IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2024-525236改善された薬理学的及び薬物送達特性を有するGLP-1受容体アゴニスト
<>
  • -改善された薬理学的及び薬物送達特性を有するGLP-1受容体アゴニスト 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-10
(54)【発明の名称】改善された薬理学的及び薬物送達特性を有するGLP-1受容体アゴニスト
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/06 20060101AFI20240703BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20240703BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
C07K7/06 ZNA
A61K38/08
A61P43/00 111
A61P3/10
A61P3/04
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P21/00
A61P25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520656
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 US2022033389
(87)【国際公開番号】W WO2022266068
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/210,321
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】523470326
【氏名又は名称】ダービックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソーヤー,トミ,ケー.
(72)【発明者】
【氏名】オーディー,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ディラー,デビッド,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】グリブコフ,バレンティン
(72)【発明者】
【氏名】ペンテルート,ブラッドレー,エル.
(72)【発明者】
【氏名】サンティアゴ,ソリマー,ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ソーヤー,ジョナサン,アール.
(72)【発明者】
【氏名】シュライアー,アリソン,アッカーマン
(72)【発明者】
【氏名】スワンソン,ジョン,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】グナセケラ,ディナラ,エス.
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA09
4C084BA18
4C084BA23
4C084BA37
4C084BA42
4C084DB37
4C084MA52
4C084MA55
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA151
4C084ZA161
4C084ZA701
4C084ZA941
4C084ZC351
4C084ZC411
4H045AA10
4H045BA10
4H045BA16
4H045EA20
4H045FA33
4H045GA25
(57)【要約】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体の活性化、及びグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)により少なくとも部分的に媒介される疾患又は障害の治療又は予防に有用なポリペプチド、組成物、及び方法が開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の配列:
RXN-Xaa 1-Xaa 2-Xaa 3-Xaa 4-Xaa 5-Xaa 6-Xaa 7-Xaa 8-Xaa 9-Xaa 10-Xaa 11-RYC
[式中、
RXNは、H(すなわち、デス-アミノ)及び-N(Rx)2(式中、Rxは、各出現について独立して、H又は置換されていてもよいアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ホルミル、アセチル、アルカノイル、-C(O)-アルキルオキシ、-C(O)-アリールオキシ、-C(O)-アラルキルオキシ、-C(O)-ヘテロシクリルオキシ、-C(O)-ヘテロアリールアルキルオキシ、-C(O)NH-アルキル、-C(O)NH-アリール、-C(O)NH-アリールアルキル、-SO2-ヘテロシクリル、-SO2-アルキル、-SO2-アリール、-SO2-アリールアルキル、-SO2-ヘテロアリールアルキル、-SO2-ヘテロアリール、若しくはウレイドであるか;又はRxの一方の出現は、水素であり、他方の出現は、アミノ酸残基Xaa 0である)から選択されるXaa 1のN末端基であり;
Xaa 0は、Gly、Pro、Arg、Glu、His、Phe、Trp、及びAibから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 1は、アルキル、アリール又はヘテロアリールを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 2は、Gly、Aib、Ala、D-Ala、N-メチル-Ala、N-メチル-D-Ala、Pro、α-メチル-Pro、Val、D-Val、及びD-Hisから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 3は、カルボキシル又はスルホン酸基を含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 4は、Gly、Ala、Aib、及びβ-Alaから選択されるアミノ酸残基であり;
Xaa 5は、Thr、Ser、Ala、Aib、Val、α-MeSer、α-MeThr、及びα-MeValから選択される置換されていてもよいアミノ酸であり;
Xaa 6は、α炭素において二置換されている置換されていてもよいアミノ酸残基であり、ただし、置換基のうちの1つは、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールであり;
Xaa 7は、ヒドロキシルを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 8は、Ser、His、及びAsnから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 9は、カルボキシル又はスルホン酸基を含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 10は、スルフィド及び/又は置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 11は、スルフィド及び/又は置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;及び
RYCは、構造-C(O)N(RY)2(式中、RYは、各出現について独立して、水素又はPK改変基である)を有するXaa11のC末端基である]
により表されるポリペプチド。
【請求項2】
Xaa 1が、(C1~C4)アルキル、イミダゾール、又はフェニルを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
Xaa 1が、Leu、His、及びTyrから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基である、請求項2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
アミノ酸残基が、置換されている場合、少なくとも1つのハロ、ヒドロキシル、又はアルキルで置換されている、請求項2又は3に記載のポリペプチド。
【請求項5】
Xaa 2が、Gly、Aib、Ala、D-Ala、N-メチル-Ala、N-メチル-D-Ala、Pro、α-メチル-Pro、Val、及びD-Valから選択される非置換アミノ酸残基である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項6】
Xaa 2が、Gly、Aib、Ala、D-Ala、N-メチル-Ala、N-メチル-D-Ala、Pro、α-メチル-Pro、Val、及びD-Valから選択される置換アミノ酸残基である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項7】
アミノ酸残基が、Aib、Pro、α-メチル-Pro、及びValから選択される、請求項5又は6に記載のポリペプチド。
【請求項8】
アミノ酸残基が、少なくとも1つのハロ又はアルキルで置換されている、請求項6又は7に記載のポリペプチド。
【請求項9】
Xaa 3が、カルボキシルを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基である、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項10】
Xaa 3が、Asp及びGluから選択されるアミノ酸残基である、請求項9に記載のポリペプチド。
【請求項11】
Xaa 3が、スルホン酸基を含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基である、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項12】
Xaa 3が、システイン酸から選択されるアミノ酸残基である、請求項11に記載のポリペプチド。
【請求項13】
アミノ酸残基が、置換されている場合、少なくとも1つのハロ又はアルキルで置換されている、請求項9~12のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項14】
Xaa 4が、Gly及びAlaから選択されるアミノ酸残基である、請求項1~13のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項15】
Xaa 5が、Thr、Ser、Ala、Aib、Val、α-MeSer、α-MeThr、及びα-MeValから選択される非置換アミノ酸残基である、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項16】
Xaa 5が、Thr、Ser、Ala、Aib、Val、α-MeSer、α-MeThr、及びα-MeValから選択される置換アミノ酸残基である、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項17】
Xaa 5が、非置換又は置換Thrである、請求項15又は16に記載のポリペプチド。
【請求項18】
Xaa 5が、少なくとも1つのハロ又はアルキルで置換されている、請求項16又は17に記載のポリペプチド。
【請求項19】
Xaa 6が、
【化1】
[式中、X6aは、アルキルであり;及びX6bは、置換アリールアルキルである]
により表される置換されていてもよいアミノ酸残基である、請求項1~18のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項20】
アリールアルキルが、少なくとも1つのハロで置換されている、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項21】
X6aが、メチルであり;及びX6bが、ベンジル、2-フルオロベンジル、又は2,4-ジフルオロベンジルである、請求項20又は21に記載のポリペプチド。
【請求項22】
Xaa 6が、α-MePhe、α-MePhe(2-F)、及びα-MePhe(2,6-DiF)から選択される置換されていてもよいアミノ酸残基である、請求項1~21のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項23】
Xaa 7が、Thr、α-MeThr、Ser、及びα-MeSerから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基である、請求項1~22のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項24】
アミノ酸残基が、置換されている場合、少なくとも1つのハロ又はアルキルで置換されている、請求項23に記載のポリペプチド。
【請求項25】
Xaa 8が、Ser、His、及びAsnから選択される非置換アミノ酸残基である、請求項1~24のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項26】
Xaa 8が、Ser、His、及びAsnから選択される置換アミノ酸残基である、請求項1~24のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項27】
Xaa 8が、非置換又は置換Serである、請求項25又は26に記載のポリペプチド。
【請求項28】
Xaa 8が、置換されている場合、少なくとも1つのハロ又はアルキルで置換されている、請求項26又は27に記載のポリペプチド。
【請求項29】
Xaa 9が、カルボキシルを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基である、請求項1~28のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項30】
Xaa 9が、Asp及びGluから選択されるアミノ酸残基である、請求項29に記載のポリペプチド。
【請求項31】
Xaa 9が、スルホン酸基を含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基である、請求項1~28のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項32】
Xaa 9が、置換されていてもよいシステイン酸である、請求項31に記載のポリペプチド。
【請求項33】
アミノ酸残基が、置換されている場合、少なくとも1つのハロ又はアルキルで置換されている、請求項29~32のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項34】
Xaa 10が、
【化2】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X3は、N又はCR10dであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、S又はSO2であり;
R10aは、H又はアルキルであり;及び
R10b、R10c、R10d、R10e、及びR10fは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される、請求項1~33のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項35】
Xaa 10が、
【化3】
により表される、請求項34に記載のポリペプチド。
【請求項36】
Xaa 10が、
【化4】
により表される、請求項35に記載のポリペプチド。
【請求項37】
Xaa 10が、
【化5】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
X6は、N又はCR10gであり;
X7は、N又はCR10hであり;
X8は、N又はCR10iであり;
X9は、N又はCR10jであり;
X10は、N又はR10kであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、S又はSO2であり;
Z2は、存在しないか又は存在し、存在する場合、S又はSO2であり;
R10aは、H及びアルキルから選択され;及び
R10b、R10c、R10e、R10f、R10g、R10h、R10i、R10j、及びR10kは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される、請求項1~33のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項38】
Xaa 10が、
【化6】
により表される、請求項37に記載のポリペプチド。
【請求項39】
Xaa 10が、
【化7】
により表される、請求項38に記載のポリペプチド。
【請求項40】
Xaa 10が、
【化8】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、CH2、S、O、NH、SO2、SO2-NH、NH-SO2、NHC(O)、及びC(O)NHから選択され;
R10aは、H及びアルキルから選択され;
R10dは、-L1-L2-L3-R10d'であり;
R10d'は、-NH2、(C1~C20アルキル)-CO2H又は置換されていてもよい(C1~C6アルキル)-アリールであり;
L1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、リンカーであり;
L2は、エーテル部分を含むリンカーであり;
L3は、存在しないか又は存在し、存在する場合、アミノ酸部分を含むリンカーであり;及び
R10b、R10c、R10d、R10e、及びR10fは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される、請求項1~33のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項41】
Xaa 10が、
【化9】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
X6は、N又はCR10gであり;
X7は、N又はCR10hであり;
X9は、N又はCR10jであり;
X10は、N又はCR10kであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、CH2、NH、S、SO2、O、SO2-NH、NH-SO2、NHC(O)、及びC(O)NHから選択され;
Z2は、存在しないか又は存在し、存在する場合、NH、S、SO2、O、SO2-NH、NH-SO2、NHC(O)、及びC(O)NHから選択され;
R10aは、H及びアルキルから選択され;
R10iは、-L1-L2-L3-R10i'であり;
R10i'は、-NH2、(C1~C20アルキル)-CO2H又は置換されていてもよい(C1~C6アルキル)-アリールであり;
L1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、リンカーであり;
L2は、エーテル部分を含むリンカーであり;
L3は、存在しないか又は存在し、存在する場合、アミノ酸部分を含むリンカーであり;及び
R10b、R10c、R10e、R10f、R10g、R10h、R10j、及びR10kは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される、請求項1~33のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項42】
Xaa 10が、
【化10】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
R10aは、H及びアルキルから選択され;
R10b、R10c、R10e、及びR10fは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択され;及び
Z3は、置換ヘテロアリールである]
により表される、請求項1~33のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項43】
Z3が、5員の置換ヘテロアリールである、請求項42に記載のポリペプチド。
【請求項44】
5員の置換ヘテロアリールが、置換トリアゾリルである、請求項43に記載のポリペプチド。
【請求項45】
置換ヘテロアリールが、-(C1~20アルキル)-CO2Hで置換されている、請求項42~44のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項46】
Xaa 10が、
【化11】
により表される、請求項42~45のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項47】
Xaa 11が、
【化12】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X3は、N又はCR10dであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、S又はSO2であり;
R10aは、H及びアルキルから選択され;及び
R10b、R10c、R10d、R10e、及びR10fは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される、請求項1~46のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項48】
Xaa 11が、
【化13】
により表される、請求項47に記載のポリペプチド。
【請求項49】
Xaa 11が、
【化14】
により表される、請求項48に記載のポリペプチド。
【請求項50】
Xaa 11が、
【化15】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
X6は、N又はCR10gであり;
X7は、N又はCR10hであり;
X8は、N又はCR10iであり;
X9は、N又はCR10jであり;
X10は、N又はCR10kであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、S又はSO2であり;
Z2は、存在しないか又は存在し、存在する場合、S又はSO2であり;
R10aは、H及びアルキルから選択され;及び
R10b、R10c、R10e、R10f、R10g、R10h、R10i、R10j、及びR10kは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される、請求項1~46のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項51】
Xaa 11が、
【化16】
により表される、請求項50に記載のポリペプチド。
【請求項52】
Xaa 11が、
【化17】
により表される、請求項51に記載のポリペプチド。
【請求項53】
Xaa 11が、
【化18】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、CH2、S、O、NH、SO2、SO2-NH、NH-SO2、NHC(O)、及びC(O)NHから選択され;
R10aは、H及びアルキルから選択され;
R10dは、-L1-L2-L3-R10d'であり;
R10d'は、-NH2、(C1~C20アルキル)-CO2H又は置換されていてもよい(C1~C6アルキル)-アリールであり;
L1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、リンカーであり;
L2は、エーテル部分を含むリンカーであり;
L3は、存在しないか又は存在し、存在する場合、アミノ酸部分を含むリンカーであり;及び
R10b、R10c、R10d、R10e、及びR10fは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される、請求項1~46のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項54】
Xaa 11が、
【化19】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
X6は、N又はCR10gであり;
X7は、N又はCR10hであり;
X9は、N又はCR10jであり;
X10は、N又はCR10kであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、CH2、NH、S、SO2、O、SO2-NH、NH-SO2、NHC(O)、及びC(O)NHから選択され;
Z2は、存在しないか又は存在し、存在する場合、NH、S、SO2、O、SO2-NH、NH-SO2、NHC(O)、及びC(O)NHから選択され;
R10aは、H及びアルキルから選択され;
R10iは、-L1-L2-L3-R10i'であり;
R10i'は、-NH2、(C1~C20アルキル)-CO2H又は置換されていてもよい(C1~C6アルキル)-アリールであり;
L1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、リンカーであり;
L2は、エーテル部分を含むリンカーであり;
L3は、存在しないか又は存在し、存在する場合、アミノ酸部分を含むリンカーであり;及び
R10b、R10c、R10e、R10f、R10g、R10h、R10j、及びR10kは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される、請求項1~46のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項55】
Xaa 11が、
【化20】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
R10aは、H及びアルキルから選択され;
R10b、R10c、R10e、及びR10fは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択され;及び
Z3は、置換ヘテロアリールである]
により表される、請求項1~46のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項56】
Z3が、5員の置換ヘテロアリールである、請求項55に記載のポリペプチド。
【請求項57】
5員の置換ヘテロアリールが、置換トリアゾリルである、請求項56に記載のポリペプチド。
【請求項58】
置換ヘテロアリールが、-(C1~20アルキル)-CO2Hで置換されている、請求項55~57のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項59】
Xaa 11が、
【化21】
により表される、請求項55~58のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項60】
L1が、存在する場合、
【化22】
から選択される、請求項40、41、53、及び54のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項61】
L2が、
【化23】
であり;及び各nが、独立して1~6である、請求項40、41、及び53~55のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項62】
L3が、存在する場合、
【化24】
である、請求項40、41、及び53~56のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項63】
R10d'が、(C1~C15アルキル)-CO2Hである、請求項40又は41に記載のポリペプチド。
【請求項64】
R10d'が、
【化25】
であり;及びR10d''がハロである、請求項63に記載のポリペプチド。
【請求項65】
R10d''がIである、請求項64に記載のポリペプチド。
【請求項66】
R10i'が、(C1~C15アルキル)-CO2Hである、請求項53又は54に記載のポリペプチド。
【請求項67】
R10i'が、
【化26】
であり;及びR10i''がハロである、請求項66に記載のポリペプチド。
【請求項68】
R10i''がIである、請求項67に記載のポリペプチド。
【請求項69】
R10dが、
【化27】
から選択される、請求項40又は41に記載のポリペプチド。
【請求項70】
R10iが、
【化28】
から選択される、請求項53又は54に記載のポリペプチド。
【請求項71】
Xaa 10が、Phe、Tyr、Trp、ホモフェニルアラニン(Hph)、ホモチロシン(Hty)、Bip、α-MeBip、4-フェニル-3-ピリジルアラニン、4-フェニル-4-ピリジルアラニン、α-MeHph、α-MeTyr、α-MeHty、Tyr(O-フェニル)、Phe(4-S-フェニル)、Phe(4-SO2-NH-フェニル)、Phe(4-CO-NH-フェニル)、Cys(S-フェニル)、Cys(S-フェニル[2,3,4,5,6-F5])、Cys(S-フェニル[2,3,4,5-F4]-4-フェニル[2',3',4',5',6'-F5])、Cys(S-フェニル[2,3,4,5-F4]-4-SO2-フェニル[2',3',4',5',6'-F5])、Cy(SO2-NH-フェニル)、Dap(3-C[=O]-フェニル)、Dap(3-[C=O]-ピリジル)、Asp(3-NH-フェニル)、及びAsp(3-NH-ピリジル)から選択される置換されていてもよいアミノ酸残基である、請求項1~33のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項72】
Xaa 11が、Phe、Tyr、Trp、ホモフェニルアラニン(Hph)、ホモチロシン(Hty)、Bip、α-MeBip、4-フェニル-3-ピリジルアラニン、4-フェニル-4-ピリジルアラニン、α-MeHph、α-MeTyr、α-MeHty、Tyr(O-フェニル)、Phe(4-S-フェニル)、Phe(4-SO2-NH-フェニル)、Phe(4-CO-NH-フェニル)、Cys(S-フェニル)、Cys(S-フェニル[2,3,4,5,6-F5])、Cys(S-フェニル[2,3,4,5-F4]-4-フェニル[2',3',4',5',6'-F5])、Cys(S-フェニル[2,3,4,5-F4]-4-SO2-フェニル[2',3',4',5',6'-F5])、Cy(SO2-NH-フェニル)、Dap(3-C[=O]-フェニル)、Dap(3-[C=O]-ピリジル)、Asp(3-NH-フェニル)、及びAsp(3-NH-ピリジル)から選択される置換されていてもよいアミノ酸残基である、請求項1~33及び71のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項73】
RXNが、-N(Rx)2[式中、各RxはHである]である、請求項1~72のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項74】
RXNが、-N(Rx)2[式中、Rxの一方の出現は、水素であり、他方の出現は、アミノ酸残基Xaa 0である]である、請求項1~72のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項75】
RYCが、-C(O)N(RY)2[式中、各RYはHである]である、請求項1~74のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項76】
RYCが、-C(O)N(RY)2であり;
RYの一方の出現は、水素であり、RYの他方の出現は、-L4-L5-L6-L7-RY'であり;
RY'は、(C1~C20アルキル)-CO2H又は置換されていてもよい(C1~C6アルキル)-アリールであり;
L4は、存在しないか又は存在し、存在する場合、アミノ酸部分を含むリンカーであり;
L5は、存在しないか又は存在し、存在する場合、アミノ酸部分を含むリンカーであり;
L6は、存在しないか又は存在し、存在する場合、エーテル部分を含むリンカーであり;及び
L7は、アミノ酸部分を含むリンカーである、請求項1~74のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項77】
L4が存在し、
【化29】
であり;及びmが1~6である、請求項76に記載のポリペプチド。
【請求項78】
L5が存在し、
【化30】
であり;及びlが1~6である、請求項76又は7に記載のポリペプチド。
【請求項79】
L5が存在し、
【化31】
であり;及びnが1~6である、請求項76~78のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項80】
L6が、
【化32】
である、請求項76~79のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項81】
RY'が、(C10~C16アルキル)-CO2Hである、請求項76~79のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項82】
RY'が、
【化33】
であり;及びRY''がハロである、請求項76~79のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項83】
RY''がIである、請求項82に記載のポリペプチド。
【請求項84】
RYCが、-C(O)NHRYであり、NHRYは、
【化34】
から選択される、請求項1~74のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項85】
RYCが、-C(O)NHRY[式中、NHRYは、
【化35】
から選択される]である、請求項1~74のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項86】
表4に列挙されるポリペプチドから選択される、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項87】
表5に列挙されるポリペプチドから選択される、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項88】
表6に列挙されるポリペプチドから選択される、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項89】
以下:
【化36】
により表される、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項90】
以下:
【化37】
[式中、
各nは、独立して、10~20(例えば、15)であり;
各R2Aは、独立して、-H又はアルキルであり;及び
各R10Aは、独立して、-H又はアルキルである]
により表される、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項91】
以下:
【化38】
[式中、
各mは、独立して、1~10であり;
各R2Aは、独立して、-H又はアルキルであり;
各R10Aは、独立して、-H又はアルキルであり;
各R10Zは、独立して、ハロ(例えば、I)であり;及び
各R11Zは、独立して、ハロ(例えば、I)である]
により表される、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項92】
以下:
【化39】
により表される、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項93】
以下:
【化40】
により表される、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項94】
以下:
【化41】
により表される、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項95】
請求項1~94のいずれか一項に記載のポリペプチドと薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項96】
GLP-1受容体を、有効量の請求項1~94のいずれか一項に記載のポリペプチドと接触させるステップを含む、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体を活性化する方法。
【請求項97】
有効量の請求項1~94のいずれか一項に記載のポリペプチドを、糖尿病の治療又は予防を必要とする対象に投与するステップを含む、糖尿病を治療又は予防する方法。
【請求項98】
糖尿病が、II型糖尿病である、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
有効量の請求項1~94のいずれか一項に記載のポリペプチドを、肥満の治療又は予防を必要とする対象に投与するステップを含む、肥満を治療又は予防する方法。
【請求項100】
有効量の請求項1~94のいずれか一項に記載のポリペプチドを、神経変性疾患又は障害の治療又は予防を必要とする対象に投与するステップを含む、神経変性疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、
神経変性疾患又は障害は、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)により少なくとも部分的に媒介される、方法。
【請求項101】
神経変性疾患又は障害が、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、及びプリオン病から選択される、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
ポリペプチドが、経口投与される、請求項97~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
ポリペプチドが、非経口投与される、請求項97~101のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年6月14日に出願された、米国仮特許出願第63/210,321号に対する優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、グルコース代謝、胃腸の分泌及び代謝における周知の生理学的機能、並びに糖尿病、肥満及び関連する代謝性障害へのさらなる治療適用だけでなく、神経変性疾患との明らかになりつつある関係も有する、重要な脳-消化管ペプチドホルモンである(1~16)。歴史的に、GLP-1は、インクレチンホルモンとして同定され、食事誘発性のインスリン分泌を増強することが示された。GLP-1は、プログルカゴンをコードするグルカゴン遺伝子の産物である。ヒトGLP-1は、胃腸管(例えば、膵臓のA細胞及び遠位回腸におけるL細胞)及び脳で生合成される、プレプログルカゴンに由来する30アミノ酸のペプチドである。GLP-1(7-36)-NH2及びGLP-2を生じるためのプレプログルカゴンのプロセシングは、主にL細胞で起こる。GLP-1は、通常、食物摂取に応答して分泌され、特に炭水化物及び脂質は、GLP-1分泌を刺激する。
【0003】
GLP-1は、インスリン放出に対する非常に強力且つ有効な刺激因子として同定されている。GLP-1は、血漿グルカゴン濃度を低下させ、胃排出を遅らせ、インスリン生合成を刺激し、インスリン感受性を増強する。さらに、GLP-1は、耐糖能障害を有する対象において、グルコースを感知しそれに応答するベータ細胞の能力を増強する。ヒトにおけるGLP-1のインスリン分泌効果は、部分的にはインスリンレベルの上昇、及び部分的にはインスリン感受性の増強により、グルコース代謝の速度を増加させる。GLP-1は、膵臓β細胞の増殖及び生存の制御、骨代謝、食物摂取及び満腹の制御、ニューロン前駆細胞の増殖の増強及びニューロンアポトーシスに対する保護、心収縮性の低下及び心損傷後の心機能の改善などの非インスリン分泌作用を発揮する。まとめると、GLP-1のこのような公知の薬理学的特性により、GLP-1は、II型糖尿病、肥満及び関連する代謝障害並びにそれらの合併症、例えば非アルコール性脂肪性肝炎の治療に非常に望ましい治療剤となり、神経変性疾患及び心臓予防に潜在的な役割を有する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体を活性化するのに有用なポリペプチド、組成物、及び方法を提供する。
【0005】
したがって、以下の配列(I):
RXN-Xaa 1-Xaa 2-Xaa 3-Xaa 4-Xaa 5-Xaa 6-Xaa 7-Xaa 8-Xaa 9-Xaa 10-Xaa 11-RYC
(I)
[式中、
RXNは、H(すなわち、デス-アミノ)及び-N(Rx)2(式中、Rxは、各出現について独立して、H又は置換されていてもよいアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ホルミル、アセチル、アルカノイル、-C(O)-アルキルオキシ、-C(O)-アリールオキシ、-C(O)-アリールアルキルオキシ、-C(O)-ヘテロシクリルオキシ、-C(O)-ヘテロアリールアルキルオキシ、-C(O)NH-アルキル、-C(O)NH-アリール、-C(O)NH-アラルキル、-SO2-ヘテロシクリル、-SO2-アルキル、-SO2-アリール、-SO2-アリールアルキル、-SO2-ヘテロアリールアルキル、-SO2-ヘテロアリール、若しくはウレイドであるか;又はRxの一方の出現は、水素であり、他方の出現は、アミノ酸残基Xaa 0である)から選択されるXaa 1のN末端基であり;
Xaa 0は、Gly、Pro、Arg、Glu、His、Phe及びTrpから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 1は、アルキル、アリール又はヘテロアリールを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 2は、Gly、Aib、Ala、D-Ala、N-メチル-Ala、N-メチル-D-Ala、Pro、α-メチル-Pro、Val、D-Val、及びD-Hisから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 3は、カルボキシル又はスルホン酸基を含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 4は、Gly、Ala、Aib、及びβ-Alaから選択されるアミノ酸残基であり;
Xaa 5は、Thr、Ser、Ala、Aib、Val、α-MeSer、α-MeThr、及びα-MeValから選択される置換されていてもよいアミノ酸であり;
Xaa 6は、α炭素において二置換されている置換されていてもよいアミノ酸残基であり、ただし、置換基のうちの1つは、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールであり;
Xaa 7は、ヒドロキシルを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 8は、Ser、His、及びAsnから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 9は、カルボキシル又はスルホン酸基を含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 10は、スルフィド及び/又は置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 11は、スルフィド及び/又は置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;及び
RYCは、構造-C(O)N(RY)2(式中、RYは、各出現について独立して、水素又はPK改変基である)を有するXaa 11のC末端基である]
により表されるポリペプチドが本明細書に提供される。
【0006】
本発明の別の態様は、有効量の式(I)のポリペプチドを対象に投与するステップを含む、グルカゴン様ペプチド1により少なくとも部分的に媒介される疾患又は障害の治療又は予防を必要とする対象における、グルカゴン様ペプチド1により少なくとも部分的に媒介される疾患又は障害を治療又は予防する方法に関する。
【0007】
本発明のさらなる態様は、有効量の配列(I)のポリペプチドを対象に投与するステップを含む、糖尿病の治療又は予防を必要とする対象における、糖尿病を治療又は予防する方法に関する。
【0008】
本発明のさらなる態様は、有効量の配列(I)のポリペプチドを対象に投与するステップを含む、神経変性疾患の治療又は予防を必要とする対象における、神経変性疾患を治療又は予防する方法に関する。
【0009】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。矛盾が生じた場合には、定義を含む本明細書が優先される。さらに、材料、方法、及び実施例は、単なる例示であり、限定することを意図したものではない。
【0010】
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】5nx2ベースのモデル構造に基づく28個のGLP-1ペプチド類似体についての記述子ベースのpEC50計算結果と実験的pEC50結果との間の相関関係。
【発明を実施するための形態】
【0012】
GLP-1受容体活性化、代謝安定性及び薬物動態(非経口又は経口薬物送達による)に関して、天然ペプチドであるGLP-1と比較して優れた薬理学的特性を示す、ポリペプチドGLP-1受容体アゴニストが本明細書に開示される。したがって、開示されるポリペプチドは、GLP-1関連代謝障害、例えばII型糖尿病及び肥満、及び神経変性疾患の治療又は予防に有用である。
【0013】
本明細書に開示されるポリペプチドは、例えばGLP-1受容体のアゴニスト又は部分アゴニストとして、GLP-1受容体を調節する。本明細書に開示されるペプチドは、GLP-1と比較して同様の又は優れたインビボ薬理学的及び薬物動態学的特性を示し、したがって、該ペプチドは、薬物送達の皮下、経口、経肺、経鼻、頬側経路(薬物送達の正確な経路に応じて、持続放出製剤、及び/又は体循環への取り込みのための透過性を増強する賦形剤の使用を含む)にとって理想的な治療候補となる。特に、本明細書に開示されるポリペプチドは、GLP-1受容体の他のアゴニストのように、優れた食後血漿グルコースの低下及び血漿インスリンレベルの付随する増加を示す。GLP-1受容体のアゴニストは、糖尿病並びにその微小血管合併症及び大血管合併症だけでなく、肥満及び関連する代謝障害においても臨床的利点を示しており、神経変性疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、HIV及びその治療の状況における代謝障害、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、及び心臓予防において評価が行われている。したがって、開示されるポリペプチドは、II型糖尿病における合併症及び関連する代謝障害、例えばNASH及び肥満だけでなく、神経変性疾患の治療又は予防に有効である。
【0014】
定義
便宜上、本発明をさらに記載する前に、本明細書、実施例及び添付の特許請求の範囲で用いられるある特定の用語をここにまとめる。これらの定義は、本開示の残りの部分を考慮して読まれ、当業者によって理解されるべきである。別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0015】
本発明をより容易に理解するために、ある特定の用語及び句を以下及び本明細書全体にわたって定義する。
【0016】
冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的対象の1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0017】
句「及び/又は」は、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、そのように接続された要素の「いずれか又は両方」、すなわち、ある場合には連言的に存在し、他の場合には選言的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」を用いて列挙される複数の要素は、同じ様式で、すなわち、そのように接続された要素のうちの「1つ以上」と解釈されるべきである。「及び/又は」節により具体的に特定される要素以外の他の要素が、具体的に特定される要素に関連する場合であれ、関連しない場合であれ、任意選択で存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「~を含む」などのオープンエンドの表現と共に使用される場合、一実施形態では、Aだけ(任意選択でB以外の要素を含む)を指すことができ;別の実施形態では、Bだけ(任意選択でA以外の要素を含む)を指すことができ;さらに別の実施形態では、A及びBの両方(任意選択で他の要素を含む)を指すことができる等である。
【0018】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「又は」は、上で定義される「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分離する場合、「又は」又は「及び/又は」は、包括的である、すなわち、いくつかの要素又は要素のリストのうちの少なくとも1つを含むが、2つ以上も含み、任意選択で、リストに含まれていない追加の項目を含むと解釈されるものとする。「~のうちの1つのみ」又は「~のうちのちょうど1つ」又は、特許請求の範囲で使用される場合には「~からなる」など、そうではないことが明確に示されている用語のみが、いくつかの要素又は要素のリストのうちの厳密に1つの要素を含むことを指す。一般に、用語「又は」は、本明細書で使用される場合、「どちらか」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つのみ」、又は「~のうちのちょうど1つ」など、排他的な用語が先行する場合にのみ、排他的な選択肢(すなわち、「一方又は他方であるが、両方ではない」)を示すと解釈されるものとする。「~から本質的になる」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストに関する句「少なくとも1つ」は、要素のリスト中の要素のうちの任意の1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも、要素のリスト内に具体的に列挙されるありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つを含むわけではなく、要素のリスト中の要素の任意の組み合わせを排除するものではないと理解されるべきである。この定義はまた、句「少なくとも1つ」が指す要素のリスト内で具体的に特定される要素以外の要素が、具体的に特定される要素に関連する場合であれ、関連しない場合であれ、任意選択で存在し得ることを許容する。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は同等に、「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は同等に、「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施態様では、Bが存在せず、2つ以上のAを任意選択で含む、少なくとも1つのA(及び任意選択でB以外の要素を含む)を指すことができ;別の実施態様では、Aが存在せず、2つ以上のBを任意選択で含む、少なくとも1つのB(及び任意選択でA以外の要素を含む)を指すことができ;さらに別の実施態様では、2つ以上のAを任意選択で含む、少なくとも1つのA、及び2つ以上のBを任意選択で含む、少なくとも1つのB(及び任意選択で他の要素を含む)を指すことができる等である。
【0020】
そうではないことが明確に示されない限り、2つ以上のステップ又は行為を含む本明細書で特許請求される任意の方法において、方法のステップ又は行為の順序は、必ずしも方法のステップ又は行為が記載される順序に限定されないことも理解されるべきである。
【0021】
特許請求の範囲、及び上記の明細書において、すべての移行句、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する」、「有する」、「含有する」、「含む(involving)」、「保持する」、「~から構成される」などは、オープンエンドである、すなわち、含むが限定されないことを意味すると理解されるべきである。米国特許庁の特許審査手順マニュアル、セクション2111.03に記載されているように、移行句「~からなる」及び「~から本質的になる」のみが、それぞれクローズド又はセミクローズド移行句であるものとする。
【0022】
本発明の組成物に含まれるある特定の化合物は、特に、幾何又は立体異性体形態で存在してもよい。さらに、本発明の化合物はまた、光学活性であってもよい。本発明は、cis-及びtrans-異性体、R-及びS-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、それらのラセミ混合物、及びそれらの他の混合物を含む、すべてのこのような化合物を、本発明の範囲内にあるものとして企図する。追加の不斉炭素原子が、アルキル基などの置換基に存在してもよい。すべてのこのような異性体だけでなく、それらの混合物も、本発明に含まれることを意図する。
【0023】
「幾何異性体」は、炭素-炭素二重結合、シクロアルキル環、又は架橋二環式系との関連で置換基原子の配向性が異なる異性体を意味する。炭素-炭素二重結合の各端の原子(H以外)は、E(置換基が炭素-炭素二重結合の対向側にある)又はZ(置換基が同じ側に配向される)配置であってもよい。「R」、「S」、「S*」、「R*」、「E」、「Z」、「cis」、及び「trans」は、コア分子に対する配置を示す。開示される化合物のいくつかは、「アトロプ異性体」形態で又は「アトロプ異性体」として存在してもよい。アトロプ異性体は、回転に対する立体ひずみ障害が配座異性体の単離を可能にするのに十分に高い、単結合のまわりの回転障害に起因する立体異性体である。本発明の化合物は、いずれかの異性体に特異的な合成により個別の異性体として調製してもよいし、又は異性体の混合物から分割してもよい。従来の分割技術は、光学的に活性な酸を使用して異性体対の各異性体の遊離塩基の塩を形成すること(その後、遊離塩基の分別晶析及び再生を行う)、光学的に活性なアミンを使用して異性体対の各異性体の酸形態の塩を形成すること(その後、遊離酸の分別晶析及び再生を行う)、光学的に純粋な酸、アミン又はアルコールを使用して異性体対の異性体のそれぞれのエステル又はアミドを形成すること(その後、不斉補助剤のクロマトグラフィー分離及び除去を行う)、又は様々な周知のクロマトグラフィー法を使用して出発材料又は最終生成物の異性体混合物を分割することを含む。
【0024】
例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーが望ましい場合、該エナンチオマーは、不斉合成により調製してもよく、又は不斉補助剤を用いた誘導により調製してもよく、その場合、結果として生じたジアステレオマー混合物は分離され、補助基が切断されて純粋な所望のエナンチオマーをもたらす。あるいは、分子が、アミノなどの塩基性官能基、又はカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合、ジアステレオマー塩が、適切な光学的に活性な酸又は塩基を用いて形成され、その後、こうして形成されたジアステレオマーを当技術分野で周知の分別晶析又はクロマトグラフィー手段により分割し、続いて純粋なエナンチオマーを回収する。
【0025】
モル分率による純度パーセントは、エナンチオマー(又はジアステレオマー)のモル数の、エナンチオマー(又はジアステレオマー)のモル数及びその光学異性体のモル数に対する比である。開示される化合物の立体化学が構造により命名又は描写される場合、命名又は描写された立体異性体は、他方の立体異性体と比較してモル分率で少なくとも約60%、約70%、約80%、約90%、約99%又は約99.9%純粋である。単一のエナンチオマーが構造により命名又は描写される場合、描写又は命名されたエナンチオマーは、モル分率で少なくとも約60%、約70%、約80%、約90%、約99%又は約99.9%純粋である。単一のジアステレオマーが構造により命名又は描写される場合、描写又は命名されたジアステレオマーは、モル分率で少なくとも約60%、約70%、約80%、約90%、約99%又は約99.9%純粋である。
【0026】
開示される化合物が立体化学を示すことなく構造により命名又は描写され、化合物が少なくとも1つの不斉中心を有する場合、名称又は構造は、対応する光学異性体を含まない化合物のいずれかのエナンチオマー、化合物のラセミ混合物、又はその対応する光学異性体と比較して1つのエナンチオマーで濃縮された混合物を包含することが理解されるべきである。開示される化合物が立体化学を示すことなく構造により命名又は描写され、2つ以上の不斉中心を有する場合、名称又は構造は、他のジアステレオマーを含まないジアステレオマー、他のジアステレオマー対を含まないいくつかのジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマー対の混合物、1つのジアステレオマーが他のジアステレオマー(複数可)と比較して濃縮されているジアステレオマーの混合物、又は1つ以上のジアステレオマーが他のジアステレオマーと比較して濃縮されているジアステレオマーの混合物を包含することが理解されるべきである。本発明は、これらの形態のすべてを包含する。
【0027】
本明細書に描写される構造はまた、1つ以上の同位体濃縮された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素を重水素又はトリチウムで、又は炭素を13C-又は14C-濃縮炭素で置換することにより生成される化合物は、本発明の範囲内である。
【0028】
用語「プロドラッグ」は、本明細書で使用される場合、生理学的条件下で、治療活性剤に変換される化合物を包含する。プロドラッグを作製する一般的な方法は、生理学的条件下で加水分解されて所望の分子を現す選択された部分を含めることである。他の実施形態では、プロドラッグは、宿主動物の酵素活性により変換される。
【0029】
句「薬学的に許容される賦形剤」又は「薬学的に許容される担体」は、本明細書で使用される場合、身体の1つの臓器若しくはその一部から身体の別の臓器若しくはその一部への主題の化学物質の運搬又は輸送に関与する、液体又は固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又はカプセル化材料などの薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、患者に有害ではなく、実質的に非発熱性であるという意味で「許容可能」でなければならない。薬学的に許容される担体として機能し得る材料のいくつかの例としては、(1)糖、例えばラクトース、グルコース、及びスクロース;(2)デンプン、例えばトウモロコシデンプン及びバレイショデンプン;(3)セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース;(4)粉末状トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えばカカオバター及び坐剤ワックス;(9)油、例えば落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及びダイズ油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンフリー水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸塩緩衝溶液;及び(21)医薬製剤に用いられる他の非毒性適合性物質が挙げられる。ある特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、非発熱性である、すなわち、患者に投与された場合に著しい体温上昇を誘導しない。
【0030】
用語「薬学的に許容される塩」は、化合物(複数可)の比較的非毒性の無機及び有機酸付加塩を指す。これらの塩は、化合物(複数可)の最終的な単離及び精製中に現場で調製することができ、又は遊離塩基形態の精製化合物(複数可)を好適な有機酸又は無機酸と個別に反応させ、こうして形成された塩を単離することにより調製することができる。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩(naphthylate)、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラウリルスルホン酸塩などが挙げられる(例えば、Berge et al. (1977) “Pharmaceutical Salts”, J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照されたい)。
【0031】
他の場合には、本発明の方法で有用な化合物は、1つ以上の酸性官能基を含有してもよく、したがって、薬学的に許容される塩基と共に薬学的に許容される塩を形成することができる。これらの例における用語「薬学的に許容される塩」は、化合物(複数可)の比較的非毒性の無機及び有機塩基付加塩を指す。これらの塩は、同様に、化合物(複数可)の最終的な単離及び精製中に現場で調製することができ、又は遊離酸形態の精製化合物(複数可)を好適な塩基、例えば薬学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩、若しくは重炭酸塩と、アンモニアと、又は薬学的に許容される有機第一級、第二級、若しくは第三級アミンと個別に反応させることにより調製することができる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム塩などが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる(例えば、Berge et al.、上記を参照されたい)。
【0032】
用語「薬学的に許容される共結晶」は、小分子と正式なイオン相互作用を形成しない固体配座異性体を指す。
【0033】
治療における使用に関する化合物の「治療有効量」(又は「有効量」)は、所望の投薬レジメンの一部として(哺乳動物、好ましくはヒトに)投与された場合に、例えば、任意の医学的処置に適用可能な妥当なベネフィット/リスク比で、治療されるべき障害若しくは状態について臨床的に許容される標準又は美容目的に従って、症状を緩和し、状態を改善し、又は疾患状態の発症を遅らせる、製剤中の化合物の量を指す。
【0034】
用語「予防的又は治療的」処置は、当技術分野で認識されており、主題の組成物のうちの1つ以上の宿主への投与を含む。主題の組成物が望ましくない状態(例えば、宿主動物の疾患又は他の望ましくない状態)の臨床的発現の前に投与される場合、処置は予防的であり(すなわち、それは望ましくない状態の発症に対して宿主を保護する)、一方、該組成物が望ましくない状態の発現後に投与される場合、処置は治療的である(すなわち、それは既存の望ましくない状態又はその副作用を軽減、改善、又は安定化することを意図している)。
【0035】
用語「患者」又は「対象」は、特定の治療を必要とする哺乳動物を指す。ある特定の実施形態では、患者は、霊長類、イヌ、ネコ、又はウマである。ある特定の実施形態では、患者はヒトである。
【0036】
脂肪族鎖は、以下に定義されるアルキル、アルケニル及びアルキニルのクラスを含む。直鎖脂肪族鎖は、非分岐炭素鎖部分に限定される。本明細書で使用される場合、用語「脂肪族基」は、直鎖、分岐鎖、又は環状脂肪族炭化水素基を指し、飽和及び不飽和脂肪族基、例えばアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を含む。
【0037】
「アルキル」は、指定された数の炭素原子、又は指定されていない場合には30個までの炭素原子を有する、十分に飽和した環状又は非環状の分岐又は非分岐炭素鎖部分を指す。例えば、1~8個の炭素原子のアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチルなどの部分、並びにこれらの部分の位置異性体である部分を指す。10~30個の炭素原子のアルキルとしては、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル及びテトラコシルが挙げられる。ある特定の実施形態では、直鎖又は分岐鎖アルキルは、その骨格に30個以下の炭素原子(例えば、直鎖についてはC1~C30、分岐鎖についてはC3~C30)、より好ましくは20個以下の炭素原子を有する。アルキル基は、置換されていても又は置換されていなくてもよい。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアルキル」は、炭素原子の代わりに1つ以上の酸素、硫黄、窒素、リン、又はケイ素原子を含有する、本明細書において上で定義されるアルキル部分を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「ハロアルキル」は、少なくとも1つのハロゲンで置換された、本明細書において上で定義されるアルキル基を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1つのヒドロキシルで置換された、本明細書において上で定義されるアルキル基を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「アルキレン」は、その最長の炭素鎖上に化合物の残部への2つの結合点を含有する、指定された数の炭素、例えば、2~12個の炭素原子を有するアルキル基を指す。アルキレン基の非限定的な例としては、メチレン-(CH2)-、エチレン-(CH2CH2)-、n-プロピレン-(CH2CH2CH2)-、イソプロピレン-(CH2CH(CH3))-などが挙げられる。アルキレン基は、環状又は非環状の分岐又は非分岐炭素鎖部分であってもよく、任意選択で1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0042】
「シクロアルキル」は、それぞれが3~12個の炭素原子を有する、単環若しくは二環又は架橋若しくはスピロ環、又は多環の飽和炭素環式環を意味する。好ましいシクロアルキルは、その環構造に3~10個の炭素原子を有し、より好ましくは環構造に3~6個の炭素を有する。シクロアルキル基は、置換されていても又は置換されていなくてもよい。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「ハロシクロアルキル」は、少なくとも1つのハロゲンで置換された、本明細書において上で定義されるシクロアルキル基を指す。
【0044】
「シクロヘテロアルキル」は、炭素原子の代わりに1つ以上の酸素、硫黄、窒素、リン、又はケイ素原子を含有する、本明細書において上で定義されるシクロアルキル部分を指す。好ましいシクロヘテロアルキルは、その環構造に4~8個の炭素原子及びヘテロ原子を有し、より好ましくは環構造に4~6個の炭素及びヘテロ原子を有する。シクロヘテロアルキル基は、置換されていても又は置換されていなくてもよい。
【0045】
「ウレイド」は、置換されていてもよい尿素部分、例えば、-NHC(O)NH2又は-NHC(O)NHR[式中、Rは、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである]を指す。
【0046】
「PK改変基(PK modifier group)」は、結合しているポリペプチドの薬物動態(PK)プロファイルを変更する、例えば改善する基を指す。PK改変基は、ヒト血清アルブミン(HSA)に対する公知の結合剤を利用し得る。アルブミンとのこの相互作用は、インビボクリアランスの減少をもたらし得る。したがって、PK改変基の例は、血清アルブミン結合基である。
【0047】
炭素の数が他に指定されない限り、「低級アルキル」は、本明細書で使用される場合、上で定義されるアルキル基であるが、その骨格構造に1~10個の炭素、より好ましくは1~6個の炭素原子を有するものを意味し、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルがある。同じく、「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は、同様の鎖長を有する。本出願全体にわたって、好ましいアルキル基は、低級アルキルである。ある特定の実施形態では、本明細書でアルキルと指定される置換基は、低級アルキルである。
【0048】
「アルケニル」は、指定された数の炭素原子、又は炭素原子の数に対する限定が指定されていない場合には26個までの炭素原子を有し、その部分に1つ以上の二重結合を有する、任意の環状又は非環状の分岐又は非分岐の不飽和炭素鎖部分を指す。6~26個の炭素原子のアルケニルは、様々な異性体形態における、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘンエイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、及びテトラコセニルにより例示され、不飽和結合(複数可)は、その部分のどこに位置してもよく、二重結合(複数可)のまわりの(Z)配置又は(E)配置のいずれを有してもよい。
【0049】
「アルキニル」は、アルケニルの範囲のヒドロカルビル部分であるが、その部分に1つ以上の三重結合を有するものを指す。
【0050】
用語「アリール」は、本明細書で使用される場合、環の各原子が炭素である(すなわち、炭素環式アリール)か、又は1つ以上の原子がヘテロ原子である(すなわち、ヘテロアリール)、3~12員の置換又は非置換の単環芳香族基を含む。好ましくは、アリール基は、5~12員環、より好ましくは6~10員環を含む。用語「アリール」はまた、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通である、2つ以上の環を有する多環式環系を含み、環のうちの少なくとも1つは芳香族であり、例えば、その他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリルであってもよい。炭素環式アリール基としては、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどが挙げられる。ヘテロアリール基は、置換又は非置換の芳香族の3~12員環構造、より好ましくは5~12員環、より好ましくは5~10員環を含み、その環構造は、1~4個のヘテロ原子を含む。ヘテロアリール基としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジンなどが挙げられる。アリール及びヘテロアリールは、単環、二環、又は多環であり得る。
【0051】
用語「ハロ」、「ハライド」、又は「ハロゲン」は、本明細書で使用される場合、ハロゲンを意味し、例えば、これらに限定されないが、放射性形態及び非放射性形態の両方における、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードなどを含む。好ましい実施形態では、ハロは、フルオロ、クロロ及びブロモからなる群から選択される。
【0052】
用語「ヘテロシクリル」又は「複素環式基」は、その環構造が1~4個のヘテロ原子を含む、3~12員環構造、より好ましくは5~12員環、より好ましくは5~10員環を指す。複素環は、単環、二環、スピロ環、又は多環であり得る。ヘテロシクリル基としては、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、ラクタム、例えばアゼチジノン及びピロリジノン、スルタム、スルトンなどが挙げられる。複素環式環は、1つ以上の位置で、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、スルファモイル、スルフィニル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又はヘテロ芳香族部分、-CF3、-CNなどで置換することができる。
【0053】
用語「置換されている」は、骨格の1つ以上の炭素上の水素と置き換わる置換基を有する部分を指す。「置換」又は「~で置換されている」は、このような置換が、置換される原子及び置換基の許容される原子価に従うこと、及び置換が、例えば、転位、環化、脱離などによる変換を自発的に受けない安定な化合物をもたらすことという暗黙の条件を含むことが理解される。本明細書で使用される場合、用語「置換されている」は、有機化合物のすべての許容される置換基を含むことが企図される。広い態様において、許容される置換基は、有機化合物の非環式及び環式、分岐及び非分岐、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族の置換基を含む。許容される置換基は、1つ以上であってもよく、適切な有機化合物について同じであっても又は異なっていてもよい。本発明の目的で、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、及び/又はヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載される有機化合物の任意の許容される置換基を有してよい。置換基としては、本明細書に記載される任意の置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えばカルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、又はアシル)、チオカルボニル(例えばチオエステル、チオアセテート、又はチオホルメート)、アルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族部分が挙げられる。好ましい実施形態では、置換アルキル上の置換基は、C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、ハロゲン、カルボニル、シアノ、又はヒドロキシルから選択される。より好ましい実施形態では、置換アルキル上の置換基は、フルオロ、カルボニル、シアノ、又はヒドロキシルから選択される。適切な場合、置換基自体が置換され得ることは、当業者により理解される。「非置換」と特に述べられていない限り、本明細書における化学部分への言及は、置換されているバリアントを含むと理解される。例えば、「アリール」基又は部分への言及は、置換されているバリアント及び置換されていないバリアントの両方を暗黙的に含む。
【0054】
本明細書で使用される場合、各表現、例えば、アルキル、m、nなどの定義は、それが任意の構造中に2回以上出現する場合、同じ構造中の他の場所でのその定義から独立していることを意図する。
【0055】
本明細書で使用される場合、「小分子」は、約3,000ダルトンを下回る分子量の小さな有機又は無機分子を指す。一般に、本発明に有用な小分子は、3,000ダルトン(Da)未満の分子量を有する。小分子は、例えば、少なくとも約100Da~約3,000Da(例えば、約100Daから約3,000Daの間、約100Daから約2500Daの間、約100Daから約2,000Daの間、約100Daから約1,750Daの間、約100Daから約1,500Daの間、約100Daから約1,250Daの間、約100Daから約1,000Daの間、約100Daから約750Daの間、約100Daから約500Daの間、約200から約1500の間、約500から約1000の間、約300Daから約1000Daの間、又は約100Daから約250Daの間)であり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、「小分子」は、典型的には約1000未満の分子量を有する、有機、無機、又は有機金属化合物を指す。いくつかの実施形態では、小分子は、1nmのオーダーのサイズを有する有機化合物である。いくつかの実施形態では、本発明の小分子薬物は、約1000未満の分子量を有するオリゴペプチド及び他の生体分子を包含する。
【0057】
「有効量」は、有益な又は所望の結果をもたらすのに十分な量である。例えば、治療的量は、所望の治療効果を達成する量である。この量は、疾患又は疾患症状の発症を予防するのに必要な量である、予防有効量と同じであっても又は異なっていてもよい。有効量は、1回以上の投与、適用又は投薬において投与することができる。組成物の治療有効量は、選択された組成物に依存する。組成物は、1日1回以上から週に1回以上まで;例えば1日置きに投与することができる。当業者は、疾患又は障害の重症度、以前の治療、対象の全般的健康及び/又は年齢、及び存在する他の疾患を含むがこれらに限定されないある特定の因子が、対象を効果的に治療するために必要な投薬量及びタイミングに影響を及ぼし得ることを理解する。さらに、本明細書に記載される治療有効量の組成物による対象の治療は、単一の治療又は一連の治療を含み得る。
【0058】
用語「減少する」、「減らす」、「減少した」、「減少(reduction)」、「減少(decrease)」、及び「阻害する」はすべて、参照と比較した統計的に有意な量の減少を意味するために本明細書で一般に使用される。しかし、疑義を避けるため、「減らす」、「減少(reduction)」又は「減少(decrease)」又は「阻害する」は、典型的には、参照レベルと比較した少なくとも10%の減少を意味し、参照レベルと比較した所与の実体又はパラメータの、例えば少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の減少、例えば、完全な非存在まで(完全な非存在を含む)、又は所与の治療の非存在と比較した10~99%の間の任意の減少を含み得る。
【0059】
用語「増加した」、「増加する」又は「増強する」又は「活性化する」はすべて、統計的に有意な量の増加を一般に意味するために本明細書で使用される;あらゆる疑義を避けるため、用語「増加した」、「増加する」又は「増強する」又は「活性化する」は、参照レベルと比較した少なくとも10%の増加、例えば少なくとも約20%、若しくは少なくとも約30%、若しくは少なくとも約40%、若しくは少なくとも約50%、若しくは少なくとも約60%、若しくは少なくとも約70%、若しくは少なくとも約80%、若しくは少なくとも約90%の増加、若しくは100%までの増加(100%の増加を含む)、又は参照レベルと比較した10~100%の間の任意の増加、又は参照レベルと比較した少なくとも約2倍、若しくは少なくとも約3倍、若しくは少なくとも約4倍、若しくは少なくとも約5倍、若しくは少なくとも約10倍の増加、又は2倍から10倍の間若しくはそれを超える任意の増加を意味する。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「調節する」は、上方制御及び下方制御、例えば、応答を増強又は阻害することを含む。
【0061】
「放射性医薬品」は、本明細書で定義される場合、少なくとも1つの放射線放出性の放射性同位体を含有する医薬品を指す。放射性医薬品は、様々な疾患の診断及び/又は療法のために核医学で日常的に使用される。放射性標識された医薬品、例えば放射性標識された抗体は、放射線源として機能する放射性同位体(RI)を含有する。本明細書で企図される場合、用語「放射性同位体」は、金属及び非金属の放射性同位体を含む。放射性同位体は、放射性標識された医薬品の医療用途に基づいて選択される。放射性同位体が金属放射性同位体である場合、典型的には、金属放射性同位体を分子の残部に結合させるためにキレート剤が用いられる。放射性同位体が非金属放射性同位体である場合、非金属放射性同位体は、典型的には、分子の残部に直接、又はリンカーを介して連結される。
【0062】
用語「糖尿病及び関連疾患又は関連状態」は、限定するものではないが、II型糖尿病、I型糖尿病、耐糖能障害、肥満、高血糖、シンドロームX、代謝異常症候群、糖尿病性合併症、及び高インスリン血症を指す。
【0063】
本発明の目的で、化学元素は、the Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 67th Ed., 1986-87, inside coverに従って特定される。
【0064】
本発明の化合物
本発明の一態様は、以下の配列(I):
RXN-Xaa 1-Xaa 2-Xaa 3-Xaa 4-Xaa 5-Xaa 6-Xaa 7-Xaa 8-Xaa 9-Xaa 10-Xaa 11-RYC
(I)
[式中、
RXNは、H(すなわち、デス-アミノ)及び-N(Rx)2(式中、Rxは、各出現について独立して、H又は置換されていてもよいアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ホルミル、アセチル、アルカノイル、-C(O)-アルキルオキシ、-C(O)-アリールオキシ、-C(O)-アラルキルオキシ、-C(O)-ヘテロシクリルオキシ、-C(O)-ヘテロアリールアルキルオキシ、-C(O)NH-アルキル、-C(O)NH-アリール、-C(O)NH-アリールアルキル、-SO2-ヘテロシクリル、-SO2-アルキル、-SO2-アリール、-SO2-アリールアルキル、-SO2-ヘテロアリールアルキル、-SO2-ヘテロアリール、若しくはウレイドであるか;又はRxの一方の出現は、水素であり、他方の出現は、アミノ酸残基Xaa 0である)から選択されるXaa1のN末端基であり;
Xaa 0は、Gly、Pro、Arg、Glu、His、Phe及びTrpから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 1は、アルキル、アリール又はヘテロアリールを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 2は、Gly、Aib、Ala、D-Ala、N-メチル-Ala、N-メチル-D-Ala、Pro、α-メチル-Pro、Val、D-Val、及びD-Hisから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 3は、カルボキシル又はスルホン酸基を含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 4は、Gly、Ala、Aib、及びβ-Alaから選択されるアミノ酸残基であり;
Xaa 5は、Thr、Ser、Ala、Aib、Val、α-MeSer、α-MeThr、及びα-MeValから選択される置換されていてもよいアミノ酸であり;
Xaa 6は、α炭素において二置換されている置換されていてもよいアミノ酸残基であり、ただし、置換基のうちの1つは、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールであり;
Xaa 7は、ヒドロキシルを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 8は、Ser、His、及びAsnから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 9は、カルボキシル又はスルホン酸基を含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 10は、スルフィド及び/又は置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 11は、スルフィド及び/又は置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;及び
RYCは、構造-C(O)N(RY)2(式中、RYは、各出現について独立して、水素又はPK改変基である)を有するXaa 11のC末端基である]
により表されるポリペプチドに関する。
【0065】
ある特定の実施形態では、RYCは、構造-C(O)N(RY)2[式中、RYは、各出現について独立して、水素又は血清アルブミン結合基である]を有するXaa 11のC末端基である。
【0066】
ある特定の実施形態では、Xaa 1は、(C1~C4)アルキル、イミダゾール、又はフェニルを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基である。
【0067】
ある特定の実施形態では、Xaa 1は、Leu、His、及びTyrから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基である。
【0068】
ある特定の実施形態では、アミノ酸残基は、置換されている場合、少なくとも1つのハロ、ヒドロキシル、又はアルキルで置換されている。
【0069】
ある特定の実施形態では、Xaa 2は、Gly、Aib、Ala、D-Ala、N-メチル-Ala、N-メチル-D-Ala、Pro、α-メチル-Pro、Val、及びD-Valから選択される非置換アミノ酸残基である。
【0070】
ある特定の実施形態では、Xaa 2は、Gly、Aib、Ala、D-Ala、N-メチル-Ala、N-メチル-D-Ala、Pro、α-メチル-Pro、Val、及びD-Valから選択される置換アミノ酸残基である。
【0071】
ある特定の実施形態では、アミノ酸残基は、Aib、Pro、α-メチル-Pro、及びValから選択される。
【0072】
ある特定の実施形態では、アミノ酸残基は、少なくとも1つのハロ又はアルキルで置換されている。
【0073】
ある特定の実施形態では、Xaa 3は、カルボキシルを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基である。
【0074】
ある特定の実施形態では、Xaa 3は、Asp及びGluから選択されるアミノ酸残基である。
【0075】
ある特定の実施形態では、Xaa 3は、スルホン酸基を含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基である。
【0076】
ある特定の実施形態では、Xaa 3は、システイン酸から選択されるアミノ酸残基である。
【0077】
ある特定の実施形態では、アミノ酸残基は、置換されている場合、少なくとも1つのハロ又はアルキルで置換されている。
【0078】
ある特定の実施形態では、Xaa 4は、Gly及びAlaから選択されるアミノ酸残基である。
【0079】
ある特定の実施形態では、Xaa 5は、Thr、Ser、Ala、Aib、Val、α-MeSer、α-MeThr、及びα-MeValから選択される非置換アミノ酸残基である。
【0080】
ある特定の実施形態では、Xaa 5は、Thr、Ser、Ala、Aib、Val、α-MeSer、α-MeThr、及びα-MeValから選択される置換アミノ酸残基である。
【0081】
ある特定の実施形態では、Xaa 5は、非置換又は置換Thrである。
【0082】
ある特定の実施形態では、Xaa 5は、少なくとも1つのハロ又はアルキルで置換されている。
【0083】
ある特定の実施形態では、Xaa 6は、
【化1】
[式中、X6aは、アルキルであり;及びX6bは、置換アリールアルキルである]
により表される置換されていてもよいアミノ酸残基である。
【0084】
ある特定の実施形態では、アリールアルキルは、少なくとも1つのハロで置換されている。
【0085】
ある特定の実施形態では、X6aは、メチルであり;及びX6bは、ベンジル、2-フルオロベンジル、又は2,4-ジフルオロベンジルである。
【0086】
ある特定の実施形態では、Xaa 6は、α-MePhe、α-MePhe(2-F)、及びα-MePhe(2,6-DiF)から選択される置換されていてもよいアミノ酸残基である。
【0087】
ある特定の実施形態では、Xaa 7は、Thr、α-MeThr、Ser、及びα-MeSerから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基である。
【0088】
ある特定の実施形態では、アミノ酸残基は、置換されている場合、少なくとも1つのハロ又はアルキルで置換されている。
【0089】
ある特定の実施形態では、Xaa 8は、Ser、His、及びAsnから選択される非置換アミノ酸残基である。
【0090】
ある特定の実施形態では、Xaa 8は、Ser、His、及びAsnから選択される置換アミノ酸残基である。
【0091】
ある特定の実施形態では、Xaa 8は、非置換又は置換Serである。
【0092】
ある特定の実施形態では、Xaa 8は、置換されている場合、少なくとも1つのハロ又はアルキルで置換されている。
【0093】
ある特定の実施形態では、Xaa 9は、カルボキシルを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基である。
【0094】
ある特定の実施形態では、Xaa 9は、Asp及びGluから選択されるアミノ酸残基である。
【0095】
ある特定の実施形態では、Xaa 9は、スルホン酸基を含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基である。
【0096】
ある特定の実施形態では、Xaa 9は、置換されていてもよいシステイン酸である。
【0097】
ある特定の実施形態では、アミノ酸残基は、置換されている場合、少なくとも1つのハロ又はアルキルで置換されている。
【0098】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、置換アリールを含むアミノ酸側鎖を含むアミノ酸残基である。
【0099】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、α-炭素においてさらに置換されている。ある特定の実施形態では、Xaa 10は、α-炭素においてアルキルでさらに置換されている。他の実施形態では、Xaa 10は、α-炭素においてメチルでさらに置換されている。
【0100】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、
【化2】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X3は、N又はCR10dであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、S又はSO2であり;
R10aは、H又はアルキルであり;及び
R10b、R10c、R10d、R10e、及びR10fは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される。
【0101】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、
【化3】
により表される。
【0102】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、
【化4】
により表される。
【0103】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、
【化5】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
X6は、N又はCR10gであり;
X7は、N又はCR10hであり;
X8は、N又はCR10iであり;
X9は、N又はCR10jであり;
X10は、N又はR10kであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、S又はSO2であり;
Z2は、存在しないか又は存在し、存在する場合、S又はSO2であり;
R10aは、H及びアルキルから選択され;及び
R10b、R10c、R10e、R10f、R10g、R10h、R10i、R10j、及びR10kは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される。
【0104】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、
【化6】
により表される。
【0105】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、
【化7】
により表される。
【0106】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、
【化8】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、CH2、S、O、NH、SO2、SO2-NH、NH-SO2、NHC(O)、及びC(O)NHから選択され;
R10aは、H及びアルキルから選択され;
R10dは、-OH又は-L1-L2-L3-R10d'であり;
R10d'は、-NH2、(C1~C20アルキル)-CO2H又は置換されていてもよい(C1~C6アルキル)-アリールであり;
L1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、リンカーであり;
L2は、エーテル部分を含むリンカーであり;
L3は、存在しないか又は存在し、存在する場合、アミノ酸部分を含むリンカーであり;及び
R10b、R10c、R10d、R10e、及びR10fは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される。
【0107】
ある特定の実施形態では、R10dは、-L1-L2-L3-R10d'である。
【0108】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、
【化9】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
X6は、N又はCR10gであり;
X7は、N又はCR10hであり;
X9は、N又はCR10jであり;
X10は、N又はCR10kであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、CH2、NH、S、SO2、O、SO2-NH、NH-SO2、NHC(O)、及びC(O)NHから選択され;
Z2は、存在しないか又は存在し、存在する場合、NH、S、SO2、O、SO2-NH、NH-SO2、NHC(O)、及びC(O)NHから選択され;
R10aは、H及びアルキルから選択され;
R10iは、-L1-L2-L3-R10i'であり;
R10i'は、-NH2、(C1~C20アルキル)-CO2H又は置換されていてもよい(C1~C6アルキル)-アリールであり;
L1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、リンカーであり;
L2は、エーテル部分を含むリンカーであり;
L3は、存在しないか又は存在し、存在する場合、アミノ酸部分を含むリンカーであり;及び
R10b、R10c、R10e、R10f、R10g、R10h、R10j、及びR10kは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される。
【0109】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、
【化10】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
R10aは、H及びアルキルから選択され;
R10b、R10c、R10e、及びR10fは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択され;及び
Z3は、置換ヘテロアリールである]
により表される。
【0110】
ある特定の実施形態では、Z3は、5員の置換ヘテロアリールである。
【0111】
ある特定の実施形態では、5員の置換ヘテロアリールは、置換トリアゾリルである。
【0112】
ある特定の実施形態では、置換ヘテロアリールは、-(C1~20アルキル)-CO2Hで置換されている。
【0113】
ある特定の実施形態では、置換ヘテロアリールは、-(C10~20アルキル)-CO2Hで置換されている。
【0114】
ある特定の実施形態では、置換ヘテロアリールは、-(C15アルキル)-CO2Hで置換されている。
【0115】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、
【化11】
により表される。
【0116】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、置換アリールを含むアミノ酸側鎖を含むアミノ酸残基である。
【0117】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、α-炭素においてさらに置換されている。ある特定の実施形態では、Xaa 11は、α-炭素においてアルキルでさらに置換されている。他の実施形態では、Xaa 11は、α-炭素においてメチルでさらに置換されている。
【0118】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、
【化12】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X3は、N又はCR10dであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、S又はSO2であり;
R10aは、H及びアルキルから選択され;及び
R10b、R10c、R10d、R10e、及びR10fは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される。
【0119】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、
【化13】
により表される。
【0120】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、
【化14】
により表される。
【0121】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、
【化15】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
X6は、N又はCR10gであり;
X7は、N又はCR10hであり;
X8は、N又はCR10iであり;
X9は、N又はCR10jであり;
X10は、N又はCR10kであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、S又はSO2であり;
Z2は、存在しないか又は存在し、存在する場合、S又はSO2であり;
R10aは、H及びアルキルから選択され;及び
R10b、R10c、R10e、R10f、R10g、R10h、R10i、R10j、及びR10kは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される。
【0122】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、
【化16】
により表される。
【0123】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、
【化17】
により表される。
【0124】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、
【化18】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、CH2、S、O、NH、SO2、SO2-NH、NH-SO2、NHC(O)、及びC(O)NHから選択され;
R10aは、H及びアルキルから選択され;
R10dは、-OH又は-L1-L2-L3-R10d'であり;
R10d'は、-NH2、(C1~C20アルキル)-CO2H又は置換されていてもよい(C1~C6アルキル)-アリールであり;
L1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、リンカーであり;
L2は、エーテル部分を含むリンカーであり;
L3は、存在しないか又は存在し、存在する場合、アミノ酸部分を含むリンカーであり;及び
R10b、R10c、R10d、R10e、及びR10fは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される。
【0125】
ある特定の実施形態では、R10dは、-L1-L2-L3-R10d'である。
【0126】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、
【化19】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
X6は、N又はCR10gであり;
X7は、N又はCR10hであり;
X9は、N又はCR10jであり;
X10は、N又はCR10kであり;
Z1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、CH2、NH、S、SO2、O、SO2-NH、NH-SO2、NHC(O)、及びC(O)NHから選択され;
Z2は、存在しないか又は存在し、存在する場合、NH、S、SO2、O、SO2-NH、NH-SO2、NHC(O)、及びC(O)NHから選択され;
R10aは、H及びアルキルから選択され;
R10iは、-OH又は-L1-L2-L3-R10i'であり;
R10i'は、-NH2、(C1~C20アルキル)-CO2H又は置換されていてもよい(C1~C6アルキル)-アリールであり;
L1は、存在しないか又は存在し、存在する場合、リンカーであり;
L2は、エーテル部分を含むリンカーであり;
L3は、存在しないか又は存在し、存在する場合、アミノ酸部分を含むリンカーであり;及び
R10b、R10c、R10e、R10f、R10g、R10h、R10j、及びR10kは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択される]
により表される。
【0127】
ある特定の実施形態では、R10iは、-L1-L2-L3-R10i'である。
【0128】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、
【化20】
[式中、
X1は、N又はCR10bであり;
X2は、N又はCR10cであり;
X4は、N又はCR10eであり;
X5は、N又はCR10fであり;
R10aは、H及びアルキルから選択され;
R10b、R10c、R10e、及びR10fは、独立して、H、ハロゲン、及びアルキルから選択され;及び
Z3は、置換ヘテロアリールである]
により表される。
【0129】
ある特定の実施形態では、Z3は、5員の置換ヘテロアリールである。
【0130】
ある特定の実施形態では、5員の置換ヘテロアリールは、置換トリアゾリルである。
【0131】
ある特定の実施形態では、置換ヘテロアリールは、-(C1~20アルキル)-CO2Hで置換されている。
【0132】
ある特定の実施形態では、置換ヘテロアリールは、-(C10~20アルキル)-CO2Hで置換されている。
【0133】
ある特定の実施形態では、置換ヘテロアリールは、-(C15アルキル)-CO2Hで置換されている。
【0134】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、
【化21】
により表される。
【0135】
ある特定の実施形態では、L1は、存在する場合、
【化22】
から選択される。
【0136】
ある特定の実施形態では、L2は、
【化23】
であり;及び各nは、独立して1~6である。
【0137】
ある特定の実施形態では、L3は、存在する場合、
【化24】
である。
【0138】
ある特定の実施形態では、R10d'は、(C1~C15アルキル)-CO2Hである。
【0139】
ある特定の実施形態では、R10d'は、
【化25】
であり;及びR10d''はハロである。
【0140】
ある特定の実施形態では、R10d''はIである。
【0141】
ある特定の実施形態では、R10i'は、(C1~C15アルキル)-CO2Hである。
【0142】
ある特定の実施形態では、R10i'は、
【化26】
であり;及びR10i''はハロである。
【0143】
ある特定の実施形態では、R10i''はIである。
【0144】
ある特定の実施形態では、R10dは、
【化27】
から選択される。
【0145】
ある特定の実施形態では、R10iは、
【化28】
から選択される。
【0146】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、Phe、Tyr、Trp、ホモフェニルアラニン(Hph)、ホモチロシン(Hty)、Bip、α-MeBip、4-フェニル-3-ピリジルアラニン、4-フェニル-4-ピリジルアラニン、α-MeHph、α-MeTyr、α-MeHty、Tyr(O-フェニル)、Phe(4-S-フェニル)、Phe(4-SO2-NH-フェニル)、Phe(4-CO-NH-フェニル)、Cys(S-フェニル)、Cys(S-フェニル[2,3,4,5,6-F5])、Cys(S-フェニル[2,3,4,5-F4]-4-フェニル[2',3',4',5',6'-F5])、Cys(S-フェニル[2,3,4,5-F4]-4-SO2-フェニル[2',3',4',5',6'-F5])、Cy(SO2-NH-フェニル)、Dap(3-C[=O]-フェニル)、Dap(3-[C=O]-ピリジル)、Asp(3-NH-フェニル)、及びAsp(3-NH-ピリジル)から選択される置換されていてもよいアミノ酸残基である。
【0147】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、Phe、Tyr、Trp、ホモフェニルアラニン(Hph)、ホモチロシン(Hty)、Bip、α-MeBip、4-フェニル-3-ピリジルアラニン、4-フェニル-4-ピリジルアラニン、α-MeHph、α-MeTyr、α-MeHty、Tyr(O-フェニル)、Phe(4-S-フェニル)、Phe(4-SO2-NH-フェニル)、Phe(4-CO-NH-フェニル)、Cys(S-フェニル)、Cys(S-フェニル[2,3,4,5,6-F5])、Cys(S-フェニル[2,3,4,5-F4]-4-フェニル[2',3',4',5',6'-F5])、Cys(S-フェニル[2,3,4,5-F4]-4-SO2-フェニル[2',3',4',5',6'-F5])、Cy(SO2-NH-フェニル)、Dap(3-C[=O]-フェニル)、Dap(3-[C=O]-ピリジル)、Asp(3-NH-フェニル)、及びAsp(3-NH-ピリジル)から選択される置換されていてもよいアミノ酸残基である。
【0148】
ある特定の実施形態では、RXNは、-N(Rx)2[式中、各RxはHである]である。
【0149】
ある特定の実施形態では、RXNは、-N(Rx)2[式中、Rxの一方の出現は、水素であり、他方の出現は、アミノ酸残基Xaa 0である]である。
【0150】
ある特定の実施形態では、RYCは、-C(O)(NRY)2[式中、各RYはHである]である。
【0151】
ある特定の実施形態では、RYCは、-C(O)(NRY)2であり;
RYの一方の出現は、水素であり、RYの他方の出現は、-L4-L5-L6-L7-RY'であり、
RY'は、(C1~C20アルキル)-CO2H又は置換されていてもよい(C1~C6アルキル)-アリールであり;
L4は、存在しないか又は存在し、存在する場合、アミノ酸部分を含むリンカーであり;
L5は、存在しないか又は存在し、存在する場合、アミノ酸部分を含むリンカーであり;
L6は、存在しないか又は存在し、存在する場合、エーテル部分を含むリンカーであり;及び
L7は、アミノ酸部分を含むリンカーである。
【0152】
ある特定の実施形態では、L4は存在し、
【化29】
であり;及びmは1~6である。
【0153】
ある特定の実施形態では、L5は存在し、
【化30】
であり;及びlは1~6である。
【0154】
ある特定の実施形態では、L5は存在し、
【化31】
であり;及びnは1~6である。
【0155】
ある特定の実施形態では、L6は、
【化32】
である。
【0156】
ある特定の実施形態では、RY'は、(C10~C16アルキル)-CO2Hである。
【0157】
ある特定の実施形態では、RY'は、
【化33】
であり;及びRY''はハロである。
【0158】
ある特定の実施形態では、RY''はIである。
【0159】
ある特定の実施形態では、RYの一方の出現は、水素であり、他方の出現は、
【化34】
から選択される。
【0160】
ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、表4に列挙されるポリペプチドから選択される。
【0161】
ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、表5に列挙されるポリペプチドから選択される。
【0162】
ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、表6に列挙されるポリペプチドから選択される。
【0163】
ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、
【化35】
により表される。
【0164】
ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、
【化36】
[式中、
各nは、独立して、10~20(例えば、15)であり;
各R2Aは、独立して、-H又はアルキルであり;及び
各R10Aは、独立して、-H又はアルキルである]
により表される。
【0165】
ある特定の実施形態では、各nは、独立して、10~20(例えば、15)であり;各R2Aは、独立して、-H又は-CH3であり;及び各R10Aは、独立して、-H又は-CH3である。
【0166】
ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、
【化37】
[式中、
各mは、独立して、1~10であり;
各R2Aは、独立して、-H又はアルキルであり;
各R10Aは、独立して、-H又はアルキルであり;
各R10Zは、独立して、ハロ(例えば、I)であり;及び
各R11Zは、独立して、ハロ(例えば、I)である]
により表される。
【0167】
ある特定の実施形態では、各nは、独立して、1~10であり;各R2Aは、独立して、-H又は-CH3であり;各R10Aは、独立して、-H又は-CH3であり;各R10Zは、独立して、ハロ(例えば、I)であり;及び各R1aZは、独立して、ハロ(例えば、I)である。
【0168】
ある特定の実施形態では、各R10ZはIであり;及び各R11ZはIである。
【0169】
ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、
【化38】
により表される。
【0170】
ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、
【化39】
により表される。
【0171】
ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、
【化40】
により表される。
【0172】
ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、
【化41】
により表される。
【0173】
ある特定の実施形態では、S-アリール1は、構造:
【化42】
を有する。
【0174】
ある特定の実施形態では、S-アリール2は、構造:
【化43】
を有する。
【0175】
ある特定の実施形態では、S-アリール3は、構造:
【化44】
を有する。
【0176】
ある特定の実施形態では、R10d又はR10iは、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アジド基、アルキニル基、又はチオール、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、アジド若しくはアルキニルにより置換されているメチル基、並びに血清アルブミンに結合すること(脂肪酸(例えば、C16又はC18)の組み込みによりリラグルチド及びセマグルチド(17~19)などのGLP-1ペプチドアゴニストにより例示される様式で、又はさらに、限定されないがヨウ化フェニル(20)により示され、以下に例示される、ハロゲン化アリールにより表される他の公知の血清アルブミン結合部分により)によって薬物動態特性を増強する官能基へのこのような置換基(例えば、チオエーテル、エーテル、アミン、エステル、トリアジン)を介したさらなるコンジュゲーションから選択される。
【0177】
ある特定の実施形態では、R10d又はR10iは、
【化45】
から選択される。
【0178】
ある特定の実施形態では、RYCは、-C(O)NHRY[式中、NHRYは、
【化46】
から選択される]である。
【0179】
ある特定の実施形態では、RYCは、-C(O)NHRY[式中、NHRYは、
【化47】
から選択される]である。
【0180】
ある特定の実施形態では、RYCは、-C(O)NHRY[式中、NHRYは、
【化48】
から選択される]である。
【0181】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、Phe、Tyr、Trp、ホモフェニルアラニン(Hph)、ホモチロシン(Hty)、Bip、α-MeBip、4-フェニル-3-ピリジルアラニン、4-フェニル-4-ピリジルアラニン、α-MeHph、α-MeTyr、α-MeHty、Tyr(O-フェニル)、Phe(4-S-フェニル)、Phe(4-SO2-NH-フェニル)、Phe(4-CO-NH-フェニル)、Cys(S-フェニル)、Cys(S-フェニル[2,3,4,5,6-F5])、Cys(S-フェニル[2,3,4,5-F4]-4-フェニル[2',3',4',5',6'-F5])、及びCys(S-フェニル[2,3,4,5-F4]-4-SO2-フェニル[2',3',4',5',6'-F5])から選択される置換されていてもよいアミノ酸残基である。
【0182】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、置換されていてもよいCy(SO2-NH-フェニル)であり、すなわち、システイン酸の-SO3H基は、-SO2-NH-フェニルで置換されている。
【0183】
ある特定の実施形態では、Xaa 10は、Dap(3-C[=O]-フェニル)(すなわち、側鎖のアミノ基は、-NHC(O)-フェニルで置換されている)、Dap(3-[C=O]-ピリジル)(すなわち、側鎖のアミノ基は、-NHC(O)-4-ピリジニルで置換されている)、Asp(3-NH-フェニル)(すなわち、側鎖のカルボキシル基は、-C(O)NH-フェニルで置換されている)、及びAsp(3-NH-ピリジル)(すなわち、側鎖のカルボキシル基は、-C(O)NH-4-ピリジニルで置換されている)から選択される置換されていてもよいアミノ酸残基である。
【0184】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、置換されていてもよいCy(SO2-NH-フェニル)であり、すなわち、システイン酸の-SO3H基は、-SO2-NH-フェニルで置換されている。
【0185】
ある特定の実施形態では、Xaa 11は、Dap(3-C[=O]-フェニル)(すなわち、側鎖のアミノ基は、-NHC(O)-フェニルで置換されている)、Dap(3-[C=O]-ピリジル)(すなわち、側鎖のアミノ基は、-NHC(O)-4-ピリジニルで置換されている)、Asp(3-NH-フェニル)(すなわち、側鎖のカルボキシル基は、-C(O)NH-フェニルで置換されている)、及びAsp(3-NH-ピリジル)(すなわち、側鎖のカルボキシル基は、-C(O)NH-4-ピリジニルで置換されている)から選択される置換されていてもよいアミノ酸残基である。
【0186】
ある特定の実施形態では、Xaa 2及び/又はXaa 11は、D-アミノ酸残基である。
【0187】
ある特定の実施形態では、Xaa 1~Xaa 11のそれぞれは、L-アミノ酸残基である。
【0188】
ある特定の実施形態では、アミノ酸残基は、置換されている場合、アルキル又はハロで置換されている。
【0189】
ある特定の実施形態では、アミノ酸残基は、置換されている場合、アルキル、ヒドロキシル、又はハロで置換されている。
【0190】
ある特定の実施形態では、アミノ酸残基のいずれか1つは、天然アミノ酸から選択される。
【0191】
ある特定の実施形態では、アミノ酸残基のいずれか1つは、非天然アミノ酸から選択される。
【0192】
ある特定の実施形態では、化合物は、アトロプ異性体である。さらに、別段述べられていない限り、本明細書に描写される構造はまた、1つ以上の同位体濃縮された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素を重水素又はトリチウムで、又は炭素を13C-又は14C-濃縮炭素で置換することにより生成される化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、又は本発明による治療剤として有用である。例えば、可変要素R1の場合、(C1~C4)アルキル又は-O-(C1~C4)アルキルは、好適には重水素化することができる(例えば、-CD3、-OCD3)。
【0193】
本発明の任意の化合物はまた、放射性医薬品の調製のために放射性標識することができる。
【0194】
治療方法
本発明の一態様は、有効量の配列(I)のポリペプチドを対象に投与するステップを含む、グルカゴン様ペプチド1により少なくとも部分的に媒介される疾患又は障害の治療又は予防を必要とする対象における、グルカゴン様ペプチド1により少なくとも部分的に媒介される疾患又は障害を治療又は予防する方法に関する。
【0195】
ある特定の実施形態では、有効量の配列(I)のポリペプチドを対象に投与するステップを含む、糖尿病の治療又は予防を必要とする対象における、糖尿病を治療又は予防する方法。
【0196】
ある特定の実施形態では、糖尿病は、II型糖尿病である。
【0197】
ある特定の実施形態では、糖尿病に関連する合併症、例えば大血管合併症及び微小血管合併症、例えば網膜症、神経障害、腎症及び創傷治癒遅延、並びに関連疾患、例えばインスリン抵抗性(グルコース恒常性障害)、高血糖、高インスリン血症、脂肪酸又はグリセロールの血中レベルの上昇、肥満、高脂血症、例えば高トリグリセリド血症、シンドロームX、アテローム性動脈硬化症及び高血圧を治療し、予防し、又はその発症を遅延させる方法、及び高密度リポタンパク質レベルを増加させる方法。
【0198】
ある特定の実施形態では、抗糖尿病剤を投与するステップをさらに含む方法。
【0199】
ある特定の実施形態では、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及びその治療の状況で適用され得る脂質低下剤を投与するステップをさらに含む方法。
【0200】
ある特定の実施形態では、有効量の配列(I)のポリペプチドを対象に投与するステップを含む、肥満又は関連する代謝障害、例えば、多嚢胞性卵巣疾患(PCOS)の治療又は予防を必要とする対象における、肥満又は関連する代謝障害、例えば、多嚢胞性卵巣疾患(PCOS)を治療又は予防する方法。
【0201】
ある特定の実施形態では、抗肥満剤を投与するステップをさらに含む方法。
【0202】
ある特定の実施形態では、有効量の配列(I)のポリペプチドを対象に投与するステップを含む、心血管疾患の治療又は予防を必要とする対象における、心血管疾患を治療又は予防する方法。
【0203】
ある特定の実施形態では、抗高血圧剤を投与するステップをさらに含む方法。
【0204】
ある特定の実施形態では、有効量の配列(I)のポリペプチドを対象に投与するステップを含む、神経変性疾患の治療又は予防を必要とする対象における、神経変性疾患を治療又は予防する方法。
【0205】
ある特定の実施形態では、神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、及びプリオン病から選択される。
【0206】
ある特定の実施形態では、有効量の配列(I)のポリペプチドを対象に投与するステップを含む、外傷性脳損傷(TBI)の治療又は予防を必要とする対象における、外傷性脳損傷(TBI)を治療又は予防する方法。
【0207】
ある特定の実施形態では、有効量の配列(I)のポリペプチドを対象に投与するステップを含む、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療又は予防を必要とする対象における、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療又は予防する方法。
【0208】
開示される方法のいずれか1つの一部の実施形態では、配列(I)のポリペプチドは、
RXN-Xaa 1-Xaa 2-Xaa 3-Xaa 4-Xaa 5-Xaa 6-Xaa 7-Xaa 8-Xaa 9-Xaa 10-Xaa 11-RYC
[式中、
RXNは、H(すなわち、デス-アミノ)及び-N(Rx)2(式中、Rxは、各出現について独立して、H又は置換されていてもよいアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ホルミル、アセチル、アルカノイル、-C(O)-アルキルオキシ、-C(O)-アリールオキシ、-C(O)-アラルキルオキシ、-C(O)-ヘテロシクリルオキシ、-C(O)-ヘテロアリールアルキルオキシ、-C(O)NH-アルキル、-C(O)NH-アリール、-C(O)NH-アリールアルキル、-SO2-ヘテロシクリル、-SO2-アルキル、-SO2-アリール、-SO2-アリールアルキル、-SO2-ヘテロアリールアルキル、-SO2-ヘテロアリール、若しくはウレイドであるか;又はRxの一方の出現は、水素であり、他方の出現は、アミノ酸残基Xaa 0である)から選択されるXaa 1のN末端基であり;
Xaa 0は、Gly、Pro、Arg、Glu、His、Phe及びTrpから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 1は、アルキル、アリール又はヘテロアリールを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 2は、Gly、Aib、Ala、D-Ala、N-メチル-Ala、N-メチル-D-Ala、Pro、α-メチル-Pro、Val、D-Val、及びD-Hisから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 3は、カルボキシル又はスルホン酸基を含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 4は、Gly、Ala、Aib、及びβ-Alaから選択されるアミノ酸残基であり;
Xaa 5は、Thr、Ser、Ala、Aib、Val、α-MeSer、α-MeThr、及びα-MeValから選択される置換されていてもよいアミノ酸であり;
Xaa 6は、α炭素において二置換されている置換されていてもよいアミノ酸残基であり、ただし、置換基のうちの1つは、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールであり;
Xaa 7は、ヒドロキシルを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 8は、Ser、His、及びAsnから選択される置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 9は、カルボキシル又はスルホン酸基を含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 10は、スルフィド及び/又は置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;
Xaa 11は、スルフィド及び/又は置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールを含むアミノ酸側鎖を含む置換されていてもよいアミノ酸残基であり;及び
RYCは、構造-C(O)N(RY)2(式中、RYは、各出現について独立して、水素又はPK改変基である)を有するXaa 11のC末端基である]
と定義される。
【0209】
医薬組成物、投与経路、及び投薬
ある特定の実施形態では、本発明は、本発明の化合物、すなわちポリペプチドと薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を対象とする。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、複数の本発明の化合物及び薬学的に許容される担体を含む。
【0210】
ある特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物以外の少なくとも1つの追加の薬学的活性剤をさらに含む。少なくとも1つの追加の薬学的活性剤は、例えば、糖尿病の治療において有用な薬剤であり得る。
【0211】
本発明の医薬組成物は、1つ以上の本発明の化合物を、薬学的に許容される担体及び任意選択で1つ以上の追加の薬学的活性剤と組み合わせることにより、調製することができる。
【0212】
上で述べたように、「有効量」は、所望の生物学的効果を達成するのに十分な任意の量を指す。本明細書で提供される教示と組み合わせると、様々な活性化合物の中から選択し、効力、相対的バイオアベイラビリティ、患者の体重、有害な副作用の重症度及び投与方法などの因子を考慮することにより、実質的な望ましくない毒性を引き起こさず、さらに、特定の対象を処置するのに有効である、有効な予防的又は治療的処置レジメンを計画することができる。任意の特定の適用についての有効量は、治療される疾患若しくは状態、投与される本発明の特定の化合物、対象のサイズ、又は疾患若しくは状態の重症度などの因子に応じて変わり得る。当業者は、過度の実験を必要とすることなく、本発明の特定の化合物及び/又は他の治療剤の有効量を経験的に決定することができる。最大用量、すなわち何らかの医学的判断に従って安全な最も高い用量が使用されてもよい。化合物の適切な全身レベルを達成するために、1日あたり複数回投与が企図されてもよい。適切な全身レベルは、例えば、患者の薬物のピーク又は持続的血漿レベルの測定により決定することができる。「用量」及び「投薬量」は、本明細書では互換的に使用される。
【0213】
ある特定の実施形態では、化合物の静脈内投与は、典型的には0.1mg/kg/日~20mg/kg/日であり得る。一実施形態では、化合物の静脈内投与は、典型的には0.1mg/kg/日~2mg/kg/日であり得る。一実施形態では、化合物の静脈内投与は、典型的には0.5mg/kg/日~5mg/kg/日であり得る。一実施形態では、化合物の静脈内投与は、典型的には1mg/kg/日~20mg/kg/日であり得る。一実施形態では、化合物の静脈内投与は、典型的には1mg/kg/日~10mg/kg/日であり得る。
【0214】
一般に、化合物の1日の経口用量は、ヒト対象について、1日あたり約0.01ミリグラム/kg~1日あたり1000ミリグラム/kgである。1日あたり1回以上の投与における0.5~50ミリグラム/kgの範囲の経口用量により、治療結果が得られると予想される。投薬量は、投与方法に応じて、局所的又は全身的な所望の薬物レベルを達成するために適切に調節し得る。例えば、静脈内投与は、1日あたり1桁から数桁低い用量であろうと予想される。対象における応答がこのような用量で不十分である場合、さらに高い用量(又は異なる、より局所的な送達経路による有効なより高い用量)を、患者の忍容性が許容する程度まで用いてもよい。化合物の適切な全身レベルを達成するために、1日あたり複数回投与が企図される。
【0215】
本明細書に記載される任意の化合物について、治療有効量は、動物モデルから最初に決定することができる。治療有効用量はまた、ヒトにおいて試験された化合物についての、及び類似の薬理学的活性を示すことが知られている化合物、例えば他の関連活性剤についてのヒトデータから決定することができる。非経口投与には、より高い用量が必要とされ得る。適用される用量は、投与される化合物の相対的バイオアベイラビリティ及び効力に基づいて調節することができる。上記の方法及び当技術分野で周知の他の方法に基づいて最大効力を達成するために用量を調節することは、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0216】
本発明の製剤は、薬学的に許容される濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合性担体、アジュバント、及び任意選択で他の治療成分を日常的に含有し得る、薬学的に許容される溶液中で投与することができる。
【0217】
療法での使用のために、有効量の化合物は、化合物を所望の表面に送達する任意の方法により対象に投与することができる。医薬組成物の投与は、当業者に公知の任意の手段により達成してよい。投与経路としては、以下に限定されないが、静脈内、筋肉内、腹腔内、膀胱内(膀胱)、経口、皮下、直接注射(例えば、腫瘍又は膿瘍へ)、粘膜(例えば、眼への局所)、吸入、及び局所が挙げられる。
【0218】
静脈内及び他の非経口投与経路の場合、本発明の化合物は、凍結乾燥製剤として、リポソーム挿入若しくはカプセル化活性化合物の凍結乾燥製剤として、水性懸濁液中の脂質複合体として、又は塩複合体として製剤化することができる。凍結乾燥製剤は、一般に、投与の直前に、好適な水溶液、例えば滅菌水又は食塩水中で再構成される。
【0219】
経口投与の場合、化合物は、活性化合物(複数可)を、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体と組み合わせることにより、容易に製剤化することができる。このような担体は、本発明の化合物が、治療されるべき対象による経口摂取のために、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化されることを可能にする。経口使用のための医薬製剤は、任意選択で、所望の場合、錠剤又は糖衣錠コアを得るために、好適な補助剤を添加した後に、結果として生じた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を加工して、固体賦形剤として得ることができる。好適な賦形剤は、特に、充填剤、例えば糖、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトール;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、バレイショデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)である。所望の場合、崩壊剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを添加してもよい。任意選択で、経口製剤はまた、食塩水又は緩衝液、例えば、内部の酸性状態を中和するためのEDTA中で製剤化してもよく、又はいかなる担体も使用せずに投与してもよい。
【0220】
上記成分(単数又は複数)の経口剤形も特に企図される。成分(単数又は複数)は、誘導体の経口送達が有効であるように化学的に修飾してもよい。一般に、企図される化学修飾は、成分分子自体への少なくとも1つの部分の結合であり、前記部分は、(a)酸加水分解の阻害;及び(b)胃又は腸から血流への取り込みを可能にする。また、成分(単数又は複数)の全体的な安定性の増加及び体内での循環時間の増加も望ましい。このような部分の例としては、ポリエチレングリコール、エチレングリコール及びプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリプロリンが挙げられる。Abuchowski and Davis, “Soluble Polymer-Enzyme Adducts”, In: Enzymes as Drugs, Hocenberg and Roberts, eds., Wiley-Interscience, New York, N.Y., pp. 367-383 (1981); Newmark et al., J Appl Biochem 4:185-9 (1982)。使用可能な他のポリマーは、ポリ-1,3-ジオキソラン及びポリ-1,3,6-チオキソカンである。医薬用途について、上に示されるように、ポリエチレングリコール部分が好適である。
【0221】
成分(又は誘導体)について、放出の場所は、胃、小腸(十二指腸、空腸、又は回腸)、又は大腸であってもよい。当業者は、胃では溶解しないが、十二指腸又は腸内の他の場所で材料を放出する利用可能な製剤を有する。好ましくは、放出は、本発明の化合物(又は誘導体)の保護により、又は腸内などの胃環境を超えての生物活性材料の放出により、胃環境の有害な影響を回避する。
【0222】
完全な胃耐性を確実にするために、少なくともpH5.0に対して不浸透性のコーティングが必須である。腸溶性コーティングとして使用される、より一般的な不活性成分の例は、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、HPMCP 50、HPMCP 55、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、オイドラギット(Eudragit)L30D、アクアテリック(Aquateric)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、オイドラギットL、オイドラギットS、及びシェラックである。これらのコーティングは混合被膜として使用してもよい。
【0223】
コーティング又はコーティングの混合物はまた、胃に対する保護を意図しない錠剤にも使用することができる。これは、糖コーティング、又は錠剤を飲み込みやすくするコーティングを含み得る。カプセルは、乾燥治療剤(例えば、粉末)の送達のための硬質シェル(例えばゼラチン)からなってもよい;液体形態については、軟質ゼラチンシェルを使用してもよい。カシェ剤のシェル材料は、濃デンプン又は他の食用紙であってよい。丸剤、トローチ剤、成形錠剤又は粉薬錠剤については、湿式塊化技法(moist massing technique)を使用することができる。
【0224】
治療剤は、粒径約1mmの顆粒又はペレットの形態の細かい多微粒子として、製剤中に含めることができる。カプセル投与用の材料の製剤化はまた、粉末、軽度に圧縮されたプラグとして、又は錠剤としてでさえあってよい。治療剤は圧縮により調製することができる。
【0225】
着色剤及び香味剤はすべて含めてもよい。例えば、本発明の化合物(又は誘導体)は、(例えばリポソーム又はマイクロスフェアのカプセル化により)製剤化され、次いで、着色剤及び香味剤を含有する冷蔵飲料などの食用製品内にさらに含まれてもよい。
【0226】
不活性材料を用いて、治療剤を希釈し又はその体積を増加させてもよい。これらの希釈剤としては、炭水化物、とりわけマンニトール、α-ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、改変デキストラン及びデンプンが挙げられる。ある特定の無機塩、例えば三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び塩化ナトリウムも、充填剤として使用してよい。いくつかの市販の希釈剤は、ファスト-フロ(Fast-Flo)、エムデックス(Emdex)、STA-Rx 1500、エンコンプレス(Emcompress)及びアビセル(Avicell)である。
【0227】
治療剤を固体剤形に製剤化する際に、崩壊剤を含めてもよい。崩壊剤として使用される材料としては、以下に限定されないが、デンプンベースの市販の崩壊剤であるエキスプロタブ(Explotab)を含むデンプンが挙げられる。デンプングリコール酸ナトリウム、アンバーライト、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン(ultramylopectin)、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸型カルボキシメチルセルロース、天然スポンジ及びベントナイトはすべて使用してよい。崩壊剤の別の形態は、不溶性陽イオン交換樹脂である。粉末状ゴムは、崩壊剤として及び結合剤として使用してもよく、これらは、寒天、カラヤ又はトラガカントなどの粉末状ゴムを含み得る。アルギン酸及びそのナトリウム塩も崩壊剤として有用である。
【0228】
治療剤をつなぎ合わせて硬質錠剤を形成するために結合剤を使用してもよく、結合剤としては、アカシア、トラガカント、デンプン及びゼラチンなどの天然物由来の材料が挙げられる。他には、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)が挙げられる。ポリビニルピロリドン(PVP)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は両方とも、治療剤を粒状にするためにアルコール溶液中で使用することができる。
【0229】
製剤プロセス中の粘着を防止するために治療剤の製剤化の際に、減摩剤を含めてもよい。治療剤とダイ壁との間の層として滑沢剤を使用してもよく、これらとしては、以下に限定されないが、ステアリン酸、例えばそのマグネシウム及びカルシウム塩、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油及びワックスが挙げられる。可溶性滑沢剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、様々な分子量のポリエチレングリコール、カルボワックス(Carbowax)4000及び6000も使用してよい。
【0230】
製剤化中の薬物の流動特性を改善し、圧縮中の再配置を補助し得る流動促進剤を添加してもよい。流動促進剤としては、デンプン、タルク、焼成シリカ及び水和シリコアルミネートが挙げられる。
【0231】
水性環境への治療剤の溶解を補助するために、サーファクタントを湿潤剤として添加してもよい。サーファクタントとしては、陰イオン性界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム及びスルホン酸ジオクチルナトリウムが挙げられる。使用可能な陽イオン性界面活性剤としては、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムが挙げられる。製剤にサーファクタントとして含まれ得る、可能性がある非イオン性界面活性剤としては、ラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50及び60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65及び80、ショ糖脂肪酸エステル、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。これらのサーファクタントは、本発明の化合物又は誘導体の製剤中に、単独で又は様々な比の混合物として存在し得る。
【0232】
経口で使用可能な医薬製剤としては、ゼラチンで作られたプッシュ・フィット式(push-fit)カプセル、並びにゼラチン及び可塑剤、例えばグリセロール又はソルビトールで作られた軟質の密封カプセルが挙げられる。プッシュ・フィット式カプセルは、充填剤、例えばラクトース、結合剤、例えばデンプン、及び/又は滑沢剤、例えばタルク又はステアリン酸マグネシウム、及び任意選択で安定剤と混合して、活性成分を含有し得る。軟質カプセルでは、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体に溶解又は懸濁してもよい。さらに、安定剤を添加してもよい。経口投与用に製剤化されたマイクロスフェアも使用してよい。このようなマイクロスフェアは、当技術分野で十分に定義されている。経口投与用のすべての製剤は、このような投与に好適な投薬量であるべきである。
【0233】
頬側投与の場合、組成物は、従来の様式で製剤化された錠剤又はトローチ剤の形態をとってもよい。
【0234】
局所投与の場合、化合物は、当技術分野で周知のように、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁液などとして製剤化してもよい。全身性製剤は、注射、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、髄腔内又は腹腔内注射による投与のために設計されたもの、並びに経皮、経粘膜、経口又は経肺投与のために設計されたものを含む。
【0235】
吸入による投与の場合、本発明に従う使用のための化合物は、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適なガスを使用して、加圧パック又はネブライザーから、エアロゾルスプレー提示の形態で好都合に送達してもよい。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、定量を送達するためのバルブを設けることにより決定してもよい。吸入器又は吹送器で使用するための例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物と好適な粉末基剤、例えばラクトース又はデンプンとの粉末混合物を含めて処方してもよい。
【0236】
本明細書に開示される化合物(又はその塩)の経肺送達も本明細書において企図される。化合物は、吸入中に哺乳動物の肺に送達され、肺上皮の内膜を横切って血流へと移動する。吸入される分子の他の報告としては、Adjei et al., Pharm Res 7:565-569 (1990); Adjei et al., Int J Pharmaceutics 63:135-144 (1990)(酢酸ロイプロリド); Braquet et al., J Cardiovasc Pharmacol 13(suppl. 5):143-146 (1989)(エンドセリン-1); Hubbard et al., Annal Int Med 3:206-212 (1989)(α1-アンチトリプシン); Smith et al., 1989, J Clin Invest 84:1145-1146(a-1-プロテイナーゼ); Oswein et al., 1990, “Aerosolization of Proteins”, Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II, Keystone, Colorado, March, (組換えヒト成長ホルモン); Debs et al., 1988, J Immunol 140:3482-3488(インターフェロン-ガンマ及び腫瘍壊死因子アルファ)及びPlatzら、米国特許第5,284,656号(顆粒球コロニー刺激因子;参照により組み込まれる)が挙げられる。全身作用のための薬物の経肺送達のための方法及び組成物は、Wongらに1995年9月19日に発行された米国特許第5,451,569号(参照により組み込まれる)に記載されている。
【0237】
本発明の実施での使用のために、治療製品の経肺送達用に設計された広範な機械デバイス、例えばこれらに限定されないが、ネブライザー、定量吸入器、及び粉末吸入器が企図され、それらのすべてが当業者によく知られている。
【0238】
本発明の実施に好適な市販のデバイスのいくつかの具体例は、Mallinckrodt, Inc., St. Louis, Mo.により製造されるUltraventネブライザー;Marquest Medical Products, Englewood, Colo.により製造されるAcorn IIネブライザー;Glaxo Inc., Research Triangle Park, North Carolinaにより製造されるVentolin定量吸入器;及びFisons Corp., Bedford, Mass.により製造されるSpinhaler粉末吸入器である。
【0239】
このようなデバイスはすべて、本発明の化合物の投薬に好適な製剤の使用を必要とする。典型的には、各製剤は、用いられるデバイスの種類に特有であり、療法に有用な通常の希釈剤、アジュバント及び/又は担体に加えて、適切な噴射剤材料の使用を含み得る。また、リポソーム、マイクロカプセル又はマイクロスフェア、包接複合体、又は他の種類の担体の使用も企図される。化学修飾された本発明の化合物もまた、用いられる化学修飾の種類又はデバイスの種類に応じて、様々な製剤に調製することができる。
【0240】
ジェット式又は超音波式のネブライザーと共に使用するのに好適な製剤は、典型的には、溶液1mLあたり約0.1~25mgの生物学的に活性な本発明の化合物の濃度で水に溶解される本発明の化合物(又は誘導体)を含む。製剤はまた、緩衝剤及び単糖を含んでもよい(例えば、阻害剤の安定化及び浸透圧の調節のため)。ネブライザー製剤はまた、エアロゾルを形成する際に溶液の微粒子化により引き起こされる本発明の化合物の表面誘導性凝集を減少させる又は防止するために、サーファクタントを含有してもよい。
【0241】
定量吸入デバイスで使用するための製剤は、一般に、サーファクタントの助けを借りて噴射剤に懸濁された本発明の化合物(又は誘導体)を含有する微細化粉末を含む。噴射剤は、この目的に用いられる任意の従来の材料、例えばクロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、又は炭化水素、例えばトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン、又はそれらの組み合わせであってよい。好適なサーファクタントとしては、トリオレイン酸ソルビタン及び大豆レシチンが挙げられる。オレイン酸もサーファクタントとして有用であり得る。
【0242】
粉末吸入デバイスから投薬するための製剤は、本発明の化合物(又は誘導体)を含有する微細化乾燥粉末を含み、増量剤、例えばラクトース、ソルビトール、スクロース、又はマンニトールも、例えば製剤の50~90重量%など、デバイスからの粉末の分散を促進する量で含んでよい。本発明の化合物(又は誘導体)は、有利には、肺深部への最も効果的な送達のために、10マイクロメートル(μm)未満、最も好ましくは0.5~5μmの平均粒径を有する微粒子形態で調製するべきである。
【0243】
本発明の医薬組成物の経鼻送達も企図される。経鼻送達は、肺における製品の堆積の必要なしに、鼻への治療製品の投与後直接、血流への本発明の医薬組成物の通過を可能にする。経鼻送達用の製剤は、デキストラン又はシクロデキストランを用いたものを含む。
【0244】
経鼻投与の場合、有用なデバイスは、定量噴霧器が取り付けられた小さな硬質のボトルである。一実施形態では、定量は、溶液中の本発明の医薬組成物を規定容量のチャンバ内に引き込むことにより送達され、このチャンバは、チャンバ内の液体が圧縮されたときにスプレーを形成することによりエアロゾル製剤をエアロゾル化するように寸法設定された開口部を有する。チャンバは圧縮されて、本発明の医薬組成物を投与する。具体的な実施形態では、チャンバはピストン機構である。このようなデバイスは市販されている。
【0245】
あるいは、スクイズされたときにスプレーを形成することによりエアロゾル製剤をエアロゾル化するように寸法設定された開口部又は開口を備えたプラスチック製のスクイズボトルが使用される。開口は、通常、ボトルの上端部に見られ、この上端部は、一般に、エアロゾル製剤の効率的な投与のために、鼻孔に部分的に適合するように先細りになっている。好ましくは、鼻吸入器は、薬物の計量した用量の投与のために、定量のエアロゾル製剤を提供する。
【0246】
化合物は、化合物を全身的に送達することが望ましい場合には、注射による、例えばボーラス注射又は持続注入による非経口投与用に製剤化してもよい。注射用製剤は、保存剤が添加された、単位投薬形態で、例えば、アンプル又は複数用量容器で提示してもよい。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルションなどの形態をとってもよく、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤などの製剤化剤(formulatory agent)を含有してもよい。
【0247】
非経口投与用の医薬製剤は、水溶性形態における活性化合物の水溶液を含む。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射用懸濁液として調製してもよい。好適な親油性溶媒又はビヒクルとしては、脂肪油、例えばゴマ油、又は合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル若しくはトリグリセリド、又はリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁液は、懸濁液の粘性を高める物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランを含有してもよい。任意選択で、懸濁液はまた、化合物の溶解性を高めて高濃縮溶液の調製を可能にする、好適な安定剤又は薬剤を含有してもよい。
【0248】
あるいは、活性化合物は、使用前に好適なビヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水で構成するための粉末形態であってもよい。
【0249】
化合物はまた、例えばカカオバター又は他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する、坐剤又は停留浣腸などの直腸又は膣用組成物に製剤化してもよい。
【0250】
上記の製剤に加えて、化合物はまた、デポー製剤として製剤化してもよい。このような長時間作用型の製剤は、好適なポリマー性若しくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルションとして)又はイオン交換樹脂を用いて、又は難溶性誘導体として、例えば難溶性塩として製剤化してもよい。
【0251】
医薬組成物はまた、好適な固体又はゲル相担体又は賦形剤を含んでもよい。このような担体又は賦形剤の例としては、以下に限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリマー、例えばポリエチレングリコールが挙げられる。
【0252】
好適な液体又は固体の医薬製剤の形態は、例えば、吸入用の水溶液又は食塩溶液、マイクロカプセル化形態、渦巻状化形態、微細な金粒子上に被覆された形態、リポソームに包含された形態、霧状化形態、エアロゾル、皮膚への移植用ペレット、又は皮膚を引っ掻くための鋭器上の乾燥形態である。医薬組成物はまた、顆粒、粉末、錠剤、コーティング錠、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、エマルション、懸濁液、クリーム、点滴剤、又は活性化合物が持続放出される製剤を含み、これらの製剤において、賦形剤及び添加剤、及び/又は補助剤、例えば崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨潤剤、滑沢剤、香味剤、甘味剤又は可溶化剤が、上記のように慣習的に使用される。医薬組成物は、様々な薬物送達システムにおける使用に好適である。薬物送達のための方法の簡潔な概説については、Langer R, Science 249:1527-33 (1990)を参照されたい。
【0253】
本発明の化合物及び任意選択で他の治療剤は、それ自体(ニート)で、又は薬学的に許容される塩若しくは共結晶の形態で投与してもよい。医薬に使用される場合、塩又は共結晶は、薬学的に許容されるものであるべきであるが、薬学的に許容されない塩又は共結晶は、それらの薬学的に許容される塩又は共結晶を調製するために好都合に使用し得る。このような塩としては、以下の酸から調製されるものが挙げられるが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン-2-スルホン酸、及びベンゼンスルホン酸。また、このような塩は、カルボン酸基のナトリウム、カリウム又はカルシウム塩など、アルカリ金属又はアルカリ土類塩として調製することもできる。
【0254】
好適な緩衝剤としては、酢酸及び塩(1~2%w/v);クエン酸及び塩(1~3%w/v);ホウ酸及び塩(0.5~2.5%w/v);並びにリン酸及び塩(0.8~2%w/v)が挙げられる。好適な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム(0.003~0.03%w/v);クロロブタノール(0.3~0.9%w/v);パラベン(0.01~0.25%w/v)及びチメロサール(0.004~0.02%w/v)が挙げられる。
【0255】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体中に含まれる、有効量の本明細書に記載される化合物及び任意選択で治療剤を含有する。用語「薬学的に許容される担体」は、ヒト又は他の脊椎動物への投与に好適な1つ以上の適合性の固体又は液体の充填剤、希釈剤又はカプセル化物質を意味する。用語「担体」は、適用を容易にするために活性成分が組み合わされる、天然又は合成の有機又は無機の成分を意味する。医薬組成物の成分はまた、本発明の化合物と、及び互いに、所望の薬学的効率を実質的に損なうであろう相互作用がない様式で混合可能である。
【0256】
特に本発明の化合物を含むがそれに限定されない治療剤(複数可)は、粒子で提供してもよい。粒子は、本明細書で使用される場合、ナノ粒子又はマイクロ粒子(又は場合によってはより大きい粒子)を意味し、該粒子は、全部又は一部が、本発明の化合物又は本明細書に記載される他の治療剤(複数可)からなってもよい。粒子は、腸溶性コーティングを含むがこれに限定されないコーティングにより取り囲まれたコア中に治療剤(複数可)を含有してもよい。治療剤(複数可)はまた、粒子全体に分散されてもよい。治療剤(複数可)はまた、粒子に吸着されてもよい。粒子は、任意の次数の放出速度論、例えばゼロ次放出、一次放出、二次放出、遅延放出、持続放出、即時放出、及びそれらの任意の組み合わせなどであってよい。粒子は、治療剤(複数可)に加えて、浸食性、非浸食性、生分解性、若しくは非生分解性の材料又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、薬学及び医学の分野で日常的に使用される材料のいずれを含んでもよい。粒子は、本発明の化合物を溶液又は半固体状態で含有するマイクロカプセルであってもよい。粒子は、実質的にいかなる形状であってもよい。
【0257】
非生分解性及び生分解性の両方のポリマー材料は、治療剤(複数可)の送達のための粒子の製造に使用することができる。このようなポリマーは、天然又は合成のポリマーであってよい。ポリマーは、放出が望まれる期間に基づいて選択される。特に興味深い生体接着性ポリマーとしては、Sawhney H S et al. (1993) Macromolecules 26:581-7(その教示は本明細書に組み込まれる)に記載される生体内浸食性のヒドロゲルが挙げられる。これらとしては、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、及びポリ(アクリル酸オクタデシル)が挙げられる。
【0258】
治療剤(複数可)は、制御放出システムに含まれてもよい。用語「制御放出」は、製剤からの薬物放出の様式及びプロファイルが制御される、任意の薬物含有製剤を指すことを意図する。これは、即時放出製剤及び非即時放出製剤を指し、非即時放出製剤は、持続放出製剤及び遅延放出製剤を含むが、これらに限定されない。用語「持続放出」(「長期放出」とも称される)は、従来の意味で使用され、長期間にわたり薬物の漸進的放出をもたらし、好ましくは、必ずというわけではないが、長期間にわたり薬物の実質的に一定の血中レベルをもたらす、薬物製剤を指す。用語「遅延放出」は、従来の意味で使用され、製剤の投与と製剤からの薬物の放出との間に時間的遅延が存在する、薬物製剤を指す。「遅延放出」は、長期間にわたる薬物の漸進的放出を含んでも又は含まなくてもよく、したがって、「持続放出」であっても又はなくてもよい。
【0259】
長期持続放出インプラントの使用は、慢性的な状態の治療に特に好適であり得る。「長期」放出は、本明細書で使用される場合、インプラントが、少なくとも7日間、好ましくは30~60日間、治療レベルの活性成分を送達するように構成及び配置されることを意味する。長期持続放出インプラントは、当業者に周知であり、上記の放出システムのいくつかを含む。
【0260】
組み合わせ
本発明は、その範囲内に、活性成分として、治療有効量の配列Iのポリペプチドの少なくとも1つを、単独で又は医薬担体若しくは希釈剤と組み合わせて含む医薬組成物を含む。任意選択で、本発明のポリペプチドは、開示される方法のいずれか1つにおいて、単独で、本発明の他の化合物と組み合わせて、又は本明細書に開示される1つ以上の他の治療剤、例えば抗糖尿病剤若しくは他の薬学的に活性な材料と組み合わせて使用することができる。
【0261】
本発明のポリペプチドは、他のGLP-1受容体モジュレーター(例えば、アゴニスト又は部分アゴニスト、例えばペプチドアゴニスト)又は以下を含む前述の障害の治療において有用な他の好適な治療剤と組み合わせて用いてもよい:抗糖尿病剤;抗高血糖剤;低脂血剤/脂質低下剤;抗肥満剤(食欲抑制薬/調節薬を含む)及び抗高血圧剤。さらに、本発明の化合物は、以下の治療剤のうちの1つ以上と組み合わせてもよい;不妊剤、多嚢胞性卵巣症候群を治療するための薬剤、成長障害を治療するための薬剤、虚弱を治療するための薬剤、関節炎を治療するための薬剤、移植における同種移植片拒絶を予防するための薬剤、自己免疫疾患を治療するための薬剤、抗AIDS剤、抗骨粗鬆症剤、免疫調節疾患を治療するための薬剤、抗血栓剤、心血管疾患を治療するための薬剤、抗生剤、抗精神病剤、慢性炎症性腸疾患又は症候群を治療するための薬剤、及び/又は神経性食欲不振症を治療するための薬剤。
【0262】
本発明の化合物と組み合わせて使用するのに好適な抗糖尿病剤の例としては、ビグアニド類(例えば、メトホルミン又はフェンホルミン)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース又はミグリトール)、インスリン類(インスリン分泌促進剤又はインスリン増感剤を含む)、メグリチニド類(例えば、レパグリニド)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリブリド、グリクラジド、クロルプロパミド及びグリピジド)、ビグアニド/グリブリドの組み合わせ(例えば、Glucovance(登録商標))、チアゾリジンジオン類(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾン及びピオグリタゾン)、PPAR-アルファアゴニスト、PPAR-ガンマアゴニスト、PPARアルファ/ガンマデュアルアゴニスト、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、脂肪酸結合タンパク質(aP2)の阻害剤、DPP-IV阻害剤、及びSGLT2阻害剤が挙げられる。
【0263】
他の好適なチアゾリジンジオン類としては、MitsubishiのMCC-555(米国特許第5,594,016号に開示される)、Glaxo-WelcomeのGL-262570、エングリタゾン(CP-68722、Pfizer)又はダルグリタゾン(CP-86325、Pfizer)、イサグリタゾン(MIT/J&J)、JTT-501(JPNT/P&U)、L-895645(Merck)、R-119702(Sankyo/WL)、NN-2344(Dr. Reddy/NN)、又はYM-440(Yamanouchi)が挙げられる。
【0264】
好適なPPARアルファ/ガンマデュアルアゴニストとしては、ムラグリタザール(Bristol-Myers Squibb)、AR-HO39242(Astra/Zeneca)、GW-409544(Glaxo-Wellcome)、KRP297(Kyorin Merck)、並びにMurakami et al, “A Novel Insulin Sensitizer Acts as a Coligand for Peroxisome Proliferation-Activated Receptor Alpha (PPAR alpha) and PPAR gamma. Effect on PPAR alpha Activation on Abnormal Lipid Metabolism in Liver of Zucker Fatty Rats”, Diabetes 47, 1841-1847 (1998)、及び2000年9月18日に出願された米国特許出願第09/644,598号(その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)(それに記載されている投薬量を用い、好ましいものとして指定されているそれらの化合物は、本明細書で使用するのに好ましい)に開示されるものが挙げられる。
【0265】
好適なaP2阻害剤としては、1999年9月7日に出願された米国特許出願第09/391,053号、及び2000年3月6日に出願された米国特許出願第09/519,079号(本明細書に記載されている投薬量を用いる)に開示されるものが挙げられる。
【0266】
本発明の化合物と組み合わせて使用し得る好適なDPP4阻害剤としては、WO 99/38501、WO 99/46272、WO 99/67279(PROBIODRUG)、WO 99/67278(PROBIODRUG)、WO 99/61431(PROBIODRUG)に開示されるもの、Hughes et al, Biochemistry, 38(36), 11597-11603, 1999に開示されるNVP-DPP728A(1-[[[2-[(5-シアノピリジン-2-イル)アミノ]エチル]アミノ]アセチル]-2-シアノ-(S)-ピロリジン)(Novartis)、LAF237、サクサグリプチン、MK0431、TSL-225(トリプトフィル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸)(Yamada et al, Bioorg. & Med. Chem. Lett. 8 (1998) 1537-1540に開示される)、Ashworth et al, Bioorg. & Med. Chem. Lett., Vol. 6, No. 22, pp 1163-1166 and 2745-2748 (1996)に開示される2-シアノピロリジド及び4-シアノピロリジド(上記参考文献に記載されている投薬量を用いる)が挙げられる。
【0267】
好適なメグリチニド類としては、ナテグリニド(Novartis)又はKAD1229(PF/Kissei)が挙げられる。
【0268】
本発明のGLP-1受容体モジュレーター(例えば、アゴニスト又は部分アゴニスト)と組み合わせて使用し得る他の好適なグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)化合物の例としては、GLP-1(1-36)アミド、GLP-1(7-36)アミド、GLP-1(7-37)(Habenerへの米国特許第5,614,492号に開示される)、並びにAC2993(Amylin)、LY-315902(Lilly)及びNN2211(Novo Nordisk)が挙げられる。
【0269】
本発明の化合物と組み合わせて使用するための好適な低脂血剤/脂質低下剤の例としては、1つ以上のMTP阻害剤、HMG CoA還元酵素阻害剤、スクアレンシンテターゼ阻害剤、フィブリン酸誘導体、ACAT阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、回腸Na+/胆汁酸共輸送体阻害剤、LDL受容体活性のアップレギュレーター、胆汁酸金属イオン封鎖剤、コレステロールエステル転送タンパク質阻害剤(例えば、CP-529414(Pfizer))及び/又はニコチン酸及びその誘導体が挙げられる。
【0270】
上記のように用い得るMTP阻害剤としては、米国特許第5,595,872号、米国特許第5,739,135号、米国特許第5,712,279号、米国特許第5,760,246号、米国特許第5,827,875号、米国特許第5,885,983号及び米国特許第5,962,440号(これらすべては参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるものが挙げられる。
【0271】
式Iの1つ以上の化合物と組み合わせて用い得るHMG CoA還元酵素阻害剤としては、メバスタチン及び関連化合物(米国特許第3,983,140号に開示される)、ロバスタチン(メビノリン)及び関連化合物(米国特許第4,231,938号に開示される)、プラバスタチン及び関連化合物(例えば米国特許第4,346,227号に開示される)、シンバスタチン及び関連化合物(米国特許第4,448,784号及び同第4,450,171号に開示される)が挙げられる。本明細書で用い得る他のHMG CoA還元酵素阻害剤としては、以下に限定されないが、フルバスタチン(米国特許第5,354,772号に開示される)、セリバスタチン(米国特許第5,006,530号及び同第5,177,080号に開示される)、アトルバスタチン(米国特許第4,681,893号、同第5,273,995号、同第5,385,929号及び同第5,686,104号に開示される)、アタバスタチン(Nissan/Sankyoのニスバスタチン(NK-104))(米国特許第5,011,930号に開示される)、ビサスタチン(Shionogi-Astra/Zeneca(ZD-4522))(米国特許第5,260,440号に開示される)、及び関連スタチン化合物(米国特許第5,753,675号に開示される)、メバロノラクトン誘導体のピラゾール類似体(米国特許第4,613,610号に開示される)、メバロノラクトン誘導体のインデン類似体(PCT出願WO 86/03488に開示される)、6-[2-(置換-ピロール-1-イル)-アルキル)ピラン-2-オン及びその誘導体(米国特許第4,647,576号に開示される)、SearleのSC-45355(3-置換ペンタン二酸誘導体)ジクロロアセテート、メバロノラクトンのイミダゾール類似体(PCT出願WO 86/07054に開示される)、3-カルボキシ-2-ヒドロキシ-プロパン-ホスホン酸誘導体(仏国特許第2,596,393号に開示される)、2,3-二置換ピロール、フラン及びチオフェン誘導体(欧州特許出願第0221025号に開示される)、メバロノラクトンのナフチル類似体(米国特許第4,686,237号に開示される)、オクタヒドロナフタレン(例えば米国特許第4,499,289号に開示される)、メビノリン(ロバスタチン)のケト類似体(欧州特許出願第0142146 A2号に開示される)、並びにキノリン及びピリジン誘導体(米国特許第5,506,219号及び同第5,691,322号に開示される)が挙げられる。
【0272】
望ましい低脂血剤は、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アタバスタチン及びZD-4522である。
【0273】
さらに、HMG CoA還元酵素を阻害するのに有用なホスフィン酸化合物、例えば、GB 2205837に開示されるものは、本発明の化合物と組み合わせて使用するのに好適である。
【0274】
本明細書での使用に好適なスクアレンシンテターゼ阻害剤としては、以下に限定されないが、α-ホスホノ-スルホネート(米国特許第5,712,396号に開示される)、Biller et al, J. Med. Chem., 1988, Vol. 31, No. 10, pp 1869-1871に開示されるもの、例えばイソプレノイド(ホスフィニル-メチル)ホスホネート、並びに他の公知のスクアレンシンテターゼ阻害剤(例えば、米国特許第4,871,721号及び同第4,924,024号及びBiller, S. A., Neuenschwander, K., Ponpipom, M. M., and Poulter, C. D., Current Pharmaceutical Design, 2, 1-40 (1996)に開示される)が挙げられる。
【0275】
さらに、本明細書での使用に好適な他のスクアレンシンテターゼ阻害剤としては、テルペノイドピロホスフェート(P. Ortiz de Montellano et al, J. Med. Chem., 1977, 20, 243-249に開示される)、ファルネシルジホスフェート類似体A及びプレスクアレンピロホスフェート(PSQ-PP)類似体(Corey and Volante, J. Am. Chem. Soc., 1976, 98, 1291-1293により開示される)、ホスフィニルホスホネート(McClard, R. W. et al, J.A.C.S., 1987, 109, 5544により報告される)及びシクロプロパン類(Capson, T. L., PhD dissertation, June, 1987, Dept. Med. Chem. U of Utah, Abstract, Table of Contents, pp 16, 17, 40-43, 48-51, Summaryにより報告される)が挙げられる。
【0276】
式Iの1つ以上の化合物と組み合わせて用い得るフィブリン酸誘導体としては、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラートなど、プロブコール、及び関連化合物(米国特許第3,674,836号に開示される)(プロブコール及びゲムフィブロジルが好ましい)、胆汁酸金属イオン封鎖剤、例えば、コレスチラミン、コレスチポール及びDEAE-セファデックス(Secholex(登録商標)、Policexide(登録商標))、並びにリポスタビル(Rhone-Poulenc)、Eisai E-5050(N-置換エタノールアミン誘導体)、イマニキシル(HOE-402)、テトラヒドロリプスタチン(THL)、イスチグマスタニルホスホリルコリン(istigmastanylphos-phorylcholine)(SPC、Roche)、アミノシクロデキストリン(Tanabe Seiyoku)、Ajinomoto AJ-814(アズレン誘導体)、メリナミド(Sumitomo)、Sandoz 58-035、American Cyanamid CL-277,082及びCL-283,546(二置換尿素誘導体)、ニコチン酸、アシピモックス、アシフラン、ネオマイシン、p-アミノサリチル酸、アスピリン、ポリ(ジアリルメチルアミン)誘導体(例えば米国特許第4,759,923号に開示される)、第四級アミンポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)及びイオネン(例えば米国特許第4,027,009号に開示される)、及び他の公知の血清コレステロール低下剤が挙げられる。
【0277】
式Iの1つ以上の化合物と組み合わせて用い得るACAT阻害剤としては、Drugs of the Future 24, 9-15 (1999), (アバシミブ); “The ACAT inhibitor, Cl-1011 is effective in the prevention and regression of aortic fatty streak area in hamsters”, Nicolosi et al, Atherosclerosis (Shannon, Irel). (1998), 137(1), 77-85; “The pharmacological profile of FCE 27677: a novel ACAT inhibitor with potent hypolipidemic activity mediated by selective suppression of the hepatic secretion of ApoB100-containing lipoprotein”, Ghiselli, Giancarlo, Cardiovasc. Drug Rev. (1998), 16(1), 16-30; “RP 73163: a bioavailable alkylsulfinyl-diphenylimidazole ACAT inhibitor”, Smith, C., et al, Bioorg. Med. Chem. Lett. (1996), 6(1), 47-50; “ACAT inhibitors: physiologic mechanisms for hypolipidemic and anti-atherosclerotic activities in experimental animals”, Krause et al, Editor(s): Ruffolo, Robert R., Jr.; Hollinger, Mannfred A., Inflammation: Mediators Pathways (1995), 173-98, Publisher: CRC, Boca Raton, Fla.; “ACAT inhibitors: potential anti-atherosclerotic agents”, Sliskovic et al, Curr. Med. Chem. (1994), 1(3), 204-25; “Inhibitors of acyl-CoA:cholesterol O-acyl transferase (ACAT) as hypocholesterolemic agents. 6. The first water-soluble ACAT inhibitor with lipid-regulating activity. Inhibitors of acyl-CoA:cholesterol acyltransferase (ACAT). 7. Development of a series of substituted N-phenyl-N'-[(1-phenylcyclopentyl)methyl]ureas with enhanced hypocholesterolemic activity”, Stout et al, Chemtracts: Org. Chem. (1995), 8(6), 359-62に開示されるもの、又はTS-962(Taisho Pharmaceutical Co. Ltd)が挙げられる。低脂血剤は、LD2受容体活性のアップレギュレーター、例えばMD-700(Taisho Pharmaceutical Co. Ltd)及びLY295427(Eli Lilly)であってもよい。
【0278】
本発明の化合物と組み合わせて使用するのに好適なコレステロール吸収阻害剤の例としては、SCH48461(Schering-Plough)、並びにAtherosclerosis 115, 45-63 (1995)及びJ. Med. Chem. 41, 973 (1998)に開示されるものが挙げられる。
【0279】
本発明の化合物と組み合わせて使用するのに好適な回腸Na+/胆汁酸共輸送体阻害剤の例としては、Drugs of the Future, 24, 425-430 (1999)に開示される化合物が挙げられる。
【0280】
式Iの1つ以上の化合物と組み合わせて用い得るリポキシゲナーゼ阻害剤としては、15-リポキシゲナーゼ(15-LO)阻害剤、例えばベンゾイミダゾール誘導体(WO 97/12615に開示される)、15-LO阻害剤(WO 97/12613に開示される)、イソチアゾロン類(WO 96/38144に開示される)、及び15-LO阻害剤(Sendobry et al “Attenuation of diet-induced atherosclerosis in rabbits with a highly selective 15-lipoxygenase inhibitor lacking significant antioxidant properties”, Brit. J. Pharmacology (1997) 120, 1199-1206、及びCornicelli et al, “15-Lipoxygenase and its Inhibition: A Novel Therapeutic Target for Vascular Disease”, Current Pharmaceutical Design, 1999, 5, 11-20により開示される)が挙げられる。
【0281】
本発明の化合物と組み合わせて使用するのに好適な抗高血圧剤の例としては、ベータアドレナリン遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬(L型及びT型;例えば、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピン及びミべフラジル)、利尿薬(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸トリクリナフェン(ethacrynic acid tricrynafen)、クロルタリドン、フロセミド、ムソリミン(musolimine)、ブメタニド、トリアムトレネン(triamtrenene)、アミロライド、スピロノラクトン)、レニン阻害剤、ACE阻害剤(例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、ホシノプリル、エナラプリル、セラノプリル(ceranopril)、シラゾプリル(cilazopril)、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル)、AT-1受容体アンタゴニスト(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン)、ET受容体アンタゴニスト(例えば、シタキセンタン、アトルセンタン(atrsentan)並びに米国特許第5,612,359号及び同第6,043,265号に開示される化合物)、デュアルET/AIIアンタゴニスト(例えば、WO 00/01389に開示される化合物)、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、バソペプシダーゼ(vasopepsidase)阻害剤(デュアルNEP-ACE阻害剤)(例えば、オマパトリラト及びゲモパトリラト)、及びナイトレートが挙げられる。
【0282】
本発明の化合物と組み合わせて使用するのに好適な抗肥満剤の例としては、NPY受容体アンタゴニスト、NPY-Y2又はNPY-Y4受容体アゴニスト、MCHアンタゴニスト、GHSRアンタゴニスト、CRHアンタゴニスト、ベータ3アドレナリンアゴニスト、リパーゼ阻害剤、セロトニン(及びドーパミン)再取り込み阻害剤、甲状腺受容体ベータ薬物、CB-1アンタゴニスト及び/又は食欲抑制剤が挙げられる。
【0283】
本発明の化合物と組み合わせて任意選択で用い得るベータ3アドレナリンアゴニストとしては、AJ9677(Takeda/Dainippon)、L750355(Merck)、又はCP331648(Pfizer)又は他の公知のベータ3アゴニスト(米国特許第5,541,204号、同第5,770,615号、同第5,491,134号、同第5,776,983号及び同第5,488,064号に開示される)が挙げられ、AJ9677、L750,355及びCP331648が好ましい。
【0284】
本発明の化合物と組み合わせて任意選択で用い得るリパーゼ阻害剤の例としては、オルリスタット又はATL-962(Alizyme)が挙げられ、オルリスタットが好ましい。
【0285】
式Iの化合物と組み合わせて任意選択で用い得るセロトニン(及びドーパミン)再取り込み阻害剤は、シブトラミン、トピラマート(Johnson & Johnson)又はアキソキン(axokine)(Regeneron)であってもよく、シブトラミン及びトピラマートが好ましい。
【0286】
本発明の化合物と組み合わせて任意選択で用い得る甲状腺受容体ベータ化合物の例としては、甲状腺受容体リガンド、例えば、WO97/21993(U. Cal SF)、WO99/00353(KaroBio)及びGB98/284425(KaroBio)に開示されるものが挙げられ、KaroBio出願の化合物が好ましい。
【0287】
本発明の化合物と組み合わせて任意選択で用い得るCB-1アンタゴニストの例としては、CB-1アンタゴニスト及びリモナバント(SR141716A)が挙げられる。
【0288】
NPY-Y2及びNPY-Y4受容体アゴニストの例としては、それぞれ、PYY(3-36)及び膵臓ポリペプチド(PP)が挙げられる。
【0289】
本発明の化合物と組み合わせて任意選択で用い得る食欲抑制剤としては、デキサンフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン又はマジンドールが挙げられ、デキサンフェタミンが好ましい。
【0290】
好適な抗精神病剤の例としては、クロザピン、ハロペリドール、オランザピン(Zyprexa(登録商標))、Prozac(登録商標)及びアリピプラゾール(Abilify(登録商標))が挙げられる。
【0291】
前述の特許及び特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。上記の他の治療剤は、本発明の化合物と組み合わせて用いられる場合、例えば、Physician's Desk Referenceに示される量で、上記の特許における量で、又は当業者により別途決定される量で使用してもよい。
【0292】
本明細書に記載される組成物及び方法に対する他の好適な改変及び適合が、当業者に公知の情報を考慮して本明細書に含まれる本発明の記載から容易に明らかであり、本発明又はその任意の実施形態の範囲から逸脱することなく行うことができることが当業者により理解される。ここに本発明を詳細に記載してきたが、本発明は、以下の実施例を参照することによりさらに明確に理解されるが、これらの実施例は例示のみを目的として本明細書に含まれ、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0293】
本発明を、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定しない、以下の実施例においてさらに記載する。
【0294】
実施例1:ペプチド設計の枠組み
GLP-1のN末端の一連のα-ヘリックスに偏った(α-helical biased)ペプチド模倣物の構造ベースの設計及び構造-活性分析(表1、2及び3)は、非経口又は経口薬物送達による高い効力、代謝安定性及び改善された薬物動態を含む、薬物様特性を有する新規ペプチド類似体を進展させるための反復化学修飾(iterative chemical modifications)による最適化について情報を与える枠組みを提供した。
【0295】
Aib2(Alaを置換)、α-MePhe(2,6-F)6(Pheを置換)、Bip10(Valを置換)及びBip11(Serを置換)を含む、重要な修飾を有する11アミノ酸からなるN末端断片(すなわちHis1-Ala2-Glu3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Val10-Ser11~)へのGLP-1の単純化が以前に報告されている(21~23)。新規N末端GLP-1断片類似体の最適化について情報を得るため、一般構造H2N-His-Aib-Glu-Gly-Thr-Xaa6-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-C(O)NH2の21個の類似体を合成し、それらのGLP-1受容体機能活性について試験した(EC50、cAMPアッセイ、下記参照)。表1に示すように、Phe(2-F)、Phe(2.6-F)、Phe(2,3,4,5,6-F)、α-MePhe及びα-MePhe(2-F)について、著しく増加した効力が観察された。これらのデータは、以前に記載されたことを裏付け、様々な置換基による側鎖の修飾、並びにホモロゲーション(Hphへの)、キラル反転(D-Pheへの)、フェニル環の除去(Alaへの)又は置換(Bip又はAibへの)を有する他の多数のPhe類似体の公知の構造-活性相関を拡張する。Phe6及びAla6の両方は、それらのα-Me修飾アミノ酸類似体(すなわち、それぞれ、α-MePhe及びAib)よりも顕著に効力が低いことが観察された。このようなデータは、GLP-1のコアN末端11アミノ酸配列内で達成し得るα-メチル化によるヘリックス誘導の影響についての情報を与える。
【0296】
【表1】
【0297】
新規GLP-1類似体の最適化についての情報を得るために、この一連のN末端GLP-1断片類似体に関して初めて、Ala-スキャニングを実施した(表2)。10個のペプチドの構造-活性相関は、His1、Gly4及びThr7をAlaで置換することにより、100倍を超えて減少した効力がもたらされ、一方、Aib2、Glu3、Thr5、Ser8、及びAsp9をAlaによって置換することにより、100倍未満減少した効力がもたらされることを示した。最も注目すべきは、Bip10及びBip11のAla置換により示された1000倍を超えて減少した効力であった。このようなデータは、アミノ酸側鎖のメチル基(Ala)への単純化の影響についての情報を与え、いくつかのアミノ酸(例えば、Glu5、Thr5、Ser8、及びAsp9)が、式I内の薬物様特性の最適化を可能にするように、それらの親水性の性質(例えば、H結合及び電荷)及びヘリックス性の傾向(下記参照;Aib-スキャニング)を調節するためのさらなる修飾を許容し得るという情報を与える。
【0298】
【表2】
【0299】
また、新規GLP-1類似体の最適化についての情報を得るために、この一連のN末端GLP-1断片類似体に関して初めて、Aib-スキャニングを実施した(表3)。8個のペプチドの構造-活性相関は、Ser4、Thr7、Ser8、及びAsp9をAibで置換することにより、1000倍を超えて減少した効力がもたらされ、一方、His1、Glu3、Gly4、及びThr5をAibによって置換することにより、200倍未満減少した効力がもたらされることを示した。実際、AibによるHis1の置換は、驚くほど強力であった(わずか30倍未満の差)。このようなデータは、α-メチル化による、又は場合によってはAibによる(例えば、His1、Glu3又はThr5の)置換による両方の特異的な修飾の設計についての情報を与える。さらに、このようなデータは、GLP-1及びN末端断片類似体のX線構造により知られているヘリックス性の核形成及び/又はその維持にα-メチル化が関与していることを示し(下記参照)、このようなα-メチル化を組み込むことにより、式I内の薬物様特性の最適化が可能となり得ることを示す。
【0300】
【表3】
【0301】
実施例2:薬物様特性を達成するために化学修飾を組み込むGLP-1ペプチドアゴニスト
表4、5及び6に例示されるのは、式1の範囲を代表する新規N末端GLP-1ペプチドであり、N末端及び/又はC末端修飾を有する3つのシリーズの類似体の設計及び構造-活性特性を示す。具体的には、His1を超える伸長を含むN末端修飾を有するペプチド(例えば、2-1、2-2、2-3、2-4、及び2-5)を、コンピュータモデリング研究から設計し(下記参照)、これらはGLP-1受容体に結合すると予測された(表4)。これらの例示的ペプチドは、親ペプチド類似体(1-1)の3倍以内のGLP-1受容体アゴニスト機能的効力を示した。さらに、His1及びGlu3の両方の置換並びにHis1を超える伸長を有するペプチド(例えば、2-6、2-7、2-8、及び2-9)を、コンピュータモデリング研究から設計し(下記参照)、これらはGLP-1受容体に結合すると予測された(表1)。これらの例示的ペプチドは、親ペプチド類似体(1-2)の100倍以内のGLP-1受容体アゴニスト機能的効力を示した。さらに、Aib2の置換を有するペプチド(3-38、3-39、及び3-40)は、親ペプチド類似体(1-2)に対して、類似の効力(例えば、Pro2)、わずかに低い効力(Val2)、又は著しく大きな効力(α-MePro2)を示した(表4)。さらに、前出のN末端修飾の組み合わせを組み込んだ一連の例示的ペプチドを列挙する(表4)。まとめると、このような記載されるN末端修飾により、アゴニスト効力、代謝安定性、GLP-1受容体(及びGLP-1受容体ファミリー)選択性(及び共選択性(co-selectivity))、及び生物物理学的特性(例えば、ヘリックス性、溶解性及び疎水性/親水性)に関して優れた薬物様特性を有するGLP-1ペプチド類似体の選択が可能となる。
【0302】
【表4】
【0303】
具体的には、Bip10-Bip11のC末端修飾を組み込んだペプチド、例えば、これらに限定されないが、Hph10-Bip11、Bip10-Hph11、Bip10-α-MeHph11、α-MeHph10-Bip11、Bip10-Hph(4-OH)11及びBip10-NH-(CH2)3-フェニル(例えば、1-3、1-4、4-1、4-2、4-3、4-4、4-4aを参照)を、GLP-1受容体アゴニストとして設計した(表5)。これらの例示的ペプチドは、親ペプチド(3-1)の30~600倍の範囲のGLP-1受容体アゴニスト機能的効力を示した。カルボン酸(4-1)又は水素によるカルボキサミドのC末端置換は、それらの親ペプチド類似体(それぞれ、1-4及び3-1)に対してそれぞれ効力が低かった(それぞれ、約30倍又は>1,000倍)。さらに、新規修飾Cys10若しくはCys11又はそのα-MeCys類似体を有するペプチドを、様々なS-アリール、S-ヘテロアリール、S-ヘテロシクリル、及びS-シクロアルキル基の範囲内のチオエーテルに合成的に変換してもよい(例えば、4-5~4-36、表5)。さらに、前出のN末端修飾の組み合わせを組み込んだ一連の例示的ペプチドを列挙する(表5)。まとめると、このような記載されるN末端修飾により、アゴニスト効力、代謝安定性、GLP-1受容体(及びGLP-1受容体ファミリー)選択性(及び共選択性)、及び生物物理学的特性(例えば、ヘリックス性、溶解性及び疎水性/親水性)に関して優れた薬物様特性を有するGLP-1ペプチド類似体の選択が可能となる。
【0304】
【表5】
【0305】
さらに、Bip11を超える伸長を含むC末端修飾を有するペプチド(例えば、4-28、4-29、4-30、4-31、及び4-32)を、新規N末端GLP-1ペプチド類似体、並びにLysのさらなる官能基化(Dap又はDabなどの第一級アミノ基を有する任意のアミノ酸が有効であろうことから、Lysに限定されないが)及びPK改変基とのコンジュゲーションに関する中間体として設計した(表6)。これらの例示的ペプチドは、親ペプチド類似体(3-1)の20~100倍の範囲内のGLP-1受容体アゴニスト機能的効力を示した。このようなペプチドは、本明細書において以下で薬物動態(PK)改変因子と呼ばれるさらなる別の化学部分(限定されないが脂肪酸及びハロゲン化アリールなどのヒト血清アルブミン(HSA)への公知の結合剤を利用する)への、C末端伸長リンカー(ポリエチレングリコール(例えば、AEEA)又は単純なアミノ酸(例えば、Gly又はAib)又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない)の設計の例示となる(10~14)。1-4の一連のペプチド類似体(例えば、4-35、4-36、及び4-37)は、表6に示すように、リンカー(AEEA)2を介したC末端骨格の伸長、及びDapを介したPK改変因子(C18二酸又は4-I-フェニルプロピオン酸)へのコンジュゲーションを例示し、リンカー及びPK改変因子コンジュゲートを組み込むC末端修飾に関するRY1、RY2及びRY3の指定(下記参照)を示す。PK改変因子を組み込んだ2つのペプチドは、親ペプチド(1-4)と同等の効力(4-37)から15倍低い効力(4-36)の範囲のGLP-1受容体アゴニスト機能的効力を示した。カルボン酸(4-1)又は水素によるカルボキサミドのC末端置換は、それらの親ペプチド類似体(それぞれ、1-4及び3-1)に対してそれぞれ効力が低かった(それぞれ、約30倍又は>1,000倍)。
【0306】
【表6】
【0307】
実施例3:構造ベースの設計及びコンピュータモデリング法
仮説駆動型ペプチド設計に対する一般的なアプローチ、及び以下に記載するコンピュータ法の多くは、最近の刊行物(24~27)に記載されており、多様なタンパク質標的(例えば、IL2R、CXCR4、TLR2及びp53)に首尾よく適用されている。
【0308】
比較構造分析及び分子モデリング研究は、主に、全長GLP-1Rと複合体を形成した10アミノ酸ペプチドのクライオ-EM構造を使用して実行した[5nx2](28)。この構造を、エキセンジン(Exendin)P5[6b3j](29)、GLP-1[5vai](30)及び[6x18](31)、小分子[6x19及び6x1a](31)、[6orv](32)、[6xos](33)、[7c2e](34)、及び[7lci、7lcj、7lck](35)、及びアロステリックモジュレーター[6vcb](36)に結合した複合体で補った。
【0309】
新規GLP-1ペプチド類似体のコンピュータによる設計を、仮説駆動型設計アプローチを使用して達成した。これには、本発明者らが、GLP-1R活性部位に位置する重要な11アミノ酸ペプチドの初期構造モデルを構築することが必要であった。このタスクは、利用可能なX線及びEM構造をテンプレートとして使用して、11アミノ酸のリードペプチドのモデルを構築することにより達成した。この後に、制約された立体構造の最適化が続いた。次いで、ペプチド変異についての有望な部位を特定し、適切な標準又は非標準アミノ酸ライブラリを定義及び構築した。次いで、Pythonで実装されたコンピュータプログラムを使用し、YASARA分子モデリングプログラム(37)を用いて、上記複合体からペプチドリガンドを変異させることにより、新規ペプチドの構造を構築した。得られたポーズを、VINAを用いた分子ドッキング(38)、Python/YASARAにおける局所立体構造サンプリングルーチン(24)、又はC++で書かれた独自のMonte Carlo立体構造検索プログラム(Sampler)(24)を使用して精密化した。参照複合体と大幅に構造が異なる類似体を構築する場合、変異プログラムにより作出された初期ポーズは、タンパク質骨格が固定された状態に保たれる、短い分子動力学緩和ステップを受けた。設計された類似体は、適宜、再スコアリングを受けた。再スコアリングは、MM及びMM/PBSA結合エネルギーを計算することにより行った。さらに、モデルを視覚的に検査して、計算方法のアーチファクトによって偏っていないことを確実にした。
【0310】
ペプチドに結合するGLP-1Rの構造理解を強化し、将来の設計ラウンドについての情報を得るために、実験的に測定したcAMP EC50結果に対してモデルを定性的及び定量的に分析した。構造-活性データを視覚的に分析して、パターンを特定した。構造-活性データは、リガンドベース及び受容体-リガンドベースのアプローチを使用した定量的構造-活性相関(QSAR)解析も受けた。1つのリガンドベースのアプローチは、Cresset Forge(39)を使用した分子場解析を用いた。別のリガンドベースのアプローチは、Cresset Forge(https://www.cresset-group.com/sofware/forge/)を使用した分子場解析を用いた。受容体-リガンドQSAR解析では、独自のYASARAスクリプトを使用して受容体-リガンド界面記述子を計算した。
【0311】
最初のQSAR解析を、選択された構造-活性相関データに対して実施した。特に、5nx2結晶構造に基づくGLP-1ペプチド/GLP-1R全原子構造モデルを使用して、28個のGLP-1ペプチド/GLP-1R構造バリアントについて、様々な受容体ベース及びリガンドベースの記述子を計算した。重回帰分析を、pEC50測定値を従属変数として使用して実施した。GLP-1ペプチドバリアントは、Ala-スキャン、Aib-スキャン、末端切断型類似体、及びN末端伸長類似体を網羅した(上記参照)。最終的な記述子ベースの回帰式は、3つの分子記述子を含み、
pEC50=-0.012YSCORE+-0.91Ion-Ion Energy+-0.19BackboneTorsions+定数
により与えられ、すべての記述子は、YASARA分子モデリングソフトウェアパッケージを使用して計算し、YSCOREは、NOVA2力場を使用して計算した結合エネルギーを指し、Ion-Ionは、イオン-イオン界面接触間の静電エネルギーを指し、BackboneTorsionsは、ペプチドのファイ/プサイねじれの総数を指す(40)。全体的なモデルは、統計的に有意であることが見出された。個々の項も、pEC50推定に統計的に有意に寄与することが見出された。最良適合線の結果を図1に示す。結果(R2=0.65)は、とりわけQSAR方程式が、pEC50推定に統計的に有意に寄与する先験的な物理的及び構造的に合理的な記述子3つのみに基づくことを考えると、期待の持てるものである。このような研究は、QSARモデルの将来のトレーニング及び試験に焦点を当てる。
【0312】
実施例4:ペプチド合成
本発明のポリペプチドを、適切なアミノ酸をカップリングするために以下の方法を使用して調製した。脱保護、切断及び精製方法も記載する。
【0313】
ペプチド合成、精製、及び分析:
固相ペプチド合成を、標準的な方法により達成した。典型的には、Amphispheres 40 RAM、75~150μM樹脂(Agilent Technologies)を使用して、C末端カルボキサミドとしてペプチドを生成した。HCTUを使用するアミノ酸カップリングプロトコールは、一般に、以下の4つのステップを含んだ:(a)1回目のカップリング - 5eqのアミノ酸(0.34M)、10eqのDIEA(2M)、5eqのHCTU(0.5M)、5eqの6-Cl-HOBt(0.5M)、30分;(b)2回目のカップリング - 5eqのアミノ酸(0.34M)、10eqのDIEA(2M)、5eqのHCTU(0.5M)、5eqの6-Cl-HOBt(0.5M)、90分;(c)カップリング間の1回のDMF洗浄;及び(d)2回目のカップリング後、9回のDMF洗浄。HATUを使用するアミノ酸カップリングプロトコールは、一般に、以下の2つのステップを含んだ:(a)単一カップリング - 2eqのアミノ酸(0.1M)、4eqのDIEA(2M)、2eqのHATU(0.5M)、5eqのHOAt(0.5M)、240分;及び(b)カップリング後、9回のDMF洗浄。PyOxim及びHATUを使用したアミノ酸カップリングプロトコールは、一般に、以下の4つのステップを含んだ:(a)1回目のカップリング - 5eqのアミノ酸(0.34M)、10eqのDIEA(2M)、5eqのPyOxim(0.5M)、120分;(b)2回目のカップリング - 5eqのアミノ酸(0.34M)、10eqのDIEA(2M)、5eqのHCTU(0.5M)、5eqのHOAt(0.5M)、120分;(c)カップリング間の1回のDMF洗浄;(d)2回目のカップリング後、9回のDMF洗浄。Fmoc脱保護プロトコールは、一般に、以下の3つのステップを含んだ:(a)DMF中の20%ピペリジン、10分;(b)DMF中の20%ピペリジン、15分;及び(c)8回のDMF洗浄。樹脂からのアミノ酸側鎖保護基及びペプチドの切断は、典型的には、以下の5つのステップにより達成した:(a)87.5%TFA、2.5%アニソール、5%水、5%トリイソプロピルシラン、3~4時間、樹脂1グラムあたり10mLの切断カクテル;(b)硫黄含有アミノ酸についての改変手順:85%Tfa、2.5%3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール、2.5%アニソール、5%水、5%トリイソプロピルシラン、3~4時間、樹脂1グラムあたり10mLの切断カクテル;(c)TFAを蒸発させる;(d)冷ジエチルエーテル(最低10:1、エーテル:切断カクテル)で沈殿させ、3000rpmで5分間遠心分離し、次いでエーテルをデカントする(これを3回繰り返した);及びe)次いで、ペプチド粉末/ペレットを一晩乾燥させた。逆相HPLCによる精製は、以下の4つのステップにより達成した:(a)ペプチドを溶解する;(b)Biotage Selekt機器及びBiotage Sfar Bio C18 D(Duo、300Å、20μm)を使用するクロマトグラフィー;(c)所望の画分のプール、凍結及び凍結乾燥;及び(d)次いで、50%アセトニトリル/水を乾燥ペプチドに添加し、それを再凍結し、再凍結乾燥した。精製ペプチドの分析は、以下の3つのステップにより達成した:(a)ペプチドのサンプルを溶解し、Agilent Infinity II LC/MSを使用して分析した;(b)Agilent Zorbax 300SB-C18(5μm、2.1×150mm)及びA(水中の0.1%TFA)とB(アセトニトリル中の0.1%Tfa)とからなる2つの溶媒系(40℃で20分間にわたる5~65%Bの勾配)を使用した純度(214及び280nmの吸光度検出)及び保持時間についての分析;並びにAgilent Infinity Lab MSD、正極性(質量検出範囲は100~1500である)を使用したMS分析。
【0314】
S-ペルフルオロアリール化を例示するアミノ酸(例えば、Cys-S-ビフェニル[F9]):
粗製又は精製Cys含有ペプチドを、過剰な求電子試薬(例えば、デカフルオロビフェニル)及び塩基、例えばN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)又はトリスを含有するDMFに溶解して、1mM濃度を得る。反応が完了したら、チオールでクエンチし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製する。
【0315】
アジド/アルキンHuisgen環化付加(「クリック」)を例示する新規アミノ酸:
アジド/アルキンHuisgen環化付加によるペプチドコンジュゲーションの手順:セプタムキャップで密封されたガラスシンチレーションに、ペプチドアジド及び脂質-アルキンを、臭化銅と共に添加する。窒素を使用して、反応混合物を5分間パージし、酸素の除去を確実にし、次いで、約1mLの脱気DMFを添加する。反応混合物をボルテックスする。反応を2時間継続させ、次いで、RP-HPLCにより精製する。
【0316】
Resolute BioのSOP-0002は、0.1mmolスケールでの、保護され完全に組み立てられたペプチド-樹脂の位置#10又は位置#11のPhe(4-アジド)と、アルキン-脂肪酸(例えば、17-オクタデシン酸)との間の、CuAAC試薬を使用した樹脂上環化付加反応について、RP-HPLCによる精製の前に以下の合成ステップを指定する:(1)樹脂をDMFで膨潤させる;(2)DMF中の20%2,6-ルチジンで樹脂を3回洗浄する;(3)1.5当量(equivalents)のアルキン試薬(又はアルキンにカップリングする場合はアジド試薬)を添加する;(4)49.5mgのアスコルビン酸ナトリウムを添加する;(5)45μLのDIEAを添加する;(6)47.5mgのCuIを添加する;及び(7)周囲温度で一晩撹拌する。RXL-4042-2及びRXL-4043-2の精製は、Agilent 1260多波長検出器を備えたAgilent 1290分取システムを用いて達成した。フラクショントリガーは、214nmの波長に設定した。逆相クロマトグラフィーカラムは、Agilent Prep、100A、5μm、C18、50×21.2mmであった。17-オクタデシン酸の構造を以下に示す:
【0317】
【化49】
【0318】
アルブミン結合官能基コンジュゲーションを例示する新規PK改変ペプチド:
PK改変因子、例えば血清アルブミン結合基とのペプチドコンジュゲーションの手順:ペプチドのN末端は、2つの第一級アミン位置(例えば、His1対RY2~RY12内で表されるリンカーDap[ジアミノプロピオン酸]又はGluアミノ基)でのアミド形成を防止するためにアセチル化又はBoc保護基を必要とする。このようなPK改変因子は、Dap若しくはGlu、並びに他のリンカー関連アミノ酸、例えばLys、Orn(オルニチン)若しくはDab(ジアミノ酪酸)のL-又はD-エナンチオマーにコンジュゲートできることに留意されたい。このような場合、第一級アミン部分は、以下のプロトコールによりMtt(メチルトリチル)又はMmt(メトキシトリチル)で保護される:(a)樹脂を2%トリフルオロ酢酸、2%トリイソプロピルシラン、及び96%DCMで3回洗浄する;(b)2%トリフルオロ酢酸、2%トリイソプロピルシラン、及び96%DCMと共に30分間、2回振とうさせる。DCM(ジクロロメタン)で3回洗浄する。Mtt又はMmt除去後、樹脂を2%DIEA(ジイソプロピルエチルアミン)で3回洗浄する。DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)で3回洗浄する。NMP(N-メチル-2-ピロリジノン)で3回洗浄する。次いで、アミンは、一般に2当量(equivalents)(PK改変因子又はAEEA/アミノ酸リンカー)を2当量(equivalents)のPyOxim及び4当量(equivalents)のDIEAと共に使用して、PK改変因子(例えば、C18脂肪酸又はハロゲン化アリール)又はリンカー基(例えば、AEEA)との直接コンジュゲーションにより生成することができる。カップリングの完全性について試験するために、ペプチド-樹脂のマイクロクリーブ(microcleave)を実施して、さらなる再カップリングステップが必要かどうかを決定してもよい。
【0319】
実施例5:インビトロ薬理学スクリーニング法
このアッセイでは、hGLP1受容体及びCRE-ルシフェラーゼ構築物を共発現するヒト胎児腎細胞(HEK)を使用して、アゴニストの効力を決定した。細胞を37℃で短時間解凍し、滅菌チューブに移し、37℃で完全培地に再懸濁した。細胞を1000rpmで5分間遠心分離し、細胞を収集した;細胞を、500μMのホスホジエステラーゼ阻害剤IBMXを有するDPBS(GIBCO)からなるアッセイ緩衝液中に再懸濁した。アッセイ培地は、アルブミン親和性について試験するために血清アルブミン(2%)を含有し得るか、又は特定のプロトコールで指定されているようにアルブミンを含まない。最適な細胞密度を、1000個の細胞/ウェルであると決定した;化合物(試験ペプチド又は参照化合物エキセンジン-4)の適切な予め調製した希釈液を含有する384ウェルプレート中のウェルに細胞を添加し、密封し、CO2と共に30分間インキュベートした。試験ペプチド溶液を、10mMストック溶液から希釈した;ほとんどのペプチドでは、最初のランを最大濃度1.0μMから2連で実施し、この最大濃度から1:3段階希釈を使用して各ペプチドについて11種の濃度を試験した。特に強力なアゴニストであることが見出されたペプチドを用いて、最大濃度1.0nMを使用してその後のアッセイを実行した(11種の濃度、1nMから1:3希釈)。アゴニストアッセイは、均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイ(Cisbio)であった。
【0320】
細胞を試験ペプチド又は参照ペプチドと30分間インキュベートした後、冷凍ストックから作業溶液として事前に調製した(1:20希釈)、5μLのcAMPアクセプターcAMP-d2を、5μLの抗cAMP抗体-クリプテート作業溶液(冷凍ストックから1:20希釈)と共にアッセイプレートの各ウェルに添加した。ウェルを室温で1時間インキュベートし、次いで、TRFレーザーを備えたEnvisionリーダーを用いて665及び615nmで蛍光を読み取った。データを保存し、Prismソフトウェア(GraphPad)を使用して分析した。得られたデータの4パラメータロジスティックフィットを使用して、濃度-応答分析を実施し、各試験化合物及び参照化合物についてEC50値を取得した。
【0321】
参照による組み込み
本明細書に引用される米国特許及び米国特許出願公開のすべては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0322】
均等物
当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、又は日常的な実験のみを使用して確認することができる。このような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることを意図する。
【0323】
引用した参考文献
図1
【配列表】
2024525236000001.app
【国際調査報告】