(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-11
(54)【発明の名称】触媒的カルボニル化活性を高めた立体修飾シッフ塩基リガンド
(51)【国際特許分類】
B01J 31/20 20060101AFI20240704BHJP
C07F 5/06 20060101ALI20240704BHJP
C07D 305/12 20060101ALI20240704BHJP
C07C 251/24 20060101ALN20240704BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240704BHJP
【FI】
B01J31/20 Z
C07F5/06 E
C07D305/12
C07C251/24
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024500225
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022073501
(87)【国際公開番号】W WO2023283594
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511046391
【氏名又は名称】ノボマー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テッダー,ジョナサン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】コーツ,ジェフリー・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】ファルクナー,キャサリン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】トッド,リサ・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ボイス,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】シュヨン,ジョスリン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
4H048
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169AA08
4G169BA27B
4G169BC16B
4G169BC67A
4G169BE01B
4G169BE15B
4G169BE36B
4G169BE37B
4G169BE42B
4G169CB25
4G169CB72
4G169DA02
4G169FA01
4G169FB05
4G169FC02
4H006AA03
4H006AB84
4H039CA66
4H039CH10
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB40
4H048VA22
4H048VA32
4H048VB10
(57)【要約】
金属カルボニルアニオン及び金属カルボニルアニオンにイオン結合しているカチオンを含む組成物。カチオンは、リガンド及び金属を中心に持つ化合物を含む。リガンドは、2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれにおけるアルデヒド残基の炭素と接触する窒素原子を含むヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含む。3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれは、独立して3位及び5位の一方又は両方において少なくとも5個の炭素を含むヒドロカルビル基によって置換されている。2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基の2位のそれぞれのヒドロキシル残基において及びヒドロカルビル-ジイミン架橋のそれぞれの窒素原子においてリガンドと配位されている金属。組成物は、前記金属と配位されている2つの極性リガンドを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)金属カルボニルアニオン;及び
b)前記金属カルボニルアニオンにイオン結合しているカチオンであって、
i)ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている、2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含むリガンドであって、前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋は、前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれにおけるアルデヒド残基の炭素と接触する窒素原子を含み、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれが、独立して3位及び5位の一方又は両方において少なくとも5個の炭素を含むヒドロカルビル基によって置換されている、リガンド;
ii)前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基の2位のそれぞれのヒドロキシル残基において及び前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋のそれぞれの前記窒素原子において、前記リガンドと配位されている金属;並びに
iii)前記金属と配位されている2つの極性リガンド
を含む、カチオン
を含む、組成物。
【請求項2】
【化1】
[式中、Mは、金属であり、
PLは、極性リガンドであり、
R
1は、それぞれ、独立してアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基の1つ以上から選択され、
R
2は、それぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3は、それぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する。]
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R
1が、それぞれ、独立して1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン、1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1-メチルシクロヘキシル、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
R
2が、それぞれ、独立してメチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
3,5-置換フェニルのそれぞれが、独立して3位において、1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン、1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1-メチルシクロヘキシル、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上によって置換されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
リガンドが、
【化2】
[式中、R
1は、それぞれ、独立してアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基の1つ以上から選択され、
R
2は、それぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3は、それぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する。]
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
カチオンが、salph、salen、salpn、salcy、又はsalalenリガンドを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
金属カルボニルアニオンが、金属及び前記金属に接触している1つ以上のカルボニルを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
金属カルボニルアニオンが(Co(CO)
4)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ヒドロカルビル-ジイミン架橋が、1つ以上のシクロヘキサン、シクロヘキセン又は芳香族環の一部分を形成する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
シクロヘキサン、シクロヘキセン、芳香族環が、1つ以上のメチル基、C
2~10アルキル基、又はそれらの組合せによって任意選択的に置換されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ヒドロカルビル-ジイミンが、1位、2位又は両方において水素基、メチル基、C
2~10アルキル基、又はそれらの組合せの1つ以上によって置換されているエチルジイミン架橋を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
金属が、Al又はCrの1つ以上を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
R
2基が、独立して水素、メチル、-C
2~C
12アルキル基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
極性リガンドが、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、又はそれらの組合せの1つ以上を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
1つ以上のラクトンを形成する1つ以上のエポキシドで触媒活性を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
リガンドが、3位、5位、又はそれらの組合せの1つ以上において芳香族環を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
a)リガンドを金属化剤と接触させて、金属を中心に持つ化合物を形成するステップであって、前記リガンドが、2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のアルデヒド残基において、ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含み、3位及び5位の一方又は両方におけるそれぞれの置換が、少なくとも5個の炭素を含むヒドロカルビル基を含む、ステップ;並びに
b)前記金属を中心に持つ化合物を、金属カルボニル及び極性リガンドと接触させて、組成物を形成するステップ
を含む方法。
【請求項19】
a)次式による化合物:
【化3】
を金属化剤と接触させて、次式による化合物:
【化4】
の1つを形成するステップ、
b)形成された化合物を金属カルボニル及び極性リガンドと、以下の組成物:
【化5】
[式中、Mは金属であり、
PLは、それぞれ、極性リガンドであり、
R
1は、それぞれ、独立してアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基の1つ以上から選択され、
R
2は、それぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3は、それぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する。]
の1つが形成される条件下で接触させるステップ
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
R
1が、それぞれ、独立して1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン、1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1-メチルシクロヘキシル、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
R
2が、それぞれ、独立してメチル基、C
1~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
極性リガンドが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、又はそれらの組合せの1つ以上を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
R
2が、独立して水素、-CH
3、-C
2~C
12アルキル基又はアリール基の1つ以上から選択される、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
金属が、Al又はCrの1つ以上を含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
金属化剤が、(Et)
2AlCl、(Et)
3Al、CrCl
2、又はそれらの組合せの1つ以上を含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
金属カルボニルが、NaCo(CO)
4、Co2(CO)
8、HCo(CO)
4、又はそれらの組合せの1つ以上を含む、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
エポキシド及び一酸化炭素をカルボニル化触媒の存在下で接触させて、β-プロピオラクトンを形成するステップを含む方法であって、
前記カルボニル化触媒が、
a)金属カルボニルアニオン;及び
b)前記金属カルボニルアニオンにイオン結合しているカチオンであって、
i)ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている、2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含むリガンドであって、前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋は、前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれにおけるアルデヒド残基の炭素と接触する窒素原子を含み、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれが、独立して3位及び5位の一方又は両方において少なくとも5個の炭素を含むヒドロカルビル基によって置換されている、リガンド;
ii)前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基の2位のそれぞれのヒドロキシル残基において及び前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋のそれぞれの窒素原子において、前記リガンドと配位されている金属;並びに
iii)前記金属と配位されている2つの極性リガンドを含む、カチオン
を含む、方法。
【請求項28】
カルボニル化触媒が、次式:
【化6】
[式中、Mは金属であり、
PLは極性リガンドであり、
R
1はそれぞれ、独立してアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基の1つ以上から選択され、
R
2はそれぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3はそれぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する。]
の構造を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
極性リガンドが、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、又はそれらの組合せである、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
金属が、Al又はCrである、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
R
1が、独立して1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン、1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1-メチルシクロヘキシル、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エポキシドからラクトンを生成する際において使用される触媒中の新規立体修飾シッフ塩基リガンドに関し、また触媒を作製し、触媒を使用して、ラクトンを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボニル化は、一酸化炭素とエポキシドを反応させて、ラクトンを作製するために使用され得るプロセスである。場合によっては、ラクトンを反応させて、ポリマーを作製する追加のステップが講じられる。これらのラクトン又はそれらのポリマーは、プラスチック及び消毒剤として使用されることが多い。これらのラクトンを作製するとき、カルボニル化触媒の使用によって、反応の効率を最適化して、ラクトンを競争価格で生成する。カルボニル化触媒は高価であり、したがって新しいカルボニル化触媒及びカルボニル化触媒を単純成分から合成する新しい技法が必要とされる。シッフ塩基型リガンドを使用して、いくつかの触媒が作製された。例えば、米国特許第6,852,865号を参照のこと。しかし、これらの触媒は、触媒を実用的なものとするのに充分な高収率のラクトンを生成することが示されなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,852,865号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に鑑み、ラクトンを作製するためのカルボニル化プロセスにおいて使用される、容易に構築することができ、ラクトン生成効率が高くあり得る触媒が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
金属カルボニルアニオン及び金属カルボニルアニオンにイオン結合しているカチオンを含む組成物が開示される。カチオンは、ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を有するリガンドであって、前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋は、前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれにおけるアルデヒド残基の炭素と接触する窒素原子を含むリガンドを含む。3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれは、独立して3位及び5位の一方又は両方において少なくとも5個の炭素を含むヒドロカルビル基によって置換されている。カチオンは、2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基の2位のそれぞれのヒドロキシル残基において及びヒドロカルビル-ジイミン架橋のそれぞれの前記窒素原子においてリガンドと配位されている金属を含む。カチオンは、金属と配位されている2つの極性リガンドを含む。
【0006】
組成物を作製する方法であって、リガンドを金属化剤と接触させて、金属を中心に持つ化合物を形成するステップを含む方法が本明細書に開示される。リガンドは、3,5-置換サリチルアルデヒドの2つの残基のアルデヒド残基においてヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換(subsituted)サリチルアルデヒドの残基を含む。2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれは、3位及び5位の一方又は両方において、少なくとも5個の炭素を含むヒドロカルビル基である。前記方法は、金属を中心に持つ化合物を金属カルボニル及び極性リガンドと接触させて、組成物を形成するステップをさらに含む。
【0007】
エポキシド及び一酸化炭素をカルボニル化触媒である組成物の存在下で接触させて、β-プロピオラクトンを形成することによって、組成物からβ-プロピオラクトンを作製する方法が本明細書に開示される。
【0008】
組成物は、以下の構造:
【0009】
【化1】
[構造中、Mは金属であり、
PLは極性リガンドであり、
R
1はそれぞれ、独立してアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基の1つ以上から選択され、
R
2はそれぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3はそれぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する]を有してもよい。
【0010】
リガンドは、以下の構造:
【0011】
【化2】
[構造中、R
1、R
2、R
3、M及びPLは上に記載されている]を有してもよい。
【0012】
R1はそれぞれ、独立して1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン、1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1-メチルシクロヘキシル、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され得る。R2はそれぞれ、独立してメチル基、C2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され得る。3,5-置換フェニルのそれぞれは、独立して3位において1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン、1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1-メチルシクロヘキシル、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上によって置換されていてよい。金属カルボニルアニオンは(Co(CO)4)とすることができる。エチルジイミン架橋は、1つ以上のシクロヘキサン、シクロヘキセン又は芳香族環の一部分を形成することができる。ヒドロカルビル-ジイミン架橋は、任意選択的に置換されていてよいエチルジイミンを含むことができる。シクロヘキサン、シクロヘキセン、芳香族環は、1つ以上のメチル基、C2~10アルキル基、ヒドロキシル、メトキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン、又はそれらの組合せによって任意選択的に置換されていてよい。エチルジイミン架橋は、1位、2位又は両方において水素基、メチル基、C2~10アルキル基、又はそれらの組合せの1つ以上によって置換されていてよい。金属は、Al又はCrの1つ以上を含むことができる。極性リガンドは、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、又はそれらの組合せの1つ以上を含むことができる。組成物は、1つ以上のラクトンを形成する1つ以上のエポキシドで触媒活性を有してもよい。リガンドは、3位、5位、又はそれらの組合せの1つ以上において芳香族環を有してもよい。リガンドは、3位、5位、又はそれらの組合せの1つ以上において芳香族性を有してもよい。
【0013】
方法は、炭素が水素、-C1~C12アルキル基又はアリール基で二置換されているカルボニルをグリニャール試薬と、-C1~C12アルキル基又はアリール基がカルボニルに添加され、酸素原子が第三級アルコールに転換して、三置換第三級アルコールを形成する条件下で接触させることによって、ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている3,5-置換(subsituted)サリチルアルデヒド又はリガンドを調製するステップをさらに含むことができる。方法は、三置換第三級アルコールをメタンスルホン酸無水物と、水素、-C1~C12アルキル基又はアリール基の2つ以上で1,1-二置換されているアルケンが形成される条件下で接触させるステップをさらに含むことができる。方法は、4位が水素、メチル、-C2~C12アルキル基、アリール基、t-ブチルアルキル基、ハロゲン、アミン、-CF3、ヒドロカルビルオキシ基又は-NO2で任意選択的に置換されているフェノールを水素、-C1~C12アルキル基又はアリール基の2つ以上で1,1-二置換されているアルケンと、酸触媒の存在下に、アルケンが芳香族環の2位に添加されて、2位がアルケンで置換され、4位が任意選択的に置換されているフェノールを形成する条件下で接触させるステップをさらに含むことができる。方法は、4位が任意選択的に置換されている2-アルケンフェノールをホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド前駆体と、ルイス酸触媒及び塩基の存在下に、3位がアルケンによって置換されており、5位が水素、メチル、-C2~C12アルキル基、アリール基、t-ブチルアルキル基、ハロゲン、アミン、-CF3、ヒドロカルビルオキシ基又は-NO2によって任意選択的に置換されているサリチルアルデヒドが形成される条件下で接触させるステップをさらに含むことができる。方法は、3,5-置換サリチルアルデヒドをジアミンと、ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている3,5-置換(subsituted)サリチルアルデヒド又は上記の式による化合物が形成される条件下で接触させるステップをさらに含むことができる。
【0014】
本開示は、エチレンオキシドで高触媒活性を有するカルボニル化触媒を提供する。本開示は、反応収率を改善し、反応時間を低減し、副生物を低減し、触媒の寿命を延長し、触媒安定性を高め、カルボニル化反応後の回収をより容易にする改善された立体及び/又は電子特性を有するカルボニル化触媒を提供する。本開示は、塩基性化合物から触媒を直ちにかつ容易に構築する方法を提供する。本開示は、前記触媒を使用して、エチレンオキシド及び一酸化炭素からラクトンを高収率で形成する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】カルボニル化触媒を形成する合成スキームである。
【
図3】β-プロピオラクトンの形成速度をβ-プロピオラクトン(M)/分/触媒(M)の単位で、エチレンオキシド転換30%まで示す。
【
図4】例1の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【
図5】例1の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【
図6】実施例2の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【
図7】実施例2の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【
図8】実施例3の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【
図9】実施例3の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【
図10】実施例4の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【
図11】実施例4の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【
図12】実施例5の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【
図13】実施例5の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【
図14】実施例6の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【
図15】実施例6の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【
図16】実施例7の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【
図17】実施例7の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【
図18】実施例8の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【
図19】実施例8の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【
図20】実施例9の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【
図21】実施例9の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【
図22】実施例10の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【
図23】実施例10の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連する伴うカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【
図24】実施例11の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【
図25】実施例11の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1887cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、ある特定の実施形態と関連させて記載されてきたが、開示された実施形態に限定されるべきでなく、それどころか添付の特許請求の範囲内に含まれるさまざまな修正形態及び等価構成を網羅するものであり、その特許請求の範囲は、法の下で許されているような修正形態及び等価構造をすべて包含するように最も広義の解釈が与えられることになっていることを理解すべきである。
【0017】
本明細書で使用されている1つ以上とは、記載された成分の少なくとも1つ又は1つより多くが開示されているように使用され得ることを意味する。本明細書に開示されたポリマー又は構造を調製するために使用された材料又は反応物に関して残基とは、本明細書に開示された方法の結果として含まれた後にポリマー又は構造に残存する材料のその一部分を意味する。本明細書で使用されている実質的にすべてとは、参照されたパラメータ、組成物、構造又は化合物の90%より多くが、定義された基準を満たし、参照されたパラメータ、組成物若しくは化合物の95%より多く、99%より多くが、定義された基準を満たし、又は参照されたパラメータ、組成物若しくは化合物の99.5%より多くが、定義された基準を満たすことを意味する。本明細書で使用されている一部分とは、組成物、流れ又は両方の成分の全量未満を意味する。本明細書で使用されている沈殿物とは、液体及び固体の化合物のスラリー又はブレンド中の固体化合物を意味する。本明細書で使用されている相とは、固体沈殿物、又は相をいくつかに分ける境界が見えない系の別個で均質な液体若しくは気体状態を意味する。重量部とは、組成物100部当たりの組成物の全重量に対するある成分の部数を意味する。本明細書で使用されている触媒成分とは、金属を中心に持つ化合物、金属カルボニル、ルイス酸、ルイス酸誘導体、金属カルボニル誘導体、又はそれらの組合せを意味する。本明細書で使用されている触媒は、少なくともカチオン化合物及びアニオン化合物を含む。本明細書で使用されている有機化合物は、金属原子を含まないいかなる化合物も含む。本明細書で使用されている無機化合物は、少なくとも1個の金属原子を含む化合物を含む。本明細書で使用されている組成物又は混合物は、単一の容器内に含めることができる流れ、反応物流れ、生成物流れ、スラリー、沈殿物、液体、固体、気体、又はそれらの組合せ中のすべての成分を含む。本明細書に記載されたフェノールは、1つ以上のサリチルアルデヒドの基礎を形成するように機能することができる。非置換フェノールは、フェノール及びアセトンを形成する酸素、ベンゼン及びメチル-エチレンの反応などいずれの既知方法によっても形成され得、さらに既知方法を使用してフェノールを置換する。フェノールは、2及び/又は4位が水素原子、メチル基、C2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上によって置換されていてよい。
【0018】
ある特定の態様によれば、好適なヒドロカルビル基は、少なくとも直鎖又は分枝鎖アルキル基、直鎖又は分枝鎖アルキルアルケニル基、直鎖又は分枝鎖アルキニル基、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルカリール基を含むことができる。追加的に、好適なヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基の骨格に1個以上のヘテロ原子も含むことができる。
【0019】
ある特定の態様において、好適なヒドロカルビル基はまた、あるいは置換基で置換されていてよい。置換基の非限定的な例は、1つ以上のアルキル基、ハロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アジド基、カルボキシ基、アシルオキシ基及びスルホニル基を含むことができる。ある特定の態様において、置換基は、1つ以上のアルキル基、ハロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基及びヒドロキシル基から選択され得る。ある特定の態様において、置換基は、1つ以上のハロ基、アルキル基及びアルコキシ基から選択され得る。
【0020】
ある特定の態様において、好適なヒドロカルビル基は、C1~20ヒドロカルビル基とすることができる。例えば、ヒドロカルビル基は、1個以上のアルキルエーテル基又はアルキレンオキシ基を有するアルキルエーテルとすることができる。好適なアルキルエーテル基は、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基を含むことができるが、これらに限定されない。ある特定の態様において、好適なヒドロカルビル基は、約1~約100個のアルキレンオキシ基を含むことができ、ある特定の態様において、約1~約40個のアルキレンオキシ基を含むことができ、ある特定の態様において、約1~約10個のアルキレンオキシ基を含むことができる。ある特定の態様において、好適なヒドロカルビル基は、骨格に1個以上のヘテロ原子を含むことができる。
【0021】
より具体的なヒドロカルビル基の好適な例は、ある特定の態様において、C1~15直鎖又は分枝鎖アルキル基、C1~15直鎖又は分枝鎖アルケニル基、C5~18シクロアルキル基、C6~24アルキル置換シクロアルキル基、C4~18アリール基、C4~20アラルキル基及びC4~20アルカリール基を含むことができる。ある特定の態様において、ヒドロカルビル基は、より好ましくはC1~8直鎖又は分枝鎖アルキル基、C1~2シクロアルキル基、C6~12アルキル置換シクロアルキル基、C4~18アリール基、C4~20アラルキル基又はC4~20アルカリール基とすることができる。
【0022】
本明細書で使用されているように、アルカリールは、アリール基に結合しているアルキル基を含むことができる。アラルキルは、アルキル基に結合しているアリール基を含むことができる。アラルキルは、ジフェニルメチル基又はプロピル基などのアルキレン架橋アリール基も含むことができる。本明細書で使用されているように、アリールは、1つより多い芳香族環を含む基を含むことができる。シクロアルキルは、架橋環を含む1つ以上の環を含む基を含むことができる。アルキル置換シクロアルキルは、シクロアルキル環に結合している1つ以上のアルキル基を有するシクロアルキル基を含むことができる。
【0023】
ある特定の態様において、好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第三級ブチル、ペンチル、ヘキシル及びエチルヘキシルを含むことができる。同様に、好適なシクロアルキル基の例は、シクロヘキシル及びフェンチルを含むことができ、適当なアルキル置換された基の例は、メンチル及びイソボルニルを含むことができる。
【0024】
ある特定の態様によれば、好適なヒドロカルビル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第三級ブチル基、エチルペンチル基、ヘキシル基、エチルヘキシル基、フェンチル基、メンチル基及びイソボルニル基を含むことができる。
【0025】
エポキシドとの反応が改善されて、ラクトンを形成し、ラクトンとの反応が回避され、エポキシドからアルデヒド又はケトンへの異性化が回避されるように改善された立体的特性を有するカルボニル化触媒として有用な化合物及び方法が本明細書に開示される。本明細書に記載されたカルボニル化触媒を作製するプロセスは、カルボニル化触媒の前駆体である、カルボニル化反応の効率を改善する望ましい置換基を有する3,5-二置換サリチルアルデヒドの新規合成方法を提供する。追加的に、本明細書における合成法は、3,5-サリチルアルデヒド間のヒドロカルビル-ジイミン架橋におけるさまざまな基の統合を可能にし、エポキシドからラクトンへの転換速度を改善する追加の立体及び/又は電子特性をもたらすことができる。カチオンの組成物及び関連リガンドは、電子及び/又は立体的考慮でエポキシドからβ-プロピオラクトンへの転換の全効率を改善する芳香族性を含むことができる。
【0026】
金属カルボニルアニオン及び金属カルボニルアニオンにイオン結合しているカチオンを含むことができる組成物が本明細書に開示される。カチオンは、ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を有するリガンドであって、前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋が2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれにおけるアルデヒド残基の炭素と接触する窒素原子を含むリガンドを含むことができる。3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれは、独立して3位及び5位の一方又は両方において少なくとも5個の炭素を含むヒドロカルビル基によって置換されていてよい。カチオンは、2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基の2位のそれぞれのヒドロキシル残基において及びヒドロカルビル-ジイミン架橋のそれぞれの窒素原子においてリガンドと配位されている金属を含むことができる。カチオンは、金属と配位されている2つの極性リガンドを含むことができる。3,5-置換サリチルアルデヒドは、カルボニル化触媒の機能を損なわない他の任意の位置で置換されていてよい。
【0027】
カルボニル化触媒のカチオンのリガンドは、以下の構造1:
構造1:
【0028】
【化3】
[構造中、R
1はそれぞれ、独立してアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基の1つ以上から選択され、
R
2はそれぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3はそれぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換芳香族環である6員環を形成する]を有してもよい。
【0029】
金属化ステップ後に、カルボニル化触媒のカチオンは、以下の構造2:
構造2:
【0030】
【化4】
[構造中、PLはそれぞれ、極性リガンド、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、本明細書に記載された他の任意の金属、又はそれらの組合せであり、
Mは、金属、例えばアルミニウム、クロム、又は本明細書に記載された他の任意の金属であり、
R
1はそれぞれ、独立してアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基の1つ以上から選択され、
R
2はそれぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3はそれぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する]を有してもよい。
【0031】
金属カルボニルなどアニオンとの組合せ後に、カルボニル化触媒は、以下の構造3~12:
構造3:
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【化12】
[構造中、R
3はそれぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する]、
構造11:
【0040】
【0041】
【化14】
[構造中、Phはフェニル基を含む]を有してもよい。
構造11及び12は、異なるヒドロカルビル-ジイミン架橋を有してもよい。例えば、ヒドロカルビル-ジイミン架橋は、任意選択的に置換されていてよいエチルジイミン架橋とすることができる。ヒドロカルビル-ジイミン架橋は、異なる置換を有してもよい若しくは置換されていなくてよい芳香族環、任意選択的に置換されていてよいシクロヘキサン環、又は任意選択的に置換されていてよいシクロヘキセン環の一部分を形成することができる。
構造1~12は、カルボニル化触媒の機能性を損なわない他の任意の位置で置換されていてよい。
【0042】
本明細書に記載されたカルボニル化触媒は、本明細書に記載されるように、一酸化炭素及びエポキシドを反応させて、ラクトンを形成するために使用され得る。本明細書に記載されたカルボニル化触媒は、アジリジン及び一酸化炭素を反応させて、ラクタムを形成するためにも使用され得る。
【0043】
カルボニル化反応は、1つ以上のエポキシド、ラクトン又は両方を一酸化炭素と触媒の存在下で接触させるステップを含むことができる。このステップは、1つ以上の入口、2つ以上の入口、3つ以上の入口、又は複数の入口を有する反応器中で行われ得る。1つ以上のエポキシド、ラクトン、一酸化炭素及び触媒は、単一の入口、複数の入口に添加され得、又はそれぞれが別々の入口に別々の又は組み合わせたフィード流として添加され得る。カルボニル化反応は、1つ以上の生成物流れ又は組成物を生成することができる。
【0044】
カルボニル化反応において使用されるエポキシドは、少なくとも2個の炭素原子及び1個の酸素原子を含むいずれの環式アルコキシドであってもよい。例えば、エポキシドは、式(I):
式(I):
【0045】
【化15】
[式中、R
4及びR
5はそれぞれ独立して水素;C
1~C
15アルキル基;ハロゲン化アルキル基;フェニル基;任意選択的に置換されている脂肪族又は芳香族アルキル基;任意選択的に置換されているフェニル;任意選択的に置換されているヘテロ脂肪族アルキル基;任意選択的に置換されている3~6員炭素環;及び任意選択的に置換されている3~6員ヘテロ環基、又はそれらの組合せからなる群から選択され、R
4及びR
5は、介在原子と任意選択的に一緒になって、1個以上のヘテロ原子を任意選択的に含む3~10員の置換又は非置換環を形成することができる]によって示される構造を有してもよい。
【0046】
カルボニル化反応から形成されたラクトンは、少なくとも1個の炭素原子及び2個の酸素原子を有するいずれの環式カルボン酸エステルであってよい。例えば、ラクトンは、アセトラクトン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、又はそれらの組合せであってよい。本出願においてプロピオラクトン又はラクトンが使用又は記載されているところはどこでも、別のラクトンがプロセス、ステップ、又は方法において適用可能又は使用可能であり得る。プロピオラクトンがカルボニル化反応において使用又は生成される場合、プロピオラクトンは、式II:
式(II):
【0047】
【化16】
[式中、R
4及びR
5はそれぞれ独立して水素;C
1~C
15アルキル基;ハロゲン化アルキル基;フェニル基;任意選択的に置換されている脂肪族又は芳香族アルキル基;任意選択的に置換されているフェニル;任意選択的に置換されているヘテロ脂肪族アルキル基;任意選択的に置換されている3~6員炭素環;及び任意選択的に置換されている3~6員ヘテロ環基、又はそれらの組合せからなる群から選択され、R
4及びR
5は、介在原子と任意選択的に一緒になって、1個以上のヘテロ原子を任意選択的に含む3~10員の置換又は非置換環を形成することができる]に対応する構造を有してもよい。
【0048】
生成物流れ又は組成物は、プロピオラクトン、ポリプロピオラクトン、無水コハク酸、ポリエチレングリコール、ポリ-3-ヒドロキシプロピオネート、3-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオンアルデヒド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエーテル、未反応のエポキシド、それらの任意の誘導体、エポキシド及び一酸化炭素の反応に由来する他の任意のモノマー若しくはポリマー、又はそれらの組合せを含めて1つ以上の有機化合物を含むことができる。生成物流れ又は組成物は、金属カルボニル、金属カルボニル誘導体、金属を中心に持つ化合物、ルイス酸、ルイス酸誘導体、又はそれらの組合せなどの触媒成分を含む1つ以上の無機化合物を含むことができる。金属カルボニル誘導体は、カルボニル化触媒における使用のためのアニオン性金属カルボニル成分を形成するように加工され得る、1つ以上の金属及び1個以上のカルボニル基を含む化合物である。ルイス酸誘導体は、カルボニル化触媒における使用のためのカチオン性ルイス酸に加工され得る、1つ以上の望ましくない化合物に金属中心で結合している1つ以上の金属を中心に持つルイス酸を含む化合物である。生成物流れ又は組成物は、プロピオラクトンを形成する方法において消費されなかった又は使い果たされなかった触媒を含むことがあり得る。生成物流れ又は組成物は、1つ以上の未反応エポキシド又は一酸化炭素を含むことがある。
【0049】
本明細書に記載されたカルボニル化触媒のサリチルアルデヒドのアルキル、アリール又はアルキル-アリール(alky-aryl)置換された基を作製するために、二置換カルボニルが、グリニャール反応においてグリニャール試薬と接触され得る。グリニャール試薬は、アルキル又はアリール基を別の化合物に添加することを促進するように機能することができる。グリニャール試薬は、第三級アルコールなどのアルコールを形成するアルキル又はアリール基の動きを促進するのに充分な任意の化合物とすることができる。グリニャール試薬は、R-Mg-Xの構造[構造中、Xはハロゲンであり、Rは有機基である]を有することができる。グリニャール試薬は、アルキルマグネシウムブロミド、アリールマグネシウムブロミド又は両方の組合せの1つ以上から選択され得る。カルボニルは、炭素において水素、-C1~C12アルキル基又はアリール基で二置換されていてよい。炭素において二置換されているカルボニルは、リガンド、3,5-二置換サリチルアルデヒド、4-置換フェノール及び/又は2,4-二置換フェノールのR1又はR2基の基礎を形成するように機能することができる。カルボニルは、フェノール基と結合するのに充分な任意のカルボニルとすることができる。カルボニルは、ケトン又はアルデヒドを含むことができる。カルボニルは、R1-CO-R2の構造[構造中、R1又はR2はそれぞれ、独立して水素原子、メチル基、C2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基から選択され得る]を有してもよい。
【0050】
グリニャール反応は、-C1~C12アルキル基又はアリール基をカルボニルに添加することができ、酸素原子は、第三級アルコールに転換して、三置換第三級アルコールを形成する。カルボニルは、最初にジクロロメタンなど極性溶媒に溶解され、冷却され得る。極性に関して、極性溶媒は、アルキル又はアリール基をカルボニルに添加するのに充分である。カルボニル及び極性溶媒の組合せは、アルキル基又はアリール基を添加し、酸素原子を第三級アルコールに転換し、ひいては三置換第三級アルコールを形成するのに充分な任意の温度に冷却され得る。例えば、温度は、約15℃以下、約10℃以下又は約5℃以下とすることができる。温度は、約-15℃以上、約-10℃以上又は約-5℃以上の温度に冷却され得る。ゆっくり時間をかけて、グリニャール試薬は、極性溶媒及びカルボニルに添加され得る。グリニャール試薬は、極性溶媒及びカルボニルに、三置換第三級アルコールを形成するのに充分な任意の時間をかけて任意のモル比で添加され得る。グリニャール試薬は、アルキル基又はアリール基をカルボニルに添加することを補助するためにカルボニルに対して過剰に添加され得る。例えば、グリニャール試薬及びカルボニルは、約1:1以上、1.3:1以上又は約1.5:1以上のモル比で接触され得る。グリニャール試薬及びカルボニルは、約2:1以下、約1.8:1以下又は約1.6:1以下のモル比で接触され得る。時間は、約30分以下、約20分以下又は約15分以下とすることができる。時間は、約5分以上、約8分以上又は約10分以上とすることができる。次いで、カルボニル、極性溶媒及びグリニャール試薬の反応混合物は、室温に温められ、ある時間撹拌され得る。グリニャール試薬は、三置換第三級アルコールを形成するのに充分な任意の時間撹拌され、任意の温度に温められ得る。時間は、約12時間以上、約18時間以上又は約24時間以上とすることができる。時間は、約48時間以下、約36時間以下又は約30時間以下とすることができる。撹拌後、反応は、酸性溶液を添加するのに充分な任意の温度に冷却され得る。反応は、約-15℃以上、約-10℃以上又は約-5℃以上に冷却され得る。撹拌後、反応は、約15℃以下、約10℃以下又は約5℃以下に冷却され得る。冷却後、酸性溶液が添加されて、有機相及び水性相を形成することができる。酸性溶液は、飽和塩化アンモニウムを含むことができる。酸性溶液は、第三級アルコールからアルケンを形成するのに充分な任意の酸性度を有してもよい。例えば、酸性溶液は、完全に飽和されていてよい。他の例では、酸性溶液は、プロトン酸を含まなくてよい。有機相は、抽出又は他の任意の既知技法によって水性相から分離され得、有機相は、硫酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムなどによって乾燥され得る。有機相の溶媒は、減圧下又は他の任意の既知技法で除去され得、三置換第三級アルコールは収集され得る。三置換第三級アルコールは、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによってさらに精製され得る。
【0051】
単離及び精製後、三置換第三級アルコールは、置換フェノールとの付着のために1,1-二置換アルケンに変換され得る。三置換第三級アルコールは極性溶媒に溶解されて、不活性雰囲気中、例えば窒素流下(すなわち、周囲空気及び/又は水分を含まない)で混合物を形成することができる。これは、空気及び水分を含まないシュレンクライン又はドライボックス中で行われ得る。混合物は、約-15℃以上、約-10℃以上又は約-5℃以上の温度に冷却され得る。極性溶媒に溶解された三置換第三級アルコールは、約15℃以下、約10℃以下又は約5℃以下に冷却され得る。冷却後、塩基が、極性溶媒中で三置換第三級アルコールと接触される。塩基は、メタンスルホン酸無水物によって活性化された後、第三級アルコールのOH基からプロトンを引き抜くことによって脱離反応を行うように機能することができる。例示的な塩基は、2,6-ルチジン、トリエチルアミン又は両方の1つ以上を含むことができる。
【0052】
次いで、混合物は、第三級アルコールのOH基からプロトンを引き抜くのに充分な任意の時間撹拌され得る。混合物は、約30秒間以上、約45秒間以上又は約1分間以上撹拌され得る。混合物は、約1.75分間以下、約1.50分間以下又は約1.25分間以下撹拌され得る。撹拌後、極性溶媒に溶解したメタンスルホン酸無水物は、ある時間にわたって三置換第三級アルコール、極性溶媒及び塩基の混合物とゆっくり接触される。メタンスルホン酸無水物は、第三級アルコールからアルケンを形成するように機能することができる。メタンスルホン酸無水物の代わりに、脱離反応に関与するのに充分な他の任意の成分が使用され得る。例えば、メタンスルホン酸無水物の代わりに、オキシ塩化リン又はトルエンスルホン酸無水物が使用され得る。メタンスルホン酸無水物は、三置換第三級アルコール及び塩基と、アルケンを形成するのに充分な任意の時間接触され得る。例えば、成分は、約10分間以下、約8分間以下又は約6分間以下接触され得る。メタンスルホン酸無水物は、混合物と約2分以上、約3分以上又は約5分以上にわたって接触され得る。塩基、メタンスルホン酸無水物及び三置換第三級アルコールは、三置換第三級アルコールからアルケンを形成するのに充分な任意のモル比で接触され得る。例えば、塩基、メタンスルホン酸無水物及び三置換第三級アルコールは、約4:2:1以上、約3:2:1以上又は約3:3:2以上のモル比で接触され得る。メタンスルホン酸無水物を混合物に添加した後、全混合物は、アルケンを形成するのに充分な任意の時間撹拌され得る。例えば、全混合物は、約0℃の場合、約30分間以上、約40分間以上又は約50分間以上撹拌され得る。全混合物は、約0℃で約90分間以下、約80分間以下又は約70分間以下撹拌され得る。続いて、ブライン及び水が全混合物に添加されて、混合物を水性層及び有機層に分離することができる。ブラインは、完全飽和溶液とすることができる。有機層は、水性層から分離され、減圧下で濃縮され得る。有機層は1,1-二置換アルケンを含み、非プロトン性であり得る非極性溶媒に有機層を溶解し、シリカゲル層付きのフリットに有機層を通すことによって精製され得る。
【0053】
1,1-二置換アルケン及び4-置換フェノールを形成した後、1,1-二置換アルケン及び4-置換(substiutted)フェノールは組み合わされて、2,4-二置換フェノールを形成することができる。1,1-二置換アルケン及び4-置換フェノールは、極性溶媒中で接触され得、酸触媒が滴下して加えられて、混合物を形成する。酸触媒は、4-置換(subsituted)フェノール及びアルケンを組み合わせるように機能することができ、2位におけるアルケン及び4-置換フェノールの組合せを補助するのに充分な任意の酸とすることができる。例示的な酸触媒は、メタンスルホン酸、H2SO4、リン酸、他の任意の鉱酸、又はそれらの組合せを含む。1,1-二置換アルケン、4-置換フェノール及びメタン酸触媒は、1,1-二置換(disubstited)アルケンを4-置換フェノールに添加するのに充分な任意のモル比で接触され得る。例えば、モル比は、約2:1.5:1以上とすることができる。混合物は、1,1-二置換アルケンを4-置換フェノールの2位に添加するのに充分な任意の時間撹拌することができる。例えば、混合物は、約8時間以上、約12時間以上又は約16時間以上撹拌することができる。混合物は、約28時間以下、約20時間以下又は約16時間以下撹拌することができる。撹拌後、水及び極性非プロトン性溶媒が混合物に添加されて、水性層及び有機層を形成することができる。有機層は抽出され得、2,4-二置換フェノールは、任意の既知技法によって単離され得る。例えば、有機層は、飽和炭酸水素ナトリウムなど塩基試薬で洗浄され、硫酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムなど乾燥剤で乾燥され得る。洗浄及び乾燥後、2,4-二置換フェノールは、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製される。
【0054】
2,4-二置換フェノールの形成及び/又は単離後、2,4-二置換フェノールはホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド前駆体と接触されて、6位にアルデヒドを有する2,4,6-三置換(trisubstiuted)フェノールを作製することができる。不活性雰囲気下(すなわち、シュレンクライン又はドライボックス中など窒素雰囲気中)に、2,4-二置換フェノール及び塩基は極性非プロトン性溶媒中で接触されて、反応混合物を形成することができる。例示的な溶媒は、以下に開示されるものを含む。反応混合物は、室温に達する温度まで低減され得る。例えば、温度は、約-15℃以上、約-10℃以上又は約-5℃以上の温度まで低減され得る。反応混合物は、約15℃以下、約10℃以下又は約5℃以下の温度まで低減され得る。温度を低減した後、ルイス酸触媒が、セプタムを通して反応混合物にゆっくり添加され得る。ルイス酸触媒は、2,4-二置換(disubsituted)フェノールの6位にアルデヒドを形成することを補助するように機能することができる。例示的なルイス酸触媒は、SnCl4、AlCl3、FeCl3、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され得る。反応混合物は、室温(すなわち、約25℃)で、2,4-二置換(disubsituted)フェノールの6位にアルデヒドを形成することを補助するのに充分な任意の時間撹拌させることができる。例えば、反応混合物は、室温で約5分間以上、約10分間以上又は約15分間以上撹拌することができる。反応混合物は、約30分間以下、約25分間以下又は約20分間以下撹拌させることができる。
【0055】
撹拌後、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド前駆体が、混合物に添加され得、全混合物は、わずかな真空下(すなわち、>1atm)に配置され得る。ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド前駆体は、アルデヒド基を2,4-二置換フェノールに添加するように機能することができる。ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド前駆体は、アルデヒド基を2,4-二置換フェノールの6位に添加するのに充分な任意の化合物とすることができる。ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド前駆体は、パラホルムアルデヒドとすることができる。わずかな真空下で、全混合物は、ある時間加熱及び撹拌され得る。混合物は、2,4,6-三置換(disubstituted)フェノールの前駆体を形成するのに充分な任意の温度に加熱され、任意の時間撹拌され得る。例えば、全混合物は、約75℃以上、約80℃以上又は約85℃以上に加熱され得る。混合物は、約105℃以下、約100℃以下又は約95℃以下に加熱され得る。全混合物は加熱されながら、約8時間以上、約10時間以上又は約12時間以上撹拌され得る。全混合物は、約24時間以下、約20時間以下又は約16時間以下加熱され得る。
【0056】
撹拌する時間が終わると、全混合物は、室温(すなわち、約25℃)に冷却され得、酸が全混合物に添加され、アルデヒドを2,4-二置換フェノールの6位に添加することを完結するのに充分な任意の時間撹拌され得る。酸は、フェノールの1位の酸素残基においてルイス酸触媒を切断し、未反応のいずれのルイス酸触媒もクエンチするのに充分な任意の酸を含むことができる。例えば、酸は、HCl、リン酸、硫酸、他の任意の鉱酸、又はそれらの組合せとすることができる。例えば、温度に関して、反応は、約45分間以上、約50分間以上又は約55分間以上撹拌され得る。全混合物は、75分間以下、約70分間以下又は約65分間以下撹拌され得る。6位にアルデヒドを有する2,4,6-三置換(trisubstiuted)フェノールは、この段階で全混合物において形成され得、任意の既知技法を使用して単離又は精製され得る。例えば、極性非プロトン性溶媒が全混合物に添加されて、水性層及び有機層を形成することができる。次いで、有機層は抽出され、炭酸水素ナトリウム及びブラインで洗浄され得る。ブラインは、完全飽和溶液とすることができる。洗浄後、有機層は、硫酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムなどの乾燥剤で乾燥され得る。有機層の有機溶媒は減圧下で除去されて、6位にアルデヒドを有する所望の2,4,6-三置換(trisubstiuted)フェノールを得ることができる。
【0057】
6位にアルデヒドを有する2,4,6-三置換(trisubstiuted)フェノールの形成及び単離後、6位にアルデヒドを有する2,4,6-三置換(trisubstiuted)フェノールは縮合ステップにかけられて、ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含むリガンドを形成することができ、前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋は2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれにおけるアルデヒド残基の炭素と接触している窒素原子を含む。例えば、リガンドは、構造1の構造を有してもよい。このステップでは、6位にアルデヒドを有する2,4,6-三置換(trisubstiuted)フェノールは、極性溶媒中、ルイス酸又はブレンステッド酸及びアルカリ金属又はアンモニウム塩の存在下でジアミンと接触されて、ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含む所望のリガンドを形成することができる。他の例では、反応は、ルイス酸又はブレンステッド酸を含まないことがあり、したがってジアミン及び2,4,6-三置換フェノールが、極性溶媒中で接触され得る。これらのステップは、周囲空気中で完了され得、室温(例えば、約25℃)で完了され得るか、又は極性溶媒の還流中で完了され得る。縮合反応は、2つの3,5-二置換サリチルアルデヒド及びジアミンを含むリガンド構造が形成されるような充分な時間実施され得る。ジアミンは、2つの3,5-二置換サリチルアルデヒドを架橋して、リガンドを形成するように機能することができる。ジアミンは、少なくとも、2個のアミン基間で架橋されたエチルを含むいかなる化合物でもよい。ジアミンは、シクロヘキサン環又はシクロヘキセン環の一部分を形成することができる。ジアミンは、置換された基を含むことができる。ジアミンは、エチレンジアミン、オルト-フェニレンジアミン、オルト-シクロヘキシルジアミン、フェナントロリン、ビピリジン、置換エチレンジアミン、置換フェニレンジアミン、置換オルト-シクロヘキシルジアミン、置換フェナントロリン又は置換ビピリジンの1つ以上から選択され得る。
【0058】
例えば、縮合反応は、約6時間以上、約10時間以上又は約14時間以上持続し得る。縮合反応は、約28時間以下、24時間以下又は約20時間以下実施され得る。2,4,6-三置換フェノール及びジアミンは、2つの3,5-二置換サリチルアルデヒド及びジアミンを含むリガンド構造が形成されるように、例えば約1:2以上のモル比で添加され得る。ルイス酸又はブレンステッド酸は、縮合反応を触媒するのに充分な量で添加され得る。ルイス酸又はブレンステッド塩基は、ギ酸、酢酸、他の任意のカルボン酸、又はそれらの組合せを含むことができる。ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含むリガンドは、任意の既知技法又は本明細書に記載されたいずれかの技法によって生成物組成物から単離され得る。例えば、ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含むリガンドは、生成物組成物が冷えた後に重力濾過など固形物を液体から分離するいずれかの既知手段によって沈殿物として収集され得る。
【0059】
2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のアルデヒド残基においてヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換(subsituted)サリチルアルデヒドの残基を含むリガンドを形成した後、リガンドは金属化ステップにかけられて、ハロゲン又はアルキル基を含む金属を中心に持つ化合物を形成することができる。金属を中心に持つ化合物のハロゲン又はアルキル基は、金属を中心に持つ化合物の金属中心に結合され得る。金属化ステップにおいて、金属アルキル化合物は、非極性溶媒中、室温でリガンドと接触されて、ハロゲン又はアルキル基を含む金属を中心に持つ化合物を形成することができる。金属アルキル化合物及びリガンドは、リガンドを形成するのに充分な任意のモル比で一緒に接触され得る。例えば、モル比は約1:1とすることができる。金属化ステップは、ハロゲン又はアルキル基を含む金属を中心に持つ化合物を形成するのに充分な任意の時間撹拌され得る。例えば、金属化ステップは、約36時間以下、約30時間以下又は約24時間以下撹拌され得る。金属化ステップは、約12時間以上、約18時間以上又は約22時間以上撹拌され得る。金属化ステップは、ドライボックス及び/又はシュレンクライン中、窒素など不活性ガス下で実施され得る。金属化ステップは、開放空気中で、又はドライボックス若しくはシュレンクラインなど酸素及び水を含まない不活性雰囲気中で実施され得る。金属化ステップは、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第8,633,123号明細書に記載されている金属化ステップと同様であり得る。金属化ステップが完了した後、ハロゲン又はアルキル基を含む金属を中心に持つ化合物は、ハロゲン又はアルキル基を含む金属を中心に持つ化合物の重力濾過による収集など任意の既知技法を使用して単離され得る。ハロゲン又はアルキル基を含む金属を中心に持つ化合物を形成するためのステップは、水分及び酸素を含まない条件下で、例えばドライボックス又はシュレンクライン中、窒素のような不活性ガス下で行われ得る。
【0060】
上記のハロゲン又はアルキル基を含む金属を中心に持つ化合物の1つを形成及び単離した後、ハロゲン又はアルキル基を含む金属を中心に持つ化合物は触媒形成ステップにかけられて、カルボニル化触媒を形成することができる。触媒形成ステップは、ハロゲン又はアルキル基を含む金属を中心に持つ化合物を極性リガンド、金属カルボニル添加剤又は両方と接触させて、カルボニル化触媒を形成(from)するステップを含むことができる。ハロゲン又はアルキル基を含む金属を中心に持つ化合物は、約1:1のモル比で添加され得る。金属カルボニル添加剤は、少なくともアニオン性金属カルボニル並びに金属を中心に持つ化合物のアルキル基又はハロゲンと切断及び結合するように構成されているカチオン基を含むことができる。カチオン基は、アルカリ金属、金属カルボニルのイオン結合及び/又は平衡を行うのに十分な任意の対イオン、又はそれらの組合せの1つ以上であってよい。金属カルボニル添加剤がアルキル基を切断又は脱カップリングする例では、アルキル基は、カチオン基とカップリングすることができ、アルキル基及びカチオン基は、本明細書に記載されたいずれの濾過又は除去手段によっても除去され得る。金属カルボニル添加剤が金属を中心に持つ化合物からハロゲンを切断し、極性化合物と接触される例では、ハロゲンは、金属カルボニル添加剤のカチオン基と結合し、極性化合物を含む金属を中心に持つ化合物が形成される。いずれの副生成物も、本明細書に記載された他の任意の除去又は分離ステップによって除去され得る。金属カルボニル添加剤がアルキル基を切断又は脱カップリングした後、金属を中心に持つ化合物は極性リガンドと組み合わさって、カチオン種を形成することができる。次いで、極性リガンドを含む金属を中心に持つ化合物は、金属カルボニル添加剤のアニオン性金属カルボニルと接触し、再生カルボニル化触媒を形成する。
【0061】
カルボニル化触媒を形成するステップは、水分及び酸素を含まない条件下で行われ得る。例えば、触媒形成ステップは、ドライグローブボックス内、シュレンクライン上又は反応器中、不活性雰囲気(すなわち、窒素)下で行われ得る。触媒形成ステップは、窒素、アルゴン又は他の任意の不活性ガス下で行われ得る。触媒形成ステップにおいて、金属を中心に持つ化合物、極性リガンド、金属カルボニル、又はそれらの組合せは、カルボニル化触媒を形成するのに充分な時間撹拌することによって接触及び撹拌され得る。成分を撹拌する時間は、約5分以上、約30分以上、約60分以上とすることができる。成分を撹拌する時間は、約24時間以下、約12時間以下又は約6時間以下とすることができる。触媒形成ステップにおける成分は、周囲温度及び/又は圧力下で完了され得る。再生触媒を作製する追加のステップは、US6,852,865B2及びUS8,481,756B1で見ることができ、それらの両方が、参照によりそれらの全体として本明細書に含まれる。
【0062】
本明細書で教示された濾過、単離又は除去ステップは、組成物から、カルボニル化触媒又はカルボニル化触媒の任意の前駆体の形成に干渉するおそれがある望ましくないいずれの成分も除去するように機能する。例えば、溶媒、ポリマー、未反応の酸化合物、無機化合物、有機化合物、又はそれらの組合せの1つ以上は、カルボニル化触媒がハロゲン又はアルキル化合物を含む金属を中心に持つ化合物から再生され、無水コハク酸、プロピオラクトン又はエポキシドの1つ以上で触媒活性を有し得るように、組成物から除去され得る。濾過、単離又は除去ステップは、真空濾過、重力濾過、遠心、デカンテーション、沈殿、相層抽出、又はそれらの組合せの1つ以上を含むことができる。濾過、単離又は除去ステップは、溶媒、ポリマー、未反応の酸化合物、無機化合物、有機化合物、又はそれらの組合せの1つ以上、及びハロゲン若しくはアルキル基を含む金属を中心に持つ化合物、リガンド、又はそれらの組合せを分離するのに充分な任意の方法を利用することができる。濾過、単離又は除去ステップは、沈殿物など単一タイプの化合物を一度に除去することができるか、又は溶媒に溶解しているすべての成分など化合物の集まりを一度に除去することができる。濾過又は除去ステップは、1つ以上の有機相、水性相、固相(すなわち、沈殿物)、1つ以上の気相若しくは蒸気相、又はそれらの組合せの1つ以上を含む多重相を形成するステップを含むことができる。本明細書に記載された1つ以上の分離又は除去ステップ/方法は、リガンド、ハロゲン若しくはアルキル基を含む金属を中心に持つ化合物、又はそれらの組合せを含む組成物から望ましくないいずれの成分も分離又は除去するのに充分な任意の温度、圧力、撹拌速度、時間、又はそれらの組合せで行われ得る。
【0063】
本明細書に記載されたカルボニル化触媒は、エポキシドと一酸化炭素の反応を触媒して、1つ以上のプロピオラクトン及び他の生成物を生成するように機能する。カルボニル化触媒は、少なくともアニオン性である金属カルボニル及びカチオン性である金属を中心に持つ化合物を含む。
【0064】
カルボニル化触媒の金属カルボニルは、カルボニル化触媒のアニオン成分をもたらすように機能する。カルボニル化触媒は、金属カルボニルの1つ以上、2つ以上又は混合物を含むことができる。金属カルボニルは、エポキシドを開環し、得られる金属炭素結合へのCOの挿入を促進することができ得る。いくつかの例では、金属カルボニルは、アニオン性金属カルボニル部分を含むことができる。他の例では、金属カルボニル化合物は、中性金属カルボニル化合物を含むことができる。金属カルボニルは、金属カルボニルヒドリド又はヒドリド金属カルボニル化合物を含むことができる。金属カルボニルは、1種以上の反応成分とインサイチューで反応して、最初に用意された化合物と異なる活性種を提供するプレ触媒とすることができる。金属カルボニルは、アニオン性金属カルボニル種を含む。いくつかの例では、金属カルボニルは、一般式[QdM’e(CO)w]y-[式中、Qは、任意選択のリガンドであり、M’は金属原子であり、dは、0~8(0と8を含む)の整数であり、eは、1~6(1と6を含む)の整数であり、wは、安定なアニオン性金属カルボニル錯体をもたらすような数であり、yは、アニオン性金属カルボニル種の電荷である]を有してもよい。金属カルボニルは、周期表5族、7族若しくは9族の金属のモノアニオン性カルボニル錯体又は周期表4族若しくは8族の金属のジアニオン性カルボニル錯体を含むことができる。金属カルボニルは、コバルト、マンガン、ルテニウム又はロジウムを含むことができる。例示的な金属カルボニルは、[Co(CO)4]-、[Ti(CO)e]2-、[V(CO)6]-、[Rh(CO)4]-、[Fe(CO)4]2-、[Ru(CO)4]2-、[Os(CO)4]2-、[Cr2(CO)10]2-、[Fe2(CO)8]2-、[Tc(CO)5]-、[Re(CO)5]-及び[Mn(CO)5]-を含むことができる。金属カルボニルは、方法で使用されるカルボニル化触媒において2つ以上のアニオン性金属カルボニル錯体の混合物とすることができる。
【0065】
金属アルキル化合物は、1つ以上のリガンドにおいて金属を配位させて、ハロゲン又はアルキル基を含む金属を中心に持つ化合物を形成するように機能することができる。金属アルキル化合物は、金属並びに/又は1つ以上のアルキル基及び/若しくはハロゲン基を含むいかなる化合物でもよい。金属アルキル化合物の金属は、アルミニウム、クロム、又はそれらの組合せの1つ以上とすることができる。金属アルキル化合物は、CrCl2、(Et)2AlCl若しくは(Et)3Al、又はそれらの組合せの1つ以上を含むことができる。
【0066】
金属カルボニル添加剤は、金属を中心に持つ化合物に金属カルボニルを送達するように機能し、一緒になって、カルボニル化触媒を形成するのに適している。金属カルボニル添加剤は、金属を中心に持つ化合物からハロゲン又はアルキル基を脱カップリングさせて、金属を中心に持つ化合物及び金属カルボニルの組合せを含むカルボニル化触媒を形成するように機能することができる。金属カルボニル添加剤は、少なくとも本明細書に記載された金属カルボニル及びカチオン化合物を含む。カチオン化合物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、又はそれらの組合せを含むことができる。金属カルボニル添加剤は塩とすることができる。金属カルボニル添加剤は、R3Si-の形をしたケイ素塩[ここで、Rは、独立してフェニル、ハロフェニル、水素、アルキル、アルキルハロ、アルコキシ、又はそれらの組合せから選択される]とすることができる。金属カルボニル添加剤は、NaCo(CO)4、Co2(CO)8、HCo(CO)4、又はそれらの組合せとすることができる。金属化ステップ後にハロゲンを含む金属を中心に持つ化合物が形成される場合、NaCo(CO)4を使用して、カルボニル化触媒を形成することができる。アルキル基を含む金属を中心に持つ化合物が形成される場合、Co2(CO)8又はHCo(CO)4を使用して、カルボニル化触媒を形成することができる。
【0067】
いくつかの金属を中心に持つ化合物では、1つ以上の極性リガンドが、M又はそれらの組合せに配位し、金属原子の配位原子価を満たすことができる。極性リガンドは溶媒とすることができる。極性リガンドは、少なくとも2個の自由原子価電子を有するいかなる化合物でもよい。極性リガンドは非プロトン性とすることができる。化合物は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、二硫化炭素、ピリジン、エポキシド、エステル、ラクトン、又はそれらの組合せとすることができる。
【0068】
溶媒は、本明細書に記載された1つ以上の化合物を溶解するように機能する極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒又は非極性溶媒とすることができる。1つの溶媒は、本明細書に記載された化合物の1つ以上の溶解度を高める他の1つ以上の溶媒に可溶であり得る。第1の溶媒を、第1の溶媒に混和可能な第2の溶媒と組み合わせて、第2の溶媒に不溶な成分を沈殿させることができる。溶媒は、別の水性相層、別の有機相層、沈殿物、又は任意の何らかの組合せとは異なる有機相層又は水性相層を形成するように選択され得る。溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、スルホラン、トルエン、ピリジン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメトキシエタン、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン、又はそれらの組合せの1つ以上とすることができる。
【0069】
本開示の教示を示すように、いくつかの技法が理論化された。各教示は、本開示の例に過ぎず、教示をいずれか単一の技法に限定するものではない。
【0070】
図1は、カルボニル化触媒を形成する合成スキームである。丸底フラスコに、70.0mmolのケトンと140mLのジクロロメタンを混合する。反応混合物を0℃に冷却し、105mmolのアルキル又はアリールマグネシウムブロミドを丸底フラスコに10分かけて添加する。次いで、溶液を室温まで温め、終夜撹拌する。反応を0℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチする。有機層及び水性層を分離し、有機層を収集し、硫酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を減圧下で除去し、第三級アルコールをシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。周囲空気下で磁気撹拌子を装備した丸底フラスコ中、第三級アルコール(83.4mmol)を90mLのジクロロメタンに溶解し、0℃に冷却する。ジクロロメタンに溶解した第三級アルコールに、250mmolのトリエチルアミンを添加し、1分間撹拌し、167mmolのメタンスルホン酸無水物を30mLのジクロロメタンに溶解し、5分かけてゆっくり添加する。反応を0℃で60分間撹拌する。次いで、ブライン及び水を反応混合物に添加し、有機層を水性相から分離し、減圧濃縮する。生成物アルケンをヘキサンに溶解し、シリカゲル層付きのフリットにアルケンを通すことによって精製する。40.0mmolの4-置換フェノール及び60.0mmolの生成物アルケンの20mLのジクロロメタン中溶液に、30.0のメタンスルホン酸を滴下して加える。溶液を室温で終夜撹拌させておく。水及びジクロロメタンを添加し、層を分離する。有機層を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムで乾燥する。生成物2,4-二置換(disubstutted)フェノールをシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。窒素雰囲気下で、100mLのトルエン中30.0mmolの2,4-二置換フェノール、45.0mmolの2,6-ルチジンを添加する。溶液の温度を0℃に下げ、15mmolの塩化スズ(IV)をセプタムを通してゆっくり添加する。溶液を室温で20分間撹拌させておき、次いで150mmolのパラホルムアルデヒドを添加する。フラスコをわずかな真空下に置き、90℃で終夜加熱する。室温に冷却した後、2M HClを添加し、1時間撹拌する。ジエチルエーテルを添加し、層を分離する。有機層を炭酸水素ナトリウム及びブラインで洗浄し、引き続いて有機層を硫酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を減圧除去して、所望の生成物を得る。
【0071】
リガンド合成は、サリチルアルデヒドとオルトフェニレンジアミンを2.2対1の比で反応させることによって完了される。0.004molの量のサリチルアルデヒドを30mLのエタノール(EtOH)に溶解し、0.00176molのオルト-フェニレンジアミンに添加し、終夜還流する。続いて温度を下げ、サリチルアルデヒドのアルデヒドとジアミンとの縮合反応の標準方法を使用することによって、リガンドがEtOHから沈殿した後、重力濾過によって生成物を単離する。リガンドが形成された後に、不活性雰囲気下の反応容器に、100mLのトルエン溶媒中0.1molのリガンド(1.0M)が投入される。1当量のEt2AlClを溶液にゆっくり添加し、室温で終夜撹拌させておく。溶液から沈殿した後、生成物を濾過により収集する。カルボニル化触媒を形成するために、不活性雰囲気下の反応容器に、100mLのTHF溶媒中0.1molの金属化リガンド(1.0M)が投入される。1当量のNaCo(CO)4を溶液にゆっくり添加し、室温で終夜撹拌させておく。生成物を濾過して、NaCl副生成物を除去する。生成物は、逆溶媒ヘキサンの添加によりTHF溶媒から触媒を沈殿させ、次いで濾過により収集することによって収集される。
【0072】
列挙実施形態
以下の実施例は、本発明を例示するために記載されており、その範囲を限定するものではない。すべての部及び百分率は、別段の指示がない限り重量による。
【0073】
実施形態1.
金属カルボニルアニオン;及び
金属カルボニルアニオンにイオン結合しているカチオンであって、
ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含むリガンドであって、前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋は、前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれにおけるアルデヒド残基の炭素と接触する窒素原子を含み、、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれが、独立して3位及び5位の一方又は両方において少なくとも5個の炭素を含むヒドロカルビル基によって置換されている、リガンド;
前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基の2位のそれぞれのヒドロキシル残基において及び前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋のそれぞれの窒素原子においてリガンドと配位されている金属;並びに
前記金属と配位されている2つの極性リガンドを含む、カチオン
を含む、組成物。
【0074】
実施形態2.
【0075】
【化17】
[式中、Mは金属であり、
PLは極性リガンドであり、
R
1はそれぞれ、独立してアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基の1つ以上から選択され、
R
2はそれぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3はそれぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する]を含む、実施形態1に記載の組成物。
【0076】
実施形態3. R1がそれぞれ、独立して1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン、1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1-メチルシクロヘキシル、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、実施形態2に記載の組成物。
【0077】
実施形態4. R2がそれぞれ、独立してメチル基、C2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、実施形態2又は3に記載の組成物。
【0078】
実施形態5. 3,5-置換フェニルのそれぞれが、独立して3位において1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン、1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1-メチルシクロヘキシル、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上によって置換されている、実施形態1に記載の組成物。
【0079】
実施形態6. 以下の化合物:
【0080】
【化18】
[式中、R
3はそれぞれ、独立して、水素、メチルから選択され、一緒に任意選択的に置換されている1つ以上のシクロヘキサン、シクロヘキセン、若しくは芳香族環、又はそれらの組合せを形成する]の1つ以上又はそれらの組合せを含む、実施形態1~5のいずれか一形態に記載の組成物。
【0081】
実施形態7. リガンドが、
【0082】
【化19】
[式中、R1はそれぞれ、独立してアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基の1つ以上から選択され、
R2はそれぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R1又はR2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3はそれぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する]を含む、実施形態1~6のいずれか一形態に記載の組成物。
【0083】
実施形態8. カチオンが、salph、salen、salpn、salcy、又はsalalenリガンドを含む、実施形態1~7のいずれか一形態に記載の組成物。
【0084】
実施形態9. 金属カルボニルアニオンが、金属及び前記金属に接触している1つ以上のカルボニルを含む、実施形態1~8のいずれか一形態に記載の組成物。
【0085】
実施形態10. 金属カルボニルアニオンが(Co(CO)4)を含む、実施形態1~9のいずれか一形態に記載の組成物。
【0086】
実施形態11. ヒドロカルビル-ジイミン架橋が、任意選択的に置換されていてよい1つ以上のシクロヘキサン、シクロヘキセン又は芳香族環の一部分を形成する、実施形態1~10のいずれか一形態に記載の組成物。
【0087】
実施形態12. シクロヘキサン、シクロヘキセン、芳香族環が、1つ以上のメチル基、C2~10アルキル基、又はそれらの組合せによって任意選択的に置換されている、実施形態1~11のいずれか一形態に記載の組成物。
【0088】
実施形態13. ヒドロカルビル-ジイミン架橋が、1位、2位又は両方において水素基、メチル基、C2~10アルキル基、又はそれらの組合せの1つ以上によって置換されているエチルジイミン架橋を含む、実施形態1~12のいずれか一形態に記載の組成物。
【0089】
実施形態14. 金属が、Al又はCrの1つ以上を含む、実施形態1~13のいずれか一形態に記載の組成物。
【0090】
実施形態15. R2基が、独立して水素、メチル、-C2~C12アルキル基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、実施形態1~14のいずれか一形態に記載の組成物。
【0091】
実施形態16. 極性リガンドが、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、又はそれらの組合せの1つ以上を含む、実施形態1~15のいずれか一形態に記載の組成物。
【0092】
実施形態17. 1つ以上のラクトンを形成する1つ以上のエポキシドで触媒活性を有する、実施形態1~16のいずれか一形態に記載の組成物。
【0093】
実施形態18. リガンドが、3位、5位、又はそれらの組合せの1つ以上において芳香族環を有する、実施形態1~17のいずれか一形態に記載の組成物。
【0094】
実施形態19. リガンドが、3位、5位、又はそれらの組合せの1つ以上において芳香族性を有する、実施形態1~18のいずれか一形態に記載の組成物。
【0095】
実施形態20. リガンドを金属化剤と接触させて、金属を中心に持つ化合物を形成するステップであって、前記リガンドが、2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のアルデヒド残基においてヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換(subsituted)サリチルアルデヒドの残基を含み、3位及び5位の一方又は両方におけるそれぞれの置換が、少なくとも5個の炭素を含むヒドロカルビル基を含む、ステップ;並びに
前記金属を中心に持つ化合物を金属カルボニル及び極性リガンドと接触させて、組成物を形成するステップ
を含む方法。
【0096】
実施形態21. 次式による化合物:
【0097】
【化20】
を金属化剤と接触させて、次式による化合物:
【0098】
【化21】
の1つを形成するステップ、
形成された化合物を金属カルボニル及び極性リガンドと、以下の組成物:
【0099】
【化22】
[式中、Mは金属であり、
PLはそれぞれ、極性リガンドであり、
R
1はそれぞれ、独立してアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基の1つ以上から選択され、
R
2はそれぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3はそれぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する]の1つが形成される条件下で接触させるステップを含む、実施形態20に記載の方法。
【0100】
実施形態22. R1が、それぞれ、独立して1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン、1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1-メチルシクロヘキシル、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、実施形態21に記載の方法。
【0101】
実施形態23. R2がそれぞれ、独立してメチル基、C1~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、実施形態21又は22に記載の方法。
【0102】
実施形態24. ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている3,5-置換(subsituted)サリチルアルデヒド又は次式による化合物:
【0103】
【化23】
を、
炭素において水素、-C
1~C
12アルキル基又はアリール基で二置換されているカルボニルをグリニャール試薬と、-C
1~C
12アルキル基又はアリール基がカルボニルに添加され、酸素原子が第三級アルコールに転換して、三置換第三級アルコールを形成する条件下で接触させ、
前記三置換第三級アルコールをメタンスルホン酸無水物と、水素、-C
1~C
12アルキル基又はアリール基の2つ以上で1,1-二置換されているアルケンが形成される条件下で接触させ、
4位が水素、メチル、-C
2~C
12アルキル基、アリール基、t-ブチルアルキル基、ハロゲン、アミン、-CF
3、ヒドロカルビルオキシ基又は-NO
2で任意選択的に置換されているフェノールを水素、-C
1~C
12アルキル基又はアリール基の2つ以上で1,1-二置換されているアルケンと、酸触媒の存在下に、アルケンが芳香族環の2位に添加されて、2位がアルケンで置換され、4位が任意選択的に置換されているフェノールを形成する条件下で接触させ、
4位が任意選択的に置換されている2-アルケンフェノールをホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド前駆体と、ルイス酸触媒及び塩基の存在下に、3位がアルケンによって置換され、5位が水素、メチル、-C
2~C
12アルキル基、アリール基、t-ブチルアルキル基、ハロゲン、アミン、-CF
3、ヒドロカルビルオキシ基又は-NO
2によって任意選択的に置換されているサリチルアルデヒドが形成される条件下で接触させ、
3,5-置換サリチルアルデヒドをジアミンと、ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている3,5-置換(subsituted)サリチルアルデヒド又は上記の式による化合物が形成される条件下で接触させる
ことによって調製するステップをさらに含む、実施形態20~23に記載の方法。
【0104】
実施形態25. 極性リガンドが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、又はそれらの組合せの1つ以上を含む、実施形態20~24のいずれか一形態に記載の方法。
【0105】
実施形態26. R2が、独立して水素、-CH3、-C2~C12アルキル基又はアリール基の1つ以上から選択される、実施形態20~25のいずれか一形態に記載の方法。
【0106】
実施形態27.金属が、Al又はCrの1つ以上を含む、実施形態20~26のいずれか一形態に記載の方法。
【0107】
実施形態28.金属化剤が、(Et)2AlCl、(Et)3Al、CrCl2、又はそれらの組合せの1つ以上を含む、実施形態20~27のいずれか一形態に記載の方法。
【0108】
実施形態29.ジアミンが、エチレンジアミン、オルト-フェニレンジアミン、オルト-シクロヘキシルジアミン、フェナントロリン、ビピリジン、置換エチレンジアミン、置換フェニレンジアミン、置換オルト-シクロヘキシルジアミン、置換フェナントロリン又は置換ビピリジンの1つ以上を含む、実施形態20~28のいずれか一形態に記載の方法。
【0109】
実施形態30.金属カルボニルが、NaCo(CO)4、Co2(CO)8、HCo(CO)4、又はそれらの組合せの1つ以上を含む、実施形態20~29のいずれか一形態に記載の方法。
【0110】
実施形態31. 酸触媒が、メタンスルホン酸の1つ以上を含む、実施形態20~30のいずれか一形態に記載の方法。
【0111】
実施形態32. ルイス酸触媒が、SnCl4、AlCl3、FeCl3、又はそれらの組合せを含む、実施形態20~31のいずれか一形態に記載の方法。
【0112】
実施形態33. グリニャール試薬が、アルキルマグネシウムブロミド、アリールマグネシウムブロミドの1つ以上を含む、実施形態20~32のいずれか一形態に記載の方法。
【0113】
実施形態34. 塩基が、2,6-ルチジン、トリエチルアミン又は両方である、実施形態20~33のいずれか一形態に記載の方法。
【0114】
実施形態35. ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド前駆体が、パラホルムアルデヒドである、実施形態20~35のいずれか一形態に記載の方法。
【0115】
実施形態36. エポキシド及び一酸化炭素をカルボニル化触媒の存在下で接触させて、β-プロピオラクトンを形成するステップを含む方法であって、カルボニル化触媒が、
金属カルボニルアニオン;及び
金属カルボニルアニオンにイオン結合しているカチオンであって、
ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含むリガンドであって、前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋は前記2つの3,5-置換(subsittuted)サリチルアルデヒドの残基のそれぞれにおけるアルデヒド残基の炭素と接触する窒素原子を含み、、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれが、独立して3位及び5位の一方又は両方において少なくとも5個の炭素を含むヒドロカルビル基によって置換されている、リガンド;並びに
前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基の2位のそれぞれのヒドロキシル残基において及び前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋のそれぞれの前記窒素原子においてリガンドと配位されている金属;並びに
前記金属と配位されている2つの極性リガンド
を含む、カチオン
を含む、方法。
【0116】
実施形態37.カルボニル化触媒が、次式:
【0117】
【化24】
[式中、Mは金属であり、
PLは極性リガンドであり、
R
1はそれぞれ、独立してアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基の1つ以上から選択され、
R
2はそれぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R3はそれぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する]の構造を有する、実施形態36に記載の方法。
【0118】
実施形態38. 極性リガンドが、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、又はそれらの組合せである、実施形態36又は37に記載の方法。
【0119】
実施形態39. 金属が、Al又はCrである、実施形態36~38のいずれか一形態に記載の方法。
【0120】
実施形態40. R2が、独立してH、-CH3、-C2~C12アルキル基又はアリール基の1つ以上から選択される、実施形態36~39のいずれか一形態に記載の方法。
【0121】
実施形態41. R1が、独立して1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン、1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1-メチルシクロヘキシル、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、実施形態36~40のいずれか一形態に記載の方法。
【実施例】
【0122】
以下の実施例は、本開示を例示するために記載されており、その範囲を限定するものではない。
【0123】
Varian Mercury分光計を300.1MHzで作動させてNMR分析を実施する。試験する前に、試料をTHF-d8に溶解する。
【0124】
開示された実施例のそれぞれを特徴づけるためにiD1 Transmission付属物を装備したNicolet iS5でFTIR分析を実施する。試験する前に、試料をTHFに溶解する。
【0125】
カルボニル化触媒の触媒活性をトラッキングするインサイチュー-FTIR分析を、反応器の底に直接添付されたシリコーンチップ付きセンチネルを装備したMettler Toledo ReatIR 45mで実施する。
【0126】
【0127】
上記の表1では、R1基及びR2基は上記の実施例成分Iに対応して、実施例1~9を示す。各実施例を試験するために、一酸化炭素及びエチレンオキシドを、反応器中、実施例触媒の存在下に温度70℃及び900psiで反応させる。β-プロピオラクトンが形成されるように、一酸化炭素を過剰に添加し、エチレンオキシド及び実施例触媒を800:1のモル比で添加する。各実施例触媒を0.06mmolの量で添加する。実施例触媒、エチレンオキシド及び一酸化炭素を70mlのテトラヒドロフランの存在下で反応させる。
【0128】
上記の転換速度を、1分当たりのβ-プロピオラクトン形成速度(dBPL/dt)として測定し、触媒濃度によって正規化する。エチレンオキシド転換10%及び25%の時点におけるエチレンオキシドのβ-プロピオラクトンへの転換速度を表にまとめる。
【0129】
上記並びに
図2及び3に示されるように、四座シッフ塩基リガンドへの組成変動によって、Alルイス酸金属中心を有するシッフ塩基を含む現行の触媒である例1と比較して高い活性を有するカルボニル化触媒が得られる。3,3’位に添加された芳香族性に関連した立体的及び/又は電子的効果は、表1で強調される触媒活性を増強するための利点を示す。エポキシドのカルボニル化環拡大における律速段階(RDS)は、ラクトンを形成するための閉環であることは理解されている。したがって、実施例2~11におけるアルキル及び/又は芳香族基の組合せによって付与された立体的/電子的変動は、閉環を容易にすることを支援し、β-プロピオラクトン形成の速度を高める。
【0130】
特性決定のデータに関して、以下のことが、以下の実施例のそれぞれをH NMR及びFTIR分析により裏付ける。
【0131】
図4は、例1の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【0132】
図5は、例1の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【0133】
図6は、実施例2の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【0134】
図7は、実施例2の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【0135】
図8は、実施例3の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【0136】
図9は、実施例3の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【0137】
図10は、実施例4の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【0138】
図11は、実施例4の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【0139】
図12は、実施例5の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【0140】
図13は、実施例5の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【0141】
図14は、実施例6の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【0142】
図15は、実施例6の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【0143】
図16は、実施例7の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【0144】
図17は、実施例7の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【0145】
図18は、実施例8の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【0146】
図19は、実施例8の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【0147】
図20は、実施例9の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【0148】
図21は、実施例9の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【0149】
図22は、実施例10の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【0150】
図23は、実施例10の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1886cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連する伴うカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【0151】
図24は、実施例11の単離されたカルボニル化触媒のd8-THF溶媒中で分析された1H NMRスペクトルである。
【0152】
図25は、実施例11の単離されたカルボニル化触媒のTHF溶媒中で分析された1887cm
-1に位置するCo(CO)
4
-に関連するカルボニル伸縮ピークを示すFTIRスペクトルである。
【0153】
実施例の触媒について収集された1H NMR及びFTIRスペクトルの解釈によって、所望の材料の合成及び単離に成功していることが明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)金属カルボニルアニオン及び
b)前記金属カルボニルアニオンにイオン結合しているカチオンであって、
i)ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている、2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含むリガンドであって、前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋は、前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれにおけるアルデヒド残基の炭素と接触する窒素原子を含み、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれが、独立して
3位において分枝状アルキル-アリール基であるヒドロカルビル基によって置換されており、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれが、独立して5位において水素、メチル、-C
2
~C
12
アルキル基、アリール基、t-ブチルアルキル基、ハロゲン、アミン、-CF
3
、ヒドロカルビルオキシ基又は-NO
2
によって置換されている、リガンド;
ii)前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基の2位のそれぞれのヒドロキシル残基において及び前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋のそれぞれの前記窒素原子において、前記リガンドと配位されている金属;並びに
iii)前記金属と配位されている2つの極性リガンド
を含む、カチオン
を含む、組成物。
【請求項2】
【化1】
[式中、Mは、金属であり、
PLは、極性リガンドであり、
R
1は、それぞれ、独立して分枝状アルキル-アリール基を含むヒドロカルビル基であり、
R
2は、それぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも7個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3は、それぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する。]
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R
1が、それぞれ、独立して1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン
、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
R
2が、それぞれ、独立してメチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
3,5-置換フェニルのそれぞれが、独立して3位において、1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上によって置換されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
リガンドが、
【化2】
[式中、R
1は、それぞれ、独立して分枝状アルキル-アリール基を含むヒドロカルビル基であり、
R
2は、それぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3は、それぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する。]
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
カチオンが、salph、salen、salpn、salcy、又はsalalenリガンドを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
金属カルボニルアニオンが、金属及び前記金属に接触している1つ以上のカルボニルを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
金属カルボニルアニオンが(Co(CO)
4)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ヒドロカルビル-ジイミン架橋が、1つ以上のシクロヘキサン、シクロヘキセン又は芳香族環の一部分を形成する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
シクロヘキサン、シクロヘキセン、芳香族環が、1つ以上のメチル基、C
2~10アルキル基、又はそれらの組合せによって任意選択的に置換されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ヒドロカルビル-ジイミンが、1位、2位又は両方において水素基、メチル基、C
2~10アルキル基、又はそれらの組合せの1つ以上によって置換されているエチルジイミン架橋を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
金属が、Al又はCrの1つ以上を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
R
2基が、独立して水素、メチル、-C
2~C
12アルキル基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
極性リガンドが、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、又はそれらの組合せの1つ以上を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
1つ以上のラクトンを形成する1つ以上のエポキシドで触媒活性を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
リガンドが、3位、5位、又はそれらの組合せの1つ以上において芳香族環を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
a)リガンドを金属化剤と接触させて、金属を中心に持つ化合物を形成するステップであって、前記リガンドが、2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のアルデヒド残基において、ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含み、
前記3,5-置換サリチルアルデヒドの3位におけるそれぞれの置換が、アルキル-アリール基を含むヒドロカルビル基を含み、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの5位におけるそれぞれの置換が、水素、メチル、-C
2
~C
12
アルキル基、アリール基、t-ブチルアルキル基、ハロゲン、アミン、-CF
3
、ヒドロカルビルオキシ基又は-NO
2
を含む、ステップ;並びに
b)前記金属を中心に持つ化合物を、金属カルボニル及び極性リガンドと接触させて、組成物を形成するステップ
を含む方法。
【請求項19】
a)次式による化合物:
【化3】
を金属化剤と接触させて、次式による化合物:
【化4】
の1つを形成するステップ、
b)形成された化合物を金属カルボニル及び極性リガンドと、以下の組成物:
【化5】
[式中、Mは金属であり、
PLは、それぞれ、極性リガンドであり、
R
1は、それぞれ、独立して
分枝状アルキル-アリール基を含むヒドロカルビル基であり、
R
2は、それぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3は、それぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する。]
の1つが形成される条件下で接触させるステップ
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
R
1が、それぞれ、独立して1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン
、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
R
2が、それぞれ、独立してメチル基、C
1~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
極性リガンドが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、又はそれらの組合せの1つ以上を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
R
2が、独立して水素、-CH
3、-C
2~C
12アルキル基又はアリール基の1つ以上から選択される、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
金属が、Al又はCrの1つ以上を含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
金属化剤が、(Et)
2AlCl、(Et)
3Al、CrCl
2、又はそれらの組合せの1つ以上を含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
金属カルボニルが、NaCo(CO)
4、Co2(CO)
8、HCo(CO)
4、又はそれらの組合せの1つ以上を含む、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
エポキシド及び一酸化炭素をカルボニル化触媒の存在下で接触させて、β-プロピオラクトンを形成するステップを含む方法であって、
前記カルボニル化触媒が、
a)金属カルボニルアニオン;及び
b)前記金属カルボニルアニオンにイオン結合しているカチオンであって、
i)ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている、2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含むリガンドであって、前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋は、前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれにおけるアルデヒド残基の炭素と接触する窒素原子を含み、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれが、独立して3位及び5位の一方又は両方において、
アルキル-アリール基を含みかつ少なくとも5個の炭素を含むヒドロカルビル基によって置換されている、リガンド;
ii)前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基の2位のそれぞれのヒドロキシル残基において及び前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋のそれぞれの窒素原子において、前記リガンドと配位されている金属;並びに
iii)前記金属と配位されている2つの極性リガンド
を含む、カチオン
を含む、方法。
【請求項28】
カルボニル化触媒が、次式:
【化6】
[式中、Mは金属であり、
PLは、極性リガンドであり、
R
1は、それぞれ、独立して分枝状アルキル-アリール基を含むヒドロカルビル基であり、
R
2は、それぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3は、それぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する。]
の構造を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
極性リガンドが、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、又はそれらの組合せである、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
金属が、Al又はCrである、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
R
1が、それぞれ、独立して1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン
、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
a)金属カルボニルアニオン及び
b)前記金属カルボニルアニオンにイオン結合しているカチオンであって、
i)ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている、2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含むリガンドであって、前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋は、前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれにおけるアルデヒド残基の炭素と接触する窒素原子を含み、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれが、独立して3位においてアルキル-アリール基を含むヒドロカルビル基によって置換されており、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれが、独立して5位においてアルキル、アリール、アリール-アルキル又はアルキル-アリール基を含むヒドロカルビル基によって置換されている、リガンド;
ii)前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基の2位のそれぞれのヒドロキシル残基において及び前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋のそれぞれの前記窒素原子において、前記リガンドと配位されている金属;並びに
iii)前記金属と配位されている2つの極性リガンド
を含む、カチオン
を含む、組成物。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)金属カルボニルアニオン及び
b)前記金属カルボニルアニオンにイオン結合しているカチオンであって、
i)ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている、2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含むリガンドであって、前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋は、前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれにおけるアルデヒド残基の炭素と接触する窒素原子を含み、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれが、独立して3位において分枝状アルキル-アリール基であるヒドロカルビル基によって置換されており、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれが、独立して5位において水素、メチル、-C
2~C
12アルキル基、アリール基、t-ブチルアルキル基、ハロゲン、アミン、-CF
3、ヒドロカルビルオキシ基又は-NO
2によって置換されている、リガンド;
ii)前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基の2位のそれぞれのヒドロキシル残基において及び前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋のそれぞれの前記窒素原子において、前記リガンドと配位されている金属;並びに
iii)前記金属と配位されている2つの極性リガンド
を含む、カチオン
を含む、組成物。
【請求項2】
【化1】
[式中、Mは、金属であり、
PLは、極性リガンドであり、
R
1は、それぞれ、独立して分枝状アルキル-アリール基を含むヒドロカルビル基であり、
R
2は、それぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも7個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3は、それぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する。]
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R
1が、それぞれ、独立して1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
及び
R
2
が、それぞれ、独立してメチル基、C
2~16
アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
3,5-置換フェニルのそれぞれが、独立して3位において、1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上によって置換されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
リガンドが、
【化2】
[式中、R
1は、それぞれ、独立して分枝状アルキル-アリール基を含むヒドロカルビル基であり、
R
2は、それぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3は、それぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する。]
を含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
金属が、Al又はCrの1つ以上を含み、
及び、極性リガンドが、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、又はそれらの組合せの1つ以上を含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
R
2基が、独立して水素、メチル、-C
2~C
12アルキル基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項1~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
a)リガンドを金属化剤と接触させて、金属を中心に持つ化合物を形成するステップであって、前記リガンドが、2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のアルデヒド残基において、ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含み、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの3位におけるそれぞれの置換が、アルキル-アリール基を含むヒドロカルビル基を含み、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの5位におけるそれぞれの置換が、水素、メチル、-C
2~C
12アルキル基、アリール基、t-ブチルアルキル基、ハロゲン、アミン、-CF
3、ヒドロカルビルオキシ基又は-NO
2を含む、ステップ;並びに
b)前記金属を中心に持つ化合物を、金属カルボニル及び極性リガンドと接触させて、組成物を形成するステップ
を含む方法。
【請求項9】
a)次式による化合物:
【化3】
を金属化剤と接触させて、次式による化合物:
【化4】
の1つを形成するステップ、
b)形成された化合物を金属カルボニル及び極性リガンドと、以下の組成物:
【化5】
[式中、Mは金属であり、
PLは、それぞれ、極性リガンドであり、
R
1は、それぞれ、独立して分枝状アルキル-アリール基を含むヒドロカルビル基であり、
R
2は、それぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3は、それぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する。]
の1つが形成される条件下で接触させるステップ
を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
R
1が、それぞれ、独立して1,1エチルフェニルプロパン、2,2メチルフェニルエタン、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
及び
R
2
が、それぞれ、独立してメチル基、C
1~16
アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
金属カルボニルが、NaCo(CO)
4、Co2(CO)
8、HCo(CO)
4、又はそれらの組合せの1つ以上を含む、請求項
9又は10に記載の方法。
【請求項12】
エポキシド及び一酸化炭素をカルボニル化触媒の存在下で接触させて、β-プロピオラクトンを形成するステップを含む方法であって、
前記カルボニル化触媒が、
a)金属カルボニルアニオン及び
b)前記金属カルボニルアニオンにイオン結合しているカチオンであって、
i)ヒドロカルビル-ジイミン架橋によって連結されている、2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基を含むリガンドであって、前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋は、前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれにおけるアルデヒド残基の炭素と接触する窒素原子を含み、前記3,5-置換サリチルアルデヒドの残基のそれぞれが、独立して3位及び5位の一方又は両方において、アルキル-アリール基を含みかつ少なくとも5個の炭素を含むヒドロカルビル基によって置換されている、リガンド;
ii)前記2つの3,5-置換サリチルアルデヒドの残基の2位のそれぞれのヒドロキシル残基において及び前記ヒドロカルビル-ジイミン架橋のそれぞれの窒素原子において、前記リガンドと配位されている金属;並びに
iii)金属と配位されている2つの極性リガンド
を含む、カチオン
を含む、方法。
【請求項13】
カルボニル化触媒が、次式:
【化6】
[式中、Mは金属であり、
PLは、極性リガンドであり、
R
1は、それぞれ、独立して分枝状アルキル-アリール基を含むヒドロカルビル基であり、
R
2は、それぞれ、独立して水素原子、メチル基、C
2~16アルキル基、アリール基、アルキル-アリール基、ハロゲン、アミン、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ヒドロカルビルオキシ基、又はそれらの組合せの1つ以上から選択され、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも5個の炭素を含むアルキル基、アリール基又はアルキル-アリール基から選択され、
R
3は、それぞれ、独立して水素、メチル、C
2~10アルキル基、それらの組合せから選択されるか、又は一緒に任意選択的に置換されている芳香族環である6員環を形成する。]
の構造を有する、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
極性リガンドが、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、又はそれらの組合せであり、
及び
金属が、Al又はCrである、請求項
9~13に記載の方法。
【請求項15】
R
1が、それぞれ、独立して1,1-エチルフェニルプロパン、2,2-メチルフェニルエタン、1,1-ジフェニルエチル、又はそれらの組合せの1つ以上から選択される、請求項
13に記載の方法。
【国際調査報告】