中のすべての残基における20種アミノ酸での単一点置換に対応するポリペプチドを含み得る。例えば、ポリペプチドの特定のドメインは、抗原または他の標的への結合などの機能に関連し得る。ポリペプチドライブラリーは、特定のドメインに特異的な残基における20種アミノ酸での単一点置換に対応するポリペプチドを含み得る。例えば、ポリペプチドは抗体または抗体断片であってよく、特定のドメインは相補性決定領域(CDR)であってよい。ポリペプチドライブラリーは、ポリペプチドの領域におけるすべての残基における20種アミノ酸でのすべての単一点置換の少なくとも80%に対応するポリペプチドを含み得る。ポリペプチドライブラリーは、ポリペプチドの領域におけるすべての残基における20種アミノ酸でのすべての単一点置換の少なくとも90%に対応するポリペプチドを含み得る。ポリペプチドライブラリーは、ポリペプチドの領域におけるすべての残基における20種アミノ酸でのすべての単一点置換の少なくとも95%に対応するポリペプチドを含み得る。ポリペプチドライブラリーは、ポリペプチドの領域におけるすべての残基における20種アミノ酸でのすべての単一点置換の少なくとも99%に対応するポリペプチドを含み得る。ポリペプチドライブラリーは、ポリペプチドにおけるすべての残基における20種アミノ酸でのすべての単一点置換の少なくとも80%に対応するポリペプチドを含み得る。ポリペプチドライブラリーは、ポリペプチドにおけるすべての残基における20種アミノ酸でのすべての単一点置換の少なくとも90%に対応するポリペプチドを含み得る。ポリペプチドライブラリーは、ポリペプチドにおけるすべての残基における20種アミノ酸でのすべての単一点置換の少なくとも95%に対応するポリペプチドを含み得る。ポリペプチドライブラリーは、ポリペプチドにおけるすべての残基における20種アミノ酸でのすべての単一点置換の少なくとも99%に対応するポリペプチドを含み得る。アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンを含み得る。
【0037】
[0052]ポリペプチドライブラリーは、構造データに少なくとも基づいて構築され得る。参照(またはバリアント)ポリペプチドの構造は、生成され得るか、または既に生成されていてよい。構造は、構造決定法、例えばX線結晶学もしくは核磁気共鳴(NMR)分光法または構造情報を明らかにする他の方法に基づいて生成され得る。ポリペプチドの構造データを使用して、残基は、他の残基と相互作用するとして同定され得る。ポリペプチドライブラリーのポリペプチドは、構造モデルによる残基の相互作用に関連する情報に基づいて生成され得る。例えば、参照ポリペプチドモデルは、残基Aと残基Bとの間に相互作用を示し得る。ポリペプチドライブラリーは、残基Aおよび残基Bが参照または野生型ポリペプチドと比較してバリアントである二重バリアントを含み得る。このことは、残基Aでの各バリアントアミノ酸について、残基Bでのすべての可能なアミノ酸バリアントが生成されるようであってよく、この逆も同様である。所与の残基Aおよび残基Bについて、400個のポリペプチド(残基Aでの20種の可能なアミノ酸x残基Bでの20種の可能なアミノ酸)は、生成され得る。このアプローチを使用して、ポリペプチドライブラリーは、特定の残基番号で相互作用するアミノ酸が、ポリペプチドの特性にどのように影響を与え得るのかに関するデータを作成するために分析され得る。
【0038】
[0053]ポリペプチドライブラリーのポリペプチドは、野生型または参照ポリペプチドと比較したアミノ酸の欠失にも対応し得る。ポリペプチドは、欠失バリアントを含んでよく、ここで任意の単一アミノ酸またはアミノ酸の群が欠失される。ポリペプチドは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個またはこれを超えるアミノ酸の欠失を含み得る。ポリペプチドは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個またはこれを超える近接アミノ酸の欠失を含み得る。欠失は、ポリペプチド鎖の任意の部分に位置し得る。
【0039】
[0054]ポリペプチドライブラリーのポリペプチドは、野生型または参照ポリペプチドと比較したアミノ酸の挿入にも対応し得る。ポリペプチドは、任意の単一のアミノ酸またはアミノ酸の群が挿入された挿入バリアントを含み得る。ポリペプチドは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個またはこれを超えるアミノ酸の挿入を含み得る。ポリペプチドは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個またはこれを超える近接アミノ酸の挿入を含み得る。挿入は、ポリペプチド鎖の任意の部分に位置し得る。
【0040】
[0055]ポリペプチドライブラリーは、本明細書他所に記載されるポリペプチドライブラリーの組合せを含み得る。例えば、ポリペプチドライブラリーは、挿入バリアントを含むポリペプチドおよび単一点置換バリアントを有するポリペプチドを含み得る。
【0041】
[0056]ポリペプチドライブラリーは、本明細書他所に記載されるポリペプチドライブラリーから作成されたデータに基づいて生成され得る。例えば、第1のポリペプチドライブラリーは、ポリペプチドの特定のドメインについての単一点置換に対応して生成され得る。ポリペプチドライブラリーは、特定の抗原への結合が分析されるアッセイに供され得る。ライブラリー中のポリペプチドの結合に対応するデータは、ある特定の単一点置換バリアントが、参照または野生型ポリペプチドと比較して、結合を増加もしくは減少させるまたは同様に維持し得ることを実証し得る。データを使用して、複数の単一点置換バリアントを含むポリペプチドは、生成され得る。例えば、ポリペプチドについてのデータは:(1)残基Aのアミノ酸Xへの単一点バリアントが結合を増加させる場合がある;および(2)残基Bのアミノ酸Yへの単一点バリアントが結合を増加させ得ることを示し得る。ポリペプチドは、残基Aのアミノ酸Xへの第1の単一点バリアント、および残基Bのアミノ酸Yへの第2の単一点バリアントを含むポリペプチドライブラリーのために生成され、アッセイされ得る。バリアントの相乗効果は、分析され、特徴が改善したポリペプチドの生成を可能にする。ポリペプチドライブラリーは、ポリペプチドの特徴を改善するか、または維持すると決定されたバリアントの組合せを含むポリペプチドを含み得る。例えば、10個のバリアントは、抗原への結合が改善された、または中性の結合を有することが示され得る。10個のバリアントの組合せを含むポリペプチドライブラリーは、生成されてよく、ここで第1のポリペプチドは10個の可能性があるバリアントの内の任意の2個のバリアントを有する場合があり、第2のポリペプチドは10個の可能性があるバリアントの内の任意の3個のバリアントを有し得るなど。
【0042】
[0057]これらのライブラリー構築アプローチは、反復的に使用されてよく、特定の特徴を有するポリペプチドを最適化するか、または生成するための多ステップ/多ライブラリーアプローチを作成できる。第1のライブラリーは、第1のポリペプチドライブラリーのポリペプチドの特徴を決定するために生成され、アッセイされ得る。作成されたデータを使用して、第2のポリペプチドライブラリーは、データ、例えば、バリアントが特徴にどのように影響を与えるか、を考慮して構築され得る。第2のライブラリーは、アッセイされてよく、データは特定の特徴を有するポリペプチドを同定するために作成され得る。これは、反復されてよく、例えば、ここで第3のライブラリーは第2のライブラリーから作成されたデータに基づいて生成されるか、またはn+1番目のライブラリーはn番目のライブラリー(または他のライブラリー)から作成されたデータから生成される。加えて、ライブラリーについてのデータは、アルゴリズムによって分析され得るか、または予測アルゴリズムもしくは、次のライブラリーにおける使用のための目的のバリアントを同定するためなどの機械学習のための訓練セットとして使用され得る。
【0043】
[0058]ライブラリーは、以前作成されたライブラリーにおいて分析された配列から、または他のデータソースから構築され得る。例えば、ライブラリーは、以前生成されたライブラリーにおいて分析されたポリペプチドを組み合わせて作成され得る。所与の抗原に結合する複数のポリペプチドを含む第1のライブラリーが作成され得る。第2のライブラリーは、第1のライブラリーからの複数のポリペプチドの1つまたは複数の配列を第1のライブラリーからの複数のポリペプチドの別の配列との組合せで使用し得る。第1のライブラリーは、特徴を有する複数の異なるスキャホールドを含み得る。第2のライブラリーは、第1のライブラリーにおいて分析されたさまざまなスキャホールドの複数の融合体を含み得る。第1のライブラリーは、さまざまな構造または点変異を含む複数の結合ポリペプチドを含み得る。第2のライブラリーは、第1のライブラリーからの結合ポリペプチドの組合せを含む二価または二エピトープポリペプチドを含み得る。第2のライブラリーは、第1のライブラリーからの結合ポリペプチドのすべての組合せを含む二価または二エピトープポリペプチドを含み得る。第2のライブラリーは、第1のライブラリーからの結合ポリペプチドのすべての順列を含む二価または二エピトープポリペプチドを含み得る。
【0044】
[0059]ポリペプチドのライブラリーは、ポリヌクレオチドの対応するライブラリーから生成され得る。ライブラリーは、少なくとも103、104、105、106、107、108、109またはこれを超えるポリヌクレオチドを含み得る。ライブラリーは、103、104、105、106、107、108、109またはこれを超えるポリペプチドを含み得る。ライブラリーは、少なくとも103、104、105、106、107、108、109またはこれを超えるポリヌクレオチドを単一の基板、配列決定チップ上に、またはサンプル体積中に含み得る。ライブラリーは、少なくとも103、104、105、106、107、108、109またはこれを超えるポリペプチドを単一の基板、配列決定チップ上にまたはサンプル体積中に含み得る。
【0045】
[0060]ポリペプチドは、アミノ酸から構成される任意のポリマーであり得る。ポリペプチドは、別の分子に結合でき、反応(物理的または化学的に)でき、シグナルを伝達でき、構造的成分として作用でき、移動または他の機能を生じ得る。ポリペプチドは、抗体または抗体の(1つもしくは複数の)断片であり得る。例えば、ポリペプチドは、1本鎖可変断片(scFv)またはナノボディ(例えば、VHH)であり得る。
【0046】
[0061]本開示に記載される方法は、特定のまたは改善された特徴を有するポリペプチドを同定するか、または生成するために使用され得る。記載される方法は、ポリペプチドのライブラリーを生成するために任意の参照または野生型配列に実施され得る。方法は、改善された機能を有するように最適化された機能を有する任意の参照ポリペプチドを考慮し得る。特定の特徴は、ポリペプチドの安定性であり得る。特定の特徴は、酵素的速度または他の反応パラメーターであり得る。特定の特徴は、分子への特定の結合親和性または解離定数を少なくとも含み得る。例えば、記載される方法を用いて、標的への高い親和性を有する抗体または抗体断片が生成され得る。生成されたポリペプチドは、抗原または標的への1nM未満の結合親和性を有し得る。生成されたポリペプチドは、抗原または標的への100nM、10nM、1nM、100pM、10pM、1pM以下または未満の結合親和性を有し得る。
【0047】
[0062]生成されたポリペプチドは、参照または野生型ポリペプチドと比較して、改善された結合親和性測定値を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して10%改善を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して25%改善を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して50%改善を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して75%改善を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して100%改善を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して200%改善を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して300%改善を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して400%改善を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して500%改善を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して1,000%改善を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して100倍の改善を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して1000倍の改善を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して10,000倍の改善を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して100,000倍の改善を有し得る。例えば、結合親和性測定値は、参照または野生型ポリペプチドと比較して1,000,000倍の改善を有し得る。生成されたポリペプチドは、結合活性が増強されたポリペプチドであり得る。
【0048】
[0063]結合活性は、結合分子と抗原との間の複数の別個の非共有結合的相互作用の強度の累積を一般に指し、結合親和性測定値の増加をもたらす。結合活性効果は、抗原と相互作用する複数の抗原結合部位を有することによって(抗原または結合分子の)局所濃度の増加をもたらし得る。単一結合相互作用が破壊され、抗原が放出され、もはや結合分子とは相互作用しなくなる場合がある一方で、複数の結合部位(および複数の別個の非共有結合的相互作用)を有する分子は、個々の結合相互作用が破壊されても抗原結合を維持する場合がある。結合活性が増強されたポリペプチドは、2つの異なるエピトープに結合することが可能である二エピトープ結合剤などの複数の異なる結合相互作用を有し得る。同様に、モノエピトープ多量体結合剤は、結合部位間で抗原を「交換する」ことによって抗原結合を維持でき、結合部位の局所濃度を効果的に増加させることができ、それにより、結合親和性測定値を増加させる。
【0049】
ポリペプチドライブラリー提示
[0064]本開示の種々の態様では、ポリペプチドは生成され、ライブラリーとして提示される。ポリペプチドライブラリーを提示する方法は、遺伝子型および対応する表現型を関連付けることができる方法を組み込み得る。ペプチド提示のための1つのそのような方法は、リボソームに基づく提示方法を含み得る。リボソームを使用する提示の方法として、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第US2020/0048629号および米国特許第10,011,830号に記載される方法が挙げられる。提示の方法は、それをコードするDNA鋳型上のリボソーム翻訳産生物(ribosomal translation product)(例えば、タンパク質もしくはペプチド、それらの生物学的に活性な断片または他のリボソームで翻訳される分子)として提示されるポリペプチドを含み得る。DNA鋳型は、翻訳領域(ORF)に作動可能に連結したプロモーターを含み得る。DNA鋳型は、DNA鋳型の転写の際にRNAポリメラーゼの進行を遮断する分子障害物をさらに含み得る。分子障害物は、DNA鋳型および転写されたmRNAが会合したままであるように転写の際にRNAポリメラーゼの停止を生じ得る。RNA転写物の翻訳の際に、分子障害物で停止したRNAポリメラーゼは、リボソームが、RNA転写物と会合したままで、新生ペプチド鎖(例えば、タンパク質もしくはペプチド、それらの生物学的に活性な断片または他のリボソームで翻訳される分子)を提示するように、リボソームの翻訳継続を遮断できる。所望により、DNA鋳型の転写によって産生される1本鎖mRNAは、リボソームが分子障害物に達した後に、リボソームの近位で切断され得る。
【0050】
[0065]分子障害物は、転写の工程にあるRNAポリメラーゼが障害物に遭遇した場合に、ポリメラーゼが停止し、RNAポリメラーゼ、DNA鋳型および新生RNA転写物を含む安定な複合体を形成するような位置にあるDNAの転写可能領域の下流に、1つまたは複数の分子の構成を含み得る。障害物は、DNAと共有結合でもしくは非共有結合で会合する分子実体、またはDNAへの化学修飾、例えば、RNAポリメラーゼを停止させるDNA鎖間の化学架橋であり得る。障害物は、アンチセンスDNA鎖の5’末端もしくはセンスDNA鎖の3’末端、または両方に位置させ得る。障害物は、適切な位置でDNAの特定の配列に選択的に結合する分子も含み得る。一実施形態では、分子障害物は、センス鎖の3’末端またはアンチセンス鎖の5’末端のいずれかでのDNAのビオチン化に続くストレプトアビジンの結合によって形成され、ここで、ビオチン-ストレプトアビジン複合体は、RNAポリメラーゼを遮断する分子障害物として作用する。
【0051】
[0066]加えて、DNA鋳型は、リボソーム停止配列を有するmRNAをコードし得る。ある特定の実施形態では、リボソーム停止配列は、停止コドン(例えば、mRNA中のUAG(アンバー)、UAA(オーカー)またはUGA(オパールもしくはアンバー(umber)))を含む。別の実施形態では、リボソーム停止配列は、停止コドンに隣接してポリプロリンコード配列をさらに含む。一実施形態では、ポリプロリンコード配列は、トリプルプロリンモチーフについてのコード配列を含み、ここで、トリプルプロリンモチーフについてのコード配列は、停止コドンの前(すなわち、その5’側)に位置する。別の実施形態では、リボソーム停止配列は、ポリプロリンコード配列(例えば、トリプルプロリンモチーフ)に隣接したアルギニン-ヒスチジン-アルギニンコード配列をさらに含み、ここでアルギニン-ヒスチジン-アルギニンコード配列は、ポリプロリンコード配列の前(すなわち、その5’側)に位置する。リボソーム提示法は、リボソームの停止を生じる条件でも実施され得る。例えば、リボソームのアミノ酸飢餓は、使用され得る。アミノ酸飢餓は、リボソームが伸長している新生ペプチドに次のアミノ酸を付加することができず、それによりリボソームが停止するように、特定のアミノ酸(またはtRNAもしくは他の関連する試薬)の量を制限することによって、達成され得る。
【0052】
[0067]mRNAは、シャイン・ダルガーノ配列をさらに含み得る。シャイン・ダルガーノ配列は、効率的なリボソーム結合および翻訳開始を促進するように目的の特定のORFに最適化され得る。
【0053】
[0068]本開示において使用されるポリヌクレオチドは、周知のまたは未知の配列の任意の核酸由来であってよく、例えばゲノムDNAまたはcDNAの断片であってよい。例えば、ポリヌクレオチドは、無作為に断片化された一次核酸試料由来であってよい。ポリヌクレオチドは、一次RNA試料からcDNAへの逆転写によっても取得され得る。個々のポリヌクレオチドは、全遺伝子または遺伝子の一部またはタンパク質もしくはペプチドまたは生物学的に活性なポリペプチドもしくはそのペプチド断片をコードするmRNA由来のcDNA、を含み得る。追加的に、ポリヌクレオチドは、組換え操作された構築物を含み得る。ポリヌクレオチドは、本開示を通じて記載されるポリペプチドをコードし得る。例えば、ポリヌクレオチドはナノボディまたはscFvをコードし得る。
【0054】
[0069]タンパク質翻訳は、in vitro無細胞発現系を使用して実行され得る。翻訳は、酵素、tRNAおよび補助因子(終結因子を除く)、アミノ酸およびエネルギー供給(例えば、GTP)を含む翻訳のために必要なすべての成分を供給する、任意の生物由来の粗可溶化物を使用して、in vitroにおいて実施され得る。Escherichia coli、コムギ胚およびウサギ網状赤血球由来の無細胞発現系は、一般に使用される。E.coliに基づく系は高収量をもたらすが、真核生物に基づく系は翻訳後修飾されるタンパク質を産生するために好ましい。代替的に、人工的に再構成された無細胞系は、タンパク質産生のために使用され得る。最適なタンパク質産生のために、DNA鋳型のORFにおけるコドン使用法は、タンパク質翻訳のために選択された特定の無細胞発現系における発現のために最適化され得る。加えて、標識またはタグは、ハイスループットスクリーニングを促進するために、タンパク質に付加され得る。例えば、Katzenら、(2005)Trends Biotechnol.23:150~156;Jermutusら、(1998)Curr.Opin.Biotechnol.9:534~548;Nakanoら、(1998)Biotechnol.Adv.16:367~384;Spirin(2002)Cell-Free Translation Systems,Springer;SpirinおよびSwartz(2007)Cell-free Protein Synthesis,Wiley-VCH;Kudlicki(2002)Cell-Free Protein Expression,Landes Bioscienceを参照されたい;これらの全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
[0070]ある特定の実施形態では、タンパク質翻訳は、リボソームがmRNA上の停止コドンから放出されないように1つまたは複数の終結因子を欠いているin vitro無細胞発現系を使用して実行される。終結因子1(RF1)、終結因子2(RF2)および終結因子3(RF3)が挙げられる1つまたは複数の終結因子が非存在であってよい、またはすべての終結因子がin vitro無細胞発現系において非存在である場合がある。非存在である終結因子は、停止配列中での含有のために選択された停止コドンに依存する場合がある。例えば、RF1は、アンバーコドンでのRNA転写物からのリボソームの放出を通常媒介する。したがって、アンバーコドンが停止配列に含まれる場合、RF1は、in vitro無細胞発現系から省略され得る。一方、RF2は、オーカーまたはオパールコドンのいずれかでのRNA転写物からのリボソームの放出を通常媒介する。したがって、オーカーまたはオパールコドンが停止配列に含まれる場合、RF2は、in vitro無細胞発現系から省略され得る。一部の実施形態では、タンパク質翻訳は、すべての終結因子を欠いているin vitro無細胞発現系を使用して実行される。追加的に、リボソームリサイクリング因子(RRF)は、転写されたRNA分子からの停止されたリボソームの放出を妨げるためにin vitro無細胞発現系からも省略され得る。
【0056】
[0071]一部の実施形態では、これだけに限らないが、D-アミノ酸、ベータアミノ酸またはN置換グリシン(ペプトイド)などの1つまたは複数の非標準アミノ酸は、リボソーム翻訳産生物に組み入れられる。非標準アミノ酸は、タンパク質またはペプチドに残基特異的または部位特異的な様式のいずれかで導入され得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Linkら、(2003)Curr.Opin.Biotechnol.14(6):603~609;Johnsonら、(2010)Curr.Opin.Chem.Biol.14(6):774~780;Zhengら、(2012)Biotechnol J.7(1):47~60;を参照されたい。
【0057】
[0072]一部の実施形態では、ポリペプチド提示の方法は、ポリヌクレオチド上で1つだけのRNAポリメラーゼが翻訳を開始できる条件を提供することを含み得る。例えば、DNA鋳型は、停止配列をさらに含んでよく、ここで転写を開始する第1のRNAポリメラーゼは、任意の他のポリメラーゼの開始が遮断されるようにDNA鋳型上の位置で停止する。転写は、ヌクレオチド飢餓の条件下で実行され、ここでRNAポリメラーゼは、その位置での付加のために必要なヌクレオチドが供給されないことから、DNA鋳型上の特定の位置で停止する(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、GreenleafおよびBlock(2006)Science 313(5788):801;を参照されたい)。RNAポリメラーゼが停止した後、すべての未結合ポリメラーゼは、例えば、洗浄することによって除去され、次いで、転写を再開するために必要な欠けているヌクレオチドは、DNA鋳型に結合した1つの残存RNAポリメラーゼが分子障害物で停止するまで転写を継続できるように添加される。代替的に、未結合RNAポリメラーゼは、1つだけのRNAポリメラーゼがDNA鋳型に結合し続けることを確実にするために、除去されるよりも(例えば、ヘパリンを使用して)不活性化され得る。
【0058】
[0073]一部の実施形態では、ポリペプチド提示の方法は、RNA転写物上で1つだけのリボソームが翻訳を開始できる条件を提供することをさらに含み得る。例えば、翻訳は、アミノ酸飢餓の条件下で実行されてよく、ここでリボソームは、その位置での付加のために必要なアミノ酸が提供されないことから、RNA転写物上の特定の位置で停止する。次いで、すべての未結合リボソームは、例えば、洗浄することによって除去されてよく、翻訳を再開するために必要な欠けているアミノ酸は、1つの結合したリボソームがリボソーム停止配列に達するまで、翻訳を継続できるようにするために添加され得る。
【0059】
[0074]リボソーム翻訳産生物は、1つまたは複数のリンカーまたはスペーサーを、例えば、リボソームでの提示、クローニング、精製もしくは検出を促進するために、または溶解度を改善するために含み得る。例えば、20個以下のアミノ酸(すなわち、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個)を有する短い可動性リンカーまたはスペーサーは、融合構築物においてドメインを分けるために有用である。例として、短いペプチド配列、例えば、ポリグリシンリンカー(Glyn、式中、n=2、3、4、5、6、7、8、9、10またはこれ以上)、ヒスチジンタグ(Hisn、式中、n=3、4、5、6、7、8、9、10またはこれ以上)、グリシンおよびセリン残基から構成されるリンカー、可溶性ポリペプチドリンカー、GSAT、SEGおよびZ-EGFRリンカーが挙げられる。定められた三次構造を有する長いリンカーは、リボソーム上でのタンパク質またはペプチドの提示を促進するために使用され得る。そのようなリンカーとして、これだけに限らないが、糸状ファージM13mp192の遺伝子IIIの断片、tolAのヘリックス領域の一部、E.coli由来tonBの伸長領域およびラムダファージのカプシド由来のタンパク質D(pD)のセグメントが挙げられる(例えば、参照により本明細書に組み込まれるYangら、(2008)PLoS One 3(5):e2092;を参照されたい)。他の好適なリンカーアミノ酸配列は、当業者に明らかであろう(例えば、Argos(1990)J.Mol.Biol.211(4):943~958;Crastoら、(2000)Protein Eng.13:309~312;Georgeら、(2002)Protein Eng.15:871~879;Araiら、(2001)Protein Eng.14:529~532;およびthe Registry of Standard Biological Parts(partsregistry.org/Protein_domains/Linkerを参照されたい)。ポリペプチドは、N末端リンカーを含み得る。N末端リンカーは、提示されるポリペプチドのN末端にアミノ酸配列を含み得る。ポリペプチドは、C末端スペーサーを含み得る。C末端スペーサーは、ポリペプチドのC末端に追加的アミノ酸を含み得る。
【0060】
[0075]複数のポリペプチドは、同時に提示されてよく、または同じ所与の基板上(例えば、配列決定チップなどの固体表面)にあってよい。例えば、本方法は、生物についてのゲノムライブラリーまたは生物由来のRNAから産生されたcDNAライブラリーによってコードされる集団的なタンパク質またはペプチド、または生物によって発現される目的のタンパク質もしくはペプチドの選択されたサブセットまたは操作されたタンパク質もしくはペプチドを提示するために使用され得る。提示のために使用されるDNAライブラリーは、全体的にまたは部分的に合成であってよく、特定のセットのポリペプチドの発現のために最適化された配列を含有し得る。複数のDNA鋳型は、溶液中で遊離であってよい、または固体支持体に固定されていてよい。ポリペプチドライブラリーおよびポリペプチドライブラリーの構築のためのアプローチは、本明細書他所に記載され、そのようなライブラリーからの任意の数のポリペプチドは、同時に提示されてよい、または同じ表面上にあってよい。
【0061】
[0076]一部の実施形態では、複数のポリヌクレオチドは、固体支持体に固定化される。固体支持体は、例えば、ガラス、石英、シリカ、金属、セラミックまたはプラスチックを含み得る。例示的な固体支持体として、スライド、ビーズ、プレート、ゲル、膜またはフローセルもしくはマイクロチャネルの内表面が挙げられる。各DNA鋳型は、DNA鋳型から産生された各タンパク質の同一性が、固体支持体上のその位置から決定され得るように、固体支持体上の既知の予め決められた位置に位置し得る。代替的に、DNA鋳型は、支持体に無作為に結合させてよく、ここで、各DNA鋳型から産生されるタンパク質の同一性は、会合したDNA鋳型の配列決定またはタンパク質自体の特徴付けによって決定され得る。ビーズへのポリヌクレオチドの固定またはカップリング、およびポリペプチドの提示の方法、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2022026458A1に記載のものなどは使用され得る。
【0062】
[0077]核酸は、ポリペプチドまたはビーズなどの固体表面に共有結合で連結され得る。追加的に、ポリペプチドは、ビーズに、例えば、ビーズへの直接コンジュゲーションを介して、またはビーズに付着した核酸へのコンジュゲーションを介しても連結され得る。一部の実施形態では、核酸分子へのポリペプチドのコンジュゲーションは、連結酵素によって触媒される。一部の実施形態では、ポリペプチドは、発現されたタンパク質のライゲーションによって、またはタンパク質トランススプライシングによって核酸分子にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、ポリペプチドは、ロイシンジッパーの形成によって核酸分子にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、ビーズまたは核酸分子は、捕捉成分にコンジュゲートされ、ポリペプチドは連結タグを含み、ここで捕捉成分および連結タグは、コンジュゲートされ、それによりビーズをポリペプチドにコンジュゲートするか、または核酸分子をポリペプチドにコンジュゲートする。連結酵素は、ソルターゼ(sortase)、ブテラーゼ(butelase)、トリプシリガーゼ(trypsiligase)、ペプチリガーゼ(peptiligase)、ホルミルグリシン生成酵素、トランスグルタミナーゼ、チューブリンチロシンリガーゼ、ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)転移酵素、スパイリガーゼ(Spy Ligase)またはスヌープリガーゼ(SnoopLigase)であり得る。
【0063】
[0078]核酸は、当技術分野において周知の任意の方法を使用する物理的または化学的手段によって固体支持体にカップリングされ得る。基剤は、DNA鋳型の付着を促進するために固体支持体の表面に添加され得る。DNAアレイの作製方法は、周知であり、種々の光化学に基づく方法、レーザーライティング、エレクトロスプレーデポジション(electrospray deposition)、インクジェットおよびマイクロジェットデポジションまたはスポッティング技術、フォトリソグラフィーオリゴヌクレオチド合成工程ならびに、コンタクトピンプリンティング(contact pin printing)およびマイクロスタンピングを含むコンタクトプリンティング(contact printing)技術が挙げられる。好適なロボット工学、マイクロ工学に基づくシステムおよび顕微鏡技術の組合せは、固体支持体上でcm2あたり最大数100万の核酸の順序付けられたデポジションを技術的に実現可能にする。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Rehmanら、(1999)Nucleic Acids Research 27:649~655;Hellerら、(2002)Annu.Rev.Biomed.Eng.4:129~153;Dufva(2009)Methods Mol.Biol.529:1~22;Sethiら、(2008)Bioconjug Chem.19(11):2136~2143;Adessiら、(2000)Nucleic Acids Res.28(20):E87;Okamotoら、(2000)Nat.Biotechnol.18(4):438~441;Barbulovic-Nadら、(2006)Crit.Rev.Biotechnol.26(4):237~259;を参照されたい。
【0064】
[0079]一実施形態では、アクリルアミド修飾核酸は、露出したアクリル基を含有する固体支持体(例えば、シラン処理したガラスまたはプラスチック)に固定される。アクリルアミド基は、アクリルアミドホスホラミダイトを使用するオリゴヌクレオチド合成の際に核酸に付加され得る。アクリルアミド修飾は、固定された核酸を含有する安定なポリアクリルアミド コ-ポリマーの形成を可能にするようにアクリルアミドモノマーを用いて共重合体化する。固定されたDNAを含有する層は、支持体の表面上でアクリルアミドマトリクスをポリマー化し、アクリルアミド修飾された核酸を添加することによって、支持体上で作製され得る。ポリマー化は、標準的な化学的または光化学的方法を使用して触媒される。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるRehmanら、(1999)Nucleic Acids Research 27:649~655;を参照されたい。
【0065】
[0080]ポリヌクレオチドは、固体支持体の表面に付着した相補性捕捉オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションによって固体支持体上に固定され得る。捕捉オリゴヌクレオチドは、特定のDNA鋳型の選択的捕捉を可能にするように、DNA鋳型の混合物中の単一のDNA鋳型に相補的な固有の配列を有し得る。追加的にまたは代替的に、単一の種類の捕捉オリゴヌクレオチドを固体支持体上の複数のDNA鋳型を捕捉するために使用できるようにするために、DNA鋳型に付加された相補性アダプター配列に結合するユニバーサル捕捉オリゴヌクレオチドは、使用され得る。DNA鋳型は、固体支持体上のアレイに無作為に配置されてよく、または順序付けられていてよく、ここで各DNA鋳型は、固体支持体上の別の位置を占めている。
【0066】
[0081]コードされるポリペプチドは、発現され、例えば、ビーズ上にポリヌクレオチドを提示するための方法を使用して調製された核酸コートビーズ(例えば、DNAコートビーズ)を用いて出発することによって、ビーズに(例えば、ビーズにコンジュゲートされた核酸へのコンジュゲーションを介して)コンジュゲートされ得る。ビーズへのポリペプチドのコンジュゲーション(例えば、直接または核酸への付着を介して)は、マイクロエマルジョンステップにおいて実施され得る。例えば、DNAコートビーズは、無細胞in vitro転写および翻訳(IVTT)法のための試薬を含む混合物と共にマイクロエマルジョン中に乳化され、ビーズ上でのDNAの転写および翻訳ならびにコードされたポリペプチドおよび/またはタンパク質の産生をもたらす。一部の実施形態では、マイクロエマルジョンは、IVTTのための試薬および触媒酵素または触媒酵素をコードする溶液相DNAを含有し、核酸上の捕捉成分へのポリペプチドの付着を触媒する。混合物の成分は、平均で1つのDNAコートビーズおよび十分なIVTT試薬を保証するように、本明細書に記載のとおり、調整され得る。
【0067】
[0082]一部の実施形態では、各液滴中の核酸は、固定されたDNAオリゴの伸長を介してビーズの表面上で直接増幅される。一部の実施形態では、核酸は、ビーズを含有していない液滴中で別に増幅され、次いで、ビーズを含有している別の液滴とマイクロ流体チャネルにおいて融合され得る。一部の実施形態では、エマルジョン液滴の生成では各液滴中の核酸は、各核酸バリアントのクローン集団を創出するようにポリメラーゼ連鎖反応を介して増幅される。それぞれのマイクロエマルジョン液滴において増幅された核酸の物理的固定は、例えば、核酸コートビーズ(例えば、DNAコートビーズ)を生成するように固定されたDNAオリゴのライゲーションまたは伸長を介して達成され得る。
【0068】
[0083]一実施形態では、方法は、少なくとも1つのDNA鋳型の増幅または伸長をさらに含む。増幅または伸長は、任意の周知の方法、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または他の核酸増幅工程(例えば、リガーゼ連鎖反応(LGR)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、転写媒介増幅(TMA)、Qベータ増幅、鎖置換増幅または標的媒介増幅)を使用して実施され得る。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、PCR Protocols,226巻(Methods in Molecular Biology,J.BartlettおよびD.Stirling編,Humana Press;第2版、2003;Wiedmannら、(1994)PCR Methods Appl.3(4):551~64;Deimanら、(2002)Mol.Biotechnol.20(2):163~179;Guatelliら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87:1874~1878およびJ.Compton,Nature(1991)350:91~92(1991);Hill(2001)Expert Rev.Mol.Diagn.1:445~455;WO89/1050;WO88/10315;EPO Publication No.408,295;EPO Application No.8811394~8.9;WO91/02818;米国特許第5,399,491号、第6,686,156号および第5,556,771号;Walkerら、Clin.Chem.(1996)42:9~13ならびにEPA684,31;を参照されたい。特に、クローン増幅法、例えば、これだけに限らないが架橋増幅、エマルジョンPCR(ePCR)またはローリングサークル増幅は、分離した領域中で増幅された核酸をクラスター化するために使用され得る(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,790,418号;第5,641,658号;第7,264,934号;第7,323,305号;第8,293,502号;第6,287,824号;および国際出願第WO1998/044151 A1号;Lizardiら、(1998)Nature Genetics 19:225~232;Leamonら、(2003)Electrophoresis 24:3769~3777;Dressmanら、(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100:8817~8822;Tawfikら、(1998)Nature Biotechnol.16:652~656;Nakanoら、(2003)J.Biotechnol.102:117~124;を参照されたい)。この目的のために、DNA鋳型は、5’末端および3’末端に、ハイスループット増幅のために好適なアダプター配列(例えば、ユニバーサル増幅プライマーまたは架橋PCR増幅プライマーに相補的な配列を含むアダプター)を含み得る。例えば、固体支持体に付着した架橋PCRプライマーは、架橋PCRプライマーに相補的なアダプター配列を含むDNA鋳型を捕捉するために使用され得る。次いでDNA鋳型は、増幅されてよく、各DNA鋳型の増幅産生物は、固体支持体上の別々の領域にクラスター化する。一実施形態では、DNA鋳型は、固体支持体に付着し、増幅され、機能性スクリーニングのためにリボソーム翻訳産生物を提示する前に配列決定される。
【0069】
[0084]種々の実施形態では、マイクロエマルジョン液滴は使用され得る。マイクロエマルジョン液滴は、バルク溶液を複数の液滴に変えるために使用され得る。液滴は、液滴において生じ得る反応のための試薬を含有でき、他のマイクロエマルジョン液滴またはバルク溶液から分離され、生じる反応のための微小環境を可能にする。例えば、コンジュゲーション、転写、翻訳または増幅反応は、マイクロエマルジョン液滴中で生じ得る。化学的および生化学的反応の目的のためのマイクロエマルジョン液滴を作製するための方法は、当業者に周知である。一般に、マイクロエマルジョン液滴は、油相中に懸濁された水相を含有する(例えば、油中水エマルジョン)。一実施形態では、油相は95%ミネラルオイル、4.5% Span-80、0.45% Tween-80および0.05% Triton X-100から構成される。一部の実施形態では、マイクロエマルジョンは、水相と油相との直接混合、および/またはボルテックスすることを介して形成される。一部の実施形態では、マイクロエマルジョンは、油相を含有するマイクロ流体チャネル中に水相を押し出す圧電気ポンプを介して形成される。一部の実施形態では、マイクロエマルジョンは、分散装置またはホモジナイザーを使用して水相と油相との機械的混合を介して形成される。一実施形態では、各エマルジョン乳液液滴は、平均で単一のプライマーコートビーズ、1つの鋳型DNA分子および複数のPCRプライマー分子を含有する。温度サイクリングは、ビーズ上の鋳型から増幅されたクローンDNAを作製するために使用され得る。
【0070】
ポリペプチドライブラリーの特徴の同定
[0085]ポリペプチドライブラリーは、本開示他所において記載されるとおり生成でき、提示され得る。提示されるポリペプチドは、それによりポリペプチドがコードされる対応するポリヌクレオチドに連結されるか、または会合され得る。配列決定反応は、本明細書他所に記載されるポリヌクレオチド上で実施され得る。任意の配列決定方法は、使用されてよく、これだけに限らないがマクサム・ギルバート配列決定、サンガー配列決定(すなわち、鎖終止法)、合成による配列決定(SBS)、ライゲーションによる配列決定、パイロシークエンシング、イオントレント配列決定(ion torrent sequencing)、ナノポア配列決定および単一分子リアルタイム配列決定が挙げられる。一実施形態では、複数のDNA鋳型は、ハイスループットDNA配列決定法によって配列決定される。例えば、Petterssonら、(2009)Genomics 93(2):105~111;Maxam & Gilbert(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.74(2):560~564;Sangerら、(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.74(12):5463~5467;Ronaghiら、(1996)Analytical Biochemistry 242(1):84~89;Brennerら、(2000)Nature Biotechnology 18(6):630~634;Schuster(2008)Nat.Methods 5(1):16~18;Marguliesら、(2005)Nature 437:376~380;Shendureら、(2005)Science 309:1728~1732;Thompsonら、(2012)Electrophoresis 33(23):3429~3436;Merrimanら、(2012)Electrophoresis.33(23):3397~3417;およびPareekら、(2011)Journal of applied genetics 52(4):413~435)を参照されたい。
【0071】
[0086]配列決定反応は、ポリヌクレオチドに対する配列決定データを作成し得る。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、アレイもしくは固体支持体に付着されるか、またはそうでなければ空間的に明確に分離される。ポリヌクレオチドを配列決定することによって、アレイまたは固体支持体上の特定のポリヌクレオチドは、特定の配列を有するとして同定され得る。このように、アレイ上の特定の点は、特定のまたは周知の配列を有するとして同定され得る。本開示に記載されるポリペプチド提示技術は、ポリペプチドがそのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに付着、連結またはそうでなければ会合されるようにする。配列決定反応が、特定の配列を有するとしてポリヌクレオチドを同定できることから、対応するポリペプチドのアミノ酸配列は決定され得る。
【0072】
[0087]ポリペプチドの分析は、実施され得る。超並列ハイスループットタンパク質スクリーニングは、ポリペプチドライブラリーについて実施され得る。例えば、複数のアッセイは、ポリヌクレオチドのライブラリーが固体支持体、例えば担体(例えばキャピラリー)の限定された位置内のビーズ、またはマイクロチャネルもしくはフローチャンバーの内面、または顕微鏡スライドの表面などに固定され得る場合に実施され得る。表面は、平面の表面、またはコートされた表面であり得る。追加的に、表面は、表面上に構造を作製するために空間的に分離した領域に配置された複数のマイクロフィーチャーを含んでよく、ここでテキスチャーが付与された(textured)表面は、構造がつくられていない表面と比較して表面積の増加をもたらす。
【0073】
[0088]アレイは、抗原、抗体、酵素、基質、受容体または制御分子などの複数の提示されたリボソーム翻訳産生物またはそのライブラリーを含み得る。そのようなアレイは、例えば、ハイスループット遺伝的もしくは薬理学的スクリーニング、エピトープマッピング、タンパク質工学またはプロテオミクスプロファイリングにおいて使用され得る。ハイスループットスクリーニングのために、アレイは、フローセルまたはマイクロ流体デバイス内に好ましくは含まれる。潜在的に、数千万から数十億のタンパク質、ペプチドまたはリボソームで翻訳される小分子は、同時に定量的にスクリーニングされ得る。機能性スクリーニングは、連続流またはストップフローシステムで実施でき、ここでタンパク質は、本明細書に記載されるとおり固定されたポリヌクレオチド上に提示され、さまざまな試薬および緩衝液はシステムに一方の末端から注入され、他方の末端でシステムから出る。試薬および緩衝液は、連続的に流れている場合があるか、またはリガンド結合もしくは酵素反応を進ませるように一定期間定位置に保持される場合がある。追加的にリガンドまたは基質は、結合相互作用または酵素反応の検出および定量的分析を促進するために標識され得る。
【0074】
[0089]一部の実施形態では、タンパク質特徴付けアッセイは、ハイスループット配列決定装置において実施される。リボソーム翻訳産生物(例えば、タンパク質もしくはペプチド、それらの生物学的に活性な断片または他のリボソームで翻訳される分子)は、本明細書に記載される方法を使用して配列決定装置においてポリヌクレオチド上に提示されてよく、次いで配列決定フローセルで同時に直接機能的に特徴付けられる。このことは、ハイスループット配列決定をタンパク質スクリーニングと容易に組み合わせられるようにし、ハイスループット配列決定装置に顕著な付加価値をもたらし得る。
【0075】
[0090]一部の実施形態では、核酸分子の配列決定および各ポリペプチドの1つまたは複数の機能または特性をアッセイすることは、同じ機械、デバイスまたは装置上で(例えば、逐次的に、任意の順序で)実施される。一部の実施形態では、複数のアッセイは、各ポリペプチドの2つ以上の機能もしくは特性を決定するために実施される、または複数のアッセイがさまざまな条件で各ポリペプチドの単一の機能もしくは特性を決定するために実施される。複数のアッセイは、同じ機械、デバイスまたは装置上で同時にまたは逐次的に実施され得る。例えば、単一の機械、デバイスまたは装置は、ビーズにコンジュゲートされたポリペプチドを同定するために各ビーズにコンジュゲートされた核酸分子を配列決定するために;ならびに各ポリペプチドを特徴付ける(例えば、温度および/またはpHを含むさまざまな実験条件での例えば、結合親和性、結合特異性、酵素活性、安定性)ための1つまたは複数のアッセイを実施するために使用され得る。一部の実施形態では、配列決定および1つまたは複数のアッセイは、単一の機械、デバイスまたは装置によって測定される蛍光サインを生じる。
【0076】
[0091]ポリペプチド特徴付けは、反応または事象の存在に基づいて検出可能なシグナルを生成することを含み得る。例えば、検出可能なシグナルは、ポリペプチドの抗原への結合で生成され得る。検出可能なシグナルは、検出可能な標識によって生成され得る。検出可能な標識は、抗原(もしくは標的分子)に付着もしくはカップリングされてよい、または抗原(もしくは標的分子)を検出できる別の試薬に付着され得る。例えば、抗原は、シグナルを生成できる酵素にカップリングされ得る。ポリペプチドライブラリーは、抗原または標的分子に接触されてよく、ポリペプチドは抗原に結合し得る。過剰な抗原が除去された後、酵素基質は添加され、酵素は検出可能なシグナルが生じるようにする。ポリペプチド結合抗原に付着した酵素が酵素基質と反応できるようになると、シグナルが生成されることから、検出可能なシグナルの存在は、それにより、ポリペプチドが抗原に結合していることを示し得る。同様に抗原は、フルオロフォアにカップリングされてよく、シグナルは、フルオロフォアに励起により生成され得る。別の同様の例では、抗原または標的分子に結合する抗体は、酵素またはフルオロフォアを含み得る。提示されるポリペプチドライブラリーは、抗原または標的分子と接触させられ得る。過剰な抗原の除去後、酵素またはフルオロフォアにカップリングされた抗体は、添加され、過剰分は除去される。シグナルがポリペプチドに結合した抗原に結合した抗体によって生成されることから、抗原に結合したポリペプチドは、シグナルの生成に基づいて同定され得るであろう。
【0077】
[0092]検出可能な標識は、分光学的、光化学的、生化学、免疫化学的、電気的、光学的または化学的手段によって検出可能な任意の組成物であり得る。検出可能な標識は、蛍光色素(例えば、フィコエリトリン、YPet、フルオレセイン、タグRFP、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質など、例えば、Molecular Probes, Eugene, Oreg.,USAを参照されたい)、量子ドット、放射標識(例えば、3H、125I、35S、14Cまたは32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよび他にELISAにおいて一般に使用されるもの)ならびに比色分析標識、例えば、コロイド金(例えば、高い効率で緑色光を散乱する直径サイズ範囲40~80nmの金粒子)または着色されたガラスもしくはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)のビーズを含み得る。そのような標識の使用を教示する特許として、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3,996,345号;第4,277,437号;第4,275,149号;第4,366,241号;第7,416,854号;第8,114,681号;第7,229,769号;第6,846,645号;第7,232,659号;第6,872,578号;第7,897,257号;第6,730,521号;第5,972,721号;第7,498,177号;第7,235,361号;および第6,306,610号;が挙げられる。
【0078】
[0093]検出可能なシグナルの存在を使用して、多重化された定量的タンパク質アッセイは、実施され得る。多重化された定量的タンパク質アッセイは、ポリペプチドの定量的特徴の算出、生成または同定を可能にし得る。定量的特徴は、ポリペプチドに関連する動力学的または熱力学的パラメーターであり得る。例えば、定量的特徴は、融解(もしくは変性)温度(Tm)または変性濃度中点濃度(Cm)または平衡定数などのポリペプチド安定性の測定値であり得る。定量的特徴は、非特異的結合能、凝集能、疎水性、成熟時間またはタンパク質発現レベルであり得る。定量的特徴は、速度定数または動力学的パラメーターであり得る。定量的特徴は、分子内または分子間相互作用または反応に関連し得る。例えば、定量的特徴は、酵素反応速度、酵素活性、分画活性または任意の関連する熱力学的定数であり得る。一部の場合では、多重化された定量的タンパク質結合アッセイは、実施され得る。定量的特徴は、結合親和性、会合(Ka)もしくは解離定数(Kd)、結合の動力学的定数(例えば、konもしくはkoff速度)であり得る。結合アッセイは、ライブラリーのポリペプチドの標的分子への結合事象の存在下で生成された検出可能なシグナルを観察することによって実施されてよく、検出可能なシグナルの強度は、結合を定量化するために使用され得る。一連の周知の濃度の標的分子を添加することによって、標的分子のポリペプチドライブラリーへの結合を可能にし、各ポリペプチドについての強度データを取得し、結合曲線は、ポリペプチドライブラリー中のすべてのポリペプチドについて作成され得る。この濃度依存性結合曲線は、フィットされ、ライブラリー中の各ポリペプチドについての結合親和性は、算出され得る。アレイ上に提示されたポリペプチドについて、各ポリペプチドは、アレイ上の点として観察され、所与の濃度の標的分子でのアレイ上の各点の強度は観察され得る。このように、複数のポリペプチドは、同じアッセイにおいて分析されてよく、定量的特徴は、アッセイ中の複数のポリペプチドについて取得され得る。
【0079】
[0094]多重化された定量的タンパク質アッセイ由来の結合データまたは他のデータは、ポリペプチドライブラリー中のポリペプチドを特徴付けるために使用され得る。ポリペプチドライブラリーは、参照または野生型配列のバリアントを含み、これらのアッセイはポリペプチドの特徴に中性の効果、正の効果または負の効果を有するとしてバリアントを特徴付け得る。例えば、結合親和性を特徴付けるために、ポリペプチドバリアントは、抗原への増加した結合親和性、低下した結合親和性またはわずかに変化した結合親和性を有するとして特徴付けられ得る。例えば、中性の変種は、参照または出発ポリペプチドの解離定数の0.25倍より大きく2倍未満の解離定数を有し得る。正の変種は、参照または出発ポリペプチドの解離定数の0.25倍以下の解離定数を有し得る。負の変種は、参照または出発ポリペプチドの解離定数の2倍以上の解離定数を有し得る。定量的特徴のこのデータを使用することによって、新規ポリペプチドライブラリー、例えば、結合親和性が増加した複数のバリアントの組合せを含むポリペプチド、は構築され得る。加えて、定量的測定値を使用して、特徴の強度または大きさは、将来のライブラリーの構築を導くために使用されてよく、そのデータは、そうでなければ一般的な濃縮または選択アッセイにおいて失われる可能性がある。追加的に、負のまたは中性の効果を有するバリアントの観察は、正の効果を有するバリアントについてだけ濃縮する一般的な選択または濃縮アッセイにおいて潜在的に失われるのとは対照的に、積極的に観察され得る。
【0080】
[0095]本明細書に記載される複数の定量的タンパク質アッセイは、所与のアッセイにおいて多数のタンパク質を観察できる。アッセイは、103、104、105、106、107、108、109またはこれを超えるポリペプチドの特徴を1回のアッセイで、または同時に(または実質的に同時に)観察し得る。アッセイは、短時間で実施され得る。アッセイは、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、40時間、41時間、42時間、43時間、44時間、45時間、46時間、47時間、48時間、49時間、50時間、55時間、60時間、65時間、70時間以下またはこれ未満で実施され得る。
【0081】
[0096]複数の定量的タンパク質結合アッセイは、さまざまな抗原を使用してまたはさまざまな条件下でポリペプチドライブラリーについて実施され得る。例えば、第1の結合アッセイは、第1の抗原に結合するポリペプチドを同定するために第1の抗原を使用して実施され得る。第2の結合アッセイは、第2の抗原に結合するポリペプチドを同定するために第2の抗原を使用して実施され得る。2つの結合アッセイから作成されたデータを使用して、第1の抗原および第2の抗原の両方に結合するポリペプチドは、同定され得る。ポリペプチドライブラリー構築は、他所に記載のとおり反復されてよく、バリアントの相乗的組合せは、第1のおよび第2の抗原の両方に結合するとして同定され得る。追加的に、結合アッセイは、第3の抗原、第4の抗原またはn番目の抗原および、抗原の特定のセットまたはサブセットに結合する(または結合しない)ポリペプチドに実施され得る。作成されたデータおよび反復ライブラリー設計に基づいて、抗原(複数可)に特異的であり、他の抗原に結合しない(またはほとんど結合しない)ポリヌクレオチドは、生成され得る。例えば、第1の抗原および第2の抗原に結合し、第3の抗原に結合しないポリペプチドは生成され得る。別の例では、第1のおよび第2の抗原に結合し、第3の抗原にも結合するポリペプチドは、生成され得る。
図8は、3つの抗原に関連して作製され得るさまざまな種類のポリペプチドに関連するベン図例を示す。ポリペプチドは、それぞれの抗原に結合する、または結合しない(または、ほとんど結合しない、またはわずかに結合する)ように、この図内のいずれかに入ることができる。
【0082】
[0097]特定の特徴を有するポリペプチドの同定は、追加的なタンパク質構築物またはポリペプチドコンジュゲートを生成するために使用され得る。ポリペプチドライブラリー中のポリペプチドは、全長タンパク質の機能的ドメインまたは断片を表し得る。ポリペプチド(または対応するポリヌクレオチド)の配列に基づいて、特定の特徴を有し、別のタンパク質、ドメインまたは断片のポリペプチド配列を含むポリペプチドを含むポリペプチドが発現され得る。例えば、ポリペプチド-キメラ抗原受容体融合体は、生成され得る。ポリペプチド薬物コンジュゲート(例えば、抗体薬物コンジュゲート)は、生成され得る。例えば、ライブラリー中のポリペプチドは、重鎖断片、軽鎖断片、ナノボディまたはscFvであり得る。断片が特定の特徴を有するとして同定されると、断片の配列を含む新たな全長ポリペプチドは生成され得る。例えば、全長抗体は、Fc領域のコード配列と共に断片のコード領域を含むポリヌクレオチドを発現することによって生成され得る。例えば、CDR配列は、本開示の方法に基づいて同定され得る、および全長IgG抗体は、CDR配列およびIgG骨格の配列に基づいて生成され得る。例えば、二価ナノボディは、本開示の方法によって分析されたポリペプチドの配列に基づいて生成され得る。このように、全長タンパク質を使用しないライブラリーから作成されたデータに基づいて全長抗体(または、他の機能性タンパク質)を同定および生成することは可能であり得る。このことは、目的のタンパク質の構築をモジュール的に実施でき、タンパク質の各ドメインを個々に特徴付けられるようにすることから有利であり得る。例えば、ライブラリーは、抗体の第1のCDRに対応して生成されてよく、特徴付けの方法は、ライブラリーに実施され得る。第2のライブラリーは、抗体の第2のCDRに対応して生成されてよく、特徴付けの方法は、第2のライブラリーに実施され得る。これらのライブラリーは、同じ配列決定チップもしくは基板で、または同時にもしくは異なる時期に分析され得る。CDRライブラリーは、多特異的抗体、多エピトープまたは高度に特異的な抗体が生成され得るように、異なる抗原または同じ抗原に供され得る。追加的に、より小さな断片は、所与のポリペプチド提示アレイ上でより容易に特徴付けまたは発現され得る。
【0083】
[0098]特定の特徴を有するポリペプチドの同定は、追加的ポリペプチドライブラリーを生成するために使用され得る。ポリペプチドライブラリー中のポリペプチドは、さまざまな特徴を有する機能的ドメインを示し得る。例えば、ポリペプチドライブラリー中のポリペプチドは、抗原への異なる結合親和性を有し得る。所与のポリペプチドの特徴に少なくとも基づいて、追加的ライブラリーは、特徴を最適化または改善するように生成され得る。例えば、ライブラリー中のポリペプチドは、抗原への中程度のまたは低い親和性を示し得る。続くライブラリーは、中程度の親和性を有するポリペプチドを使用でき、ポリペプチドの、またはポリペプチドを含む融合体の点変異体を含む複数のポリペプチドを生成し得る。元のポリペプチドが中程度から低い親和性を示すことから、親和性が改善している点変異体または融合体は、抗原に対する高い親和性を既に有している元のポリペプチドを使用することと比較して、さらに容易に同定できるようになり得る。親和性(または他の特徴)が改善された構築物に関して取得されたデータは、さらに改善された構築物を生成するために使用され得る。例えば、中程度の結合を有する第1のドメインおよび中程度の結合を有する第2のドメインを含む融合タンパク質は、結合活性効果を示し得る。第1のドメインは、増加した結合、結合活性またはこの両方の組合せを有するポリペプチド構築物を生成するために高い親和性を有するドメインに「取り換え」られ得る。ライブラリーは、抗原に結合しないか、または抗原に結合する低い親和性を有するドメインを有する融合ポリペプチドまたは構築物も含み得る。例えば、融合ポリペプチドは、結合する第1のドメインおよび結合しない第2のドメインを有し得る。結合しないドメインまたはモノマーの存在は、さらに似ている物理的特徴を有する別のポリペプチドに対してポリペプチドの特徴を比較することを可能にする。結合する第1のドメインおよび結合しない第2のドメインを有するポリペプチドの例では、これは、同じ第1のドメインを有するが、結合する第2のドメインを有するポリペプチドと直接比較され得る。これらのポリペプチドは、1つのドメインだけを有するポリペプチドと比較してさらに似たサイズ、長さ、形状のものであり得る。このように、比較は、さらに正確な結果を導き得る。結合しない(または、抗原への最小限の親和性を有するまたは親和性を有しない)ドメインまたはポリペプチド領域は、抗原に結合するか、または親和性を有するドメインと同じである長さ、サイズ、形状、正味の電荷を有し得る。結合しない(または、抗原への最小限の親和性を有するまたは親和性を有しない)ドメインまたはポリペプチド領域は、抗原に結合するか、または親和性を有するドメインと実質的に同じである長さ、サイズ、形状、正味の電荷を有し得る。結合しない(または、抗原への最小限の親和性を有するまたは親和性を有しない)ドメインまたはポリペプチド領域は、抗原に結合するか、または親和性を有するドメインよりも10%以下で異なる長さ、サイズ、形状、正味の電荷を有し得る。
【0084】
[0099]本開示の方法から生成されたポリペプチドは、最適化されたポリペプチドを生成するためにさまざまなライブラリーにおいて分析された定量的特徴を使用し得る。例えば、第1のライブラリーは、第1のスキャホールドの複数の点変異についての結合親和性に関連するデータを作成し得る。第2のライブラリーは、第1のスキャホールドを含む複数の異なるスキャホールドの結合親和性に関連するデータを作成し得る。第3のライブラリーは、第2のライブラリーの任意の2つのスキャホールドの組合せからの結合親和性に関連するデータを含み得る。第1のライブラリーにおいて分析された点変異を含む2つのスキャホールドを含むポリペプチドが生成され得る。このように、所与のライブラリーにその全体が必ずしも存在しないポリペプチドを生成するために第1レベルの詳細さ(例えば、所与のスキャホールドに対する点変異)で収集された情報、および第2レベルの詳細さ(例えば、二価または二エピトープスキャホールド)で収集された情報を活用する最適化されたポリペプチドは、生成され得る。
【0085】
[0100]例えば、第1のライブラリーは、抗原に結合する複数の単一ドメインを含み得る。第2のライブラリーは、第1のライブラリー中の複数の単一ドメインの内の1つまたは複数の単一ドメインの点変異を含み得る。第1のライブラリーは、抗原に結合する第1のスキャホールドの同定を可能にできる。第2のライブラリーは、異なる結合特徴を有する第1のスキャホールドのバリアントを生成できる。結合特徴(または他の定量的特徴)を決定することは、新規ライブラリーを生成するために使用されてよい、または別個のライブラリーは先に作成されたライブラリーから作成されたデータを使用することなく同時にアッセイされてもよい。作成された第2のライブラリーは、望ましいまたは標的の結合特徴を生じる変異を同定し得る。例えば、結合特徴は、結合での改善であり得る。第3のライブラリーは、単一ドメインを単一ドメインの対を含む融合ポリペプチドと組み合わせて生成され得る。第3のライブラリーは、単一ドメイン対のすべての可能な組合せを含み得る。第3のライブラリーは、単一ドメイン対のすべての可能な順列を含み得る。第3のライブラリーは、単一ドメイン対を含み得る、ここで単一ドメインは、参照または野生型単一ドメインと比較して低下した結合特徴を含む。第3のライブラリーは、二エピトープ結合剤を同定するために使用されてよく、結合が低下した単一ドメインの使用は、二エピトープ結合剤がより容易に同定されるようにできる。二エピトープ結合剤が、結合活性効果に基づいて結合特徴を顕著に増加させ得ることから、構築物中での2つの強力な結合剤の使用は、解明または同定が困難である増加を結合において生じる場合がある。エピトープにまだ結合するさらに弱い結合剤を使用することによって、二エピトープ構築物において得られた結合活性効果は、より容易に明らかになり、所与の結合アッセイを使用してアッセイ可能になる場合がある。各ライブラリーによって作成された情報は、最適化されたポリペプチドを生成するために組み合わされてよく、ここで、最適化されたポリペプチドは、いずれのライブラリーでも必ずしも分析されなかった。例えば、2つ以上のドメインを含む構築物を含むライブラリーはタンデムまたは二エピトープで結合するドメインまたはスキャホールドを決定および同定するために使用され得る。スキャホールドの点変異を含むライブラリーを使用して取得されたデータは、抗原への高いまたは最も高い結合親和性を生じる変異を同定できる。次いで変異は、各ドメインが最適化された結合親和性または結合特徴を有する、二エピトープ(または、多エピトープ)構築物を生成するように二エピトープ構築物中に置換により導入され得る。
【0086】
[0101]本開示の方法を使用して分析された断片は、より大きなポリペプチド、例えば、融合タンパク質を生成するために使用され得る。ライブラリーは、より大きなポリペプチドをコードおよび生成するために生成され得る。例えば、ライブラリーは、融合タンパク質をコードして生成され得る。より大きなポリペプチドは、ライブラリーを生成することなく生成され得る。例えば、scFvまたはCDRに関連するデータは、本明細書他所に開示の方法およびシステムを使用して生成されてよく、全長抗体は、全長抗体をコードするライブラリーを使用することなくこのデータを使用して生成され得る。
【0087】
[0102]ポリペプチドは、リンカーまたはスペーサードメインを含み得る。リンカーは、融合タンパク質を形成するように2つのドメインを連結し得る。リンカーは、ポリペプチドリンカーであり得る。リンカーまたはスペーサードメインは、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、40個、45個、50個、60個、70個、80個、90個、100個またはこれを超えるアミノ酸を含み得る。リンカーまたはスペーサードメインは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、40個、45個、50個、60個、70個、80個、90個、100個以下またはこれ未満のアミノ酸を含み得る。スペーサードメインは、ポリペプチドスペーサードメインであり得る。スペーサードメインは、N末端スペーサードメインであり得る。スペーサードメインは、C末端スペーサードメインであり得る。スペーサードメインまたはリンカーは、正の、負のまたは中性の電荷を有し得る。スペーサードメインまたはリンカーは、正味で正の、正味で負のまたは正味で中性の電荷を有し得る。スペーサードメインまたはリンカーは、疎水性、親水性または部分的に疎水性もしくは親水性であり得る。例えば、第1のVHHは、記載される方法および第1のVHH(例えば、単一点変異のライブラリー)に対応するライブラリーを使用して分析され得る。第1のVHHの分析が実施されると、特定の特徴(標的またはエピトープへの結合など)を有するある特定のVHHは、リンカー配列によって分離された別のVHHの組合せを含む第2のライブラリーを作成するために使用され得る。他のVHHは、複数のVHHを含む構築物を含む次のライブラリーの生成より先に、両方のVHHが独立して分析および選択されるようにライブラリーを創出することによって分析され得る。リンカー配列(複数可)によって分けられた2つ以上のVHHを含む構築物を含むライブラリーは、次に、本明細書他所に記載される分析に供され得る。このように、二エピトープ構築物は、生成されてよく、ここで、各結合単位は、所望のパラメーターまたはある特定の特徴を有する構築物を同定するために個々に、または同時に分析される。ライブラリーも独立して分析または生成されてよく、同時にまたは逐次的にアッセイされ得る。例えば、2つ以上のVHHの構築物を含むライブラリーは、単一VHHライブラリーガイドからのデータを用いずに、単一のVHHの構築物を含むライブラリーと共に生成および試験され得るか、または2つ以上VHHの構築物を含むライブラリーのポリペプチドを決定するために使用される。
【0088】
[0103]ライブラリーは、異なるリンカーまたはスペーサードメインを有するポリペプチドの生成を含み得る。ライブラリーは、スキャホールドまたはドメインおよびN末端スペーサーを含むポリペプチドを含み、ここで、ポリペプチドは、異なるN末端スペーサーを有する。N末端スペーサーは、ポリペプチドの提示または他の特徴を変更でき、異なるN末端スペーサーのライブラリーは、所与のポリペプチドまたはスキャホールドのために最適なまたは好ましいN末端スペーサーの決定を可能にする。同様にライブラリーは、N末端スペーサー、C末端スペーサー、リンカーまたはこれらの組合せについて生成およびアッセイされ得る。N末端スペーサー、C末端スペーサーまたはリンカーは、さまざまな長さ、電荷、可動性、立体容積、疎水性またはポリペプチドの特徴に影響を与え得る他の特徴を含み得る。ライブラリーは、ポリペプチド構築物のための適切なスペーサーおよびリンカーの選択を可能にする。二エピトープ(または多エピトープ)結合剤の文脈では、リンカーの長さの変動は、結合特性に影響を与え得る。抗原に対するエピトープが特定の距離離れている場合があることから、結合剤の空間的特徴は、結合を最適化するために適している場合がある。例えば、2つの結合ドメインを分離する短すぎるリンカーは、結合剤を抗原上の両方の結合ドメインに同時に結合できなくする場合があり、それにより結合能力全体に影響を与え得る。このように、異なるリンカーを有する同じ2つのスキャホールドまたは結合ドメインを含むライブラリーは、最適なまたは好適なリンカーを同定するために使用され得る。
【0089】
[0104]種々の態様では、ポリペプチドを生成するために使用され得るデータは、生成または取得され得る。例えば、複数のポリペプチドの結合特徴に関連するデータは、生成または取得され得る。このデータは、ライブラリーの設計を導くために使用され得る。例えば、異なるスキャホールドの第1のライブラリーは、生成されてよく、スキャホールドの結合特徴に関連するデータは、生成され得る。抗原に結合しなかったスキャホールドは、将来のライブラリーから省略され得る。抗原に結合するスキャホールドは、そのスキャホールドの点変異体のライブラリーを生成するために参照スキャホールドまたはポリペプチドとして使用され得る。データは、公的に入手可能なデータベースから取得され得る。例えば、抗原に結合するポリペプチドについて公的に入手可能なデータは、参照ポリペプチドまたはスキャホールドを決定するために使用され得る。複数のデータセットは、使用され、比較され得る。例えば、単一ドメインを含むポリペプチドに関するデータは、単一ドメインの融合体を含むポリペプチドに関するデータと比較され得る。同じ単一ドメインを含むポリペプチドに対応する単一ドメインのデータを比較することによって、別のドメイン(例えば、二エピトープ構築物)の付加に基づく結合への改善は決定され得る。
【0090】
[0105]
図15A~15Cは、ライブラリーを生成するために使用でき、目的のポリペプチドを生成するためにライブラリー由来のデータを使用する模式的ワークフロー例を示す。
図15Aは、親和性最適化バリアントの生成を可能にする模式的ワークフローを示す。ポリペプチドの変異を含む初期ライブラリー1501が生成される。ライブラリーは、20種すべての基準のアミノ酸をそれぞれ置換する単一点変異が、ポリペプチドの領域からのすべての残基で作製される、体系的変異スキャンライブラリーであり得る。ライブラリー1501の分析は、個々の変異の影響が分析され得るポリペプチドの変異ランドスケープについての情報をもたらす。ライブラリー1501において発見された情報に基づいて「標的化」を有する第2のライブラリー1505がデータの分析を使用して生成される。例えば、ライブラリー1505は、ライブラリー1501において同定された、結合の改善を生じ得る複数の残基への変異を含むことができる。初期ライブラリー1501は、結合親和性を向上させる単一点変異を例えば同定できる。ライブラリー1505は、ライブラリー1501において同定された複数の単一点変異を含むポリペプチドを含み得る。初期ライブラリー1501は、例えば、一部またはすべての単一点変異が結合に中立のまたは正の増加をもたらす変異に適している残基を例えば同定できる。ライブラリー1505は、変異に適している可能性があるとして同定された残基での変異のすべての組合せを有するポリペプチドを含み得る。ライブラリー1505のスクリーニングは、初期の参照または野生型ポリペプチドから複数の変異だけ異なる、異なるポリペプチドの大きなデータセットの作成を可能にする。データ分析1515は、このデータセットについて実施され、親和性最適化バリアントの同定を可能にする。
【0091】
[0106]
図15Bは、結合活性の増加を導くタンデム対を同定する模式図例を示す。抗原に結合できるモノマーポリペプチドの第1のライブラリー1520は、生成され、異なる個々のモノマーポリペプチドについてのデータは生成される。2つのモノマーポリペプチドのポリペプチド配列を含む融合体タンデムポリペプチドを創出することによって作製されるポリペプチドを含む第2のライブラリー1525も生成される。第2のライブラリー1525は、2つのモノマーポリペプチドのすべての可能な順列を有し得る。ライブラリー1520および1525は、ポリペプチドの結合および提示に影響を与え得る異なるN末端スペーサーおよび/またはC末端スペーサーを有するポリペプチドも含み得る。追加的に、第2のライブラリー1525は、2つのモノマーポリペプチドの間にさまざまなリンカーも含み得る。例えば、第2のライブラリー1525は、リンカーを含む2つのモノマーポリペプチドを含むポリペプチド、および異なるリンカーを含む同じ2つのモノマーポリペプチドを含む第2のポリペプチドを含み得る。追加的に、ライブラリー1525は、抗原に結合できる1つのモノマーポリペプチドおよび抗原に結合しない別のモノマーを有するポリペプチドを含み得る。これは、それが、同様のサイズだが結合ドメインを1つだけ有する「シュードモノマー」を創出することから、他のタンデムポリペプチドに対して比較するためのベースラインとして作用するポリペプチドを生成し得る。データ分析1530は、その構成要素の個別のモノマー(およびシュードモノマー)と比較して、結合親和性における増加を生じるタンデムライブラリー中の対を見出すために、モノマーポリペプチドライブラリー1520からのデータをタンデムライブラリー1525(およびシュードモノマー)からのデータと比較することによって実施される。
【0092】
[0107]
図15Cは、
図15Aおよび15Bに記載され、例示された分析とライブラリーとを組み合わせるワークフロー例の模式図を示す。ライブラリーのセットおよびデータ1540は、複数の参照および野生型分子について生成される。これらの各ポリペプチドについて、初期体系的変異スキャンライブラリー、例えばライブラリー1501は、生成される。ライブラリー1540の分析は、個々の変異の影響が分析され得るポリペプチドの変異ランドスケープについての情報を作成する。次いで、変異ランドスケープについての情報は、3つの異なるライブラリーを生成するために使用され得る。ライブラリー1505について記載されたのと同様に、標的化ライブラリーは、参照または野生型ポリペプチドのそれぞれについて生成される。ライブラリー1540において発見された情報に基づく「標的化」を有するライブラリー1545の別のセットがデータの分析を使用して生成される。例えば、ライブラリー1545は、ライブラリー1540において同定された、結合の改善を生じ得る複数の残基への変異を含むことができる。ライブラリー1540のセットは、結合親和性を向上させる単一点変異を例えば同定できる。ライブラリー1545は、ライブラリー1540において同定された複数の単一点変異を含むポリペプチドを含み得る。ライブラリー1540は、例えば、一部またはすべての単一点変異が結合に中立のまたは正の増加をもたらす変異に適している残基を例えば同定できる。ライブラリー1545は、変異に適している可能性があるとして同定された残基での変異のすべての組合せを有するポリペプチドを含み得る。ライブラリー1545のスクリーニングは、初期の参照または野生型ポリペプチドから複数の変異だけ異なる、異なるポリペプチドの大きなデータセットの生成を可能にする。データ分析1550は、このデータセットについて実施され、親和性最適化バリアントの同定を可能にする。ライブラリー1540のセットによって決定されるとおり、中位の乃至低い親和性を示した複数のモノマーを含む第2のライブラリー1560が生成される。2つのモノマーポリペプチドのポリペプチド配列を含む融合体タンデムポリペプチドを創出することによって作製されるポリペプチドを含む第3のライブラリー1565も生成される。第2のライブラリー1565は、2つのモノマーポリペプチドのすべての可能な順列を有し得る。ライブラリー1560および1565は、ポリペプチドの結合および提示に影響を与え得る異なるN末端スペーサーおよび/またはC末端スペーサーを有するポリペプチドも含み得る。追加的に、第2のライブラリー1565は、2つのモノマーポリペプチド間に異なるリンカーを含み得る。例えば、第2のライブラリー1565は、リンカーを含む2つのモノマーポリペプチドを含むポリペプチド、および異なるリンカーを含む同じ2つのモノマーポリペプチドを含む第2のポリペプチドを含み得る。追加的に、ライブラリー1565は、抗原に結合できる1つのモノマーポリペプチドおよび抗原に結合しない別のモノマーを有するポリペプチドを含み得る。このことは、それが、同様のサイズだが結合ドメインを1つだけ有する「シュードモノマー」を創出することから、他のタンデムポリペプチドに対して比較するためのベースラインとして作用するポリペプチドを生成し得る。データ分析1570は、その構成要素の個別のモノマー(およびシュードモノマー)と比較して結合親和性における増加を生じるタンデムライブラリー中の対を見出すために、モノマーポリペプチドライブラリー1560からのデータとタンデムライブラリー1565(およびシュードモノマー)からのデータを比較することによって実施される。次いで、データ分析1580は、データ分析1550およびデータ分析1570に基づいて高い親和性のタンデム結合剤を同定するために実施される。データ分析1570は、タンデムに結合するモノマーを同定するが、しかし、生成された各モノマーそれ自体は高い親和性を有しない場合がある。データ分析1550は、所与のモノマー構築物において親和性の増加をもたらす変異を決定する。データを組み合わせること、およびデータ分析1570において発見されたタンデム対のモノマーそれぞれに変異を加えることによって、各モノマーが高い親和性を有するタンデム結合剤は、生成され得る。
【0093】
[0108]多重タンパク質アッセイが実施でき、タンパク質アレイ上で画像化され得ることから、基準マーカーは使用され得る。基準マーカーは、所与のアレイ由来の複数の画像のアライメントを可能にする。多重化されたタンパク質アッセイが所与のアレイ上に多数のポリペプチドを含むことから、これは、あるポリペプチドが別のポリペプチドと取り違えられることを防ぐために有利である可能性がある。ポリペプチドと共に1つまたは複数の基準マーカーを画像化することによって、アレイ上の位置は、基準マーカーの位置として同定され得る。アレイ上のポリペプチドについてのシグナルは、1つまたは複数の基準マーカーに対して参照され、それにより、各ポリペプチドの位置は正確にマッピングされるようになる。結合アッセイについて、ポリペプチドアレイの複数の画像は、生成され得る。これらの画像は、1つまたは複数の基準マーカーの位置に基づいてアラインされ得る。
【0094】
[0109]基準マーカーは、基準ポリヌクレオチドをアレイ上に捕捉することによって生成され得る。次いで、基準ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドは添加されてよく、ここで基準ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドは検出可能な標識を含む。この検出可能な標識は、基準マーカーとして作用し得る。
【0095】
[0110]種々の実施形態では、ポリペプチドライブラリーを抗原に結合させ、結合データは、ポリペプチドライブラリーに由来する。抗原は、小分子、タンパク質もしくはポリペプチド、受容体、ホルモンまたは任意の分子であり得る。抗原は、動物、植物、真菌、微生物、ウイルスまたは他の生物学的生物由来であり得る。抗原は、無機化合物または有機化合物であり得る。抗原は、病原体由来または病原体から生成され得る。例えば、抗原は、SARS-CoV-2由来であり得る、またはこれから生成され得る。抗原は、SARS-CoV-2受容体結合ドメイン(RBD)であり得る。
【0096】
[0111]本開示に記載される方法、組成物およびシステムを使用して生成されたポリペプチドは、抗体または抗体断片を生成するために使用され得る。抗体および抗体断片は、治療薬または診断薬として使用され得る、ならびに高い親和性および/または高い特異性を有する抗体は、非常に有用であり得る。本明細書他所で提供される方法、組成物およびシステムは、高い親和性および/または高い特異性を有する抗体を生成することが可能である。追加的に、記載される方法の能力を多重化することにより、特定の特徴の抗体は、高度に効率的な様式でアッセイおよび設計され得る。
【0097】
コンピューター制御システム
[0112]本開示は、本開示の方法を実行するようにプログラムされたコンピューター制御システムを提供する。
図16は、ポリペプチドライブラリーに対応する画像処理、または結合親和性の算出など、方法の一部を実施するようにプログラムされたか、またはそうでなければ構成されたコンピューターシステム1601を示す。コンピューターシステム1601は、本開示の方法の種々の態様、例えば、受像、強度についての画像処理、結合曲線の出力などを制御できる。コンピューターシステム1601は、ユーザーの電子デバイス、または電子デバイスに対して離れて配置されるコンピューターシステムであってよい。電子デバイスは、モバイル電子デバイスであってよい。
【0098】
[0113]コンピューターシステム1601は、シングルコアもしくはマルチコアプロセッサ、または並列処理のための複数のプロセッサであり得る中央処理装置(CPU、本明細書において「プロセッサ」および「コンピュータープロセッサ」とも)1605を含む。コンピューターシステム1601は、メモリまたはメモリ場所1610(例えば、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、フラッシュメモリ)、電子的記憶装置1615(例えば、ハードディスク)、1つまたは複数の他のシステムと通信するための通信インターフェース1620(例えば、ネットワークアダプター)および、周辺デバイス1625、例えば、キャッシュ、他のメモリ、データ記憶装置および/または電子的ディスプレイアダプターも含む。メモリ1610、記憶装置1615、インターフェース1620および周辺デバイス1625は、マザーボードなどの通信バス(ソリッドライン)を通じてCPU 1605と通信する。記憶装置1615は、データを保管するためのデータ記憶装置(またはデータ保管場所)であり得る。コンピューターシステム1601は、通信インターフェース1620の助力でコンピューターネットワーク(「ネットワーク」)1630に作動可能に連結され得る。ネットワーク1630は、インターネット、インターネットおよび/もしくはエクストラネット、またはイントラネットおよび/もしくはインターネットと通信しているエクストラネットであり得る。一部の場合では、ネットワーク1630は、遠隔通信および/またはデータネットワークである。ネットワーク1630は、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にする1つまたは複数のコンピューターサーバーを含み得る。ネットワーク1630は、一部の場合ではコンピューターシステム1601の助力で、コンピューターシステム1601に連結されたデバイスがクライアントまたはサーバーとして機能できるようにするピアツーピアネットワークを実行できる。
【0099】
[0114]CPU1605は、プログラムまたはソフトウェアに具体化され得る一連の機械可読な指示を実行できる。指示は、メモリ1610などのメモリ場所に保存され得る。指示は、CPU1605に向けられてよく、それは続いてCPU1605を本開示の方法を実行するようにプログラムできるか、またはそうでなければ構成できる。CPU1605によって実施される演算の例として、フェッチ、デコード、実行およびライトバックが挙げられる。
【0100】
[0115]CPU1605は、集積回路などの回路の一部であり得る。システム1601の1つまたは複数の他の構成要素は、回路に含まれ得る。一部の場合では、回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0101】
[0116]記憶装置1615は、ドライバ、ライブラリーおよび保存されたプログラムなどのファイルを保存できる。記憶装置1615は、ユーザーデータ、例えば、ユーザー設定およびユーザープログラムを保存できる。一部の場合ではコンピューターシステム1601は、イントラネットまたはインターネットを通じてコンピューターシステム1601と通信するリモートサーバーに位置するなど、コンピューターシステム1601の外にある1つまたは複数の追加的なデータ記憶装置を含む場合がある。
【0102】
[0117]コンピューターシステム1601は、ネットワーク1630を通じて1つまたは複数のリモートコンピューターシステムと通信できる。例えば、コンピューターシステム1601は、ユーザーのリモートコンピューターシステムと通信できる。リモートコンピューターシステムの例として、パーソナルコンピューター(例えば、ポータブルPC)、スレートもしくはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話機、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone(登録商標)、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))または携帯情報端末が挙げられる。ユーザーは、ネットワーク1630を介してコンピューターシステム1601に接続できる。
【0103】
[0118]本明細書に記載される方法は、コンピューターシステム1601の、例えば、メモリ1610または電子的記憶装置1615などの電子的記憶場所に保存された機械(例えば、コンピュータープロセッサ)実行可能コードによって実行され得る。機械実行可能コード、または機械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供され得る。使用の際にコードは、プロセッサ1605によって実行され得る。一部の場合では、コードは、記憶装置1615から読みだされ、プロセッサ1605による即時アクセスのためにメモリ1610に保存され得る。場合により、電子的記憶装置1615は除外される場合があり、機械実行可能指示はメモリ1610に保存される。
【0104】
[0119]コードは、コードを実行するように適応されたプロセッサを有する機械を用いた使用のために事前にコンパイルされ、構成され得るか、または実行時にコンパイルされ得る。コードは、事前にコンパイルされたか、またはコンパイルされた様式でコードが実行できるように選択されてよいプログラミング言語で提供され得る。
【0105】
[0120]コンピューターシステム1601などの本明細書で提供されるシステムおよび方法の態様は、プログラミングにおいて具体化され得る。技術の種々の態様は、典型的には、機械可読媒体の一種において実行されるか、または具体化される機械(または、プロセッサ)実行可能コードおよび/または関連データの形態での「製品」または「製造品」として考えられる。機械実行可能コードは、メモリ(例えば、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)またはハードディスクなどの電子的記憶装置に保存され得る。「記憶装置」型媒体は、ソフトウェアプログラミングのためにいつでも持続的記憶装置を提供できる、コンピューター、プロセッサなどの、またはそれらの関連するモジュール、例えば、種々の半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどの任意のまたはすべての有形メモリを含み得る。時に、ソフトウェアのすべてまたは一部は、インターネットまたは種々の他の遠隔通信ネットワークを通じて通信できる。そのような通信は、例えば、1つのコンピューターまたはプロセッサから別のものへ、例えば、管理サーバーまたはホストコンピューターからアプリケーションサーバーのコンピュータープラットフォームへのソフトウェアのロードを可能にする。したがって、ソフトウェア要素を保持できる別の種類の媒体として、有線および光回線ネットワーク(optical landline network)を通じた、ならびに種々のエアリンクを通じたローカルデバイス間の物理的インターフェースを超えて使用される光波、電波および電磁波などが挙げられる。有線リンクまたは無線リンク、光リンクなどのそのような波を伝える物理的要素も、ソフトウェアを保持する媒体と見なされ得る。本明細書において使用される場合、持続的で有形の「記憶装置」媒体に限定されることなく、コンピューターまたは機械「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに指示を与えることに関与する任意の媒体を指す。
【0106】
[0121]したがって、コンピューター実行可能コードなどの機械可読媒体は、これだけに限らないが、有形記憶媒体、搬送波媒体または物理的伝送媒体が挙げられる多数の形態を取り得る。不揮発性(On-volatile)記憶媒体として、例えば、図に示される、任意のコンピューター(複数可)などにおける任意記憶デバイスなど、データベースを実行するために使用され得るなどの、光ディスクまたは磁気ディスクが挙げられる。揮発性記憶媒体として、例えば、コンピュータープラットフォームのメインメモリなどのダイナミックメモリが挙げられる。有形伝送媒体として、コンピューターシステム内のバスを含むワイヤーを含む同軸ケーブル;銅線および光ファイバーが挙げられる。搬送波伝送媒体は、ラジオ周波数(RF)および赤外(IR)データ通信の間で生成されるなどの、電気のもしくは電磁気のシグナル、または音波もしくは光波の形態を取り得る。したがって、コンピューター可読媒体の一般的形態として、例えば:フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、任意の他の光媒体、パンチカード紙テープ、穴のパターンを用いる任意の他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジ、データまたは指示を伝送する搬送波、そのような搬送波を伝送するケーブルもしくはリンク、または、コンピューターがそれからプログラミングコードおよび/もしくはデータを読み取ることができる任意の他の媒体が挙げられる。コンピューター可読媒体のこれらの形態の多くは、1つまたは複数の指示の1つまたは複数の連続を実行のためのプロセッサに伝えることに関与し得る。
【0107】
[0122]コンピューターシステム1601は、提供するため、例えば、ポリペプチドの配列または各画像についての抗原濃度を提供するためのユーザーインターフェース(UI)1640を含む電子ディスプレイ1635を含むか、またはそれと通信している。UIの例として、非限定的に、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)およびウェブベースのユーザーインターフェースが挙げられる。
【0108】
[0123]本開示の方法およびシステムは、1つまたは複数のアルゴリズムによって実行され得る。アルゴリズムは、中央処理装置1605による実行でソフトウェアの方法により実行され得る。アルゴリズムは、例えば、ポリペプチドの配列を生成できる、結合係数を算出できるか、または曲線をフィットできる。
【実施例】
【0109】
実施例1
ナノボディの生成
[0124]ナノボディ(またはVHH)は、ラクダ、ラマおよびアルパカを含むラクダ類において見出される単一ドメイン抗体のクラスである。単一可変重鎖から構成されるナノボディは、高い特異性および親和性をそれらの抗原性標的に示し、しばしば好ましい免疫原性および毒性プロファイルを有する。それらのサイズが小さい(約15kDa)ことから、それらは容易に産生され、従来の抗体の抗体よりも安定である可能性がある。これらの特性は、ナノボディを新規治療薬開発のための刺激的な標的にしている。実際に、1990年代でのそれらの発見以来、ナノボディは、特に多数のがん、血栓性血小板減少性紫斑病、炎症およびアルツハイマーを含む種々の疾患と闘うための薬物候補として臨床試験に次第に入っている。
【0110】
[0125]2019年終わりから世界中で8000万人を超える人々に感染したSARS-CoV新型コロナウイルスによって生じた世界的なパンデミックにおいて、およそ200万の人々が死亡した。ウイルスエンベロープには、ヒト上皮細胞上のアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体に結合するスパイクタンパク質の多数のコピーがちりばめられており、それによりウイルス侵入が開始する。したがって、多くのグループが、このスパイクタンパク質に結合できる親和性試薬を開発することに注目しており、いくつかのVHH配列は、スパイクタンパク質への高い親和性結合、およびin vitroでのウイルス侵入の高い中和レベルの両方を示したと報告された。さらに、製薬会社は、スパイク結合ナノボディの有効性を試験する治験を既に開始した。
【0111】
[0126]Sy62は、文献に以前記載された抗SARS-CoV-2 VHHである。Sy62は、高いシグナル・ノイズ比および素晴らしい結合親和性(約3.4nMの見かけのK
D)を有し、バリアントを生成するための参照配列として使用された。提示の最初の最適化は、異なるスペーサーおよびリンカー領域を有するポリペプチドライブラリーを生成することによって実施した。種々のC末端スペーサーおよびn末端リンカーをスクリーニングした。成功した提示のクリーニングを、提示チップ上のVHHの適切なフォールディングおよび機能を観察することによって分析する。
図1Aは、提示スクリーニングについての模式図を示し、ここで約1,200~約30,000個の組合せを提示し、結合について分析する。
図1Bは、リボソームディスプレイを使用して提示されたライブラリーのポリペプチドの模式的例を示し、ここで、異なる形は、提示され得る異なるN末端リンカーおよびC末端スペーサーを示すものである。
【0112】
[0127]次いで、Sy62の相補性決定領域(CDR)領域内で結合に寄与する個々のアミノ酸を、大きな標的化変異ライブラリーを作り、結合への各変異の影響を測定することおよび変異間の協同的相互作用を特徴付けることによって分析した。
【0113】
[0128]そのような分析は、Sy62 CDR内の機能的変異の包括的な一覧をもたらし、親和性調節および改善のための手段を提供する。これらのデータセットを作成するために、多方面からのアプローチを使用した。第1の実験では、約90,000個の異なるバリアントを含むSy62 CDRの変異体親和性ランドスケープを3個の別のサブライブラリーに分けた。第1のサブライブラリーは、縮重したNNKコドンを使用してすべての可能な20種のアミノ酸に各CDR残基が変異された単一変異体の網羅的なセットを含む。第2のサブライブラリーでは、Sy62 CDRにおいて相互作用する残基間を代償する変異を同定した。Sy62が由来した親ナノボディの結晶構造を分析することによって、CDR内およびCDR間相互作用残基の候補を同定し、次いで残基の対をすべての可能な二重変異組合せに変異させた。第3のおよび最終的なサブライブラリーは、1~17アミノ酸の長さの範囲内でのすべての可能な欠失に加えて、各位置で単一残基挿入を含むCDR3の長さへのSy62結合親和性の依存性を調査した。これら3個のCDRサブライブラリーを、FR2フレームワーク領域中の4個の重要な残基にいくらかの多様性が導入された野生型(WT)Sy62フレームワーク(FR)からなる6個の異なるフレームワークスキャホールドに組み入れた。ライブラリーは、ポリペプチドバリアントをコードする複数のポリヌクレオチドを生成し、次いで配列決定チップ上でリボソーム提示法を使用することによって構築した。
【0114】
[0129]
図2は、DNAライブラリーがすべての単一点変異について生成され、次いで、定量的分析を実施し得る、第1のサブライブラリーに関する一般的ワークフローの模式図である。具体的には、配列決定チップ上にサブライブラリーのポリペプチドを提示することによって第1のサブライブラリーの分析を実施した。最初に、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのライブラリーを配列決定チップ上に加え、捕捉した。ポリヌクレオチドを、各ポリヌクレオチドおよび続いて提示される対応するポリペプチドのチップでの位置を決定するために配列決定した。各ポリヌクレオチドからの対応するVHHポリペプチドを提示するように、リボソームディスプレイのための試薬を加えた(例えば、RNAポリメラーゼ、dNTP、リボソーム、tRNA)。結合を分析するために、さまざまな濃度の標識SARS-CoV-2 RBDを配列決定チップに加え、提示されたVHHポリペプチドに結合できるようにし、過剰なSARS-CoV-2 RBDを除去した。標識SARS-CoV-2 RBDからの蛍光シグナルが生成され、各ポリペプチドの強度は配列決定チップの画像化によって回収した。各濃度の標識SARS-CoV-2 RBDに対するチップの画像を作成することによって、チップ上の各ポリペプチドについての結合曲線を作成した。次に結合曲線は、結合係数または他の定量的結合測定値を決定するためにフィットされ得る。
【0115】
[0130]第1のサブライブラリーの超並列アレイ(Prot-MaP)分析でのタンパク質提示は、強い結合シグナルおよび多様な結合定数ならびにアミノ酸位置および同一性の両方へのCDRの複合的依存を明らかにした。ある特定の残基は、結合に影響を与えることなく変異誘発されることが観察された一方で、他の残基は、特定の他のアミノ酸への変異が可能なだけであった。さらに、一部のアミノ酸は、変異された場合に結合が増加する。実際に、残基CDR2.6は、約15個の異なるアミノ酸のいずれかにWTから変異された場合に活性の改善を示した。さらに、第2のサブライブラリーは、標的と相互作用する残基が変異に高度に感受性であることを確認するだけでなく、そうでなければ効果のない単一変異体において機能を回復させる補償変異を同定することを可能にして構造ガイドアプローチを検証し、高度に感受性の残基でさえ最適化する潜在的な方法を提供する。
図3は、見かけのKd(K
d
app)によって色付けられた結合データのヒートマップを示す。詳細には、各VHHについての単一変異体CDRバリアントを最初にグループ分けし、それらの特異的な親CDRの配列によってビンに分けた。次に、CDR変異体の各セットについての結合データを、x軸上にCDRを構成する残基およびy軸上に20種の(各位置が変異された)個々のアミノ酸の同一性を配置して、個々のヒートマップとして構築した。各位置でのWTアミノ酸同一性は、ヒートマップ上で黒四角によって印を付けた。ヒートマップ中のバリアントの結合親和性は、薄い赤(弱い親和性)から濃い赤(高い親和性)に色付ける。最も高い試験濃度でも結合が観察されなかったバリアントは白色で示し、一方最も高い親和性のバリアントは紫色に色付ける。バリアントは、野生型のKd、3.4nMに基づいて中性(Kd=1.5~7nM)、負(Kd>7nM)または正(Kd≦1.5nM)としてグループ分けできる。
【0116】
[0131]工程の第2のステップでは、単一変異体分析を通じて多様な変異ランドスケープにわたって高い親和性の結合を維持することが可能であるSy62のバリアントを見出し、野生型と比較して同等かまたは改善されたシグナルおよび結合親和性を示した、CDR中の合計34残基から13個の位置での21個の変異を選択した。この第2のライブラリーは、受け入れられるこれらの中性から有益(個々に検討した場合)の変異のすべての可能な組合せを同時に変異させた1から13位のすべてのいずれかですべての可能な組合せを調査し、約200,000個のSy62バリアントを含むライブラリーをもたらした。
図4は、第1のDNAライブラリーが生成され、次いで、定量的分析が実施される一般的なワークフローについての対応する模式図を示す。第1のDNAライブラリーからのデータを使用して、第2のDNAライブラリーは生成でき、定量的分析は最適化されたバリアントを生成するために実施できる。
【0117】
[0132]約200,000個のSy62バリアントを含むライブラリーの配列決定およびProt-MaP分析において、配列空間中で非常に離れているバリアント(野生型(WT)から13個の変異だけ異なる)を同定し、それは、それらの親配列と同等またはそれより良好に役割を果たした。
図5は、初期サブライブラリーの分析からの結果(「第1の実験」)、および初期サブライブラリーにおいて同定されたバリアントに基づいて生成されたライブラリーからの結果(「第2の実験」)を示す。
図5Aは、2つの実験それぞれからのSy62 CDRバリアントを、各実験において観察された変異の数によってビンに分けた頻度ヒストグラムとしてプロットしたものを示す。第1の実験(青バー)では、大部分のバリアントは、WT配列から1個から3個の変異だけ異なっていた。次に、このライブラリー由来の中性および有益な変異をWT配列から3~17個の間の変異だけ異なるバリアントの多様なコンビナトリアルライブラリーを生成するために複数の異なる順列で第2の実験(黒バー)と組み合わせた。第2のライブラリーの大部分のメンバーは、WTから6~8個の間の変異を含有した。
図5Bは、2つの実験(第1の実験は青線によって示される;第2の実験は黒線によって示される)のそれぞれからのバリアントの見かけの結合親和性(y軸)を、最も高い親和性から最も低い親和性に順位付け、ランク(x軸)の関数としてプロットして示す。各実験では、WT配列の順位を赤破線によって示す。第1の実験では、バリアントの9%未満は、WTを超えて改善された親和性を有した。親和性成熟工程は、2つの実験間でWTを超えるリガンドへの大きな親和性を有するバリアントの数においておよそ9倍の増加(約8.7%から約77%)を生じた。
図5Cは、第1の実験(左パネル、青)からのSy62バリアントの見かけの結合親和性を示し、第2の実験(右パネル、黒)はSy62 WT配列からの各CDRの変異距離の関数として3次元散布図上に個々にプロットした。バリアントの見かけの結合親和性を明(弱い親和性)から暗(高い親和性)に色付ける。
【0118】
[0133]同定された最も親和性が高いバリアントの一部は、WTからの7~11個の変異だけ異なっていた。
図4は、WT Sy62ナノボディ(黒)よりも優れていた選択された高い親和性のバリアント(矢印)および、高度に変異した(灰色)バリアントを示す。コンビナトリアルライブラリー(第2の実験)からのバリアントの蛍光結合データを1:1平衡結合モデルにフィットさせた。
図6は、各フィットパラメーターにおける±標準偏差を示す影を付けた領域と共にリガンド濃度(x軸)の関数としてのリガンド結合(y軸)を示す。左パネルは、WT Sy62(右曲線)よりも17~28倍高い結合親和性を有する選択バリアント(左曲線)を示す。これらのバリアントは、WT配列から7~11個の変異を含有していた。右パネルは、WT配列(濃灰色の線)から13個の変異だけ異なるバリアント(薄灰色の線)の結合の改善を示す。総合的に、およそ75,000個のバリアントを、最初の配列よりも強い結合親和性を有するとして同定した、一方、最も強い結合のバリアントは、
図5Bに示すとおりWTと比較して、見かけの親和性
(K
d
app
)の約100倍の改善を示した。
【0119】
実施例2
[0134]ポリペプチド融合体、多エピトープまたは特異的ポリペプチドの生成。
[0135]実施例1に記載のものと同様の方法を使用して、さらなる複合体ポリペプチドは、ポリペプチドライブラリーの定量的分析に基づいて生成され得る。scFvバリアントまたはVHHバリアントを含む第1のライブラリーを生成する。第1のライブラリーは、実施例1に記載されるサブライブラリー、例えば、各残基番号での各基準アミノ酸への単一アミノ酸置換に対応する各残基について20個のバリアントを含むサブライブラリーを含む。実施例1と同様に、次にライブラリーを、目的の標識抗原がポリペプチドライブラリーと相互作用できるようにする定量的結合アッセイに供する。標識抗原を種々の濃度で加え、各濃度での相互作用を決定するために標識の強度を画像化する。各ポリペプチドについての結合曲線を作成し、定量的結合特徴を決定するためにフィットする。ライブラリーに関連するデータが作成されたら、第2のライブラリーをバリアントに関する情報を使用して構築する。例えば、中性のまたは正の効果を有するバリアントの組合せに対応する複数の変異を含むバリアントは、第2のライブラリーのために構築できる。第2のライブラリーを、最適化されたか、または改善された結合特徴を有するポリペプチドを同定するためにアッセイする。これらの最適化されたポリペプチドは、新規ポリペプチド構築物のコアまたはドメインとして使用され得る。ライブラリーは、scFvまたはVHHを使用して作成されるが、より大きなポリペプチドまたはポリペプチド融合体は、生成され得る。
図7は、生成され得るポリペプチド融合体の模式図を示す。最適化されたscFvの同定に基づいて、完全なIgG抗体は、最適化されたscFvの配列情報を使用し、最適化されたscFvの構造または配列を含むIgG抗体をコードして生成され得る。同様の方法は、VHHライブラリーについて使用され得る。
図7に示すとおり、最適化されたVHHの配列は、VHH-Fc融合体を構築するために使用でき、多重特異的または多エピトープポリペプチドを生成するために他のVHHと組み合わされてよく、抗体薬物コンジュゲートを作製するように薬物とコンジュゲートされてよく、VHH-CARを作製するようにキメラ抗原受容体と組み合わされてよい。多特異的または多エピトープ構築物に関して、
図8は、さまざまな抗原への結合のベン図を示す。VHHは、特異的抗原について個別にアッセイでき、次いで、多特異性を可能にするように組み合わされ得る。
【0120】
実施例3
[0136]二エピトープポリペプチドの生成
[0137]二エピトープポリペプチドは、同じ抗原上の2つの異なるエピトープに結合することが可能である抗体または抗体断片のクラスである。二エピトープ抗体は、標的抗原への結合活性の増加および抗体を回避する抗原変異への影響の受けやすさの減少が挙げられる、単一のエピトープを標的にする抗体を超える多数の異なる有利点を有し得る。例えば、Janssen/Johnson & Johnsonによって開発された二エピトープVHHは、再発/難治性多発性骨髄腫の処置のためのBCMAを標的とするCAR-T細胞治療としての使用についてFDAの認可を得た。
【0121】
[0138]二エピトープ抗体を開発するための伝統的アプローチは、標的抗原上の異なるエピトープに結合する抗体もしくは抗体断片の予備知識に頼っているか、または同じ抗原上の異なるエピトープに結合する抗体断片の対を個々にスクリーニングし、発見するロースループットなエピトープビニング方法を利用していた。Prot-MaPプラットフォームは、二エピトープタンデムVHHを同定および特徴付けするために、タンデムに配置したVHHの大きなライブラリーをスクリーニングするための体系的で、ハイスループットなアプローチを可能にする(
図9)。これらのライブラリーへのVHHのインプットは、これだけに限らないが、DNA合成、動物(他にも多くあるが、アルパカ、ラマ、ラット、マウス)の免疫処置およびヒト免疫レパートリー配列の利用を含むいくつかの方法で行うことができる。
【0122】
[0139]公的に入手可能な情報源を使用して、本発明者らは、SARS-CoV-2スパイクおよびRBDタンパク質を標的にするVHHの大きなセットを同定した。これらのVHHのRBDに結合する活性を検証するために、本発明者らは、セット内のすべてのVHHが、初期提示を最適化するためにN末端リンカーおよびC末端スペーサーポリペプチドの多様性の文脈で配置された調査ライブラリーを最初に構築した。このライブラリーから、SARS-CoV-2 RBDに中程度から高い親和性で結合するいくつかのVHH(およびそれらに伴う提示の状況)を同定した。次に、選択されたVHHの親和性を最適化するために、実施例1においてと同様に、以前のステップにおいて同定された14個の最も高い親和性のVHHの単一変異体バリアントを含むライブラリーを生成した。ライブラリーを配列決定し、これらのバリアント変異体の親和性を、Prot-MaP実験において定量的に特徴付けた。さまざまな濃度での一連の蛍光標識SARS-CoV-2 RBD溶液を配列決定チップに逐次的に加え、提示されたVHHに結合できようにし、画像化した。結合したRBDからの蛍光シグナルを定量化し、RBD標的への提示された各VHHの結合親和性を導くために使用した結合曲線にフィットさせ、それにより、これらのVHHそれぞれのCDRにおけるすべての残基への特定のアミノ酸変化の影響を定量的に記載した単一変異体結合親和性ランドスケープを作成した。
図10は、14個のVHHのサブセットからのすべての単一変異体についての結合データの結果として得られたヒートマップを示す。
【0123】
[0140]次のステップでは、単一変異体結合データを2つの追加的なライブラリーを構築するために使用した。最初に、VHHの対のタンデム提示を通じて達成された結合活性の増強を調査するために、タンデムVHHライブラリーを生成した。中程度の親和性(5~30nMの範囲内のKd)の単一変異体バリアントを14個のVHHの12個から選択した。このセットにSARS-CoV2-RBDに結合すると予測される3個の陽性対照VHHおよびSARS-CoV-2 RBDに結合すると予測されない2個の陰性対照VHHを加えた。次に可動性タンパク質リンカーによって互いに繋がれた、17個のVHHのすべての可能な対の組合せを生成した。長さ(12~30アミノ酸)、電荷および予測される二次構造がさまざまな14個の固有のリンカー配列をVHHの各対を繋ぐために使用した。最終的に各対は、実施例1に記載し、模式的形態で
図11に示すとおり、さまざまな異なるCスペーサーの状況に組み込まれており、>80,000個のバリアントを含有するライブラリーをもたらした。2つの高い親和性のVHHの同時の二エピトープ結合から予測される結合活性の大きな増加を同定するために、タンデム対(タンデムデータセット)について測定された親和性を個別のモノマー(モノマーデータセット)としての各構成要素VHHの親和性と比較することが必要である。原理的には、(2つの別々の実験の代わりに)タンデムおよびモノマーデータセットの両方を一緒に同じチップ上に生成することは、より効率的であるが、そのようにすることの課題の1つは、顕著に異なる長さのライブラリーを合わせて同時にクラスター化および配列決定することが、相対的提示において大きく、予測不能な歪みをしばしば生じることである。このような歪みを最小化するために、同様の長さで一緒に配列決定することはライブラリーメンバーに有益であり、この目的のために本発明者らは、個別の、モノマーVHHの代わりとして使用されたシュードモノマーVHH(両方向(a-bおよびb-a)に配置した所与のVHHおよび陰性対照「効果のない」VHHからなる)を含めた。ライブラリーを配列決定し、上に記載されるSARS-CoV-2 RBDへの結合についてアッセイした。対でのシュードモノマーVHHの平均親和性よりも顕著に大きな親和性でRBDに結合する、所与の方向でのタンデムVHH対を、それにより同定した(
図12)。
【0124】
[0141]単一変異体結合データ(
図10)を使用して、第2のライブラリーを二エピトープタンデム対を形成する個別のVHHの親和性を最適化するために構築した。実施例1に記載のとおり、親和性最適化ライブラリーを単一変異体ライブラリーからのデータに基づいて生成し、出発バリアントを超える改善された親和性を有する個別のVHHを同定するための結合アッセイに供した(
図13)。
【0125】
[0142]最終的な親和性および結合活性増強分子を生成するために、顕著な結合活性増強を示すタンデムVHH対を、タンデムVHH対中で中程度の親和性の単一変異体VHHを各VHHの最適化された最もタイトな結合親和性のバリアントを用いて置き換えることによって再構築した(
図14)。
【0126】
[0143]本発明の好ましい実施形態は示され、本明細書に記載されたが、そのような実施形態が例示によってのみ提供されたことは当業者に明らかであろう。本発明が明細書に提供された具体的な例によって限定されることは意図されない。本発明は、前述の明細書を参照して記載されたが、本明細書の実施形態の記載および例示は、限定の意味で解釈されることを意味しない。多数の変種、変更および置き換えは、本発明から逸脱することなく当業者の念頭に浮かぶであろう。さらに、本発明のすべての態様が、種々の条件および変量に依存して本明細書に記載される具体的な描写、構成または相対的比率に限定されないことは理解される。本明細書に記載の本発明の実施形態の種々の代替手段が、本発明を実施することにおいて使用され得ることは理解されるべきである。したがって本発明が、任意のそのような代替物、修飾、変化または均等物も網羅することは検討される。続く特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物はこれにより網羅されることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
相互参照
[0001]本出願は、その全体が本明細書に参照により組み込まれる、2021年6月15日に出願された米国仮出願第63/210,905号に対する優先権を主張する。
連邦によって支援された研究開発に関する陳述
[0001.1]本発明は、NIHのNIGMS部門との契約GM137655の下で政府の支援を受けてなされた。本発明において、政府は一定の権利を有する。
【国際調査報告】