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特表2024-525204対物レンズ補正カラーの電動調整のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】対物レンズ補正カラーの電動調整のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
G02B21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579111
(86)(22)【出願日】2022-06-18
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 IB2022055671
(87)【国際公開番号】W WO2022269442
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/214,591
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】522243875
【氏名又は名称】エフイーアイ ドイチェラント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ダウム,ライネル
(72)【発明者】
【氏名】ホーゲル,クサーヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ペール,ヘリット
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AB02
2H052AB08
2H052AD31
2H052AD33
2H052AF14
(57)【要約】
対物レンズ補正カラーを選択的に調整するためのシステムは、対物レンズの補正カラーの周囲に嵌合するようにサイズ決定及び成形されたギアリングを含む。システムはまた、ギアリングと選択的に係合してギアリングの運動を引き起こし、それによって補正カラーを調整するように構成された相補的ギアに動作可能に接続されたモータを有する調整機構を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズ補正カラーを選択的に調整するためのシステムであって、
対物レンズの補正カラーの周囲に嵌合するようにサイズ決定及び成形されたギアリングと、
前記ギアリングと選択的に係合して前記ギアリングの運動を引き起こし、それによって前記補正カラーを調整するように構成された相補的ギアに動作可能に接続されたモータを備える調整機構と、を備える、システム。
【請求項2】
前記対物レンズを第1の位置から補正カラー調整位置へ選択的に移動させるように構成された対物レンズ並進デバイスを更に備え、前記第1の位置において、前記相補的ギアは前記ギアリングと係合せず、前記補正カラー調整位置において、前記相補的ギアは前記ギアリングと係合する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記対物レンズ並進デバイスは、対物レンズスライダ又は対物レンズタレットを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の位置と前記補正カラー調整位置とがz距離だけ離間し、前記対物レンズ並進デバイスは、前記対物レンズを少なくとも前記z距離だけ移動するように構成されたz駆動部を備える、請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記調整機構が、固定位置に固定されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記相補的ギアが、二次元平面のうちの少なくとも1つの次元内で移動するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記調整機構が、ウォーム駆動部を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記相補的ギアは、非包絡ウォームギアを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記相補的ギアは、グロボイドウォームギアを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記相補的ギアは、前記補正カラー調整位置において前記ギアリングとともにギアトレインを形成する噛合ギアを含む、請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項11】
前記噛合ギアは、前記補正カラー調整位置において、前記ギアリングと同一平面内で回転可能である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ギアリング及び前記相補的ギアは、選択的に係合されたときにインターロック嵌合を構成する、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記インターロック嵌合は、前記相補的ギアと噛合するようにサイズ決定され、成形され、角度が付けられた前記ギアリング上の歯によって形成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
第2の対物レンズのそれぞれの補正カラーの周囲に嵌合するようにサイズ決定及び成形された第2のギアリングを備え、前記調整機構は、前記第2のギアリングと選択的に係合して前記第2のギアリングの運動を引き起こし、それによって前記第2の対物レンズの前記それぞれの補正カラーを調整するように更に構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記調整機構は、前記ギアリング又は前記第2のギアリングのいずれかと選択的に係合することができる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記補正カラーに取り付けられた磁石と、
前記ギアリング及び前記対物レンズから繋がれていないホール効果センサであって、前記磁石及び前記ホール効果センサは、前記システムのホーム位置を決定することに寄与する、ホール効果センサと、を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記ギアリングは、前記ギアリングの外周の一部の周囲に延在する窓を備え、前記窓は、前記対物レンズの目盛りを露出させるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記ギアリングは、前記窓が周囲に延在する前記外周の前記一部上では歯が省略されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
イメージングシステムであって、
対物レンズ補正カラーを選択的に調整するための請求項1~3のいずれか一項に記載のシステムと、
前記調整機構を動作させるためのコントローラと、を備える、イメージングシステム。
【請求項20】
前記調整機構は、前記イメージングシステムの光軸に隣接して位置決めされている、請求項19に記載のイメージングシステム。
【請求項21】
イメージセンサを更に備える、請求項19に記載のイメージングシステム。
【請求項22】
収差検出構成要素を更に備える、請求項19に記載のイメージングシステム。
【請求項23】
前記収差検出構成要素は、1つ以上のプロセッサと、命令を記憶する1つ以上のハードウェア記憶デバイスと、を備えるコンピュータシステムに通信可能に結合されており、前記命令は、前記コンピュータシステムを、
収差の1つ以上の態様を定義するデータを前記収差検出構成要素から受信し、
前記補正カラーにおいて実装されるときに前記収差を軽減する補正カラー調整を計算し、
前記コントローラに、前記補正カラー調整を自動的に実装させるように構成するように、前記1つ以上のプロセッサによって実行可能である、請求項22に記載のイメージングシステム。
【請求項24】
対物レンズ補正カラーの電動調整のための方法であって、
対物レンズ並進デバイスを第1の位置に位置決めすることであって、前記対物レンズ並進デバイスは、ギアリングと嵌合された補正カラーを有する対物レンズを備える、位置決めすることと、
z駆動部に係合して、前記対物レンズをz距離にわたって補正カラー調整位置まで移動させることであって、前記ギアリングは、前記補正カラー調整位置において調整機構の相補的ギアと関連付けられる、移動させることと、
前記補正カラーを調整するために、前記調整機構のモータに係合することと、を含む、方法。
【請求項25】
前記モータに係合することは、前記相補的ギアの運動を引き起こし、前記相補的ギアの運動は、前記補正カラーの周囲に嵌合された前記ギアリングに変換される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記補正カラーを調整することが、前記補正カラーを調整する前記対物レンズによって生成される1つ以上の収差を補正する、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記補正カラーが調整される程度は、前記対物レンズ及び/又は光がイメージング経路に沿って通過する媒体に関連付けられた特定のイメージングパラメータに依存する、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項28】
前記補正カラーを有する前記対物レンズのタイプを識別することを更に含み、前記第1の位置と前記補正カラー調整位置との間の前記z距離が、対物レンズの前記タイプに基づく、請求項24又は25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対物レンズ補正カラーの電動調整のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡検査は、小さな、しばしば生細胞などの微小物体の観察に関係している。顕微鏡対物レンズは、画像捕捉を容易にするために試料からの光をイメージセンサ上に集束させる光学素子の構成を含む。顕微鏡対物レンズの光学素子は、光学収差のバランスをとるために慎重に選択され製造され、そうしなければ、捕捉された画像に歪み及び/又はぼけを引き起こす場合がある。しかしながら、顕微鏡対物レンズは、様々な条件下で試料をイメージングするために使用されることが多く、これは、顕微鏡対物レンズの光学素子のバランスを狂わせる場合がある。例えば、顕微鏡検査で使用される異なる試料、浸漬媒体、及び/又はカバーガラスは、屈折率の変化を引き起こす可能性があり、これにより、捕捉された画像に歪み及び/又はぼけが生じる場合がある。例えば、対物レンズ開口部の周辺から来る光線は、対物レンズの中心から来る光線よりも大きな角度で焦点に接近する。したがって、対物レンズ開口部の周辺から来る光線は、対物レンズの中心から来る光線よりも大きな屈折を受ける。これにより、中心光線と周辺光線とで焦点位置が異なる球面収差が発生する。球面収差は、顕微鏡画像におけるより低い解像度及び/又はより低い蛍光強度をもたらし得る。
【0003】
調整可能な補正カラーを含むことによって球面収差(及び/又は他のタイプの収差)を補償しようとするいくつかの顕微鏡対物レンズが現れており、この調整可能な補正カラーは、顕微鏡対物レンズの光学素子の相対的な位置決めを変更して光線の焦点を再整列させる(例えば、このような調整は、異なる基板厚さ及び/又は材料を補償し得る)。
【0004】
一部の補正カラーは、ユーザによって手動で操作される。しかしながら、手動補正カラーは、特に収差の量が焦点深度によって変化し得るので、操作が面倒である。したがって、ユーザは、焦点が試料内により深く移動すると、補正カラーを再調整する必要があり得る。
【0005】
いくつかの顕微鏡対物レンズは、自動補正カラーを含む。しかしながら、そのような補正カラーは、しばしばかさばり、対物レンズの光学素子を囲む電気機械式筐体を含む。したがって、従来の自動補正カラーは、多くの場合、対物レンズの光学素子に熱を伝達し、これは、イメージングに悪影響を及ぼす焦点ドリフトを引き起こし得る。従来の自動補正カラーはまた、レンズへの手動アクセスを妨げることが多い。更に、従来のアプローチの下では、それ自体の自動補正カラーを含む各顕微鏡対物レンズも、それ自体のモータを含み、これは、製造業者及び消費者などに、非効率性及び高コストをもたらすことになる。
【0006】
したがって、顕微鏡対物レンズのための改良された電動式補正カラー調整システムに対しては、継続的な必要及び要望がある。
【0007】
本明細書で特許請求される主題は、任意の欠点を解決する実施形態、又は上述したような環境においてのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景は、本明細書で説明されるいくつかの実施形態が実施され得る1つの例示的な技術領域を示すために提供されるにすぎない。
【発明の概要】
【0008】
本開示の実施態様は、少なくとも、対物レンズ補正カラーを選択的に調整するためのシステム及び方法に及ぶ。
【0009】
いくつかの実施形態は、対物レンズの補正カラーの周囲に嵌合するようにサイズ決定及び成形されたギアリングを含むシステムを提供する。システムはまた、ギアリングと選択的に係合してギアリングの運動を引き起こし、それによって補正カラーを調整するように構成された相補的ギアに動作可能に接続されたモータを有する調整機構を含む。いくつかの実施形態は、調整機構を動作させるためのコントローラを更に含む。
【0010】
いくつかの実施形態は、対物レンズ補正カラーの電動調整のための方法を提供する。この方法は、対物レンズ並進デバイスを第1の位置に位置決めすることを含む。対物レンズ並進デバイスは、ギアリングに嵌め合わされた補正カラーを有する対物レンズを含む。本方法はまた、z駆動部に係合して、対物レンズをz距離にわたって補正カラー調整位置まで移動させることを含む。ギアリングは、補正カラー調整位置において、調整機構の相補的ギアと関連する。本方法はまた、調整機構のモータに係合して、補正カラーを調整することを含む。
【0011】
本概要は、以下の詳細な説明で更に説明される簡略化された形式で概念の選択を導入するために提供されている。本概要は、請求された主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、請求された主題の範囲を決定するものとして使用されることも意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
上述した利点及び他の利点及び特徴を得ることができる様式を説明するために、添付の図面に示されるその特定の実施形態を参照することにより、上記で簡単に説明した主題のより具体的な説明を行う。これらの図面は典型的な実施形態のみを示しており、したがって範囲を限定するものとみなされるべきではないことを理解した上で、実施形態は、添付図面の使用を通じて追加の特異性及び詳細とともに記載及び説明される。
【0013】
図1A】対物レンズ補正カラーの電動調整のためのシステムの例示的構成要素を示す上面図である。
図1B】ギアリングを移動させて調整機構の相補的ギアと係合させる例を示す側面図である。
図1C】ギアリングを移動させて調整機構の相補的ギアと係合させる例を示す側面図である。
図1D】相補的ギア及びギアリングの構成を示す側面図である。
図2A】補正カラーを有する複数の対物レンズの電動調整のためのシステムの例示的構成要素を示す図である。
図2B】対物レンズのセットのうちの特定の対物レンズのギアリングを移動させて調整機構の相補的ギアと係合させる例を示す図である。
図2C】対物レンズのセットのうちの特定の対物レンズのギアリングを移動させて調整機構の相補的ギアと係合させる例を示す図である。
図2D】イメージングを容易にするために、調整機構から対物レンズ補正カラーのギアリングを係合解除する例を示す図である。
図3】補正カラー及びギアリングを含む対物レンズの例示的表現を示す図である。
図4】補正カラー及びギアリングを含む対物レンズの例示的表現を示す図である。
図5A】補正カラー及びギアリングを含む対物レンズの例示的表現を示す図である。
図5B】補正カラー及びギアリングを含む対物レンズの例示的表現を示す図である。
図6】対物レンズ補正カラーの電動調整のためのシステムの動作に関連付けられたグラフィカルユーザインターフェースの例示的描写を示す図である。
図7】対物レンズ補正カラーの電動調整のためのシステムの動作に関連付けられたグラフィカルユーザインターフェースの例示的描写を示す図である。
図8】対物レンズ補正カラーの電動調整のためのシステムの動作に関連付けられたグラフィカルユーザインターフェースの例示的描写を示す図である。
図9】対物レンズ補正カラーの電動調整のためのシステムの動作に関連付けられたグラフィカルユーザインターフェースの例示的描写を示す図である。
図10】対物レンズ補正カラーの電動調整に関連する動作を示す例示的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施態様は、少なくとも、対物レンズ補正カラーの電動調整のためのシステム及び方法に及ぶ。開示された実施形態は、対物レンズ補正カラーの調整を容易にするための従来の技術に勝る様々な利点を容易にすることができる。例えば、本開示の実施態様は、対物レンズ自体と筐体を共有しない対物レンズ補正カラーを調整するためのモータを提供する。したがって、本開示の技法は、モータと対物レンズのレンズ要素との間の著しい熱伝達を実質的に回避する。更に、本開示の実施態様は、複数の異なる対物レンズ補正カラーを調整するために使用され得る補正カラーを調整するための調整機構を提供し、それによって、既存のシステムを上回る費用効率及び動作効率の利得を容易にする。更に、複数の対物レンズのセットを含む顕微鏡システムにおける複数の補正カラー調整モータの必要性を実質的に排除することによって、対物レンズのセットに向かって延在するワイヤの数が低減され得、それによって、クラッタを低減し、システムが摩耗するポイントの数を低減する。
【0015】
ここで、開示された実施形態に関連する様々な補足図を提供する図1A図10に注目されたい。
【0016】
対物レンズ補正カラーの電動調整のための例示的なシステム及び技術
図1Aは、対物レンズ補正カラーを電動調整するためのシステムの例示的構成要素を示す上面図である。特に、図1Aは、顕微鏡検査を容易にするために使用可能な対物レンズ102を示す。図1Aはまた、対物レンズ102の補正カラー104を示す。上述したように、補正カラー104は、対物レンズ102の光学素子の相対的な位置決めを変更するために調整可能(例えば、回転可能)である。しかしながら、補正カラー104の手動調整は、上述したように、面倒で非効率的である。
【0017】
図1Aは、対物レンズ102の補正カラー104の周囲に取り付けられたギアリング106を示す。ギアリング106は、ギアリング106の電動調整及び/又は自動調整を容易にするために、調整機構108と連携するように構成され、それによってギアリング106が周囲に嵌合される補正カラー104の電動調整及び/又は自動調整を行う。図1Aの例の調整機構108は、ギアリング106の歯と相補するウォームギア112に動作可能に接続されたモータを備える。ウォームギア112がギアリング106と係合するように移動されると(又はギアリング106を有する対物レンズ102がウォームギア112と係合するように移動されると)、モータ110はウォームギア112を回転させ、それによってギアリング106及び補正カラー104の回転が引き起こされ得る。
【0018】
図1Aのウォームギア112は、非包絡ウォームギア(例えば、2mm/回転の傾斜を有する)として示されているが、他のタイプ及び/又は構成のウォームギア(例えば、グロボイドウォームギア)が、本開示に従って利用されてもよい。実際、図1Aに示される例の調整機構108は、ウォームギア112を含むウォーム駆動部を含むが、ギアリング106を補完する要素を含む他のタイプの調整機構が、本開示によって利用されてもよい。例えば、ギアリング106を回転させるための調整機構が噛合ギアを含んでもよく、噛合ギアは、ギアリング106と係合するように移動されると、ギアリング106とともにギアトレインを形成する。例えば、噛合ギアは、ギアリング106の歯と噛合してインターロック嵌合を形成するようにサイズ決定され、成形され、角度が付けられた歯を備えてもよい。係合されると、噛合ギアは、ギアリング106と同じ平面内で回転し得る。
【0019】
図1B及び図1Cは、ギアリングを移動させて調整機構の相補的ギアと係合させる例を示す側面図である。特に、図1Bは、対物レンズ102のギアリング106に対して固定位置にある調整機構108のウォームギア112を示す。図1Bは、対物レンズ102のギアリング106を、ウォームギア112から垂直方向に(例えば、図1B及び図1Cに示されるように、「z」軸を介して「z」距離だけ)オフセットされた第1の位置に図示しており、ギアリング106及び対物レンズ102が第1の位置にある間、ウォームギア112の作動を介してギアリング106が回転可能でないようになっている。
【0020】
図1Bは、対物レンズ102を並進させるように構成された任意の構成要素(例えば、対物レンズスライダ又は対物レンズタレットの個々のレンズを移動させるためのZ駆動部)を備え得るZ駆動部114を示す。Z駆動部114は、対物レンズ102をz方向にある補正カラー調整位置に移動させるように動作可能であり、ウォームギア112の作動が、ギアリング106及び対物レンズ102に関連付けられた補正カラーの回転を引き起こすように(図1Cに示されるように)、ギアリング106は、ウォームギア112に係合する。
【0021】
図1Dは、いくつかの実施態様では、調整機構108のウォームギア112が、ウォームギア112のギア歯とギアリング106のギア歯とが互いに平行になるように配置され(例えば、ウォームのねじ山部によって傾斜又は回転され)、これにより、ウォームギア112とギアリング106との係合がより容易になり得ることを示す。
【0022】
図1A図1Dに示す機能により、調整機構108は、調整機構108のモータと対物レンズ102の光学素子との間の著しい熱伝達を実質的に回避する様式で、対物レンズ102の補正カラーを調整することができる。例えば、調整機構108のモータ110は、対物レンズ102の光学素子と同じ筐体内にはない。代わりに、モータ110は、対物レンズ102の外側のギアリング106と連携するウォームギア(又は他のギア)を作動させ、それによって、モータ110と対物レンズとの間にそれほど熱くならない熱経路を提供する。
【0023】
場合によっては、本開示によれば、単一の調整機構108を有利に使用して、複数の対物レンズの補正カラーの調整を容易にすることができ、それによって、顕微鏡システムの各補正カラーを調整するための別個のモータが必要となるのを避ける。図2Aは、補正カラーを有する複数の対物レンズの電動調整のためのシステムの例示的構成要素を示す図である。特に、図2Aは、種々の対物レンズ202A、202B、及び202Cを図示し、各々が、そのそれぞれの補正カラーの周囲に嵌合する、それぞれのギアリング206A、206B、及び206Cを有する。図2Aの対物レンズ202A、202B、202C及びギアリング206A、206B、206Cは、図1A図1Cを参照して上述した対物レンズ102及びギアリング106に概ね相当する。
【0024】
図2Aは、対物レンズスライダ210に関連する対物レンズ202A、202B、及び202C、並びにそれぞれのギアリング206A、206B、及び206Cを示す。対物レンズスライダ210は、様々な対物レンズ202A、202B、及び202Cの並進運動を容易にして、選択された対物レンズと顕微鏡システムの様々な構成要素とを位置合わせすることができる。例えば、図2Aは、顕微鏡イメージングを実行するための種々の光学素子(例えば、レンズ、ミラー、ビームスプリッタ、フィルタ、及び/又は他のもの)の構成を含み得る、光学トレイン216を概念的に描写している。例えば、図2Aは、光学トレイン216を、試料の画像を取得するためにイメージセンサ218に向けて光を誘導するものとして概念的に表している。対物レンズスライダ210は、図2Aに概念的に表されるように、対物レンズ202Aを通して視認可能な試料のイメージングを容易にするために、対物レンズ202Aと光学トレイン216とを位置合わせさせてもよい。
【0025】
図2Aは、前述のように、モータ110及びウォームギア112を含む例示的な調整機構108を示す。図2Aの調整機構108は、図2Aに示されるイメージングシステムの光軸(例えば、光学トレイン216と位置合わせされたときの対物レンズ202Aの光軸)に隣接する。図2Aはまた、コントローラ214を介して制御可能な調整機構108及び対物レンズスライダ210を示す。コントローラ214は、調整機構108及び対物レンズスライダ210の動作を制御するために使用可能な1つ以上のプロセッサ、論理ユニット、レジスタ、制御ユニット、集積回路、及び/又は記憶媒体を備えてもよい(調整機構108及び対物レンズスライダ210を別々に制御するために別々の構成要素が使用されてもよい)。
【0026】
図2Aは、参照のためにx、y、z軸を提供する。いくつかの実施態様では、コントローラ214は、補正カラー調整を容易にするために、対物レンズスライダ210の対物レンズをy軸及びz軸に沿って並進させ、異なる対物レンズ202A、202B、及び202Cのギアリング206A、206B、及び206Cをウォームギア112と位置合わせさせて使用可能である。例えば、対物レンズスライダ210は、対物レンズ202Aのギアリング206Aが、zオフセットを除く、ウォームギア112と位置合わせして配置されるまで、y軸に沿って並進し得る。図2B及び図2Cを簡単に参照すると、図2Bは、zオフセットを除く、ウォームギア112と位置合わせされ配置された対物レンズ202Aのギアリング206Aを示す。図2Cは、対物レンズスライダ210のZ駆動部220が、対物レンズ202Aをz方向に並進させて、ギアリング206Aをウォームギアと係合させて対物レンズ202Aの補正カラー調整を容易にすることを示す。
【0027】
再び図2Aを参照すると、モータ110を動作させて対物レンズ202Aの補正カラー調整させた後、コントローラ214は、対物レンズスライダ210に、対物レンズ202Bのギアリング206Bをウォームギア112に選択的に係合させて、対物レンズ202Bの補正カラー調整を容易にし得る。そのような機能は、任意の数の対物レンズ(例えば、対物レンズ202C)に対して実行され得る。
【0028】
場合によっては、調整機構108と種々のギアリング206A、206B、又は206Cとの位置合わせを容易にするために、調整機構108(又は少なくとも調整機構のウォームギア112)は、追加的又は代替的に、y軸及び/又はz軸に沿って並進可能である。
【0029】
場合によっては、対物レンズは異なるレンズ直径を含む。例えば、図2Aに示すように、対物レンズ202Bは、対物レンズ202A又は202Cよりも小さい直径を有する。場合によっては、調整機構108が異なる直径の対物レンズに適応することを可能にするために、異なる内径のギアリングが異なる対物レンズ上に配置されてもよい。異なる対物レンズ上に配置されたギアリングは、それらの異なる内径にもかかわらず、同じ外径を有し得、したがって、調整機構108が、異なる直径の異なる対物レンズに関連付けられた異なるギアリングとより容易に連携できる。
【0030】
例えば、図2Aでは、対物レンズ202Bのギアリング206Bは、対物レンズ202Aのギアリング206Aよりも小さい内径を有するが、ギアリング206B及びギアリング206Aは両方とも同じ外径を有する。ギアリング206Bの内径が小さいことにより、ギアリング206Bが対物レンズ202Bの補正カラーの周囲に嵌合することを可能にし、一方、ギアリング206Aのより大きな内径は、ギアリング206Aが対物レンズ202Aの補正カラーの周囲に嵌合することを可能にする。ギアリング206A及び206Bの均一な外径は、ギアリング206A及び206Bの両方が調整のためにウォームギア112と連携することを可能にする。
【0031】
いくつかの実施態様では、異なるレンズ直径を有する対物レンズに適応するために、対物レンズスライダ210及び/又は調整機構108(例えば、調整機構108のウォームギア112)は、異なる対物レンズが調整機構108と連携することを可能にするようにx軸に沿って並進可能である。これは、例えば、異なるサイズの対物レンズが同様の厚さのギアリングを有し、ひいては全体の外径が異なる場合に利用することができる。
【0032】
図2Aに示される例では、各対物レンズ202A、202B、及び202Cは、それぞれの磁石208A、208B、及び208Cと関連付けられる。図2Aはまた、図2Aに示すシステムに関連付けられたホール効果センサ212を示す。いくつかの実施態様では、ホール効果センサ212並びに磁石208A、208B、及び208Cは、組み合わされて動作し、対物レンズ202A、202B、及び202Cの補正カラーの各々の原点復帰位置を決定する。この点に関して、磁石208A、208B、及び208Cは、様々な対物レンズ補正カラーのための所望の調整動作を実行して調整機構108を較正するために使用され得る。
【0033】
場合によっては、磁石208A、208B、及び/又は208Cは、それぞれギアリング206A、206B、及び/又は206Cに取り付けられる。場合によっては、磁石208A、208B、及び/又は208Cは、ギアリング206A、206B、及び/又は206Cとは別個に(例えば、補正カラーに取り付けられる別個のリング上に)対物レンズ202A、202B、及び/又は202Cの補正カラーに取り付けられる。いくつかの実施形態では、ホール効果センサ及び磁石の位置が入れ替わる。例えば、各対物レンズ202A、202B、202C及び/又はギアリング206A、206B、206Cは、基準磁石に対する位置参照を可能にするためにホール効果センサを組み込むことができる。いくつかの実施態様では、ホール効果センサ及び磁石以外の他のセンサ機構(例えば、光学センサ、リミットスイッチなど)が、調整機構に対する様々なギアリングのホーム位置を決定するために使用される。
【0034】
本開示を考慮すると、図2A図2Cを参照して説明される例示的なシステムは、図2A図2Cに明示的に示されていない追加の又は代替の構成要素を含み得ることが理解されよう。例えば、システムは、開示された機能(例えば、コントローラ214及び/又はイメージセンサ218の機能に関連付けられた)のいずれかを実行するために、任意の数のプロセッサ及び/又はハードウェア記憶デバイスを備えてもよい。更に、場合によっては、システムは、焦点検出ユニット(focal detection unit、FDU)及び/又は信号処理技法(例えば、位相検出、コントラスト検出等)を利用して焦点位置を最適化するためのモジュール等の収差検出構成要素を備える。
【0035】
図2B及び図2Cを再び参照すると、場合によっては、対物レンズ202Aの補正カラーは、イメージングのために対物レンズ202Aをフォーカシングする前に調整される。例えば、図2Bは、イメージングに備えて対物レンズスライダ210を介して(例えば、コントローラ214を使用して)対物レンズ202Aをy方向に並進させた後の対物レンズの開始位置を表すことができる。次いで、Z駆動部220は、対物レンズ202Aをz方向に並進させて、対物レンズ202Aのギアリング206Aと調整機構108のウォームギア112とを係合させ得る。次いで、コントローラ214は、モータ110を動作させ、ウォームギア112及びギアリング206Aを回転させて、対物レンズ202Aの補正カラーに対する任意の所望の調整を実行することができる。調整は、イメージングされる試料を支持する容器(例えば、倒立顕微鏡の容器の底部)の厚さに適応するように行われてもよい。例えば、容器の厚さは、各容器の厚さに対して最適化された対応する補正カラー設定とともにデータ構造(例えば、テーブル)に記憶されてもよく、補正カラーは、データ構造に基づいて(可能な補間を用いて)調整されてもよい。その後、コントローラ214は、対物レンズ202Aを、イメージングのための所望のz高さ(又はzスタックを得るための複数のz高さ)まで、z方向に更に前進させてもよい。例えば、図2Dは、イメージングのために所望のz高さまでz方向にウォームギア112を越えて駆動される対物レンズ202Aを示す。このようにして、対物レンズ202Aに対する外力(例えば、ウォームギア112からの力)が、イメージング中に回避され得る。
【0036】
しかしながら、いくつかの実施形態では、調整機構108の少なくとも一部は、イメージングプロトコル(例えば、zスタックプロトコル)中に補正カラー調整を可能にするために、イメージング中に対物レンズ202Aのギアリング206Aと係合(又はほぼ係合)されたままであるように構成される。例えば、場合によっては、調整機構108の少なくとも一部は、イメージング中に補正カラー調整を可能にするために、対物レンズ202Aとともに(例えば、z駆動部を介して)z方向に並進するように構成される。いくつかの実施態様では、ギアリング206Aの高さは、ギアリング206Aが、イメージングのための対物レンズz高さの範囲にわたって調整機構108にアクセス可能(例えば、そのウォームギア112にアクセス可能)のままであることを可能にするように選択される。
【0037】
調整機構108がイメージング中に対物レンズ202Aの補正カラーを調整するように構成されるいくつかの実施態様では、調整機構108のモータの振動力がイメージング中に対物レンズ202Aを乱し、それによって画像品質に影響を及ぼすリスクがある。したがって、イメージング中にモータの振動力が対物レンズを乱すことを防止するために、調整機構108は、ギアリング206Aを調整した後に逆の工程を実行して、調整機構108をギアリング206Aとの接触から離すように構成又は制御され得る。
【0038】
例えば、システムは、ウォームギア112を第1の方向に回転させて、ウォームギア112のギア歯をギアリング206Aのギア歯に接触させてもよい。システムは、ウォームギア112を第1の方向に回転させ続けて、これに対応するようにギアリング206Aを回転させ、対物レンズ202Aの補正カラーに対する調整を容易にすることができる。調整後、システムは、ウォームギア112を(第1の方向と反対の)第2の方向に回転させて、ウォームギア112のギア歯をギアリング206Aのギア歯との接触から外す(ギア歯間の遊びを利用する)逆の工程を実行してもよい。ウォームギア112のギア歯とギアリング206Aとが上述のように逆の工程の後に係合解除されるとき、(i)調整機構108のモータからの振動が、対物レンズのギアリング206Aに到達することが防止され、(ii)ウォームギア112のギアリング206Aに対する位置決めの容易さはそのままで、後続する補正カラー調整を行うことができる。
【0039】
場合によっては、調整機構108を制御するコントローラ214は、焦点検出ユニット(FDU)(又は収差を検出するための他の構成要素)とともに動作して、FDUを介して提供されるデータ(例えば、試料窓の上部及び試料窓の底部の反射の適合ピーク位置などの、FDUのアレイ検出器の光学インターフェースの物理的情報)に基づいて補正カラー位置/設定を自動的に計算する。例えば、FDUは、試料のカバー基板に向かって(例えば、ガラスカバースリップの底側に向かって)光(例えば、コリメート光)を放出する光源(例えば、レーザ)を備えてもよい。FDUは、光源によって放出され、カバー基板によって反射された光を検出するように構成されたアレイ検出器を更に備えることができる。アレイ検出器は、カバー基板の第1の側(例えば、カバースリップの底面)から反射された光に関連する第1のピークと、カバー基板の第2の側(例えば、光がカバースリップの底部側を通過し、カバースリップ基板を透過した後のカバースリップの上面)から反射された光に関連する第2のピークとを検出することができる。第1のピークと第2のピークとの間のオフセットは、カバー基板の厚さを検出するために使用されてもよい。
【0040】
カバー基板の検出された厚さは、検出された厚さに関連する収差を補償するために、調整機構108に対物レンズの補正カラーを(例えば、ギアリングを介して)調整させるための入力として(例えば、自動的に)使用されてもよい。
【0041】
本明細書で説明される基本方式は、補正カラーを含む実質的に任意のタイプの顕微鏡対物レンズ(例えば、倒立顕微鏡又は正立顕微鏡)に適用することができる。
【0042】
図3図4図5A、及び図5Bは、補正カラー及びギアリングを含む対物レンズの例示的表現を表す図である。図3において、対物レンズ302は、対物レンズ302の補正カラー310に接続されたギアリング308とは別個のリング306に取り付けられた磁石304を含む。しかしながら、上述したように、磁石は、ギアリング308自体又は対物レンズ302の別個の部分に取り付けられてもよい。
【0043】
図4において、対物レンズ402は、約120~150°の調整範囲を有する補正カラー404を有する(例えば、Zeiss対物レンズの場合)。補正カラー404はまた、補正カラー404が適応するように構成され得る異なるカバーガラス厚さ(例えば、0.14mm~0.19mm)を示す数値インジケータ406を含む。図4に示される例では、対物レンズ402は、補正カラー404の数値インジケータ406を露出させる窓408を有するギアリング410を含む。そのような機能性は、ユーザが調整機構108の適切な動作及び/又は較正を確実にすることを可能にする。更に、図4の例では、ギアリング410は、窓408を含む領域内では歯が省略されている。
【0044】
図5Aは、本開示による、補正カラー及びギアリングを含む例示的な対物レンズ502を示す。図5Bは、図5Aに示される構成要素の分解図を提供する。図5Bの部品1は、ZEISS C-アポクロマート40x/1.2W Korr UV-VIS-IFを実装した例示的対物レンズである。図5Bの部品2は、C-APO 40x/1.2ギアを実装したギアである。図5Bの部品3はソケット磁石であり、部品4は磁石である。図5Bの部品5はねじ付きリングであり、部品6は回転可能な対物レンズポット/カップである。部品7は止めねじであり、部品8はOリングである。この実施形態の特定の形態は例示的なものであり、他の同様の部品が利用されてもよい。
【0045】
図5Bに示される構成要素は、有利なことに、対物レンズ補正カラーの電動調整のためのシステムにおいて、異なるタイプ及びモデルの対物レンズの使用を可能にする。例えば、対物レンズポット/カップ(部品6)への取り付けのためにねじ付きリング(部品5)を使用することにより、対物レンズをポット/カップに対して動作可能な位置まで回転させることが可能になる。そうしなければ、標準的な構成要素のねじ山は、完全に締め付けられたときに所望の動作可能な向きをもたらさない可能性がある。すなわち、ギアリング(部品2)は、調整機構と適切に連携するように配向される必要があるので、配向を調整する機能は、標準的な対物レンズ及び/又はポット/カップ構成要素を修正又は特注をせずとも、効果的な位置決めを提供する。
【0046】
図6図7図8、及び図9は、対物レンズ補正カラーの電動調整のためのシステムの動作に関連付けられたグラフィカルユーザインターフェースの例示的描写を図示する。本明細書で説明される技法は、1つ以上のプロセッサ、ハードウェア記憶デバイス、及び/又はコンテンツをユーザに提示し、ユーザ入力を受信するためのユーザインターフェースを含む、1つ以上のコンピュータシステムを実装し得る。1つ以上のコンピュータシステムは、ユーザが電動補正カラー機能を選択し、個々の対物レンズを較正することを可能にし得る。較正中、ユーザが他の顕微鏡アクションを行うことは防止できる(例えば、システムは、ユーザが較正中に他の機能にアクセスすることをブロックし得る)。
【0047】
図6は、補正カラー調整機構(例えば、調整機構108)を操作するための例示的なグラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)を示す。図6の要素1は、補正カラー調整機構を原点復帰位置に作動させる(例えば、補正カラーギアリングの磁石を補正カラー調整機構のホール効果センサと位置合わせさせる)ための選択可能な初期化ボタンである。原点復帰位置は、(例えば、モータステップ/作動と補正カラー設定との間の関係を確立するために)補正カラー調整システムの較正を容易にするための開始点を確立することができ、システムがハードウェアに関連付けられた機械的制限に適応することを可能にしてもよい。図6の要素2は、基板の厚さを示すユーザ入力を受け取るためのテキストボックスである。テキストボックスに加えて、又はそれに代えて、他の選択機能(例えば、ドロップダウンメニュー、選択可能な矢印、マウスホイール機能ダウンメニュー、選択可能な矢印、マウスホイール機能など)を実装することができる。
【0048】
図7は、補正カラー調整機構(例えば、調整機構108)を較正するためのグラフィカルユーザインターフェースを示す。対物レンズ補正カラーのスケーリングは、ウォームギア及びステッパモータギアの機能であってもよい。図7のGUIは、ウォームギア位置の物理的運動を表示することができる。選択されたスケーリング数からの較正は、(例えば、線形に)補間することができる。図7のGUIはまた、原点復帰位置がホール効果センサ及び磁石を介して検出されたかどうかを示し得る(例えば、「1」又は「0」を表示することによって)リミットスイッチモニタを示す。場合によっては、原点復帰位置が検出されない場合、ユーザは、対物レンズ(又はウォームギア112)のz高さを調整することを要求されるが、他の顕微鏡機能は無効にされる。
【0049】
図8は、異なるイメージング条件(例えば、異なる浸漬媒体)に対する種々の対物レンズに対して記憶され得る様々な較正設定及び/又はパラメータを示す。データの少なくとも一部は、焦点検出ユニット(FDU)データに基づいて取得され得る。
【0050】
図9は、zスタックプロトコル内で(調整機構108及びコントローラ214を介して)補正カラー調整を適応させることに関連付けられた様々なGUIを示す。いくつかの実施態様では、試験は、画像の強度を最適化するために様々な点で補正カラーを調整しながら(例えば、最適強度を提供する補正カラー値を記録しながら)、厚い試料を通して対物レンズを手動で駆動することによって実行される。次いで、補正カラー開始値が設定されてもよく、補正カラー移動プロトコルが、特定の補正カラー調整(例えば、負又は正の調整)を定義するために使用されてもよい(GUI902参照)。補正カラー調整は、次いで、(例えば、「実験後に開始位置に戻る」設定がチェックされていない状態で)部分的zスタックからプロトコルに組み込まれてもよく、補正カラー調整は、様々なz位置にわたって補正カラー設定を適合させるように実装される(GUI904及び906参照)。
【0051】
いくつかの実施態様では、補正カラー調整は、zスタックプロトコル自体に含まれる。例えば、ユーザが、(1)カラーステップサイズ、(2)カラーステップ間のzステップカウント(補間され得る)、及び(3)カラーステップの数(補間され得る)を修正することを可能にする機能が、提供され得る(GUI908参照)。
【0052】
対物レンズ補正カラーを用いたイメージングのための例示的な方法
ここで、以下の説明は、(例えば、コントローラ214、モータ110、イメージセンサ218、ウォームギア112、ホール効果センサ212、磁石、ギアリング、対物レンズ、対物レンズスライダ210などの、本明細書で説明される構成要素を含む1つ以上のシステムによって)実行され得るいくつかの方法及び方法動作に言及する。方法行為は、特定の順序で説明され、特定の順序で発生するようにフローチャートに図示されているが、ある行為は、その行為が実行される前に別の行為が完了することに依存するので、具体的に述べられるか又は必要とされない限り、特定の順序付けは必要とされない。本開示の特定の実施形態は、本明細書で説明される行為のうちの1つ以上を省略してもよいことを理解されたい。
【0053】
図10は、対物レンズ補正カラーの電動調整に関連する動作を示す例示的なフロー図1000を示す。フロー図1000に関連する動作は、図1A図9に関して上記で説明したシステム構成要素のうちの1つ以上を組み込み、かつ/又は利用することができる。したがって、以下の動作において列挙されるいくつかの要素には、例示目的のために、上記で説明された要素のための括弧内の参照が含まれる。
【0054】
フロー図1000の動作1002は、対物レンズ並進デバイス(例えば、対物レンズスライダ210、又は対物レンズタレット)を第1の位置に位置決めすることを含み、対物レンズ並進デバイスは、ギアリング(206A)と嵌合された補正カラーを有する対物レンズ(202A)を備える。フロー図1000の動作1004は、補正カラーを有する対物レンズ(202A)のタイプを識別することを含む。対物レンズの1つ以上の属性は、対物レンズの補正カラーに対する将来の調整のために取得/利用されてもよい。
【0055】
フロー図1000の動作1006は、z駆動部(例えば、Z駆動部220)に係合して、対物レンズ(202A)をz距離にわたって補正カラー調整位置まで移動させることを含み、ギアリング(206A)は、補正カラー調整位置において調整機構(108)の相補的ギア(例えば、ウォームギア112)と関連付けられる。いくつかの実施態様では、第1の位置と補正カラー調整位置との間のz距離は、対物レンズのタイプ(例えば、動作1004に従って上記で決定されたように)に基づく。
【0056】
フロー図1000の動作1008は、補正カラーを調整するために調整機構のモータに係合することを含む。いくつかの実施態様では、モータに係合することは、相補的ギアの運動を引き起こし、相補的ギアの運動は、補正カラーの周囲に嵌合されるギアリングに変換される。更に、いくつかの実施態様では、補正カラーを調整することは、補正カラーを調整する対物レンズによって生成される1つ以上の収差を補正する。更に、場合によっては、補正カラーが調整される程度は、対物レンズ及び/又は光がイメージング経路に沿って通過する媒体に関連付けられた特定のイメージングパラメータに依存する。
【0057】
更なるコンピュータシステムの詳細
開示される技法を実装するように構成されたシステムは、1つ以上のプロセッサ及び/又は1つ以上のハードウェア記憶デバイスなど、様々なハードウェア要素を含み得る。システムは、任意の数の追加又は代替の構成要素を含むことができ、様々な形態をとることができる。
【0058】
プロセッサは、コンピュータ可読命令(例えば、コンピュータプログラムを形成する命令)の実行を容易にするために、任意の数の論理ユニット、レジスタ、及び/又は制御ユニットを含む電子回路の1つ以上のセットを備え得る。そのようなコンピュータ可読命令は、コンピュータ可読ストレージ(例えば、ハードウェアストレージ)内に記憶され得る。ストレージは、物理システムメモリを含んでもよく、揮発性、不揮発性、又はそれらの何らかの組み合わせであってもよい。更に、ストレージは、ローカルストレージ、リモートストレージ(例えば、通信システムを介して、又は他の方法でアクセス可能)、又はそれらの何らかの組み合わせを備え得る。
【0059】
プロセッサは、コンピュータ可読ストレージ内に記憶された命令を実行して、迅速なゲノム配列分析を容易にすることに関連する特定のアクションを実行するように構成され得る。アクションは、揮発性又は不揮発性方式でコンピュータ可読ストレージ上に記憶されたデータに少なくとも部分的に依存し得る。
【0060】
場合によっては、アクションは、例えば、別個のシステム又はコンピューティングデバイス/ノード/クラスタ、センサ、及び/若しくは他のものを含み得る、1つ以上の遠隔システムからデータ及び/又は命令を受信するための1つ以上の通信システムに少なくとも部分的に依拠し得る。通信システムは、オンシステム構成要素/デバイス間及び/又はオフシステム構成要素/デバイスとの通信を容易にするように動作可能なソフトウェア構成要素又はハードウェア構成要素の任意の組み合わせを備え得る。例えば、通信システムは、他のデバイス/構成要素と通信するための構造体、ポート、バス、又は他の接続装置を備え得る。追加的に、又は代替的に、通信システムは、非限定的な例として、Bluetooth、超広帯域、Wi-Fi、WLAN、赤外線通信などの任意の好適な通信チャネルを通して、外部システム及び/又はデバイスと無線通信するように動作可能なシステム/構成要素を備えてもよい。
【0061】
開示される実施形態は、以下でより詳細に考察されるように、コンピュータハードウェアを含む、特殊目的又は汎用コンピュータを備え得るか、又は利用し得る。開示された実施形態はまた、コンピュータ実行可能命令及び/又はデータ構造を担持又は記憶するための物理的及び他のコンピュータ可読媒体を含み得る。そのようなコンピュータ可読媒体は、汎用又は特殊目的のコンピュータシステムによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体とすることができる。データの形態でコンピュータ実行可能命令を記憶するコンピュータ可読媒体は、1つ以上の「物理的コンピュータ記憶媒体」又は「ハードウェア記憶デバイス」である。コンピュータ実行可能命令を記憶せずに単にコンピュータ実行可能命令を伝送するコンピュータ可読媒体は、「伝送媒体」である。したがって、限定ではなく例として、現在の実施形態は、少なくとも2つの明確に異なる種類のコンピュータ可読媒体、すなわち、コンピュータ記憶媒体及び伝送媒体を備えることができる。
【0062】
コンピュータ記憶媒体(別名「ハードウェア記憶デバイス」)は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、RAMに基づくソリッドステートドライブ(「solid state drive、SSD」)、フラッシュメモリ、相変化メモリ(「phase-change
memory、PCM」)、若しくは他のタイプのメモリ、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、あるいは所望のプログラムコード手段をコンピュータ実行可能命令、データ、若しくはデータ構造の形態でハードウェアに記憶するために使用することができ、汎用又は専用コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体などのコンピュータ可読ハードウェア記憶デバイスである。
【0063】
「ネットワーク」は、コンピュータシステム及び/又はモジュール及び/又は他の電子デバイス間の電子データの転送を可能にする1つ以上のデータリンクとして定義される。情報がネットワーク又は別の通信接続(有線、無線、又は有線又は無線の組み合わせ)を介してコンピュータに転送又は提供されると、コンピュータはその接続を伝送媒体として適切に認識する。伝送媒体は、コンピュータ実行可能命令又はデータ構造の形態のプログラムコードを担持するために使用することができ、かつ汎用又は特殊目的のコンピュータによってアクセス可能なネットワーク及び/又はデータリンクを含み得る。上述の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるものとする。
【0064】
更に、様々なコンピュータシステム構成要素に到達すると、コンピュータ実行可能命令又はデータ構造の形式のプログラムコード手段を、伝送コンピュータ読取可能媒体から物理的コンピュータ読取可能記憶媒体に(又はその逆に)自動的に転送することができる。例えば、ネットワーク又はデータリンクを介して受信したコンピュータ実行可能命令又はデータ構造は、ネットワークインターフェースモジュール(例えば、「NIC」)内のRAMにバッファリングされ、最終的にコンピュータシステムRAM及び/又はコンピュータシステムのより揮発性の低いコンピュータ読取可能物理記憶媒体に転送される。したがって、コンピュータ読取可能物理記憶媒体は、伝送媒体も(又は主に)利用するコンピュータシステム構成要素に含まれ得る。
【0065】
コンピュータ実行可能命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は専用処理デバイスに特定の機能又は機能のグループを実行させる命令及びデータを含む。コンピュータ実行可能命令は、例えば、バイナリ、アセンブリ言語などの中間フォーマット命令、又はソースコードでさえあり得る。
【0066】
開示される実施形態は、クラウドコンピューティングを含むか、又は利用することができる。クラウドモデルは、様々な特性(例えば、オンデマンドセルフサービス、広域ネットワークアクセス、リソースプーリング、迅速な弾力性、測定されたサービスなど)、サービスモデル(例えば、サービスとしてのソフトウェア(「Software as a Service、SaaS」)、サービスとしてのプラットフォーム(「Platform as a Service、PaaS」)、サービスとしてのインフラストラクチャ(「Infrastructure as a Service、IaaS」)、及び展開モデル(例えば、プライベートクラウド、コミュニティクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドなど)から構成され得る。
【0067】
当業者は、本明細書に開示された実施形態が、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、メッセージプロセッサ、ハンドヘルドデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベース又はプログラム可能な家電機器、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、携帯電話、PDA、ページャ、ルータ、スイッチ、ウェアラブルデバイスなどを含む多くのタイプのコンピュータシステム構成を伴うネットワークコンピューティング環境において実施され得ることを理解するであろう。本明細書に開示された実施形態は、ネットワークを通して(有線データリンク、無線データリンク、又は有線データリンクと無線データリンクの組み合わせのいずれかによって)リンクされる複数のコンピュータシステム(例えば、ローカルシステム及びリモートシステム)がタスクを実行する分散型システム環境において実施され得る。分散型システム環境では、プログラムモジュールは、ローカル及び/又はリモートメモリ記憶デバイスにおいて位置し得る。
【0068】
代替的、又は追加的に、本明細書で説明される機能は、少なくとも部分的に、1つ以上のハードウェア論理構成要素によって実行され得る。例えば、限定はしないが、使用することができる例示的なタイプのハードウェア論理構成要素は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-programmable Gate Array、FPGA)、プログラム固有集積回路(Program-specific Integrated Circuit、ASIC)、特定用途向け標準製品(Application-specific Standard Product、ASSP)、システムオンチップシステム(System-on-a-chip system、SOC)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device、CPLD)、中央処理装置(central processing unit、CPU)、グラフィックス処理装置(graphics
processing unit、GPU)、及び/又は他のものを含む。
【0069】
本明細書で使用されるように、用語「実行可能モジュール」、「実行可能コンポーネント」、「コンポーネント」、「モジュール」、又は「エンジン」は、ハードウェア処理ユニット、又は1つ以上のコンピュータシステム上で実行され得るソフトウェアオブジェクト、ルーチン、若しくは方法を指すことができる。本明細書で説明される異なるコンポーネント、モジュール、エンジン、及びサービスは、1つ以上のコンピュータシステム上で実行されるオブジェクト又はプロセッサとして(例えば、別個のスレッドとして)実装され得る。
【0070】
いくつかの実施態様では、本開示のシステムは、機械学習モデル又は他の人工知能ベースの構造/アーキテクチャを使用して処理を容易にするように動作可能なソフトウェア及び/又はハードウェア構成要素の任意の組み合わせを備えるか、又は実行するように構成可能であり得る。例えば、1つ以上のプロセッサは、非限定的な例として、単層ニューラルネットワーク、フィードフォワードニューラルネットワーク、放射基底関数ネットワーク、ディープフィードフォワードネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、長期短期記憶(long-short term memory、LSTM)ネットワーク、ゲーテッドリカレントユニット、オートエンコーダニューラルネットワーク、変分オートエンコーダ、デノイジングオートエンコーダ、スパースオートエンコーダ、マルコフ連鎖、ホップフィールドニューラルネットワーク、ボルツマンマシンネットワーク、制限ボルツマンマシンネットワーク、深層信念ネットワーク、深層畳み込みネットワーク(又は畳み込みニューラルネットワーク)、デコンボリューションニューラルネットワーク、深層畳み込み逆グラフィックスネットワーク、生成敵対ネットワーク、液体状態機械、極限学習機械、エコー状態ネットワーク、深層残差ネットワーク、コホーネンネットワーク、サポートベクターマシン、ニューラルチューリングマシンなどの形態で構成された機能ブロック及び/又は処理層を実行するように動作可能なハードウェアコンポーネント及び/又はコンピュータ実行可能命令を含み、かつ/又は利用し得る。
【0071】
関連技術に熟練しかつ本開示を所有する者に生じる、本明細書に例示される発明の特徴の様々な改変及び/又は変更、及び本明細書に示される原理の追加の用途は、特許請求の範囲によって定義される本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、実施形態に対してなすことができ、本開示の範囲内であるとみなされるべきである。したがって、様々な態様及び実施形態が本明細書に開示されているが、他の態様及び実施形態が企図されている。本明細書に記載されたものと類似又は等価な多数の方法及び構成要素を本開示の特定の実施形態に使用し得るが、特定の材料及び方法のみが本明細書に記載される。
【0072】
本開示の特定の実施形態による、システム、デバイス、製品、キット、方法、及び/又はプロセスは、本明細書に開示及び/又は記載されている他の実施形態に記載されている特性、特徴(例えば、構成要素、部材、要素、部品、及び/又は部分)を含む、組み込む、又は他の方法で含むことができることも理解されよう。したがって、特定の実施形態の様々な特徴は、本開示の他の実施形態と互換性があり、組み合わされ、含まれ、及び/又は組み込まれ得る。したがって、本開示の特定の実施形態に関連する特定の特徴の開示は、特定の実施形態に対する当該特徴の適用又は包含を制限するものとして解釈されるべきではない。むしろ、他の実施形態は、必ずしも本開示の範囲から逸脱することなく、当該特徴、部材、要素、部品、及び/又は部分を含み得ることが理解されよう。
【0073】
更に、ある特徴が、それと組み合わせて別の特徴を必要とするものとして説明されない限り、本明細書の任意の特徴は、本明細書に開示される同じ又は異なる実施形態の他の任意の特徴と組み合わせることができる。更に、例示的なシステム、方法、装置などの様々な周知の態様は、例示的な実施形態の態様が曖昧になることを回避するために、本明細書では特に詳細に説明されていない。しかしながら、そのような態様は、本明細書でも企図されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】