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特表2024-525267電気駆動モータのハウジングにおけるシール構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】電気駆動モータのハウジングにおけるシール構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
H02K5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563875
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2022067818
(87)【国際公開番号】W WO2023006321
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】102021119401.6
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】フレンク・マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】シュテーガー・マクシミリアン
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA02
5H605BB05
5H605BB17
5H605DD32
5H605DD35
5H605EC01
5H605EC18
5H605GG06
(57)【要約】
【課題】電気的な配線要素をハウジングへ導入あるいはハウジングから導出する、原動機付き車両における構造を特に容易で安定した確実な取付に関して発展形成する。
【解決手段】ハウジング貫通部を密閉するとともに、少なくとも1つの電気的な配線A,B,Cを備えた、電気エネルギーを伝達するために形成された配線要素2を支持する、電気駆動モータのハウジングにおけるシール構造1であって、配線要素2を導通させる中空部又は配線要素2の各電気的な配線A,B,Cを導通させるそれぞれ1つの中空部と、ハウジング6;4における支持ベローズ5の油密な固定部のための外側の固定中空部15とを有する弾性的な材料から成る支持ベローズ5を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング貫通部(7)を密閉するとともに、少なくとも1つの電気的な配線(A,B,C)を備えた、電気エネルギーを伝達するために形成された配線要素(2)を支持する、電気駆動モータ(13)のハウジング(6)におけるシール構造(1)であって、配線要素(2)を導通させる中空部又は配線要素(2)の各電気的な配線(A,B,C)を導通させるそれぞれ1つの中空部と、ハウジング(6;4)における支持ベローズ(5)の油密な固定部(12)のための外側の固定中空部(15)とを有する弾性的な材料から成る支持ベローズ(5)を含んでいることを特徴とするシール構造。
【請求項2】
支持ベローズ(5)が、配線要素(2)との支持ベローズ(5)の結合部(11)のための内側の固定中空部(14)を備えていること、及び配線要素(2)が、このために、支持ベローズ(5)とのその結合部(11)のための取付面(19)を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシール構造(1)。
【請求項3】
安定化させる内側リング(3)が設けられており、該内側リングは、配線要素(2)又は電気的な配線(A,B,C)を導通させる、支持ベローズ(5)と同一の中空部(16,17,18)と、支持ベローズ(5)と同一の内側の固定中空部(14)とを備えており、内側の固定中空部(14)は、支持ベローズ(5)及び配線要素(2)との内側リング(3)の結合部(11)のために設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシール構造(1)。
【請求項4】
外側の固定中空部(15)を介したハウジング(6)での支持ベローズ(5)の固定のために、ハウジング貫通部(7)の縁部に外側リング(4)が設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のシール構造(1)。
【請求項5】
支持ベローズ(5)が、縁部範囲において、フレキシブルな折り目を形成する周設された溝(20)を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のシール構造(1)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のシール構造(1)を有する原動機付き車両。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載のシール構造(1)を有する支持ベローズ(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを伝達するために形成された少なくとも1つの配線要素が導入あるいは導出される原動機付き車両のハウジング、特に電気機械ハウジングにおけるシール構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気的な配線要素のための電気機械ハウジングにおける保持構造が特許文献1から知られている。ここで、配線要素は、例えばケーブル又は電圧ケーブルとも呼ばれる。特に、配線要素は、高電圧を用いて、又は高電圧によって電気エネルギーを伝達するために形成されているため、配線要素は、高電圧配線あるいは高電圧ケーブルとして形成されている。通常、高電圧とは、好ましくは数百ボルトの電圧と理解され得る。これにより、ハイブリッド車両又は純粋な電動車両を電気的に駆動するための特に大きな電力を実現することが可能である。原動機付き車両は、その完全に製造された状態において、例えば、原動機付き車両を電気的に駆動することが可能な少なくとも1つの電気機械(電気駆動モータ)を含んでいる。電気機械は、同様に、電圧、特に電気的な動作電圧又は定格電圧が数百ボルトの高電圧構成要素でもある。
【0003】
配線要素は、例えば、高電圧貯蔵部に貯蔵される電気エネルギーを車両の電気モータ式の駆動のために電気機械へ伝達するために用いられる。また、電気機械は、発電機動作においては、配線要素を介して逆方向に高電圧貯蔵部へ電気エネルギーを伝達することが可能である。
【0004】
ハウジングは、特に、電気機械あるいは電気駆動モータのステータのハウジングであり得る。配線要素は、電気エネルギーを伝達する少なくとも1つの電気的な配線を備えている。
【0005】
特に、特許文献1による保持構造は、配線要素とは別に形成された結合要素を含んでおり、当該結合要素は、配線要素において、特にスリーブにおいて、あるいは配線要素におけるスリーブを介して固定されている。結合要素は、ハウジングの壁部の第1の側に配置されたフランジを備えている。フランジは、例えば結合要素の本体部から離間した平坦な要素であり、当該平坦な要素は、例えば配線の径方向において本体部から外方へ離間しているか、又は本体部と一体に形成されることが可能である。フランジは、特に壁部の第1の側において、ハウジングあるいは壁部に、そしてこれによりハウジングに固定されており、これによって、結合要素は、フランジを介して、及び配線要素は、結合要素を介して、特に第1の側においてハウジングに固定されている。保持構造は、そのほか、フランジとは別に形成されたシール要素を備えており、当該シール要素は、貫通開口部の周方向において貫通開口部の周囲で完全に延在するとともに、好ましくはOリングとして形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102019132599号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、電気的な配線要素をハウジングへ導入あるいはハウジングから導出する、原動機付き車両における構造を特に容易で安定した確実な取付に関して発展形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当該課題は、本発明により、請求項1の特徴を有するシール構造によって解決される。本発明の有利な構成は、従属請求項の対象である。
【0009】
本発明は、ハウジング貫通部を密閉するとともに、少なくとも1つの電気的な配線を備えた、電気エネルギーを伝達するために形成された配線要素を支持する、電気駆動モータのハウジングにおけるシール構造に関するものである。シール構造は、配線要素を導通させる中空部(溝)又は配線要素の各電気的な配線を導通させるそれぞれ1つの中空部を有する弾性的な材料から成る支持ベローズを含んでいる。さらに、支持ベローズは、特にハウジングに設けられた外側リングを介したハウジングにおける支持ベローズの油密な固定のための、特に螺着のための外側の固定中空部を含んでいる。
【0010】
好ましくは、支持ベローズは、配線要素との支持ベローズの結合、特に螺着結合のための内側の固定中空部も備えている。このために、配線要素は、その支持ベローズとの(螺着)結合のための取付面を備えている。
【0011】
さらに、好ましくは、安定化させる内側リングが設けられており、当該内側リングは、配線要素又は電気的な配線を導通させる、支持ベローズと同一の中空部と、支持ベローズと同一の内側の固定中空部とを備えており、内側の固定中空部は、支持ベローズ及び配線要素との内側リングの(螺着)結合(部)のために設けられている。これにより、配線要素を導通させる中空部がぴったりとフィットすることがあり得るものの必ずしもぴったりとフィットする必要はないことが達成される。
【0012】
本発明は以下の更なる考察を基礎とする:
【0013】
電気機械では、上述したエネルギー供給配線(電気ケーブル)は、機械ハウジングを、特にカバー、ハウジング壁部又はハウジング構成要素の分離壁部を油密に導通される必要がある。
【0014】
導通の一は取付公差及び/又は加工公差に依存するため、関与する構成要素の大きな部材公差により、従来技術によるOリングを用いた簡易なシールは好ましくない。このような公差は多くの場合数ミリメートルの範囲にあるが、Oリングシールについては、数デシミリメートル(数十分の一ミリメートル)のみが許容される。
【0015】
本発明の基本原理は、フレキシブルな(好ましくは弾性的な)要素の形態での、特に、弾性的なスリーブ又はダイヤフラムとも呼ばれ得る、一方ではコイルの結合部において、他方では電気機械のハウジングカバーにおいてシールする「支持ベローズ」の形態での、シール構造の少なくとも一部としてのカバーである。これにより、部材の大きな公差が可能である。なぜなら、部材を幾何学的に互いに固定し、又は向き調整する必要なく、フレキシブルな要素が当該大きな公差を補整することができるためである。当該カバーは、一方では(好ましくは1つのみの折り目を有する)ベローズのようにフレキシブルにシールし、同時に給電配線用の保持部として用いられるため、以下では「支持ベローズ」と呼ばれる。
【0016】
本発明は、48V以上、特に400Vを超える接触すると危険な電圧の車両における使用において特に有利である。
【0017】
本発明の更なる詳細は、関連する図による好ましい実施例の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明によって解決されるべき問題を概略的に示す図である。
図2】第1の実施例における本発明による着想の原理を概略的に示す図である。
図3】分解図及び取り付けられた状態において、第2の実施例における本発明によるシール構造のあり得る幾何形状を示す斜視図である。
図4】電気駆動モータのハウジングに取り付けられた状態において、第3の実施例における本発明によるシール構造のあり得る幾何形状を示す部分的な斜視図である。
図5】第4の実施例におけるシール構造の部分的な断面図である。
図6】第5の実施例におけるシール構造の概略的で部分的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
各図では、同一又は機能的に同一の要素には同一の参照符号が付されている。
【0020】
図1には、本発明によって解決されるべき問題が概略的に示されている。電気駆動モータ13(図4参照)のハウジング6は、ハウジング貫通部7を備えており、当該ハウジング貫通部を通して、少なくとも電気的な配線の形態の、又は好ましくは統合された電気的な配線A,B及びC(図2及び図3参照)を有する要素の形態の配線要素2がハウジング6のオイルルーム8から外方へエアルーム9へガイドされ得る。ガイド要素2とハウジング貫通部7の縁部の間にはシールパス10、すなわち油密に閉鎖されるべき隙間が配置されている。
【0021】
図2には、ハウジング貫通部7を密閉するとともに電気エネルギーの伝達のために形成された配線要素2を支持するハウジング6における図1に図示された問題を解決するためのシール構造1が概略的な視点で示されており、配線要素は、ここでは例えば少なくとも1つの統合された電気的な配線A,B及び/又はCを有する要素を備えている。
【0022】
シール構造1は、配線要素2を導通させる中空部又は配線要素2の各電気的な配線A,B,Cを導通させるそれぞれ1つの中空部16,17,18(図3による特に有利な部材幾何形状についての実施例も参照)を有する弾性的な材料から成る支持ベローズ5を含んでいる。さらに、支持ベローズ5は、特に縁部で、ハウジング6との支持ベローズ5の螺着部12のための外側の固定中空部15(図3による特に有利な部材幾何形状についての実施例も参照)を含んでいる。好ましくは、ハウジング6は、ハウジング貫通部7の縁部において補強されたホルダフレーム4を更に備えており、当該ホルダフレームは、特に好ましくはできる限り中央の配線貫通部あるいは中空部16,17,18に関してここでは外側リング4とも呼ばれる。
【0023】
本発明の有利な一形態では、支持ベローズ5は、配線要素2との支持ベローズ5の螺着結合部11のための内側の固定中空部14(図3による特に有利な部材幾何形状についての実施例も参照)も備えており、このために、配線要素2は、ここでも支持ベローズ5とのその螺着結合部11のための取付面19を備えている。
【0024】
本発明によるシール構造1の別の有利な一形態では、安定化させる内側リング3が設けられており、当該内側リングは、配線要素2又は電気的な配線A,B,Cを導通させる、支持ベローズ5と同一の中空部16,17,18と、支持ベローズ5と同一の内側の固定中空部14とを備えており、内側の固定中空部14は、支持ベローズ5及び配線要素2との内側リング3の螺着結合部11のために設けられている。
【0025】
図3には、右側に取り付けられた状態を示す特に有利な実施例が示されている。
【0026】
さらに、図3(影部参照)、図4及び図5によれば、有利には、フレキシブルな折り目20を形成するための周設された溝(「S撚り」)を、支持ベローズ5の縁部範囲において、外側の固定中空部15内に設けることが可能である。
【0027】
図5及び図6には、内側リング3を有さない、本発明による別の簡易化された実施例が概略的に示されている。これにより、保持装置1は、安定性が小さくなる可能性があるもののより簡易に取り付けられ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】