(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-11
(54)【発明の名称】小体積液体の混合および分注装置ならびに方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240704BHJP
C12M 1/04 20060101ALI20240704BHJP
C12M 1/26 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/04
C12M1/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024500106
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 AU2022050686
(87)【国際公開番号】W WO2023272360
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519402719
【氏名又は名称】サイノジー プロダクツ プロプライエタリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Scinogy Products Pty Ltd
【住所又は居所原語表記】59 Finlayson Avenue,Mount Martha,Victoria 3934,AUSTRALIA
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】フィッツパトリック,イアン
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA09
4B029BB11
4B029CC01
4B029HA05
4B029HA09
(57)【要約】
実施形態は、少量の液体フォーミュレーションを調製し、これを出力容器に分注するために配置された液体ハンドリングシステムを提供する。本システムは、様々な少量液体フォーミュレーション調製用途に利用可能であり、細胞治療がその用途の一例である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ハンドリングシステムであって、
再使用可能なサブシステムと、
交換可能なサブシステムと
を備え、
前記再使用可能なサブシステムは、
蠕動ポンプと、
複数のバルブを含むバルブアセンブリと、
それぞれが流体経路中の気泡を検出するように配置された2つ以上の気泡センサと、
プログラムされた処理プロトコルに従って、前記気泡センサからの入力を受け取り、前記蠕動ポンプの動作を制御し、前記バルブアセンブリの動作を制御するように構成されたシステムコントローラと、
前記蠕動ポンプ、および前記バルブ動作アセンブリを収容するケースと
を有し、
単回使用の前記交換可能なサブシステムは、
一つ以上の固定形状の流体経路を含む流体経路マニホールドであって、前記流体経路の少なくとも1つは、前記バルブアセンブリと係合するように構成され、それによって、前記バルブアセンブリの操作によって流体経路を選択的に開閉することができ、少なくとも1つの前記固定形状の流体経路は、前記気泡センサが前記流体経路内の気泡を識別することができるように、前記ハウジングに固定されたときに前記気泡センサに近接して配置される、流体経路マニホールドと、
前記蠕動ポンプの動作によって前記マニホールド内に流体の流れを生じさせるよう、前記蠕動ポンプと前記流体経路との間で動作可能な係合を可能にするように構成されたポンプチューブと、
それぞれの液体を前記一つ以上の流体経路に分配するために、それぞれの液体供給コンポーネントに接続するように構成された複数の液体投入ポートと、
気体が前記流体経路に入ることを可能にするために、前記1つ以上の流体経路のうちの少なくとも1つに接続された少なくとも1つの気体入口と、
流体を分注するべく、前記1つ以上の流体経路と流体連通する少なくとも1つの出口ポートと
を有し
前記交換可能なサブシステムが、液体フォーミュレーションの混合および分注のための閉鎖環境を提供し、
前記コントローラが、前記蠕動ポンプの作用およびそれぞれの前記流体経路に関連する少なくとも1つの気泡センサからの入力に基づいて、前記流体経路の1つにおける液体の体積を決定する、液体ハンドリングシステム。
【請求項2】
固定形状の流体マニホールドと気泡センサの配置との組み合わせが、前記流体経路内の少なくとも1つの領域における既知の体積の測定を可能にし、前記コントローラが、前記蠕動ポンプを較正するために前記既知の体積の測定を利用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記蠕動ポンプが、前記コントローラによって自動的に較正される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記蠕動ポンプが、前記1つ以上の処理プロトコルの実行中に動的に較正される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
気泡センサの入力に基づき、分注された製品の前記体積を確認するべく、前記コントローラが既知の体積の測定を利用する、請求項2から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
小体積の液体を分離するのに流体配管中の気泡が使用され、各小体積の液体の体積が、各領域からの気泡センサデータを使用して、前記流体経路内の少なくとも2つの異なる領域で検証される、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記検証された体積データが、分注された体積データを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記気体入口が空気入口である、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
空気入口が無菌フィルターを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムコントローラが、処理される液体サンプル中の粒子カウントに基づいて、投与フォーミュレーションおよび送出する投与数を決定し、決定されたフォーミュレーションを混合し、決定された投与数を分注するように前記システムを制御するようにさらに構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムコントローラが、フォーミュレーション変数の目標値および範囲、粒子カウント、ならびに変数の優先順位付けルールに基づいて、投与量およびフォーミュレーション変数を数学的に解法するように適合された補間エンジンを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
請求項1記載の液体ハンドリングシステム内の蠕動ポンプを較正する方法であって、
第1の気泡センサと第2の気泡センサとの間の既知の容積を有する流路内へ、ある体積の液体を導入するステップと、
前記体積の液体が気泡によって先行および後続されるように、気体を流路に導入するステップと、
液体から気泡への転移を識別できるように、前記体積の液体を前記第1気泡センサの近傍の流路を通過させるべく蠕動ポンプを操作し、転移時の前記蠕動ポンプの位置を記録するステップと、
前記第2のセンサによる液体から気泡への同じ転移を識別できるように、前記体積の液体を既知の容積の流路を通して前記第2の気泡センサまで引き込ませるべく、前記蠕動ポンプを操作し、転移時の前記蠕動ポンプの位置を記録するステップと、
記録された位置と既知の流路容積とに基づいて、前記蠕動ポンプの各インデックスに取って代わる液体の体積を計算するステップと
を備える方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、2つの気泡センサの間のチューブの容積を決定する方法をさらに備え、当該方法は、
a)初期体積の液体の前記チューブへの導入を制御するステップと、
b)前記流体の端部が第1の気泡センサの近傍で識別されるように、前記初期体積の液体を進行させるべく前記蠕動ポンプを操作するステップと、
c)前記第2の気泡センサによって液体が検出されるまで、前記チューブへのさらなる液体の導入を制御するステップと、
d)前記初期体積の液体およびさらなる体積の液体からなる総体積の液体を外部容器に移送するべく、前記蠕動ポンプを操作するステップと
を有する方法。
【請求項14】
請求項1記載の液体ハンドリングシステムにおいて混合操作を実行する方法であって、当該方法は、
a)流体経路を通る流体の流れを生じさせるべく、前記蠕動ポンプを操作するステップと、
b)前記流体経路を通る流体の流れの選択および方向を制御するべく、1つ以上のバルブを作動させるステップと、
c)前記気泡センサを使用して前記流体経路を通る流体の流れを監視し、少なくとも1つの気泡センサによる流体検出および前記蠕動ポンプの動作に基づいて、流体の体積を決定するステップと、
d)前記流体の目標体積が気泡センサを通過したことの判定に応答して、流体の目標体積の後方の前記流体流路に気泡を導入し、流体の目標体積の流れを混合リザーバへ向けることを含め前記流体経路内の前記流体の流れを指示するべく、少なくとも1つのバルブを作動させるステップと、
e)一つ以上のさらなる流体およびさらなる目標体積について、ステップa)からd)を繰り返し、それによって前記流体が前記混合リザーバ内で混合される、ステップと
を備える方法。
【請求項15】
f)前記混合リザーバから前記流体経路を通って前記混合リザーバに戻るよう前記混合流体を再循環させるために、1つ以上のバルブを作動させるステップをさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項16】
g)前記混合流体を一つ以上の流体経路を通じて出口まで流させ、前記ポンプの動作および気泡センサによって検出された混合流体の流れに基づいて、前記混合流体の目標体積を分注させるよう、一つ以上のバルブを作動させるステップをさらに備える請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項17】
分注された前記目標体積が前記混合流体のサンプル体積である、請求項18に記載の方法。
【請求項18】
(削除)
【請求項19】
液体ハンドリングシステムの再使用可能なサブシステムであって、当該再使用可能なサブシステムは、
蠕動ポンプと、
複数のバルブを含むバルブアセンブリと、
それぞれが流体経路内の気泡を検出するように配置された2つ以上の気泡センサと、
プログラムされた処理プロトコルに従って、前記気泡センサからの入力を受け取り、前記蠕動ポンプの動作を制御し、前記バルブアセンブリの動作を制御するように構成されたシステムコントローラと、
前記蠕動ポンプおよびバルブ動作アセンブリを収容するケースと
を備え、
前記ポンプ、バルブアセンブリ、および気泡センサが、一つ以上の固定形状の流体経路を含む流体経路マニホールドと係合するように配置され、それによって、流体経路が、前記バルブアセンブリの動作によって選択的に開閉され、前記気泡センサが流体経路内の気泡を識別することができるように、少なくとも1つの流体が、ハウジング内に固定されたときに気泡センサの各々に近接して位置し、前記ポンプが、前記蠕動ポンプの操作によって前記マニホールド内に流体の流れを引き起こすよう、前記蠕動ポンプと前記流体経路との間の動作可能な係合を可能にするように構成されたポンプチューブと係合し、
前記コントローラが、前記蠕動ポンプの作用およびそれぞれの流体経路に関連する少なくとも1つの気泡センサからの入力に基づいて、前記流体経路のうちの1つにおける液体の体積を決定する、再使用可能なサブシステム。
【請求項20】
液体ハンドリングシステムの交換可能なサブシステムであって、当該交換可能なサブシステムは、蠕動ポンプと、複数のバルブを含むバルブアセンブリと、それぞれが流体経路内の気泡を検出するように配置された2つ以上の気泡センサと、プログラムされた処理プロトコルに従って、前記気泡センサからの入力を受信し、前記蠕動ポンプの動作を制御し、前記バルブアセンブリの動作を制御するように構成されたシステムコントローラと、前記蠕動ポンプおよびバルブ動作アセンブリを収容するケースとを備える再使用可能なサブシステムと係合するように構成されており、当該交換可能なサブシステムは、
1つ以上の固定形状の流体経路を含む流体経路マニホールドであって、前記流体経路の少なくとも1つは、前記バルブアセンブリと係合するように構成され、それによって、前記バルブアセンブリの操作によって流体経路を選択的に開閉することができ、前記固定形状の少なくとも1つの流体経路は、前記気泡センサが前記流体経路内の気泡を識別することができるように、前記ハウジング内に固定されたときに前記気泡センサの近傍に位置するように配置される、流体経路マニホールドと、
前記蠕動ポンプの動作によって前記マニホールド内に流体の流れを生じさせるように、前記蠕動ポンプと前記流体経路との間の動作可能な係合を可能にするように構成されたポンプチューブと、
それぞれの液体を1つ以上の流体経路に分配するためのそれぞれの液体供給コンポーネントに接続するように構成された複数の液体投入ポートと、
気体が前記流体経路に入ることを可能にするべく、前記1つ以上の流体経路のうちの少なくとも1つに接続された少なくとも1つの気体入口と、
流体を分注するべく、前記1つ以上の流体経路と流体連通する少なくとも1つの出口ポートと
を備え、
前記交換可能なサブシステムが、液体フォーミュレーションを混合および分注するための閉鎖環境を提供し、
前記コントローラが、前記蠕動ポンプの作用およびそれぞれの流体経路に関連する少なくとも1つの気泡センサからの入力に基づいて、前記流体経路の1つにおける液体の体積を決定する、交換可能なサブシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、例えば治療薬や細胞治療の液体フォーミュレーションの調製に応用するための、小体積の液体フォーミュレーションを高精度で混合および分注することである。
【背景技術】
【0002】
再生医療と先進的細胞療法は、生きたヒト由来細胞を操作して構築物を作製し、あるいは患者の体内の免疫原性応答を送りまたは修復応答を刺激する、新たな医療治療技術である。このような技術の中には、一つの細胞源から複数の患者に多くの投与量を提供できるもの(同種細胞製品)もあるが、患者あるいは適合したドナー由来の細胞を加工して提供することが安全で効果的であるという認識が高まっている。患者または適合したドナーに特異的な細胞フォーミュレーション(自家フォーミュレーション)を製造するには、通常、少量のバッチ処理が必要である。バッチ処理には、細胞の濃度や担体溶液の組成を操作するための液体の混合が含まれる。これらの液体フォーミュレーションは医療治療に使用されるため、高い精度と無菌環境が要求される。現在のプロセスでは、一般的に手作業による介入とチェックが必要とされる(例えば、手作業で秤を較正し、正確さを保証するために液体の入ったバッグを計量する)。また、チェックに使用する機器(秤など)の公差によって精度が制限されることもある。
【0003】
細胞治療について考えると、フォーミュレーション、充填、仕上げは、細胞ベースの治療製品に対して行われる最終的な流体ステップである。細胞は体外での寿命が限られており、細胞治療を直ちに患者に適用することは現実的でないことが多い。従って、一般的には細胞治療製品を、少なくとも短期間は保存する必要がある。これらのフォーミュレーションは、一般的に凍結保存される。凍結保護剤培地は、フォーミュレーションプロセスの一部として細胞産物と混合されるのが一般的である。細胞は不安定になる可能性があり、凍結されるまで凍結保護剤培地中で生存可能でいられる時間は短い。凍結前に培地にさらされる時間は限られている。凍結保護剤のこの安定性ウィンドウを逃すと、細胞死が増加する可能性がある。これは、一般的に細胞カウントが少なく、すべての細胞が貴重であると考えられる自家療法では特に望ましくない。
【0004】
正式な医薬品であるため、品質保証のための精査はこのプロセス全体を通して厳しいものとなる。希釈や凍結保存剤の添加などのフォーミュレーション作業を指示するために、原料のサンプルが使用される。フォーミュレーションされた原料のサンプルは、フォーミュレーションプロセスを検証するために採取される。最終製品のサンプルは、細胞の投与量を確認し、活性細胞製品の特性評価を完了するために採取される。このような情報は、患者への投与が可能になる前に、慎重に検討される。自己細胞フォーミュレーションは、投入材料が患者または患者のために特別選択されたドナーから採取される、非常に少量のバッチフォーミュレーションに関するものである。このようなバッチからの投与回数は、一般的にかなり少ない。多くの操作、時間的プレッシャー、少ない投与数のため、これらの操作は手作業で行われてきた。医療製品の適正製造規範(GMP)要件を満たすため、第二の担当者がすべてのステップを監視し、バッチ記録文書に記録する。バッチ記録は、製品リリース活動の一環として見直される。
【0005】
液体を手作業で処理するには、細胞製品が作業環境に曝される開放処理が必要であり、無菌処理を維持するためには作業者のスキルに依存する。手作業には時間もかかる。細胞は、生存能力を維持するために使用されるか、安全に凍結されなければならない期間が比較的短いため、治療薬を製造するための手作業は、この時間のかなりの割合を占める可能性がある。従って、最大限の効能を持つ治療法を提供するために、このウィンドウの残り時間を短縮することになる。
【0006】
手作業による処理のもう一つの問題は、活動を改善するために漸進的に微妙に異なることを行う人間の特性である。人によって同じ動作でも一貫して全く異なることが実証されている。これは、例えば、細胞製品に影響を与える可能性がある。例えば、
混合-懸濁液の均一性を保つための細胞製品の手動混合は、非常にばらつきがある。
サンプルの分離-混合に関連して、均質に混合された懸濁液の大部分を反映する少量の製品サンプルを分離することは非常に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
自動化されたシステムも出現しているが、医療用途に必要な正確さと一貫性を達成するためには、依然としてかなりの手作業が必要である。
【0008】
液体フォーミュレーション用の少量、高精度の濃度および組成物を製造するシステムおよび自動化された方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
定義
以下の説明では、適格性確認(Qualification)及び検証(Verification)という用語を使用する。これらの用語の正式な品質保証の使用は理解されるべきである。
【0010】
適格性確認とは、プロセス、装置、又は細胞製品が、その製品に対して規定された要求事項を満たしていることを確実に確認する、計画され文書化された活動のことである。適格性確認は、継続的な測定又は検証によって維持されなければならない状態である。
【0011】
検証とは、適格なプロセスのニーズを満たすために、プロセスが許容できるほど良好に機能していることを判断するためのプロセスの測定である。
【0012】
較正とは、測定器(測定装置や精密ポンプなど)を精確かつ正確に使用できるように調整またはチェックすることである。
【0013】
一態様によれば、液体ハンドリングシステムが提供され、当該システムは、
再使用可能なサブシステムと、
交換可能なサブシステムとを備え、
再使用可能なサブシステムは、
蠕動ポンプと、
複数のバルブを有するバルブアセンブリと、
それぞれが流体経路中の気泡を検出するように配置された2つ以上の気泡センサと、
プログラムされた処理プロトコルに従って、気泡センサからの入力を受け取り、蠕動ポンプの動作を制御し、バルブアセンブリの動作を制御するように構成されたシステムコントローラと、
蠕動ポンプ、およびバルブ動作アセンブリを収容するケースと
を有し、
単回使用の交換可能なサブシステムは、
一つ以上の固定形状の流体経路を含む流体経路マニホールドであって、流体経路の少なくとも1つは、バルブアセンブリと係合するように構成され、それにより流体経路は、バルブアセンブリの動作によって選択的に開閉され、少なくとも1つの流体経路の固定形状は、気泡センサが流体経路内の気泡を識別し得るように、ハウジングに固定されたときに気泡センサの近傍に位置するように配置される、流体経路マニホールドと、
前記蠕動ポンプの動作によって前記マニホールド内に流体の流れを生じさせるべく、前記蠕動ポンプと前記流体経路との間での動作係合を可能にするように構成されたポンプチューブと、
それぞれの液体を一つ以上の流体経路に供給するために、それぞれの液体供給コンポーネントに接続するように構成された複数の液体投入ポートと、
気体が流体経路に入ることを可能にするために、1つ以上の流体経路のうちの少なくとも1つに接続された少なくとも1つの気体入口と、
流体を分注するために1つ以上の流体経路と流体連通する少なくとも1つの出口ポートとを有し、
交換可能なサブシステムが、液体フォーミュレーションの混合および分注のための閉鎖環境を提供し、
コントローラが、蠕動ポンプの作用およびそれぞれの流体経路に関連する少なくとも1つの気泡センサからの入力に基づいて、流体経路の1つにおける液体の体積を決定する、ことを特徴とする。
【0014】
システムの一実施形態では、固定形状の流体マニホールドと気泡センサの配置の組み合わせにより、流体経路内の少なくとも1つの領域における既知の容積の測定が可能になり、コントローラは、蠕動ポンプを較正するために既知の容積測定を利用する。
【0015】
一実施形態では、蠕動ポンプは制御装置によって自動的に較正される。
【0016】
いくつかの実施形態では、蠕動ポンプは、1つ以上の処理プロトコルの実行中に動的に較正される。
【0017】
いくつかの実施形態では、気泡センサ入力に基づいて、コントローラは、既知の容積の測定を利用して、分注された製品の体積を確認する。
【0018】
いくつかのシステムの実施形態において、流体配管中の気泡は、小体積の液体を分離するために使用され、各小体積の液体の体積は、それぞれの領域からの気泡センサデータを使用して、流路内の少なくとも2つの異なる領域において検証される。
【0019】
システムの一実施形態では、検証された体積データは、分注された体積データを含む。
【0020】
実施形態において、気体入口は空気入口であり得る。実施形態において、空気入口は無菌フィルターを含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、システムコントローラは、処理される液体サンプル中の粒子カウントに基づいて、投与フォーミュレーションおよび分配する投与数を決定し、決定されたフォーミュレーションを混合し、決定された投与数を分注するようにシステムを制御するようにさらに構成される。
【0022】
一実施形態では、システムコントローラは、フォーミュレーション変数の目標値および範囲、粒子カウント、および変数の優先順位付けルールに基づいて、投与量およびフォーミュレーション変数を数学的に解くように適合された補間エンジンを含む。
【0023】
別の態様は、上記のような液体ハンドリングシステム内の蠕動ポンプを較正する方法を提供し、当該方法は、
第1の気泡センサと第2の気泡センサとの間の既知の容積を有する流路に、ある体積の液体を導入するステップと、
ある体積の液体が気泡によって先行および後続されるように、気体を流路に導入するステップと、
蠕動ポンプを操作して、液体から気泡への転移を識別できるように、ある体積の液体に第1の気泡センサの近傍の流路を通過させ、転移時の蠕動ポンプの位置を記録するステップと、
蠕動ポンプを作動させて、ある体積の液体を既知の容積の流路を通して第2の気泡センサへ引き込ませ、第2のセンサによる液体から気泡への同じ転移の同定を可能にし、転移時における蠕動ポンプの位置を記録するステップと、
記録された位置と既知の流路容積とに基づき、蠕動ポンプの各指数に取って代わる液体の体積を計算するステップと
を備える。
【0024】
この較正方法を実行するために、流体経路を通って引き出される液体の実際の体積を知る必要はないことが理解されるべきである。較正は、ある体積の液体の一端を特定することにのみ基づいているので、この体積に関する知識は必要ない。
【0025】
いくつかの実施形態は、2つの気泡センサ間の容積を決定する方法を提供する。例えば、2つの気泡センサ間の測定ループの容積を決定することである。この方法は、蠕動ポンプの較正にも使用できる。この方法は、2つの気泡センサ間の測定ループの容積を最初に決定するために使用することができる。この方法は、2つの気泡センサ間の測定ループの容積を確認するためにも使用できる。
【0026】
2つの気泡センサ間のチューブの容積を決定するためのステップは、
a)初期体積の液体のチューブへの導入を制御するステップと、
b)蠕動ポンプを操作して、液体の端部が第1の気泡センサの近傍で識別されるように、初期体積の液体を進行させるステップと、
c)第2の気泡センサによって液体が検出されるまで、チューブへのさらなる液体の導入を制御するステップと、
d)蠕動ポンプを操作して、初期体積の液体とさらなる体積の液体とからなる総体積の液体を外部容器に移送するステップと
を有する。
【0027】
任意で、e)液体の総体積を保持する外部容器を除去するさらなるステップを実行してもよい。総体積は、2つのセンサ間のチューブの容積を外部から確認するために測定することができる。例えば、液体が移された外部容器の重量を移される前と後で測定し、これらの重量と液体の既知の密度(質量/ml2)との差に基づいて液体の体積を測定することができる。チューブ容積に相当する液体体積を外部容器に保存することで、品質管理目的または外部検証に利用できる。2つの気泡センサ間のチューブ容積を知ることで、マニホールド内の蠕動ポンプやチューブを含むシステムの他の態様の較正が可能になる。
【0028】
チューブ内に導入される液体の体積を制御することは、これがチューブ内に導入される際に導入される液体の体積を測定することを含むことができる。
【0029】
別の態様は、上記のような液体ハンドリングシステムにおいて混合操作を行う方法を提供し、当該方法は、
a)蠕動ポンプを作動させて、流体経路を通る流体の流れを生じさせるステップと、
b)一つ以上のバルブを作動させて、流体経路を通る流体の流れの選択および方向を制御するステップと、
c)気泡センサを使用して流体経路を通る流体の流れを監視し、少なくとも1つの気泡センサによる流体検出および蠕動ポンプの動作に基づいて流体の体積を決定するステップと、
d)流体の目標体積が気泡センサを通過したと判定したことに応答して、少なくとも1つのバルブを作動させて、流体の目標体積の後方の流体流路に気泡を導入し、流体流路内の流体の流れを誘導するステップであって、流体の目標体積の流れを混合リザーバに誘導することを含むステップと、
e)一つ以上のさらなる流体およびさらなる目標体積について、ステップa)からd)を繰り返し、それによって流体が混合リザーバ内で混合される、ステップと
を備える。
【0030】
混合方法は、
f)混合リザーバから流体経路を通って混合リザーバに戻るように混合流体を再循環させるために、1つ以上のバルブを作動させるステップをさらに備えることができる。
【0031】
混合方法は、
g)一つ以上のバルブを作動させて、混合流体を一つ以上の流体経路を経て出口まで流し、ポンプの動作および気泡センサによって検出された混合流体の流れに基づいて、混合流体の目標体積を分注させるステップをさらに備えることができる:
【0032】
分注される目標体積は、混合流体のサンプル体積とすることができる。例えば、混合流体の生産体積を分注する前に、混合組成物を試験するためのサンプルである。
【0033】
別の態様によれば、液体ハンドリングシステムの再使用可能なサブシステムが提供され、当該再使用可能なサブシステムは、
蠕動ポンプと、
複数のバルブを含むバルブアセンブリと、
それぞれが流体経路内の気泡を検出するように配置された2つ以上の気泡センサと、
プログラムされた処理プロトコルに従って、気泡センサからの入力を受信し、蠕動ポンプの動作を制御し、バルブアセンブリの動作を制御するように構成されたシステムコントローラと、
蠕動ポンプおよびバルブ動作アセンブリを収容するケースと
を有し、
ポンプ、バルブアセンブリ、および気泡センサが、一つ以上の固定形状の流体経路を含む流体経路マニホールドと係合するように配置され、それによって、流体経路が、バルブアセンブリの操作によって選択的に開閉され、気泡センサが流体経路内の気泡を識別することができるように、ハウジング内に固定されたときに気泡センサの各々の近傍に少なくとも1つの流体が位置し、蠕動ポンプの操作によってマニホールド内の流体の流れを引き起こすように、ポンプが、蠕動ポンプと流体経路との間で動作可能な係合を可能にするように構成されたポンプチューブと係合し、
コントローラが、蠕動ポンプの動作およびそれぞれの流体経路に関連する少なくとも1つの気泡センサからの入力に基づいて、流体経路のうちの1つにおける液体の体積を決定する。
【0034】
別の態様によれば、液体ハンドリングシステムの交換可能なサブシステムが提供され、当該交換可能なサブシステムは、蠕動ポンプと、複数のバルブを含むバルブアセンブリと、流体経路内の気泡を検出するようにそれぞれ配置された2つ以上の気泡センサと、プログラムされた処理プロトコルに従って、気泡センサからの入力を受信し、蠕動ポンプの動作を制御し、バルブアセンブリの動作を制御するように構成されたシステムコントローラと、蠕動ポンプおよびバルブ動作アセンブリを収容するケースとを備える、再使用可能なサブシステムと係合するように構成され、
交換可能なサブシステムは、
一つ以上の固定形状の流体経路を含む流体経路マニホールドであって、流体経路の少なくとも1つは、バルブアセンブリと係合するように構成されており、それによって、バルブアセンブリの操作によって流体経路を選択的に開閉することができ、少なくとも1つの流体経路の固定形状は、気泡センサが流体経路内の気泡を識別することができるように、ハウジング内に固定されたとき気泡センサの近傍に位置するように配置されている、流体経路マニホールドと、
前記蠕動ポンプの動作によって前記マニホールド内に流体の流れを生じさせるよう、前記蠕動ポンプと前記流体経路との間で動作可能な係合を可能にするように構成されたポンプチューブと、
それぞれの液体を一つ以上の流体経路に供給するために、それぞれの液体供給コンポーネントに接続するように構成された複数の液体投入ポートと、
気体が流体経路に入ることを可能にするために、1つ以上の流体経路のうちの少なくとも1つに接続された少なくとも1つの気体入口と、
流体を分注するために1つ以上の流体経路と流体連通する少なくとも1つの出口ポートと
を有し、
前記交換可能なサブシステムが、液体フォーミュレーションの混合および分注のための閉鎖環境を提供し、
コントローラが、蠕動ポンプの作動およびそれぞれの流体経路に関連する少なくとも1つの気泡センサからの入力に基づいて、流体経路のうちの1つにおける液体の体積を決定する、ことを特徴とする。
【0035】
次に、本発明のすべての態様を組み込んだ実施形態を、添付図面を参照して例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、システムの一実施形態の代表的なブロック図である。
【
図2】
図2は、システム動作の基礎を形成する流体移送戦略の基本例を示す。
【
図3A】
図3Aは、システムの一実施形態のための制御システム300の代表的なブロック図である。
【
図3B】
図3Bは、システムの一実施形態のための制御システム301の代表的なブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、ポンプ較正プロセスに使用される装置の基本的な表現である。
【
図5】
図5は、ポンプ較正プロセスの一例のフローチャートである。
【
図7】
図7は、単回使用キット、関連するバルブおよび気泡センサの流体経路の概略図であり、
図6の例の蠕動ポンプも表す。
【
図8】
図8は、「既知容積」ループを外部基準で較正する処理のステップを示す。
【
図9】
図9は、外部基準に対する既知容積ループの較正に使用され得る追加装置の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
実施形態は、少量の液体フォーミュレーションを調製し、これを出力容器に分注するために配置された液体ハンドリングシステムを提供する。このシステムは、様々な少量液体フォーミュレーション調製用途に利用することができ、細胞治療がその一例である。
【0038】
図1は、液体ハンドリングシステムの一実施形態の代表的なブロック図であり、このシステムは、再使用可能なサブシステム100と交換可能なサブシステム110とを備える。再使用可能なサブシステム100は、コントローラ10、バルブアセンブリ20、蠕動ポンプ30および少なくとも2つの気泡センサ40を有する。バルブアセンブリ20は、各々が交換可能サブシステム110の流体経路マニホールド50の流体経路と係合するように構成された複数のバルブを有する。気泡センサ40は、少なくとも1つの流体経路に沿って配置され、流体経路内の液体の有無を検出する。これらのコンポーネントは、交換可能なサブシステムを動作可能に受け入れるように配置されたハウジング内に配置される。
【0039】
交換可能なサブシステム110は、液体フォーミュレーションの混合および分注のための閉鎖環境を提供する。交換可能なサブシステム110は、1つ以上の固定形状の流体経路からなる流体経路マニホールド50と、蠕動ポンプと動作可能に係合し、それによって蠕動ポンプの動作が流体経路内の流体の流れを引き起こす可撓性ポンプチューブ60とを含む。複数の液体投入ポート45が設けられ、それぞれが、一つ以上の流体経路にそれぞれの液体を供給するためにそれぞれの液体投入ソースに接続するように構成される。例えば、液体投入ソースは、投入ポートに接続するチューブを備えた投入液体のバッグのような液体供給コンポーネントであってもよいし、液体投入ソースは外部システムであってもよい。一つ以上の流体経路と流体連通する少なくとも1つの出口ポート75も、一つ以上の出力容器または他のシステムに流体を分注するために提供される。一実施形態では、出力容器のセットを交換可能なサブシステムに組み込むことができる。
【0040】
交換可能なサブシステムはまた、少なくとも1つの流体経路に接続された気体入口80を含み、気体が流体経路に入ることを可能にする。一実施形態では、気体入口80は無菌フィルターを含み、流体経路への濾過された空気の進入を可能にする。他の実施形態では、気体入口は、気体キャニスタに接続するように構成されてもよい。気体入口は、気体が流体経路に入ることを可能にし、流体経路に気泡を生じさせる。
【0041】
システムの実施形態において、交換可能なサブシステムは、装置(再使用可能なサブシステム)内に設置されたときにキット形状を制御するキャリアフレームに支持されたバルブを通してアクセスするチューブのマニホールドおよび蠕動ポンプチューブを有する1回使用キットである。バルブおよび気泡センサは、流体経路を形成するマニホールド内のチューブと整列するように、再使用可能サブシステムのハウジング内に配置される。そのため、気泡センサ間のチューブ内に含まれる流体の体積を一定に保つことができる。流体経路の1つの構成では、交換可能なサブシステム間で、3.2mlに対して0.05mlのばらつき(1.6%)があることが実証されている。
【0042】
蠕動ポンプの動作とバルブの動作の組み合わせは、投入ソースからの液体の吸引と流体経路を通る流体の移動を制御することができる。
【0043】
流体の移送は、蠕動ポンプと、配管を通して流体のブロックを追いかけるための空気の使用によって管理される。この戦略は、流体の表面張力が流体のブロックを一緒に保持するように、流体配管の直径が十分に小さいことに依存している。これにより、混合と分注を機能的に閉じたプロセスとして実行することができる。コントローラは、以下に説明するように、特定の混合と分注ステップを実行するように動作を制御するようにプログラムされている。
【0044】
コントローラは、例えば、ソフトウェアでプログラム可能なマイクロプロセッサおよびメモリを使用して実装され、以下に記載されるような混合および分注プロセスを実行するように、プログラム可能である。他の実施形態は、特定の混合および分注プロセスを実行するようにプログラム可能なプログラマブルロジックコントローラまたはフィールドプログラマブルゲートアレイなどのプログラマブルハードウェアコンポーネントを使用することができ、そのような実施形態は、プログラマブルハードウェアのプログラミングを可能にするサポートソフトウェアを含むことができる。あるいは、実施形態は、特定のプロセスの実行を制御するように設計された専用回路または特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して実装されてもよい。再利用可能なサブシステムがマイクロプロセッサおよびメモリを含み、ソフトウェアを使用して混合および分注プロセスのカスタマイズを可能にする実施形態は、研究目的、ならびに個々の患者に対するカスタマイズが必要とされ得る個別療法に有利であることが理解されるべきである。
【0045】
このシステムの実施形態は、以下の1つ以上の機能を実行するために利用することができる。
制御された体積の液体を互いに混合する。
混合された細胞懸濁液のサンプルを分離する。
細胞とキャリア液の「投与量」を調製する。
制御された量を出力容器に分注する。
【0046】
システムの実施形態は以下を含むことができる。
すべての流体移送を制御するために使用されるポンプ較正の較正を自己検証する手段。
制御機能とは無関係に移送された体積の検証を提供する方法での流体移送の監視。
2つのセンサ間のチューブの容積に関する外部から検証可能なデータを決定し、提供する手段。
【0047】
これらの特徴により、最終的な医薬品のフォーミュレーションおよび投与に寄与する流体の調整が可能となる。
【0048】
背景技術で述べたように、液体フォーミュレーションの調製のための少なくともいくつかのステップを自動化する自動化システムが開発されており、これはバッグやチューブ内で操作を完了し、機能的に閉鎖されたプロセス環境を作り出している。これにより、オープン処理のリスクが排除される。自動化システムはまた、オペレーターのばらつきに起因する不整合やエラーなど、手動処理に関連する他のプロセスリスクに対処する機会を創出することもできる。
【0049】
現在、自動化された処理では、容積の正確さについて、オペレーターよりもむしろ装置に責任がある。上記の例は細胞治療に関するものであるが、これらの問題は他の種類の治療用及び非治療用液体フォーミュレーション、特に少量のフォーミュレーションの調製にも適用できる。
【0050】
処理自動化のもう一つの利点は、製品凍結までのスピードを含むスピードの向上であり、これにより凍結前に細胞が生存可能な状態を維持するのに必要な時間が短縮される。同様に、凍結前に細胞が凍結保護剤と混合される時間が短縮され、それによって細胞死が減少する。
【0051】
自動化のさらなる利点は精度である。本開示のシステムの実施形態は、非常に少量の液体フォーミュレーションの正確な操作を可能にする。特に、本システムは、治療用投与量を自動的に調製するために、液剤の正確な操作を支援するいくつかの自己較正操作および/または自己検証操作を組み込んでいる。以下、これらについてさらに詳しく説明する。
【0052】
流体移送の制御
図2は、システム操作の基礎となる流体移送戦略の基本的な例を示している。
【0053】
蠕動ポンプ230は、第1バッグ210から制御バルブ240を通過した流体を引き込み、第2バッグ220に押し出し、流体が第2バッグ220に入るように制御バルブ245を開く。目標体積が第1バッグ210から引き出されると、第1バッグの制御バルブ240は閉じられ、バルブ255が開かれて無菌フィルター250を通して空気が取り込まれるようになる。ポンプは、空気を使用して第2バッグ220に液体を押し出し続ける。
【0054】
流体体積の精度は、ポンプ回転の詳細な制御と1回転あたりの既知の蠕動ポンプ分注量によって管理される。ポンプチューブとポンプ形状の組み合わせにより、ポンプの1回転あたりのミリリットルの単位でポンプの較正が作成される。ポンプの較正は、以下でさらに詳しく説明するように、自動的かつ動的に行うことができる。
【0055】
各流体制御バルブ240、245はまた、それに関連する気泡センサ215、225を有する。
【0056】
気泡センサ215、225は、チューブを横切る差動超音波インピーダンスによって、チューブ内の流体の有無を検出する。他のタイプの気泡センサ、例えば光学センサを使用することもできる。
【0057】
蠕動ポンプによる流体移送の一次プロセスのリスクは、実際に流体が移送されているかどうかである。気泡センサは、流体の移送が行われる際にチューブ内の流体を監視する。気泡センサは、気泡センサに近接するチューブ内の流体の状態を示す信号をコントローラに送信するため、コントローラは、チューブを通過する液体および気泡の通過を知らされる。気泡センサを通過してチューブ内を移動した流体の流量は、ポンプ動作に関連する流体流量に基づいて計算することができる。制御システムはこの情報を使って、各バルブを通過した体積を決定する。そのため、流体の移送が発生すると、気泡センサにより流体が存在することが示されたときのポンプの動きから、バッグに溜まっている流体を計算することができる。
【0058】
蠕動ポンプは、可撓性流体チューブを押圧して可撓性チューブを閉じた状態にする「ローラー」または「ワイパー」を備えたローターを有する容積型ポンプであり、ポンプローターの回転運動によってローラーがチューブに沿って移動させられ、それによってチューブのピンチポイントを移動させてチューブを通して流体を前進させる。各回転は、チューブを通して同じ体積の流体を移動させ、ローターの回転は、部分的な回転によって移動される流体体積が、ローターの回転位置決めに基づいて知らされかつ制御されるように、インデックス可能である。特に、各ポンプ回転または各ローターインデックス進行に対して移動される流体体積は同じになる。従って、ポンプによって移動される体積は、ポンプインデックスに基づいて知ることができ、制御することができ、それによって流体流量はポンプ回転速度によって制御される。流体の流量を知り、気泡センサを流体が通過する時間をモニターすることで、流体の体積を計算することができる。さらに簡単には、流体の流量の代わりに、気泡センサを通過した流体の体積を移動させるのに必要なポンプのインデックス(または回転)カウントから、流体の体積を計算することができる。この方法では、コントローラが、ポンプ回転のインデックス増分ごとにカウンタを増分する。
【0059】
気泡センサによって検出される流体体積の開始と終了の間のカウントは、移動した体積に正比例する。このカウント値をポンプの各回転インデックスに対する体積移動量に単純に乗算して、流体体積を決定することができる。したがって、流体体積計算の精度は時間に依存しない。また、ポンプの回転数が変動する場合にも、回転インデックスカウントのみでよいので、正確な流体体積の計算が可能である。移動した体積を計算するために回転インデックスカウントを使用することは、必要な流体体積(例えば、混合のために投入する)がポンプの1回転よりも少ない可能性がある、非常に少量の混合プロセスで特に有利になり得る。
【0060】
図3Aは、本システムの一実施形態のための制御システム300の代表的なブロック図であり、このブロック図は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアコンポーネントで実装され得る処理モジュールの代表的なものである。制御システム300は、特定のバッチプロトコルのメインプロセスコントローラである、バッチプロセスおよびポンプコントローラ310と、バッチ処理プロセス中の液体の体積および他のフォーミュレーションパラメータを計算および追跡するアキュムレータモジュール320と、バッチプロセスコントローラ310からの指示に応答して、バッチ処理プロセス中の流体の流れを制御するためにバルブを作動させるバルブコントローラ330と、蠕動ポンプを自動的に較正する較正器340と、気泡センサ入力370に基づいて流体の体積を推定する体積推定器350と、バッチ処理に関連する情報を記録するためのログ360とを含む。
【0061】
アキュムレータ320は、バッチ処理で使用される各リザーバまたは投入ソースから引き出され、送出される液体の体積を追跡し、例えば、1つの流体バッグから引き出され、混合リザーバ(流体バッグ、または混合を促進するためのコンポーネントと任意に係合する他の容器であってもよい)に送出される液体の体積を監視するとともに、混合リザーバ内の体積を追跡する。アキュムレータはまた、蓄積された体積データに基づいて、処理の異なる段階におけるフォーミュレーション濃度状態を推定することができる。
【0062】
図2の例に戻ると、流体は第1バッグ210から吸引され、気泡センサ240が濡れているときにポンプが目標流体量を吸引すると、アキュムレータは第1バッグ210内の推定体積を減少させる。次に、第2バッグ220についても同様に、第2バッグ220用の気泡センサ245が濡れているときに、アキュムレータは流体が送出されることを認識する。流体は、最終的に空気と共に第2バッグ220に送り込まれる。気泡センサ245は空気を認識するので、ポンプはまだ作動しているが、体積は蓄積されない。この方法は、2mlから50mlまでの体積に対して6シグマの許容誤差0.4mlでロバストであることが証明されている。
【0063】
この方法を使用すると、システムの2つの異なる部分、
図2の例では、第1バッグ210からの引き込み中および第2バッグ220への送出中に取得された気泡センサデータに基づいて、同じ液体の体積が計算され、したがって、システムの両方の部分からの計算された体積の比較により、送出された体積を正確に計算するためのこのロバストな方法の内部検証/確認が可能になることが理解されるべきである。その結果、本発明の第1クレームは、気泡センサが設けられている場合、供給元と供給先の両方の容器から移送される流体体積の独立した検証を行うことである。
【0064】
最終的な患者投与量が容器に送出される場合、ポンプが分注体積を制御している間、供給元バッグのアキュムレータ測定値と送出先容器のアキュムレータ測定値は、吸引および送出された空気ではなく液体の体積を独立して決定している。これは、ポンプの回転の関数である流量または回転インデックスカウントと、ポンプの作動によりセンサを通過して移動する流体の体積の開始と終了を感知する気泡センサ出力に基づいている。これらの測定値と目標分注量との間の密接な一致は、流体移送ステップを系統的に検証する。
【0065】
この方法は、プロセス用の投入製品体積を測定するために採用することができる。一般的なステップは、投入細胞懸濁液のバッグから流体を抜き出し、分注された製品を混合するために構成された第2のバッグに移すことである。気泡センサによって指示された体積アキュムレータは、投入バッグから引き出され、混合バッグによって受け取られた流体を記録する。もし2つのアキュムレータが定義された許容誤差(一般的には0.1mlであるが、用途によって0.05~0.7mlの間で変動する)内で一致しない場合、制御システムは投入材料を戻し、記録された体積が許容誤差内に収まるまで移送を繰り返す。
【0066】
ポンプ較正の検証
液体体積の計算と検証のための上記の技術は、ポンプ較正の信頼性に依存しており、実際、蠕動ポンプによる医薬品分注プロセスの較正プロトコルを含めるのが通常のやり方である。蠕動ポンプの既知の問題点は、ポンプに係合する可撓性チューブに初期の「ウォーミングアップ期間」があり、チューブの可撓性が安定し、ポンピング挙動が一定になるまで、チューブの特性、ひいてはポンピング挙動が変化することである。例えば、チューブは当初柔軟性が低いため、チューブの柔軟性が高くなるにつれて変形速度やポンプ量が変化する。大量のバッチ処理や長時間の運転では、この初期段階によって生じるポンプ量の差は、特定の用途で許容される許容範囲内に収まるか、または特定の初期化プロトコルがポンプを較正する前にシステムを「ウォームアップ」するのに使用されるかもしれない。ただし、どちらも少量の処理には適していない。
【0067】
小バッチの自己血処理では、ポンプの正確な較正が不可欠である。システムの実施形態はポンプ較正機能を含む。
【0068】
本システムの実施形態の自己検証機能は、セットアップ手順の一部としてポンプの較正を検証する手段によって完了する。この較正は、ポンプの較正を検証または調整するために定期的に実行することもできる。
【0069】
図4Aは、ポンプ較正プロセスに使用される装置の基本的な表現であり、蠕動ポンプ機構410および流体チューブを開閉するための制御バルブ(図示せず)に関連する気泡センサ420、430を含む装置400の一部を表している。本装置は、蠕動ポンプチューブ440と、本装置に設置されたときにキットの形状を制御するキャリアフレームに支持されたバルブを通してアクセスするチューブのマニホールド(図示せず)からなる単回使用キットで動作する。したがって、気泡センサ間のチューブ内に含まれる液体体積は、各単回使用セットで一定とすることができる。公称容積3.2mlに対して0.05mlのばらつきがある。したがって、気泡センサ間のチューブの容積、すなわちチューブ内に含まれる流体の体積を知ることができ、処理中の計算に使用することができる。上述したように、細かく制御可能なポンピング気泡センサの組み合わせは、混合プロトコルの自動化のためのシステム内の流体体積の正確な計算を可能にする。液体体積計算の正確さの鍵は、蠕動ポンプの正確な較正である。蠕動ポンプにはメーカーによる較正データがあるが、非常に少量のポンプを使用する場合、ポンプの較正精度は非常に重要であり、ポンプの較正を検証できることが望まれる。蠕動ポンプの較正プロトコルは、例えばポンプの較正を検証するための自己検証手順など、セットアップ手順に含めることができる。
【0070】
ポンプを較正するプロセスを
図4Bと
図5のフローチャートに示す。2つの気泡センサ間の流体チューブの容積は既知である。これはポンプ係合ループ440を含み得る。測定プロセスの最初のステップ510は、流体の小さなブロックを流体経路440に引き込むことである。
図4Bの状態450として示される、第1の気泡センサ420がそれを検出するまで(520)、流体ブロックがチューブを通って前方にポンプで送り込まれる。ポンプ410の位置は、第1の気泡センサ420がチューブ440内の流体のブロックを検出した時点で記録される(530)。
【0071】
次に、ポンプ410は、
図4Bに状態460として示されている、流体ブロックが第2の気泡センサ430から出ることが検出されるまで(550)、流体ブロックをチューブ440を通して引き戻すために反転される(540)。ポンプ位置は、この第2の位置で記録される(560)。2つの気泡センサの間の既知のチューブ容積に基づいて、各ポンプ回転(またはインデックス)に対する体積は、1つの気泡センサから次の気泡センサに流体の1つの端部を移動させるための回転(または部分的な回転)の数から計算することができる。これをメーカーの較正データと照合することができる。このプロセスは、
図4Bの状態470および480として図示される反対方向で繰り返され(または実行され)、前進方向および後退方向の両方の値を、互いにかつ製造業者の較正データと比較することができる。試験測定値から計算されたポンプインデックス容積が事前に設定された許容範囲内(例えば、製造業者の較正値の1%)である場合、ポンプ較正設定は検証されたとみなすことができる。このデータはプロセスログに記録することもできる。許容範囲外の計算値、または正逆運転測定値間の不一致は、較正検証に失敗し、繰り返される可能性がある。検証の試行回数と結果に関するデータも記録することができる。
【0072】
ポンプ位置は0.002ml以内の精度で記録される。この試験方法では、気泡センサ420、430によって検出される必要があるのは流体ブロックの一端のみであるため、蠕動ポンプの各インデックス回転に伴って移動する流体の体積の計算から流体ブロックの体積を排除することができる。
【0073】
このプロセスは、
図4Bの状態470及び480として図示されている反対方向に繰り返す(又は実行する)ことができる。実施形態では、較正方法は、一貫した測定値を監視する測定値を記録するために、流体のブロックを前後に循環させる。計算は気泡センサ機能に依存する。ポンプ順方向測定値またはポンプ逆方向測定値のいずれかが、事前に設定された許容誤差(たとえば1%)を超えて機器設定と一致しない場合、ポンプ較正測定値の追加サンプルを取り込むために自動化されたシーケンスを実行することができる。漸増サンプルから得られる統計データは、十分に一貫した結果が得られたとき(例えば、6×標準偏差<0.2ml)を決定するためにモニターされる。較正係数は自動的に更新され、プロセス実行記録に報告される。例えば、測定値が変化し、繰り返し較正プロセスを実行する必要がある理由として、ポンプのフレキシブルチューブの「ウォームアップ」段階が考えられる。
【0074】
一貫した読み取り値が確立されると、順方向および逆方向のポンプ較正が推定され、製造業者によってシステムメモリに初期保存された、またはその他の方法で装置によって保持された、正式に較正された値と比較することができる。較正検証結果だけでなく、較正検証プロセスに関連するデータ(例えば、反復や測定値)もプロセス実行記録に報告することができる(バッチプロセスの他のデータと一緒にメモリに記録するため)。結果が事前に定義された許容範囲内であれば、ポンプの較正は検証されたことになる。
【0075】
実施形態は、処理中に動的再較正または較正の再チェックを実行することもできる。各気泡センサ間のチューブの容積が、既知であるかまたはマニホールドの固定形状に基づいて計算することができるため、2つの気泡センサ間を移動する任意の流体ブロックを使用して流体ブロックを検出し、次の気泡センサを通過する流体ブロックの端部に対して計算されたポンプ回転インデックスを実際のポンプ回転インデックスと比較してポンプ動作を確認することができることを理解されたい。変動が検出された場合、その変動量はシステム内の1つ以上の変化に起因する可能性がある。例えば、周囲動作温度の変化が流体圧力に影響したり、ポンプチューブの柔軟性が変化してポンプの効率が変化したり、システム内でエラーや漏れが発生したりする可能性がある。診断機能により、その変動が動作許容範囲内のドリフトに起因するものなのか、または較正を調整することで修正できるものなのかを特定することができる。診断がエラーの可能性を示した場合、プロセスは停止され、オペレーターはエラーについて警告される。
【0076】
既知の容積の検証
機能的に閉鎖されたシステム内で蠕動ポンプの較正を自動的に較正または検証する方法は、プロセス装置上の幾何学的特徴によって順に制御されるキャリアフレーム内で制御される単回使用キットのチューブによって作られる一貫した容積を利用する。蠕動ポンプの較正には、2つの気泡センサ間の流体体積を測定し、この体積が既知のままであることを確認する必要がある。さらに、気泡センサ間のチューブは単回使用サブシステムの一部であるため、(製造公差の範囲内で)キット間で容積に若干のばらつきが生じることが予想される。
【0077】
ポンプ較正動作の適格性確認には、チューブ、計器、センサ機能、または設置のばらつきとは無関係に、制御された測定ループ内の流体体積を測定する手段が必要である。
【0078】
体積決定ステップは、測定システムが較正に使用する流体の体積を隔離するために同じ機能を使用する。容積の検証は、複数の異なる単回使用キットにまたがって実行することができる。さらに、異なる測定器は、測定される体積の統計的信頼性を提供し(較正自体に配備されたリソースを使用し)、したがって、そこから決定される較正を提供する。
【0079】
本方法は、流体検出センサと相互作用するバルブおよびポンプの自動制御を使用し、正確な重量測定のためにキットから取り出すことができる容器へ制御された体積を隔離する。プロセスの例を
図8に示す。最初のステップAでは、制御された体積の流体840が測定ループ830に移送される。蠕動ポンプ810は、ステップBで流体が第1の気泡センサ820に逆流し、第1の気泡センサ820の気泡検出センサによって検出されるトリガーとなるまで、流体をチューブ830を通して前方に引き込むように作動させることができる。このステップでは、蠕動ポンプ810はステップBで逆に作動される。
【0080】
ステップCでは、第2の流体センサ825がトリガーされるまで、追加の流体840が測定ループに移送される。これらのセンサ間の流体の体積は、上述したように「既知の流体の体積」を表すことを理解されたい。ステップDでは、ポンプが前方に操作され、測定ループ容積を表す流体が外部容器850に移送される。流体チューブを通して液体体積を押し出すために使用される媒体は、上述したように、ろ過された空気であってよい。ステップEでは、外部容器が流体アセンブリのレストから隔離される。例えば、外部容器850を隔離するためにバルブを使用することができる。オプションとして、ループ流体測定の較正のために外部容器を取り外すことができる。外部容器を取り外すことを可能にするために、質量の観点から予測可能なポイントに分離ポイントを設けることができる。流体の添加前と添加後の外部容器の重量を測定することで、質量に基づくチューブ体積の計算が可能になる。例えば、液体の重量がXg/mlと既知である場合、空と充填時の容器の重量の差から体積を容易に計算することができる。
【0081】
図9は、外部基準に対する既知体積ループの較正に使用することができる追加装置の例を示している。この例では、外部容器は、外部容器と測定されるシステムの間でルアー接続910を使用して液体ハンドリングシステムに接続される。他のオプションも考えられる。ルアーコネクターの利点は、標準的で一般的に使用されている医療機器用コネクターであり、信頼性が高いことである。取り外して再接続することも可能である。別の実施形態では、外部容器は単回使用キットの一部であり、チューブを介して接続され、チューブを切断することにより一旦満杯になると切り離される。
【0082】
図10は、上述の方法を用いた較正ループの測定値の表の一例を示している。これらの結果は、ループ体積について5%の6シグマ測定ばらつきを示している。
【0083】
説明したシステムの実施形態の利点は、手動介入を必要とせずに、処理精度をシステム内で検証できることである。これは、閉鎖システム、流体経路マニホールド内の流体経路の固定形状、および流体経路に沿った複数の位置での気泡センサの使用によって可能になる。気泡センサとその間の空隙の使用は、気泡センサの出力に基づいて、システム内の複数の領域で液体体積を推定できることを意味する。したがって、同じ液体のブロックは、流体経路の異なる領域でその体積を複数回推定することができ、これらの複数の推定値の比較が一致を示す場合、これは正確な測定を示す。このように、出力容器またはバッグに分注された液体ブロックの体積は、システム内ですでに検証されているため、計量などの手動方法への依存を減らすことができる。
【0084】
フォーミュレーション、充填及び仕上げは、細胞ベースの治療フォーミュレーションに対して行われる最終的な流体ステップである。本明細書に記載されたシステムは、フォーミュレーション、充填及び仕上げ操作を完了する自動化装置によるプロセスの自己検証のための戦略及び方法を可能にするという利点を有する。
【0085】
システムの実施形態の一例を
図6に示し、主要機能コンポーネントの概略図を
図7に示す。この実施形態の装置では、再使用可能なサブシステム100は、制御システム、蠕動ポンプ、バルブアセンブリおよび気泡センサを収容するケースの上方に流体バッグを支持するためのミキサーおよびハンガーを含む。ミキサーは、バッグ内に保持された液体の混合を促進するために、バッグを機械的にマッサージすることができる。いくつかの実施形態では、チューブはまた、システムから直接、または遠心分離機のような別のシステムへの投入バッグの一つ以上を介してのいずれかで、提供され得る。
図6に示す実施形態では、単回使用サブシステムがケース内に取り付けられている。各バッグは単回使用キットマニホールドの流体投入経路に接続することができ、複数の小バッグは流体経路の出力に接続され、その中に処理量のフォーミュレーションを分注することができる。
【0086】
実施形態はまた、マニホールドの流体経路を通して流体を循環させ、任意にこの循環の間にさらなる投入流体と組み合わせ、混合バッグに戻す再循環機能を含むことができる。この循環は、追加の投入流体と組み合わせるため、または混合ステップとして、複数回行われることがある。これにより、バッグのバルク混合と、単回使用キットチューブを通した懸濁液の詳細な循環とを組み合わせることで、流体の均一な懸濁液を作成する能力が提供される。その後、均質な懸濁液のバルクの非常に代表的な例を有するその再循環流からサンプルを採取することができる。
【0087】
図7は、単回使用キットの流体経路と関連バルブおよび気泡センサの概略図であり、蠕動ポンプも表している。
【0088】
図6と
図7に示す実施形態では、投入バッグのすすぎを容易にするために、投入バッグが右側にあり、希釈試薬が左側にある。試薬の分注では、バルブFが開いているときに試薬バッグからの液体が気泡センサを通過して分注され、バルブDが開いているときにポンプの作用によってこの液体が流体経路を通って混合バッグに移動することができる。バルブは、各投入ソースからの投入が流体流路に入るように選択的に作動させることができ、ポンプの作動は、各投入ソースからどれだけの量の液体がシステムに引き込まれるかを制御する。ポンプの操作は、各投入ソースから引き込まれる液体の体積を制御し、上述のように、ポンプの回転ごとに汲み上げられる量が較正されているので、その体積は既知の流体経路形状とポンプの操作に基づいて決定される。
【0089】
ポンプの動作はまた、投入液を混合バッグに送出する。液体は、流体流路の狭い寸法と液体の表面張力により、空気を使用して流体流路を通して押し出すことができ、投入液体はブロックとして流体流路を通過する。無菌フィルターを備えた空気入口が設けられ、バルブAが開いているとき、ポンプの動作により空気が流体経路に吸い込まれる。この空気は、液体のブロックを流体経路の周囲に押し出すために使用される。このシステムは、精確なフォーミュレーションを混合するために、リザーバ間で選択的に制御された体積の液体の移動の多くの異なる変化を制御するようにプログラムすることができる。
【0090】
空隙または気泡は、流体経路内の液体の分注可能な量を分割するために使用することもできる。例えば、混合フォーミュレーションの複数のサンプルを分注する場合、空気バルブAを作動させて、各分注量のサンプル間の流体配管に気泡を形成させることができる。各サンプルの体積は、混合バッグから引き出される際に計算され、その後、液体のブロックが気泡センサを通過する際に検証される。このようにして、システムは自己検証機能を提供する。
【0091】
開示するシステムの利点を検討するために、先行技術の代替案を検討することには価値がある。フォーミュレーションの充填と仕上げの主要なステップ管理は、流体の移送体積である。出願時点で市場に存在する市販の先行技術システムは、吊り下げバッグの計量、または台秤のトレイを使用して移送された流体の体積を決定するための質量測定に依存している。
【0092】
計量システムからの応答は,オフセット又は風袋調整及びスケールファクタに依存する。風袋は、プロセスにおいていつ発生すべきかを決定し、それを回避することによって管理される。スケールファクタは変動が少ないが、二次情報がないため、システムが使用されるたびに誤差が生じるリスクがある。したがって、すべての計量装置の検証は、すべてのバッチ作業の一部であるべきである。
【0093】
移送元及び移送先の容器に計量システムを設置することにより、各移送を検証することができる。秤量装置の1つによる実質的なスケーリングエラーまたは他の干渉は、2つの測定値が一致しないことで明らかになる。バッチ入力および出力の計量に関するもう1つの問題は、これらのシステムで体系的な問題である干渉である。密閉システムは、バッグの充填や空に伴って移動するチューブで連結されているため、達成できる計量精度が制限され、計量に関連する信頼性の問題に拍車をかける可能性がある(2つの計量装置間で原因不明の変化が発生する場合)。
【0094】
対照的に、本明細書に記載のシステムの実施形態は、蠕動ポンプチューブの使用およびポンプ回転の制御に関する本発明者らの経験に基づき構築され、有利には内部検証システムを提供する。
【0095】
本発明者のシステムは、ポンプチューブの材料と形状、およびポンプローラーの形状とポンプチューブに加えられる圧迫に影響される、既知のポンプチューブの挙動に依存している。潜在的な変数は多いが、このようなシステムは、大規模な充填および仕上げシステムにおける精密な流体送出に広く使用されている。ポンプチューブは、この目的のために高水準で製造されている。
【0096】
それにもかかわらず、主要な流体量制御として蠕動ポンプを使用することは、プロセスを以下のリスクにさらす。
1.ポンプチューブの較正が誤っているか、破損していた。
2.ただの液体ではなく、空気や気泡が誤って流体配管にポンピングされる。
【0097】
本システムの実施形態では、超音波気泡センサが使用される。これらの装置は、超音波音響インピーダンスによってチューブ内の流体の有無を検出する。チューブ内の気泡を検出するために閾値が設定される。このような装置は、静脈輸液ポンプで一般的に使用され、液体の代わりに気体の微細な気泡を患者に与えないように保護する。この用途では、流体の流れにある微細な気泡にしか興味がないため、気泡センサの閾値はかなり粗くても構わない。エアギャップは、流体経路中の液体の特定部分を分割するために意図的に使用される。
【0098】
特定の体積の液体を分離するために気泡を利用する能力と、システム内でこれらの特定の体積を確認する能力とにより、高精度の混合と、混合されたフォーミュレーション中の成分のそれぞれの濃度の追跡が可能になる。このデータは混合プロセス中に記録され、出力製品の品質管理および資格付与に利用できる。内部で体積および濃度を正確に検証できるため、手作業による検証の負担を軽減することができる。これは、処理時間や治療時間を改善するという利点がある。特にデリケートなサンプルの場合、手作業のステップを減らし、調製時間を短縮することで、品質や治療結果に大きなメリットをもたらす可能性がある。
【0099】
一部の実施形態では、温度制御のような追加の干渉源の考慮が含まれていない。しかしながら、温度測定は、ロバストに適格であることを確実にするために注意深く考慮される必要があるインプロセス測定の好例である。温度測定を適格に行う唯一の実用的な方法は、必ず、測定システムを時々較正し、較正の頻度が許容精度を維持するのに十分であることを実証することである。手動較正システムの場合、これは面倒な手作業であり、誤差が生じる可能性がある。
【0100】
本明細書で説明するシステムの利点は、内部検証機能である。これは以下のようなものを明らかにする。
インプロセスポンプチューブ較正検証-ポンプチューブ較正は、測定された体積とキットアセンブリ内の制御された容積とを比較する。
投入製品体積測定-投入バッグから移送される製品体積が測定され、バッチデータに使用される。
サンプル体積は独立して記録され、製品プールから除去される。
製品体積プール-投入液、希釈液、クライオバッファーをバッチデータとして管理する。
送出バッグに分注された体積は、分注コントローラから独立して測定され、レビュー用に記録される。
相関性が低い場合は記録され、検査のためにハイライトされる。
【0101】
システムの実施形態はまた、混合および分注プロセスの実行中に記録されたデータに基づいて、体積一致レポートを含むバッチクローズアウトのようなレポートを提供することができる。
【0102】
自動化されたフォーミュレーションと投与分注
上述したシステムの自己較正及び検証の利点により、本システムは、細胞治療の投与量調整プロセスの少なくとも重要な部分の自動化に適している。潜在的には、開示するシステムの実施形態を用いて、全投与量調製プロセスを自動化することができる。
【0103】
文脈のために、以下の段落は自己細胞治療を調整するためのプロセスの一例の概要を示している。最初の段階として、細胞は患者(又は同種細胞治療の場合は患者に適合したドナー)から採取される。これらの細胞は生きたまま保存され、例えば数時間から10日間程度、培養液中で増殖するように培養される(拡張とも呼ばれる)。この際、培養期間前または期間中に標的細胞に特異的な処理を行うこともある。培養液の少なくとも一部とともに培養された細胞は、遠心分離装置に移され、そこで標的細胞や「良い」細胞を死細胞、非標的細胞、その他の廃棄物から分離することができる。
【0104】
例えば、標的細胞を他の細胞や廃棄物粒子から分離するために逆流遠心分離機を使用することができ、培養培地は別の担体培地で希釈して流すこともできる。例えば、標的細胞とその他の成分(死細胞、非標的細胞、細胞片、その他の廃棄物粒子)との間のサイズや重量のばらつきのために、標的細胞は、これらの細胞に作用する力(流体の流れと遠心力)が遠心チャンバ内で釣り合うところに集まってくる。逆流遠心分離機は標的細胞を分離し、流動床でこれらを濃縮するように動作する。これらの標的細胞(または良好細胞)が細胞治療の基礎となるが、得られる細胞カウントは不明である。細胞カウントは、多くの変数のために患者によって異なる。細胞カウントに影響する変数には、患者の生物学的因子や、培養過程に作用する変数、例えば周囲の温度や圧力、培地成分の濃度や周囲の雰囲気などが含まれる。得られる細胞カウントも予測できないことがある。例えば、細胞カウントはわずか10万個、100万個、数千万個、数億個と非常に少ない場合もある。
【0105】
一旦標的細胞が廃棄物から分離されると、これらは通常、患者に投与するための投与量にまとめる必要がある。細胞の培養には時間がかかり、標的細胞の分離には特別な装置が必要であるため、通常、この調製は患者から離れた研究室や他の施設で行われる。患者への輸送と配送のために、細胞は保存される必要がある。これは通常、凍結保護剤を含む混合液中で凍結させ、個々に投与可能な用量で行われる。治療に必要な投与量パラメータを定義することができる。これらのパラメータには、投与体積および投与フォーミュレーション(例えば、担体媒体、凍結保護剤の割合および組成)、治療に必要な最小投与回数などが含まれる。しかし、正確なフォーミュレーション組成は細胞濃度によって変化しうる。フォーミュレーションに必要な正確な体積は、通常、投与量中の細胞カウントに依存する。例えば、キャリア液は、凍結保護剤を含む混合液からなる。投与量分の細胞は担体溶液に懸濁される。キャリア液の体積は、投与する細胞の濃度を希釈するために操作することができる。例えば、投与量に対する最小細胞カウント、細胞カウントに基づく関連する凍結保護容積の範囲、その他のフォーミュレーション成分の範囲などである。フォーミュレーション中のこれらの成分は、治療の目的によって異なる可能性がある。例えば、癌治療のための幹細胞治療のための投与量のフォーミュレーションは、治療される癌の種類によって異なる。
【0106】
実現可能な投与回数は、これらの投与で使用するために得られた細胞の数に依存する。従って、正確な投与量や投与回数は事前に設定することはできず、むしろ細胞が分離され、細胞カウントが行われた後に決定されなければならない。細胞カウントは、従来、少量の液体(例えば0.1ml)中の細胞カウントを手動または自動でカウントし、mlあたりの細胞カウントを算出することにより行われてきた。例えば、投入試料の少量サンプル(しばしばQCサンプルと呼ばれる)を抽出し、このサンプルで細胞カウントをカウントする。(これは手作業でも、外部の細胞カウントシステムを使用してもよい。)システムは投入試料の体積を記録または測定できるので、1mlあたりの細胞総数と懸濁液の決められた体積との単純な乗算によって細胞総数を計算することができる。
【0107】
細胞カウントが計算されると、全細胞から製造可能な投与の潜在数が計算される。投与数は整数でなければならないので、各投与量に対する目標又は望ましい細胞カウントが与えられた場合、いくらかの残存細胞がある可能性が高い。例えば、細胞カウントから、治療投与に使用するために6,000万個の細胞が得られることが決定される。システムに保存されているパラメータは、投与あたりの目標細胞カウントを4,000万細胞とし、許容範囲は投与あたり2,500万から5,000万細胞である。利用可能な6,000万個の細胞から、4,000万個の細胞を1回投与することしかできず、最低投与量の閾値である2,500万個を下回る2,000万個の細胞が残る。このような場合の選択肢は、
1.4,000万細胞で1回分を調製し、残りの2,000万細胞を廃棄する。
2.例えば、3,000万細胞を2回投与する、あるいは3,500万細胞を1回投与し、2,500万細胞を2回投与する。
3.1回投与時の細胞カウントを5,000万個に増やし、使用される細胞カウントを最大にし、廃棄される細胞カウントを1,000万個に最小化する。
4.すべての細胞を使用するために、1回投与の細胞カウントを6,000万個に増やす。投与量が許容範囲外であるため、これは望ましくないかもしれない。
【0108】
選択肢2は、細胞の利用を最大化し、投与量を規定範囲内に維持する。選択肢3は、規定範囲内で廃棄される細胞を最小化するので、選択肢1よりも望ましい。さらに、この選択肢では投与量が1回のみであるため、この治療では、この投与量が許容細胞カウントの最大値、あるいは選択肢4のようにそれ以上であっても許容できる可能性がある。明らかなように、投与数および投与あたりの細胞カウントの決定は、投与量を決定するための様々なトレードオフおよび制約の評価と関連する。
【0109】
従来、臨床医はこのような投与量の妥協点を決定する。治療のための投与量が決定されると、各投与量のフォーミュレーションを決定するためにさらなる計算が必要となる。ここでも、このような計算には、トレードオフ/妥協や制約が含まれる場合がある。現在、投与のフォーミュレーションに関する決定と、投与量をフォーミュレーションするために必要な成分の体積の計算は、手作業で行われている。
【0110】
臨床医は、計算ツールとしてコンピュータを利用することができ、例えば、表計算ソフトを利用して計算を支援することができる。しかし、このプロセスは依然として実質的に手作業であり、臨床医の経験と知識に大きく依存している。多くの変数が関係するため、計算には時間がかかる。また、手作業による処理では、エラーや矛盾が生じる可能性があることも理解されるべきである。手作業で投与量を計算するプロセスにも時間がかかり、その結果、投与量が凍結されるまでに細胞が生存するのに必要な時間が長くなる可能性がある。
【0111】
開示されたシステムの一実施形態は、細胞カウントに基づいて投与量フォーミュレーションの自動計算を可能にするように構成される。投与量計算を行うように構成された制御システム301の一例が
図3Bに示されており、このシステムは
図3Aと同様に、特定のバッチプロトコルの一次プロセスコントローラであるバッチプロセスおよびポンプコントローラ310と、バッチ処理プロセス中に液体体積および他のフォーミュレーションパラメータを計算し追跡するアキュムレータモジュール320と、バッチプロセスコントローラ310からの指示に応答して、バッチ処理プロセス中の流体の流れを制御するためにバルブを作動させるバルブコントローラ330と、蠕動ポンプを自動的に較正するための較正器340と、気泡センサ入力370に基づいて流体の体積を推定するための体積推定器350と、バッチ処理に関連する情報を記録するためのログ360を有する。
【0112】
アキュムレータ320は、バッチ処理で使用される各リザーバまたは投入ソースから引き出され、引き渡される液体の体積を追跡し、例えば、1つの流体バッグから引き出され、混合リザーバ(これは、流体バッグまたは混合を促進するコンポーネントと任意に係合する他の容器であってもよい)に引き渡される液体の体積を監視するとともに、混合リザーバ内の体積を追跡する。アキュムレータはまた、蓄積された体積データに基づいて、処理の異なる段階におけるフォーミュレーション濃度状態を推定することができる。
【0113】
この実施形態では、コントローラ301は、投入細胞カウントに基づいて投与パラメータを計算するためにリアルタイムで動作可能な補間エンジン380をさらに含む。この実施形態では、コントローラは、投与量計算のための数式およびアルゴリズム、投与量計算のための変数、および各変数の範囲または境界条件などの変数属性および値、ならびに変数の優先順位付けデータを記憶する。変数および関連属性は、典型的には、治療要件に基づいており、以下のような情報を含むことができる。
投与量-最小量と最大量を定義する範囲または境界条件を有する。
投与細胞カウント-上限と下限、または閾値を指定する1つ以上の範囲を含むことができる。
【0114】
キャリアフォーミュレーションの成分変数と生体組織凍結保護(Cryoprotect)の詳細は、制約、濃度範囲、細胞濃度依存性を含む。
【0115】
各変数には目標値と許容範囲を定義することができる。補間エンジンは、これらの定義された目標値と範囲を利用して変数を数学的に解き、与えられた細胞カウントに対する投与量のフォーミュレーションを決定する。制約には、生存可能な治療のための閾値、例えば、投与あたりの最小細胞カウント、最小投与数などが含まれる。実行可能な治療を提供するために利用可能な細胞が不十分な場合、フォーミュレーションは停止され、臨床医に警告が出力されてもよい。
【0116】
システムは、バッチ間で変化させることができる優先順位付けルールも記憶している。例えば、優先順位付けは、1.細胞カウントに対する投与の最大数、2.所与の範囲内での最大細胞カウント、3.整数の投与数まで端数切捨て、4.余分な細胞が廃棄されるのを避けるために、最大または最小の範囲を超えることができるかどうか、であってよい。このような優先順位付けのルールのランキングは可変であり、細胞治療に基づいて臨床医があらかじめ定義しておくこともできる。この優先順位付けは補間エンジンによって利用され、変数を数学的に解法し、投与量フォーミュレーションを決定する。
【0117】
各変数の目標値および範囲、ならびに優先順位付けルールは、物理的処理が開始される前に、バッチごとに選択できることを理解されたい。これらのパラメータ、範囲、および優先順位は、バッチ間で異なる可能性がある。いくつかの実施形態では、過去に使用されたパラメータ、範囲および優先順位付けを含む以前のバッチデータを含む履歴データ390が保存されることがある。この実施形態では、臨床医または技術者は、バッチタイプに基づいて以前に使用された設定を選択することができる。いくつかの実施形態では、設定はバッチタイプのプロファイルとして保存されることがある。例えば、ユーザーインターフェースを介して、保存されたバッチプロファイルをピックリストで検索したり、データレコードから検索したりすることができる。
【0118】
流体処理システムのコントローラ301と一体化された補間エンジン380をフレービングすることは、投与量フォーミュレーションの計算が迅速であり、一旦フォーミュレーションが解法されると、コントローラは、上述のような方法を使用して、決定されたフォーミュレーションに従って自動的に投与を調製し得るという利点を有する。
【0119】
一実施形態では、細胞カウントは臨床医や技術者が手動で入力する。この実施形態では、濃縮細胞のサンプルが抽出され、計算され、1mlあたりの細胞カウントがシステムに入力される。この値に基づいて、コントローラは、濃縮細胞の総量と細胞カウントに基づいて、総細胞カウントを決定するように構成されている。そして、この値とバッチ投与量のパラメータ、範囲、優先順位を利用して、最適な投与量フォーミュレーションを数学的に決定する。最適な投与量フォーミュレーションは、反復プロセスを用いて補間エンジンによって解法される。この反復プロセスは、大まかに以下のステップで特徴づけられる。
A.総細胞カウントと投与量あたりの目標細胞カウント(または目標細胞濃度と投与量)に基づき、投与回数と残留量の整数値を決定する。
B.残留物がない場合、総投与回数の整数値が最小投与回数の要件を満たしているか。最小投与数を満たしている場合は、投与量計算式の決定(ステップE)に進む。最小投与数を超えており、追加投与量を優先する場合は、投与量計算式の決定(ステップE)に進む。最小投与数または目標投与数を超えており、優先順位が投与濃度の増加を優先する場合は、投与濃度を再計算する(ステップC)。
C.残留物がある場合、または最小投与数を超え、投与濃度を上げることが望ましい場合。総細胞カウントに基づいて、投与あたりの細胞カウントが増加するように投与数を再計算する。投与数と細胞濃度が許容範囲内であれば、投与計算式の決定(ステップE)に進む。
D.ステップAで最小目標投与数が満たされず、残留物がない場合、システムは、治療に対する閾値要件に基づいて、実行可能な治療がフォーミュレーションできないと判定し、臨床医または技術者に警告メッセージを出力することができる。臨床医が更なる指示を入力できるように、このステップで処理を停止することができる。例えば、細胞を増殖培地に戻すか、更なる検査を行うように出力することができる。治療可能な最小閾値が満たされた場合、システムは優先順位付けのデータと利用可能な細胞カウントに基づいて、最も好ましい投与量オプションを決定し続けることができる。生存可能な処理投与数と投与あたりの細胞カウントが決定されると、投与のフォーミュレーションが決定される(ステップE)。
E.投与あたりの細胞カウントに基づいて投与量をフォーミュレーションする:投与フォーミュレーションに使用される凍結保護剤の量は、投与あたりの細胞カウントに基づいている。補間エンジンは、数式と優先順位付けルールに基づいて可変値を反復的に解き、細胞カウントと治療に合わせて投与フォーミュレーションを調整する。これには、フォーミュレーションの成分の相対濃度の調整と同様に、定義された範囲内で投与量を変化させることが含まれる。
【0120】
上述したプロセスは、実際には、各ステップにおいて反復計算を含み得ること、および/または最適なフォーミュレーションが決定されるまでステップが反復的に繰り返され得ることが理解されるべきである。一旦フォーミュレーションが決定されると(すなわち、各投与について混合される成分の比率、および投与量)、システムは、上述のプロセスを使用して、フォーミュレーションを混合するステップおよび凍結のために個々の投与を分注するステップを自動的に実行する。この自動化により、細胞が培養液または増殖培地から取り出され、個々の投与で凍結されるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0121】
自動計算とそれに続く投与量調製は、システム内の容積の自動較正と検証によって可能になり、これはフォーミュレーションに混合するための成分の測定が正確で信頼できることを意味し、同様に送出される投与量も正確であることを理解すべきである。
【0122】
本システムのいくつかの実施形態では、サンプル(QCサンプル)は手動細胞カウントのために自動的に送出される。また、本システムの実施形態は、懸濁液中の濃縮細胞又は粒子が本システムに送入される前に、細胞又は他の粒子の投入濃度の細胞カウントが既に知られている(例えば、液体フォーミュレーションシステム外の別のプロセスから決定される)投与の自動混合及び分注に利用されることも想定される。濃縮液の体積測定、投与量計算、混合及び分注のステップは、上述したように実施することができる。
【0123】
本システムの実施形態は、細胞カウント(又は粒子カウント)の自動判定が可能なシステムと統合するように構成することもできる。細胞カウントのデータは、システム間の機械間通信インターフェースを介してフォーミュレーション処理に入力することができ、これは有線又は無線のインターフェースであってもよい。細胞カウントは、懸濁液中の細胞濃度の検出された特性に基づくことができる。例えば、懸濁液中の細胞濃度の光学的特性(密度、濁度、スペクトル)は、光学センサを用いて測定することができる。電気センサなど他のセンサを用いてもよい。細胞濃度は、これらの特性と細胞の種類に基づいて推定される。
【0124】
懸濁液中の粒子カウントを把握するのに必要なのは、プロセスの次の段階を指示するために必要であるため、粒子ベースの治療製品に対して実施される一般的な品質管理測定である。このような粒子カウントは一般的に、既知の総体積中の希釈懸濁液の少量のサンプルを採取し、その少量のサンプル中の粒子を測定するために使用される機器または手動の光学的方法によって達成される。その後、懸濁液全体積中の粒子カウントは、少量のサンプルカウントに基づいて外挿される。問題点は、このサンプリングと粒子カウントの動作は、その情報を取得するまで待ってから、一次処理を進めなければならないことである。さらに、粒子カウントのためのこれらの方法は、測定判定のばらつきの原因となる多くの影響を受け、その結果、カウントのばらつきは±20%の範囲に及ぶ。密度センサによる粒子集団全体の間接的観察と、同じ製品及びプロセス環境の検証データの蓄積を組み合わせることで、ステップ内サンプリングなしでプロセスを完了するのに十分な信頼性が得られる可能性がある。
【0125】
自動細胞カウント推定のための機能を含み得る逆流遠心分離システムの例は、本出願人の先の特許出願公開WO2019/140491号およびWO2018/204992号に開示されており、そのようなシステムは、2つのシステムの機能の統合を可能にするために、遠心分離配管(
図7参照)を介して、開示されたシステムと接続されてもよい。この例では、カウンタフロー遠心分離処理において、回転チャンバ内に生成される粒子の流動床は、粒子を支持する流体媒体中のストークス沈降挙動に影響を与える粒子の属性、すなわち公称外形寸法または直径、嵩密度および外面形態によって特徴付けられる。流体媒体の属性には、密度と粘度(両方とも温度に敏感)、および粘度のチクソトロピーやせん断感度などの2次特性が含まれる。このような相互作用の複雑さにもかかわらず、ほぼ一貫した投入材料および運転条件でプロセスを再現することにより、単位体積当たりの粒子カウント(例えばmlあたりの粒子カウント)として測定した場合、流動床内の粒子密度が一貫したものとなる、一貫した流動床の挙動が得られる。懸濁液中の粒子の密度は、一貫した投入材料および操作条件を用いて処理された別々のバッチ間で実質的に類似しているが、流動床の体積は、粒子カウントの変化を反映してバッチ間で大きく変化する可能性があることを理解すべきである。
【0126】
このような場合の遠心分離システムの実施形態は、粒子カウント推定を含むことができる。これらの実施形態では、カウンタフロー遠心分離コントローラは、回収濃縮物体積に基づいて粒子カウントを決定し、粒子特性および運転パラメータに基づいて濃縮物の粒子密度推定を決定するようにさらに構成される。粒子密度推定は、経験的データ、例えば、現在の処理バッチと相関する投入材料および運転条件を有する以前のバッチ処理からの履歴データに基づくことができる。例えば、このようなデータは外部に蓄積され、実行される特定のプロセスの処理手順データ及びパラメータと共にコントローラに入力される。あるいは、コントローラは、プロセスの実行を監視し、実行された各プロセスの粒子密度を特徴付けるデータ(例えば、密度センサ出力、粒子カウント推定または検証された粒子カウントデータ)を取り込むように構成されてもよい。このような実施形態では、コントローラは、1つ以上の相関する以前/過去の処理イベントを特定し、粒子密度の推定に使用する懸濁液特性を検索するために、そのようなデータをデータベースまたは他のデータリポジトリに格納および検索して、現在の処理イベントと比較することができる。粒子密度が決定されると、密度と測定体積から総細胞カウントが計算される。この推定細胞密度又は細胞カウントは、投与フォーミュレーションプロセスで使用するために制御装置301に出力することができる。いくつかの実施形態では、品質管理サンプル(QCサンプル)も検証目的で出力され得る。しかしながら、システムが正確な自動細胞カウント推定の記録を有する処理(例えば、バッチ種類)については、投与へのフォーミュレーションに利用可能な細胞カウントを最大化するために、QCサンプルの抽出を省略することができる。
【0127】
本システムによって可能となる自動化された処理によって、細胞が培養培地(または体内)から取り出され、送出のために治療投与で凍結されるまでの時間を大幅に短縮できることが理解されよう。さらに、遠心分離システムなどの外部システムと統合する能力は、自律的に行える処理ステップを増やし、処理速度と一貫性をさらに向上させる可能性がある。処理時間の短縮は、細胞の生存率や治療結果に大きな影響を与える可能性がある。
【0128】
自律的閉鎖処理システムを統合することで、汚染物質や環境条件にさらされるリスクを低減することもできる。このように、改善されるのはスピードだけではない。
【0129】
本発明の思想および態様から逸脱することなく、多くの変更がなされ得ることは、本発明の技術分野における当業者には理解されるであろう。
【0130】
本明細書において先行技術文献を参照する場合、その文献がオーストラリアまたはその他の国における当該技術分野における一般的な知識の一部を形成していることを認めるものではないことを理解されたい。
【0131】
特許請求の範囲及び発明の上記説明において、文脈上、明示的な文言又は必要な含意によりそうでないことが要求される場合を除き、「comprise」という語又は「comprises」若しくは「comprising」などの変形は、包括的な意味で、すなわち、記載された特徴の存在を特定するために使用されるが、本発明の様々な実施形態における更なる特徴の存在又は付加を排除するために使用されるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0132】
【特許文献1】国際公開WO2019/140491号公報
【特許文献2】国際公開WO2018/204992号公報
【手続補正書】
【提出日】2023-06-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ハンドリングシステムであって、
再使用可能なサブシステムと、
交換可能なサブシステムと
を備え、
前記再使用可能なサブシステムは、
蠕動ポンプと、
複数のバルブを含むバルブアセンブリと、
それぞれが流体経路中の気泡を検出するように配置された2つ以上の気泡センサと、
プログラムされた処理プロトコルに従って、前記気泡センサからの入力を受け取り、前記蠕動ポンプの動作を制御し、前記バルブアセンブリの動作を制御するように構成されたシステムコントローラと、
前記蠕動ポンプ、および前記バルブ動作アセンブリを収容するケースと
を有し、
単回使用の前記交換可能なサブシステムは、
一つ以上の固定形状の流体経路を含む流体経路マニホールドであって、前記流体経路の少なくとも1つは、前記バルブアセンブリと係合するように構成され、それによって、前記バルブアセンブリの操作によって流体経路を選択的に開閉することができ、少なくとも1つの前記固定形状の流体経路は、前記気泡センサが前記流体経路内の気泡を識別することができるように、前記ハウジングに固定されたときに前記気泡センサに近接して配置される、流体経路マニホールドと、
前記蠕動ポンプの動作によって前記マニホールド内に流体の流れを生じさせるよう、前記蠕動ポンプと前記流体経路との間で動作可能な係合を可能にするように構成されたポンプチューブと、
それぞれの液体を前記一つ以上の流体経路に分配するために、それぞれの液体供給コンポーネントに接続するように構成された複数の液体投入ポートと、
気体が前記流体経路に入ることを可能にするために、前記1つ以上の流体経路のうちの少なくとも1つに接続された少なくとも1つの気体入口と、
流体を分注するべく、前記1つ以上の流体経路と流体連通する少なくとも1つの出口ポートと
を有し
前記交換可能なサブシステムが、液体フォーミュレーションの混合および分注のための閉鎖環境を提供し、
前記コントローラが、前記蠕動ポンプの作用およびそれぞれの前記流体経路に関連する少なくとも1つの気泡センサからの入力に基づいて、前記流体経路の1つにおける液体の体積を決定する、液体ハンドリングシステム。
【請求項2】
固定形状の流体マニホールドと気泡センサの配置との組み合わせが、前記流体経路内の少なくとも1つの領域における既知の体積の測定を可能にし、前記コントローラが、前記蠕動ポンプを較正するために前記既知の体積の測定を利用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記蠕動ポンプが、前記コントローラによって自動的に較正される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記蠕動ポンプが、前記1つ以上の処理プロトコルの実行中に動的に較正される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
気泡センサの入力に基づき、分注された製品の前記体積を確認するべく、前記コントローラが既知の体積の測定を利用する、請求項2から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
小体積の液体を分離するのに流体配管中の気泡が使用され、各小体積の液体の体積が、各領域からの気泡センサデータを使用して、前記流体経路内の少なくとも2つの異なる領域で検証される、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記検証された体積データが、分注された体積データを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記気体入口が空気入口である、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
空気入口が無菌フィルターを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムコントローラが、処理される液体サンプル中の粒子カウントに基づいて、投与フォーミュレーションおよび送出する投与数を決定し、決定されたフォーミュレーションを混合し、決定された投与数を分注するように前記システムを制御するようにさらに構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムコントローラが、フォーミュレーション変数の目標値および範囲、粒子カウント、ならびに変数の優先順位付けルールに基づいて、投与量およびフォーミュレーション変数を数学的に解法するように適合された補間エンジンを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
請求項1記載の液体ハンドリングシステム内の蠕動ポンプを較正する方法であって、
第1の気泡センサと第2の気泡センサとの間の既知の容積を有する流路内へ、ある体積の液体を導入するステップと、
前記体積の液体が気泡によって先行および後続されるように、気体を流路に導入するステップと、
液体から気泡への転移を識別できるように、前記体積の液体を前記第1気泡センサの近傍の流路を通過させるべく蠕動ポンプを操作し、転移時の前記蠕動ポンプの位置を記録するステップと、
前記第2のセンサによる液体から気泡への同じ転移を識別できるように、前記体積の液体を既知の容積の流路を通して前記第2の気泡センサまで引き込ませるべく、前記蠕動ポンプを操作し、転移時の前記蠕動ポンプの位置を記録するステップと、
記録された位置と既知の流路容積とに基づいて、前記蠕動ポンプの各インデックスに取って代わる液体の体積を計算するステップと
を備える方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、2つの気泡センサの間のチューブの容積を決定する方法をさらに備え、当該方法は、
a)初期体積の液体の前記チューブへの導入を制御するステップと、
b)前記流体の端部が第1の気泡センサの近傍で識別されるように、前記初期体積の液体を進行させるべく前記蠕動ポンプを操作するステップと、
c)前記第2の気泡センサによって液体が検出されるまで、前記チューブへのさらなる液体の導入を制御するステップと、
d)前記初期体積の液体およびさらなる体積の液体からなる総体積の液体を外部容器に移送するべく、前記蠕動ポンプを操作するステップと
を有する方法。
【請求項14】
請求項1記載の液体ハンドリングシステムにおいて混合操作を実行する方法であって、当該方法は、
a)流体経路を通る流体の流れを生じさせるべく、前記蠕動ポンプを操作するステップと、
b)前記流体経路を通る流体の流れの選択および方向を制御するべく、1つ以上のバルブを作動させるステップと、
c)前記気泡センサを使用して前記流体経路を通る流体の流れを監視し、少なくとも1つの気泡センサによる流体検出および前記蠕動ポンプの動作に基づいて、流体の体積を決定するステップと、
d)前記流体の目標体積が気泡センサを通過したことの判定に応答して、流体の目標体積の後方の前記流体流路に気泡を導入し、流体の目標体積の流れを混合リザーバへ向けることを含め前記流体経路内の前記流体の流れを指示するべく、少なくとも1つのバルブを作動させるステップと、
e)一つ以上のさらなる流体およびさらなる目標体積について、ステップa)からd)を繰り返し、それによって前記流体が前記混合リザーバ内で混合される、ステップと
を備える方法。
【請求項15】
f)前記混合リザーバから前記流体経路を通って前記混合リザーバに戻るよう前記混合流体を再循環させるために、1つ以上のバルブを作動させるステップをさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項16】
g)前記混合流体を一つ以上の流体経路を通じて出口まで流させ、前記ポンプの動作および気泡センサによって検出された混合流体の流れに基づいて、前記混合流体の目標体積を分注させるよう、一つ以上のバルブを作動させるステップをさらに備える請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項17】
分注された前記目標体積が前記混合流体のサンプル体積である、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
液体ハンドリングシステムの再使用可能なサブシステムであって、当該再使用可能なサブシステムは、
蠕動ポンプと、
複数のバルブを含むバルブアセンブリと、
それぞれが流体経路内の気泡を検出するように配置された2つ以上の気泡センサと、
プログラムされた処理プロトコルに従って、前記気泡センサからの入力を受け取り、前記蠕動ポンプの動作を制御し、前記バルブアセンブリの動作を制御するように構成されたシステムコントローラと、
前記蠕動ポンプおよびバルブ動作アセンブリを収容するケースと
を備え、
前記ポンプ、バルブアセンブリ、および気泡センサが、一つ以上の固定形状の流体経路を含む流体経路マニホールドと係合するように配置され、それによって、流体経路が、前記バルブアセンブリの動作によって選択的に開閉され、前記気泡センサが流体経路内の気泡を識別することができるように、少なくとも1つの流体が、ハウジング内に固定されたときに気泡センサの各々に近接して位置し、前記ポンプが、前記蠕動ポンプの操作によって前記マニホールド内に流体の流れを引き起こすよう、前記蠕動ポンプと前記流体経路との間の動作可能な係合を可能にするように構成されたポンプチューブと係合し、
前記コントローラが、前記蠕動ポンプの作用およびそれぞれの流体経路に関連する少なくとも1つの気泡センサからの入力に基づいて、前記流体経路のうちの1つにおける液体の体積を決定する、再使用可能なサブシステム。
【請求項19】
液体ハンドリングシステムの交換可能なサブシステムであって、当該交換可能なサブシステムは、蠕動ポンプと、複数のバルブを含むバルブアセンブリと、それぞれが流体経路内の気泡を検出するように配置された2つ以上の気泡センサと、プログラムされた処理プロトコルに従って、前記気泡センサからの入力を受信し、前記蠕動ポンプの動作を制御し、前記バルブアセンブリの動作を制御するように構成されたシステムコントローラと、前記蠕動ポンプおよびバルブ動作アセンブリを収容するケースとを備える再使用可能なサブシステムと係合するように構成されており、当該交換可能なサブシステムは、
1つ以上の固定形状の流体経路を含む流体経路マニホールドであって、前記流体経路の少なくとも1つは、前記バルブアセンブリと係合するように構成され、それによって、前記バルブアセンブリの操作によって流体経路を選択的に開閉することができ、前記固定形状の少なくとも1つの流体経路は、前記気泡センサが前記流体経路内の気泡を識別することができるように、前記ハウジング内に固定されたときに前記気泡センサの近傍に位置するように配置される、流体経路マニホールドと、
前記蠕動ポンプの動作によって前記マニホールド内に流体の流れを生じさせるように、前記蠕動ポンプと前記流体経路との間の動作可能な係合を可能にするように構成されたポンプチューブと、
それぞれの液体を1つ以上の流体経路に分配するためのそれぞれの液体供給コンポーネントに接続するように構成された複数の液体投入ポートと、
気体が前記流体経路に入ることを可能にするべく、前記1つ以上の流体経路のうちの少なくとも1つに接続された少なくとも1つの気体入口と、
流体を分注するべく、前記1つ以上の流体経路と流体連通する少なくとも1つの出口ポートと
を備え、
前記交換可能なサブシステムが、液体フォーミュレーションを混合および分注するための閉鎖環境を提供し、
前記コントローラが、前記蠕動ポンプの作用およびそれぞれの流体経路に関連する少なくとも1つの気泡センサからの入力に基づいて、前記流体経路の1つにおける液体の体積を決定する、交換可能なサブシステム。
【国際調査報告】