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特表2024-525211スイッチモード電力変換器用途の窒化ガリウム双方向高電子移動度トランジスタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】スイッチモード電力変換器用途の窒化ガリウム双方向高電子移動度トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H02M 5/257 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
H02M5/257 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579322
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 US2022034222
(87)【国際公開番号】W WO2022271618
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/214,260
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
(71)【出願人】
【識別番号】515186323
【氏名又は名称】エンフェーズ エナジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Enphase Energy, Inc.
【住所又は居所原語表記】1420 North McDowell Boulevard, Petaluma, California 94954, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・ハリソン
【テーマコード(参考)】
5H750
【Fターム(参考)】
5H750BA06
5H750CC01
5H750DD13
5H750DD17
5H750DD18
5H750FF02
5H750FF05
(57)【要約】
スイッチモード電力変換器が本明細書で提供され、複数のスイッチを備えるサイクロコンバータを備え、複数のスイッチのうちの各スイッチは、第1のソース端子から第2のソース端子への第1の方向、および第2のソース端子から第1の方向への第2の方向の電流の流れを可能にするように構成される共通ドリフト領域を有するネイティブ4象限双方向スイッチである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチを備えるサイクロコンバータを備え、前記複数のスイッチのうちの各スイッチが、第1のソース端子から第2のソース端子への第1の方向、および前記第2のソース端子から前記第1の方向への第2の方向の電流の流れを可能にするように構成された共通ドリフト領域を有するネイティブ4象限双方向スイッチである、スイッチモード電力変換器。
【請求項2】
前記ネイティブ4象限双方向スイッチが窒化ガリウム(GaN)高電子移動度トランジスタ(HEMT)である、請求項1に記載のスイッチモード電力変換器。
【請求項3】
前記複数のスイッチのうちの各スイッチが2つのゲート-ソース構造を含む、請求項1に記載のスイッチモード電力変換器。
【請求項4】
前記2つのゲート-ソース構造の各々が、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層と遷移層との間に挟まれる窒化ガリウム(GaN)層の上に配設される前記窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層に結合されている、請求項3に記載のスイッチモード電力変換器。
【請求項5】
窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)の上にあり不純物が各スイッチの中にしみ込むのを防ぐ不活性パッシベーション層をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のスイッチモード電力変換器。
【請求項6】
前記複数のスイッチのうちの各スイッチが2:1のダイ面積を含む、請求項1に記載のスイッチモード電力変換器。
【請求項7】
前記複数のスイッチのうちの各スイッチが単相AC出力または3相AC出力のうちの1つを生成する、請求項1から4または6のいずれか一項に記載のスイッチモード電力変換器。
【請求項8】
変圧器の1次巻線に結合されるDC構成要素と、
前記変圧器の2次巻線に結合され、複数のスイッチを備えるサイクロコンバータを備えるスイッチモード電力変換器と
を備え、
前記複数のスイッチのうちの各スイッチが、第1のソース端子から第2のソース端子への第1の方向、および前記第2のソース端子から前記第1の方向への第2の方向の電流の流れを可能にするように構成された共通ドリフト領域を有するネイティブ4象限双方向スイッチである、電力変換システム。
【請求項9】
前記ネイティブ4象限双方向スイッチが窒化ガリウム(GaN)高電子移動度トランジスタ(HEMT)である、請求項8に記載の電力変換システム。
【請求項10】
前記複数のスイッチのうちの各スイッチが2つのゲート-ソース構造を備える、請求項8に記載の電力変換システム。
【請求項11】
前記2つのゲート-ソース構造の各々が、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層と遷移層との間に挟まれる窒化ガリウム(GaN)層の上に配設される前記窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層に結合されている、請求項10に記載の電力変換システム。
【請求項12】
窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)の上にあり不純物が各スイッチの中にしみ込むのを防ぐ不活性パッシベーション層をさらに含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の電力変換システム。
【請求項13】
前記複数のスイッチのうちの各スイッチが2:1のダイ面積を含む、請求項8に記載の電力変換システム。
【請求項14】
前記複数のスイッチのうちの各スイッチが単相AC出力または3相AC出力のうちの1つを生成する、請求項8から11または13のいずれか一項に記載の電力変換システム。
【請求項15】
複数のスイッチを備えるサイクロコンバータを備え、前記複数のスイッチのうちの各スイッチが、第1の方向および前記第1の方向と異なる第2の方向の電流の流れを可能にするように構成された共通ドリフト領域を有するネイティブ4象限双方向スイッチである、スイッチモード電力変換器。
【請求項16】
前記ネイティブ4象限双方向スイッチが窒化ガリウム(GaN)高電子移動度トランジスタ(HEMT)である、請求項15に記載のスイッチモード電力変換器。
【請求項17】
前記複数のスイッチのうちの各スイッチが2つのゲート-ソース構造を含む、請求項15に記載のスイッチモード電力変換器。
【請求項18】
前記2つのゲート-ソース構造の各々が、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層と遷移層との間に挟まれる窒化ガリウム(GaN)層の上に配設される前記窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層に結合される、請求項17に記載のスイッチモード電力変換器。
【請求項19】
窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)の上にあり不純物が各スイッチの中にしみ込むのを防ぐ不活性パッシベーション層をさらに含む、請求項15から18のいずれか一項に記載のスイッチモード電力変換器。
【請求項20】
前記複数のスイッチのうちの各スイッチが2:1のダイ面積を含む、請求項15から18のいずれか一項に記載のスイッチモード電力変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、スイッチモード電力変換器に関し、詳細には、双方向スイッチを備えるスイッチモード電力変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチモード電力変換器は、光起電力(PV)システムなどといった再生可能エネルギーシステムで使用されることが多い。スイッチモード電力変換器の1つのタイプは、サイクロコンバータ(または、マトリックスコンバータ)として知られており、少なくとも1つの双方向スイッチ(トランジスタ)を使用することが必要であり、これは、4象限スイッチ(4QS)とも呼ぶことができる。サイクロコンバータは、AC-DC、DC-AC、および、AC-AC用途において、単極性電力半導体デバイスに基づいた従来型スイッチモード電力変換器設計と比較して、費用および性能上の利点を有する。
【0003】
サイクロコンバータで利用される双方向スイッチは、逆直列接続中の、シリコンスーパージャンクション金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などといった、単方向(極性感度がある)トランジスタの対から形成される。しかし、電力半導体デバイスの逆直列接続した対に基づいた4QS解決策を設計する複雑さによって、サイクロコンバータベースのスイッチモード変換器設計の採用が妨げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第9,130,570号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、当技術分野では、スイッチモード電力変換器で使用するための、4象限双方向スイッチを改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくともいくつかの態様によれば、スイッチモード電力変換器は、複数のスイッチを備えるサイクロコンバータを備え、複数のスイッチのうちの各スイッチは、第1のソース端子から第2のソース端子への第1の方向、および第2のソース端子から第1の方向への第2の方向の電流の流れを可能にするように構成される共通ドリフト領域を有するネイティブ4象限双方向スイッチである。
【0007】
本開示の少なくともいくつかの態様によれば、電力変換システムは、変圧器の1次巻線に結合されるDC構成要素と、変圧器の2次巻線に結合され、複数のスイッチを備えるサイクロコンバータを備えるスイッチモード電力変換器とを備え、複数のスイッチのうちの各スイッチは、第1のソース端子から第2のソース端子への第1の方向、および第2のソース端子から第1の方向への第2の方向の電流の流れを可能にするように構成される共通ドリフト領域を有するネイティブ4象限双方向スイッチである。
【0008】
本開示の少なくともいくつかの態様によれば、スイッチモード電力変換器は、複数のスイッチを備えるサイクロコンバータを備え、複数のスイッチのうちの各スイッチは、第1の方向および第1の方向と異なる第2の方向の電流の流れを可能にするように構成される共通ドリフト領域を有するネイティブ4象限双方向スイッチである。
【0009】
本開示のこれらおよび他の特徴および利点は、同様の参照数字が全体を通して同様の部分のことを呼ぶ添付図面とともに、本開示の以下の詳細な記載を検討することによって理解することができる。
【0010】
したがって、本開示の上記で言及した特徴が詳細に理解することができる方式、上記で簡単に概説した本開示のより具体的な記載は実施形態への参照によって有することができ、実施形態の一部は添付図面に図示される。しかし、添付図面は本開示の典型的な実施形態だけを図示しており、したがって、本開示が他の等しく効果的な実施形態を許容する場合があるために、その範囲を限定すると考えるべきでないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態にしたがったスイッチモード電力変換器を備える電力変換システムの概略図である。
図2】本開示の実施形態にしたがったスイッチモード電力変換器を備える電力変換システムの概略図である。
図3】本開示の1つまたは複数の実施形態にしたがったスイッチQの構造を描く断面図である。
図4】本開示の実施形態にしたがったスイッチQの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態は、一般的に、ネイティブ双方向スイッチを備えるスイッチモード電力変換器に関する。いくつかの実施形態では、スイッチモード電力変換器は、単相AC接続で働くように設計された、双方向(DC-ACおよびAC-DC)直列共振サイクロコンバータトポロジーである。他の実施形態では、スイッチモード電力変換器は、3相直列共振サイクロコンバータトポロジーである。さらに別の実施形態では、スイッチモード電力変換器は、高効率高信頼性インバータコンセプト(HERIC)インバータ、3レベルT型変換器、ACリンクインバータ(「部分共振コンバータ」としても知られる)などといった、完全双方向スイッチを利用する任意のタイプのAC-DC、DC-AC、またはAC-AC電力変換器であってよい。
【0013】
本明細書に記載されるネイティブ双方向スイッチは、ネイティブ4QSデバイスとして構築される、たとえば、窒化ガリウム(GaN)高電子移動度トランジスタ(HEMT)スイッチといった、4象限双方向スイッチである(4QSとも呼ばれる)。そのようなGaN HEMT 4QSデバイスは、単方向GaN HEMTデバイスなどの、従来型単方向トランジスタの「バックツーバック」対からなる4QSデバイスより低い費用でより高い性能を有する。
【0014】
様々な実施形態では、本明細書に記載されるスイッチモード電力変換器は、光起電力(PV)インバータ用途などの再生可能エネルギーシステムで使用されるが、スイッチモード電力変換器は、任意の好適な用途で使用することができる。
【0015】
図1は、本開示の実施形態にしたがったスイッチモード電力変換器102を備える電力変換システム100の概略図である。この図は、無数の可能なシステム構成のうちの1つの変形形態だけを表現する。本開示は、種々の電力発生環境およびシステムで機能することができる。
【0016】
電力変換システム100は、(本明細書では「変換器102」と呼ばれる)スイッチモード電力変換器102のDC側に結合されるPVモジュールまたは電池などのDC構成要素120を備える。他の実施形態では、DC構成要素120は、別のタイプの再生可能エネルギー源(たとえば、風力発電、水力発電システムなど)、他のタイプのエネルギー貯蔵構成要素などといった、任意の好適なタイプのDC構成要素であってよい。
【0017】
変換器102は、DC構成要素120の両端間、ならびに、スイッチS-1、S-2、S-3、およびS-4から形成されるHブリッジ104の両端間に結合されるコンデンサ122を備える。スイッチS-1とS-2は直列に結合されてHブリッジ104の左区間を形成し、スイッチS-3とS-4は直列に結合されてHブリッジ104の右区間を形成する。
【0018】
Hブリッジ104の出力は、共振タンクを形成するコンデンサCrおよびインダクタL、ならびに変圧器108の1次巻線の直列連結にわたって結合される。他の実施形態では、共振タンクは、コンデンサCrおよびインダクタLrの異なる構成(たとえば、コンデンサCrおよびインダクタLが並列に結合される場合がある)によって形成することができ、いくつかの実施形態では、Lrは、物理的インダクタではなくむしろ変圧器108からのリークインダクタンスを表す場合がある。
【0019】
変圧器108の2次巻線とインダクタLの直列連結は、3相AC出力を生成するサイクロコンバータ110にわたって結合されるが、他の実施形態では、サイクロコンバータ110は、その出力で1つまたは2つの位相のACを生成する場合がある。サイクロコンバータ110は、互いに並列に結合される第1の区間、第2の区間、および第3の区間にそれぞれ3つの4Q双方向スイッチQ-1、Q-2、およびQ-3を備える(これらは、集合的にスイッチQと呼ぶ場合がある)。本開示の実施形態によれば、スイッチQ-1、Q-2、およびQ-3の各々は、図3を参照して下記でさらに詳細に記載される、ネイティブ4象限双方向スイッチである。
【0020】
第1のサイクロコンバータ区間はコンデンサC1に結合される4QスイッチQ-1を備え、第2のサイクロコンバータ区間はコンデンサC2に結合される4QスイッチQ-2を備え、第3のサイクロコンバータ区間はコンデンサC3に結合される4QスイッチQ-3を備える。第1のAC出力位相線はスイッチQ-1とコンデンサC1との間に結合され、第2のAC出力位相線はスイッチQ-2とコンデンサC2との間に結合され、第3のAC出力位相線はスイッチQ-3とコンデンサC3との間に結合される。変換器102は、電力変換、データ報告などのためにデータを取得するための電圧および/または電流モニタなどといった、図示されない追加回路を含むこともできる。
【0021】
変換器102は、所望の出力電力を生成するためにスイッチを動作可能に制御するため、Hブリッジスイッチ(S-1、S-2、S-3、およびS-4)およびサイクロコンバータスイッチ(Q-1、Q-2、およびQ-3)に結合されるコントローラ106を追加で備える。いくつかの実施形態では、変換器102は、双方向変換器として機能することができる。
【0022】
コントローラ106は、サポート回路183およびメモリ186の各々に結合されるCPU184を備える。CPU184は、1つまたは複数の従来入手可能なマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを備えることができ、追加または代替で、CPU184は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)を含む場合がある。サポート回路183は、CPU184の機能性を促進するため使用されるよく知られている回路である。そのような回路としては、限定しないが、キャッシュ、電源、クロック回路、バス、入出力(I/O)回路などが挙げられる。コントローラ106は、特定のソフトウェアを実行すると、本開示の様々な実施形態を実施するための専用コンピュータになる汎用コンピュータを使用して実装することができる。
【0023】
メモリ186は、ランダムアクセスメモリ、読取り専用メモリ、取外し可能ディスクメモリ、フラッシュメモリ、およびこれらのタイプのメモリの様々な組合せなどといった非一時的コンピュータ可読媒体である。メモリ186は、メインメモリと呼ばれることがあり、部分的に、キャッシュメモリまたはバッファメモリとして使用することができる。メモリ186は、一般的に、必要な場合には、CPUの能力によってサポートすることができるコントローラ106のオペレーティングシステム(OS)187を記憶する。いくつかの実施形態では、OS187は、限定しないが、LINUX、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)などといった、いくつかの市販オペレーティングシステムの1つであってよい。
【0024】
メモリ186は、たとえば、最大電力点追跡(MPPT)、スイッチングなどの、変換器102による電力変換を制御するための変換制御モジュール189などといった、様々な形のアプリケーションソフトウェアを記憶することができる。メモリ186は、様々なデータを記憶するためのデータベース199をさらに記憶することができる。コントローラ106は、外部通信194(すなわち、ゲートウェイ)およびグリッドインターフェース188との入出力をさらに処理する。
【0025】
図2は、本開示の実施形態にしたがったスイッチモード電力変換器202を備える電力変換システム200の概略図である。
【0026】
電力変換システム200は、(本明細書では「変換器202」と呼ばれる)スイッチモード電力変換器202のDC側に結合されるDC構成要素120を備える。変換器202は、変換器102に関して上記で記載されたように、DC構成要素120およびHブリッジ104の両端間に結合されるコンデンサ122を備える。変換器102に関して上記で記載されたように、Hブリッジ104の出力は、共振タンクを形成するコンデンサCrおよびインダクタLr、ならびに変圧器108の1次巻線の直列連結にわたって結合される。他の実施形態では、共振タンクは、コンデンサCrおよびインダクタLrの異なる構成(たとえば、コンデンサCrおよびインダクタLが並列に結合される場合がある)によって形成することができ、いくつかの実施形態では、Lrは、物理的インダクタではなくむしろ変圧器108のリークインダクタンスを表す場合がある。
【0027】
変圧器108の2次巻線とインダクタLの直列連結は、単相AC出力を生成するサイクロコンバータ210にわたって結合される。サイクロコンバータ210は、互いに並列に結合される、第1の区間および第2の区間に、それぞれ2つの双方向スイッチQ-1およびQ-2を備える(これらは、集合的にスイッチQと呼ぶ場合がある)。本開示の実施形態によれば、スイッチQ-1およびQ-2の各々は、図3を参照して下記でさらに詳細に記載される、ネイティブ4象限双方向スイッチである。
【0028】
第1のサイクロコンバータ区間はコンデンサC1に結合される4QスイッチQ-1を備え、第2のサイクロコンバータ区間はコンデンサC2に結合される4QスイッチQ-2を備える。第1のAC出力位相線はスイッチQ-1とコンデンサC1との間に結合され、第2のAC出力位相線はスイッチQ-2とコンデンサC2との間に結合される。変換器202は、電力変換、データ報告などのためにデータを取得するための電圧および/または電流モニタなどといった、図示されない追加回路を含むこともできる。
【0029】
変換器202は、所望の出力電力を生成するためにスイッチを動作可能に制御するため、Hブリッジスイッチ(S-1、S-2、S-3、およびS-4)およびサイクロコンバータスイッチ(Q-1およびQ-2)に結合されるコントローラ206を追加で備える。いくつかの実施形態では、変換器202は、双方向変換器として機能することができる。
【0030】
コントローラ206は、サポート回路283およびメモリ286の各々に結合されるCPU284を備える。CPU284は、1つまたは複数の従来入手可能なマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを備えることができ、追加または代替で、CPU284は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)を含む場合がある。サポート回路283は、CPU284の機能性を促進するため使用されるよく知られている回路である。そのような回路としては、限定しないが、キャッシュ、電源、クロック回路、バス、入出力(I/O)回路などが挙げられる。コントローラ206は、特定のソフトウェアを実行すると、本開示の様々な実施形態を実施するための専用コンピュータになる汎用コンピュータを使用して実装することができる。
【0031】
メモリ286は、ランダムアクセスメモリ、読取り専用メモリ、取外し可能ディスクメモリ、フラッシュメモリ、およびこれらのタイプのメモリの様々な組合せなどといった非一時的コンピュータ可読媒体である。メモリ286は、メインメモリと呼ばれることがあり、部分的に、キャッシュメモリまたはバッファメモリとして使用することができる。メモリ286は、一般的に、必要な場合には、CPUの能力によってサポートすることができるコントローラ206のオペレーティングシステム(OS)287を記憶する。いくつかの実施形態では、OS287は、限定しないが、LINUX、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)などといった、いくつかの市販オペレーティングシステムの1つであってよい。
【0032】
メモリ286は、たとえば、最大電力点追跡(MPPT)、スイッチングなどの、変換器202による電力変換を制御するための変換制御モジュール289などといった、様々な形のアプリケーションソフトウェアを記憶することができる。メモリ286は、様々なデータを記憶するためのデータベース299をさらに記憶することができる。コントローラ206は、外部通信194(すなわち、ゲートウェイ)およびグリッドインターフェース188との入出力をさらに処理する。
【0033】
図3は、本開示の1つまたは複数の実施形態にしたがったスイッチQの構造を描く断面図である。スイッチQは、層302、304、306、308、および312を備える窒化ガリウム(GaN)高電子移動度トランジスタ(HEMT)構造であり、ソース端子310-S-1/310-S-2およびゲート端子310-G1/310-G2が層308と結合する。ドレイン接続とソース接続との間のドリフト領域がGaNダイの上面に対して平行な横方向デバイスとして製造される従来型単方向GaN HEMTスイッチとは対照的に、スイッチQは、ネイティブ4象限双方向スイッチQを容易にするため、2つのゲート-ソース構造を備える(そのうちの1つが、従来型単方向GaN HEMTスイッチのドレイン構造の代わりに使用される)。そのため、スイッチQは、共通ドリフト領域が両方の方向で(すなわち、ソース端子310-S-1からソース端子310-S-2の方向に流れる電流のため、またはソース端子310-S-2からソース端子310-S-1の方向に流れる電流のため)使用されるのを可能にし、正電圧または負電圧のいずれかをブロックし、それによって、2つの従来型GaN HEMTデバイスを一緒に接続することにより製造された従来型4Qデバイスと比較して、GaN面積の縮小を実現する。様々な実施形態では、スイッチQは、従来型単方向GaN HEMTのダイ面積の半分であるダイ面積を有することができ、したがって、4Qデバイスを形成するために一緒に接続される従来型単方向GaN HEMTの対と比較して4:1のダイ面積の利点が実現される。さらに、スイッチQについてのゲート駆動損失対導電損失比(すなわち、Q/RSS-ON)は、スイッチ毎の2:1のダイ面積の差異に起因して2つの従来型単方向GaN HEMTデバイスから構築されるGaN 4Qスイッチより1/2低い(ゲート310-G1、310-G2のうちの唯1つが任意の所与の時間にスイッチ動作する)。
【0034】
図3に描かれるように、ベース層302は典型的には0.7mm厚の程度のシリコン(Si)基板である。層302と306との間に挟まれる層304は、典型的には数ナノメートル厚の程度の遷移層である(いくつかの実施形態では、これは2つ以上の異なる元素を含むことができる)。層304と308との間に挟まれる層306は、典型的には数マイクロメートル厚の程度の窒化ガリウム(GaN)層である。層306の上記の層308は、典型的には数マイクロメートル厚の程度の窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層である。層308の上にある層312は、環境からの不純物がスイッチQの構造の中にしみ込むのを防ぐために使用される不活性パッシベーション層(たとえば、ガラス状堆積層)である。
【0035】
ソース端子310-S-1/310-S-2は、典型的には、層308へのオーム性接触をするため当技術分野で知られている組成を有する薄い金属層であり、ゲート端子310-G1/310-G2は、典型的には、層308へのショットキー接触を行う当技術分野で知られている組成を有する薄い金属層である。
【0036】
いくつかの代替実施形態では、他のタイプの材料および/または構造を、スイッチQのために使用する場合がある。たとえば、炭化ケイ素などのGaN以外のワイドバンドギャップ材料を利用することができ、および/または、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)構造などのHEMT構造以外の構造を使用することができる。
【0037】
スイッチQの例は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、「Four Quadrant Bidirectional Switch」という題名の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第9,130,570号に見いだすことができる。
【0038】
図4は、本開示の実施形態にしたがったスイッチQの平面図である。スイッチQの平面図は、スイッチQの頂部の一端で互いの近くに配置されるソース端子310-S-1およびゲート端子310-G1、ならびに、スイッチQの頂部の反対の端で互いの近くに配置されるソース端子310-S-2およびゲート端子310-G2を描く。
【0039】
本開示の実施形態の上記の記載は、記載されたような様々な機能を行ういくつかの要素、デバイス、回路、および/または組立体を備える。これらの要素、デバイス、回路、および/または組立体は、それらがそれぞれ記載された機能を実施するための手段の例示的な実装形態である。
【0040】
上記は、本開示の実施形態を対象とするが、本開示の他の実施形態およびさらなる実施形態を、その基本的範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は、以下の請求項によって決定される。
【符号の説明】
【0041】
100 電力変換システム
102 スイッチモード電力変換器
104 Hブリッジ
106 コントローラ
108 変圧器
110 サイクロコンバータ
120 DC構成要素
122 コンデンサ
183 サポート回路
184 CPU
186 メモリ
187 オペレーティングシステム、OS
188 グリッドインターフェース
189 変換制御モジュール
194 外部通信
199 データベース
200 電力変換システム
202 スイッチモード電力変換器
206 コントローラ
210 サイクロコンバータ
283 サポート回路
284 CPU
286 メモリ
287 オペレーティングシステム、OS
289 変換制御モジュール
299 データベース
302 Si基板、層、ベース層
304 層、遷移層
306 層
308 層
310-G1 ゲート端子
310-G2 ゲート端子
310-S-1 ソース端子
310-S-2 ソース端子
312 層
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】