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特表2024-525231p38 MAPキナーゼ阻害剤で炎症性疾患の治療効果を示す新規な化合物
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  • 特表-p38  MAPキナーゼ阻害剤で炎症性疾患の治療効果を示す新規な化合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】p38 MAPキナーゼ阻害剤で炎症性疾患の治療効果を示す新規な化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/50 20060101AFI20240703BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240703BHJP
   C07D 209/12 20060101ALI20240703BHJP
   C07D 401/06 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
C07D213/50 CSP
A61P29/00
A61K31/44
A61K31/404
A61K31/4439
C07D209/12
C07D401/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500410
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 KR2021019687
(87)【国際公開番号】W WO2023282414
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0088499
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523287816
【氏名又は名称】プレイザーセラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PRAZERTHERAPEUTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】イン ギョンス
(72)【発明者】
【氏名】キム ナムジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ ジョンギル
(72)【発明者】
【氏名】キム ガヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム ギョジン
(72)【発明者】
【氏名】キム ドンファン
(72)【発明者】
【氏名】ド ジミン
(72)【発明者】
【氏名】ソン チェウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ ナレ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC13
4C086BC17
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB11
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、抗炎症活性を示す新規な化合物に関するものであって、本発明の化合物は、炎症前駆物質の生成に決定的な役割を行って、炎症性疾患を誘発すると知られたp38 MAPKに対して優れた阻害効能を有するので、炎症性疾患の治療剤として有用に使われる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩;
【化1】
前記式において、
【化2】
は、H、ハロゲン、または-C-Cアルキルであり、
は、Hまたはハロゲンである。
【請求項2】
前記化合物が、下記化合物からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の化合物:
【請求項3】
請求項1に記載の化合物を含む炎症性疾患の治療または予防用薬学組成物。
【請求項4】
請求項2に記載の化合物を含む炎症性疾患の治療または予防用薬学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗炎症活性を示す新規な化合物に係り、本発明の新規な化合物は、優れたp38 MAPキナーゼの阻害効能を有るものであって、炎症性疾患の治療剤として有用に使われる。
【背景技術】
【0002】
p38は、MAPキナーゼ(mitogen-activated protein kinases、MAPK)ファミリーに属するセリン/トレオニンリン酸化酵素の一種である。MAPK経路は、さまざまな細胞外部の刺激によって活性化されて細胞の特定基質のリン酸化を通じて細胞内さまざまな反応が起こるように切り換えるが、MAPKの下位種類としては、p38以外にもJNK、ERKなどがある。MAPKは、インスリン(insulin)、有糸分裂物質(mitogen)、成長因子(growth factor)、免疫細胞の活性化刺激などによって活性化されるタンパク質リン酸化酵素であり、細胞表面にある受容体の信号を細胞内に伝達する信号伝達経路で重要な位置を占める。
【0003】
p38信号伝達体系は、新陳代謝及び細胞死のような過程を調節し、上位段階のリン酸化酵素が下位段階のリン酸化酵素にリン酸基を伝達する一連の連鎖的なリン酸化過程を経る。p38 MAPKとしては、p38-α、p38-β、p38-γ、p38-δなどが明らかになり、浸透圧(osmotic shock)、炎症サイトカイン(inflammatory cytokines)、LPS(lipopolysaccharides)、紫外線(UV)、成長因子(GF)などによって活性化される。
【0004】
炎症は、さまざまな原因によって発生すると知られているが、多様な研究によれば、多様なストレス刺激によってMAPKが活性化され、特に、p38 MAPKは、TNF-α、IL-1β、IL-6のような炎症前駆物質(pro-inflammatory cytokines)の生成に決定的な役割を行って、炎症性疾患を誘発すると知られている(NATURE REVIEWS,Drug discovery(2003),Vol.2,717-726)。これにより、p38 MAPKの阻害剤として幾つかの低分子化合物(small molecule)が開発され(大韓民国登録特許第10-1879481号など)、p38のさまざまな低分子阻害剤は、低い濃度でヒト単核細胞でIL-1及びTNF合成を抑制することにより、炎症調節子の役割を行い、このようなサイトカインの抑制は、炎症反応を調節、緩和または軽減させることができると明らかになった。
【0005】
これと関連して、本発明の発明者らは、p38 MAPK抑制を通じて抗炎症活性を有する新規な化合物を研究した結果、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、炎症性疾患の効果的な治療のために、p38 MAPキナーゼを効果的に抑制して優れた抗炎症効能を有する新規な化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を果たすために、本発明は、下記化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0008】
【化1】
【0009】
前記式において、
【0010】
【化2】
【0011】
は、H、ハロゲン、または-C-C
【0012】
は、Hまたはハロゲンである。
【0013】
具体的に、本発明の化合物は、下記表1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含みうる。
【0014】
【表1】
【0015】
本発明による化合物を含む炎症性疾患の治療または予防用組成物を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の化合物は、炎症前駆物質の生成に決定的な役割を行って、炎症性疾患を誘発すると知られたp38 MAPKに対して優れた阻害効能を有するので、炎症性疾患の治療剤として有用に使われる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】[図1及び図2]本発明による化合物の炎症サイトカインIL-1β及びTNFαの相対的なmRNA発現量を示す図面である。
図2】[図1及び図2]本発明による化合物の炎症サイトカインIL-1β及びTNFαの相対的なmRNA発現量を示す図面である。
図3】[図3ないし図5]本発明による化合物の炎症サイトカインIL-1β、TNFα及びIL-6の相対的なmRNA発現量を示す図面である。
図4】[図3ないし図5]本発明による化合物の炎症サイトカインIL-1β、TNFα及びIL-6の相対的なmRNA発現量を示す図面である。
図5】[図3ないし図5]本発明による化合物の炎症サイトカインIL-1β、TNFα及びIL-6の相対的なmRNA発現量を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、当業者が容易に実施できるように本発明の実施形態及び実施例を詳しく説明する。しかし、本発明は、さまざまな形態として具現され、ここで説明する実施形態及び実施例に限定されるものではない。
【0019】
本発明の明細書の全体において、ある部分が、ある構成要素を「含む」するとする時、これは、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0020】
本明細書において、「薬学的に許容可能な塩」は、薬学的に許容可能であり、親化合物(parent compound)の望ましい薬理活性を保持する塩を意味する。前記塩としては、薬学的に許容されるものであれば、特に限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、「アルキル」は、1次、2次、3次または4次の炭素原子を有する炭化水素であり、直鎖状、分枝状または環状、またはこれらの組み合わせである飽和脂肪族基を含む。例えば、アルキル基は、1~20個の炭素原子(すなわち、C-C20アルキル)、1~10個の炭素原子(すなわち、C-C10アルキル)、または1~6個の炭素原子(すなわち、C-Cアルキル)を有しうる。適したアルキル基の例としては、メチル(Me、-CH)、エチル(Et、-CHCH)、1-プロピル(n-Pr、n-プロピル、-CHCHCH)、2-プロピル(i-Pr、i-プロピル、-CH(CH)、1-ブチル(n-Bu、n-ブチル、-CHCHCHCH)、2-メチル-1-プロピル(i-Bu、i-ブチル、-CHCH(CH)、2-ブチル(s-Bu、s-ブチル、-CH(CH)CHCH)、2-メチル-2-プロピル(t-Bu、t-ブチル、-C(CH)、1-ペンチル(n-ペンチル、-CHCHCHCHCH)、2-ペンチル(-CH(CH)CHCHCH)、3-ペンチル(-CH(CHCH)、2-メチル-2-ブチル(-C(CHCHCH)、3-メチル-2-ブチル(-CH(CH)CH(CH)、3-メチル-1-ブチル(-CHCHCH(CH)、2-メチル-1-ブチル(-CHCH(CH)CHCH)、1-ヘキシル(-CHCHCHCHCHCH)、2-ヘキシル(-CH(CH)CHCHCHCH)、3-ヘキシル(-CH(CHCH)(CHCHCH))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CHCHCHCH)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH)CH(CH)CHCH)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH)CHCH(CH)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH)(CHCH)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CHCH)CH(CH)、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CHCH(CH)、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH)C(CH)、及びオクチル(-(CHCH)が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0022】
しかも、明細書、実施例及び請求項の全般にわたって使われる用語「アルキル」は、非置換及び置換されたアルキル基いずれもを含むものと意図される。
【0023】
本発明で使われる用語「ハロ」及び「ハロゲン」は、ハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びヨードを含む。
【0024】
用語「Cx-y」または「Cx-Cy」は、アルキル、アルケニルまたはアルキニルのような化学的残基と共に使われる場合、鎖内にxないしy個の炭素を含有する基を含むものと見なされる。Cアルキルは、基が末端位置にある場合には、水素、内部にある場合には、結合を示す。例えば、C-C20アルキル基は、鎖内に1~20個の炭素原子を含有する。
【0025】
本発明による化合物は、容易に入手可能な出発物質から当業者によく公知された下記の記載の特定の合成プロトコルに対する変形を用いて製造可能である。
【0026】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、下記の実施例は、単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0027】
[製造例]
【0028】
本発明による化合物の合成方法に使われた機器及び試薬
【0029】
本発明の化合物の合成に使われたあらゆる開始物質と試薬は、Aldrich、Alfa Aesar、TCIなどから購入し、別途の精製過程なしに使用した。反応に使われた各種の硝子は、80℃オーブンで乾燥させた状態で使用し、空気及び水分を遮断するために、アルゴンガスや窒素ガスを注入して反応を進めた。
【0030】
本発明のカラムクロマトグラフィー(Flash column chromatography)は、シリカゲル60(230-400mesh)を用いてヘキサン(Hexane)、酢酸エチル(Ethyl acetate)、ジクロロメタン(Dichloromethane)、メタノール(Methanol)などの溶媒を適切に調節して使用した。分析用薄膜クロマトグラフィー(Thin-layer chromatography)は、0.25mmのシリカゲルプレートを使用した。
【0031】
本発明のH-NMRスペクトルと13C-NMRスペクトルは、Bruker Avance 400(400MHz for 1H;100MHz for 13C)spectrometerまたはVARIAN VNMRS 500(500MHz for 13C)spectrometerを用いて分析した。Hと13C NMR化学シフト値は、TMS(tetramethylsilane)を内部基準として使用してppm単位で表現された。NMR信号は、m(multiplet)、s(singlet)、d(doublet)、t(triplet)、q(quartet)、quin(quintet)、bs(broad singlet)、bd(broad doublet)、dd(doublet of doublets)、dt(doublet of triplets)、dq(doublet of quartets)などで表記され、結合定数は、ヘルツ(Hz)単位で表現された。
【0032】
本発明の低解像度質量スペクトル(Low resolution mass spectra)と高解像度質量スペクトル(High resolution mass spectra)は、VG Trio-2 GC-MSまたはJEOL JMS-700機器を用いて測定した。
【0033】
一実施形態において、本発明の中間体化合物10は、下記反応式1によって製造可能である。
【0034】
[反1]
【化3】
【0035】
試薬及び条件:(a)N-ヨードスクシンイミド、硫酸、HO、r.t.、85%;(b)シクロプロピルアミン、エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物、DMF、r.t、82%;(c)bis(pinacolato)diboron、PdCl(dppf)、KOAc、DMF、90℃、50%。
【0036】
商業的に購入可能な3-フルオロ-4-メチル安息香酸(化合物7)を出発物質として、ヨード化反応を通じて化合物8を合成した後、シクロプロピルアミンとのEDC couplingを通じて化合物9を合成した。Bis(pinacolato)diboronとのクロスカップリング(cross coupling)を通じて主要中間体化合物10を合成した。
【0037】
一実施形態において、本発明の中間体化合物16ないし中間体化合物21は、下記反応式2によって製造可能である。
【0038】
[反2]
【化4】
【0039】
試薬及び条件:(a)塩化チオニル、reflux;(b)N,O-ジメチルヒドロキシルアミン 、EtN、CHCl、r.t.、62%;(c)4-メトキシフェニルマグネシウム臭化物、THF、0℃、87%;(d)BBr、CHCl、-78℃ to 0℃、79-87%;(e)(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル4-メチルベンゼンスルホン酸、KCO、DMF、70℃、54-83%;(f)インドール、AlCl、CHCl、0℃ to r.t.、42%;(g)BnBr、NaH、DMF、0℃、95-97%;(h)6-メトキシインドール、AlCl、ZnCl、EtMgBr、CHCl、r.t.、24%。
【0040】
商業的に購入可能な6-ブロモニコチン酸(化合物11)と塩化チオニルとを還流して生成された化合物12を精製過程なしに今後の反応に使用した。Weinreb amideを作ってメトキシフェニル基を導入した後、demethylationして化合物15を収得し、solketalを導入して中間体化合物16を収得した((6-ブロモピリジン-3-イル)(4-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ)フェニル)メタノン);H NMR(400MHz、Chloroform-d)δ8.73(dd、J=2.4、0.8Hz、1H)、8.05(dd、J=8.2、2.5Hz、1H)、7.48(dd、J=8.3、0.9Hz、1H)、7.39-7.32(m、2H)、7.06-6.96(m、2H)、4.52(p、J=5.7Hz、1H)、4.28(tt、J=6.0、5.1Hz、2H)、3.77(dd、J=8.7、5.1Hz、2H)、1.48(s、3H)、1.42(s、3H)。
【0041】
化合物12にインドールを導入して中間体化合物17を合成し、((6-ブロモピリジン-3-イル)(1H-インドール-3-イル)メタノン);H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ12.24(s、1H)、8.79(d、J=3.1Hz、0H)、8.27-8.18(m、2H)、7.69(s、1H)、7.52(s、1H)、7.31-7.24(m、1H)、7.26(s、2H)、そのbenzylationを通じて中間体化合物18を収得した((1-ベンジル-1H-インドール-3-イル)(6-ブロモピリジン-3-イル)メタノン);H NMR(400MHz、Chloroform-d)δ8.81(dd、J=2.4、0.8Hz、1H)、8.45-8.38(m、1H)、8.10(dt、J=8.4、2.0Hz、1H)、7.60(d、J=1.5Hz、1H)、7.47(dt、J=8.2、1.1Hz、1H)、7.36(s、2H)、7.42-7.29(m、5H)、7.26(s、1H)、7.21-7.12(m、2H)、5.38(s、2H)。
【0042】
6-メトキシインドールと化合物12との結合反応を行い、ベンジル基としてprotection基を導入した後、demethylationし、solketalを導入して中間体化合物21を収得した((1-ベンジル-6-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ)-1H-インドール-3-イル)(5-ブロモピリジン-2-イル)メタノン);H NMR(400MHz、Chloroform-d)δ8.80(d、J=2.4Hz、1H)、8.30(d、J=8.7Hz、1H)、8.12-8.05(m、1H)、7.53-7.42(m、2H)、7.34(dd、J=7.3、3.2Hz、2H)、7.15(t、J=9.3Hz、3H)、7.02(dd、J=8.8、2.2Hz、1H)、6.83(d、J=2.3Hz、1H)、5.31(d、J=4.2Hz、3H)、4.48(q、J=6.0Hz、1H)、4.17(dd、J=8.4、6.4Hz、1H)、4.08(dd、J=9.4、5.4Hz、1H)、3.93(ddd、J=19.6、8.9、5.7Hz、1H)、1.46(s、3H)、1.41(s、3H)。
【0043】
[実施例1]
【0044】
N-シクロプロピル-3-(5-(4-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)ベンゾイル)ピリジン-2-イル)-5-フルオロ-4-メチルベンズアミド(N-Cyclopropyl-3-(5-(4-(2,3-dihydroxypropoxy)benzoyl)pyridin-2-yl)-5-fluoro-4-methylbenzamide、化合物1)の製造
【0045】
【化5】
【0046】
本発明の化合物1は、下記製造式1によって製造された。
【0047】
[製造式1]
【化6】
【0048】
試薬及び条件:(a)Pd(PPh、KCO、DMF、90℃、36%;(b)p-TsOH、HO、MeOH、50℃、54%。
【0049】
1-1.中間体化合物22の合成
【0050】
中間体化合物10(100.8mg、0.316mmol)と中間体化合物16(82.6mg、0.210mmol)、KCO(58.0mg、0.420mmol)、Pd(PPh(24.3mg、0.021mmol)とをdry DMFに溶かし、アルゴン置換した後、90℃下で1時間撹拌した。TLCで反応が終結されたことを確認した後、室温に反応物の温度を下げ、saturated aqueous NHCl solutionを用いて反応を終結した。EtOAcとHOとで生成物を有機層に抽出した後、MgSOを用いて脱水し、濾過した濾液を減圧蒸留した後、flash column chromatographyを用いて精製して中間体化合物22を合成した(37.8mg、36%);H NMR(400MHz、Chloroform-d)δ9.04(dd、J=2.3、1.0Hz、1H)、8.17(dd、J=8.1、2.2Hz、1H)、7.88(dt、J=9.6、2.8Hz、2H)、7.61(d、J=1.9Hz、1H)、7.60-7.52(m、2H)、7.04(dd、J=9.2、2.3Hz、2H)、6.40(s、1H)、4.52(q、J=4.6、3.3Hz、1H)、4.25-4.10(m、2H)、4.10-4.02(m、1H)、3.98-3.90(m、1H)、2.94-2.87(m、1H)、2.35(d、J=2.4Hz、3H)、1.42(m、1H)、0.92-0.81(m、2H)、0.67-0.58(m、2H)。
【0051】
1-2.化合物1の合成
【0052】
中間体化合物22(37.8mg、0.075mmol)、p-TsOH(11.4mg、0.060mmol)にHO 500μl、MeOH 2mLを滴加した後、室温で撹拌した。TLCで出発物質が消えたことを確認した後、CHClとHOとで薄めた後、有機層を抽出し、NaSOを用いて脱水した。濾過した濾液を減圧蒸留した後、flash column chromatographyを用いて精製して化合物1を最終的に収得した(19mg、54%);H NMR(500MHz、DMSO-d6)δ8.92(dd、J=2.3、0.9Hz、1H)、8.55(d、J=4.2Hz、1H)、8.17(dd、J=8.1、2.2Hz、1H)、7.86-7.79(m、1H)、7.82-7.71(m、3H)、7.67(dd、J=10.4、1.7Hz、1H)、7.16-7.05(m、2H)、5.02(d、J=5.2Hz、1H)、4.70(t、J=5.7Hz、1H)、4.16-4.04(m、1H)、4.03-3.93(m、1H)、3.85-3.75(m、1H)、3.50-3.40(m、2H)、2.88-2.77(m、1H)、2.28(d、J=2.3Hz、3H)、0.73-0.60(m、2H)、0.60-0.48(m、2H)。
【0053】
[実施例2]
【0054】
6-クロロ-N-シクロプロピル-4’-(1H-インドール-3-カルボニル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド(6-Chloro-N-cyclopropyl-4’-(1H-indole-3-carbonyl)-[1,1’-biphenyl]-3-carboxamide、化合物2)の製造
【0055】
【化7】
【0056】
本発明の化合物2は、下記製造式2によって製造された。
【0057】
[製造式2]
【化8】
【0058】
試薬及び条件:(a)Bis(pinacolato)diboron、PdCl(dppf)、KOAc、DMF、90℃、37%;(b)17、PdCl(PPh、KPO、1,2-ジオキサン、HO、reflux、10%;(c)シクロプロピルアミン、エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物、CHCl、r.t.、12%。
【0059】
2-1.中間体化合物24の合成
【0060】
商業的に購入可能な3-ブロモ-4-クロロ安息香酸(化合物23、1.5g、6.3mmol)とbis(pinacolato)diboron(2.6g、10.5mmol)、KOAc(3.1g、31.8mmol)、PdCl(dppf)とをdry DMF 23mLに溶かし、アルゴン置換後、90℃で反応を進めた。TLCで反応が終結されたことを確認した後、室温で反応物の温度を減少させた。Saturated aqueous NHCl solutionを用いて反応を終結し、EtOAcとHOとで生成物を有機層に抽出した後、MgSOを用いて脱水した。濾過した濾液を減圧蒸留した後、flash column chromatographyを用いて精製して中間体化合物24を収得した(664mg、37%)。
【0061】
2-2.中間体化合物25の合成
【0062】
中間体化合物17(500mg、1.67mmol)と中間体化合物24(659mg、2.33mmol)、PdCl(PPh(117mg、0.17mmol)、KPO(1.8g、8.33mmol)とを1,2-ジオキサン9mLとHO 3mLとを混合した溶媒に溶かし、アルゴン置換後、還流した。18時間後、TLCで反応が終結されたことを確認し、室温で反応物の温度を減少させた。セライト(Celite)で濾過して残った濾液をHOとCHClとで薄めた後、生じた固体を濾過し、濾過物を真空減圧して残った溶媒を除去して、別途の精製過程なしに中間体化合物25を合成した(101mg、10%)。
【0063】
2-3.化合物2の合成
【0064】
中間体化合物25(50mg、0.133mmol)と1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(29mg、0.213mmol)とをdry DMF 0.7mLに溶かし、アルゴン置換後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン35μl、エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド47μlを順次に滴加した。TLCで反応が終結されたことを確認した後、HOを用いて反応を終結し、EtOAcとHOとを用いて生成物を有機層に抽出した後、MgSOを用いて脱水した。濾過した濾液を減圧蒸留した後、flash column chromatographyを用いて精製して化合物2を最終的に収得した(6mg、12%);H NMR(500MHz、DMSO-d6)δ12.15(d、J=3.0Hz、1H)、8.63(d、J=4.2Hz、1H)、8.34-8.27(m、1H)、8.04(d、J=3.0Hz、1H)、7.97-7.91(m、3H)、7.90(dd、J=8.4、2.2Hz、1H)、7.73(d、J=8.4Hz、1H)、7.71-7.64(m、2H)、7.59-7.53(m、1H)、7.34-7.24(m、2H)、2.93-2.84(m、1H)、0.76-0.66(m、2H)、0.66-0.56(m、2H)。
【0065】
[実施例3]
【0066】
N-シクロプロピル-3-(5-(6-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)-1H-インドール-3-カルボニル)ピリジン-2-イル)-5-フルオロ-4-メチルベンズアミド(N-Cyclopropyl-3-(5-(6-(2,3-dihydroxypropoxy)-1H-indole-3-carbonyl)pyridin-2-yl)-5-fluoro-4-methylbenzamide、化合物3)の製造
【0067】
【化9】
【0068】
本発明の化合物3は、下記製造式3によって製造された。
【0069】
[製造式3]
【化10】
【0070】
試薬及び条件:(a)Pd(PPh、KCO、DMF、90℃、100%;(b)Potassium tert-butoxide、O、DMSO、0℃、12%;(c)p-TsOH、HO、MeOH、50℃、67%。
【0071】
3-1.中間体化合物26の合成
【0072】
中間体化合物21(127mg、0.244mmol)を出発物質として、中間体化合物22と同じ方法を通じて中間体化合物26を合成した(158mg、100%);H NMR(400MHz、Chloroform-d)δ9.12(s、1H)、8.36(d、J=8.8Hz、1H)、8.22(dd、J=8.0、2.2Hz、1H)、7.62-7.47(m、4H)、7.43-7.27(m、3H)、7.18-7.11(m、2H)、7.04(dd、J=8.8、2.2Hz、1H)、6.84(d、J=2.2Hz、1H)、6.29(s、1H)、5.34(s、2H)、4.50(p、J=6.0Hz、1H)、4.18(dd、J=8.5、6.4Hz、1H)、4.11-4.04(m、1H)、3.94(ddd、J=20.4、8.9、5.8Hz、2H)、2.91(dt、J=7.3、3.8Hz、1H)、2.35(d、J=2.4Hz、3H)、2.28-2.22(m、1H)、2.05(d、J=0.8Hz、7H)、2.04(s、1H)、1.47(s、2H)、1.41(s、2H)、0.88(q、J=6.4Hz、3H)、0.62(q、J=6.0、5.5Hz、2H)。
【0073】
3-2.中間体化合物27の合成
【0074】
中間体化合物26(158mg、0.249mmol)をDMSO 0.8mLに溶かした混合物にOをバブリング(bubbling)した後、potassium tert-butoxide(1.0M in THF、1.5mL)を0℃下で徐々に滴加した。TLCで反応が終結されたことを確認した後、EtOAcで薄め、saturated aqueous NHCl solutionを用いて反応を終結した。EtOAcと水とで生成物を有機層に抽出した後、MgSOを用いて脱水し、濾過した濾液を減圧蒸留した後、flash column chromatographyを用いて精製して中間体化合物27を合成した(18.1mg、12%)。
【0075】
3-3.化合物3の合成
【0076】
中間体化合物27(10.0mg、0.018mmol)を出発物質として、化合物1と同じ方法を通じて化合物3を最終的に収得した(6mg、67%);H NMR(400MHz、Methanol-d4)δ9.05(d、J=3.7Hz、1H)、8.35(dt、J=7.9、2.7Hz、1H)、8.21(dd、J=8.9、3.3Hz、1H)、7.87(dd、J=3.5、1.7Hz、1H)、7.82-7.72(m、2H)、7.67(d、J=10.2Hz、1H)、7.09(t、J=2.8Hz、1H)、7.06-6.98(m、1H)、4.17-4.11(m、1H)、4.10-4.02(m、2H)、3.77-3.70(m、2H)、2.88(d、J=7.0Hz、1H)、2.36(q、J=2.5Hz、3H)、2.03(s、1H)、1.31(s、1H)、0.83(d、J=6.6Hz、2H)、0.66(d、J=5.7Hz、2H)。
【0077】
[実施例4]
【0078】
3-(5-(1H-インドール-3-カルボニル)ピリジン-2-イル)-N-シクロプロピル-5-フルオロ-4-メチルベンズアミド((3-(5-(1H-indole-3-carbonyl)pyridin-2-yl)-N-cyclopropyl-5-fluoro-4-methylbenzamide、化合物4)の製造
【0079】
【化11】
【0080】
本発明の化合物4は、下記製造式4によって製造された。
【0081】
[製造式4]
【化12】
【0082】
試薬及び条件:(a)Pd(PPh、KCO、ジメトキシエタン、トルエン、イソプロピルアルコール、HO、MW、84%。
【0083】
中間体化合物10(48mg、0.15mmol)と中間体化合物17(30mg、0.1mmol)、Pd(PPh(11.6mg、0.01mmol)、KCO(28mg、0.2mmol)とを入れた反応容器に(ジメトキシエタン:トルエン:イソプロピルアルコール:HO=10:1:3:6)に混合した溶媒2mLを滴加した後、アルゴン置換し、容器をMicrowave reactorで130℃で30分間反応を進めた。反応が終わった混合物を室温に冷やした後、水を用いて反応を終結し、EtOAcとHOとで生成物を有機層に抽出した後、MgSOを用いて脱水した。濾過した濾液を減圧蒸留した後、flash column chromatographyを用いて精製して化合物4を最終的に収得した(34.8mg、84%);H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ12.25(s、1H)、9.07(s、1H)、8.60(d、J=3.7Hz、1H)、8.31(d、J=7.5Hz、2H)、8.14(s、1H)、7.85(s、1H)、7.80(d、J=8.0Hz、1H)、7.72(d、J=10.9Hz、1H)、7.55(d、J=8.5Hz、1H)、7.34-7.25(m、2H)、2.87(dq、J=7.6、4.2、3.3Hz、1H)、2.34(s、3H)、0.75-0.67(m、2H)、0.61-0.57(m、2H)。
【0084】
[実施例5]
【0085】
3-(5-(1-ベンジル-1H-インドール-3-カルボニル)ピリジン-2-イル)-N-シクロプロピル-5-フルオロ-4-メチルベンズアミド((3-(5-(1-Benzyl-1H-indole-3-carbonyl)pyridin-2-yl)-N-cyclopropyl-5-fluoro-4-methylbenzamide、化合物5)の製造
【0086】
【化13】
【0087】
本発明の化合物5は、下記製造式5によって製造された。
【0088】
[製造式5]
【化14】
【0089】
試薬及び条件:(a)Pd(PPh、KCO、DMF、90℃、94%。
【0090】
中間体化合物18(24.6mg、0.063mmol)を出発物質として、中間体化合物22と同じ方法を通じて化合物5を最終的に収得した(29.7mg、94%);H NMR(400MHz、Chloroform-d)δ9.13(dd、J=2.2、0.9Hz、1H)、8.48(dd、J=8.2、1.7Hz、1H)、8.23(dd、J=8.0、2.2Hz、1H)、7.69(s、1H)、7.62-7.52(m、3H)、7.43-7.25(m、6H)、7.17(dd、J=7.5、2.0Hz、2H)、6.35(s、1H)、5.41(s、2H)、2.98-2.82(m、1H)、2.35(d、J=2.5Hz、3H)、0.96-0.81(m、2H)、0.67-0.55(m、2H)。
【0091】
[実施例6]
【0092】
N-シクロプロピル-3-(5-(1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-1H-インドール-3-カルボニル)ピリジン-2-イル)-5-フルオロ-4-メチルベンズアミド(N-Cyclopropyl-3-(5-(1-(2,3-dihydroxypropyl)-1H-indole-3-carbonyl)pyridin-2-yl)-5-fluoro-4-methylbenzamide、化合物6)の製造
【0093】
【化15】
【0094】
本発明の化合物6は、下記製造式6によって製造された。
【0095】
[製造式6]
【化16】
【0096】
試薬及び条件:(a)(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル4-メチルベンゼンスルホン酸、NaH、DMF、90℃、19%;(b)p-TsOH、HO、MeOH、50℃、62%。
【0097】
6-1.中間体化合物28の合成
【0098】
化合物4(50mg、0.121mmol)をdry DMF 1.5mLに溶かした後、NaH(60% dispersion in mineral oil、7.24mg、0.181mmol)を0℃下に入れ、アルゴン置換後、撹拌した。10分後、(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル4-メチルベンゼンスルホン酸(52.0mg、0.181mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(catalytic amount)を入れ、90℃まで徐々に温度を上げ、反応を進めた。TLCを確認して出発物質が消えれば、混合物の温度を室温に冷やし、saturated aqueous NHCl solutionを用いて反応を終結し、EtOAcとbrineとで生成物を有機層に抽出した後、MgSOを用いて脱水した。濾過した濾液を減圧蒸留した後、flash column chromatographyを用いて精製して中間体化合物28を合成した(13.5mg、19%)。
【0099】
6-2.化合物6の合成
【0100】
中間体化合物28(12mg、0.023mmol)を出発物質として、化合物1と同じ方法を通じて化合物6を最終的に収得した(7mg、62%);H NMR(500MHz、Chloroform-d)δ9.11(s、1H)、8.48-8.44(m、1H)、8.22(dd、J=8.1、2.2Hz、1H)、7.76(s、1H)、7.59(s、1H)、7.56(s、1H)、7.54(s、1H)、7.48-7.43(m、1H)、7.38(dd、J=6.2、3.1Hz、2H)、6.35(s、1H)、4.39(dd、J=14.5、4.4Hz、1H)、4.26(dd、J=14.5、7.3Hz、1H)、4.16(s、1H)、3.76(d、J=10.7Hz、1H)、3.58(s、1H)、2.89(dd、J=7.0、3.5Hz、1H)、2.52(s、1H)、2.35(d、J=2.4Hz、3H)、1.40(m、1H)、0.87(d、J=6.0Hz、2H)、0.63(d、J=8.1Hz、1H)。
【0101】
[実験例1]
【0102】
Calculated LogP(CLogP)を通じた脂質親和性の評価
【0103】
Chemdrawソフトウェアを用いて化合物1から化合物6まで構造式を書き込んだ後、CLogP値を確認し、その結果を下記表2に示した。
【0104】
【表2】
【0105】
前記表2に示すように、従来の薬物を調査して作成されたLipinski’s rule of fiveによれば、CLogPが5未満である場合、経口投与されやすい薬物の特徴を有する。したがって、本発明の化合物は、経口投与薬物として開発可能であることが分かる。
【0106】
[実験例2]
【0107】
p38α MAPK(mitogen-activated protein kinase)阻害能の評価
【0108】
p38 MAPKを阻害する能力を確認するために、化合物1ないし化合物5を希釈して濃度による阻害効果を確認した。簡略に、1000、333、111、37.0、12.3、4.12、1.37、0.457、0.152、0.0495nMの濃度で化合物を希釈した後、それぞれpeptide/kinase混合物(最終7.07-28.3ng p38 alpha、2μM Serine/Threonine 15、50mM HEPES pH7.0、0.01% NaN)とATP溶液とを入れた。1時間常温で反応させた後、development試薬を入れ、1時間常温で再び反応させた。445nmと520nmとの波長でKinase阻害能を確認し、その結果を下記表3に示した。
【0109】
【表3】
【0110】
前記表3に示すように、本発明の化合物は、200nM以下の濃度でp38 alphaを50%抑制する強力な阻害剤であるということを確認した。
【0111】
[実験例3]
【0112】
細胞でのp38 MAPKタンパク質抑制能の評価
【0113】
p-p38 MAPKの抑制を確認するために、p-p38 MAPK活性によって炎症を誘発するマクロファージ(macrophage)を癌細胞化させたRaw264.7細胞に各化合物を処理した後、p38 MAPKの抑制を確認した。簡略に、Raw264.7細胞を10%ウシ胎児血清及びpenicillin/streptomycin(100U/ml)が補充されたDulbecco’s modified Eagle Mediumで培養した。培養皿でRaw264.7細胞に本発明による化合物1ないし化合物5を1μMずつ処理してCO培養器で24時間培養した後、LPS 100ng/mlずつ処理してCO培養器で6時間追加培養した。
【0114】
実験の条件によって細胞の培養終了後、冷たいphosphate buffered saline(PBS)で洗浄した。以後、細胞を回収して1200rpmで3分間遠心分離した。沈殿物を2X sample buffer(1M Tris-HCl pH6.8、50% Glycerol、10% SDS、2-mercaptoethanol、1% bromophenol blue)で細胞を溶解し、100℃で10分間煮込んだ。製造されたタンパク質サンプルをSodium Dodecyl sulfate poly acrylamide gel electrophoresisし、PVDF membrane(Millipore)に移した。PVDF membraneのタンパク質と抗体との間の特異的結合反応のために、5% bovine serum albumin(BSA、RMbio)溶液でブロッキング(blocking)を行った。引き続き、BSA溶液を廃棄し、membraneをPBS-T(0.5% tween 20 in PBS)で洗浄した。Membraneのタンパク質とantibodyの結合反応を4℃で一晩中行い、PBS-Tで再び洗浄した。最後に、Horse radish peroxidase(HRP)が接合された2次抗体(Cell signaling Technology)をPBS-Tに希釈し、室温で2時間反応させた。Luminata Forte HRP substrate(Millipore)を使用してmembraneのタンパク質量を確認し、その結果を下記表4に示した。
【0115】
【表4】
【0116】
前記表4に示すように、免疫ブロットの結果、本発明の化合物は、1μMの濃度で細胞内のp38リン酸化を効果的に抑制することを確認した。
【0117】
[実験例4]
【0118】
炎症反応によるサイトカインmRNA発現抑制能の評価
【0119】
p-p38 MAPKの抑制を確認するために、p-p38 MAPK活性によって炎症を誘発するマクロファージを癌細胞化させたRaw264.7細胞に各化合物を処理した後、p38 MAPKの抑制を確認した。簡略に、Raw264.7細胞を10%ウシ胎児血清及びpenicillin/streptomycin(100U/ml)が補充されたDulbecco’s modified Eagle Mediumで培養した。培養皿でRaw264.7細胞に本発明による化合物1ないし化合物5を1μMずつ処理してCO培養器で24時間培養した後、LPS 100ng/mlずつ処理してCO培養器で24時間追加培養した。
【0120】
実験の条件によって細胞の培養終了後、冷たいphosphate buffered saline(PBS)で洗浄した。以後、細胞を回収して1200rpmで3分間遠心分離した。RNAは、Hybrid-R total RNA purification kit(GeneAll(登録商標)、305-101)から提供する方法によって抽出した。Nanodropを用いてRNAの濃度と純度とを測定した後、TOPscript RT DryMIX(Enzynomics、RT200)から提供する方法によってcDNAを合成した。cDNAは、Primerと共にSYBR Green Mixを用いて95℃で3分反応後、95℃で10秒、55℃で10秒、72℃で30秒反応を30回繰り返してRNA発現量を確認した。その結果を下記表5及び表6、及び図1及び図2に示した。
【0121】
【表5】
【0122】
【表6】
【0123】
前記表5及び表6、及び図1及び図2に示すように、本発明の化合物は、炎症反応を発生させるサイトカインIL-1β、TNFαのmRNA発現を抑制することを確認し、本発明の化合物は、p38の抑制を通じて炎症性サイトカインの生成を抑制することが分かる。
【0124】
[実験例5]
【0125】
細胞炎症反応によるTNFα抑制能の評価
【0126】
p-p38 MAPKの抑制を確認するために、p-p38 MAPK活性によって炎症を誘発するマクロファージを癌細胞化させたRaw264.7細胞に各化合物を処理した後、p38 MAPKの抑制を確認した。簡略に、Raw264.7細胞を10%ウシ胎児血清及びpenicillin/streptomycin(100U/ml)が補充されたDulbecco’s modified Eagle Mediumで培養した。培養皿でRaw264.7細胞に本発明による化合物1ないし化合物5を1μMずつ処理してCO培養器で24時間培養した後、LPS 100ng/mlずつ処理してCO培養器で24時間追加培養した。
【0127】
実験の条件によって細胞の培養終了後、上澄み液を取得して1200rpmで3分間遠心分離した。遠心分離した上澄み液をantibodyがコーティングされたplateに分注した後、常温で2時間反応させ、PBS-T(0.5% tween 20 in PBS)で洗浄した。HRPが含まれたdetection antibodyを分注した後、常温で1時間反応させ、450nmの波長でタンパク質量を確認し、その結果を下記表7に示した。
【0128】
【表7】
【0129】
前記表7に示すように、本発明の化合物は 炎症反応を発生させるサイトカインTNFαの発生を抑制し、本発明の化合物は、p38抑制を通じて炎症反応を抑制することが分かる。
【0130】
[実験例6]
【0131】
脳由来の細胞でのp38 MAPKタンパク質抑制能の評価
【0132】
脳細胞でのp-p38 MAPKの抑制を確認するために、ヒトのneuronを癌細胞化させたSH-SY5Y細胞に各化合物を処理した後、炎症を誘発させてp38 MAPKの抑制を確認した。簡略に、SH-SY5Y細胞を10%ウシ胎児血清及びpenicillin/streptomycin(100U/ml)が補充されたMinimum essential medium/Eagle’s balanced saltsで培養した。培養皿でSH-SY5Y細胞に本発明による化合物4及び化合物6を1μMずつ処理してCO培養器で24時間培養した後、LPS 1000ng/mlずつ処理してCO培養器で6時間追加培養した。
【0133】
実験の条件によって細胞の培養終了後、冷たいphosphate buffered saline(PBS)で洗浄した。以後、細胞を回収して1200rpmで3分間遠心分離した。沈殿物を2X sample buffer(1M Tris-HCl pH6.8、50% Glycerol、10% SDS、2-mercaptoethanol、1% bromophenol blue)で細胞を溶解し、100℃で10分間煮込んだ。製造されたタンパク質サンプルをSodium Dodecyl sulfate poly acrylamide gel electrophoresisし、PVDF membrane(Millipore)に移した。PVDF membraneのタンパク質と抗体との間の特異的結合反応のために、5% bovine serum albumin(BSA、RMbio)溶液でブロッキングを行った。引き続き、BSA溶液を廃棄し、membraneをPBS-T(0.5% tween 20 in PBS)で洗浄した。Membraneのタンパク質とantibodyの結合反応を4℃で一晩中行い、PBS-Tで再び洗浄した。最後に、Horse radish peroxidase(HRP)が接合された2次抗体(Cell signaling Technology)をPBS-Tに希釈し、室温で2時間反応させた。Luminata Forte HRP substrate(Millipore)を使用してmembraneのタンパク質量を確認し、その結果を下記表8に示した。
【0134】
【表8】
【0135】
前記表8に示すように、免疫ブロットの結果、本発明の化合物4及び化合物6は、1μMの濃度でヒト由来の細胞内のp38リン酸化を効果的に抑制することを確認した。
【0136】
[実験例7]
【0137】
正常脳細胞でのp38 MAPKタンパク質抑制能の評価
【0138】
癌細胞ではなく正常細胞でのp-p38 MAPKの抑制を確認するために、ICRマウスの大脳から採取したneuron細胞に各化合物を処理し、炎症を誘発してp38 MAPKの抑制を確認した。簡略に、妊娠して17-18日程度過ぎたICRマウスの胎児の大脳からneuronを採取して、2% B27 supplements、2mM glutamine及びpenicillin/streptomycin(100U/ml)が補充されたNeurobasal Mediumで7日間培養した。培養皿でprimary neuronに本発明による化合物4及び化合物6を1μMずつ処理してCO培養器で24時間培養した後、LPS 1000ng/mlずつ処理してCO培養器で6時間追加培養した。
【0139】
実験の条件によって細胞の培養終了後、冷たいphosphate buffered saline(PBS)で洗浄した。以後、細胞を回収して1200rpmで3分間遠心分離した。沈殿物を2X sample buffer(1M Tris-HCl pH6.8、50% Glycerol、10% SDS、2-mercaptoethanol、1% bromophenol blue)で細胞を溶解し、100℃で10分間煮込んだ。製造されたタンパク質サンプルをSodium Dodecyl sulfate poly acrylamide gel electrophoresisし、PVDF membrane(Millipore)に移した。PVDF membraneのタンパク質と抗体との間の特異的結合反応のために、5% bovine serum albumin(BSA、RMbio)溶液でブロッキングを行った。引き続き、BSA溶液を廃棄し、membraneをPBS-T(0.5% tween 20 in PBS)で洗浄した。Membraneのタンパク質とantibodyの結合反応を4℃で一晩中行い、PBS-Tで再び洗浄した。最後に、Horse radish peroxidase(HRP)が接合された2次抗体(Cell signaling Technology)をPBS-Tに希釈し、室温で2時間反応させた。Luminata Forte HRP substrate(Millipore)を使用してmembraneのタンパク質量を確認し、その結果を下記表9に示した。
【0140】
【表9】
【0141】
前記表9に示すように、免疫ブロットの結果、本発明の化合物4及び化合物6は、1μMの濃度で癌細胞ではなく正常細胞でも炎症によるp38リン酸化を効果的に抑制することを確認した。
【0142】
[実験例8]
【0143】
炎症反応によるサイトカインmRNA発現抑制能の評価
【0144】
p-p38 MAPKの抑制を確認するために、脳内でp-p38 MAPK活性によって炎症を誘発するミクログリア(microglia)を癌細胞化させたBV2細胞に各化合物を処理した後、p38 MAPKの抑制を確認した。簡略に、BV2細胞を10%ウシ胎児血清及びpenicillin/streptomycin(100U/ml)が補充されたDulbecco’s modified Eagle Mediumで培養した。培養皿でBV2細胞に本発明による化合物4及び化合物6を1μMずつ処理してCO培養器で24時間培養した後、LPS 1000ng/mlずつ処理してCO培養器で24時間追加培養した。
【0145】
実験の条件によって細胞の培養終了後、冷たいphosphate buffered saline(PBS)で洗浄する。以後、細胞を回収して1200rpmで3分間遠心分離した。RNAは、Hybrid-R total RNA purification kit(GeneAll(登録商標)、305-101)から提供する方法によって抽出した。Nanodropを用いてRNAの濃度と純度とを測定した後、TOPscript RT DryMIX(Enzynomics、RT200)から提供する方法によってcDNAを合成した。cDNAは、Primerと共にSYBR Green Mixを用いて95℃で3分反応後、95℃で10秒、55℃で10秒、72℃で30秒反応を30回繰り返してRNA発現量を確認した。その結果を下記表10ないし表12、及び図3ないし図5に示した。
【0146】
【表10】
【0147】
【表11】
【0148】
【表12】
【0149】
前記表10ないし表12、及び図3ないし図5に示すように、本発明の化合物は、炎症サイトカインIL-1β、TNFα及びIL-6のmRNAの発生を抑制し、本発明の化合物は、p38抑制を通じて炎症サイトカインの発現を抑制することが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
は、H、ハロゲン、または-C-C アルキルであり
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
試薬及び条件:(a)N-ヨードスクシンイミド、硫酸、HO、r.t.、85%;(b)シクロプロピルアミン、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物、DMF、r.t、82%;(c)bis(pinacolato)diboron、PdCl(dppf)、KOAc、DMF、90℃、50%。
【国際調査報告】