(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ERK1/2阻害剤併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20240703BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240703BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240703BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P43/00 107
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579857
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 US2022034702
(87)【国際公開番号】W WO2022271935
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523485353
【氏名又は名称】アサナ バイオサイエンシーズ,エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,サンディープ
(72)【発明者】
【氏名】デニス,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】レディ,サンジーバ
(72)【発明者】
【氏名】コーコラン,ライアン,ビー.
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086BC82
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA10
4C086GA14
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は概して、がん、具体的に固形腫瘍を処置するための、ERK1/2阻害剤とエンコラフェニブまたはダブラフェニブであるB-Raf阻害剤との併用に関する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、
(i)化合物1
【化1】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)エンコラフェニブまたはダブラフェニブであるBRAF阻害剤と
を治療上有効量で前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記BRAF阻害剤がエンコラフェニブである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エンコラフェニブが約450mg/日の量で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記BRAF阻害剤がダブラフェニブである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ダブラフェニブが約150mg/日の量で投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
パニツムマブを投与することをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記パニツムマブが約6mg/kgの量で投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、
(i)化合物1
【化2】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)エンコラフェニブまたはダブラフェニブであるBRAF阻害剤と、
(iii)パニツムマブと
を治療有効量で前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項9】
前記BRAF阻害剤がエンコラフェニブである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記エンコラフェニブが約450mg/日の量で投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記BRAF阻害剤がダブラフェニブである、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ダブラフェニブが約150mg/日の量で投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記パニツムマブが6mg/kgの量で投与される、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、
(i)化合物1
【化3】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)パニツムマブと
を治療上有効量で前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項15】
前記パニツムマブが6mg/kgの量で投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物1の前記薬学的に許容可能な塩がマンデル酸塩である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記がんが、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路駆動がんである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記がんが、BRAF駆動がん、HRAS駆動がん、またはNRAS駆動がんである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記がんが、脱調節ERKによって駆動される少なくとも1つのがん細胞を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記がんが、RASに少なくとも1つの変異を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記がんが、RAFに少なくとも1つの変異を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記がんが、MEKに少なくとも1つの変異を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記がんがG12C KRAS変異を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記がんがG12D KRAS変異を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記がんがG12S KRAS変異を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記がんがG12V KRAS変異を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記がんがG13D KRAS変異を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記がんがQ16H KRAS変異を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記がんがQ16K KRAS変異を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記がんがQ61R NRAS変異を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記がんが、BRAF V600EまたはV600K変異腫瘍である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記がんがMAPKm/MAPKiナイーブ汎がんである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記がんが、EGFR遺伝子コピー数増加、EGFR遺伝子増幅、7番染色体の多染色体性、L858R、エクソン19欠失/挿入、L861Q、G719C、G719S、G719A、V765A、T783A、エクソン20挿入、EGFRのスプライスバリアント(Viii、Vvi、およびVii)、A289D、A289T、A289V、G598A、G598V、T790M、およびC797Sからなる群から選択される1つまたは複数のEGFR変異を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記がんが、L858R、エクソン19欠失、およびT790Mからなる群から選択される1つまたは複数のEGFR変異を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記がんが固形腫瘍である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)、黒色腫、膵臓がん、唾液腺腫瘍、甲状腺がん、大腸がん(CRC)、または食道がんである、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記NSCLCがEGFR変異NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記NSCLCが、KRAS G12C変異NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記NSCLCが、KRAS G12D変異NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記NSCLCが、KRAS G12S変異NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記NSCLCが、KRAS G12V変異NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記NSCLCが、KRAS G13D変異NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記NSCLCが、KRAS Q61H変異NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記NSCLCが、KRAS Q61K変異NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記NSCLCが、NRAS Q61R変異NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項47】
前記がんが、MAPKm/MAPKiナイーブNSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項48】
前記がんが、BRAFiで処置されたV600 NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項49】
前記がんが、KRASで処置されたG12C NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項50】
前記がんが、KRASで処置されたG12D NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項51】
前記がんが、KRASで処置されたG12S NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項52】
前記がんが、KRASで処置されたG12V NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項53】
前記がんが、KRASで処置されたG13D NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項54】
前記がんが、KRASで処置されたQ61H NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項55】
前記がんが、KRASで処置されたQ61K NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項56】
前記がんが、NRASで処置されたQ61R NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項57】
前記がんが膵臓がんである、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記がんがMAPKm/MAPKiナイーブ膵臓がんである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記がんが黒色腫である、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記黒色腫が、BRAF V600EまたはV600K変異腫瘍である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記がんが、BRAFiで処置されたV600黒色腫である、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記がんが唾液腺腫瘍である、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記がんが甲状腺がんである、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記がんが大腸がん(CRC)である、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記CRCが、BRAF V600E CRCである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記CRCが、KRAS変異CRCである、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記CRCが、KRAS G12C変異CRCである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記CRCが、KRAS G12D変異CRCである、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記CRCが、KRAS G12S変異CRCである、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記CRCが、KRAS G12V変異CRCである、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
前記CRCが、KRAS G13D変異CRCである、請求項66に記載の方法。
【請求項72】
前記CRCが、KRAS Q61H変異CRCである、請求項66に記載の方法。
【請求項73】
前記CRCが、KRAS Q61K変異CRCである、請求項66に記載の方法。
【請求項74】
前記CRCが、NRAS変異CRCである、請求項64に記載の方法。
【請求項75】
前記CRCが、NRAS Q61R変異CRCである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記がんが食道がんである、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が、約25mg/日~約300mg/日の量で投与される、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が、25mg/日~150mg/日の量で投与される、請求項1~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が、約25mg/日、約50mg/日、約75mg/日、約100mg/日、約150mg/日、約175mg/日、約200mg/日、約225mg/日、または約250mg/日の量で投与される、請求項1~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が、約25mg/日、約50mg/日、約100mg/日、または約150mg/日の量で投与される、請求項1~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が、約250mg/日の量で投与される、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記化合物1、または薬学的に許容可能な塩が1日1回(QD)投与される、請求項1~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が1日2回(BID)投与される、請求項1~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が1日3回(TID)投与される、請求項1~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が週1回投与される、請求項1~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が、週1回約50mg~週1回約400mgの量で投与される、請求項1~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が週2回投与される、請求項1~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が、週2回約50mg~週2回約400mgの量で投与される、請求項1~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が、少なくとも1回の28日周期にわたって投与される、請求項1~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が、28日周期の1日目、8日目、15日目、および22日目に投与される、請求項1~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が、28日周期の1日目、8日目、15日目に投与される、請求項1~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が、少なくとも1回の21日周期にわたって投与される、請求項1~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩が経口投与される、請求項1~92のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年6月24日に出願された米国仮出願第63/214,764号の利益を主張するものであり、該出願は、その全体を参照することで本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ERK1およびERK2(まとめて「ERK1/2」)は、とりわけRas-Raf-MEK-ERKシグナル伝達経路に関与する、関連したタンパク質-セリン/スレオニンキナーゼであり、この経路は、時に分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路として示される。この経路は、細胞の増殖、生存、接着、周期進行、遊走、分化、代謝、および転写のうちの1つまたは複数を含む多くの基本的な細胞プロセスを調節するのに中心的な役割を果たすと考えられている。MAPK経路の活性化は、肺がん、結腸がん膵臓がん、腎臓がん、卵巣がんを含む多くの腫瘍タイプにおいて報告されている。したがって、活性化を減弱させることのできる物質が、実行可能な処置として注目される可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
ERK1/2は、スレオニン残基とチロシン残基、すなわちTyr204/187とThr202/185との両方のリン酸化を介してMEKにより活性化されると考えられている。ERK1/2は、一旦活性化されると、100を超える基質のセリン/スレオニン残基のリン酸化を触媒し、すべてがんの表現型の特徴である、細胞の成長、増殖、生存、血管新生、および分化に関連した細胞基質タンパク質と核タンパク質との両方を活性化する。このため、腫瘍成長を阻害する方法としてERK1/2阻害剤を開発かつ使用するために、ERK1およびERK2を標的とすることは有益であり得る。
【0004】
さらに、ERK阻害剤は、他のキナーゼ、例えばMAPK阻害剤と併用することで有用であり得る。最近、研究者たちは、小分子阻害剤によるMEKおよびERKの二重阻害は相乗的であり、MEK阻害剤への獲得耐性を克服するように作用したことを報告している。Hatzivassiliou et al.,ERK Inhibition Overcomes Acquired Resistance to MEK Inhibition,Mol.Cancer Ther.2012,11,1143-1154を参照されたい。
【0005】
ERK1/2に加えて、RAS-MAPKシグナル伝達経路は、タンパク質のRafファミリーを含む。このファミリーは、Rasの下流エフェクターとして機能する3つの関連するキナーゼ(A-Raf、B-Raf、およびC-Raf)からなる。中でも、B-Rafは、MAPキナーゼ/ERK-シグナル伝達経路を活性化するセリン/スレオニンタンパク質キナーゼである。構造的に活性化型であるB-Raf変異は、細胞を増殖させるシグナル伝達を過剰に行うことによってがんを引き起こすことが一般に知られている。例えば、B-Raf V600Eキナーゼの活性化変異は、ヒト悪性腫瘍の約7%、黒色腫の約50~60%において発生する。複数の角度からシグナル伝達経路を標的とし、かつ、ERK1/2およびBRAFを介してRas上流のフィードバックループを潜在的に改善する機会は、併用療法を用いる方法を発展させる可能性を提供する。
【0006】
本明細書に開示される本実施形態は、一般に、予想を越える程度の相乗効果を提供しながら、ERK1/2阻害剤をエンコラフェニブまたはダブラフェニブであるB-Raf阻害剤と組み合わせて使用する、がんを処置するための併用療法に関連する組成物および方法に関する。
【0007】
第1の態様では、本開示は、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法を提供し、この方法は、
(i)化合物1
【0008】
【化1】
またはその薬学的に許容可能な塩、および
(ii)エンコラフェニブまたはダブラフェニブであるBRAF阻害剤
を治療有効量で上記対象に投与することを含む。
【0009】
第2の態様では、本開示は、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法を提供し、この方法は、
(i)化合物1
【0010】
【化2】
またはその薬学的に許容可能な塩、
(ii)エンコラフェニブまたはダブラフェニブであるBRAF阻害剤、および
(iii)パニツムマブ
を治療有効量で上記対象に投与することを含む。
【0011】
第3の態様では、本開示は、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法を提供し、この方法は、
(i)化合物1
【0012】
【化3】
またはその薬学的に許容可能な塩、および
(ii)パニツムマブ
を治療有効量で上記対象に投与することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、BRAF阻害剤はエンコラフェニブである。いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約450mg/日の量で投与される。
【0014】
いくつかの実施形態では、BRAF阻害剤はダブラフェニブである。いくつかの実施形態では、ダブラフェニブは、約150mg/日の量で投与される。
【0015】
いくつかの実施形態では、上記方法は、パニツムマブを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、パニツムマブは約6mg/kgの量で投与される。
【0016】
いくつかの実施形態では、化合物1の薬学的に許容可能な塩はマンデル酸塩である。
【0017】
いくつかの実施形態では、がんは、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路駆動がんである。いくつかの実施形態では、がんは、BRAF駆動がん、HRAS駆動がん、またはNRAS駆動がんである。
【0018】
いくつかの実施形態では、がんは、脱調節ERKによって駆動される少なくとも1つのがん細胞を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、がんは、RASに少なくとも1つの変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、RAFに少なくとも1つの変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、MEKに少なくとも1つの変異を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、がんは、G12C KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、G12C KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、G12D KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、G12S KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、G12V KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、G12C KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、G13D KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、Q16H KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、Q16K KRAS変異を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、がんは、Q61R NRAS変異を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、がんは、BRAF V600EまたはV600K変異腫瘍である。
【0023】
いくつかの実施形態では、がんは、MAPKm/MAPKiナイーブ汎がんである。
【0024】
いくつかの実施形態では、がんは、EGFR遺伝子コピー数増加、EGFR遺伝子増幅、7番染色体の多染色体性、L858R、エクソン19欠失/挿入、L861Q、G719C、G719S、G719A、V765A、T783A、エクソン20挿入、EGFRのスプライスバリアント(Viii、Vvi、およびVii)、A289D、A289T、A289V、G598A、G598V、T790M、およびC797Sからなる群から選択される1つまたは複数のEGFR変異を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、がんは、L858R、エクソン19欠失、およびT790Mからなる群から選択される1つまたは複数のEGFR変異を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、がんは固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)、黒色腫、膵臓がん、唾液腺腫瘍、甲状腺がん、大腸がん(CRC)、または食道がんである。
【0027】
いくつかの実施形態では、がんは非小細胞肺がん(NSCLC)である。いくつかの実施形態では、NSCLCはEGFR変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCはKRAS G12C変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCはKRAS G12D変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCはKRAS G12S変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCはKRAS G12V変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCはKRAS G13D変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCはKRAS Q61H変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCはKRAS Q61K変異NSCLCである。
【0028】
いくつかの実施形態では、NSCLCはNRAS Q61R変異NSCLCである。
【0029】
いくつかの実施形態では、がんは、MAPKm/MAPKiナイーブNSCLCである。
【0030】
いくつかの実施形態では、がんは、BRAFiで処置されたV600 NSCLCである。
【0031】
いくつかの実施形態では、がんは、KRASで処置されたG12C NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、KRASで処置されたG12D NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、KRASで処置されたG12S NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、KRASで処置されたG12V NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、KRASで処置されたG13D NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、KRASで処置されたQ61H NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、KRASで処置されたQ61K NSCLCである。
【0032】
いくつかの実施形態では、がんは、NRASで処置されたQ61R NSCLCである。
【0033】
いくつかの実施形態では、がんは膵臓がんである。いくつかの実施形態では、がんは、MAPKm/MAPKiナイーブ膵臓がんである。
【0034】
いくつかの実施形態では、がんは黒色腫である。いくつかの実施形態では、黒色腫は、BRAF V600EまたはV600K変異腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは、BRAFiで処置されたV600黒色腫である。
【0035】
いくつかの実施形態では、がんは唾液腺腫瘍である。
【0036】
いくつかの実施形態では、がんは甲状腺がんである。
【0037】
いくつかの実施形態では、がんは大腸がん(CRC)である。いくつかの実施形態では、CRCはBRAF V600E CRCである。
【0038】
いくつかの実施形態では、CRCはKRAS変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12C変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12D変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12S変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12V変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G13D変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS Q61H変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS Q61K変異CRCである。
【0039】
いくつかの実施形態では、CRCは、NRAS変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、NRAS Q61R変異CRCである。
【0040】
いくつかの実施形態では、がんは食道がんである。
【0041】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日~約300mg/日の量で投与される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、25mg/日~150mg/日の量で投与される。
【0042】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日、約50mg/日、約75mg/日、約100mg/日、約150mg/日、約175mg/日、約200mg/日、約225mg/日、または約250mg/日の量で投与される。
【0043】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日、約50mg/日、約100mg/日、または約150mg/日の量で投与される。
【0044】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日1回(QD)投与される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回(BID)投与される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日3回(TID)投与される。
【0045】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週1回投与される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週2回投与される。
【0046】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週1回約50mg~週1回約400mgの量で投与される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週2回約50mg~週2回約400mgの量で投与される。
【0047】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、少なくとも1回の28日周期にわたって投与される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日周期の1日目、8日目、15日目、および22日目に投与される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日周期の1日目、8日目、15日目に投与される。
【0048】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、少なくとも1回の21日周期にわたって投与される。
【0049】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、経口投与される。
【0050】
参照による引用
本明細書において言及されるすべての出版物、特許、および特許出願は、あたかも個々の出版物、特許、または特許出願がそれぞれ参照により具体的かつ個別に組み込まれることが示されているのと同じ程度にまで、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲において具体的に説明される。本発明の特徴および利点は、本発明の原理が使用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な記載および添付の図面を参照することによって、よりよく理解されるであろう。
【
図1A】RKO細胞における化合物1およびエンコラフェニブの細胞生存率アッセイデータを示す。
【
図1B】HT-29細胞における化合物1およびエンコラフェニブの細胞生存率アッセイデータを示す。
【
図1C】WiDr細胞における化合物1およびエンコラフェニブの細胞生存率アッセイデータを示す。
【
図1D】MDST8細胞における化合物1およびエンコラフェニブの細胞生存率アッセイデータを示す。
【
図1E】LIM2405細胞における化合物1およびエンコラフェニブの細胞生存率アッセイデータを示す。
【
図2A】エンコラフェニブ難治性BRAF
V600E RKO CDXモデルにおける、化合物1にエンコラフェニブを加えたin vivoデータを示す。
【
図2B】エンコラフェニブ難治性BRAF
V600E WiDr CDXモデルにおける、化合物1にエンコラフェニブを加えたin vivoデータを示す。
【
図3A】エンコラフェニブをビニメチニブと併用した場合の、2つのBRAF V600E変異CRC細胞株、RKO(上)とHT-29(下)とを使用した、RSK(P-RSK)およびERK(P-ERK)のリン酸化を図示するウェスタンブロットゲルを示す。
【
図3B】化合物1をエンコラフェニブと併用した場合の、2つのBRAF V600E変異CRC細胞株、RKO(上)とHT-29(下)とを使用した、RSK(P-RSK)およびERK(P-ERK)のリン酸化を図示するウェスタンブロットゲルを示す。
【
図3C】LY3214996をエンコラフェニブと併用した場合の、2つのBRAF V600E変異CRC細胞株、RKO(上)とHT-29(下)とを使用した、RSK(P-RSK)およびERK(P-ERK)のリン酸化を図示するウェスタンブロットゲルを示す。
【
図3D】ラボキサルチニブをエンコラフェニブと併用した場合の、2つのBRAF V600E変異CRC細胞株、RKO(上)とHT-29(下)とを使用した、RSK(P-RSK)およびERK(P-ERK)のリン酸化を図示するウェスタンブロットゲルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明白に規定されていない限り、複数の参照対象を含む。したがって、例えば、「薬剤(agent)」に対する言及は、複数のそのような薬剤を含み、「細胞」に対する言及は、当業者には既知の1つまたは複数の細胞(または複数の細胞)およびその等価物などに対する言及を含む。本明細書において、分子量などの物理的特性、または化学式などの化学的特性について範囲が使用される場合、その範囲および範囲内の特定の実施形態のすべての組み合せならびに下位の組み合せ(subcombinations)が含まれることが意図される。数値または数値範囲に言及する場合の「約(about)」という用語は、言及された数値または数値範囲が、実験上の変動の範囲内(または統計的実験誤差の範囲内)での近似値であることを意味し、したがって、数値または数値範囲は、場合によっては、記載された数値または数値範囲の1%~15%の間で変動する。「含む(comprising)」という用語(および「含む(comprise)」または「含む(comprises)」または「有する(having)」または「含む(including)」などの関連する用語)は、他の特定の実施形態、例えば、本明細書に記載される任意の物質、組成物、方法、または工程などの実施形態において、記載される特徴から「なる(consist of)」または「本質的になる(consist essentially of)」ことを除外することを意図するものではない。
【0053】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、特に別段の規定がない限り、次の用語は下記の意味を有する。
【0054】
本明細書で使用される場合、「治療薬(therapeutics)」という用語は、患者の望ましくない疾病または疾患を処置、阻止、緩和、防止、または改善するために利用される薬剤を意味する。いくつかの実施形態では、化合物1などの治療薬剤は、がんの処置および/または緩和を対象とする。
【0055】
治療薬とともに使用される場合の「投与する(administering)」は、治療薬を全身または局所投与すること、例えば、直接標的組織内もしくは標的組織上に投与すること、または治療薬を患者に投与することで、治療薬が標的とする組織にプラスの影響を与えることを意味する。したがって、本明細書で使用されるように、「投与」という用語は、本明細書に記載される組成物とともに使用される場合、組成物を標的組織内または標的組織上に提供すること、例えば経口投与によって組成物を患者の全身にわたって提供することで治療薬が標的組織または標的細胞に到達することを含み得るが、これらに限定されない。組成物の「投与」は、注射、局所投与、経口投与、または他の方法を単独で、もしくは他の既知の技術と組み合わせることによって行うことができる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「動物」という用語は、ヒト、ならびに野生動物、飼育動物、および家畜動物などのヒト以外の脊椎動物を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「患者」、「対象」、および「個体」という用語は、本明細書に記載されるような特定の疾病が起こりうる生体を含むことが意図される。例としては、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、およびそれらのトランスジェニック種が挙げられる。好ましい実施形態では、患者は霊長類である。特定の実施形態では、霊長類、すなわち対象はヒトである。特定の例では、ヒトは成人である。特定の例では、ヒトは子供である。さらなる例では、ヒトは12歳未満である。特定の例では、ヒトは高齢者である。その他の例では、ヒトは60歳以上である。対象のその他の例としては、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、およびウシなどの実験動物が挙げられる。実験動物は、障害の動物モデル、例えば、高血圧病態を有するトランスジェニックマウスであり得る。
【0057】
「薬学的に許容可能な(pharmaceutically acceptable)」とは、担体、希釈剤、または賦形剤が、製剤の他の成分と適合性がなければならず、かつ、その受容者にとって有害であってはならないことを意味する。
【0058】
「医薬組成物(pharmaceutical composition)」という用語は、少なくとも1つの有効成分を含む組成物を意味し、これにより、組成物は、哺乳動物(例えば、限定はされないが、ヒト)において、特定の有効な結果を得るために研究され得る。当業者であれば、当業者の必要性に基づいて有効成分が所望の効能を有するか否かを決定するのに適切な技術を理解し、かつ正しく認識するであろう。
【0059】
「治療上有効量(therapeutically effective amount)」または「有効量(effective amount)」は、本明細書で使用する場合、研究者、獣医師、医師またはその他の臨床医が得ようとしている、組織、系、動物、個体、またはヒトにおいて、生物学的または医薬的反応を惹起する活性化合物または医薬剤の量を指し、次に挙げるものの1つまたは複数を含む。(1)疾患の予防、例えば、疾患、疾病、または障害に対する素因はあるが、まだ疾患の病態または症状を経験または発現していない個体において、疾患、疾病、または障害を予防すること、(2)疾患の抑制、例えば、疾患、疾病、または障害の病態または症状を経験または発現している個体において、疾患、疾病、または障害を抑制すること(すなわち、病理および/または症状のさらなる進展を抑制すること)、および(3)疾患の改善、例えば、疾患、疾病、または障害の病態または症状を経験または発現している個体において、疾患、疾病、または障害を緩和すること(つまり、病態および/または症状を好転させること)。
【0060】
本明細書で使用される「処置する(treat)」、「処置された(treated)」、「処置(treatment)」、または「処置している(treating)」という用語は、いくつかの実施形態における治療的処置と、他の実施形態における防止的または予防的措置の両方を意味し、その目的は、望ましくない生理学的疾病、障害、もしくは疾患を予防または遅らせる(軽減する)こと、あるいは有益なまたは所望の臨床結果を得ることである。本明細書に記載される目的のために、有益なまたは所望の臨床結果は、症状の緩和、疾病、障害または疾患の程度の減弱化、疾病、障害または疾患の状態の安定化(すなわち、悪化させないこと)、疾病、障害または疾患の発症の遅延または進行の減速、疾病、障害または疾患の状態の改善、および、検出可能であれ検出不可能であれ(部分的であれ全体的であれ)寛解、あるいは疾病、障害または疾患の向上または改善を含むが、これらに限定されるものではない。処置は、過度な副作用を伴わずに臨床的に有意な反応を引き出すことを含む。処置はまた、処置を受けなかった場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延ばすことを含む。処置の予防的な利点は、疾病の予防、疾病の進行阻止、疾病の安定化、または疾病の発生の可能性を低減することを含む。本明細書で使用される場合、「処置する」、「処置された」、「処置」または「処置している」は、いくつかの実施形態では、予防を含む。
【0061】
「実質的に同じ」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書で図示したものと同一ではないが、当業者が考慮した場合、実験誤差限界の範囲内に収まる粉末X線回折パターンまたは示差走査熱量測定パターンを指す。
【0062】
化合物1
本明細書では、(S)-N-(2-アミノ-1-(3-クロロ-5-フルオロフェニル)エチル)-1-(5-メチル-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド
【0063】
【化4】
またはその薬学的に許容可能な塩が開示される。
【0064】
いくつかの実施形態では、化合物1の塩はマンデル酸塩である。いくつかの実施形態では、化合物1の塩はベンゼンスルホン酸塩である。いくつかの実施形態では、化合物1の塩は塩酸塩である。いくつかの実施形態では、化合物1の塩はp-トルエンスルホン酸塩である。
【0065】
エンコラフェニブ
エンコラフェニブ
【0066】
【化5】
は、特定の黒色腫の処置のための医薬品である。エンコラフェニブは、MAPKシグナル伝達経路の鍵酵素を標的とする小分子のBRAF阻害剤である。この経路は、黒色腫や大腸がんを含む多くの異なるがんにおいて発生する。エンコラフェニブは、2018年6月、切除不可能または遠隔転移を有するBRAF V600EまたはV600K変異陽性黒色腫患者の処置のために、ビニメチニブとの併用でFDAによる承認を受けた。エンコラフェニブは、ファイザーによりBraftovi(登録商標)として販売されている。
【0067】
ダブラフェニブ
ダブラフェニブ
【0068】
【化6】
は、BRAF遺伝子の変異型に関連するがんの治療薬である。ダブラフェニブは、細胞増殖の制御に影響を及ぼす、関連するB-Raf酵素の阻害剤として作用する。ダブラフェニブは、BRAF(V600)変異性の、遠隔転移を有する黒色腫患者における第1相および第2相臨床試験において、管理可能な安全性プロファイルに臨床活性を有する。ダブラフェニブは、ノバルティスによりTafinlar(登録商標)として販売されている。
【0069】
パニツムマブ
パニツムマブ、旧名ABX-EGFは、上皮成長因子受容体(ヒトにおけるEGF受容体、EGFR、ErbB-1、およびHER1としても知られる)に特異的な完全ヒトモノクローナル抗体である。
【0070】
パニツムマブは、野生型KRAS(エクソン2)遠隔転移を有する大腸がん(mCRC)の処置に適応される上皮成長因子受容体(EGFR)アンタゴニストであり、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、およびイリノテカンを含有する化学療法での前処置後の疾患進行に次ぐ第一選択処置のための、または単剤療法としてのFOLFOXと併用するこの使用法は、FDA承認の試験によって決定されている。パニツムマブは、アムジェンによりVectibix(登録商標)として販売されている。
【0071】
併用
本明細書では、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、
(i)化合物1
【0072】
【化7】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)エンコラフェニブまたはダブラフェニブであるBRA阻害剤と
を治療有効量で上記対象に投与することを含む、方法が開示される。いくつかの実施形態では、化合物1はエンコラフェニブと併用される。いくつかの実施形態では、化合物1はダブラフェニブと併用される。
【0073】
本明細書では、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、
(i)化合物1
【0074】
【化8】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)エンコラフェニブであるBRA阻害剤と
を治療有効量で上記対象に投与することを含む、方法が開示される。
【0075】
本明細書では、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、
(i)化合物1
【0076】
【化9】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)ダブラフェニブであるBRAF阻害剤と
を治療有効量で上記対象に投与することを含む、方法が開示される。
【0077】
本明細書では、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、
(i)化合物1
【0078】
【化10】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)エンコラフェニブまたはダブラフェニブであるBRAF阻害剤と、
(iii)パニツムマブと
を治療有効量で上記対象に投与することを含む、方法が開示される。
【0079】
本明細書では、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、
(i)化合物1
【0080】
【化11】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)エンコラフェニブであるBRAF阻害剤と、
(iii)パニツムマブと
を治療有効量で上記対象に投与することを含む、方法が開示される。
【0081】
本明細書では、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、
(i)化合物1
【0082】
【化12】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)ダブラフェニブであるBRAF阻害剤と、
(iii)パニツムマブと
を治療有効量で上記対象に投与することを含む、方法が開示される。
【0083】
本明細書では、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、
(i)化合物1
【0084】
【化13】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(iii)パニツムマブと
を治療有効量で上記対象に投与することを含む、方法が開示される。
【0085】
がん
本明細書では、本明細書に開示される併用を使用してがんを治療する方法が開示される。
【0086】
「がん」は、白血病、リンパ腫、骨髄腫、癌腫、および肉腫を含むがこれらに限定されない、哺乳動物(例えばヒト)に見られるあらゆる種類のがん、新生物または悪性腫瘍を指す。本明細書で提供される化合物または方法で処置され得るがんの例としては、脳腫瘍、神経膠腫、膠芽腫、神経芽腫、前立腺がん、大腸がん、膵臓がん(膵臓腺癌、PDACなど)、髄芽腫、黒色腫、子宮頸がん、胃がん、卵巣がん、肺がん、頭部がん、ホジキン病、非ホジキン病リンパ腫が挙げられる。本明細書で提供される化合物または方法で処置され得るがんの例としては、血液、甲状腺、内分泌系、脳、乳房、子宮頸部、大腸、頭頸部、肝臓、腎臓、肺、卵巣、膵臓、直腸、胃、および子宮のがんが挙げられる。さらなる例としては、甲状腺癌、胆管癌、膵臓腺癌、皮膚黒色腫、結腸腺癌、直腸腺癌、胃腺癌、食道癌、頭頸部扁平上皮癌、浸潤性乳癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、非小細胞肺癌、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽腫、神経膠腫、多形性神経膠芽腫、卵巣がん、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、悪性膵インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱がん、前癌性皮膚病変、精巣がん、甲状腺がん、神経芽腫、食道がん、泌尿生殖器がん、悪性高カルシウム血症、子宮内膜がん、副腎皮質がん、膵内分泌または膵外分泌の新生物、甲状腺髄様がん、甲状腺髄様癌、黒色腫、大腸がん、甲状腺乳頭がん、肝細胞癌、または前立腺がんが挙げられる。
【0087】
いくつかの実施形態では、がんは、クラス1のB-Raf変異を有する。
【0088】
いくつかの実施形態では、がんは、EGFR変異、KRAS変異、BRAF(例えば、BRAF クラス3)変異および/またはNF1(例えば、機能喪失)変異のうちの少なくとも1つを有する。
【0089】
いくつかの実施形態では、変異体B-RafはV600変異を含む。いくつかの実施形態では、B-Rafの変異体はV600E変異を含む。いくつかの実施形態では、変異はV600Kである。いくつかの実施形態では、変異はV600Dである。いくつかの実施形態では、変異はV600Lである。いくつかの実施形態では、変異はV600Rである。いくつかの実施形態では、がんはBRAF V600EまたはV600K変異腫瘍である。
【0090】
いくつかの実施形態では、がんは、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路駆動がんである。
【0091】
いくつかの実施形態では、がんは、BRAF駆動がん、HRAS駆動がん、またはNRAS駆動がんである。
いくつかの実施形態では、がんは、脱調節ERKによって駆動される少なくとも1つのがん細胞を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、がんは、RASに少なくとも1つの変異を有する。
【0093】
いくつかの実施形態では、がんは、RAFに少なくとも1つの変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、MEKに少なくとも1つの変異を有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、がんは、G12C KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、G12D KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、G12S KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、G12V KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんはG13D KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、Q16H KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんは、Q16K KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、がんはQ61R NRAS変異を有する。
【0095】
いくつかの実施形態では、がんは、BRAF V600EまたはV600K変異腫瘍である。
【0096】
いくつかの実施形態では、がんは、MAPKm/MAPKiナイーブ汎がんである。
【0097】
いくつかの実施形態では、がんは、EGFR遺伝子コピー数増加、EGFR遺伝子増幅、7番染色体の多染色体性、L858R、エクソン19欠失/挿入、L861Q、G719C、G719S、G719A、V765A、T783A、エクソン20挿入、EGFRのスプライスバリアント(Viii、Vvi、およびVii)、A289D、A289T、A289V、G598A、G598V、T790M、およびC797Sからなる群から選択される1つまたは複数のEGFR変異を含む。いくつかの実施形態では、がんは、L858R、エクソン19欠失、およびT790Mからなる群から選択される1つまたは複数のEGFR変異を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、がんは固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は進行性または遠隔転移を有する固形腫瘍である。
【0099】
いくつかの実施形態では、がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)、黒色腫、膵臓がん、唾液腺腫瘍、甲状腺がん、大腸がん(CRC)、または食道がんである。
【0100】
いくつかの実施形態では、がんは非小細胞肺がん(NSCLC)である。いくつかの実施形態では、NSCLCはEGFR変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G12C変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G12D変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G12S変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G12V変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G13D変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS Q61H変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS Q61K変異NSCLCである。
【0101】
いくつかの実施形態では、NSCLCはNRAS Q61R変異NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、MAPKm/MAPKiナイーブNSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、BRAFiで処置されたV600 NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、KRASで処置されたG12C NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、KRASで処置されたG12D NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、KRASで処置されたG12S NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、KRASで処置されたG12V NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、KRASで処置されたG13D NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、KRASで処置されたQ61H NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、KRASで処置されたQ61K NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、NRASで処置されたQ61R NSCLCである。
【0102】
いくつかの実施形態では、がんは膵臓がんである。いくつかの実施形態では、がんはMAPKm/MAPKiナイーブ膵臓がんである。いくつかの実施形態では、膵臓がんは膵管腺癌(PDAC)である。いくつかの実施形態では、PDACは、KRAS G12V変異によって示される。
【0103】
いくつかの実施形態では、がんは黒色腫である。いくつかの実施形態では、黒色腫は、BRAF V600EまたはV600K変異腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは、BRAFiで処置されたV600黒色腫である。
【0104】
いくつかの実施形態では、がんは唾液腺腫瘍である。
【0105】
いくつかの実施形態では、がんは甲状腺がんである。
【0106】
いくつかの実施形態では、がんは大腸がん(CRC)である。いくつかの実施形態では、CRCはBRAF V600E CRCである。いくつかの実施形態では、CRCはKRAS変異CRCである。
【0107】
いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12C変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12D変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12S変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12V変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G13D変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS Q61H変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS Q61K変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、NRAS変異CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、NRAS Q61R変異CRCである。
【0108】
いくつかの実施形態では、がんは食道がんである。
【0109】
いくつかの実施形態では、がんは、大腸がん(CRC)、膵管腺癌(PDAC)、胆管がん、虫垂がん、胃がん、食道がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、頭頸部がん、卵巣がん、子宮がん、急性骨髄性白血病(AML)、または黒色腫である。
【0110】
いくつかの実施形態では、がんは消化管がんである。いくつかの実施形態では、消化管がんは、肛門がん、胆管がん、結腸がん、直腸がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がん、小腸がん、または胃がん(stomach cancer)(胃がん(gastric cancer))である。
【0111】
いくつかの実施形態では、がんは、大腸がん(CRC)、膵管腺がん(PDAC)、胆管がん、虫垂がん、胃がん、食道がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、頭頸部がん、卵巣がん、子宮がん、急性骨髄性白血病(AML)または黒色腫である。
【0112】
いくつかの実施形態では、がんは消化管がんである。いくつかの実施形態では、消化管がんは、肛門がん、胆管がん、結腸がん、直腸がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がん、小腸がん、または胃がん(stomach cancer)(胃がん(gastric cancer))である。
【0113】
投与
一態様では、本明細書に記載される組成物は、本明細書に記載される疾患および疾病の処置に使用される。さらに、そのような処置を必要とする対象における、本明細書に記載される疾病または疾患のいずれかを処置するための方法は、この対象への組成物の治療有効量での投与を含む。
【0114】
本明細書に記載される組成物の投与量は、任意の適切な方法によって決定され得る。化合物1またはその薬学的に許容可能な塩の最大耐用量(MTD)および最大反応量(MRD)は、本明細書に記載される実施例と同様に、確立された動物およびヒトの実験プロトコルを介して決定され得る。例えば、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩の毒性および治療有効性は、LD50(集団の50%にとっての致死量)およびED50(集団の50%に治療上有効な用量)を決定するためのものを含むがこれらに限定されない、細胞培養物または実験動物での標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性効果と治療効果との用量比が治療指数であり、これは、LD50とED50との比で表すことができる。細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトに使用するための投与量の範囲の調剤に使用することができる。そのような化合物の投与量は、好ましくは、最小限の毒性でED50を含む、循環濃度の範囲内にある。投与量は、使用される投薬形態および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変化してもよい。最大反応量または最大耐容量のパーセンテージで表される、さらなる相対投与量は、プロトコルから容易に入手できる。
【0115】
いくつかの実施形態では、そのような量に相当する化合物1またはその薬学的に許容可能な塩を含む所与の製剤の量は、特定の塩または形態、病状およびその重症度、処置を必要とする対象または宿主の身元(例えば、年齢、体重、性別)などの要因によって異なるとはいえ、例えば、投与される特定の製剤、液体製剤の種類、処置される疾患、および処置される対象または宿主を含む、症例を取り巻く特定の状況によって決定することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約100mg/日~500mg/日の量で投与される。いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約450mg/日の量で投与される。
【0117】
いくつかの実施形態では、ダブラフェニブは、約50mg/日~200mg/日の量で投与される。いくつかの実施形態では、ダブラフェニブは、約150mg/日の量で投与される。
【0118】
いくつかの実施形態では、パニツムマブは6mg/kgの量で投与される。いくつかの実施形態では、パニツムマブは14日毎に投与される。いくつかの実施形態では、パニツムマブは、60分間(1000mg以下)または90分間(1000mg超)にわたる静脈内注入として投与される。
【0119】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、経口投与される。
【0120】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日~約300mg/日の量で投与される。
【0121】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、25mg/日~150mg/日の量で投与される。
【0122】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日、約50mg/日、約75mg/日、約100mg/日、約150mg/日、約175mg/日、約200mg/日、約225mg/日、または約250mg/日の量で投与される。
【0123】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日、約50mg/日、約100mg/日、または約150mg/日の量で投与される。
【0124】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg~約300mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0125】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg~約250mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0126】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg~約200mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0127】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg~約150mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0128】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg~約100mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0129】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg~約50mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0130】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約50mg~約300mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0131】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約50mg~約250mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0132】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約50mg~約200mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0133】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約50mg~約150mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0134】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約50mg~約100mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0135】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約100mg~約300mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0136】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約100mg~約250mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0137】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約100mg~約200mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0138】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約100mg~約150mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0139】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約150mg~約300mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0140】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約150mg~約250mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0141】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約150mg~約200mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0142】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約175mg~約300mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0143】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約175mg~約250mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0144】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約175mg~約200mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0145】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約200mg~約300mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0146】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約200mg~約250mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0147】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約225mg~約300mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0148】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約225mg~約250mgの量で、1日2回、週1回(BID-QW)投与される。
【0149】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約250mgの量で、1日1回、週1回投与される。
【0150】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg、30mg、40mg、50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約175mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約225mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、または約300mgの量で投与される。
【0151】
投与
本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーの投与は、本明細書に記載される投与量で、または医師よって決定かつ熟慮された他の用量レベルおよび組成で行われる。特定の実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、予防的および/または治療的処置のために投与される。特定の治療的適用では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、ある疾患に既に罹患している患者に対して、その疾患を治癒するか、または症状を少なくとも部分的に抑制もしくは改善するのに十分な量で投与される。この使用に有効な量は、患者の年齢、疾患の重症度、過去の治療、患者の健康状態、体重、および組成物に対する反応、ならびに処置担当医の判断により決まる。治療有効量は、用量漸増臨床試験を含むが、これに限定されない方法によって任意選択で決定される。
【0152】
予防的適用では、本明細書に記載される組成物は、特定の疾患、例えば、がんに罹患しやすいか、そうでなければ罹患する危険性のある患者に投与される。そのような量は、「予防有効量または用量」であると定義される。この使用では、正確な量はまた、患者の年齢、健康状態、体重などにより決まる。患者に使用される場合、この使用に対する有効量は、特定の疾患を発現するリスクまたは易罹患性、過去の治療、患者の健康状態および組成物に対する反応、ならびに処置担当医の判断により決まるものとする。
【0153】
患者の病状が改善しない特定の実施形態では、医師の裁量により、本明細書に記載される組成物の投与は、患者の疾患の症状を改善するか、そうでなければ制御または制限するために、慢性的に、すなわち、患者の生涯全体を含む長期間にわたって行われる。他の実施形態では、組成物の投与は、疾患の完全奏効または部分奏効まで継続される。
【0154】
いくつかの実施形態では、本明細書中で説明される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナー(combination partners)は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書中で説明される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、1日2回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書中で説明される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、1日3回投与される。
【0155】
いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約450mg/日の量で投与される。いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、毎日1回投与される。いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、毎日2回投与される。いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、毎日3回投与される。
【0156】
いくつかの実施形態では、ダブラフェニブは、毎日1回投与される。いくつかの実施形態では、ダブラフェニブは、毎日2回投与される。いくつかの実施形態では、ダブラフェニブは毎日3回投与される。
【0157】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、絶食状態にある対象に投与される。絶食状態とは、一定期間食物を摂取していない、または絶食している対象を指す。一般的な絶食期間として、食物を摂取せず少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間が挙げられる。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、少なくとも8時間絶食状態にある対象に投与される。他の実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも10時間絶食状態にある対象に投与される。さらに他の実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも12時間絶食状態にある対象に投与される。他の実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、一晩絶食した対象に投与される。
【0158】
他の実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、摂食状態にある対象に投与される。摂食状態とは、食物を摂取したか、または食事を取った対象を指す。特定の実施形態では、組成物は、食後5分、食後10分、食後15分、食後20分、食後30分、食後40分、食後50分、食後1時間、または食後2時間の摂食状態にある対象に投与される。特定の例では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、食後30分の摂食状態にある対象に投与される。他の例では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、食後1時間の摂食状態にある対象に投与される。またさらなる実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、食物とともに対象に投与される。
【0159】
処置周期の長さは、施されている処置により決まる。いくつかの実施形態では、処置周期の長さは、2~6週間の範囲である。いくつかの実施形態では、処置周期の長さは、3~6週間の範囲である。いくつかの実施形態では、処置周期の長さは、3~4週間の範囲である。いくつかの実施形態では、処置周期の長さは、3週間(すなわち21日間)である。いくつかの実施形態では、処置周期の長さは、4週間(28日間)である。いくつかの実施形態では、処置周期の長さは、5週間(35日間)である。いくつかの実施形態では、処置周期の長さは、56日間である。いくつかの実施形態では、処置周期は、1、2、3、4、または5週間継続する。いくつかの実施形態では、処置周期は、3週間継続する。いくつかの実施形態では、処置周期は、4週間継続する。いくつかの実施形態では、処置周期は、5週間継続する。各サイクル内で予定されている処置用量の数もまた、投与される薬物により変化する。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、21日周期で投与される。
【0160】
がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、複数回の21日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも1回の21日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも2回の21日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも3回の21日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも4回の21日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも5回の21日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも6回の21日周期にわたって投与される。
【0161】
がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、28日周期で投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、複数回の28日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも1回の28日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも2回の28日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも3回の28日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも4回の28日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも5回の28日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも6回の28日周期にわたって投与される。
【0162】
がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各28日周期の1日目~7日目に投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各28日周期の1日目~14日目に投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各28日周期の1日目~21日目に投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各28日周期の1日目~28日目に投与される。
【0163】
がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日周期の1日目に1日2回投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日周期の8日目に1日2回投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日周期の15日目に1日2回投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日周期の22日目に1日2回投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日周期の22日目には1日2回投与されない。
【0164】
がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日周期の1日目、8日目、および15日目に1日2回投与される。
【0165】
がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日周期の2日目~7日目、9日目~14日目、16日目~21日目、23日目~28日目には投与されない。
【0166】
がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、35日周期で投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、複数回の35日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも1回の35日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも2回の35日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも3回の35日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも4回の35日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも5回の35日周期にわたって投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも6回の35日周期にわたって投与される。
【0167】
がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各35日周期の1日目~7日目に投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各35日周期の1日目~14日目に投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各35日周期の1日目~21日目に投与される。
がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各35日周期の1日目~28日目に投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各35日周期の1日目~35日目に投与される。
【0168】
がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、35日周期の1日目に1日2回投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、35日周期の8日目に1日2回投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、35日周期の15日目に1日2回投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、35日周期の22日目に1日2回投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、35日周期の29日目に1日2回投与される。がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、35日周期の29日目には1日2回投与されない。
【0169】
がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、35日周期の1日目、8日目、15日目、および22日目に1日2回投与される。
【0170】
がんを処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日周期の2日目~7日目、9日目~14日目、16日目~21日目、23日目~28日目、および30日目~35日目には投与されない。
【0171】
実施例
実施例1.In Vitro生存アッセイ
96ウェルプレート(Corning #3903)において1ウェルあたり1,000個(RKO、HT-29、WiDr、MDST8)または5,000個(LIM2405)の密度で細胞を蒔いた。細胞を一晩接着させ、HP Tecan D300eデジタルディスペンサー(スイス)を使用して化合物をマトリックス形式で添加した。化合物1を、1:3の希釈系列(8点用量反応)においてプレートの下から上まで添加し(行B~H)、エンコラフェニブを1:3の希釈系列(11ポイントの用量反応)において右から左まで(列2~11)添加した。最終DMSO濃度をプレート全体にわたって正規化した。Promega CellTiter-Glo 3D Cell Viability Assay試薬(#G9683)を製造業者のプロトコルに従って使用して、細胞生存率を処置の5日後に評価した。SpectraMax M3e(Molecular Devices,San Jose,CA)を使用して発光を評価し、Combenefitソフトウェア(Cancer Research UK Cambridge Institute)におけるBLISSモデルを使用して併用の効果を評価した。
【0172】
【0173】
RKO細胞(
図1A)、HT-29細胞(
図1B)、WiDr細胞(
図1C)、MDST8細胞(
図1D)、およびLIM2405(
図1E)を、3D細胞生存率アッセイにおける化合物1対エンコラフェニブの希釈マトリクスで処理した。ビヒクル処理された対照に対する生存細胞の百分率として表される細胞生存率が、マトリクス内に示される。化合物1およびエンコラフェニブは、BRAF
V600E変異を有する細胞株において、in Vitroで併用効果を実証している。
【0174】
実施例2.In-Vivoアッセイ
ビヒクル/対照物
ビヒクル/対照物、pH4.8~5.0に調整した脱イオン水中の0.5%メチルセルロースおよび0.1%Tween 80または100mMの酢酸を調製し、研究期間を通じて周囲条件下で保存した。
【0175】
試験物の配合
試験物化合物1を、0.5%メチルセルロースおよび0.1%Tween 80のビヒクル中で毎週新たに調製し、周囲条件下で保存した。併用剤であるエンコラフェニブを、0.5%CMCおよび0.5%Tween 80のビヒクル中で毎週新たに調製し、2~8℃で保存した。
【0176】
動物
メスのBalb/cヌードマウスを、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入した。飼育施設の、固有の病原体を有さない(SPF)環境でマウスを飼育し、あらゆる実験の開始に先立って少なくとも3日間新しい環境に順応させた。移植時、マウスは生後6~8週であった。
【0177】
この研究における動物の取扱い、世話、および処置に関連するすべての手順は、GenenDesignおよびWuXi AppTecの施設内動物管理使用委員会(IACUC)によって承認されたプロトコルおよびガイドラインに従って実行された。動物施設およびプログラムは、実験動物の管理と使用に関するガイド(NRC、2011)の基準に基づいて運営され、かつ、実験動物管理評価認定協会(AAALAC)によって認定されている。具体的には、GenenDesignおよびWuXi AppTecで実行されたこの研究のすべての部分は、IACUCによって審査および承認された研究プロトコルならびに該当する標準運営手順(SOP)に準拠した。
【0178】
異種移植モデルの調製
RKOは、BRAFV600E変異を有するヒトCRC腫瘍細胞株である。RKO細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標) CRL-2577(商標))から購入した。RKO細胞を、非必須アミノ酸を補充した10%ウシ胎児血清(FBS)を加えたEMEMを含有する培地中で、空気中5%CO2の雰囲気下、37℃で培養した。50%マトリゲルと混合した2×106個の細胞を含有する200μLの細胞懸濁液中のRKO細胞を、マウスに皮下移植した。腫瘍体積が平均200mm3に達したとき、担腫瘍マウスを、各群に8匹のマウスを有する異なる群に無作為化し、無作為化当日に処置を開始した。
【0179】
WiDrは、BRAFV600E変異を有するヒトCRC腫瘍細胞株である。WiDr細胞株は、European Collection of Authenticated Cell Cultures(ECACC、85111501)から購入した。WiDr細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)、2mMグルタミンを加え、1%非必須アミノ酸(NEAA)を補充したEMEM(EBSS)を含有する培地中で、空気中5%CO2の雰囲気下、37℃で培養した。50%マトリゲルと混合した5×106個の細胞を含有する200μLの細胞懸濁液中のWiDr細胞を、マウスに皮下移植した。腫瘍体積が平均190mm3に達したとき、担腫瘍マウスを、各群に8匹のマウスを有する異なる群に無作為化し、無作為化当日に処置を開始した。
【0180】
処置
単剤治療処置群において、ビヒクル対照溶液、化合物1、またはエンコラフェニブを経口投与によってマウスに投与した。化合物1とエンコラフェニブを含む併用物を経口投与によってマウスに投与した。投与量は各化合物に対して5mL/kgであり、BIDレジメンの間隔は8時間であった。化合物1とエンコラフェニブの併用において、化合物1は、エンコラフェニブ投与の1時間後に投与された。定期的な食物および水の供給に加えて、少なくとも2匹のマウスが10%超のBWLを示したケージにDietGel(ClearH2O、US)を添加した。研究は、4週間の処置終了時、またはビヒクル対照群における腫瘍体積が2,000mm3に達した時点で終了した。
【0181】
結果
化合物1およびエンコラフェニブは、エンコラフェニブ難治性BRAF
V600E CDXモデルにおいてin vivoで併用効果を実証している。
図2AのRKOモデルおよび
図2BのWiDr CDXモデルの腫瘍増殖曲線。
【0182】
実施例3.エンコラフェニブとMEKおよびERK阻害剤との併用によるBRAF V600E変異CRC細胞株(RKOおよびHT-29)の処置
エンコラフェニブと、MEK阻害剤のビニメチニブ、ERK阻害剤の化合物1、ERK阻害剤LY3214996、およびERK阻害剤のラボキセルチニブとの併用による、2つのBRAF V600E変異CRC細胞株、RKOおよびHT-29の処置。ウェスタンブロットゲルは、RSK(P-RSK)およびERK(P-ERK)のリン酸化を示している。リン酸化のレベルが高いほど、より高い(すなわち、より暗い)バンド強度で表される。総GAPDHタンパク質(GAPDH)は、ローディングコントロールとして機能する。ERKシグナル伝達活性は、ERKの下流標的であるRSK(P-RSK)のリン酸化状態によって表される。列の値は、最大72時間の化合物のインキュベーション時間を示す。
図3A~
図3D。
【0183】
BRAF V600E大腸細胞株において、化合物1は、MEKまたは他のERKとBRAF阻害剤の併用で観察されたRAS/MAPK経路のフィードバック再活性化を、MEKおよび他のERK阻害剤に使用した濃度の10分の1で遮断した。これらの結果は、化合物1によるERKの阻害が、ERKまたはMEKの他の阻害剤と比較して、単独または併用で、RAS/MAPK経路のより完全かつ持続的な遮断につながる可能性があることをさらに裏付けるものである。
【国際調査報告】