(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-11
(54)【発明の名称】ガラス物体の付加製造のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B28B 1/30 20060101AFI20240704BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240704BHJP
【FI】
B28B1/30
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024502142
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2022069235
(87)【国際公開番号】W WO2023285340
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524017205
【氏名又は名称】ミハイル・フォーキン
(71)【出願人】
【識別番号】524017216
【氏名又は名称】タラス・オリエホフ
(71)【出願人】
【識別番号】524017227
【氏名又は名称】チュンシン・リウ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ミハイル・フォーキン
(72)【発明者】
【氏名】タラス・オリエホフ
(72)【発明者】
【氏名】チュンシン・リウ
【テーマコード(参考)】
4G052
【Fターム(参考)】
4G052DA01
4G052DB12
4G052DC06
(57)【要約】
本発明は、ガラスの三次元構成要素/物体を形成するための付加製造方法および装置であって、ガラスフィラメント(160)材料をステージ(130)に向けて本質的に水平の方向に供給するステップと、ガラスフィラメント(160)材料を、ガラスファイバ材料が溶融/軟化するように、または溶融/軟化したままであるように、加熱するステップと、溶融/軟化したガラス材料を前記ステージまたは物体の表面上に堆積させるステップであって、溶融/軟化したガラス材料は、前記ガラスの三次元構成要素/物体を形成しているところであって、堆積するステップの少なくとも一部の間、形成されているガラスの三次元構成要素は本質的に垂直のステージ上に載置され、溶融/軟化したガラス材料は、一層ずつ堆積される、ステップと、1以上のコンピュータであって、ガラスフィラメント(160)および/またはステージ(130)の移動を行う一組のアクチュエータを制御することによって、溶融/軟化したガラス材料が堆積される各層を制御する、コンピュータと、を含む方法および装置に関する。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスの三次元構成要素/物体を形成するための付加製造方法であって
a.ガラスフィラメント(160)材料をステージ(130)または物体に向けて本質的に水平の方向に供給するステップと;
b.前記ガラスフィラメント(160)材料を、前記ガラスフィラメント材料が溶融/軟化するように、または溶融/軟化したままであるように、加熱するステップと;
c.前記溶融/軟化したガラスフィラメント(160)材料を前記ステージ(130)または物体の表面上に堆積するステップであって、前記溶融/軟化したガラスフィラメント材料が、前記ガラスの三次元構成要素/物体を形成しているところであって、前記堆積するステップの少なくとも一部の間、形成されている前記ガラスの三次元構成要素は本質的に垂直のステージ上に載置され、前記溶融/軟化したガラスフィラメント材料が一層ずつ堆積される、ステップと;
d.1以上のコンピュータと、前記ガラスフィラメント材料および前記ステージ(130)の相対移動を行う一組のアクチュエータとを用いて、前記溶融/軟化したガラスフィラメント材料の堆積を制御するステップと、を含む前記方法。
【請求項2】
前記ガラスフィラメントが、前記ステージ(130)または物体の前記表面に本質的に直角に供給される、請求項1に記載の付加製造方法。
【請求項3】
少なくとも1つのレーザ源(110)から発せられる少なくとも1つのレーザビーム(150)が、前記ガラスフィラメント(160)を加熱するために使用される、請求項1または2に記載の付加製造方法。
【請求項4】
前記ガラスフィラメント(160)が、2μm超の波長を有する少なくとも3つのレーザビーム(150)によって加熱される、請求項3に記載の付加製造方法。
【請求項5】
フィラメント供給ノズル(120)と、前記ガラスフィラメント(160)が前記少なくとも1つのレーザビーム(150)と交差する点との間の距離が、5ミリメートル未満である、請求項1から4のいずれか一項に記載の付加製造方法。
【請求項6】
前記ガラスフィラメント上で交差する複数のレーザビームが、前記ガラスフィラメントが提供される前記ステージまたは物体の前記表面に対して30°~60°の範囲内の角度を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の付加製造方法。
【請求項7】
複数のレーザビームが、前記ガラスフィラメントに関して本質的に対称的に、前記ガラスフィラメントにおいて交差するように構成されている、請求項6に記載の付加製造方法。
【請求項8】
前記ガラスフィラメント材料が、1~50μmの範囲内の厚さを有するポリイミドでできた保護フィルムを有している、請求項1から7のいずれか一項に記載の付加製造方法。
【請求項9】
前記ガラスフィラメントが、100~500μmの範囲内の直径を有するガラスファイバである、請求項1から8のいずれか一項に記載の付加製造方法。
【請求項10】
前記ガラスフィラメントが、少なくとも2つの異なる材料および保護フィルムでできている、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ガラスフィラメント材料が中空である、請求項1から10のいずれか一項に記載の付加製造方法。
【請求項12】
前記ステージが、前記ガラスフィラメントの直径の80%~300%の範囲内の厚さを有するガラス板である、請求項1から11のいずれか一項に記載の付加製造方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのレーザビームで前記ガラスフィラメントを加熱する前に、前記ガラスフィラメントを予熱するステップをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の付加製造方法。
【請求項14】
ガラス構成要素/物体の付加製造のための装置であって、
a.ステージ(130)と;
b.ガラスフィラメント(160)材料が溶融/軟化するように、または溶融/軟化したままであるように、前記ガラスフィラメント材料を加熱するための1以上の加熱素子と;
c.前記ガラスフィラメント(160)を前記ステージ(130)に向けて本質的に水平の方向に供給して、前記ステージ上に載置される前記ガラス構成要素/物体を形成するためのフィラメント供給ノズル(120)と;
d.前記溶融/軟化したガラス材料が一層ずつ堆積されるように前記製造を制御するため、ならびに前記ガラスフィラメント(160)材料および前記ステージ(130)の相対移動を制御するための1以上のコンピュータであって、前記ステージが本質的に垂直である、コンピュータと、を備える装置。
【請求項15】
前記ガラスフィラメント材料が、前記ステージに本質的に直角に供給される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記1以上の加熱素子が、少なくとも1つのレーザビームである、請求項14または15に記載の装置。
【請求項17】
複数のレーザビームが、1つの同じレーザビーム源から発せられている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
単一のレーザビームを複数のレーザビームに分割するための回折光学素子と、前記分割されたビームを偏向するように構成されたピラミッド型ミラーと、前記偏向されたビームを前記ガラスフィラメントと交差するように向けるように構成された複数のビームステアリングミラーと、をさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記ガラスフィラメント上で交差する前記少なくとも3つのビームが、前記ガラスフィラメント(160)が提供される前記ステージまたは物体の前記表面に対して30~60°の範囲内の角度を有する、請求項14から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記ビームが、前記ステージ(130)から本質的に同じ距離で、前記ガラスフィラメントに関して本質的に対称的に、前記ガラスフィラメントにおいて交差するように構成されている、請求項17から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記加熱素子が前記ガラスフィラメントを加熱している時よりも前に、前記ガラスフィラメントを予熱するように構成された少なくとも1つの予熱器をさらに備える、請求項14から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記ステージを加熱するための少なくとも1つの加熱手段をさらに備える、請求項14から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
少なくとも1つのレーザビームが、後方から前記ステージを加熱している、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記ステージが、不活性雰囲気および/または-20℃未満の露点を有する乾燥雰囲気を有するビルドチャンバ内に提供されている、請求項14から23のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、付加製造の分野に関する。特に、本発明は、ガラスでできた原料から三次元構成要素/物体を形成するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス3D印刷、すなわち付加製造において、既存の技術は、(1)炉からの熱間押出し、(2)ガラスロッドの堆積、(3)ガラス-ポリマー混合溶液を用いたステレオリソグラフィー/インクジェット、および(4)ガラスフィラメントの堆積を含む。
【0003】
(1)US10464305B2およびUS10266442B2では、並進ステージを使用して所定の幾何形状で溶融ガラスをビルドプレート上に注ぐために、大型るつぼが使用されている。この方法の欠点は、溶融ガラスによるノズルの損傷のリスクであり、したがって、より低い溶融温度を有するソーダ石灰ガラスまたはボロシリケートガラス等の多成分シリケートガラスに限定される。その層厚は約10mmであり、したがってこの技術は、比較的低い解像度の大きいサイズの印刷にのみ適用可能である。エネルギー消費は、全ての既存の技術の中で最も高い。
【0004】
(2)US2020/0070415A1、およびWO2020/167470A1では、連続的なフィラメント供給がガラス3D印刷に使用されている。印刷は、原料として直径が1mm超のガラスロッドを使用する。供給するロッドは、印刷ヘッドを通して供給され、基板上に堆積される。1700℃超の温度ではガラスを印刷できないことが、材料選択を制限している。このシステムの問題は、溶融ガラスによるノズルの損傷のリスクであり、印刷体積がガラスロッドの体積により制限され、供給されるロッド間の隙間が不均一な印刷物品質をもたらし、その構成は機械的に極めて複雑であると考えられる。
【0005】
(3)US2020/0039868A1、WO2017/214179A1、およびWO2020/118157A1では、ガラス粉末が液体ポリマーと混合される。印刷プロセスにおいて、まず3D成形体がポリマー3Dプリンタにより形成される。次いで、成形体は、純粋なガラスの多孔質体をもたらす脱バインダープロセスに供される。多孔質体は焼結され、最終的に「緻密」なガラスの印刷物を形成する。混合物中のガラス含有量は低い。したがって、この技術は、大きな体積収縮により、一般に10mm未満のモデルのみを形成し得る。プロセス全体に数日を要し、脱バインダーおよび焼結にはエネルギー集約的な炉が必要である。焼結中の一様でない収縮に起因して、印刷品質は低い。
【0006】
(4)細いガラスフィラメントまたは光ファイバのレーザベースの溶融[J.M.Hostetlerら、FIBER-FED PRINTING OF FREE-FORM FREE-STANDING GLASS STRUCTURES、Solid Freeform Fabrication 2018: Proceedings of the 29th Annual International、994~1002]、[T.Grabeら、Additive Manufacturing of fused silica using coaxial laser glass deposition, experiment, simulation and discussion、Proc. SPIE 11677、Laser 3D Manufacturing VIII、116770Z(2021年3月8日)]もまた、ガラス3D印刷に使用されている。レーザを使用して、非接触加熱が実現され、したがって、溶融物はるつぼ壁に常に接触しているわけではなく、それによりるつぼの腐食およびガラス溶融物の汚染が回避される。ここで、シリカガラスファイバ/フィラメントは、ガラスを軟化させるのに十分な温度の高温ゾーンに連続的に供給される。シリカガラス(石英または溶融シリカ)の場合、1800~2000℃という高い温度が必要である。
【0007】
しかしながら、[J.M.Hostetlerら、FIBER-FED PRINTING OF FREE-FORM FREE-STANDING GLASS STRUCTURES、Solid Freeform Fabrication 2018: Proceedings of the 29th Annual International、994~1002]では、ガラスフィラメントを軟化させるために1つのレーザビームのみが使用されている。この非対称加熱は、方向性印刷能力(directional printing capability)を著しく制限する。溶融ガラスフィラメントにおける不均一な温度勾配は、印刷物に高い残留応力をもたらし、材料破壊および印刷プロセスの中断のリスクを有し得る。この技術はむき出しのガラスフィラメントを使用し、これは、印刷前にガラスフィラメントからコーティングが除去される必要があることを意味する。しかしながら、このアプローチは、最後の段階、すなわちファイバの高温ゾーンへの機械的供給中に、ファイバを保護されていない状態にする。剥離プロセスはまた、印刷可能なガラスフィラメントの全長を制限し(すなわち、数メートル未満の最大機械的剥離、数十メートル未満の最大化学的剥離)、これは、3D印刷プロセスの連続性および能力(体積)を大きく損なう。
【0008】
[T.Grabeら、Additive Manufacturing of fused silica using coaxial laser glass deposition, experiment, simulation and discussion、Proc. SPIE 11677、Laser 3D Manufacturing VIII、116770Z(2021年3月8日)]では、1つのレーザビームが4つの部分ビームに分割される。しかしながら、均一なガウスレーザビームではないため、分割されたビームの品質は低い。不均一加熱の問題がまだ存在する。この方法では、コーティングされたガラスフィラメントが使用される。コーティングは高温ゾーンの近くで焼却され、すなわち、高温ゾーン自体がコーティングを除去するために使用され得る。一般的に使用されるファイバコーティングを用いた前記方法に関する問題は、望ましくない燃焼副生成物をもたらし得、印刷物の純度に影響する残渣を残す可能性がより高いことである。別の問題点は、コーティングが発火して、熱源がオフにされた後でもフィラメントを長い長さにわたり燃焼し始め得ることである。したがって、コーティングの燃焼を抑制するためにプロセスガスが必要である。コーティングを焼却するために、過度のエネルギーが必要であり、これは印刷中に膨大なガラスの気化を引き起こす。
【0009】
ガラスの気化は非常に一般的であり、レーザベースのガラス加工中から排除するのは困難である。気化は、表面に付着する、望ましくないフュームシリカ粒子を形成する。フュームシリカ粒子の存在は、システム内の光学系の汚染および破壊のリスクを高める。気化速度およびフューム方向の制御が極めて重要である。
【0010】
むき出しのガラスフィラメントを使用した付加製造は、機械的特性が劣り、したがって破損しやすい。保管および取扱い中のガラスフィラメントの機械的および化学的保護のためには、保護コーティングが必要である。保護コーティングは、フィラメント製作中に適用され得る。
【0011】
先行のガラス付加製造では、ガラスフィラメントからコーティングが除去される必要がある。コーティングの剥離は、フィラメントを高温付加製作ゾーンに供給する前に、機械的手段または化学的手段(例えば、硫酸、ジクロロメタンを使用して)を使用して行うことができる。しかしながら、このアプローチは、最後の段階、すなわちファイバの高温ゾーンへの機械的な供給中に、ファイバを保護されていない状態にする。コーティングの剥離は、フィラメントの機械的強度をさらに弱め得るため、印刷中のフィラメント破壊が印刷プロセスの大きな中断を引き起こすことから、これは理想的な解決策ではない。化学的手段の使用は、強酸(硫酸)またはジクロロメタン(発がん性)を使用した場合に問題となるリスクに起因して、好ましくない。
【0012】
ガラス3D印刷において、ガラスフィラメントは1800~2200℃の高温ゾーンに連続的に供給される。1つの一般的な方法は、純粋なガラスフィラメントを供給することである。しかしながら、ガラスフィラメントのほとんどはコーティングと共に生成されるため、印刷前に純粋なガラスフィラメントを生成するにはコーティングの除去が必要である。コーティングの剥離は、機械的手段または化学的手段を使用して(例えば、硫酸、ジクロロメタンを使用して)行うことができる。剥離プロセスは、印刷可能なガラスフィラメントの全長を制限し(すなわち、最大機械的剥離は通常2m未満であり、最大化学的剥離は通常50m未満である)、これは、3D印刷プロセスの連続性および能力(体積)を大きく損なう。フィラメントはコーティングが無いと脆くなり得、コーティングの剥離はフィラメントの機械的強度をさらに弱める可能性があるため、印刷中のフィラメント破壊が印刷プロセスの大きな中断を引き起こすことから、これは追加のリスクをもたらす。
【0013】
代替のアプローチは、コーティングを焼却することである。高温ゾーンが極めて高温まで加熱されると、コーティングは高温ゾーンの近くで燃え始め、すなわち、高温ゾーン自体を使用してコーティングを除去することができる。前記方法に関する問題は、印刷の失敗、燃焼副生成物をもたらし得、印刷物の純度に影響する残渣を残す可能性がより高く、またエネルギー効率が良くないことである。さらに別の論点は、焼却されるコーティングの量を制御する問題があり、コーティングがフィラメントの全長にわたり燃え始めることが生じ得る。
【0014】
WO2018/163006では、連続的なフィラメント供給がガラス3D印刷に使用されている。印刷は、ガラスロッドを原料として使用する。供給するロッドは、回転カセット内に装填され、印刷ヘッドを通して供給され、基板上に堆積される。連続供給は、プロセス中にロッドを熱的に接合することにより実現される。より高い温度ではガラスを印刷できないことが、材料選択を制限している。このシステムの問題は、溶融ガラスによるノズルの損傷のリスクであり、印刷体積がカセット体積により制限され、接合領域が依然として供給のむらをもたらし、不均一な印刷物品質をもたらし、その構成は機械的に極めて複雑であると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上述の問題を防ぐことを目的とする。本発明の主な目的は、ガラスの三次元構成要素を形成するための改善された装置を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、ガラスの三次元構成要素を形成するための付加製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、独立請求項において定義される特徴を有するシステムを用いて、少なくとも主な目的が達成される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態が、従属請求項においてさらに定義されている。
【0019】
本発明の第1の態様によれば、ガラスの三次元構成要素/物体を形成するための付加製造方法であって、
a.ガラスフィラメント材料をステージまたは物体に向けて本質的に水平の方向に供給するステップと;
b.前記ガラスフィラメント材料を、前記ガラスフィラメント材料が溶融/軟化するように、または溶融/軟化したままであるように、加熱するステップと;
c.前記溶融/軟化したガラスフィラメント材料を前記ステージまたは物体の表面上に堆積するステップであって、前記溶融/軟化したガラスフィラメント材料が、前記ガラスの三次元構成要素/物体を形成しているところであって、前記堆積させるステップの少なくとも一部の間、形成されている前記ガラスの三次元構成要素は本質的に垂直のステージ上に載置され、前記溶融/軟化されたガラスフィラメント材料が一層ずつ堆積される、ステップと;
d.1以上のコンピュータと、前記ガラスフィラメント材料および前記ステージの相対移動を行う一組のアクチュエータとを用いて、前記溶融/軟化したガラスフィラメント材料の堆積を制御するステップと、を含む方法が提供される。
【0020】
この実施形態の利点は、ガラスフィラメントの付加製作での高温ゾーンで形成されたいかなるフュームも、レーザ光学系を汚染することなく、または前記ガラスフィラメントの溶融/軟化中にレーザビームを妨げることなく、前記付加製作での高温ゾーンから流出し得ることである。
【0021】
本発明の様々な例示的実施形態において、前記ガラスフィラメントは、前記ステージまたは物体の前記表面に本質的に直角に供給される。
【0022】
これらの実施形態の利点は、前記基板に本質的に直角でないように前記ガラスフィラメントを提供した場合と比較して、製造された細部の精度が増加し得ることである。
【0023】
本発明の様々な例示的実施形態において、少なくとも1つの光源から発せられる少なくとも1つのレーザビームが、前記ガラスフィラメントを加熱するのに使用される。
【0024】
これらの実施形態の利点は、1つまたは複数のレーザビーム源から発せられる1つまたは複数のレーザビームが、前記ガラスフィラメントを加熱/溶融するのに使用され得ることである。
【0025】
本発明の様々な例示的実施形態において、ガラスフィラメント材料は、中空である。
【0026】
これらの実施形態の利点は、前記フィラメントの前記中空構造が、前記最終的な三次元構成要素、例えばマイクロ流体構造等に構築され得ることである。
【0027】
本発明の様々な例示的実施形態において、前記ガラスフィラメント材料は、1~50μmの範囲内の厚さを有するポリイミドでできた保護フィルムを有している。
【0028】
これらの実施形態の利点は、この保護フィルムが付加製造における使用中に自動的に除去される時と同時に、使用に先立ち前記フィラメントが保護され、製造された材料およびそのレーザビームの誘導光学系の汚染を、全くとは言わないまでもほとんど示さないことである。
【0029】
本発明の様々な例示的実施形態において、前記ガラスフィラメントは、2μm超の波長を有する少なくとも3つのレーザビームによって加熱される。
【0030】
これらの実施形態の利点は、ガラスフィラメントに関して対称的に提供される複数のレーザビームが、溶融/軟化時間を迅速化し得ることである。別の利点は、レーザビームの波長および/または数が、カスタマイズされた加熱効率を有するように選択され得ることである。
【0031】
本発明の様々な例示的実施形態において、前記ガラスフィラメントは、100~500μmの範囲内の直径を有するコーティングされたガラスファイバである。
【0032】
これらの実施形態の利点は、精度または製造速度を最大化するために、ガラスフィラメントの様々な直径が使用され得ることである。本発明のさらなる利点は、原材料として光ファイバが使用され得ることである。
【0033】
本発明の様々な例示的実施形態において、前記ステージが、前記ガラスフィラメントの直径の80%~300%の範囲内の厚さを有するガラス板である。厚さは、十分の数mmから数cmの範囲内であり得る。
【0034】
これらの実施形態の利点は、製造方法が非常に薄い基板に適合することである。
【0035】
本発明の様々な例示的実施形態において、前記方法は、前記少なくとも1つのレーザビームで加熱する前に、前記ガラスフィラメントを予熱するステップをさらに含む。
【0036】
これらの実施形態の利点は、ガラスフィラメントの所望の溶融/軟化温度に達するためにより低いレーザ出力が必要となり得ることである。予熱は、フィラメント供給ノズル内で抵抗加熱により行われてもよい。
【0037】
本発明の様々な例示的実施形態において、フィラメント供給ノズルと、前記ガラスフィラメントが前記レーザビームと交差する点との間の距離が、5mm未満である。前記ガラスフィラメントが適用されるステージまたは物体の表面に対するレーザビームの角度は、30°~60°の範囲内であってもよい。複数のレーザビームが、前記ガラスフィラメントに関して本質的に対称的に、前記ガラスフィラメントにおいて交差するように構成されてもよい。
【0038】
これらの実施形態の利点は、その短い距離が、三次元構成要素の製造の精度を増加させることである。その短い距離は、前記ガラスフィラメント上の保護フィルムが自己消火性であることから採用され得る。前記レーザビームの衝突角度は、前記ステージおよび前記ガラスフィラメントの効率的な融合のために前記高温ゾーンが前記ガラスフィラメントおよび前記ステージに適用されるように選択される。ステージは、さらに、独立した加熱源、例えば前記ガラスフィラメントが前記ステージ上に適用される反対側から衝突する少なくとも1つの別のレーザビーム、を用いて後方から加熱されてもよい。
【0039】
本発明の様々な例示的実施形態において、前記ガラスフィラメントは、少なくとも2つの異なる材料および保護フィルムでできている。
【0040】
これらの実施形態の利点は、通信、感知または生物医学用途における使用のための光回路等の機能的な光導波路が製造され得ることである。
【0041】
本発明の別の態様において、ガラス構成要素/物体の付加製造のための装置であって、
a.ステージと;
b.ガラスフィラメント材料が溶融/軟化するように、または溶融/軟化したままであるように、前記ガラスフィラメント材料を加熱するための1以上の加熱素子と;
c.前記ガラスフィラメントをステージに向けて本質的に水平の方向に供給して、前記ステージ上に載置される前記ガラス構成要素/物体を形成するためのフィラメント供給ノズルと;
d.前記溶融/軟化したガラス材料が一層ずつ堆積されるように前記製造を制御するための、ならびに前記ガラスフィラメント材料および前記ステージの相対移動を制御するための1以上のコンピュータであって、前記ステージは本質的に垂直である、コンピュータと、を備える装置が提供される。
【0042】
本発明のさらなる利点および特徴は、以下の発明を実施するための形態から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1a】本発明によるガラスの三次元構成要素を製造するための装置の第1の例示的実施形態の概略側面図である。
【
図1b】本発明によるガラスの三次元構成要素を製造するための装置の第2の例示的実施形態の概略側面図である。
【
図2】ガラスフィラメントおよびフィラメント供給ノズルの概略側面図を示す図である。
【
図3】
図3a~3cは、ガラスフィラメントの様々な例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の上述および他の特徴および利点のより完全な理解は、添付の図面と併せて、以下の発明を実施するための形態から明らかとなる。
【0045】
本発明の方法は、新たな付加製造(AM)プロセスに関し、デジタルモデルを使用して、構成要素の幾何形状が、レーザビーム等のエネルギー源を使用して印刷された輪郭の単純な走査または選択的な溶融のいずれかによって、一層ずつまたは層のバッチとして溶融されたフィラメント/ファイバを、続く融合プロセスによって融合することにより構築される。
【0046】
本発明は、フィラメントの保護フィルムの除去を印刷プロセスに統合することによる直接製造プロセスに関する。これは、新たなプロセスが、ガラスフィラメントを使用して完全にまたはほぼ完全に緻密なガラス構成要素を製造することができること、および先行技術のガラス製造方法の全ての欠点を克服することを意味する。
【0047】
新たなプロセスは、先行技術のガラスフィラメントの使用に関連する安全上の注意および/または健康リスクのいずれもなく、ガラス構成要素の直接製造を可能にする。
【0048】
図1aは、ガラスの三次元構成要素/物体を製造するように構成された本発明による付加製造装置100の第1の例示的実施形態の概略側面図を示す。付加製造装置100は、ステージ/基板130、レーザ源110およびフィラメント供給ノズル120を備える。フィラメント供給ノズル120が前記ステージ130の所定の領域をカバーしているように、前記フィラメント供給ノズル120は、本質的に平行な平面内で前記ステージ130と相対的に移動するように構成されてもよい。ステージは、垂直方向に配設される。相対移動は、前記ステージ130が固定され、前記フィラメント供給ノズル120が前記平面内で移動するものであってもよいし、あるいは、ステージが移動している一方、前記フィラメント供給ノズル120が固定されていて、ステージ130全体がカバーされるものでもよい。さらなる代替の実施形態において、ステージ130および前記フィラメント供給ノズル120の両方が前記平面内にあり、前記フィラメント供給ノズル120が前記ステージの全領域をカバーすることを可能にする。ステージ130を垂直方向に提供することによって、例えばコーティング材料の燃焼生成物または気化/溶融ガラス(過熱に起因する)からのいかなるフュームも、印刷ヘッドに向かうことなく上方に移動することが確実となる。さもなければフュームは印刷ヘッドの光学系およびフィラメント供給ノズルを損傷し、頻繁な洗浄または部品交換を必要とし得るため、これは有益である。また、前記ステージ130の前記垂直配設によって、フィラメント供給ノズル120および前記ステージ130の相対移動は、前記高温ゾーンから出るいかなるフュームおよびガス状材料もレーザビームの光路外にあるように構成されるように行うことができ、それにより付加製造装置の性能が改善される。三次元構成要素/物体を付加製造し、フィラメント供給ノズル120と新たな層が付着されるステージまたは構成要素/物体の上面との間の距離を一定距離に維持することを可能にするために、前記フィラメント供給ノズル120および/または前記ステージ130の一方または両方が前記ステージの表面に直角な方向に移動可能であってもよく、すなわち、フィラメント供給ノズル120と新たな層が付着されるステージまたは構成要素/物体の上面との間の距離を一定距離に維持するために、新たな適用層毎に、ステージ130が新たな適用層の厚さに対応する距離だけ後方(印刷ノズルから離れる方向)に移動されてもよく、または、フィラメント供給ノズル120が新たな適用層の厚さに対応する距離だけステージから離れる方向に移動されてもよく、または、前記ステージの後方への移動と、前記フィラメント供給ノズル120の前方への移動とが組み合わされてもよい。フィラメント160は、可撓性チューブ170を介してフィラメント供給ノズル120に供給され得る。レーザ源110は、CO
2レーザ、COレーザ、Nd:YAGレーザ、ファイバレーザ、エキシマレーザ、窒素レーザ等であってもよい。レーザビーム150は、連続またはパルスであってもよい。レーザビームは、ステージに近接する高温ゾーン140内でフィラメントを軟化または溶融し、ステージ上に前記軟化または溶融されたガラスが付着される。
【0049】
フィラメント供給ノズル120および/またはステージ130は、少なくとも1つの電動式支持体上に配設されてもよい。制御ユニットは、前記ステージ130に対する前記フィラメント供給ノズル120の相対移動を制御してもよい。前記制御ユニットはまた、印刷ヘッドの光学系およびレーザを制御してもよい。
【0050】
図1aにおいて、フィラメント供給ノズル120は、ガラスの三次元構成要素/物体の層を形成するために、原材料160をステージ130上に提供している。前記三次元構成要素が形成されるステージ130上にビルドプレートが提供されてもよい。ビルドプレートは、任意の材料、例えば、最終的な三次元構成要素と同じ材料、セラミック材料、または前記三次元構成要素における材料とは異なる任意の他の金属材料でできていてもよい。
【0051】
最初のステップは、ステージ130上への原材料の融合および堆積である。フィラメント供給ノズル120は、所定の経路に沿って原材料を局所的に堆積させる。フィラメント供給ノズル120は、原材料がノズル120から出てステージ130に向かう前に原材料を加熱してもよい。フィラメント供給ノズル120は、原材料のサイズおよび形状に適合され得る。3軸運動学がフィラメント供給ノズル120を機械の作業エンベロープ(work envelope)内に位置付けて、ガラスでできた三次元構成要素を一層ずつ生成することができる。原材料160は、ガラスフィラメントである。
図1aでは、1つのガラスフィラメント160のみがステージに供給されている。様々な例示的実施形態において、多種材料の堆積を行うために、様々な形状および材料組成の複数のガラスフィラメント160が単一のフィラメント供給ノズル120を通して連続して供給されてもよい。
図1aでは、1つのフィラメント供給ノズル120のみが使用される。様々な例示的実施形態において、複数のフィラメント供給ノズルが直列または並列で使用されてもよい。様々な例示的実施形態において、異なる材料の三次元構成要素を提供するために、原材料160の複数本が同時にステージ130上に提供されてもよい。三次元構成要素の異なる層が異なる材料を含んでもよく、および/または単一層内の異なる位置が異なる材料を含んでもよく、すなわち、一層および/または異なる層内で2種材料の堆積が行われてもよい。
【0052】
図1bは、ガラスの三次元構成要素を製造するように構成された本発明による付加製造装置100の第2の例示的実施形態の概略側面図を示す。前記装置100もまた、垂直ステージ130、レーザ源110およびフィラメント供給ノズル120を備える。さらに、前記実施形態は、第1のビームステアリングミラー115、波長板125、レンズ135、回折光学素子(DOE)145、ピラミッド型ミラー155、少なくとも3つの第2のビームステアリングミラー165を備えてもよい。ガラスフィラメント160を加熱するために、少なくとも3つのレーザビームが使用されてもよい。レーザ発光は、ガラスフィラメントが高い光吸収を有し、前記レーザビーム150で照射されるとフィラメント160を加熱するような、波長領域内で動作し得る。シリカおよびシリカ系ガラスフィラメントは、2.2μm超の波長で強い吸収を有する。CO
2レーザ(典型的には9.2~10.6μmの波長領域内で動作する)またはCOレーザ(5.5μm波長領域で動作する)を使用してガラスフィラメント160に照射すると、強い放射吸収が生じ、その後ガラスフィラメント160の加熱がもたらされる。
【0053】
10.6μmの波長で動作するCO2レーザが使用され得る。この波長では、シリカガラスは不透明であり、効率的な加熱が得られる。吸収深さは約2μm~40μmであり、直径数百μmのオーダーのガラスフィラメントを加熱するのに効率的である。より大きなガラスフィラメントの場合、10.6μmでの浅い透過深さでは、迅速に加熱するのが困難となる。約0.5mm超のガラスフィラメントには、5.5μmで動作するCOレーザの使用がより好適である。5.5μmでの透過深さははるかに大きく(数百μm)、ガラスフィラメント160へのより効率的なエネルギー付与が得られる。
【0054】
元のレーザビーム150を少なくとも3つの均一なレーザビーム150’に分割するために、DOE145が使用されてもよい。分割されたレーザビーム150’を高温ゾーン140に向けるために、いくつかの第2のビームステアリングミラー165が使用されてもよい。レーザビーム光路をよりコンパクトにし、ビームアラインメントを容易にするために、第1の任意選択的なビームステアリングミラー115が使用されてもよい。少なくとも3つの第2のビームステアリングミラー165が、少なくとも3つのレーザビームを、少なくとも3つのレーザビームが前記ガラスフィラメント160に衝突する高温ゾーン140に偏向させる。レーザビームの偏光を制御するために、1/4波長板125が使用されてもよい。DOE145はある程度の偏光依存性を有し得るため、円偏光ビームの使用により、分割されたレーザビーム150’が同一であることが確実となる。円偏光ビームはまた、(第1または第2の)ビームステアリングミラー115として反射位相差板を使用して達成され得る。高温ゾーン140での焦点サイズを変更して加熱動態の変更を可能にするために、集束レンズ135が使用されてもよい。集束レンズ135は、コンピュータ制御された電動並進ステージ上に装着され得る。示されているDOEは2×2 DOEである、すなわち単一レーザビーム150を4つのレーザビーム150’に分割する。ピラミッド型ミラー155は、DOE145からのビーム150’を偏向させるために使用され得る。
図1bに示されるピラミッド型ミラー155を使用することにより、前記ピラミッド型ミラーのない構成と比較して、レーザビーム150、150’の光路のはるかによりコンパクトな設計が可能となり得る。前記ピラミッド型ミラー155はまた、レーザ源110の波長変動に対する高温ゾーン140でのレーザビームの安定性を増加させることができる。DOE145からの回折角は、波長依存性である。レーザの波長が変動すると、回折角もまた同様に変動する。回折角が大きいほど、その影響は大きくなる。したがって、小さい回折角を有するDOEを使用することにより、印刷ヘッドは波長変動に対する感度がより低くなる。回折角の大きなシフトは、高温ゾーンの位置を変化させ、印刷が不安定となる。コンパクトな設計を可能にするためには、ピラミッド型ミラー155を使用してレーザビーム150’の偏向角を増加させる。ピラミッド型ミラー155の後、4つのレーザビーム150’は、前記第2のビームステアリングミラー165、各レーザビーム150’に対して1つのミラー165、を使用して、高温ゾーン140として標示されたフィラメント160上の同じ場所で交差するように向けられる。ビームステアリングミラーは、レーザビーム150’を任意の方向に偏向させるように構成されている。ここで、第2のビームステアリングミラー165は、4つのレーザビーム150’を前記ガラスフィラメント160上の1つの同じ高温ゾーン140に偏向させるように構成される。レーザビーム150’は、異なる方向からであるが、フィラメント供給ノズル120の出口または前記ステージ130上に配設された基板の上面から本質的に同じ距離で、前記ガラスフィラメント160に衝突する。4つのビーム150’を使用したオープン構造により、フィラメント供給システム170およびノズル120は、ピラミッド型ミラー155の下、およびレーザビーム150’の間に容易に追加される。高温ゾーン140とフィラメント供給ノズル120の出口との間の距離Lは10mm超であってもよく、様々な例示的実施形態において、前記距離Lは5mm未満であってもよい。基板130の厚さは、十分の数mmから数cmであってもよい。前記ガラスフィラメント160および前記基板130上に衝突するレーザビームは、前記基板の表面に対して45°の角度を有していてもよい。様々な例示的実施形態において、前記基板の表面に対する前記角度は、30°~60°の範囲内であってもよい。
【0055】
レーザおよびビームステアリングは、参照出力計を使用して監視されるレーザビーム出力の数パーセントを引き出す、ビームタップを備えてもよい。例えば閉ループフィードバックシステムを使用して、レーザ出力を安定化するために参照出力計からの入力がフィードバック信号として使用される。印刷ヘッドのレーザビームをオン/オフにするために、シャッターが使用されてもよい。オフ(閉鎖)の場合、ビームは、追加の出力計でもあり得るビームダンプに向けられる。オン(開放)の場合、ビームは印刷ヘッドに進入する。
図1aおよび1bでは、印刷は、ステージ130に水平方向に衝突するフィラメントを用いて行われる。これは、例えばコーティング材料の燃焼生成物、または気化/溶融ガラス(過熱に起因する)からのいかなるフュームも、印刷ヘッドに向かうことなく上方に移動することを確実にするためである。さもなければフュームは印刷ヘッドの光学系およびフィラメント供給ノズルを損傷し、頻繁な洗浄または部品交換を必要とし得るため、これは有益である。しかしながら、好適なガスパージを使用すれば、印刷ヘッドは任意の方向(上方、下方または側方)に設置され得る。
【0056】
印刷中に原料を追加するために、1つまたはいくつかのフィラメント供給部が使用されてもよい。印刷ステージは、基板または印刷物の輪郭を保持する3軸(x-y-z)、4軸または5軸並進システムであってもよい。シリケートガラスフィラメント(例えばボロシリケートまたはソーダ石灰ガラス)を使用した場合、ビルド体積はまた、加熱チャンバを含み得る。溶融シリカまたは溶融石英ガラスフィラメントの場合、これは比較的問題とならない可能性があり(極めて低い熱膨張係数に起因する)、印刷は追加的な加熱なしに行うことができる。基板への接合を改善するために、別個のレーザビームを使用して、軟化したガラスフィラメントが堆積される地点の下を照射することが採用され得る。CO2レーザおよびCOレーザは両方とも赤外波長スペクトルで動作するため、可視波長で動作するレーザがビームアラインメントに使用される。アラインメントの精度は、フィラメントの均一加熱を達成するのに極めて重要となり得る。アラインメント技術は、フィラメントを小型干渉計として使用することに基づく。
【0057】
例えば、He-Neレーザ(波長632.8nm)が、4つのレーザビームが交差する指定された位置(高温ゾーンに対応する)でフィラメント上に集束される。赤色レーザからの光は、ガラスファイバの2つの界面で反射され得る。円形ガラスファイバは、同心キャビティー干渉計(concentric cavity interferometer、CCI)を形成し得る。CCIの2つの反射光は互いに干渉して干渉縞を形成し得る。集束したHe-Neレーザの位置で温度が上昇すると、干渉縞は外側に移動し、一方温度が低下すると、内側に移動する。すると、CO2またはCOレーザビームのアラインメントのための手順が明快となる。各ビームは、単に干渉縞シフトを最大化する(温度を上昇させる)ことによって正確にアラインされる。
【0058】
1つの原料供給ノズル120が、三次元構成要素の第1の所定の層領域で原材料160を提供してもよく、また2つ以上のノズルが三次元構成要素の第2の所定の層領域に使用されてもよい、すなわち、形成される層の形状および/または付加される材料の種類に応じて、層形成が1つ、2つ、3つまたはそれ以上のノズル間で変化し得る。様々な例示的実施形態において、基板上に原料を提供するための複数のノズルは、同じ直径または異なる直径を有していてもよい。複数のフィラメント供給ノズルは、異なるガラス材料の原材料を提供してもよい。
【0059】
フィラメント押出しと同期して、機能点(高温ゾーン)が、事前に定義された経路に従って位置付けられる。この経路は、加工対象物の幾何形状を層にスライスし、フィラメント160の押出しのための時間効率の良い軌道を計算することによって得られる。位置付けは、3軸位置付けユニットによって行われ得る。地球の重力場に対して加工対象物をさらに位置調整するためには、5軸運動学により製造の柔軟性を拡張することが意図される。
【0060】
第1の選択肢は、移動するレーザビームによる同時処理であって、フィラメントの堆積に極めて接近して引き続き、堆積されたガラスフィラメント160を焼結/溶融する。
【0061】
代替として、印刷されたばかりの層の選択的なレーザ走査による、高出力レーザビームでのガラスフィラメントの薄層の焼結/溶融がある。このプロセスは、制御された熱入力およびタイミングを必要としてもよい。幾何形状の精度を確保するために、プロセス変動の直接的な補償を可能にする現場測定が行われてもよい。材料の欠陥は、焼結/溶融されたガラス層の品質検査を必要としてもよい。幾何形状の精度を確保する現場での品質管理は、印刷環境における適切な温度、ガス含有量および圧力を必要としてもよい。
【0062】
ガラスフィラメントを溶融/軟化するために、1つまたは複数のレーザビームが同時に使用されてもよい。
【0063】
むき出しのガラスフィラメントの機械的特性は劣り、したがって破損しやすい。保管および取扱い中のガラスフィラメントの機械的および化学的保護のためには、保護コーティングが必要である。保護コーティングは、例えば光ファイバを生成するために使用されるファイバ線引き塔を使用して、フィラメント製作中に適用され得る。炉によってプリフォーム(形状および組成の両面でフィラメントを拡大したようなもの)を加熱する。次いで、軟化させたガラスは、直径ゲージと組み合わせたキャプスタンを使用して正確なフィラメント寸法に引き出される。フィラメントが引き出されるに従い、プリフォームが炉内にさらに供給される。典型的には、フィラメントが通過するコーティングカップにコーティング樹脂が導入され得る。次いで、コーティングはその後、フィラメントが保管および移送用スプールに巻かれる前に、熱的に、または例えばUVランプを使用して硬化され得る。光ファイバ上のポリイミドコーティングの硬化温度は、典型的には、約100~400℃の温度範囲内で行われてもよい。
【0064】
ポリイミドコーティングされた光ファイバは、約300℃の運転温度に耐えることができ、より高温での(感知)用途に一般的に使用される。ここで、典型的には10~15μmのコーティング厚が使用される。コーティング手順を反復して複数のコーティング層を追加することによって、より厚いコーティングを適用することができる。
【0065】
ガラスフィラメントの場合、コーティング厚は、ファイバの十分な機械的および化学的保護を確保しながら、可能な限り薄くするべきである。良好な結果を与えたと評価されたフィラメントは、約5μmの単層ポリイミドコーティング厚を有する。
【0066】
ガラスフィラメントの好適な外径は、100μm~500μmの範囲内である。直径は、フィラメントの機械的特性に大きく影響し、直径が増加するとより硬いフィラメントとなる。印刷中の印刷構造に対するノズルおよびフィラメントの並進は、フィラメントに横力をもたらす。フィラメントの位置のずれは、高温ゾーン内の液体ガラスの粘度および表面張力、ならびに印刷速度に依存する。印刷ノズルおよび押出されるフィラメントの概略図を、以下の図に示す。より硬いフィラメントでは、フィラメント供給ノズルと高温ゾーンとの間の距離が増加し得る。したがって、フィラメント直径、ノズル設計、および高温ゾーンまでの距離は、印刷精度/品質に大きく影響する。大きいフィラメント直径および押出されるフィラメントの短い長さは、印刷中のフィラメントのずれを低減する。フィラメント直径が増加すると、プリンタの解像度が低減する。押出されるフィラメントの長さが短すぎる場合、フィラメント供給ノズルは、高温ゾーンによって損傷され得る。
【0067】
全たわみ/ずれδは、下式により与えられる。
【0068】
【数1】
式中、Fは、印刷プロセス中の相対移動により印加される保持力であり、Lは、押出されるフィラメント長であり、Eは、フィラメント材料のヤング率であり、rは、フィラメントの半径である。理論的には、同じ処理条件下において、200μmの直径を有するフィラメントは、125μmの直径を有するフィラメントの1/4だけたわむ。200μmのフィラメント直径および5mm未満の押出されるフィラメント長を使用すると、たわみはサブミクロンとなり、無視できると見なされ得る。
【0069】
ガラス3D印刷において、ガラスフィラメントは1800~2200℃の高温ゾーンに連続的に供給される。一般的な方法の1つは、純粋なガラスフィラメントを供給することである。しかしながら、ガラスフィラメントのほとんどはコーティングと共に生成されたため、印刷前に純粋なガラスフィラメントを生成するにはコーティングの除去が必要である。コーティングの剥離は、機械的手段または化学的手段を使用して(例えば、硫酸、ジクロロメタンを使用して)行うことができる。剥離プロセスは、印刷可能なガラスフィラメントの全長を制限し(すなわち、数メートル未満の最大機械的剥離、数十メートル未満の最大化学的剥離)、これは、3D印刷プロセスの連続性および能力(体積)を大きく損なう。フィラメントはコーティングが無いと脆くなり得、コーティングの剥離はフィラメントの機械的強度をさらに弱める可能性があるため、印刷中のフィラメント破壊が印刷プロセスの大きな中断を引き起こすことから、追加のリスクをもたらす。化学的手段の使用は、強酸(硫酸)またはジクロロメタン(発がん性)を使用した場合に問題となるリスクに起因して、好ましくない。
【0070】
別のアプローチは、コーティングされたフィラメントを直接供給することである。保護コーティングにより、印刷可能なフィラメント長はキロメートル範囲まで拡張される。しかしながら、フィラメントは一般に可燃性のポリマー、例えばアクリル樹脂によりコーティングされるため、このアプローチは、高い印刷温度に起因してフィラメントに裸火を生じさせる可能性があり、印刷の失敗をもたらし、3Dプリンタの破壊をもたらし得る。さらに、標準的なコーティングは、約50μmの厚さを有し、これはガラス3D印刷には「厚」すぎると考えられる。「厚い」コーティングの直接的な焼却は、より多くの燃焼副生成物を生成し得、印刷物の純度に影響する残渣を残す可能性がより高く、エネルギー効率が良くないため、理想的な解決策ではない。
【0071】
本発明者らのアプローチは、薄い難燃性および自己消火性コーティングを有するガラスフィラメントを生成することである。CO2レーザビームを使用して高温ゾーンが極めて高温まで加熱されると、コーティングは高温ゾーンの近くで焼却され始め、すなわち、高温ゾーン自体を使用してコーティングを除去することができる。コーティングが難燃性である場合、裸火のリスクは排除される。レーザおよびフィラメント供給がオフにされると、コーティングの燃焼は停止する。薄いコーティングは容易に焼却される。効率を高め環境への影響を低減することに加えて、燃焼副生成物の生成も低減する。理想的なコーティングは、燃焼中に生成される有毒な煙をさらに低減するために、無毒の化学組成物を有していてもよく、例えばハロゲンを含有すべきではない。
【0072】
付加製造のための本発明のフィラメントは、依然として(一時的)保管および取扱いの間フィラメントの機械的および化学的保護を提供しながら、薄いコーティング層のガラスフィラメントへの適用可能性を提供する。コーティングは、熱的手段(加熱/プラズマ/レーザ照射)によって容易に除去され得る。コーティングは、有毒成分を含有せず、または焼却された場合に有害な燃焼生成物を生成しないものでもよい。コーティングは、難燃性および自己消火性であってもよい。
【0073】
本発明による付加製造方法は、ガラスの三次元構成要素を生成するために使用され得る。前記方法は、その上に保護フィルムを有するガラスフィラメントを加熱源に供給し、前記保護フィルムを除去し、前記ガラスフィラメントを軟化させるステップと、前記軟化したガラスフィラメントを基板の表面に適用するステップとを含み、前記保護フィルムは、ポリイミドでできており、1μm~50μmの範囲内の厚さを有する。ガラスフィラメントの供給は、連続的または不連続的であってもよい。
【0074】
図2は、フィラメント供給ノズル120の側面図を示す。前記フィラメント供給ノズル120からは、保護フィルムまたは保護コーティング169を有するガラスフィラメント160が延在している。前記フィラメント供給ノズル120の出口から、少なくとも1つのレーザビームが前記ガラスフィラメント160に衝突する高温ゾーン140までの前記フィラメントの長さは、Lで示されている。様々な例示的実施形態において、Lは、10mm超または5mm未満であってもよい。様々な例示的実施形態において、長さLは、5mm未満である。より長いLは、前記フィラメント160の先端180のずれていない中心部分と同じ先端180のずれた中心部分との間の距離であるフィラメントのずれを増加させ得る。いかなるそのようなずれも、前記基板または印刷/物体の前記表面上のその意図される位置に対する前記フィラメントの位置ずれをもたらし得、このことが、欠陥のある三次元物品をもたらし得、および/または付加製造の精度を減少させる。保護コーティングは難燃性および/または自己消火性であることから、保護コーティング169の一部が付加製造の間前記フィラメント供給ノズル120の出口の外側でフィラメント上に留まる。製造中の前記残留している保護コーティングの一部の長さは、少なくとも十分の数mmであり得る。
【0075】
図3a~cは、付加製造プロセスにおいて使用され得る、保護コーティング169を有する3つの異なる種類のガラスフィラメント160を示す。
図3aは、単一組成(ロッド/ファイバフィラメント)を示し、組成(ガラスの種類)は、高純度シリカガラス、例えば溶融シリカ、溶融石英(高純度透明ガラスの印刷に使用される)であってもよい。これらの材料は、低い熱膨張係数を有し、すなわち、加熱された印刷版を必要とせず、熱アニール後処理は必ずしも必要ではない。GeO
2、Al
2O
3、B
2O
3、もしくはF共ドーピングまたはそれらの組合せを有するシリカガラスフィラメント。マルチフィラメント印刷(シリカガラスフィラメントと共に)は、設計された形状および屈折率の構造を有する3D印刷物を形成するために使用され得る。その例は、光ファイバプリフォームまたは異なる光学構成要素の製作であり得る。追加のドーパント(例えばGeO
2、Al
2O
3、B
2O
3、F)と組み合わせてEr、Yb、Er/Yb等の希土類酸化物がドープされたシリカガラス。これらのフィラメントは、活性レーザ材料の3D印刷物を形成するために使用され得る。シリケート、ボロシリケート、アルミノボロシリケートおよびソーダ石灰ガラスは、標準型の(より)低コストの材料を示す。より高い熱膨張係数に起因して、これらは、加熱された印刷版および応力を緩和するために熱アニール後処理を必要とし得る。
【0076】
図3bは、中央空気穴162、すなわち毛細管構造を有するガラスフィラメント160を示す。これらの毛細管フィラメントは、異なる種類のガラス/空気構造を印刷するために使用され得る。毛細管フィラメントの内側部分に圧力制御が適用された場合、印刷中のフィラメントの能動的な収縮/膨張が可能である。前記空気穴162の体積は、前記ガラスフィラメント160における前記ガラス含有量の体積の10~70%であってもよい。空気穴162は、前記ガラスフィラメント160の中心にあっても、または中心になくてもよい。様々な例示的実施形態において、前記ガラスフィラメント160は、複数の空気穴を備えてもよい。
【0077】
図3cは、シリカ系組成物からなるガラスフィラメント160が、屈折率を改変するドーパント、例えばGeO
2、Al
2O
3、B
2O
3、Fの中央コア構造160’を含有することを示す。光導波路として機能するこれらのコア/クラッディングフィラメントは、通信、感知または生物医学用途における使用のための異なる種類のガラス基板上に光回路を印刷するために使用され得る。ガラス系以外の他のコア材料は、半導体および合金、例えばケイ素、ゲルマニウム等を含む。
【0078】
フィラメントは基板に向けて連続的に供給されてもよく、同時に、単一または複数のレーザビームにより形成される高温ゾーンはこれらを互いに結合する。基板とフィラメントとの間の相対的な動きは、印刷形状を定義するためにコンピュータ制御下にある。
【0079】
マイクロスフェア、マイクロピラー、マイクロライン、マイクロサークルおよびナノテーパ等の単純構造が、単一の堆積により印刷された。自立モデル/アレイの印刷もまた実証された。複雑な幾何形状での多層印刷が実現された。中空モデル(壺型モデル)および高密度モデル(100%充填)の両方が、ガラスフィラメントを使用して印刷された。結論として、ガラスフィラメントは上記の全てのガラス3D印刷試験に適用可能であり、その性能は、FDMシステムにおけるプラスチックフィラメントと同様である。
【0080】
難燃性および/または自己消火性保護フィルム169は、ガラスフィラメント160の表面に適用される。
本発明の実現可能な変更
本発明は、上述の、ならびに主に説明および例示を目的とする図面で示された実施形態のみに限定されない。本特許出願は、本明細書に記載の好ましい実施形態の全ての調整および変形例をカバーすることを意図し、したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の文言およびその均等物により定義される。したがって、機器は、添付の特許請求の範囲内であらゆる種類の様式で変更され得る。
【0081】
本明細書および以下の特許請求の範囲全体にわたり、文脈により異なる意味が必要とされない限り、「備える(comprise)」という用語、および「備える(comprises)」または「備える(comprising)」等の変化形は、述べられた整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を含むことを暗示するが、任意の他の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群の除外を暗示しないことが理解される。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスの三次元構成要素/物体を形成するための付加製造方法であって
a.ガラスフィラメント(160)材料をステージ(130)または物体に向けて本質的に水平の方向に供給するステップと;
b.前記ガラスフィラメント(160)材料を、前記ガラスフィラメント材料が溶融/軟化するように、または溶融/軟化したままであるように、加熱するステップと;
c.前記溶融/軟化したガラスフィラメント(160)材料を前記ステージ(130)または物体の表面上に堆積するステップであって、前記溶融/軟化したガラスフィラメント材料が、前記ガラスの三次元構成要素/物体を形成しているところであって、前記堆積するステップの少なくとも一部の間、形成されている前記ガラスの三次元構成要素は本質的に垂直のステージ上に載置され、前記溶融/軟化したガラスフィラメント材料が一層ずつ堆積される、ステップと;
d.1以上のコンピュータと、前記ガラスフィラメント材料および前記ステージ(130)の相対移動を行う一組のアクチュエータとを用いて、前記溶融/軟化したガラスフィラメント材料の堆積を制御するステップと、を含む前記方法。
【請求項2】
前記ガラスフィラメントが、前記ステージ(130)または物体の前記表面に本質的に直角に供給される、請求項1に記載の付加製造方法。
【請求項3】
少なくとも1つのレーザ源(110)から発せられる少なくとも1つのレーザビーム(150)が、前記ガラスフィラメント(160)を加熱するために使用される、請求項1または2に記載の付加製造方法。
【請求項4】
前記ガラスフィラメント(160)が、2μm超の波長を有する少なくとも3つのレーザビーム(150)によって加熱される、請求項3に記載の付加製造方法。
【請求項5】
フィラメント供給ノズル(120)と、前記ガラスフィラメント(160)が前記少なくとも1つのレーザビーム(150)と交差する点との間の距離が、5ミリメートル未満である、請求項1から4のいずれか一項に記載の付加製造方法。
【請求項6】
前記ガラスフィラメント上で交差する複数のレーザビームが、前記ガラスフィラメントが提供される前記ステージまたは物体の前記表面に対して30°~60°の範囲内の角度を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の付加製造方法。
【請求項7】
複数のレーザビームが、前記ガラスフィラメントに関して本質的に対称的に、前記ガラスフィラメントにおいて交差するように構成されている、請求項6に記載の付加製造方法。
【請求項8】
前記ガラスフィラメント材料が、1~50μmの範囲内の厚さを有するポリイミドでできた保護フィルムを有している、請求項1から7のいずれか一項に記載の付加製造方法。
【請求項9】
前記ガラスフィラメントが、100~500μmの範囲内の直径を有するガラスファイバである、請求項1から8のいずれか一項に記載の付加製造方法。
【請求項10】
前記ガラスフィラメントが、少なくとも2つの異なる材料および保護フィルムでできている、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ガラスフィラメント材料が中空である、請求項1から10のいずれか一項に記載の付加製造方法。
【請求項12】
前記ステージが、前記ガラスフィラメントの直径の80%~300%の範囲内の厚さを有するガラス板である、請求項1から11のいずれか一項に記載の付加製造方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのレーザビームで前記ガラスフィラメントを加熱する前に、前記ガラスフィラメントを予熱するステップをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の付加製造方法。
【請求項14】
ガラス構成要素/物体の付加製
造装置であって、
a.ステージ(130)と;
b.ガラスフィラメント(160)材料が溶融/軟化するように、または溶融/軟化したままであるように、前記ガラスフィラメント材料を加熱するための1以上の加熱素子と;
c.前記ガラスフィラメント(160)を前記ステージ(130)に向けて本質的に水平の方向に供給して、前記ステージ上に載置される前記ガラス構成要素/物体を形成するためのフィラメント供給ノズル(120)と;
d.前記溶融/軟化したガラス材料が一層ずつ堆積されるように前記製造を制御するため、ならびに前記ガラスフィラメント(160)材料および前記ステージ(130)の相対移動を制御するための1以上のコンピュータであって、前記ステージが本質的に垂直である、コンピュータと、を備える装置。
【請求項15】
前記ガラスフィラメント材料が、前記ステージに本質的に直角に供給される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記1以上の加熱素子が、少なくとも1つのレーザビームである、請求項14または15に記載の装置。
【請求項17】
複数のレーザビームが、1つの同じレーザビーム源から発せられている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
単一のレーザビームを複数のレーザビームに分割するための回折光学素子と、前記分割されたビームを偏向するように構成されたピラミッド型ミラーと、前記偏向されたビームを前記ガラスフィラメントと交差するように向けるように構成された複数のビームステアリングミラーと、をさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記ガラスフィラメント上で交差する前記少なくとも3つのビームが、前記ガラスフィラメント(160)が提供される前記ステージまたは物体の前記表面に対して30~60°の範囲内の角度を有する、請求項14から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記ビームが、前記ステージ(130)から本質的に同じ距離で、前記ガラスフィラメントに関して本質的に対称的に、前記ガラスフィラメントにおいて交差するように構成されている、請求項17から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記加熱素子が前記ガラスフィラメントを加熱している時よりも前に、前記ガラスフィラメントを予熱するように構成された少なくとも1つの予熱器をさらに備える、請求項14から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記ステージを加熱するための少なくとも1つの加熱手段をさらに備える、請求項14から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
少なくとも1つのレーザビームが、後方から前記ステージを加熱している、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記ステージが、不活性雰囲気および/または-20℃未満の露点を有する乾燥雰囲気を有するビルドチャンバ内に提供されている、請求項14から23のいずれか一項に記載の装置。
【国際調査報告】