IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ネステ オイル オサケ ユキチュア ユルキネンの特許一覧

<>
  • 特表-廃プラスチックを処理する方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】廃プラスチックを処理する方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 67/12 20060101AFI20240703BHJP
   C10G 45/08 20060101ALI20240703BHJP
   C10G 47/16 20060101ALI20240703BHJP
   C10G 45/58 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
C10G67/12
C10G45/08 Z
C10G47/16
C10G45/58
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024503480
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 FI2022050501
(87)【国際公開番号】W WO2023002092
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】20215816
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505081261
【氏名又は名称】ネステ オサケ ユキチュア ユルキネン
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケッツネン、ミカ ペー
(72)【発明者】
【氏名】コイブサルミ、エイヤ
(72)【発明者】
【氏名】パーシカッリオ、ビッレ
(72)【発明者】
【氏名】アールト、ペッカ
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA02
4H129CA07
4H129CA09
4H129CA22
4H129DA20
4H129KA06
4H129KA10
4H129KA11
4H129KA12
4H129KB03
4H129KC03X
4H129KC03Y
4H129KC10X
4H129KC13X
4H129KC13Y
4H129KD15X
4H129KD16X
4H129KD16Y
4H129KD22X
4H129KD24X
4H129KD24Y
4H129KD25X
4H129KD26X
4H129MA01
4H129MA07
4H129MA12
4H129MB14A
4H129MB20B
4H129NA02
4H129NA04
4H129NA22
4H129NA23
4H129NA25
(57)【要約】
液化廃プラスチック(LWP)を精製された炭化水素の混合物にアップグレードする方法が本発明により提供される。該方法は、混合ストリームを生成するために、液化廃プラスチック(LWP)および真空ガスオイル(VGO)ストリームおよび/または重質ガスオイル(HGO)ストリームを含むフィードを供給すること、不純物の除去のためおよび水素化処理ストリームを生成するために、混合ストリームを水素化処理に付すこと、精製された炭化水素の混合物を含む水素化分解されたストリームを生成するために、前記水素化処理されたストリームを水素化分解に付すこと、精製された炭化水素の混合物を含む水素化分解されたストリームを分留することの工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化廃プラスチック(LWP)を精製された炭化水素の混合物にアップグレードする方法であって、以下:
混合ストリームを生成するために、液化廃プラスチック(LWP)および真空ガスオイル(VGO)ストリームおよび/または重質ガスオイル(HGO)ストリームを含むフィードを供給すること、
不純物の除去のためおよび水素化処理ストリームを生成するために、前記混合ストリームを水素化処理に付すこと、
精製された炭化水素の混合物を含む水素化分解されたストリームを生成するために、前記水素化処理されたストリームを水素化分解に付すこと、
精製された炭化水素の混合物を含む前記水素化分解されたストリームを分留すること
を含む方法。
【請求項2】
前記混合ストリームが、総計のストリームおよびVGOおよび/またはHGOストリームであるバランスを基準として1~40wt.%のLWP、好ましくは5~30wt.%のLWP、およびより好ましくは5~25wt.%のLWPを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記LWPが、廃プラスチックを熱分解することによって製造される請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記熱分解された廃プラスチックが、1つまたはそれ以上のLWP留分に分留され、および、少なくとも1つのLWP留分が水素化処理されるフィード中で使用される請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記LWPが、前記水素化処理工程の前に前処理に付される請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記水素化処理が、前記混合ストリームを水素化処理する前に少なくとも1つのガード床の使用を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記水素化処理および前記水素化分解が、水素化処理セクションに続いて水素化分解セクションを有する1つの容器に配置された1つのユニットで実施される請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記水素化処理が、アルミナ担体(Al23)に担持された硫化NiMo、CoMoおよびそれらの組み合わせから選択される触媒の存在下で行われる請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記水素化処理が、以下の条件:
250~450℃、好ましくは330~420℃、およびより好ましくは390~410℃の温度;
30~250バール(3~25MPa)、好ましくは130~180バール(13~18MPa)、およびより好ましくは145~155バール(14.5~15.5MPa)の圧力;
500~2000 l:l、好ましくは約900~1300 l:l、およびより好ましくは約1000~1200 l:lのオイルに対する水素比;ならびに
約0.2~10.0 1/h、好ましくは1.5~2.7 1/h、およびより好ましくは1.8~2.5 1/hの炭化水素液体時空間速度(LHSV)
で行われる請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記水素化分解が、酸性担体および活性水素化成分を含む官能性触媒の存在下で行われ、好ましくは、酸性担体はアルミナ、アモルファスシリカ-アルミナまたはゼオライトであり、活性水素化成分はNiMo、NiW、PdまたはPtである請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記水素化分解が、以下の条件:
330~450℃、好ましくは370~420℃、およびより好ましくは390~410℃の温度;
50~250バール(5~25MPa)、好ましくは140~160バール(14~16MPa)、およびより好ましくは145~155バール(14.5-15-5MPa)の圧力;
500~2000 l:l、好ましくは約900~1300 l:l、およびより好ましくは1000~1200 l:lのオイルに対する水素比;ならびに
約0.5~5.0 1/h、好ましくは1.0~2.51/h、およびより好ましくは1.4~1.9 1/hの炭化水素液体時空間速度(LHSV)
で行われる請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記精製された炭化水素の混合物を含む前記水素化分解されたストリームの前記分留が、より軽質な留分およびより重質な留分の少なくとも2つの留分が形成されるように行われる請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記分留が、少なくとも3つの留分が形成されるように行われ、前記3つの留分のうち、第1のより重質な留分は、380℃より高い5wt.%蒸留ポイントを有する成分の留分であり、および、第2のより重質な留分は、330~410℃の範囲の5~95wt.%蒸留範囲を有する成分の留分であり、および、第3の留分は、370℃より低い95wt.%蒸留ポイントを有する留分である請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、製造された前記精製された炭化水素の混合物の異性化を、前記製造された前記精製された炭化水素の混合物を分留する工程の前、または、前記製造された前記精製された炭化水素の混合物を分留する工程の後のいずれかで含む請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の方法によって製造される精製された炭化水素生成物であって、水蒸気分解における使用に適切な不純物レベルを有している炭化水素成分を含む精製された炭化水素生成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチックまたは再生プラスチックを改良する方法に関する。特に本発明は、精製された炭化水素の混合物を製造する方法に関し、ここで炭化水素は特に基油成分として好適である。したがって、液化廃プラスチック(LWP)および真空ガス油(VGO)/重質ガス油(HGO)フィードから精製された炭化水素の混合物が製造される方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
環境への懸念と化石由来のフィードストックの使用を制限したいという願いから、廃プラスチックの利用可能性を開発する必要性が生じている。プラスチックを構成するポリマーの多くは非常に安定していて、自然界では分解されないため、廃プラスチックは増大しつつある環境への懸念である。廃プラスチックの焼却は温室効果ガスを増加させ、大気や土地の汚染という形で他の環境問題にもつながる。廃プラスチックの焼却は、たとえ熱という形でエネルギーが回収されたとしても、貴重な原料の浪費であると考えられている。
【0003】
プラスチックやポリマーは、主に炭素、水素、および例えば酸素および/または窒素などのヘテロ原子で構成されている。しかし、廃プラスチックには金属および塩素などの他の供給源からの不純物も多く含まれている。廃プラスチックを利用して様々な炭化水素成分を製造することへの関心が高まっている。燃料は炭化水素の混合物であるが、廃プラスチックから液体燃料を製造することは、一般的に有用とは考えられていない。廃プラスチックの直接焼却もまたエネルギーを生成し、これは回収され得、そして暖房および/または発電などに利用することができる。したがって、廃プラスチックを高級炭化水素成分にアップグレードする必要性があり、これらは新しいプラスチック、化学物質、またはその他の材料の生産に利用され得る。
【0004】
潤滑および他の目的のために使用されるベースオイルは、廃プラスチックからからの潜在的な炭化水素製品である。しかし、基油の特性、特に粘度および低温流動性に関する高い要求がある。ベースオイルは、その特性および潜在的な用途に基づいて別々のグループに分けられる。
【0005】
特許文献1には、オイルベース成分を製造する方法が記載されており、この方法は、真空ガス油(VGO)およびワックスをフィード中のマイナー成分として供給し、およびフィードを水素化分解に付し、およびさらにベースオイルおよび中間留分を提供するために塔底留分を脱ろう工程に付す供給することを含む。
【0006】
廃プラスチックの熱分解から炭化水素油を製造するプロセスが、特許文献2に記載されている。開示されたプロセスは、塩素および有機物を除去するために廃プラスチックの溶融すること、凝縮されおよび炭化水素油を形成する炭化水素ガスを形成するために、加熱されたスクリュー熱分解反応器へ溶融廃プラスチックを移送することを含む。
【0007】
液化廃プラスチック(LWP)は、バージン化石油フィードストックの使用を代替するための様々な用途における望ましいリサイクルフィードストックであるが、LWPには依然として不純物が含まれており、LWPを含むストリームの、フィードストックとしての使用を制限していており、また、より向上した特性を有するベースオイル成分のためのより増大する要求が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第3081623号明細書
【特許文献2】米国特許第10246643号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、上記の課題を克服するための方法および精製された炭化水素生成物を提供することである。本発明の目的は、独立請求項に記載されていることを特徴とする方法およびアレンジメントによって達成される。本発明の好ましい実施形態は従属請求項に開示されている。
【0010】
したがって、本発明の目的は、液化廃プラスチック(LWP)を精製された炭化水素の混合物にアップグレードする方法を提供することであり、該方法は以下:
混合ストリームを生成するために、液化廃プラスチック(LWP)および真空ガスオイル(VGO)ストリームおよび/または重質ガスオイル(HGO)ストリームを含むフィードを供給すること、
不純物の除去のためおよび水素化処理ストリームを生成するために、前記混合ストリームを水素化処理に付すこと、
精製された炭化水素の混合物を含む水素化分解されたストリームを生成するために、前記水素化処理されたストリームを水素化分解に付すこと、
精製された炭化水素の混合物を含む水素化分解されたストリームを分留すること
を含む。
【0011】
本発明の方法の一般的な利点は、廃プラスチックを価値ある製品に改良できることである。本発明の方法のさらなる利点は、ベースオイル成分および中間留分燃料成分の製造に適した価値ある炭化水素が得られることである。
【0012】
以下では、添付の図面を参照して、好ましい実施形態により本発明がより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の具体的な実施形態の概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、液化廃プラスチック(LWP)および真空ガス油(VGO)および/または重質ガス油(HGO)ストリームを含むフィードから、精製された炭化水素の混合物を製造する方法に関する。「液化廃プラスチック(liquefied waste plastic)」という用語は、あらゆる廃プラスチックから非酸化的熱分解プロセスを通じて製造される液体生成物を意味する。典型的には、液化廃プラスチックは廃プラスチックの熱分解によって製造される。LWPは、幅広い炭素鎖長を有する炭化水素質有機成分の混合物である。LWPの炭素鎖長と化学構造、ひいては特性は、製造に使用されるプラスチック(ポリマー)の種類および液化条件によって異なる。液化方法のための典型的な廃プラスチックフィードストックは、様々な量のポリプロピレン、ポリスチレン、およびその他の微量な成分、例えばポリアミド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリ塩化ビニルなどと共に主にポリエチレンを含む。
【0015】
本発明の一実施態様において、液化廃プラスチックは、廃プラスチックを熱分解し、および続いて熱分解された廃プラスチックを分留することによって得られ、ここで、分留の塔底重質留分は、本発明の方法の液化廃プラスチックフィードを構成する。LWPは通常、約40℃~550℃の沸点範囲を有し、これはC5~C55の炭素鎖長にほぼ対応する。転換技術に依存して、LWPの最終沸点は750℃まで上がり得る。
【0016】
LWPは様々なポリマーの熱分解生成物であり、ならびに、主にパラフィン、オレフィン、ナフテン、および芳香族炭化水素の複雑な混合物である。オレフィンの総計の量は通常40wt.%~60wt.%と高く、一方、芳香族炭化水素の量は通常20wt.%より低い。LWPはまた、酸素、窒素、塩化物および硫黄などのヘテロ原子を、ヘテロ原子置換基を持つ有機化合物の形で含む。ヘテロ原子の量は、LWPの製造に使用されるポリマーによって異なる。通常、LWP製品から水は除去されるが、LWP中に溶存水が残っている場合もある。
【0017】
液化廃プラスチックは、本発明による水素化処理の前に前処理プロセスに付され得る。
【0018】
水素化処理に付されるフィードはまた、真空ガスオイル(VGO)ストリームを含む。用語「真空ガスオイルストリーム(vacuum gas oil stream)」または「VGO」ストリームとは、本明細書において、石油精製所の減圧蒸留ユニットから蒸留物として回収される重質油のストリームを意味する。加えて、またはVGOの代替として、水素化処理に供されるフィードはまた、VGOと同様の特性を有するが、減圧蒸留ではなく常圧原油蒸留から得られる重質ガス油(HGO)を含むこともできる。以降、VGOおよび/またはHGOを含むストリームが「VGO/HGOストリーム」と称される。
【0019】
VGO/HGOストリームには、大量の環式化合物および芳香族化合物、ならびに例えば硫黄および窒素などのヘテロ原子、およびその他のさらに重質な化合物が含まれる。VGO/HGOストリームの正確な組成は、石油蒸留に使用される原油ソースおよびVGO/HGOカットオフによって異なる。VGO/HGOストリームとの用語、またはより一般的にはVGOおよびHGOとの用語は、石油精製技術ではよく知られている。驚くべきことに、LWPはVGO/HGOストリームとよく混合し、ならびに、LWPをVGO/HGOストリームと混合することが精製プロセスおよび最終製品の品質を向上させたことが判明した。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、本発明による方法の総計のフィード中のLWPの量は、全フィードを基準として1wt.%~40wt.%である。好ましくは、全フィード中のLWPの量は、5wt.%~30wt.%であり、および、より好ましくは5wt.%~25wt.%である。
【0021】
LWPは、廃プラスチックの供給源によって、有機または無機の塩化物の形で、かなりの量の塩素を含む可能性がある。塩化物を含む化合物は、精製作業中に塩化水素(HCl)に転換される可能性があり、およびHClはよく知られた腐食剤である。したがって、LWPと一緒に石油精製プロセスに導入される塩化物の量は最小限に抑えるべきである。LWPストリームをVGO/HGOストリームと混合することで、水素化処理および水素化分解精製プロセス前の前処理が少なくて済むことが判明した。
【0022】
加えて、驚くべきことに、最初の水素化処理とそれに続く水素化分解を含む2段階処理に付されるLWPおよびVGO/HGOストリームの組み合わせを使用することにより、優れた粘度特性を有する炭化水素の混合物を製造できることが判明した。以下の実施例に示すように、VGO/HGOのストリームへのLWPの添加、次いでその混合物の水素化処理および水素化分解は、同一の方法で純粋なVGOから得られた生成物と比較して、著しく高い粘度指数を有する生成物を与えた。VGO/HGOのストリームへのLWPの添加により、APIグループIII+基油に要求されるような、130より高い粘度指数が、より低い水素化分解転化率でも達成され得た。
【0023】
当業者であれば、VGOおよびHGO、ならびにそれらから調製される任意の混合物の正確な組成および特性は、処理される原油の種類、および原油蒸留工程(常圧蒸留工程と減圧蒸留工程との両方を含む)の全体的な構成に依存することを理解するであろう。さらに、個々の蒸留工程は、下流の処理ユニットに由来する特定の要件により、特定の方法で構成または最適化される場合がある。それにもかかわらず、VGOおよびHGOは非常に類似したストリームであり、このため、LWPをこれらのストリームのどちらか、またはそれらの混合物に添加しても、同様の効果が生じることが予想される。
【0024】
米国石油協会(API)は、基油を特性と製造方法との両方に基づいて5つの主要グループに分類した。APIグループIIIは、VGO/HGOから得られる基油グループであり、粘度指数に対する要求が最も高い。グループIIIの粘度指数は120以上である。グループIII+は正式なAPIグループではないが、すでに確立されている。グループIII+の粘度指数要件は130以上である。
【0025】
廃プラスチックに含まれる不純物の量のため、他の多くのフィードに比べて典型的には低品質であるLWPから、高品質の基油を製造できる成分が得られることが、驚くべきことに発見された。LWPは、例えばスラックワックスフィードと比較して、塩化物などの不純物を顕著な量で含んでいる。LWP中の不純物の量が多いにもかかわらず、特許請求の範囲に記載された方法によって高品質の成分を得ることができた。これは、LWP分留後の塔底留分がフィードに使用される場合でさえも達成される。本発明の方法はフレキシブルであり、フィードの品質および特性に応じて容易に変更することができる。
【0026】
本発明の方法によれば、LWPおよびVGO/HGOストリームを含むフィードは、水素化処理ストリームを生成するために、水素化処理に付される。水素化処理は、例えば酸素、硫黄および/または窒素などのLWP中に存在し得る任意のヘテロ原子が除去される条件で実施することができる。ヘテロ原子の除去に加えて、水素化処理はまた、不飽和化合物(芳香族およびオレフィン)が存在する場合には、その完全な飽和または部分的な飽和をもたらす。水素化処理は、フィード中に存在する可能性のある例えば窒素、硫黄、ハロゲンよび金属などの不純物を除去するためにフィードに対して行われる。最初にVGO/HGOとLWPとを含むフィードに対して水素化処理を実施することにより、水素化分解プロセスの最適化が容易になることが、驚くべきことに判明した。
【0027】
水素化処理は、典型的には、触媒の存在下で行われる。触媒は、例えば、元素周期律表のIUPAC第6族、第8族または第10族から選択される少なくとも1つの成分を含むことができる。担持触媒を採用する場合、触媒は、好ましくは、担体上にMoおよび少なくとも1種のさらなる遷移金属を含む。このような担持触媒の例としては、担持NiMo触媒または担持CoMo触媒、または両者の混合物が挙げられる。担持触媒では、担体は好ましくはアルミナおよび/またはシリカを含む。これらの触媒は通常、触媒が活性(硫化)形態であることを保証するために、硫化触媒として実施される。触媒を活性(硫化)形態にすることは、触媒を予め(即ち、水素化処理反応を開始する前に)硫化することによって、および/または、硫黄含有(例えば、有機または無機の硫化物として硫黄を含有する)フィードを添加することによって達成することができる。フィードは最初から硫黄を含んでいてもよく、または硫黄添加剤をフィードに混合してもよい。好ましい実施形態では、水素化処理は触媒を使用し、および触媒は担持NiMo触媒であり、および担体はアルミナを含む(NiMo/Al23)、および/または、触媒は担持CoMo触媒であり、および担体はアルミナを含む(CoMo/Al23)。
【0028】
水素化処理は、固定床反応器における1つまたはそれ以上の層に水素化処理触媒を配置し、そしてLWPを含むフィードを水素と共に触媒の層を通過させることによって行うことができる。触媒はまた、傾斜触媒層に配置することもできる。水素化処理に適した触媒の配置および条件の代替案は、当業者に周知である。
【0029】
水素化処理は、任意の適切な水素化処理条件を用いて行うことができる。本発明の1つの実施態様において、水素化処理は、以下の条件を使用して実施される:250~450℃、好ましくは330~420℃、およびより好ましくは390~410℃の温度、圧力は30~250バール(3~25MPa)、好ましくは130~180バール(13~18MPa)、およびより好ましくは145~155バール(14.5~15.5MPa);500~2000 l:l、好ましくは約900~1300 l:l、およびより好ましくは約1000~1200 l:lのオイルに対する水素比;ならびに、約0.2~10.0 1/h、好ましくは1.5~2.7 1/h、およびより好ましくは1.8~2.5 1/hの炭化水素液体時空間速度(LHSV)。
【0030】
本発明の一実施形態において、水素化処理は、実際の水素化処理の前に少なくとも1つのガード床を使用することを含む。ガード床は、例えばケイ素、リン、塩化物および/または鉄などの不純物の除去を容易にさせることができる。
【0031】
オプションとしてガード床の使用を含む水素化処理段階は、基本的に不純物を除去することおよび二重結合を飽和させる2つの機能を有する。本質的な水素化分解段階の前に不純物を除去し、二重結合を飽和させることにより、フィードストックが標準化され、これは、水素化処理工程が水素化分解フィードにおける変化を除去することを意味している。これにより、水素化分解段階での条件は安定した状態に保たれ、および、フィードストック全体の変化に応じて条件を変更する必要がなくなる。水素化分解の前に行われる水素化分解工程は、水素化分解条件が高品質の炭化水素を生産するために最適化され得ることを確実にし、その炭化水素はさらに優れた特性を持つベースオイル成分に転換され得る。
【0032】
生成された水素化処理ストリームは、水素化分解ストリームとも称される精製された炭化水素の混合物を得るために水素化分解に付される。水素化分解工程では、水素化処理で除去されなかった例えばNおよびSなどのヘテロ原子が除去される。水素化分解では、主に、より大きな長鎖炭化水素がより小さな短鎖炭化水素に開裂され、および/または、環状炭化水素が開環して直鎖および/または分岐炭化水素が形成される。水素化分解は、典型的には、水素化分解触媒の存在下で行われる。この工程で使用するのに適した水素化分解触媒としては、例えばアルミナ、アモルファスシリカ-アルミナまたはゼオライトなどの酸性担体と、元素周期律表のIUPAC第6族、第8族または第10族から選択される少なくとも1種の活性水素化成分とを含む二官能性触媒が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な水素化分解触媒の例としては、NiW/Al23、NiW/ゼオライト、NiW/Al23-SiO2、Pt/ゼオライトまたはPd/ゼオライト、およびPt/Al23-SiO2またはPt/Al23-SiO2などが挙げられる。
【0033】
水素化分解触媒は、固定床反応器中の1層またはそれ以上に配置することができる。水素化処理されたストリームは、水素化分解ストリームを形成ために、水素と共に、層状の水素化分解触媒を有する固定床を通って導かれる。炭化水素の水素化処理ストリームを水素化分解するために適した触媒の配置および条件は、当業者によく知られている。
【0034】
水素化分解は、任意の適切な水素化分解条件を用いて行うことができる。本発明の一実施形態において、水素化分解は、以下の条件を用いて行われる:330~450℃、好ましくは370~420℃、およびより好ましくは390~410℃の温度;50~250バール(5~25MPa)、好ましくは140~160バール(14~16MPa)、およびより好ましくは145~155バール(14.5-15-5MPa);500~2000 l:l、好ましくは約900~1300 l:l、およびより好ましくは1000~1200 l:lのオイルに対する水素比;ならびに、約0.5~5.0 1/h、好ましくは1.0~2.51/h、およびより好ましくは1.4~1.9 1/hの炭化水素液体時空間速度(LHSV)。
【0035】
水素化分解の後、さらなる処理の前に軽質生成物の除去が行われてもよい。例えば分留など他の処理もまた可能である。
【0036】
水素化処理工程および水素化分解工程は、単一の反応器で実施することも、別々の反応器で実施することもできる。これら2つの工程が別々の反応器で実施される場合、水素化処理反応器は水素化分解反応器のすぐ上流に配置され、水素化処理と水素化分解の間に追加の工程はない。1つのオプションでは、水素化処理と水素化分解とは1つのユニットで実施され、このユニットは1つの容器に配置され、水素化処理セクションに続いて水素化分解セクションを有する。このユニットはまた、水素化処理セクションの前にまたはそれ以上の水素化処理ガード床を含むことができる。
【0037】
本発明による方法は、精製された炭化水素の混合物を含む水素化分解されたストリームを分留するステップをさらに含む。方法が異性化工程をさらに含む場合、分留工程は、異性化工程の前または異性化工程の後のいずれかで実施することができる。水素化分解において形成された炭化水素の混合物の分留は、典型的な蒸留方法によって行うことができ、蒸留において1つまたはいくつかの留分が得られ得る。本発明の一実施態様において、炭化水素の混合物は、少なくとも2つの留分、軽質留分および重質留分を得るために分留に供される。ここで、重質留分はベースオイル成分の製造に適した炭化水素からなり、および、軽質留分は燃料成分として、または、水蒸気分解およびそれに続くポリマー製造のためのフィードとして使用するのに適した炭化水素を含む。
【0038】
別の実施形態において、炭化水素の混合物の分留は、少なくとも3つの留分を得るように行われ、そのうちの第1および第2の留分は、ベースオイル成分を製造するのに適した炭化水素を含むより重質な留分であり、ならびに、第3の留分は、燃料成分として、または、水蒸気分解およびそれに続くポリマー製造のためのフィードとして使用するのに適したより軽質な留分である。第1のより重質な留分は、380℃より高い5wt.%蒸留ポイントを有する成分の留分であり得、および、第2のより重質な留分は、330~410℃の範囲の5~95wt.%蒸留範囲を有する成分の留分であり得、および、第3の留分は、前述の第1および第2のより重質な留分よりも軽質であり、かつ370℃より低い95wt.%蒸留ポイントを有する沸点分布を有する、燃料成分として、または、水蒸気分解およびそれに続くポリマー製造のためのフィードとして使用するのに適した留分であり得る。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、この方法は、第一の水素化処理とそれに続く水素化分解とを含む2工程処理によって製造された炭化水素の混合物の水素化異性化をさらに含む。炭化水素の水素化分解ストリームは、異性化または脱ろう工程に付され得る。あるいは、水素化分解工程の後の分留工程で回収された留分が、水素化異性化工程に付され得る。
【0040】
異性化工程において、直鎖n-パラフィンは、分岐パラフィン、いわゆるイソパラフィン(i-パラフィンとも称される)を提供するために、異性化される。水素化分解ストリームのn-パラフィンまたは炭化水素の異性化は好ましく、および、一般的に炭化水素の混合物の低温流動特性を改善する。異性化は一般的に異性化触媒の存在下で行われる。この処理工程を実施するために適した異性化触媒および条件は、当業者によく知られている。
【0041】
異性化は炭化水素の混合物を製造し、これらは任意には異性化後にさらに分留され得る。異性化された炭化水素は、軽質留分がストリームから除去されるように、蒸留により分留され得る。軽質留分が除去された残りのストリームは、さらなる分留に付される。異性化工程の後の蒸留または分留工程は、水素化分解後に得られる炭化水素の混合物が蒸留または分留工程に付されていない場合に特に有用である。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、液化廃プラスチック(LWP)は廃プラスチックの熱分解によって製造される。廃プラスチックは、どのような廃プラスチックでもよいが、産業または自治体のソースからリサイクルのために回収された廃プラスチックが好適である。廃プラスチックに含まれるポリマーの種類としては、主に低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロペンが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、例えばポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、テフロン(登録商標)などの他のポリマーが廃棄物中には含まれ得る。全体としては、炭素および水素のみを含むポリマーの量が最大であることが望ましいが、液化プロセスおよびその後の下流操作に依存して、様々な量のヘテロ原子不純物もまた許容され得る。
【0043】
本発明の一実施態様によれば、形成されたLWPは、フィードを水素化処理に付す前に、好ましくは蒸留によって分留される。LWPの分留において、軽質留分はLWPから除去され、ならびに、塔底留分は回収され、および水素化処理および水素化分解に付されるLWPを含むフィードを形成する。一実施形態において、形成されたLWPはまた、不純物を除去するための前処理プロセスに付される。
【0044】
さらに、本発明は、本発明の方法によって製造される、精製された炭化水素生成物もまた含む。精製された炭化水素生成物は、水蒸気分解での使用に適した不純物レベルを有する炭化水素成分を含む。水蒸気分解は、ポリマーの重合および製造に適したオレフィンおよび他の炭化水素を製造するために使用される。
【0045】
図1には、本発明の具体的な実施形態が概略プロセスとして描かれている。LWP(10)が、LWPとVGO/HGOストリームを含むフィードを形成するために、VGO/HGOストリーム(12)と混合(15)される。混合(15)は、ストリームを混合するための別個の容器で行われるか、または、単にLWP(10)のためのパイプをVGO/HGOストリーム(12)のパイプと組み合わせることによって行われ得、それによって混合はパイプ中および水素化処理(20)で行われる。混合されたストリーム(17)は水素化処理(20)に付される。水素化処理(20)の後、水素化処理されたストリーム(25)が製造され、これは水素化分解(30)に付される。水素化分解で製造された水素化分解ストリーム(35)は炭化水素の混合物を含む。水素化分解ストリーム(35)は、水素化分解ストリームから軽質留分(37)を分離するための蒸留工程(36)に付される。蒸留工程(36)の塔底留分(38)は、塔底留分(38)の異性化(42)に付される。異性化された塔底留分ストリーム(47)は、精製された炭化水素の混合物を含むストリームであり、および様々な留分が得られるさらなる分留(52)に付される。
【実施例
【0046】
実施例1
LWPの製造および蒸留
本実施例では、説明のために2つの別々なLWPサンプルが使用された。一つはポリエチレンに富んだ廃プラスチックフィードストックから製造され、もう一つはポリプロピレンに富んだ廃プラスチックフィードストックから製造された。元の廃プラスチックフィードストックが、2つのLWP粗油を得るためにバッチ式熱分解プロセスで転換された。プラスチックは、横型キルン型熱分解リアクターに投入され、これはその後約440℃まで徐々に加熱された。熱分解プロセスは、目に見える蒸気/ガスの発生がなくなるまで続けられた。平均反応温度は約400℃であった。熱分解蒸気は、粗LWP試料を製造するために、冷却され、および凝縮された。
【0047】
粗LWPサンプルは、20リットルのバッチ式蒸留装置を用いて減圧蒸留され、および、2つの留分、すなわちナフサレンジカット(約30℃~約190℃)と中間留分カット(約165℃~350℃)とが蒸留物として回収された。重質留分(350℃より高い)は、両LWPサンプルの蒸留塔底生成物として回収された。重質留分の収率は、PEリッチLWPで37wt.%、PPリッチLWPで23wt.%であった。2つのLWP重質留分は、さらなる処理の前に等しい割合(重量ベース)で混合された。
【0048】
方法と生成物分析
説明のため、VGO/HGOフィードのみ、ならびに、90wt.%のVGO/HGOおよび10wt.%のLWP重質留分を含むフィードが、本発明の方法、すなわちアルミナ担持遷移金属硫化物触媒(NiMo/Al23)を用いた水素化処理、およびその後の典型的な二官能性水素化分解触媒(ゼオライト担体上のNiW)を用いた水素化分解とに付された。重量時空間速度(WHSV)以外は、水素化処理(HT)と水素化分解(HC)との両工程で同じであった条件が表1に示されている。
【0049】
得られた水素化分解生成物が、343℃より高い留分の転換を決定するために、模擬蒸留(EN15199-2)を用いて分析された。両方の原料は、2つの異なる転換レベル(60%および75%)で水素化分解され、およびその後、異なる生成物留分(185~350℃、350~405℃、>405℃)に物理的に蒸留された。続いて、350~405℃および>405℃の生成物留分が、トルエンおよびメチルエチルケトンの50/50混合溶媒を用いて脱ろうされた。溶剤脱ろうされた生成物の粘度がENISO3104によって、粘度指数がASTM D2270によって、流動点がASTM D5950によって決定された。
【0050】
この実験の全体的な生成物分布が表1に示されているが、これは、10wt.%のLWPを水素化分解プロセスに組み入れても、最も望ましい生成物の留分、すなわち405℃より高いカットおよび385~405℃カットの収率には悪影響を及ぼさないことを示している。
【0051】
転換は343℃カットポイント(343+℃)で次のように計算された。
転換%[343℃]:
100-[100×(343℃より高い温度で沸騰する生成物)/(343℃より高い温度で沸騰する、フィード中の留分)]。
【0052】
したがって転換は、初めから343℃を超える沸点をもっていたフィード成分であって、プロセス中に343℃未満の沸点をもつ化合物に転換される割合を示す。したがって、転換が高いほど、ナフサ/ガソリン/中間留分の範囲の沸点をもつガスおよび液体炭化水素が多く生産されることを意味する。その結果、ベースオイルの生産に適した炭化水素の生産量は少なくなる。転換は主に反応温度を変えることによって影響され得、すなわち、温度の上昇は転換を増大させるであろう。
【0053】
【表1】
【0054】
表2は、溶剤脱ろう後の405℃より高い温度の留分の特性を示している。この結果は、10wt.%のLWP添加により、生成物の粘度指数が大幅に上昇したことを明確に示している。VGO/HGOのみをフィードとして使用した場合と比較して、この特定の留分の収率が実質的に同じままであったという事実と組み合わせると、LWP添加が生成物の品質にとって全体的に有益であることは明白である。当業者であれば、LWP含有フィードをより低い転換レベルで処理することにより、表1および表2に報告されている収率よりも高い収率で、130を超える粘度指数を有する製品を得ることができることも理解できよう。
【0055】
【表2】
【0056】
405℃より高い留分の状況とは対照的に、350~405℃の留分の特性は明確な変化を示さなかった。表3からわかるように、溶剤脱ろう後の粘度指数は、LWP添加の有無にかかわらず非常によく似ていた。
【0057】
【表3】
【0058】
2つのより重質な生成物留分に加えて、中間蒸留物留分(185~360℃)が異なる方法で分析された。その結果を表4に示すが、LWPの添加はこの生成物の密度を低下させ、およびセタン価を上昇させた。したがって、ある面では、LWP含有生成物は、例えばディーゼル燃料成分として使用する場合などに、より優れた特性を持つと考えられ得る。
【0059】
【表4】
【0060】
技術の進歩に伴い、本発明の概念を様々な方法で実施できることは当業者には明らかであろう。本発明およびその実施形態は、上述した例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で種々変形可能である。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化廃プラスチック(LWP)を精製された炭化水素の混合物にアップグレードする方法であって、以下:
混合ストリームを生成するために、液化廃プラスチック(LWP)および真空ガスオイル(VGO)ストリームおよび/または重質ガスオイル(HGO)ストリームを含むフィードを供給すること、
不純物の除去のためおよび水素化処理ストリームを生成するために、前記混合ストリームを水素化処理に付すこと、
精製された炭化水素の混合物を含む水素化分解されたストリームを生成するために、前記水素化処理されたストリームを水素化分解に付すこと、
精製された炭化水素の混合物を含む前記水素化分解されたストリームを分留すること
を含む方法。
【請求項2】
前記混合ストリームが、総計のストリームおよびVGOおよび/またはHGOストリームであるバランスを基準として1~40wt.%のLWP、好ましくは5~30wt.%のLWP、およびより好ましくは5~25wt.%のLWPを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記LWPが、廃プラスチックを熱分解することによって製造される請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記熱分解された廃プラスチックが、1つまたはそれ以上のLWP留分に分留され、および、少なくとも1つのLWP留分が水素化処理されるフィード中で使用される請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記LWPが、前記水素化処理工程の前に前処理に付される請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記水素化処理が、前記混合ストリームを水素化処理する前に少なくとも1つのガード床の使用を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記水素化処理および前記水素化分解が、水素化処理セクションに続いて水素化分解セクションを有する1つの容器に配置された1つのユニットで実施される請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記水素化処理が、アルミナ担体(Al23)に担持された硫化NiMo、CoMoおよびそれらの組み合わせから選択される触媒の存在下で行われる請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記水素化処理が、以下の条件:
250~450℃、好ましくは330~420℃、およびより好ましくは390~410℃の温度;
30~250バール(3~25MPa)、好ましくは130~180バール(13~18MPa)、およびより好ましくは145~155バール(14.5~15.5MPa)の圧力;
500~2000 l:l、好ましくは約900~1300 l:l、およびより好ましくは約1000~1200 l:lのオイルに対する水素比;ならびに
約0.2~10.0 1/h、好ましくは1.5~2.7 1/h、およびより好ましくは1.8~2.5 1/hの炭化水素液体時空間速度(LHSV)
で行われる請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記水素化分解が、酸性担体および活性水素化成分を含む官能性触媒の存在下で行われ、好ましくは、酸性担体はアルミナ、アモルファスシリカ-アルミナまたはゼオライトであり、活性水素化成分はNiMo、NiW、PdまたはPtである請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記水素化分解が、以下の条件:
330~450℃、好ましくは370~420℃、およびより好ましくは390~410℃の温度;
50~250バール(5~25MPa)、好ましくは140~160バール(14~16MPa)、およびより好ましくは145~155バール(14.5-15-5MPa)の圧力;
500~2000 l:l、好ましくは約900~1300 l:l、およびより好ましくは1000~1200 l:lのオイルに対する水素比;ならびに
約0.5~5.0 1/h、好ましくは1.0~2.51/h、およびより好ましくは1.4~1.9 1/hの炭化水素液体時空間速度(LHSV)
で行われる請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記精製された炭化水素の混合物を含む前記水素化分解されたストリームの前記分留が、より軽質な留分およびより重質な留分の少なくとも2つの留分が形成されるように行われる請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記分留が、少なくとも3つの留分が形成されるように行われ、前記3つの留分のうち、第1のより重質な留分は、380℃より高い5wt.%蒸留ポイントを有する成分の留分であり、および、第2のより重質な留分は、330~410℃の範囲の5~95wt.%蒸留範囲を有する成分の留分であり、および、第3の留分は、370℃より低い95wt.%蒸留ポイントを有する留分である請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、製造された前記精製された炭化水素の混合物の異性化を、前記製造された前記精製された炭化水素の混合物を分留する工程の前、または、前記製造された前記精製された炭化水素の混合物を分留する工程の後のいずれかで含む請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化廃プラスチック(LWP)を精製された炭化水素の混合物にアップグレードする方法であって、以下:
混合ストリームを生成するために、液化廃プラスチック(LWP)および真空ガスオイル(VGO)ストリームおよび/または重質ガスオイル(HGO)ストリームを含むフィードを供給すること、
不純物の除去のためおよび水素化処理ストリームを生成するために、前記混合ストリームを水素化処理に付すこと、
精製された炭化水素の混合物を含む水素化分解されたストリームを生成するために、前記水素化処理されたストリームを水素化分解に付すこと、
精製された炭化水素の混合物を含む前記水素化分解されたストリームを分留すること
を含む方法。
【請求項2】
前記混合ストリームが、総計のストリームおよびVGOおよび/またはHGOストリームであるバランスを基準として1~40wt.%のLWP、好ましくは5~30wt.%のLWP、およびより好ましくは5~25wt.%のLWPを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記LWPが、廃プラスチックを熱分解することによって製造される請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記熱分解された廃プラスチックが、1つまたはそれ以上のLWP留分に分留され、および、少なくとも1つのLWP留分が水素化処理されるフィード中で使用される請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記LWPが、前記水素化処理工程の前に前処理に付される請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記水素化処理が、前記混合ストリームを水素化処理する前に少なくとも1つのガード床の使用を含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記水素化処理および前記水素化分解が、水素化処理セクションに続いて水素化分解セクションを有する1つの容器に配置された1つのユニットで実施される請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記水素化処理が、アルミナ担体(Al23)に担持された硫化NiMo、CoMoおよびそれらの組み合わせから選択される触媒の存在下で行われる請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記水素化処理が、以下の条件:
250~450℃、好ましくは330~420℃、およびより好ましくは390~410℃の温度;
30~250バール(3~25MPa)、好ましくは130~180バール(13~18MPa)、およびより好ましくは145~155バール(14.5~15.5MPa)の圧力;
500~2000 l:l、好ましくは約900~1300 l:l、およびより好ましくは約1000~1200 l:lのオイルに対する水素比;ならびに
約0.2~10.0 1/h、好ましくは1.5~2.7 1/h、およびより好ましくは1.8~2.5 1/hの炭化水素液体時空間速度(LHSV)
で行われる請求項1または8記載の方法。
【請求項10】
前記水素化分解が、酸性担体および活性水素化成分を含む官能性触媒の存在下で行われ、好ましくは、酸性担体はアルミナ、アモルファスシリカ-アルミナまたはゼオライトであり、活性水素化成分はNiMo、NiW、PdまたはPtである請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記水素化分解が、以下の条件:
330~450℃、好ましくは370~420℃、およびより好ましくは390~410℃の温度;
50~250バール(5~25MPa)、好ましくは140~160バール(14~16MPa)、およびより好ましくは145~155バール(14.5-15-5MPa)の圧力;
500~2000 l:l、好ましくは約900~1300 l:l、およびより好ましくは1000~1200 l:lのオイルに対する水素比;ならびに
約0.5~5.0 1/h、好ましくは1.0~2.51/h、およびより好ましくは1.4~1.9 1/hの炭化水素液体時空間速度(LHSV)
で行われる請求項1または10記載の方法。
【請求項12】
前記精製された炭化水素の混合物を含む前記水素化分解されたストリームの前記分留が、より軽質な留分およびより重質な留分の少なくとも2つの留分が形成されるように行われる請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記分留が、少なくとも3つの留分が形成されるように行われ、前記3つの留分のうち、第1のより重質な留分は、380℃より高い5wt.%蒸留ポイントを有する成分の留分であり、および、第2のより重質な留分は、330~410℃の範囲の5~95wt.%蒸留範囲を有する成分の留分であり、および、第3の留分は、370℃より低い95wt.%蒸留ポイントを有する留分である請求項1または12記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、製造された前記精製された炭化水素の混合物の異性化を、前記製造された前記精製された炭化水素の混合物を分留する工程の前、または、前記製造された前記精製された炭化水素の混合物を分留する工程の後のいずれかで含む請求項1記載の方法。
【国際調査報告】