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  • 特表-コーヒーグラインダーのセンサー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】コーヒーグラインダーのセンサー
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/42 20060101AFI20240703BHJP
   A47J 31/52 20060101ALI20240703BHJP
   A47J 42/40 20060101ALI20240703BHJP
   G01G 13/06 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A47J31/42
A47J31/52
A47J42/40
G01G13/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578728
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2022065431
(87)【国際公開番号】W WO2022268494
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】21181224.3
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】519387302
【氏名又は名称】ヘムロ インターナショナル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,アルナルド
【テーマコード(参考)】
2F046
4B104
【Fターム(参考)】
2F046CA01
4B104AA12
4B104AA25
4B104BA12
4B104CA09
4B104CA11
4B104DA07
4B104DA56
4B104EA30
(57)【要約】
コーヒー抽出マシン1と別個のコーヒー豆グラインダー2との組合せにおいて使用するセンサーユニット5であって、センサーユニット5は、コーヒー抽出マシン1と別個であるとともに、コーヒー豆グラインダー2と別個であるユニットである、センサーユニット。センサーユニット5は、コーヒーディスペンサー9の下方かつコーヒー抽出マシン1の抽出コーヒー供給領域19内に位置する底部27と、コーヒーディスペンサー9を用いてコーヒーを充填するために、底部27の上面30に配置されるカップ11の重量を時間に応じて測定する少なくとも1つのロードセル15と、ロードセル15から受信したデータを収集及び少なくとも一時的に記憶するとともに、コーヒー豆グラインダー2とのデータ交換用の少なくとも1つの有線又は無線通信を備え、コーヒー豆グラインダー2の粉挽プロセスを制御する、ロードセル15から受信したデータをコーヒー豆グラインダー2に送信する、少なくとも1つの中央処理装置17とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー抽出マシン(1)と別個のコーヒー豆グラインダー(2)との組合せにおいて使用するセンサーユニット(5)であって、
前記センサーユニット(5)は、前記コーヒー抽出マシン(1)と別個であるとともに、前記コーヒー豆グラインダー(2)と別個であるユニットであり、
前記センサーユニット(5)は、
コーヒーディスペンサー(9)の下方かつ前記コーヒー抽出マシン(1)の抽出コーヒー供給領域(19)内に位置する底部(27)と、
前記コーヒーディスペンサー(9)を用いてコーヒーを充填するために、前記底部(27)の上面(30)に配置されるカップ(11)の重量を時間に応じて測定する少なくとも1つのロードセル(15)と、
前記ロードセル(15)から受信したデータを収集及び少なくとも一時的に記憶するとともに、前記コーヒー豆グラインダー(2)とのデータ交換用の少なくとも1つの有線又は無線通信を備え、前記コーヒー豆グラインダー(2)の粉挽プロセスを制御する、前記ロードセル(15)から受信したデータを前記コーヒー豆グラインダー(2)に送信する、少なくとも1つの中央処理装置(17)と、
を備える、前記センサーユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサーユニット(5)であって、前記カップ(11)内に供給された又は前記カップ(11)内にあるコーヒーの温度を、好ましくは時間に応じて、直接又は間接的に測定する少なくとも1つの更なるセンサー(16)を更に備え、
好ましくは、前記更なるセンサー(16)は、光学式温度センサー(16)であり、
前記更なるセンサー(16)から得られたデータは、前記中央処理装置(17)に送信され、そこで収集及び少なくとも一時的に記憶され、及び、それに伴い、前記ロードセル(15)から受信したデータの送信と同時又はその前又はその後に、前記コーヒー豆グラインダー(2)に送信される、前記センサーユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサーユニット(5)であって、前記更なるセンサー(16)は、前記上面(30)の上方に、好ましくは、前記カップ(11)内に入る又は前記カップ(11)内にあるコーヒーの温度を、好ましくは光学的に測定するのに好適で適合された高さに鉛直に突出する、センサーアーム(28)上又は前記センサーアーム(28)内に取り付けられる、前記センサーユニット。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のセンサーユニット(5)であって、前記更なるセンサー(16)は、前記上面(30)の上方に少なくとも50mm、好ましくは少なくとも75mm、好ましくは75mm~160mmの範囲、又は80mm~120mmの範囲の高さに取り付けられ、更に好ましくは、その光軸が、前記上面(30)に配置されるカップ(11)の内部へと斜め下方に向いている、前記センサーユニット。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載のセンサーユニット(5)であって、前記センサーアーム(28)は、前記カップ(11)の後ろに配置されている、好ましくは前記コーヒー抽出マシン(1)の前記抽出コーヒー供給領域(19)の後壁(32)の近く又は前記後壁(32)に隣接して配置されている、前記センサーユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサーユニット(5)であって、
前記底部(27)は、2mm~40mmの範囲、好ましくは5mm~20mmの範囲、より好ましくは7mm~15mmの範囲の鉛直高さを有し、及び/又は、
前記底部(27)は、50mm~140mmの範囲、好ましくは80mm~120mmの範囲の水平長さ及び/又は幅を有し、及び/又は、
前記上面(30)の上の前記センサーアーム(28)の高さは、75mm~160mmの範囲、好ましくは80mm~120mmの範囲である、前記センサーユニット。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のセンサーユニット(5)であって、前記底部(27)は、底面(31)と前記カップ(11)が配置される上面(30)とを有する、好ましくは熱可塑性材料製のハウジングを備え、
前記ハウジングは、前記ロードセル(15)と、前記中央処理装置(17)と、バッテリ及び/又は有線電源の形態の電源(18)とを備え、
前記センサーユニット(5)は、好ましくは、前記コーヒー抽出マシン(1)の台(12)又は前記コーヒー抽出マシン全体を改変することなく、前記コーヒー抽出マシン(1)の前記台(12)上に置くのに好適である、前記センサーユニット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のセンサーユニット(5)であって、カップ(11)が前記上面(30)に置かれた瞬間に、前記ロードセル(15)による重量測定値を風袋引きする手段を備え、
前記風袋引きは、対応する操作ボタンによって手動で、又は電気制御若しくは電子制御によって始動することができ、好ましくは、前記電気制御若しくは電子制御は、前記重量セルによってコーヒーの最初の一滴が前記カップに当たるのを検出すると始動することができる、前記センサーユニット。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のセンサーユニット(5)であって、前記中央処理装置(17)は、グラインダー制御ユニット(26)に対する無線通信によって、好ましくは、Bluetooth、BLE、ZigBee、Z-wave、6LoWPAN、Thread、LoRaWAN、2G、3G、4G、5G、LTE、NFCから選択される規格のうちの1つによって、前記コーヒー豆グラインダー(2)にデータを送信する、前記センサーユニット。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のセンサーユニット(5)であって、前記中央処理装置(17)は、時間に応じた変化率を含む、時間に応じた前記ロードセル(15)から受信したデータを送信する、前記センサーユニット。
【請求項11】
コーヒー抽出マシン(1)及び別個のコーヒー豆グラインダー(2)とともに用いる、別個のユニットとしての、請求項1~10のいずれか1項に記載のセンサーユニット(5)の使用。
【請求項12】
コーヒー抽出マシン(1)と、別個のコーヒー豆グラインダー(2)と、請求項1~10のいずれか1項に記載の別個のセンサーユニット(5)との動作方法であって、
前記別個のセンサーユニット(5)は、本質的に前記コーヒー抽出マシン(1)を改変することなく、前記コーヒー抽出マシン(1)の既存の抽出コーヒー供給領域(19)内に変位され、データ交換のために前記コーヒー豆グラインダー(2)に接続され、
前記コーヒー豆グラインダー(2)の粉挽時間及び/又は粉挽度及び/又はコーヒー粉の量は、前記コーヒー豆グラインダー(2)と前記コーヒー抽出マシン(1)との間の更なるデータ交換を伴わずに、前記別個のセンサーユニット(5)によって前記コーヒー豆グラインダー(2)に提供されるデータに応じて適合される、前記方法。
【請求項13】
前記コーヒー豆グラインダー(2)は、少なくとも1つのグラインダーモジュール(24)と、少なくとも1つのコーヒー豆容器(20)と、前記別個のセンサーユニット(5)とのデータ交換手段が備わった少なくとも1つのグラインダー制御ユニット(26)と、好ましくは、前記コーヒー豆グラインダー(2)のコーヒー粉供給領域(21)内に配置されたポルタフィルター内へのコーヒー粉の重量を測定するロードセル(25)とを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コーヒー抽出マシン(1)は、少なくとも1つの水タンク(4)と、少なくとも1つの水ポンプ(6)と、少なくとも1つの水流式ヒーター(7)と、ポルタフィルター(9)に対するインターフェース(8)と、ポルタフィルター(9)の下方の、抽出プロセス中に液体コーヒーが充填されるカップ(11)を配置する抽出コーヒー供給領域(19)とを備える、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか1項に記載のセンサーユニットと、別個のコーヒー豆グラインダー(1)と、別個のコーヒー抽出マシン(1)とを含む部品のキット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、別個のコーヒー抽出マシン及び別個のコーヒーグラインダーとともに使用されるセンサーユニットに関する。さらに、本発明は、そのようなセンサーのユーザー、及びそのようなセンサーの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー豆から始めるコーヒー抽出プロセスには、コーヒー豆を粉挽する工程と、その後に、事前に設定した量の湯を対応する抽出チャンバー内に供給することによって、粉挽されたコーヒー豆からコーヒーを抽出する工程とを伴う。
【0003】
このプロセスを構築するには種々の方法がある。水及びコーヒー豆を供給する必要がある複合型全自動マシンが存在し、このマシンでは、コーヒー豆を挽いて、抽出チャンバーに自動的に移し、その後、事前に設定した量の湯をそのチャンバー内に自動的に導入し、コーヒーの流出物をカップ内に収集する。これらのマシンにおける制御は、繊細な問題である。なぜなら、例えば、コーヒーの上に適量のフォームを提供すること、エスプレッソと他のタイプのコーヒーとを区別することが可能であること等の追加の特徴を含め、可能な限り信頼性のある一定の品質のコーヒーを提供することを目標としているからである。この完全統合型のマシン及び対応する制御は、例えば、特許文献1及び特許文献2から知られている。
【0004】
これらの複合型全自動マシンは、商業的な高品位コーヒー抽出環境において使用されることはほとんどない。これらの環境では、一般的に、別々のコーヒー抽出マシン及びコーヒー豆グラインダーが存在する。理由は多岐にわたるが、いわゆるバリスタたちは、粉挽プロセス及び抽出プロセスに関してパラメーターを自由に適合させることを望んでいること、優良な粉挽マシンは、優良なコーヒー抽出マシンとは異なる環境、異なる材料、異なる製造フォーカス、及び異なる電子機器を必要とすること、また、1つのマシンのみでこれらの2つの重要な要素を有すると、損傷時の交換に関する柔軟性が低減すること等がある。
【0005】
これらの高品位マシンには2つの異なる市場があり、1つはコーヒー抽出マシンの市場、1つはコーヒー豆グラインダーマシンの市場である。コーヒー抽出マシンは、適切な圧力及び温度の水が、必要に応じて対応する圧力及び温度プロファイルに従って、この分野では典型的にポルタフィルター(porta filter)の形態の抽出チャンバーに供給されることを確実にするように、様々なセンサー及び制御機構を有する、高度に制御されたマシンである。ポルタフィルター(「porta-filter」又は「portafilter」と綴ることもある)とは、挽いたエスプレッソ豆(コーヒー粉)を抽出プロセスの前及び抽出プロセス中に保持するエスプレッソメーカーの構成要素である。ポルタフィルターは、ハンドルを備え、それにより、エスプレッソを抽出する人が、一方では、ポルタフィルターユニットをコーヒー豆粉挽マシンの対応する開口に挿入して、コーヒー粉を充填するため、他方では、ポルタフィルターユニットをコーヒー抽出マシンに移し、典型的にはバヨネット機構を使用して、コーヒー抽出マシンに取り付け、抽出プロセスの後、再び取り外し、ひっくり返すことで空にするために、ポルタフィルターユニットを保持することを可能にする。ポルタフィルターの別の部分としてフィルターバスケットがあり、これがポルタフィルターの外装内に嵌まる。フィルターバスケットは、通常、金属製であり、スクリーンとして機能する小さな穴を有し、抽出したエスプレッソが底に向かって下方に通過し、穴又はシュートから出て、下方に置いたカップに入ることを可能にする。
【0006】
特許文献3は、抽出マシンに接続される別個のユニットとして、流量計スニッファーを使用し、その流量計スニッファーによって確定されるパラメーターを使用してグラインダーを制御することの可能性を開示している。
【0007】
特許文献4及び特許文献1は、抽出制御のために抽出マシン内の水流を測定することを開示している。
【0008】
特許文献5は、包括的には、抽出機のパラメーター、すなわち抽出プロセスに応じたグラインダーの制御を開示している。
【0009】
特許文献6は、グラインダーの足部にあるロードセルを使用して、グラインダー内のコーヒー粉を計量し、コーヒー粉レセプタクルの下にあるロードセルの対応するデータを使用してコーヒー抽出機を制御するという構想を開示している。
【0010】
特許文献7及び特許文献8は、抽出マシン内に統合されたロードセルを開示している。
【0011】
特許文献9は、電子スケールと、温度計と、位置維持装置と、動作/制御ユニットとを備える抽出品質測定装置を開示している。電子スケールは、抽出物を収容する容器を配置するのに使用されるプラットフォームを備える。温度計は、測定部を有する。位置維持装置は、測定位置において温度計の測定部を保持するのに使用される。動作/制御ユニットは、電子スケール及び温度計のそれぞれからの測定信号を受信するのに使用される。測定位置は、温度計が測定位置において抽出物の温度を測定するように、容器がプラットフォーム上に置かれたときの容器の特定の位置に対応する。
【0012】
特許文献8は、コーヒー供給システムを開示している。このコーヒー供給システムは、異なるコーヒー豆ミックスを収容する複数の粉挽マシンと、コーヒーマシンと、用量分のコーヒー粉を収容するとともに各粉挽マシン内に配置されて、所望の用量のコーヒー粉を形成するようにコーヒー粉を充填するのに好適であり、また、コーヒー粉を浸出させるためにコーヒーマシン内に配置するのに好適であるフィルターホルダーと、粉挽マシン及びコーヒーマシンに作動的に接続されるCPUと、CPUに作動的に接続され、所望のコーヒータイプに基づいてユーザーが選択した入力パラメーターをCPUに送信するように構成されるユーザーインターフェースとを備える。CPUは、ユーザーインターフェースによって送信された入力パラメーターを受信し、粉挽マシン及びコーヒーマシンを制御するのに好適な出力パラメーターを計算するように構成される。
【0013】
特許文献6は、カップ内に抽出された液体コーヒーの重量を測定する計量システムを備えるコーヒーマシンと、コーヒー粉挽マシン(フィルターホルダー内に供給されたコーヒー粉の重量を測定する重量システムを備える)とを開示している。コーヒーマシンは、メモリが設けられた制御ユニットを備え、異なるタイプのコーヒーの浸出率が保存され、コーヒー粉挽マシンは、コーヒーマシンの制御ユニットに作動的に接続され、フィルターホルダー内に収容されたコーヒー粉の重量についての情報を送信する制御ユニットを備える。コーヒーマシンの制御ユニットは、コーヒー粉挽マシンから受信した情報を使用して、操作者が選択した浸出率を満たすコーヒーを抽出する。
【0014】
特許文献10は、抽出プロセスを管理する方法及びシステムを開示している。ここでは、溶媒を溶質と混合することによって溶液が生成され、この溶液から飲料が抽出される。このシステムは、溶媒の単位時間あたりの温度変化を検知して、温度情報を生成する温度センサー装置と、飲料の単位時間あたりの重量増加を検知して、第1の重量情報を生成するとともに、抽出プロセスにおける経過時間を計数して、計時情報を生成する第1の測定装置と、事前に設定した標準状態情報を上記温度、第1の重量、及び計時情報と比較するコンピューティングデバイスとを備える。特定の単位時間において生成された温度、第1の重量、及び計時情報のいずれかが、同じ単位時間の標準状態情報に一致しない場合に、飲料の抽出を停止することを、抽出を行う操作者にリマインドするために、コンピューティングデバイス上に警告メッセージが表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第4,767,632号
【特許文献2】独国特許第3107549号
【特許文献3】欧州特許出願公開第3662794号
【特許文献4】国際公開第2014/207281号
【特許文献5】国際公開第2009/010190号
【特許文献6】欧州特許出願公開第3162256号
【特許文献7】国際公開第2012/146641号
【特許文献8】欧州特許出願第3797654号
【特許文献9】米国特許出願公開第2018/199752号
【特許文献10】米国特許出願公開第2017/295983号
【発明の概要】
【0016】
コーヒー豆グラインダーマシンの動作と別個のコーヒー抽出マシンの動作との協調がバリスタによって行われる。しかしながら、そのような経験を積んだ人物が常にいるとは限らず、又はいくらかの更なる自動化及び制御が望まれることから、これらの2つの別個の要素の動作を協調させる必要がある。したがって、本発明の目的は、可能な限りシンプルであると同時に可能な限り効果的かつ信頼性のある方法で、装置に干渉することなく、コーヒー豆グラインダーマシン及び別個のコーヒー抽出マシンの動作の協調を可能にすることである。
【0017】
特に、コーヒー抽出マシンには通常、対応する制御を実施するために影響を受けることも適合させる必要もない独自の制御及び動作スキームが備わっていることに鑑みて、コーヒー抽出マシンの対応する動作に最適に適合するようにコーヒー豆グラインダーを制御する方法を提供することを目的とする。
【0018】
したがって、本発明の第1の態様によれば、コーヒー抽出マシンと別個のコーヒー豆グラインダーとの組合せにおいて使用するセンサーユニットであって、上記センサーユニットは、上記コーヒー抽出マシンと別個であるとともに、上記コーヒー豆グラインダーと別個であるユニットであり、上記センサーユニットは、
コーヒーディスペンサーの下方かつ上記コーヒー抽出マシンの抽出コーヒー供給領域内に位置する底部と、
上記コーヒーディスペンサーを用いてコーヒーを充填するために、上記底部の上面に配置されるカップの重量を時間に応じて測定する少なくとも1つのロードセルと、
上記ロードセルから受信したデータ(通常、「抽出プロファイル」、すなわち、好ましくは最初の一滴と最後の一滴との間の時間を含む、重量対時間、及び温度対時間の曲線プロファイル)を収集及び少なくとも一時的に記憶するとともに、上記コーヒー豆グラインダーとのデータ交換用の少なくとも1つの有線又は無線通信を備え、上記コーヒー豆グラインダーの粉挽プロセスを制御する、上記ロードセルから受信したデータを上記コーヒー豆グラインダーに送信する、少なくとも1つの中央処理装置と、
を備える、センサーユニットが提案される。
【0019】
コーヒーマシンとグラインダーとの間の連結性の必要性は、市場需要がますます高まっている。コーヒーマシンは、コーヒーカップ内への水の流れ、温度、及び抽出時間等の重要情報を、他の有用な詳細とともに含む。これらのパラメーターは、バリスタにとって有用であり、バリスタは、これにより、グラインダーディスクの距離と、異なる出力、例えば、粉挽時間、又は粉挽重量、粉挽速度、及びその他をもたらすコーヒーグラインダーの更なる変数とを設定し、コーヒーカップ内に適正なテイストが達成されるまでコーヒーの濃度(粗さ)を変化させる。このプロセス全体は、グラインダーとコーヒーマシンとの間で接続プロトコルを介して情報が共有される場合、及びその情報が、抽出及び粉挽サイズを最適化するインテリジェントアルゴリズムとともに使用される場合に、自動化することができる。
【0020】
ここでの構想は、任意のコーヒーマシンにおいて、カップとコーヒーマシンの台との間に(例えば、コーヒーマシンの台上に、ただし、他の外部固定手段も可能である)置くことができる別個のセンサーユニットを有することである。したがって、煩わしい設置は不要である。センサーユニットは、重量と、所望の場合は、注入期間にわたってカップ内に注がれるコーヒーの温度とを、通常は時間に応じて追跡し、この情報をグラインダーに送信し、グラインダーは、粉挽サイズを(電気的に)調整するとともに、異なる出力、例えば、粉挽時間、又は粉挽重量、粉挽速度、及びその他を必要に応じてもたらす、コーヒーグラインダーの更なる変数を調整することで、ループが、要求される抽出に達するようになっている。
【0021】
この解決策の最大の利点は、コーヒーマシンから信号を直接取得する必要がないことである。現在、抽出パラメーターを取得するには、特定のコーヒーマシンと緊密に統合する必要がある。設置ベースでは、これは、コーヒーマシンの全構成群を組み入れることを意味する。コーヒーマシンとは独立した解決策は、組入れ及びカスタマイズをほとんど伴わず、真に多用途である。
【0022】
独自であるのは、この別個のセンサーユニットがグラインダーに情報を通信することであり、更により独自であるのは、実際にはコーヒーマシンからの情報を通信するのではなく、カップからの情報をグラインダーに通信することである。本質的に、この別個のセンサーユニットは、任意の受け手において使用可能であり、これは、エスプレッソマシンでも、フィルターコーヒーマシンでも、重量を受けるどんな受け手でもよい。センサーユニットは、秤量、時間、及び温度を記録するが、例えば、特許文献3は、コーヒーマシンに設置された流量計からの情報を記録するため、統合型の解決策を必要とするのに対し、本センサーユニットは、完全に柔軟な解決策である。
【0023】
本文脈においてカップについて述べる場合、カップとは、コーヒーを受けるのに一般的に使用される任意の種類の入れ物を含み、そのため、エスプレッソカップ、コーヒーカップだけでなく、ラテマキアート用のグラス等も含まれる。
【0024】
装置のおおよその寸法は、典型的には以下となる。幅:110mm~120mm(カップが1つのみの場合。複数のカップが隣り合って配置される場合、通常、これにカップの数を乗じる)、長さ:110mm~120mm、高さ:20mm~40mm(未満又はその範囲内)、及び任意選択のサーマルカメラを有する高さ(最大160mm)。この設計は、最終的に、コーヒーマシンのグループヘッドの下にマット及びカップの双方を置くことを可能にするように実行される。
【0025】
重量セルの仕様は以下とすることができる。最大可能重量:通常500g~1000g、最小可能重量:通常0.1gの精度で十分である。
【0026】
サーマルカメラは、任意選択機構である。
【0027】
重量は、センサーユニットの上にカップを設置すると常に0gとなるように風袋引きすることができる。これは、ボタンのタッチによって、又は代替的には、最初の一滴がカップに当たるとすぐに0へと風袋引きするスイッチを用いて達成することができる。
【0028】
センサーユニットは、1つのみのカップに向けて適合することができるが、例えば、2つの出口を有するポルタフィルターの場合、2つのカップを隣り合わせて置くように適合することもできる。その場合、対応するハウジング内に1つのみのロードセルが存在しても、カップのそれぞれに対して個別のロードセルが存在してもよい。通常、その場合、カップに対する複数の置き場がある場合でも、中央処理装置は1つのみである。
【0029】
好ましい実施形態によれば、センサーユニットは、上記カップ内に供給された又は上記カップ内にあるコーヒーの温度を、好ましくは時間に応じて、直接又は間接的に、好ましくは直接、測定する少なくとも1つの更なるセンサーを更に備える。
【0030】
好ましくは、上記更なるセンサーは、光学式温度センサーである。
【0031】
上記更なるセンサーから得られたデータは、上記中央処理装置に送信され、そこで収集及び少なくとも一時的に記憶され、及び、それに伴い、上記ロードセルから受信したデータの送信と同時又はその前又はその後に、コーヒー豆グラインダーに送信される。
【0032】
更なるセンサーは、好ましくは、上記上面の上方に、好ましくは、上記カップ内に入る又は上記カップ内にあるコーヒーの温度を、好ましくは光学的に測定するのに好適で適合された高さに鉛直に突出する、センサーアーム上又はセンサーアーム内に取り付けられる。
【0033】
更なるセンサーは、好ましくは、上記上面の上方に少なくとも50mm、好ましくは少なくとも75mm、好ましくは75mm~160mmの範囲、又は80mm~120mmの範囲の高さに取り付けられ、更に好ましくは、その光軸が、上記上面に配置されるカップの内部へと斜め下方に向いている。
【0034】
センサーアームは、好ましくは、上記カップの後ろに配置されている、好ましくはコーヒー抽出マシンの抽出コーヒー供給領域の後壁の近く又は後壁に隣接して配置されている。
【0035】
底部は、2mm~40mmの範囲、好ましくは5mm~20mmの範囲、より好ましくは7mm~15mmの範囲の鉛直高さを有することができ、
底部は、50mm~140mmの範囲、好ましくは80mm~120mmの範囲の水平長さ及び/又は幅を有することができ、及び/又は、
上面の上のセンサーアームの高さは、75mm~160mmの範囲、好ましくは80mm~120mmの範囲とすることができる。
【0036】
底部は、典型的には、底面とカップが配置される上面とを有する、好ましくは熱可塑性材料製のハウジングを備え、上記ハウジングは、ロードセルと、中央処理装置と、バッテリ及び/又は有線電源の形態の電源とを備え、センサーユニットは、好ましくは、コーヒー抽出マシンの台又はコーヒー抽出マシン全体を改変することなく、上記コーヒー抽出マシンの台上に置くのに好適である。
【0037】
別個のセンサーは、状態を表示する、測定値を視覚化する、充電式バッテリによる電源の場合には電力レベルを表示する、グラインダーに対する無線接続の接続性を表示する等のために、入力及び出力装置、特にディスプレイを更に備えることができる。また、センサーユニットは、入力装置を含むことができ、又は、センサーユニットの別個の入力/出力装置の代わりに、対応して適合されたアプリを介したモバイルデバイス(モバイルフォン)の入出力可能性を使用して、個別のセンサー設定のためにモバイルデバイスと更に通信する手段を含むことができる。このために、Bluetooth又は無線LAN接続を備えることができ、すなわち、別個のセンサーは、インターネットに接続されたローカル無線LANシステムに統合することができ、それにより、対応するアプリを、そのアプリを使用する場所とは本質的に独立して使用することによって、制御及び/又は監視することができる。
【0038】
好ましくは、センサーは、カップが上面に置かれた瞬間に、ロードセルによる重量測定値を風袋引きする手段を備え、上記風袋引きは、対応する操作ボタンによって手動で、又は電気制御若しくは電子制御によって始動することができ、好ましくは、電気制御若しくは電子制御は、重量セルによってコーヒーの最初の一滴がカップに当たるのを検出すると始動することができる。
【0039】
中央処理装置は、好ましくは、グラインダー制御ユニットに対する無線通信によって、好ましくは、Bluetooth、BLE、ZigBee、Z-wave、6LoWPAN、Thread、LoRaWAN、2G、3G、4G、5G、LTE、NFCから選択される規格のうちの1つによって、コーヒー豆グラインダーにデータを送信する。
【0040】
中央処理装置は、通常、時間に応じた変化率を含む、時間に応じたロードセルから受信したデータを送信する。
【0041】
さらに、本発明は、コーヒー抽出マシン及び別個のコーヒー豆グラインダーとともに用いる、別個のユニットとしての上述したセンサーユニットの使用に関する。この使用によれば、別個のユニットとしての上述したセンサーユニットは、本質的に既存のコーヒー抽出マシンを改変することなく、既存のコーヒー抽出マシンのコーヒー供給領域内に変位され、データ交換のためにコーヒー豆グラインダーに接続され、コーヒー豆グラインダーの粉挽時間、粉挽度、コーヒー粉の量のうちの少なくとも1つ又はそれらの組合せは、好ましくは、コーヒー豆グラインダーと、センサーユニットの隣のコーヒー抽出マシンとの間の更なるデータ交換を伴わずに、別個のセンサーユニットによってコーヒー豆グラインダーに提供されるデータに応じて適合される。したがって、提案される使用は、既存のコーヒー抽出マシン及び既存のコーヒー豆グラインダーとの直接のハードウェア干渉を伴わない、アップグレードプロセスのようなものである。多くの既存のコーヒー豆グラインダー及びコーヒー抽出マシンは、データ交換及び制御のためのインターフェースを提供する。したがって、提案される使用及び提案される別個のユニットは、そのような状況において驚くほど容易に使用することができる。なぜなら、コーヒーの品質を向上させるために必要なのは、別個のユニットを追加し、それをコーヒー豆グラインダー及びコーヒー抽出マシンのインターフェースにリンクさせ、別個のユニットの対応するデータをグラインダーの制御プロセスに統合することだけであるからである。
【0042】
加えて、本発明は、コーヒー抽出マシンと、別個のコーヒー豆グラインダーと、上に記載の別個のセンサーユニットとの動作方法であって、別個のセンサーユニットは、本質的にコーヒー抽出マシンを改変することなく、コーヒー抽出マシンの既存の抽出コーヒー供給領域内に変位され、データ交換のためにコーヒー豆グラインダーに接続され、コーヒー豆グラインダーの粉挽時間及び/又は粉挽度及び/又はコーヒー粉の量は、コーヒー豆グラインダーとコーヒー抽出マシンとの間の更なるデータ交換を伴わずに、別個のセンサーユニットによってコーヒー豆グラインダーに提供されるデータに応じて適合される、方法に関する。
【0043】
コーヒー豆グラインダーは、通常、少なくとも1つのグラインダーモジュールと、少なくとも1つのコーヒー豆容器と、別個のセンサーユニットとのデータ交換手段が備わった少なくとも1つのグラインダー制御ユニットと、好ましくは、コーヒー豆グラインダーのコーヒー粉供給領域内に配置されたポルタフィルター内へのコーヒー粉の重量を測定するロードセルとを備える。
【0044】
コーヒー抽出マシンは、通常、少なくとも1つの水タンクと、少なくとも1つの水ポンプと、少なくとも1つの水流式ヒーターと、ポルタフィルターに対するインターフェースと、ポルタフィルターの下方の、抽出プロセス中に液体コーヒーが充填されるカップを配置する抽出コーヒー供給領域とを備える。
【0045】
最後になるが重要なことに、本発明は、上述したセンサーユニットと、別個のコーヒー豆グラインダーと、別個のコーヒー抽出マシンとを含む部品のキットに関する。
【0046】
本発明の更なる実施形態は、従属請求項に規定されている。
【0047】
本発明の好ましい実施形態は、図面を参照して以下で述べられ、図面は、本発明の好ましい本実施形態を示すためのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、本願において提案されるコーヒー抽出マシン及び別個のコーヒー豆粉挽マシン並びに通信及び制御の概略図である。
図2図2は、本発明に係るセンサーユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、2つの物理的に別個のマシン実体である、コーヒー抽出マシン1と、別個のコーヒー豆グラインダー2とを示している。コーヒー抽出マシン1は、ハウジング3内に、水タンク4と、ポンプ6と、水流式ヒーター7と、通常、バヨネット機構を用いた取付け部の形態である、ポルタフィルターに対するインターフェースとを備える。実線で示されているように、水タンク4からポンプ6までの間に水流があり、その後、ヒーター7を通過する。ヒーターは、対応する電源(図示せず)に取り付けられ、水を所望の温度に加熱する。所望の温度だけでなく所望の圧力に達することを確実にするように、追加の弁(図示せず)が設けられる。このラインは、水ヒーター7の下流でインターフェース8に続いている。
【0050】
コーヒー抽出マシン1は、通常、ハウジング3内の切欠き部又は凹部のような抽出コーヒー供給領域19を備える。このハウジングは、ハンドル10を保持して、対応するインターフェース8にしっかりと取り付けることによって、ポルタフィルター9を挿入するのに使用することができる。さらに、ユーザー入力/出力装置13が設けられる。ポルタフィルターが領域19に挿入され、インターフェース8に取り付けられると、ユーザーは、インターフェース13とインタラクトすることによって所望の抽出プロセスを開始することができる。その後、コーヒーが抽出され、マシン1の対応する台12上に位置するコーヒーカップ11内に流れる。
【0051】
コーヒー抽出マシン1における制御が、対応する抽出機制御ユニット14によって行われる。データ伝送ラインが破線で示されている。制御ユニット14には、通常、水容器4内の水のレベルを検知するセンサーへのデータラインが設けられる。また、制御ユニット14は、ポンプへのデータラインも有し、ポンプの動作の速度及び/又は継続時間を制御するようになっている。さらに、加熱プロセスを適合及び制御するために、ヒーター8へのデータ及び制御ラインがある。上述したように、通常は、図示の要素に加えて、弁及び更なるセンサー要素があり、これらも制御ユニット14によって制御されるか、又は制御ユニット14による制御のために使用される。
【0052】
コーヒー豆グラインダー2はまた、別個のハウジング22を有する。通常、このハウジングの上にコーヒー豆容器20が設けられ、コーヒー豆容器20は、頂部を開放してコーヒー豆を補充することができる。通常は底に向かって収束するそのコーヒー豆容器20の底端部には、実際の粉挽機構又はグラインダーモジュール24、すなわち、実際の粉挽要素、通常は、1つのリング状の静止グラインダー要素及び1つの円錐状の回転グラインダー要素が設けられ、回転グラインダー要素は、モーターによって駆動される。さらに、モーターの回転速度、必要に応じてモーターのトルク、及び2つのグラインダー要素間のスロットの幅を調整して、結果として得られる粒度を調整する、自動調整機構が設けられる。上記コーヒー豆グラインダー2における制御は、グラインダー制御ユニット26によって協調されて行われる。対応するデータラインは、破線で示されている。また、グラインダーは、通常、グラインダー制御ユニット26と通信するか、又はグラインダー制御ユニットと一体であるユーザー用入力/出力装置(図示せず)を備える。さらに、コーヒー豆グラインダー2は、別個の足部23において、コーヒー粉供給領域に挿入され、足部/ロードセルと協働する対応するホルダー上に置かれたポルタフィルターに供給されたコーヒーの重量を測定する、ロードセル25を備えることができる。このロードセル25はまた、グラインダー制御ユニット26とデータ接続し、グラインダー制御ユニット26は、ポルタフィルター内に充填されたコーヒー粉の有効重量についての情報を受信する。
【0053】
本発明の第1の態様によれば、別個のセンサーユニット5が設けられ、このセンサーユニット5は、台12の上に単に置かれ、それ自体がカップ11の直立プラットフォームを形成する。したがって、別個のセンサーユニット5は、カップ11とコーヒーマシンの台12との間に位置する。コーヒーマシンは、いかようにも適合される必要はなく、設置に必要なのは、別個のセンサーユニット5を抽出コーヒー供給領域19へと変位させ、必要に応じて、センサーユニット5を電源に取り付けることだけである。この取付けは、独立した電源取付けとすることができるが、コーヒーマシンの電源に直接又は間接的に取り付けることもできる。
【0054】
図2に示されているように、上記センサーユニットは、底部ハウジングである底部27を備え、このハウジング内には、カップ用表面30の上に置かれた物体の重量を測定するロードセル15が設けられる。センサーユニットは、その底面31が台12の上面に置かれる。
【0055】
それに加えて、センサーユニット5は、ロードセルの出力部に接続されるとともにこの場合では電源ライン29に接続される電源18に接続される、中央処理装置17を備える。電源は、充電式バッテリ構想に基づくことができ、それにより、センサーユニットは、翌日に使用するために一晩充電することができる。上記グラインダーに2つのモード(接続による粉挽設定の調整又はユーザーによる直接の粉挽設定の調整)がともに可能である場合、ユーザーは、センサーユニットをオフにして、グラインダーの手動動作をとることを選択することもできる。
【0056】
センサーユニット5は、加えて、直立センサーアーム28を備え、直立センサーアーム28の上部には、光学式温度センサー16が配置されている。また、このセンサー16は、中央処理装置17に接続される(接続は破線によって示されている)。さらに、中央処理装置には、例えばBluetoothによるグラインダーとのデータ通信、又はより具体的にはグラインダー制御ユニット26へのデータ通信を行う、無線通信モジュール(矢印で概略的に示されている)が設けられる。グラインダー制御ユニット26は、それ自体にセンサーユニット5との無線通信の手段が設けられる。
【0057】
したがって、グラインダーは、コーヒーマシンの状態を連続的に監視及び計算し、少数の事前設定及びセンサーユニットから得られるデータのみに基づいて、一定の抽出プロセスに必要なパラメーター(すなわち、コーヒー粉の細かさ及び/又はコーヒー粉の量)を制御することが可能である。事前設定は、所望の抽出時間及びグラインダーによって制御される補正を開始すべきその許容される上限又は下限の偏差、コーヒーマシンによって選択されたレシピに対する所望の水量及びその調整のための閾値、及び/又は所望の流量プロファイルに主に関連する。加えて、これらの事前設定は、コーヒーマシンによって別のドリンクを抽出することから生じる異なる抽出プロセス間を非常にシンプルな方法で切り替えられるように、メモリ構造、例えばレシピに割り当てることができる。異なる事前設定間の切替えは、グラインダー自体に対してユーザーが手動で行うか、又は、ユーザーの介入なしに、現在のレシピの状態(又はレシピの変更)についての追加の情報をグラインダーに送信することにより、コーヒーマシンによって自動で行うことができる。
【0058】
センサーユニットによって提供されるデータの真の情報内容は、ロードセル及び/又は温度センサーのタイプに応じて決まる。
【0059】
抽出プロセスの検出された開始点と終了点との間に、グラインダーは、抽出プロセスパラメーター、例えば、このショットにおけるコーヒーの使用量、抽出時間、それから流量プロファイル及び温度を、容易に確定することができる。
【0060】
これらの抽出プロセスパラメーターのうちの1つ以上を計算しておくことで、グラインダーは、コーヒーマシンからの追加の情報なしで自律的に、粉挽ディスクの調整(すなわち、回転ブレードと固定ブレードとの間の距離)及び/又はコーヒー粉の量を、例えば粉挽の対応する計時によって、調整することができ、必要に応じて、グラインダーの重量セルと、異なる出力、例えば、粉挽時間、粉挽速度等をもたらすコーヒーグラインダーの更なる変数とによって、更に制御することができる。
【0061】
最もシンプルな例では、グラインダーは、1つの抽出プロセスパラメーター、例えば抽出時間に基づいて粉挽ブレードの間隔を単に調整する。グラインダーに与えられる既定の「理想的な」抽出時間(例えば、25秒)が、直近のショットのティック(ticks)の分析から得られる既定値(例えば、24秒)又は閾値(この場合は1秒)を下回る場合、グラインダーは、粉挽ブレード又は粉挽ディスクの間の間隔を低減することによってコーヒー粉の粉挽の細かさを自動的に増し、またその逆も同様である。この実施形態において、グラインダーが同量のコーヒーを一定して粉挽し、これは、時間、重量、又は時間と重量との組合せのいずれかによって制御されることが重要である。
【0062】
しかしながら、ショットごとに生成されるコーヒーの量のみを分析することも可能である。グラインダーに与えられる既定の「理想的な」コーヒー量(例えば、10g)を、直近のショットのティックの積分の分析から得られる既定値(例えば、12g)が超過する場合、グラインダーは、粉挽ブレード又は粉挽ディスクの間の間隔を増大させることによって、コーヒー粉の粗さを自動的に増し、またその逆も同様である。
【0063】
また、抽出プロファイル(すなわち、時間に対する抽出されたコーヒー抽出物の重量)をグラフによって分析し、曲線全体に沿って上限及び下限を規定することが可能である。
【0064】
本発明の別の態様において、粉挽ブレード(又は粉挽ディスク)間の間隔は、一定に保たれる。抽出時間が超過すると、コーヒー粉の量は減少し、その逆も同様である。
【0065】
更なる実施形態において、コーヒー粉の粗さ及びその用量(重量)がグラインダーによって制御される。この場合、少なくとも2つの抽出プロセスパラメーターが必要である。例えば、抽出時間、また必要に応じてコーヒーの量が、各ショットについての分析データとなる。コーヒーの量及び抽出時間の双方が高すぎる場合、コーヒー粉の量を増大させる必要があり、コーヒー粉の粗さも増す必要がある。別の例において、抽出時間が高すぎるとともに、水量が低すぎる場合、コーヒー粉の量を減少させる必要があり、コーヒー粉の粗さを増す必要がある。
【0066】
本発明の全ての実施形態の大きな利点は、バリスタがグラインダーのみに集中すればよく、コーヒーマシンに集中する必要はないことである。日常業務において、バリスタの主なレシピはダブルエスプレッソである。バリスタは、グラインダーのアプリ又はGUIを使用することによって、自身のダブルエスプレッソカップに完璧なテイストをもたらす理想的な抽出時間、理想的な水使用量、及び/又は理想的な流量プロファイル及び制御パラメーター(すなわち、粉挽ブレードの距離及び/又はコーヒー粉の量)を、グラインダーの永久メモリ内に一度定義する。残りは、グラインダーによって自律的に行われる。
【0067】
別の例において、特に、この複雑な抽出プロセスを熟練していないユーザーが行う必要がある場合、コーヒーマシンは、グラインダーではなくレシピ(すなわち、事前設定及び粉挽パラメーター)を制御するために、グラインダーに追加の情報を送信する。この場合、センサーユニットは、粉挽ディスク調整ではなく、グラインダーによって抽出プロセスを制御するのに必要な全てのパラメーター、例えば、理想的な抽出時間、理想的なコーヒーの量及び/又は理想的な抽出プロファイル(g/秒)、及び制御パラメーターを、グラインダーに送信する。センサーユニットとグラインダーとの間の無線通信が好ましい場合、センサーユニット及びコーヒーマシンは、2つの別々の送信器を使用することができ、グラインダーは、プロトコルが例えばBluetoothである場合、1つのみの受信器を有することができる。
【0068】
代替的な実現形態によれば、コーヒー抽出マシンには、対応するセンサーユニットに取り付けられる専用インターフェースを設けることができる。インターフェースは、ハウジング3内のデータラインによって設けることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 コーヒー抽出マシン
2 コーヒー豆グラインダー
3 1のハウジング
4 水タンク
5 別個のセンサーユニット
6 水ポンプ
7 水流式ヒーター
8 ポルタフィルターに対するインターフェース
9 ポルタフィルター
10 9のハンドル
11 カップ
12 カップ用の台
13 ユーザー入力/出力装置
14 抽出機制御ユニット
15 5のロードセル
16 5の温度センサー
17 5のCPU
18 5の電源
19 抽出コーヒー供給領域
20 コーヒー豆容器
21 コーヒー粉供給領域
22 2のハウジング
23 2の別個の足部
24 グラインダーモジュール
25 2のロードセル
26 グラインダー制御ユニット
27 5の底部/ハウジング
28 5のセンサーアーム
29 電源ライン
30 5のカップ用上面
31 27の底面
32 19の後壁
実線 水配管
破線 データ/信号ライン

図1
図2
【国際調査報告】