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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ビグリカンペプチドおよび抗体
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20240703BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240703BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20240703BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20240703BHJP
   C07K 14/78 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/53 D
G01N33/543 521
C07K16/18
C07K14/78
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023578755
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2022067140
(87)【国際公開番号】W WO2022268940
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】2150815-5
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】518426619
【氏名又は名称】エスゲーピーティホー ライフ サイエンス アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】SGPTH LIFE SCIENCE AB
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】スキヨルデブランド、エバ
(72)【発明者】
【氏名】リンダル、アンダス
(72)【発明者】
【氏名】エクマン、スティナ
【テーマコード(参考)】
2G045
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB03
2G045CB07
2G045CB17
2G045CB30
2G045DA36
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA86
4H045EA50
4H045FA71
(57)【要約】
アミノ酸配列N-末端-GLGHN(SEQ ID NO1)を備えるペプチドに特異的に結合する抗体が提供される。この抗体は、例えば骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲、骨粗鬆症、骨打撲、骨粗鬆症、または癌の診断に使用することができる。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲、骨粗鬆症、癌、アテローム性動脈硬化プラーク、大動脈弁狭窄症、カシン・ベック病、腱炎、眼疾患、皮膚疾患、腱鞘炎、関節リウマチ、ループス腎炎、糖尿病、石灰沈着性大動脈弁疾患、心膜周囲炎、インスリン依存性1型糖尿病、またはクローンズ病、から選択される疾患の診断方法であって、
被験者から事前に単離されたサンプルを提供し、
前記サンプル中のアミノ酸配列N-末端-GLGHNを備えるペプチドの存在について前記サンプルを分析する、
ことを含む方法。
【請求項2】
前記疾患が、骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲、骨粗鬆症、骨打撲、骨粗鬆症、または癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記疾患が、骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲、または骨粗鬆症である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記癌が結腸癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記サンプルが、滑液、脊髄液(体液)、血清、血液、血漿、尿、または唾液、のサンプルである、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記サンプルが、唾液のサンプルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
アミノ酸配列N-末端-GLGHN(SEQ ID NO1)を備えるペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項8】
骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲、骨粗鬆症、癌、アテローム性動脈硬化プラーク、大動脈弁狭窄症、カシン・ベック病、腱炎、眼疾患、皮膚疾患、腱鞘炎、関節リウマチ、ループス腎炎、糖尿病、大動脈弁周囲炎腱炎、眼障害、皮膚障害、腱鞘炎、関節リウマチ、ループス腎炎、糖尿病、石灰沈着性大動脈弁疾患、心膜周囲炎、インスリン依存性1型糖尿病、またはクローンズ病、の診断に使用するための、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
前記診断が、骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲、または骨粗鬆症、の診断である、請求項7に記載の使用のための抗体。
【請求項10】
前記抗体は、被験体からのサンプル中の前記アミノ酸配列N-末端-GLGHNを備えるペプチドの量を検出するために使用される、請求項7から9のいずれか1項に記載の使用のための抗体。
【請求項11】
前記サンプルが、滑液、脊髄液(体液)、血清、血液、血漿、尿、または唾液、のサンプルである、請求項10に記載の使用のための抗体。
【請求項12】
被験体の変形性関節症、骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、または剥離骨折、を予防するための方法であって、以下のステップを含む方法:
a)被験体からサンプルを繰り返し取得し、前記サンプル中のアミノ酸配列N-末端-GLGHN(SEQ ID NO1)を備えるペプチドの存在を分析し、
b)前記サンプル中の前記被験体内のペプチドのレベルが所定のレベルを超えている場合、前記被験体を治療すべきであると決定し、ここで前記治療は前記被験体を休息させることである。
【請求項13】
請求項7に記載の抗体を備えるキット。
【請求項14】
前記抗体は、単回使用の診断デバイスに含まれ、前記キットがさらに唾液サンプリングデバイスを備える、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記診断デバイスは、ラテラルフローデバイスである、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
アミノ酸配列N-末端-GLGHN(SEQ ID NO1)を備えるペプチド。
【請求項17】
抗体産生のための、アミノ酸配列N-末端-GLGHN(SEQ ID NO1)を備えるペプチドの使用。
【請求項18】
馬場のフッティングの特性を決定するための方法であって、
前記フッティング上で運動したウマからサンプルを取得し、
前記サンプル中のアミノ酸配列N-末端-GLGHNを備えるペプチドの存在についてサンプルを分析する、
ことを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチドおよびペプチドに対する抗体、ならびに診断、特に骨折、骨硬化症および関連疾患の診断、におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
骨のリモデリングと軟骨の生成は、2つの別個の、注意深く制御された物理現象である。この2つのプロセスは、異なるシグナル伝達メカニズムによって制御され、異なる細胞タイプによって制御されている。例えば、軟骨のリモデリングは軟骨細胞が担当するのに対し、骨のリモデリングとモデリングは骨芽細胞と破骨細胞が担当する。リモデリングやモデリングと表現される骨の変化は、身体の多くの場所で同時に見られる。骨は生涯を通じて代謝的に活動し、全骨の約20%が毎年入れ替わる。
【0003】
骨モデリングは、生理学的および機械的な力に応じて骨の形や大きさを変化させる。これは成長期の動物において最も顕著である。成体動物における骨リモデリングは、古い骨基質を置換および更新し、その強度とミネラルの恒常性を維持する。骨はよく血管が通っており、血管形成が骨の活動に関与している。
【0004】
一方、軟骨は血管が通っておらず、ターンオーバが非常に遅く、再生能力が非常に低い。
【0005】
骨マトリックスは、I型コラーゲンやバーシカンのような有機成分と、ハイドロキシアパタイトを主とする無機骨塩からなる。軟骨では、II型コラーゲンとアグリカンが主なマトリックス分子である。ビグリカンは、小さなロイシンに富む反復プロテオグリカンで、軟骨と骨の結合組織の両方に発現しており、骨のミネラル化に関与していると考えられている。
【0006】
骨のリモデリングは、激しい運動や骨折、変形性関節症など、さまざまな状況で起こる。
【0007】
変形性関節症(OA)は、関節軟骨とその下にある骨の破壊から生じる低悪性度の慢性全身性炎症性疾患である。この疾患は、関節における炎症とマトリックスタンパク質の分裂を特徴とする初期段階から、その下にある骨の損傷を伴うより重篤な段階へと進行する。主な症状は関節の痛みである。変形性関節症は、全人口の約3.8%が罹患しており、臨床的に大きな問題となっている。NSAID鎮痛剤の処方の50%がOAに関連していると推定されている。
【0008】
関節の痛みによって医師がOAを疑うことは、特に患者が高齢者である場合、しばしばあるが、OAの初期段階を診断することは現在困難である。現在、診断には多くの場合、OA後期に典型的な不可逆的な構造的損傷を放射線学的に同定することが用いられる。しかし、X線検査やMRI検査では、構造的な損傷がまだ見えないため、早期のOAを診断することはできない。また、X線検査やMRI検査には高価な装置が必要であり、放射線科医の予約が必要である。
【0009】
ウマの変形性関節症は馬主にとって大きな問題である。ウマを飼う主な理由はウマを使えるようにすることであり、多くの場合、ウマを競争に使用するためである。変形性関節症は、跛行のためにウマを使えなくなる最も頻繁な理由であり、馬産業における単一の経済的損失としては最も大きいものである。
【0010】
OA以外では、骨折の治癒時や運動後に骨のリモデリングが起こる。運動は骨のリモデリングを引き起こし、あるレベルでは生理的な軟骨下骨硬化をもたらす。しかし、非病理学的な骨硬化が病理学的なレベルまで進むと、骨と軟骨の界面に微小骨折が生じることがある。
【0011】
骨硬化症とは、アスリートやウマのトレーニング中の機械的負荷に骨細胞が反応し、骨が硬化して密度が高くなることを特徴とする疾患である。
【0012】
微小骨折とは、骨にかかる力がその骨の強度を超えたときに起こる、骨の小さな骨折のことである。これは、ランニング、ダンス、軍事訓練、体操などの激しい運動によって生じる。このように、微小骨折は機械的負荷によって生じる可能性がある。微小骨折は、骨と軟骨の一部が剥離する、いわゆるチップ骨折(chip fractures)になることがある。チップ骨折は、特にウマの手根関節に生じた場合、非常に問題となる。多くの場合、ウマはこのような怪我から回復することができず、さらにチップ骨折は致命的な怪我へと進み、ウマは安楽死させられなければならない。また、競走馬がレース中に手根骨を骨折した場合、騎手が重傷を負うこともある。チップ骨折は剥離骨折とも呼ばれる。
【0013】
骨への外傷から生じる骨浮腫は、骨硬化症に発展する可能性がある。アスリートは、骨に痛み、例えば骨打撲から来る痛み、を感じても、トレーニングや競技をしたいという衝動に駆られることがよくある。例えば、サッカー選手はよく足に痛みを感じる。そのような痛みを感じながらトレーニングをすると、後に骨硬化症やチップ骨折などの合併症を引き起こす可能性がある。したがって、このような状態をモニタリングできるようになり、後々の合併症を防ぐために、アスリートがどれくらいの時間休養すべきかを知ることができるようになることは非常に望ましい。
【0014】
競走馬では調教中に生理的な骨硬化症が進行し、やがてチップ骨折や急性の致命的な関節内骨折につながる微小骨折が存在する病態へと進行する可能性がある(Diab et al. J Vet Diagn Invest.2017;29(4):405-413)。
【0015】
OA患部の関節の骨のリモデリングによって、骨に微小骨折が生じることもある。これらの微小骨折は、骨と軟骨の一部が剥離する、いわゆるチップ骨折を引き起こす可能性がある。チップ骨折は、特にウマの手根関節に起こった場合、非常に問題となる。多くの場合、ウマはこのような怪我から回復することができず、さらにチップ骨折は致命的な怪我へと進み、ウマは安楽死させられなければならない。
【0016】
ウマのOAとヒトのOAは同様のメカニズムで引き起こされる。ヒトでもウマでも、OAは数カ月から数年にわたる炎症を特徴とする初期段階から、広範な組織損傷を伴う後期段階へと進行する(Goldring, M.B. and Otero M. Current Opinion in Rheumatology (2011) 23(5):471)。ヒトとウマのOA疾患メカニズムは、分子レベルでも非常によく似ている(Stenberg J, Ruetschi U, Skioldebrand E, Karrholm J, Lindahl A. Proteome Sci. (2013) Oct 4;11(1):43)(Svala E, Lofgren M, Sihlbom C, Ruetschi U, Lindahl A, Ekman S, Skioldebrand E. Connect Tissue Res. (2015);56(4):315-25)。軟骨下骨(SCB)の微小環境における疲労に関連した変化は、変形性関節症のプロセスの一部である(Hu et al Bone Res. 2021; 9(1):20)。これは典型的には、OA中の軟骨への損傷の発症前に起こる。WO2017/216289は、OA診断のためのCOMP断片の使用を開示している。COMPの断片は軟骨分解のバイオマーカである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
OAの診断や病期分類をより簡便に行える方法があれば有用である。OAのための早期のマーカがないため、不可逆的な組織障害が現れる前に疾患をコントロールするための医薬の開発が妨げられている。したがって、OAに対するバイオマーカの改良が必要である。
【0018】
現在のところ、最終的にはウマの痛みや跛行の原因となる微小骨折に至る、骨の再形成の初期段階を特定できる診断ツールはない。
【0019】
微小骨折や骨硬化症、オーバートレーニングやそれに関連する症状の予防・診断・防止が必要とされている。さらに、癌、特に結腸癌の診断方法の改善が求められている。
【0020】
診断は血液サンプルを用いて行われることが多い。静脈から血液を採取するため、患者に不快感を与える可能性があり、リスクがまったくないわけではない。このような診断がもっと簡便な方法で行われるようになれば便利である。
【0021】
乗馬アリーナの地面(いわゆる「フッティング」)は、ウマの健康にとって非常に重要である。例えば、硬すぎるフッティングは軟骨下骨の増加や骨折につながる可能性がある。最近、新しいフッティングが開発されている。例えば、砂とポリマー繊維の混合物が近年導入されている。新しいフッティングがウマの健康に与える影響については不明な点がある。このようなフッティングを調査するためのより良い方法が必要である。
【0022】
本発明は、これらの問題やその他の問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明者らは、驚くべきことに、ビグリカンの開裂断片(BGN262)(N-末端-GLGHN(SEQ ID NO 1))が骨破壊や軟骨下骨硬化症などの疾患において顕著であることを見出した。
【0024】
本発明の第1の態様において、N-末端-GLGHN(SEQ ID NO 1)のアミノ酸配列を備えるペプチドに特異的に結合する抗体が提供される。
【0025】
この抗体は、N末端が露出したビグリカンのタンパク質分解断片の検出に使用できる。
【0026】
本発明の第2の態様では、診断に使用するための本発明の第1の態様による抗体が提供される。診断は、変形性関節症、骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲、骨粗鬆症、癌、アテローム性動脈硬化プラーク、大動脈弁狭窄症、カシン・ベック(Kashin-Beck)病、腱炎、眼障害、皮膚障害、腱鞘炎、関節リウマチ、ループス腎炎、糖尿病、石灰化大動脈弁疾患、心膜周囲炎、インスリン依存性1型糖尿病、またはクローンズ(Crohn’s)病の診断であり得る。
【0027】
特に、前記診断は、変形性関節症、骨硬化症、骨折、剥離骨折、関節のチップ骨折、骨打撲、骨粗鬆症の診断であってよい。
【0028】
好ましい実施形態において、抗体は、被験体からのサンプル中のN-末端-GLGHNのアミノ酸配列を備えるペプチドの量を検出するために使用される。サンプルは、例えば、滑液、脊髄液(体液)、血清、血液、血漿、尿または唾液のサンプルなど、任意の適切なサンプルであり得る。
【0029】
本発明の第3の態様では、被験体からサンプルを単離し、サンプル中のアミノ酸配列N末端-GLGHNを備えるペプチドの存在についてサンプルを分析することを含む診断方法が提供される。
【0030】
本発明の第4の態様では、骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲、骨粗鬆症、癌、アテローム性動脈硬化斑、大動脈弁狭窄症、カシン・ベック病、腱炎、眼疾患、皮膚疾患、虚血性動脈硬化症、関節リウマチ、ループス腎炎、糖尿病、石灰化大動脈弁疾患、心筋周囲炎、インスリン依存性1型糖尿病またはクローン病から選択された疾患を診断する方法が提供される。この方法は、被験者から事前に単離されたサンプルを提供し、サンプル中のアミノ酸配列N-末端-GLGHNを備えるペプチドの存在についてサンプルを分析することを含む。
【0031】
好ましい実施形態において、疾患は、骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲、骨粗鬆症または癌の1つ以上から選択され、特に、骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲または骨粗鬆症である。一実施形態では、疾患は癌、特に結腸癌である。
【0032】
サンプルは、滑液、脊髄液(体液(liquor))、血清、血液、血漿、尿、唾液のいずれか1つであり、特に唾液である。
【0033】
本発明のさらに別の態様では、以下のステップを含む、被験者における変形性関節症、骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲、骨粗鬆症を予防するための方法が提供される:
a)被験体からサンプルを得て、サンプル中のN-末端-GLGHN(SEQ ID NO 1)のアミノ酸配列を備えるペプチドの存在を分析し、
b)サンプル中の被験体内のペプチドのレベルが所定のレベルを超えている場合、被験体を治療すべきであると決定する、ここで前記治療は前記被験体を休息させることである。
【0034】
本発明の別の態様では、以下のステップを含む、被験体における関節の変形性関節症、骨硬化症、骨折、またはチップ骨折を予防するための方法が提供される:
a)被験体からサンプルを繰り返し取得し、サンプル中のN-末端-GLGHN(SEQ ID NO 1)のアミノ酸配列を備えるペプチドの存在を分析する、
b)サンプル中の被験体内のペプチドのレベルが所定のレベルを超えている場合、被験体を治療すべきであると決定する、ここで前記治療は前記被験体を休息させることである。
【0035】
本発明の別の態様では、本発明の第1の態様による抗体を含むキットが提供される。この抗体は単回使用の診断デバイスに含まれ、このキットはさらに唾液サンプリングデバイスを含む。この診断装置はラテラルフローデバイスであってもよい。
【0036】
本発明の別の態様では、N-末端-GLGHN(SEQ ID NO 1)のアミノ酸配列を備えるペプチドが提供される。
【0037】
本発明の別の態様では、抗体の産生のための、N末端-GLGHN(SEQ ID NO 1)のアミノ酸配列を備えるペプチドの使用が提供される。
【0038】
本発明のさらに別の態様において、馬場のフッティングの特性を決定する方法であって、フッティング上で運動したウマからサンプルを取得し、前記サンプル中のアミノ酸配列N-末端-GLGHNを備えるペプチドの存在について前記サンプルを分析する、ことを含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、抗体の特異性を示すELISAデータを示す図である。
図2図2は、ウマの手根関節から採取した軟骨および骨切片のビグリカンネオエピトープの免疫組織化学染色像である。
図3図3は、ウマ滑液からのELISAデータを示す図である。
図4図4は、滑液からのELISAデータを示す図である。
図5図5はウマ血清のELISAデータを示す図である。
図6図6は、ウマの唾液中のビグリカンネオエピトープの存在を示す図である。
図7図7は、調教を受けた健康なウマにおけるビグリカンネオエピトープの存在を示す図である。
図8図8は、癌患者におけるビグリカンネオエピトープの存在を示す図である。
図9図9はウマの唾液中のビグリカンネオエピトープの存在を示している。
図10図10は、ウマの唾液中のビグリカンネオエピトープの存在を示している。
図11図11は、ヒトの唾液中のビグリカンネオエピトープの存在を示している。
図12図12は、ヒトの唾液中のビグリカンネオエピトープの存在を示している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、ビグリカンの開裂断片、特に、N-末端-GLGHN(SEQ ID NO 1)の配列、を備えるペプチド(「ビグリカンネオエピトープ」)、このペプチドに対する抗体、および診断におけるこのような抗体の使用に関する。
【0041】
ペプチドは、N-末端が配列GLGHNを有する限り、5から100、好ましくは5から30、より好ましくは5から20のアミノ酸、さらに好ましくは5から9のアミノ酸の長さを有してよい。従って、ペプチドのこの配列の最初のグリシン残基は、ペプチドのNH基を有する。ペプチドは、少なくとも5アミノ酸残基、より好ましくは少なくとも6アミノ酸残基、さらに好ましくは少なくとも7アミノ酸残基、最も好ましくは少なくとも8アミノ酸残基の長さを有していてもよい。
【0042】
一実施形態では、ペプチドは免疫に使用できる長さを有する。
【0043】
ペプチドは単離されたペプチドであってもよい。ペプチドは、例えば滑液、血液、血漿または血清から単離され得る。ペプチドはまた、例えばR.B.Merrifield(1963)のような当業者に公知の方法を用いて合成することもできる。"Solid Phase Peptide Synthesis. I. The Synthesis of a Tetrapeptide". J. Am.Chem.Soc. 85 (14):2149-2154 および Schnolzer, M. A., P.; Jones, A.; Alewood, D.; Kent, S.B.H. (2007). "In Situ Neutralization in Boc-chemistry Solid Phase Peptide Synthesis". Int.J. Peptide Res. Therap.13 (1-2):31-44.
【0044】
このペプチドは抗体の産生および単離に用いることができる。この抗体は、アミノ酸配列N-末端-GLGHNを備える、またはこれからなるペプチドに特異的に結合する。「抗体」という用語には、Fab、Fab′、F(ab′)2、Fv、および一本鎖抗体、および高い特異性でエピトープに結合する類似のタイプのタンパク質、特に抗体から誘導されるか、または抗体からのフラグメントを備えるタンパク質、特にN-末端-GLGHNに結合する抗体からの可変鎖を備えるタンパク質も含まれる。ペプチドに対する抗体を産生する方法はよく知られている。このペプチドは、そのペプチドに結合する抗体のスクリーニングや抗体の精製に用いることができる。
【0045】
好ましくは、この抗体はこのペプチドに対して高い親和性を有する。親和性は解離定数(Kd)を用いて表すことができる。好ましい結合親和性には、解離定数(Kd)が10-6 M未満、より好ましくは5×10-7 M未満、より好ましくは10-7 M未満、より好ましくは5×10-8 M未満、より好ましくは10-8 M未満、より好ましくは5×10-9 M未満、より好ましくは10-9 M、より好ましくは5×10-10 M、より好ましくは10-10 M、より好ましくは5×10-11 M、より好ましくは10-11 M、より好ましくは5×10-12 M、より好ましくは10-12 M、さらに好ましくは5×10-13 M、または最も好ましくは10-13 M未満である。好ましくは、抗体は単離された抗体である。抗体は精製抗体であってもよい。
【0046】
好ましくは、抗体は、配列N-末端-GLGHN(SEQ ID NO 1)、特にN-末端-GLGHNQ(SEQ ID NO 2)、より好ましくはN-末端-GLGHNQI(SEQ ID NO 3)、最も好ましくはN-末端-GLGHNQIR(SEQ ID NO 4)、N-末端-GLGHNQIRM(SEQ ID NO 5)、N-末端-GLGHNQIRMI(SEQ ID NO 6)、N-末端-GLGHNQIRMIE(SEQ ID NO 7)、N-末端-GLGHNQIRMIEN(SEQ ID NO 8)、N-末端-GLGHNQIRMIENG(SEQ ID NO 9)、N-末端-GLGHNQIRMIENGS(SEQ ID NO 10)またはN-末端-GLGHNQIRMIENGSC(SEQ ID NO 11)を備える、またはこれからなるペプチドに特異的に結合する。抗体を作製するためには、N-末端-GLGHNより長いペプチド、例えば免疫ペプチドGLGHNQIRMIE(SEQ ID NO 7)で免疫することが好適であろう。
【0047】
本発明の種々の実施態様において、ビグリカン開裂部位の上流の配列が使用される。これらのペプチドおよびこれらのペプチドに対する抗体は、本明細書に記載される他のペプチドと同様に使用される。特に、配列KLYRL-C-末端(SEQ ID NO 14)、より好ましくはSKLYRL-C-末端(SEQ ID NO 15)、より好ましくはYSKLYRL-C-末端(SEQ ID NO 16)、より好ましくはRYSKLYRL-C-末端(SEQ ID NO 17)、より好ましくはLRYSKLYRL-C-末端(SEQ ID NO 18)、より好ましくはLLRYSKLYRL-C-末端(SEQ ID NO 19)、より好ましくはDLLRYSKLYRL-C-末端(SEQ ID NO 20)、および最も好ましくはEDLLRYSKLYRL-C-末端(SEQ ID NO 21)、を有するペプチドが検出され得る。
【0048】
抗体は、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリ等の哺乳動物由来の抗体であればいずれでもよいが、中でもマウスが好ましい。抗体のアイソタイプは、IgG、IgM、IgE、IgA、IgY等のいずれでもよい。
【0049】
抗体はポリクローナル抗体であってもよく、当該技術分野で知られているように、動物、例えばウサギの免疫化によって産生される。しかし好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。好ましくは、モノクローナル抗体はマウスまたはウサギのモノクローナル抗体である。
【0050】
抗体を産生、精製、単離し、その結合能を測定する方法はよく知られている。また、抗体を用いて抗原の存在を判定する方法もよく知られている。詳細はCurrent Protocols in ImmunologyおよびCurrent Protocols in Molecular Biologyを参照されたい。
【0051】
ペプチドに対するモノクローナル抗体は、周知のハイブリドーマ技術(Kohler and Milstein, Nature, 256, 495-497, 1975)を用いて作製することができる。単一クローンは、限界希釈分析、軟寒天アッセイ、蛍光活性化セルソータを用いる方法などによって単離することができる。限界希釈分析では、例えば、ハイブリドーマのコロニーを培地で1細胞/ウェル程度に連続希釈してから培養し、所望の抗体を産生するハイブリドーマを単離する。抗体はキメラ抗体でもヒト化抗体でもよい。
【0052】
抗体クローンは、例えばファージディスプレイなど、他の方法を用いて作製することもできる。
【0053】
抗体がマウスIgGの場合、抗体はプロテインA結合担体または抗マウス免疫グロブリン結合担体を用いたアフィニティクロマトグラフィで精製することができる。
【0054】
抗体は様々な方法で診断に用いることができる。抗体は、ヒトまたは動物である被験体からのサンプル中のペプチドの存在、量または濃度を測定するために使用することができる。抗体は、被験体からのサンプルと接触させることができる。サンプルは、例えば、滑液、血液、唾液、血漿、血清、脊髄液(体液)、尿、腹水、組織切片に使用される生体組織など、どのような種類の生体サンプルであってもよい。切片に有用な組織の例としては、骨、軟骨、腱、眼球、膵臓、大動脈、腎臓、皮膚などが挙げられる。好ましくは、サンプルは液体サンプルである。好ましい実施形態では、サンプルは血清サンプル、血液サンプル、血漿サンプルまたは滑液サンプルである。さらに好ましい実施形態では、サンプルは滑液のサンプルである。好ましい一実施形態では、サンプルは尿サンプルまたは唾液サンプル、特に唾液サンプルである。適切な体積のサンプルが採取される。サンプルが液体状、特に唾液サンプルまたは滑液サンプルである場合、サンプルは例えば50ul~2000ulの体積を有することができる。唾液サンプルは少なくとも300ul、より好ましくは少なくとも500ulが適当である。サンプルが唾液サンプルである場合、サンプル採取前に被験体を休息させることが有用である。安静時間は、例えば少なくとも30分、より好ましくは少なくとも1時間である。また、安静時のペプチド量を運動直後のペプチド量と比較することも有用であろう。
【0055】
サンプルは被験体から単離されてもよい。サンプルは、結合ステップが実施される前に被験体から単離されてもよい。したがって、診断方法は、被験体から事前に単離されたサンプルを提供するステップを含んでいてもよい。診断方法は、インビトロで実施されてもよい。
【0056】
抗体を用いてサンプル中のペプチド濃度を測定する簡便な方法はELISAである。ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)の設計と使用は、診断学の技術分野でよく知られている。抗体はまた、例えば免疫組織化学にも用いることができる。例えば、組織の薄切片、例えば凍結、パラフィン処理、固定した組織を、病理組織学の分野で知られているように、抗体を用いて染色することができる。抗体はまた、ウェスタンブロットやWes、Simple Westernシステムにも使用できる。
【0057】
抗体は様々な方法で検出することができる。よく使われる方法は、検出可能な物質(マーカや標識)、例えば酵素(HRPなど)、蛍光物質、放射性標識などと結合した二次抗体を使うことである。例えば、一次抗体がマウス抗体の場合、二次抗体はヤギ抗マウス抗体とすることができる。マーカの存在は当該技術分野で知られた方法で検出することができる:酵素は色や光を発する試薬で検出でき、放射性標識はシンチレータや写真フィルムで検出でき、蛍光標識は蛍光検出器で検出でき、または蛍光顕微鏡で観察できる。
【0058】
あるいは、一次抗体(抗N-末端-GLGHN抗体)にマーカ/標識を直接結合させることもできる。
【0059】
ELISAや免疫組織化学のような様々な手順で抗体を使用する場合の抗体の適切な作業濃度は、抗体の親和性に依存しており、良好なシグナル/ノイズ比を与える濃度を見つけるために、抗体の様々な濃度を試験することによって決定することができる。例として、1mg/mlの抗体ストックを1/100、1/200、1/1000、1/5000で希釈し、適切な作業濃度をテストすることができる。これらの手順における抗体の作業濃度は、通常 μg/ml の範囲であり、例えば 1 ng ~10 μg/ml である。抗体はPBSで希釈するのが適当で、場合によってはBSAのような追加タンパク質やアジ化ナトリウムのような保存剤を使用する。
【0060】
抗体は、被験体、特にヒトやウマの疾患の診断に用いることができる。しかし、被験体は、ウシ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ラット、マウス、または他の哺乳動物であってもよい。例えば、サンプル中のペプチドの濃度は、標準的な方法、例えばELISAを用いて決定することができる。このようにして決定された濃度は、標準値(基準値)またはカットオフレベルと比較することができる。標準値からの偏差は、特定の疾患または疾患の段階を示し得る。
【0061】
様々な実施形態において、病態を発症するリスクが決定される。被験体は、病態を有することが疑われ得る。サンプル中のペプチドの存在は、病態または病態のリスクを示す可能性がある。
【0062】
診断は、全身性炎症、特に全身性の低悪性度慢性炎症に関連する疾患の診断であってよい。ペプチドの存在は疾患を示す。従って、診断は、被験体中の変形性関節症、骨硬化症、骨折、剥離骨折、関節のチップ骨折、骨打撲、骨粗鬆症、癌、アテローム性動脈硬化プラーク、大動脈弁狭窄症、カシン・ベック病、腱炎、眼疾患、皮膚疾患、腱鞘炎、関節リウマチ、ループス腎炎、糖尿病、石灰化大動脈弁疾患、心膜周囲炎、インスリン依存性1型糖尿病、またはクローンズ病の診断であってよい。好ましい実施形態では、診断は、変形性関節症、骨硬化症、骨折、関節の剥離骨折もしくはチップ骨折、または骨打撲もしくは骨粗鬆症の診断である。
【0063】
様々な実施形態において、診断は癌、特に結腸癌の診断である。診断され得る他の癌には、肺癌、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌、膵臓癌、胃癌、腎臓癌、乳癌、子宮頸癌、皮膚癌、前立腺癌および子宮内膜癌が含まれる。ペプチドN-末端-GLGHNの存在は腫瘍の浸潤性に相関する。
【0064】
様々な好ましい実施形態において、診断は、関節の骨硬化、骨折、剥離骨折、チップ骨折の1つ以上の診断である。ペプチドの存在は、生理学的骨硬化から病理学的骨硬化への進行、微小骨折への進行、チップ骨折または剥離骨折への進行、および致命的損傷(関節内骨折)への進行のモニタリングに使用され得る。
【0065】
この抗体は、哺乳動物、特にヒトまたはウマにおけるOA診断に用いることができる。好ましい実施形態において、滑液または他のサンプル中のペプチドの高濃度は、例えば、初期の骨軟骨病変、軟骨下リモデリング、または骨軟骨分裂を伴うOAなどの初期のOAを示すことがある。ペプチドの濃度が低い場合は、OAがないことを示す。このペプチドの存在は、生理学的な骨硬化から病理学的な骨硬化への進行、微小骨折への進行、チップ骨折への進行、致命的な損傷(関節内骨折)への進行のモニタリングに用いることができる。また、このペプチドは、特にウマにおいて、急性跛行/早期OAから慢性跛行/慢性OAをモニタリングするために使用することができる。
【0066】
カットオフレベルは、使用する方法によって異なり、標準的な実験と適切な対照(コントロール)を用いて設定することができる。例えば、疾患を有する被験体のサンプル(ここで、疾患はペプチドを用いるのとは異なる方法で決定される)におけるペプチドのレベルは、健常な被験体のグループにおけるペプチドのレベルと比較される。従って、カットオフ値は予め決めておくことができる。カットオフ値は、例えば健常な被験体の平均値の150%、より好ましくは200%、最も好ましくは300%である。血清または滑液のカットオフ値は、300ng/ml、より好ましくは500ng/ml、さらに好ましくは600ng/ml、より好ましくは800ng/ml、最も好ましくは1000ng/mlである。唾液のカットオフ値は、20ng/ml、より好ましくは100ng/ml、さらに好ましくは500ng/ml、最も好ましくは1000ng/mlである。しかし、適切なカットオフ値は、診断される病態、被験体の種、およびサンプルの種類に応じて選択される。
【0067】
この方法を用いて、変形性関節症、骨硬化症、関節の骨折やチップ骨折、あるいはそのような症状を発症するリスクが診断された場合、被験体を治療することができる。
【0068】
特にウマに対する治療の1つは、被験体を休息させることである。例えば、調教量を減らす。さらに、被験体がヒト、特にアスリートである場合、治療はトレーニングを減らすか休息させることである。
【0069】
一実施形態では、被験体はペプチドの量が多いかどうかスクリーニングされる。例えば、サンプルは、少なくとも3日、より好ましくは少なくとも7日、より好ましくは少なくとも1ヶ月、最も好ましくは少なくとも3ヶ月の時間間隔で、繰り返し採取され、分析される。時間間隔には上限があってもよく、例えば7日~6ヶ月である。 例えば、予防措置として、調教対象のウマの唾液、血清または滑液からペプチドを検出することができる。ウマ、特に跛行性のないウマのペプチド濃度が上昇した場合には、調教量を減らすことも1つの治療法である。滑液中および血清中のペプチド濃度が再び低下するまでの期間、調教を低度に保つことができる。被験体が健常であるときのベースラインのペプチドレベルを決定してもよい。カットオフ値を用いてもよい。このようにして、被験体に最適なトレーニング量を設定することができる。
【0070】
追加のステップとして、血清や滑液中のビグリカン断片濃度が高い跛行ウマの場合、関節鏡検査を追加診断手段として用いることができる。その後、適切な治療を行う。例えばWO2020/084113に記載されている薬理学的治療(シルデナフィル治療)。チップ骨折の場合は、関節鏡検査で断片を取り除くことができる。リハビリテーション中は、バイオマーカをモニタリングして、調教量を決めることができる。
【0071】
抗体および必要な試薬は、サンプル中のペプチドを検出するためのキットに含めることができる。キットはELISA、例えば競合ELISAに基づくことができる。キットは、マーカまたは標識を検出するための固定相(ウェルを有するプレートなど)、二次抗体、ペプチド、緩衝液および試薬を含むことができる。
【0072】
好ましい実施形態では、キットはサンプル採取デバイス、特に唾液採取デバイス、例えばウマ用の唾液採取デバイスを備える。ヒト被験者用の唾液採取デバイスは、被験者が唾液サンプルを吐き出すための漏斗を備えた試験管を備えてよい。ウマまたは他の動物用の唾液採取デバイスは、綿棒に接続されたデバイスを保持するためのハンドルを備えてよい。使用者は、ハンドルを保持し、被験体(ウマであってもよい)の口に綿棒を挿入する。その後、綿棒は唾液のサンプルを吸収する。採取後、綿棒をサンプルチューブに挿入し、後で分析することができる。例えば、Austin Davies Biologics Ltd.のEquiSal唾液採取スワブが挙げられる。サンプル採取デバイスは、サンプルを保存するための緩衝液を含んでいてもよい。
【0073】
キットは、例えば、抗体を組み込んだラテラルフローデバイスのような、単回使用の診断デバイスを含んでいてもよい。このようなラテラルフローデバイスは公知であり、通常、目的の抗原に特異的に結合する抗体と、抗体が抗原に結合した場合に発色または蛍光シグナルなどのシグナルを発生する試薬などの検出手段とを備える。色または蛍光シグナルの存在は、サンプル中の抗原の存在を示す。ラテラルフローデバイスは通常、サンプル中の対照物質(陽性対照)の存在を決定するための手段を備える。適切なラテラルフロー検査の例としては、US6,485,982およびUS9,034,657に開示されているもの、およびそこで引用されている文献が挙げられる。
【0074】
いくつかの実施形態では、抗原(この場合はペプチド)の量は、例えばラテラルフローデバイスから比色または蛍光シグナルを読み取ることによって定量することができる。比色または蛍光シグナルを読み取り、シグナルを定量化するために、リーダを配置することができる。このようにして、サンプル中のペプチドのレベルを決定し、カットオフ値と比較することができる。診断装置に適したリーダは、Lumos Diagnostics社のReusable Readerであろう。
【0075】
診断はまた、N-末端-GLGHNおよびKLYRL-C-末端などの本明細書に記載のペプチドを抗体以外の手段で検出することによっても実施され得る。好適な方法としては、質量分析によるペプチドの配列決定、エドマン分解によるペプチドの配列決定が挙げられる。
【0076】
このペプチドまたは抗体は、馬場のフッティングの特性を決定するために使用することもできる。柔らかいフッティングは、ウマの関節へのストレスが少なく、ウマからのサンプル中のペプチドの量が少なくなる。したがって、馬場のフッティングの特性を決定する方法は、フッティングの上で運動したウマからサンプルを取得すること、および、サンプル中のペプチドを含むペプチドの存在についてサンプルを分析すること、を含んでよい。このようにして、異なるフッティングからの結果を比較することができる。好ましくは、多数の健常なウマ、例えば3頭から10頭のウマを、選択されたフッティング上で所定時間運動させ、サンプル、例えば血清サンプルまたは唾液サンプルを、所定時間後に各ウマから採取する。好ましくは、各ウマは2つの異なるフッティングを試験する間に休息させ、次の試験の前にペプチドレベルが休息レベルに戻るようにする。ベースラインレベルは、ウマが休息しているときに各ウマについて決定することができる。
【0077】
実施例1
ビグリカン開裂部位RYSKLYRL*GLGHNQIRMIENGSC(SEQ ID NO 12)(ここで*は開裂部位を示す)は、ネイティブのウマビグリカン(UniProtKB/Swiss-Prot: O46403.1)のN-末端から258アミノ酸の位置にある。
【0078】
アミノ酸ペプチドGLGHNQIRMIE(SEQ ID NO 7)に対するモノクローナル抗体をウサギで作製した(Genscript)。さらに、ペプチドGLGHNQIRMIEに対する特異的ポリクローナル抗体をウサギで産生した。
【0079】
バイオインフォマティクス解析の結果、開裂部位周辺のアミノ酸配列(RYSKLYRL*GLGHNQIRMIENGSC)は、解析対象となったすべての哺乳動物種(ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、マウス、ラット、ヒツジ、ウサギ、イヌ、ネコ)で完全に保存されていることが明らかになった(データは不図示)。したがって、この抗体はすべての哺乳類でネオエピトープの検出に有用であると予想される。
【0080】
実施例2
BGN262または 「ビグリカンネオエピトープ」とも呼ばれるペプチドGLGHNQIRMIENGSC(Big Neo)(SEQ ID NO 11)を用いて、ウマ血清中のビグリカンネオエピトープを検出する阻害ELISAを開発し、評価した。凍結乾燥ペプチドはGenscriptペプチド溶解度ガイドラインに従って再構成した。つまり、Big Neoペプチドを蒸留水で1mg/mLの濃度に再構成し、その後分注、凍結し、使用まで-80℃に保存した。
【0081】
阻害ELISAは、プレートにBig Neoをコーティングすることから始まった。Nunc MaxiSorpTM Clear Flat-Bottom 96-Well Plates (Invitrogen)を用い、pH9.6の100mM炭酸緩衝液で1μg/mLに希釈したBig Neo (100μL/well, Genscript)を加え、4°Cで一晩かけてペプチドをコーティングした。
【0082】
キャリブレーション用標準物質は、Big Neoペプチドのストック(1mg/mL)から調製した。まず、MultiBooster(Kementec社製)で希釈して最高標準点を2000ng/mLに設定し、その後、11段階-1:2連続希釈(ペプチド1mL+MultiBooster 1mL)を用いて、0(ペプチドを含まない11番目)から2000ng/mLまでの範囲でキャリブレーション用標準物質を作成した。
【0083】
血清は1:20希釈、滑液はMultibooster(Kementec)で1:4希釈した。血清希釈は、一次抗体が1:20希釈で最も多くのペプチドを検出した正常血清の連続希釈液を分析した後に決定した。血清対照として、Equidae血清(lot.2109875, Gibco)を用いた。
【0084】
一次抗体として実施例1のモノクローナル抗体(0.681mg/mL)を用いた。この一次抗体をMultiBoosterで30ng/mLの濃度に希釈した。
【0085】
キャリブレーション用標準物質とサンプルとの各濃度100μL(重複)をThermo ScientificTM SterilinTM Clear MicrotiterTM Plates(Fisher Scientific)に添加した。30ng/mLに希釈した一次抗体(100μl/ウェル)を各標準物質およびサンプルに添加し、37℃に設定した回転インキュベータ(39rpm)内の恒温恒湿槽で一晩プレインキュベートした。
【0086】
一晩した17 時間後、Tecan Hydro wash を用いて、コーティングした ELISAプレートを洗浄バッファ(10 mM PBS with 0.05 % Tween, pH 7.4)で4回洗浄し、その後、合成ブロッカ(Kementec)を用いて37°Cで 0.5時間ブロッキングした。ブロッキング後、あらかじめインキュベートした標準物質とサンプル(50μL/ウェル)をELISAプレートに移し、600rpmに設定したELISAプレートシェーカで室温の下1時間インキュベートした。1 時間のインキュベーション後、一次抗体、標準物質、サンプルの入った ELISAプレートを洗浄バッファで 4回洗浄した。二次ポリクローナルヤギ抗ウサギ(IgG)HRP 1mg/mL(Abcam)を0.05% Tweenと0.1% BSAを含む10mM PBS、pH 7.4で1:50,000に希釈した。その後、ELISAプレートの標準物質ウェルとサンプルウェルに50μL/ウェルの二次抗体を添加し、暗所で30分間、600rpmに設定したELISAシェーカでインキュベートした。その後、ELISAプレートを再度洗浄し、今度は洗浄バッファで8回洗浄した。次にTMBを50μL/ウェル添加し、暗所、RTでインキュベートし、20~30分後に0.18M H2SO4で停止した。吸光度を450nmで評価し、Magellanソフトウェア(Tecan)を用いてSPARK多機能プレートリーダでスキャンした。
【0087】
一次抗体の特異性を評価するために、KLYRLGLGHNQIRMIENGS (SEQ ID NO 13)の配列を持つオーバーラップ対照ペプチド(OL)をコーティングペプチドとして使用し、抗原として、プレインキュベーションで、キャリブレーション標準物質等の連続希釈を行った。
【0088】
OL対照ペプチド:KLYRLGLGHNQIRMIENGS(SEQ ID NO 13)
Big Neoペプチド:GLGHNQIRMIENGSC(SEQ ID NO 11)
【0089】
阻害Big Neo ELISA 法におけるアッセイ内精度を検討した。ウマ科対照血清は6反復で使用した。アッセイ間変動もまた、ウマ科対照血清を6反復として、異なる機会に合計3回のアッセイで調べた。1回のELISAで最低検出値と最高検出値を調べ、標準曲線をn=6反復し、CV計算で20%未満を検出可能値とした。希釈率1:20の125ng/mL培地または希釈率1:20の通常のマルチブースタをスパイクした5つの異なるサンプルを用いて、スパイクと回収のアッセイも行った。その後、回収率はスパイクで得られた濃度から1:20希釈サンプルの濃度を差し引いた値から計算された。
【0090】
Big Neoおよびオーバーラップペプチド(OL)に対する一次抗体の特異性を試験した。両ペプチドを0~2000 ng/mLの範囲で連続希釈し、キャリブレーション標準とした。モノクローナル抗体はBig Neoに対して高い特異性を示した。エピトープは血清中で検出可能であった。モノクローナル抗体はOLペプチドを検出できないことを確認した(図1)。このことは、エピトープのN-末端が抗体の結合に重要であることを示している。
【0091】
また、Big Neoの最低検出値は1.95 ng/mL、最高検出値は2000 ng/mLであり、1アッセイ内のCV(%)は5.5%、アッセイ間のCV(%)は4.3%であった。
【0092】
5つの異なる個体から採取した125ng/mLのスパイク血清から、平均120ng/mLを12%CVで回収した。
【0093】
実施例3
第3手根骨から採取した骨軟骨サンプルは、直ちに(屠殺後1時間以内に)10%中性緩衝ホルマリンに浸漬した。組織をバンドソー(Exact 312 Diamond Band Saw, Exact Technologies, Inc. オクラホマシティ、米国)で厚さ5mmのスラブに切り出し、脱水後、パラフィンに包埋し、3.4%(w/v)のギ酸ナトリウムと15.1%(v/v)のギ酸で脱灰し、4~5μmの切片に切り出し、顕微鏡検査のためにヘマトキシリン・エオジン(H&E)で染色した。また、切片を脱パラフィンし、再水和して免疫染色の準備をした。非特異的染色は、0.05%Tweenを含む10mM PBS中3%H、pH7,4、5分間RTでブロックした。ネイティブビグリカンおよびビグリカンネオエピトープに対する免疫染色は、ウサギポリクローナル抗ウサギビグリカン抗体(Lot. A117664、Invitrogen)を1:750の希釈で、ウマビグリカンネオエピトープに対するポリクローナル抗体(0.mg/mL)を1:4000の希釈で、0.05% Tweenを含む10 mM PBS、pH 7.4中、4°Cで一晩行った。
【0094】
ネイティブビグリカンの可視化を目的とした切片は、ヒアルロニダーゼ(PBS中1mg/mL)で37°Cで1時間前処理し、直接、コンドロチナーゼ(0.05U/mL)で37°Cで1時間インキュベートした。
【0095】
対照として、ネイティブビグリカンにはウサギ免疫グロブリン画分(# X0903 Lot: 20066518 Dako Denmark A/S)、ネオエピトープには組み換えウサギIgG, モノクローナル([EPR25A] - アイソタイプコントロール # ab 172730 Lot GR3235749-24 (Abcam, United States))を一次抗体の代わりに用いた。アイソタイプには一次抗体と同じタンパク質濃度を用いた。
【0096】
染色は、HRP結合抗ウサギEnVision(DAKO)と発色剤3,3-ジアミノベンジジン(DAB)を用いて30分間可視化した。
【0097】
骨軟骨サンプルは、ウマのOAについて推奨される評価法(McIlwraith et al 2010)を用いて顕微鏡的に評価された。スコアリングには関節軟骨、軟骨骨界面、軟骨下骨が含まれる。関節軟骨の顕微鏡評価(0~16)は、軟骨細胞壊死(0~4)、クラスター形成(0~4)、亀裂形成(0~4)、局所的細胞消失(0~4)として、骨軟骨領域(0~10)は、骨軟骨病変(0~4)、軟骨下リモデリング(0~3)、骨軟骨分裂(0~3)として、McIlwraith et al.(2010)、ヘマトキシリン・エオジン(H&E)染色を用いて行った。
【0098】
天然組織とビグリカンネオエピトープで染色した組織を、明視野顕微鏡を用いて200倍の倍率で撮影した。染色面積は、Fiji Image Jプログラム(ImageJ, National Institute of Health Bethsada, MD)を用いて顕微鏡写真で定量化した(非荷重部軟骨、橈側面骨+軟骨、荷重部-骨+軟骨)。データは対照群と比較した倍数変化で表した。
【0099】
ビグリカンのネイティブ分子に対するポリクローナル抗体による軟骨と骨の免疫組織化学染色では、軟骨と骨のマトリックスのほとんどが細胞外に染色される。しかし、ビグリカンネオエピトープに対するポリクローナル抗体による軟骨と骨の免疫組織化学染色は、軟骨と骨の細胞の細胞内染色を示す。
【0100】
正常なウマの軟骨・骨組織切片における天然ビグリカンとビグリカンネオエピトープの存在。OAに伴う軽度、中等度、重度の軟骨・骨病変を示す(図2)。
【0101】
実施例4
ビグリカンのネオエピトープ(N-末端-GLGHN)の存在を、ウマ血清、滑液および軟骨骨組織において、実施例2のELISAを用いて評価した。
【0102】
手根関節のOAを有するウマの滑液中のビグリカンネオピトープの濃度は、第3手根骨のX線写真上の軟骨下骨硬化(SCBS)の増加と相関していた(図3)。
【0103】
実施例5
ビグリカンネオエピトープは、正常関節に比べ、チップ骨折を起こした手根中手関節の滑液中で劇的に増加した(図4)。
【0104】
実施例6
血清中のビグリカンネオエピトープ濃度は、変形性関節症のウマにおいて、健常なウマと比較してビグリカンネオエピトープ濃度の上昇を示した(図5)。
【0105】
実施例7
唾液は Equisal 唾液採取キット(購入:Austindavis biologics ltd)を用いてウマの舌の歯間から綿棒を挿入し、容量インジケータの色が変わるまで採取した。約5000μlの唾液を採取した。サンプルは2mlの保存用緩衝液(1xPBS(塩化ナトリウム137mM、塩化カリウム2.7mM、リン酸二ナトリウム11.9mM)、0.05% Tween20、0.05% ブロモニトロジオキサン、0.05% アジ化ナトリウム)で安定化させ、-20℃で一時保存した後、解凍し、3000gで5分間遠心分離した。すべてのサンプルは、分析前に最小量500 μlで分注し、-80℃で保存した。
【0106】
唾液サンプル中のビグリカンネオエピトープの存在は、上記のカスタムメイドELISAを用いて測定した。結果を図6に示す。BGN262の濃度は、レントゲン写真に変化のあったOAウマと対照ウマとで増加した(t検定でp=0.01962、Wilcoxonでp=0.0196)。
【0107】
実施例8
健常なウマに20分間のウォームアップ(ジョギング・トロット)と20分間の運動(激しいトレーニング)をさせた。唾液は以下の時点でウマから採取した。
【0108】
時点1=運動1時間前(厩舎でサンプリング)
時点2=ウォームアップ20分後
時点3=運動20分後
時点4=クールダウン10分後
時点5=運動後1時間(厩舎でサンプリング)
【0109】
ビグリカンネオエピトープの存在は、上述のようにELISAを用いて決定した。
【0110】
結果を図7に示す。BGN262の濃度は、安静時のタイムポイント(TP)1と比較して、運動したウマの唾液(タイムポイント3、(T3))で有意な増加を示した(p=0.001)。
【0111】
実施例9
原発腫瘍摘出前後の結腸癌患者の血清サンプル中のビグリカンネオエピトープの存在を、上記の特注ELISAを用いて決定した。
【0112】
結果を図8に示す。BGN262 ペプチドの濃度は、患者の結腸癌手術後に血清中で有意な減少を示した(p=0.001)。このデータは、ビグリカンネオエピトープのレベルが原発巣の切除後に減少することを示しており、原発巣がビグリカンの分解を引き起こしている可能性を示唆している。ビグリカンネオエピトープレベルは、腫瘍の侵襲性を追跡するのに使用されるかもしれない。
【0113】
実施例10
横断研究では、クロスオーバーデザインで2つの異なる蹄底で運動した9頭のウマから唾液を採取した。ファイバーと砂のフッティングで運動させたウマでは、時点3で BGN262レベルが統計的に有意に上昇した(図9)。砂地で運動させたウマではレベルに変化はなかった(図10)。
【0114】
実施例11
運動したヒトの唾液中のBGN262の濃度は(時点4、(T4))、安静時の時点(TP)に比べて増加した。時点5および6では、関節がもはや高い動的圧縮にさらされていないため、濃度は減少している。
【0115】
時点1=運動1時間前、時点2=運動直前、時点3=ウォーキング10分後、時点4=トレッドミルでのランニング10分後、時点5=クールダウン(ウォーキング)10分後、時点6=運動1時間後。
【0116】
図11は、ランニングに慣れていない高齢者の唾液中のBGN262を表示したものである。グラフは、ランニング後のT4でピークを示している。T6で第2のピークが観察されるが、これは運動中に生じる異化活動に起因する。図12は、ランニングに慣れた若者の唾液中のBGN262を示したもので、T3とT4ですでに観察された上昇は、訓練されたウマと同様である。おそらくビグリカンの異化分解がないためと思われる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
2024525195000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲、骨粗鬆症、癌、または関節リウマチ、から選択される疾患の診断方法であって、
被験体から事前に単離されたサンプルを提供し、
前記サンプル中のアミノ酸配列N-末端-GLGHNを備えるペプチドの存在について前記サンプルを分析する、
ことを含む方法。
【請求項2】
前記疾患が、骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲、骨粗鬆症、または結腸癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記疾患が、骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、または骨打撲である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記癌が結腸癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記サンプルが、滑液、脊髄液(体液)、血清、血液、血漿、尿、または唾液、のサンプルである、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記サンプルが、唾液のサンプルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
アミノ酸配列N-末端-GLGHN(SEQ ID NO1)を備えるペプチドに特異的に結合する抗体であって、前記抗体は、前記配列N-末端-GLGHN(SEQ ID NO1)に結合する、抗体
【請求項8】
被験者における骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲、骨粗鬆症、癌、または関節リウマチ、の診断に使用するための、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
前記診断が、骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、剥離骨折、骨打撲、または骨粗鬆症、の診断である、請求項に記載の使用のための抗体。
【請求項10】
前記抗体は、被験体からのサンプル中の前記アミノ酸配列N-末端-GLGHNを備えるペプチドの量を検出するために使用される、請求項7から9のいずれか1項に記載の使用のための抗体。
【請求項11】
前記サンプルが、滑液、脊髄液(体液)、血清、血液、血漿、尿、または唾液、のサンプルである、請求項10に記載の使用のための抗体。
【請求項12】
被験者の変形性関節症、骨硬化症、骨折、関節のチップ骨折、または剥離骨折、を予防するための方法であって、以下のステップを含む方法:
a)被験体からサンプルを繰り返し取得し、前記サンプル中のアミノ酸配列N-末端-GLGHN(SEQ ID NO1)を備えるペプチドの存在を分析し、
b)前記サンプル中の前記被験体内のペプチドのレベルが所定のレベルを超えている場合、前記被験体を治療すべきであると決定し、ここで前記治療は前記被検体を休息させることである。
【請求項13】
請求項7に記載の抗体を備えるキット。
【請求項14】
前記抗体は、単回使用の診断デバイスに含まれ、前記キットがさらに唾液サンプリングデバイスを備える、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記診断デバイスは、ラテラルフローデバイスである、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
アミノ酸配列N-末端-GLGHN(SEQ ID NO1)を備えるペプチドであって、前記ペプチドは5~20残基の長さを有する、ペプチド
【請求項17】
抗体産生のための、アミノ酸配列N-末端-GLGHN(SEQ ID NO 1)を備えるペプチドの使用。
【請求項18】
馬場のフッティングの特性を決定するための方法であって、
前記フッティング上で運動したウマからサンプルを取得し、
前記サンプル中のアミノ酸配列N-末端-GLGHNを備えるペプチドの存在についてサンプルを分析する、
ことを含む方法。
【国際調査報告】