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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20240703BHJP
   C12N 5/078 20100101ALI20240703BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240703BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240703BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 35/19 20150101ALI20240703BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240703BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20240703BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20240703BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20240703BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N5/078
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/13
A61K35/19
A61P35/00
A61P43/00 105
A61P37/06
A61P9/00
A61P31/00
C07K19/00
C07K16/00
C07K14/705
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577984
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 GB2022051512
(87)【国際公開番号】W WO2022263824
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】2108585.7
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.Alexa Fluor
(71)【出願人】
【識別番号】523473659
【氏名又は名称】ザップ・セラピューティクス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・パターソン
(72)【発明者】
【氏名】ローレント・ジェスパーズ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB38
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZA36
4C087ZB08
4C087ZB21
4C087ZB26
4C087ZB31
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、所望の標的特異性を有するキメラ血小板受容体(CPR)を有する操作された血小板を提供する。追加的に、操作された血小板は、血小板の活性化時に放出され得るカーゴを含み得る。追加的に、血小板は、非血栓性血小板を生成するように操作された巨核球からインビトロで生成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作されたシャーシであって、前記シャーシが、
A)
i)血小板炎症シグナル伝達経路を破壊すること、
ii)前記操作されたシャーシの免疫原性を低下させること、並びに/又は
iii)前記シャーシの1つ以上の基本機能を増強若しくは破壊することを行うように操作されており、1つ以上又は基本機能が、自然免疫応答及び/若しくは適応免疫応答、炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び/若しくは腫瘍成長に関与し、任意選択で、
iv)血小板血栓形成経路を破壊するように操作されており、
かつ
B)前記シャーシが、
i)1つ以上のキメラ血小板受容体(CPR)、ユニバーサルキメラ血小板受容体(ユニバーサルCPR)、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、合成抗原提示受容体(SAPR)、若しくは操作されたプロテアーゼ活性化受容体(ePARS)、
ii)1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、SAPR、若しくはePARをコードする1つ以上の核酸、及び/又は
iii)1つ若しくはCPR、ユニバーサルCPR、SAPR、若しくはePARをコードする1つ以上の核酸を含む1つ以上のベクターのうちのいずれか1つ以上を含むように更に操作されており、
前記操作されたシャーシが、
a)操作されたエフェクターシャーシであり、
TUBB1を含む血小板、
TUBB1を含む血小板様膜結合細胞フラグメント、又は
TUBB1を含む無核細胞フラグメントであるか、
b)操作されたプロデューサーシャーシであり、
TUBB1を含む巨核芽球、
TUBB1を含む巨核球、
TUBB1を含む巨核球様細胞、
がん細胞株であって、
TUBB1を含む血小板、
TUBB1を含む血小板様膜結合細胞フラグメント、及び/若しくは
TUBB1を含む無核細胞フラグメントを形成することができ、
任意選択で、MEG01若しくはDAMIがん細胞株である、がん細胞株、又は
他の不死細胞であって、
TUBB1を含む血小板、
TUBB1を含む血小板様膜結合細胞フラグメント、及び/若しくは
TUBB1を含む無核細胞フラグメントを形成することができる、他の不死細胞であるか、
あるいは
c)操作された前駆体シャーシであり、骨髄幹細胞、iPSC、プロデューサーシャーシを産生することができるがん細胞株、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、又はプロデューサーシャーシを産生することができる他の不死細胞である、操作されたシャーシ。
【請求項2】
前記操作されたシャーシが、
a)1つ以上のカーゴをロードされており、かつ/又は
b)1つ以上のカーゴを提供するように操作されている、請求項1に記載の操作されたシャーシ。
【請求項3】
前記操作されたシャーシが、プロデューサーシャーシに分化するように駆動されており、任意選択で巨核球、巨核球様細胞に分化するように駆動されている、操作された前駆体シャーシであり、任意選択で前記操作された前駆体シャーシが、操作された骨髄系幹細胞、iPSC、プロデューサーシャーシを産生することができるがん細胞株、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、又はプロデューサーシャーシを産生することができる他の不死細胞である、請求項1又は2に記載の操作されたシャーシ。
【請求項4】
前記操作されたシャーシが、プロデューサーシャーシであり、前記プロデューサーシャーシが、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを形成することができるがん細胞株、任意選択でMEG01若しくはDAMIがん細胞株、又は血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを形成することができる他の不死細胞であり、
前記巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを形成することができるがん細胞株、任意選択でMEG01若しくはDAMI、又は血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを形成することができる他の不死細胞が、偽足伸長をもたらすことができる、請求項1~3のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項5】
前記操作されたシャーシが、操作されたエフェクターシャーシであり、前記エフェクターシャーシが、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント、又は無核細胞フラグメントであり、前記血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント、又は無核細胞フラグメントが、操作されたプロデューサーシャーシのフラグメント化によって産生されており、前記プロデューサーシャーシが、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを形成することができるがん細胞株、任意選択でMEG01若しくはDAMIがん細胞株、又は血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを形成することができる他の不死細胞である、請求項1~4のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項6】
前記操作されたシャーシが、操作されたエフェクターシャーシであり、操作されたエフェクターシャーシが、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント、又は無核細胞フラグメントであり、前記血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント、又は無核細胞フラグメントが、血小板凝集アッセイにおいて凝集しない、請求項1~5のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項7】
前記操作されたシャーシが、操作された前駆体シャーシ又はプロデューサーシャーシであり、前記1つ以上の核酸が、前記操作された前駆体シャーシ又はプロデューサーシャーシのゲノム核酸内の位置から発現され、任意選択で、
1)第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、若しくはePARをコードする核酸が、第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入されており、かつ/又は第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、若しくはePARをコードする核酸が、第1の遺伝子座の第2の対立遺伝子に導入されており、かつ/あるいは
2)第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、又はePARをコードする核酸が、第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入されており、第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、又はePARをコードする第2の核酸が、第2の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入されており、かつ/あるいは
3)第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、又はePARをコードする核酸が、第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入されており、第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、又はePARをコードする第2の核酸が、第1の遺伝子座の第2の対立遺伝子に導入されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項8】
前記1つ以上の核酸が、エピソーム的に発現される、請求項1~6のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項9】
前記操作されたシャーシが、ベータ2ミクログロブリン遺伝子からの発現が阻害されるように操作されており、任意選択で、前記ベータ2ミクログロブリン遺伝子がノックアウト又は欠失されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項10】
前記シャーシが、1つ以上のHLA遺伝子からの破壊された発現を有するように操作されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項11】
前記シャーシが、HLA-A、HLA-B及び/又はHLA-Cのうちのいずれか1つ以上からの発現が破壊されるように操作されており、任意選択で、HLA-A及びHLA-Bの発現は完全に破壊されているが、HLA-Cの発現は部分的に破壊されており、任意選択で、HLA-A及びHLA-Bの両方の対立遺伝子からの発現は破壊されているが、HLA-Cの一方の対立遺伝子のみからの発現は破壊されている、請求項10に記載の操作されたシャーシ。
【請求項12】
前記シャーシが、HLAクラスIb遺伝子のうちのいずれか1つ以上、任意選択でHLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現するように操作されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項13】
前記シャーシが、HLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現するように操作されており、任意選択で、ベータ2ミクログロブリン遺伝子からの発現を破壊するように操作されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項14】
前記シャーシが、TGFb及び/又はGARP及び/又はCD40Lの発現を下方制御又は阻害するように操作されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項15】
前記カーゴが、
a)タンパク質又はペプチドであって、任意選択で、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメントであって、任意選択で、腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する、抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNA、又は
ii)DNAベクターである、核酸、
c)毒素、
d)小分子薬物、造影剤、放射性ヌクレオチド薬物、放射性ヌクレオチドタグ付抗体、又はそれらの任意のコンジュゲート、
e)AAVなどのウイルスベクター、
f)腫瘍溶解性ウイルスなどのウイルス、
g)CRISPR媒介遺伝子編集を実行するための薬剤、
h)エキソソーム、例えば第2のカーゴをプレロードされたエキソソーム、及び/あるいは
i)1つ又は複数のナノ粒子、
あるいはそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つ以上から選択される、請求項2~14のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項16】
前記カーゴが、内因的に発現されたカーゴであり、
任意選択で、前記内因的に発現されたカーゴが、
a)タンパク質又はペプチドであって、いくつかの実施形態では、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNAである、核酸のうちのいずれか1つ以上である、請求項2~15のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項17】
前記カーゴが、前記シャーシに外因的にロードされ、任意選択で、外因的にロードされたカーゴが、
a)タンパク質又はペプチドであって、いくつかの実施形態では、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNAである、核酸、
c)毒素、
d)小分子薬物、造影剤、放射性ヌクレオチド薬物、放射性ヌクレオチドタグ付抗体、又はそれらの任意のコンジュゲート、
e)AAVなどのウイルスベクター、
f)腫瘍溶解性ウイルスなどのウイルス、
g)CRISPR媒介遺伝子編集を実行するための薬剤、
h)エキソソーム、例えば第2のカーゴをプレロードされたエキソソーム、及び/あるいは
i)1つ又は複数のナノ粒子、
あるいはそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つ以上である、請求項2~16のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項18】
前記シャーシがカーゴを含む場合、前記カーゴが、エキソソーム標的化ドメインを含み、任意選択で、
前記カーゴが、融合タンパク質であるタンパク質又はペプチドであり、
a)カーゴタンパク質又はペプチドと、
b)エキソソーム標的化ドメインと、を含み、任意選択で、前記エキソソーム標的化ドメインが、
i)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、例えば、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
ii)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、任意選択でNedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、
iii)ユビキチンタグ、及び/又は
iv)タグ結合ドメイン、任意選択でタグに対して指向されたナノボディ、任意選択でGFPに対して指向されたナノボディ、及び/又は
v)表Aに列挙されたタンパク質から選択されるタンパク質を含むか又はそれらからなる群から選択されるか、
あるいは前記カーゴがRNAであり、前記エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム標的化ヘアピン、
b)ウイルスエキソソーム標的化RNA又はそのエキソソーム標的化フラグメント、
c)アプタマー、任意選択で、
i)MS2結合ステムループ、
ii)C/Dボックス、及び/若しくは
iii)AUリッチエレメントであり、任意選択で、前記RNAが、Cas9をコードするmRNAである、請求項2~17のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項19】
前記シャーシが、
a)MHCクラス1遺伝子又はタンパク質の機能が破壊されている、
b)前記β2ミクログロブリン遺伝子からの発現が破壊されており、任意選択で、前記β2ミクログロブリン遺伝子がノックアウトされている、
c)1つ以上のHLA遺伝子からの発現が破壊されている、
d)HLA-A、HLA-B及び/又はHLA-Cのうちのいずれか1つ以上からの発現が破壊されており、任意選択で、HLA-A及びHLA-Bの発現は完全に破壊されているが、HLA-Cの発現は部分的に破壊されており、任意選択で、HLA-A及びHLA-Bの両方の対立遺伝子からの発現は破壊されているが、HLA-Cの一方の対立遺伝子のみからの発現は破壊されている、
e)HLAクラスIb遺伝子のうちのいずれか1つ以上、任意選択でHLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現する、
f)HLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現する(任意選択で、ベータ2ミクログロブリン遺伝子からの発現が破壊されるように操作されている)、並びに/又は
g)1つ以上の免疫調節遺伝子を過剰発現しする(任意選択で、前記1つ以上の免疫調節遺伝子が、CD47及びPD-L1を含む群から選択される)、
h)産物がカーゴの効力に悪影響を及ぼし得る1つ以上の遺伝子又は遺伝子産物を排除する、
i)自然応答/適応応答を上方又は下方に調整する、
j)炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び腫瘍増殖を低減する、
k)前記操作されたカーゴの生物学的作用に間接的に対抗する可能性が高い接着タンパク質及び/又はカーゴ実体をコードする1つ以上の遺伝子の発現が破壊されており、より大きな正味の治療効果をもたらす可能性がある、
l)TGFb及び/又はGARP及び/又はCD40Lの発現を下方制御又は阻害する、
n)CD36、NOD2、SRB1、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR6、TLR9、CD40L、CD93(C1qRp)、C3aR、CD88(C5aR)、CD89(FcaR1)、CD23(FceR1)、CD32(FcgRIIa)、MHCクラス1、CD191(CCR1)、CD193(CCR3)、CD194(CCR4)、CD184(CXCR4)、CX3CR1、CD102(ICAM-2)、JAM-C/JAM-3、CD62P(P-セレクチン)、CD31(PECAM-1)、CD150(SLAMF1)、CCL2、CCL3、CCL5、CXCL1、CXCL12、CXCL4/PF4、CXCL5、CXCL8、NAP2(CXCL7)、IL-1bのうちのいずれか1つ以上の発現を下方制御若しくは阻害する、
o)TGFb及び/又はGARPの発現を破壊又は阻害する、
q)Siglec-7、Siglec-9、Siglec-11又はTGFbのうちのいずれか1つ以上の発現を破壊又は阻害する、
s)GPIb/V/IX及びGPVI(GP6)、ITGA2B、CLEC2、インテグリンαIIbb3、a2b1、a5b1及びa6b1、GPVI及びITGA2Bのうちのいずれか1つ以上の発現を破壊又は阻害する、
t)Par1、Par4、P2Y12、GPIb/V/IX、トロンボキサン受容体(TBXA2R)、P2Y1、P2X1及びインテグリンαIIbb3のうちのいずれか1つ以上、又はPar1、Par4及びP2Y12からなる群からのいずれか1つ以上の発現を破壊又は阻害する、
u)Cox1、Cox2、HPS、プロトロンビン、PDGF、EGF、フォン・ヴィレブランド因子及びトロンボキサン-Aシンターゼ(TBXAS1)のうちのいずれか1つ以上の発現を破壊又は阻害する、
v)血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントの活性化に応答して目的のタンパク質又はRNAを合成し、任意選択で、目的のタンパク質又はRNAが、BCL-3 mRNA非翻訳領域、任意選択で5′UTRから発現される、
z)1つ以上のカーゴタンパク質又はカーゴRNAを発現し、任意選択で、前記カーゴタンパク質又はカーゴRNAが、アルファ顆粒標的化シグナルを含み、任意選択で、血小板因子4(PF4)又はフォン・ヴィレブランド因子(vWf)を含む、
aa)少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現し、任意選択で、少なくとも3、4、5、6、7、8、9又は少なくとも10の異なるCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する、
bb)少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現し、前記少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの前記標的結合ドメインが、異なる標的に対して指向されている、
cc)少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現し、前記少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの前記標的結合ドメインが、異なる標的に対して指向されており、
i)第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメイン、任意選択で脱顆粒誘発ドメイン、任意選択でITAM含有ドメインであり、第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインが、血小板阻害ドメインであり、任意選択で血小板脱顆粒の誘発を防止するドメインであり、任意選択でITAM含有ドメインである、
ii)第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメイン、任意選択で脱顆粒誘発ドメイン、任意選択でITAM含有ドメインであり、第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメイン、任意選択で脱顆粒誘発ドメイン、任意選択でITAM含有ドメインである、
dd)ともに作動して論理回路を形成する、少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付け標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する、
ee)1つ以上のカーゴを発現し、任意選択で、前記カーゴが、
a)タンパク質又はペプチドであって、任意選択で、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)、
vi)エキソソーム標的化ドメインを含む融合タンパク質であり、前記融合タンパク質が、
a)カーゴタンパク質又はペプチドと、
b)エキソソーム標的化ドメインと、を含み、任意選択で、前記エキソソーム標的化ドメインが、
i)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、例えば、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
ii)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、任意選択でNedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、
iii)ユビキチンタグ、及び/又は
iv)タグ結合ドメイン、任意選択でタグに対して指向されたナノボディ、任意選択でGFPに対して指向されたナノボディを含むか若しくはそれらからなる群から選択される、タンパク質又はペプチド。
b)核酸であって、任意選択で、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNA、及び/又は
ii)エキソソーム標的化ドメインを含むRNAであって、任意選択で、前記エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム標的化ヘアピン若しくは直鎖状モチーフ、
b)ウイルスエキソソーム標的化RNA若しくはそのエキソソーム標的化フラグメントを含むか若しくはそれらからなる群から選択される、RNA、
iii)アプタマードメインを含むRNAであって、任意選択で、前記アプタマードメインが、
a)MS2結合ステムループ、
b)C/Dボックス、及び/若しくは
c)AUリッチエレメントから選択され、任意選択で、前記RNAが、Cas9をコードするmRNAである、RNAである、核酸を含む群から選択される、
ff)融合タンパク質を発現し、前記融合タンパク質が、
i)エキソソーム膜タンパク質に融合された前記バクテリオファージコートタンパク質MS2(任意選択で、前記エキソソーム膜タンパク質は、Lamp2b、VSVG、CD63を含むか若しくはそれらからなる群から選択される)、及び/又は
ii)エキソソーム膜タンパク質に融合された前記古細菌リボソームタンパク質L7Ae(任意選択で、前記エキソソーム膜タンパク質は、Lamp2b、VSVG、CD63を含むか若しくはそれらからなる群から選択される)、及び/又は
iii)CD9-HuR融合タンパク質を含み、
任意選択で、前記融合タンパク質が、光活性化された二量体化タンパク質を更に含む、
gg)mRNAから1つ以上のカーゴを、1つ以上の
CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを標的に結合するときにのみ翻訳し、任意選択で、前記カーゴが、
a)タンパク質又はペプチド、任意選択で、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNAである、核酸を含む群から選択され、
任意選択で、前記カーゴが、Bcl-3 mRNA非翻訳領域、任意選択で5′UTRから発現されるように操作されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項20】
前記CPRが、
a)血小板調節ドメインである細胞内ドメインと、
b)標的を認識して結合する異種標的結合ドメインと、を含み、
任意選択で、前記CPRが血小板膜に存在する場合、前記標的が前記標的結合ドメインに結合した後、前記血小板調節ドメインが活性化される、請求項1~19のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項21】
CPR血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメイン、任意選択でITAMを含むドメイン、任意選択で血小板ITAMを含むドメインであり、任意選択でITAMを含むドメイン、又は任意選択で血小板ITAMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を有するドメインである、請求項1~20のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項22】
前記CPRが血小板の前記膜に存在する場合、活性化されると、前記血小板活性化ドメインが、
a)前記血小板の脱顆粒をもたらす、
b)前記血小板からの内容物の放出をもたらす、
c)前記血小板の原形質膜上に血小板内内容物の存在をもたらす、
d)前記原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞、及び/又は小分子薬物、造影剤、放射性ヌクレオチド薬物、放射性ヌクレオチドタグ付抗体、若しくはそれらの任意のコンジュゲートの放出をもたらす、
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化をもたらす、並びに/あるいは
f)前記血小板へのカルシウムの流入をもたらす、請求項1~21のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項23】
前記ユニバーサルCPRが、
a)血小板調節ドメインである細胞内ドメインと、
b)異種タグ結合ドメインと、を含み、任意選択で、前記異種タグ結合ドメインが、タグ付き標的化ペプチド上に存在するタグに結合し、前記タグ付き標的化ペプチドが、前記タグ及び標的結合ドメインを含み、
前記ユニバーサルCPRが血小板原形質膜に位置する場合、前記標的への前記標的結合ドメインの同時結合の非存在下での前記ユニバーサルCPRへの前記標的化ペプチドの結合は、前記血小板調節ドメインを活性化するのに十分ではない、請求項1~22のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項24】
前記SAPRが、異種標的結合ドメインを含み、前記標的結合ドメインが、
a)細胞外ドメインであって、
i)MHC-1タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-1タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメント、あるいは
ii)MHC-2タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-2タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメントを含む、細胞外ドメインと、
b)細胞内血小板調節ドメインであって、
前記
MHC-1タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-1タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメント、あるいは
MHC-2タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-2タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメントが、
T細胞受容体(TCR)に結合することができる、細胞内血小板調節ドメインと、を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項25】
前記ePARのプロテアーゼ認識部位が、前記天然の認識部位を切断する前記プロテアーゼではないプロテアーゼによって切断されるように操作されており、任意選択で、血小板の前記原形質膜に存在する場合、前記プロテアーゼ認識部位の切断が、
a)前記血小板の脱顆粒、
b)前記血小板からの内容物の前記放出、
c)前記血小板の前記原形質膜上の細胞内内容物の前記存在、
d)前記原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞の前記放出、及び/又は
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの前記血小板の形状の変化をもたらす、請求項1~24のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項26】
前記操作されたシャーシが、操作されたエフェクターシャーシであり、任意選択で、前記標的化送達システムが、治療的標的化送達システム又は非治療的送達システムであり、任意選択で、
前記系が、1つ以上のカーゴを更に含み、任意選択で、前記カーゴが、1つ以上の標的化ドメインを含み、任意選択で、エキソソーム標的化ドメインを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の操作されたシャーシを含む、標的化送達システム。
【請求項27】
医薬における使用するための、請求項1~26のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項28】
治療的若しくは造影カーゴを送達するか、又はがん、自己免疫疾患、遺伝性疾患、心血管疾患及び/若しくは感染症を治療若しくは予防する際に使用するための操作されたシャーシであって、前記操作されたシャーシが、操作されたエフェクターシャーシである、請求項1~27のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項29】
カーゴを送達する方法であって、有効量の、請求項1~28のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ又は標的化送達システムを投与することを含み、前記操作されたシャーシが、操作されたエフェクターシャーシである、方法。
【請求項30】
体内の標的細胞、組織又は部位への標的化カーゴ送達の方法であって、前記方法が、有効量の、請求項1~29のいずれか一項に記載の操作されたシャーシのうちのいずれか1つ以上を投与することを含み、前記CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの前記標的化ドメインが、体内の前記標的細胞、組織又は部位に結合し、前記操作されたシャーシが、操作されたエフェクターシャーシである、方法。
【請求項31】
カーゴの送達を必要とする対象にカーゴを送達する非治療的方法であって、前記方法が、有効量の、請求項1~30のいずれか一項に記載の操作されたシャーシのうちのいずれか1つ以上を投与することを含み、前記CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの前記標的化ドメインが、前記体内の前記標的細胞、組織又は部位に結合し、前記操作されたシャーシが、操作されたエフェクターシャーシである、非治療的方法。
【請求項32】
有効量の、請求項1~31のいずれか一項に記載の操作されたシャーシを投与することを含む、治療の方法であって、任意選択で、前記方法が、がん、自己免疫疾患、遺伝子疾患、心血管疾患及び/又は感染症のうちのいずれか1つ以上の治療又は予防のためのものであり、前記操作されたシャーシが、操作されたエフェクターシャーシである、方法。
【請求項33】
疾患又は感染症の前記治療又は予防のための、任意選択で、がん、遺伝子疾患、心血管疾患、自己免疫疾患、及び/又は感染症のうちのいずれか1つ以上の前記治療又は予防のための医薬品の製造における、請求項1~32のいずれか一項に記載の操作されたシャーシの、使用。
【請求項34】
前記操作されたシャーシを、それを必要とする患者に投与することによって、カーゴ、任意選択で治療剤を送達するための、請求項1~33のいずれか一項に記載のシャーシ又は操作されたシャーシを使用する、方法。
【請求項35】
キットであって、
a)請求項1~34のいずれか一項以上に記載の操作されたプロデューサーシャーシ、
b)請求項1~34のいずれか一項以上に記載の操作されたエフェクターシャーシ、
c)請求項1~34のいずれか一項以上に記載の操作された前駆体シャーシ、
d)治療剤及び/若しくは造影剤及び/若しくはエキソソーム、任意選択で、第2のカーゴをプレロードされたエキソソーム、
並びに/又は
e)請求項1~34のいずれか一項以上において定義される1つ以上のカーゴをコードする核酸、並びに/又は
f)請求項1~34のいずれか一項以上において定義される1つ以上のカーゴを含む、キット。
【請求項36】
治療的カーゴを含むエキソソームの、それを必要とする対象への標的化送達における使用のための、医薬における使用のための、任意選択でがん、自己免疫疾患、遺伝性疾患、心血管疾患及び/又は感染症の治療又は予防における使用のためのものであり、
前記操作されたシャーシが、前記カーゴ及び/又はシャーシ若しくは操作されたシャーシの操作によって前記エキソソームに標的化されている前記カーゴを含む操作されたエフェクターシャーシである、請求項1~35のいずれか一項に記載の操作されたシャーシ。
【請求項37】
前記カーゴが、
a)タンパク質又はペプチドであって、いくつかの実施形態では、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNA、又は
ii)DNAベクターである、核酸、
c)毒素、
d)小分子薬物、造影剤、放射性ヌクレオチド薬物、放射性ヌクレオチドタグ付抗体、又はそれらの任意のコンジュゲート、
e)AAVなどのウイルスベクター、
f)腫瘍溶解性ウイルスなどのウイルス、
g)CRISPR媒介遺伝子編集を実行するための薬剤、
h)エキソソーム、任意選択で、第2のカーゴをプレロードされたエキソソーム、及び/あるいは
i)1つ又は複数のナノ粒子、
あるいはそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つ以上から選択される、請求項36に記載の使用のための操作されたシャーシ。
【請求項38】
前記シャーシ又は操作されたシャーシが、エキソソーム標的化ドメインを含むカーゴを内因的に発現するように操作されており、
A)前記カーゴがタンパク質又はペプチドである場合、前記タンパク質又はペプチドが、
i)前記カーゴタンパク質又はペプチドと、
ii)エキソソーム標的化ドメインと、を含む、融合タンパク質であり、任意選択で、前記エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、任意選択で、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
b)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、任意選択でNedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、
c)ユビキチンタグ、及び/又は
d)タグ結合ドメイン、任意選択でタグに対して指向されたナノボディ、任意選択でGFPに対して指向されたナノボディ、及び/又は
e)表Aに列挙されたタンパク質から選択されるタンパク質を含むか、又はそれらからなる群から選択され、
B)前記カーゴがRNAであり、前記エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム標的化ヘアピン若しくは直鎖状モチーフ、
b)ウイルスエキソソーム標的化RNA若しくはそのエキソソーム標的化フラグメント、
c)アプタマー、任意選択で、
i)MS2結合ステムループ、
ii)C/Dボックス、及び/若しくは
iii)AUリッチエレメントであり、任意選択で、前記RNAが、Cas9をコードするmRNAであり、
任意選択で、
前記カーゴが、MS2結合ステムループを含むRNAであり、前記シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合されたバクテリオファージコートタンパク質MS2を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、前記エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、前記融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
前記カーゴが、C/Dボックスを含むRNAであり、前記シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合された古細菌L7リボソームL7Aeタンパク質を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、前記エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、前記融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
前記カーゴが、AUリッチエレメントを含むRNAであり、前記シャーシ又は操作されたシャーシが、CD9-HuR融合タンパク質である融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、前記融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
前記カーゴが、アプタマーを含むRNAであり、前記シャーシ又は操作されたシャーシが、エキソソーム膜タンパク質に融合されたアプタマー結合タンパク質(前記RNA中に存在する前記アプタマーに結合する)を含む融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、前記エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、前記融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含む、請求項36又は37に記載の使用のための操作されたシャーシ。
【請求項39】
シャーシ又は操作されたシャーシに、エキソソーム標的化ドメインを含むカーゴを外因的にロードされており、任意選択で、
A)前記カーゴがタンパク質又はペプチドである場合、前記タンパク質又はペプチドが、
i)前記カーゴタンパク質又はペプチドと、
ii)エキソソーム標的化ドメインと、を含む、融合タンパク質であり、任意選択で、前記エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、任意選択で、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
b)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、任意選択でNedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、
c)ユビキチンタグ、及び/又は
d)タグ結合ドメイン、任意選択でタグに対して指向されたナノボディ、任意選択でGFPに対して指向されたナノボディ、及び/又は
e)表Aに列挙されたタンパク質から選択されるタンパク質を含むか若しくはそれらからなる群から選択され、
B)前記カーゴがRNAであり、前記エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム標的化ヘアピン若しくは直鎖状モチーフ、
b)ウイルスエキソソーム標的化RNA若しくはそのエキソソーム標的化フラグメント、
c)アプタマー、任意選択で、
i)MS2結合ステムループ、
ii)C/Dボックス、及び/若しくは
iii)AUリッチエレメントであり、任意選択で、前記RNAが、Cas9をコードするmRNAであり、
任意選択で、
前記カーゴが、MS2結合ステムループを含むRNAであり、前記シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合されたバクテリオファージコートタンパク質MS2を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、前記エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、前記融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
前記カーゴが、C/Dボックスを含むRNAであり、前記シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合された古細菌L7リボソームL7Aeタンパク質を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、前記エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、前記融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
前記カーゴが、AUリッチエレメントを含むRNAであり、前記シャーシ又は操作されたシャーシが、CD9-HuR融合タンパク質である融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、前記融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
前記カーゴが、アプタマーを含むRNAであり、前記シャーシ又は操作されたシャーシが、エキソソーム膜タンパク質に融合されたアプタマー結合タンパク質(前記RNA中に存在する前記アプタマーに結合する)を含む融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、前記エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、前記融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含む、請求項36又は37に記載の使用のための操作されたシャーシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的化送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
血小板は、小さくかつ除核されており、分裂又は複製できない。人体では、血小板は損傷した組織を認識し、その内容物を放出して出血を軽減又は防止する重要な機能を果たす。腎臓及び肝臓からのトロンボポエチンは、骨髄幹細胞に接触し、巨核芽球(megakaryoblasorphant)への分化を引き起こし、追加のシグナルが巨核芽球の前駆巨核球への分化をもたらす。前駆巨核球は、血小板前駆体の伸長を伴う大きな細胞であり、分裂して増殖するときにフラグメントを発芽させ、血小板を生成する。
【0003】
ミトコンドリア、微小管、小胞は、血小板内に含まれており、血小板は、約10日の寿命を有し、マクロファージによってクリアランスされる。血小板は、約7μmの体積、300nmの直径を有する。血小板は、代謝的に活性であり、予めロードされたmRNA発現(例えば、miRNAによる)の転写後制御により遺伝子発現を変化させることができる。血小板は、顆粒と呼ばれる細胞内小胞を含む。活性化すると、顆粒化が刺激されて形状が変化し、顆粒の内容物が放出される。
【0004】
血小板は、小胞の3つの主要なサブタイプ:α顆粒(血小板当たり50~80)、密顆粒(血小板当たり3~8)、及び大型有芯小胞(large dense core vesicles、LDCV)(血小板当たり約10,000)を含有する。異なる変異は、各小胞サブタイプの生合成を選択的に破壊することができる。顆粒の内容物(主にアルファ顆粒に貯蔵される血小板細胞外小胞(platelet extracellular vesicle、PEV)のサブセットである、エキソソームを含む)は、エキソサイトーシスによって放出される。血小板の脱顆粒に関しては、多種多様な生成物が放出される。
【0005】
PEVは、活性化シグナルに応答して血小板によって産生され、血小板から放出される膜結合実体である。これらのPEVは、循環系における細胞外小胞の大部分を表す。血小板は、主に2つの小胞ファミリー、すなわちa)微小胞、及びb)エキソソームを放出する(Heijnen,H.F.G.,Schiel,A.E.,Fijnheer,R.,Geuze,H.J.,&Sixma,J.J.(1999)。Activated platelets release two types of membrane vesicles:Microvesicles by surface shedding and exosomes derived from exocytosis of multivesicular bodies and α-granules.Blood,94(11),3791-3799.https://doi.org/10.1182/blood.v94.11.3791)。
【0006】
微小胞は、膜脱落によって産生され、血小板の細胞質内容物の試料を捕捉する。対照的に、エキソソームは、血小板a顆粒内に貯蔵され、血小板刺激媒介脱顆粒の際に放出される。それらの異なる生合成経路のために、エキソソーム及び微小胞は、カーゴの異なるサブセットを送達し、異なる表面タンパク質組成及び物理的サイズを特徴とする。
【0007】
【表1】
【0008】
エキソソームは、タンパク質、RNA、RNP及び化学メッセンジャーを含む、多様な範囲のカーゴを細胞間で自然に輸送する。エキソソームカーゴは、特定の濃縮されたカーゴを特徴付けることに加えて、細胞の細胞質内容物の確率的サンプリングの両方を表す。エキソソーム生合成の特異的機構は、それらへの外因性カーゴの標的化、したがって、デザイナー治療的エキソソームの産生を可能にする。これらは、ある範囲の細胞型において産生されているが、重要なことに、送達が試みられる前に、これらの細胞から引き続いて精製されている。エキソソームの全身送達には、潜在的な問題がある。それらのサイズが小さいため、それらは循環系から受動的に逃れることができ、したがって、標的細胞又は組織におけるそれらの取り込みを制限する。エキソソームを特定の細胞又は組織に標的化することはまた、操作された表面マーカー(Duan,L.,Xu,L.,Xu,X.,Qin,Z.,Zhou,X.,Xiao,Y.,Liang,Y.,&Xia,J.(2021).Exosome-mediated delivery of gene vectors for gene therapy.Nanoscale,13(3),1387-1397.https://doi.org/10.1039/d0nr07622h)又は特定のプロデューサー細胞由来のエキソソームの天然の標的細胞指向性のいずれかに依存する。したがって、全身送達を可能にする高効率エキソソーム標的化技術が依然として必要とされている。
【0009】
血小板は、シグナル伝達経路受容体の多様なセットを介して、様々な細胞外シグナルに応答する。受容体は、血小板の脱顆粒及びエフェクターの放出をもたらす細胞内シグナル伝達カスケードを誘発することと、血小板の凝集及び接着を引き起こすことと、の両方に作用する。糖タンパク質VI血小板(GPVI)シグナル伝達は、TCRなどの多くの免疫細胞受容体と同様に機能する。興味深いことに、血小板はトール様受容体(TLR)も発現し、ペプチド分泌及び免疫系活性化を介して細菌の標的死滅を媒介することができる。
【0010】
α顆粒は、直径約200~500nmを有し、血小板の体積の約10%を占めている。エキソソームは、α顆粒中に貯蔵される。ほとんどのエフェクタータンパク質は、α顆粒に存在する。例えば、α顆粒から放出されるエフェクタータンパク質としては、P-セレクチン、αIIbβ、及びGPIbαなどの内在性膜タンパク質;第V因子、第IX因子、及びプラスミノーゲンなどの凝固剤/抗凝固剤及び線維素溶解タンパク質;フィブリノーゲン及びフォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand Factor、vWF)などの接着タンパク質;CXCL4(サイトカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド4)(血小板因子4又はPF4としても知られる)及びCXCL12(サイトカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド12)(間質細胞由来因子1アルファ又はSDF-1アルファとしても知られる)などのケモカイン;伸長成長因子(elongation growth factor、EGF)及びインスリン様成長因子1(insulin-like growth factor、IGF)などの成長因子;血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor、VEGF)、血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor、PDGF)、及びアンギオスタチンなどの血管新生因子/阻害剤;並びに免疫グロブリンG(immunoglobulin G、IgG)及び補体前駆体などの免疫メディエーターが挙げられる。
【0011】
密顆粒は、直径約150nmを有し、血小板の体積の約1%を占めている。高密度顆粒から放出されるエフェクタータンパク質としては、Ca2+及びMg2+などのカチオン;ポリホスフェート;セロトニン及びヒスタミンなどの生理活性アミン;並びにアデノシン二リン酸(adenosine diphosphate、ADP)及びアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate、ATP)などのヌクレオチドが挙げられる。
【0012】
LDCVは、直径約150nm~約300nmの範囲を有し、血小板の体積の約13.5%を占めている。LDCVから放出されるエフェクタータンパク質としては、構造タンパク質(例えば、グラニン及び糖タンパク質);バスコレギュレーター(vascoregulator)(例えば、カテコールアミン、バソスタチン、レニン-アンジオテンシン);パラクリンシグナル伝達因子(例えば、グアニリン、ニューロテンシン、クロモグラニンB);免疫メディエーター(例えば、エンケリチン及びユビキチン);オピオド(opiod)(例えば、エンケファリン及びエンドルフィン);イオン(例えば、Ca2+、Na+、Cl-)、並びにヌクレオチド及びポリホスフェート(例えば、アデノシン一リン酸(adenosine monophosphate、AMP)、グアノシン二リン酸(guanosine diphosphate、GDP)、ウリジン-5’-三リン酸(uridine-5'-triphosphate、UTP))が挙げられる。
【0013】
操作されたキメラ抗原受容体T細胞(chimeric antigen receptor T、CAR-T細胞)に基づく現在の細胞療法は、がんの治療において有望であることが示されているが、それらの安全性、特に患者の発がん性形質転換に関する懸念、及びジェネリック又はユニバーサル治療製品を生成する能力の制限により、それらの使用は少数の患者に限定されている。現在の細胞治療製品を悩ませている安全性、コスト、及び患者のマッチングの問題から解放された、がん、自己免疫状態、及び感染症を治療する可能性を有する新しいタイプの治療に対する当該技術分野での長い間感じられてきた必要性が存在する。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、対象へのカーゴの安全な送達において使用することができる様々な成分、組成物及び方法を提供し、好ましい実施形態では、安全な送達は、標的化された安全な送達である。本明細書に記載の様々な成分、組成物及び方法はまた、カーゴを対象に送達することに加えて、又はその代わりに、T細胞を刺激するために使用され得る。送達実体を生成するために使用される細胞又は細胞様実体、及び送達実体自体は、本明細書では集合的に「シャーシ」と呼ばれる。例えば、シャーシは、特定のカーゴを送達すること、例えば、標的化された様式で特定のカーゴを送達することのいずれかを目的として、又は、エフェクターシャーシの膜に存在する本発明の特異的受容体を対象における対応する標的と係合させることを目的として、それを必要とする対象に実際に投与されるシャーシである「エフェクターシャーシ」であってもよく、すなわち、エフェクターシャーシは、有用であるためにカーゴを含む必要がない。
【0015】
本明細書に記載のシャーシはまた、「プロデューサーシャーシ」であってもよい。プロデューサーシャーシは、血小板、又は血小板様膜結合細胞フラグメント、又は無核細胞フラグメントを直接産生することができるシャーシである。例えば、いくつかの実施形態では、プロデューサーシャーシは、原形質膜の伸長を介して、血小板、又は血小板様膜結合細胞フラグメント、又は無核細胞フラグメントを産生して血小板前駆細胞(protoplatelet)を形成し、これは次いで、血小板、又は血小板様膜結合細胞フラグメント、又は無核細胞フラグメントにフラグメント化される。
【0016】
いくつかの実施形態では、「無核細胞フラグメント」とは、赤血球(erythrocyte)又は赤血球のフラグメントという意味を含まない。いくつかの好ましい実施形態では、「無核細胞フラグメント」は、細胞外小胞又は他の脂質結合小胞を意味する範囲内に含むことを意図しないことも明らかである。当業者は、「無核細胞フラグメント」によって何が意図されるかを容易に理解することができる。
【0017】
したがって、いくつかの実施形態では、無核細胞フラグメントは、赤血球ではない。いくつかの実施形態では、無核細胞フラグメントは、赤血球のフラグメントではない。いくつかの実施形態では、無核細胞フラグメントは、細胞外小胞ではない。いくつかの実施形態では、無核細胞フラグメントは、エキソソームではない。
【0018】
好ましい実施形態では、無核細胞フラグメントは、本明細書中に記載されるようなプロデューサーシャーシから産生される。
【0019】
本明細書に記載の「エフェクターシャーシ」の産生をもたらす修飾の多くは、その後にエフェクターシャーシを産生するプロデューサーシャーシの成熟のはるか上流で行うことができることは、本明細書の開示から当業者には明らかである。したがって、場合によっては、本明細書に記載のシャーシが「前駆体シャーシ」であり得ることが適切であることは明らかである。前駆体シャーシは、好ましい実施形態では、プロデューサーシャーシを生成するために確実に使用され得る不死細胞である。明らかなように、いくつかの好ましい実施形態では、前駆体シャーシは、巨核球などの特定のプロデューサーシャーシに分化するように操作されたiPSCなどの不死細胞である。前駆体シャーシはまた、脂肪細胞などの不死化細胞、及び脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)などの他の成熟細胞の分化転換の結果である細胞を含む(Tozawa et al 2019 Blood 133:633-643を参照されたい)。
【0020】
骨髄幹細胞から巨核芽球、巨核球へのインビボ分化経路、又はiPSCから巨核球へのインビトロ分化は、十分に定義されており、当業者は、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントを産生する方法を知っており、どの細胞が血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントの前駆体であるかを知っている。例えば、iPSCなどの本明細書に記載の前駆体細胞を、本明細書に記載のプロデューサーシャーシに分化させる様々な方法がある。1つのそのような方法は、「フォワードプログラミング」として知られており、iPSCの巨核球への直接分化を駆動し(例えば、Forward Programming Megakaryocytes from Human Pluripotent Stem Cells,Thomas Moreau,BBTS Annual Conference,Glasgow 2017 1045_thu_lomond_moreau(1).pdfを参照されたい)、典型的には、巨核球への分化を駆動する1つ以上の転写因子(Gata1、Tal1及びFli1)の発現を伴う。
【0021】
本明細書に記載の例示的なシャーシとしては、骨髄幹細胞、iPSC、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(adipose-derived mesenchymal stromal/stem cell line、ASCL)、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント又は無核細胞フラグメントが挙げられる。
【0022】
例示的な前駆体シャーシとしては、骨髄系幹細胞、iPSC、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、及び本明細書に記載されるようなプロデューサーシャーシを産生することができるがん細胞株又は他の不死細胞が挙げられる。
【0023】
例示的なプロデューサーシャーシとしては、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、若しくはがん細胞株、又は血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを形成することができる他の不死細胞、例えばMEG01又はDAMIがん細胞株が挙げられる。
【0024】
例示的なエフェクターシャーシとしては、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント又は無核細胞フラグメントが挙げられる。
【0025】
本明細書に記載のシャーシはまた、本明細書に記載の任意の1つ以上のプロデューサー細胞に分化するように駆動された、これらの細胞/細胞様実体の任意の不死バージョンを含み、例えば、いくつかの実施形態では、シャーシは、巨核球への分化を指示するために、「フォワードプログラム」されている、すなわち、特定の遺伝子をノックイン若しくはノックアウトする(又はRNAiの使用などを介して遺伝子発現を修飾する)ように操作されている。
【0026】
本明細書に記載のシャーシのうちのいずれかは、本発明の1つ以上の受容体を発現するように修飾されてもよく、例えば、任意の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、本明細書に記載の任意の1つ以上のキメラ血小板受容体(chimeric platelet receptor、CPR)、ユニバーサルキメラ血小板受容体(ユニバーサルCPR)、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、合成抗原提示受容体(synthetic antigen presenting receptor、SAPR)、又は操作されたプロテアーゼ活性化受容体(engineered protease activated receptor、ePAR)を発現するように修飾されてもよい。「発現する」とは、転写及び翻訳、又は翻訳単独の意味を含む。例えば、本明細書に記載の受容体は、シャーシの表面上(すなわち、原形質膜内)に提示されなければならない。いくつかの実施形態では、シャーシは、受容体をコードする核酸を導入するように核酸レベルで修飾されている。この場合、シャーシは、核酸を転写及び翻訳して、機能的タンパク質を産生しなければならない。他の例では、シャーシを修飾して、本発明の機能的受容体に翻訳されるmRNAを導入することができる。したがって、本発明の受容体を発現する状況において、その意図は、機能的受容体タンパク質が産生されることを確実にすることである。
【0027】
いくつかの実施形態では、シャーシは、本発明の1つ以上の受容体を発現するように操作されているだけであり、例えば、任意の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、本明細書に記載のいずれか1つ以上のキメラ血小板受容体(CPR)、ユニバーサルキメラ血小板受容体(ユニバーサルCPR)、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、合成抗原提示受容体(SAPR)、又は操作されたプロテアーゼ活性化受容体(ePAR)を発現するようにされていてもよく、すなわち、いくつかの実施形態では、シャーシに対して更なる操作工程は行われていない。
【0028】
本明細書に記載のシャーシのうちのいずれかは、任意の1つ以上の異なる経路を調節するように操作されてもよく、例えば、任意の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、
i)血小板炎症シグナル伝達経路を破壊すること、
ii)操作されたシャーシの免疫原性を低下させること、
iii)シャーシの1つ以上の基本機能を増強若しくは破壊することを行うように操作されており、1つ以上又は基本機能が、自然免疫応答及び/若しくは適応免疫応答、炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び/若しくは腫瘍成長に関与するように操作されてもよく、かつ/又は
iv)血小板血栓形成経路を破壊するように操作されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、
i)血小板炎症シグナル伝達経路、
ii)調節された場合に、操作されたシャーシの免疫原性を低下させる経路、
iii)自然免疫応答及び/若しくは適応免疫応答、炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び腫瘍増殖に関与する基底機能、並びに/又は
iv)血小板血栓形成経路
が、
a)操作された前駆体シャーシであり、例えば、骨髄幹細胞、iPSC、プロデューサーシャーシを産生することができるがん細胞株、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、若しくはプロデューサーシャーシを産生することができる他の不死細胞である、操作された前駆体シャーシ、
b)操作されたプロデューサーシャーシであり、例えば、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、血小板を形成することができるがん細胞株、例えば、MEG01若しくはDAMIがん細胞株、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメント、又は血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを形成することができる他の不死細胞である、操作されたプロデューサーシャーシ、あるいは
c)操作されたエフェクターシャーシであり、例えば、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントである、操作されたエフェクターシャーシのうちのいずれか1つ以上において見出される経路である。
【0030】
いくつかの実施形態では、シャーシは、
任意の1つ以上の異なる経路を調節するように操作されてもよく、例えば、任意の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、
i)血小板炎症シグナル伝達経路を破壊すること、
ii)操作されたシャーシの免疫原性を低下させること、
iii)シャーシの1つ以上の基本機能を増強若しくは破壊することを行うように操作されており、1つ以上又は基本機能が、自然免疫応答及び/若しくは適応免疫応答、炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び/若しくは腫瘍成長に関与するように操作されてもよく、かつ/又は
iv)血小板血栓形成経路を破壊するように操作されてもよい。
すなわち、いくつかの実施形態では、シャーシに対して更なる操作工程が実行されていない。
【0031】
本明細書に記載のシャーシのうちのいずれかは、本発明の1つ以上の受容体を発現するように操作されてもよく、いずれか1つ以上の異なる経路を調節するように操作されており、すなわち、いくつかの実施形態では、本発明は、
A)任意の1つ以上の異なる経路を調節するように操作されている本明細書に記載されるようなシャーシのうちのいずれかを提供し、例えば、任意の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、
i)血小板炎症シグナル伝達経路を破壊すること、
ii)操作されたシャーシの免疫原性を低下させること、
iii)シャーシの1つ以上の基本機能を増強若しくは破壊することを行うように操作されており、1つ以上又は基本機能が、自然免疫応答及び/若しくは適応免疫応答、炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び/若しくは腫瘍成長に関与するように操作されてもよく、かつ/又は
iv)血小板血栓形成経路を破壊するように操作されてもよく、
かつ
B)いずれか1つ以上のキメラ血小板受容体(CPR)、ユニバーサルキメラ血小板受容体(ユニバーサルCPR)、ユニバーサルCPRとタグ付標的ペプチドとの複合体、合成抗原提示受容体(SAPR)、若しくは本明細書に記載の操作されたプロテアーゼ活性化受容体(ePAR)を発現するように操作されてもよい。
【0032】
本明細書に記載されるようなエフェクターシャーシには、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント、及び無核細胞フラグメントが含まれ、これらは、場合によっては、プロデューサーシャーシから産生されている。
【0033】
対象に投与され、対象において効果を生じることが意図される実際の送達剤(又はT細胞刺激剤)は、本明細書においてエフェクターシャーシと呼ばれ、その意味には、本明細書に記載されるようなプロデューサーシャーシのうちのいずれかに由来する、血小板、又は血小板様膜結合細胞フラグメント、他の細胞フラグメント又はSynlet(本明細書に記載されるような)が含まれる。本明細書に記載のプロデューサーシャーシは、その意味に、エフェクターシャーシ、すなわち、血小板若しくは血小板様膜結合細胞フラグメント、又はSynletを直接産生する典型的な分化プロセスにおいて上流にある、任意の細胞(操作された細胞を含む)を含む。
【0034】
「シャーシ」という一般的用語は、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ、及びプロデューサーシャーシに由来し得るエフェクターシャーシの全てを包含することが意図される。
【0035】
いくつかの実施形態では、エフェクターシャーシは、カーゴを送達するために使用されず、例えば、いくつかの実施形態では、本明細書の考察から当業者に明らかであるように、本発明のSAPRを含むがカーゴを含まないエフェクターシャーシが有用であると考えられる。
【0036】
好ましい実施形態では、エフェクターシャーシ及び/又はプロデューサーシャーシ及び/又は前駆体シャーシは、本明細書に記載されるようなキメラ血小板受容体(CPR)、ユニバーサルCPR、CPRとタグ付標的化ペプチドとを含む複合体、SAPR又はePARを含む。
【0037】
本明細書に記載されるような受容体は、血小板表面受容体の正常な細胞内機能を本質的に再指向し、その結果、特定の受容体に対する天然の内因性同族標的の認識に応答して細胞内シグナル伝達が起こるのではなく、細胞内シグナル伝達が異なる標的に応答して起こる、すなわち、受容体の「標的結合ドメイン」が、目的の標的、例えば、がん新抗原に結合するように修飾される。
【0038】
第1の態様では、本発明は、
キメラ血小板受容体であって、受容体が、
a)血小板調節ドメインである細胞内ドメインと、
b)標的を認識して結合する異種標的結合ドメインと、を含む、キメラ血小板受容体を提供する。
【0039】
明確にするために、CPRに関連して本明細書に記載の標的結合ドメインに対する優先性は、本発明の他の態様の血小板調節ドメイン、例えば、本明細書に記載のユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、及びSAPRに対する優先性でもある。
【0040】
血小板は、外部シグナルを伝達して血小板の様々な機能をもたらす受容体を天然に含む。例えば、ITAMドメインを含む血小板受容体は、適切な標的に結合することによって活性化されると、血小板の血栓形成経路及び脱顆粒経路を活性化すると考えられる。ITIMドメインを含む血小板受容体は、適切な標的に結合することによって活性化されると、血小板血栓形成経路の活性化を阻害し、それによって脱顆粒の活性化を阻害すると考えられる。受容体を含む本明細書に記載されるような受容体及びシャーシは、この天然のプロセスを特定の標的に再指向すると考えられ、その結果、いくつかの実施例における血小板は、通常は脱顆粒する異なる標的に応答して脱顆粒する。血小板活性化(例えば、脱顆粒)又は活性化の阻害(例えば、脱顆粒の活性化の阻害)を達成するために必要なのは、標的に結合する外部ドメインと、血小板(又は本明細書に記載されるようなエフェクターシャーシ)の挙動を調節することができる内部ドメインと、を含む、本明細書に記載されるような受容体だけであると考えられる。エフェクターシャーシが受容体への標的結合に適切に応答するためには、関連する内部経路が機能的でなければならない。例えば、本明細書に記載されるようないくつかの実施形態では、血栓形成経路が破壊され、いくつかの実施形態では、エフェクターシャーシが標的への結合に応答して通常の血栓形成経路を誘発しない場合が好ましいが、脱顆粒が起こるためには、エフェクターシャーシは、機能的な脱顆粒経路を有していなければならない。
【0041】
脱顆粒は、IP3の生成を通じて起こる。ITAMを含む受容体は、標的結合の際にリン酸化され、Srcファミリーキナーゼ(Sykなど)の動員をもたらす。Srcファミリーキナーゼの動員は、PLC-γ-2活性化及びIP3生成をもたらす。本明細書に記載されるようなePARの活性化は、PLC-ベータ活性化及びIP3生成を誘発する。
【0042】
IP3は、IP3受容体に結合して活性化し、細胞内貯蔵及び細胞外環境から血小板細胞質へのCa2+流入を誘発する。Ca2+は、アルファ顆粒のエキソサイトーシス(脱顆粒)及び一連の他の事象を誘発し、脱顆粒を含む血小板活性化に至る。
【0043】
したがって、いくつかの好ましい実施形態では、本明細書に記載のシャーシのうちのいずれか、例えば、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ及びエフェクターシャーシは、血小板活性化及び/又は脱顆粒をもたらすために必要な細胞成分を含むことが明らかである。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるようなシャーシは、Srcファミリーキナーゼ及びIP3を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるようなシャーシは、PLC-ベータ及びIP3を含む。いくつかの実施形態では、シャーシは、IP3受容体を含む。
【0044】
異種標的結合ドメインは、細胞内シグナル伝達ドメインも含む膜貫通タンパク質の外側部分である。細胞内シグナル伝達ドメインは、血小板の調節、例えば血小板の活性化をもたらすように、標的結合ドメインへの標的の結合を変換する。当業者は、ITAM及びITIM受容体などのいくつかの受容体が、細胞内シグナル伝達及び血小板活性化をもたらすために膜表面上でのある程度の受容体クラスター化を必要とすることを理解する。したがって、血小板の調節、例えば、血小板の活性化をもたらすような標的結合ドメインへの標的の結合によって、本発明者らは、標的結合ドメインへの標的の結合が受容体クラスター化をもたらすという意味を含む。血小板の活性化に必要な受容体クラスター化の程度は、受容体及び標的に依存する。当業者は、当該技術分野で知られているアッセイ(例えば、本明細書に記載されるようなP-セレクチンを含むアッセイ)を使用して、本発明の所定のCPRが血小板調節を達成し得るか否かを決定することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、受容体クラスター化が必要であると考えられるため、CPRがエフェクターシャーシの膜に存在する場合、いくつかの実施形態では、受容体が結合する標的は、エフェクターシャーシの膜に存在するCPRによって結合された場合にCPR受容体クラスター化及び血小板調節ドメインの活性化をもたらす標的である。
【0046】
例えば、いくつかの実施形態では、標的は、細胞表面又は組織表面に存在する。
【0047】
異種標的結合ドメインとは、標的結合ドメインが細胞内血小板調節ドメインに対して異種である、すなわち、標的結合ドメインが細胞内ドメインに関連する通常の細胞外ドメインではないことを意味する。異種標的結合ドメイン又は異種タグ結合ドメインは、内因性標的に結合し得、例えば、対象に内因性である腫瘍抗原に結合し得るが、CPRがキメラであるため、標的結合ドメインは、内部血小板調節ドメインに対して異種である。
【0048】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ及び/又はエフェクターシャーシに対して内因性であり得るが、血小板調節ドメインに対して異種であり、例えば、CPRは、任意の細胞若しくは前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ及び/又はエフェクターシャーシにおいて天然に見出されず、生物学的操作の結果として産生されている。したがって、いくつかの好ましい実施形態では、CPRは、天然に存在するタンパク質又は複合体ではない。
【0049】
いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、ベース血小板において見出されるドメインであり、すなわち、血小板調節ドメインが血小板において天然に見出される場合である。
【0050】
例えば、細胞内調節ドメインが糖タンパク質VI(Glycoprotein VI、GPVI)の細胞内ドメインを含む実施形態では、標的化ドメインは、糖タンパク質VI(GPVI)の細胞外ドメインではなく、すなわち、ドメインは互いに対して異種である。いくつかの実施形態では、C型レクチン様受容体2(C-type lectinlike receptor 2、CLEC-2)又はIgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)も同様の方法で改変することができる。他の実施形態では、細胞内ドメインがC型レクチン様受容体2(CLEC-2)の細胞内ドメインを含む場合、細胞外標的化ドメインは、CLEC-2の細胞外ドメインではなく、細胞内ドメインがIgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)を含むいくつかの実施形態では、細胞外標的化ドメインは、FCgR2Aの細胞外ドメインを含まない。
【0051】
標的結合ドメインは、対象に固有であるが、細胞内ドメインに固有ではないドメインである可能性があることは明らかである。
【0052】
異種標的結合ドメインは、特定の標的にいくらかの特異性で結合することができる任意の標的結合ドメインであり得る。好ましくは、標的結合ドメインは、標的又はタグに特異的に結合する。「特異的に結合する」とは、標的結合ドメインが、非標的(すなわち、オフターゲット)への結合と区別することができる様式でその標的に結合するという意味を含む。例えば、標的に特異的な標的結合ドメインは、意図されていない標的のものと比較して、意図された標的に対してより高い特異性で結合する標的結合ドメインを指し得る。特異性は、日常的な実験を通じて解離定数に基づいて決定することができる。標的「に特異的」である標的結合ドメインは、当該標的「に対して指向された」標的結合ドメインと同義であることが意図される。
【0053】
好ましくは、標的結合ドメインは、そのそれぞれの標的、例えば、免疫細胞標的にのみ結合し、環境中、例えば、ヒト身体内の任意の他の分子に結合しない。しかしながら、ある程度のオフターゲット結合が許容され得ることが理解され、当業者は、特定の結合活性が必要とされる特異性のものであるか否かを決定する方法を理解する。したがって、結合ドメインは、意図された標的に特異的に結合し得る一方で、非標的又は非タグ分子にもいくらか低いレベルで結合する。
【0054】
一実施形態では、標的結合ドメインは、コラーゲンに結合しない。
【0055】
本明細書に記載の発明はまた、いくつかの実施形態では、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の3頁の段落[0012]に「第2の領域」として記載されている配列又はタンパク質若しくはタンパク質の部分のうちのいずれかを含むか又はそれからなる異種標的結合ドメインを含む、CPRを提供する。
【0056】
本発明のCPRは、タンパク質であり、単一の転写物として発現される。
【0057】
標的は、タンパク質性配列又はフラグメント又はドメインに特異的に結合することができる任意の標的であり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、対象の体内の組織上若しくは細胞上、又は対象の特定の位置において見出される内因性標的に結合し、例えば、内因性標的は、組織上、又は組織の特定のサブセット上、又は対象、例えばヒト対象の血漿若しくは血液中、例えば血液中に存在する標的であり得る。いくつかの実施形態では、標的は、1つ以上の疾患状態の間にのみ提示される標的であり、例えば、いくつかの実施形態では、標的は、腫瘍細胞において生じる新抗原である。いくつかの実施形態では、標的は、通常は標的を発現しない組織若しくは細胞上に有意な量、例えば異常なレベルでしか存在せず、かつ/又は1つ以上の疾患状態の間に局所的にしか存在しない標的である。本発明の1つ以上のCPRを含む本発明のエフェクターシャーシ(本明細書に記載されるような)は、疾患の状態の開始又は疾患の進行の際に生じ得る異常について「調査」するために使用され得、そしてカーゴが放出され得る。標的結合ドメインは、疾患のマーカーに結合することができる任意のドメインであり得る。
【0059】
標的結合ドメインは、好ましくは、本明細書に記載されるような内因性標的に結合する。いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、人工又は外因性標的に結合し、すなわち、いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、血小板の活性化及び脱顆粒を達成するために、対象に提供される外因性薬剤に結合する必要がある。標的結合ドメインは、いくつかの実施形態では、「デザイナー薬物」に結合し、かつ/又は標的結合ドメインは、国際公開第2020072471号に記載されるように、デザイナー薬物によって排他的に活性化されるデザイナー受容体(Designer Receptor Exclusively Activated by Designer Drug、DREADD)を使用して設計されている。
【0060】
いくつかの実施形態では、内因性標的への標的結合ドメインの結合は、血小板調節ドメインを介して血小板を調節するのに十分である。
【0061】
いくつかの実施形態では、標的は、細胞表面又は組織表面に存在する。
【0062】
いくつかの実施形態では、標的は、CPR又はユニバーサルCPRが血小板膜に存在する場合、標的が標的結合ドメインに結合した後、CPR又はユニバーサルCPRが原形質膜上にクラスター化するような標的である。この場合の血小板とは、例えば、任意のシグナル伝達経路を破壊するように操作されておらず、CPR又はユニバーサルCPRを発現するように操作されているだけの標準的なベース血小板を意味する。
【0063】
いくつかの実施形態では、CPR又はユニバーサルCPRが血小板膜に存在する場合、標的が標的結合ドメインに結合した後、血小板調節ドメインが活性化される。この場合の血小板とは、例えば、任意のシグナル伝達経路を破壊するように操作されておらず、CPR又はユニバーサルCPRを発現するように操作されているだけの標準的なベース血小板を意味する。これは、所与のCPR又はユニバーサルCPRが本発明のCPRであるか否かを決定するために当業者が容易に行うことができる試験であり、いくつかの実施形態では、ベース血小板が1つ若しくはCPR又はユニバーサルCPRを発現するように操作されている場合、標的への標的結合ドメインの結合は、
a)血小板の脱顆粒をもたらす、
b)血小板からの内容物の放出をもたらす、
c)血小板の原形質膜上に血小板内内容物の存在をもたらす、
d)原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞、及び/又は小分子薬物、造影剤、放射性ヌクレオチド薬物、放射性ヌクレオチドタグ付抗体、若しくはそれらの任意のコンジュゲートの放出をもたらす、
e)両凹ディスク(biconcave disk)から完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化をもたらす、並びに/あるいは
f)血小板へのカルシウムの流入をもたらす。
【0064】
いくつかの実施形態では、CPR又はユニバーサルCPRが血小板原形質膜に存在する場合、標的への標的結合ドメインの結合後、CPR又はユニバーサルCPRが血小板原形質膜の表面にクラスター化し、当該クラスター化が、血小板調節ドメインを活性化するのに十分である。この場合の血小板とは、例えば、任意のシグナル伝達経路を破壊するように操作されておらず、CPR又はユニバーサルCPRを発現するように操作されているだけの標準的なベース血小板を意味する。
【0065】
受容体クラスター化、血小板活性化、又は血小板調節ドメインの活性化を引き起こすベース血小板に存在するCPR又はユニバーサルCPRの標的結合ドメインへの標的結合に加えて、本明細書に記載されるようなエフェクターシャーシ(例えば、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント又は無核細胞フラグメント)における標的結合ドメインCPR又はユニバーサルCPRへの標的結合の場合が好ましく、例えば、
i)血小板炎症シグナル伝達経路を破壊すること、
ii)操作されたシャーシの免疫原性を低下させること、並びに/又は
iii)シャーシの1つ以上の基本機能を増強若しくは破壊することなどの1つ以上の経路を調節する(1つ以上又は基本機能は、自然免疫応答及び/若しくは適応免疫応答、炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び/若しくは腫瘍成長に関与する)、かつ/又は
iv)血小板血栓形成経路を破壊するように操作されていても操作されていなくてもよく、
またエフェクターシャーシの活性化、CPR若しくはユニバーサルCPR血小板調節ドメインの活性化、及び/又はエフェクターシャーシの表面上のCPRクラスター化も引き起こす。
【0066】
したがって、いくつかの実施形態では、標的は、CPR又はユニバーサルCPRが本明細書に記載されるようなエフェクターシャーシに存在する場合、標的がCPR又はユニバーサルCPRの標的結合ドメインに結合した後、CPR又はユニバーサルCPRが原形質膜上にクラスター化するような標的である。エフェクターシャーシはまた、本明細書に記載されるような1つ以上の経路を破壊するように操作されていても操作されていなくてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、CPR又はユニバーサルCPRがエフェクターシャーシ膜に存在する場合、標的が標的結合ドメインに結合した後、CPR又はユニバーサルCPRの血小板調節ドメインが活性化される。エフェクターシャーシはまた、本明細書に記載されるような1つ以上の経路を破壊するように操作されていても操作されていなくてもよい。いくつかの実施形態では、CPR又はユニバーサルCPRの標的結合ドメインへの標的の結合が、
a)エフェクターシャーシの脱顆粒をもたらす、
b)エフェクターシャーシからの内容物の放出をもたらす、
c)エフェクターシャーシの原形質膜上に血小板内内容物の存在をもたらす、
d)原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞、及び/又は小分子薬物、造影剤、放射性ヌクレオチド薬物、放射性ヌクレオチドタグ付抗体、若しくはそれらの任意のコンジュゲートの放出をもたらす、
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへのエフェクターシャーシの形状の変化をもたらす、並びに/あるいは
f)エフェクターシャーシへのカルシウムの流入をもたらす。
【0068】
いくつかの実施形態では、CPR又はユニバーサルCPRがエフェクターシャーシ原形質膜に存在する場合、標的への標的結合ドメインの結合後、CPR又はユニバーサルCPRは、エフェクターシャーシ原形質膜の表面にクラスター化し、当該クラスター化は、CPR又はユニバーサルCPRの血小板調節ドメインを活性化するのに十分である。エフェクターシャーシはまた、本明細書に記載されるような1つ以上の経路を破壊するように操作されていても操作されていなくてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、ヒト標的結合ドメイン配列、又はヒト標的結合ドメイン配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、非ヒト標的結合ドメイン配列、任意選択で、
ヒト化配列、又は
マウス由来の配列を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、当該標的に特異的に結合する標的結合リガンド又はそのフラグメントを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、標的は抗原であり、標的化ドメインは、抗原、例えば腫瘍細胞上の新抗原又は腫瘍特異的抗原(tumour specific antigen、TSA)に結合することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、CD19を認識して、カーゴ、例えば化学療法剤であるカーゴを局所的に送達し得る。CD19はよく知られているB細胞表面分子であり、B細胞受容体が活性化されると、B細胞抗原受容体が誘導するシグナル伝達及びB細胞集団の拡大を促進する。CD19は、正常B細胞及び腫瘍性B細胞の両方で広く発現している。慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、及び多くの非ホジキンリンパ腫などのB細胞に由来する悪性腫瘍は、CD19の発現を頻繁に保持する。単一細胞系統に対するこのほぼ普遍的な発現及び特異性により、CD19は免疫療法の魅力的な標的となっている。
【0074】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、標的細胞上に存在するサイトカイン受容体に結合する連結サイトカインを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、標的の天然リガンド(又はそのフラグメント)である。
【0076】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、コラーゲンに結合しない。
【0077】
いくつかの態様において、標的結合ドメインは、目的の標的に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントである。例えば、標的結合ドメインは、例えばCD19を標的とするために、抗体の可変重鎖ドメインを含んでもよく、かつ/又は抗体の可変軽鎖ドメインを含んでもよく、かつ/又はカッパ軽鎖若しくはそのフラグメントを含んでもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の64~77頁に提示される表11から選択される抗体又はその抗体フラグメントである。抗体は、DrugBank識別子(DB ID)とともに列挙されている。これらの抗体の各々の標的は、抗体の各々で治療され得る例示的な疾患とともに、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の77~92頁に記載されている。
【0079】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、ヒト標的結合ドメイン配列、又は例えば、ヒトタンパク質に由来する、例えば、ヒト抗体若しくはその抗体フラグメントに由来するヒト標的結合ドメイン配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列である。代替的に、標的結合ドメインは、非ヒト動物に由来し得るか、又は完全に合成のドメインであり得、例えば、抗体であり得るか、又はその抗体フラグメントは、マウスなどの非ヒト動物に由来し得る。いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、ヒト化配列であってもよく、例えば、標的結合ドメインは、ヒト化された抗体又はその抗原結合フラグメントであってもよい。
【0080】
標的結合ドメインは、抗体、そのバリアント又はフラグメントであり得る。抗体、バリアント、又はそのフラグメントは、当該技術分野で知られている通常の組換えDNA技術を使用して生成することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の23~31頁の表2から選択されるタンパク質に結合することができる抗体又はその抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗体又は抗体フラグメントは、IL2によってコードされるタンパク質(インターロイキン2、ENSG00000109471)に結合し得る。いくつかの実施形態では、抗体又は抗体フラグメントは、ヒストン複合体に結合し得る。いくつかの実施形態では、抗体又は抗体フラグメントは、カリクレイン(KLK、ENSG00000167759)によってコードされるタンパク質に結合し得る。いくつかの実施形態では、抗体又は抗体フラグメントは、アミロイドに結合し得る。いくつかの実施形態では、抗体又は抗体フラグメントは、Notch受容体に結合し得る。いくつかの実施形態では、抗体又は抗体フラグメントは、酸化された低密度受容体1(OLR1、ENSG00000173391)によってコードされるタンパク質に結合し得る。
【0082】
例示的な標的結合ドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の46頁の表7に細胞外ドメインとして記載されている。
【0083】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、CD276に結合してもよく、例えば、標的結合ドメインは、CD276に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントであってもよい。
【0084】
本明細書で使用される場合、「抗体」又は「抗体(複数)」という用語は、抗原結合部位を含有する分子、例えば、免疫グロブリン分子、及び抗原結合部位を含有する免疫グロブリン分子の免疫学的に活性なフラグメントを指す。免疫グロブリン分子は、任意の種類(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又はサブクラスの免疫グロブリン分子であり得る。抗体としては、合成抗体、モノクローナル抗体、単一ドメイン抗体、一本鎖抗体、組換え産生された抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、細胞内抗体、scFv(例えば、単一特異的及び二重特異性などを含む)、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び上記のもののうちのいずれかのエピトープ結合フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
本明細書で使用される場合、「抗体フラグメント」という用語は、F(ab’)、F(ab)、Fab’、Fab、Fv、scFvなどの抗体の部分である。構造にかかわらず、抗体フラグメントは、インタクトな抗体によって認識されるのと同じ抗原に結合する。例えば、抗OX40抗体フラグメントはOX40に結合する。「抗体フラグメント」という用語はまた、重鎖及び軽鎖の可変領域からなる「Fv」フラグメントなどの可変領域からなる単離されたフラグメント、並びに軽鎖及び重鎖可変領域がペプチドリンカーによって連結している組換え一本鎖ポリペプチド分子(「scFvタンパク質」)を含む。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、Fcフラグメント又は単一アミノ酸残基などの、抗原結合活性を有さない抗体の部分を含まない。
【0086】
「Fabフラグメント」によって、本発明者らは、インタクトな抗体によって認識される同じ抗原に結合することができるFabフラグメント(完全な軽鎖並びに重鎖の可変領域及びCH1領域を含む)を含む。Fabフラグメントは当該技術分野で知られている用語であり、Fabフラグメントは、重鎖及び軽鎖の各々の1つの定常ドメイン及び1つの可変ドメインを含む。
【0087】
一実施形態では、標的結合ドメインは、
a)FCERG ECドメイン、CLEC1 ECドメイン、FCGR2 ECドメイン、GPVIA ECドメイン、CEACAM1 ECドメイン、G6b-B ECドメイン、LILRB2 ECドメイン、PECAM1 ECドメイン、TLT1 ECドメイン及び/又はFCERG ECドメイン、CLEC1 ECドメイン、FCGR2 ECドメイン、GPVIA ECドメイン、CEACAM1 ECドメイン、G6b-B ECドメイン、LILRB2 ECドメイン、PECAM1 ECドメイン及び/若しくはTLT1 ECドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列、並びに/あるいは
b)標的結合ドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の46~49頁に記載のドメイン若しくはその部分のうちのいずれか1つ以上、又は参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の46~49頁に記載のドメイン若しくはその部分のうちのいずれか1つ以上に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列のうちの少なくとも1つを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、自己免疫に関連するペプチド、任意選択で、
以下のタンパク質:MOG、GAD65、MAG、PMP22、TPO、VGKC、PLP、AChR、TRIB2、NMDA、GluR、GAD2、ARMC9、CYP21A2、CASR、NASP、インスリン、TSHR、甲状腺ペルオキシダーゼ、アシオグリコタンパク質受容体、CYP2D6、LF、TTG、H/K ATP-ase、第XIII因子、ベータ2-GPI、ITGB2、G-CSF、GP IIb/IIa、COLII、FBGベータアルファ、MPO、CYO、PRTN3、TGM、COLVII、COIL、DSG1、DSG3、SOX10、70SNRNP70、SAG及びa3(IV)NC1コラーゲンのうちのいずれか1つ以上のペプチド若しくは部分、又は
以下のタンパク質:MOG、GAD65、MAG、PMP22、TPO、VGKC、PLP、AChR、TRIB2、NMDA、GluR、GAD2、ARMC9、CYP21A2、CASR、NASP、インスリン、TSHR、甲状腺ペルオキシダーゼ、アシオグリコタンパク質受容体、CYP2D6、LF、TTG、H/K ATP-ase、第XIII因子、ベータ2-GPI、ITGB2、G-CSF、GP IIb/IIa、COLII、FBGベータアルファ、MPO、CYO、PRTN3、TGM、COLVII、COIL、DSG1、DSG3、SOX10、70SNRNP70、SAG及びa3(IV)NC1コラーゲンのうちのいずれか1つ以上に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するペプチド若しくは部分を含む。
【0089】
この実施形態では、受容体を含むエフェクターシャーシは、抗原特異性B細胞に標的化される(Cabaletta et al 2016 Science DOI:10.1126/science.aaf6756を参照されたい)。
【0090】
例えば、デスモグレイン3-ITAMを含む標的結合ドメインは、pemphigus vulgaris B細胞を標的とするために使用され得る。代替的に、本発明のSAPRは、MHCクラス1又はMHCクラス2が、TGF-βなどの抗炎症性サイトカインの放出による破壊又は抑制のために自己免疫介在性T細胞を標的とする血小板の表面に、上記のリストからのペプチドをロードし得るように、MHCクラス1-ITAMキメラ血小板受容体又はMHCクラス2-ITAMキメラ血小板受容体を発現する。追加的に、結合したT細胞をTregに分化転換させるために、FOXP3などの転写因子をコードするRNAが放出され得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、上記のように、標的結合ドメインは、受容体を自己抗原に関連する特定の組織に標的化し得る。例えば、標的結合ドメインは、脂肪組織、副腎、腹水、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、子宮頸部、結合組織、耳、胚組織、食道、目、心臓、腸、腎臓、喉頭、肝臓、肺、リンパ、リンパ節、乳腺、口、筋肉、神経、卵巣、膵臓、副甲状腺、咽頭、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、皮膚、胃、精巣、胸腺、甲状腺、トンシル、気管、臍帯、子宮、血管、及び脾臓に存在する抗原に結合し得る。
【0092】
本明細書に記載のCPRは、血小板調節ドメインを含む。明確にするために、CPRに関連して本明細書に記載の血小板調節ドメインに対する優先性は、本発明の他の態様の血小板調節ドメイン、例えば、本明細書に記載のユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、及びSAPRに対する優先性でもある。
【0093】
いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、受容体が使用される前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ及び/又はエフェクターシャーシに対して内因性であり、例えば、iPSC、巨核球、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)又は血小板に対して内因性である。
【0094】
「調節ドメイン」とは、血小板活性化を誘発するドメインの意味を含み、血小板活性化の誘発を阻害又は防止するドメインの意味を含む。血小板の活性化を防止する阻害性血小板活性化ドメインの活性化によって活性化が阻害される場合に活性化されるか又は活性化されない血小板活性としては、
a)例えばアルファ顆粒の放出を伴う血小板の脱顆粒、
b)血小板からの内容物の放出、
c)血小板の原形質膜上の細胞内内容物の存在、
d)原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞の放出、及び/又は
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化が挙げられる。
【0095】
「血小板調節ドメインの活性化」とは、血小板調節ドメインが、血小板調節ドメインを含む血小板を調節することができることを意味する。
【0096】
当業者は、受容体(例えば、本発明によるCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR及び/又はePAR)が、脱顆粒の活性化、又は脱顆粒の阻害若しくは脱顆粒の活性化の阻害をもたらすことができるかどうかを容易に決定することができる。例えば、当業者は、受容体を発現する血小板を、対応する標的を発現する細胞と接触させ、P-セレクチンの形状変化又は曝露を測定することができる。血小板の形状の変化又はP-セレクチンの曝露は、特定の受容体が標的への結合の際に血小板を活性化できることを示す。本発明の受容体が血小板の活性化を阻害する能力を決定するために、類似のアッセイが実行され得る。当業者は、受容体を発現する血小板を、対応する標的を発現し、典型的には血小板の活性化をもたらす内因性標的(例えばコラーゲン)も発現する細胞と接触させてもよい。P-セレクチンの形状又は曝露の変化は、調査中の受容体が通常の経路を介して血小板の活性化を阻害できないことを示す。形状を変化させないこと、又はP-セレクチンを曝露させないことは、受容体が血小板の活性化を首尾よく防止できることを示す。用量応答が測定されるべきであり、例えば、天然の血小板アゴニスト対例えばP-セレクチン曝露の用量応答のEC50が、操作された阻害性受容体標的の存在下でより高い場合、これは、機能的阻害性受容体の構築を示す。逆に、受容体上の阻害標的のIC50は、同族アゴニスト濃度を一定に保ち、潜在的な阻害刺激の量を変化させることによって、同様の様式で計算することができる。
【0097】
好ましい実施形態では、血小板活性化とは、血小板脱顆粒を引き起こすことを意味する。したがって、いくつかの態様において、血小板調節ドメインは、脱顆粒誘発ドメインであり、いくつかの実施形態では、調節ドメインは、血小板脱顆粒の誘発を防止するドメインである。いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、アルファ顆粒の放出を誘発する活性化ドメインである。いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、アルファ顆粒の放出の誘発を防止するドメインである。
【0098】
同一又は異なる実施形態では、血小板活性化とは、血小板から内容物を放出させることを意味する。したがって、いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、血小板内容物放出ドメインであり、いくつかの実施形態では、調節ドメインは、血小板内容物の放出を防止するドメインである。
【0099】
同じ又は異なる実施形態では、「活性化」とは、血小板が原形質膜からのブレブ形成を介して細胞外小胞を放出することを意味する。
【0100】
同じ又は異なる実施形態では、血小板活性化とは、原形質膜上に血小板内内容物を提示させることを意味する。したがって、いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、原形質膜上の血小板内内容物の提示を引き起こすドメインであり、いくつかの実施形態では、調節ドメインは、原形質膜上の血小板内内容物の提示を防止するドメインである。
【0101】
同じ又は異なる実施形態では、血小板活性化とは、原形質膜からのブレブ形成を介して細胞外小胞の放出を引き起こすことを意味する。いくつかの実施形態では、カルシウム流入は、血小板活性化を示す別の測定可能なパラメータである。したがって、いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、原形質膜からのブレブ形成を介して細胞外小胞の放出を引き起こすドメインであり、いくつかの実施形態では、調節ドメインは、原形質膜からのブレブ形成を介して細胞外小胞の放出を防止するドメインである。したがって、いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、血小板へのカルシウムの流入を引き起こすドメインであり、いくつかの実施形態では、調節ドメインは、血小板へのカルシウムの流入を防止するドメインである。
【0102】
同一又は異なる実施形態では、血小板活性化とは、両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化を引き起こすことを意味する。したがって、いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化を引き起こすドメインであり、いくつかの実施形態では、調節ドメインは、両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化を防止するドメインである。
【0103】
同じ又は異なる実施形態では、「活性化」とは、血小板が両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへと形状を変化させるという意味を含む。このプロセスの間、血小板は糸状仮足を伸長し、葉状仮足を生成し、その結果、血小板表面積が劇的に増加する。当業者は、血小板活性化に典型的な形状変化を特定することができ、例えば、Aslan et al 2012 Methods Mol Biol 788:91-100を参照されたい。
【0104】
好ましい実施形態では、「活性化」とは、血小板が、血小板に導入された(血小板前駆体、例えば巨核球若しくはiPSCの遺伝子操作を介して内因的に導入された、又は外因的に導入された)カーゴを放出する、又は血小板細胞表面に曝露するという意味を含む。カーゴ、並びにカーゴを前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ及び/又はエフェクターシャーシ、例えば血小板に導入する方法についての選好は、本明細書に記載されているとおりである。
【0105】
血小板活性化ドメインの例としては、ITAMモチーフを含むドメイン、又はITAMを含むドメイン、例えば血小板ITAMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するドメインを含むドメインが挙げられる。
【0106】
脱顆粒阻害ドメインの例としては、ITIMモチーフを含むドメイン、又はITIMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するドメインを含むドメインが挙げられる。
【0107】
「脱顆粒を誘発する」又は「脱顆粒の誘発を防止する」とは、本発明者らは、標的結合ドメインがその対応する標的に結合する場合、脱顆粒が誘発されるか、又は誘発されることが防止されるという意味を含む。上記のように、いくつかの実施形態では、ある程度の受容体クラスター化が血小板調節ドメインの活性化に必要である。
【0108】
エフェクターシャーシ、例えば本明細書に記載の血小板が、標的へのCPR(又は本明細書に記載されるようなユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR)の標的結合ドメインの結合に応答して脱顆粒するかどうかは、血小板調節ドメインが血小板活性化ドメイン、例えば脱顆粒誘発ドメイン若しくは血小板活性化ドメインの阻害、又は異なる種類のドメインの組み合わせであるかどうかに依存する。
【0109】
本明細書に更に記載されるように、血小板活性化ドメイン(例えば、脱顆粒誘発ドメイン)及び血小板活性化ドメイン(例えば、脱顆粒阻害ドメイン)の阻害を含む、異なる受容体と異なる血小板調節ドメイン(例えば、本明細書に記載の異なるCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、又はSAPR又はePAR)の組み合わせを、単一のエフェクターシャーシ、例えば、本明細書に記載されるような血小板において使用することによって、AND/OR/NORなどの複雑な論理回路を構築することが可能であり、したがって、活性化(脱顆粒)する決定を行う前に様々な刺激を統合し、計算することができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインである細胞内ドメインは、血小板阻害ドメインである。いくつかの態様において、血小板阻害ドメインは、免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif、ITIM)含有受容体ドメインを含む。ITIM受容体の非限定的な例としては、血小板及び内皮細胞接着分子1(platelet and endothelial cell adhesion molecule 1、PECAM1)、骨髄細胞様1で発現するトリガー受容体(TLT1)、白血球免疫グロブリン様受容体B2(leukocyte immunoglobulin like receptor B2、LILRB2)、がん胎児性抗原関連細胞接着分子1(carcinoembryonic antigen related cell adhesion molecule 1、CEACAM1)、巨核球及び血小板阻害性受容体G6b(G6b-B)が挙げられる。
【0111】
血小板活性化の阻害は、オフターゲット細胞の活性化を防止するなどの場合に有用であり得、オンターゲット抗原、又凝固において見出される正常な薬剤に応答する阻害血小板活性化、例えば、GPVI中のITAMドメインをITIMドメインと交換し、凝固部位で血小板活性化のスイッチを切ることができる。
【0112】
抗体によるG6b-Bクラスター化は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Mori et al.「G6b-B inhibits constitutive and agonist-induced signaling by glycoprotein VI and CLEC-2」.JBC,2008に示されているように、GPVI及びCLEC-2を介した血小板活性化を阻害する。キメラ「オフ」受容体を加えることは、本明細書に記載の標的化エフェクターシャーシ、例えば、本明細書に記載の合成血小板の特異性を改善するために使用され得る。免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)受容体を含む、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR及び/又はePARは、他のCPRと組み合わせて使用される場合、論理ゲート構築を可能にする。
【0113】
一実施形態では、ITIM受容体LILRB2(配列番号34)、PECAM1(配列番号38)、TLT1(配列番号43)、及びCEACAM1(配列番号24)のドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の44頁の表5、及び同様に参照により本明細書に組み込まれる対応する説明段落[0063]に示されており、又は受容体LILRB2(配列番号34)、PECAM1(配列番号38)、TLT1(配列番号43)、及びCEACAM1(配列番号24)のITIMドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の44頁の表5及び同様に参照により本明細書に組み込まれる対応する説明段落[0063]に示されている。
【0114】
一実施形態では、ITIM受容体のドメインをT細胞受容体ドメインと組み合わせて、キメラ血小板受容体とも呼ばれるキメラITIM受容体を形成することができる。
【0115】
任意の血小板阻害ドメイン、すなわち、標的結合を変換して血小板脱顆粒の活性化を阻害する任意のドメインが、本明細書に記載の受容体、例えば、本明細書に記載のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、及びSAPRにおける使用に好適であることは明らかである。
【0116】
いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、血小板活性化ドメインである。好ましい実施形態では、血小板活性化ドメインは、脱顆粒誘発ドメインである。いくつかの実施形態では、血小板活性化ドメインは、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based activation motif、ITAM)含有受容体ドメインである。ITAM受容体は、血小板活性化を仲介し、免疫応答を刺激する。糖タンパク質VI(GPVI)はコラーゲンに結合し、血小板活性化の中心的なメディエーターである。細胞外IgG様ドメインを特徴とし、内部チロシンキナーゼシグナル伝達経路は、Fc受容体(FcR)ガンマ鎖を介した受容体クラスター化によって引き起こされる。ITAM受容体の非限定的な例としては、糖タンパク質VI血小板(GPVIA)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、及びIgG受容体IIのFcフラグメント(Fc fragment of IgG receptor II、FCGR2)が挙げられる
【0117】
いくつかの実施形態では、次いで、血小板調節ドメインは、血小板脱顆粒誘発ドメインであり、
免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)受容体からの1つ以上のドメインを含み、任意選択で、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、若しくはIgG受容体IIのFcフラグメント(FCGR2)からの1つ以上のドメイン、それらの部分若しくはフラグメントを含むか、又は
ITAMを含むドメイン、例えば、血小板ITAMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する、任意選択で、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、若しくはIgG受容体IIのFcフラグメント(FCGR2)からの1つ以上のドメイン、それらの部分若しくはフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するドメインを含む。
【0118】
一実施形態では、細胞内ドメインは、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)受容体由来のドメインを含まない。一実施形態では、細胞内ドメインは、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、又はIgG受容体IIのFcフラグメント(FCGR2)からの1つ以上のドメイン、それらの部分又はフラグメントを含まない。一実施形態では、細胞内ドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の配列番号5、7、14及び/又は19を含むか又はそれらからなるITAMドメインを含まない。
【0119】
一実施形態では、細胞内ドメインは、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)受容体由来のドメインを含む。一実施形態では、細胞内ドメインは、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、若しくはIgG受容体IIのFcフラグメント(FCGR2)からの1つ以上のドメイン、それらの部分若しくはフラグメント、又は
1つ以上のドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するドメイン、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、又はIgG受容体IIのFcフラグメント(FCGR2)からの1つ以上のドメイン、それらの部分又はフラグメントを含む。
【0120】
一実施形態では、細胞内ドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の配列番号5、7、14及び/若しくは19を含むか若しくはそれからなるか、又は参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の配列番号5、7、14及び/若しくは19に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列を含むか若しくはそれからなるITAMドメインを含む。
【0121】
ITAMドメインは、ITAM受容体が血小板に内因的に見出されるのと同じ下流のシグナル伝達成分を依然として活性化することができるため、通常は血小板で発現されないITAM受容体由来のドメインが依然として本発明において機能すると予想されることは当業者には明らかである。例えば、T細胞CARは、マクロファージ及びNK細胞において使用され得ることが知られている。
【0122】
任意の血小板調節ドメイン、すなわち、標的結合を血小板調節、例えば血小板脱顆粒に変換する任意のドメインが、血小板調節ドメインとしての使用に好適であることは明らかである。
【0123】
いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、天然に存在するドメインではない。例えば、いくつかの実施形態では、調節ドメイン、例えばITAM、ITIMドメインは、標的結合に対する応答を増強又は減衰させる1つ以上の変異、挿入又は欠失を含む。場合によっては、血小板調節ドメインは、天然に存在する調節ドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を含み、例えば、本明細書に記載の調節ドメイン配列のうちのいずれかに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を含む。
【0124】
例えば、いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、修飾されていない血小板調節ドメインと比較して増加した感受性を有するように修飾されている修飾された血小板調節ドメインである。例えば、そのような修飾された血小板調節ドメインを含む本発明の受容体(例えば、本明細書に記載のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体又はSAPR)は、より少ない量の標的に反応することが予想され、例えば、血小板調節ドメインが修飾された血小板活性化ドメインである場合、受容体を含むエフェクターシャーシは、修飾されていない調節ドメインを含む受容体を含むエフェクターシャーシ(例えば、修飾されていない血小板調節ドメインを含む本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体又はSAPR)を脱顆粒させるのに必要な量よりも少ない量の標的に応答して脱顆粒することが予想される。いくつかの実施形態では、修飾された血小板調節ドメインは、修飾されていない血小板調節ドメインと比較して減少した感受性を有するように修飾されている。例えば、そのような修飾された血小板調節ドメイン(例えば、本明細書に記載のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチド又はSAPRとの複合体又はSAPR)を含む本発明の受容体は、修飾されていない血小板調節ドメインを有する受容体を含むエフェクターシャーシを反応(例えば、脱顆粒)させる量の標的に応答して反応(例えば、脱顆粒)しないと予想される。いくつかの実施形態では、次いで、血小板調節ドメインは、修飾血小板調節ドメインである。修飾とは、ドメインをコードする配列に対する任意の変化、例えば、挿入、欠失及び/又は置換の意味を含む。いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、1つ以上のITAMドメインを含み、ここで、ITAMドメインは、1つ以上の修飾、例えば1つ以上の挿入、欠失又は置換を含む。いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、1つ以上のITIMドメインを含み、ここで、ITAMドメインは、1つ以上の修飾、例えば1つ以上の挿入、欠失又は置換を含む。
【0125】
血小板調節ドメインがヒト血小板調節ドメインである必要はないことは、当業者には明らかである。例えば、ヒトではない種由来のITAM又はITIM含有ドメインは、本発明において有用であると考えられる。例えば、ヒト由来のITAM含有ドメインは、マウス種において活性であることが示されており、CAR-T状況において機能することが示されている(Robles-Carrillo et al 2010 J Immunol 185:1577-1583)。
【0126】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、血小板調節ドメインを有する受容体の天然の標的結合ドメインであるが、血小板調節は、反対の機能を有するように改変されている。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の受容体(例えば、CPR、ユニバーサルCPR、又はユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体)は、ITAM血小板調節ドメインを含む受容体の標的結合ドメインを含むが、ITAMドメインはITIMドメインに交換されている。例えば、いくつかの実施形態では、CPR又はユニバーサルCPR又はユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体は、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、又はIgG容体IIのFcフラグメント(FCGR2)のうちのいずれかの外部標的結合ドメインを含むが、タンパク質のITAMを含むドメインが、ITIMを含むドメインに変化している。これは、本明細書に記載の任意の実施形態に適用される。
【0127】
いくつかの実施形態では、CPRは、ユニバーサルCPRであると考えることができる。ユニバーサルCPRとは、本発明者らは、標的化結合ドメインがタグ結合ドメインであるために、単一のCPRを使用して、本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ及び/又はエフェクターシャーシを任意の標的に指向することが可能であるCPRの意味を含む。
【0128】
したがって、更なる態様では、本発明はまた、
ユニバーサルキメラ血小板受容体であって、受容体が、
a)血小板調節ドメインである細胞内ドメインと、
b)異種タグ結合ドメインと、を含む、ユニバーサルキメラ血小板受容体を提供する。
【0129】
好ましくは、ユニバーサルCPRへの標的化ペプチド上のタグの結合は、血小板調節ドメインを活性化するのに十分ではない。血小板調節ドメインは、標的へのCPR/標的化ペプチド複合体のその後の結合の際にのみ活性化されるべきである。
【0130】
ユニバーサルCPRの特徴についての選好は、本明細書の他の場所で説明されているとおりである。例えば、血小板調節ドメインについての選好は、第1の態様、すなわちCPRに関連して記載されているとおりである。
【0131】
ユニバーサルCPRは、タンパク質性配列又はフラグメント又はドメインに特異的に結合することができるタグ結合ドメインを有する。
【0132】
タグ「に特異的」であるタグ結合ドメインは、当該タグ「に対して指向された」タグ結合ドメインと同義であることが意図される。
【0133】
好ましくは、タグ結合ドメインは、そのそれぞれの標的、例えば、タグ付標的化ペプチド上のタグにのみ結合し、環境中、例えば、ヒト身体内の任意の他の分子に結合しない。しかしながら、ある程度のオフターゲット結合が許容され得ることが理解され、当業者は、特定の結合活性が必要とされる特異性のものであるか否かを決定する方法を理解する。したがって、結合ドメインは、意図された標的に特異的に結合し得る一方で、非タグ分子にもいくらか低いレベルで結合する。
【0134】
好ましい実施形態では、タグはペプチドタグであり、より大きな標的化ペプチドの一部として発現され、より大きな標的化ペプチドの一体部分であり、すなわち、そのような実施形態では、タグ付標的化ペプチドは、タグ及び標的結合ドメインの両方を含む単一のペプチドである。
【0135】
「タグ」の概念は、分子生物学の分野において周知であり、ここで、目的のペプチド又はポリペプチド配列を発現することは日常的であり、この配列は、タグをコードする比較的短い更なる配列を含むように伸長されている。好適なペプチドタグの例としては、FLAGタグ、V5タグ、Mycタグ、HAタグ、スポットタグ、T7タグ、NEタグ及びロイシンジッパーが挙げられる(Hwan et al 2018 Cell 173:1426-1438)。
【0136】
いくつかの実施形態では、タグ付標的化ペプチドは、非ペプチドタグ、例えば、ユニバーサルCPRのタグ結合ドメインのための結合パートナーとして作用し得る任意の部分でタグ付けされ得る。したがって、非ペプチドタグは、タグ結合ドメインが親和性を有する任意の化学物質であり得る。タグは、例えば、任意の有機分子、小分子、又はハプテンから選択することができる。タグは、例えば核酸、例えばアプタマーの形態をとることができる。
【0137】
本明細書に記載されるようなペプチドタグは、典型的には短いペプチド配列(すなわち、アミノ酸の配列)である。好ましい実施形態では、本明細書中に記載のタグは、ペプチドタグ又はタンパク質タグ、例えば、アミノ酸の短い配列である。タグは、本発明のユニバーサルCPRのタグ結合ドメインによって結合され得、好ましくは特異的に結合され得る限り、任意の配列であり得る。
【0138】
ユニバーサルCPRは、標的への標的結合ドメインの同時結合の非存在下で、タグ付標的化ペプチドへの結合の際に活性化されないことが好ましい。上記のように、当業者は、ITAM及びITIM受容体などのいくつかの受容体が、細胞内シグナル伝達及び血小板活性化をもたらすために膜表面上でのある程度の受容体クラスター化を必要とすることを理解する。本発明のユニバーサルCPRが可溶性タグ付標的化ペプチドに結合する場合、受容体のクラスター化はなく、したがってユニバーサルCPRへのタグ付標的化ペプチドの結合は、血小板調節ドメインの活性化を誘発しない。ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体が標的に結合するときのみ、受容体クラスター化が起こり、したがって血小板調節ドメインの活性化が起こる。
【0139】
可溶性ペプチドの結合は、標的への同時結合の非存在下では、血小板調節ドメインの活性化を誘発しないと考えられるため、タグ付標的化ペプチドは、可溶性ペプチドであることが好ましい。
【0140】
上記のように、いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインを活性化するために、ある程度の受容体クラスター化が必要とされる。いくつかの実施形態では、ユニバーサルCPRは、タグ付標的化ペプチド上に存在するタグに結合するタグ結合ドメインを含み、ユニバーサルCPRが血小板原形質膜に位置する場合、標的へのタグ付標的結合ドメインの同時結合の非存在下でのユニバーサルCPRへのタグ付標的化ペプチドの結合は、血小板調節ドメインの活性化をもたらすのに十分な受容体クラスター化を引き起こさない。
【0141】
他の実施形態では、タグ(例えば、ペプチドタグ)は、タグ付標的化ペプチドを産生するために、より大きな標的化ペプチドの発現に続いて、より大きな標的化ペプチドにコンジュゲートされ得る。
【0142】
ユニバーサルCPRに加えて、本発明はまた、対応するタグ付標的化ペプチドを提供する。タグ付標的化ペプチドは、タグ及び標的結合ドメインを含み、任意選択で、タグ付標的化ペプチドは、可溶性ペプチドである。標的結合ドメインに対する選好は、例えば、第1の態様(すなわち、CPR)ではなく、本明細書の他の箇所に記載されているとおりである。
【0143】
本発明はまた、以下を含む複合体を提供する:
a)ユニバーサルCPRであって、
i)異種タグ結合ドメインと、
ii)血小板調節ドメインと、を含む、ユニバーサルCPR、及び
b)CPRのタグ結合ドメインに結合することができるタグと、標的化ドメインと、を含む、タグ付標的化ペプチド。
【0144】
本発明はまた以下を提供する:
異種標的結合ドメインを含む合成抗原提示受容体(SAPR)であって、標的結合ドメインが、
a)細胞外ドメインであって、
i)MHC-1タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-1タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメント、又は
ii)MHC-2タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-2タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメントを含む、細胞外ドメインと、
b)細胞内血小板調節ドメインであって、
当該
MHC-1タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-1タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメント、又は
MHC-2タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-2タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメントが、
T細胞受容体(T Cell Receptor、TCR)に結合することができる、細胞内血小板調節ドメインと、を含む。
【0145】
この態様の特徴についての選好は、他の箇所に記載されているとおりであり、例えば、血小板調節ドメインは、血小板活性化ドメイン、任意選択でITAMを含むドメイン、任意選択で血小板ITAMを含むドメイン(任意選択でITAMを含むドメイン、任意選択で血小板ITAMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を有するドメインである)、又は血小板活性化ドメイン(任意選択で、血小板活性化ドメインは、脱顆粒誘発ドメインである)であり得るか、又は血小板の活性化を防止する血小板活性化阻害ドメインであり、任意選択で、血小板活性化阻害ドメインが、ITIMを含むドメインであり、任意選択で、ITIMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を有するドメインである。いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインは、iPSC、巨核球又は血小板に対して内因性である。
【0146】
いくつかの実施形態では、本発明のSAPRを使用して、T細胞の活性化及び特定の抗原に対する応答の誘導を誘発することができる。これらの例において、SAPRの細胞外ドメインは、T細胞応答を誘発することが望まれる抗原、例えば病原体由来の抗原であるアミノ酸配列、及びMHC-1タンパク質若しくはMHC-IIタンパク質又はそれらのフラグメントをコードするアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる。MHC-1は、CD8+T細胞を活性化し、MHC-2は、CD4+T細胞を活性化する。T細胞は、抗原提示細胞の表面に通常発現されるMHC-1/抗原の複合体に結合するT細胞受容体(TCR)を含む。このように、本明細書に記載の本発明のSAPRは、合成抗原提示受容体であると考えることができる。加えて、本明細書に記載され、エフェクターシャーシの表面に提示されるものなどの抗原ペプチドをロードされた本発明のSAPRを発現する前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ及び/又はエフェクターシャーシを使用して、TGF-βなどの抗炎症性サイトカインの放出による破壊又は抑制のために自己免疫媒介T細胞を標的化することができる。追加的に、結合したT細胞をTregに分化転換させるために、FOXP3などの転写因子をコードするRNAが放出され得る。
【0147】
MHCが操作された一本鎖バリアントであることは、当業者には明らかである。
【0148】
したがって、本発明は以下を提供する:
上記のようなSAPRであって、当該細胞外ドメインが、
a)MHC-1タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-1タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメント、及び抗原ペプチド(当該MHC-1タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-1タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメント、及び抗原ペプチドが、TCRに結合することができる)、並びに/又は
b)MHC-2タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-1タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメント、及び抗原ペプチド(当該MHC-2タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-1タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメント、及び抗原ペプチドが、TCRに結合することができる)を含む、SAPR。
【0149】
これらの実施形態では、有用な効果は、MHC-1/抗原複合体又はMHC-2/抗原複合体を含むか又はそれからなる細胞外ドメインを含むSAPRが、TCR(この場合、TCRが標的である)に結合する場合に得られ、結果は、特定の抗原に対するT細胞応答の活性化である。
【0150】
いくつかの実施形態では、抗原ペプチドは、
a)がん、自己免疫状態、遺伝子疾患、心血管疾患及び/若しくは感染症に関連する、並びに/又は
b)
i)参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015153102号の206~207頁の表F、208頁の表G、208~209頁の表H、209~211頁の表I、212頁の表J、219~221頁の表4、221~230頁の表5、231~234頁の表6、235~242頁の表7及び243頁の表89(これらのセクションは参照により本明細書に組み込まれる)に列挙されている抗原ペプチド、又は
ii)国際公開第2015153102第の206~207頁の表F、208頁の表G、208~209頁の表H、209~211頁の表I、212頁の表J、219~221頁の表4、221~230頁の表5、231~234頁の表6、235~242頁の表7、及び243頁の表89(これらのセクションは参照により本明細書に組み込まれる)に列挙される抗原ペプチドに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列から選択される、並びに/又は
c)
i)国際公開第2019/126818号の47~86頁の表1、321頁の表14、321頁の表15、327頁の表16、328頁の表17、328~329頁の表18、221~223頁の表19、333~334頁の表20、340~342頁の表21、344~347頁の表22、347~348頁の表23、及び349~352頁の表24(これらのセクションは参照により本明細書に組み込まれる)に列挙されている抗原ペプチドに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を有する配列から選択される、又は
ii)国際公開第2019/126818号の47~86頁の表1、321頁の表14、321頁の表15、327頁の表16、328頁の表17、328~329頁の表18、221~223頁の表19、333~334頁の表20、340~342頁の表21、344~347頁の表22、347~348頁の表23、及び349~352頁の表24(これらのセクションは参照により本明細書に組み込まれる)に列挙されている抗原ペプチドに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を有する配列から選択される、
d)
i)以下のタンパク質:MOG、GAD65、MAG、PMP22、TPO、VGKC、PLP、AChR、TRIB2、NMDA、GluR、GAD2、ARMC9、CYP21A2、CASR、NASP、インスリン、TSHR、甲状腺ペルオキシダーゼ、アシオグリコタンパク質受容体、CYP2D6、LF、TTG、H/K ATP-ase、第XIII因子、ベータ2-GPI、ITGB2、G-CSF、GP IIb/IIa、COLII、FBGベータアルファ、MPO、CYO、PRTN3、TGM、COLVII、COIL、DSG1、DSG3、SOX10、70SNRNP70、SAG及びa3(IV)NC1コラーゲンのうちのいずれか1つ以上、又は
ii)以下のタンパク質:MOG、GAD65、MAG、PMP22、TPO、VGKC、PLP、AChR、TRIB2、NMDA、GluR、GAD2、ARMC9、CYP21A2、CASR、NASP、インスリン、TSHR、甲状腺ペルオキシダーゼ、アシオグリコタンパク質受容体、CYP2D6、LF、TTG、H/K ATP-ase、第XIII因子、ベータ2-GPI、ITGB2、G-CSF、GP IIb/IIa、COLII、FBGベータアルファ、MPO、CYO、PRTN3、TGM、COLVII、COIL、DSG1、DSG3、SOX10、70SNRNP70、SAG及びa3(IV)NC1コラーゲンのうちのいずれか1つ以上に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列から選択される、ペプチド又はその抗原部分を含む。
【0151】
細胞外ドメインは、ヒト標的結合ドメイン配列、非ヒト標的結合ドメイン配列、任意選択で、ヒト化配列又はマウス由来の配列を含んでもよい。
【0152】
TCRへの結合時に、SAPRが血小板調節ドメインの活性化を誘発する場合、有用であると考えられる。例えば、血小板調節ドメインが血小板活性化ドメインである場合、血小板はカーゴを放出するか、又は調節ドメインが活性化阻害ドメインである場合、血小板の活性化が阻害されてカーゴの放出が防止される。SAPRがT細胞に結合した場合に脱顆粒を誘発することは、特定の標的化T細胞が自己免疫応答に関与する場合に有利であり得、例えば、これらの状況では、血小板が、T細胞結合時に局所的に放出されて最終的にT細胞を破壊する毒性物質を含むことが有益であり得る。
【0153】
他の実施形態では、脱顆粒時に放出されるカーゴは、T細胞を刺激して特定の方法で分化させることができる。
【0154】
好ましい実施形態では、血小板調節ドメインが血小板活性化ドメインであり、SAPRが血小板の膜に存在する場合、活性化されると、血小板活性化ドメインは、
a)血小板の脱顆粒をもたらす、
b)血小板からの内容物の放出をもたらす、
c)血小板の原形質膜上に細胞内内容物の存在をもたらす、
d)原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞の放出をもたらす、及び/又は
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化をもたらす。
【0155】
いくつかの実施形態では、血小板調節ドメインが血小板活性化ドメインの阻害であり、SAPRが血小板の膜に存在する場合、活性化されると、血小板活性化阻害ドメインは、
a)血小板の脱顆粒を防止する、
b)血小板からの内容物の放出を防止する、
c)血小板の原形質膜上の細胞内内容物の存在を防止する、
d)原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞の放出を防止する、及び/又は
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化を防止する。
【0156】
上記のように、本発明は、異種標的結合ドメインを含むSAPRを提供し、標的結合ドメインは、MHC-1若しくはMHC-2タンパク質又はそのフラグメントを含み、当該MHC-1若しくはMHC-2タンパク質又はそのフラグメントは、T細胞受容体(TCR)に結合することができる。
【0157】
いくつかの例では、CPR、ユニバーサルCPR、又はユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、又はSAPRは、シグナルペプチド及び/又はリンカーも含み得る。シグナルペプチドの非限定的な例としては、以下が挙げられる。
【0158】
【表2】
【0159】
CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR及び/又はePARは、表6中のシグナルペプチド又は当該技術分野において知られているシグナルペプチドの部分を含み得る。この部分は、配列番号2、11、16、25、30、35、39、及び44などであるが、これらに限定されない、表6の配列のうちのいずれかの10~30、10~15、10~20、10~25、15~20、15~25、15~30、20~25、又は20~30ヌクレオチドであり得る。この部分は、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の46頁の表7に記載の配列番号2、11、16、25、30、35、39、及び44などであるが、これらに限定されない、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の46頁の表7の配列のうちのいずれかの10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30ヌクレオチドであり得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、及び/又はSAPRは、膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の49~50頁に記載されている膜貫通ドメイン又はその部分のうちのいずれか1つ以上を含むか又はそれからなる。
【0161】
いくつかの実施形態では、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体及び/又はSAPRは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の50頁及び51頁に記載されている細胞内ドメイン又はその部分を含むか又はそれからなる細胞内ドメインを含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、及び/又はSAPRは、リンカーを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の51頁に記載されているリンカー又はその部分を含むか又はそれからなる。
【0163】
いくつかの実施形態では、本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、及び/又はSAPRは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の41~63頁に記載されているドメインの組み合わせを含むか又はそれからなる。
【0164】
本発明は、特定の部位/標的に対する血小板の活性化を指示する更なる受容体を提供する。これらの受容体は、プロテアーゼ活性化受容体(protease activated receptor、PAR)に基づく。
【0165】
本発明は、プロテアーゼ認識部位が、天然の認識部位を切断するプロテアーゼではないプロテアーゼによって切断されるように操作されている、操作されたプロテアーゼ活性化受容体(ePAR)を提供する。例えば、ePARが操作されたPAR1である場合、ePARはトロンビンによって切断されない。
【0166】
いくつかの実施形態では、ePARが血小板の原形質膜に存在する場合、プロテアーゼ認識部位の切断は、
a)血小板の脱顆粒、
b)血小板からの内容物の放出、
c)血小板の原形質膜上の細胞内内容物の存在、
d)原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞の放出、及び/又は
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化をもたらす。
【0167】
この場合の血小板とは、ePARを発現する以外に操作されていないベース血小板を意味し、すなわち、正常に機能する血小板において、ePARの切断は、上記(a)~(e)のいずれか1つ以上をもたらす。これは、ePARが本発明のePARであり、適切な機能特性を有するかどうかを当業者が決定することができる1つの簡単な手段である。当然ながら、好ましい実施形態では、本発明のePARは、本発明のシャーシ、例えば、本明細書に記載されるようなエフェクターシャーシ中に存在する場合、例えば、1つ以上の経路を調節する、例えば、
i)血小板炎症シグナル伝達経路を破壊すること、
ii)操作されたシャーシの免疫原性を低下させること、並びに/又は
iii)シャーシの1つ以上の基本機能を増強若しくは破壊することなどの1つ以上の経路を調節する(1つ以上又は基本機能は、自然免疫応答及び/若しくは適応免疫応答、炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び/若しくは腫瘍成長に関与する)、並びに/又は
iv)血小板血栓形成経路を破壊するように操作されている、上記の(a)~(e)のいずれか1つをもたらすことが当業者に明らかである。
【0168】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明のePARが本発明のエフェクターシャーシの膜に存在する場合、プロテアーゼ部位の切断は、
a)血小板の脱顆粒、
b)血小板からの内容物の放出、
c)血小板の原形質膜上の細胞内内容物の存在、
d)原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞の放出、及び/又は
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化をもたらす。
【0169】
いくつかの実施形態では、プロテアーゼの切断は、ePARのフラグメントの放出をもたらし、ePARのフラグメントは、シグナル伝達分子であり、細胞内シグナル伝達をもたらす。
【0170】
いくつかの実施形態では、ePARは、腫瘍微小環境において典型的に見出されるプロテアーゼによって切断されるように操作される。例えば、場合によっては、ePARは、マトリックスメタロプロテアーゼ、メタロペプチダーゼ、カテプシンB、ウロキナーゼ又はカスパーゼによって切断されるように操作される。
【0171】
いくつかの実施形態では、ePARは、直交性プロテアーゼによって切断されるように操作される。ヒト対象に対して非直交性であると考えられるプロテアーゼとしては、タバコエッチウイルス核封入-aエンドペプチダーゼ(TEVプロテアーゼ)、C型肝炎ウイルスのNS2-3プロテアーゼ(HCVプロテアーゼ)、又はタバコ葉脈斑紋ウイルス(TVMVプロテアーゼ)などのウイルスプロテアーゼが挙げられる。操作されたプロテアーゼ受容体に導入されるプロテアーゼ認識部位は、TEVプロテアーゼ、HCVプロテアーゼ、及び/又はTVMVプロテアーゼのウイルスプロテアーゼ認識部位を含む。
【0172】
例えば、ePARがヒト身体の状況において使用される場合、ePARは、ヒトプロテアーゼではないプロテアーゼによって切断されるように操作され、すなわち、これらの実施形態では、ePARは、対象が対応する「外因性」プロテアーゼにも投与されるか、又は他の方法で曝露されない限り、対象において切断され得ない。本明細書における開示から明らかであるように、そのような外因性プロテアーゼは、第2のシャーシ(例えば、本明細書に記載されるような第2の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ)に存在するカーゴであり得る。この場合、第1のシャーシ(例えば、前駆体シャーシ、本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ)は、第1のカーゴ及び本発明のePARを含み、第2のシャーシ(例えば、前駆体シャーシ、本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ)は、本発明によるCPR及びePARを切断することができるプロテアーゼであるカーゴを含む。CPR結合及び血小板活性化の際に、プロテアーゼが放出され、近傍にあるePARを切断し、例えば毒性カーゴであり得る第1のカーゴの放出をもたらす。このようにして、第1のカーゴは、意図された標的部位のみに放出される。このダブルフェイルセーフアプローチは、オフターゲット効果を低減する重要な安全性特徴であると考えることができる。カーゴは、第2のエフェクターシャーシが、それ自体が標的の近傍にのみ存在するプロテアーゼの近傍にある場合にのみ放出される。
【0173】
これは、本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ及び本発明の受容体を使用して組み立てられ得るネットワーク及びシステムの多くの例のうちの1つにすぎない。
【0174】
この機構を利用して、ePAR、CPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR及び/又はePARの異なる組み合わせを発現する本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ間のシグナル伝達ネットワークを構築することができる。いくつかの実施形態では、切断されたePARは、膜貫通ドメイン及び/又は細胞内ドメインを介してシグナルを伝播する。したがって、この様式でのePARの活性化は、操作された血小板又は操作された血小板様膜結合エフェクターシャーシの場合、血小板動員、血小板活性化、又は腫瘍微小環境への治療的分子などのカーゴの放出を含む下流シグナル伝達事象を誘導する。
【0175】
いくつかの実施形態では、ePARは、操作されたGPCRである。いくつかの実施形態では、ePARは、PAR1、PAR2、PAR3、又はPAR4であり、プロテアーゼ部位は、トロンビン以外のプロテアーゼによって切断されるように操作されており、任意選択で、MMP、カテプシンB、ウロキナーゼ又はカスパーゼによって切断される。
【0176】
プロテアーゼによる切断の際に、いくつかの実施形態では、ePARの部分が放出される。いくつかの実施形態では、切断の際に放出されるePARの部分は、シグナル伝達分子である。
【0177】
いくつかの実施形態では、ePARは、GPCRであり、任意選択で、操作されたPAR1、PAR2、PAR3又はPAR4であり、任意選択で、PAR1、PAR2、PAR3又はPAR4の配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を有する。
【0178】
本明細書における開示から、本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARは、1つ以上の疾患の治療又は予防において役割を有することが明らかである。例えば、本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePAR、並びに本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの組み合わせを使用して、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePAR上の標的結合ドメインによって、体内の特定の部位、又は特定の組織若しくは細胞種、例えばがん細胞にカーゴを送達することができる。好ましい実施形態では、エフェクターシャーシは、1つ以上のカーゴを含み、本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントであり、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARは、標的結合ドメインが標的に結合すると、血小板が脱顆粒し、カーゴを標的部位に送達するようなものである。カーゴは、本明細書に記載されるような治療的カーゴであってもよい。
【0179】
いくつかの実施形態では、本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARは、疾患を媒介する自己反応性T細胞によって認識される領域を含む。例えば、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARは、自己反応性T細胞を直接標的化するためにMHC-ITAM融合物にロードされた、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の129~134頁に提示されている表12~20中の分子標的由来のエピトープを含む。操作された血小板は、血小板の活性化時に放出される細胞傷害性又は免疫抑制タンパク質又は抗体をロードすることができる。
【0180】
例えば、1型糖尿病(T1DM)の一部の症例は、特定のインスリンペプチドに特異的なT細胞を特徴とする。したがって、免疫抑制因子を放出するように設計された血小板において、自己免疫駆動ペプチドとともにMHC1-ITAM受容体融合タンパク質を使用すると、T細胞特異的免疫抑制がもたらされる。IL-2を競合するIL-2受容体(IL-2R)の曝露、TGF-β1又はIL-10の放出、及びMHC1-ITAM活性化に関する他の多くの潜在的なオプションは、制御性T(Treg)細胞と同様に免疫抑制を仲介する。
【0181】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ、又は本明細書に記載されるような操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシは、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARと、主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex、MHC)クラスI又はクラスIIとを含み、自己免疫疾患の治療において使用することができる。病原性T細胞受容体のMHCリガンドをCARの抗原結合ドメインとして含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞は、1型糖尿病(T1D)の治療に有効であることが以前に示されている(Perez et al.,Immunology,143,609-617を参照し、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。T1Dでは、自己反応性CD8及びCD4T細胞は、膵臓のインスリン産生B細胞を選択的に破壊する(同上)。自己反応性細胞によって認識されるMHC-II制限ペプチドのいくつかは、インスリン/プレプロインスリン、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質、グルタミン酸デカルボキシラーゼ65及び67、熱ショックタンパク質60及び70、インスリノーマ関連タンパク質2、亜鉛トランスポーターZnT8、膵島アミロイドポリペプチド、クロモグラニンA、及びその他の自己抗原に由来することが観察されている(同上)。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された血小板は、自己反応性細胞と相互作用して細胞を破壊するリガンド又はそのフラグメントを有するCPRを含む。
【0182】
本発明はまた、本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、タグ付標的化ペプチド、SAPR及び/又はePARをコードする核酸を提供する。本発明は、単一核酸分子中にユニバーサルCPR及びタグ付標的結合ペプチドの両方をコードする核酸を提供する。好ましい例では、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR及び/又はePARは、天然に存在する受容体ではなく、したがって、当該受容体をコードする核酸も天然に存在する核酸ではない。いくつかの実施形態では、核酸は、本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR及び/又はePARをコードし、異種核酸配列も含む。場合によっては、核酸は、発現制御配列に作動可能に連結されている。発現制御配列は、エンハンサー及びプロモーターなどの成分を含むと考えられている。一実施形態では、本発明の核酸は、異種プロモーターを含む。同じ又は異なる実施形態では、本発明の核酸は、異種エンハンサー配列を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、核酸は、DNAである。いくつかの実施形態では、核酸は、RNAであり、例えば、mRNAである。いくつかの実施形態では、核酸は、プロモーター、すなわち核酸からの発現を駆動するプロモーターによって作動可能に制御されるように配置される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、巨核球特異的プロモーター又は血小板特異的プロモーターではない。いくつかの実施形態では、プロモーターは、巨核球特異的プロモーター又は血小板特異的プロモーターを含む。巨核球特異的プロモーター及び血小板特異的プロモーターという用語は、同義に使用される。当業者は、巨核球特異的プロモーター及び血小板特異的プロモーターという用語が何を意味するかを理解する。いくつかの実施形態では、核酸は、異種発現配列、任意選択で異種プロモーターに作動可能に連結される。
【0184】
いくつかの実施形態では、プロモーターは、誘導性プロモーター、例えば、意図される対象において誘導性であるプロモーターである。例えば、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、タグ付標的化ペプチド、SAPR及び/又はePARがヒト対象における使用のためのものである場合、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、タグ付標的化ペプチド、SAPR及び/又はePARの発現を駆動するプロモーターは、いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターである。
【0185】
いくつかの実施形態では、プロモーターは、構成的プロモーター、例えば、意図される対象において構成的であるプロモーターである。例えば、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、タグ付標的化ペプチド、SAPR又はePARがヒト対象における使用のためのものである場合、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、タグ付標的化ペプチド、SAPR及び/又はePARの発現を駆動するプロモーターは、いくつかの実施形態では、構成的プロモーターである。
【0186】
本発明はまた、本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、タグ付標的化ペプチド、SAPR及び/又はePARをコードする核酸を含むベクターを提供する。ベクトルには、プラスミドの意味が含まれる。いくつかの実施形態では、ベクターはまた、異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、プロモーター、例えば巨核球特異的プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、血小板特異的プロモーターを含む。
【0187】
本発明はまた、本発明の核酸のうちの任意の1つ以上を含むウイルス粒子又はウイルスベクターを提供する。
【0188】
「操作する」とは、本発明者らは、遺伝子配列及び/又はタンパク質配列に影響を及ぼすことができる任意の操作の意味を含み、例えば、本発明者らは、例えば、CRISPRベースの核酸編集及び相同組換えを使用して、核酸レベルで行われる操作を含み、本発明者らはまた、翻訳レベルで行われる操作、例えば、RNAiを介した翻訳の抑制も含む。
【0189】
上記のように、本発明は、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR及びePARを提供する。これらは全て、細胞又は血小板の表面膜内に存在し、特定の標的(例えば、がん新抗原若しくはTCR)に結合し、かつ/又は特異的プロテアーゼによって切断される受容体であり、これは、カーゴアンロード、T細胞の活性化、又は他の細胞内シグナル伝達事象をもたらし得る、その後の血小板調節事象を誘発する。したがって、例えば、体内の特定の細胞若しくは組織へのカーゴの送達を指示するために、又はT細胞を活性化するために実際に使用される場合、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARは、エフェクターシャーシの分脈で配置され、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARは、エフェクターシャーシの原形質膜に局在化される。
【0190】
上記のように、血小板は、それらを標的化送達ビヒクルとしての使用に有利にする固有の特性を有する。
【0191】
プロデューサーシャーシへの前駆体シャーシの分化を駆動することが意図される修飾(例えば、フォワードプログラミング)は、任意の方法によって実行され得、遺伝子(例えば、転写因子)のノックインを伴い得る。各特定の遺伝子ノックインは、いくつかの方法で導入することができ、例えば、第1の遺伝子を第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入することができ、かつ/又は第1の遺伝子を第1の遺伝子座の第2の対立遺伝子に導入することができる。追加的に又は代替的に、第1の遺伝子を第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入することができ、第2の遺伝子を第2の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入することができる。追加的に又は代替的に、第1の遺伝子を第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入することができ、第2の遺伝子を第1の遺伝子座の第2の対立遺伝子に導入することができる。これらの様々な組み合わせは、タンパク質コード遺伝子の導入に適用され、また、機能的RNAコード配列(例えば、RNAiに関与するRNA配列をコードする配列)の導入にも適用される。各遺伝子は、構成的プロモーター及び誘導性プロモーターの組み合わせの下で導入され得る。
【0192】
本明細書で言及される操作工程は、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ及び/又はエフェクターシャーシのうちのいずれかにおいて実行することができるが、当業者であれば、血小板及び血小板様膜結合細胞フラグメントは核を含まず、したがって血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントの核酸を操作することは不可能であり、代わりに、操作は、典型的には、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントを産生するプロデューサーシャーシ(例えば、巨核球)に分化する上流シャーシのうちの1つ以上において行われる、すなわち、操作工程は、典型的には、前駆体シャーシ又はプロデューサーシャーシにおいて行われることを理解する。血栓形成経路などの経路を破壊するいくつかの手段は、血小板と適合性であり、例えば、siRNAを血小板において使用して、特定のmRNAからの発現を防止することができ、したがって、場合によっては、エフェクターシャーシを直接操作することが適切である。
【0193】
本明細書に記載の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを操作することに関する本明細書における「操作すること」への言及は、シャーシ中の1つ以上の遺伝子又はタンパク質の機能を望ましい方法で調節する任意の適切な手段を指すと解釈されるべきである。例えば、いくつかの実施形態は、操作することは、タンパク質の発現を低減又は阻害することであり、いくつかの実施形態では、操作することは、特定のタンパク質の発現を増加させることである。前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、任意の数の修飾を有するように操作されてもよく、例えば、任意の数のタンパク質の発現を破壊若しくは阻害するように、かつ/又は任意の数のタンパク質の発現を増加させるように操作されてもよい。遺伝子発現を破壊する例示的な手段としては、DNAレベル、転写レベル、翻訳レベル及び翻訳後レベルで作用するものが挙げられ、例えば、CRISPR/Cas系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(transcription activator-like effector nuclease、TALEN)、RNA干渉構築物(RNAi)(例えば、低分子干渉RNA(small interfering RNA、siRNA)若しくはマイクロRNA(short hairpin RNA、miRNA))、又は短ヘアピンRNA(shRNA)が挙げられる。最終的な遺伝子産物(例えば、遺伝子がタンパク質コード遺伝子であるタンパク質、又は遺伝子若しくは核酸が活性RNAをコードするRNA)の発現を防止する任意の手段が、適切であると考えられる(ただし、方法がシャーシを死滅させないことを条件とする)。イントラボディ技術を使用して、遺伝子発現を調節することもできる。
【0194】
本発明者らは、遺伝子配列及び/又はタンパク質配列に影響を及ぼすことができる任意の操作の意味を含み、例えば、本発明者らは、ゲノムレベルで行われる操作、例えば、CRISPRベースの核酸編集及び相同組換えを使用して、例えば、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシのゲノム核酸において修飾、欠失、置換などを行うことを含み、本発明者らはまた、翻訳レベルで行われる操作、例えば、RNAi又はsiRNAを介した翻訳の抑制を含む。例えば、本明細書に記載されるような操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、1つ以上の遺伝子欠失、単一の変異若しくは挿入、遺伝子ノックイン、プロモーター置換などを有し得るか、又はRNAiなどの1つ以上の調節分子を発現してもよい。本発明者らはまた、例えば、特定のタンパク質のリン酸化などの修飾を行うことによって、タンパク質レベルで修飾を行うことを含む。修飾の全ての方法がここに包含される。好ましくは、修飾は、ゲノムレベルで行われる。少なくとも本開示を考慮して、当業者は、本明細書に記載されるような操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの文脈において「操作すること」によって意味されるものを理解する。
【0195】
対象に投与される最終的な実体は、エフェクターシャーシ、例えば、血小板、又は血小板様膜結合細胞フラグメント(例えば、好ましい実施形態では、血小板の天然のシグナル伝達経路のうちの1つ以上を破壊するように、例えば、血栓形成経路を破壊するように操作されたカーゴを送達するために使用される血小板)であり、骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球又はiPSCを含む一連のますます分化する細胞に由来するか、又は核自体を含まない。血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントにおいてどのタンパク質が発現されるかを最終的に決定するのは骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球又はiPSCにおける修飾であるため、血小板の核酸の修飾への言及は、前駆体シャーシ及びプロデューサーシャーシ、例えば骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球又はiPSCへの修飾を包含することが意図されることは、当業者には明らかである。
【0196】
場合によっては、特定の経路において遺伝子全体をノックアウト又は削除する必要がないことは明らかである。例えば、GP1bノックアウトは、異常な血小板をもたらすが、受容体の細胞外ドメインのみを削除(機能する能力を削除)し、細胞内ドメインを保持することができ、その結果、GP1b標的のフォンウィルブランド因子に結合する能力を欠く典型的な血小板をもたらす。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の破壊、欠失、又はノックアウトは、遺伝子全体の完全な破壊、欠失、又はノックアウトである。他の実施形態では、破壊、欠失及びノックアウトは、破壊欠失及び機能的ノックアウト、すなわちタンパク質の機能の破壊であり、いくつかの実施形態では、欠失は、タンパク質の細胞外ドメインの欠失である。
【0197】
「血小板様膜結合細胞フラグメント」という用語は、場合によっては、構造を血小板として分類するために日常的に使用される生物学的マーカー及び機能の多くが意図的に破壊されており、したがって、操作された血小板を標準的な定義に従って「血小板」として分類することができない可能性があるという事実を包含することが意図される。例えば、血小板凝集は、臨床試料中の血小板機能を決定するために使用される。場合によっては、本明細書に記載されるように、血小板の血栓形成系が破壊されているため、操作された血小板は凝集することができない。そのような場合、そのような実体を「血小板」と呼ぶことは、標準的な定義とは反対であり得る。本明細書において、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントは、血小板が作製される典型的な方法でのフラグメント化によって巨核球又は巨核球様細胞から産生される実体として本明細書において定義される。したがって、一実施形態では、血小板様膜結合細胞フラグメントは、1つ以上のシグナル伝達経路を破壊するように、例えば血栓形成経路を破壊するように操作された巨核球から産生される細胞フラグメントとして定義される。同様に、破壊され得る経路に起因して、操作された巨核球は、巨核球の標準的な定義に適合しない場合があり、なぜなら、いくつかの実施形態では、定義マーカー又は機能のうちの1つ以上が、操作された巨核球において破壊され得るからである。したがって、場合によっては、巨核球様細胞という用語が好ましい場合がある。当業者は、巨核球又は巨核球様細胞が必要な機能、すなわち血小板又は血小板様膜細胞フラグメントを産生する能力を保持しているかどうかを決定することができる。操作された巨核球又は巨核球様細胞は、偽足伸長(pseudopodal extension)をもたらす能力を保持するはずである。
【0198】
巨核球などのプロデューサーシャーシ及び血小板などのエフェクターシャーシはまた、チューブリン-TUBB1(ベータ1-チューブリン)の特異的アイソフォームを発現する(又はそうでなければ含む)。TUBB1は、血小板細胞骨格を形成する微小管の成分である。例えば、血小板は核を含まないが、例えば、TUBB1 mRNAの翻訳を介して、又は血小板がTUBB1を発現する巨核球などのプロデューサーシャーシのフラグメントであることによって、血小板は依然としてTUBB1タンパク質を含む。TUBB1は、血小板の機能に必要であり、したがって、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、巨核球又は血小板を同定するために典型的に使用されるマーカーのうちのいくつかを除去するように操作された、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが、依然として実際に本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシであるかどうかを決定するために使用するための、当業者にとって有用なマーカーであると考えられる。したがって、いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、血小板若しくは血小板様膜結合細胞フラグメント、又は巨核球様細胞は、TUBB1を発現する。例えば、Schwer et al 2001 Curr Biol 11:579-586 and Kunishima et al 2009 Blood 113:458-461を参照されたい。
【0199】
当業者は、「TUBB1を発現する」とは、血小板産生に必要とされるTUBB1の必要な機能を保持するTUBB1バリアントの意味を含み、すなわち、TUBB1は、天然に存在するTUBB1配列と比較して多くの変異又は置換を含み得るが、TUBB1機能を保持することを理解する。したがって、いくつかの実施形態では、シャーシがTUBB1を含むと述べることがより適切である。
【0200】
本明細書に記載の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、1つ以上のシグナル伝達経路を破壊するように操作されてもよく(巨核球への分化を指示するために必要な任意の操作、例えば、シャーシの分化を駆動するための操作、例えば、細胞をフォワードプログラムするための操作に加えて)、又は1つ以上のシグナル伝達経路を破壊するように操作されなくてもよい。1つ以上のシグナル伝達経路を破壊するように操作されていない前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、1つ以上のタンパク質を発現するように、又は1つ以上の変異若しくは他の修飾を含むように更に操作され得る。例えば、1つ以上のシグナル伝達経路を破壊するように操作されていない前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、本明細書に記載のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARのうちの1つ以上を発現するように更に操作され得る。1つ以上のシグナル伝達経路を破壊するように操作されていない前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、追加的に又は代替的に、分化のための関連遺伝子、例えばフォワードプログラミングに必要な遺伝子をノックインするように操作されていてもよい。
【0201】
したがって、一実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントを提供し、
以下を含む:
本発明による1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、若しくはePARS;
本発明によるCPR、ユニバーサルCPR、SAPR、若しくはePARをコードする前述の請求項のいずれか一項に記載の1つ以上の核酸;
本発明によるCPR、ユニバーサルCPR、SAPR若しくはePARをコードする前述の請求項のいずれか一項に記載の1つ以上の核酸を含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の1つ以上のベクター;及び/又は
本発明によるCPR、ユニバーサルCPR、SAPR、若しくはePARをコードする本発明による1つ以上の核酸を含む、本発明による1つ以上のウイルスベクター。
【0202】
これらの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、骨髄性幹、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、血小板又は血小板様膜結合細胞片は、「ベース」シャーシに非常に類似しており、例えば、ヒト体内で天然に見出される血小板に非常に類似しており、違いは、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが、本明細書に記載の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現するように操作されていることである。前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシはまた、分化を駆動するように操作されていてもよく、例えば、フォワードプログラムされていてもよい。
【0203】
いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントは、
1つ以上のシグナル伝達経路を調節するように操作されておらず、任意選択で、血栓形成経路を破壊するように操作されておらず、かつ/又は血小板炎症シグナル伝達経路を破壊するように操作されておらず、かつ/又は操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシの免疫原性を低下させるように操作されていない、並びに/あるいは
前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの1つ以上の基本機能を増強又は破壊するように操作されておらず、任意選択で、1つ以上又は
基本機能は、基礎免疫応答及び/又は適応免疫応答、炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び腫瘍増殖に関与する。
【0204】
これらの実施形態の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシであって、1つ以上のシグナル伝達経路を調節するように、又は前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの1つ以上の基本機能を増強若しくは破壊するように操作されていないが、1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを使用して、身体、組織又は細胞内の特定部位へのカーゴの送達を標的化することができる。しかしながら、これらの前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、血小板に固有の特性、すなわち血栓形成能を保持しているため、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARが標的に結合すると、血小板は、血栓形成を誘発する。これは、例えば、腫瘍の周囲に血餅が形成されると腫瘍の酸素が欠乏し得るため、がんの治療において、又は外傷を受けた血管又は器官への酸素を制限することが有用である状況において有用であり得る。
【0205】
前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを操作する全ての場合において、巨核球又は巨核球様細胞が血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントを産生する能力が維持されることが重要である。当業者は、そのような操作された巨核球が血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントを産生することができるかどうかを決定することができる。
【0206】
しかしながら、血栓形成能を有する血小板は、安全性の懸念のために体内での使用が制限されている。
【0207】
したがって、いくつかの好ましい実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、調節するように、例えば、1つ以上のシグナル伝達経路を破壊するように、例えば、血栓形成性シグナル伝達経路、血小板炎症シグナル伝達経路を破壊するように、及び/又は操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの免疫原性を低下させるように操作されている。血小板の任意のシグナル伝達経路を調節することができる。例えば、いくつかのシグナル伝達経路の調節は、例えば、炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び腫瘍増殖における自然免疫応答及び/又は適応免疫応答に関与する経路を調節するために、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの基本シグナル伝達経路である、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントのいくつかの望ましい特徴を増強することができる。したがって、一実施形態では、本発明は、1つ以上のシグナル伝達経路を調節するように操作された、例えば、血栓形成経路を破壊するように操作された、及び/又は血小板炎症シグナル伝達経路を破壊するように操作された、及び/又は操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシの免疫原性を低下させるように操作された、及び/又は前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシの1つ以上の基本機能を増強若しくは破壊するように操作された、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを提供する。
【0208】
1つ以上のシグナル伝達経路を調節するように操作された、例えば、血栓形成経路を破壊するように操作された、及び/又は血小板炎症シグナル伝達経路を破壊するように操作された、及び/又は操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシの免疫原性を低下させるように操作された、及び/又は前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシの1つ以上の基本機能を増強若しくは破壊するように操作された、本明細書に記載の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ化標的ペプチドとの複合体、SAPR又はePARに関連する任意の効果を超える用途を有するため、本発明が、本明細書に記載の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシのうちのいずれか、例えば、骨髄系幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントである操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを提供することが明らかであり、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、
本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、若しくはePARS;
本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPRs若しくはePARsをコードする1つ以上の核酸;
本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR若しくはePARをコードする1つ以上の核酸を含む1つ以上のベクター;及び/又は
本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR若しくはePARをコードする1つ以上の核酸を含む1つ以上のウイルスベクターを含まない。
【0209】
例えば、本発明は、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ(例えば、操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板若しくは血小板様膜結合細胞フラグメント)を提供し、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、1つ以上のシグナル伝達経路を調節するように操作されており(例えば、血栓形成経路を破壊するように操作されている、及び/又は血小板炎症シグナル伝達経路を破壊するように操作されている、及び/又は操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシの免疫原性を低下させるように操作されている)、かつ/あるいは前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの1つ以上の基本機能を増強又は破壊するように操作されており、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、
本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR若しくはePAR;
本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPRs若しくはePARsをコードする1つ以上の核酸;
本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR若しくはePARをコードする1つ以上の核酸を含む1つ以上のベクター;及び/又は
本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR若しくはePARをコードする1つ以上の核酸を含む1つ以上のウイルスベクターを含まない。
【0210】
例えば、本明細書に記載の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシのうちのいくつかは、本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARが関与しない状況において有用であり得る低減された血栓形成能及び/又は免疫原性を有するように操作されていない前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシと比較して、低減された血栓形成能及び/又は免疫原性を有する。例えば、本発明の受容体を含まない操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、凝固が望まれない状況、例えば脳卒中又はMIにおいて有用であると考えられ、例えば、血栓形成能力を欠くが外部受容体を含む血小板は、血栓形成部位に動員されるが、血栓形成プロセスを妨げる。CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの特徴についての選好は、本明細書に記載されているとおりである。
【0211】
しかしながら、いくつかの有利な実施形態では、本明細書に記載の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを含む。したがって、本発明は、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ(例えば、操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板若しくは血小板様膜結合細胞フラグメント)のうちのいずれかを提供し、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、1つ以上のシグナル伝達経路を調節するように操作されており(例えば、血栓形成経路を破壊するように操作されている、及び/又は血小板炎症シグナル伝達経路を破壊するように操作されている、及び/又は操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシの免疫原性を低下させるように操作されている)、かつ/あるいは前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの1つ以上の基本機能を増強又は破壊するように操作されており、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、
本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR若しくはePAR;
本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPRs若しくはePARsをコードする1つ以上の核酸;
本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR若しくはePARをコードする1つ以上の核酸を含む1つ以上のベクター;及び/又は
本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR若しくはePARをコードする1つ以上の核酸を含む1つ以上のウイルスベクターのうちのいずれか1つ以上を含む。
【0212】
CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの特徴についての選好は、本明細書に記載されているとおりである。
【0213】
本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARのうちのいずれかをコードする核酸は、種々の方法で前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに導入され得ることは明らかである。例えば、いくつかの実施形態では、本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARのうちのいずれかをコードする核酸が、ゲノム核酸に導入される。例えば、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、又はePARをコードする核酸は、第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入することができ、かつ/又は核酸は、第1の遺伝子座の第2の対立遺伝子に導入することができる。追加的に又は代替的に、核酸を第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入することができ、第2の核酸(例えば、第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、又はePARをコードする)を第2の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入することができる。追加的に又は代替的に、第1の核酸を第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入することができ、第2の核酸を第1の遺伝子座の第2の対立遺伝子に導入することができる。
【0214】
いくつかの実施形態では、本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARのうちのいずれかをコードする核酸は、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに導入され、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシにおいてエピソーム的に維持される。
【0215】
いくつかの実施形態では、本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARのうちのいずれかをコードする核酸は、ヌクレオフェクションを介して前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに導入される。
【0216】
これらの様々な組み合わせは、タンパク質コード遺伝子の導入に適用され、また、機能的RNAコード配列(例えば、RNAiに関与するRNA配列をコードする配列)の導入にも適用される。
【0217】
上記のように、送達又は標的化送達ビヒクルとしての血小板及び操作された血小板の使用は、現在の治療法を超えるいくつかの利点を有する。
【0218】
本明細書に記載の血小板又は操作された血小板、例えば、本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、又はePARを発現する血小板は、巨核球から体外で生成され得る。巨核球は体外の培養で維持されるため、他の競合する細胞治療製品では不可能である、患者の発がん性形質転換を恐れることなく、ゲノムレベルで(例えば、CRISPR/Cas9によって)広範囲に編集できる。
【0219】
本明細書に記載の血小板、例えば、本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、又はePARを発現する血小板は、体内で7~10日の寿命を有し、継続して繁殖する可能性がほとんどないため、腫瘍自体を形成する可能性がほとんどない。
【0220】
血小板は、凍結して長期間保存することができ、その結果、貯蔵寿命が長くなり、現在利用可能な技術を使用すると、免疫原性がないため、操作された血小板を問題なく製造、保存、輸送、及び患者に投与することができる。
【0221】
特定の実施形態では、血小板様膜結合細胞フラグメントが送達ツールの血栓形成能を破壊するように操作されている場合、それはSynletと呼ぶことができる。Synletは、1つ以上の更なる修飾、及び/又はシグナル伝達経路の破壊若しくはノックインを含み得る。
【0222】
前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)又はiPSC、血小板、血小板様膜結合送達ツール、又はSynletは、好ましくはエクスビボ又はインビトロで産生される。場合によっては、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、例えば、HSC移植を介してインビボで産生され得る。
【0223】
いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ又は操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが、本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現し、1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARが、血小板活性化ドメイン、例えば、血小板脱顆粒誘発ドメインを含む場合、いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、すなわち、血小板又は血小板様膜結合細胞片又はSynletは、1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの標的結合ドメインが標的に結合すると脱顆粒することが必要であると考えられる。
【0224】
いくつかの実施形態では、本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが、1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現し、1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARが、血小板阻害ドメイン、例えば血小板脱顆粒の誘発を防止するドメインを含む場合、いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ又は操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ、すなわち、血小板若しくは血小板様膜結合細胞片、又はSynletは、1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの標的結合ドメインが標的に結合する際に、脱顆粒の活性化を阻害することができることが必要であると考えられる。
【0225】
特定のエフェクターシャーシが、脱顆粒を活性化する、すなわち誘発する、又は脱顆粒の活性化を阻害する能力を保持する必要があるかどうかは、エフェクターシャーシ中に存在する本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの性質に依存する。本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARについての選好は、本明細書に記載されているとおりである。
【0226】
いくつかの特定の実施形態では、血小板が脱顆粒するか又は脱顆粒しないことは必要であるとは考えられず、標的へのSAPRの単純な結合が有用な効果を生じるのに十分である。例えば、いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、MHC/抗原複合体を含む。これらの実施形態では、SAPRは、抗原提示細胞による抗原/MHC複合体の一部としての抗原の提示を模倣する。T細胞は、MHC/抗原複合体の一部として提示されると、T細胞受容体(T cell receptor、TCR)を介して抗原に結合することができ、その結果、T細胞の活性化及び分化がもたらされる。これはそれ自体、本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの有利な使用であると考えられる。
【0227】
いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号104~111のうちのいずれかによって定義されるCPRを提供する。
【0228】
キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞とは対照的に、いくつかの実施形態では、本発明は、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、血小板、又は投与前に患者との適合を必要としないユニバーサル産物である血小板様膜結合細胞フラグメントを提供する。例えば、これらの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、例えば、ベータ2ミクログロブリン遺伝子のノックアウトを介して、ベータ2ミクログロブリン遺伝子からの発現が阻害されるように操作されている。
【0229】
更に、本明細書に記載の前駆体からのインビトロでの血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントの産生は、ウイルスを継続的に産生し、細胞を編集する必要性を排除する。本明細書に記載の操作された血小板又は操作された血小板様膜結合細胞フラグメントの寿命が短いため、安全性の懸念は、現在の遺伝子編集治療と比較して制限されている。例えば、血小板は除核されているため、遺伝子編集及びゲノム安定性はCAR-T細胞よりも本発明において懸念は少なく、したがって、血小板治療の複雑さは、編集の効率又は培養時間の制限によって制限されない。追加的に、サイズが小さいため、操作された血小板は、CAR-T細胞よりも固形腫瘍へのアクセスが良好である可能性がある。
【0230】
Rubius Therapeutics,Inc.から市販されているような除核赤血球もまた、治療剤を送達するために当該技術分野で企図されてきた。赤血球とは対照的に、本明細書に記載の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作された血小板又は操作された血小板様膜結合細胞フラグメントは、高度に代謝的に活性であり、再操作することができるシグナル伝達系を含む。実際、赤血球と比較して、本明細書に記載の操作された血小板又は操作された血小板様膜結合細胞フラグメントを用いて、より標的化された使用が可能である。
【0231】
本明細書に記載の操作された血小板又は操作された血小板様膜結合細胞フラグメントの小胞脱顆粒はまた、所望の標的が関与するまでカーゴ、例えば、カーゴタンパク質を「隠すこと」を可能にし、これは、生物療法タンパク質が一般に細胞の表面に発現するため、除核された赤血球では不可能である。
【0232】
本明細書に記載の操作された血小板又は操作された血小板様膜結合細胞フラグメントはまた、赤血球よりも小さく、より良好な生体内分布をもたらす可能性が高い。
【0233】
したがって、一実施形態では、標的又は抗原への血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメント中に存在するCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの標的結合ドメインの結合は、脱顆粒をもたらす。
【0234】
本明細書に記載の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ、又は操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシのうちのいずれかに到達するために、遺伝子発現の何らかの調節を使用して、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、血小板、若しくは血小板様膜結合細胞片において天然に見出される遺伝子を調節し、かつ/又は非天然遺伝子若しくは他のコード配列、例えば、本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR若しくはePARをコードする1つ以上の遺伝子を前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシに導入する。
【0235】
発現を「調節する」とは、発現レベルを低下させること、発現を完全に防止すること(例えば、遺伝子ノックアウトの場合)、又は発現レベルを増加させることの意味を含む。
【0236】
上記のように、血栓形成能を有する本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを人体に投与することを伴うシナリオにおける使用が限定されている。他の天然シグナル伝達経路は、好ましくは調節されてもよく、例えば、破壊又は阻害又は増強されてもよい。
【0237】
前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの基本経路である様々な経路の調節、破壊、阻害又は増強は、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが、1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを含まない状況において望ましく、また、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが、1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを含む状況においても望ましい。したがって、シグナル伝達経路の調節に関する本明細書における考察は、両方の実施形態、すなわち、本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体を含む、及び含まない本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに関連すると解釈されるべきである。
【0238】
本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの基本シグナル伝達経路である任意のシグナル伝達経路は、調節、破壊、阻害又は増強され得る。有益に破壊され得る例示的な経路としては、血栓形成経路及び/又は炎症シグナル伝達経路及び/又は血小板免疫原性に関連する経路が挙げられる。調節され得る他の例示的な経路は、自然免疫応答及び/又は適応免疫応答、炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達、腫瘍増殖、血小板接着、血小板遊走及び溢出に関与する経路である。
【0239】
破壊する特に有利な経路は、血栓形成経路である。血栓形成能を保持する本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシのいくつかの使用が本明細書に記載されているが、好ましい実施形態では、血栓形成経路が破壊される。より好ましい実施形態では、血栓形成経路全体が破壊される。例えば、カーゴを体内の特定の部位に標的化する場合、ほとんどの場合、カーゴの脱粒及び放出の際に、天然の血栓形成経路が誘発されず、標的部位での望ましくない血餅形成を防止することが好ましい。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、血小板、又は血小板様膜結合細胞フラグメントを提供し、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、血栓形成能が低下するように操作されていない前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシと比較して血栓形成能が低下している。いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、血栓形成能を有しない、すなわち、全く血栓形成性ではない。
【0240】
いくつかの実施形態では、本発明の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントは、「天然の」操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントから産生された血小板よりも血栓形成性が低い、すなわち、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、血栓形成性が低下するように意図的に操作されていない骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞又はiPSCから産生された血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントよりも血栓形成性が低い、例えば、本実施形態の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、インビボで見出される対応するiPSC、巨核球又は血小板(例えば、ヒトドナー由来の血小板)よりも血栓形成性が低い。
【0241】
加えて又は代替的に、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作されたiPSC前駆体、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、巨核球又は血小板は、血小板接着、遊走及び溢出のための経路の遺伝子成分内に遺伝子修飾を含有し得る。
【0242】
一実施形態では、本明細書に記載されるように、1つ以上のシグナル伝達経路を調節するように操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントである操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、血栓形成経路の1つ以上の機能を破壊するように操作されている。
【0243】
血栓形成能が取り除かれた操作された血小板又は操作された血小板様膜結合細胞フラグメントは、場合によっては、SYNLET(商標)とも呼ばれ、血栓形成性に関してブランクテンプレートとして作用することができ、スキャフォールドとして効果的に機能し、カーゴを小胞内に内部的に、細胞質内に内部的に、又は原形質膜の外表面に貯蔵する能力を有する。本明細書に記載されるように、SYNLET(血栓形成能を欠く操作された血小板又は操作された血小板様膜結合細胞フラグメント)における1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの発現は、SYNLETが特定の抗原又はシグナルに応答することを可能にする。これらの有利な操作された血小板及び操作された血小板様膜結合細胞フラグメントは、好ましくは、通常は血餅形成をもたらす内因性刺激に応答せず、好ましくは他の活性化血小板によって動員されず、活性化時に、好ましくは患者において内因性血小板を動員及び活性化することができない。そのような有利な操作された血小板又は操作された血小板様膜結合細胞フラグメントを産生するために、血小板前駆体、すなわち骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)又はiPSCを適切に操作する必要があることは、当業者には明らかである。そのような操作方法の例は、本明細書に記載されている。
【0244】
いくつかの実施形態では、有利な血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメント、例えば、患者において内因性血小板を動員及び活性化する能力を欠く血小板であって、血餅形成を通常もたらす内因性刺激に応答することができず、他の活性化血小板によって動員されない血小板を、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントを外因的に処理することによって、例えば、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントを、必要とされる遺伝子の転写又は翻訳を阻害する薬剤に曝露することによって、例えば、siRNAフラグメント又は特定の転写物を標的とするCRISPR成分に曝露することによって、前駆体が操作されていることを必要とせずに(CPRを含む前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの実施形態においてCPRを発現すること以外)、産生することが可能であり得る。
【0245】
血栓形成経路は、例えば、傷害に応答して強固な血栓形成応答を提供するように一緒に作用するいくつかの経路を含む。血栓形成の一次刺激が認識される必要があり、血栓形成の二次刺激が認識され、血栓形成の二次メディエーターが放出される。
【0246】
血栓の一次刺激の認識には、例えば、内皮下層を認識するなど、創傷時に露出するようになる露出組織に関連する因子を認識する血小板が含まれる。通常の状況では、血小板は、内皮下層に曝露されない。内皮下層の曝露により、血小板は、GPIb/V/IX及びGPVI(GP6)、ITGA2B、インテグリンs aIIb、a、a及びaなどの血小板表面の受容体を介して、コラーゲン、フォン・ヴィレブランド因子、フィブロネクチン、トロンボスポンジンなどのリガンドを認識できる。したがって、いくつかの実施形態では、血栓形成の一次刺激の認識に関与するタンパク質をコードする遺伝子には、GPIb/V/IX及びGPVI(GP6)、ITGA2B、CLEC2、インテグリンs aIIb、a、a及びaが含まれる。
【0247】
血小板が、例えば上記の相互作用を介して露出した内皮と接触すると、血小板は、他の血小板によって検出され、創傷部位で血小板凝集を引き起こす、ADP、トロンビン、及びTxAなどの二次メッセンジャーを放出する。いくつかの実施形態では、二次メッセンジャーを認識する血小板の能力が破壊されている場合が好ましい。本発明の血小板が、意図された標的ではなく、例えば、創傷部位を標的とする場合は望ましくない。したがって、好ましい実施形態では、二次メッセンジャーを認識する血小板の能力が破壊される。この機能に関与する受容体には、Par1、Par4、P2Y12、GPIb/V/IX、トロンボキサン受容体(TBXA2R)、P2Y1、P2X1及びインテグリンaIIbが含まれる。
【0248】
上記のように、血小板が露出した組織を認識すると、それらは二次メッセンジャーを放出して他の血小板をその部位に動員する。本発明の血小板が標的、例えば腫瘍抗原に結合すると、本発明の血小板が次に他の血小板を標的部位に動員して血栓、例えば腫瘍部位での血栓を形成することは望ましくない。したがって、好ましい実施形態では、活性化された血小板が二次メッセンジャーを放出する経路が破壊される。経路は、二次メディエーターの産生及び/又は貯蔵及び/又は放出に関与するタンパク質を含むことができる。この経路に関与する遺伝子には、Cox1、Cox2、HPS、TMEM16F、プロトロンビン、PDGF、EGF、フォン・ヴィレブランド因子及びトロンボキサン-Aシンターゼ(TBXAS1)が含まれる。
【0249】
代替的に、欠失又は修飾は、密顆粒からのADP、セロトニン、及びATP放出に不可欠なHPS(リソソームオルガネラ複合体3サブユニットの生合成)遺伝子、並びに炎症性及び血栓形成促進性メディエーターを生成し、アスピリンの標的である、ミトコンドリアにコードされたチトクロームCオキシダーゼII(C oxidase II、COX2)などの血小板シグナル伝達を仲介する遺伝子に導入される。代替的に、欠失又は修飾は、プロトロンビン(主要タンパク質血栓性誘導物質)、血管新生促進因子であるPDGF、EGF(伸長成長因子)、及びフォン・ヴィレブランド因子(コラーゲンアダプタータンパク質)などの血栓性メディエーターを発現する遺伝子に導入される。
【0250】
トロンビン及びADPシグナル伝達の組み合わせによる喪失は、血管閉塞を無効にすることが観察されているが、ITAM受容体は、依然として活性化され得る(Boulaftali et al.「Platelet ITAM signaling is critical for vascular integrity in inflammation」.JCI,2013 and Cornelissen et al.「Roles and interactions among protease-activated receptors and P2ry12 in hemostasis and thrombosis」,PNAS.2010を参照され、これらの各々が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。この研究は、重要な内因性血小板シグナル伝達経路の破壊が、ITAM受容体を介してシグナル伝達する血小板の能力を無効にしないことを示しており、本明細書に記載の操作されたCPRが、非血栓形成性血小板バックグラウンドで機能する可能性が高いことを示している。
【0251】
例えば、トロンビンは、PAR(プロテアーゼ活性化受容体)の切断を通じて血小板を活性化する。血小板シグナル伝達は、プロテアーゼ活性化GPCR、すなわちトロンビンによって切断されるPAR1及びPAR4によっても駆動される。シグナル伝達は強力であり、血小板を動員し、血小板活性化後の血小板間の正のフィードバックを促進するように作用する。PAR1及びPAR4のトロンビン切断配列は明確に定義されている。
【0252】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された血小板は、一次トロンビン受容体であるPAR4(プロテアーゼ活性化受容体4)、一次アンカー受容体であるGP1b-1X-V(糖タンパク質IXと複合体化された糖タンパク質Ib)、ADP(アデノシン二リン酸)受容体であり、クロピドグレル阻害の標的であるP2Y12(プリン作動性受容体P2Y12)、コラーゲン受容体であるGPVI(糖タンパク質deletiontein VI血小板)、又は操作された血小板の活性化を防止するためのトロンボキサン受容体などであるがこれらに限定されない内因性血小板受容体のドメインに導入された、又はそれを置換する少なくとも1つの欠失又は修飾を含んでもよい。
【0253】
血栓の一次刺激の認識に関与するタンパク質によって、このプロセスに関与する任意のタンパク質の意味が含まれること、例えば、血栓の一次刺激との接触又は認識に直接関与するタンパク質、更に例えば、血栓の一次刺激との接触又は認識に直接関与するそれらのタンパク質の発現につながる遺伝子も含まれることは、当業者には明らかである。当業者は、どのタンパク質が一次刺激の認識に関与しているとみなされるかを理解する。重要な特徴は、タンパク質の破壊が、それらの破壊が血栓の一次刺激の認識の欠陥につながることである。しかしながら、いくつかの実施形態では、血栓の一次刺激の認識に関与するタンパク質は、血栓の一次刺激と直接接触するタンパク質のみを含む。
【0254】
血栓形成の二次メディエーターの認識に関与するタンパク質によって、血栓形成の二次メディエーターとの接触又は認識に直接関与するタンパク質、並びにそれらのプロセスに間接的に関与するタンパク質、例えば、血栓形成の二次メディエーターとの接触又は認識に直接関与するタンパク質の産生に関与するタンパク質を含む。当業者は、血栓形成の二次メディエーターの認識に関与するタンパク質が何を意味するかを理解する。タンパク質の重要な特徴は、それらの破壊が血栓形成の二次メディエーターの認識に欠陥をもたらすことである。しかしながら、いくつかの実施形態では、血栓形成の二次メディエーターの認識に関与するタンパク質は、血栓形成の二次メディエーターと直接接触するタンパク質のみを含む。
【0255】
血栓形成の二次メディエーターの放出に関与するタンパク質によって、二次メディエーターの産生及び/又は貯蔵及び/又は放出に関与するタンパク質を含む。タンパク質の重要な特徴は、それらの破壊が二次メディエーターの最終的な放出に欠陥をもたらすことである。欠陥は、二次メディエーターの産生、二次メディエーターの貯蔵、及び/又は実際の放出プロセスにある可能性がある。
【0256】
いくつかの実施形態では、以下の3つの経路のうちのいずれか1つ以上が、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシにおいて破壊される:血栓形成の一次刺激の認識、血栓形成の二次刺激の認識、及び血栓形成の二次メディエーターの放出。好ましい実施形態では、3つ全ての経路が破壊される。前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシにおいて本明細書に記載の血栓形成経路を破壊することによって全ての血栓形成能が取り除かれた操作された血小板、例えば、操作されたiPSC、操作された脂肪細胞、操作された脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、操作された巨核球又は操作された血小板は、潜在的な血栓症の安全性の懸念を軽減する。
【0257】
当業者は、単一の遺伝子が上記の機能のうちの1つ、2つ又は3つに関与し得ることを理解する。
【0258】
血栓形成応答を破壊すると考えられる操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作されたiPSC又は操作された巨核球ゲノム又は操作された血小板から欠失又は破壊され得る(すなわち、最終的な遺伝子産物の発現が防止される)遺伝子の例は、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の33頁の表3に示されている。
【0259】
いくつかの実施形態では、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作された骨髄系幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントは、内因性受容体、メディエータータンパク質及び/又はシグナル伝達タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は少なくとも10個の遺伝子の破壊を含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、少なくとも
血栓形成の一次刺激の認識に関与するタンパク質をコードする1つの遺伝子、
血栓形成の二次メディエーターの認識に関与するタンパク質をコードする1つの遺伝子、及び
血栓形成の二次メディエーターの放出に関与するタンパク質をコードする1つの遺伝子、の破壊又は欠失を含み、
いくつかの実施形態では、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、少なくとも;
血栓形成の一次刺激の認識に関与するタンパク質をコードする2つの遺伝子、
血栓形成の二次メディエーターの認識に関与するタンパク質をコードする2つの遺伝子、及び
血栓形成の二次メディエーターの放出に関与するタンパク質をコードする2つの遺伝子、の破壊又は欠失を含み、
いくつかの実施形態では、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、少なくとも:
血栓形成の一次刺激の認識に関与するタンパク質をコードする3つの遺伝子、
血栓形成の二次メディエーターの認識に関与するタンパク質をコードする3つの遺伝子、及び
血栓形成の二次メディエーターの放出に関与するタンパク質をコードする3つの遺伝子、の破壊又は欠失を含む。
【0261】
血栓形成の一次刺激の認識に関与するタンパク質をコードすると考えられる遺伝子としては、GPIb/V/IX及びGPVI(GP6)、ITGA2B、CLEC2、インテグリンs aIIb、a、a及びaが挙げられるか、又は任意選択でGPVI及びITGA2Bが挙げられる。
【0262】
血栓形成の二次刺激の認識に関与するタンパク質をコードすると考えられる遺伝子としては、Par1、Par4、P2Y12、GPIb/V/IX、トロンボキサン受容体(TBXA2R)、P2Y1、P2X1及びインテグリンaIIbが挙げられるか、任意選択でPar1、Par4及びP2Y12が挙げられる。
【0263】
血栓形成の二次メディエーターの放出に関与するタンパク質と考えられる遺伝子としては、Cox1、HPS及びトロンボキサンAシンターゼ(TBXAS1)が挙げられるか、任意選択でCox1及びHPSが挙げられる。
【0264】
いくつかの実施形態では
血栓形成の一次刺激の認識に関与するタンパク質をコードする少なくとも1つ、2つ、若しくは3つの遺伝子が、GPIb/V/IX及びGPVI(GP6)、ITGA2B、CLEC2、インテグリンs aIIb、a、a及びaからなる群から選択されるか、若しくはGPVI及びITGA2Bからなる群から選択され、
血栓形成の二次メディエーターの認識に関与するタンパク質をコードする少なくとも1つ、2つ、若しくは3つが、Par1、Par4、P2Y12、GPIb/V/IX、トロンボキサン受容体(TBXA2R)、P2Y1、P2X1及びインテグリンaIIbからなる群から選択されるか、又はPar1、Par4及びP2Y12からなる群から選択され、かつ/あるいは
血栓形成の二次メディエーターの放出に関与するタンパク質をコードする少なくとも1つ、2つ、又は3つの遺伝子が、Cox1、Cox2、HPS、プロトロンビン、PDGF、EGF、フォン・ヴィレブランド因子及びトロンボキサンAシンターゼ(TBXAS1)からなる群から選択される。
【0265】
いくつかの実施形態では、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、以下の遺伝子:
ITGA2B、HPS及びPSY12の少なくとも各々に破壊又は欠失を有する。
【0266】
いくつかの実施形態では、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、以下の遺伝子:
ITGA2B、HPS1及びPAR1の少なくとも各々に破壊又は欠失を有する。
【0267】
好ましい実施形態では、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、以下の遺伝子:
GPVI、ITGA2B、Par1、Par4、P2Y12、Cox1及びHPSの各々に破壊又は欠失を有する。
【0268】
例えば、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、GPVI、ITGA2B、Par1、Par4、P2Y12、Cox1及びHPSの各々のノックアウトを含み得る。
【0269】
得られた操作された血小板に対する巨核球の遺伝子のノックアウトの影響は、変化する可能性がある。例えば、RAB27a(RASがん遺伝子)及びHPS(ハプトグロビン)遺伝子は、それぞれ、密顆粒のローディング及び形成において機能する。Rab27aのノックアウト又は欠失は、密顆粒メディエーターを持たないが、そうでなければ正常な血小板生物学を伴う、操作された血小板がもたらされる可能性がある。HPS遺伝子のノックアウト又は欠失により、密顆粒を含まない操作された血小板がもたらされる可能性がある。AIIbB3又はGP1b-IX-Vのノックアウト又は欠失により、活性化後の血小板及びフォンウィルブランド因子(vWF)間の相互作用が減少するため、血小板が互いに凝集しなくなる可能性がある。更に、AIIbB3は、フィブリノーゲンに対するインテグリンの親和性を高めるための裏返しのシグナル伝達にも関与している(Durrant,Blood.2017 Oct 5;130(14):1607-1619)。IPのノックアウト又は欠失(PGI2R又はプロスタグランジンI2受容体)は、プロスタグランジンの負の調節がもたらされる可能性がある。TPのノックアウト又は削除(TxA2R又はトロンボキサンA2受容体)は、凝固を刺激するための活性化時に追加の血小板の動員の低減がもたらされる可能性がある。
【0270】
GPVI(ITAM受容体)は、Gタンパク質α-q(Galphaq)ノックアウトマウスでも刺激されることが観察されている。逆に、コラーゲンなどのITAMアゴニストは、ADP及びトロンボキサンA2受容体(TXA2)などのGタンパク質共役型受容体(GPCRアゴニスト)の放出を誘導し、Gq経路を介してホスホリパーゼC(PLC)を間接的に活性化する。更に、Galphaqは、トロンビン、ADP、5-ヒドロキシトリプタミン(5HT)、PAF、及びトロンボキサンA(TXA)の適切な機能のために活性である。
【0271】
P-セレクチン、トロンボキサンシンターゼ、及び血小板活性化因子(platelet activating factor、PAF)をノックアウト又は欠失すると、一度活性化されると血小板凝集の不全がもたらされる。LIMドメインキナーゼ1(LIM Domain Kinase 1、LIMK1)のノックアウト又は欠失は、TxA2合成を低減する。CXCL4(C-X-Cモチーフケモカインリガンド4)及びCXCL7(C-X-Cモチーフケモカインリガンド7)はケモカインであり、したがって、遺伝子のノックアウト又は欠失は、少なくとも1つのシグナル伝達経路を妨害する。タリン1及びキンドリンは、シグナル伝達で機能し、インテグリンが敏感な状態に入るのを可能にする。
【0272】
ANO6/TMEM16Fのノックアウト又は欠失は、血小板の活性化時にホスファチジルセリンを曝露する血小板の能力を破壊する。ホスファチドリセリンは、通常、血小板の細胞質面に保持される膜脂質である。血小板の活性化時に、カルシウムの流入は、ANO6/TMEM16Fを介して血小板の外側でホスファチジルセリン曝露を引き起こし、凝固因子と組み合わせて活性トロンビンの生成を触媒するように作用する。したがって、TMEM16Fのノックアウトは、ホスファチジルセリンへの曝露を防ぎ、血小板の血栓形成性を低下させる。これは、ANO6変異を特徴とし、臨床的に出血のリスクが高いスコット症候群患者によって例証される。
【0273】
血栓形成経路を破壊することに加えて、又はその代わりに、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば操作されたiPSC前駆体、巨核球又は血小板の免疫原性及び/又は炎症特性を調節することも有利であると考えられることは、当業者には明らかである。
【0274】
いくつかの実施形態では、本発明の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントは、「天然の」操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントから産生された血小板よりも免疫原性が低い、すなわち、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、免疫原性が低下するように意図的に操作されていない骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞又はiPSCから産生された血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントよりも免疫原性が低い、例えば、本実施形態の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、インビボで見出される対応するiPSC、巨核球又は血小板(例えば、ヒトドナー由来の血小板)よりも免疫原性が低い。操作されていない前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシよりも免疫原性が低い操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシによって、本発明者らは、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが低免疫原性プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシであるという意味を含む。
【0275】
本発明の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作されたiPSC、操作された巨核球又は操作された血小板は、β2ミクログロブリン遺伝子の欠失を介してユニバーサルにされ得る(Feng et al.「Scalable Generation of Universal Platelets from Human Induced Pluripotent Stem Cells」.Stem Cell Reports,2014を参照され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。この欠失がなくても、ABOが一致する血小板は、一般的に、副作用なしに臨床診療で使用される。ヒト由来のO型血小板は、抗A/B抗体で汚染されているため、普遍的なドナーではないが、インビトロでの血小板では汚染は問題ではない。したがって、ある特定の実施形態では、本明細書に記載の発明は、これらの技術を使用して、遺伝子編集された血小板を大量生産することができ、これもまた容易に保存、輸送され、患者のマッチングを必要としない。
【0276】
低免疫前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、すなわち、操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板、又は免疫原性が低下した血小板様膜結合細胞フラグメントなどの前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの生成に好適であると考えられる更なる戦略。例えば、Sugimoto,N&Eto,K.Cellular and Molecular Life Sciences(2021)doi.org/10.1007/s00018-020-03749-8)を参照されたい。
【0277】
いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作されていない操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板、又は血小板様膜結合細胞フラグメントよりも免疫原性が低い操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板、又は血小板様膜結合細胞フラグメントを作製するために使用することができる3つの戦略がある。
1. 細胞表面上のHLAクラスIa発現の破壊によるユニバーサル前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの生成
2. HLAクラスIb遺伝子のユニバーサル前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ過剰発現の生成
3. 免疫調節遺伝子の過剰発現によるユニバーサル前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの生成。
【0278】
低免疫効果の増強のためにこれらの戦略を組み合わせることができることは、当業者には明らかである。各戦略を以下に説明し例示する。
【0279】
戦略#1:細胞表面上のHLAクラスIaの破壊による普遍的な操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの生成
1.1発現の破壊 ベータ2ミクログロブリン(Beta 2 microglobulin、b2M)
何人かの研究者が、B2MがノックアウトされたhPSCを設計した。これは、B2Mタンパク質がHLAクラスIタンパク質とヘテロ二量体を形成し、細胞表面上でのHLAクラスI発現に必要であるためである。B2M遺伝子のノックアウトは、全てのHLAクラスI分子(HLA-A、-B、-C、-E、-F及び-G)を枯渇させることによって、細胞傷害性CD8+T細胞からの免疫応答を制限することができる。B2M遺伝子の破壊は、CRISPR、TALEN若しくはRNA干渉又は本明細書に記載の他の操作方法を使用して達成することができる。これは、CD34+HSC前駆体細胞及びhiPSCにおいて実証されている(Borger AK,Eicke D,Wolf C,et al.Generation of HLA-universal iP- SC-derived megakaryocytes and platelets for survival under refractoriness conditions.Mol Med.2016;22:2742-2785、Norbnop P,Ingrungruanglert P,Israsena N,Suphapeetiporn K,Shotelersuk V.Generation and characterization of HLA-universal platelets derived from induced pluripotent stem cells.Sci Rep.2020;10(1):8472、Figueiredo C,Goudeva L,Horn PA,Eiz-Vesper B,Blasczyk R,Seltsam A.Generation of HLA-deficient platelets from hematopoietic progenitor cells.Transfusion.2010;50(8):1690-1701、Gras C,Schulze K,Goudeva L,Guzman CA,Blasczyk R,Figueiredo C.HLA-universal platelet transfusions prevent platelet refractoriness in a mouse model.Hum Gene Ther.2013;24(12):1018-1028.)。
【0280】
Norbnopらは、CRISPR遺伝子編集を使用して、B2MノックアウトhiPSCから分化したHSC、MK及び血小板を生成した。HLAユニバーサルhiPSC由来血小板は、機能的であることが見出され、増強されたCD62P(活性化血小板)発現によって活性化され、トロンビン及びアラキドン酸(古典的血小板アゴニスト)による刺激によって凝集が増強された。興味深いことに、鈴木ら(Suzuki D,Flahou C,Yoshikawa N,Stirblyte I,Hayashi Y,Sawaguchi A,Akasaka M,Nakamura S,Higashi N,Xu H,Matsumoto T,Fujio K,Manz MG,Hotta A,Takiazawa H,Eto K,Sugimoto N(2020)iPSC-derived platelets depleted of HLA class I are inert to anti-HLA class I and natural killer cell immunity.Stem Cell Rep 14(1):49-59)は、B2M-KO iPSC-PLTが、HLA-I発現を完全に欠いているが、インビトロでNK細胞応答を誘発しないことを見出した。この観察は、HLA-KO血小板を拒絶するNK細胞の懸念を除去するが(戦略#2及び#3を参照されたい)、血小板の低い免疫原性の理由は未知のままである。
【0281】
いくつかの実施形態では、B2Mの発現は、以下のgRNAのうちのいずれか1つ以上を使用してノックアウトされる(実施例5を参照されたい)。
B2M_1:AAGUCAACUUCAAUGUCGGA[配列番号112]
B2M_2:AGUCACAUGGUUCACACGGC[配列番号113]
B2M_3:ACUUGUCUUUCAGCAAGGAC[配列番号114]
B2M_4:UCACGUCAUCCAGCAGAGAA[配列番号115]
【0282】
以下のうちのいずれかが好ましい。
B2M_2:AGUCACAUGGUUCACACGGC[配列番号113]
B2M_4:UCACGUCAUCCAGCAGAGAA[配列番号115]
【0283】
好ましくは、
B2M_4:UCACGUCAUCCAGCAGAGAA。[配列番号115]
【0284】
B2M発現の完全ではないが著しい消滅でさえも、所望の低免疫表現型を提供し得る。レンチウイルス送達B2M短ヘアピンRNA(shRNA)を使用して、Karabekianら(Karabekian Z,Ding H,Stybayeva G,et al.HLA class I depleted hESC as a source of hypoimmunogenic cells for tissue engineering applications.Tissue Eng Pt A.2015;21(19-20):2559-2571)は、B2MのmRNAレベルが90%減少したことを報告した。shRNAによるB2M発現の持続的な抑制は、T細胞活性化による免疫反応だけでなく、NK細胞応答の抑制にも有効であった。後者の効果は、細胞におけるshRNA発現がhESCにおけるB2M発現の完全な排除をもたらさず、これがNK細胞媒介細胞死滅を回避する利点を与えたという事実に起因する可能性がある。
【0285】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、操作されていない前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに対して低減された免疫原性を有するように操作されている。いくつかの実施形態では、操作されていないシャーシに対して低減された免疫原性を有するように操作されている操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、内因性MHCクラス1の機能を破壊するように、かつ/又はβ2ミクログロブリン遺伝子からの発現を破壊するように操作されている。いくつかの実施形態では、β2ミクログロブリン遺伝子はノックアウトされている。いくつかの実施形態では、β2ミクログロブリン遺伝子は、CRISPR遺伝子編集、又はshRNA、任意選択で、shRNAのレンチウイルス送達の使用によってノックアウトされている。
【0286】
1.2 HLA遺伝子からの発現を破壊する
B2M破壊に加えて、又はその代わりに、HLA-A、B及びC分子のノックアウトがある。Deuse et al(Deuse T,Seifert M,Tyan D,et al.Immunobiology of naive and genetically modified HLA-class-I-knockdown human embryonic stem cells.J Cell Sci.2011;124(Pt 17):3029-3037)は、低免疫原性hESCを生成するために、イントラボディ技術を使用してHLAクラスI分子がノックダウンされたhESCを調製した。操作されたhESCは、T細胞、NK細胞及びマクロファージからの免疫応答の大幅な低減を誘導し、したがって操作されたhESCの生存を延長した。
【0287】
Xuら(Xu H,Wang B,Ono M,et al.Targeted disruption of HLA genes via CRISPR-Cas9 generates iPSCs with enhanced immune compatibility.Cell Stem Cell.2019;24(4):(566-578)はまた、HLA-A及びHLA-Bがノックアウトされているが、HLA-Cの単一対立遺伝子のみがCRISPRによってノックアウトされている、hiPSCも調製した。HLA-C発現を有するが、HLA-A及びHLA-B発現を有しないhiPSC-C細胞は、NK細胞活性を抑制した。11本発明者らはまた、ヒト化マウスを使用して、インビボでのhiPSC-Cの移植片生存を評価した。B2MノックアウトhiPSCの数は、NK細胞移植後に急速に減少したが、hiPSC-C細胞は、インビボで広範囲に生存した。
【0288】
したがって、いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが、1つ以上のHLA遺伝子からの発現が破壊されるように操作されている、前述の請求項のいずれか一項に記載の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ。いくつかの実施形態では、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、HLA-A、HLA-B及び/又はHLA-Cのいずれか1つ以上からの発現が破壊されるように操作されている。いくつかの実施形態では、HLA-A、HLA-B及びHLA-Cの両方の対立遺伝子からの発現が破壊されている。いくつかの実施形態では、HLA-A及びHLA-Bの発現は、完全に破壊されているが、HLA-Cの発現は、部分的に破壊されている。いくつかの実施形態では、HLA-A及びHLA-Bの両方の対立遺伝子からの発現が破壊されているが、HLA-Cの一方の対立遺伝子のみからの発現が破壊されている。
【0289】
戦略#2:HLAクラスIb遺伝子の過剰発現によって免疫原性が低下した前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの生成。
hPSCにおいてB2Mをノックアウトすることは、それらが自己消失応答を欠くため、それらをナチュラルキラー(natural killer、NK)細胞媒介死滅に対して感受性にすることが一般に予想される。HLA-I分子は、NK細胞上のキラー免疫グロブリン様受容体(killer immunoglobulin-like receptor、KIR)及びCD94/NKG2の阻害性リガンドである。
【0290】
多くの生理学的及び病理学的状態において、免疫調節分子は、天然に存在する。そのような分子には、HLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1が含まれる。ここ数年にわたって、これらの4つの分子は、普遍的な細胞の操作における上位の競合者として出現した。それらは、2つの群:「非古典的HLAクラスIb(HLA-G及びE)」及び「免疫チェックポイント」戦略(PDL-1及びCD47)に分類される。
【0291】
したがって、いくつかの実施形態では、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、HLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現するように操作されている。いくつかの実施形態では、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、ベータ2ミクログロブリンからの発現を阻害するように操作されており、HLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現するようにも操作されている。
【0292】
2.1.HLA-Gの過剰発現
HLA-Gは、その1つ以上が細胞傷害性CD8+T細胞、CD4+Tヘルパー細胞、Treg細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、樹状細胞及び単球上で発現される、ILT2、ILT4及びKIR2DL4などの阻害性受容体を介して、自然免疫系及び適応免疫系の実質的に全てのアームに対して強力な免疫抑制作用を有するという点で、免疫調節分子の中でも独特である。HLAクラスIa陰性、HLA-G陽性のiPSC由来NK細胞は、免疫原性が低減しており、インビトロでの生存の増加をもたらす(Bjordahl R,Clarke R,Gaidarova S et al.Multi-functional genetic engineering of pluripotent sell lines for universal off-the-shelf natural killer cell cancer immunotherapy.Blood 130(Suppl.1),3187(2017)。
【0293】
しかしながら、おそらく最も重要なことには、例えば、以下の3つの報告において、HLA-Gは、HLAクラスIa(HLA-A、B及びC)が無傷のままである、同種異系細胞に対する耐性を促進することができるようである(Zhao L,Teklemariam T,Hantash BM.Heterologous expression of mutated HLA-G decreases immunogenicity of human embryonic stem cells and their epidermal derivatives.Stem Cell Res.13(2),342-354(2014)、Teklemariam T,Zhao L,Hantash BM.Heterologous expression of mutated HLA-G1 reduces alloreactivity of human dermal fibroblasts.Regen.Med.9(6),775-784(2014)、Zhao HX,Jiang F,Zhu YJ et al.Enhanced immunological tolerance by HLA-G1 from neural progenitor cells(NPCs)derived from human embryonic stem cells(hESCs).Cell.Physiol.Biochem.44(4),1435-1444(2017))。したがって、今日まで、HLA-G1は、HLAクラスIa分子の遺伝子操作が行われていない同種異系細胞に対する耐性を単独で誘導することが示されている唯一の免疫調節分子である。
【0294】
2.2.HLA-Eの過剰発現
HLA-Eは、HLA-Gと同様に、非古典的HLAクラスIb分子であり、これは最小限に多型性である。単純化されたレベルでは、HLA-Eは、NK及びCD8+T細胞上の受容体CD94/NKG2Aを介して免疫阻害剤であるか、又はNK及びCD8+T細胞上の受容体CD94/NKG2Cを介して、並びにT細胞上のT細胞受容体を介して免疫活性化因子であるという二重の役割を有する。
【0295】
Gornalusseら(Gornalusse GG,Hirata RK,Funk SE,et al.HLA-E-expressing pluripotent stem cells escape allogeneic responses and lysis by NK cells.Nat Biotechnol.2017;35(8):765-772)もまた、CD47過剰発現(下記参照)だけでなく、HLA-Eの強制発現によっても、自己消失応答の欠損を予防することができることを報告した。HLA-EをB2M遺伝子座におけるhESCにノックインしたところ、HLA編集されたhESCは、HLA-A、-B又は-Cの表面発現を示さなかった。HLA編集されたhESC及びそれらの分化細胞(RPE細胞及びHSC)は、CD8+T細胞による同種異系応答を示さず、NK細胞による溶解に抵抗した。この研究は、HLA-Eを除いて多型HLAクラスI分子を発現しないhESC及びそれらの分化細胞におけるHLA-E発現が、NK細胞による自己消失応答の阻害を防止し得ることを実証した。
【0296】
戦略#3:免疫調節遺伝子の過剰発現による免疫原性の低下を伴う前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの生成。
3.1.CD47の過剰発現
CD47は、マクロファージに対する「don’t eat me」シグナルとして作用して、細胞を食作用から保護することによって、自己認識において重要な役割を果たす。これは、CD47と、マクロファージ上に見られる阻害性受容体であるSIRPα/CD172aとの相互作用を介して達成される。CD47は、免疫逃避のために固形悪性腫瘍及び血液悪性腫瘍において広範囲に上方制御される。また、胎児-母体血液と胎児組織との間の界面は、細胞性栄養膜細胞から構成され、低レベルのHLAクラスI及びII分子並びに高レベルのCD47を発現する。したがって、Deuseら(Deuse T,Hu X,Gravina A,et al.Hypoimmunogenic derivatives of induced pluripotent stem cells evade immune rejection in fully immunocompetent allogeneic recipients.Nat Biotechnol.2019;37(3):252-258)は、CRISPRを使用してB2M及びCIITAの両方をノックアウトし、その後、CD47遺伝子をhiPSCにノックインした、hiPSC(BCC-hiPSC)を設計した。BCC-hiPSCに由来する心筋細胞及び内皮細胞は、同種異系レシピエントにおいて免疫応答を回避した。具体的には、BCC-hiPSC上のCD47の過剰発現は、インビトロ及びインビボでNK細胞活性及び殺傷能を阻害した。
【0297】
3.2.PD-Lの過剰発現
CD274又はB7-H1としても知られるPD-L1は、「don’t find me」シグナルをT細胞に送達し、それによって、T細胞上に位置するPD-1受容体に結合してT細胞を阻害する。PD-L1は、T細胞表面に提示されるプログラム細胞死1(PD-1)に対して高い結合親和性を有し、PD-L1とPD-1との間の相互作用が、T細胞活性の阻害をもたらす。Rongら(Rong Z,Wang M,Hu Z,et al.An effective approach to prevent immune rejection of human ESC-derived allografts.Cell Stem Cell.2014;14(1):121-130)は、PD-L1及び細胞傷害性Tリンパ球抗原4(cytotoxic T lymphocyte antigen 4、CTLA4)-免疫グロブリン(immunoglobulin、Ig)を建設的に発現する遺伝子編集hESC(PC-hESC)を生成した。CTLA4は、T細胞の活性化に関与する主要なシグナル伝達経路である、CD86及びCD80に対して高い結合親和性を有する。次いで、CTLA4及びIgの融合タンパク質を、T細胞媒介免疫応答を阻害するように設計した。PC-hESCから分化した細胞は、ヒト化マウスに移植された場合に免疫応答を生じなかったが、遺伝的に編集されていない元のhESCは、ヒト化マウスにおいて広範に拒絶された。
【0298】
本明細書に記載の遺伝子の破壊及び過剰発現の様々な組み合わせを行うことができることは、当業者には明らかである。例えば、Hanら(Han X,Wang M,Duan S,et al.Generation of hypoimmunogenic human pluripotent stem cells.Proc Natl Acad Sci USA.2019;116(21):10441-10446)は、HLA-A、-B及び-Cがノックアウトされた、CRISPR/Cas9遺伝子編集を使用して低免疫原性hESCを生成した。その後、PD-L1、HLA-G及びCD47を、これらのHLA欠損KO細胞中のAAVS1のセーフハーバー遺伝子座にノックインした。
【0299】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを提供し、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、操作されていないシャーシに対して低減された免疫原性を有するように操作されており、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、
a)MHCクラス1遺伝子又はタンパク質の機能が破壊されている、
b)β2ミクログロブリン遺伝子からの発現が破壊されており、任意選択でβ2ミクログロブリン遺伝子がノックアウトされている、
c)1つ以上のHLA遺伝子からの発現が破壊されている、
d)HLA-A、HLA-B及び/又はHLA-Cのうちのいずれか1つ以上からの発現が破壊されており、任意選択で、HLA-A及びHLA-Bの発現は完全に破壊されているが、HLA-Cの発現は部分的に破壊されており、任意選択で、HLA-A及びHLA-Bの両方の対立遺伝子からの発現は破壊されているが、HLA-Cの一方の対立遺伝子のみからの発現は破壊されている、
e)HLAクラスIb遺伝子のうちのいずれか1つ以上、任意選択でHLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現する、
f)HLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現する(任意選択で、ベータ2ミクログロブリン遺伝子からの発現が破壊されるように操作されている)、並びに/又は
g)1つ以上の免疫調節遺伝子を過剰発現する(任意選択で、1つ以上の免疫調節遺伝子が、CD47及びPD-L1を含む群から選択される)ように操作されている。
【0300】
上記の遺伝子調節及び/又は過剰発現のうちのいずれかに加えて、本明細書に記載の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、より有利な前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、第2世代の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに更に操作され得る。これらの更なる操作工程は、いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ内に含有される、例えば、操作された血小板又は操作された血小板様膜結合細胞フラグメントとともに含有されるカーゴの効力に産物が負に影響し得る1つ以上の遺伝子を排除することを目的とする。前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの天然の特性は、自然応答/適応応答に関して調整することができる。以下に記載されるのは、操作され得る2つの例示的な遺伝子であるが、この概念は、他の遺伝子(付録に列挙される)に適用され得る。このアプローチは、望ましい血管形成における血小板のベースライン特性を修飾するために拡張され得る。
【0301】
止血の一次細胞メディエーターとしてのそれらの十分に特徴付けられた役割を超えて、血小板が自然免疫応答及び適応免疫応答の調節において重要な役割を有することが徐々に認識されてきた。例えば、血小板は、炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び腫瘍増殖の開始において役割を有することが示されている。
【0302】
プロテオミクス分析は、血小板が、トロンビンによる活性化後に300を超える異なるタンパク質を分泌する能力を有し、そのうちのいくつか(例えば、IL-1、TLR及びCD154(CD40Lとしても知られる))が、血液凝固以外のプロセスに明らかに関与することを実証した。
【0303】
それらが休止しているか又は活性化されているかにかかわらず、血小板は、それらの表面上(又はエキソソーム及び微小胞の表面上)に、血小板間の同型相互作用及び血小板と異なる免疫細胞集団との間の異型相互作用の両方を促進する一連の接着タンパク質を提示する。活性化されると、それらはまた、様々な炎症促進性及び抗炎症性サイトカイン及びケモカインを含有する、それらの顆粒の内容物を放出する。
【0304】
多数の報告が、自然系及び適応系由来の細胞並びに病原体又は病原体に感染した細胞と接触している休止血小板及び活性化血小板の相互作用を研究している。明らかになった像は、血小板が、状況(微小環境、細胞状態、組織完全性など)に完全に依存する炎症促進性及び免疫抑制性を併せ持つということである。
【0305】
前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの遺伝子破壊は、血栓形成プログラムを除去するために排他的に標的化されるため、本明細書に記載の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば血栓形成能が低下した操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば血栓形成能が低下した操作された血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントは、自然応答及び適応応答の調節においてヒト血小板と広く類似した特性を有すると考えられる。
【0306】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、脱顆粒時に放出されるカーゴを含み、好ましい実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシはまた、標的部位での脱顆粒及びカーゴの放出の局所的な誘発をもたらすように、本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを含む。脱顆粒の際に、顆粒の標準内容物もカーゴと一緒に放出されることが予想される。
【0307】
これは、大量の循環野生型血小板を考慮すると、操作された血小板の生物学的可能性、したがって治療可能性に悪影響を及ぼさない可能性があるが、いくつかの治療設定では、操作された血小板によって天然に産生されたいくつかの接着タンパク質及び/又はカーゴ実体が、操作された血小板の局所的な生物学的作用に間接的に対抗し、それによって治療有効性を低減する可能性があると考えられる。
【0308】
これに対処するために、操作されたカーゴの生物学的作用に間接的に対抗する可能性が高い接着タンパク質及び/又はカーゴ実体をコードする1つ以上の遺伝子を破壊して、より大きな正味の治療効果をもたらす可能性があることが有利であると考えられる。
【0309】
ここで概説される概念は、CAR T細胞などの他の細胞療法とともに適用されており、例えば、McGowan et al 2020 Biomedicine and Pharmacotherapy PD-1 disrupted CAR-T cells in the treatment of solid tumors:Promises and challenges https://doi.org/10.1016/j.biopha.2019.109625)を参照されたい。
【0310】
したがって、一実施形態では、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板、又は血小板様膜結合細胞フラグメントは、操作されたカーゴの生物学的作用に間接的に対抗する可能性が高い接着タンパク質及び/又はカーゴ実体をコードする1つ以上の遺伝子の発現を破壊又はノックアウトするように操作されており、潜在的により大きな正味の治療効果をもたらす。
【0311】
CD40Lの下方制御
活性化されると、血小板は、CD40L(CD154として知られる)を放出する。CD40Lは、T細胞上で最初に記載され、免疫系の重要な同時刺激シグナル発生及び機能であるが、血液血小板の真の数は、血液血小板を循環におけるCD40Lの主な供給源にする。
【0312】
CD40Lは、抗原提示細胞(B細胞、マクロファージ、樹状細胞、単球)上に主に見出される受容体であるCD40に結合する。CD40はまた、上皮細胞及び内皮細胞、線維芽細胞、筋線維芽細胞、星細胞、並びに休止血小板などの非免疫細胞上にも存在する。CD40/CD40L系は、免疫細胞間、及び免疫細胞と非免疫細胞との間の相互作用を可能にする。
【0313】
CD40は、細胞表面受容体(Tヘルパー細胞及び活性化血小板上など)として、播種及び免疫の遠位制御のために循環中に放出される血小板微小胞(platelet micro-vesicle、PMV)の表面に、又は可溶性三量体sCD40Lとして提示されるCD40Lと結合することができる。
【0314】
CD40LとCD40との係合は、CD40+細胞の免疫応答プログラムの活性化をもたらす。例えば、(1)内皮細胞(endothelial cell、EC)は、ケモカイン(IL-8、TNFアルファ及びMCP-1)を分泌し、接着分子(E-セレクチン、VCAM及びICAM-1)を発現する。(2)DCは、Il-6及びIL-12を産生するとともに、それらのCD80及びCD86の発現を増加させる。(3)B細胞は、アイソタイプスイッチ、記憶表現型への成熟、及び増殖を受ける。
【0315】
CD40は、炎症応答、体液性免疫及び細胞性免疫のための重要な活性化受容体である。CD40は広範囲の細胞型に存在し、活性化血小板はTヘルパー細胞とともにCD40L(膜結合及び可溶性)の主な寄与因子であるため、免疫系活性化が治療応答を促進することが求められる治療適応症において、血小板中のCD40Lレベルを維持することが有益であると推論することができる。
【0316】
しかしながら、他の治療設定において、操作された血小板におけるCD40Lの存在は、直交性の内因性/外因性カーゴが免疫、炎症及び/又は増殖事象を遮断するように選択される場合、直交性の内因性/外因性カーゴの治療効力を打ち消す/圧倒し得る。そのような治療設定は、例えば、抗原提示CD40+細胞によって駆動又は支持されるいくつかの形態の血液媒介がん又は自己免疫疾患(例えば、RA、クローン病、シェーグレン症候群)である。例えば、CD40+単核細胞(SFMC)は、関節リウマチ(rheumatoid arthritis、RA)を有する患者からの生検の滑液中に豊富である。RA SFMCからのTNF-アルファ分泌は、CD40刺激によって増強されるが、RA SFMCからのTNF-アルファの自然分泌は、抗CD40抗体によって阻害される。したがって、RAを治療するためにSFMCにペイロードを送達することを対象とする操作された血小板は、血小板がCD40Lを欠いている場合、より大きな疾患修飾効果を示し得る。(Expression and function of CD40 in rheumatoid arthritis synovium J Rheumatol.1998 Jun;25(6):1048-53.)別の例では、CD40は、多くのB細胞悪性腫瘍(すなわち、慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia、CLL)及び多発性骨髄腫(multiple myeloma、MM)、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、及び急性リンパ芽球性白血病)及びある種の固形悪性腫瘍(例えば、腎細胞がん、乳がん、黒色腫、膵臓がん)の表面に発現される。濾胞性Tヘルパー細胞によるCD40L係合は、これらの悪性細胞において強力な生存促進性シグナル伝達を誘導する。それはまた、フルダラビン及びBcl-2アンタゴニストベネトクラクスなどのアポトーシス誘導低分子剤に対する耐性を誘導する。非アゴニスト抗体を用いてCD40を遮断するアプローチは、臨床において進歩している(Leuk Lymphoma.2012 November;53(11)Phase I study of the anti-CD40 humanized monoclonal antibody lucatumumab(HCD122)in relapsed chronic lymphocytic leukemia.)。したがって、悪性B細胞へのペイロードの送達を対象とする操作された血小板は、血小板がCD40Lを欠いている場合、より大きな疾患修飾効果を示し得ることが予想される。
【0317】
結論として、CD40Lを欠く本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、CD40Lの局所放出が炎症、
免疫応答又は細胞増殖を遮断することを目的とした直交治療効果に対抗する状況において、操作された血小板のより大きな治療有効性の可能性を開くであろう。
【0318】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、CD40L遺伝子の発現を破壊又はノックアウトするように操作された、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板、又は血小板様膜結合細胞フラグメントを提供する。
【0319】
拡大解釈すると、活性化血小板の表面に提示されるか又は活性化血小板から放出される他の免疫活性化因子/エフェクター(可溶性タンパク質、エキソソーム上に固定された受容体又はPMVのいずれかとして)を、遺伝子破壊/サイレンシングの標的とすることができる。ゲノム操作の効率及び多重能力は、1つの前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシにおいて複数の免疫活性化剤を標的化することを可能にする。いくつかの実施形態では、CD36、NOD2、SRB1、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR6、TLR9、CD40L、CD93(C1qRp)、C3aR、CD88(C5aR)、CD89(FcaR1)、CD23(FceR1)、CD32(FcgRIIa)、MHCclass1、CD191(CCR1)、CD193(CCR3)、CD194(CCR4)、CD184(CXCR4)、CX3CR1、CD102(ICAM-2)、JAM-C/JAM-3、CD62P(P-セレクチン)、CD31(PECAM-1)、CD150(SLAMF1)、CCL2、CCL3、CCL5、CXCL1、CXCL12、CXCL4/PF4、CXCL5、CXCL8、NAP2(CXCL7)、IL-1bの発現を破壊又は阻害することが有益であると考えられる抗炎症性免疫エフェクターの非排他的なリスト。図12を参照されたい。
【0320】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、以下の遺伝子:CD36、NOD2、SRB1、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR6、TLR9、CD40L、CD93(C1qRp)、C3aR、CD88(C5aR)、CD89(FcaR1)、CD23(FceR1)、CD32(FcgRIIa)、MHCclass1、CD191(CCR1)、CD193(CCR3)、CD194(CCR4)、CD184(CXCR4)、CX3CR1、CD102(ICAM-2)、JAM-C/JAM-3、CD62P(P-セレクチン)、CD31(PECAM-1)、CD150(SLAMF1)、CCL2、CCL3、CCL5、CXCL1、CXCL12、CXCL4/PF4、CXCL5、CXCL8、NAP2(CXCL7)、IL-1bのうちのいずれか1つ以上の発現を破壊又はノックアウトするように操作された、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板、又は血小板様膜結合細胞フラグメントを提供する。
【0321】
GARP-TGFβ軸の下方制御
トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)は、大部分の細胞によって発現され、全ての組織において見出される多面的サイトカインである。それは、生物学的プロセス(例えば、細胞増殖、発生、アポトーシス、線維症、血管新生、創傷治癒、及びがん)の多くの局面において重要な役割を果たす。
【0322】
獲得免疫において、TGF-β1は、従来のCD4T(Tconv)細胞を、転写因子Foxp3を発現する誘導制御性T(iTreg)細胞に変換し、Treg増殖を促進するために必要とされる。自然免疫及びがんに関して、TGF-βは、NKG2Dリガンドの下方制御を介して、樹状細胞(dendritic cell、DC)成熟並びにナチュラルキラー(natural killer、NK)細胞を阻害する。TGF-βの役割は、がんの開始を促進する非消散性炎症においても十分に研究されている。腫瘍由来TGF-βは、マクロファージを腫瘍関連マクロファージ(tumour-associated macrophage、TAM)に分極させる。TAMに由来するTGF-βは、転移をもたらす上皮間葉転換(epithelial to mesenchymal transition、EMT)の主要な駆動因子のうちの1つである。更に、TGF-βは、CD8+細胞傷害性T細胞(cytotoxic T cell、CTL)のクローン増殖及び細胞傷害性を直接阻害することによって、適応抗腫瘍免疫を損なう。最後に、TGF-βは、CD4T細胞に調節性及び免疫抑制性の表現型を付与するFoxp3の発現を誘導することによってCTLを間接的に減弱させる。
【0323】
血小板は、TGFβ自体の分泌よりもむしろTGFβドッキングGARPの構成的発現を介して、全身的に、並びに腫瘍微小環境において、機能的TGFβの主要な供給源である。GARP(糖タンパク質-A反復優勢タンパク質)は、免疫細胞上、特に活性化Treg上、及び構成的に血小板上で発現される潜在型TGF-β1受容体として同定されている。血小板内因性GARPは、TGFβの捕捉及び活性化において最も主要な役割を果たし、したがって、Treg細胞恒常性に著しく寄与する。
【0324】
これと一致して、いくつかの報告は、免疫性血小板減少症を有する患者がCD4+CD25+FOXP3+調節性T(TReg)細胞の欠損を有することを示している。血小板数を増加させる療法(静脈内免疫グロブリン、デキサメタゾン、リツキシマブ又はTPOなど)は、ITP患者においてTreg細胞数及び機能を回復させることが示されている。
【0325】
TGFβシグナル伝達は、がん進行において重要な役割を有し、ほとんどのがん細胞は、それらの上皮抗増殖応答を不活性化しており、遺伝子発現、免疫抑制性サイトカインの放出及び上皮可塑性に対する効果を介して、TGFβ発現及び自己分泌TGFβシグナル伝達の増加から利益を得る。結果として、TGFβは、がん細胞の浸潤及び播種、幹細胞特性並びに治療抵抗性を可能にする。がん細胞、間質線維芽細胞及び腫瘍微小環境中の他の細胞によって放出されるTGFβは、腫瘍の構造を形作ることによって、及び免疫細胞の抗腫瘍活性を抑制することによってがんの進行を更に促進し、したがって、抗がん免疫療法の有効性を防止又は減衰する免疫抑制環境を生成する。
【0326】
したがって、GARP-TGFβ軸は、がん微小環境における重要な免疫抑制性分子ホールマークである(J Hematol Oncol.2018 Feb 20;11(1)Immunoregulatory functions and the therapeutic implications of GARP-TGF-beta in inflammation and cancer)。血小板は、バイスタンダーではない。実際、血小板がGARP-TGFβ軸を介してT細胞免疫を拘束するという証拠は、GARPコード遺伝子Lrrc32の血小板特異的欠失によって得られており、これは腫瘍部位でのTGFβ活性の鈍化をもたらし、動物モデルにおいて黒色腫及び結腸がんの両方に対する防御免疫を増強した(Platelets subvert T cell immunity against cancer via GARP-TGFbeta axis.Sci Immunol.2017 May 5;2(11)。
【0327】
GARP-TGFβ軸は、転移性細胞を「覆う」血小板にも関与しており、それらは、腫瘍細胞からの可溶性NKG2Dリガンドの放出を誘導して検出をマスクすること(「免疫デコイ」)によって、並びにNK細胞脱顆粒及び炎症性サイトカイン(IFNγ)産生を同時に能動的に抑制することによって、ナチュラルキラー(NK)細胞を阻害する。
【0328】
したがって、(iPSCレベルでのGARP若しくはTGFβ遺伝子の破壊によるか、又はサイレンシングRNAの発現によるかのいずれかで)GARP-TGFβ軸を欠く本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、TGFβの活性化及び局所濃度が、がん細胞増殖及びEMTを遮断することを目的とした直交治療効果に対抗する多くの状況において、操作された血小板のより大きな治療有効性の可能性を開く。
【0329】
いくつかの実施形態では、GARP LRRC32遺伝子は、以下のgRNAのうちのいずれかを使用してノックアウトされる。
gRNA99:CCUGAGCUGCAACAGCAUCG[配列番号116]
gRNA100:GCCACCAGCACUCAGCGCAG[配列番号117]
【0330】
拡大解釈すると、活性化血小板の表面に提示されるか又は活性化血小板から放出される他の免疫調節因子(可溶性タンパク質、エキソソーム上に固定された受容体又はPMVのいずれかとして)を、遺伝子破壊/サイレンシングの標的とすることができる。ゲノム操作の効率及び多重能力は、1つの前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシにおいて複数の免疫下方調節因子を標的化することを可能にする。いくつかの実施形態では、その発現を破壊又は阻害することが有益であると考えられる抗炎症性免疫エフェクターの非排他的なリストは、以下のとおりである:Siglec-7、Siglec-9、Siglec-11、TGFb。図14及び図15を参照されたい。
【0331】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、以下の遺伝子:Siglec-7、Siglec-9、Siglec-11、TGFbのうちのいずれか1つ以上の発現を破壊又はノックアウトするように操作された、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板、又は血小板様膜結合細胞フラグメントを提供する。
【0332】
本明細書に記載されるように、遺伝子破壊又は過剰発現のうちのいずれか1つ以上を含む前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARのうちのいずれか1つ以上を含んでも含まなくてもよく、すなわち、本発明は、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARのうちのいずれか1つ以上を含まない本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを提供し、また本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを含む本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシも提供することに留意されたい。
【0333】
いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、T細胞シグナル伝達を増強し、免疫応答を刺激するために、1つ以上の追加のITAM受容体を発現するように操作され得る。T細胞受容体(TCR)は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)に結合した抗原を認識する(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、James et al.Sci.Signal.11,eaan1088(2018)を参照されたい)。TCR上のITAMは、結合及び認識の作用を細胞内シグナルに変換する(同上)。追加のITAMをキメラTCRに挿入すると、ITAM受容体の数に比例してスケーリングすることが観察され、ITAM受容体の数を減らすかノックアウトすると、胸腺細胞系統の関与を損なうことによってT細胞の発達が阻害されることが観察された(同上)。したがって、一実施形態では、本発明は、T細胞シグナル伝達を増強し、免疫応答を刺激するために1つ以上の追加のITAM受容体を発現するように操作された、本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ、又は操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシを提供する。
【0334】
操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが、任意の数の異なる遺伝子破壊、遺伝子欠失、若しくは遺伝子過剰発現、又は他の修飾を含み得ることは、上記から明らかである。
【0335】
いくつかの実施形態では、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントは、少なくとも1つの遺伝子、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は少なくとも10個の遺伝子の破壊、例えば、少なくとも1つの遺伝子、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は少なくとも10個の遺伝子の破壊を含み、ここで、遺伝子は、血栓形成経路に関与し、免疫原性に関与し、かつ/又は炎症に関与する。
【0336】
いくつかの実施形態では、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、特定のシグナルに応答してタンパク質を合成するように操作されている。例えば、Weyrich et al.では、BCL-3は、ラパマイシン(mechanistic target of rapamycin、mTOR)依存性シグナル伝達機構の機械的標的を介して、活性化血小板で特異的に上方制御された(Weyrich et al.「Signal-dependent translation of a regulatory protein,Bcl-3,in activated human platelets」.PNAS,1998を参照され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。したがって、BCL-3遺伝子座への遺伝子のノックイン又は活性化依存性翻訳を媒介する最小の5’UTR領域の同定により、血小板における合成遺伝子発現調節が可能になる。したがって、本明細書に記載の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、いくつかの実施形態では、シグナル伝達誘導性タンパク質翻訳をもたらす改変されたシグナル伝達経路を有し得る。例えば、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、血小板活性化の際にカーゴタンパク質を発現するように操作されてもよく、かつ/又は血小板を破壊する目的で、若しくは毒性ペイロードを標的細胞/組織に送達する目的で、活性化の際に毒性タンパク質を発現するように操作されてもよい。
【0337】
いくつかの実施形態では、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば操作された血小板又は操作された血小板様膜結合細胞フラグメントは、活性化シグナルに応答してタンパク質を合成することができる。例えば、Weyrich et al.では、BCL-3は、ラパマイシン(mTOR)依存性シグナル伝達機構の機械的標的を介して、活性化血小板で特異的に上方制御された(Weyrich et al.「Signal-dependent translation of a regulatory protein,Bcl-3,in activated human platelets」.PNAS,1998を参照され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。したがって、BCL-3遺伝子座への遺伝子のノックイン又は活性化依存性翻訳を媒介する最小の5’UTR領域の同定により、血小板における合成遺伝子発現調節が可能になる。したがって、本明細書に記載の血小板は、シグナル伝達誘導タンパク質翻訳をもたらすシグナル伝達経路が改変している可能性がある。例えば、一度活性化された毒性タンパク質を発現するか、又は標的細胞の認識に続いて下流のイベントを引き起こす。したがって、いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントの活性化に応答して目的のタンパク質又はRNAを合成するように操作されており、任意選択で、目的のタンパク質又はRNAは、BCL-3遺伝子座から発現される。
【0338】
本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、血栓形成能を欠き、かつ/又は免疫原性が低減しており、かつ/又は炎症能が低減しており、本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、標的化送達システムであるとみなすことができる。したがって、本発明は、本発明の任意の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する、本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ又は操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシを含む標的化送達システムを提供する。
【0339】
カーゴの標的化送達を実際に行うエフェクターシャーシが、血小板若しくは血小板様膜結合細胞フラグメント、又はSynletであることは当業者には明らかであるが、血小板若しくは血小板様膜結合細胞フラグメント、又はSynletは、前駆体(precursor)前駆体(progenitor)シャーシ又はプロデューサーシャーシ、例えばiPSC又は巨核球に由来する。
【0340】
場合によっては、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、標的化送達システムの前駆体シャーシ、又はプロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、本発明の1つより多くのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを含む。例えば、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、場合によっては、本発明の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、又は少なくとも10種の異なるCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを含む。
【0341】
場合によっては、例えば、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが、本発明の少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する場合、本発明の少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの標的結合ドメインが異なる標的に向けられている場合、これは前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを少なくとも2つの異なる標的に標的化することを可能にする。
【0342】
場合によっては、異なる標的結合ドメインを有する少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインは、両方とも血小板活性化ドメインであり、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARのうちの一方又は両方がそれぞれの標的に結合すると、血小板が脱顆粒する。これは、ORシステムであると考えることができ、すなわち、血小板は、第1の標的又は第2の標的に結合すると活性化する。これが有用であり得る状況は、例えば、特定のがんが2つの異なる細胞表面腫瘍特異的抗原を発現することが知られている場合である。
【0343】
場合によっては、異なる標的結合ドメインを有する、少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインは、反対の機能を有し、すなわち、1つの血小板調節ドメインは、血小板活性化ドメインであり、第2の血小板調節ドメインは、血小板の活性化を阻害するドメインである。この状況において、例えば、第1の標的結合ドメインを有する第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインは、血小板活性化ドメインであってもよく、例えば、ITAM含有ドメインであってもよく、第2の標的結合ドメインを有する第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインは、血小板脱顆粒の活性化を阻害するドメインであってもよく、例えば、ITIM含有ドメインであってもよい。この実施形態の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが第1の標的にのみ結合する場合、ITAMドメインは、血小板活性化及び脱顆粒をもたらす。しかしながら、第1及び第2の標的の両方が存在し、第1及び第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARが第1及び第2の標的に結合する場合、第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARのITIMドメインは、そうでなければ第1の標的が第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARに結合することによって引き起こされる血小板の活性化を抑制する。このようにして、AND/OR/NORのような複雑な論理ネットワークを構築することが可能である。上記の例では、活性化は、第1の標的の存在及び第2の標的の非存在下でのみ起こる。第2の標的が存在し、第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARによっても結合される場合、第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを介した血小板活性化が阻害される。
【0344】
これらのタイプの論理ネットワークは、例えば、ITAMドメインに基づくもの、ITIMドメインに基づくもの、及びGPCRに基づくものを含む、本明細書に記載のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARのうちのいずれかを組み込むことができる。
【0345】
いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが、それを非血栓形成性にするように操作された、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、非血栓形成性になるように操作された、操作されたiPSC、操作された巨核球又は操作された血小板であり、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが本発明の1つ以上のCPRを発現する場合、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシと、1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARとの組み合わせは、非血栓形成性送達システムであるとみなすことができる。したがって、本発明は、本発明による操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを含む非血栓形成性送達システムを提供し、操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、非血栓形成性であり、本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する。そのようなシステムは、Synlet送達システムと称され得る。
【0346】
非血栓形成性送達システム又はSynlet送達システムは、治療カーゴの送達のためのものであってもよく、この場合、システムは、非血栓形成性治療送達システムであるとみなすことができるか、又はカーゴは、非治療カーゴであってもよく、例えば、化粧品カーゴ又は造影剤であってもよく、この場合、システムは、非血栓形成性非治療送達システムであるとみなすことができる。
【0347】
したがって、本発明は、前述の請求項のいずれか一項に記載の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する、前述の請求項のいずれか一項定義されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、好ましくはエフェクターシャーシを含む標的化送達システムを提供し、任意選択で、標的化送達システムは、治療的標的化送達システム又は非治療的送達システムである。
【0348】
本発明はまた、前述の請求項のいずれか一項に記載の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する、前述の請求項のいずれか一項定義されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、好ましくはエフェクターシャーシを含む非血栓形成性標的化送達システムを提供し、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、血栓形成経路を破壊するように操作されており、標的化送達システムは、非血栓形成性治療的標的化送達システム又は非血栓形成性非治療的送達システムである。
【0349】
言及したように、本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ、又は本発明の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシは、カーゴを含んでもよい。本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ、又はカーゴを含む本発明の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシは、本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR若しくはePARを含んでもよく、又は本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR若しくはePARを含まなくてもよい。
【0350】
本明細書におけるカーゴへの言及は、血小板若しくは血小板様膜結合細胞フラグメント、又は操作された血小板若しくは操作された血小板様膜結合細胞フラグメントを使用して送達され得る任意のカーゴを指すことが意図される。送達され得るために、カーゴは、細胞質中、アルファ顆粒などの顆粒中、又は原形質膜中若しくは原形質膜表面に位置し得る。
【0351】
カーゴは、治療的カーゴであってもよく、又は非治療的カーゴであってもよく、例えば、造影剤又は美容剤であってもよい。
【0352】
どの薬剤がカーゴとして使用するのに好適であるかは、当業者には明らかである。カーゴは、シャーシによって内因的に発現され得るか、又はシャーシに外因的にロードされ得る任意の実体であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、カーゴは、
a)タンパク質又はペプチドであって、いくつかの実施形態では、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくはT細胞エンゲージャー(bispecific T-cell engager、BiTE)、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(clustered regularly interspaced short palindromic repeat、CRISPR)配列から選択される、RNA、又は
ii)DNAベクターである、核酸、
c)毒素、
d)小分子薬物又は造影剤、
e)AAVなどのウイルスベクター、
f)腫瘍溶解性ウイルスなどのウイルス、
g)CRISPR媒介遺伝子編集を実行するための薬剤、
あるいはそれらの任意の組み合わせ、
h)放射性ヌクレオチド薬物、
i)放射性ヌクレオチドタグ付抗体、又はそれらの任意のコンジュゲートを含むか、あるいはそれらからなる群から選択される。
【0353】
いくつかの実施形態では、カーゴは、抗体又はその抗原結合フラグメントである。本明細書で使用される場合、「抗体」又は「抗体(複数)」という用語は、抗原結合部位を含有する分子、例えば、免疫グロブリン分子、及び抗原結合部位を含有する免疫グロブリン分子の免疫学的に活性なフラグメントを指す。免疫グロブリン分子は、任意の種類(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又はサブクラスの免疫グロブリン分子であり得る。抗体としては、合成抗体、モノクローナル抗体、単一ドメイン抗体、一本鎖抗体、組換え産生された抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、細胞内抗体、scFv(例えば、単一特異的及び二重特異性などを含む)、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び上記のもののうちのいずれかのエピトープ結合フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0354】
本明細書で使用される場合、「抗体フラグメント」という用語は、F(ab’)、F(ab)、Fab’、Fab、Fv、scFvなどの抗体の部分である。構造にかかわらず、抗体フラグメントは、インタクトな抗体によって認識されるのと同じ抗原に結合する。例えば、抗OX40抗体フラグメントはOX40に結合する。「抗体フラグメント」という用語はまた、重鎖及び軽鎖の可変領域からなる「Fv」フラグメントなどの可変領域からなる単離されたフラグメント、並びに軽鎖及び重鎖可変領域がペプチドリンカーによって連結している組換え一本鎖ポリペプチド分子(「scFvタンパク質」)を含む。本明細書で使用される場合、「抗体フラグメント」という用語は、Fcフラグメント又は単一アミノ酸残基などの、抗原結合活性を有さない抗体の部分を含まない。
【0355】
「Fabフラグメント」によって、本発明者らは、インタクトな抗体によって認識される同じ抗原に結合することができるFabフラグメント(完全な軽鎖並びに重鎖の可変領域及びCH1領域を含む)を含む。Fabフラグメントは当該技術分野で知られている用語であり、Fabフラグメントは、重鎖及び軽鎖の各々の1つの定常ドメイン及び1つの可変ドメインを含む。
【0356】
いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば操作された血小板に、免疫系から覆い隠されるであろう毒素をロードしてもよい。前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作された血小板には、血液脳関門(blood brain barrier、BBB)を通過する薬剤の移入を仲介するために、ケモカイン及び/又はセレクチンをロードされ得る。前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの他の実施形態は、膜及び/又は可溶性タンパク質をロードされた血小板分泌顆粒を有し得る。ある特定の実施形態では、毒素は、血小板受容体の活性化時に放出されるであろう分泌顆粒へのその取り込みを指示するために付着したα顆粒局在化シグナルでコードされ得る。
【0357】
プログラム細胞死タンパク質(PD-1)の血小板発現、及びシクロホスファミドによる操作された血小板のロードは、強力な抗黒色腫剤として機能することが観察されている(Zhang et al.「Engineering PD-1-Presenting Platelets for Cancer Immunotherapy.」Nano Letters,2018を参照され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。具体的には、巨核球はPD-1を発現するように操作され、次いで、得られた操作された血小板にシクロホスファミドが受動的にロードされた。黒色腫を標的とする血小板は、合成受容体ではなく、インビボでの腫瘍の外科的創傷によって(すなわち、血小板の天然の血栓形成性を使用して)引き起こされ、腫瘍のTreg枯渇及びCD8T細胞を介した死滅の増加をもたらした。腫瘍体積は、PD-1を発現する血小板又はシクロホスファミドをロードした血小板で治療した動物と比較して、PD-1及びシクロホスファミドの両方を投与した群の動物の治療開始から20日後に有意に少ないことが観察された。
【0358】
いくつかの実施形態では、本発明の操作された血小板のカーゴは、メッセンジャーRNA(messenger RNA、mRNA)であり得る。本明細書で使用される場合、「メッセンジャーRNA」(mRNA)という用語は、目的のポリペプチドをコードし、翻訳されて、インビトロ、インビボ、インサイチュ又はエクスビボでコードされた目的のポリペプチドを産生することができる、任意のポリヌクレオチドを指す。そのようなmRNA分子は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2013/151666号に教示されているもののうちのいずれかの構造的成分又は特徴を有し得る。
【0359】
いくつかの実施形態では、CRISPR/Cas遺伝子編集システムを使用して、巨核球のゲノムを改変して、本明細書に記載の操作された血小板を生成することができる。代替的に、CRISPR/Casシステムを小胞にパッケージ化して、CPRによって認識される抗原による血小板の活性化時に放出することもできる。CRISPR/Casシステムは、RNA誘導エンドヌクレアーゼを利用して特定の配列を標的とし、標的核酸を分解する細菌適応免疫系である。それらは、ゲノム編集及び/又は転写調節の分野での様々な用途での使用に適合されている。当該技術分野で知られている、又は本明細書に開示されている酵素又はオルソログのいずれかを、ゲノム編集のための本明細書の方法で利用することができる。
【0360】
ある特定の実施形態では、CRISPR/Casシステムは、II型CRISPR/Cas9システムであり得る。Cas9は、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)及びCRISPR RNA(crRNA)と一緒に機能して、二本鎖DNAを切断するエンドヌクレアーゼである。リンカーループでcrRNAの3’末端をtracrRNAの5’末端に接続することにより、2つのRNAを操作して単一分子ガイドRNAを形成することができる。Jinek et al.,Science,337(6096):816-821(2012)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、CRISPR/Cas9システムがRNAプログラム可能なゲノム編集に有用であることを示し、国際公開第2013/176772号は、部位特異的遺伝子編集のためのCRISPR/Casエンドヌクレアーゼシステムの多数の例及び適用を提供し、これら全体は、参照により本明細書に組み込まれる。例示的なCRISPR/Cas9システムには、Streptococcus pyogenes、Streptococcus thermophilus、Neisseria meningitidis、Treponema denticola、Streptococcus aureas、及びFrancisella tularensisに由来するシステムが含まれる。
【0361】
ある特定の実施形態では、CRISPR/Casシステムは、V型CRISPR/Cpf1システムであり得る。Cpf1は、II型システムとは対照的に、tracrRNAを欠く単一のRNA誘導エンドヌクレアーゼである。Cpf1は、4又は5個のヌクレオチドの5’オーバーハングを伴う千鳥状のDNA二本鎖切断を生成する。Zetsche et al.Cell.2015 Oct 22;163(3):759-71(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、ゲノム編集適用で使用できるCpf1エンドヌクレアーゼの例を提供し、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例示的なCRISPR/Cpf1システムとしては、Francisella tularensis、Acidaminococcus属種、及びLachnospiraceae bacteriumに由来するものが挙げられる。
【0362】
ある特定の実施形態では、一方又は他方のヌクレアーゼドメインが不活性化されているCRISPR/Casエンドヌクレアーゼのニッカーゼバリアントを使用して、CRISPR媒介ゲノム編集の特異性を高めることができる。ニッカーゼは、HDR対NHEJを促進することが示されている。HDRは、個々のCasニッカーゼから、又は標的領域に隣接するニッカーゼのペアを使用して向けられる。
【0363】
ある特定の実施形態では、触媒的に不活性なCRISPR/Casシステムは、標的領域(例えば、受容体などの抗原をコードする遺伝子)に結合し、それらの機能を妨害するために使用され得る。Cas9及びCpf1などのCasヌクレアーゼは、2つのヌクレアーゼドメインを包含する。触媒部位で重要な残基を変異させると、標的部位にのみ結合するが切断をもたらさないバリアントが作成される。
【0364】
ある特定の実施形態では、CRISPR/Casシステムは、CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ又は酵素に融合された追加の機能的ドメインを含み得る。機能ドメインは、転写活性化、転写抑制、DNAメチル化、ヒストン改変、及び/又はクロマチンリモデリングを含むがこれらに限定されないプロセスに関与し得る。そのような機能的ドメインには、転写活性化ドメイン(例えば、VP64又はKRAB、SID又はSID4X)、転写リプレッサー、リコンビナーゼ、トランスポザーゼ、ヒストンリモデラー、DNAメチルトランスフェラーゼ、クリプトクロム、光誘導性/制御可能なドメイン又は化学的に誘導可能/制御可能なドメインが含まれるが、これらに限定されない。
【0365】
ある特定の実施形態では、CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ又は酵素は、以下の1つ又は組み合わせ:1つ以上のポリペプチド、ポリペプチドをコードする1つ以上のmRNA、又はポリペプチドをコードする1つ以上のDNA、として細胞又は患者に投与され得る。
【0366】
ある特定の実施形態では、ガイド核酸は、関連するCRISPR/Cas酵素の活性を、標的核酸内の特定の標的配列に向けるために使用され得る。ガイド核酸は、それらがCRISPR/Cas酵素と結合することによって、ガイド核酸及びCRISPR/Cas複合体に標的特異性を提供し、したがって、ガイド核酸は、CRISPR/Cas酵素の活性を指示することができる。
【0367】
一態様では、ガイド核酸は、RNA分子であり得る。一態様では、ガイドRNAは、単一分子のガイドRNAであり得る。一態様では、ガイドRNAは、化学的に改変され得る。ある特定の実施形態では、ゲノム内の異なる部位での複数のCRISPR/Cas媒介活性を媒介するために、2つ以上のガイドRNAが提供され得る。
【0368】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された血小板の小胞内のカーゴは、限定されないが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の98~123頁に提示されている段落[0190]に記載されているものなどの小分子薬物である。
【0369】
前述のように、実際の送達ツールは血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントであるが、これらは前駆体細胞のフラグメントであり、したがって、前駆体細胞は、いくつかの実施形態ではカーゴを運ぶこともできることが適切であり、例えば、カーゴが内因的に産生される場合、いくつかの実施形態では、カーゴは、本明細書で定義されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシのうちのいずれか1つ以上、例えば、骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板、又は血小板様膜結合細胞フラグメントのうちのいずれかによって産生され得る。このようにして、例えば巨核球によって発現されるカーゴは、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントにおいても見出されると考えられる。
【0370】
したがって、いくつかの実施形態では、カーゴは、本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば、操作された骨髄幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメント、
血小板(若しくはSynlet)又は巨核球などの前駆体細胞によって内因的に産生される。
【0371】
当業者は、カーゴ、例えば
a)タンパク質又はペプチドであって、いくつかの実施形態では、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNAである、核酸を発現するように、必要な構築物、プロモーター及びコード配列を含むように本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシのうちのいずれかを更に操作することができる。
【0372】
上記のように、血小板活性化の際にのみ誘導されるプロモーターの調節下にカーゴの発現を置くように、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを操作することが可能である。そのような戦略は、カーゴが前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシに対して、又は対象に対して毒性であり得る状況において特に有用である。
【0373】
本明細書に記載の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシのうちのいずれかは、ゲノム位置からカーゴを発現するように、すなわち、カーゴをコードする核酸及び関連する調節配列がゲノム内の遺伝子座に標的化されるように操作され得る。核酸は、本明細書の他の箇所に記載されるように、エキソソーム標的化配列に融合されたカーゴタンパク質又はペプチドの融合タンパク質をコードし得る。
【0374】
本明細書に記載されるようなカーゴをコードする核酸は、様々な方法で前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに導入することができることは明らかである。例えば、いくつかの実施形態では、カーゴをコードする核酸は、ゲノム核酸に導入される。例えば、カーゴをコードする核酸は、第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入することができ、かつ/又は核酸は、第1の遺伝子座の第2の対立遺伝子に導入することができる。追加的に又は代替的に、核酸を第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入することができ、第2の核酸(例えば、第2のカーゴをコードする)を第2の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入することができる。追加的に又は代替的に、第1の核酸を第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入することができ、第2の核酸を第1の遺伝子座の第2の対立遺伝子に導入することができる。
【0375】
いくつかの実施形態では、カーゴをコードする核酸は、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに導入され、例えば環状核酸、例えばベクターとして、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ中にエピソーム的に維持される。
【0376】
いくつかの実施形態では、本発明のカーゴをコードする核酸は、ヌクレオフェクションを介して前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに導入される。
【0377】
本発明はまた、本明細書に記載されるようなカーゴをコードする核酸を提供する。
【0378】
また、本明細書に記載されるように、カーゴは、カーゴ内に外因的にロードされ得る。
【0379】
いくつかの実施形態では、カーゴがアルファ顆粒を標的とする場合が好ましい。例示的なアルファ顆粒標的化シグナルとしては、PF4及びvWfが挙げられる。したがって、一実施形態では、
前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、アルファ顆粒局在化シグナル、任意選択でPF4又はvWfペプチド配列を含む本明細書に記載されるようなカーゴを含む。いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、アルファ顆粒局在化シグナルとインフレームでカーゴをコードする核酸を含み、任意選択で、アルファ顆粒局在化シグナルは、vWfのPF4から選択される。アルファ顆粒局在化シグナルを含むカーゴは、内因的に発現され得るか、又は外因的にロードされ得る。
【0380】
上記のように、カーゴをロードしたエキソソームの送達を体内の特定の細胞、組織、器官又はマーカーに標的化する手段が有利であると考えられる。したがって、いくつかの実施形態では、カーゴ(内因的に生成された、又は外因的にロードされた)がエキソソームに向けられる場合が好ましい。エキソソームは、典型的にはアルファ顆粒中に貯蔵され、脱顆粒を介して細胞から排出される最も重要な薬剤のうちの1つである。
【0381】
本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ(操作されておらず、本発明の受容体のうちの1つ以上を発現する、又は本発明の1つ以上の受容体を発現する操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ)は、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントの標的係合依存性活性化を可能にし、標的特異的な、局在化されたα顆粒からのエキソソーム放出を可能にし、全身性エキソソーム送達戦略が現在直面している問題を回避する。血小板エキソソームの構成タンパク質は古典的エキソソームに類似しているため、様々なカーゴのために他の細胞型において開発されたエキソソームローディング戦略を、本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシにおけるエキソソームへのカーゴの標的化に適用することができると予想される。
【0382】
様々なカーゴタイプをエキソソームに標的化するための、例えば、タンパク質又はペプチドカーゴ、RNAカーゴ、及び/又はCas9遺伝子編集ツールをエキソソームに標的化するための例示的な手段を以下に記載する。他の手段及び組み合わせもまた、これら及び他のカーゴタイプを標的化するために利用可能である。したがって、当業者は、カーゴをエキソソームに標的化する立場にある。
【0383】
エキソソームローディング戦略には2つの主要なクラスがある。第1は、標的化成分がカーゴ自体の一部であるため、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、例えば巨核球又は巨核球様細胞に対する更なる修飾を必要としない(すなわち、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシがカーゴを内因的に発現するように操作される場合、エキソソーム標的化モチーフはカーゴ内に組み込まれ、カーゴをエキソソームに標的化するために別個の操作工程は必要とされない)。第2のストラテジーは、カーゴが標的化され得る何か(例えば、操作されたもの(例えば、以下に記載のTAMELシステム))を適所に配置するために、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ(例えば、巨核球又は巨核球様細胞又はその前駆体)のいくらかの更なる操作を必要とする。
【0384】
戦略1-カーゴに固有のエキソソーム標的化
タンパク質カーゴ-エキソソームタンパク質ローディング
エキソソームは、カーゴをロードするためにそれらのN末端又はC末端で修飾され得る別個の特異的な膜タンパク質を特徴とする。例えば、カーゴタンパク質又はペプチドをテトラスパニン(例えば、CD63)又は非テトラスパニン(例えば、PTGFRN若しくはBASP1)のC末端に融合させることにより、そのカーゴタンパク質又はペプチドはエキソソームの内腔内に局在することが期待される。なぜなら、ホーミングタンパク質は依然としてエキソソームコンパートメントに特異的に標的化されるからである(Dooley,K et al.(2021).Molecular Therapy,29(5),1729-1743、Fu,S.et al(2020)20(September),100261)。
【0385】
血小板エキソソーム中に位置すると考えられる他の遺伝子は、血小板に局在するタンパク質についてのExoCarta検索に由来する表A中の遺伝子のリストを含む。
【0386】
【表3-1】
【0387】
【表3-2】
【0388】
【表3-3】
【0389】
【表3-4】
【0390】
【表3-5】
【0391】
巨核球発現におけるカーゴタンパク質又はペプチド及び膜常在性エキソソームタンパク質を含む融合タンパク質の発現は、そのカーゴタンパク質又はペプチドによる血小板エキソソームローディングをもたらすと予想される。
【0392】
可溶性タンパク質は、カーゴタンパク質又はペプチドへの標的化配列の融合によってエキソソームに標的化され得る。そのようなアプローチの1つは、治療的タンパクへのNedd4ユビキチンリガーゼのWWドメインの融合である(Sterzenbach,U.et al(2017)25(6),1269-1278)。この戦略は、Ndfip1依存性機構によるエキソソームの内腔へのキメラWWドメイン-カーゴタンパク質/ペプチド融合物の取り込みをもたらす。
【0393】
ユビキチン化タンパク質もまた、エキソソームに輸送されることが多い。カーゴタンパク質又はペプチドをユビキチンタグでタグ付けすることを使用して、カーゴタンパク質又はペプチドを可溶性タンパク質としてエキソソーム内腔に輸送するよう指示することもできる((Cheng,Y.,&Schorey,J.S.(2016)Biotechnology and Bioengineering,113(6),1315-1324;Giovannone,A.et al(2017)Molecular Biology of the Cell,28(21),2843-2853)。
【0394】
巨核球発現におけるカーゴタンパク質又はペプチド及びエキソソームローディングタグを含む融合タンパク質の発現は、そのカーゴタンパク質又はペプチドによる血小板エキソソームローディングをもたらすと予想される。
【0395】
したがって、カーゴがタンパク質又はペプチドであるいくつかの実施形態では、カーゴタンパク質又はペプチドは、
a)カーゴタンパク質又はペプチドと、
b)エキソソーム標的化ドメインと、を含む融合タンパク質として発現され、例えば、エキソソーム標的化ドメインが、
i)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、例えば、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
ii)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、例えば、Nedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、及び/又は
iii)ユビキチンタグ、及び/又は
iv)表Aに列挙されるタンパク質から選択されるタンパク質を含むか又はそれらからなる群から選択される。
【0396】
他の箇所に記載されるように、好ましいエフェクターシャーシは、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメント(又はその操作されたバージョン)であるが、当業者は、カーゴを内因的に発現させる場合、その発現は、典型的には、上流の前駆体細胞のうちの1つ以上において、例えば、前駆体シャーシ又はプロデューサーシャーシ、例えば、巨核球様細胞の巨核球において生じることを理解する。
【0397】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、任意の1つ以上のカーゴタンパク質又はペプチドを発現する、本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを提供し、カーゴタンパク質又はペプチドは、
a)カーゴタンパク質又はペプチドと、
b)エキソソーム標的化ドメインと、を含む融合タンパク質として発現され、例えば、エキソソーム標的化ドメインが、
i)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、例えば、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
ii)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、例えば、Nedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、及び/又は
iii)ユビキチンタグ、及び/又は
iv)表Aに列挙されるタンパク質から選択されるタンパク質を含むか又はそれらからなる群から選択される。
【0398】
上記のように、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、ゲノム位置からカーゴ融合タンパク質若しくはペプチドを発現するように、及び/又はカーゴ融合タンパク質若しくはペプチドをエピソーム的に発現するように操作され得る。
【0399】
また、本明細書の他の箇所に記載されるように、カーゴは、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに外因的にロードされ得る。したがって、本発明はまた、1つ以上のカーゴタンパク質又はペプチドを含む、本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを提供し、カーゴタンパク質又はペプチドは、
a)カーゴタンパク質又はペプチドと、
b)エキソソーム標的化ドメインと、を含む融合タンパク質であり、例えば、エキソソーム標的化ドメインが、
i)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、例えば、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
ii)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、例えば、Nedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、及び/又は
iii)ユビキチンタグ、及び/又は
iv)表Aに列挙されるタンパク質から選択されるタンパク質を含むか又はそれらからなる群から選択され、
カーゴタンパク質又はペプチドは、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに外因的にロードされている。
【0400】
RNAカーゴ-エキソソームRNAローディング
他の箇所に記載されるように、標的化(例えば、本発明の受容体のうちの1つ以上を含む、本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ、又は操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシを使用する標的化手段を介して)又は非標的化(例えば、本発明の受容体のうちの1つ以上を含まない、本明細書に記載されるような操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシを介して)様式で送達されるカーゴは、RNAであり得る。送達のためにRNAカーゴをエキソソームに標的化することも有利であると考えられる。
【0401】
エキソソームは、mRNA及びmiRNAを含む様々なRNAカーゴを天然に含有する。血小板は、活性化時にRNAカーゴを細胞に送達することが以前に示されている(miRNA転移(Laffont et al.,2013 Blood,122(2),253-261;Michael et al.,(2017)Blood,130(5),567-580)、mRNA転移(Kirschbaum,M.,(2015).Blood,126(6),798-806;Risitano,A et al(2012)Blood,119(26),6288-6295)。
【0402】
RNA標的化モチーフ
エキソソーム常在性RNAの研究により、外因性RNAにおけるエキソソームRNA局在化を増加させることができる様々な配列が解明されている(Batagov,A.O.et al(2011)10th Int.Conference on Bioinformatics-1st ISCB Asia Joint Conference 2011,InCoB 2011/ISCB-Asia 2011:Computational Biology-Proceedings from Asia Pacific Bioinformatics Network(APBioNet),12(SUPPL.3)https://doi.org/10.1186/1471-2164-12-S3-S18)。エキソソームRNA局在化を増加させるために、異なる操作戦略が提案されている。これらの配列のうちのいくつかは、RNA結合タンパク質との相互作用を媒介し、hnRNPagihA2B1(Villarroya-Beltri et al(2013)Nature Communications,4,1-10)、SYNCRIP(Santangelo,L.et al(2016)Cell Reports,17(3))又はAnnexin A2(Hagiwara,K.et al(2015)FEBS Letters,589(24),4071-4078)を介して、エキソソームRNAソーティングをもたらす。いくつかのpre-miRNA骨格は、それらをエキソソームに標的化する特異的ヘアピン構造(pre-miR-451など)を特徴とし、これは、パッケージング足場として使用される場合に代替mRNAの標的化を容易にするために再利用され得る(Reshke,R.et al(2020)Nature Biomedical Engineering,4(1),52-68)。最後に、いくつかのウイルスRNAは、治療的RNA再標的化のために再目的化され得るエキソソーム標的化モチーフを含有する(Levesque et al.,2006 Traffic,7(9),1177-1193)。
【0403】
戦略2-エキソソーム標的化を促進するために、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを共操作する
内因性RNAエキソソームトラフィッキングシステムを利用することに加えて、RNAのエキソソーム特異的蓄積を駆動するために、新たな直交標的化システムが開発されている。TAMELシステムは、バクテリオファージコートタンパク質MS2をLamp2b、VSVG及びCD63(エキソソーム膜タンパク質)に融合させた融合物を含む。標的治療的RNAを、MS2結合ステムループを発現するように操作した。カーゴmRNA中に存在する操作されたステムループは、操作されたMS2-エキソソーム膜タンパク質融合物との会合を駆動し、エキソソーム内のカーゴRNA蓄積を駆動する(Hung&Leonard,2016 Journal of Extracellular Vesicles,5(1),1-13)。MS2ローディングシステムは、青色光依存的様式でエキソソーム膜とのRNA会合を駆動するように更に修飾されている。MS2コートタンパク質及びエキソソーム膜タンパク質を光依存性二量体化タンパク質に融合させることによって、MS2ステムループ含有RNAは、青色光のみの存在下でエキソソームに特異的にロードされ得る。青色光を遮断すると、MS2コートタンパク質/RNAは、エキソソーム膜タンパク質から解離する。これは、標的細胞による取り込み時にmRNAの細胞質翻訳を促進する(Huang,L.,et al(2019)Advanced Functional Materials,29(9),1-8;Yim,N.et al(2016)Nature Communications,7,1-9)。最後に、古細菌リボソームタンパク質L7AeをCD63に融合させ、エキソソームへのL7Ae標的化を促進することによって、同様の戦略が用いられている。L7Aeは、C/Dボックスとして知られるRNA構造に結合する。L7Ae-CD63融合物を同時発現する細胞における、mRNAの3’UTRへのC/Dボックスの操作は、エキソソームコンパートメント内でのC/Dボックス含有mRNA濃縮をもたらした。これらの戦略は、mRNAを血小板内エキソソームコンパートメントに標的化するために用いることができた(Kojima et al.,2018 Nature Communications,9(1))。
【0404】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシのうちのいずれかは、バクテリオファージコートタンパク質MS2をエキソソーム膜タンパク質、任意選択でLamp2b、VSVG及び/又はCD63に融合させるように操作されている。前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ内の対応するMS2結合ステムループを含むカーゴRNAの存在(内因的に発現されるか、又は外因的にロードされる)は、エキソソームへのカーゴRNAの標的化をもたらす。
【0405】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシのうちのいずれかは、バクテリオファージコートタンパク質MS2を、
エキソソーム膜タンパク質、任意選択でLamp2b、VSVG及び/又はCD63、並びに
光依存性二量体化タンパク質に融合させるように操作されている。
【0406】
前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ内に存在する対応するMS2結合ステムループを含むカーゴRNA(内因的に発現されるか、又は外因的にロードされる)は、青色光の存在下でのみエキソソームにロードされる。
【0407】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシのうちのいずれかは、古細菌リボソームタンパク質L7Aeをエキソソーム膜タンパク質、任意選択でLamp2b、VSVG及び/又はCD63に融合させるように操作されており、いくつかの実施形態では、CD63に融合される。前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ内の対応するC/Dボックス結合パートナーを含むカーゴRNAの存在(内因的に発現されるか、又は外因的にロードされる)は、エキソソームへのカーゴRNAの標的化をもたらす。
【0408】
上記のように、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ(すなわち、本明細書に記載の任意の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ)は、ゲノム位置からカーゴRNAを発現するように、及び/又はカーゴ融合RNAをエピソームにより発現するように操作され得る。
【0409】
また、本明細書の他の箇所に記載されるように、カーゴRNAは、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに外因的にロードされ得る。
【0410】
したがって、本発明はまた、
a)エキソソーム標的化モチーフ、任意選択でヘアピン若しくはウイルスエキソソーム標的化RNA又はそのエキソソーム標的化フラグメントを含むカーゴRNA、
b)アプタマードメインを含むカーゴRNAのうちのいずれか1つ以上を発現するように操作された、本明細書に記載の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを提供し、任意選択で、アプタマードメインが、
i)MS2結合ステムループ、及び/若しくは
ii)C/Dボックス、及び/若しくは
iii)AUリッチエレメントから選択され、任意選択で、RNAが、Cas9をコードするmRNAである。
【0411】
本発明はまた、
a)エキソソーム標的化モチーフ、任意選択でヘアピン若しくはウイルスエキソソーム標的化RNA又はそのエキソソーム標的化フラグメントを含むカーゴRNA、
b)アプタマードメインを含むカーゴRNAのうちのいずれか1つ以上を発現するように操作された、本明細書に記載の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを提供し、任意選択で、アプタマードメインが、
i)MS2結合ステムループ、及び/若しくは
ii)C/Dボックス、及び/若しくは
iii)AUリッチエレメントから選択され、任意選択で、RNAが、Cas9をコードするmRNAであり、
カーゴRNAが、外因的にロードされている。
【0412】
当業者であれば、カーゴRNAがMS2結合ステムループを含む場合、典型的には、バクテリオファージコートタンパク質MS2とエキソソーム膜タンパク質、任意選択でLamp2b、VSVG及び/又はCD63との融合物を発現するように、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを操作すべきであることを理解する。場合によっては、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、
a)バクテリオファージコートタンパク質MS2
b)エキソソーム膜タンパク質、任意選択で、Lamp2b、VSVG及び/又はCD63、並びに
c)光依存性二量体化タンパク質を含む融合タンパク質を発現するように操作されてもよい。
【0413】
当業者はまた、カーゴRNAがC/Dボックスを含む場合、典型的には、古細菌リボソームタンパク質L7Aeとエキソソーム膜タンパク質、任意選択でLamp2b、VSVG及び/又はCD63との融合物を発現するように、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを操作すべきであることを理解する。いくつかの実施形態では、CD63に融合される。場合によっては、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、
a)古細菌リボソームタンパク質L7Ae
b)エキソソーム膜タンパク質、任意選択で、Lamp2b、VSVG及び/又はCD63、並びに
c)光依存性二量体化タンパク質を含む融合タンパク質を発現するように操作されてもよい。
【0414】
当業者は、C/Dボックス、L7Ae及びステムループ、上記のMS2組み合わせに加えて、又はその代わりに使用することができるRNA配列(すなわち、アプタマー)及びRNA結合タンパク質の他の組み合わせがあることを理解する。
【0415】
したがって、いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、
a)エキソソーム特異的タンパク質
例えば、テトラスパニン、例えばCD63;又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN又はBASP1;又は
Lamp2b又はVSVG;
又は表Aに列挙されるものから選択されるタンパク質と、
b)特異的RNAアプタマーに結合することができるタンパク質又はそのフラグメントと、を含む融合タンパク質を発現するように操作されてもよい。
【0416】
そのような実施形態では、対応するカーゴRNAが、上記(b)のタンパク質が結合する特異的アプタマーを含むはずであることは、当業者には明らかである。
【0417】
Cas9 RNP送達
上述の戦略は、単離におけるRNA及びタンパク質エキソソームローディングに焦点を当てている。Cas9/ガイドRNA送達によるゲノム操作を容易にするために、ガイド及びタンパク質の両方が送達されなければならない。エキソソームへのCas9 RNP取り込みを駆動し、したがって、放出時にエキソソームに曝露される標的細胞における遺伝子編集を容易にするために、いくつかの操作戦略が提案されている。そのようなアプローチの1つは、CD9-HuRの操作によるものである。CD9はエキソソーム膜タンパク質であり、HuRは、AUリッチエレメント(AU rich element、ARE)を特異的に標的とするRNA結合タンパク質である。Cas9をコードするmRNAの3’UTRへのAREの操作、及びガイドRNAへのその付加は、HuR、及びしたがってCD9とのそれらの会合を介して、エキソソーム内でのそれらの蓄積を駆動する(Li,Z.(2019)Nano Letters,19(1),19-28)。Cas9をエキソソームにロードするための別のアプローチは、エキソソーム膜タンパク質(CD9又はCD63など)へのGFPの融合を含む。次いで、Cas9をGFP結合ナノボディに融合させることができる。これは、エキソソーム膜タンパク質に結合したGFPへのCas9タンパク質自体の結合をもたらし、エキソソームコンパートメントでのその蓄積を駆動する。この戦略は、Cas9タンパク質の標的化によって駆動されるため、プロデューサー細胞において発現されるsgRNAは、エキソソーム内に取り込まれた可溶性Cas9に結合し、完全なRNP移入を容易にする)。最後に、機能的Cas9システムもまた、プラスミドの形態でエキソソームに送達されている。エキソソームプロデューサー細胞(この場合、巨核球)にプラスミドをヌクレオフェクトすると、このプラスミドの一部がエキソソーム内に確率的にパッケージングされる。次いで、このプラスミドは、エキソソーム放出の際に標的細胞に移入され得る(Kim,S.M.et al(2017)Journal of Controlled Release,266(July),8-16)。
【0418】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシのうちのいずれかは、CD9-HuR融合タンパク質を発現するように操作されている。AUリッチエレメントを含むカーゴRNAは、エキソソームに標的化される。AUリッチエレメントを含むカーゴRNAは、内因的に発現されてもよく(すなわち、カーゴRNAを発現するように、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが操作されてもよい)、又は外因的にロードされてもよい。この方法は、任意のカーゴRNAをエキソソームに標的化するために使用され得る。
【0419】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシのうちのいずれかは、CD9又はCD63などのエキソソーム膜タンパク質に融合されたGFPを含む融合タンパク質を発現するように操作されていてもよい。GFP結合ナノボディに融合されたカーゴタンパク質は、エキソソーム内でのその蓄積を駆動するエキソソーム膜に標的化される。本方法は、エキソソームへの任意のカーゴタンパク質又はペプチドの標的化に好適であると考えられる。いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、対応するsgRNAも発現するように操作されており、sgRNAは可溶性Cas9に結合し、したがって両方ともエキソソームに標的化される。カーゴタンパク質(例えば、Cas9)及び/又はsgRNAは内因的に発現されてもよく、すなわち、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、カーゴタンパク質(例えば、Cas90)及び/又はsgRNAを発現するように操作されていてもよく、又はカーゴタンパク質(例えば、Cas9)及び/若しくはsgRNAは、外因的にロードされていてもよい。
【0420】
カーゴ(例えば、タンパク質、ペプチド、RNAなど)をエキソソームに標的化することができる多くの適切な手段が存在することは、上記から明らかである。上記のようなエキソソーム標的化に必要な任意の1つ以上のカーゴ及び/又は対応する成分を発現するように操作された巨核球様細胞の操作された巨核球である操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、エキソソーム中にカーゴを含む血小板又は血小板様細胞フラグメントを産生するように発現される。
【0421】
カーゴがエキソソームに標的化される実施形態は、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが本発明の受容体のうちの1つ以上(すなわち、1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、SAPR又はePAR)を含む場合に特に有利であると考えられ、本発明の受容体の存在は、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが特定の部位に標的化されるか、又は特定のシグナルに応答して活性化することを意味する。エキソソームの限られた半減期及び溢出の可能性に起因して、特定の標的部位でのエキソソームの局所放出は、エキソソームベースの療法の治療可能性に大きな影響を及ぼすと予想される。
【0422】
本発明は、ゲノム遺伝子座からの、又はエピソームによるカーゴの発現に好適な、カーゴ(任意のエキソソーム標的結合ドメインを含む)のうちの任意の1つ以上をコードする核酸を提供する。
【0423】
カーゴの送達を必要とする対象にカーゴを送達するための様々な方法が提供される。本明細書に記載されるように、カーゴは、治療薬又は毒素であり得る。カーゴの選好は、本明細書の他の箇所に記載されているとおりであり、例えば、カーゴは、エキソソーム内に位置し、エキソソーム中の血小板/Synletから、例えばアルファ顆粒から輸送され得る。
【0424】
他の標的化シグナルを同様に使用して、例えば、カーゴをエキソソーム又は他の顆粒に標的化することができる。したがって、いくつかの実施形態では、カーゴ(それが内因的にロードされるか、又は外因的にロードされるかにかかわらず)は、標的化シグナル、例えば、α顆粒局在化シグナル及び/又はエキソソーム標的化シグナルに結合される。
【0425】
他の実施形態では、カーゴは、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの中又は上に、例えば、本発明の操作された骨髄系幹細胞、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、iPSC、血小板、又は血小板様膜結合細胞フラグメント又はSynletの中又は上に外因的にロードされる。血小板は、エンドサイトーシス及び開放小管システムを介してそれらの環境において薬物及び抗体を自然に吸収し、当業者は、血小板にカーゴを外因的にロードするための技術を知っており、例えば、ドキソルビシンでのインキュベーションによる血小板へのドキソルビシンのローディングについて論じているWu et al 2020 J Biomed Sci 27を参照されたい。血小板活性化後、通常は血小板活性化時に放出される血小板細胞外小胞中にドキソルビシンが見出された。Verheul et al 2007 Clin Cancer Res 15:5341-5347は、血小板へのベバシズマブのローディング及び血小板活性化時の抗体の放出を実証している。Xu et al 2019 Biometer Sci 7:4568-4577は、化学療法薬であるビンクリスチンによる血小板のローディングを示している。したがって、血小板には、広範なカーゴを外因的にロードすることができ、これは、血小板活性化の際に血小板から放出される。
【0426】
次いで、いくつかの実施形態では、本発明は、カーゴが外因的にロードされた本発明のシャーシのうちのいずれかを提供し、例えば、カーゴは、
a)タンパク質又はペプチドであって、いくつかの実施形態では、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNA、又は
ii)DNAベクターである、核酸、
c)毒素、
d)小分子薬物、造影剤、放射性ヌクレオチド薬物、放射性ヌクレオチドタグ付抗体、又はそれらの任意のコンジュゲート、
e)AAVなどのウイルスベクター、
f)腫瘍溶解性ウイルスなどのウイルス、
g)CRISPR媒介遺伝子編集を実行するための薬剤、
h)エキソソーム、例えば第2のカーゴをプレロードされたエキソソーム、及び/あるいは
i)1つ又は複数のナノ粒子。
あるいはそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0427】
カーゴの選好は、本明細書の他の場所で説明されているとおりである。例えば、いくつかの実施形態では、カーゴは、上記のようなエキソソーム標的化ドメインを含むタンパク質である。
【0428】
いくつかの実施形態では、カーゴは、可溶性である。いくつかの実施形態では、カーゴは、膜結合型である。
【0429】
カーゴはまた、造影剤であり得る。
【0430】
本発明のシャーシを、エキソソーム又は合成エキソソームなどの他の脂質結合小胞を含む組成物とともにインキュベートすることは、本明細書に記載のシャーシを使用して送達の標的とすることができる、シャーシへのエキソソームの外因性ローディングを可能にするとも考えられる。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載のカーゴのうちのいずれかなどの1つ以上の二次カーゴを含むエキソソームを含む。
【0431】
いくつかの好ましい実施形態では、カーゴは、血小板内に自然に見出される薬剤ではない、すなわち、カーゴは、血小板に関して内因性のカーゴではなく、外因性のカーゴである。当業者は、カーゴが血小板に対して外因性であるが、対象に対して内因性であり得ることを理解する。
【0432】
いくつかの好ましい実施形態では、カーゴは、血小板α顆粒内に自然に見出される薬剤ではない。例えば、カーゴは、血小板内に自然に見られるが、α顆粒内には自然には見られない薬剤であり得る。
【0433】
いくつかの実施形態では、カーゴは、血小板内に内因的に見出されるが、血小板内、又は血小板のα顆粒内に、本発明ではない血小板よりも高い濃度又は量で見出される薬剤であり得る。
【0434】
いくつかの実施形態では、カーゴは、α顆粒局在化シグナルを含み、α顆粒局在化シグナルは、カーゴを操作された血小板のα顆粒小胞に取り込むように指示する。例えば、いくつかの実施形態では、治療剤又は造影剤は、α顆粒局在化シグナルを含むか、又はそれに複合体化される。
【0435】
内因的に発現されるか又は外因的にロードされるカーゴは、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシとともに様々な場所に貯蔵され得る。例えば、いくつかの実施形態では、カーゴは細胞質に貯蔵され、かつ/又はカーゴは原形質膜に貯蔵され、かつ/又はカーゴは原形質膜の外表面に貯蔵され、かつ/又はカーゴは1つ以上の顆粒に貯蔵され、好ましくはアルファ顆粒に貯蔵される。
【0436】
いくつかの実施形態では、カーゴ剤、例えば、治療剤は、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ内、例えば、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメント内のエキソソーム内に貯蔵される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのカーゴ剤、例えば、治療剤は、顆粒内、例えば、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ内、例えば、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメント内のアルファ顆粒内にある。いくつかの更なる実施形態では、少なくとも1つのカーゴ剤、例えば治療剤は、それ自体が顆粒、例えばアルファ顆粒内にあるエキソソーム内にある。
【0437】
血小板α顆粒にはタンパク質エフェクターが含まれており、可溶性タンパク質のローディングは、単純なシグナルペプチドを介して実行される。タンパク質を血小板分泌α顆粒に指向するための最小標的化配列は、以前に定義されており(Golli et al.「Evidence for a Granule Targeting Sequence within Platelet Factor 4.」,JBC,2004を参照され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、カーゴは、α顆粒局在化シグナルに結合され得る。例えば、カーゴが内因的に産生される場合、カーゴは、血小板(若しくはSynlet)又は前駆体細胞、例えば巨核球によって、α顆粒局在化シグナルとインフレームで発現され得る。実際、
外因的にロードされたカーゴはまた、カーゴが血小板又は前駆体細胞に入ると、その後α顆粒に標的化されるように、α顆粒局在化シグナルに結合され得る。
【0438】
カーゴが、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ又は操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシによって内因的に産生される場合、カーゴは、特定の標的部位、組織若しくは細胞に標的化されるカーゴタンパク質若しくはペプチド、又はRNAを産生するように、あるいは血小板(若しくはSynlet)又は巨核球などの前駆体細胞内でカーゴを産生する酵素又は他の活性実体を産生するために発現される核酸によってコードされ得る。
【0439】
前述の請求項のいずれか一項に記載の操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシであり、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、
a)MHCクラス1遺伝子又はタンパク質の機能が破壊されている、
b)β2ミクログロブリン遺伝子からの発現が破壊されており、任意選択でβ2ミクログロブリン遺伝子がノックアウトされている、
c)1つ以上のHLA遺伝子からの発現が破壊されている、
d)HLA-A、HLA-B及び/又はHLA-Cのうちのいずれか1つ以上からの発現が破壊されており、任意選択で、HLA-A及びHLA-Bの発現は完全に破壊されているが、HLA-Cの発現は部分的に破壊されており、任意選択で、HLA-A及びHLA-Bの両方の対立遺伝子からの発現は破壊されているが、HLA-Cの一方の対立遺伝子のみからの発現は破壊されている、
e)HLAクラスIb遺伝子のうちのいずれか1つ以上、任意選択でHLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現する、
f)HLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現する(任意選択で、ベータ2ミクログロブリン遺伝子からの発現が破壊されるように操作されている)、並びに/又は
g)1つ以上の免疫調節遺伝子を過剰発現する(任意選択で、1つ以上の免疫調節遺伝子が、CD47及びPD-L1を含む群から選択される)、
h)産物がカーゴの効力に悪影響を及ぼし得る1つ以上の遺伝子又は遺伝子産物を排除する、
i)自然応答/適応応答を上方又は下方に調整する、
j)炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び腫瘍増殖を低減する、
k)操作されたカーゴの生物学的作用に間接的に対抗する可能性が高い接着タンパク質及び/又はカーゴ実体をコードする1つ以上の遺伝子の発現が破壊されており、より大きな正味の治療効果をもたらす可能性がある、
l)CD40Lの発現を下方制御又は阻害する、
n)CD36、NOD2、SRB1、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR6、TLR9、CD40L、CD93(C1qRp)、C3aR、CD88(C5aR)、CD89(FcaR1)、CD23(FceR1)、CD32(FcgRIIa)、MHCクラス1、CD191(CCR1)、CD193(CCR3)、CD194(CCR4)、CD184(CXCR4)、CX3CR1、CD102(ICAM-2)、JAM-C/JAM-3、CD62P(P-セレクチン)、CD31(PECAM-1)、CD150(SLAMF1)、CCL2、CCL3、CCL5、CXCL1、CXCL12、CXCL4/PF4、CXCL5、CXCL8、NAP2(CXCL7)、IL-1bのうちのいずれか1つ以上の発現を下方制御若しくは阻害する、
o)GARP及び/又はTGFbの発現を破壊又は阻害する、
q)Siglec-7、Siglec-9、Siglec-11又はTGFbのうちのいずれか1つ以上の発現を破壊又は阻害する、
s)GPIb/V/IX及びGPVI(GP6)、ITGA2B、CLEC2、インテグリンαIIbb3、a2b1、a5b1及びa6b1、GPVI及びITGA2Bのうちのいずれか1つ以上の発現を破壊又は阻害する、
t)Par1、Par4、P2Y12、GPIb/V/IX、トロンボキサン受容体(TBXA2R)、P2Y1、P2X1及びインテグリンαIIbb3のうちのいずれか1つ以上、又はPar1、Par4及びP2Y12からなる群からのいずれか1つ以上の発現を破壊又は阻害する、
u)Cox1、Cox2、HPS、プロトロンビン、PDGF、EGF、フォン・ヴィレブランド因子及びトロンボキサン-Aシンターゼ(TBXAS1)のうちのいずれか1つ以上の発現を破壊又は阻害する、
v)血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントの活性化に応答して目的のタンパク質又はRNAを合成し、任意選択で、目的のタンパク質又はRNAが、BCL-3 mRNA非翻訳領域、任意選択で5′UTRから発現される、
z)1つ以上のカーゴタンパク質又はカーゴRNAを発現し、任意選択で、カーゴタンパク質又はカーゴRNAが、アルファ顆粒標的化シグナルを含み、任意選択で、血小板因子4(platelet factor 4、PF4)又はフォン・ヴィレブランド因子(vWf)を含む、
aa)少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現し、任意選択で、少なくとも3、4、5、6、7、8、9又は少なくとも10の異なるCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する、
bb)少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現し、少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの標的結合ドメインが、異なる標的に対して指向されている、
cc)少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現し、少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの標的結合ドメインが、異なる標的に対して指向されており、
i)第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメイン、任意選択で脱顆粒誘発ドメイン、任意選択でITAM含有ドメインであり、第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインが、血小板阻害ドメインであり、任意選択で血小板脱顆粒の誘発を防止するドメインであり、任意選択でITAM含有ドメインである、
ii)第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメイン、任意選択で脱顆粒誘発ドメイン、任意選択でITAM含有ドメインであり、第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメイン、任意選択で脱顆粒誘発ドメイン、任意選択でITAM含有ドメインである、
dd)ともに作動して論理回路を形成する、少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付け標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する、
ee)1つ以上のカーゴを発現し、任意選択で、カーゴが、
a)タンパク質又はペプチドであって、任意選択で、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)、
vi)エキソソーム標的化ドメインを含む融合タンパク質であり、融合タンパク質が、
a)カーゴタンパク質又はペプチドと、
b)エキソソーム標的化ドメインと、を含み、任意選択で、エキソソーム標的化ドメインが、
i)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、例えば、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
ii)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、任意選択でNedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、
iii)ユビキチンタグ、及び/又は
iv)タグ結合ドメイン、任意選択でタグに対して指向されたナノボディ、任意選択でGFPに対して指向されたナノボディを含むか若しくはそれらからなる群から選択される、タンパク質又はペプチド。
b)核酸であって、任意選択で、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNA、及び/又は
ii)エキソソーム標的化ドメインを含むRNAであって、任意選択で、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム標的化ヘアピン若しくは直鎖状モチーフ、
b)ウイルスエキソソーム標的化RNA若しくはそのエキソソーム標的化フラグメントを含むか若しくはそれらからなる群から選択される、RNA、
iii)アプタマードメインを含むRNAであって、任意選択で、アプタマードメインが、
a)MS2結合ステムループ、
b)C/Dボックス、及び/若しくは
c)AUリッチエレメントから選択され、任意選択で、RNAが、Cas9をコードするmRNAである、RNAである、核酸を含む群から選択される、
ff)融合タンパク質を発現し、融合タンパク質が、
i)エキソソーム膜タンパク質に融合されたバクテリオファージコートタンパク質MS2(任意選択で、エキソソーム膜タンパク質は、Lamp2b、VSVG、CD63を含むか若しくはそれらからなる群から選択される)、及び/又は
ii)エキソソーム膜タンパク質に融合された古細菌リボソームタンパク質L7Ae(任意選択で、エキソソーム膜タンパク質は、Lamp2b、VSVG、CD63を含むか若しくはそれらからなる群から選択される)、及び/又は
iii)CD9-HuR融合タンパク質を含み、
任意選択で、融合タンパク質が、光活性化された二量体化タンパク質を更に含む、
gg)mRNAから1つ以上のカーゴを、1つ以上の
CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを標的に結合するときにのみ翻訳し、任意選択で、カーゴが、
a)タンパク質又はペプチド、任意選択で、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNAである、核酸を含む群から選択され、
任意選択で、カーゴが、Bcl-3 mRNA非翻訳領域、任意選択で5′UTRから発現されるように操作されている。
【0440】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明はまた、カーゴタンパク質若しくはペプチド又はカーゴRNAをコードする核酸を提供する。いくつかの実施形態では、タンパク質又はペプチドは、抗体又はその抗原結合フラグメント、酵素(ヌクレアーゼ、例えばTALENなど)、サイトカイン、又はCRISPR関連タンパク質9(CRISPR associated protein 9、Cas9)から選択される。いくつかの実施形態では、カーゴRNAは、mRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化された規則的に間隔を空けた短いパリンドロームリピート(CRISPR)配列から選択される。好ましい実施形態では、核酸は、巨核球及び/又は血小板における発現を駆動するのに好適な配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、カーゴタンパク質、カーゴペプチド又はカーゴRNAをコードする核酸は、プロモーターなどの異種発現制御配列に作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、核酸は、カーゴタンパク質若しくはペプチド又はカーゴRNAをコードし、また、巨核球特異的プロモーター又は血小板特異的プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、カーゴタンパク質若しくはペプチド又はカーゴRNAをコードし、巨核球特異的プロモーター又は血小板特異的プロモーターなどの異種配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、カーゴタンパク質若しくはペプチド又はカーゴRNAをコードするDNAである。
【0441】
本発明は、前述の請求項のいずれか一項に記載の有効量の任意の1つ以上の操作された巨核球、操作された血小板、及び/又はCPRを投与することを含む、カーゴを送達する方法を提供する。
【0442】
本発明は、本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを含む標的化送達システムを提供する。いくつかの実施形態では、標的化送達システムは、治療的標的化送達システムである。いくつかの実施形態では、標的化送達システムは、非治療的送達システムである。好ましい実施形態では、システムは、エフェクターシャーシを含む。
【0443】
本発明はまた、本発明による1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する本発明のプロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを含む非血栓形成性標的化送達システムを提供し、ここで、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、血栓形成性経路標的化送達システムを破壊するように操作されている。いくつかの実施形態では、非血栓形成性標的化送達システムは、非血栓形成性治療的標的化送達システムである。いくつかの実施形態では、非血栓形成性標的化送達システムは、非血栓形成性の非治療的送達システムである。好ましい実施形態では、システムは、エフェクターシャーシを含む。
【0444】
好ましい実施形態では、標的化送達システム又は非血栓形成性標的化送達システムは、1つ以上のカーゴを更に含む。カーゴの選好は、本明細書に記載されているとおりである。
【0445】
本明細書に記載の様々な成分、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePAR及びシステムを使用して、標的部位への特定のカーゴの送達を介して、及び/又は特定の抗原に対するT細胞の活性化を介して、ある範囲の疾患を治療又は予防することができることは明らかである。したがって、本明細書に記載の本発明の様々な実施形態は、対象における疾患、障害、又は状態を治療する方法を提供し、当該方法は、対象に、本発明の1つ以上の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ、本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを投与すること、好ましくは前述の治療送達システムを投与することを含む。
【0446】
当業者は、所与の疾患に対する適切な標的に向けられるように、本発明のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを設計することができる。
【0447】
本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシのうちのいずれか、例えば、本発明の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する操作された前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、を使用して、カーゴを特定の細胞又は組織、例えば腫瘍に送達することができる。前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに治療カーゴがロードされている場合、標的へのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの結合は、治療カーゴの局所的送達をもたらす。例えば、毒素、例えばアルファ顆粒に貯蔵された毒素をロードされた前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを、CPRを使用して腫瘍に標的化すると、脱顆粒及び腫瘍への毒素の局所送達がもたらされる。
【0448】
加えて又は代替的に、特定のカーゴを送達するのではなく、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、抗原特異的T細胞に結合してそれらの機能を上方制御して規定の抗原を発現する腫瘍を排除するように、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを、適切な標的結合ドメインとともに含み得る。逆に、自己免疫疾患を媒介する抗原特異的T細胞は、橋本甲状腺炎、1型糖尿病、多発性硬化症などの様々な一般的な疾患で知られている定義された抗原で、破壊の標的となる可能性がある。
【0449】
上記のように、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、例えば血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントが血栓形成能を保持している場合、それはCPRを介して腫瘍に標的化され、腫瘍から酸素を奪うことができる。
【0450】
本明細書に記載の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、がん性細胞を死滅させるように操作され得る。例えば、CD19は、がん性B細胞白血病(BCL)を治療するTRAIL発現血小板を標的とした。CD19を標的としたCAR-T細胞は、BCLと比較して臨床で大きな期待を示す。TNFスーパーファミリーメンバー(TRAIL)及びFasリガンド(Fas ligand、FASL)は、CD40刺激時にアポトーシスを介してBCL死を誘導することが示されている(Dicker et al.「Fas-ligand (CD178)and TRAIL synergistically induce apoptosis of CD40-activated chronic lymphocytic leukemia B cells」.Blood,2005を参照し、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。CD40Lは、活性化された血小板に自然に曝露され(Henn et al.「CD40 ligand on activated platelets triggers an inflammatory reaction of endothelial cells」.Nature,1998を参照し、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、したがって、BCLに結合したときにFASL/TRAIL依存性細胞死経路を活性化する可能性があり。FASLは、活性化された血小板に自然に曝露される(Schleicher et al.「Platelets induce apoptosis via membrane-bound FasL」.Blood,2015を参照し、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。TRAILを発現する血小板は、マウスの前立腺がん転移を減少させるために使用されてきた(Li et al.「Genetic engineering of platelets to neutralize circulating tumor cells」.Journal of Controlled Release,2016を参照し、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。一実施形態では、CD19-単鎖可変フラグメント(single-chain variable fragment、scFv)-ITAMを提示し、TRAIL、CD40L、及びFASLリガンドを含有する休止血小板は、B細胞上のCD19及びCD19-scFv-ITAMの結合によって活性化される。活性化すると、血小板表面にTRAIL、CD40L、及びFASLが提示される。白血病細胞の血小板誘発性死は、CD40LがB細胞のCD40受容体に結合してFASL/TRAIL依存性細胞死経路を活性化することによって媒介される。
【0451】
ある特定の実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、インビボで新抗原特異的T細胞の増殖を指示するように操作され得る。新抗原は多くのヒト腫瘍に存在し、コンピューターで特定することができる。エクスビボでのT細胞の増殖及び再注入は、標的とされた腫瘍の死滅をもたらす。免疫チェックポイント阻害により、T細胞は、新抗原を発現している腫瘍を殺すことができる(しかしながら、非特異性は重篤な副作用を引き起こす)。巨核球は、外因性ペプチドを含むMHCクラス1分子をロードし、これらを血小板に移すことができる。新抗原は巨核球で発現する可能性があり、MHCクラス1-ITAM融合タンパク質は、チェックポイント阻害剤を刺激することができる。これにより、新抗原特異的T細胞のインビボ増殖が可能になる。例えば、血小板は、MHC1-新抗原-ITAMを発現するように操作され得る。操作された血小板及びT細胞の両方が、MHC1-新抗原-ITAMと新抗原特異的T細胞受容体(TCR)との相互作用によって活性化される。活性化により、血小板の表面に細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4)及びプログラム細胞死1(PD-1)が提示され、それぞれ、T細胞上のCTLA4阻害剤(CTLA4i)及びPD-1阻害剤(PD-1i)と相互作用する。最大のT細胞の活性化及び増殖は、チェックポイントの遮断によって達成される。
【0452】
したがって、一実施形態では、本発明は、疾患の治療又は予防に使用するための、本明細書に記載されるような前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ、又は治療送達システム若しくは治療標的化送達システム若しくは非血栓形成性治療送達システムを提供する。
【0453】
ある範囲の疾患が、本明細書に記載の成分を使用して治療又は予防され得、当業者は、1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの標的結合ドメインが、
治療/予防される疾患に応じて、適切な標的に結合するように設計される必要があることを認知している。加えて、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシにロードされるカーゴは、治療又は予防される疾患に依存する。
【0454】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ、又は治療送達システム若しくは治療標的送達システム若しくは非血栓形成性治療送達システムを使用して、特定の疾患に対してワクチン接種することができる。
【0455】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、又は状態は、がん、自己免疫疾患又は自己免疫障害、遺伝子疾患、心血管疾患、及び感染症、例えば細菌又はウイルス感染症、例えばSARS-COV-2による感染症であり得るが、これらに限定されない。
【0456】
いくつかの実施形態では、がんは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の9~11頁の段落[0019]に記載されているがんのうちのいずれかから選択される。
【0457】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された血小板は、自己免疫状態を治療するために使用され得る。
【0458】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患又は自己免疫障害は、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の11~12頁の段落[0020]に記載されている自己免疫疾患又は自己免疫障害のうちのいずれかから選択される。
【0459】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシは、自己免疫疾患を治療するために自己抗原特異的T細胞を抑制するために使用され得る。いくつかの実施形態では、前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ(例えば、操作された血小板)中のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARは、自己抗原と関連する組織に特異的な領域を含み得る。例えば、組織は、脂肪組織、副腎、腹水、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、子宮頸部、結合組織、耳、胚組織、食道、目、心臓、腸、腎臓、喉頭、肝臓、肺、リンパ、リンパ節、乳腺、口、筋肉、神経、卵巣、膵臓、副甲状腺、咽頭、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、皮膚、胃、精巣、胸腺、甲状腺、トンシル、気管、臍帯、子宮、血管、及び脾臓からなる群から選択される。
【0460】
参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の129~130頁の表12は、Hayterらからの神経系自己免疫障害の非網羅的リストについての分子標的及び/又は組織標的を示し、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の130頁の表13は、Hayterらからの内分泌系自己免疫障害の非網羅的リストについての分子標的及び/又は組織標的を示す。参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の131頁の表14は、Hayter,et al.による胃腸系自己免疫障害の非網羅的リストについての分子標的及び/又は組織標的を示す。参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の131頁の表15は、Hayter,et al.による造血自己免疫障害の非網羅的リストについての分子標的及び/又は組織標的を示す。参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の132頁の表16は、Hayter,et al.による筋骨格系自己免疫障害の非網羅的リストについての分子標的及び/又は組織標的を示す。参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の132~133頁の表17は、Hayter,et al.による皮膚及び粘液自己免疫障害の非網羅的なリストについての分子標的及び/又は組織標的を示す。参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の133頁の表18は、Hayter,et al.による皮膚自己免疫障害の非網羅的リストについての分子標的及び/又は組織標的を示す。参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の133頁の表19は、Hayter,et al.による心臓血管自己免疫障害の非網羅的リストについての分子標的及び/又は組織標的を示す。参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の134頁の表20は、Hayter,et al.による他の自己免疫障害の非網羅的リストについての分子標的及び/又は組織標的を示す。
【0461】
本明細書に記載の本発明の様々な実施形態は、対象の免疫系における活性を低減する方法を提供し、当該方法は、少なくとも1つのSAPRを発現する血小板又は操作された血小板を対象に投与することを含み、SAPRの標的結合ドメインは、腫瘍抗原、新抗原、又は自己抗原に由来するペプチドに結合した主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子を含む。いくつかの実施形態では、操作された血小板は、抗炎症性サイトカイン、例えばIL-10を含む。当業者は、他の好適な抗炎症性サイトカインを認識している。
【0462】
いくつかの実施形態では、SAPRは、MHCクラスI分子を発現する。いくつかの実施形態では、SAPRは、MHCクラスII分子を発現する。いくつかの実施形態では、MHC分子は、抗原に対する免疫応答を刺激する。いくつかの実施形態では、抗原は、がん、自己免疫、遺伝性疾患、心血管疾患及び感染症からなる群から選択される少なくとも1つの疾患、障害、又は状態に関連している。
【0463】
本明細書に記載の本発明の様々な実施形態は、対象におけるインビボ遺伝子編集又は遺伝子治療の方法を提供し、当該方法は、編集される組織に特異的な本明細書に記載のキメラ血小板受容体を含む操作された血小板を対象に投与することであって、操作された血小板は、ゲノム操作機序をロードしたアデノウイルス又はSendaiウイルスを覆っている、投与することと、組織でゲノム機序を放出することと、を含む。いくつかの実施形態では、ゲノム機構は、CRISPR/Cas遺伝子編集システムである。
【0464】
本明細書に記載の本発明の様々な実施形態は、前述の治療的送達システムの使用を提供し、キメラ受容体は、対象の疾患、障害、又は状態の治療において、疾患、障害、又は状態に関連する抗原に特異的である。本明細書に記載の使用のいくつかの実施形態では、疾患、障害、又は状態は、がん、自己免疫、遺伝性疾患、心血管疾患及び感染症からなる群から選択される。
【0465】
本明細書に記載の使用のいくつかの実施形態では、がんは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の14~16頁の段落[0030]に記載のがんのうちのいずれかであり得るが、これらに限定されない。
【0466】
本明細書に記載の使用のいくつかの実施形態では、疾患、障害、又は状態は、限定されないが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の16頁の段落[0031]に記載の自己免疫疾患、障害、又は状態のうちのいずれかなどの自己免疫である。
【0467】
本明細書の本発明の様々な実施形態は、(a)キメラ血小板受容体を提示する操作された血小板であって、操作された血小板は、非血栓形成性及び非免疫原性となるように前駆巨核球を遺伝子修飾することによって産生され、任意選択で、低減した炎症促進効果を有するように操作されている、操作された血小板と、(b)本明細書で定義されるカーゴ、毒素、タンパク質、小分子薬物、造影剤、放射性ヌクレオチド薬物、放射性ヌクレオチドタグ付抗体、又はそれらの任意のコンジュゲート、及び血小板内の小胞内にパッケージされた核酸からなる群から選択される少なくとも1つの治療剤と、を含む治療的送達システムを提供し、i)治療剤は、核酸又はタンパク質であり、ローディングは、前駆巨核球での発現を介して起こるか、又はii)治療剤は、操作された血小板を治療剤とともにインキュベートすることによってロードされる。
【0468】
上記のように、iPSCから直接血小板を産生することが可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントは、Itoら(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Cell,174(3):636-648.e18,2018)に記載されている技術を使用して産生することができる。Itoは、iPSC前駆体から血小板を臨床規模で生産する方法を提供する。乱流は、ヒト誘導人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell、iPSC)からの血小板の臨床規模エクスビボ産生のために血小板生合成を活性化することが観察された(同書)。不死化巨核球前駆体細胞系(immortalized megakaryocyte progenitor cell line、imMKCL)に由来するiPSCを、乱流エネルギー及び剪断応力の物理的パラメータを制御しながら、バイオリアクター内で可溶性因子インスリン様成長因子結合タンパク2(Like Growth Factor Binding Protein 2、IGFBP2)、マクロファージ遊走阻止因子(migration inhibitory factor、MIF)、及びナルジリシンコンベルターゼ(nardilysin convertase、NRDC)と組み合わせた(同書)。1011を超える血小板の産生が観察された(同上)。血小板は、ドナーに由来するものと同様に機能することが観察された(同上)。
【0469】
本明細書における本発明のある特定の実施形態では、imMKCLは、レンチウイルスを使用して、がん由来MYC(c-MYC)/ポリコームリングフィンガーがん原遺伝子(BMI-1)及びBCL2l様1(BCL-XL)遺伝子を本発明のiPSCに導入することによって確立され得る(例えば、iPSCは、本明細書に記載の操作修飾のうちの1つ以上を含み得る)。追加の遺伝子が導入又は削除されて、編集された巨核球が生じる可能性があり、実際、血小板特異的プロモーターでさえ以前に特徴付けられている。これらの遺伝子は、ドキソルビシン(DOX)などの薬剤の存在下で誘導性の遺伝子発現を提供する。imMKCLは、培養が望まれるまで凍結保存することができる。巨核球の増殖は、細胞株を薬剤と接触させることによって刺激され、挿入された遺伝子の発現をもたらす。遺伝子発現を停止し、血小板産生を可能にするために、薬剤が除去される。
【0470】
輸血用の血小板の保管に関する現在の連邦医薬品局(FDA)承認の規則では、22℃での保管が必要であり、6日以内に使用する必要がある。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Slichter et al.「Treatment of Bleeding in Severely Thrombocytopenic Patients with Transfusion of Dimethyl Sulfoxide(DMSO)Cryopreserved Platelets(CPP)Is Safe-Report of a Phase 1 Dose Escalation Safety Trial」.Blood,2016は、DMSOで凍結した場合に2年間凍結保存が可能であると仮定する。ポジティブな第1相試験の後、第2相及び第3相試験が進行中である。重度の血小板減少症及び活動性出血を有する患者における凍結保存された血小板(cryopreserved platelet、CPP)の最大3つの連続単位の注入は、「安全であり、CPPが凍結保存プロセスから生じる凝血原表現型を有するにもかかわらず、血栓性合併症のいかなる証拠もない」ようであった。したがって、凍結保存された血小板は、世界保健機関(World Health Organization、WHO)の出血グレードを使用して測定されるように、血小板減少症患者における出血を安定化、低減、又は停止するための有効性を有する可能性が高い。非凝固目的で使用される凍結保存された血小板が、現在のFDA規則に従って保存された血小板と同じくらい効果的であるという仮説を損なう証拠は見つからなかった。
【0471】
本明細書に記載の本発明の様々な実施形態は、血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントのインビトロ産生の方法を提供し、当該方法は、複数の不死前駆体細胞、例えば人工多能性幹細胞(iPSC)前駆体に発現系をトランスフェクトすることであって、発現系がiPSCに見出されない薬剤によって誘導される、トランスフェクトすることと、発現系を薬剤と接触させて巨核球を拡張することによって巨核球前駆体細胞株を樹立することと、巨核球を、
前述のキメラ血小板受容体をコードする核酸配列の挿入;
毒素をコードする核酸配列の挿入;
カーゴ、例えばタンパク質若しくはペプチドであるカーゴ、又はRNA、例えばmRNAをコードする核酸の挿入;
治療剤又は造影剤、例えば、タンパク質若しくはペプチドである治療剤又は造影剤、あるいはRNA、例えば、mRNA、例えば、治療剤又は造影剤をコードする核酸の挿入;
血小板受容体、メディエーター、及び/若しくはシグナル伝達タンパク質をコードする核酸配列の欠失若しくは変異;並びに/又は
欠失若しくは変異のない血小板よりも免疫原性が低い血小板をもたらす核酸配列の欠失若しくは変異のうちの少なくとも1つを有するように操作することと、
巨核球の血小板への分化を誘導するために、発現系から薬剤を除去することと、を含む。
【0472】
いくつかの実施形態では、iPSCは、iPSCに導入された発現系であって、iPSCに見出されない作用物質によって誘導される発現系を既に含む。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、血小板(又は本明細書に記載のSynlet)のインビトロ産生のための方法を提供し、当該方法は、iPSCに導入された発現系(すなわち、非天然発現系である)を含むiPSCから巨核球前駆体細胞株を樹立することであって、発現系が、iPSCにおいて見出されない作用物質によって誘導され、発現系を当該作用物質と接触させて巨核球を増殖させることを含む、樹立することと、巨核球を、
前述のキメラ血小板受容体をコードする核酸配列の挿入;
毒素をコードする核酸配列の挿入;
カーゴ、例えばタンパク質若しくはペプチドであるカーゴ、又はRNA、例えばmRNAをコードする核酸の挿入;
治療剤又は造影剤、例えば、タンパク質若しくはペプチドである治療剤又は造影剤、あるいはRNA、例えば、mRNA、例えば、治療剤又は造影剤をコードする核酸の挿入;
血小板受容体、メディエーター、及び/若しくはシグナル伝達タンパク質をコードする核酸配列の欠失若しくは変異;並びに/又は
欠失若しくは変異のない血小板よりも免疫原性が低い血小板をもたらす核酸配列の欠失若しくは変異のうちの少なくとも1つを有するように操作することと、
巨核球の血小板への分化を誘導するために、発現系から薬剤を除去することと、を含む。
【0473】
いくつかの実施形態では、方法は、巨核球前駆体細胞株を、巨核球前駆体細胞株にロードされる外因性カーゴとともにインキュベートすることを含む。外因性カーゴは、カーゴを、巨核球前駆体細胞株、例えば、タンパク質又はペプチド;RNA若しくはmRNAなどの核酸、又はDNAベクターなどのベクター;ウイルスベクター;小分子;治療剤及び/若しくは造影剤、又はエキソソーム、例えば、第2のカーゴをプレロードされたエキソソーム;あるいは1つ又は複数のナノ粒子にロードするのに有益であると考えられる、任意の外因性カーゴであり得る。カーゴ及びカーゴをロードする方法の選好は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0474】
いくつかの実施形態では、方法は、巨核球前駆体細胞株から産生された血小板を、血小板にロードされる外因性カーゴとともにインキュベートすることを含む。外因性カーゴは、カーゴを、血小板、例えば、タンパク質又はペプチド;RNA若しくはmRNAなどの核酸、又はDNAベクターなどのベクター;ウイルスベクター;小分子;治療剤及び/若しくは造影剤及び/若しくはエキソソーム、例えば第2のカーゴをプレロードされたエキソソーム、あるいは1つ又は複数のナノ粒子にロードするのに有益であると考えられる、任意の外因性カーゴであり得る。カーゴ及びカーゴをロードする方法の選好は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0475】
本明細書では、遺伝子記号をENSEMBL遺伝子IDとともに使用して、ヒト由来の遺伝子を指す。特に明記しない限り、各遺伝子記号に対応する遺伝子名及びENSEMBL遺伝子(ENSG)IDは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の19~23頁の表1に示されている。この表における各ENSEMBLエントリの固有の識別子は、ENSGラベルの後の識別子の最初の5つの先行ゼロ(0)を削除するように変更された。
【0476】
本明細書では、記号及び名称をENSEMBLタンパク質IDとともに使用して、ヒト由来のタンパク質を指す。特に断りのない限り、タンパク質名(本明細書でタンパク質を指すために使用される場合)と、記号及び各記号に対応するENSEMBLタンパク質(ENSP)IDと、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の23~31頁の表2に示す。各ENSEMBLエントリの固有の識別子は、ENSPラベルの後の識別子の最初の5つの先行ゼロ(0)を削除するように変更された。
【0477】
CD3又はCD3は、分化クラスター2(複数のサブユニット)としても知られている。FCER2又はCD23は、(IgE受容体としても知られている。NT5Eは、5’-ヌクレオチダーゼとしても知られている。F9、F10は、活性化F9、F10としても知られている。ACVRL1は、アクチビン受容体様キナーゼ1としても知られている。AFPは、アルファフェトプロテインとしても知られている。ANGPTL3は、アンジオポエチン3としても知られている。BSG又はCD147は、ベイシジンとしても知られている。APP又はN/aは、ベータアミロイドとしても知られている。CALCAは、カルシトニン遺伝子関連ペプチドとしても知られている。CA9は、炭酸脱水酵素9(CA-IX)としても知られている。MYH7は、心筋ミオシンとしても知られている。METは、c-Metとしても知られている。F3は、凝固因子IIIとしても知られている。CLEC6Aは、樹状細胞関連レクチン2としても知られている。EGFR又はEGFRは、伸長成長因子受容体としても知られている。ENGは、エンドグリンとしても知られている。EPHA3は、エフリン受容体A3としても知られている。FGB又はフィブリンII、ベータ鎖としても知られている。FN1は、フィブロネクチンエキストラドメイン-Bとしても知られている。FOLH1は、葉酸ヒドロラーゼとしても知られている。FOLR2は、葉酸受容体2としても知られている。FOLR1は、葉酸受容体アルファとしても知られている。FZD1は、Frizzled受容体としても知られている。B4GALNT1は、GD2ガングリオシドとしても知られている。ST8SIA1は、GD3ガングリオシドとしても知られている。MMP9は、ゼラチナーゼBとしても知られている。TYRP1又はTYRP1は、糖タンパク質75としても知られている。GPC3は、グリピカン3としても知られている。CSF2RAは、GMCSF受容体α鎖としても知られている。IGF1R又はCD221は、IGF-1受容体としても知られている。IL31RAは、IL31RAとしても知られている。ITGA2B又はCD41は、インテグリンα-IIbとしても知られている。ITGA5は、インテグリンα5としても知られている。ITGB3は、インテグリンαIIbβ3としても知られている。ITGB7は、インテグリンβ7としても知られている。IFNGは、インターフェロンガンマとしても知られている。IFNAR1、IFNAR2は、インターフェロンα/β受容体としても知られている。CXCL10は、インターフェロンガンマ誘導タンパク質としても知られている。IL12A又はIL-12は、インターロイキン12としても知られている。IL13又はIL-13は、インターロイキン13としても知られている。IL17A又はIL17Aは、インターロイキン17アルファとしても知られている。IL17F又はIL17Fは、インターロイキン17Fとしても知られている。IL2又はIL2は、インターロイキン2としても知られている。IL22又はIL-22は、インターロイキン22としても知られている。IL23A又はIL23は、インターロイキン23としても知られている。IL6又はIL6は、インターロイキン6としても知られている。SELL又はCD62Lは、L-セレクチンとしても知られている。MSLNは、メソセリンとしても知られている。MUC1は、ムチンCanAgとしても知られている。MADCAM1は、粘膜アドレシン細胞接着分子としても知られている。MAGは、ミエリン関連糖タンパク質としても知られている。NECTIN4は、ネクチン-4としても知られている。CASP2は、神経アポトーシス調節プロテイナーゼ2としても知られている。PTDSS1は、ホスファチジルセリンとしても知られている。PDGFRBは、血小板由来成長因子受容体ベータとしても知られている。RHD、RHCEは、アカゲザル因子としても知られている。RSPO3は、ルートプレート固有のスポンジン3としても知られている。SELPは、セレクチンPとしても知られている。SAA1又はSAA2は、血清アミロイドAタンパク質としても知られている。APCSは、血清アミロイドP成分としても知られている。S1PR1は、スフィンゴシン-1-リン酸としても知られている。MAPTは、タウタンパク質としても知られている。TNCは、テネイシンCとしても知られている。TNFRSF12Aは、TWEAK受容体としても知られている。VIMは、ビメンチンとしても知られている。VWFは、フォンウィルブランド因子としても知られている。IL2RA又はCD25は、IL-2受容体のα鎖としても知られている。
【0478】
本発明が、本明細書に記載の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ若しくはエフェクターシャーシ、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR若しくはePAR、又は送達システムのうちのいずれか1つ以上を含む様々な組成物を提供することは、当業者には明らかである。
【0479】
本教示は、本発明の前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシのうちのいずれか1つ以上を、及び任意選択で少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤又は不活性成分を含む薬学的組成物を更に含む。更に、医薬品は、本明細書に記載の治療的送達システムを含み得る。
【0480】
薬学的組成物及び投与量についての選好は、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の段落[0197]~[237]に記載されているとおりである。
【0481】
本明細書の様々な場所で、本開示の組成物の特徴又は機能は、グループ又は範囲で開示されている。本開示が、そのようなグループ及び範囲のメンバーの全ての個々のサブコンビネーションを含むことが特に意図されている。以下は、用語定義の非限定的なリストである。
【0482】
本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は、それが対象に導入されるか、又はがん発生自体によって生じる腫瘍抗原などの対象によって産生されるときに免疫応答を誘発する分子として定義される。この免疫応答には、抗体産生、又は細胞傷害性Tリンパ球及びTヘルパー細胞などの特定の免疫学的能力のある細胞の活性化、あるいはその両方が含まれる場合がある。
【0483】
本明細書で使用される場合、「約(approximately)」又は「約(about)」という用語は、関心のある1つ以上の値に適用される場合、記載された参照値と同様の値を指す。ある特定の実施形態では、「約(approximately)」又は「約(about)」という用語は、特に明記されていない限り、又は文脈から明らかでない限り、記載された基準値のいずれかの方向に25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1以下(より大きい又は小さい)の範囲内にある値の範囲を指す(そのような数が100を超える場合を除く)。
【0484】
本明細書で使用される場合、「関連する」、「共役」、「連結される」、「付着する」、及び「繋留される」という用語は、2つ以上の部分に関して使用される場合、部位が直接又は連結剤として機能する1つ以上の追加の部位を介して互いに物理的に関連又は連結されて、構造が使用される条件下、例えば生理学的条件下で部分が物理的に結合したままであるように十分に安定な構造を形成することを意味している。「結合」は、厳密に直接共有化学結合を介する必要はない。また、「関連する」エンティティが物理的に関連したままになるように、イオン結合又は水素結合、又はハイブリダイゼーションベースの接続性が十分に安定していることを示唆している場合もある。
【0485】
本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、体内の異常な細胞の制御されない成長を特徴とする様々な疾患の広いグループを指す。調節されていない細胞分裂と成長は、隣接する組織に侵入する悪性腫瘍の形成をもたらし、最終的にはリンパ系又は血流を介して体の離れた部分に転移する。
【0486】
本明細書で使用される場合、「サイトカイン」という用語は、免疫系の機能に影響を及ぼし、調節することができる多くの細胞型によって産生される多面発現機能を有する小さな可溶性因子のファミリーを指す。
【0487】
本明細書で使用される場合、「送達」という用語は、化合物、物質、実体、部分、カーゴ又はペイロードを送達する行為又は方法を指す。「送達剤」は、細胞、対象、又は他の生物系細胞への1つ以上の物質(本発明の化合物及び/又は組成物を含むがこれらに限定されない)のインビボ送達を少なくとも部分的に促進する任意の薬剤を指す。
【0488】
本明細書で使用される場合、本明細書に記載の本発明の実施形態は、それらが、出発点、野生型又は天然分子から変化する、構造的又は化学的であるかどうかにかかわらず、特徴又は特性を有するように設計される場合に「操作される」。
【0489】
本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」は、以下の事象のうちの1つ以上を指す:(1)DNA配列からのRNAテンプレートの産生(例えば、転写による)、(2)RNA転写物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/又は3’末端プロセシングによる)、(3)ポリペプチド又はタンパク質へのRNAの翻訳、(4)ポリペプチド又はタンパク質のフォールディング、並びに(5)ポリペプチド又はタンパク質の翻訳後修飾。
【0490】
本明細書で使用される場合、「製剤」は、少なくとも本発明の化合物及び/又は組成物並びに送達剤を含む。
【0491】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「フラグメント」は、一部を指す。例えば、タンパク質のフラグメントは、全長タンパク質を消化することによって得られたポリペプチドを含み得る。いくつかの実施形態では、タンパク質のフラグメントは、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250以上のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、抗体のフラグメントは、抗体の一部を含む。
【0492】
本明細書で使用される場合、「免疫細胞」という用語は、2つの主要な系統、骨髄前駆体(単球、マクロファージ、樹状細胞、巨核球、顆粒球などの骨髄細胞を生じさせる)及びリンパ系前駆体(T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞などのリンパ系細胞を生じさせる)を生じさせる、骨髄中の造血幹細胞に由来する免疫系の任意の細胞を指す。例示的な免疫系細胞としては、CD4+T細胞、CD8+T細胞、CD4-CD8-ダブルネガティブT細胞、Tγδ細胞、Tαβ細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラー細胞、及び樹状細胞が挙げられる。マクロファージ及び樹状細胞は、「抗原提示細胞」又は「APC」と呼ばれることがあり、これらは、ペプチドと複合体を形成したAPCの表面にある主要組織適合遺伝子複合体(MHC)受容体がT細胞の表面のTCRと相互作用する。
【0493】
本明細書で使用される場合、「インビトロ」という用語は、生物(例えば、動物、植物、又は微生物)内ではなく、人工環境、例えば、試験管又は反応容器、細胞培養、ペトリ皿などで発生する事象を指す。
【0494】
本明細書で使用される場合、「インビボ」という用語は、生物(例えば、動物、植物、若しくは微生物又はそれらの細胞若しくは組織)内で発生する事象を指す。
【0495】
本明細書で使用される場合、「リンカー」又は「標的化ドメイン」は、所望の抗原を認識して結合するキメラ血小板受容体の一部を指す。
【0496】
本明細書で使用される場合、「チェックポイント因子」は、その機能がプロセスの接合部で作用する任意の部分又は分子である。例えば、チェックポイントタンパク質、リガンド、又は受容体は、細胞周期を停止又は加速するように機能する可能性がある。
【0497】
本明細書で使用される場合、「メッセンジャーRNA」(mRNA)という用語は、目的のポリペプチドをコードし、翻訳されて、インビトロ、インビボ、インサイチュ又はエクスビボでコードされた目的のポリペプチドを産生することができる任意のポリヌクレオチドを指す。
【0498】
本明細書で使用される場合、「変異」という用語は、変化(change)及び/又は改変(alteration)を指す。いくつかの実施形態では、変異は、タンパク質(ペプチド及びポリペプチドを含む)及び/又は核酸(ポリ核酸を含む)への変化(change)及び/又は改変(alteration)であり得る。いくつかの実施形態では、変異は、タンパク質及び/又は核酸配列への変化(change)及び/又は改変(alteration)を含む。そのような変化(change)及び/又は改変(alteration)は、1つ以上のアミノ酸(タンパク質及び/又はペプチドの場合)及び/又はヌクレオチド(核酸及び/又は多核酸、例えばポリヌクレオチドの場合)の付加、置換及び/又は欠失を含み得る。変異がアミノ酸及び/又はヌクレオチドの付加及び/又は置換を含むいくつかの実施形態では、そのような付加及び/又は置換は、1つ以上のアミノ酸及び/又はヌクレオチド残基を含み得、かつ改変されたアミノ酸及び/又はヌクレオチドを含み得る。得られた構築物、分子、又は変異、変化(change)、又は改変(alteration)の配列は、本明細書では変異体と呼ばれ得る。
【0499】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「新抗原」という用語は、腫瘍細胞に存在するが正常細胞には存在せず、胸腺におけるそれらの同族抗原特異的T細胞の欠失を誘発しない腫瘍抗原(すなわち、中枢性寛容)を指す。これらの腫瘍新抗原は、病原体と同様の「外来」シグナルを提供して、がん免疫療法に必要な効果的な免疫応答を誘導する可能性がある。新抗原は、特定の腫瘍に限定される場合がある。新抗原は、ミスセンス変異を有するペプチド/タンパク質(ミスセンス新抗原)、又は新規のオープンリーディングフレーム(neoORF)からの長く完全に新規のアミノ酸のストレッチを有する新しいペプチドである。一部の腫瘍では、フレーム外の挿入又は欠失(マイクロサテライト不安定性を引き起こすDNAミスマッチ修復の欠陥による)、遺伝子融合、終止コドンのリードスルー変異、又は不適切にスプライシングされたRNAの翻訳によって、いくつかの腫瘍に生成され得るSaeterdal et al.,Proc Natl Acad Sci USA,2001,98:13255-13260を参照し、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0500】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、薬学的組成物中に存在し、対象において実質的に非毒性及び非炎症性であるという特性を有する活性剤以外の任意の成分(例えば、本明細書に記載される)を指す。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、活性剤を懸濁及び/又は溶解することができるビヒクルである。賦形剤としては、例えば、付着防止剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング、圧縮助剤、崩壊剤、染料(色素)、乳化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、フィルム形成剤又はコーティング、フレーバー、香料、流動促進剤(流動促進剤)、潤滑剤、防腐剤、印刷インク、吸着剤、懸濁剤又は分散剤、甘味料、及び水和水が挙げられ得る。例示的な賦形剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、ナトリウムデンプングリコレート、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、及びキシリトールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0501】
本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩は、酸又は塩基部分がその塩形態である(例えば、遊離塩基基を適切な有機酸と反応させることによって生成される)開示された化合物の形態である。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコネート、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミスルホン酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウレート、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクレート、ピバレート、プロピオン酸塩、ステアレート、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアネート、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、並びにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されない、無毒のアンモニウム、四級アンモニウム、及びアミンカチオンが挙げられる。薬学的に許容される塩としては、例えば、非毒性の無機又は有機酸からの従来の非毒性の塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性又は酸性部分を含む親化合物から調製される。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸又は塩基形態を、水中又は有機溶媒中、あるいは2つの混合物、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルなどの非水性媒体中の化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることによって調製することができる。好適な塩のリストは、Remington‘s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418、Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Wiley-VCH,2008、及びBerge et al.,Journal of Pharmaceutical Science,66,1-19(1977)(これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に見出される。
【0502】
本明細書で使用される場合、「対象」又は「患者」という用語は、例えば、実験、診断、予防、及び/又は治療の目的で、本発明による組成物が投与され得る任意の生物を指す。典型的な対象としては、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒトなどの哺乳動物)及び/又は植物が挙げられる。
【0503】
本明細書で使用される場合、「T細胞」という用語は、T細胞受容体(TCR)を産生する免疫細胞を指す。
【0504】
本明細書で使用される場合、「T細胞受容体」(TCR)という用語は、可変抗原結合ドメイン、定常ドメイン、膜貫通領域、及びMHC受容体に結合した抗原ペプチドに特異的に結合することができる短い細胞質尾部を有する免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーを指す。TCRは細胞の表面又は可溶型で見られ、一般にα鎖及びβ鎖(それぞれ、TCRα及びTCRβとしても知られている)、又はγ鎖及びδ鎖(それぞれ、TCRγ及びTCRδとしても知られている)を持つヘテロ二量体で構成されている。TCR鎖の細胞外部分(例えば、α鎖、β鎖)は、2つの免疫グロブリンドメイン、N末端に可変ドメイン(例えば、α鎖可変ドメイン又はVα、β鎖可変ドメイン又はVβ)を含み、細胞膜に隣接する1つの定常ドメイン(例えば、α鎖定常ドメイン又はCα及びβ鎖定常ドメイン又はCβ)を含有する。免疫グロブリンと同様に、可変ドメインは、フレームワーク領域(framework region、FR)によって分離された相補性決定領域(complementary determining region、CDR)を含有する。
【0505】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、感染症、疾患、障害、及び/又は状態の発症を治療、改善、診断、予防、及び/又は遅延させるために、感染症、疾患、障害、及び/若しくは状態に罹患しているか、又はそれらに感染しやすい対象に投与された場合に十分である送達される薬剤(例えば、核酸、薬剤、治療剤、診断剤、予防剤など)の量を意味する。いくつかの実施形態では、治療有効量は、単回投与で提供される。いくつかの実施形態では、治療有効量は、複数の用量を含む投薬レジメンで投与される。当業者は、いくつかの実施形態では、単位剤形が、そのような投薬レジメンの一部として投与されたときに有効な量を含む場合、治療有効量の特定の薬剤又は実体を含むとみなされ得ることを理解する。
【0506】
本明細書で使用される場合、「治療(treatment)」又は「治療(treating)」という用語は、有益又は所望の結果を得るためのアプローチを示し、好ましくは、有益又は所望の臨床結果を含む。そのような有益な又は望ましい臨床結果としては、以下の:がん性細胞若しくは他の疾患の増殖を減少させる(又は破壊する)こと、がんに見られるがん性細胞の転移を減少させること、腫瘍のサイズを縮小すること、病気に起因する症状を減少させること、病気に苦しむ人々の生活の質の向上させること、病気の治療に必要な他の薬の投与量を減少させること、病気の進行を遅延させること、及び/又は個人の生存を延長させること、のうちの1つ以上が挙げられる、これらに限定されない。
【0507】
本明細書で使用される場合、「治療剤」という用語は、生物学的、薬学的、又は化学的化合物を指す。非限定的な例としては、単純又は複雑な有機又は無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体フラグメント、受容体、及び可溶性因子が挙げられる。
【0508】
等価物及び範囲
当業者は、本明細書に記載の本発明による特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、又は日常的な実験以上のことを用いずに確認することができる。本発明の範囲は、上記の説明に限定されることを意図するものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲に記載されるとおりである。
【0509】
請求項において、「a」、「an」、及び「the」などの冠詞は、反対に示されない限り、又は文脈から明らかでない限り、1つ又は複数を意味し得る。グループの1つ以上のメンバー間に「又は」を含む請求項又は説明は、反対に示されない限り、又は文脈から明らかでない限り、グループメンバーの1つ、複数、又は全てが、指定されていない限り、所与の製品又はプロセスに存在するか、採用されているか、又は関連している場合に満たされているとみなされる。本発明は、グループの正確に1つのメンバーが、所与の製品又はプロセスに存在するか、使用されるか、又はそうでなければ関連する実施形態を含む。本発明は、所与の製品又はプロセスに複数の、又はグループ全体のメンバーが存在する、使用される、又は他の方法で関連する実施形態を含む。
【0510】
また、「含む」という用語は、オープンで許可することを意図しているが、追加の要素又は工程を含める必要はないことにも注意されたい。本明細書において「含む」という用語が使用される場合、「からなる」という用語もまた、包含され、開示される。
【0511】
範囲が指定されている場合、エンドポイントが含まれる。更に、特に示されない限り、又は文脈及び当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈から明らかに指示されない限り、本発明の異なる実施形態において、範囲の下限の単位の10分の1に、述べられた範囲内の任意の特定の値又は下位範囲を想定できることが理解される。
【0512】
加えて、先行技術に該当する本発明の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲のうちの1つ以上から明示的に除外され得ることが理解されるべきである。そのような実施形態は当業者に知られているとみなされるので、除外が本明細書に明示的に記載されていなくても、それらは除外され得る。本発明の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、任意の抗生物質、治療剤又は活性成分;任意の製造方法;任意の使用方法など)は、先行技術の存在に関連するか否かにかかわらず、何らかの理由で、いずれか1つ以上の特許請求の範囲から除外され得る。
【0513】
使用されている単語は限定ではなく説明の単語であり、本発明のより広い態様における真の範囲及び精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更を加えることができることを理解されたい。
【0514】
本明細書に記載されているのは、本明細書に記載の操作された血小板の設計、製造、投与、及び/又は製剤のための組成物及び方法である。いくつかの実施形態では、操作された血小板は、野生型血小板を活性化しない標的による活性化時に送達するために小胞にカーゴを運ぶことができる。いくつかの実施形態では、次いで、本発明の操作された血小板は、標的による活性化時に送達するために小胞にカーゴを運ぶが、標的は野生型血小板を活性化しない。例えば、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARが結合する標的は、典型的には野生型血小板を活性化する標的ではないが、標的結合CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARとの相互作用を介して操作された血小板を活性化する標的である。
【0515】
本発明を以下の非限定的実施例によって更に例示する。本明細書に記載されているものと類似又は同等の任意の材料及び方法を、本発明の実施又は試験に使用することができるが、次に、好ましい材料及び方法を説明する。本発明の他の特徴、目的及び利点は、説明から明らかになるであろう。説明では、文脈が明確に別のことを指示しない限り、単数形には複数形も含まれる。別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾が生じた場合には、本発明の記載は、制御するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0516】
図1-1】ゲノム編集最適化/ガイドID。A)CRISPRガイドの選択及びスクリーニング手順の概略図。
図1-2】ゲノム編集最適化/ガイドID。B)iPSCのプール内でのガイドKO生成効率(Synthego ICEアルゴリズムによって予測される)。
図1-3】ゲノム編集最適化/ガイドID。C)最高効率のガイドヌクレオフェクションの要約及び繰り返し。結果当たりのN=2、エラーバーは標準偏差を示す。
図2-1】順次編集プロセス->7xKO。A)順次ノックアウトアプローチの概略図。
図2-2】順次編集プロセス->7xKO。B)順次KOアプローチ中の生細胞数の定量化。PI染色の除外に基づいて同定された生細胞。C)順次KOアプローチ全体でのプールされたノックアウト効率。各Cas9 RNPヌクレオフェクションイベントで、細胞の半分がゲノムDNA抽出のために採取され、以前の全ての標的部位のアンプリコンが増幅され、Synthego ICEを使用してKOレベルがスクリーニングされた。
図3】7xKOクローン同定。A)7xKOプールの単一細胞ソートから産生されたクローン内の遺伝子KOのSynthego ICEの結果を示す表。B)(A)で結果が得られなかった、更に拡張されたクローンから生成されたアンプリコンでのSynthego ICE分析の繰り返し。
図4-1】細胞の7xKOプールは、巨核球様表現型に向けてプログラムを転送する。A)ドキシサイクリンを使用したフォワードプログラミング誘導の10日後の7xKOプールのMK分化マーカーパネル及び生存率分析に基づくフローサイトメトリー。編集されていないプール及び7xKOプールの両方で実行される。
図4-2】細胞の7xKOプールは、巨核球様表現型に向けてプログラムを転送する。A)ドキシサイクリンを使用したフォワードプログラミング誘導の10日後の7xKOプールのMK分化マーカーパネル及び生存率分析に基づくフローサイトメトリー。編集されていないプール及び7xKOプールの両方で実行される。
図4-3】細胞の7xKOプールは、巨核球様表現型に向けてプログラムを転送する。A)ドキシサイクリンを使用したフォワードプログラミング誘導の10日後の7xKOプールのMK分化マーカーパネル及び生存率分析に基づくフローサイトメトリー。編集されていないプール及び7xKOプールの両方で実行される。
図4-4】細胞の7xKOプールは、巨核球様表現型に向けてプログラムを転送する。A)ドキシサイクリンを使用したフォワードプログラミング誘導の10日後の7xKOプールのMK分化マーカーパネル及び生存率分析に基づくフローサイトメトリー。編集されていないプール及び7xKOプールの両方で実行される。
図4-5】細胞の7xKOプールは、巨核球様表現型に向けてプログラムを転送する。B)(A)と同様だが、フォワードプログラミングの導入から13日後。
図4-6】細胞の7xKOプールは、巨核球様表現型に向けてプログラムを転送する。B)(A)と同様だが、フォワードプログラミングの導入から13日後。
図4-7】細胞の7xKOプールは、巨核球様表現型に向けてプログラムを転送する。B)(A)と同様だが、フォワードプログラミングの導入から13日後。
図4-8】細胞の7xKOプールは、巨核球様表現型に向けてプログラムを転送する。B)(A)と同様だが、フォワードプログラミングの導入から13日後。
図5-1】細胞の7xKOプールは、標準的なアゴニストによって活性化されない。A)固定後のドキシサイクリン添加後13日目にP-セレクチンについて染色された、編集されていないMK及び7xKOプールの顕微鏡画像。B)(A)と同様だが、TRAP6(10uM)及びCRP(10ug/ml)を30分間添加した後、固定する。C)300ng/mLのPMAで刺激されたMKにおけるP-セレクチン曝露のフローサイトメトリーアッセイ。ビヒクル対照又はPMAを生きたMKに加え、示されているヒストグラムは、アゴニスト/ビヒクル添加の7~10分後のP-セレクチン染色のものである。このアッセイは、7xKOクローン(プールではない)で実行され、ドキシサイクリン添加後15日目に実行された。
図5-2】細胞の7xKOプールは、標準的なアゴニストによって活性化されない。A)固定後のドキシサイクリン添加後13日目にP-セレクチンについて染色された、編集されていないMK及び7xKOプールの顕微鏡画像。B)(A)と同様だが、TRAP6(10uM)及びCRP(10ug/ml)を30分間添加した後、固定する。C)300ng/mLのPMAで刺激されたMKにおけるP-セレクチン曝露のフローサイトメトリーアッセイ。ビヒクル対照又はPMAを生きたMKに加え、示されているヒストグラムは、アゴニスト/ビヒクル添加の7~10分後のP-セレクチン染色のものである。このアッセイは、7xKOクローン(プールではない)で実行され、ドキシサイクリン添加後15日目に実行された。
図6】受容体の設計及びレンチウイルスの形質導入。A)CPR受容体設計ID。B)レンチウイルスにパッケージされたCPR発現ベクターの概略図。Aに列挙されているCPR及びT2A配列を使用して、マルチシストロン性転写産物として発現したmCherry。発現はEF1aプロモーターによって駆動される。C)形質導入の2日後の(A)でCPR配列を発現するレンチウイルスで形質導入されたiPSCの顕微鏡画像
図7】iPSC細胞表面での受容体発現。A)CPR受容体設計ID。B)CPR発現のCD19-FITCベースの染色によってアッセイされたmCherry発現及びCPR表面局在。レンチウイルスによる形質導入の10日後。
図8-1】受容体を発現する細胞FoP及び発現保持。A)ドキシサイクリンを使用したフォワードプログラミング誘導の10日及び16日後のCPR3発現細胞のMK分化マーカーパネル及び生存率分析に基づくフローサイトメトリー。
図8-2】受容体を発現する細胞FoP及び発現保持。A)ドキシサイクリンを使用したフォワードプログラミング誘導の10日及び16日後のCPR3発現細胞のMK分化マーカーパネル及び生存率分析に基づくフローサイトメトリー。
図8-3】受容体を発現する細胞FoP及び発現保持。A)ドキシサイクリンを使用したフォワードプログラミング誘導の10日及び16日後のCPR3発現細胞のMK分化マーカーパネル及び生存率分析に基づくフローサイトメトリー。
図8-4】受容体を発現する細胞FoP及び発現保持。A)ドキシサイクリンを使用したフォワードプログラミング誘導の10日及び16日後のCPR3発現細胞のMK分化マーカーパネル及び生存率分析に基づくフローサイトメトリー。
図8-5】受容体を発現する細胞FoP及び発現保持。B)ドキシサイクリン添加の10日後のCPR3発現MK及び未染色MKのFMC63-FITC染色を使用して定量化されたCPR3表面発現。
図9-1】受容体発現MKは、CD19+ve細胞に応答して活性化/脱顆粒する。A)BJAB(CD19+ve B細胞)又はJurkats(CD19陰性T細胞)のいずれかとの30分間のインキュベーション後の、CPR3又は非形質導入対照を発現する固定MKでのP-セレクチン染色の顕微鏡画像。
図9-2】受容体発現MKは、CD19+ve細胞に応答して活性化/脱顆粒する。B)(A)で画像化された試料のP-セレクチン染色のフローサイトメトリーによる定量化。C)示された比較におけるP-セレクチン染色のMFI倍率変化。MFIはバックグラウンド減算後に計算され、CD42陽性MK細胞集団内で実行された。
図10】本発明の血小板の血栓形成能の低下を示す概略図。
図11】MALIK,N,JENKINS AM,MELLOM J,BAILEY G.Regen.Med.(2019)14(11),983-989から引用
図12-1】Ye,Q et al(2020)Cell Proliferation,DOI:10.1111/cpr.12946から引用。免疫応答を抑制するためのhPSCの戦略的遺伝子編集。(A)HLAクラスI及びクラスI分子の概略的構造。
図12-2】Ye,Q et al(2020)Cell Proliferation,DOI:10.1111/cpr.12946から引用。免疫応答を抑制するためのhPSCの戦略的遺伝子編集。(B)免疫応答を抑制するためのhPSCの戦略的遺伝子編集。
図13】CD40L+血小板又は可溶性CD40Lによって活性化されたCD40+T細胞と免疫細胞及び非免疫細胞との相互作用から生じる多面的効果。The CD40/CD40L costimulatory pathway in inflammatory bowel disease Danese et al 2004 Gut 53:1035-1043から引用
図14】細胞傷害性リンパ球によるNKG2D媒介腫瘍免疫認識からのTGF-β媒介回避。細胞傷害性リンパ球上のNKG2D下方制御は、NKG2DLを発現する悪性細胞の免疫監視及びその後の腫瘍排除を損なう。腫瘍細胞は、NK細胞及び細胞傷害性Tリンパ球(CTL)に局所的かつ全身的に作用する可溶性TGF-β及びTGF-β含有エキソソームの両方を放出し、それによって、NKG2Dの下方制御を誘導する。加えて、腫瘍由来エキソソームは、NKG2D表面発現を下方制御する能力を有するNKG2DL及びmiRNAを含有し得る。TGF-βはまた、自己分泌又は傍分泌様式で腫瘍細胞に作用し、それによってNKG2DL発現を低減し、更にNKG2D-NKG2DL軸によるがん免疫監視を破壊する。TGF-βの他の主要な供給源は、血小板並びに調節性T細胞(Treg)及び骨髄由来サプレッサー細胞である。TGF-βによるNKG2D媒介腫瘍免疫の障害、Front.Immunol.,15 November 2019 https://doi.org/10.3389/fimmu.2019.02689
図15】血小板とがん:TGFbとの間の密接なクロストーク。(A)がん細胞におけるEMT誘導は、血小板媒介転移形成に関与する重要な機構であり、典型的な上皮マーカーのレベルの低下及び血栓形成促進性を有する多くの間葉系マーカーの発現の増加を特徴とする。これは、がん細胞による血小板の活性化及び血小板受容体TPに結合するTXA2の放出をもたらし、血小板応答の増幅を可能にする。PGE2、PDGF、及びTGF-βは、EMTの誘導を媒介し、したがって腫瘍浸潤及び転移形成をもたらす血小板由来メディエーターである。(B)血小板は、MHC-Iを含む、がん細胞への血小板タンパク質の移動を特徴とする、いわゆる「血小板擬態」現象により、免疫監視からの保護をがん細胞に提供することによって転移を促進する。結果として生じる「虚偽表示の表現型」は、腫瘍細胞自己喪失の認識を破壊し、それによって、NK細胞による細胞傷害性及びIFN-γ産生を損なう。また、GARPは潜在型TGF-βを活性化し、調節性T細胞によって媒介されるがん細胞に対する免疫応答の抑制を促進する。TGF-βの血小板放出は、インターフェロン-γ産生及びNK細胞の細胞傷害性を損なう。
図16】3xKOプール頻度の決定。 実施例5に記載されるように、ICE解析ソフトウェア(Synthego)を使用して頻度を決定した。
図17-1】3xKOプールフォワードプログラミング効率 A)ドキシサイクリンを使用したフォワードプログラミング誘導の10日後の3xKOプールのMK分化マーカーパネル及び生存率分析に基づくフローサイトメトリー。編集されていないプール及び7xKOプールの両方で実行される。フォワードプログラミング及びマーカーに関する更なる方法の詳細は、実施例6に見出すことができる。(A)3xKO ITGA2B/HPS1/PAR1プール、(B)3xKO ITGA2B/HPS1/P2Y12プール及び(C)編集されていない野生型に対して実行される。
図17-2】3xKOプールフォワードプログラミング効率 A)ドキシサイクリンを使用したフォワードプログラミング誘導の10日後の3xKOプールのMK分化マーカーパネル及び生存率分析に基づくフローサイトメトリー。編集されていないプール及び7xKOプールの両方で実行される。フォワードプログラミング及びマーカーに関する更なる方法の詳細は、実施例6に見出すことができる。(A)3xKO ITGA2B/HPS1/PAR1プール、(B)3xKO ITGA2B/HPS1/P2Y12プール及び(C)編集されていない野生型に対して実行される。
図17-3】3xKOプールフォワードプログラミング効率 A)ドキシサイクリンを使用したフォワードプログラミング誘導の10日後の3xKOプールのMK分化マーカーパネル及び生存率分析に基づくフローサイトメトリー。編集されていないプール及び7xKOプールの両方で実行される。フォワードプログラミング及びマーカーに関する更なる方法の詳細は、実施例6に見出すことができる。(A)3xKO ITGA2B/HPS1/PAR1プール、(B)3xKO ITGA2B/HPS1/P2Y12プール及び(C)編集されていない野生型に対して実行される。
図17-4】3xKOプールフォワードプログラミング効率 A)ドキシサイクリンを使用したフォワードプログラミング誘導の10日後の3xKOプールのMK分化マーカーパネル及び生存率分析に基づくフローサイトメトリー。編集されていないプール及び7xKOプールの両方で実行される。フォワードプログラミング及びマーカーに関する更なる方法の詳細は、実施例6に見出すことができる。(A)3xKO ITGA2B/HPS1/PAR1プール、(B)3xKO ITGA2B/HPS1/P2Y12プール及び(C)編集されていない野生型に対して実行される。
図17-5】3xKOプールフォワードプログラミング効率 A)ドキシサイクリンを使用したフォワードプログラミング誘導の10日後の3xKOプールのMK分化マーカーパネル及び生存率分析に基づくフローサイトメトリー。編集されていないプール及び7xKOプールの両方で実行される。フォワードプログラミング及びマーカーに関する更なる方法の詳細は、実施例6に見出すことができる。(A)3xKO ITGA2B/HPS1/PAR1プール、(B)3xKO ITGA2B/HPS1/P2Y12プール及び(C)編集されていない野生型に対して実行される。
図17-6】3xKOプールフォワードプログラミング効率 A)ドキシサイクリンを使用したフォワードプログラミング誘導の10日後の3xKOプールのMK分化マーカーパネル及び生存率分析に基づくフローサイトメトリー。編集されていないプール及び7xKOプールの両方で実行される。フォワードプログラミング及びマーカーに関する更なる方法の詳細は、実施例6に見出すことができる。(A)3xKO ITGA2B/HPS1/PAR1プール、(B)3xKO ITGA2B/HPS1/P2Y12プール及び(C)編集されていない野生型に対して実行される。
図18】B2Mガイドスクリーニング 実施例5に記載されるように、ICE解析ソフトウェア(Synthego)を使用して頻度を決定した。
図19】GARP/LRCC32ノックアウトガイドスクリーニング 実施例5に記載されるように、ICE解析ソフトウェア(Synthego)を使用して頻度を決定した。
図20-1】PBMKに由来するPLPの表面上のCAR発現。抗FMC63抗体で標的化された抗CD19 Stemspan SFEM2(Stemspan 100xMK Supplement,Stem Cell Technologies、カタログ番号02696)中のサイトカインのカクテルを使用して、成体の末梢血由来HSCを巨核球に分化させた。分化誘導後7日目に、細胞にレンチウイルス1粒子を形質導入した(図6A図B)。10日目に、抗CAR抗体を使用して、CARの表面発現をアッセイした。加えて、PLPは、これらの現在分化した培養PBMKから生成され、可溶性mCherry及び表面CAR発現の両方を含有することが示された。RPMI高グルコース中で6時間培養することにより、MKからPLPを生成した。
図20-2】PBMKに由来するPLPの表面上のCAR発現。抗FMC63抗体で標的化された抗CD19 Stemspan SFEM2(Stemspan 100xMK Supplement,Stem Cell Technologies、カタログ番号02696)中のサイトカインのカクテルを使用して、成体の末梢血由来HSCを巨核球に分化させた。分化誘導後7日目に、細胞にレンチウイルス1粒子を形質導入した(図6A図B)。10日目に、抗CAR抗体を使用して、CARの表面発現をアッセイした。加えて、PLPは、これらの現在分化した培養PBMKから生成され、可溶性mCherry及び表面CAR発現の両方を含有することが示された。RPMI高グルコース中で6時間培養することにより、MKからPLPを生成した。
図21】レンチウイルスで形質導入されたiPSC-MKに由来するPLPの表面上のCAR発現 図22図24及び図25についてのiPSCフォワードプログラミング及びレンチウイルス添加プロトコル(10日目)の概略図。
図22】iPSC-MKに由来するPLPの表面上のCAR発現 巨核球系統へのフォワードプログラミングを受けているiPSCのレンチウイルス形質導入後、15日目に、CAR結合抗体を使用して表面レベルCARの発現について細胞をアッセイした。iPSC-MKは、形質導入のために10日目に使用されたウイルスの量(MOIによって測定される)に用量応答的に表面レベルのCARを発現した。これらのiPSC-MKに由来するPLPは、同様のMOI依存性用量応答性を示した。
図23-1】MK及びPLPにおけるRNAローディング。(A)RNAローディング戦略の概略設計。BASP1は管腔エキソソームタンパク質であり、したがって、ヘアピン結合タンパク質であるL7Aeへのその融合は、PLPエキソソームへのRNAのローディングを可能にするはずである。(B)FoP iPSC巨核球を、最小BASP1-mScarlet-L7Ae融合タンパク質を発現するプラスミドでヌクレオフェクトし、3日後(分化後D16)にフィブリノーゲン上に播種し、固定(2%ホルムアルデヒド)後、Zeiss Cell Discoverer 7上で、0.5×チューブレンズを用いて50×対物レンズで造影した。造影の前に、細胞を透過処理し(PBS+0.3% TWEEN20)、その後にマウス抗CD62P(AbCam ab255822)+ヤギ抗マウスAlexa Fluor Plus 647(Invitrogen)で染色した。
図23-2】MK及びPLPにおけるRNAローディング。(A)RNAローディング戦略の概略設計。BASP1は管腔エキソソームタンパク質であり、したがって、ヘアピン結合タンパク質であるL7Aeへのその融合は、PLPエキソソームへのRNAのローディングを可能にするはずである。(B)FoP iPSC巨核球を、最小BASP1-mScarlet-L7Ae融合タンパク質を発現するプラスミドでヌクレオフェクトし、3日後(分化後D16)にフィブリノーゲン上に播種し、固定(2%ホルムアルデヒド)後、Zeiss Cell Discoverer 7上で、0.5×チューブレンズを用いて50×対物レンズで造影した。造影の前に、細胞を透過処理し(PBS+0.3% TWEEN20)、その後にマウス抗CD62P(AbCam ab255822)+ヤギ抗マウスAlexa Fluor Plus 647(Invitrogen)で染色した。
図24】CD34/41 KO iPSC由来MKは、ロバストなCAR発現を示す 巨核球系列へのフォワードプログラミングを受けている10日目のCD34及びCD41 KO iPSCのレンチウイルス形質導入後、13日目に、CAR結合抗体を使用して表面レベルCARの発現について細胞をアッセイした。
図25】7xKO iPSC由来MKは、ロバストなCAR発現を示す 巨核球系列へのフォワードプログラミングを受けている10日目のクローン7xKO iPSCのレンチウイルス形質導入後、13日目に、CAR結合抗体を使用して表面レベルCARの発現について細胞をアッセイした。この7xKO iPSCクローンは、図3で特定されたクローン34に対応する。
【実施例
【0517】
実施例1.実験室での血小板産生の樹立
iPSC-iMKCLは、the Koji Eto Lab at Megakaryon Corporation(Kyoto office/Kyoto Lab:Kyoto Research Park,93,Awatacho,Chudoji,Shimogyo-ku,Kyoto,600-8815,JAPAN and the Tokyo office:337 Bldg#1,The University of Tokyo Institute of Medical Science 4-6-1,Shirokanedai,Minato-ku,Tokyo,108-8639,JAPAN,in addition to a VERMES(商標)bioreactor(Satake Multimix)から得られ、迅速で高品質の血小板産生を可能にする。
【0518】
代替的に、主要なオピニオンリーダー(key opinion leader、KOL)との協議の後に選択された、選択された巨核球系統が取得され、培養される。バックアップ細胞株を樹立し、-80℃で保存する。血小板の生産は、VERMES(商標)バイオリアクター、又は参照によりその全体が本明細書に組み込まれるIto et al.,Cell,174(3):636-648.e18,2018で特定された6つの要因を備えた振とうフラスコで行うことができる。この方法は、3日間で約2.4×10血小板/mlを生成すると仮定されている。本明細書に記載の技術を組み合わせたハイブリッドアプローチも使用することができる。例えば、Meg01細胞(Sigma AldrichからのATCC(登録商標)CRL-2021(商標))は、乱流のあるバイオリアクターで6つの因子と組み合わせて、臨床的な翻訳を減らすことができる。
【0519】
血小板が活性であることを確認するために、CD62(特に活性化時に血小板に表示される)のインビトロアッセイを実行することができる。例えば、血小板CD62は、活性化の前にフローサイトメトリーを使用して測定される。アデノシン二リン酸(ADP)、トロンビン、又はコラーゲンを追加して血小板を活性化し、次いでCD62の表面曝露の割合を測定する。
【0520】
実施例2.非血栓形成性血小板の生成
前駆体細胞株が樹立されると、血小板産生の前に編集することができる。血小板の血栓形成に影響を与える遺伝子などの遺伝子がノックアウトされる可能性がある。Cas9は、編集プロセスを支援するためにレトロウイルスを使用して巨核球に導入される場合がある。次いで、ガイドRNA(guide RNA、gRNA)エレクトロポレーションが実行される。分解(TIDE)分析によるインデルの追跡は、所望の領域のノックアウトを確認するために実行される。
【0521】
細胞のクローニング効率も測定され、細胞を単独でプレーティングして増殖できることを確認する。本明細書に記載の本発明のいくつかの実施形態では、編集された血小板の機能は、血小板機能のインビトロアッセイを使用して測定され、例えば、マイクロ流体チップは、凝集を試験するために市販されている。
【0522】
次いで、血小板は、インビボ機能テストに移される。内因性マウス血小板を枯渇させることができる、Boulaftali et al.2013に示されているマウスモデルを使用することができる(Boulaftali et al.「Platelet ITAM signaling is critical for vascular integrity in inflammation」.JCI,2013を参照され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。CLEC-2ノックアウト(knock-out、KO)ヒト血小板の株が生成され、対照株として機能する。
【0523】
非血栓形成性血小板(CLEC-2及び血管内皮カドヘリン(ve))は、色素又はベータ-gal(β-Gal)と組み合わされる。各マウスには、対照(CLEC-2)のヒト血小板及び非血栓形成性の編集された血小板の混合物が輸血される。マウスは、ヘモグロビン(Hb)の皮膚の蓄積又は尾静脈の出血時間など、アッセイのプロトコルに従って負傷される。
【0524】
アッセイの結果として形成された血餅は、編集された血小板の存在について観察される。マウスをロドシチン(CLEC-2を介して作用するヘビ毒成分)で処理し、編集された血小板のCLEC-2依存性血小板凝集を引き起こす。血餅の存在についてマウスを検査する。血餅が存在しない場合、編集された血小板は本当に血栓形成性ではない。
【0525】
実施例3.CPRを発現する血小板の生成
編集された血小板がCPRを使用して操作された刺激によって活性化できるかどうかをテストするために、血小板受容体を含有する既知のITAM(GPVI、CLEC-2、及びFCgR2A)と抗原に特異的なモデル単鎖抗体(例えば、CD19)との間でCPRを設計した。構築物は、追加のコピーとして、又は内因性血小板受容体遺伝子座へのノックインによって導入され、受容体の同族の細胞外ドメインを置き換える。CPRを発現する血小板はインビトロで生成され、CD19を発現する細胞株(例えば、NALM-6細胞株)及び対照CD19陰性細胞株(例えば、B16黒色腫細胞株)に曝露される。
【0526】
CD19の存在に応答してその後に活性化するCPR発現血小板の能力は、顕微鏡検査によってインビトロでアッセイされる。いくつかの実施形態では、遺伝子(例えば、TRAIL)は、操作された血小板による細胞傷害性を増加させるために発現される。
【0527】
同様の技術を使用して、CPRは、既知のITAMを含有する血小板受容体(GPVI、CLEC-2、及びFCgR2A)並びに単鎖MHCクラス1及びMHCクラス2受容体の部分を含むように操作される。使用されるMHC受容体のバリアントは、使用されるモデル、例えば、Astarte Biologicsからのニューヨーク食道扁平上皮がん1(NY-ESO-1)によって決まる。構築物は、追加のコピーとして、又はその同族の細胞外ドメインを置き換える内因性血小板受容体遺伝子座へのノックインによって導入される。これらのCPRを発現する血小板はインビトロで産生され、ペプチド抗原が試料に添加される。CPRを発現する血小板は、ペプチド-MHCに応答するT細胞株(又は混合T細胞のナイーブバッチ)に曝露され、曝露に対するT細胞応答が観察される。血小板には、T細胞応答を変更できるかどうかを判断するために、様々なサイトカインカクテルがロードされる。
【0528】
実施例4.非血栓形成性CPR発現血小板をインビボで試験する
CD19を発現する黒色腫細胞株(又は他の黒色腫細胞株)に由来する非血栓形成性血小板は、受動的に又はレトロウイルス形質導入により、CTLA4及びPD-1抗体を含むように操作される。免疫担当性マウスはこれらの血小板で治療され、黒色腫治療についてチェックされる。
【0529】
CD19 Nalm-6 B細胞白血病モデルを使用すると、TRAILは、非血栓形成性血小板で発現する。FASL及びCD40Lは既に存在しており、TRAILと相乗作用してB細胞白血病死を誘導する。腫瘍を有するNOD scidガンママウス(NSG)マウスは、操作された血小板で治療される。アプローチを検証するための治療上の利益について、マウスを観察する。
【0530】
代替的に、実験的自己免疫性脳脊髄炎(experimental autoimmune encephalomyelitis、EAE)は、前述のプロトコル(マルトース結合タンパク質(maltose binding protein、MBP)でワクチン接種)を使用してマウスにおいて誘導される。マウスMHCを含むヒト血小板及び/又はマウスMHCを含むL8057マウス細胞には、免疫化に使用されるMBPペプチドがロードされる。更に、血小板には、細胞傷害性成分(特定の細胞を殺すため)及びTGF-β及び他の抗炎症剤のうちの少なくとも1つがロードされる。明確に定義された臨床スコアシステムを使用して、上記が非血栓形成性CPR発現血小板のインビボでの有効性をテストするための効果的なモデルシステムであるかどうかを確認する。
【0531】
実施例5-実施例6及び7の材料及び方法
CRISPRガイド設計
ガイドは、遺伝子の標的エクソンの最初の共通エクソンを特定することによって設計された。このエクソンは、ガイド選択のためのCRISPORアルゴリズムへの入力として使用された。表21にリストされている、エクソン全体の分布及び特異性スコアに基づいて、標的遺伝子ごとに4つのガイドが選択された。
【0532】
レンチウイルスiPSC形質導入
CPR構築物及びmCherryを含有する複製欠損レンチウイルス粒子は、Flash Therapeuticsによって産生された。hiPSC株は、ルーチン培養培地中10μgml-1のProtamine Sulfate(Sigma)の存在下で、100の感染多重度を使用したLVPへの18~24時間の単一曝露によってルーチン的に形質導入された。
【0533】
iPSCクローニング
HiPSCは、96ウェルプレートへの単細胞選別によってクローン化された。選別の前日、iPSCをCloneR(Stem Cell Technologies)で処理した。96ウェルプレートをBiolaminin521LN(Biolamina)でコーティングした。CloneRは、選別後2日目まで培地に保管された。ウェルをReLeSrで処理し、コロニーを24ウェルプレートに再播種することにより、選別の15~20日後にコロニーを回収した。
【0534】
フローサイトメトリー及び染色
単一細胞懸濁液は、FITC-、PE-、PE-Cy7-、APC-、及びAPC-H7結合抗体の組み合わせを使用して室温で20分間染色された。バックグラウンド蛍光は、蛍光色素が一致するアイソタイプ対照抗体及び単色染色細胞を使用して定義された補正マトリックスに対して設定された。
【0535】
CRISPR編集-スクリーニング
ヌクレオフェクション培地の24時間前に、CloneRを含有する培地と交換した。ヌクレオフェクションの日に、1μlの61pmol/μLのAlt-R HiFi Cas9 V3(Integrated DNA Technologies)を2μlの91.5pmol/μLのsgRNAとTE(Synthego)(1:3モル比)で直接混合し、室温で少なくとも1時間インキュベートした。ヌクレオフェクション当たり100,000~500,000のHiPSCをGCDR(Stem Cell Technologies)で回収した。採取した細胞をスピンダウンし、20μLのヌクレオフェクションバッファーP3(Lonza)に再懸濁した。次いで、Cas9/gRNAミックスを20μLの細胞/バッファーP3ミックスに加え、4D Nucleofectorシステム(Lonza)を備えた16ウェルNucleocuvette Stripを使用してヌクレオフェクションを行った。ヌクレオフェクションに続いて、80μLの培地をヌクレオキュベットウェルに添加し、細胞を、CloneR含有培地で24ウェルプレートの単一ウェルに再プレートした。2日後にmTeSR Plusの培地が変更された。
【0536】
CRISPR編集-シーケンシャル
ヌクレオフェクション培地の24時間前に、CloneRを含有する培地と交換した。ヌクレオフェクションの日に、5μlの61pmol/μLのAlt-R HiFi Cas9 V3(Integrated DNA Technologies)を10μlの91.5pmol/μLのsgRNAとTE(Synthego)(1:3モル比)で直接混合し、室温で少なくとも1時間インキュベートした。ヌクレオフェクション当たり1~250万のHiPSCを、GCDR(Stem Cell Technologies)で採取した。採取した細胞をスピンダウンし、100μLのヌクレオフェクションバッファーP3(Lonza)に再懸濁した。次いで、Cas9/gRNAミックスを100μLの細胞/バッファーP3ミックスに添加し、100μLのNucleocuvetteと4D Nucleofectorシステム(Lonza)を使用してヌクレオフェクションを行った。ヌクレオフェクションに続いて、400μLの培地をヌクレオキュベットウェルに添加し、細胞を、CloneR含有培地で、6ウェルプレートの2つのウェル及び24ウェルプレートの1つのウェルに再プレートした。2日後にmTeSR Plusの培地が変更された。細胞は、その後のヌクレオフェクションが行われる前に、回復するために合計3~4日与えられた。
【0537】
CRISPR KOの定量化
ジェノタイピングは、GCDR又はReLeSrを使用してHiPSC細胞を最初に採取することによって実行された。ゲノムDNAは、メーカーの指示に従って、Kapa Express Extractキット(Roche)を使用して抽出した。ゲノムDNA抽出後、標的化遺伝子座特異的プライマーを使用して標的ゲノム領域を増幅した(表2を参照されたい)。PCRフラグメントをPCR精製し、Sanger Sequencing(Source Bioscience)に提出した。次いで、これらの配列をICE分析ソフトウェア(Synthego)に入力し、編集効率を定量化した。
【0538】
iPSC細胞培養及びMKへのフォワードプログラミング
iPSC細胞株RCIB-10は、ドキシサイクリン誘導性プロモーターからのTAL1、FLI1、GATA1の同時発現により、巨核球にフォワードプログラミングされた(例えば、Dalby thesis,University of Cambridge「Forward programming of human pluripotent stem cells to a megakaryocyte-erythrocyte bi-potent progenitor population」;及びMoreau 14 September 2017 「Forward Programming Megakaryocytes from Human Pluripotent Stem Cells」BBTS Annual Conference Glasgow 2017)を参照されたい)。親のRCIB-10株は、もともと、ドナー細胞株からのヒトOCT4、SOX2、KLF4、及びMYCリプログラミング因子のエピソームベクター媒介発現によって誘導された。
【0539】
細胞をドキシサイクリンを用いた標準条件下で10日間培養し、その時点で細胞を回収した。
【0540】
巨核球へのHSC分化
Stemspan SFEM2(Stemspan 100xMK Supplement,Stem Cell Technologies、カタログ番号02696)中のサイトカインのカクテルを使用して、成体の末梢血由来HSCを巨核球に分化させた。プロトコルは、製造業者のウェブサイト上で入手可能である。末梢血HSCは、分化のD10~D13でPLP産生に対して適格になる。
【0541】
PLP産生
巨核球を標準増殖培地からRPMI 1640+25mMグルコース含有培地に移すことによって、巨核球からPLPを産生した。この工程は、PLP産生をもたらしたが、PLP産生に必須ではなく、PLPは、標準培養培地から採取することができる。
【0542】
P-セレクチンベースの活性化アッセイ(CRP/TRAP-6/PMA)
既知のアゴニストとの混合に応答したMKの活性化をアッセイするために、100,000~500,000MKを最初に100Gで8分間遠心分離によって回収し、抗P-セレクチン抗体(Biolegend、クローンAK4,1μL/100μLの細胞の可変フルオロフォア)を含有する100μLのタイロードバッファー(134mMのNaCl、12mMのNaHCO3、2.9mMのKCl、0.34mMのNa2HPO4、1mMのMgCl2、10mMのHEPES、pH7.4)に再懸濁した。生細胞がフローによってアッセイされた場合、これは、細胞を再懸濁することなく、チューブから直接サンプリングすることによって実行された。続いてアゴニストを添加し、MKと40分間インキュベートした後、1%PFAで15分間固定した。PFA固定後、細胞を300μLのタイロードバッファーに再懸濁し、抗CD42抗体(1μL/100μL)を添加して成熟MKを同定した。MKは、共焦点顕微鏡を使用したイメージング又はフローサイトメトリーのいずれかによって分析された。CRP(Cambcol)を10μg/mlの濃度で、TRAP-6(Abcam)を10μMの濃度で、PMA(Sigma)を300ng/mLの濃度で細胞に添加した。細胞をアゴニストとして使用した場合(Jurkats、DSMZカタログ番号:ACC282及びBJAB-B細胞リンパ腫株、Ghevaertラボストック)、MKに対して1:1の数で添加した。
【0543】
国際出願第PCT/GB2020/053247号の154~161頁に提示され、gRNAプライマー配列、アンプリコンプライマー、及び培地レシピを提示する表21~23は、参照により本明細書に組み込まれる。表21及び22を便宜上以下に再現する。
【0544】
【表4-1】
【0545】
【表4-2】
【0546】
【表4-3】
【0547】
本明細書の他の箇所で言及されるように、当業者は、ヌクレオチドAGTCを使用してRNA分子の配列を提供することが慣習的であることを理解するであろう。しかしながら、当業者は、RNAにおいてTがウラシルで置換されていることを知っている。したがって、RNA分子に関連する本明細書に記載の任意の配列は、T又はUで書かれ得るが、実際には、RNA分子は、TではなくUを含む。
【0548】
【表5-1】
【0549】
【表5-2】
【0550】
実施例6
非血栓形成性のiPSC由来の血小板様前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシを生成するには、内因性血栓プロセスの主要コンポーネントをコードする遺伝子を削除する必要がある。この例では、対象となる遺伝子はCox1、GPVI、HPS1、ITGA2B、P2Y12、Par1、Par4であった。CRISPR/Cas9を介したIN/DEL生成は、遺伝子ノックアウト(KO)の方法として選択された。まず、ガイドは、Cas9ヌクレアーゼを上記の標的に標的とするように設計された(図1A)。標的ごとに4つのガイドが設計され、Cas9タンパク質と複合体としてiPSCにヌクレオフェクトされ、プール内の遺伝子編集効率がサンガーシーケンシング及びTIDE又はSynthego ICEアルゴリズムによって測定された。各標的のKOが80%を超える高効率ガイドが、ガイド画面で識別された(図1B)。これらのガイドは、再現性のある高い編集効率を生成した(図1C)。
【0551】
非血栓形成前駆体iPSC株を生成するには、これらのKOを全て同じ細胞に導入する必要がある。これを実現するために、シーケンシャル編集プロトコルが設計された(図2A)。簡単に説明すると、以前に特定された高効率ガイドを特徴とするCas9 RNP複合体は、同じ集団のiPSCに順次ヌクレオフェクトされ、各ヌクレオフェクションの間に3~4日休止した。このプロトコルは、約3.5週間のプロセスを通じて、細胞の生存率又は増殖に悪影響を及ぼさなかった(図2B)。遺伝子KOは、シーケンシャルヌクレオフェクションプロトコル全体で以前にヒットした各標的について定量化された。遺伝子KOの希釈は観察されず(KO自体が有害である場合に発生する可能性がある)、驚くほど高い遺伝子編集効率が全ての標的で観察された(COX1を除く全ての標的で>94%)(図2C)。シーケンシャルKOプロトコルに従って、単一細胞を96ウェルプレートに分類し、クローンコロニーを形成して成長させた。その後、これらのコロニーを分離し、配列を決定した。3つの7xKOクローンが同定された(図3)。
【0552】
これらのiPSC細胞内でKOされた巨核球(MK)特異的遺伝子の数を考えると、これらのiPSC細胞が依然としてMK様細胞に分化できるかどうかについては不明なままであった。これを理解するために、iPSCは、ドキシサイクリンを介したMK特異的転写因子GATA1、TAL1、及びFLI1の誘導によってMKにフォワードプログラムされた。既知の明確に定義されたMKマーカーの細胞表面発現及び生存率を、フォワードプログラミングプロセス中にアッセイした(図4A及びB)。この研究は7xKOMKのプールで実施されたが、プール内の編集効率が非常に高いことを考えると、細胞の90%超が少なくとも6つのKOを備えている可能性がある。フォワードプログラミングプロセス中、フォワードプログラミングの効率やMKの実行可能性への影響は観察されなかった。CD41は、私たちの標的遺伝子の1つであるITGA2Bである。したがって、7xKO集団内でのCD41発現の欠如は、シーケンシングベースのアプローチによって予測されるように、この遺伝子のタンパク質レベルKOを検証した。
【0553】
7xKO MKの非血栓形成性、及びそれらの保持された機能を検証するために、既知の血小板アゴニストに対する脱顆粒反応を研究した。MKには、血小板と同じコアシグナル伝達機構、原形質膜、及び成分が含まれているため(血小板はMKのフラグメントである場合)、ここでは実際の血小板の代理としてMKを使用した。MKで見られる結果は、血小板に直接変換されると予想される。脱顆粒をアッセイするために、細胞表面のP-セレクチン曝露をマーカーとして使用した。P-セレクチンはアルファ顆粒膜タンパク質であり、通常は血小板表面には存在しない。血小板が活性化されると、アルファ顆粒は原形質膜と融合し、その内容物をエキソサイトーシスし(脱顆粒)、それらの膜成分は原形質膜と混合する。したがって、P-セレクチンは、蛍光抗体を介した染色によって露出され、検出可能になる。休止中の7xKOMKは、編集されていない野生型MKよりも低い基礎レベルのP-セレクチン曝露を特徴とする(図5A)。2つの古典的な血小板アゴニストであるCRP及びTRAP6(それぞれGPVIとPAR1を介してシグナルを送る-両方とも7xKOプールでKO)で刺激すると、7xKO MKプールでP-セレクチン染色の増加は観察されなかった。これは、P-セレクチンを増加させ、細胞の小さな凝集体を形成し始めたように見える未編集のMKとは対照的である(図5B)。重要なことに、7xKO株内で除去されたシグナル伝達経路をバイパスするアゴニストであるPMAで7xKO MKを刺激すると、7xKO MKは未編集のMKよりも優れていないとしてもP-セレクチンを曝露した(図5C)。これらの活性化実験と先に述べた細胞表面マーカー実験を総合すると、iPSC細胞において我々の非血栓性候補遺伝子を欠失させても、MK様細胞への分化能力は損なわれず、また欠失させないシグナル伝達機構に応答して脱顆粒するMKの能力も損なわれないことが示された。
【0554】
血小板には、ITAMドメインを含有する受容体、具体的にはCLEC2、FCERG及びFCGR2Aが含まれる。CLEC2はII型膜タンパク質であり、FCERG及びFCGR2AはI型膜タンパク質である。I型膜タンパク質は、scFV fabドメイン(及び他のN末端標的化機構)との融合に適している。したがって、キメラ血小板受容体(CPR)は、FMC63抗体に由来するB細胞抗原CD19を標的とするscFV、ヒンジドメイン、並びにFCERG及びFCGR2Aの膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインの間の融合として設計された。これにより、4つの潜在的な受容体設計が得られた(図6A)。これらのデザインは、T2Aペプチド分割配列で連結されたmCherry蛍光タンパク質を持つ、マルチシストロン構築物としてレンチウイルス発現ベクターに挿入された(図6B)。ウイルス粒子をiPSCに形質導入し、mCherry発現により形質導入効率を調べた。注目すべきmCherry発現は、4つのレンチウイルス発現ベクター全てで検出され、形質導入されていない対照には存在しなかった(図6C)。
【0555】
受容体自体が発現し、細胞表面に局在していることを検証するために、ウイルスで形質導入されたiPSCをFITCで蛍光標識した組換えCD19で染色した。CD19-FITCは、iPSCが細胞表面に正しい方向で抗CD19 scFVを発現している場合にのみ、iPSCに標識付けする必要がある。特に、形質導入陽性(すなわち、mCherry陽性)のコロニーはCD19-FITCにも陽性であり、設計されたCPRが折りたたまれ、それらを発現する細胞の原形質膜に正しく局在することを示す(図7)。
【0556】
iPSC株を発現するクローン高CPR3をMKにフォワードプログラムした。全ての古典的なMK特異的マーカーがこれらの細胞内で発現されたため、CPR3構築物の発現はiPSCがプログラムを転送する能力に影響を与えなかった。MKの生存率は、CPR3の発現によっても影響を受けなかった(図8A)。CD41はこれらの細胞内でクローン的にKOされるため、その発現の欠如が予想されることに注意されたい。CPR3が発現し、この発現がMK細胞表面で維持されていることを検証するために、CD19-FITC染色を実施した(図8B)。CPR表面発現が観察され、MK分化がレンチウイルス発現構築物を沈黙させなかったこと、又は何らかの形で受容体の局在を改変させなかったことを示す。
【0557】
血小板特異的CARの正確な表面局在化を更に確認するために、造血幹細胞由来巨核球においてCPR1を発現させた。CPR1レンチウイルス形質導入(共役CPR及びmCherry発現を特徴とする)後、mCherryレベルと表面scFV発現レベルとの間に強い正の相関があった。これは、CPR1が折りたたまれ、巨核球の表面に良好に局在化し得ることを実証する(図20パート1)。重要なことに、これらの巨核球からのPLP産生に続いて、PLPはまた、表面常在の正確に配向されたCPR1を発現することが示された。これらの結果は、その後、iPSC由来巨核球及びそれらに由来するPLPにおいても繰り返された(図22)。重要なことに、CPR1/CAR1は、非血栓形成性7xKOクローン34株(図25)及び対照CD34/CD41 KO株(図24)において表面に局在した。これは、非血栓形成性血小板「シャーシ」がCPRで機能化され得るという実験的証拠を実証する。
【0558】
CPRの機能を研究するために、CPR3発現MK及び対照の非形質導入MKを、CD19を発現するB細胞白血病株(BJAB)又はCD19陰性のT細胞白血病株(Jurkats)と混合し、P-セレクチン曝露を以前と同様に測定した。混合細胞集団の顕微鏡イメージングは、CD19+ve BJABと混合した場合に、特にCPR3発現MK内でのP-セレクチン曝露の増加を示した(図9A)。この結果は、P-セレクチン曝露のFACSベースの測定によって定量的に確認された(図9B及びC)。BJAB細胞は非形質導入MKを活性化せず、CD19陰性ジャーカットはCPR3発現MKを活性化しない。これらの結果は、CPR3構築物がCD19陽性BJAB細胞によるトリガーに応答してMK脱顆粒を特異的に刺激することを示す。血小板はMKの細胞質フラグメントであり、コアシグナル伝達機構がそれらの間で共有されていることを考えると(共有された細胞質が与えられた場合)、これらの結果は、CPR3発現MKから産生されたときに血小板に変換されるはずであると予想される。追加的に、7xKO MKは、同族の受容体が削除されていないアゴニストに応答して活性化及び脱顆粒する能力を保持しているという観察結果を考慮すると、7xKO株内のCPR3発現は、CD19陽性細胞と混合すると脱顆粒を引き起こすと予想される。外部CPR標的化ドメインの交換可能な性質を考えると、標的の特異性は、標的係合でMK脱顆粒をトリガーするためにここに示されているのと同じ内部シグナル伝達ドメインを保持しながら、代替の標的化機構に抗CD19 scFVを交換することによって改変することができる。
【0559】
実施例7-非血栓形成性活性のために設計されたiPSCノックアウト株の試験
各々が3つの遺伝子ノックアウトを有する、2つの異なるiPSC細胞株を生成した。
クローン1:iTGA2b KO、PAR1 KO、HPS1 KO
クローン2:iTGA2b KO、P2Y12 KO、HPS1 KO
【0560】
各クローンは、血栓形成に関与する3つの重要なプロセスにおいて表現型的に欠損するように設計されている。
●iTGA2bの不活化は、刺激(フィブリノーゲン)の認識に必須であるGPIIb/IIIa受容体を不活化し、損傷した内皮の下の基底膜の曝露をもたらす。
●PAR1又はP2Y12の不活性化は、それぞれトロンビン及びADPの受容体を不活性化する。これらのアゴニストは、活性化された血小板によって放出されて更なる血小板を成長中の血栓に動員する、血小板由来二次メッセンジャーである。
●HPS1の不活性化は、血小板における高密度顆粒の形成を妨げる。高密度顆粒は、ADP及びセロトニンなどの血小板活性化の二次メディエーターを含有し、放出する。したがって、血小板における高密度顆粒の除去は、iPSC由来ノックアウト血小板への正常な野生型血小板動員を防止する。
【0561】
上記遺伝子のノックアウトを特徴とするiPSCを、実施例5に記載の方法論を使用して生成した。標的遺伝子に使用したガイドRNAは、各遺伝子について実施例5に記載したとおりであった。これらのiPSC KO株に由来する巨核球及び血小板は、「シャーシ」血小板又は巨核球と記載される。実験がシャーシ血小板の使用を記載する場合、シャーシ巨核球が代用され得る。
【0562】
以下に、操作された血小板における血栓形成活性の非存在を実証するために設計された一連の実験(インビトロ及びインビボ)を記載する。これらのアッセイは文献に十分に記載されており、シャーシ血小板の研究に適合されている。
【0563】
上記遺伝子のKOを特徴とするiPSCプールの生成は、以前に同定されたガイド(実施例5)を使用して生成されている(図16)。これらのノックアウトプールは、巨核球表現型に対するフォワードプログラミングアプローチを使用して分化されており、既知のMK表面マーカーの発現に基づいて分化するそれらの能力が確認されている(図17)。
【0564】
A.シャーシ血小板がインビトロで一次/主要血小板活性化刺激に応答しないことの実証
コラーゲン又はフィブリノーゲンのいずれかでコーティングされたフローチャンバーは、血小板の接着及び活性化を観察するための十分に検証された方法を表す。フィブリノーゲンは、ITGA2B KOを介して破壊されるgpIIb/IIIa複合体によって結合される。血小板を含有する試料をチャンバーに通し、様々な特徴について試験する:(i)顕微鏡による結合事象の目視検査/計数、(ii)P-セレクチン標的化抗体による任意の結合血小板のIF染色による、又はカルシウムフラックスCD40L及びアネキシンV染色による血小板活性化状態。この実験における肯定的な結果は、第1の例におけるフローチャンバーへのシャーシ血小板結合の欠如及び/又は低減であり、任意の結合したシャーシ血小板は活性化されるべきではない。
【0565】
B.シャーシがインビトロでアゴニスト/二次メッセンジャーに応答しないことの実証
このアッセイでは、懸濁液中の血小板を、規定された用量漸増血小板メディエーター(トロンビン、ADP)で処理し、血小板活性化状態を、以下のマーカーについて染色/フローサイトメトリーによって測定する:CD62p/P-セレクチン、PF4放出、並びに必要に応じてカルシウムフラックス、CD40L及びアネキシンV染色などの他の活性化マーカー。このアッセイにおける肯定的な結果は、シャーシ血小板における活性化の低減及び/又は不在である。対照実験では、血小板活性化(受容体PAR1/P2Y12活性化とは独立して)の能力を、血小板をロドサイチン又はポドプラニンで処理することによって確認する。これらの2つの分子は、血小板Clec2受容体を介してシグナル伝達し、血小板Clec2受容体は、血小板媒介止血にとって重要な受容体ではなく、したがって、シャーシ上に無傷のまま残すことができる。
【0566】
C. 正常(ドナー)血小板とインビトロで混合した場合、シャーシ血小板が血小板活性化刺激に応答しないことの実証
このアッセイでは、シャーシ血小板をドナー由来血小板の存在下でインキュベートし、混合物をトロンビン及びADPなどの用量漸増血小板メディエーターとともにインキュベートする。このアッセイは、シャーシ血小板が活性化の可溶性メディエーターと活性化された正常血小板との組み合わせに曝露されるため、シャーシ血小板についてのよりストリンジェントな試験を表し、したがって、より生理学的に関連する状態を表す。このアッセイは、フィブリノーゲン又はコラーゲンでコーティングされたフローチャンバー中で、チャンバーをとおる示差的に染色されたドナー由来血小板及びシャーシ血小板の50:50混合物の流れを用いて行われる。
【0567】
分析される特徴は、(i)血小板計数のための蛍光顕微鏡法、(ii)結合血小板の活性化状態(例えば、CD62p/P-セレクチン、PF4放出、並びに必要に応じてカルシウムフラックス、CD40L及びアネキシンV染色などの他の活性化マーカー)である。同じ実験設定を、シャーシ血小板と全血との同時インキュベーション及びフィブリノーゲン又はコラーゲンでコーティングされたチャンバーを通して混合物を流すことによって更に延長する。
【0568】
血栓の蛍光顕微鏡検査は、任意の染色された操作された血小板が存在するかどうかを実証し、シャーシ血小板が捕捉されている場合、それらの活性化状態は、一次マーカーであるP-セレクチン、又は代替/追加マーカーとしてのカルシウムフラックス、CD40L及びアネキシンV染色を使用するIFによって確認される。
【0569】
このアッセイにおける肯定的な結果は以下のとおりである。
●シャーシ血小板濃度を変化させた場合、血栓サイズに著しい変化がない。
●血栓内へのシャーシ血小板取り込みの不在又は低減
●いずれかのシャーシ血小板が血栓によって捕捉される場合、それらは活性化されるべきではない
【0570】
D.シャーシ血小板がインビボでの血栓形成に寄与しないことの実証
この実験の目的は、血栓形成のインビボモデルにおけるシャーシ血小板の表現型性能を試験することである。これは、シャーシ血小板における血栓形成プログラムを設計するために取られたアプローチのより深いレベルの検証を提供する。
【0571】
ヒト血小板はマウスマクロファージによって急速に分解されるため、その免疫系(例えば、NSG)の大部分を欠くマウスモデルが必要とされる。加えて、マウス特異的抗CD41抗体を使用する内因性マウス血小板の抗体媒介枯渇が、内因性血小板による混入効果の欠如を確実にするために含まれる。標識されたシャーシ血小板をマウスにIV注射し、その後、レーザー媒介精巣挙筋血管損傷を局所的に適用して血栓形成を刺激する。損傷部位でのインビボ蛍光造影を使用して、(i)血栓サイズを測定し、(ii)血栓内へのシャーシ血小板取り込みを測定する。
【0572】
肯定的な結果は、以下を含む。
●血栓のサイズは、投与された操作された血小板の数によって著しく変化しない
●操作された血小板は、成長血栓の一部ではない
●操作された血小板が血栓の一部になる場合、それらは(血栓除去時にエクスビボでアッセイされるように)活性化されない。
【0573】
E.シャーシ血小板が正常な止血能力に影響を与えないことの実証
上記のように、この実験は、NSGマウス及びマウス血小板枯渇技術(例えば、マウスCD42結合モノクローナル抗体の注入)の使用を含む。ここでは、マウスに様々な割合のシャーシ血小板及びドナー血小板を接種する。マウスの尾に切れ目を入れ、マウスが出血を止めるまでの時間をアッセイする。
【0574】
この実験における肯定的な結果は以下のとおりである。
●ドナー血小板の注入は、短時間枠内で出血を防止する
●操作された血小板の注入は、出血を予防しないか、又はドナー血小板よりも出血を予防しない
●ドナー血小板の存在における操作された血小板の注入は、同じ濃度でのドナー血小板単独に対する出血時間に影響を与えない
【0575】
2.同種免疫の低減のために設計されたβ2Mノックアウト系統の試験
上記のように(1.1ベータ2ミクログロブリン(b2M)発現の破壊を参照されたい)、β2M遺伝子の破壊は、いくつかの状況において有利であると予想される。β2Mノックアウトは、iPSC細胞からのMK及びPLPの分化及び産生に影響を及ぼさず、表現型又は機能にも影響を及ぼさない。
【0576】
上記遺伝子のノックアウトを特徴とするiPSCを、実施例5に記載の方法論を使用して生成した。B2Mを標的とするガイドRNAを実施例5に記載されるように設計し、高効率ガイドをスクリーニングによって選択した(図18)。
【0577】
このβ2Mノックアウトを特徴付けるために、フローサイトメトリーを使用して、β2M及びHLAの非存在を評価し、ここで、本発明者らの細胞上で発現される特異的HLAは、遺伝子型決定によって決定されている。本発明者らの細胞の特異的HLA及びβ2Mに対して標的化された抗体は、ノックアウト後のこれらのタンパク質の非存在を特徴付けるために使用される(Stem Cell Reports 14:49-59)。
【0578】
HLA活性の低減の特徴付けは、補体依存性細胞傷害性及び抗体媒介細胞傷害性を評価することによって行われ、HLA KOは、溶解の低減によって特徴付けられる(Mol Med 22:274-285)。細胞を補体結合ドナー特異的抗HLA抗体とともにインキュベートする。非特異的(細胞上に発現されないHLAに特異的)を対照として使用する。補体の添加のみが、HLA発現MKの溶解を実証する。代替的に、抗体依存性細胞傷害キットを、本発明者らのiPSCのHLAを標的とする特異的抗体とともに使用する。β2M KOは、HLA発現の低減によってADCCの溶解能を低減する。
【0579】
3.シャーシ血小板活性化時の成熟TGFβ放出の低減のために設計されたGARPノックアウト系統の試験
血小板は、全身的に、並びに腫瘍微小環境において、分裂促進性TGFβタンパク質の主要な供給源である。血小板は、潜在型トランスフォーミング増殖因子ベータ(Latent Transforming Growth Factor Beta、LTGFβ)の受容体である表面糖タンパク質-A反復優勢タンパク質(Glycoprotein-A Repetitions Predominant Protein、GARP)を発現する。LTGFβにおいて、成熟TGFβタンパク質は、潜伏関連ペプチド(latency-associated peptide、LAP)に結合し、それによってTGF-ベータ受容体への結合が妨げられる。脱顆粒すると、活性化血小板は、GARPを劇的に上方制御し、結合したLTGFβを成熟TGFβに変換する。GARPの血小板特異的欠失は、腫瘍微小環境におけるTGFβ活性を鈍化させ、予め確立されたがんに対する防御免疫性を増強したことが示されている(Metelli,A.et al.(2017)J Immunol May 1,198(1 Supplement)126.17)。
【0580】
上記遺伝子のノックアウトを特徴とするiPSCを、実施例5に記載される方法論を使用して生成した。LRRC32を標的とするガイドRNAを実施例5に記載されるように設計し、高効率ガイドをスクリーニングによって選択した(図19)。
【0581】
LRRC32ノックアウトは、iPSC細胞からのMK及びPLPの分化及び産生に影響を与えず、表現型又は機能にも影響を与えない(PLoS ONE 12(3):e0173329)。
【0582】
LRRC32ノックアウトは、MK及び血小板表面にGARPタンパク質が存在しないことを実証するために、GARP特異的抗体を使用するフローサイトメトリーによって評価される、GARPの低減を特徴とする。
【0583】
GARPノックアウトの機能は、TGFB結合の低減によって現れる。これは、WT及びKO血小板に結合したTGFベータの測定によって決定される。TGFベータをWT及びKO血小板とともにインキュベートし、成功したKOはTGFB結合の低減を特徴とする。TGFベータの血小板への結合は、フローサイトメトリー又はELISAを特徴とする。
【0584】
GARP KOがTGFベータ免疫細胞阻害を減低減することができるかどうかを評価するために、血小板をT細胞とともにインキュベートして、結合したTGFベータによって引き起こされる活性の低減を実証する。活性化の低減は、IFNgなどのサイトカイン放出によって測定される(Sci Immunol 2(11):eaai7911)。GARPのノックアウトは、TGFベータ結合能力を低減し、したがって、血小板から観察される阻害を低減する。
【0585】
4.エキソソームRNA標的化の試験
血小板アルファ顆粒は、エキソソームを含有する。エキソソームは、約50~200nmのサイズの小胞であり、カーゴとして核酸を含有することができる。エキソソーム産生細胞は、以前に生成されている。
【0586】
巨核球、したがって血小板エキソソームへの外因性RNAローディングを駆動するために、エキソソーム常在タンパク質を、RNAヘアピン結合タンパク質との融合物として操作することができる。RNAヘアピン結合タンパク質の2つの例は、L7Ae及びMS2である(概略図を図23Aに示す)。最初に、L7Aeに融合された既知のエキソソーム常在タンパク質(BASP1)の正確な顆粒局在が、巨核球において確認された(図23B)。RNAの共局在化を示すために、2つの異なるRNA構築物(一方はヘアピンのセットを特徴とし、他方はヘアピンを特徴としない)を試験する。RNAの局在化は、RNA FISHによって確認され、蛍光標識されたBASP1-L7Aeタンパク質に対するヘアピン含有RNAの共局在化が起こる。
【0587】
【表6】
【0588】
【表7】
【0589】
RNA及びエキソソーム指向性ローディング構築物の正確な局在化が血小板及び巨核球において示されたら、活性化時の血小板及び巨核球からのエキソソームの放出を調べた。血小板及び巨核球は、既知のアゴニスト(例えば、PMA、CRP/TRAP-6/ADP)を使用して活性化され、これはアルファ顆粒エキソサイトーシス(さもなければ、脱顆粒と呼ばれる)を駆動する。エキソソームは、市販のキット又は遠心分離に基づくアプローチのいずれかによって収集される。RNAをエキソソームから抽出し、外因性RNAの存在又は非存在についてqPCRによってアッセイする。陰性対照として、非標的化(すなわち、ヘアピン陰性)RNAを使用し、BASP-L7Aeを発現しない巨核球/血小板バックグラウンドにおけるヘアピン含有RNAも試験する。これにより、巨核球及び血小板アルファ顆粒へのRNAのエキソソーム特異的ローディング、並びに血小板及び巨核球が、あるアゴニスト単独に応答してこれらのロードされたエキソソームを条件付きで放出する能力が確認される。
【0590】
いくつかの近くの細胞において遺伝子発現を駆動するこれらのロードされたエキソソームの能力を実証するために、本発明者らのヘアピン標的化アプローチによってロードされたRNAは、レポーター遺伝子ORF(例えば、GFP)を特徴とする。標的細胞の近傍で血小板又は巨核球が活性化されると、レポーターRNAを含有するエキソソームは、血小板又は巨核球アルファ顆粒から放出された後、近傍の細胞によって取り込まれる。フローサイトメトリー分析を実行することによって、標的細胞は、特異的細胞表面マーカー発現に基づいてゲート化され、次いで、レポーター遺伝子発現のレベルが測定される。レポーター遺伝子発現は、外因性RNAが巨核球又は血小板エキソソームコンパートメントに適切に標的化された場合、及び血小板又は巨核球の活性化の際にのみ、標的細胞においてのみ増加する。
【0591】
5.血小板MHC-B2M-CARによる抗原特異的T細胞標的化
単一タンパクへのMHC、B2M、抗原由来ペプチド及び内部血小板CARシグナル伝達ドメインの融合は、抗原特異的T細胞へのカーゴ含有synletの標的化を可能にする。この仮説を試験するために、概念実証ペプチド-MHC-B2M-CAR構築物(MHC-CAR)を操作して、HLA-A*02との関連でMART1及びNY-ESO-1を標的化した。異なる膜貫通ドメイン領域及び内部シグナル伝達領域を利用して、異なるバリアントを生成した。
【0592】
【表8】
【0593】
【表9】
【0594】
【表10】
【0595】
【表11】
【0596】
【表12】
【0597】
【表13】
【0598】
【表14】
【0599】
【表15】
【0600】
【表16】
【0601】
【表17】
【0602】
【表18】
【0603】
【表19】
【0604】
【表20】
【0605】
【表21】
【0606】
【表22】
【0607】
【表23】
【0608】
MHC-CARの発現について最初にアッセイするために、それらをB2M KO iPSC及びMK細胞株に挿入する。MHC-CARの表面発現は、B2M表面発現(これは、B2Mを含有するMHC-CARの非存在下では、B2M KOバックグラウンドには存在しない)のFACSベースの測定によって確認される。MHC-CARの機能的発現を更に確認するために、組換えTCR及びペプチド-MHCに対して特異的に産生された抗体も使用される。
【0609】
MHC-CARの導入並びにiPSC、巨核球及び血小板における発現の確認後、carの機能性が調査される。MHC-CARを標的とすることが知られているTCRを発現する、Jurkat又はいくつかの他のT細胞株を、MHC-CARを発現する血小板又は巨核球と混合する。血小板活性化は、FACSによって測定されるような血小板表面上のP-セレクチン(若しくはいくつかの他の脱顆粒依存性表面マーカー)の曝露を通して、又は血小板カーゴ放出のELISAベースの検出を通して、標的TCRを発現するT細胞への結合時にアッセイされる。
【0610】
MHC-CARを発現するSynletに異なるカーゴをロードし、次いで、それらのカーゴがTCRを発現するT細胞活性化状態を刺激する能力についてアッセイする(例えば、T細胞サイトカイン生産、T細胞増殖、既知の活性化マーカーについてのT細胞性FACのELISAベースの測定、及び顕微鏡又はFACによって測定されるT細胞性NFATレポーター遺伝子活性化の測定などの遺伝的アプローチを介して)。
【0611】
本発明はまた、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の段落[0287]~[353]に記載されている、いくつかの特定の実施形態を提供する。
【0612】
本発明はまた、番号付けされた段落として提示される以下の実施形態を提供する。
1. キメラ血小板受容体(CPR)であって、受容体が、
a)血小板調節ドメインである細胞内ドメインと、
b)標的を認識して結合する異種標的結合ドメインと、を含む、キメラ血小板受容体。
2. 標的結合ドメインが、対象にとって内因性である標的に結合し、任意選択で、標的が、ヒト標的である、段落1に記載のCPR。
3. 標的が、細胞表面又は組織表面に存在する、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
4. 標的が、CPRが血小板膜に存在する場合、標的が標的結合ドメインに結合した後、CPRが原形質膜上にクラスター化するような標的である、先行の段落いずれかに記載のCPR。
5. CPRが血小板膜に存在する場合、標的が標的結合ドメインに結合した後、血小板調節ドメインが活性化される、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
6. CPRが血小板原形質膜に存在する場合、標的への標的結合ドメインの結合後、CPRが血小板原形質膜の表面にクラスター化し、当該クラスター化が、血小板調節ドメインを活性化するのに十分である、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
7. 標的結合ドメインが、ヒト標的結合ドメイン配列、又はヒト標的結合ドメイン配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列を含む、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
8. 標的結合ドメインが、非ヒト標的結合ドメイン配列、任意選択で、
ヒト化配列、又は
マウス由来の配列を含む、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
9. 当該標的結合ドメインが、当該標的に特異的に結合する標的結合リガンド又はそのフラグメントを含む、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
11. 当該標的結合ドメインが、当該標的に特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントを含む、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
12. 当該標的結合ドメインが、可変重鎖ドメイン及び/又は可変軽鎖ドメイン、任意選択でscFVを含む、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
13. 標的が、腫瘍抗原、新抗原又は自己抗原である、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
14. 標的が、
a)疾患、障害若しくは状態に関連する抗原、及び/又は
b)対象の体内の標的組織若しくは細胞(任意選択で、標的組織又は細胞が、がん組織又は細胞である)、及び/又は
c)自己免疫B細胞である、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
15. 標的結合ドメインが、
a)FCERG ECドメイン、CLEC1 ECドメイン、FCGR2 ECドメイン、GPVIA ECドメイン、CEACAM1 ECドメイン、G6b-B ECドメイン、LILRB2 ECドメイン、PECAM1 ECドメイン、TLT1 ECドメイン及び/又はFCERG ECドメイン、CLEC1 ECドメイン、FCGR2 ECドメイン、GPVIA ECドメイン、CEACAM1 ECドメイン、G6b-B ECドメイン、LILRB2 ECドメイン、PECAM1 ECドメイン及び/若しくはTLT1 ECドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列、並びに/あるいは
b)標的結合ドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の46~49頁に記載のドメイン若しくはその部分のうちのいずれか1つ以上、又は参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の46~49頁に記載のドメイン若しくはその部分のうちのいずれか1つ以上に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列のうちの少なくとも1つを含む、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
16. 標的結合ドメインが、自己免疫に関連するペプチド、
以下のタンパク質:MOG、GAD65、MAG、PMP22、TPO、VGKC、PLP、AChR、TRIB2、NMDA、GluR、GAD2、ARMC9、CYP21A2、CASR、NASP、インスリン、TSHR、甲状腺ペルオキシダーゼ、アシオグリコタンパク質受容体、CYP2D6、LF、TTG、H/K ATP-ase、第XIII因子、ベータ2-GPI、ITGB2、G-CSF、GP IIb/IIa、COLII、FBGベータアルファ、MPO、CYO、PRTN3、TGM、COLVII、COIL、DSG1、DSG3、SOX10、70SNRNP70、SAG及びa3(IV)NC1コラーゲンのうちのいずれか1つ以上のペプチド若しくは部分、又は
以下のタンパク質:MOG、GAD65、MAG、PMP22、TPO、VGKC、PLP、AChR、TRIB2、NMDA、GluR、GAD2、ARMC9、CYP21A2、CASR、NASP、インスリン、TSHR、甲状腺ペルオキシダーゼ、アシオグリコタンパク質受容体、CYP2D6、LF、TTG、H/K ATP-ase、第XIII因子、ベータ2-GPI、ITGB2、G-CSF、GP IIb/IIa、COLII、FBGベータアルファ、MPO、CYO、PRTN3、TGM、COLVII、COIL、DSG1、DSG3、SOX10、70SNRNP70、SAG及びa3(IV)NC1コラーゲンのうちのいずれか1つ以上に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するペプチド若しくは部分を含む、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
17. 標的結合ドメインが、標的に結合し、当該標的が、
a)対象の体内の組織上又は対象の細胞上若しくは特定の位置に見出される内因性標的であり、
b)対象の組織上、又は組織の特定のサブセット上、又は血漿若しくは血液中、任意選択でヒト対象において、任意選択で血液中に存在し、
c)1つ以上の疾患状態の間にのみ提示され、任意選択で、標的が、腫瘍細胞中で生じる新抗原であり、
d)通常は標的を発現しない組織若しくは細胞上に著しい量で、任意選択で異常なレベルでのみ存在し、及び/又は1つ以上の疾患状態の間に局在化してのみ存在し、
e)抗原、任意選択で腫瘍新抗原又は腫瘍特異的抗原であり、
f)CD19であり、
g)サイトカイン受容体であり、
h)コラーゲンではなく、
i)人工若しくは外因性標的であり、
j)デザイナー薬物であり、
k)DREADDを使用して設計された薬物であり、
l)参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の23~31頁の表2から選択されるタンパク質であり、
m)CD276であり、かつ/あるいは
n)IL2、KLK、アミロイド、Notch受容体及び/若しくはOLR1である、標的に結合する、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
18. 標的結合ドメインが、
a)抗体若しくはその抗原結合フラグメントであり、
b)抗体の可変重鎖ドメイン及び/若しくは抗体の可変軽鎖ドメインを含み、かつ/又は
c)カッパ軽鎖若しくはそのフラグメント標的化を含む、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
19. 標的結合ドメインが、自己免疫に関連するタンパク質又はペプチドの一部を含む、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
20. 血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメイン、任意選択でITAMを含むドメイン、任意選択で血小板ITAMを含むドメインであり、任意選択でITAMを含むドメイン、任意選択で血小板ITAMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を有するドメインである、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
21.CPRが血小板の膜に存在する場合、活性化されると、血小板活性化ドメインが、
a)血小板の脱顆粒をもたらす、
b)血小板からの内容物の放出をもたらす、
c)血小板の原形質膜上に血小板内内容物の存在をもたらす、
d)原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞の放出をもたらす、及び/又は
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化をもたらす、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
22. 血小板活性化ドメインが、血小板脱顆粒誘発ドメインである、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
23. 血小板調節ドメインが、血小板の活性化を防止する血小板活性化阻害ドメインであり、任意選択で、血小板活性化阻害ドメインが、ITIMを含むドメインであり、任意選択で、ITIMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を有するドメインである、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
24.CPRが血小板の膜に存在する場合、及び血小板活性化ドメインの阻害が活性化される場合、活性化ドメインの血小板阻害が、
a)血小板の脱顆粒を防止する、
b)血小板からの内容物の放出を防止する、
c)血小板の原形質膜上の細胞内内容物の存在を防止する、
d)原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞の放出を防止する、及び/又は
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化を防止する、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
25. 血小板活性化ドメインが、血小板脱顆粒誘発ドメインである、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
26. 血小板調節ドメインが、ヒト調節ドメイン配列を含む、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
27. 血小板調節ドメインが、非ヒト調節ドメイン配列、任意選択でマウス由来の配列を含む、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
28. 血小板調節ドメインが、CPRがともに使用される前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに対して内因性であり、任意選択で、血小板調節ドメインが、iPSC、巨核球又は血小板に対して内因性である、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
29. 血小板調節ドメインが、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)受容体由来のドメインを含まず、任意選択で、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、又はIgG受容体IIのFcフラグメント(FCGR2)からの1つ以上のドメイン、それらの部分又はフラグメントを含まない、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
30. CPRが血小板原形質膜に局在する場合、標的が標的結合ドメインに結合した後、血小板調節ドメインが血小板の脱顆粒を誘発する、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
31. 血小板調節ドメインが、血小板脱顆粒誘発ドメインであり、
免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)受容体からの1つ以上のドメインを含み、任意選択で、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、若しくはIgG受容体IIのFcフラグメント(FCGR2)からの1つ以上のドメイン、それらの部分若しくはフラグメントを含むか、又は
ITAMを含むドメイン、任意選択で、血小板ITAMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する、任意選択で、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、若しくはIgG受容体IIのFcフラグメント(FCGR2)からの1つ以上のドメイン、それらの部分若しくはフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するドメインを含む、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
32. 血小板調節ドメインが、血小板脱顆粒の誘発を阻害する血小板活性化ドメインの阻害であり、1つ以上のITIMモチーフを含み、任意選択で、1つ以上のITIMモチーフが、PECAM1、TLT1、LILRB2、CEACAM1又はG6b-B由来のITIMモチーフであり、任意選択で、
LILRB2由来のITIMドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の44頁の表5に示される配列番号34であり、
PECAM1由来のITIMドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の44頁の表5に示される配列番号38であり、
CEACAM1由来のITIMドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の44頁の表5に示される配列番号24である、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
33. 血小板調節ドメインが、天然の血小板調節ドメイン配列に対して1つ以上の変異、挿入又は欠失を含む、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
34. 天然の調節ドメイン配列に対する1つ以上の変異、挿入又は欠失が、1つ以上の変異を含まない血小板調節ドメインを含むCPRに対して、CPRの感受性を増加させる、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
35. 天然の調節ドメイン配列に対する1つ以上の変異、挿入又は欠失が、1つ以上の変異を含まない血小板調節ドメインを含むCPRに対して、CPRの感受性を減少させる、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
36.血小板調節ドメインが、天然に存在する血小板調節ドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を含む、先行の段落のいずれか1つに記載のCPR。
37. シグナルペプチド及び/又はリンカー配列を更に含み、任意選択で、
シグナルペプチドが、表1に示される配列の一部を含むか若しくはそれからなり、かつ/又は、
シグナルペプチドが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の46頁の表7の配列のうちのいずれかの一部を含むか若しくはそれからなり、かつ/又は
任意選択で、リンカーが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の51頁に記載されているリンカー若しくはその部分を含むか若しくはそれからなる、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
38. 膜貫通ドメインを更に含み、任意選択で、膜貫通ドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の49~50頁に記載されている膜貫通ドメイン又はその部分のうちのいずれか1つ以上を含むか又はそれらからなる、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
39. CPRが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の50頁及び51頁に記載されている細胞内ドメイン又はその部分を含むか又はそれからなる細胞内ドメインを含む、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
40. CPRが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の41~63頁に記載されているドメインの組み合わせを含むか又はそれからなる、先行の段落のいずれかに記載のCPR。
41. ユニバーサルキメラ血小板受容体であって、受容体が、
a)血小板調節ドメインである細胞内ドメインと、
b)異種タグ結合ドメインと、を含む、ユニバーサルキメラ血小板受容体。
42. タグ及び標的結合ドメインを含むタグ付標的化ペプチドであって、任意選択で、タグ付標的化ペプチドが、可溶性ペプチドである、タグ付標的化ペプチド。
43. タグが、ロイシンジッパーである、段落43に記載のタグ付標的化ペプチド。
44. 異種タグ結合ドメインが、タグ付標的化ペプチド上に存在するタグに結合し、タグ付標的化ペプチドが、タグ及び標的結合ドメインを含み、かつ
ユニバーサルCPRが血小板原形質膜に位置する場合、標的への標的結合ドメインの同時結合の非存在下でのユニバーサルCPRへの標的化ペプチドの結合は、血小板調節ドメインを活性化するのに十分ではない、段落41に記載のユニバーサルCPR。
45. 異種タグ結合ドメインが、標的化ペプチド上に存在するタグに結合し、ユニバーサルCPRが血小板原形質膜に位置する場合、標的へのタグ付標的結合ドメインの同時結合の非存在下での、ユニバーサルCPRへの標的化ペプチドの結合が、血小板調節ドメインの活性化をもたらすのに十分な受容体クラスター化を引き起こさない、段落41又は44に記載のユニバーサルCPR。
46. タグ付標的化ペプチドが、可溶性ペプチドである、先行の段落2に記載のユニバーサルCPR。
47. 異種タグ結合ドメインが、ロイシンジッパーを含む、先行の段落のいずれかに記載のユニバーサルCPR。
48. 段落41及び44~47のいずれかに記載のユニバーサルCPRと、段落42又は43に記載の標的化ペプチドと、を含む、複合体であって、ユニバーサルCPRが、異種タグ結合ドメインを介してタグ付標的化ペプチド上の対応するタグに結合している、複合体。
49. 標的結合ドメインが、意図される対象に対して内因性である標的に結合し、任意選択で、標的がヒト標的である、段落42若しくは43に記載のタグ付標的化ペプチド又は段落48に記載の複合体。
50. 標的が、細胞表面又は組織表面に存在する、段落42、43若しくは49のいずれかに記載のタグ付標的化ペプチド、又は段落48若しくは49に記載の複合体。
51. 複合体が血小板の原形質膜に位置する場合、標的が、複合体による標的結合が原形質膜上の複合体クラスター化をもたらすような標的であり、任意選択で、当該クラスター化が、血小板調節ドメインを活性化するのに十分である、段落48~50のいずれかに記載の複合体。
52. 複合体が血小板原形質膜に位置する場合、標的への複合体の結合が、血小板調節ドメインを活性化する、段落48~51のいずれかに記載の複合体。
53. 標的結合ドメインが、ヒト標的結合ドメイン配列又はヒト標的結合ドメイン配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列を含む、段落42、43、49若しくは50のいずれかに記載のタグ付標的化ペプチド又は段落48~52のいずれかに記載の複合体。
54. 標的結合ドメインが、非ヒト標的結合ドメイン配列、任意選択で、
ヒト化配列、又は
マウス由来の配列を含む、段落42、43、49、50若しくは53のいずれかに記載のタグ付標的化ペプチド又は段落48~53のいずれかに記載の複合体。
55. 当該標的結合ドメインが、当該標的に特異的に結合する標的結合リガンド又はそのフラグメントを含む、段落42、43、49、50、53若しくは54のいずれかに記載のタグ付標的化ペプチド又は段落48~54のいずれかに記載の複合体。
56. 当該標的結合ドメインが、当該標的に特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントを含む、段落42、43、49、50、若しくは53~55 54のいずれかに記載のタグ付標的化ペプチド又は段落48~55のいずれかに記載の複合体。
57. 当該標的結合ドメインが、可変重鎖ドメイン及び/又は可変軽鎖ドメイン、任意選択で、scFVを含む、段落42、43、49、50、若しくは53~56のいずれかに記載のタグ付標的化ペプチド又は段落48~56のいずれかに記載の複合体。
58. 標的が、腫瘍抗原、新抗原又は自己抗原である、段落42、43、49、50若しくは53~57のいずれかに記載のタグ付標的化ペプチド又は段落48~57のいずれかに記載の複合体。
59. 標的が、
a)疾患、障害若しくは状態に関連する抗原、及び/又は
b)対象の体内の標的組織若しくは細胞であり、任意選択で、標的組織又は細胞が、がん組織又は細胞である、段落42、43、49、50、若しくは53~58のいずれかに記載のタグ付標的化ペプチド又は段落48~58のいずれかに記載の複合体。
60. 標的結合ドメインが、
a)FCERG ECドメイン、CLEC1 ECドメイン、FCGR2 ECドメイン、GPVIA ECドメイン、CEACAM1 ECドメイン、G6b-B ECドメイン、LILRB2 ECドメイン、PECAM1 ECドメイン、及び/若しくはTLT1 ECドメイン、又はFCERG ECドメイン、CLEC1 ECドメイン、FCGR2 ECドメイン、GPVIA ECドメイン、CEACAM1 ECドメイン、G6b-B ECドメイン、LILRB2 ECドメイン、PECAM1 ECドメイン及び/若しくはTLT1 ECドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列、並びに/あるいは
b)標的結合ドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の46~49頁に記載のドメイン若しくはその部分のうちのいずれか1つ以上、又は参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の46~49頁に記載のドメイン若しくはその部分のうちのいずれか1つ以上に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列のうちの少なくとも1つを含む、段落42、43、49、50、若しくは53~59のいずれかに記載のタグ付標的化ペプチド又は段落48~59のいずれかに記載の複合体。
61. 標的結合ドメインが、自己免疫に関連するペプチド、任意選択で、
以下のタンパク質:MOG、GAD65、MAG、PMP22、TPO、VGKC、PLP、AChR、TRIB2、NMDA、GluR、GAD2、ARMC9、CYP21A2、CASR、NASP、インスリン、TSHR、甲状腺ペルオキシダーゼ、アシオグリコタンパク質受容体、CYP2D6、LF、TTG、H/K ATP-ase、第XIII因子、ベータ2-GPI、ITGB2、G-CSF、GP IIb/IIa、COLII、FBGベータアルファ、MPO、CYO、PRTN3、TGM、COLVII、COIL、DSG1、DSG3、SOX10、70SNRNP70、SAG及びa3(IV)NC1コラーゲンのうちのいずれか1つ以上のペプチド若しくは部分、又は
以下のタンパク質:MOG、GAD65、MAG、PMP22、TPO、VGKC、PLP、AChR、TRIB2、NMDA、GluR、GAD2、ARMC9、CYP21A2、CASR、NASP、インスリン、TSHR、甲状腺ペルオキシダーゼ、アシオグリコタンパク質受容体、CYP2D6、LF、TTG、H/K ATP-ase、第XIII因子、ベータ2-GPI、ITGB2、G-CSF、GP IIb/IIa、COLII、FBGベータアルファ、MPO、CYO、PRTN3、TGM、COLVII、COIL、DSG1、DSG3、SOX10、70SNRNP70、SAG及びa3(IV)NC1コラーゲンのうちのいずれか1つ以上に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するペプチド若しくは部分を含む、段落42、43、49、50、若しくは53~60のいずれかに記載のタグ付標的化ペプチド又は段落48~60のいずれかに記載の複合体。
62. 標的結合ドメインが、
a)対象の体内の組織上又は対象の細胞上若しくは特定の位置に見出される内因性標的であり、
b)対象の組織上、又は組織の特定のサブセット上、又は血漿若しくは血液中、任意選択でヒト対象において、任意選択で血液中に存在し、
c)1つ以上の疾患状態の間にのみ提示され、任意選択で、標的が、腫瘍細胞中で生じる新抗原であり、
d)通常は標的を発現しない組織若しくは細胞上に著しい量で、任意選択で異常なレベルでのみ存在し、及び/又は1つ以上の疾患状態の間に局在化してのみ存在し、
e)抗原、任意選択で腫瘍新抗原又は腫瘍特異的抗原であり、
f)CD19であり、
g)サイトカイン受容体であり、
h)コラーゲンではなく、
i)人工若しくは外因性標的であり、
j)デザイナー薬物であり、
k)DREADDを使用して設計された薬物であり、
l)参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の23~31頁の表2から選択されるタンパク質であり、
m)CD276であり、かつ/あるいは
n)IL2、KLK、アミロイド、Notch受容体及び/若しくはOLR1である、標的に結合する、先行の段落のいずれかに記載の段落42、43、49、50、若しくは53~61のいずれかに記載のタグ付標的化ペプチド又は段落48~61のいずれかに記載の複合体。
63. 標的結合ドメインが、
a)抗体若しくはその抗原結合フラグメントであり、
b)抗体の可変重鎖ドメイン及び/若しくは抗体の可変軽鎖ドメインを含み、かつ/又は
c)カッパ軽鎖若しくはそのフラグメント標的化を含む、段落42、43、49、50、若しくは53~62のいずれかに記載のタグ付標的化ペプチド又は段落48~62のいずれかに記載の複合体。
64. 標的結合ドメインが、自己免疫に関連するタンパク質又はペプチドの部分を含む、段落42、43、49、50、若しくは53~63のいずれかに記載のタグ付標的化ペプチド又は段落48~63のいずれかに記載の複合体。
65. 血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメイン、任意選択でITAMを含むドメイン、任意選択で血小板ITAMを含むドメインであり、任意選択でITAMを含むドメイン、任意選択で血小板ITAMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を有するドメインである、段落41及び44~47のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~64のいずれかに記載の複合体。
66. 血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメインであり、任意選択で、血小板活性化ドメインが、脱顆粒誘発ドメインである、段落41、44~47及び65のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~65のいずれかに記載の複合体。
67. ユニバーサルCPR又は複合体が血小板の膜に存在する場合、活性化されると、血小板活性化ドメインが、
a)血小板の脱顆粒をもたらす、
b)血小板からの内容物の放出をもたらす、
c)血小板の原形質膜上に細胞内内容物の存在をもたらす、
d)原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞の放出をもたらす、及び/又は
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化をもたらす、段落41、44~47、65及び66のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~66のいずれかに記載の複合体。
68. 血小板活性化ドメインが、血小板脱顆粒誘発ドメインである、段落41、44~47、及び65~67のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~67のいずれかに記載の複合体。
69. 血小板調節ドメインが、血小板の活性化を防止する血小板活性化阻害ドメインであり、任意選択で、血小板活性化阻害ドメインが、ITIMを含むドメインであり、任意選択で、ITIMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を有するドメインである、段落41、44~47、及び65~68のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~68のいずれかに記載の複合体。
70.ユニバーサルCPR又は複合体が血小板の膜に存在する場合、及び血小板活性化ドメインの阻害が活性化される場合、血小板活性化阻害ドメインが、
a)血小板の脱顆粒を防止する、
b)血小板からの内容物の放出を防止する、
c)血小板の原形質膜上の細胞内内容物の存在を防止する、
d)原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞の放出を防止する、及び/又は
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化を防止する、段落41、44~47、及び65~69のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~69のいずれかに記載の複合体。
71. 血小板調節ドメインが、ヒト調節ドメイン配列を含む、段落41、44~47、及び65~70のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~70のいずれかに記載の複合体。
72. 血小板調節ドメインが、非ヒト調節ドメイン配列、任意選択で、マウス由来の配列を含む、段落41、44~47、及び65~71のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~71のいずれかに記載の複合体。
73. 血小板調節ドメインが、ユニバーサルCPR又は複合体が使用される前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに対して内因性であり、任意選択で、血小板調節ドメインが、iPSC、巨核球又は血小板に対して内因性である、段落41、44~47及び65~72のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~72のいずれかに記載の複合体。
74. 血小板調節ドメインが、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)受容体由来のドメインを含まず、任意選択で、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、又はIgG受容体IIのFcフラグメント(FCGR2)からの1つ以上のドメイン、それらの部分又はフラグメントを含まない、段落41、44~47、及び65~73のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~73のいずれかに記載の複合体。
75. ユニバーサルCPR又は複合体が血小板原形質膜に局在する場合、標的が標的結合ドメインに結合すると、血小板調節ドメインが血小板の脱顆粒を誘発する、段落41、44~47、及び65~74のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~74のいずれかに記載の複合体。
76. 血小板調節ドメインが、血小板脱顆粒誘発ドメインであり、
免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)受容体からの1つ以上のドメインを含み、任意選択で、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、若しくはIgG受容体IIのFcフラグメント(FCGR2)からの1つ以上のドメイン、それらの部分若しくはフラグメントを含むか、又は
ITAMを含むドメイン、任意選択で、血小板ITAMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する、任意選択で、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、若しくはIgG受容体IIのFcフラグメント(FCGR2)からの1つ以上のドメイン、それらの部分若しくはフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するドメインを含む、段落41、44~47、及び65~75のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~75のいずれかに記載の複合体。
77. 血小板調節ドメインが、血小板脱顆粒の誘発を阻害し、1つ以上のITIMモチーフを含むドメインであり、任意選択で、1つ以上のITIMモチーフが、PECAM1、TLT1、LILRB2、CEACAM1又はG6b-B由来のITIMモチーフであり、任意選択で、ITIMドメインが、
LILRB2由来のITIMドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の44頁の表5に示される配列番号34であり、
PECAM1由来のITIMドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の44頁の表5に示される配列番号38であり、
CEACAM1由来のITIMドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の44頁の表5に示される配列番号24である、段落41、44~47、及び65~76のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~76のいずれかに記載の複合体。
78. 血小板調節ドメインが、天然の血小板調節ドメイン配列に対して1つ以上の変異、挿入又は欠失を含む、段落41、44~47及び65~77のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~77のいずれかに記載の複合体。
79. 天然の調節ドメイン配列に対する1つ以上の変異、挿入又は欠失が、1つ以上の変異を含まない血小板調節ドメインを含むユニバーサルCPR又はユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体に対して、ユニバーサルCPR又はユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体の感受性を増加させる、段落78に記載のユニバーサルCPR又は段落78に記載の複合体。
80. ネイティブ調節ドメイン配列に対する1つ以上の変異、挿入又は欠失が、1つ以上の変異を含まない血小板調節ドメインを含むユニバーサルCPR又はユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体に対して、ユニバーサルCPR又はユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体の感受性を減少させる、段落78に記載のユニバーサルCPR又は段落78に記載の複合体。
81.血小板調節ドメインが、天然に存在する血小板調節ドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を含む、段落41、44~47、及び65~80のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~80のいずれかに記載の複合体。
82. シグナルペプチド及び/又はリンカー配列を更に含み、任意選択で、
シグナルペプチドが、表1に示される配列の一部を含むか若しくはそれからなり、かつ/又は、
シグナルペプチドが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の46頁の表7の配列のうちのいずれかの一部を含むか若しくはそれからなりり、かつ/又は
任意選択で、リンカーが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の51頁に記載されているリンカー若しくはその部分を含むか若しくはそれからなる、段落41、44~47及び65~81のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~81のいずれかに記載の複合体。
83. 膜貫通ドメインを更に含み、任意選択で、膜貫通ドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の49~50頁に記載されている膜貫通ドメイン又はその部分のうちのいずれか1つ以上を含むか又はそれらからなる、段落41、44~47及び65~82のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~82のいずれかに記載の複合体。
84. CPRが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の50頁及び51頁に記載されている細胞内ドメイン又はその部分を含むか又はそれからなる細胞内ドメインを含む、段落41、44~47及び65~83のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~83のいずれかに記載の複合体。
85. CPRが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の41~63頁に記載されているドメインの組み合わせを含むか又はそれからなる、段落41、44~47及び65~84のいずれかに記載のユニバーサルCPR又は段落48~84のいずれかに記載の複合体。
86. 異種標的結合ドメインを含む、合成抗原提示受容体(SAPR)であって、標的結合ドメインが、
a)細胞外ドメインであって、
i)MHC-1タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-1タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメント、又は
ii)MHC-2タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-2タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメントを含む、細胞外ドメインと、
b)細胞内血小板調節ドメインであって、
当該
MHC-1タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-1タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメント、又は
MHC-2タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-2タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメントが、
T細胞受容体(TCR)に結合することができる、細胞内血小板調節ドメインと、を含む、合成抗原提示受容体。
87. 当該細胞外ドメインが、
異種標的結合ドメインであって、
a)MHC-1タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-1タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメント、及び抗原ペプチド(当該MHC-1タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-1タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメント、及び抗原ペプチドが、TCRに結合することができる)、並びに/又は
b)MHC-2タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-1タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメント、及び抗原ペプチド(当該MHC-2タンパク質若しくはそのフラグメント、又はヒトMHC-1タンパク質若しくはそのフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するタンパク質若しくはそのフラグメント、及び抗原ペプチドが、TCRに結合することができる)を含む、異種標的結合ドメインを含む、段落86に記載のSAPR。
88. 抗原ペプチドが、
a)がん、自己免疫状態、遺伝子疾患、心血管疾患及び/若しくは感染症に関連する、並びに/又は
b)
i)国際公開第2015153102号の206~207頁の表F、208頁の表G、208~209頁の表H、209~211頁の表I、212頁の表J、219~221頁の表4、221~230頁の表5、231~234頁の表6、235~242頁の表7及び243頁の表89(これらのセクションは参照により本明細書に組み込まれる)に列挙されている抗原ペプチド、
ii)国際公開第2015153102号の206~207頁の表F、208頁の表G、208~209頁の表H、209~211頁の表I、212頁の表J、219~221頁の表4、221~230頁の表5、231~234頁の表6、235~242頁の表7、及び243頁の表89(これらのセクションは参照により本明細書に組み込まれる)に列挙される抗原ペプチドに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列から選択される、並びに/又は
c)
i)国際公開第2019/126818号の47~86頁の表1、321頁の表14、321頁の表15、327頁の表16、328頁の表17、328~329頁の表18、221~223頁の表19、333~334頁の表20、340~342頁の表21、344~347頁の表22、347~348頁の表23、及び349~352頁の表24(これらのセクションは参照により本明細書に組み込まれる)に列挙される抗原ペプチド、又は
ii)国際公開第2019/126818号の47~86頁の表1、321頁の表14、321頁の表15、327頁の表16、328頁の表17、328~329頁の表18、221~223頁の表19、333~334頁の表20、340~342頁の表21、344~347頁の表22、347~348頁の表23、及び349~352頁の表24(これらのセクションは参照により本明細書に組み込まれる)に列挙されている抗原ペプチドに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を有する配列から選択される、
d)
i)以下のタンパク質:MOG、GAD65、MAG、PMP22、TPO、VGKC、PLP、AChR、TRIB2、NMDA、GluR、GAD2、ARMC9、CYP21A2、CASR、NASP、インスリン、TSHR、甲状腺ペルオキシダーゼ、アシオグリコタンパク質受容体、CYP2D6、LF、TTG、H/K ATP-ase、第XIII因子、ベータ2-GPI、ITGB2、G-CSF、GP IIb/IIa、COLII、FBGベータアルファ、MPO、CYO、PRTN3、TGM、COLVII、COIL、DSG1、DSG3、SOX10、70SNRNP70、SAG及びa3(IV)NC1コラーゲンのうちのいずれか1つ以上、又は
ii)以下のタンパク質:MOG、GAD65、MAG、PMP22、TPO、VGKC、PLP、AChR、TRIB2、NMDA、GluR、GAD2、ARMC9、CYP21A2、CASR、NASP、インスリン、TSHR、甲状腺ペルオキシダーゼ、アシオグリコタンパク質受容体、CYP2D6、LF、TTG、H/K ATP-ase、第XIII因子、ベータ2-GPI、ITGB2、G-CSF、GP IIb/IIa、COLII、FBGベータアルファ、MPO、CYO、PRTN3、TGM、COLVII、COIL、DSG1、DSG3、SOX10、70SNRNP70、SAG及びa3(IV)NC1コラーゲンのうちのいずれか1つ以上に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する配列から選択される、ペプチド又はその抗原部分を含む、86又は87に記載のSAPR。
89. 細胞外ドメインが、T細胞受容体(TCR)に結合することができる、段落86~88のいずれかに記載のSAPR。
90. 細胞外ドメインが、ヒト標的結合ドメイン配列を含む、段落86~89のいずれかに記載のSAPR。
91. 細胞外ドメインが、非ヒト標的結合ドメイン配列、任意選択で、
ヒト化配列、又は
マウス由来の配列を含む、段落86~90のいずれかに記載のSAPR。
92. 血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメイン、任意選択でITAMを含むドメイン、任意選択で血小板ITAMを含むドメインであり、任意選択でITAMを含むドメイン、任意選択で血小板ITAMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を有するドメインである、段落86~91のいずれかに記載のSAPR。
93. 血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメインであり、任意選択で、血小板活性化ドメインが、脱顆粒誘発ドメインである、段落86~92のいずれかに記載のSAPR。
94. SAPRが血小板の膜に存在する場合、活性化されると、血小板活性化ドメインが、
a)血小板の脱顆粒をもたらす、
b)血小板からの内容物の放出をもたらす、
c)血小板の原形質膜上に細胞内内容物の存在をもたらす、
d)原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞の放出をもたらす、及び/又は
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化をもたらす、段落86~93のいずれかに記載のSAPR。
95. 血小板活性化ドメインが、血小板脱顆粒誘発ドメインである、段落86~94のいずれかに記載のSAPR。
96. 血小板調節ドメインが、血小板の活性化を防止する血小板活性化阻害ドメインであり、任意選択で、血小板活性化阻害ドメインが、ITIMを含むドメインであり、任意選択で、ITIMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を有するドメインである、段落86~95のいずれかに記載のSAPR。
97. SAPRが血小板の膜に存在する場合、及び血小板活性化ドメインの阻害が活性化される場合、血小板活性化阻害ドメインが、
a)血小板の脱顆粒を防止する、
b)血小板からの内容物の放出を防止する、
c)血小板の原形質膜上の細胞内内容物の存在を防止する、
d)原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞の放出を防止する、及び/又は
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化を防止する、段落86~96のいずれかに記載のSAPR。
98. 血小板活性化ドメインが、血小板脱顆粒誘発ドメインである、段落86~97のいずれかに記載のSAPR。
99. 血小板調節ドメインが、ヒト調節ドメイン配列を含む、段落86~98のいずれかに記載のSAPR。
100. 血小板調節ドメインが、非ヒト調節ドメイン配列、任意選択でマウス由来の配列を含む、段落86~99のいずれかに記載のSAPR。
101. 血小板調節ドメインが、SAPRがともに使用される前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシに対して内因性であり、任意選択で、血小板調節ドメインが、iPSC、巨核球又は血小板に対して内因性である、段落86~100のいずれかに記載のSAPR。
102. 血小板調節ドメインが、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)受容体由来のドメインを含まず、任意選択で、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、又はIgG受容体IIのFcフラグメント(FCGR2)からの1つ以上のドメイン、それらの部分又はフラグメントを含まない、段落86~101のいずれかに記載のSAPR。
103. SAPRが血小板原形質膜に局在する場合、標的が標的結合ドメインに結合すると、血小板調節ドメインが血小板の脱顆粒を誘発する、段落86~102のいずれかに記載のSAPR。
104. 血小板調節ドメインが、血小板脱顆粒誘発ドメインであり、
免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)受容体からの1つ以上のドメインを含み、任意選択で、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、若しくはIgG受容体IIのFcフラグメント(FCGR2)からの1つ以上のドメイン、それらの部分若しくはフラグメントを含むか、又は
ITAMを含むドメイン、任意選択で、血小板ITAMを含むドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有する、任意選択で、糖タンパク質VI(GPVI)、C型レクチン様受容体2(CLEC-2)、IgG受容体IIaのFcフラグメント(FCgR2A)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCERG)、C型レクチンドメインファミリー1(CLEC1)、若しくはIgG受容体IIのFcフラグメント(FCGR2)からの1つ以上のドメイン、それらの部分若しくはフラグメントに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%若しくは100%の配列同一性を有するドメインを含む、段落86~104のいずれかに記載のSAPR。
105. 血小板調節ドメインが、血小板脱顆粒の誘発を阻害する血小板活性化ドメインの阻害であり、1つ以上のITIMモチーフを含み、任意選択で、1つ以上のITIMモチーフが、PECAM1、TLT1、LILRB2、CEACAM1又はG6b-B由来のITIMモチーフであり、任意選択で、
LILRB2由来のITIMドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の44頁の表5に示される配列番号34であり、
PECAM1由来のITIMドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の44頁の表5に示される配列番号38であり、
CEACAM1由来のITIMドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の44頁の表5に示される配列番号24である、段落86~104のいずれかに記載のSAPR。
106. 血小板調節ドメインが、天然の血小板調節ドメイン配列に対して1つ以上の変異、挿入又は欠失を含む、段落86~105のいずれかに記載のSAPR。
107. 天然の調節ドメイン配列に対する1つ以上の変異、挿入又は欠失が、1つ以上の変異を含まない血小板調節ドメインを含むSAPRに対して、SAPRの感受性を増加させる、段落86~106のいずれかに記載のSAPR。
108. 天然の調節ドメイン配列に対する1つ以上の変異、挿入又は欠失が、1つ以上の変異を含まない血小板調節ドメインを含むSAPRに対して、SAPRの感受性を減少させる、段落86~107のいずれかに記載のSAPR。
109.血小板調節ドメインが、天然に存在する血小板調節ドメインに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を含む、段落86~108のいずれかに記載のSAPR。
110. シグナルペプチド及び/又はリンカー配列を更に含み、任意選択で、
シグナルペプチドが、表1に示される配列の一部を含むか若しくはそれからなり、かつ/又は、
シグナルペプチドが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の46頁の表7の配列のうちのいずれかの一部を含むか若しくはそれからなりり、かつ/又は
任意選択で、リンカーが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の51頁に記載されているリンカー若しくはその部分を含むか若しくはそれからなる、段落86~109のいずれかに記載のSAPR。
111. 膜貫通ドメインを更に含み、任意選択で、膜貫通ドメインが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の49~50頁に記載されている膜貫通ドメイン又はその部分のうちのいずれか1つ以上を含むか又はそれらからなる、段落86~110のいずれかに記載のSAPR。
112. SAPRが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の50頁及び51頁に記載されている細胞内ドメイン又はその部分を含むか又はそれからなる細胞内ドメインを含む、段落86~111のいずれかに記載のSAPR。
113. SAPRが、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/GB2020/053247号の41~63頁に記載されているドメインの組み合わせを含むか又はそれからなる、段落86~112のいずれかに記載のSAPR。
114. プロテアーゼ認識部位が、天然の認識部位を切断するプロテアーゼではないプロテアーゼによって切断されるように操作されている、操作されたプロテアーゼ活性化受容体(ePAR)。
115. 血小板の原形質膜に存在する場合、プロテアーゼ認識部位の切断が、
a)血小板の脱顆粒、
b)血小板からの内容物の放出、
c)血小板の原形質膜上の細胞内内容物の存在、
d)原形質膜からのブレブ形成を介した細胞外小胞の放出、及び/又は
e)両凹ディスクから完全に広がった細胞フラグメントへの血小板の形状の変化をもたらす、段落114に記載のePAR。
116. プロテアーゼの切断が、ePARのフラグメントの放出をもたらし、ePARのフラグメントが、シグナル伝達分子であり、細胞内シグナル伝達をもたらす、段落113又は115に記載のePAR。
117. プロテアーゼ認識部位が、腫瘍微小環境において見出されるプロテアーゼに対するプロテアーゼ認識部位であるように操作され、任意選択で、腫瘍微小環境において見出されるプロテアーゼに対するプロテアーゼ認識部位が、マトリックスメタロプロテアーゼ、メタロペプチダーゼ、カテプシンB、ウロキナーゼ又はカスパーゼを含むか又はそれらからなる群から選択される、段落113~115のいずれかに記載のePAR。
118. プロテアーゼ認識部位が、意図される対象に関して直交性プロテアーゼ認識部位であるように操作される、段落113~117のいずれかに記載のePAR。
119. プロテアーゼ認識部位が、ウイルスプロテアーゼ認識部位、任意選択で、タバコエッチウイルス核封入体-aエンドペプチダーゼ(TEVプロテアーゼ)、C型肝炎ウイルスのNS2-3プロテアーゼ(HCVプロテアーゼ)、又はタバコ葉脈斑紋ウイルス(TVMVプロテアーゼ)であるように操作される、段落113~118のいずれかに記載のePAR。
120. ePARがGPCRであり、任意選択で、操作されたPAR1、PAR2、PAR3又はPAR4である、段落113~119のいずれかに記載のePAR。
121. ePARが、天然に存在するPARに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は100%の配列同一性を含む、段落113~120のいずれかに記載のePAR。
122. 段落41、44~47及び65~85のいずれかに記載のCPR、又は段落48~85のいずれかに記載の複合体、又は段落86~113のいずれかに記載のSAPR、又は段落114~121のいずれかに記載のePARをコードする、核酸。
123. 核酸が、DNAである、段落122に記載の核酸。
124. 核酸が、RNAである、段落122に記載の核酸。
125. 核酸が、異種発現配列、任意選択で、異種プロモーターに作動可能に連結されている、段落122~124のいずれかに記載の核酸。
126. 巨核球特異的プロモーターを更に含む、段落122~125のいずれかに記載の核酸。
127. プロモーターが、誘導性プロモーター、任意選択で、意図される対象において誘導性であるプロモーターである、段落122~126のいずれかに記載の核酸。
128. プロモーターが、構成的プロモーター、任意選択で、意図される対象において構成的であるプロモーターである、段落122~127のいずれかに記載の核酸。
129. 任意選択で、ベクターが、プラスミド又は環状核酸である、段落122~127のいずれかに記載の核酸を含む、ベクター。
130. 段落122~128のいずれかに記載の核酸又は段落129に記載のベクターを含む、ウイルスベクター又はウイルス粒子。
131.シャーシであって、
a)先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、若しくはePARS、
b)先行の段落のいずれかに記載のCPR、ユニバーサルCPR、SAPR、若しくはePARをコードする、先行の段落のいずれかに記載の1つ以上の核酸、
c)先行の段落のいずれかに記載のCPR、ユニバーサルCPR、SAPR、若しくはePARをコードする先行の段落のいずれかに記載の1つ以上の核酸を含む、先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のベクター、及び/又は
d)先行の段落のいずれかに記載のCPR、ユニバーサルCPR、SAPR、又はePARをコードする先行の段落のいずれかに記載の1つ以上の核酸を含む、先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のウイルスベクターを含む、シャーシ。
132. シャーシが、
1つ以上のシグナル伝達経路を調節するように操作されておらず、任意選択で、血栓形成経路を破壊するように操作されておらず、かつ/又は血小板炎症シグナル伝達経路を破壊するように操作されておらず、かつ/又は操作されたプロデューサー若しくはエフェクターシャーシの免疫原性を低下させるように操作されていない、並びに/あるいは
前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシの1つ以上の基本機能を増強又は破壊するように操作されておらず、任意選択で、1つ以上又は基本機能が、自然免疫応答及び/又は適応免疫応答、炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び腫瘍成長に関与する、段落131に記載のシャーシ。
133.操作されたシャーシであって、シャーシが、
1つ以上のシグナル伝達経路を調節するように操作されている、任意選択で、血栓形成経路を破壊するように操作されている、かつ/又は血小板炎症シグナル伝達経路を破壊するように操作されている、かつ/又は操作された血小板の免疫原性を低下させるように操作されている、並びに/あるいは
シャーシの1つ以上の基本機能を増強又は破壊するように操作されており、任意選択で、1つ以上又は基本機能が、自然免疫応答及び/又は適応免疫応答、炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び腫瘍成長に関与する、シャーシ。
134.シャーシが、
a)先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、若しくはePARS、
b)先行の段落のいずれかに記載のCPR、ユニバーサルCPR、SAPR、若しくはePARをコードする、先行の段落のいずれかに記載の1つ以上の核酸、
c)CPRをコードする先行の段落のいずれかに記載の1つ以上の核酸を含む、先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のベクター、d)先行の段落のいずれかに記載のユニバーサルCPR、SAPR、若しくはePAR、及び/又は
先行の段落のいずれかに記載のCPR、ユニバーサルCPR、SAPR、若しくはePARをコードする先行の段落のいずれかに記載の1つ以上の核酸を含む、先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のウイルスベクターのうちのいずれか1つ以上を含むように更に操作されている、段落66に記載の操作されたシャーシ。
135.シャーシが、
a)先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、若しくはePARS、
b)先行の段落のいずれかに記載の1つ以上の核酸、
c)先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のベクター、及び/又は
d)先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のウイルスベクターのうちのいずれか1つ以上を発現しない、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
136. シャーシ又は操作されたシャーシが、
a)前駆体シャーシであり、任意選択で、骨髄系幹細胞、iPSC、脂肪細胞、脂肪由来間葉系間質/幹細胞株(ASCL)、若しくはプロデューサーシャーシを産生することができるがん細胞株、若しくはプロデューサーシャーシを産生することができる他の不死細胞であるか、
b)プロデューサーシャーシであり、任意選択で、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを形成することができるがん細胞株、例えばMEG01若しくはDAMIがん細胞株、又は血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを形成することができる他の不死細胞であるか、あるいは
c)エフェクターシャーシであり、任意選択で、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント又は無核細胞フラグメントである、エフェクターシャーシである、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
137. シャーシが、プロデューサーシャーシへの分化を駆動し、任意選択で、巨核球又は巨核球様細胞への分化を駆動するように修飾されており、任意選択で、巨核球又は巨核球様細胞に分化するようにフォワードプログラムされている、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
138. シャーシ又は操作されたシャーシが、プロデューサーシャーシ又は操作されたプロデューサーシャーシであり、プロデューサーシャーシ又は操作されたプロデューサーシャーシが、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを産生することができる巨核芽球、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを産生することができる巨核球、又は血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを産生することができる巨核球様細胞である、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
139. シャーシ又は操作されたシャーシが、巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを形成することができるがん細胞株、例えばMEG01若しくはDAMIがん細胞株、又は血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを形成することができる他の不死細胞である、プロデューサーシャーシ又は操作されたプロデューサーシャーシであり、
巨核芽球、巨核球、巨核球様細胞、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを形成することができるがん細胞株、例えばMEG01若しくはDAMIがん細胞株、又は血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント若しくは無核細胞フラグメントを形成することができる他の不死細胞が、
a)偽足伸長をもたらすことができ、かつ/又は
b)TUBB1を発現する、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
140. シャーシ又は操作されたシャーシが、エフェクターシャーシ又は操作されたエフェクターシャーシであり、エフェクターシャーシ又は操作されたエフェクターシャーシが、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント、又は無核細胞フラグメントであり、血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント、又は無核細胞フラグメントが、先行の段落のいずれかに記載のプロデューサーシャーシ又は操作されたプロデューサーシャーシのフラグメント化によって産生されており、
任意選択で、操作されたエフェクターシャーシが、TUBB1タンパク質を含む、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
141. シャーシ又は操作されたシャーシが、エフェクターシャーシ又は操作されたエフェクターシャーシであり、エフェクターシャーシ又は操作されたエフェクターシャーシが、血小板凝集アッセイにおいて凝集しない血小板、血小板様膜結合細胞フラグメント、又は無核細胞フラグメントである、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
142. シャーシ又は操作されたシャーシが、先行の段落のいずれかに記載のCPR、ユニバーサルCPR、SAPR、若しくはePARをコードする先行の段落のいずれかに記載の1つ以上の核酸、及び/又は先行の段落のいずれかに記載のCPR、ユニバーサルCPR、SAPR、若しくはePARをコードする先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のベクターを含む、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
143. シャーシ又は操作されたシャーシが、前駆体若しくはプロデューサーシャーシ又は操作された前駆体若しくはプロデューサーシャーシであり、1つ以上の核酸が、前駆体若しくはプロデューサーシャーシ又は操作された前駆体若しくはプロデューサーシャーシのゲノム核酸内の位置から発現され、任意選択で、
1)第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、若しくはePARをコードする核酸が、第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入されており、かつ/又は第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、若しくはePARをコードする核酸が、第1の遺伝子座の第2の対立遺伝子に導入されており、かつ/あるいは
2)第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、又はePARをコードする核酸が、第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入されており、第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、又はePARをコードする第2の核酸が、第2の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入されており、かつ/あるいは
3)第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、又はePARをコードする核酸が、第1の遺伝子座の第1の対立遺伝子に導入されており、第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR、又はePARをコードする第2の核酸が、第1の遺伝子座の第2の対立遺伝子に導入されている、段落142に記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
144. 1つ以上の核酸が、エピソーム的に発現される、段落142に記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
145. シャーシ又は操作されたシャーシが、ベータ2ミクログロブリン遺伝子からの発現が阻害されるように操作されており、任意選択で、ベータ2ミクログロブリン遺伝子がノックアウト又は欠失されている、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
146. シャーシ又は操作されたシャーシが、哺乳動物シャーシ、任意選択でヒトシャーシ、ウシシャーシ、ウマシャーシ又はマウスシャーシである、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
147. シャーシが、血小板血栓形成経路を破壊するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
148. シャーシが、血栓形成の可能性が低減されるように操作されていないシャーシに対して、血栓形成が低減されるように操作されており、任意選択で、操作されたシャーシが、血栓形成の可能性を有しない、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
149. シャーシが、血栓形成経路に関与する少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、又は少なくとも10個の遺伝子の破壊又は欠失を含み、任意選択で、遺伝子が、
血栓形成の一次刺激の認識に関与するタンパク質、
血栓形成の二次メディエーターの認識に関与するタンパク質、及び/又は
血栓形成の二次メディエーターの放出に関与するタンパク質、をコードする遺伝子の群から選択される、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
150. シャーシが、少なくとも
血栓形成の一次刺激の認識に関与するタンパク質をコードする1つの遺伝子、
血栓形成の二次メディエーターの認識に関与するタンパク質をコードする1つの遺伝子、及び
血栓形成の二次メディエーターの放出に関与するタンパク質をコードする1つの遺伝子、の破壊又は欠失を含み、
任意選択で、少なくとも
血栓形成の一次刺激の認識に関与するタンパク質をコードする2つの遺伝子、
血栓形成の二次メディエーターの認識に関与するタンパク質をコードする2つの遺伝子、及び
血栓形成の二次メディエーターの放出に関与するタンパク質をコードする2つの遺伝子、の破壊を含み、
任意選択で、少なくとも
血栓形成の一次刺激の認識に関与するタンパク質をコードする3つの遺伝子、
血栓形成の二次メディエーターの認識に関与するタンパク質をコードする3つの遺伝子、及び
血栓形成の二次メディエーターの放出に関与するタンパク質をコードする3つの遺伝子、の破壊を含む、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
151.
血栓形成の一次刺激の認識に関与するタンパク質をコードする少なくとも1つ、2つ、若しくは3つの遺伝子が、GPIb/V/IX及びGPVI(GP6)、ITGA2B、CLEC2、インテグリンs aIIb、a、a及びaからなる群から選択されるか、若しくはGPVI及びITGA2Bからなる群から選択され、
血栓形成の二次メディエーターの認識に関与するタンパク質をコードする少なくとも1つ、2つ、若しくは3つが、Par1、Par4、P2Y12、GPIb/V/IX、トロンボキサン受容体(TBXA2R)、P2Y1、P2X1及びインテグリンaIIbからなる群から選択されるか、又はPar1、Par4及びP2Y12からなる群から選択され、かつ/あるいは
血栓形成の二次メディエーターの放出に関与するタンパク質をコードする少なくとも1つ、2つ、若しくは3つの遺伝子が、Cox1、HPS及びトロンボキサンAシンターゼ(TBXAS1)からなる群から選択されるか、又はCox1及びHPSからなる群から選択される、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
152. 以下の遺伝子:
GPVI、ITGA2B、Par1、Par4、P2Y12、Cox1及びHPSの各々が、破壊又は欠失される、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
153. シャーシが、エフェクターシャーシであり、
a)通常は血餅形成をもたらす内因性刺激に応答せず、
b)他の活性化血小板によって動員されず、かつ/又は
c)活性化すると、患者の内因性血小板を動員及び活性化することができない、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
154. シャーシが、操作されていないシャーシに対して免疫原性が低減されるように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
155.
a)内因性MHCクラス1及び/若しくはMHCクラス2の機能が破壊されており、かつ/又は
b)β2ミクログロブリン遺伝子からの発現が破壊されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
156. β2ミクログロブリン遺伝子が、ノックアウトされている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
157. β2ミクログロブリン遺伝子からの発現が、CRISPR遺伝子編集、又はshRNA、任意選択で、shRNAのレンチウイルス送達の使用によって破壊されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
158. シャーシが、1つ以上のHLA遺伝子からの破壊された発現を有するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
159. シャーシが、HLA-A、HLA-B及び/又はHLA-Cのうちのいずれか1つ以上からの発現が破壊されるように操作されており、任意選択で、HLA-A及びHLA-Bの発現は完全に破壊されているが、HLA-Cの発現は部分的に破壊されており、任意選択で、HLA-A及びHLA-Bの両方の対立遺伝子からの発現は破壊されているが、HLA-Cの一方の対立遺伝子のみからの発現は破壊されている、段落158に記載の操作されたシャーシ。
160. シャーシが、HLAクラスIb遺伝子のうちのいずれか1つ以上、任意選択で、HLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
161. シャーシが、HLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現するように操作されており、任意選択で、ベータ2ミクログロブリン遺伝子からの発現を阻害するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
162. シャーシが、1つ以上の免疫調節遺伝子を過剰発現するように操作されており、任意選択で、1つ以上の免疫調節遺伝子が、CD47及びPD-L1を含む群から選択される、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
163. プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが、産生物がカーゴの効力に悪影響を及ぼし得る1つ以上の遺伝子を排除するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたプロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシ。
164. シャーシが、自然応答/適応応答を上方又は下方調整するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
165. シャーシが、炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び腫瘍増殖を低減するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
166. シャーシが、操作されたカーゴの生物学的作用に間接的に対抗する可能性が高い接着タンパク質及び/又はカーゴ実体をコードする1つ以上の遺伝子を破壊するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
167. シャーシが、TGFb及び/又はGARP及び/又はCD40Lの発現を下方制御又は阻害するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
168. シャーシが、CD36、NOD2、SRB1、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR6、TLR9、CD40L、CD93(C1qRp)、C3aR、CD88(C5aR)、CD89(FcaR1)、CD23(FceR1)、CD32(FcgRIIa)、MHCクラス1、CD191(CCR1)、CD193(CCR3)、CD194(CCR4)、CD184(CXCR4)、CX3CR1、CD102(ICAM-2)、JAM-C/JAM-3、CD62P(P-セレクチン)、CD31(PECAM-1)、CD150(SLAMF1)、CCL2、CCL3、CCL5、CXCL1、CXCL12、CXCL4/PF4、CXCL5、CXCL8、NAP2(CXCL7)、IL-1bのうちのいずれか1つ以上の発現を下方制御若しくは阻害するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
169. シャーシが、TGFb及び/又はGARP2の発現を破壊又は阻害するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
170. シャーシが、Siglec-7、Siglec-9、Siglec-11及びTGFbのうちのいずれか1つ以上の発現を破壊又は阻害するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
171. シャーシが、T細胞シグナル伝達を増強し、免疫応答を刺激するために1つ以上のITAM受容体を発現するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
172. シャーシが、操作されていないシャーシに対して免疫原性が低減されるように操作されており、シャーシが、
a)MHCクラス1遺伝子又はタンパク質の機能が破壊されている、
b)β2ミクログロブリン遺伝子からの発現が破壊されており、任意選択でβ2ミクログロブリン遺伝子がノックアウトされている、
c)1つ以上のHLA遺伝子からの発現が破壊されている、
d)HLA-A、HLA-B及び/又はHLA-Cのうちのいずれか1つ以上からの発現が破壊されており、任意選択で、HLA-A及びHLA-Bの発現は完全に破壊されているが、HLA-Cの発現は部分的に破壊されており、任意選択で、HLA-A及びHLA-Bの両方の対立遺伝子からの発現は破壊されているが、HLA-Cの一方の対立遺伝子のみからの発現は破壊されている、
e)HLAクラスIb遺伝子のうちのいずれか1つ以上、任意選択でHLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現する、
f)HLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現するように操作されており、任意選択で、ベータ2ミクログロブリン遺伝子からの発現が破壊されるように操作されている、並びに/又は
g)1つ以上の免疫調節遺伝子を過剰発現する(任意選択で、1つ以上の免疫調節遺伝子が、CD47及びPD-L1を含む群から選択される)ように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
173. シャーシが、
a)MHCクラス1遺伝子又はタンパク質の機能が破壊されている、
b)β2ミクログロブリン遺伝子からの発現が破壊されており、任意選択でβ2ミクログロブリン遺伝子がノックアウトされている、
c)1つ以上のHLA遺伝子からの発現が破壊されている、
d)HLA-A、HLA-B及び/又はHLA-Cのうちのいずれか1つ以上からの発現が破壊されており、任意選択で、HLA-A及びHLA-Bの発現は完全に破壊されているが、HLA-Cの発現は部分的に破壊されており、任意選択で、HLA-A及びHLA-Bの両方の対立遺伝子からの発現は破壊されているが、HLA-Cの一方の対立遺伝子のみからの発現は破壊されている、
e)HLAクラスIb遺伝子のうちのいずれか1つ以上、任意選択でHLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現する、
f)HLA-G、HLA-E、CD47及びPD-L1のうちのいずれか1つ以上を過剰発現する(任意選択で、ベータ2ミクログロブリン遺伝子からの発現が破壊されるように操作されている)、並びに/又は
g)1つ以上の免疫調節遺伝子を過剰発現する(任意選択で、1つ以上の免疫調節遺伝子が、CD47及びPD-L1を含む群から選択される)、
h)産物がカーゴの効力に悪影響を及ぼし得る1つ以上の遺伝子又は遺伝子産物を排除する、
i)自然応答/適応応答を上方又は下方に調整する、
j)炎症、血管新生、アテローム性動脈硬化症、リンパ発達及び腫瘍増殖を低減する、
k)操作されたカーゴの生物学的作用に間接的に対抗する可能性が高い接着タンパク質及び/又はカーゴ実体をコードする1つ以上の遺伝子の発現が破壊されており、より大きな正味の治療効果をもたらす可能性がある、
l)TGFb及び/又はGARP及び/又はCD40Lの発現を下方制御又は阻害する、
n)CD36、NOD2、SRB1、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR6、TLR9、CD40L、CD93(C1qRp)、C3aR、CD88(C5aR)、CD89(FcaR1)、CD23(FceR1)、CD32(FcgRIIa)、MHCクラス1、CD191(CCR1)、CD193(CCR3)、CD194(CCR4)、CD184(CXCR4)、CX3CR1、CD102(ICAM-2)、JAM-C/JAM-3、CD62P(P-セレクチン)、CD31(PECAM-1)、CD150(SLAMF1)、CCL2、CCL3、CCL5、CXCL1、CXCL12、CXCL4/PF4、CXCL5、CXCL8、NAP2(CXCL7)、IL-1bのうちのいずれか1つ以上の発現を下方制御若しくは阻害する、
o)TGFb及び/又はGARPの発現を破壊又は阻害する、
q)Siglec-7、Siglec-9、Siglec-11又はTGFbのうちのいずれか1つ以上の発現を破壊又は阻害する、
s)GPIb/V/IX及びGPVI(GP6)、ITGA2B、CLEC2、インテグリンαIIbb3、a2b1、a5b1及びa6b1、GPVI及びITGA2Bのうちのいずれか1つ以上の発現を破壊又は阻害する、
t)Par1、Par4、P2Y12、GPIb/V/IX、トロンボキサン受容体(TBXA2R)、P2Y1、P2X1及びインテグリンαIIbb3のうちのいずれか1つ以上、又はPar1、Par4及びP2Y12からなる群からのいずれか1つ以上の発現を破壊又は阻害する、
u)Cox1、Cox2、HPS、プロトロンビン、PDGF、EGF、フォン・ヴィレブランド因子及びトロンボキサン-Aシンターゼ(TBXAS1)のうちのいずれか1つ以上の発現を破壊又は阻害する、
v)血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメントの活性化に応答して目的のタンパク質又はRNAを合成し、任意選択で、目的のタンパク質又はRNAが、BCL-3 mRNA非翻訳領域、任意選択で5′UTRから発現される、
z)1つ以上のカーゴタンパク質又はカーゴRNAを発現し、任意選択で、カーゴタンパク質又はカーゴRNAが、アルファ顆粒標的化シグナルを含み、任意選択で、血小板因子4(PF4)又はフォン・ヴィレブランド因子(vWf)を含む、
aa)先行の段落のいずれかに記載の少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現し、任意選択で、先行の段落のいずれかに記載の少なくとも3、4、5、6、7、8、9又は少なくとも10の異なるCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する、
bb)先行の段落のいずれかに記載の少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現し、少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの標的結合ドメインが、異なる標的に対して指向されている、
cc)先行の段落のいずれかに記載の少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現し、少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの標的結合ドメインが、異なる標的に対して指向されている、
i)第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメイン、任意選択で脱顆粒誘発ドメイン、任意選択でITAM含有ドメインであり、第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインが、血小板阻害ドメインであり、任意選択で血小板脱顆粒の誘発を防止するドメインであり、任意選択でITAM含有ドメインである、
ii)第1のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメイン、任意選択で脱顆粒誘発ドメイン、任意選択でITAM含有ドメインであり、第2のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの血小板調節ドメインが、血小板活性化ドメイン、任意選択で脱顆粒誘発ドメイン、任意選択でITAM含有ドメインである、
dd)ともに作動して論理回路を形成する、先行の段落のいずれかに記載の少なくとも2つのCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付け標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する、
ee)1つ以上のカーゴを発現し、任意選択で、カーゴが、
a)タンパク質又はペプチドであって、任意選択で、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)、
vi)エキソソーム標的化ドメインを含む融合タンパク質であり、融合タンパク質が、
a)カーゴタンパク質又はペプチドと、
b)エキソソーム標的化ドメインと、を含み、任意選択で、エキソソーム標的化ドメインが、
i)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、例えば、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
ii)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、任意選択でNedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、
iii)ユビキチンタグ、及び/又は
iv)タグ結合ドメイン、任意選択でタグに対して指向されたナノボディ、任意選択でGFPに対して指向されたナノボディを含むか若しくはそれらからなる群から選択される、タンパク質又はペプチド。
b)核酸であって、任意選択で、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNA、及び/又は
ii)エキソソーム標的化ドメインを含むRNAであって、任意選択で、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム標的化ヘアピン若しくは直鎖状モチーフ、
b)ウイルスエキソソーム標的化RNA若しくはそのエキソソーム標的化フラグメントを含むか若しくはそれらからなる群から選択される、RNA、
iii)アプタマードメインを含むRNAであって、任意選択で、アプタマードメインが、
a)MS2結合ステムループ、
b)C/Dボックス、及び/若しくは
c)AUリッチエレメントから選択され、任意選択で、RNAが、Cas9をコードするmRNAである、RNAである、核酸を含む群から選択される、
ff)融合タンパク質を発現し、融合タンパク質が、
i)エキソソーム膜タンパク質に融合されたバクテリオファージコートタンパク質MS2(任意選択で、エキソソーム膜タンパク質は、Lamp2b、VSVG、CD63を含むか若しくはそれらからなる群から選択される)、及び/又は
ii)エキソソーム膜タンパク質に融合された古細菌リボソームタンパク質L7Ae(任意選択で、エキソソーム膜タンパク質は、Lamp2b、VSVG、CD63を含むか若しくはそれらからなる群から選択される)、及び/又は
iii)CD9-HuR融合タンパク質を含み、
任意選択で、融合タンパク質が、光活性化された二量体化タンパク質を更に含む、
gg)1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPRs又はePARsの標的への結合の際にのみ1つ以上のカーゴを発現し、任意選択で、カーゴが、
a)タンパク質又はペプチド、任意選択で、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNAである、核酸を含む群から選択され、
任意選択で、カーゴが、Bcl-3 mRNA非翻訳領域、任意選択で5′UTRから発現されるように操作されている、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
174. シャーシ又は操作されたシャーシが、1つ以上のカーゴを含み、任意選択で、操作されたシャーシが、
a)1つ以上のカーゴをロードされており、かつ/又は
b)1つ以上のカーゴを提供するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
175. カーゴが、
a)タンパク質又はペプチドであって、いくつかの実施形態では、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNA、又は
ii)DNAベクターである、核酸、
c)毒素、
d)小分子薬物、造影剤、放射性ヌクレオチド薬物、放射性ヌクレオチドタグ付抗体、又はそれらの任意のコンジュゲート、
e)AAVなどのウイルスベクター、
f)腫瘍溶解性ウイルスなどのウイルス、
g)CRISPR媒介遺伝子編集を実行するための薬剤、
h)エキソソーム、例えば第2のカーゴをプレロードされたエキソソーム、及び/あるいは
i)1つ又は複数のナノ粒子。
あるいはそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つ以上から選択される、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
176. カーゴが、内因的に発現されたカーゴであり、
任意選択で、内因的に発現されたカーゴが、
a)タンパク質又はペプチドであって、いくつかの実施形態では、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNAである、核酸のうちのいずれか1つ以上である、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
177. カーゴが、シャーシ又は操作されたシャーシに外因的にロードされ、
任意選択で、外因的にロードされたカーゴが、
a)タンパク質又はペプチドであって、いくつかの実施形態では、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNAである、核酸のうちのいずれか1つ以上である、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
178. シャーシ又は操作されたシャーシが、カーゴを含み、カーゴが、シャーシ又は操作されたシャーシの中又は上に、任意選択で細胞質の中に、原形質膜の中に、又は細胞外表面に外因的にロードされている、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
179. シャーシ又は操作されたシャーシが、カーゴを含む場合、カーゴが、エキソソーム標的化ドメインを含む、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
180. カーゴが、融合タンパク質であるタンパク質又はペプチドであり、
a)カーゴタンパク質又はペプチドと、
b)エキソソーム標的化ドメインと、を含み、任意選択で、エキソソーム標的化ドメインが、
i)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、例えば、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
ii)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、任意選択でNedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、
iii)ユビキチンタグ、及び/又は
iv)タグ結合ドメイン、任意選択でタグに対して指向されたナノボディ、任意選択でGFPに対して指向されたナノボディ、及び/又は
v)表Aに列挙されたタンパク質から選択されるタンパク質を含むか若しくはそれらからなる群から選択される、段落179に記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
181. カーゴが、RNAであり、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム標的化ヘアピン若しくは直鎖状モチーフ、
b)ウイルスエキソソーム標的化RNA若しくはそのエキソソーム標的化フラグメント、
c)アプタマー、任意選択で、
i)MS2結合ステムループ、
ii)C/Dボックス、及び/若しくは
iii)AUリッチエレメントであり、任意選択で、RNAが、Cas9をコードするmRNAである、段落179に記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
182. シャーシ又は操作されたシャーシが、融合タンパク質を発現するように操作されており、融合タンパク質が、
a)エキソソーム膜タンパク質に融合されたバクテリオファージコートタンパク質MS2(任意選択で、エキソソーム膜タンパク質は、Lamp2b、VSVG、CD63、若しくは表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか若しくはそれらからなる群から選択される)、及び/又は
b)エキソソーム膜タンパク質に融合された古細菌リボソームタンパク質L7Aeを含む融合タンパク質(任意選択で、エキソソーム膜タンパク質は、Lamp2b、VSVG、CD63、若しくは表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか若しくはそれらからなる群から選択される)、及び/又は
c)エキソソーム膜タンパク質に融合されたアプタマー結合タンパク質(任意選択で、エキソソーム膜タンパク質は、Lamp2b、VSVG、CD63、若しくは表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか若しくはそれらからなる群から選択される)を含む、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
183. 融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含む、段落182に記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
184. シャーシ又は操作されたシャーシが、MS2結合ステムループであるエキソソーム標的化ドメインを含むRNAであるカーゴを含む場合、シャーシ又は操作されたシャーシが、融合タンパク質を発現するように操作されており、融合タンパク質が、エキソソーム膜タンパク質に融合されたバクテリオファージコートタンパク質MS2を含み、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63、又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、
任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化ドメインを更に含む、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
185. シャーシ又は操作されたシャーシが、C/Dボックスであるエキソソーム標的化ドメインを含むRNAであるカーゴを含む場合、シャーシ又は操作されたシャーシが、融合タンパク質を発現するように操作されており、融合タンパク質が、エキソソーム膜タンパク質に融合された古細菌リボソームタンパク質L7Aeを含み、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63、又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、
任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化ドメインを更に含む、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
186. シャーシ又は操作されたシャーシが、アプタマーを含むRNAであるカーゴを含む場合、シャーシ又は操作されたシャーシが、融合タンパク質を発現するように操作されており、融合タンパク質が、エキソソーム膜タンパク質に融合されたアプタマーによって結合され得るタンパク質又はそのフラグメントを含み、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63、又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、
任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化ドメインを更に含む、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
187. シャーシ又は操作されたシャーシが、AUリッチエレメントであるエキソソーム標的化ドメインを含むRNAであるカーゴを含む場合、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが、融合タンパク質を発現するように操作されており、融合タンパク質が、CD9-HuR融合タンパク質である、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
188. カーゴが、Casタンパク質、任意選択でCas9タンパク質をコードするRNAである、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
189. 前駆体シャーシ、プロデューサーシャーシ又はエフェクターシャーシが、1つ以上のsgRNAを発現するように操作されている、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
190.
シャーシ又は操作されたシャーシが、1つ以上のカーゴをコードする核酸を含み、
任意選択で、
核酸が、異種配列を含み、
カーゴが、異種カーゴであり、かつ/又は
カーゴが、1つ以上の標的化配列を含み、任意選択で、エキソソーム標的化ドメインを含む、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
191. シャーシ又は操作されたシャーシが、先行の段落によって定義されるCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARのうちのいずれか1つ以上を含み、シャーシ又は操作されたシャーシが、
a)CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、若しくはSAPRのうちのいずれか1つ以上の標的結合ドメインが、標的に結合する場合、及び/又は
b)ePARが、プロテアーゼによって切断される場合のみに発現されるカーゴを内因的に発現し、
任意選択で、
カーゴが、シャーシ又は対象に対して毒性であり、かつ/又は
カーゴが、Bcl-3 mRNA非翻訳領域、任意選択で5’UTRから発現される、先行の段落のいずれか1つに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
192. シャーシ又は操作されたシャーシが、カーゴを含み、カーゴが、シャーシ又は操作されたシャーシの中又は上に、任意選択で細胞質の中に、原形質膜の中に、又は細胞外表面に外因的にロードされている、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
193. カーゴをコードする核酸であって、任意選択で、カーゴが、
a)タンパク質又はペプチド、任意選択で、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸、任意選択でRNA、任意選択でmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNAから選択され、
任意選択で、カーゴが、標的化ドメインを含み、任意選択で、エキソソーム標的化ドメインを含む、核酸。
194. 核酸が、アルファ顆粒局在化シグナルとインフレームでカーゴをコードし、任意選択で、アルファ顆粒局在化シグナルは、vWfのPF4から選択される、段落193に記載の核酸。
195. シャーシ又は操作されたシャーシが、段落93又は194に記載の核酸を含み、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
196. シャーシ又は操作されたシャーシが、カーゴを含み、カーゴが、顆粒内、任意選択でアルファ顆粒内、エキソソーム内、任意選択でアルファ顆粒とともに位置するエキソソーム内、細胞質内、原形質膜内、及び/又は原形質膜の外表面に貯蔵又は位置する、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
197. シャーシ又は設計されたシャーシが、カーゴを含み、カーゴが、
治療剤、
造影剤、
非治療剤、及び/又は
化粧剤である、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシ。
198. シャーシ又は操作されたシャーシが、先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現するエフェクターシャーシであり、任意選択で、標的化送達システムが、治療的標的化送達システム又は非治療的送達システムである、先行の段落のいずれかに定義されるシャーシ又は操作されたシャーシを含む標的化送達システム。
199. 操作されたシャーシが、先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを発現する操作されたエフェクターシャーシであり、エフェクターシャーシが、血栓形成性経路を破壊するように操作されており、標的化送達システムが、非血栓形成性治療的標的化送達システム又は非血栓形成性非治療的送達システムである、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシを含む、非血栓形成性標的化送達システム。
200. 系が、1つ以上のカーゴを更に含み、任意選択でカーゴが、1つ以上の標的化ドメインを含み、任意選択でエキソソーム標的化ドメインを含む、先行の段落の標的化送達システム又は非血栓形成性標的化送達システム。
201. 任意選択で、シャーシが、エフェクターシャーシである、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ若しくは操作されたシャーシ、並びに/又は医薬において使用するための先行の段落のいずれかに記載のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR若しくはePAR。
201. 任意選択で、シャーシ又は操作されたシャーシが、エフェクターシャーシ又は操作されたエフェクターシャーシである、治療的若しくは造影カーゴを送達するか、又はがん、自己免疫疾患、遺伝性疾患、心血管疾患及び/若しくは感染症を治療若しくは予防する際に使用するための、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ若しくは操作されたシャーシ、及び/又はCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePAR。
202. カーゴを送達する方法であって、有効量の、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシのうちのいずれか1つ以上を投与することを含み、任意選択で、シャーシ又は操作されたシャーシが、先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付き標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを含み、任意選択で、シャーシ又は操作されたシャーシが、エフェクターシャーシ又は操作されたエフェクターシャーシである、方法。
203. 体内の標的細胞、組織又は部位への標的化カーゴ送達の方法であって、方法が、有効量の、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシのうちのいずれか1つ以上を投与することを含み、任意選択で、シャーシ又は操作されたシャーシが、先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを含み、CPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARの標的化ドメインが、体内の標的細胞、組織又は部位に結合し、操作されたシャーシが、エフェクターシャーシ又は操作されたエフェクターシャーシである、方法。
204. カーゴの送達を必要とする対象にカーゴを送達する、非治療的方法。
205. 有効量の、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシのうちのいずれか1つ以上を投与することを含む、治療の方法であって、任意選択で、シャーシ又は操作されたシャーシが、先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを含み、任意選択で、方法が、がん、自己免疫疾患、遺伝性疾患、心血管疾患及び/又は感染症のうちのいずれか1つ以上の治療又は予防のためのものであり、任意選択で、シャーシ又は操作されたシャーシが、エフェクターシャーシ又は操作されたエフェクターシャーシである、方法。
206. 任意選択で、シャーシ又は操作されたシャーシが、先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARを含む、疾患又は感染症の治療又は予防のための、任意選択で、がん、自己免疫疾患、遺伝性疾患、心血管疾患、及び/又は感染症のうちのいずれか1つ以上を治療又は予防するための医薬品の製造における、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシのうちのいずれか1つ以上の使用であって、任意選択で、シャーシ又は操作されたシャーシが、エフェクターシャーシ又は操作されたエフェクターシャーシである、使用。
207. シャーシ又は操作されたシャーシを、それを必要とする患者に投与することによって、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシを使用してカーゴ、任意選択で、治療剤を送達する方法であって、任意選択で、シャーシ又は操作されたシャーシが、先行の段落のいずれかに記載の1つ以上のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチド、SAPR又はePARを含み、任意選択で、シャーシ又は操作されたシャーシが、エフェクターシャーシ又は操作されたエフェクターシャーシである、方法。
208. 以下の:
a)先行の段落のいずれか1つ以上に記載のシャーシ、
b)先行の段落のいずれか1つ以上に記載の操作されたシャーシ、
c)先行の段落のいずれか1つ以上に記載の操作された血小板又は血小板様膜結合細胞フラグメント、
d)治療剤及び/若しくは造影剤、
e)先行の段落のいずれか1つ以上に記載のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR若しくはePAR、及び/又は
f)先行の段落のいずれか1つ以上に記載のCPR、ユニバーサルCPR、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、SAPR又はePARをコードする核酸、
g)先行の段落のいずれか1つ以上に定義される1つ以上のカーゴをコードする核酸、及び/又は
h)先行の段落のいずれか1つ以上に定義される1つ以上のカーゴのうちのいずれか2つ以上を含む、キット。
209. カーゴを含むエキソソームの標的化送達のための方法であって、先行の段落のいずれかに記載のシャーシ又は操作されたシャーシを、それを必要とする対象に投与することを含み、
a)シャーシ又は操作されたシャーシが、1つ以上のキメラ血小板受容体(CPR)、ユニバーサルキメラ血小板受容体(ユニバーサルCPR)、ユニバーサルCPRとタグ付標的化ペプチドとの複合体、合成抗原提示受容体(SAPR)、又は操作されたプロテアーゼ活性化受容体(ePARS)を発現し、任意選択で、少なくとも1つのCPR又はユニバーサルCPRを含み、
b)シャーシ又は操作されたシャーシが、カーゴ及び/又はシャーシ若しくは操作されたシャーシの操作によってエキソソームに標的化されているカーゴを含む、カーゴを含むエキソソームの標的化送達のための方法。
210. カーゴが、
a)タンパク質又はペプチドであって、いくつかの実施形態では、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNA、又は
ii)DNAベクターである、核酸、
c)毒素、
d)小分子薬物、造影剤、放射性ヌクレオチド薬物、放射性ヌクレオチドタグ付抗体、又はそれらの任意のコンジュゲート、
e)AAVなどのウイルスベクター、
f)腫瘍溶解性ウイルスなどのウイルス、
g)CRISPR媒介遺伝子編集を実行するための薬剤、
h)エキソソーム、例えば第2のカーゴをプレロードされたエキソソーム、及び/あるいは
i)1つ又は複数のナノ粒子、
あるいはそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つ以上から選択される、段落209に記載の方法。
211. シャーシ又は操作されたシャーシが、エキソソーム標的化ドメインを含むカーゴを内因的に発現するように操作されており、
A)カーゴがタンパク質又はペプチドである場合、タンパク質又はペプチドが、
i)カーゴタンパク質又はペプチドと、
ii)エキソソーム標的化ドメインと、を含む、融合タンパク質であり、任意選択で、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、任意選択で、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
b)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、任意選択でNedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、
c)ユビキチンタグ、及び/又は
d)タグ結合ドメイン、任意選択でタグに対して指向されたナノボディ、任意選択でGFPに対して指向されたナノボディ、及び/又は
e)表Aに列挙されたタンパク質から選択されるタンパク質を含むか若しくはそれらからなる群から選択され、
B)カーゴがRNAであり、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム標的化ヘアピン若しくは直鎖状モチーフ、
b)ウイルスエキソソーム標的化RNA若しくはそのエキソソーム標的化フラグメント、
c)アプタマー、任意選択で、
i)MS2結合ステムループ、
ii)C/Dボックス、及び/若しくは
iii)AUリッチエレメントであり、任意選択で、RNAが、Cas9をコードするmRNAであり、
任意選択で、
カーゴが、MS2結合ステムループを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合されたバクテリオファージコートタンパク質MS2を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、C/Dボックスを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合された古細菌L7リボソームL7Aeタンパク質を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、AUリッチエレメントを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシが、CD9-HuR融合タンパク質である融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、アプタマーを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシが、エキソソーム膜タンパク質に融合されたアプタマー結合タンパク質(RNA中に存在するアプタマーに結合する)を含む融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含む、段落209又は210に記載の方法。
210. シャーシ又は操作されたシャーシに、エキソソーム標的化ドメインを含むカーゴを外因的にロードされており、任意選択で、
A)カーゴがタンパク質又はペプチドである場合、タンパク質又はペプチドが、
i)カーゴタンパク質又はペプチドと、
ii)エキソソーム標的化ドメインと、を含む、融合タンパク質であり、任意選択で、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、任意選択で、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
b)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、任意選択でNedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、
c)ユビキチンタグ、及び/又は
d)タグ結合ドメイン、任意選択でタグに対して指向されたナノボディ、任意選択でGFPに対して指向されたナノボディ、及び/又は
e)表Aに列挙されたタンパク質から選択されるタンパク質を含むか若しくはそれらからなる群から選択され、
B)カーゴがRNAであり、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム標的化ヘアピン若しくは直鎖状モチーフ、
b)ウイルスエキソソーム標的化RNA若しくはそのエキソソーム標的化フラグメント、
c)アプタマー、任意選択で、
i)MS2結合ステムループ、
ii)C/Dボックス、及び/若しくは
iii)AUリッチエレメントであり、任意選択で、RNAが、Cas9をコードするmRNAであり、
任意選択で、
カーゴが、MS2結合ステムループを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合されたバクテリオファージコートタンパク質MS2を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、C/Dボックスを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合された古細菌L7リボソームL7Aeタンパク質を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、AUリッチエレメントを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシが、CD9-HuR融合タンパク質である融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、アプタマーを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシが、エキソソーム膜タンパク質に融合されたアプタマー結合タンパク質(RNA中に存在するアプタマーに結合する)を含む融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含む、段落209に記載の方法。
211. 治療的カーゴを含むエキソソームの、それを必要とする対象への標的化送達における使用のための、医薬における使用のための、任意選択でがん、自己免疫疾患、遺伝性疾患、心血管疾患及び/又は感染症の治療又は予防における使用のためのものであり、
操作されたシャーシが、カーゴ及び/又はシャーシ若しくは操作されたシャーシの操作によってエキソソームに標的化されているカーゴを含む操作されたエフェクターシャーシである、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシ。
212. カーゴが、
a)タンパク質又はペプチドであって、いくつかの実施形態では、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNA、又は
ii)DNAベクターである、核酸、
c)毒素、
d)小分子薬物、造影剤、放射性ヌクレオチド薬物、放射性ヌクレオチドタグ付抗体、又はそれらの任意のコンジュゲート、
e)AAVなどのウイルスベクター、
f)腫瘍溶解性ウイルスなどのウイルス、
g)CRISPR媒介遺伝子編集を実行するための薬剤、
h)エキソソーム、例えば第2のカーゴをプレロードされたエキソソーム、及び/あるいは
i)1つ又は複数のナノ粒子、
あるいはそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つ以上から選択される、段落211に記載の使用のための操作されたシャーシ。
213. シャーシ又は操作されたシャーシが、エキソソーム標的化ドメインを含むカーゴを内因的に発現するように操作されており、
A)カーゴがタンパク質又はペプチドである場合、タンパク質又はペプチドが、
i)カーゴタンパク質又はペプチドと、
ii)エキソソーム標的化ドメインと、を含む、融合タンパク質であり、任意選択で、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、任意選択で、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
b)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、任意選択でNedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、
c)ユビキチンタグ、及び/又は
d)タグ結合ドメイン、任意選択でタグに対して指向されたナノボディ、任意選択でGFPに対して指向されたナノボディ、及び/又は
e)表Aに列挙されたタンパク質から選択されるタンパク質を含むか若しくはそれらからなる群から選択され、
B)カーゴがRNAであり、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム標的化ヘアピン若しくは直鎖状モチーフ、
b)ウイルスエキソソーム標的化RNA若しくはそのエキソソーム標的化フラグメント、
c)アプタマー、任意選択で、
i)MS2結合ステムループ、
ii)C/Dボックス、及び/若しくは
iii)AUリッチエレメントであり、任意選択で、RNAが、Cas9をコードするmRNAであり、
任意選択で、
カーゴが、MS2結合ステムループを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合されたバクテリオファージコートタンパク質MS2を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、C/Dボックスを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合された古細菌L7リボソームL7Aeタンパク質を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、AUリッチエレメントを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシが、CD9-HuR融合タンパク質である融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、アプタマーを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシが、エキソソーム膜タンパク質に融合されたアプタマー結合タンパク質(RNA中に存在するアプタマーに結合する)を含む融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含む、段落211又は212に記載の使用のための操作されたシャーシ。
214. シャーシ又は操作されたシャーシに、エキソソーム標的化ドメインを含むカーゴを外因的にロードされており、任意選択で、
A)カーゴがタンパク質又はペプチドである場合、タンパク質又はペプチドが、
i)カーゴタンパク質又はペプチドと、
ii)エキソソーム標的化ドメインと、を含む、融合タンパク質であり、任意選択で、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、任意選択で、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
b)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、任意選択でNedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、
c)ユビキチンタグ、及び/又は
d)タグ結合ドメイン、任意選択でタグに対して指向されたナノボディ、任意選択でGFPに対して指向されたナノボディ、及び/又は
e)表Aに列挙されたタンパク質から選択されるタンパク質を含むか若しくはそれらからなる群から選択され、
B)カーゴがRNAであり、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム標的化ヘアピン若しくは直鎖状モチーフ、
b)ウイルスエキソソーム標的化RNA若しくはそのエキソソーム標的化フラグメント、
c)アプタマー、任意選択で、
i)MS2結合ステムループ、
ii)C/Dボックス、及び/若しくは
iii)AUリッチエレメントであり、任意選択で、RNAが、Cas9をコードするmRNAであり、
任意選択で、
カーゴが、MS2結合ステムループを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合されたバクテリオファージコートタンパク質MS2を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、C/Dボックスを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合された古細菌L7リボソームL7Aeタンパク質を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、AUリッチエレメントを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシが、CD9-HuR融合タンパク質である融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、アプタマーを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシが、エキソソーム膜タンパク質に融合されたアプタマー結合タンパク質(RNA中に存在するアプタマーに結合する)を含む融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含む、段落211又は212に記載の使用のための操作されたシャーシ。
215. 治療的カーゴを含むエキソソームの、それを必要とする対象への標的化送達における使用のための、医薬における使用のための、任意選択でがん、自己免疫疾患、遺伝性疾患、心血管疾患及び/又は感染症の治療又は予防における使用のための医薬品の製造における操作されたシャーシの使用であって、
操作されたシャーシが、カーゴ及び/又はシャーシ若しくは操作されたシャーシの操作によってエキソソームに標的化されているカーゴを含む操作されたエフェクターシャーシである、先行の段落のいずれかに記載の操作されたシャーシの使用。
216. カーゴが、
a)タンパク質又はペプチドであって、いくつかの実施形態では、
i)抗体若しくはその抗原結合フラグメント、例えば腫瘍抗原若しくは新抗原に結合する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、
ii)ヌクレアーゼなどの酵素、例えばTALEN、
iii)サイトカイン、例えばIL-10、又は
iv)CRISPR関連タンパク質、例えばCas9、
v)二重特異性タンパク質、例えば二重特異性抗体若しくは任意選択でT細胞エンゲージャー(BiTE)である、タンパク又はペプチド、
b)核酸であって、いくつかの実施形態では、
i)例えばmRNA、miRNA、shRNA、及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列から選択される、RNA、又は
ii)DNAベクターである、核酸、
c)毒素、
d)小分子薬物、造影剤、放射性ヌクレオチド薬物、放射性ヌクレオチドタグ付抗体、又はそれらの任意のコンジュゲート、
e)AAVなどのウイルスベクター、
f)腫瘍溶解性ウイルスなどのウイルス、
g)CRISPR媒介遺伝子編集を実行するための薬剤、
あるいはそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つ以上から選択される、段落215に記載の使用。
217. シャーシ又は操作されたシャーシが、エキソソーム標的化ドメインを含むカーゴを内因的に発現するように操作されており、
A)カーゴがタンパク質又はペプチドである場合、タンパク質又はペプチドが、
i)カーゴタンパク質又はペプチドと、
ii)エキソソーム標的化ドメインと、を含む、融合タンパク質であり、任意選択で、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、任意選択で、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
b)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、任意選択でNedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、
c)ユビキチンタグ、及び/又は
d)タグ結合ドメイン、任意選択でタグに対して指向されたナノボディ、任意選択でGFPに対して指向されたナノボディ、及び/又は
e)表Aに列挙されたタンパク質から選択されるタンパク質を含むか若しくはそれらからなる群から選択され、
B)カーゴがRNAであり、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム標的化ヘアピン若しくは直鎖状モチーフ、
b)ウイルスエキソソーム標的化RNA若しくはそのエキソソーム標的化フラグメント、
c)アプタマー、任意選択で、
i)MS2結合ステムループ、
ii)C/Dボックス、及び/若しくは
iii)AUリッチエレメントであり、任意選択で、RNAが、Cas9をコードするmRNAであり、
任意選択で、
カーゴが、MS2結合ステムループを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合されたバクテリオファージコートタンパク質MS2を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、C/Dボックスを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合された古細菌L7リボソームL7Aeタンパク質を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、AUリッチエレメントを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシが、CD9-HuR融合タンパク質である融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、アプタマーを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシが、エキソソーム膜タンパク質に融合されたアプタマー結合タンパク質(RNA中に存在するアプタマーに結合する)を含む融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含む、段落215又は216に記載の使用。
218. シャーシ又は操作されたシャーシに、エキソソーム標的化ドメインを含むカーゴを外因的にロードされており、任意選択で、
A)カーゴがタンパク質又はペプチドである場合、タンパク質又はペプチドが、
i)カーゴタンパク質又はペプチドと、
ii)エキソソーム標的化ドメインと、を含む、融合タンパク質であり、任意選択で、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム特異的膜タンパク質又はそのエキソソーム膜標的化部分、任意選択で、
テトラスパニン、例えばCD63、又は
非テトラスパニン、例えばPTGFRN若しくはBASP1
b)可溶性タンパク質由来のエキソソーム標的化配列、任意選択でNedd4ユビキチンリガーゼのWWドメイン、
c)ユビキチンタグ、及び/又は
d)タグ結合ドメイン、任意選択でタグに対して指向されたナノボディ、任意選択でGFPに対して指向されたナノボディ、及び/又は
e)表Aに列挙されたタンパク質から選択されるタンパク質を含むか若しくはそれらからなる群から選択され、
B)カーゴがRNAであり、エキソソーム標的化ドメインが、
a)エキソソーム標的化ヘアピン若しくは直鎖状モチーフ、
b)ウイルスエキソソーム標的化RNA若しくはそのエキソソーム標的化フラグメント、
c)アプタマー、任意選択で、
i)MS2結合ステムループ、
ii)C/Dボックス、及び/若しくは
iii)AUリッチエレメントであり、任意選択で、RNAが、Cas9をコードするmRNAであり、
任意選択で、
カーゴが、MS2結合ステムループを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合されたバクテリオファージコートタンパク質MS2を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、C/Dボックスを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシがまた、エキソソーム膜タンパク質に融合された古細菌L7リボソームL7Aeタンパク質を含む融合タンパク質を発現するように操作され、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、AUリッチエレメントを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシが、CD9-HuR融合タンパク質である融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含み、
カーゴが、アプタマーを含むRNAであり、シャーシ又は操作されたシャーシが、エキソソーム膜タンパク質に融合されたアプタマー結合タンパク質(RNA中に存在するアプタマーに結合する)を含む融合タンパク質を発現するように操作されており、任意選択で、エキソソーム膜タンパク質が、Lamp2b、VSVG、CD63又は表Aのタンパク質のうちのいずれかを含むか又はそれらからなる群から選択され、任意選択で、融合タンパク質が、光活性化二量体化タンパク質を更に含む、段落215又は216に記載の使用。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2-1】
図2-2】
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図4-5】
図4-6】
図4-7】
図4-8】
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図8-4】
図8-5】
図9-1】
図9-2】
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13
図14
図15
図16
図17-1】
図17-2】
図17-3】
図17-4】
図17-5】
図17-6】
図18
図19
図20-1】
図20-2】
図21
図22
図23-1】
図23-2】
図24
図25
【配列表】
2024525185000001.app
【国際調査報告】