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特表2024-525176代謝性疾患の予防及び治療のためのラクトバチルスファーメンタム菌株及びナチュラルキラー細胞の併用投与用途
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  • 特表-代謝性疾患の予防及び治療のためのラクトバチルスファーメンタム菌株及びナチュラルキラー細胞の併用投与用途 図1
  • 特表-代謝性疾患の予防及び治療のためのラクトバチルスファーメンタム菌株及びナチュラルキラー細胞の併用投与用途 図2
  • 特表-代謝性疾患の予防及び治療のためのラクトバチルスファーメンタム菌株及びナチュラルキラー細胞の併用投与用途 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】代謝性疾患の予防及び治療のためのラクトバチルスファーメンタム菌株及びナチュラルキラー細胞の併用投与用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/747 20150101AFI20240703BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20240703BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20240703BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240703BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 9/02 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61K35/747
C12N1/20 E
A23L33/135
A61K35/17
A61P43/00 121
A61P3/04
A61P3/10
A61P9/12
A61P9/10 101
A61P3/06
A61P29/00
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/02
A61K9/19
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577847
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2022008553
(87)【国際公開番号】W WO2022265430
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0077914
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521126254
【氏名又は名称】ジーアイ・セル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GI CELL, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】522207143
【氏名又は名称】ジーアイ バイオーム
【氏名又は名称原語表記】GI BIOME
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】チャン ミョンホ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ボギ
(72)【発明者】
【氏名】ホン チョンピョ
(72)【発明者】
【氏名】キム チェハ
(72)【発明者】
【氏名】イ ダジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヘリ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C076
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB07
4B018LB08
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018MD86
4B018ME01
4B065AA30X
4B065CA41
4B065CA44
4C076AA01
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA22
4C076AA30
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB29
4C076CC05
4C076CC11
4C076CC21
4C076FF01
4C076FF11
4C076FF68
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BC56
4C087MA02
4C087MA16
4C087MA31
4C087MA44
4C087MA52
4C087MA55
4C087MA65
4C087MA66
4C087NA05
4C087ZA42
4C087ZA45
4C087ZA70
4C087ZB11
4C087ZC33
4C087ZC35
4C087ZC75
(57)【要約】
本発明は、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株、好ましくは、寄託番号KCTC 14105BPで寄託されたラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)GB-102菌株とナチュラルキラー細胞を含む組成物及び前記菌株とナチュラルキラー細胞の体重増加抑制または代謝性疾患の予防及び/または治療のための併用投与用途に関し、本発明の組成物及び併用投与療法は、顕著な体重増加抑制効果を示す。従って、本発明の組成物及び併用投与療法は、対象の体重調節に容易に使用することができるため、美容、畜産、医療分野等に有用に使用することができ、特に肥満を含む代謝性疾患の改善、予防及び治療のための医薬組成物、食品添加物、健康機能食品及び治療剤分野等に有用に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株を有効成分として含み、ナチュラルキラー細胞と併用して投与される、体重増加抑制用組成物。
【請求項2】
前記ラクトバチルスファーメンタム菌株は、寄託番号KCTC 14105BPで寄託されたラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)GB-102菌株であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、医薬組成物または食品組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)を有効成分として含み、ナチュラルキラー細胞(Natural killer cells, NK cells)と併用投与される、代謝性疾患の予防または治療用組成物。
【請求項5】
前記ラクトバチルスファーメンタム菌株は、寄託番号KCTC 14105BPで寄託されたラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)GB-102菌株であることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記代謝性疾患は、肥満、糖尿、高血圧、動脈硬化症、高脂血症、高インスリン症、インスリン抵抗性、代謝性炎症、空腹時血糖障害、耐糖能障害及び糖耐性症候群(glucose tolerance syndrome)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、医薬組成物または食品組成物であることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株とナチュラルキラー細胞の体重増加抑制、代謝性疾患の予防及び/または治療のための併用投与用途に関し、より好ましくは、寄託番号KCTC 14105BPで寄託されたラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)GB-102菌株;及びナチュラルキラー細胞の体重増加抑制、代謝性疾患の予防または治療のための併用療法及び併用投与用途に関する。
【背景技術】
【0002】
代謝症候群(metabolic syndrome)は、代謝の異常または障害によって発生する心血管疾患に特異的な危険要因クラスターを総称するものであり、心血管疾患、糖尿病、脳卒中等の代謝性疾患(metabolic disease)につながる可能性が高いと報告されている。NHLBI(National Heart, Lung and Blood Institute)及びAHA(Amenrican Heart Associations)は、代謝症候群は肥満、空腹時血糖障害、高中性脂肪、低HDLコレステロール、高空腹時血糖、血液凝固増加、インスリン抵抗性等と関連がある。
【0003】
肥満は、代謝症候群患者の最も代表的な特徴であり、肥満患者に現れる主な代謝異常はインスリン抵抗性である。体内に脂肪、特に腹部内臓脂肪が過剰に蓄積されると、肝門脈の血液中に遊離脂肪酸(free fatty acid)が多く流入し、血中脂肪酸が増加すると、肝臓や筋肉ではインスリンを通じてグルコースを受け入れる代わりに脂肪酸を受け入れるようになり、グルコースの流入は妨げられるようになり、インスリン抵抗性が生じる。内臓脂肪細胞は、脂肪分解刺激に非常に敏感に反応し、中性脂肪をうまく貯蔵することができず、容易に遊離脂肪酸を放出する特性を有する。結果的に、遊離脂肪酸は、肝門脈血液にすぐ流れ込み、インスリンシグナル伝達系を妨害してインスリン作用を低下させる。また、脂肪組織では慢性炎症を起こし、インスリンシグナル伝達系を妨害する様々なアディポカイン(adipokine)及びサイトカイン(cytokine)を生成してインスリン抵抗性を増加させ、代謝症候群の誘発に寄与する。肥満のヒトにおいてインスリン抵抗性が発生し、グルコースが細胞内に入れなくなると、血中グルコースが高くなり、糖尿病が発生する。また、インスリン抵抗性により補償的にインスリン分泌が増加し、血中インスリン濃度が高くなると、腎臓から塩分が排出されることを抑制して体内に塩分及び水分が蓄積され、交感神経が刺激されて血管が収縮して高血圧が発生し、血中中性脂肪を増加させてHDLコレステロールを減少させ、脂質異常症が生じる。インスリン抵抗性によって発生する糖尿病、高血圧及び脂質異常症は、複合的に作用してアテローム性動脈硬化症を誘発するようになり、冠状動脈においては狭心症と心筋梗塞を、脳動脈においては脳梗塞のような代謝性疾患につながる(J Clin Invest 2000;106:171-76; Diabetes 1988;37:1595-607)。
【0004】
従って、肥満の治療は、代謝症候群及びこれと関連する代謝性疾患の予防及び治療のための最も主要なターゲットとして認識される。現在処方されている肥満治療剤としては、ゼニカル(Xenical、ロシュ製薬会社、スイス)、リダクティル(Reductil、エボト社、米国)及びエキソリーゼ(Exolise、アルコファーマ、フランス)等がある。前記肥満治療剤は、食欲抑制剤、エネルギー消費促進剤または脂肪吸収抑制剤等に分類されるが、ほとんどの肥満治療剤は、視床下部と関連する神経伝達物質を調節することにより、食欲を抑制する食欲抑制剤である。しかし、従来の肥満治療剤は、心臓疾患、呼吸器疾患及び神経系疾患等の副作用を示し、持続性も低いという問題点がある。このため、安全で効果的な肥満治療剤の開発が求められている。
【0005】
一方、最近、安全な微生物として考えられてきた菌類(例えば、乳酸菌)を用いて、肥満及び代謝性疾患を予防または治療しようとするプロバイオティクスが活発に研究されている。特に、乳酸菌は、腸内正常菌叢の維持、腸内菌叢の改善、抗糖尿及び抗脂血症効果、発がん抑制、大腸がん抑制及び宿主の免疫システムの非特異的活性等の効果を示すという研究結果が報告された。
【0006】
WHOは、適切な量で投与する場合に宿主の健康に役立つ生きた微生物を「プロバイオティクス」と定義している(Nat Rev Gastroenterol Hepatol 11, 506-514 (2014))。ラクトバチルス種(Lactobacillus species)は、Lactobacillaceae科に属する乳酸菌(LAB)である。ラクトバチルス(Lactobacillus)は、明確な生態学的地位を有する広く知られる微生物系統である。様々な乳酸菌は、伝統的に牛乳、乳製品、発酵食品、ソーセージのような食品と関連していることが知られている。ラクトバチルスは、FDAによってGRAS(Generally Regarded As Safe)として認定された微生物グループであり、食品及びその他の産業分野で広く使用される。ラクトバチルスは、条件嫌気性、非胞子形成、非運動性、棒状、グラム陽性細菌に分類され、一般的にカタラーゼ陰性とみなされる。ラクトバチルスは、同種発酵(homofermentative)または異種発酵(heterofermentative)特性を示すことができ、1次発酵の最終産物として乳酸を生産する(Front Cell Infect Microbiol 2, 86 (2012))。ラクトバチルスは、滑らかで凸状のコロニーを示す。
【0007】
肥満または代謝性疾患の予防及び治療効果に関連するラクトバチルス菌株に関連し、韓国登録特許第10-1494279号には、脂肪細胞分化抑制効能を有するラクトバチルスプランタルムKY1032菌株(寄託番号:KCCM-10430)が開示されており、韓国登録特許第10-0996577号には、肥満抑制効能を有するラクトバチルスカルバタスHY7601(寄託番号:KCTC11456BP)が開示されており、韓国登録特許第10-1394348号には、脂肪細胞分化抑制効能を有するラクトバチルスプランタルムDSR920菌株(寄託番号:KCCM 11210P)が開示されており、各菌株ごとに独立的なメカニズムを通じて抗肥満活性を有することと報告されているが、その効果が商業的に成功するほどのレベルに達していない。
【0008】
このような背景技術の下、本発明者らは、韓国公開特許第10-2021-0086537号において、新規のラクトバチルスファーメンタム菌株(寄託番号KCTC 14105BP)を同定し、これらの肥満及び代謝疾患の予防または治療効果を確認し特許出願した。本発明においては、前記ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)(LimosiLactobacillus fermentum)菌株の体重増加抑制効果及び代謝性疾患の予防及び治療効果を向上させるために鋭意努力した結果、前記菌株と共にナチュラルキラー細胞(Natural Killer Cells, NK Cells)を併用投与する場合、菌株またはナチュラルキラー細胞を単独投与する場合より、グルコース投与後の血糖量調節能力(耐糖能)及び体重増加抑制能が著しく向上することを確認し、肥満、インスリン抵抗性をはじめとする代謝性疾患の予防及び治療が可能であることを確認し、本発明を完成した。
【0009】
本背景技術部分に記載された前記情報は、ひとえに本発明の背景に対する理解を向上させるためのものであり、そこで本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって既に知られている先行技術を形成する情報を含まない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞の体重増加抑制のための併用投与用途を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、ラクトバチルスファーメンタム菌株及びナチュラルキラー細胞を含む体重増加抑制用組成物を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞の体重増加抑制用組成物の製造のための用途を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞を用いた体重増加抑制方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞の代謝性疾患の予防または治療のための併用投与用途を提供することである。
本発明の他の目的は、ラクトバチルスファーメンタム菌株及びナチュラルキラー細胞を含む代謝性疾患の予防または治療用組成物を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞の代謝性疾患の予防または治療用組成物の製造のための用途を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞を用いた代謝性疾患の予防または治療方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために、本発明は、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株を有効成分として含み、ナチュラルキラー細胞と併用して投与される、体重増加抑制用組成物を提供する。
【0018】
本発明はまた、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞を有効成分として含む体重増加抑制用組成物を提供する。
【0019】
本発明はまた、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株の体重増加抑制のためのナチュラルキラー細胞との併用投与用途、体重増加抑制用組成物の生産のための用途を提供する。
【0020】
本発明はまた、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞を対象に併用投与する段階を含む体重増加抑制方法を提供する。
【0021】
本発明はまた、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株を有効成分として含み、ナチュラルキラー細胞と併用投与される、代謝性疾患の改善、予防または治療用組成物を提供する。
【0022】
本発明はまた、前記ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞を含む代謝性疾患の改善、予防または治療用組成物を提供する。
【0023】
本発明はまた、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株の代謝性疾患の改善、予防または治療のためのナチュラルキラー細胞との併用投与用途を提供する。
【0024】
本発明はまた、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞を対象に併用投与する段階を含む代謝性疾患の改善、予防または治療方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のラクトバチルスファーメンタムGB-102菌株と従来公知のラクトバチルス属の菌株の系統図を示した図である。
図2】8週間高脂肪食を自由給餌して肥満が誘導されたマウスに、GB-102とNK細胞を単独または併用投与して体重変化を測定したグラフである。体重変化の統計分析はOne-way ANOVAを使用して行い、結果が有意な場合、Dunnett's multiple comparison testを用いて各グループを比較し、事後検定を実施した。結果は、平均±SEM値であり、グループ当たりn>5である。P値が0.05未満である場合、有意味な差を示す(*p < 0.05; **p < 0.01; ***p < 0.001)。
図3】GB-102とNK細胞を単独または併用投与する場合に、グルコースを腹腔投与したマウスの尾部末端で血糖を測定し、耐糖能検査を通じて血糖調節効果を確認した結果を示した図である。統計分析はOne-way ANOVAを使用して行い、結果が有意な場合、Dunnett's multiple comparison testを用いて各グループを比較し、事後検定を実施した。結果は、平均±SEM値であり、グループ当たりn>5である。P値が0.05未満である場合、有意味な差を示す(*p < 0.05; **p < 0.01; ***p < 0.001)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
他に定義されない限り、本明細書で使用された全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における熟練した専門家により通常理解されるものと同じ意味を有する。一般的に、本明細書で使用された命名法は、当該技術分野において周知であり、通常使用されるものである。
【0027】
本明細書に記載された濃度範囲において、「~」は、両臨界範囲を含む(以上及び以下)意味で使用され、両臨界範囲を含まない場合、「超過」及び「未満」で濃度範囲を記載した。本明細書において、数値に使用される「約」は、通常の技術者によって記載された数値と実質的に同等の効果を示すことができることと期待される範囲を含む意味で使用され、例えば、記載された数値の値の±20%、±10%、±5%等であり得るが、これらに制限されない。
【0028】
微生物を活用した肥満のような代謝性疾患の改善、予防及び治療方法は、従来の手術療法または化合物基盤の薬物療法の代替剤として非常に高い関心を集めている。しかし、微生物は、その種によって非常に多様な活性及び副作用を示すことがあり、さらには同じ種でも多様な活性を示し、投与される対象の状態によっても多様な副作用を示すことがあるため(Tze Guan Tan, 113(50):E8141-E8150, 2016)、特定の菌株とこの代謝性疾患の予防及び治療効果に対する明確な確認が必須的に伴わなければならない。
【0029】
近年、例えば、脂肪細胞分化抑制、リパーゼ酵素阻害、脂肪分解のような効果を示す菌株が報告されているが、当該菌株の投与だけでは、代謝性疾患の予防または治療効果を達成するには効果が多少不足している。
【0030】
本発明者らは、本発明の実施例において、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株をNK細胞(Natural killer cells, NK cells)と併用して投与した高脂肪摂取動物モデルから、顕著な体重増加抑制効果及び血糖量調節能力(耐糖能)を示すことを確認した。
【0031】
肥満は、骨格筋及び肝臓に過度な脂肪の蓄積を引き起こし、脂肪蓄積代謝過程で遊離脂肪酸(acyl-CoA)、DAG(diacylglycerol)、セラミド(ceramide)等の脂質代謝体が増加に伴うインスリンシグナル伝達経路を阻害し、インスリン抵抗性の発生を誘導することと知られている(Proc. Nutr. Soc. 63: 375-380; J. Lipid Res. 50:S74-S79; Diabetes 60: 2588-2597)。
【0032】
従って、本発明は一観点から、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株を有効成分として含み、ナチュラルキラー細胞と併用して投与される、体重増加抑制用組成物に関する。本発明において、前記ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株は、ナチュラルキラー細胞と併用投与する場合、体重増加抑制活性が著しく向上することを特徴とすることができる。
【0033】
本発明の用語、「ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)」は、「リモシラクトバチルスファーメンタム(LimosiLactobacillus fermentum)」と同じ意味で相互互換的に使用することができる。
【0034】
本発明において、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株は、好ましくは、寄託番号KCTC 14105BPで寄託されたラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)GB-102菌株であることを特徴とすることができる。
【0035】
本発明の用語、「ナチュラルキラー細胞(Natural killer cells, NK cells)」は、先天性免疫を構成する主要細胞であり、感染した細胞または非正常細胞の表面にある主要組織適合遺伝子複合体(MHC)を感知し、サイトカイン放出を誘発して細胞の溶解または自然死滅を誘導する。本発明において、前記ナチュラルキラー細胞は、動物から自然に由来したものであり得るが、これに制限されず、細胞エンジニアリング、遺伝子エンジニアリング等を通じて製造された組換えナチュラルキラー細胞、例えば、CAR NK細胞等を含むことができる。
【0036】
本発明の用語「併用投与」は、2種類以上の有効成分を同時または順次投与するか、2種類以上の有効成分の作用により、それぞれの有効成分を独立して投与した時、期待される効果よりも向上された効果を示すことができるように、特定の間隔をおいて投与することを意味する。
【0037】
本発明において、前記併用投与は、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株をナチュラルキラー細胞と併用して投与することを特徴とすることができ、以外にも他の有効成分を含有する組成物または他の療法とさらに併用することを特徴とすることができる。
【0038】
本発明において、前記併用投与されるラクトバチルスファーメンタム菌株は、併用投与されるナチュラルキラー細胞と一つの剤形に含まれるように製造されるか、それぞれ独立した剤形の組成物として製造され、併用投与することができる。例えば、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株を含む組成物は経口投与剤形で製造され、前記ナチュラルキラー細胞は静脈投与剤形で製造することができるが、これに制限されない。
【0039】
本発明において、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株を含む組成物は、経口投与剤形で製造されることが好ましいが、これに制限されない。本発明において、前記組成物は、ラクトバチルス菌株を含む組成物は、ヒトまたは動物に投与するのに適合した組成物の形態で使用することができる。
【0040】
本発明の組成物の有効成分であるラクトバチルスファーメンタム菌株は、経口剤形で製造時、凍結乾燥されるか、カプセル化された形態、培養懸濁液、発酵液、乾燥粉末または顆粒形態の組成物として提供することができる。
【0041】
本発明の組成物の有効成分であるラクトバチルスファーメンタム菌株の非経口剤形で製造時、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤を含むことができる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(Propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステル等を使用することができる。坐剤の基剤としては、ウィテプソル(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチン等を使用することができる。さらに、当分野の適正な方法として、またはRemington's Pharmaceutical Science(最新版)、Mack Publishing Company、Easton PAに開示されている方法を用いて製剤化することができる。
【0042】
本発明において、前記組成物は、前記ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株以外に、通常使用される適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができる。
【0043】
本発明において、前記ナチュラルキラー細胞は、本発明の組成物と併用投与されるために、別途の剤形で製造することができる。本発明において、前記ナチュラルキラー細胞は、これを含む注射剤、好ましくは、静脈投与剤形で製造することができるが、これに制限されない。前記ナチュラルキラー細胞を含む別途の組成物は、ヒトまたは動物に投与可能な通常使用される適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができ、ナチュラルキラー細胞の生存または活性の維持が可能な成分をさらに含むことができる。
【0044】
本発明において、前記担体、賦形剤及び希釈剤は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油等がある。前記組成物を製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤等の希釈剤または賦形剤を使用して調剤することができる。本発明において、前記組成物は、さらに潤滑剤、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、防腐剤、甘味剤または香味剤をさらに含むことができる。本発明の薬剤学的組成物は、当業界に公知の方法を使用し、胃腸を通過した後、小腸に到達して、活性成分である微生物が迅速に腸内に放出されるように腸溶被覆製剤として製造することができる。
【0045】
また、本発明の組成物は、通常のカプセル化方法を使用してカプセル形態の組成物として製造することができる。例えば、標準担体を使用して凍結乾燥させた本発明の微生物を含有するペレット(pellet)を製造した後、これを硬質のゼラチンカプセル内に充填させることができる。または、本発明の微生物と任意の適切な薬剤学的担体、例えば、水性ガム、セルロース、ケイ酸塩またはオイルを使用して懸濁液、分散液を製造した後、このような分散液または懸濁液を軟質のゼラチンカプセル内に充填させることもできる。
【0046】
本発明において、前記組成物は、特に、経口用単位剤形として、腸溶被覆された腸溶性剤形として提供することができる。本明細書内における「腸溶被覆」は、胃酸では分解されず被覆が維持されるが、小腸では十分に分解され、活性成分が小腸内に放出することができるようにする、薬剤学上許容可能な全ての種類の公知の被覆を含む。腸溶被覆の材料は、公知の高分子物質の中から適宜選択することができ、適当な高分子物質は多数の公知文献(L. Lachman他, The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, 3版, 1986, pp. 365~373; H. Sucker他, Pharmazeutische Technologie, Thieme, 1991, pp. 355-359; Hagers Handbuch der pharmazeutischen Praxis, 4版, Vol. 7, pp. 739~742, 及び766~778, (SpringerVerlag, 1971); 及びRemington's Pharmaceutical Sciences, 13版, pp. 1689~1691 (Mack Publ., Co., 1970))に列挙されており、セルロースエステル誘導体、セルロースエーテル、アクリル樹脂のメチルアクリレート共重合体及びマレイン酸及びフタル酸誘導体の共重合体をこれらに含むことができるが、これらに制限されない。
【0047】
本発明において、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株とナチュラルキラー細胞は、独立した経路を通じて投与されることを特徴とすることができる。それぞれの有効成分は独立して、通常の技術者によって適合した投与用法及び用量で投与することができる。例えば、本発明の一実施例のように、好ましくは、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株は経口投与し、ナチュラルキラー細胞は静脈注射を通じて投与することを特徴とすることができるが、これに制限されない。
【0048】
本発明において、前記併用投与は、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞を同時に投与することを特徴とすることができる。
【0049】
本発明において、前記併用投与は、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞を順次投与することを特徴とすることができる。例えば、前記ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株の投与後、ナチュラルキラー細胞が投与されるか、ナチュラルキラー細胞の投与後、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株を投与することができる。本発明において、前記ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞が順次投与される場合、一定の時間的間隔をおいて投与されることを特徴とすることができ、非制限的な例として、1分間隔、5分間隔、10分間隔、20分間隔、30分間隔、1時間間隔、1日間隔、数日間隔または数週間隔で順次投与することができるが、これらに制限されず、通常の技術者によって適切な間隔で順次投与することができる。
【0050】
本発明において、前記投与は、繰り返し1回以上行うことができる。本発明の有効物質、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞が繰り返し投与される場合、投与間隔は、対象の状態、目的とする効果のレベルに応じて、通常の技術者に容易に調節することができる。例えば、前記投与間隔は、1時間間隔、6時間間隔、8時間間隔、12時間間隔、1日間隔、2日間隔、1週間隔、2週間隔、または1ヶ月間隔であってもよいが、これらに制限されない。本発明において、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株及びナチュラルキラー細胞は、それぞれ独立した投与間隔で投与されることを特徴とすることができる。本発明の一実施例において、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株は毎日1回、ナチュラルキラー細胞は週1回投与されたが、これに制限されない。
【0051】
本発明において、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株及びナチュラルキラー細胞は、それぞれ有効な用量で投与されることを特徴とすることができる。本発明において、「有効な用量」とは、目的とする効果、本発明において、体重増加抑制または代謝性疾患の予防または治療のために要求される最小用量以上で投与されることを意味することができる。本発明において、前記組成物が食品組成物または医薬組成物である場合、それぞれ食品学的に有効な用量、または薬学的に有効な用量で投与されることを特徴とすることができる。
【0052】
本発明において、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株を含む組成物は、併用投与されるNK細胞の剤形と独立した形態の組成物、例えば、医薬組成物または食品組成物の形態で投与することができる。好ましくは、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株を含む医薬組成物とNK細胞を含む医薬組成物がそれぞれ有効な用量で投与されるか、ラクトバチルスファーメンタム菌株を含む食品組成物とNK細胞を含む医薬組成物がそれぞれ有効な用量で投与されることを特徴とすることができるが、これに制限されない。
【0053】
例えば、本発明において、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株は、約1×101 cfu~約1×1020 cfu、好ましくは、約1×104 cfu~約1×1016 cfu、さらに好ましくは、約1×106 cfu~約1×1012 cfuで投与されることを特徴とすることができ、本発明の一実施例においては、約5×109 cfu/head/200μlで投与されたが、これらに制限されない。
【0054】
本発明において、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株は、組成物総量に対して、104~1016 CFU/g、好ましくは、106~1012 CFU/gの含量で含むか、同等の数の生菌を有する培養物を含むことができる。一般に、成人患者の場合、1x106 CFU/g以上の生菌、好ましくは、1x108~1x1012 CFU/gの生菌を1回または複数回に分けて投与することができる。
【0055】
例えば、本発明において、前記ナチュラルキラー細胞は、約1×101 cell~約1×1020cell、好ましくは、約1×102 cell~約1×1013 cell、さらに好ましくは、約1×104cell~約1×1011 cellで投与されることを特徴とすることができ、本発明の一実施例においては、約1×106 cell/head/200μlで投与されたが、これらに制限されない。
【0056】
本発明の用語「体重増加抑制」は、糖の過度な摂取、脂肪の蓄積、ホルモンの変化等のような様々な原因による体重増加を阻害することを意味する。本発明において、体重増加抑制は、本発明の体重増加抑制用組成物を投与しなかった場合に比べて、体重増加が有意味に減少することを意味することができる。
【0057】
また、本発明において、前記体重増加抑制は、体重の減少を含む意味で使用され、従って、本発明の体重増加抑制用組成物は、体重減少効果を示すことを特徴とすることができる。
【0058】
本発明において、前記組成物は、体重増加の抑制及び/または体重減少のための目的の医薬組成物または食品組成物として使用することができ、この時、使用量及び使用形態は目的に応じて適切に調節することができる。
【0059】
本発明による組成物は、優れた体重増加抑制及び体重減少効果を提供するだけでなく、薬物による毒性及び副作用もほとんどないため、長期間服用することができることを特徴とすることができる。
【0060】
本発明において、前記組成物は、体重増加抑制及び/または体重減少を目的として使用される医薬組成物または食品組成物として製造することができる。
【0061】
本発明による医薬組成物は、薬学的に有効な量で投与することができる。本発明において、「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な利益/リスク比率で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量レベルは、患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、同時に使用される薬物を含む要素及びその他の医学分野でよく知られている要素に基づいて決定することができる。本発明による医薬組成物は、個別の治療剤として投与するか、他の治療剤と併用して投与することができ、従来の治療剤とは順次または同時に投与することができ、単一または多重投与することができる。前記の要素を全て考慮して、副作用なく最小限の量で最大の効果を得ることができる量を投与することが重要であり、これは当業者によって容易に決定することができる。
【0062】
本発明の用語、「食品組成物」は、栄養成分を含有する物質を包括する広い意味で使用され、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品(乳製品)、各種スープ、飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料、ビタミン複合剤、プレバイオティクス、プロバイオティクス、ポストバイオティクス、健康補助食品、健康機能食品及び健康食品等があり、通常の意味での食品を全て含むだけでなく、食品に添加される「食品添加剤」または「食品添加用組成物」を含む意味で使用される。
【0063】
本発明において、前記食品がヒトを除く動物の餌として提供される場合、「飼料」と実質的に同じ意味で相互互換的に使用することができ、従って、本発明において、前記食品組成物は、飼料組成物、飼料添加剤(飼料添加組成物)を意味することができる。
本発明において、前記食品組成物は、体重増加を抑制したり、体重を減少させる活性を有する健康機能(性)食品であることを特徴とすることができる。
【0064】
本発明の用語、健康機能(性)食品(functional food)とは、特定保健用食品(food for special health use, FoSHU)と同じ用語であり、栄養供給の他にも、生体調節機能が効率的に現れるように加工された医学、医療効果の高い食品を意味する。ここで「機能(性)」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節したり、生理学的作用等のような保健用途に有用な効果を得ることを意味する。本発明の食品は、当業界で通常使用される方法によって製造可能であり、前記製造時には、当業界で通常添加する原料及び成分を添加して製造することができる。また、前記食品の剤形もまた食品として認められる剤形であれば、制限なく製造することができ、本発明による健康機能食品は、粉末、顆粒、錠剤、カプセルまたは飲料の形態であってもよい。
【0065】
前記健康食品(health food)は、一般食品に比べて積極的な健康維持や増進効果を有する食品を意味し、健康補助食品(health supplement food)は、健康補助目的の食品を意味する。場合によっては、健康機能食品、健康食品、健康補助食品の用語は混用される。
【0066】
前記食品組成物は、生理学的に許容可能な担体をさらに含むことができ、担体の種類は特に制限されず、当該技術分野で通常使用される担体であれば、いずれも使用することができる。
【0067】
また、前記組成物は、食品組成物に通常使用され、匂い、味、視覚等を向上させることができる追加成分を含むことができる。例えば、ビタミンA、C、D、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン(niacin)、ビオチン(biotin)、葉酸(folate)、パントテン酸(panthotenic acid)等を含むことができる。また、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)等のミネラルを含むことができる。また、リシン、トリプトファン、システイン、バリン等のアミノ酸を含むことができる。
【0068】
また、前記組成物は、防腐剤(ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウム等)、殺菌剤(漂白粉と高度漂白粉、次亜塩素酸ナトリウム等)、酸化防止剤(ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)等)、着色剤(タール色素等)、発色剤(亜硝酸ナトリウム等)、漂白剤(亜硫酸ナトリウム)、調味料(MSG等)、甘味料(ズルチン、チクロ、サッカリン、ナトリウム等)、香料(バニリン、ラクトン類等)、膨張剤(ミョウバン、D-酒石酸水素カリウム等)、強化剤、乳化剤、増粘剤(糊料)、被膜剤、ガム基礎剤、泡抑制剤、溶剤、改良剤等の食品添加物(food additives)を含むことができる。前記添加物は、食品の種類によって選別され、適切な量で使用することができる。
【0069】
本発明の前記多糖体と共に、食品学的に許容可能な食品補助添加剤をさらに含むことができ、他の食品または食品成分と共に使用することができ、通常の方法に従って適切に使用することができる。有効成分の混合量は、その使用目的(予防、健康または治療的処置)に応じて適合するように決定することができる。
【0070】
本発明は別の観点から、前記ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞を含む体重増加抑制用組成物に関する。
【0071】
本発明は、また別の観点から、前記ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株の体重増加抑制のためのナチュラルキラー細胞との併用投与用途、体重増加抑制用組成物の生産のための使用に関する。
【0072】
本発明は、また別の観点から、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞を対象に併用投与する段階を含む体重増加抑制方法に関する。
【0073】
本発明において、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株は、好ましくは、寄託番号KCTC 14105BPで寄託されたラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)GB-102菌株であることを特徴とすることができる。
【0074】
本発明の体重増加抑制方法は、体重減少方法を含む意味で使用され、従って、本発明の方法は、対象の体重を減少させるために使用されることを特徴とすることができる。
【0075】
本発明において、前記投与は、様々な経路を通じて行うことができる。投与の方式は、経口または非経口経路で投与することができ、前記非経口経路は、非制限的な例として、皮下、静脈、筋肉または子宮内硬膜または脳血管内注射であってもよいが、これらに制限されない。本発明において、前記投与は、患者の年齢、性別及び体重及び疾患の中等度等の様々な関連因子等に応じて投与用法、用量及び投与回数を決定することができる。
【0076】
本発明において、前記併用投与は、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞を併用して投与することを特徴とすることができ、以外にも他の有効成分を含有する組成物または他の療法と並行して行うことを特徴とすることができる。
本発明において、別途の記載がない限り、前記併用投与は、前記の本発明の体重増加用組成物の観点に記載されたものと同じ特徴を有することができる。
【0077】
本発明において、前記体重増加抑制方法は、本発明の方法以外の様々な体重増加抑制療法またはこのための様々な従来公知の製剤と併用して使用することができる。
【0078】
本発明の体重増加抑制用組成物及び体重増加抑制方法は、顕著な体重の調節効果を示し、結果的に、肥満の予防または治療のために使用することができる。
【0079】
本発明の別の実施例において、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株とナチュラルキラー細胞の併用投与が体重増加の抑制だけでなく、優れた血糖調節効果があることを腹腔内耐糖能検査(Intraperitoneal Glucose Tolerance Test, IPGTT)を通じて確認した。
【0080】
腹腔内耐糖能検査は、対象のインスリン抵抗性を確認するための最も普遍的な方法である。インスリン抵抗性は、中性脂肪の代謝過程中に生成される脂質代謝体と知られており(Proc. Nutr. Soc. 63: 375-380)、具体的には、遊離脂肪酸(acyl-CoA)、diacylglycerol(DAG)、ceramide等の脂質代謝体がインスリンシグナル伝達経路を阻害してインスリン抵抗性の発生を誘導することと報告される(Diabetes 60: 2588-2597)。肥満とインスリン抵抗性は、相互間の原因または結果として作用することができ、従って、一般的に肥満とインスリン抵抗性は、同時に観測される場合がほとんどである。肥満及びインスリン抵抗性は、糖尿、高血圧、動脈硬化症、高脂血症、高インスリン症、インスリン抵抗性、代謝性炎症、空腹時血糖障害、耐糖能障害及び糖耐性症候群(glucose tolerance syndrome)のような様々な代謝性疾患の主要な原因である。
【0081】
結果的に、本発明のラクトバチルスファーメンタム菌株及びナチュラルキラー細胞の併用投与を通じた体重増加抑制(または体重減少)効果と血糖調節能力の向上効果は、前記併用投与が代謝性疾患の予防または治療のために使用することができることを意味する。
【0082】
従って、本発明は、また別の観点から、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株を有効成分として含み、ナチュラルキラー細胞と併用投与される、代謝性疾患の改善、予防または治療用組成物に関する。
【0083】
本発明において、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株は、好ましくは、寄託番号KCTC 14105BPで寄託されたラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)GB-102菌株であることを特徴とすることができる。
【0084】
本発明において、前記代謝性疾患は、代謝の異常により発生する疾患を意味する。本発明において、前記「代謝性疾患」は、「代謝症候群」と実質的に同じ意味で相互互換的に使用することができる。本発明において、前記代謝性疾患は、インスリン抵抗性が原因であることと推定される疾患であり、コレステロール、血圧、血糖値のうち二つ以上の数値に異常が生じる症状である。各種心血管疾患と2型糖尿病の危険要因が互いに群集をなす現象を一つの疾患群として概念化させたものであり、インスリン抵抗性及びこれと関連する複雑で多様な複数の代謝異常と臨床様相を全て包括する意味で使用される。
【0085】
本発明において、前記代謝性疾患は、例えば、心血管疾患または糖代謝異常疾患であることを特徴とすることができ、より具体的には、肥満、糖尿、高血圧、動脈硬化症、高脂血症、高インスリン症、インスリン抵抗性、代謝性炎症、空腹時血糖障害、耐糖能障害及び糖耐性症候群からなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これらに制限されず、体重の増加または糖の調節を原因または主要症状とする疾患を含む。
【0086】
本発明の用語、「心血管疾患(cardiovascular disease; CVD)」は、心臓、血管に関連する循環系統疾患を包括的に意味し、例えば、高血圧、虚血性心疾患、冠動脈疾患、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症(動脈硬化症)、不整脈、脳血管疾患、脳卒中等があるが、これらに制限されない。
【0087】
本発明で使用される用語、「肥満(obesity)」は、人体に脂肪が過度に蓄積される疾患であり、WHOは体質量指数(BMI:Body Mass Index)が30以上である場合を肥満症と明示するが、体質量指数以外にも、ウエスト周り等を基準に肥満を規定することもある(大韓肥満学会)。従って、前記肥満は、過体重または高い体脂肪率等により、対象の健康に有益でない影響を及ぼしたり、有害な影響を及ぼす可能性が非常に高い状態を全て含む広義の意味で理解されるであろう。本発明において、前記肥満は、「肥満症(adipositas)」と実質的に同じ意味で相互互換的に使用することができる。特に、肥満は、脂質代謝体の増加によるインスリン抵抗性を引き起こす主要な原因として知られており(Proc. Nutr. Soc.63: 375-380)、この他にも動脈硬化、心血管疾患(脳卒中及び虚血性心血管疾患)、高血圧、糖尿病、高脂血症、脂肪肝、胆石症、閉塞性睡眠時無呼吸症、月経不順、多嚢胞性卵巣疾患、不妊症、性欲減退、うつ病、退行性関節炎、痛風等の発症率を増加させるため、本発明の組成物の肥満の予防または治療効果を通じて、肥満を原因とする疾患の予防または治療効果を期待することができる。本発明において、前記肥満は、単純肥満、症候性肥満、小児肥満、成人肥満、細胞増殖型肥満、細胞肥大型肥満、上半身肥満、下半身肥満、内臓脂肪型肥満または皮下脂肪型肥満であり得る。
【0088】
本発明の用語、「糖尿」は、インスリンの分泌量が不足したり、正常な機能が行われない等の代謝疾患の一種であり、血中グルコースの濃度が高くなる高血糖を特徴とし、高血糖によって様々な症状及び徴候を引き起こし、小便からグルコースを排出するようになる疾患を意味する。本発明において、好ましくは、前記糖尿は肥満性糖尿であり得るが、これに制限されない。
【0089】
本明細書において使用される用語「高血圧」は、動脈を通る血流の灌流血圧が高くなる現象である。収縮期血圧が140mmHg、拡張期血圧が90mmHg以上である場合、通常高血圧と診断することができる。高血圧は、明確な症状がなく、正確な発生原因が分からない一次性(あるいは本態性)高血圧と腎臓疾患、内分泌疾患、妊娠中毒症等によって発症する二次性高血圧がある。ほとんどの高血圧(90~95%)は一次性高血圧であり、遺伝的原因と共に肥満、ストレス、飲酒、喫煙等の環境因子によって発症すると推定されるが、これに制限されない。
【0090】
本明細書において使用される用語「動脈硬化症」は、動脈の弾力性が減少し、動脈壁内面に脂肪が蓄積し、異常組織が増殖して動脈壁の幅が狭くなる現象と定義される。動脈硬化症は、動脈の病的変化を意味する用語であり、動脈硬化症によって問題が生じた臓器によって病名が付けられる。例えば、動脈硬化による脳梗塞、冠状動脈硬化による心筋梗塞等があるが、これらに制限されない。
【0091】
本明細書において使用される用語「高脂血症」は、中性脂肪とコレステロール等の脂肪代謝が正常に行われず、血液中に脂肪量が多いため引き起こされる疾患である。具体的に高脂血症とは、血液中の中性脂肪、LDLコレステロール及び遊離脂肪酸等の脂質成分が増加した状態をいう。高コレステロール血症または高中性脂肪血症を含むが、これらに制限されない。
【0092】
本明細書において使用される用語「脂肪肝」は、肝臓の脂肪代謝障害により脂肪が肝細胞に過多な量で蓄積された状態であり、肝臓内の脂肪重量が5%以上である場合と定義される。これは狭心症、心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化、脂肪肝及び膵炎等のような様々な疾患の原因となる。脂肪肝は、アルコールによって引き起こされるアルコール性脂肪肝(alcoholic fatty liver)とアルコールによるものではない非アルコール性脂肪肝(non-alcoholic fatty liver disease(NAFLD))に分けられるが、これらに制限されない。
【0093】
本明細書において使用される用語「非アルコール性脂肪肝疾患」は、脂肪肝の原因がアルコールに起因しない場合を指し、肝臓内の単純脂肪沈着(simple steatosis)から脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis, NASH)、肝硬変(hepatic cirrhosis)に至る一連の過程を全て含む。非アルコール性脂肪肝疾患の原因としては、抗不整脈剤、抗ウイルス剤、ステロイド、細胞毒性薬物等の副作用や過多な炭水化物等のカロリー摂取、肥満、糖尿、そして一部の遺伝的な原因等が存在するが、これらに制限されない。
【0094】
本明細書において使用される用語「高インスリン血症」は、血液中にインスリンが過剰に存在する疾患である。インスリンは、膵臓から分泌される血糖数値を調節するホルモンであり、筋肉及びその他の末梢組織への糖の流入を促進する。従って、高インスリン血症は、インスリン分泌器官である膵臓の障害により発生することがあり、発症における最も大きな原因はインスリン抵抗性であるが、これに制限されない。
【0095】
本明細書において使用される用語「インスリン抵抗性」は、血糖を下げるインスリンに対して反応せず、細胞がグルコースを効果的に燃焼することができない状態を意味する。インスリン抵抗性が高い場合、私たちの体はインスリンを必要としていると認知し、より多くのインスリンを生産するようになる。これにより、高インスリン血症、高血圧または異常脂肪血症等をはじめ、心臓病、糖尿病等がもたらされるが、これらに制限されない。
【0096】
本明細書において使用される用語「インスリン抵抗性症候群」は、前記インスリン抵抗性によって誘発された疾患を総称する。インスリン作用に対する細胞の抵抗性、高インスリン血症及び超低密度リポタンパク質(very low density lipoprotein, VLDL)と中性脂肪の増加、高密度リポタンパク質(high density lipoprotein, HDL)の減少及び高血圧等を特徴とし、心血管系疾患と2型糖尿病の危険因子として認識されている。
【0097】
本明細書において使用される用語「代謝性炎症(meta-inflammation)」は、低いレベルの慢性的な炎症状態(chronic and low-grade inflammation)であり、栄養素や代謝物質の供給が過剰になることによって発生する炎症反応を意味する。特に、肥満による慢性的な炎症反応は、インスリン抵抗性が増加し、代謝異常が発生する過程に重要な役割を果たすことと知られている。
【0098】
本発明において、前記組成物は、医薬組成物または食品組成物であることを特徴とすることができる。
【0099】
本発明において、他に明示されない限り、前記医薬組成物または食品組成物は、体重増加抑制用組成物で開示されたものと同じ内容を特徴とすることができる。
【0100】
本発明において使用される用語「予防」は、本発明による組成物の投与により、肥満または肥満関連疾患を抑制させたり、発症を遅延させる全ての行為を意味する。
【0101】
本発明において使用される用語「治療」は、本発明による組成物の投与により、肥満または肥満関連疾患に対する症状が好転するか、有益に変更する全ての行為を意味する。
【0102】
本発明は、また別の観点から、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株の代謝性疾患の改善、予防または治療のためのナチュラルキラー細胞との併用投与用途に関する。
【0103】
本発明は、また別の観点から、前記ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞の代謝性疾患の改善、予防または治療用組成物の生産のための使用に関する。
【0104】
本発明は、また別の観点から、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞を対象に併用投与する段階を含む代謝性疾患の改善、予防または治療方法に関する。
【0105】
本発明において、前記ラクトバチルスファーメンタム菌株は、好ましくは、寄託番号KCTC 14105BPで寄託されたラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)GB-102菌株であることを特徴とすることができる。
【0106】
本発明において、前記投与及び併用投与は、他に明示されない限り、本発明の体重増加抑制用組成物及び体重増加抑制方法に開示されたものと同じ特徴を有することができる。
【受託情報】
【0107】
寄託機関名:韓国生命工学研究院
受託番号:KCTC14105BP
受託日:20200114
【0108】
実施例
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、ひとえに本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものと解釈されないことは、当業界で通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0109】
実施例1. ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の準備
実施例1-1. マウス骨髄の準備
マウス由来のナチュラルキラー細胞(Natural killer cells, NK cells)を収得するため、B6.Cg-Foxp3tm2Tch/Jマウス(The Jackson laboratory; distributor: セロンバイオ)から大腿骨と脾臓(spleen)を摘出する。摘出した大腿骨は周辺の脂肪と筋肉をできるだけ除去し、70%エタノールに入れ、再び5mLのPBSが入った50mLコニカルチューブに入れ、氷で保管した。摘出した脾臓(spleen)はPBSが入った50mLコニカルチューブに移した後、氷で保管した。新しい50mLコニカルチューブに下記の表1に記載したように組成されたFACS buffer A 5mLをあらかじめ入れておき、70μmのストレーナーを重ねて大腿骨用と脾臓用をそれぞれ準備した。
【0110】
【表1】
【0111】
前記準備した70μmストレーナーの上に大腿骨の両側部分を切り、10mLのFACS buffer Aで満たされた注射器に1mLの針を骨の穴に入れ、FACS buffer Aを流した後、切った組織部分にもFACS buffer Aを流しながら骨髄を収得した。骨髄を収得した後、4℃で1,300rpmで10分間遠心分離した後、上層液を除去し、ACK lysis Buffer(Lonza, # BP10-548E)を3mL入れて細胞ペレット(pellet)と混ぜた後、5分間常温に置く。FACS buffer Aを47mL入れ、4℃で1,300rpmで10分間遠心分離する。その後、上層液を除去し、1mLのFACS buffer Aで溶かした後、細胞を計数した。70μmストレーナーの上に脾臓を置き、すりおろした後、組織上にFACS buffer Aを流して細胞を収得した。細胞を収得した後、4℃で1,300rpmで10分間遠心分離した後、上層液を除去し、ACK lysis Buffer(Lonza, # BP10-548E)を3mL入れ、細胞ペレット(pellet)と混ぜた後、5分間常温に置く。FACS buffer Aを47mL入れ、4℃で1,300rpmで10分間遠心分離する。その後、上層液を除去し、1mLのFACS buffer Aで溶かした後、細胞を計数した。
【0112】
実施例1-2. マウスNK細胞の分離及び培養
実施例1-1で収得された骨髄細胞にNK cell isolation Kit, mouse(Miltenyi biotec, #130-115-818)を使用して次のようにNK細胞(Natural killer cells, NK cells)だけを分離した後、4℃で300×gで遠心分離し、上層液を除去した。
【0113】
107個の細胞あたり40μLのMACSバッファーを添加して細胞ペレット(pellet)を溶かし、107個の細胞あたり10μLのNK Cell Biotin-Antibody Cocktailを添加した。4℃で5分間培養後、107個の細胞あたり2mLのMACS bufferを追加して4℃で300×gで遠心分離し、上層液を除去した。107個の細胞あたり2mLのMACS bufferを添加して洗浄し、4℃で300×gで遠心分離し、上層液を除去した。
【0114】
107個の細胞あたり80μLのMACS bufferを追加した後、107個の細胞あたり20μLの抗-ビオチンマイクロビーズ(anti-biotin microbead)を分注し、氷で10分間培養した。抗-ビオチンマイクロビーズと混ぜた細胞500μLをLS columnに流し、カラムを通過した上層液を収得した。前記のような過程を繰り返し、これを4℃で300×gで遠心分離し、上層液を除去した。
【0115】
下記表2に記載されたように組成されたGC-RPMI培地1mLに溶かして細胞を計数した。測定されたNK細胞数に応じて1×106 cells/mLでGC-RPMI培地に播種(seeding)した後、mouse CD80-Fc-IL2変異体融合タンパク質を100nM/mLの濃度で処理し、7日間培養を進行した。
【0116】
【表2】
【0117】
実施例2. ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株の分離及び同定
実施例2-1. 菌株の分離
本発明のラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株は、健康診断を目的として病院に訪れた健康な女性の膣サンプルから分離した。具体的には、膣内部サンプルを綿棒で採取し、Rogosa SL平板培地に先取り接種して37℃の嫌気チャンバーで48時間培養した。バクテリアの集落が成長すると、純粋分離のために単一集落を新しいRogosa SL平板培地に継代培養した。純粋分離された後、MRS培地を用いて菌株培養を行った。
【0118】
実施例2-2. 脂肪蓄積抑制活性菌株の選別
脂肪蓄積抑制活性を有する菌株を選別するため、膵臓脂肪分解酵素(lipase)活性抑制及び3T3-L1脂肪前駆細胞の脂肪細胞で分化抑制能を確認した。
【0119】
具体的には、膵臓脂肪分解酵素の活性抑制能は、前記実施例2-1の菌株を0.1mg/mLの濃度に希釈した後、0.167 mM p-nitrophenylpalmitate(PNP; Sigma, USA)溶液、0.061 M Tris-HCl buffer(pH 8.5)、0.3mg/mL lipase溶液と共にplateに入れて25℃で10分間反応させた後、405nmで吸光度測定を通じて確認した。
【0120】
また、3T3-L1脂肪前駆細胞の脂肪細胞で分化抑制能の確認は、細胞内生成された脂肪球と特異的に反応するOil Red O(Sigma, USA)を使用し測定した。脂肪分化が終わった後、培地を除去した後にPBSで2回洗浄し、10% formalinで4℃で1時間固定した後、60% isopropanolで2回洗浄し、0.5% Oil Red O溶液で30分間室温で染色した。染色後、染色液を除去し、蒸留水を用いて2回洗浄した。そして蒸留水が完全に乾いたらisopropyl alcoholを添加した後、520nmで吸光度を測定した。
【0121】
最後に、前記実施例2-1で収得された菌株に対して、3T3-L1細胞の生存率をMTT(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide)方法を使用し測定した。3T3-L1細胞は16×104cells/wellの濃度で96-well plateに分注し、24時間培養後、培地を除去した。ここに新しいDMEM培地100μLに濃度別に希釈した乳酸菌試料(100, 1,000μg/mL)をそれぞれ添加し、24時間培養した。その後、5mg/mLで製造したMTT(Sigma, USA)溶液20μLを添加し、37℃で4時間培養した。培養後、上等液を除去し、200μLのdimethyl sulfoxide(DMSO)を添加した後、546nmで吸光度を測定した。
【0122】
前記の結果からそれぞれの菌株の脂肪蓄積抑制効果を確認することができ、準備した菌株の中で脂肪細胞の蓄積抑制効果及び細胞毒性率が最も低い効果を示したラクトバチルスファーメンタムGB102菌株を最終選別した。
【0123】
実施例2-3. 選別した菌株の分子生物学的同定
前記最終選別したラクトバチルスファーメンタムGB-102菌株の同定のために16S rRNA遺伝子序列を用いて分析した。バクテリアの16S rRNA遺伝子をターゲットとする27Fと1492R Primerを用いたSanger塩基序列分析方法を通じて得た序列は、下記の表3(序列番号1)の通りである。
【0124】
【表3】
【0125】
その結果、表4に示すように、GB102菌株は、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum (LimosiLactobacillus fermentum))の標準菌株(type strain)と最も高い序列類似度を示し、その次には、ラクトバチルスゴリレ(Lactobacillus gorillae (Limosilactobacillus gorillae))と高い序列類似度を示した。これは前記GB102菌株がラクトバチルスファーメンタム及びラクトバチルスゴリレに近い菌株であることを確認した。
【0126】
【表4】
【0127】
実施例3. ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株の遺伝体及び比較遺伝体分析
GB102菌株の遺伝体基盤の種(species)同定及び特性を調査するために、次世代塩基序列分析技術(Next-generation sequencing technology, NGS)及び生物情報学技術を活用して菌株の遺伝体序列を完全解読し、遺伝体に含まれる遺伝子の機能を類推した。また、同種の完全解読された遺伝体序列と比較分析を通じて菌株の特異性を確認した。本菌株は、MRS液体培地で37℃の嫌気チャンバーで4時間培養し、培養体からMG Genomic DNA purificationキット(MGMED, Inc., Korea)を用いてgenomic DNAを抽出した。平均の長さ10kb以上の長いリードデータを得るためにPacBio RS II装備を用いて序列分析を進行し、正確度の低い長いリードデータを補完するために正確度の高い500bp未満の序列の長さを有する断片序列データを生産するためにNovaSeq 6000装備を用いて序列分析を進行した。長いリードデータは、SMRT Analysis serverのHGAP2パイプラインを活用し、完成度の高いGB102遺伝体草案として組み立てられた。組み立てられた遺伝体草案の序列内に存在することができるSNP及びInDel errorは、長いリードデータと断片序列データを通じて補正した。完成した遺伝体序列からProdigalプログラムを使用してCDSを予測し、RFAM toolを活用してrRNA、tRNAを予測した。予測されたCDSは、公開されたUniProt database、GenBank nr database、Subsystem database、PFAM database、COG databaseを基盤に相同性検索(BLASTアルゴリズム適用)を行い、機能を予測した。GenBankに公開されたラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)種の標準菌株B1 28T(= ATCC 14931T)及びラクトバチルスゴリレ(Lactobacillus gorillae)標準菌株KZ01T、ラクトバチルスガストリカス(Lactobacillus gastricus)標準菌株DSM 16045T遺伝体序列とGB102菌株の遺伝体序列からJspeciesプログラムを活用して遺伝体平均塩基同一性(Average Nucleotide Identity, ANI)を計算した。分析結果、GB102菌株はラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)標準菌株と95%以上のANI値を示し、ラクトバチルスファーメンタム種(species)に属することが証明された(表5)。また、GB102菌株が標準菌株と100%一致せず、従来に分離及び報告されていない新規の種であることが分かる。本発明者らは、GB102菌を「ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)GB102」(寄託番号:KCTC 14105BP)と命名し、これを韓国生命工学研究院所在の韓国細胞株銀行(Korean collection for type cultures, KCTC)に2020年1月14日付で寄託した。
【0128】
【表5】
【0129】
実施例4. ラクトバチルスファーメンタム種内の各菌株の進化的位置確認のための遺伝体基盤系統分析の遂行
ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)種内の各菌株の進化的位置を確認するために遺伝体基盤系統分析を行った。GenBankに公開されたラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)34菌株の完全解読遺伝体序列とGB102の遺伝体序列を比較した。遺伝体基盤の系統樹を描くためのアウト-グループ(Outgroup)としては、ラクトバチルスガストリカス(Lactobacillus gastricus)LG045菌株の完全解読遺伝体を使用した。orthoMCLプログラムを使用して、菌株の遺伝体に存在するタンパク質暗号化遺伝子のorthologクラスタリングを進行した。37個の菌株の遺伝体に全て存在し、各菌株の遺伝体内に一つずつのみ存在する930個の遺伝子を選定し、RAxMLプログラムを活用して系統図を作成した。作成された系統図は、GB102菌株が標準菌株(B1 28T)または従来の特許菌株であるネスレ社(Nestle Culture Collection, NCC)のNCC2970菌株と異なる血統(lineage)由来の菌株であることを示す(図1)。
【0130】
実施例5. ナチュラルキラー細胞及びラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株の併用投与による肥満及び代謝性疾患に対する効果の確認
実施例5-1. 高脂肪食で誘導された肥満マウスの全体実験群の構築及び試験方法
動物実験モデルはB6マウス(C57BL/6, male, コアテック Korea)を使用した。
【0131】
60%Kcal高脂肪食を摂取して高度肥満を誘導させたマウス腸内の微生物変化による免疫増強効果があると予想される乳酸菌と肥満症状及び血糖調節に関連するNK cellをそれぞれ単独または併用投与して、Therapeuticsモデルで治療学的効能を確認するために進行した。Therapeuticsモデル形成のために、4週齢のC57BL/6 Mouseオス140匹を入手し、2週間の純化を進行した後、60%Kcal High-fat dietで8週間食餌誘導を行い、試験が進行される7週間、1回/週、計8回の体重測定を実施した。
【0132】
下記表に示すように各群を設定し、肥満及び代謝性疾患の治療剤としての効能を確認するために、実験動物の体重、耐糖能検査(IPGTT)を進行した。
【0133】
具体的には、高脂肪食で肥満誘導されたマウスでNK cellとラクトバチルスファーメンタムGB-102の単独投与または併用投与の代謝性疾患の治療剤としての効果を確認するために、総実験群を五つに分けた(表6)。この時、ラクトバチルスファーメンタムGB-102を凍結乾燥された生菌粉末で準備及びこれをPBSに希釈して5 x 109 cfu/head/200μlの用量で毎日1回経口投与を進行した。NK cellは実施例1-2の7日間培養した細胞を50mL conical tubeに集め、1,300rpm、4℃の条件で10分間遠心分離後、上層液を除去し、PBSを添加及び希釈して1 x 106 cell/head/200μlの用量で週1回静脈投与を進行した。さらに、マウスの投薬時の反応、毛の艶等、投与時及び剖検時に動物の異常反応観察を進行し、観察試験の最小化、グループケージング等のストレスを最小化した。
【0134】
【表6】
【0135】
実施例5-2. NK cell及びラクトバチルスファーメンタムGB102の単独または併用投与による体重変化効果の確認
体重の変化を測定した結果、NK cell及びラクトバチルスファーメンタムGB-102併用投与群で体重減少効果を確認した。表7及び図2に示すように、GB-102またはNK細胞を単独で投与した群と比べて、GB-102とNK細胞を併用投与する場合に、顕著な体重減少を示した。
【0136】
【表7】
【0137】
実施例5-3. ナチュラルキラー細胞及びラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株の併用投与による耐糖能(Intraperitoneal Glucose Tolerance Test, IPGTT)測定
耐糖能(Intraperitoneal Glucose Tolerance, IPGTT)検査を行う前に、全ての測定動物に対して12時間以上絶食させた。絶食が進行した個体の尾部末端を切り、血糖測定器で空腹時血糖を測定した。GlucoseをDistilled Waterに希釈して10% glucoseを作製し、各個体体重の10倍に該当する投与液量(μl)で腹腔投与(Intraperitoneal injection, IP)した。投与後2時間、30分間隔で尾部末端から採血し、血糖測定器で血糖を測定した。
【0138】
その結果、表8及び図3に示した耐糖能(IPGTT)変化の結果のように、NK cell及びラクトバチルスファーメンタムGB-102単独投与群で血糖調節効果は示されなかったが、NK cell及びラクトバチルスファーメンタムGB-102併用投与の場合、Glucose投与後の血糖ピーク値が全ての高脂肪食投与群の中で最も低く、空腹時血糖値に最も早く到達したことから、顕著な血糖調節効果があることを確認した。
【表8】
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明のラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞を含む組成物及び併用投与療法は、顕著な体重増加抑制効果を示す。従って、本発明のラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)菌株及びナチュラルキラー細胞を含む組成物及び併用投与療法は、対象の体重調節に容易に使用することができるため、美容、畜産、医療分野等に有用に使用することができ、特に代謝性疾患の改善、予防及び治療のための食品添加物、健康機能食品及び治療剤分野等に有用に使用することができる。
【0140】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したが、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的な技術は単に好ましい実施態様に過ぎず、これによって本発明の範囲が制限されない点は明らかであろう。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とそれらの等価物によって定義されるといえる。
図1
図2
図3
【配列表】
2024525176000001.app
【国際調査報告】