(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-11
(54)【発明の名称】デオキシニバレノールを分解する菌株及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
C12N1/20 A
C12N1/20 D
C12N1/20 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532435
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 CN2021129928
(87)【国際公開番号】W WO2022111287
(87)【国際公開日】2022-06-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521472793
【氏名又は名称】中国農業科学院北京畜牧獣医研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF ANIMAL SCIENCE OF CHINESE ACADEMY OF AGRICULTURAL SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】羅会穎
(72)【発明者】
【氏名】張宏海
(72)【発明者】
【氏名】姚斌
(72)【発明者】
【氏名】黄火清
(72)【発明者】
【氏名】王亜茹
(72)【発明者】
【氏名】柏映国
(72)【発明者】
【氏名】蘇小運
(72)【発明者】
【氏名】王苑
(72)【発明者】
【氏名】塗涛
(72)【発明者】
【氏名】張▲傑▼
(72)【発明者】
【氏名】于会民
(72)【発明者】
【氏名】秦星
(72)【発明者】
【氏名】王暁▲ろ▼
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA38X
4B065AC20
4B065BA22
4B065BC13
4B065CA27
4B065CA56
(57)【要約】
本発明は、微生物、飼料、食品および生態修復の技術分野に関し、特にデオキシニバレノール(DON)を分解する菌株及びその使用に関する。当該菌株の保蔵番号がCCTCC No. M 2020565である。当該菌株は、有毒化合物DONを唯一の炭素源として成長し、DONを自体の化学成分に変換する。この反応は不可逆であり、反応条件が穏やかであり、二次汚染を引き起こすことはない。本発明に提供される菌株は、DONの生物解毒剤の調製に用いることができる。本発明に提供される菌株は、飼料と食品原料、初歩加工製品、深加工製品および関連する加工副産物におけるDONを分解することができる。本発明に提供される菌株は、DONに汚染された土壌や水域などのさまざまな生態系に適用して、DONを分解し、生態系を修復するという目的を達成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保蔵番号がCCTCC No. M 2020565であることを特徴とするノカルディオイデス属菌(Nocardioides sp.)の菌株ZHH-013。
【請求項2】
活性成分として、請求項1に記載のノカルディオイデス属菌(Nocardioides sp.)の菌株ZHH-013またはその細胞内溶物を含むことを特徴とする生物解毒剤。
【請求項3】
前記生物解毒剤の剤形は液体または固体であることを特徴とする、請求項2に記載の生物解毒剤。
【請求項4】
ノカルディオイデス属菌(Nocardioides sp.)の菌株ZHH-013を活性化すること、
多段階で拡大培養すること、
および、
発酵液を収集し、生物解毒剤を調製すること、
を含むことを特徴とする生物解毒剤の調製方法。
【請求項5】
ノカルディオイデス属菌(Nocardioides sp.)の菌株ZHH-013の発酵液を液体剤形または固体剤形の生物解毒剤に調製することを特徴とする、請求項4に記載の生物解毒剤の調製方法。
【請求項6】
前記液体剤形の生物解毒剤をさらに固体剤形に調製することを特徴とする、請求項5に記載の生物解毒剤の調製方法。
【請求項7】
飼料と食品原料、初歩加工製品、深加工製品および関連する加工副産物におけるDONを分解することを特徴とする請求項1に記載のノカルディオイデス属菌(Nocardioides sp.)の菌株ZHH-013の使用。
【請求項8】
DONに汚染された生態系においてDONを分解することを特徴とする請求項2に記載の生物解毒剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物の技術分野に関し、特にデオキシニバレノールを分解する菌株及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
デオキシニバレノール(Deoxynivalenol、DON)は、人や動物に嘔吐を引き起こすことがあるので、嘔吐毒素(Vomitoxin)とも呼ばれる。デオキシニバレノールは、一般的な食品由来のマイコトキシンであり、小麦、大麦、オート麦、トウモロコシなどの食品原料に広く存在する。DONは、化学的・物理的に非常に安定しており、一般的な調理や加工技術では除去するのが困難であり、高温焼成プロセスで他の毒性未知の化合物(例えば、nor-DON、DONラクトンなど)に形質転換される可能性がある。さらに、DONは、例えば3-β-D-グルコース-DONのように、植物内で「潜在的な」形で存在することができる。この「潜在的な」形の誘導体は、植物の自己防御による生成物であると考えられている。残念ながら、腸内微生物の作用により潜在形DONがDONに戻る可能性は依然として存在しており、人間や動物の曝露リスクがさらに増える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
DONの生物分解技術は、効率的、環境に優しい、穏やかな反応条件、容易に大規模に適用できるなどの特徴を持っており、近年広く注目されているが、研究および使用に用いられる生物資源が非常に限られている。DON分解菌株の純培養による獲得および菌株のDONに対する分解メカニズムの解明は、DON分解製品の開発に重要なヒントを与えると考えられる。
【0004】
デヴォシア属菌(Devosia)は、広く研究されているDON分解菌株の一種である。デヴォシア属における複数の種および亜種は、DONを3-keto-DONおよび3-epi-DONに分解することが示されている。2018年、カナダのZhouTingグループは、DepAおよびDepBという2つの酵素がそれぞれ2段階の分解プロセスに関与していることを確認した。それ以来、独立して分離されたデヴォシア属菌がDONを形質転換できるということは、複数のチームが次々と確認した。しかしながら、全てのデヴォシア属菌が上記の2段階の形質転換を実現できるわけではない。
【0005】
ノカルディオイデス属菌(Nocardioides)は、デヴォシア属菌とほぼ同期にDON分解機能を有することが判明した。公開文献において、DONを炭素源として完全に形質転換して利用できるということが報告されたのは、日本のTsushimaグループのみである。ノカルディオイデス属菌によるDONの分解中に3-epi-DONが生成されて、3-epi-DONがさらに形質転換されるが、完全な分解メカニズムはまだ詳しく研究されていない。主な理由の1つとしては、DON分解機能を有するノカルディオイデス属菌の菌株が非常に稀であり、富化分離により純培養を得ることが困難である。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、デオキシニバレノールを分解するためのノカルディオイデス属菌株を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、前記ノカルディオイデス属菌株を用いて作られる生物解毒剤を提供することである。
【0008】
本発明の更に他の目的は、前記生物解毒剤の調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ノカルディオイデス属菌(Nocardioides sp.)の新規菌株を提供し、菌株番号がZHH-013であり、2020年9月30日に中国典型培養物保蔵センター(CCTCC)に寄託され、保蔵番号がCCTCC No. M 2020565である。当該菌株は、機能がノカルディオイデス属菌WSN05-2の機能と類似しているが、16S rDNAの同一性は97%未満であり、類縁菌株の形態学的、分子生物学的、生理生化学的特性の比較により、ノカルディオイデス属(Nocardioides genus)の新種であることが確認された。
【0010】
前記発酵培地として、カゼイントリプトン10g、酵母発酵エキス5g、塩化ナトリウム10g、寒天1.5%を添加し、1Lまで蒸留水を追加して、pH7.0~7.2に調整し、121℃で20分間滅菌する。
【0011】
本発明による生物解毒剤は、活性成分としてのノカルディオイデス属菌ZHH-013またはその細胞内溶物(例えば、細胞内タンパク質)を含む。前記ノカルディオイデス属菌ZHH-013は、保蔵番号がCCTCC No. M 2020565である。当該生物解毒剤は、従来の調製方法により調製され、液体剤形でも固体剤形でもよい。
【0012】
本発明は、前記生物解毒剤の調製方法を提供する。当該調製方法は、保蔵番号CCTCC No. M 2020565であるノカルディオイデス属菌ZHH-013を活性化すること、多段階で拡大培養すること、および、菌体が安定期にあるときに、発酵液を収集し、液体形の生物解毒剤を調製することを含む。
【0013】
本発明による生物解毒剤の調製方法は、その発酵液を自然沈降、遠心分離、ろ過など菌体の活性に影響を与えない方法で濃縮し、高濃度の菌体懸濁液が調製される。好ましくは、前記菌体懸濁液に栄養液または栄養液と保護剤との混合液をさらに添加し、液体形の生物解毒剤を調製する。さらに、当該技術分野における従来の方法により、当該液体形の生物解毒剤から、例えば、吸着剤、保護剤などを添加することで、固体形の生物解毒剤を調製することができる。
【0014】
本発明による生物解毒剤の調製方法は、得られた高濃度の菌体懸濁液または菌体細胞をホモジナイズ、超音波などの従来の方法で粉砕し、菌体細胞破片などの不純物を除去した後に、濃縮して高濃度のタンパク質溶液を得ることにより、液体形の生物解毒剤を調製することをさらに含んでもよい。当該技術分野における従来の方法により、当該液体形の生物解毒剤から、例えば、吸着剤、保護剤などを添加することで、固体形の生物解毒剤を調製することができる。
【0015】
上述の生物解毒剤は、当該技術分野における一般的なパッケージング技術によってパッケージングされ、具体的な環境条件に応じて保管されることができる。
【0016】
本発明は、以下に示す優位性がある。
【0017】
(1)本発明は、中国領土内の土壌から分離され、DON分解機能を有するノカルディオイデス属菌株ZHH-013を提供する。当該菌株のDON分解機能が、すでに報告され日本国土内に分離されたノカルディオイデス属菌株のDON分解機能と類似しているが、16S rDNAの同一性は97%未満である。
【0018】
(2)本発明に提供される菌株は、形態学、生理生化学、および16S rDNA配列解析などの分類法による分類同定が行われ、類縁菌株の形態学的および生理生化学的特性を比較することで、ノカルディオイデス属の新種であることが確認された。
【0019】
(3)本発明に提供される菌株は、有毒化合物DONを唯一の炭素源として成長し、DONを自体の化学成分に変換する。この反応は不可逆であり、反応条件が穏やかであり、二次汚染を引き起こすことはない。
【0020】
(4)本発明に提供される菌株は、さまざまなDONの生物解毒剤の調製に用いることができる。
【0021】
(5)本発明に提供される菌株および調製されるさまざまなDON生物解毒剤は、飼料と食品原料、初歩加工製品、深加工製品および関連する加工副産物におけるDONの分解に用いることができる。
【0022】
(6)本発明に提供される菌株および調製されるさまざまなDON生物解毒剤は、DONに汚染された土壌や水域などのさまざまな生態系に適用して、DONを分解し、生態系を修復するという目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明に係るノカルディオイデス属菌株ZHH-013およびその内溶物を用いてDONを分解する際のクロマトグラムである(RT
DON=14.9)。
【
図2】
図2は、本発明に係るノカルディオイデス属菌株ZHH-013を用いてコーンスティープリカー中のDONを分解する効果を示す。 ノカルディオイデス属菌(Nocardioides sp.)ZHH-013は、保蔵番号がCCTCC No. M 2020565であり、中国典型培養物保蔵センター(CCTCC)に寄託されており、寄託日が2020年9月30日であり、寄託先が中国武漢にある武漢大学である。
【実施例】
【0024】
実施例1 デオキシニバレノールの分解菌株の分離および同定
河北省張家口市から土壌サンプルを収集し、富化フラスコ振とう法を用いて、まずサンプルを無菌水中で菌体懸濁液に調製した。10%の接種量でLB液体培地中に接種し、培地中におけるDON最終濃度が50μg/mlであり、培養を7日間行った後、10%の接種量で移植し、培地中におけるDON濃度は変わらなかった。連続して5回の移植を行った後、DONの含有量を検出し、同じDON濃度の未接種DON-LB培地を陰性対照とした。DON分解機能を有する菌体懸濁液を希釈塗布法により適切な希釈度でLB寒天平板に塗布し、30℃で72時間培養した。その後、分離度が良く、異なるコロニー形態を持つ単一コロニーを選択し、DON濃度50μg/mlのLB培地で解毒試験を行い、実施例1に従ってDON含有量を測定し、スクリーニングを繰り返して、最終的にDONを分解できる菌株が1株スクリーニングされ、番号ZHH-013を付けた。ZHH-013単一コロニーをLB液体培地に移し、対数期中期まで培養した後、その培養物と50%のグリセリンとを同体積混合して、-80℃で保管した。
【0025】
形態学、生理生化学、および16S rDNA配列解析などの分類法により、分解菌株に対して分類同定を行った。本発明のZHH-013菌株は、LB寒天培地において30℃で培養された。7日目には、直径1mmの円形の白色コロニーが確認され、辺縁が整っており、表面に光沢があり、コロニーの周囲に透明なリングが確認された。TSB寒天培地において30℃で培養された場合、7日目には、円形の白色コロニーが確認され、辺縁が整っており、表面に光沢があり、コロニーの周囲に透明なリングが確認され、14日目には、コロニーの直径は3mmに達した。グラム染色の結果は陽性であった。
【0026】
ここで、LB培地として、カゼイントリプトン10g、酵母発酵エキス5g、塩化ナトリウム10g、寒天1.5%を添加し、1Lまで蒸留水を追加して、pH7.0~7.2に調整し、121℃で20分間滅菌した。
【0027】
TSB培地は、BD社から購入し、ブランドはDifcoである。
【0028】
全ての結果から、本発明のZHH-013菌株は、ノカルディオイデス属菌(Nocardioides sp.)に分類されるべきであることが明かにされた。この分類は、実験室での直接比較と、すでに公表された類似種の説明検索とに基づいている。
【0029】
実施例2 菌株によるデオキシニバレノールの分解
1,DONの検出方法
DON母液の調製について、DON標準品5.0mgを正確に量り、1mLの無菌水に溶解し、最終濃度5mg/mLのDON母液を調製した。1mLのシリンジフィルターを用いて、ろ過することにより無菌化した。DON母液は、-20℃で保管され、3ヶ月間有効となる。
【0030】
試料調製について、500μLの試料液を取り、同体積の純メタノールを加えて均一に振とう混合した後、遠心分離(12000rpm、4℃、10分)して、HPLC検出のために上清液500μLを取った。HPLC法によりDONの含有量を測定した。測定条件は、カラムがAgilent 5 TC-C18(2)逆相カラム(250×4.6mm、5μm)であり、移動相がメタノール:水(15:85)であり、溶出方法がアイソクラティック溶出であり、流速が1mL/分であり、注入量が20μLであり、カラム温度が30℃であり、紫外検出器の検出波長が220nmであり、DONの滞留時間が14.9分である。
【0031】
2,平板上からノカルディオイデス属菌(Nocardioides sp.)ZHH-013のモノクローナルを選び出し、3mLのLB培地に接種し、30℃で7日間培養した後、1%接?量で3mLのLB培地に転移した。ここで、DON最終濃度が50μg/mlである。30℃で振とう培養を3日間行って、上記の方法によりDONの含有量を測定した。DONが添加されていない試験群を陰性対照とした。クロマトグラフ分析結果は、
図1に示されている。aは、菌液のみを接種した対照を示す。eは、DONのみを添加した対照を示す。bおよびcは、一晩培養後の2つ処理群を示す。対照と比較すると、DONが完全に分解されたことが明らかである。
【0032】
3,粗酵素液によるDONの分解
上記のステップ2のように、菌体を調製し、PBS緩衝液(pH 6.9)で菌体を再懸濁させ、OD
600を約1.0に調節した。超音波破砕装置を用いて菌体を破砕した後、遠心分離(12000rpm、4℃、10分)して490μLの上清液を取り出した。上清液に10μLのDON母液を加え、最終濃度を50μg/mLにした。一晩培養後、上記の方法でDONの含有量を測定した。クロマトグラフ分析結果は、
図1のdに示されている。一晩培養後、DONが完全に分解されたことが明らかである。
【0033】
4,菌株によるコーンスティープリカー中のDONの分解
平板上からノカルディオイデス属菌(Nocardioides sp.)ZHH-013のモノクローナルを選び出し、3mLのLB培地に接種し、30℃で7日間培養した後、1%接?量で300mLのLB培地に転移して30℃で振とう培養を5日間行い、菌体を収集した。無菌水を使用して少なくとも3回以上菌体を十分に洗浄し、培地が完全に除去された。PBS緩衝液(pH 6.9)で菌体を十分に再懸濁させ、OD
600を約1.0に調節した。それぞれ10%の10%コーンスティープリカーの水溶液を加え、10%コーンスティープリカーの水溶液を加えないサンプルを対照とした。一晩培養後、上記の方法でDONの含有量を測定した。クロマトグラフ分析結果は、
図2に示されている。aは、10%コーンスティープリカーの水溶液が添加された処理群を示す。bは、10%コーンスティープリカーの水溶液が添加されなかった処理群を示す。cは、コーンスティープリカーも分解菌株も添加されなかった対照群を示す。対照群cと比較する場合、処理群aには一晩培養後のDON分解率は80%以上であり、処理群bにはDONの含有量も著しく減っている。従って、コーンスティープリカーの添加の有無に関係なく、DONが分解されることができる。菌株の分解機能は安定しており、基質組成が変わっても変化しない。
【0034】
5,DONを唯一の炭素源とする菌株の成長
平板上からノカルディオイデス属菌(Nocardioides sp.)ZHH-013のモノクローナルを選び出し、1mLのM9D培地に接種し、30℃で7日間培養した後、転移方法により7日ごとに1回転移し、計3回転移した。各培養7日後の発酵液を収集し、150μLの発酵液をLB寒天平板に塗布して培養し、残った発酵液に対して上記の方法でDONの含有量を測定した。M9D培地として、M9培地(Difco)、DON 50mgを添加し、pH7.0に調整し、1Lまで蒸留水を追加した。上述の転移方法とは、0.1%接?量で1mLのM9D培地に転移して30℃で7日間培養する方法である。
【0035】
この実験では、連続的に3回の転移が行われ、各回の転移では菌液が1000倍に希釈される。DONを炭素源として利用することができない場合、DONは分解されず、連続的な3回の実験ではいずれも分解されることができない。LB寒天平板上のコロニー数について、希釈の回数が多いほどコロニー数が少ないという規則的なパターンを持つ。DONを炭素源として利用することができる場合、コロニー数が各培養後に増加するので、3回の実験では、いずれにおいてもDONが分解され、LB寒天平板上のコロニー数が比較的に多く、ほぼ同じである。
【0036】
実験結果から、3回に収集された培養発酵液の中、DONの分解率がいずれも80%以上であり、対応するLB寒天平板上にはいずれもノカルディオイデス属菌(Nocardioides sp.)ZHH-013の菌叢が生い茂っていたことが示された。即ち、ノカルディオイデス属菌(Nocardioides sp.)ZHH-013は、DONを唯一の炭素源として成長できることが示された。
【0037】
上記した実施例の説明は、本発明を明確に説明するための単なる例であり、本発明を限定するものではないことが明らかである。本分野の通常の技術者にとっては、上記の説明を基に、他の異なる形式の変更や修正を行うことができる。ここではすべての実施形態を列挙することはできない。本発明の発想から明らかな変更や修正が依然として本発明の保護範囲に含まれていることは言う必要もない。
【国際調査報告】