(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-11
(54)【発明の名称】菓子製品を製造する装置
(51)【国際特許分類】
A23G 4/04 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
A23G4/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024500199
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 IB2022056226
(87)【国際公開番号】W WO2023281403
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】102021000018062
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502174704
【氏名又は名称】ペルフェッティ ヴァン メッレ ソシエタ ペル アチオニ
【氏名又は名称原語表記】PERFETTI VAN MELLE S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】タリー、 アレッシオ
(72)【発明者】
【氏名】スレイマノグリ、 イヴセン
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB13
4B014GQ05
4B014GU02
4B014GU05
(57)【要約】
丸みのある角部と楕円状または半楕円状の辺とを備えた不規則な五角形の形状を有するチューインガムを含む食用製品(1)を製造するための装置(10)が説明される。この装置は成形ローラー(11)と対照部材(12)とを含み、前記成形ローラー(11)は、互いに全く同一であって刃部によって周方向の境界が定められている不規則な六角形(20)の、互いに直交する2つの組が交差することで得られるパターンを有する。それらの組が交差することで、六角形の各々の中に、対向する対になる互いに同一の4つの不規則な五角形(50,50’)が定められる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形ローラー(11)と対照部材(12)との間を通過させるために所望の高さになるようにガムベースのシート(13)の厚さを低減させるように構成されている、互いに対向して反対方向に回転する複数対のローラーを含む、チューインガムを製造するための装置であって、前記成形ローラー(11)は、水平方向、すなわち軸方向に向けられた不規則な六角形(20)の第1の組(30)と、垂直方向、すなわち前記成形ローラー(11)に関する周方向に向けられた不規則な六角形(20)の第2の組(40)と、を有し、不規則な前記六角形(20)は互いに全く同一であって、刃部によって周方向の境界が定められており、互いに直交する不規則な前記六角形の組(30,40)が交差することで、前記六角形の各々の中に、対向する対になる互いに同一の4つの不規則な五角形(50,50’)が定められることを特徴とする、装置。
【請求項2】
不規則な前記六角形(20)の各々が、他の4つの辺(22)に対して長さが短く、互いに同一である、対向する2つの辺(21)を有し、水平方向の前記六角形の組(30)は、垂直方向に位置する短い前記辺(21)を有し、垂直方向の前記六角形の組(40)は、水平方向に位置する短い前記辺を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
個片の切り取りを容易にするために、4つの前記五角形(50,50’)の頂点が交わる、各六角形(21)の長い辺(22)の各々の中点に、辺が内側(25)に向かって凹状に湾曲した四角形状であり、ガムが切断されない小さなデッドゾーン(25)があることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記成形ローラー(11)の縁部に近接して、長手方向または周方向の線(26,27)に沿って、高い刃部が設けられており、前記刃部は、材料の無駄を最小限に抑えつつ前記五角形(50,50’)の輪郭に沿ってシート(13)の側縁部をトリミングすることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記成形ローラー(11)に、前記五角形(50、50’)の輪郭をたどる横方向の線(28)が設けられており、材料を無駄にせずに前記シート(13)を分断するために、前記線(28)に沿って、より高い刃部が設けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記対照部材(12)が、前記成形ローラー(11)と同一であって前記成形ローラー(11)に対向して反対方向に回転する成形ローラーであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記対照部材(12)が、平滑または粗い表面を有するローラー、または、好ましくは移動可能であって、前記シート材が前記成形ローラー(11)上で前進する時に当該シート材とともに進むコンベアベルトタイプの平坦な面であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
チューインガムから構成される食用製品(1)の製造方法であって、ガムベースを含む混合物を、押出成形後に、その厚さを低減させて所望の高さにするように構成された、互いに対向して反対方向に回転する複数対のローラーを通過させることを含み、丸みのある角部と実質的に楕円状の辺とを備えた不規則な五角形の形状のチューインガムの個片(1)を形成するために、適切な高さの前記混合物が、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置(10)の成形ローラー(11)および対照部材(12)を通過することを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載の装置と請求項8に記載の方法とを用いて製造されたチューインガムからなり、丸みのある角部と楕円状または半楕円状の辺とを備えた不規則な五角形の形状を有する食用製品(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、丸みのある角部を有する不規則な五角形の形状を有するチューインガムからなる菓子製品を製造するための装置である。
【背景技術】
【0002】
ガム塊のシートを特定の形状を有する個々の単片(モノピース)の組に切断する機能を有する、重ね合わせられ反対方向に回転するローラーの対を用いて、個々のチューインガムを形成することを可能にする、チューインガムの製造のためのチューインガムの製造ラインが知られている。
【0003】
欧州特許公開1588620号公報は、塊状の食用製品、特に菓子塊の連続生産を開示している。これは、所望の厚さを有するシートを形成し、このシートをコンベアベルト上に、製品の個々の単片が形成される切断ステーションまで堆積させることによって行われる。
【0004】
この切断ステーションは、カッターとして知られる重ね合わせられたローラーからなり、刃部の傾きと位置とに応じて、それぞれの場合における所望の形状の単片を得ることを可能にする。
【0005】
欧州特許公開1588620号公報によって開示された解決策によると、カッターが、ガム材料のシートから規則的な形状(円形、楕円形、六角形、または波状)を得ることができ、互いに完全に連続した一連の単片を生じさせることができる刃部の位置および傾きを有することを特徴とする場合に、最大の効率を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術には、個々の単片を形成する際に、例えば五角形のような形状の場合のように、廃棄物の発生を引き起こさない幾何形状であって、チューインガムまたはその他の食用材料のシートに中断することなく連続して再現される幾何形状を有する製品の作成を可能にするシステムは記載されていない。
【0008】
出願人は、大量の廃棄物の発生を招くことなく、新規で平坦かつ不規則な形状を特徴とするチューインガムを製造するために、従来技術に記載されているものと類似した製造システムを用いる可能性をさらに研究した。
【0009】
したがって、本発明の目的は、製品の無駄を最小限に抑え、特定の幾何形状を有する食用菓子製品、特にチューインガムを製造する装置を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、材料のシートのインラインでの切断を直接実行し、材料の無駄を最小限に抑えつつ側縁部をトリミングし、無駄を生じさせることなくシートを横方向に切断することを可能にする装置を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、製造が簡単で安価であり、使用時の信頼性が高い装置を提供することである。
【0012】
同様に、本発明は、これらの食用菓子製品の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る装置の前述した目的およびその他の目的は、独立請求項1の主題である特徴によって達成される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に開示されている。
【0015】
実質的に、本発明に係る、食用製品、特にチューインガムを製造するための装置は、成形ローラーと対照部材との間を通過させるために所望の高さになるようにガムベースのシートの厚さを低減させるのに適した、互いに対向して反対方向に回転する複数対のローラーを含み、前記成形ローラーは、水平方向、すなわち軸方向に向けられた不規則な六角形の第1の組と、垂直方向、すなわち前記成形ローラーに関する周方向に向けられた不規則な六角形の第2の組と、を有し、不規則な前記六角形は互いに全く同一であって、刃部によって周方向の境界が定められており、互いに直交する不規則な前記六角形の組が交差することで、六角形の各々の中に、対向する複数の対になる互いに同一の4つの不規則な五角形が定められている。
本発明のさらなる特徴は、添付の図面に示されている、純粋に例示的であり、従って非限定的な本発明の実施形態に関する以下の詳細な説明によって、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る装置の、対照部材、すなわち反対方向に回転する類似のローラーと協働する、適切に形成された成形ローラーの斜視図である。
【
図2】菓子製品を製造するために材料のシートを長手方向および横方向に切断するための刃部が強調表示されている、
図1のローラーの平面図である。
【
図3】六角形の水平方向の列および垂直方向の列と、それぞれの六角形の内側に形成された五角形とが強調表示されている、
図2の拡大図である。
【
図5】反対方向に回転する2つのローラーから出てくる材料のシートを示す不等角投影図である。
【
図6】五角形の形状を示す、2つのローラーの間の接触領域の大幅な拡大図である。
【
図7】本発明に係る装置を用いて得られた1つの菓子製品の平面図および側面輪郭図である。
【
図8】本発明に係る装置を用いて得られた1つの菓子製品の平面図および側面輪郭図である。
【
図9】ガムが切断されていない4つの五角形の頂点の交点におけるデッドゾーンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
出願人によって進められた研究活動により、
図7および
図8の平面図および断面図に示すように、参照数字1で示す、丸みのある角部を備えた不規則な五角形の形状を有する食用製品、特にチューインガムの単片(モノピース)の製造が可能になっている。
【0018】
糖衣菓子1を得る製造工程は、押出成形後のガムベースを含む混合物を、最終的に個片に所望の形状を与える1対の成形ローラーを通過させるために所望の高さまで厚さを低減させるために、対向して反対方向に回転する複数対のローラーを通過させることを含む。
【0019】
図5は、本発明に係る装置10の、重なり合った1対の成形ローラー11,12を示しており、これらの成形ローラー11,12から材料のシート13が個々の製品1を有して出てきて、その後、製品の塊が冷却された後に互いに分離される。
【0020】
図1から
図3は、同一の2つのローラー11、12のうちの1つを示しており、これらは、特定の形状の刻設部を備えた特定のパターンを有しており、
図3においてより明確に見ることができる。
【0021】
より具体的には、このパターンは、全て互いに同一であり、水平方向および垂直方向、すなわちローラー11,12に関する軸方向および周方向にそれぞれ向けられた2組の不規則な六角形20の重ね合わせから得られる。
【0022】
以下、水平および垂直という用語とその派生語は、それぞれローラー11または12に関する軸方向および周方向の向きを指す。
【0023】
図3は、水平な六角形の組30の列と、垂直な六角形の組40の列と、を示している。
【0024】
各六角形20は、他の4つの辺22に対して長さが短い、対向する2つの辺21を有しており、それらは等しい。
【0025】
水平な六角形の組30では、短い辺21が垂直に配置され、垂直な六角形の組40では、短い辺が水平に配置されている。
【0026】
六角形の2つの組が交差する結果として複数の不規則な五角形50,50’が得られ、五角形50,50’は互いに同一であって対をなしている。実際には、不規則な各六角形21の内部に、互いに同一の4つの不規則な五角形が、対向する対をなすように形成されている。
【0027】
4つの五角形50,50’の頂点が交わる、各六角形のそれぞれの長い辺22の中点には、ガムが切断されない小さなデッドゾーン25がある。最小限の寸法であるこのデッドゾーン25は、廃棄物を生じさせずに個片を切り取ることを容易にするために、構造上の理由から必要である。
図9を参照すると、このゾーンは、辺(b)がデッドゾーンの内側に向かって凹状に湾曲している四角形に似た形状であり、対角線(a)が15mmから1mmの間、好ましくは3mmから10mmの間であることを特徴とする。
【0028】
辺21の端部に相当する頂点では、3つの五角形50,50’の頂点が交わるが、デッドゾーンは見られない。
【0029】
各ローラー11,12の刃部(ナイフ)によって描かれたこのパターンは、チューインガムのシート13が複数のローラー自体の間を通過するときに、
図7および
図8に示すように不規則な五角形の形状の単片1が形成されるように規定している。
【0030】
図2において、より太い長手方向の線26,27は、材料の無駄を最小限に抑えて五角形50,50’の輪郭に沿ってシート13の側縁をトリミングするための、より高い刃部を示す。
【0031】
また、
図2において、太い横方向の線28が五角形の輪郭をたどっており、この横方向の線28に沿う、高さがより高い刃部が設けられており、この横方向の線28が、材料を無駄にすることなくシート13を分断するために使用される。
【0032】
開示されている内容から、丸みのある角部と、実質的に楕円形(
図9)または半楕円形の辺と、を有する不規則な五角形の形状のチューインガムの個片を得ることができるようになり、対照部材(12)が平らな表面を有していると、材料の無駄が最小限に抑えられるという、本発明に係る装置の利点は明らかである。
【0033】
変形実施形態によれば、前述したようなパターンを有する単一の成形ローラー11を用いてよく、平滑または粗い表面を有するが特定のパターンを有していないローラーであり得る対照部材12と協働させてよい。
【0034】
あるいは、対照部材12は、成形ローラー11上で材料のシートが前進移動する際に材料のシートとともに進む、平坦で、好ましくは移動可能なコンベアベルトタイプの面であってもよい。
【0035】
当然のことながら、本発明は、前述され、添付図面に示されている特定の実施形態に限定されず、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を逸脱することなく、当業者が到達する範囲内で多数の細かい変更を加えることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガムベースのシート(13)に、互いに分離されるチューインガムの複数の個片(1)を形成するために、刻設部が設けられ互いに反対方向に回転する1対の成形ローラー(11
,12)の間を通過させるために
前記ガムベースのシート(13)の厚さを低減させるように構成されている、互いに対向して反対方向に回転する複数対のローラーを含む、
押出成形機の下流側にある、チューインガムを製造するため
に構成された装置であって、前記成形ローラー(11
,12)は、水平方向、すなわち軸方向に向けられた不規則な六角形(20)の第1の組(30)と、垂直方向、すなわち前記成形ローラー(11
,12)に関する周方向に向けられた不規則な六角形(20)の第2の組(40)と、を有し、不規則な前記六角形(20)は互いに全く同一であって、刃部によって周方向の境界が定められており、互いに直交する不規則な前記六角形の組(30,40)が交差することで、前記六角形の各々の中に、対向する対になる互いに同一の4つの不規則な五角形(50,50’)が定められ
、前記刃部によって描かれたパターンは、前記ガムベースのシート(13)における不規則な五角形の形状のチューインガムの複数の前記個片(1)の形成を規定することを特徴とする、装置。
【請求項2】
不規則な前記六角形(20)の各々が、他の4つの辺(22)に対して長さが短く、互いに同一である、対向する2つの辺(21)を有し、水平方向の前記六角形の組(30)は、垂直方向に位置する短い前記辺(21)を有し、垂直方向の前記六角形の組(40)は、水平方向に位置する短い前記辺を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
個片の切り取りを容易にするために、4つの前記五角形(50,50’)の頂点が交わる、各六角形(21)の長い辺(22)の各々の中点に、辺が内側(25)に向かって凹状に湾曲した四角形状であり、ガムが切断されない小さなデッドゾーン(25)があることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記成形ローラー(11
,12)の縁部に近接して、長手方向または周方向の線(26,27)に沿って、高い刃部が設けられており、前記刃部は、材料の無駄を最小限に抑えつつ前記五角形(50,50’)の輪郭に沿ってシート(13)の側縁部をトリミングすることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記成形ローラー(11
,12)に、前記五角形(50、50’)の輪郭をたどる横方向の線(28)が設けられており、材料を無駄にせずに前記シート(13)を分断するために、前記線(28)に沿って、より高い刃部が設けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
チューインガムから構成される食用製品(1)の製造方法であって、ガムベースを含む混合物を、押出成形後に、その厚さを低減
させるように構成された、互いに対向して反対方向に回転する複数対のローラーを通過させることを含み、丸みのある角部と実質的に楕円状の辺とを備えた不規則な五角形の形状のチューインガムの個片(1)を形成するために、
前記ガムベースを含む混合物
を、請求項1から
5のいずれか1項に記載の装置(10)の成形ローラー(11
,12)を通過
させる、方法。
【国際調査報告】