IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 10ケイ ゲノミクスの特許一覧

特表2024-525241試料から標的分子を分析するための組成物および方法
<>
  • 特表-試料から標的分子を分析するための組成物および方法 図1
  • 特表-試料から標的分子を分析するための組成物および方法 図2
  • 特表-試料から標的分子を分析するための組成物および方法 図3
  • 特表-試料から標的分子を分析するための組成物および方法 図4
  • 特表-試料から標的分子を分析するための組成物および方法 図5
  • 特表-試料から標的分子を分析するための組成物および方法 図6
  • 特表-試料から標的分子を分析するための組成物および方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-11
(54)【発明の名称】試料から標的分子を分析するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20240704BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALI20240704BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z ZNA
C12Q1/6876 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572097
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 CN2022094017
(87)【国際公開番号】W WO2022242734
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】202110557216.8
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
2.TWEEN
3.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】523438119
【氏名又は名称】10ケイ ゲノミクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シー、ウェイヤン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ02
4B063QQ04
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS32
4B063QS39
(57)【要約】
試料から標的分子を分析するための組成物および方法。方法は、試料中の少なくとも1つの標的分子を、標的分子結合ドメインを含む少なくとも1つのプローブと接触させること、プローブに試料特異的バーコードを付着させて、バーコード化プローブを得ること、ならびにバーコード化プローブの組成を決定し、バーコード化プローブの組成を用いて試料中の標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料から標的分子を分析する方法であって、
前記試料中の少なくとも1つの標的分子を少なくとも1つのプローブと接触させる工程であって、前記プローブが、標的分子結合ドメインを含み、前記標的分子結合ドメインが、前記試料中の前記少なくとも1つの標的分子を特異的に認識することができる工程と、
前記プローブに試料特異的バーコードを付着させて、バーコード化プローブを得る工程と、
前記バーコード化プローブの組成を決定し、前記バーコード化プローブの組成から前記試料中の前記標的分子の存在および/または含有量を決定する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記標的分子が、タンパク質、核酸分子、代謝産物および/または脂質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記核酸分子が、DNA分子および/またはRNA分子を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記DNAが、cDNAを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記RNAが、cRNA、mRNA、miRNA、lncRNAおよび/またはeRNAを含む、請求項3~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記試料が、少なくとも1つの細胞を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記試料が単一細胞である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記試料中の前記標的分子が、前記単一細胞内の1つ以上のmRNAである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞が、生物から単離された細胞、インビトロで培養された細胞、初代細胞、および外植片由来の別個の細胞からなる群から選択される、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞が固定化されている、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記標的分子が核酸分子を含み、前記プローブ内の前記標的分子結合ドメインが一本鎖核酸を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記一本鎖核酸が、少なくとも10個のヌクレオチドを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記一本鎖核酸が、約10~60個のヌクレオチドを含む、請求項11~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記プローブ内の前記標的分子結合ドメインが、前記標的分子の配列に少なくとも50%相補的である、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記標的分子の組成が既知である、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記標的分子がmRNAであり、前記mRNAの核酸配列が既知である、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記プローブ内の前記標的分子結合ドメインが、前記mRNAの核酸配列に従って設計される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記プローブが、プローブ同定タグも含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記プローブでは、前記標的分子結合ドメインが、前記プローブ同定タグと直接的または間接的に連結される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記プローブ同定タグが、固有の分子同定領域を含む、請求項18~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記固有の分子同定領域が、一本鎖核酸を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記一本鎖核酸が、1~20個のヌクレオチドを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記試料中の少なくとも1つの標的分子を2つ以上のプローブと接触させることを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記2つ以上のプローブが、それぞれ別個のプローブ同定タグを有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記試料中の少なくとも1つの標的分子を第1のプローブと接触させ、前記標的分子を前記第1のプローブとは異なる第2のプローブと接触させることを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1のプローブの3’末端が、前記第2のプローブの5’末端に直接的または間接的に連結される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のプローブの5’末端が、前記第2のプローブの3’末端に直接的または間接的に連結される、請求項25~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1のプローブの3’末端が、リガーゼによって前記第2のプローブの5’末端に連結される、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第1のプローブの5’末端が、リガーゼによって前記第2のプローブの3’末端に連結される、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のプローブおよび前記第2のプローブが、一本鎖環状分子を形成する、請求項25~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第1のプローブの3’末端の核酸配列が、前記第2のプローブの3’末端の核酸配列に相補的であり、前記第1のプローブの核酸配列が、前記第2のプローブの5’末端の核酸配列に相補的である、請求項25~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第2のプローブの5’末端が、前記第2のプローブの3’末端に直接的または間接的に連結される、請求項25~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第2のプローブの5’末端が、リガーゼによって前記第2のプローブの3’末端にライゲーションされる、請求項25~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記リガーゼが、T4リガーゼを含む、請求項28~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
同じ試料に由来する標的分子と接触している前記プローブが、同じ試料特異的バーコードを付着している、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記試料中の前記標的分子が単一細胞内のmRNAであり、逆転写工程を含まない、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記プローブが、増幅プライマー結合領域も含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記プローブが、オリゴヌクレオチドアダプターも含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記プローブ内の前記増幅プライマー結合領域が、前記プローブ同定タグに直接的または間接的に連結される、請求項37~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記プローブ内の前記増幅プライマー結合領域が、前記プローブ同定タグに直接的に連結される、請求項37~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記2つ以上のプローブのうちの少なくとも2つのプローブが、前記試料中の同じ標的分子の異なる領域に結合することができる、請求項23~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記試料中の前記標的分子を前記プローブと接触させた後で、前記プローブに前記試料特異的バーコードを付着させる前に、少なくとも1つのPCRタグを付着させた固体支持体を提供する工程であって、前記PCRタグの各々が、試料特異的バーコードと、前記試料特異的バーコードの3’末端に前記プローブの5’末端の配列と同じPCRハンドル配列とを含む、工程と、前記プローブの3’末端の配列に相補的である遊離プライマーを提供する工程とを含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記プローブと、少なくとも1つのPCRタグを付着させた前記固体支持体と、前記プライマーとを、分離した区画に共分配する工程と、前記プローブに前記試料特異的バーコードを付着させる工程とをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記PCRタグが、前記固体支持体に放出可能に付着させられる、請求項42~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1つのPCRタグを前記固体支持体から放出する工程と、前記PCRタグと、前記プライマーと、前記プローブとを、前記離散、分離した区画に共分配する工程と、前記プローブに前記試料特異的バーコードを付着させることを可能にする工程とを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記PCRタグが、その5’末端を介して前記固体支持体に直接的または間接的に付着させられる、請求項42~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記分離した区画がPCR試薬をさらに含み、前記PCR試薬の作用下で前記プローブに前記試料特異的バーコードを付着させて、バーコード化プローブを得る、請求項43~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記プローブ、および前記PCRタグのうちの2つ以上、前記プローブ、および前記プライマーを前記分離した区画に共分配する工程であって、前記2つ以上のPCRタグが異なり、その結果、前記バーコード化プローブが2つ以上の試料特異的バーコードを含む、請求項43~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記プローブ、および前記PCRタグのうちの3つ以上、前記プローブ、および前記プライマーを前記分離した区画に共分配することを含み、前記3つ以上のPCRタグが異なり、その結果、前記バーコード化プローブが3つ以上の試料特異的バーコードを含む、請求項43~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記バーコード化プローブでは、前記プローブが、前記試料特異的バーコードの3’末端に位置する、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記固体支持体がビーズである、請求項42~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記ビーズが磁気ビーズである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記分離した区画が、細孔または微小液滴である、請求項43~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記試料特異的バーコードが細胞バーコードを含み、同じ固体支持体に付着させた各PCRタグに含まれる前記細胞バーコードが同じである、請求項42~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記細胞バーコードが、リンカー配列によって離隔された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記プライマーを、前記プローブの3’末端の配列に相補的にし、伸長して、ハイブリダイゼーション配列に相補的な配列を得ることを含む、請求項42~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記プローブの5’末端の配列に相補的な配列を前記PCRタグ内のPCRハンドル配列にハイブリダイズさせ、前記プローブに試料特異的バーコードを付着させて、バーコード化プローブを得ることを含む、請求項42~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記PCRタグが、増幅プライマー認識領域をさらに含む、請求項42~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記増幅プライマー認識領域が汎用的な増幅プライマー認識領域である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記バーコード化プローブが、前記試料特異的バーコードおよび前記プローブを含む、請求項42~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記試料特異的バーコードが、前記プローブの3’末端に位置する、請求項42~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記バーコード化プローブを得た後で、前記バーコード化プローブの組成を決定する前に、前記バーコード化プローブを前記分離した区画から放出することをさらに含む、請求項43~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
バーコード化プローブを前記分離した区画から放出した後で、前記バーコード化プローブの組成を決定する前に、前記バーコード化プローブを配列決定して、前記バーコード化プローブの組成を決定することを含む、請求項43~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記バーコード化プローブの組成を決定した後で、前記バーコード化プローブの数から前記標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記試料中の前記標的分子を前記プローブと接触させた後で、前記プローブに前記試料特異的バーコードを付着させる前に、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた固体支持体を提供することを含み、前記オリゴヌクレオチドタグの各々が、試料特異的バーコードと、前記試料特異的バーコードの3’末端にハイブリダイゼーション配列とを含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記プローブが、第1の鎖および第2の鎖を含み、前記第1の鎖が、標的分子結合ドメインを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記第2の鎖が、前記プローブ内の前記オリゴヌクレオチドアダプターに相補的な第2の部分を含み、前記第2の鎖が、前記オリゴヌクレオチドタグ内の前記試料特異的バーコードの3’末端の前記ハイブリダイゼーション配列に相補的な第1の部分を含み、前記第1および第2の鎖が、部分的二本鎖構造を形成する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記プローブを、前記分離した区画内の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた前記固体支持体に連結して、前記バーコード化プローブを得る、請求項65~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記オリゴヌクレオチドタグが、前記固体支持体に放出可能に付着されている、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを、前記固体支持体から放出し、前記プローブと連結して、前記プローブに前記試料特異的バーコードを付着させることを含む、請求項65~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記オリゴヌクレオチドタグが、その5’末端を介して前記固体支持体に直接的または間接的に付着させられる、請求項65~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記分離した区画が、リガーゼをさらに含み、前記リガーゼが、前記オリゴヌクレオチドタグを前記プローブと連結することを可能にする、請求項68~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記リガーゼが、T4リガーゼを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記バーコード化プローブでは、前記プローブが、前記試料特異的バーコードの3’末端に位置する、請求項68~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記固体支持体がビーズである、請求項65~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記ビーズが磁気ビーズである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記分離した区画が、細孔または微小液滴である、請求項68~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記試料特異的バーコードが細胞バーコードを含み、同じ固体支持体に付着させた各オリゴヌクレオチドタグに含まれる前記細胞バーコードが同じである、請求項65~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記細胞バーコードが、リンカー配列によって離隔された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記オリゴヌクレオチドタグ内の前記ハイブリダイゼーション配列を前記プローブ内の前記第1の鎖に連結して、前記バーコード化プローブを生成することを含む、請求項66~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記プローブ内の前記第2の鎖の前記第1の部分を前記オリゴヌクレオチドタグの前記ハイブリダイゼーション配列とハイブリダイズさせ、前記オリゴヌクレオチドタグの前記ハイブリダイゼーション配列を前記プローブ内の前記第1の鎖に連結して、前記バーコード化プローブを生成することを含む、請求項67~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記オリゴヌクレオチドタグが、増幅プライマー認識領域をさらに含む、請求項65~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記増幅プライマー認識領域が汎用的な増幅プライマー認識領域である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記バーコード化プローブが、前記試料特異的バーコードおよび前記プローブを含む、請求項68~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記試料特異的バーコードが、前記プローブの3’末端に位置する、請求項65~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記バーコード化プローブを得た後で、前記バーコード化プローブの組成を決定する前に、前記バーコード化プローブを前記分離した区画から放出することをさらに含む、請求項68~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記バーコード化プローブを前記分離した区画から放出した後で、前記バーコード化プローブの組成を決定する前に、前記バーコード化プローブを配列決定して、前記バーコード化プローブの組成を決定することを含む、請求項68~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記バーコード化プローブの組成を決定した後で、前記バーコード化プローブの数から前記標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記試料中の前記標的分子を前記プローブと接触させた後で、前記プローブに前記試料特異的バーコードを付着させる前に、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた前記固体支持体を提供する工程であって、前記オリゴヌクレオチドタグの各々が、前記第1の鎖および前記第2の鎖を含み、前記第1の鎖が、前記試料特異的バーコードと、前記試料特異的バーコードの3’末端に前記ハイブリダイゼーション配列とを含み、前記第2の鎖が、前記第1の鎖の前記ハイブリダイゼーション配列に相補的な前記第1の部分と、前記プローブ内の前記オリゴヌクレオチドアダプターの配列に相補的な前記第2の部分とを含み、前記第1および第2の鎖が、部分的二本鎖構造を形成する、工程と、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた前記固体支持体を、前記分離した区画内で前記プローブと連結させて、バーコード化プローブを得る工程とを含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記オリゴヌクレオチドタグが、前記固体支持体に放出可能に付着されている、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを、前記固体支持体から放出し、前記プローブと連結して、前記プローブに前記試料特異的バーコードを付着させることを含む、請求項89~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記オリゴヌクレオチドタグが、その第1の鎖の5’末端を介して前記固体支持体に直接的または間接的に付着されている、請求項89~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記分離した区画が、リガーゼをさらに含み、前記リガーゼが、前記オリゴヌクレオチドタグを前記プローブと連結することを可能にする、請求項89~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記リガーゼが、T4リガーゼを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記バーコード化プローブでは、前記プローブが、前記試料特異的バーコードの3’末端に位置する、請求項89~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記固体支持体がビーズである、請求項89~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記ビーズが磁気ビーズである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記分離した区画が、細孔または微小液滴である、請求項89~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記試料特異的バーコードが細胞バーコードを含み、同じ固体支持体に付着させた各オリゴヌクレオチドタグに含まれる前記細胞バーコードが同じである、請求項89~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記細胞バーコードが、リンカー配列によって離隔された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記オリゴヌクレオチドタグの前記第1の鎖の前記ハイブリダイゼーション配列を前記プローブに連結して、前記バーコード化プローブを生成することを含む、請求項89~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記オリゴヌクレオチドタグの前記第2の鎖の前記第2の部分を前記プローブ内の前記オリゴヌクレオチドアダプターにハイブリダイズさせ、前記オリゴヌクレオチドタグの前記第1の鎖の前記ハイブリダイゼーション配列を前記プローブに連結して、前記バーコード化プローブを生成することを含む、請求項89~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記オリゴヌクレオチドタグが、増幅プライマー認識領域をさらに含む、請求項89~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記増幅プライマー認識領域が汎用的な増幅プライマー認識領域である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記バーコード化プローブが、前記試料特異的バーコードおよび前記プローブを含む、請求項89~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記試料特異的バーコードが、前記プローブの3’末端に位置する、請求項89~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記バーコード化プローブを得た後で、バーコード化プローブの組成を決定する前に、前記バーコード化プローブを前記分離した区画から放出することをさらに含む、請求項89~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記バーコード化プローブを前記分離した区画から放出した後で、前記バーコード化プローブの組成を決定する前に、前記バーコード化プローブを配列決定して、前記バーコード化プローブの組成を決定することを含む、請求項89~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記バーコード化プローブの組成を決定した後で、バーコード化プローブの数から前記標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記標的分子が、タンパク質を含み、前記プローブ内の前記標的分子結合ドメインが、前記タンパク質を特異的に認識する抗原結合部分を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記抗原結合部分が、抗原結合タンパク質および/または抗原結合核酸分子を含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記抗原結合タンパク質が、抗体または抗原結合断片を含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab)2、Fv断片、F(ab’)2、scFv、ジscFv、VHHおよび/またはdAbを含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記抗原結合核酸分子が、核酸アプタマーを含む、請求項111~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
タンパク質の特性前記タンパク質の特性が既知である、請求項110~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記タンパク質のアミノ酸配列が既知である、請求項110~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記抗体または抗原結合断片のアミノ酸配列が既知であり、前記抗体または抗原結合断片が、前記タンパク質に特異的に結合する、請求項112~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記プローブが、プローブ同定タグも含む、請求項110~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記標的分子結合ドメインが、前記プローブ同定タグに直接的または間接的に連結される、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記プローブ同定タグが、抗体または抗原結合断片の特性前記抗体または抗原結合断片の特性を特徴付ける、請求項118~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記試料中の前記標的分子を2つ以上のプローブと接触させることを含む、請求項110~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記2つ以上のプローブが、それぞれ異なるプローブ同定タグを有する、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
同じ試料に由来する標的分子と接触している前記プローブが、同じ試料特異的バーコードを付着している、請求項110~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記プローブが、増幅プライマー結合領域をさらに含む、請求項110~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記プローブが、オリゴヌクレオチドアダプターをさらに含む、請求項110~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記プローブ内の前記増幅プライマー結合領域が、前記プローブ同定タグに直接的または間接的に連結される、請求項124~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記プローブ内の前記増幅プライマー結合領域が、前記プローブ同定タグに直接的に連結される、請求項124~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記試料中の前記標的分子を前記プローブと接触させた後で、前記プローブに前記試料特異的バーコードを付着させる前に、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた固体支持体を提供する工程であって、前記オリゴヌクレオチドタグの各々が、前記第1の鎖および前記第2の鎖を含み、前記第1の鎖が、前記試料特異的バーコードと、前記試料特異的バーコードの3’末端に前記ハイブリダイゼーション配列とを含み、前記第2の鎖が、前記第1の鎖の前記ハイブリダイゼーション配列に相補的な前記第1の部分と、前記プローブ内の前記オリゴヌクレオチドアダプターの配列に相補的な前記第2の部分とを含み、前記第1および第2の鎖が、部分的二本鎖構造を形成する工程と、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた前記固体支持体を、前記分離した区画内で前記プローブと連結して、バーコード化プローブを得る工程とを含む、請求項110~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記オリゴヌクレオチドタグが、前記固体支持体に放出可能に付着されている、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを、前記固体支持体から放出し、前記プローブと連結して、前記プローブに前記試料特異的バーコードを付着させることを含む、請求項128~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記オリゴヌクレオチドタグが、その第1の鎖の5’末端を介して前記固体支持体に直接的または間接的に付着されている、請求項128~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記分離した区画が、リガーゼをさらに含み、前記リガーゼが、前記オリゴヌクレオチドタグを前記プローブと連結することを可能にする、請求項128~131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記リガーゼが、T4リガーゼを含む、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記バーコード化プローブでは、前記プローブが、前記試料特異的バーコードの3’末端に位置する、請求項128~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記固体支持体がビーズである、請求項128~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記ビーズが磁気ビーズである、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記分離した区画が、細孔または微小液滴である、請求項128~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
前記試料特異的バーコードが細胞バーコードを含み、同じ固体支持体に付着させた各オリゴヌクレオチドタグに含まれる前記細胞バーコードが同じである、請求項128~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記細胞バーコードが、リンカー配列によって離隔された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記オリゴヌクレオチドタグの前記第1の鎖の前記ハイブリダイゼーション配列を前記プローブに連結して、前記バーコード化プローブを生成することを含む、請求項128~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
前記オリゴヌクレオチドタグの前記第2の鎖の前記第2の部分を前記オリゴヌクレオチドアダプターにハイブリダイズさせ、前記オリゴヌクレオチドタグの前記第1の鎖の前記ハイブリダイゼーション配列を前記プローブに連結して、前記バーコード化プローブを生成することを含む、請求項128~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記オリゴヌクレオチドタグが、増幅プライマー認識領域をさらに含む、請求項128~141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
前記増幅プライマー認識領域が、汎用的な増幅プライマー認識領域である、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記バーコード化プローブが、前記試料特異的バーコードおよび前記プローブを含む、請求項128~143のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
前記試料特異的バーコードが、前記プローブの3’末端に位置する、請求項128~144のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
前記バーコード化プローブを得た後で、前記バーコード化プローブの組成を決定する前に、前記バーコード化プローブを前記分離した区画から放出することをさらに含む、請求項128~145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
前記バーコード化プローブの組成を決定した後で、前記バーコード化プローブの数から前記標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記試料中の前記標的分子を前記プローブと接触させる前に、前記試料を前処理することを含む、請求項1~147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
前記前処理が、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、アセトン、グルタルアルデヒド、オスミウム酸および重クロム酸カリウムからなる群のうちの1つ以上から選択される固定化剤によって前記試料を固定化することを含む、請求項148に記載の方法。
【請求項150】
前記前処理が、前記試料の細胞核を露出させることを含む、請求項148~149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
前記前処理が、Triton、NP-40および/またはジギトニンを含む洗剤によって前記試料を処理することを含む、請求項148~150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
前記標的分子が、タンパク質およびmRNAを含む、請求項1~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
前記標的分子結合ドメインが、前記タンパク質を特異的に認識し、mRNAに結合する、請求項1~152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
(1)標的分子結合ドメインおよびプローブ同定タグを含む2つ以上のプローブと、(2)複数の固体支持体であって、前記固体支持体の各々が、少なくとも1つのPCRタグを付着し、前記PCRタグの各々は、試料特異的バーコード、および前記試料特異的バーコードの3’末端にPCRハンドル配列を含み、前記PCRハンドル配列が、前記プローブの5’末端の配列と同じであり、遊離プライマーおよびPCR試薬を提供し、前記プライマーが、前記プローブの3’末端の配列に相補的である、固体支持体との組合せ。
【請求項155】
前記(1)および(2)が、互いに独立して存在する、請求項154に記載の組合せ。
【請求項156】
前記(1)および(2)が、混合物として存在する、請求項154に記載の組合せ。
【請求項157】
請求項154~156のいずれか一項に記載の組合せを含む、試料を分析するためのキット。
【請求項158】
核酸増幅剤、固定化剤、透過剤および溶解剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項157に記載のキット。
【請求項159】
使用説明書を含む、請求項157~158のいずれか一項に記載のキット。
【請求項160】
前記使用説明書が、
試料中の少なくとも1つの標的分子を、標的分子結合ドメインとプローブ同定タグとを含む少なくとも1つのプローブと接触させる工程、
前記プローブに試料特異的バーコードを付着させて、バーコード化プローブを得る工程、ならびに
前記バーコード化プローブの組成を決定し、前記バーコード化プローブの組成から前記試料中の前記標的分子の存在および/または含有量を決定する工程、を含む使用のためのものである、請求項159に記載のキット。
【請求項161】
(1)標的分子結合ドメイン、およびプローブ同定タグを含む2つ以上のプローブと、(2)複数の固体支持体であって、前記固体支持体の各々が、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着し、前記オリゴヌクレオチドタグの各々が、第1の鎖および第2の鎖を含み、前記第1の鎖は、試料特異的バーコードと、前記試料特異的バーコードの3’末端にハイブリダイゼーション配列とを含み、前記第2の鎖が、前記第1の鎖のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1の部分と、前記プローブ同定タグに相補的な第2の部分とを含み、前記第1および第2の鎖が、部分的二本鎖構造を形成する、前記固体支持体との組合せ。
【請求項162】
前記(1)および(2)が、互いに独立して存在する、請求項161に記載の組合せ。
【請求項163】
前記(1)および(2)が、混合物として存在する、請求項161に記載の組合せ。
【請求項164】
請求項161~163のいずれか一項に記載の組合せを含む、試料を分析するためのキット。
【請求項165】
核酸増幅剤、連結剤、固定化剤、透過剤および溶解剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項164に記載のキット。
【請求項166】
使用説明書を含む、請求項164~165のいずれか一項に記載のキット。
【請求項167】
前記使用説明書が、(a)試料中の少なくとも1つの標的分子を、標的分子結合ドメインとプローブ同定タグとを含む少なくとも1つのプローブと接触させる工程、(b)プローブに試料特異的バーコードを付着前記プローブに試料特異的バーコードを付着させて、バーコード化プローブを得る工程、ならびに(c)前記バーコード化プローブの組成を決定し、前記バーコード化プローブの組成から前記試料中の前記標的分子の存在および/または含有量を決定する工程、を含む使用のためのものである、請求項166に記載のキット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、バイオ医薬品の分野に関し、特に、試料から標的分子を分析するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、核酸配列決定技術は、急速かつ驚異的な進歩を遂げている。配列決定技術は、ゲノムおよびゲノム領域を試験および解釈し、常用的な生物学的研究および診断に広く使用される情報を提供するために使用され得る多数の配列データを生成する。
【0003】
ゲノムまたはトランスクリプトーム発現のための従来の研究方法は、通常、多細胞レベルで行われる。そのため、最終的なシグナル値は複数の細胞からの平均シグナルであり、細胞不均一性に関する情報は失われる。したがって、複合組織(例えば、脳)内の特定の細胞型からの特徴的なシグナルは、単一細胞を個別に分析することによってのみ試験することができる。
【0004】
現在、単一細胞オミクス(トランスクリプトームなど)において配列決定分析を行う場合、一般に、配列決定前に逆転写工程を通して標的核酸を増幅する必要がある。この方法には多くの問題がある。一方では、長い核酸分子(逆転写後に得られるcDNA分子など)を配列決定して、それらの対応する遺伝子発現産物を決定する必要があり、これは遅く、非効率的であり、費用がかかる。他方では、逆転写プロセスにおける情報の潜在的損失、または系統的バイアスのために、検出精度は低くなる。さらに、この方法は、単一細胞のマルチプルオミクスの同時ハイスループット分析には使用することができない。
【0005】
したがって、この分野では、単一細胞のトランスクリプトミクス情報または他のオミクス情報のハイスループット分析を効率的、正確、迅速かつ安価に行うことができる新たな方法が緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、以下の特性のうちの1つ以上を有する、試料から標的分子を分析する方法を提供する:1)逆転写を必要とせず、遺伝子検出の効率が高い、試料中の標的分子(例えば、標的分子は、トランスクリプトーム、プロテオームなどのような様々なオミクスを伴い得る)とプローブとのハイブリダイゼーション;2)プローブ自体のみを配列決定し、したがって、配列決定コストを削減する;3)目的の遺伝子を特異的に標的とするプローブおよび配列を設計することが可能である;4)臨床試料研究に適している。
【0007】
一態様では、本出願は、試料から標的分子を分析する方法であって、
試料中の少なくとも1つの標的分子を、標的分子結合ドメインを含有する少なくとも1つのプローブと接触させ、
プローブに試料特異的バーコードを付着させて、バーコード化プローブを得、
バーコード化プローブの組成を決定し、バーコード化プローブの組成から試料中の標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む、方法を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、標的分子は、タンパク質、核酸分子、代謝産物および/または脂質を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、DNA分子および/またはRNA分子を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、DNAはcDNAを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、RNAは、cRNA、mRNA、miRNA、lncRNAおよび/またはeRNAを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、試料は、少なくとも1つの細胞を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、試料は単一細胞である。
【0014】
いくつかの実施形態では、試料中の標的分子は、単一細胞内の1つ以上のmRNAの存在および/または含有量である。
【0015】
いくつかの実施形態では、細胞は、生物から単離された細胞、インビトロで培養された細胞、初代細胞、および外植片由来の別個の細胞からなる群から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、細胞は固定化される。
【0017】
いくつかの実施形態では、標的分子は核酸分子を含み、プローブ内の標的分子結合ドメインは一本鎖核酸を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、一本鎖核酸は、少なくとも10個のヌクレオチドを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、一本鎖核酸は、約10~60個のヌクレオチドを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、プローブ内の標的分子結合ドメインは、標的分子の配列に少なくとも50%相補的である。
【0021】
いくつかの実施形態では、標的分子の組成は既知である。
【0022】
いくつかの実施形態では、標的分子はmRNAであり、mRNAの核酸配列は既知である。
【0023】
いくつかの実施形態では、プローブ内の標的分子結合ドメインは、mRNAの核酸配列に従って設計される。
【0024】
いくつかの実施形態では、プローブは、プローブ同定タグ(probe identity tag)をさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、プローブ内で、標的分子結合ドメインは、プローブ同定タグと直接的または間接的に連結される。
【0026】
いくつかの実施形態では、プローブ同定タグは、固有の分子同定領域を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、固有の分子同定領域は、一本鎖核酸を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、一本鎖核酸は、1~20個のヌクレオチドを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、標的分子結合ドメインは、抗原結合部分に直接的または間接的に連結される。
【0030】
いくつかの実施形態では、方法は、試料中の少なくとも1つの標的分子を2つ以上のプローブと接触させることを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、2つ以上のプローブは、それぞれ別個のプローブ同定タグを有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、方法は、試料中の少なくとも1つの標的分子を第1のプローブと接触させ、標的分子を第1のプローブとは異なる第2のプローブと接触させることを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1のプローブの3’末端は、第2のプローブの5’末端に直接的または間接的に連結される。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1のプローブの5’末端は、第2のプローブの3’末端に直接的または間接的に連結される。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1のプローブの3’末端は、リガーゼによって第2のプローブの5’末端に連結される。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1のプローブの5’末端は、リガーゼによって第2のプローブの3’末端に連結される。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1のプローブおよび第2のプローブは、一本鎖環状分子を形成する。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1のプローブの3’末端の核酸配列は、第2のプローブの3’末端の核酸配列に相補的であり、第1のプローブの核酸配列は、第2のプローブの5’末端の核酸配列に相補的である。
【0039】
いくつかの実施形態では、第2のプローブの5’末端は、第2のプローブの3’末端に直接的または間接的に連結される。
【0040】
いくつかの実施形態では、第2のプローブの5’末端は、リガーゼによって第2のプローブの3’末端に連結される。
【0041】
いくつかの実施形態では、リガーゼは、T4リガーゼを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、方法では、同じ試料に由来する標的分子と接触しているプローブは、同じ試料特異的バーコードを付着している。
【0043】
いくつかの実施形態では、試料中の標的分子は単一細胞内のmRNAであり、方法は逆転写工程を含まない。
【0044】
いくつかの実施形態では、プローブは、増幅プライマー結合領域をさらに含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、プローブは、オリゴヌクレオチドアダプターをさらに含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、プローブ内の増幅プライマー結合領域は、プローブ同定タグに直接的または間接的に連結される。
【0047】
いくつかの実施形態では、プローブ内の増幅プライマー結合領域は、プローブ同定タグに直接的に連結される。
【0048】
いくつかの実施形態では、2つ以上のプローブのうちの少なくとも2つのプローブは、試料中の同じ標的分子の異なる領域に結合することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、方法は、試料中の標的分子をプローブと接触させた後で、プローブに試料特異的バーコードを付着させる前に、少なくとも1つのPCRタグを付着させた固体支持体を提供する工程であって、PCRタグの各々は、試料特異的バーコードと、試料特異的バーコードの3’末端にプローブの5’末端配列と同じPCRハンドル配列(PCR handle sequence)であるPCRハンドル配列とを含む工程と、プローブの3’末端の配列に相補的である遊離プライマーを提供する工程とを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、方法は、プローブと、少なくとも1つのPCRタグを付着させた固体支持体と、プライマーとを分離した区画に共分配し、プローブに試料特異的バーコードを付着させることをさらに含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、PCRタグは、固体支持体に放出可能に付着させられる。
【0052】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つのPCRタグを固体支持体から放出し、PCRタグと、プライマーと、プローブとを分離した区画に共分配し、プローブに試料特異的バーコードを付着させることを可能にすることを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、PCRタグは、その5’末端を介して固体支持体に直接的または間接的に付着させられる。
【0054】
いくつかの実施形態では、PCR試薬が分離した区画にさらに含まれ、PCR試薬の作用下で、プローブに、試料特異的バーコードを付着させて、バーコード化プローブを得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、方法は、プローブ、およびPCRタグのうちの2つ以上、プローブ、およびプライマーを分離した区画に共分配することを含み、当該2つ以上のPCRタグは異なり、その結果、バーコード化プローブが2つ以上の試料特異的バーコードを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、方法は、プローブ、およびPCRタグのうちの3つ以上、プローブ、およびプライマーを分離した区画に共分配することを含み、当該3つ以上のPCRタグは異なり、その結果、バーコード化プローブが3つ以上の試料特異的バーコードを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、バーコード化プローブでは、プローブは、試料特異的バーコードの3’末端に位置する。
【0058】
いくつかの実施形態では、固体支持体はビーズである。
【0059】
いくつかの実施形態では、ビーズは磁気ビーズである。
【0060】
いくつかの実施形態では、分離した区画は、細孔または微小液滴である。
【0061】
いくつかの実施形態では、試料特異的バーコードは細胞バーコードを含み、同じ固体支持体に付着させた各PCRタグに含まれる細胞バーコードが同じである。
【0062】
いくつかの実施形態では、細胞バーコードは、リンカー配列によって離隔された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、方法は、プライマーを、プローブの3’末端の配列に相補的にし、伸長して、プローブの5’末端の配列に相補的な配列を得ることを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、方法は、プローブの5’末端の配列に相補的な配列をPCRタグ内のPCRハンドル配列とハイブリダイズさせ、およびプローブに試料特異的バーコードを付着させて、バーコード化プローブを得ることを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、PCRタグは、増幅プライマー認識領域をさらに含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、増幅プライマー認識領域は汎用的な増幅プライマー認識領域である。
【0067】
いくつかの実施形態では、方法におけるバーコード化プローブは、試料特異的バーコードおよびプローブを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、試料特異的バーコードは、方法におけるプローブの3’末端に位置する。
【0069】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブを得た後で、バーコード化プローブの組成を決定する前に、バーコード化プローブを分離した区画から放出することをさらに含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブを分離した区画から放出した後で、バーコード化プローブの組成を決定する前に、バーコード化プローブを配列決定して、バーコード化プローブの組成を決定することを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブの組成を決定した後で、バーコード化プローブの数から標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブの組成を決定した後で、バーコード化プローブ内のプローブ同定タグの数から標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、方法は、試料中の標的分子をプローブと接触させた後で、プローブに試料特異的バーコードを付着させる前に、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた固体支持体を提供することを含み、オリゴヌクレオチドタグの各々は、試料特異的バーコードと、試料特異的バーコードの3’末端にハイブリダイゼーション配列とを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、プローブは、第1の鎖および第2の鎖を含み、第1の鎖は、標的分子結合ドメインを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、第2の鎖は、プローブ内のオリゴヌクレオチドアダプターに相補的な第2の部分を含み、第2の鎖は、オリゴヌクレオチドタグ内の試料特異的バーコードの3’末端のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1の部分を含み、第1および第2の鎖は、部分的二本鎖構造を形成する。
【0076】
いくつかの実施形態では、プローブは、分離した区画分離した区画内で少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた固体支持体に連結されて、バーコード化プローブが得られる。
【0077】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドタグは、固体支持体に放出可能に付着されている。
【0078】
いくつかの実施形態では、方法は、固体支持体から少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを放出すること、およびプローブ内の第1の鎖に付着させ、プローブに試料特異的バーコードを付着させることを可能にすることを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドタグは、その5’末端を介して固体支持体に直接的または間接的に付着させられる。
【0080】
いくつかの実施形態では、リガーゼは、分離した区画にさらに含まれ、リガーゼは、オリゴヌクレオチドタグをプローブ内の第1の鎖と連結することを可能にする。
【0081】
いくつかの実施形態では、リガーゼは、T4リガーゼを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、バーコード化プローブでは、プローブは、試料特異的バーコードの3’末端に位置する。
【0083】
いくつかの実施形態では、固体支持体はビーズである。
【0084】
いくつかの実施形態では、ビーズは磁気ビーズである。
【0085】
いくつかの実施形態では、分離した区画は、細孔または微小液滴である。
【0086】
いくつかの実施形態では、方法において、試料特異的バーコードは細胞バーコードを含み、同じ固体支持体に付着させた各オリゴヌクレオチドタグに含まれる細胞バーコードは同じである。
【0087】
いくつかの実施形態では、細胞バーコードは、リンカー配列によって離隔された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、方法は、オリゴヌクレオチドタグ内のハイブリダイゼーション配列をプローブ内の第1の鎖に連結して、バーコード化プローブを生成することを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、方法は、プローブ内の第2の鎖の第1の部分をオリゴヌクレオチドタグのハイブリダイゼーション配列とハイブリダイズさせ、オリゴヌクレオチドタグのハイブリダイゼーション配列をプローブ内の第1の鎖と連結して、バーコード化プローブを生成することを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドタグは、増幅プライマー認識領域をさらに含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、方法における増幅プライマー認識領域は汎用的な増幅プライマー認識領域である。
【0092】
いくつかの実施形態では、バーコード化プローブは、試料特異的バーコードおよびプローブを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、方法における試料特異的バーコードは、プローブの3’末端に位置する。
【0094】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブを得た後で、バーコード化プローブの組成を決定する前に、バーコード化プローブを分離した区画から放出することをさらに含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブを分離した区画から放出した後で、バーコード化プローブの組成を決定する前に、バーコード化プローブを配列決定して、バーコード化プローブの組成を決定することを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブの組成を決定した後で、バーコード化プローブの数から標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブの組成を決定した後で、バーコード化プローブ内のプローブ同定タグの数から標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、方法では、試料中の標的分子をプローブと接触させた後で、プローブに試料特異的バーコードを付着させる前に、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた固体支持体を提供し、オリゴヌクレオチドタグの各々は、第1の鎖および第2の鎖を含み、第1の鎖は、試料特異的バーコードと、試料特異的バーコードの3’末端にハイブリダイゼーション配列とを含み、第2の鎖は、第1の鎖のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1の部分と、プローブ内のオリゴヌクレオチドアダプターの配列に相補的な第2の部分とを含み、第1および第2の鎖は、部分的二本鎖構造を形成し、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた固体支持体は、分離した区画内でプローブを連結して、バーコード化プローブを得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、方法におけるオリゴヌクレオチドタグは、固体支持体に放出可能に付着されている。
【0100】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを、固体支持体から放出し、プローブと連結して、プローブに試料特異的バーコードを付着させることを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドタグは、その第1の鎖の5’末端を介して固体支持体に直接的または間接的に付着させられる。
【0102】
いくつかの実施形態では、リガーゼは、分離した区画にさらに含まれ、リガーゼは、オリゴヌクレオチドタグをプローブと連結することを可能にする。
【0103】
いくつかの実施形態では、リガーゼは、T4リガーゼを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、バーコード化プローブでは、プローブは、試料特異的バーコードの3’末端に位置する。
【0105】
いくつかの実施形態では、固体支持体はビーズである。
【0106】
いくつかの実施形態では、ビーズは磁気ビーズである。
【0107】
いくつかの実施形態では、分離した区画は、細孔または微小液滴である。
【0108】
いくつかの実施形態では、試料特異的バーコードは細胞バーコードを含み、同じ固体支持体に付着させた各オリゴヌクレオチドタグに含まれる細胞バーコードは同じである。
【0109】
いくつかの実施形態では、細胞バーコードは、リンカー配列によって離隔された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、方法は、オリゴヌクレオチドタグの第1の鎖のハイブリダイゼーション配列をプローブに連結して、バーコード化プローブを生成することを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、方法は、オリゴヌクレオチドタグの第2の鎖の第2の部分をプローブ内のオリゴヌクレオチドアダプターにハイブリダイズさせ、オリゴヌクレオチドタグの第1の鎖のハイブリダイゼーション配列をプローブに連結して、バーコード化プローブを生成することを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、方法におけるオリゴヌクレオチドタグは、増幅プライマー認識領域をさらに含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、方法における増幅プライマー認識領域は汎用的な増幅プライマー認識領域である。
【0114】
いくつかの実施形態では、方法におけるバーコード化プローブは、試料特異的バーコードおよびプローブを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、方法における試料特異的バーコードは、方法におけるプローブの3’末端に位置する。
【0116】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブを得た後で、バーコード化プローブの組成を決定する前に、バーコード化プローブを分離した区画から放出することをさらに含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブを分離した区画から放出した後で、バーコード化プローブの組成を決定する前に、バーコード化プローブを配列決定して、バーコード化プローブの組成を決定することを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブの組成を決定した後で、バーコード化プローブの数から標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブの組成を決定した後で、バーコード化プローブ内のプローブ同定タグの数から標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、標的分子は、タンパク質を含み、プローブ内の標的分子結合ドメインは、タンパク質を特異的に認識する抗原結合部分を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、抗原結合部分は、抗原結合タンパク質および/または抗原結合核酸分子を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、抗体または抗原結合断片を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab)2、Fv断片、F(ab’)2、scFv、ジscFv、VHHおよび/またはdAbを含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、抗原結合核酸分子は、核酸アプタマーを含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、タンパク質の特性は既知である。
【0126】
いくつかの実施形態では、タンパク質のアミノ酸配列は既知である。
【0127】
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片のアミノ酸配列は既知である。
【0128】
いくつかの実施形態では、プローブは、プローブ同定タグ(probe identity tag)をさらに含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、標的分子結合ドメインは、プローブ同定タグに直接的または間接的に連結される。
【0130】
いくつかの実施形態では、プローブ同定タグは、抗体または抗原結合断片の特性を特徴付ける。
【0131】
いくつかの実施形態では、方法は、試料中の標的分子を2つ以上のプローブと接触させることを含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、方法における2つ以上のプローブは、それぞれ異なるプローブ同定タグを有する。
【0133】
いくつかの実施形態では、方法では、同じ試料に由来する標的分子と接触しているプローブは、同じ試料特異的バーコードを付着している同じ試料特異的バーコードを付着している。
【0134】
いくつかの実施形態では、プローブは、増幅プライマー結合領域をさらに含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、プローブは、オリゴヌクレオチドアダプターをさらに含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、プローブ内の増幅プライマー結合領域は、プローブ同定タグに直接的または間接的に連結される。
【0137】
いくつかの実施形態では、プローブ内の増幅プライマー結合領域は、プローブ同定タグに直接的に連結される。
【0138】
いくつかの実施形態では、方法は、試料中の標的分子をプローブと接触させた後で、プローブに試料特異的バーコードを付着させる前に、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた固体支持体を提供する工程であって、オリゴヌクレオチドタグの各々は、第1の鎖および第2の鎖を含み、第1の鎖は、試料特異的バーコードと、試料特異的バーコードの3’末端にハイブリダイゼーション配列とを含み、第2の鎖は、第1の鎖のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1の部分と、プローブ内のオリゴヌクレオチドアダプターの配列に相補的な第2の部分とを含み、第1および第2の鎖は、部分的二本鎖構造を形成する工程と、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた固体支持体を、分離した区画内でプローブと連結して、バーコード化プローブを得る工程とを含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドタグは、固体支持体に放出可能に付着されている。
【0140】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを、固体支持体から放出し、プローブと連結して、プローブに試料特異的バーコードを付着させることを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドタグは、その第1の鎖の5’末端を介して固体支持体に直接的または間接的に付着されている。
【0142】
いくつかの実施形態では、リガーゼは、分離した区画にさらに含まれ、リガーゼは、オリゴヌクレオチドタグをプローブと連結することを可能にする。
【0143】
いくつかの実施形態では、リガーゼは、T4リガーゼを含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、バーコード化プローブでは、プローブは、試料特異的バーコードの3’末端に位置する。
【0145】
いくつかの実施形態では、方法において固体支持体はビーズである。
【0146】
いくつかの実施形態では、ビーズは磁気ビーズである。
【0147】
いくつかの実施形態では、分離した区画は、細孔または微小液滴である。
【0148】
いくつかの実施形態では、試料特異的バーコードは細胞バーコードを含み、同じ固体支持体に付着させた各オリゴヌクレオチドタグに含まれる細胞バーコードは同じである。
【0149】
いくつかの実施形態では、細胞バーコードは、リンカー配列によって離隔された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、方法は、オリゴヌクレオチドタグの第1の鎖のハイブリダイゼーション配列をプローブに連結して、バーコード化プローブを生成することを含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、方法は、オリゴヌクレオチドタグの第2の鎖の第2の部分をプローブ内のオリゴヌクレオチドアダプターにハイブリダイズさせ、オリゴヌクレオチドタグの第1の鎖のハイブリダイゼーション配列をプローブに連結して、バーコード化プローブを生成することを含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドタグは、増幅プライマー認識領域をさらに含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、増幅プライマー認識領域は汎用的な増幅プライマー認識領域である。
【0154】
いくつかの実施形態では、バーコード化プローブは、試料特異的バーコードおよびプローブを含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、方法では、試料特異的バーコードは、プローブの3’末端に位置する。
【0156】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブを得た後で、バーコード化プローブの組成を決定する前に、バーコード化プローブを分離した区画から放出することをさらに含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブの組成を決定した後で、バーコード化プローブの数から標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、方法は、バーコード化プローブの組成を決定した後で、バーコード化プローブ内のプローブ同定タグの数から標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、方法は、試料中の標的分子をプローブと接触させる前に、試料を前処理することを含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、前処理は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、アセトン、グルタルアルデヒド、オスミウム酸および重クロム酸カリウムからなる群のうちの1つ以上から選択される固定化剤によって試料を固定化することを含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、前処理は、試料の核を露出させることを含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、前処理は、Triton、NP-40および/またはジギトニンを含む洗剤によって試料を処理することを含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、標的分子は、タンパク質およびmRNAを含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、標的分子結合ドメインは、タンパク質を特異的に認識し、mRNAに結合する。
【0165】
別の態様では、本出願は、
1)標的分子結合ドメイン、およびプローブ同定タグを含む2つ以上のプローブと、
2)複数の固体支持体であって、固体支持体の各々が、少なくとも1つのPCRタグを付着し、PCRタグの各々が、試料特異的バーコード、および試料特異的バーコードの3’末端にPCRハンドル配列を含み、PCRハンドル配列が、プローブの5’末端の配列と同じであり、遊離プライマーおよびPCR試薬を提供し、プライマーが、プローブの3’末端の配列に相補的である、固体支持体との組合せを提供する。
【0166】
いくつかの実施形態では、1)および2)は、互いに独立して存在する。
【0167】
いくつかの実施形態では、1)および2)は、混合物として存在する。
【0168】
別の態様では、本出願は、組合せを含む試料を分析するためのキットを提供する。
【0169】
いくつかの実施形態では、キットは、核酸増幅剤、固定化剤、透過剤および溶解剤のうちの少なくとも1つを含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、キットは、使用説明書を含有する。
【0171】
いくつかの実施形態では、使用説明書は、
試料中の少なくとも1つの標的分子を、標的分子結合ドメインとプローブ同定タグとを含む少なくとも1つのプローブと接触させる工程と、
プローブに試料特異的バーコードを付着させて、バーコード化プローブを得る工程と、
バーコード化プローブの組成を決定し、バーコード化プローブの組成から試料中の標的分子の存在および/または含有量を決定する工程と、を含む使用のためのものである。
【0172】
別の態様では、本出願は、
1)標的分子結合ドメイン、およびプローブ同定タグを含む2つ以上のプローブと、
2)複数の固体支持体であって、固体支持体の各々は、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着し、オリゴヌクレオチドタグの各々は、第1の鎖および第2の鎖を含み、第1の鎖は、試料特異的バーコードと、試料特異的バーコードの3’末端にハイブリダイゼーション配列とを含み、第2の鎖は、第1の鎖のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1の部分と、プローブ同定タグに相補的な第2の部分とを含み、第1および第2の鎖は、部分的二本鎖構造を形成する固体支持体と
を含む、組合せを提供する。
【0173】
いくつかの実施形態では、1)および2)は、互いに独立して存在する。
【0174】
いくつかの実施形態では、1)および2)は、混合物として存在する。
【0175】
別の態様では、本出願は、組合せを含む試料を分析するためのキットを提供する。
【0176】
いくつかの実施形態では、キットは、核酸増幅剤、連結剤、固定化剤、透過剤および溶解剤のうちの少なくとも1つを含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、キットは、使用説明書を含有する。
【0178】
いくつかの実施形態では、使用説明書は、
試料中の少なくとも1つの標的分子を、標的分子結合ドメインとプローブ同定タグとを含む少なくとも1つのプローブと接触させる工程と、
プローブに試料特異的バーコードを付着させて、バーコード化プローブを得る工程と、
バーコード化プローブの組成を決定し、バーコード化プローブの組成から試料中の標的分子の存在および/または含有量を決定する工程と、を含む使用のためのものである。
【0179】
本出願の他の態様および利点は、以下の詳細な説明から当業者によって容易に認識され得る。以下の詳細な説明では、本出願の例示的な実施形態のみが示され説明される。当業者によって認識されるように、本出願の内容は、当業者が、本出願に含まれる本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、開示された特定の実施形態に変更を加えることを可能にする。これに対応して、本出願の明細書における図面および説明は、限定的ではなく単なる例示である。
【0180】
本出願に含まれる本発明の特定の特徴は、添付の特許請求の範囲に示される通りである。本出願に含まれる本発明の特徴および利点は、以下に詳細に説明される例示的な実施形態、および添付の図面を参照することによって、さらによく理解することができる。図面の簡単な説明は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0181】
図1】本出願に記載の例示的な分割プローブの構造の概略図を示す。
図2】本出願に記載の例示的なパドロックプローブの構造の概略図を示す。
図3】本出願に記載の例示的なPCR法によってスネルプローブを得る概略図を示す。
図4】本出願に記載の例示的な連結法によってスネルプローブを得る概略図を示す。
図5】本出願に記載の分析方法によって予測された細胞数を示す。横軸は、リード数によってソートされた細胞バーコードの数[降順]を示し、縦軸は、リードの累積関数を示す。
図6】本出願に記載の分析方法による、遺伝子数、mRNA分子数およびミトコンドリアリードの検出結果を示す。
図7】本出願に記載の分析方法による、例示的な単一細胞遺伝子発現マトリックスの検出結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0182】
本発明の実施は、特定の実施形態を参照して以下に説明され、本発明の他の利点および効果は、本明細書に開示された内容から当業者に容易に知られるであろう。
【0183】
用語の定義
本出願では、用語「配列決定」は、核酸分子の配列情報を得るための技術を一般に指す。例えば、特定のDNA断片の塩基配列を分析する(例えば、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)およびグアニン(G)などの配置)。配列決定方法には、サンガーのジデオキシ鎖終結法、パイロシーケンシング法、および新たな生産配列決定などのためにIllumina、Life TechnologiesおよびRocheによって使用される「合成並列配列決定」または「ライゲーションによる配列決定」プラットフォーム、ならびにMGI/Complete Genomicsによって作製されたシーケンサーが含まれ得る。一般に、配列決定方法には、ナノポア配列決定方法、例えば、Oxford Nanopore Technologiesによって開発された方法、PacBioの第3世代シーケンサー、または電子検出に基づく方法、例えば、Life Technologiesなどによって導入されたIon Torrent技術も含まれ得る。
【0184】
本出願では、用語「固体支持体」は、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドタグ、試料特異的バーコード、プライマーなどの付着に適した、またはそれに適したように修飾され得る任意の材料を一般に指す。例えば、固体支持体には、フォトリソグラフィ、スタンピング、成形およびマイクロエッチングなどの様々な技術を使用して製造され得る、表面の細孔または窪みのアレイが含まれる。固体支持体の組成および形状は、その用途に応じて変動し得、例えば、固体支持体は、平面構造(例えば、ガラススライド、チップ、マイクロチップおよび/またはアレイなど)であり得る。例えば、固体支持体またはその表面は、非平面、例えば、管または容器の内面または外面であってもよい。例えば、固体支持体には、ミクロスフェアまたはビーズも含まれ得る。
【0185】
本出願では、用語「ビーズ」または「ミクロスフェア」または「粒子」は、小さな別個の粒子を一般に指す。好適なビーズ組成物には、限定するものではないが、プラスチック、セラミック、ガラス、ポリスチレン、メチルスチレン、アクリルポリマー、常磁性材料、酸化トリウムゾル、カーボングラファイト、二酸化チタン、ラテックスまたは架橋デキストラン(アガロースなど)、セルロース、ナイロン、架橋ミセルおよびTeflonが含まれ、固体支持体について本明細書で概説される任意の他の材料はいずれも、Bangs Laboratories,Fishers Ind.のMicrosphere Detection Guideを参照して使用され得る。いくつかの実施形態では、ミクロスフェアは、磁気ミクロスフェアまたは磁気ビーズであり得る。
【0186】
本出願では、用語「固有の分子同定領域」は、「分子バーコード」、「分子マーカー」、「固有の識別子(UID)」、「固有の分子識別子(UMI)」などとも呼ばれ得、各プローブ連結上に固有の配列をコードすることを一般に指す。固有の分子同定領域は、完全にランダムなヌクレオチド鎖(例えば、NNNNNNN)、部分的に縮重したヌクレオチド鎖(例えば、NNNRNYN)、または指定されたヌクレオチド鎖(例えば、鋳型分子が制限されている場合)として典型的に設計され得る。UMIの設計、組込みおよび適用は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるIslam et,al.の国際公開第2012/142213号(Nat.Methods)(2014)11:163-166、およびKivioja,T.et,al.の(Nat.Methods)(2012)9:72-74に開示されているように、当技術分野で公知の方法で行われ得る。
【0187】
本出願では、用語「増幅プライマー認識領域」は、標的核酸を増幅するためのプライマー配列と相補的なハイブリダイゼーションが可能なヌクレオチド配列を一般に指す。プライマーとのその結合は、ヌクレオチド伸長、ライゲーションおよび/または合成、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応下での標的核酸のコピー数増加(すなわち、増幅)を開始させることができ、いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドタグ、分子固有の識別子、および他の配列の増幅も含む。
【0188】
本出願では、用語「分離した区画」は、分析対象の物質を含有する独立した空間単位、例えば、微小液滴または細孔を一般に指す。例えば、プローブは、PCRタグを付着させた固体支持体と共分配されて、微小液滴を形成し、例えば、プローブは、オリゴヌクレオチドタグを付着した固体支持体と共分配されて、微小液滴を形成し、例えば、プローブは、96ウェルプレートの細孔に、PCRタグを付着した固体支持体と共分配され、例えば、プローブは、96ウェルプレートの細孔に、オリゴヌクレオチドタグを付着した固体支持体と共分配される。いくつかの実施形態では、分離した区画はまた、様々な必要性に従って分配される他の物質、例えば、色素、乳化剤、界面活性剤、安定剤、ポリマー、アプタマー、還元剤、開始剤、ビオチンマーカー、フルオロフォア、緩衝剤、酸性溶液、アルカリ溶液、感光性酵素、pH感受性酵素、水性緩衝剤、洗剤、イオン性洗剤、非イオン性洗剤などを含み得る。
【0189】
本出願では、用語「放出可能な付着」は、オリゴヌクレオチドタグまたはPCRタグと固体支持体との間の付着が、放出可能、切断可能、または可逆的、または破壊可能、消失可能であることを一般に意味する。例えば、固体支持体へのオリゴヌクレオチドタグまたはPCRタグのライゲーションは、不安定な結合、例えば、化学的結合、熱的結合または感光性結合、例えば、ジスルフィド結合、UV感受性結合などを含み、これらの不安定な結合は、対応する処理によって破壊されて、放出可能な付着を実現することができる。例えば、固体支持体へのオリゴヌクレオチドタグまたはPCRタグのライゲーションは、UNG酵素の作用によって切断され得るdUなどの、ヌクレアーゼによって認識され得る特異的塩基を含有する。例えば、固体支持体へのオリゴヌクレオチドタグまたはPCRタグのライゲーションは、ヌクレアーゼの作用によって切断され得るエンドヌクレアーゼ認識配列を含有する。例えば、固体支持体は分解性であり、オリゴヌクレオチドタグは、分解条件が適用された場合に固体支持体の分解によって放出されて、放出可能な付着を実現することができる。
【0190】
本出願では、用語「リンカー」は、様々な機能的配列を一緒に連結するヌクレオチド配列を一般に指し、オリゴヌクレオチドタグまたはPCRタグを固体支持体に連結する分子配列(核酸、ポリペプチドまたは他の化学的に連結された構造など)も含み得、機能的配列は、細胞バーコードセグメント、試料特異的バーコード、増幅プライマー認識領域、配列決定プライマー認識領域、固有の分子識別子などを含み得る。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドは固定化されたヌクレオチド配列であり得、いくつかの実施形態では、リンカーは化学修飾も含み得る。
【0191】
本出願では、用語「試料特異的バーコード」は、標的分子の供給源を同定することができるヌクレオチド配列またはその誘導形態もしくは修飾形態を一般に指す。
【0192】
本出願では、用語「細胞バーコード」は、標的分子の供給源を認識するために使用され得るヌクレオチド配列を一般に指す。供給源は、例えば、同じ細胞または異なる細胞由来のものであり得る。標的分子が複数の供給源に由来する場合、異なる細胞バーコードを使用して各供給源内の標的分子を標識することができ、その結果、試料の供給源を認識することができる。バーコード(一般にインデックス、タグなどとも呼ばれる)は当業者に周知であり、米国特許第2013/0274117号の刊行物に記載されているような細胞バーコードなどの任意の好適なバーコードまたはバーコード群を使用してもよい。
【0193】
本出願では、用語「細胞バーコードセグメント」は、細胞バーコードを構成するバーコードヌクレオチド単位を一般に指し、そのNは、PCRまたはDNAリガーゼの作用によって細胞バーコードセグメントを形成し得る。形成された細胞バーコードが複数の供給源に由来する各標的分子の細胞供給源を同定するのに十分であるように、Nは1以上であり得る。
【0194】
本出願では、用語「オリゴヌクレオチドアダプター」は、オリゴヌクレオチドタグに連結され得る、プローブ内のヌクレオチド配列を一般に指す。ヌクレオチド配列は、部分的二本鎖構造であってよく、例えば、オリゴヌクレオチドタグとハイブリダイズする突き出た(prominent)配列を有してもよい。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドアダプターは、トランスポザーゼ(例えば、Tn5トランスポザーゼ)結合配列も含み得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドアダプターは、増幅プライマー認識配列も含み得る。
【0195】
本出願では、用語「バーコード化プローブ」は、少なくとも細胞バーコードを付着したプローブを一般に指す。
【0196】
本出願では、用語「ハイブリダイズされた」、「ハイブリダイズ可能」または「相補的」は、核酸(例えば、RNA、DNA)が、適切な温度および溶液イオン強度のインビトロおよび/またはインビボ条件下で別の核酸配列に非共有結合的に特異的に結合する(すなわち、ワトソン・クリック塩基対および/またはG/U塩基対を形成する)ことができるヌクレオチド配列を含むことを一般に意味する。ワトソン・クリック塩基対合には、チミジン/チミン(T)と対になったアデニン/アデノシン(A)、ウラシル/ウリジン(U)と対になったA、シトシン/シチジン(C)と対になったグアニン/グアノシン(G)が含まれる。いくつかの実施形態では、Gはまた、2つのRNA分子(例えば、dsRNA)間のハイブリダイゼーションのために、またはDNA分子とRNA分子との間のハイブリダイゼーション(例えば、DNA標的核酸の塩基がガイドRNAと対になっている場合など)のためにU塩基と対になり得る。ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が相補的配列を含有することを必要とするが、塩基間の起こり得るミスマッチを排除することはできない。2つの核酸間のハイブリダイゼーションに適した条件は、当技術分野で周知である、核酸の長さおよび相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の相補性の程度が大きいほど、これらの相補的配列を有する核酸のハイブリッドの融解温度(Tm)の値は大きくなる。
【0197】
本出願では、用語「リード(read)」は、ヌクレオチド配列決定における反応によって得られる配列決定された配列を一般に指す。リードは、シーケンサーによる単一の配列決定から得られた塩基配列データである短い配列決定断片であり得る。リードの長さは、異なる配列決定機器によって異なり得る。
【0198】
発明の詳細な説明
一態様では、本出願は、試料中の標的分子を分析する方法であって、
試料中の少なくとも1つの標的分子を、標的分子結合ドメインを含む少なくとも1つのプローブと接触させ、
プローブに試料特異的バーコードを付着させて、バーコード化プローブを得、
バーコード化プローブの組成を決定し、バーコード化プローブの組成から試料中の標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む、方法を提供する。
【0199】
別の態様では、本出願は、試料中の標的分子を増幅する方法であって、
試料中の少なくとも1つの標的分子を、標的分子結合ドメインを含む少なくとも1つのプローブと接触させ、
プローブに試料特異的バーコードを付着させて、バーコード化プローブを得、
バーコード化プローブを増幅し、
バーコード化プローブの組成を決定し、バーコード化プローブの組成から試料中の標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む、方法を提供する。
【0200】
別の態様では、本出願は、試料中の標的分子を配列決定する方法であって、
試料中の少なくとも1つの標的分子を、標的分子結合ドメインを含む少なくとも1つのプローブと接触させ、
プローブに試料特異的バーコードを付着させて、バーコード化プローブを得、
バーコード化プローブを配列決定し、バーコード化プローブの配列決定結果を決定し、バーコード化プローブの配列決定結果から試料中の標的分子の存在および/または含有量を決定することを含む、方法を提供する。
【0201】
試料
本出願では、試料は、ほとんどの生物に由来し得、植物、真菌および動物などの多細胞生物を含み得る。例えば、試料は、動物(例えば、哺乳動物)に由来し得る。例えば、試料は、ヒト起源に由来し得る。例えば、試料は、生検腫瘍またはその一部であり得る。例えば、試料は、臨床的に関連する組織試料であり得る。例えば、腫瘍は、固形腫瘍を含み得る。例えば、腫瘍は、血液腫瘍を含み得る。
【0202】
本出願では、試料は、いくつもの物質、例えば(限定するものではないが)、ほとんどの生物の細胞(初代細胞および培養細胞株の両方を含む)、細胞溶解物または細胞抽出物((限定するものではないが)RNA抽出物、精製mRNAを含む)、組織および組織抽出物((限定するものではないが)RNA抽出物、精製mRNAを含む)、体液((限定するものではないが)血液、尿、血清、リンパ液、胆汁、脳脊髄液、間質液、水性液またはガラス質液、初乳、痰、羊水、唾液、肛門分泌物および膣分泌物、汗および精液、滲出液、滲出液(例えば、膿瘍、または感染もしくは炎症の任意の他の部位由来)または関節由来(例えば、正常な関節、または関節リウマチ、変形性関節症、痛風もしくは化膿性関節炎などの疾患に罹患した関節);細胞外液、細胞培養物由来の細胞外上清、細菌内の封入体、細胞区画、ペリプラズムおよびミトコンドリア区画に含まれる試験試料を含有し得る。
【0203】
本出願では、試料は、少なくとも1つの細胞を含み得る。例えば、試料は、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上または6つ以上を含み得る。例えば、試料は単一細胞であってよい。
【0204】
プローブおよび標的分子
本出願では、プローブは、一般的に使用される方法によって設計され得る。例えば、プローブは、Oligo 6によって設計され得る。例えば、プローブは、BLASTによって設計され得る。例えば、プローブは、Beacon Designer 7.0によって設計され得る。例えば、プローブは、Primer Express 3.0によって設計され得る。例えば、プローブは、Primer Premier 5によって設計され得る。例えば、プローブは、Primer Designer-Mによって設計され得る。本出願では、プローブは、Primer 3によって設計され得る。例示的なプローブ構成を図1図4に示す。
【0205】
本出願では、プローブは、標的分子結合ドメインを含み得る。例えば、プローブは、プローブ同定タグを含み得る。例えば、プローブ同定タグとは、複数のプローブの各々に付着させた固有の核酸配列を一般に指す。例えば、プローブ同定タグは、プローブに組み込まれる場合、増幅後に直接カウントによって配列決定されたプローブに使用され得る。例えば、プローブ同定タグは、標的分子結合ドメインに直接的または間接的に連結される。
【0206】
本出願では、プローブ同定タグは、固有の分子同定領域を含み得る。例えば、固有の分子同定領域は、一本鎖核酸を含み得る。例えば、固有の分子同定領域内の一本鎖核酸は、1つ以上のヌクレオチド、2つ以上のヌクレオチド、3つ以上のヌクレオチド、または4つ以上のヌクレオチド、5つ以上のヌクレオチド、6つ以上のヌクレオチド、7つ以上のヌクレオチド、または8つ以上のヌクレオチド、9つ以上のヌクレオチド、12個以上のヌクレオチド、15個以上のヌクレオチド、または20個以上のヌクレオチドを含み得る。例えば、固有の分子同定領域内の一本鎖核酸は、8つのヌクレオチドを含有し得る。
【0207】
本出願では、標的分子は、タンパク質、核酸分子、代謝産物および/または脂質からなる群から選択される1つ以上を含み得る。例えば、標的分子は、DNA分子および/またはRNA分子を含み得る。例えば、DNA分子はcDNAであり得る。例えば、RNA分子は、cRNA、mRNA、miRNA、lncRNAおよび/またはeRNAを含み得る。例えば、RNAはmRNAであり得る。例えば、脂質は、脂肪、コポレステロール(cporesterol)、コポレステロールエステル、リン脂質および/または糖脂質を含み得る。
【0208】
本出願では、標的分子はmRNAを含み得、プローブ内の標的分子結合ドメインは一本鎖核酸を含み得る。例えば、標的分子は、標的分子結合ドメインとハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションに関して、2つの核酸間のハイブリダイゼーションに適した条件は、当技術分野で周知である、核酸の長さおよび相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の相補性の程度が大きいほど、これらの相補的配列を有する核酸のハイブリッドの融解温度(Tm)の値は大きくなる。例えば、一本鎖核酸は、少なくとも10個のヌクレオチドを含み得る。例えば、一本鎖核酸は、10ヌクレオチド以上、12ヌクレオチド以上、14ヌクレオチド以上、16ヌクレオチド以上、18ヌクレオチド以上、20ヌクレオチド以上、22ヌクレオチド以上、24ヌクレオチド以上、26ヌクレオチド以上、28ヌクレオチド以上、30ヌクレオチド以上、32ヌクレオチド以上、34ヌクレオチド以上、36ヌクレオチド以上、38ヌクレオチド以上、40ヌクレオチド以上、42ヌクレオチド以上、44ヌクレオチド以上、46ヌクレオチド以上、48ヌクレオチド以上、50ヌクレオチド以上、52ヌクレオチド以上、54ヌクレオチド以上、56ヌクレオチド以上、58ヌクレオチド以上または60ヌクレオチド以上を含み得る。例えば、ハイブリダイゼーションは、塩基間の起こり得るミスマッチを排除しない。例えば、プローブ内の標的分子結合ドメインは、mRNAの配列に少なくとも50%相補的である。例えば、それは、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、99.5%以上であり得る。残りの非相補的ヌクレオチドは、相補的ヌクレオチドとともにクラスター化または分散されてもよく、互いにまたは相補的ヌクレオチドに隣接している必要はない。例えば、ポリヌクレオチドは、中間セグメントまたは隣接するセグメントがハイブリダイゼーション事象(例えば、ヘアピン形成、「バンプ(bumps)」など)に関与しないように、1つ以上のセグメント上でハイブリダイズし得る。
【0209】
本出願では、標的分子の組成は既知であり得る。例えば、標的分子はmRNAであり得、mRNAの核酸配列は既知であり得る。
【0210】
例えば、標的分子は、タンパク質を含み得る。例えば、標的分子はタンパク質であり得、標的分子結合ドメインは、標的分子に特異的に結合することができる抗体または抗原結合断片を含み得る。例えば、抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab)2、Fv断片、F(ab’)2、scFv、ジscFv、VHHおよび/またはdAbを含み得る。本出願では、タンパク質の特性は既知であり得る。例えば、タンパク質のアミノ酸配列は既知であり得る。
【0211】
本出願では、試料中の少なくとも1つの標的分子を2つ以上のプローブと接触させることができる。例えば、試料中の少なくとも1つの標的分子を第1のプローブと接触させることができ、標的分子を第1のプローブとは異なる第2のプローブと接触させることができる。例えば、第1のプローブの3’末端は、第2のプローブの5’末端に直接的または間接的に連結され得る。例えば、第1のプローブの5’末端は、第2のプローブの3’末端に直接的または間接的に連結され得る。例えば、第1のプローブの3’末端は、リガーゼによって第2のプローブの5’末端に連結され得る。例えば、第1のプローブの5’末端は、リガーゼによって第2のプローブの3’末端に連結され得る。例えば、第1のプローブは、第2のプローブとともに一本鎖環状分子を形成し得る。例えば、第1のプローブの3’末端の核酸配列は、第2のプローブの3’末端の核酸配列に相補的であり得、第1のプローブの核酸配列は、第2のプローブの5’末端の核酸配列に相補的であり得、第2のプローブの5’末端は、第2のプローブの3’末端に直接的または間接的に連結され得る。例えば、第2のプローブの5’末端は、リガーゼによって第2のプローブの3’末端に連結され得る。
【0212】
例えば、リガーゼには、DNAリガーゼ、例えば、大腸菌(Escherichia coli)DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、哺乳動物リガーゼ(例えば、DNAリガーゼI、DNAリガーゼIII、DNAリガーゼIV)、熱安定性リガーゼなどが含まれ得る。T4 DNAリガーゼは、DNA、オリゴヌクレオチド、RNAおよびRNA-DNAハイブリッドを含有するセグメントを連結することができる。ライゲーション反応は、DNAリガーゼを含まなくてもよいが、トポイソメラーゼなどの代替物が使用される。高濃度のDNAリガーゼおよびPEGは、迅速なライゲーションを実現することができる。ライゲーション反応に好適な温度を選択するために、DNAリガーゼの至適温度(例えば、37°C)、およびライゲーションされるDNAの融解温度が考慮され得る。ライゲーションに影響を及ぼし得るイオン相互作用を最小限に抑えるために、標的核酸およびバーコード化固体支持体を好適な緩衝剤に懸濁してもよい。例えば、リガーゼには、T4リガーゼが含まれ得る。
【0213】
本出願では、既知の遺伝子に対して2つ以上のプローブを設計することができる。例えば、プローブは、増幅プライマー認識領域を含み得る。例えば、プローブは、オリゴヌクレオチドタグを含み得る。例えば、プローブでは、増幅プライマー結合領域は、プローブ同定タグに直接的または間接的に連結され得る。例えば、2つ以上のプローブのうちの少なくとも2つは、試料中の同じ標的分子の異なる領域に結合することができる。
【0214】
PCRタグ
本出願では、PCRタグは、試料特異的バーコードと、試料特異的バーコードの3’末端にPCRハンドル配列とを含み、PCRハンドル配列は、プローブの5’末端の配列と同じであり得る。
【0215】
本出願では、PCRタグは、試料特異的バーコードと、試料特異的バーコードの3’末端にPCRハンドル配列とを含み、PCRハンドル配列は、プローブの3’末端の配列と同じであり得る。
【0216】
本出願では、試料中の標的分子をプローブと接触させる前で、プローブに試料特異的バーコードを付着させる前に、少なくとも1つのPCRタグを付着させた固体支持体が提供され得、PCRタグの各々のPCRハンドル内の配列は、プローブの5’末端の配列と同じであり、プローブの3’末端の配列に相補的な遊離プライマーが提供され得る。本出願では、方法は、プローブと、少なくとも1つのPCRタグを付着させた固体支持体と、遊離プライマーとを分離した区画に共分配することをさらに含み得、プローブは、試料特異的バーコードに付着させられ得る。
【0217】
本出願では、試料中の標的分子をプローブと接触させる前に、およびプローブに試料特異的バーコードを付着させる前に、少なくとも1つのPCRタグを付着した固体支持体が提供され得、PCRタグの各々のPCRハンドル内の配列は、プローブの3’末端の配列と同じであり、プローブの5’末端の配列に相補的な遊離プライマーが提供され得る。本出願では、方法は、プローブと、少なくとも1つのPCRタグを付着させた固体支持体と、遊離プライマーとを分離した区画に共分配することをさらに含み得、プローブに、試料特異的バーコードを付着し得る。
【0218】
本出願では、PCRタグは、固体支持体に放出可能に付着される。例えば、同じ固体支持体に付着させたPCRタグは、同じであっても異なっていてもよい。本出願では、PCRタグ内のPCRハンドルは、1つ以上のヌクレオチド配列を含み得、例えば、PCRハンドルは、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上または15個以上の配列を有し得る。
【0219】
例えば、固体支持体に付着させられ、異なる種類のPCRハンドルを含有するPCRタグは、1つ以上、例えば、50個以上、100個以上、500個以上、1000個以上、1500個以上、2000個以上、3000個以上、5000個以上、8000個以上、10000個以上、12,000個以上、15,000個以上、18,000個以上、20,000個以上、22,000個以上、25,000個以上、28,000個以上、30,000個以上、35,000個以上、40,000個以上、45,000個以上、50,000個以上であってよい。
【0220】
例えば、同じ固体支持体に付着させられ、同じ種類のPCRハンドルを含有するPCRタグの数は、所望により様々な割合に設定され得る。
【0221】
例えば、同じ固体支持体に付着させたPCRタグには、1つ以上のPCRタグ、例えば、50個以上、100個以上、500個以上、1,000個以上、1,500個以上、2,000個以上、3,000個以上、5,000個以上、8,000個以上、10,000個以上、12,000個以上、15,000個以上、18,000個以上、20,000個以上、22,000個以上、22,000個以上、25,000個以上、28,000個以上、30,000個以上、35,000個以上、40,000個以上、45,000個以上、50,000個以上、55,000個以上、60,000個以上、65,000個以上、70,000個以上、75,000個以上、80,000個以上、85,000個以上、90,000個以上、95,000個以上、100,000個以上、110,000個以上、120,000個以上が含まれ得、これらのPCRタグの試料特異的バーコードは同じであり得る。
【0222】
例えば、異なる固体支持体に付着させたPCRタグセットに含有される細胞バーコードは互いに異なっていてもよく、PCRタグセットは、同じ固体支持体に付着させた全PCRタグの組合せであってよい。
【0223】
本出願では、試料特異的バーコードは、細胞バーコードを含み得る。例えば、細胞バーコードは、少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む。例えば、細胞バーコードセグメントは、4つ以上のヌクレオチド(nt)、例えば、5つ以上、例えば、10個以上、12個以上、15個以上、18個以上、20個以上、21個以上、22個以上、23個以上、24個以上、25個以上、26個以上、27個以上、28個以上、29個以上、30個以上、31個以上、32個以上、33個以上、34個以上または35個以上である。
【0224】
例えば、細胞バーコードは、少なくとも2つの細胞バーコードセグメント、少なくとも3つの細胞バーコードセグメント、少なくとも4つの細胞バーコードセグメント、少なくとも5つの細胞バーコードセグメント、少なくとも6つの細胞バーコードセグメント、少なくとも7つの細胞バーコードセグメントおよび少なくとも8つの細胞バーコードセグメントを含み、細胞バーコードセグメントは、PCRタグの5’末端から3’末端までの配列に従って、細胞バーコードセグメント1、細胞バーコードセグメント2、細胞バーコードセグメント3、細胞バーコードセグメント4、細胞バーコードセグメント5および細胞バーコードセグメントnとしてコードされる。例えば、少なくとも2つの細胞バーコードセグメントは、PCRまたはDNAリガーゼによって細胞バーコードを形成し得る。
【0225】
例えば、細胞バーコードは、以下によって生成され得る:
1)固体支持体のうちの少なくとも1つを、少なくとも2つの一次アリコート、例えば、少なくとも8つのアリコート、少なくとも16個のアリコート、少なくとも24個のアリコート、少なくとも32個のアリコート、少なくとも40個のアリコート、少なくとも48個のアリコート、少なくとも56個のアリコート、少なくとも64個のアリコート、少なくとも72個のアリコート、少なくとも80個のアリコート、少なくとも88個のアリコート、少なくとも96個のアリコートに分割する工程;
2)一次アリコートの各々に、少なくとも1つの細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも1,000個の細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも10,000個の細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも100,000個の細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも1,000,000個の細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも10,000,000個の細胞バーコードセグメント1を提供する工程であって、各アリコートおよび任意の他のアリコート中の細胞バーコードセグメント1の配列および/または長さは互いに異なる工程;
3)一次アリコートの各々の中の少なくとも1つの固体支持体を、細胞バーコードセグメント1に直接的または間接的に連結する工程であって、各固体支持体は、少なくとも1つの細胞バーコードセグメント1に連結される工程;
4)一次アリコートのうちの少なくとも2つを組み合わせ、組み合わせた一次アリコートを少なくとも2つの二次アリコート、例えば、少なくとも8つのアリコート、少なくとも16個のアリコート、少なくとも24個のアリコート、少なくとも32個のアリコート、少なくとも40個のアリコート、少なくとも48個のアリコート、少なくとも56個のアリコート、少なくとも64個のアリコート、少なくとも72個のアリコート、少なくとも80個のアリコート、少なくとも88個のアリコート、少なくとも96個のアリコートに分割する工程;
5)二次アリコートの各々に、少なくとも1つの細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列、例えば、少なくとも1,000個の細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列、例えば、少なくとも10,000個の細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列、例えば、少なくとも100,000個の細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列、例えば、少なくとも10,000,000個の細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列を提供する工程であって、各アリコート中の細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列の配列および/または長さは、任意の他のアリコート中の細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列の配列および/または長さとは異なる工程;
6)二次アリコートの各々の中の固体支持体に連結された少なくとも1つの細胞バーコードセグメント1を、細胞バーコードセグメント2に直接的または間接的に連結する工程。
【0226】
工程4)~6)は、n回繰り返されてもよく、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上として、例えば、細胞バーコードセグメント3、細胞バーコードセグメント4、細胞バーコードセグメント5......細胞バーコードセグメントnを接続して、各細胞の固有の配列を標的とするのに十分な細胞バーコードを生成し、その結果、第1の細胞内の標的分子が、固有の配列を有する第1の細胞バーコードを有することができ、第2の細胞内の標的分子が、固有の配列を有する第2の細胞バーコードを有することができ、第2の細胞内の標的分子が、固有の配列を有する第2の細胞バーコードを有することができるといったようになる。
【0227】
例えば、PCRタグはまた、リンカー配列1を含有し、細胞バーコードセグメント1の5’末端は、リンカー配列1を介して固体支持体に連結され得る。リンカー配列1は、PCRタグを放出するための様々な方法によって中断され得る、アクリダイト修飾、ライトカッティング(light cutting)修飾、S-S修飾、dU塩基修飾および他の配列を含み得る。
【0228】
例えば、PCRタグはまた、その後の処理のために、他の機能的配列、例えば、完全または部分的な機能的配列(例えば、プライマー配列(例えば、汎用的なプライマー配列、標的化プライマー配列、ランダムプライマー配列)認識領域、プライマーアニーリング配列、付着配列、配列決定プライマー認識領域、増幅プライマー認識領域(例えば、汎用的な増幅プライマー認識領域)などを含有し得る。
【0229】
例えば、その後の処理は、増幅を含む。例えば、増幅には、PCR増幅(例えば、Taq DNAポリメラーゼ増幅、Super Taq DNAポリメラーゼ増幅、LA Taq DNAポリメラーゼ増幅、Pfu DNAポリメラーゼ増幅、Phusion DNAポリメラーゼ増幅、KOD DNAポリメラーゼ増幅など)、等温増幅(例えば、ループ媒介等温増幅(LAMP)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、鎖置換増幅(SDA)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、転写媒介増幅(TMA)などを含み得る)、T7プロモーター線形増幅、縮重オリゴヌクレオチドプライマーPCR増幅(DOP-PCR)、多置換増幅(MDA)、多重アニーリングおよびループベース増幅サイクル(MALBAC)などが含まれ得る。
【0230】
例えば、細胞バーコードは、リンカーを含有しなくてもよく、細胞バーコードは、他の方法によって合成された別個の核酸配列であってよい。
【0231】
例えば、汎用的なプライマー配列は、P5または他の好適なプライマーを含み得る。汎用的なプライマー(例えば、P5)はまた、配列決定装置内のフローセルに付着することができるなど、配列決定装置と適合性であってもよい。例えば、そのような汎用的なプライマー配列は、配列決定のためにバーコード化プローブを表面に固定化することを可能にするために、配列決定装置内のフローセルの表面に拘束されたオリゴヌクレオチドの相補的配列を提供し得る。
【0232】
例えば、増幅プライマー配列、増幅または複製プロセス(例えば、標的核酸配列に沿ってプライマーを伸長すること)を行って増幅されたバーコード化プローブ配列を生成するために使用されるプライマー配列。
【0233】
例えば、配列決定プライマー配列、得られた増幅標的配列は、そのようなプライマーを含有し、配列決定系に容易に移される。例えば、増幅された標的がIllumina配列決定系を使用して配列決定される場合、配列決定プライマー配列は、Read1プライマー配列、Read2プライマー配列を含み得る。
【0234】
例えば、PCRタグは、T7プロモーター配列を含有し得る。例えば、ライゲーション反応を使用して、細胞のバーコードセグメントを連結してPCRタグを形成する。連結は、上記の細胞バーコードセグメント1および機能的配列、例えば、リンカー配列2および細胞バーコードセグメント2、リンカー配列3および細胞バーコードセグメント3、リンカー配列4および細胞バーコードセグメント4、リンカー配列5および細胞バーコードセグメント5、リンカー配列6および細胞バーコードセグメント6などのホスホジエステル結合の形成を触媒することによって2つの核酸セグメントを一緒に結合することを含み得る。ライゲーション反応には、DNAリガーゼ、例えば、大腸菌(Escherichia coli)DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、哺乳動物リガーゼ(例えば、DNAリガーゼI、DNAリガーゼIII、DNAリガーゼIV)、熱安定性リガーゼが含まれ得る。T4 DNAリガーゼは、DNA、オリゴヌクレオチド、RNAおよびRNA-DNAハイブリッドを含有するセグメントを連結することができる。ライゲーション反応は、DNAリガーゼを含まなくてもよいが、トポイソメラーゼなどの代替物が使用される。高濃度のDNAリガーゼおよびPEGは、迅速なライゲーションを実現することができる。ライゲーション反応に好適な温度を選択するために、DNAリガーゼの至適温度(例えば、37°C)、およびライゲーションされるDNAの融解温度が考慮され得る。ライゲーションに影響を及ぼし得るイオン相互作用を最小限に抑えるために、試料およびバーコード化固体支持体を緩衝剤に懸濁してもよい。
【0235】
例えば、各細胞バーコードセグメントをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってライゲーションして、PCRタグを形成する。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応は、以下のポリメラーゼ、すなわち、Taq DNAポリメラーゼ、Super Taq DNAポリメラーゼ、LA Taq DNAポリメラーゼ、UlltraPF DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、VentR DNAポリメラーゼ、Phusion DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、Iproof DNAポリメラーゼのうちの任意の1つ以上によって行われ得る。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応はまた、ポリメラーゼを活性に保つための緩衝剤、金属イオンを含み得る。例えば、dNTPおよびまたはその修飾誘導体もポリメラーゼ連鎖反応に含まれ得る。
【0236】
例えば、PCRタグを生成するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の条件下では、各ラウンドは細胞バーコードセグメントの相補的配列を提供し、相補的配列は一本鎖構造であり、5’末端リンカー配列は、前のラウンドで連結された細胞バーコードセグメントの3’末端リンカー配列と少なくとも部分的に相補的に対になって二本鎖構造を形成することができる。
【0237】
オリゴヌクレオチドタグ
本出願では、プローブは、オリゴヌクレオチドアダプターも含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドアダプターは、プローブの5’末端に位置し得る。例えば、オリゴヌクレオチドアダプターは、プローブの3’末端に位置し得る。
【0238】
本出願では、オリゴヌクレオチドタグは、一本鎖核酸を含み得、オリゴヌクレオチドタグは、試料特異的バーコードと、試料特異的バーコードの3’末端にハイブリダイゼーション配列とを含み得る。
【0239】
本出願では、オリゴヌクレオチドタグは、第1の鎖および第2の鎖を含有し得る。第1の鎖は、試料特異的バーコードと、試料特異的バーコードの3’末端にハイブリダイゼーション配列とを含有する。第2の鎖は、プローブ内の第1の鎖のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1の部分とオリゴヌクレオチドアダプターの配列に相補的な第2の部分とを含有し、第1および第2の鎖は、部分的二本鎖構造を形成する。
【0240】
ハイブリダイゼーション配列に関して、2つの核酸間のハイブリダイゼーションに適した条件は、当技術分野で周知である、核酸の長さおよび相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の相補性の程度が大きいほど、これらの相補的配列を有する核酸のハイブリッドの融解温度(Tm)の値は大きくなる。
【0241】
例えば、オリゴヌクレオチドタグ内の第2の鎖の第1の部分、またはオリゴヌクレオチドタグ内の第2の鎖の第2の部分は、その相補的配列(例えば、試料特異的バーコードの3’末端のオリゴヌクレオチドタグ内の第1の鎖内のハイブリダイゼーション配列、例えば、プローブ内のオリゴヌクレオチドアダプター配列またはその一部)を有する二本鎖構造を形成するのに十分な長さである。
【0242】
例えば、オリゴヌクレオチドタグ内の第2の鎖の第1の部分またはオリゴヌクレオチドタグ内の第2の鎖の第2の部分の長さは、1ヌクレオチド以上、2ヌクレオチド以上、3ヌクレオチド以上、5ヌクレオチド以上、8ヌクレオチド以上、10ヌクレオチド以上、12ヌクレオチド以上、15ヌクレオチド以上、20ヌクレオチド以上、22ヌクレオチド以上、25ヌクレオチド以上または30ヌクレオチド以上であり得る。
【0243】
例えば、オリゴヌクレオチドタグ内の第2の鎖の第1の部分およびオリゴヌクレオチドタグ内の第2の鎖の第2の部分の配列の長さは、同じであっても異なっていてもよい。
【0244】
例えば、二本鎖構造は、塩基間の起こり得るミスマッチを排除しない。例えば、オリゴヌクレオチドタグ内の第2の鎖の第1の部分またはオリゴヌクレオチドタグ内の第2の鎖の第2の部分の配列は、そのハイブリダイゼーション配列の配列に100%相補的である必要はない。例えば、それは、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上相補的であり得る。残りの非相補的ヌクレオチドは、相補的ヌクレオチドとともにクラスター化または分散されてもよく、互いにまたは相補的ヌクレオチドに隣接している必要はない。例えば、ポリヌクレオチドは、中間セグメントまたは隣接するセグメントがハイブリダイゼーション事象(例えば、ヘアピン形成、「バンプ(bumps)」など)に関与しないように、1つ以上のセグメント上でハイブリダイズし得る。
【0245】
例えば、同じ固体支持体に付着させたオリゴヌクレオチドタグの第2の部分は同じであり得る。
【0246】
例えば、同じ固体支持体に付着させたオリゴヌクレオチドタグの第2の部分は異なり得る。例えば、同じ固体支持体に付着させた各オリゴヌクレオチドタグの第2の部分は、1つ以上のヌクレオチド配列を含み得、例えば、第2の部分は、2つ以上の配列、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上、例えば、6つ以上、例えば、7つ以上、例えば、8つ以上、例えば、9つ以上、例えば、10個以上、例えば、11個以上、例えば、12個以上、例えば、13個以上、例えば、14個以上、例えば、15個以上を有し得、その結果、同じ固体支持体に付着させたオリゴヌクレオチドタグは、プローブのうちの対応する1つ以上に連結され得る。
【0247】
例えば、同じ固体支持体に付着させられ、同じ第2の部分を含有するオリゴヌクレオチドタグの数は、1つ以上、例えば、50個以上、100個以上、500個以上、1,000個以上、1,500個以上、2,000個以上、3,000個以上、5,000個以上、8,000個以上、10,000個以上、12,000個以上、15,000個以上、18,000個以上、20,000個以上、22,000個以上、25,000個以上、28,000個以上、30,000個以上、35,000個以上、40,000個以上、45,000個以上、50,000個以上であってよい。
【0248】
例えば、同じ固体支持体に付着させた、様々な第2の部分を含有するオリゴヌクレオチドタグの数は、対応するプローブに付着するために所望されるように様々な割合に設定され得る。
【0249】
例えば、試料特異的バーコードは細胞バーコードを含み、同じ固体支持体に付着させた各オリゴヌクレオチドタグは、同じ細胞バーコードを含む。
【0250】
例えば、同じ固体支持体に付着させたオリゴヌクレオチドタグは、1つ以上のオリゴヌクレオチドタグ、例えば、50個以上、100個以上、500個以上、1,000個以上、1,500個以上、2,000個以上、3,000個以上、5,000個以上、8,000個以上、10,000個以上、12,000個以上、15,000個以上、18,000個以上、20,000個以上、22,000個以上、25,000個以上、28,000個以上、30,000個以上、35,000個以上、40,000個以上、45,000個以上、50,000個以上、55,000個以上、60,000個以上、65,000個以上、70,000個以上、75,000個以上、80,000個以上、85,000個以上、90,000個以上、95,000個以上、100,000個以上、110,000個以上、120,000個以上を含み得、これらのオリゴヌクレオチドタグの細胞バーコードは同じであり、その第2の鎖の第2の部分の配列は1つ以上であり得、例えば、第2の部分の配列は、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上、18個以上、19個以上、20個以上である。
【0251】
例えば、異なる固体支持体に付着させたオリゴヌクレオチドタグ群は、異なる細胞バーコードを含有する。オリゴヌクレオチドタグ群は、同じ固体支持体に付着させた全オリゴヌクレオチドタグの組合せであり得る。
【0252】
例えば、細胞バーコードは、少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む。例えば、細胞バーコードセグメントは、4つ以上のヌクレオチド(nt)、例えば、5つ以上、例えば、10個以上、12個以上、15個以上、18個以上、20個以上、21個以上、22個以上、23個以上、24個以上、25個以上、26個以上、27個以上、28個以上、29個以上、30個以上、31個以上、32個以上、33個以上、34個以上または35個以上である。
【0253】
例えば、細胞バーコードは、少なくとも2つの細胞バーコードセグメント、少なくとも3つの細胞バーコードセグメント、少なくとも4つの細胞バーコードセグメント、少なくとも5つの細胞バーコードセグメント、少なくとも6つの細胞バーコードセグメント、少なくとも7つの細胞バーコードセグメント、少なくとも8つの細胞バーコードセグメントを含み、細胞バーコードセグメントは、オリゴヌクレオチドタグの5’末端から3’末端までの配列に従って、細胞バーコードセグメント1、細胞バーコードセグメント2、細胞バーコードセグメント3、細胞バーコードセグメント4、細胞バーコードセグメント5...細胞バーコードセグメントnとしてコードされる。例えば、少なくとも2つの細胞バーコードセグメントは、PCRまたはDNAリガーゼによって細胞バーコードを形成し得る。
【0254】
例えば、細胞バーコードは、以下によって生成され得る:
1)固体支持体のうちの少なくとも1つを少なくとも2つの一次アリコート、例えば、少なくとも8つのアリコート、少なくとも16個のアリコート、少なくとも24個のアリコート、少なくとも32個のアリコート、少なくとも40個のアリコート、少なくとも48個のアリコート、少なくとも56個のアリコート、少なくとも64個のアリコート、少なくとも72個のアリコート、少なくとも80個のアリコート、少なくとも88個のアリコート、少なくとも96個のアリコートに分割する工程;
2)一次アリコートの各々に、少なくとも1つの細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも1,000個の細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも10,000個の細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも100,000個の細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも1,000,000個の細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも10,000,000個の細胞バーコードセグメント1を提供する工程であって、各アリコートおよび任意の他のアリコート中の細胞バーコードセグメント1の配列および/または長さは互いに異なる工程;
3)一次アリコートの各々の中の少なくとも1つの固体支持体を、細胞バーコードセグメント1に直接的または間接的に連結する工程であって、各固体支持体は、少なくとも1つの細胞バーコードセグメント1に連結される工程;
4)少なくとも2つの一次アリコートを組み合わせ、組み合わせた一次アリコートを、少なくとも2つの二次アリコート、例えば、少なくとも8つのアリコート、少なくとも16個のアリコート、少なくとも24個のアリコート、少なくとも32個のアリコート、少なくとも40個のアリコート、少なくとも48個のアリコート、少なくとも56個のアリコート、少なくとも64個のアリコート、少なくとも72個のアリコート、少なくとも80個のアリコート、少なくとも88個のアリコート、少なくとも96個のアリコートに分割する工程;
5)二次アリコートの各々に、少なくとも1つの細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列、例えば、少なくとも1,000個の細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列、例えば、少なくとも10,000個の細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列、例えば、少なくとも100,000個の細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列、例えば、少なくとも10,000,000個の細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列を提供する工程であって、各アリコート中の細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列の配列および/または長さは、任意の他のアリコート中の細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列の配列および/または長さとは異なる工程;
6)二次アリコートの各々の中の固体支持体に連結された少なくとも1つの細胞バーコードセグメント1を、細胞バーコードセグメント2に直接的または間接的に連結する工程。
【0255】
工程4)~6)は、n回繰り返されてもよく、nを、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上として、例えば、細胞バーコードセグメント3、細胞バーコードセグメント4、細胞バーコードセグメント5......細胞バーコードセグメントnを接続して、各細胞の固有の配列を標的とするのに十分な細胞バーコードを生成し、その結果、第1の細胞内の標的分子が、固有の配列を有する第1の細胞バーコードを有することができ、第2の細胞内の標的分子が、固有の配列を有する第2の細胞バーコードを有することができ、第2の細胞内の標的分子が、固有の配列を有する第2の細胞バーコードを有することができるなどといったようになる。
【0256】
例えば、オリゴヌクレオチドタグは、細胞バーコードセグメント1の5’末端を固体支持体に連結することができるリンカー配列1をさらに含む。リンカー配列1は、アクリダイト修飾、光切断修飾、S-S修飾、dU塩基修飾および他の配列を含み得、オリゴヌクレオチドタグを放出するための様々な方法によって中断され得る。
【0257】
例えば、オリゴヌクレオチドタグはまた、その後の処理のために、他の機能的配列、例えば、完全または部分的な機能的配列(例えば、プライマー配列(例えば、汎用的なプライマー配列、標的化プライマー配列、ランダムプライマー配列)認識領域、プライマーアニーリング配列、付着配列、配列決定プライマー認識領域、増幅プライマー認識領域(例えば、汎用的な増幅プライマー認識領域)などを含む。
【0258】
例えば、その後の処理は、増幅を含む。例えば、増幅には、PCR増幅(例えば、Taq DNAポリメラーゼ増幅、Super Taq DNAポリメラーゼ増幅、LA Taq DNAポリメラーゼ増幅、Pfu DNAポリメラーゼ増幅、Phusion DNAポリメラーゼ増幅、KOD DNAポリメラーゼ増幅など)、等温増幅(例えば、ループ媒介等温増幅(LAMP)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、鎖置換増幅(SDA)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、転写媒介増幅(TMA)などを含み得る)、T7プロモーター線形増幅、縮重オリゴヌクレオチドプライマーPCR増幅(DOP-PCR)、多置換増幅(MDA)、多重アニーリングおよびループベース増幅サイクル(MALBAC)などが含まれ得る。
【0259】
例えば、細胞バーコードは、リンカーを含有しなくてもよく、細胞バーコードは、他の方法によって合成された別個の核酸配列であってよい。
【0260】
例えば、汎用的なプライマー配列は、P5または他の好適なプライマーを含み得る。汎用的なプライマー(例えば、P5)はまた、配列決定装置内のフローセルに付着することができるなど、配列決定装置と適合性であってもよい。例えば、そのような汎用的なプライマー配列は、配列決定のためにバーコード化プローブを表面に固定化することを可能にするために、配列決定装置内のフローセルの表面を拘束するオリゴヌクレオチドの相補的配列を提供し得る。
【0261】
例えば、増幅プライマー配列、増幅または複製プロセス(例えば、標的核酸配列に沿ってプライマーを伸長すること)を行って増幅されたバーコード化プローブ配列を生成するために使用されるプライマー配列。
【0262】
例えば、増幅プライマー配列、得られた増幅標的配列は、そのようなプライマーを含有し、配列決定系に容易に移される。例えば、増幅された標的がIllumina配列決定系を使用して配列決定される場合、配列決定プライマー配列は、Read1プライマー配列、Read2プライマー配列を含み得る。
【0263】
例えば、オリゴヌクレオチドタグは、T7プロモーター配列を含み得る。
【0264】
例えば、上記の複数の機能的配列のいずれか、またはそれらの組合せが、細胞バーコードセグメント1とリンカー配列1との間に含まれ得る。例えば、これらのオリゴヌクレオチドタグは、P5配列、Read1配列およびRead2配列、非切断性5’アクリダイト-P5、切断性5’アクリダイト-SS-P5、R1c、配列決定プライマー、リードプライマー、汎用的なプライマー、P5_U、汎用的なリードプライマー、ならびに/またはこれらのプライマーのいずれかの結合部位のうちの任意の1つ以上を含み得る。
【0265】
例えば、細胞バーコードは、リンカー配列によって離隔された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む。
【0266】
例えば、細胞バーコードセグメント1の3’末端はリンカー配列2を有し、細胞バーコードセグメント2の5’末端および3’末端は、それぞれリンカー配列3および4を有し、細胞バーコードセグメント3の5’末端および3’末端は、それぞれリンカー配列5および6を有し、細胞バーコードセグメント4の5’末端および3’末端は、それぞれリンカー配列7および8を有するなど、細胞バーコードセグメントnの5’末端および3’末端は、それぞれリンカー配列2n-1および2nを有する。細胞バーコードセグメント1、細胞バーコードセグメント2、細胞バーコードセグメント3、細胞バーコードセグメント4...細胞バーコードセグメントnのライゲーションを開始させるために、リンカー配列2およびリンカー配列3は、少なくとも部分的に相補的に対になって二本鎖構造を形成することができ、リンカー配列4およびリンカー配列5は、少なくとも部分的に相補的に対になって二本鎖構造を形成することができ、リンカー配列6およびリンカー配列7は、少なくとも部分的に相補的に対になって二本鎖構造を形成することができ、以下同様である。
【0267】
例えば、ライゲーション反応を使用して、細胞のバーコードセグメントをライゲーションしてオリゴヌクレオチドタグを形成する。連結は、上記の細胞バーコードセグメント1および機能的配列、例えば、リンカー配列2および細胞バーコードセグメント2、リンカー配列3および細胞バーコードセグメント3、リンカー配列4および細胞バーコードセグメント4、リンカー配列5および細胞バーコードセグメント5、リンカー配列6および細胞バーコードセグメント6などのホスホジエステル結合の形成を触媒することによって2つの核酸セグメントを一緒に結合することを含み得る。ライゲーション反応には、DNAリガーゼ、例えば、大腸菌(Escherichia coli)DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、哺乳動物リガーゼ(例えば、DNAリガーゼI、DNAリガーゼIII、DNAリガーゼIV)、熱安定性リガーゼが含まれ得る。T4 DNAリガーゼは、DNA、オリゴヌクレオチド、RNAおよびRNA-DNAハイブリッドを含有するセグメントを連結することができる。ライゲーション反応は、DNAリガーゼを含まなくてもよいが、トポイソメラーゼなどの代替物が使用される。高濃度のDNAリガーゼおよびPEGは、迅速なライゲーションを実現することができる。ライゲーション反応に好適な温度を選択するために、DNAリガーゼの至適温度(例えば、37°C)、およびライゲーションされるDNAの融解温度が考慮され得る。ライゲーションに影響を及ぼし得るイオン相互作用を最小限に抑えるために、試料およびバーコード化固体支持体を緩衝剤に懸濁してもよい。
【0268】
例えば、各細胞バーコードセグメントをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって連結して、オリゴヌクレオチドタグを形成する。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応は、以下のポリメラーゼ、すなわち、Taq DNAポリメラーゼ、Super Taq DNAポリメラーゼ、LA Taq DNAポリメラーゼ、UlltraPF DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、VentR DNAポリメラーゼ、Phusion DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、Iproof DNAポリメラーゼのうちの任意の1つ以上によって行われ得る。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応はまた、ポリメラーゼを活性に保つための緩衝剤、金属イオンを含み得る。例えば、dNTPおよびまたはその修飾誘導体もポリメラーゼ連鎖反応に含まれ得る。
【0269】
例えば、オリゴヌクレオチドタグを生成するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の条件下では、各ラウンドは細胞バーコードセグメントの相補的配列を提供し、相補的配列は一本鎖構造であり、5’末端および3’末端の各々は一本鎖リンカー配列を有し、5’末端リンカー配列は、前のラウンドで連結された細胞バーコードセグメントの3’末端リンカー配列と少なくとも部分的に相補的に対になって二本鎖構造を形成することができ、3’末端リンカー配列は、後続のラウンドで連結された細胞バーコードセグメントの5’末端リンカー配列と少なくとも部分的に相補的に対になって二本鎖構造を形成することができる。
【0270】
バーコード化プローブ
本出願では、試料中の標的分子をプローブと接触させた後で、プローブに試料特異的バーコードを付着させる前に、少なくとも1つのPCRタグを付着させた固体支持体を提供工程であって、PCRタグの各々は、試料特異的バーコードと、試料特異的バーコードの3’末端に、プローブの5’末端の配列と同じPCRハンドル配列とを含む工程と、プローブの3’末端の配列に相補的である遊離プライマーを提供する工程とを含む。
【0271】
本出願では、試料中の標的分子をプローブと接触させた後で、プローブに試料特異的バーコードを付着させる前に、少なくとも1つのPCRタグを付着させた固体支持体を提供する工程であって、PCRタグの各々は、試料特異的バーコードと、試料特異的バーコードの3’末端に、プローブの3’末端の配列と同じPCRハンドル配列とを含む工程と、プローブの5’末端の配列に相補的である遊離プライマーを提供する工程とを含む。
【0272】
本出願では、バーコード化プローブは、PCRによって形成され得る。例えば、遊離プライマーをプローブの3’末端配列に相補的にし、プローブの3’末端配列とともに伸長し、伸長した配列をPCRタグ内のPCRハンドルの配列に相補的にし、PCRタグ内のPCRハンドルの配列とともに伸長してバーコード化プローブを得る。例えば、伸長した配列は、PCRハンドルの配列に1%以上、2%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、99%以上相補的である。残りの非相補的ヌクレオチドは、相補的ヌクレオチドとともにクラスター化または分散されてもよく、互いにまたは相補的ヌクレオチドに隣接している必要はない。例えば、ポリヌクレオチドは、中間セグメントまたは隣接するセグメントがハイブリダイゼーション事象(例えば、ヘアピン形成、「バンプ」など)に関与しないように、1つ以上のセグメント上でハイブリダイズし得る。
【0273】
本出願では、分離した区画は、PCR試薬も含む。例えば、PCR試薬は、PCR増幅試薬であってよい。例えば、単一細胞に由来する標的分子に結合するプローブの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%が、分離した区画内の単一細胞から細胞の外側に放出されることを含め、単一細胞に由来する標的分子に結合するプローブの少なくとも一部は、分離した区画内の単一細胞から細胞の外側に放出され得る。例えば、分離した区画内の単一細胞から細胞の外側に、単一細胞に由来する標的分子に結合するプローブの少なくとも一部を放出する工程は、細胞を溶解試薬と接触させて、分離した区画内の細胞の内容物を放出することを含み得る。溶解試薬は、生物学的に活性な試薬、例えば、様々な細胞型(例えば、グラム陽性菌またはグラム陰性菌、植物、酵母、哺乳動物など)を溶解するために使用されるリゾチーム、非染色性ペプチダーゼ、リソスタフィン、チオグリコシダーゼ、キタラーゼ、リチカーゼおよび他の市販のリゾチームを含み得る。例えば、界面活性剤に基づく溶解溶液を使用して細胞を溶解することもでき、例えば、溶解溶液は、TritonX-100およびTween 20などの非イオン性界面活性剤を含むことができる。例えば、溶解溶液は、ドデシルサルコシン酸ナトリウムおよびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのイオン性界面活性剤を含み得る。例えば、他の利用可能な溶解方法(エレクトロポレーション、熱的、音響的または機械的な細胞破壊など)も使用され得る。
【0274】
本出願では、バーコード化プローブは、スプリットプール合成によって形成され得る。例えば、バーコード化プローブが2つ以上の試料特異的バーコードを含むように、プローブは、PCRタグのうちの2つ以上、プローブおよびプライマーと分離した区画に共分配され、2つ以上のPCRタグは異なる。例えば、プローブは、バーコード化プローブが3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上または8つ以上の試料特異的バーコードを含むように、PCRタグのうちの3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上または8つ以上、プローブおよびプライマーと分離した区画に共分配される。
【0275】
本出願では、試料中の標的分子をプローブと接触させた後で、プローブに試料特異的バーコードを付着させる前に、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた固体支持体を提供し、オリゴヌクレオチドタグは一本鎖核酸であり得、各オリゴヌクレオチドタグは、試料特異的バーコードと、試料特異的バーコードの3’末端にハイブリダイゼーション配列とを含有し得る。プローブは、第1の鎖および第2の鎖を含有し得、第1の鎖は、標的分子結合ドメインを含有する。例えば、第2の鎖は、プローブ内のオリゴヌクレオチドアダプターに相補的な第2の部分を含み、第1および第2の鎖は、部分的二本鎖構造を形成し、第2の鎖は、オリゴヌクレオチドタグ内の試料特異的バーコードの3’末端のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1の部分を含む。例えば、プローブは、バーコード化プローブを得るために、分離した区画内で少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた固体支持体に付着させられる。本出願では、方法は、バーコード化プローブを生成するために、プローブ内の第2の鎖の第1の部分とオリゴヌクレオチドタグのハイブリダイゼーション配列との相補的ハイブリダイゼーション、およびオリゴヌクレオチドタグのハイブリダイゼーション配列とプローブとのライゲーションをさらに含み得る。ハイブリダイゼーションに関して、2つの核酸間のハイブリダイゼーションに適用可能な条件は、この分野で周知である、核酸の長さおよび相補性に依存する。2つのヌクレオチド配列間の相補性の程度が大きいほど、これらの相補的配列を有する核酸のハイブリッドの巻戻し温度(Tm)の値は大きくなる。本出願では、試料中の標的分子をプローブと接触させた後で、プローブに試料特異的バーコードを付着させる前に、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを有する固体支持体が提供され、各オリゴヌクレオチドタグは、第1の鎖および第2の鎖を含み、第1の鎖は、試料特異的バーコードと、試料特異的バーコードの3’末端にハイブリダイゼーション配列とを含み、第2の鎖は、第1の鎖のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1の部分と、プローブ内のオリゴヌクレオチドアダプターに相補的な第2の部分とを含む。部分的二本鎖構造を形成する第1および第2の鎖、ならびに少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着させた固体支持体は、バーコード化プローブを得るために、分離した区画内でプローブに接続される。
【0276】
本出願では、バーコード化プローブは、オリゴヌクレオチドタグをプローブと連結することによって生成され得る。例えば、オリゴヌクレオチドタグは、試料特異的バーコードと試料特異的バーコードの3’末端にハイブリダイゼーション配列とを含む第1の鎖を含み得、第2の鎖は、第1の鎖のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1の部分と、プローブ内のオリゴヌクレオチドアダプターの配列に相補的な第2の部分とを含み、第1および第2の鎖は、部分的二本鎖構造を形成し、プローブは一本鎖核酸であり得、オリゴヌクレオチドタグの第1の鎖のハイブリダイゼーション配列は、プローブ内のオリゴヌクレオチドアダプター内の配列に連結され、それによって、バーコード化プローブを生成する。例えば、オリゴヌクレオチドタグの第2の鎖の第2の部分をプローブ内のオリゴヌクレオチドアダプター内の配列とハイブリダイズさせ、オリゴヌクレオチドタグの第1の鎖のハイブリダイズさせた配列をプローブ内のオリゴヌクレオチドアダプター内の配列と連結させ、それによって、バーコード化プローブを生成する。ハイブリダイゼーションに関して、2つの核酸間のハイブリダイゼーションに適した条件は、当技術分野で周知である、核酸の長さおよび相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の相補性の程度が大きいほど、これらの相補的配列を有する核酸のハイブリッドの融解温度(Tm)の値は大きくなる。
【0277】
例えば、オリゴヌクレオチドタグの第2の鎖の第2の部分の長さは、それがその相補的配列(標的核酸に付着させたオリゴヌクレオチドアダプター配列またはその一部)と二本鎖構造を形成するのに十分である。
【0278】
例えば、オリゴヌクレオチドタグの第2の鎖の第2の部分の長さは、1ヌクレオチド以上、2ヌクレオチド以上、3ヌクレオチド以上、5ヌクレオチド以上、8ヌクレオチド以上、10ヌクレオチド以上、12ヌクレオチド以上、15ヌクレオチド以上、20ヌクレオチド以上、22ヌクレオチド以上、25ヌクレオチド以上または30ヌクレオチド以上であり得る。
【0279】
例えば、ハイブリダイゼーションは、塩基間の起こり得るミスマッチを排除しない。例えば、第2の鎖の第1の部分または第2の鎖の第2の部分の配列は、そのハイブリダイズさせた配列の配列に100%相補的である必要はない。例えば、それは、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上相補的であり得る。残りの非相補的ヌクレオチドは、相補的ヌクレオチドとともにクラスター化または分散されてもよく、互いにまたは相補的ヌクレオチドに隣接している必要はない。例えば、ポリヌクレオチドは、中間セグメントまたは隣接するセグメントがハイブリダイゼーション事象(例えば、ヘアピン形成、「バンプ(bumps)」など)に関与しないように、1つ以上のセグメント上でハイブリダイズし得る。
【0280】
例えば、オリゴヌクレオチドタグは、ライゲーション反応を用いてプローブに連結される。ライゲーションは、ホスホジエステル結合の形成を触媒することによって、2つの核酸セグメント、例えば、オリゴヌクレオチドタグの第1の鎖のハイブリダイゼーション配列と、プローブ内のオリゴヌクレオチドアダプター内の配列とを一緒に結合することを含み得る。ライゲーション反応には、DNAリガーゼ、例えば、大腸菌(Escherichia coli)DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、哺乳動物リガーゼ(例えば、DNAリガーゼI、DNAリガーゼIII、DNAリガーゼIV)、熱安定性リガーゼが含まれ得る。T4 DNAリガーゼは、DNA、オリゴヌクレオチド、RNAおよびRNA-DNAハイブリッドを含有するセグメントを連結することができる。ライゲーション反応は、DNAリガーゼを含まなくてもよいが、トポイソメラーゼなどの代替物が使用される。高濃度のDNAリガーゼおよびPEGは、迅速なライゲーションを実現することができる。ライゲーション反応に好適な温度を選択するために、DNAリガーゼの至適温度(例えば、37°C)、およびライゲーションされるDNAの融解温度が考慮され得る。ライゲーションに影響を及ぼし得るイオン相互作用を最小限に抑えるために、プローブおよびバーコード化固体支持体を好適な緩衝剤に懸濁してもよい。
【0281】
例えば、それは、分離した区画内の単一細胞から細胞の外側にプローブの少なくとも一部を放出すること、および放出されたプローブをオリゴヌクレオチドタグと連結してバーコード化プローブを生成することを含む。例えば、分離した区画内の単一細胞から細胞の外側にプローブの少なくとも一部を放出する工程は、細胞を溶解試薬と接触させて、分離した区画内の細胞の内容物を放出することを含み得る。溶解試薬は、生物学的に活性な試薬、例えば、様々な細胞型(例えば、グラム陽性菌またはグラム陰性菌、植物、酵母、哺乳動物など)を溶解するために使用されるリゾチーム、非染色性ペプチダーゼ、リソスタフィン、チオグリコシダーゼ、キタラーゼ、リチカーゼおよび他の市販のリゾチームを含み得る。例えば、界面活性剤に基づく溶解溶液を使用して細胞を溶解することもでき、例えば、溶解溶液は、TritonX-100およびTween 20などの非イオン性界面活性剤を含むことができる。例えば、溶解溶液は、ドデシルサルコシン酸ナトリウムおよびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのイオン性界面活性剤を含み得る。例えば、他の利用可能な溶解方法(エレクトロポレーション、熱的、音響的または機械的な細胞破壊など)も使用され得る。
【0282】
例えば、分離した区画内の単一細胞から細胞の外側にプローブの少なくとも一部を放出することは、分離した区画内の単一細胞から細胞の外側にプローブの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%を放出することを含み得る。
【0283】
例えば、それは、固体支持体から放出されたオリゴヌクレオチドタグの少なくとも一部を単一細胞に進入させること、およびプローブと連結してバーコード化プローブを生成することを含む。
【0284】
例えば、固体支持体から放出されたオリゴヌクレオチドタグの少なくとも一部を単一細胞に進入させる工程は、オリゴヌクレオチドタグの少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも75%を単一細胞に進入させることを含み得る。
【0285】
例えば、オリゴヌクレオチドタグは、固体支持体に放出可能に付着させられ得る。例えば、固体支持体に放出可能、切断可能または可逆的に付着させたオリゴヌクレオチドタグには、オリゴヌクレオチドタグ分子と固体支持体との間の連結の切断/破壊によって放出されるかもしくは放出可能なオリゴヌクレオチドタグ、もしくはオリゴヌクレオチドタグが他の薬剤によってアクセスされ得るかもしくはアクセス可能であり得るように固体支持体自体の分解によって放出されるオリゴヌクレオチドタグ、またはその両方が含まれる。
【0286】
例えば、固体支持体前駆体と連結させたアクリダイト部分、固体支持体前駆体と連結させた別の物質、または前駆体自体は、化学的結合、熱的結合または感光性結合、例えば、ジスルフィド結合、UV感受性結合などの不安定な結合を含有する。不安定な結合は、物質(例えば、オリゴヌクレオチドタグ)を固体支持体に可逆的に連結(共有結合)し得る。例えば、熱的に不安定な結合は、ハイブリッドの熱分解鎖が固体支持体(またはビーズ)、例えば、オリゴヌクレオチドタグを含有する配列からオリゴヌクレオチドを放出するような核酸ハイブリダイゼーション(例えば、オリゴヌクレオチドが固体支持体に付着させた相補的配列とハイブリダイズする場合)に基づく付着を含み得る。さらに、ゲル固体支持体に様々なタイプの不安定な結合を付加すると、様々な刺激に応答することができる固体支持体が生成され得る。各タイプの不安定な結合は、各不安定な結合によって固体支持体に付着させた物質の放出が適切な刺激を加えることによって制御され得るように、関連する刺激(例えば、化学刺激、光、温度など)に対して感受性であり得る。例えば、ゲルビーズの活性化官能基によってゲル固体支持体が形成された後に、不安定な結合を含有する別の物質をゲル固体支持体に付着させることができる。活性化可能な基が(例えば、共分配によって)所望の試薬セットへの送達時に所望の試薬と反応し得るように、固体支持体に放出可能に付着させた、または分離した区画に配置された(関連する活性化可能な基を有する)試薬を提供してもよい。そのような活性化可能な基には、ケージ基、除去可能なブロッキング基または保護基、例えば、光不安定基、熱不安定基または化学的に除去可能な基が含まれる。熱的に切断可能な結合、ジスルフィド結合およびUV感受性結合に加えて、前駆体または固体支持体にカップリングされ得る不安定な結合の他の非限定的な例には、エステル結合(例えば、酸、塩基またはヒドロキシルアミンによって切断可能)、o-ジオール結合(例えば、過ヨウ素酸ナトリウムによって切断可能)、ディールス・アルダー結合(例えば、熱によって切断可能)、スルホン結合(例えば、塩基によって切断可能)、シリルエーテル結合(例えば、酸によって切断可能)、グリコシド結合(例えば、アミラーゼによって切断可能)、ペプチド結合(例えば、プロテアーゼによって切断可能)、またはホスホジエステル結合(例えば、ヌクレアーゼ(DNaseによって切断可能)が挙げられる。
【0287】
例えば、オリゴヌクレオチドタグは、その第1の鎖の5’末端を介して固体支持体に直接的または間接的に付着させられる。
【0288】
例えば、バーコード化プローブでは、プローブは、試料特異的バーコードの3’末端に位置する。例えば、プローブは、試料特異的バーコードの3’末端に直接的に連結され得る。例えば、プローブは、試料特異的バーコードの3’末端に直接的に連結されなくてもよく、プローブと試料特異的バーコードとの間に他の任意のヌクレオチド配列が存在してもよい。
【0289】
例えば、バーコード化プローブでは、プローブは、試料特異的バーコードの5’末端に位置する。例えば、プローブは、試料特異的バーコードの5’末端に直接的に連結され得る。例えば、プローブは、試料特異的バーコードの5’末端に直接的に連結されなくてもよく、プローブと試料特異的バーコードとの間に他の任意のヌクレオチド配列が存在してもよい。
【0290】
例えば、バーコード化プローブを増幅することができる。例えば、バーコード化プローブは分離した区画から放出され、バーコード化プローブが分離した区画から放出された後に増幅が行われる。例えば、バーコード化プローブが分離した区画から放出された後に、さらなる化学的修飾または酵素的修飾が行われ、続いて、増幅が行われてもよい。
【0291】
例えば、増幅には増幅プライマーが使用される。例えば、増幅は、PCR増幅に使用され得る他方の側に固定化配列も有するように、バーコード化標的核酸のさらなる修飾も含み得る。例えば、修飾は、逆転写鎖変換、第2の鎖合成、および末端トランスフェラーゼ反応を含み得る。
【0292】
例えば、増幅プライマーには、汎用的なプライマーも含まれ得る。
【0293】
例えば、増幅プライマーは増幅に使用され、増幅プライマーはランダムガイド配列を含み得る。ランダムガイド配列は、各位置で四重縮重を示すことができるランダムプライマーを含む。例えば、ランダムプライマーは、様々なランダム配列長を有する、当技術分野で公知の任意の核酸プライマーを含む。例えば、ランダムプライマーは、3、4、5、6、7、8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のヌクレオチド長のランダム配列を含み得る。例えば、複数のランダムプライマーは、異なる長さを有するランダムプライマーを含み得る。例えば、複数のランダムプライマーは、等しい長さを有するランダムプライマーを含み得る。例えば、複数のランダム物体は、約5~約18ヌクレオチド長のランダム配列を含み得る。例えば、複数のランダム物体は、ランダム六量体を含む。ランダム六量体は、市販されており、増幅反応、例えば、多置換増幅(MDA)、例えば、REPLI-gゲノムワイド増幅キット(QIAGEN,Valencia,CA)に広く使用されている。本明細書に記載の方法および組成物では、任意の好適な長さのランダムプライマーを使用することができる。
【0294】
例えば、増幅は、ランダムパイロット配列をバーコード化プローブと少なくとも部分的にハイブリダイズさせ、ランダムパイロット配列を鋳型指向的に伸長することを含む。
【0295】
本出願では、標的分子は、単一細胞に由来するDNAを含み得る。例えば、DNAには、ゲノムDNA、オープンクロマチンDNA、タンパク質結合DNA領域、ならびに/または細胞内の標的分子に結合することができるタンパク質、脂質および/もしくは小分子化合物に結合した外因性核酸が含まれる。
【0296】
本出願では、単一細胞由来のDNAを断片化することができる。例えば、標的分子に結合するプローブは、断片化後または断片化中に生成され得る。例えば、断片化は、超音波切断を使用し、続いて、切断されたDNAに、オリゴヌクレオチドアダプターを含む配列を付加して、標的分子に結合するプローブを得ることを含み得る。
【0297】
例えば、断片化は、DNAエンドヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ中断を使用し、次いで、切断されたDNAに、オリゴヌクレオチドアダプターを含む配列を付加して、標的分子に結合するプローブを得ることを含み得る。例えば、ヌクレオチドアダプター配列は、トランスポゾン末端配列を含む。例えば、トランスポゾン末端配列は、Tn5トランスポゾン末端配列または修飾Tn5トランスポゾン末端配列である。例えば、トランスポゾン末端配列は、Muトランスポゾン末端配列である。例えば、Tn5トランスポゾン末端配列もしくは修飾Tn5トランスポゾン末端配列またはMuトランスポゾン末端配列は、15~25ヌクレオチド、例えば、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチドを含有し得る。
【0298】
例えば、断片化は、トランスポザーゼ-核酸複合体を使用してオリゴヌクレオチドアダプターを含む配列をDNAに組み込み、トランスポザーゼを放出して、付着した標的核酸を得ることを含み得る。例えば、トランスポザーゼ-核酸複合体は、トランスポザーゼおよびトランスポゾン末端核酸分子を含み得、トランスポゾン末端核酸分子は、オリゴヌクレオチドアダプター配列を含み得る。例えば、トランスポザーゼは、Tn5を含み得る。例えば、DNAには、タンパク質に結合するDNA領域が含まれ得、トランスポザーゼ-核酸複合体は、該タンパク質を直接的または間接的に認識する部分も含み得る。例えば、タンパク質を直接的または間接的に認識する部分は、タンパク質およびプロテインAまたはプロテインGに特異的に結合する抗体のうちの1つ以上を含み得る。
【0299】
本出願では、バーコード化プローブは、オリゴヌクレオチドタグをプローブと連結することによって生成され得る。例えば、オリゴヌクレオチドタグは、試料特異的バーコードと試料特異的バーコードの3’末端にハイブリダイゼーション配列とを含む第1の鎖を含み得、第2の鎖は、第1の鎖のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1の部分と、プローブ内のオリゴヌクレオチドアダプターの配列に相補的な第2の部分とを含み、第1および第2の鎖は、部分的二本鎖構造を形成し、プローブは一本鎖核酸であり得、オリゴヌクレオチドタグの第1の鎖のハイブリダイゼーション配列は、プローブ内のオリゴヌクレオチドアダプター内の配列に連結され、それによって、バーコード化プローブを生成する。例えば、オリゴヌクレオチドタグの第2の鎖の第2の部分をプローブ内のオリゴヌクレオチドアダプター内の配列とハイブリダイズさせ、オリゴヌクレオチドタグの第1の鎖のハイブリダイズさせた配列をプローブ内のオリゴヌクレオチドアダプター内の配列と連結すること、それによって、バーコード化プローブを生成する。ハイブリダイゼーションに関して、2つの核酸間のハイブリダイゼーションに適した条件は、当技術分野で周知である、核酸の長さおよび相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の相補性の程度が大きいほど、これらの相補的配列を有する核酸のハイブリッドの融解温度(Tm)の値は大きくなる。
【0300】
例えば、オリゴヌクレオチドタグの第2の鎖の第2の部分の長さは、それがその相補的配列(標的核酸に付着させたオリゴヌクレオチドアダプター配列またはその一部)と二本鎖構造を形成するのに十分である。
【0301】
例えば、オリゴヌクレオチドタグの第2の鎖の第2の部分の長さは、1ヌクレオチド以上、2ヌクレオチド以上、3ヌクレオチド以上、5ヌクレオチド以上、8ヌクレオチド以上、10ヌクレオチド以上、12ヌクレオチド以上、15ヌクレオチド以上、20ヌクレオチド以上、22ヌクレオチド以上、25ヌクレオチド以上または30ヌクレオチド以上であり得る。
【0302】
例えば、ハイブリダイゼーションは、塩基間の起こり得るミスマッチを排除しない。例えば、第2の鎖の第1の部分または第2の鎖の第2の部分の配列は、そのハイブリダイズさせた配列の配列に100%相補的である必要はない。例えば、それは、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上相補的であり得る。残りの非相補的ヌクレオチドは、相補的ヌクレオチドとともにクラスター化または分散されてもよく、互いにまたは相補的ヌクレオチドに隣接している必要はない。例えば、ポリヌクレオチドは、中間セグメントまたは隣接するセグメントがハイブリダイゼーション事象(例えば、ヘアピン形成、「バンプ(bumps)」など)に関与しないように、1つ以上のセグメント上でハイブリダイズし得る。
【0303】
例えば、オリゴヌクレオチドタグは、ライゲーション反応を用いてプローブに連結される。ライゲーションは、ホスホジエステル結合の形成を触媒することによって、2つの核酸セグメント、例えば、オリゴヌクレオチドタグの第1の鎖のハイブリダイゼーション配列と、プローブ内のオリゴヌクレオチドアダプター内の配列とを一緒に結合することを含み得る。ライゲーション反応には、DNAリガーゼ、例えば、大腸菌(Escherichia coli)DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、哺乳動物リガーゼ(例えば、DNAリガーゼI、DNAリガーゼIII、DNAリガーゼIV)、熱安定性リガーゼが含まれ得る。T4 DNAリガーゼは、DNA、オリゴヌクレオチド、RNAおよびRNA-DNAハイブリッドを含有するセグメントを連結することができる。ライゲーション反応は、DNAリガーゼを含まなくてもよいが、トポイソメラーゼなどの代替物が使用される。高濃度のDNAリガーゼおよびPEGは、迅速なライゲーションを実現することができる。ライゲーション反応に好適な温度を選択するために、DNAリガーゼの至適温度(例えば、37°C)、およびライゲーションされるDNAの融解温度が考慮され得る。ライゲーションに影響を及ぼし得るイオン相互作用を最小限に抑えるために、プローブおよびバーコード化固体支持体を好適な緩衝剤に懸濁してもよい。
【0304】
例えば、それは、分離した区画内の単一細胞から細胞の外側にプローブの少なくとも一部を放出すること、および放出されたプローブをオリゴヌクレオチドタグと連結してバーコード化プローブを生成することを含む。例えば、分離した区画内の単一細胞から細胞の外側にプローブの少なくとも一部を放出する工程は、細胞を溶解試薬と接触させて、分離した区画内の細胞の内容物を放出することを含み得る。溶解試薬は、生物学的に活性な試薬、例えば、様々な細胞型(例えば、グラム陽性菌またはグラム陰性菌、植物、酵母、哺乳動物など)を溶解するために使用されるリゾチーム、非染色性ペプチダーゼ、リソスタフィン、チオグリコシダーゼ、キタラーゼ、リチカーゼおよび他の市販のリゾチームを含み得る。例えば、界面活性剤に基づく溶解溶液を使用して細胞を溶解することもでき、例えば、溶解溶液は、TritonX-100およびTween 20などの非イオン性界面活性剤を含むことができる。例えば、溶解溶液は、ドデシルサルコシン酸ナトリウムおよびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのイオン性界面活性剤を含み得る。例えば、他の利用可能な溶解方法(エレクトロポレーション、熱的、音響的または機械的な細胞破壊など)も使用され得る。
【0305】
例えば、分離した区画内の単一細胞から細胞の外側にプローブの少なくとも一部を放出することは、分離した区画内の単一細胞から細胞の外側にプローブの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%を放出することを含み得る。
【0306】
例えば、それは、固体支持体から放出されたオリゴヌクレオチドタグの少なくとも一部を単一細胞に進入させること、およびプローブと連結してバーコード化プローブを生成することを含む。
【0307】
例えば、固体支持体から放出されたオリゴヌクレオチドタグの少なくとも一部を単一細胞に進入させる工程は、オリゴヌクレオチドタグの少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも75%を単一細胞に進入させることを含み得る。
【0308】
例えば、オリゴヌクレオチドタグは、固体支持体に放出可能に付着させられ得る。例えば、固体支持体に放出可能、切断可能または可逆的に付着させたオリゴヌクレオチドタグには、オリゴヌクレオチドタグ分子と固体支持体との間の連結の切断/破壊によって放出されるかもしくは放出可能なオリゴヌクレオチドタグ、もしくはオリゴヌクレオチドタグが他の薬剤によってアクセスされ得るかもしくはアクセス可能であり得るように固体支持体自体の分解によって放出されるオリゴヌクレオチドタグ、またはその両方が含まれる。
【0309】
固体支持体
本出願では、固体支持体は、ビーズを含み得る。例えば、ビーズは、多孔質、非多孔質および/またはそれらの組合せであってよい。例えば、ビーズは、固体半固体半流体流体および/またはそれらの組合せであってよい。例えば、ビーズは、可溶性、破壊可能および/または分解性であり得る。例えば、ビーズは非分解性であってよい。例えば、ビーズはゲルビーズであってよい。ゲルビーズは、ヒドロゲルビーズであってよい。ゲルビーズは、ポリマーまたはモノマー物質などの分子前駆体から形成され得る。半固体ビーズはリポソームビーズであってよい。固体ビーズは、酸化鉄、金および銀を含む金属を含有してもよい。例えば、ビーズはシリカビーズであってよい。例えば、ビーズは磁気ビーズである。例えば、ビーズは剛性であってよい。例えば、ビーズは、可撓性および/または圧縮性であってよい。
【0310】
例えば、ビーズは、任意の好適な形状を有し得る。例えば、ビーズの形状には、限定するものではないが、球形、非球形、楕円形、長円形、非晶質、円形、円筒形およびそれらの変形形態が含まれ得る。
【0311】
例えば、ビーズは、均一なサイズまたは不均一なサイズを有し得る。例えば、ビーズの直径は、少なくとも約10nm、100nm、500nm、1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、250μm、500μm、1mmまたはそれ以上であり得る。例えば、ビーズの直径は、約10nm、100nm、500nm、1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、250μm、500μm、1mmまたはそれ以下を下回り得る。例えば、ビーズの直径は、約40~75μm、30~75μm、20~75μm、40~85μm、40~95μm、20~100μm、10~100μm、1~100μm、20~250μm、または20~500μmの範囲であり得る。
【0312】
例えば、ビーズは、比較的単分散のサイズ分布を有するビーズ集団または複数のビーズの形態で提供され得る。比較的一貫した量の試薬を分離した区画に提供する必要がある場合に、比較的一貫したビーズ特性(例えば、サイズ)を維持すると、全体的な一貫性が促進され得る。特に、本明細書に記載のビーズは、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、例えば、15%未満、10%未満、5%未満またはそれ以下の断面寸法の変動係数を有するサイズ分布を有し得る。
【0313】
例えば、ビーズは、天然および/または合成材料を含有し得る。例えば、ビーズは、天然ポリマー、合成ポリマー、または天然ポリマーおよび合成ポリマーを含有し得る。天然ポリマーには、タンパク質および糖、例えば、デオキシリボ核酸、ゴム、セルロース、デンプン(例えば、アミロース、アミロペクチン)、タンパク質、酵素、多糖、絹、ポリヒドロキシアルカノアート、キトサン、グルカン、コラーゲン、カラギーナン、プランタギニス・オバタ(plantaginis ovata)、アラビアガム、寒天、ゼラチン、シェラック、シカモアガム(sycamore gum)、キサンタンガム、コーンシュガーガム、グアーガム、シカモアガム、アガロース、アルギナート、アルギナートまたはそれらの天然ポリマーが含まれ得る。合成ポリマーには、アクリル、ナイロン、シロキサン、スパンデックス、ビスコースレーヨン、ポリカルボン酸、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリラート、ポリエチレングリコール、ポリウレタン、ポリ乳酸、二酸化ケイ素、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリカーボナート、ポリエチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタラート、ポリイソブチレン、ポリメチルメタクリラート、ポリオキシメチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンおよび/またはそれらの組合せ(例えば、コポリマー)が含まれ得る。ビーズはまた、ポリマー以外の材料、例えば、脂質、ミセル、セラミック、ガラスセラミック、材料複合体、金属、他の無機材料などによって形成され得る。
【0314】
例えば、ビーズは、分子前駆体の重合によってポリマーネットワークを形成し得る分子前駆体(例えば、モノマーまたはポリマー)を含有し得る。例えば、前駆体は、例えば、化学架橋によってさらに重合され得る重合した物質であってよい。例えば、前駆体は、アクリルアミドまたはメタクリルアミドのモノマーオリゴマーまたはポリマーのうちの1つ以上を含み得る。例えば、ビーズは、さらなる重合が可能なオリゴマーであるプレポリマーを含み得る。例えば、ポリウレタンビーズは、プレポリマーを使用して調製され得る。例えば、ビーズは、一緒にさらに重合され得る別個のポリマーを含有し得る。例えば、ビーズは、混合ポリマーコポリマーおよび/またはブロックコポリマーを含むように、様々な前駆体の重合によって生成され得る。例えば、ビーズは、ポリマー前駆体(例えば、モノマー、オリゴマー、線状ポリマー)、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)、プライマーおよび他の実体の間に共有結合またはイオン結合を含有し得る。例えば、共有結合は、炭素-炭素結合、チオエーテル結合、または炭素-ヘテロ原子結合であってよい。
【0315】
例えば、架橋は、使用される特定の架橋剤に応じて恒久的または可逆的であり得る。可逆的架橋は、ポリマーを適切な条件下で線状化または解離させることを可能にする。例えば、可逆的架橋はまた、結合物質がビーズ表面に可逆的に付着することを可能にし得る。例えば、架橋剤は、ジスルフィド結合を形成し得る。例えば、ジスルフィド結合を形成する化学架橋剤は、シスタミンまたは修飾シスタミンであってよい。
【0316】
例えば、ジスルフィド結合は、ビーズに組み込まれた分子前駆体ユニット(例えば、モノマー、オリゴマーまたは線状ポリマー)間、または前駆体と核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)との間に形成され得る。例えば、シスタミン(修飾シスタミンを含む)は、ビーズまたはポリマー前駆体の個々のモノマー間の架橋剤として使用され得る、ジスルフィド結合を含有する有機試薬である。ポリアクリルアミドは、シスタミン、またはシスタミンを含む物質(例えば、修飾シスタミン)の存在下で重合されて、ジスルフィド結合を含むポリアクリルアミドゲルビーズ(例えば、化学的に還元可能な架橋剤を含む化学的に分解可能なビーズ)を生成してもよい。ジスルフィド結合は、還元剤に曝露した場合にビーズの分解または溶解を可能にし得る。
【0317】
例えば、キトサン(線状多糖ポリマー)は、親水性鎖を介してグルタルアルデヒドによって架橋されてビーズを形成することができる。キトサンポリマーの架橋は、熱、圧力、pH変化および/または放射線によって誘発される化学反応によって達成され得る。
【0318】
例えば、ビーズは、微小流体液滴プラットフォームを使用することによって微小液滴中で均一なサイズを有するゲルビーズに重合される、アガロース、ポリエンアミドおよびPEGなどの様々なモノマーによって重合された単一モノマーもしくは混合モノマーの巨大分子、またはキチン、ヒアルロン酸およびデキストランなどの巨大分子ゲルであり得る。
【0319】
例えば、ビーズは、いくつかの態様では、1つ以上の核酸分子(例えば、バーコード、バーコード核酸分子、バーコードオリゴヌクレオチド、プライマーまたは他のオリゴヌクレオチド)をビーズに付着させるために使用され得るアクリダイト部分を含み得る。例えば、アクリダイト部分とは、重合反応中のアクリダイトと他のモノマーおよび架橋剤との反応など、アクリダイトと1つ以上の物質との反応によって生成されるアクリダイト類似体を指し得る。アクリダイト部分は、付着させた物質、例えば、核酸分子(例えば、試料特異的バーコード、バーコード化プローブ、プライマーまたは他のオリゴヌクレオチド)と化学結合を形成するように修飾され得る。アクリダイト部分は、ジスルフィド結合を形成することができるメルカプタン基によって修飾され得るか、または既にジスルフィド結合を含有する基によって修飾され得る。(ジスルフィド交換を介した)メルカプタンもしくはジスルフィドが、付着させる物質のためのアンカー点として使用され得るか、またはアクリダイト部分の別の部分が付着のために使用され得る。例えば、ジスルフィド結合が切断すると(例えば、還元剤の存在下で)、付着した物質がビーズから放出されるように、付着は可逆的であり得る。他の場合には、アクリダイト部分は、付着に使用され得る反応性ヒドロキシル基を含有し得る。ジスルフィド結合に加えて、UV光誘導放出などの他の放出モードが含まれてもよいか、または酵素放出が使用されてもよい。
【0320】
分離した区画
本出願は、固体支持体(例えば、ビーズ)を試料と共分配するための、例えば、試料成分とビーズとを同じ分離した区画に共分配するための装置を提供する。例えば、プローブと、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグまたはPCRタグを付着させた固体支持体とは、分離した区画に共分配される。
【0321】
例えば、分離した区画は、細孔または微小液滴を含み得る。例えば、プローブと、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグまたはPCRタグを付着させた固体支持体とは、細孔または微小液滴中に共分配される。例えば、細孔には、細胞培養プレートの上部試料細孔、または装置と協働することができ、共分配に適合された任意の他の容器細孔が含まれ得る。例えば、細孔には、96ウェルプレートの細孔が含まれ得る。例えば、分離した区画は微小液滴である。例えば、分離した区画の各々は、最大で、単一細胞に由来する標的分子に結合するプローブを含む。例えば、標的分子は、単一細胞または核内に位置する。例えば、単一細胞に結合する標的分子は、微小流体装置を使用することによって、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグまたはPCRタグを付着させた固体支持体と分離した区画に共分配される。
【0322】
例えば、分離した区画(例えば、液滴または細孔)は単一細胞を含有し、本出願の方法に従って処理される。例えば、分離した区画は、単一細胞および/または単一核を含有する。単一細胞および/または単一核は、本出願の方法に従って分配および処理され得る。例えば、単一細胞核は、細胞の構成部分であり得る。例えば、分離した区画は、単一細胞または単一核(例えば、単一染色体、またはゲノムの他の部分)由来のクロマチンを含有し、本出願の方法に従って分配および処理される。
【0323】
例えば、リガーゼも分離した区画に含まれ、リガーゼは、標的分子に結合したプローブにオリゴヌクレオチドタグを連結することを可能にする。分離した区画には、限定するものではないが、リガーゼが含まれ、他の所望の酵素も含まれ得る。例えば、DNAポリメラーゼ、DNAエンドヌクレアーゼ、DNAエキソヌクレアーゼ、末端トランスフェラーゼ、および固体支持体から放出されたオリゴヌクレオチドタグを感光性酵素活性に対してpH感受性にすることができる酵素。リガーゼには、限定するものではないが、T4リガーゼが含まれ、例えば、大腸菌(Escherichia coli)DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、哺乳動物リガーゼ(例えば、DNAリガーゼI、DNAリガーゼIII、DNAリガーゼIV)、熱安定性リガーゼなども含まれ得る。
【0324】
本出願では、微小流体装置は液滴発生器であってよい。例えば、微小流体装置を使用して、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体と試料とを含有する水性微小液滴を形成することによって、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体を試料(例えば、標的核酸を含有する試料)と組み合わせてもよい。水性の小さな微小液滴は、分離した区画として機能する。水性液滴は、油相に囲まれた水性コア、例えば、油中水型エマルジョン内の水性液滴であってよい。水性液滴は、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した1つ以上の固体支持体と、試料と、増幅試薬と、還元剤とを含有してもよい。例えば、水性液滴は、水、ヌクレアーゼ不含水、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体、アセトニトリル、固体支持体、ゲル固体支持体、ポリマー前駆体、ポリマーモノマー、ポリアクリルアミドモノマー、アクリルアミドモノマー、分解性架橋剤、非分解性架橋剤、ジスルフィド結合、アクリダイト部分、PCR試薬、細胞、核、葉緑体、ミトコンドリア、リボソーム、プライマー、ポリメラーゼ、細胞バーコード、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、ペプチドポリヌクレオチド、相補的DNA(cDNA)、二本鎖DNA(dsDNA)、一本鎖DNA(ssDNA)、ミトコンドリアDNA、リボソームRNA、ウイルスDNA、細菌DNA、mtDNA(ミトコンドリアDNA)、mRNA、rRNA、tRNA、tRNA、nRNA、siRNA、snRNA、snoRNA、scaRNA、マイクロRNA、dsRNA、プローブ、色素、有機化合物、乳化剤、界面活性剤、安定剤、ポリマー、アプタマー、還元剤、開始剤、ビオチンマーカー、フルオロフォア、緩衝剤、酸性溶液、アルカリ溶液、感光性酵素、pH感受性酵素、水性緩衝剤、油、塩、洗剤、イオン性洗剤、非イオン性洗剤などのうちの1つ以上を含み得る。ひと言で言えば、水性微小液滴の組成は、特定の処理要件に従って変化する。
【0325】
水性微小液滴は、均一または不均一なサイズを有し得る。例えば、水性液滴の直径は、約1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、45μm、50μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、90μm、100μm、250μm、500μmまたは1mmであり得る。例えば、流体液滴は、少なくとも約1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、45μm、50μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、90μm、100μm、250μm、500μm、1mmまたはそれ以上の直径を有し得る。例えば、流体液滴は、約1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、45μm、50μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、90μm、100μm、250μm、500μmまたは1mmを下回る直径を有し得る。例えば、流体液滴は、約40~75μm、30~75μm、20~75μm、40~85μm、40~95μm、20~100μm、10~100μm、1~100μm、20~250μm、または20~500μmの範囲の直径を有し得る。
【0326】
組合せおよびキット
本出願はまた、1)標的分子結合ドメインとプローブ同定タグとを含む2つ以上のプローブ、2)複数の固体支持体であって、固体支持体の各々が、少なくとも1つのPCRタグの固体支持体に付着させられ、PCRタグの各々が、試料特異的バーコードと、試料特異的バーコードの3’末端にPCRハンドル配列とを含み、PCRハンドル配列が、プローブ同定タグ配列と同じである複数の固体支持体を含み、遊離プライマーおよびPCR試薬を提供する組合せであって、プライマーが、プローブ内の標的分子結合ドメインの配列を補完する組合せを提供する。
【0327】
また、本出願は、本出願に記載の組合せを含むキットを提供する。例えば、キットは、トランスポザーゼも含み得る。例えば、キットは、核酸増幅剤、逆転写剤、固定化剤、透過剤、連結剤および溶解剤のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0328】
いかなる理論にも限定されるものではないが、以下の例は、本出願の組成物キット方法および使用を例示することのみを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0329】
実施形態
例1 プライマー設計
1.1 一般的なプライマー設計プログラムによって、プライマーを設計した。primer 3によって以下のプライマーを設計した。標的種のトランスクリプトーム遺伝子モデルでは、標的遺伝子を選択し、各遺伝子に対して10対のプライマーを設計した。遺伝子内の隣接位置に従って、25bpの長さを有する上流プライマーおよび下流プライマーをそれらの特異性を確実にするようにそれぞれ設計した。
【0330】
具体例:
各プライマー対の上流プライマー:ATCCACGTGCTTGAG(配列番号1)-UMI-プローブ配列
各プライマー対の下流プライマー:プローブ-AGATCGGAAGAGCACACGTCTG(配列番号9)
ここで、UMIの配列はnnnnnnn(ランダム配列)である。
【0331】
1.2 上流プライマーの合成
1.2.1 Twist Bioscienceを用いて、プローブプライマーのセットを最初に平行合成した。
プローブプライマーセットの配列は、以下である:
ATCCACGTGCTTGAG(配列番号1)-nnnnnnn-プローブ-GATCACTCTGCGTTGATACCAC(配列番号10)
【0332】
1.2.2 以下のプライマーを使用して、PCRによって、上流プライマーのライブラリーを増幅した。
プライマー1:ビオチン-ATCCACGTGCTTGAG(配列番号1)
プライマー2:GTGGTATCAACGCAGAGTGATC(配列番号2)
【0333】
1.2.3 その後、PCR産物を精製し、DpnIIによって消化して、プローブの下流配列を除去した。
【0334】
1.2.4 ストレプトアビジン(SA)磁気ビーズとの結合、配列は以下の通りである:
磁気ビーズ-SA-ビオチン-ATCCACGTGCTTGAG(配列番号1)nnnnnnnn-プローブ-
【0335】
1.2.5 次いで、0.1M NaOHによって変性させて、PCR相補鎖を除去する。
【0336】
1.2.6 次いで、100°Cで加熱して、ストレプトアビジン磁気ビーズに結合したフォワードプローブプライマーを放出させる。
ビオチン-ATCCACGTGCTTGAG(配列番号1)nnnnnnnn-プローブ-
【0337】
1.3 下流プライマーの合成
1.3.1 Twist Bioscienceを用いて、プローブプライマーのセットを平行合成した。
プローブプライマーセットの配列は、以下である:
CTTCCGATCTGGTCTCG(配列番号3)-プローブ-AGATCGGAAGAGCACACGTCTG(配列番号9)
【0338】
1.3.2 以下のプライマーを使用して、PCRによって、下流プライマーのライブラリーを増幅した。
プライマー3:ビオチン-CTTCCGATCTGGTCTCG(配列番号3)
プライマー4:ビオチン-CAGACGTGTGCTCTTCCGATCT(配列番号4)
【0339】
1.3.3 PCR産物をストレプトアビジン磁気ビーズと結合させ、BsaI-HF酵素によって消化して、余分のプライマー配列を除去した。
【0340】
1.3.4 次いで、以下に示すように、95°Cで加熱することによって変性させて、最終プライマーを得る。
プローブ-AGATCGGAAGAGCACACGTCTG(配列番号9)
【0341】
例2 試料調製、プローブと試料とのハイブリダイゼーション
2.1 最初に、細胞を4%ホルムアルデヒドのPBS溶液によって室温で10分間固定化し、次いで、脱水し、-20°C、100%エタノール中で保存した。
【0342】
2.2 その後、ハイブリダイゼーション溶液を調製し、ハイブリダイゼーション溶液の組成は、10%ホルムアミド+2×クエン酸ナトリウム緩衝剤(SSC)+10%デキストラン硫酸ナトリウムとした。
【0343】
2.3 細胞を42°Cで1時間、ハイブリダイゼーション溶液中でプレハイブリダイズさせた。
【0344】
2.4 合計濃度10uMまで、上流プライマープールおよび下流プライマープールを細胞に添加した。
【0345】
2.5 次いで、42°Cで12~24時間ハイブリダイゼーションする。
【0346】
2.6 細胞をハイブリダイゼーション溶液によって2回洗浄した。
【0347】
2.7 細胞を1%BSAを含有するPBSによって2回洗浄した。
【0348】
2.8 細胞を1×T4リガーゼ緩衝剤によって再懸濁し、室温で1時間かけてT4リガーゼとライゲーションした。
【0349】
2.9 細胞を1%BSAを含有するPBSによって2回洗浄した。
【0350】
例3 ライゲーションによる単一細胞の標識化
3.1 固体支持体(例えば、ビーズ)上に固定化された、試料特異的バーコードを含むオリゴヌクレオチドタグの調製。
固体支持体(例えば、ビーズ)に付着させた配列は以下の通りである:ビーズ-S-S-PCRアダプター-バーコード1-リンカー1-バーコード2-リンカー2-バーコード3-リンカーハンドル(ハイブリダイゼーション配列)
【0351】
このうち、PCRアダプターの配列をACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(配列番号5)、リンカー1をCGACTCACTACAGGG(配列番号6)、リンカー2の配列をTCGGTGACACGATCG(配列番号7)、リンカーハンドルの配列をGACAGCとする。バーコード1=5bp塩基の96個の配列、バーコード2=5bp塩基の96個の配列、バーコード3=5bp塩基の96個の配列。
【0352】
3.2 3×96配列の合成
3.2.1 PCRハンドル-96×バーコード1-リンカー1、およびこれらの配列の96個の逆相補的配列を合成した。
【0353】
3.2.1 リンカー1-96×バーコード2-リンカー2、およびこれらの配列の96個の逆相補的配列を合成した。
【0354】
3.2.3 リンカー2-96×バーコード3-PCRリンカー、およびこれらの配列の96個の逆相補的配列を合成した。
【0355】
3.3 ビーズの合成:
以下のアミノ配列を合成した:5’アミン-S-S-ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(配列番号5)、および30μmカルボキシル修飾ビーズ(Knowledge&Benefit、KBsphere(登録商標)、www.kbspheres.com/productshow.asp?id=903)。
【0356】
カップリング反応:ビーズ+50mM EDC+100μmのアミノ配列、アミノ配列およびカルボキシルミクロスフェアをカップリングさせて、以下の構造を得た:ビーズ-S-S-ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(配列番号5)。
【0357】
4)タグの付着
合成したビーズを96ウェルプレートに均等に分割し、次いで、1回目のバーコード化反応のためにPCRハンドル-96×バーコード1-リンカー1をそれぞれ添加した。反応系およびプロセスは以下の通りである:10μlのミクロスフェア+2μlのBstI緩衝剤+1μlの10μM dNTP+1μlの100μM PCRハンドル-96×バーコード1-リンカー1、次いで、95°Cで5分間および60°Cで20分間保持する。次いで、1μlのBstI+5μlのHOを添加し、60°Cで60分間保持した。
【0358】
1回目のバーコード化反応の後、全ビーズを回収し、混合し、95°Cで5分間反応させて相補鎖を除去し、洗浄して1回目のバーコード化ミクロスフェア(96×バーコード1-リンカー1)を得た。次いで、ビーズを96ウェルプレートに均等に分割し、そこにリンカー1-96×バーコード2-リンカー2(2回目)、およびリンカー2-96×バーコード3-PCRハンドル(3回目)を添加した。2回目および3回目のバーコード化反応を1回目の系方法に従って行って、最終的に三重タグを有する一本鎖ビーズを得た。ビーズを洗浄した後、それらを相補的配列GCTCTGGCTGTC(配列番号8(逆配列))とアニーリングして部分的二本鎖構造を形成し、部分的二本鎖構造に付着させた以下のビーズを最終的に得た:
【0359】
ビーズ-S-S-ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(配列番号5)-バーコード1-CGACTCACTAGGG(配列番号6)-バーコード2-TCGGTGACACGATCG(配列番号7)-バーコード3-ATCCACCGTGCTTGAG(配列番号1)。
【0360】
例4 液滴PCRによる単一細胞の標識化
4.1 微小流体装置を用いて、プローブ、標識ビーズおよびPCR酵素試薬とハイブリダイズした細胞を、以下のようにプライマーを用いてミクロスフェアに包む。
プライマー:ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(配列番号5)
プライマー:CAGACGTGTGCTCTTCCGATCT(配列番号4)
【0361】
4.2 液滴中で以下のPCR反応を行う
反応系:95°Cで5分間;95°Cで10秒間;55°Cで20秒間;72°Cで30秒間;20サイクル。
【0362】
4.3 全液滴を回収し、パーフルオロオクタノールによって破壊し、水相を回収した。
【0363】
4.4 PCR産物を1.8×磁気ビーズによって回収し、各細胞におけるライゲーション用プライマーに、以下に示す構造を有する細胞バーコードを付加した。
すなわち、リード1-細胞バーコード-PCRアダプター-UMI-上流プローブ-下流プローブ-リード2
【0364】
4.5 得られた産物についてIllumina Trueseq Index Primerを用いてPCRを行い、配列決定ライブラリーを最終的に得た。
【0365】
例5 バイオインフォマティクス分析
5.1 細胞バーコードによって、試料中の細胞数を同定した。
【0366】
5.2 検出されたプローブ配列と、設計された50bpの上流プライマー配列および下流プライマー配列とを比較し、正確な一致については、プローブ同定タグ(UMI)データに基づいて、細胞内の標的分子にハイブリダイズするプローブの絶対数を計算した。
【0367】
5.3 各遺伝子上の全ハイブリダイゼーションに対するプローブの平均数を計算して、各遺伝子の発現値を得、各細胞の遺伝子発現マトリックスを最終的に得た。
【0368】
分析結果
本出願の試験配列決定データを以下の表に示す:
【表1】
【0369】
本出願における細胞数の予測結果を図5に示す。遺伝子数、mRNA分子数およびミトコンドリアリードの検出結果を図6および以下の表に示す。
【表2】
【0370】
本出願における例示的な単一細胞遺伝子発現マトリックスの検出結果を図7に示す。結果は、単一細胞のトランスクリプトミクス情報などの様々なオミクス情報のハイスループット分析に本出願の分析方法を使用することができることを示している。
【0371】
前述の詳細な説明は、説明および例によって提供され、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に列挙された実施形態の様々な変更は、当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲およびその均等な実施形態の範囲内に保持される。
【配列表フリーテキスト】
【0372】
配列表1 <223>プライマー1
配列表2 <223>プライマー2
配列表3 <223>プライマー3
配列表4 <223>プライマー4
配列表5 <223>PCRアダプター
配列表6 <223>リンカー1
配列表7 <223>リンカー2
配列表8 <223>相補的配列
配列表9 <223>プローブ
配列表10 <223>下流配列
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
2024525241000001.app
【国際調査報告】