(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】脊椎インプラントの患者固有の調整、及び関連のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580746
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 US2022035232
(87)【国際公開番号】W WO2023278385
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521234397
【氏名又は名称】カールスメッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】コルドニアー マイケル ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー ナイル パトリック
(72)【発明者】
【氏名】フセイン シャリク
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097CC18
4C097CC20
4C097SC10
(57)【要約】
コンピュータシステムは、手術中に患者に移植される脊椎インプラントに埋め込まれたセンサから読み取り値を受信する。センサの読み取り値は、患者の脊椎によって脊椎インプラントに加えられる荷重を示す。この荷重は患者に物理的な不快感を与える。機械学習モジュールを用いて、インプラントセンサ読み取り値から特徴ベクトルが抽出される。特徴ベクトルは、荷重によって引き起こされる物理的不快感を示す。特徴ベクトルに基づいて、機械学習モジュールを用いて電気信号が生成される。機械学習モジュールは、患者データセットに基づいてトレーニングされ、身体的不快感が軽減されるように、荷重のバランスをとるための電気信号を生成する。電気信号は、脊椎インプラントに埋め込まれた1又は2以上のアクチュエータに送信され、1又は2以上のアクチュエータに、荷重が均衡するように脊椎インプラントを構成させる。
【選択図】
図14B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を治療する方法であって、
コンピュータシステムにより、患者に移植され且つ前記患者のための調整可能なインプラント矯正計画に従って第1の物理的構成で構成された脊椎インプラントの1又は2以上のインプラントセンサからのインプラントセンサ読み取り値を受信するステップであって、前記インプラントセンサ読み取り値は、前記患者の脊椎によって前記脊椎インプラントに加えられる荷重を示す、前記受信するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記コンピュータシステムの機械学習モジュールを使用して、前記インプラントセンサ読み取り値から特徴ベクトルを抽出するステップであって、前記特徴ベクトルは、前記調整可能なインプラント矯正計画に従った標的矯正を示す、前記抽出するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記機械学習モジュールを使用し且つ前記特徴ベクトルに基づいて、インプラント電気信号を生成するステップであって、前記機械学習モジュールは、前記標的矯正を達成するために前記荷重を調整する前記インプラント電気信号を生成するように患者データセットに基づいてトレーニングされる、前記生成するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記インプラント電気信号を前記脊椎インプラントに送信して、前記標的矯正のため前記脊椎インプラントを第2の物理的構成に移動させるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記コンピュータシステムにより、患者データを受信するステップと、
前記コンピュータシステムにより、受信した前記患者データに基づいて前記患者の脊椎の解剖学的構成を決定するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記解剖学的構成及び前記脊椎インプラントの利用可能な調整機能に基づいて前記標的矯正を特定するステップであって、特定された前記標的矯正が、前記特徴ベクトルを抽出するのに使用される、前記特定するステップと、
更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記矯正計画は、前記脊椎インプラントを作動するための基準を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コンピュータシステムにより、前記患者に移植された椎間固定デバイスインプラントに埋め込まれた1又は2以上のデバイスセンサからデバイスセンサ読み取り値を受信するステップであって、前記デバイスセンサ読み取り値は、前記インプラントセンサ読み取り値が前記脊椎インプラントから受信される前に受信される、前記受信するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記機械学習モジュールを使用し且つ前記デバイスセンサ読み取り値に基づいて、デバイス電気信号を生成するステップであって、前記デバイス電気信号は、前記デバイスの構成を調整するための命令を含む、前記生成するステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記特徴ベクトルが更に、前記患者の脊椎の腰椎前弯、コブ角、冠状パラメータ、矢状パラメータ、骨盤パラメータ、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、又は回転変位のうちの少なくとも1つを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記脊椎インプラントを前記第2の物理的構成に構成することが、
1又は2以上のインプラントアクチュエータを使用して、前記脊椎インプラントのスクリュー、ケージ、プレート、ロッド、ディスク、スペーサ、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、骨格、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、締結具、又は関節置換のうちの少なくとも1つを調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記脊椎インプラントを前記第2の物理的構成に構成することが、
前記脊椎インプラントに結合されたリザーバを調整して、前記患者に送達される薬理学的、生物学的、生化学的、麻酔、又はステロイドのうちの少なくとも1つの量を変更することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
コンピュータ命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ命令は、1又は2以上のコンピュータプロセッサにより実行されたときに、前記1又は2以上のコンピュータプロセッサに、
患者に移植され且つ前記患者の矯正計画に従って第1の物理的構成で構成された脊椎インプラントの1又は2以上のインプラントセンサからインプラントセンサ読み取り値を受信するステップであって、前記インプラントセンサ読み取り値は、前記患者の脊椎によって前記脊椎インプラントに加えられる荷重を示す、前記受信するステップと、
機械学習モジュールを使用して前記インプラントセンサ読み取り値から特徴ベクトルを抽出するステップであって、前記特徴ベクトルは矯正計画に従った標的矯正を示す、前記抽出するステップと、
前記機械学習モジュールを使用し且つ前記特徴ベクトルに基づいて、インプラント電気信号を生成するステップであって、前記機械学習モジュールは、前記標的矯正を達成するために前記荷重を調整する前記インプラント電気信号を生成するように、患者データセットに基づいてトレーニングされる、前記生成するステップと、
前記インプラント電気信号を前記脊椎インプラントに送信して、前記標的矯正のため前記脊椎インプラントを第2の物理的構成に移動させるステップと、
を行わせる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
前記コンピュータ命令が更に、前記1又は2以上のコンピュータプロセッサに、
前記患者に移植される椎間固定デバイスインプラントの1又は2以上のデバイスセンサからデバイスセンサ読み取り値を受信するステップであって、前記デバイスセンサ読み取り値は、前記インプラントセンサ読み取り値が前記脊椎インプラントから受信される前に受信される、前記受信するステップと、
前記機械学習モジュールを使用し且つ前記デバイスセンサ読み取り値に基づいてデバイス電気信号を生成するステップであって、前記デバイス電気信号は前記デバイスの構成を調整するための命令を含む、前記生成するステップと、
を行わせる、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記特徴ベクトルが更に、前記患者の脊椎の腰椎前弯、コブ角、冠状パラメータ、矢状パラメータ、骨盤パラメータ、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、又は回転変位のうちの少なくとも1つを示す、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記脊椎インプラントを前記第2の物理的構成に構成することが、
1又は2以上のインプラントアクチュエータを使用して、前記脊椎インプラントのスクリュー、ケージ、プレート、ロッド、ディスク、スペーサ、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、骨格、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、ファスナ、又は関節置換のうちの少なくとも1つを調整することを含む、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記脊椎インプラントを前記第2の物理的構成に構成することが、
前記脊椎インプラントに結合されたリザーバを調整して、前記患者に送達される薬理学的、生物学的、生化学的、麻酔、又はステロイドのうちの少なくとも1つの量を変更することを含む、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
システムであって、
1又は2以上のコンピュータプロセッサと、
コンピュータ命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、
を備え、
前記コンピュータ命令は、前記1又は2以上のコンピュータプロセッサにより実行されたときに、前記1又は2以上のコンピュータプロセッサに、
患者に移植され且つ第1の物理的構成で構成された脊椎インプラントの1又は2以上のインプラントセンサからインプラントセンサ読み取り値を受信するステップであって、前記インプラントセンサ読み取り値は、前記患者の脊椎によって前記脊椎インプラントに加えられる荷重を示す、前記受信するステップと、
前記システムの機械学習モジュールを使用して前記インプラントセンサ読み取り値から特徴ベクトルを抽出するステップであって、前記特徴ベクトルは矯正計画に従った標的矯正を示す、前記抽出するステップと、
前記機械学習モジュールを使用し且つ前記特徴ベクトルに基づいて、インプラント電気信号を生成するステップであって、前記機械学習モジュールは、前記標的矯正を達成するために前記荷重を調整する前記インプラント電気信号を生成するように、患者データセットに基づいてトレーニングされる、前記生成するステップと、
前記インプラント電気信号を前記脊椎インプラントに送信して、前記標的矯正のため前記脊椎インプラントを第2の物理的構成に移動させるステップと、
を行わせる、システム。
【請求項14】
前記コンピュータ命令が更に、前記1又は2以上のコンピュータプロセッサに、
前記患者に移植された椎間固定デバイスインプラントに埋め込まれた1又は2以上のデバイスセンサからデバイスセンサ読み取り値を受信するステップであって、前記デバイスセンサ読み取り値は、前記インプラントセンサ読み取り値が前記脊椎インプラントから受信される前に受信される、前記受信するステップと、
機械学習モジュールを使用し且つ前記デバイスセンサ読み取り値に基づいてデバイス電気信号を生成するステップであって、前記デバイス電気信号は前記デバイスの構成を調整するための命令を含む、前記生成するステップと、
を行わせる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記特徴ベクトルが更に、前記患者の脊椎の腰椎前弯、コブ角、冠状パラメータ、矢状パラメータ、骨盤パラメータ、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、又は回転変位のうちの少なくとも1つを示す、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記脊椎インプラントを前記第2の物理的構成に構成することが、
1又は2以上のインプラントアクチュエータを使用して、前記脊椎インプラントのスクリュー、ケージ、プレート、ロッド、ディスク、スペーサ、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、骨格、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、締結具、又は関節置換のうちの少なくとも1つを調整することを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記脊椎インプラントを前記第2の物理的構成に構成することが、
前記脊椎インプラントに結合されたリザーバを調整して、前記患者に送達される薬理学的、生物学的、生化学的、麻酔、又はステロイドのうちの少なくとも1つの量を変更することを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
脊椎を治療するためのコンピュータ実装方法であって、
コンピュータシステムにより、標的治療結果を達成するため患者の矯正された解剖学的構成を決定するステップと、
前記コンピュータシステムにより、少なくとも1つの機械学習モデルを使用して、前記患者の患者データセットに基づいて、前記患者の脊椎に影響を及ぼす疾患の疾患進行を予測するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記矯正された解剖学的構成を達成するために前記患者に移植されるように構成された作動可能インプラントを特定するステップであって、前記作動可能インプラントは、前記標的治療結果に基づく予測された前記疾患進行を補償するために、移植後に複数の構成の間で移動可能である、前記特定するスステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項19】
前記コンピュータシステムにより、前記標的治療結果を達成するために前記作動可能インプラントと協働するように構成された1又は2以上の追加インプラントを設計するステップを更に含む、請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記コンピュータシステムにより、前記脊椎の仮想モデルを生成するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記仮想モデルを用いて予測された前記疾患進行をシミュレーションするステップと、
前記コンピュータシステムにより、予測された前記疾患進行の全体にわたって前記仮想モデルに適合するように前記作動可能インプラントを設計するステップと、
を更に含む、請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項21】
前記コンピュータシステムにより、予測された前記疾患進行及び医師が見るための前記作動可能インプラントの調整をシミュレーションするステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記シミュレーションに対する医師入力を受信するステップと、
前記コンピュータシステムにより、受信された前記医師入力、予測された前記疾患進行、及び前記作動可能インプラントの1又は2以上の調整に基づいて、前記患者の少なくとも1つの治療結果をシミュレーションするステップと、
を更に含む、請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項22】
前記標的治療結果が、許容可能な脊椎パラメータの範囲を含み、前記作動可能インプラントの調整機能が、計画された有効寿命で前記標的治療結果を達成するように選択される、請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項23】
前記コンピュータシステムにより、1又は2以上の類似の以前の患者から少なくとも1人の一致する以前の患者を選択するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記少なくとも1人の一致する以前の患者の疾患進行データを取得するステップと、
前記コンピュータシステムにより、取得された前記疾患進行データに基づいて、前記疾患進行を補償するための患者固有のインプラント調整計画を決定するステップと、
を更に含む、請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項24】
前記コンピュータシステムにより、複数の疾患進行及びインプラントシナリオを生成するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記疾患進行シナリオ及び前記インプラントシナリオを表示するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記作動可能インプラントの最小調整機能を決定するために前記疾患進行シナリオのうちの1又は2以上の選択を受信するステップと、
を更に含む、請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項25】
前記疾患進行シナリオ及び前記インプラントシナリオのうちの少なくとも1つが、
前記疾患の予測される進行速度、患者の健康スコア、又は計画された治療期間のうちの少なくとも1つに基づいて生成される、請求項24に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項26】
前記予測される進行速度が、1又は2以上の参照患者データセットに基づいて決定される、請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項27】
患者固有の医療ケアを提供するためのコンピュータ実装方法であって、
コンピュータシステムにより、患者の患者データセットを受信するステップと、
前記コンピュータシステムにより、複数の参照患者データセットにおける1又は2以上の類似患者データセットを特定するよう前記患者データセットと前記複数の参照患者データセットとを比較するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記1又は2以上の類似患者データセットのサブセットを選択するステップであって、選択された前記サブセットの各類似患者データセットが、好ましい治療結果を示すデータを示す、前記選択するステップと、
前記コンピュータシステムにより、選択された前記サブセットの少なくとも1つの類似患者データセットについて、前記好ましい治療結果に関連する医療デバイス設計データ及びインプラント調整データを特定するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記医療デバイス設計データ及び前記インプラント調整データに基づいて、前記患者のための少なくとも1つの患者固有の医療デバイス設計を生成するステップであって、前記少なくとも1つの患者固有の医療デバイス設計は、術後に前記医療デバイスの構成を調整するために非侵襲的に作動されるように構成されている、前記生成するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項28】
前記比較ステップが、
前記コンピュータシステムにより、各参照患者データセットについて、前記患者データセットの脊椎病理データと前記参照患者データセットの脊椎病理データとの比較に基づいて類似性スコアを生成するステップであって、前記類似性スコアは、調整可能インプラントが使用されたか否かに少なくとも部分的に基づく、前記生成するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記類似性スコアに少なくとも部分的に基づいて、前記1又は2以上の類似患者データセットを特定するステップと、
を含む、請求項27に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項29】
前記類似患者データセットの少なくとも1つは、(a)前記患者と類似の脊椎病理データを有する、及び/又は(b)少なくとも1つのアクチュエータを用いたそれぞれの整形外科インプラントによる治療を受けた参照患者に対応し、
選択された前記サブセットの類似患者データセットの少なくとも1つが、前記参照患者により受けられたそれぞれの整形外科用インプラントによる治療が良好な治療結果をもたらしたことを示すデータを含み、
前記コンピュータ実装方法は更に、前記コンピュータシステムにより、選択された前記サブセットに基づいて、前記少なくとも1つの患者固有の医療デバイス設計の拡張又は縮小のためのパラメータを決定するステップを含む、
請求項27に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項30】
前記比較ステップが、
前記コンピュータシステムにより、前記患者データセット及び前記参照患者データセットを比較するステップと、
前記コンピュータシステムにより、各参照患者データセットについて、前記患者データセットとそれぞれの前記参照患者データセットとの比較に基づいて、類似性スコアを生成するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記類似性スコア及び前記患者が術後に作動可能インプラントを受けたか否かに少なくとも部分的に基づいて、前記1又は2以上の類似患者データセットを特定するステップと、
を含む、請求項27に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項31】
前記類似性スコアが、前記患者データセットとそれぞれの前記参照患者データセットとの間の統計的相関を表す、請求項30に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項32】
患者固有の整形外科用インプラントを設計するためのコンピュータ実装方法であって、
コンピュータシステムにより、複数の参照患者データセットにおける1又は2以上の類似患者データセットを特定するよう、患者データセットを前記複数の参照患者データセットと比較するステップであって、各類似患者データセットが、(a)前記患者と類似の脊椎病理データを有し、且つ(b)術後作動可能インプラントによる治療を受けた参照患者に対応する、前記比較するステップと、
前記コンピュータシステムにより、少なくとも1つの類似患者データについて、それぞれのインプラント用の設計データ、及び対応する参照患者にそれぞれの前記インプラントを移植させるための外科手術用のアクチュエータデータを特定するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記設計データ及び前記アクチュエータデータに基づいて、作動可能な前記整形外科用インプラントの作動が外部コントローラにより遠隔制御されるように、前記患者の解剖学的構造に対する前記作動可能な整形外科用インプラントのための設計を生成するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項33】
前記コンピュータシステムにより、前記設計データを特定するのに使用される前記1又は2以上の類似患者データセットのサブセットを選択するステップであって、選択された前記サブセットの各類似患者データセットが、前記参照患者によって受けられた前記インプラントに対する1又は2以上の調整が良好な治療結果をもたらしたことを示すデータを含む、前記選択するステップを更に含む、請求項32に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項34】
コンピュータシステムにより、トレーニングされた機械学習モデルを用いて、
ある期間の複数のインプラント調整計画及び前記患者を治療するための対応する複数の整形外科用インプラント設計を決定し、
前記複数のインプラント調整計画の各々と前記対応する複数の整形外科用インプラント設計の各々について、前記期間において患者の標的治療結果を達成する確率を決定し、
前記期間において前記標的治療結果を達成する決定された前記確率に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のインプラント調整計画のうちの少なくとも1つ及び前記対応する複数の整形外科用インプラント設計のうちの少なくとも1つを選択する、
ようにするステップを更に含む、請求項32に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項35】
コンピュータ実装方法であって、
コンピュータシステムにより、患者の少なくとも一部の解剖学的モデルを生成するステップであって、前記解剖学的モデルは、前記患者の生来の解剖学的構造を記述する、前記生成するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記生来の解剖学的構造に対する患者固有の矯正及び予測される疾患進行に基づいて、ある期間にわたる解剖学的変化を表す一連の矯正された解剖学的モデルを生成するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記患者の脊椎に沿った複数の治療位置を決定するステップと、
前記コンピュータシステムによって、前記インプラントの術後作動によって前記解剖学的変化を補償するために、前記患者固有の矯正に基づいて、それぞれの治療位置のためのインプラントを設計するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項36】
前記インプラントが前記複数の治療位置に移植されたときに、前記インプラントは、前記患者の一部が前記矯正された解剖学的モデルに実質的に一致するように構成されている、請求項35に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項37】
前記解剖学的モデルは、前記脊椎の少なくとも一部の仮想モデルである、請求項35に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項38】
前記コンピュータシステムにより、前記複数の治療位置を決定するよう前記解剖学的モデルと前記矯正された解剖学的モデルとを比較するステップを更に含む、請求項35に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項39】
非侵襲的解剖学的調整のためのコンピュータ実装方法であって、
コンピュータシステムにより、患者の脊椎に沿って移植された少なくとも1つのデバイスに荷重を加えるように垂直姿勢にある前記患者の脊椎の事前調整画像を取得するステップと、
前記コンピュータシステムにより、前記事前調整画像及び患者固有の術前矯正計画に基づいて、前記患者の1又は2以上の解剖学的矯正を決定するステップと、
前記コンピュータシステムにより、第1の構成から第2の構成への前記少なくとも1つのデバイスの作動を非侵襲的に行わせて、前記患者固有の術前矯正計画の標的解剖学的構成に向けて前記脊椎を移動させることにより、1又は2以上の解剖学的矯正を提供するステップと、
前記第2の構成にある前記少なくとも1つのデバイスを用いて、前記患者の調整後画像を取得するステップと、
前記調整後画像に基づいて、前記少なくとも1つのデバイスを再構成するかどうかを決定するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項40】
前記事前調整画像が、立位X線画像又は座位X線画像の少なくとも一方を含み、
前記調整後画像が、立位X線画像又は座位X線画像の少なくとも一方を含む、
請求項39に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項41】
前記事前調整画像を取得するステップが、前記脊椎を撮像して、前記少なくとも1つのデバイスを作動させながら動的な座位/立位画像を生成するステップを含む、請求項39に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つのデバイスは、各々が前記脊椎に異なるレベルで移植された複数の椎体間固定デバイスを含み、
前記少なくとも1つのデバイスの非侵襲的作動が、前記患者の術後脊椎を脊椎固定を起こすため前記標的解剖学的構成に移動させるように前記椎体間固定デバイスを再構成するステップを含む、請求項39に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項43】
前記患者の術前画像を取得するステップと、
前記患者固有の矯正計画に基づいて、前記少なくとも1つのデバイスの術後調整機能を決定するステップと、
前記術後調整機能で前記少なくとも1つのデバイスを設計するステップと、
更に含む、請求項39に記載のコンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2021年6月28日に出願された米国仮特許出願第63/215,784号の優先権を主張するものであり、その開示内容は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、医療ケアの設計及び実施に関し、より詳細には、脊椎インプラントの患者固有の調整を設計及び実施するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科インプラントは、脊椎外科、手外科、肩及び肘外科、全関節再建術(関節形成術)、頭蓋骨再建術、小児整形外科、足及び足首外科、筋骨格腫瘍学、外科的スポーツ医学、及び整形外科的外傷を含む、様々な状況において多くの異なる疾患を是正するのに使用されている。脊椎外科自体は、頸椎、胸椎、腰椎、仙骨の1又は2以上の様々な処置及び標的を包含し、脊椎の変形又は変性、及び/又は関連する腰痛、脚痛、その他の体の痛みを治療するために行うことができる。脊椎インプラントを用いて治療できる一般的な脊椎変形には、脊柱側弯症、脊柱前弯症、後弯症(過弯症又は低弯症)のような不規則な脊椎湾曲、及び不規則な脊椎変位(例えば、脊椎すべり症)が挙げられる。脊椎インプラントを用いて治療できる他の脊椎疾患には、変形性関節症、腰椎変性椎間板疾患又は頚椎変性椎間板疾患、腰椎脊柱管狭窄症、及び頚椎脊柱管狭窄症が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第16/990,810号明細書
【特許文献2】米国特許出願第16/987,113号明細書
【特許文献3】米国特許出願第17/100,396号明細書
【特許文献4】米国特許出願第17/835,777号明細書
【特許文献5】米国特許出願第16/990,810号明細書
【発明の概要】
【0005】
添付図面は、本開示のシステム、方法、及び他の様々な態様の実施形態を示す。当業者であれば、図中の例示された要素の境界(例えば、ボックス、ボックスのグループ、又は他の形状)が境界の一例を表していることを理解するであろう。幾つかの例では、1つの要素が複数の要素として設計することができ、又は複数の要素が1つの要素として設計することができる。幾つかの例では、ある要素の内部構成要素として示された要素が、別の要素では外部構成要素として実装される場合があり、その逆も同様である。非限定的及び非網羅的な説明を、以下の図面を参照して説明する。図中の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、原理の説明に重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態による、患者固有の医療ケアを提供するためのシステムを示すネットワーク接続図である。
【
図2】一実施形態による、図のシステムに接続して使用するのに適したコンピュータデバイスを示す図である。
【
図3】一実施形態による、患者固有の医療ケアを提供するための方法を示すフロー図である。
【
図4A】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的なデータセットを示し、患者データセットを示す図である。
【
図4B】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的なデータセットを示し、参照患者データセットを示す図である。
【
図4C】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的なデータセットを示し、
図4Bの参照患者データセットについての類似性スコア及び結果スコアを示す図である。
【
図5】一実施形態による、患者固有の医療ケアを提供するための別の方法を示すフロー図である。
【
図6】一実施形態による、患者固有の医療ケアを提供するための手術セットアップ及び関連するコンピュータシステムの部分概略図である。
【
図7A】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的な患者データセットを示す図である。
【
図7B】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的な患者データセットを示す図である。
【
図7C】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的な患者データセットを示す図である。
【
図7D】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的な患者データセットを示す図である。
【
図8A】一実施形態による、本明細書に記載される方法に関連して使用及び/又は生成できる患者の脊椎の例示的な仮想モデルを示す図である。
【
図8B】一実施形態による、本明細書に記載される方法に関連して使用及び/又は生成できる患者の脊椎の例示的な仮想モデルを示す図である。
【
図9A-1】術前の解剖学的構成における患者の脊椎の例示的な仮想モデルを示す図である。
【
図9A-2】術前の解剖学的構成における患者の脊椎の例示的な仮想モデルを示す図である。
【
図9B-1】矯正された解剖学的構成における患者の脊椎の例示的な仮想モデルを示す図である。
【
図9B-2】矯正された解剖学的構成における患者の脊椎の例示的な仮想モデルを示す図である。
【
図10】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成できる、患者固有の外科手術のための例示的な手術計画を示す図である。
【
図11A】一実施形態による、外科医のレビューのために
図10に示される手術計画を詳述し、本明細書に記載される方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的な手術計画報告書を示す図である。
【
図11B】一実施形態による、外科医のレビューのために
図10に示される手術計画を詳述し、本明細書に記載される方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的な手術計画報告書を示す図である。
【
図12A】一実施形態による、本明細書に記載される方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的な患者固有のインプラントを示す図である。
【
図12B】一実施形態による、本明細書に記載される方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的な患者固有のインプラントを示す図である。
【
図13】一実施形態による、複数の患者固有のインプラントが移植された後の患者の脊椎のセグメントを示す図である。
【
図14A】一実施形態による、第1の椎骨(例えば、相対的に上位の椎骨)と第2の椎骨(例えば、相対的に下位の椎骨)との間に配備された患者固有の椎体間固定デバイスの概略的な前方図である。
【
図14B】一実施形態による、第1の椎骨(例えば、相対的に上位の椎骨)と第2の椎骨(例えば、相対的に下位の椎骨)との間に配備された患者固有の椎体間固定デバイスの概略的な側方図である。
【
図15】一実施形態による、脊椎インプラントの患者固有の調整のためのプロセスを示す流れ図である。
【
図16A】一実施形態による、患者の脊椎と、椎間インプラントの作動を制御するための遠隔デバイスとを示す図である。
【
図16B】一実施形態による、本明細書に記載されたシステム及び方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的な矯正計画を示す図である。
【
図17A】一実施形態による、異なる構成における患者の脊椎を示す図である。
【
図17B】一実施形態による、異なる構成における患者の脊椎を示す図である。
【
図17C】一実施形態による、異なる構成における患者の脊椎を示す図である。
【
図17D】一実施形態による、異なる構成における患者の脊椎を示す図である。
【
図18】一実施形態による、椎体間固定デバイス及び脊椎用固定具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本技術は、脊椎インプラントの患者固有の調整を設計及び実施するためのシステム及び方法に向けられている。脊椎固定術(spinal fusion)は、脊椎固定術(spondylodesis)又は脊椎癒合術(spondylosyndesis)とも呼ばれ、2又は3以上の椎骨を接合する神経外科又は整形外科的外科技術である。脊椎固定術は、脊椎、すなわち、腰椎、頸椎、及び胸椎のどのレベルにも影響を及ぼす様々な症状の治療に用いることができる。一般に、脊椎固定術は、脊椎を減圧して安定させるために行われ、その結果、固定された椎骨間の動きを阻止することができる。脊椎固定術は、椎間板がすり減った時(例えば、変性椎間板症から生じる)に生じる椎骨の機械的な痛み又は脊髄に対する痛み及び圧迫を緩和するために行われるのが最も一般的である。脊椎固定術によって治療されるその他の一般的な病的状態には、脊柱管狭窄症、脊椎すべり症、脊椎症、脊椎骨折、側弯症、後弯症などが挙げられる。
【0008】
脊椎固定術は、椎体間固定(IBF)デバイスを利用することができる。IBFデバイスは、椎体間の高さを回復させ、前弯及び冠状面のずれを回復させ、及び/又は椎体間で骨癒合が起こるまで脊椎を安定させるのに役立つことができる。例示的なIBFデバイスは、前方腰椎椎体間固定術(ALIF)、側方腰椎椎体間固定術(LLIF)、斜め側方椎体間固定術、後方腰椎椎体間固定術(PLIF)、又は経腰椎椎体間固定術(TLIF)用に構成することができる。幾つかの実施形態では、IBFデバイスは頚椎ケージとすることができる。IBFデバイスはまた、術中調整機能を提供する複数の拡張可能機構を有することができる。幾つかの実施形態において、拡張可能IBFデバイスはまた、例えば、脊椎湾曲症、椎体高、ロードス回復、及び/又は冠状回復の調整機能(例えば、術前、術中、及び/又は術後の調整機能)を提供する。
【0009】
本明細書の開示は、主として、整形外科の関連における治療計画のためのシステム及び方法について記載しているが、本技術は、他の分野(例えば、他の種類の外科診療)における医療及びデバイスにも同様に適用することができる。更に、本明細書における多くの実施形態は、移植されるデバイスに関するシステム及び方法を記載しているが、本技術は、他のタイプの医療デバイス(例えば、非移植デバイス)にも同様に適用することができる。
【0010】
例えば、本明細書に開示される多くの実施形態において、コンピュータシステムは、患者の矯正計画に従って第1の物理的構成で構成された脊椎インプラントの1又は2以上のインプラントセンサからインプラントセンサ読み取り値を受信する。インプラントセンサ読み取り値は、手術が行われた後に受信され、患者の脊椎によって脊椎インプラントに加えられる荷重を示す。コンピュータシステムは、コンピュータシステムの機械学習モジュールを使用して、インプラントセンサ読み取り値から特徴ベクトルを抽出する。特徴ベクトルは標的矯正を示す。コンピュータシステムは、特徴ベクトルに基づいて機械学習モジュールを用いてインプラント電気信号を生成する。機械学習モジュールは患者データセットに基づいてトレーニングされ、例えば標的矯正を達成するように荷重を調整するためのインプラント電気信号を生成する。コンピュータシステムは、インプラント電気信号を脊椎インプラントに送信して、脊椎インプラントを標的矯正のための第2の物理的構成に移動させる。幾つかの実施形態では、脊椎インプラントは、疾患進行、追加の手術介入、加齢、感知されたメトリクス等のうちの1又は2以上を考慮した所定の調整可能インプラント矯正計画に従って術後に調整される。
【0011】
幾つかの実施形態では、コンピュータシステムは患者データを受信する。患者の脊椎の解剖学的構成が、受信した患者データに基づいて決定される。コンピュータシステムは、解剖学的構成及び脊椎インプラントの利用可能な調整機能に基づいて標的矯正を特定し、特定された標的矯正は、特徴ベクトルを抽出するのに使用される。
【0012】
幾つかの実施形態では、矯正計画は、脊椎インプラントを移植するための基準を備える。
【0013】
幾つかの実施形態において、コンピュータシステムは、手術中に患者に移植された椎間固定デバイスインプラントに埋め込まれた1又は2以上のデバイスセンサからデバイスセンサ読み取り値を受信する。デバイスセンサ読み取り値は、手術が行われた後、インプラントセンサ読み取り値が受信される前に受信される。コンピュータシステムは、デバイスセンサ読み取り値に基づいて、機械学習モジュールを使用してデバイス電気信号を生成する。機械学習モジュールは、椎間固定デバイスによって引き起こされる身体的不快感を軽減するためのデバイスセンサ読み取り値を生成するために、患者データセットに基づいてトレーニングされる。
【0014】
幾つかの実施形態では、特徴ベクトルは更に、患者の脊椎の腰椎前弯(LL)、コブ角、冠状パラメータ、矢状パラメータ、骨盤パラメータ、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、又は回転変位のうちの少なくとも1つを示す。
【0015】
幾つかの実施形態において、脊椎インプラントを第2の物理的構成に構成することは、1又は2以上のインプラントアクチュエータを用いて、脊椎インプラントのスクリュー、ケージ、プレート、ロッド、ディスク、スペーサ、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、骨格(scaffold)、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、コネクタ、テザー、ファスナ、又は関節置換のうちの少なくとも1つを調整することを含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、脊椎インプラントを第2の物理的構成に構成することは、脊椎インプラントに結合されたリザーバを調整して、患者に送達される医薬、生物学的、生化学的、麻酔、又はステロイドのうちの少なくとも1つの量を変更することを含む。
【0017】
幾つかの実施形態において、医療を提供する方法は、治療される患者の患者データセットを複数の参照患者データセット(例えば、以前に治療された患者のデータ)と比較することを含む。本方法は、例えば、参照患者データセットと患者データセットとの類似性及び/又は参照患者が良好な治療結果を有していたかどうかに基づいて、参照患者データセットのサブセットを選択することを含むことができる。選択されたサブセットは、特定の患者にとって好ましい治療結果をもたらす可能性が高い外科手術及び/又は医療デバイス設計を生成するのに使用できる。幾つかの実施形態では、選択されたサブセットは、患者の病理、外科手術、デバイス設計、及び/又は治療結果間の相関関係を特定するために分析され、これらの相関関係は、成功の可能性がより高い個別化された治療プロトコルを決定するのに使用される。
【0018】
整形外科手術の関連では、改善されたコンピューティング能力(例えば、予測分析、機械学習、ニューラルネットワーク、人工知能(AI))を有するシステムは、大規模なデータセットを使用して、特定の患者に対する改善された又は最適な外科的介入及び/又はインプラント設計を定義することができる。患者の全データを特徴付けて、以前の患者の群からの集約データ(例えば、パラメータ、メトリクス、病理、治療、結果)と比較することができる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるシステムは、この集約されたデータを使用して、潜在的な治療解決策(例えば、脊椎及び整形外科手術のための手術計画及び/又はインプラント設計)を策定し、関連する成功の可能性を分析する。これらのシステムは、潜在的な治療解決策を更に比較して、成功の可能性を最大化することが期待される最適な患者固有の解決策を決定することができる。
【0019】
例えば、患者が腰椎前弯、コブ角、冠状パラメータ(コロナルバランス、グローバルコロナルバランス、コロナル骨盤傾斜など)、矢状面パラメータ(骨盤入射率(PI)、仙骨傾斜、胸椎後弯など)及び/又は骨盤パラメータを含むデータで記述することができる脊椎変形病態を呈する場合、これらのデータ点を入力として使用するアルゴリズムを用いて、対象者の病理を矯正し、患者の結果を改善するための最適な手術計画及び/又はインプラント設計を記述することができる。病理(例えば、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、回転変位)を記述するために追加のデータ入力が使用されると、アルゴリズムは、これらの追加の入力を使用して、当該特定の患者及びこれらの病理に最適な手術計画及び/又はインプラント設計を更に定義することができる。
【0020】
幾つかの実施形態では、本技術は、1又は2以上の変形を患う対象患者の矯正された解剖学的構成を自動的に又は少なくとも半自動的に決定することができる。例えば、本明細書に記載のコンピュータシステムは、選択されたパラメータ(例えば、LL、コブ角等)に対する数学的ルールを適用することができ、及び/又は参照患者データセットを分析することによって類似の患者を特定することができ、ルール及び/又は他の患者との比較に基づいて、対象患者が手術を受けた場合の最適な結果を表す推奨解剖学的構成を提供することができる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のシステム及び方法は、矯正された/推奨された解剖学的構成の仮想モデルを生成する(例えば、外科医のレビュー用)。
【0021】
幾つかの実施形態では、本技術はまた、対象患者について以前に特定された矯正された解剖学的構成を達成するための手術計画を自動的に又は少なくとも半自動的に生成することができる。例えば、矯正された解剖学的構成の仮想モデルに基づいて、本明細書のシステム及び方法は、手術の種類(例えば、脊椎固定手術、非固定手術等)、手術アプローチ(例えば、前方、後方等)、及び/又は矯正された解剖学的構成の脊椎パラメータ(例えば、LL、コブ角等)を決定することができる。手術計画は、レビュー及び承認のために外科医に送信することができる。幾つかの実施形態では、本技術はまた、手術計画を介して矯正された解剖学的構成を達成するための1又は2以上の患者固有のインプラントを設計することができる。
【0022】
幾つかの実施形態において、本技術は、患者の複数の解剖学的モデルを生成するシステム及び方法を提供する。例えば、第1のモデルは、患者の生来の(例えば、術前の)解剖学的構成を示すことができ、第2のモデルは、患者の矯正された(例えば、術後の)解剖学的構成のシミュレーションを提供することができる。第2の仮想モデルは、任意選択的に、患者の1又は2以上の標的領域にて移植されたように示される1又は2以上の仮想インプラントを含むことができる。脊椎メトリックス(例えば、LL、コブ角、冠状パラメータ、矢状パラメータ、骨盤パラメータ等)もまた、術前の解剖学的構成及び期待される術後の解剖学的構成の両方について提供することができる。
【0023】
幾つかの実施形態において、本技術は、患者内の複数の位置に対する患者固有の医療処置を生成、設計、及び/又は提供することを含む。例えば、本技術は、外科的介入のために患者内の少なくとも2つの標的領域又は部位(例えば、第1の椎骨レベル及び第2の椎骨レベル)を特定するステップを含むことができる。次に、本技術は、少なくとも2つの標的領域での移植のため少なくとも2つの患者固有のインプラントを設計することができる。少なくとも2つの患者固有のインプラントは各々、それぞれの標的領域用に特別に設計することができ、従って、異なる形状を有することができる。幾つかの実施形態では、患者の矯正された解剖学的構成は、少なくとも2つの患者固有のインプラントの各々を移植することによってのみ達成される。脊椎手術の関連では、例えば、本技術は、L2椎体とL3椎体との間に移植される第1の患者固有の椎体間デバイス、L3椎体とL4椎体との間に移植される第2の患者固有の椎体間デバイス、及びL4椎体とL5椎体との間に移植される第3の患者固有の椎体間デバイスを提供することができる。
【0024】
幾つかの実施形態において、本技術は、診断及び/又は治療計画を支援するために、特定の患者内の疾患進行を予測、モデル化、又はシミュレーションすることができる。シミュレーションは、(a)外科的介入が行われない場合、又は(b)様々な異なる外科的介入オプションについて、患者の将来の解剖学的構成及び/又は脊椎メトリクスをモデル化及び/又は推定するために行うことができる。従って、進行モデリングは、外科的介入の最適な時期を決定するため、及び/又はどの外科的介入が最良の長期結果をもたらすかを選択するのに使用することができる。幾つかの実施形態では、疾患進行モデリングは、複数の参照患者に基づいてトレーニングされた1又は2以上の機械学習モデルを用いて実行される。
【0025】
特定の非限定的な例では、本技術は、対象患者に患者固有の医療ケアを提供するための方法を含む。本方法は、患者の生来の解剖学的構成を示す患者の脊椎領域の1又は2以上の画像を含む、対象患者の患者データセットを受信するステップを含むことができる。本方法は更に、生来の解剖学的配置とは異なる対象患者の矯正された解剖学的配置を決定するステップと、矯正された解剖学的配置の仮想モデルを作成するステップとを含むことができる。本方法は更に、手術計画を生成するステップ、及び対象患者において矯正された解剖学的構成を達成するための1又は2以上の患者固有のインプラントを設計するステップを含むことができる。代表的な実施形態では、上述の方法は、実行時にシステムに方法のステップを実行させるコンピュータ実行可能命令を記憶したシステムによって実行することができる。
【0026】
特定の非限定的な例では、本技術は、対象患者のための患者固有の整形外科インプラントを設計するための方法を含む。本方法は、対象患者の患者データセットを受信するステップを含むことができ、患者データセットは対象患者の脊椎病理データを含む。患者データセットを複数の参照患者データセットと比較して、参照患者データセットにおける1又は2以上の類似患者データセットを特定することができ、各特定された類似患者データセットは、対象患者と類似の脊椎病理を有し、整形外科インプラントによる治療を受けた参照患者に対応する。本方法は、類似患者データセットが、参照患者が整形外科用インプラントの移植後に良好な結果をたどったことを示したかどうかに基づいて、1又は2以上の類似患者データセットのサブセットを選択するステップを更に含むことができる。本方法は更に、選択されたサブセットのうちの少なくとも1つの類似の参照患者について、類似の参照患者に良好な結果をもたらしたそれぞれの整形外科インプラントの外科手術データ及び設計データを特定するステップを含むことができる。設計データ及び類似の参照患者において良好な結果をもたらした手術データに基づいて、対象患者のための患者固有の整形外科インプラント及び患者固有の整形外科インプラントを対象患者に移植されるための外科手術を設計することができる。幾つかの実施形態では、本方法は更に、生成された設計に従って患者固有の整形外科インプラントを製造システムに製造させるための製造命令を出力するステップを含むことができる。代表的な実施形態では、上述の方法は、実行時にシステムに方法のステップを実行させるコンピュータ実行可能命令を記憶するシステムによって実行することができる。
【0027】
幾つかの実施形態では、IBFデバイスは、高さ回復、前弯矯正及び冠状矯正、並びに/又は最適なエンドプレート被覆のための術前計画に従って、患者固有の特徴及び/又は懸念事項に合わせて個別化される。例えば、本技術に従った拡張可能なIBFデバイスは、最適な表面積の接触を達成することができ、及び/又はIBFデバイスからの医療介入を調整する(例えば、セグメント高さの回復、ロードス矯正、及び/又は冠状矯正を調整する)機構を提供することができる患者固有のエンドプレートを含むことができる。幾つかの実施形態では、患者固有のエンドプレートは、付加及び/又は除去製造の結果である。次いで、患者固有のエンドプレートは、1又は2以上の拡張機構(例えば、拡張可能なジャッキ、シザースジャッキ機構、スクリュー駆動機構等)を介して、所定の高さ復元、ロード矯正、及び/又は冠状矯正も提供することができる拡張可能な機構に接続することができる。幾つかのこのような実施形態では、拡張機構は、所定の角度に正確に調整され、その後、一時的又は恒久的にロックできる1又は2以上のジョイント(例えば、ボールジョイント)、ヒンジ、又は他の接続部を含む。
【0028】
例示的な実施形態において、IBFデバイスは、融合を促進するために所望の拡張構成でロックされるように構成された拡張機構を含む。拡張機構は、機構の上側表面上の第1のロック可能なボールジョイント及び機構の下側表面上の第2のロック可能なボールジョイントを含むことができる。IBFデバイスはまた、第1のロック可能なボールジョイントにおいて機構に連結された第1のエンドプレートを含む。幾つかの実施形態では、第1のエンドプレートは、上椎骨の下面のトポロジーと係合し嵌合するように構成された1又は2以上の患者固有の特徴を有する上面を含む。IBFデバイスはまた、第2のロック可能ボールジョイントにおいて機構に接続された第2のエンドプレートを含む。幾つかの実施形態では、第2のエンドプレートは、下側の椎骨の上側の表面のトポロジーと係合し嵌合するように構成された1又は2以上の患者固有の特徴を有する下側の表面を含む。
【0029】
幾つかの実施形態では、第1及び/又は第2のエンドプレートの患者固有の特徴は、IBFデバイス及び融合される椎骨の間の適合を改善することができ、それにより関節におけるIBFデバイスの牽引を増加させる。例えば、1又は2以上の患者固有の特徴は、椎体関節における椎体の表面の局所解剖学的特徴に対応して、第1及び第2のエンドプレートの適合をカスタマイズすることができる。幾つかの実施形態では、第1及び/又は第2のエンドプレートの患者固有の特徴は、所定の医療処置を容易にするのに役立つ1又は2以上の特徴を含む。例えば、第1及び/又は第2のエンドプレートは、患者の脊椎に前弯矯正及び/又は冠状矯正を提供するのに役立つ傾斜を含むことができる。幾つかの実施形態では、拡張可能な本体は、スクリュージャッキ機械的拡張機構を含む。幾つかの実施形態では、拡張可能な本体は、シザージャック機械的拡張機構を含む。
【0030】
参照を容易にするために、患者固有の移植プラントは、場合によっては、本明細書では、図に示す実施形態の空間的な向きに対して、上下、上側及び下側、並びに/又は水平面、x-y平面、垂直方向、又はz方向を参照して説明される。しかしながら、患者固有のインプラントは、本技術の開示された実施形態の構造及び/又は機能を変更することなく、異なる空間的配向に移動させることができ、及び異なる空間的配向で使用することができることを理解されたい。
【0031】
本開示の実施形態について、複数の図を通して同様の数字が同様の要素を表し、例示的な実施形態が示されている添付図面を参照しながら、以下でより十分に説明する。しかしながら、特許請求の範囲の実施形態は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載された例は、非限定的な例であり、他の可能な実施例のうちの単なる例に過ぎない。
「comprising」、「having」、「containing」、及び「including」、並びにこれらの他の形態の語は、これらの語の何れか1つに続く1又は複数の項目が、このような1又は複数の項目を網羅的に列挙することを意味するものではなく、又は列挙された1又は複数の項目のみに限定されることを意味するものでもないという点で、意味が同等であり、オープンエンドであることが意図される。
【0032】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、関連上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数の照応を含む。
【0033】
更に、本明細書では主に、椎体間固定デバイス及びその結果得られるIBFデバイスをカスタマイズするための方法として説明されているが、当業者であれば、本発明の範囲はこのように限定されないことは理解されるであろう。例えば、本明細書に開示された患者固有のカスタマイズ方法は、患者の体内の別の関節に挿入するためなど、他の様々な医療処置のためのインプラントをカスタマイズするのにも使用することができる。従って、本発明の範囲は、実施形態のどのようなサブセットにも限定されず、添付の特許請求の範囲に記載された制限によってのみ限定される。
【0034】
図1は、一実施形態による、患者固有の医療ケアを提供するためのコンピュータシステム100を示すネットワーク接続図である。本明細書で更に詳細に説明するように、システム100は、患者のための医療治療計画を生成するように構成される。幾つかの実施形態では、システム100は、外傷(例えば、骨折)、癌、変形、変性、痛み(例えば、背中の痛み、脚の痛み)、不規則な脊椎湾曲(例えば、脊柱側弯症、脊柱前弯症、後弯症)、不規則な脊柱変位(脊椎すべり症、側方変位、軸方向変位など)、変形性関節症、腰椎変性椎間板症、頸椎変性椎間板症、腰椎脊柱管狭窄症、頸椎脊柱管狭窄症、又はこれらの組み合わせ等の整形外科的又は脊椎疾患又は障害を患っている患者のための医療治療計画を生成するように構成される。医療治療計画は、手術情報、手術計画、技術推奨(例えば、デバイス及び/又は器具推奨)、及び/又は医療デバイス設計を含むことができる。例えば、医療治療計画は、少なくとも1つの治療手術(例えば、外科手術又は介入)及び/又は少なくとも1つの医療デバイス(例えば、移植される医療デバイス(本明細書では「インプラント」又は「移植されたデバイス」とも呼ばれる)又はインプラント送達器具)を含むことができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、システム100は、本明細書では「患者固有の」又は「個別化された」治療計画とも呼ばれる、特定の患者又は患者群に対してカスタマイズされた医療治療計画を生成する。患者固有の治療計画は、患者の特定の特性(例えば、状態、解剖学的構造、病理学的構造、状態、病歴)に対して設計及び/又は最適化された、少なくとも1つの患者固有の手術計画及び/又は少なくとも1つの患者固有の医療デバイスを含むことができる。例えば、患者固有の医療デバイスは、既製のデバイスではなく、特定の患者のために特別に設計及び製造できる。しかしながら、患者固有の治療計画には、特定の患者用にカスタマイズされていない態様も含まれ得ることが理解されよう。例えば、患者固有の又は個別化された外科手術は、非患者固有の1又は2以上の指示、部分、ステップ等を含むことができる。同様に、患者固有の又は個別化された医療デバイスは、非患者固有の1又は2以上の構成要素を含むことができ、及び/又は非患者固有の器具又はツールと共に使用することができる。個別化インプラント設計は、医療デバイス、器具、及び/又は手術キットを含む患者固有の技術の製造又は選択に使用することができる。例えば、個別化された手術キットは、1又は2以上の患者固有のデバイス、患者固有の器具、非患者固有の技術(例えば、標準的な器具、装置等)、使用説明書、患者固有の治療計画情報、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0036】
システム100は、クライアントコンピュータデバイス102を含み、これは、スマートフォン、モバイルデバイス、ラップトップ、デスクトップ、パーソナルコンピュータ、タブレット、ファブレット、又は当該技術分野において公知の他のこのようなデバイス等のユーザデバイスとすることができる。本明細書で更に議論されるように、クライアントコンピュータデバイス102は、1又は2以上のプロセッサ、及び本明細書で説明される方法を実行するために1又は2以上のプロセッサによって実行可能な命令を記憶するメモリを含むことができる。クライアントコンピュータデバイス102は、患者を治療している医療提供者に関連付けることができる。
図1は、単一のクライアントコンピュータデバイス102を示しているが、代替の実施形態では、クライアントコンピュータデバイス102は、代わりに、クライアントコンピュータデバイス102に関して本明細書で説明される動作が代わりにコンピュータシステム及び/又はコンピュータデバイスによって実行できるように、複数のコンピュータデバイスを包含するクライアントコンピュータシステムとして実装できる。
【0037】
クライアントコンピュータデバイス102は、治療される患者に関連する患者データセット108を受信するように構成される。患者データセット108は、患者の状態、解剖学的構造、病理学的構造、病歴、嗜好、及び/又は患者に関連する他の情報又はパラメータを代表するデータを含むことができる。例えば、患者データセット108は、病歴、外科的介入データ、治療結果データ、経過データ(例えば、医師のメモ)、患者フィードバック(例えば、QOLアンケート、調査を使用して取得されたフィードバック)、臨床データ、提供者情報(例えば、医師、病院、手術チーム)、患者情報(例えば、人口統計、性別、年齢、身長、体重、病態の種類、職業、活動レベル、組織情報、健康評価、併存疾患、健康関連QOL(HRQL))、バイタルサイン、診断結果、投薬情報、アレルギー、画像データ(例.カメラ画像、磁気共鳴画像(MRI)画像、超音波画像、コンピュータ支援断層撮影(CAT)スキャン画像、陽電子放射断層撮影(PET)画像、X線画像)、診断機器情報(例えば、製造業者、モデル番号、仕様、ユーザが選択した設定/構成等)、又はこれらに類するものを含むことができる。幾つかの実施形態では、患者データセット108は、患者識別番号(ID)、年齢、性別、体格指数(BMI)、LL、コブ角、PI、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、回転変位、及び/又は脊椎の治療レベルの1又は2以上を表すデータを含む。
【0038】
クライアントコンピュータデバイス102は、通信ネットワーク104を介してサーバ106に動作可能に接続され、従って、クライアントコンピュータデバイス102とサーバ106との間のデータ転送を可能にする。通信ネットワーク104は、有線及び/又は無線ネットワークとすることができる。通信ネットワーク104は、無線である場合、可視光通信(VLC)、マイクロ波アクセスのための世界的相互運用性(WiMAX)、ロングタームエボリューション(LTE)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、赤外線(IR)通信、公衆交換電話網(PSTN)、電波、及び/又は当該技術分野で知られている他の通信技術等の通信技術を使用して実装することができる。
【0039】
「治療支援ネットワーク」又は「処方的分析ネットワーク」とも呼ばれることがある、サーバ106は、1又は2以上のコンピュータデバイス及び/又はシステムを含むことができる。本明細書で更に議論されるように、サーバ106は、1又は2以上のプロセッサと、本明細書で説明される方法を実行するために1又は2以上のプロセッサによって実行可能な命令を記憶するメモリとを含むことができる。幾つかの実施形態では、サーバ106は、ハードウェア及び/又は仮想コンピューティングリソースの何れかの適切な組み合わせにわたる分散「クラウド」コンピュータシステム又は設備として実装される。
【0040】
クライアントコンピュータデバイス102及びサーバ106は、患者固有の医療ケアを提供するために、本明細書に記載の様々な方法を個々に又は集合的に実行することができる。例えば、本明細書に記載される方法のステップの一部又は全部は、クライアントコンピュータデバイス102単独、サーバ106単独、又はクライアントコンピュータデバイス102及びサーバ106の組み合わせによって実行することができる。従って、本明細書では、特定のオペレータをサーバ106に関して説明するが、これらのオペレータは、クライアントコンピュータデバイス102によっても実行することができ、逆もまた同様であることを理解されたい。
【0041】
サーバ106は、本明細書に記載の治療計画方法に有用な参照データを記憶するように構成された少なくとも1つのデータベース110を含む。参照データは、同一又は他の患者からの履歴データ及び/又は臨床データ、同一又は他の医療提供者による患者の以前の手術及び/又は他の治療から収集されたデータ、医療デバイス設計に関連するデータ、研究グループ又は調査グループから収集されたデータ、診療データベースからのデータ、学術機関からのデータ、インプラント製造業者又は他の医療デバイス製造業者からのデータ、イメージング研究からのデータ、シミュレーションからのデータ、臨床試験、人口統計データ、治療データ、結果データ、死亡率等を含むことができる。
【0042】
幾つかの実施形態では、データベース110は複数の参照患者データセットを含み、各患者参照データセットは対応する参照患者に関連付けられる。例えば、参照患者は、以前に治療を受けた患者又は現在治療を受けている患者とすることができる。各参照患者データセットは、対応する参照患者の状態、解剖学的構造、病理学的構造、病歴、疾患進行、嗜好、及び/又は患者データセット108に関して本明細書に記載されるデータの何れか等の参照患者に関連する他の情報又はパラメータを代表するデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、参照患者データセットは、術前データ、術中データ、及び/又は術後データを含む。例えば、参照患者データセットは、患者ID、年齢、性別、BMI、LL、コブ角、PI、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、回転変位、及び/又は脊椎の治療レベルの1又は2以上を表すデータを含むことができる。別の例として、参照患者データセットは、外科手術又は介入(例えば、外科的アプローチ、骨切除、外科的操作、矯正操作、インプラント又は他のデバイスの配置)の説明など、参照患者に実施された少なくとも1つの治療処置に関する治療データを含むことができる。幾つかの実施形態では、治療データは、物理的特性(例えば、サイズ、形状、体積、材料、質量、重量)、機械的特性(例えば、剛性、強度、弾性率、硬度)、及び/又は生物学的特性(例えば、骨統合、細胞接着、抗細菌特性、抗ウイルス特性)など、参照患者の治療に使用される少なくとも1つの医療デバイスの医療デバイス設計データを含む。更に別の例では、参照患者データセットは、矯正された解剖学的メトリクス、癒合の有無、HRQL、活動レベル、職場復帰、合併症、回復時間、有効性、死亡率、及び/又は追跡手術のような、参照患者の治療の結果を表す結果データを含むことができる。
【0043】
幾つかの実施形態では、サーバ106は、複数の医療提供者コンピュータシステム(例えば、システム112a~112c、集合的に112)から参照患者データセットの少なくとも一部を受信する。サーバ106は、1又は2以上の通信ネットワーク(図示せず)を介して医療提供者コンピュータシステム112に接続することができる。各医療提供者コンピュータシステム112は、対応する医療提供者(例えば、医師、外科医、診療所、病院、医療ネットワークなど)に関連付けることができる。各医療提供者コンピュータシステム112は、対応する医療提供者によって治療された参照患者に関連付けられた少なくとも1つの参照患者データセット(例えば、参照患者データセット114a~114c、集合的に114)を含むことができる。参照患者データセット114は、例えば、電子医療記録、電子健康記録、生物医学データセットなどを含むことができる。参照患者データセット114は、医療提供者コンピュータシステム112からサーバ106によって受信され得、データベース110に格納するために異なるフォーマットに再フォーマットすることができる。任意選択的に、参照患者データセット114は、表された患者パラメータが本明細書に記載される治療計画方法において有用である可能性が高いことを確実にするために処理(例えば、クリーニング)することができる。
【0044】
本明細書で更に詳細に説明するように、サーバ106は、参照データに基づいて患者固有の治療計画データ(例えば、治療手術、医療デバイス)を生成する1又は2以上のアルゴリズムで構成することができる。幾つかの実施形態では、患者固有データは、患者データセット108と参照データとの間の相関に基づいて生成される。任意選択的に、サーバ106は、回復時間、臨床エンドポイントに基づく有効性、成功の可能性、予測死亡率、予測関連フォローアップ手術、又はこのようなものを含む結果を予測することができる。幾つかの実施形態では、サーバ106は、患者データ(患者滞在中に得られた患者データを含む)を連続的又は定期的に分析して、ほぼリアルタイム又はリアルタイムのリスクスコア、死亡率予測等を決定することができる。
【0045】
幾つかの実施形態では、サーバ106は、本明細書に記載の患者固有の治療計画方法の1又は2以上のステップを実行するための1又は2以上のモジュールを含む。例えば、図示の実施形態では、サーバ106は、データ分析モジュール116及び治療計画モジュール118を含む。代替の実施形態では、これらのモジュールの1又は2以上を互いに組み合わせることができ、又は省略することができる。従って、本明細書では、特定の操作を特定のモジュール又はモジュールに関して説明するが、これは限定することを意図したものではなく、このような操作は、代替の実施形態では、異なるモジュール又はモジュールによって実行することができる。
【0046】
データ分析モジュール116は、患者固有の治療計画を策定する際に有用である可能性が高いデータベース110からの参照データのサブセットを特定するための1又は2以上のアルゴリズムを備えて構成される。例えば、データ解析モジュール116は、患者固有データ(例えば、クライアントコンピュータデバイス102から受信された患者データセット108)をデータベース110からの参照データ(例えば、参照患者データセット)と比較して、類似データ(例えば、参照患者データセット内の1又は2以上の類似患者データセット)を特定することができる。比較は、年齢、性別、BMI、LL、PI、及び/又は治療レベル等の1又は2以上のパラメータに基づくことができる。パラメータは、各参照患者の類似性スコアを計算するのに使用することができる。類似性スコアは、患者データセット108及び参照患者データセット間の統計的相関を表すことができる。従って、類似性スコアが、指定された閾値を上回るか、下回るか、又は指定された閾値にあるかどうかに基づいて、類似患者を特定することができる。例えば、以下により詳細に説明するように、各パラメータに値を割り当て、対象患者及び各参照患者間の差の集計を決定することにより、比較を実行することができる。集計された差異が閾値を下回る参照患者は、類似患者と見なすことができる。
【0047】
データ解析モジュール116は更に、例えば、患者データセット108及び/又は対応する参照患者の治療結果との類似性に基づいて、参照患者データセットのサブセットを選択する1又は2以上のアルゴリズムで構成することができる。例えば、データ解析モジュール116は、参照患者データセット内の1又は2以上の類似患者データセットを特定し、及び類似患者データセットが好ましい又は所望の治療結果を示すデータを含むかどうかに基づいて、類似患者データセットのサブセットを選択することができる。結果データは、矯正された解剖学的メトリクス、癒合の有無、HRQL、活動レベル、合併症、回復時間、有効性、死亡率、又は追跡手術等の1又は2以上の結果パラメータを表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、以下に更に詳細に説明するように、データ解析モジュール116は、各結果パラメータに値を割り当てることによって結果スコアを計算する。結果スコアが所定の閾値以上、以下又は閾値にある場合、患者は良好な結果を有すると考えられる。
【0048】
幾つかの実施形態では、データ解析モジュール116は、(例えば、臨床医、外科医、医師、医療提供者からの)ユーザ入力に少なくとも部分的に基づいて、参照患者データセットのサブセットを選択する。例えば、ユーザ入力は、類似の患者データセットを特定する際に使用することができる。幾つかの実施形態では、類似性及び/又は結果パラメータの重み付けは、臨床医の入力に基づいて類似性及び/又は結果スコアを調整するために、医療提供者又は医師によって選択することができる。更なる実施形態では、医療提供者又は医師は、類似性及び/又は結果スコアを生成するのに使用される類似性及び/又は結果パラメータのセットをそれぞれ選択する(又は新たな類似性及び/又は結果パラメータを定義する)ことができる。
【0049】
幾つかの実施形態では、データ解析モジュール116は、患者パラメータ以外の基準に基づいて参照患者データセットのセット又はサブセットを選択するのに使用される1又は2以上のアルゴリズムを含む。例えば、1又は2以上のアルゴリズムは、医療提供者パラメータ(例えば、病院/医師の専門性、実施された処置の数、病院ランキング等の医療提供者ランキング/スコアに基づく)及び/又は医療資源パラメータ(例えば、診断機器、設備、手術ロボット等の手術機器)、又は現在の医療提供者に対する処置の結果及びリスクプロファイルを予測するのに使用することができる他の非患者関連情報に基づいて、サブセットを選択するのに使用することができる。例えば、類似の診断機器から取り込まれた画像を有する参照患者データセットを集約して、診断機器間のばらつきによる不規則性を低減又は制限することができる。更に、患者固有の治療計画は、類似の医療提供者(例えば、伝統的に類似の結果、医師の専門知識、手術チームなどを有する医療提供者)からのデータを用いて、特定の医療提供者のために作成することができる。幾つかの実施形態では、参照医療提供者データセット、病院データセット、医師データセット、手術チームデータセット、治療後データセット及び他のデータセットを利用することができる。一例として、戦場手術を行うための患者固有の治療計画は、類似の戦場手術からの参照患者データ及び/又は戦場手術に関連するデータセットに基づくことができる。別の例では、患者固有の治療計画は、利用可能なロボット手術システムに基づいて生成することができる。参照患者データセットは、同様の条件下(例えば、手術チームの規模及び能力、病院資源等)で同等のロボット手術システムを用いて手術された患者に基づいて選択することができる。
【0050】
治療計画モジュール118は、データ分析モジュール116からの出力に基づいて、少なくとも1つの治療計画(例えば、術前計画、手術計画、術後計画等)を生成する1又は2以上のアルゴリズムを用いて構成される。幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118は、“処方モデル”とも呼ばれる患者固有の治療計画を生成するための少なくとも1つの予測モデルを開発及び/又は実装するように構成される。予測モデルは、臨床知識、統計学、機械学習、AI、ニューラルネットワーク又はこれらを用いて開発することができる。幾つかの実施形態では、データ解析モジュール116からの出力は、データセット、患者パラメータ、医療提供者パラメータ、医療リソースパラメータ、治療手術、医療デバイス設計、及び/又は治療結果間の相関関係を特定するために(例えば、統計学、機械学習、ニューラルネットワーク、AIを使用して)解析される。これらの相関関係を用いて、治療計画が特定の患者にとって好ましい結果をもたらす可能性を予測する少なくとも1つの予測モデルを開発することができる。予測モデルは、例えば、データをモデルに入力し、モデルの出力を期待される出力と比較することにより、検証することができる。
【0051】
幾つかの実施形態において、治療計画モジュール118は、参照患者からの以前の治療データに基づいて治療計画を生成するように構成される。例えば、治療計画モジュール118は、参照患者データセット及び/又は類似患者データセットの選択されたサブセットをデータ解析モジュール116から受信し、選択されたサブセットから治療データを決定又は特定することができる。治療データは、例えば、対応する患者の好ましい又は所望の治療結果に移植される治療手術データ(例えば、外科手術又は介入データ)及び/又は医療デバイス設計データ(例えば、インプラント設計データ)を含むことができる。治療計画モジュール118は、治療手術データ及び/又は医療デバイス設計データを分析して、治療される患者に対する最適な治療プロトコルを決定することができる。例えば、治療手術及び/又は医療デバイス設計に値を割り当て、集計して治療スコアを生成することができる。患者固有の治療計画は、スコア(例えば、より高い又は最も高いスコア;より低い又は最も低いスコア;指定された閾値を上回る、下回る、又は指定された閾値にあるスコア)に基づいて治療計画を選択することによって決定することができる。個別化された患者固有の治療計画は、患者固有の技術又は患者固有の選択された技術に少なくとも部分的に基づくことができる。
【0052】
代替的に又は組み合わせて、治療計画モジュール118は、データセット間の相関に基づいて治療計画を生成することができる。例えば、治療計画モジュール118は、(例えば、データ分析モジュール116によって特定されるような)良好な結果を有する類似の患者からの治療手術データ及び/又は医療デバイス設計データを相関させることができる。相関分析は、相関係数値を値又はスコアに変換することを含むことができる。値/スコアは、集計、フィルタリング、又は他の方法で分析して、1又は2以上の統計的有意性を決定することができる。これらの相関は、治療される患者にとって最適である又は好ましい結果をもたらす可能性が高い治療手術及び/又は医療デバイス設計を決定するのに使用することができる。
【0053】
代替的に又は組み合わせて、治療計画モジュール118は、1又は2以上のAI技術を用いて治療計画を生成することができる。AI技術は、人間の知能の態様、例えば、学習、推論、計画、問題解決、意思決定などをシミュレートすることができるコンピュータシステムを開発するのに使用することができる。AI技術は、限定ではないが、ケースベース推論、ルールベースシステム、人工ニューラルネットワーク、決定木、サポートベクターマシン、回帰分析、ベイジアンネットワーク(例えば、ナイーブベイズ分類器)、遺伝的アルゴリズム、セルオートマトン、ファジー論理システム、マルチエージェントシステム、群知能、データマイニング、機械学習(例えば、教師あり学習、教師なし学習、強化学習)、及びハイブリッドシステムを含むことができる。
【0054】
幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118は、1又は2以上のトレーニングされた機械学習モデルを用いて治療計画を生成する。様々な種類の機械学習モデル、アルゴリズム、及び技術が、本技術と共に使用するのに適している。幾つかの実施形態では、機械学習モデルは、モデルのパラメータ(例えば、人工ニューラルネットワークにおける「ニューロン」間の結合の重み)を適合させるために使用される例のデータセットであるトレーニングデータセットで最初にトレーニングされる。例えば、トレーニングデータセットは、複数の参照患者データセット又はその選択されたサブセット(例えば、複数の類似患者データセット)のような、データベース110に格納された参照データの何れかを含むことができる。
【0055】
幾つかの実施形態において、機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク又はナイーブベイズ分類器)は、教師あり学習法(例えば、勾配降下又は確率的勾配降下)を使用して、トレーニングデータセットでトレーニングすることができる。トレーニングデータセットには、生成された「入力ベクトル」と、関連する対応する「回答ベクトル」(一般に標的と表記される)とのペアを含めることができる。現在のモデルは、トレーニングデータセットと共に実行され、トレーニングデータセットの各入力ベクトルについて、標的と比較される結果を生成する。比較の結果及び使用されている特定の学習アルゴリズムに基づいて、モデルのパラメータが調整される。モデルフィッティングは、変数選択及びパラメータ推定の両方を含むことができる。適合されたモデルは、検証データセットと呼ばれる第2のデータセットにおけるオブザベーションに対する応答を予測するのに使用できる。検証データセットは、モデルパラメータをチューニングしながら、トレーニングデータセットでのモデルフィットの不偏評価を提供することができる。検証データセットは、早期停止による正則化のために使用することができる。例えば、検証データセット上の誤差が増加したときにトレーニングを停止することにより、これはトレーニングデータセットへのオーバーフィッティングの兆候である可能性があるためである。
幾つかの実施形態では、検証データセットの誤差はトレーニング中に変動する可能性があるため、アドホックルールを使用して、いつオーバーフィッティングが本当に始まったかを決定することができる。最後に、テストデータセットを使用して、トレーニングデータセットに対する最終的なモデルの適合度を偏りなく評価することができる。
【0056】
治療計画を生成するために、患者データセット108をトレーニングされた機械学習モデルに入力することができる。参照患者データセット及び/又は類似患者データセットの選択されたサブセット、及び/又は選択されたサブセットからの治療データ等の追加データも、トレーニングされた機械学習モデルに入力することができる。次いで、トレーニングされた機械学習モデルは、様々な候補治療手術及び/又は医療デバイス設計が、患者に好ましい結果をもたらす可能性が高いか否かを計算することができる。これらの計算にベースして、トレーニングされた機械学習モデルは、患者のための少なくとも1つの治療計画を選択することができる。複数のトレーニングされた機械学習モデルが使用される実施形態では、モデルを順次又は同時に実行して結果を比較することができ、トレーニングデータセットを使用して定期的に更新することができる。治療計画モジュール118は、モデルの予測精度スコアに基づいて機械学習モデルの1又は2以上を使用することができる。
【0057】
治療計画モジュール118によって生成される患者固有の治療計画は、少なくとも1つの患者固有の治療手術(例えば、外科手術又は介入)及び/又は少なくとも1つの患者固有の医療デバイス(例えば、インプラント又はインプラント送達器具)を含むことができる。患者固有の治療計画は、手術計画全体又はその一部を含むことができる。更に、1又は2以上の患者固有の医療デバイスは、対応する外科手術のために特別に選択又は設計することができ、従って、患者固有の技術の様々な構成要素を組み合わせて患者を治療するのに使用することができる。
【0058】
幾つかの実施形態では、患者固有の治療手術は、脊椎手術、股関節手術、膝関節手術、顎関節手術、手関節手術、肩関節手術、肘関節手術、全関節再建術(関節形成術)、頭蓋骨再建術、足関節手術又は足首関節手術等の整形外科手術を含む。脊椎手術は、PLIF、ALIF、横断又はTLIF、LLIF、直接側方腰椎椎体間固定術(DLIF)、又は極側方腰椎椎体間固定術(XLIF)などの脊椎固定術を含むことができる。幾つかの実施形態では、患者固有の治療手術は、患者固有の外科手術の1又は2以上の態様を実行するための説明及び/又は指示を含む。例えば、患者固有の外科手術は、外科的アプローチ、矯正された操作、骨切除、又は移植されるインプラントの配置の1又は2以上を含むことができる。
【0059】
幾つかの実施形態では、患者固有の医療デバイス設計は、整形外科インプラントの設計及び/又は整形外科インプラントを送達するための器具の設計を含む。このようなプラントの例としては、限定ではないが、ネジ(例えば、骨ネジ、脊椎ネジ、椎弓根スクリュー、ファセットスクリュー)、椎体間デバイス(例えば、ケージ、プレート、ロッド、ディスク、融合デバイス、スペーサ、ロッド、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、骨格、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、ファスナ、関節置換体、股関節インプラントを含む。器具の例としては、限定ではないが、スクリューガイド、カニューレ、ポート、カテーテル、挿入器具等が挙げられる。
【0060】
患者固有の医療デバイスの設計は、対応する医療デバイスの物理的特性(例えば、サイズ、形状、体積、材料、質量、重量)、機械的特性(例えば、剛性、強度、弾性率、硬度)、及び/又は生物学的特性(例えば、骨統合、細胞接着、抗細菌特性、抗ウイルス特性)の1又は2以上を表すデータを含むことができる。例えば、整形外科インプラントの設計は、インプラントの形状、サイズ、材料、及び/又は有効剛性(例えば、格子密度、ストラットの数、ストラットの位置等)を含むことができる。幾つかの実施形態では、生成された患者固有の医療デバイス設計は、デバイス全体の設計である。或いは、生成された設計は、デバイス全体ではなく、デバイスの1又は2以上の構成要素に対する設計とすることができる。
【0061】
幾つかの実施形態では、設計は、標準的な既製の構成要素と共に使用することができる1又は2以上の患者固有のデバイス構成要素のためのものである。例えば、脊椎手術では、椎弓根スクリューキットは、標準的な構成要素及び患者固有のカスタマイズされた構成要素の両方を含むことができる。幾つかの実施形態では、生成された設計は、標準的な既製の送達器具と共に使用できる患者固有の医療デバイスのためのものである。例えば、インプラント(スクリュー、スクリューホルダー、ロッドなど)は患者用に設計及び製造することができ、インプラントを送達する器具は標準的な器具とすることができる。このアプローチにより、移植される構成要素を患者の解剖学的構造及び/又は外科医の好みに基づいて設計及び製造し、治療を強化することができる。本明細書に記載された患者固有のデバイスは、患者の体内への送達、治療部位への配置、及び/又は患者の解剖学的構造との相互作用を改善することが期待される。
【0062】
患者固有の治療計画が医療デバイスを移植する外科手術を含む実施形態では、治療計画モジュール118はまた、インプラントパラメータ(例えば、種類、寸法)、インプラントの利用可能性、術前計画の態様(例えば、初期インプラント構成、患者の解剖学的構造の検出及び測定等)、インプラントのFDA要件(例えば、FDA規制に準拠するための特定のインプラントパラメータ及び/又は特性)、又はこのようなもののような様々な種類のインプラント手術情報を記憶することができる。幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118は、インプラント手術情報を機械学習ベースのモデル及びアルゴリズムに使用可能なフォーマットに変換することができる。例えば、インプラント手術情報は、数式用の特定の特定子でタグ付けできるか、又は、トレーニングされた機械学習モデルに供給するのに適した数値表現に変換できる。治療計画モジュール118はまた、解剖学の2次元又は3次元画像又はモデル等の患者の解剖学に関する情報、及び/又は解剖学の生物学、幾何学、及び/又は機械的特性に関する情報を記憶することができる。解剖学的情報は、インプラントの設計及び/又は配置を知らせるために使用することができる。
【0063】
治療計画モジュール118によって生成された治療計画は、ユーザ(例えば、臨床医、外科医、医療提供者、患者)に出力するために、通信ネットワーク104を介してクライアントコンピュータデバイス102に送信することができる。幾つかの実施形態では、クライアントコンピュータデバイス102は、治療計画、手術計画、矯正計画等を出力するためのディスプレイ122を含むか、又はディスプレイ122に動作可能に結合される。例えば、手術計画は、予測される術後結果を図示するために表示できる。矯正計画は、疾患進行、予測された新たな疾患、解剖学的変化、将来の介入等の1又は2以上を補償するための術後のインプラントの調整を例示するために表示される調整可能なインプラント矯正計画とすることができる。ディスプレイ122は、矯正計画に従って1又は2以上のインプラント123の調整機能を表示することができる。
【0064】
ディスプレイ122は、治療計画の様々な態様を視覚的に描写するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を含むことができる。例えば、ディスプレイ122は、外科的アプローチ、治療レベル、矯正操作、組織切除、及び/又はインプラントの配置など、患者に実施される外科手術の様々な態様を示すことができる。視覚化を容易にするために、外科手術の仮想モデルを表示することができる。別の例として、ディスプレイ122は、患者に移植される医療デバイスの設計、例えばデバイス設計の2次元又は3次元モデルを表示することができる。ディスプレイ122はまた、外科手術が行われる場所及び/又はデバイスが移植される場所である患者の解剖学的構造の2次元又は3次元画像又はモデル等の患者情報を表示することができる。クライアントコンピュータデバイス102は、ユーザが表示された治療計画を修正、選択、承認、及び/又は拒否することを可能にする1又は2以上のユーザ入力デバイス(図示せず)を更に含むことができる。
【0065】
幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118によって生成された医療デバイス設計は、クライアントコンピュータデバイス102及び/又はサーバ106から、対応する医療デバイスを製造するための製造システム124に送信できる。製造システム124は、オンサイト又はオフサイトに配置することができる。現場での製造は、患者とのセッションの回数及び/又は手術を実施できるようになるまでの時間を短縮することができ、一方、現場外での製造は、複雑なデバイスを製造するのに有用である。オフサイト製造施設は特殊な製造設備を有することができる。幾つかの実施形態では、より複雑なデバイス構成要素はオフサイトで製造することができ、より単純なデバイス構成要素はオンサイトで製造することができる。
【0066】
様々なタイプの製造システムが、本明細書の実施形態に従って使用するのに適している。例えば、製造システム124は、3次元(3D)印刷、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタル光処理(DLP)、溶融堆積モデリング(FDM)、選択的レーザー焼結(SLS)、選択的レーザー溶融(SLM)、選択的熱焼結(SHM)、電子ビーム溶解(EBM)、積層造形(LOM)、粉末床印刷(PP)、熱可塑性樹脂印刷、直接材料堆積(DMD)、インクジェット写真樹脂印刷、又はこれらに類似する技術、或いはこれらの組み合わせなどの付加製造用に構成することができる。代替的に又は組み合わせて、製造システム124は、CNC機械加工、放電加工(EDM)、研削加工、レーザー切断、ウォータージェット機械加工、手動機械加工(例えば、フライス加工、旋盤/旋削加工)、又は同様の技術、又はこれらの組み合わせのような、除去的(従来の)製造用に構成することができる。製造システム124は、製造指示又はデータ(例えば、CADデータ、3Dデータ、デジタル設計図、立体造形データ、又は本明細書に記載される様々な製造技術に適した他のデータ)に基づいて、1又は2以上の患者固有の医療デバイスを製造することができる。システム100の異なる構成要素は、製造システム124によって使用される製造データの少なくとも一部を生成することができる。製造データは、限定ではないが、製造命令(例えば、付加製造装置、減算製造装置等によって実行可能なプログラム)、3Dデータ、CADデータ(例えば、CADファイル)、CAMデータ(例えば、CAMファイル)、パスデータ(例えば、プリントヘッドパス、ツールパス等)、材料データ、公差データ、表面仕上げデータ(例えば、表面粗さデータ)、規制データ(例えば、FDA要件、償還データ等)等を含むことができる。製造システム124は、受信した製造データに基づいて、インプラントの設計の製造可能性を分析することができる。インプラントの設計は、形状、表面等を変更し、及び製造指示を生成することによって仕上げることができる。幾つかの実施形態では、サーバ106は、製造システム124に送信される製造データの少なくとも一部を生成する。
【0067】
製造システム124は、CAMデータ、印刷データ(例えば、粉末床印刷データ、熱可塑性樹脂印刷データ、写真樹脂データ等)等を生成することができ、及び付加製造装置、減法製造装置、熱処理装置等を含むことができる。付加製造装置は、3Dプリンタ、ステレオリソグラフィデバイス、DLPデバイス、FDMデバイス、SLSデバイス、SLMデバイス、EBMデバイス、LOMデバイス、パウダーベッドプリンタ、熱可塑性樹脂プリンタ、DMDデバイス、又はインクジェット写真樹脂プリンタ等の技術とすることができる。除去製造装置は、CNCマシン、放電加工機、グラインダー、レーザーカッター、ウォータージェットマシン、手動マシン(フライス盤、旋盤等)、又はこれらに類似する技術とすることができる。複雑な形状、表面仕上げ、材料特性等を有する移植されるインプラントを製造するために、加法的技術及び除去的技術の両方が使用できる。生成された製造指示は、製造システム124に、患者固有の設計と一致する又は治療上同一の患者固有の整形外科インプラントを製造させるように構成することができる。幾つかの実施形態では、患者固有の医療デバイスは、製造を簡略化するために、設計間で共有される特徴、材料及び設計を含むことができる。例えば、異なる患者用の展開可能な患者固有の医療デバイスは、同様の内部展開機構を有するが、異なる展開構成を有することができる。幾つかの実施形態では、患者固有の医療デバイスの構成要素は、利用可能なプレファブリケーションされた構成要素のセットから選択され、選択されたプレファブリケーションされた構成要素は、製造指示又はデータに基づいて変更できる。
【0068】
本明細書に記載の治療計画は、外科医、手術ロボット、又はこれらの組み合わせによって実行することができ、従って治療の柔軟性を可能にする。幾つかの実施形態では、外科手術は、全て外科医によって、全て外科ロボットによって、又はこれらの組み合わせによって実施することができる。例えば、外科手術の1つの段階を外科医が手動で行い、処置の別の段階を外科用ロボットが行うことができる。幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118は、手術ロボット(例えば、ロボット手術システム、ナビゲーションシステム等)に外科手術を部分的に又は完全に実行させるように構成された制御命令を生成する。制御命令は、クライアントコンピュータデバイス102及び/又はサーバ106によってロボット装置に送信できる。
【0069】
治療計画に従って患者を治療した後、データ分析モジュール116及び/又は治療計画モジュール118を更新するために、1又は2以上の期間にわたって治療経過を監視することができる。治療後データは、データベース110に格納された参照データに追加することができる。治療後データは、患者固有の治療計画、患者固有の医療デバイス、又はこれらの組み合わせを開発するための機械学習モデルをトレーニングするのに使用することができる。
【0070】
システム100の構成要素は、多くの異なる方法で構成できることが理解されよう。例えば、代替の実施形態では、データベース110、データ分析モジュール116及び/又は治療計画モジュール118は、サーバ106ではなく、クライアントコンピュータデバイス102の構成要素とすることができる。別の例として、データベース110、データ分析モジュール116、及び/又は治療計画モジュール118は、単一のサーバ106又はクライアントコンピュータデバイス102ではなく、複数の異なるサーバ、コンピュータシステム、又は他のタイプのクラウドコンピューティングリソースにわたって配置することができる。
【0071】
更に、幾つかの実施形態では、システム100は、多数の他のコンピュータシステム環境又は構成で動作可能である。本技術と共に使用するのに好適とすることができるコンピュータシステム、環境、及び/又は構成の例としては、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドデバイス又はラップトップデバイス、携帯電話、ウェアラブルエレクトロニクス、タブレットデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースシステム、プログラマブル家電、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステム又はデバイスの何れかを含む分散コンピューティング環境等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
図2は、一実施形態による、
図1のシステム100に関連して使用するのに適したコンピュータデバイス200を示す。コンピュータデバイス200は、クライアントコンピュータデバイス102又はサーバ106等、
図1のシステム100の様々な構成要素に組み込むことができる。コンピュータデバイス200は、1又は2以上のプロセッサ210(例えば、CPU、GPU、HPUなど)を含む。プロセッサ210は、デバイス内の単一の処理ユニット又は複数の処理ユニットとすることができ、又は複数のデバイスに分散させることができる。プロセッサ210は、例えば、PCIバス又はSCSIバス等のバスを使用して、他のハードウェアデバイスに結合できる。プロセッサ210は、本明細書に記載される方法の何れかを実行するためのプログラム命令等の、1又は2以上のコンピュータ可読プログラム命令を実行するように構成することができる。
【0073】
コンピュータデバイス200は、例えば、デバイス200のユーザからのアクションを通知するために、プロセッサ210に入力を提供する1又は2以上の入力デバイス220を含むことができる。アクションは、入力デバイスから受信された信号を解釈し、通信プロトコルを使用して情報をプロセッサ210に伝達するハードウェアコントローラによって媒介できる。入力デバイス220は、例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、赤外線センサ、タッチパッド、ウェアラブル入力デバイス、カメラ又は画像ベースの入力デバイス、マイクロフォン、又は他のユーザ入力デバイスを含むことができる。
【0074】
コンピュータデバイス200は、テキスト、モデル、仮想手術、手術計画、インプラント、グラフィック、及び/又は画像(例えば、ある位置における組織の密度を表す放射密度単位又はハウンスフィールド単位を示すボクセルを有する画像)などの様々なタイプの出力を表示するのに使用されるディスプレイ230を含むことができる。幾つかの実施形態では、ディスプレイ230は、グラフィカル及びテキストによる視覚的フィードバックをユーザに提供する。プロセッサ210は、デバイス用のハードウェアコントローラを介してディスプレイ230と通信することができる。幾つかの実施形態では、ディスプレイ230は、入力デバイス220がタッチスクリーンを含む場合、又は視線方向監視システムを備える場合など、ディスプレイ230の一部として入力デバイス220を含む。代替の実施形態では、ディスプレイ230は入力デバイス220とは別個である。ディスプレイデバイスの例としては、LCDディスプレイスクリーン、LEDディスプレイスクリーン、突出部、ホログラフィックディスプレイ、又は拡張現実ディスプレイ(例えば、ヘッドアップディスプレイデバイス又はヘッドマウントデバイス)等が挙げられる。
【0075】
任意選択的に、他のI/Oデバイス240もまた、ネットワークカード、ビデオカード、オーディオカード、USB、ファイヤワイヤ又は他の外部デバイス、カメラ、プリンタ、スピーカ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、ディスクドライブ、又はブルーレイデバイス等のプロセッサ210に結合することができる。他のI/Oデバイス240は、MRI装置、X線装置、CT装置などを含む画像診断装置などの直接接続された医療機器からの情報のための入力ポートを含むこともできる。他のI/Oデバイス240は、ネットワークを介して又は例えばデータベースに格納された以前に取り込まれたデータ等の他のソースから、これらのタイプの機械からデータを受信するための入力ポートを更に含むことができる。
【0076】
幾つかの実施形態では、コンピュータデバイス200はまた、ネットワークノードと無線又は有線ベースで通信可能な通信デバイス(図示せず)を含む。通信デバイスは、例えばTCP/IPプロトコルを使用して、ネットワークを介して他のデバイス又はサーバと通信することができる。コンピュータデバイス200は、通信デバイスを利用して、画像形成装置、製造装置などを含む複数のネットワークデバイスにわたって操作を分配することができる。
【0077】
コンピュータデバイス200は、メモリ250を含むことができ、このメモリ250は、単一のデバイス内にあるか、又は複数のデバイスに分散することができる。メモリ250は、揮発性及び不揮発性記憶用の様々なハードウェアデバイスの1又は2以上を含み、読み出し専用メモリ及び書き込み可能メモリの両方を含むことができる。例えば、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、様々なキャッシュ、CPUレジスタ、読み取り専用メモリ(ROM)、及びフラッシュメモリ、ハードドライブ、フロッピーディスク、CD、DVD、磁気記憶デバイス、テープドライブ、デバイスバッファ等の書き込み可能な不揮発性メモリを備えることができる。メモリは、基礎となるハードウェアから切り離された伝播信号ではなく、従って、メモリは非一時的である。幾つかの実施形態では、メモリ250は、例えば、プログラム、ソフトウェア、データ又はこれらを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体である。幾つかの実施形態では、メモリ250は、オペレーティングシステム262、1又は2以上の治療支援モジュール264、及び他のアプリケーションプログラム266等のプログラム及びソフトウェアを記憶するプログラムメモリ260を含むことができる。治療支援モジュール264は、本明細書で説明する様々な方法(例えば、
図1に関して説明したデータ分析モジュール116及び/又は治療計画モジュール118)を実行するように構成された1又は2以上のモジュールを含むことができる。メモリ250はまた、例えば、プログラムメモリ260又はコンピュータデバイス200の任意の他の要素に提供できる参照データ、構成データ、データセット、ユーザオプション又はプリファレンス等を含むことができるデータメモリ270を含むことができる。
【0078】
図3は、一実施形態による、患者固有の医療ケアを提供するための方法300を示す流れ図である。方法300は、データ段階310、モデリング段階320、及び実行段階330を含むことができる。データ段階310は、治療される患者のデータ(例えば、病理データ)を収集すること、及び患者データを参照データ(例えば、病理データ、手術データ、及び/又は結果データ等の以前の患者データ)と比較することを含むことができる。例えば、患者データセットを受信するステップを含むことができる(ブロック312)。患者データセットは、例えば、参照患者データセットにおける1又は2以上の類似患者データセットを特定するために、複数の参照患者データセットと比較できる(ブロック314)。参照患者データセットの各々は、年齢、性別、BMI、LL、コブ角、PI、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、回転変位、又は脊椎の治療レベルのうちの1又は2以上を表すデータを含むことができる。
【0079】
参照患者データセットのサブセットは、例えば、患者データセットとの類似性及び/又は対応する参照患者の治療結果に基づいて選択することができる(ブロック316)。例えば、患者データセットと参照患者データセットの比較に基づいて、各参照患者データセットについて類似性スコアを生成することができる。類似性スコアは、患者データと参照患者データセットとの間の統計的相関を表すことができる。1又は2以上の類似患者データセットは、類似性スコアに少なくとも部分的に基づいて特定することができる。
【0080】
幾つかの実施形態では、選択されたサブセットの各患者データセットは、有利な治療結果(例えば、単一の標的結果、集約結果スコア、結果閾値に基づく有利な治療結果)を示すデータを含み、及び/又は関連付けられる。データは、例えば、矯正された解剖学的メトリクス、融合の存在、健康関連QOL、活動レベル、又は合併症のうちの1又は2以上を表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、データは、単一の標的結果、集計結果、及び/又は結果閾値に基づいて計算できる結果スコアであり、又は結果スコアを含む。
【0081】
任意選択的に、データ分析段階310は、選択されたサブセットの少なくとも1つの患者データセットについて(例えば、少なくとも1つの類似の患者データセットについて)、好ましい治療結果に関連する外科手術データ及び/又は医療デバイス設計データを特定又は決定することを含むことができる。外科手術データは、外科的アプローチ、矯正操作、骨切除、又は移植されるインプラントの配置のうちの1又は2以上を表すデータを含むことができる。少なくとも1つの医療デバイス設計は、対応する医療デバイスの物理的特性、機械的特性、又は生物学的特性のうちの1又は2以上を表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの患者固有の医療デバイス設計は、インプラント又はインプラント送達器具の設計を含む。
【0082】
モデリング段階320において、外科手術及び/又は医療デバイス設計が生成される(ブロック322)。生成ステップは、患者データセット及び/又は参照患者データセットの選択されたサブセットに基づいて(例えば、統計学、機械学習、ニューラルネットワーク、AI等を使用して)少なくとも1つの予測モデルを構築するステップを含むことができる。予測モデルは、外科手術及び/又は医療デバイス設計を生成するように構成することができる。
【0083】
幾つかの実施形態では、予測モデルは、少なくとも部分的に、外科手術及び/又は医療デバイス設計を生成する1又は2以上のトレーニングされた機械学習モデルを含む。例えば、トレーニングされた機械学習モデルは、患者を治療するための複数の候補外科手術及び/又は医療デバイス設計を決定することができる。各外科手術は、対応する医療デバイス設計と関連付けることができる。幾つかの実施形態では、外科手術及び/又は医療デバイス設計は、データ分析段階310に関して先に説明したように、良好な結果に関連する外科手術データ及び/又は医療デバイス設計データに基づいて決定される。各外科手術及び/又は対応する医療デバイス設計について、トレーニングされた機械学習モデルは、患者の標的結果(例えば、好ましい又は所望の結果)を達成する確率を計算することができる。次いで、トレーニングされた機械学習モデルは、少なくとも部分的に、計算された確率に基づいて、少なくとも1つの外科手術及び/又は対応する医療デバイス設計を選択することができる。
【0084】
実行段階330は、医療デバイス設計を製造するステップ(ブロック332)を含むことができる。幾つかの実施形態では、医療デバイス設計は、付加製造、3D印刷、ステレオリソグラフィ、DLP、FDM、SLS、SLM、EBM、LOM、PP、熱可塑性樹脂印刷、DMD、又はインクジェット写真樹脂印刷のうちの1又は2以上を実行するように構成された製造システムによって製造される。実行段階330は、任意選択的に、医療デバイス設計を有する医療デバイスを製造システムに製造させるように構成された製造命令を生成するステップを含むことができる。
【0085】
実行段階330は、外科手術を実行するステップを含むことができる(ブロック334)。外科手術は、医療デバイス設計を有する医療デバイスを患者に移植するステップを含むことができる。外科手術は、手動、外科用ロボット、又はこれらの組み合わせによって実行することができる。外科手術が外科手術ロボットによって実行される実施形態では、実行段階330は、外科手術ロボットに、少なくとも部分的に、患者固有の外科手術を実行させるように構成された制御命令を生成することを含むことができる。
【0086】
方法300は、様々な方法で実施及び実行することができる。幾つかの実施形態では、方法300の1又は2以上のステップ(例えば、データ段階310及び/又はモデリング段階320)は、メモリに記憶され、本明細書に記載されるコンピュータデバイス及びシステム(例えば、システム100)の何れか(例えば、クライアントコンピュータデバイス102及び/又はサーバ106)の1又は2以上のプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読命令として実装することができる。或いは、方法300の1又は2以上のステップ(例えば、実行段階330)は、医療提供者(例えば、医師、外科医)、ロボット装置(例えば、手術ロボット)、製造システム(例えば、製造システム124)、又はこれらの組み合わせによって実行することができる。幾つかの実施形態では、方法300の1又は2以上のステップは省略される(例えば、実行段階330)。
【0087】
図4A~4Cは、一実施形態による、本明細書に記載される方法(例えば、
図3に関して記載されるデータ分析段階310)に関連して使用及び/又は生成できる例示的なデータセットを示す。
図4Aは、治療される患者の患者データセット400を示す。患者データセット400は、患者ID及び複数の術前患者メトリクス(例えば、年齢、性別、BMI、LL、PI、及び脊椎の治療レベル(level))を含むことができる。
図4Bは、複数の参照患者データセット410を示す。図示の実施形態では、参照患者データセット410は、研究グループ(Study Group X)からの第1のサブセット412、診療データベース(Practice Y)からの第2のサブセット414、及び学術グループ(University Z)からの第3のサブセット416を含む。代替の実施形態では、参照患者データセット410は、本明細書で上述したように、他のソースからのデータを含むことができる。各参照患者データセットは、患者ID、複数の術前患者メトリクス(例えば、年齢、性別、BMI、LL、PI、及び脊椎の治療レベル(level))、治療結果データ(Outcome)(例えば、癒合(fused)の有無、HRQL、合併症)、及び治療手術データ(Surg.Intervention)(例:インプラント設計、インプラントの配置、外科的アプローチ)を含むことができる。
【0088】
図4Cは、患者データセット400と参照患者データセット410との比較を示す。上述のように、患者データセット400を参照患者データセット410と比較して、参照患者データセットから1又は2以上の類似患者データセットを特定することができる。幾つかの実施形態では、参照患者データセット410からの患者メトリクスが数値に変換され、患者データセット400からの患者メトリクスを比較して、各参照患者データセットについて類似度スコア420(「術前類似度」)を計算する。閾値未満の類似度スコアを有する参照患者データセットは、患者データセット400と類似していると考えることができる。例えば、図示の実施形態では、参照患者データセット410aは、9の類似度スコアを有し、参照患者データセット410bは2の類似度スコアを有し、参照患者データセット410cは5の類似度スコアを有し、参照患者データセット410dは8の類似度スコアを有する。これらのスコアの各々が閾値10未満であることに起因して、参照患者データセット410a~dは、類似患者データセットであると特定される。
【0089】
類似患者データセット410a~dの治療結果データを分析して、成功確率が最も高い外科手術及び/又はインプラント設計を決定することができる。例えば、各参照患者データセットの治療結果データは、良好な結果の可能性を表す数値結果スコア430(「結果指数」)に変換することができる。図示の実施形態では、参照患者データセット410aは1の結果スコアを有し、参照患者データセット410bは1の結果スコアを有し、参照患者データセット410cは9の結果スコアを有し、参照患者データセット410dは2の結果スコアを有する。結果スコアが低いほど良好な結果の可能性が高いことに相関する実施形態では、参照患者データセット410a、410b、及び410dを選択することができる。次いで、選択された参照患者データセット410a、410b、及び410dからの治療手術データを使用して、治療される患者に好ましい結果をもたらす可能性が高い少なくとも1つの外科手術(例えば、インプラントの配置、外科的アプローチ)及び/又はインプラントの設計を決定することができる。
【0090】
幾つかの実施形態では、患者に医療を提供する方法が提供される。本方法は、患者データセットと参照データとを比較するステップを含むことができる。患者データセット及び参照データは、本明細書に記載されるデータタイプの何れかを含むことができる。本方法は、本明細書に記載の技術の何れかを使用して、関連する参照データ(例えば、類似の患者のデータ及び/又は類似の治療手術のデータなど、患者の治療に関連するデータ)を特定及び/又は選択するステップを含むことができる。治療計画は、本明細書に記載される技術の何れかを使用して、選択されたデータに基づいて生成することができる。治療計画は、1又は2以上の治療手術(例えば、外科手術、手術の指示、モデル又は手術の他の仮想表現)、1又は2以上の医療デバイス(例えば、移植されるデバイス、デバイスを送達するための器具、手術キット)、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0091】
幾つかの実施形態では、医療処置計画を生成するためのシステムが提供される。本システムは、本明細書に記載の技術の何れかを使用して、患者データセットを複数の参照患者データセットと比較することができる。参照患者データセットのサブセットは、例えば、類似性及び/又は治療結果、又は本明細書に記載されるような任意の他の技術に基づいて選択することができる。本明細書に記載される技術の何れかを使用して、選択されたサブセットに少なくとも部分的に基づいて、医療処置計画を生成することができる。医療治療計画は、1又は2以上の治療手術、1又は2以上の医療デバイス、又は本明細書に記載される治療計画の他の態様の何れか、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0092】
更なる実施形態において、システムは、過去の患者データを使用するように構成される。システムは、過去の患者データを選択して、治療計画の策定又は選択、医療デバイスの設計等を行うことができる。過去のデータは、所望の結果のために設計された処方的治療計画を策定するために、現在の患者と以前の患者との間の1又は2以上の類似性に基づいて選択することができる。処方的治療計画は、所望の結果が得られる可能性を高めるために、現在の患者に合わせて調整することができる。幾つかの実施形態では、システムは、過去のデータのサブセットを分析及び/又は選択して、1又は2以上の治療手術、1又は2以上の医療デバイス、又はこれらの組み合わせを生成することができる。幾つかの実施形態では、システムは、例えば、治療計画、医療デバイス、又はこれらの組み合わせを設計、開発、又は選択するのに使用される基準履歴データセットを生成するために、良好な結果を有する1又は2以上の以前の患者群からのデータのサブセットを使用することができる。
【0093】
図5は、本技術の別の実施形態による、患者固有の医療ケアを提供するための方法500を示す流れ図である。方法500は、ステップ502において、医療を必要とする特定の患者の患者データセットを受信するステップから開始することができる。患者データセットは、患者の状態、解剖学的構造、病理学的構造、症状、病歴、嗜好、及び/又は患者に関連する他の情報又はパラメータを代表するデータを含むことができる。例えば、患者データセット808は、外科的介入データ、治療結果データ、経過データ(例えば、外科医のメモ)、患者フィードバック(例えば、QOLアンケート、調査を使用して取得されたフィードバック)、臨床データ、患者情報(例えば、人口統計、性別、年齢、身長、体重、病態の種類、職業、活動レベル、組織情報、健康評価、併存疾患、健康関連QOL(HRQL))、バイタルサイン、診断結果、投薬情報、アレルギー、診断機器情報(例えば、製造業者、モデル番号、仕様、ユーザが選択した設定/構成等)又はこれに類するものを含むことができる。患者データセットは、カメラ画像、MRI画像、超音波画像、CATスキャン画像、PET画像、X線画像等の画像データを含むこともできる。幾つかの実施形態では、患者データセットは、患者識別番号(ID)、年齢、性別、BMI、LL、コブ角、PI、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、回転変位、及び/又は脊椎の治療レベルのうちの1又は2以上を表すデータを含む。患者データセットは、サーバ、コンピュータデバイス、又は他のコンピュータシステムで受け取ることができる。例えば、幾つかの実施形態では、患者データセットは、
図1に示すサーバ106又は
図6に関して後述するコンピュータシステム606で受信することができる。幾つかの実施形態では、ステップ502で患者データセットを受信するコンピュータシステムはまた、1又は2以上のソフトウェアモジュール(例えば、
図1に示すデータ分析モジュール116及び/又は治療計画モジュール118、又は方法500の様々なオペレータ操作を実行するための追加のソフトウェアモジュール)を記憶する。患者データセットを収集及び受信するための追加の詳細は、
図6~
図7Dに関して以下で説明する。
【0094】
幾つかの実施形態では、受信した患者データセットは、LL、コブ角、冠状パラメータ(例えば、冠状バランス、グローバル冠状バランス、冠状骨盤傾斜等)、矢状パラメータ(例えば、PI、仙骨傾斜、胸椎前弯等)及び/又は骨盤パラメータ等の疾患メトリクスを含むことができる。疾患メトリクスは、ミクロ測定値(例えば、患者の脊椎の特定又は個々のセグメントに関連するメトリクス)及び/又はマクロ測定値(例えば、患者の脊椎の複数のセグメントに関連するメトリクス)を含むことができる。幾つかの実施形態では、疾患メトリクスは患者データセットに含まれず、方法500は、以下に説明するように、患者画像データに基づいて1又は2以上の疾患メトリクスを決定する(例えば、自動的に決定する)ステップを含む。
【0095】
ステップ502において患者データセットが受信されると、方法500は、ステップ503において、患者の生来の解剖学的構成(「術前解剖学的構成」とも呼ばれる)の仮想モデルを作成するステップに進むことができる。仮想モデルは、ステップ502で受信された患者データセットに含まれる画像データに基づくことができる。例えば、ステップ502で患者データセットを受信したのと同じコンピュータシステムは、患者データセット内の画像データを解析して、患者の生来の解剖学的構成の仮想モデルを生成することができる。仮想モデルは、患者の生来の解剖学的構成の2次元又は3次元の視覚的表現とすることができる。仮想モデルは、1又は2以上の関心領域を含むことができ、関心領域内の患者の解剖学的構造の一部又は全部を含むことができる(例えば、骨構造、軟骨、軟部組織、血管組織、神経組織等を含むがこれらに限定されない組織タイプの任意の組み合わせ)。非限定的な例として、仮想モデルは、仙骨、腰椎領域、胸椎領域、及び/又は頸椎領域の一部又は全部を含む、患者の脊髄領域の視覚的表現を含むことができる。幾つかの実施形態では、仮想モデルは、軟組織、軟骨、及び他の非骨構造を含む。他の実施形態では、仮想モデルは患者の骨構造のみを含む。生来の解剖学的構成の仮想モデルの例を、
図8A及び
図8Bに関して以下に説明する。幾つかの実施形態では、方法500は、任意選択的に、ステップ503における患者の生来の解剖学的構成の仮想モデルの作成を省略し、ステップ502からステップ504に直接進むことができる。
【0096】
幾つかの実施形態では、ステップ502で仮想モデルを生成したコンピュータシステムは、仮想モデルに基づいて患者の1又は2以上の疾患メトリクスを決定する(例えば、自動的に決定又は測定する)こともできる。例えば、コンピュータシステムは、仮想モデルを解析して、患者の術前LL、コブ角、冠状パラメータ(例えば、冠状バランス、グローバル冠状バランス、冠状骨盤傾斜等)、矢状パラメータ(例えば、PI、仙骨傾斜、胸椎前弯等)及び/又は骨盤パラメータを決定することができる。疾患メトリクスは、ミクロ測定値(例えば、患者の脊椎の特定の又は個々のセグメントに関連するメトリクス)及び/又はマクロ測定値(例えば、患者の脊椎の複数のセグメントに関連するメトリクス)を含むことができる。
【0097】
方法500は、ステップ504において、患者の矯正された解剖学的構成(これは、本明細書において、「計画された構成」、「最適化された形状」、「術後の解剖学的構成」、又は「標的結果」とも呼ぶことができる)の仮想モデルを作成するステップに進むことができる。例えば、コンピュータシステムは、先に説明した分析手術を使用して、特定の患者に対する理想的な手術結果を表す、特定の患者に対する「矯正された」又は「最適化された」解剖学的構成を決定することができる。これは、例えば、
図1~4Cに関して先に詳細に説明したように(例えば、参照患者データセットと患者データセットとの類似性及び/又は参照患者が良好な治療結果を有していたか否かに基づいて)、複数の参照患者データセットを分析して、良好な術後結果を有していた類似患者の術後解剖学的構成を特定することによって行うことができる。これはまた、最適な解剖学的結果(例えば、解剖学的要素間の位置関係)及び/又は標的(例えば、許容可能な)術後メトリクス/設計基準(例えば、術後矢状縦軸が7mm未満、術後コブ角が10度未満等になるように解剖学を調整する)を定義する1又は2以上の数学的規則を適用することを含むことができる。目標術後メトリクスには、目標冠状パラメータ、目標矢状パラメータ、目標PI角、目標コブ角、目標肩傾斜角、目標腸腰筋角、目標冠状バランス、目標コブ角、目標前弯角、及び/又は目標椎間腔高さが含まれ得るが、これらに限定されない。生来の解剖学的配置と矯正された解剖学的配置との違いは、「患者固有の矯正」又は「標的矯正」と呼ばれることがある。
【0098】
矯正された解剖学的配置が決定されると、コンピュータシステムは、矯正された解剖学的配置を有する患者の解剖学の2次元又は3次元視覚表現を生成することができる。ステップ503で作成された仮想モデルと同様に、患者の矯正された解剖学的構成の仮想モデルは、1又は2以上の関心領域を含むことができ、関心領域内の患者の解剖学的構成の一部又は全部を含むことができる(例えば、骨構造、軟骨、軟部組織、血管組織、神経組織等を含むがこれらに限定されない組織タイプの任意の組み合わせ)。非限定的な例として、仮想モデルは、仙骨、腰椎領域、胸椎領域、及び/又は頸椎領域の一部又は全部を含む、矯正された解剖学的構成における患者の脊髄領域の視覚的表現を含むことができる。幾つかの実施形態では、仮想モデルは、軟組織、軟骨、及び他の非骨構造を含む。他の実施形態では、仮想モデルは患者の骨構造のみを含む。生来の解剖学的構成の仮想モデルの一例を、
図9A-1~9B-2に関して以下に説明する。
【0099】
方法500は、ステップ506において、仮想モデルによって示された矯正された解剖学的構成を達成するための手術計画を生成する(例えば、自動的に生成する)ステップに進むことができる。手術計画は、術前計画、手術計画、術後計画、及び/又は最適な手術結果に関連する特定の脊椎メトリクスを含むことができる。例えば、手術計画は、矯正された解剖学的構成を達成するための特定の外科手術を含むことができる。脊椎手術の関連では、手術計画は、特定の範囲の椎骨レベル(例えば、L1~L4、L1~L5、L3~T12など)にわたる特定の融合手術(例えば、PLIF、ALIF、TLIF、LLIF、DLIF、XLIFなど)を含むことができる。勿論、矯正された解剖学的構成を達成するために、非融合外科的アプローチ及び患者の他の領域に対する整形外科手術等の他の外科手術を特定することができる。手術計画はまた、期待される術後の患者の解剖学的形状に対応する1又は2以上の期待される脊椎メトリクス(例えば、LL、コブ角、冠状パラメータ、矢状パラメータ、及び/又は骨盤パラメータ)を含むことができる。手術計画は、矯正された解剖学的構成の仮想モデルを作成したコンピュータシステムと同じ又は異なるコンピュータシステムによって生成することができる。幾つかの実施形態では、手術計画はまた、
図1~4Cに関して先に説明したように、1又は2以上の参照患者データセットに基づくことができる。幾つかの実施形態では、手術計画は、手術を行う特定の外科医に関連する外科医固有の好み及び/又は結果に少なくとも部分的に基づくこともできる。幾つかの実施形態では、複数の手術計画がステップ506で生成され、外科医に複数の選択肢を提供する。手術計画の一例を
図10に関して以下に説明する。
【0100】
ステップ504において矯正された解剖学的構成の仮想モデルが作成されて、ステップ506において手術計画が生成された後、方法500は、ステップ508において、外科医のレビューのために矯正された解剖学的構成の仮想モデル及び手術計画を送信するステップに進むことができる。幾つかの実施形態では、仮想モデル及び手術計画は手術計画レポートとして送信され、その例が
図11A、11Bに関して記載される。幾つかの実施形態では、ステップ502~506で使用される同じコンピュータシステムは、仮想モデル及び手術計画を、外科医がレビューするためのコンピュータデバイス(例えば、
図1に記載されるクライアントコンピュータデバイス102又は
図6に関して後述されるコンピュータデバイス602)に送信することができる。これは、仮想モデル及び手術計画をコンピュータデバイスに直接送信すること、又は仮想モデル及び手術計画をクラウド又は他のストレージシステムにアップロードし、その後ダウンロードすることを含むことができる。ステップ508は、手術計画及び仮想モデルを外科医に送信することを説明しているが、当業者であれば、本明細書の開示から、仮想モデルの画像が外科医に送信される手術計画に含まれてもよく、実際のモデルが(例えば、送信されるファイルサイズを小さくするために)含まれなくてもよいことを理解するであろう。更に、ステップ508において外科医に送信される情報は、矯正された解剖学的構成の仮想モデルに加えて、患者の生来の解剖学的構成の仮想モデル(又はその画像)を含むことができる。ステップ506において2以上の手術計画が生成される実施形態では、方法500は、レビュー及び選択のために1又は2以上の手術計画を外科医に送信することを含むことができる。
【0101】
外科医は、仮想モデル及び手術計画をレビューし、ステップ510において、手術計画を承認するか又は拒否する(又は、ステップ508において1又は2以上の手術計画が提供された場合、提供された手術計画の1つを選択する)ことができる。ステップ510において外科医が手術計画を承認しない場合、外科医は、任意選択的に、手術計画に対するフィードバック及び/又は修正案を提供することができる(例えば、仮想モデルを調整すること又は計画に関する1又は2以上の態様を変更することによって)。従って、方法500は、外科医のフィードバック及び/又は修正案を(例えば、コンピュータシステムを介して)受信するステップを含むことができる。外科医のフィードバック及び/又は修正提案がステップ512において受信された場合、方法500は、ステップ514において、ステップ512にて受信された外科医のフィードバック及び/又は修正提案に少なくとも部分的に基づいて、仮想モデル及び/又は手術計画を修正する(例えば、コンピュータシステムを介して自動的に修正する)ステップに進むことができる。幾つかの実施形態では、外科医は、手術計画を拒否する場合、フィードバック及び/又は修正案を提供しない。このような実施形態では、ステップ512を省略することができ、方法500は、ステップ514において、新しい及び/又は追加の参照患者データセットを選択することによって、仮想モデル及び/又は手術計画を修正する(例えば、コンピュータシステムを介して自動的に修正する)ステップに進むことができる。その後、修正された仮想モデル及び/又は手術計画は、レビューのために外科医に送信することができる。ステップ508、510、512、及び514は、外科医が手術計画を承認するまで、必要な回数だけ繰り返すことができる。外科医が手術計画をレビュー、修正、承認、及び/又は拒否するとして説明したが、幾つかの実施形態では、外科医は、仮想モデルを介して示された矯正された解剖学的構成をレビュー、修正、承認、及び/又は拒否することもできる。
【0102】
手術計画の外科医の承認がステップ510で受信されると、方法500は、ステップ513において、承認された手術計画に基づいて、1又は2以上の術後インプラント調整を提供するための適切な調整可能インプラント矯正計画(「矯正計画」)が生成できるか否かを決定するステップに進むことができる。例えば、コンピュータシステムは、1又は2以上のインプラントがシミュレーションされた結果(例えば、手術計画、矯正計画等の結果)を達成するように設計された術後調整を行う1又は2以上のシミュレーションを行うことができる。シミュレートされた結果が適合性基準(例えば、ユーザが入力した基準、手術計画からの閾値メトリクスなど)を満たす場合、コンピュータシステムは、矯正計画が手術計画に適していると判定することができる。幾つかの実施形態において、コンピュータシステムは、修正された手術計画の矯正計画を生成するために、手術計画の修正を要求することができる。これにより、手術計画と調整可能なインプラント矯正計画とを調整する柔軟性が提供される。
【0103】
適切な矯正計画を生成することができるとコンピュータシステムが決定した場合、方法500はステップ515に進むことができる。コンピュータシステムは、例えば、1又は2以上の手術計画、調整可能なインプラントの設計、選択可能なセンサ読み取り値、及び/又は設計パラメータを分析して、1又は2以上の結果基準を満たす矯正計画を生成することができる。幾つかの実施形態では、基準データセットを使用して、患者固有の術後矯正計画を決定することができる。例えば、ステップ513は、
図3のステップ316の1又は2以上の行為を含み、類似性基準に基づいて、移植されるインプラントデータを有する基準データセットのサブセットを選択することができる。これにより、コンピュータシステムは、移植されるインプラント(例えば、非調整式インプラント、非調整式インプラントなど)を設計するための基準を満たす参照データを使用することができる。幾つかの実施形態では、医師は、限定されないが、ディスク高さ、前方ディスク高さ、後方ディスク高さ、前弯角度、及び本明細書に開示される他のパラメータの範囲又は値を含む設計パラメータを入力することができる。調整可能なインプラント及び医師の承認のための例示的な設計パラメータは、
図16Bに関連して議論され、及び単一レベル又は複数レベルの術後脊椎調整を行うために使用される矯正計画(例えば、インプラント固有の矯正計画、マルチインプラント矯正計画等)の形態で患者固有の術後矯正計画を生成するのに使用できる。
【0104】
幾つかの実施形態では、コンピュータシステムは、例えば、治療のためのレベル、移植されるインプラントの数(例えば、レベルごと、脊椎セグメントごと等)、及びそれぞれのインプラントの設計を選択することにより、医師が入力した設計パラメータに基づいて矯正計画を生成することができる。矯正計画は、例えば、術後療法又は本明細書に開示された他の計画に組み込むことができる術後調整を含むことができる。幾つかの実施形態では、コンピュータシステムは、例えば、患者の解剖学的構造の3次元モデル等を用いたコンピュータ生成シミュレーションに基づいて、調整可能なインプラント(例えば、拡張可能なディスク、ロッド、拡張可能なケージ等)のタイプ、個々のインプラントの可動範囲、インプラントの感知能力等を決定することができる。医師は矯正計画を承認又は修正することができる。
【0105】
方法500は、ステップ517に進み、手術計画及び矯正計画に基づいて(例えば、ステップ502~514のうちの1又は2以上を実行したのと同じコンピュータシステムを介して)患者固有のインプラントを設計することができる。患者固有のインプラントは、手術計画における修正などの標的矯正を達成するための移植された後の構成を有することができる。次いで、患者固有のインプラントの調整機能は、矯正計画に基づいて設計することができ、この矯正計画には、限定されるものではないが、1又は2以上のインプラント構成(例えば、展開されていない構成又は折り畳まれた構成、部分的に展開された構成又は展開された構成、完全に展開された構成又は完全に展開された構成)、可動範囲、インプラント間の関係(例えば、構成関係、荷重関係等)、感知能力等を含むことができる。幾つかの実施形態では、コンピュータシステムは、例えば、疾患進行、加齢に関連する自然な解剖学的変化、標的脊椎構成、又は他の解剖学的変化をシミュレートして、術後のインビボ調整によって結果を達成することができるインプラントを設計することができる。幾つかの実施形態では、コンピュータシステムは解剖学的変化の複数のシナリオをシミュレートすることができる。シナリオは、ランク付けして、設計パラメータの優先順位付け及び/又は選択を行うことができる。システムは、例えば、順位を選択するために医師の入力を要求することができる。幾つかの実施形態では、コンピュータシステムは、シナリオをスコア化し、ランク付けすることができる。最高順位のシナリオを選択して、信頼スコア閾値を満たすインプラントを設計することができる。
【0106】
方法500は、ステップ518において、患者固有のインプラントを製造するステップに進むことができる。インプラントは、3D印刷、立体リソグラフィ、DLP、FDM、SLS、SLM、EBM、LOM、PP、熱可塑性樹脂印刷、DMD、又はインクジェット写真樹脂印刷等の付加製造技術、又は同様の技術、又はこれらの組み合わせを使用して製造できる。代替的に又は追加的に、インプラントは、CNC機械加工、EDM、研削、レーザー切断、ウォータージェット機械加工、手動機械加工(例えば、フライス加工、旋盤/旋削)等の除去製造技術、又はこれらの組み合わせを用いて製造することができる。インプラントは、何れかの適切な製造システム(例えば、
図1に示す製造システム124又は
図6に関して後述する製造システム630)によって製造できる。幾つかの実施形態では、インプラントは、ステップ516でコンピュータシステムによって生成されたコンピュータ読み取り可能な製作命令を実行する製造システムによって製造される。
【0107】
ステップ518においてインプラントが製造されると、方法500は、ステップ520において、患者固有のインプラントを患者に移植させるステップに進むことができる。外科手術は、手動で、ロボット外科プラットフォーム(例えば、外科用ロボット)によって、又はこれらの組み合わせによって行うことができる。外科手術がロボット手術プラットフォームによって少なくとも部分的に実行される実施形態では、手術計画は、手術ロボットに患者固有の外科手術を少なくとも部分的に実行させるように構成されたコンピュータ読み取り可能な制御命令を含むことができる。ロボット手術プラットフォームに関する追加の詳細は、
図6に関して以下に記載される。
【0108】
ステップ512において、承認された手術計画に対して適切な矯正計画が特定されない場合、方法500は、矯正された解剖学的構成及び手術計画に基づいて(例えば、ステップ502~514を実行したのと同じコンピュータシステムを介して)患者固有のインプラントを設計するためにステップ516に進むことができる。例えば、患者固有のインプラントは、特定の患者に移植されたときに、患者の解剖学的構造を矯正された解剖学的構造に誘導する(例えば、患者の解剖学的構造を生来の解剖学的構造から矯正された解剖学的構造に変換する)ように特別に設計することができる。患者固有のインプラントは、移植されると、インプラントの予想有効寿命(例えば、5年以上、10年以上、20年以上、50年以上など)の間、患者の解剖学的形状が矯正された解剖学的形状を占めるように設計することができる。幾つかの実施形態では、患者固有のインプラントは、矯正された解剖学的配置の仮想モデルのみに基づいて、及び/又は術前の患者画像を参照することなく設計される。
【0109】
患者専用インプラントは、本明細書又は引用により本明細書に組み込まれる特許文献に記載されるインプラントの何れかであることができる。例えば、患者固有のインプラントは、スクリュー(例えば、骨スクリュー、脊椎スクリュー、椎弓根スクリュー、ファセットスクリュー)、椎体間インプラント・デバイス(例えば、椎間インプラント)、ケージ、プレート、ロッド、ディスク、融合デバイス、スペーサ、ロッド、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、骨格、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、ファスナ、関節置換体(例えば、人工椎間板)、股関節インプラント、又はこれらに類するものを含むことができる。患者固有のインプラントの設計は、インプラントの物理的特性(例えば、サイズ、形状、体積、材料、質量、重量)、機械的特性(例えば、剛性、強度、弾性率、硬度)、及び/又は生物学的特性(例えば、骨統合、細胞接着、抗細菌特性、抗ウイルス特性)のうちの1又は2以上を表すデータを含むことができる。例えば、整形外科用インプラント設計は、インプラントの形状、サイズ、材料、及び/又は有効剛性(例えば、格子密度、ストラットの数、ストラットの位置等)を含むことができる。方法500を介して設計された患者固有のインプラントの一例を、
図12A及び
図12Bに関して以下に説明する。
【0110】
幾つかの実施形態では、ステップ516においてインプラントを設計するステップは、インプラントを製造するための製造命令を生成することを任意選択的に含むことができる。例えば、コンピュータシステムは、製造システムによって実行されたときに、製造システムにインプラントを製造させるコンピュータ実行可能な製造命令を生成することができる。
【0111】
幾つかの実施形態では、患者固有のインプラントは、外科医が矯正された解剖学的構成及び手術計画を有する仮想モデルをレビューし承認した後にのみ、ステップ516で設計される。従って、幾つかの実施形態では、インプラントの設計は、ステップ508で手術計画と共に外科医に送信されることがなく、手術計画の外科医の承認を受ける前に製造されることもない。理論に束縛されることなく、外科医が手術計画を承認するまで患者固有のインプラントを設計するのを待機することは、方法500の効率を高め、及び/又は方法500を実行するのに必要な資源を削減することができる。
【0112】
次いで、方法500は、上述したように、ステップ518及び520に進むことができる。方法500は、様々な方法で実施及び実行することができる。幾つかの実施形態では、ステップ502~516は、第1のエンティティに関連するコンピュータシステム(例えば、
図6に関して後述するコンピュータシステム606)によって実行され得、ステップ518は、第2のエンティティに関連する製造システムによって実行され得、及びステップ520は、第3のエンティティに関連する外科提供者、外科医、及び/又はロボット外科プラットフォームによって実行することができる。上述のステップの何れもまた、メモリに記憶され、関連するコンピュータシステムの1又は2以上のプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読命令として実施できる。
【0113】
図6は、
図5に関して説明した方法500を実行するためなど、患者固有の医療ケアを提供するのに使用することができる選択されたシステム及びデバイスを含む手術セットアップの概略図である。図示されるように、手術セットアップは、コンピュータデバイス602、コンピュータシステム606、クラウド608、製造システム630、及びロボット手術プラットフォーム650を含む。コンピュータデバイス602は、スマートフォン、モバイルデバイス、ラップトップ、デスクトップ、パーソナルコンピュータ、タブレット、ファブレット、又は当技術分野で公知の他のこのようなデバイス等のユーザデバイスとすることができる。作動時には、ユーザ(例えば、外科医)は、コンピュータデバイス602を使用して、患者データセットを収集、検索、レビュー、修正、又は他の方法で相互作用することができる。コンピュータシステム606は、参照患者データセットの特定、患者固有の手術計画の決定、患者解剖学的構造の仮想モデルの生成、患者固有の移植プラントの設計等のための1又は2以上のソフトウェアモジュールを記憶するように構成された何れかの適切なコンピュータシステムを含むことができる。1又は2以上のソフトウェアモジュールは、選択された操作を実行するためのアルゴリズム、機械学習モデル、AIアーキテクチャ等を含むことができる。クラウド608は、何れかの適切なネットワーク及び/又はストレージシステムとすることができ、ハードウェア及び/又は仮想コンピュータ資源の何れかの組み合わせを含むことができる。製造システム630は、患者固有のインプラントを製造するための何れかの適切な製造システムとすることができ、本明細書で先に説明したものの何れかを含む。ロボット外科プラットフォーム650(本明細書では「プラットフォーム650」と呼ぶ)は、外科手術の1又は2以上の態様を実行又は他の方法で支援するように構成することができる。
【0114】
代表的な動作において、コンピュータデバイス602、コンピュータシステム606、クラウド608、製造システム630、及びプラットフォーム650は、
図5に関して説明される方法500を実行するためなど、患者固有の医療ケアを提供するのに使用できる。例えば、コンピュータシステム606は、コンピュータデバイス602から患者データセットを受信することができる(例えば、方法500のステップ502)。幾つかの実施形態では、コンピュータデバイス602は、患者データセットをコンピュータシステム606に直接送信することができる。他の実施形態では、コンピュータデバイス602は、患者データセットをクラウド608にアップロードすることができ、コンピュータシステム606は、クラウドから患者データセットをダウンロード又は他の方法でアクセスすることができる。コンピュータシステム606が患者データセットを受信すると、コンピュータシステム606は、患者の生来の解剖学的構成の仮想モデルを作成し(例えば、方法500のステップ503)、矯正された解剖学的構成の仮想モデルを作成し(例えば、方法500のステップ504)、及び/又は矯正された解剖学的構成を達成するための手術計画を生成する(例えば、方法500のステップ506)ことができる。コンピュータシステムは、幾つかの実施形態では機械学習モデル又は他のAIアーキテクチャを含む1又は2以上のソフトウェアモジュールを介して上述の操作を実行することができる。仮想モデル及び手術計画が作成されると、コンピュータシステム606は、仮想モデル及び手術計画を外科医に送信してレビューさせることができる(例えば、方法500のステップ508)。これは、例えば、仮想モデル及び手術計画を外科医のレビューのためにコンピュータデバイス602に直接送信することを含むことができる。他の実施形態では、これは、仮想モデル及び手術計画をクラウド608にアップロードすることを含むことができる。次いで、外科医は、コンピュータデバイス602を使用して、クラウド608から仮想モデル及び手術計画をダウンロード又は他の方法でアクセスすることができる。
【0115】
外科医は、コンピュータデバイス602を使用して、仮想モデル及び手術計画をレビューすることができる。また、外科医は、コンピュータデバイス602を使用して、手術計画を承認又は拒否し、手術計画に関するフィードバックを提供することができる。外科医の承認、拒否、又は手術計画に関するフィードバックは、コンピュータシステム606に送信され、コンピュータシステム606によって受信できる(例えば、方法500のステップ510及び512)。コンピュータシステム606は、その後、仮想モデル及び/又は手術計画を修正することができる(例えば、方法500のステップ514)。コンピュータシステム606は、修正された仮想モデル及び手術計画を、レビューのために外科医に送信することができる(例えば、クラウド608にアップロードすることにより、又はコンピュータデバイス602に直接送信することにより)。
【0116】
コンピュータシステム606は、1又は2以上のソフトウェアモジュールを使用して、矯正された解剖学的構成及び手術計画(例えば、方法500のステップ516)に基づいて、患者固有のインプラントを設計することもできる。幾つかの実施形態では、ソフトウェアモジュールは、1又は2以上のアルゴリズム、機械学習モデル、又は他のAIアーキテクチャに依存して、インプラントを設計する。コンピュータシステム606が患者固有のインプラントを設計すると、コンピュータシステム606は、設計及び/又は製造命令をクラウド608にアップロードすることができる。コンピュータシステム606はまた、患者固有のインプラントを製造するための製造命令(例えば、コンピュータ読み取り可能な製造命令)を作成することができる。このような実施形態では、コンピュータシステム606は、製作命令をクラウド608にアップロードすることができる。
【0117】
製造システム630は、クラウド608から患者専用インプラントの設計及び/又は製作命令をダウンロード又は他の方法でアクセスすることができる。次いで、製造システムは、付加製造技術、減算製造技術、又は他の適切な製造技術を使用して、患者専用インプラントを製造することができる(例えば、方法500のステップ518)。
【0118】
ロボット外科プラットフォーム650は、外科手術(例えば、方法500のステップ520)の1又は2以上の態様を実行又は支援することができる。例えば、プラットフォーム650は、切開のために組織を準備すること、切開を行うこと、切除を行うこと、組織を除去すること、組織を操作すること、矯正された操作を行うこと、標的部位にインプラントを送達すること、標的部位でインプラントを展開すること、標的部位でインプラントを調整すること、移植された後にインプラントを操作すること、標的部位でインプラントを固定すること、インプラントを抜去すること、組織を縫合すること等を行うことができる。従って、プラットフォーム650は、様々な手術ツール(例えば、把持器、クリップ、針、針ドライバ、潅注ツール、吸引ツール、ステープラ、スクリュードライバ組立体等)、撮像器具(例えば、カメラ、センサ等)、及び/又は医療デバイス(例えば、インプラント600)を保持するための1又は2以上のアーム655及びエンドエフェクタを含むことができ、これによりプラットフォーム650が手術計画の1又は2以上の態様を実行することを可能にする。1つのアーム655を有するものとして示されているが、当業者であれば、プラットフォーム650が複数のアーム(例えば、2、3、4、又はそれ以上のアーム)及び任意の数の関節、リンク機構、モータ、及び自由度を有することができることを理解するであろう。幾つかの実施形態では、プラットフォーム650は、1又は2以上の撮像器具を保持する専用の第1のアームを有し、残りのアームは様々な手術器具を保持することができる。幾つかの実施形態では、手術器具は、外科手術の前、中、又は後に選択的に交換できるように、アームに解放可能に固定することができる。アームは、様々な運動範囲(例えば、自由度)を通して移動可能とすることができ、外科手術の様々な態様を実行するための適切な器用さを提供する。
【0119】
プラットフォーム650は、アーム655の動作を制御するための制御モジュール660を含むことができる。幾つかの実施形態では、制御モジュール660は、アーム655の動作を制御するためのユーザ入力デバイス(図示せず)を含む。ユーザ入力デバイスは、ジョイスティック、マウス、キーボード、タッチスクリーン、赤外線センサ、タッチパッド、ウェアラブル入力デバイス、カメラ又は画像ベースの入力デバイス、マイクロフォン、又は他のユーザ入力デバイスとすることができる。ユーザ(例えば、外科医)は、ユーザ入力デバイスと相互作用して、アーム655の動きを制御することができる。
【0120】
幾つかの実施形態において、制御モジュール660は、実行されたときに、外科手術の1又は2以上の態様を実行するためにアーム655の動作を自動的に制御する機械可読手術指示を実行するための1又は2以上のオペレータを含む。幾つかの実施形態では、制御モジュール660は、制御モジュール660によって実行されたときに、プラットフォーム650に外科手術の1又は2以上のステップを実行させる外科手術の1又は2以上のステップを指定する機械可読手術指示を(例えば、クラウド608から)受信することができる。例えば、機械可読手術指示は、切開のために組織を準備すること、切開を行うこと、切除を行うこと、組織を除去すること、組織を操作すること、修正操作を行うこと、標的部位にインプラント600を送達すること、標的部位にインプラント600を配備すること、標的部位でインプラント600の構成を調整すること、移植されるとインプラント600を操作すること、標的部位でインプラント600を固定すること、インプラント600を抜去すること、組織を縫合すること等をプラットフォーム650に指示することができる。従って、手術指示は、アーム655を関節運動させて患者固有のインプラントの移植を行う又は他の方法で補助するための特定の命令を含むことができる。
【0121】
幾つかの実施形態では、プラットフォーム650は、手術計画に基づいて(例えば、単に受信するのとは対照的に)機械可読手術指示を生成することができる。例えば、手術計画は、送達経路、ツール、及び移植される部位に関する情報を含むことができる。プラットフォーム650は、手術計画を分析し、ロボットシステムの能力(例えば、ロボットアームの構成及び数、エンドエフェクタの機能、誘導システム、視覚化システム等)に基づいて、患者固有の手術を実行するための実行可能な手術指示を策定することができる。これにより、
図6に示す手術セットアップを、様々な種類のロボット手術システムに対応させることができる。
【0122】
プラットフォーム650は、手術計画及び/又は機械可読手術指示にアクセス及び/又はダウンロードするために、クラウド608及び/又はコンピュータデバイス602との接続を確立するための1又は2以上の通信デバイス(例えば、VLC、WiMAX、LTE、WLAN、IR通信、PSTN、電波、Bluetooth、及び/又はWi-Fi操作性を有する構成要素)を含むことができる。例えば、クラウド608は、プラットフォーム650から特定の手術計画に対する要求を受信し、及びその計画をプラットフォーム650に送信することができる。特定されると、クラウド608は、実行のために手術計画をプラットフォーム650に直接送信することができる。幾つかの実施形態では、クラウド608は、手術計画をプラットフォーム650に直接送信するのではなく、1又は2以上の中間ネットワークデバイス(例えば、コンピュータデバイス602)に送信することができる。ユーザは、実行のために手術計画をプラットフォーム650に送信する前に、コンピュータデバイス602を用いて手術計画をレビューすることができる。患者固有の手術計画を特定、保存、ダウンロード、及びアクセスするための追加的な詳細は、2020年8月11日出願の米国特許出願第16/990,810号に記載されており、その開示内容は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0123】
プラットフォーム650は、
図6に明示的に示されていない追加の構成要素を含むことができる。例えば、様々な実施形態において、プラットフォーム650は、1又は2以上のディスプレイ(例えば、LCDディスプレイスクリーン、LEDディスプレイスクリーン、投影ディスプレイ、ホログラフィックディスプレイ、又は拡張現実ディスプレイ(例えば、ヘッドアップディスプレイデバイス又はヘッドマウントデバイス))、1又は2以上のI/Oデバイス(例えば、ネットワークカード、ビデオカード、オーディオカード、USB、ファイヤワイヤ又は他の外部デバイス、カメラ、プリンタ、スピーカ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、ディスクドライブ、又はブルーレイデバイス)、及び/又はメモリ(例えば、RAM、様々なキャッシュ、CPUレジスタ、ROM、及び書き込み可能な不揮発性メモリ、例えば、フラッシュメモリ、ハードドライブ、フロッピーディスク、CD、DVD、磁気記憶デバイス、テープドライブ、デバイスバッファ等)を含むことができる。幾つかの実施形態では、上述の構成要素は、
図2のコンピュータデバイス200に関して詳細に説明された同様の構成要素とほぼ同様とすることができる。
【0124】
理論に束縛されることなく、本明細書に記載される手術計画の様々な態様を実行するためにロボット手術プラットフォームを使用することは、従来の手術技術よりも幾つかの利点を提供することが期待される。例えば、ロボット手術プラットフォームの使用は、例えば、切開サイズの減少、出血量の減少、手術手技の時間の短縮、手術(例えば、標的位置に移植されるインプラントの配置)の正確性及び精度の向上等によって、手術結果を改善し、及び/又は回復時間を短縮し得る。プラットフォーム650は、例えば、器具(例えば、検索機能を有する器具)、ツール、患者固有のインプラント600(例えば、インプラント600がアーム655によって把持された後)等から情報を取得するための1又は2以上のスキャナを含むことによって、ユーザの入力エラーを回避又は低減することもできる。プラットフォーム650は、外科手術の前及び中に適切な器具の使用を確認することができる。プラットフォーム650が不適切な器具又は用具を特定した場合、別の器具又は用具を取り付けるべきであるという警告をユーザに送信することができる。ユーザは新しい器具をスキャンして、その器具が手術計画に適切であることを確認することができる。幾つかの実施形態では、手術計画には、使用説明書、器具のリスト、器具の仕様、交換器具等が含まれる。ベース650は、スキャナからの情報に基づいて、術前及び手術後の確認ルーチンを実行することができる。
【0125】
図7A~13は更に、例えば、方法500に従って、患者固有の医療ケアを提供する選択された態様を示す。例えば、
図7A~7Dは、患者データセット700(例えば、方法500のステップ502で受信されたもの)の一例を示す。患者データセット700は、患者データセットに関して先に説明した情報の何れかを含むことができる。例えば、患者データセット700は、患者情報701(例えば、
図7A及び7Bに示される患者識別番号、患者MRN、患者名、性別、年齢、BMI、手術日、外科医など)、診断情報702(例えば、オスウェストリー障害指数(Oswestry Disability Index:ODI)、VAS-背部スコア、VAS-脚部スコア、
図7B及び
図7Cに示される術前骨盤入射率、術前腰椎前弯、術前PI-LL角度、術前腰椎冠状コブ等)、及び画像データ703(
図7Dに示されるX線、CT、MRI等)を含むことができる。図示された実施形態では、患者データセット700は、コンピュータデバイス(例えば、
図6に示されたコンピュータデバイス602)を使用してアクセスすることができるデジタル及び/又は記入可能な報告書を使用して、医療提供者(例えば、外科医、看護師等)によって収集される。幾つかの実施形態では、患者データセット700は、患者のデジタル医療記録に基づいて自動的に又は少なくとも部分的に自動的に生成できる。何れにせよ、収集されると、患者データセット700は、患者の手術計画を生成するように構成されたコンピュータシステム(例えば、
図6に示すコンピュータシステム606)に送信できる。
【0126】
図8A及び
図8Bは、(例えば、方法500のステップ503において作成されたような)患者の生来の解剖学的構成の仮想モデル800の一例を示す。詳細には、
図8Aは、患者の生来の解剖学的構成の仮想モデル800の拡大図であり、患者の下側脊髄領域の生来の解剖学的構成を示す。仮想モデル800は、患者の生来の解剖学的構造の3次元視覚表現である。図示された実施形態では、仮想モデルは、仙骨からL4椎骨レベルまで延びる脊柱の一部を含む。勿論、仮想モデルは、頸椎、胸椎、腰椎、及び仙骨を含む患者の脊柱の他の領域を含むことができる。図示された仮想モデル800は、患者の解剖学的構造の骨構造のみを含むが、他の実施形態では、軟骨、軟組織、血管組織、神経組織などの追加構造を含むことができる。
【0127】
図8Bは、仮想モデル800の異なるビューを示す仮想モデルディスプレイ850(本明細書では「ディスプレイ850」と呼ぶこともある)を示す。仮想モデルディスプレイ850は、仮想モデル800の3次元ビュー、仮想モデル800の1又は2以上の冠状断面802、仮想モデル800の1又は2以上の軸方向断面804、及び/又は仮想モデル800の1又は2以上の矢状断面806を含む。勿論、他のビューも可能であり、仮想モデルディスプレイ850に含めることができる。幾つかの実施形態では、仮想モデル800は、ユーザが仮想モデル800の向き又はビューを操作(例えば、回転)する、表示された断面の深さを変更する、特定の骨構造を選択及び分離するなどができるように、インタラクティブとすることができる。
【0128】
図9A-1~9B-2は、患者の生来の解剖学的構成の仮想モデル(例えば、方法500のステップ503で作成されたもの)及び患者の矯正された解剖学的構成の仮想モデル(例えば、方法500のステップ504で作成されたもの)の例を示す。詳細には、
図9A-1及び
図9A-2は、それぞれ、患者の生来の解剖学的構成を示す仮想モデル910の前面図及び側面図であり、
図9B-1及び
図9B-2は、それぞれ、同じ患者の矯正された解剖学的構成を示す仮想モデル920の前面図及び側面図である。最初に
図9A-1を参照すると、仮想モデル910の前面図は、患者が脊柱の異常な湾曲(例えば、脊柱側弯症)を有していることを示している。これは、脊柱の吻側-尾側軸に沿った線Xで示されている。次に
図9A-1を参照すると、仮想モデル910の側面図は、患者が椎間板の崩壊又は隣接する椎体エンドプレートの間の間隔の減少を有していることを示しており、楕円Yで示されている。
図9B-1及び
図9B-2は、
図9A-1及び
図9A-2に示された異常な解剖学的構成を考慮した矯正された仮想モデル920を示す。例えば、仮想モデル920の前面図である
図9B-1は、矯正されたアライメントを有する(例えば、異常な湾曲が低減された)患者の脊柱を示している。この矯正は線Xで示されており、線Xも脊柱の吻側-尾側軸に沿っている。仮想モデル920の側面図である
図9B-2は、椎間板高さが回復した(例えば、隣接する椎体エンドプレートの間隔が拡大した)患者の脊柱を示しており、これも楕円Yで示されている。線X及び楕円Yは、仮想モデル910及び920間の矯正をより明確に示すために
図9A-1~9B-2に設けられており、本技術に従って生成された仮想モデルには必ずしも含まれない。
【0129】
図10は、(例えば、方法500のステップ506において生成されるような)手術計画1000の一例を示す。手術計画1000は、術前患者メトリックス1002、術後予測患者メトリックス1004、1又は2以上の患者画像(例えば、患者データセットの一部として受信された患者画像703)、患者の生来の解剖学的構成(例えば、術前の患者の解剖学的構成)、及び/又は矯正された患者の解剖学的構成(例えば、予測された術後の患者の解剖学的構成)の仮想モデル920(モデル自体又はモデルから導出された1又は2以上の画像とすることができる)を含むことができる。予測される術後の患者の解剖学的構成の仮想モデル920は、患者の解剖学的構成が手術後にどのように見えるかを示すために、患者の脊椎領域に移植されているように示された1又は2以上のインプラント1012を任意選択的に含むことができる。仮想モデル920には4本のインプラント1012が示されているが、手術計画1000は、1本、2本、3本、5本、6本、7本、8本又はそれ以上のインプラント1012を含む、より多いか又はより少ないインプラント1012を含むことができる。
【0130】
手術計画1000は、
図10に図示されているもの以外の追加情報を含むことができる。例えば、手術計画1000は、術前指示、術中指示、及び/又は術後指示を含むことができる。手術指示は、実施される1又は2以上の特定の手術(例えば、PLIF、ALIF、TLIF、LLIF、DLIF、XLIF等)及び/又は手術の1又は2以上の特定の標的(例えば、椎体レベルL1~L4の融合、L4の外側面に挿入されるアンカースクリュー等)を含むことができる。手術計画1000は、視覚的レポートとして
図10に示されているが、手術計画1000は、コンピュータデバイスに接続されたプロセッサによって実行されたときに、コンピュータデバイスによって手術計画1000を表示させるコンピュータ実行可能命令で符号化することもできる。幾つかの実施形態では、手術計画1000はまた、手術計画を実行するための機械可読手術指示を含むことができる。例えば、手術計画は、ロボット手術プラットフォームが手術計画1000の1又は2以上のステップを実行するための手術指示を含むことができる。
【0131】
図11A、11Bは、手術計画1000を含み且つ(例えば、方法500のステップ508において送信されるように)レビュー及び承認のために外科医に送信できる、患者手術計画レポート1100の一例を示す一連の画像を提供する。手術計画報告書1100は、手術計画1000の態様を詳述する複数ページの報告書を含むことができる。例えば、複数ページの報告書は、手術計画1000の概要を示す第1のページ1101(例えば、
図10に示すように)、患者画像を示す第2のページ1102(例えば、受信した患者画像703など、例えば、ステップ502で受信され、及び
図7Dに示される患者画像703のような)、矯正された解剖学的構成の仮想モデル(例えば、
図9に示される仮想モデル920)の拡大図を示す第3のページ1103、及び外科医に手術計画900を承認するか又は拒否するかの何れかを促す第4のページ1104を含むことができる。勿論、手術計画に関する追加情報は、同じ又は異なるフォーマットで報告書1100と共に提示することもできる。幾つかの実施形態では、外科医が手術計画1000を拒絶する場合、外科医は、外科医が調整して欲しい手術計画1000の態様に関するフィードバックを提供するように促できる。
【0132】
患者手術計画レポート1100は、コンピュータデバイス(例えば、
図1に示されるクライアントコンピュータデバイス102又は
図6に示されるコンピュータデバイス602)のデジタルディスプレイ上で外科医に提示することができる。幾つかの実施形態では、レポート1100は対話式であり、外科医は、レポート1100の様々な態様を操作することができる(例えば、仮想モデルのビューの調整、ズームイン、ズームアウト、注釈など)。しかしながら、レポート1100が対話式であっても、一般に、外科医は手術計画1000を直接変更することはできない。むしろ、外科医は、手術計画1000に対するフィードバック及び提案された変更を提供することができ、このフィードバックは、分析及び改良のために手術計画1000を生成したコンピュータシステムに送り返すことができる。
【0133】
図12Aは、患者固有のインプラント1200(例えば、方法500のステップ516で設計され及びステップ518で製造されたもの)の一例を示し、
図12Bは、患者に移植されたインプラント1200を示す。インプラント1200は、患者の身体が先に特定された矯正された解剖学的構成に適合するように誘導するために特別に設計された整形外科用又は他のインプラントとすることができる。図示された実施形態では、インプラント1200は、上側椎体の下側エンドプレート表面に係合するように構成された第1の(例えば、上側)表面1202と、下側椎体の上側エンドプレート表面に係合するように構成された第2の(例えば、下側)表面1204とを有する椎体間デバイスである。第1の表面1202は、その間に概ね隙間のない界面を形成するように、上椎体の下側エンドプレート表面のトポグラフィと一致する(例えば、嵌合する)ように設計された患者固有のトポグラフィを有することができる。同様に、第2の表面1204は、その間に概ね隙間のない界面を形成するために、下方の椎体の上方エンドプレート表面の地形と一致又は嵌合するように設計された患者固有の地形を有することができる。インプラント1200は、骨形成を促進するように構成された陥凹部1206又は他の特徴も含むことができる。インプラント1200は患者固有のものであり、患者に幾何学的変化を誘発するように設計されているため、インプラント1200は必ずしも左右対称ではなく、非対称であることが多い。例えば、図示される実施形態では、インプラント1200は、第1の表面1202によって画定される平面がインプラント1200の中心長手方向軸Aに平行でないような不均一な厚さを有する。勿論、インプラント1200を含む本明細書に記載されるインプラントは患者固有のものであるため、本技術は特定のインプラントの設計又は特徴に限定されるものではない。本技術に従って設計及び製造できる患者固有のインプラントの追加的な特徴は、特許出願第16/987,113号及び第17/100,396号に記載されており、これらの開示内容は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0134】
本明細書に記載される患者固有の医療処置は、矯正された解剖学的構成を達成するために、2以上の患者固有のインプラントを患者に移植されることを含むことができる(例えば、多部位処置)。例えば、
図13は、異なる椎骨レベルに移植された3つの患者固有のインプラント1300a~1300cを有する下側の脊椎領域を示している。より具体的には、第1のインプラント1300aはL3椎体とL4椎体との間に移植され、第2のインプラント1300bはL4椎体とL5椎体との間に移植され、第3のインプラント1300cはL5椎体と仙骨との間に移植される。インプラント1300a~cは共に、患者の脊椎インプラント領域に、先に特定された矯正された解剖学的配置をとらせることができる(例えば、患者の解剖学的配置を術前の病的配置から術後の最適化された配置に変換する)。幾つかの実施形態では、矯正された解剖学的構成を達成するために、より多く又はより少ないインプラントが使用される。例えば、幾つかの実施形態では、矯正された解剖学的構成を達成するために、1、2、4、5、6、7、8、又はそれ以上のインプラントが使用される。2以上のインプラントを含む実施形態では、インプラントは、必ずしも同じ形状、サイズ、又は機能を有するとは限らない。実際、複数のインプラントは、移植される標的椎骨レベルに対応するように、異なる形状及びトポグラフィを有することが多い。
図13にも示すように、本明細書で説明する患者固有の医療処置は、複数の標的領域(例えば、複数の椎骨レベル)で患者を治療することを含むことができる。
【0135】
参照患者データセットに基づいて患者固有の医療を設計することに加えて、本技術のシステム及び方法はまた、特定の患者の疾患進行に基づいて患者固有の医療を設計することができる。従って、幾つかの実施形態において、本技術は、特定の患者の疾患進行を分析、予測、及び/又はモデル化するのに使用できるソフトウェアモジュール(例えば、機械学習モデル又は他のアルゴリズム)を含む。機械学習モデルは、
図1に関して説明した患者データに加えて、参照患者それぞれの疾患進行メトリクスを含む複数の参照患者データセットに基づいてトレーニングすることができる。進行メトリクスは、ある時間期間にわたる疾患メトリクスの測定値を含むことができる。好適なメトリクスは、脊柱骨盤パラメータ(例えば、LL、骨盤傾斜、矢状垂直軸(SVA)、コブ角、冠状オフセット等)、障害スコア、機能的能力スコア、柔軟性スコア、VAS疼痛スコア、又はこのようなものを含むことができる。各参照患者のメトリクスの進行は、特定の参照患者の他の患者情報(例えば、年齢、性別、身長、体重、活動レベル、食事など)と相関させることができる。
【0136】
幾つかの実施形態において、本技術は、特定の患者の疾患進行を予測するためのアルゴリズム、機械学習モデル、又は他のソフトウェア分析ツールを含む疾患進行モジュールを含む。疾患進行モジュールは、患者情報(例えば、年齢、性別、身長、体重、活動レベル、食事)及び疾患メトリクス(例えば、診断、LL、骨盤傾斜、SVA、コブ角、冠状オフセット等の脊柱骨盤パラメータ、障害スコア、機能的能力スコア、柔軟性スコア、VAS疼痛スコア等)を含む参照患者データセットに基づいてトレーニングすることができる。疾患メトリクスはある時間期間の値を含むことができる。例えば、参照患者データは、日、週、月、隔月、年、又は他の基準での疾患メトリクスの値を含むことができる。ある時間期間にわたってメトリクスを測定することにより、メトリクスの値の変化を疾患進行の推定値として追跡し、及び他の患者データと相関させることができる。
【0137】
従って、幾つかの実施形態において、疾患進行モジュールは、特定の患者の疾患進行速度を推定することができる。進行は、ある時間期間にわたる1又は2以上の疾患メトリクスの推定変化(例えば、1年当たりの疾患メトリクスのX%増加)を提供することによって推定することができる。この割合は、一定(例えば、1年当たり骨盤傾斜の5%増加)又は可変(例えば、1年目の骨盤傾斜の5%増加、2年目の骨盤傾斜の10%増加等)とすることができる。幾つかの実施形態では、推定された進行速度は、外科医又は他の医療提供者に送信することができ、その医療提供者は、必要に応じて、推定値をレビュー及び更新することができる。
【0138】
非限定的な例として、55歳の男性である特定の患者は、6mmのSVA値を有することができる。疾患進行モジュールは、特定の患者と1又は2以上の類似性を有する個々の参照患者(例えば、約6mmのSVA値を有し、患者とほぼ同じ年齢、体重、身長、及び/又は性別である参照患者の個々の患者)の疾患進行を特定するために、患者参照データセットを分析することができる。この分析に基づいて、疾患進行モジュールは、外科的介入が行われない場合の疾患進行速度を予測することができる(例えば、外科的介入が行われない場合、患者のVAS疼痛スコアは毎年5%、10%、又は15%増加する可能性があり、外科的介入が行われない場合、SVA値は毎年5%増加し続ける可能性がある等)。
【0139】
本明細書に記載のシステム及び方法はまた、推定された疾患進行率に基づいてモデル/シミュレーションを生成することができ、それによって所望の期間にわたって異なる結果をモデル化することができる。更に、モデル/シミュレーションは、患者の全体的な健康状態、可動性等を予測するために、任意の数の追加の疾患又は状態を考慮することができる。これらの追加の疾患又は状態は、他の患者の健康因子(例えば、身長、体重、年齢、活動レベル等)と組み合わせて、患者の全体的な健康を反映する患者健康スコアを生成するのに使用することができる。患者健康スコアは、外科医が確認するために表示することができ、及び/又は疾患進行の推定に組み込むことができる。従って、本技術は、患者の解剖学的構造が経時的にどのように変化すると予測されるかを示すために、予測される疾患進行の1又は2以上の仮想シミュレーションを生成することができる。仮想シミュレーションを生成又は修正するために医師の入力を使用することができる。本技術は、医療提供者、患者等によるレビューのために、受信した医師入力に基づいて1又は2以上の治療後仮想シミュレーションを生成することができる。
【0140】
幾つかの実施形態において、本技術はまた、1又は2以上の潜在的な外科的介入に基づいて疾患進行を予測、モデル化、及び/又はシミュレーションすることができる。例えば、疾患進行モジュールは、複数の外科的介入オプションについて、患者の解剖学的構造が術後1年、2年、5年、又は10年後にどのように見えるかをシミュレートすることができる。シミュレーションはまた、先に説明したように、患者の年齢、身長、体重、性別、活動レベル、他の健康状態又はこのようなもののような非外科的要因を組み込むことができる。これらのシミュレーションに基づいて、システム及び/又は外科医は、どの外科的介入が長期的有効性に最も適しているかを選択することができる。また、これらのシミュレーションはまた、突出部の疾患進行を補償する患者固有の矯正を決定するのに使用することができる。
【0141】
従って、幾つかの実施形態では、複数の疾患進行モデル(例えば、2、3、4、5、6又はそれ以上の)が、複数の異なる外科的介入オプション又は他のシナリオに対する疾患進行データを提供するためにシミュレーションされる。例えば、疾患進行モジュールは、3つの異なる外科的介入のそれぞれについて、術後の疾患進行を予測するモデルを生成することができる。外科医又は他の医療提供者は、疾患進行モデルをレビューし、及びレビューに基づいて、3つの外科的介入オプションのうち、患者に最良の長期結果をもたらす可能性が高いものを選択することができる。勿論、本明細書で述べるように、最適な外科的介入の選択は、完全又は半自動化することもできる。
【0142】
モデル化された疾患進行に基づいて、本明細書に記載のシステム及び方法はまた、(i)外科的介入の最適な時期を特定する、及び/又は(ii)患者にとって最適な外科手術の種類を特定することができる。幾つかの実施形態では、従って、本技術は、特定の患者における外科的介入の最適な時期を決定するためのアルゴリズム、機械学習モデル、又は他のソフトウェア分析ツールを含む介入時期モジュールを含む。これは、例えば、(i)個々の参照患者の術前疾患進行メトリクス、(ii)個々の参照患者の外科的介入時の疾患メトリクス、(iii)個々の参照患者の術後疾患進行メトリクス、及び/又は(iv)個々の参照患者のスコア化された外科的結果を含む患者参照データを分析することによって行うことができる。介入タイミングモジュールは、特定の患者の疾患メトリクスを参照患者データセットと比較して、同様の患者について、外科的介入が最も良好な結果をもたらした疾患進行の時点を決定することができる。
【0143】
非限定的な例として、参照患者データセットは、参照患者のSVAに関連するデータを含むことができる。データは、(i)外科的介入前のある時間期間における個々の患者のSVA値(例えば、SVA値がどの程度の速さでどの程度変化したか)、(ii)外科的介入時の個々の患者のSVA、(iii)外科的介入後のSVAの変化、及び(iv)外科的介入がどの程度成功したか(例えば、疼痛、QOL、又は他の要因に基づく)を含むことができる。上述のデータに基づいて、介入タイミングモジュールは、特定の患者のSVAの値に基づいて、どの時点で外科的介入が最も好ましい結果をもたらす可能性が高いかを特定することができる。勿論、上述のメトリクスは例示として提供されているに過ぎず、介入タイミングモジュールは、SVAの代わりに又はSVAと組み合わせて他のメトリクス(例えば、LL、骨盤傾斜、SVA、コブ角、冠状オフセット、障害スコア、機能的能力スコア、柔軟性スコア、VAS疼痛スコア)を組み込んで、外科的介入が特定の患者にとって好ましい結果をもたらす可能性が最も高い時期を予測することができる。
【0144】
介入タイミングモジュールは、様々な疾患メトリクスの値閾値に基づく1又は2以上の数学的ルールを組み込むこともできる。例えば、介入タイミングモジュールは、1又は2以上の疾患メトリクスが所定の閾値を超えるか、又は他の基準を満たす場合に、外科的介入が必要であることを示すことができる。外科的介入が必要であることを示す代表的な閾値には、7mmを超えるSVA値、10度を超える腰椎前弯と骨盤入射の不整合、10度を超えるコブ角、及び/又は20度を超えるコブ角とLL/PIの不整合の組み合わせが含まれる。勿論、他の閾値及びメトリクスを使用することも可能であり、上述したものは例示としてのみ提供されるものであり、決して本開示を限定するものではない。幾つかの実施形態では、上述の規則は特定の患者集団に合わせて調整することができる(例えば、50歳を超える男性の場合、7mmより大きいSVA値は外科的介入の必要性を示す)。特定の患者が外科的介入が推奨されることを示す閾値を超えない場合、介入タイミングモジュールは、患者のメトリクスが1又は2以上の閾値をいつ超えるかの推定値を提供することができ、それにより、外科的介入が推奨されるようになる時期の推定値を患者に提供することができる。
【0145】
本技術はまた、患者の疾患進行に基づいて患者に最適なタイプの手術計画を特定することができる治療計画モジュールを含むことができる。治療計画モジュールは、先に説明したように、複数の参照患者データセットに基づいてトレーニングされた又は他のソフトウェア分析ツールであるアルゴリズム、機械学習モデル、又は他のソフトウェア分析ツールとすることができる。治療計画モジュールには、手術計画を特定するための1又は2以上の数学的規則も組み込むことができる。非限定的な例として、LL/PIの不一致が10度と20度の間である場合、治療計画モジュールは前方固定手術を推奨することができるが、LL/PIの不一致が20度より大きい場合、治療計画モジュールは前方固定手術及び後方固定手術の両方を推奨することができる。別の非限定的な例として、SVAの値が7mm~15mmの場合、治療計画モジュールは後方固定手術を推奨することができるが、SVAが15mmを超える場合、治療計画モジュールは後方固定手術及び前方固定手術の両方を推奨することができる。勿論、他の規則を使用することも可能であり、上記は単に例示として提供され、本開示を限定するものではない。
【0146】
理論に束縛されることなく、疾患進行モデリングを本明細書に記載された患者固有の医療処置に組み込むことで、手術の有効性を更に高めることができる。例えば、多くの場合、患者の疾患が不可逆的又は不安定な状態まで進行した後にオペレータを行うことは不利になる可能性がある。しかしながら、患者の病気が症状を引き起こす前、及び/又は患者の病気がそれ以上進行しない可能性がある場合、早すぎる手術は不利になることもある。従って、疾患進行モジュール及び/又は介入タイミングモジュールは、特定の患者に対する外科的介入が、その患者に好ましい結果を もたらす可能性が最も高いウィンドウを特定するのに役立つ。
図14A及び
図14Bは、それぞれ、本技術の幾つかの実施形態による、第1の椎骨1410(例えば、相対的に上位の椎骨)と第2の椎骨1420(例えば、相対的に下位の椎骨)との間に配備された、配備された患者固有のIBFデバイス1430(「デバイス1430」)の概略的な前方及び側方図である。デバイス1430は、第1及び第2の椎骨1410、1420の間の椎間板腔に送達するために、折り畳まれた又は薄型の構成とすることができる。例えば、折り畳まれたデバイス1430は、外科用ナビゲーションにより又は外科用ロボットを介して手動で挿入され、次いで移植部位にて拡張することができる。展開されると、以下により詳細に説明するように、デバイス1430は、1又は2以上の調整、矯正(例えば、第1及び第2の椎骨1410、1420、脊柱セグメント等のアライメントに対する矯正)等を提供することができる。
図14Bは、第1及び第2の椎骨1410、1420を離間させるために、矢印1437によって示される垂直軸に沿ってデバイス1430が完全に拡張された状態を示す。以下により詳細に説明するように、デバイス1430は、第1及び第2の椎骨1410、1420の輪郭に一致するように輪郭を付け、及び/又は他の方法でカスタマイズすることができる。補助インプラント1453も図示されている。幾つかの実施形態では、補助インプラント1453は患者固有のものであり、椎骨間の間隔を提供するように湾曲したロッド1457を含む。締結具1459はロッド1457を椎骨に結合することができる。補助的な患者固有のインプラントは、限定されないが、ロッド及びスクリューシステム、棘突起間スペーサ、又は他の整形外科インプラントを含むことができる。幾つかの実施形態では、デバイス1430は、非患者固有のデバイス及びインプラントと共に使用することもできる。本明細書に開示されるシステムは、特定の治療を提供するために、異なる位置に移植されるインプラントを設計することができる。
【0147】
図14Aの図示された実施形態では、デバイス1430は、デバイス1430を制御可能に拡張又は展開するように動作可能な拡張体又は本体1431を含む。本体1431は、実行される治療に基づいて選択される展開構成又は拡張構成を有する。本体1431の内部構成要素は、所望の治療計画を達成するように設計及び製造できる。中央リザーバ1432は、液圧又は空気圧で拡張するように構成することができる。患者固有の拡張は、少なくとも部分的には、デバイス1430の他の構成要素の設計に基づいて選択することができる。デバイス1430は、例えば、癒合(例えば、椎体への骨成長)を強化する、椎体間の固定を強化する、椎体内の応力を制限する、又はこのような目的で選択された患者固有の設計を有することができる。例えば、デバイス1430は、骨の成長を促進する材料等の材料を受容するための容積又は受容ウィンドウ1445を有することができる。
【0148】
本体1431は、折り畳み構成から拡張構成(
図14A及び
図14Bに図示)に拡張するように構成することができ、1又は2以上の拡張機構(例えば、スクリュージャッキ機構、くさび、はさみ機構等)、角度を付けた又は傾斜した表面、膨張可能部材、又は展開を引き起こすための他の構成要素を含むことができる。更に、本体1431は、リンク機構、ピン接続部、リンク組立体、又は様々な他の構成要素を接続するための他の構成要素を含むことができる。幾つかの実施形態では、デバイス1430は、駆動器具に結合可能な駆動特徴部1436(例えば、駆動ヘッド、ネジヘッド、ボルトヘッドなど)を含む。駆動特徴部1436は、デバイス1430の1又は2以上の駆動要素(例えば、ネジ体、くさび部材、駆動シャフト等)に連結できる。幾つかの実施形態では、駆動特徴部1436は、デバイス1430を制御可能に拡張又は折り畳むために反対方向に回転させることができる。本体1431は、内部可動構成要素を取り囲む外側カバー又はベローズ1439を含むことができる。他の実施形態では、内部可動構成要素は周囲環境に露出され得、上側及び下側構成要素1434、1435は、本体1431の構成要素間の組織の移動を抑制又は制限することができる。
【0149】
図14A及び
図14Bに更に示されるように、デバイス1430は更に、第1のエンドプレート1440(例えば、上側エンドプレート)と、第1のエンドプレート1440を本体1431に連結するロック可能なジョイント1438aとを含むことができる。デバイス1430は、ロック可能なジョイント1438bを介して本体1431に接続された第2のエンドプレート1450(例えば、下側のエンドプレート)を更に含むことができる。ロック可能なジョイント1438a、1438bは、ロック解除構成とロック構成との間で選択的に移行することができる。アンロック構成では、ロック可能ジョイント1438a、1438bは、第1のエンドプレート1440及び第2のエンドプレート1450が本体1431に対して相対的に動くことを可能にする。ロックされた構成では、ロック可能なジョイント1438a、1438bは、第1のエンドプレート1440及び第2のエンドプレート1450が本体に対して相対的に動くのを防止又は少なくとも減少させる。従って、ロック解除構成では、ロック可能関節1438a、1438bは、エンドプレート1440、1450が患者の解剖学的構造に適合することを可能にする所望の可動範囲を提供するように構成することができる。幾つかの実施形態では、ロック可能ジョイント1438a、1438bは、ボールジョイント、ヒンジ、テザー、又はエンドプレート1440、1450間の相対的な動きを可能にする他の接続部である。ロック可能ジョイント1438a、1438bは、デバイス1430の拡張中に、ロック可能ジョイント1438a、1438bがそれぞれのエンドプレート1440、1450と共にそれぞれ移動されるように、本体1431の反対側の端部に接続することができる。幾つかの実施形態では、ロック可能関節1438a、1438bの最大可動域は、脊柱セグメントの所望の可動域に基づいて選択される。幾つかの実施形態では、ロック後にロック可能な関節1438a、1438bによって提供される位置、構成、及び/又は運動は、所望の運動範囲に基づいて選択することができる。
【0150】
第1のエンドプレート1440は、第1の椎骨の下側表面1412と嵌合する第1の表面1442(例えば、上側表面)と、ロック可能関節1438a及び/又は上側構成要素1434と嵌合する第2の表面1444(例えば、下側表面)とを含む。更に、
図14A及び
図14Bに図示されているように、第1の表面1442は、第1の椎骨1410の下方の椎骨表面1412の患者固有のトポロジーに合わせてカスタマイズされている。例えば、
図14Aに関して図示されているように、下方の椎骨表面1412は、図示されている陥凹部領域、谷部、又はディボット等の患者固有の特徴1414を含むことができる。下方の椎骨表面1412の患者固有のトポロジーにカスタマイズされていない平坦なエンドプレートでは、患者固有の特徴1414のところにギャップ1462が生じる(すなわち、第1のエンドプレート1440が第1の椎骨1410に接触しないギャップ1462)。しかしながら、図示された実施形態では、輪郭を付けられた第1の表面1442は、接触面積を増大させるために下方の椎骨表面1412に一致し、それにより、第1の椎骨1410及び/又はデバイス1430における応力等の応力を制限又は低減する。更に、第1のエンドプレート1440によってなされるより完全な接触の結果として、デバイス1430は、第1の椎骨1410とより最適な表面積で接触して、デバイス1430の牽引を改善し、及び/又はデバイス1430を使用する医療処置の期待される結果を改善することが期待される。
【0151】
デバイス1430の輪郭付けされた第1の表面1442は、第1の椎骨1410及びデバイス1430間の動きを低減又は制限することもできる。動きの低減は、脊椎固定時間の短縮を助けることができる。幾つかの実施形態では、輪郭付けされた第1の表面1442は、下方の椎骨表面1412に沿って患者固有の特徴1414と実質的に幾何学的に同時である肥厚又は突出領域を有することができる。これは、エンドプレート1440が第1の椎骨1410に対して着座するのを更に助ける。軸方向荷重がデバイス1430に加えられると、界面におけるカスタマイズされた嵌合は、デバイス1430と第1の椎骨1410との間の相対移動を制限、低減、又は実質的に防止することができる。一部の手術では、デバイス1430は、デバイス1430が完全に拡張された移植された構成にあるとき、概して隙間のない界面を提供するように構成することができる。
【0152】
同様に、第2のエンドプレート1450は、第2の椎骨1420の上側表面1422と嵌合する第1の表面1452(例えば、下側表面)と、ロック可能ジョイント1438b及び/又は下側構成要素1435と嵌合する第2の表面1454(例えば、上側表面)とを含む。更に、
図14A及び
図14Bに図示されているように、第1の表面1452は、第2の椎骨1420の上面1422の患者固有のトポロジーに合わせてカスタマイズされている。例えば、
図14Aに関して図示されているように、上面1422は、図示されている谷又はディボット等の複数の患者固有の特徴1424を含むことができる。上面1422の患者固有のトポロジーにカスタマイズされていないエンドプレートは、それに応じて、第2のエンドプレート1450が第2の椎骨1420に接触しない患者固有の特徴1424に対応する1又は2以上のギャップ1464を含むことになる。対照的に、第2のエンドプレート1452の患者固有のトポロジーは、ギャップ1464を占めるように輪郭を描くことができ、及びそれゆえ、患者固有の特徴1424において第2の椎骨1420の上面1422に接触する。第2のエンドプレート1450によってなされるより完全な接触の結果として、デバイス1430は、デバイス1430の牽引を改善し、及び/又はデバイス1430を使用する医療処置の期待される結果を改善するために、第2の椎骨1420とより最適な表面積で接触することが期待される。
【0153】
幾つかの実施形態では、第1及び第2のエンドプレート1440、1450は、追加的に、又は代替的に、患者に処方される医療処置に合わせてカスタマイズすることができる。幾つかの実施形態では、第1及び第2のエンドプレート1440、1450は、高さの回復、前弯矯正、及び/又は冠状矯正を提供するのを助けるように構成される。例えば、第1及び第2のエンドプレート1440、1450は、前弯矯正及び/又は冠状矯正を提供するのを助けるために、x-y平面内で厚さを変化させることができる(例えば、それによって勾配を含む)。幾つかの実施形態では、第1及び第2のエンドプレート1440、1450によって提供される高さ復元、前弯矯正、及び/又は冠状矯正は、患者固有(例えば、所定の矯正量及び/又は患者固有の要因に基づいて、以下でより詳細に説明する)とすることができる。
【0154】
幾つかの実施形態では、第1及び第2のエンドプレート1440、1450は、追加的に、又は代替的に、エンドプレート1440、1450に沿って変化し得る耐荷重強度、靭性、疲労特性、又は特性を考慮してカスタマイズすることができる。例えば、第1及び第2のエンドプレート1440、1450は、患者に特異的である第1及び第2の椎骨1410、1420において特定された強い及び/又は弱いゾーンを補償することができる。幾つかの実施形態では、第1及び第2のエンドプレート1440、1450は、第1及び第2の椎骨1410、1420において特定された強い又は高い耐荷重ゾーン(例えば、相対的に高い降伏強度、破壊靱性等を有する骨又は組織から備えるゾーン)により大きな力を加え、及び/又は特定された弱いゾーン(例えば、相対的に低い降伏強度、破壊靱性等を有する骨又は組織から備えるゾーン)により小さな力を加える(又は力を加えない)ように構成することができる。
【0155】
幾つかの実施形態では、第1及び第2のエンドプレート1440、1450は、追加的に、又は代替的に、所望の適合を達成するようにカスタマイズすることができる。所望の適合は、例えば、デバイス1430及び椎体間の動きを減少させる、移植される手術の間の着座を容易にする、摩擦を増加させる、又はこのようなものとなるように設計することができる。第1及び第2のエンドプレート1440、1450は、アンカー、テクスチャリング、突起、又は所望の適合を提供するように選択された他の適切な要素を含むことができる。
【0156】
第1及び第2のエンドプレート1440、1450の患者固有の特徴に加えて(又はそれに代えて)、デバイス1430は、正確な所定の高さ復元、前弯角矯正、及び/又は冠状角矯正を提供するように構成することができる。幾つかの実施形態では、デバイス1430は、術中に調整することができる。例えば、外科器具を第1及び第2のエンドプレート1440、1450に接続して、第1及び第2のエンドプレート1440、1450の傾斜によって所定の前弯矯正及び/又はコロナルセグメント矯正が提供されるまでロック可能ジョイント1438を術中に調整し、その後、ロック可能ジョイント1438をロックすることができる。別の実施例では、外科器具をデバイス1430の駆動機能1436に術中接続して、所定の高さ復元が達成されるまでデバイス1430を拡張させることができる。所定の高さの復元が達成されると、デバイス1430は、所定の高さの復元を提供する構成でロックすることができる。幾つかの実施形態では、デバイス1430は、術前に矯正され及びロックされた後、所定の矯正を達成するために挿入される。幾つかの実施形態では、デバイス1430の1又は2以上の構成要素が術前に調整及びロックされる一方で、他の構成要素が術中に調整される。例えば、幾つかの実施形態では、ロック可能なジョイント1438a、1438bは、デバイス1430が所定の高さの復元を提供するためにその場で拡張される間に、第1及び第2のエンドプレート1440、1450の所定の角度を達成するために術前に調整され、ロックすることができる。
【0157】
幾つかの術中の実施形態では、デバイス1430は、外科的ナビゲーションガイダンスの下で最適な高さ及び角度矯正を達成するように挿入及び矯正される。例えば、手術器具を使用して、デバイス1430の拡張及び/又は角度矯正を監視することができる。幾つかの実施形態では、デバイス1430は、所定の点で拡張及び/又は角度矯正を停止するように術前に設定することができるロック可能な機械的及び/又は電気的ストッパ(図示せず)を含む。例えば、デバイス1430は、デバイス1430が所定の高さの復元を超えて拡張するのを防止するロック可能な機械的機構を含むことができる。これらの実施形態において、術中の調整は、ロック可能なストッパがそれ以上の調整を防止するまで調整することによって、追加の外科器具を使用することなく、所定の構成に正確に調整することができる。
【0158】
理論に束縛されることなく、デバイス1430は、従来のIBFデバイスと比較して幾つかの利点を提供することが期待される。第1に、デバイス1430は、2種類の調整:(1)適切な椎間間隔を回復するように、第1のエンドプレート1440と第2のエンドプレート1450との間の空間/距離を増大させる(例えば、拡張)こと、及び(2)適切な椎間アライメントを回復するように、ロック可能ジョイント1438a、1438bの操作を介して、本体1431に対する第1のエンドプレート1440及び第2のエンドプレート1450の角度を選択的且つ独立して変更することのために構成することができる。第2に、上記で詳述したように、デバイス1430は、適合性を改善し、荷重負担領域を最適化し、過矯正の可能性を低減する又はこのようなものによってデバイスの性能を改善することが期待される患者固有の特徴を有するように設計されている。勿論、デバイス1430及び本技術の他の利点は、本詳細な説明及び図に基づいて当業者には明らかであろう。従って、本技術は、上述の利点によって限定されるものではない。実際、拡張可能なIBFデバイスの追加の例及び特徴は、米国特許出願第17/835,777号に記載されており、その開示内容は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0159】
前記に加えて、幾つかの実施形態では、
図14Bに示すように、デバイス1430は、例えば、デバイス1430に埋め込まれるか、又は他の方法でデバイス1430に結合された、1又は2以上のセンサ1476(デバイスセンサと呼ばれることもある)を含む。センサ1476は、圧力センサ、温度センサ、トランスデューサ、加速度計、流体センサなどとすることができる。センサ1476は、デバイス1430が患者に移植されたときに、患者の身体によってデバイス1430に及ぼされる圧力、患者の身体の温度、患者の身体の動きなどのうちの少なくとも1つを測定する。幾つかの実施形態では、デバイス1430は、デバイス1430に埋め込まれた1又は2以上のアクチュエータ1474を含む。アクチュエータ1474は、場外で(例えば、患者の外部に配置されたコントローラ(図示せず)から)生成された電気信号を受信し、及びデバイス1430の部品を動かして、デバイス1430を上述のような異なる物理的構成に配置する。例えば、アクチュエータ1474は、デバイス1430の物理的構成に1又は2以上の調整又は矯正を提供し、デバイス1430を(第1及び第2の椎骨1410、1420を離間させるために矢印1437によって示される)垂直軸に沿って拡張し、(第1及び第2ロック可能ジョイント1438a、1438bを介して)本体1431に対する第1エンドプレート1440及び/又は第2エンドプレート1450の空間的配向を回転させ、第1及び第2椎骨1410、1420の輪郭に一致するようにデバイス1430を輪郭付け及び/又は他の方法で位置決めする、等を行うことができる。
【0160】
幾つかの実施形態では、
図14Bに示すように、補助インプラント1453は、補助インプラント1453に埋め込まれた1又は2以上のセンサ1480(インプラントセンサと呼ばれることもある)を含む。補助インプラント1453は、「脊椎インプラント」と呼ばれることもある。センサ1480は、圧力センサ、温度センサ、トランスデューサ、加速度計、流体センサ等とすることができる。デバイス1430のセンサ1480と同様に、センサ1480は、脊椎インプラント1453が患者に移植されるとき、患者の身体によって脊椎インプラント1453に及ぼされる圧力、患者の身体の温度、患者の身体の動きなどのうちの少なくとも1つを測定する。しかしながら、デバイス1430とは異なり、脊椎インプラント1453は、第1の椎骨1410と第2の椎骨1420との間の椎間板腔に移植されておらず、従って、センサ1480は、デバイス1430から離間した位置で1又は2以上の生理学的パラメータを測定するように配置されている。幾つかの実施形態では、デバイス1430上のセンサ1476及び脊椎インプラント1453上のセンサ1480によって測定されたパラメータは、デバイス1430及び/又は脊椎インプラント1453に対する適切な調節を決定するのを助けるために比較される。例えば、センサ1476は、デバイス1430の第1の荷重を示す第1の圧力値を検出することができ、センサ1480は、脊椎インプラント1453の第2の荷重を示す第2の圧力値を検出することができる。第1の荷重と第2の荷重との関係が所定の範囲外(例えば、閾値又は範囲の50%以内、75%以内、80%以内)であるか、又は別の所定のメトリック(例えば、第1の荷重が第2の荷重よりも特定の値、例えば、少なくとも10%より大きい、少なくとも20%より大きい、少なくとも50%より大きい等)を満たさない場合、感知されたパラメータが所定の範囲又は他のメトリックを満たすまで、デバイス1430及び脊椎インプラント1453の一方又は両方を調整することができる。
【0161】
従って、幾つかの実施形態では、脊椎インプラント1453は、脊椎インプラント1453に埋め込まれた1又は2以上のアクチュエータ1478(インプラントアクチュエータと呼ばれることもある)を含む。アクチュエータ1478は、現場外で(例えば、患者の外部に配置されたコントローラ(図示せず)から)生成された電気信号を受信し、及び脊椎インプラント1453の一部を動かして、以下に説明するように、脊椎インプラント1453を異なる物理的構成に配置する。
【0162】
例えば、幾つかの実施形態では、ロッド1457は、脊椎インプラント1453に埋め込まれた1又は2以上のアクチュエータ1478を使用して、ロッド1457の第2の可動部分1470bに対して相対的に動かすことができる第1の可動部分1470aを含む。幾つかの実施形態では、ロッド1457は、ロッド1457が伸縮するように、ロッド1457を椎骨に結合する締結具1459に対して相対的に移動可能な内側部材1472を含む。例えば、1又は2以上のアクチュエータ1478は、脊椎インプラント1453を制御可能に拡張又は展開するように動作可能である。脊椎インプラント1453は、実行される治療に基づいて選択される展開又は移植された構成を有する。患者固有の拡張は、少なくとも部分的には、脊椎インプラント1453の他の構成要素の設計に基づいて選択することができる。ロッド1457及びデバイス1430は、所望の可動域を提供するように構成することができる。幾つかの実施形態では、ロッド1457の最大可動域は、デバイス1430の所望の可動域に基づいて選択される。
【0163】
脊椎インプラント1453は、折り畳み構成から拡張構成(
図14Bに図示)に拡張されるように構成することができ、1又は2以上の拡張機構(例えば、スクリュージャッキ機構、くさび、はさみ機構等)、角度付き又は傾斜した表面、膨張可能部材、又は展開を引き起こすための他の構成要素を含むことができる。更に、脊椎インプラント1453は、リンク機構、ピン接続部、リンク機構組立体、又は様々な他の構成要素を接続するための他の構成要素を含むことができる。幾つかの実施形態では、脊椎インプラント1453は、駆動器具に結合可能な駆動特徴(例えば、駆動ヘッド、ネジヘッド、ボルトヘッドなど)を含む。
【0164】
幾つかの実施形態では、コンピュータシステムは、有線構成又は無線構成の何れかで、脊椎インプラント1453及び/又はデバイス1430に結合できる。コンピュータシステムは、
図1を参照してより詳細に図示及び説明されたコンピュータシステム100と同じ又は類似のものとすることができる。コンピュータシステムは、
図1及び
図2を参照してより詳細に図示及び説明した構成要素の何れかを使用して実装することができる。コンピュータシステムは、手術中及び/又は手術後に脊椎インプラント1453及び/又はデバイス1430の物理的構成をプログラム及び調整し、患者の身体が脊椎インプラント1453及び/又はデバイス1430に及ぼす荷重のバランスをとるために使用される。こうして、コンピュータシステムは、脊椎インプラント1453及び/又はデバイス1430の機械的特性を調整する。手術中、脊椎インプラント1453及び/又はデバイス1430は、荷重が加えられることなく(すなわち、患者が立っているときの実際の荷重をシミュレートすることなく)、患者内に位置決めされる。脊椎インプラント1453及び/又はデバイス1430の初期位置は、「小さな送達構成」と呼ばれることがある。
【0165】
手術後、脊椎インプラント1453及び/又はデバイス1430は荷重支持構成にある。コンピュータシステムは、患者が手術後に覚醒している間に脊椎インプラント1453及び/又はデバイス1430の構成を調整して、患者が経験する痛み及び/又は身体的不快感をリアルタイムで低減し;更に、構成を調整して、アライメント、バランス、又は間隔を含む改善された生体力学的システムを提供することができる。幾つかの実施形態では、例えば、コンピュータシステムは、脊椎インプラント1453に埋め込まれた1又は2以上のインプラントセンサ1480からインプラントセンサ読み取り値を受信する。脊椎インプラント1453は、第1の物理的構成に構成される。インプラントセンサ読み取り値は、手術が行われ、及び患者が覚醒した後に受信される。例えば、インプラントセンサ読み取り値は、
図2を参照してより詳細に図示及び説明される方法を使用して移植されるデジタル及び/又はアナログ信号である。インプラントセンサ読み取り値は、患者の脊椎によって脊椎インプラント1453に加えられる荷重を示す。この荷重は、脊椎インプラント1453が第1の物理的構成に構成されているとき、患者に物理的不快感を与える可能性がある。
【0166】
幾つかの実施形態では、コンピュータシステムは、手術中に患者に移植される椎間固定デバイス1430に埋め込まれた1又は2以上のデバイスセンサ1476からデバイスセンサ読み取り値を受信する。デバイスセンサ読み取り値は、手術が行われた後、及びインプラントセンサ読み取り値が受信される前に受信される。これは、融合デバイス1430は手術後すぐに(椎骨が融合する前に)調整することができ、ロッド1457は数ヶ月後に調整することができることに起因する。従って、幾つかの実施形態では、デバイス1430又はロッド1457の何れが調整されるかは、少なくとも部分的には手術後の経過時間に依存する。例えば、コンピュータシステムが、患者の不快感を軽減するため、耐荷重性を改善するため、又はこのようなもののために調整が必要であると決定した場合、コンピュータシステムは、デバイス1430又はロッド1457を調整するかどうかも決定することができる。幾つかの実施形態では、調整が術中に行われる場合、及び/又は3日以内、1週間以内、2週間以内等のように術後一定時間が経過する前に行われる場合、コンピュータシステムはデバイス1430を調整することができる。術後に、及び/又は術後3日を超える、術後1週間を超える、術後2週間を超える等、術後一定時間が経過した後に調整を行う場合、コンピュータシステムは、ロッド1457を調整することができる。このようにして、コンピュータシステムは、手術後の経過時間を利用して、患者の不快感を軽減し、耐荷重性を改善し、及び他の方法で長期的な手術結果を改善するための適切な調整を決定するのに役立てることができる。幾つかの実施形態では、デバイス1430及び/又はロッド1457は、例えば、手術計画、矯正計画、術後治療計画等に基づいて調整することができる。例えば、コンピュータシステムは、
図5を参照して説明したように、術後調整プロトコルを有する矯正計画を生成することができる。デバイス1430及び/又はロッド14572は、所定のスケジュールに従って1又は2以上の術後調整を行うようにプログラムすることができる。スケジュールは、特定の時間における調整、センサの読み取り値に基づく調整、医師の入力などを含むことができる。幾つかの実施形態では、デバイス1430及び/又はロッド157は、可動域、標的範囲内の骨盤パラメータ等の1又は2以上の標的結果を達成するために、リアルタイムに収集されたデータに基づいて術中又は術後調整を行うことができる。デバイス1430及び/又はロッド157は、これらのセンサ読み取り値に基づいて達成された調整を確認することができ、脊椎矯正を監視及び/又は確認するために互いに通信することができる。
【0167】
コンピュータシステムは、コンピュータシステムの機械学習モジュールを使用して、インプラントセンサ読み取り値から特徴ベクトルを抽出する。特徴ベクトルは、荷重による身体的不快感を示す。幾つかの実施形態では、特徴ベクトルは更に、患者の脊椎の腰椎前弯、コブ角、冠状パラメータ、矢状パラメータ、骨盤パラメータ、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、又は回転変位のうちの少なくとも1つを示す。本明細書に開示された実施形態を実施するための機械学習の使用は、
図1を参照してより詳細に図示及び説明される。特徴ベクトルは、生のインプラントセンサ測定値の個々の測定可能な特性又は特徴である特徴を含む。例えば、特徴は数値又は構造的とすることができる。一実施形態では、機械学習モジュールは、(例えば、線形判別分析(LDA)、主成分分析(PCA)又は同様のものを介して)次元削減を適用して、コンテンツ項目の特徴におけるデータ量をより少ない、より代表的なデータセットに削減する。
【0168】
コンピュータシステムは、特徴ベクトルに基づいて機械学習モジュールを用いてインプラント電気信号を生成する。機械学習モジュールは、患者データセットに基づいてトレーニングされ、荷重による身体的不快感を軽減するように、荷重のバランスをとるインプラント電気信号を生成する。患者データセットの使用は、
図4A~4C及び7A~7Dを参照してより詳細に図示及び説明される。幾つかの実施形態において、コンピュータシステムは、デバイスセンサ読み取り値に基づいて機械学習モジュールを使用してデバイス電気信号を生成する。機械学習モジュールは、椎間固定デバイス1430によって引き起こされる物理的不快感を低減するために、デバイスセンサ読み取り値を生成するために患者データセットに基づいてトレーニングされる。コンピュータシステムは、脊椎インプラント1453に埋め込まれる1又は2以上のインプラントアクチュエータ1478にインプラント電気信号を送信して、1又は2以上のインプラントアクチュエータ1478に、荷重が均衡するような第2の物理的構成で脊椎インプラント1453を構成させる。機械学習又は人工知能モジュールは、第1の患者が治療され、機械学習モジュールが第1の患者及び他の患者を治療することを学習するようなフィードバックループで実行することができる。
【0169】
幾つかの実施形態では、脊椎インプラント1453を第2の物理的構成に構成することは、1又は2以上のインプラントアクチュエータを使用して、脊椎インプラントのスクリュー、ケージ、プレート、ロッド1457、ディスク、スペーサ、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、骨格、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、ファスナ、又は関節置換のうちの少なくとも1つを調整することを含む。他の実施形態では、脊椎インプラント1453は、麻酔又はステロイドの少なくとも一方を含むリザーバを含む。或いは、リザーバを脊椎インプラント1453に結合することもできる。脊椎インプラント1453を第2の物理的構成に構成することは、患者に送達される麻酔又はステロイドの量を変更するためにリザーバを調整することを含むことができる。生化学的特性の調整は、疼痛管理、感染低減、及び好ましい生物学的応答を提供する。
【0170】
図15は、脊椎インプラントの患者固有の調整のためのプロセス1500を示す流れ図である。幾つかの実施形態では、
図15のプロセス1500は、コンピュータシステム、例えば、
図1を参照してより詳細に図示及び説明される例示的なコンピュータシステム100によって実行される。特定のエンティティ、例えば、
図1を参照してより詳細に図示及び説明されるデータ分析モジュール116は、他の実施形態において、プロセスのステップの一部又は全てを実行する。同様に、実施形態は、異なる及び/又は追加のステップを含むことができ、又は異なる順序でステップを実行することができる。
【0171】
コンピュータシステムは、第1の物理的構成で構成された脊椎インプラントに埋め込まれた1又は2以上のインプラントセンサからインプラントセンサ読み取り値を受信する(1504)。インプラントセンサは、
図14A及び
図14Bを参照してより詳細に図示及び説明されたセンサ1476及び/又は1480と同じ又は類似のものである。脊椎インプラントは、
図14A及び
図14Bを参照してより詳細に図示及び説明された脊椎インプラント1453及び/又はデバイス1430と同一又は類似のものとすることができる。脊椎インプラントは、手術中に患者に移植される。インプラントセンサ読み取り値は、手術が行われた後に受信され、患者の脊椎によって脊椎インプラントに加えられる荷重を示す。この荷重は、脊椎インプラントが第1の物理的構成に構成されているときに、患者に物理的不快感を引き起こす。
【0172】
コンピュータシステムは、コンピュータシステムの機械学習モジュールを使用して、インプラントセンサ読み取り値から特徴ベクトルを抽出する(1508)。特徴ベクトルは、荷重によって引き起こされる物理的不快感を示す。幾つかの実施形態では、特徴ベクトルは更に、患者の脊椎の腰椎前弯、コブ角、冠状パラメータ、矢状パラメータ、骨盤パラメータ、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、又は回転変位のうちの少なくとも1つを示す。本明細書に開示された実施形態を実施するための機械学習の使用は、
図1を参照してより詳細に図示及び説明される。
【0173】
コンピュータシステムは、特徴ベクトルに基づいて機械学習モジュールを用いてインプラント電気信号を生成する(1512)。機械学習モジュールは、患者データセットに基づいてトレーニングされて荷重のバランスをとるインプラント電気信号を生成し、荷重によって引き起こされる物理的不快感が低減されるようにする。患者データセットの使用は、
図4A~4C及び7A~7Dを参照してより詳細に図示及び説明される。幾つかの実施形態において、コンピュータシステムは、デバイスセンサ読み取り値に基づいて機械学習モジュールを使用してデバイス電気信号を生成する。機械学習モジュールは、椎間固定デバイス1430によって引き起こされる物理的不快感を低減するためにデバイスセンサ読み取り値を生成するために、患者データセットに基づいてトレーニングされる。
【0174】
コンピュータシステムは、脊椎インプラントに埋め込まれた1又は2以上のインプラントアクチュエータにインプラント電気信号を送信し(1516)、1又は2以上のインプラントアクチュエータに第2の物理的構成で脊椎インプラントを構成させ、荷重が均衡するようになる。インプラントアクチュエータは、
図14A及び
図14Bを参照してより詳細に図示及び説明されたアクチュエータ1474及び/又は1478と同じ又は類似のものとすることができる。機械学習又は人工知能モジュールは、最初の患者が治療され、機械学習モジュールが他の患者を治療するように学習するようなフィードバックループで実行することができる。
【0175】
当業者であれば本明細書の開示から理解できるように、デバイス1430は患者固有のIBFデバイスの単純な概略例として提供されている。本明細書に記載される患者固有のインプラントは、個々の患者の解剖学的構造に適合するように設計されるので、患者固有のインプラントのサイズ、形状及び幾何学的形状は、個々の患者の解剖学的構造に応じて変化する。従って、本技術は、特定のIBFデバイス又はインプラントの設計に限定されず、従って、本明細書に明示的に記載されていない他の椎間板又は関節の代替物を含む、本明細書に図示又は記載されているもの以外の他のインプラントを含むことができる。様々な実施形態において、脊椎処置は、1又は複数レベルのインプラントの移植を含むことができる。
【0176】
図16Aは、各個々のレベルに椎間インプラントが配置された患者の脊椎2030を示す。インプラント2000a~g(集合的に「インプラント2000」)は、個々のレベルの解剖学的特徴に適合するように移植できる。インプラント2000のアクチュエータを制御するリモートデバイス又はコントローラ2049を使用して、非侵襲的な術後脊椎調整を行うことができる。遠隔デバイス2049は、選択されたインプラント又は全てのインプラントと無線通信することができる。
【0177】
インプラント2000aは、表面トポロジーに欠陥のない正常なエンドプレートを有するレベル2031に移植される。インプラント2000aのエンドプレートは、レベル2031の隣接する椎骨の図示された凹状のエンドプレートに一致する凸状の形状を有することができる。インプラント2000aは、遠隔デバイス2049によって提供される外部から印加される場(例えば、磁場又は別の場)によって動力を与えられるアクチュエータ機構2001を有することができる。作動機構2001は、誘導充電式電源、作動要素、プロセッサ、トランスミッタ/レシーバなどを含むことができる。作動機構の位置、数、及び能力は、利用可能な調整機能(例えば、範囲の拡大/縮小、駆動力など)に基づいて選択することができる。
【0178】
インプラント2000は、患者固有の特徴を有することができる。インプラント2000bは、上椎骨及び下椎骨の重度の凹形状を有するレベル2032に移植される。インプラント2000bは、上椎骨の対応する凹形状と一致する大きな凸輪郭を有する。インプラント2000cは、上椎骨の長手方向には隣接しているが、隣接していない焦点欠損を有する上エンドプレートを有するレベル2033にて移植される。インプラント2000dは、上側エンドプレート2052を有し、上側エンドプレートによりよく適合するように、焦点欠損に概ね対応する輪郭特徴2056を有する。患者の脊椎における局所的欠陥は、比較的小さなキャビティ(例えば、レベル2033に示されるような)から比較的大きな谷(例えば、レベル2034に示されるような)までとすることができる。更に、局所的な欠損は、過剰な骨及び/又は軟骨が集まる突起(図示せず)を含むことができ、それらに一致させるためにインプラントのエンドプレートに凹状の輪郭特徴を必要とする。インプラント2000eは、上椎体及び下椎体にコーナー欠損を有するレベル2035に移植される。コーナー欠損は、椎骨の長手方向に少なくとも部分的に位置する。コーナー欠陥は、様々な角度で切断された欠落したコーナー、コーナーにおける突起(図示せず)、及び/又はコーナーにおける粗いトポロジー(例えば、欠落したコーナー上、突起上、及び/又はコーナーのそうでなければ正常な表面上)を含むことができる。インプラント2000eは、上側エンドプレートのコーナー欠損に適合するように構成された周縁輪郭2058を有する上側エンドプレート2052と、下側エンドプレートのコーナー欠損に適合するように構成された周縁輪郭2060を有する下側エンドプレート2053とを有する。レベル2036のような他の隣接レベルは、比較的滑らかで平面状又は直線状のトポロジーを有するエンドプレートによって形成することができる。このような実施形態では、比較的滑らかな輪郭を有するインプラント2000fがレベル2036に移植できる。
【0179】
インプラント2000gが、上椎骨の下面にびらん性欠損を有する上椎骨を有するレベル2037に移植される。外部デバイス2049は、インプラント2000gが標的位置に移動するように命令することができる。図示されているように、びらん性欠損は椎骨の表面全体にわたって広がり、そこに複数の谷及び山を含むことができる。一部の患者では、びらん性欠損が表面の焦点領域及び/又は角領域に含まれる可能性がある。患者によっては、びらん性欠損は1又は2以上の深い谷及び/又は1又は2以上の高い山を含むことができる。図示されているように、インプラント2000gは、上側椎骨のびらん性欠損と嵌合するように構成された上側エンドプレート2052を有することができる。
【0180】
図16Bは、一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成できる患者固有の手術計画2100(例えば、方法500のステップ515で生成されたもの)を示す。矯正計画2100は、本明細書に開示された手術計画又は他の計画の全て又は一部を組み込んだ調整可能インプラント矯正計画とすることができる。矯正計画2100は、限定ではないが、術中及び/又は術前患者メトリクス(例えば、
図10~13に関連して論じられた術前患者メトリクス1002)、術後予測患者メトリクス(例えば、
図10~13に関連して論じられた術後予測患者メトリクス1004)、及び調整メトリクス2110を含むことができる。
【0181】
調整メトリクス2110は、調整可能な脊椎インプラントに対する任意の数の計画された調整を含むことができる。図示された矯正計画2100は、計画された調整2120a、2120b、2120c(集合的に「調整2120」)を含む。各調整2120は、医師がレビュー可能な関連する調整後のメトリクスを含むことができる。例えば、医師は、承認ボタンを選択することにより、これらのメトリクスをレビュー及び承認することができる。その後、コンピュータシステムは、承認された調整に基づいて、調整可能なインプラントを設計することができる(例えば、承認された調整に対応可能な調整可能な可動域を有するように調整可能なインプラントを設計する)。医師が調整を修正したい場合、医師は修正ボタンを選択することができる。その後、医師は調整のための1又は2以上のパラメータ又はメトリクスを入力することができる。コンピュータシステムは、入力されたパラメータ又はメトリクスに従って脊椎モデルを更新できる。矢印(例えば、矢印2130a、2130b、2130c)は、可動域、調整値などの調整を示すことができる。調整2及び3は、
図17A~17Dに関連して議論された調整のような、計画された調整を示す調整インジケータ(矢印として図示)を含む。医師は、異なる荷重条件に対する個々の標的術中構成及び/又は術後構成を承認/選択することができる。
【0182】
図17A~17Dは、インプラントの荷重が異なる結果をもたらす患者の脊椎の向きを示している。
図17Aは、患者の脊椎を概ね水平方向で示している。例えば、インプラントは、脊椎が概ね無荷重になるように、患者の身体が概ね水平であるときに移植できる。手術中、脊椎の荷重が予測された荷重と比較してどのようになるかを判断するのは困難な場合がある。従って、インプラントは術後に再構成されて、脊椎を術後の標的配置に移動させることができる。
図17B~17Dは、術後患者の脊椎が垂直方向(例えば、座位又は立位)にある場合の調整を示しているが、術後の調整は、患者が他の方向にある場合にも行うことができる。これにより、術後荷重、動的視覚化等に基づく術後調整が可能となる。
【0183】
脊椎固定術では、インプラントは、術後間もなく(例えば、数時間、数日など)、椎骨に固定するための位置を調整することができる。脊椎アライメント処置では、インプラントは、患者の改善、疾患進行などを補償するために、定期的に椎間板を調整することができる。例えば、
図17B~17Dの調整1~3は、毎月、毎年、又は医師が決めた間隔で行うことができる。調整セッションの数、調整セッション間の期間、及び脊椎への変更は、治療計画、患者の回復等に基づいて選択することができる。例えば、
図1のシステム及び
図2のコンピュータデバイスを使用して、矯正計画及び調整計画を生成することができる。例えば、コンピュータシステムを使用して、標的治療結果を達成するための患者の矯正された解剖学的構成を決定することができる。コンピュータシステムは、少なくとも1つの機械学習モデルを使用して、患者の患者データセットに基づいて、患者の脊椎に影響を及ぼす疾患の疾患進行を予測することができる。コンピュータシステムは、矯正された解剖学的構成を達成するために患者に移植されるように構成された作動可能インプラントを特定することができる。作動可能インプラントは、標的治療結果に基づく予測された疾患進行を補償するために複数の構成間で移動可能である。少なくとも1つの機械学習モデルは、調整後の画像に基づいて少なくとも1つのデバイスを再構成するかどうかを決定することができる。調整後画像は、動的座位/立位X線画像を含むことができ、幾つかの調整手術では、作動可能インプラントを侵襲的又は非侵襲的に作動させながら、脊椎を(例えば、透視法を使用して)可視化することができる。
【0184】
幾つかの実施形態では、患者に対する1又は2以上の解剖学的矯正が、調整前画像及び患者固有の術前矯正計画に基づいて生成される。コンピュータシステムは、生来の解剖学的構造に対する患者固有の矯正及び予測される疾患進行に基づいて、ある時間期間にわたる解剖学的変化を表す一連の矯正された解剖学的モデルを生成することができる。矯正された解剖学的モデルは、術前矯正計画の一部として、ユーザによって閲覧及び修正できる。術前矯正計画は、患者データセットを複数の参照患者データセットと比較して、複数の参照患者データセットにおける1又は2以上の類似患者データセットを特定することにより生成することができ、各類似患者データセットは、(a)患者と類似の脊椎病理データを有する、及び/又は(b)術後調整可能な整形外科インプラントによる治療を受けた参照患者に対応する。幾つかの実施形態では、脊椎の仮想モデルが生成される。仮想モデルを用いて疾患進行を予測する。作動可能インプラントは、予測された疾患進行全体を通して仮想モデルに適合するように設計することができる。術後の調整に基づいてシミュレーションを修正及び再実行することができる(
図17A~17D参照)。作動可能インプラントと協働するように構成された追加のインプラントは、標的治療結果を達成するように設計され、マルチレベルの調整のために構成することができる。本明細書に開示された計画は、マルチレベル調整のシミュレーションからの結果(例えば、各レベルの分析、全体的な脊椎矯正スコアなど)を提供する。
【0185】
図18は、選択的及び独立して非侵襲的に再構成することができるインプラント2200a、2200b(本明細書では「患者デバイス」2200a、2200bとも呼ぶ)を含むインプラントシステム2400を示す。コンピュータシステムは、患者の患者データセットを受信することができ、患者データセットを複数の参照患者データセットと比較して、複数の参照患者データセット内の1又は2以上の類似患者データセットを特定することができる。選択されたサブセットの各類似患者データセットが好ましい治療結果を示すデータを含むように、1又は2以上の類似患者データセットのサブセットを選択することができる。システムは、選択されたサブセットの少なくとも1つの類似患者データセットについて、良好な治療結果に関連する外科手術データ及び医療デバイス設計データ及びインプラント調整データを特定することができる。医療デバイス設計データ及びインプラント調整データの外科手術データ及び医療デバイス設計データに基づいて、コンピュータシステムは、患者のための少なくとも1つの患者固有の外科手術及び少なくとも1つの患者固有の医療デバイス設計を生成する。少なくとも1つの患者固有の医療デバイス設計は、内部アクチュエータ2450(仮想線で示す)を用いて非侵襲的に作動されるように構成される。
【0186】
幾つかの実施形態では、一連の矯正された解剖学的モデルは、患者の生来の解剖学的構造に対する患者固有の矯正及び予測される疾患進行に基づいて、ある時間期間にわたる予測された解剖学的変化を表す。複数の治療位置が患者の脊椎に沿って特定できる。インプラント2200a、2200bは、患者固有の矯正に基づき、及びインプラントの術後調整によって解剖学的変化を矯正するように、各治療部位に対して設計できる。医師は、矯正された解剖学的モデルをレビューすることができ、上述したように、矯正された解剖学的モデルを修正/承認することができる。
【0187】
インプラント2200a、2200bは、限定されないが、腰椎前弯、コブ角、冠状パラメータ(例えば、コロナルバランス、グローバルコロナナルバランス、コロナル骨盤傾斜等)、矢状パラメータ(骨盤入射、仙骨傾斜、胸椎前弯等)、骨盤パラメータ、又はこれらの組み合わせ等である。インプラントシステム2400は、例えば、病態(例えば、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、回転変位)を決定するのに使用される入力として、収集されたデータ(例えば、センサの読み取り値、デバイスの設定/構成データなど)を使用するアルゴリズムを記憶することができ、アルゴリズムは、これらの追加入力を使用して、現在の病態に最適なインプラント構成を更に定義することができる。複数の疾患/病態を治療するために、インプラントシステム2400は、調整に基づいて1又は2以上の疾患/病態の結果を予測することができる。次いで、予測された結果をランク付け、分類、重み付け、集計等して、患者の状態/病態を評価し、及びインプラント構成、調整プロトコル、又は患者モニタリング計画等を調整するか否かを決定することができる。これにより、状態/疾患をランク付け及び優先順位付けすることができる。幾つかの実施形態では、インプラントは、疲労又は有効寿命を追跡するためのデータを収集することができる。幾つかの実施形態では、インプラントシステム2400は、診断のためにセンサ読み取り値を使用する。
【0188】
患者デバイス2200a、2200bは、標的矯正を提供するために、同時に又は順次に動かすことができる。調整を監視するために、このプロセス中に追加のセンサデータを収集することができる。印加された荷重が最大許容値に達した場合、患者デバイス2200a、2200bは、アクチュエータ速度を低下させるか、又は代替の標的構成を決定することができる。次に、インプラントシステム2400は、標的解剖学的構成又は矯正を提供するために、患者デバイス2200a、2200bの1又は2以上の構成を決定する。幾つかの実施態様では、インプラントシステム2400は、センサの読み取り値に基づいて標的解剖学的構成又は矯正を生成することができる。患者デバイス2200a、2200bが許容範囲外の値(例えば、ひずみ、荷重、力、圧力など)を検出した場合、患者デバイス2200a、2200bは、検出された値を範囲内に維持するために別の構成に移動し、それにより望ましくない状態又は状態を制限又は回避する。
【0189】
閾値矯正が達成できない場合、通知を遠隔デバイスに送信して、患者及び/又は医療提供者に警告することができる。その後、追加の治療又は外科手術を行うことができる。幾つかの実施形態では、患者デバイス2200a、2200bは、脊椎曲率、椎骨間隔等の患者の1又は2以上の標的解剖学的構成でプログラムされる。患者デバイス2200a、2200bは互いに通信して患者の現在の解剖学的構成を監視することができる。解剖学的構成が許容範囲外又は所定値以上/以下である場合、患者デバイス2200、2200bは、解剖学的特徴(例えば、椎体)を、高さの復元、角度の矯正(例えば、前弯角度の矯正、冠状角度の矯正等)等のために許容可能な構成に自動的に移動させることができる。
【0190】
生来の解剖学的構成と矯正された解剖学的構成との間の差は、「患者固有の矯正」又は「標的矯正」と称されることがある。本明細書に記載された実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、及び技術は、特定の実施形態では、任意の1又は2以上の実施形態、特徴、システム、又はデバイスに適用又は関連して使用することができる。幾つかの実施形態では、患者特有の矯正、最適な解剖学的結果(例えば、解剖学的要素間の位置関係)及び/又は術後メトリクス/設計基準(例えば、調整された解剖学的要素)を定義する数学的規則が、術後メトリクスが患者の状態(例えば、横になっている、垂直に立っている等)に対して許容範囲内になるように使用される。目標術後メトリクスには、目標冠状パラメータ、目標矢状パラメータ、目標骨盤入射角、目標Cobb角、目標肩傾斜角、目標腸腰椎角、目標冠状バランス、目標前弯角、及び/又は目標椎間腔高を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、患者が垂直に立ったときの矢状縦軸が設定値未満(例えば、6mm、7mm、9mm等)、及び術後のコブ角が設定値未満(例えば、8度、9度、10度等)等とすることができる。
【0191】
移植された患者デバイス2200aは、第1の椎骨410(例えば、相対的に上位の椎骨)及び第2の椎骨2420(例えば、相対的に下位の椎骨)によって加えられる圧力、荷重又は力を測定するように構成されたセンサ2438a、2438b(集合的に「センサ438」)を有する人工椎間板とすることができる。患者デバイス2200aは、センサ2438a、2438bからのセンサ読み取り値を、センサ(例えば、力センサ、圧力センサ等)及びコントローラ2469を有する拡張可能なロッド組立体として図示される患者デバイス2200bに送信することができる。患者デバイス2200a、2200bは、患者の外部に配置されたコントローラから送信される信号を受信することができ、これに応答して、受信された信号に基づいて別の構成に移動することができる。他の実施形態では、患者デバイス2200aは、コマンドを生成して患者デバイス2200bに送信する、又はその逆も同様である。患者デバイス2200a及び2200bの両方は、脊椎の標的特性(例えば、湾曲、アライメント等)を維持しながら、例えば、神経圧迫を低減又は除去するために、椎間腔2410の高さを増大させるように拡張することができる。各デバイスによって提供される拡張量は、実質的に同じ(例えば、脊椎のそのセクションに沿って現在の脊椎湾曲を維持するため)又は実質的に異なる(例えば、脊椎のそのセクションに沿って脊椎湾曲を変更するため)等とすることができる。幾つかの実施形態では、患者デバイス2200aの特性はセンサ読み取り値に基づいて制御される。このような特性には、圧縮性、関節可動域などが含まれる。
【0192】
移植された患者デバイス2200は、様々な疾患メトリクスの範囲又は閾値に基づく1又は2以上の数学的規則を組み込んだモジュール又はプログラムを有することができる。例えば、介入タイミングモジュールは、1又は2以上の疾患メトリクスが所定の閾値を超えるか又は他の基準を満たす場合に外科的介入が必要であることを示すことができる。調整が必要であることを示す代表的な閾値には、7mmを超えるSVA値、10度を超える腰椎前弯と骨盤入射の不一致、10度を超えるコブ角、及び/又は20度を超えるコブ角とLL/PIの不一致の組み合わせが含まれる。幾つかの実施形態において、調整の指示は、ある時間期間にわたるパーセンテージ変化に基づくことができる。例えば、ある期間にわたってSVA値が20%増加した場合、患者デバイス200は、SVA値を標的SVA値の10%以内に下げるように再構成することができる。他の閾値及びメトリクスが使用でき、前記は例としてのみ提供され、本開示を限定するものではない。幾つかの実施形態において、上述の規則は特定の患者集団(例えば、50歳を超える男性又は40歳を超える女性等)に合わせて調整することができる。特定の患者が、調整が推奨されることを示す閾値を超えない場合、移植された患者デバイス2200a、2200bは、患者のメトリクスが1又は2以上の閾値をいつ超えるかの推定を提供することができ、それにより、いつ調整が推奨されるようになるかの推定を患者に提供することができる。推定値は、見るために外部デバイスに送信することができる。
【0193】
本技術はまた、患者の疾患進行に基づいて最適なタイプの修正を特定することができる治療計画モジュールを含むことができる。治療計画モジュールは、先に説明したように、複数の参照患者データセットに基づいてトレーニングされた又は他のソフトウェア分析ツールであるアルゴリズム、機械学習モデル、又は他のソフトウェア分析ツールとすることができる。治療計画モジュールはまた、疾患進行に対抗する又は進行を遅らせるための調整を特定するための1又は2以上の数学的ルールを組み込むことができる。非限定的な例として、LL/PI不整合が5度~10度の間である場合、治療計画モジュールは、LL/PI不整合を5度未満に下げる調整を推奨することができる。
【0194】
患者デバイス2200は、患者固有のエンドプレート2415及び本体2417を含むことができる。エンドプレートは、それぞれ椎体2410及び2420に係合するように構成することができる。本体2417は、電子デバイス(例えば、プロセッサ、記憶デバイス、通信デバイスなど)、センサ2438a、2438b、及びアクチュエータデバイス2450を含むことができる。幾つかの実施形態では、作動デバイスは流体駆動され、及びセンサ2438a、2438bは圧力センサである。
【0195】
幾つかの実施形態では、インプラント2000a及び/又はインプラント2000bは、非患者固有のデバイス及びインプラントと共に使用することもできる。本明細書に開示されたシステムは、特定の治療を提供するために異なる場所で移植するように設計された任意の数のインプラントを含むことができる。
【0196】
幾つかの処置では、患者デバイス2200aは、第1及び第2の椎骨2410、2420の間で折り畳まれた又は薄型の構成にすることができる。例えば、デバイス2200aは、外科的ナビゲーションにより、又は外科用ロボットを介して、折り畳み構成で手動で挿入され、その後、インプラント部位で展開できる。展開/拡張されると、以下により詳細に説明するように、デバイス2200aは、1又は2以上の調整、矯正(例えば、第1及び第2の椎骨2410、2420、セグメント等のアライメントに対する矯正)等を提供することができる。
図18は、第1及び第2の椎骨2410、2420を離間して保持するために、インプラント2200aが矢印2437、2439で示す垂直軸に沿って完全に拡張された状態を示している。インプラント2200aが移植されると、脊椎に概ね荷重がかからないように、患者は概ね水平に横たわることができる。手術後、センサ2438a、2438bが患者デバイス2200aの調整のためのデータを連続的又は周期的に収集する間、患者は垂直に立つことができ、又は1又は2以上の作業を行うことができる。コントローラ又は他のコンピュータシステム等の外部デバイスは、サンプリングレート、検出スケジュール等を含むデータ収集を制御することができる。システム2400は、データを遠隔デバイス又はネットワークに送信することができる。遠隔デバイス又はネットワークは、受信したデータに基づいて1又は2以上の設定(例えば、高さ、剛性、エンドプレートの位置等)を決定することができる。インプラントがそれぞれの新しい標的構成に移動するように、設定がインプラント2200a、2200bに送信される。従って、インプラント2200a、2200bは「ネットワーク化された」インプラントとも呼ぶことができる。このプロセスは、治療調整機能のために任意の回数(例えば、毎月、毎年など)実行することができる。
【0197】
インプラント2200a、2200bは、過度の荷重、変位(例えば、側方移動)又は同様のものなどの有害事象を検出するようにプログラムできる。インプラント2200a、2200bは、有害事象を補償するように自動的に調整を制御することができる。例えば、後面荷重が閾値を超えた場合、インプラント2200aは、固定ロッドインプラント2200bに、インプラント2200aの後面荷重を低減するために長くするように命令することができる。患者デバイス2200a、2200bの数、構成及び能力は、治療に基づいて選択することができる。例えば、椎間デバイス(ケージ、人工椎間板等)は、治療のために各レベルにあることができる。
【0198】
本明細書に開示されるネットワーク化システム及びデバイスは、患者固有のデータを記憶するデータ記憶要素、患者固有のデータにアクセスするための検索機能、又はこのようなものを含むことができる。データを記憶するメモリを有するデータ記憶モジュール、及び患者固有の手術計画をデータ記憶モジュールから手術プラットフォームに送信するように構成された検索モジュールは、患者固有の手術計画の1又は2以上の態様を実行するように構成することができる。従って、患者固有のデータは、患者固有のインプラントにリンクされる。データは、インプラントが移植された後にアクセスすることができる。データは、インプラント/手術の態様(例えば、インプラントが正しく配置されているか)を確認するのに使用することができ、及び移植後のデータ(例えば、インプラントの状態データ、構成データ、センサデータなど)と組み合わせ、集計し、分析することができる。米国特許出願第16/990,810号は、本明細書に開示されたネットワーク化されたシステム及びデバイスに組み込む又はそれらと共に使用することができる特徴、システム、デバイス、材料及び方法を開示している。米国特許出願第16/990,810号は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0199】
幾つかの実施形態において、本技術はまた、疾患進行を予測、モデル化、及び/又はシミュレートすることができる。例えば、疾患進行モジュールは、幾つかの外科的介入オプションについて、患者の解剖学的構造が術後1年、2年、5年又は10年後にどのように見えるかをシミュレートすることができる。シミュレーションはまた、先に説明したように、患者の年齢、身長、体重、性別、活動レベル、他の健康状態又はこのようなもののような非外科的要因を組み込むことができる。これらのシミュレーションに基づいて、システム及び/又は外科医は、どの外科的介入が長期的有効性に最も適しているかを選択することができる。これらのシミュレーションはまた、突出部の疾患を矯正する患者固有の矯正を決定するのに使用することもできる。ネットワーク化されたシステム及びデバイスは、疾患進行を監視及び予測するためのデータを生成することができる。幾つかの実施形態では、移植可能デバイスの1又は2以上が、データのローカル解析のための疾患進行モジュールを含む。他の実施形態では、遠隔コンピュータデバイスが疾患進行モジュールを含むことができる。移植されたネットワークシステムが矯正されるにつれて、疾患進行モジュールは、疾患進行を継続的又は定期的に予測することができる。
【0200】
本明細書で開示されるシステムは、複数の異なる外科的介入オプション又は他のシナリオに対する疾患進行データを提供するためにシミュレートされる複数の疾患進行モデル(例えば、2、3、4、5、6又はそれ以上の)を含むこともできる。例えば、疾患進行モジュールは、3つの異なる外科的介入のそれぞれについて、術後の疾患進行を予測するモデルを生成することができる。外科医又は他の医療提供者は、疾患進行モデルをレビューし、及びレビューに基づいて、3つの外科的介入オプションのうち、患者に最良の長期結果をもたらす可能性が高いものを選択することができる。勿論、最適な調整の選択は、本明細書で説明するように、完全又は半自動化することもできる。移植されたネットワークシステムは、複数の疾患進行モデルでプログラムすることができる。疾患進行モデルは、収集されたデータ及び医療提供者等に基づいて修正することができる。
【0201】
幾つかの実施形態では、ネットワーク化されたインプラントは、脊椎手術、手の手術、肩及び肘の手術、全関節再建(関節形成術)、頭蓋骨再建、小児整形外科、足及び足首の手術、筋骨格腫瘍学、外科的スポーツ医学、又は整形外科的外傷を含む様々な状況において多数の異なる疾患を矯正するのに使用することができる。脊椎インプラントは、脊柱側弯症、脊柱前弯症、後弯症(過弯症又は低弯症)のような不規則な脊椎湾曲、及び不規則な脊椎変位(脊椎すべり症など)を動的に矯正することができる。このように、疾患進行及び患者の成長を矯正するために、矯正された部分を経時的に変化させることができる(例えば、患者が完全に成長していないときにデバイスが移植されるなど)。ネットワーク化されたデバイスは、変形性関節症、腰椎変性椎間板症又は頚椎変性椎間板症、腰部脊柱管狭窄症又は頚部脊柱管狭窄症を治療するように設計することができる。
【0202】
当業者であれば理解できるように、先に説明したソフトウェア機能の何れかを、本明細書で説明する操作を実行するための1又は2以上のソフトウェア機能又はデバイスに結合又は分散することができる。従って、本明細書に記載された操作の何れかは、明示的に別段の記載がない限り、本明細書に記載されたコンピュータデバイス又はシステムの何れかによって実行することができる。
【0203】
当業者であれば理解できるように、先に説明したソフトウェアモジュールの何れかを、本明細書で説明するオペレーションを実行するための単一のソフトウェアモジュールに組み合わせることができる。同様に、ソフトウェアモジュールは、本明細書で説明するコンピュータシステム及びデバイスの任意の組み合わせにわたって分散させることができ、本明細書で説明する明示的な配置に限定されない。従って、本明細書で説明される操作の何れかは、明示的に別段の記載がない限り、本明細書で説明されるコンピュータデバイス又はシステムの何れかによって実行することができる。
【実施例】
【0204】
本発明の技術は、例えば、以下に記載される様々な態様に従って例示される。本発明の技術の態様の様々な実施例は、便宜上、番号付きの実施例(1、2、3等)として記載される。これらは例として提供されるものであり、本発明の技術を限定するものではない。従属の実施例の何れかは、何れかの適切な方法で組み合わせて、それぞれの独立の実施例にすることができることに留意されたい。他の実施例も同様の方法で提示することができる。
1.患者を治療する方法であって、
コンピュータシステムにより、患者に移植され且つ上記患者のための調整可能なインプラント矯正計画に従って第1の物理的構成で構成された脊椎インプラントの1又は2以上のインプラントセンサからのインプラントセンサ読み取り値を受信するステップであって、上記インプラントセンサ読み取り値は、上記患者の脊椎によって上記脊椎インプラントに加えられる荷重を示す、ステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記コンピュータシステムの機械学習モジュールを使用して、上記インプラントセンサ読み取り値から特徴ベクトルを抽出するステップであって、上記特徴ベクトルは、上記調整可能なインプラント矯正計画に従った標的矯正を示す、ステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記機械学習モジュールを使用し且つ上記特徴ベクトルに基づいて、インプラント電気信号を生成するステップであって、上記機械学習モジュールは、上記標的矯正を達成するために上記荷重を調整する上記インプラント電気信号を生成するように患者データセットに基づいてトレーニングされる、ステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記インプラント電気信号を上記脊椎インプラントに送信して、上記標的矯正のため上記脊椎インプラントを第2の物理的構成に移動させるステップと、
を含む、方法。
2.上記コンピュータシステムにより、患者データを受信するステップと、
上記コンピュータシステムにより、受信した上記患者データに基づいて上記患者の脊椎の解剖学的構成を決定するステップと、
上記コンピュータシステムにより上記、解剖学的構成及び上記脊椎インプラントの利用可能な調整機能に基づいて上記標的矯正を特定するステップであって、上記特定された標的矯正が、上記特徴ベクトルを抽出するのに使用される、ステップと、
更に含む、実施例1に記載の方法。
3.上記矯正計画は、上記脊椎インプラントを作動するための基準を含む、
実施例1又は2に記載の方法。
4.上記コンピュータシステムにより、上記患者に移植された椎間固定デバイスインプラントに埋め込まれた1又は2以上のデバイスセンサからデバイスセンサ読み取り値を受信するステップであって、上記デバイスセンサ読み取り値は、上記インプラントセンサ読み取り値が上記脊椎インプラントから受信される前に受信される、ステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記機械学習モジュールを使用し且つ上記デバイスセンサ読み取り値に基づいて、デバイス電気信号を生成するステップであって、上記デバイス電気信号は、上記デバイスの構成を調整するための命令を含む、ステップと、
を更に含む、
実施例1~3に記載の何れかに記載の方法。
5.上記特徴ベクトルが更に、上記患者の脊椎の腰椎前弯、コブ角、冠状パラメータ、矢状パラメータ、骨盤パラメータ、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、又は回転変位のうちの少なくとも1つを示す、
実施例1~4の何れかに記載の方法。
6.上記脊椎インプラントを上記第2の物理的構成に構成することが、
1又は2以上のインプラントアクチュエータを使用して、脊椎インプラントのスクリュー、ケージ、プレート、ロッド、ディスク、スペーサ、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、骨格、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、締結具、又は関節置換のうちの少なくとも1つを調整することを含む、
実施例1~5の何れかに記載の方法。
7.上記脊椎インプラントを上記第2の物理的構成に構成することが、
上記脊椎インプラントに結合されたリザーバを調整して、上記患者に送達される薬理学的、生物学的、生化学的、麻酔、又はステロイドのうちの少なくとも1つの量を変更することを含む、
実施例1~5の何れかに記載の方法。
8.コンピュータ命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
上記コンピュータ命令は、1又は2以上のコンピュータプロセッサにより実行されたときに、上記1又は2以上のコンピュータプロセッサに、
患者に移植され且つ上記患者の矯正計画に従って第1の物理的構成で構成された脊椎インプラントの1又は2以上のインプラントセンサからインプラントセンサ読み取り値を受信するステップであって、上記インプラントセンサ読み取り値は、上記患者の脊椎によって上記脊椎インプラントに加えられる荷重を示す、ステップと、
機械学習モジュールを使用して上記インプラントセンサ読み取り値から特徴ベクトルを抽出するステップであって、上記特徴ベクトルは矯正計画に従った標的矯正を示す、ステップと、
上記機械学習モジュールを使用し且つ上記特徴ベクトルに基づいて、インプラント電気信号を生成するステップであって、上記機械学習モジュールは、上記標的矯正を達成するために上記荷重を調整する上記インプラント電気信号を生成するように、患者データセットに基づいてトレーニングされる、ステップと、
上記インプラント電気信号を上記脊椎インプラントに送信して、上記標的矯正のため上記脊椎インプラントを第2の物理的構成に移動させるステップと、
を行わせる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
9.上記コンピュータ命令が更に、上記1又は2以上のコンピュータプロセッサに、
上記患者に移植される椎間固定デバイスインプラントの1又は2以上のデバイスセンサからデバイスセンサ読み取り値を受信するステップであって、上記デバイスセンサ読み取り値は、上記インプラントセンサ読み取り値が上記脊椎インプラントから受信される前に受信される、ステップと、
機械学習モジュールを使用し且つ上記デバイスセンサ読み取り値に基づいてデバイス電気信号を生成するステップであって、上記デバイス電気信号は上記デバイスの構成を調整するための命令を含む、ステップと、
を行わせる、
実施例8に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
10.上記特徴ベクトルが更に、上記患者の脊椎の腰椎前弯、コブ角、冠状パラメータ、矢状パラメータ、骨盤パラメータ、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、又は回転変位のうちの少なくとも1つを示す、
実施例8又は9に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
11.上記脊椎インプラントを上記第2の物理的構成に構成することが、
1又は2以上のインプラントアクチュエータを使用して、上記脊椎インプラントのスクリュー、ケージ、プレート、ロッド、ディスク、スペーサ、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、足場、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、ファスナ、又は関節置換のうちの少なくとも1つを調整することを含む、
実施例8~10の何れかに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
12.上記脊椎インプラントを上記第2の物理的構成に構成することが、
1又は2以上のインプラントアクチュエータを使用して、上記脊椎インプラントのスクリュー、ケージ、プレート、ロッド、ディスク、スペーサ、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、骨格、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、ファスナ、又は関節置換のうちの少なくとも1つを調整することを含む、
実施例8~10の何れかに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
13.システムであって、
1又は2以上のコンピュータプロセッサと、
コンピュータ命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、
を備え、
上記コンピュータ命令は、上記1又は2以上のコンピュータプロセッサにより実行されたときに、上記1又は2以上のコンピュータプロセッサに、
患者に移植され且つ第1の物理的構成で構成された脊椎インプラントの1又は2以上のインプラントセンサからインプラントセンサ読み取り値を受信するステップであって、上記インプラントセンサ読み取り値は、上記患者の脊椎によって上記脊椎インプラントに加えられる荷重を示す、ステップと、
上記システムの機械学習モジュールを使用して上記インプラントセンサ読み取り値から特徴ベクトルを抽出するステップであって、上記特徴ベクトルは矯正計画に従った標的矯正を示す、ステップと、
上記機械学習モジュールを使用し且つ上記特徴ベクトルに基づいて、インプラント電気信号を生成するステップであって、上記機械学習モジュールは、標的矯正を達成するために荷重を調整するインプラント電気信号を生成するように、患者データセットに基づいてトレーニングされる、ステップと、
上記インプラント電気信号を上記脊椎インプラントに送信して、上記標的矯正のため上記脊椎インプラントを第2の物理的構成に移動させるステップと、
を行わせる、システム。
14.上記コンピュータ命令が更に、上記1又は2以上のコンピュータプロセッサに、
上記患者に移植された椎間固定デバイスインプラントに埋め込まれた1又は2以上のデバイスセンサからデバイスセンサ読み取り値を受信するステップであって、上記デバイスセンサ読み取り値は、上記インプラントセンサ読み取り値が上記脊椎インプラントから受信される前に受信される、ステップと、
機械学習モジュールを使用し且つ上記デバイスセンサ読み取り値に基づいてデバイス電気信号を生成するステップであって、上記デバイス電気信号は上記デバイスの構成を調整するための命令を含む、ステップと、
を行わせる、
実施例13に記載のシステム。
15.上記特徴ベクトルが更に、上記患者の脊椎の腰椎前弯、コブ角、冠状パラメータ、矢状パラメータ、骨盤パラメータ、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、又は回転変位のうちの少なくとも1つを示す、
実施例13又は14に記載のシステム。
16.上記脊椎インプラントを上記第2の物理的構成に構成することが、
1又は2以上のインプラントアクチュエータを使用して、上記脊椎インプラントのスクリュー、ケージ、プレート、ロッド、ディスク、スペーサ、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、骨格、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、締結具、又は関節置換のうちの少なくとも1つを調整することを含む、
実施例13~15の何れかに記載のシステム。
17.上記脊椎インプラントを上記第2の物理的構成に構成することが、
上記脊椎インプラントに結合されたリザーバを調整して、上記患者に送達される薬理学的、生物学的、生化学的、麻酔、又はステロイドのうちの少なくとも1つの量を変更することを含む、
実施例13~15の何れかに記載のシステム。
18.脊椎を治療するためのコンピュータ実装方法であって、
コンピュータシステムにより、標的治療結果を達成するため患者の矯正された解剖学的構成を決定するステップと、
上記コンピュータシステムにより、少なくとも1つの機械学習モデルを使用して、上記患者の患者データセットに基づいて、上記患者の脊椎に影響を及ぼす疾患の疾患進行を予測するステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記矯正された解剖学的構成を達成するために上記患者に移植されるように構成された作動可能インプラントを特定するステップであって、上記作動可能インプラントは、上記標的治療結果に基づく予測された上記疾患進行を補償するために、移植後に複数の構成の間で移動可能である、ステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
19.上記コンピュータシステムにより、上記標的治療結果を達成するために上記作動可能インプラントと協働するように構成された1又は2以上の追加インプラントを設計するステップを更に含む、
実施例18に記載のコンピュータ実装方法。
20.上記コンピュータシステムにより、上記脊椎の仮想モデルを生成するステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記仮想モデルを用いて予測された上記疾患進行をシミュレーションするステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記予測された疾患進行の全体にわたって上記仮想モデルに適合するように上記作動可能インプラントを設計するステップと、
を更に含む、
実施例18又は19に記載のコンピュータ実装方法。
21.上記コンピュータシステムにより、上記予測された疾患進行及び医師が見るための上記作動可能インプラントの調整をシミュレーションするステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記シミュレーションに対する医師入力を受信するステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記受信された医師入力、上記予測された疾患進行、及び上記作動可能インプラントの1又は2以上の調整に基づいて、上記患者の少なくとも1つの治療結果をシミュレーションするステップと、
を更に含む、
実施例18~20の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
22.上記標的治療結果が、許容可能な脊椎パラメータの範囲を含み、上記作動可能インプラントの調整機能が、計画された有効寿命で上記標的治療結果を達成するように選択される、
実施例18~21の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
23.上記コンピュータシステムにより、1又は2以上の類似の以前の患者から少なくとも1人の一致する以前の患者を選択するステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記少なくとも1人の一致する以前の患者の疾患進行データを取得するステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記取得された疾患進行データに基づいて、上記疾患進行を補償するための患者固有のインプラント調整計画を決定するステップと、
を更に含む、
実施例18~22の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
24.上記コンピュータシステムにより、複数の疾患進行及びインプラントシナリオを生成するステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記疾患進行シナリオ及び上記インプラントシナリオを表示するステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記作動可能インプラントの最小調整機能を決定するために上記疾患進行シナリオのうちの1又は2以上のシナリオの選択を受信するステップと、
を更に含む、
実施例18~23の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
25.上記疾患進行シナリオ及び上記インプラントシナリオのうちの少なくとも1つが、
上記疾患の予測される進行速度、患者の健康スコア、又は計画された治療期間のうちの少なくとも1つに基づいて生成される、
実施例24に記載のコンピュータ実装方法。
26.上記予測される進行速度が、1又は2以上の参照患者データセットに基づいて決定される、
実施例18~25の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
27.患者固有の医療ケアを提供するためのコンピュータ実装方法であって、
コンピュータシステムにより、患者の患者データセットを受信するステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記複数の参照患者データセットにおける1又は2以上の類似患者データセットを特定するよう上記患者データセットと複数の参照患者データセットとを比較するステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記1又は2以上の類似患者データセットのサブセットを選択するステップであって、上記選択されたサブセットの各類似患者データセットが、好ましい治療結果を示すデータを示す、ステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記選択されたサブセットの少なくとも1つの類似患者データセットについて、上記好ましい治療結果に関連する医療デバイス設計データ及びインプラント調整データを特定するステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記医療デバイス設計データ及び上記インプラント調整データに基づいて、上記患者のための少なくとも1つの患者固有の医療デバイス設計を生成するステップであって、上記少なくとも1つの患者固有の医療デバイス設計は、術後に上記医療デバイスの構成を調整するために非侵襲的に作動されるように構成されている、ステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
28.上記比較ステップが、
上記コンピュータシステムにより、各参照患者データセットについて、上記患者データセットの脊椎病理データと上記参照患者データセットの脊椎病理データとの比較に基づいて類似性スコアを生成するステップであって、上記類似性スコアは、調整可能インプラントが使用されたか否かに少なくとも部分的に基づく、ステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記類似性スコアに少なくとも部分的に基づいて、上記1又は2以上の類似患者データセットを特定するステップと、
を含む、
実施例27に記載のコンピュータ実装方法。
29.上記類似患者データセットの少なくとも1つは、(a)上記患者と類似の脊椎病理データを有する、及び/又は(b)少なくとも1つのアクチュエータを用いたそれぞれの整形外科インプラントによる治療を受けた参照患者に対応し、
上記選択されたサブセットの類似患者データセットの少なくとも1つが、上記参照患者により受けられたそれぞれの整形外科用インプラントによる治療が良好な治療結果をもたらしたことを示すデータを含み、
上記コンピュータ実装方法は更に、上記コンピュータシステムにより、上記選択されたサブセットに基づいて、上記少なくとも1つの患者固有の医療デバイス設計の拡張又は縮小のためのパラメータを決定するステップを含む、
実施例27又は28に記載のコンピュータ実装方法。
30.上記比較ステップが、
上記コンピュータシステムにより、上記患者データセット及び上記参照患者データセットを比較するステップと、
上記コンピュータシステムにより、各参照患者データセットについて、上記患者データセットと上記それぞれの参照患者データセットとの比較に基づいて、類似性スコアを生成するステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記類似性スコア及び上記患者が術後に作動可能インプラントを受けたか否かに少なくとも部分的に基づいて、上記1又は2以上の類似患者データセットを特定するステップと、
を含む、
実施例27に記載のコンピュータ実装方法。
31.上記類似性スコアが、上記患者データセットと上記それぞれの参照患者データセットとの間の統計的相関を表す、
実施例30に記載のコンピュータ実装方法。
32.患者固有の整形外科インプラントを設計するためのコンピュータ実装方法であって、
コンピュータシステムにより、複数の参照患者データセットにおける1又は2以上の類似患者データセットを特定するよう、患者データセットを上記複数の参照患者データセットと比較するステップであって、上記各類似患者データセットが、(a)上記患者と類似の脊椎病理データを有し、及び(b)術後作動可能インプラントによる治療を受けた参照患者に対応する、ステップと、
上記コンピュータシステムにより、少なくとも1つの類似患者データについて、それぞれのインプラント用の設計データ及び対応する参照患者に上記それぞれのインプラントを移植させるための外科手術用のアクチュエータデータを特定するステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記設計データ及び調整データに基づいて、作動可能な上記整形外科用インプラントの作動が外部コントローラにより遠隔制御されるように、上記患者の解剖学的構造に対する上記作動可能な整形外科用インプラント設計を生成するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
33.上記コンピュータシステムにより、上記設計データを特定するのに使用される上記1又は2以上の類似患者データセットのサブセットを選択するステップであって、上記選択されたサブセットの各類似患者データセットが、上記参照患者によって受けられた上記インプラントに対する1又は2以上の調整が良好な治療結果をもたらしたことを示すデータを含む、ステップを更に含む、
実施例32に記載のコンピュータ実装方法。
34.コンピュータシステムにより、トレーニングされた機械学習モデルを用いて、
ある時間期間の複数のインプラント調整計画及び上記患者を治療するための対応する複数の整形外科インプラント設計を決定し、
上記複数のインプラント調整計画の各々と上記対応する複数の整形外科用インプラント設計の各々について、上記時間期間において患者の標的治療結果を達成する確率を決定し、
上記時間期間において上記標的治療結果を達成する決定された確率に少なくとも部分的に基づいて、上記複数のインプラント調整プランのうちの少なくとも1つ及び上記対応する複数の整形外科用インプラント設計のうちの少なくとも1つを選択する、
ようにするステップを更に含む、
実施例32又は33に記載のコンピュータ実装方法。
35.コンピュータ実装方法であって、
コンピュータシステムにより、患者の少なくとも一部の解剖学的モデルを生成するステップであって、上記解剖学的モデルは、上記患者の生来の解剖学的構造を記述する、ステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記生来の解剖学的構造に対する患者固有の矯正及び予測される疾患進行に基づいて、ある時間期間にわたる解剖学的変化を表す一連の矯正された解剖学的モデルを生成するステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記患者の脊椎に沿った複数の治療位置を決定するステップと、
上記コンピュータシステムによって、上記インプラントの術後作動によって上記解剖学的変化を補償するために、上記患者固有の矯正に基づいて、それぞれの治療位置のためのインプラントを設計するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
36.上記インプラントが上記複数の治療位置に移植されたときに、上記インプラントは、上記患者の一部が上記矯正された解剖学的モデルに実質的に一致するように構成されている、
実施例35に記載のコンピュータ実装方法。
37.上記解剖学的モデルは、上記脊椎の少なくとも一部の仮想モデルである、
実施例35又は36に記載のコンピュータ実装方法。
38.上記コンピュータシステムにより、上記複数の治療位置を決定するよう上記解剖学的モデルと矯正された解剖学的モデルとを比較するステップを更に含む、
実施例35~37の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
39.非侵襲的解剖学的調整のためのコンピュータ実装方法であって、
コンピュータシステムにより、患者の脊椎に沿って移植された少なくとも1つのデバイスに荷重を加えるように垂直姿勢にある上記患者の脊椎の事前調整画像を取得するステップと、
上記コンピュータシステムにより、上記事前調整画像及び患者固有の術前矯正計画に基づいて、上記患者の1又は2以上の解剖学的矯正を決定するステップと、
上記コンピュータシステムにより、第1の構成から第2の構成への上記少なくとも1つのデバイスの作動を非侵襲的に行わせて、上記患者固有の術前矯正計画の標的解剖学的構成に向けて上記脊椎を移動させることにより、1又は2以上の解剖学的矯正を提供するステップと、
上記第2の構成にある上記少なくとも1つのデバイスを用いて、上記患者の調整後画像を取得するステップと、
上記調整後画像に基づいて、上記少なくとも1つのデバイスを再構成するかどうかを決定するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
40.上記事前調整画像が、立位X線画像又は座位X線画像の少なくとも一方を含み、
上記調整後画像が、立位X線画像又は座位X線画像の少なくとも一方を含む、
実施例39に記載のコンピュータ実装方法。
41.上記事前調整画像を取得するステップが、上記脊椎を撮像して、上記少なくとも1つのデバイスを作動させながら動的な座位/立位画像を生成するステップを含む、
実施例39又は40に記載のコンピュータ実装方法。
42.上記少なくとも1つのデバイスは、各々が上記脊椎に異なるレベルで移植された複数の椎体間固定デバイスを含み、
上記少なくとも1つのデバイスの非侵襲的作動が、上記患者の術後脊椎を脊椎固定を起こすため上記標的解剖学的配置に移動させるように上記椎体間デバイスを再構成するステップを含む、
実施例39から41の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
43.上記患者の術前画像を取得するステップと、
上記患者固有の矯正計画に基づいて、上記少なくとも1つのデバイスの術後調整機能を決定するステップと、
上記術後調整機能で上記少なくとも1つのデバイスを設計するステップと、
更に含む、
実施例39~42の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
【0205】
結論
上述の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例の使用を介して、デバイス及び/又はプロセスの様々な実施形態を記載している。このようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例が1又は2以上の機能及び/又は動作を含む限りにおいて、このようなブロック図、フローチャート、又は実施例内の各機能及び/又は動作は、広範なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの実質的に任意の組み合わせによって、個々に及び/又は集合的に実装できることが当業者には理解されるであろう。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される主題の幾つかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は他の集積形式を介して実装することができる。しかしながら、当業者であれば、本明細書に開示される実施形態の幾つかの態様は、その全体又は一部が、集積回路において、1つ又は2又は3以上のコンピュータ上で実行される1つ又は2又は3以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ又は2又は3以上のコンピュータシステム上で実行される1つ又は2又は3以上のプログラムとして)、1つ又は2又は3以上のプロセッサ上で実行される1つ又は2又は3以上のプログラムとして(例えば、1又は2以上のマイクロプロセッサ上で実行される1又は2以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又は実質的にこれらの任意の組み合わせとして、回路を設計すること及び/又はソフトウェア及び/又はファームウェアのコードを書くことは、本開示に照らして当業者の技術の範囲内であろう。更に、当業者であれば、本明細書で説明する主題の機構は、様々な形態のプログラム製品として配布可能であり、及び本明細書で説明する主題の例示的な実施形態は、配布を実際に実施するために使用される特定のタイプの信号伝達媒体に関係なく適用されることを理解するであろう。信号伝達媒体の例としては、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、CD、DVD、デジタルテープ、コンピュータメモリ等の記録型媒体、及びデジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク等)等の伝送型媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0206】
当業者であれば、デバイス及び/又はプロセスを本明細書に規定する方法で記述し、その後、工学的手法を使用して、このような記述されたデバイス及び/又はプロセスをデータ処理システムに統合することが、当技術分野において一般的であることを認識するであろう。すなわち、本明細書に記載されたデバイス及び/又はプロセスの少なくとも一部は、合理的な量の実験を介してデータ処理システムに統合することができる。当業者であれば、典型的なデータ処理システムは、一般に、システムユニットハウジング、ビデオディスプレイデバイス、揮発性メモリ及び不揮発性メモリ等のメモリ、マイクロプロセッサ及びデジタルシグナルプロセッサ等のプロセッサ、オペレーティングシステム、ドライバ、グラフィカルユーザ界接、及びアプリケーションプログラム等の計算エンティティ、タッチパッド又はスクリーン等の1又は2以上の相互作用デバイス、及び/又はフィードバックループ及び制御モータ(例えば、位置及び/又は速度を感知するためのフィードバック;構成要素及び/又は量を移動及び/又は調整するための制御モータ)を含む制御システムのうちの1又は2以上を含むことを認識するであろう。典型的なデータ処理システムは、データコンピューティング/通信及び/又はネットワークコンピューティング/通信システムに典型的に見られるような、何れかの適切な市販の構成要素を利用して実装することができる。
【0207】
本明細書で説明する主題は、場合によっては、異なる他の構成要素内に含まれる、又は異なる他の構成要素と接続される、異なる構成要素を示す。このような描かれたアーキテクチャは単なる例であり、実際には、同じ機能を実現する他の多くのアーキテクチャを実装できることを理解されたい。概念的な意味では、同じ機能を実現するための構成要素の配置は、所望の機能が実現されるように、実質的に「関連」している。従って、本明細書において、特定の機能を実現するために組み合わされる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャ又は中間構成要素に関係なく、所望の機能が実現されるように互いに「関連付けられる」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けされた任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するように互いに「作動可能に接続」又は「作動可能に結合」されていると見なすこともでき、及びそのように関連付けることが可能な任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するように互いに「作動可能に結合可能」であると見なすこともできる。動作可能に結合可能の具体例としては、物理的に嵌合可能及び/又は物理的に相互作用可能な構成要素、並びに/又は無線で相互作用可能及び/又は無線で相互作用可能な構成要素、並びに/又は論理的に相互作用可能及び/又は論理的に相互作用可能な構成要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0208】
本明細書に記載される実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法及び技術は、幾つかの実施形態において、以下に記載される実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法及び技術の何れか1又は2以上と同様とすることができる。
2017年7月27日に出願された米国特許出願第16/048,167号、発明の名称「外科手術を支援及び増強するためのシステム及び方法」
2019年1月8日に出願された米国特許出願第16/242,877号、発明の名称「脊髄手術の間スクリュー配置を用いて外科医を支援するシステム及び方法」
2018年12月1日に出願された米国特許出願第16/207,116号、発明の名称「マルチ平面整形外科アライメントのためのシステム及び方法」
2019年3月13日に出願された米国特許出願第16/352,699号、発明の名称「整形外科インプラント固定のためのシステム及び方法」
2019年4月12日に出願された米国特許出願第16/383,215号、発明の名称「整形外科インプラント固定のためのシステム及び方法」
2019年9月12日に出願された米国特許出願第16/569,494号、発明の名称「整形外科インプラントのためのシステム及び方法」
2018年11月29日に出願された米国特許出願第62/773,127号、発明の名称「整形外科インプラントのためのシステム及び方法」
2019年10月31日に出願された米国特許出願第62/928,909号、発明の名称「組織特性に基づいて整形外科インプラントを設計するためのシステム及び方法」
2020年1月6日に出願された米国特許出願第16/735,222号、発明の名称「患者固有の医療手術及びデバイス、並びに関連のシステム及び方法」
2020年8月6日に出願された米国特許出願第16/987,113号、発明の名称「患者固有の人工椎間板及びに関連のシステム及び方法」
2020年8月11日に出願された米国特許出願第16/990,810号、発明の名称「患者固有データとの患者固有医療デバイスのリンク付け、並びに関連のシステム及び方法」
2021年8月31日に出願された米国特許出願第17/463,054号、発明の名称「ブロックチェーン管理医療用インプラント」
2020年10月30日に出願された米国特許出願第17/085,564号、発明の名称「組織特性に基づいて整形外科インプラントを設計するためのシステム及び方法」
及び2020年11月20日に出願された米国特許出願第17/100、396号、発明の名称「位置決め特徴部を有する患者固有の椎骨インプラント」。
【0209】
上記で特定された特許及び出願の全ては、引用によりその全体が組み込まれる。加えて、本明細書に記載される実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、及び技術は、特定の実施形態において、実施形態、特徴、システム、デバイス、又は他の事項の何れか1又は2以上に適用され、又はこれらと関連して使用することができる。
【0210】
本明細書に開示される範囲はまた、何れか及び全ての重複部分、部分的範囲、及びこれらの組み合わせを包含する。「最大で」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、「~の間」又は同様のものなどの表現は、記載された数を含む。本明細書で使用される「およそ」、「約」、及び「実質的に」などの用語によって先行される数は、記載された数を含み(例えば、約10%=10%)、また、所望の機能を依然として果たす、又は所望の結果を達成する記載された量に近い量も表している。例えば、用語「およそ」、「約」、及び「実質的に」は、記載された量の10%未満内、5%未満内、1%未満内、0.1%未満内、及び0.01%未満内にある量を指すことができる。
【0211】
以上から、本開示の様々な実施形態は、例示の目的で本明細書に記載されており、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく様々な修正を行うことができる点が理解されるであろう。従って、本明細書に開示された様々な実施形態は、限定を意図するものではない。
【符号の説明】
【0212】
1410 第1の椎骨
1420 第2の椎骨
1430 デバイス
1431 本体
1434 上側構成要素
1435 下側構成要素
1436 駆動特徴部
1438a、1438b ロック可能なジョイント
1440 第1のエンドプレート
1450 第2のエンドプレート
1453 補助インプラント
1457 ロッド
1459 締結具
【国際調査報告】