(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】スクリューコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
F04C 18/18 20060101AFI20240703BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
F04C18/18 Z
F04C29/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579277
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 EP2022000056
(87)【国際公開番号】W WO2022268356
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】102021003198.9
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523480303
【氏名又は名称】ジーイーエー レフリジェレーション ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100216736
【氏名又は名称】竹井 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100202706
【氏名又は名称】長野 克彦
(72)【発明者】
【氏名】ロッシュ ステファン
(72)【発明者】
【氏名】フレドリッヒ オーレ
(72)【発明者】
【氏名】レンワンツ ウィンフリード
(72)【発明者】
【氏名】ラムシュ クリスチャン
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA03
3H129AA17
3H129AB05
3H129BB44
3H129CC05
3H129CC12
3H129CC16
3H129CC17
(57)【要約】
吸入ガス入口と、スクリューロータと、圧力ガス出口と、イコライジングピストンを有するハウジングと、を備えたスクリューコンプレッサであって、
イコライジングピストンは、イコライジングピストン中心軸を有しており、該イコライジングピストン中心軸に沿って可動し、スクリューロータにアキシャル方向に作用する力に対抗する力を発生するように設計されており、
イコライジングピストンは、少なくとも、第1のイコライジングピストン部と、第2のイコライジングピストン部と、を有し、
第1のイコライジングピストン部は第1の作用面を有し、
第1の作用面は第1の弁を介して選択的に圧力下のオイルで加圧され、
第2のイコライジングピストン部は第2の作用面を有し、
第2の作用面は第2の弁を介して選択的に圧力下のオイルで加圧される、スクリューコンプレッサ。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの吸入ガス入口(12)と、アキシャル方向に沿って延びるスクリューロータ中心軸を有する少なくとも1つのスクリューロータ(14)と、少なくとも1つの圧力ガス出口(16)と、スクリューコンプレッサ(10)を少なくとも部分的に囲み、イコライジングピストン(28)を有するハウジング(22)と、を備えたスクリューコンプレッサ(10)であって、
前記イコライジングピストン(28)は、イコライジングピストン中心軸を有しており、該イコライジングピストン中心軸に沿って可動し、前記スクリューロータ(14)にアキシャル方向に作用する力に対抗する力を発生するように設計されており、
イコライジングピストン(28)は、少なくとも、第1のイコライジングピストン部(28a)と、第2のイコライジングピストン部(28b)と、を有し、
第1のイコライジングピストン部(28a)は第1の作用面(29a)を有し、
前記第1の作用面(29a)は第1の弁(60、74)を介して選択的に圧力下のオイルで加圧され、
第2のイコライジングピストン部(28b)は第2の作用面(29b)を有し、
前記第2の作用面(29b)は第2の弁(62、74)を介して選択的に圧力下のオイルで加圧される、
スクリューコンプレッサ。
【請求項2】
前記イコライジングピストン(28)はアキシャル方向に延びており、
前記第1のイコライジングピストン部(28a)と、前記第2のイコライジングピストン部(28b)と、はアキシャル方向に連続して配置されており、
前記第1のイコライジングピストン部(28a)はラジアル方向に直径d1を有する円形の外周を有し、
前記第2のイコライジングピストン部(28b)はラジアル方向に直径d2を有する円形の外周を有し、
dlはd2よりも小さい、
請求項1に記載のスクリューコンプレッサ。
【請求項3】
前記イコライジングピストン(28)は、前記スクリューコンプレッサ(10)の前記ハウジング(22)内に少なくとも部分的に配置され、前記ハウジング内に凹部として形成されるイコライジングピストンブッシュ(30)内に取り付けられている、
請求項1に記載のスクリューコンプレッサ。
【請求項4】
片側ラビリンスシールが、少なくとも1つの前記イコライジングピストン部(28a、28b)と、前記イコライジングピストンブッシュ(30)と、の間に配置されている、
請求項3に記載のスクリューコンプレッサ。
【請求項5】
ラジアルシャフトシール又はリップシールとしての接触シールが、少なくとも1つの前記イコライジングピストン部(28a、28b)と、前記イコライジングピストンブッシュ(30)と、の間に配置されている、
請求項3に記載のスクリューコンプレッサ。
【請求項6】
前記スクリューコンプレッサ(10)は、電子制御システム(58)を有し、
前記電子制御システムは、圧力下のオイルを、前記第1の作用面(29a)及び/又は前記第2の作用面(29b)に選択的に導入するように設計されている、
請求項1に記載のスクリューコンプレッサ。
【請求項7】
前記第1の作用面(29a)は、円環状であり、第1の作用面の内径d1i及び第1の作用面の外径d1を有し、
前記第2の作用面(29b)は、円環状であり、第2の作用面の内径d2i及び第2の作用面の外径d2を有する、
請求項1に記載のスクリューコンプレッサ。
【請求項8】
d1i<d1=d2i<d2の関係が成り立つ、
請求項7に記載のスクリューコンプレッサ。
【請求項9】
前記スクリューコンプレッサ(10)は、該スクリューコンプレッサ(10)の出力を制御するために、スライドガイド凹部(76)内に往復移動可能なように配置された制御スライド(26)を有し、
前記制御スライド(26)は、圧力下のオイルを前記第1の作用面(29a)及び/又は前記第2の作用面(29b)に選択的に導入させるように設計されている、
請求項1に記載のスクリューコンプレッサ。
【請求項10】
1つ以上の方向制御弁作動要素(70、72)が前記スライドガイド凹部(76)内に少なくとも部分的に一体化されており、
前記方向制御弁作動要素(70、72)は、それぞれ関連する方向制御弁(60、62)を開閉することにより、圧力下のオイルを前記第1の作用面(29a)及び/又は前記第2の作用面(29b)に選択的に導入するように設計されている、
請求項9に記載のスクリューコンプレッサ。
【請求項11】
1つ以上の前記方向制御弁作動要素(70、72)は、機械的に作動可能であり、前記制御スライド(26)の前記スライドガイド凹部(76)内に少なくとも部分的に延在し、前記制御スライド(26)によって作動可能である、
請求項10に記載のスクリューコンプレッサ。
【請求項12】
1つ以上のオイルライン凹部(80,82)が前記スライドガイド凹部(76)に開口しており、
前記オイルライン凹部(80,82)が、前記第1の作用面(29a)及び/又は前記第2の作用面(29b)に圧力下のオイルを選択的に導入するように設計されており、
前記制御スライド(26)は、凹部(78)を有し、前記スライドガイド凹部(76)内において、前記制御スライド(26)が全ての前記オイルライン凹部(80、82)を閉鎖する位置、少なくとも1つの前記オイルライン凹部(80、82)が前記制御スライド(26)の前記凹部(78)内に開口する位置、又は全ての前記オイルライン凹部(80、82)が前記制御スライド(26)の前記凹部(78)内に開口する位置、に往復移動可能に配置される、
請求項9に記載のスクリューコンプレッサ。
【請求項13】
前記第1の作用面(29a)を加圧するオイルと、前記第2の作用面(29b)を加圧するオイルとは、前記スクリューコンプレッサ(10)の運転中において、略同一の圧力を有する、
請求項1に記載のスクリューコンプレッサ。
【請求項14】
前記第1の作用面(29a)と、前記第2の作用面(29b)と、が異なる大きさを有する、
請求項1に記載のスクリューコンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲における請求項1の前文によるスクリューコンプレッサに関する。
【背景技術】
【0002】
スクリューコンプレッサにおいて、ガスは吸入側に配置された吸入接続部から吸入され、少なくとも1つのスクリューロータ(特定の実施形態においては2つのスクリューロータ)によって排出側(すなわち圧力側)に配置されたガス排出口の方向に輸送され、これによりガスはより高い圧力に圧縮される。
【0003】
以下、スクリューロータを単に「ロータ」とする場合がある。
【0004】
ロータの吸入側のガスとロータの圧力側の高圧との圧力差により、ロータを吸入側に向かって押すアキシャル方向の力が発生する。
ロータは、吸入側と圧力側にあるラジアルベアリングと、アキシャルベアリングによって支えられている。
通常、アキシャルベアリングはローリングベアリングとして設計される。
【0005】
典型的な動作例として、アキシャル方向の力が上記のように作用し、ロータを吸入側に押す。
このアキシャル方向の力は、直接互いに対向している、通常1つ以上の深溝玉ベアリング又はアンギュラ玉ベアリング、であるアキシャルベアリングによって直接吸収され、スクリューコンプレッサを囲むハウジングを通して放散される。
特に、圧縮の結果、吸入側と圧力側で高い圧力差が生じた場合、発生する力が非常に大きくなり、アキシャルベアリングに過負荷となる、又は寿命が望ましくないほど短くなるおそれがある。
【0006】
スクリューコンプレッサは通常、例えばDD 108 797 Alに記載されているようなオイルシステムを備えており、ベアリングの潤滑、スクリューコンプレッサの動力制御用の制御スライドの動作、及びその他の作業のためにオイルを供給する。
このオイルの圧力は通常、圧力側のガス出口の最終圧力とほぼ同じか、オイルポンプを使用する場合はさらに高くなる。
【0007】
スクリューコンプレッサは、さらに、しばしばDD 80 961 AlやDE 10 2009 038 937 Alに記述されているようなイコライジングピストンを備えている。
【0008】
しばしば、上記の文献で詳述されているように、このイコライジングピストンは圧力側に配置されている。
イコライジングピストンはスクリューロータの軸に取り付けられており、ラビリンスシールを用いてハウジングにシールされている。
圧力をかけられたオイルがイコライジングピストンの隣のスペースに導入されるため、オイルの圧力によって圧力側に向かう力が生じる。この力は、スクリューロータによって発生する吸入側に向かうガスの力から生じるロータのアキシャル方向の力に対抗するため、アキシャルベアリングが吸収すべき負荷は減少する。
【0009】
特定の運転条件下では、イコライジングピストンによって生じる圧力側へのアキシャル方向の力が、吸入側へのガスの力から生じるロータのアキシャル方向の力よりも大きくなる場合がある。
この場合、ロータは圧力側に向かって動く、これを「アキシャルスラスト反転」とよぶ。
【0010】
これは、減少した出力容量で、部分負荷でコンプレッサを運転するために、制御スライドバルブを圧力側に移動させることで起こり得る。これにより、吸入側へのバイパスが形成され、吸入圧力が増加する。
吸入側のガス入口で吸い込まれるガスの圧力が、圧力側のガス出口でのガスの圧力に比べて相対的に高い場合には、全負荷時においてアキシャルスラスト反転が起こり得る。
【0011】
アキシャルスラスト反転において、アキシャルベアリングもアキシャル力を吸収しなければならない。そうでないと、ロータが圧力側に移動し、ハウジングに衝突するおそれがある。
【0012】
スクリューコンプレッサが通常の場合では、アキシャルベアリングは、力の方向、つまり圧力側に向かって皿ばねによって支えられている。
これらの弾性の皿ばねはアキシャルベアリングに遊びなく確実に予圧を与え、個々の部品の比較的大きな寸法公差を許容する。また、個々の構成部品、例えばローリングベアリングは、メンテナンス作業中に非常に簡単に交換できる。
【0013】
皿ばねの力は、アキシャルスラスト反転時に発生可能な最大力より大きくなるように設定されるべきである。
【0014】
しかしながら、皿ばねの力が大きいと、ガスによる力に加えてアキシャルベアリングにも予圧がかかるため、アキシャルベアリングの期待寿命値は、同様サイズのベアリングが最適な予圧で使用された場合における値の数分の1程度に減少するおそれがあるという欠点がある。
【発明の概要】
【0015】
本発明の課題は、アキシャルベアリングによって受けるべきアキシャル力を低減することができるが、同時に、起こり得る運転条件又は負荷条件下においてアキシャルスラスト反転が発生しないようにするか、又は、少なくとも、発生するアキシャル力を許容可能な値まで低減できる、スクリューコンプレッサを提供することである。
【0016】
当該課題は特許請求の範囲における請求項1に記載のスクリューコンプレッサによって解決される。
本発明の課題は、少なくとも1つの吸入ガス入口と、アキシャル方向に沿って延びるスクリューロータ中心軸を有する少なくとも1つのスクリューロータと、少なくとも1つの圧力ガス出口と、スクリューコンプレッサを少なくとも部分的に囲み、イコライジングピストンを有するハウジングと、を備えたスクリューコンプレッサであって、
イコライジングピストンは、イコライジングピストン中心軸を有しており、該イコライジングピストン中心軸に沿って可動し、スクリューロータにアキシャル方向に作用する力に対抗する力を発生するように設計されており、
イコライジングピストンは、少なくとも、第1のイコライジングピストン部と、第2のイコライジングピストン部と、を有し、
第1のイコライジングピストン部は第1の作用面を有し、
第1の作用面は第1の弁を介して選択的に圧力下のオイルで加圧され、
第2のイコライジングピストン部は第2の作用面を有し、
第2の作用面は第2の弁を介して選択的に圧力下のオイルで加圧される、
スクリューコンプレッサ、により解決される。
第1の作用面と、第2の作用面と、が異なる大きさを有していてもよい。
【0017】
つまり、第1の作用面、第2の作用面若しくは両方の作用面をオイルにより加圧すること、又はいずれの作用面にも圧力を印加しないことにより、4つの段階の力うちのいずれかで所望の反力を生成できる。
これにより、アキシャルベアリングによって吸収されるアキシャル方向の力が低減され、コンプレッサの運転時又は負荷状態において、通常はアキシャルスラスト反転が発生しないか、又は発生するアキシャル方向の力が少なくとも許容可能値まで低減される。
【0018】
実施形態の1つとして、イコライジングピストンはアキシャル方向に延びており、
第1のイコライジングピストン部と、第2のイコライジングピストン部と、はアキシャル方向に連続して配置されており、
第1のイコライジングピストン部はラジアル方向に直径d1を有する円形の外周を有し、
第2のイコライジングピストン部はラジアル方向に直径d2を有する円形の外周を有し、
dlはd2よりも小さい。
【0019】
イコライジングピストンは、スクリューコンプレッサのハウジング内に少なくとも部分的に配置され、ハウジング内に凹部として形成されるイコライジングピストンブッシュ内に取り付けられていてもよい。
【0020】
実施形態の1つとして、片側ラビリンスシールが、少なくとも1つのイコライジングピストン部と、イコライジングピストンブッシュと、の間に配置されている。
ラジアルシャフトシール又はリップシールとしての接触シールが、少なくとも1つのイコライジングピストン部と、イコライジングピストンブッシュと、の間に配置されていてもよい。
【0021】
スクリューコンプレッサは、電子制御システムを有し、
電子制御システムは、圧力下のオイルを、第1の作用面及び/又は第2の作用面に選択的に導入するように設計されていてもよい。
【0022】
さらに、第1の作用面は、円環状であり、第1の作用面の内径d1i及び第1の作用面の外径d1を有し、
第2の作用面は、円環状であり、第2の作用面の内径d2i及び第2の作用面の外径d2を有していてもよい。これにより、d1i<d1=d2i<d2の関係が成り立つ。
【0023】
スクリューコンプレッサは、該スクリューコンプレッサの出力を制御するために、スライドガイド凹部内に往復移動可能なように配置された制御スライドを有し、
制御スライドは、圧力下のオイルを第1の作用面及び/又は第2の作用面に選択的に導入させるように設計されていてもよい。
【0024】
1つ以上の方向制御弁作動要素がスライドガイド凹部内に少なくとも部分的に一体化されており、
方向制御弁作動要素は、それぞれ関連する方向制御弁を開閉することにより、圧力下のオイルを第1の作用面及び/又は第2の作用面に選択的に導入するように設計されていてもよい。
【0025】
1つ以上の方向制御弁作動要素は、機械的に作動可能であり、制御スライドのスライドガイド凹部内に少なくとも部分的に延在し、制御スライドによって作動可能であってもよい。
【0026】
1つ以上のオイルライン凹部がスライドガイド凹部に開口しており、
オイルライン凹部が、第1の作用面及び/又は第2の作用面に圧力下のオイルを選択的に導入するように設計されており、
制御スライドは、凹部を有し、スライドガイド凹部内において、制御スライドが全てのオイルライン凹部を閉鎖する位置、少なくとも1つのオイルライン凹部が制御スライドの凹部内に開口する位置、又は全てのオイルライン凹部が制御スライドの凹部内に開口する位置、に往復移動可能に配置されていてもよい。
【0027】
第1の作用面を加圧するオイルと、第2の作用面を加圧するオイルとは、スクリューコンプレッサの運転中において、略同一の圧力を有していてもよい。
【0028】
記載されたそれぞれの特徴は、単独で、又は任意の組み合わせで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下、図面を参照し、具体的な実施形態に基づいて本発明を説明する。
本発明のさらなる任意の特徴は、以下の図の説明にも示されている。
【
図1】本発明のスクリューコンプレッサの一実施形態を示す断面図である。
【
図2】特にイコライジングピストンを示す、
図1における右上領域の拡大図である。
【
図3】イコライジングピストンの圧力を制御又は調整するための詳細な構成図である。
【
図4】イコライジングピストンの圧力を制御又は調整するための詳細な代替構成図である。
【
図5】全負荷ポジションにある
図1のコンプレッサの出力制御用の制御スライドの詳細図である。
【
図6】部分負荷ポジションにある
図1のコンプレッサの出力制御用の制御スライドの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明によるスクリューコンプレッサ10の一実施形態の断面図が
図1に示されている。
スクリューコンプレッサ10では、ガスは吸入ガス入口12(吸入接続部、吸入側ガス入口)から吸入され、スクリューロータ14によって圧力ガス出口16(圧力側ガス出口)の方向に輸送されることによってガスはより高い圧力に圧縮される。
【0031】
スクリューロータ14は、摩擦接合されたシャフト13を介して、駆動装置(図示せず)例えばモーター、特に電気モーターによって回転駆動される。
シャフト13は中心軸を有する。
スクリューロータ14は、アキシャル方向に延びるスクリューロータ中心軸を有する。
【0032】
ガスの吸入側の圧力(スクリューロータ14の吸入側、すなわち吸入ガス入口12又はその周囲における圧力)と、より高い圧力側の圧力(スクリューロータ14の圧力側、すなわち圧力ガス出口16又はその周囲における圧力)との間の圧力差は、スクリューロータ14を、吸入ガス入口12の方向(吸入側)に向かって押すアキシャル方向の力が発生する。
この方向は矢印Aで示され、以下では単に方向Aとする場合がある。
【0033】
シャフト13ひいてはスクリューロータ14は、スクリューコンプレッサ10を囲むハウジング22内で、吸入側では第1のラジアルベアリング18によって、圧力側では第2のラジアルベアリング20によって支持されている。
【0034】
さらに、スクリューロータ14は、ハウジング22内の圧力側においてアキシャルベアリング24によっても支持されている。
【0035】
本実施形態では、アキシャルベアリング24は転がりベアリングとして設計されており、より正確には、互いに向きを変えた複数のアンギュラ玉ベアリングの形態となっている。
【0036】
他の実施形態では、アキシャルベアリング24として、一つ以上の深溝玉ベアリング又はアンギュラ玉ベアリング(又はそれらの組み合わせ、特に互いに向かい合っている)だけでなく、滑りベアリングでもあってもよい。
【0037】
スクリューコンプレッサ10の運転時には、スクリューロータ14をA方向に押すアキシャル力が作用する。
このアキシャル力は、アキシャルベアリング24によって直接吸収され、ハウジング22を介して放散される。
【0038】
また、スクリューコンプレッサ10は、ラジアルベアリング18、20及びアキシャルベアリング24の潤滑、スクリューコンプレッサ10の動力制御用の制御スライド26の動作、及びその他の作業のためのオイルを供給するオイルシステムを備えている。
【0039】
オイルの圧力は、通常、圧力ガス出口16での圧縮ガスの最終圧力とほぼ同じくらい高圧である。
【0040】
スクリューコンプレッサ10がオイルポンプを有する他の実施形態では、オイルの圧力はより高くなる可能性もある。
【0041】
また、スクリューコンプレッサ10は、ハウジング22内の対応する凹部32に配置されたイコライジングピストンブッシュ30内において、スクリューコンプレッサ10の圧力側に配置されたイコライジングピストン28を有する。
【0042】
イコライジングピストン28は、イコライジングピストン中心軸を有している。該イコライジングピストン28は、イコライジングピストン中心軸に沿って可動し、スクリューロータ14によって生じるアキシャル方向の力に対抗する力を生成するように設計されている。
【0043】
イコライジングピストン28は、スクリューロータ14のシャフト13に取り付けられており、より正確には、シャフト13に強制嵌合式に接続されている。
【0044】
イコライジングピストン28はアキシャル方向に延び、アキシャル方向から見て、ラジアル方向に延びる第1の外径d1を有する第1のイコライジングピストン部28aと、ラジアル方向に延びる第2の外径d2を有する第2のイコライジングピストン部28bとを有し、d1はd2よりも小さい。
【0045】
第1のイコライジングピストン部28aと第2のイコライジングピストン部28bは、アキシャル方向に連続して配置されている。
【0046】
第1のイコライジングピストン部28aは、圧力下のオイルで選択的に加圧され得る第1の作用面29aを有し(これに関する設計の詳細についてのより正確な説明は後述する)、第2のイコライジングピストン部28bは、圧力下のオイルで選択的に加圧され得る第2の作用面29bを有する(これに関する設計の詳細についてのより正確な説明も後述する)。
第1の作用面29aと、第2の作用面29bと、の大きさは異なる。
【0047】
第1の作用面、第2の作用面若しくは両方の作用面をオイルにより加圧すること、又はいずれの作用面にも圧力を印加しないことにより、4つの段階の力うちのいずれかで所望の反力を生成できる。
【0048】
他の実施形態では、第1の作用面29aと、第2の作用面29bと、が同じ大きさ、すなわち同じ表面積を有することも考えられる。
【0049】
第1の作用面29aは円環状に形成され、第1の作用面の内径d1i及び第1の作用面の外径d1を有している。
第2の作用面29bは円環状に形成され、第2の作用面の内径d2i及び第2の作用面の外径d2を有している。
この場合、次の関係が成り立つ、d1i < d1 = d2i < d2。
【0050】
イコライジングピストンブッシュ30は、アキシャル方向から見て、第1の内径d1*を有する第1のイコライジングピストンブッシュ部30aと、第2の内径d2*を有する第2のイコライジングピストンブッシュ部30bとを有する。
【0051】
なお、外径d1は第1のイコライジングピストン部28aの最も広い又は最大のラジアル方向範囲を示し、外径d2は第2のイコライジングピストン部28bの最も広い又は最大のラジアル方向範囲を示す。
【0052】
第1のイコライジングピストンブッシュ部30aは第1のイコライジングピストン部28aを受けるために設けられ、第2のイコライジングピストンブッシュ部30bは第2のイコライジングピストン部28bを受けるために設けられる。
【0053】
直径d1とd1*とは、その間に第1の隙間(ラジアル方向)が形成されるように設計されている。言い換えれば、d1*はd1よりも第1の(ラジアル方向の)隙間の分だけ大きい。直径d2とd2*とは、その間に第2の隙間(ラジアル方向)が形成されるように設計されている。言い換えれば、d2*は、第2の(ラジアル方向の)隙間の分だけd2よりも大きい。本実施形態では、ラジアル方向の隙間幅又は隙間寸法は、第1の隙間と第2の隙間の両方について、すなわち直径d1とd1*、及び直径d2とd2*について、約200pmである(すなわち、隙間寸法の製造時及び測定時の通常の公差内で200pmである)。数学的な用語では、これは次の関係になる。d1*=d1+200pm及びd2*=d2+200pm。
【0054】
第1の隙間シール32は第1のイコライジングピストン部28aと第1のイコライジングピストンブッシュ部30aとの間に形成又は配置され、第2の隙間シール34は第2のイコライジングピストン部28bと第2のイコライジングピストンブッシュ部30bとの間に形成又は配置される。
【0055】
第1の隙間シール32と第2の隙間シール34は、それぞれ片側がラビリンスシールとして設計されている。
【0056】
このため、第1のイコライジングピストン部28a及び第2のイコライジングピストン部28bにおけるラジアル方向外側の側面に溝状の凹部が形成され、第1のイコライジングピストン部28aと第1のイコライジングピストンブッシュ部30aとの間に第1のラビリンスシール32が形成又は配置され、第2のイコライジングピストン部28bと第2のイコライジングピストンブッシュ部30bとの間に第2のラビリンスシール34が形成又は配置される。
【0057】
他の実施形態では、50pmから400pm、特に100pmから300pm、さらに、特に150pmから250pmの隙間寸法であってもよい。
直径d1、d1*、d2、d2*、及び隙間寸法はすべてラジアル方向に延びている。
【0058】
片側ラビリンスシールに代わるものとして、単純な隙間シール(特に隙間寸法が小さい場合)又は両側ラビリンスシール、さらには接触シール、例えばラジアルシャフトシール、リップシールなどであってもよい。
【0059】
スクリューコンプレッサ10は、第1のイコライジングピストン部28aに関連する第1のオイル供給部又は第1のオイル接続部36と、第2のイコライジングピストン部28bに関連する第2のオイル供給部又は第2のオイル接続部38とをさらに備える。
【0060】
圧力下のオイルは、第1のオイル接続部36を介して、第1のイコライジングピストン部28aと第1のイコライジングピストンブッシュ部30aとによって少なくとも部分的に囲まれた第1の空間40に供給されてもよい。圧力下のオイルはさらに、第2のオイル接続部38を介して、第2のイコライジングピストン部28bと第2のイコライジングピストンブッシュ部30bとによって少なくとも部分的に囲まれた第2の空間42に供給されてもよい。圧力下のオイルを第1の空間40及び/又は第2の空間42に供給することで、オイルの圧力により圧力側方向の力が発生し、この力は、吸入側方向のガスの力によって発生するスクリューロータ14のアキシャル方向の力に対抗する。従って、アキシャルベアリング24によって吸収されるべき荷重を減少させる。
【0061】
アキシャルベアリング24は、圧力側に向かう力に対抗するための皿ばね44によって支持されている。
アキシャルベアリング24は、皿ばね44によって遊びなく確実に予圧されているため、個々の構成部品の寸法公差が比較的大きくても許容され、個々の構成部品、例えばローリングベアリングは、メンテナンス作業中に非常に簡単に交換できる。
皿ばね44の力は、イコライジングピストンの形状、及び選択的な加圧が可能な構成(異なる直径のピストンを2つのオイル接続部を介して加圧できる構成)により、技術水準よりも低く設計することもできる。これに関する構造及びその作用の詳細は後述する。
【0062】
上記に述べたように、本発明のスクリューコンプレッサ10は、
図2に示されているように、ラジアル方向の直径が異なる2つの部分28a、28bを有するイコライジングピストン28(段階的イコライジングピストン)を備えている。
第1のイコライジングピストン部28aには、第1のオイル接続部36を介して圧力下のオイルを供給できる。第2のイコライジングピストン部28bには、第2のオイル接続部38を介して圧力下のオイルを供給できる。圧力下のオイルは、特に、ラジアル方向に延びる、吸入側に面する面に圧力を加え、B方向(圧力側)の方向に力を与える。この目的のために対応する弁を備えた2つのオイル接続部36及び38のオンオフ又は開閉を切り替えることにより、段階的イコライジングピストン28によって発生する力を必要に応じて4段階に調整できる。
【0063】
上述したように、スクリューロータ14にかかるガス圧力は、圧縮の前後でアキシャル方向の力を生じさせ(アキシャル方向に作用する力を発生させ)、すなわちこの力は吸入側の方向に作用する。
このアキシャル方向の力は、イコライジングピストンブッシュ30を介してアキシャルベアリング24に伝達され、皿ばね44を介してハウジング22に伝達される。
【0064】
最終圧力とほぼ同じ圧力を有するオイルは、第1のオイル接続部36及び/又は第2のオイル接続部38を介して、スクリューコンプレッサ10のそれぞれに関連し、それらと接続された空間40及び42に導入され、イコライジングピストン28に圧力側の方向に作用する力を生じさせる。
【0065】
この力は、イコライジングピストン28からアキシャルベアリング24の内輪46に、そして転動体48を介して外輪50に伝達される。外輪50を押し付ける皿ばね44はハウジング22のカバー52に支持されている。上述したように、イコライジングピストン28は2つの異なる直径で段階的になっている。直径はラビリンスのように設計されているのが好ましい。これに対応して、イコライジングピストンブッシュ30は、イコライジングピストン28から接触しない最小限の距離を有する少なくとも2つの直径を有する。これにより、シール効果が生じ、第1のイコライジングピストン部28a及び/又は第2のイコライジングピストン部28bの前又は上に、オイル圧を形成でき、空間内に流れるオイルの損失を比較的少量に抑えることができる。
このオイルの流れとして、アキシャルベアリング24を通り、潤滑し、オイル接続部54から再び取り出すことができる。
【0066】
イコライジングピストン28の直径を段階的に変化させることによって、すなわち、異なるラジアル方向の直径の第1のイコライジングピストン部28a及び第2のイコライジングピストン部28bを有するイコライジングピストン28とすることによって、圧力側に向けられた所望の力を数段階に分けて発生させることができる。
【0067】
これについて以下で詳しく説明する。
第0段階では、いずれのオイル接続部にもオイルが供給されず、すなわち第1の作用面29aも第2の作用面29bも加圧されない。
【0068】
第1段階では、第1のオイル接続部36にオイルが供給され、その圧力は通常、圧縮の最終圧力にほぼ対応しており、少なくとも圧縮の吸入側圧力よりかなり高い。
【0069】
第2のオイル接続部38へのオイル供給は遮断されたままか、別の実施形態では低圧領域に接続される。
【0070】
従って、オイル圧、より正確には、通常圧縮の最終圧力にほぼ対応するオイルの圧力は、イコライジングピストン28の小径の部分、すなわち第1のイコライジングピストン部28aにのみ作用する。第1のイコライジングピストン部28aによって囲まれた、又は画定された、面積(作用面29a)は小さいので、イコライジングピストン28によって圧力側の方向に発生するアキシャル力も比較的小さい。
【0071】
第2段階では、第2のオイル接続部38にオイルが供給され、第1のオイル接続部36のオイル供給は遮断されたままであるか、他の実施形態では低圧領域に接続される。従って、オイル圧、より正確には、通常圧縮の最終圧力にほぼ対応するオイルの圧力は、イコライジングピストン28の大径の部分、すなわち第2のイコライジングピストン部28b(作用面29b)にのみ作用する。この結果、B方向に作用する中程度の大きさのアキシャル力が生じる。
【0072】
第3段階では、第1のオイル接続部36と第2のオイル接続部38の両方にオイルが供給される。
これは第1段階と第2段階の組み合わせとして作用し、両方のイコライジングピストン部28a、28bの表面(作用面29a、作用面29b)がオイル圧を受けることを意味し、B方向に作用するオイル圧が作用する。すなわち、イコライジングピストンによって生成されるB方向のアキシャル力は最大となる。
【0073】
全負荷運転の圧縮過程におけるガスによって生成されるアキシャル力が最も大きいため、大きなイコライジングピストン力を必要とするので第3段階の運転が一般的に有利である。
【0074】
比較的高い部分負荷運転、又は比較的高い吸入圧での全負荷運転の場合における、第3段階の運転は、圧縮過程においてガスによって生成されるアキシャル力を上回るイコライジングピストン力をもたらす可能性がある。
この場合、第2段階の運転が一般的に有利である。
【0075】
比較的低い部分負荷運転の場合の圧縮過程においてガスによって生成されるアキシャル力は非常に小さいか、存在しない。
この場合、第1段階の運転が一般的に有利である。
【0076】
説明したステップを圧力下のオイルで制御するには、いくつかの代替手段がある。
【0077】
スクリューコンプレッサ10の運転状態、特に吸入ガス、圧力ガス、及びオイル圧力は、センサー56によって測定され、電子制御ユニット58(他の実施形態では機械制御でもよい。)に送られ、該電子制御ユニット58によって監視される。
これにより、イコライジングピストン圧力の最適レベルが決定され、それに応じて1つ又は2つの方向制御弁60、62が切り替わり、第1のオイル接続部36及び/又は第2のオイル接続部38へオイルが供給される。換言すれば、制御ユニット58は、圧力下のオイルを選択的に第1の作用面29a及び第2の作用面29bに印加するように設計されている。
【0078】
方向制御弁60、62のコストを節約するために、負荷がそれほど高くない場合におけるスクリューコンプレッサ10では、2つのオイル接続部36又は38の一方を恒久的にオイル供給し、他方のオイル接続部38又は36を制御ユニット58により方向制御弁60、62を制御することによってオイル供給又は遮断してもよい。
【0079】
上述したオイル圧力の段階の制御は、動力制御用の制御スライド26の位置によっても決定される。
言い換えれば、制御スライド26は、圧力下のオイルを第1の作用面29a及び/又は第2の作用面29bに選択的に適用するように構成されている。
【0080】
上述したように、段階的イコライジングピストン28の最適な段階(第1段階、第2段階又は第3段階)は、スクリューコンプレッサ10が全負荷、中負荷又は小負荷のいずれで運転されているかによって決定されることが多い。
【0081】
スクリューコンプレッサ10の負荷は、動力制御用の制御スライド26によって設定され、この制御スライド26は、全負荷時には吸入方向に押し込まれるだけ押し込まれ、スクリューコンプレッサ10の出力量を減少させるために徐々に圧力方向に移動する。
スクリューコンプレッサ10が圧力方向に完全に押されると、コンプレッサは最小部分負荷で作動する。
【0082】
図3は、方向制御弁60、62を介してオイルを制御する一つの方法を示す。
【0083】
全負荷位置では、制御スライド26は完全に吸入方向(a方向)に押される。2つの方向制御弁60、62は作動せず、それぞれに関連するリターンスプリング64、68によって初期位置に設定される。オイルは第1の方向制御弁60及び/又は第2の方向制御弁62を介してイコライジングピストン上の第1のオイル接続部36及び第2のオイル接続部38に流れる。こうして、第1及び第2のオイル接続部36、38は作動し、イコライジングピストン28は第3段階として最大力で作動する。
【0084】
制御スライド26が圧力方向(出力レベルの減少)に移動させられると、所定の距離を移動した後に第1の方向制御弁60が作動する。この第1の方向制御弁60は、この目的のために面取りされた第1の方向制御弁作動要素70を有し、該第1の方向制御弁作動要素70は制御スライド26によって作動される。
【0085】
これにより第1のオイル接続部36へのオイルの流れが遮断される。つまり、第2のオイル接続部38のみが作動し、イコライジングピストン28は第2段階として中程度の力で作動する。
【0086】
制御スライド26が圧力方向にさらに移動させられる(出力レベルのさらなる減少)場合、制御スライド26が、第2の方向制御弁62に関連する第2の方向制御弁作動要素72上に位置することによって、第2の方向制御弁62を作動させる。
【0087】
第2の方向制御弁62は、第2のオイル接続部38から第1のオイル接続部36へとオイルの流れを切り替える。つまり、第1のオイル接続部36のみが作動し、イコライジングピストンが第1段階として最小力で作動する。
【0088】
言い換えれば、方向制御弁作動要素70、72はスライドガイド凹部76に一体化されている。関連する弁60、62を開閉することによって、圧力下のオイルを第1の作用面29a及び第2の作用面29bに選択的に導入するように構成されている。
【0089】
方向制御弁作動要素70、72は、機械的に作動可能であり、制御スライド26のスライドガイド凹部76内に少なくとも部分的に延在し、制御スライド26によって作動可能であり、上述したように、それぞれ関連する方向制御弁60、62を開閉することによって、圧力下のオイルを第1の作用面29a及び第2の作用面29bに選択的に導入する。イコライジングピストン圧力の制御は、段階的イコライジングピストンを備えたコンプレッサだけでなく、現在の技術水準に従って、単一のイコライジングピストンを備えたコンプレッサにも適用できる。
【0090】
シンプルなイコライジングピストンにはオイルが供給される接続口を有する。
この接続は、上述したように方向制御弁を介して切り替えることができ、これよってイコライジングピストン力が一段階でオン又はオフに切り替えられる。
【0091】
図4は、方向制御弁62'を使用してオイルを制御する原理を示す。
【0092】
また、図の説明で扱われているような、一方の接続(例えば第1のオイル接続部36)はオイル供給を常時受け、他方の接続(例えば第2のオイル接続部38)はソレノイドバルブ74によってオイル供給又は遮断が選択的に行われる段階的なイコライジングピストン28であってもよい。
【0093】
これにより、イコライジングピストン力を2段階に切り替えることができる。
スクリューコンプレッサ10の全負荷時の最大イコライジングピストン力と、部分負荷時の減少イコライジングピストン力を実現できる。
【0094】
他の実施形態として、制御スライド26は、それ以上の部品は必要なく、該制御スライド26自体が一方又は両方の方向制御弁60、62の機能を担うように設計することもできる。
【0095】
制御スライド26は、ハウジング22のスライドガイド凹部76内を移動し、このスライドガイド凹部76で停止するまで吸入側(a方向)に移動した位置が全負荷位置となる。
制御スライド26を圧力側(b方向)に移動させると、制御スライド26が最小部分負荷位置で停止するまで、コンプレッサの出力はますます減少する。
この停止は、通常の出力制御では、
図6に示すピストンがオイル圧シリンダーの壁に対して移動することによって実行される。
【0096】
図5は、制御スライド26が全負荷位置にあるスクリューコンプレッサ10を示し、
図6は、小さな部分負荷位置にあるスクリューコンプレッサ10を示している。
【0097】
図1から
図4に示す実施形態と同様に、ハウジング22内で対応するスライドガイド凹部76に案内される制御スライド26は、ハウジング22に向けられた凹部78を有する。この凹部は、制御スライド26とハウジング22によって周囲から最適な方法で密閉されるように、すなわち、凹部がハウジング22によって完全に覆われるように、制御スライド26に配置されている。つまり、凹部がハウジング22によって完全に覆われているため、凹部を画定する制御スライド26の領域とハウジング22との間に最大の隙間が形成される。この部分に存在するオイルが隙間シールとして機能する。
【0098】
さらに、第1のオイルライン凹部80及び第2のオイルライン凹部82がハウジング22に配置され、本実施形態では、例えば、鋳造又は射出成形プロセスにおいて、ハウジング製造の一部として既に特別に製造されたチャネルの形態で存在する。
あるいは、例えばハウジング22が製造された後に開けられる孔でもよい。
【0099】
第1のオイルライン凹部80及び第2のオイルライン凹部82は、第1のオイルライン凹部80の口を形成する第1のオイルライン凹部口84、及び第2のオイルライン凹部82の口を形成する第2のオイルライン凹部口86においてスライドガイド凹部76に臨んで開口している。
【0100】
第1のオイルライン凹部口84及び第2のオイルライン凹部口86は、スライドガイド凹部76のうち、制御スライド26のいずれの位置においても制御スライド26又は凹部78に覆われる領域に配置される。
【0101】
図5に示すように、制御スライド26が全負荷位置にあるとき、イコライジングピストン28が対応する接続部でオイルを供給されるように、凹部78は第1のオイルライン凹部80と第2のオイルライン凹部82とを接続する。
【0102】
凹部78は、スライドガイド凹部76との組み合わせでシール効果が得られるように、制御スライド26の十分な材料によって四方を囲まれている。
【0103】
凹部78はコンプレッサの圧力側に配置されている。オイルを凹部に供給又は排出する孔は、制御スライド26が最大で圧力側、つまり最小の部分負荷に移動した場合でも、制御スライド26によって覆われるように配置されている。
【0104】
制御スライド26を圧力方向に移動させることにより、凹部78が第1のオイルライン凹部80と第2のオイルライン凹部82とを接続しないため、イコライジングピストン28にオイルが供給されなくなる。
【0105】
さらに、制御スライドは、第1のオイルライン凹部80及び第2のオイルライン凹部82を覆っているため、コンプレッサの内部から密閉されており、その開口部からオイルは、ガスが流れ込む空間に漏れないように構成されている。また、ガスは、第1のオイルライン凹部80及び第2のオイルライン凹部82に入ることができない。
【0106】
換言すれば、1つの実施形態において、複数のオイルライン凹部80、82はスライドガイド凹部76に開口しており、これらのオイルライン凹部80、82は、圧力下のオイルで第1の作用面29a及び第2の作用面29bを選択的に加圧するように設計されている。制御スライド26は、凹部78を有し、該制御スライド26が全てのオイルライン凹部80、82を閉鎖する位置、又は一方又は両方のオイルライン凹部80、82が制御スライド26の凹部78に開口する位置、に往復移動可能であるようにスライドガイド凹部76内に配置される。
【0107】
又は、一方の作用面を選択的に加圧できるように、オイルライン凹部を1つだけ設けることもでき、その場合、他方の作用面は、オイルで常に加圧されるか、別の機構、例えば制御ユニット58によって作動される弁を介してオイルで加圧される。
【0108】
要約すると、本出願の主題は、特に以下の特徴を有する。
【0109】
項目1.スクリューコンプレッサは、少なくとも2つの異なる直径を有するイコライジングピストンを備えている。イコライジングピストンは通常、約0.1から0.3mmの隙間又は好ましくはラビリンスを介して、ハウジングと接触しないように、ハウジング内に配置されている。イコライジングピストンは、スクリューロータに発生するアキシャル方向の力に対抗する力を生成する。
【0110】
項目2.イコライジングピストン又は各イコライジングピストン部は、接続部を介して圧力下のオイルが供給されるチャンバによって、側面を取り囲まれており、ピストンの表面に発生する圧力は、スクリューロータに発生するアキシャル方向の力に対抗する、上述した項目1に記載のスクリューコンプレッサ。
【0111】
項目3.各イコライジングピストン部の直径は、各イコライジングピストン部の作用面のみを介して異なる大きさのアキシャル力を生成できるように、選択されており、
供給されるオイルの圧力を略一定に保つために、オイル供給なし、第1のチャンバへのオイル供給、第2のチャンバへのオイル供給、又は両方のチャンバへのオイル供給、の其々に切り替えることができ、すなわちオイルの圧力制御は必要ない、上述した項目2に記載のスクリューコンプレッサ。
【0112】
項目4.イコライジングピストンによって発生する力によって、圧力ガスによりロータに作用するアキシャル力は低減されるが、結果として力の方向が逆になることは避けられるように、第1のチャンバ又は第2のチャンバへのオイル供給が選択的に遮断又は作動される、上述した項目3に記載のスクリューコンプレッサ。
【0113】
項目5. チャンバへのオイル供給の遮断又は作動は、電子制御システムによって決定される、上述した項目4に記載のスクリューコンプレッサ。
【0114】
項目6. 制御スライドを有する出力制御システムを備えた上述した項目4.に記載のスクリューコンプレッサであって、チャンバへのオイル供給の遮断又は作動が制御スライドの動作によって行われる、スクリューコンプレッサ。
【0115】
項目7. 制御スライドのガイドトラックに1つ以上の方向制御弁が組み込まれ、オイルの流れをイコライジングピストンの少なくとも1つのチャンバに導く、上述した項目6に記載のスクリューコンプレッサ。
これらの方向制御弁は、機械的な作動要素(方向制御弁作動要素)によって切り替えられ、移動する制御スライドが該作動要素(方向制御弁作動要素)の上に位置するように、又は通過した制御スライドから該作動要素(方向制御弁作動要素)が解放されるように、方向制御弁作動要素は適切な位置に配置されている。
【0116】
項目8. 方向制御弁の機能は1つ又は複数の凹部を備える制御スライドによって実行され、制御スライドが特定の位置又は領域にある場合において、イコライジングピストンのチャンバへの接続(イコライジングピストンへのオイルの供給)は、イコライジングピストンのチャンバに接続されているハウジング内の第2のチャネル、凹部、及びハウジング内の第1のチャネルを介して行われる、上述する項目7に記載のスクリューコンプレッサ。
制御スライドを特定の位置から特定距離移動させると、制御スライドの凹部がハウジング内の2つのラインの一方又は両方を遮断することとなり、イコライジングピストンのチャンバへのオイル供給が中断される。
【0117】
本発明は、固定の特徴の組み合わせを使用して説明されているが、特許請求の範囲に記載されているように、特に限定されることなく、他の有益な組み合わせも含まれる。
【0118】
出願書類に開示されたすべての特徴は、それらが個別に又は組み合わせて、従来技術に対して新規である限り、本発明の重要な特徴として主張される。
【国際調査報告】