(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】車両のマルチモード熱制御システム
(51)【国際特許分類】
B60K 11/02 20060101AFI20240705BHJP
B60H 1/22 20060101ALI20240705BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240705BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240705BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240705BHJP
H01M 10/663 20140101ALI20240705BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240705BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20240705BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240705BHJP
B60L 58/26 20190101ALI20240705BHJP
【FI】
B60K11/02
B60H1/22 651A
B60H1/22 611C
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/663
H01M10/6556
H01M10/6568
B60L50/60
B60L58/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568057
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 IB2022055529
(87)【国際公開番号】W WO2022264050
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】102021000015764
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521268163
【氏名又は名称】マセラティ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】MASERATI S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】クリヴェッラーリ,アッティーリオ
(72)【発明者】
【氏名】フラミーニ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】イアンナーチェ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】プシェドゥ,ジョルジョ
(72)【発明者】
【氏名】シルヴェストリーニ,ジャンルカ
(72)【発明者】
【氏名】ズメラーリア,ルイージ
【テーマコード(参考)】
3D038
3L211
5H031
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC22
3D038AC23
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA02
3L211CA16
3L211CA18
3L211DA26
3L211DA28
3L211DA50
5H031HH06
5H031KK08
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA00
5H125BC19
5H125CD06
5H125FF24
(57)【要約】
電気自動車用の熱制御システム(10)は、液体-空気熱交換器(20)を有するバッテリ(B)に熱的に結合されたバッテリ制御ループ(12)と;電気モータ(M)に熱的に結合されたパワートレイン制御ループ(14)と;圧縮機(36)と、凝縮器(30)と、蒸発器(38)と、蒸発器(38)を冷媒ループ(16)に結合する第1弁(40)と、液体-空気熱交換器(20)を冷媒ループ(16)に結合する第2弁(42)と、を備える冷媒ループ(16)と;三方弁からなる第1バルブアセンブリ(44)を備え;第1バルブアセンブリ(44)が第1モードにあるとき、バッテリ制御ループ(12)とパワートレイン制御ループ(14)とが互いに流体連通しておらず、第1バルブアセンブリ(44)が第2モードにあるとき、バッテリ制御ループ(12)とパワートレイン制御ループ(14)とが部分的なブリードオフで結合されている。熱制御システムはさらに、液体-空気熱交換器(50)を備え、車両のキャビンの温度制御を行うキャビン熱制御ループ(46);およびバッテリ(12)、パワートレイン(14)およびキャビン(46)熱制御ループを一緒に接続するための第1(11)、第2(13)、第3(15)、第4(17)、第5(19)および第6(21)接続分岐部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ(M)を有するパワートレイン(D)と、前記電気モータ(M)に電力を供給するように適合されたバッテリパック(B)を有する供給システム(S)とを有する車両のためのマルチモード熱制御システム(10)であって、
前記マルチモード熱制御システム(10)は、
第1循環ポンプ(18)と液体-空気熱交換器(20)とを備えるバッテリ熱制御ループ(12)であって、前記第1循環ポンプ(18)が、前記バッテリ熱制御ループ(12)内で熱伝達流体を循環させるように適合されており、前記バッテリ熱制御ループ(12)が、車両の前記バッテリパック(B)に熱的に結合されている、バッテリ熱制御ループ(12)と、
第2循環ポンプ(26)を備えるパワートレイン熱制御ループ(14)であって、前記第2循環ポンプ(26)は、前記パワートレイン熱制御ループ(14)内で熱伝達流体を循環させるように適合されており、前記パワートレイン熱制御ループ(14)は、前記車両の前記電気モータ(M)に熱的に結合されている、パワートレイン熱制御ループ(14)と、
前記パワートレイン熱制御ループ(14)から前記バッテリ熱制御ループ(12)への熱伝達流体の通過を可能にするように適合された第1接続分岐部(11)と、
前記バッテリ熱制御ループ(12)から前記パワートレイン熱制御ループ(14)への熱伝達流体の通過を可能にするように適合された第2接続分岐部(13)と、
冷媒が循環される冷媒ループ(16)であって、圧縮機(36)と、凝縮器(30)と、蒸発器(38)と、前記蒸発器(38)を前記冷媒ループ(16)に結合するように適合された第1熱膨張弁(40)と、前記液体-空気熱交換器(20)を前記冷媒ループ(16)に結合するように適合された第2熱膨張弁(42)と、を備える冷媒ループ(16)と、
第1バルブアセンブリ(44)であって、前記第1バルブアセンブリ(44)は、三方弁からなり、前記第1接続分岐部(11)内または前記第2接続分岐部(13)内の熱伝達流体の通路を調整することによって、前記バッテリ熱制御ループ(12)と前記パワートレイン熱制御ループ(14)との間の流体接続を制御するように適合され、この目的のために第1モードおよび第2モードで構成可能である、第1バルブアセンブリ(44)と、を備え、
前記第1バルブアセンブリ(44)が前記第1モードに構成されているとき、前記バッテリ熱制御ループ(12)と前記パワートレイン熱制御ループ(14)とが互いに流体連通しておらず、すなわち、前記バッテリ熱制御ループ(12)内を循環する熱伝達流体が前記パワートレイン熱制御ループ(14)内でも循環しておらず、かつ
前記第1バルブアセンブリ(44)が前記第2モードに構成されているとき、前記バッテリ熱制御ループ(12)と前記パワートレイン熱制御ループ(14)とが、前記パワートレイン熱制御ループ(14)内を循環する熱伝達流体の流量の一部のみが前記バッテリ熱制御ループ(12)内も循環する部分的なブリードオフ構成で結合されており、
前記マルチモード熱制御システム(10)はさらに、
キャビン熱制御ループ(46)であって、第3循環ポンプ(48)と液体-空気熱交換器(50)とを備えており、前記第3循環ポンプ(48)が、前記キャビン熱制御ループ(46)内および前記液体-空気熱交換器(50)を介して熱伝達流体を循環させるように適合されており、前記キャビン熱制御ループ(46)が車両の客室の温度制御を行う、キャビン熱制御ループ(46)と、
前記バッテリ熱制御ループ(12)から前記キャビン熱制御ループ(46)への熱伝達流体の通過を可能にするように適合された第3接続分岐部(15)と、
前記キャビン熱制御ループ(46)から前記バッテリ熱制御ループ(12)への熱伝達流体の通過を可能にするように適合された第4接続分岐部(17)と、
前記キャビン熱制御ループ(46)から前記パワートレイン熱制御ループ(14)への熱伝達流体の通過を可能にするように適合された第5接続分岐部(19)と、
前記パワートレイン熱制御ループ(14)から前記キャビン熱制御ループ(46)への熱伝達流体の通過を可能にするように適合された第6接続分岐部(21)を備えている、
マルチモード熱制御システム(10)。
【請求項2】
前記第1バルブアセンブリ(44)は、三方弁で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のマルチモード熱制御システム。
【請求項3】
前記第3接続分岐部(15)内または前記第4接続分岐部(17)内の熱伝達流体の通路を調節することによって、前記バッテリ熱制御ループ(12)と前記キャビン熱制御ループ(46)との間の流体接続を制御するように適合され、この目的のために、第1モードおよび第2モードで構成可能な、第2バルブアセンブリ(54)をさらに備え、
前記第2バルブアセンブリ(54)が前記第1モードに構成されているとき、前記バッテリ熱制御ループ(12)と前記キャビン熱制御ループ(46)とは互いに流体連通しておらず、すなわち、前記バッテリ熱制御ループ(12)内を循環する熱伝達流体は、前記キャビン熱制御ループ(46)内でも循環しておらず、
前記第2バルブアセンブリ(54)が前記第2モードに構成されているとき、前記バッテリ熱制御ループ(12)と前記キャビン熱制御ループ(46)とが、前記バッテリ熱制御ループ(12)内を循環する熱伝達流体の全流量が前記キャビン熱制御ループ(46)内も循環する直列構成で結合されることを特徴とする請求項1に記載のマルチモード熱制御システム。
【請求項4】
前記第5接続分岐部(19)内または前記第6接続分岐部(21)内の熱伝達流体の通路を調整することによって、前記パワートレイン熱制御ループ(14)と前記キャビン熱制御ループ(46)との間の流体接続を制御するように適合され、この目的のために、第1モードおよび第2モードで構成可能である、第3バルブアセンブリ(56)をさらに備え、
前記第3バルブアセンブリ(56)が前記第1モードに構成されているとき、前記キャビン熱制御ループ(46)と前記パワートレイン熱制御ループ(14)とは互いに流体連通しておらず、すなわち、前記パワートレイン熱制御ループ(14)内を循環する熱伝達流体は、前記キャビン熱制御ループ(46)内も循環しておらず、
前記第3バルブアセンブリ(56)が前記第2モードに構成されているとき、前記キャビン熱制御ループ(46)と前記パワートレイン熱制御ループ(14)とが、前記キャビン熱制御ループ(46)内を循環する熱伝達流体の全流量が前記パワートレイン熱制御ループ(14)内も循環する直列構成で結合されることを特徴とする請求項3に記載のマルチモード熱制御システム。
【請求項5】
前記パワートレイン熱制御ループ(14)が、前記冷媒ループ(16)の前記凝縮器(30)に熱的に結合されるラジエータ(28)を備える、請求項1-4のいずれかに記載のマルチモード熱制御システム。
【請求項6】
前記パワートレイン熱制御ループ(14)は、第1モードと第2モードとに構成可能なバイパス弁(32)をさらに備えており、
前記バイパス弁(32)が前記第1モードに構成されているとき、前記バイパス弁(32)は、前記パワートレイン熱制御ループ(14)内を循環する熱伝達流体が前記ラジエータ(28)を通って流れることを可能にし、
前記バイパス弁(32)が前記第2モードに構成されているとき、前記パワートレイン熱制御ループ(14)内を循環する熱伝達流体が前記ラジエータ(28)をバイパスすることを可能にする、請求項5に記載のマルチモード熱制御システム。
【請求項7】
前記キャビン熱制御ループ(46)が、オンにされたときに前記キャビン熱制御ループ(46)内を循環する熱伝達流体に熱を供給するように適合された電気加熱装置(52)をさらに備える、請求項1-6のいずれかに記載のマルチモード熱制御システム。
【請求項8】
少なくとも1つの電気モータ(M)を有するパワートレイン(D)と、前記パワートレイン(D)に電力を供給するように適合されたバッテリパック(B)を有する供給システム(S)とを備える車両であって、請求項1-7のいずれかに記載のマルチモード熱制御システム(10)をさらに備える車両。
【請求項9】
(a) 請求項7に記載のマルチモード熱制御システム(10)を提供するステップと、
(b) バッテリ熱制御ループ(12)とキャビン熱制御ループ(46)とが互いに流体連通しないように、すなわち、前記バッテリ熱制御ループ(12)内を循環する熱伝達流体が前記キャビン熱制御ループ(46)内も循環しないように、前記第2バルブアセンブリ(54)を第1モードで構成するステップと、
(c) 前記バッテリ熱制御ループ(12)と前記パワートレイン熱制御ループ(14)とが、前記パワートレイン熱制御ループ(14)内を循環する熱伝達流体の流量の一部のみが前記バッテリ熱制御ループ(12)内も循環する部分的なブリードオフ構成で結合されるように、第2モードで前記第1バルブアセンブリ(44)を構成するステップを含む、熱制御システム(10)を制御する制御方法。
【請求項10】
(d) 前記パワートレイン熱制御ループ(14)の前記バイパス弁(32)を第1モードに構成するステップと、
(e) 前記キャビン熱制御ループ(46)の前記電気加熱装置(52)をオンにするステップをさらに含む、請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
(a) 請求項6に記載のマルチモード熱制御システム(10)を提供するステップと、
(f) 前記バッテリ熱制御ループ(12)と前記キャビン熱制御ループ(46)とが互いに流体連通しないように、すなわち、前記バッテリ熱制御ループ(12)内を循環する熱伝達流体が前記キャビン熱制御ループ(46)内も循環しないように、前記第2バルブアセンブリ(54)を第1モードに構成するステップと、
(g) 前記第1バルブアセンブリ(44)を前記第1モードに構成するステップを含む、マルチモード熱制御システム(10)を制御するための制御方法。
【請求項12】
(h) 前記冷媒ループ(16)の前記圧縮機(36)をオンにするステップを含む、請求項11に記載の制御方法。
【請求項13】
(e) 前記キャビン熱制御ループ(46)の前記電気加熱装置(52)をオンにするステップを含む、請求項11に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(少なくとも部分的に)電動車両、または電気モータを備えたパワートレインと、電気モータに電力を供給するように適合されたバッテリパックを備えた供給システムとを有する車両の熱制御のためのマルチモード熱制御システム、およびそのようなマルチモード熱制御システムを利用する関連する熱制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の熱制御のためのマルチモード熱制御システムは、当該分野の先行技術において知られている。
【0003】
例えば、US9,758,011B2には、車両のバッテリパックに熱的に結合されたバッテリ熱制御ループと、車両の電気モータに熱的に結合されたパワートレイン熱制御ループと、車両のキャビンに熱的に結合されたキャビン熱制御ループとを含む、電動車両の熱制御システムが示されている。この3つの異なるループ間の接続方法のため、従来技術では、熱制御システムの使用方法が非常に限られていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、先行技術の欠点に悩まされることのない、電気モータとそれを駆動するバッテリパックを有する車両用のマルチモード熱制御システムを提供することであり、したがって、異なる車両構成部品の加熱または冷却要件に応じて複数の異なる使用モードで使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的および他の目的は、独立請求項1に定義される熱制御システムによって、本発明によれば完全に達成される。
【0006】
本発明による熱制御システムの有利な実施形態は、従属請求項に規定されており、その内容は以下の説明の不可欠な部分として理解される。
【0007】
要約すると、本発明は、電気モータを有するパワートレインと、前記電気モータに電力を供給するように適合されたバッテリパックを有する供給システムとを有する車両のためのマルチモード熱制御システムを提供するという考えに基づいている。
【0008】
この熱制御システムは、
第1循環ポンプと液体-空気熱交換器とを備えるバッテリ熱制御ループであって、前記第1循環ポンプが、前記バッテリ熱制御ループ内で熱伝達流体を循環させるように適合されており、前記バッテリ熱制御ループが、前記車両の前記バッテリパックに熱的に結合されている、バッテリ熱制御ループと、
第2循環ポンプを備えるパワートレイン熱制御ループであって、前記第2循環ポンプは、前記パワートレイン熱制御ループ内で熱伝達流体を循環させるように適合されており、前記パワートレイン熱制御ループは、前記車両の前記電気モータに熱的に結合されている、パワートレイン熱制御ループと、
前記パワートレイン熱制御ループから前記バッテリ熱制御ループへの熱伝達流体の通過を可能にするように適合された第1接続分岐部と、
前記バッテリ熱制御ループから前記パワートレイン熱制御ループへの熱伝達流体の通過を可能にするように適合された第2接続分岐部と、
冷媒が循環される冷媒ループであって、圧縮機と、凝縮器と、蒸発器と、前記蒸発器を前記冷媒ループに結合するように適合された第1熱膨張弁と、前記液体-空気熱交換器を前記冷媒ループに結合するように適合された第2熱膨張弁と、を備える冷媒ループと、
第1バルブアセンブリであって、前記第1バルブアセンブリは、三方弁を含み、前記第1接続分岐部内または前記第2接続分岐部内の熱伝達流体の通路を調整することによって、前記バッテリ熱制御ループと前記パワートレイン熱制御ループとの間の流体接続を制御するように適合され、この目的のために、第1モードおよび第2モードで構成可能である、第1バルブアセンブリと、を備え、
第1バルブアセンブリが第1モードに構成されているとき、バッテリ熱制御ループとパワートレイン熱制御ループとは、互いに並列に、かつ互いに独立して作動し、すなわち互いに流体連通しておらず、すなわちバッテリ熱制御ループ(12)内を循環する熱伝達流体は、パワートレイン熱制御ループ(14)内でも循環せず、
前記第1バルブアセンブリが前記第2モードに構成されているとき、前記バッテリ熱制御ループと前記パワートレイン熱制御ループとが、前記パワートレイン熱制御ループ内を循環する熱伝達流体の流量の一部のみが前記バッテリ熱制御ループ内にも循環する部分的なブリードオフ構成で結合され、
熱制御システムはさらに、
第3循環ポンプと液体-空気熱交換器とを備えるキャビン熱制御ループであって、前記第3循環ポンプが、前記キャビン熱制御ループ内および前記液体-空気熱交換器を介して熱伝達流体を循環させるように適合されており、前記キャビン熱制御ループが、車両の乗客キャビンの温度制御を提供する、キャビン熱制御ループと、
前記バッテリ熱制御ループから前記キャビン熱制御ループへの熱伝達流体の通過を可能にするように適合された第3接続分岐部と、
前記キャビン熱制御ループから前記バッテリ熱制御ループへの熱伝達流体の通過を可能にするように適合された第4接続分岐部と、
キャビン熱制御ループからパワートレイン熱制御ループへの熱伝達流体の通過を可能にするように適合された第5接続分岐部と、
パワートレイン熱制御ループからキャビン熱制御ループへの熱伝達流体の通過を可能にするように適合された第6接続分岐部を有する。
【0009】
本発明の範囲内において、本明細書および添付の特許請求の範囲において、2つの熱制御ループが「互いに平行に、かつ互いに独立して作動する」と言われる場合、それは、一方のループを循環する熱伝達流体が他方のループも循環しないように、すなわち、2つのループ間で熱伝達流体の流量の共有がないように作動することを意味する。逆に、2つの熱制御ループが「直列に作動する」と言われる場合、それは、もちろん望ましくない漏れがない限り、前記ループの一方を循環する熱伝達流体の全流量が前記ループの他方にも循環するように作動することを意味する。最後に、2つの熱制御ループが「部分的なブリードオフ構成で」連結されていると言う場合、それは、一方のループ内を循環する熱伝達流体の流れの一部のみが他方のループ内も循環するように、2つのループが連結されていることを意味する。
【0010】
本発明のような熱制御システムの構成により、本発明の目的を達成することが可能であり、特に、電気モータ、バッテリパック、および車両のキャビンを含む異なる車両構成要素の冷却および/または加熱を含む複数の動作モードを提供することが可能である。
【0011】
好ましくは、第1バルブアセンブリは三方弁で構成される。
【0012】
有利には、熱制御システムはまた、第3接続分岐部または第4接続分岐部における熱伝達流体の通路を調整することによって、バッテリ熱制御ループとキャビン熱制御ループとの間の流体接続を制御するように適合され、この目的のために、第1モードおよび第2モードで構成可能な、第2バルブアセンブリを含んでいてもよい。第2バルブアセンブリが第1モードで構成されているとき、バッテリ熱制御ループとキャビン熱制御ループとは、互いに並列に、かつ互いに独立して動作する。すなわち、これらは互いに流体連通しておらず、すなわち、バッテリ熱制御ループ内を循環する熱伝達流体はキャビン熱制御ループ内も循環せず、第2バルブアセンブリが第2モードに構成されているとき、バッテリ熱制御ループとキャビン熱制御ループとは、前記バッテリ熱制御ループ内を循環する熱伝達流体の全流量がキャビン熱制御ループ内も循環する直列構成で結合されている。さらに有利には、この実施形態において、熱制御システムは、第5接続分岐部内または第6接続分岐部内の熱伝達流体の通路を調整することによって、パワートレイン熱制御ループとキャビン熱制御ループとの間の流体接続を制御するように適合される。この目的のために、第1モードおよび第2モードで構成可能な第3バルブアセンブリをさらに含んでいてもよく、この場合、第3バルブアセンブリが第1モードで構成されているとき、キャビン熱制御ループおよびパワートレイン熱制御ループは、互いに並列に、かつ互いに独立して動作する、すなわち、これらは流体的に接続されていない。すなわち、これらは互いに流体連通しておらず、パワートレイン熱制御ループ内を循環する熱伝達流体はキャビン熱制御ループ内も循環せず、第3バルブアセンブリが第2モードに構成されているとき、キャビン熱制御ループとパワートレイン熱制御ループとは、キャビン熱制御ループ内を循環する熱伝達流体の全流量がパワートレイン熱制御ループ内も循環する直列構成で結合されている。さらに有利には、キャビン熱制御ループは、オンにされたときにキャビン熱制御ループ内を循環する熱伝達流体に熱を供給するように適合された電気加熱装置をさらに含んでいてもよい。
【0013】
好ましくは、パワートレイン熱制御ループは、冷媒ループの凝縮器に熱的に結合されているラジエータを含んでいる。この実施形態において、有利には、パワートレイン熱制御ループは、第1モードおよび第2モードで構成可能なバイパス弁をさらに含んでいてもよく、バイパス弁が第1モードで構成されているとき、パワートレイン熱制御ループ内を循環する熱伝達流体が前記ラジエータを通って流れることを可能にし、バイパス弁が第2モードで構成されているとき、パワートレイン熱制御ループ内を循環する熱伝達流体が前記ラジエータをバイパスすることを可能にする。
【0014】
さらに、本発明のさらなる態様は、以下に説明されるように、特に請求項9から13に記載されるように、本発明の熱制御システムを制御するための制御方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として与えられる以下の詳細な説明から、より明確に現れる。
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による熱制御システムの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の熱制御システムの第1動作モードの概略図であり、熱伝達流体または冷媒が循環するループ分岐が強調表示されている。
【
図3】
図3は、
図1の熱制御システムの第2動作モードの概略図であり、熱伝達流体または冷媒が循環するループ分岐が強調表示されている。
【
図4】
図4は、
図1の熱制御システムの第3動作モードの概略図であり、熱伝達流体または冷媒が循環するループ分岐が強調表示されている。
【
図5】
図5は、
図1の熱制御システムの第4動作モードの概略図であり、熱伝達流体または冷媒が循環するループ分岐が強調表示されている。
【
図6】
図6は、
図1の熱制御システムの第5動作モードの概略図であり、熱伝達流体または冷媒が循環するループ分岐が強調表示されている。
【
図7】
図7は、
図1の熱制御システムの第6動作モードの概略図であり、熱伝達流体または冷媒が循環するループ分岐が強調表示されている。
【
図8】
図8は、本発明のさらなる実施形態による熱制御システムの概略図である。
【
図9】
図9は、本発明のさらなる実施形態による熱制御システムの概略図である。
【
図10】
図10は、本発明のさらなる実施形態による熱制御システムの概略図である。
【
図11】
図11は、本発明のさらなる実施形態による熱制御システムの概略図である。
【
図12】
図12は、本発明のさらなる実施形態による熱制御システムの概略図である。
【
図13】
図13は、本発明のさらなる実施形態による熱制御システムの概略図である。
【
図14】
図14は、本発明のさらなる実施形態による熱制御システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図を参照すると、本発明による熱制御システムは、一般に参照数字10で示されている。熱制御システム10は、マルチモードシステムであり、すなわち、システムに熱的に結合され、熱制御を必要とする複数の構成要素(電気モータ、バッテリ、キャビン、その他)に関して要求される使用のタイプ(冷却、加熱、またはそのどちらでもない)に応じて、複数の異なる使用モードで構成され得るシステムである。
【0018】
熱制御システム10は、車両、特に、電気モータMを有するパワートレインDと、電気モータMに電力を供給するように適合されたバッテリパックBを有する供給システムSとを有する車両の熱制御に使用される。明らかなように、パワートレインDはまた、より多数の電気モータMから構成されてもよく、バッテリパックBは、1つまたは複数の電気モータMに電力を供給するように適合された1つまたは複数のバッテリまたはセルから構成されてもよいが、本明細書および添付の特許請求の範囲は、単純化および簡潔化のために、また純粋に例示的かつ非限定的な方法で、常に単一の電気モータMおよび単一のバッテリパックBにのみ言及している。
【0019】
熱制御システム10は、バッテリ熱制御ループ12と、パワートレイン熱制御ループ14と、熱伝達流体が循環されるキャビン熱制御ループ46と、冷媒が循環される冷媒ループ16とを備える。熱制御システム10はまた、以下にさらに詳細に説明するように、バッテリ熱制御ループ12、パワートレイン熱制御ループ14およびキャビン熱制御ループ46の間の流体接続を可能にするように配置された第1、第2、第3、第4、第5および第6接続分岐部11、13、15、17、19および21を備える。
【0020】
熱伝達流体は、水とグリコールとの混合物からなり、その割合は用途に応じて変化する。冷媒は、非限定的な例として、冷媒R-1234y(米国暖房冷凍空調学会(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers)の呼称規格による)、または他のタイプの冷媒(無水二酸化炭素、R-290冷媒流体、および/または前述の同じ規格によるR-134a冷媒流体など)を含んでもよい。本発明の好ましい実施形態によれば、熱伝達流体と冷媒とは互いに異なり、本発明のさらに好ましい実施形態によれば、熱伝達流体は水とグリコールとの混合物からなり、冷媒は前述の規格によるR-1234y冷媒および/またはR-290冷媒および/またはR-134a冷媒からなる。
【0021】
バッテリ熱制御ループ12は、車両のバッテリパックBに熱的に結合されており、すなわち、バッテリパックBとバッテリ熱制御ループ12との配置および相対的な構成は、バッテリ熱制御ループ12とバッテリパックBとの間で双方向の熱エネルギの交換を可能にし、バッテリパックBの制御された加熱または冷却を可能にするようになっている。
図1および
図13に示すような本発明のいくつかの実施形態では、バッテリ熱制御ループ12は、車両の電子システムEにも熱的に結合されており、すなわち、電子システムEとバッテリ熱制御ループ12との配置および相対的な構成は、バッテリ熱制御ループ12と電子システムEとの間で双方向の熱エネルギの授受を可能にし、電子システムEの制御された加熱または冷却を可能にするようになっている。
【0022】
バッテリ熱制御ループ12は、第1循環ポンプ18と液体-空気熱交換器20とから構成される。第1循環ポンプ18は、それ自体公知の方法で、バッテリ熱制御ループ12内で熱伝達流体を循環させるように適合されている。液体-空気熱交換器20は、バッテリ熱制御ループ12と冷媒ループ16との間の熱伝達を可能にするように適合されている。有利には、熱膨張弁-後述する第2熱膨張弁42-が、液体-空気熱交換器20内の冷媒の流れを制御するように、したがって、バッテリ熱制御ループ12と冷媒ループ16との間の熱結合を制御するように配置される。
【0023】
例えば
図11-
図14に示すような本発明の好ましい実施形態では、バッテリ熱制御ループ12は、オンにされたときにバッテリ熱制御ループ12内を循環する熱伝達流体に熱を供給するように適合されたバッテリ電気加熱装置24をさらに含んでもよい。
【0024】
パワートレイン熱制御ループ14は、パワートレインD、特に車両の電気モータMに熱的に結合されており、すなわち、電気モータMとパワートレイン熱制御ループ14との配置および相対的な構成は、パワートレイン熱制御ループ14と電気モータMとの間で双方向の熱エネルギの伝達を可能にし、電気モータMの制御された加熱または冷却を可能にするようになっている。
図8-
図12および
図14に示すような本発明のいくつかの実施形態では、パワートレイン熱制御ループ14は、車両の電子システムEにも熱的に結合されており、すなわち、電子システムEとパワートレイン熱制御ループ14との配置および相対的な構成は、パワートレイン熱制御ループ14と電子システムEとの間で双方向に熱エネルギの伝達を可能にし、電子システムEの制御された加熱または冷却を可能にするようになっている。もちろん、パワートレイン熱制御ループ14は、それ自体公知の方法で、熱制御を必要とするパワートレインDのさらなる構成要素に熱的に結合することもできる。
【0025】
パワートレイン熱制御ループ14は、第2循環ポンプ26をさらに備える。第2循環ポンプ26は、それ自体公知の方法で、パワートレイン熱制御ループ14内で熱伝達流体を循環させるように適合されている。有利には、パワートレイン熱制御ループ14は、冷媒ループ16(後述する)の凝縮器30に熱的に結合されるように配置されたラジエータ28をさらに備えることができる。好ましくは、この場合、前記ラジエータ28は、パワートレイン熱制御ループ14のバイパス可能な分岐上に配置される。この場合、パワートレイン熱制御ループ14は、第1モードおよび第2モードで構成可能なバイパス弁32を備える。このようなバイパス弁32が第1モードに構成されている場合、これにより、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体がラジエータ28内を通過することができる。逆に、バイパス弁32が第2モードに構成されているとき、これは、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体が前記ラジエータ28を迂回することを可能にし、すなわち、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体の流れをラジエータ28を迂回する分岐上に分流させる。それ自体公知の態様において、このようなバイパス弁32は、三方弁として、または、入口熱伝達流体の流れを2つの出口分岐のいずれに向けるかを制御できる選択弁として設けることができる。それ自体公知の態様において、そのようなラジエータ28は、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体が流入する膨張タンク34と関連付けられることがある。それ自体公知の態様において、ファンがラジエータ28に関連付けられることがある。
【0026】
冷媒ループ16は、前述の凝縮器30(図では3つの小さな矢印で表された空気流に曝される)に加えて、圧縮機36、蒸発器38(図では3つの小さな矢印で表された空気流に曝される)、第1熱膨張弁40、および第2熱膨張弁42から構成される。蒸発器38は、車両のキャビンと熱的に結合するように配置されている。第1熱膨張弁40は、蒸発器38を冷媒ループ16に結合するように適合されており、一方、第2熱膨張弁42は、バッテリ熱制御ループ12の液体-空気熱交換器20を冷媒ループ16に結合し、バッテリ熱制御ループ12内を循環する冷媒と熱伝達流体との間の熱伝達を可能にするように適合されている。
【0027】
ある運転モードでは、圧縮機36がオンになると、冷媒は圧縮機36によって圧縮され、その後、凝縮器30内を通過する。それ自体公知の方法で、凝縮器30の内部で第1相変化が起こり、それにより、凝縮器30が曝される空気流との熱伝達の影響により、冷媒は、気体状態から液体状態に移行する。液体になった冷媒は、このようにしてサブクールされ、第1熱膨張弁40および第2熱膨張弁42を通って利用可能になり、それぞれ蒸発器38および液体-空気熱交換器20への冷媒の流れを調整する。このとき、冷媒は、蒸発器38および液体-空気熱交換器20を通過することにより、蒸発器38を介して外部の空気と、液体-空気熱交換器20において熱伝達流体と、それぞれ熱交換することにより蒸発し、第2相変化を行う。蒸発器38と液体-空気熱交換器20を出た冷媒は、最終的に圧縮機36に戻され、そこから先ほどのサイクルが再び始まる。
【0028】
バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14との間の流体接続のために、熱制御システム10は、パワートレイン熱制御ループ14からバッテリ熱制御ループ12への熱伝達流体の通過を可能にするように配置された第1接続分岐部11と、バッテリ熱制御ループ12からパワートレイン熱制御ループ14への熱伝達流体の通過を可能にするように配置された第2接続分岐部13とからも、予期されるように構成される。
【0029】
本発明による熱制御システム10は、バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14との間の流体接続を制御できるように、すなわち、第1接続分岐部11または第2接続分岐部13内を循環する熱伝達流体の流量の全部または一部の通過を制御または調整できるように配置された第1バルブアセンブリ44をさらに備える。この目的のために、第1バルブアセンブリ44は、バッテリBの上流側の第1接続分岐部11、またはバッテリBの下流側の第2接続分岐部13に配置される。実際、第1バルブアセンブリ44は、バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14との間に確立される機能関係の種類に応じて、第1モードおよび第2モードで構成可能である。第1バルブアセンブリ44が第1モードに構成されているとき、バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14とは並列に、互いに独立して作動し、すなわち、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体はバッテリ熱制御ループ12内も循環せず、すなわち、バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14との間で熱伝達流体の流量の共有は行われない。一方、第1バルブアセンブリ44が第2モードに構成されている場合、バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14とは、部分的なブリードオフ構成、すなわち、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体の流量の一部のみがバッテリ熱制御ループ12内も循環する構成で結合される。本発明によれば、このような第1バルブアセンブリ44は三方弁からなる。より好ましくは、このような第一バルブアセンブリ44は三方弁からなる。最後に、さらに好ましくは、この第1バルブアセンブリ44は、三方弁および接続部からなり、パワートレイン熱制御ループ14とバッテリ熱制御ループ12との間の相対的な動作モード(すなわち、並列動作モードまたは部分的なブリードオフ動作モードの選択)は、当該第1バルブアセンブリ44によってのみ制御および調節可能であり、それ以上の弁はなく、特に、パワートレイン熱制御ループ14とバッテリ熱制御ループ12との間の接続部および相対的な動作モードを調節するための四方弁はない。
【0030】
本発明によれば、予想されるように、熱制御システム10は、キャビン熱制御ループ46をさらに備える。キャビン熱制御ループ46は、車両のキャビンの温度制御を提供し、すなわち車両のキャビンに熱的に結合される。キャビン熱制御ループ46は、第3循環ポンプ48と、液体-空気熱交換器50とから構成されている。第3循環ポンプ48は、キャビン熱制御ループ46内で熱伝達流体を循環させるように適合されており、したがって、それ自体公知の方法で液体-空気熱交換器50を通しても熱伝達流体を循環させるように適合されている。有利なことに、キャビン熱制御ループ46は、オンにされたときにキャビン熱制御ループ46内を循環する熱伝達流体に熱を供給するように適合された電気加熱装置52をさらに備える。
【0031】
バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46との間の流体接続のために、予期されるように、熱制御システム10はまた、バッテリ熱制御ループ12からキャビン熱制御ループ46への熱伝達流体の通過を可能にするように配置された第3接続分岐部15と、キャビン熱制御ループ46からバッテリ熱制御ループ12への熱伝達流体の通過を可能にするように配置された第4接続分岐部17を備える。
【0032】
キャビン熱制御ループ46とバッテリ熱制御ループ12との間の結合の調整は、様々な方法で実施することができる。この目的のために、
図1-
図10に示すいくつかの実施形態では、熱制御システム10は、バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46との間の流体連通を制御できるように、すなわち、第3連通枝15または第4連通枝17内を循環する熱伝達流体の流量の全部または一部の通過を制御または調整できるように配置された第2バルブアセンブリ54をさらに備える。実際、第2バルブアセンブリ54は、バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46との間に確立されるべき機能関係の種類に応じて、第1モードと第2モードとに構成することができる。第2バルブアセンブリ54が第1モードに構成されている場合、バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46とは並列に、かつ互いに独立して作動し、すなわち、キャビン熱制御ループ46内を循環する熱伝達流体はバッテリ熱制御ループ12内も循環せず、すなわち、バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46との間で熱伝達流体の流量の共有は行われない。一方、第2バルブアセンブリ54が第2モードに構成されている場合、バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46とは、バッテリ熱制御ループ12内を循環する熱伝達流体の流量全体がキャビン熱制御ループ46内も循環する直列構成で結合される。好ましくは、このような第2バルブアセンブリ54は、バッテリBの下流の第3接続分岐部15に配置された第1三方バルブ54aと、バッテリBの上流の第4接続分岐部17に配置された第2三方バルブ54Bとから構成される。
【0033】
パワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46との間の流体接続のために、予想されるように、熱制御システム10はまた、キャビン熱制御ループ46からパワートレイン熱制御ループ14への熱伝達流体の通過を可能にするように配置された第5接続分岐部19と、パワートレイン熱制御ループ14からキャビン熱制御ループ46への熱伝達流体の通過を可能にするように配置された第6接続分岐部21とを備える。
【0034】
キャビン熱制御ループ46とパワートレイン熱制御ループ14との間の結合の調整は、様々な方法で実施することができる。この目的のために、
図1-
図14に示すような幾つかの実施形態では、熱制御システム10は、パワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46との間の流体的な連結を制御できるように、すなわち、第5接続分岐部19または第6接続分岐部21内を循環する熱伝達流体の流量の全部または一部の通過を制御または調整できるように配置された第3バルブアセンブリ56をさらに備える。この目的のために、第3バルブアセンブリ56は、液体-空気熱交換器50の下流の第5接続分岐部19、または液体-空気熱交換器50の上流の第6接続分岐部21に配置される。実際には、第3バルブアセンブリ56は、パワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46との間に確立されるべき機能関係の種類に応じて、第1モードおよび第2モードで構成され得る。第3バルブアセンブリ56が第1モードに構成されている場合、パワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46とは並列に、かつ互いに独立して作動し、すなわちキャビン熱制御ループ46内を循環する熱伝達流体はパワートレイン熱制御ループ14内も循環せず、すなわちパワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46との間で熱伝達流体の流量の共有は行われない。一方、第3バルブアセンブリ56が第2モードに構成されている場合、パワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46とは、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体の全流量がキャビン熱制御ループ46内も循環する直列構成で結合される。好ましくは、このような第3弁組立体56は、第1三方弁56aからなる。
【0035】
第1バルブアセンブリ44、第2バルブアセンブリ54および第3バルブアセンブリ56の少なくとも1つは、熱伝達流体または冷媒の流れの分割通過を可能にする比例電動三方バルブの使用によって、中間制御条件を得ることができるようにすることができる。
【0036】
本発明による熱制御システム10は、熱制御システム10に熱的に結合される車両の異なる構成要素(キャビン、バッテリパックB、パワートレインDなど)に対して必要とされる熱制御のタイプ(加熱、冷却、またはそのどちらでもない)に応じて、異なる方法で動作することができ、すなわち異なる制御方法に従って制御することができる。
図1に示す実施形態による熱制御システム10を参照して、これらの制御方法すなわち動作モードのいくつかを説明する。
【0037】
「バッテリパックの受動冷却モード」と呼ばれる第1動作モードが
図2に示されている。この動作モードでは、第1バルブアセンブリ44は、第2モードに構成され、これにより、バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14とは、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体の流量の一部のみがバッテリ熱制御ループ12内も循環する部分ブリードオフ構成で結合される。同時に、パワートレイン熱制御ループ14のバイパス弁32は、ラジエータ28内のパワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体の通過を許容するように、第1モードに構成される。同時に、第2バルブアセンブリ54は、バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46とが並列かつ互いに独立して作動するように、すなわちキャビン熱制御ループ46内を循環する熱伝達流体がバッテリ熱制御ループ12内も循環しないように、すなわちバッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46との間で熱伝達流体の流量の共有がないように、第1モードに構成されている。同時に、第3バルブアセンブリ56は、パワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46とが並列かつ互いに独立して作動するように、すなわちキャビン熱制御ループ46内を循環する熱伝達流体がパワートレイン熱制御ループ14内も循環しないように、すなわちパワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46との間で熱伝達流体の流量が共有されないように、第1モードで構成されている。同時に、キャビン熱制御ループ46の電気加熱装置52は非活性化、すなわちオフであり、キャビン熱制御ループ46内を循環する流体に熱を供給しない。同時に、冷媒ループ16の圧縮機36は非作動、すなわちオフである。このモードでは、バッテリパックBと電気モータMはラジエータ28によって冷却されるが、コンプレッサ36は使用されず、電力消費は低減される。この運転モードは、例えば車両の航続距離を伸ばすために電力消費を抑える必要がある場合に特に有効である。この運転モードは、周囲温度が低いか中程度、例えば約10℃から30℃の間であり、電気モータMによる電力需要が低いか中程度である場合に使用することができる。したがって、典型的な用途は、現在使用されているWLTPサイクルタイプ(World harmonized Light-duty vehicles Test Procedure)の都市サイクルである。
【0038】
「バッテリパックの受動加熱モード」と呼ばれる第2運転モードを
図3に示す。この動作モードでは、第1バルブアセンブリ44は、第2モードに構成され、それにより、バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14とは、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体の流量の一部のみがバッテリ熱制御ループ12内も循環する部分ブリードオフ構成で結合される。同時に、パワートレイン熱制御ループ14のバイパス弁32は、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体が前記ラジエータ28を迂回し、ラジエータ28を迂回する分岐上に分流されるように、第2モードに構成される。同時に、第2バルブアセンブリ54は、第1モードにおいて、バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46とが並列に、かつ互いに独立して作動するように、すなわち、キャビン熱制御ループ46内を循環する熱伝達流体がバッテリ熱制御ループ12内も循環しないように、すなわち、バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46との間で熱伝達流体の流量の共有がないように構成されている。同時に、第3バルブアセンブリ56は、パワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46とが並列かつ互いに独立して作動するように、すなわちキャビン熱制御ループ46内を循環する熱伝達流体がパワートレイン熱制御ループ14内も循環しないように、すなわちパワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46との間で熱伝達流体の流量が共有されないように、第1モードで構成されている。同時に、キャビン熱制御ループ46の電気加熱装置52が作動、すなわちオンとなり、キャビン熱制御ループ46内を循環する流体に熱を供給する。同時に、冷媒ループ16の圧縮機36は非作動、すなわちオフとなる。このモードでは、バッテリパックBが電気モータMの余剰熱によって加熱される一方、コンプレッサ36は使用されず、電力消費が低減される。この運転モードは、例えば車両の航続距離を伸ばすために電力消費を抑える必要がある場合に特に有効である。この動作モードは、周囲温度が低く、例えば約0℃から10℃の間であり、電気モータMによる電力需要が中程度または高い場合に使用することができる。したがって、典型的な用途は、現在使用されているWLTPサイクルタイプ(World harmonized Light-duty vehicles Test Procedure)の都市サイクルである。熱制御システム10がこの動作モードで動作するとき、バッテリパックBは、例えば、非限定的な方法で、約25℃と約30℃との間を含む温度範囲内で、バッテリパックBのセルの種類に応じて、動作に最適な温度条件に常に近い状態に保たれる。
【0039】
「バッテリパックBおよびキャビンの受動加熱モード」と呼ばれる第3動作モードが、
図4に示されている。この動作モードでは、第1バルブアセンブリ44は、第2モードに構成され、それにより、バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14とは、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体の流量の一部のみがバッテリ熱制御ループ12内も循環する部分的なブリードオフ構成で結合される。同時に、パワートレイン熱制御ループ14のバイパス弁32は、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体が前記ラジエータ28を迂回し、ラジエータ28を迂回する分岐上に分流されるように、第2モードに構成される。同時に、第2バルブアセンブリ54は、第1モードにおいて、バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46とが並列に、かつ互いに独立して作動するように、すなわち、キャビン熱制御ループ46内を循環する熱伝達流体がバッテリ熱制御ループ12内も循環しないように、すなわち、バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46との間で熱伝達流体の流量の共有がないように構成されている。同時に、第3バルブアセンブリ56は、パワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46とが、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体の全流量がキャビン熱制御ループ46内も循環する直列構成で結合されるように、第2モードで構成される。同時に、キャビン熱制御ループ46の電気加熱装置52は非作動、すなわちオフであり、キャビン熱制御ループ46内を循環する流体に熱を供給しない。同時に、冷媒ループ16の圧縮機36は非作動、すなわちオフである。このモードでは、バッテリパックBとキャビン内は、電気モータMの余剰熱によって加熱され、または周囲温度に保たれ、一方、コンプレッサ36は使用されず、電力消費は低減される。この運転モードは、例えば車両の航続距離を伸ばすために電力消費を抑える必要がある場合に特に有効である。この運転モードは、周囲温度が低いか中程度、例えば約10℃から約20℃の間であり、電気モータMによる電力需要が中程度か高い場合に使用することができる。したがって、典型的な使用方法としては、米国で現在施行されているEPA規制基準によるFTP20サイクル、および現在施行されている規制基準によるWLTP(World harmonized Light-duty vehicles Test Procedure)およびRDEサイクルが挙げられる。
【0040】
「最大性能アクティブ冷却モード」と呼ばれる第4運転モードを
図5に示す。この動作モードでは、第1バルブアセンブリ44は、第1モードに構成され、それにより、バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14は、並列かつ互いに独立して動作し、すなわち、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体は、バッテリ熱制御ループ12内も循環せず、すなわち、バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14との間で熱伝達流体の流量の共有はない。同時に、パワートレイン熱制御ループ14のバイパス弁32は、ラジエータ28内のパワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体の通過を許容するように、第1モードに構成される。同時に、第2バルブアセンブリ54は、バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46とが並列かつ互いに独立して作動するように、すなわちキャビン熱制御ループ46内を循環する熱伝達流体がバッテリ熱制御ループ12内も循環しないように、すなわちバッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46との間で熱伝達流体の流量の共有がないように、第1モードに構成されている。同時に、第3バルブアセンブリ56は、パワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46とが並列かつ互いに独立して作動するように、すなわちキャビン熱制御ループ46内を循環する熱伝達流体がパワートレイン熱制御ループ14内も循環しないように、すなわちパワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46との間で熱伝達流体の流量が共有されないように、第1モードで構成されている。同時に、キャビン熱制御ループ46の電気加熱装置52は非活性化、すなわちオフであり、キャビン熱制御ループ46内を循環する流体に熱を供給しない。同時に、冷媒ループ16の圧縮機36が作動、すなわちオンとなる。最後に、同時に、第2熱膨張弁42は、バッテリ熱制御ループ12内を循環する熱伝達流体と、液体-空気熱交換器20を介して冷媒ループ16内を循環する冷媒との間の熱交換を可能にするように構成される。このモードでは、バッテリ熱制御ループ12、パワートレイン熱制御ループ14およびキャビン熱制御ループ46は互いに切り離される。バッテリパックBは液体-空気熱交換器20によって保証された熱伝達によって冷却され、電気モータMはラジエータ28によって冷却され、ラジエータ28は外部空気(図では3つの小さな平行矢印で示す)によって冷却される。この動作モードは、例えば、電気自動車が急速充電モードにあり、それによってバッテリパックBが大きな熱負荷を受ける場合、あるいは、レースや競技の場合のように、電気モータMに対する電力要求が高いか、非常に高い場合、あるいはまた、周囲温度が高い場合、例えば、約30℃より高い場合に、特に有用である。
【0041】
「キャビンの受動的暖房モード」と呼ばれる第5動作モードが
図6に示されている。この動作モードでは、第1バルブアセンブリ44は、第1モードに構成され、それにより、バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14は、並列に、互いに独立して動作し、すなわち、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体は、バッテリ熱制御ループ12内も循環せず、すなわち、バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14との間で熱伝達流体の流量の共有はない。同時に、パワートレイン熱制御ループ14のバイパス弁32は、第2モードに構成され、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体が前記ラジエータ28をバイパスし、ラジエータ28をバイパスする分岐上に分流されるようにする。同時に、第2バルブアセンブリ54は、第1モードにおいて、バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46とが並列に、かつ互いに独立して作動するように、すなわち、キャビン熱制御ループ46内を循環する熱伝達流体がバッテリ熱制御ループ12内も循環しないように、すなわち、バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46との間で熱伝達流体の流量の共有がないように構成されている。同時に、第3バルブアセンブリ56は、パワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46とが、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体の全流量がキャビン熱制御ループ46内も循環する直列構成で結合されるように、第2モードで構成される。同時に、キャビン熱制御ループ46の電気加熱装置52が作動、すなわちオンとなり、キャビン熱制御ループ46内を循環する流体に熱を供給する。同時に、冷媒ループ16の圧縮機36は非作動、すなわちオフとなる。このモードでは、電気モータMの余剰熱によってもキャビンが暖房され、または周囲温度に保たれるため、キャビン内の快適性はそのままに、電気暖房装置52の使用が最小限に抑えられ、圧縮機36は使用されず、電力消費が低減される。この運転モードは、例えば車両の航続距離を伸ばすために電力消費を抑える必要がある場合に特に有用である。この動作モードは、周囲温度が低いか中程度、例えば約-10℃から約20℃の間であり、電気モータMによる電力需要が中程度か高い場合に使用することができる。したがって、典型的な使用は、米国で現在施行されているEPA規制基準に従ったFTP20サイクル、および現在施行されている規制基準に従ったWLTP(World harmonized Light-duty vehicles Test Procedure)およびRDEサイクルの使用である。熱制御システム10がこの動作モードで動作するとき、バッテリパックBは、例えば、非限定的に、約25℃と約30℃との間を含み、バッテリパックBのセルの種類に応じた温度範囲内など、動作に最適な温度条件に常に近い状態に保たれる。
【0042】
「アクティブバッテリ加熱モード」と呼ばれる第6動作モードが
図7に示されている。この動作モードでは、第1バルブアセンブリ44は、第1モードに構成され、それにより、バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14は、並列に、互いに独立して動作し、すなわち、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体は、バッテリ熱制御ループ12内も循環せず、すなわち、バッテリ熱制御ループ12とパワートレイン熱制御ループ14との間で熱伝達流体の流量の共有はない。同時に、パワートレイン熱制御ループ14のバイパス弁32は、第2モードに構成され、パワートレイン熱制御ループ14内を循環する熱伝達流体が前記ラジエータ28をバイパスし、ラジエータ28をバイパスする分岐上に分流されるようにする。同時に、第2バルブアセンブリ54は、第2モードにおいて、バッテリ熱制御ループ12とキャビン熱制御ループ46とが、バッテリ熱制御ループ12内を循環する熱伝達流体の全流量がキャビン熱制御ループ46内も循環する直列構成で結合されるように構成されている。同時に、第3バルブアセンブリ56は、パワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46とが並列かつ互いに独立して作動するように、すなわちキャビン熱制御ループ46内を循環する熱伝達流体がパワートレイン熱制御ループ14内も循環しないように、すなわちパワートレイン熱制御ループ14とキャビン熱制御ループ46との間で熱伝達流体の流量の共有がないように、第1モードで構成されている。同時に、キャビン熱制御ループ46の電気加熱装置52が作動、すなわちオンとなり、キャビン熱制御ループ46内を循環する流体に熱を供給する。同時に、冷媒ループ16の圧縮機36は非作動、すなわちオフとなる。このモードでは、車両のバッテリパックBは、電気加熱装置52によって供給される熱によって加熱され、バッテリパックBをできるだけ早く加熱する。この動作モードは、バッテリパックBの温度を最低温度以上に保つ必要がある場合、例えば周囲温度が低いか非常に低い場合、例えば約0℃以下であり、電気モータMのスイッチがオフである場合に特に有用である。
【0043】
明らかに、当業者には明らかなように、本発明による熱制御システム10を制御するための制御方法は多数であり、それらのすべてが明示的に説明されていないとしても、熱制御システム10の説明から出発して、非限定的な方法で例として説明された熱制御方法から、これらは当業者によって容易に推論可能である。
【0044】
明らかに、少なくとも1つの電気モータMを有するパワートレインDと、前記パワートレインDに電力を供給するように適合されたバッテリパックBを有する供給システムSとを備える車両への本発明による熱制御システム10の適用も、本発明の一部を形成する。
【0045】
当業者には明らかなように、本発明は、従来技術に対していくつかの利点を有する。
【0046】
特に、第1バルブアセンブリの構成により、バッテリ熱制御ループとパワートレイン熱制御ループとの間に異なる接続モードを確立することが可能であり、その結果、熱制御システムの全体的な動作を確立することが可能である。
【0047】
特に、先行技術とは異なり、比例機械弁を使用することにより、マルチモード熱制御は、例示的かつ非限定的な方法で先に説明したモードだけでなく、一連の中間モードでも機能し、これらは、最大エネルギ効率と、その機能仕様に関連したシステムの正しい機能を保証するために、ループ内および個々のコンポーネント上に配置された熱センサーによって管理することができる。
【0048】
もちろん、本発明の原理は理解されるが、製造の詳細および実施形態は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、非限定的な例によってのみ説明および図示されるものと比較して、広く変化する可能性がある。
【国際調査報告】